本開示は、免疫細胞内で細胞内発現される際に、免疫細胞活性を阻害するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド構築物、例えば、mRNA及び修飾mRNAを提供する。いくつかの実施形態では、コードされたポリペプチドは、例えば、抗原刺激に応答して、免疫細胞の少なくとも1つの細胞成分と相互作用して、細胞の活性化をもたらす細胞内の通常のシグナル形質導入経路を破壊(すなわち、変化または阻害)し、それにより免疫細胞の活性を阻害する、キメラポリペプチドである。いくつかの実施形態では、コードされたキメラポリペプチドは、少なくとも2つの部分(すなわち、ドメインまたはモチーフ)、すなわち免疫細胞の少なくとも1つの細胞成分とキメラポリペプチドの相互作用(例えば、結合または会合)を媒介する第1の部分、及び免疫細胞における通常のシグナル形質導入の破壊を媒介する第2の部分を含む。したがって、これらの構築物は、免疫細胞破壊因子構築物と本明細書で呼ばれる。
いくつかの実施形態では、本開示の免疫細胞破壊因子構築物は、免疫細胞活性の阻害を媒介することで、実質的な免疫細胞枯渇を引き起こさずに、対象における免疫応答を阻害する点で有利である。さらに、免疫細胞破壊因子をコードするポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の発現レベルは、それらが用量依存的な阻害を呈するため、標的細胞内で制御することができ、それにより所望の阻害レベルに制御することができる。さらに、免疫細胞破壊因子は、一時的かつ制御可能な方法で免疫細胞内で発現することができるため、非特異的薬剤を用いた長期の全身免疫抑制で観察される負の副作用を回避し得る。
免疫細胞破壊因子ポリヌクレオチド
一態様では、本開示は、免疫細胞内で発現される際に免疫細胞の通常のシグナル伝達形質導入経路の破壊を介して免疫細胞活性を阻害するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。このようなポリヌクレオチド及びコードされたポリペプチドは、免疫細胞破壊因子(ICD)構築物と本明細書で呼ばれる。一実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。別の実施形態では、免疫細胞は、B細胞である。別の実施形態では、免疫細胞は、NK細胞である。別の実施形態では、免疫細胞は、樹状細胞である。別の実施形態では、免疫細胞は、マクロファージである。
本開示のポリヌクレオチドは、典型的には、メッセンジャーRNA(mRNA)であるが、DNA分子であるポリヌクレオチドも包含される。mRNA構築物は、修飾mRNA(mmRNA)と本明細書で呼ばれる1つまたは修飾されたヌクレオチドを含み得る。キメラポリペプチドをコードするコード領域に加えて、ICD構築物は、コードされたポリペプチドの発現を調節する非コード要素を含み得る。例えば、mRNA構築物は、典型的には、コード領域に加えて、少なくとも5’UTR、3’UTR、及びポリA尾部を含む。DNA構築物は、典型的には、コード領域に加えて、プロモーター及びエンハンサー要素を含む。
ICD構築物によりコードされるキメラポリペプチドは、少なくとも2つの部分(すなわち、ドメインまたはモチーフ)、すなわち免疫細胞の少なくとも1つの膜またはシグナル伝達複合体成分とキメラポリペプチドの会合を媒介する第1の部分(本明細書中で、「会合ドメイン」、またはADとも呼ばれる)、及び免疫細胞における通常のシグナル形質導入の破壊を通じて、免疫細胞破壊因子構築物の阻害効果を媒介する第2の部分(本明細書中で、「阻害性ドメイン」またはIDとも呼ばれる)を含む。一実施形態では、ADは、キメラポリペプチドのN末端であり、IDは、C末端である。別の実施形態では、IDは、キメラポリペプチドのN末端であり、ADは、キメラポリペプチドのC末端である。ある特定の実施形態では、AD及びIDは、リンカーポリペプチドにより分離される。2つのタンパク質ドメイン間の距離を増すための適当なリンカーポリペプチドは、当該技術分野において公知である。一実施形態では、リンカーは、配列(GGGGS)nであり、式中、n=1~4(配列番号188)である。別の実施形態では、ADとIDを分離するリンカーはない。ある特定の実施形態では、ADまたはIDは、シグナル配列を含む。一実施形態では、シグナル配列は、ADまたはIDが由来するタンパク質由来の天然のシグナル配列である。別の実施形態では、シグナル配列は、ADまたはIDが由来するタンパク質とは異なるタンパク質由来の異種シグナル配列である。
T細胞破壊因子構築物
一実施形態では、本開示の免疫細胞破壊因子ポリヌクレオチドは、T細胞内で細胞内発現される際にT細胞の活性を阻害するT細胞破壊因子(TCD)構築物である。T細胞活性を阻害することは、例えば、T細胞増殖の減少(例えば、抗原刺激に応答した増殖の減少)、T細胞サイトカイン産生の減少(例えば、TNFα及び/またはIFNγの産生の減少)、及び/またはT細胞(例えば、Tヘルパー細胞活性、細胞傷害性T細胞活性)の他のエフェクター機能の阻害をもたらし得る。
TCDポリヌクレオチド構築物は、T細胞の少なくとも1つの成分と会合し、T細胞における通常のシグナル形質導入活性を破壊するキメラポリペプチドをコードする。T細胞における通常のシグナル形質導入活性に干渉(すなわち、破壊、変化、阻害)することによって、TCDポリペプチドは、T細胞活性化の閾値を増加させることができ、その結果、T細胞が応答するのに、より大きな刺激が必要になることで、TCDの不在下における活性レベルと比較して、TCDの存在下におけるT細胞活性の阻害をもたらす。
TCDポリペプチドは、少なくとも2つの部分(すなわち、ドメインまたはモチーフ)、すなわちT細胞の少なくとも1つの膜またはシグナル伝達複合体成分とキメラポリペプチドの会合を媒介する第1の部分(「会合ドメイン」またはAD)、及びT細胞における通常のシグナル形質導入の破壊を通じてTCDの阻害効果を媒介する第2の部分(「阻害性ドメイン」またはID)を含む、キメラポリペプチドである。
抗原特異的T細胞活性化は、T細胞受容体(TCR)複合体を介して媒介される。TCR複合体は、CD3δ/ε、CD3γ/ε及びζ/ζシグナル伝達分子と複合化したTCRα及びβ鎖からなる。共受容体であるCD4(ヘルパーT細胞上)、及びCD8(細胞傷害性T細胞上)も、TCR複合体からのシグナル伝達を補助する。TCRが、MHCにより提示される抗原と作用すると、チロシンキナーゼLck(CD4及びCD8の細胞質尾部と関連する)は、TCR複合体のCD3及びζ鎖の細胞内鎖をリン酸化することで、別の細胞質チロシンキナーゼであるZAP-70が、それらの細胞内鎖と結合することができる。その後、Lckは、ZAP-70をリン酸化し、活性化し、次いで、シグナル伝達カスケードにおける別の分子であるLAT(活性化T細胞のリンカーとしても知られる)をリン酸化する。LATは、TCRシグナル伝達カスケードに関与する多くの他のタンパク質(例えば、PLCγ、SOS、GADS、GRB2、SLP76、ITK、VAV、NCK、ADAP、及びPI3K)のドッキング部位として機能する。
さらに、T細胞が活性化すると、キナーゼ活性型Lckの小部分が、細胞膜内の脂質ラフトの外側から脂質ラフトの内側に転座し、ここで、その画分は、脂質ラフトに存在しているキナーゼFynと相互作用し、活性化させる。その後、Fynは、さらに下流のシグナル伝達活性化に関与する。
受容体関連シグナル伝達サブユニットに加えて、T細胞は、受容体と直接関連しないが、受容体シグナル伝達の調節に直接的または間接的に関与する膜貫通アダプタータンパク質(TRAP)も含有する。このようなTRAPの一例は、Csk結合タンパク質(Cbp)としても知られるPAG(スフィンゴ糖脂質マイクロドメインと関連するホスホタンパク質)である。さらに、T細胞は、T細胞シグナル伝達成分、例えば、膜関連Srcと相互作用する他の膜関連タンパク質を含有する。
TCR媒介性シグナル伝達カスケードの調節における重要な成分は、シグナル伝達カスケードの活性化物質成分を阻害するキナーゼ及びホスファターゼである。例えば、サイトゾルキナーゼCsk(C末端Srcキナーゼ)は、阻害性チロシン505上のリン酸化を介するLckの負の調節因子である。また、Lckは、ホスファターゼSHP-1(Srcホモロジー領域2ドメイン含有ホスファターゼ-1及びチロシンタンパク質ホスファターゼ非受容体6型、またはPTPN6としても知られる)によって阻害され、そのホスファターゼ活性は、活性化チロシン394上のLckを脱リン酸化する。ホスファターゼPTPN22は、活性化チロシン394上のLck、ならびに活性化チロシン493上のZAP-70も脱リン酸化する。ホスファターゼPTPN1及びPTENは、例えば、細胞内シグナル伝達分子Grb2及びPIP3のそれぞれの脱リン酸化を介して、TCR媒介性シグナル伝達の阻害にも関与する。さらに、SHIP1ホスファターゼは、PI3Kシグナル伝達経路の負の調節を介した細胞内シグナル伝達の阻害剤でもある。
さらに、GTPase KRASは、T細胞のシグナル伝達に役割を果たす。KRASは、典型的には、そのC末端にイソプレン基が存在するため、細胞膜に繋がれている。
TCR媒介性シグナル伝達カスケードの調節における他の重要な成分は、阻害性受容体であり、その例としては、CTLA4及びLAIR1が挙げられる。これらは両方とも、阻害性シグナルをT細胞に送達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである表面受容体である。LAIR1は、その細胞質尾部において2つのITIMを含む一方、CTLA4は、その細胞質尾部においてITIM様モチーフを含む。
TCD会合ドメイン
本開示のT細胞破壊因子構築物の会合ドメイン(AD)は、T細胞内の他の成分と相互作用する多くの異なる種類のT細胞成分、例えば、膜受容体関連成分、膜受容体成分、膜貫通関連成分、または細胞内関連成分のいずれかに由来することができる。
会合ドメインが由来し得る膜受容体関連T細胞成分の非限定例としては、Lck(CD4及びCD8受容体と会合する)、及びZAP-70(CD3と会合する)が挙げられる。
したがって、一実施形態では、ADは、Lckタンパク質、例えば、Lckタンパク質のCD4結合またはCD8結合部分に由来する。一実施形態では、ADは、Lckタンパク質(例えば、ヒトLck)のN末端部分、例えば、ヒトLckのアミノ酸残基1~50(例えば、配列番号13に示すアミノ酸配列を有する)、またはヒトLckのアミノ酸残基1~72(例えば、配列番号20に示すアミノ酸配列を有する)である。別の実施形態では、ADは、Lckタンパク質に由来し、LckのSH2及びSH3ドメイン、例えば、ヒトLck SH2-SH3ドメイン(例えば、配列番号7に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、ADは、ZAP-70のCD3結合部分などのZAP-70タンパク質(例えば、ヒトZAP-70タンパク質)に由来する。一実施形態では、ADは、少なくとも1つのSH2ドメインを含むZAP-70の部分を含む。一実施形態では、ADは、N末端SH2ドメイン、インタードメインA(I-A)、C末端SH2ドメイン、及びインタードメインB(I-B)(例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列を有する)を含むZAP-70(例えば、ヒトZAP-70)の部分を含む。一実施形態では、ADは、N末端SH2ドメイン、インタードメインA(I-A)、C末端SH2ドメイン及びインタードメインB(I-B)を含み、I-Bドメインにおいて以下の変異:Y292A/Y315A/Y319A(例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する)をさらに含む、ZAP-70(例えば、ヒトZAP-70)の部分を含む。一実施形態では、ADは、N末端SH2ドメイン、インタードメインA(I-A)、C末端SH2ドメイン(例えば、配列番号3に示すアミノ酸配列を有する)を含むZAP-70(例えば、ヒトZAP-70)の部分を含む。一実施形態では、ADは、N末端SH2ドメイン及びC末端SH2ドメインを含むZAP-70(例えば、ヒトZAP-70)の部分を含み、任意選択で、リンカーポリペプチド(例えば、G4Sリンカーポリペプチド)(例えば、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する)により分離される。
会合ドメインが由来し得る膜関連T細胞成分の非限定例としては、Fyn、Src、及びKRASタンパク質が挙げられる。
したがって、一実施形態では、ADは、Fynタンパク質(例えば、ヒトFyn)、例えば、その膜結合部分に由来する。一実施形態では、ADは、FynのN末端部分、例えば、ヒトFynのアミノ酸残基1~50(例えば、配列番号14に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、ADは、Srcタンパク質(例えば、ヒトSrc)、例えば、その膜結合部分に由来する。一実施形態では、ADは、SrcのN末端部分、例えば、ヒトSrcのアミノ酸残基1~10(例えば、配列番号15に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、ADは、KRASタンパク質(例えば、ヒトKRAS)、例えば、その膜結合部分に由来する。一実施形態では、ADは、KRASのC末端部分、例えば、ヒトKRASのアミノ酸残基166~186(例えば、配列番号19に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
会合ドメインが由来し得る膜貫通関連T細胞成分の非限定例は、PAGタンパク質である。したがって、一実施形態では、ADは、その膜結合部分などのPAGタンパク質(例えば、ヒトPAG)に由来する。一実施形態では、ADは、PAGのN末端部分、例えば、ヒトPAGのアミノ酸残基1~47(例えば、配列番号12に示すアミノ酸配列を有する)を含む
会合ドメインが由来し得る細胞内関連T細胞成分の非限定例としては、LAT、Grb2、Grap、PI3K、PLCγ1、GADS、ADAP、NCK、VAV、SOS、ITK、及びSLP76タンパク質が挙げられる。
したがって、一実施形態では、ADは、LATタンパク質(例えば、ヒトLAT)、例えば、全長LATタンパク質またはそのZAP-70結合部分に由来する。一実施形態では、ADは、全長LATタンパク質、例えば、全長ヒトLAT(例えば、配列番号8に示すアミノ酸配列を有する)を含む。一実施形態では、ADは、LATのN末端部分、例えば、ヒトLATのアミノ酸残基1~160(例えば、配列番号9に示すアミノ酸配列を有する)、またはヒトLATのアミノ酸残基1~38(例えば、配列番号10に示すアミノ酸配列を有する)、またはヒトLATのアミノ酸残基1~33(例えば、配列番号11に示すアミノ酸配列を有する)、またはマウスLATのアミノ酸残基1~38(例えば、配列番号16に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、ADは、Grb2タンパク質(例えば、ヒトGrb2)、例えば、そのLAT結合部分に由来する。一実施形態では、ADは、SH2ドメインを含有するGrb2の部分、例えば、ヒトGrb2のアミノ酸残基59~152(例えば、配列番号5に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、ADは、Grapタンパク質(例えば、ヒトGrap)、例えば、そのLAT結合部分に由来する。一実施形態では、ADは、SH2ドメインを含有するGrapの部分、例えば、ヒトGrapのアミノ酸残基60~154(例えば、配列番号6に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、ADは、PI3Kタンパク質、例えば、PI3K.p85αタンパク質(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ調節性サブユニットアルファとしても知られる)(例えば、ヒトPI3K.p85α)に由来する。一実施形態では、ADは、iSH2ドメインを含有する内部領域が欠失しているPI3K.p85αの部分、例えば、残基112~302が欠失しているヒトPI3K.p85αのアミノ酸残基1~111、303~724(例えば、配列番号17に示すアミノ酸配列を有する部分)を含む。
別の実施形態では、ADは、PLCγ1タンパク質、(例えば、ヒトPLCγ1)、例えば、そのLAT結合部分に由来する。一実施形態では、ADは、SH2及びSH3ドメインを含有するPLCγ1の部分、例えば、ヒトPLCγ1のアミノ酸残基550~850(例えば、配列番号18に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
一実施形態では、T細胞破壊因子のADは、配列番号1~20に示す配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
TCD阻害性ドメイン
本開示のT細胞破壊因子構築物の阻害性ドメインは、シグナル形質導入及びその後のT細胞活性化に関与する多くの異なるT細胞成分のいずれかに由来し得る。例えば、一実施形態では、阻害性ドメインは、ITIM/ITAM極性を逆にすることで、阻害性シグナル伝達を支持するように機能する。別の実施形態では、阻害性ドメインは、調節性Cskを動員することで、阻害性シグナル伝達を促進するように機能する。別の実施形態では、阻害性ドメインは、調節性ホスファターゼを動員することで、阻害性シグナル伝達を促進するように機能する。さらに別の実施形態では、阻害性ドメインは、PI3Kシグナル伝達を変化(例えば、阻害、下方調節)させることで、T細胞活性を阻害する。その阻害性機能を媒介するため、一実施形態では、阻害性ドメインは、1つ以上のホスファターゼドメインを含む。別の実施形態では、阻害性ドメインは、1つ以上のキナーゼドメインを含む。別の実施形態では、阻害性ドメインは、1つ以上のITIMを含む。
したがって、一実施形態では、T細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、SHP1タンパク質(SH2含有ホスファターゼ-1及びチロシンタンパク質ホスファターゼ非受容体6型としても知られる)(例えば、ヒトSHP1タンパク質)に由来し、SHP1ホスファターゼドメインを含む。例えば、一実施形態では、IDは、ヒトSHP1のアミノ酸244~515(例えば、配列番号21に示すアミノ酸配列を有する)を含む。別の実施形態では、IDは、ヒトSHP1のアミノ酸2~515(例えば、配列番号27に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、T細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、SHIP1タンパク質(SH2含有するイノシトールホスファターゼ-1としても知られる)(例えば、ヒトSHIP1タンパク質)に由来し、SHIP1ホスファターゼドメインを含む。例えば、一実施形態では、IDは、ヒトSHIP1のアミノ酸111~910(例えば、配列番号31に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、T細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、PTPN22タンパク質(タンパク質チロシンホスファターゼ、非受容体22型としても知られる)(例えば、ヒトPTPN22タンパク質)に由来し、PTPN22ホスファターゼドメインを含む。一実施形態では、IDは、PTPN22のN末端部分、例えば、ヒトPTPN22のアミノ酸残基1~290(例えば、配列番号32に示すアミノ酸配列を有する)を含む。別の実施形態では、IDは、PTPN22のN末端部分を含み、PTPN22活性の調節に関与する触媒ドメイン内のセリン残基に変異をさらに含み、例えば、S35A変異を有するヒトPTPN22のアミノ酸残基1~290(例えば、配列番号33に示すアミノ酸配列を有する)、またはS35A変異を有するヒトPTPN22のアミノ酸残基24~289(例えば、配列番号34に示すアミノ酸配列を有する)である。
別の実施形態では、T細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、PTPN1タンパク質(タンパク質チロシンホスファターゼ非受容体1型としても知られる)(例えば、ヒトPTPN1タンパク質)に由来し、PTPN1ホスファターゼドメインを含む。一実施形態では、IDは、PTPN1のN末端部分、例えば、ヒトPTPN1のアミノ酸残基3~277(例えば、配列番号29に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、T細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、PTENタンパク質(例えば、ヒトPTENタンパク質)に由来し、PTENホスファターゼドメインを含む。一実施形態では、IDは、変異型PTENポリペプチドを含む。一実施形態では、IDは、1つ以上のリジン→グルタミン酸変異を含むPTENポリペプチド、例えば、K13E及びK289E変異を有するヒトPTENのアミノ酸残基1~350(例えば、配列番号30に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、T細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、Cskタンパク質(例えば、ヒトCskタンパク質)に由来し、Cskキナーゼドメインを含む。例えば、一実施形態では、IDは、ヒトCskのアミノ酸残基195~449(例えば、配列番号26に示すアミノ酸配列を有する)を含む。別の実施形態では、IDは、Cskの構成的に活性な形態、例えば、以下の変異、すなわちW47A/R107K/E154Aを有する全長ヒトCskタンパク質(例えば、配列番号25に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、T細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、LAIR1タンパク質(白血球関連免疫グロブリン様受容体1としても知られる)(例えば、ヒトLAIR1タンパク質)に由来し、少なくとも1つのITIMモチーフを含む。一実施形態では、IDは、LAIR1のITIM1(ヒトLAIR1のアミノ酸残基249~254に位置する)を含む。別の実施形態では、IDは、LAIR1のITIM2(ヒトLAIR1のアミノ酸残基279~284に位置する)を含む。別の実施形態では、IDは、LAIRのITIM1及びITIM2の両方を含む。例えば、一実施形態では、IDは、ヒトLAIR1のアミノ酸残基187~287(例えば、配列番号24に示すアミノ酸配列を有する)を含む。別の実施形態では、IDは、LAIR1 ITIM1及び/またはITIM2配列が挿入されているポリペプチドを含む。例えば、一実施形態では、IDは、LAIR1 ITIM1モチーフをLATのC末端領域内で1つ以上のアラニン含有領域(例えば、3つの領域)に置き換えるLATポリペプチド(例えば、配列番号22に示すアミノ酸配列を有する)を含む。別の実施形態では、IDは、LATのC末端領域内で1つ以上のアラニン含有領域(例えば、3つの領域)がLAIR1 ITIM2モチーフに置き換えられるLATポリペプチド(例えば、配列番号23に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、T細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、CTLA4タンパク質(例えば、ヒトCTLA4タンパク質)に由来し、CTLA4のITIM様モチーフを含む。一実施形態では、IDは、CTLA4のC末端部分を含む。例えば、一実施形態では、IDは、ヒトCTLA4のアミノ酸残基182~223(例えば、配列番号28に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
一実施形態では、T細胞破壊因子のIDは、配列番号21~34に示す配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
T細胞破壊因子構築物の代表的な例の調製は、実施例1に詳細に記載される。構築物が、T細胞活性をインビトロで阻害する、例えば、阻害T細胞増殖及びサイトカイン分泌を阻害する能力は、実施例2及び3にそれぞれ記載される。構築物が、T細胞活性をインビトロで阻害する、例えば、GVHDモデルの死亡を遅延させる能力は、実施例4に記載される。
一実施形態では、本開示は、ZAP-70由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号35~38に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号81~84に示される。
一実施形態では、本開示は、Grb2由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号39に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号85に示される。
一実施形態では、本開示は、Grap由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号40に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号86に示される。
一実施形態では、本開示は、Lck由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号41、60及び65に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号87、106及び111に示される。
一実施形態では、本開示は、Lck由来の会合ドメイン、及びCsk由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号50及び55に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号96及び101に示される。
一実施形態では、本開示は、Lck由来の会合ドメイン、及びPTPTN22由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号80に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号126に示される。
一実施形態では、本開示は、LAT由来の会合ドメイン、及びLAIR1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号42~44及び47に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号88~90及び93に示される。
一実施形態では、本開示は、LAT由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号45、46、58及び63に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号91、92、104及び109に示される。
一実施形態では、本開示は、LAT由来の会合ドメイン、及びCsk由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号48及び53に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号94及び99に示される。
一実施形態では、本開示は、LAT由来の会合ドメイン、及びCTLA4由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号68及び69に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号114及び115に示される。
一実施形態では、本開示は、LAT由来の会合ドメイン、及びPTPN1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号70に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号116に示される。
一実施形態では、本開示は、PAG由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号59及び64に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号105及び110に示される。
一実施形態では、本開示は、PAG由来の会合ドメイン、及びCsk由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号49及び54に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号95及び100に示される。
一実施形態では、本開示は、Fyn由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号61及び66に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号107及び112に示される。
一実施形態では、本開示は、Fyn由来の会合ドメイン、及びCsk由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号52及び57に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号98及び103に示される。
一実施形態では、本開示は、Src由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号62及び67に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号108及び113に示される。
一実施形態では、本開示は、Src由来の会合ドメイン、及びCsk由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号51及び56に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号97及び102に示される。
一実施形態では、本開示は、PI3K.p85α由来の会合ドメイン、及びPTEN由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号71に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号117に示される。
一実施形態では、本開示は、PI3K.p85α由来の会合ドメイン、及びSHIP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号72に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号118に示される。
一実施形態では、本開示は、PLCγ1由来の会合ドメイン、及びSHIP1由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号73及び74に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号119及び120に示される。
一実施形態では、本開示は、PLCγ1由来の会合ドメイン、及びPTEN由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号75及び76に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号121及び122に示される。
一実施形態では、本開示は、KRAS由来の会合ドメイン、及びPTEN由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号77に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号123に示される。
一実施形態では、本開示は、KRAS由来の会合ドメイン、及びPTPN22由来の阻害性ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号78及び79に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、に示される。配列番号124及び125に示される。
一実施形態では、本開示は、SHP1由来の阻害性ドメイン、及びZAP-70、Grb2、Grap、Lck、LAT、PAG、Fyn、Src、PI3K.p85α、及びPLCγ1からなる群から選択されるタンパク質由来の会合ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号35~41、45、46、58~67及び72~74に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号81~87、91、92、104-113及び118~120に示される。
一実施形態では、本開示は、Csk由来の阻害性ドメイン、及びLAT、PAG、Lck、Fyn、Src及びPLCγ1からなる群から選択されるタンパク質由来の会合ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号48~57に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号94~103に示される。
一実施形態では、本開示は、PTEN由来の阻害性ドメイン、及びPI3K.p85α及びPLCγ1からなる群から選択されるタンパク質由来の会合ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号71、75及び76に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号117、121及び122に示される。
一実施形態では、本開示は、PTPN22由来の阻害性ドメイン、及びKRAS及びLckからなる群から選択されるタンパク質由来の会合ドメインを含む、TCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号78~80に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号124~126に示される。
B細胞破壊因子構築物
一実施形態では、本開示の免疫細胞破壊因子ポリヌクレオチドは、B細胞内で細胞内発現される際にB細胞の活性を阻害するB細胞破壊因子(BCD)構築物である。B細胞活性を阻害することは、例えば、B細胞増殖の減少(例えば、抗原刺激に応答した増殖の減少)、B細胞サイトカイン産生の減少(例えば、IL-6及び/またはIL-10の産生の減少)、及び/または免疫グロブリン産生の減少(例えば、IgM及び/またはIgG産生の減少)をもたらし得る。
BCDポリヌクレオチド構築物は、B細胞の少なくとも1つの成分と会合し、B細胞における通常のシグナル形質導入活性を破壊するキメラポリペプチドをコードする。B細胞における通常のシグナル形質導入活性に干渉(すなわち、破壊、変化、阻害)することによって、BCDポリペプチドは、B細胞活性化の閾値を増加させることができ、その結果、B細胞が応答するのに、より大きな刺激が必要になることで、BCDの不在下における活性レベルと比較して、BCDの存在下におけるB細胞活性の阻害をもたらす。
BCDポリペプチドは、少なくとも2つの部分(すなわち、ドメインまたはモチーフ)、すなわちB細胞の少なくとも1つの膜またはシグナル伝達複合体成分とキメラポリペプチドの会合を媒介する第1の部分(「会合ドメイン」またはAD)、及びB細胞における通常のシグナル形質導入の破壊を通じて、BCDの阻害効果を媒介する第2の部分(「阻害性ドメイン」またはID)を含む、キメラポリペプチドである。
抗原特異的B細胞活性化は、B細胞受容体(BCR)複合体を介して媒介される。BCR複合体は、表面膜結合免疫グロブリン軽鎖及び重鎖、及びシグナル伝達CD79a/CD79bヘテロダイマーからなる。CD79a及びCD79bの細胞質尾部の各々は、2つの保存チロシンを有する免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む。BCRを介した通常のシグナル伝達の場合、細胞表面BCRの抗原連結後に、ITAM中の2つのチロシン残基が、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)を引き付けて、活性化させるsrcファミリーキナーゼLynによってリン酸化される。得られたITAM/Syk複合体は、BCRシグナルを増幅させ、BCRをいくつかの下流シグナル伝達経路に接続させることで、B細胞の活性化、増殖、及び分化をもたらす。
B細胞における別の重要なシグナル伝達ハブは、CD19共受容体である。これは、細胞表面上のCD81及びCD21と会合し、BCRシグナル伝達の増幅因子または伝播因子として機能する。CD19は、9つのチロシン部位を有する長い細胞質尾部を有する。それらのほとんどは、Lynによりリン酸化される。いったんリン酸化されると、これらのチロシンは、アダプタータンパク質PI3K及びPLCγの結合先として機能し、PI3Kシグナル伝達及び細胞骨格再構築をもたらす。休止B細胞では、成熟B細胞は、BCR及びCD19を共発現するが、当該タンパク質は、細胞膜上の異なるタンパク質アイランドに存在する。B細胞が活性化すると、CD19複合体は、BCRオープンアイランドに移動し、順次Sykと作用し、BCR-ITAMシグナル伝達にアクセスすることで、BCR媒介性シグナル伝達を増幅または伝播させる。
CD22は、従来型B細胞(B-2細胞)のBCRシグナル伝達の別の調節因子であり、阻害性機能を有する。CD22は、糖結合膜貫通タンパク質であり、そのN末端は、シアル酸に結合し、そのC末端細胞質ドメインは、3つの免疫受容体チロシンベース阻害性モチーフ(ITIM)を含有する。通常、CD22及びBCRは、B細胞表面上で互いに分離している。BCRへの抗原結合後、CD22分子がBCRアイランドに動員され、LynによるITIMのリン酸化をもたらす。その後、リン酸化したITIMは、ホスファターゼSHP-1をBCRに動員し、これはBCRシグナル伝達を強力に鈍くさせる。したがって、CD19及びCD22は、異なる下流タンパク質を動員し、刺激性/阻害性均衡を提供して、BCR活性化を調節する。
BCD会合ドメイン
本開示のB細胞破壊因子構築物の会合ドメインは、B細胞内の他の成分と相互作用する多くの異なる種類のB細胞成分、例えば、膜受容体関連成分、膜受容体成分、膜貫通関連成分、または細胞内関連成分のいずれかに由来であり得る。
会合ドメインが由来し得る膜受容体関連B細胞成分の非限定例としては、CD79a及びCD79bタンパク質が挙げられる。これらのタンパク質は、B細胞におけるBCRの細胞質領域と会合する。一実施形態では、CD79aまたはCD79bのN末端部分は、BCRと相互作用することができるが、下流活性化ITAMを欠いているADとして使用される。別の実施形態では、全長CD79aまたはCD79bタンパク質は、ADとして使用されるが、ADが、BCRと相互作用することができるが、Lynによりリン酸化することができないように、ITAMは、変異されている。
したがって、一実施形態では、B細胞破壊因子のADは、CD79タンパク質に由来する。一実施形態では、CD79a(例えば、ヒトCD79a)のN末端部分、例えば、ヒトCD79aのアミノ酸残基1~176(例えば、配列番号128に示すアミノ酸配列を有する)、またはマウスCD79aのアミノ酸残基1~170(例えば、配列番号139に示すアミノ酸配列を有する)、またはラットCD79aのアミノ酸残基1~171(例えば、配列番号142に示すアミノ酸配列を有する)を使用する。別の実施形態では、全長CD79タンパク質がADとして使用され、ITAMが変異されている(例えば、ITAM内のチロシン残基は、例えば、アラニンに変異している)。例えば、一実施形態では、Y188A/Y199Aを有する(例えば、配列番号127に示すアミノ酸配列を有する)全長ヒトCD79a変異を使用する。一実施形態では、変異Y182A/Y193Aを有する(例えば、配列番号135に示すアミノ酸配列を有する)全長マウスCD79aを使用する。
別の実施形態では、B細胞破壊因子のADは、CD79bタンパク質に由来する。一実施形態では、CD79b(例えば、ヒトCD79b)のN末端部分、例えば、ヒトCD79bのアミノ酸残基1~184(例えば、配列番号130に示すアミノ酸配列を有する)、またはマウスCD79bのアミノ酸残基1~183(例えば、配列番号140に示すアミノ酸配列を有する)、またはラットCD79bのアミノ酸残基1~183(例えば、配列番号143に示すアミノ酸配列を有する)を使用する。別の実施形態では、全長CD79bタンパク質がADとして使用され、ITAMが変異されている(例えば、ITAM内のチロシン残基は、例えば、アラニンに変異している)。例えば、一実施形態では、変異Y196A/Y207Aを有する(例えば、配列番号129に示すアミノ酸配列を有する)全長ヒトCD79bを使用する。別の実施形態では、変異Y195A/Y206Aを有する(例えば、配列番号136に示すアミノ酸配列を有する)全長マウスCD79bを使用する。
会合ドメインが由来し得る膜受容体B細胞成分の非限定例は、CD19タンパク質である。CD19は、B細胞においてCD21及びCD81と会合する。一実施形態では、CD19のN末端部分が、CD21及び/またはCD81と相互作用することができるが、下流活性化ITAMを欠いているADとして使用される。別の実施形態では、全長CD19タンパク質がADとして使用されるが、ADがCD21及び/またはCD81と相互作用することができるが、Lynによりリン酸化することができないように、ITAMが変異されている。
したがって、一実施形態では、B細胞破壊因子のADは、CD19タンパク質に由来する。一実施形態では、CD19(例えば、ヒトCD19)のN末端部分、例えば、ヒトCD19のアミノ酸残基1~313(例えば、配列番号131に示すアミノ酸配列を有する)、またはマウスCD19のアミノ酸残基1~311(例えば、配列番号137に示すアミノ酸配列を有する)、またはラットCD19のアミノ酸残基1~311(例えば、配列番号141に示すアミノ酸配列を有する)を使用する。別の実施形態では、全長CD19タンパク質がADとして使用され、ITAMが変異されている(例えば、ITAM内のチロシン残基は、例えば、アラニンに変異している)。例えば、一実施形態では、変異Y378A/Y409A/Y439A/Y500Aを有する(例えば、配列番号132に示すアミノ酸配列を有する)全長ヒトCD19を使用する。一実施形態では、変異Y376A/Y402A/Y432A/Y493Aを有する(例えば、配列番号138に示すアミノ酸配列を有する)全長マウスCD19を使用する。
会合ドメインが由来し得る膜受容体B細胞成分の別の非限定例は、CD64タンパク質である。Fc-γ受容体1(FcγR1)としても知られるCD64は、IgGと結合するB細胞表面受容体である。IgGと結合後、CD64は、細胞活性化を惹起するために必要なITAMモチーフを保有する共通γ鎖(γ鎖)として知られる補助鎖と相互作用する。したがって、一実施形態では、CD64のN末端部分が、B細胞表面と相互作用し、IgGと結合することができるが、γ鎖と相互作用する能力を欠いているADとして使用される。例えば、一実施形態では、ヒトCD64のN末端部分、例えば、アミノ酸残基1~313(例えば、配列番号133に示すアミノ酸配列を有する)を使用する。別の実施形態では、マウスCD64のN末端部分、例えば、アミノ酸残基1~320(例えば、配列番号134に示すアミノ酸配列を有する)を使用する。
会合ドメインが由来し得る膜受容体関連B細胞成分の別の非限定例は、Sykタンパク質である。BCRを介した通常のシグナル伝達の場合、細胞表面BCRの抗原連結後に、ITAM中の2つのチロシン残基が、脾臓チロシンキナーゼ(Syk)を引き付けて、活性化させるsrcファミリーキナーゼLynによってリン酸化される。得られたITAM/Syk複合体は、BCRシグナルを増幅させ、BCRをいくつかの下流シグナル伝達経路に接続させることで、B細胞の活性化、増殖、及び分化をもたらす。したがって、一実施形態では、Sykまたはその部分が、BCD構築物中のADとして使用される。例えば、様々な実施形態では、配列番号229、230または231を有するアミノ酸配列に示すSykポリペプチドが、ADとして使用され得る。
一実施形態では、B細胞破壊因子のADは、CD79a、CD79b、CD19、CD64、及びSykからなる群から選択されるタンパク質由来である。一実施形態では、B細胞破壊因子のADは、ITAMを欠いているCD79aのN末端部分、ITAMを欠いているCD79bのN末端部分、非機能的(例えば、変異型)ITAMを有するCD79aポリペプチド、非機能的(例えば、変異型)ITAMを有するCD79bポリペプチド、ITAMを欠いているCD19のN末端部分、非機能的(例えば、変異型)ITAMを有するCD19ポリペプチド、及びCD64のN末端部分からなる群から選択される。
一実施形態では、B細胞破壊因子のADは、配列番号127~143及び229~231に示す配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
BCD阻害性ドメイン
本開示のB細胞破壊因子構築物の阻害性ドメインは、シグナル形質導入及びその後のB細胞活性化に関与するいくつか異なるB細胞成分のいずれかに由来し得る。例えば、一実施形態では、阻害性ドメインは、B細胞中のCD19/CD22均衡を変化させることで、活性性シグナル対阻害性シグナルの均衡をこれらの分子から変化させて、B細胞阻害を増加(例えば、促進上方調節、刺激)するように機能する。別の実施形態では、阻害性ドメインは、BCR複合体を介したシグナル伝達、特に、CD79a/CD79bを介して媒介したシグナル伝達を阻害することで、B細胞活性を阻害するように機能する。さらに別の実施形態では、阻害性ドメインは、Fc受容体活性/シグナル伝達を変化させることで、B細胞活性化を阻害するように機能する。さらに別の実施形態では、阻害性ドメインは、PI3Kシグナル伝達を変化(例えば、阻害、下方調節)させることで、B細胞活性を阻害する。その阻害性機能を媒介するため、一実施形態では、阻害性ドメインは、1つ以上のITIMを含む。別の実施形態では、阻害性ドメインは、1つ以上のホスファターゼドメインを含む。
したがって、一実施形態では、B細胞破壊因子の阻害性ドメインは、CD22タンパク質(例えば、ヒトCD22タンパク質)に由来し、1つ以上のITIMを含む。例えば、IDは、CD22タンパク質のC末端部分であり得、これは、3つのITIM、例えば、ヒトCD22のアミノ酸残基580~675(例えば、配列番号144に示すアミノ酸配列を有する)、またはマウスCD22のアミノ酸残基773~868(例えば、配列番号148に示すアミノ酸配列を有する)、またはラットCD22のアミノ酸残基757~852(例えば、配列番号149に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
別の実施形態では、BCDの阻害性ドメインは、SHP1タンパク質(Srcホモロジー領域2ドメイン含有ホスファターゼ-1及びチロシンタンパク質ホスファターゼ非受容体6型としても知られる)に由来する。例えば、SHP1のホスファターゼドメインは、例えば、ヒトSHP1のアミノ酸残基244~515(例えば、配列番号145に示すアミノ酸配列を有する)がIDとして使用され得る。
さらに別の実施形態では、BCDの阻害性ドメインは、ITIMを保持する、Fc-γ受容体IIB(FcγRIIB)としても知られる、CD32bタンパク質に由来する。例えば、ITIMを含むCD32bのC末端部分、例えば、ヒトCD32bのアミノ酸残基241~310(例えば、配列番号146に示すアミノ酸配列を有する)、またはマウスCD32bのアミノ酸残基241~340(例えば、配列番号147に示すアミノ酸配列を有する)を使用し得る。
別の実施形態では、B細胞破壊因子の阻害性ドメイン(ID)は、Cskタンパク質(例えば、ヒトCskタンパク質)に由来し、Cskキナーゼドメインを含む。例えば、一実施形態では、IDは、ヒトCskのアミノ酸残基195~449(例えば、配列番号26に示すアミノ酸配列を有する)を含む。別の実施形態では、IDは、Cskの構成的に活性な形態、例えば、以下の変異、すなわちW47A/R107K/E154Aを有する全長ヒトCskタンパク質(例えば、配列番号25に示すアミノ酸配列を有する)を含む。
一実施形態では、B細胞破壊因子のIDは、CD22、SHP1、CD32b、及びCskからなる群から選択されるタンパク質由来である。一実施形態では、B細胞破壊因子のIDは、少なくとも1つのITIMを含むCD22のC末端部分、少なくとも1つのITIMを含むCD32bのC末端部分、及びホスファターゼドメインを含むSHP1の部分からなる群から選択される。
一実施形態では、B細胞破壊因子のIDは、配列番号25、26及び144~149に示す配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
B細胞破壊因子構築物の代表的な例の調製は、実施例5及び11に詳細に記載される。構築物が、B細胞活性をインビトロで阻害する、例えば、免疫グロブリン産生及びサイトカイン分泌を阻害する能力は、実施例7、9及び12に記載される。構築物が、B細胞活性をインビトロで阻害する、例えば、IgM及びIgG産生、ならびに抗原特異的抗体の蓄積を阻害する能力は、実施例8及び10に記載される。
一実施形態では、本開示は、CD79a由来の会合ドメイン、及びCD22由来の阻害性ドメインを含む、BCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号150~151、159、163及び166に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号168~169、177、181及び184に示される。
一実施形態では、本開示は、CD79b由来の会合ドメイン、及びCD22由来の阻害性ドメインを含む、BCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号152~153、160、164及び167に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号170~171、178、182及び185に示される。
一実施形態では、本開示は、CD19由来の会合ドメイン、及びCD22由来の阻害性ドメインを含む、BCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号154、156、161、162及び165に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号172、174、179、180及び183に示される。
一実施形態では、本開示は、CD19由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、BCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号155に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号173に示される。
一実施形態では、本開示は、CD64由来の会合ドメイン、及びCD32b由来の阻害性ドメインを含む、BCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号157及び158に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号175及び176に示される。
一実施形態では、本開示は、Syk由来の会合ドメイン、及びSHP1由来の阻害性ドメインを含む、BCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号232~234に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号238~240に示される。
一実施形態では、本開示は、CD19、CD79a、またはCD79b由来の会合ドメイン、及びCsk由来の阻害性ドメイン(例えば、構成的に活性なCsk)を含む、BCD構築物を提供する。このような構築物の代表的なヌクレオチド配列は、配列番号235~237に示される。このような構築物の代表的なアミノ酸配列は、配列番号241~243に示される。
NK細胞破壊因子構築物
一実施形態では、本開示の免疫細胞破壊因子ポリヌクレオチドは、NK細胞内で細胞内発現される際にNK細胞の活性を阻害する、NK細胞破壊因子(NKCD)構築物である。NK活性を阻害することは、例えば、NK細胞増殖の減少、NK細胞サイトカイン産生の減少、及び/またはNK細胞細胞溶解活性の減少をもたらし得る。
NKCDポリヌクレオチド構築物は、NK細胞の少なくとも1つの成分と会合し、NK細胞における通常のシグナル形質導入活性を破壊するキメラポリペプチドをコードする。NK細胞における通常のシグナル形質導入活性に干渉(すなわち、破壊、変化、阻害)することによって、NKCDポリペプチドは、NK細胞活性化の閾値を増加させることができ、その結果、NK細胞が応答するのに、より大きな刺激が必要になることで、NKCDの不在下における活性レベルと比較して、NKCDの存在下におけるNK細胞活性の阻害をもたらす。
NKCDポリペプチドは、少なくとも2つの部分(すなわち、ドメインまたはモチーフ)すなわちNK細胞の少なくとも1つの膜またはシグナル伝達複合体成分とキメラポリペプチドの会合を媒介する第1の部分(「会合ドメイン」またはAD)、及びNK細胞における通常のシグナル形質導入の破壊を通じて、NKCDの阻害効果を媒介する第2の部分(「阻害性ドメイン」またはID)を含む、キメラポリペプチドである。
NKCDの会合ドメインは、NK細胞内の他の成分と相互作用するいくつかの異なる種類のNK細胞成分、例えば、膜受容体関連成分、膜受容体成分、膜貫通関連成分、または細胞内関連成分のいずれかに由来であり得る。NKCDの阻害性ドメインは、NK細胞におけるシグナル伝達経路活性の調節に関与する多くの異なる種類のNK細胞成分、例えば、ホスファターゼ、阻害性キナーゼ、及びITIM含有タンパク質のいずれかに由来し得る。
NK細胞活性化は、潜在的な標的細胞との相互作用の際に開始される相補経路と拮抗経路との動的均衡によって制御される。NK細胞は、細胞溶解プログラム、ならびにサイトカインまたはケモカイン代謝、例えば、2B4を惹起することができる一連の活性化細胞表面受容体を発現する。これらの活性化細胞表面受容体のいくつかは、細胞質内ITAM(免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ)を持つ膜貫通シグナル伝達アダプターとの非共有会合を介して、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)依存性経路を開始する。ITAMに直接カップリングしないさらなる細胞表面受容体もまた、NK細胞活性化に参加する。これらには、DAP10膜貫通シグナル伝達アダプターに非共有的に会合するNKG2D、ならびにインテグリン及びサイトカイン受容体が含まれる。また、NK細胞は、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)を介する活性化経路に拮抗する細胞表面阻害性受容体を発現する。これらの阻害性細胞表面受容体は、細胞質内ITIM(免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ)によって特徴付けられる。
NKCDの会合ドメインが由来し得るシグナル伝達経路の活性化に関与するNKタンパク質としては、2B4、NKG2D、DAP10、Srcファミリーキナーゼ(例えば、Lck、Fyn、Src、Lyn、Yes、及びFgr)、PLCγ2及びVavが挙げられる。
NKCDの阻害性ドメインが由来し得るシグナル伝達経路の阻害に関与するNKタンパク質としては、CD158、CD94-NKG2A、LILR、SHP1 SHP2、及びLAIR1が挙げられる。
樹状細胞破壊因子構築物
一実施形態では、本開示の免疫細胞破壊因子ポリヌクレオチドは、樹状細胞内で細胞内発現される際に樹状細胞の活性を阻害する、樹状細胞破壊因子(DCD)構築物である。樹状細胞活性を阻害することは、例えば、樹状細胞増殖の減少、樹状細胞サイトカイン産生の減少、及び/または樹状細胞のエフェクター機能(例えば、抗原提示)の減少をもたらし得る。
DCDポリヌクレオチド構築物は、DCの少なくとも1つの成分と会合し、DCにおける通常のシグナル形質導入活性を破壊するキメラポリペプチドをコードする。DCにおける通常のシグナル形質導入活性に干渉(すなわち、破壊、変化、阻害)することによって、DCDポリペプチドは、DC活性化の閾値を増加させることができ、その結果、DCが応答するのに、より大きな刺激が必要になることで、DCDの不在下における活性レベルと比較して、DCDの存在下におけるDC活性の阻害をもたらす。
DCDポリペプチドは、少なくとも2つの部分(すなわち、ドメインまたはモチーフ)、すなわち樹状細胞の少なくとも1つの膜またはシグナル伝達複合体成分とキメラポリペプチドの会合を媒介する第1の部分(「会合ドメイン」またはAD)、及び樹状細胞における通常のシグナル形質導入の破壊を通じて、DCDの阻害効果を媒介する第2の部分(「阻害性ドメイン」またはID)を含む、キメラポリペプチドである。
DCDの会合ドメインは、DC内の他の成分と相互作用するいくつかの異なる種類のDC成分、例えば、膜受容体関連成分、膜受容体成分、膜貫通関連成分、または細胞内関連成分のいずれかに由来であり得る。DCDの阻害性ドメインは、DCにおけるシグナル伝達経路活性の調節に関与するいくつかの異なる種類のDC成分、例えば、ホスファターゼ、阻害性キナーゼ、及びITIM含有タンパク質のいずれかに由来であり得る。
DCは、病原体関連分子パターン(PAMP)と呼ばれる様々な分子構造、例えば、リポ多糖、リポテイコ酸、フラジェリン、及び核酸を認識するパターン認識受容体(PRR)を介して、病原体を検出する。Toll様受容体(TLR)及びC型レクチン受容体(CLR)のような膜関連PRRは、細胞外病原体に応答するが、RIG-I様受容体(RLR)及びNOD様受容体(NLR)を含むサイトゾルPRRは、細胞内病原体を感知する。これらの受容体はまた、細胞内アダプタータンパク質と相互作用し、活性化キナーゼの活性化を刺激する。DC活性化は、シグナル伝達活性の様々な負の調節因子により阻害される。
DCDの会合ドメインが由来し得るシグナル伝達経路の活性化に関与するDCタンパク質としては、TLR3、TLR4、RIG-1、MDA-5、アダプタータンパク質MyD88、TRIF、TRAM及びTIRAP、及びJAK/STATシグナル伝達経路に関与するJAK及びSTAT分子が挙げられる。
DCDの阻害性ドメインが由来し得るシグナル伝達経路の阻害に関与するDCタンパク質としては、A20、SIKE、PIN1、RNF125、NLRX1、及びSOCS1が挙げられる。
マクロファージ細胞破壊因子構築物
一実施形態では、本開示の免疫細胞破壊因子ポリヌクレオチドは、マクロファージ内で細胞内発現される際にマクロファージの活性を阻害する、マクロファージ破壊因子(MPD)構築物である。マクロファージ活性を阻害することは、例えば、マクロファージ増殖の減少、マクロファージサイトカイン産生の減少、及び/またはマクロファージエフェクター機能(例えば、抗原提示)の減少をもたらし得る。
MPDポリヌクレオチド構築物は、マクロファージの少なくとも1つの成分と会合し、マクロファージにおける通常のシグナル形質導入活性を破壊するキメラポリペプチドをコードする。マクロファージにおける通常のシグナル形質導入活性に干渉(すなわち、破壊、変化、阻害)することによって、MPDポリペプチドは、マクロファージ活性化の閾値を増加させることができ、その結果、マクロファージが応答するのに、より大きな刺激が必要になることで、MPDの不在下における活性レベルと比較して、MPDの存在下におけるマクロファージ活性の阻害をもたらす。
MPDポリペプチドは、少なくとも2つの部分(すなわち、ドメインまたはモチーフ)、すなわちマクロファージの少なくとも1つの膜またはシグナル伝達複合体成分とキメラポリペプチドの会合を媒介する第1の部分(「会合ドメイン」またはAD)、及びマクロファージ(「阻害性ドメイン」またはID)における通常のシグナル形質導入の破壊を通じて、MPDの阻害効果を媒介する第2の部分を含む、キメラポリペプチドである。
MPDの会合ドメインは、マクロファージ内の他の成分と相互作用するいくつかの異なる種類のマクロファージ成分、例えば、膜受容体関連成分、膜受容体成分、膜貫通関連成分、または細胞内関連成分のいずれかに由来であり得る。MPDの阻害性ドメインは、マクロファージにおけるシグナル伝達経路活性の調節に関与するいくつかの異なる種類のマクロファージ成分、例えば、ホスファターゼ、阻害性キナーゼ、及びITIM含有タンパク質のいずれかに由来であり得る。
マクロファージの古典的な活性化は、典型的には、MyD88依存的に作用するToll様受容体(TLR)及びTLRリガンドを伴う。MyD88に加えて、いくつかのTLRリガンドもまた、IFN調節性因子3(IRF3)を介してシグナルを送る、IFNβ(TRIF)依存性経路を誘発するTIRドメイン含有アダプタータンパク質を活性化することができる。遺伝子活性化は、転写因子の組み合わせ、例えば、IFNγ受容体連結後に活性化される、転写(STAT)分子のシグナル伝達物質及び活性化物質、ならびにTLRまたはTNF受容体連結に応答して活性化される、核因子-κB(NFκB)及びマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)によって誘発される。マクロファージ活性化の下方調節は、SHP1及びPTP-1Bを含むホスファターゼにより媒介される。
MPDの会合ドメインが由来し得るシグナル伝達経路の活性化に関与するマクロファージタンパク質としては、TLR、MyD88、TRIF、IRF3、STAT、JAK、MAPK、及びERKが挙げられる。
MPDの阻害性ドメインが由来し得るシグナル伝達経路の阻害に関与するマクロファージタンパク質としては、SHP-1及びPTP-1Bが挙げられる。
メッセンジャーRNA(mRNA)
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載される構築物、製剤及び方法に使用されるmRNAを提供する。mRNAは、天然または非天然に存在するmRNAであってもよい。mRNAは、以下に記載されるように、1つ以上の修飾核酸塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチドを含んでもよく、その場合、それは、「修飾mRNA」または「mmRNA」と称され得る。本明細書において記載される場合、「ヌクレオシド」とは、有機塩基(例えば、プリンまたはピリミジン)またはその誘導体(本明細書では「核酸塩基」とも呼ばれる)と組み合わせた、糖分子(例えば、ペントースまたはリボース)またはその誘導体を含む化合物として定義される。本明細書において記載される場合、「ヌクレオチド」とは、リン酸塩基を含むヌクレオシドとして定義される。
mRNAは、5’非翻訳領域(5’-UTR)、3’非翻訳領域(3’-UTR)、及び/またはコード領域(例えば、オープンリーディングフレーム)を含んでもよい。構築物で使用される例示的な5’UTRを、配列番号186に示す。構築物で使用される別の例示的5’UTRを、配列番号187に示す。構築物で使用されるmiR結合部位を含む例示的な3’UTRが、配列番号212~221に示される。一実施形態では、肝細胞発現が、miR122結合部位を含めることによって低下する。mRNAは、任意の適切な数の塩基対を含んでもよく、これには、数十(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100)、数百(例えば、200、300、400、500、600、700、800、または900)または数千(例えば、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000)の塩基対を含む。任意の数(例えば、全部、いくつか、または全くない)の核酸塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチドは、置換、修飾、またはそうでなければ天然に存在しない標準的な種の類似体であってもよい。ある特定の実施形態では、特定の核酸塩基型の全てを修飾してもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるmRNAは、5’キャップ構造、鎖終結ヌクレオチド、必要に応じてKozak配列(Kozakコンセンサス配列としても知られる)、ステムループ、ポリA配列、及び/またはポリアデニル化シグナルを含んでもよい。
5’キャップ構造またはキャップ種は、リンカーによって結合された2つのヌクレオシド部分を含む化合物であり、天然に存在するキャップ、天然に存在しないキャップもしくはキャップ類似体、または抗逆キャップ類似体(ARCA)から選択されてもよい。キャップ種は、1つ以上の修飾ヌクレオシド及び/またはリンカー部分を含んでもよい。例えば、天然のmRNAキャップは、グアニンヌクレオチド及びその5’位において三リン酸結合によって結合された7位においてメチル化されたグアニン(G)ヌクレオチド、例えば、m7G(5’)ppp(5’)G(通常はm7GpppGと書かれている)を含んでもよい。キャップ種はまた、抗逆キャップ類似体であってもよい。可能性のあるキャップ種の非限定的なリストとしては、m7GpppG、m7Gpppm7G、m73’dGpppG、m27,O3’GpppG、m27,O3’GppppG、m27,O2’GppppG、m7Gpppm7G、m73’dpppG、m27,O3’GpppG、m27,O3’GppppG、及びm27,O2’GppppGが挙げられる。
mRNAは、代わりにまたは加えて、連鎖停止ヌクレオシドを含んでもよい。例えば、連鎖停止ヌクレオシドは、それらの糖基の2’及び/または3’位で脱酸素化されたヌクレオシドを含んでもよい。そのような種としては、3’デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’-デオキシウリジン、3’-デオキシシトシン、3’-デオキシグアノシン、3’-デオキシチミン、及び2’、3’-ジデオキヌクレオシド、例えば、2’,3’-ジデオキシアデノシン、2’,3’-ジデオキシウリジン、2’,3’-ジデオキシシトシン、2’,3’-ジデオキシグアノシン、及び2’,3’-ジデオキシチミンが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、例えば、国際特許公開第WO2013/103659号に記載されているように、例えば、3’末端での鎖停止ヌクレオチドのmRNAへの組み込みは、mRNAの安定化を生じ得る。
mRNAは、代わりにまたは加えて、ヒストンステムループなどのステムループを含んでもよい。ステムループは、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のヌクレオチド塩基対を含んでもよい。例えば、ステムループは、4、5、6、7、または8ヌクレオチド塩基対を含んでもよい。ステムループは、mRNAの任意の領域に位置し得る。例えば、ステムループは、非翻訳領域(5’非翻訳領域または3’非翻訳領域)、コード領域、またはポリA配列もしくはテールの中、前または後に位置し得る。いくつかの実施形態では、ステムループは、翻訳の開始、翻訳効率、及び/または転写終結などのmRNAの1つ以上の機能(複数可)に影響を及ぼし得る。
mRNAは、代わりにまたは加えて、ポリA配列及び/またはポリアデニル化シグナルを含んでもよい。ポリA配列は、全体がアデニンヌクレオチドまたはその類似体もしくは誘導体から構成されてもよいし、またはほとんど構成されてもよい。ポリA配列は、mRNAの3’非翻訳領域に隣接して位置するテールであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、mRNAの核外輸送、翻訳、及び/または安定性に影響を及ぼし得る。
mRNAは、代わりにまたは加えて、マイクロRNA結合部位を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、mRNAは、第1のコード領域と第2のコード領域との間の内部翻訳開始を可能にする、内部リボソーム進入部位(IRES)配列を含む介在配列を有するかまたは2Aペプチドなどの自己切断ペプチドをコードする介在配列を有する、第1のコード領域及び第2のコード領域を含むバイシストロン性mRNAである。IRES配列及び2Aペプチドが、典型的には同じベクターからの複数のタンパク質の発現を増強するために使用される。例えば、脳心筋炎ウイルスIRESを含む様々なIRES配列が当該分野で公知であり利用可能であり得、使用されてもよい。
一実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、自己切断ペプチドをコードする配列を含んでもよい。自己切断ペプチドは、限定するものではないが、2Aペプチドであってもよい。様々な2Aペプチドが当該技術分野において公知であり入手可能であり、用いられてもよく、これには、例としては、例えば、口蹄疫ウイルス(FMDV)2Aペプチド、ウマ鼻炎Aウイルス2Aペプチド、Thosea asignaウイルス2Aペプチド、及びブタテスコウイルス-12Aペプチドが挙げられる。2Aペプチドは、通常のペプチド結合が2Aペプチド配列で損なわれ、1つの翻訳事象から2つの不連続タンパク質が生じるように、いくつかのウイルスによって使用され、リボソームスキッピングによって1つの転写物から2つのタンパク質を生成する。非限定的な例として、2Aペプチドは、タンパク質配列:GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号226)、それらの断片またはバリアントを有し得る。一実施形態では、2Aペプチドは、最後のグリシンと最後のプロリンとの間で切断する。別の非限定的な例として、本開示のポリヌクレオチドは、タンパク質配列GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号226)の断片またはそのバリアントを有する2Aペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含んでもよい。2Aペプチドをコードするポリヌクレオチド配列の一例は、GGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACCCTGGACCT(配列番号227)である。例示的な一実施形態では、2Aペプチドは以下の配列によってコードされる:5’-TCCGGACTCAGATCCGGGGATCTCAAAATTGTCGCTCCTGTCAAACAAACTCTTAACTTTGATTTACTCAAACTGGCTGGGGATGTAGAAAGCAATCCAGGTCCACTC-3’(配列番号228)。2Aペプチドのポリヌクレオチド配列は、本明細書に記載される方法によって修飾されてもよいし、またはコドン最適化されてもよいし、及び/または当該技術分野において公知である。
一実施形態では、この配列を使用して、目的の2つ以上のポリペプチドのコード領域を分離し得る。非限定的な例として、F2Aペプチドをコードする配列は、第1のコード領域Aと第2のコード領域Bとの間にあってもよい(A-F2Apep-B)。F2Aペプチドの存在は、F2Aペプチド配列の末端でグリシンとプロリンとの間の1つの長いタンパク質の開裂をもたらし(NPGPは、開裂されてNPG及びPをもたらす)、したがって分離したプロテインA(NPGで終わる、結合されたF2Aペプチドの21アミノ酸を有する)、及び分離したタンパク質B(結合したF2Aペプチドの1個のアミノ酸、Pを有する)を作り出す。同様に、他の2Aペプチド(P2A、T2A及びE2A)については、長いタンパク質中の当該ペプチドの存在は、2Aペプチド配列の末端でグリシンとプロリンの間の切断をもたらす(NPGPは、NPG及びPをもたらすために切断される)。プロテインA及びプロテインBは、目的の同一または異なるペプチドまたはポリペプチドであってもよい。特定の実施形態では、プロテインAは、免疫原性細胞死を誘導するポリペプチドであり、プロテインBは、炎症性及び/または免疫応答を刺激するか、及び/または免疫応答性を調節する別のポリペプチドである(以下にさらに記載)。
非翻訳領域(UTR)
ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドの翻訳は、様々なシス作用性核酸構造によってもたらされる様々な機序によって調整及び制御され得る。例えば、ヘアピンまたは他の高次(例えば、シュードノット)分子内mRNA二次構造を形成する天然に存在するシス作用性RNA要素は、ポリヌクレオチドに翻訳制御活性を提供することができ、ここで、特にRNA要素が5’キャップ構造に近い5’UTRに位置する場合、RNA要素は、ポリヌクレオチドの翻訳開始に影響するか、またはこれを調節する(Pelletier and Sonenberg(1985)Cell 40(3):515-526、Kozak(1986)Proc Natl Acad Sci 83:2850-2854)。非翻訳領域(UTR)は、翻訳されない、開始コドン(5’UTR)前及び終止コドン(3’UTR)後のポリヌクレオチドの核酸部分である。いくつかの実施形態では、ARG1ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、本発明のポリヌクレオチド(例えば、リボ核酸(RNA)、例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))は、UTR(例えば、5’UTRもしくはその機能的断片、3’UTRもしくはその機能的断片またはそれらの組み合わせ)をさらに含む。
シス作用性RNA要素はまた、翻訳伸長に影響し得、多数のフレームシフトイベントに関与する(Namy et al.,(2004)Mol Cell 13(2):157-168)。配列内リボソーム進入部位(IRES)は、別のタイプのシス作用性RNA要素であり、典型的には、5’UTR内に位置するが、天然に存在するmRNAのコーディング領域内に認められることも報告されている(Holcik et al.(2000)Trends Genet 16(10):469-473)。細胞mRNAでは、IRESは、多くの場合、5’キャップ構造とともに存在し、キャップ依存性翻訳が損なわれた条件下で翻訳される、機能的能力をmRNAに提供する(Gebauer et al.,(2012)Cold Spring Harb Perspect Biol 4(7):a012245)。別のタイプの天然に存在するシス作用性RNA要素には、上流オープンリーディングフレーム(uORF)が含まれる。天然に存在するuORFは、多数のmRNAの5’UTR内に単独または複数で存在し、主要な下流ORFの翻訳に対して、通常は負の影響を与える(酵母のGCN4 mRNA及び哺乳類のATF4 mRNAの顕著な例外を除く。そこでは、uORFは、eIF2リン酸化が増加した条件下で、主要な下流ORFの翻訳を促進する働きをする(Hinnebusch(2005)Annu Rev Microbiol 59:407-450))。ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)に含まれる成分、構造、要素、モチーフ、及び/または特定配列によって提供されるさらなる翻訳制御活性の例には、mRNAの安定化または不安定化(Baker & Parker(2004)Curr Opin Cell Biol 16(3):293-299)、翻訳活性化(Villalba et al.,(2011)Curr Opin Genet Dev 21(4):452-457)、及び翻訳抑制(Blumer et al.,(2002)Mech Dev 110(1-2):97-112)が挙げられるが、これらに限定されない。研究により、天然に存在するシス作用性RNA要素は、当該要素を使用して、組み込みにより異種ポリヌクレオチドを修飾する場合、それぞれの機能を付与することができることが示されている(Goldberg-Cohen et al.,(2002)J Biol Chem 277(16):13635-13640)。
機能的RNA要素を含む修飾mRNA
本開示は、修飾(例えば、RNA要素)を含む合成ポリヌクレオチドを提供し、ここで修飾は所望の翻訳制御活性を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、5’非翻訳領域(UTR)、開始コドン、ポリペプチドをコードする全オープンリーディングフレーム、3’UTR、及び少なくとも1つの修飾を含むポリヌクレオチドを提供し、ここでこの少なくとも1つの修飾は、所望の翻訳制御活性、例えば、mRNA翻訳の翻訳忠実度を促進及び/または増強する修飾を提供する。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、シス作用性調節活性である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、開始コドンにおける、またはその近く4の3S開始前複合体(PIC)またはリボソームの滞留時間の増大である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、開始コドンにおける、または開始コドンからのポリペプチド合成の開始の増大である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、完全オープンリーディングフレームから翻訳されたポリペプチドの量の増大である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによる開始コドンの解読の忠実度の増大である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによるリーキースキャニングの阻害または低減である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、PICまたはリボソームによる開始コドンの解読速度の低下である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、開始コドン以外のmRNA内の任意のコドンにおけるポリペプチド合成の開始の阻害または減少である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、完全オープンリーディングフレーム以外のmRNA内の任意のオープンリーディングフレームから翻訳されたポリペプチドの量の阻害または減少である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、異常な翻訳産物の産生の阻害または減少である。いくつかの実施形態では、所望の翻訳制御活性は、前述の翻訳制御活性のうちの1つ以上の組み合わせである。
したがって、本開示は、本明細書に記載される所望の翻訳制御活性を提供する、配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNA要素を含むポリヌクレオチド、例えば、mRNAを提供する。いくつかの態様では、mRNAは、mRNA翻訳の翻訳忠実度を促進及び/または増強する、配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNA要素を含む。いくつかの態様では、mRNAは、リーキースキャニングの阻害及び/または低減などの所望の翻訳制御活性を提供する、配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNA要素を含む。いくつかの態様では、本開示は、リーキースキャニングを阻害及び/または低減し、それによってmRNAの翻訳忠実度を促進する、配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含むRNA要素を含むmRNAを提供する。いくつかの実施形態では、RNA要素は、天然及び/または修飾ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、RNA要素は、本明細書に記載されるように所望の翻訳制御活性を提供する、連結ヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくは類似体を含む。いくつかの実施形態では、RNA要素は、安定なRNA二次構造を形成または折り畳む連結ヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくは類似体を含み、ここでRNA二次構造は、本明細書に記載される所望の翻訳制御活性を提供する。RNA要素は、その要素の一次配列(例えば、GCリッチ要素)に基づいて、その要素によって形成されるRNA二次構造(例えば、ステムループ)によって、RNA分子内の要素の位置によって(例えば、mRNAの5’UTR内に位置する)、要素の生物学的機能及び/または活性によって(例えば、「翻訳エンハンサー要素」)、ならびにそれらの任意の組み合わせによって、同定されてもよく、及び/または特徴付けされてもよい。
いくつかの態様では、本開示は、リーキースキャニングを阻害するか、及び/またはmRNA翻訳の翻訳忠実度を促進する1つ以上の構造修飾を有するmRNAを提供し、ここで構造修飾の少なくとも1つはGCリッチRNA要素である。いくつかの態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のKozakコンセンサス配列に先行する、連結ヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくは類似体を含むGCリッチRNA要素である。一実施形態では、GCリッチのRNA要素は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列の約30、約25、約20、約15、約10、約5、約4、約3、約2、または約1ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、GCリッチのRNA要素は、Kozakコンセンサス配列の15~30、15~20、15~25、10~15、または5~10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、GCリッチのRNA要素は、mRNAの5’UTR内のKozakコンセンサス配列に直接隣接して位置する。任意の前述のまたは関連する態様では、本開示は、任意の順序で連結された、3~30、5~25、10~20、15~20、約20、約15、約12、約10、約7、約6または約3ヌクレオチドの配列、それらの誘導体または類似体を含むGCリッチのRNA要素を提供し、ここで、この配列組成は、70~80%シトシン、60~70%シトシン、50%~60%シトシン、40~50%シトシン、30~40%シトシン塩基である。任意の前述のまたは関連する態様では、本開示は、任意の順序で連結された、3~30、5~25、10~20、15~20、約20、約15、約12、約10、約7、約6または約3ヌクレオチドの配列、それらの誘導体または類似体を含むGCリッチのRNA要素を提供し、ここで、この配列組成は、約80%シトシン、約70%シトシン、約60%シトシン、約50%シトシン、約40%シトシン、または約30%シトシンである。
任意の前述のまたは関連の態様では、本開示は、任意の順序で連結された、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4もしくは3ヌクレオチドの配列、またはそれらの誘導体または類似体を含むGCリッチのRNA要素を提供し、ここで、この配列組成は、70~80%シトシン、60~70%シトシン、50%~60%シトシン、40~50%シトシン、または30~40%シトシンである。任意の前述のまたは関連の態様では、本開示は、任意の順序で連結された、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4もしくは3ヌクレオチドの配列、またはそれらの誘導体もしくは類似体を含むGCリッチのRNA要素を提供し、ここで、この配列組成は、約80%シトシン、約70%シトシン、約60%シトシン、約50%シトシン、約40%シトシン、または約30%シトシンである。
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTR中のKozakコンセンサス配列に先行する、連結ヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくは類似体を含むGCリッチRNA要素であり、このGCリッチのRNA要素は、mRNAの5’UTR中のKozakコンセンサス配列の約30、約25、約20、約15、約10、約5、約4、約3、約2、または約1ヌクレオチド上流に位置し、ここで、このGCリッチのRNA要素は、任意の順序で連結された、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20ヌクレオチドの配列、またはそれらの誘導体もしくは類似体を含み、ここでこの配列組成は>50%シトシンである。いくつかの実施形態では、配列組成は、55%超シトシン、60%超シトシン、65%超シトシン、70%超シトシン、75%超シトシン、80%超シトシン、85%超シトシン、または90%超シトシンである。
他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列に先行する、連結ヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくは類似体を含むGCリッチRNA要素であり、ここで、GCリッチのRNA要素は、mRNAの5’UTR中のKozakコンセンサス配列の約30、約25、約20、約15、約10、約5、約4、約3、約2、または約1ヌクレオチド上流に位置し、ここで、このGCリッチRNA要素は、約3~30、5~25、10~20、15~20または約20、約15、約12、約10、約6もしくは約3ヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくは類似体を含み、ここで、この配列は反復GCモチーフを含み、ここでこの反復GCモチーフは[CCG]nであり、ここでn=1~10、n=2~8、n=3~6、またはn=4~5である。いくつかの実施形態では、配列は、反復GCモチーフ[CCG]nを含み、ここでn=1、2、3、4または5である。いくつかの実施形態では、この配列は、反復GCモチーフ[CCG]nを含み、ここでn=1、2または3である。いくつかの実施形態では、この配列は、反復GCモチーフ[CCG]nを含み、ここでn=1である。いくつかの実施形態では、この配列は、反復GCモチーフ[CCG]nを含み、ここでn=2である。いくつかの実施形態では、この配列は、反復GCモチーフ[CCG]nを含み、ここでn=3である。いくつかの実施形態では、この配列は、反復GCモチーフ[CCG]nを含み、ここでn=4である(配列番号1384)。いくつかの実施形態では、この配列は、反復GCモチーフ[CCG]nを含み、n=5である(配列番号1382)。
別の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列に先行する、連結ヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくは類似体を含むGCリッチRNA要素であり、このGCリッチRNA要素は、表1に記載の配列のいずれか1つを含む。一実施形態では、GCリッチRNA要素は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列の約30、約25、約20、約15、約10、約5、約4、約3、約2、または約1ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、GCリッチのRNA要素は、Kozakコンセンサス配列の約15~30、15~20、15~25、10~15、または5~10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、GCリッチのRNA要素は、mRNAの5’UTR内のKozakコンセンサス配列に直接隣接して位置する。
他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列に先行する、表1に記載の配列V1[CCCCGGCGCC(配列番号194)]、またはそれらの誘導体もしくは類似体を含むGCリッチRNA要素である。いくつかの実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTR内のKozakコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する表1に記載の配列V1を含む。いくつかの実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTRのKozakコンセンサス配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に位置する、表1に記載の配列V1を含む。他の実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTR中のKozakコンセンサス配列の1~3、3~5、5~7、7~9、9~12、または12~15塩基上流に位置する表1に記載の配列V1を含む。
他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列に先行する、表1に記載の配列V2[CCCCGGC(配列番号195)]、またはその誘導体もしくは類似体を含むGCリッチRNA要素である。いくつかの実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTR内のKozakコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する表1に記載の配列V2を含む。いくつかの実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTR中のKozakコンセンサス配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に位置する表1に記載の配列V2を含む。他の実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTR中のKozakコンセンサス配列の1~3、3~5、5~7、7~9、9~12、または12~15塩基上流に位置する表1に記載の配列V2を含む。
他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで、少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列に先行する、表1に記載の配列EK[GCCGCC(配列番号193)]、またはその誘導体もしくは類似体を含むGCリッチRNA要素である。いくつかの実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTR内のKozakコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する表1に記載の配列EKを含む。いくつかの実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に位置する表1に記載の配列EKを含む。他の実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTR中のKozakコンセンサス配列の1~3、3~5、5~7、7~9、9~12、または12~15塩基上流に位置する表1に記載の配列EKを含む。
さらに他の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで少なくとも1つの修飾は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列に先行する、表1に記載の配列V1[CCCCGGCGCC(配列番号194)]、またはその誘導体もしくは類似体を含むGCリッチRNA要素であり、ここでこの5’UTRは、表1に示される以下の配列を含む:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGA(配列番号189)。当業者であれば当然のことであるが、本明細書に記載されるRNA配列中の全てのUは、対応するテンプレートDNA配列において、例えば、本開示のmRNAが、例えば、IVTを介して転写されるDNAテンプレートまたは構築物において、Tであることが認識されるであろう。
いくつかの実施形態では、GCリッチ要素は、表1に示す5’UTR配列内のKozakコンセンサス配列の上流に直接隣接して位置する表1に記載の配列V1を含む。いくつかの実施形態では、このGCリッチ要素は、mRNAの5’UTRにおけるKozakコンセンサス配列の1、2、3、4、5、6、7、8、9または10塩基上流に位置する表1に記載の配列V1を含み、ここでこの5’UTRは、表1に示す以下の配列を含む:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGA(配列番号189)。
他の実施形態では、GCリッチ要素は、mRNAの5’UTR中にKozakコンセンサス配列の1~3、3~5、5~7、7~9、9~12、または12~15塩基上流に位置する表1に記載の配列V1を含み、ここで5’UTRは、表1に示す以下の配列を含む:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGA(配列番号189)。
いくつかの実施形態では、この5’UTRは、表1に示される以下の配列を含む:
GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGACCCCGGCGCCGCCACC(配列番号186)。
別の態様では、本開示は、少なくとも1つの修飾を含む修飾mRNAを提供し、ここで、少なくとも1つの修飾は、ヘアピンまたはステムループを形成する、ある順番で連結されたヌクレオチドの配列、またはその誘導体もしくは類似体を含む安定なRNA二次構造を含むGCリッチRNA要素である。一実施形態では、安定なRNA二次構造は、Kozakコンセンサス配列の上流にある。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、Kozakコンセンサス配列の約30、約25、約20、約15、約10、または約5ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、Kozakコンセンサス配列の約20、約15、約10、または約5ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、Kozakコンセンサス配列の約5、約4、約3、約2、約1ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、Kozakコンセンサス配列の約15~30、約15~20、約15~25、約10~15、または約5~10ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、Kozakコンセンサス配列の12~15ヌクレオチド上流に位置する。別の実施形態では、安定なRNA二次構造は、約-30kcal/mol、約-20~-30kcal/mol、約-20kcal/mol、約-10~-20kcal/mol、約-10kcal/mol、約-5~-10kcal/molのデルタGを有する。
別の実施形態では、修飾は、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームに機能的に連結されており、ここで修飾とオープンリーディングフレームとは異種である。
別の実施形態では、GCリッチのRNA要素の配列は、グアニン(G)、及びシトシン(C)核酸塩基のみから構成される。
本明細書中に記載されるような所望の翻訳制御活性を提供するRNA要素は、リボソームプロファイリングのような公知の技術を用いて同定され特徴付けられ得る。リボソームプロファイリングは、mRNAに結合したPIC及び/またはリボソームの位置の決定を可能にする技術である(例えば、参照により本明細書に組み込まれるIngolia et al.,(2009)Science 324(5924):218~23を参照されたい)。この技術は、ヌクレアーゼ消化から、PIC及び/またはリボソームによって、mRNAの領域またはセグメントを保護することに基づいている。保護により、「フットプリント」と呼ばれる30bpのRNA断片が生成される。RNAフットプリントの配列及び頻度は、当該分野で公知の方法(例えば、RNA-seq)によって分析され得る。フットプリントは、リボソームのA部位にほぼ中心がある。PICまたはリボソームが、mRNAに沿った特定の場所または位置に滞留する場合、これらの位置に生じるフットプリントは比較的一般的であろう。PIC及び/またはリボソームが加工性の低下を示す場所でより多くのフットプリントが生成し、PIC及び/またはリボソームが加工性の増大を示す位置でより少ないフットプリントが生成されることが、研究により示されている(Gardin et al.,(2014)eLife 3:e03735)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるRNA要素のうちの任意の1つ以上を含むポリヌクレオチドに沿った別々の場所または位置でのPICまたはリボソームの滞留時間または占有時間は、リボソームプロファイリングによって決定される。
UTRは、ポリヌクレオチドのコード領域に相同であっても異種であってもよい。いくつかの実施形態では、UTRは、ARG1ポリペプチドをコードするORFに相同である。いくつかの実施形態では、UTRは、ARG1ポリペプチドをコードするORFに対して異種である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、2つまたはそれ以上の5’UTRまたはその機能的断片を含み、これらのそれぞれは、同じかまたは異なるヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、2つまたはそれ以上の3’UTRまたはその機能的断片を含み、これらのそれぞれは、同じかまたは異なるヌクレオチド配列を有する。
いくつかの実施形態では、5’UTRもしくはその機能的断片、3’UTRもしくはその機能的断片、またはこれらの任意の組み合わせは、配列最適化される。
いくつかの実施形態では、5’UTRもしくはその機能的断片、3’UTRもしくはその機能的断片、またはこれらの任意の組み合わせは、少なくとも1つの化学的に修飾された核酸塩基、例えば、N1メチルシュードウラシルまたは5-メトキシウラシルを含む。
UTRは、制御上の役割、例えば、増大または減少した安定性、局在化、及び/または翻訳効率を提供する、特徴を有し得る。UTRを含むポリヌクレオチドは、細胞、組織、または生物に投与することができ、1つ以上の制御上の特徴は、日常的な方法を使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、5’UTRまたは3’UTRの機能的断片は、それぞれ完全長5’または3’UTRの1つ以上の制御上の特徴を含む。天然の5’UTRは、翻訳開始において役割を果たす特徴を有する。それらは、リボソームが多数の遺伝子の翻訳を開始するプロセスに関与することが一般に公知である、Kozak配列のようなものを特徴としている。Kozak配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGG(配列番号196)を有し、式中Rは、開始コドン(AUG)の3塩基上流にあるプリン(アデニンまたはグアニン)であり、もう1つの「G」が後に続く。5’UTRはまた、伸長因子の結合に関与する二次構造を形成することも公知である。
特定の標的器官の豊富に発現される遺伝子において典型的に見出される特徴を操作することによって、ポリヌクレオチドの安定性及びタンパク質産生を増強することができる。例えば、肝臓に発現されるmRNA、例えば、アルブミン、血清アミロイドA、アポリポタンパク質A/B/E、トランスフェリン、アルファフェトプロテイン、エリスロポエチン、または第VIII因子の5’UTRの導入により、肝細胞株または肝臓におけるポリヌクレオチドの発現を増強することができる。同様に、他の組織特異的mRNAに由来する5’UTRを、その組織における発現を向上させるために使用することが、筋肉(例えば、MyoD、ミオシン、ミオグロビン、ミオゲニン、ハーキュリン)、内皮細胞(例えば、Tie-1、CD36)、骨髄系細胞(例えば、C/EBP、AML1、G-CSF、GM-CSF、CD11b、MSR、Fr-1、i-NOS)、白血球(例えば、CD45、CD18)、脂肪組織(例えば、CD36、GLUT4、ACRP30、アディポネクチン)、及び肺上皮細胞(例えば、SP-A/B/C/D)に可能である。
いくつかの実施形態では、UTRは、タンパク質が共通の機能、構造、特徴、または特性を共有している転写物のファミリーから選択される。例えば、コードされるポリペプチドは、特定の細胞、組織において、または発達中の何らかの時点で、発現される、タンパク質のファミリーに属し得る(すなわち、少なくとも1つの機能、構造、特徴、局在化、起源、または発現パターンを共有する)。遺伝子またはmRNAのいずれかに由来するUTRを、同じかまたは異なるタンパク質のファミリーの他の任意のUTRと交換して、新しいポリヌクレオチドを作製することができる。
いくつかの実施形態では、5’UTR及び3’UTRは、異種であり得る。いくつかの実施形態では、5’UTRは、3’UTRとは異なる種に由来し得る。いくつかの実施形態では、3’UTRは、5’UTRとは異なる種に由来し得る。共同所有の国際特許出願第PCT/US2014/021522号(公開第WO/2014/164253号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、本開示のポリヌクレオチドにおいて、ORFに隣接する領域として利用することができる例示的なUTRの一覧を提供する。
本出願の例示的なUTRとしては、グロビン、例えば、α-またはβ-グロビン(例えば、Xenopus、マウス、ウサギ、またはヒトグロビン)、強力なKozak翻訳開始シグナル、CYBA(例えば、ヒトシトクロムb-245αポリペプチド)、アルブミン(例えば、ヒトアルブミン7)、HSD17B4(水酸化ステロイド(17-β)デヒドロゲナーゼ)、ウイルス(例えば、タバコエッチウイルス(TEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、デングウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、CMV最初期1(IE1))、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、シンドビスウイルス、またはPAVオオムギ黄化萎縮ウイルス);熱ショックタンパク質(例えば、hsp70);翻訳開始因子(例えば、elF4G);グルコース輸送体(例えば、hGLUT1(ヒトグルコース輸送体1));アクチン(例えば、ヒトαまたはβアクチン);GAPDH;チューブリン;ヒストン;クエン酸回路酵素;トポイソメラーゼ(例えば、5’TOPモチーフ(オリゴピリミジントラクト)を欠くTOP遺伝子の5’UTR);リボソームタンパク質大型32(L32);リボソームタンパク質(例えば、ヒトまたはマウスリボソームタンパク質、例えば、rps9など);ATPシンターゼ(例えば、ATP5A1またはミトコンドリアH+-ATPシンターゼのβサブユニット);成長ホルモンe(例えば、ウシ(bGH)またはヒト(hGH));伸長因子(例えば、伸長因子1α1(EEF1A1));マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD);筋細胞エンハンサー因子2A(MEF2A);β-F1-ATPase、クレアチンキナーゼ、ミオグロビン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);コラーゲン(例えば、I型コラーゲンアルファ2(Col1A2)、I型コラーゲンアルファ1(Col1A1)、VI型コラーゲンアルファ2(Col6A2)、VI型コラーゲンアルファ1(Col6A1));リボフォリン(例えば、リボフォリンI(RPNI));低比重リポタンパク質受容体関連タンパク質(例えば、LRP1);カルジオトロフィン様サイトカイン因子(例えば、Nnt1);カルレティキュリン(Calr);プロコラーゲン-リジン、2-オキソグルタレート5-ジオキシゲナーゼ1(Plod1);及びヌクレオバインディン(例えば、Nucb1)の核酸配列に由来する1つ以上の5’UTR及び/または3’UTRが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、5’UTRは、β-グロビン5’UTR、強力なKozak翻訳開始シグナルを含有する5’UTR、シトクロムb-245αポリペプチド(CYBA)5’UTR、水酸化ステロイド(17-β)デヒドロゲナーゼ(HSD17B4)5’UTR、タバコエッチウイルス(TEV)5’UTR、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(TEEV)5’UTR、非構造的タンパク質をコードする風疹ウイルス(RV)RNAの5’近位オープンリーディングフレーム、デングウイルス(DEN)5’UTR、熱ショックタンパク質70(Hsp70)5’UTR;eIF4G 5’UTR、GLUT1 5’UTR、これらの機能的断片及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、3’UTRは、β-グロビン3’UTR、CYBA 3’UTR、アルブミン3’UTR、成長ホルモン(GH)3’UTR、VEEV 3’UTR、B型肝炎ウイルス(HBV)3’UTR、α-グロビン3’UTR、DEN 3’UTR、PAVオオムギ黄化萎縮ウイルス(BYDV-PAV)3’UTR、伸長因子1 α1(EEF1A1)3’UTR、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)3’UTR、ミトコンドリアH(+)-ATPシンターゼのβサブユニット(β-mRNA)3’UTR、GLUT1 3’UTR;MEF2A 3’UTR、β-F1-ATPase 3’UTR、これらの機能的断片及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
任意の遺伝子またはmRNAに由来する野生型UTRが、本開示のポリヌクレオチドに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、UTRは、例えば、ORFに対するUTRの配向または位置を変更することによって、または追加のヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドの交換もしくは転位によって、野生型または天然のUTRに対して変化させて、バリアントUTRを産生することができる。いくつかの実施形態では、5’または3’UTRのバリアント、例えば、野生型UTRの変異体、または1つ以上のヌクレオチドがUTRの末端に付加されたかもしくはそこから除去されたバリアントが、利用され得る。
加えて、1つ以上の合成UTRを、1つ以上の非合成UTRと組み合わせて使用してもよい。例えば、Mandal及びRossi,Nat.Protoc.2013 8(3):568-82(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
UTRまたはその部分は、それらが選択された転写物と同じ配向で配置されてもよく、または配向もしくは位置を変化させてもよい。それゆえ、5’及び/または3’UTRは、逆転されるか、短くされるか、延長されるか、または1つ以上の他の5’UTRもしくは3’UTRと組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、複数のUTR、例えば、二重、三重、または四重の5’UTRまたは3’UTRを含む。例えば、二重UTRは、直列または実質的に直列のいずれかで、同じUTRの2つのコピーを含む。例えば、二重β-グロビン3’UTRを使用することができる(US2010/0129877を参照されたく、この内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
ある特定の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、本明細書に開示されるUTRのいずれかから選択される5’UTR及び/または3’UTRを含む。いくつかの実施形態では、5’UTRは、以下を含む:
5’UTR-001(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号190)、5’UTR-002(上流UTR)(GGGAGAUCAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号197)、
5’UTR-003(上流UTR)(WO2016/100812を参照されたい)、
5’UTR-004(上流UTR)(GGGAGACAAGCUUGGCAUUCCGGUACUGUUGGUAAAGCCACC)(配列番号198)、
5’UTR-005(上流UTR)(GGGAGAUCAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号199)、
5’UTR-006(上流UTR)(WO2016/100812を参照されたい)、
5’UTR-007(上流UTR)(GGGAGACAAGCUUGGCAUUCCGGUACUGUUGGUAAAGCCACC)(配列番号200)、5’UTR-008(上流UTR)(GGGAAUUAACAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号201)、
5’UTR-009(上流UTR)(GGGAAAUUAGACAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号202)、
5’UTR-010、Upstream(GGGAAAUAAGAGAGUAAAGAACAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号203)、
5’UTR-011(上流UTR)(GGGAAAAAAGAGAGAAAAGAAGACUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号204)、
5’UTR-012(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAUAUAUAAGAGCCACC)(配列番号205)、
5’UTR-013(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGACAAAACAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号206)、
5’UTR-014(上流UTR)(GGGAAAUUAGAGAGUAAAGAACAGUAAGUAGAAUUAAAAGAGCCACC)(配列番号207)、
5’UTR-015(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAUAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号208)、
5’UTR-016(上流UTR)(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAAUUAAGAGCCACC)(配列番号209)、
5’UTR-017(上流UTR)、または(GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUUUAAGAGCCACC)(配列番号210)、
5’UTR-018(上流UTR)5’UTR
(UCAAGCUUUUGGACCCUCGUACAGAAGCUAAUACGACUCACUAUAGGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC)(配列番号211)。
いくつかの実施形態では、3’UTRは、以下を含む:
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号212)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号213)、または
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号214)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号215)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号216)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号217)、
142-3p 3’UTR(miR142-3p結合部位を含むUTR)(UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUUCCAUAAAGUAGGAAACACUACACUGAGUGGGCGGC)(配列番号218)、
3’UTR(miR142及びmiR126結合部位バリアント1)
(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号219)、
3’UTR(miR142及びmiR126結合部位バリアント2)
(UGAUAAUAGUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCCGCAUUAUUACUCACGGUACGAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC)(配列番号220)、または
3’UTR(miR142-3p結合部位バリアント3)
UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCUCCAUAAAGUAGGAAACACUACAGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号221)。
ある特定の実施形態では、本開示の5’UTR及び/または3’UTR配列は、配列番号186、189~191及び197~211のいずれかを含む5’UTR配列からなる群から選択される配列に少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるヌクレオチド配列を含む、及び/または3’UTR配列は、配列番号187及び212~221のいずれか、及びそれらの任意の組み合わせを含む。ある特定の実施形態では、本開示の5’UTR及び/または3’UTR配列は、配列番号186、189~191及び197~211のいずれかを含む5’UTR配列からなる群から選択される配列に少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるヌクレオチド配列を含む、及び/または3’UTR配列は、配列番号187及び212~221のいずれか、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
本開示のポリヌクレオチドは、特徴の組み合わせを含み得る。例えば、ORFには、強力なKozak翻訳開始シグナルを含む5’UTR及び/またはポリ-A尾部の鋳型付加のためのオリゴ(dT)配列を含む3’UTRが、隣接していてもよい。5’UTRは、同じ及び/または異なるUTRに由来する第1のポリヌクレオチド断片及び第2のポリヌクレオチド断片を含み得る(例えば、US2010/0293625を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
他の非UTR配列を、本開示のポリヌクレオチド内の領域または部分領域として使用してもよい。例えば、イントロンまたはイントロン配列の部分が、本開示のポリヌクレオチドに組み込まれ得る。イントロン配列の組込みにより、タンパク質の産生及びポリヌクレオチドの発現レベルを増大させることができる。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、UTRの代わりまたはそれに加えて、内部リボソーム進入部位(IRES)を含む(例えば、Yakubov et.,al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.2010 394(1):189-193を参照されたく、この内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、5’UTR配列の代わりにIRESを含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ORF及びウイルスキャプシド配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、合成5’UTRを、非合成3’UTRと組み合わせて含む。
いくつかの実施形態では、UTRはまた、少なくとも1つの翻訳エンハンサーポリヌクレオチド、1つの翻訳エンハンサー要素、または複数の翻訳エンハンサー要素(集合的に「TEE」、これはポリヌクレオチドから産生されるポリペプチドまたはタンパク質の量を増大させる核酸配列を指す)を含み得る。非限定的な例として、TEEは、転写プロモーターと開始コドンとの間に位置してもよい。いくつかの実施形態では、5’UTRは、TEEを含む。一態様では、TEEは、核酸の翻訳活性、例えば、限定されないが、キャップ依存性またはキャップ非依存性翻訳を促進し得る、UTR内の保存された要素である。
5’キャッピング
インビトロ転写(IVT)を用いて、治療用RNAを酵素的に製造することが望ましい。一般に、DNA依存性RNAポリメラーゼは、適切なプロモーターを含有するDNAテンプレートをRNA転写物に転写する。ポリ(A)尾部は、ポリ(T)トラクトをテンプレートDNAに組み込むことによって同時転写的に、またはポリ(A)ポリメラーゼを用いることで別々に生成することができる。真核細胞mRNAは、5’キャップ(例えば、5’m7GpppXキャップ)で開始する。典型的には、5’キャップは、(eIF4E結合に必要な)N7Meを有する反転Gで始まる。好ましいキャップであるCap1は、+1位置に2’OMe、続いて、+2位置に任意のヌクレオシドを含有する。このキャップを転写後に、例えば、酵素的(転写後)または同時転写的(転写中)に挿入することができる。
転写後キャッピングは、ワクチニアキャッピング酵素を用いて実行することができ、RNAの完全なキャッピングが可能になり、5’末端三リン酸または二リン酸基を運ぶRNA上にキャップ0構造を生成する。このキャップ0構造は、mRNAの効率的なインビボ翻訳に必要である。その後、キャップ0構造は、キャップ特異的2’Oメチルトランスフェラーゼを用いて、キャップ1にさらに修飾することができる。ワクチニアキャッピング酵素及び2’Oメチルトランスフェラーゼは、例えば、真核細胞のトランスフェクトにおいてまたはタンパク質合成を駆動するためのmRNA治療用途において使用される、インビトロ転写物上にキャップ0及びキャップ1構造を生成するために使用されている。ワクチニアキャッピング酵素による転写後キャッピングにより、キャップ0またはキャップ1構造のいずれかを生成することができるが、大規模なmRNA産生に使用される場合に高価なプロセスである。例えば、ワクシニアは、費用がかかり、かつ、供給量が限られており、IVT mRNAを精製すること(例えば、S-アデノシルメチオニン(SAM)、及び2’O-メチルトランスフェラーゼを除去すること)は困難であり得る。さらに、キャッピングは、構造化された5’末端にアクセスできないため不完全になり得る。
キャップ類似体を用いた同時転写キャッピングは、例えば、プロセスには、より簡単なワークフローを要する(例えば、転写とキャッピングの間に精製ステップを必要としない)ため、ワクシニアキャッピングを上回るある特定の利点を有する。従来の同時転写キャッピング法は、ジヌクレオチドARCA(抗逆キャップ類似体)を利用し、キャップ0構造を生成する。しかしながら、ARCAキャッピングは、欠点を有する。例えば、得られたキャップ0構造は、免疫原性であり得、プロセスは、低収率及び/またはキャップが不十分な材料をもたらすことが多い。このアプローチの別の潜在的な欠点は、出発ヌクレオチドのGTPからの競合により、理論的なキャッピング効率が100%未満である。例えば、ARCAを用いた同時転写キャッピングは、典型的には、(開始のために、GTPを打ち負かすのに必要とされる)90%超のキャッピングを達成するため、10:1のARCA:GTP比を必要とする。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、mRNAのインビトロ合成のために(例えば、T7 RNAポリメラーゼを特徴とする)同時転写キャッピング法を用いて調製されたトリヌクレオチドmRNAキャップ類似体からなる。トリヌクレオチドキャップ類似体の使用は、ワクシニアまたはARCAキャッピングに関連する上述の問題のいくつかに対する解決策を提供し得る。加えて、上述の同時転写キャッピング法は、結合挙動を変化させ得る、または脱キャッピング酵素に対するこれらのキャップの親和性に影響を及ぼし得る、またはその両方であり得る、最後から2番目の核酸塩基の修飾に柔軟性をもたらすため、それぞれのmRNAの安定性を潜在的に改善させる。本明細書に記載される同時転写キャッピング法で使用される例示的なトリヌクレオチドは、m7GpppAG(GAG)トリヌクレオチドである。このトリヌクレオチドの使用により、+1位置がGの代わりにAであるヌクレオチドが得られる。+1G及び+1Aは両方とも、天然に存在するmRNAに見られ得るキャップである。
T7 RNAポリメラーゼは、5’GTPで始まるのが好ましい。したがって、最も従来型のmRNA転写物は、
で始まる
(TATAは、「TATAボックス」と呼ばれる)。T7 RNAポリメラーゼは、典型的には、T7プロモーター
の下流のDNAを転写する。T7ポリメラーゼは、プロモーター配列中の下線付きのGで転写を開始する。その後、ポリメラーゼは、5’→3’からのテンプレートとして逆鎖を用いて転写する。転写物中の最初の塩基は、Gである。
本明細書に記載されるプロセスは、T7酵素が、単一ヌクレオチドATPでは限定された開始活性をを有し、T7をATPではなくトリヌクレオチドで開始するように駆動させるという事実を利用する。従って、プロセスは、機能的キャップ転写後に90%超のmRNA産物を生成する。プロセスは、例えば、NTP、GTP、ATP、CTP、及びUTPと等モル濃度でGAGトリヌクレオチド(GpppAG;mGpppAmG)を含む、効率的な「ワンポット」mRNA生成法である。プロセスは、5’アデノシン(A)で転写を開始する「A開始」DNAテンプレートを特徴とする。本明細書で定義する場合、「A開始」及び「G開始」DNAテンプレートは、コード鎖(及び対応するmRNA)が、AまたはGでそれぞれ始まるように、テンプレート鎖中に必要なヌクレオシドを有する二本鎖DNAである。例えば、G開始DNAテンプレートは、(コード鎖を参照する)T7プロモーターにおけるTATAボックスのすぐ下流のGGに相補的な核酸塩基CCを有するテンプレート鎖を特徴とし、A開始DNAテンプレートは、(コード鎖を参照する)T7プロモーターにおけるTATAボックスのすぐ下流のAGに相補的な核酸塩基TCを有するテンプレート鎖を特徴する。
本開示のA開始DNAテンプレートにおいて特徴とする例示的なT7プロモーター配列をここに示す:
本明細書に記載されるトリヌクレオチドベースキャッピング法は、最後から2番目の核酸塩基を定めることにおいて柔軟性をもたらす。本開示のトリヌクレオチドキャッピング法は、キャップされたmRNAの効率的な産生、例えば、天然キャップ1構造を有する、95~98%のキャップされたmRNAをもたらす。
ポリ-A尾部
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドをコードするmRNAを含むポリヌクレオチドは、ポリ-A尾部をさらに含む。さらなる実施形態では、ポリ-A尾部の末端基が、安定化のために組み込まれ得る。他の実施形態では、ポリ-A尾部は、デス-3’ヒドロキシル尾部を含む。有用なポリ-A尾部は、Li et al.(2005)Current Biology 15:1501-1507により教示されるように、構造部分または2’-Oメチル修飾も含み得る。
一実施形態では、ポリ-A尾部の長さは、存在する場合、30ヌクレオチド長より長い。別の実施形態では、ポリ-A尾部は、35ヌクレオチド長より長い(例えば、少なくとも約35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、及び3,000ヌクレオチド、またはそれらより長い)。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドまたはその領域は、約30~約3,000ヌクレオチド(例えば、30~50、30~100、30~250、30~500、30~750、30~1,000、30~1,500、30~2,000、30~2,500、50~100、50~250、50~500、50~750、50~1,000、50~1,500、50~2,000、50~2,500、50~3,000、100~500、100~750、100~1,000、100~1,500、100~2,000、100~2,500、100~3,000、500~750、500~1,000、500~1,500、500~2,000、500~2,500、500~3,000、1,000~1,500、1,000~2,000、1,000~2,500、1,000~3,000、1,500~2,000、1,500~2,500、1,500~3,000、2,000~3,000、2,000~2,500、及び2,500~3,000)を含む。
いくつかの実施形態では、ポリ-A尾部は、ポリヌクレオチドの全体の長さまたはポリヌクレオチドの特定の領域の長さに対して設計される。この設計は、コード領域の長さ、特定の特徴もしくは領域の長さに基づき得るか、またはポリヌクレオチドから発現される最終的な産物の長さに基づき得る。
この文脈においては、ポリ-A尾部は、ポリヌクレオチドまたはその特徴よりも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%長くてもよい。ポリ-A尾部はまた、それが属するポリヌクレオチドの小部分として設計してもよい。この文脈においては、ポリ-A尾部は、構築物の全長、構築物の領域、または構築物の全長からポリ-A尾部を差し引いたものの10、20、30、40、50、60、70、80、または90%、またはそれ以上でもよい。さらに、ポリ-A結合タンパク質のためのポリヌクレオチドの結合部位の操作及びコンジュゲーションにより、発現を増強してもよい。
加えて、ポリ-A尾部の3’末端において修飾されたヌクレオチドを使用して、複数の異なるポリヌクレオチドを、PABP(ポリ-A結合タンパク質)を介して3’末端を通じて一緒に連結してもよい。トランスフェクション実験を、適切な細胞株において行うことができ、タンパク質産生を、ELISAによって、トランスフェクションの12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、及び7日後にアッセイすることができる。
いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、ポリA-Gカルテット領域を含むように設計される。Gカルテットは、環状水素結合された4つのグアニンヌクレオチドの配列されたものであり、DNA及びRNAの両方においてGリッチ配列によって形成することができる。本実施形態では、Gカルテットは、ポリ-A尾部の末端に組み込まれる。結果として得られるポリヌクレオチドを、様々な時点において、安定性、タンパク質産生、及び半減期を含む他のパラメーターについてアッセイする。ポリA-Gカルテットが、120ヌクレオチドのポリ-A尾部を単独で使用した場合に確認されるタンパク質産生の少なくとも75%に相当する、mRNAからのタンパク質産生をもたらすことが見出されている。
開始コドン領域
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、開始コドン領域に類似であるか、またはそれと同様の機能を果たす領域をさらに含む。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの翻訳は、開始コドンAUGではないコドンで開始され得る。ポリヌクレオチドの翻訳は、ACG、AGG、AAG、CTG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA、ATT/AUU、TTG/UUGなどであるがこれらに限定されない代替の開始コドンで開始され得る。Touriol et al.Biology of the Cell 95(2003)169-178及びMatsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11を参照されたい。非限定的な例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替の開始コドンACGで開始される。別の非限定的な例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替の開始コドンCUGで開始される。さらに別の非限定的な例として、ポリヌクレオチドの翻訳は、代替の開始コドンGUGで開始される。
翻訳を開始するコドン、例えば、限定されないが、開始コドンまたは代替の開始コドンに隣接するヌクレオチドが、ポリヌクレオチドの翻訳効率、長さ、及び/または構造に影響を及ぼすことが知られている。例えば、Matsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11を参照されたい。翻訳を開始するコドンに隣接するヌクレオチドのいずれかのマスキングを使用して、ポリヌクレオチドの翻訳開始位置、翻訳効率、長さ、及び/または構造を変化させることができる。
いくつかの実施形態では、マスキングされた開始コドンまたは代替の開始コドンにおける翻訳開始の確率を低減するようにコドンをマスキングまたは遮蔽するために、マスキング剤が、開始コドンまたは代替の開始コドンの付近で使用され得る。マスキング剤の非限定的な例としては、アンチセンスロックド核酸(LNA)ポリヌクレオチド及びエクソン-ジャンクション複合体(EJC)が挙げられる。例えば、マスキング剤LNAポリヌクレオチド及びEJCについて記載しているMatsuda及びMauro(PLoS ONE,2010 5:11)を参照されたい。
別の実施形態では、翻訳が、代替の開始コドンで開始される可能性を増大させるために、マスキング剤を使用して、ポリヌクレオチドの開始コドンをマスキングすることができる。いくつかの実施形態では、翻訳が、マスキングした開始コドンまたは代替の開始コドンの下流の開始コドンまたは代替の開始コドンで開始される機会を増大させるために、マスキング剤を使用して、第1の開始コドンまたは代替の開始コドンをマスキングしてもよい。
いくつかの実施形態では、開始コドンまたは代替の開始コドンは、miR結合部位の完璧な相補体内に位置する。miR結合部位の完全な相補体は、マスキング剤と同様に、ポリヌクレオチドの翻訳、長さ、及び/または構造の調節を補助し得る。非限定的な例として、開始コドンまたは代替の開始コドンは、miR-122結合部位の完全な相補体の中央に位置する。開始コドンまたは代替の開始コドンは、第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド、第3のヌクレオチド、第4のヌクレオチド、第5のヌクレオチド、第6のヌクレオチド、第7のヌクレオチド、第8のヌクレオチド、第9のヌクレオチド、第10のヌクレオチド、第11のヌクレオチド、第12のヌクレオチド、第13のヌクレオチド、第14のヌクレオチド、第15のヌクレオチド、第16のヌクレオチド、第17のヌクレオチド、第18のヌクレオチド、第19のヌクレオチド、第20のヌクレオチド、または第21のヌクレオチドの後に位置し得る。
別の実施形態では、ポリヌクレオチドの翻訳を、開始コドンではないコドンで開始させるために、ポリヌクレオチドの開始コドンを、ポリヌクレオチド配列から除去する。ポリヌクレオチドの翻訳は、除去された開始コドンの次のコドンまたは下流の開始コドンもしくは代替の開始コドンで開始され得る。非限定的な実施例では、翻訳を、下流の開始コドンまたは代替の開始コドンで開始させるために、開始コドンATGまたはAUGを、ポリヌクレオチド配列の最初の3つのヌクレオチドとして、除去する。開始コドンが除去されたポリヌクレオチド配列は、翻訳の開始、ポリヌクレオチドの長さ、及び/またはポリヌクレオチドの構造を調節するため、またはその調節を試みるために、下流の開始コドン及び/または代替の開始コドンのための少なくとも1つのマスキング剤を、さらに含んでもよい。
終止コドン領域
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、3’非翻訳領域(UTR)の前に、少なくとも1つの終止コドンまたは少なくとも2つの終止コドンをさらに含み得る。終止コドンは、UGA、UAA、及びUAGから選択され得る。いくつかの実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、終止コドンUGA、及び1の追加の終止コドンを含む。さらなる実施形態では、追加の終止コドンは、UAAであり得る。別の実施形態では、本開示のポリヌクレオチドは、3つの終止コドン、4つの終止コドン、またはそれ以上の終止コドンを含む。
調整されたウラシル含有量
本開示のいくつかの実施形態では、mRNAは、ウラシル含有量が調整されていてもよい。いくつかの実施形態では、治療薬ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最小ウラシル含有量(%UTM)に対する、治療薬ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのオープンリーディングフレーム(ORF)のウラシル含有量は、約100%~約150%である。いくつかの実施形態では、ORFのウラシル含有量は、対応する野生型ORF(%UTM)中の理論的最小ウラシル含有量の約105%~約145%、約105%~約140%、約110%~約140%、約110%~約145%、約115%~約135%、約105%~約135%、約110%~約135%、約115%~約145%、または約115%~約140%である。他の実施形態では、ORFのウラシル含有量は、約117%~約134%または118%~132%の%UTMである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするORFのウラシル含有量は、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、または約150%の%UTMである。これに関連して、「ウラシル」という用語は、代替ウラシル及び/または天然に存在するウラシルを指し得る。
いくつかの実施形態では、対応する野生型ORFのウラシル含有量(%UWT)に対するポリヌクレオチドのORFのウラシル含有量は、100%未満である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの%UWTは、約95%未満、約90%未満、約85%未満、80%未満、79%未満、78%未満、77%未満、76%未満、75%未満、74%未満、または73%未満である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの%UWTは、65%~73%である。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするmRNAのORF中のウラシル含有量は、ORF中の総核酸塩基含有量の約50%、約40%、約30%、または約20%未満である。いくつかの実施形態では、ORF中のウラシル含有量は、ORF中の総核酸塩基含有量の約15%~約25%である。他の実施形態では、ORF中のウラシル含有量は、ORF中の総核酸塩基含有量の約20%~約30%である。一実施形態では、ポリペプチドをコードするmRNAのORF中のウラシル含有量は、オープンリーディングフレーム中の総核酸塩基含有量の約20%未満である。これに関連して、「ウラシル」という用語は、代替ウラシル及び/または天然に存在するウラシルを指し得る。
さらなる実施形態では、ウラシル含有量が調整されている、ポリペプチドをコードするmRNAのORFは、シトシン(C)、グアニン(G)、またはグアニン/シトシン(G/C)含有量(絶対または相対)が増加している。いくつかの実施形態では、ORFのC含有量、G含有量、またはG/C含有量(絶対または相対)の全体的な増加は、野生型ORFのG/C含有量(絶対または相対)を基準にして少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%である。いくつかの実施形態では、ORF中のG含有量、C含有量またはG/C含有量は、PBDGポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最大G含有量、C含有量またはG/C含有量(%GTMX、%CTMX、もしくは%G/CTMX)の約100%未満、約90%未満、約85%未満、または約80%未満である。他の実施形態では、ORF中のG含有量、C含有量またはG/C含有量は、%GTMX、%CTMX、または%G/CTMXの約70%~約80%、約71%~約79%、約71%~約78%、または約71%~約77%である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最大グアニン含有量(%GTMX)に対する、ポリヌクレオチドのORFのグアニン含有量は、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドの%GTMXは、約70%~約80%、約71%~約79%、約71%~約78%、または約71%~約77%である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最大シトシン含有量(%CTMX)に対する、ポリヌクレオチドのORFのシトシン含有量は、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドのORFの%CTMXは、約60%~約80%、約62%~約80%、約63%~約79%、または約68%~約76%である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の理論的最大G/C含有量(%G/CTMX)に対する、ポリヌクレオチドのORFのグアニン及びシトシン含有量(G/C)は、少なくとも約81%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドのORFの%G/CTMXは、約80%~約100%、約85%~約99%、約90%~約97%、または約91%~約96%である。いくつかの実施形態では、対応する野生型ORF中のG/C含有量(%G/CWT)に対する、ポリヌクレオチドのORF中のG/C含有量は、少なくとも102%、少なくとも103%、少なくとも104%、少なくとも105%、少なくとも106%、少なくとも107%、少なくとも110%、少なくとも115%、または少なくとも120%である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドのORF中の第3のコドン位置における平均G/C含有量は、対応する野生型ORFの第3のコドン位置の平均G/C含有量よりも少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、または少なくとも30%多い。いくつかの実施形態では、G含有量、C含有量またはG/C含有量の低い同義コドンをC含有量、G含有量、またはG/C含有量の高い同義コドンで置換することによって、本明細書に記載されるG含有量及び/またはC含有量(絶対または相対)を増加させることができる。他の実施形態では、Uで終わるコドンを、GもしくはCで終わる同義コドンで置換することによって、G含有量及び/またはC含有量(絶対または相対)を増加させることができる。
さらなる実施形態では、ポリペプチドをコードするmRNAのORFは、ウラシルペア(UU)及び/またはウラシルトリプレット(UUU)及び/またはウラシルクアドラプレット(UUUU)を、ポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列未満で含む。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドをコードするmRNAのORFには、ウラシルペア及び/またはウラシルトリプレット及び/またはウラシルクアドラプレットが全く含まれない。いくつかの実施形態では、ウラシルペア及び/またはウラシルトリプレット及び/またはウラシルクアドラプレットが、ある特定の閾値未満、例えば、ポリペプチドをコードするmRNAのORF中における出現数が、1以下、2以下、3以下、4以下、5以下、6以下、7以下、8以下、9以下、10以下、11以下、12以下、13以下、14以下、15以下、16以下、17以下、18以下、19以下、または20以下に低減される。特定の実施形態では、本開示のポリペプチドをコードするmRNAのORFには、20未満、19未満、18未満、17未満、16未満、15未満、14未満、13未満、12未満、11未満、10未満、9未満、8未満、7未満、6未満、5未満、4未満、3未満、2未満もしくは1未満の非フェニルアラニンウラシルペア及び/またはトリプレットが含まれる。別の実施形態では、ポリペプチドをコードするmRNAのORFには、非フェニルアラニンウラシルペア及び/またはトリプレットが全く含まれない。
さらなる実施形態では、本開示のポリペプチドをコードするmRNAのORFには、ウラシル富化クラスターを、ポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列未満で含む。いくつかの実施形態では、本開示のポリペプチドをコードするmRNAのORFは、ポリペプチドをコードする対応する野生型ヌクレオチド配列中の対応するウラシル富化クラスターよりも長さが短いウラシル富化クラスターを含む。
さらなる実施形態では、低頻度の代替コドンが用いられる。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドのORFは、少なくとも1つの低頻度のコドンをさらに含む。いくつかの実施形態では、mRNAのポリペプチドをコードするORF中のコドンの少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%が、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が低い各代替コドンでそれぞれ置換される。ORFはまた、上述されているように、ウラシル含有量が調整されていてもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするmRNAのORF中の少なくとも1つのコドンが、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が低い、代替コドンで置換される。
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリペプチドをコードするORFを含むmRNAであり、ORFのウラシル含有量は、対応する野生型ORF中の理論的最小ウラシル含有量の約115%~約135%であり、ポリペプチドをコードするORF中のウラシル含有量は、ORF中の総核酸塩基含有量の約30%未満である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするORFは、ORFのG/C含有量(絶対または相対)を対応する野生型ORFと比較して少なくとも約40%増加させるように、さらに修飾されている。さらに他の実施形態では、ポリペプチドをコードするORFに含まれる非フェニルアラニンウラシルペア及び/またはトリプレットは、20未満である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドをコードするmRNAのORF中の少なくとも1つのコドンはさらに、同義コドンセット中の置換コドンのコドン頻度よりもコドン頻度が低い、代替コドンで置換される。
いくつかの実施形態では、ORFを含むmRNAによってコードされるポリペプチドの発現は、ORFのウラシル含有量が調整されている(例えば、ウラシル含有量が対応する野生型ORF中の理論的最小ウラシル含有量の約115%~約135%である)場合に、対応する野生型mRNA由来のポリペプチドの発現と比較して少なくとも約10倍増加する。いくつかの実施形態では、オープンORFを含むmRNAにより誘発される自然免疫応答は、ウラシル含有量が調整されている(例えば、ORFのウラシル含有量が対応する野生型ORF中の理論的最小ウラシル含有量の約115%~約135%である)場合に、対応する野生型mRNA由来のポリペプチドの発現と比較して少なくとも約10倍減少する。いくつかの実施形態では、ウラシル含有量が調整されたmRNAは、mRNAが導入される哺乳動物細胞の自然免疫応答を実質的に誘導しない。
いくつかの実施形態では、mRNAのウラシル含有量は、本明細書に記載されるように調整され、修飾ヌクレオシドが、調整後にmRNA中に残っているウラシルを部分的または完全に置換する。非限定的な例として、天然ヌクレオチドウリジンが、本明細書に記載されるように、修飾ヌクレオシドで置換され得る。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、シュードウリジン(Ψ)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)、及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2-チオウリジン(s2U)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2-チオウリジン及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2’-O-メチルウリジンを含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2’-O-メチルウリジン及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、N6-メチル-アデノシン(m6A)を含む。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオシドは、N6-メチル-アデノシン(m6A)、及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。
mRNAの化学修飾
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、1つ以上の修飾核酸塩基、ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含む(「修飾mRNA」または「mmRNA」と呼ばれる)。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、参照未修飾mRNAと比較して、安定性の向上、細胞内保持、翻訳の向上、及び/またはmRNAが導入される細胞の自然免疫応答の実質的な誘導の欠如などの有用な特性を有し得る。したがって、修飾mRNAの使用は、タンパク質産生の効率、細胞内での核酸の保持を促進し得、同様に免疫原性の低下を保有し得る。
いくつかの実施形態では、mRNAは、1つ以上(例えば、1、2、3または4)の異なる修飾核酸塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上の)異なる修飾核酸塩基、ヌクレオシド、またはヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、修飾mRNAは、対応する未修飾mRNAと比較して、mRNAが導入された細胞内では分解が低下している場合がある。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、修飾されたウラシルである。修飾されたウラシルを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、シュードウリジン(Ψ)、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ-ウリジン、6-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ウリジン(s2U)、4-チオ-ウリジン(s4U)、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシ-ウリジン(ho5U)、5-アミノアリル-ウリジン、5-ハロ-ウリジン(例えば、5-ヨード-ウリジンまたは5-ブロモ-ウリジン)、3-メチル-ウリジン(m3U)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、ウリジン5-オキシ酢酸(cmo5U)、ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル(mcmo5U)、5-カルボキシメチル-ウリジン(cm5U)、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジン(chm5U)、5-カルボキシヒドロキシメチル-ウリジンメチルエステル(mchm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-ウリジン(mcm5U)、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオ-ウリジン(mcm5s2U)、5-アミノメチル-2-チオ-ウリジン(nm5s2U)、5-メチルアミノメチル-ウリジン(mnm5U)、5-メチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(mnm5s2U)、5-メチルアミノメチル-2-セレノ-ウリジン(mnm5se2U)、5-カルバモイルメチル-ウリジン(ncm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-ウリジン(cmnm5U)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ-ウリジン(cmnm5s2U)、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-ウリジン(τm5U)、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン(τm5s2U)、1-タウリノメチル-4-チオ-シュードウリジン、5-メチル-ウリジン(m5U、すなわち、核酸塩基デオキシチミンを有する)、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)、5-メチル-2-チオ-ウリジン(m5s2U)、1-メチル-4-チオ-シュードウリジン(m1s4Ψ)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、3-メチル-シュードウリジン(m3Ψ)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウリジン(D)、ジヒドロシュードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、5-メチル-ジヒドロウリジン(m5D)、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシ-ウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン(acp3U)、1-メチル-3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)シュードウリジン(acp3Ψ)、5-(イソペンテニルアミノメチル)ウリジン(inm5U)、5-(イソペンテニルアミノメチル)-2-チオ-ウリジン(inm5s2U)、α-チオ-ウリジン、2’-O-メチル-ウリジン(Um)、5,2’-O-ジメチル-ウリジン(m5Um)、2’-O-メチル-シュードウリジン(Ψm)、2-チオ-2’-O-メチル-ウリジン(s2Um)、5-メトキシカルボニルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(mcm5Um)、5-カルバモイルメチル-2’-O-メチル-ウリジン(ncm5Um)、5-カルボキシメチルアミノメチル-2’-O-メチル-ウリジン(cmnm5Um)、3,2’-O-ジメチル-ウリジン(m3Um)、及び5-(イソペンテニルアミノメチル)-2’-O-メチル-ウリジン(inm5Um)、1-チオ-ウリジン、デオキシチミジン、2’-F-アラ-ウリジン、2’-F-ウリジン、2’-OH-アラ-ウリジン、5-(2-カルボメトキシビニル)ウリジン、及び5-[3-(1-E-プロペニルアミノ)]ウリジンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、修飾されたシトシンである。修飾されたシトシンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、5-アザ-シチジン、6-アザ-シチジン、シュードイソシチジン、3-メチル-シチジン(m3C)、N4-アセチル-シチジン(ac4C)、5-ホルミル-シチジン(f5C)、N4-メチル-シチジン(m4C)、5-メチル-シチジン(m5C)、5-ハロ-シチジン(例えば、5-ヨード-シチジン)、5-ヒドロキシメチル-シチジン(hm5C)、1-メチル-シュードイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-シュードイソシチジン、2-チオ-シチジン(s2C)、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジン、リシジン(k2C)、α-チオ-シチジン、2’-O-メチル-シチジン(Cm)、5,2’-O-ジメチル-シチジン(m5Cm)、N4-アセチル-2’-O-メチル-シチジン(ac4Cm)、N4,2’-O-ジメチル-シチジン(m4Cm)、5-ホルミル-2’-O-メチル-シチジン(f5Cm)、N4,N4,2’-O-トリメチル-シチジン(m42Cm)、1-チオ-シチジン、2’-F-アラ-シチジン、2’-F-シチジン、及び2’-OH-アラ-シチジンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、修飾されたアデニンである。修飾されたアデニンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、α-チオ-アデノシン、2-アミノ-プリン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノ-6-ハロ-プリン(例えば、2-アミノ-6-クロロ-プリン)、6-ハロ-プリン(例えば、6-クロロ-プリン)、2-アミノ-6-メチル-プリン、8-アジド-アデノシン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノ-プリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチル-アデノシン(m1A)、2-メチル-アデニン(m2A)、N6-メチル-アデノシン(m6A)、2-メチルチオ-N6-メチル-アデノシン(ms2m6A)、N6-イソペンテニル-アデノシン(i6A)、2-メチルチオ-N6-イソペンテニル-アデノシン(ms2i6A)、N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(io6A)、2-メチルチオ-N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン(ms2io6A)、N6-グリシニルカルバモイル-アデノシン(g6A)、N6-トレオニルカルバモイル-アデノシン(t6A)、N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイル-アデノシン(m6t6A)、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイル-アデノシン(ms2g6A)、N6,N6-ジメチル-アデノシン(m62A)、N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイル-アデノシン(hn6A)、2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイル-アデノシン(ms2hn6A)、N6-アセチル-アデノシン(ac6A)、7-メチル-アデニン、2-メチルチオ-アデニン、2-メトキシ-アデニン、α-チオ-アデノシン、2’-O-メチル-アデノシン(Am)、N6,2’-O-ジメチル-アデノシン(m6Am)、N6,N6,2’-O-トリメチル-アデノシン(m62Am)、1,2’-O-ジメチル-アデノシン(m1Am)、2’-O-リボシルアデノシン(リン酸塩)(Ar(p))、2-アミノ-N6-メチル-プリン、1-チオ-アデノシン、8-アジド-アデノシン、2’-F-アラ-アデノシン、2’-F-アデノシン、2’-OH-アラ-アデノシン、及びN6-(19-アミノ-ペンタオキサノナデシル)-アデノシンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、修飾されたグアニンである。例示的な修飾されたグアニンを有する核酸塩基及びヌクレオシドには、a-チオ-グアノシン、イノシン(I)、1-メチル-イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、4-デメチル-ワイオシン(imG-14)、イソワイオシン(imG2)、ワイブトシン(yW)、ペルオキシワイブトシン(o2yW)、ヒドロキシワイブトシン(OhyW)、不完全修飾型ヒドロキシワイブトシン(OhyW*)、7-デアザ-グアノシン、キューオシン(Q)、エポキシキューオシン(oQ)、ガラクトシル-キューオシン(galQ)、マンノシル-キューオシン(manQ)、7-シアノ-7-デアザ-グアノシン(preQ0)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアノシン(preQ1)、アルカエオシン(G+)、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン(m7G),6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチル-イノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチル-グアノシン(m1G)、N2-メチル-グアノシン(m2G)、N2,N2-ジメチル-グアノシン(m22G)、N2,7-ジメチル-グアノシン(m2,7G)、N2,N2,7-ジメチル-グアノシン(m2,2,7G)、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、N2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシン、α-チオ-グアノシン、2’-O-メチル-グアノシン(Gm)、N2-メチル-2’-O-メチル-グアノシン(m2Gm)、N2,N2-ジメチル-2’-O-メチル-グアノシン(m22Gm)、1-メチル-2’-O-メチル-グアノシン(m1Gm)、N2,7-ジメチル-2’-O-メチル-グアノシン(m2,7Gm)、2’-O-メチル-イノシン(Im)、1,2’-O-ジメチル-イノシン(m1Im)、2’-O-リボシルグアノシン(リン酸塩)(Gr(p))、1-チオ-グアノシン、O6-メチル-グアノシン、2’-F-アラ-グアノシン、及び2’-F-グアノシンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、1つ以上の前述の修飾核酸塩基の組み合わせ(例えば、2つ、3つまたは4つの前述の修飾核酸塩基の組み合わせ)を含む。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、シュードウリジン(Ψ)、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)、2-チオウリジン、4’-チオウリジン、5-メチルシトシン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-シュードウリジン、5-アザ-ウリジン、ジヒドロシュードウリジン、5-メトキシウリジン、または2’-O-メチルウリジンである。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、1つ以上の上述の修飾された核酸塩基の組み合わせ(例えば、上述の修飾された核酸塩基のうち2、3または4つの組み合わせ)を包含する。いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)であり、本開示のmRNAは、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)で完全に修飾される。いくつかの実施形態では、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)は、mRNA中の75~100%のウラシルに相当する。いくつかの実施形態では、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)は、mRNA中の100%のウラシルに相当する。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、修飾されたシトシンである。修飾されたシトシンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシド()には、N4-アセチル-シチジン(ac4C)、5-メチル-シチジン(m5C)、5-ハロ-シチジン(例えば、5-ヨード-シチジン)、5-ヒドロキシメチル-シチジン(hm5C)、1-メチル-シュードイソシチジン、2-チオ-シチジン(s2C)、2-チオ-5-メチル-シチジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、開示のmRNAは、上述の修飾された核酸塩基のうちの1つ以上の組み合わせ(例えば、上述の修飾された核酸塩基の2、3、または4つの組み合わせ)を含む。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、修飾されたアデニンである。例示的な核酸塩基及びヌクレオシド(修飾されたアデニンを有する)としては、7-デアザ-アデニン、1-メチル-アデノシン(m1A)、2-メチル-アデニン(m2A)、N6-メチル-アデノシン(m6A)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、1つ以上の上述の修飾された核酸塩基の組み合わせ(例えば、上述の修飾された核酸塩基の2、3または4つの組み合わせ)を含む。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、修飾されたグアニンである。修飾されたグアニンを有する例示的な核酸塩基及びヌクレオシドには、イノシン(I)、1-メチル-イノシン(m1I)、ワイオシン(imG)、メチルワイオシン(mimG)、7-デアザ-グアノシン、7-シアノ-7-デアザ-グアノシン(preQ0)、7-アミノメチル-7-デアザ-グアノシン(preQ1)、7-メチル-グアノシン(m7G)、1-メチル-グアノシン(m1G)、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシンが挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、上述の修飾された核酸塩基の1つ以上の組み合わせ(例えば、上述の修飾された核酸塩基の2、3または4つの組み合わせ)を含む。
いくつかの実施形態では、修飾された核酸塩基は、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-メチル-シチジン(m5C)、シュードウリジン(Ψ)、α-チオ-グアノシン、またはα-チオ-アデノシンである。いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、上述の修飾された核酸塩基の1つ以上の組み合わせ(例えば、上述の修飾された核酸塩基の2、3または4つの組み合わせ)を含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、シュードウリジン(Ψ)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、シュードウリジン(Ψ)、及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)、及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、2-チオウリジン(s2U)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、2-チオウリジン及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、2’-O-メチルウリジンを含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、2’-O-メチルウリジン及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、N6-メチル-アデノシン(m6A)を含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、N6-メチル-アデノシン(m6A)、及び5-メチル-シチジン(m5C)を含む。
ある特定の実施形態では、本開示のmRNAは、特定の修飾について均一に修飾されている(すなわち、完全に修飾され、配列全体にわたって修飾されている)。例えば、mRNAは、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)または5-メチル-シチジン(m5C)で均一に修飾されてもよく、このことは、mRNA配列中の全てのウリジンまたは全てのシトシンヌクレオシドが、N1-メチルシュードウリジン(m1Ψ)または5-メチル-シチジン(m5C)で置き換えられていることを意味する。同様に、本開示のmRNAは、上記で示される残基のような修飾された残基との置換によって、配列中に存在する任意の種類のヌクレオシド残基について均一に修飾され得る。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、コード領域(例えば、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム)において修飾され得る。他の実施形態では、mRNAは、コード領域以外の領域で修飾されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、5’-UTR及び/または3’-UTRが提供され、ここで一方または両方は、独立して1つ以上の異なるヌクレオシド修飾を含んでもよい。そのような実施形態では、ヌクレオシド修飾はまたコード領域にも存在し得る。
本開示のmmRNA中に存在し得る、ヌクレオシド修飾及びそれらの組み合わせの例としては、限定するものではないが、PCT特許出願公開WO2012045075、WO2014081507、WO2014093924、WO2014164253、及びWO2014159813に記載されるものが挙げられる。
本開示のmmRNAは、糖、核酸塩基、及び/またはヌクレオシド間結合に対する修飾の組み合わせを含み得る。これらの組み合わせは、本明細書に記載される任意の1つ以上の改変を含み得る。
ある特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、本開示のmRNAの天然ヌクレオチドを部分的にまたは完全に置換し得る。非限定的な例として、天然のヌクレオチドウリジンが、本明細書に記載される修飾ヌクレオシドで置換されていてもよい。別の非限定的な例では、天然ヌクレオシドウリジンが、部分的に(例えば、約0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99.9%の天然ウリジンが)本明細書に開示される修飾ヌクレオシドの少なくとも1つによって置換されていてもよい。
本開示のmRNA、またはその領域は、コドン最適化されてもよい。コドン最適化法は、当該技術分野において公知であり、以下の種々の目的に有用であり得る:適切な折り畳みを保証するための宿主生物におけるコドン頻度の一致、mRNA安定性の向上または二次構造の低減のためのバイアスGC含量、遺伝子構築または発現を障害し得るタンデムリピートコドンまたはベースランを最小化する、転写及び翻訳制御領域をカスタマイズする、タンパク質輸送配列を挿入または除去する、コードされたタンパク質中の翻訳後修飾部位(例えば、グリコシル化部位)を除去/追加する、タンパク質ドメインを追加、除去またはシャッフルする、制限部位を挿入または削除する、リボソーム結合部位及びmRNA分解部位を修飾する、翻訳速度を調節してタンパク質の種々のドメインが適切に折り畳まれることを可能にするか、またはポリヌクレオチド内の問題の二次構造を減少もしくは排除する。コドン最適化ツール、アルゴリズム及びサービスは、当該技術分野において公知であり;非限定的な例としては、GeneArt(Life Technologies)、DNA2.0(Menlo Park、CA)のサービス、及び/または独自の方法が挙げられる。一実施形態では、mRNA配列は、例えば、哺乳動物細胞における発現を最適化するため、またはmRNAの安定性を高めるために、最適化アルゴリズムを使用して最適化される。
ある特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載される任意のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。
本開示のmRNAは、インビトロ転写(IVT)、及び合成方法を含むがこれらに限定されない、当該技術分野において利用可能な手段によって産生され得る。酵素的(IVT)、固相、液相、複合合成法、小領域合成、及び連結法を利用してもよい。一実施形態では、mRNAは、IVT酵素合成法を用いて作製される。IVTによるポリヌクレオチドの製造方法は、当該技術分野において公知であり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際出願PCT/US2013/30062に記載されている。したがって、本開示はまた、本明細書に記載されるmRNAをインビトロ転写するために使用され得るポリヌクレオチド、例えば、DNA、構築物及びベクターを含む。
合成中または合成後に、非天然修飾核酸塩基をポリヌクレオチド、例えば、mRNAに導入してもよい。ある特定の実施形態では、修飾は、ヌクレオシド間結合、プリンもしくはピリミジン塩基、または糖にあってもよい。特定の実施形態では、修飾は、ポリヌクレオチド鎖の末端に導入しても、またはポリヌクレオチド鎖内の他のどこかに導入してもよい(化学合成によるかまたはポリメラーゼ酵素による)。修飾された核酸及びそれらの合成の例は、PCT出願第PCT/US2012/058519号に開示されている。修飾ポリヌクレオチドの合成はまた、Verma and Eckstein,Anergy Review of Biochemistry,vol.76,99-134(1998)にも記載される。
酵素的または化学的ライゲーション方法のいずれかを使用して、標的化剤または送達剤、蛍光標識、液体、ナノ粒子などのような、異なる機能部分とポリヌクレオチドまたはそれらの領域とをコンジュゲートさせてもよい。ポリヌクレオチド及び修飾ポリヌクレオチドのコンジュゲートは、Goodchild,Bioconjugate Chemistry,vol.1(3),165~187(1990)に概説されている。
マイクロRNA(miRNA)結合部位
本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、調節要素、例えば、マイクロRNA(miRNA)結合部位、転写因子結合部位、構造化mRNA配列及び/またはモチーフ、内因性核酸結合分子に対する偽受容体として作用するように設計された人工結合部位、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、目的のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、さらに1つ以上のmiRNA結合部位を含む。miRNA結合部位(複数可)の包含もしくは組込みは、天然に存在するmiRNAの組織特異的及び/または細胞型特異的な発現に基づいて、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)、次いで、それからコードされるポリペプチドの調節を提供する。
miRNA、例えば、天然に存在するmiRNAは、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に結合し、安定性を低下させることによってまたはポリヌクレオチドの翻訳を阻害することによって、遺伝子発現を下方調節する19~25ヌクレオチド長の非コードRNAである。miRNA配列は、「シード」領域、すなわち、成熟miRNAの2~8位の領域内の配列を含む。miRNAシードは、成熟miRNAの2~8位または2~7位を含み得る。いくつかの実施形態では、miRNAシードは、7ヌクレオチド(例えば、成熟miRNAのヌクレオチド2~8)を含んでもよく、ここで対応するmiRNA結合部位内のシード相補的部位には、miRNA位置1とは反対側のアデノシン(A)が隣接している。いくつかの実施形態では、miRNAシードは、6ヌクレオチド(例えば、成熟miRNAのヌクレオチド2~7)を含んでもよく、ここで対応するmiRNA結合部位内のシード相補的部位には、miRNA位置1とは反対側のアデノシン(A)が隣接している。例えば、Grimson A,Farh KK,Johnston WK,Garrett-Engele P,Lim LP,Bartel DP;Mol Cell 2007 Jul 6;27(1):91-105を参照されたい。標的細胞または組織のmiRNAプロファイリングが細胞または組織中のmiRNAの有無を決定するために行われ得る。いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、1つ以上のマイクロRNA結合部位、マイクロRNA標的配列、マイクロRNA相補的配列、またはマイクロRNAシード相補的配列を含む。そのような配列は、例えば、それらの内容全体が参照によって本明細書に組み込まれている、米国特許出願公開第2005/0261218号及び米国特許出願公開第2005/0059005号に教示されているものなどの任意の既知のマイクロRNAに相当し得、例えば、それに対する相補性を有し得る。
本明細書で使用する場合、「マイクロRNA(miRNAまたはmiR)結合部位」という用語は、miRNAと相互作用、会合または結合するのにmiRNAの全部または領域に対する十分な相補性を有する、核酸分子内、例えば、DNA内またはRNA転写物内の配列(5’UTR及び/または3’UTR中を含む)を指す。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするORFを含む本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、さらに1つ以上のmiRNA結合部位を含む。例示的な実施形態では、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の5’UTR及び/または3’UTRは、1つ以上のmiRNA結合部位を含む。
miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位は、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)のmiRNA媒介調節、例えば、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)のmiRNA媒介の翻訳抑制または分解を促進するのに十分な程度の相補性を指す。本開示の例示的な態様では、miRNAに対して十分な相補性を有するmiRNA結合部位は、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)のmiRNA媒介性分解、例えば、mRNAのmiRNA誘導型RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介切断を促進するのに十分な程度の相補性を指す。miRNA結合部位は、例えば、19~25ヌクレオチドのmiRNA配列、19~23ヌクレオチドのmiRNA配列、または22ヌクレオチドのmiRNA配列に対して相補性を有し得る。miRNA結合部位は、miRNAの一部分のみに対して、例えば、天然に存在するmiRNA配列の全長の1、2、3、または4ヌクレオチド未満の部分に対して相補性であり得る。所望の調節がmRNA分解である場合、全相補性もしくは完全相補性(例えば、天然に存在するmiRNAの長さの全部もしくはかなりの部分にわたる全相補性、または完全相補性)が好ましい。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miRNAシード配列と相補性(例えば、部分的または完全相補性)を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miRNAシード配列と完全な相補性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miRNA配列と相補性(例えば、部分的または完全相補性)を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miRNA配列と完全な相補性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miRNA配列と完全な相補性を有するが、1、2、または3個のヌクレオチド置換、末端付加、及び/または切断がある。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、対応するmiRNAと同じ長さである。他の実施形態では、miRNA結合部位は、5’末端、3’末端、またはその両方において対応するmiRNAよりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチド(複数可)短い。さらに他の実施形態では、マイクロRNA結合部位は、5’末端、3’末端、または、その両方において、対応するマイクロRNAよりも2ヌクレオチド短い。対応するmiRNAよりも短いmiRNA結合部位は依然として、1つ以上のmiRNA結合部位を組み込んでいるmRNAを分解するか、またはmRNAの翻訳を妨げ得る。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、活性RISC含有Dicerの一部である対応する成熟miRNAと結合する。別の実施形態では、RISC中の対応するmiRNAへのmiRNA結合部位の結合は、miRNA結合部位を含むmRNAを分解するか、またはmRNAが翻訳されるのを妨げる。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、miRNAを含むRISC複合体がmiRNA結合部位を含む核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)を切断するように、miRNAに対して十分な相補性を有する。他の実施形態では、miRNA結合部位は、miRNAを含むRISC複合体がmiRNA結合部位を含む核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の不安定性を誘発するように、不完全な相補性を有する。別の実施形態では、miRNA結合部位は、miRNAを含むRISC複合体がmiRNA結合部位を含む核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の転写を抑制するように、不完全な相補性を有する。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、対応するmiRNAから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個のミスマッチ(複数可)を有する。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位は、対応するmiRNAのそれぞれ、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21の連続ヌクレオチドに対して相補的な、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約16、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、または少なくとも約21の連続ヌクレオチドを有する。
1つ以上のmiRNA結合部位を本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に操作することによって、問題のmiRNAが利用可能であるという条件下で、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)を分解または翻訳の減少の標的とし得る。これは、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の送達に対するオフターゲット効果を減少し得る。例えば、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)が組織または細胞に送達されることを意図しないが、最終的に前記組織または細胞であるならば、miRNAの1つ以上の結合部位が、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の5’UTR及び/または3’UTRに操作されるならば、組織または細胞に豊富に存在するmiRNAは、目的の遺伝子の発現を阻害し得る。
例えば、当業者であれば、1つ以上のmiR結合部位が、リンパ系細胞以外の細胞型における発現を最小にするため、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に含まれ得ることが理解されるであろう。一実施形態では、miR122結合部位を使用し得る。別の実施形態では、miR126結合部位を使用し得る。さらに別の実施形態では、これらのmiR結合部位または組み合わせの複数のコピーを使用し得る。
逆に、特定の組織におけるタンパク質発現を増大させるために、miRNA結合部位を、それらが天然に存在する核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)配列から除去し得る。例えば、特定のmiRNAの結合部位を核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)配列から除去して、miRNAを含む組織または細胞におけるタンパク質発現を改善し得る。
複数の組織における発現の調節は、1つ以上のmiRNA結合部位、例えば、1つ以上の異なるmiRNA結合部位の導入または除去によって達成され得る。miRNA結合部位を除去するかまたは挿入するかの決定は、miRNA発現パターン及び/または発生中の組織及び/または細胞及び/または疾患におけるそれらのプロファイリングに基づいて行い得る。miRNA、miRNA結合部位、ならびにそれらの発現パターン及び生物学における役割の同定が報告されている(例えば、Bonauer et al.,Curr Drug Targets 2010 11:943-949;Anand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171-176;Contreras and Rao Leukemia 2012 26:404-413(2011 Dec 20.doi:10.1038/leu.2011.356);Bartel Cell 2009 136:215-233;Landgraf et al.,Cell,2007 129:1401-1414;Gentner and Naldini,Tissue Antigens.2012 80:393-403及びその中の全ての引用文献。それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。miRNA及びmiRNA結合部位は、その各々が、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2014/0200261号、同第2005/0261218号、及び同第2005/0059005号に記載されている非限定的な例を含む、任意の公知の配列に相当し得る。miRNAがmRNAを調節し、それによってタンパク質発現を調節することが公知である組織の例としては、限定するものではないが、肝臓(miR-122)、筋肉(miR-133、miR-206、miR-208)、内皮細胞(miR-17-92、miR-126)、骨髄細胞(miR-142-3p、miR-142-5p、miR-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27)、脂肪組織(let-7、miR-30c)、心臓(miR-1d、miR-149)、腎臓(miR-192、miR-194、miR-204)、及び肺上皮細胞(let-7、miR-133、miR-126)が挙げられる。具体的には、miRNAは、免疫細胞(造血細胞とも呼ばれる)、例えば、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞及びマクロファージ)、マクロファージ、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞などにおいて示差的に発現されることが公知である。免疫細胞特異的miRNAは、免疫原性、自己免疫、感染に対する免疫応答、炎症、ならびに遺伝子治療及び組織/臓器移植後の望ましくない免疫応答に関与している。免疫細胞特異的miRNAはまた、造血細胞(免疫細胞)の発生、増殖、分化及びアポトーシスの多くの側面を調節する。例えば、miR-142及びmiR-146は、免疫細胞において排他的に発現され、特に骨髄性樹状細胞において豊富に発現される。核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に対する免疫応答は、miR-142結合部位をポリヌクレオチドの3’-UTRに付加することによって遮断され得、組織及び細胞におけるより安定な遺伝子導入を可能にすることが実証されている。miR-142は、抗原提示細胞中の外因性核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)を効率的に分解し、形質導入細胞の細胞傷害性除去を抑制する(例えば、各々が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Annoni A et al.,blood,2009,114,5152-5161、Brown BD,et al.,Nat med.2006,12(5),585~591;Brown BD,et al.,blood,2007,110(13):4144~4152を参照されたい)。
抗原媒介免疫応答は、外来抗原によって引き起こされる免疫応答を指す場合があり、それは、生物に入ると、抗原提示細胞によって処理され、抗原提示細胞の表面に表示される。T細胞は、提示された抗原を認識し、抗原を発現する細胞の細胞傷害性除去を誘導し得る。
本開示の核酸分子の5’UTR及び/または3’UTRへのmiR-142結合部位の導入は、miR-142媒介分解を通して抗原提示細胞における遺伝子発現を選択的に抑制し、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)における抗原提示を制限し、それによって、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の送達後、抗原媒介性免疫応答を妨げる。次いで、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、細胞傷害性排除を引き起こすことなく、標的組織または細胞において安定的に発現される。
一実施形態では、免疫細胞、特に抗原提示細胞において発現されることが知られているmiRNAの結合部位を、miRNA媒介RNA分解を通じて抗原提示細胞における核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の発現を抑制して、抗原媒介性の免疫応答を抑制するために本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に操作してもよい。核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の発現は、免疫細胞特異的miRNAが発現されていない非免疫細胞において維持される。例えば、いくつかの実施形態では、肝臓特異的タンパク質に対する免疫原性反応を防ぐために、任意のmiR-122結合部位を除去してもよく、miR-142(及び/またはmirR-146)結合部位を、本開示の核酸分子の5’UTR及び/または3’UTRに操作してもよい。
APC及びマクロファージにおける選択的分解及び抑制をさらに駆動するために、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、単独で、またはmiR-142及び/またはmiR-146の結合部位と組み合わせて、5’UTR及び/または3’UTRにさらなる負の調節要素を含んでもよい。非限定的な例として、さらなる負の調節要素は、構成的分解要素(Constitutive Decay Element)(CDE)である。
免疫細胞特異的miRNAとしては、限定するものではないが、hsa-let-7a-2-3p、hsa-let-7a-3p、hsa-7a-5p、hsa-let-7c、hsa-let-7e-3p、hsa-let-7e-5p、hsa-let-7g-3p、hsa-let-7g-5p、hsa-let-7i-3p、hsa-let-7i-5p、miR-10a-3p、miR-10a-5p、miR-1184、hsa-let-7f--1-3p、hsa-let-7f-2--5p、hsa-let-7f-5p、miR-125b-1-3p、miR-125b-2-3p、miR-125b-5p、miR-1279、miR-130a-3p、miR-130a-5p、miR-132-3p、miR-132-5p、miR-142-3p、miR-142-5p、miR-143-3p、miR-143-5p、miR-146a-3p、miR-146a-5p、miR-146b-3p、miR-146b-5p、miR-147a、miR-147b、miR-148a-5p、miR-148a-3p、miR-150-3p、miR-150-5p、miR-151b、miR-155-3p、miR-155-5p、miR-15a-3p、miR-15a-5p、miR-15b-5p、miR-15b-3p、miR-16-1-3p、miR-16-2-3p、miR-16-5p、miR-17-5p、miR-181a-3p、miR-181a-5p、miR-181a-2-3p、miR-182-3p、miR-182-5p、miR-197-3p、miR-197-5p、miR-21-5p、miR-21-3p、miR-214-3p、miR-214-5p、miR-223-3p、miR-223-5p、miR-221-3p、miR-221-5p、miR-23b-3p、miR-23b-5p、miR-24-1-5p、miR-24-2-5p、miR-24-3p、miR-26a-1-3p、miR-26a-2-3p、miR-26a-5p、miR-26b-3p、miR-26b-5p、miR-27a-3p、miR-27a-5p、miR-27b-3p、miR-27b-5p、miR-28-3p、miR-28-5p、miR-2909、miR-29a-3p、miR-29a-5p、miR-29b-1-5p、miR-29b-2-5p、miR-29c-3p、miR-29c-5p、miR-30e-3p、miR-30e-5p、miR-331-5p、miR-339-3p、miR-339-5p、miR-345-3p、miR-345-5p、miR-346、miR-34a-3p、miR-34a-5p、miR-363-3p、miR-363-5p、miR-372、miR-377-3p、miR-377-5p、miR-493-3p、miR-493-5p、miR-542、miR-548b-5p、miR548c-5p、miR-548i、miR-548j、miR-548n、miR-574-3p、miR-598、miR-718、miR-935、miR-99a-3p、miR-99a-5p、miR-99b-3p、及びmiR-99b-5pが挙げられる。さらに、新規なmiRNAが、マイクロアレイハイブリダイゼーション及びマイクロトーム分析を通じて免疫細胞において特定され得る(例えば、Jima DD et al,Blood,2010,116:e118-e127、Vaz C et al.,BMC Genomics,2010,11,288。その各々の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位が、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の任意の位置(例えば、5’UTR及び/または3’UTR)で本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に挿入される。いくつかの実施形態では、5’UTRがmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態では、3’UTRがmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態では、5’UTR及び3’UTRがmiRNA結合部位を含む。核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)中のmiRNA結合部位の挿入が対応するmiRNAの非存在下で機能的ポリペプチドの翻訳を妨害しない限り、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)中の挿入部位は、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)中のどこにあってもよい。miRNAの存在下で、核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)へのmiRNA結合部位の挿入、及び対応するmiRNAへのmiRNA結合部位の結合は、ポリヌクレオチドを分解することができる、または核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の翻訳を妨げることができる。
いくつかの実施形態では、miRNA結合部位が、ORFを含む本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)中のORFの終止コドンから下流の少なくとも約30ヌクレオチドに挿入される。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位が、本開示のポリヌクレオチド中のORFの終止コドンから、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約55ヌクレオチド、少なくとも約60ヌクレオチド、少なくとも約65ヌクレオチド、少なくとも約70ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約80ヌクレオチド、少なくとも約85ヌクレオチド、少なくとも約90ヌクレオチド、少なくとも約95ヌクレオチド、または少なくとも約100ヌクレオチド下流に挿入される。いくつかの実施形態では、miRNA結合部位が、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)中のORFの終止コドンから、約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約20ヌクレオチド~約90ヌクレオチド、約30ヌクレオチド~約80ヌクレオチド、約40ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、約50ヌクレオチド~約60ヌクレオチド、約45ヌクレオチド~約65ヌクレオチド下流に挿入される。miRNA遺伝子調節は、miRNAを取り巻く配列、例えば、限定するものではないが、周囲の配列の種類、配列の種類(例えば、異種、同種、外因性、内因性、または人工)、周囲の配列中の調節要素及び/または周囲の配列中の構造要素などの影響を受け得る。miRNAは、5’UTR及び/または3’UTRによって影響を受け得る。非限定的な例として、非ヒト3’UTRは、同じ配列型のヒト3’UTRと比較して、目的のポリペプチドの発現に対するmiRNA配列の調節効果を増大し得る。
一実施形態では、5’UTRの他の調節要素及び/または構造要素が、miRNA媒介遺伝子調節に影響し得る。調節要素及び/または構造要素の一例は、5’UTR中の構造化IRES(内部リボソーム進入部位)であり、これは、翻訳延長因子の結合がタンパク質翻訳を開始するのに必要である。5’-UTRにおけるこの二次構造化要素へのEIF4A2の結合は、miRNA媒介遺伝子発現に必要である(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Meijer HA et al.,Science,2013,340,82-85)。本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、マイクロRNA媒介遺伝子調節を増強するために、この構造化5’UTRをさらに含んでもよい。
少なくとも1つのmiRNA結合部位を、本開示のポリヌクレオチドの3’UTRに操作してもよい。これに関連して、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、またはそれ以上のmiRNA結合部位を、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の3’UTRに操作してもよい。例えば、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2、または1つのmiRNA結合部位を、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の3’UTRに操作してもよい。一実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に組み込まれるmiRNA結合部位は、同じでもよいし、異なるmiRNA部位であってもよい。本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に組み込まれた異なるmiRNA結合部位の組み合わせは、任意の異なるmiRNA部位の2つ以上のコピーが組み込まれている組み合わせを含み得る。別の実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)に組み込まれるmiRNA結合部位は、体内の同じまたは異なる組織を標的とし得る。非限定的な例として、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)の3’-UTRへの組織、細胞型、または疾患特異的miRNA結合部位の導入を通して、特定の細胞型(例えば、肝細胞、骨髄細胞、内皮細胞、癌細胞など)における発現の程度を減らし得る。
一実施形態では、miRNA結合部位は、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)における、3’UTRの5’末端付近、3’UTRの5’末端と3’末端との間のほぼ中間、及び/または3’UTRの3’末端付近に操作され得る。非限定的な例として、miRNA結合部位は、3’UTRの5’末端付近及び3’UTRの5’末端と3’末端との間のほぼ中間の位置に操作され得る。別の非限定的な例として、miRNA結合部位は、3’UTRの5’末端付近及び3’UTRの5’末端と3’末端との間のほぼ中間の位置に操作され得る。さらに別の非限定的な例として、miRNA結合部位は、3’UTRの5’末端付近及び3’UTRの3’末端付近に操作され得る。
別の実施形態では、3’UTRは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のmiRNA結合部位を含み得る。miRNA結合部位は、miRNA、miRNAシード配列、及び/またはこのシード配列に隣接するmiRNA配列に対して相補的であり得る。
本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、異なる組織、細胞型、または生物学的条件におけるmiRNAの発現パターンに基づいて、特定の組織、細胞型、または生物学的条件における、より標的化された発現のために操作され得る。組織特異的miRNA結合部位の導入を通じて、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、組織もしくは細胞における、または生物学的条件の状況における最適なタンパク質発現のために設計され得る。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)は、治療的送達によって引き起こされる望ましくない免疫原性反応を抑えるために免疫細胞中のmRNA治療薬を選択的に分解するために、3’UTR中に少なくとも1つのmiRNA結合部位を含み得る。非限定的な例として、miRNA結合部位は、抗原提示細胞において本開示の核酸分子(例えば、RNA、例えば、mRNA)をより不安定にし得る。これらのmiRNAの非限定的な例としては、mir-142-5p、mir-142-3p、mir-146a-5p、及びmir-146-3pが挙げられる。
脂質ナノ粒子
本開示のポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド配列の免疫細胞への送達を容易にするため、脂質ナノ粒子内に封入することができる。したがって、一組の実施形態では、脂質ナノ粒子(LNP)が提供される。本明細書に記載されるLNPの各々は、本明細書に記載されるmRNAの製剤として使用され得る。一実施形態では、脂質ナノ粒子は、イオン化可能脂質、ステロールまたは他の構造脂質、非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、任意選択で、PEG脂質、及び1つ以上のポリヌクレオチド、例えば、mRNAを含む、脂質を含む。
ある特定の実施形態では、LNPは、mRNAの免疫細胞への送達を促進する免疫細胞送達増強脂質を含む。一実施形態では、LNPは、フィトステロール、またはフィトステロール及びコレステロールの組み合わせを含む。一実施形態では、フィトステロールは、β-シトステロール、スチグマステロール、β-シトスタノール、カンペステロール、ブラシカステロール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、フィトステロールは、β-シトステロール、β-シトスタノール、カンペステロール、ブラシカステロール、化合物S-140、化合物S-151、化合物S-156、化合物S-157、化合物S-159、化合物S-160、化合物S-164、化合物S-165、化合物S-170、化合物S-173、化合物S-175及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
免疫細胞送達LNP
免疫細胞送達LNPは、対照LNP(例えば、免疫細胞送達増強脂質を欠いているLNP)と比較して、薬剤の免疫細胞への送達の増加をもたらすことを特徴とし得る。特に、一実施形態では、免疫細胞送達LNPは、対照LNPと比較して、免疫細胞と会合するLNPのパーセンテージの増加(例えば、2倍またはそれ以上の増加)、または、対照LNPと比較して、LNPによって運ばれる薬剤を発現する(例えば、LNPと会合する/LNPによって封入されるmRNAによってコードされるタンパク質を発現する)免疫細胞のパーセンテージの増加(例えば、2倍またはそれ以上の増加)をもたらす。別の実施形態では、免疫細胞送達LNPは、対照LNP(例えば、免疫細胞送達増強脂質を欠いているLNP)と比較して、C1qへの結合の増加、及び/または(例えば、オプソニン化を介する)C1q結合LNPの免疫細胞への取り込みの増加をもたらす。
別の実施形態では、免疫細胞送達LNPは、対照LNPと比較して、薬剤(例えば、核酸分子)の免疫細胞への送達の増加をもたらす。一実施形態では、免疫細胞送達LNPは、対照LNPと比較して、核酸分子剤のT細胞への送達の増加をもたらす。一実施形態では、免疫細胞送達LNPは、対照LNPと比較して、核酸分子剤のB細胞への送達の増加をもたらす。一実施形態では、免疫細胞送達LNPは、対照LNPと比較して、核酸分子剤のB細胞への送達の増加をもたらす。一実施形態では、免疫細胞送達LNPは、対照LNPと比較して、核酸分子剤の骨髄細胞への送達の増加をもたらす。
一実施形態では、核酸分子が、mRNAである場合、核酸剤の免疫細胞への送達の増加は、対照LNPと比較して、免疫細胞、(例えば、T細胞)中のmRNAによってコードされるタンパク質分子の少なくとも約2倍を超える発現の効果をもたらすLNPの能力によって測定することができる。
免疫細胞送達LNPは、(i)イオン化可能脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、(iv)PEG脂質、及び(v)LNP内に封入される及び/またはLNPと会合する薬剤(例えば、核酸分子)を含み、免疫細胞送達LNP中の(i)イオン化可能脂質または(ii)構造脂質またはステロールのうちの1つ以上は、有効量の免疫細胞送達増強脂質を含む。
別の実施形態では、本開示の免疫細胞送達脂質ナノ粒子は、
(i)イオン化可能脂質、
(ii)ステロールまたは他の構造脂質、
(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、
(iv)免疫細胞への送達のための薬剤、及び
(v)任意に、PEG脂質
を含み、(i)イオン化可能脂質または(ii)ステロールまたは他の構造脂質のうちの1つ以上は、脂質ナノ粒子の免疫細胞への送達を強化するのに有効な量で、免疫細胞送達増強脂質を含む。一実施形態では、強化送達は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている脂質ナノ粒子に比べてである。別の実施形態では、強化送達は、適切な対照に比べてである。
別の実施形態では、本開示の免疫細胞送達脂質ナノ粒子は、
(i)イオン化可能脂質、
(ii)ステロールまたは他の構造脂質、
(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、
(iv)免疫細胞への送達のための薬剤、及び
(v)任意に、PEG脂質
を含み、(i)イオン化可能脂質、または(ii)ステロールまたは他の構造脂質、または(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、または(v)PEG脂質のうちの1つ以上は、C1q結合脂質を欠いている対照LNPと比較して、C1qに結合するC1q結合脂質、またはLNPのC1qへの結合を促進する(例えば、増加する、刺激する、強化する)C1q結合脂質である。
別の実施形態では、本開示の免疫細胞送達脂質ナノ粒子は、
(i)イオン化可能脂質、
(ii)ステロールまたは他の構造脂質、
(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、
(iv)免疫細胞への送達のための薬剤、及び
(v)任意に、PEG脂質
を含み、(i)イオン化可能脂質、または(ii)ステロールまたは他の構造脂質のうちの1つ以上は、C1qに結合する、または、対照LNP(例えば、(i)イオン化可能脂質、または(ii)ステロールまたは他の構造脂質を欠いているLNP)と比較して、LNPのC1qへの結合を促進する(例えば、増加する、刺激する、強化する)。
別の態様では、本開示は、免疫細胞送達脂質をスクリーニングする方法を提供し、当該方法は、試験免疫細胞送達脂質を含む試験LNPをC1qと接触させること、及びC1qへの結合を測定することを含み、試験免疫細胞送達脂質がC1qに結合する、または免疫細胞送達脂質を含むLNPのC1qへの結合を促進する(例えば、増加する、刺激する、強化する)場合、免疫細胞送達脂質として選択される。
LNPの脂質成分
上記のように、脂質に関し、免疫細胞送達LNPは、(i)イオン化可能脂質、(ii)ステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、(iv)PEG脂質を含み、免疫細胞送達LNP中の(i)イオン化可能脂質または(ii)構造脂質またはステロールのうちの1つ以上は、有効量の免疫細胞送達増強脂質を含む。脂質のこれらのカテゴリーは、以下により詳細に記載される。
(i)イオン化可能脂質
本開示の脂質ナノ粒子は、1つ以上のイオン化可能脂質を含む。ある特定の実施形態では、本開示のイオン化可能脂質は、中心のアミン部分、及び少なくとも1つの生分解性基を含む。本明細書に記載されるイオン化可能脂質は、核酸分子を哺乳動物細胞または臓器に送達するための本開示の脂質ナノ粒子で有利に使用され得る。以下に記載のイオン化可能脂質の構造には、それらを本開示の他の脂質と区別するため、接頭辞Iを含む。
本開示の第1の態様では、本明細書に記載される化合物は、式(I I):
の化合物、またはそれらのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体であり、
式中、
R
1は、C
5-30アルキル、C
5-20アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
R
2及びR
3は、独立して、H、C
1-14アルキル、C
2-14アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及び-R
*OR”からなる群から選択される、またはR
2及びR
3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成し、
R
4は、水素、C
3-6炭素環、-(CH
2)
nQ、-(CH
2)
nCHQR、-(CH
2)
oC(R
10)
2(CH
2)
n-oQ、-CHQR、-CQ(R)
2、及び非置換C
1-6アルキルからなる群から選択され、ここで、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CH
2)
nN(R)
2、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX
3、-CX
2H、-CXH
2、-CN、-N(R)
2、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)
2R、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(S)N(R)
2、-N(R)R
8、-N(R)S(O)
2R
8、-O(CH
2)
nOR、-N(R)C(=NR
9)N(R)
2、-N(R)C(=CHR
9)N(R)
2、-OC(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)
2R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)
2、-N(OR)C(S)N(R)
2、-N(OR)C(=NR
9)N(R)
2、-N(OR)C(=CHR
9)N(R)
2、-C(=NR
9)N(R)
2、-C(=NR
9)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(R)N(R)
2C(O)ORから選択され、各oは、独立して、1、2、3、及び4から選択され、及び各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択され、
各R
5は、独立して、OH、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R
6は、独立して、OH、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-M”-C(O)O-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)
2-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、ここで、M”は、結合、C
1-13アルキルまたはC
2-13アルケニルであり、
R
7は、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
R
8は、C
3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
R
9は、H、CN、NO
2、C
1-6アルキル、-OR、-S(O)
2R、-S(O)
2N(R)
2、C
2-6アルケニル、C
3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
R
10は、H、OH、C
1-3アルキル、及びC
2-3アルケニルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、(CH
2)
qOR
*、及びHからなる群から選択され、
及び各qは、独立して、1、2、及び3から選択され、
各R’は、独立して、C
1-18アルキル、C
2-18アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は、独立して、C
3-15アルキル及びC
3-15アルケニルからなる群から選択され、
各R
*は、独立して、C
1-12アルキル及びC
2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは、独立して、C
3-6炭素環であり、
各Xは、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、及び
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択され、及び式中、R
4が、-(CH
2)
nQ、-(CH
2)
nCHQR、-CHQR、または-CQ(R)
2である場合、(i)nが1、2、3、4または5である場合、Qは、-N(R)
2ではなく、または(ii)nが1または2である場合、Qは、5、6、または7員ヘテロシクロアルキルではない。
別の態様では、本開示は、式(I III)の化合物:
またはそのNオキシド、またはその塩もしくは異性体に関し、
式中、
R
1は、C
5-30アルキル、C
5-20アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
R
2及びR
3は、独立して、H、C
1-14アルキル、C
2-14アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及び-R
*OR”からなる群から選択される、またはR
2及びR
3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成し、
R
4は、水素、C
3-6炭素環、-(CH
2)
nQ、-(CH
2)
nCHQR、-(CH
2)
oC(R
10)
2(CH
2)
n-oQ、-CHQR、-CQ(R)
2、及び非置換C
1-6アルキルからなる群から選択され、ここで、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CH
2)
nN(R)
2、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX
3、-CX
2H、-CXH
2、-CN、-N(R)
2、-C(O)N(R)
2、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)
2R、-N(R)C(O)N(R)
2、-N(R)C(S)N(R)
2、N(R)R
8、-N(R)S(O)
2R
8、-O(CH
2)
nOR、-N(R)C(=NR
9)N(R)
2、-N(R)C(=CHR
9)N(R)
2、-OC(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)
2R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)
2、-N(OR)C(S)N(R)
2、-N(OR)C(=NR
9)N(R)
2、-N(OR)C(=CHR
9)N(R)
2、-C(=NR
9)N(R)
2、-C(=NR
9)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(R)N(R)
2C(O)ORから選択され、各oは、独立して、1、2、3、及び4から選択され、及び各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択され
R
xは、C
1-6アルキル、C
2-6アルケニル、-(CH
2)
VOH、及び-(CH
2)
VN(R)
2からなる群から選択され、
式中、vは、1、2、3、4、5、及び6から選択され、
各R
5は、独立して、OH、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R
6は、独立して、OH、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-M”-C(O)O-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)
2-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、ここで、M”は、結合、C
1-13アルキルまたはC
2-13アルケニルであり、
R
7は、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
R
8は、C
3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
R
9は、H、CN、NO
2、C
1-6アルキル、-OR、-S(O)
2R、-S(O)
2N(R)
2、C
2-6アルケニル、C
3-6炭素環及び複素環からなる群から選択され、
R
10は、H、OH、C
1-3アルキル、及びC
2-3アルケニルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、(CH
2)
qOR
*、及びHからなる群から選択され、
及び各qは、独立して、1、2、及び3から選択され、
各R’は、独立して、C
1-18アルキル、C
2-18アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は、独立して、C
3-15アルキル及びC
3-15アルケニルからなる群から選択され、
各R
*は、独立して、C
1-12アルキル及びC
2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは、独立して、C
3-6炭素環であり、
各Xは、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、及び
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IA):
の化合物、またはそのNオキシド、またはその塩もしくは異性体を含み、
式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され、mは、5、6、7、8、及び9から選択され、M
1は、結合またはM’であり、R
4は、水素、非置換C
1-3アルキル、-(CH
2)
oC(R
10)
2(CH
2)
n-oQ、または-(CH
2)
nQであり、ここで、Qは、OH、-NHC(S)N(R)
2、-NHC(O)N(R)
2、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)
2R、-N(R)R
8、-NHC(=NR
9)N(R)
2、-NHC(=CHR
9)N(R)
2、-OC(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-M”-C(O)O-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、及びR
2及びR
3は、独立して、H、C
1-14アルキル、及びC
2-14アルケニルからなる群から選択される。例えば、mは、5、7、または9である。例えば、Qは、OH、-NHC(S)N(R)
2、または-NHC(O)N(R)
2である。例えば、Qは、-N(R)C(O)R、または-N(R)S(O)
2Rである。
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(IB):
の化合物、またはそのNオキシド、またはその塩もしくは異性体を含み、ここで、全ての可変要素は、本明細書で定義される通りである。例えば、mは、5、6、7、8、及び9から選択され、M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-M”-C(O)O-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、及びR
2及びR
3は、独立して、H、C
1-14アルキル、及びC
2-14アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、mは、5、7、または9である。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、式(II):
の化合物、またはそのNオキシド、またはその塩もしくは異性体を含み、式中、lは、1、2、3、4及び5から選択され、M
1は、結合またはM’であり、R
4は、水素、非置換C
1-3アルキル、または-(CH
2)
nQであり、ここで、nは、2、3、または4であり、及びQは、-OH、-NHC(S)N(R)
2、-NHC(O)N(R)
2、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)
2R、-N(R)R
8、-NHC(=NR
9)N(R)
2、-NHC(=CHR
9)N(R)
2、-OC(O)N(R)
2、-N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-M”-C(O)O-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、及びR
2及びR
3は、独立して、H、C
1-14アルキル、及びC
2-14アルケニルからなる群から選択される。
別の態様では、本開示は、式(I VI)の化合物:
またはそのNオキシド、またはその塩もしくは異性体に関し、式中、
R
1は、C
5-30アルキル、C
5-20アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択され、
R
2及びR
3は、独立して、H、C
1-14アルキル、C
2-14アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及び-R
*OR”からなる群から選択される、またはR
2及びR
3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成し、
各R
5は、独立して、OH、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R
6は、独立して、OH、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-M”-C(O)O-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)
2-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、ここで、M”は、結合、C
1-13アルキルまたはC
2-13アルケニルであり、
R
7は、C
1-3アルキル、C
2-3アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各Rは、独立して、H、C
1-3アルキル、及びC
2-3アルケニルからなる群から選択され、
R
Nは、H、またはC
1-3アルキルであり、
各R’は、独立して、C
1-18アルキル、C
2-18アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及びHからなる群から選択され、
各R”は、独立して、C
3-15アルキル及びC
3-15アルケニルからなる群から選択され、
各R
*は、独立して、C
1-12アルキル及びC
2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Yは、独立して、C
3-6炭素環であり、
各Xは、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択され、
X
a及びX
bは各々独立して、OまたはSであり、
R
10は、H、ハロ、-OH、R、-N(R)
2、-CN、-N
3、-C(O)OH、-C(O)OR、-OC(O)R、-OR、-SR、-S(O)R、-S(O)OR、-S(O)
2OR、-NO
2、-S(O)
2N(R)
2、-N(R)S(O)
2R、-NH(CH
2)
t1N(R)
2、-NH(CH
2)
p1O(CH
2)
q1N(R)
2、-NH(CH
2)
s1OR、-N((CH
2)
s1OR)
2、炭素環、複素環、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択され、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10から選択され、
rは、0または1であり、
t
1は、1、2、3、4、及び5から選択され、
p
1は、1、2、3、4、及び5から選択され、
q
1は、1、2、3、4、及び5から選択され、及び
s
1は、1、2、3、4、及び5から選択される。
一実施形態では、式(VI)の化合物のサブセットは、式(VI-a):
の化合物、またはそのNオキシド、またはその塩もしくは異性体を含み、式中、
R
1a及びR
1bは、独立して、C
1-14アルキル及びC
2-14アルケニルからなる群から選択され、及び
R
2及びR
3は、独立して、C
1-14アルキル、C
2-14アルケニル、-R
*YR”、-YR”、及び-R
*OR”からなる群から選択される、またはR
2及びR
3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成する。
別の実施形態では、式(VI)の化合物のサブセットは、式(VII):
の化合物、またはそのNオキシド、またはその塩もしくは異性体を含み、式中
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
M
1は、結合またはM’であり、及び
R
2及びR
3は、独立して、H、C
1-14アルキル、及びC
2-14アルケニルからなる群から選択される。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIII):
の化合物、またはそのNオキシド、またはその塩もしくは異性体を含み、式中
lは、1、2、3、4、及び5から選択され、
M
1は、結合またはM’であり、及び
R
a’及びR
bは、独立して、C
1-14アルキル及びC
2-14アルケニルからなる群から選択され、及び
R
2及びR
3は、独立して、C
1-14アルキル、及びC
2-14アルケニルからなる群から選択される。
式(I I)、(I IA)、(I VI)、(I VI-a)、(I VII)または(I VIII)のいずれか1つの化合物は、該当する場合、以下の特徴の1つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、M1は、M’である。
いくつかの実施形態では、M及びM’は、独立して、-C(O)O-または-OC(O)-である。
いくつかの実施形態では、M及びM’の少なくとも1つは、-C(O)O-または-OC(O)-である。
ある特定の実施形態では、M及びM’の少なくとも1つは、-OC(O)-である。
ある特定の実施形態では、Mは、-OC(O)-であり、M’は、-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、Mは、-C(O)O-であり、M’は、-OC(O)-である。ある特定の実施形態では、M及びM’は各々、-OC(O)-である。いくつかの実施形態では、M及びM’は各々、-C(O)O-である。
ある特定の実施形態では、M及びM’の少なくとも1つは、-OC(O)-M”-C(O)O-である。
いくつかの実施形態では、M及びM’は、独立して、-S-S-である。
いくつかの実施形態では、M及びM’の少なくとも1つは、-S-S-である。
いくつかの実施形態では、M及びM’の一方は、-C(O)O-または-OC(O)-であり、他方は、-S-S-である。例えば、Mは、-C(O)O-または-OC(O)-であり、M’は、-S-S-であるか、またはM’は、-C(O)O-または-OC(O)-であり、Mは、-S-S-である。
いくつかの実施形態では、M及びM’の一方は、-OC(O)-M”-C(O)O-であり、ここで、M”は、結合、C1-13アルキルまたはC2-13アルケニルである。他の実施形態では、M”は、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルである。ある特定の実施形態では、M”は、C1-4アルキルまたはC2-4アルケニルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C4アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C2アルケニルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C3アルケニルである。例えば、いくつかの実施形態では、M”は、C4アルケニルである。
いくつかの実施形態では、lは、1、3、または5である。
いくつかの実施形態では、R4は、水素である。
いくつかの実施形態では、R4は、水素ではない。
いくつかの実施形態では、R4は、非置換メチルまたは-(CH2)nQであり、ここで、Qは、OH、-NHC(S)N(R)2、-NHC(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、または-N(R)S(O)2Rである。
いくつかの実施形態では、Qは、OHである。
いくつかの実施形態では、Qは、-NHC(S)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、-NHC(O)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、-N(R)C(O)Rである。
いくつかの実施形態では、Qは、-N(R)S(O)2Rである。
いくつかの実施形態では、Qは、-O(CH2)nN(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、-O(CH2)nORである。
いくつかの実施形態では、Qは、-N(R)R8である。
いくつかの実施形態では、Qは、-NHC(=NR9)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、-NHC(=CHR9)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、-OC(O)N(R)2である。
いくつかの実施形態では、Qは、-N(R)C(O)ORである。
いくつかの実施形態では、nは、2である。
いくつかの実施形態では、nは、3である。
いくつかの実施形態では、nは、4である。
いくつかの実施形態では、M1は、存在しない。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR5は、ヒドロキシルである。例えば、1つのR5は、ヒドロキシルである。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのR6は、ヒドロキシルである。例えば、1つのR6は、ヒドロキシルである。
いくつかの実施形態では、R5及びR6の1つは、ヒドロキシルである。例えば、1つのR5は、ヒドロキシルであり、各R6は、水素である。例えば、1つのR6は、ヒドロキシルであり、各R5は、水素である。
いくつかの実施形態では、Rxは、C1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rxは、C1-3アルキルである。例えば、Rxは、メチルである。例えば、Rxは、エチルである。例えば、Rxは、プロピルである。
いくつかの実施形態では、Rxは、-(CH2)vOHであり、vは、1、2または3である。例えば、Rxは、メタノイルである。例えば、Rxは、エタノイルである。例えば、Rxは、プロパノイルである。
いくつかの実施形態では、Rxは、-(CH2)vN(R)2であり、vは、1、2または3であり、各Rは、Hまたはメチルである。例えば、Rxは、メタンアミノ、メチルメタンアミノ、またはジメチルメタンアミノである。例えば、Rxは、アミノメタニル、メチルアミノメタニル、またはジメチルアミノメタニルである。例えば、Rxは、アミノエタニル、メチルアミノエタニル、またはジメチルアミノエタニルである。例えば、Rxは、アミノプロパニル、メチルアミノプロパニル、またはジメチルアミノプロパニルである。
いくつかの実施形態では、R’は、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-R*YR”、または-YR”である。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、独立して、C3-14アルキルまたはC3-14アルケニルである。
いくつかの実施形態では、R1bは、C1-14アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C2-14アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C3-14アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C1-8アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C1-3アルキルである。いくつかの実施形態では、R1bは、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、及びC5アルキルから選択される。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C4アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R1bは、C5アルキルである。
いくつかの実施形態では、R1は、-(CHR5R6)m-M-CR2R3R7とは異なる。
いくつかの実施形態では、-CHR1aR1b-は、-(CHR5R6)m-M-CR2R3R7とは異なる。
いくつかの実施形態では、R7は、Hである。いくつかの実施形態では、R7は、C1-3アルキルから選択される。例えば、いくつかの実施形態では、R7は、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R7は、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、R7は、C3アルキルである。いくつかの実施形態では、R7は、C4アルキル、C4アルケニル、C5アルキル、C5アルケニル、C6アルキル、C6アルケニル、C7アルキル、C7アルケニル、C9アルキル、C9アルケニル、C11アルキル、C11アルケニル、C17アルキル、C17アルケニル、C18アルキル、及びC18アルケニルから選択される。
いくつかの実施形態では、Rb’は、C1-14アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C2-14アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C3-14アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C1-8アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C1-5アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C1-3アルキルである。いくつかの実施形態では、Rb’は、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、及びC5アルキルから選択される。例えば、いくつかの実施形態では、Rb’は、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rb’は、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rb’は、C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rb’は、C4アルキルである。
一実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIa):
の化合物、またはそれらのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体であり、式中、R
4は、本明細書に記載される通りである。
別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIb):
の化合物、またはそれらのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体であり、式中、R
4は、本明細書に記載される通りである。
別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIc)または(IIe):
の化合物、またはそれらのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体であり、式中、R
4は、本明細書に記載される通りである。
別の実施形態では、式(I I)の化合物は、式(I IIf):
の化合物、またはそれらのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体であり、式中、Mは、-C(O)O-または-OC(O)-であり、M”は、C
1-6アルキルまたはC
2-6アルケニルであり、R
2及びR
3は、独立して、C
5-14アルキル及びC
5-14アルケニルからなる群から選択され、nは、2、3、及び4から選択される。
さらなる実施形態では、式(I I)の化合物は、式(IId):
の化合物またはそれらのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体であり、式中、nは、2、3、または4であり、及びm、R’、R”、及びR
2~R
6は、本明細書に記載される通りである。例えば、R
2及びR
3の各々は、独立して、C
5-14アルキル及びC
5-14アルケニルからなる群から選択され得る。
さらなる実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIg):
の化合物、またはそれらのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体であり、式中、lは、1、2、3、4、及び5から選択され、mは、5、6、7、8、及び9から選択され、M
1は、結合またはM’であり、M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)-M”-C(O)O-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、及びR
2及びR
3は、独立して、H、C
1-14アルキル、及びC
2-14アルケニルからなる群から選択される。例えば、M”は、C
1-6アルキル(例えば、C
1-4アルキル)またはC
2-6アルケニル(例えば、C
2-4アルケニル)である。例えば、R
2及びR
3は、独立して、C
5-14アルキル及びC
5-14アルケニルからなる群から選択される。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIIa):
の化合物、またはそのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体を含む。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIIIa):
化合物、またはそのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体を含む。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIIIb):
の化合物、またはそのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体を含む。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIIb-1):
の化合物、またはそのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体を含む。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIIb-2):
の化合物、またはそのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体を含む。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIIb-3):
の化合物、またはそのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体を含む。
別の実施形態では、式(VI)の化合物のサブセットは、式(VIIc):
の化合物を含む。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(VIId):
の化合物、またはそのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体を含む。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIIIc):
の化合物を含む。
別の実施形態では、式(I VI)の化合物のサブセットは、式(I VIIId):
の化合物、またはそのNオキシド、またはそれらの塩もしくは異性体を含む。
式(I I)、(I IA)、(I IB)、(I II)、(I IIa)、(I IIb)、(I IIc)、(I IId)、(I IIe)、(I IIf)、(I IIg)、I(III)、(I VI)、(I VI-a)、(I VII)、(I VIII)、(I VIIa)、(I VIIIa)、(I VIIIb)、(I VIIb-1)、(I VIIb-2)、(I VIIb-3)、(I VIIc)、(I VIId)、(I VIIIc)、または(I VIIId)のいずれの1つの化合物も、該当する場合、以下の特徴の1つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、R4は、C3-6炭素環、-(CH2)nQ、-(CH2)nCHQR、-(CH2)oC(R10)2(CH2)n-oQ、-CHQR、及び-CQ(R)2からなる群から選択され、ここで、Qは、C3-6炭素環、N、O、S、及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員芳香族または非芳香族複素環、-OR、-O(CH2)nN(R)2、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX3、-CX2H、-CXH2、-CN、-N(R)2、-N(R)S(O)2R8、-C(O)N(R)2、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)2R、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(S)N(R)2、及び-C(R)N(R)2C(O)ORから選択され、各oは、独立して、1、2、3、及び4から選択され、及び各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択される。
別の実施形態では、R4は、C3-6炭素環、-(CH2)nQ、-(CH2)nCHQR、-(CH2)oC(R10)2(CH2)n-oQ、-CHQR、及び-CQ(R)2からなる群から選択され、ここで、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CH2)nN(R)2、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX3、-CX2H、-CXH2、-CN、-C(O)N(R)2、-N(R)S(O)2R8、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)2R、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(S)N(R)2、-C(R)N(R)2C(O)OR、及び、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有し、オキソ(=O)、OH、アミノ、及びC1-3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換される5~14員ヘテロシクロアルキルから選択され、各oは、独立して、1、2、3、及び4から選択され、及び各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択される。
別の実施形態では、R4は、C3-6炭素環、-(CH2)nQ、-(CH2)nCHQR、-(CH2)oC(R10)2(CH2)n-oQ、-CHQR、及び-CQ(R)2からなる群から選択され、ここで、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員複素環、-OR、-O(CH2)nN(R)2、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX3、-CX2H、-CXH2、-CN、-C(O)N(R)2、-N(R)S(O)2R8、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)2R、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(S)N(R)2、-C(R)N(R)2C(O)ORから選択され、各oは、独立して、1、2、3、及び4から選択され、及び各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択され、及びQが5~14員複素環であり、かつ、(i)R4が(CH2)nQであり(nは、1または2である)、または(ii)R4が(CH2)nCHQRであり(nは、1である)、または(iii)R4が-CHQR、及び-CQ(R)2である場合、Qは、5~14員ヘテロアリールまたは8~14員ヘテロシクロアルキルのいずれかである。
別の実施形態では、R4は、C3-6炭素環、-(CH2)nQ、-(CH2)nCHQR、-(CH2)oC(R10)2(CH2)n-oQ、-CHQR、及び-CQ(R)2からなる群から選択され、ここで、Qは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員ヘテロアリール、-OR、-O(CH2)nN(R)2、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX3、-CX2H、-CXH2、-CN、-C(O)N(R)2、-N(R)S(O)2R8、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)2R、-N(R)C(O)N(R)2、-N(R)C(S)N(R)2、-C(R)N(R)2C(O)ORから選択され、各oは、独立して、1、2、3、及び4から選択され、及び各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択される。
別の実施形態では、R4は、(CH2)nQであり、ここで、Qは、-N(R)S(O)2R8であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択される。さらなる実施形態では、R4は、(CH2)nQであり、ここで、Qは、-N(R)S(O)2R8であり、ここで、R8は、C3-6シクロアルキルなどのC3-6炭素環であり、及びnは、1、2、3、4、及び5から選択される。例えば、R4は、-(CH2)3NHS(O)2R8であり、及びR8は、シクロプロピルである。
別の実施形態では、R4は、(CH2)oC(R10)2(CH2)n-oQであり、ここで、Qは、-N(R)C(O)Rであり、nは、1、2、3、4、及び5から選択され、及びoは、1、2、3、及び4から選択される。さらなる実施形態では、R4は、(CH2)oC(R10)2(CH2)n-oQであり、ここで、Qは、-N(R)C(O)Rであり、式中、Rは、C1-C3アルキルであり、nは、1、2、3、4、及び5から選択され、及びoは、1、2、3、及び4から選択される。別の実施形態では、R4は、(CH2)oC(R10)2(CH2)n-oQであり、ここで、Qは、-N(R)C(O)Rであり、式中、Rは、C1-C3アルキルであり、nは、3、及びoは、1である。いくつかの実施形態では、R10は、H、OH、C1-3アルキル、またはC2-3アルケニルである。例えば、R4は、3-アセトアミド-2,2-ジメチルプロピルである。
いくつかの実施形態では、1つのR10は、Hであり、1つのR10は、C1-3アルキルまたはC2-3アルケニルである。別の実施形態では、各R10は、C1-3アルキルまたはC2-3アルケニルである。別の実施形態では、各R10は、C1-3アルキル(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)である。例えば、1つのR10は、メチルであり、1つのR10は、エチルまたはプロピルである。例えば、1つのR10は、エチルであり、1つのR10は、メチルまたはプロピルである。例えば、1つのR10は、プロピルであり、1つのR10は、メチルまたはエチルである。例えば、各R10は、メチルである。例えば、各R10は、エチルである。例えば、各R10は、プロピルである。
いくつかの実施形態では、1つのR10は、Hであり、1つのR10は、-OHである。別の実施形態では、各R10は、-OHである。
別の実施形態では、R4は、非置換C1-4アルキル、例えば、非置換メチルである。
別の実施形態では、R4は、水素である。
ある特定の実施形態では、本開示は、式(I)を有する化合物を提供し、式中、R4は、-(CH2)nQまたは-(CH2)nCHQRであり、ここで、Qは、-N(R)2であり、及びnは、3、4、及び5から選択される。
ある特定の実施形態では、本開示は、式(I)を有する化合物を提供し、式中、R4は、-(CH2)nQ、-(CH2)nCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)2からなる群から選択され、ここで、Qは、-N(R)2であり、及びnは、1、2、3、4、及び5から選択される。
ある特定の実施形態では、本開示は、式(I)を有する化合物を提供し、式中、R2及びR3は、独立して、C2-14アルキル、C2-14アルケニル、-R*YR”、-YR”、及び-R*OR”からなる群から選択される、またはR2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成し、及びR4は、(CH2)nQまたは(CH2)nCHQRであり、ここで、Qは、-N(R)2であり、及びnは、3、4、及び5から選択される。
ある特定の実施形態では、R2及びR3は、独立して、C2-14アルキル、C2-14アルケニル、-R*YR”、-YR”、及び-R*OR”からなる群から選択される、またはR2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、独立して、C2-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、独立して、-R*YR”、-YR”、及び-R*OR”からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成する。
いくつかの実施形態では、R1は、C5-20アルキル及びC5-20アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R1は、ヒドロキシルで置換されたC5-20アルキルである。
他の実施形態では、R1は、-R*YR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、R1は、-R*YR”及び-YR”から選択される。いくつかの実施形態では、Yは、シクロプロピル基である。いくつかの実施形態では、R*は、C8アルキルまたはC8アルケニルである。ある特定の実施形態では、R”は、C3-12アルキルである。例えば、R”は、C3アルキルであり得る。例えば、R”は、C4-8アルキル(例えば、C4、C5、C6、C7、またはC8アルキル)であり得る。
いくつかの実施形態では、Rは、(CH2)qOR*であり、qは、1、2、及び3から選択され、及びR*は、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、及びC1-C6ジアルキルアミノからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されたC1-12アルキルである。例えば、Rは、(CH2)qOR*であり、qは、1、2、及び3から選択され、及びR*は、C1-C6ジアルキルアミノで置換されたC1-12アルキルである。例えば、Rは、(CH2)qOR*であり、qは、1、2、及び3から選択され、及びR*は、C1-C6ジアルキルアミノで置換されたC1-3アルキルである。例えば、Rは、(CH2)qOR*であり、qは、1、2、及び3から選択され、及びR*は、ジメチルアミノ(例えば、ジメチルアミノエタニル)で置換されたC1-3アルキルである。
いくつかの実施形態では、R1は、C5-20アルキルである。いくつかの実施形態では、R1は、C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R1は、C8アルキルである。他の実施形態では、R1は、C9アルキルである。ある特定の実施形態では、R1は、C14アルキルである。他の実施形態では、R1は、C18アルキルである。
いくつかの実施形態では、R
1は、C
21-30アルキルである。いくつかの実施形態では、R
1は、C
26アルキルである。いくつかの実施形態では、R
1は、C
28アルキルである。ある特定の実施形態では、R
1は、
である。
いくつかの実施形態では、R1は、C5-20アルケニルである。ある特定の実施形態では、R1は、C18アルケニルである。いくつかの実施形態では、R1は、リノレイルである。
ある特定の実施形態では、R
1は、分枝鎖(例えば、デカン-2-イル、ウンデカン-3-イル、ドデカン-4-イル、トリデカン-5-イル、テトラデカン-6-イル、2-メチルウンデカン-3-イル、2-メチルデカン-2-イル、3-メチルウンデカン-3-イル、4-メチルドデカン-4-イル、またはヘプタデカ-9-イル)である。ある特定の実施形態では、R
1は、
である。
ある特定の実施形態では、R
1は、非置換C
5-20アルキルまたはC
5-20アルケニルである。ある特定の実施形態では、R’は、置換C
5-20アルキルまたはC
5-20アルケニル(例えば、1-シクロプロピルノニルなどのC
3-6炭素環で置換された、または-OHまたはアルコキシで置換された)である。例えば、R
1は、
である。
他の実施形態では、R
1は、-R”M’R’である。ある特定の実施形態では、M’は、-OC(O)M”-C(O)O-である。例えば、R
1は、
であり、式中、x
1は、1~13の(例えば、3、4、5、及び6から選択される)整数であり、x
2は、1~13の(例えば、1、2、及び3から選択される)整数であり、及びx
3は、2~14の(例えば、4、5、及び6から選択される)整数である。例えば、x
1は、3、4、5、及び6から選択され、x
2は、1、2、及び3から選択され、及びx
3は、4、5、及び6から選択される。
他の実施形態では、R1は、-(CHR5R6)m-M-CR2R3R7とは異なる。
いくつかの実施形態では、R’は、-R*YR”及び-YR”から選択される。いくつかの実施形態では、Yは、C3-8シクロアルキルである。いくつかの実施形態では、Yは、C6-10アリールである。いくつかの実施形態では、Yは、シクロプロピル基である。いくつかの実施形態では、Yは、シクロヘキシル基である。ある特定の実施形態では、R*は、C1アルキルである。
いくつかの実施形態では、R”は、C3-12アルキル及びC3-12アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R”は、C8アルキルである。いくつかの実施形態では、Yに隣接するR”は、C1アルキルである。いくつかの実施形態では、Yに隣接するR”は、C4-9アルキル(例えば、C4、C5、C6、C7またはC8またはC9アルキル)である。
いくつかの実施形態では、R”は、置換C
3-12(例えば、ヒドロキシルで置換された、例えば、C
3-12アルキル)である。例えば、R”は、
である。
いくつかの実施形態では、R’は、C4アルキル及びC4アルケニルから選択される。ある特定の実施形態では、R’は、C5アルキル及びC5アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、C6アルキル及びC6アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、C7アルキル及びC7アルケニルから選択される。いくつかの実施形態では、R’は、C9アルキル及びC9アルケニルから選択される。
いくつかの実施形態では、R’は、C4アルキル、C4アルケニル、C5アルキル、C5アルケニル、C6アルキル、C6アルケニル、C7アルキル、C7アルケニル、C9アルキル、C9アルケニル、C11アルキル、C11アルケニル、C17アルキル、C17アルケニル、C18アルキル、及びC18アルケニルから選択され、これらの各々は、直鎖または分枝鎖のいずれかである。
いくつかの実施形態では、R’は、直鎖である。いくつかの実施形態では、R’は、分枝鎖である。
いくつかの実施形態では、R’は、
である。いくつかの実施形態では、R’は、
及びM’は、-OC(O)-である。他の実施形態では、R’は、
及びM’は、-C(O)O-である。
他の実施形態では、R’は、C
11アルキル及びC
11アルケニルから選択される。他の実施形態では、R’は、C
12アルキル、C
12アルケニル、C
13アルキル、C
13アルケニル、C
14アルキル、C
14アルケニル、C
15アルキル、C
15アルケニル、C
16アルキル、C
16アルケニル、C
17アルキル、C
17アルケニル、C
18アルキル、及びC
18アルケニルから選択される。ある特定の実施形態では、R’は、直鎖C
4-18アルキルまたはC
4-18アルケニルである。ある特定の実施形態では、R’は、分枝鎖(例えば、デカン-2-イル、ウンデカン-3-イル、ドデカン-4-イル、トリデカン-5-イル、テトラデカン-6-イル、2-メチルウンデカン-3-イル、2-メチルデカン-2-イル、3-メチルウンデカン-3-イル、4-メチルドデカン-4-イルまたはヘプタデカ-9-イル)である。ある特定の実施形態では、R’は、
である。
ある特定の実施形態では、R’は、非置換C
1-18アルキルである。ある特定の実施形態では、R’は、置換C
1-18アルキル(例えば、メトキシなどのアルコキシで置換された、例えば、C
1-15アルキル、またはC
3-6炭素環、例えば、1-シクロプロピルノニル、またはC(O)O-アルキルまたはOC(O)-アルキル、例えば、C(O)OCH
3またはOC(O)CH
3)である。例えば、R’は、
である。
ある特定の実施形態では、R’は、分枝鎖C
1-18アルキルである。例えば、R’は、
である。
いくつかの実施形態では、R”は、C3-15アルキル及びC3-15アルケニルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R”は、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、C7アルキル、またはC8アルキルである。いくつかの実施形態では、R”は、C9アルキル、C10アルキル、C11アルキル、C12アルキル、C13アルキル、C14アルキル、またはC15アルキルである。
いくつかの実施形態では、M’は、-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、M’は、-OC(O)-である。いくつかの実施形態では、M’は、-OC(O)-M”-C(O)O-である。
いくつかの実施形態では、M’は、-C(O)O-、-OC(O)-、または-OC(O)-M”-C(O)O-である。M’が、-OC(O)-M”-C(O)O-であるいくつかの実施形態では、M”は、C1-4アルキルまたはC2-4アルケニルである。
他の実施形態では、M’は、アリール基またはヘテロアリール基である。例えば、M’は、フェニル、オキサゾール、及びチアゾールからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、Mは、-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、Mは、-OC(O)-である。いくつかの実施形態では、Mは、-C(O)N(R’)-である。いくつかの実施形態では、Mは、-P(O)(OR’)O-である。いくつかの実施形態では、Mは、-OC(O)-M”-C(O)O-である。
いくつかの実施形態では、Mは、-C(O)である。いくつかの実施形態では、Mは、-OC(O)-、及びM’は、-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、Mは、-C(O)O-であり、M’は、-OC(O)-である。いくつかの実施形態では、M及びM’は、各々、-OC(O)-である。いくつかの実施形態では、M及びM’は、各々、-C(O)O-である。
他の実施形態では、Mは、アリール基またはヘテロアリール基である。例えば、Mは、フェニル、オキサゾール、及びチアゾールからなる群から選択され得る。
いくつかの実施形態では、Mは、M’と同じである。他の実施形態では、Mは、M’とは異なる。
いくつかの実施形態では、M”は、結合である。いくつかの実施形態では、M”は、C1-13アルキルまたはC2-13アルケニルである。いくつかの実施形態では、M”は、C1-6アルキルまたはC2-6アルケニルである。ある特定の実施形態では、M”は、直鎖アルキルまたはアルケニルである。ある特定の実施形態では、M”は、分枝鎖、例えば、-CH(CH3)CH2-である。
いくつかの実施形態では、各R5は、Hである。いくつかの実施形態では、各R6は、Hである。ある特定のかかる実施形態では、各R5及び各R6は、Hである。
いくつかの実施形態では、R7は、Hである。他の実施形態では、R7は、C1-3アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、またはi-プロピル)である。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、独立して、C5-14アルキルまたはC5-14アルケニルである。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、同じである。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、C8アルキルである。ある特定の実施形態では、R2及びR3は、C2アルキルである。他の実施形態では、R2及びR3は、C3アルキルである。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、C4アルキルである。ある特定の実施形態では、R2及びR3は、C5アルキルである。他の実施形態では、R2及びR3は、C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、C7アルキルである。
他の実施形態では、R2及びR3は、異なる。ある特定の実施形態では、R2は、C8アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C1-7(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、またはC7アルキル)またはC9アルキルである。
いくつかの実施形態では、R3は、C1アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C2アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C3アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C5アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C7アルキルである。いくつかの実施形態では、R3は、C9アルキルである。
いくつかの実施形態では、R7及びR3は、Hである。
ある特定の実施形態では、R2は、Hである。
いくつかの実施形態では、mは、5、6、7、8、または9である。いくつかの実施形態では、mは、5、7、または9である。例えば、いくつかの実施形態では、mは、5である。例えば、いくつかの実施形態では、mは、7である。例えば、いくつかの実施形態では、mは、9である。
いくつかの実施形態では、R4は、-(CH2)nQ及び-(CH2)nCHQRから選択される。
いくつかの実施形態では、Qは、-OR、-OH、-O(CH2)nN(R)2、-OC(O)R、-CX3、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)2R、-N(H)S(O)2R、-N(R)C(O)N(R)2、-N(H)C(O)N(R)2、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)2、-N(H)C(S)N(R)2、-N(H)C(S)N(H)(R)、-C(R)N(R)2C(O)OR、-N(R)S(O)2R8、炭素環、及び複素環からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、Qは、-N(R)R8、-N(R)S(O)2R8、-O(CH2)nOR、-N(R)C(=NR9)N(R)2、-N(R)C(=CHR9)N(R)2、-OC(O)N(R)2、または-N(R)C(O)ORである。
ある特定の実施形態では、Qは、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)2R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)2、-N(OR)C(S)N(R)2、-N(OR)C(=NR9)N(R)2、または-N(OR)C(=CHR9)N(R)2である。
ある特定の実施形態では、Qは、チオ尿素またはそのアイソスター、例えば、
または-NHC(=NR
9)N(R)
2である。
ある特定の実施形態では、Qは、-C(=NR9)N(R)2である。例えば、Qが、-C(=NR9)N(R)2である場合、nは、4または5である。例えば、R9は、-S(O)2N(R)2である。
ある特定の実施形態では、Qは、-C(=NR9)Rまたは-C(O)N(R)OR、例えば、-CH(=N-OCH3)、-C(O)NH-OH、-C(O)NH-OCH3、-C(O)N(CH3)-OH、または-C(O)N(CH3)-OCH3である。
ある特定の実施形態では、Qは、-OHである。
ある特定の実施形態では、Qは、置換または非置換の5~10員ヘテロアリールであり、例えば、Qは、トリアゾール、イミダゾール、ピリミジン、プリン、2-アミノ-1,9-ジヒドロ-6H-プリン-6-オン-9-イル(またはグアニン-9-イル)、アデニン-9-イル、シトシン-1-イル、またはウラシル-1-イルであり、これらの各々は、アルキル、OH、アルコキシ、-アルキル-OH、-アルキル-O-アルキルから選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換され、置換基は、さらに置換され得る。ある特定の実施形態では、Qは、例えば、オキソ(=O)、OH、アミノ、モノ-またはジ-アルキルアミノ、及びC1-3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換されている、置換5~14員ヘテロシクロアルキルである。例えば、Qは、4-メチルピペラジニル、4-(4-メトキシベンジル)ピペラジニル、イソインドリン-2-イル-1,3-ジオン、ピロリジン-1-イル-2,5-ジオン、またはイミダゾリジン-3-イル-2,4-ジオンである。
ある特定の実施形態では、Qは、-NHR8であり、ここで、R8は、オキソ(=O)、アミノ(NH2)、モノ-またはジ-アルキルアミノ、C1-3アルキル及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されているC3-6シクロアルキルである。例えば、R8は、シクロブテニル、例えば、3-(ジメチルアミノ)-シクロブタ-3-エン-4-イル-1,2-ジオンである。さらなる実施形態では、R8は、オキソ(=O)、チオ(=S)、アミノ(NH2)、モノ-またはジ-アルキルアミノ、C1-3アルキル、ヘテロシクロアルキル、及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されているC3-6シクロアルキルであり、式中、モノ-またはジ-アルキルアミノ、C1-3アルキル、及びヘテロシクロアルキルは、さらに置換される。例えば、R8は、オキソ、アミノ、及びアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルであり、式中、アルキルアミノは、例えば、C1-3アルコキシ、アミノ、モノ-またはジ-アルキルアミノ、及びハロのうちの1つ以上でさらに置換される。例えば、R8は、3-(((ジメチルアミノ)エチル)アミノ)シクロブタ-3-エニル-1,2-ジオンである。例えば、R8は、オキソ、及びアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3-(エチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオンである。例えば、R8は、オキソ、チオ、及びアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3-(エチルアミノ)-4-チオキソシクロブタ-2-エン-1-オンまたは2-(エチルアミノ)-4-チオキソシクロブタ-2-エン-1-オンである。例えば、R8は、チオ、及びアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3-(エチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジチオンである。例えば、R8は、オキソ及びジアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3-(ジエチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオンである。例えば、R8は、オキソ、チオ、及びジアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、2-(ジエチルアミノ)-4-チオキソシクロブタ-2-エン-1-オンまたは3-(ジエチルアミノ)-4-チオキソシクロブタ-2-エン-1-オンである。例えば、R8は、チオ、及びジアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、3-(ジエチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジチオンである。例えば、R8は、オキソ及びアルキルアミノまたはジアルキルアミノのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルであり、式中、アルキルアミノまたはジアルキルアミノは、例えば、1つ以上のアルコキシでさらに置換される。例えば、R8は、3-(ビス(2-メトキシエチル)アミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオンである。例えば、R8は、オキソ、及びヘテロシクロアルキルのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、オキソ、及びピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルである。例えば、R8は、オキソ、及びヘテロシクロアルキルのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルであり、式中、ヘテロシクロアルキルは、例えば、1つ以上のC1-3アルキルでさらに置換される。例えば、R8は、オキソ、及びヘテロシクロアルキルのうちの1つ以上で置換されたシクロブテニルであり、式中、ヘテロシクロアルキル(例えば、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニル)は、メチルでさらに置換される。
ある特定の実施形態では、Qは、-NHR8であり、ここで、R8は、アミノ(NH2)、モノ-またはジ-アルキルアミノ、C1-3アルキル及びハロから選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されているヘテロアリールである。例えば、R8は、チアゾールまたはイミダゾールである。
ある特定の実施形態では、Qは、-NHC(=NR9)N(R)2であり、ここで、R9は、CN、C1-6アルキル、NO2、-S(O)2N(R)2、-OR、-S(O)2R、またはHである。例えば、Qは、-NHC(=NR9)N(CH3)2、-NHC(=NR9)NHCH3、-NHC(=NR9)NH2である。いくつかの実施形態では、Qは、-NHC(=NR9)N(R)2であり、ここで、R9は、CN及びRは、モノ-またはジ-アルキルアミノで置換されたC1-3アルキルであり、例えば、Rは、((ジメチルアミノ)エチル)アミノである。いくつかの実施形態では、Qは、-NHC(=NR9)N(R)2であり、ここで、R9は、C1-6アルキル、NO2、-S(O)2N(R)2、-OR、-S(O)2Rであり、またはH及びRは、モノ-またはジ-アルキルアミノで置換されたC1-3アルキルであり、例えば、Rは、((ジメチルアミノ)エチル)アミノである。
ある特定の実施形態では、Qは、-NHC(=CHR9)N(R)2であり、ここで、R9は、-NO2、CN、C1-6アルキル、-S(O)2N(R)2、-OR、-S(O)2R、またはHである。例えば、Qは、-NHC(=CHR9)N(CH3)2、-NHC(=CHR9)NHCH3、または-NHC(=CHR9)NH2である。
ある特定の実施形態では、Qは、-OC(O)N(R)2、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)OR、例えば、-OC(O)NHCH3、-N(OH)C(O)OCH3、-N(OH)C(O)CH3、-N(OCH3)C(O)OCH3、-N(OCH3)C(O)CH3、-N(OH)S(O)2CH3、または-NHC(O)OCH3である。
ある特定の実施形態では、Qは、-N(R)C(O)Rであり、ここで、Rは、C1-3アルコキシルまたはS(O)zC1-3アルキルで任意選択により置換されたアルキルであり、ここで、zは、0、1、または2である。
ある特定の実施形態では、Qは、非置換または置換のC6-10アリール(例えば、フェニル)またはC3-6シクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、nは、1である。他の実施形態では、nは、2である。さらなる実施形態では、nは、3である。ある特定の他の実施形態では、nは、4である。例えば、R4は、-(CH2)2OHであり得る。例えば、R4は、-(CH2)3OHであり得る。例えば、R4は、-(CH2)4OHであり得る。例えば、R4は、ベンジルであり得る。例えば、R4は、4-メトキシベンジルであり得る。
いくつかの実施形態では、R4は、C3-6炭素環である。いくつかの実施形態では、R4は、C3-6シクロアルキルである。例えば、R4は、例えば、OH、ハロ、C1-6アルキルなどで任意選択により置換されたシクロヘキシルであり得る。例えば、R4は、2-ヒドロキシシクロヘキシルであり得る。
いくつかの実施形態では、Rは、Hである。
いくつかの実施形態では、Rは、モノ-またはジ-アルキルアミノで置換されたC1-3アルキルであり、例えば、Rは、((ジメチルアミノ)エチル)アミノである。
いくつかの実施形態では、Rは、C1-3アルコキシル、アミノ、及びC1-C3ジアルキルアミノからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されたC1-6アルキルである。
いくつかの実施形態では、Rは、非置換C1-3アルキルまたは非置換C2-3アルケニルである。例えば、R4は、-CH2CH(OH)CH3、-CH(CH3)CH2OH、または-CH2CH(OH)CH2CH3であり得る。
いくつかの実施形態では、Rは、置換C1-3アルキル、例えば、CH2OHである。例えば、R4は、-CH2CH(OH)CH2OH、-(CH2)3NHC(O)CH2OH、-(CH2)3NHC(O)CH2OBn、-(CH2)2O(CH2)2OH、-(CH2)3NHCH2OCH3、-(CH2)3NHCH2OCH2CH3、CH2SCH3、CH2S(O)CH3、CH2S(O)2CH3、または-CH(CH2OH)2であり得る。
いくつかの実施形態では、R
4は、以下の基のいずれかから選択される:
いくつかの実施形態では、
は、以下の基のいずれかから選択される:
いくつかの実施形態では、R
4は、以下の基のいずれかから選択される:
いくつかの実施形態では、
は、以下の基のいずれかから選択される:
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は、アニオンをさらに含む。本明細書に記載されるように、アニオンは、アミンと反応して、アンモニウム塩を形成することが可能な任意のアニオンであり得る。例としては、限定はされないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、酢酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ジフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、及びリン酸塩が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される式のいずれかの化合物は、筋肉内投与用のナノ粒子組成物を作製するのに好適である。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、N、O、S、及びPから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5員~14員の芳香族または非芳香族複素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、芳香族または非芳香族のいずれかの、任意に置換されるC3-20炭素環(例えば、C3-18炭素環、C3-15炭素環、C3-12炭素環、またはC3-10炭素環)を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、C3-6炭素環を形成する。他の実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、C6炭素環、例えば、シクロヘキシルまたはフェニル基を形成する。ある特定の実施形態では、複素環またはC3-6炭素環は、(例えば、同じ環原子または隣接または非隣接環原子において)1つ以上のアルキル基で置換される。例えば、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、1つ以上のC5アルキル置換を有するシクロヘキシルまたはフェニル基を形成し得る。ある特定の実施形態では、R2及びR3によって形成される複素環またはC3-6炭素環は、炭素環基で置換される。例えば、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、シクロヘキシルで置換されるシクロヘキシルまたはフェニル基を形成し得る。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、それらが結合される原子と一緒に、C7-15炭素環、例えば、シクロヘプチル、シクロペンタデカニル、またはナフチル基を形成する。
いくつかの実施形態では、R4は、-(CH2)nQ及び-(CH2)nCHQRから選択される。いくつかの実施形態では、Qは、-OR、-OH、-O(CH2)nN(R)2、-OC(O)R、-CX3、-CN、-N(R)C(O)R、-N(H)C(O)R、-N(R)S(O)2R、-N(H)S(O)2R、-N(R)C(O)N(R)2、-N(H)C(O)N(R)2、-N(R)S(O)2R8、-N(H)C(O)N(H)(R)、-N(R)C(S)N(R)2、-N(H)C(S)N(R)2、-N(H)C(S)N(H)(R)、及び複素環からなる群から選択される。他の実施形態では、Qは、イミダゾール、ピリミジン、及びプリンからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環または炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、C3-6炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、C6炭素環を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、フェニル基を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、シクロヘキシル基を形成する。いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、複素環を形成する。ある特定の実施形態では、複素環またはC3-6炭素環は、(例えば、同じ環原子または隣接または非隣接環原子において)1つ以上のアルキル基で置換される。例えば、R2及びR3は、それらが結合される原子と一緒に、1つ以上のC5アルキル置換を有するフェニル基を形成し得る。
いくつかの実施形態では、R5及びR6の少なくとも1つの存在は、C1-3アルキル、例えば、メチルである。いくつかの実施形態では、Mに隣接するR5及びR6の一方は、C1-3アルキル、例えば、メチルであり、他方は、Hである。いくつかの実施形態では、Mに隣接するR5及びR6の一方は、C1-3アルキル、例えば、メチルであり、他方は、Hであり、Mは、-OC(O)-または-C(O)O-である。
いくつかの実施形態では、R5及びR6の最大で1つの存在は、C1-3アルキル、例えば、メチルである。いくつかの実施形態では、Mに隣接するR5及びR6の一方は、C1-3アルキル、例えば、メチルであり、他方は、Hである。いくつかの実施形態では、Mに隣接するR5及びR6の一方は、C1-3アルキル、例えば、メチルであり、他方は、Hであり、Mは、-OC(O)-または-C(O)O-である。
いくつかの実施形態では、R5及びR6の少なくとも1つの存在は、メチルである。
式(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIc)、(VIId)、(VIII)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIIc)または(VIIId)のいずれか1つの化合物は、該当する場合、以下の特徴の1つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、rは、0である。いくつかの実施形態では、rは、1である。
いくつかの実施形態では、nは、2、3、または4である。いくつかの実施形態では、nは、2である。いくつかの実施形態では、nは、4である。いくつかの実施形態では、nは、3ではない。
いくつかの実施形態では、RNは、Hである。いくつかの実施形態では、RNは、C1-3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、RNは、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、RNは、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、RNは、C2アルキルである。
いくつかの実施形態では、Xaは、Oである。いくつかの実施形態では、Xaは、Sである。いくつかの実施形態では、Xbは、Oである。いくつかの実施形態では、Xbは、Sである。
いくつかの実施形態では、R10は、N(R)2、-NH(CH2)t1N(R)2、-NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2、-NH(CH2)s1OR、-N((CH2)s1OR)2、及び複素環からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、R10は、-NH(CH2)t1N(R)2、-NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2、-NH(CH2)s1OR、-N((CH2)s1OR)2、及び複素環からなる群から選択される。
R10が、-NH(CH2)oN(R)2であるいくつかの実施形態では、oは、2、3、または4である。
-NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2であるいくつかの実施形態では、p1は、2である。-NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2であるいくつかの実施形態では、q1は、2である。
R10が、-N((CH2)s1OR)2であるいくつかの実施形態では、s1は、2である。
R10が、-NH(CH2)oN(R)2、-NH(CH2)pO(CH2)qN(R)2、-NH(CH2)sOR、または-N((CH2)sOR)2であるいくつかの実施形態では、Rは、HまたはC1-C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、C2アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、Hである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、Hであり、1つのRは、C1-C3アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、Hであり、1つのRは、C1アルキルである。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、Hであり、1つのRは、C2アルキルである。R10が、-NH(CH2)t1N(R)2、-NH(CH2)p1O(CH2)q1N(R)2、-NH(CH2)s1OR、または-N((CH2)s1OR)2であるいくつかの実施形態では、各Rは、C2-C4アルキルである。
例えば、いくつかの実施形態では、1つのRは、Hであり、1つのRは、C2-C4アルキルである。いくつかの実施形態では、R10は、複素環である。例えば、いくつかの実施形態では、R10は、モルホリニルである。例えば、いくつかの実施形態では、R10は、メチルピペラジニルである。
いくつかの実施形態では、R5及びR6の各存在は、Hである。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、以下からなる群から選択される:
さらなる実施形態では、
式(I I)の化合物は、以下からなる群から選択される:
いくつかの実施形態では、式(I I)または式(I IV)の化合物は、以下からなる群から選択される:
いくつかの実施形態では、本開示の脂質は、化合物I-340A:
を含む。
式(I I)、(I IA)、I(IB)、I(II)、(I IIa)、(I IIb)、(I IIc)、(I IId)、(I IIe)、(I IIf)、(I IIg)、(I III)、(I VI)、(I VI-a)、(I VII)、(I VIII)、(I VIIa)、(I VIIIa)、(I VIIIb)、(I VIIb-1)、(I VIIb-2)、(I VIIb-3)、(I VIIc)、(I VIId)、(I VIIIc)、または(I VIIId)で表される脂質の中心のアミン部分は、生理学的pHでプロトン化され得る。従って、脂質は、生理学的pHで正電荷または部分正電荷を有し得る。このような脂質は、カチオン性またはイオン性(アミノ)脂質と呼ばれ得る。脂質はまた、両性イオン性、すなわち、正電荷及び負電荷の両方を有する中性分子であり得る。
いくつかの態様では、本開示のイオン性脂質は、式I(I IX)の化合物の1つ以上:
またはその塩もしくは異性体であり得、式中、
Wは、
であり、
環Aは、
であり、
tは、1または2であり、
A
1及びA
2は各々独立して、CHまたはNから選択され、
Zは、CH
2または不在であり、式中、ZがCH
2である場合、破線(1)、及び(2)は、各々、単結合を表し、及びZが不在である場合、破線(1)、及び(2)は、両方とも不在であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、独立して、C
5-20アルキル、C
5-20アルケニル、-R”MR’、-R
*YR”、-YR”、及び-R
*OR”からなる群から選択され、
R
x1及びR
x2は各々独立して、HまたはC
1-3アルキルであり、
各Mは、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)
2-、-C(O)S-、-SC(O)-、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選択され、
M
*は、C
1-C
6アルキルであり、
W
1及びW
2は各々独立して、-O-及び-N(R
6)-からなる群から選択され、
各R
6は、独立して、H及びC
1-5アルキルからなる群から選択され、
X
1、X
2、及びX
3は、独立して、結合、-CH
2-、-(CH
2)
2-、-CHR-、-CHY-、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-(CH
2)
n-C(O)-、-C(O)-(CH
2)
n-、-(CH
2)
n-C(O)O-、-OC(O)-(CH
2)
n-、-(CH
2)
n-OC(O)-、-C(O)O-(CH
2)
n-、-CH(OH)-、-C(S)-、及び-CH(SH)-からなる群から選択され、
各Yは、独立して、C
3-6炭素環であり、
各R
*は、独立して、C
1-12アルキル及びC
2-12アルケニルからなる群から選択され、
各Rは、独立して、C
1-3アルキル及びC
3-6炭素環からなる群から選択され、
各R’は、独立して、C
1-12アルキル、C
2-12アルケニル、及びHからなる群から選択され、
各R”は、独立して、C
3-12アルキル、C
3-12アルケニル及び-R
*MR’からなる群から選択され、
nは、1~6の整数であり、
式中、環Aが、
である場合、
i)X
1、X
2、及びX
3の少なくとも1つは、-CH
2-でなく、及び/または
ii)R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5の少なくとも1つは、-R”MR’である。
いくつかの実施形態では、化合物は、式(I IXa1)~(I IXa8):
のいずれかである。
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、米国出願第62/271,146号、同第62/338,474号、同第62/413,345号、及び同第62/519,826号、及びPCT出願第PCT/US2016/068300号に記載される化合物の1つ以上である。
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、米国出願第62/519,826号に記載される化合物1~156から選択される。
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、米国出願第62/519,826号に記載される化合物1~16、42~66、68~76、及び78~156から選択される。
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、
(本明細書中で、化合物Mとも呼ばれる)、またはその塩である。
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、
またはその塩である。
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、
またはその塩である。
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、
またはその塩である。
いくつかの実施形態では、イオン性脂質は、
またはその塩である。
本明細書の式のいずれかによる脂質、例えば、式(I I)、(I IA)、(I IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8)(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)を有する化合物の中心のアミン部分は、生理学的pHでプロトン化され得る。従って、脂質は、生理学的pHで正電荷または部分正電荷を有し得る。このような脂質は、カチオン性またはイオン性(アミノ)脂質と呼ばれ得る。脂質はまた、両性イオン性、すなわち、正電荷及び負電荷の両方を有する中性分子であり得る。
いくつかの実施形態では、本開示のイオン性アミノ脂質、例えば、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8))(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)のいずれかを有する化合物の量は、脂質組成物中で約1mol%~99mol%の範囲である。
一実施形態では、本開示のイオン性アミノ脂質、例えば、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8)(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)のいずれかを有する化合物の量は、脂質組成物中で少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99mol%である。
一実施形態では、本開示のイオン性アミノ脂質、例えば、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8)(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)のいずれかを有する化合物の量は、脂質組成物中で約30mol%~約70mol%、約35mol%~約65mol%、約40mol%~約60mol%、及び約45mol%~約55mol%の範囲である。
1つの特定の実施形態では、本開示のイオン性アミノ脂質、例えば、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8)(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)のいずれかを有する化合物の量は、脂質組成物中で約45mol%である。
1つの特定の実施形態では、本開示のイオン性アミノ脂質、例えば、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8)(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)のいずれかを有する化合物の量は、脂質組成物中で約40mol%である。
1つの特定の実施形態では、本開示のイオン性アミノ脂質、例えば、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8)(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)のいずれかを有する化合物の量は、脂質組成物中で約50mol%である。
本明細書に開示されるイオン性アミノ脂質、例えば、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8)、(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)のいずれかを有する化合物に加えて、本明細書に開示される脂質ベース組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、追加の成分、例えば、コレステロール及び/またはコレステロール類似体、非カチオン性ヘルパー脂質、構造脂質、PEG脂質、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。
本開示のさらなるイオン性脂質は、3-(ジドデシルアミノ)-N1,N1,4-トリドデシル-1-ピペラジンエタンアミン(KL10)、N1-[2-(ジドデシルアミノ)エチル]-N1,N4,N4-トリドデシル-1,4-ピペラジンジエタンアミン(KL22)、14,25-ジトリデシル-15,18,21,24-テトラアザ-オクタトリアコンタン(KL25)、1,2-ジリノレイルオキシ-N,N-ジメチルアミンプロパン(DLin-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-ジメチルアミノメチル-[1,3]-ジオキソラン(DLin-K-DMA)、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート(DLin-MC3-DMA)、2,2-ジリノレイル-4-(2-ジメチルアミノエチル)-[1,3]-ジオキソラン(DLin-KC2-DMA)、1,2-ジオレイルオキシ-N,N-ジメチルアミンプロパン(DODMA)、(13Z,165Z)-N,N-ジメチル-3-ノニドコサ-13-16-ジエン-1-アミン(L608)、2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA)、(2R)-2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2R))、及び(2S)-2-({8-[(3β)-コレスタ-5-エン-3-イルオキシ]オクチル}オキシ)-N,N-ジメチル-3-[(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-イルオキシ]プロパン-1-アミン(オクチル-CLinDMA(2S))からなる非限定群から選択され得る。これらに加えて、イオン性アミノ脂質は、環状アミン基を含む脂質でもあり得る。
本開示のイオン性脂質は、国際公開第WO2017/075531 A1号に記載されている化合物でもあり得、その内容はその参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、イオン性アミノ脂質としては、
及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本開示のイオン性脂質は、国際公開第WO2015/199952 A1号に記載されている化合物でもあり得、その内容はその参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、イオン性アミノ脂質としては、
及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPのイオン性脂質は、いずれかに含まれる化合物、例えば、式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)、(IIg)、(III)、(VI)、(VI-a)、(VII)、(VIII)、(VIIa)、(VIIIa)、(VIIIb)、(VIIb-1)、(VIIb-2)、(VIIb-3)、(VIIc)、(VIId)、(VIIIc)、(VIIId)、(IX)、(IXa1)、(IXa2)、(IXa3)、(IXa4)、(IXa5)、(IXa6)、(IXa7)、または(IXa8)(これらの各々は、明確にするために、文字Iを先に付けている)のいずれかを有する化合物を含む。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPのイオン性脂質は、化合物番号I 1~356のいずれかを含む化合物を含む。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPのイオン性脂質は、化合物番号I 18(化合物Xとも呼ばれる)、I 25(化合物Yとも呼ばれる)、I 48、I 50、I 109、I 111、I 113、I 181、I 182、I 244、I 292、I 301、I 321、I 322、I 326、I 328、I 330、I 331、及びI 332からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPのイオン性脂質は、化合物番号I 18(化合物Xとも呼ばれる)、I 25(化合物Yとも呼ばれる)、I 48、I 50、I 109、I 111、I 181、I 182、I 292、I 301、I 321、I 326、I 328、及びI 330からなる群から選択される化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPのイオン性脂質は、化合物番号I 182、I 301、I 321、及びI 326からなる群から選択される化合物を含む。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示の化合物、例えば、化合物番号1~356のいずれかを含む化合物の合成は、2018年9月19日に提出された米国仮特許出願第62/733,315号の合成の説明に従う。
代表的な合成経路:
化合物I-182:ヘプタデカン-9-イル8-((3-((2-(メチルアミノ)-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)プロピル)(8-(ノニルオキシ)-8-オキソオクチル)アミノ)オクタノエート
3-メトキシ-4-(メチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン
100mLジエチルエーテル中の3,4-ジメトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(1g、7mmol)の溶液に、THF(3.8mL、7.6mmol)中の2Mメチルアミン溶液を加え、沈殿物がほぼ即座に形成された。混合物を室温で24時間攪拌した後、濾過し、フィルター固体をジエチルエーテルで洗浄し、空気乾燥させた。フィルター固体を温EtOAc中に溶解し、濾過し、濾液を室温に冷却させた後、0℃に冷却し、沈殿物を得た。これを濾過を介して単離し、冷EtOAcで洗浄し、空気乾燥させた後、真空下で乾燥させ、3-メトキシ-4-(メチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(0.70g、5mmol、73%)を白色固体として得た。
1H NMR(300MHz,DMSO-d
6)δ:ppm 8.50(br.d,1H,J=69Hz);4.27(s,3H);3.02(sdd,3H,J=42Hz,4.5Hz)。
ヘプタデカン-9-イル8-((3-((2-(メチルアミノ)-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)プロピル)(8-(ノニルオキシ)-8-オキソオクチル)アミノ)オクタノエート
10mLエタノール中のヘプタデカン-9-イル8-((3-アミノプロピル)(8-(ノニルオキシ)-8-オキソオクチル)アミノ)オクタノエート(200mg、0.28mmol)の溶液に、3-メトキシ-4-(メチルアミノ)シクロブタ-3-エン-1,2-ジオン(39mg、0.28mmol)を加え、得られた無色溶液を室温で20時間攪拌した後、LC/MSにより出発アミンは残っていなかった。溶液を真空濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン中で0~100%(ジクロロメタン中の1%NH
4OH、20%MeOHの混合物))により精製し、ヘプタデカン-9-イル8-((3-((2-(メチルアミノ)-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)プロピル)(8-(ノニルオキシ)-8-オキソオクチル)アミノ)オクタノエート(138mg、0.17mmol、60%)を粘着性の白色固体として得た。UPLC/ELSD:RT=3分。MS(ES):C
51H
95N
3O
6に対するm/z(MH
+)833.4。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ:ppm 7.86(br.s.,1H);4.86(五重線,1H,J=6Hz);4.05(t,2H,J=6Hz);3.92(d,2H,J=3Hz);3.20(s,6H);2.63(br.s,2H);2.42(br.s,3H);2.28(m,4H);1.74(br.s,2H);1.61(m,8H);1.50(m,5H);1.41(m,3H);1.25(br.m,47H);0.88(t,9H,J=7.5Hz)。
化合物I-301:ヘプタデカン-9-イル8-((3-((2-(メチルアミノ)-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)プロピル)(8-オキソ-8-(ウンデカン-3-イルオキシ)オクチル)アミノ)オクタノエート
化合物I-301は、ヘプタデカン-9-イル8-((3-アミノプロピル)(8-(ノニルオキシ)-8-オキソオクチル)アミノ)オクタノエートの代わりにヘプタデカン-9-イル8-((3-アミノプロピル)(8-オキソ-8-(ウンデカン-3-イルオキシ)オクチル)アミノ)オクタノエート(500mg、0.66mmol)を使用したことを除いては、化合物182と同様に調製した。水性後処理の後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン中で0~50%(ジクロロメタン中の1%NH
4OH、20%MeOHの混合物))により精製し、ヘプタデカン-9-イル8-((3-((2-(メチルアミノ)-3,4-ジオキソシクロブタ-1-エン-1-イル)アミノ)プロピル)(8-オキソ-8-(ウンデカン-3-イルオキシ)オクチル)アミノ)オクタノエート(180mg、32%)を白色のワックス状の固体として得た。HPLC/UV(254nm):RT=6.77分。MS(CI):C
52H
97N
3O
6に対するm/z(MH
+)860.7。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):δ:ppm 4.86-4.79(m,2H);3.66(bs,2H);3.25(d,3H,J=4.9Hz);2.56-2.52(m,2H);2.42-2.37(m,4H);2.28(dd,4H,J=2.7Hz,7.4Hz);1.78-1.68(m,3H);1.64-1.50(m,16H);1.48-1.38(m,6H);1.32-1.18(m,43H);0.88-0.84(m,12H)。
(i)コレステロール/構造脂質
本明細書に記載される免疫細胞送達LNPは、1つ以上の構造脂質を含む。
本明細書で使用する場合、「構造脂質」という用語は、ステロールを指し、ステロール部分を含む脂質をも指す。脂質ナノ粒子への構造脂質の組み込みは、粒子内の他の脂質の凝集を緩和するのを助け得る。構造脂質は、コレステロール、フェコステロール、エルゴステロール、バシカステロール、トマチジン、トマチン、ウルソール酸、アルファ-トコフェロール、及びそれらの混合物を含み得るがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロール及びコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、及びヒドロコルチゾンなど)、またはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、構造脂質は、ステロールである。本明細書で定義される場合、「ステロール」は、ステロイドアルコールからなるステロイドのサブグループである。いくつかの実施形態では、構造脂質は、ステロイドである。いくつかの実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。いくつかの実施形態では、構造脂質は、コレステロールの類似体である。ある特定の実施形態では、構造脂質は、アルファ-トコフェロールである。構造脂質の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
本明細書に記載される免疫細胞送達LNPは、1つ以上の構造脂質を含む。
本明細書で使用する場合、「構造脂質」という用語は、ステロールを指し、ステロール部分を含む脂質をも指す。脂質ナノ粒子への構造脂質の組み込みは、粒子内の他の脂質の凝集を緩和するのを助け得る。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロール及びコルチコステロイド(例えば、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プレドニゾン、及びヒドロコルチゾンなど)、またはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、構造脂質は、ステロールである。本明細書で定義される場合、「ステロール」は、ステロイドアルコールからなるステロイドのサブグループである。構造脂質は、ステロール(例えば、フィトステロールまたは動物ステロール)を含み得るがこれらに限定されない。
ある特定の実施形態では、構造脂質は、ステロイドである。例えば、ステロールは、コレステロール、β-シトステロール、フェコステロール、エルゴステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、トマチジン、トマチン、ウルソール酸、アルファ-トコフェロール、または本明細書の表1~16の化合物S1~148のいずれか1つを含み得るがこれらに限定されない。
ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールである。ある特定の実施形態では、構造脂質は、コレステロールの類似体である。
ある特定の実施形態では、構造脂質は、アルファ-トコフェロールである。
態様では、本開示の構造脂質は、式SIであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、-OまたはSであり、
R
1bは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、または
であり、
R
b1、R
b2、及びR
b3の各々は、独立して、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルまたは任意選択により置換されたC
6-C
10アリールであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
各
は、独立して、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
L
1aは、不在、
であり、
L
1bは、不在、
であり、
mは、1、2、または3であり、
L
1cは、不在、
であり、及び
R
6は、任意選択により置換されたC
3-C
10シクロアルキル、任意選択により置換されたC
3-C
10シクロアルケニル、任意選択により置換されたC
6-C
10アリール、任意選択により置換されたC
2-C
9ヘテロシクリル、または任意選択により置換されたC
2-C
9ヘテロアリールである、式SI、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIc:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SId:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、L
1aは、不在である。いくつかの実施形態では、L
1aは、
である。いくつかの実施形態では、L
1aは、
である。
いくつかの実施形態では、L
1bは、不在である。いくつかの実施形態では、L
1bは、
である。いくつかの実施形態では、L
1bは、
である。
いくつかの実施形態では、mは、1または2である。いくつかの実施形態では、mは、1である。いくつかの実施形態では、mは、2である。
いくつかの実施形態では、L
1cは、不在である。いくつかの実施形態では、L
1cは、
である。いくつかの実施形態では、L
1cは、
である。
いくつかの実施形態では、R6は、任意選択により置換されたC6-C10アリールである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
であり、ここで、
n1は、0、1、2、3、4、または5であり、及び
各R
7は、独立して、ハロまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、各R
7は、独立して、
である。
いくつかの実施形態では、n1は、0、1、または2である。いくつかの実施形態では、nは、0である。いくつかの実施形態では、n1は、1である。いくつかの実施形態では、n1は、2である。
いくつかの実施形態では、R6は、任意選択により置換されたC3-C10シクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R6は、任意選択により置換されたC3-C10モノシクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
であり、ここで、
n2は、0、1、2、3、4、または5であり、
n3は、0、1、2、3、4、5、6、または7であり、
n4は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり、
n5は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11であり、
n6は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13であり、及び
各R
8は、独立して、ハロまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、各R
8は、独立して、
である。
いくつかの実施形態では、R6は、任意選択により置換されたC3-C10ポリシクロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R6は、任意選択により置換されたC3-C10シクロアルケニルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
であり、ここで、
n7は、0、1、2、3、4、5、6、または7であり、
n8は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり、
n9は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11であり、及び
各R
9は、独立して、ハロまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、各R
9は、独立して、
である。
いくつかの実施形態では、R6は、任意選択により置換されたC2-C9ヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
であり、ここで、
n10は、0、1、2、3、4、または5であり、
n11は、0、1、2、3、4、または5であり、
n12は、0、1、2、3、4、5、6、または7であり、
n13は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、または9であり、
各R
10は、独立して、ハロまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、及び
Y
1及びY
2の各々は、独立して、O、S、NR
B、またはCR
11aR
11bであり、ここで、R
Bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
11a及びR
11bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、及び
Y
2が、CR
11aR
11bである場合、Y
1は、O、S、またはNR
Bである。
いくつかの実施形態では、Y1は、Oである。
いくつかの実施形態では、Y2は、Oである。いくつかの実施形態では、Y2は、CR11aR11bである。
いくつかの実施形態では、各R
10は、独立して、
である。
いくつかの実施形態では、R6は、任意選択により置換されたC2-C9ヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
であり、ここで、
Y
3は、NR
C、O、またはSであり、
n14は、0、1、2、3、または4であり、
R
Cは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、及び
各R
12は、独立して、ハロまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R
6は、
である。いくつかの実施形態では、R
6は、
である。
態様では、本開示の構造脂質は、式SIIであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
L
1は、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキレンであり、及び
R
13a、R
13b、及びR
13cの各々は、独立して、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルまたは任意選択により置換されたC
6-C
10アリールである、式SII、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIIa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIIb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、R
13a、R
13b、及びR
13cの各々は、独立して、
である。
態様では、本開示の構造脂質は、式SIIIであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
各
は、独立して、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシル、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、-OS(O)
2R
4cであり、ここで、R
4cは、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルまたは任意選択により置換されたC
6-C
10アリールであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
R
14は、HまたはC
1-C
6アルキルであり、及び
R
15は、
であり、ここで、
R
16は、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
17bは、H、OR
17c、任意選択により置換されたC
6-C
10アリール、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
17cは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
o1は、0、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、
p1は、0、1、または2であり、
p2は、0、1、または2であり、
Zは、CH
2O、S、またはNR
Dであり、ここで、R
Dは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、及び
各R
18は、独立して、ハロまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルである、式SIII、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIIIa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIIIb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、R
15は、
である。いくつかの実施形態では、R
15は、
である。
いくつかの実施形態では、R
16は、Hである。いくつかの実施形態では、R
16は、
である。
いくつかの実施形態では、R17aは、Hである。いくつかの実施形態では、R17aは、任意選択により置換されたC1-C6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R17bは、Hである。いくつかの実施形態では、R17bは、任意選択により置換されたC1-C6アルキルである。いくつかの実施形態では、R17bは、OR17cである。
いくつかの実施形態では、R
17cは、H、
である。いくつかの実施形態では、R
17cは、Hである。いくつかの実施形態では、R
17cは、
である。
いくつかの実施形態では、各R
18は、独立して、
である。
いくつかの実施形態では、Zは、CH2である。いくつかの実施形態では、Zは、Oである。いくつかの実施形態では、Zは、NRDである。
いくつかの実施形態では、o1は、0、1、2、3、4、5、または6である。
いくつかの実施形態では、o1は、0である。いくつかの実施形態では、o1は、1である。いくつかの実施形態では、o1は、2である。いくつかの実施形態では、o1は、3である。いくつかの実施形態では、o1は、4である。いくつかの実施形態では、o1は、5である。いくつかの実施形態では、o1は、6である。
いくつかの実施形態では、p1は、0または1である。いくつかの実施形態では、p1は、0である。いくつかの実施形態では、p1は、1である。
いくつかの実施形態では、p2は、0または1である。いくつかの実施形態では、p2は、0である。いくつかの実施形態では、p2は、1である。
態様では、本開示の構造脂質は、式SIVであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
sは、0または1であり、
R
19は、HまたはC
1-C
6アルキルであり、
R
20は、C
1-C
6アルキルであり、
R
21は、HまたはC
1-C
6アルキルである、式SIV、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIVa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIVb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
態様では、本開示の構造脂質は、式SVであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
R
22は、HまたはC
1-C
6アルキルであり、及び
R
23は、ハロ、ヒドロキシル、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、または任意選択により置換されたC
1-C
6ヘテロアルキルである、式SV、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
態様では、本開示の構造脂質は、式SVIであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
R
24は、HまたはC
1-C
6アルキルであり、及び
R
25a及びR
25bの各々は、C
1-C
6アルキルである、式SVI、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、R
25a及びR
25bの各々は、独立して、
である。
態様では、本開示の構造脂質は、式SVIIであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニル、または
であり、ここで、R
1c、R
1d、及びR
1eの各々は、独立して、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルまたは任意選択により置換されたC
6-C
10アリールであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
qは、0または1であり、
R
26a及びR
26bの各々は、独立して、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、またはR
26a及びR
26bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、ここで、R
26c及びR
26の各々は、独立して、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、及び
R
27a及びR
27bの各々は、H、ヒドロキシル、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルである、式SVII、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIIa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIIb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bは、独立して、H、
である。
いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成する。
いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成する。いくつかの実施形態では、R
26a及びR
26bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成する。
いくつかの実施形態では、R
26c及びR
26の各々は、独立して、H、
である。
いくつかの実施形態では、R27a及びR27bの各々は、H、ヒドロキシル、または任意選択により置換されたC1-C3アルキルである。
いくつかの実施形態では、R
27a及びR
27bの各々は、独立して、H、ヒドロキシル、
である。
態様では、本開示の構造脂質は、式SVIIIであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
R
28は、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
rは、1、2、または3であり、
各R
29は、独立して、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、及び
R
30a、R
30b、及びR
30cの各々は、C
1-C
6アルキルである、式SVIII、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIIIa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SVIIIb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、R
30a、R
30b、及びR
30cの各々は、独立して、
である。
いくつかの実施形態では、rは、1である。いくつかの実施形態では、rは、2である。いくつかの実施形態では、rは、3である。
いくつかの実施形態では、各R
29は、独立して、H、
である。
いくつかの実施形態では、各R
29は、独立して、Hまたは
である。
態様では、本開示の構造脂質は、式SIXであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
1bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
R
31は、HまたはC
1-C
6アルキルであり、及び
R
32a及びR
32bの各々は、C
1-C
6アルキルである、式SIX、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIXa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SIXb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、R
32a及びR
32bの各々は、独立して、
である。
態様では、本開示の構造脂質は、式SXであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、
R
33aは、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルまたは
であり、ここで、R
35は、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルまたは任意選択により置換されたC
6-C
10アリールであり、
R
33bは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、または
R
35及びR
33bは、それらが結合される原子と一緒になって、任意選択により置換されたC
3-C
9ヘテロシクリルを形成し、及び
R
34は、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルまたは任意選択により置換されたC
1-C
6ヘテロアルキルである、式SX、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、R
35は、
であり、ここで、
tは、0、1、2、3、4、または5であり、及び
各R
36は、独立して、ハロ、ヒドロキシル、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、または任意選択により置換されたC
1-C
6ヘテロアルキルである。
いくつかの実施形態では、R34は、
であり、ここで、uは、0、1、2、3、または4である。
いくつかの実施形態では、uは、3または4である。
態様では、本開示の構造脂質は、式SXIであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、及び
R
37a及びR
37bの各々は、独立して、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
1-C
6ヘテロアルキル、ハロ、またはヒドロキシルである、式SXI、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXIa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXIb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、R37aは、ヒドロキシルである。
態様では、本開示の構造脂質は、式SXIIであって:
ここで、
R
1aは、H、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキル、任意選択により置換されたC
2-C
6アルケニル、または任意選択により置換されたC
2-C
6アルキニルであり、
Xは、OまたはSであり、
R
2は、HまたはOR
Aであり、ここで、R
Aは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
3は、Hまたは
であり、
は、単結合または二重結合を表し、
Wは、CR
4aまたはCR
4aR
4bであり、ここで、二重結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aであり、及び単結合が、Wと隣接炭素の間に存在する場合、Wは、CR
4aR
4bであり、
R
4a及びR
4bの各々は、独立して、H、ハロ、または任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、
R
5a及びR
5bの各々は、独立して、HまたはOR
Aであり、またはR
5a及びR
5bは、各々が結合される原子と一緒になって、組み合わされて、
を形成し、及び
Qは、O、S、またはNR
Eであり、ここで、R
Eは、Hまたは任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルであり、及び
R
38は、任意選択により置換されたC
1-C
6アルキルである、式SXII、
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXIIa:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、化合物は、式SXIIb:
またはその薬学的に許容される塩の構造を有する。
いくつかの実施形態では、Qは、NREである。
いくつかの実施形態では、R
Eは、Hまたは
である。
いくつかの実施形態では、R
Eは、Hである。いくつかの実施形態では、R
Eは、
である。
いくつかの実施形態では、R
38は、
であり、ここで、uは、0、1、2、3、または4である。
いくつかの実施形態では、Xは、Oである。
いくつかの実施形態では、R1aは、Hまたは任意選択により置換されたC1-C6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R1aは、Hである。
いくつかの実施形態では、R1bは、Hまたは任意選択により置換されたC1-C6アルキルである。
いくつかの実施形態では、R1bは、Hである。
いくつかの実施形態では、R2は、Hである。
いくつかの実施形態では、R4aは、Hである。
いくつかの実施形態では、R4bは、Hである。
いくつかの実施形態では、R
3は、Hである。いくつかの実施形態では、R
3は、
である。
いくつかの実施形態では、R5aは、Hである。
いくつかの実施形態では、R5bは、Hである。
態様では、本開示は、表1Aの化合物S-1~42、S-150、S-154、S-162~165、S-169~172及びS-184のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。本明細書で使用する場合、「CMPD」とは、「化合物」を指す。
態様では、本開示は、表2の化合物S-43~50及びS-175~178のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表3の化合物S-51~67、S-149及びS-153のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表4の化合物S-68~73のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表5の化合物S-74~78のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表6の化合物S-79またはS-80のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表7の化合物S-81~87、S-152及びS-157のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表8の化合物S-88~97のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表9の化合物S-98~105及びS-180~182のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表10の化合物S-106、またはその任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表11の化合物S-107またはS-108、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表12の化合物S-109、またはその任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表13の化合物S-110~130、S-155、S-156、S-158、S-160、S-161、S-166~168、S-173、S-174及びS-179のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表14の化合物S-131~133のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
態様では、本開示は、表15の化合物S-134~148、S-151及びS-159のいずれか1つ、またはそれらの任意の薬学的に許容される塩の構造を有する化合物を特徴とする。
本開示の脂質ナノ粒子の1つ以上の構造脂質は、構造脂質の組成物(例えば、2つ以上の構造脂質の混合物、3つ以上の構造脂質の混合物、4つ以上の構造脂質の混合物、または5つ以上の構造脂質の混合物)であり得る。構造脂質の組成物は、ステロール(例えば、コレステロール、β-シトステロール、フェコステロール、エルゴステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール、トマチジン、トマチン、ウルソール酸、アルファ-トコフェロール、または表15の化合物134~148、151、及び159のいずれか1つ)の任意の組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。例えば、本開示の脂質ナノ粒子の1つ以上の構造脂質は、表16の組成物183であり得る。
組成物S-183は、化合物S-141、S-140、S-143、及びS-148の混合物である。いくつかの実施形態では、組成物S-183は、約35%~約45%の化合物S-141、約20%~約30%の化合物S-140、約20%~約30%の化合物S-143、及び約5%~約15%の化合物S-148を含む。いくつかの実施形態では、組成物183は、約40%の化合物S-141、約25%の化合物S-140、約25%の化合物S-143、及び約10%の化合物S-148を含む。
いくつかの実施形態では、構造脂質は、フィトステロールである。いくつかの実施形態では、フィトステロールは、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、シトスタノール、カンペスタノール、ブラシカステロール、フコステロール、β-シトステロール、スチグマスタノール、β-シトスタノール、エルゴステロール、ルペオール、シクロアルテノール、Δ5-アベナセロール、Δ7-アベナセロールまたはΔ7-スチグマステロールであり、それらの類似体、塩もしくはエステルを単独または組み合わせで含む。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、フィトステロール単体である。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、異なるフィトステロール(例えば、2、3、4、5または6つの異なるフィトステロール)の混合物である。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、1つ以上のフィトステロール及び1つ以上の動物ステロールの混合物、例えば、フィトステロール(例えば、β-シトステロールなどのシトステロール)、及びコレステロールの混合物である。
化合物の比率
本開示の脂質ナノ粒子は、本明細書に記載されるように、構造成分を含み得る。脂質ナノ粒子の構造成分は、化合物S-1~148のいずれか1つ、本開示の1つ以上の構造化合物の混合物、及び/またはコレステロール及び/またはフィトステロールと組み合わせた化合物S-1~148のいずれか1つであり得る。
例えば、脂質ナノ粒子の構造成分は、本開示の1つ以上の構造化合物(例えば、化合物S-1~148のいずれか)とコレステロールの混合物であり得る。コレステロールに対する脂質ナノ粒子中に存在する構造化合物のmol%は、0~99mol%であり得る。コレステロールに対する脂質ナノ粒子中に存在する構造化合物のmol%は、約10mol%、20mol%、30mol%、40mol%、50mol%、60mol%、70mol%、80mol%、または90mol%であり得る。
一態様では、本開示は、2つ以上のステロールを含む組成物を特徴とし、2つ以上のステロールは、β-シトステロール、シトスタノール、カンペステロール、スチグマステロール、及びブラシカステロールのうちの少なくとも2つを含む。組成物は、コレステロールをさらに含み得る。一実施形態では、β-シトステロールは、組成物中に約35~99%、例えば、約40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上の非コレステロールステロールを含む。
別の態様では、本開示は、2つ以上のステロールを含む組成物を特徴とし、2つ以上のステロールは、β-シトステロール及びカンペステロールを含み、β-シトステロールは、組成物中に95~99.9%のステロールを含み、カンペステロールは、組成物中に0.1~5%のステロールを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、シトスタノールをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物中に、β-シトステロールは、95~99.9%、カンペステロールは、0.05~4.95%、シトスタノールは、0.05~4.95%のステロールを含む。
別の態様では、本開示は、2つ以上のステロールを含む組成物を特徴とし、2つ以上のステロールは、β-シトステロール及びシトスタノールを含み、β-シトステロールは、組成物中に95~99.9%のステロールを含み、シトスタノールは、組成物中に0.1~5%のステロールを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、カンペステロールをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物中に、β-シトステロールは、95~99.9%、カンペステロールは、0.05~4.95%、及びシトスタノールは、0.05~4.95%のステロールを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、カンペステロールをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物中に、β-シトステロールは、75~80%、カンペステロールは、5~10%、及びシトスタノールは、10~15%のステロールを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、さらなるステロールをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物中に、β-シトステロールは、35~45%、スチグマステロールは、20~30%、及びカンペステロールは、20~30%、及びブラシカステロールは、1~5%のステロールを含む。
別の態様では、本開示は、複数の脂質ナノ粒子を含む組成物を特徴とし、複数の脂質ナノ粒子は、イオン性脂質及び2つ以上のステロールを含み、2つ以上のステロールは、β-シトステロールを含み、カンペステロール及びβ-シトステロールは、組成物中に95~99.9%のステロールを含み、及びカンペステロールは、組成物中に0.1~5%のステロールを含む。
いくつかの実施形態では、2つ以上のステロールは、シトスタノールをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物中に、β-シトステロールは、95~99.9%、カンペステロールは、0.05~4.95%、及びシトスタノールは、0.05~4.95%のステロールを含む。
別の態様では、本開示は、複数の脂質ナノ粒子を含む組成物を特徴とし、複数の脂質ナノ粒子は、イオン性脂質及び2つ以上のステロールを含み、2つ以上のステロールは、β-シトステロールを含み、シトスタノール及びβ-シトステロールは、組成物中に95~99.9%のステロールを含み、及びシトスタノールは、組成物中に0.1~5%のステロールを含む。
いくつかの実施形態では、2つ以上のステロールは、カンペステロールをさらに含む。いくつかの実施形態では、β-シトステロールは、95~99.9%を含み、カンペステロールは、0.05~4.95%を含み、及びシトスタノールは、組成物中に0.05~4.95%のステロールを含む。
(ii)非カチオン性ヘルパー脂質/リン脂質
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される脂質ベース組成物(例えば、LNP)は、1つ以上の非カチオン性ヘルパー脂質を含む。いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質である。いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質置換体または代替物である。
本明細書で使用する場合、「非カチオン性ヘルパー脂質」という用語は、少なくとも8つの炭素長の少なくとも1つの脂肪酸鎖、及び少なくとも1つの極性頭部基部分を含む脂質を指す。一実施形態では、ヘルパー脂質は、ホスファチジルコリン(PC)ではない。一実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質またはリン脂質置換体である。いくつかの実施形態では、リン脂質またはリン脂質置換は、例えば、1つ以上の飽和または(ポリ)不飽和リン脂質、またはリン脂質置換体、またはそれらの組み合わせであり得る。一般に、リン脂質は、リン脂質部分及び1つ以上の脂肪酸部分を含む。
リン脂質部分は、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択することができる。
脂肪酸部分は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択することができる。
リン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジグリセロール、及びホスファチジン酸などのグリセロリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。リン脂質には、スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質も含まれる。
いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、DSPC類似体、DSPC置換体、オレイン酸、またはオレイン酸類似体である。
いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、非ホスファチジルコリン(PC)双性イオン性脂質、DSPC類似体、オレイン酸、オレイン酸類似体、または1,2-ジステアロイル-i77-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)置換体である。
リン脂質
本明細書に開示される医薬組成物の脂質組成物は、1つ以上の非カチオン性ヘルパー脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質、例えば、1つ以上の飽和または(ポリ)不飽和リン脂質またはそれらの組み合わせである。一般に、リン脂質は、リン脂質部分及び1つ以上の脂肪酸部分を含む。本明細書で使用する場合、「リン脂質」は、ホスフェート部分及び1つ以上の炭素鎖、例えば、不飽和脂肪酸鎖を含む脂質である。リン脂質は、1つ以上の多重(例えば、二重または三重)結合(例えば、1つ以上の不飽和)を含み得る。リン脂質またはその類似体または誘導体は、コリンを含み得る。リン脂質またはその類似体または誘導体は、コリンを含まなくてもよい。特定のリン脂質は、膜への融合を促進し得る。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つ以上の負に帯電したリン脂質と相互作用し得る。膜へのリン脂質の融合は、脂質含有組成物の1つ以上の要素が、膜を通過することを可能にし、例えば、細胞への当該1つ以上の要素の送達を可能にする。
リン脂質部分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リソフォスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。
脂肪酸部分は、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。
特定のリン脂質は、膜への融合を促進し得る。例えば、カチオン性リン脂質は、膜(例えば、細胞膜または細胞内膜)の1つ以上の負に帯電したリン脂質と相互作用し得る。膜へのリン脂質の融合は、脂質含有組成物(例えば、LNP)の1つ以上の要素(例えば、治療剤)が、膜を通過することを可能にし、例えば、標的組織への当該1つ以上の要素の送達を可能にする。
本開示の脂質ナノ粒子の脂質成分は、1つ以上の(ポリ)不飽和脂質などの1つ以上のリン脂質を含み得る。リン脂質は、集合して1つ以上の脂質二重層になり得る。一般に、リン脂質は、リン脂質部分及び1つ以上の脂肪酸部分を含み得る。例えば、リン脂質は、式(H III):
(式中、Rpが、リン脂質部分を表し、R
1及びR
2が、同じかまたは異なり得る不飽和を含むかまたは含まない脂肪酸部分を表す)で表される脂質であり得る。リン脂質部分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リソフォスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。脂肪酸部分は、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸からなる非限定的な群から選択され得る。分枝、酸化、環化、及びアルキンを含む、修飾及び置換を含む天然種を含む非天然種も考えられる。例えば、リン脂質は、1つ以上のアルキンと官能化されるかまたはそれに架橋され得る(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合で置換されたアルケニル基)。適切な反応条件下で、アルキン基が、アジドに曝露されると、銅触媒付加環化を起こし得る。このような反応は、膜透過または細胞認識を促進するためにLNPの脂質二重層を官能化するか、またはLNPを、標的化またはイメージング部分(例えば、色素)などの有用な成分に結合するのに有用であり得る。各可能性は、本開示の別個の実施形態を表す。
本明細書に記載される組成物及び方法に有用なリン脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:3(シス)PC)、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DAPC)、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(22:6(シス)PC)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(4ME 16.0 PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(PE(18:2/18:2)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(PE 18:3(9Z、12Z、15Z)、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DAPE 18:3(9Z、12Z、15Z)、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(22:6(シス)PE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、及びスフィンゴミエリンからなる非限定的な群から選択され得る。各可能性は、本開示の別個の実施形態を表す。
いくつかの実施形態では、LNPは、DSPCを含む。ある特定の実施形態では、LNPは、DOPEを含む。いくつかの実施形態では、LNPは、DMPEを含む。いくつかの実施形態では、LNPは、DSPC及びDOPEの両方を含む。
一実施形態では、免疫細胞送達LNPで使用される非カチオン性ヘルパー脂質は、DSPC、DMPE、及びDOPCまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
リン脂質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、及びホスファチジン酸などのグリセロリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。リン脂質には、スフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質も含まれる。
リン脂質の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
ある特定の実施形態では、本開示において有用または潜在的に有用なリン脂質は、DSPC(1,2-ジオクタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)の類似体またはバリアントである。ある特定の実施形態では、本開示において有用または潜在的に有用なリン脂質は、式(H IX):
の化合物またはその塩であり、式中、
各々のR
1は、独立して、任意選択により置換されたアルキルであるか、または任意に、2つのR
1は、介在原子と一緒になって、任意選択により置換された単環式カルボシクリルもしくは任意選択により置換された単環式ヘテロシクリルを形成するか、または、任意選択により3つのR
1が介在原子と一緒になって、任意選択により置換された二環式カルボシクリルもしくは任意選択により置換された二環式ヘテロシクリルを形成し、
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Aは、式:
のものであり、
L
2の各々の例は、独立して、結合または任意選択により置換されたC
1-6アルキレンであり、式中、任意選択により置換されたC
1-6アルキレンの1つのメチレン単位は、O、N(R
N)、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、またはNR
NC(O)N(R
N)によって任意選択により置き換えられ、
R
2の各々の例は、独立して、任意選択により置換されたC
1-30アルキル、任意選択により置換されたC
1-30アルケニル、または任意選択により置換されたC
1-30アルキニルであり、任意に、式中、R
2の1つ以上のメチレン単位は、任意選択により置換されたカルボシクリレン、任意選択により置換されたヘテロシクリレン、任意選択により置換されたアリーレン、任意選択により置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、-OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oによって独立して置き換えられ、
R
Nの各々の例は、独立して、水素、任意選択により置換されたアルキル、または窒素保護基であり、
環Bは、任意選択により置換されたカルボシクリル、任意選択により置換されたヘテロシクリル、任意選択により置換されたアリール、または任意選択により置換されたヘテロアリールであり、及び
pは、1または2であり、
但し、この化合物は、式:
のものではなく、
式中、R2の各例は、独立して、非置換アルキル、非置換アルケニル、または非置換アルキニルである。
i)リン脂質頭部の修飾
ある特定の実施形態では、本開示において有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾リン脂質頭部(例えば、修飾コリン基)を含む。ある特定の実施形態では、修飾された頭部を有するリン脂質は、修飾された第4級アミンを有するDSPCまたはその類似体である。例えば、式(IX)の実施形態では、R1のうちの少なくとも1つはメチルではない。ある特定の実施形態では、R1の少なくとも1つは、水素でもメチルでもない。ある特定の実施形態では、式(IX)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩であり、式中、
各tは、独立して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
各uは、独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
各vは、独立して、1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、以下:
のうちの1つまたはその塩である。
一実施形態では、免疫細胞送達LNPは、非カチオン性ヘルパー脂質として化合物H-409を含む。
(ii)リン脂質尾部の修飾
ある特定の実施形態では、本開示において有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾された尾部を含む。ある特定の実施形態では、本開示において有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾された尾部を有するDSPC(1,2-ジオクタデカノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)またはその類似体である。本明細書に記載される場合、「修飾された尾部」は、より短いまたはより長い脂肪族鎖、分岐が導入された脂肪族鎖、置換基が導入された脂肪族鎖、1つ以上のメチレンが環状またはヘテロ原子基で置換された脂肪族鎖、またはそれらの任意の組み合わせを有する尾部であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、(H IX)の化合物は、式(H IX-a)のものまたはその塩であり、式中、R2の少なくとも1つの例は、任意選択により置換されたC1-30アルキルであるR2の各々の例であり、式中、R2の1つ以上のメチレン単位は、任意選択により置換されたカルボシクリレン、任意選択により置換されたヘテロシクリレン、任意選択により置換されたアリーレン、任意選択により置換されたヘテロアリーレン、N(RN)、O、S、C(O)、C(O)N(RN)、NRNC(O)、NRNC(O)N(RN)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(RN)、NRNC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NRN)、C(=NRN)N(RN)、NRNC(=NRN)、NRNC(=NRN)N(RN)、C(S)、C(S)N(RN)、NRNC(S)、NRNC(S)N(RN)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)2、S(O)2O、OS(O)2O、N(RN)S(O)、S(O)N(RN)、N(RN)S(O)N(RN)、OS(O)N(RN)、N(RN)S(O)O、S(O)2、N(RN)S(O)2、S(O)2N(RN)、N(RN)S(O)2N(RN)、OS(O)2N(RN)、またはN(RN)S(O)2Oによって独立して置き換えられる。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、式(H IX-c):
のものまたはその塩であり、式中、
各xは、独立して、0~30の整数であり、及び
Gの各例は、独立して、任意選択により置換されたカルボシクリレン、任意選択により置換されたヘテロシクリレン、任意選択により置換されたアリーレン、任意選択により置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、-OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oからなる群から独立して選択される。各可能性は、本開示の別個の実施形態を表す。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、式(H IX-c-1):
のものまたはその塩であり、式中、
vの各例は、独立して、1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、式(H IX-c-2):
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(IX-c)の化合物は、以下の式:
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、以下:
またはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、式(H IX-c-3):
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、以下の式:
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX-c)の化合物は、以下:
またはその塩である。
ある特定の実施形態では、本開示において有用または潜在的に有用なリン脂質は、修飾ホスホコリン部分を含み、第4級アミンをホスホリル基に連結するアルキル鎖はエチレンではない(例えば、nは2ではない)。従って、ある特定の実施形態では、本開示において有用または潜在的に有用なリン脂質は、式(H IX)の化合物であり、式中、nは1、3、4、5、6、7、8、9、または10である。例えば、ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、以下の式のうちの1つ:
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H IX)の化合物は、以下:
のうちの1つまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、代替的な脂質は、本開示のリン脂質の代わりに使用される。このような代替的な脂質の非限定例としては、以下:
が挙げられる。
リン脂質尾部の修飾
ある特定の実施形態では、本開示において有用なリン脂質は、修飾された尾部を含む。ある特定の実施形態では、本開示において有用なリン脂質は、修飾された尾部を有するDSPCまたはその類似体である。本明細書に記載される場合、「修飾された尾部」は、より短いまたはより長い脂肪族鎖、分岐が導入された脂肪族鎖、置換基が導入された脂肪族鎖、1つ以上のメチレンが環状またはヘテロ原子基で置換された脂肪族鎖、またはそれらの任意の組み合わせを有する尾部であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、(H I)の化合物は、式(H I-a)のものまたはその塩であり、式中、R2の少なくとも1つの例は、任意選択により置換されたC1-30アルキルであるR2の各々の例であり、式中、R2の1つ以上のメチレン単位は、任意選択により置換されたカルボシクリレン、任意選択により置換されたヘテロシクリレン、任意選択により置換されたアリーレン、任意選択により置換されたヘテロアリーレン、-N(RN)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(RN)-、-NRNC(O)-、-NRNC(O)N(RN)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(RN)-、-NRNC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NRN)-、-C(=NRN)N(RN)-、-NRNC(=NRN)-、-NRNC(=NRN)N(RN)-、-C(S)-、-C(S)N(RN)-、-NRNC(S)-、-NRNC(S)N(RN)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)2-、-S(O)2O-、-OS(O)2O-、-N(RN)S(O)-、-S(O)N(RN)-、-N(RN)S(O)N(RN)-、-OS(O)N(RN)-、-N(RN)S(O)O-、-S(O)2-、-N(RN)S(O)2-、-S(O)2N(RN)-、-N(RN)S(O)2N(RN)-、-OS(O)2N(RN)-、または-N(RN)S(O)2O-によって独立して置き換えられる。
ある特定の実施形態では、式(H I-a)の化合物は、式(H I-c):
のものまたはその塩であり、式中、
各xは、独立して、0~30の整数であり、及び
Gの各例は、独立して、任意選択により置換されたカルボシクリレン、任意選択により置換されたヘテロシクリレン、任意選択により置換されたアリーレン、任意選択により置換されたヘテロアリーレン、-N(R
N)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R
N)-、-NR
NC(O)-、-NR
NC(O)N(R
N)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R
N)-、-NR
NC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR
N)-、-C(=NR
N)N(R
N)-、-NR
NC(=NR
N)-、-NR
NC(=NR
N)N(R
N)-、-C(S)-、-C(S)N(R
N)-、-NR
NC(S)-、-NR
NC(S)N(R
N)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)
2-、-S(O)
2O-、-OS(O)
2O-、-N(R
N)S(O)-、-S(O)N(R
N)-、-N(R
N)S(O)N(R
N)-、-OS(O)N(R
N)-、-N(R
N)S(O)O-、-S(O)
2-、-N(R
N)S(O)
2-、-S(O)
2N(R
N)-、-N(R
N)S(O)
2N(R
N)-、-OS(O)
2N(R
N)-、または-N(R
N)S(O)
2O-からなる群から独立して選択される。各可能性は、本開示の別個の実施形態を表す。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、式(H I-c-1):
のものまたはその塩であり、式中、
vの各例は、独立して、1、2、または3である。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、式(H I-c-2):
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(I-c)の化合物は、以下の式:
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、以下:
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、式(H I-c-3):
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、以下の式:
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I-c)の化合物は、以下:
またはその塩である。
ホスホコリンリンカー修飾
ある特定の実施形態では、本開示において有用なリン脂質は、修飾ホスホコリン部分を含み、第四級アミンをホスホリル基に連結するアルキル鎖は、エチレンではない(例えば、nは、2でない)。従って、ある特定の実施形態では、本開示において有用なリン脂質は、式(H I)の化合物であり、式中、nは、1、3、4、5、6、7、8、9、または10である。例えば、ある特定の実施形態では、式(H I)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(H I)の化合物は、以下:
のうちの1つまたはその塩である。
DSPC以外のリン脂質を有する多数のLNP製剤を調製し、以下の実施例で示すように、それらの活性を試験した。
リン脂質置換または交換
いくつかの実施形態では、脂質ベース組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、リン脂質の代わりに、オレイン酸またはオレイン酸類似体を含む。いくつかの実施形態では、オレイン酸類似体は、修飾オレイン酸尾部、修飾カルボン酸部分、または両方を含む。いくつかの実施形態では、オレイン酸類似体は、化合物であり、オレイン酸のカルボン酸部分は、異なる基に交換される。
いくつかの実施形態では、脂質ベース組成物(例えば、脂質ナノ粒子)は、リン脂質の代わりに、異なる双性イオン性基を含む。
例示的なリン脂質置換体及び/または代替物は、参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願第WO2017/099823号に提供される。
例示的なリン脂質置換体及び/または代替物は、参照により本明細書に組み込まれる公開PCT出願第WO2017/099823号に提供される。
(iii)PEG脂質
PEG脂質の非限定例としては、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEG-セラミドコンジュゲート(例えば、PEG-CerC14またはPEG-CerC20)、PEG修飾ジアルキルアミン、及びPEG修飾1,2-ジアシルオキシプロパン-3-アミンが挙げられる。このような脂質は、PEG化脂質とも呼ばれる。例えば、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質であり得る。
いくつかの実施形態では、PEG脂質には、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)](PEG-DSPE)、PEG-ジステリルグリセロール(PEG-DSG)、PEG-ジパルメトレイル、PEG-ジオレイル、PEG-ジステアリル、PEG-ジアシルグリカミド(PEG-DAG)、PEG-ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DPPE)、またはPEG-1,2-ジミリスチルオクスルプロピル-3-アミン(PEG-c-DMA)が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、PEG脂質の脂質部分には、約C14~約C22、好ましくは約C14~約C16の長さを有するものが含まれる。いくつかの実施形態では、PEG部分、例えば、mPEG-NH2は、約1000、2000、5000、10,000、15,000、または20,000ダルトンのサイズを有する。いくつかの実施形態では、PEG脂質はPEG2k-DMGである。
一実施形態では、本明細書に記載される脂質ナノ粒子は、非拡散性PEGであるPEG脂質を含むことができる。非拡散性PEGの非限定例としては、PEG-DSG及びPEG-DSPEが挙げられる。
PEG脂質は、米国特許第8158601号及び国際公開第WO2015/130584 A2号に記載されているものなど、当該技術分野で知られており、これらは、その参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一般に、本明細書に記載される様々な式の他の脂質成分のいくつか(例えば、PEG脂質)は、2016年12月10日に出願された「Compositions and Methods for Delivery of Therapeutic Agents」と題する国際特許出願PCT/US2016/000129に記載のように合成することができ、その参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
脂質ナノ粒子組成物の脂質成分は、PEGまたはPEG修飾脂質などのポリエチレングリコールを含む1つ以上の分子を含んでもよい。そのような種は、代替的にPEG化脂質と呼ばれる場合がある。PEG脂質は、ポリエチレングリコールで修飾された脂質である。PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物を含む非限定的な群から選択され得る。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC、またはPEG-DSPE脂質であり得る。
いくつかの実施形態では、PEG修飾脂質は、PEG DMGの修飾形態である。PEG-DMGは、以下の構造を有する:
一実施形態では、本開示において有用なPEG脂質は、国際公開第WO2012099755号に記載されているPEG化脂質であり得、その内容はその参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるこれらの例示的なPEG脂質のいずれも、PEG鎖上にヒドロキシル基を含むように修飾され得る。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、PEG-OH脂質である。本明細書で一般的に定義されるように、「PEG-OH脂質」(本明細書では「ヒドロキシ-PEG化脂質」とも呼ばれる)は、脂質上に1つ以上のヒドロキシル(-OH)基を有するPEG化脂質である。ある特定の実施形態では、PEG-OH脂質には、PEG鎖に1つ以上のヒドロキシル基が含まれる。ある特定の実施形態では、PEG-OHまたはヒドロキシ-PEG化脂質は、PEG鎖の末端に-OH基を含む。各可能性は、本開示の別個の実施形態を表す。
いくつかの実施形態では、PEG脂質は、式(PI)の化合物:
またはその塩もしくは異性体であり、式中、
rは、1~100の整数であり、
R
5PEGは、C
10-40アルキル、C
10-40アルケニル、またはC
10-40アルキニルであり、及び任意選択によりR
5PEGの1つ以上のメチレン基は、独立して、C
3-10カルボシクリレン、4~10員ヘテロシクリレン、C
6-10アリーレン、4~10員ヘテロアリーレン、-N(R
N)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R
N)-、-NR
NC(O)-、-NR
NC(O)N(R
N)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R
N)-、-NR
NC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR
N)-、-C(=NR
N)N(R
N)-、-NR
NC(=NR
N)-、-NR
NC(=NR
N)N(R
N)-、-C(S)-、-C(S)N(R
N)-、-NR
NC(S)-、-NR
NC(S)N(R
N)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)
2-、-S(O)
2O-、-OS(O)
2O-、-N(R
N)S(O)-、-S(O)N(R
N)-、-N(R
N)S(O)N(R
N)-、-OS(O)N(R
N)-、-N(R
N)S(O)O-、-S(O)
2-、-N(R
N)S(O)
2-、-S(O)
2N(R
N)-、-N(R
N)S(O)
2N(R
N)-、-OS(O)
2N(R
N)-、または-N(R
N)S(O)
2O-によって置き換えられ、及び
R
Nの各々の例は、独立して、水素、C
1-6アルキル、または窒素保護基である。
例えば、R
5PEGは、C
17アルキルである。例えば、PEG脂質は、式(PI-a)の化合物:
またはその塩もしくは異性体であり、式中、rは、1~100の整数である。
例えば、PEG脂質は、以下の式の化合物:
またはその塩もしくは異性体である。
PEG脂質は、式(PII)の化合物:
またはその塩もしくは異性体であり得、式中、
sは、1~100の整数であり、
R”は、水素、C
1-10アルキル、または酸素保護基であり、
R
7PEGは、C
10-40アルキル、C
10-40アルケニル、またはC
10-40アルキニルであり、及び任意選択によりR
5PEGの1つ以上のメチレン基は、独立して、C
3-10カルボシクリレン、4~10員ヘテロシクリレン、C
6-10アリーレン、4~10員ヘテロアリーレン、-N(R
N)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(R
N)-、-NR
NC(O)-、-NR
NC(O)N(R
N)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(R
N)-、-NR
NC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NR
N)-、-C(=NR
N)N(R
N)-、-NR
NC(=NR
N)-、-NR
NC(=NR
N)N(R
N)-、-C(S)-、-C(S)N(R
N)-、-NR
NC(S)-、-NR
NC(S)N(R
N)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)
2-、-S(O)
2O-、-OS(O)
2O-、-N(R
N)S(O)-、-S(O)N(R
N)-、-N(R
N)S(O)N(R
N)-、-OS(O)N(R
N)-、-N(R
N)S(O)O-、-S(O)
2-、-N(R
N)S(O)
2-、-S(O)
2N(R
N)-、-N(R
N)S(O)
2N(R
N)-、-OS(O)
2N(R
N)-、または-N(R
N)S(O)
2O-によって置き換えられ、及び
R
Nの各々の例は、独立して、水素、C
1-6アルキル、または窒素保護基である。
いくつかの実施形態では、R7PEGは、C10-60アルキルであり、及びR7PEGのメチレン基のうちの1つ以上は、-C(O)-と置き換えられる。例えば、R7PEGは、C31アルキルであり、及びR7PEGのメチレン基のうちの2つは、-C(O)-と置き換えられる。
いくつかの実施形態では、R”は、メチルである。
いくつかの実施形態では、PEG脂質は、式(PII-a)の化合物:
またはその塩もしくは異性体であり、式中、sは、1~100の整数である。
例えば、PEG脂質は、以下の式の化合物:
またはその塩もしくは異性体である。
ある特定の実施形態では、本開示において有用なPEG脂質は、式(PIII)の化合物である。本明細書に提供されるのは、式(PIII)の化合物:
またはその塩であり、式中、
R
3は、-OR
Oであり、
R
Oは、水素、任意選択により置換されたアルキル、または酸素保護基であり、
rは、1~100の整数であり、
L
1は、任意選択により置換されたC
1-10アルキレン、式中、任意選択により置換されたC
1-10アルキレンの少なくとも1つのメチレンは、任意選択により置換されたカルボシクリレン、任意選択により置換されたヘテロシクリレン、任意選択により置換されたアリーレン、任意選択により置換されたヘテロアリーレン、O、N(R
N)、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、またはNR
NC(O)N(R
N)によって独立して置き換えられ、
Dは、クリックケミストリーによって得られる部分または生理学的条件下で切断可能な部分であり、
mは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり、
Aは、式:
のものであり、
L
2の各々の例は、独立して、結合または任意選択により置換されたC
1-6アルキレンであり、式中、任意選択により置換されたC
1-6アルキレンの1つのメチレン単位は、O、N(R
N)、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、またはNR
NC(O)N(R
N)によって任意選択により置き換えられ、
R
2の各々の例は、独立して、任意選択により置換されたC
1-30アルキル、任意選択により置換されたC
1-30アルケニル、または任意選択により置換されたC
1-30アルキニルであり、任意選択により、式中、R
2の1つ以上のメチレン単位は、任意選択により置換されたカルボシクリレン、任意選択により置換されたヘテロシクリレン、任意選択により置換されたアリーレン、任意選択により置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、-OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、-OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、または-N(R
N)S(O)
2Oによって独立して置き換えられ、
R
Nの各々の例は、独立して、水素、任意選択により置換されたアルキル、または窒素保護基であり、
環Bは、任意選択により置換されたカルボシクリル、任意選択により置換されたヘテロシクリル、任意選択により置換されたアリール、または任意選択により置換されたヘテロアリールであり、
pは、1または2である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、PEG-OH脂質(すなわち、R
3は、-OR
Oであり、R
Oは、水素である)である。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII-OH):
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、Dは、クリックケミストリーによって得られる部分(例えば、トリアゾール)である。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII-a-1)または(PIII-a-2):
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩であり、式中、
sは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、Dは、生理学的条件下で切断可能な部分であり(例えば、エステル、アミド、炭酸塩、カルバミン酸塩、尿素)である。ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII-b-1)または(PIII-b-2):
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、式(PIII-b-1-OH)または(PIII-b-2-OH):
のものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、式(PIII)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。
ある特定の実施形態では、本開示において有用なPEG脂質は、PEG化脂肪酸である。ある特定の実施形態では、本開示において有用なPEG脂質は、式(PIV)の化合物である。本明細書に提供されるのは、式(PIV)の化合物:
またはその塩であり、式中、
R
3は、-OR
Oであり、
R
Oは、水素、任意選択により置換されたアルキル、または酸素保護基であり、
rは、1~100の整数であり、
R
5は、任意選択により置換されたC
10-40アルキル、任意選択により置換されたC
10-40アルケニル、または任意選択により置換されたC
10-40アルキニルであり、及び任意選択により、R
5の1つ以上のメチレン基は、任意選択により置換されたカルボシクリレン、任意選択により置換されたヘテロシクリレン、任意選択により置換されたアリーレン、任意選択により置換されたヘテロアリーレン、N(R
N)、O、S、C(O)、C(O)N(R
N)、-NR
NC(O)、NR
NC(O)N(R
N)、C(O)O、OC(O)、OC(O)O、OC(O)N(R
N)、NR
NC(O)O、C(O)S、SC(O)、C(=NR
N)、C(=NR
N)N(R
N)、NR
NC(=NR
N)、NR
NC(=NR
N)N(R
N)、C(S)、C(S)N(R
N)、NR
NC(S)、-NR
NC(S)N(R
N)、S(O)、OS(O)、S(O)O、OS(O)O、OS(O)
2、S(O)
2O、OS(O)
2O、N(R
N)S(O)、-S(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)N(R
N)、OS(O)N(R
N)、N(R
N)S(O)O、S(O)
2、N(R
N)S(O)
2、S(O)
2N(R
N)、-N(R
N)S(O)
2N(R
N)、OS(O)
2N(R
N)、またはN(R
N)S(O)
2Oによって置き換えられ、及び
R
Nの各々の例は、独立して、水素、任意選択により置換されたアルキル、または窒素保護基である。
ある特定の実施形態では、式(PIV)の化合物は、式(PIV-OH):
のものまたはその塩である。いくつかの実施形態では、rは、40~50である。いくつかの実施形態では、rは、45である。
ある特定の実施形態では、式(PIV)の化合物は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその塩である。いくつかの実施形態では、rは、40~50である。いくつかの実施形態では、rは、45である。
さらに他の実施形態では、式(PIV)の化合物は、
またはその塩である。
一実施形態では、式(PIV)の化合物は、
である。
一態様では、本明細書に提供されるのは、式(PV):
のPEG脂質を含む脂質ナノ粒子(LNP)またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
L
1は、結合、任意選択により置換されたC
1-3アルキレン、任意選択により置換されたC
1-3ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
2-3アルケニレン、任意選択により置換されたC
2-3アルキニレンであり、
R
1は、任意選択により置換されたC
5-30アルキル、任意選択により置換されたC
5-30アルケニル、または任意選択により置換されたC
5-30アルキニルであり、
R
Oは、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたアシル、または酸素保護基であり、及び
rは、2~100の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、以下の式:
のものまたはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Y
1は、結合、-CR
2-、-O-、-NR
N-、または-S-であり、
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意選択により置換されたアルキルであり、及び
RNは、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたアシル、または窒素保護基である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意選択により置換されたアルキルである。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩であり、式中、
sは、5~25の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PV)のPEG脂質は、以下:
及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
別の態様では、本明細書に提供されるのは、式(PVI):
のPEG脂質を含む脂質ナノ粒子(LNP)またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
R
Oは、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたアシル、または酸素保護基であり、及び
rは、2~100の整数であり、及び
mは、5~15の整数であり、または、19~30の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PVI)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PVI)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩である。
別の態様では、本明細書に提供されるのは、式(PVII):
のPEG脂質を含む脂質ナノ粒子(LNP)またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
Y
2は、-O-、-NR
N-、または-S-であり、
R
1の各例は、独立して、任意選択により置換されたC
5-30アルキル、任意選択により置換されたC
5-30アルケニル、または任意選択により置換されたC
5-30アルキニルであり、
R
Oは、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたアシル、または酸素保護基であり、
R
Nは、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたアシル、または窒素保護基であり、及び
rは、2~100の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩であり、式中、
sの各例は、独立して、5~25の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PVII)のPEG脂質は、以下:
及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
別の態様では、本明細書に提供されるのは、式(PVIII):
のPEG脂質を含む脂質ナノ粒子(LNP)またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
L
1は、結合、任意選択により置換されたC
1-3アルキレン、任意選択により置換されたC
1-3ヘテロアルキレン、任意選択により置換されたC
2-3アルケニレン、任意選択により置換されたC
2-3アルキニレンであり、
R
1の各例は、独立して、任意選択により置換されたC
5-30アルキル、任意選択により置換されたC
3-30アルケニル、または任意選択により置換されたC
5-30アルキニルであり、
R
Oは、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたアシル、または酸素保護基であり、
rは、2~100の整数であり、及び
但し、L
1が、-CH
2CH
2-または-CH
2CH
2CH
2-である場合、R
Oは、メチルではない。
ある特定の実施形態では、L1が、任意選択により置換されたC2またはC3アルキレンである場合、ROは、任意選択により置換されたアルキルではない。ある特定の実施形態では、L1が、任意選択により置換されたC2またはC3アルキレンである場合、ROは、水素である。ある特定の実施形態では、L1が、-CH2CH2-または-CH2CH2CH2-である場合、ROは、任意選択により置換されたアルキルではない。ある特定の実施形態では、L1が、-CH2CH2-または-CH2CH2CH2-である場合、ROは、水素である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、以下の式:
のものまたはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Y
1は、結合、-CR
2-、-O-、-NR
N-、または-S-であり、
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意選択により置換されたアルキルであり、
R
Nは、水素、任意選択により置換されたアルキル、任意選択により置換されたアシル、または窒素保護基であり、
但し、Y
1が、結合または-CH
2-である場合、R
Oは、メチルではない。
ある特定の実施形態では、L1が、-CR2-である場合、ROは、任意選択により置換されたアルキルではない。ある特定の実施形態では、L1が、-CR2-である場合、ROは、水素である。ある特定の実施形態では、L1が、-CH2-である場合、ROは、任意選択により置換されたアルキルではない。ある特定の実施形態では、L1が、-CH2-である場合、ROは、水素である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意選択により置換されたアルキルである。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩であり、式中、
Rの各例は、独立して、水素、ハロゲン、または任意選択により置換されたアルキルであり、及び
各sは、独立して、5~25の整数である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、以下の式:
のうちの1つのものまたはその薬学的に許容される塩である。
ある特定の実施形態では、式(PVIII)のPEG脂質は、以下:
及びそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のPEG脂質は、rが、40~50であることを特徴とする。
本明細書に提供されるLNPは、ある特定の実施形態では、PEG脂質を含む既存のLNP製剤に比べて、PEG排出の増加を呈する。「PEG排出」は、本明細書で使用する場合、PEG脂質からのPEG基の開裂を指す。多くの例では、PEG脂質からのPEG基の開裂は、血清駆動のエステラーゼ開裂または加水分解を介して生じる。本明細書に提供されるPEG脂質は、ある特定の実施形態では、PEG排出速度を制御するように設計されている。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%超のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に50%超のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に60%超のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に70%超のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、LNPは、ヒト血清中で約6時間後に80%超のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、LNPは、ヒト血清中で約6時間後に90%超のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に90%超のPEG排出を呈する。
他の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%未満のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に60%未満のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に70%未満のPEG排出を呈する。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるLNPは、ヒト血清中で約6時間後に80%未満のPEG排出を呈する。
本明細書に提供されるPEG脂質に加えて、LNPは、1つ以上のさらなる脂質成分を含み得る。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して、0.15~15%のモル比でLNP中に存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して、0.15~5%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して、1~5%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して、0.15~2%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して、1~2%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して、およそ1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、または2%のモル比で存在する。ある特定の実施形態では、PEG脂質は、他の脂質に対して、およそ1.5%のモル比で存在する。
一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の脂質組成物中のPEG脂質の量は、約0.1mol%~約5mol%、約0.5mol%~約5mol%、約1mol%~約5mol%、約1.5mol%~約5mol%、約2mol%~約5mol%、約0.1mol%~約4mol%、約0.5mol%~約4mol%、約1mol%~約4mol%、約1.5mol%~約4mol%、約2mol%~約4mol%、約0.1mol%~約3mol%、約0.5mol%~約3mol%、約1mol%~約3mol%、約1.5mol%~約3mol%、約2mol%~約3mol%、約0.1mol%~約2mol%、約0.5mol%~約2mol%、約1mol%~約2mol%、約1.5mol%~約2mol%、約0.1mol%~約1.5mol%、約0.5mol%~約1.5mol%、または約1mol%~約1.5mol%の範囲である。
一実施形態では、本明細書に開示される脂質組成物中のPEG脂質の量は、約2mol%である。一実施形態では、本明細書に開示される脂質組成物中のPEG脂質の量は、約1.5mol%である。
一実施形態では、本明細書に開示される脂質組成物中のPEG脂質の量は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5mol%である。
例示的な合成:
化合物:HO-PEG2000-エステル-C18
パラジウム炭素(10重量%、74mg、0.070mmol)を含有する窒素充填フラスコに、ベンジル-PEG2000-エステル-C18(822mg、0.35mmol)、及びMeOH(20mL)を加えた。フラスコを真空にし、H
2を3回再充填し、室温及び1atm H
2で12時間攪拌させた。混合物をセライトに通して濾過し、DCMですすぎ、濾液を真空濃縮し、所望の生成物(692mg、88%)を得た。この方法論を用いて、n=40~50である。一実施形態では、得られた多分散混合物のnは、平均45によって参照される。
例えば、rの値は、PEG脂質内のPEG部分の分子量に基づいて決定することができる。例えば、2,000の分子量(例えば、PEG2000)は、およそ45のnの値に対応する。所与の組成物について、ポリマーは、異なるポリマー鎖長の分布として見出されることが多いため、nの値は、当該技術分野で受け入れられる範囲内の値の分布を暗示し得る。例えば、このようなポリマー組成物の多分散性を理解している当業者であれば、(例えば、構造式における)45のn値が、実際のPEG含有組成物、例えば、DMG PEG200 peg脂質組成物中の40~50の値の分布を表し得ることが理解されよう。
いくつかの態様では、本明細書に開示される医薬組成物の免疫細胞送達脂質は、PEG脂質を含まない。
一実施形態では、本開示の免疫細胞送達LNPは、PEG脂質を含む。一実施形態では、PEG脂質は、PEG DMGではない。いくつかの態様では、PEG脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの態様では、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPC及びPEG-DSPE脂質からなる群から選択される。他の態様では、PEG脂質は、PEG-DMGである。
一実施形態では、本開示の免疫細胞送達LNPは、約14より長い、または分枝鎖である場合、約10より長い鎖を有するPEG脂質を含む。
一実施形態では、PEG脂質は、化合物番号P415、P416、P417、P419、P420、P423、P424、P428、PL1、PL2、PL16、PL17、PL18、PL19、PL22、及びPL23のいずれかからなる群から選択される化合物である。一実施形態では、PEG脂質は、化合物番号P415、P417、P420、P423、P424、P428、PL1、PL2、PL16、PL17、PL18、PL19、PL22、及びPL23のいずれかからなる群から選択される化合物である。
一実施形態では、PEG脂質は、Cmpd 428、PL16、PL17、PL18、PL19、PL1、及びPL2からなる群から選択される。
免疫細胞送達増強脂質
LNP中の有効量の免疫細胞送達増強脂質は、免疫細胞送達増強脂質を欠いているLNPに比べて、薬剤の免疫細胞(例えば、ヒトまたは霊長類免疫細胞)への送達を強化することで、免疫細胞送達LNPを生成する。免疫細胞送達増強脂質は、LNP中に存在する時に、免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、LNP中に存在する薬剤の免疫細胞への送達を促進することを特徴とし得る。
一実施形態では、LNP中の少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質の存在は、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、免疫細胞と関連するLNPのパーセンテージの増加をもたらす。別の実施形態では、LNP中の少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質の存在は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、核酸分子剤の免疫細胞への送達の増加をもたらす。一実施形態では、LNP中の少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質の存在は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、核酸分子剤のB細胞への送達の増加をもたらす。特に、一実施形態では、LNP中の少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質の存在は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、核酸分子剤の骨髄細胞への送達の増加をもたらす。一実施形態では、LNP中の少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質の存在は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、核酸分子剤のT細胞への送達の増加をもたらす。
一実施形態では、LNP中の少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質の存在は、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、C1qに結合するLNPのパーセンテージの増加をもたらす。一実施形態では、LNP中の少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質の存在は、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、免疫細胞によって取り込まれた(例えば、免疫細胞によってオプソニン化された)C1q結合LNPのパーセンテージの増加をもたらす。
一実施形態では、核酸分子が、mRNAである時に、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質の存在は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている対照LNPと比較して、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、単球)中のmRNAによってコードされるタンパク質分子の少なくとも約2倍を超える発現をもたらす。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、イオン性脂質である。任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPのイオン性脂質(Iで示される)は、例えば、式(I I)、(I IA)、(I IB)、(I II)、(I IIa)、(I IIb)、(I IIc)、(I IId)、(I IIe)、(I IIf)、(I IIg)、(I III)、(I VI)、(I VI-a)、(I VII)、(I VIII)、(I VIIa)、(I VIIIa)、(I VIIIb)、(I VIIb-1)、(I VIIb-2)、(I VIIb-3)、(I VIIc)、(I VIId)、(I VIIIc)、(I VIIId)、(I IX)、(I IXa1)、(I IXa2)、(I IXa3)、(I IXa4)、(I IXa5)、(I IXa6)、(I IXa7)、または(I IXa8)のいずれかを有する化合物のいずれか、及び/または化合物X、Y、I 48、I 50、I 109、I 111、I 113、I 181、I 182、I 244、I 292、I 301、I 321、I 322、I 326、I 328、I 330、I 331、I 332またはI Mのいずれかに含まれる化合物を含む。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、イオン性脂質である。任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPのイオン性脂質は、化合物X、化合物Y、化合物I-321、化合物I-292、化合物I-326、化合物I-182、化合物I-301、化合物I-48、化合物I-50、化合物I-328、化合物I-330、化合物I-109、化合物I-111または化合物I-181として本明細書に記載される化合物を含む。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPのイオン性脂質は、化合物番号I 18(化合物Xとも呼ばれる)、I 25(化合物Yとも呼ばれる)、I 48、I 50、I 109、I 111、I 113、I 181、I 182、I 244、I 292、I 301、I 309、I 317、I 321、I 322、I 326、I 328、I 330、I 331、I 332、I 347、I 348、I 349、I 350、I 351及びI 352からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPのイオン性脂質は、化合物番号I 18(化合物Xとも呼ばれる)、I 25(化合物Yとも呼ばれる)、I 48、I 50、I 109、I 111、I 181、I 182、I 292、I 301、I 321、I 326、I 328、及びI 330からなる群から選択される化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPのイオン性脂質は、化合物番号I 182、I 301、I 321、及びI 326からなる群から選択される化合物を含む。
免疫細胞送達増強脂質が、イオン性脂質を含む実施形態では、LNP中に存在する唯一のイオン性脂質であり得るかまたは、少なくとも1つのさらなるイオン性脂質との混合物として存在し得ることを理解されたい。すなわち、イオン性脂質の混合物(例えば、免疫細胞送達増強効果を有する1つ以上、または免疫細胞送達増強効果を有する1つ、及び効果を有さない少なくとも1つ)を採用し得る。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、ステロールを含む。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、天然に存在するステロールを含む。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、修飾ステロールを含む。一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、1つ以上のフィトステロールを含む。一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、フィトステロール/コレステロールの混合物を含む。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、有効量のフィトステロールを含む。
「フィトステロール」という用語は、フィトステロイドである植物ベースのステロール及びスタノール(その塩もしくはエステルを含む)の群を指す。
「ステロール」という用語は、ステロイドアルコールとしても知られるステロイドのサブグループを指す。ステロールは、通常、2つのクラスに分割される:(1)「フィトステロール」としても知られる植物ステロール、及び(2)コレステロールなどの「動物ステロール(zoosterol)」としても知られる動物ステロール(animal sterol)である。「スタノール」という用語は、ステロール環構造中に二重結合を有さない飽和ステロールのクラスを指す。
「有効量のフィトステロール」という用語は、所望の活性(例えば、強化送達、免疫細胞取り込み強化、核酸活性強化)誘発する、LNPを含む、脂質ベース組成物中の1つ以上のフィトステロールの量を意味することが意図される。いくつかの実施形態では、有効量のフィトステロールは、脂質ナノ粒子中のステロールの全てまたは実質的に全て(すなわち、約99~100%)である。いくつかの実施形態では、有効量のフィトステロールは、脂質ナノ粒子中のステロールの全てまたは実質的に全て未満(約99~100%未満)であるが、脂質ナノ粒子中の非フィトステロールステロールの量より多い。いくつかの実施形態では、有効量のフィトステロールは、脂質ナノ粒子中のステロールの総量の50%超、60%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超または95%超である。いくつかの実施形態では、有効量のフィトステロールは、脂質ナノ粒子中のステロールの総量の95~100%、75~100%、または50~100%である。
いくつかの実施形態では、フィトステロールは、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、シトスタノール、カンペスタノール、ブラシカステロール、フコステロール、β-シトステロール、スチグマスタノール、β-シトスタノール、エルゴステロール、ルペオール、シクロアルテノール、Δ5-アベナセロール、Δ7-アベナセロール、またはΔ7-スチグマステロールであり、それらの類似体、塩もしくはエステルを単独または組み合わせで含む。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、フィトステロール単体である。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、異なるフィトステロール(例えば、2、3、4、5または6つの異なるフィトステロール)の混合物である。いくつかの実施形態では、本開示のLNPのフィトステロール成分は、1つ以上のフィトステロール及び1つ以上の動物ステロールの混合物、例えば、フィトステロール(例えば、β-シトステロールなどのシトステロール)、及びコレステロールの混合物である。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、β-シトステロールである。
いくつかの実施形態では、β-シトステロールは、以下の式を有し:
その類似体、塩もしくはエステルを含む。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、スチグマステロールである。
いくつかの実施形態では、スチグマステロールは、以下の式を有し:
その類似体、塩もしくはエステルを含む。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、カンペステロールである。
いくつかの実施形態では、カンペステロールは、以下の式を有し:
その類似体、塩もしくはエステルを含む。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、シトスタノールである。
いくつかの実施形態では、シトスタノールは、以下の式を有し:
その類似体、塩もしくはエステルを含む。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、カンペスタノールである。
いくつかの実施形態では、カンペスタノールは、以下の式を有し:
その類似体、塩もしくはエステルを含む。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、ブラシカステロールである。
いくつかの実施形態では、ブラシカステロールは、以下の式を有し:
その類似体、塩もしくはエステルを含む。
いくつかの実施形態では、シトステロールは、フコステロールである。
いくつかの実施形態では、フコステロールは、以下の式を有し:
その類似体、塩もしくはエステルを含む。
いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、β-シトステロール)は、70%超の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、β-シトステロール)は、80%超の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、β-シトステロール)は、90%超の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、β-シトステロール)は、95%超の純度を有する。いくつかの実施形態では、フィトステロール(例えば、β-シトステロール)は、97%、98%または99%超の純度を有する。
一実施形態では、免疫細胞強化送達LNPは、2種類以上の構造脂質を含む。
例えば、一実施形態では、免疫細胞強化送達LNPは、フィトステロールである少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を含む。一実施形態では、フィトステロールは、LNP中に存在する唯一の構造脂質である。別の実施形態では、免疫細胞送達LNPは、構造脂質の混合物を含む。
一実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物の脂質組成物中のフィトステロール及び構造脂質(例えば、β-シトステロール及びコレステロール)の合計量は、約20mol%~約60mol%、約25mol%~約55mol%、約30mol%~約50mol%、または約35mol%~約45mol%の範囲である。
一実施形態では、本明細書に開示される脂質組成物中のフィトステロール及び構造脂質(例えば、β-シトステロール及びコレステロール)の合計量は、約25mol%~約30mol%、約30mol%~約35mol%、または約35mol%~約40mol%の範囲である。
一実施形態では、本明細書に開示される脂質組成物中のフィトステロール及び構造脂質(例えば、β-シトステロール及びコレステロール)の量は、約24mol%、約29mol%、約34mol%、または約39mol%である。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される脂質組成物中のフィトステロール及び構造脂質(例えば、β-シトステロール及びコレステロール)の合計量は、少なくとも約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60mol%である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、1つ以上のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び1つ以上の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、mol%の構造脂質は、脂質ナノ粒子中に存在する約1%~50%のmol%のフィトステロールである。いくつかの実施形態では、mol%の構造脂質は、脂質ベース組成物(例えば、LNP)中に存在する約10%~40%のmol%のフィトステロールである。いくつかの実施形態では、mol%の構造脂質は、脂質ベース組成物(例えば、LNP)中に存在する約20%~30%のmol%のフィトステロールである。いくつかの実施形態では、mol%の構造脂質は、脂質ベース組成物(例えば、脂質ナノ粒子)中に存在する約30%のmol%のフィトステロールである。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、15~40mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、30または40mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17,18、19、20、21、22、23、24または25mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、フィトステロール及び構造脂質の総mol%が、約30~40mol%になるように、脂質ナノ粒子は、20mol%超のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び20mol%未満の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約20mol%、約21mol%、約22mol%、約23mol%、約24mol%、約25mol%、約26mol%、約27mol%、約28mol%、約29mol%、約30mol%、約31mol%、約32mol%、約33mol%、約34mol%、約35mol%、約37mol%、約38mol%、約39mol%または約40mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び約19mol%、約18mol%の約17mol%、約16mol%、約15mol%、約14mol%、約13mol%、約12mol%、約11mol%、約10mol%、約9mol%、約8mol%、約7mol%、約6mol%、約5mol%、約4mol%、約3mol%、約2mol%、約1mol%または約0mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)をそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約28mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び約10mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、38.5%の総mol%のフィトステロール及び構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、28.5mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び10mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、18.5mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び20mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。
ある特定の実施形態では、LNPは、50%のイオン性脂質、10%のヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、38.5%の構造脂質、及び1.5%のPEG脂質を含む。ある特定の実施形態では、LNPは、50%のイオン性脂質、10%のヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、38%の構造脂質、及び2%のPEG脂質を含む。ある特定の実施形態では、LNPは、50%のイオン性脂質、20%のヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、28.5%の構造脂質、及び1.5%のPEG脂質を含む。ある特定の実施形態では、LNPは、50%のイオン性脂質、20%のヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、28%の構造脂質、及び2%のPEG脂質を含む。ある特定の実施形態では、LNPは、40%のイオン性脂質、30%のヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、28.5%の構造脂質、及び1.5%のPEG脂質を含む。ある特定の実施形態では、LNPは、40%のイオン性脂質、30%のヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、28%の構造脂質、及び2%のPEG脂質を含む。ある特定の実施形態では、LNPは、45%のイオン性脂質、20%のヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、33.5%の構造脂質、及び1.5%のPEG脂質を含む。ある特定の実施形態では、LNPは、45%のイオン性脂質、20%のヘルパー脂質(例えば、リン脂質)、33%の構造脂質、及び2%のPEG脂質を含む。
一態様では、免疫細胞強化送達LNPは、フィトステロールを含み、LNPは、さらなる構造脂質を含まない。したがって、LNPの構造脂質(ステロール)成分は、フィトステロールからなる。別の態様では、免疫細胞強化送達LNPは、フィトステロール及びさらなる構造脂質を含む。したがって、LNPのステロール成分は、フィトステロール、及び1つ以上のさらなるステロールまたは構造脂質を含む。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPの構造脂質(例えば、ステロール、例えば、フィトステロールまたはフィトステロール/コレステロールの混合物)は、コレステロール、β-シトステロール(本明細書中で、Cmpd S 141とも呼ばれる)、カンペステロール(本明細書中で、Cmpd S 143とも呼ばれる)、β-シトスタノール(本明細書中で、Cmpd S 144とも呼ばれる)、ブラシカステロール、またはスチグマステロール、またはそれらの組み合わせもしくは混合物として本明細書に記載される化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPの構造脂質(例えば、ステロール、例えば、フィトステロールまたはフィトステロール/コレステロールの混合物)は、コレステロール、β-シトステロール、カンペステロール、β-シトスタノール、ブラシカステロール、スチグマステロール、β-シトステロール-d7、化合物S-30、化合物S-31、化合物S-32、またはそれらの組み合わせもしくは混合物から選択される化合物を含む。別の実施形態では、本開示のLNPの構造脂質(例えば、ステロール、例えば、フィトステロールまたはフィトステロール/コレステロールの混合物)は、コレステロール、β-シトステロール(本明細書中で、Cmpd S 141とも呼ばれる)、カンペステロール(本明細書中で、Cmpd S 143とも呼ばれる)、β-シトスタノール(本明細書中で、Cmpd S 144とも呼ばれる)、化合物S-140、化合物S-144、ブラシカステロール(本明細書中で、Cmpd S 148とも呼ばれる)、または組成物S-183(約40%の化合物S-141、約25%の化合物S-140、約25%の化合物S-143、及び約10%のブラシカステロール)として本明細書に記載される化合物を含む。いくつかの実施形態では、本開示のLNPの構造脂質は、化合物S-159、化合物S-160、化合物S-164、化合物S-165、化合物S-167、化合物S-170、化合物S-173、または化合物S-175として本明細書に記載される化合物を含む。
一実施形態では、免疫細胞強化送達LNPは、非カチオン性ヘルパー脂質、例えば、リン脂質を含む。任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPの非カチオン性ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)は、DSPC、DMPE、DOPC、またはH-409として本明細書に記載される化合物を含む。一実施形態では、非カチオン性ヘルパー脂質、例えば、リン脂質は、DSPCである。他の実施形態では、本開示のLNPの非カチオン性ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)は、DSPC、DMPE、DOPC、DPPC、PMPC、H-409、H-418、H-420、H-421、またはH-422として本明細書に記載される化合物を含む。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPのPEG脂質は、本明細書に記載される化合物を含み、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。別の実施形態では、PEG脂質は、化合物番号P415、P416、P417、P419、P420、P423、P424、P428、PL5、PL1、PL2、PL16、PL17、PL18、PL19、PL22、PL23、DMG、DPG、及びDSGからなる群から選択される。別の実施形態では、PEG脂質は、Cmpd 428、PL16、PL17、PL 18、PL19、PL5、PL 1、及びPL 2からなる群から選択される。
一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質は、イオン性脂質及びフィトステロールの有効量の組み合わせを含む。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物X、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物X含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。別の実施形態では、構造脂質は、38.5%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18.5%のβ-シトステロール、または(ii)10%のコレステロール及び28.5%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物Y、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物Y含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-182、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-182含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-321、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-321含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-292、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-292含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-326、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-326含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-301、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-301含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-48、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-48含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-50、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-50含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-328、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-328含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-330、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-330含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-109、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-109含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-111、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-111含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-181、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの化合物I-181含有組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2であり得る。構造脂質成分について、一実施形態では、構造脂質は、38%または28%で全体的にコレステロールである。別の実施形態では、構造脂質は、38%または28%の合計パーセンテージで、コレステロール/β-シトステロールであり、混合物は、例えば、(i)20%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び18%のβ-シトステロール、または(iii)10%のコレステロール及び28%のβ-シトステロールを含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物X、Y、I-321、I-292、I-326、I-182、I-301、I-48、I-50、I-328、I-330、I-109、I-111またはI-181のいずれか、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロール、コレステロール/β-シトステロールの混合物、β-シトステロール/β-シトスタノールの混合物、β-シトステロール/カンポステロールの混合物、β-シトステロール/β-シトスタノール/カンポステロールの混合物、コレステロール/カンポステロールの混合物、コレステロール/β-シトスタノールの混合物、コレステロール/β-シトスタノール/カンポステロールの混合物またはコレステロール/β-シトステロール/β-シトスタノール/カンポステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。これらの組成物の様々な実施形態では、イオン性脂質:リン脂質:構造脂質:PEG脂質の比は、例えば、以下の通り:(i)50:10:38:2、(ii)50:20:28:2、(iii)40:20:38:2、(iv)40:30:28:2、(v)40:18.5:40:1.5、または(vi)45:20:33.5:1.5であり得る。一実施形態では、構造脂質成分について、LNPは、例えば、(i)10%のコレステロール及び30%のβ-シトステロール、(ii)10%のコレステロール及び30%のカンペステロール、(iii)10%のコレステロール及び30%のβ-シトスタノール、(iv)10%のコレステロール、20%のβ-シトステロール及び10%のカンペステロール、(v)10%のコレステロール、20%のβ-シトステロール及び10%のβ-シトスタノール、(vi)10%のコレステロール、10%のβ-シトステロール及び20%のカンペステロール、(vii)10%のコレステロール、10%のβ-シトステロール及び20%のカンペステロール、(viii)10%のコレステロール、20%のカンペステロール及び10%のβ-シトスタノール、(ix)10%のコレステロール、10%のカンペステロール及び20%のβ-シトスタノール、または(x)10%のコレステロール、10%のβ-シトステロール、10%のカンペステロール及び10%のβ-シトスタノールからなる40%の構造脂質を含み得る。別の実施形態では、構造脂質成分について、LNPは、例えば、(i)33.5%のコレステロール、(ii)18.5%のコレステロール、15%のβ-シトステロール、(iii)18.5%のコレステロール、15%のカンペステロール、または(iv)18.5%のコレステロール、15%のカンペステロールからなる33.5%の構造脂質を含み得る。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、イオン性脂質として化合物I-301、化合物I-321または化合物I-326、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428を含む、脂質ナノ粒子を提供する。一実施形態では、LNPは、T細胞(例えば、CD3+T細胞)への送達を強化する。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、化合物X、化合物I-109、化合物I-111、化合物I-181、化合物I-182または化合物I-244を含み、LNPが、単球への送達を強化する、脂質ナノ粒子を提供する。LNPの他の成分は、本明細書に開示されるものから選択され得、例えば、リン脂質としてDSPC、構造脂質としてコレステロールまたはコレステロール/β-シトステロールの混合物、及びPEG脂質として化合物428である。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であってLNPが、構造脂質としてカンポステロール、β-シトスタノールまたはスチグマステロールを含み、LNPが、単球への送達を強化する、脂質ナノ粒子を提供する。LNPの他の成分は、本明細書に開示されるものから選択され得、例えば、イオン性脂質として化合物X、化合物I-109、化合物I-111、化合物I-181、化合物I-182または化合物I-244、リン脂質としてDSPC、及びPEG脂質として化合物428である。
他の実施形態では、本開示は、1つ以上の免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子であって、LNPが、ヘルパー脂質(例えば、リン脂質)としてDOPC、DMPEまたはH-409を含み、LNPが、単球への送達を強化する、脂質ナノ粒子を提供する。LNPの他の成分は、本明細書に開示されるものから選択され得、例えば、イオン性脂質として化合物X、化合物I-109、化合物I-111、化合物I-181、化合物I-182または化合物I-244、構造脂質としてコレステロール、コレステロール/β-シトステロールの混合物、カンポステロール、β-シトスタノールまたはスチグマステロール、及びPEG脂質として化合物428である。
例示的な追加のLNP成分
界面活性剤
ある特定の実施形態では、本開示の脂質ナノ粒子は、1つ以上の界面活性剤を任意に含む。
ある特定の実施形態では、界面活性剤は、両親媒性ポリマーである。本明細書で使用する場合、両親媒性「ポリマー」は、オリゴマーまたはポリマーを含む両親媒性化合物である。例えば、両親媒性ポリマーは、2つ以上のPEGモノマー単位などのオリゴマー断片を含み得る。例えば、本明細書に記載される両親媒性ポリマーは、PS 20であり得る。
例えば、両親媒性ポリマーは、ブロック共重合体である。
例えば、両親媒性ポリマーは、凍結防止剤である。
例えば、両親媒性ポリマーは、約30℃及び大気圧で、水中で2×10-4M未満の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマーは、約30℃及び大気圧で、水中で約0.1×10-4M~約1.3×10-4Mの範囲の臨界ミセル濃度(CMC)を有する。
例えば、両親媒性ポリマーの濃度は、例えば、凍結または凍結乾燥前に、製剤中の約そのCMC~CMCの約30倍(例えば、そのCMCの最大で約25倍、約20倍、約15倍、約10倍、約5倍、または約3倍)の範囲である。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポロキサマー(Pluronic(登録商標))、ポロキサミン(Tetronic(登録商標))、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(ポリソルベート)、及びポリビニルピロリドン(PVP)から選択される。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポロキサマーである。例えば、両親媒性ポリマーは、以下の構造:
のものであり、式中、aは、10~150の整数であり、bは、20~60の整数である。例えば、aは、約12であり、bは、約20であり、またはaは、約80であり、bは、約27であり、またはaは、約64であり、bは、約37であり、またはaは、約141であり、bは、約44であり、またはaは、約101であり、bは、約56である。
例えば、両親媒性ポリマーは、P124、P188、P237、P338、またはP407である。
例えば、両親媒性ポリマーは、P188(例えば、ポロキサマー188、CAS番号9003-11-6、Kolliphor P188としても知られる)である。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポロキサミン、例えば、tetronic 304またはtetronic 904である。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、例えば、3kDa、10kDa、または29kDaの分子量を有するPVPである。
例えば、両親媒性ポリマーは、ポリソルベート、例えば、PS 20である。
ある特定の実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、両親媒性ポリマーである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
例えば、非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコールエーテル(Brij)、ポロキサマー、ポリソルベート、ソルビタン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。
例えば、ポリエチレングリコールエーテルは、式(VIII)の化合物:
またはその塩もしくは異性体であり、
式中、
tは、1~100の整数であり、
R1BRIJは、独立して、C10-40アルキル、C10-40アルケニル、またはC10-40アルキニルであり、及び任意選択で、R5PEGの1つ以上のメチレン基は、独立して、C3-10カルボシクリレン、4~10員ヘテロシクリレン、C6-10アリーレン、4~10員ヘテロアリーレン、-N(RN)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)N(RN)-、-NRNC(O)-、-NRNC(O)N(RN)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-OC(O)O-、-OC(O)N(RN)-、-NRNC(O)O-、-C(O)S-、-SC(O)-、-C(=NRN)-、-C(=NRN)N(RN)-、-NRNC(=NRN)-、-NRNC(=NRN)N(RN)-、-C(S)-、-C(S)N(RN)-、-NRNC(S)-、-NRNC(S)N(RN)-、-S(O)-、-OS(O)-、-S(O)O-、-OS(O)O-、-OS(O)2-、-S(O)2O-、-OS(O)2O-、-N(RN)S(O)-、-S(O)N(RN)-、-N(RN)S(O)N(RN)-、-OS(O)N(RN)-、-N(RN)S(O)O-、-S(O)2-、-N(RN)S(O)2-、-S(O)2N(RN)-、-N(RN)S(O)2N(RN)-、-OS(O)2N(RN)-、または-N(RN)S(O)2O-によって独立して置き換えられ、
RNの各々の例は、独立して、水素、C1-6アルキル、または窒素保護基である。
いくつかの実施形態では、R1BRIJは、C18アルキルである。例えば、ポリエチレングリコールエーテルは、式(VIII-a)の化合物:
またはその塩もしくは異性体である。
いくつかの実施形態では、R1BRIJは、C18アルケニルである。例えば、ポリエチレングリコールエーテルは、式(VIII-b)の化合物:
またはその塩もしくは異性体である。
いくつかの実施形態では、ポロキサマーは、ポロキサマー101、ポロキサマー105、ポロキサマー108、ポロキサマー122、ポロキサマー123、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー183、ポロキサマー184、ポロキサマー185、ポロキサマー188、ポロキサマー212、ポロキサマー215、ポロキサマー217、ポロキサマー231、ポロキサマー234、ポロキサマー235、ポロキサマー237、ポロキサマー238、ポロキサマー282、ポロキサマー284、ポロキサマー288、ポロキサマー331、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、ポロキサマー338、ポロキサマー401、ポロキサマー402、ポロキサマー403、及びポロキサマー407からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、ポリソルベートは、Tween(登録商標)20、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)、60、またはTween(登録商標)80である。
いくつかの実施形態では、ソルビタンの誘導体は、Span(登録商標)20、Span(登録商標)60、Span(登録商標)65、Span(登録商標)80、またはSpan(登録商標)85である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子中の非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.00001%w/v~約1%w/v、例えば、約0.00005%w/v~約0.5%w/v、または約0.0001%w/v~約0.1%w/vの範囲である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子中の非イオン性界面活性剤の濃度は、約0.000001重量%~約1重量%、例えば、約0.000002重量%~約0.8重量%、または約0.000005重量%~約0.5重量%の範囲である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子中のPEG脂質の濃度は、約0.01モル%~約50モル%、例えば、約0.05モル%~約20モル%、約0.07モル%~約10モル%、約0.1モル%~約8モル%、約0.2モル%~約5モル%、または約0.25モル%~約3モル%の範囲である。
アジュバント
いくつかの実施形態では、本開示のLNPは、1つ以上のアジュバント、例えば、グルコピラノシル脂質アジュバント(GLA)、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(例えば、クラスAまたはB)、ポリ(I:C)、水酸化アルミニウム、及びPam3CSK4を任意に含む。
他の成分
本開示のLNPは、前の部分に記載されるものに加えて、1つ以上の成分を任意に含み得る。例えば、脂質ナノ粒子は、ビタミン(例えば、ビタミンAもしくはビタミンE)またはステロールなどの1つ以上の疎水性小分子を含み得る。
脂質ナノ粒子は、1つ以上の透過性促進剤分子、炭水化物、ポリマー、表面改質剤、または他の成分も含み得る。透過性促進剤分子は、例えば、米国特許出願公開第2005/0222064号に記載される分子であり得る。炭水化物は、単糖類(例えば、グルコース)、及び多糖類(例えば、グリコーゲン及びその誘導体及び類似体)を含み得る。
ポリマーは、脂質ナノ粒子に含まれてもよく、及び/または脂質ナノ粒子を封入または部分的に封入するのに使用され得る。ポリマーは、生分解性及び/または生体適合性であり得る。ポリマーは、限定はされないが、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリレートから選択され得る。例えば、ポリマーとしては、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-乳酸-コ-グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PDLA)、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-カプロラクトン-コ-グリコリド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-PEO-コ-D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-コ-PPO-コ-D,L-ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ-L-リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ-L-グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリアルキレン、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)、ポリアルキレンテレフタレート、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、例えば、ポリ(酢酸ビニル)、ポリハロゲン化ビニル、例えば、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリシロキサン、ポリスチレン、ポリウレタン、誘導体化セルロース、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸のポリマー、例えば、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)ならびにそれらのコポリマー及び混合物、ポリジオキサノン及びそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリオキサミン、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、炭酸トリメチレン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)(PAcM)、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)(PMOX)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(PEOZ)、及びポリグリセロールが挙げられる。
表面改質剤としては、限定はされないが、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、ジメチルジオクタデシル-アンモニウムブロミドなどのカチオン性界面活性剤)、糖または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール、及びポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、アセチルシステイン、オオヨモギ、ブロメライン、パパイン、クサギ属の木(clerodendrum)、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルゾリン、チモシンβ4、ドルナーゼアルファ、ネルテネキシン、及びエルドステイン)、及びDNase(例えば、rhDNase)が挙げられる。表面改質剤は、ナノ粒子内に、及び/またはLNPの表面に(例えば、コーティング、吸着、共有結合、または他のプロセスによって)配置され得る。
脂質ナノ粒子は、1つ以上の官能化脂質も含み得る。例えば、脂質は、適切な反応条件下でアジドに曝露されると、環状付加反応を起こし得るアルキン基で官能化され得る。特に、脂質二重層は、膜透過、細胞認識、またはイメージングを促進するのに有用な1つ以上の基で、このように官能化され得る。LNPの表面はまた、1つ以上の有用な抗体と結合され得る。標的細胞送達、イメージング、及び膜透過に有用な官能基及びコンジュゲートは、当該技術分野において周知である。
これらの成分に加えて、脂質ナノ粒子は、医薬組成物に有用な任意の物質を含み得る。例えば、脂質ナノ粒子は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または補助成分、例えば、限定はされないが、1つ以上の溶媒、分散媒、希釈剤、分散助剤、懸濁助剤、造粒助剤、崩壊剤、充填剤、滑剤、液体ビヒクル、結合剤、表面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、緩衝剤、滑沢剤、油、防腐剤、及び他の種を含み得る。ワックス、バター、着色剤、コーティング剤、香味料、及び芳香剤などの賦形剤も含まれ得る。薬学的に許容される賦形剤は、当該技術分野において周知である(例えば、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro;Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006を参照されたい)。
希釈剤の例としては、限定はされないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウムラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、粉砂糖、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。造粒剤及び分散剤は、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木製品、天然海綿、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル-ピロリドン)(クロスポビドン)、ナトリウムカルボキシメチルデンプン(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファデンプン(スターチ1500)、微結晶性デンプン、水不溶性デンプン、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(VEEGUM(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物、及び/またはそれらの組み合わせからなる非限定的な一覧から選択され得る。
表面活性剤及び/または乳化剤としては、限定はされないが、天然の乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイド性粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]及びVEEGUM(登録商標)[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリル、及びプロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[TWEEN(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[TWEEN(登録商標)60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[TWEEN(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミテート[SPAN(登録商標)40]、ソルビタンモノステアレート[SPAN(登録商標)60]、ソルビタントリステアレート[SPAN(登録商標)65]、モノオレイン酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート[SPAN(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[MYRJ(登録商標)45]、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、及びSOLUTOL(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、CREMOPHOR(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル、(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[BRIJ(登録商標)30])、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、PLURONIC(登録商標)F 68、POLOXAMER(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウム、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。
結合剤は、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン及びデンプンペースト)、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール)、天然及び合成ゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワルガム、ガティガム、イサポール皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(VEEGUM(登録商標))、及びカラマツアラボガラクタン)、アルギン酸塩、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコール、及びそれらの組み合わせ、または任意の他の適切な結合剤であり得る。
防腐剤の例としては、限定はされないが、酸化防止剤、キレート剤、抗菌防腐剤、抗真菌防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤、及び/または他の防腐剤が挙げられる。酸化防止剤の例としては、限定はされないが、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び/または亜硫酸ナトリウムが挙げられる。キレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、及び/またはエデト酸三ナトリウムが挙げられる。抗菌防腐剤の例としては、限定はされないが、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及び/またはチメロサールが挙げられる。抗真菌防腐剤の例としては、限定はされないが、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及び/またはソルビン酸が挙げられる。アルコール防腐剤の例としては、限定はされないが、エタノール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸塩、及び/またはフェニルエチルアルコールが挙げられる。酸性防腐剤の例としては、限定はされないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β-カロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及び/またはフィチン酸が挙げられる。他の防腐剤としては、限定はされないが、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、GLYDANT PLUS(登録商標)、PHENONIP(登録商標)、メチルパラベン、GERMALL(登録商標)115、GERMABEN(登録商標)II、NEOLONE(商標)、KATHON(商標)、及び/またはEUXYL(登録商標)が挙げられる。
緩衝剤の例としては、限定はされないが、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、d-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、ラクトビオン酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、リン酸水酸化カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、アミノ-スルホン酸緩衝液(例えば、HEPES)、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質除去蒸留水、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、水添植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる非限定的な群から選択され得る。
油の例としては、限定はされないが、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、クロスグリの種子、ルリジサ、ケード、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナウバ、ヒマシ、シナモン、カカオ脂、ココナッツ、タラの肝臓、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、亜麻仁、ゲラニオール、ヒョウタン、ブドウの種子、ハシバミの実、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイの実、ラバンジン、ラベンダー、レモン、リツェアクベバ、マカデミアナッツ、マロー、マンゴーの種子、メドウフォームの種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃仁、ピーナッツ、ケシの実、カボチャの種子、ナタネ、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、サンダルウッド、サスクアナ(sasquana)、セイボリー、サジー、ゴマ、シアバター、シリコーン、ダイズ、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチバー、クルミ、及び小麦胚芽油ならびにステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、シメチコン、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。
LNP組成物
本明細書に記載される脂質ナノ粒子は、1つ以上の特定の用途または標的のために設計され得る。脂質ナノ粒子の要素及びそれらの相対量は、特定の用途または標的に基づいて、及び/または有効性、毒性、費用、使用の容易さ、入手可能性、または1つ以上の要素の他の特徴に基づいて選択され得る。同様に、脂質ナノ粒子の特定の製剤は、例えば、要素の特定の組み合わせの有効性及び毒性に応じて、特定の用途または標的のために選択され得る。脂質ナノ粒子製剤の有効性及び忍容性は、製剤の安定性によって影響され得る。
本開示のLNPは、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を含む。本LNPは、LNPの成分として有効量の免疫細胞送達増強脂質を含み、LNPは、(i)イオン性脂質、(ii)コレステロールまたは他の構造脂質、(iii)非カチオン性ヘルパー脂質またはリン脂質、(iv)PEG脂質、及び(v)LNP内に封入される及び/またはLNPと会合する薬剤(例えば、核酸分子)を含み、有効量の免疫細胞送達増強脂質は、免疫細胞送達増強脂質を欠いているLNPに比べて、薬剤の免疫細胞(例えば、ヒトまたは霊長類免疫細胞)への送達を強化する。
種々の成分の要素は、特定の割合、例えば、モル%分率で提供され得る。
例えば、任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPは、構造脂質またはその塩を含む。いくつかの態様では、構造脂質は、コレステロールまたはその塩である。さらなる態様では、mol%のコレステロールは、LNP中に存在する約1%~50%のモル%のフィトステロールである。他の態様では、mol%のコレステロールは、LNP中に存在する約10%~40%のmol%のフィトステロールである。いくつかの態様では、mol%のコレステロールは、LNP中に存在する約20%~30%のmol%のフィトステロールである。さらなる態様では、mol%のコレステロールは、LNP中に存在する約30%のmol%のフィトステロールである。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPは、約30mol%~約60mol%のイオン性脂質、約0mol%~約30mol%のリン脂質、約18.5mol%~約48.5mol%のステロール、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPは、約35mol%~約55mol%のイオン性脂質、約5mol%~約25mol%のリン脂質、約30mol%~約40mol%のステロール、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約10mol%のリン脂質、約38.5mol%のステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
ある特定の実施形態では、脂質ナノ粒子のイオン性脂質成分は、約30mol%~約60mol%のイオン性脂質、約0mol%~約30mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約18.5mol%~約48.5mol%のフィトステロールを含み、1つ以上の構造脂質、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を任意に含むが、但し、総mol%は、100%を超えない。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子のイオン性脂質成分は、約35mol%~約55mol%のイオン性脂質、約5mol%~約25mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%~約40mol%のフィトステロールを含み、1つ以上の構造脂質、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を任意に含む。特定の実施形態では、脂質成分は、約50mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロールを含み、1つ以上の構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を任意に含む。別の特定の実施形態では、脂質成分は、約40mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロールを含み、1つ以上の構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を任意に含む。いくつかの実施形態では、フィトステロールは、β-シトステロールであり得、非カチオン性ヘルパー脂質は、リン脂質、例えば、DOPE、DSPC、またはオレイン酸などのリン脂質置換であり得る。他の実施形態では、PEG脂質は、PEG-DMGであり得、及び/または構造脂質は、コレステロールであり得る。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約30mol%~約60mol%のイオン性脂質、約0mol%~約30mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約18.5mol%~約48.5mol%のフィトステロール、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約30mol%~約60mol%のイオン性脂質、約0mol%~約30mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約18.5mol%~約48.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約30mol%~約60mol%のイオン性脂質、約0mol%~約30mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約18.5mol%~約48.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約35mol%~約55mol%のイオン性脂質、約5mol%~約25mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%~約40mol%のフィトステロール、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約35mol%~約55mol%のイオン性脂質、約5mol%~約25mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%~約40mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約35mol%~約55mol%のイオン性脂質、約5mol%~約25mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%~約40mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%~約10mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約38.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約23.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約23.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約23.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約18.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約18.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約18.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約23.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約23.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約23.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約33.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約28.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約53.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約53.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約53.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約5mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約43.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約25mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約25mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約25mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約20mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約20mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約20mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約20mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約45mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約45mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約45mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約25mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約25mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約15mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約25mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約50mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約50mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約40mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約50mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約45mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約45mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約45mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約45mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約0mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約0mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約0mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約48.5mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約1.5mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約50mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約40mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約55mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約35mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール及び構造脂質、及び約0mol%のPEG脂質を含む。いくつかの態様では、本開示のLNPは、約60mol%のイオン性脂質、約10mol%の非カチオン性ヘルパー脂質、約30mol%のフィトステロール及びコレステロール、及び約0mol%のPEG脂質を含む。
本明細書の実施形態に関するいくつかの態様では、フィトステロール及び本開示のLNPの構造脂質成分は、約10:1~1:10のフィトステロール対構造脂質、例えば、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9及び1:10のフィトステロール対構造脂質(例えば、β-シトステロール対コレステロール)を含む。
いくつかの実施形態では、LNPのフィトステロール成分は、フィトステロールとコレステロールなどの構造脂質との混合物であり、フィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び構造脂質(例えば、コレステロール)は、特定のmol%で各々存在する。例えば、いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、15~40mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、30、または40mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17,18、19、20、21、22、23、24、または25mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、フィトステロール及び構造脂質の総mol%が、約30~40mol%になるように、脂質ナノ粒子は、20mol%超のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び20mol%未満の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約20mol%、約21mol%、約22mol%、約23mol%、約24mol%、約25mol%、約26mol%、約27mol%、約28mol%、約29mol%、約30mol%、約31mol%、約32mol%、約33mol%、約34mol%、約35mol%、約37mol%、約38mol%、約39mol%または約40mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び約19mol%、約18mol% 約17mol%、約16mol%、約15mol%、約14mol%、約13mol%、約12mol%、約11mol%、約10mol%、約9mol%、約8mol%、約7mol%、約6mol%、約5mol%、約4mol%、約3mol%、約2mol%、約1mol%または約0mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)をそれぞれ含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、約28mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び約10mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、38.5%の総mol%のフィトステロール及び構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、28.5mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び10mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、18.5mol%のフィトステロール(例えば、β-シトステロール)、及び20mol%の構造脂質(例えば、コレステロール)を含む。
本開示の脂質ナノ粒子は、1つ以上の特定の用途または標的のために設計され得る。例えば、本脂質ナノ粒子は、RNAなどの核酸分子の、哺乳動物、例えば、ヒトの身体における特定の免疫細胞(例えば、リンパ系細胞または骨髄細胞)、組織、器官、またはそれらの系もしくは群への送達をさらに強化するように任意に設計され得る。脂質ナノ粒子の生理化学的特性は、特定の身体上の標的に対する選択性を高めるために改変され得る。例えば、粒径は、免疫細胞取り込みを促進するために調整され得る。上記のように、脂質ナノ粒子に含まれる核酸分子はまた、免疫細胞への所望の送達に基づいて選択され得る。例えば、核酸分子は、特定の適応症、病態、疾患、または障害のために、及び/または特定の細胞、組織、器官、またはそれらの系もしくは群への送達(例えば、局所的または特異的送達)のために選択され得る。
ある特定の実施形態では、脂質ナノ粒子は、目的のポリペプチドを生成するように細胞内で翻訳されることが可能な目的のポリペプチドをコードするmRNAを含み得る。他の実施形態では、脂質ナノ粒子は、他の種類の薬剤、例えば、本明細書に記載されるように、DNA及び/またはRNA剤、例えば、以下でさらに詳述されるように、siRNA、miRNA、アンチセンス核酸などを含む、他の核酸剤を含み得る。
脂質ナノ粒子中の核酸分子の量は、脂質ナノ粒子のサイズ、組成、所望の標的及び/または用途、または他の特性、ならびに治療薬及び/または予防薬の特性に左右され得る。例えば、脂質ナノ粒子に有用なRNAの量は、RNAのサイズ、配列、及び他の特性に左右され得る。脂質ナノ粒子中の核酸分子及び他の要素(例えば、脂質)の相対量も変化し得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子中の、核酸分子に対するイオン性脂質成分のwt/wt比は、約5:1~約60:1、例えば、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、及び60:1であり得る。例えば、核酸分子に対するイオン性脂質成分のwt/wt比は、約10:1~約40:1であり得る。ある特定の実施形態では、wt/wt比は、約20:1である。LNP中の核酸分子の量は、例えば、吸収分光法(例えば、紫外-可視分光法)を用いて測定され得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、1つ以上のRNA、及び1つ以上のイオン性脂質を含み、それらの量は、特定のN:P比をもたらすように選択され得る。組成物のN:P比は、RNA中のリン酸基の数に対する1つ以上の脂質中の窒素原子のモル比を指す。一般に、より低いN:P比が好ましい。1つ以上のRNA、脂質、及びそれらの量は、約2:1~約30:1、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、12:1、14:1、16:1、18:1、20:1、22:1、24:1、26:1、28:1、または30:1のN:P比をもたらすように選択され得る。ある特定の実施形態では、N:P比は、約2:1~約8:1であり得る。他の実施形態では、N:P比は、約5:1~約8:1である。例えば、N:P比は、約5.0:1、約5.5:1、約5.67:1、約5.7:1、約5.8:1、約5.9:1、約6.0:1、約6.5:1、または約7.0:1であり得る。例えば、N:P比は、約5.67:1であり得る。別の実施形態では、N:P比は、約5.8:1であり得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子を含む製剤は、塩、例えば、塩化物塩をさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子を含む製剤は、糖、例えば、二糖をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化物塩のような塩ではなく、糖をさらに含む。
物理的特徴
脂質ナノ粒子の特徴は、その成分に依存し得る。例えば、構造脂質としてコレステロールを含む脂質ナノ粒子は、異なる構造脂質を含む脂質ナノ粒子とは異なる特徴を有し得る。同様に、脂質ナノ粒子の特徴は、その成分の絶対量または相対量に依存し得る。例えば、より高いモル分率のリン脂質を含む脂質ナノ粒子は、より低いモル分率のリン脂質を含む脂質ナノ粒子とは異なる特徴を有し得る。また、特徴は、脂質ナノ粒子を調製する方法及び条件に応じて変化し得る。
脂質ナノ粒子は、様々な方法によって特徴付けられ得る。例えば、顕微鏡法(例えば、透過電子顕微鏡法または走査電子顕微鏡法)は、脂質ナノ粒子の形態及びサイズ分布を調べるのに使用され得る。動的光散乱または電位差測定法(例えば、電位差滴定法)が、ゼータ電位を測定するのに使用され得る。動的光散乱はまた、粒径を決定するのに用いられ得る。Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd,Malvern,Worcestershire,UK)などの機器はまた、脂質ナノ粒子の複数の特性、例えば、粒径、多分散指数、及びゼータ電位を測定するのに使用され得る。
脂質ナノ粒子の平均サイズは、例えば、動的光散乱(DLS)によって測定して、数10nm~数100nmであり得る。例えば、平均サイズは、約40nm~約150nm、例えば、約40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、または150nmであり得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子の平均サイズは、約50nm~約100nm、約50nm~約90nm、約50nm~約80nm、約50nm~約70nm、約50nm~約60nm、約60nm~約100nm、約60nm~約90nm、約60nm~約80nm、約60nm~約70nm、約70nm~約100nm、約70nm~約90nm、約70nm~約80nm、約80nm~約100nm、約80nm~約90nm、または約90nm~約100nmであり得る。ある特定の実施形態では、脂質ナノ粒子の平均サイズは、約70nm~約100nmであり得る。特定の実施形態では、平均サイズは、約80nmであり得る。他の実施形態では、平均サイズは、約100nmであり得る。
脂質ナノ粒子は、比較的均一であり得る。多分散指数は、LNPの均一性、例えば、脂質ナノ粒子の粒径分布を示すのに使用され得る。本明細書で使用する場合、「多分散指数」は、系の粒径分布の均質性を記載する比である。例えば、0.3未満の小さな値は、狭い粒径分布を示す。小さい(例えば、0.3未満)多分散指数は、一般に、狭い粒径分布を示す。脂質ナノ粒子は、約0~約0.25、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25の多分散指数を有し得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子の多分散指数は、約0.10~約0.20であり得る。
脂質ナノ粒子のゼータ電位は、組成物の界面動電電位を示すのに使用され得る。本明細書で使用する場合、「ゼータ電位」は、例えば、粒子組成物中の脂質の界面動電電位である。
例えば、ゼータ電位は、脂質ナノ粒子の表面電荷を表し得る。比較的低い電荷(正電荷か負電荷かにかかわらず)を有する脂質ナノ粒子が一般に望ましいが、これは、より高度に帯電した種は、細胞、組織、及び体内の他の要素と不必要に相互作用し得るためである。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子のゼータ電位は、約-10mV~約+20mV、約-10mV~約+15mV、約-10mV~約+10mV、約-10mV~約+5mV、約-10mV~約0mV、約-10mV~約-5mV、約-5mV~約+20mV、約-5mV~約+15mV、約-5mV~約+10mV、約-5mV~約+5mV、約-5mV~約0mV、約0mV~約+20mV、約0mV~約+15mV、約0mV~約+10mV、約0mV~約+5mV、約+5mV~約+20mV、約+5mV~約+15mV、または約+5mV~約+10mVであり得る。
核酸分子の封入の効率は、提供される最初の量と比べた、調製後に封入されるかまたは他の形で脂質ナノ粒子と会合する核酸分子の量を表す。封入効率は、高いのが望ましい(例えば、ほぼ100%)である。封入効率は、例えば、1つ以上の有機溶媒または洗浄剤で脂質ナノ粒子を分解する前及び後の脂質ナノ粒子を含有する溶液中の核酸分子の量を比較することによって測定され得る。蛍光は、溶液中の遊離核酸分子(例えば、RNA)の量を測定するのに使用され得る。本明細書に記載される脂質ナノ粒子では、核酸分子の封入効率は、少なくとも50%、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であり得る。いくつかの実施形態では、封入効率は、少なくとも80%であり得る。ある特定の実施形態では、封入効率は、少なくとも90%であり得る。
脂質ナノ粒子は、任意に、1つ以上のコーティングを含み得る。例えば、脂質ナノ粒子は、コーティングを有するカプセル、フィルム、または錠剤において製剤化され得る。本明細書に記載される組成物を含むカプセル、フィルム、または錠剤は、任意の有用なサイズ、張力、硬度、または密度を有し得る。
医薬複合物
本開示の脂質ナノ粒子を含む製剤は、医薬組成物として全体的にまたは部分的に製剤化され得る。医薬組成物は、1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。例えば、医薬組成物は、1つ以上の異なる治療薬及び/または予防薬を含む1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。医薬組成物は、本明細書に記載されるものなどの1つ以上の薬学的に許容される賦形剤または補助成分をさらに含み得る。医薬組成物及び薬剤の製剤化及び製造についての一般的な指針は、例えば、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro;Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006において入手可能である。任意の従来の賦形剤または補助成分が、本開示の製剤中のLNPの1つ以上の成分と不適合である場合を除いて、従来の賦形剤及び補助成分が、任意の医薬組成物において使用され得る。賦形剤または補助成分は、成分またはLNPとのその組み合わせが、何らかの望ましくない生物学的作用、または他の形の有害な作用をもたらし得る場合、製剤のLNPの成分と不適合であり得る。
医薬組成物に製剤化された本開示の脂質ナノ粒子は、単一核酸または複数の核酸を封入し得る。複数の核酸を封入する場合、核酸は、同じ種類(例えば、全てmRNA)であってもよく、または異なる種類(例えば、mRNA及びDNA)であってもよい。さらに、複数のLNPは、同じまたは別々の医薬組成物に製剤化することができる。例えば、同じまたは別々の医薬組成物は、第1のLNP及び第2のLNPを含み得、第1及び第2のLNPは、同じかまたは異なる核酸分子を封入し、第1及び第2のLNPは、成分として免疫細胞送達増強脂質を含む。他の実施形態では、同じまたは別々の医薬組成物は、第1のLNP及び第2のLNPを含み得、第1及び第2のLNPは、同じかまたは異なる核酸分子を封入し、第1のLNPは、成分として免疫細胞送達増強脂質を含み、第2のLNPは、免疫細胞送達増強脂質を欠いている。
いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤または補助成分は、LNPを含む医薬組成物の総質量または体積の50%超を構成し得る。例えば、1つ以上の賦形剤または補助成分は、医薬品の慣例の50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上を構成し得る。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋である。いくつかの実施形態では、賦形剤は、ヒトへの使用及び獣医学用途のために承認されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国食品医薬品局によって承認されている。いくつかの実施形態では、賦形剤は、医薬品グレードである。いくつかの実施形態では、賦形剤は、米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、及び/または国際薬局方の基準を満たしている。
本開示に係る医薬組成物中の1つ以上の脂質ナノ粒子、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、及び/または任意のさらなる成分の相対量は、治療対象の属性、サイズ、及び/または状態に応じて、さらには、組成物が投与される経路に応じて変化する。例として、医薬組成物は、0.1%~100%(wt/wt)の1つ以上の脂質ナノ粒子を含み得る。別の例として、医薬組成物は、0.1%~15%(wt/vol)の1つ以上の両親媒性ポリマー(例えば、0.5%、1%、2.5%、5%、10%、または12.5%w/v)を含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示の脂質ナノ粒子及び/または医薬組成物は、貯蔵及び/または輸送のために冷蔵または冷凍される(例えば、約-150℃~約0℃または約-80℃~約-20℃の温度(例えば、約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-130℃または-150℃)など4℃以下の温度で貯蔵される)。例えば、1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、例えば、約-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、または-80℃で、貯蔵及び/または輸送のために冷蔵される溶液または固体(例えば、凍結乾燥を介して)である。ある特定の実施形態では、本開示はまた、脂質ナノ粒子及び/またはその医薬組成物を、4℃以下の温度、例えば、約-150℃~約0℃または約-80℃~約-20℃の温度、例えば、約-5℃、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-90℃、-130℃または-150℃)で貯蔵することによって、脂質ナノ粒子の安定性を高める方法にも関する。
脂質ナノ粒子及び/または1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、1つ以上の特定の細胞、組織、器官、またはそれらの系もしくは群(腎臓系など)への治療薬及び/または予防薬の送達によって提供される治療効果から利益を受け得る患者または対象を含む任意の患者または対象に投与され得る。脂質ナノ粒子及び脂質ナノ粒子を含む医薬組成物の本明細書において提供される説明は、主に、ヒトへの投与に適切な組成物に関するが、このような組成物は、一般に、任意の他の哺乳動物への投与に好適であることが当業者によって理解されよう。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に適切な組成物の修飾は、十分に理解されており、通常の獣医学薬理学者は、もし実験があるとすれば単なる通常の実験を用いて、このような修飾を設計及び/または実施することができる。組成物の投与が想定される対象としては、限定はされないが、ヒト、他の霊長類、及びウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、及び/またはラットなどの商業的に価値のある哺乳動物を含む他の哺乳動物が挙げられる。
1つ以上の脂質ナノ粒子を含む医薬組成物は、薬理学分野において公知であるかまたは今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般に、このような調製方法は、活性成分を、賦形剤及び/または1つ以上の他の補助成分と結合させることと、次に、望ましい場合または任意に、生成物を、所望の単回または複数回投与単位に、分割、成形及び/または包装することとを含む。
本開示に係る医薬組成物は、単一単位用量、及び/または複数の単一単位用量として、調製、包装、及び/または大量販売され得る。本明細書で使用する場合、「単位用量」は、所定の量の活性成分(例えば、脂質ナノ粒子)を含む医薬組成物の個別の量である。活性成分の量は、一般に、対象に投与され得る活性成分の投与量、及び/またはこのような投与量の好都合な割合、例えば、このような投与量の2分の1もしくは3分の1に等しい。
医薬組成物は、様々な投与経路及び方法に適切な様々な形態で調製され得る。一実施形態では、このような組成物は、液体形態で調製されるかまたは凍結乾燥される(例えば、4℃以下または氷点下で保存される)。例えば、医薬組成物は、液体剤形(例えば、乳剤、マイクロエマルション、ナノエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤)、注射用形態、固体剤形(例えば、カプセル、錠剤、丸剤、粉剤、及び顆粒剤)、局所及び/または経皮投与のための剤形(例えば、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉剤、溶液、スプレー、吸入剤、及びパッチ剤)、懸濁液、粉剤、及び他の形態で調製され得る。
経口及び非経口投与のための液体剤形としては、限定はされないが、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルション、ナノエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、及び/またはエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、さらなる治療薬及び/または予防薬、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、香味料、及び/または芳香剤などのさらなる薬剤を含み得る。非経口投与のための特定の実施形態では、組成物は、Cremophor(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、及び/またはそれらの組み合わせなどの可溶化剤と混合される。
注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液が、適切な分散剤、湿潤剤、及び/または懸濁化剤を用いて、公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射用製剤は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤及び/または溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液、及び/または乳剤であり得る。用いられ得る許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液(U.S.P.)、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。滅菌固定油は、通常、溶媒または懸濁媒体として用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油が用いられ得る。オレイン酸などの脂肪酸が、注射薬の調製に使用され得る。
注射用製剤は、例えば、細菌捕捉フィルタを介した濾過によって、及び/または使用前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解または分散され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。
活性成分の効果を長く持続させるために、多くの場合、皮下または筋肉内注射から活性成分の吸収を遅らせるのが望ましい。これは、難水溶性の結晶性または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成することができる。その際、薬剤の吸収速度は、その溶解速度に左右されるが、この溶解速度は、今度は、結晶サイズ及び結晶形態に左右され得る。あるいは、非経口投与された薬剤形態の吸収の遅延は、薬剤を油媒体に溶解または懸濁させることによって達成される。注入可能なデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中で薬剤のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。薬剤対ポリマーの比率及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬剤放出の速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)、及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注入可能製剤は、身体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルション中に薬剤を閉じ込めることによって調製される。
直腸または膣投与のための組成物は、典型的に、坐薬であり、これは、周囲温度では固体であるが、体温では液体であるため、直腸または膣腔において溶解し、活性成分を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックスなどの適切な無刺激の賦形剤と組成物を混合することによって調製され得る。
組成物の局所及び/または経皮投与のための剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉剤、溶液、スプレー、吸入剤、及び/またはパッチ剤が挙げられる。一般に、活性成分は、任意に、滅菌条件下で、薬学的に許容される賦形剤及び/または任意の必要な防腐剤及び/または緩衝剤と混合される。さらに、本開示は、経皮パッチ剤の使用を想定し、経皮パッチ剤は、多くの場合、身体への化合物の制御送達をもたらすという追加の利点を有する。このような剤形は、例えば、化合物を適切な媒体に溶解及び/または分散させることによって調製され得る。その代わりにまたはそれに加えて、速度制御膜を提供するか、及び/または化合物をポリマーマトリックス及び/またはゲルに分散させるかのいずれかによって、速度が制御され得る。
本明細書に記載される皮内医薬組成物を送達するのに使用するための適切な装置としては、米国特許第4,886,499号、同第5,190,521号、同第5,328,483号、同第5,527,288号、同第4,270,537号、同第5,015,235号、同第5,141,496号、及び同第5,417,662号に記載されるものなどの短針装置が挙げられる。皮内組成物は、PCT公開WO99/34850に記載されるものなどの、皮膚への針の有効貫入長さを制限する装置及びその機能的同等物によって投与され得る。角質層を貫通し、真皮に到達する噴流を生成する液体ジェット式注射器及び/または針を介して液体組成物を真皮に送達するジェット式注射装置が好適である。ジェット式注射装置は、例えば、米国特許第5,480,381号、同第5,599,302号、同第5,334,144号、同第5,993,412号、同第5,649,912号、同第5,569,189号、同第5,704,911号、同第5,383,851号、同第5,893,397号、同第5,466,220号、同第5,339,163号、同第5,312,335号、同第5,503,627号、同第5,064,413号、同第5,520,639号、同第4,596,556号、同第4,790,824号、同第4,941,880号、同第4,940,460号、及びPCT公開WO97/37705及びWO97/13537に記載されている。圧縮ガスを用いて、粉末状のワクチンを皮膚の外層から真皮へと加速させる弾道粉末/粒子送達装置が好適である。その代わりにまたはそれに加えて、従来の注射器が、皮内投与の古典的なマントー法に使用され得る。
局所投与に適切な製剤としては、限定はされないが、塗布剤、ローション、水中油型及び/または油中水型エマルション(クリーム、軟膏及び/またはペーストなど)、及び/または溶液及び/または懸濁液などの液体及び/または半液体製剤が挙げられる。局所投与可能な製剤は、例えば、約1%~約10%(wt/wt)の活性成分を含み得るが、活性成分の濃度は、溶媒への活性成分の溶解限度と同程度に高くてもよい。局所投与用の製剤は、本明細書に記載されるさらなる成分の1つ以上をさらに含み得る。
医薬組成物は、口腔を介した経肺投与に適切な製剤として調製、包装、及び/または販売され得る。このような製剤は、活性成分を含む乾燥粒子を含み得る。このような組成物は、好都合には、推進剤の流れを誘導して、粉末を分散させ得る乾燥粉末リザーバを含む装置を用いた、及び/または密閉容器内で低沸点推進剤に溶解及び/または懸濁された活性成分を含む装置などの自己推進溶媒/粉末分配容器を用いた投与のための乾燥粉末の形態である。乾燥粉末組成物は、糖などの固体微粉希釈剤を含んでもよく、好都合には、単位剤形で提供される。
低沸点推進剤は、一般に、大気圧で65°F未満の沸点を有する液体推進剤を含む。一般に、推進剤は、組成物の50%~99.9%(wt/wt)を構成してもよく、活性成分は、組成物の0.1%~20%(wt/wt)を構成してもよい。推進剤は、液体の非イオン性及び/または固体のアニオン性界面活性剤及び/または固体の希釈剤(活性成分を含む粒子と同程度の粒径を有し得る)などのさらなる成分をさらに含み得る。
肺送達のために製剤化される医薬組成物は、溶液及び/または懸濁液の液滴の形態で活性成分を提供し得る。このような製剤は、活性成分を含む、任意選択により滅菌した水性及び/または希薄アルコール性溶液及び/または懸濁液として調製、包装、及び/または販売され得、好都合には、任意の噴霧及び/または霧化装置を用いて投与され得る。このような製剤は、限定はされないが、サッカリンナトリウムなどの香味料、揮発性油、緩衝剤、表面活性剤、及び/またはメチルヒドロキシ安息香酸塩などの防腐剤を含む1つ以上のさらなる成分をさらに含み得る。この投与経路によって提供される液滴は、約1nm~約200nmの範囲の平均直径を有し得る。
肺送達に有用であることが本明細書に記載される製剤は、医薬組成物の鼻内送達に有用である。鼻内投与に適切な別の製剤は、活性成分を含み、かつ約0.2μm~500μmの平均粒子を有する粗粉末である。このような製剤は、鼻から吸い込む方法で、すなわち、鼻の近くに保持した粉末の容器から鼻腔を介した高速吸入によって投与される。
経鼻投与に適切な製剤は、例えば、わずか約0.1%(wt/wt)程度から100%(wt/wt)もの活性成分を含んでもよく、本明細書に記載されるさらなる成分の1つ以上を含み得る。医薬組成物は、口腔投与に適切な製剤として調製、包装、及び/または販売され得る。このような製剤は、例えば、従来の方法を用いて作製される錠剤及び/またはトローチ剤の形態であってもよく、例えば、0.1%~20%(wt/wt)の活性成分を含んでもよく、残りが、経口溶解性及び/または分解性組成物ならびに、任意に、本明細書に記載されるさらなる成分の1つ以上を含む。あるいは、口腔投与に適切な製剤は、活性成分を含む、粉末及び/またはエアロゾル化及び/または霧化溶液及び/または懸濁液を含み得る。このような粉末化、エアロゾル化、及び/またはエアロゾル化製剤は、分散されると、約0.1nm~約200nmの範囲の平均粒径及び/または液滴径を有してもよく、本明細書に記載される任意のさらなる成分の1つ以上をさらに含み得る。
医薬組成物は、眼投与に適切な製剤として調製、包装、及び/または販売され得る。このような製剤は、例えば、水性または油性液体賦形剤中の活性成分の0.1/1.0%(wt/wt)の溶液及び/または懸濁液を含む、例えば、点眼薬の形態であり得る。このような点眼薬は、緩衝剤、塩、及び/または本明細書に記載される任意のさらなる他の成分の1つ以上をさらに含み得る。有用である他の眼投与可能な製剤としては、微結晶形態及び/またはリポソーム製剤として活性成分を含むものが挙げられる。点耳薬及び/または点眼薬は、本開示の範囲内であると考えられる。
脂質ベース組成物の使用
本開示は、核酸の免疫細胞への送達を強化した、改善された脂質ベース組成物、特に、LNP組成物を提供する。本開示は、少なくとも一部には、LNPの成分が、封入された核酸分子(例えば、mRNA)の免疫細胞、例えば、リンパ系細胞及び骨髄細胞(例えば、T細胞、B細胞、単球、及び樹状細胞)への送達を強化する免疫細胞送達増強脂質として作用するという発見に基づく。
本開示の改善された脂質ベース組成物、特に、LNPは、様々な目的のために、インビトロ及びインビボの両方で、例えば、免疫細胞への核酸の送達、免疫細胞内または上のタンパク質発現、免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、単球、及び/または樹状細胞)活性化または活性の調節、及び免疫細胞応答を減少させて、自己免疫を低下させること(例えば、T細胞を寛容化すること)に有用である。
様々な実施形態では、単一の免疫細胞破壊因子構築物を使用し得るか、あるいは、複数の免疫細胞破壊因子構築物を組み合わせて使用し得る。組み合わせて使用する場合、mRNA構築物を同じLNP中に共製剤化してもよく(例えば、実施例10に記載されるように)、あるいは、別々のLNPを別々のmRNA構築物に使用してもよい。使用される特定の免疫細胞破壊因子mRNAは、インビトロ及び/またはインビボでの意図または所望の活性/効果に基づいて選択され得る。例えば、T細胞及びB細胞の両方が関与し、阻害されることが所望される状況におけるインビボ使用では、1つ以上のTCD及び1つ以上のBCDの組み合わせを使用し得る、例えば、共製剤化し得る(例えば、実施例10を参照されたい)。複数の免疫細胞型(例えば、T細胞、B細胞、単球、及び樹状細胞)に影響を及ぼすこのような併用療法は、本明細書に記載される様々な種類の免疫細胞破壊因子構築物に基づいて考案され得る。あるいは、単一種類の免疫細胞が、目的の特定の活性または疾患(例えば、T細胞により媒介されることが知られる障害)を媒介することが公知または考えられる状況では、単一種類の免疫細胞破壊因子構築物(例えば、TCD)を使用するために選択してもよいが、この種類の破壊因子の複数の形態(例えば、複数のTCD)を組み合わせて使用してもよい。
インビトロのタンパク質発現について、LNP及び免疫細胞をエクスビボでインキュベートすることによって、免疫細胞をLNPと接触させる。続いて、このような免疫細胞をインビボで導入してもよい。
インビボのタンパク質発現について、LNPを対象に投与することによって、免疫細胞をLNPと接触させることで、対象内の免疫細胞内または上のタンパク質発現を増加または誘発させる。例えば、一実施形態では、LNPは、静脈内投与される。別の実施形態では、LNPは、筋肉内投与される。さらに他の実施形態では、LNPは、皮下、リンパ節内、及び腫瘍内からなる群から選択される経路で投与される。
インビトロの送達について、一実施形態では、LNP及び免疫細胞をエクスビボでインキュベートすることによって、免疫細胞をLNPと接触させる。一実施形態では、免疫細胞は、ヒト免疫細胞である。別の実施形態では、免疫細胞は、霊長類免疫細胞である。別の実施形態では、免疫細胞は、ヒトまたは非ヒト霊長類免疫細胞である。一実施形態では、免疫細胞は、T細胞(例えば、CD3+T細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞またはCD4+CD25+CD127低Treg細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、B細胞(例えば、CD19+B細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、樹状細胞(例えば、CD11c+CD11b-樹状細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、単球/マクロファージ(例えば、CD11c-CD11b+単球/マクロファージ)である。一実施形態では、免疫細胞は、未成熟NK細胞(例えば、CD56高未成熟NK細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、活性化NK細胞(例えば、CD56DIM活性化NK細胞)である。一実施形態では、免疫細胞は、NK T細胞(例えば、CD3+CD56+NK T細胞)である。
一実施形態では、血清またはC1qの存在下で、少なくとも15分間(エクスビボでの細胞のトランスフェクションに十分な時間であることが示されている)、免疫細胞をLNPと接触させる。別の実施形態では、例えば、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、または少なくとも24時間、免疫細胞をLNPと接触させる。
一実施形態では、単回処置/トランスフェクションのために、免疫細胞をLNPと接触させる。別の実施形態では、複数の処置/トランスフェクション(例えば、同じ細胞の2、3、4回またはそれ以上の処置/トランスフェクション)のために、免疫細胞をLNPと接触させる。同じ細胞の反復トランスフェクションは、細胞生存率に影響を与えずに、トランスフェクトされる細胞のパーセンテージ及びトランスフェクトされた核酸によりコードされるタンパク質の発現レベルの用量依存的な増加をもたらすことが実証されている。
別の実施形態では、インビボの送達について、LNPを対象に投与することで、対象内の免疫細胞に核酸を送達することによって、免疫細胞をLNPと接触させる。例えば、一実施形態では、LNPは、静脈内投与される。別の実施形態では、LNPは、筋肉内投与される。さらに他の実施形態では、LNPは、皮下、リンパ節内、及び腫瘍内からなる群から選択される経路で投与される。
一実施形態では、免疫細胞中の核酸分子の細胞内濃度が強化される。一実施形態では、免疫細胞中の核酸分子の活性が強化される。一実施形態では、免疫細胞中の核酸分子の発現が強化される。一実施形態では、核酸分子は、免疫細胞の活性化または活性を調節する。一実施形態では、核酸分子は、免疫細胞の活性化または活性を減少させる。
ある特定の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPによる免疫細胞への核酸の送達は、例えば、対象への投与後にインビボで検出可能な量の免疫細胞への送達(例えば、ある特定のパーセンテージの免疫細胞への送達)をもたらす。いくつかの実施形態では、免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPは、免疫細胞の標的化部分を含まない(例えば、免疫細胞マーカーに対する特異性を有する抗体、またはLNPを免疫細胞に標的化する受容体リガンドを含まない)。例えば、一実施形態では、免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPの投与は、単回静脈内注射後に、少なくとも約15%の脾臓T細胞への核酸のインビボ送達をもたらす。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPの投与は、単回静脈内注射後に、少なくとも約15%~25%の脾臓B細胞への核酸のインビボ送達をもたらす。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPの投与は、単回静脈内注射後に、少なくとも約35%~40%の脾臓樹状細胞への核酸のインビボ送達をもたらす。別の実施形態では、免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPの投与は、単回静脈内注射後に、少なくとも約5%~20%の骨髄細胞(大腿骨及び/または上腕骨)への核酸のインビボ送達をもたらす。本明細書で示される送達レベルにより、インビボの免疫療法が可能になる。
一実施形態では、免疫細胞による核酸分子の取り込みが強化される。取り込みは、当該技術分野において公知の方法によって判断することができる。例えば、会合/結合及び/または取り込み/内在化は、検出可能に標識された、例えば、蛍光標識されたLNPを用いて、様々なインキュベーション期間後に免疫細胞内または上のこのようなLNPの位置を追跡することによって評価され得る。加えて、数理モデル、例えば、Radu Mihaila,et al.,(Molecular Therapy:Nucleic Acids,Vol.7:246-255,2017、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される常微分方程式(ODE)ベースモデルにより、送達及び取り込みの定量化が可能になる。
別の実施形態では、核酸分子の機能または活性は、核酸分子の送達を示すものとして使用され得る。例えば、mRNAの場合には、ある特定の割合の免疫細胞におけるタンパク質発現の増加は、その割合の細胞へのmRNAの送達を示すために測定することができる。当業者であれば、免疫細胞への他の核酸分子の送達を測定するための種々の方法が認識されるであろう。
一実施形態では、免疫細胞内の核酸分子によりコードされる免疫破壊因子の活性が強化される。一実施形態では、免疫細胞内の核酸分子によりコードされるタンパク質の発現が強化される。一実施形態では、タンパク質は、免疫細胞の活性化または活性を調節する。一実施形態では、タンパク質は、免疫細胞の活性化または活性を減少させる。
一実施形態では、様々な薬剤を使用して、細胞(例えば、T細胞、B細胞、単球、または樹状細胞)を標識し、その特異的免疫細胞集団への送達を測定することができる。例えば、LNPは、レポーター核酸(例えば、検出可能なレポータータンパク質をコードするmRNA)を封入することができ、レポーター核酸の発現は、レポーター核酸が送達される細胞集団の標識化をもたらす。検出可能なレポータータンパク質の非限定例としては、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、及びルシフェラーゼが挙げられる。
免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPによる免疫細胞への核酸の送達は、例えば、LNPと会合する/LNPにより封入される核酸によりコードされるタンパク質の発現を検出すること、またはLNPと会合する/LNPにより封入される核酸により媒介される効果(例えば、生物学的効果)を検出することによって、インビトロまたはインビボで測定することができる。タンパク質検出について、タンパク質は、例えば、細胞表面タンパク質に特異的に結合する抗体を用いて免疫蛍光またはフローサイトメトリーにより検出可能な、例えば、細胞表面タンパク質であり得る。あるいは、検出可能なレポータータンパク質をコードするレポーター核酸を使用することができ、レポータータンパク質の発現は、当該技術分野において公知の標準方法により測定することができる。
本開示の方法は、様々な免疫細胞型に核酸分子を送達するのに有用である。一実施形態では、免疫細胞は、T細胞、NK細胞、樹状細胞、及びマクロファージからなる群から選択される。
本方法は、例えば、脾臓、末梢血、及び/または骨髄内に位置する免疫細胞に核酸を送達するのに使用することができる。一実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。T細胞は、当該技術分野において公知の1つ以上のT細胞マーカー、典型的には、CD3の発現により同定することができる。さらなるT細胞マーカーには、CD4またはCD8が含まれる。一実施形態では、免疫細胞は、B細胞である。B細胞は、当該技術分野において公知の1つ以上のB細胞マーカー、典型的には、CD19の発現により同定することができる。さらなるB細胞マーカーには、CD24及びCD72が含まれる。一実施形態では、免疫細胞は、単球及び/または組織マクロファージである。単球及び/またはマクロファージは、当該技術分野において公知の1つ以上の単球及び/またはマクロファージマーカー、例えば、CD2、CD11b、CD14、及び/またはCD16の発現により同定することができる。一実施形態では、免疫細胞は、樹状細胞である。樹状細胞は、当該技術分野において公知の1つ以上の樹状細胞マーカー、典型的には、CD11cの発現により同定することができる。さらなる樹状細胞マーカーには、BDCA-1及び/またはCD103が含まれる。
改善された脂質ベース組成物、例えば、本開示のLNPは、例えば、2つ以上の異なるLNPの投与によって、2つ以上の核酸分子を免疫細胞または免疫細胞の異なる集団に送達するのに有用である。一実施形態では、本開示の方法は、第1のLNP及び第2のLNPを同時に、または連続して、免疫細胞に接触させること(または対象に投与すること)を含み、第1及び第2のLNPは、同じかまたは異なる核酸分子を封入し、第1及び第2のLNPは、成分としてフィトステロールを含む。他の実施形態では、本開示の方法は、第1のLNP及び第2のLNPを同時に、または連続して、免疫細胞に接触させること(または対象に投与すること)を含み、第1及び第2のLNPは、同じかまたは異なる核酸分子を封入し、第1のLNPは、成分としてフィトステロールを含み、第2のLNPは、フィトステロールを欠いている。
免疫細胞活性を阻害する方法
本開示は、免疫細胞活性(例えば、T細胞活性、B細胞活性、NK細胞活性、樹状細胞活性、及び/またはマクロファージ活性)を阻害する方法を提供する。一実施形態では、免疫細胞活性は、インビトロで阻害される。別の実施形態では、免疫細胞活性は、例えば、対象、例えば、ヒト対象において、インビボで阻害される。一実施形態では、方法は、免疫細胞の活性が阻害されるように、免疫細胞破壊因子(例えば、TCD、BCD)をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド(例えば、mRNA)構築物を含む本開示の組成物(またはその脂質ナノ粒子、またはその医薬組成物)を免疫細胞に投与すること(例えば、対象に投与すること)を含む。一実施形態では、免疫細胞活性を阻害することは、免疫細胞増殖を阻害することを含む。一実施形態では、免疫細胞活性を阻害することは、サイトカイン産生を阻害することを含む。一実施形態では、免疫細胞活性を阻害することは、免疫グロブリン産生、例えば、抗原特異的抗体産生を阻害することを含む。
インビトロまたは対象内での免疫細胞活性の阻害は、免疫応答を評価するための当該技術分野で確立された、限定されないが、実施例に記載の方法を含む、様々な方法によって評価することができる。例えば、様々な実施形態では、阻害は、例えば、標準ELISAによって、サイトカイン産生及び/または抗体産生のレベルを測定することによって、及び/または、当該技術分野において公知の標準方法によって細胞増殖を評価することによって評価される。
免疫細胞への送達を強化するため、本明細書に記載されるように、少なくとも1つの免疫細胞送達増強脂質を含む脂質ナノ粒子内に封入される本開示のポリヌクレオチド組成物を、免疫細胞または対象に投与することができる。B細胞へのインビトロ送達について、B細胞は、実施例6に記載されるように事前に活性化することができる。
本開示の組成物は、有効量で対象に投与される。一般に、有効量の組成物は、細胞内でのコードされたポリペプチドの効率的な産生を可能にする。効率のための測定基準は、ポリペプチド翻訳(ポリペプチド発現によって示される)、mRNA分解のレベル、及び免疫応答指標を含み得る。
治療方法
対象内の免疫細胞活性を阻害する本開示の方法は、様々な臨床、予防または治療用途において使用することができる。例えば、方法は、異常な免疫活性を有する対象、例えば、自己免疫疾患、アレルギー疾患、または炎症反応に苦しんでいる対象における免疫応答(例えば、抗原特異的免疫応答)を阻害するために使用することができる。さらに、方法は、臓器移植レシピエントにおける移植拒絶反応を阻害し、例えば、骨髄移植レシピエントにおける移植片対宿主病を阻害するために使用することができる。さらに、方法は、免疫療法レジメンにおける免疫細胞活性を下方調節することで、治療目的のために刺激される免疫活性化の程度を制御するために使用することができる。特に、免疫療法レジメンが、免疫応答の過剰刺激をもたらし、有害な副作用をその結果として生じる状況では、本開示の免疫阻害方法は、免疫療法レジメンにより提供される免疫刺激の程度を「弱める(tamp down)」ことで、この刺激からの有害な副作用を軽減するために使用することができる。
したがって、一態様では、本開示は、免疫応答の阻害を必要とする対象においてそれを行う方法であって、本開示の組成物(またはその脂質ナノ粒子、またはその医薬組成物)を対象に投与することを含む、方法に関する。方法は、1つ以上のさらなる薬剤、例えば、1つ以上のさらなる免疫阻害剤または免疫抑制剤を対象に投与することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、mRNA(複数可)、ナノ粒子、または医薬組成物は、患者に非経口的に投与される。特定の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、ヒトである。様々な実施形態では、対象には、有効量のmRNA(複数可)を提供する。
本開示の方法に従って処置することができる自己免疫疾患の非限定例としては、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む)、1型糖尿病、多発性硬化症、乾癬、グレーブス病、橋本甲状腺炎、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、ギラン・バレー症候群、重症筋無力症、糸球体腎炎、及び血管炎が挙げられる。
本開示の方法に従って調節することができる臨床免疫療法レジメンの非限定例としては、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、CTLA4、PD-1、またはPD-L1を標的にする薬剤)による処置、及びCAR-T細胞(養子T細胞移入免疫療法)による処置が挙げられる。
本開示の1つ以上のmRNAを含む医薬組成物は、任意の適切な経路によって対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、非経口(例えば、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液内、胸骨内、髄腔内、病巣内または頭蓋内注射ならびに任意の適切な注入技術)、経口、経皮または皮内、皮内、直腸内、膣内、局所(例えば、粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、及び/またはドロップによる)、粘膜、経鼻、口腔内、経腸、硝子体、腫瘍内、舌下、鼻腔内を含む経路、気管内注入、気管支注入、及び/または吸入により、経口スプレー及び/または粉末、鼻腔スプレー、及び/またはエアロゾルとして、及び/または門脈カテーテルを含む種々の経路のうち1つ以上によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内、筋肉内、皮内、動脈内、腫瘍内、皮下または吸入によって投与してもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、筋肉内投与される。しかしながら、本開示は、薬物送達の科学における可能性のある進歩を考慮に入れた任意の適切な経路による本開示の組成物の送達を包含する。一般に、最も適切な投与経路は、1つ以上のmRNAを含む医薬組成物の性質(例えば、血流及び胃腸管などの様々な身体環境におけるその安定性)、及び患者の状態(例えば、患者が特定の投与経路に耐えることができるか否か)を含む様々な要因に依存する。
ある特定の実施形態では、本開示の組成物は、所定の用量中で、約0.0001mg/kg~約10mg/kg、約0.001mg/kg~約10mg/kg、約0.005mg/kg~約10mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約2mg/kg~約10mg/kg、約5mg/kg~約10mg/kg、約0.0001mg/kg~約5mg/kg、約0.001mg/kg~約5mg/kg、約0.005mg/kg~約5mg/kg、約0.01mg/kg~約5mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約5mg/kg、約2mg/kg~約5mg/kg、約0.0001mg/kg~約1mg/kg、約0.001mg/kg~約1mg/kg、約0.005mg/kg~約1mg/kg、約0.01mg/kg~約1mg/kg、または約0.1mg/kg~約1mg/kgを送達するのに十分な投薬レベルで投与されてもよいが、1mg/kgの用量では、対象の体重1kgあたり1mgのmRNAまたはナノ粒子が得られる。特定の実施形態では、本開示のmRNAまたはナノ粒子の約0.005mg/kg~約5mg/kgの用量が投与され得る。
いくつかの実施形態では、治療組成物中のRNAポリヌクレオチドの投与量は、1用量あたり1~5μg、5~10μg、10~15μg、15~20μg、10~25μg、20~25μg、20~50μg、30~50μg、40~50μg、40~60μg、60~80μg、60~100μg、50~100μg、80~120μg、40~120μg、40~150μg、50~150μg、50~200μg、80~200μg、100~200μg、100~300μg、120~250μg、150~250μg、180~280μg、200~300μg、30~300μg、50~300μg、80~300μg、100~300μg、40~300μg、50~350μg、100~350μg、200~350μg、300~350μg、320~400μg、40~380μg、40~100μg、100~400μg、200~400μg、または300~400μgである。いくつかの実施形態では、免疫調節治療組成物は、皮内注射または筋肉内注射によって対象に投与される。いくつかの実施形態では、免疫調節治療組成物は、0日目に対象に投与される。いくつかの実施形態では、免疫調節治療組成物の第2の用量は、7日目、または14日目または21日目に対象に投与される。
いくつかの実施形態では、25マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、10マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、30マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、100マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、50マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、75マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、150マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、400マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、300マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、200マイクログラムの用量のRNAポリヌクレオチドが、対象に投与される免疫調節治療組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、RNAポリヌクレオチドは、遠位リンパ節と比較して局所リンパ節において100倍高いレベルで蓄積する。他の実施形態では、免疫調節治療組成物は、化学的に修飾されており、他の実施形態では、免疫調節治療組成物は、化学的に修飾されていない。
いくつかの実施形態では、有効量は1~100μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は100μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、対象に合計1回または2回投与される25μgの用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、対象に合計2回投与される100μgの用量である。いくつかの実施形態では、この有効量は、1μg~10μg、1μg~20μg、1μg~30μg、5μg~10μg、5μg~20μg、5μg~30μg、5μg~40μg、5μg~50μg、10μg~15μg、10μg~20μg、10μg~25μg、10μg~30μg、10μg~40μg、10μg~50μg、10μg~60μg、15μg~20μg、15μg~25μg、15μg~30μg、15μg~40μg、15μg~50μg、20μg~25μg、20μg~30μg、20μg~40μg、20μg~50μg、20μg~60μg、20μg~70μg、20μg~75μg、30μg~35μg、30μg~40μg、30μg~45μg、30μg~50μg、30μg~60μg、30μg~70μg、30μg~75μgの用量であり、対象に合計1回または2回、またはそれ以上投与され得る。
用量は、所望のレベルのmRNA発現及び/または効果(例えば、治療効果)を得るために、1日に1回以上同じ量または異なる量で投与されてもよい。所望の投与量は、例えば、1日3回、1日2回、1日1回、隔日、3日ごと、毎週、2週間ごと、3週間ごと、または4週間ごとに送達されてもよい。ある特定の実施形態では、所望の投与量は、複数回投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14またはそれ以上の投与)を用いて送達され得る。例えば、ある特定の実施形態では、本開示の組成物は、少なくとも2回投与され、ここで第2の用量は、第1の用量が投与された後、少なくとも1日、または少なくとも3日、または少なくとも7日、または少なくとも10日、または少なくとも14日、または少なくとも21日、または少なくとも28日、または少なくとも35日、または少なくとも42日、または少なくとも48日経ってから投与される。ある特定の実施形態では、第1及び第2の用量は、それぞれ0日目及び2日目に、またはそれぞれ0日目及び7日目に、またはそれぞれ0日目及び14日目に、またはそれぞれ0日目及び21日目に、またはそれぞれ0日目及び48日目に投与される。追加の投与量(すなわち、3回目の投与量、4回目の投与量など)は、最初の2回投与量が投与されたのと同じスケジュールで投与されてもまたは異なるスケジュールで投与されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1及び第2の投与量は、7日間隔で投与され、次いで1回以上の追加投与量がその後毎週投与される。別の実施形態では、第1及び第2の投与量は7日間隔で投与され、次いで、2週間ごとに1回以上のさらなる投与量がその後に投与される。
いくつかの実施形態では、単回用量は、例えば、外科的手順の前もしくは後に、または急性の疾患、障害もしくは病態の場合、投与され得る。任意の特定の患者に対する具体的な治療上有効、予防上有効、またはそれ以外の適切な用量レベルは、もしあれば、治療される障害の重症度及び同定、使用された1つ以上のmRNA、採用した特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食事、使用した特定の医薬組成物の投与時間、投与経路、及び排泄速度、処置期間、使用される特定の医薬組成物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、医学の分野で周知の同様の要因を含む様々な要因に依存する。
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、別の薬剤、例えば、別の治療剤、予防剤、及び/または診断剤と組み合わせて投与されてもよい。「と組み合わせて」とは、薬剤を同時に投与しなければならない、及び/または一緒に送達するために処方しなければならないことを示唆することを意図するものではないが、これらの送達方法は、本開示の範囲内である。例えば、1つ以上の異なるmRNAを含む1つ以上の組成物を組み合わせて投与してもよい。組成物は、1つ以上の他の所望の治療薬または医療手順と同時に、その前に、またはその後に投与されてもよい。一般に、各薬剤はその薬剤について決定された用量及び/またはタイムスケジュールで投与されるであろう。いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の組成物、またはそのイメージング、診断もしくは予防組成物の送達であって、それらのバイオアベイラビリティーを改善し、それらの代謝を低減及び/または改変し、それらの排泄を阻害し、及び/または体内でのそれらの分布を改変する薬剤と組み合わせた送達を包含する。
併用レジメンで使用する療法(治療薬または手順)の特定の組み合わせは、所望の治療薬及び/または手順の適合性、ならびに達成されるべき所望の治療効果を考慮に入れる。使用される療法が同じ障害に対して所望の効果を達成し得る(例えば、がんを処置するのに有用な組成物は、化学療法剤と同時に投与され得る)、またはそれらは異なる効果(例えば、有害作用の制御)を達成し得ることも理解される。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示は、個体における免疫応答を阻害するための、脂質ナノ粒子、及び任意の薬学的に許容される担体、または医薬組成物、ならびに脂質ナノ粒子または医薬組成物の投与の説明書を含む添付文書を備える容器を備えるキットを提供する。
任意の前述のまたは関連する態様では、本開示は、個体における免疫応答を阻害するための、脂質ナノ粒子、及び任意の薬学的に許容される担体、または医薬組成物、を含む医薬、ならびに脂質ナノ粒子または医薬の投与の説明書を含む添付文書を備える容器を備えるキットを提供する。
定義
「自己免疫障害」は、本明細書で使用する場合、白血球(例えば、B細胞、T細胞、マクロファージ、単球、または樹状細胞)の作用を介して、1つ以上の内在性抗原、すなわち、1つ以上の自己抗原に対する病的免疫応答(例えば、持続時間及び/または大きさが病理学的)が、1つ以上の自己抗原を担持する細胞への直接の攻撃、免疫複合体形成、または局所炎症から生じ得る組織の損傷を結果として生じる病状を指す。自己免疫疾患は、自己抗原に対する免疫系活性化による炎症の増加によって特徴付けられる。
「同種移植(allograft)」、「同種移植(homograft)」及び「同種異系移植片」という用語は、異なる遺伝子型を有する同じ種のある個体から別の個体への臓器または組織の移植、例えば、死体、生体血縁、及び生体非血縁ドナーからの移植を指す。ある個体から同じ個体に移植された移植片は、「自家移植片」または「自己移植片」と呼ばれる。2つの遺伝的に同一または同系の個体間で移植された移植片は、「同系移植片」と呼ばれる。異なる種の個体間で移植された移植片は、「異種移植片」または「ゼノグラフト」と呼ばれる。
本明細書で使用する場合、「免疫応答」またはその等価物「免疫学的応答」という語句は、自己抗原または自己抗原の関連エピトープに向けられた細胞性(抗原特異的T細胞またはそれらの分泌産物によって媒介される)の発生を指す。細胞性免疫応答は、クラスIまたはクラスII MHC分子と会合したポリペプチドエピトープの提示によって誘発されて、抗原特異的CD4+Tヘルパー細胞及び/またはCD8+細胞傷害性T細胞を活性化する。応答はまた、他の成分の活性化を含み得る。
本明細書で使用する場合、「免疫細胞」という用語は、免疫応答に役割を果たす細胞を指し、リンパ球(例えば、B細胞及びT細胞)、ナチュラルキラー細胞、骨髄細胞(例えば、単球、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球)が挙げられる。
「免疫応答」とは、外来物質に対する脊椎動物内の生物学的応答を指し、この応答が、これらの物質及びそれらによって引き起こされる疾患から生物を保護する。免疫応答は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞または好中球)及びこれらの細胞のいずれかまたは肝臓によって産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン及び補体を含む)の作用によって媒介され、これは、進入する病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、癌性もしくは他の異常な細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合には、正常なヒト細胞もしくは組織の選択的標的化、結合、損傷、破壊及び/またはそれらの脊椎動物の身体からの排除をもたらす。免疫反応には、例えば、T細胞、例えば、エフェクターT細胞またはTh細胞(CD4+またはCD8+T細胞など)の活性化または阻害、またはTreg細胞の阻害が含まれる。
「免疫療法」とは、免疫応答を誘導、増強、抑制またはそれ以外に修飾することを含む方法による、疾患に苦しむ対象、それを起こすリスクがある対象、またはその再発に悩む対象の治療を指す。
「自己免疫障害を発症する危険性がある」ヒトとは、自己免疫障害の家族歴(例えば、1つ以上の炎症性障害に対する遺伝的素因)を有するヒト、または1つ以上の自己免疫障害/自己抗体誘導性状態に曝露されたヒトを指す。例えば、志賀毒素に曝露されたヒトは、典型的HUSを発症する危険性がある。ある特定のがん(例えば、多発性骨髄腫または慢性リンパ性白血病などの液性腫瘍)を有するヒトは、ある特定の自己免疫溶血性疾患を発症する素因がある患者であり得る。例えば、PCHは、様々な感染症(例えば、梅毒)または非ホジキンリンパ腫などの新生物を辿り得る。別の例では、CADは、HIV感染、マイコプラズマ肺炎感染、非ホジキンリンパ腫、またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症と関連し得る。さらに別の例では、自己免疫溶血性貧血は、ヒト慢性リンパ性白血病の周知の合併症であり、疾患が進行したCLL患者のおよそ11%は、AIHAを発症する。30%程度のCLLは、AIHAを発症する危険性があり得る。例えば、Diehl et al.(1998)Semin Oncol 25(1):80-97及びGupta et al.(2002)Leukemia 16(10):2092-2095を参照されたい。
「自己免疫障害を有することが疑われる」ヒトは、自己免疫障害の1つ以上の症状を示すヒトである。自己免疫障害の症状は、特定の自己免疫障害の重篤度及び種類において変化し得、発赤、腫脹(例えば腫脹関節)、触れると温かい関節、関節痛、こわばり、関節機能の喪失、発熱、悪寒、疲労、活力消失、疼痛、発熱、蒼白、黄疸、蕁麻疹の皮膚の発疹、血色素尿症、ヘモグロビン血症、及び貧血(例えば、重度の貧血)、頭痛、食欲不振、筋硬直、不眠症、そう痒、鼻づまり、くしゃみ、咳、1つ以上の神経性の症状(めまい、発作または疼痛など)を含むが、これらに限定されない。上記のことから、全てのヒトが、「自己免疫障害を有することが疑われる」わけではないことが明らかである。
投与:本明細書で使用する場合、「投与する」とは、組成物を対象または患者に送達する方法を指す。投与方法は、身体の特定の領域または系に送達を標的化する(例えば、特異的に送達する)ために選択され得る。例えば、投与は、非経口(例えば、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液内、胸骨内、髄腔内、病巣内、または頭蓋内注射、ならびに任意の適切な注入技術)、経口、経皮、もしくは皮内、皮内、直腸内、膣内、局所用(例えば、粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、及び/またはドロップによる)、粘膜、鼻腔、口腔内、経腸、硝子体、腫瘍内、舌下、鼻腔内であってもよく、気管内注入、気管支注入、及び/または吸入によるものであってもよく、経口スプレー及び/または粉末、鼻腔スプレー、及び/またはエアロゾルとして、及び/または門脈カテーテルを通してであってもよい。
おおよそ、約:本明細書で使用する場合、「ほぼ、おおよそ(approximately)」または「約、ほぼ(about)」とは、1つ以上の目的の値に適用される場合、述べられた参照値と同様の値を指す。ある特定の実施形態では、「ほぼ、おおよそ(approximately)」または「約、ほぼ(about)」という用語は、特に明記しない限り、または文脈から明らかな場合を除き、いずれかの方向(超えるかまたは下回る)で、言及した参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内におさまる値の範囲を指す(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)。例えば、LNPの脂質成分中の所与の化合物の量という文脈において、「約、ほぼ(about)」は、列挙される値の+/-5%を意味し得る。例えば、約40%の所与の化合物を有する脂質成分を含むLNPは、30~50%の化合物を含み得る。別の例では、少なくとも約15%のT細胞への送達は、10~20%のT細胞への送達を含み得る。
がん:本明細書で使用する場合、「がん」とは、異常な及び/または未制御の細胞増殖を含む状態、例えば、G1進行が無秩序に制御されている細胞である。例示的な非限定的ながんとしては、副腎皮質癌、進行癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨転移、脳腫瘍、脳癌、乳癌、小児癌、原発不明癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質性腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎細胞癌、喉頭癌及び下咽頭癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄異形成症候群(難治性貧血及び難治性血球減少症を含む)、骨髄増殖性新生物または疾患(真性多血症、本態性血小板増多症及び原発性骨髄線維症を含む)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫瘍、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔及び口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、成人軟部肉腫、基底及び扁平上皮癌、黒色腫、小腸癌、胃癌、精巣癌、咽喉癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、及びがん処置による二次がんが挙げられる。特定の実施形態では、がんは、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)または結腸直腸癌である。他の実施形態では、がんは、血液系癌または造血系癌である。
コンジュゲートされた:本明細書で使用する場合、「コンジュゲートされた」という用語は、2つ以上の部分に関して使用される場合、その部分が直接、または連結剤として働く1つ以上の追加の部分を介して物理的に会合または互いに結合して、構造が使用される条件下、例えば、生理学的条件下で、その部分が物理的に会合したままであるように十分に安定な構造を形成することを意味する。いくつかの実施形態では、2つ以上の部分が直接共有化学結合によってコンジュゲートされてもよい。他の実施形態では、2つ以上の部分がイオン結合または水素結合によってコンジュゲートされてもよい。
接触:本明細書で使用する場合、「接触する」という用語は、2つ以上の実体の間の物理的接続を確立することを意味する。例えば、細胞をmRNAまたは脂質ナノ粒子組成物と接触させることは、その細胞及びmRNAまたは脂質ナノ粒子が物理的結合を共有するように作られることを意味する。インビボ、インビトロで、及びエクスビボの両方で細胞を外部実体と接触させる方法は、生物学的分野において周知である。本開示の例示的な実施形態では、哺乳動物細胞を組成物(例えば、本開示のナノ粒子、または医薬組成物)と接触させるステップはインビボで行われる。例えば、脂質ナノ粒子組成物と生物(例えば、哺乳動物)内に配置され得る細胞(例えば、哺乳動物細胞)とを接触させることは、任意の適切な投与経路(例えば、静脈内、筋肉内、皮内及び皮下投与を含む、生物への非経口投与)によって行われ得る。インビトロで存在する細胞の場合、例えば、組成物を細胞の培地に添加することによって組成物(例えば、脂質ナノ粒子)と細胞とを接触させてもよく、トランスフェクションを伴う場合もあるし、生じる場合もある。さらに、2つ以上の細胞がナノ粒子組成物によって接触されてもよい。
送達:本明細書で使用する場合、用語「送達」は、目的地に実体を提供することを意味する。例えば、対象への治療薬及び/または予防薬の送達は、治療薬及び/または予防薬を含むLNPを対象に投与すること(例えば静脈内、筋肉内、皮内、または皮下経路による)を含んでもよい。哺乳動物または哺乳動物細胞へのLNPの投与は、1つまたは複数の細胞と、脂質ナノ粒子とを接触させることを含んでもよい。
封入する:本明細書で使用する場合、「封入する」という用語は、包み込む、囲む、または内包することを意味する。いくつかの実施形態では、化合物、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)、または他の組成物は、完全に封入されていても、部分的に封入されていても、または実質的に封入されていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、脂質ナノ粒子、例えば、リポソーム中に封入されてもよい。
封入効率:本明細書で使用する場合、「封入効率」とは、LNPの調製において使用される治療薬及び/または予防薬の初期総量と比較して、LNPの一部になる治療薬及び/または予防薬の量を指す。例えば、組成物に最初に提供される合計100mgの治療薬及び/または予防薬のうち、97mgの治療薬及び/または予防薬がLNP中に封入される場合、封入効率は、97%として与えることができる。本明細書で使用する場合、「封入」は、完全、実質的、または部分的な封止、閉じ込め、包囲、または内包を指し得る。
強化送達:本明細書で使用する場合、「強化送達」という用語は、目的の標的細胞(例えば、免疫細胞)への対照ナノ粒子による核酸(例えば、治療薬及び/または予防薬mRNA)の送達のレベルと比較して、目的の標的細胞(例えば、免疫細胞)へのナノ粒子による核酸(例えば、治療薬及び/または予防薬mRNA)の、より多い(例えば、少なくとも10%多い、少なくとも20%多い、少なくとも30%多い、少なくとも40%多い、少なくとも50%多い、少なくとも1.5倍多い、少なくとも2倍多い、少なくとも3倍多い、少なくとも4倍多い、少なくとも5倍多い、少なくとも6倍多い、少なくとも7倍多い、少なくとも8倍多い、少なくとも9倍多い、少なくとも10倍多い)送達を意味する。例えば、本開示の免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPによる「強化送達」は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている同じLNPとの比較によって評価することができる。特定の細胞(例えば、免疫細胞)への免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPの送達レベルは、(例えば、フローサイトメトリーを用いた平均蛍光強度によって)フィトステロール含有LNP対免疫細胞送達増強脂質を欠いている同じLNPを用いて、標的細胞中で産生されたタンパク質の量を比較すること、(例えば、定量的フローサイトメトリーによって)免疫細胞送達増強脂質を含有するLNP対免疫細胞送達増強脂質を欠いている同じLNPを用いて、トランスフェクトされた標的細胞の%を比較すること、または免疫細胞送達増強脂質を含有するLNP対免疫細胞送達増強脂質を欠いている同じLNPを用いて、標的細胞中の治療薬及び/または予防薬の量をインビボで比較することによって測定され得る。ナノ粒子の標的細胞への強化送達が、治療される対象において決定される必要はなく、動物モデル(例えば、マウスまたは非ヒト霊長類モデル)などの代理において決定され得ることが理解されよう。例えば、免疫細胞への強化送達を決定するために、マウスまたはNHPモデルを使用することができ、免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPによる目的のタンパク質をコードするmRNAの送達は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている同じLNPと比較して、免疫細胞(例えば、脾臓、末梢血、及び/または骨髄)中で評価することができる(例えば、フローサイトメトリー、顕微鏡検査法など)。
有効量:本明細書で使用する場合、ある因子の「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果、例えば、臨床結果をもたらすのに十分な量であり、したがって、「有効量」とは、それが関係する文脈次第である。例えば、本開示の脂質組成物(例えば、LNP)中の免疫細胞送達増強脂質の量という文脈において、有効量の免疫細胞送達増強脂質は、免疫細胞送達増強脂質を欠いている脂質組成物(例えば、LNP)と比較して、有益または所望の結果をもたらすのに十分な量である。脂質組成物(例えば、LNP)によってもたらされる有益または所望の結果の非限定例としては、トランスフェクトされた細胞のパーセンテージの増加、及び/または脂質組成物(例えば、LNP)と会合する/脂質組成物(例えば、LNP)によって封入された核酸によってコードされるタンパク質の発現レベルの増加が挙げられる。有効量の脂質ナノ粒子が対象内の免疫細胞に取り込まれるように、免疫細胞送達増強脂質を含有する脂質ナノ粒子を投与することという文脈において、有効量の免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPは、免疫細胞送達増強脂質を欠いているLNPと比較して、有益または所望の結果をもたらすのに十分な量である。対象内の有益または所望の結果の非限定例としては、免疫細胞送達増強脂質を欠いているLNPと比較して、トランスフェクトされた細胞のパーセンテージの増加、免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPと会合する/免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPによって封入される核酸によってコードされるタンパク質の発現レベルの増加、及び/または免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPと会合する/免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPによって封入される核酸またはそのコードタンパク質の予防または治療効果のインビボの増加が挙げられる。いくつかの実施形態では、治療有効量の免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPは、感染、疾患、障害、及び/または病態に罹患しているかまたは罹患しやすい対象に投与した場合、感染、疾患、障害、及び/または病態を治療する、その症状を改善する、その発症を診断する、予防する、及び/または遅らせるのに十分である。別の実施形態では、有効量の脂質ナノ粒子は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%またはそれ以上の免疫細胞における所望のタンパク質の発現をもたらすのに十分である。例えば、有効量の免疫細胞送達増強脂質を含有するLNPは、単回静脈内注射後に、少なくとも5%、10%または15%の脾臓T細胞、少なくとも5%、10%、15%、20%または25%の脾臓B細胞、及び/または少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%または40%の脾臓樹状細胞のトランスフェクションをもたらす量であり得る。
発現:本明細書で使用する場合、核酸配列の「発現」とは、以下の事象のうちの1つ以上を指す:(1)DNA配列からの(例えば、転写による)RNAテンプレートの生成;(2)RNA転写物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端プロセシングによる);(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳であり;ならびに(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
エクスビボ:本明細書で使用する場合、用語「エクスビボ」とは、生物(例えば動物、植物、もしくは微生物またはその細胞もしくは組織)の外部で起こる事象を指す。エクスビボでの事象は、天然の(例えば、インビボ)環境から最小限に変化した環境中で起こってもよい。
断片:「断片」とは、本明細書において用いる場合、ある部分を指す。例えば、タンパク質の断片は、培養細胞から単離された全長タンパク質を消化することによって得られるか、または組換えDNA技術によって得られるポリペプチドを含んでもよい。タンパク質の断片がタンパク質の機能的活性を保持するように、タンパク質の断片は、例えば、1つ以上の機能的ドメインを含むタンパク質の部分であり得る。
GCリッチ:本明細書で使用する場合、「GCリッチ」という用語は、グアニン(G)、及び/またはシトシン(C)核酸塩基を含む、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)、またはその任意の部分(例えば、RNA要素)の核酸塩基組成物、またはその誘導体もしくは類似体(ここで、GC含有量は、約50%を超える)を指す。「GCリッチ」という用語は、限定するものではないが、遺伝子、非コード領域、5’UTR、3’UTR、オープンリーディングフレーム、RNA要素、配列モチーフ、またはそれらの任意の個別の配列、断片、もしくはセグメント(約50%のGC含有量を含む)を含む、ポリヌクレオチドの全部または一部を指す。本開示のいくつかの実施形態では、GCリッチのポリヌクレオチド、またはその任意の部分は、グアニン(G)、及び/またはシトシン(C)核酸塩基のみから構成される。
GC含量:本明細書で使用する場合、「GC含有量」という用語は、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)またはその一部(例えば、RNA要素)の中の核酸塩基(グアニン(G)、及びシトシン(C)核酸塩基、またはその誘導体もしくは類似体のいずれかである)の割合を指す(DNA中及びRNA中の、アデニン(A)、及びチミン(T)もしくはウラシル(U)ならびにそれらの誘導体もしくは類似体を含む可能性のある核酸塩基の総数から)である。「GC含量」という用語は、限定するものではないが、遺伝子、非コード領域、5’または3’UTR、オープンリーディングフレーム、RNA要素、配列モチーフ、またはそれらの任意の別個の配列、断片、もしくはセグメントを含むポリヌクレオチドの全部または一部を指す。
異種:本明細書で使用する場合「異種」とは、配列(例えば、アミノ酸配列またはアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド)が通常、所与のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに存在しないことを示す。例えば、あるタンパク質のドメインまたはモチーフに相当するアミノ酸配列は、第2のタンパク質に対して異種であってもよい。
単離された:本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、それが関連した(自然界でも実験環境でも)構成要素の少なくともいくつかから分離されている物質または実体を指す。単離された物質は、それらが関連している物質に関連して様々なレベルの純度を有し得る。単離された物質及び/または実体は、それらが最初に関連していた他の構成要素の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれ以上から分離され得る。いくつかの実施形態では、単離された因子は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書において用いる場合、他の構成要素を実質的に含まないならば、その物質は「純粋」である。
Kozak配列:「Kozak配列」(「Kozakコンセンサス配列」とも呼ばれる)という用語は、遺伝子またはオープンリーディングフレームの発現を増強するための翻訳開始エンハンサー要素を指し、これは、真核生物においては5’UTRに位置する。プレプロインスリン遺伝子の翻訳に対する開始コドン(AUG)を囲む単一の変異の影響の分析に続いて、Kozakコンセンサス配列はもともと配列GCCRCC(R=プリン)として定義された(Kozak(1986)Cell 44:283-292)である。本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、Kozakコンセンサス配列、またはその誘導体もしくは改変体を含む。(翻訳エンハンサー組成物及びその使用方法の例、その全体が参照により本明細書に組み込まれるAndrewsらの米国特許第5,807,707号であり;その全体が参照により本明細書に組み込まれるChernajovskyの米国特許第5,723,332号であり;その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wilsonの米国特許第5,891,665号を参照されたい)である。
リーキースキャニング:「リーキースキャニング」として知られる現象が起こり得、それによってPICは開始コドンを迂回し、代わりに、代替のまたは代わりの開始コドンが認識されるまで下流へのスキャニングを続ける。発生頻度に応じて、PICによる開始コドンの迂回は、翻訳効率の低下をもたらし得る。さらに、この下流のAUGコドンからの翻訳が起こり得るが、それは所望の処置反応を引き出すことができないかもしれない、所望されない、異常な翻訳産物の産生をもたらすであろう。ある場合、異常な翻訳産物が実際に有害な反応を生じ得る(Kracht et al.,(2017)Nat Med 23(4):501-507)である。
リポソーム:本明細書で使用する場合、「リポソーム」とは、水性内部を囲む脂質含有膜を含む構造を意味する。リポソームは、1つ以上の脂質膜を有してもよい。リポソームとしては、単層リポソーム(single-layered liposomes)(当該技術分野において単層リポソーム(unilamellar liposomes)としても知られている)、及び多層リポソーム(multi-layered liposomes)(当該技術分野において多層リポソーム(multilamellar liposomes)としても知られている)が挙げられる。
転移:本明細書で使用する場合、「転移」という用語は、がんが最初に発生した場所から原発腫瘍として身体内の離れた場所に拡がる過程を意味する。このプロセスの結果として生じた二次腫瘍は、「転移」と呼ばれる場合もある。
修飾:本明細書で使用される「修飾された」または「修飾」とは、ポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の変化した状態または組成もしくは構造の変化を指す。ポリヌクレオチドは、様々な方法で、例えば、化学的に、構造的に、及び/または機能的に修飾され得る。例えば、ポリヌクレオチドは、1つ以上の機能(例えば、翻訳制御活性)を提供する配列及び/またはRNA二次構造(複数可)を含む、1つ以上のRNA要素の組み込みによって構造的に修飾されてもよい。したがって、本開示のポリヌクレオチドは、1つ以上の修飾(例えば、1つ以上の化学的修飾、構造的修飾、または機能的修飾(それらの任意の組み合わせを含む)を含み得る)から構成されてもよい。
修飾された:本明細書で使用する場合、「修飾された」とは、本開示の分子の状態または構造の変化を指す。化学的、構造的、及び機能的などの多くの方法で分子を修飾することができる。一実施形態では、本開示のmRNA分子は、例えば、それが天然のリボヌクレオチド、A、U、G及びCに関する場合、非天然ヌクレオシド及び/またはヌクレオチドの導入によって修飾される。キャップ構造などの非標準ヌクレオチドは、A、C、G、Uリボヌクレオチドの化学構造とは異なるが、「修飾された」とは考えられない。
mRNA:本明細書で使用する場合、「mRNA」とは、メッセンジャーリボ核酸を指す。mRNAは、天然のものであっても、天然のものでなくてもよい。例えば、mRNAは、1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはリンカーなどの修飾された構成要素を含んでも、及び/または天然に存在しない構成要素を含んでもよい。mRNAは、キャップ構造、鎖終結ヌクレオシド、ステムループ、ポリA配列、及び/またはポリアデニル化シグナルを含んでもよい。mRNAは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有し得る。mRNAの翻訳、例えば、哺乳動物細胞内でのmRNAのインビボ翻訳は、ポリペプチドを産生し得る。伝統的に、mRNA分子の基本的な構成要素としては、少なくともコード領域、5’-非翻訳領域(5’-UTR)、3’UTR、5’キャップ及びポリA配列が挙げられる。
ナノ粒子:本明細書で使用する場合、「ナノ粒子」とは、同じ材料のバルク試料と比較して新規な特性を示す、約1000nm未満のスケールのいずれか1つの構造的特徴を有する粒子を指す。通常、ナノ粒子は、約500nm未満、約200nm未満、または約100nmのスケールでいずれか1つの構造的特徴を有する。また、通常、ナノ粒子は、約50nm~約500nm、約50nm~約200nm、または約70~約120nmのスケールのいずれか1つの構造的特徴を有する。例示的な実施形態では、ナノ粒子は、約1~1000nm程度の1つ以上の寸法を有する粒子である。他の例示的な実施形態では、ナノ粒子は、約10~500nm程度の1つ以上の寸法を有する粒子である。他の例示的な実施形態では、ナノ粒子は、約50~200nm程度の1つ以上の寸法を有する粒子である。球状ナノ粒子は、例えば、約50~100または70~120ナノメートルの直径を有するであろう。ナノ粒子は、ほとんどの場合、その輸送と特性の観点から1つの単位として挙動を示す。ナノ粒子を対応するバルク材料と区別する新規な特性は、典型的には1000nm未満のサイズスケール、または約100nmのサイズで発達するが、ナノ粒子は、例えば、長楕円形、管状などの粒子の場合、より大きなサイズであり得ることに留意されたい。大部分の分子のサイズは上記の概要に適合するが、個々の分子は通常ナノ粒子とは呼ばれない。
核酸:本明細書で使用する場合、「核酸」という用語はその最も広い意味で使用され、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物及び/または物質を包含する。これらのポリマーは、しばしばポリヌクレオチドと呼ばれる。本開示の例示的な核酸またはポリヌクレオチドとしては、限定するものではないが、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、DNA-RNAハイブリッド、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒性DNA、三重らせん形成を誘導するRNA、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA、例としては、β-D-リボ立体配置を有するLNA、α-L-リボ立体配置を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)、2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-LNA、及び2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-α-LNA)またはそれらのハイブリッドが挙げられる。
核酸構造:本明細書で使用する場合、「核酸構造」(「ポリヌクレオチド構造」と互換可能に使用される)」という用語は、核酸(例えば、mRNA)に含まれる、原子、化学成分、要素、モチーフ、及び/または連結ヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体の配列の配置または編成を指す。この用語は、核酸の二次元または三次元の状態も指す。したがって、「RNA構造」という用語は、RNA分子(例えば、mRNA)に含まれる、原子、化学成分、要素、モチーフ、及び/または連結ヌクレオチドまたはその誘導体もしくは類似体の配列の配置または編成を指し、及び/またはRNA分子の二次元及び/または三次元の状態を指す。核酸構造は、編成上の複雑さの増大に基づいて、本明細書で「分子構造」、「一次構造」、「二次構造」、及び「三次構造」と称される4つの編成分類にさらに分類され得る。
核酸塩基:本明細書で使用する場合、「核酸塩基」という用語(あるいは「ヌクレオチド塩基」または「窒素含有塩基」)とは、核酸またはその一部もしくはセグメントに対する改善された特性(例えば、結合親和性、ヌクレアーゼ耐性、化学的安定性)を付与する、天然に存在するプリン及びピリミジンの任意の誘導体または類似体を含む、核酸中に見られるプリンまたはピリミジン複素環式化合物を指す。アデニン、シトシン、グアニン、チミン、及びウラシルは、主に天然核酸に見られる核酸塩基である。当該技術分野において公知であるか、及び/または本明細書に記載されるような他の天然、非天然及び/または合成核酸塩基を核酸に組み込んでもよい。
ヌクレオシド/ヌクレオチド:本明細書で使用する場合、「ヌクレオシド」という用語は、核酸塩基(例えば、プリンまたはピリミジン)またはそれらの誘導体もしくは類似体(本明細書では「核酸塩基」とも呼ばれる)に共有結合した糖分子(例えば、RNA中のリボースまたはDNA中のデオキシリボース)、またはそれらの誘導体もしくは類似体を含むが、ヌクレオシド間連結基(例えば、リン酸基)を欠く化合物を指す。本明細書で使用する場合、「ヌクレオチド」という用語は、核酸またはその一部もしくはセグメントに対する、化学的及び/または機能的特性(例えば、結合親和性、ヌクレアーゼ耐性、化学的安定性)の改善を付与する、ヌクレオシド間連結基(例えば、リン酸基)に共有結合したヌクレオシド、またはその任意の誘導体、類似体もしくは修飾を指す。
オープンリーディングフレーム:本明細書で使用する場合、「オープンリーディングフレーム」という用語(「ORF」と略される)は、ポリペプチドをコードするmRNA分子のセグメントまたは領域を指す。ORFは、開始コドンで始まり終止コドンで終わる連続した一続きの重ならないインフレームコドンを含み、リボソームによって翻訳される。
患者:本明細書で使用する場合、「患者」とは、処置を求めているかもしくは処置を必要とするか、処置が必要であるか、処置を受けているか、処置を受ける対象、または特定の疾患もしくは状態に関して訓練を受けた専門家による治療中の対象を指す。特定の実施形態では、患者は、ヒト患者である。いくつかの実施形態では、患者は、がん(例えば、肝臓癌または結腸直腸癌)に罹患している患者である。
薬学的に許容される:「薬学的に許容される」という語句は、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/危険率に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症がなく、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに適している化合物、材料、組成物及び/または剤形を指すように本明細書で使用される。
薬学的に許容される賦形剤:本明細書で使用する場合「薬学的に許容される賦形剤」という句は、本明細書に記載の化合物以外の任意の構成要素(例えば、活性化合物を懸濁または溶解し得るビヒクル)であって、患者において、実質的に無毒かつ非炎症性であるという特性を有する構成要素を指す。賦形剤としては、例えば:付着防止剤、酸化防止剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、色素(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤またはコーティング剤、香料、芳香剤、流動促進剤(流動増強剤)、潤滑剤、防腐剤、印刷インキ、吸収剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、及び水和水が挙げられ得る。例示的な賦形剤としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、レチニルパルミテート、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、ナトリウムグリコール酸デンプン、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールである。
薬学的に許容される塩:本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」とは、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換することによって(例えば、遊離の塩基基と適切な有機酸とを反応させることによって)親化合物が修飾される開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、限定するものではないが、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩であり;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機塩であり;などが挙げられる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、酢酸、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩など、ならびに無毒性アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩及びアミンカチオンの塩が挙げられ、これらには、限定するものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどの塩を含む。本開示の薬学的に許容される塩としては、例えば、無毒性の無機または有機の酸から形成された親化合物の従来の無毒性の塩が挙げられる。本開示の薬学的に許容される塩は、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から、従来の化学的方法によって合成され得る。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を化学量論的量の適当な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中、またはその2つの混合物中で反応させることによって調製され得る(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい)である。適切な塩の列挙は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418,Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley-VCH,2008、及びBerge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66,1-19(1977)(その各々がその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に見出される。
ポリペプチド:本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」または「目的のポリペプチド」という用語は、天然に(例えば、単離または精製され)または合成によって産生され得るペプチド結合によって典型的に連結されるアミノ酸残基のポリマーを指す。
開始前複合体(PIC):本明細書で使用する場合、「開始前複合体」という用語(あるいは「43S開始前複合体」であり;「PIC」と略される)は、40Sリボソームサブユニット、真核生物開始因子(eIF1、eIF1A、eIF3、eIF5)、及びeIF2-GTP-Met-tRNAiMet三元複合体(これは本質的にmRNA分子の5’キャップに結合し得、結合後に5’UTRのリボソームスキャニングを行い得る)を含むリボ核タンパク質複合体を指す。
RNA:本明細書で使用する場合、「RNA」は、天然に存在するかまたは天然に存在しないリボ核酸を指す。例えば、RNAは、1つ以上の核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはリンカーなどの修飾された及び/または天然に存在しない成分を含み得る。RNAは、キャップ構造、鎖終止ヌクレオシド、ステムループ、ポリA配列、及び/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。RNAは、目的のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有し得る。例えば、RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)であり得る。特定のポリペプチドをコードするmRNAの翻訳、例えば、哺乳動物細胞内のmRNAのインビボ翻訳は、コードされたポリペプチドを生成し得る。RNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、非対称干渉RNA(aiRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ダイサー基質RNA(dsRNA)、小ヘアピンRNA(shRNA)、mRNA、長い非コードRNA(lncRNA)、及びそれらの混合物からなる非限定的な群から選択され得る。
RNA要素:本明細書で使用する場合、「RNA要素」という用語は、生物学的機能を提供するか、及び/または生物学的活性(例えば、翻訳制御活性)を有するRNA分子の部分、断片、またはセグメントを指す。本明細書に記載のものなどの1つ以上のRNA要素の組み込みによるポリヌクレオチドの修飾は、修飾されたポリヌクレオチドに1つ以上の望ましい機能的特性を提供する。本明細書に記載のRNA要素は、天然に存在するものであっても、天然に存在しないものであっても、合成であっても、遺伝子操作であっても、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。例えば、調節活性を提供する天然に存在するRNA要素としては、ウイルス、原核生物及び真核生物(例えば、ヒト)のトランスクリプトーム全体に見られる要素が挙げられる。RNA要素、特に真核生物mRNA及び翻訳されたウイルスRNAは、細胞内の多くの機能を媒介することに関与していることが示されている。例示的な天然のRNA要素としては、限定するものではないが、翻訳開始要素(例えば、内部リボソーム進入部位(IRES)、Kieft et al.,(2001)RNA7(2):194~206を参照)、翻訳エンハンサー要素(例えば、APP mRNA翻訳エンハンサー要素、Rogers et al.,(1999)J Biol Chem 274(10):6421-6431を参照されたい)、mRNA安定性要素(例えば、AUリッチ要素(ARE)、Garneau et al.,(2007)Nat Rev Mol Cell Biol 8(2):113-126を参照されたい)、翻訳抑制要素(例えば、Blumer et al.,(2002)Mech Dev110(1-2):97-112を参照されたい)、タンパク質結合RNA要素(例えば、鉄応答要素、Selezneva et al.,(2013)J Mol Biol 425(18):3301-3310を参照されたい)、細胞質ポリアデニル化要素(Villalba et al.,(2011)Curr Opin Genet Dev 21(4):452-457)、及び触媒性RNA要素(例えば、リボザイム、Scott et al.,(2009)Biochim Biophys Acta 1789(9-10):634-641を参照されたい)が挙げられる。
滞留時間:本明細書で使用する場合、「滞留時間」という用語は、mRNA分子に沿った別々の位置または場所での開始前複合体(PIC)またはリボソームの占有時間を指す。
特異的送達:本明細書で使用する場合、「特異的送達」、「特異的に送達する」、または「特異的に送達すること」という用語は、オフターゲット細胞(例えば、非免疫細胞)と比較して、目的の標的組織(例えば、哺乳動物の免疫細胞)へのナノ粒子による治療薬及び/または予防薬の、より多い(例えば、少なくとも10%多い、少なくとも20%多い、少なくとも30%多い、少なくとも40%多い、少なくとも50%多い、少なくとも1.5倍多い、少なくとも2倍多い、少なくとも3倍多い、少なくとも4倍多い、少なくとも5倍多い、少なくとも6倍多い、少なくとも7倍多い、少なくとも8倍多い、少なくとも9倍多い、少なくとも10倍多い)送達を意味する。特定の組織へのナノ粒子の送達のレベルは、(例えば、フローサイトメトリーを用いた平均蛍光強度によって)標的細胞対非標的細胞中で産生されたタンパク質の量を比較すること、(例えば、定量的フローサイトメトリーによって)タンパク質を発現する標的細胞対非標的細胞の%を比較すること、標的細胞対非標的細胞中で産生されたタンパク質の量を前記標的細胞対非標的細胞中のタンパク質の総量と比較すること、または標的細胞対非標的細胞中の治療薬及び/または予防薬の量を前記標的細胞対非標的細胞中の治療薬及び/または予防薬の総量と比較することによって測定され得る。標的組織に特異的に送達するナノ粒子の能力が、治療される対象において決定される必要はなく、動物モデル(例えば、マウスまたはNHPモデル)などの代理において決定され得ることが理解されよう。例えば、免疫細胞への特異的送達を決定するために、マウスまたはNHPモデル(例えば、実施例に記載される)を使用することができ、目的のタンパク質をコードするmRNAの送達は、標準方法(例えば、フローサイトメトリー、顕微鏡検査法など)による非免疫細胞と比較して、免疫細胞(例えば、脾臓、末梢血、及び/または骨髄)中で評価することができる。
実質的に:本明細書で使用する場合、「実質的に」という用語は、目的のある特徴または特性の全体的またはほぼ全体的な度合もしくは程度を示す定性的状態を指す。生物学的分野の当業者は、生物学的及び化学的現象が、完成するまで進行するか、及び/または完全になるか、または絶対的な結果を達成もしくは回避する場合があっても、めったにないことを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的及び化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捉えるために本明細書で使用される。
罹患している:疾患、障害、及び/または病態に「罹患している」個体は、疾患、障害、及び/または病態の1つ以上の症状と診断されているか、またはそれらの症状を示している。
標的細胞:本明細書で使用する場合、「標的細胞」とは、目的の任意の1つまたは複数の細胞を指す。この細胞を、インビトロ、インビボ、インサイチュ、または生物の組織もしくは器官中に見出すことができる。生物は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト、最も好ましくは患者であってもよい。標的免疫細胞には、例えば、CD3+T細胞、CD19+B細胞及びCD11c+樹状細胞、ならびに単球、組織マクロファージ、及び骨髄細胞(例えば、骨髄内の免疫細胞、造血幹細胞、免疫細胞前駆体、及び線維芽細胞)が含まれる。
標的化部分:本明細書で使用する場合、「標的化部分」とは、ナノ粒子を特定の細胞、組織、及び/または器官型に標的化し得る化合物または薬剤である。
治療剤:「治療剤」という用語は、対象に投与したときに、治療的、診断的、及び/もしくは予防的効果を有するか、ならびに/または所望の生物学的効果及び/もしくは薬理学的効果を引き出す任意の薬剤を指す。
トランスフェクション:本明細書で使用する場合、「トランスフェクション」という用語は、種(例えば、mRNAなどのポリヌクレオチド)を細胞に導入するための方法をいう。
翻訳制御活性:本明細書で使用する場合、「翻訳制御活性」という用語(「翻訳調節機能」と交換可能に使用される)は、PIC及び/またはリボソームの活性を含む翻訳装置の活性を調節する(例えば、調節する、影響する、制御する、変化させる)生物学的な機能、機構、またはプロセスを指す。いくつかの態様では、所望の翻訳制御活性は、mRNA翻訳の翻訳忠実度を促進及び/または増強する。いくつかの態様では、所望の翻訳制御活性は、リーキースキャニングを低減及び/または阻害する。対象:本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、例えば、実験的、診断的、予防的及び/または治療的な目的のために、本開示による組成物が投与され得る任意の生物を指す。典型的な対象としては動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及びヒトなどの哺乳動物)、及び/または植物が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象は、患者であり得る。
治療:本明細書で使用する場合、「処置する」という用語は、特定の感染、疾患、障害、及び/または病態の1つ以上の症状または特徴を、部分的または完全に緩和、軽減、改善、救済、発症の遅延、進行の抑制、重症度の低下、及び/またはその頻度の低減を指す。例えば、がんを「処置する」とは、腫瘍の生存、成長、及び/または拡大を阻害することを指す場合がある。疾患、障害、及び/または病態に関連する病理の発症の危険性を減少させる目的で、疾患、障害、及び/または病態の徴候を示さない対象に対して、及び/または疾患、障害、及び/または病態の初期徴候のみを示す対象に対して、処置を施してもよい。
予防:本明細書で使用する場合、「予防する」という用語は、特定の感染、疾患、障害、及び/または病態の1つ以上の症状または特徴の発症を部分的または完全に阻害することを指す。
腫瘍:本明細書で使用する場合、「腫瘍」とは、良性または悪性にかかわらず、組織の異常な増殖である。
未修飾:本明細書で使用する場合、「未修飾」とは、何らかの形で変更される前の任意の物質、化合物または分子を指す。未修飾とは、必ずしもそうとは限らないが、野生型または天然型の生体分子を指すことがある。分子は一連の修飾を受けてもよく、それにより各修飾分子は、その後の修飾のための「未修飾」出発分子として役立ち得る。
ウリジン含有量:「ウリジン含有量」または「ウラシル含有量」という用語は互換的であり、特定の核酸配列中に存在するウラシルまたはウリジンの量を指す。ウリジン含有量またはウラシル含有量は、絶対値(配列中のウリジンまたはウラシルの総数)または相対値(核酸配列中の核酸塩基の総数に対するウリジンまたはウラシルの割合)として表され得る。
ウリジン修飾配列:「ウリジン修飾配列」という用語は、候補核酸配列のウリジン含有量及び/またはウリジンパターンに関して、異なる全体もしくは局所ウリジン含有量(より高いまたはより低いウリジン含有量)を有するか、または異なるウリジンパターン(例えば、勾配分布またはクラスタリング)を有する配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)を指す。本開示の内容において、「ウリジン修飾配列」及び「ウラシル修飾配列」という用語は、同等であり互換的であると見なされる。
「高ウリジンコドン」とは、2つまたは3つのウリジンを含むコドンとして定義され、「低ウリジンコドン」とは、1つのウリジンを含むコドンとして定義され、「無ウリジンコドン」とは、ウリジンを含まないコドンである。いくつかの実施形態では、ウリジン修飾配列は、低ウリジンコドンによる高ウリジンコドンの置換、無ウリジンコドンによる高ウリジンコドンの置換、高ウリジンコドンによる低ウリジンコドンの置換、無ウリジンコドンによる低ウリジンコドンの置換、低ウリジンコドンによる無ウリジンコドンの置換、高ウリジンコドンによる無ウリジンコドンの置換、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、高ウリジンコドンは別の高ウリジンコドンで置き換えてもよい。いくつかの実施形態では、低ウリジンコドンは、別の低ウリジンコドンで置き換えてもよい。いくつかの実施形態では、無ウリジンコドンは別の無ウリジンコドンと置き換えられてもよい。ウリジン修飾配列は、ウリジン富化されても、またはウリジン希薄化されてもよい。
ウリジン富化:本明細書で使用する場合、「ウリジン富化」という用語及び文法的変形は、対応する候補核酸配列のウリジン含量に関して、配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)中のウリジン含有量の増大(絶対値または割合値として表される)を指す。ウリジン富化は、候補核酸配列中のコドンを、含んでいるウリジン核酸塩基が少ない同義コドンで置換することによって実施され得る。ウリジン富化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対して)であっても、または局所的(すなわち、候補核酸配列の部分配列または領域に対して)であってもよい。
ウリジン希薄化:本明細書で使用する場合、「ウリジン希薄化」という用語及び文法上の変形は、対応する候補核酸配列のウリジン含量に関して、配列最適化核酸(例えば、合成mRNA配列)中のウリジン含有量の減少(絶対値または割合値として表される)を指す。ウリジン希薄化は、候補核酸配列中のコドンを、含んでいるウリジン核酸塩基が少ない同義コドンで置換することによって実施され得る。ウリジン希薄化は、全体的(すなわち、候補核酸配列の全長に対して)であっても、または局所的(すなわち、候補核酸配列の部分配列または領域に対して)であってもよい。
等価物及び範囲
当業者であれば、本明細書に記載の開示による具体的な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または通常の実験のみを用いて確認し得るであろう。本開示の範囲は、以下の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲に記載のとおりである。
特許請求の範囲において、「1つの、ある(a、an)」、及び「この、その(the)」などの冠詞は、反対の指示がない限り、または文脈から明らかでない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。1つ、2つ以上、または全てのグループメンバーが、反対の指示がない限り、そうでなければその文脈から明らかでない限り、所定の生成物またはプロセスに存在するか、使用されるか、またはそうでなければ関連がある場合、グループの1つ以上のメンバー間に「または」を含む請求項または説明は、満たされると見なされる。本開示は、その群の正確に1つのメンバーが所定の生成物またはプロセス中に存在するか、使用されるか、またはそうでなければ関連する実施形態を包含する。本開示は、1つより多く、または全てのグループメンバーが所定の生成物またはプロセス中に存在するか、使用されるか、またはそうでなければ関連する実施形態を包含する。
「含む(comprising)」という用語は、開放的で許容されることを意図しているが、追加の要素またはステップを含めることを必要としないことにも留意されたい。「含む(comprising)という用語が本明細書で使用する場合、したがって、「からなる(consisting of)」という用語も包含され開示される。
範囲が指定されている場合は、エンドポイントが含まれる。さらに、当業者の文脈及び理解から他に示されていないかまたはさもなければ明白でない限り、範囲として表される値は、本開示の異なる実施形態において述べられた範囲内の任意の特定の値または部分範囲から、文脈上明らかにそうでないと示されない限り、その範囲の下限の単位の10分の1までを仮定し得ることが理解される。
全ての引用された出典、例えば、本明細書に引用された引用文献、出版物、データベース、データベースエントリー、及び技術は、その引用文献中に明示的に表現されない場合でさえ、参照により本出願に組み込まれる。引用された出典の記載と本出願の記載とが矛盾する場合、本出願における記載が優先するものとする。
本開示は、以下の実施例を参照することによってより完全に理解されるであろう。しかしながら、それらは本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書に記載される実施例及び実施形態は、例示目的のみに過ぎず、それを考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれるべきであることが理解される。
実施例1:T細胞破壊因子mRNA構築物の調製
本実施例では、T細胞破壊因子(TCD)をコードした一連のmRNA構築物を調製した。各TCDは、阻害性モチーフに作動的に連結した膜/シグナル伝達複合体関連モチーフを含むキメラタンパク質である。調製した代表的なTCDの構造を以下の表17に示す:
mRNA構築物は、当該技術分野において公知の標準方法によって調製され、典型的には、検出を容易にするためにN末端及び/またはC末端でエピトープタグ(例えば、V5及び/またはFLAG)もコードした。さらに、全ての構築物は、キャップ1 5’キャップ(7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp)、5’UTR、3’UTR、100ヌクレオチドのポリA尾部を含み、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)で完全に修飾された。構築物に使用するための会合ドメインのアミノ酸配列を、配列番号1~20に示す。構築物に使用するための阻害性ドメインのアミノ酸配列を、配列番号21~34に示す。いずれのエピトープタグを有さない、代表的なTCD mRNA構築物のコード領域のヌクレオチド配列を、配列番号35~80に示し、いずれのエピトープタグを有さないTCD構築物のORFアミノ酸配列を、配列番号81~126に示す。構築物に使用するための例示的な5’UTRを、配列番号186に示す。構築物に使用するための例示的な3’UTRを、配列番号187に示す。ある特定の構築物では、会合ドメイン及び阻害性ドメインは、リンカー配列により分離された。構築物に使用するための例示的なリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)nを有し、式中、n=1~4(配列番号188)である。
TCD mRNA構築物は、化合物X/DSPC/コレステロール/β-シトステロール/PEG DMGを50:10:10:28.5:1.5の比で含む脂質ナノ粒子中に製剤化した。免疫細胞送達増強脂質としてβ-シトステロールを含有する、このような脂質ナノ粒子(LNP)は、その内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2019年1月30日に提出された、PCT出願第PCT/US19/15913号にさらに記載されている。
実施例2:T細胞破壊因子mRNA構築物は、T細胞増殖をインビトロで低下させる
最初の一連の実験では、T細胞破壊因子mRNA構築物が、活性化T細胞の増殖を阻害する能力についてインビトロで調べた。ヒトT細胞は、EasySep(商標)ヒトT細胞強化キット(Stem Cell Technologies)を用いて、ヒト末梢血単核細胞から濃縮した。その後、単離されたヒトT細胞を、5μMのカルボキシフルオレセインスクシンイミドエステル(CFSE)で蛍光標識し、37℃の水浴中で6分間、標識でインキュベートし、管を逆にして3分間混合した後、10%のFCSを有する完全RPMIによるラベリングを急冷した。その後、細胞を、完全RPMI培地中の丸底96ウェルプレートにおいて、1×105個の細胞/100μlで載置した。
その後、ヒトT細胞活性化ビーズ(抗CD3/CD28/CD2;Miltenyi Biotec;カタログ番号130-091-441)を50μl培地中の様々な濃度(0.3~3μlビーズ)で用いて、T細胞を活性化させた。対照ウェルは、50μlの完全RPMI培地でのみ処置した。TCD mRNA構築物を封入する脂質ナノ粒子(LNP)をT細胞に添加した(1%のヒト血清で補充した50μlの完全RPMI培地中の100ng LNP/ウェル)。50μl培地中でT細胞増殖に影響を及ぼさない対照LNPで対照ウェルを処置した。細胞を72時間インキュベートした後、細胞生存率、CD3、CD4及びCD8について染色した。CSFE-低CD4+及びCSFE-低CD8+細胞のパーセンテージは、細胞増殖の尺度として決定した。
その結果を、図1A~AFに示し、図1A~1Cは、0.3μl、1.0μl、または3μlの活性化ビーズでそれぞれ処置したCD4+細胞のデータを示し、図1D~1Fは、0.3μl、1.0μl、または3μlの活性化ビーズでそれぞれ処置したCD8+細胞のデータを示す。上の点線は、対照LNPで処置したT細胞が呈する細胞増殖の程度(すなわち、最も高い割合のCSFE低細胞が観察された)を表す一方、下の点線は、細胞増殖の最高度の50%阻害を表す。図1の結果は、T細胞破壊因子mRNA構築物が、試験した高濃度の活性化ビーズであっても、活性化T細胞(CD4+及びCD8+細胞の両方)の増殖を低下させることを示している。特に、多くのTCD mRNA構築物は、対照構築物と比較して、T細胞増殖の50%を上回る阻害を呈した。
第2の一連の実験では、TCD mRNA構築物が、事前に活性化されたT細胞の増殖を阻害する能力について試験した。TCD mRNA構築物を封入するLNPを、T細胞活性化ビーズの添加後0時間または24時間のいずれかで添加したことを除いて、増殖アッセイは、第1の一連の実験について上述のように実施した。結果を、図2A~2Dに示し、図2A~2Bは、活性化後0時間または24時間のいずれかで、LNPで処置したCD4+細胞のデータをそれぞれ示し、図2C~2Dは、活性化後0時間または24時間のいずれかで、LNPで処置したCD8+細胞のデータをそれぞれ示す。上の点線は、対照LNPで処置したT細胞が呈する細胞増殖の程度(すなわち、最も高い割合のCSFE低細胞が観察された)を再び表す一方、下の点線は、細胞増殖の最高度の50%阻害を表す。図2A~2Dの結果は、TCD mRNA構築物が、24時間事前に活性化されているT細胞(CD4+及びCD8+細胞の両方)の増殖を低下させることが可能であることを示している。
実施例3:T細胞破壊因子mRNA構築物は、T細胞によるTNFα産生を低下させる
この実施例では、T細胞破壊因子mRNA構築物が活性化T細胞によるTNFαの産生を阻害する能力についてインビトロで調べた。ヒト末梢単核細胞(PBMC)を、完全RPMI培地中の96ウェルプレートにおいて、1×106個の細胞/ウェルで載置した。ヒトPBMCを、ヒトT細胞活性化ビーズ(抗CD3/CD28/CD2;Miltenyi Biotec;カタログ番号130-091-441)(1.0μlビーズ/ウェル)で24時間刺激した。TCD mRNA構築物を封入するLNPを24時間添加した(1%のヒト血清で補充した50μlの完全RPMI培地中の100ng LNP/ウェル)。T細胞サイトカイン産生に影響を及ぼさない対照LNPで対照ウェルを処置した。染色の朝に、ブレフェルジンA(BFA)(5μg/mL)及びモネンシン(2.0μM)を、染色の4~5時間前に細胞に添加した。細胞を、CD3、CD4、及びCD8表面マーカーについて4℃で20分間染色した後、細胞を濾過し、透過処理した。その後、細胞を、標準的な方法論によって細胞内TNFαについて染色した。
その結果を、図3A~3Bに示し、図3Aは、CD4+Tのデータを示し、図3Bは、CD8+T細胞のデータを示す。各グラフの上の点線は、対照LNP処置からのTNFα陽性T細胞のパーセンテージ(すなわち、最も高い割合のTNFα陽性細胞が観察された)を表す。図3Aでは、中及び下の点線は、TNFα陽性T細胞の最高度の50%及び75%阻害をそれぞれ表す。図3Bでは、下の点線は、TNFα陽性T細胞の最高度の50%阻害を表す。図3A~3Bの結果は、TCD mRNA構築物が、CD4+及びCD8+T細胞の両方におけるTNFα産生を低下させることが可能であることを示している。
実施例4:T細胞破壊因子mRNA構築物は、T細胞活性をインビボで阻害する
この実施例では、異種移植片対宿主病(異種GVHD)動物モデルを使用して、T細胞破壊因子mRNA構築物の効果についてインビボで調べた。この動物モデル系は、当該技術分野において記載されている(King et al.(2009)Clin.Exp.Immunol.157:104-118)。
モデル系で使用される動物は、NOD scidガンマ(NSG)マウス(Jackson Laboratory)であり、これは、非肥満糖尿病(NOD)重症複合免疫不全(scid)ILRrγ欠損マウスであり、ガンマ線照射を受けた後、ヒト末梢血単核細胞(PMC)を投与し、ヒト化免疫系を再構成する。ヒトT細胞は、マウス抗原に対して活性化され、末梢組織に広がり、免疫病理を誘発し、体重減少及び死につながる。異種GVHD動物モデルにおけるT細胞活性に対するTCD mRNA構築物の効果を試験するため、ヒトPBMCを、TCD mRNA構築物(1μg LNP/1×106個の細胞)またはPBSで一晩インビトロでトランスフェクトした。その後、NSGマウス(n=8)に200Rを照射し、0日目に、10×106個のトランスフェクトされたヒトPBMCを静脈内投与した。3日目及び6日目に、マウスは、追加用量のLNP封入されたmRNAを静脈内(0.5mg/kg)に受けた。陽性対照として、マウスをタクロリムス(TAC)(1週目では、1.5mg/kg、実験の残りの部分では、3.0mg/mgを皮下に)で処置した。時間の経過に伴うマウスの生存率は、PBMC注射後30日間モニタリングした。
第1の一連の実験からの結果を、図4に示す。第2の一連の実験からの結果を、図5に示す。第2の実験では、マウスは、7、14、及び21日目に、LNP封入されたmRNAを週1回受けた。これらの結果は、ある特定のTCD mRNA構築物、特に、TCD#9、TCD#17及びTCD#18(図4)、及びTCD#40及びTCD#41(図5)が、PBS陰性対照処置群と比較して、異種GVHDモデルの死亡率を遅らせたことを示している。ことによって、TCD mRNA構築物が、T細胞活性をインビボで阻害することができることを示している。
実施例5:B細胞破壊因子mRNA構築物の調製
この実施例では、B細胞破壊因子(BCD)をコードした一連のmRNA構築物を調製した。各BCDは、阻害性モチーフに作動的に連結した膜/シグナル伝達複合体関連モチーフを含むキメラタンパク質である。調製した代表的なBCDの構造を、以下の表18に示す:
mRNA構築物は、当該技術分野において公知の標準方法によって調製され、典型的には、検出を容易にするために構築物のN末端及び/またはC末端(例えば、N末端でFLAGタグ、及びC末端でV5タグ)でエピトープタグ(例えば、V5及び/またはFLAG)もコードした。さらに、全ての構築物は、典型的には、キャップ1 5’キャップ(7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp)、5’UTR、3’UTR、100ヌクレオチドのポリA尾部を含み、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)で完全に修飾された。構築物に使用するための会合ドメインのアミノ酸配列を、配列番号127~143に示す。構築物に使用するための阻害性ドメインのアミノ酸配列を、配列番号144~149に示す。いずれのエピトープタグを有さない、代表的なBCD mRNA構築物のコード領域のヌクレオチド配列を、配列番号150~167に示し、いずれのエピトープタグを有さない、BCD構築物のORFアミノ酸配列を、配列番号168~185に示す。構築物に使用するための例示的な5’UTRを、配列番号186に示す。構築物に使用するための例示的な3’UTRを、配列番号187に示す。ある特定の構築物では、会合ドメイン及び阻害性ドメインは、リンカー配列により分離された。構築物に使用するための例示的なリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)nを有し、式中、n=1~4(配列番号188)である。
BCD mRNA構築物は、化合物X/DSPC/コレステロール/β-シトステロール/PEG DMGを50:10:10:28.5:1.5の比で含む脂質ナノ粒子中に製剤化した。免疫細胞送達増強脂質としてβ-シトステロールを含有する、このような脂質ナノ粒子(LNP)は、その内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2019年1月30日に提出された、PCT出願第PCT/US19/15913号にさらに記載されている。
実施例6:B細胞破壊因子mRNA構築物のインビトロ発現
この実施例では、B細胞におけるB細胞破壊因子(BCD)mRNA構築物のインビトロ発現に影響を及ぼす因子について調べた。
最初の一連の実験では、B細胞を事前活性化する効果について調べた。ヒトPBMCを、2×105個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに載置し、細胞を、5μM LNP封入されたFLAG標識BCD mRNAと一緒に、活性化剤として、培地、IL-21(100ng/ml)、CpG 7909(5μg/ml)または抗CD40(5μg/ml)のいずれかと共培養した。細胞を、活性化剤及びBCD mRNAで24時間インキュベートした後、抗hCD20、抗hCD14、抗hCD4、抗hCD8及び抗FLAG抗体で染色し、FACS分析を行った。結果を、図6Aに示し、試験した3つの活性化剤のうち、CpGで事前活性化されたCD20+B細胞が、培地対照と比較して、mRNAによりコードされたBCDの発現増加を呈したことを示す。B細胞のCpG媒介性事前活性化の効果をさらに調べるため、ヒトPBMCを、図6Aについて上述のように培養し、CpG(5μg/ml)を、24時間または72時間のいずれかで培養に加えた後、5μMのLNP封入されたFLAG標識BCD mRNAを最後の24時間で加えた。培養後、細胞を抗hCD20、抗hCD14、抗hCD4、抗hCD8及び抗FLAG抗体で再び染色し、FACS分析で解析した。結果を、図6Bに示し、CpGによるB細胞の72時間の事前活性化が、24時間の事前活性化よりも、mRNAによりコードされたBCDのより高い発現レベルをもたらしたことを示す。
第2の一連の実験では、BCD発現に対するmRNA濃度の効果について調べた。ヒトPBMCを、培地またはCpG 7909(5μg/ml)のいずれかで72時間培養した後、LNP封入されたBCD mRNAを5μMまたは1μMのいずれかで最後の24時間で加えた。培養後、細胞を抗CD20及び抗FLAG抗体で染色し、FACS分析で解析した。結果を、図7に示し、ヒトB細胞上に発現したBCD mRNA構築物が、インビトロで用量依存的効果を示すことを示す。
実施例7:B細胞破壊因子mRNA構築物は、B細胞活性をインビトロで阻害する
最初の一連の実験では、B細胞破壊因子mRNA構築物が、B細胞によるIgM、IL-6及びIL-10の分泌を阻害する能力についてインビトロで調べた。ヒトPBMCを、LNP封入されたBCDをコードするmRNA(5μM、1μM、または200nM)の濃度を変化させて処理し、hIgM、IL-6、及びIL-10の発現 レベルを、3~5日間にわたって評価した。より具体的には、ヒトPBMCを、2×105個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。細胞をCpG(実施例6に記載されるように)で72時間刺激し、LNP封入されたmRNAで24時間トランスフェクトさせた後、培養培地を、抗ヒトIgK抗体を有するかまたは有さない新鮮な培地に1~5日間で置き換えた。上清を収集し、ヒトIgM、IL-6、及びIL-10のレベルを標準ELISAにより測定した。同じLNP製剤内に封入されるマウスOX40L mRNAは、陰性対照として使用した。
その結果を、図8A~8Iに示し、図8A~8Cは、5μM mRNAの結果を示し、図8D~8Fは、1μM mRNAの結果を示し、図8G~8Iは、200nM mRNAの結果を示す。図8A、8D、及び8Gは、hIgMの結果を示し、図8B、8E、及び8Hは、IL-6の結果を示し、図8C、8F、及び8Iは、IL-10の結果を示す。結果は、試験した全てのmRNA構築物が、試験した高濃度(1μM及び5μM)で、B細胞によるhIgM、IL-6、及びIL-10分泌を有意に阻害したことを示している。
第2の一連の実験では、休止PBMCまたは活性B細胞を、LNP封入されたBCDをコードするmRNAで処理した後、Sykのリン酸化レベルを評価した。より具体的には、ヒトPBMCまたは単離ヒトB細胞を、LNP封入されたmRNAで24時間トランスフェクトし、培地を、抗ヒトIgK抗体(図9B)を有するかまたは有さない新鮮な培地に6時間または24時間でそれぞれ置き換えた。細胞を溶解し、Syk(p-Syk)、Syk、及びGAPDHのリン酸化レベルを、標準ELISAにより測定した。pSyk及びSykの読み取りをGAPDHに正規化した。
その結果を、図9A~9Bに示し、図9Aは、休止PBMCに対するpSykとSykの比を示し、図9Bは、活性B細胞に対するpSykとSykの比を示す。図9Aの結果は、全てのBCD構築物が、休止PBMC上のSykのリン酸化レベルを低下させたことを示している。図9Bの結果は、BCD構築物#5(hCD19の切断型を含む)、#2(CD79aの切断型を含む)、及び#4(CD79bの切断型を含む)は、活性B細胞内のSykリン酸化のより強力な阻害を示したことを示している。
実施例8:ヒトB細胞破壊因子mRNA構築物は、B細胞活性をインビトロで阻害する
この実施例では、実施例4に記載されるNSG動物モデルを使用して、B細胞活性に対するヒトBCD mRNA構築物のインビボ効果について調べた。最初の一連の実験では、NSGマウス(n=5)に、6×106個の細胞を1日目に投与し、3×106個の細胞は、mRNA(BCDコードmRNA BCD2、BCD4またはBCD5、または陰性対照mRNAのいずれか)によりエクスビボでトランスフェクトされたヒトB細胞であり、3×106個の細胞は、同じドナー由来の非トランスフェクトヒトT細胞であった。2日目及び7日目に、血清を収集し、ヒト総IgM及びIgGについてELISAにより評価した。また、2日目及び7日目に、PBMC及び脾臓細胞を収集し、mRNA発現及びヒト細胞分布についてFACSにより評価した。mRNA発現及び細胞分布分析により、hCD45細胞が、7日目に脾臓に生着し、T細胞増殖が、末梢血リンパ球よりも脾臓でより多く観察され、B細胞は、脾臓よりも末梢血リンパ球により多く残存したことが判明した。2日目までに、BCDは、脾臓細胞及び末梢血リンパ球の両方の50%で発現された。7日目に、BCDは、38.2%の脾臓細胞、16.5%の末梢血リンパ球で発現された。hIgM及びhIgG分析の結果を、図10A(IgM)及び10B(IgG)に示し、BCDが、陰性対照mRNAと比較して、2日目及び7日目にhIgM及びhIgG分泌の両方をインビボで低下させたことを示している。
第2の一連の実験では、ヒトB細胞召集機能に対するBCD mRNAの効果についてインビボで調べた。NSGマウス(n=8)に、hPBMC(20×10
6個の細胞)、またはBCD mRNA(5×10
6個の細胞)+非トランスフェクトT細胞(5×10
6個の細胞)によりエクスビボでトランスフェクトされたB細胞のいずれかを1日目に静脈内投与し、破傷風トキソイド(15μg)を2日目に腹腔内投与した。全血試料を4、7及び9日目に採取した。動物を15日目に犠牲にし、脾臓及びPBMCを収穫した。試験には、以下の表19に記載されるように5つの異なる処置群を使用した:
2群で使用したB細胞破壊因子I調製物は、表18に示すように、以下の3つの異なるBCD mRNA構築物:BCD2、BCD4、及びBCD5を含有した。3群で使用したB細胞破壊因子II調製物は、表18に示すように、以下の3つの異なるBCD mRNA構築物:BCD1、BCD3、及びBCD7を含有した。B細胞破壊因子I調製物は、0.8mgの用量(「低用量」)でトランスフェクションに使用し、B細胞破壊因子II調製物は、3mgの用量(「高用量」)でトランスフェクションに使用した。2群及び3群からのエクスビボトランスフェクトB細胞FACS分析により、BCDの低(CD20+B細胞中の20%)発現及び高(CD20+細胞中の50%)発現がそれぞれ確認された。
5つの異なる処置群からの脾臓及び血液の分析により、ヒトPBMC及びエクスビボトランスフェクトB細胞の両方が、NSGマウスに生着したことが確認された。脾臓腫大は、ヒトPBMCを移植した5群で有意であった。総血清IgM及びIgGを測定し、その結果を、図11A(IgM)、及び11B(IgG)に示す。図11A~11Bのデータは、総血清hIgM及びhIgGが、PBMC生着マウス(5群)、及びトランスフェクトB細胞生着マウス(1~3群)の両方で増加したことを示した。エクスビボトランスフェクトB細胞は、総hIgG分泌の遅延を示した。さらに、陰性対照mRNAトランスフェクトB細胞(1群)と比較して、BCDトランスフェクトB細胞の両方(2群及び3群)が、総IgM及びIgGの低下を示し、第1の一連の実験で観察された結果(図10に示す結果)が確認された。
対照、2群、及び3群マウスにおけるIgM及びIgG濃度を、注射後2、4、7、9、及び15日目にモニタリングし、その結果を、図12A及び12Bにそれぞれ示す。総hIgM/hIgGのインビボ抑制が、B細胞上のBCD発現レベルに関連することが判明したことが、これらの結果により示された。特に、低発現されたBCD群(2群)は、高発現されたBCD群(3群)と比較して、細胞注射後9日目に、hIgM/hIgGレベルのより迅速な回復を示した。
抗原特異的抗体反応に対するBCDの効果を調べるため、抗破傷風トキソイド(TTd)抗体レベルを測定し、その結果を、図13Aに示し、比較のために、総hIgGを図13Bに示す。PBMC生着した5群マウスが、7日目から15日目まで、TTdに対する迅速かつ強力な抗体反応を示した一方、抗CD20処理され、B細胞枯渇した4群マウスが、細胞注射後7日目から15日目まで、抗TTd応答を有さなかったことが、これらの結果により示された。
対照、2群、及び3群マウスにおける抗TTd hIgG濃度を、注射後2、4、7、9、及び15日目にモニタリングし、その結果を、図14に示す。エクスビボトランスフェクトB細胞生着マウス(1~3群)は、細胞注射後9日目(抗原刺激後7日目)に抗TTd hIgGの増加を示し、これらの処置群において9日目に観察された総hIgG産生の増加と相関した。陰性対照mRNAトランスフェクト群(1群)と比較して、BCDトランスフェクトB細胞の両方(2群及び3群)が、細胞注射後9~15日目に抗TTd hIgGの低下を示し、BCDが、抗原チャレンジ後に血清中の抗原特異的抗体蓄積の阻害に有効であることが示された。インビボで観察された抗TTd hIgG抑制は、B細胞上のBCDの発現レベルに関連することが判明し、高発現BCD群(3群)は、低発現BCD群(2群)よりも、細胞注射後15日目に、抗TTd hIgGの抑制をより多く示した。
実施例9:ネズミB細胞破壊因子mRNA構築物によるインビトロ試験
この実施例では、一連の実験は、ネズミB細胞破壊因子をコードするmRNA構築物を用いて行った。ネズミBCD mRNA構築物の構造及び配列は、表18に、BCD9、BCD10、BCD11、BCD12、BCD13、BCD14及びBCD15として記載される。
ネズミBCD mRNA構築物は、休止及び活性化ラットB細胞内で発現された後、IgG分泌、IgM分泌及びIL-10分泌の分析を行った。より具体的には、ラット脾臓細胞を、2×105個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに播種した。細胞をCpG(実施例6に記載されるように)で48時間刺激し、LNP封入されたmRNAで24時間トランスフェクトさせた後、培養培地を、ヤギ抗ラットIg抗体を有する(活性B細胞)かまたは有さない(休止B細胞)新鮮な培地に1~3日間で置き換えた。上清を収集し、ラットIgM、IgG、及びIL-10のレベルを標準ELISAにより測定した。マウスmRNA構築物は、実施例5に記載されるように、LNP中に製剤化した。
IgG分泌の結果を、図15A(活性化ラットB細胞)及び15B(休止ラットB細胞)に示し、ネズミBCD構築物が、活性化ラットB細胞へのIgG分泌を低下させることを示している。IgM分泌の結果を、図16A(活性化ラットB細胞)及び16B(休止ラットB細胞)に示し、ネズミBCD構築物が、活性化ラットB細胞へのIgM分泌を低下させることを示している。IL-10分泌の結果を、図17A(活性化ラットB細胞)及び17B(休止ラットB細胞)に示し、ネズミBCD構築物が、活性化ラットB細胞へのIL-10分泌を低下させることを示している。したがって、ネズミBCD mRNA構築物及びラットB細胞を用いたこれらのインビトロ試験により、ネズミBCD mRNA構築物が、抗体産生またはサイトカイン分泌のいずれかにより測定されたB細胞活性を阻害することを示したことが、ヒトBCD mRNA構築物によるインビトロ及びインビボで観察された以前の結果により確認された。
実施例10:免疫細胞破壊因子mRNA構築物は、自己免疫をインビボで低下させる
この実施例では、コラーゲン誘導関節炎(CIA)ラットモデルを使用して、免疫活性に対する免疫細胞破壊因子mRNA構築物のインビボ効果について調べた。最初の一連の実験では、ウィスターラット(n=3または5)は、以下のように、1~6つの処置群に割り当てた:(i)ナイーブ(未処置対照);(ii)PBS(陰性対照);(iii)陰性対照mRNA(2mg/kg;静脈内);(iv)デキサメタゾン(5mg/kg;腹腔内);(v)抗CD20(10mg/kg;腹腔内);または(vi)免疫細胞破壊因子mRNA(2mg/kg;静脈内)。
免疫細胞破壊因子mRNA構築物TCD18、BCD16、BCD17及びBCD18は、単一LNP調製物中に共製剤化した。mRNA構築物は、50:10:10:28.5:1.5の比で、化合物X/DSPC/コレステロール/β-シトステロール/PEG DMGを含む脂質ナノ粒子中に製剤化した。
-7及び0日目に、(ii)、(iii)、及び(v)群のラットは、示された処置を受け、抗CD20処置群((v))から1日目に採血し、CD20+細胞の枯渇を確認した。全てのラットは、(i)群(ナイーブ対照)を除いて、不完全フロイントアジュバント(IFA)中のコラーゲンII型(CII)で1日目に処置した。(iv)群のラットは、デキサメタゾンで毎日処置した。(v)群のラットは、-7日目に抗CD20で処置した。(vi)群のラットは、週2回、免疫細胞破壊因子mRNAで処置した。血液を4、11、17及び21日目に収集し、血清Ig分析を行った。21日目に、血液及び脾臓細胞も収集し、FACS及びIHC分析を行った。
集計スコアは、標準方法によって経時的に決定し、その結果を、図18に示す。結果は、予想通り、ナイーブラットは、CIAの徴候を全く呈さなかった一方、PBSまたは陰性対照LNP調製物のいずれかで処置したコラーゲン誘導動物は、有意な集計スコアを経時的に呈したことを示している。また予想通り、抗CD20を用いたデキサメタゾンまたはB細胞枯渇のいずれかの免疫阻害性処置は、集計スコアの経時的に有意な低下をもたらした。最終的に、免疫細胞破壊因子mRNA構築物で処置したコラーゲン誘導動物は、PBS群及び陰性対照mRNA群と比較して、集計スコアの経時的に有意な低下を呈し(p<0.0001)、mRNA構築物が、この自己免疫モデルにおいて、免疫活性のインビボ阻害に効果的であったことを示した。
第2セットの実験では、免疫破壊因子処置ラットにおけるCIA発症の阻害が、II型コラーゲンに対する抗体反応の欠如によるものであったかどうか調査するため、血清中のIgGの抗CII特異的レベルをCIA実験の様々な時点で決定した。II型コラーゲンに対するラットIgG抗体レベルは、スルホタグコンジュゲート二次ヤギ抗ラットIgG抗体を用いて、MSDベースの酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)方法論により測定した。各ラットの血清希釈、1:16000は、予備アッセイ後に選択した。光学密度は、MESO-SECTOR S600 384プレートリーダーを用いて測定した。抗II型コラーゲン濃度は、標準抗コラーゲンIIラット抗体(LifeSpan BioSciences、LS-F67398)CIA血清の1:2連続希釈から生成された標準曲線を参照して、抗体含有量(任意単位/mL)を算出して決定した。
抗CII特異的ELISA結果を、図19に示す。抗CII抗体レベルが、免疫付与後21日目に、PBS処置群及び対照mRNA処置群と比較して、陽性対照群(デキサメタゾンまたは抗CD20で処置して、B細胞を枯渇させた)及び免疫細胞破壊因子処置群において有意に低かった(p=0.0403)が、4、11、及び17日目に2群の間に統計的有意差は観察されなかったことが、結果により示された。これらの結果は、免疫細胞破壊因子mRNA構築物による処置が、経時的に(例えば、21日目まで)、CIAモデルにおける抗原特異的抗体産生を阻害したことを示唆する。
実施例11:追加のB細胞破壊因子mRNA構築物
この実施例では、B細胞破壊因子の追加パネルを調製し、それらの構造を以下の表20に示す:
mRNA構築物は、当該技術分野において公知の標準方法によって調製され、典型的には、検出を容易にするために構築物のN末端及び/またはC末端(例えば、N末端でFLAGタグ、及びC末端でV5タグ)でエピトープタグ(例えば、V5及び/またはFLAG)もコードした。さらに、全ての構築物は、典型的には、キャップ1 5’キャップ(7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp)、5’UTR、3’UTR、100ヌクレオチドのポリA尾部を含み、1-メチル-シュードウリジン(m1Ψ)で完全に修飾された。構築物に使用するための会合ドメインのアミノ酸配列を、配列番号128、130、131、及び229~231に示す。構築物に使用するための阻害性ドメインのアミノ酸配列を、配列番号145及び25に示す。いずれのエピトープタグを有さない、代表的なBCD mRNA構築物のコード領域のヌクレオチド配列を、配列番号232~237に示し、いずれのエピトープタグを有さない、BCD構築物のORFアミノ酸配列を、配列番号238~243に示す。構築物に使用するための例示的な5’UTRを、配列番号186に示す。構築物に使用するための例示的な3’UTRを、配列番号187に示す。ある特定の構築物では、会合ドメイン及び阻害性ドメインは、リンカー配列により分離された。構築物に使用するための例示的なリンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)nを有し、式中、n=1~4(配列番号188)である。
BCD mRNA構築物は、化合物X/DSPC/コレステロール/β-シトステロール/PEG DMGを50:10:10:28.5:1.5の比で含む脂質ナノ粒子中に製剤化した。免疫細胞送達増強脂質としてβ-シトステロールを含有する、このような脂質ナノ粒子(LNP)は、その内容全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる、2019年1月30日に提出された、PCT出願第PCT/US19/15913号にさらに記載されている。
実施例12:追加の免疫細胞破壊因子mRNA構築物のインビトロ活性
この実施例では、実施例11に記載される追加のBCD構築物をインビトロアッセイで使用して、BCD5、陰性対照mRNA構築物、及び陽性対照mRNA構築物と一緒に、それらの免疫調節性活性を評価した。第1セットの実験では、B細胞受容体架橋に応答した分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子系を担持したRamos-blue細胞を使用した。したがって、SEAP発現の阻害は、BCR架橋からのシグナル伝達の阻害の指標として使用した。これらのアッセイでは、2×105個のRamos-blue細胞を、BCD構築物または対照mRNAを含むLNPでトランスフェクトした。LNPは、1μg、0.5μg、0.25μg、及び0.125μgで使用した。細胞は、LNPで24時間処置した。その後、細胞を、抗IgKを含有する新鮮な培地(BCRを架橋するため)で24時間インキュベートした。処置細胞のSEAP発現の発現%は、未処置対照細胞と比較して決定した。
4つ全ての処置用量の結果を、図20に示す。0.125μg用量のSEAP阻害%を以下の表21にまとめる:
図20及び表21のこれらの結果により、免疫細胞破壊因子構築物のパネルが、Ramos-blu細胞におけるSEAPレポーター遺伝子の発現を阻害することで、構築物が、BCR架橋により誘導されたシグナル伝達を阻害したことを示唆することが確認される。
第2の一連の実験では、ヒトPBMCによるIgM及びサイトカイン(IL-6及びIL-10)分泌に対する構築物の効果について調べた。これらのアッセイでは、3×105個のヒトPBMCをCpGで72時間刺激した後、BCD構築物(5μg/ml)を含むLNPで24時間トランスフェクトした。その後、細胞を、抗IgK(1μg/ml)を有するかまたは有さない新鮮な培地(BCRを架橋するため)で24時間インキュベートした。4つの異なるPBMCドナーは、別々に実行し、各時点を重複した。IgM分泌、IL-6分泌、及びIL-10分泌の結果を、図21、22、及び23にそれぞれ示す。結果は、BCD構築物が、PBMCによるIgM、IL-6、及びIL-10の分泌を効果的に阻害することを示している。
第3の一連の実験では、ヒトPBMCによるIgG分泌に対する構築物の効果について調べた。これらのアッセイでは、3×104個のヒトPBMCを照射EL4B5フィーダー細胞と共培養し、CpGで72時間刺激した後、BCD構築物(5μg/ml)を含むLNPで24時間トランスフェクトした。その後、細胞を、抗IgK(1μg/ml)を有するかまたは有さない新鮮な培地(BCRを架橋するため)で24時間インキュベートした。4つの異なるPBMCドナーは、別々に実行し、各時点を重複した。IgG分泌の結果を、図24にそれぞれ示す。結果は、BCD構築物が、PBMCによるIgGの分泌も効果的に阻害することを示している。
他の実施形態
本開示をその詳細な説明と併せて開示してきたが、前述の説明は例示を意図したものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内にある。
本明細書に記載の全ての引用文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。