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JP2022191065A - 水処理方法および水処理装置 - Google Patents

水処理方法および水処理装置 Download PDF

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JP2022191065A
JP2022191065A JP2021099687A JP2021099687A JP2022191065A JP 2022191065 A JP2022191065 A JP 2022191065A JP 2021099687 A JP2021099687 A JP 2021099687A JP 2021099687 A JP2021099687 A JP 2021099687A JP 2022191065 A JP2022191065 A JP 2022191065A
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佑亮 平居
Yusuke Hirai
悠佑 田中
Yusuke Tanaka
卓矢 大澤
Takuya Osawa
悠 鵜飼
Yu Ukai
資二 吉原
Sukeji Yoshihara
ファンクアンフィ
Fank Anfi
立夫 角野
Tatsuo Sumino
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

Figure 2022191065000001
【課題】水処理時におけるSSの目詰まりを簡易に抑制することができ、かつ、被処理水中のNH‐Nを良好に除去することができる水処理方法および水処理装置を提供すること。
【解決手段】水処理方法は、被処理水中の有機物およびアンモニア態窒素のうちの1つ以上を好気条件下で除去する水処理方法であって、微細孔を有する担体を充填した1つ以上の反応槽内に、被処理水を各々下向流および上向流から選択される方向で通水させることを含み、前記担体の比表面積が50000m/m以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理水中の有機物やアンモニア態窒素(以下、「NH‐N」とも言う)を生物処理する水処理方法および水処理装置に関する。
河川水、湖水、地下水等を取水源とした上水処理の方法としては、生物処理、RO膜、活性炭、砂濾過、凝集沈殿等を組み合わせて被処理水中の濁度や有機物、NH‐Nを処理し、最終的に次亜塩素酸の添加によって被処理水中の残存NH‐Nを除去する方法が一般的である。
最終段階においてNH‐Nの残存量が多い場合、次亜塩素酸の使用量が増え、ランニングコストが掛かるとともに処理水に塩素由来の臭いが残ってしまう。そのため、前段処理で可能な限りNH‐Nを除去することがランニングコストの低減と処理水質の向上につながる。
前段処理に使用される生物処理の手法の中に、生物ろ過がある。生物ろ過で使用される担体としては、活性炭、アンスラサイト、スポンジ、ゲル、プラスチック等が挙げられる。担体による水処理方法は、処理性が安定しており、かつ、運転も容易である。
しかしながら、生物ろ過において、被処理水を下向流または上向流で通水させ続ける場合、被処理水中に含有される懸濁物質(以下、「SS」(SS:Suspended Solids)とも言う)によって目詰まりが生じる。このようなSSの目詰まりを解消させるためには、一般的に、定期的に水処理を中断して、反応槽を逆洗することが必要とされる。
SSの目詰まりを解消することができる水処理方法として、例えば、特許文献1には、水と近似した比重を持ち、上向水流および/または気泡の付着によって浮上する性質を持つ素材からなる立体網目状粒状物を担体として用いる上向流式生物ろ過装置による生物ろ過方法について記載されている。具体的には、特許文献1に記載の生物ろ過方法では、生物ろ過装置上部には担体の固定床を、その下部には担体の流動床を形成させるように、流動床の下部から原水と酸素含有気体を上向流で通過させて原水を生物学的に処理する。
また、生物ろ過の手法として、他にも様々な方法が知られている。例えば、特許文献2には、処理速度を高めたままで、浮遊物質およびNH‐Nを安定して除去できる水の浄化方法について記載されている。具体的には、特許文献2に記載の水の浄化方法は、浮遊物質を含有する水の浄化方法において、前記水に溶存酸素を供給した後、粒状担体を充填したろ材層を通してろ過処理することで硝化反応をさせる。
さらに、例えば、特許文献3には、成形後のろ過材構造の空隙率を大きくでき、かつ、ろ過速度を上げることができる、化学繊維を原料とした生物接触ろ過材について記載されている。具体的には、特許文献3に記載の生物接触ろ過材は、熱処理を施すことにより捲縮を発現する化学繊維と、熱融着性の化学繊維とを含有した原料化学繊維が融着した不織布を備え、該不織布が複数回重なるように撚って巻かれた状態で、この重なった不織布同士が融着した略円柱状となっている。
また、例えば、特許文献4には、安定した処理性と優れた処理水を得ることができる担体を使用する水処理方法が記載されている。具体的には、特許文献4には、担体の含水率、担体の連通孔の孔径、被処理水中の有機物濃度およびアンモニア態窒素濃度、ならびに、反応槽における被処理水の滞留時間を特定の数値範囲に規定し、被処理水を反応槽に通水して好気条件下で処理を行う水処理方法が記載されている。
特許第2584386号公報 特開2005-177601号公報 特許第6090991号公報 国際公開第2020/004662号
特許文献1に記載の生物ろ過方法では、処理槽の下部に構成された流動床部分の担体は、原水や酸素含有気体による気液混相流によって自由に流動する状態となっている。従って、流動床部分における担体に固定された微生物により原水中の有機物が効率的に除去された後に、固定床部分に原水が送られる。そのため、固定床部分では担体に保持されている微生物の増殖が適度に抑えられ、固定床における目詰まり(SSの目詰まり)の進行を抑制することができる。なお、特許文献1に記載の生物ろ過方法では、原水を上向流で通水することが必須とされている。
しかしながら、流動床および固定床のような担体の分布の形成のための原水や酸素含有気体による気液混相流等の複雑な制御を必須とすることなく、SSの目詰まりをより簡易な手法によって解消できれば好適である。具体的には、下向流および上向流のうちのいずれかの方向で通水させた場合、または、下向流および上向流の両方向を組み合わせて通水させた場合であっても、SSの目詰まりの進行を抑制することができ、かつ、安定的に連続運転できる、新規かつ簡易な生物ろ過方法があれば好適である。
さらに、従来までの生物ろ過に関する水処理方法によると、被処理水中のNH‐N濃度が10mg/Lと高い場合にはNH‐Nを十分に低濃度まで除去できていないという問題が存在する。例えば、特許文献2に記載の水の浄化方法で使用されているような一般的なアンスラサイト等の粒状担体を用いて生物ろ過を行う場合、担体内部において十分に微細な孔が存在しないため、硝化のための細菌を担体の孔内に安定的に棲息させることが難しい。そのため、当該浄化方法によると、被処理水中のNH‐N濃度が10mg/L程度と高い場合にはNH‐Nを十分に低濃度まで除去することができない。
また、特許文献3に記載されている生物接触ろ過材は、化学繊維を原料として撚って巻かれた状態であり、かつ、不織布同士が融着した形状を有している。そのため、ろ過材の内部において微細な空隙を適切に形成させることが難しく、当該空隙内へ細菌以外の大きな原生生物等が進入し易いという問題を有する。その結果、特許文献3に記載の生物接触ろ過材を用いる方法によっても、硝化反応が良好に促進されるとは言い難く、被処理水中のNH‐N濃度が10mg/L程度と高い場合にはNH‐Nを十分に低濃度まで除去することができない。
さらに、特許文献4の図1に示されているような処理槽を用いる場合、すなわち通水方向を横方向とし、反応槽内部で被処理水を攪拌して担体を略均一に分散して流動させて硝化反応を生じさせる場合、被処理水中のNH‐N濃度をある程度の値までは低下させることは可能である。しかしながら、当該方法によっても、槽内が完全混合の形態を取るため、被処理水中のNH‐N濃度が10mg/L程度と高い場合には十分に低濃度になるまで効率的にNH‐Nを除去可能であるとは言い難い。
そこで、本発明は、水処理時におけるSSの目詰まりを簡易に抑制することができ、かつ、被処理水中のNH‐Nを良好に除去することができる水処理方法および水処理装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の好適な態様を包含する。
本発明の第一の局面に係る水処理方法は、被処理水中の有機物およびアンモニア態窒素のうちの1つ以上を好気条件下で除去する水処理方法であって、
微細孔を有する担体を充填した1つ以上の反応槽内に、被処理水を各々下向流および上向流から選択される方向で通水させることを含み、
前記担体の比表面積が50000m/m以上である。
前述の水処理方法において、前記微細孔の孔径は、0.1μm以上1000μm未満であることが好ましい。
前述の水処理方法において、前記反応槽内の全担体量の10%以上における前記担体の充填率が見かけ体積で80%以上であることがより好ましい。具体的には、前記反応槽内の全担体量の40%における前記担体の充填率が見かけ体積で90%以上であることがより好ましい。
前述の水処理方法において、通水時において、前記反応槽が前記担体の分布における高密度領域および低密度領域を有していることがより好ましい。
上記水処理方法において、通水時において、前記低密度領域における前記担体が動いていることがさらに好ましい。
前述の水処理方法において、細菌を担持した状態における前記担体の比重は1.00~1.20であることが特に好ましい。
前述の水処理方法において、前記担体は、ポリビニルアルコールからなることがより好ましい。
前述の水処理方法において、通水時において、前記反応槽内の前記担体全量のうちの20%以上の前記担体が動いていることがさらに好ましい。
前述の水処理方法において、前記反応槽内が完全混合とならないような担体の流動状態となることが好ましい。前記動いている担体のうち、2.5cm/秒以上の速度で動いている担体は、前記動いている担体全量のうちの50%未満であることが好ましい。
上記水処理方法において、通水時において、前記反応槽が前記担体の分布における高密度領域および低密度領域を有しており、かつ、前記動いている担体のうちの少なくとも一部分は前記反応槽内における前記低密度領域と前記高密度領域の位置を移動しながら動いていることが特に好ましい。
前述の水処理方法において、通水時において、前記反応槽内の前記担体全量が動いていることが好ましい。
前述の水処理方法において、通水時において、前記反応槽内の前記担体全量が動いており、前記反応槽が前記担体の分布における高密度領域および低密度領域を有しており、かつ、前記動いている担体のうちの少なくとも一部分は前記反応槽内における前記低密度領域と前記高密度領域の位置を移動しながら動いていることがより好ましい。
本発明の第二の局面に係る水処理装置は、被処理水中の有機物およびアンモニア態窒素のうちの1つ以上を好気条件下で除去する水処理装置であって、
微細孔を有する担体が充填された1つ以上の反応槽と、
前記1つ以上の反応槽内に、被処理水を各々下向流および上向流から選択される方向で通水させるための被処理水供給部および処理水排出部と、を備え、
前記担体の比表面積が50000m/m以上である。
前述の水処理装置において、前記微細孔の孔径は、0.1μm以上1000μm未満であることが好ましい。
前述の水処理装置において、前記反応槽内の全担体量の10%以上における前記担体の充填率が見かけ体積で80%以上であることがより好ましい。具体的には、前記反応槽内の全担体量の40%における前記担体の充填率が見かけ体積で90%以上であることがより好ましい。
前述の水処理装置において、通水時において、前記反応槽が前記担体の分布における高密度領域および低密度領域を有していることがより好ましい。
上記水処理装置において、通水時において、前記低密度領域における前記担体が動いていることがさらに好ましい。
前述の水処理装置において、細菌を担持した状態における前記担体の比重は1.00~1.20であることが特に好ましい。
前述の水処理装置において、前記担体は、ポリビニルアルコールからなることがより好ましい。
前述の水処理装置において、通水時において、前記反応槽内の前記担体全量のうちの20%以上の前記担体が動いていることがさらに好ましい。
前述の水処理装置において、前記反応槽内が完全混合とならないような担体の流動状態となることが好ましい。前記動いている担体のうち、2.5cm/秒以上の速度で動いている担体は、前記動いている担体全量のうちの50%未満であることが好ましい。
上記水処理装置において、通水時において、前記反応槽が前記担体の分布における高密度領域および低密度領域を有しており、かつ、前記動いている担体のうちの少なくとも一部分は前記反応槽内における前記低密度領域と前記高密度領域の位置を移動しながら動いていることが特に好ましい。
前述の水処理装置において、通水時において、前記反応槽内の前記担体全量が動いていることが好ましい。
前述の水処理装置において、通水時において、前記反応槽内の前記担体全量が動いており、前記反応槽が前記担体の分布における高密度領域および低密度領域を有しており、かつ、前記動いている担体のうちの少なくとも一部分は前記反応槽内における前記低密度領域と前記高密度領域の位置を移動しながら動いていることがより好ましい。
本発明によれば、水処理時におけるSSの目詰まりを簡易に抑制することができ、かつ、被処理水中のNH‐Nを良好に除去することができる水処理方法および水処理装置を提供することができる。
図1は、本実施形態における水処理方法で用いられる水処理装置の構成の一例を示す図である。 図2は、図1に示す水処理装置の構成の変形例1-1を示す図である。 図3は、図1に示す水処理装置の構成の変形例1-2を示す図である。 図4は、図1に示す水処理装置の構成の変形例2を示す図である。 図5は、図1に示す水処理装置の構成の変形例3を示す図である。 図6は、図1に示す水処理装置の構成の変形例4を示す図である。 図7は、図1に示す水処理装置の構成の変形例5を示す図である。 図8は、実施例1における被処理水中のNH‐N濃度と排出された処理水中のNH‐N濃度とを水処理装置の使用経過日数と共に示すグラフである。 図9は、比較例3における被処理水中のNH‐N濃度と排出された処理水中のNH‐N濃度とを水処理装置の使用経過日数と共に示すグラフである。
本発明者らは、水処理時におけるSSの目詰まりを抑制することができ、かつ、被処理水中のNH‐Nを良好に除去することができる水処理方法および水処理装置について様々な研究を重ねた。そして、水処理を行う反応槽内に充填される担体の比表面積、被処理水の通水方向および任意での担体の分布に着目し、本発明を完成した。具体的には、反応槽内に充填される担体の比表面積を50000m/m以上とし、かつ、反応槽内に被処理水を下向流もしくは上向流で通水させ、または2つ以上の反応槽を用いた下向流と上向流との組みあわせで通水させることによって、水処理時におけるSSの目詰まりを簡易に抑制することができ、かつ、被処理水中のNH‐Nを良好に除去することができる。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
(有機物およびNH‐Nを含む被処理水)
本明細書において、「被処理水」とは、有機物およびNH‐Nのうちの1つ以上を含んでいる液体であれば、特に限定されない。被処理水は、有機物およびNH‐Nの濃度が比較的低い、河川水、湖水および地下水のうちの1つ以上であることが好ましい。これらのうちのいずれかの原水を被処理水にすることによって、水処理時におけるSSの目詰まりをより好適に抑制することができ、かつ、被処理水中のNH‐Nをより良好に除去することができる。その結果、その処理水を上水として使用することができる。
(水処理装置の構成)
まず、後述する実施形態における水処理方法において用いられる水処理装置の構成の一例について、図1に基づいて説明する。図1に示すように、水処理装置1は、反応槽2と、担体3と、被処理水供給管4と、処理水排出管5と、空気供給管6とを主に備えている。一般的に、水処理装置1では、まず、細菌を含有する被処理水(原水)を一定時間通水させることによって、一定量の細菌を担体3に担持させた後に(装置の立ち上げ後に)、水処理が行われる。あるいは、予め細菌が担持された担体3を備えても構わない。水処理装置1は、被処理水中における有機物の分解が行われ、および/または、被処理水中におけるNH‐Nが硝化されて除去される装置である。
反応槽2は、特に限定されないが、例えば円筒形、直方体等の形状の槽に担体3が充填される。反応槽2の大きさは、特に限定されないが、例えば、直径が40mm以上10000mm以下、好ましくは500mm以上5000mm以下、さらに好ましくは1000mm以上3000mm以下であり、高さが500mm以上10000mm以下、好ましくは1000mm以上7000mm以下、さらに好ましくは2000mm以上5900mm以下の円筒状のカラムを使用することができる。担体3については、後に詳細に説明する。反応槽2の上部には被処理水の導入口が設けられており、反応槽2内に被処理水を供給するための配管である被処理水供給管4と接続されている。反応槽2の下部には処理水の排出口が設けられており、反応槽2から排出された処理水が流れる配管である処理水排出管5と接続されている。
水処理装置1は、反応槽2の下部に空気の導入口が設けられており、反応槽2内に空気を供給するための配管である空気供給管6と接続されている。すなわち、図1における反応槽2内の処理水は曝気される。処理水が曝気されることによって、被処理水中の有機物の分解およびNH‐Nの硝化を効率よく進行させることができる。曝気の具体的方法は、特に限定されず、反応槽2の下部に空気の導入口を設ける方法だけでなく、例えば反応槽2内の下部領域において空気供給管6が接続された散気装置等を備えても構わない。あるいは、被処理水を予め曝気してから反応槽2内に供給してもよい。
このように、図1に示す水処理装置1では、被処理水が被処理水供給管4(被処理水供給部)を通って反応槽2に供給され、かつ、処理水が処理水排出管5(処理水排出部)を通って排出されることによって、担体3が充填された反応槽2内に被処理水を下向流(以下、「下向流式」とも言う)で通水させることができる。
図1に示す例では、処理水が曝気される水処理装置1の構成が採用されているが、反応槽2内の処理水は曝気されなくてもよい。曝気されない装置の構成として、図2および図3に、図1に示す水処理装置1の構成の変形例1-1および変形例1-2を示す。
また、図1に示す例では、反応槽2内を上側から下側に向かって水が流れる下向流式の構造が採用されているが、反応槽2内を下側から上側に向かって上向流で通水する構造(以下、「上向流式」とも言う)であってもよい。図4に、図1に示す水処理装置1の構成の変形例2を示す。図4に示すように、上向流式の場合、反応槽2の下部に被処理水供給管4が接続されると共に、反応槽3の上部に処理水排出管5が接続される。このように被処理水を下向流または上向流で通水させることによって、反応槽内に通水方向に沿った被処理水のNH‐N濃度の勾配を形成することができる。そのため、本実施形態における水処理装置によると、通水方向を横方向とし、例えば反応槽内部で被処理水を攪拌させて、担体を略均一に分散して流動させる場合と比較すると(例えば特許文献4参照)、NH‐Nを良好に低濃度まで除去することができる。
あるいは、本実施形態における水処理装置の変形例では、水処理装置が2つ以上の反応槽を備え、各々の反応槽内において被処理水を各々下向流および上向流から選択される方向で通水させてもよい。換言すると、任意の数の下向流の通水における反応槽と任意の数の上向流の通水における反応槽との組みあわせにおいて水処理を行ってもよい。
(担体)
次に、上述した水処理装置が備える担体について、詳細に説明する。
担体は、被処理水中の有機物を分解することができる細菌、および/または、被処理水中のNH‐Nを硝化することによって除去することができる細菌(硝化菌)を担持することができ、微細孔を有し、かつ、当該担体の比表面積が50000m/m以上であれば、特に限定されない。
担体の微細孔は、連通孔構造であることが好ましい。本明細書において、「連通孔構造」とは、多孔質体の一部を構成する構造であって、担体の表面から内部に向かって微細な孔が複数形成されると共に、当該複数の孔が各々独立に存在しているのではなく、孔同士が相互に連通している(繋がっている)構造を意味する。この連通孔構造によれば、担体に形成された全ての微細孔に水を通過させることにより、当該担体の内部に水を浸透させることができる。
担体の微細孔の孔径、好ましくは連通孔の孔径は、1000μm未満であることが好ましい。担体の微細孔または連通孔の孔径は、500μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。孔径が1000μm未満の微細孔または連通孔が形成された担体を用いることによって、担体の比表面積を大きくすることができ、かつ、細菌以外の大きな生物が進入することで担体の内部表面を占有することを防ぐことができる。一方、従来的に生物ろ過において使用されているアンスラサイト等の粒状担体(例えば特許文献2参照)または化学繊維を原料として巻かれた状態で形成される生物接触ろ過材(例えば特許文献3参照)等によると、このようなサイズの微細孔を形成することが困難であるため、細菌以外の大きな原生生物に担体の内部表面を占有されてしまう。また、担体の微細孔または連通孔の孔径は、0.1μm以上であることが好ましい。孔径を0.1μm以上にすることによって、細菌を孔内に安定的に棲息させることができる。
本明細書において、担体の微細孔または連通孔の孔径が0.1μm以上または1000μm未満とは、担体に形成された微細孔のうち50%以上の孔径が0.1μm以上または1000μm未満であることを意味する。この際、孔径とは、電子顕微鏡で担体の断面を観察した際に見られる孔の直径である。本明細書において、孔径は、具体的には次の方法で測定することができる。担体の断面を電子顕微鏡で観察して、電子顕微鏡画像を得る。得られた画像に等間隔で縦に10本の直線を引くとともに、等間隔で横に10本の直線を引く。そして、直線の交点に存在する孔を100個選択し、それぞれの孔の直径を測定する。このとき、交点に孔が存在しなかった場合には、その交点に最も近い孔を選択する。この測定は2つの交点に孔が跨らない縮尺の画像で行う。その結果、100個の孔の直径の範囲を求めることができる。孔が真円でない場合は、円相当径、すなわち孔の断面積と同面積の真円の直径が、孔径に相当する。
担体の比表面積は、50000m/m以上である。担体の比表面積を50000m/m以上にすることによって、水処理時におけるSSの目詰まりを簡易に抑制することができ、かつ、被処理水中のNH-Nを良好に除去することができる。具体的には、担体の比表面積が50000m/m以上であれば、担体の内部に細菌を効率よく多量に担持させることができる。その結果、担体の表面に生物膜が厚く付着することを抑制することができ、たとえ反応槽内における担体全てが静止している場合であっても、SSの目詰まりを簡易に抑制することができ、かつ、有機物および/またはNH‐Nを良好に除去することができる。一方、従来的に生物ろ過において一般的に使用されているアンスラサイト等の粒状担体体は、担体の内部にこのような大きさの比表面積を保有することができないため、担体の孔内に細菌を安定的に棲息させることができない。
本明細書において、担体の比表面積は、後述する実施例と同様に、クリプトンガス吸着法によって測定される数値とする。
担体の比表面積は、好ましくは60000m/m以上、より好ましくは70000m/m以上、さらに好ましくは80000m/m以上である。また、担体の比表面積は200万m/m以下であることが好ましい。担体の比表面積を200万m/m以下にすることによって、担体内部の構造が緻密になり、微生物の棲息領域が限定されてしまい、内部を有効に使うことができなくなることを防ぐことができる。
担体は、比表面積50000m/m以上であれば限定はされないが、例えば、有機高分子、無機化合物等の公知の構成素材からなる担体を用いることができる。有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、これらの樹脂に発泡剤等を混合させた発泡体、セルロース等が挙げられる。
これらのうち、細菌との親和性が高く、かつ、細菌棲息性に優れているとの観点から、担体は、高分子ゲル担体であることが好ましく、ポリビニルアルコールからなるゲル状担体(以下、「PVAゲル担体」とも言う)であることがより好ましい。PVAゲル担体は、アセタール化されたPVAゲル担体であってもよい。担体としてPVAゲル担体を用いることによって、前述した担体の比表面積が大きくなるように制御し易いため、SSの目詰まりを簡易かつより良好に抑制することができる。
担体の含水率は、質量換算で、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。担体の含水率を50%以上にすることによって、細菌の生育環境を良好なものとすることができ、細菌を増殖および担持され易くすることができる。また、担体の含水率は、98%以下であることが好ましく、96%以下であることがより好ましい。担体の含水率を98%以下にすることによって、担体の破損を防ぐことができ、担体を追加投入する必要もほとんどなく、装置の長期運転を可能とすることができる。
本明細書において、担体の含水率とは、含水状態の担体の重量に対する水の重量の比率である。水の重量は、含水状態の担体の重量と、当該含水状態の担体を完全に乾燥させた際の担体の重量との差から計算することができる。
担体の形状は、反応槽内に充填することができ、かつ、本実施形態における水処理方法および水処理装置による効果に影響を及ぼす形状でなければ、特に限定されない。担体の形状としては、例えば、球状、楕円形状、立方体状、直方体状、円柱状等が挙げられる。これらのうち、細菌との接触効率の向上の観点から、担体の形状は、球状であることが好ましい。
担体の球相当径は、0.5mm以上20mm以下であることが好ましい。球相当径を0.5mm以上とすることによって、反応槽からの担体の流出を防止することができる。また、後述する変形例のように担体の流出防止のためにスクリーンを設置する場合においても、球相当径を0.5mm以上とすることによって、スクリーンの網目を小さくしすぎて、目詰まりを起こすことを防ぐことができる。球相当径を20mm以下とすることによって、担体の反応槽内へ容易に充填することができ、かつ、担体を流動させる場合には、担体の流動性の低下を防ぐことができる。
担体の球相当径は、より好ましくは1mm以上であり、さらに好ましくは2mm以上である。また、担体の球相当径は、より好ましくは15mm以下であり、さらに好ましくは10mm以下である。本明細書において、担体の球相当径とは、担体の体積と等しい体積を有する球の直径を意味する。
細菌を担持した状態における担体の比重は、水と同じか、わずかに大きく、上向流または下向流で被処理水を反応槽に供給した際に、担体が流出または閉塞せずに安定した水処理が可能であれば特に限定されない。また、細菌を担持した状態における担体の比重は、後述するような所望する担体の分布および担体の挙動を形成し易い比重であることが好ましい。具体的には、細菌を担持した状態における担体の比重は、1.00~1.20であることが好ましい。当該比重を水と同じか、わずかに大きいこのような範囲にすることによって、上向流の方向の通水だけでなく(例えば特許文献1参照)、下向流および上向流のいずれの方向で通水させた場合であっても安定的に連続運転することができると考えられる。同時に、当該比重の範囲によると、通水および/または曝気によって簡単に担体の流動を制御することができ、後述する担体の分布および担体の挙動を調整し易い。従来、水に近い比重の担体は流動状態をよくするために使用され、完全混合槽で使用される。そのような担体を使用することで、1つ1つの担体は流動できる状態でありながら、押し出し流れの流動状態で実現することが可能となり、被処理水中のNH‐Nをより効率的に低濃度まで除去することができ、かつSS詰まりを抑制できる。また、担体の流動を簡単に制御できることで、逆洗も容易となる。
本明細書において、「細菌を担持した状態における担体の比重」とは、本実施形態における水処理装置の使用開始後または本実施形態における水処理方法の開始後、連続して水処理が行われ、既に略一定量の細菌を安定的に担持している時の担体の比重を意味する。以下、単に「担体の比重」とも言う。
反応槽の総容積に対する反応槽内に充填される担体の見かけ体積の割合(充填率)は、被処理水の種類、担体の種類、担体の大きさ等に応じて適宜決定することができる。充填率は、例えば、好ましくは10%以上98%以下である。充填率を10%以上にすることによって、反応槽内における有機物の分解反応および硝化反応を効率よく進行させることができる。充填率を98%以下にすることによって、担体に流動性を求める場合、当該流動性を確保し、有機物の分解反応および/または硝化反応の効率が低下することを防ぐことができる。なお、本明細書において、見かけ体積とは、担体自身の体積と、担体と担体の間隙を合わせた、総体積を指す。また、本明細書において、充填率とは、反応槽の総容積に対する反応槽内に充填される担体の見かけ体積の割合を指す。
充填率は、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。
(反応槽内における担体の分布および担体の挙動)
本実施形態における水処理方法または水処理装置では、通水時において、反応槽が担体の分布における高密度領域および低密度領域を有していることが好ましい。さらに、高密度領域は反応槽下部に位置していることが好ましい。加えて、通水時において、当該低密度領域における担体が動いていることがより好ましい。本明細書において、「通水時」とは、本実施形態における水処理装置の使用開始後または本実施形態における水処理方法の開始後、水処理が可能となっている時、好ましくは安定した水処理が可能となっている時(すなわち、立ち上げを終えた後の水処理時)を意味する。
本明細書において、「担体の分布における高密度領域」とは、充填された全担体が分散している反応槽内の領域に全担体を均等に分散させた場合における担体密度と比べて、より高密度に担体が分散されている領域を意味する。一方、本明細書において、「担体の分布における低密度領域」とは、充填された全担体が分散している反応槽内の領域に全担体を均等に分散させた場合における担体密度と比べて、より低密度に担体が分散されている領域を意味する。通水時において、反応槽内でこのような担体の分布を有し、好ましくは低密度領域における担体が動く(好ましくは流動する)ことによって、動く担体に担持された細菌によって、被処理水中の有機物を効率的に分解することができ、SSによる目詰まりをより確実に防止することができる。また、反応槽内の担体の流動状態を制御し、押し出し流れの状態を作ることで、被処理水中の有機物および/またはNH‐Nをより良好に除去することもできる。さらに、低密度領域が反応槽下部に位置することによって、通水方向が上向流であり、かつ、上部に担体分離用のスクリーンが設置されている場合、担体によってスクリーンが閉塞してしまうことを防ぐことができる。また、通水方向が下向流である場合、反応槽内上部に低密度領域が位置することによって、担体表面に生物膜ができた場合でもSSの目詰まりを抑制することができる。
例えば、図1に示す水処理装置1を用いて説明すると、高密度領域は、V1に示す領域とV2に示す領域とを加算した領域に全担体3を均等に分散させた場合における担体3の密度と比べて、より高密度に担体3が分散されており、反応槽下部に位置しているV2に示す領域である。一方、低密度領域は、V1に示す領域とV2に示す領域とを加算した領域に全担体3を均等に分散させた場合における担体3の密度と比べて、より低密度に担体3が分散されているV1に示す領域である。加えて、V1に示す領域における担体3は、動いていることが好ましい。
通水時において、反応槽が担体の分布における高密度領域および低密度領域を有しているか否かは、運転開始後、運転が安定した際に、反応槽内に採水瓶を投入し、担体が分散している反応槽内の領域における水と担体とを採取し、得られた水に対する担体量の割合を確認することによって判定することができる。さらに、低密度領域における担体が流動しているか否かは、外から目視で観察する方法、水中カメラを反応槽内に入れ内部の状態を観察する方法、および/または、担体の平均移動距離を測定し、当該測定された担体の移動距離から速度を換算する方法によって判定することができる。
さらに、本実施形態における水処理方法または水処理装置では、反応槽内の担体全量のうちの20%以上の担体が動いていることが好ましい。本明細書において、「担体が動いている」とは、「担体が流動している」、「担体が揺動している」、「充填されている担体の上下左右の位置が入れ替わって担体が動いている」、「(積層している担体が膨張し、担体同士の間に隙間が生じ、それぞれの担体の可動域が広がることにより)積層している担体が動いている」および「担体が1mm/秒以上の速度で動いている」の全ての概念を含む。換言すれば「担体が動いている」とは、担体が静止している状態以外の担体の挙動を概ね含む。通水時において、反応槽内で担体全量のうちの20%以上の担体がこのような挙動を取ることによって、水処理時におけるSSの目詰まりを簡易かつ確実に抑制することができ、かつ、被処理水中の有機物および/またはNH‐Nをより良好に除去することができる。
また、「担体全量のうちの20%以上の担体が動いている」とは、担体全量のうちの特定の20%以上の担体が常に動いている場合(換言すれば当該特定の80%未満の担体が常に静止している場合)、および、担体全量のうちの常時任意に選択される20%以上の担体が動いている場合の両方の意味を含む。具体的に、後者の場合には、例えば、動いていた担体が反応槽内における位置(例えば反応槽内における高さ)が変わったことによって静止し、一方、静止していた担体が反応槽内における位置(例えば反応槽内における高さ)が変わったことによって動く場合等が含まれる。換言すれば、動いている担体のうちの少なくとも一部分が、反応槽内における高さの位置を移動しながら動いていてもよい。担体が反応槽内における位置を変えながら任意にて静止または動くことによって、一つの担体において幅広いNH‐Nの濃度範囲を好適に硝化することができる菌叢が形成される。換言すると、担体の反応槽内における位置が入れ替わらない場合は、担体全体として菌叢が形成される。その場合、反応槽内における担体の分布状態が変わった際に処理性が不安定になるおそれがある。しかし、一つの担体に好適な菌叢が形成されている場合、反応槽内の担体の分布状態が変わった場合でも、安定した処理が可能となる。
例えば、図1に示す水処理装置1では、V1に示す領域における担体3が動いており、具体的には流動している。また、V2に示す領域における担体3は、「担体が揺動している」、「充填されている担体の上下左右の位置が入れ替わって担体が動いている」、「(積層している担体が膨張し、担体同士の間に隙間が生じ、それぞれの担体の可動域が広がることにより)積層している担体が動いている」および「担体が1mm/秒以上の速度で動いている」のいずれかの状態であってもよいし、あるいは、担体3が静止している状態であってもよい。さらに、図1に示す水処理装置1では、V1に示す領域に存在する担体3とV2に示す領域に存在する担体3とは、通水時において、反応槽2内における相互の位置が入れ替わってもよい。
また、例えば、図2に示す水処理装置1では、V1に示す領域とV2に示す領域の反応槽2内における位置が逆になっていることを除き、図1に示す水処理装置1と大凡同様となっている。図2に示す水処理装置1では、V1に示す領域における担体3が動いており、具体的には流動している。また、V2に示す領域における担体3は、「担体が揺動している」、「充填されている担体の上下左右の位置が入れ替わって担体が動いている」、「(積層している担体が膨張し、担体同士の間に隙間が生じ、それぞれの担体の可動域が広がることにより)積層している担体が動いている」および「担体が1mm/秒以上の速度で動いている」のいずれかの状態であってもよいし、あるいは、担体3が静止している状態であってもよい。さらに、V1に示す領域に存在する担体3とV2に示す領域に存在する担体3とは、通水時において、反応槽2内における相互の位置が入れ替わってもよい。一方で、図3に示す水処理装置1では、通水時、反応槽2内に充填されている全ての担体3が静止している。このような場合であっても、担体3の比表面積が大きいため、水処理時におけるSSの目詰まりを簡易に抑制することができ、かつ、被処理水中の有機物および/またはNH-Nを良好に除去することができる。
担体の一部が静止していても良いが、少なくとも担体全量のうちの20%は動くことが好ましい。
また、通水時において、反応槽内が完全混合とならないような担体の流動状態となることが好ましい。前記動いている担体のうち、2.5cm/秒以上の速度で動いている担体が、前記動いている担体全量のうちの50%未満であることが好ましく、40%未満であることがさらに好ましい。
また、通水時において、反応槽内の担体全量のうちの25%以上の担体が動いていることがより好ましく、反応槽内の担体全量のうちの30%以上の担体が動いていることがさらに好ましい。さらに、通水時において、反応槽内の担体全量が動いていることが特に好ましい。
なお、通水時において、反応槽内でこのような担体の挙動の条件を満たしているか否かは、透明なカラムを用いて同条件に設定して運転開始後、運転が安定した際に、外から目視で観察する方法、水中カメラを反応槽内に入れ内部の状態を観察する方法、および/または、担体の平均移動距離を測定し、当該測定された担体の移動距離から速度を換算する方法によって判定することができる。動いている担体の割合は、透明なカラムを用いて同条件に設定して運転開始後、運転が安定した際に、反応槽内に採水瓶を投入し、動いている担体を採取し、反応槽内の担体全量に対する割合を算出することで求めることができる。
また、通水時の反応槽内において、以下に述べるような担体の分布の条件および/または担体の挙動の条件を満たしていることが好ましい。
通水時において、反応槽内の全担体量の10%以上における担体の充填率が見かけ体積で80%以上であることが好ましい。また、反応槽内の全担体量の20%以上における担体の充填率が見かけ体積で80%以上であることがより好ましい。通水時において、反応槽内でこのような担体の分布を有することによって、被処理水中の有機物および/またはNH‐Nをより良好に除去することができる。
例えば、図1に示す水処理装置1を用いて説明すると、V2に示す領域が反応槽2の容積の10%以上であり、かつ、V2に示す領域の担体3の充填率が見かけ体積で80%以上となっていることが好ましい。
また、通水時において、反応槽内の全担体量の15%以上における担体の充填率が見かけ体積で80%以上であることがより好ましく、反応槽の全担体量の20%以上における担体の充填率が見かけ体積で80%以上であることがさらに好ましい。
通水時において、反応槽内でこのような担体の分布の条件を満たしているか否かは、運転開始後、運転が安定した際に、反応槽内に採水瓶を投入し、水と担体を採取し、得られた水に対する担体量の割合を確認することによって判定することができる。
また、通水時において、反応槽内の担体全量のうちの20%以上の担体が動いている場合、反応槽が担体の分布における高密度領域および低密度領域を有しており、かつ、動いている担体のうちの少なくとも一部分は反応槽内における低密度領域と高密度領域の位置を移動しながら動いていることが特に好ましい。この場合において、反応槽内の担体全量が動いていることがさらに好ましい。
例えば、図1に示す水処理装置1を用いて説明すると、担体3のうちの少なくとも1つ以上が、低密度領域V1に包含される位置と高密度領域V2に包含される位置とを移動しながら動いていることが特に好ましい。担体が反応槽内における高さや所定の担体の密度領域を移動しながら動くことによって、反応槽が固定床部分と流動床部分とに区画化されており、担体が流動床部分のみで動く場合と比べ(例えば特許文献1参照)、被処理水中のNH‐Nをより良好に効率よく除去できると考えられる。これは、このような担体の挙動によって、担体において幅広いNH‐Nの濃度範囲を好適に硝化することができる菌叢が形成されるためと想定され、また反応槽内の流動状態が押し出し流れに近い状態となることで、より低濃度までNH4‐Nを除去することができる。
このような反応槽内における担体の分布および担体の挙動の状態は、例えば、反応槽の大きさ、担体の種類、担体の大きさ、担体の比重、担体の充填率、通水の向き、曝気の有無および位置、被処理水の供給速度、処理水の排出速度、空気の供給速度、被処理水の水理学的滞留時間(HRT:Hydraulic Retention Time)等の要素を各々適切に選択および/または調整することによって、形成することができる。
例えば、図4に示す水処理装置1は、図1に示す水処理装置1とは通水方向が異なるが、反応槽2内における担体3の分布および担体3の挙動は、概ね同様となっている。加えて、図5に、図1に示す水処理装置の構成の変形例3を示す。図5に示す水処理装置1の構成は、図4に示す水処理装置1の構成と全く同じであるが、反応槽2内における担体3の分布および担体3の挙動は、図4に示す反応槽2内における担体3の分布および担体3の挙動と比べ、大きく異なっている。このような反応槽2内における担体3の分布および担体3の挙動の状態は、被処理水の供給速度、処理水の排出速度、空気の供給速度、散気構造、曝気の位置、被処理水のHRT等の要素を適宜調整することにより、変更することができる。
また、例えば、図1に示す水処理装置1において、反応槽2内の被処理水の流れを調整可能な制御部(図示せず)をさらに備えていてもよい。制御部は、例えば、被処理水供給管4、処理水排出管5および空気供給管6のうちの1つ以上と接続されており、被処理水の供給速度、処理水の排出速度、空気の供給速度、被処理水のHRT等を調整できることが好ましい。制御部をさらに備えることによって、上述したような通水時における反応槽内の担体の分布および担体の挙動の状態をより容易に形成することができる。なお、制御部は、例えば、CPUおよびその周辺回路を備えて構成することができる。
(水処理方法)
本実施形態における水処理方法は、前述した実施形態における水処理装置を用いて同様に実施することができる。
具体的には、本実施形態における水処理方法は、図1に示す例を用いて説明すると、被処理水(原水)が被処理水供給管4を通って反応槽2に供給され、かつ、処理水が処理水排出管5を通って排出されることによって、担体3を充填した反応槽2内に被処理水を下向流(または上向流もしくは下向流と上向流との組み合わせ)で通水させることを含む。
本実施形態における水処理方法によると、前述した水処理装置の実施形態と同様に、反応槽内において、担体に担持された細菌によって、被処理水中における有機物の分解が行われ、および/または、被処理水中におけるNH‐Nが硝化されて除去される。
曝気、通水方向、担体の詳細、ならびに、反応槽内における担体の分布および担体の挙動については、前述した通りである。従って、本実施形態における水処理方法によると、水処理時におけるSSの目詰まりを簡易に抑制することができ、かつ、被処理水中のNH‐Nを良好に除去することができる。
反応槽内への被処理水の供給速度は、線速度(以下、「LV」とも言う)が10000m/d以下であることが好ましく、8000m/d以下であることがより好ましく、5000m/d以下であることがさらに好ましく、1000m/d以下であることが特に好ましく、500m/d以下であることがより特に好ましい。LVがこの範囲を超えると、担体の流出または閉塞により安定した水処理が困難になる場合がある。
反応槽に供給される被処理水中の有機物の濃度は、BODで100mg/L以下であることが好ましい。被処理水中の有機物の濃度をBODで100mg/L以下にすることによって、被処理水中の有機物を好適な濃度まで分解することができる。反応槽に供給される被処理水中の有機物の濃度は、より好ましくは80mg/L以下であり、さらに好ましくは50mg/L以下である。BODとは、生物化学的酸素要求量のことを指す。具体的には、水中に含まれる有機物を微生物が分解する際に5日間で消費する溶存酸素量のことを指す。本明細書において、BODは、後の実施例と同様に、JIS K 0102に記載の方法により測定される値とする。
反応槽に供給される被処理水中のNH‐N濃度は、50mg/L以下であることが好ましい。当該被処理水中のNH‐N濃度を50mg/L以下にすることによって、処理後のNH‐N濃度を極めて低濃度まで減少させることができる。反応槽に供給される被処理水中のNH‐N濃度は、より好ましくは30mg/L以下であり、さらに好ましくは10mg/L以下である。反応槽に供給される被処理水中のNH‐N濃度は、0mg/L以上である。本明細書において、被処理水中のNH‐N濃度は、後の実施例と同様に、インドフェノール青吸光光度法等によって測定される値とする。
反応槽に供給される被処理水中のSSの濃度は、500mg/L以下であることが好ましい。当該被処理水中のSSの濃度を500mg/L以下にすることによって、SSの量が過度であるために、本実施形態における効果に影響を与えてしまうことを避けることができる。反応槽に供給される被処理水中のSSの濃度は、より好ましくは400mg/L以下であり、さらに好ましくは300mg/L以下であり、特に好ましくは200mg/Lであり、より特に好ましくは100mg/Lである。本明細書において、被処理水中のSSの濃度は、後の実施例と同様に、被処理水をろ過後、孔径1μmのろ紙上に残留した不溶解性物質の乾燥重量を測定することで計算される値とする。
反応槽における被処理水のHRTは、0.2分間以上60分間以下であることが好ましい。HRTを0.2分間以上にすることによって、水処理を十分に進行させることができ、被処理水中の有機物の分解およびNH‐Nの除去を十分に行うことができる。また、HRTを60分間以下にすることによって、水処理を効率的に行うことができる。HRTは、より好ましくは1分間以上であり、さらに好ましくは5分間以上である。また、HRTは、より好ましくは30分間以下であり、さらに好ましくは15分間以下である。
反応槽における被処理水のpHは、細菌の生育環境の観点から、5~9であることが好ましく、6~8であることがより好ましい。反応槽における被処理水のpHを細菌が生育し易い環境下にすることによって、有機物分解速度および硝化速度を高めることができる。
反応槽における被処理水の温度は、特に限定はされないが、細菌の生育環境の観点から、10℃~40℃であることが好ましく、15℃~35℃であることがより好ましい。反応槽における被処理水の温度を細菌が生育し易い環境下にすることによって、有機物分解速度および硝化速度を高めることができる。
反応槽内における溶存酸素濃度(DO:Dissolved Oxygen)は、2mg/L以上であることが好ましい。反応槽内におけるDOを2mg/L以上にすることによって、有機物の分解速度および硝化速度を十分な速度に保つことができる。
(他の変形例)
図6および図7に、図1に示す水処理装置1の構成の変形例4および変形例5を示す。図6および図7に示す水処理装置1には、担体3の流出を防ぐためのスクリーン7が反応槽2内部に設けられている。反応槽2内に充填されている担体3は、全てにおいて静止している状態、一部において静止している状態、および、全てにおいて動いている状態のうちのいずれの状態も取り得る。図6および図7に示す水処理装置1では、前述したように、例えば、反応槽の大きさ、担体の種類、担体の大きさ、担体の比重、担体の充填率、被処理水の供給速度、処理水の排出速度、空気の供給速度、被処理水のHRT等の要素を各々適切に選択および/または調整することによって、所望する担体3の分布および担体3の挙動を形成することができる。
図6および図7の水処理装置1はスクリーン7を備えているため、上向流または下向流のいずれの通水時においても、反応槽2内の担体3が積層されているような状態となる。そのため、担体3は、静止している状態を取らない場合、例えば、「担体が揺動している」、「充填されている担体の上下左右の位置が入れ替わって担体が動いている」、「(積層している担体が膨張し、担体同士の間に隙間が生じ、それぞれの担体の可動域が広がることにより)積層している担体が動いている」および「担体が1mm/秒以上の速度で動いている」のいずれかの状態における、担体3の挙動を有することが想定される。
なお、上述してきた本実施形態における水処理装置および水処理方法では、例えば図1に示される水処置装置1は、一つの反応槽2のみを備えているが、複数の反応槽が連結されて、一つの水処理装置が構成されていても構わない。また、水処理装置全体として、反応槽だけでなく、活性汚泥槽、凝集沈殿槽、膜ろ過、RO、砂濾過、活性炭等、他の各種付帯設備等を備えても構わない。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、図1に示す通水向きが下向流式である水処理装置1を用いて、半年以上の期間にわたり、有機物およびNH‐Nを含む被処理水の水処理を連続して行った。
<有機物およびNH‐Nを含む被処理水(原水)>
被処理水の成分は、反応槽への供給前に測定したところ、以下の通りであった。被処理水は、測定日によって各成分の数値に変動があった。SS(mg/L)は、被処理水をろ過後、ろ紙上に残留した不溶解性物質の乾燥重量を測定することによって求めた。NH‐N濃度(mg/L)は、インドフェノール青吸光光度法によって測定した。
SS:3mg/L~10mg/L
NH‐N濃度:10mg/L~12mg/L
<担体を充填した反応槽>
反応槽としては、カラム(直径:40mm、高さ:1500mm)を使用し、カラム内に以下に述べる担体を0.94L投入した(見かけ充填率50%)。
<担体>
担体は、球状のPVAゲル担体を使用した。PVAゲル担体の球相当径は4mmであり、細菌を担持した状態におけるPVAゲル担体の比重は1.04である。電子顕微鏡を用いてPVAゲル担体の表面および内部を観察すると、相互に連通した孔が確認できた。PVAゲル担体の比表面積は、800000m/mであった。比表面積は、クリプトンガス吸着法によって測定した。電子顕微鏡による観察像を用いてPVAゲル担体の表面および内部の孔径を測定したところ、孔径は0.5μm~20μmであった。PVAゲル担体の含水率は、質量基準で94%であった。
<水処理装置>
図1に示す構成の水処理装置1において、被処理水供給管4から反応槽2内に被処理水を供給した。供給された被処理水は、反応槽2内のPVAゲル担体からなる担体3に担持されている細菌によって、被処理水中の有機物の分解およびNH‐Nの硝化が行われる。その後、処理水は、処理水排出管5を通って反応槽2外に排出された。なお、通水時、空気供給管6を通して反応槽2内に空気を送り込み、処理水を曝気した。
<水処理装置の立ち上げおよびその後の管理>
予め細菌を担持させる操作を行っていないPVAゲル担体(細菌が担持されていないPVAゲル担体)を投入した反応槽に対して直接被処理水(原水)を供給し、130日間処理を続けた。その後、反応槽の管理条件として、pHを6~8とし、DOを4mg/L~9mg/Lとした。反応槽内の温度は22℃とした。HRTが15分間となるように、被処理水の供給量は126ml/分とした。曝気の際の空気供給量は2L/分とした。
<反応槽内における担体の分布および担体の挙動>
水処理装置の立ち上げ後、運転が安定的に行われている反応槽内における担体の分布および担体の挙動を外から目視で観察する方法によって確認した。その結果、反応槽内における担体の分布および担体の挙動は、反応槽内上部における担体の低密度領域が激しく流動しており、反応槽内下部では担体が積層しており高密度領域を形成していることが確認された。さらに、反応槽内下部に積層している担体に対して、透明なカラムを用いて外側から内部を観察することにより、反応槽内下部の担体の移動距離から担体の平均移動速度を換算した。その結果、反応槽内下部の担体は、平均移動速度1mm/秒以上で動いていることが確認された。すなわち、反応槽内の担体全量が動いていることが観察された。加えて、透明なカラムを用いて外側から反応槽の内部の状態を観察することにより、低密度領域で流動していた1つ以上の担体が高密度領域の位置まで移動していることも確認することができた。また、反応槽内の動いている担体のうち60%が2cm/秒以下の速度で流動している様子が観察された。また、下部に積層している高密度領域において、全担体量の50%が充填率90%以上であることを観察できた。また、上部の低密度領域の充填率が40%以下であることが観察された。
<結果>
水処理装置の使用開始から、130日間にわたり処理を行い続け、反応槽から排出される処理水の水質を調べ続けた。図8において、被処理水中のNH‐N濃度と排出された処理水中のNH‐N濃度とを水処理装置の使用経過日数と共に示す。図8に示されるように、水処理装置の使用から87日間経過した後でも、被処理水のNH‐N濃度を約10mg/L程度から0.01mg/L程度まで減少させることができていた。さらに、本実施例における水処理装置によると、図8に示す日数も超えて半年以上経過した場合であっても、SSが目詰まりすることなく、NH‐N濃度を良好に減少させることができ、安定的に装置を運転することが可能であった。
特に、既存の有機物および/またはNH‐Nを除去する水処理方法または水処理装置では、被処理水(原水)のNH‐N濃度が約10mg/L程度であった場合、HRTを15分間として処理後におけるNH‐N濃度を0.5mg/Lより低くすることは非常に困難である(例えば後述の比較例2参照)。そのため、本実施例における水処理装置によると、被処理中のNH‐N濃度を非常に低濃度まで処理することが可能となるため、極めて優れたNH‐Nの除去効果を有していることが分かる。
(実施例2)
実施例2では、通水の向きを下向流式ではなく上向流式にしたこと以外は、実施例1と同様の条件において被処理水の水処理試験を実施した。その結果、被処理水のNH‐N濃度を0.01mg/L程度まで減少させることができ、かつ、30日間以上SSが目詰まりすることなく、安定的に装置を運転することが可能であった。
なお、反応槽内における担体の分布および担体の挙動は、実施例1と同様であり、反応槽内上部における低密度領域の担体が流動しており、反応槽内下部における高密度領域の積層した担体が平均移動速度1mm/秒以上で動いていることが確認された。さらに、低密度領域で流動していた1つ以上の担体が高密度領域の位置まで移動していることも確認することができた。また、反応槽内の動いている担体のうち60%が2cm/秒以下の速度で流動している様子が観察された。また、下部に積層している高密度領域において、全担体量の50%が充填率90%以上であることを観察できた。また、上部の低密度領域の充填率が40%以下であることが観察された。
(実施例3)
実施例3では、反応槽として高さが800mmであるカラムを使用し、見かけ充填率を94%としたこと以外は、実施例1と同様の条件において被処理水の水処理試験を実施した。なお、反応槽の容積が実施例1の場合よりも小さくなったため、HRTは8分間となった。その結果、被処理水のNH‐N濃度を0.01mg/L程度まで減少させることができ、かつ、30日間以上SSが目詰まりすることなく、安定的に装置を運転することが可能であった。
なお、反応槽内における担体の分布および担体の挙動は、反応槽内下部では反応槽の容積の95%において担体が積層しており(高密度領域)、反応槽内上部では反応槽の容積の5%において担体が流動していた(低密度領域)。なお、当該反応槽の容積の95%において積層している担体の充填率は、見かけ体積で95%であった。反応槽の全容積に対する積層している担体の領域の割合(%)および流動している担体の領域の割合(%)は、カラムの外側から目視によって観察および計測することによって求めた。また、当該積層している担体の見かけ体積における充填率は、運転が安定している際に、反応槽内に採水瓶を投入し、反応槽内下部における水と当該積層している担体とを採取し、採取された水量および採取された担体量から求めた。なお、実施例1と同様に、反応槽内下部において積層している担体は平均移動速度1mm/秒以上で動いていることが確認された。反応槽内の全担体のうち60%が動いていることが観察された。さらに、低密度領域で流動していた1つ以上の担体が高密度領域の位置まで移動していることも確認することができた。また、反応槽内の動いている担体のうち60%が2cm/秒以下の速度で流動している様子が観察された。また、下部に積層している高密度領域において、全担体量の80%以上が充填率90%以上であることを観察できた。また、下部に充填率95%以上の高密度領域があり、上部に充填率75%以下の低密度領域があることが観察された。
(実施例4)
実施例4では、反応槽として高さが800mmであるカラムを使用し、見かけ充填率を94%とし、かつ、通水の向きを下向流式ではなく上向流式にしたこと以外は、実施例1と同様の条件において被処理水の水処理試験を実施した。なお、反応槽の容積が実施例1の場合よりも小さくなったため、HRTは8分間となった。その結果、被処理水のNH‐N濃度を0.01mg/L程度まで減少させることができ、かつ、30日間以上SSが目詰まりすることなく、安定的に装置を運転することが可能であった。
なお、反応槽内における担体の分布および担体の挙動は、実施例3と同様であった。すなわち、反応槽内下部では反応槽の容積の95%において担体が平均移動速度1mm/秒以上で動きながら積層しており(高密度領域)、反応槽内上部では反応槽の容積の5%において担体が流動しており(低密度領域)、反応槽内の全担体のうち60%が動いていることが観察された。さらに、低密度領域で流動していた1つ以上の担体が高密度領域の位置まで移動していることも確認することができた。また、反応槽内の動いている担体のうち60%が2cm/秒以下の速度で流動している様子が観察された。また、下部に積層している高密度領域において、全担体量の80%以上が充填率90%以上であることを観察できた。また、下部に充填率95%以上の高密度領域があり、上部に充填率75%以下の低密度領域があることが観察された。
(実施例5)
実施例5では、BOD(mg/L)が1mg/L~6mg/Lであり、NH‐N濃度が10mg/L~12mg/Lである被処理水を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件において被処理水の水処理試験を実施した。BOD(mg/L)は、JIS K 0102に記載の方法によって測定した。その結果、被処理水のBOD濃度を1mg/L程度まで、NH‐N濃度を0.01mg/L程度まで減少させることができ、かつ、7日間以上SSが目詰まりすることなく、安定的に装置を運転することが可能であった。
なお、反応槽内における担体の分布および担体の挙動は、実施例1と同様であり、反応槽内上部における低密度領域の担体が流動しており、反応槽内下部における高密度領域の積層した担体が平均移動速度1mm/秒以上で動いていることが確認された。さらに、低密度領域で流動していた1つ以上の担体が高密度領域の位置まで移動していることも確認することができた。また、反応槽内の動いている担体のうち60%が2cm/秒以下の速度で流動している様子が観察された。また、下部に積層している高密度領域において、全担体量の50%が充填率90%以上であることを観察できた。また、上部の低密度領域の充填率が40%以下であることが観察された。
(比較例1)
比較例1では、担体として比表面積が5000m/mであるアンスラサイトからなる粒状担体を用いたこと以外は、実施例3と同様の条件において被処理水の水処理試験を実施した。その結果、1週間程度でSSの目詰まりが発生し、水処理装置の通水性が低下し、安定的に装置を運転することができなくなった。
なお、反応槽内における担体の分布および担体の挙動は、実施例3と同様であった。すなわち、反応槽内下部では反応槽の容積の95%において担体が平均移動速度1mm/秒以上で動きながら積層しており(高密度領域)、反応槽内上部では反応槽の容積の5%において担体が流動しており(低密度領域)、反応槽内の担体全量が動いていることが観察された。さらに、低密度領域で流動していた1つ以上の担体が高密度領域の位置まで移動していることも確認することができた。
(比較例2)
比較例2では、担体として比表面積が500万m/mである活性炭からなる粒状担体を用いたこと以外は、実施例3と同様の条件において被処理水の水処理試験を実施した。その結果、1週間程度でSSの目詰まりが発生し、水処理装置の通水性が低下し、安定的に装置を運転することができなくなるとともに、処理水NH‐N濃度3mg/L程度までしか除去ができなかった。
なお、反応槽内における担体の分布および担体の挙動は、実施例3と同様であった。すなわち、反応槽内下部では反応槽の容積の95%において担体が平均移動速度1mm/秒以上で動きながら積層しており(高密度領域)、反応槽内上部では反応槽の容積の5%において担体が流動しており(低密度領域)、反応槽内の担体全量が動いていることが観察された。さらに、低密度領域で流動していた1つ以上の担体が高密度領域の位置まで移動していることも確認することができた。
(比較例3)
比較例3では、容積1Lの反応槽を備える通水方向が横方向である水処理装置を用い、かつ、反応槽内の担体の見かけ充填率を60%としたこと以外は、実施例1と同様の条件において被処理水の水処理試験を実施した。その結果、112日間にわたり安定的に装置を運転することはできたが、処理後におけるNH‐N濃度は0.5mg/L程度までしか低くすることができなかった。図9において、比較例3における被処理水中のNH‐N濃度と排出された処理水中のNH‐N濃度とを水処理装置の使用経過日数と共に示す。
なお、反応槽内における担体の分布および担体の挙動は、担体が略均一に分散して流動して動いていることが観察された。また担体の全量が2.5cm/秒以上の速度で激しく流動している様子が観察され、完全混合の状態となっていることが観察された。
今回開示された実施形態および実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、前述した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 水処理装置
2 反応槽
3 担体
4 被処理水供給管(被処理水供給部)
5 処理水排出管(処理水排出部)
6 空気供給管(空気供給部)
7 スクリーン

Claims (14)

  1. 被処理水中の有機物およびアンモニア態窒素のうちの1つ以上を好気条件下で除去する水処理方法であって、
    微細孔を有する担体を充填した1つ以上の反応槽内に、被処理水を各々下向流および上向流から選択される方向で通水させることを含み、
    前記担体の比表面積が50000m/m以上である、水処理方法。
  2. 前記担体の微細孔の孔径が、0.1μm以上1000μm未満である、請求項1に記載の水処理方法。
  3. 通水時において、前記反応槽の全容積の10%以上における前記担体の充填率が見かけ体積で80%以上である、請求項1または2に記載の水処理方法。
  4. 通水時において、前記反応槽が前記担体の分布における高密度領域および低密度領域を有している、請求項1~3のいずれか1項に記載の水処理方法。
  5. 通水時において、前記低密度領域における前記担体が動いている、請求項4に記載の水処理方法。
  6. 細菌を担持した状態における前記担体の比重は1.00~1.20である、請求項1~5のいずれか1項に記載の水処理方法。
  7. 前記担体は、ポリビニルアルコールからなる、請求項1~6のいずれか1項に記載の水処理方法。
  8. 被処理水中の有機物およびアンモニア態窒素のうちの1つ以上を好気条件下で除去する水処理装置であって、
    微細孔を有する担体が充填された1つ以上の反応槽と、
    前記1つ以上の反応槽内に、被処理水を各々下向流および上向流から選択される方向で通水させるための被処理水供給部および処理水排出部と、を備え、
    前記担体の比表面積が50000m/m以上である、水処理装置。
  9. 前記担体の微細孔の孔径が、0.1μm以上1000μm未満である、請求項8に記載の水処理装置。
  10. 通水時において、前記反応槽の全容積の10%以上における前記担体の充填率が見かけ体積で80%以上である、請求項8または9に記載の水処理装置。
  11. 通水時において、前記反応槽が前記担体の分布における高密度領域および低密度領域を有している、請求項8~10のいずれか1項に記載の水処理装置。
  12. 通水時において、前記低密度領域における前記担体が動いている、請求項11に記載の水処理装置。
  13. 細菌を担持した状態における前記担体の比重は1.00~1.20である、請求項8~12のいずれか1項に記載の水処理装置。
  14. 前記担体は、ポリビニルアルコールからなる、請求項8~13のいずれか1項に記載の水処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN118545834A (zh) * 2024-05-17 2024-08-27 广东鑫都环保实业有限公司 一种污水反硝化脱氮装置及其处理方法

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