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JP2022152519A - 非対称中空糸ガス分離膜 - Google Patents

非対称中空糸ガス分離膜 Download PDF

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JP2022152519A JP2021055320A JP2021055320A JP2022152519A JP 2022152519 A JP2022152519 A JP 2022152519A JP 2021055320 A JP2021055320 A JP 2021055320A JP 2021055320 A JP2021055320 A JP 2021055320A JP 2022152519 A JP2022152519 A JP 2022152519A
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Abstract

Figure 2022152519000001
【課題】有効膜面積が大きく、優れたガス分離性能を有する、実用的で高性能な非対称中空糸ガス分離膜を提供すること。
【解決手段】表面に緻密層を有するとともに、該緻密層の内側に位置する多孔質層を有する非対称中空糸ガス分離膜であって、前記中空糸膜の横断面は、その外縁が非円形であるとともに、内縁が円形であり、前記中空糸膜の横断面について、該横断面の仮想内接円を考えた場合、前記外縁は、該仮想内接円を越えて径方向外方に延出した複数の延出部位を有し、前記延出部位の数が4以上50以下であり、前記中空糸膜の横断面について、該横断面の仮想外接円を考えた場合、該仮想外接円の直径をD1とし、前記仮想内接円の直径をD2としたとき、(D1-D2)/D1の値が0.03以上0.2以下である、非対称中空糸ガス分離膜である。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に緻密層を有するとともに、該緻密層の内側に位置する多孔質層を有し、横断面が特定の形状である非対称中空糸ガス分離膜に関する。
工業的なガス分離プロセスに広くガス分離膜が利用されており、なかでも、ガス選択透過性(分離度)が高い高分子材料で形成されたガス分離膜が好適に用いられている。概して、分離度が高い材料は一般的にガス透過性(透過係数)が小さい。このためガス分離膜は、主に支持機能を果たす多孔質層と主に分離機能を果たす緻密層とからなる非対称構造にし、且つガスの透過抵抗が生じる緻密層をガス透過速度が小さくなりすぎないように薄くして用いられている。
工業的なガス分離膜は中空糸形状であることが多い。中空糸繊維を束にして、両末端を封止したモジュールとすることにより、モジュール単位体積あたりの有効膜面積を大きくすることができる。このとき、外表面が緻密層であり内表面が多孔質層である中空糸を用いると、有効膜面積がより大きくなる。
中空糸の横断面の形状は、外表面と内表面が共に円であるドーナツ状であることが殆どである。このとき外表面の外周が長い程、中空糸の有効膜面積は大きくなり、断面積が小さいほど中空糸製造に要するドープ(高分子材料溶液)量は少なくなる。すなわち比例費が小さくなる。小さい断面積で外周が長いほど性能面とコスト面で好ましいが、内径を大きくして中空糸の肉厚を薄くすると強度面で好ましくない。
国際公開第2015/147103号
本発明の目的は、表面に緻密層を有するとともに、該緻密層の内側に位置する多孔質層を有する非対称中空糸ガス分離膜であって、有効膜面積が大きく、優れたガス分離性能を有する、実用的で高性能な非対称中空糸ガス分離膜を提供することである。
本発明は、表面に緻密層を有するとともに、該緻密層の内側に位置する多孔質層を有する非対称中空糸ガス分離膜であって、前記中空糸膜の横断面は、その外縁が非円形であるとともに、内縁が円形であり、前記中空糸膜の横断面について、該横断面の仮想内接円を考えた場合、前記外縁は、該仮想内接円を越えて径方向外方に延出した複数の延出部位を有し、前記延出部位の数が4以上50以下であり、前記中空糸膜の横断面について、該横断面の仮想外接円を考えた場合、該仮想外接円の直径をD1とし、前記仮想内接円の直径をD2としたとき、(D1-D2)/D1の値が0.03以上0.2以下である、非対称中空糸ガス分離膜である。
また、本発明は、中空糸紡糸用の紡糸ノズルから樹脂溶液を吐出し、中空糸形状の樹脂溶液の表面の溶媒を蒸発させて薄い緻密層を形成した後、凝固液に浸漬して該緻密層の内側に多孔質層を形成する非対称中空糸ガス分離膜の製造方法であって、前記紡糸ノズルの樹脂溶液吐出口は、その外縁が非円形であるとともに、内縁が円形であり、前記紡糸ノズルの樹脂溶液吐出口について、その外縁の仮想内接円を考えた場合、前記外縁は、該仮想内接円を越えて径方向外方に延出した複数の延出部位を有し、前記延出部位の数が4以上50以下であり、前記紡糸ノズルの樹脂溶液吐出口について、その外縁の仮想外接円を考えた場合、該仮想外接円の直径をD1’とし、前記仮想内接円の直径をD2’としたとき、(D1’-D2’)/D1’の値が0.05以上0.3以下である、非対称中空糸ガス分離膜の製造方法である。
本発明によれば、有効膜面積が大きく、優れたガス分離性能を有する、実用的で高性能な非対称中空糸ガス分離膜を提供することができる。本発明の非対称中空糸ガス分離膜を用いて、窒素ガスと酸素ガスとの分離、炭酸ガスと炭化水素ガスとの分離、及び空気からの除湿などを好適に行うことができる。
図1は、本発明の非対称中空糸ガス分離膜の横断面の例を示す図である。 図2は、本発明の非対称中空糸ガス分離膜の製造方法で使用する紡糸ノズルの吐出口の形状を示す模式図である。
本発明の非対称中空糸ガス分離膜について、図1を参照して説明する。本発明の非対称中空糸ガス分離膜1は、表面に緻密層2を有するとともに、該緻密層の内側に位置する多孔質層3を有する非対称中空糸からなるものであり、該非対称中空糸の横断面の外縁は非円形であるとともに、中空部4を形成する内縁は円形である。前記横断面について、その外縁の仮想内接円を考えた場合、該仮想内接円を越えて径方向外方に延出した複数の延出部位5を有している。図1(a)~(c)に示す本発明の非対称中空糸ガス分離膜1の横断面の例は、前記延出部位5の数が8の場合の例である。前記延出部位5の数は、4以上50以下であり、6以上20以下であることがより好ましい。前記延出部位5の数が3以下であると、有効膜面積を十分に大きくすることができない。また前記延出部位5の数が50を超える非対称中空糸は製造が難しい。
また、前記非対称中空糸の横断面について、その外縁の仮想外接円を考えた場合、該仮想外接円の直径をD1とし、前記仮想内接円の直径をD2としたとき、(D1-D2)/D1の値が0.03以上0.2以下である。換言すれば、前記仮想内接円の直径は、前記仮想外接円の直径の0.8倍以上0.97倍以下であることが好ましい。(D1-D2)/D1の値がこの範囲より小さいと有効膜面積を十分に大きくすることができず、値がこの範囲より大きいと断面積が大きくなりコスト面で好ましくない。
本発明の非対称中空糸ガス分離膜は、主としてガス分離性能を担う極めて薄い緻密層(好ましくは厚さが0.001~5μm)とその緻密層を支える比較的厚い多孔質層(好ましくは厚さが10~2000μm)とからなる非対称構造を有し、好ましくは、内径が10~3000μmで外径が30~7000μm程度の中空糸膜である。
本発明の非対称中空糸ガス分離膜は、紡糸が容易でありガス分離性能及び機械的特性にも優れることから、可溶性の芳香族ポリイミドで形成されていることが好ましく、特に下記式(1)で表される繰り返し単位からなる芳香族ポリイミドで形成されていることが好ましい。
Figure 2022152519000002
式中、Aは、その10~70モル%が、下記式(2)で示されるジフェニルヘキサフルオロプロパン構造に基づく4価のユニットA1であり、その90~30モル%が、下記化学式(3)で示されるビフェニル構造に基づく4価のユニットA2であり、
Bは、その95~35モル%が、下記式(4)で示される2価のユニットB1、及び/又は、下記化学式(5)で示される2価のユニットB2であり、その5~65モル%が、下記化学式(6)で示される2価のユニットB3である。
Figure 2022152519000003
Figure 2022152519000004
Figure 2022152519000005
式中、R及びR’は水素原子又は有機基であり、nは0、1又は2である。
Figure 2022152519000006
式中、R及びR’は水素原子又は有機基であり、Xは-CH-又は-CO-である。
Figure 2022152519000007
式中、R及びR’は水素原子又は有機基である。
前記式(1)で表される繰り返し単位において、テトラカルボン酸成分に起因する4価のユニットAは、10~70モル%好ましくは20~60モル%の前記式(2)で示されるジフェニルヘキサフルオロプロパン構造からなるユニットA1と、90~30モル%好ましくは80~40モル%の前記式(3)で示されるビフェニル構造からなるユニットA2とからなる。ジフェニルヘキサフルオロプロパン構造が10モル%未満でビフェニル構造が90モル%を越えると、得られるポリイミドのガス分離性能が低下して、高性能ガス分離膜を得ることが難しくなる。一方、ジフェニルヘキサフルオロプロパン構造が70モル%を越えビフェニル構造が30モル%未満になると、得られるポリイミドの機械的強度が低下することがある。
また、ジアミン成分に起因する2価のユニットBは、95~35モル%好ましくは95~50モル%の前記式(4)で示される構造からなるユニットB1及び/又は前記式(5)で示される構造からなるユニットB2と、5~65モル%好ましくは5~50モル%の前記式(6)で示される3,3’の位置で結合したジフェニルスルホン構造からなるユニットB3とで構成される。前記式(6)で示される3,3’の位置で結合したジフェニルスルホン構造からなるユニットが5モル%未満ではガス分離性能が良好でない。また65モル%を越えると、紡糸に適した高分子量のポリイミドを得にくいので好ましくない。
前記式(2)で示されるジフェニルヘキサフルオロプロパン構造からなるユニットは、テトラカルボン酸成分として、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸、その二無水物、又はそのエステル化物を用いることによって得られる。
前記式(3)で示されるビフェニル構造からなるユニットは、テトラカルボン酸成分として、ビフェニルテトラカルボン酸、その二無水物、又はそのエステル化物などのビフェニルテトラカルボン酸類を用いることによって得られる。前記ビフェニルテトラカルボン酸類としては、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸、それらの二無水物、又はそれらのエステル化物を好適に用いることができるが、特に3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、その二無水物、又はそのエステル化物が好適である。
前記式(4)又は前記式(5)で示される構造からなるユニットは、ジアミン成分として、それぞれ、下記式(7)及び式(8)で示される芳香族ジアミンを用いることによって得られる。
Figure 2022152519000008
式中、R及びR’は水素原子、又は有機基(好ましくは炭素数が1~5のアルキル基)であり、nは0、1又は2である。
Figure 2022152519000009
式中、R及びR’は水素原子、又は有機基(好ましくは炭素数が1~5のアルキル基)であり、Xは-CH-又は-CO-である。
前記式(7)で示される芳香族ジアミンとしては、式中のnが0である下記式(9)で示されるジアミノジベンゾチオフェン類、又は式中のnが2である下記化学式(10)で示されるジアミノジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド類を好適に挙げることができる。
Figure 2022152519000010
式中、R及びR’は水素原子又は有機基である。
Figure 2022152519000011
式中、R及びR’は水素原子又は有機基である。
前記のジアミノジベンゾチオフェン類(化学式(10))としては、例えば3,7-ジアミノ-2,8-ジメチルジベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-2,6-ジメチルジベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-4,6-ジメチルジベンゾチオフェン、2,8-ジアミノ-3,7-ジメチルジベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-2,8-ジエチルベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-2,6-ジエチルベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-4,6-ジエチルベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-2,8-ジプロピルジベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-2,6-ジプロピルジベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-4,6-ジプロピルジベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-2,8-ジメトキシジベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-2,6-ジメトキシジベンゾチオフェン、3,7-ジアミノ-4,6-ジメトキシジベンゾチオフェンなどを挙げることができる。
前記のジアミノジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド類(化学式(11))としては、例えば3,7-ジアミノ-2,8-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-2,6-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-4,6-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、2,8-ジアミノ-3,7-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-2,8-ジエチルベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-2,6-ジエチルベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-4,6-ジエチルベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-2,8-ジプロピルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-2,6-ジプロピルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-4,6-ジプロピルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-2,8-ジメトキシジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-2,6-ジメトキシジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-4,6-ジメトキシジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシドなどを挙げることができる。
前記式(8)において、Xが-CH-であるジアミノチオキサンテン-10,10-ジオン類としては、例えば3,6-ジアミノチオキサンテン-10,10-ジオン、2,7-ジアミノチオキサンテン-10,10-ジオン、3,6-ジアミノ-2,7-ジメチルチオキサンテン-10,10-ジオン、3,6-ジアミノ-2,8-ジエチル-チオキサンテン-10,10-ジオン、3,6-ジアミノ-2,8-ジプロピルチオキサンテン-10,10-ジオン、3,6-ジアミノ-2,8-ジメトキシチオキサンテン-10,10-ジオン、等を挙げることができる。
前式(8)において、Xが-CO-であるジアミノチオキサンテン-9,10,10-トリオン類としては、例えば3,6-ジアミノ-チオキサンテン-9,10,10-トリオン、2,7-ジアミノ-チオキサンテン-9,10,10-トリオンなどを挙げることができる。
また、前記式(6)で示される3,3’の位置で結合したジフェニルスルホン構造からなるユニットは、ジアミン成分として、下記式(11)で示される、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、又は3,3’-ジアミノ-4,4’-ジメチル-ジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジエチル-ジフェニルスルホンなどの3,3’-ジアミノジフェニルスルホン誘導体を用いることによって得られる。
Figure 2022152519000012
式中、R及びR’は水素原子、又は有機基(好ましくは炭素数が1~5のアルキル基)である。
本発明の非対称中空糸ガス分離膜を形成する芳香族ポリイミドのジアミン成分は、95~35モル%の前記ジアミノジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド類、とりわけ3,7-ジアミノ-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシドと、5~65モル%の前記式(11)で示される3,3’-ジアミノジフェニルスルホン類、とりわけ3,3’-ジアミノジフェニルスルホンとの組合せが特に好適に用いられる。なお、3,7-ジアミノ-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシドは、メチル基の位置が異なる異性体のいずれか、又はそれら異性体の混合物を意味する。通常は、3,7-ジアミノ-2,8-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-2,6-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-4,6-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシドを含む混合物が好適に用いられる。
前記式(1)で表される繰り返し単位からなる芳香族ポリイミドは可溶性である。すなわち有機極性溶媒への溶解性が優れているため、前述のテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを略等モル用いて有機極性溶媒中で重合及びイミド化することによって、容易に高重合度の芳香族ポリイミド溶液として得ることができる。その結果、この芳香族ポリイミド溶液を用いて乾湿式紡糸法によって非対称中空糸膜を好適に得ることができる。
前記芳香族ポリイミド溶液の調製は、有機極性溶媒中にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを所定の組成比で加え、室温程度の低温で重合反応させてポリアミド酸を生成し次いで加熱して加熱イミド化するか若しくはピリジンなどを加えて化学イミド化する2段法、又は、有機極性溶媒中にテトラカルボン酸成分とジアミン成分とを所定の組成比で加え、100~250℃好ましくは130~200℃程度の高温で重合イミド化反応させる1段法によって好適に行われる。加熱によってイミド化反応を行うときは、脱離する水又はアルコールを除去しながら行うことが好適である。有機極性溶媒に対するテトラカルボン酸成分とジアミン成分の使用量は、溶媒中のポリイミドの濃度が5~50重量%程度となるようにするのが好ましく、5~40重量%程度となるようにするのがより好ましい。
このようにして得られた芳香族ポリイミド溶液は、そのまま直接紡糸に用いることもできる。また、例えば得られた芳香族ポリイミド溶液を芳香族ポリイミドに対し非溶解性の溶媒中に投入して芳香族ポリイミドを析出させて単離後、改めて有機極性溶媒に所定濃度になるように溶解させて芳香族ポリイミド溶液を調製し、それを紡糸に用いることもできる。
以下、本発明の非対称中空糸ガス分離膜の製造について、可溶性の芳香族ポリイミドを用いる場合を例にして説明する。
紡糸に用いる芳香族ポリイミド溶液は、ポリイミドの濃度が5~40重量%更には8~25重量%になるようにするのが好ましく、溶液粘度(回転粘度)は100℃で100~15000ポイズ好ましくは200~10000ポイズ特に300~5000ポイズであることが好ましい。溶液粘度が100ポイズ未満では、機械的強度の大きな非対称中空糸膜を得ることは難しい。また、15000ポイズを越えると、紡糸ノズルから押し出しにくくなるため目的の形状の非対称中空糸膜を得ることは難しい。
前記有機極性溶媒としては、得られる芳香族ポリイミドを好適に溶解できるものであれば限定されるものではないが、例えばフェノール、クレゾール、キシレノールのようなフェノール類、2個の水酸基をベンゼン環に直接有するカテコール、レゾルシンのようなカテコール類、3-クロルフェノール、4-クロルフェノール(後述のパラクロロフェノールに同じ)、3-ブロムフェノール、4-ブロムフェノール、2-クロル-5-ヒドロキシトルエンなどのハロゲン化フェノール類などからなるフェノール系溶媒、又はN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミドなどのアミド類からなるアミド系溶媒、あるいはそれらの混合溶媒などを好適に挙げることができる。
本発明の非対称中空糸ガス分離膜は、前記芳香族ポリイミド溶液を用いて、乾湿式法による紡糸(乾湿式紡糸法)によって好適に得ることができる。乾湿式法は、膜形状にしたポリマー溶液の表面の溶媒を蒸発させて薄い緻密層(分離層)を形成し、更に、凝固液(ポリマー溶液の溶媒とは相溶し、ポリマーは不溶な溶剤)に浸漬し、その際生じる相分離現象を利用して微細孔を形成して多孔質層(支持層)を形成させる方法(相転換法)であり、Loebらが提案(例えば、米国特許3133132号)したものである。
乾湿式紡糸法による非対称中空糸の製造は、中空糸紡糸用の紡糸ノズルから前記芳香族ポリイミド溶液を吐出し、中空糸形状の芳香族ポリイミド溶液の表面の溶媒を蒸発させて薄い緻密層を形成した後、凝固液に浸漬して該緻密層の内側に多孔質層を形成することで行うことができる。
通常、紡糸ノズルから吐出させるときの芳香族ポリイミド溶液の温度範囲は約20℃~150℃、特に30℃~120℃が好適である。また、紡糸ノズルから吐出される中空糸状体の内部へ、気体及び液体のような流体を供給しながら紡糸が行なわれる。
前記凝固液は、芳香族ポリイミドを実質的には溶解せず、且つ芳香族ポリイミド溶液の溶媒と相溶性があるものが好適である。特に限定するものではないが、水、メタノール、エタノール及びプロピルアルコール等の低級アルコール類、アセトン、ジエチルケトン及びメチルエチルケトンなどの低級アルキル基を有するケトン類、あるいは、それらの混合物が好適に用いられる。
凝固工程では、紡糸ノズルから中空糸形状に吐出された芳香族ポリイミド溶液がその形状を保持できる程度に凝固させる一次凝固液に浸漬し、次いで完全に凝固させるための二次凝固液に浸漬するのが好ましい。凝固した非対称中空糸は、炭化水素などの溶媒を用いて凝固液と溶媒置換させたあとで乾燥し、更に加熱処理するのが好適である。加熱処理は、用いられた芳香族ポリイミドの軟化点又は二次転移点よりも低い温度で行うことが好ましい。
本発明の非対称中空糸ガス分離膜の製造に使用する紡糸ノズルについて、図2を参照して説明する。前記紡糸ノズルは、中空糸形状の芳香族ポリイミド溶液を形成するための樹脂溶液吐出口11と中空部を形成・維持するための中空部形成流体吐出口12とを備えるものである。前記樹脂吐出口は、その外縁が非円形であるとともに、内縁が円形である。前記樹脂溶液吐出口11について、その外縁の仮想内接円を考えた場合、該仮想内接円を越えて径方向外方に延出した複数の延出部位13を有している。前記延出部位13の数は、4以上50以下であり、6以上20以下であることがより好ましい。前記延出部位13の数が3以下であると、有効膜面積が十分に大きいものが得られにくい。また前記延出部位13の数が50を超えると、非対称中空糸の製造が難しくなる。
また、前記樹脂溶液吐出口について、その外縁の仮想外接円を考えた場合、該仮想外接円の直径をD1’とし、前記仮想内接円の直径をD2’としたとき、(D1’-D2’)/D1’の値が0.05以上0.3以下であることが好ましい。換言すれば、前記仮想内接円の直径は、前記仮想外接円の直径の0.7倍以上0.95倍以下であることが好ましい。(D1’-D2’)/D1’の値がこの範囲より小さいと有効膜面積が十分に大きい非対称中空糸の製造が難しくなり、値がこの範囲より大きいと得られる非対称中空糸の断面積が大きくなりコスト面で好ましくない。
本発明の非対称中空糸ガス分離膜は、モジュール化して好適に用いることができる。中空糸ガス分離膜は、中空糸膜であるためにモジュール当たりの膜面積を広くできるし、高圧の混合ガスを供給してガスを分離できるので、高効率のガス分離が可能になる。通常のガス分離膜モジュールは、例えば、適当な長さの中空糸膜100~1000000本程度を束ね、その中空糸束の両端部を、中空糸の少なくとも一方の端が開口状態を保持した状態になるようにして、熱硬化性樹脂などからなる管板で固着し、得られた中空糸束と管板などからなる中空糸膜エレメントを、少なくとも混合ガス導入口と透過ガス排出口と非透過ガス排出口とを備える容器内に、中空糸膜の内側に通じる空間と中空糸膜の外側へ通じる空間とが隔絶するように収納し取り付けることによって得られる。このようなガス分離膜モジュールでは、混合ガスが混合ガス導入口から中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給され、中空糸膜に接して流れる間に混合ガス中の特定成分が選択的に膜を透過し、透過ガスが透過ガス排出口から、膜を透過しなかった非透過ガスが非透過ガス排出口からそれぞれ排出されることによって、ガス分離が行われる。
次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の例で用いた化合物は次の通りである。
s-BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
6FDA:4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)-ビス(無水フタル酸)
(なお、この化合物は2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物ともいう。)
PMDA:ピロメリット酸二無水物
TSN:3,7-ジアミノ-2,8-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシドを主成分とし、メチル基の位置が異なる異性体3,7-ジアミノ-2,6-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシド、3,7-ジアミノ-4,6-ジメチルジベンゾチオフェン=5,5-ジオキシドを含む混合物
MASN:3,3’-ジアミノジフェニルスルホン
〔実施例1〕
撹拌機と窒素ガス導入管が取り付けられたセパラブルフラスコに、s-BPDA(65mmol)、6FDA(25mmol)、PMDA(10mmol)、TSN(80mmol)及びMASN(20mmol)を、溶媒のパラクロロフェノールと共に加え、窒素ガスをフラスコ内に流通させながら、撹拌下イミド化反応をおこない、芳香族ポリイミド溶液を調製した。
前記調製した芳香族ポリイミド溶液をドープ液として、ドープ液吐出口の外縁に8つの延出部位を有し、(D1’-D2’)/D1’=0.27である中空糸紡糸用の紡糸ノズルを備えた紡糸装置を使用して、紡糸ノズルからドープ液を中空糸状に吐出させた後、一次凝固液(エタノール水溶液)に浸漬し、更に一対の案内ロールを備えた二次凝固装置内の二次凝固液(エタノール水溶液)中で案内ロール間を往復させて中空糸状態を凝固させ、引取りロールによって引き取って、非対称中空糸ガス分離膜を得た得られた糸は延出部位の数が8、(D1-D2)/D1=0.08であった。
〔実施例2〕
ドープ液吐出口の外縁に8つの延出部位を有し、(D1’-D2’)/D1’=0.25である紡糸ノズルを用いた以外は、実施例1と同様にして、延出部位の数が8、(D1-D2)/D1=0.05の非対称中空糸ガス分離膜を得た。
1 非対称中空糸ガス分離膜
2 緻密層
3 多孔質層
4 中空部
5 延出部位
11 樹脂溶液吐出口
12 中空部形成流体吐出口
13 延出部位

Claims (5)

  1. 表面に緻密層を有するとともに、該緻密層の内側に位置する多孔質層を有する非対称中空糸ガス分離膜であって、
    前記非対称中空糸の横断面は、その外縁が非円形であるとともに、内縁が円形であり、
    前記非対称中空糸の横断面について、その外縁の仮想内接円を考えた場合、前記外縁は、該仮想内接円を越えて径方向外方に延出した複数の延出部位を有し、
    前記延出部位の数が4以上50以下であり、
    前記非対称中空糸の横断面について、その外縁の仮想外接円を考えた場合、該仮想外接円の直径をD1とし、前記仮想内接円の直径をD2としたとき、(D1-D2)/D1の値が0.03以上0.2以下である、非対称中空糸ガス分離膜。
  2. 前記延出部位の輪郭線が、前記仮想内接円の中心に向けて凸の曲線から構成されている、請求項1に記載の非対称中空糸ガス分離膜。
  3. 芳香族ポリイミドで形成されている、請求項1又は2に記載の非対称中空糸ガス分離膜。
  4. 中空糸紡糸用の紡糸ノズルから樹脂溶液を吐出し、中空糸形状の樹脂溶液の表面の溶媒を蒸発させて薄い緻密層を形成した後、凝固液に浸漬して該緻密層の内側に多孔質層を形成する非対称中空糸ガス分離膜の製造方法であって、
    前記紡糸ノズルの樹脂溶液吐出口は、その外縁が非円形であるとともに、内縁が円形であり、
    前記紡糸ノズルの樹脂溶液吐出口について、その外縁の仮想内接円を考えた場合、前記外縁は、該仮想内接円を越えて径方向外方に延出した複数の延出部位を有し、
    前記延出部位の数が4以上50以下であり、
    前記紡糸ノズルの樹脂溶液吐出口について、その外縁の仮想外接円を考えた場合、該仮想外接円の直径をD1’とし、前記仮想内接円の直径をD2’としたとき、(D1’-D2’)/D1’の値が0.05以上0.3以下である、非対称中空糸ガス分離膜の製造方法。
  5. 樹脂溶液が、芳香族ポリイミド溶液である、請求項4に記載の非対称中空糸ガス分離膜の製造方法。



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