JP2022158884A - 機械構造部品用鋼線およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】C、Si、Mn、P、S、Al、Cr、およびNをそれぞれ所定量含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、金属組織におけるセメンタイト中のCrとMnの合計含有量(質量%)を{Cr+Mn}とし、鋼中のCrとMnの合計含有量(質量%)を[Cr+Mn]とし、かつ鋼中のC量(質量%)を[C]で表したときに、濃度比{Cr+Mn}/[Cr+Mn]が(0.5[C]+0.040)以上であり、更に全セメンタイトの平均円相当直径が、(1.668-2.13[C])μm以上、(1.863-2.13[C])μm以下である、機械構造部品用鋼線。
【選択図】図1
Description
C :0.05質量%~0.60質量%、
Si:0.005質量%~0.50質量%、
Mn:0.30質量%~1.20質量%、
P :0質量%超、0.050質量%以下、
S :0質量%超、0.050質量%以下、
Al:0.001質量%~0.10質量%、
Cr:0質量%超、1.5質量%以下、および
N :0質量%超、0.02質量%以下
を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、
金属組織におけるセメンタイト中のCrとMnの合計含有量(質量%)を{Cr+Mn}とし、鋼中のCrとMnの合計含有量(質量%)を[Cr+Mn]とし、かつ鋼中のC量(質量%)を[C]で表したときに、濃度比{Cr+Mn}/[Cr+Mn]が(0.5[C]+0.040)以上であり、更に、
全セメンタイトの平均円相当直径が、鋼中のC量(質量%)を[C]で表したときに、(1.668-2.13[C])μm以上、(1.863-2.13[C])μm以下である、機械構造部品用鋼線である。
更に、
Cu:0質量%超、0.25質量%以下、
Ni:0質量%超、0.25質量%以下、
Mo:0質量%超、0.50質量%以下および
B :0質量%超、0.01質量%以下よりなる群から選択される1種以上を含有する、態様1に記載の機械構造部品用鋼線である。
更に、
Ti:0質量%超、0.2質量%以下、
Nb:0質量%超、0.2質量%以下、および
V :0質量%超、0.5質量%以下よりなる群から選択される1種以上を含有する、態様1または2に記載の機械構造部品用鋼線である。
更に、
Mg:0質量%超、0.02質量%以下、
Ca:0質量%超、0.05質量%以下、
Li:0質量%超、0.02質量%以下、および
REM:0質量%超、0.05質量%以下よりなる群から選択される1種以上を含有する、態様1~3のいずれか1つに記載の機械構造部品用鋼線である。
態様1~4のいずれか1つに記載の化学成分組成を満たす条鋼に、
下記(1)~(3)の工程を含む球状化焼鈍を施す工程を含む、態様1~5のいずれか1つに記載の機械構造部品用鋼線の製造方法である。
(1)(A1+8℃)~(A1+31℃)の温度T1に加熱した後に、該温度T1で1時間超、6時間以下加熱保持し、
(2)650℃超、(A1-17℃)以下の温度T2まで冷却し、次いで、75℃/時間~160℃/時間の平均昇温速度で(A1+8℃)~(A1+31℃)の温度T3まで加熱する、冷却-加熱工程を合計2~6回実施し、
(3)冷却-加熱工程の最終回の温度T3から冷却する。
ここで、A1は、下記式(1)で算出される。
A1(℃)=723+29.1×[Si]-10.7×[Mn]+16.9×[Cr]-16.9×[Ni]・・・(1)
ただし、[元素]は、各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない元素の含有量はゼロとする。
前記条鋼が、線材に、5%超の減面率で伸線加工を施して得られた鋼線である、態様6に記載の機械構造部品用鋼線の製造方法である。
従来、鋼材に球状化焼鈍を施して、フェライトとセメンタイトで構成される金属組織とすることで、冷間加工性を確保することが行われているが、より優れた冷間加工性と、更に焼入れ性とを兼備するには、上記金属組織とするだけでは達成できない。こうしたことから本発明者らは、優れた冷間加工性と優れた焼入れ性を兼備した機械構造部品用鋼線を実現すべく、様々な角度から鋭意検討した。まず本発明者らは、セメンタイト中のMn量とCr量に着目した。例えば後述する製造条件で球状化焼鈍を行って、全セメンタイトの平均サイズを一定以上とし、かつセメンタイト中のMn量とCr量を高くすれば、フェライト中のMn量とCr量を相対的に少なくすることができ、固溶強化による硬化を抑制して、低硬度を実現でき冷間加工性を向上できることを見出した。加えて、全セメンタイトの平均サイズを、一定以下に抑えることによって、焼入れ処理工程の高温保持でのセメンタイトの未溶解を抑制でき、焼入れ性を向上できることを見出した。これまで、セメンタイト中のMn量とCr量、および全セメンタイトの平均サイズの双方に着目したものはない。
CrとMnは、セメンタイト中に固溶しやすい代表的な元素である。しかしながら、一部はフェライト中に固溶し、その固溶量が多いほど、フェライト母相が強化され、硬さが増大する。したがって、鋼中のCrとMnの合計含有量[Cr+Mn]に占める、セメンタイト中のCrとMnの合計含有量{Cr+Mn}の割合、すなわち、濃度比{Cr+Mn}/[Cr+Mn]が大きいほど、セメンタイト以外の相を占めるフェライト中の、CrとMnの合計含有量を少なくすることができ、その結果、CrとMnによるフェライトの固溶強化量が減少し、それに伴い、硬さが低減されて冷間加工性が向上する。濃度比{Cr+Mn}/[Cr+Mn]の下限は、鋼中C量が影響することから、鋼中のC量(質量%)を[C]として、(0.5[C]+0.040)以上とした。濃度比{Cr+Mn}/[Cr+Mn]は、好ましくは(0.5[C]+0.042)以上である。一方、可能な製造条件等を考慮すると、濃度比{Cr+Mn}/[Cr+Mn]の上限は、おおよそ0.5[C]+0.500となる。
鋼中のセメンタイト量が一定の場合、セメンタイトのサイズが大きくなるほど、セメンタイトの数密度は減少して、セメンタイト間の距離が長くなる。鋼中のセメンタイト間の距離が長いほど析出強化し難くなり、その結果、硬さを低減できる。また、セメンタイトのサイズを一定以上とすることで、セメンタイト中のCrとMnの合計含有量を高めることによる硬さ低減効果を、容易に発揮させることができる。これらの観点から、本発明では、全セメンタイトの平均円相当直径を、鋼中のC量(質量%)を[C]で表したときに、(1.668-2.13[C])μm以上とした。全セメンタイトの平均円相当直径は、好ましくは(1.669-2.13[C])μm以上である。一方、セメンタイトが粗大化しすぎると、冷間加工後の焼入れ処理工程で高温保持時に、セメンタイトが十分溶解せず、焼入れで十分高い硬さを得ることができない。よって本発明では、全セメンタイトの平均円相当直径を(1.863-2.13[C])μm以下とした。好ましくは、(1.858-2.13[C])μm以下である。
また、「フェライト結晶粒径」の測定対象である「フェライト結晶粒」とは、球状化が不十分で球状化焼鈍中に生成される棒状セメンタイトを含む結晶粒も評価対象であるが、球状化焼鈍前から残存し得る棒状セメンタイトを含む結晶粒(パーライト結晶粒)は対象外である。具体的には、ナイタール(硝酸2体積%、エタノール98体積%)を用いてエッチング後に、光学顕微鏡を用いて1000倍で観察したときに確認できる、「セメンタイトが粒内に存在しない結晶粒」と「セメンタイトが粒内に存在し、セメンタイトの形状が観察できる(すなわち、セメンタイトとフェライトの境界が明瞭に観察できる)結晶粒」をいう。上記光学顕微鏡を用いて1000倍ではセメンタイトの形状を観察できない(すなわち、セメンタイトとフェライトの境界が明瞭に観察できない)結晶粒は、本実施形態では判断対象外であり、「フェライト結晶粒」には含めない。
本実施形態に係る機械構造部品用鋼線は、前記金属組織におけるフェライト結晶粒径の平均値が30μm以下であることが好ましい。フェライト結晶粒径の平均値が30μm以下であれば、機械構造部品用鋼線の延性を向上でき、冷間加工時の割れ発生を更に抑制することができる。フェライト結晶粒径の平均値は、より好ましくは25μm以下であり、更に好ましくは20μm以下である。フェライト結晶粒径の平均値は、小さければ小さいほど好ましいが、可能な製造条件等を考慮すれば、下限はおおよそ2μmとなりうる。
下記の化学成分組成を満たし、かつ上述した金属組織を有する本実施形態に係る機械構造部品用鋼線は、冷間加工を良好に実施できる低硬度と、焼入れ処理後の高硬度とを両立できる。本実施形態では、鋼中のC量(質量%)、Cr量(質量%)、Mo量(質量%)を各々[C]、[Cr]、[Mo]で表したときに(含まれない元素はゼロ質量%とする)、硬さ、後述する実施例では球状化焼鈍後の硬さが、下記式(2)を満たすと共に、焼入れ処理後の硬さが下記式(3)を満たす場合に、硬さが十分低く冷間加工性に優れると共に、焼入れ処理後の高硬度を達成、すなわち焼入れ性に優れると判定した。
(球状化焼鈍後の)硬さ(HV)<91([C]+[Cr]/9+[Mo]/2)+91 ・・・(2)
焼入れ処理後の硬さ(HV)>380ln([C])+1010 ・・・(3)
本実施形態に係る機械構造部品用鋼線の化学成分組成について説明する。
Cは、鋼材の強度を支配する元素であり、含有量を増加させるほど焼入れ焼き戻し後の強度が高くなる。上記の効果を有効に発揮させるため、C量の下限は、0.05質量%とした。C量は、好ましくは0.10質量%以上であり、より好ましくは0.15質量%以上、更に好ましくは0.20質量%以上である。しかし、C量が過剰であると、球状化焼鈍後の組織において球状セメンタイトの数が過剰となり、硬さが増加するため冷間加工性が低下する。そこで、C量の上限は、0.60質量%と定めた。C量は、好ましくは0.55質量%以下であり、より好ましくは0.50質量%以下である。
Siは、溶製時に脱酸材として用いられる他、強度の向上に寄与する。該効果を有効に発揮させるため、Si量の下限は0.005質量%とした。Si量は、好ましくは0.010質量%以上であり、より好ましくは0.050質量%以上である。しかし、Siは、フェライトの固溶強化に寄与し、球状化焼鈍後の強度をかなり高める作用を有する。Si含有量が過剰であると、上記作用により冷間加工性が劣化するため、Si量の上限は0.50質量%とした。Si量は、好ましくは0.40質量%以下であり、より好ましくは0.35質量%以下である。
Mnは、脱酸材として有効に作用すると共に、焼入れ性の向上に寄与する元素である。該効果を十分に発揮させるため、Mn量の下限は、0.30質量%とした。Mn量は、好ましくは0.35質量%以上であり、より好ましくは0.40質量%以上である。しかし、Mn量が過剰であると、偏析が起こり易くなり、靱性が低下する。そのため、Mn量の上限は、1.20質量%とした。Mn量は、好ましくは1.10質量%以下であり、より好ましくは1.00質量%以下である。
P(リン)は、不可避不純物であり、鋼中で粒界偏析を起こして鍛造性および靱性に悪影響を及ぼす有害元素である。よって、P量は、0.050質量%以下とした。P量は、好ましくは0.030質量%以下であり、より好ましくは0.020質量%以下である。P量は、少なければ少ないほど好ましいが、通常0.001質量%以上含まれる。
S(硫黄)は、不可避不純物であり、鋼中でMnSを形成し、延性を劣化させるので、冷間加工性には有害な元素である。そこで、S量は、0.050質量%以下とした。S量は、好ましくは0.030質量%以下であり、より好ましくは0.020質量%以下である。S量は、少なければ少ないほど好ましいが、通常0.001質量%以上含まれる。
Alは脱酸材として含まれる元素であり、脱酸に伴って不純物を低減する効果がある。この効果を発揮させるため、Al量の下限は、0.001質量%とした。Al量は、好ましくは0.005質量%以上であり、より好ましくは0.010質量%以上である。しかし、Al量が過剰であると、非金属介在物が増加し、靱性が低下する。そのため、Al量の上限は、0.10質量%と定めた。Al量は、好ましくは0.08質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下である。
Crは、鋼の焼入れ性を向上させ強度を高める効果を有するとともに、セメンタイトの球状化を促進する効果を有する元素である。具体的には、Crは、セメンタイトに固溶して球状化焼鈍の加熱時にセメンタイトの溶解を遅延させる。加熱時にセメンタイトが溶解せずに一部残存することで、冷却時に、アスペクト比の大きい棒状セメンタイトが生成しにくくなり、球状化組織が得やすくなる。そのため、Cr量は、0質量%超とし、0.01質量%以上とすることが好ましい。更に0.05質量%以上としてもよく、より更には0.10質量%以上としてもよい。セメンタイトの球状化をより促進させる観点からは、更に0.30質量%超とすることができ、更に0.50質量%超とすることもできる。Cr量が過剰であると、炭素を含む元素の拡散が遅延し、セメンタイトの溶解を必要以上に遅延させて、球状化組織が得られにくくなる。その結果、本発明による硬さ低減の効果が低下し得る。そのため、Cr量は、1.50質量%以下、好ましくは1.40質量%以下、より好ましくは1.25質量%以下である。Cr量は、元素の拡散をより早める観点からは、更に1.00質量%以下、更に0.80質量%以下、更に0.30質量%以下にすることができる。
Nは、鋼に不可避的に含まれる不純物であるが、鋼中に固溶Nが多く含まれていると、ひずみ時効による硬度上昇、延性低下を招き、冷間加工性が劣化する。したがって、N量は、0.02質量%以下であり、好ましくは0.015質量%以下、より好ましくは0.010質量%以下である。
残部は、鉄および不可避不純物である。不可避不純物としては、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる微量元素(例えば、As、Sb、Snなど)の混入が許容される。なお、例えば、PおよびSのように、通常、含有量が少ないほど好ましく、従って不可避不純物であるが、その組成範囲について上記のように別途規定している元素がある。このため、本明細書において、残部を構成する「不可避不純物」という場合は、別途その組成範囲が規定されている元素を除いた概念である。
Cu、Ni、MoおよびBは、いずれも鋼材の焼入れ性を向上させることによって最終製品の強度を増加させるのに有効な元素であり、必要によって単独または2種以上が含有される。これらの元素による効果はその含有量が増加するにつれて大きくなる。上記効果を有効に発揮させるための好ましい下限は、Cu、Ni、Moの各々では0質量%超、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、Bでは0質量%超、より好ましくは0.0003質量%以上、更に好ましくは0.0005質量%以上である。
Ti,NbおよびVは、Nと化合物を形成し、固溶Nを低減することで、変形抵抗低減の効果を発揮するため、必要によって単独でまたは2種以上を含有させることができる。これらの元素による効果はその含有量が増加するにつれて大きくなる。いずれの元素についても上記効果を有効に発揮させるための好ましい下限は0質量%超、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上である。しかしながら、これらの元素の含有量が過剰になると、形成される化合物が変形抵抗の上昇を招き、却って冷間加工性が低下し得るので、TiおよびNbの各々の含有量は0.2質量%以下、Vの含有量は0.5質量%以下とすることが好ましい。TiおよびNbの各々の含有量は、より好ましくは0.18質量%以下、更に好ましくは0.15質量%以下であり、V含有量は、より好ましくは0.45質量%以下、更に好ましくは0.40質量%以下である。
Mg、Ca、LiおよびREMは、MnS等の硫化化合物系介在物を球状化させ、鋼の変形能を向上させるのに有効な元素である。こうした作用はその含有量が増加するにつれて増大する。上記効果を有効に発揮させるには、Mg、Ca、LiおよびREMの含有量は夫々、好ましくは0質量%超、より好ましくは0.0001質量%以上、更に好ましくは0.0005質量%以上である。しかし過剰に含有させてもその効果は飽和し、含有量に見合う効果が期待できないので、MgおよびLiの含有量は夫々、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.018質量%以下、更に好ましくは0.015質量%以下であり、CaとREMの含有量は夫々、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.045質量%以下、更に好ましくは0.040質量%以下である。なお、Mg、Ca、LiおよびREMは、夫々、単独で含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよく、また2種以上を含有させる場合の含有量は夫々上記範囲で任意の含有量でよい。前記REMとは、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)、Sc(スカンジウム)およびY(イットリウム)を含む意味である。
本発明形態に係る機械構造部品用鋼線の金属組織を得るには、該機械構造部品用鋼線を製造するにあたり、球状化焼鈍条件を以下に説明の通り適切に制御することが好ましい。球状化焼鈍に供する線材又は棒鋼を製造するための、熱間圧延工程に関しては特に限定されず、定法に従えば良い。後述の通り、球状化焼鈍前に伸線加工を付与してもよい。球状化焼鈍に供する条鋼である線材、鋼線、棒鋼の直径は特に限定されず、線材と鋼線の場合は、例えば5.5mm~55mm、棒鋼の場合は、例えば18mm~105mmである。
(1)(A1+8℃)~(A1+31℃)の温度T1に加熱した後に、該温度T1で1時間超、6時間以下加熱保持し、
(2)650℃超、(A1-17℃)以下の温度T2まで冷却し、次いで、75℃/時間~160℃/時間の平均昇温速度で(A1+8℃)~(A1+31℃)の温度T3まで加熱する、冷却-加熱工程を合計2~6回行い、
(3)冷却-加熱工程の最終回の温度T3から冷却する。
ここで、A1は、下記式(1)で算出される。
A1(℃)=723+29.1×[Si]-10.7×[Mn]+16.9×[Cr]-16.9×[Ni]・・・(1)
ただし、[元素]は、各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない元素の含有量はゼロとする。
(A1+8℃)~(A1+31℃)の温度T1に加熱することによって、圧延の段階で生成したアスペクト比の大きい棒状セメンタイトの溶解を促進させる。温度T1が低過ぎると、加熱保持時に棒状セメンタイトが溶解されず、フェライト結晶粒内に残存し、硬さが増加する。十分に軟質化された鋼線を得るには、温度T1は、(A1+8℃)以上にする必要がある。温度T1は、好ましくは(A1+15℃)以上であり、より好ましくは(A1+20℃)以上である。一方、温度T1が高過ぎると、結晶粒が粗大になり過ぎて、次工程の冷却過程でフェライト結晶粒界に球状セメンタイトが析出し難くなり、棒状セメンタイトが増加し、硬さが増加する。そのため、温度T1は(A1+31℃)以下とした。温度T1は、好ましくは(A1+30℃)以下であり、より好ましくは(A1+29℃)以下である。
A1(℃)=723+29.1×[Si]-10.7×[Mn]+16.9×[Cr]-16.9×[Ni]・・・(1)
ただし、[元素]は、各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない元素の含有量はゼロとする。
上記(1)の加熱保持の後、MnとCrの濃度の高いセメンタイトの析出を促進させるために、650℃超、(A1-17℃)以下の温度T2まで冷却する。温度T2が低すぎると、焼鈍時間の長時間化につながる。また、温度T2が低すぎると、セメンタイトが微細化しすぎて、CrとMnの含有量の少ないセメンタイトが生成しやすくなる。従って、冷却の到達温度T2は、650℃超とする必要がある。本実施形態に係る製造方法によれば、冷却の到達温度T2が650℃超であっても、長時間の焼鈍を行うことなく所望のセメンタイトを得ることができる。温度T2は、好ましくは670℃以上である。一方、温度T2が高すぎると、セメンタイトが十分に析出せず、その結果、セメンタイトにCr、Mnが十分濃化されず、セメンタイト中のCrとMnの合計含有量が少なく、硬さが増大して、冷間加工性が低下する。従って、温度T2の上限は、A1-17℃とした。温度T2は、好ましくはA1-18℃以下である。また、温度T2に達した後、保持すると、熱処理時間の長時間化を招く。よって、これらの観点から保持しない方がよい。しかし、炉内の温度ばらつきを均一にするため、短時間であれば保持してもよい。冷却の到達温度T2での保持時間(t2)は、1時間以内とするのが好ましい。
上記(2-i)の冷却で析出したセメンタイト中のCrとMnの含有量を高めるため、温度T2から、75℃/時間~160℃/時間の平均昇温速度Rで、(A1+8℃)~(A1+31℃)の温度T3まで加熱する。平均昇温速度Rが速すぎると、CrとMnの拡散が不十分となり、上記加熱保持で生成したセメンタイト中の、CrとMnの含有量が不足し、硬さが増大して、冷間加工性が低下する。従って、平均昇温速度Rは、160℃/時間以下とする。平均昇温速度Rは、好ましくは、155℃/時間以下であり、より好ましくは150℃/時間以下である。更により好ましくは120℃/時間以下、特に好ましくは100℃/時間以下である。一方、平均昇温速度Rが遅すぎると、セメンタイトが必要以上に溶解し、その結果、セメンタイトに含まれる中のCrとMnの合計含有量が減少する。さらに平均昇温速度Rが遅すぎると、温度T1からの冷却時に生成したセメンタイトが過剰に粗大化し、その結果、焼入れ処理工程の高温保持中にセメンタイトが十分に溶解されず、焼入れ処理後の硬さが低下、すなわち焼入れ性の劣化を招く。更に焼鈍時間の長時間化につながり、生産性が低下する。従って、平均昇温速度Rは、75℃/時間以上とし、好ましくは、80℃/時間以上である。
セメンタイト中のMnとCrの濃度を増加させるとともに、セメンタイトの粗大化を促進させるため、上記冷却-加熱の工程を合計2~6回行う必要がある。上記冷却-加熱の工程を繰り返し行わない場合、セメンタイト中のMnとCrの濃度が不十分となるか、セメンタイトの粗大化が不十分となる。その結果、球状化焼鈍後の硬さが増大する。よって、上記冷却-加熱工程を2回以上行う。好ましくは3回以上である。実施回数を多くする程硬さが低減されるが、実施回数が多過ぎてもその効果は飽和する。また、焼鈍時間の長時間化につながり、生産性を低下させる。従って、冷却-加熱工程の実施回数は6回以下とした。なお、図1の場合、上記冷却-加熱の工程の実施回数は4回である。各回の冷却の到達温度である温度T2、平均昇温速度R、および加熱の到達温度である温度T3は、それぞれ規定する範囲内で異なっていてもよい。
冷却-加熱工程の最終回の温度T3から冷却する。該冷却時の平均冷却速度と冷却到達温度は特に限定されない。棒状セメンタイトの再析出をより抑制する観点から、平均冷却速度を、例えば100℃/時間以下としてしてもよい。また、セメンタイトの過剰な粗大化をより抑制する観点から、平均冷却速度を5℃/時間以上としてもよい。また、冷却到達温度は、例えば(A1-30℃)以下とすることができる。例えば(A1-30℃)以下、(A1-100℃)以上の温度域まで、上記平均冷却速度で冷却し、その後、空冷することが挙げられる。または、冷却到達温度を、例えば(A1-100℃)未満とすることで、棒状セメンタイトの再析出をより抑制し、冷間加工性をより高めてもよい。この場合、焼鈍時間を短縮化する観点から、冷却到達温度は(A1-250℃)以上、更には(A1-200℃)以上、更には(A1-150℃)以上としてもよい。
[フェライト結晶粒径の平均値]
まず、フェライト結晶粒度の測定を次の通り行った。球状化焼鈍後の鋼線の横断面、すなわち鋼線の軸方向と直交する断面のD/4位置(D:鋼線の直径)を観察できるように試験片を樹脂埋めし、腐食液として、ナイタール(硝酸2体積%、エタノール98体積%)を用いて上記試験片のエッチングを行い、組織を現出させた。そして、光学顕微鏡にて、上記組織を現出させた試験片の組織観察を倍率400倍で行い、評価面内で、鋼線全体の組織を代表する平均的なサイズのフェライト結晶粒を観察できる1視野を選定し、顕微鏡写真を得た。次いで、フェライト結晶粒度(G)の値を、撮影した顕微鏡写真からJIS G0551(2020)の比較法に基づいて算出した。そして、算出したフェライト結晶粒度(G)の値を用い、「入門講座 専門用語-鉄鋼材料編-3 結晶粒度番号と結晶粒径」,梅本 実, ふぇらむ Vol.2(1997)No.10,p29~34の、p32の表1に記載の結晶粒度と粒径に関する諸量間の関係において、フェライト結晶粒度G(orN)とフェライト結晶粒径の平均値dnの関係として示された、下記式(4)から、フェライト結晶粒径の平均値dnを求めた。その結果を表3に示す。なお、本実施例において、表3のサンプルNo.1~11はいずれも、フェライトの面積率が90%以上であった。
dn=0.254/(2(G-1)/2) ・・・(4)
球状化焼鈍後の鋼線の全セメンタイトの平均サイズの測定は、横断面が観察できるように試験片を樹脂埋めし、エメリー紙、ダイヤモンドバフによって切断面を鏡面研磨した。次いで、切断面に対し、腐食液として、ナイタール(硝酸2体積%、エタノール98体積%)を用いて30秒間~1分間のエッチングを行い、D/4位置(D:鋼線の直径)のフェライト結晶粒界およびセメンタイトを現出させた。そして、FE-SEM(Field-Emission Scanning Electron Microscope、電解放出型走査電子顕微鏡)を用いて、上記セメンタイト等を現出させた試験片の組織観察を行い、倍率2500倍にて、3視野を撮影した。
鋼線の表層部(1mm未満)を除いた箇所から、約9gのサンプルを電解できるように切断または研磨して供試材を作製した。その供試材を、電解液(10%アセチルアセトン-1%テトラメチルアンモニウムクロライド-メタノール)中に浸漬させ、通電させて上記供試材のうちの約9gを定電流電解した。その後、電解後の電解液を、孔径0.10μmのフィルター(アドバンテック東洋株式会社製ポリカーボネートタイプメンブレンフィルター)でろ過して、フィルター上に残った残渣を鋼中のセメンタイトとして得た。次いで、上記残渣を酸溶液に溶かし、ICP発光分光分析法で分析して、セメンタイト中のCr量とMn量を求め、その合計値を、セメンタイト中の質量%でのCrとMnの合計含有量{Cr+Mn}として得た。
[球状化焼鈍後の硬さの測定]
冷間加工性を評価するため、球状化焼鈍後の各サンプルの硬さを、次の通り測定した。試験片の横断面のD/4位置(D:鋼線の直径)で、JIS Z2244(2009)に準拠してビッカース硬さ試験を実施した。3点以上の平均を算出して得られるビッカース硬さを、球状化焼鈍後の硬さとした。その測定結果を表3に示す。表3では球状化焼鈍後の硬さを「球状化硬さ」と示す。本実施例では、球状化焼鈍後の硬さが、鋼中のC量(質量%)、Cr量(質量%)、Mo量(質量%)を各々[C]、[Cr]、[Mo]で表したときに(含まれない元素はゼロ質量%とする)、下記式(2)を満たす場合を、冷間加工性に優れるとして「OK」と評価し、下記式(2)を満たさない場合を、冷間加工性に劣るとして「NG」と評価した。
球状化焼鈍後の硬さ(HV)<91([C]+[Cr]/9+[Mo]/2)+91 ・・・(2)
焼入れ性を評価するため、焼入れ処理後の各サンプルの硬さを、次の通り測定した。まず、焼入れ処理用試料として、球状化焼鈍後の各サンプルを、焼入れ処理で焼きが十分に入るように、圧延方向の長さである厚み(t)が5mmとなるように加工した試料を用意した。該試料に対し、焼入れ処理として、A3+(30~50℃)で5分間の高温保持を行い、該高温保持後に水冷した。前記A3は、下記式(5)から導出される値である。また、ここでの高温保持の時間は、炉温が設定温度に達してからの時間とした。
A3(℃)=910-203×√([C])-14.2×[Ni]+44.7×[Si]+104×[V]+31.5×[Mo]+13.1×[W]-30×[Mn]-11×[Cr]-20×[Cu]+700×[P]+400×[Al]+120×[As]+400×[Ti]・・・(5)
ただし、[元素]は、各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない元素は、0%として計算する。
焼入れ処理後の硬さ(HV)>380ln([C])+1010 ・・・(3)
Claims (7)
- C :0.05質量%~0.60質量%、
Si:0.005質量%~0.50質量%、
Mn:0.30質量%~1.20質量%、
P :0質量%超、0.050質量%以下、
S :0質量%超、0.050質量%以下、
Al:0.001質量%~0.10質量%、
Cr:0質量%超、1.5質量%以下、および
N :0質量%超、0.02質量%以下
を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなり、
金属組織におけるセメンタイト中のCrとMnの合計含有量(質量%)を{Cr+Mn}とし、鋼中のCrとMnの合計含有量(質量%)を[Cr+Mn]とし、かつ鋼中のC量(質量%)を[C]で表したときに、濃度比{Cr+Mn}/[Cr+Mn]が(0.5[C]+0.040)以上であり、更に、
全セメンタイトの平均円相当直径が、鋼中のC量(質量%)を[C]で表したときに、(1.668-2.13[C])μm以上、(1.863-2.13[C])μm以下である、機械構造部品用鋼線。 - 更に、
Cu:0質量%超、0.25質量%以下、
Ni:0質量%超、0.25質量%以下、
Mo:0質量%超、0.50質量%以下および
B :0質量%超、0.01質量%以下よりなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1に記載の機械構造部品用鋼線。 - 更に、
Ti:0質量%超、0.2質量%以下、
Nb:0質量%超、0.2質量%以下、および
V :0質量%超、0.5質量%以下よりなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1または2に記載の機械構造部品用鋼線。 - 更に、
Mg:0質量%超、0.02質量%以下、
Ca:0質量%超、0.05質量%以下、
Li:0質量%超、0.02質量%以下、および
REM:0質量%超、0.05質量%以下よりなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の機械構造部品用鋼線。 - フェライト結晶粒径の平均値が30μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の機械構造部品用鋼線。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の化学成分組成を満たす条鋼に、
下記(1)~(3)の工程を含む球状化焼鈍を施す工程を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の機械構造部品用鋼線の製造方法。
(1)(A1+8℃)~(A1+31℃)の温度T1に加熱した後に、該温度T1で1時間超、6時間以下加熱保持し、
(2)650℃超、(A1-17℃)以下の温度T2まで冷却し、次いで、75℃/時間~160℃/時間の平均昇温速度で(A1+8℃)~(A1+31℃)の温度T3まで加熱する、冷却-加熱工程を合計2~6回実施し、
(3)冷却-加熱工程の最終回の温度T3から冷却する。
ここで、A1は、下記式(1)で算出される。
A1(℃)=723+29.1×[Si]-10.7×[Mn]+16.9×[Cr]-16.9×[Ni]・・・(1)
ただし、[元素]は、各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない元素の含有量はゼロとする。 - 前記条鋼は、線材に、5%超の減面率で伸線加工を施して得られた鋼線である、請求項6に記載の機械構造部品用鋼線の製造方法。
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