JP2022161526A - 改変糸状菌、及びそれを用いたタンパク質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンパク質生産性が向上した改変糸状菌、及び該改変糸状菌を用いたタンパク質の製造方法の提供。
【解決手段】ACE3改変体を発現し、該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの実質的に全部を欠損した改変体である改変糸状菌。該改変糸状菌を培養することを含むタンパク質の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】ACE3改変体を発現し、該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの実質的に全部を欠損した改変体である改変糸状菌。該改変糸状菌を培養することを含むタンパク質の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、改変糸状菌、及びそれを用いたタンパク質の製造方法に関する。
糸状菌は、多種のセルラーゼ及びヘミセルラーゼを生産する、植物性多糖の分解菌である。なかでも、トリコデルマ(Trichoderma)は、セルラーゼとヘミセルラーゼを同時に、かつ大量に生産することが可能であることから、セルラーゼ系バイオマス分解酵素の製造のための微生物として注目されている。
工業的な微生物培養のための炭素源は、安価かつ可溶性であることが望ましい。従来、微生物の培養における炭素源としてはグルコースが汎用されている。一方で、微生物による酵素などのタンパク質の生産には誘導性物質が必要なことがある。例えば、微生物によるセルラーゼ生産には、一般的に誘導性物質が必須である。トリコデルマにおいて、主要なセルラーゼ遺伝子cbh1、cbh2、egl1、egl2などの発現は、セルロースやセロビオースなどの誘導性物質により誘導される(非特許文献1)。誘導性物質を用いない場合、例えばグルコースのみを単一炭素源として用いた場合には、一般的にトリコデルマにおいて糖化酵素はほとんど生産されない。
誘導性物質を用いた微生物学的タンパク質生産法としては、微結晶性セルロースであるアビセルを用いたセルラーゼ生産法が知られており、また、セルロースを用いずに可溶性のラクトースを用いたセルラーゼ生産法(特許文献1)、トリコデルマ由来のセルラーゼ(βグルコシダーゼ、エンドグルカナーゼ、セロビオハイドロラーゼを含む)とグルコースを高温で反応させることで、グルコースからソホロース、ゲンチオビオースなどの誘導性の糖を合成し、セルラーゼ生産を誘導する方法(特許文献2)が開示されている。しかしながら、セルロース基質は高価であり、また多くは不溶性であるため工業プロセスに負荷をかけることから、工業用途への使用はコスト的に及び設備の面で困難である。また、他の誘導性の糖を用いたセルラーゼ生産もなお、コストやプロセス負荷の面でデメリットを抱える。
そこで、転写制御因子の改変による、誘導性物質を利用せずともセルラーゼ及びキシラナーゼの発現が可能な微生物の作出に向け、セルラーゼ発現機構の解析が進められている。トリコデルマのセルラーゼ誘導発現に関与する正の転写因子としてXYR1、ACE2、ACE3、HAP2/3/5などが報告されている(非特許文献2)。ACE3は、主要セルラーゼであるcbh1などのプロモーターの制御を行う転写因子である。ACE3は、N末端側のアミノ酸120~160番目にあるZn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)を介してプロモーターに結合する(非特許文献3)。また非特許文献3には、ACE3とXYR1が相互作用してトリコデルマ・リーセイのセルラーゼ遺伝子発現を調節することが示唆されている。
特許文献3及び非特許文献4には、トリコデルマ・リーセイにおいて、tre77513(ACE3)遺伝子の発現を増加及び減少させることで、そのセルラーゼ等の生産性を増加及び低下させる方法が開示されている。特許文献4及び非特許文献5には、N側のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの6個のシステインを全て保持し且つC末端に7アミノ酸~17アミノ酸の欠損のある改変ACE3を向上発現する糸状菌が、誘導性物質非存在下でもセルラーゼ発現を向上させたことが報告されている。非特許文献5にはまた、該C末端欠損ACE3を向上発現し、さらにXYR1の野生型又はA824V変異体を共発現する糸状菌が記載されている。ただしこの糸状菌における当該XYR1の共発現によるセルラーゼ発現に対する効果は、誘導性物質存在下では僅かに観察されたものの、誘導性物質非存在下では観察されていない。
非特許文献6には、XYR1のA824V変異を有するトリコデルマでキシラナーゼの脱制御が起こり、セルラーゼ生産が増加することが報告されている。非特許文献7には、トリコデルマ株においてXYR1のV821F変異にACE2の向上発現を組み合わせることで、グルコースやスクロースを炭素源とする培地でのタンパク質生産性が向上したことが報告されている。
Curr Genomics, 2013, 14:230-249
BMC Genomics, 2015, 16:326
J Biol Chem, 2019, doi:10.1074/jbc.RA119.008497
Biotech Biofuels, 2014, 7:14
Biotech Biofuels, 2020, 13:137
Biotech Biofuels, 2013, 6:62
Biotech Biofuels, 2017, 10:30
本発明は、改変糸状菌及びその製造方法、ならびに当該改変糸状菌を用いたタンパク質の製造方法を提供することに関する。
本発明者は、Zn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(以下の本明細書において、単に「DBD」とも呼ぶ)を欠損したACE3改変体(variant)を発現する改変糸状菌が、セルラーゼ、ヘミセルラーゼの生産に従来必須であった誘導性物質を用いることなく、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等のタンパク質を高生産することを見出した。
したがって、本発明は、改変糸状菌であって、
ACE3改変体を発現し、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの実質的に全部を欠損した改変体である、
改変糸状菌を提供する。
また本発明は、前記改変糸状菌を培養することを含む、タンパク質の製造方法を提供する。
また本発明は、改変糸状菌の製造方法であって、
親糸状菌を、ACE3改変体を発現させるように改変することを含み、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの実質的に全部を欠損した改変体である、
方法を提供する。
ACE3改変体を発現し、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの実質的に全部を欠損した改変体である、
改変糸状菌を提供する。
また本発明は、前記改変糸状菌を培養することを含む、タンパク質の製造方法を提供する。
また本発明は、改変糸状菌の製造方法であって、
親糸状菌を、ACE3改変体を発現させるように改変することを含み、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの実質的に全部を欠損した改変体である、
方法を提供する。
本発明により提供される改変糸状菌は、グルコース等のセルラーゼ非誘導性炭素源を主要な炭素源とする環境下でも効率よくタンパク質を生産することができる。また当該糸状菌は、高価なセルラーゼ誘導性物質を使用しなくとも、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等のタンパク質を効率的に生産することができる。本発明によれば、糸状菌を用いたタンパク質生産の効率化及びコスト低下が可能である。
本明細書中で引用された全ての特許文献、非特許文献、及びその他の刊行物は、その全体が本明細書中において参考として援用される。
本明細書において、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列の同一性はLipman-Pearson法(Science,1985,227:1435-1441)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本明細書において、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列に関する「少なくとも90%の同一性」とは、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、さらに好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性をいう。
本明細書において、別途定義されない限り、アミノ酸配列及びヌクレオチド配列におけるアミノ酸及びヌクレオチドの欠失、置換、付加又は挿入に関して使用される「1又は数個」とは、例えば1~20個、好ましくは1~16個、より好ましくは1~12個、さらに好ましくは1~8個、さらに好ましくは1~4個を意味し得る。本明細書において、アミノ酸又はヌクレオチドの「付加」には、配列の一末端及び両末端への1又は数個のアミノ酸又はヌクレオチドの付加が含まれる。また本明細書において、アミノ酸又はヌクレオチドの「挿入」には、所定の位置の5’側又は3’側へのアミノ酸又はヌクレオチドの挿入が含まれる。
本明細書において、アミノ酸配列又はヌクレオチド配列上の「相当する位置」又は「相当する領域」は、目的配列と参照配列(例えば、配列番号1のアミノ酸配列)とを、最大の相同性を与えるように整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アミノ酸配列またはヌクレオチド配列のアラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic Acids Res.22:4673-4680)をデフォルト設定で用いることにより、行うことができる。Clustal Wは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/searches-j.html])のウェブサイト上で利用することができる。上述のアラインメントにより参照配列の任意の位置にアラインされた目的配列の位置は、当該任意の位置に「相当する位置」とみなされる。また、相当する位置により挟まれた領域、または相当するモチーフからなる領域は、相当する領域とみなされる。
当業者であれば、上記で得られたアミノ酸配列のアラインメントを、最適化するようにさらに微調整することができる。そのような最適アラインメントは、アミノ酸配列の類似性や挿入されるギャップの頻度等を考慮して決定するのが好ましい。ここでアミノ酸配列の類似性とは、2つのアミノ酸配列をアラインメントしたときにその両方の配列に同一又は類似のアミノ酸が存在する位置の数の全長アミノ酸数に対する割合(%)をいう。類似のアミノ酸とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸のうち、極性や電荷の点で互いに類似した性質を有しており、いわゆる保存的置換を生じるようなアミノ酸を意味する。そのような類似のアミノ酸からなるグループは当業者にはよく知られており、例えば、アルギニンとリシン;グルタミン酸とアスパラギン酸;セリンとトレオニン;グルタミンとアスパラギン;ロイシンとイソロイシン等がそれぞれ挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、「アミノ酸」とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リシン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)を意味する。
本明細書において、プロモーター等の制御領域と遺伝子の「作動可能な連結」とは、遺伝子と制御領域とが、該遺伝子が該制御領域の制御の下で発現し得るように連結されていることをいう。遺伝子と制御領域との「作動可能な連結」の手順は当業者に周知である。
本明細書において、遺伝子に関する「上流」及び「下流」とは、該遺伝子の転写方向の上流及び下流をいう。例えば、「プロモーターの下流に配置された遺伝子」とは、DNAセンス鎖においてプロモーターの3’側に該遺伝子が存在することを意味し、遺伝子の上流とは、DNAセンス鎖における該遺伝子の5’側の領域を意味する。
本明細書において、細胞の機能や性状、形質に対して使用する用語「本来」及び「ネイティブ」とは、当該機能や性状、形質が当該細胞に元から存在していることを表すために使用される。対照的に、用語「外来」とは、当該細胞に元から存在するのではなく、外部から導入された機能や性状、形質を表すために使用される。例えば、「外来」遺伝子又はポリヌクレオチドとは、細胞に外部から導入された遺伝子又はポリヌクレオチドである。外来遺伝子又はポリヌクレオチドは、それが導入された細胞と同種の生物由来であっても、異種の生物由来(すなわち異種遺伝子又はポリヌクレオチド)であってもよい。
本発明は、糸状菌のタンパク質生産性を向上させることに関する。従来、糸状菌をグルコース存在下で培養すると、カタボライト抑制によりタンパク質生産が抑制されることがあった。特に、糸状菌におけるセルラーゼ、ヘミセルラーゼ等のセルラーゼ系バイオマス分解酵素の発現は、通常、セルロース、ソホロース、セロオリゴ糖(セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、セロヘキサオース等)などのセルラーゼ誘導性物質により誘導される必要があり、一方、グルコース存在下では発現誘導が抑制される。
糸状菌における該誘導性物質によるセルラーゼ系バイオマス分解酵素の誘導発現は、XYR1、Cre1、ACE1、ACE2、ACE3、HAP2/3/5などの多くの転写因子により制御されている。ACE3は、糸状菌におけるセルラーゼ及びヘミセルラーゼの転写活性化因子である。ACE3は、ラクトース誘導時のセルラーゼ遺伝子、及び一部のキシラナーゼ遺伝子の転写に必須である。またACE3は、xyr1遺伝子の転写制御にも部分的に関与する。トリコデルマ・リーセイのACE3は、ncbiデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/])において、NCBI Reference Sequence:QEM24913.1として登録されており、ここでACE3は、配列番号1のアミノ酸配列からなり、配列番号6のヌクレオチド配列にコードされるポリペプチドとして規定されている。また、NCBI Reference Sequence: XP_006966092.1 [www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/XP_006966092.1]によれば、配列番号1のアミノ酸配列のうち、523~734位はXYR1と相互作用すると推定されている領域であり、391~522位は糸状菌特異的転写因子ドメインと推定されている領域であり、120~160位はZn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)と推定されている領域である。DBDをコードする遺伝子は、イントロンによって2つの領域に分けられている。その一方(Exon2)は、DBDのN側の2つのCysを含む領域(C2)をコードし、もう一方(Exon3)は、残り4つのCysを含む領域(C4)をコードする。他のトリコデルマ属菌にも同等の構造を有するACE3が存在する。
ACE3のC末端アミノ酸の欠損が、糸状菌における誘導性物質なしでのタンパク質生産を可能にすることが報告されている(非特許文献5)。ただし、非特許文献5には、このC末端欠損による効果が、DBDのC2の欠損によって消失したことが開示されている。
これに対し、本発明者は、DBDのC2だけでなくC4も欠損したACE3改変体が、糸状菌に誘導性物質なしでセルラーゼ及びヘミセルラーゼを発現させる能力を与え、かつ該糸状菌がグルコース等のセルラーゼ非誘導性炭素源の存在下でセルラーゼ及びヘミセルラーゼ等のタンパク質を高発現することを可能にすることを見出した。さらに、このACE3におけるC2及びC4の欠損は、C末端欠損と組み合わせると、タンパク質生産性を相乗的に向上させる。
したがって、一態様において本発明は、DBDの実質的に全部を欠損したACE3改変体を発現する改変糸状菌、及び該改変糸状菌の製造方法を提供する。本発明の改変糸状菌は、親糸状菌を、該DBDの実質的に全部を欠損したACE3改変体を発現させるように改変することによって製造することができる。製造された本発明の改変糸状菌は、該DBDの実質的に全部を欠損したACE3改変体を発現する。
ACE3のDBDは、ACE3のアミノ酸配列のN末端側、具体的には配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域に位置し、このうち120~131位がC2であり、132~160位がC4である。本明細書において、「DBDの実質的に全部の欠損」とは、DBDがC2の一部又は全部の欠損とC4の一部又は全部の欠損とを有することをいい、好ましくは、DBDがC2の全部とC4の一部又は全部を欠損していることをいう。ここで、「C4の一部」とは、好ましくは、C4中の少なくとも2つのCysを含む領域をいい、より好ましくは、C4中の少なくとも3つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、C4中の4つのCysを含む領域、例えば配列番号1の132~151位アミノ酸に相当する領域をいう。本明細書における「DBDの実質的に全部の欠損」の例としては、DBDのアミノ酸配列の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が欠損しており、かつDBD中の6つのCysが欠損している状態が挙げられる。
本発明の改変糸状菌の親糸状菌とは、上記DBDの実質的に全部を欠損したACE3改変体を発現させる改変を受けて、本発明の改変糸状菌へと調製される糸状菌である。該親糸状菌は、本来的にACE3を発現するものであることが好ましい。例えば、該親糸状菌は、好ましくは、DBDの全部を有する、ネイティブなACE3又はその改変体を発現する。より好ましくは、該親糸状菌は、DBDの全部を有する、ネイティブなACE3又はその改変体を発現し、かつセルラーゼ活性を有する菌である。
本発明で用いられる親糸状菌の例としては、限定ではないが、真菌門(Eumycota)及び卵菌門(Oomycota)に属する糸状菌が挙げられる。より詳細な例としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アルペルギルス(Aspergillus)属、ペニシリウム(Penicillium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、フサリウム(Fusarium)属、クリソスポリウム(Chrysosporium)属、フミコーラ(Humicola)属、エメリセラ(Emericella)属、ハイポクレア(Hypocrea)属、アクレモニウム(Acremonium)属、クリソスポリウム(Chrysosporium)属、ミセリオフトラ(Myceliophthora)属、ピロマイセス(Piromyces)属、タラロマイセス(Talaromyces)属、サーモアスカス(Thermoascus)属、チエラビア(Thielavia)属等の糸状菌が挙げられる。このうち、トリコデルマ属の糸状菌が好ましい。
該トリコデルマ属の糸状菌(以下、トリコデルマ属菌とも呼ぶ)の例としては、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ・ロンジブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・ハリジアウム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ヴィリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ・アトロヴィリデ(Trichoderma atroviride)、等が挙げられ、好ましくはトリコデルマ・リーセイ及びその変異株が挙げられる。例えば、トリコデルマ・リーセイQM9414株及びその変異株、好ましくは、トリコデルマ・リーセイPC-3-7株(ATCC66589)、トリコデルマ・リーセイPCD-10株(FERM P-8172)、トリコデルマ・リーセイE1AB1株(以下、JN13株という場合もある)又はそれらの変異株などを、親糸状菌として好ましく用いることができる。E1AB1株は、トリコデルマ・リーセイPC-3-7株に対し、egl1プロモーターを用いてアスペルギルス・アキュリータス(Aspergillus aculeatus)由来のβ―グルコシダーゼ(BGL)を発現させた株である(Enzyme and Microbial Technology (2016) 82:89-95、及びWO2013/115305の実施例1~3を参照)。
本発明の改変糸状菌が発現するACE3改変体は、親ACE3を、DBDの実質的に全部を欠損するように改変することで得ることができる。該親ACE3は、DBDの一部又は全部を有する、ネイティブなACE3又はその改変体などであり得る。好ましくは、該親ACE3は、少なくともDBDのC4を有する、ネイティブなACE3又はその改変体などであり得る。好ましくは、該親ACE3は、トリコデルマ属菌由来のACE3又はその改変体である。該トリコデルマ属菌の例としては、上述したものを挙げることができるが、好ましくは、トリコデルマ・リーセイ、トリコデルマ・ハリジアウム、及びトリコデルマ・アトロヴィリデが挙げられる。
該親ACE3の好ましい例としては、配列番号1~4のアミノ酸配列からなるACE3又はその改変体が挙げられる。配列番号1は、トリコデルマ・リーセイの全長ACE3のアミノ酸配列を表す。配列番号2は、トリコデルマ・リーセイのDBD部分(C2)欠損ACE3改変体のアミノ酸配列を表す。配列番号3は、トリコデルマ・アトロヴィリデのDBD部分(C2)欠損ACE3改変体のアミノ酸配列を表す。配列番号4は、トリコデルマ・ハリジアウムのDBD部分(C2)欠損ACE3改変体のアミノ酸配列を表す。
該親ACE3の別の好ましい例としては、配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。該親ACE3の別の好ましい例としては、配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列に対して1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。これらの親ACE3のポリペプチドは、ネイティブACE3(例えば配列番号1)のDBDの一部又は全部に相当する配列を有しており、好ましくはネイティブACE3のように、セルラーゼ及びヘミセルラーゼの転写活性化因子として機能し得る。
本発明の改変糸状菌が発現するACE3改変体は、DBDの実質的に全部を欠損している。好ましくは、該ACE3改変体は、少なくとも配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域を欠損している。さらに、該ACE3改変体は、DBDよりもN末端側の領域や、DBDよりもC末端側の領域が欠損していてもよい。一実施形態において、該ACE3改変体は、配列番号1の120~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している。一実施形態において、該ACE3改変体は、配列番号1の1~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している。一実施形態において、該ACE3改変体は、配列番号1の1~160位アミノ酸に相当する領域を欠損している。一実施形態において、該ACE3改変体は、配列番号1の1~200位アミノ酸に相当する領域を欠損している。一実施形態において、該ACE3改変体は、配列番号1の1~240位アミノ酸に相当する領域を欠損している。
該ACE3改変体は、上記のDBD欠損に加えて、C末端領域が欠損していてもよい。C末端領域欠損の例としては、非特許文献5に開示されるタンパク質生産性向上をもたらす欠損である、C末端の7アミノ酸~17アミノ酸の欠損が挙げられる。一実施形態において、該ACE3改変体は、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の少なくとも7アミノ酸(728位~C末端)~最大17アミノ酸(718位~C末端)に相当する領域が欠損していてもよい。一実施形態において、該ACE3改変体は、配列番号1の-7~-17位(718~728位)アミノ酸に相当するアミノ酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸が欠損していてもよい。一実施形態において、該ACE3改変体は、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の11アミノ酸(724位~C末端)に相当する領域が欠損していてもよい。一実施形態において、該ACE3改変体は、親ACE3に対してC末端の欠失を有さない。
好ましくは、該ACE3改変体において、上述したDBDを含む領域、及びC末端領域以外のアミノ酸は維持されている。
好ましい例において、該ACE3改変体は、少なくとも配列番号1の280~701位アミノ酸に相当する領域を有する。より好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の280~717位アミノ酸に相当する領域を有する。より好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の280~723位アミノ酸に相当する領域を有する。該ACE3改変体は、配列番号1の280~727位アミノ酸に相当する領域を有していてもよい。
より好ましい例において、該ACE3改変体は、配列番号1の260~701位アミノ酸に相当する領域を有する。さらに好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の260~717位アミノ酸に相当する領域を有する。さらに好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の260~723位アミノ酸に相当する領域を有する。該ACE3改変体は、配列番号1の260~727位アミノ酸に相当する領域を有していてもよい。
さらに好ましい例において、該ACE3改変体は、配列番号1の250~701位アミノ酸に相当する領域を有する。さらに好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の250~717位アミノ酸に相当する領域を有する。さらに好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の250~723位アミノ酸に相当する領域を有する。該ACE3改変体は、配列番号1の250~727位アミノ酸に相当する領域を有していてもよい。
さらに好ましい例において、、該ACE3改変体は、配列番号1の241~701位アミノ酸に相当する領域を有する。さらにより好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の241~717位アミノ酸に相当する領域を有する。なお好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の241~723位アミノ酸に相当する領域を有する。該ACE3改変体は、配列番号1の241~727位アミノ酸に相当する領域を有していてもよい。
好ましくは、上記に挙げた配列番号1の各アミノ酸領域に相当する領域は、それぞれ、当該配列番号1の各アミノ酸領域に対して少なくとも90%配列同一であるか又は100%配列同一である。
好ましい例において、該ACE3改変体は、少なくとも配列番号1の280~701位アミノ酸に相当する領域を有する。より好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の280~717位アミノ酸に相当する領域を有する。より好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の280~723位アミノ酸に相当する領域を有する。該ACE3改変体は、配列番号1の280~727位アミノ酸に相当する領域を有していてもよい。
より好ましい例において、該ACE3改変体は、配列番号1の260~701位アミノ酸に相当する領域を有する。さらに好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の260~717位アミノ酸に相当する領域を有する。さらに好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の260~723位アミノ酸に相当する領域を有する。該ACE3改変体は、配列番号1の260~727位アミノ酸に相当する領域を有していてもよい。
さらに好ましい例において、該ACE3改変体は、配列番号1の250~701位アミノ酸に相当する領域を有する。さらに好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の250~717位アミノ酸に相当する領域を有する。さらに好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の250~723位アミノ酸に相当する領域を有する。該ACE3改変体は、配列番号1の250~727位アミノ酸に相当する領域を有していてもよい。
さらに好ましい例において、、該ACE3改変体は、配列番号1の241~701位アミノ酸に相当する領域を有する。さらにより好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の241~717位アミノ酸に相当する領域を有する。なお好ましくは、該ACE3改変体は、配列番号1の241~723位アミノ酸に相当する領域を有する。該ACE3改変体は、配列番号1の241~727位アミノ酸に相当する領域を有していてもよい。
好ましくは、上記に挙げた配列番号1の各アミノ酸領域に相当する領域は、それぞれ、当該配列番号1の各アミノ酸領域に対して少なくとも90%配列同一であるか又は100%配列同一である。
あるいは、C末端領域の欠損がない場合、該ACE3改変体は、好ましくは配列番号1の280~734位アミノ酸に相当する領域を有し、より好ましくは配列番号1の260~734位アミノ酸に相当する領域を有し、さらに好ましくは配列番号1の250~734位アミノ酸に相当する領域を有し、さらに好ましくは配列番号1の241~734位アミノ酸に相当する領域を有する。好ましくは、上記に挙げた配列番号1の各アミノ酸領域に相当する領域は、それぞれ、当該配列番号1の各アミノ酸領域に対して少なくとも90%配列同一であるか又は100%配列同一である。
前述したDBDの実質的に全部、さらに必要に応じてC末端領域を欠損したACE3改変体(以下、目的のACE3改変体ともいう)を発現させるように親糸状菌を改変する手段としては、例えば、目的のACE3改変体をコードする外来の遺伝子を、親糸状菌に導入して発現させる方法、親糸状菌が本来有するACE3をコードする遺伝子を、目的のACE3改変体をコードする遺伝子へと変異させる方法、が挙げられる。
目的のACE3改変体をコードする遺伝子(目的遺伝子)は、遺伝子工学的に、又は化学的に合成することができる。例えば、トリコデルマ属菌などの糸状菌のゲノムDNAから親ACE3をコードする遺伝子(親遺伝子)のDNAを単離し、次いでDBDをコードする領域の一部又は全部、さらに必要に応じてC末端領域をコードする部位を欠失させることで、目的遺伝子を調製することができる。親遺伝子の例としては、配列番号6~9のヌクレオチド配列又はこれと少なくとも90%配列同一な配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。あるいは、公知の配列情報に基づいて、DBDをコードする領域の一部又は全部や、さらにC末端領域をコードする部位が欠失した目的遺伝子を化学合成することができる。ACE3の配列情報は、ncbiデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/])などから入手可能である。必要に応じて、目的遺伝子は、それを導入する宿主(親糸状菌)にあわせてコドン至適化されてもよい。各種生物が使用するコドンの情報は、Codon Usage Database([www.kazusa.or.jp/codon/])から入手可能である。
目的のACE3改変体をコードする外来遺伝子を親糸状菌に導入する方法としては、例えば、組換えを利用した方法、及び、発現ベクターを用いる方法を挙げることができる。例えば、親糸状菌のゲノムの所与の領域を、相同組換え又は非相同組換えによって目的遺伝子と置き換えることができる。糸状菌用の発現ベクターの例としては、酵母発現ベクターpNAN8142(Biosci Biotechnol Biochem,1996,60:383-389)、pMA91(Biosci Biotechnol Biochem,1998,62:1615-1618)などが挙げられる。
親糸状菌のACE3をコードする遺伝子を変異させる方法としては、例えば、組換えを利用した方法を挙げることができる。例えば、親糸状菌のゲノム中の親遺伝子を、相同組換え又は非相同組換えによって、目的のACE3改変体をコードする遺伝子(目的遺伝子)と置き換えることができる。あるいは、ゲノム中の親遺伝子のDBDコード領域を相同組換え又は非相同組換えによってDBD欠失断片と置き換えることで、親遺伝子を目的遺伝子へと変異させてもよい。
組換えの具体的な方法の例では、まず、目的遺伝子又はDBD欠失断片、及び必要に応じて薬剤耐性遺伝子又は栄養要求遺伝子を含む組換え用DNAコンストラクトを構築し、これを常法により親糸状菌に導入する。次いで、薬剤耐性又は栄養要求性などを指標にして、ゲノム上に該組換え用コンストラクトが組込まれた形質転換株を選択する。必要に応じて、ゲノム解析や酵素活性解析により、得られた形質転換株が目的の変異を有することを確認してもよい。
DNAコンストラクトの親糸状菌への導入には、プラスミド等の形質転換に一般的に使用されるベクターを用いることができる。細胞へのDNAコンストラクトやベクターの導入は、例えばプロトプラスト法、プロトプラストPEG法、コンピテントセル法などの通常の手法を用いることができる。DNAコンストラクトの導入用のベクターとしては、宿主細胞内で安定に保持され増殖が可能なものであれば、特に限定されず、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、YAC、BACなどの通常用いられるベクターが挙げられる。このうち、プラスミドベクターが好ましい。導入用ベクターの例としては、pUC118などが挙げられる。
好ましい実施形態において、本発明の改変糸状菌は、目的のACE3改変体を高発現する。親糸状菌に対して、目的のACE3改変体の発現を向上させるような改変をさらに行うことで、目的のACE3改変体を高発現する改変糸状菌を得ることができる。該ACE3改変体の発現を向上させる手段としては、該ACE3改変体をコードする遺伝子(目的遺伝子)の転写量を向上させる手段が挙げられる。目的遺伝子の転写量を向上させる手段としては、例えば、親糸状菌のゲノム上の目的遺伝子の制御領域に、該遺伝子の転写を強く促進する制御領域(強制御領域)を置換又は挿入して、該強制御領域を目的遺伝子と作動可能に連結させることが挙げられる。あるいは、必要に応じて制御領域(好ましくは強制御領域)と作動可能に連結された目的遺伝子断片を、親糸状菌のゲノムもしくはプラスミド中に導入して細胞内で発現可能な目的遺伝子の数を増加させることで、目的遺伝子の転写量を向上させることができる。
該転写量の向上のために用いることができる制御領域の例としては、高グルコース条件下においても転写量が低下しない遺伝子、例えばトリコデルマ属菌については、glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(gpd)、pyruvate decarboxylase(pdc)、enolase(eno)、alcohol dehydrogenase(adh)、triose phosphate isomerase(tpi)、aldolase(fba)、pyruvate kinase(pyk)、citrate synthase(cit)、α-ketoglutarate dehydrogenase(kdh)、aldehyde dehydrogenase I(ald1)、aldehyde dehydrogenase II(ald2)、pyruvate dehydrogenase(pda)、glucokinase(glk)、actin(act1)、translation elongation factor 1α(tef1)、などの遺伝子の制御領域が挙げられる。このうち、好ましい強制御領域の例としては、pdc遺伝子(TRIREDRAFT_121534)のプロモーター、act1遺伝子(TRIREDRAFT_44504)のプロモーターなどが挙げられる。
好ましくは、本発明の改変糸状菌における目的のACE3改変体の発現量は、親糸状菌におけるACE3の発現量と比較して向上している。目的のACE3改変体の発現量は、定量PCR、マイクロアレイ、ウェスタンブロッティング、ELISA、HPLC等の公知の手段により、タンパク質の量又はそれをコードする遺伝子の転写量として定量することができる。
好ましくは、さらに本発明の改変糸状菌は、XYR1(Xylanase regulator 1)を発現する。より好ましくは、本発明の改変糸状菌は、XYR1を高発現するように改変されている。XYR1は、糸状菌におけるセルラーゼ及びヘミセルラーゼの転写活性化因子である。XYR1は、Zn(II)2Cys6 binuclear cluster domainを持つキシラナーゼ遺伝子発現制御の主要因子で、トリコデルマ属(XYR1)、フサリウム属(XYR1)、ニューロスポラ属(XYR1)、アルペルギルス属(XLNR)などの酵母を除く子嚢菌に広く保存されている。トリコデルマ・リーセイのXYR1は、キシラナーゼ・キシロース代謝遺伝子、セルラーゼ遺伝子の全てを統御する。トリコデルマ・リーセイのXYR1は、ncbiデータベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/])において、NCBI Reference Sequence:XP_006966092.1として登録されており、これは、配列番号10のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにコードされる、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
本発明の改変糸状菌が高発現するXYR1の例としては、配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。該XYR1の別の例としては、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び、配列番号5のアミノ酸配列に対して1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。これらのポリペプチドは、セルラーゼ及びヘミセルラーゼの転写活性化因子として機能し得る。
本発明の改変糸状菌が高発現するXYR1は、変異XYR1であってもよい。該変異XYR1の好ましい例としては、配列番号5のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるXYR1のポリペプチド(親XYR1)に対して、配列番号5の810~833位に相当する領域における少なくとも1つのアミノ酸が変異(すなわち置換、欠失、挿入又は付加)した変異XYR1が挙げられる。このような変異XYR1としては、PCT/JP2020/042489に開示される変異XYR1が挙げられる。
好ましくは、該変異XYR1は、親XYR1に対して、配列番号5の817位、821位、824位、825位及び826位に相当する位置におけるアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸が置換されている。
より好ましくは、該変異XYR1は、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなり、かつ以下からなる群より選択されるいずれか1つ以上のアミノ酸を有する:
配列番号5の817位に相当する位置におけるTyr;
配列番号5の821位に相当する位置におけるLys、Phe、Trp又はTyr、好ましくはPhe;
配列番号5の824位に相当する位置におけるVal、Glu、Ile、Leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyr、好ましくはVal;
配列番号5の825位に相当する位置におけるTyr;
配列番号5の826位に相当する位置におけるVal、Ile、Leu、Phe、Trp又はTyr;
配列番号5の817位に相当する位置におけるTyr;
配列番号5の821位に相当する位置におけるLys、Phe、Trp又はTyr、好ましくはPhe;
配列番号5の824位に相当する位置におけるVal、Glu、Ile、Leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyr、好ましくはVal;
配列番号5の825位に相当する位置におけるTyr;
配列番号5の826位に相当する位置におけるVal、Ile、Leu、Phe、Trp又はTyr;
より好ましくは、該変異XYR1は、親XYR1に対して、配列番号5の821位に相当する位置におけるValがPheに置換された変異体(V821F)であるか、又は配列番号5の824位に相当する位置におけるAlaがValに置換された変異体(A824V)である。
改変糸状菌においてXYR1を高発現させる手段としては、前述したACE3改変体の高発現の手段と同じ手段を用いることができる。例えば、強制御領域と作動可能に連結させたXYR1をコードする外来遺伝子を導入して該改変糸状菌中で発現させるか、又は親糸状菌が本来有するゲノム上のXYR1遺伝子と強制御領域を作動可能に連結させるか、又は改変糸状菌が発現可能なXYR1遺伝子の数を増加させることができる。
以上の手順で製造された本発明の改変糸状菌は、前述したDBDの実質的に全部を欠損したACE3改変体を発現する。このような本発明の改変糸状菌は、セルラーゼ誘導性物質の非存在下でのタンパク質生産性が向上している。該改変糸状菌は、グルコース等のセルラーゼ非誘導性炭素源を主要な炭素源とする環境下でも、例えばセルラーゼ誘導性物質の非存在下でさえ、効率よくタンパク質を生産することができる。さらに、該改変糸状菌は、セルロース、ソホロース及びセロオリゴ糖などのセルラーゼ誘導性物質の非存在下であっても、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ等のセルラーゼ系バイオマス分解酵素を発現することができる。
好ましい実施形態において、本発明の改変糸状菌は、該DBDの実質的に全部の欠損に加えて、前述したC末端領域の欠損を有するACE3改変体を発現する。該DBDの欠損にC末端領域の欠損を組み合わせることで、該改変糸状菌のタンパク質生産性は相乗的に向上する。
別の好ましい実施形態において、本発明の改変糸状菌は、該DBDの実質的に全部を欠損したACE3改変体の発現に加えて、前述したように、さらにXYR1を高発現する。該ACE3改変体とXYR1の発現を組み合わせることで、改変糸状菌に生産されたタンパク質におけるセルラーゼ含有量が増加し、効率的なセルラーゼ生産が可能となる。
より好ましい実施形態において、本発明の改変糸状菌は、前述したDBDの実質的に全部の欠損及びC末端領域の欠損を有するACE3改変体を発現し、さらにXYR1を高発現する。このような改変糸状菌は、タンパク質生産性の向上と、生産されたタンパク質におけるセルラーゼ含有量の増加をともに実現する。
したがって、さらなる一態様において、本発明は、前述した本発明の改変糸状菌を用いたタンパク質の製造方法を提供する。本発明によるタンパク質の製造方法においては、本発明の改変糸状菌を培養する。培養により、培養物中に目的のタンパク質が生成、及び蓄積される。該培養物から目的タンパク質を分離することにより、目的タンパク質を製造することができる。
製造される目的タンパク質の例としては、セルラーゼやヘミセルラーゼ等のセルラーゼ系バイオマス分解酵素、エキソグルカナーゼ、エンドグルカナーゼ、β-グルコシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、マンナーゼ、アラビナーゼ、ガラクターゼ、アミラーゼなどが挙げられるが、これらに限定されない。該目的タンパク質は、1種類のタンパク質であっても、複数種のタンパク質の混合物であってもよい。好ましくは、該目的タンパク質は、セルラーゼ系バイオマス分解酵素であり、より好ましくはセルラーゼ及び/又はヘミセルラーゼであり、さらに好ましくはセルラーゼ及びヘミセルラーゼである。該ヘミセルラーゼの例としては、キシラナーゼ、β-キシロシダーゼ、α-アラビノフラノシダーゼなどが挙げられ、このうちキシラナーゼが好ましい。
あるいは、該目的タンパク質は、糸状菌が本来生産しない異種タンパク質であってもよい。この場合は、本発明の改変糸状菌に対して、異種タンパク質をコードする遺伝子を挿入することで組換え糸状菌を作製し、この組換え糸状菌を培養することで異種タンパク質を含むタンパク質を得ることができる。さらに、該異種タンパク質をコードする遺伝子を糸状菌で機能する分泌シグナルペプチドと作動可能に連結させることによって、該異種タンパク質を培養物中に分泌生産させることができる。
当該タンパク質製造に使用される培地は、炭素源、窒素源、無機塩、ビタミンなど、通常の糸状菌の増殖及びタンパク質生産に必要な成分を含む限り、合成培地、天然培地のいずれでもよい。
炭素源としては、当該改変糸状菌が資化できる炭素源であればいずれでもよく、例えばグルコース、フラクトース等の糖質、ソルビトールのような糖アルコール、エタノール、グリセロールのようなアルコール類、酢酸のような有機酸類などを挙げることができる。これらは単独で、又は複数を組み合わせて使用することができる。
好ましくは、本発明によるタンパク質の製造方法では、セルラーゼ非誘導性炭素源を主要な炭素源とする環境下で該改変糸状菌を培養する。セルラーゼ非誘導性炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、マルトース、グリセロールなどが挙げられる。このうち、コストの点でグルコースが好ましい。製造する目的タンパク質がセルラーゼ系バイオマス分解酵素である場合、本方法での培養は、セルロース、ソホロース及びセロオリゴ糖などのセルラーゼ誘導性物質の存在下で行ってもよいが、該誘導性物質の非存在下でも該目的タンパク質の高生産が可能であり、該誘導性物質の使用又は不使用の場合に限定されない。また本発明においては、カタボライト抑制をより低減しつつ、効率よくセルラーゼ系バイオマス分解酵素などのタンパク質を生産するため、グルコースなどの非誘導性炭素源を流加しながら該改変糸状菌を培養してもよい。このとき、該セルラーゼ非誘導性炭素源、例えばグルコースを、窒素源であるアンモニア水、又はアンモニウム塩を含有する水溶液に溶解させ、該溶解液を流加して培養することが、培養効率や培養中の泡立ちを抑制できる点から好ましい。
窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、アミン等の窒素化合物、ペプトン、大豆加水分解物のような天然窒素源などをあげることができる。
無機塩としては、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、炭酸カリウムなどをあげることができる。
ビタミンとしては、ビオチンやチアミンなどをあげることができる。さらに必要に応じて本発明の改変糸状菌が生育に要求する物質を添加することができる。
培養は、好ましくは振とう培養や通気攪拌培養のような好気的条件で行う。培養温度は好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上であり、且つ好ましくは50℃以下、より好ましくは42℃以下、より好ましくは35℃以下である。また、好ましくは10~50℃、より好ましくは20~42℃、より好ましくは25~35℃である。培養時のpHは3~9、好ましくは4~5である。培養時間は、10時間~10日間、好ましくは2~7日間である。
培養後、得られた培養物から、常法により目的タンパク質を分離する。例えば、培養物を回収し、必要に応じて超音波や加圧等による菌体破砕処理を行い、ろ過、遠心分離、限外ろ過、塩析、透析、クロマトグラフィー等を適宜組み合わせることにより、該培養物から目的タンパク質を分離することができる。目的タンパク質の分離の程度は特に限定されない。例えば、培養上清やその粗分離精製物を、目的タンパク質を含む組成物として取得することができる。
本発明はまた、例示的実施形態として以下の物質、製造方法、用途、方法等を包含する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
〔1〕改変糸状菌であって、
ACE3改変体を発現し、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)の実質的に全部を欠損した改変体である、
改変糸状菌。
〔2〕好ましくは、前記ACE3が、配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドである、〔1〕記載の改変糸状菌。
〔3〕好ましくは、前記Zn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)が、配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域である、〔2〕記載の改変糸状菌。
〔4〕好ましくは、前記ACE3改変体は、以下の(1)~(4)のいずれかである:
(1)前記DBDにおけるC2の一部又は全部の欠損と、C4の一部又は全部の欠損とを有する、ここで該C2は、配列番号1の120~131位に相当する領域であり、該C4は、配列番号1の132~160位に相当する領域であり、かつ該C4の一部は、好ましくは、C4中の少なくとも2つのCysを含む領域をいい、より好ましくは、C4中の少なくとも3つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、C4中の4つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、配列番号1の132~151位アミノ酸に相当する領域をいう;
(2)配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域のアミノ酸配列の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が欠損しており、かつ該領域中の6つのCysが欠損している;
(3)配列番号1の120~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(4)配列番号1の1~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している、
あるいは、
より好ましくは、前記ACE3改変体は、以下の(5)~(7)のいずれかである:
(5)配列番号1の1~160位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(6)配列番号1の1~200位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(7)配列番号1の1~240位アミノ酸に相当する領域を欠損している、
〔2〕記載の改変糸状菌。
〔5〕前記ACE3改変体が、
好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の少なくとも7アミノ酸~最大17アミノ酸に相当する領域が欠損している、
好ましくは、配列番号1の-7~-17位アミノ酸に相当するアミノ酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸が欠損している、又は
より好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の11アミノ酸に相当する領域が欠損している、
〔2〕~〔4〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔6〕前記ACE3改変体が、
好ましくは、配列番号1の280~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~723位アミノ酸に相当する領域を有する、又は、
好ましくは、配列番号1の241~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
〔2〕~〔5〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔7〕好ましくは、前記ACE3改変体を発現する遺伝子が導入されている、請求項〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔8〕好ましくは、前記ACE3改変体を発現する遺伝子が、該遺伝子の転写を促進する制御領域と作動可能に連結されており、
好ましくは、該制御領域が、pdcプロモーター及びact1プロモーターからなる群より選択される、
〔7〕記載の改変糸状菌。
〔9〕前記糸状菌が、
好ましくは、トリコデルマ属であり、
より好ましくは、トリコデルマ・リーセイ又はその変異株である、
〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔10〕前記改変糸状菌が、好ましくはXYR1又は変異XYR1を発現し、より好ましくは変異XYR1を発現し、
好ましくは、該XYR1又は変異XYR1が、配列番号5のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
好ましくは、該変異XYR1は、配列番号5のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列に対して、配列番号5の810~833位に相当する領域における少なくとも1つのアミノ酸が変異しており、
より好ましくは、該変異XYR1は、配列番号5のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列に対して、配列番号5の817位、821位、824位、825位及び826位に相当する位置におけるアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸が置換されており、
さらに好ましくは、該変異XYR1は、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなり、かつ以下からなる群より選択されるいずれか1つ以上のアミノ酸を有する:
配列番号5の817位に相当する位置におけるTyr;
配列番号5の821位に相当する位置におけるLys、Phe、Trp又はTyr、好ましくはPhe;
配列番号5の824位に相当する位置におけるVal、Glu、Ile、Leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyr、好ましくはVal;
配列番号5の825位に相当する位置におけるTyr;
配列番号5の826位に相当する位置におけるVal、Ile、Leu、Phe、Trp又はTyr、
〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
ACE3改変体を発現し、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)の実質的に全部を欠損した改変体である、
改変糸状菌。
〔2〕好ましくは、前記ACE3が、配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドである、〔1〕記載の改変糸状菌。
〔3〕好ましくは、前記Zn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)が、配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域である、〔2〕記載の改変糸状菌。
〔4〕好ましくは、前記ACE3改変体は、以下の(1)~(4)のいずれかである:
(1)前記DBDにおけるC2の一部又は全部の欠損と、C4の一部又は全部の欠損とを有する、ここで該C2は、配列番号1の120~131位に相当する領域であり、該C4は、配列番号1の132~160位に相当する領域であり、かつ該C4の一部は、好ましくは、C4中の少なくとも2つのCysを含む領域をいい、より好ましくは、C4中の少なくとも3つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、C4中の4つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、配列番号1の132~151位アミノ酸に相当する領域をいう;
(2)配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域のアミノ酸配列の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が欠損しており、かつ該領域中の6つのCysが欠損している;
(3)配列番号1の120~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(4)配列番号1の1~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している、
あるいは、
より好ましくは、前記ACE3改変体は、以下の(5)~(7)のいずれかである:
(5)配列番号1の1~160位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(6)配列番号1の1~200位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(7)配列番号1の1~240位アミノ酸に相当する領域を欠損している、
〔2〕記載の改変糸状菌。
〔5〕前記ACE3改変体が、
好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の少なくとも7アミノ酸~最大17アミノ酸に相当する領域が欠損している、
好ましくは、配列番号1の-7~-17位アミノ酸に相当するアミノ酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸が欠損している、又は
より好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の11アミノ酸に相当する領域が欠損している、
〔2〕~〔4〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔6〕前記ACE3改変体が、
好ましくは、配列番号1の280~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~723位アミノ酸に相当する領域を有する、又は、
好ましくは、配列番号1の241~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
〔2〕~〔5〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔7〕好ましくは、前記ACE3改変体を発現する遺伝子が導入されている、請求項〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔8〕好ましくは、前記ACE3改変体を発現する遺伝子が、該遺伝子の転写を促進する制御領域と作動可能に連結されており、
好ましくは、該制御領域が、pdcプロモーター及びact1プロモーターからなる群より選択される、
〔7〕記載の改変糸状菌。
〔9〕前記糸状菌が、
好ましくは、トリコデルマ属であり、
より好ましくは、トリコデルマ・リーセイ又はその変異株である、
〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔10〕前記改変糸状菌が、好ましくはXYR1又は変異XYR1を発現し、より好ましくは変異XYR1を発現し、
好ましくは、該XYR1又は変異XYR1が、配列番号5のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、
好ましくは、該変異XYR1は、配列番号5のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列に対して、配列番号5の810~833位に相当する領域における少なくとも1つのアミノ酸が変異しており、
より好ましくは、該変異XYR1は、配列番号5のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列に対して、配列番号5の817位、821位、824位、825位及び826位に相当する位置におけるアミノ酸からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸が置換されており、
さらに好ましくは、該変異XYR1は、配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなり、かつ以下からなる群より選択されるいずれか1つ以上のアミノ酸を有する:
配列番号5の817位に相当する位置におけるTyr;
配列番号5の821位に相当する位置におけるLys、Phe、Trp又はTyr、好ましくはPhe;
配列番号5の824位に相当する位置におけるVal、Glu、Ile、Leu、Lys、Phe、Thr、Trp又はTyr、好ましくはVal;
配列番号5の825位に相当する位置におけるTyr;
配列番号5の826位に相当する位置におけるVal、Ile、Leu、Phe、Trp又はTyr、
〔1〕~〔9〕のいずれか1項記載の改変糸状菌。
〔11〕前記〔1〕~〔10〕のいずれか1項記載の改変糸状菌を培養することを含む、タンパク質の製造方法。
〔12〕好ましくは、前記タンパク質がセルラーゼ及び/又はヘミセルラーゼである、〔11〕記載の方法。
〔13〕好ましくは、前記培養がグルコース存在下で行われる、〔11〕又は〔12〕記載の方法。
〔14〕好ましくは、前記培養がセルラーゼ誘導性物質の非存在下で行われる、〔13〕記載の方法。
〔12〕好ましくは、前記タンパク質がセルラーゼ及び/又はヘミセルラーゼである、〔11〕記載の方法。
〔13〕好ましくは、前記培養がグルコース存在下で行われる、〔11〕又は〔12〕記載の方法。
〔14〕好ましくは、前記培養がセルラーゼ誘導性物質の非存在下で行われる、〔13〕記載の方法。
〔15〕改変糸状菌の製造方法であって、
親糸状菌を、ACE3改変体を発現させるように改変することを含み、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)の実質的に全部を欠損した改変体である、
方法。
〔16〕好ましくは、前記ACE3が、配列番号1のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドである、〔15〕記載の方法。
〔17〕好ましくは、前記Zn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)が、配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域である、〔16〕記載の方法。
〔18〕好ましくは、前記ACE3改変体は、以下の(1)~(4)のいずれかである:
(1)前記DBDにおけるC2の一部又は全部の欠損と、C4の一部又は全部の欠損とを有する、ここで該C2は、配列番号1の120~131位に相当する領域であり、該C4は、配列番号1の132~160位に相当する領域であり、かつ該C4の一部は、好ましくは、C4中の少なくとも2つのCysを含む領域をいい、より好ましくは、C4中の少なくとも3つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、C4中の4つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、配列番号1の132~151位アミノ酸に相当する領域をいう;
(2)配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域のアミノ酸配列の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が欠損しており、かつ該領域中の6つのCysが欠損している;
(3)配列番号1の120~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(4)配列番号1の1~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している、
あるいは、
より好ましくは、前記ACE3改変体は、以下の(5)~(7)のいずれかである:
(5)配列番号1の1~160位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(6)配列番号1の1~200位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(7)配列番号1の1~240位アミノ酸に相当する領域を欠損している、
〔16〕記載の方法。
〔19〕前記ACE3改変体が、
好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の少なくとも7アミノ酸~最大17アミノ酸に相当する領域が欠損している、
好ましくは、配列番号1の-7~-17位アミノ酸に相当するアミノ酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸が欠損している、又は
より好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の11アミノ酸に相当する領域が欠損している、
〔16〕~〔18〕のいずれか1項記載の方法。
〔20〕前記ACE3改変体が、
好ましくは、配列番号1の280~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~723位アミノ酸に相当する領域を有する、又は、
好ましくは、配列番号1の241~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
〔16〕~〔19〕のいずれか1項記載の方法。
〔21〕好ましくは、前記親糸状菌の改変が、前記ACE3改変体を発現する遺伝子を該親糸状菌に導入することを含む、〔15〕~〔20〕のいずれか1項記載の方法。
〔22〕好ましくは、前記ACE3改変体を発現する遺伝子が、該遺伝子の転写を促進する制御領域と作動可能に連結されており、
好ましくは、該制御領域が、pdcプロモーター及びact1プロモーターからなる群より選択される、
〔21〕記載の方法。
〔23〕前記糸状菌が、
好ましくは、トリコデルマ属であり、
より好ましくは、トリコデルマ・リーセイ又はその変異株である、
〔15〕~〔22〕のいずれか1項記載の方法。
親糸状菌を、ACE3改変体を発現させるように改変することを含み、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)の実質的に全部を欠損した改変体である、
方法。
〔16〕好ましくは、前記ACE3が、配列番号1のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドである、〔15〕記載の方法。
〔17〕好ましくは、前記Zn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)が、配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域である、〔16〕記載の方法。
〔18〕好ましくは、前記ACE3改変体は、以下の(1)~(4)のいずれかである:
(1)前記DBDにおけるC2の一部又は全部の欠損と、C4の一部又は全部の欠損とを有する、ここで該C2は、配列番号1の120~131位に相当する領域であり、該C4は、配列番号1の132~160位に相当する領域であり、かつ該C4の一部は、好ましくは、C4中の少なくとも2つのCysを含む領域をいい、より好ましくは、C4中の少なくとも3つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、C4中の4つのCysを含む領域をいい、さらに好ましくは、配列番号1の132~151位アミノ酸に相当する領域をいう;
(2)配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域のアミノ酸配列の80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が欠損しており、かつ該領域中の6つのCysが欠損している;
(3)配列番号1の120~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(4)配列番号1の1~151位アミノ酸に相当する領域を欠損している、
あるいは、
より好ましくは、前記ACE3改変体は、以下の(5)~(7)のいずれかである:
(5)配列番号1の1~160位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(6)配列番号1の1~200位アミノ酸に相当する領域を欠損している;
(7)配列番号1の1~240位アミノ酸に相当する領域を欠損している、
〔16〕記載の方法。
〔19〕前記ACE3改変体が、
好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の少なくとも7アミノ酸~最大17アミノ酸に相当する領域が欠損している、
好ましくは、配列番号1の-7~-17位アミノ酸に相当するアミノ酸からなる群より選択される1つ以上のアミノ酸が欠損している、又は
より好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の11アミノ酸に相当する領域が欠損している、
〔16〕~〔18〕のいずれか1項記載の方法。
〔20〕前記ACE3改変体が、
好ましくは、配列番号1の280~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の280~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の260~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~723位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の250~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~701位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~717位アミノ酸に相当する領域を有する、
好ましくは、配列番号1の241~723位アミノ酸に相当する領域を有する、又は、
好ましくは、配列番号1の241~727位アミノ酸に相当する領域を有する、
〔16〕~〔19〕のいずれか1項記載の方法。
〔21〕好ましくは、前記親糸状菌の改変が、前記ACE3改変体を発現する遺伝子を該親糸状菌に導入することを含む、〔15〕~〔20〕のいずれか1項記載の方法。
〔22〕好ましくは、前記ACE3改変体を発現する遺伝子が、該遺伝子の転写を促進する制御領域と作動可能に連結されており、
好ましくは、該制御領域が、pdcプロモーター及びact1プロモーターからなる群より選択される、
〔21〕記載の方法。
〔23〕前記糸状菌が、
好ましくは、トリコデルマ属であり、
より好ましくは、トリコデルマ・リーセイ又はその変異株である、
〔15〕~〔22〕のいずれか1項記載の方法。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1 遺伝子導入用プラスミドDNAの構築
トリコデルマ・リーセイ(T.reesei)のゲノムDNAを鋳型としたPCRにて、以下のDNA断片1~5を調製した。断片1:act1遺伝子(TRIREDRAFT_44504)の上流約1.5kbpのプロモーター領域、断片2:ACE3の全長ポリペプチド(配列番号1)をコードするポリヌクレオチド(配列番号6、約2.9kbp)、断片3:ACE3のDBD部分欠損ポリペプチド(配列番号2)をコードするポリヌクレオチド(配列番号7、約2.0kbp)、断片4:XYR1の全長ポリペプチド(配列番号5)をコードするポリヌクレオチド(配列番号10、約3.0kbp)、断片5:cbh1遺伝子(TRIREDRAFT_44504)の下流約0.6kbpのターミネーター領域、断片6:pyr4遺伝子(TRIREDRAFT_74020)の約2.7kbp領域。
トリコデルマ・リーセイ(T.reesei)のゲノムDNAを鋳型としたPCRにて、以下のDNA断片1~5を調製した。断片1:act1遺伝子(TRIREDRAFT_44504)の上流約1.5kbpのプロモーター領域、断片2:ACE3の全長ポリペプチド(配列番号1)をコードするポリヌクレオチド(配列番号6、約2.9kbp)、断片3:ACE3のDBD部分欠損ポリペプチド(配列番号2)をコードするポリヌクレオチド(配列番号7、約2.0kbp)、断片4:XYR1の全長ポリペプチド(配列番号5)をコードするポリヌクレオチド(配列番号10、約3.0kbp)、断片5:cbh1遺伝子(TRIREDRAFT_44504)の下流約0.6kbpのターミネーター領域、断片6:pyr4遺伝子(TRIREDRAFT_74020)の約2.7kbp領域。
断片1と2を結合してカセット1:Pact1-TrACE3(1-734)を構築した。断片1と3を結合してカセット2:Pact1-TrACE3(1-629)を構築した。断片1と4を結合してカセット3:Pact1-XYR1を構築した。断片6の上流及び下流に、それぞれ約0.5kbpの断片7と約1.0kbpの断片8を、ポップアウト用の相同配列として配置した形質転換マーカー断片を調製した。断片5と該形質転換マーカー断片とを結合して、カセット4:Tcbh1-pyr4を構築した。
pUC118(タカラバイオ)のHincII制限酵素切断点に、smiI制限酵素サイトを付与しながらrce1遺伝子(TRIREDRAFT_72611)の上流約1.5kbp領域(断片9)及び下流約1.4kbp領域(断片10)を挿入したものを構築し、カセット5:ΔRCE1とした。また、pUC118(タカラバイオ)のHincII制限酵素切断点に、smiI制限酵素サイトを付与しながらace1遺伝子(TRIREDRAFT_75418)の上流約1.6kbp領域(断片11)及び下流約1.2kbp領域(断片12)を挿入したものを構築し、カセット6:ΔACE1とした。
DNA断片の結合はIn-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)のプロトコルに従って実施した。構築したカセット及びそれに含まれるDNA断片、ならびにカセットの構築に用いたプライマーを表1に示す。
カセット5のrce1遺伝子上流領域と下流領域の間に、表2のプライマーを用いたPCRによりカセット1と4を結合したものを挿入し、全長ace3恒常発現プラスミドpUC-Pact1-TrACE3(1-734)を構築した(プラスミド1)。カセット5のrce1遺伝子上流領域と下流領域の間に、表2のプライマーを用いたPCRによりカセット2と4を結合したものを挿入し、DBD部分欠損ace3恒常発現プラスミドpUC-Pact1-TrACE3(1-629)を構築した(プラスミド2)。プラスミド1は、配列番号1からなるT.reeseiの全長ACE3を発現し、プラスミド2は、配列番号1に対してDBDの一部(C2)を欠損したACE3改変体を発現する(図1)。
カセット6のace1遺伝子上流領域と下流領域の間に、表2のプライマーを用いたPCRによりカセット3と4を結合したものを挿入して、xyr1遺伝子恒常発現プラスミドpUC-Pact1-XYR1を構築した(プラスミド3)。プラスミド3は、キシラナーゼXYR1を発現する。
プラスミド1を鋳型とする表3のプライマーを用いたPCRにより、pUC-Pact1-TrACE3(161-734)(プラスミド4)、pUC-Pact1-TrACE3(201-734)(プラスミド5)、pUC-Pact1-TrACE3(241-734)(プラスミド6)、pUC-Pact1-TrACE3(281-734)(プラスミド7)、pUC-Pact1-TrACE3(300-734)(プラスミド8)をそれぞれ構築した。プラスミド4~8は、配列番号1に対してN末端側のDBDを含む所定の領域を欠損したACE3改変体を発現する(図1)。
トリコデルマ・アトロヴィリデ(T.atroviride)のACE3ポリペプチドの改変体(配列番号3)をコードするポリヌクレオチド(配列番号8、約2.0kbp)、トリコデルマ・ハリジアウム(T.harzianum)のACE3ポリペプチドの改変体(配列番号4)をコードするポリヌクレオチド(配列番号9、約2.0kbp)を人工合成した。得られた断片を表4のプライマーを用いたPCRによりプラスミド1と結合することで、それぞれpUC-Pact1-TaACE3(1-630)(プラスミド9)、及びpUC-Pact1-ThACE3(1-630)(プラスミド10)を構築した。プラスミド9~10は、DBDの一部(C2)を欠損したACE3改変体を発現する。
プラスミド9又はプラスミド10を鋳型とする表4のプライマーを用いたPCRにより、pUC-Pact1-TaACE3(137-630)(プラスミド11)、及びpUC-Pact1-ThACE3(137-630)(プラスミド12)をそれぞれ構築した。プラスミド11及び12は、それぞれ配列番号3及び配列番号4のACE3改変体に対してさらにN末端側136アミノ酸を欠損した、DBD完全欠損ACE3改変体を発現する。
プラスミド1を鋳型とする表5のプライマーを用いたPCRにより、T.reeseiのACE3(配列番号1)に対してC末端側の所定領域を欠損させたACE3改変体を発現するプラスミド(プラスミド13)を構築した。プラスミド2又は4を鋳型とする表5のプライマーを用いたPCRにより、T.reeseiのACE3(配列番号1)に対してN末端側及びC末端側の所定領域を欠損させたACE3改変体を発現するプラスミド(プラスミド14~17)を構築した。また、プラスミド1を鋳型とする表5のプライマーを用いた2段階のPCRにより、T.reeseiのACE3(配列番号1)に対してN末端側及びC末端側の所定領域を欠損させたACE3改変体を発現するプラスミド(プラスミド18~19)を構築した。プラスミド13~18に含まれるACE3改変体の構成を図2に示す。
プラスミド3を鋳型とする表5のプライマーを用いたPCRにより、pUC-Pact1-XYR1(V821F)を構築した(プラスミド20)。これは、配列番号5のアミノ酸配列に対してV821Fのアミノ酸置換がなされた変異XYR1(V821F)をコードするプラスミドである。
本実施例で構築したプラスミド1~20、それらに含まれる断片(カセット、プラスミド等)及びそれらの構築に使用したプライマー、ならびにそれらが発現するACE3を表2~5に示す。
構築したプラスミドを複製した。コンピテントセルEscherichia coli DH5α Competent Cells(タカラバイオ)に上記で作製したプラスミドを導入し、アンピシリン添加LB培地で培養した(37℃、1日間)。培養後の菌体からNucleoSpinTMPlasmid(マッハライ・ナーゲル)を用いてプラスミドを回収及び精製した。
実施例2 改変糸状菌の作製
トリコデルマ・リーセイE1AB1(JN13)のpyr4遺伝子欠損株(JN13Δpyr4株)を実施例1で構築したプラスミド由来のDNA断片を導入して形質転換させた。実施例1で構築したプラスミドをsmiI制限酵素サイトで切断することで線状化し、プロトプラストPEG法(Biotechnol Bioeng,2012,109(1):92-99)により親株に導入して形質転換した。形質転換体は、pyr4遺伝子をマーカーとして、選択培地(2%グルコース、1.1Mソルビトール、2%アガー、0.2% KH2PO4(pH5.5)、0.06% CaCl2・2H2O、0.06% CsCl2、0.06% MgSO4・7H2O、0.5% (NH4)2SO4、0.1% Trace element1;%はいずれもw/v%)にて選抜した。Trace element1の組成は以下のとおりである:0.5g FeSO4・7H2O、0.2g CoCl2、0.16g MnSO4・H2O、0.14g ZnSO4・7H2Oを蒸留水にて100mLにメスアップ。選抜した形質転換体の中から、目的の遺伝子断片がrce1ローカス又はace1ローカスに挿入されていることをPCRにより確認し、目的の形質転換体を得た。
トリコデルマ・リーセイE1AB1(JN13)のpyr4遺伝子欠損株(JN13Δpyr4株)を実施例1で構築したプラスミド由来のDNA断片を導入して形質転換させた。実施例1で構築したプラスミドをsmiI制限酵素サイトで切断することで線状化し、プロトプラストPEG法(Biotechnol Bioeng,2012,109(1):92-99)により親株に導入して形質転換した。形質転換体は、pyr4遺伝子をマーカーとして、選択培地(2%グルコース、1.1Mソルビトール、2%アガー、0.2% KH2PO4(pH5.5)、0.06% CaCl2・2H2O、0.06% CsCl2、0.06% MgSO4・7H2O、0.5% (NH4)2SO4、0.1% Trace element1;%はいずれもw/v%)にて選抜した。Trace element1の組成は以下のとおりである:0.5g FeSO4・7H2O、0.2g CoCl2、0.16g MnSO4・H2O、0.14g ZnSO4・7H2Oを蒸留水にて100mLにメスアップ。選抜した形質転換体の中から、目的の遺伝子断片がrce1ローカス又はace1ローカスに挿入されていることをPCRにより確認し、目的の形質転換体を得た。
変異XYR1(V821F)、及びACE3又はその改変体を発現する二重形質転換体を作製した。0.2%の5-フルオロオロチン酸(5-FOA)一水和物が含まれるPDA培地を用いてプラスミド20を導入したXYR1(V821F)発現株を培養し、再度5-FOA耐性を獲得し生育する株を選抜した。生育株をJN13_XYR1(V821F)Δpyr4株として取得した。取得された株に対し、上記ACE3発現用プラスミド(プラスミド1~19)を再度形質転換した。これらの株は、変異XYR1(V821F)及びACE3又はその改変体を発現する。
実施例3 改変糸状菌の培養
実施例2で得た糸状菌株を培養してタンパク質を生産させた。前培養では、500mLのフラスコに培地を50mL仕込み、実施例2で作製した株の胞子を1×105個/mLとなるよう植菌し、28℃、220rpmにて振とう培養した(プリス社製PRXYg-98R)。前培養の培地組成は以下の通りである。1%グルコース、0.14% (NH4)2SO4、0.2% KH2PO4、0.03% CaCl2・2H2O、0.03% MgSO4・7H2O、0.1%ハイポリペプトンN、0.05% Bacto Yeast extract、0.1% Tween 80、0.1% Trace element2、50mM酒石酸バッファー(pH4.0)(%はいずれもw/v%)。Trace element2の組成は以下の通りである。6mg H3BO3、26mg (NH4)6Mo7O24・4H2O、100mg FeCl3・6H2O、40mg CuSO4・5H2O、8mg MnCl2・4H2O、200mg ZnCl2を蒸留水にて100mLにメスアップ。
実施例2で得た糸状菌株を培養してタンパク質を生産させた。前培養では、500mLのフラスコに培地を50mL仕込み、実施例2で作製した株の胞子を1×105個/mLとなるよう植菌し、28℃、220rpmにて振とう培養した(プリス社製PRXYg-98R)。前培養の培地組成は以下の通りである。1%グルコース、0.14% (NH4)2SO4、0.2% KH2PO4、0.03% CaCl2・2H2O、0.03% MgSO4・7H2O、0.1%ハイポリペプトンN、0.05% Bacto Yeast extract、0.1% Tween 80、0.1% Trace element2、50mM酒石酸バッファー(pH4.0)(%はいずれもw/v%)。Trace element2の組成は以下の通りである。6mg H3BO3、26mg (NH4)6Mo7O24・4H2O、100mg FeCl3・6H2O、40mg CuSO4・5H2O、8mg MnCl2・4H2O、200mg ZnCl2を蒸留水にて100mLにメスアップ。
2日間の前培養後、本培養を行った。500mLのフラスコに培地を50mL仕込み、前培養液を1%(v/v%)植菌し、28℃、220rpmにて4日間培養した。本培養の培地組成は以下の通りである。3%グルコース、0.14% (NH4)2SO4、0.2% KH2PO4、0.03% CaCl2・2H2O、0.03% MgSO4・7H2O、0.1%ハイポリペプトンN、0.05% Bacto Yeast extract、0.1% Tween 80、0.1% Trace element2、1.28%クエン酸水素二アンモニウム、50mM酒石酸バッファー(pH4.0)(%はいずれもw/v%)。
実施例4 DBD欠損ACE3の恒常発現がタンパク質生産に及ぼす効果
実施例2で作製した、T.reesei由来全長ACE3又はDBD欠損ACE3改変体を恒常発現する形質転換体について、タンパク質生産性、及び生産したタンパク質の組成を評価した。
実施例2で作製した、T.reesei由来全長ACE3又はDBD欠損ACE3改変体を恒常発現する形質転換体について、タンパク質生産性、及び生産したタンパク質の組成を評価した。
1)タンパク質生産性の評価
実施例3の培養物のタンパク質濃度をbradford法にて測定した。bradford法では、Quick Startプロテインアッセイ(BioRad)を使用し、ウシγグロブリンを標準タンパク質として作成した検量線をもとにタンパク質量を計算した。グルコースのみを炭素源に用いた培養(グルコース培養)でのJN13のタンパク質生産性を1としたときの、各株の相対タンパク質生産性を計算した。
実施例3の培養物のタンパク質濃度をbradford法にて測定した。bradford法では、Quick Startプロテインアッセイ(BioRad)を使用し、ウシγグロブリンを標準タンパク質として作成した検量線をもとにタンパク質量を計算した。グルコースのみを炭素源に用いた培養(グルコース培養)でのJN13のタンパク質生産性を1としたときの、各株の相対タンパク質生産性を計算した。
図3(A)に各形質転換体の相対タンパク質生産性を示す。図3(A)のとおり、全長ACE3(TrACE3(1-734);配列番号1)発現株(“1-734”)、及びDBDの一部(C2)を欠損したACE3改変体(TrACE3(1-629);配列番号2)発現株(“1-629”)と比較して、配列番号1に対してN末端側160~240アミノ酸が欠損したDBD完全欠損ACE3改変体(TrACE3(161-734)、TrACE3(201-734)及びTrACE3(241-734))を発現する株(“161-734”、“201-734”及び“241-734”)では、タンパク質生産性が向上した。なかでも、配列番号1に対してN末端側240アミノ酸が欠損している場合(“241-734”)にはタンパク質生産性が顕著に向上し、DBD部分欠損株(“1-629”)と比較して約1.6倍の生産性を示した。一方、配列番号1に対してN末端側が280アミノ酸以上欠損したACE3改変体(TrACE3(281-734)及びTrACE3(300-734))を発現する株(“281-734”及び“300-734”)では、タンパク質生産性向上効果は消失した。
2)タンパク質組成分析
実施例3の培養物のタンパク質組成を分析した。分析には、Mini PROTEAN TGX Stain-Free Gels(Any KD,15well,BIORAD)を用いた。スタンダードとして、Precision Plus Protein Unstained standarsを用いた。適宜希釈した実施例3の培養物とBufferを混合して99℃で5分間処理したものをゲルにアプライし、200V、35分間電気泳動した。得られた画像ファイルから、解析ソフト(Image Lab)を用いてバンド強度比率を計算し、生産された糖化酵素の組成比を計算した。
実施例3の培養物のタンパク質組成を分析した。分析には、Mini PROTEAN TGX Stain-Free Gels(Any KD,15well,BIORAD)を用いた。スタンダードとして、Precision Plus Protein Unstained standarsを用いた。適宜希釈した実施例3の培養物とBufferを混合して99℃で5分間処理したものをゲルにアプライし、200V、35分間電気泳動した。得られた画像ファイルから、解析ソフト(Image Lab)を用いてバンド強度比率を計算し、生産された糖化酵素の組成比を計算した。
SDS-PAGEの結果を図3(B)に示す。図3(A)で示したタンパク質生産性が向上したDBD欠損ACE3改変体発現株(図3(B)中“161-734”、“201-734”及び“241-734”)において、主要なセルラーゼであるCBH1、CBH2及びEG1の増加が確認された。すなわち、DBD欠損ACE3改変体によるタンパク質生産性向上は、主にセルラーゼ成分の増加によるものであることが示された。
実施例5 他のトリコデルマ属由来ACE3におけるDBD欠損効果
実施例2で作製した形質転換体が発現するT.reesei、T.atroviride及びT.harzianum由来のDBD部分欠損ACE3改変体(TrACE3(1-629):配列番号2、TaACE3(1-630):配列番号3、及びThACE3(1-630):配列番号4)、及びDBD完全欠損ACE3改変体(TrACE3(241-734、TaACE3(131-630)及びThACE3(131-630))の、T.reesei全長ACE3(TrACE3(1-734):配列番号1)に対するアミノ酸配列のアライメントを、図4に示した。配列アライメントから、T.atroviride及びT.harzianum由来のDBD部分欠損ACE3改変体(TaACE3(1-630)及びThACE3(1-630))の配列は、T.reesei由来DBD部分欠損ACE3改変体(TrACE3(1-629))の配列に相当することが示された。同様に、T.atroviride及びT.harzianum由来のDBD完全欠損ACE3改変体(TaACE3(131-630)及びThACE3(131-630))の配列は、配列番号1のN末端側240アミノ酸が欠損しているT.reesei由来DBD部分欠損ACE3改変体(TrACE3(241-734))の配列に相当することが示された。
実施例2で作製した形質転換体が発現するT.reesei、T.atroviride及びT.harzianum由来のDBD部分欠損ACE3改変体(TrACE3(1-629):配列番号2、TaACE3(1-630):配列番号3、及びThACE3(1-630):配列番号4)、及びDBD完全欠損ACE3改変体(TrACE3(241-734、TaACE3(131-630)及びThACE3(131-630))の、T.reesei全長ACE3(TrACE3(1-734):配列番号1)に対するアミノ酸配列のアライメントを、図4に示した。配列アライメントから、T.atroviride及びT.harzianum由来のDBD部分欠損ACE3改変体(TaACE3(1-630)及びThACE3(1-630))の配列は、T.reesei由来DBD部分欠損ACE3改変体(TrACE3(1-629))の配列に相当することが示された。同様に、T.atroviride及びT.harzianum由来のDBD完全欠損ACE3改変体(TaACE3(131-630)及びThACE3(131-630))の配列は、配列番号1のN末端側240アミノ酸が欠損しているT.reesei由来DBD部分欠損ACE3改変体(TrACE3(241-734))の配列に相当することが示された。
上記のT.reesei、T.atroviride及びT.harzianum由来DBD部分又は完全欠損ACE3改変体を恒常発現する形質転換体について、実施例4、1)と同様の手法でタンパク質生産性を評価した。結果を図5(A)に示す。T.atroviride及びT.harzianumのACE3においても、T.reeseiのACE3と同様に、DBD部分欠損ACE3改変体の発現株と比較して、DBD完全欠損ACE3改変体の発現株ではタンパク質生産性が向上した。また、実施例4、2)と同様の手法でSDS-PAGEを実施した結果、図5(B)に示すとおり、図3(B)と同様に主要なセルラーゼであるCBH1、CBH2及びEG1の増加が確認された。したがって、DBD欠損ACE3改変体によるセルラーゼ生産性向上は、T.reeseiのACE3のみならず、他のトリコデルマ属菌種のACE3においても生じることが示された。
実施例6 DBD欠損とC末端欠損ACE3恒常発現の相乗効果
ACE3のC末端欠損によるセルラーゼ生産性向上効果が報告されている(特許文献4及び非特許文献5)。本実施例では、実施例2で作製した、配列番号1に対しC末端11アミノ酸を欠損したACE3改変体(TrACE3(1-723))、C末端欠損かつDBD部分欠損のあるACE3改変体(TrACE3(1-618))、C末端欠損かつDBD完全欠損のあるACE3改変体(TrACE3(161-723))を恒常発現する形質転換体について、実施例4、1)と同様の手法でタンパク質生産性を評価した。結果を図6(A)に示す。同等のC末端欠損を有する場合でも、N末端欠損なし又はDBD部分欠損ACE3改変体の発現株と比較して、DBD完全欠損ACE3改変体の発現株ではタンパク質生産性が大幅に向上した。さらに図3(A)及び6(A)からは、DBD欠損とC末端欠損の組み合わせにより、タンパク質生産性に対して予想外の高い相乗効果が得られたことが分かった。また、実施例4、2)と同様の手法でSDS-PAGEを実施した結果、図6(B)に示すとおり、図3(B)と同様に主要なセルラーゼであるCBH1、CBH2及びEG1の増加が確認された。したがって、ACE3におけるDBDの完全欠損はC末端欠損よりも高いセルラーゼの生産性向上効果が発揮されること、さらにDBDの完全欠損とC末端欠損との組み合わせにより効果が相乗的に増加することが明らかになった。
ACE3のC末端欠損によるセルラーゼ生産性向上効果が報告されている(特許文献4及び非特許文献5)。本実施例では、実施例2で作製した、配列番号1に対しC末端11アミノ酸を欠損したACE3改変体(TrACE3(1-723))、C末端欠損かつDBD部分欠損のあるACE3改変体(TrACE3(1-618))、C末端欠損かつDBD完全欠損のあるACE3改変体(TrACE3(161-723))を恒常発現する形質転換体について、実施例4、1)と同様の手法でタンパク質生産性を評価した。結果を図6(A)に示す。同等のC末端欠損を有する場合でも、N末端欠損なし又はDBD部分欠損ACE3改変体の発現株と比較して、DBD完全欠損ACE3改変体の発現株ではタンパク質生産性が大幅に向上した。さらに図3(A)及び6(A)からは、DBD欠損とC末端欠損の組み合わせにより、タンパク質生産性に対して予想外の高い相乗効果が得られたことが分かった。また、実施例4、2)と同様の手法でSDS-PAGEを実施した結果、図6(B)に示すとおり、図3(B)と同様に主要なセルラーゼであるCBH1、CBH2及びEG1の増加が確認された。したがって、ACE3におけるDBDの完全欠損はC末端欠損よりも高いセルラーゼの生産性向上効果が発揮されること、さらにDBDの完全欠損とC末端欠損との組み合わせにより効果が相乗的に増加することが明らかになった。
実施例7 DBD欠損ACE3と変異型XYR1恒常発現との組合せ効果
実施例2で作製した変異XYR1(V821F)発現株、及び変異XYR1(V821F)と、ACE3又はその改変体とを恒常発現する二重形質転換体について、実施例4、1)及び2)と同様の手法でタンパク質生産性を評価した。
実施例2で作製した変異XYR1(V821F)発現株、及び変異XYR1(V821F)と、ACE3又はその改変体とを恒常発現する二重形質転換体について、実施例4、1)及び2)と同様の手法でタンパク質生産性を評価した。
JN13株に比べ、変異XYR1(V821F)発現株ではタンパク質生産性が向上した。二重形質転換体については、変異XYR1(V821F)単独発現株と比べて、全長ACE3(TrACE3(1-734))共発現株のタンパク質生産性向上は僅かであったが、DBD部分欠損ACE3改変体(TrACE3(1-629))共発現株のタンパク質生産性は約1.5倍に向上した。V821Fと、DBD完全欠損ACE3改変(TrACE3(161-734)、TrACE3(201-734)又はTrACE3(241-734))との共発現株のタンパク質生産性は、V821FとDBD部分欠損体(TrACE3(1-629))との共発現株と同等であり、さらなる生産量の増加は確認されなかった。
SDS-PAGEの結果を図7(A)に示した。また生産された糖化酵素の組成比を図7(B)に示した。変異型XYR1とDBD完全欠損ACE3改変体を恒常発現する株では、タンパク質生産性の向上だけでなく、主要なセルラーゼであるCBH1、CBH2及びEG1の含有比が増加していた。一方、実施例4(図3)の結果と同様に、N末端側が280アミノ酸以上欠損したACE3改変体を発現する株では、タンパク質生産性及びセルラーゼ含有比向上の効果は消失した。したがって、変異型XYR1と、特定のDBD完全欠損ACE3改変体との共発現により、既存の変異型XYR1とACE3又はその改変体との共発現と比較して、タンパク質生産性及び生産したタンパク質中のセルラーゼ含有量をより向上させることができ、よってより効率的なセルラーゼ生産が可能となることが示された。
実施例8 DBD欠損及びC末端欠損ACE3と変異型XYR1恒常発現との組合せ効果
実施例7と同様の手順で、実施例2で作製した変異XYR1(V821F)とDBD及びC末端欠損ACE3改変体とを恒常発現する二重形質転換体について、実施例4、1)及び2)と同様の手法でタンパク質生産性を評価した。
実施例7と同様の手順で、実施例2で作製した変異XYR1(V821F)とDBD及びC末端欠損ACE3改変体とを恒常発現する二重形質転換体について、実施例4、1)及び2)と同様の手法でタンパク質生産性を評価した。
SDS-PAGEの結果を図8(A)に示した。また生産された糖化酵素の組成比を図8(B)に示した。変異XYR1とDBD完全欠損かつC末端欠損ACE3改変体(TrACE3(161-723))とを恒常発現する株は、タンパク質生産性が高く、かつ最も高いセルラーゼ含有比を示した。変異XYR1とC末端欠損との組み合わせにおいても、ACE3のDBDの完全欠損がセルラーゼ含有比向上に有効であることが分かった。一方、他のC末端欠損ACE3改変体(TrACE3(1-723)、TrACE3(1-618)、TrACE3(1-595)、TrACE3(1-455)、TrACE3(300-522)、又はTrACE3(300-560))では、C末端欠損のないDBD部分欠損ACE3改変体(TrACE3(1-629))と比べてタンパク質生産量の増加は確認されなかった。
以上のとおり、Zn(II)2Cys6型DNA結合ドメイン(DBD)を完全欠損したACE3改変体の恒常発現は、誘導性物質の非存在下における微生物のタンパク質生産性を顕著に向上させた。このようなACE3改変体は、T.reeseiのみならず、他のトリコデルマ属菌においても有効であり、また既知の有効変異であるC末端欠損や、変異XYR1(例えばV821F)との組合せにおいても有効であった。したがって、上記DBD完全欠損ACE3改変体の恒常発現により、グルコースなどのセルラーゼ非誘導性炭素源を用いた培養下で、微生物におけるセルラーゼプロモーターを高活性化させ、高効率なタンパク質生産が実現できることが示された。
Claims (21)
- 改変糸状菌であって、
ACE3改変体を発現し、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの実質的に全部を欠損した改変体である、
改変糸状菌。 - 前記ACE3が、配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項1記載の改変糸状菌。
- 前記Zn(II)2Cys6型DNA結合ドメインが、配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域である、請求項2記載の改変糸状菌。
- 前記ACE3改変体が、配列番号1の1~160位アミノ酸に相当する領域を欠損している、請求項2記載の改変糸状菌。
- 前記ACE3改変体が、配列番号1の280~701位アミノ酸に相当する領域を有する、請求項2~4のいずれか1項記載の改変糸状菌。
- 前記ACE3改変体が、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の11アミノ酸に相当する領域を欠損している、請求項2~5のいずれか1項記載の改変糸状菌。
- 前記ACE3改変体を発現する遺伝子が導入されている、請求項1~6のいずれか1項記載の改変糸状菌。
- 前記ACE3改変体を発現する遺伝子が該遺伝子の転写を促進する制御領域と作動可能に連結されている、請求項7記載の改変糸状菌。
- 前記糸状菌がトリコデルマ属である、請求項1~8のいずれか1項記載の改変糸状菌。
- 請求項1~9のいずれか1項記載の改変糸状菌を培養することを含む、タンパク質の製造方法。
- 前記タンパク質がセルラーゼ及び/又はヘミセルラーゼである、請求項10記載の方法。
- 前記培養がグルコース存在下で行われる、請求項10又は11記載の方法。
- 改変糸状菌の製造方法であって、
親糸状菌を、ACE3改変体を発現させるように改変することを含み、
該ACE3改変体が、ACE3のZn(II)2Cys6型DNA結合ドメインの実質的に全部を欠損した改変体である、
方法。 - 前記ACE3が、配列番号1のアミノ酸配列又はこれと少なくとも90%配列同一なアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項13記載の方法。
- 前記Zn(II)2Cys6型DNA結合ドメインが、配列番号1の120~160位アミノ酸に相当する領域である、請求項14記載の方法。
- 前記ACE3改変体が、配列番号1の1~160位アミノ酸に相当する領域を欠損している、請求項14記載の方法。
- 前記ACE3改変体が、配列番号1の280~701位アミノ酸に相当する領域を有する、請求項14~16のいずれか1項記載の方法。
- 前記ACE3改変体が、配列番号1のアミノ酸配列におけるC末端の11アミノ酸に相当する領域を欠損している、請求項14~17のいずれか1項記載の方法。
- 前記親糸状菌の改変が、前記ACE3改変体を発現する遺伝子を該親糸状菌に導入することを含む、請求項13~18のいずれか1項記載の方法。
- 前記ACE3改変体を発現する遺伝子が、該遺伝子の転写を促進する制御領域と作動可能に連結されている、請求項19記載の方法。
- 前記糸状菌がトリコデルマ属である、請求項13~20のいずれか1項記載の方法。
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