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JP2022174943A - トナー - Google Patents

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JP2022174943A
JP2022174943A JP2021081004A JP2021081004A JP2022174943A JP 2022174943 A JP2022174943 A JP 2022174943A JP 2021081004 A JP2021081004 A JP 2021081004A JP 2021081004 A JP2021081004 A JP 2021081004A JP 2022174943 A JP2022174943 A JP 2022174943A
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crystalline polyester
acid
toner
polyester
mass
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JP2021081004A
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健太郎 釜江
Kentaro Kamae
智代 宮階
Tomoyo Miyagai
茉貴 井村
Maki Imura
悠 西村
Yu Nishimura
伸 北村
Shin Kitamura
隆穂 柴田
Takao Shibata
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Canon Inc
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Abstract

【課題】優れた低温定着性及び帯電維持性を示した上で、厚紙コート紙などの定着画像においても優れた耐擦過性を示すトナー。
【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、該結着樹脂が、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含有し、該結晶性ポリエステルの100℃のo-ジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量が、1500以上4900以下であり、該結晶性ポリエステルは、該結晶性ポリエステルの主鎖末端のヒドロキシ基が炭素数16~31の脂肪族モノカルボン酸で末端修飾された構造、及び該結晶性ポリエステルの主鎖末端のカルボキシ基が炭素数15~30の脂肪族モノアルコールで末端修飾された構造の少なくとも一方、を有する変性結晶性ポリエステルを含有し、該結晶性ポリエステル中の該末端修飾された構造の含有割合が、80.0mol%以上であることを特徴とするトナー。
【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真方式、静電記録方式、及び静電印刷方式などに用いられるトナーに関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、更なる高速化、高画質化はもちろんのこと、省エネルギー性能、スリープ状態からの復旧時間短縮、多種多様なメディアへの対応など、付加的な性能の向上も要求されている。
具体的には、省エネルギー化に対応したトナーとして、定着工程での消費電力を低下させるために、より低い温度で定着できる、低温定着性に優れたトナーが求められている。また、スリープ状態からの復旧時間短縮の観点から、長時間のスリープ状態を通して帯電量の変化が少ない、帯電維持性に優れたトナーが求められている。
さらに、多種多様なメディアの一つである厚紙コート紙は、白色度を高めるために炭酸カルシウム等の無機微粒子が多く含まれているため、紙同士の摺擦による摩擦係数が大きくなり、定着画像においてトナーが紙から剥離されやすくなる。そこで、紙同士の摺擦に対するトナー剥離の抑制のため、定着画像表面をワックスで被覆し、摩擦係数を低くすることができる、ワックスの染み出しを促進させた耐擦過性に優れたトナーが求められている。
そこで、低温定着性、帯電維持性、及び耐擦過性に優れたトナーとして、結晶性ポリビニル樹脂を使用したトナーが提案されている(特許文献1)。また、耐擦過性に優れたトナーとして、ポリエステルのカルボン酸成分として、アルケニルコハク酸を有するトナーが提案されている(特許文献2)。
特開2018-156074号公報 特開2016-197207号公報
特許文献1に記載のトナーは、シャープメルト性を有し、疎水性の高い結晶性ポリビニル樹脂を用いていることから、優れた低温定着性と帯電維持性を発揮する。一方、結晶性ポリビニル樹脂は、ワックスとの親和性が高いことから、ワックスの染み出しが抑制され、定着画像表面のワックス層が形成されにくい。よって、紙同士の摺擦による摩擦係数が小さくならず、定着画像のトナーが紙から剥離される場合があることがわかった。
また、特許文献2に記載のトナーは、アルケニルコハク酸がワックスと親和性が高いため、定着時に、ワックスが定着ローラーに移行するよりも、定着画像に保持されやすくなるため、普通紙等の紙種において、耐擦過性の一定の効果が得られる。しかし、結着樹脂がワックスと親和性が高いことにより、定着画像表面のワックス染み出しも抑制されてしまい、厚紙のコート紙においては、耐擦過性が劣る場合があることがわかった。
以上のとおり、低温定着性、帯電維持性、及び耐擦過性のすべてを満足するトナーを提供することは困難である。そこで、優れた低温定着性・帯電維持性を示した上で、厚紙コ
ート紙などの定着画像においても優れた耐擦過性を示すトナーの開発が急務となっている。本開示は、優れた低温定着性及び帯電維持性を示した上で、厚紙コート紙などの定着画像においても優れた耐擦過性を示すトナーを提供する。
本開示は、結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
該結着樹脂が、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含有し、
(i)該結晶性ポリエステルの100℃のo-ジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量が、1500以上4900以下であり、
(ii)該結晶性ポリエステルは、該結晶性ポリエステルの主鎖末端のヒドロキシ基が炭素数16~31の脂肪族モノカルボン酸で末端修飾された構造、及び該結晶性ポリエステルの主鎖末端のカルボキシ基が炭素数15~30の脂肪族モノアルコールで末端修飾された構造の少なくとも一方、を有する変性結晶性ポリエステルを含有し、
(iii)該結晶性ポリエステル中の該末端修飾された構造の含有割合が、80.0mol%以上であるトナーに関する。
本開示によれば、優れた低温定着性及び帯電維持性を示した上で、厚紙コート紙などの定着画像においても優れた耐擦過性を示すトナーを提供することができる。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。また、モノマーユニットとは、ポリマー中のモノマー物質の反応した形態をいう。さらに、結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量測定(DSC)において明確な吸熱ピークが観測される樹脂である。
本発明者らは、低温定着性及び帯電維持性に優れ、かつ耐擦過性に優れたトナーの検討を進めた。その結果、本発明者らは、高いレベルで画像の耐擦過性を発現するには、材料の結晶性が重要であることを見出した。そこで、本発明者らは、定着阻害をすることのない結晶性材料として、紙との親和性を持ちつつ、結晶性を有する結晶性ポリエステルに着目した。結晶性材料の結晶化度を高める手段として、材料の拡散係数を高め、折りたたみ構造を形成しやすくするため、材料の低分子量化が挙げられる。
しかし、結晶性ポリエステルを単純に低分子量化しただけでは、主鎖などに含まれる炭化水素の部分に対し、末端のヒドロキシ基及びカルボキシ基の割合が増えてしまい、結晶性ポリエステルの極性が上がってしまう。そのため、結着樹脂としてさらに非晶性ポリエステルを用いた場合、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルとが定着工程で相溶してしまう。その結果、トナー画像中の結晶性ポリエステルの結晶化は進まないため、低摩擦係数の画像を提供できないことが明らかになった。
そこで、本発明者等は、さらに検討を進め、結晶性ポリエステルの低分子量化をはかりつつ、末端のヒドロキシ基及びカルボキシ基を極限まで封止し、これらの割合を低減させることを検討した。このようにして、結晶性ポリエステルの極性を下げることで、定着工程後に瞬時に結晶性ポリエステルが結晶化し、低摩擦係数の画像を提供できることを見出した。具体的には、結晶性ポリエステルに、炭素数15~30の脂肪族炭化水素基を有するモノマーを反応させることが重要であることを見出した。該モノマーは、末端のヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応性が高く、結晶核剤のように結晶性ポリエステルの主鎖の折りたたみ構造の起点となることができ、さらに、結晶性ポリエステル自体の極性を下げ
ることができる。
トナー粒子は、結着樹脂を含有する。結着樹脂は、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含有する。(i)結晶性ポリエステルの100℃のo-ジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量は、1500以上4900以下である。結晶性ポリエステルの100℃のo-ジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量が上記範囲である場合、結晶性ポリエステルの拡散係数を高め、折りたたみ構造を形成しやすくなり、結晶化度を高めることができ、低摩擦係数の画像を形成できることで優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、優れた帯電維持性の効果も得られる。
結晶性ポリエステルの100℃のo-ジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量は、好ましくは1800以上2500以下である。また、後述する結晶性ポリエステルの主鎖末端のヒドロキシ基が炭素数16~31の脂肪族モノカルボン酸で末端修飾された構造、及び結晶性ポリエステルの主鎖末端のカルボキシ基が炭素数15~30の脂肪族モノアルコールで末端修飾された構造を形成することにより結晶性ポリエステルの重量平均分子量を上記範囲に制御しやすくなる。
また、結晶性ポリエステルは、(ii)結晶性ポリエステルの主鎖末端のヒドロキシ基が炭素数16~31(好ましくは18~26、より好ましくは20~24)の脂肪族モノカルボン酸で末端修飾された構造、及び結晶性ポリエステルの主鎖末端のカルボキシ基が炭素数15~30(好ましくは18~26、より好ましくは20~24)の脂肪族モノアルコールで末端修飾された構造の少なくとも一方、を有する変性結晶性ポリエステルを含有する。そして、(iii)結晶性ポリエステル中の該末端修飾された構造の含有割合が、80.0mol%以上である。
主鎖末端のヒドロキシ基及びカルボキシ基が修飾されている場合、極性の高い官能基が修飾されていることになるため、結着樹脂である非晶性ポリエステルに対する相溶性を抑制することができる。そのため、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めることができ、低摩擦係数の画像を形成できることで優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、優れた帯電維持性の効果も得られる。
末端修飾している脂肪族モノカルボン酸又は脂肪族モノアルコールの炭素数が上記範囲である場合、結晶核剤のように結晶性ポリエステルの主鎖の折りたたみ構造の起点となりえる。さらに、結晶性ポリエステル自体の極性を下げることができ、非晶性ポリエステルに対する相溶性を抑制することができる。そのため、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めることができ、低摩擦係数の画像が形成できることで優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、優れた帯電維持性の効果も得られる。
また、該末端修飾された構造の含有割合が、80.0mol%以上であることで、上記結晶化度を高める効果、結晶性ポリエステルの極性を低下させ非晶性ポリエステルに対する相溶性を抑制する効果が発揮される。そのため、優れた耐擦過性及び帯電維持性の効果が得られる。末端修飾された構造の含有割合は、好ましくは90.0mol%以上であり、より好ましくは95.0mol%以上であり、さらに好ましくは98.0mol%以上である。上限は特に制限されないが、好ましくは100.0mol%以下であり、より好ましくは99.0mol%以下である。末端修飾された構造の含有割合は、末端修飾している脂肪族モノカルボン酸又は脂肪族モノアルコールの添加量により制御できる。
結晶性ポリエステルは、主鎖末端のヒドロキシ基が炭素数16~31の脂肪族モノカルボン酸で末端修飾された構造を有することが好ましい。該脂肪族モノカルボン酸で末端修飾された構造は、下記式(I)で示される。また、主鎖末端のカルボキシ基が炭素数15~30の脂肪族モノアルコールで末端修飾された構造は下記式(II)で示される。
Figure 2022174943000001
式中、Pは結晶性ポリエステルの主鎖構造を示す。Rは、炭素数15~30(好ましくは17~25、より好ましくは19~23)の(好ましくは直鎖の)アルキル基である。Rは、炭素数15~30(好ましくは18~26、より好ましくは20~24)の(好ましくは直鎖の)アルキル基である。(I)において-CORが脂肪族モノカルボン酸によるモノマーユニットであり、(II)において-ORが脂肪族モノアルコールによるモノマーユニットである。
結晶性ポリエステルにおける、末端修飾された構造に含まれる脂肪族モノカルボン酸によるモノマーユニット及び脂肪族モノアルコールによるモノマーユニットの合計の含有割合が、好ましくは30.0質量%以上であり、より好ましくは33.0質量%以上である。上限は特に制限されないが、好ましくは70.0質量%以下であり、より好ましくは65.0質量%以下であり、さらに好ましくは40.0質量%以下である。
末端修飾された構造に含まれる脂肪族モノカルボン酸によるモノマーユニット及び脂肪族モノアルコールによるモノマーユニットの合計の含有割合が上記範囲である場合、主鎖末端のヒドロキシ基及びカルボキシ基がより十分に修飾されていることを示す。そのため、非晶性ポリエステルに対する結晶性ポリエステルの相溶性をより抑制することができる。そして、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めることができ、より低摩擦係数の画像を形成できることでより優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、より優れた帯電維持性の効果も得られる。
結晶性ポリエステルの酸価及び水酸基価の合計が、0.1mgKOH/g~5.0mgKOH/gであることが好ましい。結晶性ポリエステルの酸価及び水酸基価の合計が上記範囲である場合、主鎖末端のヒドロキシ基及びカルボキシ基がより十分に修飾されていることを示し、非晶性ポリエステルに対する相溶性を抑制することができる。そのため、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めることができ、より低摩擦係数の画像を形成できることでより優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動性が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、より優れた帯電維持性の効果も得られる。
結晶性ポリエステルの酸価と水酸基価の合計は、より好ましくは0.1mgKOH/g~3.0mgKOH/gであり、さらに好ましくは0.2mgKOH/g~2.0mgKOH/gである。結晶性ポリエステルの酸価と水酸基価の合計は、モノマーの種類と添加量により制御できる。
結晶性ポリエステルのSP値をSPとしたとき、SPが、好ましくは8.8(cal/cm0.5~9.4(cal/cm0.5である。SPが上記範囲である
場合、主鎖末端のヒドロキシ基及びカルボキシ基がより十分に修飾されていることを示し、非晶性ポリエステルに対する相溶性を抑制することができる。そのため、結晶性ポリエステルの結晶化度を高めることができ、より低摩擦係数の画像を形成できることでより優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、より優れた帯電維持性の効果も得られる。
SPは、より好ましくは8.8(cal/cm0.5~9.2(cal/cm0.5であり、さらに好ましくは8.9(cal/cm0.5~9.1(cal/cm0.5である。SPは、モノマーの種類と添加量により制御できる。
また、非晶性ポリエステルのSP値をSPとしたとき、SPが、好ましくは10.5(cal/cm0.5~11.5(cal/cm0.5である。SPが上記範囲である場合、非晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとがある一定の親和性を持つため、非晶性ポリエステル上に低摩擦係数を発現する結晶性ポリエステルが担持されるようになり、より優れた耐擦過性の効果が得られる。また、定着時には、融解した結晶性ポリエステルが非晶性ポリエステルと相溶するため、より優れた低温定着性の効果が得られる。
SPは、より好ましくは10.6(cal/cm0.5~11.1(cal/cm0.5であり、さらに好ましくは10.7(cal/cm0.5~11.0(cal/cm0.5である。SPは、モノマーの種類と添加量により制御できる。
結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルは、SPとSPが下記式(1)を満たすことが好ましい。
1.5≦SP-SP≦2.1 ・・・(1)
SPとSPが上記範囲である場合、非晶性ポリエステルと結晶性ポリエステルとがある一定の親和性を持つため、非晶性ポリエステル上には低摩擦係数を発現する結晶性ポリエステルが担持されやすくなり、より優れた耐擦過性の効果が得られる。また、定着時には、融解した結晶性ポリエステルが非晶性ポリエステルと相溶するため、より優れた低温定着性の効果が得られる。
SP-SPは、より好ましくは下記式(4)を満たし、さらに好ましくは下記式(5)を満たす。SP-SPは、モノマーの種類と添加量により制御できる。
1.6≦SP-SP≦2.0 ・・・(4)
1.7≦SP-SP≦1.9 ・・・(5)
また、トナーの示差走査熱量測定DSCにより測定される結晶性ポリエステルに由来する吸熱量ΔHが、好ましくは5.0J/g~15.0J/gである。ΔHが上記範囲である場合、摩擦係数を下げることができる十分な結晶量を含有していることを示すため、より優れた耐擦過性の効果が得られる。
結晶性ポリエステルに由来する吸熱量ΔHは、好ましくは7.0J/g~15.0J/gであり、より好ましくは9.0J/g~12.0J/gである。結晶性ポリエステルに由来するΔHは、結晶性ポリエステルの添加量やSP-SPにより制御できる。
結晶性ポリエステルの主鎖は、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの縮重合体であることが好ましい。そして、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの炭素数の差が4以下である。炭素数の差が4以下である場合、結晶性ポリエステルの主鎖の折りたたみ構造が形成されやすく、結晶化度を高めることができ、低摩擦係数の画像を形成できることでよ
り優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、より優れた帯電維持性の効果も得られる。上記炭素数の差は、より好ましくは2以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは0以上である。上記炭素数の差は、さらに好ましくは0である。
トナー粒子は、炭化水素ワックスを含有することが好ましい。炭化水素ワックスのSP値をSPとしたとき、SPとSPが下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.7≦SP-SP≦1.2 ・・・(2)
SPとSPが上記範囲である場合、炭化水素ワックスと結晶性ポリエステルとがある一定の親和性を持つため、炭化水素ワックスが結晶核となり結晶性ポリエステルの主鎖の折りたたみ構造の起点となり、結晶化度をより高めることができる。その結果、より低摩擦係数の画像を形成できることでより優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、より優れた帯電維持性の効果も得られる。
SP-SPは、より好ましくは下記式(6)を満たし、さらに好ましくは下記式(7)を満たす。SP-SPは、モノマーの種類と添加量により制御できる。
0.8≦SP-SP≦1.2 ・・・(6)
0.9≦SP-SP≦1.1 ・・・(7)
炭化水素ワックスの融点をTとし、結晶性ポリエステルの融点をTとしたとき、TとTが下記式(3)を満たすことが好ましい。
0.0≦|T-T|≦25.0 ・・・(3)
とTが上記範囲である場合、炭化水素ワックスと結晶性ポリエステルとがある一定の親和性を持つため、ワックスが結晶核となり結晶性ポリエステルの主鎖の折りたたみ構造の起点となり、結晶化度をより高めることができる。その結果、より低摩擦係数の画像を形成できることでより優れた耐擦過性の効果が得られる。また、結晶化度が高まることで、分子運動が抑制され、電荷のパスが形成されにくいことから、より優れた帯電維持性の効果も得られる。
|T-T|は、より好ましくは下記式(8)を満たし、さらに好ましくは下記式(9)を満たす。|T-T|は、モノマーの種類と分子量により制御できる。
1.0≦|T-T|≦10.0 ・・・(8)
2.0≦|T-T|≦6.0 ・・・(9)
<非晶性ポリエステル>
非晶性ポリエステルは、多価アルコール(2価又は3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価又は3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルと、の縮重合体が好ましい。
非晶性ポリエステルの多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表されるビスフェノール及びその誘導体;
Figure 2022174943000002
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
式(B)で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 2022174943000003
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独で又は複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂の多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n-ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導
体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独で又は複数を併用して用いることができる。
ポリエステル樹脂の製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のアルコールモノマー及びカルボン酸モノマーを同時に仕込み、エステル化反応又はエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステル樹脂の重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。特に、ポリエステル樹脂は、スズ系触媒を使用して重合されたポリエステル樹脂であることがより好ましい。
非晶性ポリエステルは、下記式(F)で示されるモノマーユニット及び(G)で示されるモノマーユニットを含有することが好ましく、下記式(E)で示されるモノマーユニット、(F)で示されるモノマーユニット及び(G)で示されるモノマーユニットを含有することがより好ましい。これらのモノマーユニットにより、優れた低温定着性、帯電維持性及び耐擦過性をより達成しやすくなる。モノマーユニットとは、ポリマー中のモノマー物質が反応した形態をいう。非晶性ポリエステル中の式(E)で示されるモノマーユニットの含有割合が、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。非晶性ポリエステル中の式(F)で示されるモノマーユニットの含有割合が、20質量%以上65質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。非晶性ポリエステル中の式(G)で示されるモノマーユニットの含有割合が、7質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。
式中、Rは、ベンゼン環を表し、好ましくはパラ位で結合している。Rは、それぞれエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、x+yの平均値は2~10である。Rは、エチレン基又はプロピレン基を示し、好ましくはエチレン基である。
Figure 2022174943000004
非晶性ポリエステルは、非晶性ポリエステルを主成分とするならば他の樹脂成分を含有するハイブリッド樹脂であってもよい。主成分とは、その含有割合が50質量%以上100質量%以下、好ましくは80質量%以上100質量%以下、より好ましくは90質量%以上100質量%以下であることをいう。例えば、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂とのハイブリッド樹脂が挙げられる。ハイブリッド樹脂のような、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、以下の方法が挙げられる。ビニル系樹脂及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分が存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行う方法が好ましい。
例えば、ポリエステル樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸のような不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。ビニル系共重合体成分を構成するモノマーのうちポリエステル樹脂成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、結着樹脂は、上記効果を損なわない程度に、結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステルに加え、結着樹脂として知られている種々の樹脂化合物を併用することができる。このような樹脂化合物としては、例えばフェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
結着樹脂中の結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステルの含有割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは80質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下、さらにより好ましくは95質量%以上100質量%以下である。
結着樹脂中の非晶性ポリエステルの含有割合は、80.0質量%以上97.0質量%以下であることが好ましく、85.4質量%以上95.1質量%以下であることがより好ましく、88.0質量%以上92.0質量%以下であることがさらに好ましい。
また、非晶性ポリエステルのピーク分子量は3500以上20000以下であることが、低温定着性と耐擦過性の観点から好ましい。また、非晶性ポリエステルの酸価は5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における帯電維持性の観点から好ましい。さらに、非晶性ポリエステルの水酸基価は20mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが、低温定着性と帯電維持性の観点から好ましい。
<結晶性ポリエステル>
結晶性ポリエステルに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価又は3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価又は3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。結晶性ポリエステルの主鎖は、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの縮重合体であることが好ましい。
結晶性ポリエステルに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。多価アルコールモノマーとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジオールであることが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブタジエングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられる。これらの中でも、特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールのような直鎖脂肪族、α,ω-ジオールが好ましく例示される。
上記多価アルコール以外の多価アルコール単量体を用いることもできる。該多価アルコール単量体のうち2価アルコール単量体としては、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等の芳香族アルコール;1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、該多価アルコール単量体のうち3価以上の多価アルコール単量体としては、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール;ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の脂肪族アルコール等が挙げられる。
結晶性ポリエステルに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。多価カルボン酸モノマーとしては、特に限定されないが、鎖状(より好ましくは直鎖状)の脂肪族ジカルボン酸であることが好ましい。具体例としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸が挙げられ、これらの酸無水物又は低級アルキルエステルを加水分解したものなども含まれる。
上記多価カルボン酸モノマー以外の多価カルボン酸を用いることもできる。その他の多価カルボン酸単量体のうち、2価のカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸;n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸の脂肪族カルボン
酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなども含まれる。
また、その他のカルボン酸単量体のうち、3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの酸無水物または低級アルキルエステル等の誘導体等も含まれる。
脂肪族ジカルボン酸は、炭素数2~16(好ましくは8~14)の直鎖の脂肪族ジカルボン酸である。脂肪族ジオールは、炭素数2~16(好ましくは8~14)の直鎖の脂肪族ジオールである。結晶性ポリエステル中の、炭素数2~16(好ましくは8~14)の直鎖の脂肪族ジカルボン酸が重合したモノマーユニットの含有割合は、好ましくは8質量%~45質量%であり、より好ましくは20質量%~35質量%である。結晶性ポリエステル中の、炭素数2~16(好ましくは8~14)の直鎖の脂肪族ジオールが重合したモノマーユニットの含有割合は、好ましくは15質量%~50質量%であり、より好ましくは25質量%~45質量%である。
結晶性ポリエステルは、(ii)主鎖末端のヒドロキシ基が炭素数16~31の脂肪族モノカルボン酸で末端修飾された構造、及び、主鎖末端のカルボキシ基が炭素数15~30の脂肪族モノアルコールで末端修飾された構造、の少なくとも一方を有する変性結晶性ポリエステルを含有する。好ましくは結晶性ポリエステルが、該変性結晶性ポリエステルである。結晶性ポリエステル中の変性結晶性ポリエステルの含有割合は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは80質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下、さらにより好ましくは95質量%以上100質量%以下、特に好ましくは100質量%である
炭素数16~31の脂肪族モノカルボン酸としては、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、ノナデシル酸、アラキジン酸(イコサン酸)、ヘンイコサン酸、ベヘン酸(ドコサン酸)、テトラコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸が挙げられる。
炭素数15~30の脂肪族モノアルコールとしては、パルミチルアルコール(ヘキサデカノール)、マルガリルアルコール(ヘプタデカノール)、ステアリルアルコール(オクタデカノール)、ノナデカノール、アラキジルアルコール(イコサノール)、ヘンエイコサノール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、1-ヘプタコサノール、モンタニルアルコール、1-ノナコサノール、ミリシルアルコールが挙げられる。
結着樹脂中の結晶性ポリエステルの含有割合は、3.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、4.9質量%以上14.6質量%以下であることがより好ましく、8.0質量%以上12.0質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲であることが、低温定着性、擦過性、高温高湿環境下における帯電維持性の観点から好ましい。結晶性ポリエステルの融点は、好ましくは60~100℃であり、より好ましくは65~90℃であり、さらに好ましくは70~85℃である。
結晶性ポリエステルは、通常のポリエステル合成法に従って製造することができる。例えば、前記したカルボン酸単量体とアルコール単量体とをエステル化反応、またはエステル交換反応せしめた後、減圧下又は窒素ガスを導入して常法に従って重縮合反応させるこ
とで結晶性ポリエステルを得ることができる。その後、さらに、上記の脂肪族化合物を加え、エステル化反応を行うことで、所望の結晶性ポリエステルを得ることができる。
上記エステル化またはエステル交換反応は、必要に応じて硫酸、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸マンガン、酢酸マグネシウムなどの通常のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いて行うことができる。
また、上記重縮合反応は、通常の重合触媒、例えばチタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウムなど公知の触媒を使用して行うことができる。重合温度、触媒量は特に限定されるものではなく、適宜に決めればよい。
エステル化もしくはエステル交換反応または重縮合反応において、得られる結晶性ポリエステルの強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。
変性結晶性ポリエステルを含む結晶性ポリエステルの合成においては、上記脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群から選択される少なくとも一(好ましくは上記脂肪族モノカルボン酸)、並びに脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸を縮重合させることが好ましい。脂肪族ジオールの割合は、好ましくは30~50mol%、より好ましくは35~45mol%であり、脂肪族ジカルボン酸の割合は、好ましくは5~45mol%、より好ましくは10~35mol%である。また、上記脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群から選択される少なくとも一(好ましくは上記脂肪族モノカルボン酸)の割合は、好ましくは15~60mol%、より好ましくは20~30mol%である。
トナー粒子は、ワックスを含有していてもよい。ワックスは、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのような飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と
多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、エステルワックス又は炭化水素ワックスが好ましい。パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素ワックスが、耐擦過性の観点からより好ましい。ワックスの融点は、好ましくは60~120℃であり、より好ましくは65~90℃であり、さらに好ましくは70~90℃である。ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、3質量部~8質量部であることが、耐擦過性の観点から好ましい。
<着色剤>
トナー粒子は、必要に応じて着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤としては、顔料を単独で使用してもよく、染料と顔料とを併用してもよい。フルカラー画像の画質の観点から、染料と顔料とを併用することが好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナー粒子への分散性の点
から選択される。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部~30.0質量部であることが好ましい。
<荷電制御剤>
トナー粒子は、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤を配合することにより、荷電特性を安定化、現像システムに応じた最適の摩擦帯電量のコントロールが可能となる。荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く、且つ一定の帯電量を安定して保持できる、芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし、外添してもよい。荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対し、0.2質量部~10.0質量部が好ましく、0.5質量部~10.0質量部がより好ましい。
<無機微粒子>
トナーは、必要に応じて無機微粒子を含有してもよい。無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし、外添剤としてトナーと混合してもよい。無機微粒子としては、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子又はそれらの複酸化物微粒子のような微粒子が挙げられる。無機微粒子の中でもシリカ微粒子及び酸化チタン微粒子が、流動性改良及び帯電均一化のために好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性を向上させる観点からは、外添剤としての無機微粒子は、比表面積が50m/g~400m/gであることが好ましい。また、耐久安定性を向上させる観点からは、外添剤としての無機微粒子は、比表面積が10m/g~50m/gであることが好ましい。流動性向上と耐久安定性とを両立させるために、比表面積が上記範囲の無機微粒子を併用してもよい。
外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部~10.0質量部であることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
<現像剤>
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、また、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることが好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものを使用できる。
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際の磁性キ
ャリアの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%~15質量%であることが好ましく、4質量%~13質量%以下であることがより好ましい。
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子の製造方法は特に制限されず、粉砕法、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法、分散重合法などの公知の方法を用いることができる。以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。粉砕法は、例えば、結着樹脂として結晶性ポリエステル及び非晶性ポリエステル、並びに必要に応じてワックス、着色剤、荷電制御剤等の他の成分を溶融混錬し、樹脂組成物を得る工程、及び得られた樹脂組成物を粉砕してトナー粒子を得る工程を有する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、並びに必要に応じてワックス、着色剤、荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に材料を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕する。その後、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級する。
得られたトナー粒子はそのままトナーとして用いてもよい。必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤を外添処理してトナーを得てもよい。外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
各種物性の測定方法について以下に説明する。
(トナーからの各材料の分離方法)
トナーに含まれる各材料の溶剤への溶解度の差を利用して、トナーから各材料を分離することができる。
第一分離:23℃のメチルエチルケトン(MEK)にトナーを溶解させ、可溶分(非晶性ポリエステル)と不溶分(結晶性ポリエステル、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を
分離する。
第二分離:100℃のMEKに、第一分離で得られた不溶分(結晶性ポリエステル、離型剤、着色剤、無機微粒子など)を溶解させ、可溶分(結晶性ポリエステル、離型剤)と不溶分(着色剤、無機微粒子など)を分離する。
第三分離:23℃のクロロホルムに、第二分離で得られた可溶分(結晶性ポリエステル、離型剤)を溶解させ、可溶分(結晶性ポリエステル)と不溶分(離型剤)を分離する。
<非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル中の各種重合性単量体によるモノマーユニットの含有割合の測定方法>
非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル中の各種重合性単量体によるモノマーユニットの含有割合の測定は、H-NMRにより以下の条件にて行う。
測定装置 :FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数 :64回
測定温度 :30℃
試料 :測定試料50mgを内径5mmのサンプルチューブに入れ、溶媒として重クロロホルム(CDCl)を添加し、これを40℃の恒温槽内で溶解させて調製する。
得られたH-NMRチャートより、各種重合性単量体によるモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの積分値S1、2、、・・・Sを算出する。なお、Sは、第一の重合性単量体によるモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの積分値であり、Sは、第二の重合性単量体によるモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの積分値であり、Sは、第nの重合性単量体によるモノマーユニットの構成要素に帰属されるピークの積分値である。各種重合性単量体のモノマーユニットの含有割合は、上記積分値S、S、S及びSを用いて、以下のようにして求める。なお、n、n2、・・・nはそれぞれの部位について着眼したピークが帰属される構成要素における水素の数である。
第nの重合性単量体によるモノマーユニットの含有割合(モル%)=
{(S/n)/((S/n)+(S/n)+(S/n)・・・+(S/n))}×100
同様の操作の分子項を変更し、各種重合性単量体によるモノマーユニットの量を算出する。なお、各種重合性単量体によるモノマーユニットに水素原子が含まれない重合性単量体が使用されている場合は、13C-NMRを用いて測定原子核を13Cとし、シングルパルスモードにて測定を行い、H-NMRにて同様にして算出する。
<SP値算出方法>
非晶性ポリエステルのSP値、非晶性ポリエステルの各重合性単量体によるモノマーユニットのSPA1、SPA2、SPA3、SPAn値、結晶性ポリエステルのSP値、結晶性ポリエステルの各重合性単量体によるモノマーユニットのSPC1、SPC2、SPC3、SPCn値、ワックスのSP値は、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。
それぞれの重合性単量体又はワックスについて、分子構造中の原子又は原子団に対して、「Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(cal/mol)及びモル体積(Δvi)(cm/mol)を求め、(ΣΔei/ΣΔvi)0.5をSP値(cal/cm0.5
する。
SP、SP、SPは、以下の様に算出する。まず、構成する重合性単量体によるモノマーユニットの蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)をモノマーユニット毎に求め、各モノマーユニットの非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル又は炭化水素ワックスにおけるモル比(j)との積をそれぞれ算出する。そして、各モノマーユニットの蒸発エネルギーの総和とモル体積の総和を下記式に代入することによりそれぞれのSP値を算出する。
SP値={(Σj×ΣΔei)/(Σj×ΣΔvi)}0.5
<GPCによる非晶性ポリエステルの重量平均分子量測定>
非晶性ポリエステルのTHF可溶分の分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<GPCによる結晶性ポリエステルの重量平均分子量の測定>
結晶性ポリエステルの100℃のo-ジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。まず、100℃で1時間かけて、結晶性ポリエステルをo-ジクロロベンゼンに溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、o-ジクロロベンゼンに可溶な成分の濃度が約0.1質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC-8121GPC/HT(東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR-H HT(7.8cm I.D×30cm)2連(東ソー社製)
検出器:高温用RI
温度 :135℃
溶媒 :o-ジクロロベンゼン
流速 :1.0mL/min
試料 :0.1%の試料を0.4mL注入
試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正
曲線を使用する。さらに、Mark-Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算をすることによって算出する。
<結晶性ポリエステル、ワックスの融点(T、T)の測定>
結晶性ポリエステル、ワックスの融点(T、T)は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、試料3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
測定範囲30から180℃まで、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、30から100℃の範囲において温度―吸熱量曲線の最大吸熱ピークになる温度を融点とする。
<結晶性ポリエステルの吸熱量(ΔH)の測定>>
結晶性ポリエステルに由来する吸熱量の測定は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、トナー3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
測定範囲30から180℃でで、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、30℃から100℃の範囲においてベースラインに対して吸熱ピークが得られ、積分することにより吸熱量が算出される。得られた吸熱量が結晶性ポリエステルに由来するかどうかは、上記(トナーからの各材料の分離方法)により分離した各材料の融点を確認し、得られた融点に基づき判断する。
<結晶性ポリエステルの酸価の測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。結晶性ポリエステルの酸価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間静置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、フェノールフタレイン溶液を数滴加え、水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要
した水酸化カリウム溶液の量から求める。該0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性ポリエステルの試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として該フェノールフタレイン溶液を数滴加え、該水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。
<結晶性ポリエステルの水酸基価の測定方法>
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結晶性ポリエステルの水酸基価はJIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム35gを20mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/L塩酸25mlを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作成されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
粉砕した結晶性ポリエステルの試料1.0gを200ml丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mlをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。
フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。
1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗う。
指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴
定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
結晶性ポリエステルの試料を用いない以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B-C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:結晶性ポリエステルの酸価(mgKOH/g)である。
<末端修飾された構造の割合の算出方法>
結晶性ポリエステルの末端修飾された構造の割合の算出は、上記で求めた酸価と水酸基価及び分子量を用いて算出する。具体的には、結晶性ポリエステル1gにおける末端官能基のmol数を、下記式を用いて算出する。
末端官能基のmol数=(酸価+水酸基価)/(1000×56.105)
次に、結晶性ポリエステルの分子量から、結晶性ポリエステル1gのmol数を算出する。
結晶性ポリエステル1gのmol数=1/Mw
上記NMRにより算出した結晶性ポリエステルの各モノマーユニットの比率から末端の官能基量を算出する。具体的には、ジカルボン酸とジアルコールのエステル生成物なら官能基量を2とする。3価以上のモノマーが用いられている場合は、そのモル比率により末端の官能基量を計算すればよい。
結晶性ポリエステルの末端修飾された構造の割合(mol%)=
[1-末端官能基のmol数/(結晶性ポリエステル1gのmol数×官能基量)]×100
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。なお、以下の処方において、部は特に断りのない限り質量基準である。
<結晶性ポリエステルC1の製造例>
・ドデカンジオール: 40.0部(42.6mol%)
・ドデカン二酸: 25.0部(30.6mol%)
・ベヘン酸: 35.0部(26.8mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒): 0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、5時間反応させた後、温度を下げて反応を止め、結晶性ポリエステルC1を得た。得られた結晶性ポリエステルC1は、重量平均分子量Mwが2000、末端修飾された構造の割合が98.5mol%、酸価と水酸基価の合計が0.8mgKOH/g、融点Tが72.0℃であった。
上記結晶性ポリエステルC1をNMRで分析したところ、上記処方と同様の割合で各重合性単量体によるモノマーユニットが含まれていた。SPは、9.1(cal/cm0.5であった。脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの炭素数の差は0であった。
<結晶性ポリエステルC2~C17の製造例>
結晶性ポリエステルC1の製造例において、それぞれの重合性単量体及び部数並びに反応時間を表1及び表3となるように変更した以外は同様にして反応を行い、結晶性ポリエ
ステルC2~C17を得た。結晶性ポリエステルC2~C17の物性を表2~表3に示す。なお、結晶性ポリエステルC2~C17において、表1の処方と同様の割合で各重合性単量体によるモノマーユニットが含まれていた。
Figure 2022174943000005

表1~表3中の略号は以下の通り。
DDG:ドデカンジオール
DDA:ドデカン二酸
BA:ベヘン酸
PA:パルミチン酸
PE:ペンタン酸
MA:モンタン酸
LA:ラッセル酸
OG:オクタンジオール
HG:ヘキサンジオール
EG:エチレンジオール
Figure 2022174943000006

表中、SPの単位は(cal/cm0.5である。
Figure 2022174943000007

末端修飾の割合は、「結晶性ポリエステル中の該末端修飾された構造の含有割合(mol%)」である。
<非晶性ポリエステルA1の製造例>
・ビスフェノールA・PO(プロピレンオキシド)付加物(平均付加モル数2.0):
40.0部(12.5mol%)
・エチレングリコール: 20.0部(39.8mol%)
・テレフタル酸: 40.0部(47.7mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒): 0.5部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、5時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が120℃の温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステルA1を得た。
上記非晶性ポリエステルA1をNMRで分析したところ、ポリオキシプロピレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのモノマーユニットが12.6モル%、エチレングリコールのモノマーユニットが39.8モル%、テレフタル酸のモノマーユニットが47.7モル%含まれていた。SPは11.0(cal/cm0.
であった。
<非晶性ポリエステルA2~A7の製造例>
非晶性ポリエステルA1の製造例において、それぞれの重合性単量体及び部数を表4となるように変更した以外は同様にして反応を行い、非晶性ポリエステルA2~A7を得た。非晶性ポリエステルA2~A7の物性を表5に示す。
Figure 2022174943000008

表4~表5中の略号は以下の通り。
PO2:ビスフェノールA・PO付加物(平均付加モル数2.0)
ED:エチレンジオール(エチレングリコール)
TPA:テレフタル酸
Figure 2022174943000009

表中、SPの単位は(cal/cm0.5である。
<トナー1の製造例>
・非晶性ポリエステルA1: 90部
・結晶性ポリエステルC1: 10部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度76℃): 5部
・カーボンブラック: 10部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1500rpm、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(
PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティ(F-300、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。
・トナー粒子: 100部
・シリカ微粒子A:ヘキサメチルジシラザンで表面処理したヒュームドシリカ
(個数基準におけるメジアン径(D50)が120nm): 4部
・小粒径無機微粒子:イソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子
(個数基準におけるメジアン径(D50)が10nm): 1部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間10minで混合し、ネガ帯電性を示すトナー1を得た。トナー1のSP-SPは1.9、SP-SPは1.1、ΔHは10.0J/g、T-Tは4.0℃であった。
<トナー2~34の製造例>
トナー1の製造例において、非晶性ポリエステルAの種類及び添加量、結晶性ポリエステルCの種類及び添加量、ワックスの種類を表6の通りとなるように変更した以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー2~34を得た。得られた物性を表6に示す。
Figure 2022174943000010

表6中の略号は以下の通り。
W1:フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度76℃)
W2:フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度100℃)
W3:ベヘン酸ベヘニルワックス(最大吸熱ピークのピーク温度77℃)
W4:パラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度70℃)
<磁性キャリア1の製造例>
・個数平均粒径0.30μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト1
・個数平均粒径0.50μm、(1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さ65Am/kg)のマグネタイト2
上記の材料それぞれ100部に対し、4.0部のシラン化合物(3-(2-アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール:10質量%
・ホルムアルデヒド溶液:6質量%
(ホルムアルデヒド40質量%、メタノール10質量%、水50質量%)
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト1 :58質量%
・上記シラン化合物で処理したマグネタイト2 :26質量%
上記材料100部と、28質量%アンモニア水溶液5部、及び水20部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温し、3時間保持して重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体分散型の球状の磁性キャリア1を得た。体積基準の50%粒径(D50)は、34.21μmであった。
<二成分系現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリア1と8.0部のトナー1をV型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
<二成分系現像剤2~34の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、表7のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2~34を得た。
Figure 2022174943000011
<実施例1>
上記二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5560改造機を用い、シアン位の現像器に二成分系現像剤1を入れた。装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及び、レーザーパワーを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、紙上におけるFFh画像上のトナーの載り量が所望になるようにVDC、V、及びレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。以下の評価方法に基づいて評価し、その結果を表10に示す。
[耐擦過性]
紙:イメージコートグロス158(158.0g/m
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.05mg/cm2(2Fh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に3m×15cmの画像を配置
定着試験環境:常温常湿環境(温度23℃/湿度50%RH(以下N/N))
定着温度:180℃
プロセススピード:377mm/sec
上記評価画像を出力し、耐擦過性を評価した。反射率の差分の値を耐擦過性の評価指標とした。まず、評価画像の画像部に対し、学振型摩擦堅牢度試験機(AB-301:テスター産業株式会社製)を用い、0.5kgfの荷重をかけて、新品の評価紙により摩擦(10往復)する。その後、リフレクトメータ(REFLECTOMETER MODEL
TC-6DS:東京電色株式会社製)を用い、新品の評価紙により摩擦を行った部分の反射率と、摩擦を行っていない部分の反射率を測定する。
そして、下記式を用いて摩擦前後での反射率の差分を算出した。得られた反射率の差分を下記の評価基準に従って評価した。評価がA~Cであれば、良好と判断した。
反射率の差分=摩擦前の反射率-摩擦後の反射率
(評価基準)
A:1.0%未満
B:1.0%以上2.0%未満
C:2.0%以上4.0%未満
D:4.0%以上
[低温定着性]
紙:GFC-081(81.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.50mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
定着温度:150℃
プロセススピード:377mm/sec
上記評価画像を出力し、低温定着性を評価した。画像濃度低下率の値を低温定着性の評価指標とした。画像濃度低下率は、X-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X-Rite社製)を用い、先ず、中心部の画像濃度を測定する。次に、画像濃度を測定した部分に対し、4.9kPa(50g/cm)の荷重をかけてシルボン紙により定着画像を摩擦(5往復)し、画像濃度を再度測定する。
そして、下記式を用いて摩擦前後での画像濃度の低下率を算出した。得られた画像濃度の低下率を下記の評価基準に従って評価した。評価がA~Cであれば、良好と判断した。
画像濃度の低下率=
(摩擦前の画像濃度-摩擦後の画像濃度)/摩擦前の画像濃度×100
(評価基準)
A:画像濃度の低下率3%未満
B:画像濃度の低下率3%以上5%未満
C:画像濃度の低下率5%以上8%未満
D:画像濃度の低下率8%以上
[高温高湿環境下での帯電維持率]
紙:GFC-081(81.0g/m)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧V、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
定着試験環境:高温高湿環境:温度30℃/湿度80%RH(以下「H/H」)
プロセススピード:377mm/sec
静電潜像担持体上のトナーを金属円筒管と円筒フィルターを用いて吸引捕集することにより、トナーの摩擦帯電量を算出した。具体的には、静電潜像担持体上のトナーの摩擦帯電量は、ファラデー・ケージ(Faraday-Cage)によって測定した。ファラデー・ケージとは、同軸の2重筒のことで内筒と外筒は絶縁されている。この内筒の中に電荷量Qの帯電体を入れたとすると、静電誘導によりあたかも電荷量Qの金属円筒が存在するのと同様になる。この誘起された電荷量をエレクトロメーター(ケスレー6517A ケスレー社製)で測定し、内筒中のトナー質量M(kg)で電荷量Q(mC)を割ったもの(Q/M)をトナーの摩擦帯電量とした。
トナーの摩擦帯電量(mC/kg)=Q/M
まず、静電潜像担持体上に上記評価画像を形成し、中間転写体に転写される前に、静電潜像担持体の回転を止め、静電潜像担持体上のトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、[初期のQ/M]を測定した。
引き続き、H/H環境において評価機内に現像器を入れたまま2週間放置させた後、放置前と同様の操作を行い、放置後の静電潜像担持体上の単位質量当たりの電荷量Q/M(mC/kg)を測定した。上記の初期の静電潜像担持体上の単位質量当たりのQ/Mを100%とし、放置後の静電潜像担持体上の単位質量当たりのQ/Mの維持率([放置後のQ/M]/[初期のQ/M]×100)を算出して以下の基準で判断した。評価がA~Cであれば、良好と判断した。
(評価基準)
A:維持率が95%以上
B:維持率が90%以上95%未満
C:維持率が85%以上90%未満
D:維持率が85%未満
<実施例2~25及び比較例1~5>
二成分系現像剤2~34を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表8に示す。
Figure 2022174943000012

Claims (11)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    該結着樹脂が、非晶性ポリエステル及び結晶性ポリエステルを含有し、
    (i)該結晶性ポリエステルの100℃のo-ジクロロベンゼン可溶分の重量平均分子量が、1500以上4900以下であり、
    (ii)該結晶性ポリエステルは、該結晶性ポリエステルの主鎖末端のヒドロキシ基が炭素数16~31の脂肪族モノカルボン酸で末端修飾された構造、及び該結晶性ポリエステルの主鎖末端のカルボキシ基が炭素数15~30の脂肪族モノアルコールで末端修飾された構造の少なくとも一方、を有する変性結晶性ポリエステルを含有し、
    (iii)該結晶性ポリエステル中の該末端修飾された構造の含有割合が、80.0mol%以上であることを特徴とするトナー。
  2. 前記結晶性ポリエステルにおける、前記末端修飾された構造に含まれる前記脂肪族モノカルボン酸によるモノマーユニット及び前記脂肪族モノアルコールによるモノマーユニットの合計の含有割合が、30.0質量%以上である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結晶性ポリエステルの酸価及び水酸基価の合計が、0.1mgKOH/g~5.0mgKOH/gである請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記結晶性ポリエステルのSP値をSPとしたとき、該SPが、8.8(cal/cm0.5~9.4(cal/cm0.5である請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記非晶性ポリエステルのSP値をSPとしたとき、該SPが、10.5(cal/cm0.5~11.5(cal/cm0.5である請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記結晶性ポリエステルのSP値をSPとし、前記非晶性ポリエステルのSP値をSPとしたとき、該SPと該SPが下記式(1)を満たす請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。
    1.5≦SP-SP≦2.1 ・・・(1)
  7. 前記トナーの示差走査熱量測定により測定される前記結晶性ポリエステルに由来する吸熱量ΔHが、5.0J/g~15.0J/gである請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記結晶性ポリエステルの主鎖が、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの縮重合体であり、
    該脂肪族カルボン酸の炭素数と該脂肪族ジオールの炭素数との差が、4以下である請求項1~7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 前記トナー粒子は、炭化水素ワックスを含有し、
    前記結晶性ポリエステルのSP値をSPとし、該炭化水素ワックスのSP値をSPとしたとき、該SPと該SPが下記式(2)を満たす請求項1~8のいずれか一項に記載のトナー。
    0.7≦SP-SP≦1.2 ・・・(2)
  10. 前記炭化水素ワックスの融点をTとし、前記結晶性ポリエステルの融点をTとしたとき、該Tと該Tが下記式(3)を満たす請求項9に記載のトナー。
    0.0≦|T-T|≦25.0 ・・・(3)
  11. 前記非晶性ポリエステルが、下記式(F)及び(G)で示されるモノマーユニットを含有する請求項1~10のいずれか一項に記載のトナー。
    Figure 2022174943000013

    式中、Rは、それぞれエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、x+yの平均値は2~10である。Rは、エチレン基又はプロピレン基を示す。
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