JP2022163850A - 複合金属顔料組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
近年、塗料分野においては、省資源、作業環境改善、無公害化対策として、有機溶剤使用量の少ない水性塗料への転換の必要性が高まっている。水性塗料における金属顔料の安定性を改善するため、例えば非晶質シリカ等の酸化金属で金属粒子を被覆した複合粒子を用いた顔料が提案されている。このような水性塗料においても、更なるVOC削減が求められている。VOC削減のためには、製造工程における不揮発分(固形分)含量を向上することが有効であるが、そのためにろ過工程で強い遠心分離や強い圧力でのプレス、ろ過を行うと、アルミ等の金属粒子が変形したり、凝集したりしてしまい、更にはシリカ等の酸化金属被覆に欠陥が生じて耐水性が悪化し貯蔵安定性が低下することもある。また、溶剤を加熱や減圧で揮発させることで不揮発分含量を向上することも可能であるが、この場合表面が早期に乾燥して粒子同士が固着・凝集し、溶剤や水に凝集なく分散することができなくなる。この様に、従来の方法で不揮発分含量を向上した複合金属顔料組成物は、塗料作製時の分散性が悪い、希望の色調を発現することができない、貯蔵御安定性に劣る、等の問題を伴い、その解決が強く求められていた。
特許文献2には、コーティングされたアルミニウム効果顔料の作製において、ブフナーロートを通して吸引ろ過することが記載され、また当該アルミニウム効果顔料を用いて水性塗料系を形成することが記載されているが、分散性の良否については報告されていない。
[1]
金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を含んでなる複合金属顔料組成物であって、
(1)前記複合粒子の形状が鱗片状であり、
(2)レーザー回折式粒度分布計にて前記複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準の平均粒子径D50が1~30μmであり、
(3)前記複合粒子の平均粒子厚みが20~300nmであり、
(4)前記複合金属顔料組成物の固形分濃度が70~95質量%であり、
(5)前記複合金属顔料組成物の非固形分の80質量%以上を、親水性で沸点が80~150℃の溶剤が占め、
(6)前記複合金属顔料組成物を200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣が固形分の0.1質量%以下である、上記複合金属顔料組成物。
[2]
前記複合粒子に占める凝集の無い一次粒子の割合が個数基準で35%以上である、[1]に記載の複合金属顔料組成物。
[3]
前記複合粒子に占める折れ曲がった複合粒子の割合が個数基準で10%以下である、[1]又は[2]に記載の複合金属顔料組成物。
[4]
前記酸化金属被覆中の少なくとも1層がケイ素化合物含有層である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の複合金属顔料組成物。
[5]
前記酸化金属被覆の平均層厚みが5~200nmである、[1]から[4]のいずれか一項に記載の複合金属顔料組成物。
[6]
前記金属粒子がアルミニウム又はアルミニウム合金を含有する、[1]から[5]のいずれか一項に記載の複合金属顔料組成物。
[7]
前記複合粒子が金属、金属酸化物、金属水和物及び樹脂から選ばれる少なくとも1種を含んでなる被覆層をさらに有する、[1]から[6]のいずれか一項に記載の複合金属顔料組成物。
[8]
下記1)~3)の工程を有する複合金属顔料組成物の製造方法であって、
1)金属粒子を溶剤に分散させる工程
2)前記金属粒子を酸化金属で被覆する工程
3)工程2)で得られた金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を、洗浄、ろ過、及び溶剤揮発する工程
工程3)における溶剤が、互いに相溶性があり、且つ、沸点が10℃以上異なる2種類以上の溶剤の混合溶剤であり、
工程3)における溶剤揮発が、前記複合粒子と前記溶剤とを含むスラリーの状態で行われる、上記製造方法。
[9]
下記1)~3)の工程を有する複合金属顔料組成物の製造方法であって、
1)金属粒子を溶剤に分散させる工程
2)前記金属粒子を酸化金属で被覆する工程
3)工程2)で得られた金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を、洗浄、ろ過、及び溶剤揮発する工程
工程3)における溶剤揮発を3段階以上に分けて実施する、上記製造方法。
[10]
工程3)における溶剤揮発の際の、前記溶剤の水分率が10質量%以下である、[8]又は[9]に記載の製造方法。
本願第1発明の複合金属顔料組成物は、揮発性有機化合物(VOC)量を低減しながら、複合粒子の凝集、変形等を効果的に抑制し、低VOC、水性塗料等に用いた場合の貯蔵安定性、ブツの抑制、意匠性、隠蔽性等の塗膜の優れた特性等を、従来技術の限界を超えて高いレベルでバランスさせることができる。
本願第2及び第3発明の製造方法によれば、揮発性有機化合物(VOC)量を低減しながら、複合粒子の凝集、変形等を効果的に抑制し、低VOC、水性塗料等に用いた場合の貯蔵安定性、ブツの抑制、意匠性、隠蔽性等の塗膜の優れた特性等が、従来技術の限界を超えて高いレベルでバランスした複合金属顔料組成物を効率的に製造ことができる。
(1)前記複合粒子の形状が鱗片状であり、
(2)レーザー回折式粒度分布計にて前記複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準の平均粒子径D50が1~30μmであり、
(3)前記複合粒子の平均粒子厚みが20~300nmであり、
(4)前記複合金属顔料組成物の固形分濃度が70~95質量%であり、
(5)前記複合金属顔料組成物の非固形分の80質量%以上を、親水性で沸点が80~150℃の溶剤が占め、
(6)前記複合金属顔料組成物を200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣が固形分の0.1質量%以下である、上記複合金属顔料組成物、である。
本願第1発明による複合金属顔料組成物は、金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を含んでなる。
すなわち、本明細書において、用語「複合金属顔料組成物」は、金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を必須成分として含み、特定の非固形分を更に含むものである。
本願第1発明による複合金属顔料組成物は、それ以外の成分、例えば有機処理剤、水および/もしくは親水性溶剤を含む溶剤、を含有してもよい。
本願第1発明による複合金属顔料組成物を構成する複合粒子は、金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を含む。すなわち、複合粒子のコアとなる金属粒子の表面に1層以上の酸化金属被覆が形成されている。酸化金属被覆は、通常層状の構造を有する。
金属粒子は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本願第1発明における金属粒子は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有することが好ましく、95質量%以上がアルミニウム元素で構成されるものがより好ましい。
金属粒子の平均粒径は、ボールミル等を用いて原料アトマイズド金属粉(例えばアルミニウム粉)等を磨砕および篩分・ろ過する工程で、原料アトマイズド金属粉等の粒子径、ボールミルを用いる場合の磨砕ボールの1個あたりの質量、磨砕装置の回転数、篩分およびフィルタープレスの程度などを適宜調整することによって、制御することができる。
金属粒子の平均厚みは、後述する複合粒子の平均厚みをもたらすことができるような厚みであることが好ましく、具体的には10-300nmであることが好ましい。これにより、複合粒子の凝集や変形が効果的に抑制され、塗膜における優れた意匠性、光沢、ブツの抑制、水性塗料における安定性等を実現することが容易となる。金属粒子の平均厚みは、上記観点から、好ましくは15~250nmであり、より好ましくは20~200nmである。
金属粒子の平均厚みは、体積基準D50と同様に、ボールミル等を用いて原料アトマイズド金属粉(例えばアルミニウム粉)を磨砕および篩分・ろ過する工程で、原料アトマイズド金属粉の粒子径、ボールミルを用いる場合の磨砕ボールの1個あたりの質量、磨砕装置の回転数、篩分およびフィルタープレスの程度などを適宜調整することによって、制御することができる。
本願第1発明の複合金属顔料組成物を構成する複合粒子は、金属粒子の表面上に形成された酸化金属被覆を有する。
酸化金属被覆は、酸化金属を含む層により構成される皮膜であり、金属粒子表面の全面に形成されていてもよく、表面の一部にのみ形成されていてもよい。耐水性や塗料に用いた場合の保存安定性等の観点からは、前面に形成されていることが好ましい。
酸化金属被覆は、その全てが酸化金属で構成されていてもよく、その一部のみが酸化金属で構成され、酸化金属以外の成分を含有していてもよい。
したがって、酸化金属は、酸素と少なくとも1種の金属元素のみをその構成元素とする狭義の酸化金属であってもよいが、酸素と少なくとも1種の金属元素とをその構成元素に含む限りにおいて、当該酸素及び金属元素以外の元素をその構成元素に含んでいてもよく、例えば金属の水酸化物、酸化物水和物、酸窒化物等であってもよい。また有機基を含む化合物であってもよい。
また酸化金属は、構成元素としての金属元素が1種類のみであるいわゆる単独酸化物であってもよく、また2種以上の金属元素を構成元素とする複合酸化物であってもよい。
酸化金属の構成元素はである少なくとも1種の金属元素は、典型金属であってもよく、遷移金属であってもよい。さらにはいわゆる半金属元素であってもよい。中でもケイ素を構成元素とする酸化金属は、酸化金属被覆を構成する酸化金属として特に好適である。
酸化金属被覆にケイ素酸化物を使用することで、酸化金属被覆は通常、Si-O-結合(シロキサン結合)を含む化合物から構成される層となる。このような層としては、例えばシラン系化合物及びケイ素酸化物の少なくとも1種を含む層を挙げることができる。このような化合物としては、シラン系化合物[H3SiO(H2SiO)nSiH3](但し、nは任意の正の整数を示す。)のほか、SiO2、SiO2・nH2O(但し、nは任意の正の整数を示す。)等で示されるケイ素酸化物が例示される。これらのシラン系化合物及びケイ素酸化物は、結晶質又は非晶質のいずれでも良いが、特に非晶質であることが好ましい。従って、ケイ素酸化物(シリカ等)を含む層として、例えば非晶質シリカを含む層も好適に採用することができる。
有機ケイ素化合物は、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも一種と、下記一般式(2)、(3)及び(4)のいずれかで表される、いわゆるシランカップリング剤、並びにそれらの部分縮合物から選ばれる少なくとも一種とを含有してよい。
(式中、R1は水素原子、又は炭素原子数1から8の炭化水素基であり、R1が2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。)
R2 mSi(OR3)4-m ・・・ (2)
(式中、R2は水素原子、又は炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R3は水素原子、又は炭素原子数1から8の炭化水素基である。R2とR3は同一でも異なっていてもよく、R2、又はR3が2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。1≦m≦3である。)
R4 pR5 qSi(OR6)4-p-q ・・・ (3)
(式中、R4は他の官能基と化学結合し得る反応基を含む基であり、R5は水素原子、又は炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R6は水素原子、又は炭素原子数1から8の炭化水素基である。R4、R5、又はR6が2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。1≦p≦3であり、0≦q≦2であり、1≦p+q≦3である。)
R7 rSiCl4-r ・・・ (4)
(式中、R7は水素原子、又は炭素原子数1から30の、任意にハロゲン基を含んでもよい炭化水素基であり、R7が2つ以上ある場合は、全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。0≦r≦3である。)
このような式(1)の有機ケイ素化合物の好ましい例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。この中でも特に、テトラエトキシシランが好ましい。
式(2)のR3における炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、特にメチル、エチル、プロピル、及びブチルが好ましい。また、R3が2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。
このような式(2)の有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)の好ましい例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ジヘキシルジメトキシシラン、ジヘキシルジエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ジオクチルジメトキシシラン、ジオクチルジエトキシシラン、ジオクチルエトキシブトキシシラン、デシルトリメトキ
シシラン、デシルトリエトキシシラン、ジデシルジメトキシシラン、ジデシルジエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジオクタデシルジメトキシシラン、ジオクタデシルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリブトキシシラン等が挙げられる。
また、R4が2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。分子中のR4の数は、式(3)において、p=1から3、すなわち1から3個であるが、p=1であることがより好ましい。
式(3)のR5の炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オレイル、ステアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であっても、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン基を含んでいてもよい。これらの中でも、とくに炭素数が1から18の炭化水素基が好ましい。また、R5が2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。
式(3)のR6における炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられ、これらは分岐していても直鎖状であってもよい。これらの炭化水素基の中でも、とくにメチル、エチル、プロピル、及びブチルが好ましい。また、R6が2つ以上ある場合には、それらは全てが同一でも、一部が同一でも、全てが異なっていてもよい。
このような式(4)の有機ケイ素化合物(シランカップリング剤)の好ましい例としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、テトラクロロシラン等が挙げられる。
有機ケイ素化合物の加水分解物の縮合反応は、有機ケイ素化合物の加水分解反応と同時に行ってもよいし、工程を分けて、かつ必要であれば触媒を替えて行ってもよい。その際、必要に応じて加温してもよい。
本願第1発明による複合金属顔料組成物は、これを構成する複合粒子が以下の物性要件を満たすものである。
(1)複合粒子の形状が鱗片状であること。
(2)レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準の平均粒子径D50が1~30μmであること。
(3)複合粒子の平均粒子厚みが20~300nmであること。
本願第1発明による複合金属顔料組成物は、更に、組成物として以下の要件を満たすものである。
(4)複合金属顔料組成物の固形分濃度が70~95質量%であること。
(5)複合金属顔料組成物の非固形分の80質量%以上を、親水性で沸点が80~150℃の溶剤が占めること。
(6)複合金属顔料組成物を200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣が固形分の0.1質量%以下であること。
以下、これらの物性要件の各々について説明する。
本願第1発明による複合金属顔料組成物に含まれる複合粒子は、その形状が鱗片状である。鱗片状の複合粒子を含有することで、本願第1発明の複合金属顔料組成物は、高い隠ぺい力等の優れた特性を有する塗膜を効果的に形成することができる。
鱗片状の複合粒子は、製造の際の攪拌、分離、ろ過等の工程で変形し易く、特に不揮発分(固形分)含量を高めるための強い遠心分離や、強い圧力でのろ過等より変形し易い傾向があるが、本発明においては、高不揮発分(固形分)含量を実現しながら、鱗片状の複合粒子の変形を効果的に抑制することができる。
鱗片状の複合粒子は、複合粒子の製造にあたって鱗片状の金属粒子を原料として使用すること等により、製造することができる。その様な金属粒子として、例えば、公知又は市販のペースト状アルミニウムフレークを使用することができる。
レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準の平均粒子径D50は、1~30μmである。これにより、粒子の凝集や変形が効果的に抑制されるとともに、複合金属顔料組成物又はそれを含有する水性塗料等を用いて形成された塗膜が、優れた意匠性、光沢、ブツの抑制、水性塗料における安定性等を実現し得る。この体積基準のD50は、一般にメディアン径とも称される。
優れた意匠性、光沢、ブツの抑制、水性塗料における安定性等を得る観点から、レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD50は、好ましくは2~25μm、特に好ましくは3~20μmである。
この物性要件における「複合粒子」は、複数の複合粒子が凝集・固着している場合にはその凝集物(集合体)を指す。
ここで、レーザー回折式粒度分布計にて複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準のD50は、体積累積粒度分布における累積度50%の粒子径を指す。レーザー回折式粒度分布計としては、特に限定されないが、「LA-300」(株式会社堀場製作所製)などを使用することができる。測定溶剤としては水、イソプロパノール、メトキシプロパノール等の親水性溶剤が使用され得る。例えば、試料の複合粒子を含む複合金属顔料組成物に対し、前処理として2分間程度の超音波分散を行った後、分散槽の中に投入し適当に分散されたことを確認後、D50を測定することができる。
複合金属顔料組成物を構成する複合粒子の体積基準のD50は、例えば、ボールミル等を用いて原料アトマイズド金属粉(例えばアルミニウム粉)を磨砕および篩分・ろ過する工程で、原料アトマイズド金属粉の粒子径および仕込み量、ミネラルスピリット等の摩砕溶剤量、摩砕助剤の種類及び量、ボールミルを用いる場合の磨砕ボールの1個あたりの質量および投入量、磨砕装置の回転数、篩分およびフィルタープレスの程度などを適宜調整すること等によって、ならびに、酸化金属被覆(および必要に応じてその他の被覆層)を被覆する工程で、有機ケイ素化合物等の原料の加水分解時のpH、濃度、攪拌温度、攪拌時間、攪拌装置の種類、攪拌の動力/程度(攪拌翼の種類および直径、回転数、外部攪拌の有無等)などを適宜調整すること等によって、制御することができる。
また酸化金属被覆処理時の凝集によって粒子径が肥大する傾向があるが、粒子肥大は色調低下、隠蔽性低下、塗膜外観の低下を招くため、特に処理に用いる原料アルミペーストの前処理により粒子肥大を防ぐことが効果的である。
本願第1発明による複合金属顔料組成物に含まれる複合粒子の平均厚みは、20~300nmである。これにより、上記要件(1)及び(2)の充足と相俟って、複合粒子の凝集や変形が効果的に抑制され、塗膜における優れた意匠性、光沢、ブツの抑制、水性塗料における安定性等を実現することができる。
複合粒子の平均厚みは、上記観点から、好ましくは20~250nmであり、より好ましくは20~200nmである。
この物性要件における「複合粒子」は、複数の複合粒子が凝集・固着している場合にはその凝集物(集合体)を指す。
ここでの複合粒子の平均厚みは、金属粒子の平均粒子厚み及び酸化金属被覆の厚みをそれぞれ測定し、これらから下式に従い計算することができる。
複合粒子の平均粒子厚み = 金属粒子の平均粒子厚み+酸化金属被覆の厚み×2
金属粒子の平均粒子厚みは、上記(2)にて説明した方法で測定することができる。
酸化金属被覆の厚みは、当業界において公知の方法で測定することができ、例えばSTEM(走査型透過電子顕微鏡)により測定することができる。より具体的には本願実施例に記載の方法で測定することができる。
複合金属顔料組成物に含まれる複合粒子の平均厚みは、体積基準D50と同様に、原料金属粉を処理する工程、ケイ素化合物含有層等の酸化金属被覆(および必要に応じてその他の被覆層)を被覆する工程等で、原料アルミペーストの前処理、および有機ケイ素化合物等の原料の加水分解時のpH、濃度、攪拌温度、攪拌時間、攪拌装置の種類、攪拌の動力/程度(攪拌翼の種類および直径、回転数、外部攪拌の有無等)などを適宜調整することによって、制御することができる。また酸化金属被覆処理時の凝集によって粒子径が肥大する傾向があるが、粒子肥大は色調低下、隠蔽性低下、塗膜外観の低下を招くため、特に処理に用いる原料アルミペーストの前処理により粒子肥大を防ぐことが効果的である。
本願第1発明による複合金属顔料組成物の固形分濃度は、70~95質量%である。
本願第1発明による複合金属顔料組成物は、その固形分濃度が70~95質量%であることにより、低VOC(揮発性有機化合物)化を実現しながら、良好な外観の塗膜を形成できる塗料を実現することができる。より具体的には、固形分濃度が70質量%以上であることで、溶剤等のVOCの含有量を十分に低減することができるので、これを用いて塗料を形成した場合にも、VOCの含有量が十分に低減された塗料を実現することができる。一方で、固形分濃度が95質量%以下であることで、塗料を形成する際の均一分散が容易であり、塗膜におけるブツの発生等を有効に抑制することができる。
固形分濃度は、75~95質量%であることが好ましく、80~95質量%であることがより好ましく、85~95質量%であることが特に好ましい。
本願第1発明において特定される様な高い固形分濃度を実現するには、揮発により除去し易い低沸点の溶剤を使用することが好ましい。その様な低沸点の溶剤は、必ずしも金属粒子の分散や酸化金属皮膜の形成において好適ではない場合があるので、金属粒子の分散や酸化金属皮膜の形成の後に、より低沸点の溶剤への溶剤置換を行ってもよい。
また、揮発を段階的に行うことも好ましく、例えば揮発を行った後に、複合粒子を溶剤中に拡散する操作を行い、再度揮発を行ってもよい。
更に、高い固形分濃度を実現するには、ろ過と揮発とを組み合わせることも好ましく、ろ過を行って揮発分の量を減じた後に揮発を行うことが特に好ましい。
高い固形分濃度は、遠心分離や比較的強い圧力のろ過により溶剤等を除去することによっても実現することができるが、その様な操作は鱗片状の複合粒子を凝集させ及び/又は変形させ、本願第1発明の他の要件、例えば所定の体積基準の平均粒子径D50や、所定の残渣量の実現を困難にするおそれがあることに留意すべきである。
本願第1発明において特定される固形分濃度を実現するにあたっては、複合粒子の凝集、変形を有効に防止しながら揮発分を十分に除去できることから、本願第2発明、及び/又は本願第3発明の製造方法を採用することが特に好ましい。
本願第1発明による複合金属顔料組成物の非固形分は、その80質量%以上を、親水性で沸点が80~150℃の溶剤(以下、「特定溶剤」ともいう。)が占める。
特定溶剤は沸点が80~150℃なので揮発し易く、揮発にあたって極端な高温や減圧を必要としないので、特定溶剤が非固形分の80質量%を占めることで、複合粒子同士を凝集、固着させることなく溶剤等の非固形分を除去して固形分含量を向上させることができる。
また、特定溶剤は親水性なので、特定溶剤が非固形分の80質量%を占めることで、本願第1発明による複合金属顔料組成物を水中に分散することが容易となり、均一な水性塗料を形成することが一層容易となる。また、親水性であることで、共沸等により組成物中の水を除去することが一層容易となり、水分によりもたらされる凝集を一層有効に抑制することができる。
親水性の溶剤の概念は、当業者間で共通の理解が存在するが、例えば水での溶解度が常温で20g/g以上である溶剤を親水性溶剤として好ましく用いることができる。また、sp値(溶解度パラメータ)が10.5以上である溶剤を、親水性溶剤として好ましく用いることができる。
特定溶剤の量(割合)は、複合金属顔料組成物の製造に使用する溶剤の組成を調整することにより、適宜調整することが可能である。特定溶剤の量(割合は)、複合金属顔料組成物の製造において使用した各種溶剤の量、及び除去した各種溶剤の量から計算することが通常可能であるが、製造の際のろ過、揮発等の工程が複雑で計算が困難な場合には、得られた複合金属顔料組成物から、THF(テトラヒドロフラン)などの溶媒で溶剤を抽出し、LC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析計)等によって測定することができる。
これら特定溶剤は、1種類のみを使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本願第1発明による複合金属顔料組成物を200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣は、固形分の0.1質量%以下である。
200メッシュのフィルターの目開きは約74μmなので、体積基準の平均粒子径D50が1~30μmであり、平均粒子厚みが20~300nmである複合粒子は、粒子同士の固着や凝集が無ければ、その大半が200メッシュのフィルターを通過する。したがって、複合金属顔料組成物を200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣は、粒子同士が固着、凝集した複合粒子であり、固形分に占めるその割合は低いことが好ましい。
本願第1発明による複合金属顔料組成物は、200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣が固形分の0.1質量%以下であるので、粒子同士が固着、凝集が効果的に抑制され、溶剤や水に分散して凝集が抑制された塗料を形成することが可能であり、またブツが効果的に抑制されるなど外観に優れた塗膜を形成することができる。
200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣の量は、固形分の0.05質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、0.005質量%以下であることが特に好ましい。
200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣の量は、本願明細書に記載の各種手法により複合粒子同士の固着、凝集を抑制することで、低減することができる。特に、上記特定溶剤を多く使用することが、残渣量の低減に効果的である。また、本願第2発明、及び/又は本願第3発明の製造方法を採用し、複合粒子の凝集、変形を有効に防止しながら揮発分を除去することも、残渣量の低減に効果的である。
本願第1発明による複合金属顔料組成物は、これを構成する複合粒子が、上記(1)から(3)の物性要件に加えて、以下の物性、特徴等の一部または全部を具備することが好ましい。
本実施形態による複合金属顔料組成物においては、複合金属顔料組成物が含有する複合粒子全体に占める凝集の無い一次粒子の割合は、個数基準で35%以上であることが好ましい。一次粒子の割合が35%以上であることは、個々の粒子の凝集性が抑制されたことを意味し、一次粒子のみならず、凝集した粒子においてもその凝集の度合いがより小さなものとなる。これにより、複合金属顔料組成物を用いて形成された塗膜が優れた意匠性、光沢、ブツの抑制を示すとともに、水性塗料における安定性等を向上することが一層容易となる。
また、この様に個々の粒子の凝集性が抑制されることで、分散のための攪拌はマイルドなもので足るので、攪拌による粒子の変形を大幅に低減することができる。
複合粒子に占める凝集の無い一次粒子の割合は通常高いほど好ましく、特に上限は存在せず、100%となることが理想的である。
複合粒子に占める凝集の無い一次粒子の割合は、当業界において公知の方法で測定することができ、例えば金属粒子及びその表面上にある酸化金属被覆を有する複合粒子の集合体からなる金属顔料組成物を用いて塗膜を形成し、その断面のFE-SEM像(電界放出型走査電子顕微鏡像)を取得して画像解析することにより、あるいは評価者が当該FE-SEM像中の一次粒子と凝集粒子の個数を数えることにより、測定することができる。より具体的には、例えば本願実施例に記載の方法で測定することができる。
また、複合粒子を構成する金属粒子の選択や処理、金属粒子上に形成される酸化金属被覆の種類や製造条件を適宜設定することで、制御することができる。既存の技術としては被覆処理時の攪拌回転数を上げ、レイノルズ数を一定値以上にすることにより機械的な分散を強化するという試みがなされているが、この方法では本願で取り扱っているような微細な粒子の分散には限界があるのと、撹拌時の強い応力により、鱗片状の薄い粒子が破断したり変形したりするという課題がある。
一方で、金属粒子上に酸化金属による被覆処理を行う前に、金属粒子に分散性向上のための前処理を行うことで、被覆処理時の粒子の凝集を抑制することが可能であり、これにより凝集の無い一次粒子の割合を大幅に増加させることができる。
例えば、原料となる金属粒子が溶剤に分散されて供給される場合には、当該溶剤を被覆処理に用いられる溶剤と同じ物に置換することにより、更に所望により一定時間の加温処理を行って溶剤を金属粒子表面に十分に馴染ませることにより、被覆処理時に発生する凝集を大幅に抑制することができる。更に、この際に少量の界面活性剤を添加することも、凝集の抑制に有効である。
本実施形態による複合金属顔料組成物においては、複合金属顔料組成物が含有する複合粒子全体に占める折れ曲がった複合粒子の割合が10%以下であることが好ましい。これにより、複合金属顔料組成物を用いて形成された塗膜が優れた意匠性、光沢、ブツの抑制を示すとともに、水性塗料における安定性等を向上することが一層容易となる。
複合粒子の集合体に占める折れ曲がった複合粒子の割合は、少なければ少ないほど良い。この割合は、好ましくは6%以下であり、より好ましくは3%以下である。折れ曲がった複合粒子の割合は低いほど好ましいので、特にその下限は存在しないが、理想的には0%である。
複合粒子に占める折れ曲がった複合粒子の割合は、例えば、特定溶剤の使用量を高めること、本願第2発明、及び/又は本願第3発明の製造方法を採用すること、等によって低減することができる。
また、酸化金属被覆(および必要に応じてその他の被覆層)を被覆する工程で、原料アルミペーストの分散性向上のための前処理、攪拌時間、攪拌装置の種類、攪拌の動力/程度(攪拌翼の種類および直径、回転数、外部攪拌の有無等)などを適宜調整することによっても、制御することができる。
さらには原料アルミペーストの前処理により、反応時の粒子自体の分散性を向上させることにより、分散のための攪拌はマイルドなもので足るので、攪拌による粒子の変形を大幅に低減することができる。
本願第1発明による複合金属顔料組成物に含まれる複合粒子の被覆層については、少なくとも1層の酸化金属被覆を有すること以外は特に限定されないが、当該酸化金属被覆以外の被覆層(以下「第2被覆層」という)を必要に応じて形成することもできる。
第2被覆層は、例えば、金属(アルカリ金属;アルカリ土類金属;マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀などの金属等)、金属酸化物(酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄等)、金属水和物、及び樹脂(アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂等)の少なくとも1種を含んでなるものであることが好ましい。第2被覆層として、例えば、モリブデン含有被膜、リン酸化合物被膜等を形成することができる。第2被覆層を設けることによって、金属粒子の耐食性を向上させると共に、ケイ素化合物含有層等の酸化金属被覆の形成を促進することができる。
別の変形形態では、第2被覆層は、金属粒子およびケイ素化合物含有層等の酸化金属被覆の外側に形成され得る。また更なる別の変形形態では、第2被覆層の構成成分(モリブデン含有化合物やリン酸化合物など)は、ケイ素化合物含有層等の酸化金属被覆中にケイ素化合物等と共に包含され得る。
また、p、q、r、sは原子の数を表し、tは酸化数を表す。
ヘテロポリアニオン化合物は数多くの構造を持つため、混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は更に数多くの構造を持ち得るが、代表的かつ好ましい混合配位型ヘテロポリアニオン化合物としては、以下の混合配位型へテロポリ酸:H3PWxMo12-xO40・nH2O(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVxMo12-xO40・nH2O(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、H4SiWxMo12-xO40・nH2O(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)、H4+xSiVxMo12-xO40・nH2O(ケイバナドモリブデン酸・n水和物)等が例示される。(但し、1≦x≦11、n≧0)
混合配位型ヘテロポリアニオン化合物は、酸(いわゆる、混合配位型へテロポリ酸)の形で用いてもよいし、特定のカチオンを対イオンとする(部分若しくは完全な)塩の形で用いてもよい。
更にこれらアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアから選ばれる少なくとも一種を対カチオン源とする場合、H3PWxMo12-xO40・nH2O(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVxMo12-xO40・nH2O(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、H4SiWxMo12-xO40・nH2O(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)、H4+xSiVxMo12-xO40・nH2O(ケイバナドモリブデン酸・n水和物)から選ばれる少なくとも一種との塩の形で用いるのがより好ましい。
(式中、R8、R9及びR10は同じでも異なってもよく、水素原子、又は炭素原子数1から30の、任意にエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、チオール基を含んでもよい1価若しくは2価の炭化水素基であり、任意にR8とR9は一緒になって5員若しくは6員のシクロアルキル基を形成するか、又は架橋員として付加的に窒素若しくは酸素原子を含むことができる5員若しくは6員環を形成してもよく、又は任意にR8、R9及びR10は一緒になって、1個以上の付加的な窒素原子及び/又は酸素原子を架橋員として含むことができる多員の多重環を形成してもよい。R8、R9及びR10は同時に水素原子にはならない。nは1から2の整数を表す。)
これら一般式(5)で示されるアミン化合物から選ばれる少なくとも一種と、H3PWxMo12-xO40・nH2O(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVxMo12-xO40・nH2O(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、H4SiWxMo12-xO40・nH2O(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)、H4+xSiVxMo12-xO40・nH2O(ケイバナドモリブデン酸・n水和物)から選ばれる少なくとも一種との塩の形で用いるのがより好ましい。
上記の混合配位型ヘテロポリアニオン化合物の中でも、H3PWxMo12-xO40・nH2O(リンタングストモリブデン酸・n水和物)、H3+xPVxMo12-xO40・nH2O(リンバナドモリブデン酸・n水和物)、H4SiWxMo12-xO40・nH2O(ケイタングストモリブデン酸・n水和物)の混合配位型へテロポリ酸、若しくはこれら混合配位型へテロポリ酸の有機アミン塩が最も好ましい。
また、複合粒子の酸化金属被覆および/または第2被覆層中に、あるいは別途の層として、貯蔵安定性の観点から、無機リン酸類及びその塩類、並びに酸性有機(亜)リン酸エステル類及びその塩類よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
これらの化合物は、特に限定されないが、例えば特開2019-151678号公報に開示されているものを用いることができる。
本願第1発明の複合金属顔料組成物は、金属粒子及びその表面上にある1層以上の酸化金属被覆を含む複合粒子を含み、複合粒子が上記(1)から(3)の要件を充足し、複合金属顔料組成物が上記(4)から(6)の要件を充足するものであり、それ以外の要件を課されるものではないが、複合粒子以外に固形分(不揮発分)の残分として、未反応の有機ケイ素化合物、第2被覆層を形成する化合物、これら由来のオリゴマーまたはポリマー等を含む場合があり、また上記要件(5)に係る特定量の特定溶剤以外に、製造過程で用いられた水などの溶剤を含む場合がある。
複合金属顔料組成物には、有機ケイ素化合物(例えば、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の少なくとも一種と、上記一般式(2)、(3)及び(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤、並びにそれらの部分縮合物から選ばれる少なくとも一種)の加水分解物及び/又はその縮合物であるケイ素化合物が存在し得る。
複合金属顔料組成物には、任意選択の第2被覆層を形成する化合物(第2被覆層としてモリブデン含有被膜を形成する任意選択の態様にあってはモリブデン含有化合物、例えば混合配位型ヘテロポリアニオン化合物)が存在し得る。
複合金属顔料組成物には、任意選択の有機オリゴマーまたはポリマーが存在し得る。
複合金属顔料組成物には、任意選択の無機リン酸類及びその塩類、並びに酸性有機(亜)リン酸エステル類及びその塩類よりなる群から選ばれる少なくとも1種が存在し得る。
複合金属顔料組成物には、製造過程で用いられた水/親水性溶剤を含む溶剤が存在し得る。
酸カリウムなどのリン酸エステル塩類に代表される陰イオン性界面活性剤が挙げられ、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩に代表される陽イオン性界面活性剤などが挙げられ、これらから選ばれた1種若しくは2種以上が使用できる。これらの中で特に好ましい例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル又はそれらの混合物が例示される。
本願第1発明による複合金属顔料組成物の製造方法に特に制限は無いが、本願第2発明の製造方法、及び/又は本願第3発明の製造方法で製造することが特に好ましい。本願2発明の製造方法、及び本願第3発明の製造方法は、複合粒子の凝集や抑制を効果的に防止しながら、高い不揮発分(固形分)含量を有する複合金属顔料組成物を製造することができるので、本願第1発明による複合金属顔料組成物の製造に特に適している。
なお、本願2発明の製造方法、及び本願第3発明の製造方法の適用対象は、本願第1発明による複合金属顔料組成物の製造には限定されず、各種複合金属顔料組成物の製造に好適に用いられる。
下記1)~3)の工程を有する複合金属顔料組成物の製造方法であって、
1)金属粒子を溶剤に分散させる工程
2)前記金属粒子を酸化金属で被覆する工程
3)工程2)で得られた金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を、洗浄、ろ過、及び溶剤揮発する工程
前記溶剤が、互いに相溶性があり、且つ、沸点が10℃以上異なる2種類以上溶剤の混合溶剤であり、
工程3)における溶剤揮発が、前記複合粒子と前記溶剤とを含むスラリーの状態で行われる、上記製造方法、である。
本願第3発明の製造方法は、
下記1)~3)の工程を有する複合金属顔料組成物の製造方法であって、
1)金属粒子を溶剤に分散させる工程
2)前記金属粒子を酸化金属で被覆する工程
3)工程2)で得られた金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を、洗浄、ろ過、及び溶剤揮発する工程
工程3)における溶剤揮発を3段階以上に分けて実施する、上記製造方法、である。
1)金属粒子を溶剤に分散させる工程、
2)前記金属粒子を酸化金属で被覆する工程、及び
3)工程2)で得られた金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を、洗浄、ろ過、及び溶剤揮発する工程を有する。
本願第2発明においては、前記溶剤が、互いに相溶性があり、且つ、沸点が10℃以上異なる2種類以上溶剤の混合溶剤であり、工程3)における溶剤揮発が、前記複合粒子と前記溶剤とを含むスラリーの状態で行われるのに対して、本願第3発明においてはその様な限定はない点で、本願第2発明と本願第3発明とは相違し、本願第3発明においては、工程3)における溶剤揮発を3段階以上に分けて実施するのに対して、本願第2に発明においてはその様な限定はない点においても、本願第2発明と本願第3発明とは相違する。
以下、これら各工程について説明する。
工程1)において、金属粒子を溶剤中に分散させる。金属粒子が溶剤中に分散することで、続く2)金属粒子を酸化金属で被覆する工程において、粒子の凝集を抑制することが可能であり、その結果得られる複合粒子の分散性も良好なものとなり、凝集の無い一次粒子の割合を大幅に増加させることができる。
金属粒子を溶剤中に分散させる方法は特に限定されないが、金属粒子を溶剤に添加してから攪拌を加えること、超音波を照射することなどの手法が好ましく採用される。
また、金属粒子の分散性を向上されるために前処理を行うことも好ましい。
更に、この際に少量の界面活性剤を添加することも、前処理による凝集の抑制に有効である。界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が好ましく、ノニオン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
上記1)金属粒子を溶剤に分散させる工程に続いて2)金属粒子を酸化金属で被覆する工程を実施することで、金属粒子上に酸化金属被覆を形成することができる。
前述の様に酸化金属被覆にはケイ素酸化物を使用することが好ましいので、以下、前記酸化金属被覆中の少なくとも1層がケイ素化合物含有層である実施形態を例にとり、工程2)の具体例として、ケイ素化合物含有層を形成する工程を説明する。
ケイ素化合物含有層は形成工程においては、例えば、金属粒子、有機ケイ素化合物の少なくとも1種を含むケイ素含有原料、および溶剤、並びに必要に応じて他の任意成分、を含む混合液を反応させることにより、ケイ素化合物含有層が形成される。
工程1)において金属粒子を溶剤に分散されているので、通常は工程2)においてここにケイ素含有原料が添加される。
上記式(1)で表される有機ケイ素化合物(典型例としてはテトラアルコキシシラン)および/またはその縮合物、ならびに上記式(2)~(4)のいずれかで表されるシランカップリング剤の少なくとも1種を好適に用いることができる。
以降では、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物としてテトラアルコキシシランを用いる場合を例に挙げて説明する。なお、以下では、テトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物を単に「テトラアルコシシラン」とまとめて称する場合がある。
また、加水分解触媒としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機アルカリ塩類;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、アニリン、コリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、グアニジン等のアミン類;蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸モノメチルアミン、酢酸ジメチルアミン、乳酸ピリジン、グアニジノ酢酸、酢酸アニリン等の有機酸の塩類を用いることもできる。これらの加水分解触媒は、1種又は2種以上で用いることができる。
混合液の温度は、常温又は加熱下のいずれでも良い。一般的には、混合液の温度は、20~90℃とすれば良く、特に30~80℃の範囲に制御することが好ましい。前記温度が20℃以上であることによって、ケイ素化合物含有層の形成速度が高められ、処理時間を短くすることができる。一方、前記温度が90℃以下であることによって、反応を制御しやすくなり、所望の複合粒子が得られる確率を高めることができる。
例えば、一般式(1)で表される有機ケイ素化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS)を使用した場合には、以下の加水分解及び縮合反応前後の質量比を用いて、有機ケイ素化合物の加水分解物及び/又はその縮合物の添加量を算出することができる。
(加水分解)
Si(OC2H5)4 (分子量:208) + 4H2O
→ Si(OH)4 (分子量:96) + (C2H5OH)4
(縮合)
Si(OH)4 (分子量:96)+ Si(OH)4 (分子量:96)
→ (SiO2)2 (分子量:60×2) + 4H2O
以上の加水分解及び縮合反応前後で、質量は60/208=0.288倍となるので、例えば金属粒子(固形分)100質量部に対して、TEOSを10質量部使用した場合には、その加水分解物及び/又はその縮合物の添加量は、その0.288倍、すなわち2.88質量部になる。
例えば、一般式(2)で表されるシランカップリング剤としてメチルトリメトキシシシランを使用した場合には、以下の加水分解及び縮合反応前後の質量比を用いて、シランカップリング剤の加水分解物及び/又はその縮合物の添加量を算出することができる。
(加水分解)
CH3Si(OCH3)3(分子量:136) + 3H2O
→ CH3Si(OH)3(分子量:94) + (CH3OH)3
(縮合)
CH3Si(OH)3(分子量:94) + CH3Si(OH)3(分子量:94)
→ (SiCH3O1.5)2(分子量:67×2) + 3H2O
以上の加水分解/縮合反応の前後で、質量は67/136=0.49倍となるので、例えば金属粒子(固形分)100質量部に対して、メチルトリメトキシシシランを1.23質量部使用した場合には、その加水分解物及び/又はその縮合物の添加量は、その0.49倍、すなわち0.60質量部になる。
2)金属粒子を酸化金属で被覆する工程が終了した後に、得られた複合粒子を回収して所望の複合金属顔料組成物を得るために、3)複合粒子を、洗浄、ろ過、及び溶剤揮発する工程を実施することができる。
本願第1発明の複合金属顔料組成物を製造するにあたっては、工程3)を実施することは必須ではないが、実施することが好ましい。
本願第2発明の複合金属顔料組成物の製造方法においては、工程3)が実施され、その際の溶剤は、互いに相溶性があり、且つ、沸点が10℃以上異なる2種類以上の溶剤の混合溶剤であり、また工程3)における溶剤揮発は、前記複合粒子と前記溶剤とを含むスラリーの状態で行われる。
本願第3発明の複合金属顔料組成物の製造方法においては、工程3)が実施され、工程3)における溶剤揮発が3段階以上に分けて実施される。
洗浄にあたっては、攪拌を行うことが好ましく、攪拌の条件には特に制限は無いが、例えば工程1)に関連して上記にて説明したものと同様の条件を採用することができる。
工程3)における洗浄の際の温度、時間等には特に制限は無いが、通常、10~70℃、好ましくは15~60℃で、5~180分、好ましくは10~120分実施することができる。
洗浄の回数には特に制限は無く、1回のみ洗浄を行ってもよく、複数回、例えば2~5回洗浄を行ってもよい。複数回洗浄を行う場合には、洗浄とろ過とを交互に行ってもよい。また、ヌッチェタイプのろ過器を用いて、連続的、あるいは、間欠的に洗浄液を流して洗浄するのも好ましい例の一つである。
工程3)におけるろ過の温度、圧力には特に制限は無いが、通常、ヌッチェタイプのろ過器を用いる場合は、温度10~70℃、好ましくは15~60℃、圧力0.11~0.9MPa、好ましくは0.15~0.5MPaで実施することができる。
ろ過後の複合粒子を含むスラリー、ケーキ等の固形分量は、75質量%以上であることが好ましく、80~98質量%であることがより好ましく、85~95質量%であることが特に好ましい。
低VOC等の観点から、ろ過後の複合粒子を含むスラリー、ケーキ等の固形分量は高いことが好ましく、そのためにろ過の際の圧力を高く設定することができるが、ろ過の際の高い圧力は複合粒子の凝集や変形を招く場合があるので、この点も考慮のうえ圧力を設定することが好ましい。
ろ過の回数には特に制限は無く、1回のみろ過を行ってもよいし、洗浄とろ過とを交互に複数回行ってもよい。複数回、洗浄とろ過とを交互に行うことで、水、未反応物、最終的な複合金属顔料組成物において望ましくない溶剤等を一層効果的に除去し、本願第1発明における(5)複合金属顔料組成物の非固形分の80質量%以上を、親水性で沸点が80~150℃の溶剤が占める、との要件を充足することが一層容易となる。
ろ過の際には、併せて、スラリーやケーキの表面、及び、空隙部に気体を通過させて、溶剤を揮発させることが望ましい。この結果、低沸点の溶剤が優先的に揮発し、高沸点の溶剤分が主として残留した、固形分の高い複合金属顔料組成物が得られやすくなる。
溶剤揮発を行い揮発分を除去することで、固形分の割合が向上するので、本願第1発明における(4)複合金属顔料組成物の固形分濃度が70~95質量%であるとの要件を充足する複合金属顔料組成物を、効率的に製造することができる。また、溶剤揮発により、複合金属完了組成物において望ましくない溶剤等を除去することができるので、(5)複合金属顔料組成物の非固形分の80質量%以上を、親水性で沸点が80~150℃の溶剤が占めるとの要件を充足する複合金属顔料組成物を、一層容易に製造することができる。
溶剤揮発を通気により行う場合には、乾燥空気を使用することが好ましく、露点、通気の流量は、溶剤の揮発度合いを確認しながら適宜調整するのが良い。
溶剤揮発により直接複合金属顔料組成物を得てもよく、更なる工程を経て複合金属顔料組成物組成物を得てもよい。溶剤揮発後の複合金属顔料組成物の固形分量は、75質量%以上であることが好ましく、80~98質量%であることがより好ましく、85~95質量%であることが特に好ましい。
混合溶剤を構成する2種以上の溶剤の沸点の差は、10~80℃であることが好ましく、20~60℃であることが特に好ましい。
高沸点側の溶剤としては、メトキシプロパノール、イソブタノール、ノルマルブタノール等を好ましく使用することができる。
低沸点側の溶剤としては、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、エタノール等を好ましく使用することができる。
高沸点側の溶剤としてのメトキシプロパノールと、低沸点側の溶剤としてのイソプロパノールとを組み合わせて使用することが特に好ましい。
工程3)において、互いに相溶性があり、且つ、沸点が10℃以上異なる2種類以上の溶剤の混合溶剤を、複合粒子と溶剤とを含むスラリーの状態で溶剤揮発することで、低沸点側の溶剤を揮発させ、高沸点側の溶剤を複合金属顔料組成物中に残すことが一層容易になる。
溶剤揮発は3段階以上に分けて実施することで、また好ましくは揮発と分散とを交互に行うことで、局所的に溶剤が少ない部分ができるのを抑制し、複合粒子の凝集や変形を効果的に防止しながら、本願第1発明の複合金属顔料組成物の様な、高固形分含量で、望ましい溶剤組成を有する複合金属顔料組成物を比較的容易かつ効率的に製造することができる。
このとき得られる複合金属顔料組成物の系全体の水分量を、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下とすることができるので、残渣量を好ましくは固形分の0.1質量%以下、より好ましくは0.003質量%以下に低減することが一層容易となる。
好ましくは本願第2発明及び/又は本願第3発明の複合金属顔料組成物の製造方法による、本願第1発明の複合金属顔料組成物の製造にあたっては、上記工程1)から3)に加えて、金属粒子を粉砕等する工程や、酸化金属被覆以外の被覆層を形成する工程等を有していてもよい。
上記1)金属粒子を溶剤に分散させる工程に先立って、金属粒子を粉砕、篩分、及び/又はろ過してもよい。金属粒子を粉砕、篩分、及び/又はろ過することで、金属粒子の粒径はより均一かつ微細なものとなるので、均一かつ微細な複合粒子を含む複合金属顔料組成物の製造する観点から好ましい。
ここでは、金属粒子としてアルミニウム粉末を用いる場合を例に挙げて説明する。
アルミニウム粉末は、一般的には、アトマイズドアルミニウム粉および/またはアルミニウム箔を乾式ボールミル法、湿式ボールミル法、アトライター法、スタンプミル法等の顔料業界で常用されている方法を用い、粉砕助剤や不活性溶剤の存在下で粉砕して、いわゆる鱗片状にし、さらにこの工程後、篩分(分級)、ろ過、洗浄、混合等の必要とする工程を経て得られる。
ここでの粉砕助剤の例としては、脂肪酸、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコール等が挙げられる。一般には、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリルアミン等が好ましい。また、不活性溶剤の例としては、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、トルエン、キシレン等の疎水性を示すものが挙げられ、これらを単独または混合して使用することができる。粉砕助剤および不活性溶剤は、これらに限定されるものではない。
粉砕工程としては、粉塵爆発を防止し安全性を確保する観点から、湿式ボールミル法による粉砕が好ましい。
本願第1発明の複合金属顔料組成物を構成する複合粒子は、酸化金属被覆に加えて、それ以外の被覆層(第2被覆層)、好ましくは金属、金属酸化物、金属水和物及び樹脂から選ばれる少なくとも1種を含んでなる被覆層、をさらに有することが好ましい。第2被覆層は、(形成される場合には)特に金属粒子とケイ素化合物含有層等の酸化金属被覆との間に形成されることが好ましい。従って、「金属粒子/第2被覆層/酸化金属被覆」という層構成を好適に採用することができる。
第2被覆層は、特に限定されないが、モリブデン含有被膜、リン酸化合物被膜等であってよい。モリブデン含有被膜を構成するモリブデン含有物の好ましい例としては、特開2019-151678号公報に開示された混合配位型ヘテロポリアニオン化合物が挙げられる。混合配位型ヘテロポリアニオン化合物を含め、第2被覆層の構成成分の例については上述したとおりである。
以降では、金属粒子とケイ素化合物含有層等の酸化金属被覆との間に第2被覆層としてモリブデン含有被膜を形成する態様を例に挙げて説明する。
本願第1発明の複合金属顔料組成物、並びに本願第2発明及び/又は本願第3発明の製造方法で製造された複合金属顔料組成物は、有機溶剤系の塗料、インキ等に用いることができる。また、この複合金属顔料組成物は、水を主とする媒体中に塗膜形成成分(バインダー)である樹脂類が溶解又は分散している水性塗料若しくは水性インキに加えることにより、メタリック水性塗料若しくはメタリック水性インキとすることができる。また、複合金属顔料組成物は、樹脂等と混練して耐水性のバインダー、フィラーとして用いることもできる。酸化防止剤、光安定剤、界面活性剤は、複合金属顔料組成物を水性塗料若しくは水性インキ、又は樹脂等に配合する際に添加してもよい。
これらの樹脂類は水に乳化、分散あるいは溶解することが好ましい。そのために、樹脂類に含まれるカルボキシル基、スルホン基などを中和することができる。
必要に応じて、メラミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。更には一般的に塗料に加えられる無機顔料、有機顔料、体質顔料等の着色顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤と組み合わせてもよい。塗料への分散性を良くするために、更に界面活性剤を添加してもよいし、塗料の保存安定性を良くするために、更に酸化防止剤、光安定剤、及び重合禁止剤を添加してもよい。
各塗膜層における塗料組成物の硬化方法は、熱硬化であってもよいし、常温硬化であっても良い。また、各塗膜層の塗料組成物の乾燥方法は、例えば熱風を用いてもよいし、常温における自然乾燥であってもよい。
翼径1mのアンカー型攪拌翼を有す、直径2mの1m2の反応槽に、市販のアルミニウムペースト(旭化成株式会社製、商品名「GX-3100(平均粒径11μm、揮発分74%)」)135kgに465kgのメトキシプロパノール(以下、「PM」と略す。)を加え、混合物を100rpmに攪拌翼にて攪拌し、且つ、底部から抜き出した10L/分の分散液を反応槽上部から反応槽にもどす外部循環をしながら、アルミペーストをPM中に均一に分散させた。外部循環では流路の途中にて500Wの超音波を1分間照射し、粒子の分散性を向上させた。
次いで、リンタングストモリブデン酸(H3PW6Mo6O40)水和物1kgをメトキシプロパノール5kgに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら1 時間攪拌した。反応中、超音波を照射しながらの外部循環は継続した。
その後、有機珪素化合物として10kgのテトラエトキシシランを添加した後、10kgの25%アンモニア水と200kgの精製水を3時間かけて添加した。その後更に、シランカップリング剤として1.3kgのメチルトリメトキシシランを添加し、2時間攪拌した。反応中、超音波を照射しながらの外部循環は継続。反応終了後、冷却してからスラリーを加圧ろ過した。
ろ過したスラリーをイソプロパノール(以下、「IPA」と略す。)/PM:3/2の混合液で十分洗浄して含有溶剤を置換した後、再度、加圧ろ過し、通気して主にIPAを揮発させ、不揮発分90%の複合アルミニウム顔料組成物を得た。ここで用いたIPA/PM混合溶剤中の水分は200ppmのものを用い、加圧ろ過や通気には露点が-40℃の乾燥空気を用いた。
アルミニウムペーストを(旭化成株式会社製、商品名「GX-4100(平均粒径10μm、揮発分74%)」)に変更した以外は実施例1と同様にして、不揮発分90%の複合アルミニウム顔料組成物を得た。
アルミニウムペーストを(旭化成株式会社製、商品名「FD-5090(平均粒径9μm、揮発分75%)」)に変更した以外は実施例1と同様にして、不揮発分85%の複合アルミニウム顔料組成物を得た。
反応までは実施例1と同様に行い、反応終了後、冷却してからスラリーをろ過し、等量のPMで3回、洗浄・ろ過を繰り返して不揮発分50%のペーストを得た。次いで、常温にて減圧下において溶剤を揮発させ不揮発分を10%高めた後、減圧解除してペーストが均一になるように混合し、密閉して12時間放置した。この操作を更に2回行い、不揮発分90%のペースト状の複合アルミニウム顔料組成物を得た。
IPA/PM混合溶剤として水分率が2000ppmのものを用いた以外は実施例1と同様にして、不揮発分90%の複合アルミニウム顔料組成物を得た。
市販のアルミニウムペースト(旭化成株式会社製、商品名「GX-3100(平均粒径11μm、不揮発分74%)」)135kgに465kgのPMを加えて分散したスラリーを攪拌しながら、リンタングストモリブデン酸(H3PW6Mo6O40)の水和物1kgをPM5kgに溶解した液を徐々に加え、スラリー温度を40℃に保ちながら1時間攪拌した。その後、冷却してからスラリーをろ過し、不揮発分60%の複合アルミニウム顔料組成物を得た。
反応終了してろ過した後の工程を、アルミニウム顔料組成物を別の容器に移し、静置した状態で50℃に加熱しながら減圧にして1時間脱溶剤する工程に変更したこと以外は実施例1と同様にして、不揮発分80%の複合アルミニウム顔料組成物を得た。
反応終了してろ過した後の工程を、フィルタープレスにて圧搾して脱溶剤を行う工程に変更した以外は実施例1と同様にして、不揮発分80%の複合アルミニウム顔料組成物を得た。
平均粒子径:D 50
上記各実施例/比較例において得られた複合アルミニウム顔料組成物中の複合粒子(酸化ケイ素被覆アルミニウム粒子)の平均粒子径(D50)を、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-300/株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
測定溶剤としては、イソプロパノールを使用した。
測定は機器取扱説明書に従い実施したが、留意事項として、試料となる複合金属顔料組成物に対して前処理として2分間の超音波分散を行った後、分散槽の中に投入し適正濃度に分散されたのを確認後、測定を開始した。
測定終了後、D50は機器のソフトウェアにより計算され、自動表示された。
上記各実施例/比較例において得られた複合アルミニウム顔料組成物10gを、105℃で3時間加熱して揮発分を揮発させた後に質量を測定し、これを固形分の質量としてその割合を求めた。
上記各実施例/比較例において得られた複合アルミニウム顔料組成物50gを1000mlのミネラルスピリットにスパチュラで分散させた後、200メッシュのナイロン網(NBC社製)にてろ過し、残渣をアセトンで十分洗浄した後、105℃で10分間乾燥した後、質量を測定し、これを残渣の質量としてその割合を求めた。
上記各実施例及び比較例で得られた複合アルミニウム顔料組成物を用いて、下記の組成で水性メタリック塗料を調製し、下記の方法で塗料及びそれから得られた塗膜の評価を行った。なお、それらの結果を表1に示した。
以下の成分を有する水性メタリック塗料を調製した。
・複合アルミニウム顔料組成物:不揮発分として12.0g
・メトキシプロパノール:18.0g
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤、松本油脂製薬株式会社製、商品名「マーポンL5」):6.0g
・精製水:12.0g
・水溶性アクリル樹脂(※1):110.0g
・メラミン樹脂(※2):18.0g
※1:三井化学株式会社製、アルマテックスWA911
※2:日本サイテックインダストリーズ株式会社製、サイメル350
上記成分を混合後、ジメチルエタノールアミンでpHを7.7から7.8に調整し、カルボン酸系増粘剤と精製水とで粘度を650から750mPa・s(B型粘度計、No.3ロー、60回転、25℃)に調整した。
・評価1(貯蔵安定性(ガス発生))
上記処方で調製された水性メタリック塗料200gをフラスコに採取し、60℃の恒温水槽で24時間まで水素ガス累積発生量を測定した。得られたガスの発生量に基づいて下記基準でのように評価し、塗料中の貯蔵安定性の指標とした。
○: 2ml未満
△: 2以上10ml未満
×: 10ml以上50ml未満
××: 50ml以上
上記処方で調製された水性メタリック塗料を、中塗り塗装がなされた12cm×6cmの鋼板(三木コーティング株式会社製)に乾燥膜厚6μmとなるようにエアスプレー塗装し、90℃で10分間予備乾燥した後、下記組成の有機溶剤型トップコート用塗料を、スパチェラで3分間分散後、フォードカップNo4にて20.0秒になるように塗料粘度を調整し、乾燥膜厚20μmとなるようにエアスプレー塗装し、140℃で30分間乾燥させて塗装板を作製し、以下の評価に供した。
(有機溶剤型トップコート用塗料の組成)
・アクリディック44-179(DIC社製、アクリルクリヤー樹脂)141g
・スーパーベッカミン J-820(DIC社製、メラミン樹脂)35.3g
・トルエン123.5g
得られた塗装板のトップコート塗膜の表面全面のブツの数を計測し、下記の指標で評価した。
〇: ブツが視認できない
△: ブツが10個以下
×: ブツが10個より多い
得られた塗装板について、関西ペイント株式会社製のレーザー式メタリック感測定装置アルコープLMR-200を用いて評価した。光学的条件は、入射角45度のレーザー光源と受光角0度と-35度に受光器をもつ。測定値としては、レーザーの反射光のうち、塗膜表面で反射する鏡面反射領域の光を除いて最大光強度が得られる受光角-35度でIV値を求めた。IV値は塗膜からの正反射光強度に比例するパラメーターであり、光輝度の大小を表す。
得られたIV値から、以下の基準に基づいて評価した。
〇:基準(比較例1)からの低下幅が20未満であった。
△:基準(比較例1)からの低下幅が20以上40未満であった
×:基準(比較例1)からの低下幅が40以上であった。
調製された水性メタリック塗料をポリエチレンテレフタレート製シート(PETシート)上に、乾燥膜厚15μmとなるように2ミルのアプリケーターで塗布し、140℃で30分間乾燥させた塗膜を目視で判定した。
○:基準(比較例1)と同等からやや低めであった。
△:基準(比較例1)より低めであった。
×:基準(比較例1)より大幅に低かった。
粒子の凝集状態等の判定を容易にするため、評価2での塗装板の作製に使用した塗料の配合におけるアルミペーストの量を1/10にした以外は同一の条件で塗料を作製し、評価2の条件で塗装板を作製した。
上記の塗装板を、シャーリング機を用いて1cm四方に切断した。
得られた塗膜断面を、イオンミリング装置(日本電子製/IB-09010CP)を使用して、塗膜断面から20μm離れた部分までイオンビーム照射が可能なよう設定し、イオンミリング処理により、精密研磨断面試料を作製した。
得られた塗膜断面(塗装板)を、FE-SEM(HITACHI製/S-4700)で観察することで粒子どうしの重なり状態と粒子の変形状態を観察し、以下の手順で評価した。
まず、粒子の重なり度合いが簡単に判別できるものは概ね1000から3000倍程度の倍率で観察した。この倍率で重なり度合いが判別できない場合は適宜倍率を変えることで重なり度合いを評価した。この観察方法においては最大で概ね30000倍の倍率で観察した。観察した粒子の個数が500個以上となるように同一サンプル片の断面から複数の視野を観察した。
なお、粒子が近接して凝集の判定が難しい場合、粒子同士の接触部位長さが、より小さい粒子(長径が短い方)の粒子径の1/4以下である場合は凝集なしと判定し、1/4より大きい場合は凝集ありと判定した。
粒子の変形度合いは、簡単に判別できるものは概ね1000から3000倍程度の倍率で観察した。この倍率で変形が判別できない場合は適宜倍率を変えることで変形度合いを評価した。この観察方法においては最大で概ね30000倍の倍率で観察した。観察した粒子の個数が500個以上となるように同一サンプル片の断面から複数の視野を観察した。変形有無は、粒子両端の最短距離が粒子の長さに対して0.8倍以下の場合を変形ありと判断した。
上記の取得手順で得たFE-SEM像(1万倍)、及び画像解析ソフトWin Roof version 5.5(MITANI CORPORATION製)を用いて、アルミニウム粒子断面における粒子の厚みの計測、及び平均厚みの算出を実施した。
アルミニウム粒子の断面における粒子の厚み計測を実施するFE-SEM像を画像表示し、ROIラインを選択して画像の5μmスケールにROIラインを合わせ、登録・変更から長さ・単位を入力して設定した。
次に、アルミニウム粒子の断面の厚み計測を実施すべき画像を表示させ、長方形ROIを選択して、粒子の断面に長方形ROIを合わせて2値処理を実施した。
次に、計測の垂直弦長の測定項目を選択させた後、計測実行をさせ、画像解析ソフトによる自動計測値(垂直弦長値)を画像に表示した。
このように、前記の画像解析ソフトWin Roof version 5.5を用いて、300個の粒子を選択し、アルミニウム粒子の断面における厚みと長径の自動計測を実施した。次に300個の粒子について厚み算術平均値を算出し、粒子の平均厚みtを求めた。なお、アルミニウム粒子の厚み均一性は高く、粒子の切断部位による厚みの差異は小さい。よって粒子の切断部位の違いが、平均粒子厚み測定に与える影響は無視できる。
上記のFE-SEM像取得に使用した塗装板について、STEM(走査型透過電子顕微鏡)を用いて、倍率20万倍で粒子被覆層の平均厚みを計測した。被覆層表面に凹凸がある場合は、画像解析ソフトWin Roof version 5.5を用いて、被覆層の面積を計測し、これを被覆されている粒子の周囲長で除することにより、被覆層の平均厚みとした。また粒子が大きい場合には必ずしも被覆層全ての面積を計測する必要はなく、粒子表面に沿って1μm程度の領域の被覆層の面積を計測し、これを粒子表面長で除することにより、十分な精度で被覆層の平均厚みが得られる。また被覆層の平均厚みは粒子に依らずほぼ均一であるので、10個の粒子について平均値を求めた。また、この粒子被覆層の厚みと上記で得られた金属粒子の平均粒子厚みとから、下記の計算式に従い複合粒子の平均厚みを求めた。
複合粒子の平均粒子厚み = 金属粒子の平均粒子厚み+被覆層の厚み×2
Claims (10)
- 金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を含んでなる複合金属顔料組成物であって、
(1)前記複合粒子の形状が鱗片状であり、
(2)レーザー回折式粒度分布計にて前記複合粒子の粒度分布を測定した場合の体積基準の平均粒子径D50が1~30μmであり、
(3)前記複合粒子の平均粒子厚みが20~300nmであり、
(4)前記複合金属顔料組成物の固形分濃度が70~95質量%であり、
(5)前記複合金属顔料組成物の非固形分の80質量%以上を、親水性で沸点が80~150℃の溶剤が占め、
(6)前記複合金属顔料組成物を200メッシュのフィルターでろ過した際の残渣が固形分の0.1質量%以下である、上記複合金属顔料組成物。 - 前記複合粒子に占める凝集の無い一次粒子の割合が個数基準で35%以上である、請求項1に記載の複合金属顔料組成物。
- 前記複合粒子に占める折れ曲がった複合粒子の割合が個数基準で10%以下である、請求項1又は2に記載の複合金属顔料組成物。
- 前記酸化金属被覆中の少なくとも1層がケイ素化合物含有層である、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合金属顔料組成物。
- 前記酸化金属被覆の平均層厚みが5~200nmである、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合金属顔料組成物。
- 前記金属粒子がアルミニウム又はアルミニウム合金を含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合金属顔料組成物。
- 前記複合粒子が金属、金属酸化物、金属水和物及び樹脂から選ばれる少なくとも1種を含んでなる被覆層をさらに有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合金属顔料組成物。
- 下記1)~3)の工程を有する複合金属顔料組成物の製造方法であって、
1)金属粒子を溶剤に分散させる工程
2)前記金属粒子を酸化金属で被覆する工程
3)工程2)で得られた金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を、洗浄、ろ過、及び溶剤揮発する工程
工程3)における溶剤が、互いに相溶性があり、且つ、沸点が10℃以上異なる2種類以上の溶剤の混合溶剤であり、
工程3)における溶剤揮発が、前記複合粒子と前記溶剤とを含むスラリーの状態で行われる、上記製造方法。 - 下記1)~3)の工程を有する複合金属顔料組成物の製造方法であって、
1)金属粒子を溶剤に分散させる工程
2)前記金属粒子を酸化金属で被覆する工程
3)工程2)で得られた金属粒子及びその表面上に形成された酸化金属被覆を有する複合粒子を、洗浄、ろ過、及び溶剤揮発する工程
工程3)における溶剤揮発を3段階以上に分けて実施する、上記製造方法。 - 工程3)における溶剤揮発の際の、前記溶剤の水分率が10質量%以下である、請求項8又は9に記載の製造方法。
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