JP2023046799A - 光導波路の製造方法、及び、光導波路用材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温下で長時間使用しても安定した光導波路用材料および光導波路の製造方法を提供する。【解決手段】クラッド用ドライフィルムと、屈折率の大きいコア用ドライフィルムと、を積層する工程を含み、前記クラッド用ドライフィルムと前記コア用ドライフィルムとを、それぞれ紫外線処理及び熱処理によって得られたクラッド硬化物の屈折率ncrad1とコア硬化物の屈折率ncore1と、より算出される開口数NA1が0.10以上であり、前記クラッド硬化物と前記コア硬化物とを、それぞれさらに熱処理をして得られたクラッド熱処理物の屈折率ncrad2とコア熱処理物の屈折率ncore2と、より算出される開口数NA2が0.10以上であり、前記クラッド硬化物と前記コア硬化物から形成される光導波路の光損失と、前記光導波路を熱処理をして得られた光導波路熱処理物の光損失との損失変動量が、2.1[db]以下である、光導波路の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、光導波路の製造方法、及び、光導波路用材料に関する。
従来、FTTH(Fiber to the Home)や車載分野の長距離、中距離通信の分野で伝送媒体として光ファイバーが主流であった。近年、1m以内の短距離においても光を用いた高速伝送が必要となってきている。この領域には、光ファイバーではできない、高密度配線(狭ピッチ、分岐、交差、多層化等)、表面実装性、電気基板との一体化、小径での曲げが可能な光導波路型の光配線板が適している。
光導波路を形成するために用いられる材料としては、例えば、光ファイバーの製造に広く用いられているアクリル樹脂が知られている。しかしながら、アクリル樹脂で形成された光導波路は、電気回路を形成させる際の加熱条件、例えば、鉛フリーはんだの高温でのリフロー条件に耐えうる耐熱性を有していない。このため、アクリル樹脂を用いて光導波路を基板上に形成し、さらに、光電変換素子等の各種素子を実装しようとした場合、リフロー工程を用いた実装工程を適用できない。このため、このような光導波路を用いた場合、各種素子を予め実装した別の基板等に、光導波路のコアを、数十マイクロメーターオーダーの精密な位置調整して配置する必要がある。このような実装工程は、非常に煩雑であり、量産性に乏しい。
そこで、耐熱性を備える光導波路用材料として、エポキシ樹脂と紫外線による硬化開始剤を含む樹脂組成物を用いて、光導波路のコア層やクラッド層を形成することが報告されている(特許文献1)。特許文献1では、液状脂肪族エポキシ化合物と、エポキシ基を分子中に3つ以上有する多官能芳香族エポキシ化合物と、エポキシ当量400g/eq以上、1500g/eq以下の固形ビスフェノールA型エポキシ化合物と、光硬化剤とを含み、液状ビスフェノールA型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、及びエポキシ基を分子中に3つ以上有する固形脂環式エポキシ化合物の含有量が、エポキシ化合物の全量に対して、5質量%以下である光導波路用組成物が使用されている。
上記特許文献1記載の発明で使用されているようなエポキシ系原料は、芳香族系や脂肪族系のポリマーであり、エポキシ基を多く含んでいる。そのようなエポキシ樹脂と紫外線硬化開始剤を含む樹脂組成物に紫外線を当てると、エポキシ基は紫外線により発生した酸によって容易に反応し硬化するため、光導波路を形成することが可能となる。しかしながら、樹脂組成物中に未反応のエポキシ基があると、当該エポキシ基は熱により酸化されてしまうことがわかってきた。そうなると、光導波路の屈折率が変化するとい問題が生じる。特に、1.3μm帯の光の屈折率に影響を与えてしまうため、シングルモード材料において問題となっている。また、屈折率の変動はコア層よりクラッド層において大きくなるため、開口数(N/A:Numerical Appeture)が小さくなり、光損失が大きくなってしまうという課題もある。
そこで、本発明は、上記問題を改善し、高温下で長時間使用しても、開口数が小さくなったり光損失が大きくなったりすることを抑制できる、安定した光導波路用材料および光導波路の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の一局面に係る光導波路の製造方法は、クラッド層と、前記クラッド層に重なるコア層とを備える光導波路の製造方法であり、
クラッド用樹脂組成物を用いて形成されたクラッド用ドライフィルムと、前記クラッド用樹脂組成物よりも屈折率の大きいコア用樹脂組成物を用いて形成されたコア用ドライフィルムと、を積層する工程を含み、
前記クラッド用ドライフィルムと前記コア用ドライフィルムとを、それぞれ紫外線処理及び140℃で30分間の熱処理によって硬化させて得られたクラッド硬化物の屈折率ncrad1とコア硬化物の屈折率ncore1と、より算出される開口数NA1が0.10以上であり、
前記クラッド硬化物と前記コア硬化物とを、それぞれさらに175℃で177時間の熱処理をして得られたクラッド熱処理物の屈折率ncrad2とコア熱処理物の屈折率ncore2と、より算出される開口数NA2が0.10以上であり、
前記クラッド硬化物と前記コア硬化物から形成される光導波路の光損失αと、前記光導波路を175℃で177時間の熱処理をして得られた光導波路熱処理物の光損失βとの差(β-α)である損失変動量が、2.1[db]以下である、
ことを特徴とする。
クラッド用樹脂組成物を用いて形成されたクラッド用ドライフィルムと、前記クラッド用樹脂組成物よりも屈折率の大きいコア用樹脂組成物を用いて形成されたコア用ドライフィルムと、を積層する工程を含み、
前記クラッド用ドライフィルムと前記コア用ドライフィルムとを、それぞれ紫外線処理及び140℃で30分間の熱処理によって硬化させて得られたクラッド硬化物の屈折率ncrad1とコア硬化物の屈折率ncore1と、より算出される開口数NA1が0.10以上であり、
前記クラッド硬化物と前記コア硬化物とを、それぞれさらに175℃で177時間の熱処理をして得られたクラッド熱処理物の屈折率ncrad2とコア熱処理物の屈折率ncore2と、より算出される開口数NA2が0.10以上であり、
前記クラッド硬化物と前記コア硬化物から形成される光導波路の光損失αと、前記光導波路を175℃で177時間の熱処理をして得られた光導波路熱処理物の光損失βとの差(β-α)である損失変動量が、2.1[db]以下である、
ことを特徴とする。
本発明によれば、高温下で使用しても、開口数を小さく抑えることができ、光の損失を低減できる光導波路の製造方法及び光導波路用材料を提供することができる。
以下に、本発明を実施するための実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
(光導波路の製造方法)
本実施形態の光導波路の製造方法は、クラッド層と、前記クラッド層に重なるコア層とを備える光導波路の製造方法である。
本実施形態の光導波路の製造方法は、クラッド層と、前記クラッド層に重なるコア層とを備える光導波路の製造方法である。
本実施形態の製造方法は、クラッド用樹脂組成物を用いて形成されたクラッド用ドライフィルムと、前記クラッド用樹脂組成物よりも屈折率の大きいコア用樹脂組成物を用いて形成されたコア用ドライフィルムと、を積層する工程を含む。
本実施形態において、前記クラッド用ドライフィルムと前記コア用ドライフィルムとを、それぞれ紫外線処理及び140℃で30分間の熱処理によって硬化させて得られたクラッド硬化物の屈折率ncrad1とコア硬化物の屈折率ncore1と、より算出される開口数NA1が0.10以上である。さらに、前記クラッド硬化物と前記コア硬化物とを、それぞれさらに175℃で177時間の熱処理をして得られたクラッド熱処理物の屈折率ncrad2とコア熱処理物の屈折率ncore2と、より算出される開口数NA2が0.10以上である。
すなわち、本実施形態では、クラッド用ドライフィルムとコア用ドライフィルムのそれぞれ硬化物において、熱処理前の硬化物と、熱処理後の硬化物の両方において、開口数(NA)が0.10以上となっていることを特徴とする。それにより、高温下で使用しても開口数が小さくなることを抑制でき、1.3μm(1310nm)帯の屈折率の変動を抑えることができる。
さらに、本実施形態では、前記クラッド硬化物と前記コア硬化物から形成される光導波路の光損失αと、前記光導波路を175℃で177時間の熱処理をして得られた光導波路熱処理物の光損失βとの差(β-α)である損失変動量が、2.1[db]以下である。つまり、本実施形態のクラッド硬化物とコア硬化物から形成される光導波路においては、熱処理によって光損失変動が大きく変化しないという利点がある。これにより、光損失を抑制することができ、信頼性に優れた光導波路を提供することができる。
前記クラッド用ドライフィルムと前記コア用ドライフィルムに行う紫外線処理として、具体的には、紫外線照射が行われる。前記紫外線照射での光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯などがあげられる。また、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm2以上20000mJ/cm2以下、好ましくは、100J/cm2以上15000mJ/cm2以下、より好ましくは、500J/cm2以上10000mJ/cm2以下程度が挙げられる。
なお、本実施形態において、ドライフィルム硬化後の熱処理としては、175℃で177時間の熱処理を行っているが、これはアレニウスの定義により、150℃1000時間と同等の熱処理である。
本実施形態において、前記開口数とは、以下のようにして求めた値である:
まず、クラッドとコアの各硬化物の屈折率をアッベ屈折計にて温度25℃、波長1310nmの条件で、測定する。そして得られた各屈折率nの値を用いて、以下の式にて開口数(NA)を算出する。
NA=((ncore)^2-(ncrad)^2)^(1/2))
まず、クラッドとコアの各硬化物の屈折率をアッベ屈折計にて温度25℃、波長1310nmの条件で、測定する。そして得られた各屈折率nの値を用いて、以下の式にて開口数(NA)を算出する。
NA=((ncore)^2-(ncrad)^2)^(1/2))
また、本実施形態において、前記損失変動量とは、以下のようにして求めた値である:まず、後述するような形成方法によって、基板上に作製した光導波路(5cm角の基板、導波路長:5cm)の、高温処理前の光損失値α(上束12本、中束12本、下束12本の計36本の平均値)と、同じサンプルを175℃で177時間処理した後の光損失値β(上束12本、中束12本、下束12本の計36本の平均値)の差を算出(処理後損失値β-処理前損失値α)する。
なお、光損失値の測定方法は下記記載の通りである。まず、1310nmのLED光源からの光をコア径9μm、NA0.12の光ファイバーを通して、光導波路の端部にマッチングオイル(屈折率1.505)を介して入射する。そして、反対側からは同じマッチングオイルを介してコア径50μm、NA0.21の光ファイバーを通してパワーメータに接続して、光回路を挿入した場合のパワー(P1)を測定する。さらに上記2つのファイバーを突き当てて測定した光回路の無い状態でのパワー(P0)を測定し、-10log(P1/Po)の計算式で光回路の挿入損失を算出する。
次に、クラッド用ドライフィルムとコア用ドライフィルムを用いて基板上に光導波路を形成する一実施態様について、図1を参照しながら説明する。
本実施形態の光導波路の形成には、コア及びクラッドを形成するために、それぞれクラッド用ドライフィルム及びコア用ドライフィルムを用いる。なお、本実施形態で使用するクラッド用ドライフィルム及びコア用ドライフィルムとしては、後述の光導波路用材料において説明するドライフィルムを用いることが好ましい。
はじめに、図1(a)に示すように、電気回路11が形成された基板10の表面にクラッド用フィルム1をラミネートした後、紫外線などの光照射や加熱をすることによりクラッド用フィルム1を硬化させる。なお、基板10としては、例えば、ポリイミドフィルムのような透明基材の片面に電気回路が形成されたフレキシブルプリント配線板やガラスエポキシのようなプリント配線板等が用いられる。このような工程により、図1(b)に示すような、基板10の表面にアンダークラッド3aが積層形成される。
次に、図1(c)に示すように、アンダークラッド3aの表面にコア用フィルム2をラミネートした後、コアパターンのスリットが形成されたマスクを重ね、スリットを通して紫外線など光硬化が可能な光を照射することによって、コア用光フィルム2にコアパターンで露光する。なお、露光方法としては、マスクを用いて選択露光する方法の他、パターン形状に沿ってレーザ光を走査して照射する直接描画方式で行ってもよい。
次に、露光の後、コア用光フィルム2を水性フラックス洗浄剤等の現像液を用いて現像処理することにより、コア用光フィルム2の露光されていない未硬化の部分の樹脂を除去する。それにより、図1(d)に示すように、アンダークラッド3aの表面に所定のコアパターンのコア4が形成される。
次に、図1(e)に示すように、アンダークラッド3a及びコア4を被覆するようにクラッド用フィルム1をラミネートして積層する。そして、光照射や加熱をしてクラッド用フィルム1を硬化させることにより、図1(f)に示すようなオーバークラッド3bが形成される。このようにして、基板10の表面に、アンダークラッド3aとオーバークラッド3bからなるクラッド3内にコア4が埋入されてなる光導波路Aが形成される。
このようにして得られる光導波路Aでは、上述した構成を備えることにより、高温による1.3μm帯における屈性率の変動を抑えて、光の損失を低減でき、高温下においても優れた光通信を実現できる。よってこのような光導波路Aが形成された基板10は、光伝送用プリント配線板として好ましく用いられ、例えば、携帯電話や携帯情報端末等に好ましく用いられる。
(光導波路用材料)
本実施形態の光導波路用材料は、クラッド用樹脂組成物を用いて形成されたクラッド用ドライフィルムと、前記クラッド用樹脂組成物よりも屈折率の大きいコア用樹脂組成物を用いて形成されたコア用ドライフィルムとを含む。
本実施形態の光導波路用材料は、クラッド用樹脂組成物を用いて形成されたクラッド用ドライフィルムと、前記クラッド用樹脂組成物よりも屈折率の大きいコア用樹脂組成物を用いて形成されたコア用ドライフィルムとを含む。
そして、前記クラッド用ドライフィルムと前記コア用ドライフィルムとを、それぞれ紫外線処理及び140℃で30分間の熱処理によって硬化させて得られたクラッド硬化物の屈折率ncrad1とコア硬化物の屈折率ncore1と、より算出される開口数NA1が0.10以上であり、前記クラッド硬化物と前記コア硬化物とを、それぞれさらに175℃で177時間の熱処理をして得られたクラッド熱処理物の屈折率ncrad2とコア熱処理物の屈折率ncore2と、より算出される開口数NA2が0.10以上である。
さらに、本実施形態の光導波路用材料では、前記クラッド硬化物と前記コア硬化物から形成される光導波路の光損失αと、前記光導波路を175℃で177時間の熱処理をして得られた光導波路熱処理物の光損失βとの差(β-α)である損失変動量が、2.1[db]以下である。
本実施形態の光導波路用材料において、紫外線処理、開口数、および、損失変動量は、前記製造方法において述べた紫外線処理、開口数、および、損失変動量と同義である。
このような本実施形態の光導波路用材料を用いることにより、高温下で使用しても、開口数を小さく抑えることができ、光の損失を低減できる、信頼性の高い光導波路を得ることができる。
以下に、本実施形態の光導波路用材料に含まれる、クラッド用ドライフィルム及びコア用ドライフィルムについてより詳しく説明する。
・クラッド用ドライフィルム
クラッド用ドライフィルムを形成するための材料としては、上述したような開口数の規定および損失変動量の規定を満たすような樹脂組成物であれば特に限定はされないが、後述するコア用ドライフィルムの材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるようなクラッド用樹脂組成物が用いられる。具体的には、1.3μm帯の伝送波長における屈折率として、例えば、1.5~1.57程度である樹脂組成物が挙げられる。このような樹脂組成物としては、光等のエネルギ線や熱によって硬化する硬化性樹脂組成物等が挙げられ、例えば、上述したような屈折率を有する、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等を含む樹脂組成物が挙げられる。これらの中でもエポキシ樹脂が好ましく、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等を使用することが好ましい。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
クラッド用ドライフィルムを形成するための材料としては、上述したような開口数の規定および損失変動量の規定を満たすような樹脂組成物であれば特に限定はされないが、後述するコア用ドライフィルムの材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるようなクラッド用樹脂組成物が用いられる。具体的には、1.3μm帯の伝送波長における屈折率として、例えば、1.5~1.57程度である樹脂組成物が挙げられる。このような樹脂組成物としては、光等のエネルギ線や熱によって硬化する硬化性樹脂組成物等が挙げられ、例えば、上述したような屈折率を有する、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等を含む樹脂組成物が挙げられる。これらの中でもエポキシ樹脂が好ましく、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等を使用することが好ましい。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に好ましい実施形態では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を組み合わせて使用することにより、後述する酸化防止剤によるブリードアウトの発生を抑制することができるという利点がある。
前記クラッド用樹脂組成物が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む場合、その配合比は、質量比で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が95:5~75:25の範囲であることが好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を併用する場合、その配合比が前記範囲であることにより、熱処理後の開口数NA2を0.10以上に維持することができ、また高温下における光損失をより抑制できると考えられる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の配合比が少なすぎると、後述する酸化防止剤がブリードアウトして系外に出てしまうため、高温下における光損失が大きくなるおそれがあるため好ましくない。一方で、多すぎても、光漏れが生じて光損失が大きくなるおそれや、高温処理後の開口数が0.10未満になってしまうおそれがあるため、好ましくない。より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が95:5~85:15の質量比となっていることが望ましい。
また、好ましい実施形態において、前記クラッド用樹脂組成物は、エポキシ樹脂と酸化防止剤を含有する。それにより、より耐熱性に優れるクラッド用ドライフィルムを得ることができると考えられる。
酸化防止剤としては特に限定はされないが、例えば、フェノール系の酸化防止剤、ホスファイト系の酸化防止剤、及び硫黄系の酸化防止剤等を用いることができる。フェノール系の酸化防止剤としては、例えば、株式会社アデカ製のAO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-80、住友化学株式会社製のSUMILIZER GA-80が挙げられる。ホスファイト系の酸化防止剤としては、例えば、株式会社アデカ製のPEP-8、PEP-36、HP-10、2112、1178、1500、城北化学工業株式会社製のJP-360、JP-3CPが挙げられる。硫黄系の酸化防止剤としては、例えば、株式会社アデカ製のAO-412S、AO-503、住友化学株式会社製のSUMILIZER TP-Dが挙げられる。酸化防止剤は、上記例示化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、好ましくは、フェノール系の酸化防止剤を用いる。
前記クラッド用樹脂組成物において、酸化防止剤の含有量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、1.5質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。酸化防止剤が1.5質量部未満となると、熱処理後における開口数NA2が0.10未満になってしまうおそれがある。よって、酸化防止剤含有量の下限は1.5質量部以上であることが好ましく、2.0質量部以上であることがより好ましい。一方で、酸化防止剤が多く含まれると、酸化防止剤のブリードアウトが発生するおそれがあるため、酸化防止剤含有量の上限は5.0質量部以下であることが好ましく、ブリードアウトをより抑制するためには、3.0質量部以下であることがさらに好ましい。
クラッド用樹脂組成物は、上述したような樹脂、酸化防止剤以外にも、光硬化剤を含んでいることが好ましい。
光硬化剤は、前記クラッド用樹脂組成物の、光による硬化を促進させることができれば、特に限定されない。光硬化剤としては、例えば、光カチオン硬化剤及び光アニオン硬化剤が挙げられる。
光カチオン硬化剤は、各種樹脂の重合開始剤であり、光によって反応を開始させることができる化合物である。光カチオン硬化剤としては、例えば、サンアプロ株式会社製の、CPI-101A、CPI-100P、CPI-200K、株式会社アデカ製のSP-170、和光純薬工業株式会社製の、B2380、C1390、D2238、D2960、I0591、M1209、N0137、T1608等を用いることができる。光カチオン硬化剤は、上記例示化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光アニオン硬化剤もまた各種樹脂の重合開始剤であり、光によって反応を開始させることができる化合物である。光アニオン硬化剤としては、例えば、和光純薬工業株式会社製の、A2502、N0528、O0396を用いることができる。光アニオン硬化剤は、上記例示化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光硬化剤の含有量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、1.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上、0.5質量部以下であることがより好ましい。光硬化剤が少なすぎると、クラッド用樹脂組成物が硬化しにくくなる。光硬化剤が多すぎると、カチオンやアニオンが過剰に発生する。このため、例えば、クラッド用樹脂組成物が硬化しやすくなりすぎ、保存性が低下したり、取扱性が低下したりするおそれがある。
本実施形態のクラッド用樹脂組成物には、上述した成分以外にも、例えば、レベリング剤、カップリング剤(シランカップリング剤)等の添加剤を配合することもできる。
本実施形態に係るクラッド用ドライフィルムは、前記クラッド用樹脂組成物の層を備えるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、クラッド用ドライフィルムは、クラッド用樹脂組成物の層の一方の面上に、フィルム基材を備え、他方の面上に、保護フィルムを備えるもの等が挙げられる。クラッド用ドライフィルムは、クラッド用樹脂組成物層を備えていればよく、フィルム基材及び保護フィルムだけではなく他の層を備えていてもよいし、フィルム基材及び保護フィルムも必須ではない。
フィルム基材は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate(PET))フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、及びポリイミドフィルムが挙げられる。この中でも、PETフィルムが好ましく用いられる。
また、保護フィルムも、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
なお、クラッド用ドライフィルムの厚みは特に限定されず、用途などによって適宜設定できるが、例えば、10μm以上30μm以下程度であることが好ましい。
クラッド用ドライフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、クラッド用樹脂組成物に溶媒等を加えて、ワニス状にし、そのワニスを、フィルム基材上に塗布する。この塗布は、コンマコーター等を用いる塗布等が挙げられる。このワニスを乾燥させることにより、フィルム基材上に、クラッド用樹脂組成物層を形成する。さらに、クラッド用樹脂組成物層上に、保護フィルムを積層する。その積層方法としては、例えば、熱ラミネート法が挙げられる。
・コア用ドライフィルム
コア用ドライフィルムを形成するための材料としては、上述したような開口数の規定および損失変動量の規定を満たすような樹脂組成物であれば特に限定はされないが、前記クラッド用ドライフィルムの材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が高い材料が用いられる。具体的には、1.3μm帯の伝送波長における屈折率として、例えば、1.55~1.6程度である樹脂材料が挙げられる。
コア用ドライフィルムを形成するための材料としては、上述したような開口数の規定および損失変動量の規定を満たすような樹脂組成物であれば特に限定はされないが、前記クラッド用ドライフィルムの材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が高い材料が用いられる。具体的には、1.3μm帯の伝送波長における屈折率として、例えば、1.55~1.6程度である樹脂材料が挙げられる。
より具体的には、前記クラッド用ドライフィルムと同様、コア用樹脂組成物としては、光等のエネルギ線や熱によって硬化する硬化性樹脂組成物等が挙げられ、例えば、上述したような屈折率を有する、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等を含む樹脂組成物が挙げられる。これらの中でもエポキシ樹脂が好ましく、特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等を使用することが好ましい。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、好ましい実施形態において、前記コア用樹脂組成物は、エポキシ樹脂と酸化防止剤を含有する。それにより、より耐熱性に優れるコア用ドライフィルムを得ることができると考えられる。
酸化防止剤としては特に限定はされないが、例えば、前記クラッド用樹脂組成物に使用できる上述の酸化防止剤と同様のものを使用できる。好ましくは、前記クラッド用樹脂組成物と同様に、フェノール系の酸化防止剤を用いる。
前記コア用樹脂組成物において、酸化防止剤の含有量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、1.5質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。酸化防止剤が1.5質量部未満となると、熱処理後における開口数NA2が0.10未満になってしまうおそれがある。よって、酸化防止剤含有量の下限は1.5質量部以上であることが好ましく、2.0質量部以上であることがより好ましい。一方で、酸化防止剤が多く含まれると、酸化防止剤のブリードアウトが発生するおそれがあるため、酸化防止剤含有量の上限は5.0質量部以下であることが好ましく、ブリードアウトをより抑制するためには、3.0質量部以下であることがさらに好ましい。
コア用樹脂組成物は、上述したような樹脂、酸化防止剤以外にも、光硬化剤を含んでいることが好ましい。
光硬化剤としては特に限定はされないが、例えば、前記クラッド用樹脂組成物に使用できる上述の光硬化剤と同様のものを使用できる。
光硬化剤の含有量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上、1.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上、0.5質量部以下であることがより好ましい。光硬化剤が少なすぎると、コア用樹脂組成物が硬化しにくくなる。光硬化剤が多すぎると、カチオンやアニオンが過剰に発生する。このため、例えば、コア用樹脂組成物が硬化しやすくなりすぎ、保存性が低下したり、取扱性が低下したりするおそれがある。
本実施形態のコア用樹脂組成物には、上述した成分以外にも、例えば、レベリング剤、カップリング剤(シランカップリング剤)等の添加剤を配合することもできる。
本実施形態に係るコア用ドライフィルムは、前記コア用樹脂組成物の層を備えるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、コア用ドライフィルムは、コア用樹脂組成物の層の一方の面上に、フィルム基材を備え、他方の面上に、保護フィルムを備えるもの等が挙げられる。コア用ドライフィルムは、コア用樹脂組成物層を備えていればよく、フィルム基材及び保護フィルムだけではなく他の層を備えていてもよいし、フィルム基材及び保護フィルムも必須ではない。
ここで、フィルム基剤及び保護フィルムとしては特に限定なく、例えば、上述のクラッド用ドライフィルムに関して述べたものと同様のフィルムを使用できる。
なお、コア用ドライフィルムの厚みは特に限定されず、用途などによって適宜設定できるが、例えば、3μm以上10μm以下程度であることが好ましい。
コア用ドライフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、上述したクラッド用ドライフィルムと同様の方法で製造することができる。
本実施形態の光導波路用材料は、上述したようなクラッド用ドライフィルム及びコア用ドライフィルムを含んでいる。通常の光導波路は、上クラッド層、コア層、下クラッド層で形成されているが、本実施形態の光導波路用材料が含むクラッド用ドライフィルムは上クラッド層および下クラッド層の形成に、コア用ドライフィルムはコア層の形成に使用できる。
本実施形態の光導波路用材料を使用して光導波路を製造する方法については、すでに述べた通りである。
なお、本発明には、上述した光導波路用材料から形成される光導波路も包含される。すなわち、本実施形態の光導波路は、クラッド層と、前記クラッド層に囲まれたコア層とを有しており、当該クラッド層と当該コア層が、それぞれ、上述した本実施形態の光導波路用材料に含まれるクラッド用ドライフィルムとコア用ドライフィルムで構成されていることを特徴とする。本実施形態の光導波路は、高温下における耐久性を備えているため、産業利用上非常に有用である。
以下に、本発明について、実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
はじめに、本実施例における樹脂組成物の調製に用いた原材料を以下にまとめて示す。
〈エポキシ樹脂〉
・「エピクロン850S」:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC株式会社製(ACH数:0.056、比重:1.15)
・「VG3101M80」:多官能エポキシ樹脂、株式会社プリンテック製(ACH数:0.048、比重:1.19)
・「jER1001」:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製(ACH数:0.050、比重:1.19)
・「エピコート1006FS」:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製(ACH数:0.048、比重:1.19)
・「JER(登録商標)YX8040」:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製
・「エピクロン850S」:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC株式会社製(ACH数:0.056、比重:1.15)
・「VG3101M80」:多官能エポキシ樹脂、株式会社プリンテック製(ACH数:0.048、比重:1.19)
・「jER1001」:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製(ACH数:0.050、比重:1.19)
・「エピコート1006FS」:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製(ACH数:0.048、比重:1.19)
・「JER(登録商標)YX8040」:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製
〈硬化剤〉
・「CPI-101A」:光カチオン硬化剤、サンアプロ株式会社製
・「CPI-101A」:光カチオン硬化剤、サンアプロ株式会社製
〈酸化防止剤〉
・「AO-60」:フェノール系酸化防止剤、株式会社ADEKA製
・「AO-60」:フェノール系酸化防止剤、株式会社ADEKA製
<クラッド用樹脂組成物の調製>
下記表1及び表2に示したような配合組成(質量部)で成分を配合し、MEKとトルエンの混合溶媒が樹脂100質量部に対して、55質量部になるように調整し、50~80℃に加熱しながら混合した。次に、孔径0.5μmのメンブランフィルタで濾過した後、脱泡することによって、実施例1~7および比較例1~6のクラッド用樹脂組成物の樹脂ワニスを調整した。
下記表1及び表2に示したような配合組成(質量部)で成分を配合し、MEKとトルエンの混合溶媒が樹脂100質量部に対して、55質量部になるように調整し、50~80℃に加熱しながら混合した。次に、孔径0.5μmのメンブランフィルタで濾過した後、脱泡することによって、実施例1~7および比較例1~6のクラッド用樹脂組成物の樹脂ワニスを調整した。
<コア用樹脂組成物の調製>
下記表1及び表2に示したような配合組成(質量部)で成分を配合し、MEKとトルエンの混合溶媒が樹脂100質量部に対して、60質量部になるように調整し、50~80℃に加熱しながら混合した。次に、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過した後、脱泡することによって、実施例1~7および比較例1~6のコア用樹脂組成物の樹脂ワニスを調整した。
下記表1及び表2に示したような配合組成(質量部)で成分を配合し、MEKとトルエンの混合溶媒が樹脂100質量部に対して、60質量部になるように調整し、50~80℃に加熱しながら混合した。次に、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過した後、脱泡することによって、実施例1~7および比較例1~6のコア用樹脂組成物の樹脂ワニスを調整した。
<クラッド用ドライフィルムの形成>
各実施例および比較例のクラッド用樹脂組成物ワニスを、ヒラノテクシード製のコンマコータヘッドのマルチコーターを用いて東洋紡績製PETフィルム(品番A4100)に塗布、乾燥して所定厚みとし離型フィルムである王子特殊紙製OPP-MA420を熱ラミネートすることで、樹脂層の厚みが20μmのクラッド用ドライフィルムを得た。
各実施例および比較例のクラッド用樹脂組成物ワニスを、ヒラノテクシード製のコンマコータヘッドのマルチコーターを用いて東洋紡績製PETフィルム(品番A4100)に塗布、乾燥して所定厚みとし離型フィルムである王子特殊紙製OPP-MA420を熱ラミネートすることで、樹脂層の厚みが20μmのクラッド用ドライフィルムを得た。
<コア用ドライフィルムの形成>
各実施例および比較例のコア用樹脂組成物ワニスを、ヒラノテクシード製のコンマコータヘッドのマルチコーターを用いて東洋紡績製PETフィルム(品番A4100)に塗布、乾燥して所定厚みとし離型フィルムである王子特殊紙製OPP-MA420を熱ラミネートすることで、樹脂層の厚みが7μmのコア用ドライフィルムを得た。
各実施例および比較例のコア用樹脂組成物ワニスを、ヒラノテクシード製のコンマコータヘッドのマルチコーターを用いて東洋紡績製PETフィルム(品番A4100)に塗布、乾燥して所定厚みとし離型フィルムである王子特殊紙製OPP-MA420を熱ラミネートすることで、樹脂層の厚みが7μmのコア用ドライフィルムを得た。
<評価方法>
(屈折率)
各実施例および各比較例のクラッド用ドライフィルムとコア用ドライフィルムを、それぞれ、50~80μmになるように真空ラミネータを用いて貼り合わせた。そのフィルムを紫外線照射し、PETフィルムを剥がして140℃30分熱処理することによって硬化させ、クラッド硬化物およびコア硬化物を得た。
(屈折率)
各実施例および各比較例のクラッド用ドライフィルムとコア用ドライフィルムを、それぞれ、50~80μmになるように真空ラミネータを用いて貼り合わせた。そのフィルムを紫外線照射し、PETフィルムを剥がして140℃30分熱処理することによって硬化させ、クラッド硬化物およびコア硬化物を得た。
得られたクラッド硬化物およびコア硬化物について、温度25℃において、1310nmの波長での屈折率をアッベ屈折計により測定した。
次に、それぞれのクラッド硬化物およびコア硬化物を175℃で177時間熱処理した。具体的には、各硬化物を、大気下で175℃のオーブンに177時間投入して、熱処理を行った。
そして、熱処理後のクラッド硬化物およびコア硬化物について、1.3μmの波長での屈折率をアッベ屈折計により測定した。
最後に、熱処理前(未処理)のクラッド硬化物およびコア硬化物の屈折率ncrad1とコア硬化物の屈折率ncore1から、それぞれ、クラッド熱処理物の屈折率ncrad2とコア熱処理物の屈折率ncore2を引いた数値を、屈折率変化量とした。
それぞれの値を、表1および表2に示す。
(開口数NA)
上記で得られた各屈折率の値から、以下の式によって、熱処理前(未処理)の開口数NA1を算出した。
NA1=((ncore1)^2-(ncrad1)^2)^(1/2))
さらに、以下の式によって、熱処理後の開口数NA2を算出した。
NA2=((ncore2)^2-(ncrad2)^2)^(1/2))
上記で得られた各屈折率の値から、以下の式によって、熱処理前(未処理)の開口数NA1を算出した。
NA1=((ncore1)^2-(ncrad1)^2)^(1/2))
さらに、以下の式によって、熱処理後の開口数NA2を算出した。
NA2=((ncore2)^2-(ncrad2)^2)^(1/2))
得られた各実施例および比較例におけるクラッド硬化物およびコア硬化物の屈折率から求めたNA1およびNA2を表1および表2に示す。
(損失変動量)
まず、各実施例および各比較例のクラッド用ドライフィルムおよびコア用ドライフィルムを用いて、光導波路を形成した。
まず、各実施例および各比較例のクラッド用ドライフィルムおよびコア用ドライフィルムを用いて、光導波路を形成した。
具体的には、コア用フドライィルムとクラッド用ドライフィルムを用いて、まず、アンダークラッドとして、クラッド用ドライフィルムを基板(R-1515V、0.8mm厚、125cm角)へ積層した。さらに、その上にコア用ドライフィルムを積層し、7μm幅のパターンが形成できるマスクを用いて露光して熱処理した後、現像により未露光のコア材料を除去し、オーバークラッドとしてクラッド用ドライフィルムの積層を行うことにより、導波路長5cm、7μmコアサイズのシングルモード導波路サンプルを作成した。
そして、基板上に作製した光導波路を5cm角に切断し(5cm角の基板、導波路長:5cm)、高温処理前の光損失値α(上束12本、中束12本、下束12本の計36本の平均値)と、同じサンプルを175℃で177時間処理した後の光損失値β(上束12本、中束12本、下束12本の計36本の平均値)を、1310nmのLED光源からの光をコア径9μm、NA0.12の光ファイバーを通して、上記で作成した光導波路の端部にマッチングオイル(屈折率1.505)を介して入射し、反対側からは同じマッチングオイルを介してコア径50μm、NA0.21の光ファイバーを通してパワーメータに接続して、光回路を挿入した場合のパワー(P1)と上記2つのファイバーを突き当てて測定した光回路の無い状態でのパワー(P0)から、-10log(P1/Po)の計算式で光回路の挿入損失を算出し、その値の差を算出(処理後損失値β-処理前損失値α)した。本試験における合格基準は、損失変動量が2.0dB以下であることとする。
各実施例および比較例の数値を、表1および表2にまとめる。
<評価・考察>
表1の結果から、本発明によれば、高温で長時間、熱処理した後であっても、開口数NAを1.0以上に維持できることが確認できた。また、熱処理後の光損失の変動も抑制できることも示された。なお、酸化防止剤の量が多すぎると、クラッド用ドライフィルムおよびコア用ドライフィルムにおいて、酸化防止剤のブリードアウトが発生してしまうことがわかった。
表1の結果から、本発明によれば、高温で長時間、熱処理した後であっても、開口数NAを1.0以上に維持できることが確認できた。また、熱処理後の光損失の変動も抑制できることも示された。なお、酸化防止剤の量が多すぎると、クラッド用ドライフィルムおよびコア用ドライフィルムにおいて、酸化防止剤のブリードアウトが発生してしまうことがわかった。
一方、表2に示すように、本発明の規定を満たしていない比較例2~6の光導波路では、2.0dB/cmを超える損失変動量が測定された。比較例1については、高温で長時間処理したことで酸化が進行し、開口数NAが大きく低下したため、導光しなかった。
さらに、開口数NAについても、比較例1~3および5の光導波路において、熱処理後のNA2が1.0未満となっていた。
以上より、本発明の光導波路用材料によれば、高温で長時間処理した後であっても、信頼性の高い光導波路が得られることが確認できた。
1 クラッド用フィルム
2 コア用光フィルム
3 クラッド
3a アンダークラッド
3b オーバークラッド
4 コア
2 コア用光フィルム
3 クラッド
3a アンダークラッド
3b オーバークラッド
4 コア
Claims (8)
- クラッド層と、前記クラッド層に重なるコア層とを備える光導波路の製造方法であり、
クラッド用樹脂組成物を用いて形成されたクラッド用ドライフィルムと、前記クラッド用樹脂組成物よりも屈折率の大きいコア用樹脂組成物を用いて形成されたコア用ドライフィルムと、を積層する工程を含み、
前記クラッド用ドライフィルムと前記コア用ドライフィルムとを、それぞれ紫外線処理及び140℃で30分間の熱処理によって硬化させて得られたクラッド硬化物の屈折率ncrad1とコア硬化物の屈折率ncore1と、より算出される開口数NA1が0.10以上であり、
前記クラッド硬化物と前記コア硬化物とを、それぞれさらに175℃で177時間の熱処理をして得られたクラッド熱処理物の屈折率ncrad2とコア熱処理物の屈折率ncore2と、より算出される開口数NA2が0.10以上であり、
前記クラッド硬化物と前記コア硬化物から形成される光導波路の光損失αと、前記光導波路を175℃で177時間の熱処理をして得られた光導波路熱処理物の光損失βとの差(β-α)である損失変動量が、2.1[db]以下である、
光導波路の製造方法。 - クラッド用樹脂組成物を用いて形成されたクラッド用ドライフィルムと、前記クラッド用樹脂組成物よりも屈折率の大きいコア用樹脂組成物を用いて形成されたコア用ドライフィルムとを含む、光導波路用材料であって、
前記クラッド用ドライフィルムと前記コア用ドライフィルムとを、それぞれ紫外線処理及び140℃で30分間の熱処理によって硬化させて得られたクラッド硬化物の屈折率ncrad1とコア硬化物の屈折率ncore1と、より算出される開口数NA1が0.10以上であり、
前記クラッド硬化物と前記コア硬化物とを、それぞれさらに175℃で177時間の熱処理をして得られたクラッド熱処理物の屈折率ncrad2とコア熱処理物の屈折率ncore2と、より算出される開口数NA2が0.10以上であり、
前記クラッド硬化物と前記コア硬化物から形成される光導波路の光損失αと、前記光導波路を175℃で177時間の熱処理をして得られた光導波路熱処理物の光損失βとの差(β-α)である損失変動量が、2.1[db]以下である、
光導波路用材料。 - 前記クラッド用樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び酸化防止剤を含有し、
前記エポキシ樹脂は、BisA型エポキシ樹脂及び水添BisA型エポキシ樹脂を含有する、請求項2に記載の光導波路用材料。 - 前記クラッド用樹脂組成物に含まれる前記BisA型エポキシ樹脂と前記水添BisA型エポキシ樹脂は、質量比が95:5~75:25の範囲である、請求項3に記載の光導波路用材料。
- 前記酸化防止剤の割合は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、1.5質量部以上5.0質量部以下である、請求項3または4に記載の光導波路用材料。
- 前記コア用樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び酸化防止剤を含有する、請求項2から5のいずれかに記載の光導波路用材料。
- 前記コア用樹脂組成物中における前記酸化防止剤の割合は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、1.5質量部以上5.0質量部以下である、請求項6に記載の光導波路用材料。
- 前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である、請求項3~7のいずれかに記載の光導波路用材料。
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