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JP2022171569A - 金属配線の製造方法 - Google Patents

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JP2022171569A
JP2022171569A JP2022052443A JP2022052443A JP2022171569A JP 2022171569 A JP2022171569 A JP 2022171569A JP 2022052443 A JP2022052443 A JP 2022052443A JP 2022052443 A JP2022052443 A JP 2022052443A JP 2022171569 A JP2022171569 A JP 2022171569A
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metal wiring
coating film
dispersion
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dry coating
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徹 湯本
Toru Yumoto
雅志 古川
Masashi Furukawa
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Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Abstract

【課題】現像工程において、金属配線間に残存している塗膜を十分除去しつつ現像前後での金属配線の抵抗値変化を小さくでき、これにより高品質の金属配線を製造することが可能な、金属配線の製造方法を提供する。【解決手段】基材の表面上に、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む分散体を塗布して分散体層を形成する塗布工程と、前記分散体層を乾燥させて前記基材と前記基材上に配置された乾燥塗膜とを有する乾燥塗膜付構造体を形成する乾燥工程と、前記乾燥塗膜にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射工程と、前記乾燥塗膜の前記金属配線以外の領域を現像液で現像除去する現像工程と、を備え、前記現像工程が、水及び/又はアルコール系溶媒を含む第1の現像液に前記乾燥塗膜を接触させた状態で前記乾燥塗膜をブラッシングすることを含む、金属配線の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、金属配線の製造方法に関する。
回路基板は、基板上に導電性の配線を施した構造を有する。回路基板の製造方法は、一般的に、次の通りである。まず、金属箔を貼り合せた基板上にフォトレジストを塗布する。次に、フォトレジストを露光及び現像して所望の回路パターンのネガ状の形状を得る。次に、フォトレジストに被覆されていない部分の金属箔をケミカルエッチングにより除去してパターンを形成する。これにより、高性能の導電性基板を製造できる。
しかしながら、従来の方法は、工程数が多く、煩雑であると共に、フォトレジスト材料を要する等の欠点がある。
これに対し、金属粒子及び金属酸化物粒子からなる群から選択された粒子を分散させた分散体(以下、「ペースト材料」ともいう)で基板上に所望の配線パターンを直接印刷する直接配線印刷技術が注目されている。この技術は、工程数が少なく、フォトレジスト材料を用いる必要がない等、極めて生産性が高い。
直接印刷配線技術の一例としては、ペースト材料を基板の全面に塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜にレーザ光をパターン状に照射して選択的に熱焼成することで、所望の配線パターンを得る方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献2には、波長830nmのGaAlAsレーザ光を照射して描画を行ったとき、酸化銅薄膜上でのビーム径は5μmであり、レーザ光被照射部は局部加熱されたことにより酸化銅が還元され、ほぼ5μm径の還元銅領域が形成されたことが記載されている。
国際公開第2010/024385号 特開平5-37126号公報
上述のようにレーザ光照射により描画を行って配線を形成する場合、光が照射されなかった領域には塗膜が残存する。この残存した塗膜は、配線形成後のめっき操作において、目的の配線パターン外への金属の成長、マイグレーションによる短絡等の問題を招来する。そのため、レーザ光照射後には、現像操作により、残存した塗膜を十分に除去する必要がある。
現像時に現像液中で超音波を照射するなど、物理的な力を加えると、残存した塗膜を除去する効果は高まる。しかし一方で、このような物理的な力は、金属配線にダメージを与え、金属配線の断線又は抵抗値増大等の問題を招来する。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、現像工程において、金属配線間に残存している塗膜を十分除去しつつ現像前後での金属配線の抵抗値変化を小さくでき、これにより高品質の(より具体的には低抵抗でかつ抵抗値の部位間ばらつきが少ない)金属配線を製造することが可能な、金属配線の製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明の特定の態様は、金属配線間に残存している塗膜を除去及び再利用することで資源を有効活用することを目的とする。
本開示は、以下の態様を包含する。
[1] 基材の表面上に、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む分散体を塗布して分散体層を形成する塗布工程と、
前記分散体層を乾燥させて前記基材と前記基材上に配置された乾燥塗膜とを有する乾燥塗膜付構造体を形成する乾燥工程と、
前記乾燥塗膜にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射工程と、
前記乾燥塗膜の前記金属配線以外の領域を現像液で現像除去する現像工程と、を備え、
前記現像工程が、水及び/又はアルコール系溶媒を含む第1の現像液に前記乾燥塗膜を接触させた状態で前記乾燥塗膜をブラッシングすることを含む、金属配線の製造方法。
[2] 前記現像工程が、
(1)前記第1の現像液によって前記乾燥塗膜を現像する第1の現像処理、及び
(2)有機溶媒を含む第2の現像液によって前記乾燥塗膜を現像する第2の現像処理、
を含む、上記項目1に記載の金属配線の製造方法。
[3] 前記有機溶媒がアミン系溶媒である、上記項目2に記載の金属配線の製造方法。
[4] 前記アミン系溶媒が、ジエチレントリアミン及び/又は2-アミノエタノールを含む、上記項目3に記載の金属配線の製造方法。
[5] 前記第1の現像液が分散剤(A)を更に含み、前記分散剤(A)がリン含有有機化合物である、上記項目1~4のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
[6] 前記分散体が分散剤(B)を含み、前記分散剤(A)と前記分散剤(B)との主成分が同種である、上記項目5に記載の金属配線の製造方法。
[7] 前記現像工程の後に、使用済現像液を回収する工程を更に含む、上記項目1~6のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
[8] 前記分散体が、前記現像工程の後に回収した使用済現像液を含む液から調製される、上記項目1~7のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
[9] 前記金属粒子及び/又は金属酸化物粒子が、銅粒子及び/又は酸化銅粒子である、上記項目1~8のいずれかに記載の金属配線の製造方法。
[10] 基材の表面上に、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む分散体を塗布して分散体層を形成する塗布機構と、
前記分散体層を乾燥させて前記基材と前記基材上に配置された乾燥塗膜とを有する乾燥塗膜付構造体を形成する乾燥機構と、
前記乾燥塗膜にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射機構と、
前記乾燥塗膜の前記金属配線以外の領域を現像液で現像除去する現像機構と、
を備える金属配線製造システムであって、
前記現像機構が、水及び/又はアルコール系溶媒を含む第1の現像液に前記乾燥塗膜を接触させた状態で前記乾燥塗膜をブラッシングするブラッシング現像機構である第1の現像部を有する、金属配線製造システム。
[11] 前記現像機構が、
(1)前記第1の現像部、及び
(2)有機溶媒を含む第2の現像液によって前記乾燥塗膜を現像する第2の現像部、
を有する、上記項目10に記載の金属配線製造システム。
本発明の一態様によれば、現像工程において、金属配線間に残存している塗膜を十分除去しつつ現像前後での金属配線の抵抗値変化を小さくでき、これにより高品質の(より具体的には低抵抗でかつ抵抗値の部位間ばらつきが少ない)金属配線を製造することが可能な、金属配線の製造方法を提供できる。更に、本発明の特定の態様によれば、金属配線間に残存している塗膜を除去及び再利用することで資源を有効活用できる。
本実施形態に係る金属配線の製造方法の一例を示す説明図である。 本実施形態に係る金属配線の製造方法におけるレーザ光の重複照射について説明する模式図である。 本実施形態に係る金属配線の製造方法の現像工程において導電部付構造体を保持する治具の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る金属配線の製造方法の現像工程において導電部付構造体を保持する治具の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る金属配線の製造方法の現像工程において導電部付構造体を保持する治具の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る金属配線の製造方法において、使用済現像液を再利用する例を示す説明図である。 本実施形態に係る金属配線の製造方法において、使用済現像液を再利用する場合の工程フローの例を示す説明図である。 本実施形態に係る金属配線製造システムの一例を示す説明図である。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されない。
<金属配線の製造方法>
本発明の一態様は、
基材の表面上に、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む分散体を塗布して分散体層を形成する塗布工程と、
前記分散体層を乾燥させて前記基材と前記基材上に配置された乾燥塗膜とを有する乾燥塗膜付構造体を形成する乾燥工程と、
前記乾燥塗膜にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射工程と、
前記乾燥塗膜の前記金属配線以外の領域を現像液で現像除去する現像工程と、を備える金属配線の製造方法を提供する。
一態様においては、現像工程が、
水及び/又はアルコール系溶媒を含む第1の現像液に乾燥塗膜を接触させた状態で乾燥塗膜をブラッシングすることを含む。
本発明者らは、基材上に配置された乾燥塗膜のうちレーザ光が照射された領域(以下、露光部ということもある。)を金属配線として形成するとともに当該乾燥塗膜のレーザ光が照射されなかった領域(以下、未露光部ということもある。)を現像液で現像除去する際に、未露光部が現像液によって十分に除去されない場合があること、及び金属配線が現像によって損傷又は剥離する場合があることに着目した。本発明者らは、これら問題を回避する手段を種々検討した結果、特定組成の現像液を用いた現像に際して塗膜をブラッシングすることによって、未露光部の良好な現像除去と、低抵抗でかつ抵抗値の部位間ばらつきが少ない金属配線の形成とを両立できることを見出した。
[現像液の組成]
本実施形態の方法では、現像液として、水及び/又はアルコール系溶媒を含む第1の現像液を少なくとも用い、好ましくは、当該第1の現像液と、有機溶媒を含む第2の現像液との2種類を少なくとも用いる。現像性向上の観点から、現像液は好ましくは分散剤(本開示の分散剤(A))を含む。分散剤は、基材に付着した金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を効率よく現像液中に分散させる(すなわち効率よく除去する)ことができる。分散剤は、第1の現像液と第2の現像液との一方又は両方に含まれてよいが、先行する現像処理で用いる現像液(一態様において、第1の現像処理、第2の現像処理の順で現像を行う際の第1の現像液)のみに含まれる場合、1回で粒子の回収を効率よく実施できるため、リサイクル性の観点から有利である。
分散剤としては、本開示の分散体に含まれる分散剤と主成分が同種であるものを用いることが好ましい。本開示で、分散剤の主成分とは、分散体中又は現像液中に分散剤として存在する成分のうち最も多量に存在する成分である。分散体中の分散剤の主成分と現像液中の分散剤の主成分とが同種であることで、現像性が向上する。更にその現像液を回収し、分散体として再利用することもできる。本開示の分散体が含み得る分散剤として、[分散体及び乾燥塗膜の組成]の項で後述するものが好ましい。例えばリン含有有機化合物を用いると、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子(特に酸化銅粒子)が現像液中に良好に分散するため、現像が容易である。したがって一態様において、現像液中の分散剤の好適化合物例は、[分散体及び乾燥塗膜の組成]の項で後述する分散剤の好適化合物例と同様である。
現像液中の分散剤の含有率は、基材に付着した金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を効率よく現像液中に分散させる(すなわち効率よく除去する)ことができる点で、好ましくは0.1質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1.0質量%以上であり、分散剤による金属配線の溶解を抑制できる点、高粘度の分散剤を使用しても現像に適した低粘度の現像液を形成できる点、及び、基材及び金属配線への余分な分散剤の付着を防ぎ、現像後の水洗工程を簡易化できる点で、好ましくは、20質量%以下、又は15質量%以下、又は10質量%以下である。
第1の現像液は、水及び/又はアルコール系溶媒を含む。水及びアルコールは、分散剤が良好に分散できる溶媒であり、当該分散剤と組み合わせることで、基材上の粒子の再分散性がより良好となるため、基材に付着した金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の現像液中への分散に適している。アルコール系溶媒の詳細は、第2の現像液について後述するアルコール系溶媒と共通である。第1の現像液に含まれるアルコール系溶媒としては、粒子の効率良い除去の観点から、炭素数10以下のアルコールが好ましく、エタノール、n-ブタノール、n-ヘプタノール、及びn-オクタノールが特に好ましい。
第1の現像液中の水の含有率は、一態様において、10質量%以上、又は20質量%以上、又は30質量%以上であってよく、一態様において、99質量%以下、又は98質量%以下、又は97質量%以下であってよい。
第1の現像液中のアルコール系溶媒の含有率は、一態様において、10質量%以上、又は20質量%以上、又は30質量%以上であってよく、一態様において、99質量%以下、又は98質量%以下、又は97質量%以下であってよい。
第1の現像液中の水及びアルコール系溶媒の合計含有率は、一態様において、20質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上であってよい。当該合計含有率は、一態様において100質量%であってよく、或いは、一態様において、99質量%以下、又は98質量%以下、又は97質量%以下であってよい。
第2の現像液は有機溶媒を含む。有機溶媒は、金属又は金属酸化物を溶解し除去することが可能であるため、配線間への金属残りを防ぐことができ、仕上げの現像に適している。有機溶媒としては、アミン系溶媒、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒等が好適であり、これらを1種又は2種以上で用いてよい。
アミン系溶媒としては、アミン(1級アミン、2級アミン及び3級アミン)、アルカノールアミン、アミド等を例示でき、より具体的には、ジエチレントリアミン、2-アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプラパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、n-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等を例示できる。
アルコール系溶媒としては、1価又は多価のアルコール、並びに当該アルコールのエーテル及びエステル等を例示できる。上記アルコールは好ましくはグリコールである。アルコール系溶媒のより具体的な例としては:
メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、sec-ペンタノール、t-ペンタノール、2-メチルブタノール、2-エチルブタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、sec-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、sec-オクタノール、2-エチルヘキサノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等の1価アルコール;
エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、トリエチレングリコール、トリ1,2-プロピレングリコール等のグリコール、グリセリン等の3価アルコール、等の多価アルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル;
等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、グリセロール酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
有機溶媒としては、現像性の観点から、アミン系溶媒が特に好ましく、具体的には、ジエチレントリアミン、2-アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、n-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等が好適である。現像性の観点で、ジエチレントリアミン及び2-アミノエタノールの少なくとも一方を用いることが特に好ましい。
第2の現像液中の有機溶媒の含有率は、一態様において、1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上であってよい。上記含有率は、一態様において100質量%であってよく、或いは、一態様において、98質量%以下、又は97質量%以下、又は95質量%以下であってよい。この場合、残部として、水及び/又は分散剤を含んでよい。
第2の現像液中の水の含有率は、一態様において、1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上であってよく、99質量%以下、又は98質量%以下、又は95質量%以下であってよい。
[ブラッシング現像]
本開示の方法では、現像工程において、乾燥塗膜を、第1の現像液に接触させた状態でブラッシングする。一態様においては、第1の現像液を収容する槽に乾燥塗膜付構造体を入れ、当該乾燥塗膜にブラッシングを適用する。現像液による現像と、ブラッシングとの併用により、高効率な現像を行うことができる。ブラッシングに用いるブラシの材質及び形状には特に限定がないが、例えば材質としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル系樹脂、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル共重合体、フッ素系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、綿等が挙げられる。ブラッシングの方法としては、塗膜に接触させた状態のブラシを回転、振動及び/又は上下左右運動させる方法が挙げられる。ブラッシングの処理時間としては、1分以上1時間以下が好ましく、5分以上45分以下がより好ましく、10分以上30分以下が最も好ましい。塗膜にかかる力は特に限定されない。
[分散体及び乾燥塗膜の組成]
本開示の、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む乾燥塗膜は、一態様において、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子と、分散媒と、任意に分散剤及び/又は還元剤とを含む分散体を基材上に塗布、次いで乾燥することによって形成される。したがって、一態様において、乾燥塗膜中の分散媒以外の成分の質量比率は、分散体中の分散媒以外の成分の質量比率と同一と見做してよい。又は、乾燥塗膜中の金属元素の含有量は、SEM(走査型電子顕微鏡)及びEDX(エネルギー分散型X線分析)装置により確認できる。
分散体中及び乾燥塗膜中の分散剤の含有量は、TG-DTA(熱重量示差熱分析)装置を用いて確認できる。
分散体中の還元剤の含有量は、GC/MS(ガスクロマトグラフ/質量分析)装置を用いたサロゲート法により確認できる。また、乾燥塗膜中の還元剤の含有量は、乾燥塗膜を分散媒に再分散させた後、GC/MS装置を用いたサロゲート法により確認できる。
以下に、還元剤としてヒドラジンを用いた場合の測定例を示す。
(ヒドラジン定量方法)
分散体50μLに、ヒドラジン33μg、サロゲート物質(ヒドラジン1524)33μg、ベンズアルデヒド1%アセトニトリル溶液1mlを加える。最後にリン酸20μLを加え、4時間後、GC/MS測定を行う。
同じく、分散体50μLに、ヒドラジン66μg、サロゲート物質(ヒドラジン1524)33μg、ベンズアルデヒド1%アセトニトリル溶液1mlを加える。最後にリン酸20μLを加え、4時間後、GC/MS測定を行う。
同じく、分散体50μLに、ヒドラジン133μg、サロゲート物質(ヒドラジン1524)33μg、ベンズアルデヒド1%アセトニトリル溶液1mlを加える。最後にリン酸20μLを加え、4時間後、GC/MS測定を行う。
最後に、分散体50μLに、ヒドラジンを加えず、サロゲート物質(ヒドラジン1524)33μg、ベンズアルデヒド1%アセトニトリル溶液1mlを加え、最後にリン酸20μLを加え、4時間後、GC/MS測定を行う。
上記4点のGC/MS測定からm/z=207のクロマトグラムよりヒドラジンのピーク面積値を得る。次に、m/z=209のマスクロマトグラムよりサロゲートのピーク面積値を得る。x軸に、添加したヒドラジンの重量/添加したサロゲート物質の重量、y軸に、ヒドラジンのピーク面積値/サロゲート物質のピーク面積値をとり、サロゲート法による検量線を得る。
検量線から得られたY切片の値を、添加したヒドラジンの重量/添加したサロゲート物質の重量で除しヒドラジンの重量を得る。
((i)金属粒子及び/又は金属酸化物粒子)
金属粒子及び/又は金属酸化物粒子に含まれる金属は、アルミニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、スズ、アンチモン、イリジウム、白金、金、タリウム、鉛、ビスマス等であり、これらの1種、又は2種以上を含む合金若しくは混合物であってよい。また金属酸化物としては、上記で例示した金属の酸化物が挙げられる。中でも、銀又は銅の金属酸化物粒子は、レーザ光で照射を行った時に還元されやすく、均一な金属配線を形成できるため、好ましい。特に、銅の金属酸化物粒子は、空気中での安定性が比較的高く、更に低コストで入手可能であり、事業上の観点から優位であり、好ましい。酸化銅は、例えば、酸化第一銅及び酸化第二銅を包含する。酸化第一銅は、レーザ光に対する吸光度が高く低温焼結が可能である点、及び低抵抗の焼結物を形成できる点で特に好ましい。酸化第一銅及び酸化第二銅は、これらを単独で用いてもよいし、これらを混合して用いてもよい。
金属酸化物粒子は、一態様において酸化銅粒子を含み又は酸化銅粒子である。酸化銅粒子は、コア/シェル構造を有してよく、コア及びシェルのいずれか一方が酸化第一銅及び/又は酸化第二銅を含んでよい。
金属粒子及び金属酸化物粒子の各々(一態様において酸化銅粒子)の平均二次粒子径は、特に制限されないが、好ましくは、500nm以下、又は200nm以下、又は100nm以下、又は80nm以下、又は50nm以下、又は20nm以下である。当該粒子の平均二次粒子径は、好ましくは、1nm以上、又は5nm以上、又は10nm以上、又は15nm以上である。
平均二次粒子径とは、一次粒子が複数個集まって形成される凝集体(二次粒子)の平均粒子径のことである。この平均二次粒子径が500nm以下であると、支持体上に微細な金属配線を形成しやすい傾向があるので好ましい。平均二次粒子径が1nm以上、特に5nm以上であれば、分散体の長期保管安定性が向上するため好ましい。当該粒子の平均二次粒子径は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって測定することができる。
二次粒子を構成する一次粒子の平均一次粒子径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、更に好ましくは20nm以下である。平均一次粒子径は、好ましくは1nm以上、より好ましくは2nm以上、更に好ましくは5nm以上である。
平均一次粒子径が100nm以下の場合、後述する焼成温度を低くすることができる傾向にある。このような低温焼成が可能になる理由は、粒子の粒子径が小さいほど、その表面エネルギーが大きくなって、融点が低下するためと考えられる。
また、平均一次粒子径が1nm以上であれば、良好な分散性を得ることができるため好ましい。基材に配線パターンを形成する場合、下地との密着性や低抵抗化の観点で、好ましくは2nm以上、又は5nm以上であり、好ましくは100nm以下、又は50nm以下である。この傾向は下地が樹脂の時に顕著である。当該粒子の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって測定することができる。
分散体及び乾燥塗膜は、銅粒子を含んでもよい。すなわち、本開示の分散体及び乾燥塗膜が銅を含んでもよい。
分散体及び乾燥塗膜は、酸化銅粒子と銅粒子とを含んでもよい。この場合、酸化銅粒子に対する銅粒子の質量比率(以下、「銅粒子/酸化銅粒子」と記載する)は、導電性とクラック防止との観点から、好ましくは、1.0以上、又は1.5以上、又は2.0以上であり、好ましくは7.0以下、又は6.0以下、又は5.0以下である。
分散体中の金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の含有率は、金属粒子及び金属酸化物粒子の合計含有率で、分散体100質量%に対して、0.50質量%以上60質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上50質量%以下であることが更に好ましい。上記合計含有率が60質量%以下である場合、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の凝集を抑制しやすくなる傾向がある。上記合計含有率が0.50質量%以上である場合、乾燥塗膜をレーザ光照射によって焼成して得られる金属配線(すなわち導電膜)が薄くなりすぎず、導電性が良好である傾向がある。
乾燥塗膜中の金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の含有率は、金属粒子及び金属酸化物粒子の合計含有率で、乾燥塗膜100質量%に対して、40質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。また、当該含有率は、98質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることが更に好ましい。
また乾燥塗膜中の金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の含有率は、金属粒子及び金属酸化物粒子の合計含有率で、乾燥塗膜100体積%に対して、10体積%以上であることが好ましく、15体積%以上であることがより好ましく、25体積%以上であることが更に好ましい。また、当該含有率は、90体積%以下であることが好ましく、76体積%以下であることがより好ましく、60体積%以下であることが更に好ましい。
乾燥塗膜における金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の含有率が、40質量%以上又は10体積%以上であれば、焼成によって粒子同士が融着して良好な導電性を発現するため好ましい。金属粒子及び/又は金属酸化物粒子が高濃度になるほど導電性の点では好ましいが、当該含有率が、98質量%以下又は90体積%以下である場合、乾燥塗膜が金属配線を安定形成できる程度に基材に対して良好に付着でき、特に95質量%以下又は76体積%以下である場合、付着がより強固であり、好ましい。また、当該含有率が、90質量%以下又は60体積%以下である場合には、乾燥塗膜の可撓性が高く、折り曲げ時にクラックが生じにくく、信頼性が高まる。
((ii)分散剤)
分散体及び乾燥塗膜は、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を良好に分散させるための分散剤を含んでよい。
分散剤の数平均分子量は、特に制限はないが、300~300,000であることが好ましく、300~30,000であることがより好ましく、300~10,000であることが更に好ましい。数平均分子量が300以上であると、分散体の分散安定性が増す傾向があり、また、300,000以下であると、配線形成時に焼成がしやすく、30,000以下であれば、焼成後の分散剤残存量がより少なく、金属配線の抵抗を小さくできる。なお本開示で、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィを用い、標準ポリスチレン換算で求められる値である。
分散剤としては、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の分散性に優れる点で、リン含有有機化合物が好ましい。また分散剤は、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子に吸着し、立体障害効果によって粒子の凝集を抑制する観点から、これら粒子に対して親和性の基(例えば水酸基)を有することが好ましい。特に、金属酸化物粒子と水酸基含有分散剤との併用は好ましい。分散剤は、好ましくはリン含有有機化合物を含む。分散剤の特に好適な例は、リン酸基を有するリン含有有機化合物である。
リン含有有機化合物は、光及び/又は熱によって分解又は蒸発しやすいことが好ましい。光及び/又は熱によって分解又は蒸発しやすい有機物を用いることによって、焼成後に有機物の残渣が残りにくくなり、抵抗率の低い金属配線を得ることができる。
リン含有有機化合物の分解温度は、限定されないが、600℃以下であることが好ましく、400℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることが更に好ましい。分解温度は、リン含有有機化合物の安定性の観点から、好ましくは60℃以上、又は90℃以上、又は120℃以上であってよい。なお本開示で、分解温度は、熱重量示差熱分析法で求められる分解開始温度の値である。
リン含有有機化合物の沸点は、限定されないが、300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることが更に好ましい。沸点は、リン含有有機化合物の安定性の観点から、好ましくは、60℃以上、又は90℃以上、又は120℃以上であってよい。
リン含有有機化合物の吸収特性は、限定されないが、焼成に用いるレーザ光を吸収できることが好ましい。なお本開示で、焼成に用いるレーザ光を吸収できるとは、紫外可視分光光度計で測定される波長532nmでの吸光係数が0.10cm-1以上であることを意味する。より具体的には、焼成に用いるレーザ光の発光波長(中心波長)としての、例えば355nm、405nm、445nm、450nm、532nm、1064nmなどの光を吸収するリン含有有機化合物が好ましい。特に、基材が樹脂基材である場合、中心波長が355nm、405nm、445nm、及び/又は450nmの光を吸収するリン含有有機化合物が好ましい。
リン含有有機化合物がリン酸エステルであることは、分散体の大気下安定性向上の観点からも好ましい。例えば、下記一般式(1):
Figure 2022171569000002
(式中、Rは1価の有機基である。)
で表されるリン酸モノエステルは、金属酸化物粒子への吸着性に優れるとともに、基材に対する適度な密着性を示すことで金属配線の安定形成と未露光部の良好な現像との両立に寄与する点で好ましい。Rとしては、置換又は非置換の炭化水素基等を例示できる。
リン酸モノエステルの一例として、下記式(2):
Figure 2022171569000003
で表される構造を有する化合物を例示できる。
また、リン酸モノエステルの一例として、下記式(3):
Figure 2022171569000004
(式中、l、m及びnは、それぞれ独立に、1~20の整数である。)
で表される構造を有する化合物も例示できる。
上記式(3)中、lは1~20の整数、好ましくは1~15の整数、より好ましくは1~10の整数であり、mは1~20の整数、好ましくは1~15の整数、より好ましくは1~10の整数であり、nは1~20の整数、好ましくは1~15の整数、より好ましくは1~10の整数である。
リン含有有機化合物が有する有機構造としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリイミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリアセタール、ポリアリレート(PAR)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエーテルニトリル(PENt)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フェノールノボラック、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノール、ポリクロロピレン、ポリオキシメチレン、ポリスルホン(PSF)、ポリスルフィド、シリコーン樹脂、アルドース、セルロース、アミロース、プルラン、デキストリン、グルカン、フルクタン、キチン等の化合物に由来する(具体的には、官能基の変性若しくは修飾、又は重合等を経た)構造を有してよい。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアセタール、ポリブテン、及びポリスルフィドから選択されるポリマー骨格を有するリン含有有機化合物は、分解しやすく、焼成後に得られる金属配線中に残渣を残し難いため、好ましい。
リン含有有機化合物の具体例としては、市販の材料を用いることができ、具体的には、ビックケミー社製のDISPERBYK(登録商標)-102、DISPERBYK-103、DISPERBYK-106、DISPERBYK-109、DISPERBYK-110、DISPERBYK-111、DISPERBYK-118、DISPERBYK-140、DISPERBYK-145、DISPERBYK-168、DISPERBYK-180、DISPERBYK-182、DISPERBYK-187、DISPERBYK-190、DISPERBYK-191、DISPERBYK-193、DISPERBYK-194N、DISPERBYK-199、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001、DISPERBYK-2008、DISPERBYK-2009、DISPERBYK-2010、DISPERBYK-2012、DISPERBYK-2013、DISPERBYK-2015、DISPERBYK-2022、DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2050、DISPERBYK-2152、DISPERBYK-2055、DISPERBYK-2060、DISPERBYK-2061、DISPERBYK-2164、DISPERBYK-2096、DISPERBYK-2200、BYK(登録商標)-405、BYK-607、BYK-9076、BYK-9077、BYK-P105、第一工業製薬社製のプライサーフ(登録商標)M208F、プライサーフDBS等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
分散体及び乾燥塗膜において、分散剤の含有量は、金属粒子及び金属酸化物粒子の合計体積を100体積部としたときに、5体積部以上900体積部以下であり得る。下限値は、好ましくは10体積部以上、より好ましくは30体積部以上、更に好ましくは60体積部以上である。上限値は、好ましくは480体積部以下、より好ましくは240体積部以下である。
質量部に換算すると、金属粒子及び金属酸化物粒子の合計100質量部に対する分散剤の含有量は、1質量部以上150質量部以下であることが好ましい。下限値は、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さら好ましくは10質量部以上である。上限値は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。分散剤の上記含有量が、5体積部以上又は1質量部以上であれば、厚みサブミクロンの薄膜を容易に形成できる。また、分散剤の上記含有量が、10体積部以上又は5質量部以上であれば、例えば厚み数十μmの厚膜を容易に形成できる。分散剤の上記含有量が、30体積部以上又は10質量部以上であれば、曲げてもクラックが入りにくい可撓性の高い乾燥塗膜を得ることができる。また、分散剤の上記含有量が、900体積部以下又は150質量部以下であれば、焼成によって良好な金属配線を得ることができる。
分散体中の分散剤の含有率は、全分散体中、0.10質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.20質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上8.0質量%以下であることが更に好ましい。該含有率が20質量%以下である場合、焼成により得られる導電膜において分散剤由来の残渣が多くならず導電性が良好である傾向がある。また、該含有率が0.10質量%以上である場合、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子が凝集せず、良好な分散性を得ることができる。
((iii)還元剤)
分散体及び乾燥塗膜は、還元剤を更に含んでよい。還元剤は、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の合成時に用いられたことによって分散体中に残存し、したがって乾燥塗膜中に残存するものであってもよい。還元剤は、好ましくは、ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物を含み、より好ましくは、ヒドラジン及び/又はヒドラジン水和物である。分散体が金属酸化物粒子を含み、かつ乾燥塗膜が還元剤を含む場合、乾燥塗膜にレーザ光を照射した際に金属酸化物(例えば酸化銅)が金属(例えば銅)に還元されやすく、また還元後の金属(例えば銅)の低抵抗化が可能となる。乾燥塗膜のうち未露光部(すなわちレーザ光が照射されない領域)には、還元剤が残存する。
分散体中及び乾燥塗膜中の還元剤の含有率の、金属粒子及び金属酸化物粒子の合計含有率に対する質量比率は、還元効果を良好に得る観点から、好ましくは、0.0001以上、又は0.0010以上、又は0.0020以上、又は0.0040以上であり、過剰な還元剤の残存を回避して低抵抗の金属配線を得る観点から、好ましくは、0.10以下、又は0.050以下、又は0.030以下である。
また、分散体中及び乾燥塗膜中、ヒドラジン及びヒドラジン水和物の合計含有量(ヒドラジン量基準)と、酸化銅の含有量とは、下記関係を満たすことが好ましい。
0.0001≦(ヒドラジン質量/酸化銅質量)≦0.10
((iv)分散媒)
分散媒は、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を分散させるため、分散体中及び乾燥塗膜中に含まれるものである。
分散媒の具体例としては、アルコール(1価アルコール及び多価アルコール(例えば、グリコール))、アルコール(例えばグリコール)のエーテル、アルコール(例えばグリコール)のエステル等を使用できる。より具体例な例としては、
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、
エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、トリエチレングリコール、トリ1,2-プロピレングリコール、グリセロール酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、
ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルカーボネート、
メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、sec-ペンタノール、t-ペンタノール、2-メチルブタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、sec-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、2-エチルブタノール、sec-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、sec-オクタノール、2-エチルヘキサノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
中でも、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の分散性の観点から、炭素数10以下のモノアルコール又は多価アルコールがより好ましい。炭素数10以下のモノアルコールの中でも、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノールが更に好ましい。これらのアルコールを単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
分散体の固形分率は、0.6質量%以上80質量%以下であることが好ましく、1.2質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、6.0質量%以上58質量%以下であることが更に好ましい。分散体の固形分率は、分散体0.5~1.0gを測り取り、空気中60℃で4.5時間加熱をしたときの、加熱後の重量を加熱前の重量で除した値として求めることができる。一態様において、分散体の固形分率は、分散体中の金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の含有率に対応する。固形分率が0.6質量%以上80質量%以下である場合、分散体が基材への塗布に適した粘度を有することができる。
分散体の粘度は、0.1mPa・s以上100,000mPa・s以下であることが好ましく、0.1mPa・s以上10,000mPa・s以下であることがより好ましく、1mPa・s以上1,000mPa・s以下であることが更に好ましい。粘度が0.1mPa・s以上100,000mPa・s以下である場合、基材に対して分散体をより均一に塗布できる。本開示で、粘度は、E型粘度計で測定される値である。
分散体のpHは、分散体中の金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の溶解を防止する観点から、好ましくは、4.0以上、又は5.0以上、又は6.0以上である。pHは、基材へのダメージを低減するという観点から、例えば、10.0以下、又は9.0以下、又は8.0以下であってよい。
分散体の表面自由エネルギーは、分散体を基材にムラなく均一に塗布できる点で、好ましくは、10mN/m以上、又は12mN/m以上、又は15mN/m以上であり、好ましくは50mN/m以下、又は35mN/m以下、又は25mN/m以下である。本開示で、表面自由エネルギーは、接触角計を用いたペンダントドロップ法で測定される値である。
乾燥塗膜の厚みは、低抵抗でかつ機械特性に優れる金属配線を容易に製造する観点から、好ましくは、0.1μm以上、又は0.5μm以上、又は1.0μm以上であり、微細サイズの金属配線を高精度で製造する観点から、好ましくは、50μm以下、又は25μm以下、又は10μm以下であってよい。
[基材]
基材は、金属配線が配置される面を構成する。基材の材質は、レーザ光により形成された金属配線間での電気絶縁性を確保するため、絶縁材料であることが好ましい。ただし、基材の全体が絶縁材料であることは必ずしも必要がない。金属配線が配置される面を構成する部分だけが絶縁材料であれば足りる。
また、基材の材質は、レーザ光を照射したときに基材がレーザ光により焼けて煙が発生することを防ぐため、耐熱温度が60℃以上の材質であることが好ましい。基材は単一の素材から構成される必要は無く、耐熱温度を高くするために、例えば樹脂にグラスファイバーなどを添加していてもよい。
基材の、乾燥塗膜が配置される面は、平面又は曲面であってよく、また段差等を含む面であってもよい。基材は、より具体的には、基板(例えば、板状体、フィルム又はシート)、又は立体物(例えば、筐体等)であってよい。板状体は、例えば、プリント基板等の回路基板に用いられる支持体である。フィルム又はシートは、例えば、フレキシブルプリント基板に用いられる、薄膜状の絶縁体であるベースフィルムである。
立体物の一例としては、携帯電話端末、スマートフォン、スマートグラス、テレビ、パーソナルコンピュータ等の電気機器の筐体が挙げられる。また、立体物の他の例としては、自動車分野では、ダッシュボード、インストルメントパネル、ハンドル、シャーシ等が挙げられる。
基材の具体例として、例えば、無機材料からなる基材(以下、「無機基材」)、又は樹脂からなる基材(以下、「樹脂基材」という)が挙げられる。
無機基材は、例えば、ガラス、シリコン、雲母、サファイア、水晶、粘土膜、及び、セラミックス材料等から構成される。セラミックス材料は、例えば、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニア、イットリア及び窒化アルミニウム、並びに、これらのうち少なくとも2つの混合物から選ばれる。また、無機基材としては、特に光透過性が高い、ガラス、サファイア、水晶等から構成される基材を用いることができる。
樹脂基材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリアセタール(POM)、ポリアリレート(PAR)、ポリアミド(PA)(PA6、PA66等)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエーテルニトリル(PENt)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリカルボジイミド、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン-ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フェノールノボラック、ベンゾシクロブテン、ポリビニルフェノール、ポリクロロピレン、ポリオキシメチレン、ポリスルホン(PSF)、ポリフェニルスルホン樹脂(PPSU)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル・スチレン樹脂(AS)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、及びシリコーン樹脂等から構成される支持体を用いることができる。
また、上記以外に、例えばセルロースナノファイバーを含有する樹脂シートを基材として用いることもできる。
特に、PI、PET及びPENからなる群から選択される少なくとも一種は、金属配線との密着性に優れ、且つ、市場流通性が良く低コストで入手可能であり、事業上の観点から有意であり、好ましい。
更に、PP、PA、ABS、PE、PC、POM、PBT、m-PPE及びPPSからなる群から選択される少なくとも一種は、特に筐体である場合、金属配線との密着性に優れ、また、成型性や成型後の機械的強度に優れる。更に、これらは、金属配線を形成するときのレーザ光照射等にも十分耐えうる耐熱性も有しているため、好ましい。
また、立体物の材質としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
樹脂基材の荷重たわみ温度は、400℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることが更に好ましい。荷重たわみ温度が400℃以下の基材は、低コストで入手可能であり、事業上の観点から優位であり、好ましい。荷重たわみ温度は、樹脂基材の取扱い性の観点から、好ましくは、70℃以上、又は80℃以上、又は90℃以上、又は100℃以上である。本開示の荷重たわみ温度は、JIS K7191に準拠して得られる値である。
基材の厚さは、例えば板状体、フィルム又はシートである場合、好ましくは、1μm以上、又は25μm以上であり、好ましくは100mm以下、又は10mm以下、又は250μm以下である。基材の厚さが250μm以下である場合、作製される電子デバイスを、軽量化、省スペース化及びフレキシブル化でき好ましい。
なお、基材が立体物である場合、その最大寸法(すなわち一辺の最大長さ)は、基材の機械的強度及び耐熱性が良好に発現される点で、好ましくは、1μm以上、又は200μm以上であり、好ましくは1000mm以下、又は100mm以下、又は5mm以下である。
[金属配線の製造方法の各工程]
図1は、本実施形態に係る金属配線の製造方法の一例を説明する図である。以下、図1を参照しながら、各工程の例示の態様について説明する。
(分散体の調製)
一態様においては、塗布工程に先立って分散体を調製する。以下では、酸化第一銅粒子を含む分散体を調製する場合を例に説明する。
酸化第一銅粒子は、例えば下記の方法で合成できる。
(1)ポリオール溶剤中に、水及び銅アセチルアセトナト錯体を加え、一旦有機銅化合物を加熱溶解させ、反応に必要な量の水を更に添加し、有機銅の還元温度に加熱して還元する方法。
(2)有機銅化合物(銅-N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン錯体)を、ヘキサデシルアミン等の保護剤の存在下、不活性雰囲気中で、300℃程度の高温で加熱する方法。
(3)水溶液に溶解した銅塩をヒドラジンで還元する方法(図1(a))。
上記(1)の方法は、例えば、アンゲバンテ・ケミ・インターナショナル・エディション、40号、2巻、p.359、2001年に記載の条件で行うことができる。
上記(2)の方法は、例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ・1999年、121巻、p.11595に記載の条件で行うことができる。
上記(3)の方法において、銅塩としては、二価の銅塩を好適に用いることができ、その例として、例えば、酢酸銅(II)、硝酸銅(II)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、硫酸銅(II)等を挙げることができる。ヒドラジンの使用量は、銅塩1モルに対して、0.2モル~2モルとすることが好ましく、0.25モル~1.5モルとすることがより好ましい。
銅塩を溶解した水溶液には、水溶性有機物を添加してもよい。該水溶液に水溶性有機物を添加することによって該水溶液の融点が下がるので、より低温における還元が可能となる。水溶性有機物としては、例えば、アルコール、水溶性高分子等を用いることができる。
アルコールとしては、例えば、
メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、sec-ペンタノール、t-ペンタノール、2-メチルブタノール、2-エチルブタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、sec-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、sec-オクタノール、2-エチルヘキサノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等の1価アルコール;
エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、トリエチレングリコール、トリ1,2-プロピレングリコール等のグリコール、グリセリン等の3価アルコール、等の多価アルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル;
等が挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体等を用いることができる。
上記(3)の方法における還元の際の温度は、例えば-20℃~60℃とすることができ、-10℃~30℃とすることが好ましい。この還元温度は、反応中一定でもよいし、途中で昇温又は降温してもよい。ヒドラジンの活性が高い反応初期は、10℃以下で還元することが好ましく、0℃以下で還元することがより好ましい。還元時間は、30分~300分とすることが好ましく、90分~200分とすることがより好ましい。還元の際の雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気であることが好ましい。
上記(1)~(3)の方法の中でも、(3)の方法は操作が簡便で、且つ、粒子径の小さい粒子が得られるので好ましい。
次いで、反応液を上澄みと沈殿物とに遠心分離し(図1(b))、酸化銅粒子を沈殿物として回収する。
一方、酸化銅粒子として、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、イーエムジャパン社より販売されている平均一次粒子径18nmの酸化第一銅粒子が挙げられる。
次いで、酸化銅粒子に、分散媒、及び一態様においては分散剤を加え、例えば、ホモジナイザのような公知の方法で撹拌して、酸化銅粒子を分散媒に分散させる(図1(c))。
なお、分散媒によっては、酸化銅粒子が分散しにくく、分散が不充分な場合がある。このような場合は、例えば、酸化銅粒子が分散しやすいアルコール類、例えば、ブタノールなどを用い、酸化銅を分散させた後、所望の分散媒への溶媒置換と所望の濃度への濃縮を行うことが好ましい。一例として、限外濾過(UF)膜で濃縮する方法、並びに、所望の分散媒による希釈及び濃縮を繰り返す方法が挙げられる。
例えば以上のような手順で、目的の分散体を得ることができる(図1(d))。
また、現像によって、回収した液を減圧蒸留や膜蒸留によって、溶媒を濃縮することで、所望の固形分の分散体をえることができる。また、上記で調製した分散体に現像で回収した液を混合し利用することもできる。
(研磨工程)
一態様において、基材(図1(e))の分散体塗布面は、制御された算術平均表面粗さを有してよい。典型的な態様においては、基材表面の研磨によって当該表面の算術平均表面粗さを制御する。すなわち一態様において、基材は研磨面を有する(図1(f))。本開示で、研磨とは、平滑化及び粗化の両方を包含する。研磨の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば砥石(回転砥石等)、やすり、研磨紙、研磨剤等を用いた物理的な研磨方法、電解研磨、溶剤浸漬等による化学的な研磨方法が挙げられる。基材の被研磨面の材質及び表面形態、並びに所望の算術平均表面粗さ値等に応じて、適切な研磨方法を選択してよい。
基材の分散体塗布面の算術平均表面粗さRaは、好ましくは、70nm以上、又は100nm以上、又は150nm以上であり、好ましくは10000nm以下、又は5000nm以下、又は1000nm以下であってよい。本開示で、算術平均表面粗さRaは、触針式表面形状測定器を用いて測定される値である。なお、既に塗膜が配置されている基材の表面粗さは、以下の方法で測定することができる。塗膜が配置されている基材を、基材全体が浸漬される量の0.6質量%の硝酸又は塩酸に浸漬し、60rpmの速度で12時間以上振とうを行い、塗膜を溶解する。塗膜が完全に溶解したら、超純水50ml以上で基材を洗浄した後、触針式表面形状測定器で測定する。
算術平均表面粗さRaの値が70nm以上であると、分散体が基材表面の凹凸形状の凹部にアンカー効果で入り込むため、乾燥塗膜と基材とが良好に密着して、現像操作を行っても剥離し難い金属配線が形成される。これにより、現像操作における金属配線へのダメージが一層少なく、現像後に金属配線の抵抗が増大し難く好ましい。また、算術平均表面粗さRaの値が10000nm以下であると、基材の表面の凹凸形状が過度に大きくないため、当該表面上に塗膜を均一な厚みで形成できる。そのため、断線が生じ難く、また抵抗値の部位間でのばらつきが一層少ない金属配線を得ることができる。また算術平均表面粗さRaの値が10000nm以下であることは、未露光部の良好な現像除去性の点でも有利である。
(塗布工程)
本工程では、算術平均表面粗さが制御された基材表面上に分散体を塗布して分散体層を形成する(図1(g))。分散体層の形成方法は、特に限定されないが、ダイコート、スピンコート、スリットコート、バーコート、ナイフコート、スプレーコート、ディップコート等の塗布法を用いることができる。これらの方法を用いて、基材上に均一な厚みで分散体を塗布することが望ましい。
(乾燥工程)
本工程では、基材と当該基材上に形成された分散体層とを乾燥させて乾燥塗膜を形成する(図1(h))。乾燥条件は、乾燥塗膜の固形分率が所望の範囲(一態様において本開示に列挙する範囲)に制御されるように調整してよい。
乾燥温度は、乾燥の時間を短縮でき、工業的な生産性を高めることができる点で、好ましくは、40℃以上、又は50℃以上、又は60℃以上であり、基材(特に樹脂基材)の変形を抑制できる点で、好ましくは、120℃以下、又は110℃以下、又は100℃以下、又は90℃以下である。乾燥時間は、分散体層中の分散媒の過度な揮発を防止して、乾燥塗膜の固形分率を所望以上に制御し、これにより現像時の乾燥塗膜の分散を容易にする(すなわち現像性を良好にする)観点から、好ましくは、8時間以下、又は4時間以下、又は2時間以下であり、乾燥塗膜に含まれる微量な分散媒が基材(特に樹脂基材)と反応し、当該基材が溶解して乾燥塗膜中に拡散し乾燥塗膜と基材との結合が強まり、現像性が悪化することを抑制できる点、及び、後述するレーザ光照射工程で形成された金属配線に含まれる有機成分の含有率を低減し、低抵抗の金属配線を製造できる点で、好ましくは、10分以上、又は20分以上、又は30分以上である。乾燥圧力は、典型的には常圧であってよい。工業的な生産性を高めることができる点で、減圧を行ってもよく、好ましくは、ゲージ圧で、-0.05MPa以下、又は-0.1MPa以下であってよい。上記のような乾燥工程によって、基材と当該基材上に配置された乾燥塗膜とを有する乾燥塗膜付構造体を形成できる。
乾燥塗膜の固形分率は、60質量%以上99質量%以下であることが好ましく、65質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。本開示で、乾燥塗膜の固形分率は、TG-DTA(熱重量示差熱分析)装置を用いて測定できる。乾燥塗膜の固形分率が60質量%以上であると、レーザ光を照射して金属配線を得る際の乾燥塗膜の体積収縮が少なく、金属配線中のボイド量が少なく焼結性が高くなるため、低抵抗でかつ抵抗値の部位間ばらつきが少ない配線を得ることができる。また、乾燥塗膜の固形分率が60質量%以上であると、未露光部と基材との密着力又は結合力が小さく良好な現像除去性が得られる。例えば、基材が樹脂基材である場合、乾燥塗膜中の分散媒によって基材が僅かに溶解して乾燥塗膜中に基材成分が拡散することによって、未露光部と基材とが強固に結合してしまう場合があるが、上記固形分率が60質量%以上であればこのような拡散を回避できる。一方、乾燥塗膜の固形分率が99質量%以下であると、乾燥塗膜中の金属粒子及び/又は金属酸化物粒子が現像液中に良好に分散して、現像後の基材上の金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の残存量を少なくできる(すなわち現像性が良好である)。
(保管工程)
一態様においては、上記乾燥塗膜付構造体を所定時間保管する保管工程を行ってもよい。保管工程は、好ましくは、保管温度は0℃以上、又は5℃以上、又は10℃以上であり、好ましくは40℃以下、又は30℃以下である。さらに、相対湿度は好ましくは20%以上、又は30%以上であり、好ましくは70%以下、又は50%以下である。乾燥塗膜付構造体を保管する際には、塗膜成分の変質、及びマイグレーションが生じる場合があり、マイグレーションは金属配線の短絡を招来する。保管温度及び相対湿度が上記範囲である場合、乾燥塗膜が安定的に保管されることで、塗膜成分の変質及びマイグレーションを抑制できる。保管時の圧力は、典型的には常圧であってよいが、減圧を行ってもよく、好ましくは、ゲージ圧で、-0.05MPa以下、又は-0.1MPa以下であってよい。
乾燥塗膜付構造体の保管時間は、乾燥工程時の熱を放冷でき、かつ、空気中の水分を乾燥塗膜が吸湿することによる塗膜組成の変化を抑制して後述のレーザ光照射工程でのレーザ照射によって形成される金属配線の抵抗値のばらつきを抑制できる点で、好ましくは、10分以上、又は20分以上、又は30分以上であり、乾燥塗膜中に含まれる微量な分散媒が基材(特に樹脂基材)と反応し、基材が溶解及び乾燥塗膜中に拡散して乾燥塗膜と基材との結合が強くなることによる、現像性の悪化を防止できる点で、好ましくは、60日以下、又は30日以下、又は7日以下である。
(レーザ光照射工程)
本工程では、乾燥塗膜に対してレーザ光を照射して(図1(i))、基材と、当該基材上に配置された、導電部(露光部)及び非導電部(未露光部)を有する膜とを有する導電部付構造体を形成する(図1(j))。当該導電部は金属配線として形成される。例えば、酸化銅粒子を含む分散体を用いる場合には、レーザ光照射工程において、乾燥塗膜中の酸化銅を還元して銅粒子を生成させると共に当該生成された銅粒子同士の融着による一体化が生じる条件下で加熱処理を施し、金属配線を形成する。
レーザ光照射には、レーザ光照射部を有する公知のレーザ光照射装置を用いてよい。レーザ光は、高強度の光を短時間露光し、基材上に形成した乾燥塗膜を短時間高温に上昇させ、焼成できる点で好ましい。レーザ光方式は、焼成時間を短時間にできるため基材へのダメージが少なく、耐熱性が低い基材(例えば樹脂フィルム基板)への適用も可能である点で有利である。また、レーザ光方式は、波長選択の自由度が大きく、乾燥塗膜の光吸収波長及び/又は基材の光吸収波長を考慮して波長を選択できる点でも有利である。
更に、レーザ光方式によれば、ビームスキャンによる露光が可能であるため、露光範囲の調整が容易であり、例えば、マスクを使用せず、乾燥塗膜の目的の領域のみへの選択的な光照射(描画)が可能である。
レーザ光源の種類としては、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)、YVO(イットリウムバナデイト)、Yb(イッテルビウム)、半導体レーザ(GaAs,GaAlAs,GaInAs)、炭酸ガスなどを用いることができる。レーザとしては、基本波だけでなく必要に応じ、高調波を取り出して使用してもよい。
レーザ光の中心波長は、350nm以上、600nm以下であることが好ましい。特に、金属酸化物として酸化第一銅を用いる場合、酸化第一銅は、上記範囲の中心波長を有するレーザ光を良好に吸収するため均一に還元され、低抵抗の金属配線を形成し得る。
レーザ光は、ガルバノスキャナーを通して乾燥塗膜に照射されることが好ましい。ガルバノスキャナーによってレーザ光を乾燥塗膜上に走査することで、任意の形状の金属配線を得ることができる。
レーザ光の照射出力は、所望の焼成(例えば酸化第一銅の還元)を効率よく行う観点から、好ましくは、100mW以上、又は200mW以上、又は300mW以上であり、レーザ光の過度な出力に起因するアブレーションによる金属配線の破壊を抑制して低抵抗の金属配線を得る観点から、好ましくは、1500mW以下、又は1250mW以下、又は1000mW以下である。
一態様においては、レーザ光を乾燥塗膜上の所望の位置に繰り返し走査してよい。この場合、レーザ光の移動量は、隣接する走査線を互いに重複させるような移動量に設定することが好ましい。図2は、本実施形態に係る金属配線の製造方法におけるレーザ光の重複照射について説明する模式図である。図2を参照し、第1の走査線R1と、それに隣接する第2の走査線R2とが、互いに重複している。これにより、第1の走査線R1と第2の走査線R2とが重複するオーバーラップ領域において蓄熱量が大きくなるため、銅粒子の焼結度を高め、その結果、金属配線の抵抗値をより低くできる。
オーバーラップ率Sは、レーザ光の第1の走査線R1の幅S1と、第2の走査線R2が走査長方向と垂直な方向において第1の走査線R1と重なる幅S2とから、下記式で求めることができる。
S=S2/S1×100(%)
オーバーラップ率は、5%~99.5%の範囲であることが好ましく、10%~99.5%の範囲であることがより好ましく、15%~99.5%の範囲であることが更に好ましい。オーバーラップ率が5%以上であることにより金属配線の焼結度を高めることができ、かつ煙の発生量を抑制できる。99.5%以下であることにより工業的に実用性のある速度でレーザ光を走査長方向と垂直の方向に移動させながら乾燥塗膜を焼結できる。上記範囲のオーバーラップ率によれば、例えば上記範囲を下回るオーバーラップ率と比べて金属配線の焼結度を高くできるため、脆くなく堅い金属配線を製造できる。これにより、例えば、金属配線をフレキシブル基板上に形成して曲げた際にも、金属配線が割れることなくフレキシブル基板に追従できる。
(現像工程)
本工程では、乾燥塗膜のうち未露光部を現像液で現像除去する(図1(k))。現像の形態は特に限定されるものではない。例えば、導電部付構造体を現像液に浸漬しても良いし、スプレー等で現像液を導電部付構造体に直接吹き付けても良い。現像工程においては、第1の現像液に乾燥塗膜を接触させた状態で当該乾燥塗膜をブラッシング(すなわち、ブラッシング現像)する。ブラッシングは、乾燥塗膜を物理的に処理するものであるが、乾燥塗膜の表面のみの処理であることから、ブラシの材質を選ぶことで、例えば超音波処理等と比べて乾燥塗膜に与えるダメージは小さい。このようなブラッシング現像によれば、未露光部の良好な除去と、現像前後での金属配線の抵抗値変化の低減とが両立され得る。
現像工程は、第1の現像液による第1の現像処理と、第2の現像液による第2の現像処理とを含んでよい。一態様において、現像工程は、第1の現像液による1回又は2回以上の第1の現像処理と、第2の現像液による1回又は2回以上の第2の現像処理との組合せである。2回以上の第1の現像処理における現像液の種類は互いに同じでも異なってもよく、同様に、2回以上の第2の現像処理における現像液の種類は互いに同じでも異なってもよい。例えば、第1又は第2の現像液として、分散剤を含む現像液と分散剤を含まない現像液との組合せを採用してよい。この場合、分散剤を含む現像液による現像、次いで分散剤を含まない現像液による現像を行うと、導電部付構造体上の分散剤の残存を低減でき好ましい。
第1の現像処理と第2の現像処理との組合せによれば、塗膜が現像液中に分散する効果が高く、未露光部の除去性が良好である。現像工程においては、第1の現像液と第2の現像液とを入れ替えることでこれらを別個に用いる(すなわち混合しない)ことが好ましい。現像液を入れ替えることで、塗膜が現像液中に分散する効果を高め、現像性をより良好にできる。
第1の現像処理と第2の現像処理との順序は限定されないが、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の除去効率の観点から、第1の現像処理、次いで第2の現像処理の順で現像を行うことが好ましい。
現像工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、導電部付構造体の振とう、超音波処理等を追加してもよい。例えば、導電部付構造体を現像液に浸漬し、超音波装置を用いて超音波照射を行う場合、超音波の照射時間は、1分以上30分以下であることが好ましい。1分以上照射を行うと、基材に付着した塗膜を分散させる効果が高く、30分以下であると、金属配線へのダメージを抑制できる。
現像工程においては、導電部付構造体を保持する治具を用いることが好ましい。治具の形状は特に限定されるものではないが、現像操作を行う際に、現像液を収容する容器の底面、側壁面等と導電部付構造体とが接触したり、複数の導電部付構造体を同時に現像する場合に当該構造体同士が接触したりすることによる金属配線の損傷又は脱落を防止できる形状が望ましい。治具は、例えば、導電部付構造体を1つずつ保持する窪みを有する治具、構造体を保持するためのクリップ等であってよい。
図3~5は、本実施形態に係る金属配線の製造方法の現像工程において導電部付構造体を保持する治具の一例を示す模式図である。図3は、容器11内に、ラック部12aを有する治具12を配置し、ラック部12a上に、基材13aと照射後塗膜13b(すなわち導電部と非導電部とを有する膜)とを有する導電部付構造体13を載置する例を示している。図4は、容器21内に、窪み部22aを形成する治具22を配置し、窪み部22a内に、立体形状の基材23aと、照射後塗膜23bとを有する導電部付構造体23を挿入する例を示している。図5は、容器31が、窪み部32aを形成する治具32部位を有することで治具としても機能し、窪み部32a内に、立体形状の基材33aと、照射後塗膜33bとを有する導電部付構造体33を挿入する例を示している。図4及び5に示す窪み部22a,32aは、立体形状の基材を用いる場合に特に有用である。
特に、現像に際して導電部付構造体に超音波を照射する場合、図3に示すラック部12a、並びに図4及び5に示す窪み部22a,32aは、導電部付構造体同士の接触を良好に防止する。
治具は、導電部付構造体を良好に保持しつつ現像液と導電部付構造体との接触は妨げない構造、例えばメッシュ状構造であることがより好ましい。
更に、治具は、導電部付構造体が現像液中で浮き上がるのを防止するための蓋等、所望に応じた任意の部材又は形状を有してよい。
(現像液の回収及び再利用)
本開示において、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む分散体は、現像工程における現像に用いた後の現像液(使用済現像液)現像工程後に回収し、この使用済現像液を含む液から調製された分散体(再生分散体)であってもよい。使用済現像液の回収方法、調整方法は後述のとおりである。
使用済現像液の回収方法に特に限定は無いが、現像処理槽に入った使用済現像液をポンプで抜き出す方法、槽の下部から使用済現像液の液抜きを行う方法、現像処理槽から回収槽に使用済現像液を直接投入する方法等が挙げられる。また、現像液中の成分を均一に効率よく回収するため、攪拌をしながら液の移送を行ってもよい。回収槽は特に限定は無いが、SUS製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製など、現像液の成分に対して耐性のある容器が好ましい。
上記のように回収された使用済現像液を用いて再生分散体を調製してよい。使用済現像液を回収して分散体の調製に再利用することは、資源の有効活用、及び廃棄物の低減によるコストダウンの観点から好ましい。分散体中の分散剤の主成分と現像液中の分散剤の主成分とが同種である場合、現像液の再利用効率が一層良好である。
特に、第1の現像液が水を含み且つ使用後の当該第1の現像液を再生して再生分散体を得る場合には、資源の再利用という利点に加え、水を用いることで、より安価且つクリーンな環境での再生という利点も得られる。
また一態様において、使用済現像液は、必要に応じた濃度調整のみで分散体の原料としてそのまま再利用することも可能である。この場合、例えば分散剤の新たな調製等を必要としないことから、一層高効率での資源回収が可能である。
図6及び7を参照し、再生分散体は、使用済現像液を回収し、再生処理に供することで調製できる。使用済現像液は、一部又は全部を再利用してよい。本開示の分散体として、未使用分散体(すなわち新たに調製された分散体)若しくは再生分散体又はこれらの組合せを塗布工程に供することができ、図6及び7では、未使用分散体と再生分散体との組合せを塗布工程に供する例を示している。図6及び7を参照し、未使用分散体と再生分散体とを基材に塗布し、乾燥して乾燥塗膜を形成し、レーザ光照射(すなわち焼成)後、現像液で現像して配線を完成させる。上記再生分散体は、使用済現像液の一部又は全部を回収し、再生処理に供して形成されたものである。
再生処理としては、濃度調整(例えば濃縮又は希釈)、成分調整(例えば所定成分の添加又は除去)、精製(例えば残渣等の不純物の除去)、分散状態調整(例えば分散処理)等が挙げられる。また、再生処理に先立って、使用済現像液の成分分析を行ってよい。この場合、得られた成分分析結果に基づいて再生処理条件を決定してよい。使用済現像液が分散剤を含む場合、再生処理は当該分散剤の変質又は逸失を回避するような条件で行うことが好ましい。
再生処理のより具体的な例は、(1)濃縮、(2)金属粒子及び/又は金属酸化物粒子、分散剤、還元剤、並びに分散媒のうち1つ以上の添加、並びに(3)使用済現像液中の成分の分散処理、のうち1つ以上である。これらの処理を全て行う場合、順序は特に限定されるものではないが、(1)、(2)、(3)の順が好ましい。
(1)濃縮
使用済現像液の濃縮方法としては、特に限定されるものではないが、エバポレーター等で加熱、減圧を行い蒸発濃縮する方法、分離膜を用いて濃縮する方法、また、凍結乾燥などで一度乾燥させたのち、得られた粉体を再度分散媒に分散させる方法などが挙げられる。濃縮により、固形分率を好ましくは5質量%以上、又は10質量%以上に調整してよく、また好ましくは60質量%以下、又は50質量%以下に調整してよい。
(2)添加
使用済現像液に対して、粘度調整及び/又は固形分率調整のために、分散体の含有成分として前述で例示した成分のうち1つ以上、より具体的には、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子、分散剤、還元剤、並びに分散媒のうち1つ以上を添加することが好ましい。一態様においては、分散体の所望の含有成分のうち、使用済現像液に含まれないか、使用済現像液に含まれるが所望量を下回る成分を添加してよい。
(3)分散処理
高品質の再生分散体を得る観点から、使用済現像液中の含有成分の分散処理を行うことが好ましい。分散方法としては特に限定されるものではないが、例えば使用済現像液を容器に入れて振とう器での振とうを続け、液流れによって分散を促しても良いし、ホモジナイザ等を用いて機械的な分散処理を行っても良い。使用済現像液の安定性の観点から、分散時間は、好ましくは1分以上である。分散時間は長い方がよいが、生産効率の観点から例えば1時間以下であってよい。上記(2)の添加も行う場合、分散処理は、上記(2)の添加の後に実施することが好ましい。
上記で例示した処理を介して再生分散体を調製できる。再生分散体の含有成分種、各成分の含有率、及び各種特性(固形分率、粘度、pH、表面自由エネルギー等)は、分散体について前述したのと同様であってよい。
<乾燥塗膜付構造体又は導電部付構造体と現像液とを含むキット>
本発明の一態様はまた、前述した本開示の乾燥塗膜付構造体と、前述した本開示の現像液とを含むキットを提供する。乾燥塗膜付構造体は、基材と、当該基材の表面上に配置された本開示の乾燥塗膜とを有する。すなわち当該乾燥塗膜は、一態様において、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含み、一態様において分散剤及び/又は還元剤を更に含む。
本発明の一態様はまた、前述した本開示の導電部付構造体と、前述した本開示の現像液とを含むキットを提供する。導電部付構造体は、基材と、当該基材の表面上に配置された、(1)導電部領域及び(2)非導電部領域を有する膜とを有する。一態様において、(1)導電部領域は本開示の露光部に対応し、(2)非導電部領域は本開示の未露光部に対応する。(1)導電部領域は、一態様において銅を含む金属配線である。(2)非導電部領域は、一態様において酸化第一銅を含み、一態様において分散剤及び/又は還元剤を更に含む。
上記キットの各々において、現像液は、本開示の第1の現像液を含み、更に任意に本開示の第2の現像液を含んでよい。第1の現像液は、一態様において水及び/又はアルコール系溶媒を含み、一態様において分散剤(A)を更に含み、一態様において当該分散剤(A)を0.1質量%以上20質量%以下の量で含む。また一態様においては、乾燥塗膜が分散剤(B)を含み、分散剤(A)と分散剤(B)との主成分が同種である。
上記のような乾燥塗膜付構造体と現像液とを組み合わせて用いることにより、乾燥塗膜へのレーザ光照射によって低抵抗の金属配線を形成するとともに、当該金属配線にダメージを与えることなく未露光部を良好に現像除去して、基材と当該基材の表面上に配置された金属配線とを有する高品質の金属配線付構造体を製造できる。また上記のような導電部付構造体と現像液とを組み合わせて用いることにより、金属配線である導電部にダメージを与えることなく非導電部を良好に現像除去して、高品質の金属配線付構造体を製造できる。
<金属配線製造システム>
本発明の一態様はまた、金属配線製造システムを提供する。図8を参照し、一態様において、金属配線製造システム100は、
基材の表面上に、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む分散体を塗布して分散体層を形成する塗布機構101と、
分散体層を乾燥させて基材と当該基材上に配置された乾燥塗膜とを有する乾燥塗膜付構造体を形成する乾燥機構102と、
乾燥塗膜にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射機構103と、
乾燥塗膜の金属配線以外の領域を現像液で現像除去する現像機構104と、
を備える。
本開示の金属配線製造システムは、本開示の金属配線の製造方法に好適に適用できる。したがって、金属配線製造システムの各要素としては、金属配線の製造方法において前述で例示したような構成又は機能を有するものを採用してよい。
塗布機構101は、例えば、ダイコータ、スピンコタ、スリットコータ、バーコータ、ナイフコータ、スプレーコータ、ディップコータ等から選ばれる1種以上であってよい。
乾燥機構102は、オーブン、真空乾燥機、窒素導入乾燥機、IR炉、ホットプレート等から選ばれる1種以上であってよい。
レーザ光照射機構103は、例えば、レーザ光発振器(図示せず)と、発振されたレーザ光を塗膜に照射するガルバノスキャナー(図示せず)とを有してよい。
現像機構104は、一態様において、水及び/又はアルコール系溶媒を含む第1の現像液に乾燥塗膜を接触させた状態で乾燥塗膜をブラッシングするブラッシング現像機構である第1の現像部104aを有する。ブラッシング現像機構は、現像液と、導電部付構造体と、当該導電部付構造体の乾燥塗膜に接触し且つ回転、振動及び/又は上下左右運動等の運動が可能であるように配置されたブラシと、現像液、導電部付構造体及びブラシを収容する容器とを備えてよい。又は、ブラッシング現像機構は、一態様において、現像液と、当該現像液を導電部付構造体に噴霧する噴霧器と、当該導電部付構造体の乾燥塗膜に接触し且つ回転、振動及び/又は上下左右運動等の運動が可能であるように配置されたブラシとを備えてよい。
現像機構104は、一態様において、
(1)上記第1の現像部104a、及び
(2)有機溶媒を含む第2の現像液によって前記乾燥塗膜を現像する第2の現像部104b、
を有する。第1の現像液は、一態様において、水及び/又はアルコール系溶媒を含み、一態様において分散剤を更に含み、一態様において当該分散剤を0.1質量%以上20質量%以下の量で含む。第2の現像液は、一態様において有機溶媒を含む。第1の現像部104aと第2の現像部104bとの位置関係は限定されないが、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子の除去効率の観点から、図8に示すように、導電部付構造体が第1の現像部104a、次いで第2の現像部104bに供されるように配置されていることが好ましい。第2の現像部104bは、一態様において、現像液と、当該現像液及び導電部付構造体を収容する容器とを備えてよく、又は、一態様において、現像液と、当該現像液を導電部付構造体に噴霧する噴霧器とを備えてよい。
第1の現像部104a及び任意の第2の現像部104bの各々は、本発明の効果を損なわない範囲で、現像促進のための機構、例えば、導電部付構造体を振とうする振とう器、導電部付構造体に超音波を照射する超音波照射器等のうち1つ以上を有してもよい。
金属配線製造システム100は、一態様において、現像機構104から回収された現像液を再生して再生分散体を生成する現像液再生機構105を更に備えてよい。現像液再生機構105は、例えば、濃縮装置、希釈装置、混合装置、不純物除去装置、分散装置等であってよい。
金属配線製造システムは、上記した要素に加えて、基材搬送機構、基材洗浄機構等の追加要素を所望に応じて備えてよい。
<適用例>
以上説明したように、本実施形態に係る金属配線の製造方法、並びに、乾燥塗膜付構造体又は導電部付構造体と現像液との組み合わせによれば、現像による金属配線の抵抗値の変化を抑えつつ良好な現像性で、金属配線付構造体を製造できる。本実施形態に係る金属配線付構造体は、例えば、電子回路基板等の金属配線材(プリント基板、RFID、自動車におけるワイヤハーネスの代替など)、携帯情報機器(スマートフォン等)の筐体に形成されたアンテナ、メッシュ電極(静電容量式タッチパネル用電極フィルム)、電磁波シールド材、及び、放熱材料等に好適に適用できる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
<評価方法>
[基材の算術平均表面粗さRa]
基材の分散体が塗布される面の算術平均表面粗さRaは以下の方法で測定した。触針式表面形状測定器(Bruker社製 DektakXT)と、解析ソフト(Vision64)を用いて、基材の表面粗さを測定した。測定条件は以下のとおりである。
スキャンタイプ:スタンダードスキャン
レンジ:65.5μm
プロファイル:Hills&Valleys
触針タイプ:半径12.5μm
触針力:1mg
長さ:1000μm
保持時間:5秒
解像度:0.666μm/pt
基材表面の形状を測定した後、表面粗さの解析を行った。粗さの解析条件は以下のとおりである。
フィルタータイプ:ガウス回帰
ロングカットオフ:ロングカットオフ適用・スタンダードカットオフ使用(0.25mm)
粗さプロファイル:Ra
パラメータ計算:ISO4287
計算でも用いたサンプル長:自動選択
上記条件で得られた表面粗さの値と、上記測定の方向と直交する方向にて測定した表面粗さの値との平均値を、基材の算術平均表面粗さRaの値とした。
[導電部付構造体の現像性]
現像性は以下の方法で評価した。レーザ光照射工程で作製した導電部付構造体(すなわち銅配線とレーザ光が照射されていない乾燥塗膜とを含む構造体)を、当該構造体全体が浸漬される量の現像液(23℃)に浸漬し、超音波装置を用いて1分以上30分以内の時間で超音波を照射し、現像を行った。
現像後の基材のうち、金属配線が存在しない部分を10mm角に切り取り、SEM(走査型電子顕微鏡)用試料台にカーボンテープで貼り付け、コーター(真空デバイス社製 MSP-1S)を用いて白金-パラジウムをコートした。この時、コート条件は、プロセスタイム:1.5分に設定した。コート後の試料について、SEM(日立ハイテク社製 FlexSEM1000)と、EDX(エネルギー分散型X線分析)装置(オックスフォード・インストゥルメンツ社製 AztecOne)を用いて、基材表面の塗布金属残存濃度を測定した。この時、電子線の条件は加速電圧:5kV、スポット強度:80、フォーカス位置:10mmとし、試料表面にフォーカスを合わせた後、倍率:200倍にして、視野全体のマッピング分析を行った。マッピング取得の条件は、解像度:256、収集時間:50フレーム、プロセスタイム:高感度、ピクセルデュエルタイム:150μs、フレームライブタイム:0:00:08とした。また、測定元素を、炭素、酸素、窒素、及び塗布された(すなわち分散体が含む)金属元素とし、コーティングに用いた白金及びパラジウムは測定元素に含めないよう指定した。上記の条件で測定を行い、得られた金属元素濃度(質量%)を、現像できずに基材に残った金属の濃度とした。
(現像性評価基準)
上記導電部付構造体の現像性評価において、Raが小さい基材の場合は現像しやすいため、基材に残った金属の濃度が3.0質量%以下であれば良好、0.8質量%以下であれば更に良好であると判断した。良好は○、更に良好は◎と表記する。一方、基材に残った金属の濃度が3.0質量%より大きい場合、又は現像操作において明らかに現像液に塗膜が分散せず基材に塗膜が残存している場合は、×と表記する。
<実施例1>
[分散体の製造]
水30240g及び1,2-プロピレングリコール(旭硝子製)13976gからなる混合溶媒中に、酢酸銅(II)一水和物(日本化学産業製)3224gを溶解し、ヒドラジン水和物(日本ファインケム製)940gを加えて攪拌した後、遠心分離を用いて上澄みと沈殿物とに分離した。
得られた沈殿物858gに、リン含有有機化合物としてDISPERBYK-145(商品名、ビックケミー社製)(BYK-145)113g及び分散媒としてn-ブタノール(三共化学製)916gを加え、窒素雰囲気下でホモジナイザを用いて分散し、酸化第一銅(酸化銅(I))を含む酸化第一銅粒子を含有する分散体を得た。この時、分散体を常圧、60℃で4.5時間加熱した時の固形分残渣(酸化第一銅粒子)は、34.7質量%であった。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定すると、6.8nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
基材に、超純水中で5分間超音波を照射し、次いでエタノール中で5分間超音波を照射して洗浄を行った。次いで、基材の表面にUVオゾン処理を施した後、当該表面に分散体1mlを滴下し、スピンコート(300rpm、300秒)をした後、60℃で1時間加熱乾燥を行った。乾燥後、常圧、室温23℃、相対湿度40%の室内で10分間保管し、基材上に乾燥塗膜が形成された試料を得た。
[レーザ光照射]
上記試料を、上面が石英ガラスで構成された、長さ200mm×幅150mm×高さ41mmのボックスに、乾燥塗膜を上側にして配置し、圧縮した空気を分離膜で窒素と酸素に分離し、分離された窒素ガスをボックス内に吹き込み、ボックス内の酸素濃度を0.5質量%以下とした。次いで、ガルバノスキャナーを用いて最大速度25mm/秒で焦点位置を基材表面上で動かしながら、レーザ光(中心波長355nm、周波数300kHz、パルス、出力79mW)を、走査しながら乾燥塗膜に繰り返し照射し、所望とする長さ5mm×幅1mmの寸法の銅金属配線を得た。このとき、レーザ光は、走査線幅方向にオーバーラップ率93.2%となるように移動させながら繰り返し照射した。同様の条件で、更に2つの銅配線を作製し、計3つの銅配線を得た。
[構造体の現像性]
レーザ光照射後の導電部付構造体を、2質量%のDISPERBYK-145水溶液(第1の現像液)50ml(23℃)に浸漬し、5分間ブラッシング洗浄した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。その後、5質量%のジエチレントリアミン水溶液(第2の現像液)50ml(50℃)に浸漬し、超音波を1分間照射した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。なお上記ブラッシングに用いたブラシは、ナイロン製のブラシを使用した。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
上記現像操作の後、構造体にめっき処理を施し、配線抵抗測定を行った。
めっき処理の方法は次の通りである。工業用精製水424.8gに、OPCカッパーNCA-1(奥野製薬工業(株)社製)15mlと、OPCカッパーNCA-4(奥野製薬工業(株)社製)2.4mlと、OPCカッパーNCA-2(奥野製薬工業(株)社製)150mlと、OPCカッパーNCA-3(奥野製薬工業(株)社製)2.4mlとを加え、ウォーターバスで60℃に加温した。次いで、無電解銅R-H(奥野製薬工業(株)社製)5.4mlを加え、めっき液を作製した。めっき液にエアバブリングを行いながら、構造体をめっき液に30分間浸漬した。浸漬後、構造体を引き上げ、工業用精製水300mlに浸漬した後、工業用精製水50mlで流水洗浄を行い、めっき処理を行った構造体を得た。
上記めっき処理の後、構造体の銅配線について長手方向両端から0.5mmの位置にテスタを当てて抵抗値を測定したところ、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.54Ω、0.68Ω、0.61Ωであり、平均値は0.61Ωであった。
<実施例2>
[分散体の製造]
実施例1と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、6.9nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例1に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
レーザ光照射後の導電部付構造体を、超純水(第1の現像液)50ml(23℃)に浸漬し、5分間ナイロン製のブラシでブラッシング現像した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。その後、エタノール(第2の現像液)50ml(23℃)に浸漬し、超音波を5分間照射した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.3質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ1.3Ω、1.1Ω、1.0Ωであり、平均値は1.1Ωであった。
<実施例3>
[分散体の製造]
実施例1と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、6.1nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例1に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
レーザ光照射後の導電部付構造体を、超純水(第1の現像液)50ml(23℃)に浸漬し、5分間ナイロン製のブラシでブラッシング洗浄した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.9質量%であり、評価は〇であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.43Ω、0.33Ω、0.42Ωであり、平均値は0.39Ωであった。
<実施例4>
[分散体の製造]
水30240g及び1,2-プロピレングリコール(旭硝子製)13976gからなる混合溶媒中に、酢酸銅(II)一水和物(日本化学産業製)3224gを溶解し、ヒドラジン水和物(日本ファインケム製)940gを加えて攪拌した後、遠心分離を用いて上澄みと沈殿物とに分離した。
得られた沈殿物388gに、リン含有有機化合物としてDISPERBYK-145(商品名、ビックケミー社製)(BYK-145)51g及び分散媒としてn-ブタノール(三共化学製)415gを加え、窒素雰囲気下でホモジナイザを用いて分散し、酸化第一銅(酸化銅(I))を含む酸化第一銅粒子を含有する分散体を得た。さらに、得られた分散体788gに、BYK-145を7.3g、n-ブタノールを115g加え、窒素雰囲気下でホモジナイザを用いて分散し、狙いの分散体を得た。この時、分散体を常圧、60℃で4.5時間加熱した時の固形分残渣(酸化第一銅粒子)は、35.9質量%であった。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、2.3nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
スピンコート条件を300rpm、150秒にしたこと以外は、実施例1に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
第一の現像液をエタノールとしたこと、第二の現像液の超音波照射時間を5分にしたこと以外は、実施例1に記載の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.1質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.04Ω、0.04Ω、0.04Ωであり、平均値は0.04Ωであった。
<実施例5>
[分散体の製造]
実施例4と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、2.1nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例4に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
第二の現像を行わなかったこと以外は、実施例4に記載の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、2.3質量%であり、評価は○であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.05Ω、0.05Ω、0.05Ωであり、平均値は0.05Ωであった。
[再生分散体の調製]
現像操作後の第1の現像液を回収した後、80℃で5mlまで加熱濃縮し、再生分散体を得た。
[再生分散体の塗布及び乾燥]
上記再生分散体2mlを、Raが3nmのPC基板に滴下し、80℃で60分加熱乾燥を行った。乾燥後、常圧、室温23℃、相対湿度40%の室内で10分間保管し、基材上に乾燥塗膜が形成された試料を得た。
[レーザ光照射]
銅配線を1つだけ作製したこと以外は、実施例1と同様の方法でレーザ光を照射した。
[レーザ光照射後の配線抵抗]
得られた金属配線の抵抗を前述の方法で測定したところ、93Ωであり、再生分散体を用いて導通する金属配線が得られた。
<実施例6>
[分散体の製造]
実施例4と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのABS基板(基材として)を用いて、表面を#2000の研磨紙を用いて研磨した。研磨後、算術平均表面粗さRaを測定すると、256nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例4に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
第一の現像液として超純水を用いたこと以外は、実施例4に記載の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.1質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.04Ω、0.04Ω、0.04Ωであり、平均値は0.04Ωであった。
<実施例7>
[分散体の製造]
実施例4と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、2.9nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例4に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
第一の現像においてブラッシング時間を1分間としたこと以外は、実施例3に記載の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.7質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.06Ω、0.04Ω、0.04Ωであり、平均値は0.04Ωであった。
[再生分散体の調製]
現像操作後の第1の現像液を回収した後、80℃で8mlまで加熱濃縮し、再生分散体を得た。
[再生分散体の塗布及び乾燥]
上記再生分散体2mlを、Raが4nmのPC基板に滴下し、80℃で60分加熱乾燥を行った。乾燥後、常圧、室温23℃、相対湿度40%の室内で10分間保管し、基材上に乾燥塗膜が形成された試料を得た。
[レーザ光照射]
銅配線を1つだけ作製したこと以外は、実施例1と同様の方法でレーザ光を照射した。
[レーザ光照射後の配線抵抗]
得られた金属配線の抵抗を前述の方法で測定したところ、12Ωであり、再生分散体を用いて導通する金属配線が得られた。
<実施例8>
[分散体の製造]
実施例4と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、2.5nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例4に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
第一の現像においてブラッシング時間を1分間としたこと以外は、実施例6に記載の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.0質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.04Ω、0.04Ω、0.03Ωであり、平均値は0.04Ωであった。
<実施例9>
[分散体の製造]
実施例4と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、2.4nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例4に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
第一の現像においてブラッシング時間を1分間としたこと、第二の現像液として濃度5質量%の2-アミノエタノール水溶液を用いたこと以外は、実施例8に記載の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.2質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.10Ω、0.09Ω、0.09Ωであり、平均値は0.09Ωであった。
<実施例10>
[分散体の製造]
実施例4と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、2.4nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例4に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
第一の現像においてブラッシングに綿棒を用いたこと以外は、実施例3に記載の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.4質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.09Ω、0.08Ω、0.07Ωであり、平均値は0.08Ωであった。
<実施例11>
[分散体の製造]
実施例4と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、2.7nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例4に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
第一の現像においてブラッシングに綿棒を用いたこと以外は、実施例8に記載の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、0.0質量%であり、評価は◎であった。
[配線抵抗測定]
実施例1と同様の方法でめっき処理と配線抵抗測定を行った結果、抵抗値は、3つの銅配線について、それぞれ0.14Ω、0.12Ω、0.12Ωであり、平均値は0.13Ωであった。
<比較例1>
[分散体の製造]
実施例1と同様の方法で分散体を製造した。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのPC基板(基材として)を用いた。分散体塗布面の算術平均表面粗さRaを測定したところ、5.9nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例1と同様の方法で塗布を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
レーザ光照射後の導電部付構造体を、超純水50ml(23℃)に浸漬し、超音波洗浄器(アズワン社製 USD-4R)で5分間超音波照射した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、3.8質量%であり、評価は×であった。
現像が不十分であったため、めっき処理工程は実施できなかった。
<比較例2>
[分散体の製造]
実施例1と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのABS基板(基材として)を用いて、表面を#2000の研磨紙を用いて研磨した。研磨後、算術平均表面粗さRaを測定すると、256nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例1に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
比較例1と同様の方法で現像操作を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、14.3質量%であり、評価は×であった。
現像が不十分であったため、めっき処理工程は実施できなかった。
<比較例3>
[分散体の製造]
実施例1と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのABS基板(基材として)を用いて、表面を#2000の研磨紙を用いて研磨した。研磨後、算術平均表面粗さRaを測定すると、230nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例1に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
比較例1と同様の方法で現像操作を行った。その後、超純水(第2の現像液)50ml(23℃)に浸漬し、超音波を5分間照射した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、13.3質量%であり、評価は×であった。
現像が不十分であったため、めっき処理工程は実施できなかった。
<比較例4>
[分散体の製造]
実施例1と同様の方法で分散体を得た。
[基材の研磨]
幅×奥行き×厚さが50mm×50mm×1mmのABS基板(基材として)を用いて、表面を#2000の研磨紙を用いて研磨した。研磨後、算術平均表面粗さRaを測定すると、236nmであった。
[分散体の塗布及び乾燥]
実施例1に記載の方法で塗布及び乾燥を行った。
[レーザ光照射]
実施例1と同様の方法でレーザ光照射を行った。
[構造体の現像性]
レーザ光照射後の導電部付構造体を、2質量%のDISPERBYK-145水溶液(第1の現像液)50ml(23℃)に浸漬し、超音波洗浄器(アズワン社製 USD-4R)で1分間超音波照射した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。その後、超純水(第2の現像液)50ml(23℃)に浸漬し、超音波を5分間照射した後、構造体をピンセットで引き上げ、50mlの超純水で流水洗浄を行った。
上記現像操作の後、前述の方法で基材上の金属配線が存在しない部分の銅濃度測定を行った結果、10.4質量%であり、評価は×であった。
現像が不十分であったため、めっき処理工程は実施できなかった。
以上の結果をまとめると表1のようになり、現像性のレベルは、実施例1、8、11が最も良好であり、次に実施例2、4、6、7、9、10、その次に実施例3、その次に実施例5であった。比較例1~4は現像後の基材に残存する銅の濃度が高く、現像が十分でなかった。
Figure 2022171569000005
本発明によれば、現像工程において未露光部の金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を効率的に除去できるとともに、現像前後での抵抗値の変化が少ないため、例えば、後続のメッキ工程におけるパターン外析出、マイグレーションによる短絡等の問題を回避できる低抵抗の金属配線付構造体を提供できる。また、本発明の特定の態様によれば、現像液を再利用することにより廃棄物を減らすことができる。
このような金属配線付構造体は、電子回路基板等の金属配線材、メッシュ電極、電磁波シールド材、及び、放熱材料等に好適に利用できる。
R1 第1の走査線
R2 第2の走査線
S1 幅
S2 幅
11,21,31 容器
12,22,32 治具
12a ラック部
22a,32a 窪み部
13,23,33 導電部付構造体
13a,23a,33a 基材
13b,23b,33b 照射後塗膜
100 金属配線製造システム
101 塗布機構
102 乾燥機構
103 レーザ光照射機構
104 現像機構
104a 第1の現像部
104b 第2の現像部
105 現像液再生機構

Claims (11)

  1. 基材の表面上に、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む分散体を塗布して分散体層を形成する塗布工程と、
    前記分散体層を乾燥させて前記基材と前記基材上に配置された乾燥塗膜とを有する乾燥塗膜付構造体を形成する乾燥工程と、
    前記乾燥塗膜にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射工程と、
    前記乾燥塗膜の前記金属配線以外の領域を現像液で現像除去する現像工程と、を備え、
    前記現像工程が、水及び/又はアルコール系溶媒を含む第1の現像液に前記乾燥塗膜を接触させた状態で前記乾燥塗膜をブラッシングすることを含む、金属配線の製造方法。
  2. 前記現像工程が、
    (1)前記第1の現像液によって前記乾燥塗膜を現像する第1の現像処理、及び
    (2)有機溶媒を含む第2の現像液によって前記乾燥塗膜を現像する第2の現像処理、
    を含む、請求項1に記載の金属配線の製造方法。
  3. 前記有機溶媒がアミン系溶媒である、請求項2に記載の金属配線の製造方法。
  4. 前記アミン系溶媒が、ジエチレントリアミン及び/又は2-アミノエタノールを含む、請求項3に記載の金属配線の製造方法。
  5. 前記第1の現像液が分散剤(A)を更に含み、前記分散剤(A)がリン含有有機化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属配線の製造方法。
  6. 前記分散体が分散剤(B)を含み、前記分散剤(A)と前記分散剤(B)との主成分が同種である、請求項5に記載の金属配線の製造方法。
  7. 前記現像工程の後に、使用済現像液を回収する工程を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の金属配線の製造方法。
  8. 前記分散体が、前記現像工程の後に回収した使用済現像液を含む液から調製される、請求項1~7のいずれか一項に記載の金属配線の製造方法。
  9. 前記金属粒子及び/又は金属酸化物粒子が、銅粒子及び/又は酸化銅粒子である、請求項1~8のいずれか一項に記載の金属配線の製造方法。
  10. 基材の表面上に、金属粒子及び/又は金属酸化物粒子を含む分散体を塗布して分散体層を形成する塗布機構と、
    前記分散体層を乾燥させて前記基材と前記基材上に配置された乾燥塗膜とを有する乾燥塗膜付構造体を形成する乾燥機構と、
    前記乾燥塗膜にレーザ光を照射して金属配線を形成するレーザ光照射機構と、
    前記乾燥塗膜の前記金属配線以外の領域を現像液で現像除去する現像機構と、
    を備える金属配線製造システムであって、
    前記現像機構が、水及び/又はアルコール系溶媒を含む第1の現像液に前記乾燥塗膜を接触させた状態で前記乾燥塗膜をブラッシングするブラッシング現像機構である第1の現像部を有する、金属配線製造システム。
  11. 前記現像機構が、
    (1)前記第1の現像部、及び
    (2)有機溶媒を含む第2の現像液によって前記乾燥塗膜を現像する第2の現像部、
    を有する、請求項10に記載の金属配線製造システム。
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