(詳細な説明)
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための、多くの異なる実施形態、または実施例を提供する。以下、本開示を簡略化するために、構成要素と配置の具体例を説明する。もちろん、これらは単なる例であって、限定することを意図したものではない。さらに、本開示では、様々な例で参照数字および/または文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、単純化と明確化の目的のためであり、それ自体が議論されている様々な実施形態および/または構成の間の関係を決定づけるものではない。
詳細な説明で使用されている主題の見出しは、読者の参照を容易にするために含まれており、本開示または特許請求の範囲全体で見られる主題を限定するために使用されるべきではない。主題の見出しは、クレームの範囲やクレームの限定を解釈する際に使用されるべきではない。
本開示で使用されている「約」という用語は、「おおよその」または「おおよそ」という用語と互換性があると理解される。
本明細書で使用されている「備える」という用語およびその派生語(例えば、備える、備えている)は、それが言及している特徴を包含しているとみなされ、特段の記載または暗示がない限り、追加の特徴の存在を排除することを意味しない。
本開示において、2つ以上の光軸を参照して使用される用語「ずれた」または「離間した」または「ラテラル方向に離間した」は、2つ以上の光軸または光軸に関連する光線が実質的に一致しない、および/または実質的に共通の軸上に存在せず、互いに対して平行、斜行、傾斜、またはそれらの組み合わせであってもよいことを意味している。さらに、本開示で使用される用語「ずれた」または「離間した」または「ラテラル方向に離間した」は、1つ以上の光学ゾーンからの焦点が、他の1つ以上の光学ゾーンからの焦点または1つ以上の他の光学ゾーンの光軸から、互いに相対するラテラル方向、縦方向、上方向、下方向、他の角度方向の少なくとも1つ、またはこれらの組み合わせである間隔をおいて離間されてもよいことを意味している。
本開示で使用されている用語「抑制された」または「抑制する」は、網膜においてピントの合った像の1つ以上の焦点と、ピントずれした像の焦点のオーバーラップを変化または変更または減少させることを意味する。
光および/または像を参照して本開示で使用される用語「干渉する」または「干渉」は、光の少なくとも一部、光線の少なくとも一部、異なる光学ゾーンからの焦点の1つ以上が干渉する、オーバーラップする、重なる、衝突する、共起する、互いに重なる、またはそれらの組合せであることを意味している。
本開示で使用されている「光質」または「像質」という用語は、例えば、スポットサイズの二乗平均平方根(RMS)の減少、コントラスト、ハローやゴーストなどの主観的視覚性能尺度、および/またはそれらの組み合わせで決定され得る、眼用レンズの性能のことを指す。また、眼用レンズの性能を決定する他の適切な方法を用いることもできる。
本開示で使用されている「焦点深度」または「拡張された焦点深度」という用語は、システム(生体眼または模型眼など)に対する像質の実質的な低下なしに、1つ以上の像を配置/位置付け/フォーカスできる、像面の手前および/または後ろのいずれかにおける距離または範囲を意味する。
本開示で使用されている「眼用レンズ」という用語は、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、フィルム、シート、角膜オンレイ、角膜インレイ、眼内レンズ、前房型レンズ、角膜を再形成するために使用されるレンズ、および眼鏡レンズに取り付けられるように構成されたクリップオン機能のうちの1つ以上を含むことを意図している。
本開示で使用されている「眼鏡レンズ」という用語は、レンズブランク、完成品、または実質的に完成した眼鏡レンズを含むことを意図している。
本開示で使用されている「ピントずれした」像または光という用語は、特定のユーザにとってぼやけて見え、網膜以外の面に実質的に存在する焦点を有する像を表すことを意図している。
本開示で使用されている「ピントの合った」像という用語は、特定のユーザにとって鮮明に見える、実質的に鮮明に見える、または好適に鮮明に見える像を表すことを意図している。
本開示で使用されている「光軸」という用語は、レンズ、光学ゾーン、および光学ゾーンセグメントのうちの1つ以上の光軸を意味する。
様々な実施例について、以下でより詳細に説明するように、眼用レンズ(例えば、同時視レンズ)は、遠方視、中間視、近方視のうちの1つ以上の組み合わせを矯正するように構成される。同時視眼用レンズの場合、その設計は、共通の軸を共有する複数の光学ゾーンに対応する複数の焦点を提供する。このような設計では、眼用レンズを通過した光が複数の光学ゾーンで共有され、その結果、ある光学ゾーンからの焦点と他の光学ゾーンからのデフォーカス像がオーバーラップし、ピントの合った像とピントずれした像の干渉が起こる可能性がある。その結果、ピントの合った像の像質(例えば、コントラスト、シャープネス)が低下することがある。
同時視眼用レンズの例としては、遠近両用レンズ(例えば、老眼用コンタクトレンズ)がある。最も一般的には、このようなレンズでは、老眼の遠方屈折異常を矯正するためにパワーを付与さられた中央光学ゾーンを有し、近距離での屈折異常を矯正するためにパワーを付与された交互ゾーンを有する1つ以上の環状または同心のゾーンによって囲まれるレンズ設計であってもよい。他のいくつかの設計では、遠近両用レンズは、中心近用レンズであってもよく、その設計は、近方屈折異常を矯正するためにパワーを付与さられた中央光学ゾーンを有し、遠方屈折異常を矯正するためにパワーを付与された交互同心ゾーンを有する1つ以上の環状または同心ゾーンによって囲まれていてもよい。一般に、光学ゾーンは、複数の光学ゾーンからの焦点が眼用レンズの共通の対称軸上に位置し得るように、同心かつ同軸となるように構成される。
遠近両用レンズの例を考えると、遠方物体を見るとき、眼用レンズは、遠用パワー光学ゾーンによって屈折された光線から生じるピントの合った像を提供すると同時に、1つ以上の同心の近用パワー光学ゾーンによって屈折された光線から生じるピントずれした像を生成することができる。その結果、ピントずれした像がピントの合った像と干渉し、像質(例えば、像のコントラストおよび/またはシャープネス)を低下させることがある。同様に、近方物体を見るとき、眼用レンズは、1つ以上の近用パワー光学ゾーンによって屈折された光線から生じるピントの合った像を提供すると同時に、または実質的に同時に、ピントの合った像に干渉する、1つ以上の遠用パワー光学ゾーンによって屈折された光線から生じるピントずれした像を生成し、かくして像質(例えば、像のコントラストおよび/またはシャープネス)を低下させることがある。
図1Aおよび1Bは、近視抑制のために近視性デフォーカスを形成するようにパワーを付与されたゾーン102(複数可)によって囲まれた、中央視力矯正ゾーン101を組み込んだ二重焦点眼用レンズの平面図を示す模式図である。図1Aおよび1Bの二重焦点ソフトコンタクトレンズは、近視抑制のために近視性デフォーカスを生成するためにパワーを付与されたゾーンによって囲まれた中央視力矯正ゾーン101を組み込んでいる。図1Aは、近視性デフォーカス102パワー(例えば、中央視力矯正ゾーン101と比較して相対的により大きな正のパワー)の単一リングを有し、図1Bは、遠方屈折異常を矯正するゾーン101によって離間した近視性デフォーカスパワー(102)の2つのリング(環状のもの)を有している。どちらのレンズにおいても、視力矯正ゾーンは近視性デフォーカスゾーンと同軸上にあり、例えば、環状ゾーン(複数可)に+2.5Dの近視性デフォーカスを組み込んでいる。
図2Aおよび2Bは、図1Aおよび1Bの眼用レンズを通して結像された遠方物体の光線追跡を示す模式図である。図のように、光線はレンズと眼を通過し、網膜面に遠方物体の像が形成される。それぞれのゾーンを通過する光線は、視力矯正ゾーン101を通過する光線については像面上の焦点として、近視性デフォーカスゾーン102を通過する光線については像面上のピントずれしたぼやけた円として表現されている。図2Aおよび2Bの例では、遠方物体はさらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側の約0.5度に位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
像面およびその近傍に形成された光線追跡の高倍率挿入図では、OP1、OP2、OP3の焦点は、像面におけるDF1、DF2およびDF3として図示されている。図2Aおよび2Bは、これらの同軸ベースの光学設計において、近視性デフォーカスゾーンからの物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3のピントの合った像との相互作用の範囲を示している。
図3Aおよび3Bは、同軸光学系で構成された、図1Aおよび1Bの眼用レンズによって像面に形成される物点OP1の焦点DF1のスポット図の模式図である。スポット図は、像面における焦点のサイズを表している。いくつかの実施形態では、焦点のサイズは、ミクロン単位のスポット半径の二乗平均平方根(RMS)として表現されてもよい。スポットサイズが小さいほど、焦点がより明瞭(ピントの合った良い像質)であることを示すことがある。逆に、スポット半径が大きいと、例えば、焦点における他の光学ゾーンからのピントずれした光のオーバーラップや干渉により、像の焦点がシャープでなくなり、および/または広がり、像質が悪くなることを示すことがある。
この例では、それぞれ単一リングと二重リングの光学設計で、DF1は、像面上で0.52μm、0.4μmのRMSサイズを有している。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点に期待されるものと同様であろう。しかし、DF1の像質は、OP2やOP3などの、遠方物体上の隣接点からの光線の相互作用によって影響される場合がある。図2Aで説明したレンズの近視性デフォーカス環状ゾーンからの、OP2およびOP3のデフォーカス光線のDF1への影響を考慮すると、DF1のRMSスポットサイズは、OP2およびOP3のそれぞれについて、像面上で0.52μmから145.2μmまで(全体平均118.55μm)大幅に増加する。同様に、図2Bで説明したレンズの近視性デフォーカス環状ゾーンによって形成されるOP2およびOP3のデフォーカス光線においても、DF1のRMSスポットサイズは像面上でそれぞれ0.4μmから147.05μmまで(全体平均120.06μm)大幅に増加する。このように、単独で考慮された小さなOP1の焦点DF1は、近視性デフォーカスゾーンによって形成されるピントずれした光によってオーバーラップした、隣接する物点OP2およびOP3の光線の影響を受けて、ぼやけて、サイズが大きくなる。いくつかの実施形態では、これは、OP1の形成された像が、同軸近視性デフォーカスゾーンによって生成された隣接する物点のピントずれした光線によって劣化する(例えば、実質的に劣化する)ことを示唆し得る。
いくつかの実施形態では、焦点の合った像に対する1つ以上のデフォーカス像の干渉が抑制されてもよく;および/または、像の視覚性能、コントラストおよび/またはシャープネス、または拡張された焦点深度の範囲が、少なくとも1つの他の光学ゾーンに対してラテラル方向に離間した、またはずれた光学系を有するように、眼用デバイスの光学ゾーンの1つ以上を設計することによって改善され得る。
いくつかの実施形態は、ピントずれした光による像の1つ以上の焦点のオーバーラップを抑制する眼用レンズ設計に関連し得る。いくつかの実施形態では、ピントずれした光による像の1つ以上の焦点のオーバーラップが、少なくとも部分的に、または完全に低減されてもよい。他の実施形態では、1つ以上のピントずれした像による、1つ以上の像の焦点のオーバーラップを、約5%~100%、約10%~100%、約15%~100%、約20%~100%、約25%~100%、約30%~100%、約35%~100%、約40%~100%、約45%~100%、約50%~100%、約55%~100%、約60%~100%、約65%~100%、約70%~100%、約75%~100%、約80%~100%、約85%~100%、または約90%~100%に低減することができる。
いくつかの実施形態では、1つ以上のピントずれした像に関連する焦点による、像に関連する焦点のオーバーラップは、像に関連する1つ以上の焦点を、ピントずれした像に関連する1つ以上の焦点と、例えば、約0.01~約4mm、約0.01~約5mm、または約0.01~約6mmだけ離間またはずらすことによって、少なくとも部分的にまたは完全に抑制することができる。他の実施形態では、ピントずれした像(複数可)によるピントの合った像のオーバーラップは、ピントの合った像に関連する1つ以上の焦点を、1つ以上のピントずれした像(複数可)に関連する1つ以上の焦点と、例えば、約0.01~約3.5mm、約0.01~約3mm、約0.01~約2.5mm、約0.01~約2mm、約0.01~約1.5mm、約0.01~約1mm、約0.01~約0.5mm、約0.01~約0.1mm、約0.1~約1.5mm、約0.1~約2mm、約0.1~約2.5mmだけ離間またはずらすことによって抑制することができる。いくつかの実施形態では、離間は、約0.1mm、約0.5mm、約1mm、約1.5mm、約2mm、または約2.5mmであってもよい。
本明細書に記載された、いくつかの実施形態は、所定の像面における焦点のオーバーラップを、1つ以上のピントずれした像または光に関連する焦点で抑制することによって像の品質を改善する眼用レンズ設計に関し、像面におけるRMSスポットサイズは、1μm以上低下し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のピントずれした像に関連する1つ以上の焦点と所定の像面における焦点のオーバーラップを抑制することによって達成されるRMSスポットサイズ半径の減少は、約1μm以上であってもよい。いくつかの実施形態では、所定の像面における焦点と、1つ以上のピントずれした像に関連する焦点とのオーバーラップを抑制することによって、像面におけるRMSスポットサイズ半径の減少は、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm、約60μm、約65μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm、約150μm、約160μm、約170μm、約180μm、約190μm、約200μm、または約250μmとなり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のピントずれした像に関連する焦点と所定の像面における焦点のオーバーラップを抑制することによって、RMSスポットサイズ半径の減少は、約1μm、約10μm、約25μm、または約50μmとなり得る。
いくつかの実施形態では、第1の焦点は、眼用レンズから第1の距離で第1の軸上にあってもよく、第2の焦点は、眼用レンズから第2の距離にあってもよく、第2の距離は、第1の距離とは異なり、第1の軸からずれていてもよい。
いくつかの実施形態では、ピントずれした像に関連する焦点による所定の像面における画像に関連する焦点のオーバーラップは、複数の光学ゾーンまたはセグメントのための光軸が互いに異なり、複数の光学ゾーンまたはセグメントが共通の軸を共有しない、複数の光学ゾーンまたはセグメントを有する眼用レンズを設計することによって実質的に抑制することができる。いくつかの実施形態では、複数の光学ゾーンまたはセグメントの光軸は、共通の軸上に位置しないことがある。いくつかの実施形態では、複数の光学ゾーンまたはセグメントの光軸のいくつかは、共通の軸上に位置することがある。いくつかの実施形態では、第1のパワーに関連付けられた複数の光学ゾーンの光軸は、第1の光軸上に位置してもよく、第2のパワーに関連付けられた複数の光学ゾーンまたはセグメントの光軸は、第2の光軸上に位置してもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーに関連付けられた複数の光学ゾーンの光軸は、第1の光軸上に位置してもよく、第2のパワーに関連付けられた複数の光学ゾーンまたはセグメントの光軸は、第1の軸とは異なる、対応する複数の軸(例えば、第2の光軸、第3の光軸、第4の光軸、第5の光軸など)上に位置してもよい。
いくつかの実施形態では、第1のパワーに関連付けられた複数の光学ゾーンの光軸は、第1の光軸上に位置してもよく、第2のパワーに関連付けられた複数の光学ゾーンまたはセグメントの光軸は、第2の光軸上に位置し、第3のパワーに関連付けられた複数の光学ゾーンまたはセグメントの光軸は、第3の光軸上に位置する等々であってもよい。
いくつかの実施形態では、複数の光学ゾーンまたはセグメントを有するように眼用レンズを構成することによって、ピントずれした像に関連する焦点または光線による所定の像面での像に関連する焦点のオーバーラップが抑制されてもよい。1つ以上の光学ゾーンまたはセグメントは、光軸を有していてもよく、1つ以上の光学ゾーンまたはセグメントは、共通の軸を共有しなくてもよい(例えば、異なる光軸を有していてもよい)。したがって、1つ以上の光学ゾーンまたはセグメントから生じる焦点は、眼用レンズの他の光学ゾーンまたはセグメントからの光軸および焦点に対してずれていてもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズの他の光学ゾーンまたはセグメントを通して向けられた光から生じる焦点に対する、1つ以上の光学ゾーンまたはセグメントを通して向けられた光から生じる焦点のずれは、所定の像面における像とのデフォーカスまたはピントずれした光の修正または変化をもたらし、したがって網膜像の質(例えば、コントラストおよび/またはシャープネス)が改善され、および/または拡張された焦点深度がもたらされる。
いくつかの実施形態では、眼用レンズの他の光学ゾーンおよび/またはセグメントを通して向けられた光から生じる焦点に対する、1つ以上の光学ゾーンまたはセグメントを通して向けられた光から生じる焦点のずれは、1つ以上の光分離手段(例えば、ラテラル方向に離間した光学系)によって対処されてもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズ上の他の光学ゾーンおよび/またはセグメントを通して導かれた光から生じる焦点に対して、1つ以上の光学ゾーンまたはセグメントを通して導かれた光から生じる焦点をずらすための光分離手段(例えば、ラテラル方向に離間した光学系)は、2つ以上の光学要素(例えば、球、楕円、円錐、非球、または直線、円錐体等の非球状トーラス要素を含む他の適切な要素)を有する1つ以上の光学面を利用することを含むことができ、2つ以上の光学要素は、2つ以上の光学要素の少なくとも実質的な部分または少なくとも一部が共通の光軸を共有しないように、互いに相対的に配置、シフト、回転、傾斜またはずれている。いくつかの実施形態では、眼用レンズ上の他の光学ゾーンおよび/またはセグメントを通して導かれた光から生じる焦点に対して、1つ以上の光学ゾーンまたはセグメントを通して導かれた光から生じる焦点をずらすための光分離手段(例えば、ラテラル方向に離間した光学系)は、2つ以上の光学要素(例えば、球、楕円、円錐、非球、または直線、円錐体等の非球状トーラス要素を含む他の適切な要素)を有する光学面を利用することを含むことができ、2つ以上の光学要素は、異なる半径を有することができる。眼用レンズの光学面は、レンズの外面、内面、またはその両方の面であってもよい。
いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する光学ゾーンは、レンズの中心、または実質的に中心にあってもよく、第2のパワーを有する光学ゾーンは、同心円ゾーンまたは実質的に同心円ゾーンとして、中央光学ゾーンを取り囲んでもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する光学ゾーンがレンズのセクション、子午線、または一部を占め、第2のパワーを有する光学ゾーンがレンズ(例えば、分割型眼用レンズ)の残りのセクション、残りの子午線、または残りの一部を占めてもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する光学ゾーンは、レンズの複数の部分を占め、第2のパワーを有する光学ゾーンとの間で交互に配置されてもよい(例えば、マルチリング)。いくつかの実施形態では、第1のパワーは一定であってもよく、また第1の光学ゾーンの異なる部分で変化してもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、第3のパワーを有する第3の光学ゾーンを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、第3の光学ゾーンは、中央の光学ゾーンに近接する(例えば、取り囲む)1つ以上の同心円状のゾーンであってもよい。いくつかの実施形態では、第3の光学ゾーンは、第1の光学ゾーンおよび第2の光学ゾーンによって占められるレンズのセクション、子午線または部分以外のレンズのセクション、子午線または部分であってよい。
いくつかの実施形態では、例えば、分割型眼用レンズでは、第1のパワーを有する光学要素は、第1の光学ゾーンであってもよく、第1の軸は、第1の光学ゾーンの光軸であってもよい。いくつかの実施形態では、第2のパワーを有する光学要素は、第2の光学ゾーンであってもよい。第2の光学ゾーンは、第2の軸を有していてもよく、第2の軸は、第1の軸からずれているか、またはラテラル方向に離間していてもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズの中心に対する、2つの光学要素の中心の離間は、約0.01から約20mmの範囲(例えば、約0.01mm、約0.02mm、約0.03mm、約0.04mm、約0.05mm、約0.06mm、約0.07mm、約0.08mm、約0.09mm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mm、約0.6mm、約0.65mm、約0.7mm、約0.75mm、約0.8mm、約0.85mm、約0.9mm、約0.95mm、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、約3mm、約3.25mm、約3.5mm、約3.75mm、約4mm、約4.25mm、約4.5mm、約4.75mm、約5mm、約5.25mm、約5.5mm、約5.75mm、約6mm、約6.25mm、約6.5mm、約6.75mm、約7mm、約7.25mm、約7.5mm、約7.75mm、約8mm、約8.25mm、約8.5mm、約8.75mm、約9mm、約9.25mm、約9.5mm、約9.75mm、約10mm、約10.25mm、約10.5mm、約10.75mm、約11mm、約11.25mm、約11.5mm、約11.75mm、約12mm、約12.25mm、約12.5mm、約12.75mm、約13mm、約13.25mm、約13.5mm、約13.75mm、約14mm、約14.25mm、約14.5mm、約14.75mm、約15mm、約15.25mm、約15.5mm、約15.75mm、約16mm、約16.25mm、約16.5mm、約16.75mm、約17mm、約17.25mm、約17.5mm、約17.75mm、約18mm、約18.25mm、約18.5mm、約18.75mm、約19mm、約19.25mm、約19.5mm、約19.75mm、約20mm、約20.25mm、約20.5mm、約20.75mm、または約21mm)であってもよい。いくつかの実施形態では、離間は、眼鏡レンズの場合、約10mmであり、コンタクトレンズの場合、約2mmであってもよい。いくつかの実施形態では、離間は、眼鏡レンズの場合、約9mm、約9.25mm、約9.5mm、約9.75mm、約10mm、約10.25mm、約10.5mm、約10.75mm、または約11mmであってもよい。いくつかの実施形態では、離間は、コンタクトレンズの場合、約1mm、約1.25mm、約1.5mm、約1.75mm、約2mm、約2.25mm、約2.5mm、約2.75mm、または約3mmであってもよい。
いくつかの実施形態では、光分離手段(例えば、ラテラル方向に離間した光学系)を使用する眼用レンズの他の光学ゾーンおよび/またはセグメントを通して導かれた光から生じる焦点に対する、1つ以上の光学ゾーンまたはセグメントを通して向けられた光から生じる焦点のずれは、プリズムパワーを生じさせ、眼用レンズの装用者が使用中に、対象物がずれたと認識する可能性がある。いくつかの実施形態では、低いプリズムパワー(像の離間の低減)と、レンズ内のビジョンの高い像質(像の離間の増加)間のトレードオフに結びつく像(例えば、焦点)の離間を維持したまま低減することが望ましい場合がある。
いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する光学ゾーンは、第1の光学ゾーンであってもよく、第1の軸は、第1の光学ゾーンの光軸であってもよい。いくつかの実施形態では、第2のパワーを有する光学ゾーンは、第2の光学ゾーンであってもよい。第2の光学ゾーンは、第2の軸を有していてもよく、第2の軸は、第1の軸からずれているか、またはラテラル方向に離間していてもよい。
いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンは、眼での使用において、第2の光学ゾーンを通過する光が複数の第2の焦点に屈折するように構成されてもよく、複数の第2の焦点は、1つ以上の第2の光学ゾーンに関連する複数の第2の軸の、対応する1つ以上の上にあり、複数の第2の軸は第1の軸からずれている。いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンは、複数の焦点を有していてもよい。いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンは、眼での使用において、第2の光学ゾーンを通過する光が、第1の軸上ではなく、複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)の焦点に屈折するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンを通過する光は、第1の軸上ではなく、3、3、4、または5つの焦点に屈折してもよい。いくつかの実施形態では、この構成は、近視に対処するために使用される眼用レンズに有用である可能性がある。
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、第1のパワーを有する第1の光学ゾーン、一定の(または変化する)パワーを有する第2の光学ゾーン、一定の(または変化する)パワーを有する第3の光学ゾーン等を有してもよい。
いくつかの実施形態では、第2の軸からの第1の軸のずれは、眼用レンズにプリズムパワーを生じさせることができる。いくつかの実施形態では、第2の軸からの第1の軸のずれによって生じるプリズムパワーは、約0.01△ディオプターから約15△ディオプター(例えば、約0.01△、約0.015△、約0.02△、約0.025△、約0.05△、約0.075△、約0.1△、約0.125△、約0.15△、約0.175△、約0.2△、約0.25△、約0.3△、約0.35△、約0.4△、約0.45△、約0.5△、約0.6△、約0.7△、約0.8△、約0.9△、約1△、約1.25△、約1.5△、約1.75△、約2△、約2.25△、約2.5△、約2.75△、約3△、約3.25△、約3.5△、約3.75△、約4△、約4.25△、約4.5△、約4.75△、約5△、約5.25△、約5.5△、約5.75△、約6△、約6.25△、約6.5△、約6.75△、約7△、約7.25△、約7.5△、約7.75△、約8△、約8.1△、約8.2△、約8.3△、約8.4△、約8.5△、約8.6△、約8.7△、約8.8△、約8.9△、約9△、約9.1△、約9.2△、約9.3△、約9.4△、約9.5△、約9.6△、約9.7△、約9.8△、約9.9△、約10△、約10.1△、約10.2△、約10.3△、約10.4△、約10.5△、約10.6△、約10.7△、約10.8△、約10.9△、約11△、約11.25△、約11.5△、約11.75△、約12△、約12.25△、約12.5△、約12.75△、約13△、約13.25△、約13.5△、約13.75△、約14△、約14.25△、約14.5△、約14.75△、または約15△)であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の軸からの第1の軸のずれによって生じるプリズムパワーは、約1△、約2△、約3△、約4△、約5△、約6△、約7△、約8△、または約9△であってもよい。
いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンの表面積(例えば、レンズの外面または内面の表面積)の50%以上(例えば、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、または約90%)を占めてもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンの表面積(例えば、レンズの外面または内面の表面積)の50%以下(例えば、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、または約20%)を占めてもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンの表面積(例えば、レンズの外面または内面の表面積)の約60%(例えば、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、または約65%)を占めてもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンの表面積(例えば、レンズの外面または内面の表面積)の約40%(例えば、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、または約45%)を占めてもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンの表面積(例えば、レンズの外面または内面の表面積)の約75%(例えば、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%)を占めてもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンの表面積(例えば、レンズの外面または内面の表面積)の約10%以上(例えば、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、または約45%)を占めてもよい。
いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径を有する球面によって定義されてもよく、および/または、第2のパワーを有する光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径とは異なる第2の半径を有する球面によって定義されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径を有する球面によって定義されてもよく、および/または、第2のパワーを有する光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径より小さい第2の半径を有する球面によって定義されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径を有する球面によって定義されてもよく、および/または、第2のパワーを有する光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径より大きい第2の半径を有する球面によって定義されてもよい。
いくつかの実施形態では、第2のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンは、第1のパワーと第1の半径を有する1つ以上の光学ゾーンと異なる、1つ以上の半径を有する1つ以上の球面を有してもよい。
いくつかの実施形態(例えば、コンタクトレンズの場合)では、第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状であってよく、約3mmの直径を有してもよい(例えば、いくつかの実施形態では、直径は、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約2~4mm、約2~3mm、約3~4mm、約4mm以下、約3.5mm以下、および/または約3mm以下であってよい)。いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンは、実質的に環状の形状であってよく、約3mmの内径を有してもよく(例えば、いくつかの実施形態では、内径は、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約2~4mm、約2~3mm、約3~4mm、約4mm以下、約3.5mm以下、および/または約3mm以下であってもよく)、かつ約7mmの外径を有してもよい(例えば、いくつかの実施形態では、外径は、約5mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7mm、約7.5mm、約8mm、約5~8mm、約6~7mm、約6~8mm、約8mm以下、約7.5mm以下、および/または約7mm以下であってもよい)。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状であってよく、第2の光学ゾーンは、実質的に環状の形状であってもよく、第2の光学ゾーンの内径は、第1の光学ゾーンの直径と実質的に等しくともよい。
いくつかの実施形態(例えば、眼鏡レンズの場合)では、第1の光学ゾーンは、実質的に円形であってよく、約10mmの直径を有してもよい(例えば、いくつかの実施形態では、直径は、約7mm、約7.5mm、約8mm、約8.5mm、約9mm、約9.5mm、約10mm、約10.5mm、約11mm、約11.5mm、約12mm、約12.5mm、約13mm、約13.5mm、約14mm、約14.5mm、約15mm、約15.5mm、約16mm、約16.5mm、約17mm、約17.5mm、約18mm、約18.5mm、約19mm、約19.5mm、約20mm、約8~10mm、約10~12mm、約9~11mm、約12~14mm、約10mm以下、約12.65mm以下、および/または約15mm以下であってもよい)。いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンは、実質的に環状の形状であってよく、約10mmの内径を有してもよく(例えば、いくつかの実施形態では、内径は、約7mm、約7.5mm、約8mm、約8.5mm、約9mm、約9.5mm、約10mm、約10.5mm、約11mm、約11.5mm、約12mm、約12.5mm、約13mm、約7~9mm、約8~10mm、約10~12mm、約10mm以下、約11mm以下、および/または約12mm以下であってもよく)、約15mmの外径を有してもよい(例えば、いくつかの実施形態では、外径は、約12mm、約12.5mm、約13mm、約13.5mm、約14mm、約14.5mm、約15mm、約15.5mm、約16mm、約16.5mm、約17mm、約17.5mm、約18mm、約18.5mm、約19mm、約19.5mm、約20mm、約12~15mm、約13~16mm、約15~18mm、約15mm以下、約17.5mm以下、および/または約20mm以下であってもよい)。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状であってよく、第2の光学ゾーンは、実質的に環状の形状であってもよく、第2の光学ゾーンの内径は、第1の光学ゾーンの直径と実質的に等しくともよい。
本開示の教示は、老眼用および/または近視用の眼用レンズに適用することができる。本明細書に記載された眼用レンズは、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、角膜オンレイ、角膜インレイ、レンズに適用されるフィルムまたはシート、クリップオンレンズ、および眼内レンズのうちの1つ以上を含み得る。例えば、遠近両用眼用レンズ(例えば、コンタクトレンズまたは眼鏡レンズ)は、遠方視、中間視または近方視のいずれかを矯正するための第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンと、第1のパワーよりも大きい正の第2のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンと、を有するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、光学ゾーンは、物体を見るときに、第2のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンから屈折した光線(または光線の少なくとも一部)から生じる焦点が、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンから屈折した光線(または光線の少なくとも一部)から生じる焦点からずれて、それによって、第1の像に関連する像質が向上するように(例えば、第2のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンからの光線のオーバーラップ量が減少する場合がある)、および/または拡張された焦点深度を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、遠方にある物体を見るとき、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンを通して導かれた光は、第2のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンを通して導かれた光からずれた第1の焦点で焦点を結んでもよく、それによって、第1のパワーを有する光学ゾーンを通して導かれた光から生じる焦点は、第2のパワーを有する光学ゾーンを通して導かれた光から生じる焦点によって最小限に干渉され(例えば、より少ない、実質的に少ない、および/または干渉しない)てもよい。いくつかの実施形態では、第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンと第2のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンは、結果として得られる像の部分的または減少したオーバーラップを伴って、互いに相対的にずれた、独立した光軸を有する。いくつかの実施形態では、遠方視および/または近方視の間、第2のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンからのピントずれした像と第1のパワーを有する1つ以上の光学ゾーンからの像との干渉は、2つ以上の光学要素を有する光学面(例えば、球、楕円、円錐、非球、または直線、円錐体などの非球状トーラス要素を含む他の適切な要素)を用いることにより抑制されてもよく、2つ以上の光学要素は、共通の光軸を共有しないように、互いに相対的に配置、シフト、傾斜、回転、またはずれている。
図4Aおよび4Bは、特定の実施形態による、近視抑制のためにゾーン401に対して近視性デフォーカスを生成するようにパワーを付与されたゾーン402によって囲まれた、第1のパワーを有する中央ゾーン401を組み込んだ眼用レンズ(例えば、コンタクトレンズ)の平面図を示す模式図である。図示されているように、中央ゾーン401および周囲の近視性デフォーカスパワーゾーン402は、近視性デフォーカスゾーンによって生成される焦点が互いにラテラル方向に離間し、また遠方焦点が生成される軸から離間するように、非同軸となるように構成される。図4Aは、近視性デフォーカスパワーの単一リングを有し、図4Bは、第1のパワーを有するゾーンによって離間された、2つの近視性デフォーカスパワーのリングを有している。両レンズとも、軸上に第1のパワーを有するゾーンを備える一方、近視性デフォーカスゾーンの焦点は、例えば、図4Aでは0.5mm、図4Bは0.6mmだけラテラル方向に離間するように構成されている。この例では、両レンズタイプとも、+2.5Dの近視性デフォーカスを環状配置で組み込んでいる。図4Aおよび4Bは、連続的な周辺ゾーンを示しているが、不連続な、または連続と不連続の組み合わせの周辺ゾーンも企図される。図4Aおよび4Bは、同心円状のゾーンを示しているが、他の形状、例えば、球、楕円、円錐、非球、または直線、円錐体などの非球状トーラス要素を含む他の適切な要素も企図される。図4Aおよび4Bは同心円状のゾーンを示しているが、実質的に同心円状および/または部分的に同心円状のゾーンも企図される。
図5Aおよび5Bは、特定の実施形態による、図4Aおよび4Bの眼用レンズを通して結像された遠方物体の光線追跡を示す模式図である。それぞれのゾーンを通過する光線は、第1のパワーを有するゾーンを通過する光線については像面上の焦点として、近視性デフォーカスゾーンを通過する光線については像面上のピントずれしたぼやけた円として表現されている。図5Aおよび5Bでは、遠方物体はさらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側の0.5度に位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
図5Aおよび5Bは、また、網膜面およびその近傍に形成された光線追跡の高倍率挿入図を示している。挿入図は、OP1、OP2、OP3の焦点を、像面におけるDF1、DF2およびDF3として示している。また、近視性デフォーカスゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面に位置する残りの光線を構成する。図5Aおよび5Bは、焦点をラテラル方向に離間するように構成されたこれらのレンズにおいて、近視性デフォーカスゾーンからの物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用パワーゾーン(複数可)によるOP1、OP2およびOP3の像との相互作用の範囲を示している。
図6Aおよび6Bは、焦点のラテラル方向の離間を生成する光学設計に基づく特定の実施形態による、図4Aおよび4Bの眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。DF1は、単一リングと二重リングの光学設計で、それぞれ、0.46μmと0.41μmのRMS値を有している。これらの値は、単焦点光学設計の焦点に期待されるものと同様であろう。しかしながら、図2Aおよび2Bのような同軸光学系で構成された眼用レンズの例とは異なり、近視性デフォーカスゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用がない場合がある(例えば、RMS値=0)。焦点DF1は、レンズ設計がラテラル方向に離間した焦点を有するため、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なって、RMSスポットサイズが増加することはなく、全体の平均RMS値は、0.46μm、0.41μmと比較的小さいままとなる。同様に、DF2およびDF3も隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けない。したがって、本実施例で説明するラテラル方向に離間した光学系は、図2Aおよび2Bの同軸ベースの設計よりも改善されたシャープネス、および高い像質を示す。
図7Aおよび7Bは、近視抑制のために構成され、特定の実施形態による、近視性デフォーカスを生成するように、その間でパワーが交互に変わる複数の環状ゾーン702によって囲まれた第1のパワーを有する中央ゾーン701を組み込んだ眼用レンズ(例えば、眼鏡レンズ)の平面図を示す模式図である。図7Aに示すレンズは、第1のパワーを有するゾーン701と近視性デフォーカスゾーンが同軸であり、近視性デフォーカスォーカス環状ゾーンに、+2.5Dの近視性デフォーカスを組み込むように構成されている。図7Bに示すレンズは、第1のパワーを有するゾーン701と近視性デフォーカスゾーン702がラテラル方向に離間した光学系を有し、近視性デフォーカスォーカス環状ゾーンに、+2.5Dの近視性デフォーカスを組み込むように構成されている。図7Aおよび7Bは、連続的な周辺ゾーンを示しているが、不連続な、または連続と不連続の組み合わせの周辺ゾーンも企図される。図7Aおよび7Bは、同心円状のゾーンを示しているが、他の形状、例えば、球、楕円、円錐、非球、または直線、円錐体などの非球状トーラス要素を含む他の適切な要素も企図される。図7Aおよび7Bは同心円状のゾーンを示しているが、実質的に同心円状および/または部分的に同心円状のゾーンも企図される。
図8Aおよび8Bは、特定の実施形態による、図7Aおよび7Bの眼用レンズを通して結像された遠方物体の光線追跡を示す模式図である。それぞれのゾーンを通過する光線は、遠用パワーゾーンを通過する光線については網膜上の焦点として、近視性デフォーカスゾーンを通過する光線については像面上のピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方物体はさらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側の0.45度に位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
図8Aおよび8Bは、また、網膜面およびその近傍に形成された光線追跡の高倍率挿入図を含んでいる。挿入図は、遠方物点OP1、OP2、OP3の焦点を、像面におけるDF1、DF2およびDF3として示している。また、近視性デフォーカスゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面に位置する残りの光線を構成する。図8Aおよび8Bは、同軸光学設計(図8A)または焦点をラテラル方向に離間した光学設計(図8B)のいずれかで構成されたこれらのレンズにおいて、近視性デフォーカスゾーンからの物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、第1のパワーを有するゾーンによるOP1、OP2およびOP3のピントの合った像との相互作用の範囲を示している。
図9Aおよび9Bは、特定の実施形態による、図7Aおよび7Bの眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。図9Aは、同軸光学設計に基づく図8aの近視抑制レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点F1のスポット図とRMS値を示す図である。DF1は、0.38μmのRMS値を有し、これは単焦点光学設計の焦点に期待されるものと同程度の値である。しかし、DF1の像質は、OP2やOP3などの、遠方物体上の隣接点からの光線の相互作用によって影響される場合がある。図8Aで説明したレンズの近視性デフォーカス環状ゾーンからの、OP2およびOP3のデフォーカス光線のF1への影響を考慮すると、DF1のRMSスポットサイズは、OP2およびOP3のそれぞれについて、0.38μmから126.39μmまで(全体平均103.19μm)大幅に増加する。このように、単独で考慮されたOP1の定義された焦点F1は、近視性デフォーカスゾーンによって形成される、隣接する物点OP2およびOP3の近視性デフォーカス光線の影響を受けて、ぼやけて、サイズが大きくなっている。これは、同軸近視性デフォーカスゾーンによって生成された隣接する物点のピントずれした光線によって、OP1の像形成が劣化する可能性があることを示している。
図9Bは、焦点のラテラル方向の離間を生成する光学設計に基づく図8Bの近視抑制レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1のスポット図とRMS値を示す図である。DF1は、0.36μmのRMS値を有し、この値は図9Aと同様に、単焦点光学設計の焦点に期待されるものと同様である。しかし、図2Aや図8Aのような同軸光学系で構成されたレンズ、コンタクトレンズおよび同軸光学設計の眼鏡のそれぞれの場合とは異なり、近視性デフォーカスゾーンによって形成された物点OP2、OP3のデフォーカス光線からの相互作用はないようである(RMS値=0.0)。図9Bの例では、焦点DF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成されたこの眼鏡レンズでは、全体の平均RMS値は0.36μmと小さいままである。同様に、F2およびF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けない。したがって、この例示的な実施形態で説明するラテラル方向に離間した光学系は、同軸ベースの設計よりも改善されたシャープネス、および/または高い像質を示す。
図10Aおよび10Bは、特定の実施形態による、老眼の近方視を矯正するようにパワーを付与されたゾーン(複数可)によって囲まれた中央視力矯正ゾーンを組み込んだ眼用レンズ(例えば、老眼用遠近両用ソフトコンタクトレンズ)の平面図を示す模式図である。図10Aは、老眼者の近方視を矯正するためにパワーを付与された単一ゾーン1002によって囲まれた中央遠用視力矯正ゾーン1001を組み込んだ老眼用遠近両用ソフトコンタクトレンズの平面図を示している。遠用矯正ゾーンと近用矯正ゾーンは同軸に構成され、周囲の環状ゾーンに+2.5Dの近用加入度数を組み込んでもよい。
図10Bは、老眼者の近方視を矯正するためにパワーを付与されたゾーン1012によって囲まれた中央遠用視力矯正ゾーン1011を組み込んだソフト遠近両用コンタクトレンズの平面図を示している。遠用ゾーンおよび周囲の近用パワーゾーンは、ゾーンによって生成される焦点が互いにラテラル方向に離間し、また遠方焦点が生成される軸から離間するように、ラテラル方向に離間した光学系を有するように構成されてもよい。図10Bのレンズは、遠用ゾーンからの焦点が軸上に形成されるが、近方視ゾーンによって形成される焦点は光軸から0.5mmだけラテラル方向に離間するように構成されてもよい。この例示的な実施形態では、近用環状ゾーンは、光を単一の焦点に収束させず、むしろ、遠方焦点のある光軸を囲み、そこから離間した連続的な焦点のリングを形成する。このため、近用焦点リングは、光軸からラテラル方向に0.5mm離間している。この例の遠近両用レンズは、+2.50Dの近用加入度数を組み込んでいる。図10Bは、連続的な周辺ゾーンを示しているが、不連続な、または連続と不連続の組み合わせの周辺ゾーンも企図される。図10Aおよび10Bは、同心円状のゾーンを示しているが、他の形状、例えば、球、楕円、円錐、非球、または直線、円錐体などの非球状トーラス要素を含む他の適切な要素も企図される。図10Aおよび10Bは同心円状のゾーンを示しているが、実質的に同心円状および/または部分的に同心円状のゾーンも企図される。
図11Aおよび11Bは、図10Aおよび10Bの眼用レンズを通して結像された遠方物体と近方物体の光線追跡を示す模式図である。
図11Aは、図10Aのコンタクトレンズを通して結像された遠方物体の光線追跡を示す図である。光線はレンズと眼を通過し、網膜面に遠方物体の像が形成される。それぞれのゾーンを通過する光線は、遠用パワーゾーンを通過する光線については網膜上の焦点として、近用加入ゾーンを通過する光線については像面上のピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、遠方物体のOP1の両側の0.5度、近方物体のOP1の両側の0.15度に位置する、点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
また、図11Aは、網膜面において、遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、近方像にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を示している。図11Aは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2およびDF3とし、さらに、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面に位置する残りの光線を構成していることを示している。図11Aは、さらに、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を、像面におけるNF1、NF2、NF3として示している。遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面に位置する残りの光線を構成する。図11Aは、これらの同軸ベースの光学設計において、物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3の像との相互作用の範囲を示している。
図11Bは、図10Bのコンタクトレンズを通して結像された遠方物体の光線追跡の断面を示す図である。光線はレンズと眼を通過し、網膜面に遠方物体の像が形成される。それぞれのゾーンを通過する光線は、遠用パワーゾーンを通過する光線については網膜上の焦点として、近用加入ゾーンを通過する光線については像面上のピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、遠方物体のOP1の両側の0.5度、近方物体のOP1の両側の0.15度に位置する、点2、3(OP2、OP3)で定義されてもよい。
また、図11Bは、網膜面において、遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、近方像にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を提示している。図11Bは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2、DF3とし、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面に位置する残りの光線を構成していることを示している。この例では、さらに、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、さらに、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面に位置する残りの光線を構成していることを示している。図11Bは、これらのラテラル方向に離間した光学設計において、物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3のピントが合った像との相互作用の範囲を示している。
図12A、12B、12Cおよび12Dは、図10Aおよび10Bの眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。
図12Aは、図11Aの遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点DF1のスポット図とRMS値を示す図である。DF1は、0.71μmのRMSサイズを有する。これらの値は、この開口サイズでの単焦点光学設計で生成される焦点とほぼ同様である。しかし、DF1の像質は、OP2やOP3などの、遠方物体上の隣接点からの光線の相互作用によって影響される場合がある。図10Aで説明したレンズの近用パワー環状ゾーンからの、OP2およびOP3のデフォーカス光線のD-F1への影響を考慮すると、DF1のRMSスポットサイズは、OP2およびOP3のそれぞれについて、0.71μmから110.99μmまで(全体平均90.62μm)大幅に増加する。このように、単独で考慮されたOP1の焦点DF1は、近用パワーゾーンによって形成される、隣接する物点OP2およびOP3のデフォーカス光線の実影響によって、ぼやけて、サイズが大きくなっている。いくつかの実施形態では、これは、OP1の形成された像が、同軸近用パワーゾーンによって生成された隣接する物点のピントずれした光線によって劣化することを示している。
図12Bは、図11Aの遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の焦点NF1のスポット図とRMS値を示す図である。NF-1は、0.2μmのRMSサイズを有する。これらの値は、この開口サイズでの単焦点光学設計で生成される焦点に期待されるものとほぼ同様である。しかし、NF1の像質は、OP2やOP3などの、近方物体上の隣接点からの光線の相互作用によって影響される場合がある。図10Aで説明したレンズの遠用パワー中央ゾーンからの、OP2およびOP3のデフォーカス光線のN-F1への影響を考慮すると、N-F1のRMSスポットサイズは、OP2およびOP3のそれぞれについて、0.2μmから44.15μmまで(全体平均36.05μm)大幅に増加する。このように、単独で考慮されたOP1の焦点N-F1は、遠用パワーゾーンによって形成される、隣接する近方物点OP2およびOP3のデフォーカス光線の影響によって、ぼやけて、サイズが大きくなっている。いくつかの実施形態では、これは、OP1の形成された近方像が、同軸遠用パワーゾーンによって生成された隣接する物点のピントずれした光線によって劣化することを示している。
図12Cは、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を有する図11Bの遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点DF1のスポット図とRMS値を示す図である。DF1は、0.7μmのRMSサイズを有する。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点に期待されるものとほぼ同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、近用ゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用はない(RMS値=0)。焦点DF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は0.7μmと小さいままである。同様に、DF2およびDF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けない。したがって、本明細書に記載されたラテラル方向に離間した光学系は、図10Aの同軸ベースの設計よりも改善されたシャープネス、および/または高い像質を示す。
図12Dは、図11Bの遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の近方焦点N-F1のスポット図とRMS値を示す図である。NF1は、0.05μmのRMSサイズを有する。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用がない場合がある(RMS値=0.0)。焦点NF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した近方焦点リングを有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は0.05μmと小さいままである。同様に、NF2およびNF3も隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けない。したがって、本明細書に記載されたラテラル方向に離間した光学系は、図10aの同軸ベースの設計よりもはるかに改善されたシャープネス、および/または高い像質を示す。
図13は、特定の実施形態による、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を含む眼用レンズ(例えば、ソフト遠近両用コンタクトレンズ)の平面図を示す模式図である。図13は、遠用光学ゾーンと近用光学ゾーンをラテラル方向に離間した光学系を有するソフト遠近両用コンタクトレンズを示す平面図である。この例では、遠用パワーゾーン1301と近用パワーゾーン1302の両方が、それらの光軸がラテラル方向に0.5mmだけ離間するように構成された単焦点で構成されたものである。この例は、図12Bの例とは異なり、近用光軸のラテラル方向の離間は、遠用光軸から離間し、それを囲む近用焦点のリングを形成するように構成された。近用ゾーンは、+2.5Dのパワーを有している。また、図13のレンズは、近方焦点が遠方焦点に対してラテラル方向に離間または下方にずれるように構成されている。平面図は、上部ゾーンと下部ゾーンの2つの半球に分かれた光学ゾーンを示している。
図14は、特定の実施形態による、図13の眼用レンズを通して結像された遠方物体および近方物体の光線追跡を示す模式図である。また、図14は、網膜面において遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、像面において近方物体にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を示している。それぞれの図では、それぞれのピントずれしたゾーンを通過した光線は、像面においてピントずれしたぼやけた円として表現されている。図14の遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側の0.5度に位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。同様に、図14bの近方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側の0.15度に位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
遠方フォーカスチャートに示されるように、DF1、DF2、DF3としての遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点は、像面にあり、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面(ピントの合った遠方物点の下方)に位置する残りの光線を構成している。近方フォーカスチャートは、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面の近方焦点より上方に位置する残りの光線を構成していることを示している。図14の光線追跡は、ラテラル方向に離間したリング遠近両用コンタクトレンズ設計の例において、物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用および/または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3のピントが合った像との間の相互作用がないことを示している。
図15Aおよび15Bは、特定の実施形態による、図13の眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。
図15Aは、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を有する図13の遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点DF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、DF1は、2.16μmのRMSサイズを有している。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点に期待されるものとほぼ同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、近用ゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用はない場合もある(RMS値=0)。焦点DF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成された例示的なレンズでは、全体の平均RMS値は2.16μmと小さいままである。同様に、DF2およびDF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
図15Bは、図13の遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の近方焦点NF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、NF1は、1.80μmのRMSサイズを有している。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点に期待されるものと同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用がない場合がある(RMS値=0)。焦点NF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した近方焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は1.8μmと小さいままである。同様に、NF2およびNF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
したがって、本明細書に記載されたラテラル方向に離間した光学系で構成された、図15(例えば、図13~15)のレンズは、改善されたシャープネス、および高い遠方および近方像質を示す。
図16は、特定の実施形態による、球面構造を使用する眼用レンズの例示的な設計を示す模式図である。いくつかの実施形態では、図13に示される実施形態のように、2つの光学ゾーンの間の不連続性を低減するために、2つの球面702、704を利用して眼用レンズ700を形成してもよい。球面702,704は、異なる直径を有し(球面702の直径が球面704より大きい)、境界706で交差していてもよい。光学ゾーン708は、定義され、第1の光学ゾーン710と第2の光学ゾーン712を含んでいる。第1の光学ゾーン710の特性は、球面702によって定義され、第2の光学ゾーン712の特性は、球面704によって定義される。球面は接合部706で交差するため、不連続性が減少し、混合(例えば、混合ゾーン)の必要性が減少する可能性がある。いくつかの実施形態では、混合ゾーンが存在しないこともある。得られたレンズ700は、いくつかのパラメータを用いて特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーン710は、第1の光学パワーを有し、第2の光学ゾーン712は第1の光学パワーと異なる第2の光学パワーを有する。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、第2の光学ゾーンは第1の光学パワーよりも相対的により大きい正の第2の光学パワーを有する。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、第2の光学ゾーンは第1の光学パワーよりも約+0.25D~約+3Dだけ相対的により大きい正の第2の光学パワーを有する。いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンは、第1の光学パワーよりも、約+0.25D~+2.5D、約+0.25D~+2D、約+0.25D~+1.5D、約+0.25D~+1Dおよび約+0.25D~+0.5Dだけ相対的により大きい正の第2の光学パワーを有する。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、第2の光学ゾーンは第1の光学パワーよりも約+3D以上、相対的により大きい正の第2の光学パワーを有する。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、第2の光学ゾーンは第1の光学パワーよりも相対的により小さい正の第2の光学パワーを有する。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、第2の光学ゾーンは第1の光学パワーよりも約-0.25D~約-3Dだけ相対的により大きい正の第2の光学パワーを有する。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、眼用レンズの上部を占めてもよい。いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンは、眼用レンズの下部を占めてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、遠方視、中間視または近方視のうちの1つを矯正するように構成されてもよく、および/または第2の光学ゾーンは、遠方視、中間視または近方視のうちの異なる1つを矯正するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、遠方視を矯正するように構成されてもよく、第2の光学ゾーンは、近方視を矯正するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、近方視を矯正するように構成されてもよく、第2の光学ゾーンは、遠方視を矯正するように構成されてもよい。2つの球面702および704の利用と、レンズの表面に沿って交差しない第1の光学ゾーンおよび第2の光学ゾーンの半径により、像は光学的に離間され(例えば、ラテラル方向にずらされ)、これによって、結果として網膜像のRMSスポットサイズが低減され得る。
図17は、特定の実施形態による、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を含む眼用レンズ(例えば、ソフト遠近両用コンタクトレンズ)の平面図を示す模式図である。図17は、遠用光学ゾーンと近用光学ゾーンをラテラル方向に離間した光学系で構成されたソフト遠近両用コンタクトレンズを示す平面図である。この例では、遠用パワーゾーン1701と近用パワーゾーン1702の両方が、それらの光軸がラテラル方向に0.5mmだけ離間するように構成された単焦点で構成されたものである。近用加入度数は、+2.5Dのパワーである。この例のレンズは、近方焦点が下方にラテラル方向に離間するように構成されている。平面図は、上部ゾーンと下部ゾーンの2つの半球に分かれた光学ゾーンを示している。この例は、図13の例とは異なり、ラテラル方向に離間した遠用光学ゾーンと近用光学ゾーンの間の接合部を変更せずに近方光軸のラテラル方向の離間を構成したものである。図17のレンズにおける2つのゾーンの交差部は湾曲しており、遠用ゾーンと近用ゾーンの接合部が実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がないように構成されている。改良された接合部は、本開示で議論される球状表面曲率の使用によって達成されている。いくつかの実施形態では、球状表面曲率は、実質的にシームレス、および/または実質的に接合部のない構成を利用せずに利用されてもよい(例えば、混合ゾーンまたはステップが依然として利用され得る)。
図18は、特定の実施形態による、図17の眼用レンズを通して結像された遠方物体および近方物体の光線追跡を示す模式図である。また、図18は、網膜面において遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、網膜面において近方物体にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を提示している。それぞれの図において、ピントが合っていないゾーンを通過したデフォーカス光線は、像面においてピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方物体はさらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.5度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。同様に、図18の近方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.15度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
図18の遠方フォーカスチャートは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2、DF3とし、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面(ピントの合った遠方物点の下方)に位置する残りの光線を構成していることを示している。近方フォーカスチャートは、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面の近方焦点より上方に位置する残りの光線を構成していることを示している。図18は、これらのラテラル方向に離間した遠近両用コンタクトレンズ設計において、物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3のピントが合った像との間の相互作用がないことを示している。
図19Aおよび19Bは、特定の実施形態による、図17の眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。
図19Aは、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を有する図17の遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点DF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、DF1は、2.32μmのRMSサイズを有している。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点のそれとほぼ同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、近用ゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用はない場合もある(RMS値=0)。焦点DF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は2.32μmと小さいままである。同様に、DF2およびDF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
図19Bは、図17の遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の近方焦点NF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、NF1は、1.98μmのRMSサイズを有している。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点のそれと同様である。しかしながら、図10aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用がない場合がある(RMS値=0)。焦点NF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した近方焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は1.98μmと小さいままである。同様に、NF2およびNF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
したがって、ラテラル方向に離間した光学系で構成された、図17のレンズは、図10Aの同軸ベースの設計よりも改善されたシャープネス、および高い遠方および近方像質を示す。コンタクトレンズまたは眼鏡レンズにラテラル方向に離間した光学構造を導入するさらなる例には、以下のものが含まれ得る。(1)物体像の部分的なオーバーラップを設計すること、(2)遠用光学部と近用光学部の両方を、均等または不均等で、かつ同一方向、または反対方向、または相対的方向、または独立した量で、ラテラル方向の離間に導入すること。さらに、ラテラル方向の離間を変化させると、2つの光学ゾーン間の接合部の形状に影響を与え、離間が比較的小さいと接合部がより湾曲し、離間が比較的大きいと接合部がより湾曲しなくなる。
図20は、特定の実施形態による、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を含む眼用レンズ(例えば、ソフト遠近両用コンタクトレンズ)の平面図を示す模式図である。この例では、遠用パワーゾーン2001と近用パワーゾーン2002の両方が、それらの光軸がラテラル方向に0.25mmだけ離間するように構成された単焦点で構成されたものである。近用加入度数は、+2.5Dのパワーである。この例示的なレンズは、近方焦点が下方にラテラル方向に離間するように構成されている。平面図は、上部ゾーンと下部ゾーンの2つの半球に分かれた光学ゾーンを示している。この例は、図13の例とは異なり、ラテラル方向に離間した遠用光学ゾーンと近用光学ゾーン間を接合部なしの接続で、近方光軸のラテラル方向の離間を構成したものである。図20のレンズにおける2つのゾーンの交差部は湾曲しており、遠用ゾーンと近用ゾーンの接合部が実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がないように構成されている。改良された接合部は、球状表面曲率の使用によって達成されている。
図21は、特定の実施形態による、図20の眼用レンズを通して結像された遠方物体および近方物体の光線追跡を示す模式図である。また、図21は、網膜面において遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、網膜面において近方物体にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を提示している。それぞれの図において、ピントが合っていないゾーンを通過したデフォーカス光線は、像面においてピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方フォーカスチャートの遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.5度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。同様に、近方フォーカスチャートの近方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.15度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
遠方フォーカスチャートは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2、DF3とし、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面(ピントの合った遠方物点の下方)に位置する残りの光線を構成していることを示している。近方フォーカスチャートは、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面の近方焦点より上方に位置する残りの光線を構成していることを示している。図21は、DF-1およびDF-2上にはあってDF-3上にはない、近用ゾーンを通る遠方物点のピントずれした光線間の相互作用を示すが、一方近方フォーカスチャートでは、これらのラテラル方向に離間した遠近両用コンタクトレンズ設計における遠用パワーゾーンによってNF-3上の遠用ゾーンを通る近方物点のピントずれした光線間の相互作用が示されている。
図22Aおよび22Bは、特定の実施形態による、図20の眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。
図22Aは、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を有する図20の遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点DF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、DF1は、1.93μmのRMSサイズを有している。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点のそれとほぼ同様である。しかしながら、図17のラテラル方向に大きく離間した焦点で構成されたレンズの場合と異なり、DF-1上の近用ゾーンによって形成される物点OP3(RMS値=162.6μm)のデフォーカス光線からの相互作用はあるが、DF-1上のOP2(0μm)からのデフォーカス光線は存在しない。そのため、ラテラル方向に離間した焦点を有するこのレンズでは、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズが大きくなる(全体の平均RMS値93.88μm)ため、焦点D-F1の全体的なぼやけの影響が残っている可能性がある。また、光線追跡は、D-F2も同様に隣接する物点からのデフォーカス光の影響を受けているが、DF-3は受けていないことを示している。
図22Bは、図20の遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の近方焦点NF1のスポット図とRMS値を示す図である。NF1は、1.84μmのRMSサイズを有する。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点のそれと同様である。しかしながら、図22Aのような遠方物体をフォーカスする場合とは異なり、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用がない場合がある(RMS値=0)。焦点NF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した近方焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は1.84μmと小さいままである。
したがって、図20のレンズは、本明細書に記載されたラテラル方向に離間した光学系で構成されたレンズが、遠方焦点と近方焦点との間で像質を差動的に操作し得ることを示している。
図23は、特定の実施形態による、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を含む眼用レンズ(例えば、ソフト遠近両用コンタクトレンズ)の平面図を示す模式図である。この例では、遠用パワーゾーン2301と近用パワーゾーン2302の両方が、それらの遠方および近方光軸がコンタクトレンズの光学中心から下に0.25mm、上に0.50mm、ラテラル方向に離間するように構成された単焦点で構成されたものである。近用加入度数は、+2.5Dのパワーである。この例示的なレンズは、近方焦点が下方に位置するように構成されている。平面図は、上部ゾーンと下部ゾーンの2つの半球に分かれた光学ゾーンを示している。この例は、図13の例とは異なり、ラテラル方向に離間した遠用光学ゾーンと近用光学ゾーンの間の接合部を変更せずに近方光軸のラテラル方向の離間を構成したものである。図26のレンズにおける2つのゾーンの交差部は湾曲しており、遠用ゾーンと近用ゾーンの接合部が実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がないように構成されている。改良された接合部は、球状表面曲率の使用によって達成されている。
図24は、図23の眼用レンズを通して結像された遠方物体および近方物体の光線追跡を示す模式図である。また、図24は、網膜面において遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、網膜面において近方物体にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を提示している。それぞれの図において、ピントが合っていないゾーンを通過したデフォーカス光線は、像面においてピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方フォーカスチャートの遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.5度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。同様に、図24の近方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.15度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
遠方フォーカスチャートは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2、DF3とし、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面(ピントの合った遠方物点の下方)に位置する残りの光線を構成していることを示している。近方フォーカスチャートは、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面の近方焦点より上方に位置する残りの光線を構成していることを示している。図24は、これらのラテラル方向に離間した遠近両用コンタクトレンズ設計において、物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3のピントが合った像との間の相互作用がないことを示している。
図25Aおよび25Bは、特定の実施形態による、図23の眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。
図25Aは、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を有する図17の遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点D-F1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、DF1は、5.71μmのRMSサイズを有している。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点に期待されるものとほぼ同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、近用ゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用はない場合もある(RMS値=0)。焦点DF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は5.71μmと小さいままである。同様に、D-F2およびD-F3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
図25Bは、図23の遠近両用コンタクトレンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の近方焦点N-F1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、NF1は、2.01μmのRMSサイズを有している。これらの値は、単焦点光学設計で生成される焦点のそれと同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用がない場合がある(RMS値=0)。焦点NF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した近方焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は2.01μmと小さいままである。同様に、NF2およびNF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
したがって、異なる量だけラテラル方向に離間した遠方焦点および近方焦点を有するように構成された図23のレンズは、例えば図10Aの同軸ベースの設計よりも改善されたシャープネス、および高い遠方および近方像質を依然として維持することができる。
図26は、特定の実施形態による、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を含む眼用レンズ(例えば、遠近両用眼鏡レンズ)の平面図を示す模式図である。この例では、遠用パワーゾーン2601と近用パワーゾーン2602の両方が、それらの光軸がラテラル方向に0.5mmだけ離間するように構成された単焦点で構成されたものである。近用加入度数は、+2.5Dのパワーである。また、図26のレンズは、近方焦点がラテラル方向に離間または下方にずれるように構成されている。平面図は、上部ゾーンと下部ゾーンの2つの領域に分かれた光学ゾーンを示している。図23に記載されたコンタクトレンズと同様に、この眼鏡レンズの例も、遠用ゾーンと近用ゾーンの接合部が実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がないように構成されている。接合部の改善は、球状外面曲率の使用によって達成されており、この例では、近方焦点のラテラル方向と下方向の離間を、0.5mmで選択したために、接合部が非線形である可能性がある。
図27は、特定の実施形態による、図26の眼用レンズを通して結像された遠方物体および近方物体の光線追跡を示す模式図である。また、図27は、網膜面において遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、網膜面において近方物体にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を提示している。それぞれの図では、それぞれのピントずれしたゾーンを通過した光線は、像面においてピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方フォーカスチャートの遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.50度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。同様に、近方フォーカスチャートの近方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.15度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
遠方フォーカスチャートは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2、DF3とし、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面(ピントの合った遠方物点の下方)に位置する残りの光線を構成していることを示している。近方フォーカスチャートは、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面の近方焦点より上方に位置する残りの光線を構成していることを示している。図27は、これらのラテラル方向に離間したリング眼鏡レンズ設計において、物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3の像との間の相互作用がないことを示している。
図28Aおよび28は、特定の実施形態による、図26の眼用レンズによって網膜面に形成される物体点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。
図28Aは、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を有する図26の眼鏡レンズによって、網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点DF1を、眼鏡レンズ面で5mmの開口にわたってサンプリングしたスポット図とRMS値を示す図である。この例では、DF1は、0.49μmのRMSサイズを有している。これらの値は、同様の開口サイズの単焦点光学設計で生成される焦点のそれと同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、近用ゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用はない場合もある(RMS値=0)。焦点DF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は0.49μmと小さいままである。同様に、DF2およびDF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
図28Bは、図26の眼鏡レンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の近方焦点NF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、NF1は、0.42μmのRMSサイズを有している。これらの値は、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2、OP3のデフォーカス光線からの相互作用がないため、単焦点光学設計によって生成される焦点の期待値と同様である(RMS値=0)。焦点NF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した近方焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は0.42μmと小さいままである。同様に、NF2およびNF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
したがって、本明細書に記載されたラテラル方向に離間した光学系で構成された、図26の眼鏡レンズは、例えば、図10Aの同軸ベースの設計よりも改善されたシャープネス、および高い遠方および近方像質を示す。
図29Aは、実施形態のエグゼクティブ遠近両用眼鏡レンズの平面図を示す模式図である。図29Aに示されるように、エグゼクティブ遠近両用眼鏡レンズは、遠用ゾーン2901と近用ゾーン2902の間に不連続な接合部を有している。
図29Bは、特定の実施形態による、遠用光学ゾーン2911および近用光学ゾーン2912のためのラテラル方向に離間した光学系を含む眼用レンズ(例えば、遠近両用眼鏡レンズ)の平面図を示す模式図である。この例では、遠用パワーゾーンと近用パワーゾーンの両方が、それらの光軸がラテラル方向に1mmだけ離間するように構成された単焦点で構成されたものである。近用加入度数は、+2.5Dのパワーである。また、図29Bのレンズは、近方焦点がラテラル方向に離間または下方にずれるように構成されている。平面図は、上部ゾーンと下部ゾーンの2つの領域に分かれた光学ゾーンを示している。図26に記載された眼鏡レンズと同様に、この図29Bの眼鏡レンズの例も、遠用ゾーンと近用ゾーンの接合部が実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がないように構成されている。接合部の改善は、球状外面曲率の使用によって達成されてもよく、この例では、近方焦点のラテラル方向と下方向の離間を、1mmで選択したために、接合部が非線形である可能性がある。しかしながら、ラテラル方向の離間値が0.5mmの図26に示す例と比較して、ラテラル方向の離間値が1mmの図29Bのレンズは、遠用ゾーンと近用ゾーンの接合部をあまり湾曲させず、眼鏡レンズの近用ゾーンを広くして近用ゾーンによる視野を拡大させることが可能となった。
図30は、特定の実施形態による、図29Bの眼用レンズを通して結像された遠方物体および近方物体の光線追跡を示す模式図である。また、図30は、網膜面において遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、網膜面において近方物体にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を提示している。それぞれの図では、それぞれのピントずれしたゾーンを通過した光線は、像面においてピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方フォーカス挿入図の遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.50度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。同様に、近方フォーカス挿入図の近方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.15度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
遠方フォーカスチャートは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2、DF3とし、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面(ピントの合った遠方物点の下方)に位置する残りの光線を構成していることを示している。近方フォーカスチャートは、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面の近方焦点より上方に位置する残りの光線を構成していることを示している。図30は、イメージプレーネル面におけるピントが合った光とピントずれした光との間のより大きな離間と、これらのラテラル方向に離間したリング眼鏡レンズ設計における物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3の像との間の相互作用がないことを示している。
図31Aおよび31Bは、特定の実施形態による、図29Bの眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。
図31Aは、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を有する図29Bの眼鏡レンズによって、網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点DF1を、眼鏡レンズ面で5mmの開口にわたってサンプリングしたスポット図とRMS値を示す図である。この例では、DF1は、0.72μmのRMSサイズを有している。これらの値は、同様の開口サイズの単焦点光学設計で生成される焦点のそれと同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、近用ゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用はない場合もある(RMS値=0)。焦点DF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は0.72μmと小さいままである。同様に、DF2およびDF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
図31Bは、図29Bの眼鏡レンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の近方焦点NF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、NF1は、0.8μmのRMSサイズを有している。これらの値は、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2、OP3のデフォーカス光線からの相互作用がないため、単焦点光学設計によって生成される焦点の期待値と同様である(RMS値=0)。焦点NF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した近方焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は0.8μmと小さいままである。同様に、NF2およびN-F3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
したがって、本明細書に記載されたラテラル方向に離間した光学系で構成された、図29Bの眼鏡レンズは、例えば、図10Aの同軸ベースの設計よりも改善されたシャープネス、および高い遠方および近方像質を示し得る。さらに、焦点のラテラル方向の離間の増加は、焦点の離間を小さくして構成した、例えば図26に記載されたレンズと比較して、近用ゾーンおよび近用ゾーンを通る視野を広げることができる。
図32は、特定の実施形態による、遠用光学ゾーン3201および近用光学ゾーン3202のためのラテラル方向に離間した光学系を含む眼用レンズ(例えば、遠近両用眼鏡レンズ)の平面図を示す模式図である。この例では、遠用パワーゾーンと近用パワーゾーンの両方が、それらの光軸がラテラル方向に0.5mmだけ離間するように構成された単焦点で構成されたものである。近用加入度数は、+2.5Dのパワーである。しかしながら、近方焦点だけがラテラル方向に離間または下にずれた図29Bのレンズとは異なり、図32のレンズは、遠方焦点が0.25mm上にずれ、近方焦点が0.25mmの等しい反対量で下にずれ、焦点の間の合計正味ラテラル方向離間が0.5mmとなるように構成されている。平面図は、上部ゾーンと下部ゾーンの2つの領域に分かれた光学ゾーンを示している。図29Bに記載された眼鏡レンズと同様に、この眼鏡レンズの例も、遠用ゾーンと近用ゾーンの接合部が実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がないように構成されている。改良された接合部は、球状外面曲率の使用によって達成され得る。
図33は、特定の実施形態による、図32の眼用レンズを通して結像された遠方物体および近方物体の光線追跡を示す模式図である。また、図33は、網膜面において遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、網膜面において近方物体にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を提示している。それぞれの図では、それぞれのピントずれしたゾーンを通過した光線は、像面においてピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方フォーカスチャートの遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.5度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。同様に、近方フォーカス挿入図の近方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.15度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
遠方フォーカスチャートは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2、DF3とし、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面(ピントの合った遠方物点の下方)に位置する残りの光線を構成していることを示している。近方フォーカスチャートは、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面の近方焦点より上方に位置する残りの光線を構成していることを示している。図33は、眼鏡レンズ面の5mm開口の幾何学的中心の両側のイメージプレーネル面におけるピントが合った光とピントずれした光との間の離間と、これらのラテラル方向に離間したリング眼鏡レンズ設計における物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3の像との間の相互作用がないことを示している。
図34Aおよび34Bは、図32の眼用レンズによって網膜面に形成される物点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。
図34Aは、遠用光学ゾーンおよび近用光学ゾーンのためのラテラル方向に離間した光学系を有する図32の眼鏡レンズによって、網膜面に形成される遠方物点OP1の焦点DF1を、眼鏡レンズ面で5mmの開口にわたってサンプリングしたスポット図とRMS値を示す図である。この例では、DF1は、0.8μmのRMSサイズを有している。これらの値は、同様の開口サイズの単焦点光学設計で生成される焦点のそれと同様である。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成されたレンズの場合とは異なり、近用ゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用はない場合もある(RMS値=0)。焦点DF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は0.84μmと小さいままである。同様に、DF2およびDF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
図34Bは、図32の眼鏡レンズによって網膜面に形成される近方物点OP1の近方焦点NF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、NF1は、1.49μmのRMSサイズを有している。これらの値は、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2、OP3のデフォーカス光線からの相互作用がないため、単焦点光学設計によって生成される焦点の期待値と同様である(RMS値=0)。焦点NF1は、隣接する物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを増大させないので、ラテラル方向に離間した近方焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は1.49μmと小さいままである。同様に、NF2およびNF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けないようにしてもよい。
したがって、本明細書に記載されたラテラル方向に離間した光学系で構成された、図32の眼鏡レンズは、例えば、図10Aの同軸ベースの設計よりも改善されたシャープネス、および高い遠方および近方像質を示す。また、遠方焦点と近方焦点の両方がそれぞれ上下に離間しても、焦点DF-1、NF-1の望ましい像質には影響がない。
図35は、特定の実施形態による、遠用光学ゾーン3501および近用光学ゾーン3502のためのラテラル方向に離間した光学系を含む眼用レンズ(例えば、遠近両用眼鏡レンズ)の平面図を示す模式図である。この例では、遠用パワーゾーンと近用パワーゾーンの両方が、それらの光軸および焦点がラテラル方向に0.5mmだけ離間するように構成された単焦点で構成されたものである。近用加入度数は、+2.5Dのパワーである。しかしながら、図35のレンズと同様に、図35のレンズは、遠方焦点が0.25mm上にずれ、近方焦点が0.25mmの等しい反対量で下にずれ、焦点の間の合計正味ラテラル方向の離間が0.5mmとなるように構成されている。平面図は、上部ゾーンと下部ゾーンの2つの領域に分かれた光学ゾーンを示している。この例では、上部ゾーンには遠用パワーが、下部ゾーンには近用パワーエリアと周辺の遠用パワーエリアの両方が含まれている。図32に記載された眼鏡レンズと同様に、この眼鏡レンズの例も、遠用ゾーンと近用ゾーンの接合部が実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がないように構成されている。ゾーン間の実質的にシームレス、および/または実質的に接合部のない交差部は、球状外面曲率の使用によって達成され得る。光軸と焦点をラテラル方向に離間すると、眼鏡レンズにプリズムパワーが入ることがある。図35のレンズは、外面の遠用ゾーンと近用ゾーンに提供されるものと等しく、かつ反対量のラテラル方向の離間(-0.25mm)を生成する、球状内面曲率を有するように設計されている。内面設計の結果、外面設計によって導入されたプリズムパワーは除去され、一方、遠用光学ゾーンと近用光学ゾーンのラテラル方向の離間が、実質的にシームレス、および/または実質的に接合部のない交差部を生成するという利点が残る。
図36は、図35の眼用レンズを通して結像された遠方物体および近方物体の光線追跡を示す模式図である。また、図36は、網膜面において遠方物体にピントが合っているとき(遠方視)と、網膜面において近方物体にピントが合っているとき(近方視)に形成される光線追跡の高倍率挿入図を提示している。それぞれの図では、それぞれのピントずれしたゾーンを通過した光線は、像面においてピントずれしたぼやけた円として表現されている。遠方フォーカスチャートの遠方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.5度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。同様に、近方フォーカス挿入図の近方物体は、さらに3点、つまり、軸上の中央物点1(OP1)と、OP1の両側に0.15度離れて位置する点2、3(OP2、OP3)で定義されている。
遠方フォーカスチャートは、遠方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるDF1、DF2、DF3とし、近用加入ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線は、像面(ピントの合った遠方物点の上方)に位置する残りの光線を構成していることを示している。近方フォーカスチャートは、近方物体OP1、OP2、OP3の焦点を像面におけるNF1、NF2、NF3とし、遠方視ゾーンを通過したOP1、OP2、OP3のピントずれした光線が像面に位置する残りの光線を構成していることを示している。図36は、眼鏡レンズ面の5mm開口の幾何学的中心の両側の像面におけるピントが合った光とピントずれした光との間の離間と、ラテラル方向に離間した光軸と焦点を組み込んだこれらのラテラル方向に離間した眼鏡レンズ設計における物点OP1、OP2およびOP3のピントずれした光線と、遠用または近用パワーゾーン(複数可)によって生じるOP1、OP2およびOP3の像との間の相互作用の範囲を示している。
図37Aおよび37Bは、特定の実施形態による、図35の眼用レンズによって網膜面に形成される、それぞれの物点OP1の焦点DF1およびNF1のスポット図およびRMS値を示す模式図である。この例では、DF1は、5.79μmのRMSサイズを有している。焦点の小さなラテラル方向の離間量(0.25mm)では、OP1からのピントずれした光がDF1の近用ゾーンを通過するオーバーラップを解消することはできなかった。しかしながら、図10Aのような同軸光学系で構成された眼用レンズの場合とは異なり、実施例で使用したような比較的小さなラテラル方向の離間量(0.25mm)であっても、遠用ゾーンによって形成される物点OP2およびOP3のデフォーカス光線からの相互作用は依然としてない(RMS値=0)。焦点DF1では、物点からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズが大きくなることが少ないので、ラテラル方向に離間した焦点を有するように構成されたレンズでは、全体の平均RMS値は5.79μmと小さいままである。同様に、DF2およびDF3も、隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けることになる。
図37Bは、図36の眼鏡レンズによって像面に形成される近方物点OP1の近方焦点NF1のスポット図とRMS値を示す図である。この例では、NF1は、1.84μmのRMSサイズを有している。これらの値は、遠用ゾーンによって形成される近方物点OP2、OP3のデフォーカス光線からの相互作用がないため、単焦点光学設計によって生成される焦点の期待値と同様である(RMS値=0)。しかしながら、レンズ全体の導入されたプリズムパワーを無効にするために、裏面が光学的に焦点のラテラル方向の離間をなくすように設計されているため、焦点NF1は、隣接する物点OP2からのデフォーカス光線が重なってRMSスポットサイズを41.29μmに増大させるので、プリズムパワーのないレンズでは、全体の平均RMS値は23.86μmに増加した。同様に、NF2およびNF3も、焦点のラテラル方向の離間が残っていない隣接する物点からのデフォーカス光による影響を受けることがある。
したがって、外面および内面にラテラル方向に離間した光学系を有するように構成された図36の眼鏡レンズは、プリズムパワーのない実質的にシームレス、および/または実質的に接合部のない表面を示すが、像質に若干の妥協がある。像質は、ラテラル方向の離間をわずかに増やし、プリズムパワーをわずかに導入することで、単焦点クオリティまで向上させることができる。
図38は、特定の実施形態による、累進加入(PAL)眼鏡レンズの模式図である。PALレンズは、従来のPALタイプレンズで利用可能な遠用エリアよりも大きい遠用エリア3801と、1つ以上の累進パワーエリアで囲まれた、下方に位置する近用パワーエリア3802と、を有するように設計されてもよい。この例の累進パワーゾーンは、遠用屈折力から近用屈折力+2.5Dの最大パワーまで3段階で進行する。いくつかの実施形態では、患者の屈折および視覚的要件並びにパワープログレッションの所望の長さに基づき、パワープログレッションの分布の増加がこのようなレンズ設計に組み込まれることがある。この例では、パワープログレッションの長さは約17mmである。この例の累進パワーエリアにおける3つのパワーエリアとその焦点は、遠方焦点からラテラル方向に離間している。累進パワーエリアの第1、第2および第3のパワーエリアは、遠用パワー焦点からラテラル方向に1.5mm離間している。この例では、遠用エリアと累進パワーエリアの外面曲率は球面であり、エリア間の接合部は実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がない(例えば、ほとんど混合の必要がない)。累進パワーゾーンの第1のエリアの直径は、第2の累進パワーゾーンより大きく、第1のエリアと第2のエリアの両方は第3の累進エリアより直径が大きい。この実施例の改良された接合部の位置は、図38にラインB、C、DおよびEとして示されているが、観察者には実質的に見えないものであり、実際のラインまたはマークは眼用レンズ上に存在しない。図38は、PAL眼鏡レンズのプロファイルを示す模式図を含んでいる。滑らかな累進パワープロファイル、球状表面曲率、および実質的にシームレス、および/または実質的に接合部のない表面曲率の交差部が、接合ラインB、C、DおよびEの想像上の位置とともに表されている。
図38に示すPALレンズは、遠方焦点が形成される遠用エリアの光軸と、累進パワーエリアの3つのパワーエリアの第1の光軸および第1の焦点との間のラテラル方向の離間を、1.5mmで設計している。そのため、PAL眼鏡レンズの外面のエリアの表面曲率の違いにより、プリズムパワーが導入される。しかしながら、図35のレンズと同様に、図38のPAL眼鏡レンズは、レンズの下部エリアにおいて外面累進パワーゾーンに与えられるものと等しい(または実質的に等しい)、反対(または実質的に反対)の量のラテラル方向の離間(例えば-1.5mm)を生じさせる内面を有するように設計されている。内面の曲率に、この反対量のラテラル方向の離間を組み込んだ結果、外面の下方に導入されたプリズムパワーを除去することができ、一方、遠用光学ゾーンと近用光学ゾーンのラテラル方向の離間が、実質的にシームレス、および/または実質的に接合部のない交差部を生成するという利点が残る。
図39は、図38に示される例示的な累進加入眼鏡レンズ(PAL)を形成するために用いられる、外面のより詳細を示す幾何学的な図である。図には、レンズの光学中心A、レンズの上部ゾーンと下部ゾーンの仮想的な結合位置B、3つの累進パワーエリアC、D、Eが示されている。この例のレンズの上部エリアには、遠用パワーしか入っていない。なお、下部エリアは、一部のエリアが累進パワーエリアと近用パワーエリアとを含み、残りが遠用パワーエリアとなるエリアであってもよい。上部遠用パワーエリアは、球面曲率で表され、下部エリアは、累進パワーエリアの3つのパワーを生成するために球面曲率の連続によって表され、残りは遠用パワーを表すのと同じ曲率である。数値の単位はミリメートルで、遠用半径は180、近用半径はR93、R120、R150である。累進パワーゾーンのラテラル方向の離間は、レンズの光学中心Aと累進パワーゾーンとの間の距離の差として示すことができる。
図40は、図39に示されるPAL眼鏡レンズ設計のパワーマップを詳述している。2つのパワーマップは、眼鏡レンズのエリアをカバーするように示されている。遠用パワーエリアと累進パワーエリアをラテラル方向に離間して設計したPAL眼鏡レンズの平均球面パワーマップ35mm×35mmとシリンドリカルパワーマップ35mm×60mmが示されている。球面パワーマップは、この例では、遠用パワーエリア、累進パワーエリア、近用パワーエリアにおいて、大きく広いエリアで均一なパワーが得られていることを示している。図40に示す球面およびシリンドリカルパワーマップは、実質的に均一で実質的に広い平均的な球面パワーゾーン(他のPAL設計のものより)であり、混合エリアおよび全および表面シリンドリカルパワーが実質的にないが、実質的にシームレス、および実質的に接合部のない表面を生成するものを示している。従って、眼用レンズの設計と構造は、累進帯を通じて、接線方向とサジタル方向の表面曲率とパワーを実質的に同じに保っている。従来のPAL設計では、実質的に接合部のない表面で累進パワー帯を提供するために、0.5DC以上、1.0DC以上、さらには2.0DC以上の著しいシリンダーパワーを含む著しい混合エリアによって妥協している。
図39に記載された例示的な実施形態のPAL眼鏡レンズは、垂直子午線について対称である。PAL眼鏡レンズの追加の実施形態は、装用者または施術者が望むカスタムまたは個別のパラメータ(例えば、所望に応じて遠用エリアおよび累進エリアの寸法または位置)のために設計されてもよい。PALレンズは、例えば左右の眼のために非対称であってもよく、遠方視から近方視に見るときの眼の輻輳の変化とそれに伴う両眼間の距離の変化、あるいは累進パワーエリアの一部を使用しながら注視する物体を片側にオフセットすることを好むユーザの好みに合わせて設計することができる。PAL眼鏡レンズは、ラテラル方向の離間の量で設計してもよく、そのラテラル方向の離間は、レンズの上部と下部との間および遠用エリアと累進エリアとの間および累進エリア内において、所望の程度にレンズのエリア間で分配されてもよい。ラテラル方向の離間は、装用者、施術者、製造者および/または製造工程の眼科的ニーズを満たすように、外面および内面の間で所望の適切な程度に分配することができる。設計は、眼用レンズの外面または眼用レンズの内面に全体的または部分的に含まれ得る。光軸のラテラル方向の離間は、半製品のレンズブランクに全体的または部分的に含まれ、最終的な所望のレンズ設計は、患者の完全な処方が決定され注文されると、同じ場所または異なる場所および異なる時間での最終製造プロセスで仕上げられる場合がある。新たな設計は、他の眼用レンズ、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズのような適切な製造工程に適用することができる。眼鏡レンズ、例えばPALの場合、レンズは完全に成形されてもよいし、PAL面の外面または内面部分を含む半製品のブランク、または単焦点ブランクに部分的に製造されてもよいし、表面切断および研磨プロセスによってブランクの内面にPALが表面化されてもよい。本眼用レンズは、半製品ブランクやベースカーブブランクの在庫数を減らすことにより、製造工程やサプライチェーンの効率を向上させるために構成、適用することができ、または、視力矯正エリアの視野が広くなるため、左右非対称の独自の設計の必要性を低減する。
患者の屈折異常に対して望まれる最終的な球面およびシリンドリカルディオプトリックパワーおよび乱視パワーの軸は、研究所またはオフィスにある半製品または未完成のレンズブランクのストックから仕上げ工程で完成させることができる。光軸の最終的なラテラル方向の分離も、老眼や近視の最も望ましい機能に必要な累進パワープロファイルやフィッティングハイト、瞳孔間距離とともに、最終仕上げ段階で所望のレベルまで完了させることができる。例えば、半製品または完成品のレンズブランクに存在し得る残留プリズムパワーは、眼鏡レンズの最終処理工程によって除去され得る。例えば、プリズムパワーは、0.12D以下、0.25D以下、0.5D以下、1.5D以下、3D以下、またはそれ以上のプリズムディオプターとすることが望まれる場合がある。
拡張された焦点深度(EDOF)
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された眼用レンズは、拡張された焦点深度(EDOF)を提供し得る。いくつかの実施形態では、眼用レンズを通過し、1つ以上の軸外焦点を形成するように集束する光線は、1つまたは軸外焦点を越えてさらに続き、軸上光線と組み合わせてEDOFを提供することができる。いくつかの実施形態では、眼用レンズを通過し、1つ以上の軸外焦点を形成するように集束する光線は、1つまたは軸外焦点を越えてさらに続き、軸上光線と共に、良好な像質を有するEDOFを提供することができる。いくつかの実施形態では、望ましい量のEDOFは、1つ以上の軸上焦点と1つ以上の軸外焦点との間に、望ましい量の焦点のラテラル方向の離間を有することによって達成されてもよく、軸上焦点と軸外焦点との間の焦点のラテラル方向の離間は、眼用レンズにおける表面構成に対して光学的に垂直なものを組み込むことによってもたらされる。いくつかの実施形態において、望ましい量のEDOFは、第2の光学ゾーンのパワープロファイルが、第1のゾーンのパワーよりも相対的に大きい負のパワー(m成分)と相対的に大きい正のパワー(p成分)を組み込み、「m=p<+/- 20%」となる、第1および第2の光学ゾーンを組み込んだ眼用レンズで達成することができる。いくつかの実施形態では、EDOFは、網膜像面に対して実質的に前方に位置する。
図41は、第1のパワーを有する第1の光学ゾーン4101と、第1の光学ゾーンと同心の少なくとも1つの第2のゾーン4102であって、ベース面に対して幾何学的法線と呼ばれる曲率(すなわち、曲率)で構成された第2のゾーン4102を有する眼用レンズ4100を示す模式図である。ベース(本明細書ではベースは第1の光学ゾーンを指す)面に対する法線の幾何学的特徴は、第1の光学ゾーン4101によって形成される軸上焦点から第2の光学ゾーン4102によって形成される軸外焦点の望ましい量のラテラル方向の離間を構成または達成するために使用され得る。図41に示されるように、表面の曲率に対する幾何学的法線は、第2の光学ゾーン4102の中心、4102の曲率/弧の中心、および眼用レンズ4100の第1の光学ゾーンの曲率中心が単一の線に沿って位置し得るところである。いくつかの実施形態では、表面特徴に対する幾何学的法線を用いて設計されたレンズの第1および第2の光学ゾーンの光学軸の所定量のラテラル方向の離間が存在する場合がある。第2の光学ゾーン4102を表面に対して幾何学的法線として構成することは、第2の光学ゾーンが周辺ゾーン(例えば第1の光学ゾーンおよび第3の環状光学ゾーン4103)と不連続(滑らかな移行ではない)となり得る。
図42は、第1の中央光学ゾーン4201と、ベース(すなわち、中央光学ゾーン)に対して幾何学的法線として構成された環状の第2の光学ゾーン4202とを有するように構成された眼用レンズの光学ゾーンの軸上パワープロファイルの模式図である。図示されるように、第1の光学ゾーン4101は、眼の遠方屈折異常よりも大きい正のパワーを有する第1のパワー4201を有してよく、それによって、第1の光学ゾーンを通過する光は、眼の網膜以外の面における1つ以上の焦点と、中心ゾーン焦点と一致する軸上焦点を提供するようにパワーを付与された第3の光学ゾーン4203をもたらすことができる。第2の環状光学ゾーン4102は、第1のパワー4201に対してより大きい正(「p」、4202a)の成分および/またはより大きい負(「m」、4202b)の成分を有するパワープロファイル4202と、4202dから4202eまで正のパワーで増加する累進パワープロファイル成分4202cを組み込んでよい。4202dと4202eの絶対パワーの差は、軸上焦点深度をディオプターで表したものである。「m」成分は、第1の光学ゾーンと第2の光学ゾーンの最内部との間の不連続面に対する幾何学的法線から生じ、「p」成分は、第2の光学ゾーンの最外部と、中心ゾーンと一致する同軸の焦点を提供する第3の光学ゾーンの最内部との間の不連続面に対する幾何学的法線から生じる。4202dおよび4202eを接合する第2の環状光学ゾーンにおける累進パワープロファイル4202cは、第2の光学ゾーンの表面構成と第1および第2の光学ゾーンの光軸のラテラル方向の離間量に応じて傾斜した(例えば、曲線、曲線的または直線的または他の)パワープロファイルであってもよい。図41の実施形態では、眼用レンズは、軸上焦点と軸外焦点の間にラテラル方向の離間を生じさせる表面特徴の幾何学的法線を用いて構成され、「m=p<約±20%」を満たす軸上パワープロファイルとなる。眼用レンズは、「m=p<約±20%」であるとき、「表面に対して光学的に垂直な条件」を満たすと判断される。いくつかの実施形態では、ベースの表面構成に対する幾何学的法線は、例えば、「m=p<約±20%」のような条件を満たすレンズをもたらさないことがあるため、表面構成に対して光学的に垂直となるように構成された眼用レンズは、より良い像質を提供する。mとpの差が大きくなると、軸上光線と軸外光線の干渉が大きくなり、焦点深度に沿った像質が損なわれる。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンの位置および直径は、m:pの比に影響を与える可能性がある。例えば、中央光学ゾーンを小さくすると(例えば、<約2mm)、第2の光学ゾーンの最内部を通過する光線は平坦になる傾向があるため(より平行になり、「p」成分と比較して「m」の方が相対的に大きなマイナスパワーを持つ結果となる)、「m:p比>20%」となり、そのため、これらの光線と光軸との角度が小さくなり、光線と光軸とが交差するようになると、「m」成分は「p」成分よりも相対的に大きなマイナスパワーを持ち、焦点深度に沿った像面における軸上光線と軸外光線との干渉が増加する可能性がある。さらに、より広い、例えば、>1.5 から 2.0 mm 以上の、第2の光学ゾーン上の表面構成に対する幾何学的法線は、表面構成に対する幾何学的法線を維持しない可能性がある。ゾーン幅が広くなると、第2の光学ゾーンの最外周部ではp成分が増加し、その結果、焦点深度に沿った像面における軸上光線と軸外光線との干渉が増加する可能性がある。
したがって、本明細書に記載された例示的な実施形態では、実質的に像質を構成しない焦点深度を達成するために、1つ以上の第1の光学ゾーンと1つ以上の第2の光学ゾーンからの焦点の間の望ましい量のラテラル方向の離間は、1つ以上の光学的に垂直な表面特徴の考慮および組み込みによって得られ、その特徴とは、a)第2の光学ゾーンの両縁にある実質的に類似した不連続面、b)1つ以上の第2の光学ゾーンのmとpの成分であって、m:p成分が、<約±20%、1~20%、1~5%、5~10%、10~15%、または約10~20%であること、c)眼用レンズ上の1つ以上の第2の光学ゾーンの位置および幅、並びにd)眼用レンズ上の中央光学ゾーンの幅、である。
いくつかの実施形態では、表面特徴に対して光学的に垂直であるように構成された眼用レンズは、第1の軸を有する少なくとも1つの第1の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が、第1の軸上の1つ以上の第1の焦点に屈折するように構成される少なくとも1つの第1の光学ゾーン;および少なくとも1つの第2の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が1つ以上の焦点に屈折するように構成される第2の光学ゾーンを備えてもよい。少なくとも1つの第2の光学ゾーンからの1つ以上の焦点は、第1の軸上になくてもよく、第2のゾーンは、1つ以上の焦点を形成するために集束する光が1つ以上の焦点を超えて続きまたは延び、第1の光学ゾーンからの光線と組み合わせて拡張された焦点深度を提供するように構成されてもよい。
いくつかの実施形態では、表面特徴に対して光学的に垂直な眼用レンズの少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、眼用レンズの中央に位置する実質的に円形の形状を有する第1の部分と、実質的に環状の形状を有し、第1の光学ゾーンの第1の部分と第1の光学ゾーンの第2の部分との間に位置する第2の光学ゾーンと、を備えてもよい。少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、同心(例えば、実質的に同心、および/または部分的に同心)であってもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、第1の光学ゾーンと第2の光学ゾーンの交互のゾーンを備えてもよい。いくつかの実施形態では、第2の光学ゾーンは、共役である1つ以上のゾーンを備えてもよく、パワーが変化してもよい。
いくつかの実施形態では、表面特徴に光学的に垂直な眼用レンズの少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光が、第1の軸上ではなく、複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)の焦点に屈折するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光から生じる複数の焦点は、第1の軸を取り囲み、第1の軸から離間した連続的な焦点のリングを形成してもよい(例えば、かなり多いおよび/または無限の焦点の数を有する)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光から生じる複数の焦点は、第1の軸を取り囲み、第1の軸から離間した連続的な焦点のリングを形成してもよい。
いくつかの実施形態では、表面特徴に対して光学的に垂直な眼用レンズの1つ以上の第2の光学ゾーンの1つ以上の特徴は、1つ以上の第2の光学ゾーンを通過して集束して1つ以上の焦点を形成する光が、1つ以上の焦点を超えて続くまたは延び、第1の光学ゾーンを通過する光と組み合わせて拡張された焦点深度を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、幅、円周方向の範囲(例えば、円弧または環状)、曲率、ゾーンの数、ゾーンの1つ以上のセクションに関連する1つ以上の焦点の焦点パワーおよび焦点距離、眼用レンズ上の位置、眼用レンズのベースパワー、並びに第1および第2の光学ゾーン間のラテラル方向の離間の範囲および/または手段などの第2の光学ゾーンの1つ以上の特徴は、眼用レンズによってもたらされる拡張された焦点深度に影響を与え得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の光学ゾーンは、約0.05mm~3mmの間であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、光学ゾーン幅は、約0.05mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.25mm、1.5mm、1.75mm、2mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、または3mmであってもよい。いくつかの実施形態では、リング幅は、約0.05~2.0mm、約0.1mm~2.0mm、約0.2~0.5mm、0.5~0.75mm、0.75~1mm、1~1.5mm、1.25~1.75mm、1.5~2mm、1.75~2.25mm、2~2.5mm、2.25~2.75mm、および/または2.5~3mmであってよい。
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の光学ゾーンの曲率の絶対パワーは、約-10~+10Dであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、リング曲率は、約-10D、-9D、-8D、-7D、-6D、-5D、-4D、-3D、-2D、-1D、+1D、+2D、+3D、+4D、+5D、+6D、+7D、+8D、+9D、および/または+10Dであってもよい。本明細書に記載されているように、「曲率」という用語は、幾何学的な曲率(または線)、またはレンズの表面の面積または断面(パワープロファイル)に数学的に最も適合する曲率(または線)を指す場合がある。
いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンおよび第2の光学ゾーンからの焦点のラテラル方向の離間は、0.2~2mmの間であってよい。例えば、像面における1つ以上の第1の光学ゾーンと1つ以上の第2の光学ゾーンからの焦点のラテラル方向の離間は、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mm、約0.6mm、約0.65mm、約0.7mm、約0.75mm、約0.8mm、約0.85mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.25mm、約1.3mm、約1.35mm、約1.4mm、約1.45mm、約1.5mm、約1.55mm、約1.6mm、約1.65mm、約1.7mm、約1.75mm、約1.8mm、約1.85mm、約1.9mm、または約2mmであってもよい。いくつかの実施形態では、像面における第1の光学ゾーンおよび第2の光学ゾーンからの焦点のラテラル方向の離間は、約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、および/または1mm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、像面における1つ以上の第1の光学ゾーンおよび1つ以上の第2の光学ゾーンからの焦点のラテラル方向の離間は、約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、および/または1mm以上であってもよい。
図43は、環状ゾーン4302によって囲まれた中央光学ゾーン4301を組み込んだ眼用レンズの例示的な実施形態を示す模式図であり、環状ゾーン4302を通過する光線は、中央光学ゾーン4301からの軸上光線と相互作用する1つ以上の軸外焦点に至る。しかしながら、図41の実施形態のように曲面で構成された第2の光学ゾーンに代えて、図43の実施形態では、眼用レンズの内面に環状ゾーンを形成するために直線が用いられている(図43A)。図示されるように、中央ゾーンパワー4301は、眼の屈折異常よりも大きい正のパワーであり、それによって、第1の光学ゾーンを通過する光は、眼の網膜以外の面における1つ以上の焦点と、中央ゾーン焦点と一致する軸上焦点を提供するようにパワーを付与された第3の光学ゾーン4303をもたらすことができる。第2の環状光学ゾーン4302(図43B)は、第1のパワー4301に対してより大きい正(「p」、4302a)の成分および/またはより大きい負(「m」、4302b)の成分を有するパワープロファイル4202と、4302dから4302eまで正のパワーで増加する累進パワープロファイル成分4302cを組み込んでよい。「m」は、第1の光学ゾーンと第2の光学ゾーンの最内部との間の不連続面に対する幾何学的法線から生じ、「p」成分は、第2の光学ゾーンの最外部と、中心ゾーンと一致する同軸の焦点を提供する第3の光学ゾーンの最内部との間の不連続面に対する幾何学的法線から生じる。4302dと4302eに接合する、第2の環状光学ゾーン4302cの累進パワープロファイルは、線形パワープロファイルである。このように眼用レンズの内面を構成することで、第2の光学ゾーンの最内部は第1の中央ゾーンよりも小さい正のパワーを形成するため、パワープロファイルは第2の光学ゾーンの最内部でより大きな正の(p)、第2の光学ゾーンの最外部でより小さい負の(m)を示すようになる。図42に記載された実施形態と一致して、「m=p<約±20%」であるので、第2の光学ゾーンは表面に対して光学的に垂直であり、第2の光学ゾーンを形成するための直線の使用は、第1および第2の光学ゾーン間の焦点の望ましいラテラル方向の離間をもたらす。
図44は、特定の実施形態による、軸外焦点面4404aおよび拡張された焦点深度4403を形成するために、環状ゾーン(第2の光学ゾーン4404)によって囲まれた中央光学ゾーン(第1の光学ゾーン4401)を組み込んだ眼用レンズを示す模式図である。具体的には、図44(AおよびB)の眼用レンズは、網膜像面4405の前方に光軸4402に沿って同軸(高強度)焦点1Aを形成する中央光学ゾーン4401と、中央ゾーン4401よりも相対的に正のパワーを有し、像面4404aにおいて非同軸焦点5(いくつかの実施形態では、非軸ポイントは3Dで評価されるデフォーカスリングに至る)を形成する環状ゾーン4404と、を有する。環状ゾーン4404の内側7、外側8および中央部9を通過した光線は、光軸4402と交差して、網膜(10)の前方、網膜の前方と網膜面(11)の間、および網膜面(12)にそれぞれ同軸焦点10、11および12を形成している。
いくつかの実施形態では、焦点10、11および12は、第1の光学ゾーン4401を通過する光線によって形成される焦点1Aよりも低い光強度であってもよく、一方、他の実施形態では、それらは焦点1Aよりも高い光強度であってもよい。いくつかの実施形態では、焦点10、11および12の光強度は、互いに異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、焦点10、11および12は、互いに等間隔で離れていてもよく、一方、他の実施形態では、それらは互いに間隔が空いていなくてもよい。図44(B)の実施形態では、焦点10、11および12は、光強度が実質的に等しくない。中央光学ゾーン4401からの焦点1Aは、環状ゾーン4404の最中心光線9によって形成される焦点11と一致する。また、中央ゾーン4401を通過する光線は、サイズと強度が等しい像面10B(網膜の前方)および12B(網膜上)において、より高い光強度エリア13および14を形成する。環状ゾーン4404を通過して像面10B、11Bおよび12Bで同軸焦点10、11および12と10A、11Aおよび12Aの光強度エリアを形成する光線は、像面10Bおよび12Bで同軸焦点1Aと光強度エリア13、14を形成する中央ゾーン4401からの光線と積極的に干渉して像面10Bから12Bに延びる焦点深度4403を形成する。
図44AおよびBにおいて、環状ゾーン4404を通過する光線は、中央光学ゾーンによって形成された焦点1Aの前方にある、比較的近視性の(網膜の手前の)軸外焦点面4404aを形成するが、いくつかの他の実施形態では、軸外焦点面4404aは中央光学ゾーン11Bを通る光線に対する像面の手前、後ろまたは実質的に同じ面であってもよい。また、光線は軸外焦点面を越えて続きおよび延び、中央焦点1Aの後ろおよび手前に焦点深度を形成する。いくつかの実施形態では、焦点深度4403は、中央焦点面11Bの完全に手前1A、または完全に後ろにあってもよい。いくつかの実施形態では、焦点深度4403の一部が、11Bにおける中央焦点の手前にあり、他の部分が後ろにあってもよい。いくつかの実施形態では、中央焦点の手前と後ろの焦点深度の比率は、約100:0(中央焦点の完全に手前にある)、90:10、80:20、75:25、70:30、60:40、50:50(中央焦点の手前と後ろが等しい)、40:60、30:70、25:75、20:80、10:90、および/または0:100(中央焦点の完全に後ろにある)であってもよい。
図44(AおよびB)に示される例は、連続的である焦点深度を形成し、いくつかの実施形態では、網膜の後ろと比較して、網膜の手前で像質を改善し、したがって、近視の進行を抑制/減速/低減するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、中央または第1の光学ゾーンによって形成される焦点は、網膜像面上(または実質的に網膜像面上)、網膜像面の手前、および/または網膜像面の後ろに位置してもよい。
いくつかの実施形態では、中央光学ゾーン4401からの光線は、環状光学ゾーンからの光線と比較して、より高い光強度を有していてもよい。より高い強度の光線を、近方(最も前方)および遠方(最も後方または網膜像)の像面の中点(例えば、焦点深度の中点)に配置することによって、光スポット特性におけるこれらの光線の効果は、焦点深度(DOF)を包含する面にわたって実質的に均一に分布し得る。いくつかの実施形態において、この構成は、様々なDOF面において改善された視力をもたらすことができる。加えて、図44Bに示されるように、環状ゾーンからの光線は光強度が低いため、近方面、中間面および/または遠方面での有害な影響が低下または低く、したがって、光がより広いエリアに分布しても、視力に影響を及ぼしたり、干渉したりすることがない。図示されているように、本実施形態では、網膜から最も前方の面(近方面10B)での光強度のエリア上の環状ゾーン4404によって形成される光線からの干渉は、後方(遠方面12B)に形成される光強度エリア上の干渉よりも小さいので、遠方面における像よりも近方面における像の方が良好になり得る。
図45は、環状ゾーン4502によって囲まれた中央光学ゾーン4501を組み込んだ眼用レンズの模式図であり、環状ゾーン4502を通過する光線は、軸上光線4501aと相互作用して焦点深度をもたらす、1つ以上の軸外焦点4502aに至る。図45、環状光学ゾーン4502の内面は、中央ゾーン4501の内面よりも相対的に大きい負のパワー(急な曲率)を有し、その結果、中心ゾーン軸上焦点4501aおよび網膜像面4501bの後ろに軸外焦点面4502bを形成する。環状ゾーン4502は、表面に対して光学的に垂直であるように構成されてもよい(環状ゾーン4502パワープロファイルは、「m=p<約±20%」を提供し、その結果、a)軸上焦点からいくつかの軸外焦点のラテラル方向の離間をもたらし、b)環状ゾーン4503aの最中心部からの光線が、それらが光軸と交差するように中央ゾーン焦点4501aとほぼ一致する。同様に、環状ゾーン4502の最内部4503bおよび最外部4503c部分からの光線は、それらが中心ゾーン焦点4501aから等距離の光軸に交差するとき、4506および4507で焦点深度の端点を形成する。この構成では、焦点深度が完全に眼球内(すなわち、網膜面より前方)に位置してもよい。しかしながら、レンズの内面の曲率が急峻なため、軸外焦点面4502bが網膜の後ろに形成されるため、軸外焦点(またはデフォーカスリング)は、網膜像面の前方には形成されない。この構成は、網膜像面において像質を向上させることができるため、いくつかの実施形態においては望ましい。本実施形態のレンズは、軸外焦点4502aの光強度が低くなり、軸外焦点が軸上像点4502aの後方に位置するため、Aでの光の干渉が少なく、よって、像質を向上させることができる可能性がある。これは、最内像面10Bの光強度エリアでの光線の干渉が、網膜像面12Bに形成されるそれよりも少ない図44の例と異なる点である。
実施形態に従って、図46は、軸外焦点面および焦点深度を形成するために、環状ゾーン4602によって囲まれた中央光学ゾーン4601を組み込んだ眼用レンズを示す模式図である。図示されているように、中央ゾーン4601を通過する光は、網膜像面の手前に軸上焦点4601aを形成し、中央ゾーン4601は、より平坦な内面曲率(中央光学ゾーン4601パワーよりも大きい正のパワーを有する)を有する環状ゾーン4602によって囲まれている。いくつかの実施形態では、環状ゾーン4602のより平坦な内面曲率の使用は、中央光学ゾーン4601パワーに対して正のパワーを提供し、図44の実施形態と同様の結果を提供し得る。従って、軸外焦点面4602bは、中央焦点4601aの手前に位置し、焦点深度4610は、中央焦点4601aの手前と後ろの両方に位置することができる。従って、本明細書に記載されているように、中央ゾーン4601に対する環状ゾーン4602の曲率は、中央焦点に対する軸外焦点面の位置および焦点深度に影響を与える可能性がある。図46の例示的な眼用レンズは、図44Aおよび44Bのものと同様の特性を含む。例えば、眼用レンズは、網膜面上に形成されていない軸上焦点4601aを有する中央光学ゾーン4601と、表面に対して光学的に垂直であるように構成された環状ゾーン(環状ゾーンパワープロファイルは、「m=p<約±20%」を提供する)を含み、その結果、a)1つ以上の軸上焦点から1つ以上の軸外焦点のラテラル方向の離間をもたらし、b)環状ゾーン4602の最中心部からの光線4602aが、それらが光軸と交差するように中央ゾーン焦点4601aとほぼ一致する。同様に、環状ゾーン4602の最内部4602dおよび最外部4602c部分からの光線は、それらが中心ゾーン焦点4601aから等距離の光軸に交差するとき、4612および4611で焦点深度の端点を形成する。この構成では、焦点深度が完全に眼球内(すなわち、網膜面より前方)に位置してもよい。いくつかの実施形態では、環状ゾーン4602の内面が中央光学ゾーン4601の曲率よりも平坦な曲率4603を有する図46の眼用レンズの構成は、光学ゾーン間のサグ差が減少し、表面がレンズ内に窪まないので望ましい場合がある。このような構成は、目立ちにくいため、美容的に魅力的であり、レンズ装着へのコンプライアンスを高めることができる。加えて、いくつかの実施形態では、環状ゾーン4602のより平坦な内面曲率は、自由形状レンズ製造などの製造プロセスにより適している場合があり、それによって、レンズ製造におけるコストを削減し、柔軟性を向上させることができる。
実施形態に従って、図47は、軸外焦点面および焦点深度を形成するために、環状ゾーン4702によって囲まれた中央光学ゾーン4701を組み込んだ眼用レンズを示す模式図である。図示されているように、中央光学ゾーン4701を通過する光は、網膜像面に焦点4701aを形成し、環状ゾーン4702は、焦点深度4710が完全に眼球内に位置するように傾斜した曲率を含んでいてもよい。したがって、この実施形態は、図44の実施形態と異なる結果を提供することができる。例えば、中央光学ゾーン4701は、遠方屈折異常を矯正するパワーを組み込んでいるため、中央焦点4701aは、実質的に網膜像面4712に位置する。軸外焦点面4702bは、中央焦点4701aの手前に配置されるが、環状ゾーン4702が表面に対して光学的に垂直に構成されていない場合(環状ゾーンのパワープロファイル「m=p>約±20%」)、焦点深度4710も、中央焦点4701aに対してより前方に配置され得る。したがって、軸上焦点4701aからの軸外焦点4702bのラテラル方向の離間は、環状ゾーン4702の最内部4702dからの光線が、網膜像面で光軸と交差する際に中央ゾーン焦点4701aにほぼ一致することをもたらし得る。ここで、網膜面4701aの光線と、環状ゾーンの最外部4702cからの光線は、4712と4711で焦点深度の端点を形成している。環状ゾーンの最中心部4702aからの光線は、今度は焦点深度の端点から等距離にある光軸と交差する。この構成では、図示された実施形態の焦点深度は、完全に眼球内(すなわち、網膜面の前方)に位置することができるが、図44とは異なり、図47の中央ゾーン焦点4701aは、網膜面にあり、それらが光軸と交差するように環状ゾーン4702の最中心光線と一致しない。環状ゾーンのパワープロファイルの変化により、m:p比が、p>m となり、焦点深度が網膜の手前のより前方にシフトし、網膜の後方に焦点があることを回避できる。しかしながら、いくつかの実施形態において、これは、近方像面4711における高い強度の光線の干渉の増加をもたらす可能性があり、近方像面の像質を低下させ、また、遠方像面4712における像質に悪影響を及ぼす可能性がある(例えば、図44で説明した例と比較して)。
実施形態に従って、図48は、1つ以上の軸外焦点面および焦点深度を形成するための、中央光学ゾーン4801および環状ゾーン4802を有する眼用レンズ4800を示す模式図である。環状ゾーン4802は、実質的に同様の曲率である3つの結合曲率4802a、4802bおよび4802c(単一の曲率とは対照的に)を備えている。結合曲線では、曲線の最も内側と最も外側の部分がベースカーブ(第1の光学ゾーンの曲率)に移行する。簡単のために、最初の2つの結合曲率4802a、4802bを通る光線について説明する。中央ゾーン4801を通過する光線は、4813aで軸上焦点4801aを形成し、網膜像面4812aの手前に位置する。環状ゾーン4802の結合された曲率4802aおよび4802bを通過する光線は、軸外焦点面4805aおよび4805bと焦点深度4806aおよび4806bをそれぞれ形成することができる。環状ゾーン4802の結合曲率は外面にあり、中央光学ゾーン4801の曲率よりも急峻な曲率を有していてもよい(中央光学ゾーンパワーよりも相対的に正のパワーゾーン4802をもたらす)。いくつかの実施形態では、各結合曲率は、図44の環状光学ゾーンにおける単一の曲率と比較して、同様の性能を発揮することができる。軸外焦点面4805aおよび4805bは中央焦点4801aの手前に配置され、各結合曲率の焦点深度4806aおよび4806bは、中央焦点4801aの左右(すなわち、手前および後ろの両方)に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、結合された湾曲は、外面または内面、あるいは両面にあってもよい。加えて、本明細書に記載されているように、中央光学ゾーン4801に対する環状ゾーン4802の曲率は、中央焦点に対する軸外焦点面の位置および焦点深度に影響を与える可能性がある。構成されるように、中央光学ゾーン4801を通過する光線は、網膜面の手前に軸上焦点4801aを形成し、環状ゾーン4802は、表面に光学的に垂直な結合曲率4802aおよび4802bで構成され(各結合曲線のパワープロファイルは、「m=p<約±20%」を提供する)、環状ゾーン4802を通過する光は、軸外焦点4805aおよび4805bをもたらし、軸上焦点4801aからの軸外焦点4805aおよび4805bのラテラル方向の離間は、環状ゾーンの各接合曲線の最中心部4807aおよび4807bからの光線が、それらが光軸と交差するように中央ゾーン焦点4801aにほぼ一致する結果となり得る。同様に、環状ゾーンの最内部4808aおよび4808bならびに最外部4809aおよび4809bを通過する光線は、中心ゾーン焦点4801aから等距離の光軸に交差するとき、4812aおよび4811aで焦点深度の端点を形成する。この構成では、図示された実施形態に係る、焦点深度4806aおよび4806bは、完全に眼球内(すなわち、網膜面より前方)に位置してもよい。焦点深度を形成する3つの像面に交差する光線の拡大図を図48に示す。中央ゾーン焦点4801aは、中間像面4813aに位置し、結合曲率4802aおよび4802bの最中心部によって形成される光線4809a、4809bとほぼ一致する。第1の結合曲率4802aからの近方像面4811aおよび遠方像面4812a、つまり焦点深度4806aは、像面4813bおよび4812b間の第2の結合曲率4802bによって形成される焦点深度4806bよりわずかに長くてもよい。しかしながら、中央ゾーン4801および第1の結合曲率から発した光線による像面4811(aおよびb)、4812(aおよびb)および4813aでの光干渉(約5mm開口)は、中央ゾーンおよび両結合曲率を合わせた光線からの同じ3つの像面での光干渉(約7mm開口)と同様であってもよい。いくつかの実施形態では、結合曲率4802aおよび4802bによって形成される焦点深度のわずかな差は、レンズの中心に対する第2の結合曲率のより周辺の位置によるものであってもよい。いくつかの実施形態では、結合された曲率の軸外光パワーは、各曲率が中心ゾーンから遠くに位置するにつれて減少してもよい。この図から、環状ゾーンの幅を広げると、結合された曲率が良好な像質と焦点深度を提供し続ける可能性があることがわかる。複数の環状曲面を結合することの望ましい特徴は、中央の光学ゾーンを取り囲む環状光学ゾーンの広い面積を焦点深度の拡張に充てることができることである。図44の眼用レンズは、いくつかの実施形態において、中央光学ゾーン4401が3mmの直径を有し、環状ゾーン4404が1.0mmの幅を有する場合、5mmの瞳孔サイズに対して最適な像質を提供することができる。しかしながら、より大きな瞳孔サイズ、すなわち約6mm以上では、光線が図44の眼用レンズの第3光学ゾーン(中央光学ゾーンと同様の光学パワーを有する)を通過して追加の高い強度焦点に寄与し、重要な像面における像質への干渉を増加させる可能性がある。さらに、いくつかの実施形態では、図44Aおよび44Bに記載されたレンズは、中心ゾーンによって形成された焦点と一致する同軸焦点を形成する第1の環状リングを囲む第2の環状ゾーンを有することもできる。瞳孔サイズが大きい場合、第2の環状リングから軸上焦点を形成する同軸光線は、瞳孔内に位置し、像面(例えば、網膜像面)に形成される光強度エリアを増加させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、図44で提供されるよりも広い環状ゾーンを提供することが有利である場合がある。しかし、単一の曲率を用いて環状ゾーンの幅を、例えば、0.50mm以上または1.50mm以上に広げると、様々な像面で光の干渉が増加し、表面に対して光学的に垂直な条件(環状ゾーンのパワープロファイルが、「m=p<約±20%」を提供する)が、より広い環状光学ゾーンで維持できない場合があるので、像質を低下させる場合がある。したがって、より大きな環状光学ゾーンで良好な画質を維持するために、表面に対して光学的に垂直な条件(すなわち、「m=p<約±20%」)を実質的に維持する個々の幅を有する複数の結合した環状ゾーンが、像質と焦点深度の改善をもたらす。したがって、図48の例示的な実施形態は、特に、より大きな瞳孔を有する眼、または瞳孔サイズの変動が相当する場合に(照明が変化する場合のように)、改善された焦点深度および改善され一貫した像質を提供することができる。
いくつかの実施形態では、図48の眼用レンズの複数の結合曲率は、単一の曲率からなる環状光学ゾーンを超えて焦点深度を増加させることができる。例えば、結合曲率4802a、4802bおよび4802cによって生じる焦点深度は、各曲率においてより高いディオプトリックパワー、例えば+4.00Dを用いることによってさらに拡張されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、図48の結合ゾーン設計は、網膜像面の手前に位置する像面上に、エリアおよび光強度を拡張することによって、近視治療に適用することができる。同様に、いくつかの実施形態において、複数の結合曲率からなる環状ゾーンは、老眼矯正に適用できる。老眼の場合、遠くから近くまで見えるようにするために必要な焦点深度は、老眼の程度による場合がある。初期の老眼では、残存眼球調整力が50又は60cmまでの中間距離にピントを合わせることができるため、焦点深度はそれほど必要ではないが、残存眼球調整力がほとんどない進行した老眼では、より長い焦点深度を必要とする場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、2つの結合曲率のみからなる環状光学ゾーンは、初期または中期の老眼には十分であるが、高い度数の老眼のために、3つ以上の結合曲率が必要とされる場合がある。また、進行した老眼の場合、遠方から30~40センチまでの長い焦点深度が必要になることがある。複数の結合曲率に加え、各曲率のディオプトリックパワーを増加させることで、単一の環状光学ゾーンを超えた深さを追加することができる。このように、結合曲率のパワー量と焦点深度の面積を増やすことで、中・近距離での最適な像質を保ちつつ、焦点深度を適宜長くすることができる。
いくつかの実施形態では、環状ゾーンは、2、3、4、5、6、7、8、9、および/または10個の結合曲率を有してもよい。いくつかの実施形態では、互いに隣接して配置された複数の単一曲率を用いて、結合曲率を形成することができる。いくつかの実施形態では、この設計は、複数の近視治療面(例えば、複数の軸外焦点面)を形成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の近視治療面は、軸外に位置しなくてよい。いくつかの実施形態では、複数の近視治療面は、老眼および/または超近視治療で使用するために、より深い焦点深度を追加するために利用され得る。
実施形態に従って、図49(AおよびB)は、1つ以上の軸外焦点面および焦点深度を形成するための、中央光学ゾーン4901および環状ゾーン4902を有する眼用レンズ4900の模式図である。環状ゾーン4902は、複数のインフュージョン曲率4902a、4902b、4902cおよび4902d(単一の曲率とは対照的に)を有しており、幅が広く、急峻な曲率を有する4902d以外はそれぞれ同じ曲率を有している。インフュージョン曲率とは、最内部と最外部がベース面(中央光学ゾーン)曲率と一致しない部分的または不完全なリングを指し、例えば、リングが完全でリングの最内部と最外部が概ねベース曲率に合致する(および対称的であってもよい)結合曲率とは異なるものである。いくつかの実施形態では、複数のインフュージョン曲線からなる環状ゾーンは、最初の(最内部の)インフュージョン曲線の最内部がベース面曲率に合致し、環状ゾーンの最後の(最外部の)インフュージョン曲線の最外部がベース面(または次の光学ゾーンの面)に合致する、第1のインフュージョンを有してよいが、その間のインフュージョン曲線はベース面曲率に合致する部分を有していなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の曲線インフュージョンは、最内部がベース面にある場合があるので、表面に対して幾何学的または光学的に垂直でなくてもよいが、最外部は、次のインフュージョン曲線に移行する際に、表面に対して幾何学的または光学的に垂直でない場合がある。
説明を簡単にするため、第1の曲率インフュージョン4902a、第2の曲率インフュージョン4902b、最終の曲率インフュージョン4902dからの光線について説明する。中央ゾーン4901は、網膜像面4912bの手前に軸上焦点4901aを形成する。曲率インフュージョン4902a、4902bおよび4902dは、特定の実施形態による、軸外焦点面4905a、4905bおよび4905dと焦点深度4906a、4906bおよび4906dを作成してもよい。この例では、環状ゾーン4902の曲率インフュージョンは外面にあり、中央光学ゾーン4901の曲率よりも急峻な曲率(例えば、中央光学ゾーンパワーよりも大きい正のパワーを有する)を有していてもよい。曲率インフュージョンの形状やサジタル深さは49-1で拡大して見ることができ、前述の4902cを除いて同様である。各曲率間のインフュージョンの程度は、曲率間のオーバーラップの量、例えば間隔4914、4915および4916によって決定される。第1のインフュージョン4902aと第2のインフュージョン4902bの間(4914)と、第3のインフュージョン4916と最終インフュージョンの間、第2のインフュージョンと第3のインフュージョンの間(4915)の環状ゾーン4902のインフュージョンの程度は、同様である。いくつかの実施形態では、オーバーラップの程度は、各インフュージョンの直径、対称性、および眼用レンズ4900によって形成される像面への焦点深度および干渉を提供する光線の寄与を制御する。
いくつかの実施形態、例えば図49Aでは、曲率インフュージョン4902a、4902bおよび4902dによって形成される軸外焦点面は、中央焦点4901aの手前に配置されてもよく、各曲率インフュージョンの焦点深度4906a、4906bおよび4906dは、中央焦点4901aの手前と後ろの両方に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、環状ゾーン4902は、眼用レンズの内面に配置されてもよく、複数の曲率インフュージョンを有していてもよく、それでも同様のまたは実質的に同様の結果を生じさせることができる。加えて、本明細書に記載されているように、中心ゾーンに対する環状ゾーンの曲率は、中央焦点に対する軸外焦点面の位置および焦点深度に影響を与える可能性がある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載された特徴を得るために、本明細書に記載された球面構造が利用されてもよく、いくつかの実施形態では他の技術が利用されてもよい。
構成されるように、図49Aの例示的な眼用レンズは、網膜面上に形成されていない(例えば、網膜面の手前にある)軸上焦点4901aを有する中央光学ゾーン4901と、4902b(および4902c)のみが表面に光学的に垂直であるインフュージョン曲率4902a、4902bおよび4902d(ここで各曲率のパワープロファイルは、「m=p<約±20%」を提供する)で構成されている環状ゾーンと、を含んでいる。したがって、いくつかの実施形態、例えば図49Aでは、第1のインフュージョン曲率4902aは、「m:p>20%」すなわち、表面に対して光学的に垂直ではないパワープロファイルを有していてもよく、同様に最終のインフュージョン4902dは、図49Bに記載されているように、「m:p>20%」および表面に対して光学的に垂直ではない、同様のおよび反対のパワープロファイルを有していてもよい。
図49Aのように、軸上焦点4901aから軸外焦点4905a、4905bおよび4905dのラテラル方向の離間により、第2の曲率インフュージョン(4902b)の最中心部4907bからの光線のみが光軸と交差して、中央ゾーン焦点4901aとほぼ一致し、焦点深度が4906bになる場合もある。インフュージョン曲率4902a、4902dは、表面に対して光学的に垂直に構成されていないため、インフュージョン曲率の最中心部を通過する光線は、4901aで光軸と交差せず、4917aおよび4917dで光軸と交差することになる。インフュージョン曲率4902aおよび4902dによって形成される焦点深度は、4906aおよび4906dである。この構成では、眼用レンズ4900の各インフュージョン曲率に対する焦点深度は、完全に眼球内(すなわち、網膜面の前方)に位置していてもよい。焦点深度を形成する像面に交差する光線の拡大図を図49-1Aに示す。各インフュージョン曲率は、異なる焦点深度を形成する場合がある。例えば、表面に対して垂直に構成された第2のインフュージョン曲線の焦点深度4906bは、第1のインフュージョン曲率によって形成される焦点深度4906aおよび第2のインフュージョン曲率によって形成される焦点深度4906dより短い。さらに、これらの焦点深度4906a、4906dのいずれも、中心ゾーン4901aの軸上焦点の周りに等距離で存在しない。焦点深度4906aは、より長くより前方にシフトしているが、一方4906dは、より後方にシフトしているが、インフュージョン曲率がレンズ中心から離れた位置にあるため、4906aより短い。単一の曲率を有する環状ゾーンによって形成される焦点深度4906eと比較して、インフュージョン曲率によって形成される焦点深度のすべてがあまり広がっていない。
インフュージョン曲線の幅は、複数の結合曲線または単一の曲率を含む環状ゾーンのいずれよりも狭くてもよく、したがって、インフュージョン曲線部ごとに短い焦点深度を提供してもよい。しかし、適切に構成された複数の狭いインフュージョン曲線で形成された眼用レンズでは、焦点深度の合計が、単一の環状ゾーンまたは複数の結合したゾーンのいずれかで得られる焦点深度を維持するか、またはそれを上回ることがある。したがって、環状ゾーンに複数のインフュージョン曲線を組み込んだ眼用レンズは、図48の例と同様に有利であり、いくつかの実施形態では、さらなる改善を提供することができる。いくつかの実施形態では、複数のインフュージョン曲線を有する眼用レンズで得られる軸上焦点からの軸外焦点のラテラル方向の離間は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、インフュージョン曲率は、実質的に同じ曲率または実質的に異なる曲率で作成されてもよく、または曲率間に隣接して配置されるかまたは散在する「直線」を含んでもよい。いくつかの実施形態では、全てのインフュージョン曲率は、図49Bに示されるような光パワープロファイルで形成されてもよく、ここで、最初と最後を除くインフュージョン曲率は、表面に対する光学的に垂直な条件、「m=p<約±20%」を満たしてもよい。いくつかの実施形態では、インフュージョン曲率は、mとpの比率の条件の範囲でパワープロファイルを提供するように調整され得る。このように、インフュージョン曲率は狭い寸法であるため、レンズ設計者に所望の像質と焦点深度を提供するための柔軟性を提供することができる。例えば、複数のインフュージョン曲線を利用することで、環状ゾーンは表面に対して幾何学的に垂直でなくても、表面に対して光学的に垂直という条件、「m=p<約20%」 を満たすパワープロファイルを提供することができ、したがって、光線間の干渉が最も少ないそれぞれの像面で最適な焦点深度と像質を提供するように構成され得る。眼用レンズは、例えば、進行した老眼に対して十分に拡張された焦点深度を提供するか、又は瞳孔が大きく、異なる照明条件にわたって瞳孔サイズの変動が広く起こる老眼に対して一定の像質を提供するなど、より有益な視力を提供することができる。いくつかの実施形態では、環状ゾーンを形成するために複数のインフュージョン曲率を利用することは、中心ゾーンと連続した表面を形成することを可能にし、同時に不連続性を実質的に含まない連続したパワープロファイルを提供することができる。
いくつかの実施形態では、環状ゾーンは、2、3、4、5、6、7、8、9、および/または10個の曲線インフュージョンを有してもよい。いくつかの実施形態では、複数の曲線インフュージョンは、環状ゾーンによって提供される焦点深度を減少させる可能性があるが、より瞳孔に依存しない設計を提供することができる。また、複数の曲線インフュージョンは、被写界深度に影響を与えることなく、環状ゾーンの全体の幅を大きくできる場合がある。いくつかの実施形態では、複数の曲線インフュージョンはまた、表面に対して光学的に非垂直な設計を作成することができる。いくつかの実施形態では、複数の曲線インフュージョンは、同様のまたは同一の光学特性を有していてもよい。図49Bに示されるように、複数の曲線インフュージョンは、異なる光学特性を有することもできる。例えば、正規化されたベースレンズ収差プロファイルに基づいて、曲線インフュージョンは、異なるmおよび/またはpパワー値を有することができる。図示されるように、図49Bにおいて、第1の(中心に最も近い)インフュージョン曲線のパワープロファイルは、p-a の正のパワーよりも著しく大きい、mの負のパワー(m-a)を有することができる。同様に、最後の(中心から最も遠い)インフュージョン曲線Dのパワープロファイルは、p-d の正のパワーよりも著しく小さい、m の負のパワー(m-d)を有していてもよく、一方、中間の2つの(第2および第3)インフュージョン曲線BおよびCのパワープロファイルは、それぞれ p-b および p-c の正のパワー値にほぼ等しい、m の負のパワー(m-b および m-c)を有していてもよい。したがって、インフュージョン曲線BとCのパワープロファイルは、表面に対して光学的に垂直である。さらに、第1のインフュージョン曲線Aの正と負のパワープロファイルは、2番目、3番目などのインフュージョン曲線、例えば曲線B、c、Dのパワープロファイルより長くてもよい。これは、曲線インフュージョンの非対称性によって生じることがある。曲線インフュージョンの最内部が最外部と異なるサジタル高さにある場合、曲線インフュージョンは非対称である。前述したように、図49Aの最初と最後の曲線インフュージョンは非対称であり、「m=p>±20%」のパワーを提供する。
実施形態に従って、図50は、軸外焦点面および焦点深度を形成するための、中央光学ゾーン5001および環状第2光学ゾーン5002を有する眼用レンズ5000を示す模式図である。いくつかの実施形態では、環状第2光学ゾーン5002は、曲率がゼロまたは実質的にゼロの表面(本明細書では直線曲率と呼ぶ)を利用して形成してもよく、中央光学ゾーンパワー5001よりも大きい正パワーの環状ゾーン5002を形成する。いくつかの実施形態では、直線は外面の曲率と組み合わされ、その結果、眼用レンズは平凸レンズとして機能し、中央光学ゾーン焦点5001aの手前または後ろ(しかし、網膜像面5001cの手前)に位置する所望の軸外像面5001bを形成する。いくつかの実施形態では、この設計は、相対的に等しい量の焦点深度を形成し得るが、はるかに小さい環状幅(例えば、コンタクトレンズ設計について約5、10、または15の要素による)を使用する。いくつかの実施形態では、この設計は、本明細書に記載されたインフュージョン曲率および/または結合曲率と組み合わせて使用することもできる。直線は、全ての眼用レンズに適用できるが、コンタクトレンズに利用される場合、直線の曲率は、例えば50μm幅のように非常に狭く、例えば>50 D、または約100Dのような非常に高い軸外パワーを生じ得るので、そのパワーのそのような軸外焦点から現れる光線は、非常に分散し、拡張された焦点深度を有しているにもかかわらずコントラストを低下させる可能性がある。眼鏡レンズに適用した場合、1mm程度の直線で5.0D程度の軸外パワーが得られ、かつ焦点深度も確保できる可能性がある。
いくつかの実施形態では、眼用レンズ5000は、レンズの内面に直線(非球状トーラス)を使用することによって、図44(AおよびB)のレンズと同様の結果を提供することができる。言い換えれば、特定の実施形態による、眼用レンズの表面の周りで回転する非球状トーラスのいくつかの形態は、軸外焦点面および焦点深度を形成するために必要な中央光学ゾーンパワーに対して環状光学ゾーンの正のパワーを増加させることができる。いくつかの実施形態では、非球状トーラス、例えば直線、またはコンクロイド、または結合またはインフュージョン曲線、または直線、または環状ゾーンに散在する直線と曲線が、本明細書に記載された特徴を得るために利用されてもよく、いくつかの実施形態では他の技術が利用され得る。従って、軸外焦点面5001bは、中央焦点5001aの手前に位置し、焦点深度5006は、中央焦点5001aの手前と後ろの両方に位置することができる。加えて、本明細書に記載されているように、中心ゾーンに対する環状ゾーンの曲率は、中央焦点に対する軸外焦点面の位置および焦点深度に影響を与える可能性がある。
図50の例示的な眼用レンズは、図44(AおよびB)のものと同様の特性を含む。例えば、眼用レンズは、網膜面上(例えば、網膜面の手前)に形成されていない軸上焦点5001aを有する中央光学ゾーン5001と、軸上焦点から軸外焦点のラテラル方向の離間が、環状ゾーンの最中心部からの光線5002aがそれらが光軸と交差するように中央ゾーン焦点5001aとほぼ一致するように、内面に対して光学的に垂直として直線によって構成された環状ゾーン5002(ここで、環状ゾーンパワープロファイルは、「m=p,<約±20%」を提供する)と、を含む。同様に、環状ゾーンの最内部5002bおよび最外部5002c部分からの光線は、それらが中心ゾーン焦点5001aから等距離の光軸に交差するとき、焦点深度5006の端点を形成する。この構成では、図示された実施形態に係る、焦点深度は、完全に眼球内(すなわち、網膜面より前方)に位置してもよい。
実施形態に従って、図51Aは、特定の実施形態による、軸外焦点面および焦点深度を形成するために、環状ゾーンによって囲まれた中央光学ゾーンを組み込んだ眼用レンズを示す模式図である。本実施例に示されるように、レンズの環状光学ゾーンの両面は、曲率がゼロまたは実質的にゼロの表面(本明細書では直線曲率と呼ぶ)を利用して形成されてもよい。いくつかの実施形態では、この構成は、低強度の環状ゾーン光線から最小の光強度エリアで焦点深度を形成してもよく、それによって、より良い像質をもたらす可能性がある。いくつかの実施形態では、この設計は、光軸に沿った軸外焦点面の存在を低減または除去することもできる。
図51Aは、網膜面の手前に軸上焦点5101aをもたらす中央光学ゾーン5101と、中央光学ゾーンを囲む環状ゾーン5102であって、環状光学ゾーン5102の曲率は、外面の直線5102a(例えば、平坦な直線または中心ゾーンより平坦な直線)と、内面の直線5102b(例えば、平坦な直線または中心ゾーンより急峻な直線)とによって形成される環状光学ゾーン5102と、を備え、環状ゾーン5102を通過する光線は、軸外焦点パワーを有さず、したがって、環状ゾーン5102を通過する光線5104a、5104bおよび5104cが像面5111、5113および5112に平行で真っ直ぐな経路で進む結果となる、眼用レンズを示す模式図である。軸外光線は光軸と交差し、中央光学ゾーンからの軸上光線と相互作用し、焦点深度5106をもたらす。本実施形態のレンズは、焦点深度5106に沿った像面において、光の干渉を増大させる可能性のある軸外焦点を形成せず、軸外焦点を越えて集束または発散する光線をもたないようにしてもよい。
環状ゾーン5102は、任意の軸外パワーを形成しない直線で構成されているので、環状ゾーンは表面に対して光学的に垂直であり(ここで、環状ゾーン軸上パワープロファイルは、「m=p<約±20%」を提供する)、環状ゾーンの最中心部からの光線5104bは、それらが光軸と交差するように中央ゾーン焦点5101aとほぼ一致する。同様に、環状ゾーンの最内部5104cおよび最外部5104a部分からの光線は、それらが中心ゾーン焦点5101aから等距離の光軸に交差するとき、5107および5108で焦点深度の端点を形成する。この構成では、図示された実施形態に係る、焦点深度5106は、完全に眼球内(すなわち、網膜面より前方)に位置してもよい。軸外パワーがない場合は、網膜像面の前方または後ろに軸外焦点(またはデフォーカスリング)が形成されないことを意味する。この構成は、焦点深度に沿った光線の干渉が、多くの実施形態、例えば図44Aおよび44Bの眼用レンズよりも少ない場合があるため、焦点深度に沿った像面5106で像質を改善することができるため、いくつかの実施形態では望ましい場合がある。
図51B、中央ゾーンと、外面および内面の直線によって形成された環状ゾーン内の3つのエリアと、を有するレンズの例示的なパワープロファイルを示す図である。図51Bでシミュレートされた眼用レンズは、網膜面上(例えば、網膜面の手前)に形成されていない軸上焦点を有する直径2.0mmの中央光学ゾーン5121を組み込んでおり、中央光学ゾーン5121は、外面上の3つの結合線5123a、5123bおよび5123cと、内面上に構成された5124a、5124bおよび5124cによって形成された環状ゾーン5122によって囲まれ、ゼロ軸外パワーの3×1mm幅の同心の環状光学ゾーンを有する3mm幅の環状光学ゾーンを形成している。図51Aで説明したように、軸外焦点パワーのない環状ゾーンを通過する光線は、単に光軸と交差するように通過し、中央光学ゾーン5121からの軸上光線と相互作用して、焦点深度に沿った像面における光の干渉が減少した焦点深度5206をもたらす。図51Bに示されているのは、図51Bで説明されたレンズの6mmの開口にわたるサジタル方向のパワープロファイルのシミュレーションである。6mmの開口は、中央と、3つの環状線領域のうちの2つからの光線を捕らえることができる。パワープロファイルは、中心ゾーン5122の軸上パワーと、外面および内面の線によって形成される2つの環状同心円領域(最内部5123a、中間部5123b)の軸上パワープロファイルを示す。図示されるように、例示的な設計は、約1.5Dの焦点深度5129を提供する。どちらの環状領域でも、「p=m,<約±20%」であり、それぞれの領域で表面に対して光学的に垂直な構成と一致する。
レンズの両面に直線で環状部を形成することの好ましい特徴は、軸外焦点パワーのない環状ゾーンを形成するので、装着性が非常によくなることである。ゾーンの幅は、単一の曲線または複数の結合またはインフュージョン曲線で生成された環状ゾーンと同様であってもよく、さらに広くなってもよい。軸外パワーの不存在は、網膜像面の前方または後ろに軸外焦点(またはデフォーカスリング)が形成されないことを意味し、軸外リングデフォーカスから発せられる光線が存在しないため、像面における光線の干渉が低減される。
図52は、a)より大きな正の同軸レンズパワーと遠用パワーの交互の環状ゾーンに囲まれた遠用中心ゾーンを有し、本明細書において「同軸レンズ設計(CLD)」と呼ばれる商業的に入手可能なレンズと、b)図44および51に示される眼用レンズの設計と、の間の計算されたスルーフォーカス網膜像質(RIQ)の比較である。3つのレンズ設計の主要なパラメータは、図52に詳述されている。図44(FIG44CL)のコンタクトレンズは、眼の遠方屈折異常に対して遠視性(正)である光学パワーを有する、3mmの中央光学ゾーンと、+3.5Dの加入パワーを有する、1mm幅の環状ゾーンと、を有する。図51(図51BCL)のコンタクトレンズは、眼の遠方屈折異常に対して遠視性(正)の光学パワーを有する、直径2mmの中央光学ゾーンと、両外内面ともに「直線」で構成された「プラノ」の軸外パワーの2×1mmの結合環状ゾーンで囲まれたレンズである。CLDは、眼の遠方屈折異常のための3.0mmの中央光学ゾーンパワーを有し、中央光学ゾーンパワーに対して+2.00Dの直径で1mmの3つの環状光学ゾーンで囲まれ、中央ゾーンパワーと交互に配置されている。CLDの光学ゾーンは、すべて光軸と同軸に配置されている。RIQは、-1.75D(網膜の後ろ)から+2.25D(網膜の前方)までのスルーフォーカスについて、5mmの瞳孔サイズにわたって計算した(図52)。図示されるように、CLDのRIQは、2つの同軸ゾーンパワー、すなわち網膜面を中心とした遠用パワー(RIQ=0.34)と網膜像面より前方の+2.00D加入パワー(RIQ=0.38)を中心に二峰性である。RIQは、2つのピークの間で著しく低くなっている。これに対し、図44と図51Bのレンズは、0.46と0.44のピークRIQを有し、RIQは広い輻輳の範囲でCLDのRIQより優れており、良好なRIQを有する真の拡張された焦点深度を示している。
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、近視および老眼の両方について、眼の遠方屈折異常のプラス約1.00Dに等しい、中央ゾーン屈折パワーを有することができる。他の実施形態では、中央ゾーン屈折パワーは、眼の遠方屈折異常のプラス約0.75D、0.50D、または0.25Dに等しく、約1.00D~0.50D、0.75D~0.25、0.50D~0.25Dであってもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズの1つ以上の屈折ゾーンが、眼の視力回復に寄与する。いくつかの実施形態では、眼用レンズの複数の屈折ゾーンは、中央ゾーンに加えて、交互の角リング(ゾーン)、結合環状リング、インフュージョンリング、平らな直線を有する環状ゾーン等のうちの1つを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、中央光学ゾーンに対する環状ゾーンの傾きは、軸外焦点面、拡張された焦点深度および良好な像質に関して所望の機能性を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、環状ゾーンは、環状ゾーン/リングの曲率が表面に垂直であるとき、ゼロ傾斜を有することができる。
いくつかの実施形態では、眼用レンズによって提供される焦点深度は、約0.25D~5.0Dの範囲であってよい。例えば、焦点深度は、約0.25D、0.5D、0.75D、1D、1.25D、1.5D、1.75D、2D、2.25D、2.5D、2.75D、3D、3.25D、3.5D、3.75D、4D、4.25D、4.5D、4.75Dおよび/または5Dとなり得る。いくつかの実施形態では、焦点深度は、約1D以上、または1.5D以上および/または2D以上であってもよい。上述したように、焦点深度は軸上の焦点に対してバランスが取れていても、アンバランスであってもよい。いくつかの実施形態では、焦点深度が軸上焦点の両側に存在する場合((すなわち、軸上焦点は、焦点深度の範囲のほぼ中点にある)、バランスが取れていると考えられる、ここで、焦点深度は、前眼に最も近いより大きい正の焦点面と前眼から最も遠いより小さい焦点面との間の距離である。いくつかの実施形態では、焦点深度の大きさおよび位置は、リングおよび/または環状ゾーン幅、環状ゾーン/リングパワー、および所定の環状ゾーンの中央光学ゾーンサイズによって制御され得る。ある実施形態は、レンズセットの中央ゾーンパワーの範囲にわたって一定の焦点深度を有する場合があるが、他の実施形態は、中央光学ゾーンパワーによって焦点深度に幅がでる場合がある。いくつかの実施形態では、患者の管理のための焦点深度の範囲を有するレンズのセットが提供されてもよい(例えば、眼の軸方向の進行を減速/抑制/低減するための短い焦点深度、平均の焦点深度、長い焦点深度を有する近視抑制)。いくつかの実施形態は、患者の管理のために1つ以上の焦点深度を提供する焦点深度の範囲を有するレンズセットを有してよい(例えば、老眼は、加入の矯正のために短い焦点深度、平均の焦点深度、長い焦点深度を有してよい)。いくつかの実施形態(例えば、老眼矯正)では、処方される焦点深度は、個人の両眼について同様でない場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、焦点深度は、一方の眼で1.0D、反対側の眼で2.0Dであってもよいし、等しいが互いからオフセットされていてもよい。例えば、焦点深度は、両眼とも2Dであるが、利き側でない眼の焦点深度を利き側の眼よりも相対的に網膜の前方に位置させることにより、老眼対策として、中近距離の焦点深度とクリアな視界の範囲を拡大する。いくつかの実施形態では、オフセットは、少なくとも約0.25D以上、または0.5D以上、または約1.5D以上、または約2.50D以下であってよい。
いくつかの実施形態では、軸外焦点はリングフォーカスをもたらす場合があるが、他のいくつかの実施形態では、不完全なリングをもたらす場合がある。例えば、不完全な焦点リングは、有限数の焦点のみを有していてもよく(0.5度ごと、すなわち720個の焦点、または1.0度ごと、すなわち360個の焦点、または2度ごと、すなわち180個の焦点を有する)、これは環状光学ゾーンの構造の結果として生じた可能性がある(治療ゾーンは完全な環状ではない、(例えば、10度または15度の円弧は、焦点の全てを含み、および/または10度または15度の円弧は、焦点を有さない);および/または、眼用レンズ上の関連ゾーンは、螺旋、多角形、またはレンズの上面から見て螺旋、直線状の連続した軸外焦点形状を形成する任意の所定の方向として構成されている。
本明細書に記載されているように、環状ゾーンの望ましい表面プロファイルは、外面(例えば、正の上昇した表面形状)および/または内面(例えば、負の窪んだ表面高さ)、またはその両方に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、環状ゾーンの表面プロファイルは、球状トーラスであってもよいし、そうでなくてもよい。いくつかの実施形態では、環状ゾーンの表面プロファイルは、インフュージョンされてもよい。いくつかの実施形態では、環状ゾーンは、インフュージョンされたリングを組み込んだ環状ゾーンの一部として同軸球状曲率を有していてもよい。いくつかの実施形態では、環状ゾーンの表面プロファイルは、円錐体であってもよい。いくつかの実施形態では、トーラスは、内面にあり、外面と等しく、反対であってもよい(例えば、レンズ内にあってもよく、内面上で適用された場合、傾きは、外面上の同じ曲線上で正確な傾きを適用した場合とは反対方向に焦点を移動させる)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の眼用レンズは、総合視力スコア、網膜像質(RIQ)値、および/またはスルーフォーカス像質(TFIQ)の視力スコアの任意の組み合わせによって決定される、改善された視力を提供し得る。
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、中央ゾーンを取り囲む結合した環状体から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、中央ゾーンを取り囲むインフュージョンされた環状体から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、1mm~8mmの範囲の半径(例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、および/または8mm)を有する中央ゾーンを有してもよい。いくつかの実施形態では、中央ゾーンは、約3mm以下、または約0.5mm以上である。
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、中央光学ゾーンと、複数の環状体からなる環状光学ゾーンとを有してもよく、環状光学ゾーンの環状体の各々の幅は、0.05mm~2mmの範囲(例えば、0.05mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、および/または2mm)であってもよい。いくつかの実施形態では、環状体の幅は、約0.05mm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.85mm、0.9mm、0.95mm、1mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、および/または2mm以下、であってもよい。いくつかの実施形態では、幅は、環状体内で変化してもよく、または幅は、個々の環状体にわたって変化してもよい。いくつかの実施形態では、各環状体の幅は、2mm以下、および/または1.5mm以下である。いくつかの実施形態では、環状ゾーンは、約0の傾きを有してもよい。いくつかの実施形態では、網膜像質(RIQ)は、+2.0Dの相対パワーの環状体について0.4以上であってもよい。
表1のレンズ1とレンズ2のレンズ設計セットは、表面構造に対して法線を有する環状ゾーンを有するように設計されている。レンズ1、2ともに、中央光学ゾーンと環状光学ゾーンを有し、環状光学ゾーンは中央ゾーンよりも相対的に正のパワー(ADDと呼ぶ)を有している。レンズ1の中央光学ゾーンは、眼の遠方屈折異常を矯正するためのパワーを組み込んでいるのに対し、レンズ2の中央ゾーンは、眼の遠方屈折異常を矯正するためのパワーを有していない。レンズ1は、環状ゾーンパワーが中央ゾーンパワーに関係なく一定の相対的な正のパワーを提供するように構成されており、例えば、ADDパワーは一定であり、中央ゾーンパワーの変化に伴って変化することはない。比較すると、レンズ2の環状ゾーンは、中央光学ゾーンに対するパワー範囲にわたって異なる量の相対的な正のパワーまたはADDパワーを提供するように構成され得る。レンズ2は、2つの重要な基準:環状光学ゾーンは、望ましい量のラテラル方向の離間を達成するために表面に対して幾何学的な法線を有するように設計され、さらに眼の屈折矯正は、眼の遠方屈折異常を矯正するために、中央光学ゾーンパワーに基づかない、ということを維持しながら、各中央ゾーンパワーに対して異なる加入を有するように構成されてもよい。
表1.周辺部のパワーが中心光学部のパワーに依存する場合(例1)と依存しない場合(例2)の設計例
本明細書に記載されているように、像面における像質は、1つ以上の像面において眼用レンズ上に位置する光学ゾーンからの光線によって形成される光スポットの特性に直接関連し得る。このように、眼用レンズの光学的品質は、レンズと最終像面との間に形成される無限の像面にわたって形成される光スポットの像質間の相互作用によってもたらされ得る。光スポットの断面は、ミクロン単位でスポットサイズと呼ばれる寸法を有している。また、光スポットは、より強いピークとより弱いピークの範囲の形で、直径にわたって光強度分布を有することになる。ストレール比とは、光スポット全体の光強度分布を示す指標で、スポット像の定義径におけるピーク光強度を、回折限界レンズで形成した像のピーク光強度で除した比率で求められる。完全な像質の場合は比率が1になり、像質が悪い場合は0に近くなる。像面における光スポットは、像面において像を形成するレンズの開口内に配置された軸上および軸外の光学要素から像面を通過するすべての光線によって構成され得る。したがって、光スポットは、像面で集束する光線と、像面の後ろの焦点に向かって集束する任意の光線と、関心のある像面の前方に形成される焦点から離れて発散する任意の光線と、を含み得る。このように、像面における光スポットのサイズや強度分布、ひいては像質は、軸外光学ゾーンから発せられる低強度の光線と、像面における軸上光学ゾーンによって形成される高強度の光線との干渉を反映している。光スポット特性の相対的重要性は、光学設計や用途によって異なる場合がある。近視抑制、老眼および他の用途など、拡張された焦点深度が有効な眼用レンズの改良という点では、光強度分布は重要な特性である場合がある。
したがって、像面に形成される光スポットの光強度分布は像質にとって重要であり、定義される必要がある。
いくつかの実施形態では、眼用レンズの像質を最適化するために、光学シミュレーションでは、定義されるべき、複数の像面に形成されるスポットの光分布とその位置が示されている。第1の像面は網膜像面に、第2の像面は網膜像面より前方に位置し、集合的に少なくとも0.50D以上の焦点深度の境界を形成してもよく、同時に第3の像面は他の2つの像面間の距離の中点に位置してもよい。
予想外に、中心ゾーンからの高強度光線が網膜像面ではなく第3の像面にフォーカスされると、最適な像質を示すことが分かった。このように、いくつかの実施形態では、中心ゾーンを形成する高強度光線が、強いピークを伴わずに第1および第2の像面においてデフォーカスされたスポットサイズを形成し、第3の像面と比較して両面において低いストレール比をもたらすことが望ましい。第3の像面は、第1の像面と第2の像面との間の距離の中点にあるため、第1の像面(第3の像面に集束する光線から)と第2の像面(第3の像面から発散する光線から)に形成される高強度スポットサイズの光分布は、ほぼ等しく、ほぼ同様のストレール比を有する。
中央光学ゾーンサイズとパワー、環状光学ゾーン幅とパワー、およびm:p比が異なる試作コンタクトレンズを装用した眼の臨床観察により、レンズ口径5mmの場合、ストレール比により測定した第1および第2の像面に形成される光スポットの最適配光強度は、0.15以下(例えば、<0.10 または 0.07以下)と決定した。同様に、第3の像面における最適なストレール比は、第1および第2の像面よりも高く、例えば、<0.15、<0.10、および/または0.07以下であった。環状リングに形成されるパワープロファイルの、m=p比は、図44~51のいくつかの例で説明したように、光学シミュレーションに基づいて、光学品質に影響のある制御パラメータ、すなわちmは、pとほぼ等しいことが示されている。第3の像面は、第1と第2の像面の間の距離の中間点に位置し、m:pも等しく、臨床観察では、m:p比が約20%以下のときに最適な像質となることが確認された。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された眼用レンズは、近視を矯正および/または減速させるためのコンタクトレンズおよび/または眼鏡レンズ;老眼用コンタクトレンズ(高、中、低);レンズまたは疲労防止;単焦点レンズとして;乱視用コンタクトレンズ;トーリック多焦点コンタクトレンズ;眼内レンズ、移植可能コンタクトレンズ;角膜インレイ、および屈折矯正手術における角膜形成用を含む、様々な目的のために、多くの方法で実施することができる。
本明細書に開示されたレンズ設計は、適切な眼用レンズの製造方法を用いて製造することができる。例えば、コンタクトレンズは、完全モールド、スピンキャスト、一方の表面がモールドされ、第2の表面がレンズ面を旋盤加工するなどの追加工程で形成されるセミモールドであってもよい。眼用レンズは、遠方視力矯正と中間・近方視力矯正のための二焦点、三焦点、多焦点のパワーエリアを有する眼内レンズであってもよい。眼鏡レンズは、モールド、または研削、またはデジタルフリーフォームプロセスから完全に製造することができる。異なるベース曲線およびパラメータを有する半製品ブランクまたはブランクのストックは、形成された外面または内面を含み、1つ以上の追加の処理工程において、記載された改良型眼用レンズの利点の1つ以上を有する患者の最終処方に製造されてもよい。例えば、半製品の眼用レンズブランクは、少なくとも40mmの寸法を有してもよい。いくつかの実施形態では、半製品眼用レンズブランクは、少なくとも55mm、60mm、70mm、75mm以上の直径の寸法を有してもよく、最終眼鏡レンズよりも大きな厚さを有してよく、患者に使用され得る完成品の眼鏡レンズの最終形状または曲率ではない内面を有してよく、最終眼鏡レンズの前身として使用されてもよい。半製品レンズブランクは、着用者の最終処方を矯正する最終レンズ面と厚さを有する最終眼用レンズが眼鏡レンズフレームに合うように成形されるように、さらなる工程を必要とする場合がある。半製品レンズブランクまたは最終的な眼用レンズは、さらなる製造工程、レンズフィティングまたはフレームフィティング工程を可能にするために、所望のレンズマーキングを含むこともできる。レンズマーキングはレーザー彫刻でもよく、製造工程の適切な時点で追加されてもよい。この例の眼用レンズの外面は、患者用の最終レンズが最終処方の外面形状となるように、半製品ブランクの外面と同じであってもよく、したがって、半製品レンズブランクは、レンズの反射防止、傷防止、光変更または光フィルタリング処理、または色変更または色合いのための、任意のレンズコーティングの適用を含んでも、また含まなくてもよいし、既に含んでいても、また含んでいなくてもよい。この例では、半製品レンズブランクは、最終的な眼用レンズを完成させるために、ブランク内面の加工を必要とする場合があり、最終内面形状は、レンズ屈折率、外面レンズ面曲率、レンズ処理およびレンズ厚さと共働して機能し、球、円柱、円柱軸、遠心、プリズム、累進加算、または多焦点パワー順列を含むが、これに限定されない、患者に要求される多くの遠近屈折異常の最終処方と形状の眼用レンズを提供する。改良された眼鏡レンズ設計は、単眼瞳孔距離、フィッティング高さ、累進長、四面体角度、パントスコーピック傾斜または頂点距離に関係なく、改善された像質、シリンダーパワーを含む斜め非点収差または他の歪みまたは収差の減少、および広い視野、を含む改善された光学性能を提供することができる。
本明細書に開示された、1つ以上眼用レンズの実施形態は、レンズ製造の効率を高めるために、適切なシステムまたはプロセス、追加のステップまたは処理、または手順に組み入れることもできる。本明細書に開示された、1つ以上の眼用レンズの実施形態は、材料生産からレンズ設計、レンズ成形、レンズコーティングおよび特殊機能の適用または含有、または眼鏡フレームへのレンズフィッティングまでのレンズ供給チェーンに組み込むこともできる。本明細書に開示された、1つ以上の眼用レンズの実施形態は、複数の焦点が存在する眼鏡レンズ、または本質的に歪んでいる可能性があり、改善された像質および/または視力を必要とする他の光学設計に使用するのに適している場合がある。例えば、ラップフレームのためには、特殊なレンズ形状、フレーム形状、高度な曲面が要求され得る。ラテラル方向に離間した光軸は、表面歪み、斜め非点収差および/または収差を含む、収差制御に適用することができ、改良された設計は、直交座標または極座標方式で光軸の上方、下方、側方または鼻方向の離間またはこれらの組み合わせを含むことから利益を得ることができ、所望の光学性能に対してレンズパワーを操作する実質的にシームレス、および/または実質的に接合部がない表面曲率で設計されてもよい。本明細書に開示された眼用レンズの例示的な実施形態の最終形状は、適切なプロセスによって製造することができ、研削プロセス、デジタルダイヤモンド旋削プロセス、またはデジタルフリーフォームプロセスを含んでもよい。例えば、標準的な単焦点レンズ、レンズブランク、または最終的な外面形状を有する半製品ブランクから、そして、最終的なレンズ設計の特徴は、屈折異常、老眼、近視抑制、および開業医によって処方された、またはユーザによって注文された、またはその両方による患者の要件をサポートするための他の光学的特徴のうちの1つ以上を矯正するための患者の処方を組み込むために設計されてもよい。例示的な設計の実施形態は、製造業者からのデジタルサーフェシングアルゴリズム、例えば、Digital Ray Path Tracing (IOT、マドリードスペイン)のようなデジタルサーフェスとフリーフォームプロセスのいずれかと共に、同じ表面上で併用されてもよく、単一の表面だけで使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、眼用レンズの中央に位置してもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンは、眼用レンズの中央に位置する実質的に円形の形状を有してもよく、第2の光学ゾーンは、第1の光学ゾーンを囲む実質的に環状の形状を有していてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンと第2の光学ゾーンは、実質的に同心であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンと第2の光学ゾーンは、実質的に同心であってもよいが、共通の軸を共有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の光学ゾーンおよび/または第2の光学ゾーンは、第1の軸に対して回転対称または非対称であってもよい。
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、眼の近視の進行を減速、軽減、または阻止するために使用されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、近視の矯正のために使用されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、老眼を矯正するために使用されるように構成されてもよい。
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、同時視レンズであってもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、同時視遠近両用レンズであってもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、遠用中心遠近両用レンズであってもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、遠用中心遠近両用コンタクトレンズであってもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、同時視多焦点レンズであってもよい。いくつかの実施形態では、眼用レンズは、分割視レンズであってもよい。
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、複数の遠方視、中間視、および近方視の任意の組み合わせを矯正するように構成されてもよい。
いくつかの実施形態では、眼用レンズは、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、角膜オンレイ、角膜インレイ、眼内レンズ、眼鏡レンズに適用または付着され得るシートまたはフィルムのうちの1つ以上であってもよい。
請求項に記載の主題のさらなる利点は、請求項に記載の主題の特定の実施形態を説明する以下の例から明らかになるだろう。特定の実施形態では、以下のさらなる実施形態の1つまたは複数の(例えばすべてを含む)が、他の実施形態またはその一部のそれぞれを含んでもよい。
A例:
A1. 第1の半径を有し、第1の軸を有する球面によって少なくとも部分的に定義される第1の光学ゾーンであって、眼での使用において、第1の光学ゾーンを通過する光が第1の軸上の第1の焦点に屈折するように構成される第1の光学ゾーン;および第1の半径とは異なる第2の半径を有する球面によって少なくとも部分的に定義される第2の光学ゾーンであって、眼での使用において、第2の光学ゾーンを通過する光が第2の焦点に屈折するように構成された第2の光学ゾーン(例えば、第2の軸上の);を備え、第2の焦点は、眼用レンズの中心ゾーン直径に実質的に等しい量だけ第1の軸からずれている、眼用レンズ。
B例:
B1. 複数の光学ゾーン(例えば、2、3、4、または5つの光学ゾーン)であって、眼での使用において、複数の光学ゾーンを通過する光が、対応する複数の軸上の対応する複数の1つ以上の焦点に屈折するように構成された光学ゾーン;を備え、複数の光学ゾーンの少なくとも2つは、共通の軸を共有しない、眼用レンズ。
C例:
C1. 第1の軸を有する少なくとも1つの第1の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が、第1の軸上の第1の焦点に屈折するように構成される少なくとも1つの第1の光学ゾーン;および少なくとも1つの第2の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が1つ以上の焦点に屈折するように構成される第2の光学ゾーン;を備え、少なくとも1つの第2の光学ゾーンからの1つ以上の焦点は第1の軸上にない、眼用レンズ。
C2. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンを定義する、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C3. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンの実質的な部分を占める(例えば、眼用レンズの光学ゾーンの表面積の少なくとも90%、95%、98%または99%)、A、BまたはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C4. 眼用レンズが、眼での使用において、少なくとも1つの第1の光学ゾーンに関連するピントずれした光が、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに関連する焦点に実質的に干渉しないように構成されている、A、BまたはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C5. 眼用レンズが、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに関連するデフォーカス光が、少なくとも1つの第1の光学ゾーンに関連する焦点に実質的に干渉しないように構成されている、A、BまたはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C6. 眼用レンズが、眼での使用において、ピントずれした光によるピントの合った焦点での干渉が低減、実質的に低減、または除去されるように構成された、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C7. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは第1の光学パワーと異なる第2の光学パワーを有する、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C8. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは第1の光学パワーよりも相対的に大きい正の第2の光学パワーを有する、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C9. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは第1の光学パワーよりも相対的に小さい正の第2の光学パワーを有する、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C10. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、遠方視、中間視および近方視のうちの1つ以上を矯正するように構成され、および/または少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、遠方視、中間視または近方視のうちの異なる1つを矯正するように構成される、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C11. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、遠方視を矯正するように構成され、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、近方視を矯正するように構成される、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C12. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、近方視を矯正するように構成され、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、遠方視を矯正するように構成される、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C13. 第1の軸が、第1の光学ゾーンを通過する、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C14. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、光学ゾーンの上部を占め、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、光学ゾーンの下部を占める、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C15. 第1の軸は、眼用レンズの光学ゾーンが回転対称となる対称軸である、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C16. 第1の軸が、少なくとも1つの第1の光学ゾーンの光軸である、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C17. 第1の焦点は、眼用レンズから第1の距離で第1の軸上にあり、第2の焦点は、眼用レンズから第2の距離にあり、第2の距離は、第1の距離とは異なり、第1の軸からずれている、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C18. 第2の光学ゾーンは、第2の光学ゾーンに関連する第2の軸を有し、第2の軸は、第1の軸からずれている、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C19. 眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.5mm(例えば、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mm、約0.6mm、約0.65mm、約0.7mm、約0.75mm、約0.8mm、約0.85mm、約0.9mmまたは1mm)であり、または、いくつかの実施形態では、眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.25mm、約0.5mm、または約0.75mmであってよい、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C20. 眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.5mm以下(例えば、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、0.55mm、または約0.6mm以下)であり、または、いくつかの実施形態では、眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.1mm、約0.25mm、または約0.5mm以下であってもよい、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C21. 眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.5mm以下(例えば、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、0.55mm、または約0.6mm以下)であり、または、いくつかの実施形態では、眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.1mm、約0.25mm、または約0.5mm以下であってもよい、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C22. 眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約50μm以上(例えば、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、0.55mm、または約0.6mm以上)であり、または、いくつかの実施形態では、眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.1mm、約0.25mm、または約0.5mm以上であってもよい、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C23. 第2の焦点は、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに関連する第2の軸上にあり、第2の軸は、第1の軸からずれている、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C24. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光が複数の第2の焦点に屈折するように構成され、複数の第2の焦点は、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに関連する複数の第2の軸の、対応する1つ以上の上にあり、複数の第2の軸は第1の軸からずれている、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C25. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状を有する、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C26. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、眼用レンズの中央に位置する、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C27. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、眼用レンズの中央に位置する実質的に円形の形状を有し、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを囲む実質的に環状の形状を有している、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C28. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンの少なくとも一部は、眼用レンズの中央に位置する実質的に円形の形状を有し、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの少なくとも一部は、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを囲む実質的に環状の形状を有している、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C29. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、眼用レンズの中央に位置する実質的に円形の形状を有する第1の部分と、第1の部分を囲む実質的に環状の形状を有する第2の部分とを備える、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C30. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、第1の光学ゾーンを囲む実質的に環状の形状を有する第1の部分と、第1の部分を囲む実質的に環状の形状を有する第2の部分とを備える、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C31. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、同心(例えば、実質的に同心、および/または部分的に同心)である、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C32. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、実質的に同心であるが、共通の軸を共有しない、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C33. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび/または少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、第1の軸に関して回転対称である、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C34. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに直接接する、前記請求項のいずれかの眼用レンズ。
C35. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンと少なくとも1つの第2の光学ゾーンとの間に混合ゾーンが配置されている、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C36. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、眼用レンズの光学ゾーンの表面積の50%以上(例えば、約55%、60%、65%、70%、または75%)を占める、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C37. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、眼用レンズの光学ゾーンの表面積の50%以下(例えば、約45%、40%、35%、30%、または25%)を占める、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C38. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、眼用レンズの光学ゾーンの表面積の約60%(例えば、約55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、または65%)を占める、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C39. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、眼用レンズの光学ゾーンの表面積の約40%(例えば、約35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、または45%)を占める、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C40. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、眼用レンズの光学ゾーンの表面積の約75%以下(例えば、約55%、60%、65%、70%、または75%)を占める、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C41. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、眼用レンズの光学ゾーンの表面積の約25%以上(例えば、約25%、30%、35%、40%、または45%)を占める、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C42. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径を有する球面によって定義され、および/または、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径とは異なる第2の半径を有する球面によって定義される、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C43. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径を有する球面によって定義され、および/または、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径よりも小さい第2の半径を有する球面によって定義される、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C44. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径を有する球面によって定義され、および/または、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径よりも大きい第2の半径を有する球面によって定義される、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C45. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状であってよく、約3mmの直径を有する(例えば、いくつかの実施形態では、直径は、約2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、2~4mm、2~3mm、3~4mm、4mm以下、3.5mm以下、および/または3mm以下であってよい)、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C46. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、実質的に環状の形状であり、約3mmの内径を有し(例えば、いくつかの実施形態では、内径は、約2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、2~4mm、2~3mm、3~4mm、4mm以下、3.5mm以下、および/または3mm以下であってもよく)、かつ約7mmの外径を有してもよい(例えば、いくつかの実施形態では、外径は、約5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7mm、7.5mm、8mm、5~8mm、6~7mm、6~8mm、8mm以下、7.5mm以下、および/または7mm以下であってもよい)、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C47. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状であり、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、実質的に環状の形状であり、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの内径は、少なくとも1つの第1の光学ゾーンの直径と実質的に等しい、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C48. 第2の焦点の位置は、少なくとも部分的に、第1の光学ゾーンの曲率半径に対する第2の光学ゾーンの外面の傾きを低減および/または除去することによって決定される、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C49. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光が、第1の軸上ではなく、複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)の焦点に屈折するように構成される、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C50. 眼用レンズは、眼の近視の進行を減速、軽減、または阻止するために使用されるように構成されている、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C51. 眼用レンズは、近視の矯正のために使用されるように構成されている、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C52. 眼用レンズは、老眼を矯正するために使用されるように構成されている、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C53. 眼用レンズが、同時視レンズである、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C54. 眼用レンズが、分割視レンズおよび/または累進加入多焦点(PAL)レンズである、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
C55. 眼用レンズが、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、角膜オンレイ、角膜インレイ、および眼内レンズのうちの1つ以上である、A、B、またはCのいずれかの例の眼用レンズ。
D例:
D1. 第1の軸を有する少なくとも1つの第1の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が、第1の軸上の第1の焦点に屈折するように構成される少なくとも1つの第1の光学ゾーン;および少なくとも1つの第2の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が1つ以上の焦点に屈折するように構成される第2の光学ゾーン;を備え、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、1つ以上の焦点を超えて延びる光が拡張された焦点深度を提供するように構成される、眼用レンズ。
D2. 第1の軸を有する少なくとも1つの第1の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が、第1の軸上の第1の焦点に屈折するように構成される少なくとも1つの第1の光学ゾーン;および少なくとも1つの第2の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が1つ以上の焦点に屈折するように構成される第2の光学ゾーン;を備え、少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、第1の焦点が網膜面の手前に位置するように構成され、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、第1の焦点に屈折した光と共に、1つ以上の焦点を越えて延びる光が拡張された焦点深度を提供するように構成される、眼用レンズ。
D3. 第1の軸を有する少なくとも1つの第1の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が、第1の軸上の第1の焦点に屈折するように構成される少なくとも1つの第1の光学ゾーン;および少なくとも1つの第2の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が1つ以上の焦点に屈折するように構成される第2の光学ゾーン;を備え、少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、第1の焦点が網膜面の手前に位置するように構成され、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、第1の焦点に屈折した光と共に、1つ以上の焦点を越えて延びる光が、第1の焦点が前方面および網膜面から実質的に等距離となる位置で、網膜像面から第1の焦点の手前に位置する前方面に延びる拡張された焦点深度を提供するように構成される、眼用レンズ。
D4. 第1の軸を有する少なくとも1つの第1の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が、第1の軸上の第1の焦点に屈折するように構成される少なくとも1つの第1の光学ゾーン;および少なくとも1つの第2の光学ゾーンであって、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンを通過する光の少なくとも一部が1つ以上の焦点に屈折するように構成される第2の光学ゾーン;を備え、少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、第1の焦点が網膜面の手前に位置するように構成され、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、第1の焦点に屈折した光と共に、1つ以上の焦点を越えて延びる光が眼の中に完全に位置する拡張された焦点深度を提供するように構成される、眼用レンズ。
D5. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状を有し、眼用レンズの中央に位置し、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、少なくとも1つの第1の光学ゾーンを囲む実質的に環状の形状を有している、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D6. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンと少なくとも1つの第2の光学ゾーンが、同心である、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D7. 第1の焦点に対して軸外に位置する1つ以上の焦点は、有限数の焦点(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、180、360または720個の焦点)を有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D8. 第1の焦点に対して軸外に位置する1つ以上の焦点は、無限数の焦点を有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D9. 第1の焦点に対して軸外に位置する1つ以上の焦点は、少なくとも2つの焦点面(例えば、少なくとも2、3、4、または5つの焦点面)上に位置する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D10. 1つ以上の焦点の数および位置は、少なくとも部分的には、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの幅、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの曲率、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの位置、少なくとも1つの第2の光学ゾーンのベースパワー、および/または少なくとも1つの第2の光学ゾーンのラテラル方向の離間値のうちの1つ以上の任意の組み合わせに基づいて決定される、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D11. 眼用レンズによって提供される焦点深度は、少なくとも部分的には、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの幅、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの曲率、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの位置、少なくとも1つの第2の光学ゾーンのベースパワー、少なくとも1つの第2の光学ゾーンのラテラル方向の離間値、および/またはm成分およびp成分のうちの1つ以上の任意の組み合わせに基づいて決定される、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D12. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンが、約0.2~3mmの間(例えば、約0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.25mm、1.5mm、1.75mm、2mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3mm、0.2~0.5mm、0.5~0.75mm、0.75~1mm、1~1.5mm、1.25~1.75mm、1.5~2mm、1.75~2.25mm、2~2.5mm、2.25~2.75mm、および/または2.5~3mm)の幅を有する実質的に環状の形状を有している、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D13. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンが、約-10~+10D(例えば、約-10D、-9D、-8D、-7D、-6D、-5D、-4D、-3D、-2D、-1D、+1D、+2D、+3D、+4D、+5D、+6D、+7D、+8D、+9D、および/または+10D)の曲率で実質的環状の形状を有している、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D14. 少なくとも1つの第2光学ゾーンは、約-20~+20D(-20D、-19D、-18D、-17D、-16D、-15D、-14D、-13D、-12D、-11D、-10D、-9D、-8D、-7D、-6D、-5D、-4D、-3D、-2D、-1D、+1D、+2D、+3D、+4D、+5D、+6D、+7D、+8D、+9D、+10D、+11D、+12D、+13D、+14D、+15D、+16D、+17D、+18D、+19D、および/または+20D)のベースパワーで実質的に環状の形状を有している、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D15. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、レンズの表面上で0.2から1mmの間のラテラル方向の離間値で(例えば、レンズの表面上のラテラル方向の離間は、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mm、約0.6mm、約0.65mm、約0.7mm、約0.75mm、約0.8mm、約0.85mm、約0.9mmまたは1mmであってもよい)実質的に環状の形状を有している、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D16. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、レンズの表面上で0.2から1mmの間のラテラル方向の離間値で(例えば、レンズの表面上のラテラル方向の離間は、約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、および/または0.6mm以下であってもよい)実質的に環状の形状を有している、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D17. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、レンズの表面上で0.2から1mmの間のラテラル方向の離間値で(例えば、レンズの表面上のラテラル方向の離間は、約50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、および/または0.6mm以上であってもよい)実質的に環状の形状を有している、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D18. 少なくとも1つの焦点面は、第1の焦点の手前、後ろ、または実質的に同じ面内にある、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D19. 少なくとも1つの焦点面を越えて延びる光線は、第1の焦点の後ろおよび手前に焦点深度を形成する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D20. 第1の焦点の手前の焦点深度の量と第1の焦点の後ろの焦点深度の量との比は、約100:0(完全に第1の焦点の手前)、90:10、80:20、75:25、70:30、60:40、50:50(第1の焦点の手前と後ろで等しく)、40:60、30:70、25:75、20:80、10:90、および/または0:100(完全に第1の焦点の後ろ)でもよい、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D21. 少なくとも1つの第2のゾーンの断面は、2次元で、眼用レンズの残りの部分から独立した焦点距離を有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D22. 少なくとも1つの第2ゾーンは、眼用レンズの外面および/または眼用レンズの内面の少なくとも一方において、ベースレンズの曲率を調整することによって形成される、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D23. 少なくとも1つの第2ゾーンは、眼用レンズの外面におけるベースレンズの曲率を調整して、プラス光学ゾーンまたはマイナス光学ゾーンのうちの1つを形成することによって形成される、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D24. 少なくとも1つの第2ゾーンは、眼用レンズの内面におけるベースレンズの曲率を調整して、プラス光学ゾーンまたはマイナス光学ゾーンのうちの1つを形成することによって形成される、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D25. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、焦点深度に影響を与える(例えば、シフトする)ために、傾斜した曲率を含む実質的に環状の形状を有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D26. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、同じ光学特性または異なる光学特性を有するマルチカーブインフュージョン(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、および/または10のカーブインフュージョン)を有する実質的に環状の形状を有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D27. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、複数の結合曲率(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、および/または10個の結合曲率)を有する実質的に環状の形状を有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D28. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、レンズの少なくとも1つ(または両方)の表面曲率を直線(例えば、曲率のない、または実質的に曲率のない表面)に置き換えることによって形成される実質的に環状の形状を有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D29. 眼用レンズおよび/または環状ゾーンによって提供される焦点深度は、約0.25Dから5Dの範囲(例えば、約0.25D、0.5D、0.75D、1D、1.25D、1.5D、1.75D、2D、2.25D、2.5D、2.75D、3D、3.25D、3.5D、3.75D、4D、4.25D、4.5D、4.75D、および/または5D)であってもよい、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D30. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンを定義する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D31. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、眼用レンズの光学ゾーンの実質的に全てを占める、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D32. 眼用レンズが、眼での使用において、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに関連するピントずれした光が、少なくとも1つの第1の光学ゾーンに関連する焦点に干渉しない(例えば、少なくとも1つの第1の光学ゾーンに関連する焦点に実質的に干渉しない)ように構成されている、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D33. 眼用レンズが、眼での使用において、少なくとも1つの第1の光学ゾーンに関連するピントずれした光が、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに関連する焦点に干渉しない(例えば、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに関連する焦点に実質的に干渉しない)ように構成されている、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D34. 眼用レンズが、眼での使用において、ピントずれした光によるピントの合った焦点での干渉が抑制、低減、実質的に低減、および/または除去されるように構成された、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D35. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、第1の光学パワーを有し、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、第1の光学パワーとは異なる(例えば、相対的に正または負の)1つ以上の第2の光学パワーを有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D36. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、遠方視、中間視または近方視のうちの1つを矯正するように構成され、および/または少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、遠方視、中間視または近方視のうちの異なる1つを矯正するように構成される、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D37. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび少なくとも1つの第2の光学ゾーンの一方は、遠方視を矯正するように構成され、他方の光学ゾーンは、近方視を矯正するように構成される、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D38. 第1の軸が、第1の光学ゾーンを通過する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D39. 第1の軸は、眼用レンズの光学ゾーンが回転対称となる対称軸である、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D40. 第1の軸が、第1の光学ゾーンの光軸である、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D41. 眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.5(例えば、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mm、約0.6mm、約0.65mm、約0.7mm、約0.75mm、約0.8mm、約0.85mm、約0.9mmまたは1mm)である、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D42. 眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.5mm以下(例えば、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mmまたは約0.6mm以下)である、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D43. 眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約0.5mm以下(例えば、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mmまたは約0.6mm)である、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D44. 眼用レンズの表面における第1の軸および第2の軸のラテラル方向の離間は、約50μm以上(例えば、約50μm、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約0.1mm、約0.15mm、約0.2mm、約0.25mm、約0.3mm、約0.35mm、約0.4mm、約0.45mm、約0.5mm、約0.55mmまたは約0.6mm以上)である、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D45. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンおよび/または少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、第1の軸に関して回転対称である、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D46. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、少なくとも1つの第2の光学ゾーンに直接接する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D47. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンが、眼用レンズの光学ゾーンの表面積の50%以上(例えば、約55%、約60%、約65%、約70%、または約75%)を占める、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D48. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径を有する球面によって定義され、および/または、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、少なくとも部分的に、第1の半径とは異なる(例えば、小さいまたは大きい)第2の半径を有する球面によって定義される、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D49. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状であってよく、約3mmの直径を有する(例えば、いくつかの実施形態では、直径は、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約2~4mm、約2~3mm、約3~4mm、約4mm以下、約3.5mm以下、および/または約3mm以下であってよい)、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D50. 少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、実質的に環状の形状であってよく、約3mmの内径(例えば、いくつかの実施形態では、内径は、約2mm、約2.5mm、約3mm、約3.5mm、約4mm、約2~4mm、約2~3mm、約3~4mm、約4mm以下、約3.5mm以下、および/または約3mm以下であってもよく)、および約7mmの外径(例えば、いくつかの実施形態では、外径は、約5mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7mm、約7.5mm、約8mm、約5~8mm、約6~7mm、約6~8mm、約8mm以下、約7.5mm以下、および/または約7mm以下であってもよい)を有する、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D51. 少なくとも1つの第1の光学ゾーンは、実質的に円形の形状であり、少なくとも1つの第2の光学ゾーンは、実質的に環状の形状であり、少なくとも1つの第2の光学ゾーンの内径は、少なくとも1つの第1の光学ゾーンの直径と実質的に等しい、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D52. 眼用レンズは、眼の近視の進行を減速、軽減、または阻止するために使用されるように構成されている、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D53. 眼用レンズは、近視の矯正のために使用されるように構成されている、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D54. 眼用レンズは、老眼を矯正するために使用されるように構成されている、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D55. 眼用レンズが、同時視レンズである、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
D56. 眼用レンズが、分割視レンズおよび/または累進加入多焦点(PAL)レンズである、Dのいずれかの例の眼用レンズ。
本明細書中で開示および定義されている実施形態は、本文や図面に記載されている、または明らかになっている2つ以上の個々の特徴のすべての代替的な組み合わせにまで及ぶことが理解されるであろう。これらの異なる組み合わせのすべてが、本開示のさまざまな代替的側面を構成する。
以上、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説した。当業者であれば、本開示を、本明細書で紹介されている実施形態の同じ目的を遂行するため、および/または同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として容易に使用できることを理解すべきである。また、当業者であれば、そのような同等の構造が本開示の精神と範囲を逸脱するものではなく、本開示の精神と範囲を逸脱することなく、本明細書に様々な変更、置換、改変を加えることができることを理解すべきである。