定義
他の意味であると定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野で一般的に使用されるのと同じ意味を有する。本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切な場合にはいつでも、単数形で使用される用語は、複数形も含み、その逆に、複数形で使用される用語は、単数形も含む。
本明細書で使用する場合、「抗原結合分子」という用語は、最も広い意味で、抗原決定基に特異的に結合する分子を指す。抗原結合分子の例は、抗体、抗体断片及び足場抗原結合タンパク質である。
本明細書で使用される場合、「腫瘍関連抗原に結合する抗原結合ドメイン」又は「腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメイン」又は「腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する部分」という用語は、抗原決定基に特異的に結合するポリペプチド分子を指す。一態様において、抗原結合領域は、その標的細胞抗原を介してシグナル伝達を活性化することが可能である。特定の態様において、抗原結合ドメインは、標的部位、例えば、特定の種類の腫瘍細胞、又は抗原決定基を有する腫瘍間質に結合する構成要素(例えばICOSアゴニスト)を指令することができる。標的細胞抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、本明細書で更に定義される抗体及びその断片を含む。更に、標的細胞抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、本明細書で更に定義される足場抗原結合タンパク質、例えば、設計された反復タンパク質又は設計された反復ドメインに基づく結合ドメイン(例えば、国際公開第2002/020565号を参照のこと)を含む。
抗体又はその断片に関連して、用語「標的細胞抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメイン」とは、抗原の一部又は全てに特異的に結合し、かつ相補性である領域を含む分子の一部を意味する。特異的抗原結合が可能な抗原結合ドメインは例えば、1つ以上の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも呼ばれる)により、提供されることができる。具体的には、特異的抗原結合が可能な抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)、及び抗体重鎖可変領域(VH)を含む。別の態様において、「標的細胞抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメイン」は、Fab断片又はクロスFab断片でもあり得る。
本明細書の「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、種々の抗体構造を包含し、限定されないが、所望の抗原結合活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、単一特異性抗体及び多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含む。
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用する場合、実質的に均一な抗体の集合から得られる抗体を指し、すなわち、集合に含まれる個々の抗体が、同一であり、及び/又は同じエピトープに結合するが、但し、例えば、天然に存在する変異又はモノクローナル抗体製剤の製造中に生じる変異を含む、可能なバリアント抗体を除き、かかるバリアントは、一般的に、少量存在する。典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、モノクローナル抗体製剤のそれぞれのモノクローナル抗体は、1つの抗原上の単一の決定基に対して指向する。
「単一特異性」抗体という用語は、本明細書で使用する場合、同じ抗原の同じエピトープにそれぞれ結合する1つ以上の結合部位を有する抗体を示す。「二重特異性」という用語は、抗原結合分子が、少なくとも2つの別個の抗原決定基に特異的に結合することができることを意味する。典型的には、二重特異性抗原結合分子は、2つの抗原結合部位を含み、それぞれが異なる抗原決定基に対して特異的である。特定の実施形態では、二重特異性抗原結合分子は、2つの抗原決定基(特に、2つの別個の細胞で発現する2つの抗原決定基)に同時に結合することができる。
本出願の中で用いられる「-価」という用語は、1つの異なる抗原決定基に対して特異的である抗原結合分子内で、1つの異なる抗原決定基に対して特異的な結合部位が特定の数、存在することを意味する。そのため、「二価」、「四価」、及び「六価」という用語は、抗原結合分子においてそれぞれ、特定の抗原決定基に対して特異的な、2つの結合部位、4つの結合部位、及び6つの結合部位が存在することを意味する。本発明の特定の態様において、本発明に従った二重特異性抗原結合分子は、特定の抗原決定基に対して一価であることができる(当該抗原決定基に対して1つのみの結合部位を有することを意味する)か、又は特定の抗原決定基に対して二価若しくは四価であることができる(このことは当該抗原決定基に対してそれぞれ、2つの結合部位、若しくは4つの結合部位を有することを意味する)。
「全長抗体」、「インタクト抗体」及び「全抗体」という用語は、ネイティブ抗体構造に実質的に類似した構造を有する抗体を指すために、本明細書で相互に置き換え可能に用いられる。「天然抗体」は、さまざまな構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgGクラス抗体は、約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質であり、ジスルフィド結合した2つの軽鎖と2つの重鎖で構成される。N末端からC末端まで、それぞれの重鎖は、可変領域(VH)(可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる)と、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)(重鎖定常領域とも呼ばれる)を有する。同様に、N末端からC末端まで、それぞれの軽鎖は、可変領域(VL)(可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる)と、その後に軽鎖定常ドメイン(CL)(軽鎖定常領域とも呼ばれる)を有する。抗体の重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)又はμ(IgM)と呼ばれる5種類の1つに分けられてもよく、このいくつかは、例えば、γ1(IgG1)、γ2(IgG2)、γ3(IgG3)、γ4(IgG4)、α1(IgA1)及びα2(IgA2)等のサブタイプに更に分けられてもよい。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの種類の1つに割り当てられてもよい。
「抗体断片」は、インタクト抗体が結合する抗原に結合するインタクト抗体の一部を含むインタクト抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、クロスFab断片;直鎖抗体;一本鎖抗体分子(例えばscFv);及び単一ドメイン抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の総説としては、Hudson et al.,Nat Med 9,129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の総説としては、例えば、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。また、国際公開第93/16185号及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoでの半減期が長くなったFab及びF(ab’)2断片の説明については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。ダイアボディは、二価又は二重特異性であってもよい2つの抗原結合部位を含む抗体断片であり、例えば、EP 404,097号;国際公開第1993/01161号;Hudson et al.,Nat Med 9,129-134(2003)、及びHollinger et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90,6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディも、Hudson et al.,Nat Med 9,129-134(2003)に説明されている。シングルドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て又は一部又は軽鎖可変ドメインの全て又は一部を含む抗体断片である。特定の実施形態では、シングルドメイン抗体は、ヒトシングルドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6,248,516号B1を参照されたい)。抗体断片は、限定されないが、本明細書に記載されるように、インタクト抗体のタンパク質分解による消化、及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌又はファージ)による産生を含め、種々の技術によって作られてもよい。
インタクト抗体のパパイン消化により、2つの同一の抗原結合断片が得られ、これは、それぞれ重鎖及び軽鎖可変ドメインと、更に、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を含む「Fab」断片と呼ばれる。したがって、本明細書で使用する場合、「Fab断片」という用語は、軽鎖(CL)のVLドメイン及び定常ドメインを含む軽鎖断片と、重鎖のVHドメイン及び第1の定常ドメイン(CH1)を含む抗体断片を指す。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含め、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端での数個の残基の付加によって、Fab断片とは異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数の場合がある)が遊離チオール基を保持するFab’断片である。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位(2つのFab断片)と、Fc領域の一部とを含む、F(ab’)2断片が得られる。
「クロスFab断片」又は「xFab断片」又は「クロスオーバーFab断片」という用語は、重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域のいずれかが交換されたFab断片を指す。クロスオーバーFab分子の2つの可能な鎖組成が可能であり、本発明の二重特異性抗体に含まれる。一方、Fab重鎖及び軽鎖の可変領域は、置き換わっており、すなわち、クロスオーバーFab分子は、軽鎖可変領域(VL)と重鎖定常領域(CH1)とで構成されるペプチド鎖と、重鎖可変領域(VH)と軽鎖定常領域(CL)とで構成されるペプチド鎖とを含む。このクロスオーバーFab分子は、クロスFab(VLVH)とも呼ばれる。一方、Fab重鎖及び軽鎖の定常領域が置き換わっている場合、クロスオーバーFab分子は、重鎖可変領域(VH)と軽鎖定常領域(CL)とで構成されるペプチド鎖と、軽鎖可変領域(VL)と重鎖定常領域(CH1)とで構成されるペプチド鎖とを含む。このクロスオーバーFab分子は、クロスFab(CLCH1)とも呼ばれる。
「一本鎖Fab断片」又は「scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)及びリンカーからなるポリペプチドであり、当該抗体ドメイン及び当該リンカーは、N末端からC末端への方向で、以下の(a)VH-CH1-リンカー-VL-CL、(b)VL-CL-リンカー-VH-CH1、(c)VH-CL-リンカー-VL-CH1、又は(d)VL-CH1-リンカー-VH-CLの順序のうちの1つを有し、かつ当該リンカーは、少なくとも30アミノ酸、好ましくは32~50アミノ酸のポリペプチドである。当該一本鎖Fab断片は、CLドメインとCH1ドメインとの間の天然ジスルフィド結合によって安定化される。これに加え、これらの一本鎖Fab分子は、システイン残基の挿入(例えば、Kabatナンバリングによれば、可変重鎖の位置44及び可変軽鎖の位置100)による鎖間ジスルフィド結合の生成によって、更に安定化されるであろう。
「クロスオーバー一本鎖Fab断片」又は「x-scFab」は、抗体重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)及びリンカーからなるポリペプチドであり、当該抗体ドメイン及び当該リンカーは、N末端からC末端への方向で、以下の(a)VH-CL-リンカー-VL-CH1及び(b)VL-CH1-リンカー-VH-CLの順序のうちの1つを有し、VHとVLは一緒になって、ある抗原に特異的に結合する抗原結合部位を形成し、かつ当該リンカーは、少なくとも30アミノ酸のポリペプチドである。これに加え、これらのx-scFab分子は、システイン残基の挿入(例えば、Kabatナンバリングによれば、可変重鎖の位置44及び可変軽鎖の位置100)による鎖間ジスルフィド結合の生成によって、更に安定化されるであろう。
「一本鎖可変断片(scFv)」は、10~約25アミノ酸の短いリンカーペプチドを用いて連結された、抗体の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質である。リンカーは、通常、可撓性のためにグリシンが豊富であり、溶解度のためにセリン又はトレオニンが豊富であり、VHのN末端とVLのC末端とを、又はその逆で連結することができる。このタンパク質は、定常領域が除去され、リンカーが導入されているが、元々の抗体の特異性を保持している。scFv抗体は、例えば、Houston,J.S.,Methods in Enzymol.203(1991)46-96)に記載されている。これに加え、抗体断片は、VHドメインに特徴的な(すなわち、VLドメインと共に集合させることが可能な)、又はVLドメインに特徴的な(すなわち、機能的抗原結合部位にVHドメインと共に集合させることが可能な)一本鎖ポリペプチドを含み、それによって、全長抗体の抗原結合特性を与える。
「足場抗原結合タンパク質」は、当該技術分野で既知であり、例えば、フィブロネクチン及び設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)は、抗原結合ドメインの代替的な足場として使用されてきた。例えば、Gebauer and Skerra,Engineered protein scaffolds as next-generation antibody therapeutics.Curr Opin Chem Biol 13:245-255(2009)及びStumpp et al.,Darpins:A new generation of protein therapeutics.Drug Discovery Today 13:695-701(2008)を参照されたい。本発明の一態様において、足場抗原結合タンパク質は、CTLA-4(エビボディ)、リポカリン(アンチカリン)、プロテインA由来分子、例えば、プロテインAのZ-ドメイン(アフィボディ)、A-ドメイン(アビマー/マキシボディ)、血清トランスフェリン(トランスボディ);設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)、抗体軽鎖又は重鎖の可変ドメイン(単一ドメイン抗体、sdAb)、抗体重鎖の可変ドメイン(ナノボディ、aVH)、VNAR断片、フィブロネクチン(アドネクチン)、C型レクチンドメイン(テトラネクチン);新規抗原受容体β-ラクタマーゼの可変ドメイン(VNAR断片)、ヒトγ-クリスタリン又はユビキチン(アフィリン分子);ヒトプロテアーゼ阻害剤のクニッツ型ドメイン、ミクロボディ、例えば、ノッチンファミリー由来のタンパク質、ペプチドアプタマー及びフィブロネクチン(アドネクチン)からなる群より選択される。CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4)は、主にCD4+T細胞で発現するCD28ファミリー受容体である。その細胞外ドメインは、可変ドメイン様のIg折りたたみを有する。抗体のCDRに対応するループは、異なる結合特性を与えるために、異種配列と置換されてもよい。異なる結合特異性を有するように操作されたCTLA-4分子も、エビボディとして知られている(例えば、米国特許第7166697号B1)。エビボディは、抗体(例えば、ドメイン抗体)の単離された可変領域とほぼ同じ大きさである。更なる詳細については、Journal of Immunological Methods 248(1-2)、31-45(2001)を参照されたい。リポカリンは、ステロイド、ビリン、レチノイド及び脂質等の小さな疎水性分子を運ぶ細胞外タンパク質のファミリーである。リポカリンは、剛性βシート二次構造を有し、円錐構造の開放端に多くのループがあり、このループは、異なる標的抗原に結合するように操作することができる。アンチカリンは、160~180アミノ酸の大きさであり、リポカリンから誘導される。更なる詳細については、Biochim Biophys Acta 1482:337-350(2000)、米国特許第7250297号B1及び米国特許出願公開第20070224633号を参照されたい。アフィボディは、抗原に結合するように操作することが可能な、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)のプロテインAに由来する足場である。ドメインは、約58アミノ酸の3つの螺旋形の束からなる。ライブラリーは、表面残基のランダム化によって作られている。更なる詳細について、Protein Eng.Des.Sel.2004,17,455-462及び欧州特許出願公開第1641818号A1を参照されたい。アビマーは、Aドメイン足場ファミリーに由来する複数ドメインタンパク質である。約35アミノ酸の天然ドメインは、規定のジスルフィド結合した構造に適合する。多様性は、A-ドメインのファミリーによって示される天然の変動のシャッフリングによって作られる。更なる詳細については、Nature Biotechnology 23(12)、1556-1561(2005)及びExpert Opinion on Investigational Drugs 16(6)、909-917(2007年6月)を参照されたい。トランスフェリンは、モノマー血清輸送糖タンパク質である。トランスフェリンは、許容状態の表面ループへのペプチド配列の挿入によって異なる標的抗原に結合するように操作可能である。操作されたトランスフェリン足場の例としては、トランスボディが挙げられる。更なる詳細については、J.Biol.Chem 274、24066-24073(1999)を参照されたい。設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)は、細胞骨格の内在性膜タンパク質の接着に介在するタンパク質のファミリーであるアンキリンに由来する。単一のアンキリンリピートは、2つのαらせんとβターンとからなる33残基のモチーフである。単一のアンキリンリピートは、各反復の第1のαらせん及びβターンの中の残基をランダム化することによって異なる標的抗原に結合するように操作することができる。その結合界面は、モジュールの数を増やすことによって、増加させることができる(親和性成熟方法)。更なる詳細については、J.Mol.Biol.332、489-503(2003)、PNAS 100(4)、1700-1705(2003)及びJ.Mol.Biol.369、1015-1028(2007)及び米国特許出願公開第20040132028号A1を参照されたい。一本鎖ドメイン抗体は、一本のモノマー性可変抗体ドメインからなる抗体断片である。第1の単一ドメインは、ラクダ由来の抗体重鎖の可変ドメインに由来した(ナノボディ又はVHH断片)。さらに、単一ドメイン抗体という用語は、自律的なヒト重鎖可変ドメイン(aVH)又はサメ由来VNAR断片を含む。フィブロネクチンは、抗原に結合するように操作可能な足場である。アドネクチンは、ヒトフィブロネクチンIII型(FN3)の15反復単位の10番目のドメインの天然アミノ酸配列を有する骨格からなる。βサンドイッチの片方の端にある3つのループを、アドネクチンが目的の治療標的を特異的に認識することができるように操作することができる。更なる詳細について、Protein Eng.Des.Sel.18、435-444(2005)、米国特許出願公開第20080139791号、国際公開第2005056764号及び米国特許第6818418号B1を参照されたい。ペプチドアプタマーは、定常足場タンパク質、典型的には、活性部位に挿入される拘束された可変ペプチドループを含むチオレドキシン(TrxA)からなるコンビナトリアル認識分子である。更なる詳細について、Expert Opin.Biol.Ther.5、783-797(2005)を参照されたい。ミクロボディは、3~4のシステイン架橋を含む、25~50アミノ酸長の天然に存在するミクロタンパク質に由来し、ミクロタンパク質の例としては、KalataBI、コノトキシン及びノッチンが挙げられる。ミクロタンパク質は、ミクロタンパク質の全体的な折りたたみに影響を与えることなく、25アミノ酸までを含むように操作することができるループを有する。操作されたノッチンドメインの更なる詳細については、国際公開第2008098796号を参照されたい。
参照分子と「同じエピトープに結合する抗原結合分子」は、競合アッセイにおいて、参照分子のその抗原に対する結合を50%以上ブロックする抗原結合分子を指し、逆に、参照分子は、競合アッセイにおいて、抗原結合分子のその抗原に対する結合を50%以上ブロックする。
「抗原結合ドメイン」という用語は、抗原の一部又は全てに特異的に結合し、かつ相補性である領域を含む抗原結合分子の一部を指す。抗原が大きい場合、抗原結合分子は、抗原の特定の部分のみに結合してもよく、この部分は、エピトープと称する。抗原結合ドメインは、例えば、1つ以上の可変ドメイン(可変領域とも呼ばれる)によって与えられてもよい。特に、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)と、抗体重鎖可変領域(VH)とを含む。
本明細書で使用する場合、「抗原決定基」という用語は、「抗原」及び「エピトープ」と同義であり、抗原結合部分-抗原複合体を形成する、抗原結合部分が結合するポリペプチド高分子上の部位(例えば、アミノ酸の連続伸長部又は異なる領域の非連続アミノ酸で構成される配座構成)を指す。有用な抗原決定基は、例えば、腫瘍細胞の表面上に、ウイルス感染した細胞の表面上に、他の罹患した細胞の表面上に、免疫細胞の表面上に、血清中で遊離して、及び/又は細胞外マトリックス(ECM)内に認めることができる。本発明の抗原として有用なタンパク質は、哺乳動物、例えば、霊長類(例えばヒト)及び齧歯(例えば、マウス及びラット)を含め、任意の脊椎動物源由来の任意の天然形態のタンパク質であってもよい。特定の実施形態では、抗原は、ヒトタンパク質である。本発明の特定のタンパク質について言及される場合、この用語は、「全長」の未処理のタンパク質、及び細胞の処理から得られるタンパク質の任意の形態を包含する。この用語は、タンパク質の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。
「特異的結合」とは、その結合が抗原選択性であり、望ましくない相互作用又は非特異的な相互作用とは判別できることを意味する。抗原結合分子が特定の抗原に結合する能力は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)又は当該技術分野で知られている他の技術、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)技術(BIAcore装置で分析される)(Liljeblad et al.,Glyco J 17,323-329(2000))、及び従来の結合アッセイ(Heeley,Endocr Res 28,217-229(2002))によって測定することができる。一実施形態において、無関係なタンパク質に対する抗原結合分子の結合度は、例えばSPRによって測定される抗原に対する抗原結合分子の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗原に結合する分子は、解離定数(Kd)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)である。
「親和性」又は「結合親和性」は、分子の単一の結合部位(例えば、抗体)と、その結合対(例えば、抗原)との間の非共有結合性相互作用の合計強度を指す。特に示されない限り、本明細書で使用する場合、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xのその結合対Yに対する親和性は、一般的に、解離定数(Kd)によって表すことができ、脱離速度定数と解離速度定数(それぞれkoff及びkon)の比である。したがって、速度定数の比率が同じままである限り、等価の親和性は、異なる速度定数を含むことができる。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。親和性を測定する特定の方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)である。
本明細書で使用する場合、「腫瘍関連抗原」又はTAAは、標的細胞、例えばがん細胞又は腫瘍間質細胞等の腫瘍内の細胞の表面に提示された抗原決定基を意味する。ある特定の実施形態では、標的細胞抗原は、腫瘍細胞の表面上の抗原である。一実施形態では、TAAは、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌胎児性抗原(CEA)、葉酸受容体アルファ(FolR1)、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、上皮成長因子受容体(EGFR)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)及びp95HER2からなる群より選択される。特に、腫瘍関連抗原は線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)又は癌胎児性抗原(CEA)である。
プロリルエンドペプチダーゼFAP又はセプラーゼ(EC3.4.21)としても知られている、「線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)」という用語は、特に断りのない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)、並びに齧歯類(例えばマウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する、任意の天然FAPを意味する。この用語は、「全長」のプロセシングされていないFAP、及び細胞におけるプロセシングから生じるFAPの任意の形態を包含する。この用語は、FAPの天然に存在する変異形、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。一実施形態において、本発明の抗原結合分子は、ヒト、マウス、及び/又はカニクイザルFAPへの特異的結合能を有する。ヒトFAPのアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)寄託番号Q12884(バージョン149、配列番号254)、又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)RefSeq NP_004451.2に示されている。ヒトFAPの細胞外ドメイン(ECD)は、アミノ酸位置26から760まで伸びている。Hisタグ付ヒトFAP ECDのアミノ酸配列は、配列番号255に示される。マウスFAPのアミノ酸配列は、UniProt寄託番号P97321(バージョン126、配列番号256)、又はNCBI RefSeq NP_032012.1に示されている。マウスFAPの細胞外ドメイン(ECD)は、アミノ酸位置26から761まで伸びている。配列番号257は、Hisタグ付マウスFAP ECDのアミノ酸配列を示す。配列番号258は、Hisタグ付カニクイザルFAP ECDのアミノ酸配列を示す。好ましくは、抗本発明のFAP結合分子はFAPの細胞外ドメインに結合する。
癌胎児性抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)としても知られている、「癌胎児性抗原(CEA)」という用語は、特に断りのない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)、並びに齧歯類(例えばマウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する、任意の天然CEAを意味する。ヒトCEAのアミノ酸配列は、UniProt寄託番号P06731(バージョン151、配列番号259)に示されている。CEAは長らく、腫瘍関連抗原として識別されている(Gold and Freedman,J Exp Med.,121:439-462,1965;Berinstein N.L.,J Clin Oncol.,20:2197-2207,2002)。元は、胎児組織のみで発現するタンパク質として分類されていたCEAは現在、いくつかの健常な成人組織にて同定されている。これらの組織は主に、胃腸、呼吸、及び泌尿器管の細胞、並びに、結腸、子宮頸、汗腺、及び前立腺の細胞を含む、元々上皮に存在する(Nap et al.,Tumour Biol.,9(2-3):145-53,1988;Nap et al.,Cancer Res.,52(8):2329-23339,1992)。上皮由来の腫瘍、及びこれらの転移物は、腫瘍関連抗原としてCEAを含有する。CEA自身が存在することは、がん性細胞への形質転換を意味するものではないものの、CEAが分布していることを示している。健常な組織において、CEAは一般的に、細胞の先端面にて発現し(Hammarstrom S.,Semin Cancer Biol.9(2):67-81(1999))、血流にて抗体に接近できなくなる。健常な組織とは対照的に、CEAは、がん性細胞の全面にわたって発現する(Hammarstrom S.,Semin Cancer Biol.9(2):67-81(1999))。発現パターンのこの変化により、CEAが、がん性細胞内で抗体結合をしやすくなる。さらに、CEAの発現は、がん性細胞にて増加する。さらに、CEAの発現が増加することにより、細胞間の接着性が増加し、転移につながり得る(Marshall J.,Semin Oncol.,30(a Suppl.8):30-6,2003)。様々な腫瘍実体におけるCEA発現の有病率は、一般に非常に高い。公開されたデータに一致して、組織サンプルにて実施した自身の分析により、その高い有症率が確認され、結腸癌腫(CRC)において約95%、膵がんにおいて90%、胃がんにおいて80%、非小細胞肺がん(HER3と同時発現するNSCLC)において60%、及び乳がんにおいて40%であり、小細胞肺がん及びグリア芽腫においては低い発現が確認された。
CEAは速やかに細胞表面から切断され、腫瘍から、直接又はリンパ系を介してのいずれかにより、血流に入る。この性質から、血清CEAの濃度は、がん診断のための臨床マーカー、及び、がん、特に結腸直腸がんの再発のためのスクリーニングとして使用されてきた(Goldenberg D M.,The International Journal of Biological Markers,7:183-188,1992;Chau I.,et al.,J Clin Oncol.,22:1420-1429,2004;Flamini et al.,Clin Cancer Res;12(23):6985-6988,2006)。
「FolR1」という用語は、葉酸受容体アルファを指し、いくつかのがんにおける可能性のある予後及び治療の標的として同定されている。FolR1は、特に断りのない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及び齧歯(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物供給源由来の任意の天然FolR1を指す。ヒトFolR1のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P15328(配列番号260)に示され、マウスFolR1は、UniProt受託番号P35846(配列番号261)のアミノ酸配列を有し、カニクイザルFolR1は、UniProt受託番号G7PR14(配列番号262)に示されるアミノ酸配列を有する。FolR1は、細胞の原形質膜上に発現されるN-グリコシル化タンパク質である。FolR1は、葉酸及びいくつかの還元型葉酸誘導体に対して高い親和性を有し、生理学的葉酸塩である5-メチルテトラヒドロ葉酸塩の細胞内部への送達を媒介する。FolR1は、卵巣がんの大部分、並びに多くの子宮がん、子宮内膜がん、膵臓がん、腎臓がん、肺がん及び乳がんで過剰発現されるが、正常組織でのFolR1の発現は、腎臓近位尿細管、肺の肺胞肺細胞、膀胱、精巣、脈絡叢及び甲状腺の上皮細胞の頂端膜に限定されるため、FolR1指向性がん治療の望ましい標的である。最近の研究では、FolR1発現がトリプルネガティブ乳がんにおいて特に高いことが同定されている(Necela et al.PloS One 2015,10(3),e0127133)。
コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)としても知られている、「黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)」という用語は、特に断りのない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)、並びに齧歯(例えばマウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する、任意の天然MCSPを指す。ヒトMCSPのアミノ酸配列は、UniProt寄託番号Q6UVK1(バージョン103、配列番号263)に示されている。MCSPは、N結合型280kDa糖タンパク質成分及び細胞膜上に発現される450kDaコンドロイチン硫酸プロテオグリカン成分からなる高グリコシル化内在性膜コンドロイチン硫酸プロテオグリカンである(Ross et al.,Arch.Biochem.Biophys.1983,225:370-38)。MCSPは、多くの正常細胞及び形質転換細胞においてより広く分布している。特に、MCSPは表皮のほとんど全ての基底細胞に見られる。MCSPは、黒色腫細胞において差次的に発現され、分析された良性母斑及び黒色腫病変部の90%超において発現されることが見出された。MCSPはまた、基底細胞癌腫、神経堤起源の様々な腫瘍を含む非メラニン形成細胞起源の腫瘍、及び乳癌腫において発現されることが見出されている。
原型癌遺伝子c-ErbB-1又は受容体チロシン-プロテインキナーゼErbB-1という名もある、「上皮増殖因子受容体(EGFR)」という用語は、特に断りのない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)、並びに齧歯類(例えばマウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する、任意の天然EGFRを意味する。ヒトEGFRのアミノ酸配列は、UniProt寄託番号P00533(バージョン211、配列番号264)に示されている。癌原遺伝子「HER2」(ヒト上皮増殖因子受容体2)は、ヒト上皮増殖因子受容体に関連し、ある程度相同であるタンパク質チロシンキナーゼ(p185HER2)をコードする。HER2は、この分野ではc-erbB-2としても知られており、ラットホモログ、neuと呼ばれることもある。HER2の増幅及び/又は過剰発現は、複数のヒト悪性腫瘍に関連し、ヒト乳がん及び卵巣がんの25~30%の進行に一体的に関与していると思われる。更に、増幅の程度は、観察された患者生存期間の中央値と逆相関している(Slamon,D.J.et al.,Science 244:707-712(1989))。ヒトHER2のアミノ酸配列は、UniProt寄託番号P04626(バージョン230、配列番号265)に示されている。本明細書で使用される場合、「p95HER2」という用語は、「611-CTF」又は「100~115kDa p95HER2」としても知られるHER2受容体タンパク質のカルボキシ末端断片(CTF)を指す。p95HER2断片は、全長HER2分子のコドン位置611でのHER2 mRNAの翻訳開始によって細胞内で生成される(Anido et al,EMBO J 25;3234-44(2006))。これは100~115kDaの分子量を有し、細胞膜で発現され、そこで分子間ジスルフィド結合によって維持されるホモ二量体を形成することができる(Pedersen et al.,Mol Cell Biol 29,3319-31(2009))。ヒトp95HER2領域の例示的な配列は、配列番号266で与えられる。
「ICOS」(誘導性T細胞共刺激因子)という用語は、特に明記しない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物供給源由来の任意の誘導性T細胞共刺激タンパク質を指す。AILIM又はCD278とも呼ばれるICOSは、CD28スーパーファミリー(CD28/CTLA-4細胞表面受容体ファミリー)のメンバーであり、初期T細胞活性化後にT細胞上に特異的に発現される。ICOSはまた、Th1、Th2及びTh17を含む他のT細胞サブセットの発達及び機能において役割を果たす。特に、ICOSは、Th1細胞及びTh2細胞の両方に関連するT細胞増殖及びサイトカイン分泌を共刺激する。したがって、ICOS KOマウスは、糖尿病(Th1)、気道炎症(Th2)及びEAE神経炎症(Th17)のモデルを含む様々な疾患モデルにおいて自己免疫表現型の発達障害を示す。Tエフェクター(Teff)細胞機能の調節におけるその役割に加えて、ICOSはまた、制御性T細胞(Treg)を調節する。ICOSはTreg上で高レベルで発現され、Tregホメオスタシス及び機能に関与している。活性化すると、ジスルフィド結合ホモ二量体であるICOSは、PI3K及びAKT経路を介してシグナルを誘導する。その後のシグナル伝達事象は、系統特異的転写因子(例えば、T-bet、GATA-3)の発現、ひいてはT細胞の増殖及び生存に対する影響をもたらす。この用語は、ICOSの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント、又は対立遺伝子バリアントも包含する。ヒトICOSのアミノ酸配列をUniProt(www.uniprot.org)受託番号Q9Y6W8(配列番号1)に示す。
先に記載されたように、B7スーパーファミリーのメンバーでもあるICOSリガンド(ICOS-L;B7-H2;B7RP-1;CD275;GL50)は、ICOSに対する膜結合天然リガンドであり、B細胞、マクロファージ及び樹状細胞の細胞表面に発現される。ICOS-Lは、ICOSとの相互作用において、細胞表面上の非共有結合的に連結されたホモ二量体として機能する。ヒトICOS-Lはまた、ヒトCD28及びCTLA-4に結合することが報告されている(Yao et al.,2011,Immunity,34:729-740))。huICOS-Lの外部ドメインの例示的なアミノ酸配列を配列番号215に示す。
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗原に対する抗原結合分子の結合に関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然の抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、一般に、類似の構造を有しており、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と、3つの超可変領域(HVR)とを含む。例えば、Kindt et al.,Kuby Immunology,6th,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい。単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するために十分であり得る。
本明細書で使用する場合、用語「超可変領域」又は「HVR」とは、配列内で超可変性であり、抗原結合特異性を決定する、抗体可変ドメインの領域、例えば「相補性決定領域」(CDR)のそれぞれを意味する。
一般に、抗体は6つのCDRを含み、3つがVH中にあり(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、3つがVL中にある(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)。本明細書における例示的なCDRとしては、
(a)アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)で生じる超可変ループ(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))、
(b)アミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、31-35b(H1)、50-65(H2)及び95-102(H3)に存在するCDR(Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991));並びに
(c)アミノ酸残基27c~36(L1)、46~55(L2)、89~96(L3)、30~35b(H1)、47~58(H2)、及び93~101(H3)で生じる抗原接触(MacCallum et al.J.Mol.Biol.262:732-745(1996))が挙げられる。
特に断りのない限り、CDRは、上記のKabat et al.に従い決定される。当業者は、CDRの表記は、上記Chothia、上記のMcCallum、又は、任意の他の、科学的に認可された命名システムに従い決定することができることを理解するであろう。
Kabat et al.は、任意の抗体に適用可能な可変領域配列のナンバリングシステムを定義した。当業者は、任意の可変領域配列に対し、配列自体を超える実験データに頼ることなく、「Kabatナンバリング」のこのシステムを明確に割り当てることができる。本明細書で使用する場合、「Kabatナンバリング」は、Kabat et al,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequence of Proteins of Immunological Interest」(1983)に記載されるナンバリングシステムを指す。特に明記されない限り、抗体可変領域中の特定のアミノ酸残基の位置のナンバリングに関する言及は、Kabatナンバリングシステムに従う。
本明細書で使用する場合、抗原結合分子(例えば、抗体)に関連して「親和性成熟」という用語は、例えば変異によって、参照抗原結合分子に由来する、参照抗体と同じ抗原に結合する、好ましくは同じエピトープに結合する抗原結合分子を指し、参照抗原結合分子よりも抗原に対して高い親和性を有する。親和性成熟は、一般に、抗原結合分子の1つ以上のCDR中の1つ以上のアミノ酸残基の改変を含む。典型的には、親和性成熟抗原結合分子は、初期参照抗原結合分子と同じエピトープに結合する。
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3及びFR4の4つのFRドメインからなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般的に、VH(又はVL)中において以下の配列で現れる。FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
本明細書の目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義される、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「由来の」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでいてもよく、又はアミノ酸配列の変更を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、アミノ酸変更の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。いくつかの実施形態において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に対して、配列が同一である。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が、特定の供給源又は種に由来する抗体を指し、一方、重鎖及び/又は軽鎖の残りは、異なる供給源又は種に由来する。
抗体の「クラス」は、その重鎖が保有する定常ドメイン又は定常領域の種類を指す。抗体の5つの主要なクラス、即ち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMであり、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基と、ヒトFR由来のアミノ酸残基とを含む、キメラ抗体を指す。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えばCDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体に対応し、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体に対応する。ヒト化抗体は、必要に応じて、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部を含んでいてもよい。ある抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、ヒト化を受けた抗体を指す。本発明に包含される「ヒト化抗体」の他の形態は、特に、C1q結合及び/又はFc受容体(FcR)結合という観点で、本発明に係る特性を作り出すために、定常領域が、元々の抗体の定常領域から更に修飾されるか、又は変更されているものである。
「ヒト」抗体は、ヒト又はヒト細胞によって産生されるか、又はヒト抗体のレパートリー又は他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源から誘導される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に除外する。
「CH1ドメイン」という用語は、おおよそEU位置118からEU位置215まで延びる抗体重鎖ポリペプチドの部分を表す(KabatによるEUナンバリングシステム)。一態様では、CH1ドメインは、ASTKGPSVFP LAPSSKSTSG GTAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGV HTFPAVLQSS GLYSLSSVVT VPSSSLGTQT YICNVNHKPS NTKVDKKV(配列番号267)のアミノ酸配列を有する。通常、EPKSC(配列番号268)のアミノ酸配列を有するセグメントは、続いてCH1ドメインをヒンジ領域に連結する。
「ヒンジ領域」という用語は、野生型抗体重鎖においてCH1ドメインとCH2ドメインとを結合する抗体重鎖ポリペプチドの一部(例えば、KabatのEUナンバーシステムにより、約216の位置から約230の位置まで、又は約226の位置から約230の位置まで)を表す。他のIgGサブクラスのヒンジ領域は、IgG1サブクラス配列のヒンジ領域システイン残基と整列させることによって決定することができる。ヒンジ領域は、通常、同一のアミノ酸配列を有する2つのポリペプチドからなる二量体分子である。ヒンジ領域は、一般に、25個までのアミノ酸残基を含み、柔軟であり、関連する標的結合部位が独立して動くことを可能にする。ヒンジ領域は、上部、中央、及び下部ヒンジドメイン(例えば、Roux,et al.,J.Immunol.161(1998)4083を参照されたい)の3つのドメインに細分することができる。
「Fcドメイン」又は「Fc領域」という用語は、本明細書において、定常領域の少なくとも一部を含む抗体重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語は、天然配列Fc領域及び変異Fc領域を含む。一態様では、ヒトIgG重鎖Fcドメインは、Cys226から、又はPro230から、又はAla231から重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、宿主細胞によって産生される抗体は、重鎖のC末端から1つ以上の、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後開裂を受けてもよい。したがって、全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現によって、宿主細胞によって産生する抗体は、全長重鎖を含んでいてもよく、又は全長重鎖の開裂したバリアントを含んでいてもよい。これは、重鎖の最終的な2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)及びリジン(K447、EUインデックスによるナンバリング)である場合であってもよい。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)及びリジン(Lys447)が存在してもよい、又は存在していなくてもよい。Fc領域を含む重鎖のアミノ酸配列は、特に断りのない場合には、C末端のグリシン-リシンジペプチドを含まずに本明細書で示される。一態様では、本発明の抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、さらなるC末端のグリシン-リシンジペプチド(G446及びK447、EUインデックスに従ったナンバリング)を含む。一態様では、本発明に従った抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、更なるC末端グリシン残基(G446、EUインデックスに従ったナンバリング)を含む。IgG Fc領域は、IgG CH2ドメインと、IgG CH3ドメインとを含む。
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、通常、約EU位置231のアミノ酸残基から約EU位置340のアミノ酸残基(KabatによるEUナンバリングシステム)まで延在する。一態様では、CH2ドメインは、APELLGGPSV FLFPPKPKDT LMISRTPEVT CVWDVSHEDP EVKFNWYVDG VEVHNAKTKP REEQESTYRW SVLTVLHQDW LNGKEYKCKV SNKALPAPIE KTISKAK(配列番号269)のアミノ酸配列を有する。CH2ドメインは、別のドメインと密接に対合されないという点で特有である。むしろ、インタクトネイティブFc領域の2つのCH2ドメインの間には、2つのN-linked分岐炭水化物鎖が介在している。炭水化物がドメイン-ドメイン対合の代替を提供し、CH2ドメインを安定させるのに役立ち得ることが推測されている。Burton,Mol.Immunol.22(1985)161-206.一態様では、炭水化物鎖は、CH2ドメインに接続している。本発明のCH2ドメインは、ネイティブ配列CH2ドメイン又はバリアントCH2ドメインであってもよい。
「CH3ドメイン」は、Fc領域中のCH2ドメインのC末端側の残基のストレッチを含み、およそEU位置341からEU位置446まで延びる抗体重鎖ポリペプチドの部分を表す(KabatによるEUナンバリングシステム)。一態様では、CH3ドメインは、GQPREPQVYT LPPSRDELTK NQVSLTCLVK GFYPSDIAVE WESNGQPENN YKTTPPVLDS DGSFFLYSKL TVDKSRWQQG NVFSCSVMHE ALHNHYTQKS LSLSPG(配列番号270)のアミノ酸配列を有する。本発明のCH3領域は、ネイティブ配列CH3ドメイン又はバリアントCH3ドメインであってもよい(例えば、その1つの鎖に導入された「突起部」(「ノブ」)を有し、その他の鎖に対応する導入された「空洞」(「ホール」)を有するCH3ドメイン、本明細書に参考として明確に組み込まれる米国特許第5,821,333号を参照)。このようなバリアントCH3ドメインを使用し、本明細書に記載される2つの同一ではない抗体重鎖のヘテロ二量体化を促進してもよい。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端のリジン(Lys447)は、存在する場合もあれば、しない場合もある。本明細書で特に明記しない限り、Fc領域又は定常領域のアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat等のSequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されているように、EUインデックスとも呼ばれるEUナンバリングシステムに従う。
「ノブ・イントゥ・ホール(knob-into-hole)」技術は、例えば、米国特許第5,731,168号明細書、米国特許第7,695,936号明細書、Ridgway et al.,Prot Eng 9,617-621(1996)及びCarter,J Immunol Meth 248,7-15(2001)に記載されている。一般的に、この方法は、第1のポリペプチドの界面にある突起(「ノブ」)と、第2のポリペプチドの界面にある空洞(「ホール」)とを導入することを含み、その結果、突起が、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨害するように空洞内に位置することができる。突起は、第1のポリペプチドの界面からの小さなアミノ酸側鎖を、もっと大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)と交換することによって構築される。突起と同一又は同様の大きさの相補性空洞が、大きなアミノ酸側鎖を、より小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニン又はトレオニン)と置き換えることによって、第2のポリペプチドの界面に作られる。突起及び空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を変えることによって、例えば、部位特異的変異誘発によって又はペプチド合成によって作り出すことができる。具体的な実施形態では、ノブ修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうちの1つにアミノ酸置換T366Wを含み、ホール修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットのうち他方の1つにアミノ酸置換T366S、L368A及びY407Vを含む。更なる具体的な実施形態では、ノブ修飾を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換S354Cを更に含み、ホール修飾を含むFcドメインのサブユニットは、アミノ酸置換Y349Cを更に含む。これら2つのシステイン残基の導入によって、Fc領域の2つのサブユニット間にジスルフィド架橋が生成し、それにより、ダイマーを更に安定化する(Carter,J Immunol Methods 248,7-15(2001))。
「免疫グロブリンのFc領域に等価な領域」は、天然に存在する免疫グロブリンのFc領域の対立遺伝子バリアント及び置換、付加又は欠失を生じるが、エフェクター機能(例えば、抗体依存性細胞傷害性)に介在する免疫グロブリンの能力を実質的に低下させない変更を有するバリアントを含むことが意図される。例えば、1つ以上のアミノ酸は、生体機能を実質的に失うことなく、免疫グロブリンのFc領域のN末端又はC末端から欠失されていてもよい。かかるバリアントは、活性に対して最小限の影響を有するように、当該技術分野で知られた一般的な規則に従って選択することができる(例えば、Bowie,J.U.et al.、Science 247:1306-10(1990)を参照されたい)。
「エフェクター機能」という用語は、抗体のFc領域に帰属可能な生体活性を指し、抗体アイソタイプによって変わる。抗体エフェクター機能の例としては、以下のものが挙げられる:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、サイトカイン分泌、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込み、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション、及びB細胞活性化。
Fc受容体結合に依存したエフェクター機能は、抗体のFc領域と、造血細胞における専用の細胞表面受容体である、Fc受容体(FcR)との相互作用により媒介されることができる。Fc受容体は免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、免疫複合体のファゴサイトーシスによる、抗体で覆われた病原体の除去、並びに、抗体依存性細胞傷害(ADCC)による、赤血球、及び対応する抗体で覆われた他の細胞標的(例えば腫瘍細胞)の溶解の両方を媒介することが示されている(例えば、Van de Winkel,J.G.and Anderson,C.L.,J.Leukoc.Biol.49(1991)511-524を参照されたい)。FcRは、免疫グロブリンアイソタイプに対するその特異性により定義される:IgG抗体に対するFc受容体は、FcγRと呼ばれる。Fc受容体結合は、例えばRavetch,J.V.and Kinet,J.P.,Annu.Rev.Immunol.9(1991)457-492;Capel,P.J.,et al.,Immunomethods 4(1994)25-34;de Haas,M.,et al.,J.Lab.Clin.Med.126(1995)330-341;及びGessner,J.E.,et al.,Ann.Hematol.76(1998)231-248に記載されている。
IgG抗体(FcγR)のFc領域に対する受容体の架橋は、ファゴサイトーシス、抗体依存性細胞傷害、及び炎症性メディエータの放出、並びに免疫複合体のクリアランス及び抗体産生の制御を含む、多種多様のエフェクター機能を引き起こす。ヒトにおいて、3クラスのFcγRが特性決定されており、これらは以下のとおりである。
-FcγRI(CD64)は、単量体IgGに高い親和性で結合し、マクロファージ、単球、好中球、及び好酸球にて発現する。アミノ酸残基E233~G236、P238、D265、N297、A327、及びP329(KabatのEUインデックスに従ったナンバリング)の少なくとも1つにおける、Fc領域内での修飾によって、FcγRIへの結合が低下する。IgG1及びIgG4に置換された、位置233~236におけるIgG2残基は、FcγRIへの結合を103倍低下させ、抗体により感作される赤血球に対するヒト単核細胞応答を取り除いた(Armour,K.L.,et al.,Eur.J.Immunol.29(1999)2613-2624)。
-FcγRII(CD32)は、複合体化IgGに中程度から低度の親和性で結合し、幅広く発現する。受容体は、2つのサブタイプ:FcγRIIA及びFcγRIIBに分けることができる。FcγRIIAは主に、殺傷に関与する多くの細胞(例えばマクロファージ、単球、好中球)にて発見され、殺傷プロセスを活性化可能であるようである。FcγRIIBは、阻害プロセスで役割を果たすようであり、B細胞、マクロファージ、並びに肥満細胞及び好酸球で発見されている。B細胞上では、FcγRIIBは、免疫グロブリン産生、及び、例えばIgEクラスへのアイソタイプ切り替えを更に抑制する機能を有するようである。マクロファージ上では、FcγRIIBは、FcγRIIAによって媒介されるように、ファゴサイトーシスを阻害する役割を果たす。好酸球及び肥満細胞上において、B形態は、IgEの、その個別の受容体への結合による、これらの細胞の活性化を抑制することを補助し得る。FcγRIIAに対する結合の低下は、例えば、少なくとも、アミノ酸残基E233~G236、P238、D265、N297、A327、P329、D270、Q295、A327、R292、及びK414(KabatのEUインデックスに従ったナンバリング)の1つにおいて変異を有するIgG Fc領域を含む抗体に対して発見されている。
-FcγRIII(CD16)はIgGに、中程度~低度の親和性で結合し、2つの種類として存在する。FcγRIIIAはNK細胞、マクロファージ、好酸球、並びにいくつかの単球及びT細胞上で発見されており、ADCCを媒介する。FcγRIIIBは好中球上に高度に発現する。FcγRIIIAに対する結合の低下は、例えば、少なくとも、アミノ酸残基E233~G236、P238、D265、N297、A327、P329、D270、Q295、A327、S239、E269、E293、Y296、V303、A327、K338、及びD376(KabatのEUインデックスに従ったナンバリング)の1つにおいて変異を有するIgG Fc領域を含む抗体に対して発見されている。
Fc受容体に対する、ヒトIgG1上での結合部位のマッピング、上述した変異部位、並びにFcγRI及びFcγRIIAへの結合を測定する方法は、Shields,R.L.,et al.J.Biol.Chem.276(2001)6591-6604に記載されている。
用語「ADCC」又は「抗体依存性細胞傷害」とは、Fc受容体結合により媒介される機能であり、エフェクター細胞の存在下における、本明細書で報告される抗体による、標的細胞の溶解を意味する。ADCCを媒介する初期工程を誘発する抗体の能力は、FcγRI及び/若しくはFcγRIIA又は(本質的にFcγRIIIAを発現する)NK細胞を組み換えにより発現する細胞といった、Fcγ受容体を発現する細胞への、抗体の結合を測定することにより調査される。特に、NK細胞上でのFcγRへの結合が測定される。
「活性化Fc受容体」は、抗体のFc領域による連結の後に、エフェクター機能を発揮するために受容体を含む細胞を刺激するシグナル伝達事象を誘発するFc受容体である。活性化Fc受容体としては、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)及びFcαRI(CD89)が挙げられる。特定の活性化Fc受容体は、ヒトFcγRIIIaである(UniProt寄託番号P08637,version 141を参照)。
「外部ドメイン」は、細胞外空間(すなわち、標的細胞の外側の空間)に伸長する膜タンパク質のドメインである。外部ドメインは、通常、シグナル伝達をもたらす表面との接触を開始するタンパク質の部分である。
「ペプチドリンカー」という用語は、1つ以上のアミノ酸、典型的には、約2~20のアミノ酸を含むペプチドを指す。ペプチドリンカーは、当該技術分野で知られているか、又は本明細書に記載される。好適な、非免疫原性リンカーペプチドは例えば、(G4S)n、(SG4)n又はG4(SG4)nペプチドリンカーであり、式中、「n」は一般に、1~10、典型的には2~4、特に2の数字であり、すなわち、ペプチドは、GGGGS(配列番号271)、GGGGSGGGGS(配列番号272)、SGGGGSGGGG(配列番号273)及びGGGGSGGGGSGGGG(配列番号274)からなる群より選択されるが、配列GSPGSSSSGS(配列番号275)、(G4S)3(配列番号276)、(G4S)4(配列番号277)、GSGSGSGS(配列番号278)、GSGSGNGS(配列番号279)、GGSGSGSG(配列番号280)、GGSGSG(配列番号281)、GGSG(配列番号282)、GGSGNGSG(配列番号283)、GGNGSGSG(配列番号284)及びGGNGSG(配列番号285)もまた含む。特に興味深いペプチドリンカーは、(G4S)(配列番号271)、(G4S)2又はGGGGSGGGGS(配列番号272)、(G4S)3(配列番号276)及び(G4S)4(配列番号277)である。
「アミノ酸」というの用語は、本明細書中で使用される場合、アラニン(三文字コード:ala、一文字コード)A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リシン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、トレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)及びバリン(val、V)を含む天然に存在するカルボキシα-アミノ酸の一群を示す。
「融合した」、又は「連結された」とは、構成成分(例えば、ポリペプチド及び当該TNFリガンドファイミリーメンバーの細胞外ドメイン)が直接、又は1つ以上のペプチドリンカーを介してのいずれかで、ペプチド結合により連結されていることを意味する。
参照ポリペプチド(タンパク質)配列に対する「アミノ酸配列の同一性率(%)」は、配列をアラインメントし、最大の配列同一性率を達成するために、必要ならばギャップを導入した後、配列同一性の一部として任意の保存的置換を考慮せずに、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合であると定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、例えば、公的に入手可能なBLAST、BLAST-2、ALIGN等のコンピュータソフトウェアを使用して、当該技術分野の技術の範囲内にある種々の様式で達成され得る。SAWI又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを用いて達成することができる。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成している。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、ここで、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルし得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含め、UNIXオペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBのアラインメントにおいて同一のマッチとしてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、A対Bの%アミノ酸配列同一性は、B対Aの%アミノ酸配列同一性に等しくないことが理解されよう。特に明記しない限り、本明細書で使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して直前の段落に記載されているように得られる。
特定の実施形態では、本明細書において提供する、アゴニスト性ICOS結合分子のアミノ酸配列バリアントが想到される。例えば、アゴニスト性ICOS結合分子の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。アゴニスト性ICOS結合分子のアミノ酸配列バリアントは、分子をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製され得る。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入及び置換の任意の組合せは、最終構築物が、所望の特徴(例えば、抗原結合)を有する限り、最終構築物に到達するように行うことができる。置換による突然変異生成のための目的部位としては、HVR及びフレームワーク(FR)が挙げられる。保存的置換は、「好ましい置換」の見出しで表Bに与えられており、アミノ酸側鎖クラス(1)~(6)を参照しつつ、以下に更に記載される。アミノ酸置換は、目的の分子及び所望な活性(例えば、抗原結合の保持/向上、免疫原性の低下、又はADCC又はCDCの向上)についてスクリーニングされた産物に導入されていてもよい。
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴うであろう。
「アミノ酸配列バリアント」という用語は、親抗原結合分子(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基中にアミノ酸置換が存在する実質的なバリアントを含む。一般的に、更なる試験のために選択され、得られたバリアント(複数可)は、親抗原結合分子と比較して、特定の生物学的特性の修飾(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)を有し、及び/又は親抗原結合分子の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。例示的な置換バリアントは、親和性成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して、簡便に生成され得る。簡潔には、1つ以上のHVR残基は、突然変異しており、ファージディスプレイされ、特定の生体活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされたバリアント抗原結合分子である。特定の実施形態において、置換、挿入又は欠失は、このような変更が、抗原結合分子が抗原に結合する能力を実質的に減らさない限り、1つ以上のHVR内で起こってもよい。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中で行われてよい。突然変異誘発を標的とし得る抗体の残基又は領域の同定のための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science、244:1081-1085によって記載されるように、「アラニンスキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、帯電した残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu)が同定され、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置き換えられる。更なる置換が、初期置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置に導入されてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、抗体と抗原との間の接触点を同定するための、抗原-抗原結合分子複合体の結晶構造。かかる接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、又は除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを判定するためにスクリーニングされてもよい。
アミノ酸配列挿入としては、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さ範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端の融合、並びに1つ以上のアミノ酸残基の配列内挿入が挙げられる。挿入の例としては、アゴニスト性ICOS結合分子の血清半減期を増加させるポリペプチドへのN末端又はC末端への融合を有するアゴニスト性ICOS結合分子が挙げられる。
特定の実施形態では、本明細書において提供するアゴニスト性ICOS抗原結合分子が改変され、抗体がグリコシル化される程度が増加又は低下される。1つ以上のグリコシル化部位が作製される、又は取り除かれるように、アミノ酸配列を改変することにより、分子のグリコシル化バリアントを便利に入手することができる。アゴニスト性ICOS結合分子がFcドメインを含む場合、Fcドメインに付着した炭水化物を改変することができる。哺乳動物細胞によって産生される天然抗体は、典型的には、Fc領域のCH2ドメインのAsn297へのN-連結によって一般的に結合された分岐した二分オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、並びに二分岐型オリゴ糖構造の「幹」のGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの実施形態において、アゴニスト性ICOS結合分子中のオリゴ糖の改変は、特定の改良された特性を有するバリアントを作製するために行われてもよい。一態様において、Fc領域に(直接的又は間接的に)接続するフコースを欠いた炭水化物構造を有するアゴニスト性ICOS結合分子のバリアントが提供される。このようなフコシル化バリアントは、改良されたADCC機能を有していてもよい。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.)又は同第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照。本発明のアゴニスト性ICOS結合分子の更なるバリアントは、二分されたオリゴ糖を有するもの、例えば、Fc領域に接続した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されているものを含む。このようなバリアントは、フコシル化の低下及び/又はADCC機能の向上を有していてもよく、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean-Mairet et al.)、米国特許第6,602,684号(Umana et al.)及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umana et al.)を参照のこと。Fc領域に接続したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有するバリアントも提供される。このような抗体バリアントは、改良されたCDC機能を有する場合があり、例えば、国際公開第1997/30087号(Patel et al.)、国際公開第1998/58964号(Raju,S.)及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載される。
特定の実施形態では、本発明のアゴニスト性ICOS結合分子のシステイン操作バリアント、例えば、分子の1つ以上の残基がシステイン残基で置換された「チオMAb」を作製することが望ましい場合がある。特定的な実施形態では、置換された残基は、分子の接近可能な部位で生じる。これらの残基をシステインと置換することによって、反応性チオール基は、抗体の接近可能な部位に位置しており、これを使用し、抗体を他の部分(例えば、薬物部分又はリンカー-薬物部分)に対してコンジュゲートさせ、免疫コンジュゲートを作成してもよい。特定の実施形態では、任意の1つ以上の下記の残基が、システインで置換されていてもよい。軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン操作された抗原結合分子は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されるように作成されてもよい。
特定の態様では、本明細書中に提供されるアゴニスト性ICOS結合分子は、当該分野で公知であり、容易に入手可能である更なる非タンパク質性部分を含有するように更に改変され得る。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。このポリマーは、任意の分子量を有していてもよい、分岐していてもよい、又は分岐していなくてもよい。抗体に接続するポリマーの数は、さまざまであってもよく、1つより多いポリマーが接続する場合、ポリマーは、同じ分子であってもよく、又は異なる分子であってもよい。一般的に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/又は種類は、限定されないが、改良される抗体の特定の特性又は機能、二重特異性抗体誘導体が規定の条件下で使用されるか等を含む限定事項に基づいて決定することができる。別の態様では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分の複合体が提供される。一実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(Kam,N.W.et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102(2005)11600-11605)。放射線は、任意の波長を有していてもよく、限定されないが、通常の細胞に有害ではないが、非タンパク質性部分を、抗体非タンパク質性部分に近位の細胞が死滅する温度まで加熱する波長を含む。別の態様では、本明細書において提供するアゴニスト性ICOS結合分子の免疫コンジュゲートを得ることができる。「免疫コンジュゲート」は、限定されないが、細胞傷害性薬剤を含む、1つ以上の異種分子にコンジュゲートされている抗体である。
「ポリヌクレオチド」といの用語は、単離された核酸分子又は構築物、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)、ウイルス由来のRNA、又はプラスミドDNA(pDNA)を指す。ポリヌクレオチドは、従来のホスホジエステル結合又は従来の結合以外の結合(例えば、アミド結合、例えば、ペプチド核酸(PNA)中に見出されるもの)を含んでいてもよい。「核酸分子」という用語は、任意の1つ以上の核酸セグメント、例えば、ポリヌクレオチド中に存在するDNA又はRNA断片を指す。
「単離された」核酸分子又はポリヌクレオチドが意図するのは、その天然環境から取り出された核酸分子、DNA又はRNAである。例えば、ベクターにおいて含有されるポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドは、本発明の目的のために単離されていると考えられる。単離されたポリヌクレオチドの更なる例としては、異種性宿主細胞において維持された組換えポリヌクレオチド、又は溶液中の精製された(部分的に又は実質的に)、ポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたポリヌクレオチドは、元々ポリヌクレオチド分子を含有する細胞において含有されているポリヌクレオチド分子を含むが、ポリヌクレオチド分子は、染色体外に存在するか、又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。単離されたRNA分子は、in vivo又はin vitroでの本発明のRNA転写物、及びポジティブ及びネガティブの鎖形態、二本鎖形態を含む。本発明による単離されたポリヌクレオチド又は核酸は、合成によって産生されるこのような分子を更に含む。加えて、ポリヌクレオチド又は核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位、又は転写ターミネーター等の調節要素であってもよく、又は調節要素を含んでいてもよい。
本発明の参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば95%「同一の」ヌクレオチド配列を有する核酸又はポリヌクレオチドとは、このポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列の100ヌクレオチドあたり5個までの点変異を含んでいてもよいことを除けば、参照配列と同一であることを意図している。言い換えると、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列内のヌクレオチドの5%までが、欠失していてもよく、若しくは別のヌクレオチドで置換されていてもよく、又は参照配列内の全ヌクレオチドの5%までが、参照配列内へと挿入されていてもよい。参照配列のこれらの変更は、参照ヌクレオチド配列の5’末端位置若しくは3’末端位置で、又は5’末端位置と3’末端位置との間の、参照配列内の残基間で個々にか若しくは参照配列内での1つ以上の連続した基においてかのいずれかに点在しているどこかで起こってもよい。実際の様式として、任意の特定のポリヌクレオチド配列が、本発明のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるかどうかは、既知のコンピュータプログラム、例えば、ポリペプチドについて上に記載したもの(例えば、ALIGN-2)を用いて、従来通りに決定することができる。
「発現カセット」という用語は、組換えによって、又は合成によって作られるポリヌクレオチドを指し、標的細胞内の特定の核酸の転写が可能な特定の一連の核酸要素を含む。組換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片へと組み込むことができる。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分は、配列の中でも特に、転写される核酸配列と、プロモーターとを含む。特定の実施形態では、本発明の発現カセットは、本発明の二重特異性抗原結合分子をコードするポリヌクレオチド配列又はその断片を含む。
「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は「発現構築物」と同義であり、標的細胞中で作用可能に会合した特異的遺伝子の発現を導入及び誘導するのに使用されるDNA分子を意味する。この用語は、自己複製する核酸構造としてのベクター、及びベクターが導入された宿主細胞のゲノム内へと組み込まれたベクターを含む。本発明の発現ベクターは、発現カセットを含む。発現ベクターによって、安定したmRNAの多量の転写が可能となる。いったん発現ベクターが標的細胞内に入ると、リボ核酸分子又は遺伝子によってコードされたタンパク質は、細胞の転写機構及び/又は翻訳機構によって産生される。一実施形態において、本発明の発現ベクターは、本発明の二重特異性抗体をコードするポリヌクレオチド配列又はその断片を含む発現カセットを含む。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養」という用語は同じ意味で用いられ、外因性核酸が導入された細胞を意味し、かかる細胞の後代を含む。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、これらは、継代数にかかわらず、初代の形質転換された細胞と、初代の形質転換された細胞から誘導された子孫を含む。子孫は、親細胞と完全に同一の核酸含量でない場合があるが、変異を含んでもよい。元々の形質転換された細胞についてスクリーニングされるか若しくは選択されるのと同じ機能、又は生物活性を有する突然変異型の後代が本発明に含まれる。宿主細胞は、本発明の二重特異性抗原結合分子を生成するために使用可能な任意の種類の細胞系である。宿主細胞としては、培養細胞、例えば、哺乳動物培養細胞、例えば、ほんの数例を挙げると、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞又はハイブリドーマ細胞、酵母細胞、昆虫細胞及び植物細胞が挙げられるが、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物又は培養植物又は動物組織に含まれる細胞も挙げられる。
ある薬剤の「有効量」は、その薬剤が投与される細胞又は組織において、ある生理学的変化を引き起こすのに必要な量を指す。
ある薬剤(例えば、医薬組成物)の「治療有効量」は、所望の治療結果又は予防結果を達成するのに有効な量、必要な投薬量及び必要な期間を指す。作用剤の治療有効量は、例えば、疾患の副作用を除去し、低下させ、遅延させ、最小限にし、又は予防する。
「個体」又は「被験体」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及びサル等の非ヒト霊長類)、ウサギ、齧歯(例えば、マウス及びラット)が挙げられる。特に、個体又は被験体は、ヒトである。
「医薬組成物」という用語は、その中に含まれる有効成分の生体活性を有効にし、製剤が投与される被験体に対して受け入れられないほど毒性である更なる構成要素を含まないような形態での製剤を指す。
「薬学的に許容可能な賦形剤」は、医薬組成物中の成分であって、有効成分以外であり、被験体にとって毒性ではない成分を指す。薬学的に許容可能な賦形剤としては、限定されないが、バッファー、安定化剤又は防腐剤が挙げられる。
「パッケージ添付文書」という用語は、治療製品の市販パッケージに通常含まれる指示を指すために用いられ、かかる治療製品に関する適応症、使用、投薬量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む。
本明細書で使用する場合、「処置」(及びその文法的な変形語、例えば、「処置する」又は「処置すること」)は、処置される個体において本来の経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に行うことができる。処置の所望の効果としては、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的結果の減弱、転移を予防すること、疾患進行率を低下させること、病状の寛解又は緩和、及び回復又は改良された予後が挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明の分子を使用し、疾患の発生を遅らせるか、又は疾患の進行を遅らせる。
「がん」という用語は、本明細書で使用される場合、増殖性疾患、例えば、リンパ腫、リンパ性白血病、肺がん、非小細胞肺(NSCL)がん、肺胞細胞性肺がん、骨腫瘍、膵臓がん、皮膚がん、頭部又は頸部のがん、皮膚又は眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、消化器がん、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵管癌腫、子宮内膜癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、陰門の癌腫、ホジキン病、食道のがん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織の肉腫尿道のがん、陰茎がん、前立腺がん、膀胱がん、腎臓又は尿管のがん、腎細胞癌腫、腎盂癌腫、中皮腫、肝細胞がん、胆管がん、中枢神経系(CNS)の新生物、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、多形性膠芽腫、星状細胞腫、神経鞘腫、上衣腫、髄芽腫、髄膜腫、扁平上皮癌腫、下垂体腺腫及びユーイング肉腫(上述のいずれかのがんの難治性態様を含む)、又は上述のがんの1つ以上の組合せを指す。
本発明のアゴニスト性ICOS結合分子
本発明は、製造可能性、安定性、結合親和性、生物活性、標的化効率、減少した毒性、患者に与えることができる拡大した投与量範囲、及びそれによりおそらく増強した有効性等の、特に有利な特性を有する新規の二重特異性抗原結合分子を提供する。
腫瘍関連抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む例示的なアゴニスト性ICOS結合分子
一態様では、本発明は、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、ICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含むアゴニスト性ICOS抗原結合分子であって、
(a)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS抗原結合分子を提供する。
したがって、アゴニスト性ICOS抗原結合分子は、既知のICOS抗体と比較して改善された特性を有する新規ICOS抗原結合ドメインを含むことを特徴とする。
一態様では、本発明は、そのような二重特異性アゴニスト性ICOS抗原結合分子であって、
(a)ICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、
(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、
(c)Fcドメインとを含む、二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子を提供する。
特定の態様では、アゴニスト性ICOS結合分子は、エフェクター機能を低下させるか又は失わせる変異を含むFcドメインを含む。エフェクター機能を低下又は無効にする変異を含むFcドメインの使用は、Fc受容体を介した架橋による非特異的アゴニズムを防ぎ、ICOS+細胞のADCCを防ぐ。
したがって、Fc受容体に対する抗原結合分子の結合親和性及び/又はエフェクター機能を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む、安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインを更に含む、上に定義されるアゴニスト性ICOS抗原結合分子が提供される。特に、アゴニスト性ICOS抗原結合分子は、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによるナンバリング)を含む、ヒトIgG1サブクラスのFcドメインを含む。
本明細書に記載のアゴニスト性ICOS結合分子は、典型的にはがん細胞又は腫瘍間質である標的細胞で免疫応答を選択的に誘導するという点で、ICOSへの特異的結合能を有する従来の抗体に勝る利点を有する。一態様では、腫瘍関連抗原は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌胎児性抗原(CEA)、葉酸受容体アルファ(FolR1)、黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)及びp95HER2からなる群より選択される。特に、腫瘍関連抗原はFAP又はCEAである。特定の一態様では、腫瘍関連抗原はFAPである。別の特定の態様では、腫瘍関連抗原はCEAである。
一態様では、上に定義される腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメインが、癌胎児性抗原(CEA)への特異的結合能を有する抗原結合ドメインである、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。一態様では、CEAへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、
(a)(i)配列番号52のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号53のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号54のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHCEA)、並びに(iv)配列番号55のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号56のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号57のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含むか、又は(b)(i)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H3、を含む重鎖可変領域(VHCEA)、並びに(iv)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号65のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む。特定の一態様では、CEAへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、(i)配列番号60のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号61のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号62のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHCEA)、並びに(iv)配列番号63のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号64のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号65のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む。
別の態様では、CEAへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインが、配列番号58のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)及び配列番号59のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)、又は配列番号68のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)及び配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む、上に定義されるアゴニスト性ICOS抗原結合分子が提供される。一態様では、CEAへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)及び配列番号59のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む。特に、CEAへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)及び配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む。
更なる態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメインが、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)への特異的結合能を有する抗原結合ドメインである、請求項1~3のいずれか一項に記載のアゴニスト性ICOS抗原結合分子が提供される。一態様では、FAPへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、(a)(i)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHFAP)、並びに(iv)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLFAP)、又は
(b)(i)配列番号44のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号45のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号46のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHFAP)、並びに(iv)配列番号47のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号48のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号49のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む。特定の一態様では、FAPへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、(a)(i)配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号37のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号38のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHFAP)、並びに(iv)配列番号39のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号40のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号41のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む。
別の態様では、FAPへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS抗原結合分子であって、該FAPへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインが、(a)配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)、及び配列番号43のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含むか、又は(b)配列番号50のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)、及び配列番号51のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。特定の態様では、FAPへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)、及び配列番号43のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む。更なる態様では、FAPへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)、及び配列番号51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む。
さらに、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、ICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインが、
(a)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
したがって、一態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、マウス免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、配列10のアミノ酸配列に少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。特に、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、マウス免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含むアゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
特定の態様では、配列番号296のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号297のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、マウス免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含むアゴニスト性ICOS結合分子が提供される。別の態様では、そのヒト化バリアント、すなわち、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130及び配列番号131からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに配列番号132、配列番号133、配列番号134及び配列番号135からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、ICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインが提供される。
別の態様では、本発明は、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、ウサギ免疫に由来するICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS結合分子を提供する。
一態様では、本発明は、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、配列18のアミノ酸配列に少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS結合分子を提供する。特に、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。
更なる態様では、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。特に、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号35のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。一態様では、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139及び配列番号140からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域H、並びに配列番号141、配列番号142及び配列番号143からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、そのヒト化バリアントが提供される。
更なる態様では、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。特定の一態様では、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号26のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。更なる態様では、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号298のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号299のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。別の態様では、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号300のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号301のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。一態様では、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150及び配列番号151からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに配列番号152及び配列番号153からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、そのヒト化バリアントが提供される。
一態様では、本発明は、本明細書において前に定義されるアゴニスト性ICOS抗原結合分子であって、
(a)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する1つの抗原結合ドメインと、
(b)ICOSへの特異的結合能を有する1つのFab断片と、
(c)Fc受容体に対する抗原結合分子の結合親和性及び/又はエフェクター機能を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインと、を含む、アゴニスト性ICOS抗原結合分子を提供する。特に、アゴニスト性ICOS抗原結合分子は、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによるナンバリング)を含む、ヒトIgG1サブクラスのFcドメインを含む。
別の態様では、本発明は、本明細書において前に定義されるアゴニスト性ICOS抗原結合分子であって、
(a)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する1つの抗原結合ドメインと、
(b)ICOSへの特異的結合能を有する2つのFab断片と、
(c)Fc受容体に対する抗原結合分子の結合親和性及び/又はエフェクター機能を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインと、を含む、アゴニスト性ICOS抗原結合分子を提供する。特に、ヒトIgG1サブクラスのFcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによるナンバリング)を含む。
特定の態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメインはクロスFab断片である。
本発明の例示的アゴニスト性ICOS抗体
更なる態様では、アゴニスト性ICOS抗原結合分子、特に抗体であって、(a)(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、を含む、アゴニスト性ICOS抗原結合分子、特に抗体を提供する。
一態様では、アゴニスト性ICOS抗原結合分子、特に抗体は、マウス免疫化に由来し、(i)配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに(iv)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号9のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。別の態様では、アゴニスト性ICOS抗原結合分子、特に抗体は、ウサギ免疫に由来し、(i)配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)と、(iv)配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)と、(iv)配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は(i)配列番号28のアミノ酸配列を含むCDR-H1、(ii)配列番号29のアミノ酸配列を含むCDR-H2、及び(iii)配列番号30のアミノ酸配列を含むCDR-H3を含む重鎖可変領域(VHICOS)と、(iv)配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-L1、(v)配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-L2、及び(vi)配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-L3を含む軽鎖可変領域(VLICOS)と、を含む。
一態様では、アゴニスト性ICOS抗原結合分子、特に抗体であって、
(a)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS抗原結合分子、特に抗体が提供される。
したがって、一態様では、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、マウス免疫化に由来するアゴニスト性ICOS抗原結合分子、特に抗体が提供される。特に、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、マウス免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含むアゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
特定の態様では、配列番号296のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号297のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、マウス免疫化に由来するアゴニスト性ICOS抗原結合分子が提供される。別の態様では、そのヒト化バリアント、すなわち、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130及び配列番号131からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに配列番号132、配列番号133、配列番号134及び配列番号135からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、ICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインが提供される。
別の態様では、本発明は、ウサギ免疫に由来するアゴニスト性ICOS結合分子であって、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS抗原結合分子を提供する。
一態様では、本発明は、配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、ウサギ免疫化に由来するアゴニスト性ICOS抗原結合分子を提供する。特に、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。
更なる態様では、ウサギ免疫化に由来するアゴニスト性ICOS抗原結合分子は、配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。特に、ウサギ免疫化に由来するICOSへの特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、配列番号34のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号35のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。一態様では、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139及び配列番号140からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域H、並びに配列番号141、配列番号142及び配列番号143からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、そのヒト化バリアントが提供される。
更なる態様では、アゴニスト性ICOS抗原結合分子は、配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。特定の一態様では、ウサギ免疫化に由来するアゴニスト性ICOS抗原結合分子は、配列番号26のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。更なる態様では、ウサギ免疫化に由来するアゴニスト性ICOS抗原結合分子は、配列番号298のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び、配列番号299のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。別の態様では、ウサギ免疫化に由来するアゴニスト性ICOS抗原結合分子は、配列番号300のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号301のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む。一態様では、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150及び配列番号151からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、並びに配列番号152及び配列番号153からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、そのヒト化バリアントが提供される。
一態様において、アゴニスト性ICOS抗原結合分子は全長抗体である。別の態様では、アゴニスト性ICOS抗原結合分子はFab断片又はクロスFab断片である。特定の態様において、アゴニスト性ICOS抗原結合分子はヒト化抗体である。
本発明の例示的な二重特異性アゴニスト性ICOS抗原結合分子
一態様において、本発明は、(a)ICOSへの特異的結合能を有する1つの抗原結合ドメインと、(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する1つの抗原結合ドメインと、(c)Fcドメインとを含む、二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子を提供する。したがって、この場合、アゴニスト性ICOS結合分子は、ICOSへの結合については一価であり、腫瘍関連抗原への結合については一価である(1+1フォーマット)。
特定の態様では、アゴニスト性ICOS結合分子であって、(a)ICOSへの特異的結合能を有する第1のFab断片と、(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する第2のFab断片と、(c)互いに安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインとを含む、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
一態様では、アゴニスト性ICOS結合分子であって、(a)ICOSへの特異的結合能を有する第1のFab断片と、(b)VHドメイン及びVLドメインを含む腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する第2の抗原結合ドメインと、(c)互いに安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインとを含み、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメインのVHドメイン及びVLドメインの一方が、Fcドメインの第1のサブユニットのC末端に融合されており、VH及びVLの他方が、Fcドメインの第2のサブユニットのC末端に融合されている、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。そのような分子は、1+1 head-to-tailと呼ばれる。
別の態様では、本発明は、(a)ICOSへの特異的結合能を有する2つの抗原結合ドメインと、(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する1つの抗原結合ドメインと、(c)Fcドメインとを含む、二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子を提供する。したがって、この場合、アゴニスト性ICOS結合分子は、ICOSへの結合については二価であり、腫瘍関連抗原への結合については一価である(2+1フォーマット)。
一態様では、アゴニスト性ICOS結合分子であって、(a)ICOSへの特異的結合能を有する2つのFab断片と、(b)VHドメイン及びVLドメインを含む腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する第2の抗原結合ドメインと、(c)互いに安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインとを含み、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメインのVHドメイン及びVLドメインの一方が、Fcドメインの第1のサブユニットのC末端に融合されており、VH及びVLの他方が、Fcドメインの第2のサブユニットのC末端に融合されている、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。そのような分子は2+1と呼ばれる。
別の態様では、本発明は、(a)ICOSへの特異的結合能を有する第1のFab断片と、(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する第2のFab断片と、(c)ICOSへの特異的結合能を有する第3のFab断片と、(d)安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインとを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、第2のFab断片(b)が、Fab重鎖のC末端において第1のFab断片(a)のFab重鎖のN末端に融合され、そのC末端において第1のFcドメインサブユニットのN末端に融合され、第3のFab断片(c)が、Fab重鎖のC末端において第2のFcドメインサブユニットのN末端に融合されており、標的細胞抗原への特異的結合能を有する第2のFab断片(i)において、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変領域VL及びVHが互いに置換されている、アゴニスト性ICOS結合分子を提供する。
更に別の態様では、本発明は、(a)ICOSへの特異的結合能を有する第1のFab断片と、(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する第2のFab断片と、(c)ICOSへの特異的結合能を有する第3のFab断片と、(d)安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインとを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、第1のFab断片(a)が、Fab重鎖のC末端において第2のFab断片(b)のFab重鎖のN末端に融合され、そのC末端において第1のFcドメインサブユニットのN末端に融合され、第3のFab断片(c)が、Fab重鎖のC末端において第2のFcドメインサブユニットのN末端に融合されており、標的細胞抗原への特異的結合能を有する第2のFab断片(i)において、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変領域VL及びVHが互いに置換されている、アゴニスト性ICOS結合分子を提供する。
Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を低減するFcドメイン改変
本発明のアゴニスト性ICOS結合分子のFcドメインは、免疫グロブリン分子の重鎖ドメインを含む一対のポリペプチド鎖からなる。例えば、免疫グロブリンG(IgG)分子のFcドメインは、二量体であり、それぞれのサブユニットは、CH2及びCH3 IgG重鎖定常ドメインを含む。Fcドメインの2つのサブユニットは、互いに安定な会合が可能である。
したがって、腫瘍関連抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子は、IgG Fcドメイン、具体的にはIgG1 Fcドメイン又はIgG4 Fcドメインを含む。より具体的には、腫瘍関連抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子は、IgG1 Fcドメインを含む。
Fcドメインは、本発明の抗原結合分子に、標的組織への良好な蓄積に寄与する長い血清半減期、望ましい組織-血液分布比を含め、望ましい薬物動態特性を与える。しかし、同時に、好ましい抗原を含む細胞ではなく、Fc受容体を発現する細胞に対する本発明の二重特異性抗体の望ましくない標的化を引き起こす場合がある。したがって、特定の態様では、本発明のアゴニスト性ICOS結合分子のFcドメインは、天然のIgG1 Fcドメインと比較して、低下したFc受容体に対する結合親和性及び/又は低下したエフェクター機能を示す。一態様では、FcドメインはFc受容体に実質的に結合せず、及び/又はエフェクター機能を誘導しない。特定の態様では、Fc受容体は、Fcγ受容体である。一態様では、Fc受容体は、ヒトFc受容体である。具体的な態様では、Fc受容体は、活性化ヒトFcγ受容体であり、より具体的には、ヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIaであり、最も具体的には、ヒトFcγRIIIaである。一態様では、Fcドメインはエフェクター機能を誘導しない。エフェクター機能の低下としては、限定されないが、以下の1つ以上が挙げられ得る:補体依存性細胞傷害(CDC)の低下、抗体依存性細胞傷害(ADCC)の低下、抗体依存性細胞食作用(ADCP)の低下、サイトカイン分泌の低下、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込みの低下、NK細胞に対する結合の低下、マクロファージに対する結合の低下、単球に対する結合の低下、多形核細胞に対する結合の低下、直接的なシグナル伝達誘発性アポトーシスの低下、樹状細胞成熟の低下、又はT細胞プライミングの低下。
特定の態様では、1つ以上のアミノ酸改変は、本明細書で提示される抗体のFcドメインに導入されてもよく、それにより、Fc領域バリアントを作製する。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置でアミノ酸改変(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4 Fc領域)を含んでいてもよい。
特定の態様では、本発明は、Fcドメインが、Fc受容体に対する、特にFcγ受容体への結合を減少させる1つ以上のアミノ酸置換を含む抗体を提供する。
一態様において、本発明の抗体のFcドメインは、Fc受容体に対するFcドメインの結合親和性及び/又はエフェクター機能を低下させる1つ以上のアミノ酸変異を含む。典型的には、同じ1つ以上のアミノ酸変異が、Fcドメインの2つのサブユニットのそれぞれに存在する。特に、Fcドメインは、E233、L234、L235、N297、P331及びP329の位置(EUナンバリング)にアミノ酸置換を含む。特に、Fcドメインは、IgG重鎖の234及び235(EUナンバリング)及び/又は329(EUナンバリング)の位置にアミノ酸置換を含む。より詳しくは、IgG重鎖中にアミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(「P329G LALA」、Kabat EUナンバリング)を有するFcドメインを含む本発明による抗体が提供される。アミノ酸置換L234A及びL235Aは、いわゆるLALA変異を指す。アミノ酸置換の「P329G LALA」の組合せは、ヒトIgG1 FcドメインのFcγ受容体結合をほぼ完全に消失させ、そのような突然変異型Fcドメインを調製する方法及びFc受容体結合又はエフェクター機能等のその特性を決定する方法も記載している国際特許出願の国際公開第2012/130831号A1に記載される。
Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能が低下した抗体としては、Fcドメインの残基238、265、269、270、297、327及び329の1つ以上の置換を有する抗体も挙げられる(米国特許第6,737,056号)。かかるFc突然変異体としては、アミノ酸位置265、269、270、297及び327のうち2つ以上での置換を有するFc突然変異体が挙げられ、残基265及び297がアラニンに置換されている、いわゆる「DANA」Fc突然変異体を含む(米国特許第7,332,581号)。
別の態様では、Fcドメインは、IgG4 Fcドメインである。IgG4抗体は、IgG1抗体と比較して、Fc受容体に対する結合親和性の低下と、エフェクター機能の低下を示す。より具体的な態様では、Fcドメインは、位置S228(Kabatナンバリング)にアミノ酸置換、特にアミノ酸置換S228Pを含むIgG4 Fcドメインである。より具体的な態様では、Fcドメインは、アミノ酸置換L235E及びS228P及びP329G(EUナンバリング)を含む、IgG4 Fcドメインである。そのようなIgG4 Fcドメインバリアント及びそれらのFcγ受容体結合特性は、国際公開第2012/130831号にも記載されている。
半減期が長くなり、新生児Fc受容体に対する結合が向上した抗体は、胎児に対する成熟IgGの移動を担い(Guyer,R.L.et al.、J.Immunol.117(1976)587-593及びKim,J.K.et al.、J.Immunol.24(1994)2429-2434)、米国特許出願公開第2005/0014934号に記載されている。これらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する1つ以上の置換を有するFc領域を含む。かかるFcバリアントは、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424又は434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するバリアントを含む(米国特許第7,371,826号)。Fc領域バリアントの他の例に関して、Duncan,A.R.及びWinter,G.、Nature 322(1988)738-740;米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;及び国際公開第94/29351号も参照。
Fc受容体への結合は、例えば、ELISAによって又は標準的な機器、例えばBIAcore機器(GE Healthcare)及び例えば組換え発現により得られ得るFc受容体を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって、容易に決定することができる。適切なかかる結合アッセイを本明細書に記載する。或いは、Fc受容体に対するFcドメイン又はFcドメインを含む細胞活性化二重特異性抗原結合分子の結合親和性は、特定のFc受容体を発現することが知られている細胞株(例えば、FcγIIIa受容体を発現するヒトNK細胞)を用いて評価されてもよい。Fcドメイン、又はFcドメインを含む本発明の二重特異性抗原結合分子のエフェクター機能は、当該技術分野において既知の方法により測定することができる。ADCCを測定するのに適したアッセイを本明細書に記載する。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの他の例は、米国特許第5,500,362号、Hellstrom et al.Proc Natl Acad Sci USA 83,7059-7063(1986)及びHellstrom et al.,Proc Natl Acad Sci USA 82,1499-1502(1985)、米国特許第5,821,337号、Bruggemann et al.,J Exp Med 166,1351-1361(1987)に記載される。あるいは、非放射性アッセイ方法を使用してもよい(例えば、フローサイトメトリー(CellTechnology、Inc.Mountain View、CA)のためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega、Madison、WI))。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替的又は追加的に、目的の分子のADCC活性は、例えば動物モデル、例えば、Clynes et al.,Proc Natl Acad Sci USA 95,652-656(1998)に開示されているものにおいてin vivoで評価されてもよい。
以下の章は、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を低下させるFcドメイン改変を含む、本発明のアゴニスト性ICOS結合分子の好ましい態様を記載する。一態様では、本発明は、二重特異性抗原結合分子(a)ICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、(c)安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメイン(FcドメインがFc受容体、特にFcγ受容体に対する抗体の結合親和性を減少させる1つ以上のアミノ酸置換を含む)とに関する。別の態様では本発明は、(a)ICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、(b)標的細胞抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、(c)安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインとを含み、Fcドメインが、エフェクター機能を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含む、アゴニスト性ICOS結合分子に関する。特定の態様において、Fcドメインは、アミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(Kabat EUインデックスによるナンバリング)を有する、ヒトIgG1サブクラスのFcドメインである。
本発明の一態様では、Fc領域は、D265位及びP329位にアミノ酸置換を含む。いくつかの態様では、Fc領域は、CH2ドメイン中にアミノ酸置換D265A及びP329G(「DAPG」)を含む。そのような一実施形態では、Fc領域はIgG1 Fc領域、特にマウスIgG1 Fc領域である。DAPG変異は、例えば国際公開第2016/030350号A1に記載されており、マウスFcガンマ受容体への抗原結合分子の結合を消失させるために重鎖のCH2領域に導入することができる。
ヘテロ二量体化を促進するFcドメイン改変
本発明のアゴニスト性ICOS結合分子は、Fcドメインの2つのサブユニットの片方又はもう一方に融合した異なる抗原結合部位を含み、そのため、Fcドメインの2つのサブユニットは、2つの非同一ポリペプチド鎖に含まれていてもよい。これらのポリペプチドの組換え同時発現及びその後の二量体化が、2つのポリペプチドのいくつかの可能な組合せをもたらす。組換え産生における本発明のアゴニスト性ICOS結合分子の収率及び純度を高めるために、本発明の二重特異性抗原結合分子のFcドメインに、所望なポリペプチドの会合を促進する改変を導入することが有利である。
したがって、特定の態様では、本発明は、(a)ICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、(c)互いに安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインとを含み、Fcドメインが、Fcドメインの第1及び第2のサブユニットの会合を促進する修飾を含むアゴニスト性ICOS結合分子に関する。ヒトIgG Fcドメインの2つのサブユニット間の最も長いタンパク質-タンパク質相互作用の部位は、FcドメインのCH3ドメインの中にある。したがって、一態様において前記改変はFcドメインのCH3ドメインの中にある。
具体的な態様では、当該修飾は、いわゆる「ノブ・イントゥ・ホール」修飾であり、Fcドメインの2つのサブユニットの1つに「ノブ」修飾と、Fcドメインの2つのサブユニットの他の1つに「ホール」修飾とを含む。したがって、本発明は、(a)ICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、(b)腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、(c)互いに安定な会合が可能な第1及び第2のサブユニットで構成されるFcドメインであって、ノブ・イントゥ・ホール法に従って、Fcドメインの第1のサブユニットはノブを含み、Fcドメインの第2のサブユニットはホールを含む、Fcドメインとを含む、アゴニスト性ICOS結合分子に関する。特定の態様において、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換S354C及びT366W(EUナンバリング)を含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換Y349C、T366S及びY407Vを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
ノブ・イントゥ・ホール技術は、例えば、米国特許第5,731,168号、米国特許第7,695,936号、Ridgway et al.,Prot Eng 9,617-621(1996)及びCarter,J Immunol Meth 248,7-15(2001)に記載されている。一般的に、この方法は、第1のポリペプチドの界面にある突起(「ノブ」)と、第2のポリペプチドの界面にある空洞(「ホール」)とを導入することを含み、その結果、突起が、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨害するように空洞内に位置することができる。突起は、第1のポリペプチドの界面からの小さなアミノ酸側鎖を、もっと大きな側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)と交換することによって構築される。突起と同一又は同様のサイズの代償的空洞が、大きなアミノ酸側鎖をより小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニン又はトレオニン)と置き換えることによって、第2のポリペプチドの界面に作られる。
したがって、一態様において、本発明のアゴニスト性ICOS結合分子のFcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は、より大きな側鎖容積を有するアミノ酸残基と置き換わり、それによって、第2のサブユニットのCH3ドメイン内の空洞内で位置換え可能な第1のサブユニットのCH3ドメイン内に突起を生成し、Fcドメインの第2のサブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は、より小さな側鎖容積を有するアミノ酸残基と置き換わり、それによって、第2のサブユニットのCH3ドメイン内に空洞を生成し、その中で、第1のサブユニットのCH3ドメイン内の突起が位置換え可能である。突起及び空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を変えることによって、例えば、部位特異的変異誘発によって又はペプチド合成によって作り出すことができる。具体的な態様において、Fcドメインの第1のサブユニットのCH3ドメインにおいて、位置366のトレオニン残基が、トリプトファン残基と置き換わっており(T366W)、Fcドメインの第2のサブユニット(のCH3ドメイン)において、位置407のチロシン残基は、バリン残基と置き換わっている(Y407V)。一態様において、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、更に、位置366のトレオニン残基が、セリン残基と置き換わっており(T366S)、位置368のロイシン残基が、アラニン残基と置き換わっている(L368A)。
なお更なる態様において、Fcドメインの第1のサブユニットにおいて、更に、位置354のセリン残基が、システイン残基と置き換わっており(S354C)、Fcドメインの第2のサブユニットにおいて、更に、位置349のチロシン残基が、システイン残基と置き換わっている(Y349C)。これら2つのシステイン残基の導入によって、Fcドメインの2つのサブユニット間にジスルフィド架橋が生成し、二量体を更に安定化する(Carter(2001),J Immunol Methods 248,7-15)。特定の態様において、Fcドメインの第1のサブユニットは、アミノ酸置換S354C及びT366W(EUナンバリング)を含み、Fcドメインの第2のサブユニットは、アミノ酸置換Y349C、T366S及びY407Vを含む(Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
一態様では、Fc領域の第1のサブユニットは392位及び409位にアスパラギン酸残基(D)を含み、Fc領域の第2のサブユニットは位置356位及び399位にリジン残基(K)を含む。いくつかの実施形態では、Fc領域の第1のサブユニットにおいて、392位及び409位のリジン残基はアスパラギン酸残基で置換され(K392D、K409D)、Fc領域の第2のサブユニットにおいて、356位のグルタミン酸残基及び399位のアスパラギン酸残基はリジン残基で置換される(E356K、D399K)。「DDKK」ノブ・イントゥ・ホール(knob-into-hole)技術は、例えば国際公開第2014/131694号A1に記載されており、相補的アミノ酸残基を提供するサブユニットを担持する重鎖の構築に有利である。
代替的な態様において、Fcドメインの第1及び第2のサブユニットの会合を促進する改変は、例えば、PCT出願国際公開第2009/089004号に記載されている静電ステアリング効果を媒介する改変を含む。一般に、この方法は、ホモ二量体形成が静電的に望ましくないが、ヘテロ二量化が静電的に望ましくなるように、荷電アミノ酸残基による2つのFcドメインサブユニットの界面での1つ以上のアミノ酸残基の置き換えを伴う。
本明細書に報告されるような二重特異性抗体の重鎖のC末端は、アミノ酸残基PGKで終わる完全なC末端であってもよい。重鎖のC末端は、C末端アミノ酸残基のうちの1つ又は2つが除去された、短くなったC末端であってもよい。好ましい一態様において、重鎖のC末端は、PGで終わる短くなったC末端である。一態様では、本明細書に報告される全ての態様のうちの1つの態様において、本明細書に明記されるC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む二重特異性抗体は、C末端グリシン-リシンジペプチドを含む(G446及びK447、Kabat EUインデックスによるナンバリング)。本明細書に報告される全ての態様のうちの一実施形態において、本明細書に明記されるC末端のCH3ドメインを含む重鎖を含む二重特異性抗体は、C末端グリシン残基を含む(G446、Kabat EUインデックスによるナンバリング)。
本発明の例示的なアゴニスト性ICOS抗原結合分子
一態様では、配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号43のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、ICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含む、アゴニスト性ICOS結合分子であって、
(a)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
より具体的には、二重特異性抗原結合分子であって、当該分子が、
(i)配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号43のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含むか、又は配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む、FAPへの特異的結合能を有する第1のFab断片と、
(ii)ICOSへの特異的結合能を有する第2のFab断片であって、
(a)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)、及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)、又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、第2のFab断片と、を含む、二重特異性抗原結合分子が提供される。
一態様では、配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号41のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する1つの抗原結合ドメインと、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含むICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含む、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
より具体的には、(i)配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号43のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む、FAPへの特異的結合能を有する第1のFab断片、並びに(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、ICOSへの特異的結合能を有する第2のFab断片を含む、二重特異性抗原結合分子が提供される。
一態様において、配列番号91のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号93のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号92のアミノ酸配列を含む第1の軽鎖と、配列番号94のアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む二重特異性抗原結合分子が提供される。
別の態様では、配列番号95のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号96のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号94のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む二重特異性抗原結合分子が提供される。
更なる態様では、分子は、ICOSへの特異的結合能を有する2つのFab断片を含む。特定の態様では、分子であって、
(i)配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号43のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含むか、又は配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む、FAPへの特異的結合能を有する第1の抗原結合ドメインと、
(ii)ICOSへの特異的結合能を有する2つのFab断片であって、それぞれが、
(a)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、2つのFab断片と、を含む分子が提供される。
特定の態様では、配列番号97のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号96のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号94のアミノ酸配列を含む2つの軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
別の特定の態様では、配列番号98のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号99のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号100のアミノ酸配列を含む2つの軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
別の特定の態様では、配列番号98のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号101のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号100のアミノ酸配列を含む2つの軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
別の特定の態様では、配列番号102のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号103のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号104のアミノ酸配列を含む2つの軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
更に別の態様では、配列番号105のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号106のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号107のアミノ酸配列を含む2つの軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
別の態様では、配列番号108のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号109のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号107のアミノ酸配列を含む2つの軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
別の態様では、配列番号110のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号111のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号107のアミノ酸配列を含む2つの軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
さらなる態様では、ICOSへの特異的結合能を有する2つのFab断片及びFAPへの特異的結合能を有するFab断片を含む分子が提供される。
更なる態様では、分子は、ICOSへの特異的結合能を有する2つのFab断片を含む。
特定の態様では、分子であって、
(i)配列番号42のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号43のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含むか、又は配列番号50のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHFAP)及び配列番号51のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLFAP)を含む、FAPへの特異的結合能を有する第1のFab断片と、
(ii)ICOSへの特異的結合能を有する2つのFab断片であって、それぞれが、
(a)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)、及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、2つのFab断片と、を含む分子が提供される。
一態様では、配列番号112のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号114のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号113のアミノ酸配列を含む2つの第1の軽鎖と、配列番号115のアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
別の態様では、配列番号116のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号118のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号117のアミノ酸配列を含む2つの第1の軽鎖と、配列番号119のアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む二重特異性アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
一態様では、配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)及び配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含むCEAの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、ICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含む、アゴニスト性ICOS結合分子であって、
(a)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
より具体的には、二重特異性抗原結合分子であって、当該分子が、
(i)配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)と配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)とを含む、CEAへの特異的結合能を有する第1のFab断片と、
(ii)ICOSへの特異的結合能を有する第2のFab断片であって、
(a)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(c)配列番号26のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)、又は
(d)配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含む、第2のFab断片と、を含む二重特異性抗原結合分子が提供される。
一態様では、配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)及び配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する1つの抗原結合ドメインと、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)を含むICOSへの特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含む、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
より具体的には、(i)配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)と配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)とを含む、FAPへの特異的結合能を有する第1のFab断片、及び(ii)配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHICOS)と配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLICOS)とを含む、ICOSへの特異的結合能を有する第2のFab断片を含む、二重特異性抗原結合分子が提供される。
一態様において、配列番号202のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号204のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号203のアミノ酸配列を含む第1の軽鎖と、配列番号205のアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む二重特異性抗原結合分子が提供される。
一態様において、配列番号206のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号208のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号207のアミノ酸配列を含む第1の軽鎖と、配列番号209のアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む二重特異性抗原結合分子が提供される。
別の態様では、配列番号206のアミノ酸配列を含む第1の重鎖(HC1)と、配列番号210のアミノ酸配列を含む第2の重鎖(HC2)と、配列番号207のアミノ酸配列を含む第1の軽鎖と、配列番号211のアミノ酸配列を含む第2の軽鎖とを含む二重特異性抗原結合分子が提供される。
本発明で使用するための例示的な抗CEA/抗CD3二重特異性抗体
本発明は、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、及びアゴニスト性ICOS抗原結合分子と組み合わせたそれらの使用、特に、がんを処置する又は進行を遅延させるための、より具体的には固形腫瘍を処置する又は進行を遅延させるための方法におけるそれらの使用に関する。本明細書で使用される抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、CD3に結合する第1の抗原結合ドメインと、CEAに結合する第2の抗原結合ドメインと、を含む二重特異性抗体である。
したがって、本明細書で使用される抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、重鎖可変領域(VHCD3)及び軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメインと、重鎖可変領域(VHCEA)及び軽鎖可変領域(VLCEA)を含む第2の抗原結合ドメインと、を含む。
特定の態様では、組合せにおける使用のための抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号218のCDR-H1配列、配列番号219のCDR-H2配列及び配列番号220のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号221のCDR-L1配列、配列番号222のCDR-L2配列、及び配列番号223のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメインを含む。より詳しくは、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号224のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号225のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である軽鎖可変領域(VLCD3)を含む第1の抗原結合ドメインを含む。更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号224のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCD3)、及び/又は配列番号225のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCD3)を含む。
一態様では、CD3に特異的に結合する抗体は全長抗体である。一態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、ヒトIgGクラスの抗体、特にヒトIgG1クラスの抗体である。一態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、抗体断片、特にFab分子又はscFv分子、より具体的にはFab分子である。特定の態様では、CD3に特異的に結合する抗体は、Fab重鎖及びFab軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換されている(すなわち、互いに置き換えられる)クロスオーバーFab分子である。一態様では、CD3に特異的に結合する抗体はヒト化抗体である。
別の態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、
(a)配列番号226のCDR-H1配列、配列番号227のCDR-H2配列、及び配列番号228のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号229のCDR-L1配列、配列番号230のCDR-L2配列、及び配列番号231のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)、又は
(b)配列番号234のCDR-H1配列、配列番号235のCDR-H2配列、及び配列番号236のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号237のCDR-L1配列、配列番号238のCDR-L2配列、及び配列番号239のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む、第2の抗原結合ドメインを含む。
より詳しくは、抗CEA/抗CD3二重特異性は、配列番号232のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号233のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である軽鎖可変領域(VLCEA)を含む第2の抗原結合ドメインを含む。更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性は、配列番号232のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む、第2の抗原結合ドメインを含む。別の態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性は、配列番号240のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号241のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である軽鎖可変領域(VLCEA)を含む第2の抗原結合ドメインを含む。更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性は、配列番号240のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号241のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む、第2の抗原結合ドメインを含む。
別の特定の態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、CEAに結合する第3の抗原結合ドメインを含む。特に、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、
(a)配列番号226のCDR-H1配列、配列番号227のCDR-H2配列、及び配列番号228のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号229のCDR-L1配列、配列番号230のCDR-L2配列、及び配列番号231のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)、又は
(b)配列番号234のCDR-H1配列、配列番号235のCDR-H2配列、及び配列番号236のCDR-H3配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号237のCDR-L1配列、配列番号238のCDR-L2配列、及び配列番号239のCDR-L3配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む、第3の抗原結合ドメインを含む。
より詳しくは、抗CEA/抗CD3二重特異性は、配列番号232のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号233のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である軽鎖可変領域(VLCEA)を含む第3の抗原結合ドメインを含む。更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性は、配列番号232のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号233のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む、第3の抗原結合ドメインを含む。別の特定の態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性は、配列番号240のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号241のアミノ酸配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%若しくは99%同一である軽鎖可変領域(VLCEA)を含む第3の抗原結合ドメインを含む。更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性は、配列番号240のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VHCEA)、及び/又は配列番号241のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VLCEA)を含む、第3の抗原結合ドメインを含む。
更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は二重特異性抗体であり、第1の抗原結合ドメインは、Fab重鎖及びFab軽鎖の可変ドメイン又は定常ドメインが交換されたクロスFab分子であり、第2及び第3の抗原結合ドメインは、存在する場合、従来のFab分子である。
別の態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は二重特異性抗体であり、(i)第2の抗原結合ドメインはFab重鎖のC末端において第1の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されており、第1の抗原結合ドメインはFab重鎖のC末端においてFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、第3の抗原結合ドメインはFab重鎖のC末端においてFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されており、又は(ii)第1の抗原結合ドメインはFab重鎖のC末端において第2の抗原結合ドメインのFab重鎖のN末端に融合されており、第2の抗原結合ドメインはFab重鎖のC末端でFcドメインの第1のサブユニットのN末端に融合されており、第3の抗原結合ドメインはFab重鎖のC末端でFcドメインの第2のサブユニットのN末端に融合されている。
複数のFab分子はFcドメインに、又は互いに、直接、又は、典型的には約2~20個のアミノ酸を含む、1つ以上のアミノ酸を含む、ペプチドリンカーを介して、融合することができる。ペプチドリンカーは、当技術分野に知られており、本明細書に説明されている。適切な非免疫原性ペプチドリンカーには、例えば、(G4S)n、(SG4)n、(G4S)n又はG4(SG4)nペプチドリンカーが挙げられる。「n」は、一般的に、1~10、典型的には2~4の整数である。一実施形態では、上記ペプチドリンカーは、少なくとも5アミノ酸長を有し、一実施形態では、5~100アミノ酸長、更なる実施形態では、10~50アミノ酸長を有する。一実施形態では、前記リンカーペプチドは、(GxS)n又は(GxS)nGmであり、G=グリシン、S=セリン、及び(x=3、n=3、4、5又は6、m=0、1、2又は3)、又は(x=4、n=2、3、4又は5、m=0、1、2又は3)であり、一実施形態では、x=4、n=2又は3、更なる実施形態では、x=4、n=2である。一実施形態では、前記ペプチドリンカーは(G4S)2である。第1及び第2のFab分子のFab軽鎖を互いに融合するのに特に適したペプチドリンカーは、(G4S)2である。第1及び第2のFab断片のFab重鎖に接続するのに好適な、例示的なペプチドリンカーは、配列(D)-(G4S)2を含む。別の適切なそのようなリンカーは、配列(G4S)4を含む。加えて、リンカーは、免疫グロブリンヒンジ領域(の一部)を含んでいてもよい。特に、Fab分子がFcドメインサブユニットのN末端に融合する場合、免疫グロブリンヒンジ領域又はその一部を介して、さらなるペプチドリンカーを伴い又は伴うことなく融合していてもよい。
更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、Fc受容体に対する結合及び/又はエフェクター機能を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を含むFcドメインを含む。特に、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、アミノ酸置換L234A、L235A及びP329Gを含むIgG1 Fcドメインを含む。
特定の態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号242の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、配列番号243の配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、配列番号244の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、及び配列番号245の配列に対して少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチドを含む。更に特定の実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号242のポリペプチド配列、配列番号243のポリペプチド配列、配列番号244のポリペプチド配列及び配列番号245のポリペプチド配列を含む(CEA CD3 TCB)。
更に具体的な態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号246の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、配列番号247の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、配列番号248の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、及び配列番号249の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチドを含む。更に特定の実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号246のポリペプチド配列、配列番号247のポリペプチド配列、配列番号248のポリペプチド配列及び配列番号249のポリペプチド配列を含む(CEACAM5 CD3 TCB)。
特定の二重特異性抗体は、PCT出願国際公開第2014/131712号A1に記載されている。
更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体はまた、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE(登録商標))を含み得る。更なる態様では、抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、国際公開第2007/071426号又は国際公開第2014/131712号に記載される二重特異性抗体である。別の態様において、二重特異性抗体はMEDI565である。
別の態様では、本発明は、重鎖可変領域(VHmuCD3)及び軽鎖可変領域(VLmuCD3)を含む第1の抗原結合ドメインと、重鎖可変領域(VHmuCEA)及び軽鎖可変領域(VLmuCEA)を含む第2の抗原結合ドメインと、重鎖可変領域(VHmuCEA)及び軽鎖可変領域(VLmuCEA)を含む第3の抗原結合ドメインとを含む、マウス抗CEA/抗CD3二重特異性抗体に関する。
特定の態様では、マウス抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号250の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、配列番号251の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、配列番号252の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチド、配列番号253の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%同一のポリペプチドを含む。更に特定の態様では、マウス抗CEA/抗CD3二重特異性抗体は、配列番号250のポリペプチド配列、配列番号251のポリペプチド配列、配列番号252のポリペプチド配列及び配列番号253のポリペプチド配列を含む(mu CEA CD3 TCB)。
本発明で使用するためのPD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤
本発明の一態様では、アゴニスト性ICOS抗原結合分子は、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤と組み合わせて使用するためのものである。別の態様では、アゴニスト性ICOS抗原結合分子は、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤をCD3二重特異性抗体と組み合わせて使用するためのものである。これら全ての態様では、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである。特に、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、抗PD-L1抗体又は抗PD-1抗体である。
CD274又はB7-H1としても知られている「PD-L1」という用語は、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)、並びに齧歯類(例えばマウス及びラット)等の哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する、任意の天然PD-L1(特に、「ヒトPD-L1」)を意味する。完全ヒトPD-L1のアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)受託番号Q9NZQ7(配列番号286)に示されている。「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1、B7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減する、遮断する、阻害する、消失させる、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-L1結合拮抗剤は、PD-L1のPD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合拮抗薬は、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、PD-1、B7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減する、遮断する、阻害する、消失させる、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球上で発現された細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能不全のT細胞の機能不全状態を軽減する(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)。特に、PD-L1結合拮抗剤は、抗PD-L1抗体である。「抗PD-L1抗体」、又は「ヒトPD-L1に結合する抗体」、又は「ヒトPD-L1に特異的に結合する抗体」、又は「アンタゴニスト抗PD-L1」という用語は、1.0×10-8mol/l以下のKD値、一態様においては、1.0×10-9mol/l以下のKD値の結合親和性で、ヒトPD-L1抗原に特異的に結合する抗体を意味する。結合親和性は、表面プラズモン共鳴技術(BIAcore(登録商標),GE-Healthcare Uppsala,Sweden)等の標準的な結合アッセイを用いて測定される。
特定の態様では、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、抗PD-L1抗体である。具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(MPDL3280A、RG7446)、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベルマブ(MSB0010718C)及びMDX-1105からなる群より選択される。具体的な一態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のYW243.55.S70である。別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMDX-1105である。さらに別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、MEDI4736(デュルバルマブ)である。なお更なる態様では、抗PD-L1抗体は、MSB0010718C(アベルマブ)である。より詳しくは、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤はアテゾリズマブ(MPDL3280A)である。別の態様において、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、配列番号288の重鎖可変ドメインVH(PDL-1)及び配列番号289の軽鎖可変ドメインVL(PDL-1)を含む抗PD-L1抗体である。別の態様において、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、配列番号290の重鎖可変ドメインVH(PDL-1)及び配列番号291の軽鎖可変ドメインVL(PDL-1)を含む抗PD-L1抗体である。
CD279、PD1又はプログラム細胞死タンパク質1としても知られる「PD-1」という用語は、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含む任意の脊椎動物供給源由来の任意の天然PD-L1、特にUniProt(www.uniprot.org)受託番号Q15116(配列番号287)に示されるアミノ酸配列を有するヒトタンパク質PD-1を指す。「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L2への結合を阻害する。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L1及びPD-L2の両方への結合を阻害する。特に、PD-L1結合拮抗剤は、抗PD-L1抗体である。「抗PD-1抗体」、又は「ヒトPD-1に結合する抗体」、又は「ヒトPD-1に特異的に結合する抗体」、又は「アンタゴニスト抗PD-1」という用語は、1.0×10-8mol/l以下のKD値、一態様では、1.0×10-9mol/l以下のKD値の結合親和性で、ヒトPD1抗原に特異的に結合する抗体を意味する。結合親和性は、表面プラズモン共鳴技術(BIAcore(登録商標),GE-Healthcare Uppsala,Sweden)等の標準的な結合アッセイを用いて測定される。
一態様では、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、抗PD-1抗体である。具体的な態様では、抗PD-1抗体は、MDX1106(ニボルマブ)、MK-3475(ペンブロリズマブ)、CT-011(ピディリズマブ)、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、及びBGB-108からなる群より、特にペンブロリズマブ及びニボルマブから選択される。別の態様において、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、配列番号292の重鎖可変ドメインVH(PD-1)及び配列番号293の軽鎖可変ドメインVL(PD-1)を含む抗PD-1抗体である。別の態様において、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、配列番号294の重鎖可変ドメインVH(PD-1)及び配列番号295の軽鎖可変ドメインVL(PD-1)を含む抗PD-1抗体である。
ポリヌクレオチド
本発明は更に、本明細書中に記載のアゴニスト性ICOS結合分子若しくはT細胞二重特異性抗体又はその断片をコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
本発明の二重特異性抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドは、完全な抗原結合分子をコードする単一のポリヌクレオチドとして発現されてもよく、又は同時発現される複数の(例えば、2つ以上の)ポリヌクレオチドとして発現されてもよい。一緒に発現するポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、例えば、ジスルフィド結合又は他の手段を介して会合し、機能的な抗原結合分子を形成してもよい。例えば、免疫グロブリンの軽鎖部分は、免疫グロブリンの重鎖部分由来の別個のポリヌクレオチドによってコードされてもよい。同時発現する場合、重鎖ポリペプチドは、軽鎖ポリペプチドと会合し、免疫グロブリンを形成する。
いくつかの態様では、単離ポリヌクレオチドは、本明細書に記載する本発明に係る抗原結合分子全体をコードする。他の実施形態では、単離ポリヌクレオチドは、本明細書に記載する本発明に係る抗体に含まれるポリペプチドをコードする。
特定の実施形態では、ポリヌクレオチド又は核酸は、DNAである。他の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、RNAであり、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)の形態である。本発明のRNAは、一本鎖又は二本鎖であってもよい。
組換え方法
本発明の二重特異性抗体は、例えば、固体状態ペプチド合成(例えば、Merrifield固相合成)又は組換え産生によって得られてもよい。組換え産生のために、抗体又はそのポリペプチド断片をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを、例えば上記のように単離し、宿主細胞におけるさらなるクローニング及び/又は発現のために1つ以上のベクターに挿入する。このようなポリヌクレオチドは、従来の手順を用い、容易に単離され、配列決定されてもよい。本発明の一態様において、本発明のポリヌクレオチドの1つ以上を含むベクター、好ましくは発現ベクターを提供する。当業者に周知の方法を使用し、適切な転写/翻訳制御シグナルと共に、抗体(断片)のコード配列を含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、in vitro組換えDNA技術、合成技術及びin vivo組換え/遺伝子組換えが挙げられる。例えば、Maniatis et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.(1989)、及びAusubel et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Greene Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.(1989)に記載される手法を参照されたい。発現ベクターは、プラスミド、ウイルスの一部であることができ、又は核酸断片であってもよい。発現ベクターは、抗体又はそのポリペプチド断片(即ちコード領域)をコードするポリヌクレオチドが、プロモーター、及び/又は他の転写若しくは翻訳調節要素と作動可能に会合してクローニングされる発現カセットを含む。本明細書で使用される場合、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部である。「停止コドン」(TAG、TGA又はTAA)は、アミノ酸に翻訳されないが、コード領域の一部であると考えられてもよいが、存在する場合、任意のフランキング配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、5’及び3’未翻訳領域等は、コード領域の一部ではない。2つ以上のコード領域が、単一のポリヌクレオチド構築物中に、例えば、単一のベクター上に、存在していてもよく、又は別個のポリヌクレオチド構築物中に、例えば別個の(異なる)ベクター上に、存在していてもよい。さらに、任意のベクターは、単一のコード領域を含んでいてもよく、又は2つ以上のコード領域を含んでいてもよく、例えば本発明のベクターは、1つ以上のポリペプチドをコードしてもよく、翻訳後又は翻訳と同時に、タンパク質分解による開裂によって、最終的なタンパク質へと分離される。更に、本発明のベクター、ポリヌクレオチド、又は核酸は、本発明の抗体、若しくはそのポリペプチド断片をコードするポリヌクレオチド、又はそのバリアント若しくは誘導体に融合している、又は非融合であるいずれかの、異種コード領域をコードすることができる。異種コード領域としては、限定されないが、特殊な要素又はモチーフ、例えば、分泌シグナルペプチド又は異種機能性ドメインが挙げられる。作動可能な会合は、ある遺伝子産物(例えばポリペプチド)のコード領域が、制御配列(複数可)の影響下又は制御下で、遺伝子産物の発現を行うような様式で、1つ以上の制御配列と会合する。2つのDNA断片(例えば、ポリペプチドコード領域及びこれに関連するプロモーター)は、プロモーター機能の導入によって、所望の遺伝子産物をコードするmRNAの転写が起こる場合、2つのDNA断片間の結合の性質が、遺伝子産物の発現を試行する発現制御配列の能力を妨害しないか、又はDNAテンプレートを転写する能力を妨害しない場合、「作動可能に会合する」。したがって、プロモーター領域は、プロモーターが核酸の転写を行うことが可能な場合、ポリペプチドをコードする核酸と作動可能に会合していてもよい。プロモーターは、所定の細胞内でのDNAの実質的な転写のみに指向する細胞特異的なプロモーターであってもよい。プロモーター以外の他の転写制御要素、例えば、エンハンサー、オペレーター、転写停止シグナルは、細胞特異的な転写に指向するために、ポリヌクレオチドに作動可能に会合してもよい。
適切なプロモーター及び他の転写制御領域は、本明細書に開示される。種々の転写制御領域が当業者に知られている。これらとしては、限定されないが、脊椎動物細胞内で機能する転写制御領域、例えば、限定されないが、サイトメガロウイルス由来のプロモーター及びエンハンサーセグメント(例えば最初期プロモーター、イントロン-Aと組み合わせる)、シミアンウイルス40(例えば初期プロモーター)及びレトロウイルス(例えばラウス肉腫ウイルス)が挙げられる。他の転写制御領域としては、脊椎動物遺伝子から誘導されるもの、例えば、アクチン、ヒートショックタンパク質、ウシ成長ホルモン及びウサギa-グロビン、及び真核細胞において遺伝子発現を制御することが可能な他の配列が挙げられる。更なる適切な転写制御領域としては、組織特異的なプロモーター及びエンハンサー、及び誘発性プロモーター(例えばプロモーター誘発性テトラサイクリン)が挙げられる。同様に、種々の翻訳制御要素は、当業者に知られている。これらとしては、限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始及び停止コドン、ウイルス系から誘導される要素(特に、内部リボソーム侵入部位、すなわちIRES、CITE配列とも呼ばれる)が挙げられる。発現カセットは、例えば、複製の起源及び/又は染色体組み込み要素、例えば、レトロウイルスの長い末端反復(LTR)、又はアデノ随伴ウイルス(AAV)末端逆位配列(ITR)等の他の特徴も含んでいてもよい。
本発明のポリヌクレオチド及び核酸コード領域は、分泌又はシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と会合してもよく、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの分泌を指示する。例えば、抗体又はそのポリペプチド断片の分泌が所望される場合、シグナル配列をコードするDNAを、本発明の抗体又はそのポリペプチド断片の核酸の上流に配置することができる。シグナル仮説によれば、哺乳動物細胞によって分泌されるタンパク質は、シグナルペプチド又は分泌リーダー配列を有しており、これらは、粗い小胞体を通って成長したタンパク質鎖が外に出始めると、成熟タンパク質からは開裂する。当業者は、脊椎動物細胞によって分泌されるポリペプチドが、一般的に、ポリペプチドのN末端に融合するシグナルペプチドを有しており、ポリペプチドの分泌した形態又は「成熟」形態を生成するために、翻訳されたポリペプチドから開裂することを知っている。特定の実施形態では、天然シグナルペプチド、例えば免疫グロブリン重鎖又は軽鎖シグナルペプチドが使用されるか、又は作動可能に会合するポリペプチドの分裂を指向する能力を保持する配列の機能性誘導体が使用される。或いは、異種哺乳動物シグナルペプチド、又はその機能性誘導体を使用してもよい。例えば、野生型リーダー配列は、ヒト組織プラスミノーゲンアクティベーター(TPA)又はマウスβ-グルクロニダーゼのリーダー配列で置換されてもよい。
後での精製(例えばヒスチジンタグ)を容易にする、又は、融合タンパク質の標識を補助するために使用可能な、短いタンパク質配列をコードするDNAを、本発明の二重特異性抗体、又はそのポリペプチド断片をコードするポリヌクレオチドの中に、又はその末端に含めることができる。
本発明の更なる態様において、本発明の1つ以上のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。特定の実施形態では、本発明の1つ以上のベクターを含む宿主細胞が提供される。ポリヌクレオチド及びベクターは、それぞれポリヌクレオチド及びベクターに関連して本明細書に記載する特徴のいずれかを単独で、又は組み合わせて組み込んでもよい。一態様において、宿主細胞は、本発明の本発明の抗体(の一部)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む(例えば、これにより形質転換されている、又はこれがトランスフェクションされている)。本明細書で使用する場合、「宿主細胞」という用語は、本発明の融合タンパク質又はその断片を生成するように操作することが可能な任意の種類の細胞系を指す。抗原結合分子を複製し、発現を補助するのに適した宿主細胞は、当該技術分野で周知である。かかる細胞は、適切な場合、特定の発現ベクターを用いてトランスフェクトされるか、又は形質導入されてもよく、大規模発酵機に接種するために大量のベクターを含む細胞を成長させ、臨床用途に十分な量の抗原結合分子を得ることができる。適切な宿主細胞としては、原核微生物(例えば大腸菌)又は種々の真核生物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、昆虫細胞等が挙げられる。例えば、ポリペプチドは、特にグリコシル化が必要とされない場合には、細菌内で産生されてもよい。発現後、ポリペプチドは、適切なフラクション中の細菌細胞ペーストから単離されてもよく、更に精製されてもよい。原核生物に加え、真核生物の微生物、例えば、糸状菌又は酵母は、ポリペプチドをコードするベクターに適切なクローニング又は発現の宿主であり、グリコシル化経路が「ヒト化」された真菌株及び酵母株を含み、部分的又は完全にヒトグリコシル化パターンを有するポリペプチドを産生する。Gerngross,Nat Biotech 22,1409-1414(2004)及びLi et al.,Nat Biotech 24,210-215(2006)を参照されたい。
(グリコシル化)ポリペプチドの発現に適した宿主細胞も、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)から誘導される。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多くのバキュロウイルス株が同定されており、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために、これを昆虫細胞と組み合わせて使用してもよい。植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載している)を参照されたい。脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁物中で成長するように適合した哺乳動物細胞株が有用な場合がある。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胎児性腎株(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載される293又は293T細胞);ベビーハムスター腎細胞(baby hamster kidney cell:BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載されるTM4細胞;サル腎細胞(CV1);アフリカミドリザル腎細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌腫細胞(HELA);イヌ腎細胞(MDCK);バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳癌細胞(MMT 060562);例えばMather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載されるTRI細胞;MRC 5細胞;並びにFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、dhfr-CHO細胞を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al.,Proc Natl Acad Sci USA 77,4216(1980))、骨髄腫細胞株、例えば、YO、NS0、P3X63及びSp2/0が挙げられる。タンパク質産生に適した特定の哺乳動物宿主細胞の総説としては、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。宿主細胞としては、培養細胞、例えば、ほんの数例を挙げると、哺乳動物培養細胞、酵母細胞、昆虫細胞、細菌細胞及び植物細胞が挙げられるが、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物又は培養植物又は動物組織に含まれる細胞も挙げられる。一実施形態では、宿主細胞は、真核細胞であり、好ましくは、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚腎臓(HEK)細胞又はリンパ球細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。これらの系において外来遺伝子を発現させる標準的な技術は、当該技術分野で既知である。免疫グロブリンの重鎖又は軽鎖のいずれかを含むポリペプチドを発現する細胞を組み換えて、他方の免疫グロブリン鎖を発現して、発現した生成物が、重鎖及び軽鎖の両方を有する免疫グロブリンとなるようにすることができる。
一態様において、本発明のアゴニスト性ICOS結合分子又はそのポリペプチド断片を製造する方法であって、本発明の抗体又はそのポリペプチド断片を発現するのに適した条件下で、本明細書で提供されるように、アゴニスト性ICOS結合分子又はそのポリペプチド断片をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養することと、本発明の抗体又はそのポリペプチド断片を宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から回収することと、を含む、方法を提供する。
特定の態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する抗原結合ドメイン、又は抗原結合分子の一部を形成するICOS(例えば、Fab断片、又はVH及びVL)への特異的結合能を有する抗原結合ドメインは、抗原への結合能を有する免疫グロブリン可変領域を少なくとも含む。可変領域は、天然又は非天然に存在する抗体及びその断片の一部を形成することができ、それらに由来し得る。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を産生する方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Harlow and Lane,「Antibodies,a laboratory manual」,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照されたい)。天然に存在しない抗体は、固相ペプチド合成を用いて構築することができ、組換えによって産生することができ(例えば、米国特許第4,186,567号に記載されるように)、又は例えば、可変重鎖及び可変軽鎖を含むコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって得ることができる(例えば、McCaffertyに対する米国特許第5,969,108号を参照されたい)。
免疫グロブリンの任意の動物種を本発明で使用することができる。本発明において有用な非限定的な免疫グロブリンは、マウス、霊長類、又はヒト起源のものであり得る。融合タンパク質がヒトへの使用を意図したものである場合、免疫グロブリンの定常領域がヒト由来であるキメラ形態の免疫グロブリンを使用してもよい。免疫グロブリンのヒト化形態又は完全なヒト形態は、当該技術分野で周知の方法に従って調製することもできる(例えば、Winterに対する米国特許第5,565,332号を参照されたい)。ヒト化は、限定されないが、(a)重要なフレームワーク残基(例えば、良好な抗原結合親和性又は抗体機能を維持するのに重要なもの)を保持しつつ、又は保持せずに、非ヒト(例えば、ドナー抗体)のCDRをヒト(例えば、レシピエント抗体)のフレームワーク領域及び定常領域に接合すること、(b)非ヒト特異性決定領域(SDR又はa-CDR;抗体-抗原相互作用にとって重要な残基)のみをヒトフレームワーク及び定常領域にグラフト接合すること、又は(c)全非ヒト可変ドメインを翻訳するが、表面残基を置き換えることによって、これらとヒト様部分とを「クローキング」することを含め、種々の方法によって達成されてもよい。ヒト化抗体及びそれらの作製方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front Biosci 13,1619-1633(2008)に概説されており、例えば、Riechmann et al.,Nature 332,323-329(1988);Queen et al.,Proc Natl Acad Sci USA 86,10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号及び同第7,087,409号;Jones et al.,Nature 321,522-525(1986);Morrison et al.,Proc Natl Acad Sci 81,6851-6855(1984);Morrison and Oi,Adv Immunol 44,65-92(1988);Verhoeyen et al.,Science 239,1534-1536(1988);Padlan,Molec Immun 31(3),169-217(1994);Kashmiri et al.,Methods 36,25-34(2005)(SDR(a-CDR)グラフト化を記載);Padlan,Mol Immunol 28,489-498(1991)(「リサーフェシング(resurfacing)」を記載);Dall’Acqua et al.,Methods 36,43-60(2005)(「FRシャッフリング」を記載);並びにOsbourn et al.,Methods 36,61-68(2005)及びKlimka et al.,Br J Cancer 83,252-260(2000)(FRシャッフリングに対する「ガイド選択」アプローチを記載)に更に記載されている。本発明による特定の免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンである。ヒト抗体及びヒト可変領域は、当該技術分野で知られている様々な技術を用いて作製することができる。ヒト抗体は、一般的に、van Dijk and van de Winkel、Curr Opin Pharmacol 5、368-74(2001)及びLonberg、Curr Opin Immunol 20、450-459(2008)に記載される。ヒト可変領域は、ハイブリドーマ法によって作製されたヒトモノクローナル抗体の一部を形成し得て、そのヒトモノクローナル抗体に由来し得る(例えば、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)を参照されたい)。ヒト抗体及びヒト可変領域はまた、抗原チャレンジに応答して、インタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製することができる(例えば、Lonberg,Nat Biotech 23,1117-1125(2005)を参照されたい。ヒト抗体及びヒト可変領域はまた、ヒト由来ファージディスプレイライブラリー(例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178,1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001);及びMcCafferty et al.,Nature 348,552-554;Clackson et al.,Nature 352,624-628(1991)を参照されたい)から選択されるFvクローン可変領域配列を単離することによって作製され得る。ファージは、典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片として、又はFab断片として、抗体断片を提示する。
特定の態様において、抗原結合(antikgne binding)ドメインは、例えば、PCT国際公開第2012/020006号(親和性成熟に関する実施例を参照)又は米国特許出願公開第2004/0132066号に開示される方法に従って、増強された結合親和性を有するように操作される。本発明の抗原結合分子が特定の抗原決定基に結合する能力は、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)又は当業者には知られている他の技術、例えば、表面プラズモン共鳴技術(Liljeblad et al.,Glyco J 17,323-329(2000))、及び従来の結合アッセイ(Heeley,Endocr Res 28,217-229(2002))のいずれかによって測定することができる。競合アッセイを使用して、特定の抗原への結合について参照抗体と競合する抗原結合分子を同定することができる。特定の実施形態では、かかる競合抗原結合分子は、参照抗原結合分子により結合されるのと同じエピトープ(例えば、直鎖状又は立体構造エピトープ)に結合する。抗原結合分子が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示の方法が、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,” in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供されている。例示的な競合アッセイにおいて、固定化された抗原を、抗原に結合する第1の標識抗原結合分子と、抗原に結合するために第1の抗原結合分子と競合する能力について試験されている第2の非標識抗原結合分子とを含む、溶液中でインキュベートする。第2の抗原結合分子は、ハイブリドーマ上清中に存在していてもよい。対照として、固定化された抗原を、第1の標識抗原結合分子を含むが第2の非標識抗原結合分子を含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体の抗原への結合を許容する条件下でのインキュベーションの後、過剰な非結合抗体を除去し、固定化された抗原に関連する標識の量を測定する。固定化された抗原に関連する標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に低減される場合、それは、第2の抗原結合分子が抗原への結合について第1の抗原結合分子と競合していることを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
本明細書に記載されるように調製される本発明のアゴニスト性ICOS結合分子は、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー等の、当該技術分野にて周知の技術により精製することができる。特定のタンパク質を精製するために使用される実際の条件は、一部には、正味の電荷、疎水性、親水性等の因子に依存し、当業者には明らかである。親和性クロマトグラフィー精製のために、二重特異性抗原結合分子が結合する抗体、リガンド、受容体、又は抗原を使用することができる。例えば、本発明の融合タンパク質を親和性クロマトグラフィー精製するために、プロテインA又はプロテインGを含むマトリックスを使用することができる。連続したプロテインA又はGの親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーを用いて、実施例にて本質的に記載しているように、抗原結合分子を単離することができる。二重特異性抗原結合分子又はその断片の純度は、ゲル電気泳動、高圧液体クロマトグラフィー等を含む、多種多様の周知の分析技術のいずれかにより測定することができる。例えば、実施例にて記載のとおりに発現する二重特異性抗原結合分子は、還元型、及び非還元型SDS-PAGEにより示されるように、インタクトであり、適切にアセンブルしたことが示された。
アッセイ
本明細書において提供する抗原結合分子の物理的/化学的性質、及び/又は生物活性を、当該技術分野において公知の様々なアッセイにより識別、スクリーニング、又は特性決定することができる。
1.親和性アッセイ
ICOS又は腫瘍関連抗原に対する本明細書で提供される抗体の親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって、BIAcore機器(GE Healthcare)等の標準的な機器を使用して、実施例に記載の方法に従って決定することができ、受容体又は標的タンパク質は、組換え発現によって得ることができる。標的細胞抗原に対する二重特異性抗原結合分子の親和性もまた、BIAcore機器(GE Healthcare)等の標準的な計装、及び、例えば組み換え発現により入手可能である、受容体又は標的タンパク質を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な実例及び例示的な実施形態は、実施例9に記載される。一態様によれば、KDは、BIACORE(登録商標)T100機(GE Healthcare)を用い、25℃で表面プラズモン共鳴によって測定される。
2.結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様では、本明細書に記載の抗体を、例えばELISA、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー等の既知の方法によって、その抗原結合活性について試験する。
3.活性アッセイ
腫瘍関連抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子の活性を評価するために、いくつかの細胞に基づくin vitroアッセイを行った。アッセイは、T細胞二重特異性(TCB)媒介性T細胞活性化の存在下で抗ICOS二重特異性分子の更なるアゴニスト性/共刺激活性を示すように設計された。例えば、CD3/TCRとICOSとの結合時に誘導されるルシフェラーゼのNFAT制御発現を有するレポーター細胞株を用いたJurkatアッセイであって、プレート結合対溶液中及び被覆CD3 IgG刺激の非存在下対存在下でICOS IgG分子を測定した、Jurkatアッセイを実施例7.2に更に詳細に記載する。
さらに、T細胞上のCD3及び腫瘍細胞上のヒトCEAに同時に結合することによって架橋されているTCB分子の存在下で、T細胞上のヒトICOS及び3T3-hFAP細胞(親細胞株ATCC #CCL-92、ヒトFAPを安定に過剰発現するように改変されている)上に発現されたヒトFAPに同時に結合することによって架橋されたFAPタグ付ICOS分子を試験する、実施例7.1に記載される、初代ヒトPBMC共培養アッセイ。
特定の態様では、本明細書に記載の抗体を、そのような生物学的活性について試験する。
医薬組成物、製剤及び投与経路
更なる態様では、本発明は、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子と、腫瘍関連抗原に特異的なT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。特定の態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、腫瘍関連抗原に特異的なT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体とを含むアゴニスト性ICOS結合分子と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む、がんの処置、より具体的には固形腫瘍の処置に使用するための医薬組成物が提供される。さらなる一態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子、及び腫瘍関連抗原に特異的なT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体を含む医薬組成物であって、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニストICOS結合分子、及び腫瘍関連抗原に特異的なT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体が、単一の組成物で一緒に投与するためのもの、又は2つ以上の異なる組成物で別々に投与するためのものである、医薬組成物が提供される。別の態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子は、腫瘍関連抗原に特異的なT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体と同時、その前又はその後に投与される。
別の態様では、医薬組成物は、本明細書中に提供されるアゴニスト性ICOS結合分子と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤とを含む。別の態様において、医薬組成物は、本明細書中に提供されるアゴニスト性ICOS結合分子と、例えば、下記に記載されるような少なくとも1つの追加の治療剤とを含む。
更に別の態様では、本発明は、がんを処置するため又はがんの進行を遅延させるための方法において使用するための、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子を含む医薬組成物であって、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子が、腫瘍関連抗原に対して特異的なT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて使用するための、又はPD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤と組み合わせて使用するためのものである、医薬組成物を提供する。別の態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子は、腫瘍関連抗原に特異的なT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体と組み合わせて、かつPD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤と組み合わせて使用するためのものである。特に、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、抗PD-L1抗体又は抗PD1抗体である。より特定的には、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、ペムブロリズマブ及びニボルマブからなる群より選択される。具体的な態様では、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、アテゾリズマブである。別の具体的な態様では、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤はペンブロリズマブ又はニボルマブである。
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤に溶解又は分散した治療有効量の1つ以上の抗体を含む。「薬学的又は薬理学的に許容可能な」との句は、一般的に、使用する投薬量及び濃度でレシピエントに非毒性であり、すなわち、適切な場合、動物(例えばヒト)に投与したときに、有害なアレルギー反応又は他の不都合な反応を引き起こさない分子部分及び組成物を指す。少なくとも1つの抗体と、場合により更なる有効成分とを含む医薬組成物の調製は、本明細書に参考として組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.Mack Printing Company、1990に例示されるように、本開示の観点で、当該技術分野で既知である。特に、組成物は、凍結乾燥された製剤又は水溶液である。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な賦形剤」としては、当業者には知られているだろうが、任意及び全ての溶媒、バッファー、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張性剤、塩類、安定化剤及びこれらの組合せが挙げられる。
非経口組成物としては、注射による(例えば、皮下、皮内、病変内、静脈内、動脈内、筋肉内、髄腔内又は腹腔内注射による)投与のために設計されたものが挙げられる。注射のために、本発明のTNFファミリーリガンド三量体含有抗原結合分子は、水溶液中で配合されてもよく、好ましくは、生理学的に適合する緩衝液、例えば、Hanks溶液、Ringer溶液又は生理食塩水緩衝液中で配合されてもよい。溶液は、配合剤、例えば、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤を含有していてもよい。或いは、融合タンパク質は、適切なビヒクル、例えば、滅菌した発熱性物質除去水と共に使用前に構成するための、粉末形態であってもよい。滅菌注射可能溶液は、必要な場合には以下に列挙する種々の他の成分と共に、本発明の融合タンパク質を必要な量で、適切な溶媒に組み込むことによって調製される。滅菌性は、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって、容易に達成され得る。一般的に、分散物は、種々の滅菌した有効成分を、塩基性分散媒体及び/又は他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射可能溶液、懸濁物又は乳化物を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、既に滅菌濾過した液体媒体から有効成分と任意の更なる所望な成分の粉末が得られる減圧乾燥又は凍結乾燥技術である。液体媒体は、必要な場合には適切に緩衝化されているべきであり、注射する前に、十分な食塩水又はグルコースで液体希釈剤をまず等張性にする。組成物は、製造条件及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌等の微生物の混入作用から保護されなければならない。内毒素の混入は、安全なレベルで、例えば、0.5ng/mgタンパク質未満で最小限に維持されるべきであることが理解される。適切な薬学的に許容可能な賦形剤としては、限定されないが、バッファー、例えば、ホスフェート、シトレート及び他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルパラベン又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリシン;単糖類、二糖類及び他の炭水化物、グルコース、マンノース又はデキストリンを含む;キレート化剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、ショ糖、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩を形成する対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。水性注射懸濁物は、懸濁物の粘度を上げる化合物(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、デキストラン等)を含んでいてもよい。任意に、懸濁物は、適切な安定化剤、又は高度に濃縮した溶液の調製を可能にするために、化合物の溶解度を高める薬剤も含んでいてもよい。さらに、活性化合物の懸濁物は、適切な油注射懸濁物として調製されてもよい。適切な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪族油(例えば、ゴマ油)、又は合成脂肪酸エステル(例えば、エチルクリート(ethyl cleat)又はトリグリセリド)又はリポソームが挙げられる。
有効成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル中に封入されてもよく(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに封入されてもよい。かかる技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th Ed.Mack Printing Company,1990)に開示されている。徐放性製剤を調製してもよい。徐放性製剤の適切な例としては、ポリペプチドを含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、例えば、フィルム又はマイクロカプセル等の成型物品の形態である。特定的な実施形態では、注射可能組成物の持続性吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン、又はこれらの組合せ)の組成物での使用によってもたらされてもよい。
本発明の例示的な薬学的に許容可能な賦形剤は、更に、間質性薬物分散剤、例えば、可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、ヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)を含む。特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、rHuPH20を含め、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載される。一態様では、sHASEGPを、1つ以上の更なるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
例示的な凍結乾燥した抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載される。水性抗体製剤には、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されているものが含まれ、後者の製剤には、ヒスチジン-酢酸緩衝液が含まれる。
先に記載される組成物に加えて、本明細書中に記載されるアゴニスト性ICOS結合分子はまた、デポー調製物として製剤化される場合がある。このような長く作用する製剤は、植込み(例えば、皮下若しくは筋肉内)によって、又は筋肉内注射によって投与されてもよい。したがって、例えば、アゴニスト性ICOS結合分子は、適切なポリマー材料若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)若しくはイオン交換樹脂、又は難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化され得る。
本発明のアゴニスト性ICOS結合分子を含む医薬組成物は、従来の混合、溶解、乳化、カプセル化、封入、又は凍結乾燥プロセスにより製造することができる。医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤又はタンパク質を医薬として使用可能な製剤へと加工するのを容易にする補助剤を用い、従来の様式で配合されてもよい。適切な製剤は、選択する投与経路によって変わる。
本発明のアゴニスト性ICOS結合分子は、遊離酸又は塩基、中性又は塩形態で、組成物に配合されることができる。薬学的に許容可能な塩は、遊離酸又は遊離塩基の生物活性を実質的に保持する塩である。薬学的に許容可能な塩としては、酸付加塩、例えば、タンパク質性組成物の遊離アミノ基と形成される酸付加塩、又は塩酸又はリン酸等の無機酸と形成されるか、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸又はマンデル酸等の有機酸と形成されるものが挙げられる。遊離カルボキシル基と形成される塩も、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムの水酸化物又は水酸化第二鉄等の無機塩基から誘導されてもよく、又はイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン又はプロカイン等の有機塩基から誘導されてもよい。医薬塩は、対応する遊離塩基形態よりも、水性及び他のプロトン性溶媒に溶けやすい傾向がある。
本発明の組成物は、処置される特定の徴候に必要な1種類より多い有効成分も含んでいてもよく、好ましくは、互いに有害な影響を与えない相補的な活性を有するものを含んでいてもよい。かかる有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。in vivo投与に使用される製剤は、一般的に滅菌である。滅菌性は、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって、容易に達成され得る。
治療方法及び組成物
一態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインと、T細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体とを含む有効量のアゴニスト性ICOS結合分子を被験体に投与する工程を含む、被験体においてがんを処置又は進行を遅延させる方法が提供される。
そのような一態様では、本方法は、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を対象に投与することを更に含む。更なる態様では、本明細書では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインとT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体とを含む有効量のアゴニスト性ICOS結合分子を被験体に投与する工程を含む、腫瘍縮小のための方法を提供する。上記の態様のいずれかによる「個体」又は「被験体」は、好ましくはヒトである。
更なる態様では、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子と、T細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体とを含む、がん免疫療法に使用するための組成物が提供される。特定の実施形態では、がん免疫療法の方法で使用するための、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子と、T細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体とを含む組成物を提供する。
更なる態様では、本明細書において、医薬の製造又は調製における、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子と、T細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体とを含む組成物の使用が提供される。一実施形態では、医薬は、がんの処置のためのものである。さらなる態様では、医薬は、固形腫瘍を有する個体に、有効量の医薬を投与することを含む、腫瘍縮小の方法で使用するためのものである。そのような一態様では、上記方法は、有効量の少なくとも1つの追加の治療剤を個体に投与することを更に含む。更なる実施形態では、医薬は固形腫瘍を処置するためのものである。いくつかの態様では、個体はCEA陽性がんを有する。いくつかの態様では、CEA陽性がんは、結腸がん、肺がん、卵巣がん、胃がん、膀胱がん、膵臓がん、子宮内膜がん、乳がん、腎臓がん、食道がん、又は前立腺がんである。いくつかの態様では、乳がんは乳癌腫又は乳腺癌である。いくつかの態様では、乳癌腫は浸潤性乳管癌腫である。いくつかの態様では、肺がんは肺腺癌である。いくつかの実施形態では、結腸がんは、結腸直腸腺癌である。上記の実施形態のいずれかによる「被験体」又は「個体」は、ヒトであってもよい。
別の態様において、被験体においてがんを処置するため又はその進行を遅延させるための方法であって、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメイン、及びT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体を含む有効量のアゴニスト性ICOS結合分子を被験体に投与することを含み、被験体が、アゴニスト性ICOS結合分子による処置前のT細胞上の低いICOSベースライン発現を含む、方法が提供される。
上述の併用療法は、併用投与(同じ又は別個の製剤中に2つ以上の治療剤が含まれる)及び別個の投与を包含し、別個の投与の場合、本明細書に報告される抗体の投与は、追加の治療剤(複数の場合がある)の投与前、投与と同時に、及び/又は投与後に行われ得る。一態様では、T細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体の投与、及び腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子の投与、並びに任意に追加の治療剤の投与は、互いに約1ヶ月以内、又は約1、2若しくは3週間以内、又は約1、2、3、4、5若しくは6日以内に行われる。
本明細書に報告されるT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、及び腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子(及び任意の追加の治療剤)の両方を、非経口、肺内及び鼻腔内を含む任意の適切な手段によって投与することができ、局所処置のために所望される場合、病巣内投与することができる。非経口輸液には、筋肉内投与、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、又は皮下投与が含まれる。投薬は、投与が短時間であるか、又は慢性的であるかに部分的に応じて、任意の好適な経路によるもの、例えば、静脈内注射又は皮下注射等の注射によるものであり得る。単回又は様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス輸注を含むが、これらに限定されない様々な投薬スケジュールが、本明細書では企図される。
本明細書に記載のT細胞活性化抗CD3二重特異性抗体、特に抗CEA/抗CD3二重特異性抗体、及び腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子はいずれも、優良医療実務と一致する様式で製剤化され、投薬され、投与されるであろう。これに関連して考慮すべき要因としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に既知である他の要因が挙げられる。抗体は、必ずしもそうである必要はないが、任意に、問題の障害を予防又は処置するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害又は処置の種類、及び上記の他の要因に依存する。これらは、一般に、ここに記載されている投与量と同じ投与量で、又はここに記載されている投与量の約1~99%、又は経験的/臨床的に適切であると判断される任意の投与量で、及び任意の投与経路で使用される。
別の態様では、被験体においてがんを処置するための、又はその進行を遅延させるための方法であって、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む有効量のアゴニスト性ICOS結合分子を被験体に投与する工程を含む、方法が提供される。
他の薬剤及び処置
本発明の腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子は、処置において1つ以上の他の薬剤と組み合わせて投与され得る。例えば、本発明のアゴニスト性ICOS結合分子を、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与することができる。「治療剤」という用語は、このような処置が必要な個体において、症状又は疾患を処置するために投与することが可能な任意の薬剤を包含する。このような更なる治療剤は、処置される特定の徴候に適した任意の有効成分を含んでいてもよく、好ましくは、互いに有害な影響を与えない相補的な活性を有するものを含んでいてもよい。特定の実施形態において、更なる治療剤は、別の抗がん剤である。一態様では、追加の治療剤は、化学療法剤、放射線及びがん免疫療法に使用するための他の薬剤からなる群より選択される。更なる態様では、がんの処置に使用するための本明細書中に先に記載される腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、腫瘍関連抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子が別の免疫調節剤と組み合わせて投与される、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。
「免疫調節剤」という用語は、免疫系に影響を与えるモノクローナル抗体を含む任意の物質を指す。本発明の分子は、免疫調節剤と見なすことができる。免疫調節剤は、がんの処置のための抗腫瘍剤として使用することができる。一態様では、免疫調節剤には、抗CTLA4抗体(例えば、イピリムマブ)、抗PD1抗体(例えば、ニボルマブ又はペンブロリズマブ)、PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ又はデュルバルマブ)、OX-40抗体、LAG3抗体、TIM-3抗体、4-1BB抗体及びGITR抗体が挙げられる。
更なる態様では、がんの処置に使用するための本明細書中に先に記載される腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子であって、腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子が、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤と組み合わせて投与される、アゴニスト性ICOS結合分子が提供される。一態様では、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、抗PD-L1抗体又は抗PD1抗体である。より特定的には、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、ペムブロリズマブ及びニボルマブからなる群より選択される。具体的な一態様では、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤は、アテゾリズマブである。別の態様では、PD-L1/PD-1相互作用を遮断する薬剤はペンブロリズマブ又はニボルマブである。このような他の薬剤は、適切には、意図する目的にとって有効な量で組み合わされて存在する。そのような他の薬剤の有効量は、使用されるアゴニスト性ICOS結合分子の量、障害又は処置の種類、及び上記で議論される他の要因に依存する。腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子は、一般に、本明細書中に記載される投与量及び同じ投与経路で、又は本明細書中に記載される投与量の約1~99%で、又は任意の投与量で、経験的/臨床的に適切であると決定される任意の経路によって使用される。
上記のそのような併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が同じ組成物又は別々の組成物に含まれる)及び別々投与を包含し、その場合、本発明の腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子の投与は、更なる治療剤及び/又はアジュバントの投与の前、それと同時及び/又はその後に行うことができる。
製造物品
本発明の別の態様では、上述の障害の処置、予防及び/又は診断に有用な材料を含む製造物品が提供される。製造物品は、容器と、容器に挿入されるか、又は容器に付随するラベル又はパッケージ添付文書とを備えている。適切な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、静注溶液袋等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、組成物をそれ自身で、又は状態を処置し、予防し、及び/又は診断するのに有効な別の組成物と組み合わせて保持しており、滅菌アクセス口を有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能なストッパーを有する静脈用溶液袋又はバイアルであってもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本発明の腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子である。
ラベル又は添付文書は、組成物が、選択される病態を処置するために使用されることを示す。さらに、製造物品は、(a)本発明の腫瘍関連抗原への特異的結合能を有する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含むアゴニスト性ICOS結合分子を含む組成物が含有される第1の容器と、(b)該組成物が含有される第2の容器であって、該組成物が更なる細胞傷害性薬剤又は他の治療剤を含む、第2の容器とを備え得る。製造物品は、本発明のこの実施形態において、その組成物を特定の状態を処置するために使用可能であることを示すパッケージ添付文書を更に備えていてもよい。
これに代えて、又はこれに加えて、製造物品は、薬学的に許容可能なバッファー、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化生理食塩水、Ringer溶液及びデキストロース溶液を含む第2の(又は第3の)容器を更に備えていてもよい。他のバッファー、希釈剤、フィルタ、ニードル及びシリンジを含め、商業的及びユーザの観点から望ましい他の材料を更に含んでいてもよい。
ヒト免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖のヌクレオチド配列に関連する一般的な情報は、Kabat et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991)に与えられる。抗体鎖のアミノ酸は、上に定義したようなKabat(Kabat,E.A.,et al.、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th ed.、Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991))によるナンバリングシステムに従ってナンバリングされ、参照される。
以下は、本発明の方法及び組成物の実施例である。先に提供した一般的な説明を考慮すると、種々の他の実施形態が実施されてもよいことは理解される。
組換えDNA技術
標準的な方法を使用して、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989に記載されるように、DNAを操作した。分子生物学的試薬は、製造元の説明書に従って使用した。ヒト免疫グロブリンの軽鎖及び重鎖のヌクレオチド配列に関する一般的な情報は、以下に与えられる:Kabat,E.A.et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Ed.,NIH Publication No 91-3242。
DNA配列決定
DNA配列は、二本鎖配列決定によって決定した。
遺伝子合成
所望の遺伝子セグメントは、適切なテンプレートを使用したPCRによって生成されたか、又はGeneart AG(Regensburg,ドイツ)によって、合成オリゴヌクレオチド及びPCR産物から自動遺伝子合成によって合成した。正確な遺伝子配列が利用できない場合においては、最も近い相同体の配列に基づきオリゴヌクレオチドプライマーを設計し、適切な組織に由来するRNAから、RT-PCRにより遺伝子を単離した。単一の制限エンドヌクレアーゼ開裂部位に隣接する遺伝子セグメントを、標準的なクローニング/配列決定ベクター内へとクローニングした。プラスミドDNAを形質転換細菌から精製し、濃度をUV分光法によって測定した。サブクローニングした遺伝子断片のDNA配列は、DNA配列決定によって確認した。それぞれの発現ベクターへのサブクローニングを可能にするために、適切な制限部位を有する遺伝子セグメントを設計した。全ての構築物は、真核細胞における分泌のためのタンパク質を標的とするリーダー配列についてコードする5’末端DNA配列を用いて設計した。
細胞培養技術
標準的な細胞培養技術は、Current Protocols in Cell Biology(2000),Bonifacino,J.S.,Dasso,M.,Harford,J.B.,Lippincott-Schwartz,J.and Yamada,K.M.(eds.),John Wiley&Sons,Inc.に記載されているように使用した。
タンパク質精製
タンパク質は、標準プロトコルに言及される、フィルタにかけた細胞培養物上清から精製した。簡単に記載すると、抗原結合分子をプロテインA親和性クロマトグラフィー(平衡化緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム、pH7.5;溶出緩衝液:20mMクエン酸ナトリウム、pH3.0)に供した。溶出はpH3.0で達成され、続いて試料をすぐにpH中和した。凝集したタンパク質は、PBS中での、又は20mM ヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0中でのサイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200、GE Healthcare)によって、単量体抗体から分離した。単量体抗原結合分子画分をプールし、例えば、MILLIPORE Amicon Ultra(30分子量カットオフ)遠心分離濃縮器を用いて濃縮し、凍結させ、-20℃又は-80℃で保存することができる。試料の一部を、例えば、SDS-PAGE、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)又は質量分析法によるその後のタンパク質分析及び分析による特性決定のために提供することができる。
SDS-PAGE
NuPAGE(登録商標)Pre-Castゲルシステム(Invitrogen)を、製造元の説明書により使用した。特に、10%又は4~12%のNuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)Bis-TRIS Pre-Castゲル(pH6.4)、及びNuPAGE(登録商標)MES(還元型ゲル、NuPAGE(登録商標)酸化防止剤ランニングバッファー助剤を添加)又はMOPS(非還元型ゲル)ランニングバッファーを使用した。
分析用サイズ排除クロマトグラフィー
抗体の凝集及びオリゴマー状態を決定するためのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、HPLCクロマトグラフィーによって行った。簡潔には、プロテインA精製抗体を、Agilent HPLC 1100システムの300mM NaCl、50mM KH2PO4/K2HPO4(pH7.5)におけるTosoh TSKgel G3000SWカラムに、又はDionex HPLC-Systemの2×PBSにおけるSuperdex 200カラム(GE Healthcare)に適用した。溶離したタンパク質をUV吸光度及びピーク面積の積分によって定量した。BioRad Gel Filtration Standard 151-1901を標準物質として供した。
質量分析法
この章は、その正しいアセンブリに重点をおいて、VH/VL置き換え(VH/VL CrossMab)を有する多重特異性抗体の特性決定を記載する。予想される一次構造を、脱グリコシル化したインタクトなCrossMabs及び脱グリコシル化した/消化したプラスミン、又は脱グリコシル化した/制限されたLysC消化したCrossMabのエレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI-MS)によって分析した。
VH/VL CrossMabsを、リン酸バッファー又はTrisバッファー中、タンパク質濃度1mg/mlで、37℃で17時間までの時間、N-グリコシダーゼFを用いて脱グリコシル化した。プラスミン又は制限されたLysC(Roche)消化を、100μgの脱グリコシル化したVH/VL CrossMabを用い、Trisバッファー(pH8)中、それぞれ、室温で120時間、また、37℃で40分間行った。質量分析の前に、サンプルを、Sephadex G25カラム(GE Healthcare)でのHPLCによって脱塩した。合計質量は、TriVersa NanoMate source(Advion)が取り付けられたmaXis 4G UHR-QTOF MSシステム(Bruker Daltonik)でのESI-MSによって決定された。
表面プラズモン共鳴(SPR)(BIACORE)を用い、それぞれの抗原に対する多重特異性抗体の結合及び結合親和性の決定。
それぞれの抗原に対する、生成した抗体の結合は、BIACORE装置(GE Healthcare Biosciences AB、ウプサラ、スウェーデン)を用い、表面プラズモン共鳴によって観察された。簡潔には、親和性測定のために、ヤギ抗ヒトIgG、JIR 109-005-098抗体を、それぞれの抗原に対する抗体の提示のためにアミンカップリングを介してCM5チップ上に固定化する。結合を、HBS緩衝液(HBS-P(10mM HEPES、150mM NaCl、0.005%Tween 20、ph7.4)、25℃(又は代替的に37℃)中で測定する。抗原(R&D Systems又は社内精製)を溶液中に様々な濃度で添加した。80秒~3分の抗原注入により会合を測定し、チップ表面をHBS緩衝液で3~10分間洗浄して解離を測定し、1:1ラングミュア結合モデルを用いてKD値を推定した。システム固有のベースラインドリフトの補正及びノイズシグナル低減のために、サンプル曲線から陰性対照データ(例えば、緩衝曲線)を差し引く。それぞれのBiacore Evaluation Softwareを、センサーグラムの分析及び親和性データの計算に使用する。
実施例1
ICOS抗体の生成
1.1 免疫化による新規ICOSバインダーの生成のための抗原及びスクリーニングツールの調製、精製及び特性評価
1.1.1 単量体及び二量体ICOS抗原Fc(kih)融合分子の調製、精製及び特性評価
ヒト、カニクイザル若しくはマウス又は4-1BBの外部ドメインをコードするDNA配列(表1)を、単量体のノブ並びに二量体ICOS抗原Fc融合分子のホール及びノブ上のヒトIgG1重鎖CH2及びCH3ドメインとインフレームでサブクローニングした(Merchant et al.,1998)。抗原-FcノブのC末端に、指示したビオチン化のためのAviタグを導入した。S354C/T366W変異を含有する抗原Fcノブ鎖と、Y349C/T366S/L368A/Y407V変異を含有するFcホール鎖とを組み合わせることにより、単一コピーを含むICOSヘテロ二量体又は2コピーのエクトドメイン含有鎖を含むホモ二量体の生成が可能になり、したがってFc結合抗原の単量体又は二量体形態が作製される。表2は、抗原Fc融合構築物のアミノ酸配列を示す。
全てのICOS-Fc融合コード配列を、キメラMPSVプロモーターからのインサートの発現を駆動し、CDSの3’末端に位置する合成ポリAシグナル配列を含有するプラスミドベクターにクローニングした。さらに、ベクターは、プラスミドのエピソーム維持のためのEBV OriP配列を含んでいた。
ビオチン化抗原/Fc融合分子を調製するために、指数関数的に増殖する懸濁液のHEK293 EBNA細胞を、融合タンパク質の2つの成分(ノブ鎖及びホール鎖)並びにビオチン化反応に必要な酵素であるBirAをコードする3つのベクターで同時トランスフェクトした。対応するベクターを1:1:0.05の比(「Fcノブ」:「Fcホール」:「BirA」)で使用した。
500ml振盪フラスコにおけるタンパク質産生のために、4億個のHEK293 EBNA細胞をトランスフェクションの24時間前に播種した。トランスフェクションのために、細胞を210gで5分間遠心分離し、上清をあらかじめ温めておいたCD CHO培地で置き換えた。発現ベクターを、200μgのベクターDNAを含有する20mLのCD CHO培地に再懸濁した。540μLのポリエチレンイミン(PEI)を添加した後、溶液を15秒間ボルテックスし、室温で10分間インキュベートした。その後、細胞をDNA/PEI溶液と混合して、500mL振蕩フラスコに移し、5%CO2雰囲気のインキュベータ内で、3時間37℃でインキュベートした。インキュベーション後、160mLのF17培地を添加し、細胞を24時間培養した。トランスフェクションの1日後、1mMのバルプロ酸及び7%の供給物を培養物に添加した。培養の7日後、細胞を210gで15分間スピンダウンすることによって細胞上清を回収した。溶液を滅菌濾過し(0.22μmフィルタ)、アジ化ナトリウムを最終濃度0.01%(w/v)になるように補充し、4℃に保った。
分泌されたタンパク質を、プロテインAを使用する親和性クロマトグラフィー、続いてサイズ排除クロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製した。親和性クロマトグラフィーのために、40mLの20mMリン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウムpH7.5で平衡化したHiTrap ProteinA HPカラム(CV=5mL、GE Healthcare)に上清を充填した。未結合タンパク質を、20mMリン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム及び0.5M塩化ナトリウム(pH7.5)を含有する少なくとも10カラム容量の緩衝液で洗浄することによって除去した。20カラム容量の20mMクエン酸ナトリウム、0.01%(v/v)Tween-20、pH3.0に対して作製した塩化ナトリウム(0から500mM)の線形pH勾配を使用して、結合タンパク質を溶出した。次いで、カラムを、20mMクエン酸ナトリウム、500mM塩化ナトリウム及び0.01%(v/v)Tween-20、pH3.0を含有する10カラム容量の溶液で洗浄した。
回収した画分のpHを、1/40(v/v)の2M Tris(pH8.0)を添加することによって調整した。タンパク質を濃縮し、フィルタにかけた後、pH7.4の2mM MOPS、150mM塩化ナトリウム、0.02%(w/v)アジ化ナトリウム溶液で平衡化したHiLoad Superdex 200カラム(GE Healthcare)に充填した。
1.1.2 組換えICOSを発現する安定な細胞株の生成及び特性評価
ヒト又はマウスICOSをコードする全長cDNAを、哺乳動物発現ベクター内にサブクローニングした。メーカーのプロトコルに従い、Lipofectamine LTX Reagent(Invitrogen,#15338100)を使用してプラスミドをCHO-K1(ATCC CCL-61)細胞にトランスフェクションした。安定にトランスフェクトされたICOS陽性CHO-K1細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco、#16140063)及び1%GlutaMAXサプリメント(ギブコ;#31331-028)を補充したDMEM/F-12(Gibco、#11320033)中で維持した。トランスフェクションの2日後、ピューロマイシン(Invivogen;#ant-pr-1)を6μg/mLに添加した。最初の選択後、ICOSの最も高い細胞表面発現を有する細胞を、BD FACSAria III細胞選別機(BD Biosciences)を使用して選別し、培養して安定な細胞クローンを確立した。発現レベル及び安定性を、4週間にわたってPE抗ヒト/マウス/ラットCD278抗体(BioLegend;#313508)を使用するFACS分析によって確認した。
1.1.3 DNA免疫化のためのICOS発現ベクターの生成
ヒトICOSをコードする全長cDNAを標準的な哺乳動物発現ベクターにサブクローニングした。プラスミドDNAを形質転換細菌から精製し、濃度をUV分光法によって決定した。サブクローニングした遺伝子断片のDNA配列は、DNA配列決定によって確認した。
1.2 ウサギ及びマウス免疫化によるICOS特異的009、1167、1143及び1138抗体の生成
1.2.1 免疫化キャンペーン
免疫化のために、ICOS由来抗原による免疫化の際に、ヒト化抗体レパートリーを発現する、Charles River Laboratories International,Inc.から入手したNMRIマウス及びニュージーランド白ウサギ(NZW)、並びにRocheが所有権を有するトランスジェニックウサギを使用した。ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニックウサギは、国際公開第2000/46251号、国際公開第2002/12437号、国際公開第2005/007696号、国際公開第2006/047367号、米国特許出願公開第2007/0033661号及び国際公開第2008/027986号に報告されている。動物は、付録A「動物の収容と世話に関するガイドライン」に従ってAAALAC認定の動物施設に収容された。全ての動物予防接種プロトコルと実験は、オーバーバイエルン政府(許可番号55.2-1-54-2532-66-16 and 55.2-1-54-2532-90-14)によって承認され、ドイツの動物福祉法と欧州議会及び理事会の指令2010/63に従って実施された。
ICOS抗体009の生成
6~8週齢のNMRIマウス(n=5)に、組換えFc融合ヒトICOS ECD分子(実施例1.1.1を参照されたい)を用いて1.5ヶ月間にわたって3回免疫化した。最初の免疫化のために、20mM His/HisCl、140mM NaCl、pH6.0に溶解した100μgのタンパク質を、等容量の完全フロイントアジュバント(BD Difco、#263810)と混合し、腹腔内投与した。不完全フロイントアジュバント(BD Difco、#DIFC 263910)を使用したことを除いて、同様の様式で追加免疫を21及び42日目に行った。最終免疫化の4~5週間後、マウスに約50μgの免疫原を滅菌PBS中で腹腔内投与し、1日後に25μgの免疫原を滅菌PBS中で静脈内投与した。48時間後、脾臓を無菌的に採取し、ハイブリドーマ生成のために調製した。3回目の免疫後にELISAによって組換えFc融合ヒトICOS ECD(実施例1.1.1参照)について血清を試験した。
ICOS抗体1183、1143(NZWウサギ)及び1167(tgウサギ)の生成
12~16週齢のウサギ(NZW:n=2、トランスジェニックウサギ:n=2)を、全長ヒトICOS(実施例1.1.3を参照されたい)及びヒトICOS発現細胞を交互レジームでコードするプラスミド発現ベクターで遺伝子免疫した。
全ての動物は、0、4及び12週目に、同時のエレクトロポレーション(750V/cm、持続時間10ms、間隔1sの5平方パルス)を伴う皮内適用によって400μgのベクターDNAを受けた。さらに、3~5×107個のヒトICOS発現SR細胞(ATCC;CRL-2262)又は完全フロイントアジュバント(CFA;BD Difco、#263810)中で乳化された若しくはTLRアゴニストの組合せと混合された活性化ヒト初代T細胞を、2週目に皮内、8週目に筋肉内及び16週目に皮下注射した。CFAを細胞免疫化のためのアジュバントとして使用したことを除いて、同様の様式で28(DNA)、42(T細胞)、56(DNA)及び70(T細胞)日目にブースター免疫化を行った。
血液(推定全血液量の10%)を、3回目の免疫から開始して、免疫後6日目~8日目に回収した。ELISAによる抗原特異的力価測定に使用する血清を調製し、末梢単核細胞を単離し、これをB細胞クローニングプロセスにおける抗原特異的B細胞の供給源として使用した(実施例1.2.2を参照されたい)。
1.2.2 ウサギからのB細胞クローニング
ヒトIgGに対して遺伝子導入された免疫野生型ウサギ又はウサギの血液試料を採取した。EDTAを含有する全血を、1×PBSで2倍に希釈した後、製造業者の仕様に従って、哺乳動物リンパ球(Cedarlane Laboratories)を用い、密度遠心分離を行った。PBMCを1×PBSで2回洗浄した。
EL-4 B5培地
10%FCS、2mMグルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液、2mMピルビン酸ナトリウム、10mM HEPES及び0.05mM b-メルカプトエタノールを補充したRPMI 1640培地を使用した。
プレートのコーティング
滅菌6ウェルプレート(細胞培養グレード)を抗原でのコーティングに使用した。
コーティング1、タンパク質:ヒトICOSタンパク質抗原(ID 1486)を炭酸塩コーティング緩衝液(0.1M重炭酸ナトリウム、34mM炭酸水素二ナトリウム、pH9.55)で2μg/mlの最終濃度に希釈した。この溶液3mlを6ウェルプレートの各ウェルに添加し、室温で一晩インキュベートした。使用前に、上清を除去し、ウェルをPBSで3回洗浄した。
コーティング2、細胞:親CHO-K1細胞株(コーティング2a)又はマウスICOSを発現するCHO細胞(コーティング2b)を6ウェルプレートに播種し、コンフルエントな増殖が観察されるまでインキュベータ中37℃でインキュベートした。
PBMCからのマクロファージ/単球の除去
PBMCを、純粋な滅菌6ウェルプレート(細胞培養グレード)又はCHO細胞を含む細胞層を既に含む6ウェルプレートに播種して、非特異的接着を通してマクロファージ及び単球を枯渇させた。
各ウェルを、最大で4mlの培地と、免疫付与したウサギ由来の6×10e6 PBMCとで満たし、インキュベータ中、37℃で1時間かけて結合させた。上清中の細胞(末梢血リンパ球(PBL))を抗原パニング工程に使用し、したがって800×gで10分間の遠心分離によって濃縮した。ペレットを培地に再懸濁した。
抗原特異的B細胞の濃縮
血液試料のPBLを2×10e6細胞/mlの細胞密度に調整し、3mlをコーティング1又は2のいずれかでコーティングした6ウェルプレートの各ウェル(培地3~4ml当たり最大6×106細胞)に添加する。プレートをインキュベータ中37℃で60~90分間インキュベートした。上清を除去し、ウェルを1×PBSで1~4回慎重に洗浄することによって非接着細胞を除去した。粘着性抗原特異的B細胞の回収のために、1mlのトリプシン/EDTA溶液を6ウェルプレートのウェルに添加し、37℃で5~10分間インキュベートした。培地の添加によってインキュベーションを停止し、上清を遠心分離バイアルに移した。ウェルをPBSで2回洗浄し、上清を他の上清と合わせた。細胞を800×gで10分間の遠心分離によってペレット化し、免疫蛍光染色まで氷上に保った。
免疫蛍光染色及びフローサイトメトリー
抗IgG FITC(AbD Serotec)及び抗huCk PE(Dianova)抗体を、単一細胞選別に使用した。表面染色のために、枯渇及び濃縮工程からの細胞を、PBS中の抗IgG FITC及び抗huCk PE抗体と共に4℃の暗所で45分間インキュベートした。染色後、PBMCを氷冷PBSで2回洗浄した。最後に、PBMCを氷冷したPBSに再懸濁させ、すぐにFACS分析を行った。死んだ細胞と生きている細胞とを区別するためのFACS分析の前に、濃度5μg/mlのヨウ化プロピジウム(BD Pharmingen)を加えた。
コンピュータ及びFACSDivaソフトウェア(BD Biosciences)を取り付けたBecton Dickinson FACSAriaを、単一細胞選別のために使用した。
B細胞培養
ウサギB細胞の培養は、Seeber et al.,PLoS One 2014,9(2),e86184によって記載される方法によって行われた。簡単に説明すると、単一細胞選別ウサギB細胞を、96ウェルプレート中で、Pansorbin細胞(1:100000)(Calbiochem)、5%ウサギ胸腺細胞上清(MicroCoat)及びガンマ線照射マウスEL-4 B5胸腺腫細胞(5×10e5細胞/ウェル)を含有する200μl/ウェルのEL-4 B5培地を用いて、インキュベータ中37℃で7日間インキュベートした。B細胞培養の上清をスクリーニングのために取り出し、残った細胞をすぐに集め、100μlのRLTバッファー(Qiagen)中、-80℃で凍結させた。
1.2.3 VドメインのPCR増幅
全RNAを、NucleoSpin 8/96 RNAキット(Macherey&Nagel;740709.4、740698)を用い、製造業者のプロトコルに従って、B細胞溶解物から調製した(RLTバッファー-Qiagen-カタログ番号79216に再懸濁させた)。RNAを、60μlのRNaseを含まない水で溶出させた。6μlのRNAを使用し、Superscript III First-Strand Synthesis SuperMix(Invitrogen18080-400)及びオリゴdTプライマーを用い、製造業者の説明書に従って、逆転写反応によってcDNAを作成した。全ての工程をHamilton ML Star Systemで行った。国際公開第2015/101588号(表3参照)に記載されているように、重鎖についてはプライマーrbHC.up及びrbHC.do、野生型ウサギB細胞の軽鎖についてはプライマーrbLC.up及びrbLC.do、トランスジェニックウサギB細胞の軽鎖についてはプライマーBcPCR_FHLC_leader.fw及びBcPCR_huCkappa.revを使用して、最終容量50μlでAccuPrime Supermix(Invitrogen 12344-040)を用いて免疫グロブリン重鎖可変領域及び軽鎖可変領域(VH及びVL)を増幅するために4μlのcDNAを使用した。全ての順方向プライマーは、(それぞれVH及びVLの)シグナルペプチドに特異的であり、一方、逆方向プライマーは、(それぞれVH及びVLの)定常領域に特異的であった。RbVH+RbVLのPCR条件は、以下のとおりであった。94℃で5分間で熱い状態で開始、94℃で20秒、70℃で20秒、68℃で45秒を35サイクル、最後に68℃で7分間伸長。HuVLのPCR条件は、以下のとおりであった。94℃で5分間で熱い状態で開始、94℃で20秒、52℃で20秒、68℃で45秒を40サイクル、最後に68℃で7分間伸長。8μlの50μl PCR溶液を、48E-Gel 2%(Invitrogen G8008-02)に充填した。陽性PCR反応を、NucleoSpin Extract IIキット(Macherey&Nagel;740609250)を用い、製造業者のプロトコルを用いて洗浄し、50μl溶出バッファーで溶出させた。全ての洗浄工程をHamilton ML Starlet Systemで行った。

1.2.4 ハイブリドーマの生成
調製した脾臓を機械的に破壊した。細胞を洗浄し、遠心分離によって回収し、10mlの溶解緩衝液に再懸濁した。4℃で5分間溶解した後、40mlの冷培地(RPMI 1640)を添加し、細胞を洗浄し、50mlの冷RPMI 1640に再懸濁した。リンパ球細胞数の決定後、P3x63-Ag8.653細胞(洗浄し、RPMI 1640培地に再懸濁した)を添加した。リンパ球対骨髄腫細胞の比を2:1として選択した。細胞を遠心分離によって回収し、培地を除去し、PEG 1500(37℃;108リンパ球あたり1.5mlのPEG)の添加によって両方の細胞型の融合を開始した。1分間のインキュベーション後、RPMI 1640培地を3つの連続工程(1、3及び16ml)で添加した。細胞を遠心分離によって回収し、1mlのRPMI 1640に再懸濁し、6ウェルプレート中の半固体培地に播種した。HAT(ヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン)の添加を使用して、融合ハイブリドーマ細胞を選択した。クローンを37℃で9~13日間のインキュベーション後に採取した。
単離したクローンを96ウェルプレートに移し、72時間インキュベートした。上清を、GITR特異的抗体の一次スクリーニング及び同定のために使用する。二次スクリーニングのために、選択されたヒットからの細胞を24ウェルプレートに移し、分割し、増殖させた。IgGのμ精製のために、更なる評価まで細胞を-150℃で保存しながら、上清を2mlの96ディープウェルプレートに移した。
1.2.5 ハイブリドーマ細胞からの抗体配列決定
mRNAを、QIAGEN(登録商標)RNAeasy(登録商標)Miniキットを使用してハイブリドーマ細胞ペレットから抽出及び精製した。次に、製造者の説明書に従ってCLONETECH SMARTer RACE 5´/3´キットを使用して、精製mRNAをcDNAに転写した。縮重VH及びVLセンスプライマー並びに遺伝子特異的(CH/CL)アンチセンスプライマーを使用して、クローン009の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードする核酸配列をPCRによってcDNAから増幅した。PCR産物をゲル精製し、In-Fusion(登録商標)HD Cloning Kitを用いてベクターにクローニングし、配列決定した。配列を、軽鎖又は重鎖の抗体可変領域を有するように分析した。陽性配列を抗体発現ベクターにクローニングし、抗原特異性についてスクリーニングした。
クローン009、1167、1143及び1138を、上記の手順によってヒトICOS特異的バインダーとして同定した。それらの可変領域のアミノ酸配列を以下の表4に示す。
1.3 抗ICOSウサギIgG及びマウスハイブリドーマIgG抗体の調製、精製及び特性評価
1.3.1 抗ICOSウサギIgG抗体のクローニング及び発現
ウサギモノクローナル二価抗体の組換え発現のために、オーバーハング方法によって、VH又はVLをコードするPCR産物を、cDNAとして発現ベクターへとクローン化した(RS Haun et al.、Biotechniques(1992)13、515-518;MZ Li et al.、Nature Methods(2007)4、251-256)。発現ベクターは、イントロンAを含む5’CMVプロモーターと、3’BGH ポリアデニル化配列とからなる発現カセットを含んでいた。発現カセットに加え、プラスミドは、pUC18由来の複製と、E.Coli中のプラスミド増幅について、アンピシリン耐性を与えるβ-ラクタマーゼ遺伝子を含んでいた。塩基性プラスミドの3つのバリアントを使用し、1つのプラスミドはVH領域を受容するように設計されたウサギIgG定常領域を含み、2つの追加のプラスミドは、VL領域を受容するためのウサギ又はヒトカッパLC定常領域を含んだ。
カッパ定常領域又はガンマ定常領域及びVL/VHインサートをコードする線形化された発現プラスミドを、重複するプライマーを使用してPCRによって増幅した。精製されたPCR産物を、T4 DNA-ポリメラーゼと共にインキュベートし、一本鎖オーバーハングを作成した。dCTP添加によって反応を止めた。プラスミドと挿入物を合わせ、部位特異的な組換えを誘発するrecAと共にインキュベートした。組換えプラスミドをE.Coli内で形質転換した。次の日、成長したコロニーを取り出し、プラスミド調製、制限分析及びDNAシークエンシングによって、正しい組換えプラスミドについて試験した。抗ICOSクローンのアミノ酸配列を表5に示す。
抗体発現のために、HEK293F培養物を3Lの三角フラスコ(Corning、15L作業量、37℃、8%v/v CO2、80rpm、50mm振幅)中で1L(1%ペニシリン/ストレプトマイシン、2mM L-グルタミン及び0.1%プルロニックを含むFreestyle F17)の容量に拡大した。培養物をトランスフェクションの1日前に希釈し、細胞数を1L培地中106細胞/mlに調整した。
一過性発現を、単離されたHC及びLCプラスミドの同時トランスフェクションによって行った。DNA/FectoPro(FectoPro、PolyPlus)のMasterMixを純粋なF17培地中で調製し、(PolyPlusプロトコルに従って)10分間インキュベートした。このトランスフェクションミックスを細胞懸濁液に滴下し、Boosterを直ちに添加した。トランスフェクションの18時間後、培養物に3g/Lグルコースを供給した。1週間後に上清を回収し、4000×gでの遠心分離によって清澄化し、1Mグリシン及び300mM NaClを清澄化された上清に添加し、親和性クロマトグラフィーによる精製に使用した。
AKTAプライムシステムに接続した1×PBS pH7.4で平衡化した25mLのMabSelectSureカラム(GE Healthcare)に、0.7mL/分の流速で1Lの上清を充填することによって、初期捕捉工程を室温で行った。280nmでのUV吸収が安定したベースラインに達するまで、カラムを3mL/分の流速で1×PBS pH7.4で洗浄した。結合したタンパク質を、1.2mLの0.5Mヒスチジン/HCl pH6を含むチューブ中で3mL画分として3mL/分の流速で50mM酢酸塩/NaOH pH3.2で溶出した。
プールした画分を濃縮し、Superdex200 16/60又はSuperdex 100 10/300増加カラムに適用し、20mMヒスチジン/HCl pH6.0、140mM NaCl中でそれぞれ0.5又は1mL/分の流速で平衡化した。タンパク質凝集の分析を、Tosoh TSKgel G5000PWXL 10μm 7.8×300mmカラムを備えたDionex UltiMate 3000シリーズHPLCシステムで、0.75mL/分の流速でサイズ排除クロマトグラフィーによって行った。抗体の純度及び分子量を、DTTを含む又は含まない緩衝液を使用してSDS-PAGE又はマイクロ流体チップキャピラリー電気泳動(LabChip GX)によって分析した。
1.3.2 ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の調製
ハイブリドーマ培養物からモノクローナル抗体を調製するために、細胞を2×105細胞/mLで播種し、500mLの培養培地中で7日間培養した。ハイブリドーマ上清を滅菌濾過(steril filtered)し、プロテインA親和性クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。サイズ排除クロマトグラフィーからの単量体Fc融合タンパク質を含有する画分をプールし、280nmでの計算された吸光係数に基づいて、NanoDrop System(PeqLab ND-1000)を使用してUV法によってタンパク質濃度を決定した。タンパク質凝集の分析を、Tosoh TSKgel G5000PWXL 10μm 7.8×300mmカラムを備えたDionex UltiMate 3000シリーズHPLCシステムで、0.75mL/分の流速でサイズ排除クロマトグラフィーによって行った。抗体の純度及び分子量を、DTTを含む又は含まない緩衝液を使用してSDS-PAGE又はマイクロ流体チップキャピラリー電気泳動(LabChip GX)によって分析した。
表6は、抗ICOS IgG1抗体の収量及び最終含量を要約する。
実施例2
抗ICOS抗体の特性評価
2.1 ヒトICOSへの結合
2.1.1 表面プラズモン共鳴(結合活性+親和性)
組換え単量体ICOS Fc(kih)に対する免疫化由来ICOS特異的抗体の結合を表面プラズモン共鳴(SPR)によって評価した。全てのSPR実験を、ランニング緩衝液としてHBS-EP(0.01M HEPES pH7.4,0.15M NaCl,3mM EDTA,0.005%界面活性剤P20,Biacore,Freiburg/Germany)を用いて、Biacore T200で25℃にて実施した。
数値積分によって1:1ラングミュア結合の速度方程式に適合させるために、Biacore T200評価ソフトウェア(vAA、Biacore AB、ウプサラ/スウェーデン)を使用して速度定数を導出し、結合活性を定性的に推定するために使用した。
同じ実験において、免疫化由来ICOS特異的抗体分子8、分子14、分子18及び分子20の間の相互作用の組換えヒトICOSに対する親和性を決定した。この目的のために、ヒトICOSの外部ドメインをavi(GLNDIFEAQKIEWHE)タグとインフレームでサブクローニングした(配列については表7を参照されたい)。
Fc融合タンパク質について上記のようにタンパク質の産生を行った。分泌されたタンパク質を、キレートクロマトグラフィー、続いてサイズ排除クロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製した。
第1のクロマトグラフィー工程は、20mMリン酸ナトリウム、500nM塩化ナトリウム、pH7.4で平衡化したNiNTA Superflow Cartridge(5ml、Qiagen)で行った。溶出は、5%~45%の溶出緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、500nM塩化ナトリウム、500mMイミダゾール、pH7.4)を12カラム容量に対して勾配を適用することによって行った。
タンパク質を濃縮し、フィルタにかけた後、pH7.4の2mM MOPS、150mM塩化ナトリウム、0.02%(w/v)アジ化ナトリウム溶液で平衡化したHiLoad Superdex 75カラム(GE Healthcare)に充填した。
親和性決定を、2つの設定を用いて行った。
設定1:抗ウサギFc抗体(Jackson ImmunoResearch、ケンブリッジシャー/英国)を、標準的なアミンカップリングキット(Biacore、フライブルク/ドイツ)を使用してpH4.5でCM5チップ上に直接カップリングさせた。固定化レベルは約9000RUであった。ICOSに対するウサギ免疫化由来抗体(分子8、分子18、分子20)を5.0nMの濃度で30秒間捕捉した。組換えヒトICOS Fc(kih)を7.5nM~600nMの濃度範囲でフローセルに60μL/分の流量で120秒間にわたって通した。解離を720秒間監視した。バルク屈折率差を、参照フローセルで得られた応答を差し引くことによって補正した。ここでは、抗原を、固定化された抗ウサギFc抗体を有するが、抗体ではなくHBS-EPが注入された表面上に流した。
設定2:抗マウスIgG抗体(GE Healthcare、シカゴ/米国)を、標準的なアミンカップリングキット(Biacore、フライブルク/ドイツ)を使用してpH5.0でCM5チップ上に直接カップリングさせた。固定化レベルは約5000RUであった。ICOSに対するマウス免疫由来抗体(分子14)を5.0nMの濃度で30秒間捕捉した。組換えヒトICOS Fc(kih)を7.5nM~600nMの濃度範囲でフローセルに60μL/分の流量で120秒間にわたって通した。解離を720秒間監視した。バルク屈折率差を、参照フローセルで得られた応答を差し引くことによって補正した。ここでは、抗原を、固定化された抗マウスIgG抗体を有するが、抗体ではなくHBS-EPが注入された表面上に流した。
抗ICOS抗体とヒトICOS Fc(kih)との間の相互作用についての親和定数を、BIAevalソフトウェア(GE Healthcare)を使用して1:1ラングミュア結合に適合させることによって決定した分子8、分子14、分子18及び分子20がヒトICOSに結合することが示された(表8)。
2.2 リガンド遮断特性
細胞ベースの受容体リガンド結合アッセイを実施して、ICOSのそのリガンドICOSLGへの結合を遮断する抗ICOS抗体の能力を決定した。
ビオチン化組換えヒトICOSタンパク質を、実施例2.1における組換えヒトICOS Fc(kih)について記載されるように調製した。
ヒトICOSリガンドをコードする全長cDNAを哺乳動物発現ベクターにサブクローニングし、CHO-K1(ATCC、CCL-61)にトランスフェクトして、組換えICOSリガンド発現細胞(CHO-ICOSLG)を作製した。メーカーのプロトコルに従い、Lipofectamine LTX Reagent(Invitrogen,#15338100)を使用してプラスミドをトランスフェクションした。安定にトランスフェクトされたICOSLG陽性CHO-K1細胞を、10%ウシ胎児血清(Gibco、#16140063)及び1%GlutaMAXサプリメント(Gibco;#31331-028)を補充したDMEM/F-12(Gibco、#11320033)中で維持した。トランスフェクションの2日後、ピューロマイシン(Invivogen;#ant-pr-1)を6μg/mLに添加した。最初の選択後、ICOSLGの最も高い細胞表面発現を有する細胞を、BD FACSAria III細胞選別機(BD Biosciences)を使用して選別し、培養して安定な細胞クローンを確立した。発現レベル及び安定性を、4週間にわたってAPC抗ヒトCD275抗体(BioLegend;#309407)を使用するFACS分析によって確認した。
384ウェルポリ-D-リジンプレート(Corning、#356662)を1ウェルあたり25μl/1×104CHO-ICOSLG細胞でコーティングし、密封し、37℃で一晩インキュベートした。150ng/mlの最終アッセイ濃度でのビオチン化ヒトICOS Fc(kih)をそれぞれの抗ICOS抗体(14希釈段階1:2、アッセイでの開始濃度4μg/ml)とプレインキュベートし、室温で1時間インキュベートした。
細胞被覆プレートの遠心分離後、25μl/ウェルのプレインキュベートした試料を細胞に添加し、4℃で2時間インキュベートした。PBST緩衝液(DPBS、PAN、P04-36500+0、1%Tween 20)で3×90μl/ウェルを洗浄した後、各ウェルを1×PBS(50μl/ウェル、Sigma カタログ番号:G5882)中の0.05%グルタルアルデヒドと共に室温で10分間インキュベートして、細胞試料混合物を固定した。
PBST緩衝液で3×90μl/ウェル洗浄した後、細胞表面でヒトICOS-Lと相互作用するヒトICOSを、ストレプトアビジン-PODコンジュゲート(Roche、#11089153001、1:4000)の添加及びRTでの1時間のインキュベーションによって検出した。PBST緩衝液で3×90μl/ウェルを更に洗浄した後、25μl/ウェルのTMB基質(Roche Diagnostics GmbH、#11835033001)を5分間添加した。測定を370/492nmで行った(表9)。
2.3 エピトープ特性評価
免疫化由来の抗ICOS抗体によって認識されるエピトープを、表面プラズモン共鳴によって特性評価した。
2.3.1 競合結合(表面プラズモン共鳴)
抗ICOS抗体のヒト受容体に対する競合的結合を分析するために、ビオチン化ヒトICOS Fc(kih)をストレプトアビジン(SA)センサーチップの異なるフローセルに直接カップリングさせた。600共鳴単位(RU)までの固定化レベルを使用した。免疫由来の抗ICOSクローン分子8、分子14、分子18及び分子20を、2nM~500nMの濃度範囲(3倍希釈)で、30μL/分の流量で120秒間にわたってフローセルに通した。解離を省略し、第2の抗ICOS抗体を100nMの濃度で30μL/分の流量で90秒間にわたって通過させた。バルク屈折率差を、参照フローセルで得られた応答を差し引くことによって補正した。
SPR実験を、ランニング緩衝液としてHBS-EP(0.01M HEPES pH7.4,0.15M NaCl,3mM EDTA,0.005%界面活性剤P20,Biacore,Freiburg/Germany)を用いて、Biacore T200で25℃にて実施した。競合結合実験は、2つの抗体がヒトICOS Fc(kih)に同時に結合することができることから、免疫化由来の抗ICOSクローン分子8、分子14及び分子20が分子18として異なるエピトープビンを共有することを示した(表10)。
実施例3
ICOS及び線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的とする二重特異性構築物の生成
3.1 ICOS及び線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的とする二重特異性一価抗原結合分子の生成(1+1フォーマット)
2つの異なる重鎖の集合を可能にするためにノブ・イントゥ・ホール技術を適用することによって、ICOS及びFAPに対する一価結合を有する二重特異性アゴニスト性ICOS抗体を調製した。crossmab技術は、国際特許出願の国際公開第2010/145792号A1に記載されているように、誤って対になった軽鎖の形成を減少させるために適用された。
FAPバインダー(4B9)の生成及び調製は、国際公開第2012/020006号A2に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
二重特異性構築物は、ICOS及びFAPに一価で結合する(図1A)。これは、抗ICOS huIgG1(Y349C/T366S/L368A/Y407V変異を含有する)のホール重鎖に融合されたFAP抗原結合ドメインの交差Fabユニット(VLCH1)を含有する。Fcノブ重鎖(S354C/T366W変異を含む)は、抗ICOS抗原結合ドメインを含むFabに融合される。標的化された抗FAP-Fcホールを抗ICOS-Fcノブ鎖と組み合わせることにより、FAPに特異的に結合するFab及びICOSに特異的に結合するFabを含むヘテロ二量体の生成が可能になる。
国際特許出願の国際公開第2012/130831号A1に記載の方法に従い、Pro329Gly、Leu234Ala、及びLeu235Ala変異を、ノブ及びホール重鎖の定常領域に導入して、Fcγ受容体への結合を消失させた。
得られた二重特異性二価構築物は、図1Aに示すものと類似している。成熟二重特異性一価抗ICOS(1167)/抗FAP(4B9)huIgG1 P329GLALA kih抗体(1+1フォーマット)のアミノ酸配列を表11に示す。
二重特異性の一価抗ICOS及び抗FAP huIgG1 P329GLALAを、HEK293F細胞をFectoPro(PolyPlus、米国)を使用して哺乳動物発現ベクターと共トランスフェクションすることによって作製した。1:1:1:1の比(「ベクターノブ重鎖」:「ベクター軽鎖1」:「ベクターホール重鎖」:「ベクター軽鎖2」)で細胞に対応する発現ベクターをトランスフェクトした。
1L振盪フラスコでの産生のために、106個細胞/mLのHEK293F細胞をトランスフェクションの24時間前に播種した。目的の標的タンパク質をコードするプラスミドを用いて一過性トランスフェクションを行った。DNA/FectoProのMasterMixを純粋なF17培地中で調製し、10分間インキュベートした。このトランスフェクションミックスを細胞懸濁液に滴下し、Boosterを直ちに添加した。トランスフェクションの18時間後、培養物に3g/Lグルコースを供給した。
7日間培養した後、細胞上清を210×gで15分間の遠心分離によって回収した。溶液を滅菌濾過し(0.22μmフィルタ)、アジ化ナトリウムを最終濃度0.01%(w/v)になるように補充し、4℃に保った。
そこに含まれる組換え抗体を、プロテインA-Sepharose(商標)親和性クロマトグラフィー(GE Healthcare、スウェーデン)及びSuperdex 200サイズ排除クロマトグラフィーを使用する親和性クロマトグラフィーによって2段階で上清から精製した。簡潔には、抗体含有の清澄化培養上清を、PBS緩衝液(10mM Na2HPO4、1mM KH2PO4、137mM NaCl及び2.7mM KCl、pH7.4)で平衡化したMabSelectSuReプロテインA(5~50ml)カラムに適用した。未結合タンパク質を平衡化緩衝液で洗い流した。抗体を50mMクエン酸緩衝液(pH3.0)で溶出した。タンパク質含有画分を2M Tris緩衝液(pH9.0)で中和した。次いで、溶出したタンパク質画分をプールし、Amicon Ultra遠心濾過装置(MWCO:30 K、Millipore)で濃縮して、pH6.0の20mMヒスチジン、140mM NaClで平衡化したSuperdex 200 HiLoad 26/60ゲル濾過カラム(GE Healthcare、スウェーデン)に充填した。様々な画分のタンパク質濃度を、Pace et.al.,Protein Science 4(1995)2411-2423のアミノ酸配列に基づいて計算されたモル吸光係数を用いて、バックグラウンド補正として320nmでのODを用いて280nmでの光学密度(OD)を決定することによって決定した。等。単量体抗体画分をプールし、急速凍結し、-80℃で保存した。試料の一部を、その後のタンパク質分析及び特性評価のために提供した。
精製されたタンパク質を、Nanodrop分光光度計(ThermoFisher)を使用して定量し、変性及び還元条件下(LabChip GX、Perkin Elmer)及び分析SEC(UP-SW3000、Tosho Bioscience)でCE-SDSによって分析した。還元条件下で、見かけの分子サイズを分子量標準と比較することによって、IgGに関連するポリペプチド鎖をLab Chipデバイスで同定した。分子同一性の決定は、超高速液体クロマトグラフィーシステム(UPLC)に連結された最先端のエレクトロスプレー四重極-飛行時間型(ESI-Q-ToF)質量分析計(Bruker maXis)によって行った。
全ての構築物の発現レベルをプロテインAによって分析した。平均タンパク質収量は、このような最適化されていない一過性発現実験では、細胞培養上清1リットル当たり25mg~86mgの精製タンパク質であった(表12、14、16、18、21、31及び33を参照されたい)。
3.2 ICOS及び線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的とする二重特異性一価抗原結合分子(1+1 head-to-tail形式)の生成
ICOSに対する一価結合及びFAPに対する一価結合(1+1 head-to-tailフォーマットとも呼ばれる)を有する二重特異性アゴニスト性4-1BB抗体を、図1Bに示されるように調製した。
本実施例では、構築物の第1の重鎖HC1を、以下の構成要素で構成した。抗ICOSバインダーのVHCH1、続いてFcノブ(このC末端にて、抗FAPバインダーのVLを融合した)。第2の重鎖HC2は、C末端に抗FAPバインダーのVHが融合されたFcホールを含んでいた。FAPバインダー4B9の生成及び調製は、国際公開第2012/020006号A2に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。ICOS(1167)に対するバインダーを、実施例1に記載したように生成した。
国際特許出願の国際公開第2012/130831号A1に記載の方法に従い、Pro329Gly、Leu234Ala、及びLeu235Ala変異を、ノブ及びホール重鎖の定常領域に導入して、Fcγ受容体への結合を消失させた。
二重特異性1+1抗ICOS 抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体を、HEK293F細胞をFectoPro(PolyPlus、米国)を使用して哺乳動物発現ベクターと共トランスフェクションすることによって作製した。1:1:1の比(「ベクターノブ重鎖」:「ベクター軽鎖」:「ベクターホール重鎖」)で細胞に対応する発現ベクターをトランスフェクトした。二重特異性の一価の抗ICOS抗体及び抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体について記載されるように構築物を作製し、精製した(実施例3.1を参照されたい)。
1+1 head-to-tail抗ICOS、抗FAP構築物についてのアミノ酸配列を表13に見出すことができる。
3.3 ICOSについては二価であり、FAPについては一価である、ICOS及び線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的とする二重特異性抗原結合分子の生成(2+1フォーマット)
ICOSに対する二価結合及びFAPに対する一価結合(2+1とも呼ばれる)を有する二重特異性アゴニスト性ICOS抗体を、図1Cに示されるように調製した。
本実施例では、構築物の第1の重鎖HC1を、以下の構成要素で構成した。抗ICOSバインダーのVHCH1、続いてFcノブ(このC末端にて、抗FAPバインダーのVLを融合した)。第2の重鎖HC2は抗ICOSのVHCH1、続いてFcホールで構成され、このC末端にて、抗FAPバインダーのVHを融合した。ICOSに対するバインダー(009、1138、1143及び1167)を実施例1に記載のように生成した。
ウサギ抗体分子20及び分子18の相同性モデリングは、VH位置199及び251の2つのシステイン(Kabat 35A及び50)がCDR-H1とCDR-H2との間にジスルフィド架橋を形成する一方で、VLフレームワーク位置726のシステイン(Kabat 80)は遊離しており、溶媒に曝露されていることを示唆した。両方の場合において、本発明者らは、全ての望ましくないシステインをセリン、すなわちC199S、C251S及びC726Sで置換するという最も控えめな選択肢を選んだ。本発明者らは、抗体分子20をヒト化する必要があると予想したため、最も適合するヒト生殖細胞系列IGHV3-23*01、すなわちC199S及びC251Vに従って置換を行う2つの追加のバリアントを加えた。それに応じて、位置252、296及び297(Kabat 51、62及び63)を変更して、結合親和性を失うことなくCDR-H2におけるこれらの置換が許容されるかどうかを評価し、ヒトらしさを高めるという付加的な利益を得た。明示的に述べられていない場合、残基インデックスはWolfGuyナンバリングで与えられる。表15は、分子20及び分子18のアミノ酸配列の変異及びバリアント分子の数を要約する。
分子14におけるフレームワーク変異の影響を検証するために、2+1フォーマットの2つのバリアントを生成した(分子15及び分子40)。
FAPバインダー(4B9)の生成及び調製は、国際公開第2012/020006号A2に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。国際特許出願の国際公開第2012/130831号A1に記載の方法に従い、Pro329Gly、Leu234Ala、及びLeu235Ala変異を、ノブ及びホール重鎖の定常領域に導入して、Fcγ受容体への結合をなくした。
二重特異性2+1抗ICOS 抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体を、HEK293F細胞をFectoPro(PolyPlus、米国)を使用して哺乳動物発現ベクターと共トランスフェクションすることによって作製した。1:2:1の比(「ベクターノブ重鎖」:「ベクター軽鎖」:「ベクターホール重鎖」)で細胞に対応する発現ベクターをトランスフェクトした。二重特異性の一価の抗ICOS抗体及び抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体について記載されるように構築物を作製し、精製した(実施例3.1を参照されたい)。
2+1抗ICOS、抗FAP構築物についてのアミノ酸配列を表16に見出すことができる。
3.4 ICOSについては二価であり、FAPについては一価である、ICOS及び線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的とする二重特異性抗原結合分子の生成(2+1 クロスfab-IgG P329G LALA)
ICOSに対する二価結合及びFAPに対する一価結合(2+1 IgG CrossFab(FAPバインダーにおけるVH/VL交換)とも呼ばれる)を有する二重特異性アゴニスト性ICOS抗体を、図1Dに示されるように調製した。
本実施例では、構築物の第1の重鎖HC1を、以下の構成要素で構成した。抗FAP抗原結合ドメインのVLCH1、続いて抗ICOS抗原結合ドメインのVHCH1及びFcノブ。第2の重鎖HC2は、抗ICOSのVHCH1と、それに続くFcホールとで構成した。ICOS(1167)に対する抗体を、実施例1に記載したように生成した。FAP抗体(4B9)の生成及び調製は、国際公開第2012/020006号A2に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
国際特許出願の国際公開第2012/130831号A1に記載の方法に従い、Pro329Gly、Leu234Ala、及びLeu235Ala変異を、ノブ及びホール重鎖の定常領域に導入して、Fcγ受容体への結合をなくした。
二重特異性2+1抗ICOS 抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体を、HEK293F細胞をFectoPro(PolyPlus、米国)を使用して哺乳動物発現ベクターと共トランスフェクションすることによって作製した。1:2:1:1の比(「ベクター重鎖(VL-CH1-VH-CH 1-CH2-CH3)」:「ベクター軽鎖(VL-CL)」:「ベクター重鎖(VH-CH 1-CH2-CH3)」:「ベクター軽鎖(VHCL)」で細胞に対応する発現ベクターをトランスフェクトした。二重特異性の一価の抗ICOS抗体及び抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体について記載されるように構築物を作製し、精製した(実施例3.1を参照されたい)。
これらの2+1抗ICOS、抗FAP Crossfab-IgG P329G LALA構築物についてのアミノ酸配列を表18に見出すことができる。
3.5 ICOSについては二価であり、FAPについては一価である、ICOS及び線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)を標的とする二重特異性抗原結合分子の生成(2+1 クロスfab-IgG P329G LALA逆位)
ICOSに対する二価結合及びFAPに対する一価結合(2+1 IgG CrossFab、逆位(FAPバインダーにおけるVH/VL交換)とも呼ばれる)を有する二重特異性アゴニスト性ICOS抗体を、図1Eに示されるように調製した。
本実施例では、構築物の第1の重鎖HC1を、以下の構成要素で構成した。抗ICOSバインダーのVHCH1、続いて抗FAPバインダーのVLCH1及びFcノブ。第2の重鎖HC2は、抗ICOSのVHCH1と、それに続くFcホールとで構成した。ICOS(1167)に対するバインダーを、実施例1に記載したように生成した。FAPバインダー(4B9)の生成及び調製は、国際公開第2012/020006号A2に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
国際特許出願の国際公開第2012/130831号A1に記載の方法に従い、Pro329Gly、Leu234Ala、及びLeu235Ala変異を、ノブ及びホール重鎖の定常領域に導入して、Fcγ受容体への結合を消失させた。
二重特異性2+1抗ICOS 抗FAP huIgG1 P329GLALA逆位抗体を、HEK293F細胞をFectoPro(PolyPlus、米国)を使用して哺乳動物発現ベクターと共トランスフェクションすることによって作製した。1:2:1:1の比(「ベクター重鎖(VH-CH1-VL-CH1-CH2-CH3)」:「ベクター軽鎖(VL-CL)」:「ベクター重鎖(VH-CH1-CH2-CH3)」:「ベクター軽鎖(VH-CL)」で細胞に対応する発現ベクターをトランスフェクトした。二重特異性の一価の抗ICOS抗体及び抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体について記載されるように構築物を作製し、精製した(実施例3.1を参照されたい)。
2+1抗ICOS、抗FAP Crossfab-IgG P329G LALA逆位構築物についてのアミノ酸配列を表20に見出すことができる。
実施例4
マウス及びウサギ抗ICOS抗体のヒト化
4.1 方法
適切なヒトアクセプターフレームワークは、ヒトV及びJ領域配列のBLASTpデータベースにマウス入力配列(可変部分に植え付けられた)を照会することによって特定された。ヒトアクセプターフレームワークを選択するための選択基準は、配列相同性、同じ又は類似のCDR長、及びヒト生殖細胞系列の推定頻度だったが、VH-VLドメインインターフェースでの特定のアミノ酸の保存でもあった。生殖細胞系列の同定ステップに続いて、マウス入力配列のCDRをヒトアクセプターフレームワーク領域に移植した。これらの最初のCDR移植片と親抗体の間の各アミノ酸の違いは、それぞれの可変領域の構造的完全性への影響の可能性について評価され、親配列に対する「逆変異」が適切と思われる場合はいつでも導入された。構造評価は、Biovia Discovery Studio Environment、バージョン17R2を使用して実装した、社内で抗体構造相同性モデリングプロトコルにより作製し、親抗体とヒト化バリアントの両方のFv領域相同性モデルに基づいた。いくつかのヒト化バリアントには、「順変異」、すなわち、親バインダーの所与のCDR位置で発生する元のアミノ酸をヒト受容体生殖細胞系列の同等の位置で見られるアミノ酸に変更するアミノ酸交換が含まれていた。目的は、免疫原性のリスクを更に低減するために、(フレームワーク領域を超えて)ヒト化バリアントの全体的な人間性を高めることである。
社内で開発されたin silicoツールを使用して、対になったVH及びVLヒト化バリアントのVH-VLドメイン配向を予測した(国際公開第2016/062734号)。結果を親バインダーの予測されたVH-VLドメイン配向と比較して、元の抗体に形状が近いフレームワークの組合せを選択した。理論的根拠は、結合特性に悪影響を与える可能性がある2つのドメインの対合に破壊的な変化をもたらす可能性のあるVH-VLインターフェース領域でのアミノ酸交換の可能性を検出することである。
4.2 アクセプターフレームワークの選択及びその適合
009のヒト化
CDR3後フレームワーク領域を、ヒトIGHJ生殖細胞系列IGHJ6*01/02(YYYYYGMDVWGQGTTVTVSS、配列番号120)及びヒトIGKJ生殖細胞系列IGKJ2*01(YTFGQGTKLEIK、配列番号121)から適合させた。アクセプターフレームワークに関連する部分は太字で示されている。
構造的考察に基づいて、ヒトアクセプターフレームワークから親バインダー中のアミノ酸への復帰突然変異を、H40(P>S)、H42(G>E)、H49(G>A)、H94(R>W)、H105(K>A)[VH1]、H40(P>S)、H42(G>E)、H93(A>T)、H94(R>W)、H105(K>A)[VH2]、L38(Q>H)、L43(A>G)、L49(Y>W)、L100(Q>S)[VL1]、及びL38(Q>H)、L43(A>G)、L49(Y>W)、L100(Q>S)[VL2]の位置に導入した。
さらに、H60(S>A)、H61(D>A)[VH1]、H60(S>A)[VH2]、L24(K>Q)[VL1]、及びL24(K>R)[VL2]の位置を、正突然変異の有望な候補として同定した(Kabatナンバリング)。
1138のヒト化
CDR3後フレームワーク領域を、ヒトIGHJ生殖細胞系列IGHJ1*01(AEYFQHWGQGTLVTVSS、配列番号122)及びヒトIGKJ生殖細胞系列IGKJ4*01/02(LTFGGGTKVEIK、配列番号1223)から適合させた。アクセプターフレームワークに関連する部分は太字で示されている。
構造的考察に基づいて、ヒトアクセプターフレームワークから親バインダー中のアミノ酸への復帰突然変異を、H71(R>K)、H72(D>T)、H73(N>S)、H76(N>T)、H91(Y>F)、H94(K>R)[VH1]、及びL1(D>A)、L42(K>Q)、L43(A>P)[VL1]の位置に導入した。さらに、VHの1つのバリアントでは、N末端が復帰突然変異され(V>QからのH1の除去及びH2の変異)、VHの1つのバリアントでは、ウサギフレームワークのH75位のギャップが再導入された。
さらに、位置H61(S>D)、H62(W>S)、H63(A>V)[VH1]及びL24(Q>R)[VL1]が、正突然変異の有望な候補として同定された(Kabatナンバリング)。
1143のヒト化
CDR3後フレームワーク領域を、ヒトIGHJ生殖細胞系列IGHJ1*01(AEYFQHWGQGTLVTVSS、配列番号122)及びヒトIGKJ生殖細胞系列IGKJ4*01/02(LTFGGGTKVEIK、配列番号123)から適合させた。アクセプターフレームワークに関連する部分は太字で示されている。
構造的考察に基づいて、ヒトアクセプターフレームワークから親バインダー中のアミノ酸への復帰突然変異を、H48(V>I)、H49(S>G)、H71(R>K)、H72(D>T)、H73(N>S)、H76(N>T)、H91(Y>F)、H94(K>R)[VH1]、及びL42(K>Q)、L43(A>P)[VL1]の位置に導入した。さらに、VHの2つのバリアントでは、N末端が復帰突然変異され(V>QからのH1の除去及びH2の変異)、VHの2つのバリアントでは、ウサギフレームワークのH75位のギャップが再導入された。
さらに、位置H61(T>D)[VH1]及びL24(Q>R)[VL1]が、正突然変異の有望な候補として同定された(Kabatナンバリング)。
4.3 ヒト化バリアント
逆変異の前にはbが付いており、順変異にはfが付いている。例えば、bM48Iは、48位(Kabatナンバリング)のメチオニンからイソロイシンへの逆変異(ヒト生殖細胞系列アミノ酸から親抗体アミノ酸)を指す。
ヒト化バリアントのアミノ酸配列を、以下の表28に見出すことができる。
4.4 ヒト化バリアントのクローニング及び発現
重鎖及び軽鎖DNA配列の可変領域を、それぞれのレシピエント哺乳動物発現ベクターに予め挿入された定常重鎖又は定常軽鎖のいずれかとインフレームでサブクローニングした。タンパク質発現はMPSVプロモーターによって駆動され、合成ポリAシグナル配列がCDSの3’末端に存在する。選択された抗ICOSヒト化バリアントのアミノ酸配列を表29に示す。
ExpiFectamine 293(Thermo Fisher)を用いてExpi293F(Thermo Fisher)細胞を哺乳動物発現ベクターと同時トランスフェクトすることによって、ヒトIgGフォーマットのヒト化バリアントを作製した。対応する発現ベクターを1:1の比(「ベクター重鎖」:「ベクター軽鎖」)で細胞にトランスフェクトした。
48ディープウェルプレートでの産生のために、2.5e6細胞/mL Expi293F細胞をトランスフェクションの日に播種した。目的の標的タンパク質をコードするプラスミドを用いて一過性トランスフェクションを行った。DNA/ExpiFectamine 293のMasterMixをOpti-MEM培地(Thermo Fisher)中で調製し、5分間インキュベートし、細胞懸濁液に添加した。トランスフェクションの24時間後、各ウェルに10μLのエンハンサー1(Thermo Fisher)及び100μLのエンハンサー2(Thermo Fisher)を供給した。
5日間培養した後、細胞上清を1200×gで50分間の遠心分離によって回収した。溶液を滅菌濾過(0.2μmフィルタ)し、4℃に保った。
分泌されたタンパク質を、プロテインA親和性クロマトグラフィーを使用して96ウェルフォーマットで液体処理プラットフォーム上の親和性クロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製する。親和性クロマトグラフィーのため、上清を、290μlの20mMリン酸ナトリウム、20mM クエン酸ナトリウム、pH7.5で2回平衡化したProPlus PhyTip Column(MabSelect SuRe(商標)(CV=40μl;先端体積500μlのPhynexus)に充填する。未結合タンパク質を300μlの20mMリン酸ナトリウム、20mMクエン酸ナトリウム、pH7.5で4回洗浄することによって除去し、標的タンパク質を150μlの20mMクエン酸ナトリウム、100mM塩化ナトリウム、100mMグリシン、pH3.0で2回溶出する。タンパク質溶液を、30μlの0.5Mリン酸ナトリウム(pH8.0)を添加することによって中和する。
精製されたタンパク質を、Nanodrop分光光度計(ThermoFisher)を使用して定量し、変性及び還元条件下(LabChip GX、Perkin Elmer)及び分析SEC(UP-SW3000、Tosho Bioscience)でCE-SDSによって分析した。還元条件下で、見かけの分子サイズを分子量標準と比較することによって、IgGに関連するポリペプチド鎖をLab Chipデバイスで同定した。
実施例5
抗CEA抗体A5B7のヒト化バリアントの生成
5.1 方法
抗CEA抗体A5B7は例えば、M.J.Banfield et al,Proteins 1997,29(2),161-171により開示されており、その構造は、タンパク質構造データベースPDB(www.rcsb.org,H.M.Berman et al,The Protein Data Bank,Nucleic Acids Research,2000,28,235-242)においてPDB ID:1CLOとして見つけることができる。このエントリーは、重鎖及び軽鎖可変ドメイン配列を含む。抗CEAバインダーA5B7のヒト化の間に、好適なヒトアクセプターフレームワークを識別するために、高い配列相同性を有するアクセプターフレームワークを検索し、このフレームワークのCDRをグラフトし、復帰突然変異が予想可能なものを評価することによる、古典的なアプローチを利用した。より明示的には、親抗体に対する、識別したフレームワークの各アミノ酸の違いの、バインダーに対する構造的完全性の影響を判断し、適切な場合はいつでも、親配列に対する逆変異を導入した。構造評価は、親抗体、及び、Biovia Discovery Studio Environment,バージョン4.5を使用して実装した、社内で抗体構造相同性モデリングツールにより作製したそのヒト化版の両方のFv領域相同性モデルに基いた。
5.2 アクセプターフレームワークの選択及びその適合
アクセプターフレームワークを、下表30に記載のとおりに選択した。
重鎖に関しては、ヒトJエレメント生殖細胞系列IGJH6、及び、軽鎖に関しては、カッパJエレメントIGKJ2に類似した配列から、ポストCDR3フレームワーク領域を適合させた。
構造の考察に基づき、親バインダーにおける、ヒトアクセプターフレームワークからアミノ酸への復帰突然変異を、重鎖の位置93及び94に導入した。
5.3 得られるヒト化CEA抗体のVH及びVL領域
ヒト化CEA抗体の得られたVHドメインは、下表31に見いだすことができ、ヒト化CEA抗体の得られたVLドメインは、下表32に列挙されている。
重鎖に関して、最初のバリアント3-23A5-1は、結合アッセイにおいて好適であることが発見され(しかし、親マウス抗体よりわずかに低い結合を示した)、更なる修飾のための起点として選択した。IGHV3-15に基づくバリアントは、ヒト化バリアント3-23A5-1と比較して、低い結合活性を示した。
親キメラ抗体の完全な結合活性を復元するために、バリアント3-23A5-1A、3-23A5-1C、及び3-23A5-1Dを作製した。CDR-H2の長さがヒトアクセプター配列に適合可能であるか否か、バリアント3-23A5-1を試験したが、この構築物は完全に結合活性を失っていた。推定では、アミド分解ホットスポットはCDR-H2(Asn53-Gly54)に存在したため、このモチーフをAsn53-Ala54に変更した。可能性のある別のホットスポットAsn73-Ser74を、Lys73-Ser74に復帰突然変異させた。このように、バリアント3-23A5-1Eを作製した。
ヒトIGKV3-11アクセプターフレームワークに基づき、軽鎖をヒト化した。連続したA5-L1からA5-L4において、バリアントA5-L1は良好な結合活性を示す(しかし、親抗体をわずかに下回る)ことが分かった。CDR-L1(バリアントA5-L2;Kabat位置30及び31)の部分的なヒト化により、結合が完全に失われる。同様に、CDR-H2(バリアントA5-L3;Kabat位置50~56)のヒト化によってもまた、結合が完全に失われる。位置90(バリアントA5-L4)は、結合特性に対する著しい寄与を示す。この位置におけるヒスチジンは、結合に重要である。したがって、バリアントA5-L1を更なる修飾のために選択した。
連続したA5-L1A~A5-L1Dは、親キメラ抗体の完全な結合能力を復元するために、どの復帰突然変異が必要であるかの問いを解決した。Kabat位置1、2、全体フレームワーク2、並びにKabat位置71における復帰突然変異は、どのような更なる結合活性も添加しないことを、バリアントA5-L1Aは示した。変異体A5-L1B、及びA5-L1Cは、これらの位置のサブセットを解決し、そのサブセットは結合特性を変化させないことを確認する。Kabat位置46及び47において復帰突然変異を有するバリアントA5-L1Dは、最良の結合活性を示した。
5.4 ヒト化A5B7抗体の選択
VH及びVLの新規のヒト化変異体に基づき、国際公開第2012/130831号A1に記載の方法に従い、新規のCEA抗体を、エフェクターサイレントFc(P329G;L234、L235A)を有するhuIgG1抗体として発現させてFcγ受容体への結合をなくし、MKN45細胞上で発現したCEAへの結合を試験し、それぞれの親マウスA5B7抗体と比較した。
MKN45(DSMZ ACC 409)は、CEAを発現するヒトの胃腺癌細胞株である。細胞を、高度RPMI+2%FCS+1%Glutamaxで培養した。MKN-45細胞の生存能を確認し、細胞を再懸濁し、1Mio細胞/mLの密度に調節した。100μLのこの細胞懸濁液(0.1Mio細胞を含有)を、96ウェルの丸底フラスコに播種した。プレートを4分間400×gで遠心分離し、上清を取り除いた。次に、40μLの希釈抗体又はFACS緩衝液を細胞に添加し、30分間4℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞をウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。次いで、20μLの希釈した二次PE抗ヒトFc特異性二次抗体(109-116-170,Jackson ImmunoResearch)を細胞に加えた。細胞を更に30分間、4℃にてインキュベートした。結合していない抗体を取り除いた後、細胞を再び、ウェル当たり150μLのFACS緩衝液で2回洗浄した。細胞を固定するために、1% PFAを含有する100μLのFACS緩衝液をウェルに添加した。測定前に、細胞を150μLのFACS緩衝液に再懸濁した。BDフローサイトメーターを使用して蛍光を測定した。試験したバインダーは全て、MKN45細胞に結合することができたが、結合能力は、親A5B7抗体と比較してわずかに低下した。クローンP1AE2167は、試験した全ての変異体に最良の結合を有したので、更なる開発のために選択した。
5.5表面プラズモン共鳴(BIACORE)を使用した、マウスCEA抗体A5B7のヒト化変異体のFab断片の、ヒトCEAに対する親和性の測定
マウスCEA抗体A5B7のヒト化変異体のFab断片の、ヒトCEAに対する親和性を、BIACORE T200機器を用いる表面プラズモン共鳴により評価した。CM5チップ上で、ヒトCEA(hu N(A2-B2)A-avi-His B)を、フローセル2上での30秒間の、約100RUに対する標準的なアミンカップリングにより、40nMの濃度で不動態化した。マウスCEA抗体A5B7のヒト化変異体のFab断片を、120秒の接触時間、250又は1000秒の解離時間、及び30μL/分の流速に対して、500~0.656nMの範囲の3倍希釈で、分析物としてその後注入した。ヒトCEA(hu N(A2-B2)A-avi-His B)の濃度における再生は、2パルスの、10mMグリシン/HCl pH2.0(60秒間)により達成された。不動態化フローセル1、及び分析物のゼロ濃度に対して、データを二重参照した。分析物の前記を、単純な1:1ラングミュア相互作用モデルに適合させた。ヒトCEA(A2ドメイン)に対する親和性定数[KD]を、下表34に要約する。
マウスCEA抗体A5B7のヒト化変異体は、親マウス抗体よりも低い親和性を有する。P1AE2167(VHバリアント3-23A5-1Aを有する重鎖、及びVLバリアントA5-L1Dを有するCカッパ軽鎖)に由来するFab断片P1AE4138を、最終のヒト化バリアントとして選択した。更に、アミド分解部位を取り除くために、Kabat位置54における、グリシンからアラニンへの変異(G54A)をVHドメインに導入し、VLバリアント3-23A5-1Eをもたらした。最終のヒト化抗体(VHバリアント3-23A5-1Eを有する重鎖、及びVLバリアントA5-L1Dを有するCカッパ軽鎖)の名前を、A5H1EL1D又はhuA5B7とした。
実施例6
ICOS及び癌胎児性抗原関連細胞接着分子(CEA)を標的とする二重特異性抗原結合分子の生成
6.1 ICOS及び癌胎児性抗原関連細胞接着分子(CEA)を標的とする二重特異性一価抗原結合分子の生成(1+1フォーマット)
2つの異なる重鎖の集合を可能にするためにノブ・イントゥ・ホール技術を適用することによって、ICOS及びCEAに対する一価結合を有する二重特異性アゴニスト性ICOS抗体を調製した。crossmab技術は、国際特許出願の国際公開第2010/145792号A1に記載されているように、誤って対になった軽鎖の形成を減少させるために適用された。ICOSに一価及びCEAに一価で結合する二重特異性抗原結合分子の概略図を図1F~1Hに示す。
CEA抗原結合ドメインについては、クローンMEDI-565のVH及びVL配列を国際特許出願の国際公開第2014/079886号A1から得た。CEA抗体(A5H1EL1D)の生成及び調製は、実施例5に記載されている。ICOS抗体JMab136については、クローンJMAb136のVH及びVL配列を米国特許出願公開第2008/0199466号A1から入手した。
分子37は、huIgG1のノブ重鎖に融合したCEA抗体の交差Fabユニット(VLCH1)を含む(S354C/T366W変異を含む)。Fcホール重鎖(Y349C/T366S/L368A/Y407V変異を含む)を、ICOSに結合するFab単位に融合する(図1F)。分子41は、huIgG1(Y349C/T366S/L368A/Y407V変異を含む)のホール重鎖に融合したCEA抗体の交差Fab単位(VLCH1)を含む。Fcノブ重鎖(S354C/T366W変異を含む)を、ICOSに結合するFab断片に融合する(図1G)。分子42及び分子43は、huIgG1(Y349C/T366S/L368A/Y407V変異を含む)のホール重鎖に融合したICOS抗体の交差Fab単位(VLCH1)を含む。Fcノブ重鎖(S354C/T366W変異を含む)を、CEAに結合するFab断片に融合する(図1H)。
FcホールをFcノブ鎖と組み合わせることにより、CEAに特異的に結合するFab断片及びICOSに特異的に結合するFab断片を含むヘテロ二量体の生成が可能になる。
国際特許出願の国際公開第2012/130831号A1に記載の方法に従い、Pro329Gly、Leu234Ala、及びLeu235Ala変異を、ノブ及びホール重鎖の定常領域に導入して、Fcγ受容体への結合を消失させた。
二重特異性の一価の抗ICOS及び抗CEACAM huIgG1 P329GLALAを、HEK293F細胞をFectoPro(PolyPlus、米国)を使用して哺乳動物発現ベクターと共トランスフェクションすることによって作製した。1:1:1:1の比(「ベクターノブ重鎖」:「ベクター軽鎖1」:「ベクターホール重鎖」:「ベクター軽鎖2」)で細胞に対応する発現ベクターをトランスフェクトした。二重特異性の一価の抗ICOS抗体及び抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体について記載されるように構築物を作製し、精製した(実施例3.1を参照されたい)。
成熟二重特異性一価抗ICOS/抗CEACAM huIgG1 P329GLALA kih抗体の配列のアミノ酸配列を表35に示す。
6.2 ICOSへの二価結合及びCEAへの一価結合を有する、ICOS及び癌胎児性抗原関連細胞接着分子(CEA)を標的とする二重特異性抗原結合分子の生成(2+1フォーマット)
ICOSへの二価結合及びCEAへの一価結合(2+1とも呼ばれる)を有する二重特異性アゴニスト性ICOS抗体を、図1Cに示されるようなFAP標的化ICOS抗体と同様に調製した。
本実施例では、構築物の第1の重鎖HC1を、以下の構成要素で構成した。抗ICOS抗体のVHCH1、続いてFcノブ(このC末端にて、CEA抗体のVLを融合した)。第2の重鎖HC2は抗ICOS抗体のVHCH1、続いてFcホールで構成され、このC末端にて、CEA抗体のVHを融合した。CEA抗原結合ドメインについては、クローンMEDI-565のVH及びVL配列を国際特許出願の国際公開第2014/079886号A1から得た。ICOS抗体JMab136については、クローンJMAb136のVH及びVL配列を米国特許出願公開第2008/0199466号A1から入手した。
国際特許出願の国際公開第2012/130831A1号に記載の方法に従い、Pro329Gly、Leu234Ala、及びLeu235Ala変異を、ノブ及びホール重鎖の定常領域に導入して、Fcγ受容体への結合を消失させた。
二重特異性2+1抗ICOS 抗CEA huIgG1 P329GLALA抗体を、HEK293F細胞をFectoPro(PolyPlus、米国)を使用して哺乳動物発現ベクターと共トランスフェクションすることによって作製した。1:2:1の比(「ベクターノブ重鎖」:「ベクター軽鎖」:「ベクターホール重鎖」)で細胞に対応する発現ベクターをトランスフェクトした。二重特異性の一価の抗ICOS抗体及び抗FAP huIgG1 P329GLALA抗体について記載されるように構築物を作製し、精製した(実施例3.1を参照されたい)。
2+1抗ICOS、抗CEA構築物についてのアミノ酸配列を表37に見出すことができる。
実施例7
分子のIn vitro機能的特性評価
7.1 ICOS発現細胞への抗ICOS抗体の結合(フローサイトメトリー分析)
実施例1で調製したいくつかのICOS抗体の結合を、ICOS発現CHO細胞(ヒトICOSを安定に過剰発現するようにトランスフェクトされたATCC、CCL-61)を用いて試験した。
簡潔には、懸濁細胞を回収し、計数し、生存率を確認し、FACS緩衝液(0.1%BSAを含むPBS)に1mlあたり100万個の細胞で再懸濁した。100μlの細胞懸濁液(10万個の細胞を含有する)を丸底96ウェルプレートにおいて4℃で30分間、漸増濃度の抗ICOS(T細胞へのFAP-ICOS構築物の結合のため7pM~120 nM)と共にインキュベートし、細胞を冷PBS 0.1%BSAで2回洗浄し、標識二次抗体(Jackson Immuno Research Lab#709-116-149からのPEコンジュゲート化ロバ抗ヒトH+L PEを有する分子1、8;Jackson Immuno Research Lab#711-116-152からのロバ抗ウサギH+L PEを1:100の希釈で含む分子18及び20、Jackson Immuno Research Lab#715-116-150からのロバ抗マウスH+L PEを含む分子14)と共に4℃でさらに30分間再インキュベートし、冷PBS 0.1%BSAで2回洗浄した。染色を、ウェルあたり75μlのFACS緩衝液中1%PFAを使用して、暗所において4℃で20分間固定した。
加えて、ヒトSR細胞(ATCC(登録商標)CRL-2262)への上記分子の結合を、下記の改変とは別に上記で記載されるように行った:SR細胞をFACS緩衝液(BD)中に1mlあたり200万個の細胞で再懸濁した。100μlの細胞懸濁液(20万個の細胞を含有する)を96ウェルPPプレート中で4℃にて1時間、漸増濃度の抗ICOS(7pM~510nM)と共にインキュベートし、細胞を冷PBS 0.1%BSAで2回洗浄し、上記のように標識二次抗体と共に4℃にて更に30分間再インキュベートした。
FACS Fortessa(Software FACS Diva)を用いてFACSにより蛍光を分析した。GraphPadPrism 7を用いて結合曲線及びEC50値を得た。
結果は、ICOS分子が濃度依存的様式でヒトICOSに結合することができることを示す(図2A及び2B)。EC
50値を表39に要約する。分子20及び8について最良の結合が観察された。
さらに、実施例4で調製したICOS抗体009、1143v2及び1138のヒト化変異体を、上記のようにヒトICOSへのそれらの結合について(分子15、28及び32の形態で)試験した。
結果は、分子が濃度依存的様式でヒトICOSに結合することができることを示す(図3A~3C)。EC50値を表40に要約する。抗体009(分子14)の場合、変化した結合特性を示した異なる参照分子(分子15、FAP標的2+1 ICOS抗原結合分子)をアッセイに使用しなければならなかった。したがって、親分子との比較は困難である。これらの3つの変異体は、同等の結合プロファイル(図3A)を示し、分子26は、分子25及び27と比較してわずかに損なわれた結合を示した。
分子28について、分子31は親抗体(分子28)と同等の結合を示し、分子29及び30と比較してより高い絶対結合を示すことが示された(図3B)。
分子35は親抗体と比較して同様の結合挙動を示すが、分子33及び分子34は親抗体(分子32)と比較してより高いEC
50値及びより低い全体的な結合を示す。(図3C)
7.2 Jurkat-NFATレポーター細胞の活性化(発光に基づく分析)
同時TCR関与への依存性を、NFAT核移行に応答してルシフェラーゼを発現する操作されたJurkat細胞株を使用することによって評価した。
GloResponse Jurkat NFAT-RE-luc2P(Promega#CS176501)レポーター細胞株を、JurkatNFAT培養培地(10%FCS、1%GluMax、25mM HEPES、1×NEAA、1%ピルビン酸ナトリウム(o-Pyruvate)を含有するRPMI1640培地;選択:200ug/mlハイグロマイシンB)の1.5μg/mlのaCD3(BioLegend#317304)及び2μg/mlのaCD28(BioLegend、#302914)、又はPHA-L(Sigma#、1μg/ml)及びIL-2(Proleukin、Novartis;200U/ml)でをコーティングした細胞培養フラスコのいずれかを用いて、ICOS発現を誘導するためにあらかじめ活性化した。
アッセイ前に一晩、細胞を飢餓状態にした(刺激なしのJurkatNFAT培養培地)。アッセイプレートStreptaWelll High Bind(透明、96ウェル、Roche#11989685001)を、Bi<huIgG F(ab’)2>(JIR、#109-066-097)1μg/ml及びBi<mIgG F(ab’)2>(JIR、#115-066-072)1μg/mlの混合物を1:1の比で同時にコーティングした(4℃で一晩)。翌日、プレートを洗浄し、0.25μg/mlのaCD3(BioLegend#317315)及び指定の濃度(29pM~120000pMの範囲)の抗ICOS分子のいずれかを添加し、プレートを室温で2時間インキュベートした。プレートをDPBS(Gibco、#14190136)で1回洗浄し、0.15 Mio刺激及び飢餓GloResponse Jurkat NFAT-RE-luc2Pを添加した。NFAT媒介性シグナル伝達を、37℃、5%CO
2での5時間のインキュベーション後に、Promega OneGlo Assay System(Promega、#E6120)を製造業者の説明書に従って使用してLuminescence Readingによって評価した。プレートを滅菌96ウェル平底白色プレート(Costar、#3917)に再フォーマットし、Tecan Spark10M Plate Reader(Luminescence Reading、1000ms積分時間、自動減衰設定)で読み取った。GraphPadPrism 7を使用して曲線及びEC50値を得た。結果は、試験した全てのICOS抗体(野生型IgGフォーマット)がJurkat-NFATレポーター細胞を濃度依存的に活性化できることを示す(図4)。EC
50値を表41に要約する。分子20について最も強力な活性化が観察された。
さらに、実施例4で調製したICOS抗体009、1143v2及び1138のヒト化変異体を、上記のようにJurkat-NFATレポーター細胞を活性化する能力について(分子15、28及び32の形態で)試験した。
結果は、分子がJurkat-NFATレポーター細胞を濃度依存的に活性化することができることを示す(図5A~5C)。EC50値を表42に要約する。分子14については、異なる参照分子をアッセイに使用しなければならず(分子15)、これは変異体と比較してより低い全体的アゴニスト活性を示した。したがって、親分子との比較は困難である。これらの3つの変異体は、ヒトICOSへの結合についての以前の事例のように、非常に同等のアゴニスト活性を示した。
分子28及びその変異体は、同様に以前に記載されたようなヒトICOSへの結合からの結果と一致して、分子29>分子30>分子28=分子31というランク付けで、同等のEC50値を示し、最大アゴニスト活性にはわずかな差しかなかった。
また、分子32及びそのヒト化変異体について、アゴニスト活性のわずかな違いしか観察されず、最大アゴニスト活性に関するランキングは、分子35>分子33>分子34>分子32である。EC
50に関して、ランキングは分子34>分子32>分子33>分子35である。
7.3 ICOS-リガンドとの競合(フローサイトメトリー分析)
実施例1で調製したいくつかの抗ICOS抗体とヒトICOSリガンド(配列番号215、UniProt No.O75144)との競合を、ICOS+CHOトランスフェクタント細胞(実施例2.2を参照されたい)で試験した。
簡潔には、細胞を回収し、計数し、生存率を確認し、FACS緩衝液(0.1%BSAを含むPBS)に1mlあたり100万個の細胞で再懸濁した。100μlの細胞懸濁液(10万個の細胞を含有する)を、Alexa-Fluor 647で標識した120nM ICOSL(=ICOSL予め結合した)又はAlexa-Fluor 488で標識した抗ICOS分子(=ICOS IgG予め結合した)と共に4℃で30分間、丸底96ウェルプレート中でインキュベートした。細胞を冷PBS 0.1%BSAで2回洗浄し、漸増濃度(7pM~120)の抗ICOS A488分子(ICOSLが予め結合したウェルの場合)又はICOSL-A647(抗ICOS分子が予め結合したウェルの場合)と共にインキュベートした。細胞を冷PBS 0.1%BSAで再度2回洗浄し、次いで再インキュベートし、FACS緩衝液中1%PFA 75μl/ウェルを使用して、暗所で4℃で20分間固定した。FACS Fortessa(Software FACS Divaを用いてFACSにより蛍光を分析した。GraphPadPrism 7を用いてデータを分析した。
表43は、異なる条件に対する抗ICOS分子の蛍光強度中央値(MFI)及び120nM濃度での相対結合%(MFI(ICOSL+抗ICOS)/MFI(抗ICOSのみ)*100として計算し、細胞及び二次抗体のみをベースラインとして含むウェルからのシグナルを使用して、全てのMFIをベースライン補正した)を示す。非競合対照分子を除く全ての抗ICOS抗体は、120nM ICOSLが添加された場合でさえ、huICOSに結合したままであることが示されている。
7.4 ICOS過剰発現細胞、FAP過剰発現細胞又はCEA過剰発現細胞への二重特異性腫瘍標的ICOS分子の結合(フローサイトメトリー分析)
実施例3又は6で調製したいくつかの二重特異性腫瘍標的ICOS抗原結合分子の結合を、ICOS発現CHO細胞(ATCC、CCL-61、ヒトICOSを安定に過剰発現するようにトランスフェクトされている)を用いて試験した。
簡潔には、懸濁細胞を回収し、計数し、生存率を確認し、FACS緩衝液(0.1%BSAを含むPBS)に1mlあたり100万個の細胞で再懸濁した。100μlの細胞懸濁液(10万個の細胞を含有する)を丸底96ウェルプレート中で、漸増濃度の抗ICOS(7pM~120nM)と共に4℃で30分間インキュベートし、細胞を冷PBS 0.1%BSAで2回洗浄し、標識二次抗体(Fab Fcy特異的AF647(1:100)、190-606-008 Jackson Immuno Research)と共に4℃で更に30分間再インキュベートし、冷PBS 0.1%BSAで2回洗浄した。染色を、ウェルあたり75μlのFACS緩衝液中1%PFAを使用して、暗所において4℃で20分間固定した。
FACS Fortessa(Software FACS Diva)を用いてFACSにより蛍光を分析した。GraphPadPrism 7を用いて結合曲線及びEC50値を得た。
結果は、二重特異性ICOS抗原結合分子が濃度依存的様式でヒトICOSに結合することができることを示す(図6A)。EC
50値を表44に要約する。分子15について最良の結合が観察された。さらに、結果は、図1A~1Cに示される3つの異なるフォーマットの結合のランキングを示し、ICOSへの一価よりも二価の結合に起因して予想されるように、1+1フォーマット(図6B)と比較して2+1フォーマット(図1C)の優れた結合を示す。
表44:ICOS
+CHO細胞への種々の腫瘍標的化抗ICOS分子の結合のEC
50値
また、ヒトNIH/3t3-huFAPクローン19細胞(ヒトFAPを安定的に過剰発現するように改変された親細胞株ATCC#CCL-92)への同一分子の結合を、上記と同様に行った。
結果は、二重特異性腫瘍標的化ICOS抗原結合分子が濃度依存的様式でヒトFAPに結合することができることを示す(図7A)。EC
50値を表45に要約する。分子9、15、19及び22は、非常に類似した結合を示す。一方、結果は、2+1(図1C)及び1+1 HTフォーマット(図1B)と比較して、1+1分子フォーマット(図1A)の優れた結合を示す(図7Bを参照されたい)。これは、VH-VL対Fab融合としてのFAP標的化部分の異なる結合親和性によって駆動され得る。
表45:FAP
+NIH/3t3-huFAPクローン19細胞に対する異なる腫瘍標的化抗ICOS分子の結合のEC
50値
さらに、同じ分子のカニクイザルICOSへの結合を予め活性化したカニクイザルPBMCで評価した。
簡潔には、カニクイザルPBMCを、Dynabeads(商標)Human T-Activator CD3/CD28(Thermo Fischer#11131D)を製造者の説明書に従って使用して48時間活性化し、上記のように、次の結合実験が行われるまで加湿インキュベータ中、37℃で10%FCS及び1%Glutamax(Gibco 35050061)を含有するRPMI1640培地中で保存した。
結果は、腫瘍標的ICOS抗原結合分子がカニクイザルICOSに濃度依存的に結合することができることを示す(図8A及び8B)。EC
50値を表46に要約する。CD4
+T細胞サブセット及びCD8
+T細胞サブセットの両方で分子15について最良の結合が観察された。
表46:カニクイザルPBMCに対する異なる二重特異性腫瘍標的化抗ICOS分子の結合のEC
50値
カニクイザルICOSに結合するそれらの能力に関して図1A、1B及び1Cに記載されたフォーマットを比較すると、図1Cに記載されたフォーマットのICOSへの二価結合は、図1A及び図1Bに記載されたフォーマットの一価結合よりも優れていることが証明された(図8C及び8D、並びに表47)。
表47:カニクイザルPBMCに対する異なるフォーマットの二重特異性腫瘍標的化抗ICOS分子の結合のEC
50値
さらに、マウスICOSに対するマウス交差反応性分子9、10及び11の結合を、上記のプロトコルに対して以下の変更を行って、マウス脾細胞を用いて評価した:C57Bl/6マウス又はhCEA(HO)TgマウスのBr脾臓をgentleMACS Cチューブ(Miltenyi)に移し、MACS緩衝液(PBS+0.5%BSA+2mM EDTA)を各チューブに添加した。GentleMACS Dissociatorを使用して脾臓を解離させ、チューブを短くスピンダウンし、細胞を100μmナイロン細胞ストレーナーに通した。その後、チューブを3mlのRPMI1640培地(SIGMA、カタログ番号R7388)ですすぎ、350×gで8分間遠心分離した。上清を捨て、細胞懸濁液を70μmナイロンセルストレーナーに通し、培地で洗浄した。別の遠心分離(350×g、8分)後、上清を廃棄し、5mlのACK Lysis Bufferを添加した。RTでの5分間のインキュベーション後、細胞をRPMI培地で洗浄した。その後、細胞を再懸濁し、細胞計数のために、ペレットをアッセイ培地(RPMI1640、2%FBS、1%Glutamax)にプールした(Vi-Cell-Setting白血球、1:10希釈)。次いで、脾細胞をPHA-L(Sigma#、2μg/ml)及びIL-2(Proleukin、Novartis;200U/ml)で48時間あらかじめ活性化させてマウスICOSの発現を上方制御し、次いで、上記のように、その後の結合実験に使用した。
結果は、分子が濃度依存的にマウスICOSに結合することができることを示している(図9A)。EC
50値を表48に要約する。この場合もやはり、2+1フォーマットはマウスICOSに対する優れた結合を示し、一方、1+1フォーマットは、2+1 HTフォーマット及び1+1 HTフォーマットと比較して、マウスFAPに対する優れた結合を示す(図9B)。
表48:マウス脾細胞への種々の腫瘍標的化抗ICOS分子の結合のEC
50値
実施例3.4及び3.5において調製され、図1D及び1Eに示される二重特異性腫瘍標的化抗ICOS分子のためのフォーマットの別のセットを、事前に活性化されたヒトPBMCをヒトICOSへの結合のための標的細胞として使用した改変とは別に、上に記載されるようなヒトICOS及びヒトFAPに対するそれらの結合特性について試験した。
簡潔には、末梢血単核細胞(PBMC)を、Buffy Coat(「Blutspende Zurich」)から得たヘパリン処理した血液の濃縮リンパ球調製物のHistopaque(Sigma-Aldrich、カタログ番号10771-500 ML Histopaque-1077)密度遠心分離によって調製した。血液を、滅菌DPBSで1:2に希釈し、Histopaque gradient(Sigma,#H8889)上で積層した。遠心分離(450xg、30分、室温)後、PBMC含有界面相より上方の血漿を廃棄し、PBMCを新しいfalconチューブに移し、続いてPBS 50mlで満たした。混合物を遠心分離(400×g、10分、室温)し、上清を廃棄し、PBMCペレットを滅菌PBSで2回洗浄した(遠心分離工程350×g、10分)。得られたPBMC集団を自動的に計数し(Cedex HiRes)、10%FCS及び1%Glutamaxを含有するRPMI1640培地(Gibco 35050061)に保存した。PBMCをPHA-L(Sigma#、2μg/ml)及びIL-2(Proleukin、Novartis;200U/ml)で48時間予備活性化して、加湿インキュベータ中、37℃でヒトICOSの発現を上方制御した。インキュベーション後、上記のように、PBMCをその後の結合実験に使用した。
結果は、二重特異性FAP標的化ICOS分子が濃度依存的様式でヒトICOS及びヒトFAPに結合することができることを示す(図10A~10C)。EC50値を表49に要約する。分子12及び13は、CD4+T細胞サブセット形式及びCD8+T細胞サブセット形式の両方においてヒトICOSに対する優れた結合性を示す(図10A及び10B)。一方、分子13はヒトFAPよりも低い結合を示す(図10C)。
表49:FAP+NIH/3t3-huFAP cl.19細胞又はヒトPBMCのあらかじめ活性化されたCD4+及びCD8+サブセットに対する異なるFAP標的化抗ICOS分子の結合のEC
50値。
さらに、FAP標的化ICOS分子40、15、44、21及び22の、SR細胞及びFAP+NIH/3t3-huFAP cl.19細胞上のICOSに対する結合を、更なる実験で試験した(図12A及び12Bを参照されたい)。データを以下の表49Aに示す。
表49A:異なるFAP標的化抗ICOS分子の、SR細胞上のICOS及びFAP+NIH/3t3-huFAP cl.19細胞への結合のEC
50値。
FAPの代わりにCEAを標的とする、実施例6で調製した別のセットの腫瘍標的化抗ICOS分子を、上記のようにヒトICOS及びヒトCEAに対するそれらの結合特性について試験した。ヒトICOSへの結合を、先に記載されたように事前に活性化されたヒトPBMCで試験した。CEAへの結合を、MKN-45細胞(ヒト胃腺癌細胞株、DSMZ ACC 409)を使用して評価した。
結果は、CEA標的二重特異性ICOS分子が濃度依存的にヒトICOS及びヒトCEAに結合することができることを示している(図11A~11C))。分子42がヒトICOSに対する優れた結合を示す(図11A及び図11B)一方、3つの分子はいずれも、ヒトCEAに対する同等の結合を示す(図13C)。
7.5 腫瘍標的ICOS抗原結合分子の存在下でのTCB媒介性T細胞活性化の増加(フローサイトメトリー分析)
FAP又はCEA標的化二重特異性アゴニスト性ICOS分子のいずれかがT細胞のCEACAM 5-TCB媒介性活性化を更にブーストする能力を、CEA陽性MKN-45及びFAP発現NIH/3T3-huFAPクローン19細胞(ATCC、CCL-92、ヒトFAPを安定的に過剰発現するようにトランスフェクトされている)並びにヒトPBMCの共培養アッセイで評価した。
簡潔には、接着性標的細胞を細胞解離緩衝液で回収し、実験の1日前に平底96ウェルプレートに10000個の細胞/ウェルの密度で播種した(Gibco,13151014)。これにより、NIH/3T3-huFAPクローン19細胞を、5000rad(フィルタなしの照射、レベル5)のX線照射装置RS 2000(Rad source)を使用して、播種前に更に照射した。標的細胞を一晩接着させた。末梢血単核細胞(PBMC)を、Buffy Coat(「Blutspende Zurich」)からの濃縮リンパ球調製物のHistopaque(Sigma-Aldrich、カタログ番号10771-500ML Histopaque-1077)密度遠心分離によって調製し、血液を滅菌DPBSで1:2に希釈し、Histopaque勾配(Sigma、#H8889)上に重層した。遠心分離(450×g、30分、室温)後、PBMC含有界面相より上方の血漿を廃棄し、PBMCを新しいfalconチューブに移し、続いてPBS 50mlで満たした。混合物を遠心分離(400×g、10分、室温)し、上清を廃棄し、PBMCペレットを滅菌PBSで2回洗浄した(遠心分離工程350×g、10分)。得られたPBMC集団を自動的に計数し(Cedex HiRes)、10%FCS及び1%Glutamaxを含有するRPMI1640培地(Gibco 35050061)中、37℃、加湿インキュベータ中でアッセイが開始されるまで保存した。
PBMCを標的細胞及び線維芽細胞に添加して、固定濃度80pMのCEACAM5-TCB、及び漸増濃度のFAP又はCEA標的化ICOS分子(三連で0.11pM~5000pM)の存在下で5:1:1の最終E:T比を得た。T細胞活性化を、T細胞活性化マーカーであるCD69(初期活性化マーカー)及びCD25(後期活性化マーカー)を認識する抗体を使用するフローサイトメトリー分析によって、37℃、5%CO2での48時間のインキュベーション後に評価した。
簡潔には、PBMCを400×gで4分間遠心分離し、0.1%BSAを含有するPBS(FACS緩衝液)で2回洗浄した。CD8(PerCP/Cy5.5抗ヒトCD8a、BioLegend #301032)、CD4(APC/Cy7抗ヒトCD4、BioLegend #300518)、CD69(BV421抗ヒトCD69、BioLegend #310930)、CD25(PE抗ヒトCD25、BioLegend #356104)についての表面染色を供給業者の指示に従って実施した。次いで、細胞を、0.1%のBSAを含有する150μl/ウェルのPBSで2回洗浄し、1%のPFAを含有する75μl/ウェルのFACS緩衝液を使用して4℃で15~30分間固定した。遠心分離後、試料を150μl/ウェルのFACS緩衝液中で再懸濁した。FACS Fortessa(Software FACS Diva)を用いてFACSにより蛍光を分析した。GraphPadPrism 7を用いてグラフを得た。
実施例3において調製されるいくつかのFAP-ICOS分子のアゴニスト活性を、上記で記載されるような5名までのPBMCドナーにおいて比較した(図12C)。結果は、分子44、並びにその変異体分子21及び22について同等の活性、また分子15の変異体である分子40の活性のわずかな低下を示している。
別の例では、選択されたFAP-ICOS分子のアゴニスト活性を、次の改変を除いて、上記で記載されるように、3名のPBMCドナーにおいて比較した(図13A及び13B):80pMのCEACAM5 TCBの代わりに、5pMのMCSP TCBを、5:1のエフェクター対標的比(1ウェルあたり50000個のエフェクター及び10000個の標的細胞)でのMCSP+細胞及びFAP+MV-3細胞(受託番号CVCL_W280)による細胞株の置き換えと併せて使用した。
全ての試験されたFAP-ICOS分子が、TCB媒介のT細胞活性化を高めることができた(図13A)。分子19で最も強力な活性化が観察された。FAP-ICOSの3つの異なるフォーマットを比較したとき、図1Cに記載されるフォーマットは、最も強い活性化を誘導した(図13B)。
別のアッセイでは、図1A、1D及び1Eに記載のフォーマットを、2人の健康なPBMCドナーについて上記のように比較した(図14A~14C)。
結果は、3つ全てのフォーマットが、TCB処置単独と比較した場合、更なるT細胞活性化を誘導し得ることを示す。試験した3つのフォーマット間で最大アゴニスト活性の差を見出すことはできない(図14C)。しかしながら、3つのフォーマットは、図1A>図1E>図1Dの順位(より低い濃度からより高い濃度まで)で、異なる濃度でそれらの最大アゴニスト活性に達する。
TCB及び腫瘍標的化ICOS分子を同じ標的細胞(「シス設定」)又は2つの異なる細胞(「トランス設定」)に標的化することの違いを評価するために、FAP(トランス設定)又はCEA(シス設定)のいずれかを標的とする2つのICOS分子を、2人の健康なPBMCドナーについて上記のアッセイで試験した(図15A~15C)。
結果は、CEA標的化分子41のより高い全体的アゴニスト活性を示す(図15C)。しかしながら、FAP標的化分子10は、より低い濃度でその最大アゴニスト活性に達するようである(図15A~15B)。
さらに、NIH/3t3-huFAPクローン19、標的としてMKN-45細胞及び第1の刺激として80pMのCEACAM5 TCBを使用して、先に記載したように、3人のPBMCドナーで一組のCEA-ICOS分子を試験した。
結果は、試験した3つ全ての分子が、TCB刺激単独と比較してT細胞活性化を更に促進することができることを示している(図16A~16C)。分子42は、最も高い追加刺激を示す。
実施例8
T細胞二重特異性(TCB)抗体の調製、精製及び特性評価
4.1 ヒト又はヒト化バインダーを用いたTCB抗体の調製
TCB分子は、国際公開第2014/131712号A1又は国際公開第2016/079076号A1に記載される方法に従って調製された。
この実験で使用される抗CEA/抗CD3二重特異性抗体(CEA CD3 TCB又はCEA TCB)の調製は、国際公開第2014/131712号A1の実施例3に記載される。CEA CD3 TCBは、「2+1 IgG CrossFab」抗体であり、2つの異なる重鎖と、2つの異なる軽鎖とで構成される。2つの異なる重鎖のアセンブリを促進するために、CH3ドメイン中の点変異(「ノブ・イントゥ・ホール」)を導入した。2つの異なる軽鎖の正しいアセンブリを促進するために、CD3結合FabにおけるVHドメインとVLドメインの交換を行った。2+1は、その分子が、CEAに特異的な2つの抗原結合ドメインと、CD3に特異的な1つの抗原結合ドメインを有することを意味する。CEACAM5 CD3 TCBは、同じフォーマットを有するが、別のCEAバインダーを含み、軽鎖の正しい対合を補助するために、CD3バインダーのCHドメイン及びCLドメインに点変異を含む。
CEA CD3 TCBは、配列番号242、配列番号243、配列番号244及び配列番号245のアミノ酸配列を含む。CEACAM5 CD TCBは、配列番号246、配列番号247、配列番号249及び配列番号249のアミノ酸配列を含む。
4.2 2+1フォーマットの抗CEA/抗CD3 T細胞二重特異性抗体(マウスCEAでは二価、マウスCD3では一価)の調製
抗CEA(CH1A1A98/99 2F1)/抗CD3(2C11)T細胞二重特異性2+1代用分子を、1つのCD3-Fab、並びに2つのCEA-Fab及びFcドメインからなるように調製し、2つのCEA-FabはそれらのC末端を介して当該Fc部分のヒンジ領域に連結されており、CD3-FabはそのC末端と共に1つのCEA-FabのN末端に連結されている。CD3結合部分は、Fab軽鎖及びFab重鎖の可変領域又は定常領域のいずれかが交換されているクロスオーバーFab分子である。
マウス代用分子のFcドメインは、mu IgG1 Fcドメインであり、特にGunasekaran et al.,J.Biol.Chem.2010,19637-19646によって記載されるように、抗体Fcヘテロ二量体形成を高めるため、DDKK変異が導入されている。第1の重鎖のFc部分は変異Lys392Asp及びLys409Asp(Fc-DDと呼ばれる)を含み、第2の重鎖のFc部分は変異Glu356Lys及びAsp399Lys(Fc-KKと呼ばれる)を含む。ナンバリングはKabat EUインデックスに従う。さらに、例えば Baudino et al.J.Immunol.(2008),181,6664-6669、又は国際公開第2016/030350号A1に記載されている方法に従ってDAPG変異を重鎖の定常領域に導入し、マウスFcガンマ受容体への結合を消失させた。簡潔には、Asp265Ala及びPro329Gly変異をFc-DD及びFc-KK重鎖の定常領域に導入して、Fcガンマ受容体(ナンバリングはKabat EUインデックスに従う;すなわち、D265A、P329G)への結合を消失させた。
したがって、抗CEA(CH1A1A 98/99 2F1)/抗CD3(2C11)T細胞二重特異性2+1代用分子は、配列番号250、配列番号251、配列番号252及び配列番号253のアミノ酸配列を含む。
実施例9
CEACAM5-TCBと組み合わせた腫瘍標的ICOS抗原結合分子のIn vivoでの機能的特性評価
9.1 NSGマウスにおける単回注射後の二重特異性FAP-ICOS(1167)二重特異性抗体の薬物動態学的プロファイル
2.5mg/kgのFAP-ICOS分子の単回用量をNSGマウスに注射した。全てのマウスに、200μlの適切な溶液を静脈内に注入した。200μl当たり適切な量の化合物を得るために、原液(表50)をヒスチジン緩衝液で希釈した。時点及び群あたり3匹のマウスを、10分、1時間、3時間、6時間、24時間、48時間、72時間、96時間、6日間、8日間、10日間及び12日間で採血した。注入された化合物をELISAによって血清試料中で分析した。分子の検出を、huICOS ELISA(ヒトICOS結合による検出)によって行った。各工程後にプレートを3回洗浄して未結合物質を除去した。最後に、ABTS基質溶液を添加して着色反応生成物を形成することによって、ペルオキシダーゼ結合複合体を可視化する。405nm(参照波長490nm)で測光的に決定される反応生成物強度は、血清試料中の分析物濃度に比例する。結果(図17)は、全ての分子について安定したPK挙動を示し、その後の有効性研究のための週に一回のスケジュールを示唆した。
表50:試験した組成物の説明
9.2 ヒト化マウスにおけるMKN45異種移植片におけるCEACAM5-TCBと組み合わせたFAP-ICOS抗体のIn vivo有効性研究
ここに記載される有効性研究は、完全ヒト化NSGマウスにおける腫瘍退縮及びImmuno-PDに関して、CEACAM5-TCBと組み合わせたFAP-ICOS分子のフォーマット依存的効力を理解することを目的とした。
ヒトMKN45細胞(ヒト胃癌腫)は、ATCCから最初に得られ、増殖後、Glycart内部細胞バンクに寄託された。細胞を、5%CO2の水飽和雰囲気中、37℃で10%FCSを含有するDMEM中で培養した。インビトロ継代12を97%の生存率で皮下注射に使用した。ヒト線維芽細胞NIH-3T3をATCCから最初に得て、ヒトFAPを発現するようにRoche Nutleyで操作し、10%ウシ血清、1×ピルビン酸ナトリウム及び1.5ug/mlピューロマイシンを含有するDMEM中で培養した。クローン39を、in vitro継代番号18及び98.2%の生存率で使用した。
50マイクロリットルのマトリゲルと混合した50マイクロリットルの細胞懸濁液(1x106個のMKN45細胞+1×106個の3T3-huFAP)を、22G~30Gの針で麻酔したマウスの脇腹に皮下注射した。
実験開始時に4~5週齢の雌NSGマウス(Jackson Laboratory)を、特定の病原体のいない条件に維持し、1日のサイクルは、関連するガイドライン(GV-Solas;Felasa;TierschG)に従って、12時間明状態/12時間暗状態であった。この実験研究プロトコルは、地方政府によってまとめられ、承認された(P 2011/128)。到着した後、動物を、新しい環境に慣れさせ、観察するために1週間維持した。継続的な健康モニタリングは、定期的に行われた。
雌性NSGマウスに、15mg/kgのブスルファンを腹腔内注射し、1日後、臍帯血から単離した1x105個のヒト造血幹細胞を静脈注射した。幹細胞注入から14~16週後、マウスを舌下で出血させ、首尾良いヒト化のために、血液をフローサイトメトリーによって分析した。効率的に移植されたマウスは、そのヒトT細胞の頻度に従って、異なる処置群に無作為に分けられた。その時点で、記載されるように、マウスに腫瘍細胞及び線維芽細胞を皮下注射し(図18)、週に一度、腫瘍サイズがおよそ250mm3(23日目)に達したときに化合物又はヒスチジン緩衝液(ビヒクル)で処置した。全てのマウスに、200μlの適切な溶液を静脈内に注入した。200μl当たり適切な量の化合物を得るために、原液(表51)を必要に応じてヒスチジン緩衝液で希釈した。種々のFAP-ICOS分子の用量をそれらの分子量(適合モル濃度、C、D、F群)に従って適合させた。1+1フォーマットでは、3つの用量を使用した(グループE~G)。FAP-ICOS及びCEACAM5との併用治療(C~G群、図1)については、TCB構築物を同時に注射した。ノギスを用いて腫瘍増殖を週2回測定し(図18)、腫瘍体積を以下のように計算した:
Tv:(W2/2)×L(W:幅、L:長さ)
終了時(50日目)に、マウスを屠殺し、腫瘍及び脾臓を取り出し、秤量し、その後のFACS分析のためにコラゲナーゼV及びDNAseによる酵素消化によって単一細胞懸濁液を調製した。単一細胞を、ヒトCD45、CD3、CD8、CD4、CD25、CD19及びFoxP3(細胞内)について染色し、FACS Fortessaで分析した。
腫瘍組織の小片(30mg)を急速凍結し、全タンパク質を単離した。タンパク質懸濁液をマルチプレックス分析によってサイトカイン含有量について分析した。
図19A~19Gは、モル濃度が一致した併用処置群における腫瘍成長速度論(平均、+SEM)、並びにマウスあたりの個々の腫瘍成長及び研究終了時の腫瘍重量を示す。本明細書に記載されるようにCEACAM5 TCBは、単剤として、初期腫瘍増殖阻害をほとんど誘導しなかった。しかしながら、全てのFAP-ICOS分子との組合せは、有意な改善された腫瘍成長阻害を示し、このことは、研究終了時の腫瘍重量によっても反映された(図19G)。興味深いことに、試験終了時に屠殺した動物由来の腫瘍のImmuno-PDデータ(図20A~20F)は、全ての併用群において腫瘍内T細胞及びB細胞の頻度の増加を明らかにした。腫瘍におけるT細胞浸潤の増加は、併用処置においてCD8/Treg比をCD8細胞にシフトさせた。終了時に脾臓において影響は検出されなかった。しかしながら、使用される二重特異性FAP-ICOS抗体の異なるタイプの間では、腫瘍成長及びImmunoPDに関して統計学的差異は認められなかった。
図21A~図21Gは、1+1 FAP-ICOSフォーマットの用量応答群についての腫瘍成長速度論(平均、+SEM)、また同様に、マウスあたりの個々の腫瘍成長及び研究終了時の腫瘍重量を示す。異なる用量についての腫瘍増殖データは、4mg/kg及び1mg/kgの用量で最も強い効果が見られたが、試験した最高用量である10mg/kgはより弱い応答を示したことを明らかにした。興味深いことに、研究終了時に屠殺した動物由来の腫瘍のImmuno-PDデータ(図22A~22F)は、FAP-ICOS 1+1フォーマットの全ての用量が腫瘍内のT細胞及びB細胞の頻度を増加させたことを明らかにした。腫瘍におけるT細胞浸潤の増加は、併用処置においてCD8/Treg比をCD8細胞にシフトさせた。最も強いImmuno-PD効果は、試験した最低用量(1mg/kg)で検出された。
さらには、図23に示されるサイトカイン/ケモカイン分析により、全腫瘍タンパク質溶解物に対するサイトカイン/ケモカインの最も強いアップレギュレーションが明らかにされ、この場合、試験された他の全ての処置群とに対して最も低い用量の二重特異性FAP-ICOS抗体が1+1フォーマットで存在した。
表51:試験した組成物の説明
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