JP2023029197A - 樹脂組成物、積層体及び成形体 - Google Patents
樹脂組成物、積層体及び成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023029197A JP2023029197A JP2022031048A JP2022031048A JP2023029197A JP 2023029197 A JP2023029197 A JP 2023029197A JP 2022031048 A JP2022031048 A JP 2022031048A JP 2022031048 A JP2022031048 A JP 2022031048A JP 2023029197 A JP2023029197 A JP 2023029197A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- component
- resin composition
- polyethylene
- ethylene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Adhesive Tapes (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Wrappers (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【課題】バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物を接着層に用いた積層体において、石油樹脂を含有する樹脂組成物を用いた場合と同等以上の接着性を発現する樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いた積層体、この積層体を成形してなる積層成形体を提供する。【解決手段】成分(A)、成分(B)、成分(C)の合計100質量%に対して(A)1~90質量%、(B)5~80質量%、(C)1~80質量%含む樹脂組成物。成分(A):密度(JISK7112)が0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下のバイオポリエチレン系樹脂成分(B):密度(JISK7112)が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂成分(C):変性ポリオレフィン系樹脂【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂組成物、該樹脂組成物を含有する接着層を有する積層体、及び該積層体を成形してなる成形体に関する。
従来より、エチレン・ビニルアルコール共重合体やポリアミド系樹脂に代表されるガスバリア性樹脂とポリオレフィン系樹脂とを用いた積層成形体は、その優れた機械特性、食品用途における安全性、水蒸気や酸素等の気体遮蔽性から、食品包装分野ではフィルム、ボトル、カップなどの容器等に幅広く使用されている。
エチレン・ビニルアルコール共重合体やポリアミド系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂との接着性に乏しいため、それらを積層するために、変性ポリオレフィンとエチレンプロピレンゴムやエチレンプロピレンターポリマーといったゴム物質を配合した接着性樹脂組成物が接着層として用いられている。
エチレン・ビニルアルコール共重合体やポリアミド系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂との接着性に乏しいため、それらを積層するために、変性ポリオレフィンとエチレンプロピレンゴムやエチレンプロピレンターポリマーといったゴム物質を配合した接着性樹脂組成物が接着層として用いられている。
また、近年では、環境負荷低減の観点から、上記多層構造体に用いられている樹脂の一部を、石油由来の樹脂から、植物等のバイオマス資源由来の樹脂に置き換えることが検討され、開発されている。
例えば、特許文献1には、バイオマス樹脂と合成樹脂(エチレン-不飽和カルボン酸共重合体、エチレン-不飽和カルボン酸エステル共重合体、酸変性ポリオレフィン、アイオノマーのいずれか又はその組み合わせ)の混練物を紙基材に積層して紙積層体とすることが開示されている。
しかしながら、ガスバリア性樹脂とポリオレフィン系樹脂とを接着させるために用いる接樹脂組成物において、原料のポリエチレン系樹脂の一部をバイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂に代えた樹脂組成物を用いて多層押出成形又は加熱延伸成形して得られる積層体では、接着性樹脂組成物よりなる接着層とガスバリア性樹脂よりなるガスバリア層との層間接着性が劣る傾向があり、その改善が望まれる。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、その課題は、バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物を接着層に用いた積層体において、石油樹脂を含有する樹脂組成物を用いた場合と同等以上の接着性を発現する樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いた積層体、この積層体を成形してなる成形体を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、特定密度を有するバイオポリエチレン系樹脂と、特定密度を有するポリエチレン系樹脂と、変性ポリオレフィン系樹脂とを所定の含有割合で含む樹脂組成物とすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の[1]~[9]を要旨とする。
即ち、本発明は、以下の[1]~[9]を要旨とする。
[1] 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、これらの合計100質量%に対して成分(A)を1~90質量%、成分(B)を5~80質量%、成分(C)を1~80質量%含む、樹脂組成物。
成分(A):JIS K7112で測定される密度が0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下のバイオポリエチレン系樹脂
成分(B):JIS K7112で測定される密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂
成分(C):不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂
成分(A):JIS K7112で測定される密度が0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下のバイオポリエチレン系樹脂
成分(B):JIS K7112で測定される密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂
成分(C):不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂
[2] 成分(B)がエチレン・α-オレフィン共重合体である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 成分(B)においてα-オレフィンの炭素数が3~8である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 成分(C)の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有率が0.01~20質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物を含有する接着層と、該接着層と接するように配置された樹脂層とを備える、積層体。
[6] 前記樹脂層が、極性基を有するオレフィン系ポリマー、ポリアミド系樹脂、及びエチレン・ビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する、[5]に記載の積層体。
[7] 前記樹脂層が、ガスバリア性樹脂層である、[5]又は[6]に記載の積層体。
[8] [5]~[7]のいずれかに記載の積層体を成形してなる成形体。
[9] [8]に記載の成形体からなる食品用包装材。
本発明によれば、バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物であって、石油由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物と同等以上の接着性を有する樹脂組成物と、この樹脂組成物を用いた積層体及び成形体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本発明において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)をこれらの合計100質量%に対して成分(A)を1~90質量%、成分(B)を5~80質量%、成分(C)を1~80質量%含む。
成分(A):JIS K7112で測定される密度が0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下のバイオポリエチレン系樹脂
成分(B):JIS K7112で測定される密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂
成分(C):不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂
本発明の樹脂組成物は、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)をこれらの合計100質量%に対して成分(A)を1~90質量%、成分(B)を5~80質量%、成分(C)を1~80質量%含む。
成分(A):JIS K7112で測定される密度が0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下のバイオポリエチレン系樹脂
成分(B):JIS K7112で測定される密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂
成分(C):不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性された変性ポリオレフィン系樹脂
<成分(A):バイオポリエチレン系樹脂>
成分(A)はJIS K7112で測定される密度が0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下のバイオポリエチレン系樹脂(以下、「バイオポリエチレン系樹脂(A)」と称す場合がある。)である。
成分(A)はJIS K7112で測定される密度が0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下のバイオポリエチレン系樹脂(以下、「バイオポリエチレン系樹脂(A)」と称す場合がある。)である。
バイオポリエチレン系樹脂とは、再生可能なバイオマス資源を原料に、化学的または生物学的に合成することで得られるポリエチレン系樹脂を意味する。上記バイオポリエチレン系樹脂は、これを焼却処分した場合でも、バイオマスのもつカーボンニュートラル性から、大気中の二酸化炭素濃度を上昇させないという特徴がある。
上記バイオポリエチレン系樹脂(A)は、植物原料から得られた植物由来エチレンを原料とするものであることが好ましい。すなわち、上記バイオポリエチレン系樹脂(A)は、植物(バイオマス資源)由来ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
植物由来ポリエチレン系樹脂と石油由来のポリエチレン系樹脂とは、一般的にバイオマス度(標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合)で区別できる。即ち、植物由来ポリエチレン系樹脂は、14C(放射性炭素14、半減期5730年)を含むものであるのに対して、石油由来のポリエチレン系樹脂には、この放射性炭素(14C)が含まれていないことから、ポリエチレン系樹脂の14Cの濃度を加速器質量分析により測定することで、植物由来ポリエチレン系樹脂と石油由来のポリエチレン系樹脂を区別することができる。また、バイオマス度は、植物由来ポリエチレン系樹脂と石油由来のポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物における、植物由来バイオポリエチレン系樹脂の含有割合の指標とすることもできる。例えば、植物由来ポリエチレン系樹脂を用いたフィルムであれば、そのフィルムのバイオマス度を測定すると、植物由来ポリエチレン系樹脂の含有量に応じたバイオマス度となることから、バイオマス度からフィルム中の植物由来ポリエチレン系樹脂の含有量を求めることができる。
バイオマス度は、例えば、以下の方法で測定することができる。
測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトをタンデム加速器をベースとした14C-AMS専用装置(NEC社製)に装着して、14Cの計数、13Cの濃度(13C/12C)、14Cの濃度(14C/12C)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合を算出する。
測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトをタンデム加速器をベースとした14C-AMS専用装置(NEC社製)に装着して、14Cの計数、13Cの濃度(13C/12C)、14Cの濃度(14C/12C)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合を算出する。
本発明で用いるバイオポリエチレン系樹脂(A)のバイオマス度はISO16620-2で規定される25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。
成分(A)の密度は、JIS K7112法で測定された値で0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下である。成分(A)の密度の下限が0.900g/cm3以上であることで耐熱性を良好とすることができ、0.970g/cm3以下であることで成形性と接着層として好適な柔軟性を付与できる。成分(A)の密度は好ましくは0.910~0.950g/cm3である。
バイオポリエチレン系樹脂(A)としては、例えば、バイオエチレンを重合して得られるポリエチレン単独重合体、ポリエチレン共重合体が挙げられる。上記ポリエチレン共重合体は、エチレンと少量のコモノマーとの共重合体であり、例えば、エチレンと質量分率50%未満の他のα-オレフィンモノマー、または、質量分率3%以下の官能基を持つ非オレフィンモノマーからなるものである。ここで、質量分率とは、ポリエチレン共重合体100質量%中の当該モノマー単位の含有率を示す。
上記他のα-オレフィンとしては、炭素数3~20のα-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセンが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
上記非オレフィンモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、ジエン系モノマー、環状モノマー、酸素原子含有モノマーが挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、4-メチルスチレン、4-ジメチルアミノスチレンが挙げられる。
上記ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエンが挙げられる。
上記環状モノマーとしては、例えば、メチレンノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネンおよび2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン、シクロペンテンが挙げられる。
上記酸素原子含有モノマーとしては、例えば、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチルが挙げられる。
上記他のα-オレフィンおよび非オレフィンモノマーは、再生可能なバイオマス資源を原料としたものであってもよく、石油を原料としたものであってもよい。再生可能なバイオマス資源を原料としたものを用いる場合は、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができる。また、石油を原料としたものを用いる場合は、多種多様なものが入手可能であるため、これらを用いて製造することにより、バイオポリエチレン系樹脂(A)の物性等を容易に調整することができる。
バイオポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンの単独重合、またはエチレンとコモノマーとの共重合により得られるものであり、上記重合または共重合は、メタロセン触媒、チーグラー・ナッター触媒を用い、常法に従い行うことができる。なかでもメタロセン触媒を用いることが好ましい。
バイオポリエチレン系樹脂(A)として具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm3以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925g/cm3以上0.940g/cm3未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.925g/cm3未満)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910g/cm3以上0.925g/cm3以下)が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。なかでも、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
バイオポリエチレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1~50g/10分であり、好ましくは0.5~30g/10分である。MFRを上記下限以上とすることで、溶融押出可能な粘度に調整しやすく、上記上限以下とすることで、安定な成膜性を得やすい。
本発明において好適に使用されるバイオポリエチレン系樹脂(A)の市販品としては、例えば、ブラスケム(Braskem S.A.)社製の「GreenPE(登録商標)」が挙げられる。
これらの成分(A)は、1種のみを用いてもよく、モノマー組成や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<成分(B):ポリエチレン系樹脂>
成分(B)はJIS K7112で測定される密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂である。
成分(B)のポリエチレン系樹脂としては、一般的な、石油由来ポリエチレン系樹脂が用いられる。
ここで、「石油由来ポリエチレン系樹脂」とは、バイオマス資源に由来する炭素を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを重合して得られるポリエチレン単独重合体又はエチレン系共重合体をいう。
成分(B)はJIS K7112で測定される密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂である。
成分(B)のポリエチレン系樹脂としては、一般的な、石油由来ポリエチレン系樹脂が用いられる。
ここで、「石油由来ポリエチレン系樹脂」とは、バイオマス資源に由来する炭素を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを重合して得られるポリエチレン単独重合体又はエチレン系共重合体をいう。
成分(B)のJIS K7112で測定される密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂は、エラストマーのような特性を有する傾向にあり、延伸後の接着強度の低下抑制に作用する。
従って、成分(B)のポリエチレン系樹脂はエチレン系エラストマーであることが好ましく、エチレン単位とα-オレフィン単位とを、質量比で、エチレン単位:α-オレフィン単位=60:40~90:10で含有するエチレン・α-オレフィン共重合体、すなわち、エチレン単位の含有率とα-オレフィン単位の含有率との合計を100質量%としたときに、エチレン単位の含有率が60~90重量%、α-オレフィン単位の含有率が10~40重量%であるエチレン・α-オレフィン共重合体が好ましい。
成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体におけるエチレンとα-オレフィンとの共重合比率は、エチレン単位の含有率とα-オレフィン単位の含有率との合計を100質量%として、より好ましくは、エチレン単位の含有率が70~80質量%、α-オレフィン単位の含有率が20~30質量%である。
従って、成分(B)のポリエチレン系樹脂はエチレン系エラストマーであることが好ましく、エチレン単位とα-オレフィン単位とを、質量比で、エチレン単位:α-オレフィン単位=60:40~90:10で含有するエチレン・α-オレフィン共重合体、すなわち、エチレン単位の含有率とα-オレフィン単位の含有率との合計を100質量%としたときに、エチレン単位の含有率が60~90重量%、α-オレフィン単位の含有率が10~40重量%であるエチレン・α-オレフィン共重合体が好ましい。
成分(B)のエチレン・α-オレフィン共重合体におけるエチレンとα-オレフィンとの共重合比率は、エチレン単位の含有率とα-オレフィン単位の含有率との合計を100質量%として、より好ましくは、エチレン単位の含有率が70~80質量%、α-オレフィン単位の含有率が20~30質量%である。
エチレン・α-オレフィン共重合体を構成するα-オレフィンは限定されないが、例えば、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンの1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、α-オレフィンとしては炭素数が3~8であるものが好ましい。
更に、エチレン・α-オレフィン共重合体には、エチレンと上記のα-オレフィン以外の他の単量体単位が含まれていてもよい。これらの単量体単位を含有する場合の含有率は限定されないが、他の単量体単位とα-オレフィン単位との合計の含有量が、前記のα-オレフィン単位の含有率の範囲内となることが好ましい。他の単量体としては、具体的には、前記の成分(A)のバイオポリエチレン系樹脂の非オレフィンモノマーとして例示したものが挙げられる。
成分(B)のポリエチレン系樹脂のMFR(230℃、荷重2.16kg)は限定されないが、その下限は、通常0.1g/10分以上、好ましくは0.3g/10分以上、より好ましくは0.5g/10分以上であり、その上限は、通常10g/10分以下、好ましくは8g/10分以下、より好ましくは6g/10分以下、更に好ましくは4g/10分以下である。
MFRが上記下限以上であるとその他の樹脂との溶融混練の際、混練不足による異物の発生がなく、成形した際に外観良好な樹脂組成物を得易く、また、上記上限以下であると、成分(B)が配向することなく微分散性が保たれるために好ましい。
MFRが上記下限以上であるとその他の樹脂との溶融混練の際、混練不足による異物の発生がなく、成形した際に外観良好な樹脂組成物を得易く、また、上記上限以下であると、成分(B)が配向することなく微分散性が保たれるために好ましい。
また、成分(B)のポリエチレン系樹脂、特にエチレン・α-オレフィン共重合体の密度は0.900g/cm3未満であればよく、限定されないが、好ましくは0.880g/cm3以下、より好ましくは0.870g/cm3以下である。成分(B)の密度が上記上限未満であれば、成形時の歪緩和効果を十分に得ることができ、層間接着強度が向上する傾向がある。また、成分(B)の密度の下限は0.850g/cm3であればよく、限定されないが、好ましくは0.855g/cm3以上である。
本発明に好適な成分(B)のポリエチレン系樹脂、特にエチレン・α-オレフィン共重合体としては市販品を用いることもでき、例えば、三井化学社製「タフマー(登録商標)」シリーズの中から前記の特性に該当するものを適宜選択して用いることができる。
これらの成分(B)は、1種のみを用いてもよく、エチレン単位含有率や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<成分(C):変性ポリオレフィン系樹脂>
成分(C)の変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性した樹脂である。ここで「グラフト変性」とは、ポリオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を結合させることを意味する。なお、変性ポリオレフィン系樹脂における不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の結合位置は、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂の主鎖末端及び側鎖の少なくとも一方に導入されていればよい。
成分(C)の変性ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性した樹脂である。ここで「グラフト変性」とは、ポリオレフィン系樹脂に、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を結合させることを意味する。なお、変性ポリオレフィン系樹脂における不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の結合位置は、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂の主鎖末端及び側鎖の少なくとも一方に導入されていればよい。
グラフト変性する原料として用いるポリオレフィン系樹脂(以下、「原料ポリオレフィン系樹脂」と称す場合がある。)としては、特に限定されないが、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレンと他のモノマーとの共重合体、プロピレンと他のモノマーとの共重合体等が挙げられ、他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-オクタデセン等の炭素数3~20のα-オレフィンや、酢酸ビニル、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する(以下、同様とする)。
原料ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のエチレン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・ブテン・ヘキセン共重合体、エチレン・ブテン・オクテン共重合体、エチレン・ヘキセン・オクテン共重合体等のエチレン・α-オレフィン共重合体、及び、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系(共)重合体;プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・ブテン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・ヘキセン・オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等のプロピレン系(共)重合体;ブテン系(共)重合体等が挙げられる。ここで、「(共)重合体」は重合体と共重合体の総称である。
ここで、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、ブテン系共重合体とは、それぞれ、エチレン、プロピレン、又はブテンを、共重合体を構成する全モノマー単位の50モル%以上の割合で含有する共重合体を意味する。
これらの原料ポリオレフィン系樹脂は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合せ及び比率で用いることがきる。
これらの中でも、エチレン系(共)重合体であるエチレン単独重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体や、プロピレン系(共)重合体であるプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体が安価で容易に入手することができ、経済性に優れるため好ましい。機械的特性の観点から、原料ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体がより好ましい。
原料ポリオレフィン系樹脂の密度(JIS K7112)は、特に限定されないが、0.85g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm3以上であり、一方、0.98g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.97g/cm3以下である。また、原料ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、成形性の点から、0.01~50g/10分が好ましく、より好ましくは0.1~30g/10分である。ここで、ポリオレフィン系樹脂のMFRは、ポリオレフィン系樹脂がエチレン系(共)重合体又はブテン系(共)重合体の場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、ポリオレフィン系樹脂がプロピレン系(共)重合体の場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
原料ポリオレフィン系樹脂のグラフト変性に用いる不飽和カルボン酸としては、特に限定されないが、代表的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、特に限定されないが、代表的には酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩が挙げられる。
不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N-モノエチルアミド、マレイン酸-N,N-ジエチルアミド、マレイン酸-N,N-モノブチルアミド、マレイン酸-N,N-ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N-モノブチルアミド、フマル酸-N,N-ジブチルアミド、マレイミド、Nブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウムが挙げられる。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合せ及び比率で用いることができる。
これらのうち、特にマレイン酸又はその無水物が、電子密度が低く反応性が高いことから好適である。
原料ポリオレフィン系樹脂のグラフト変性は、従来公知の種々の方法で行うことができる。変性方法としては、溶融させた原料ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を添加してグラフト共重合させる溶融変性法、溶媒に溶解させた原料ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体を添加してグラフト共重合させる溶液変性法等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらのうち、衛生性の観点から、溶媒を使用しなくてもよい溶融変性法が好ましく、押出機を用いてグラフト変性することがより好ましい。なお、効率よくグラフト変性するためには、ラジカル開始剤の存在下に変性することが好ましい。
ラジカル開始剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物又はアゾ化合物が好ましく、有機過酸化物が特に好ましい。具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレエート、2,2-ビス(4,4-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン等のジアルキルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(トルイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類;ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t-ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類が挙げられるが、これらに特に限定されない。
ラジカル開始剤は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合せ及び比率で用いることができる。
これらの中でも、半減期が1分となる分解温度が100℃以上であるラジカル開始剤がグラフト変性効率の観点から好ましい。具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3等のパーオキシエステル類が好ましい。
ラジカル開始剤の使用量は、特に限定されないが、原料ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001~1質量部の割合が好ましい。
変性ポリオレフィン系樹脂中の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有率(以下、「グラフト率」と呼ぶ場合がある。)は、原料ポリオレフィン系樹脂、変性に用いる不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の種類によっても異なり特に限定されないが、変性ポリオレフィン系樹脂の総量に対して、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、一方、20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
グラフト率が上記好ましい値の下限値以上であれば、極性を有する樹脂との接着性が良好となる傾向にあり、一方、上記好ましい値の上限値以下であれば、グラフト化の際に原料ポリオレフィン系樹脂自体が一部架橋して成形性が低下したり、フィッシュアイや異物発生等により製品外観が悪化したりすることが防止される。
グラフト率が上記好ましい値の下限値以上であれば、極性を有する樹脂との接着性が良好となる傾向にあり、一方、上記好ましい値の上限値以下であれば、グラフト化の際に原料ポリオレフィン系樹脂自体が一部架橋して成形性が低下したり、フィッシュアイや異物発生等により製品外観が悪化したりすることが防止される。
ここで、グラフト率の測定は、変性ポリオレフィン系樹脂をそのまま厚さ100μmのシートにプレス成形して試験サンプルとし、赤外線吸収スペクトル法を用い、樹脂中のカルボン酸及び/又はその誘導体特有の吸収から求めることができる。具体的には、1900~1600cm-1(C=O伸縮振動帯)のカルボニル特性吸収を測定することにより求めることができる。
なお、原料ポリオレフィン系樹脂のグラフト変性においては、原料ポリオレフィン系樹脂と未反応の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体も残留し得るが、本明細書におけるグラフト率とは、上記の通り、変性ポリオレフィン系樹脂を上記の方法で測定した際の値を意味するものとする。
なお、原料ポリオレフィン系樹脂のグラフト変性においては、原料ポリオレフィン系樹脂と未反応の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体も残留し得るが、本明細書におけるグラフト率とは、上記の通り、変性ポリオレフィン系樹脂を上記の方法で測定した際の値を意味するものとする。
変性ポリオレフィン系樹脂の密度は、特に限定されないが、JIS K7112で測定される密度は0.85g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.87g/cm3以上であり、一方、0.98g/cm3以下が好ましく、より好ましくは0.97g/cm3以下である。
また、変性ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に限定されないが、0.01~100g/10分が好ましく、より好ましくは0.1~30g/10分である。ここで、変性ポリオレフィン系樹脂のMFRは、原料ポリオレフィン系樹脂がエチレン系(共)重合体又はブテン系(共)重合体の場合は190℃、荷重2.16kgでの値を意味し、原料ポリオレフィン系樹脂がプロピレン系(共)重合体の場合は230℃、荷重2.16kgでの値を意味する。
本発明に好適な変性ポリオレフィン系樹脂としては市販品を用いることもでき、例えば、三菱ケミカル社製「モディック(登録商標)」シリーズの中から前記の特性に該当するものを適宜選択して用いることができる。
これらの成分(C)は、1種のみを用いてもよく、モノマー組成や物性等の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)以外の樹脂成分(以下、「その他の樹脂」という場合がある。)や各種の添加剤、充填材等を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)以外の樹脂成分(以下、「その他の樹脂」という場合がある。)や各種の添加剤、充填材等を配合することができる。その他の成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を任意の組合せと比率で併用してもよい。
その他の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(成分(B)に含まれるものを除く);ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;等の熱可塑性樹脂や各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
添加剤としては、各種の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、造核剤、可塑剤、衝撃改良剤、相溶化剤、消泡剤、増粘剤、架橋剤、界面活性剤、滑剤、離型剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、充填材等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、その他の成分として粘着付与剤を用いることもできる。ここで粘着付与剤とは、常温で固体の非晶性樹脂が挙げられ、例えば、石油樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂またはそれらの水素添加物が挙げられる。しかしながら、樹脂組成物中に粘着付与剤を多量に含有すると、成形時に発煙を生じたり、油性の飲食品を包装する材料として用いた場合に、粘着付与剤が飲食品中に漏れ出す場合がある。このため粘着付与剤を用いる場合、樹脂組成物中の粘着付与剤の含有率は10質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%未満であり、実質的に粘着付与剤を含有しないことが最も好ましい。本発明の樹脂組成物は、粘着付与剤を用いない場合においても、高速押出ラミネート成形性に優れ、積層体における接着層として用いた場合に隣接する樹脂層との接着性が良好であり、しかも高温や高湿の環境下においても隣接する樹脂層との接着性を良好に維持することができる。
前記石油樹脂としては、例えば、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、またはそれらの共重合体、およびこれらの水素添加物が挙げられる。石油樹脂の骨格としては、C5樹脂、C9樹脂、C5/C9共重合樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、ビニル置換芳香族系化合物の重合体、オレフィン/ビニル置換芳香族化合物の共重合体、シクロペンタジエン系化合物/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体、あるいはこれらの水素添加物等が挙げられる。
前記ロジン樹脂とはアビエチン酸を主成分とする天然樹脂であり、例えば、天然ロジン、天然ロジンから誘導される重合ロジン、天然ロジンや重合ロジンを不均化又は水素添加して得られる安定化ロジン、天然ロジンや重合ロジンに不飽和カルボン酸類を付加して得られる不飽和酸変性ロジン、天然ロジンエステル、変性ロジンエステル、重合ロジンエステルが挙げられる。
前記テルペン樹脂としては、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等の芳香族テ
ルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂およびそれらの水素添加物が挙げられる。
前記ロジン樹脂とはアビエチン酸を主成分とする天然樹脂であり、例えば、天然ロジン、天然ロジンから誘導される重合ロジン、天然ロジンや重合ロジンを不均化又は水素添加して得られる安定化ロジン、天然ロジンや重合ロジンに不飽和カルボン酸類を付加して得られる不飽和酸変性ロジン、天然ロジンエステル、変性ロジンエステル、重合ロジンエステルが挙げられる。
前記テルペン樹脂としては、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等の芳香族テ
ルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂およびそれらの水素添加物が挙げられる。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、添加剤としてブロッキング防止剤を配合することが好ましい。ブロッキング防止剤を配合することにより、本発明の樹脂組成物からなるペレット製造工程、その後の貯蔵、輸送等におけるペレット同士の耐ブロッキング性が向上する傾向がある。ブロッキング防止剤としては、ポリオレフィン微粉末、ポリエチレンワックス及びその分散液等が挙げられる。
難燃剤は、ハロゲン系難燃剤と非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、非ハロゲン系難燃剤が環境面で好ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。
充填材は、有機充填材と無機充填材に大別される。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
<配合量>
本発明の樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量%に対する成分(A)の含有率が1~90質量%である。後述の樹脂層のポリエチレン系樹脂との接着性や樹脂組成物自体のバイオマス度の観点から、成分(A)の含有率の下限は、好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。一方、成形性の観点から成分(A)の含有率の上限は、好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量%に対する成分(A)の含有率が1~90質量%である。後述の樹脂層のポリエチレン系樹脂との接着性や樹脂組成物自体のバイオマス度の観点から、成分(A)の含有率の下限は、好ましくは25質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。一方、成形性の観点から成分(A)の含有率の上限は、好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計100質量%に対する成分(B)の含有率が5~80質量%である。後述の樹脂層のポリエチレン系樹脂との接着性の観点から、成分(B)の含有率の下限は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、更に好ましくは20質量%以上であり、一方、上限は、耐熱接着性の観点から、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以下である。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量に対する成分(C)の含有率が1~80質量%である。成分(C)はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂に対する接着性能を補強すると共に成形時の歪を緩和し、層間接着力を向上させる効果を発現する成分である。その含有率が少な過ぎると上記効果を十分に得ることができず、多過ぎると得られる成形体の耐熱性が損なわれ、また、相対的に他の成分の含有率が少なくなって、他の樹脂との相溶性等が損なわれる。以上の観点から、成分(C)の含有率は、成分(A)及び成分(B)と成分(C)との合計100質量%に対して好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
本発明の樹脂組成物が前述のその他の樹脂を含有する場合の含有率は限定されないが、通常、樹脂組成物100質量%中の含有率で0.1~20質量%、好ましくは0.5~10質量%である。その他の樹脂の含有率が上記上限値以下であれば、得られる樹脂組成物の極性基を有する樹脂に対する接着性を十分に得ることができる。
本発明の樹脂組成物が前述の添加剤を含有する場合の含有率は限定されないが、通常、樹脂組成物100質量%中に0.01~10質量%、好ましくは0.2~5質量%である。添加剤の含有率が上記上限値以下であれば、得られる樹脂組成物の極性基を有する樹脂に対する接着性を十分に得ることができる。なおこれらの添加剤は、本発明の樹脂組成物をマスターバッチとして用いる場合には、前記した含有率の2~50倍、好ましくは3~30倍の濃度で含有させることもできる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、上述の各成分を所定の割合で混合することにより得ることができる。混合の方法については、原料成分が均一に分散すれば特に制限はない。すなわち、上述の各原料成分を同時に又は任意の順序で混合することにより、各成分が均一に分散した樹脂組成物を得ることができる。より均一な混合、分散のためには、所定量の上記原料成分を溶融混合することが好ましく、例えば、本発明の樹脂組成物の各原料成分を任意の順序で混合してから加熱したり、全原料成分を順次溶融させながら混合してもよいし、目的とする成形体を製造する際の成形時に各原料成分を適宜配合(ドライブレンド)して溶融混合してもよい。
本発明の樹脂組成物は、上述の各成分を所定の割合で混合することにより得ることができる。混合の方法については、原料成分が均一に分散すれば特に制限はない。すなわち、上述の各原料成分を同時に又は任意の順序で混合することにより、各成分が均一に分散した樹脂組成物を得ることができる。より均一な混合、分散のためには、所定量の上記原料成分を溶融混合することが好ましく、例えば、本発明の樹脂組成物の各原料成分を任意の順序で混合してから加熱したり、全原料成分を順次溶融させながら混合してもよいし、目的とする成形体を製造する際の成形時に各原料成分を適宜配合(ドライブレンド)して溶融混合してもよい。
混合方法や混合条件は、各原料成分が均一に混合されれば特に制限はないが、生産性の点からは、例えばタンブラーブレンダー、Vブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いて原料を混合し、単軸押出機や二軸押出機のような連続混練機及びミルロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機で溶融混練する方法が好ましい。これらの方法で樹脂組成物を製造する際の製造条件は限定されず、周知の条件で適宜設定することができる。溶融混合時の温度は、各原料成分の少なくとも一つが溶融状態となる温度であればよいが、通常は用いる全原料成分が溶融する温度が選択され、一般的には150~250℃の範囲で行うことができる。
[積層体]
本発明の積層体は、本発明の樹脂組成物からなる接着層と、この接着層と接するように配置された樹脂層とを備える2層又は3層以上の積層構造を有する積層体であり、その形態としては積層シート、積層フィルム、積層チューブ等が挙げられる。ここで、「シート」と「フィルム」は何れも面状の成形体を意味し、同義である。また、該樹脂層はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂よりなるガスバリア性樹脂層又は後述のポリエチレン系樹脂層であることが好ましい。
本発明の積層体は、本発明の樹脂組成物からなる接着層と、この接着層と接するように配置された樹脂層とを備える2層又は3層以上の積層構造を有する積層体であり、その形態としては積層シート、積層フィルム、積層チューブ等が挙げられる。ここで、「シート」と「フィルム」は何れも面状の成形体を意味し、同義である。また、該樹脂層はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有する樹脂よりなるガスバリア性樹脂層又は後述のポリエチレン系樹脂層であることが好ましい。
<接着層>
本発明の積層体における本発明の樹脂組成物からなる接着層の厚みとしては限定されるものではなく、層構成、用途、最終製品の形状、要求される物性等により任意に設定することができるが、総厚みに対し通常1%以上、好ましくは5%以上であり、通常20%以下、好ましくは10%以下であることが望ましい。例えば、接着層の厚みは、1~100μmの範囲であることが好ましく、2~50μmの範囲であることがより好ましく、3~20μmの範囲であることが更に好ましい。本発明の樹脂組成物よりなる接着層の厚みが上記下限値以上であれば、接着性が良好となり、上記上限値以下であれば、積層体の強度が良好である。なお、ここで接着層の厚みは接着層一層当たりの厚みである。
本発明の積層体における本発明の樹脂組成物からなる接着層の厚みとしては限定されるものではなく、層構成、用途、最終製品の形状、要求される物性等により任意に設定することができるが、総厚みに対し通常1%以上、好ましくは5%以上であり、通常20%以下、好ましくは10%以下であることが望ましい。例えば、接着層の厚みは、1~100μmの範囲であることが好ましく、2~50μmの範囲であることがより好ましく、3~20μmの範囲であることが更に好ましい。本発明の樹脂組成物よりなる接着層の厚みが上記下限値以上であれば、接着性が良好となり、上記上限値以下であれば、積層体の強度が良好である。なお、ここで接着層の厚みは接着層一層当たりの厚みである。
<極性基を有する樹脂層>
極性基を有する樹脂とは、分子内に1価又は2価の極性基を有する樹脂である。1価又は2価の極性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルエステル基、イソシアネート基、グリシジル基等の1価の官能基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、カルボニル結合等を形成する2価の官能基等が挙げられる。
極性基を有する樹脂とは、分子内に1価又は2価の極性基を有する樹脂である。1価又は2価の極性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルエステル基、イソシアネート基、グリシジル基等の1価の官能基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合、カルボニル結合等を形成する2価の官能基等が挙げられる。
このような極性基を有する樹脂としては、例えば、極性基を有するオレフィン系ポリマー、ポリアミド系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体が好適に用いられ、これらの樹脂はガスバリア性を付与することもできる。これらの中でもエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)が好ましい。
極性基を有するオレフィン系ポリマーとしては、具体的には、変性エチレン-プロピレン系共重合体、シラン変性ポリオレフィンが挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11、MXDナイロン、アモルファスナイロン、テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミン共重合体が好ましく用いられる。中でも融点、剛性などが優れるナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66が好ましい。
エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、好ましくはエチレン含量が15~65モル%、さらに好ましくは25~48モル%である共重合体が望ましい。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体を鹸化することにより製造することができ、その鹸化度が好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上になるように鹸化したものが用いられる。なお、鹸化度の上限は100%である。エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン含量が少な過ぎると熱分解し易く、溶融成形が困難で、また延伸性にも劣り、かつ吸水し膨潤し易く耐水性が劣るものとなる。一方、エチレン・ビニルアルコール共重合体のエチレン含量が多過ぎると、耐ガス透過性が低下する傾向がある。また、鹸化度が低過ぎる場合には、耐ガス透過性が低下する傾向がある。
エチレン・ビニルアルコール共重合体等の極性基を有するガスバリア性樹脂層の厚みとしては特に限定されるものではなく、用途や樹脂種、要求特性等によって適宜決定されるが、通常2~200μm、好ましくは3~100μmである。
これらの樹脂からなる積層体は、2種以上が積層されていてもよい。
<ポリエチレン系樹脂層>
本発明の樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)を有することで、ポリエチレン系樹脂に対する接着性に優れることから、本発明の樹脂組成物よりなる接着層と接するようにポリエチレン系樹脂層を有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)と成分(B)を有することで、ポリエチレン系樹脂に対する接着性に優れることから、本発明の樹脂組成物よりなる接着層と接するようにポリエチレン系樹脂層を有することが好ましい。
ポリエチレン系樹脂層のポリエチレン系樹脂は、石油由来ポリエチレン系樹脂のエチレン単独重合体又はエチレン系共重合体であることが好ましい。
上記エチレン系共重合体は、エチレンと少量のコモノマーとの共重合体であり、例えば、エチレンと質量分率50%未満の他のα-オレフィンモノマー、または、質量分率3%以下の官能基を持つ非オレフィンモノマーからなる共重合体である。上記他のα-オレフィンモノマー、非オレフィンモノマーは、前記バイオポリエチレン系樹脂(A)で列挙したものを用いることができる。
上記エチレンの単独重合、またはエチレンとコモノマーとの共重合は、前記バイオポリエチレン系樹脂(A)と同様の方法で行うことができる。
上記の方法で得られる石油由来ポリエチレン系樹脂として、具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm3以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925以上0.940g/cm3未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.925g/cm3未満)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910~0.925g/cm3)が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
石油由来ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2.16kg)は、通常0.5~50g/10分であり、好ましくは1~50g/10分、特に好ましくは1.5~35g/10分である。MFRが上記上限以下であれば製膜性、安定性に優れ、上記下限以上であれば、溶融押出性に優れる。
ポリエチレン系樹脂層の厚みは、成形性の観点から、1~10000μmであることが好ましく、5~5000μmであることがより好ましく、10~1000μmであることが更に好ましい。なお、ここでポリエチレン系樹脂層の厚みはポリエチレン系樹脂層の一層当たりの厚みである。
なお、上記の極性基を有する樹脂層及びポリエチレン系樹脂層には、その目的を損なわない範囲において、本発明の樹脂組成物中の成分(A)~(C)の1種以上を含んでいてもよく、また、本発明の樹脂組成物が含有していてもよい前述のその他の成分や添加剤を含有していてもよい。
<その他の層>
本発明の積層体は、少なくとも本発明の樹脂組成物からなる接着層とこれに接する樹脂層とを含む積層構造を有するものであるが、更に上記以外のその他の層が積層されていてもよい。
その他の層としては特に制限されることはない。例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、スチレン-アクリロニトリルグラフト共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂等からなる樹脂層や、プロピレン系樹脂以外のオレフィン系重合体、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメ
チレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂などのその他の熱可塑性樹脂層が挙げられる。
本発明の積層体は、少なくとも本発明の樹脂組成物からなる接着層とこれに接する樹脂層とを含む積層構造を有するものであるが、更に上記以外のその他の層が積層されていてもよい。
その他の層としては特に制限されることはない。例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、スチレン-アクリロニトリルグラフト共重合体(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂等からなる樹脂層や、プロピレン系樹脂以外のオレフィン系重合体、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオキシメ
チレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂などのその他の熱可塑性樹脂層が挙げられる。
<層構成>
本発明の積層体としては、例えば、極性基を有する樹脂層の両面に本発明の樹脂組成物よりなる接着層を介してポリエチレン系樹脂層を積層してなる5層の積層体、即ち、ポリエチレン系樹脂層/本発明の樹脂組成物よりなる接着層/極性基を有する樹脂層/本発明の樹脂組成物よりなる接着層/ポリエチレン系樹脂層の層構造を有するものが挙げられる。この場合、2つのポリエチレン系樹脂層は同一のポリエチレン系樹脂よりなるものであってもよく、異なるポリエチレン系樹脂よりなるものであってもよい。
本発明の積層体としては、例えば、極性基を有する樹脂層の両面に本発明の樹脂組成物よりなる接着層を介してポリエチレン系樹脂層を積層してなる5層の積層体、即ち、ポリエチレン系樹脂層/本発明の樹脂組成物よりなる接着層/極性基を有する樹脂層/本発明の樹脂組成物よりなる接着層/ポリエチレン系樹脂層の層構造を有するものが挙げられる。この場合、2つのポリエチレン系樹脂層は同一のポリエチレン系樹脂よりなるものであってもよく、異なるポリエチレン系樹脂よりなるものであってもよい。
<積層体の厚み>
本発明の積層体の厚みは、層構成、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性等により一概にいえないが、本発明の積層体が多層シートである場合、その総厚みは200~5,000μmであることが好ましい。また、本発明の積層体が多層フィルムである場合、その総厚みは2~500μmであることが好ましく、3~300μmであることがより好ましく、30~200μmであることが更に好ましい。
本発明の積層体の厚みは、層構成、接着性樹脂の種類、用途や包装形態、要求される物性等により一概にいえないが、本発明の積層体が多層シートである場合、その総厚みは200~5,000μmであることが好ましい。また、本発明の積層体が多層フィルムである場合、その総厚みは2~500μmであることが好ましく、3~300μmであることがより好ましく、30~200μmであることが更に好ましい。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体を製造する方法としては、従来より公知の種々の手法を採用することができる。例えば、押出機で溶融させた個々の溶融樹脂を多層ダイスに供給し、ダイスの中で積層する共押出し手法によるインフレーション成形、T-ダイ成形によるフィルム成形もしくはシート成形、ブロー成形による容器成形、溶融した個々の樹脂を同一金型内にタイムラグを付けてインジェクションする共インジェクション成形がある。また、被着材に対し単体又は他樹脂との共押出しによる押出しラミネーション、あるいは押出しラミネーションの際、積層前に被着材をコロナ放電処理や火炎処理を行い、積層直前に被着材及び本発明の樹脂組成物の接着面をオゾン処理する手法も用いられる。さらに、単体又は他樹脂との共押出しにより得られた本発明の樹脂組成物フィルムと被着材フィルムとの熱ラミネート、ヒートシール等による積層法を用いることもできる。
本発明の積層体を製造する方法としては、従来より公知の種々の手法を採用することができる。例えば、押出機で溶融させた個々の溶融樹脂を多層ダイスに供給し、ダイスの中で積層する共押出し手法によるインフレーション成形、T-ダイ成形によるフィルム成形もしくはシート成形、ブロー成形による容器成形、溶融した個々の樹脂を同一金型内にタイムラグを付けてインジェクションする共インジェクション成形がある。また、被着材に対し単体又は他樹脂との共押出しによる押出しラミネーション、あるいは押出しラミネーションの際、積層前に被着材をコロナ放電処理や火炎処理を行い、積層直前に被着材及び本発明の樹脂組成物の接着面をオゾン処理する手法も用いられる。さらに、単体又は他樹脂との共押出しにより得られた本発明の樹脂組成物フィルムと被着材フィルムとの熱ラミネート、ヒートシール等による積層法を用いることもできる。
これら共押出しによるフィルム、シート、ブロー成形の条件は、特に限定されるものではないが、ダイス温度180~250℃の範囲で成形されることが好ましい。また、押出しラミネーション成形の条件は、特に限定されるものではないが、ダイス温度280~320℃の範囲で成形されることが好ましく、熱ラミネートやヒートシールによる積層法は、特に限定されるものではないが、積層温度が160~220℃の範囲で成形されることが好ましい。
[成形体]
本発明の積層体を成形してなる本発明の成形体は、蓋材や包装袋等の包装材として好適に使用することができる。また、本発明の積層体を用いてカップやトレイ状の多層容器を得ることも可能である。その場合は、通常絞り成形法が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法が挙げられる。さらに多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器(積層体構造)を得る場合はブロー成形法が採用される。
本発明の積層体を成形してなる本発明の成形体は、蓋材や包装袋等の包装材として好適に使用することができる。また、本発明の積層体を用いてカップやトレイ状の多層容器を得ることも可能である。その場合は、通常絞り成形法が採用され、具体的には真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法が挙げられる。さらに多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器(積層体構造)を得る場合はブロー成形法が採用される。
本発明の積層体を成形して本発明の成形体とする成形方法としては、具体的には、押出ブロー成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロータリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法等)が挙げられる。この際必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液または溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
[用途]
本発明の樹脂組成物は、バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物でありながら、石油由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物と同等以上に、極性基を有する樹脂、特に、エチレン・ビニルアルコール共重合体に対して優れた接着強度特性を示し、各種加工後においても高い層間接着強度を維持する。このため、このような本発明の樹脂組成物を接着層とする本発明の積層体よりなる本発明の成形体は、優れた接着強度特性を示し、更に強度、耐熱性及びガスバリア性等にも優れたものとすることができる。
本発明の樹脂組成物は、バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物でありながら、石油由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物と同等以上に、極性基を有する樹脂、特に、エチレン・ビニルアルコール共重合体に対して優れた接着強度特性を示し、各種加工後においても高い層間接着強度を維持する。このため、このような本発明の樹脂組成物を接着層とする本発明の積層体よりなる本発明の成形体は、優れた接着強度特性を示し、更に強度、耐熱性及びガスバリア性等にも優れたものとすることができる。
本発明の積層体からなる本発明の成形体、例えばフィルム、シート、袋、カップ、トレイ、チューブ、ボトル等の容器や蓋材は、一般的な食品、マヨネーズやドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材として有用であり、特に食品用包装材として好適である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[使用原料]
以下の実施例及び比較例で用いた原料は、次の通りである。
以下の実施例及び比較例で用いた原料は、次の通りである。
<成分(A):バイオポリエチレン系樹脂>
(A-1):直鎖状低密度ポリエチレン
ブラスケム社製「GreenPE(登録商標)SLH118」
バイオマス度:84%
密度(JIS K7112):0.916g/cm3
MFR:1.0g/10分(190℃、2.16kg)
(A-2):高密度ポリエチレン
ブラスケム社製「GreenPE(登録商標)SGF4950」
エチレン・1-ヘキセン共重合体
バイオマス度:96%
密度(JIS K7112):0.956g/cm3
MFR:0.34g/10分(190℃、2.16kg)
(A-1):直鎖状低密度ポリエチレン
ブラスケム社製「GreenPE(登録商標)SLH118」
バイオマス度:84%
密度(JIS K7112):0.916g/cm3
MFR:1.0g/10分(190℃、2.16kg)
(A-2):高密度ポリエチレン
ブラスケム社製「GreenPE(登録商標)SGF4950」
エチレン・1-ヘキセン共重合体
バイオマス度:96%
密度(JIS K7112):0.956g/cm3
MFR:0.34g/10分(190℃、2.16kg)
<成分(B):ポリエチレン系樹脂>
(B-1):エチレン・プロピレン共重合体
三井化学社製「タフマー(登録商標)P0775」
密度(JIS K7112):0.858g/cm3
MFR:0.6g/10分(230℃、21.2N)
(B-1):エチレン・プロピレン共重合体
三井化学社製「タフマー(登録商標)P0775」
密度(JIS K7112):0.858g/cm3
MFR:0.6g/10分(230℃、21.2N)
<成分(C):変性ポリオレフィン系樹脂>
(C-1):リニア低密度ポリエチレンと、無水マレイン酸及び有機過酸化物とを押出機にて溶融混練して得られた、無水マレイン酸変性ポリエチレン
グラフト率:0.9質量%
密度(JIS K7112):0.92g/cm3
MFR:0.5g/10分(190℃、21.2N)
(C-2):高密度ポリエチレンと、無水マレイン酸及び有機過酸化物とを押出機にて溶融混練して得られた、無水マレイン酸変性ポリエチレン
グラフト率:0.8質量%
密度(JIS K7112):0.95g/cm3
MFR:1.0g/10分(190℃、21.2N)
(C-1):リニア低密度ポリエチレンと、無水マレイン酸及び有機過酸化物とを押出機にて溶融混練して得られた、無水マレイン酸変性ポリエチレン
グラフト率:0.9質量%
密度(JIS K7112):0.92g/cm3
MFR:0.5g/10分(190℃、21.2N)
(C-2):高密度ポリエチレンと、無水マレイン酸及び有機過酸化物とを押出機にて溶融混練して得られた、無水マレイン酸変性ポリエチレン
グラフト率:0.8質量%
密度(JIS K7112):0.95g/cm3
MFR:1.0g/10分(190℃、21.2N)
<成分(D):石油由来ポリエチレン系樹脂>
(D-1):エチレン・α-オレフィン共重合体
日本ポリエチレン社製「カーネル(登録商標)KT260T」
密度(JIS K7112):0.901g/cm3
MFR:2.0g/10分(190℃、21.2N)
(D-2):高密度ポリエチレン
京葉ポリエチレン社製「B5102」
密度(JIS K7112):0.946g/cm3
MFR:0.15g/10分(190℃、21.2N)
(D-3):高密度ポリエチレン
京葉ポリエチレン社製「B5203」
密度(JIS K7112):0.948g/cm3
MFR:0.3g/10分(190℃、21.2N)
(D-1):エチレン・α-オレフィン共重合体
日本ポリエチレン社製「カーネル(登録商標)KT260T」
密度(JIS K7112):0.901g/cm3
MFR:2.0g/10分(190℃、21.2N)
(D-2):高密度ポリエチレン
京葉ポリエチレン社製「B5102」
密度(JIS K7112):0.946g/cm3
MFR:0.15g/10分(190℃、21.2N)
(D-3):高密度ポリエチレン
京葉ポリエチレン社製「B5203」
密度(JIS K7112):0.948g/cm3
MFR:0.3g/10分(190℃、21.2N)
[実施例1-1~1-6及び比較例1-1~1-4]
<樹脂組成物の製造>
各原料成分を表1に示す配合割合で、事前にドライブレンドにより混合し、単軸押出機IKG50(池貝社製)を用い、温度200℃、スクリュー回転数80rpm、押出量25kg/hで溶融混練し、ストランド状に押し出し、冷却後カッティングしてペレット状の樹脂組成物を得た。
<樹脂組成物の製造>
各原料成分を表1に示す配合割合で、事前にドライブレンドにより混合し、単軸押出機IKG50(池貝社製)を用い、温度200℃、スクリュー回転数80rpm、押出量25kg/hで溶融混練し、ストランド状に押し出し、冷却後カッティングしてペレット状の樹脂組成物を得た。
<積層シートの製造>
上記で製造した樹脂組成物を接着層の樹脂組成物として用い、フィードブロック3種5層の多層Tダイを備えた多層押出装置に供給して、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「Novatec(登録商標) HB431」)層/接着層/EVOH(三菱ケミカル社製「ソアノール(登録商標) BX6804B」)層/接着層/高密度ポリエチレン層(日本ポリエチレン社製「Novatec(登録商標) HB431」)の層構成(厚み565/20/30/20/565μm)の5層積層シートを得た。
上記で製造した樹脂組成物を接着層の樹脂組成物として用い、フィードブロック3種5層の多層Tダイを備えた多層押出装置に供給して、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「Novatec(登録商標) HB431」)層/接着層/EVOH(三菱ケミカル社製「ソアノール(登録商標) BX6804B」)層/接着層/高密度ポリエチレン層(日本ポリエチレン社製「Novatec(登録商標) HB431」)の層構成(厚み565/20/30/20/565μm)の5層積層シートを得た。
<積層カップの作製>
上記で製造した積層シートを用い、プラグアシスト型真空圧空成形機(浅野研究所製)にて、ヒーター温度500℃、加熱時間28秒でカップ(上面60mmφ、底面55mmφ、深さ150mm、絞り比約2.5)の加熱延伸成形加工を行って、図1に示す積層容器(カップ)1を作製した。
上記で製造した積層シートを用い、プラグアシスト型真空圧空成形機(浅野研究所製)にて、ヒーター温度500℃、加熱時間28秒でカップ(上面60mmφ、底面55mmφ、深さ150mm、絞り比約2.5)の加熱延伸成形加工を行って、図1に示す積層容器(カップ)1を作製した。
<積層シートとカップの接着強度の評価>
積層シートとカップの接着強度を以下の要領で評価した。
積層シートの接着強度は、積層シートを10mm幅の短冊状に切り出し、接着層とEVOH層の間の接着強度を、180℃剥離試験により剥離速度50mm/分で測定した。
カップの接着強度は、カップ側面を図1の斜線部分で10mm幅に切出し、層の厚みが一番薄くなっている箇所を含む切り出し片の接着層とEVOH層の間の接着強度を、180℃剥離試験により剥離速度300mm/分で測定した。
積層シートとカップの接着強度を以下の要領で評価した。
積層シートの接着強度は、積層シートを10mm幅の短冊状に切り出し、接着層とEVOH層の間の接着強度を、180℃剥離試験により剥離速度50mm/分で測定した。
カップの接着強度は、カップ側面を図1の斜線部分で10mm幅に切出し、層の厚みが一番薄くなっている箇所を含む切り出し片の接着層とEVOH層の間の接着強度を、180℃剥離試験により剥離速度300mm/分で測定した。
[実施例2-1及び比較例2-1]
<樹脂組成物の製造>
各原料成分を表2に示す配合割合で、事前にドライブレンドにより混合し、単軸押出機IKG50(池貝社製)を用い、温度200℃、スクリュー回転数80rpm、押出量25kg/hで溶融混練し、ストランド状に押し出し、冷却後カッティングしてペレット状の樹脂組成物を得た。
<樹脂組成物の製造>
各原料成分を表2に示す配合割合で、事前にドライブレンドにより混合し、単軸押出機IKG50(池貝社製)を用い、温度200℃、スクリュー回転数80rpm、押出量25kg/hで溶融混練し、ストランド状に押し出し、冷却後カッティングしてペレット状の樹脂組成物を得た。
<積層シートの製造>
上記で製造した樹脂組成物を接着層の樹脂組成物として用い、実施例1-1~1-6の<積層シートの製造>と同じ方法で5層積層シートを得た。
上記で製造した樹脂組成物を接着層の樹脂組成物として用い、実施例1-1~1-6の<積層シートの製造>と同じ方法で5層積層シートを得た。
<積層ボトルの製造>
上記で製造した樹脂組成物を接着層の樹脂組成物として用い、3種5層多層ボトル成形装置に供給して、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「Novatec(登録商標) HB431」層/接着層/EVOH(三菱ケミカル社製「ソアノール(登録商標) DC3203RB」)層/接着層/高密度ポリエチレン層(日本ポリエチレン社製「Novatec(登録商標) HB431」)の層構成(厚み400/25/150/25/400μm)の5層積層ボトル(開口部:直径2cm、底面:直径8cm、側面(高さ):15cm(胴部:10cm、肩部:3cm、口部:2cm)、寸胴型)を得た。
上記で製造した樹脂組成物を接着層の樹脂組成物として用い、3種5層多層ボトル成形装置に供給して、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「Novatec(登録商標) HB431」層/接着層/EVOH(三菱ケミカル社製「ソアノール(登録商標) DC3203RB」)層/接着層/高密度ポリエチレン層(日本ポリエチレン社製「Novatec(登録商標) HB431」)の層構成(厚み400/25/150/25/400μm)の5層積層ボトル(開口部:直径2cm、底面:直径8cm、側面(高さ):15cm(胴部:10cm、肩部:3cm、口部:2cm)、寸胴型)を得た。
<積層シートの接着強度の評価>
積層シートの接着強度を実施例1-1~1-6の<積層シートとカップの接着強度の評価>におけると同じ要領で評価した。
積層シートの接着強度を実施例1-1~1-6の<積層シートとカップの接着強度の評価>におけると同じ要領で評価した。
<積層ボトルの接着強度の評価>
積層ボトルの接着強度を以下の要領で評価した。
積層ボトルの接着強度は、積層ボトルを10mm幅の短冊状に切り出し、接着層とEVOH層の間の接着強度を、180℃剥離試験により剥離速度50mm/分で測定した。
積層ボトルの接着強度を以下の要領で評価した。
積層ボトルの接着強度は、積層ボトルを10mm幅の短冊状に切り出し、接着層とEVOH層の間の接着強度を、180℃剥離試験により剥離速度50mm/分で測定した。
[評価結果]
評価結果を下記表1、2に示す。
評価結果を下記表1、2に示す。
<考察>
表1の実施例1-1と比較例1-1とを対比すると、成分(A)と成分(C)に成分(B)を少量配合することで、接着強度が顕著に大きくなることがわかる。
比較例1-2と比較例1-3は、実施例1-1と比較例1-1において成分(A)の代りに石油系ポリエチレン系樹脂である成分(D)を用いた例であるが、成分(D)と成分(C)(比較例1-2)に成分(B)を配合した場合(比較例1-3)には、シート、カップのいずれも、接着強度がわずかに大きくなる程度であった。
また、比較例1-4は、比較例1-3の成分(D)と成分(B)の含有割合を変えたものであるが、シート、カップのいずれも、比較例1-3と同等の接着強度であった。
実施例2-1は、比較例2-1の成分(D)の2種の含有割合を成分(A)に置き変えたものであるが、シート、ボトルのいずれも、接着強度が顕著に大きくなる結果となった。
これら結果から、本発明の樹脂組成物は、バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物であっても、石油由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物と同等以上の接着性を有する樹脂組成物であることが分かる。
表1の実施例1-1と比較例1-1とを対比すると、成分(A)と成分(C)に成分(B)を少量配合することで、接着強度が顕著に大きくなることがわかる。
比較例1-2と比較例1-3は、実施例1-1と比較例1-1において成分(A)の代りに石油系ポリエチレン系樹脂である成分(D)を用いた例であるが、成分(D)と成分(C)(比較例1-2)に成分(B)を配合した場合(比較例1-3)には、シート、カップのいずれも、接着強度がわずかに大きくなる程度であった。
また、比較例1-4は、比較例1-3の成分(D)と成分(B)の含有割合を変えたものであるが、シート、カップのいずれも、比較例1-3と同等の接着強度であった。
実施例2-1は、比較例2-1の成分(D)の2種の含有割合を成分(A)に置き変えたものであるが、シート、ボトルのいずれも、接着強度が顕著に大きくなる結果となった。
これら結果から、本発明の樹脂組成物は、バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物であっても、石油由来のポリエチレン系樹脂を含有する樹脂組成物と同等以上の接着性を有する樹脂組成物であることが分かる。
1 積層カップ
Claims (9)
- 下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含み、これらの合計100質量%に対して成分(A)を1~90質量%、成分(B)を5~80質量%、成分(C)を1~80質量%含む、樹脂組成物。
成分(A):JIS K7112で測定される密度が0.900g/cm3以上0.970g/cm3以下のバイオポリエチレン系樹脂
成分(B):JIS K7112で測定される密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満のポリエチレン系樹脂
成分(C):不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂 - 成分(B)がエチレン・α-オレフィン共重合体である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 成分(B)においてα-オレフィンの炭素数が3~8である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 成分(C)の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の含有率が0.01~20質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する接着層と、該接着層と接するように配置された樹脂層とを備える、積層体。
- 前記樹脂層が、極性基を有するオレフィン系ポリマー、ポリアミド系樹脂、及びエチレン・ビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも一種を含有する、請求項5に記載の積層体。
- 前記樹脂層が、ガスバリア性樹脂層である、請求項5又は6に記載の積層体。
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の積層体を成形してなる成形体。
- 請求項8に記載の成形体からなる食品用包装材。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021134993 | 2021-08-20 | ||
JP2021134993 | 2021-08-20 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023029197A true JP2023029197A (ja) | 2023-03-03 |
Family
ID=85331870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022031048A Pending JP2023029197A (ja) | 2021-08-20 | 2022-03-01 | 樹脂組成物、積層体及び成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023029197A (ja) |
-
2022
- 2022-03-01 JP JP2022031048A patent/JP2023029197A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102658186B1 (ko) | 작용화된 폴리프로필렌을 포함하는 접착제 조성물 및 다층 구조 | |
US10414139B2 (en) | Adhesive compositions and multilayered structures comprising functionalized polypropylene | |
JP5915253B2 (ja) | 樹脂組成物及び積層体 | |
JP6524605B2 (ja) | 接着積層体の製造方法 | |
JP2020111745A (ja) | 接着性樹脂組成物及び積層体 | |
JP6648485B2 (ja) | 接着性樹脂組成物及び積層体 | |
JP6747020B2 (ja) | 積層体及び延伸積層体 | |
JP6387648B2 (ja) | 接着性樹脂組成物及び積層体 | |
JP2018135488A (ja) | 接着性樹脂組成物及び積層体 | |
JP2018127556A (ja) | 樹脂組成物、易開封性容器用蓋材及び易開封性容器 | |
JP2012172047A (ja) | 樹脂組成物及び積層体 | |
JP2000290620A (ja) | 接着性樹脂組成物 | |
JP6969116B2 (ja) | 接着性樹脂組成物及び積層体 | |
JP2023029197A (ja) | 樹脂組成物、積層体及び成形体 | |
JP6864497B2 (ja) | 接着性樹脂組成物及びマスターバッチ、並びに、これらを用いた積層フィルム、延伸フィルム、及び多層成形体 | |
JP2020111709A (ja) | 接着性樹脂組成物及び積層体 | |
JP2025009399A (ja) | ポリオレフィン組成物及び積層体の製造方法 | |
JP2016107443A (ja) | 積層体、成形体、成形カップ及び飲料品用容器 | |
JP7428022B2 (ja) | 接着性樹脂組成物 | |
JP2024044798A (ja) | 接着性重合体組成物、多層成形体および食品包装材 | |
JP2024047968A (ja) | 接着性重合体組成物、多層成形体および容器 | |
JP7073918B2 (ja) | 接着性樹脂組成物及び積層体 | |
JP2025024447A (ja) | 重合体組成物、単層フィルム及び積層体 | |
JP7040212B2 (ja) | 多層ラミネートフィルム | |
JP2014189667A (ja) | 樹脂組成物及び積層体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20250116 |