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JP2022151150A - 油性インクジェットインク - Google Patents

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JP2022151150A
JP2022151150A JP2021054079A JP2021054079A JP2022151150A JP 2022151150 A JP2022151150 A JP 2022151150A JP 2021054079 A JP2021054079 A JP 2021054079A JP 2021054079 A JP2021054079 A JP 2021054079A JP 2022151150 A JP2022151150 A JP 2022151150A
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信介 大澤
Shinsuke Osawa
哲也 白石
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光子 北ノ原
Mitsuko Kitanohara
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Abstract

【課題】印刷物による樹脂製品の変質又は変形の発生を抑制し、印刷物へのトナー転写を防止し、インクジェット印刷での印刷面汚れを防止することである。
【解決手段】色材、非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)を含み、非水系溶剤(A)は、変性シリコーンオイルであり、非水系溶剤(B)は、エーテルエステル、ジエステル、及びトリエステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつハンセン溶解度パラメータにおける分散項δが15.0~17.0MPa1/2であり、極性項δが5.0MPa1/2以下であり、非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比は1/5~1/1である、油性インクジェットインクである。
【選択図】なし

Description

本発明は、油性インクジェットインクに関する。
インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なノズルから液滴として噴射し、ノズルに対向して置かれた記録媒体に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、近年急速に普及している。このようなインクジェット記録方式に用いられるインクとして、水を主溶媒として含有する水性インク、重合性モノマーを主成分として高い含有量で含有する紫外線硬化型インク(UVインク)、ワックスを主成分として高い含有量で含有するホットメルトインク(固体インク)とともに、非水系溶剤を主溶媒として含有する、いわゆる非水系インクが知られている。非水系インクは、主溶媒が揮発性有機溶剤であるソルベントインク(溶剤系インク)と、主溶媒が低揮発性あるいは不揮発性の有機溶剤である油性インク(オイル系インク)に分類できる。ソルベントインクは主に有機溶剤の蒸発によって記録媒体上で乾燥するのに対して、油性インクは記録媒体への浸透が主となっている。
特許文献1(特開2014-15491号公報)には、顔料と、非水系溶剤と、非水溶性樹脂と、水溶性樹脂とを含む非水系顔料インクであって、非水溶性樹脂がアクリル系ポリマーであり、水溶性樹脂がポリエチレンイミンである非水系顔料インクが提案されている。このインクは低いインク粘度を実現し貯蔵安定性にも優れながら、裏抜けを抑制することができ、高い印刷濃度を実現することが可能という利点を有している。このインクはさらにサテライトの発生を抑制するという利点も有している。
一方、油性インクジェットインクによって画像形成された印刷物を、ポリプロピレン(PP)製等のクリアファイルに挟み込み保管すると、クリアファイルが反り返って変形する問題がある。この一因としては、クリアファイルが印刷面と接すると、インク成分によってクリアファイルの片面が膨潤するためと考えられる。このように、印刷面が樹脂製品に接触すると樹脂製品が変質することがあり、フィルム状の樹脂製品では変形が引き起こされることもある。このような印刷物による樹脂製品への影響はインク成分の中でも溶剤の影響を大きく受けることがわかってきている。
また、高極性溶剤が多く含まれるインクで印刷された印刷物と、トナーを使用した電子写真方式で印刷した印刷物とを重ねて置いておくと、高極性溶剤がトナーを溶解してしまい、互いの印刷物が貼りついてしまうことがある。
特許文献2(特開2013-166813号公報)には、クリアファイルの変形抑制とトナーの溶解性低減を実現し、吐出性能も改善する非水系インクジェットインクとして、有機溶剤として、炭素数25以上のピバリン酸エステルとエチレングリコールモノアルキルエーテルとを含むインクが提案されている。
特許文献3(特開2018-141123号公報)には、クリアファイルの変形防止、ノズルプレートに対するインクの濡れ性を改善し、吐出性能も改善する油性インクジェットインクとして、非水系溶剤として、特定の変性シリコーンオイルを含むインクが提案されている。
特開2014-15491号公報 特開2013-166813号公報 特開2018-141123号公報
特許文献2には、炭素数25以上のピバリン酸エステルを用いることでトナー溶解性が減少し、特定のエチレングリコールモノアルキルエーテルを用いることでクリアファイル変形を抑制すると開示される。エチレングリコールモノアルキルエーテルは、高極性を示すことから、クリアファイル変形を十分に抑制するためにより多く油性インクに含まれると、油性インクによってトナー画像が溶解しやすくなり、トナー転写の発生を引き起こすことがある。
特許文献3に開示のインクは、クリアファイル変形の抑制に効果を発揮するものの、変性シリコーンオイルが低表面張力を示すことから、インクジェットノズルから吐出されるインク滴が基材に着弾するまでの間にインクの主滴からサテライトが発生しやすくなり、印刷面汚れが発生することがある。
本発明の一目的としては、印刷物による樹脂製品の変質又は変形の発生を抑制し、印刷物へのトナー転写を防止し、インクジェット印刷での印刷面汚れを防止することである。
本発明の一側面としては、色材、非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)を含み、前記非水系溶剤(A)は、変性シリコーンオイルであり、前記非水系溶剤(B)は、エーテルエステル、ジエステル、及びトリエステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつハンセン溶解度パラメータにおける分散項δが15.0~17.0MPa1/2であり、極性項δが5.0MPa1/2以下であり、非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比は1/5~1/1である、油性インクジェットインクである。
本発明の一実施形態によれば、印刷物による樹脂製品の変質又は変形の発生を抑制し、印刷物へのトナー転写を防止し、インクジェット印刷での印刷面汚れを防止することができる。
以下、本発明を一実施形態を用いて説明する。以下の実施形態における例示が本発明を限定することはない。
一実施形態による油性インクジェットインク(以下、単に油性インク又はインクと称することがある。)としては、色材、非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)を含み、非水系溶剤(A)は、変性シリコーンオイルであり、非水系溶剤(B)は、エーテルエステル、ジエステル、及びトリエステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつハンセン溶解度パラメータにおける分散項δが15.0~17.0MPa1/2であり、極性項δが5.0MPa1/2以下であり、非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比は1/5~1/1であることを特徴とする。
この油性インクジェットインクによれば、印刷物による樹脂製品の変質又は変形の発生を抑制し、印刷物へのトナー転写を防止し、インクジェット印刷での印刷面汚れを防止することができる。
ポリプロピレン(PP)製のクリアファイルに印刷物を挟み込んで保管する場合に、クリアファイルの内面に印刷物表面のインクが接触し、クリアファイルの内面がインク成分の影響を受けて膨潤すると、クリアファイルが外側に反り返るように変形する現象がある。クリアファイルのように薄膜の樹脂製品に対しても同様に変形が発生することがある。また、強度のある樹脂製品に対しては表面が変質する可能性があり、例えば耐候性、耐久性等が低下することがある。
一方、トナーを用いて形成される印刷物は、トナーが高極性を示すことが多いことから、トナー画像が形成される印刷物が高極性成分と接触すると、トナー画像が溶解し相手材に転写することがある。油性インクによって油性インク画像が形成された印刷物に高極性成分が残留する場合では、この油性インク画像とトナー画像とが接触すると、トナーが溶解しやすくなり、油性インク画像側にトナー画像が転写されることがある。この現象をトナー転写とも称する。トナー画像が転写されない場合でも、油性インク画像の高極性成分によってトナー画像が変質し画質が低下することがある。特に、スチレン-アクリル共重合体タイプのトナーを用いて形成される印刷物において、トナー転写は発生しやすい。
物質間の相互作用を予測する上でハンセン溶解度パラメータという考え方がある。物質が持つ凝集エネルギー密度をδ(分散項)、δ(極性項)、及びδ(水素結合項)の3成分に分割し、物質間のパラメータの距離から相互作用を予測することができる。ポリマーであるクリアファイルやトナーもこのパラメータを持つため、非水系溶剤との相互作用(溶解性)を数値として表すことができる。δは分子の大きさや重さ、δは分子内の電荷の偏り、δは水素結合の有無が影響している。
溶解性をδ、δ、及びδの3成分に分割し3次元的に表わす場合に、ポリマーの3成分によって表される3次元空間の範囲外にパラメータを持つ非水系溶剤は、ポリマーとの相互作用が弱い非水系溶剤である。ポリマーは比較的δが大きいため、非水系溶剤がポリマーとの相互作用を抑えるには、非水系溶剤のδを低く抑えることが重要である。そのうえ、ポリマーの3次元空間の範囲外にδ及びδを持つように非水系溶剤を選択することが重要である。
クリアファイルのポリマー成分の3次元空間の範囲外にパラメータを持つ構造として、変性シリコーンオイルが適する。しかし、変性シリコーンオイルである非水系溶剤(A)は、シリコーン構造に起因して表面張力が低い傾向がある。低表面張力を示す非水系溶剤(A)を含むインクを用いると、ノズルから吐出されるインク滴の表面張力が低下し、インク滴の主滴から微小液滴としてサテライトが発生することがある。
インクジェット記録方式では、ノズルから吐出されたインクの液滴は尾を引く形で飛翔し、この飛翔する液滴の先頭部分と後尾部分との間に時間差や速度差が生じる。このため、先行する主たる液滴に付随して、不要な微小液滴(サテライト)が発生することがある。ノズルからインク滴が吐出され基材に着弾する際に、インクの主滴からずれてサテライトが記録媒体に着弾すると印刷面汚れの原因になる。また、サテライトは、ミストとなってインクジェットヘッドのノズル面と搬送経路との間の空間を浮遊し、記録媒体のインク液滴からずれた箇所に付着して印刷品質を低下させたり、装置内に付着して装置を汚したりすることがある。
非水系溶剤(B)は、エステル結合、エーテル結合、又はこれらの組み合わせを有する構造に起因して高極性を示し、さらにδが15.0~17.0MPa1/2であることで、クリアファイルのポリマー成分の3次元空間の範囲外にパラメータを持ち、クリアファイル変形を抑制することができる。これらの構造及びδのみによって特定される非水系溶剤は、極性が高すぎてトナー溶解性が高くなるが、非水系溶剤(B)のδを5.0MPa1/2以下とし、さらに非水系溶剤(A)と非水系溶剤(B)とを組み合わせて用いることで、油性インクによるトナー溶解性を低下させることができる。
また、上記によって特定される非水系溶剤(B)は、高表面張力を示すことから、非水系溶剤(A)と非水系溶剤(B)とを組み合わせて含むインクは、ノズルから吐出され基材に着弾するまでの間にインク主滴からサテライトが発生することを抑制し、サテライトによる印刷面汚れを防止することができる。
油性インクにおいて、非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比が1/5~1/1であることで、低表面張力を示す非水系溶剤(A)と高表面張力を示す非水系溶剤(B)とが適量で含まれ、インクジェットノズルから吐出されるインク滴が基材に着弾するまでの間にサテライトの発生を抑制し、サテライトによる印刷面の汚れを防止することと、油性インクによるトナー画像の溶解性が減少し、トナー転写を防止することとをバランスよく保つことができる。
油性インクは、非水系溶剤(A)として変性シリコーンオイルを含むことができる。
変性シリコーンオイルは、23℃で液体状のポリシロキサン化合物を好ましく用いることができる。
変性シリコーンオイルとしては、鎖状又は環状のジメチルシリコーンオイルの一部のケイ素原子に各種有機基を導入したシリコーンオイルを用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、全てのケイ素原子が炭素原子またはシロキサン結合の酸素原子のいずれかとのみ結合していることが好ましい。変性シリコーンオイルとしては、非反応性シリコーンオイルであることが好ましい。変性シリコーンオイルとしては、その構成原子がケイ素原子、炭素原子、酸素原子、水素原子のみからなることが好ましい。
変性シリコーンオイルとしては、例えば、アルキル変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイルやアラルキル変性シリコーンオイル等のアリール変性シリコーンオイル、カルボン酸エステル変性シリコーンオイル、アルキレン変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル等が挙げられる。好ましくは、アルキル変性シリコーンオイル、カルボン酸エステル変性シリコーンオイルであり、より好ましくはアルキル変性シリコーンオイルである。
変性シリコーンオイルとしては、ケイ素数が2~20であることが好ましく、2~10がより好ましく、2~6がさらに好ましく、2~5が一層好ましい。
変性シリコーンオイルの一例には、1分子中のケイ素数が2~6であり、ケイ素原子に炭素原子が直接結合し、炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基を有するシリコーンオイルが含まれる。以下、このシリコーンオイルを変性シリコーンオイルSとも記す。
変性シリコーンオイルSは、炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基として、下記の(A)~(D)からなる群から選択される少なくとも1種を有することができる。
(A)炭素数4以上のアルキル基。
(B)炭素数及び酸素数の合計が4以上であるカルボン酸エステル結合含有基。
(C)炭素数6以上の芳香環含有基。
(D)炭素数4以上のアルキレン基。
変性シリコーンオイルSは、1分子中の炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基に含まれる炭素数及び酸素数の合計が4~20が好ましく、6~18がより好ましく、8~16がさらに好ましい。
変性シリコーンオイルSの1分子中に炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基が2個以上含まれる場合は、1分子中の炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基の炭素数及び酸素数の合計は、2個以上の炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基の炭素数及び酸素数の合計である。
変性シリコーンオイルSの一例には、下記一般式(X)で表される化合物であるシリコーンオイルが含まれる。
Figure 2022151150000001
一般式(X)において、Rは、酸素原子、又はケイ素原子に炭素原子が直接結合する2価の有機基であり、Rは、それぞれ独立的に、ケイ素原子に炭素原子が直接結合する1価の有機基であり、m及びnは、それぞれ独立的に、0~4の整数であり、pは、それぞれ独立的に、0~2の整数であり、1分子中のケイ素数が2~6であり、R及びRのうち少なくとも1個は、炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基であり、1分子中の炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基に含まれる酸素数及び炭素数の合計が4~20である。
一般式(X)において、Rは、酸素原子、又は炭素数及び酸素数の合計が4以上である2価の有機基であり、Rは、それぞれ独立的に、メチル基、又は炭素数及び酸素数の合計が4以上である1価の有機基であることが好ましい。
好ましくは、一般式(X)において、Rは、酸素原子、又は炭素数4以上のアルキレン基であり、Rは、それぞれ独立的に、メチル基、炭素数4以上のアルキル基、炭素数及び酸素数の合計が4以上であるカルボン酸エステル結合含有基、又は炭素数6以上の芳香環含有基であり、R及びRのうち少なくとも1個は、炭素数4以上のアルキレン基、炭素数4以上のアルキル基、炭素数及び酸素数の合計が4以上であるカルボン酸エステル結合含有基、及び炭素数6以上の芳香環含有基からなる群から選択され、1分子中の炭素数4以上のアルキレン基、炭素数4以上のアルキル基、炭素数及び酸素数の合計が4以上であるカルボン酸エステル結合含有基、及び炭素数6以上の芳香環含有基に含まれる酸素数及び炭素数の合計が4~20である。
変性シリコーンオイルSにおいて、炭素数4以上のアルキル基は、直鎖または分岐鎖を有してもよく、鎖状または脂環式であってもよい。
このアルキル基の炭素数は、4以上が好ましく、6以上、又は8以上であってもよい。このアルキル基の炭素数は、20以下が好ましく、より好ましくは18以下、さらに好ましくは16以下である。
炭素数4以上のアルキル基は、例えば、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
変性シリコーンオイルSにおいて、カルボン酸エステル結合含有基は、主鎖のシロキサン結合のケイ素原子にアルキレン基を介してカルボン酸エステル結合が結合する-RBb-O-(CO)-RBaで表される基、または、-RBb-(CO)-O-RBaで表される基を好ましく用いることができる。
ここで、RBaは、炭素数1以上の直鎖または分岐鎖を有してもよく、鎖状または脂環式のアルキル基であることが好ましい。また、RBbは、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖を有してもよく、鎖状または脂環式のアルキレン基であることが好ましい。主鎖のシロキサン結合のケイ素原子とカルボン酸エステル結合を結ぶアルキレン基は、炭素数2以上であることがより好ましい。
カルボン酸エステル結合含有基の炭素数及び酸素数の合計は、エステル結合(-O-(CO)-)の1個の炭素原子と2個の酸素原子と、アルキル基(RBa)の炭素数と、アルキレン基(RBb)の炭素数との合計になる。
カルボン酸エステル結合含有基において、アルキル基(RBa)は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基等を挙げることができる。
好ましくは、プロピル基、ペンチル基、ヘプチル基、ノニル基、トリデシル基であり、より好ましくはヘプチル基、ノニル基である。
カルボン酸エステル結合含有基において、アルキレン基(RBb)は、炭素数1~8の直鎖アルキレン基であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、n-ブチレン、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基等を挙げることができる。好ましくは、エチレン基である。
変性シリコーンオイルSにおいて、芳香環含有基は、主鎖のシロキサン結合のケイ素原子に芳香環が直接結合する-RCaで表される基、または、主鎖のシロキサン結合のケイ素原子にアルキレン基を介して芳香環が結合する-RCb-RCaで表される基を好ましく用いることができる。
ここで、RCaは、炭素数6以上の芳香環であることが好ましい。また、RCbは、炭素数1以上の直鎖又は分岐鎖を有してもよく、鎖状または脂環式のアルキレン基であることが好ましい。
芳香環含有基が、主鎖のシロキサン結合のケイ素原子に芳香環が直接結合する-RCaで表される基である場合、主鎖のシロキサン結合からトリメチルシリルオキシ基等の分岐鎖が側鎖として分岐していていることが好ましい。芳香環含有基は、主鎖のシロキサン結合のケイ素原子にアルキレン基を介して芳香環が結合する-RCb-RCaで表される基であることがより好ましい。
芳香環含有基の炭素数は、芳香環(RCa)の炭素数と、任意のアルキレン基(RCb)の炭素数との合計になる。
芳香環含有基において、芳香環部分(RCa)は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等、又はこれらの少なくとも1個の水素原子がアルキル基に置換された官能基を挙げることができる。
芳香環含有基において、任意のアルキレン基(RCb)は、炭素数1~8の直鎖または分岐鎖を有してもよいアルキレン基であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基等を挙げることができる。
好ましくは、プロピレン基、メチルエチレン基、エチレン基である。
また、芳香環含有基を有する変性シリコーンオイルSとしては、例えば、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-フェニル-3-(トリメチルシリルオキシ)トリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン等を用いることができる。
変性シリコーンオイルSの一実施形態としては、2~6個のケイ素原子と、炭素数4以上のアルキレン基とを有する化合物であり、好ましくは、炭素数が4以上であるアルキレン基の両端の炭素原子にそれぞれシリル基又は少なくとも1個のシロキサン結合が結合する化合物である。
炭素数4以上のアルキレン基は、例えば、n-ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソオクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ドデシレン基、ヘキサデシレン基、エイコシレン基等を挙げることができる。
好ましくは、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基であり、より好ましくは、オクチレン基、デシレン基である。
上記した変性シリコーンオイルSは、これに限定されないが、以下の方法によって製造することができる。
例えば、シロキサン原料と、炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基とともに反応性基を有する反応性化合物とを、有機溶媒中で反応させることで、変性シリコーンオイルSを得ることができる。シロキサン原料と反応性化合物とは、シロキサン原料の反応性基と反応性化合物の反応性基とがモル比で1:1~1:1.5で反応させることが好ましい。また、反応に際し、0価白金のオレフィン錯体、0価白金のビニルシロキサン錯体、2価白金のオレフィン錯体ハロゲン化物、塩化白金酸等の白金触媒等の触媒を好ましく用いることができる。
シロキサン原料としては、例えば、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,7,7,7-ノナメチルテトラシロキサン、1,1,1,3,3,5,7,7,9,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7-オクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-デカメチルペンタシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-(トリメチルシリルオキシ)トリシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7-オクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,5,5-ペンタメチル-3-(ジメチルシリルオキシ)トリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11-ドデカメチルヘキサシロキサン、1,1,1,5,5,5-ヘキサメチル-3-(トリメチルシリルオキシ)トリシロキサン等を用いることができる。
反応性化合物は反応性基として炭素二重結合を有することが好ましい。
変性シリコーンオイルSにアルキル基を導入するためには、反応性化合物として、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン等の炭素数が4以上であるアルケン等を用いることができる。
また、アルケンの他にも、ビニルシクロヘキサン等のエチレン性不飽和2重結合を有する脂環式炭化水素基を用いることができる。
変性シリコーンオイルSにエステル結合含有基を導入するためには、反応性化合物として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、イソオクタン酸ビニル、ノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、エイコ酸ビニル、ヘキサン酸アリル等の炭素数及び酸素数の合計が6以上である脂肪酸ビニル又は脂肪酸アリル化合物等を用いることができる。
変性シリコーンオイルSに芳香環含有基を導入するためには、反応性化合物として、スチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、アリルベンゼン、1-アリルナフタレン、4-フェニル-1-ブテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、1-ビニルナフタレン、α-メチルスチレン、2-メチル-1-フェニルプロペン、1,1-ジフェニルエチレン、トリフェニルエチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、シス-β-メチルスチレン、トランス-β-メチルスチレン、3-フェニル-1-プロペン等のビニル結合と炭素数6以上の芳香環とを有するアリール化合物等を用いることができる。
変性シリコーンオイルSにアルキレン基を導入するためには、反応性化合物として、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,11-ドデカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,13-テトラデカジエン、ヘキサデカジエン、エイコサジエン等の炭素数が4以上であるジエン化合物等を用いることができる。
変性シリコーンオイルとしては、アルキル変性シリコーンオイルを用いることが好ましい。アルキル変性シリコーンオイルは、1分子中のケイ素数が2~6であり、ケイ素原子に炭素原子が直接結合し、炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基を有するシリコーンオイルであることが好ましい。
アルキル変性シリコーンオイルの具体例としては、炭素数4~20のアルキル基を有するペンタメチルジシロキサン、2個の炭素数4~20のアルキル基を有するテトラメチルジシロキサン、炭素数4~20のアルキル基を有するヘプタメチルトリシロキサン、2個の炭素数4~20のアルキル基を有するヘキサメチルトリシロキサン、炭素数4~20のアルキル基を有するノナメチルテトラシロキサン、2個の炭素数4~20のアルキル基を有するオクタメチルテトラシロキサン、炭素数4~20のアルキル基を有するウンデカメチルテトラシロキサン、2個の炭素数4~20のアルキル基を有するデカメチルテトラシロキサン等が挙げられる。
なかでも、炭素数4~20、特に炭素数10~18のアルキル基を有するヘプタメチルトリシロキサン、2個の炭素数4~20、特に炭素数4~10のアルキル基を有するヘキサメチルトリシロキサン、又はこれらの組み合わせが好ましい。
上記した変性シリコーンオイルは、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水系溶剤(A)の沸点は、特に限定されないが、360℃未満であることが好ましい。低沸点の非水系溶剤は比較的に低粘度であることから、低沸点の非水系溶剤がインクに含まれることで、吐出性をより改善することができる。
非水系溶剤(A)の沸点は、360℃未満が好ましく、300℃以下がより好ましい。インクジェットノズルからの非水系溶剤の揮発を防止するために、非水系溶剤(A)の沸点は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。
本開示において、非水系溶剤の沸点は1気圧での沸点を示す。非水系溶剤の沸点は、JISK2254「石油製品-蒸留試験方法」の(1)初留点の方法に準拠にて測定することができる。以下同じである。
非水系溶剤(A)の表面張力は、特に限定されないが、溶剤混和性と顔料親和性の観点から、23℃において40mN/m以下が好ましく、35mN/m以下がより好ましく、シリコーン構造に起因して低表面張力を示すことから、例えば30mN/m以下、25mN/m以下、又は23mN/m以下であってもよい。
非水系溶剤(A)の表面張力は、シリコーン構造を有することから低くなるが、例えば、23℃において16mN/m以上、18mN/m以上、又は20mN/m以上であってよい。
本開示において、非水系溶剤の表面張力は、23℃、0.05Hzの測定条件で最大泡圧法によって測定した数値を示す。測定装置には、例えば、表面張力測定装置計(SITA Process Solutions製の「SITA Messtechnik GmbH science line t60」(商品名))を用いることができる。以下同じである。
非水系溶剤(A)の粘度は、23℃において1~20mPa・sが好ましく、1~10mPa・sがより好ましく、2~8mPa・sがさらに好ましい。
本開示において、非水系溶剤の粘度は、回転式粘度計を用いて23℃において測定した数値である。粘度測定装置には、例えば、株式会社アントンパール・ジャパン製「レオメーターMCR302」を用いることができる。以下同じである。
非水系溶剤(A)は、ハンセン溶解度パラメータにおける分散項δ、極性項δ、及び水素結合項δは特に限定されないが、例えば下記の範囲を満たすことが好ましい。
非水系溶剤(A)の分散項δは、10~20MPa1/2、12~17MPa1/2、又は13~15MPa1/2であってよい。
非水系溶剤(A)の極性項δは、0.5~10MPa1/2、1~5MPa1/2、又は1~3MPa1/2であってよい。
非水系溶剤(A)の水素結合項δは、0.1~10MPa1/2、0.1~5MPa1/2、又は0.1~3MPa1/2であってよい。
非水系溶剤のハンセン溶解度パラメータの説明は、後述する通りである。
非水系溶剤(A)は、非水系溶剤全量に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。これによって、非水系溶剤(A)がポリマー成分と相互作用しにくいという性質が発揮されて、クリアファイル変形をより防止することができる。また、低極性を示す非水系溶剤(A)が油性インクに含まれることで、油性インクによるインク画像の溶解性が減少し、トナー転写の発生をより防止することができる。
非水系溶剤(A)は、非水系溶剤全量に対し、80質量%以下が好ましく、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。低表面張力を示す非水系溶剤(A)の含有量が制限される範囲で、非水系溶剤(A)と非水系溶剤(B)とを組み合わせることで、インクジェットノズルからインク滴が吐出され基材に着弾する間に、インクの主滴からサテライトが発生すること抑制し、サテライトによる印刷面汚れをより防止することができる。
非水系溶剤(A)は、インク全量に対し、5~80質量%が好ましく、15~60質量%がより好ましく、20~50質量%がさらに好ましい。
油性インクは、非水系溶剤(B)としてエーテルエステル、ジエステル、及びトリエステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつハンセン溶解度パラメータにおける分散項δが15.0~17.0MPa1/2であり、極性項δが5.0MPa1/2以下である非水系溶剤を含むことができる。
ハンセン溶解度パラメータにおいて、非水系溶剤(B)は以下の特性を備えることが好ましい。
非水系溶剤(B)の分散項δは、17.0MPa1/2以下が好ましく、16.8MPa1/2以下がより好ましい。これによって、クリアファイル及びトナーのポリマー成分と相互作用しにくくなり、クリアファイル変形及びトナー転写を防止することができる。特に、この範囲では、クリアファイルのポリマー成分との相互作用を抑制することができる。
非水系溶剤(B)の分散項δは、表面張力の低下を防止する観点から、15.0MPa1/2以上が好ましく、15.5MPa1/2以上がより好ましく、16.0MPa1/2以上であってもよい。高表面張力の非水系溶剤がインクに含まれることで、ノズルから吐出されるインク滴からサテライトが発生することを防止し、印刷面の汚れを防止することができる。
非水系溶剤(B)の極性項δは、5.0MPa1/2以下が好ましく、4.5MPa1/2以下がより好ましく、4.1MPa1/2以下がより好ましい。この範囲で、非水系溶剤(B)の極性項δが制限されることで、非水系溶剤(A)と非水系溶剤(B)とを組み合わせる場合に、油性インクによるトナー溶解性を低下させることができる。
非水系溶剤(B)の極性項δは、特に制限されないが、非水系溶剤(B)は分子構造から極性を示すことから、例えば、1.0MPa1/2以上、1.5MPa1/2以上、又は2.0MPa1/2以上であってよい。また、この範囲で、クリアファイル及びトナーのポリマー成分と相互作用しにくくなり、クリアファイル変形及びトナー転写を防止することができる。特に、この範囲では、トナーのポリマー成分との相互作用を抑制することができる。
非水系溶剤(B)の水素結合項δは、水素結合の有無に影響される成分であり、エーテル結合、エステル結合等の構造に影響されて、一般的に以下の範囲内に含まれる。これらの範囲内は、クリアファイル及びトナーのポリマー成分と相互作用しにくくなり、クリアファイル変形及びトナー転写を防止することができる。特に、この範囲では、クリアファイルのポリマー成分との相互作用を抑制することができる。
非水系溶剤(B)の水素結合項δは、1.0~10.0MPa1/2が好ましく、2.0~7.0MPa1/2がより好ましく、3.0~7.0MPa1/2がさらに好ましい。
ハンセン溶解度パラメーター(HSP値)の算出方法を以下に説明する。本開示では、1967年にHansenが提唱した3次元ハンセン溶解度パラメータを用いる。
ハンセン溶解度パラメータは、Hildebrandによって導入されたハンセン溶解度パラメータを分散項δ、極性項δ、水素結合項δの3成分に分割し、3次元空間で表したものである。分散項は、分散力による効果、極性項は、双極子間力による効果、水素結合項は、水素結合力の効果を示す。より詳細には、POLYMER HANDBOOK.FOURTH EDITION.(Editors.J.BRANDRUP,E.H.IMMERGUT,andE.A.GRULKE.)等に説明されている。
具体的には、Charles.M.Hansenらによるハンセン溶解度パラメータ計算ソフト「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」ver.5.3を用いて計算した。以下同じである。
非水系溶剤(B)の沸点は、特に限定されないが、360℃未満であることが好ましい。低沸点の非水系溶剤は比較的に低粘度であることから、低沸点の非水系溶剤がインクに含まれることで、吐出性をより改善することができる。非水系溶剤(B)は、上記した範囲のハンセン溶解度パラメータを備えることで、低沸点及び低粘度である場合も、クリアファイル変形及びトナー転写を防止することができる。
非水系溶剤(B)の沸点は、360℃未満が好ましく、300℃以下がより好ましい。インクジェットノズルからの非水系溶剤の揮発を防止するために、非水系溶剤(B)の沸点は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃以上がより好ましい。
非水系溶剤(B)の表面張力は、23℃において20mN/m以上であることが好ましい。
非水系溶剤(B)は、上記した範囲の分散項δを備えることで、比較的に高い表面張力を備える傾向がある。高表面張力の非水系溶剤がインクに含まれることで、ノズルから吐出されるインク滴からサテライトが発生することを防止し、印刷面の汚れを防止することができる。
非水系溶剤(B)の表面張力は、23℃において20mN/m以上が好ましく、22mN/m以上がより好ましく、26mN/m以上がさらに好ましい。これによって、サテライトの発生をより防止することができる。
非水系溶剤(B)の表面張力は、特に限定されないが、溶剤混和性と顔料親和性の観点から、23℃において40mN/m以下が好ましく、35mN/m以下がより好ましい。
非水系溶剤(B)の粘度は、23℃において1~20mPa・sが好ましく、1~10mPa・sがより好ましく、2~9mPa・sがさらに好ましい。
非水系溶剤(B)は、エーテルエステル、ジエステル、及びトリエステルからなる群から選択される少なくとも1種である。非水系溶剤(B)は、23℃において液体状であることが好ましい。
エーテルエステル、ジエステル、及びトリエステルは、それぞれ、エステル結合、エーテル結合、又はこれらの組み合わせに起因して、高い極性を示す。高極性の非水系溶剤(B)を含むインクを用いることで、印刷物によるクリアファイル変形を抑制することができる。非水系溶剤(B)は、クリアファイル変形を防止する程度に高極性を示す一方で、非水系溶剤(B)の極性項δが5.0MPa1/2以下に制限されることで、トナー溶解性が抑制されて、印刷物へのトナー転写を防止することができる。
非水系溶剤(B)は、上記した分散項δ及び極性項δの範囲を満たすものであって、エーテルエステル、ジエステル、トリエステル、又はこれらの組み合わせであればよい。
非水系溶剤(B)は、1分子中の炭素数が6~30が好ましく、8~22がより好ましく、8~20がさらに好ましい。この範囲で、非水系溶剤(B)は、分散項δ及び極性項δが好ましい範囲を満たしながら、沸点及び粘度がインクジェット印刷により適する範囲を満たすことができる。
非水系溶剤(B)として用いることができる化合物について以下詳述する。
エーテルエステルには、例えば、モノカルボン酸と一価アルコールとのエステル化物であって、モノカルボン酸及び一価アルコールのうち少なくとも一方がエーテル結合を有する化合物を用いることができる。エーテルエステルに導入されるエーテル結合は、1個又は2個以上であってよく、1~5個が好ましく、1~3個がより好ましい。
エーテル結合を有するモノカルボン酸としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル鎖を有するモノカルボン酸等が挙げられる。
エーテル結合を有する一価アルコールとしては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
エーテルエステルにおいて、酸成分に由来する単位及びアルコール成分に由来する単位に含まれる炭化水素基は、それぞれ独立的に飽和又は不飽和炭化水素基であってもよく、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であってもよく、鎖状炭化水素基である場合は直鎖又は分岐鎖であってもよい。
好ましくは、エーテルエステルにおいて、酸成分に由来する単位及びアルコール成分に由来する単位は、それぞれ独立的に飽和の鎖状炭化水素基を有し、直鎖又は分岐鎖であってよい。
エーテルエステルは、例えば、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖、メトキシ基等、又はこれらの組み合わせと、エステル結合とを有することが好ましく、エステル結合を介して一方にエチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖、メトキシ基等、又はこれらの組み合わせを有し、他方に炭素数4~8、中でも炭素数6~8の飽和アルキル基を有することがより好ましい。
ジエステルには、2個のカルボキシ基を有するジカルボン酸と一価アルコールとのエステル化物、モノカルボン酸と2個の水酸基を有するジオールとのエステル化物、炭酸ジエステル等を用いることができる。なかでもジカルボン酸ジエステル、ジオールジエステル、又はこれらの組み合わせが好ましい。
ジエステルにおいて、酸成分に由来する単位及びアルコール成分に由来する単位に含まれる炭化水素基は、それぞれ独立的に飽和又は不飽和炭化水素基であってもよく、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であってもよく、鎖状炭化水素基である場合は直鎖又は分岐鎖であってもよい。
好ましくは、ジエステルにおいて、酸成分に由来する単位及びアルコール成分に由来する単位は、それぞれ独立的に飽和の鎖状炭化水素基を有し、直鎖又は分岐鎖であってよい。
ジエステルは、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等と、炭素数1~10の飽和一価アルコールとのジエステル;炭素数1~10の飽和脂肪酸と、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオールとのジエステル等であってよく、アジピン酸と炭素数4~8の飽和の一価アルコールとのジエステルが好ましい。
トリエステルには、3個のカルボキシ基を有するトリカルボン酸と一価アルコールとのエステル化物、モノカルボン酸と3個の水酸基を有する三価アルコールとのエステル化物等を用いることができる。
トリエステルにおいて、酸成分に由来する単位及びアルコール成分に由来する単位に含まれる炭化水素基は、それぞれ独立的に飽和又は不飽和炭化水素基であってもよく、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であってもよく、鎖状炭化水素基である場合は直鎖又は分岐鎖であってもよい。
好ましくは、トリエステルにおいて、酸成分に由来する単位及びアルコール成分に由来する単位は、それぞれ独立的に飽和の鎖状炭化水素基を有し、直鎖又は分岐鎖であってよい。
トリエステルは、例えば、炭素数3~10のトリオールと、炭素数1~10、中でも炭素数1~4の飽和脂肪酸とのトリエステル等であってよく、グリセロールと、炭素数1~4の飽和脂肪酸とのトリエステルが好ましい。
エーテルエステルとしては、例えば、2-エチルヘキサン酸2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル、2-エチルブタン酸2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル等が挙げられる。
ジエステルとしては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸(ビスー2-エチルヘキシル)等が挙げられる。
トリエステルとしては、例えば、グリセロールトリブチレート、グリセロールトリプロピオネート、グリセロールトリ(2-メチルプロピオネート)等が挙げられる。
上記した非水系溶剤(B)は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
油性インクに2種以上の非水系溶剤(B)が含まれる場合は、非水系溶剤(B)のそれぞれが上記したδ及びδの範囲、さらにはその他の上記した物性値の範囲を満たすことが好ましい。より好ましくは、2種以上の非水系溶剤(B)の混合溶剤が、上記したδ及びδの範囲、さらにはその他の上記した物性値の範囲を満たすとよい。
非水系溶剤(B)は、非水系溶剤全量に対し、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。これによって、非水系溶剤(B)がポリマー成分と相互作用しにくいという性質が発揮されて、クリアファイル変形をより防止することができる。また、インク全体が高い表面張力を示すようになり、サテライトを起因とする印刷面汚れをより防止することができる。
非水系溶剤(B)は、非水系溶剤全量に対し、90質量%以下が好ましく、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。高極性を示す非水系溶剤(B)の含有量が制限される範囲で、非水系溶剤(A)と非水系溶剤(B)とを組み合わせることで、インク成分によるトナー画像の溶解を抑制し、トナー転写をより防止することができる。
例えば、非水系溶剤(B)は、非水系溶剤全量に対し、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~70質量%がさらに好ましい。
非水系溶剤(B)は、インク全量に対し、5~90質量%が好ましく、15~80質量%がより好ましく、25~70質量%がさらに好ましい。
油性インクは、沸点が360℃以上であるモノエステルである非水系溶剤(C)をさらに含むことができる。
非水系溶剤(C)の沸点は、360℃以上であることが好ましく、370℃以上がより好ましく、380℃以上であってよい。非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)に加えて非水系溶剤(C)を組み合わせて用いることで、トナー転写をより防止することができる。さらに、高沸点の非水系溶剤(C)を用いることで、印刷物からの非水系溶剤の揮発を抑制し、クリアファイルへの非水系溶剤の浸透を抑制し、クリアファイル変形をより防止することができる。
非水系溶剤(C)の沸点は、特に制限されないが、高沸点の非水系溶剤は高粘度となって吐出性の低下の一因になることから、450℃以下が好ましく、400℃以下がより好ましい。
ハンセン溶解度パラメータにおいて、非水系溶剤(C)は以下の特性を備えることが好ましい。
非水系溶剤(C)の分散項δは、17.0MPa1/2以下が好ましく、16.5MPa1/2以下がより好ましく、16.0MPa1/2以下がさらに好ましい。非水系溶剤(C)単独ではδが比較的大きい範囲になるが、非水系溶剤(A)、非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)を組み合わせ、さらに非水系溶剤(C)のδがこの範囲であることで、インク成分がトナーのポリマー成分と相互作用しにくくなり、トナー転写をより防止することができる。非水系溶剤(C)は高沸点であるとともに、非水系溶剤(C)のδがこの範囲内で小さいものを選択することで、クリアファイル変形をより防止できる。
非水系溶剤(C)の分散項δは、表面張力の低下を防止する観点から、13MPa1/2以上が好ましく、14MPa1/2以上がより好ましく、15MPa1/2以上がさらに好ましい。高表面張力の非水系溶剤がインクに含まれることで、ノズルから吐出されるインク滴からサテライトが発生することを防止し、印刷面の汚れをより防止することができる。
非水系溶剤(C)の極性項δ及び水素結合項δは、それぞれ分子中の電荷の偏り及び水素結合の有無に影響される成分であり、モノエステル構造に大きく影響される。多くの場合、非水系溶剤(C)のハンセン溶解度パラメータはトナーのポリマー成分の3次元空間から外れることから、非水系溶剤(C)は、トナー転写の防止に役立つように作用する。
非水系溶剤(C)の極性項δは、0.5~5.0MPa1/2が好ましく、1.0~4.0MPa1/2がより好ましく、1.0~3.0MPa1/2がさらに好ましい。
非水系溶剤(C)の水素結合項δは、0.5~5.0MPa1/2が好ましく、1.0~4.0MPa1/2がより好ましく、1.5~3.0MPa1/2がさらに好ましい。
非水系溶剤(C)の表面張力は、23℃において20mN/m以上が好ましく、25mN/m以上がより好ましく、28mN/m以上がさらに好ましい。
非水系溶剤(C)は、比較的に高い表面張力を備える傾向がある。高表面張力の非水系溶剤がインクに含まれることで、ノズルから吐出されるインク滴からサテライトが発生することを防止し、印刷面の汚れを防止することができる。
非水系溶剤(C)の表面張力は、特に限定されないが、溶剤混和性と顔料親和性の観点から、23℃において40mN/m以下が好ましく、35mN/m以下がより好ましい。
非水系溶剤(C)の粘度は、23℃において1~30mPa・sが好ましく、1~20mPa・sがより好ましく、5~15mPa・sがさらに好ましい。非水系溶剤(C)は高沸点溶剤であることから高粘度を示す傾向があるが、非水系溶剤(C)の粘度がこの範囲である場合、非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)と組み合わせることで吐出性の低下をより防止することができる。
モノエステルである非水系溶剤(C)は、1分子中に1個のエステル結合を有する化合物である。非水系溶剤(C)は、23℃において液体状であることが好ましい。
非水系溶剤(C)には、モノカルボン酸モノエステル等を用いることができる。
非水系溶剤(C)において、酸成分に由来する単位及びアルコール成分に由来する単位に含まれる炭化水素基は、それぞれ独立的に飽和又は不飽和炭化水素基であってもよく、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であってもよく、鎖状炭化水素基である場合は直鎖又は分岐鎖であってもよい。
好ましくは、非水系溶剤(C)において、酸成分に由来する単位及びアルコール成分に由来する単位は、それぞれ独立的に飽和の鎖状炭化水素基を有し、直鎖又は分岐鎖であってよい。
非水系溶剤(C)は、1分子中の炭素数が14~30が好ましく、18~28がより好ましく、20~25がさらに好ましい。この範囲で、非水系溶剤(C)の沸点及び粘度がインクジェット印刷により適する範囲を満たすことができる。
非水系溶剤(C)の具体例としては、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、ネオペンタン酸2-オクチルデシル、イソオクタン酸セチル、イソオクタン酸イソセチル;2-エチルヘキサン酸イソセチル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ドデカン酸テトラデシル、ドデカン酸オクタデシル、テトラデカン酸8-メチルノニル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸ヘプチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸ドデシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソプロピル;
3,5,5-トリメチルヘキサン酸5,7,7-トリメチル2-(1,3,3-トリメチルブチル)オクチル、2-(1,3,3-トリメチルブチル)-5,7,7-トリメチルオクタン酸1,1,-ジエチルプロピル、3,5,5-トリメチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、9,9-ジメチルデカン酸3,7-ジメチルオクタノール、9,9-ジメチルデカン酸3,5,5-トリメチルヘキシル;オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸イソブチル等が挙げられる。
上記した非水系溶剤(C)は単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
油性インクに2種以上の非水系溶剤(C)が含まれる場合は、非水系溶剤(C)のそれぞれが上記した沸点等の物性値の範囲を満たすことが好ましい。より好ましくは、2種以上の非水系溶剤(C)の混合溶剤が、上記した沸点等の物性値の範囲を満たすとよい。
非水系溶剤(C)は、非水系溶剤全量に対し、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上であってよい。この範囲で、非水系溶剤(A)、非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)を組み合わせることで、クリアファイル変形をより防止し、インク成分によるトナー画像の溶解性を低下させ、トナー転写をより防止することができる。
非水系溶剤(C)は、非水系溶剤全量に対し、70質量%以下が好ましく、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。これによって、比較的高粘度を示す非水系溶剤(C)の含有量を制限し、インクを低粘度化し、吐出性をより改善することができる。
例えば、非水系溶剤(C)は、非水系溶剤全量に対し、10~70質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましく、30~50質量%がさらに好ましい。
非水系溶剤(C)は、インク全量に対し、5~70質量%が好ましく、15~60質量%がより好ましく、25~50質量%がさらに好ましい。
油性インクにおいて、非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比は、1/5~1/1、すなわち0.2~1程度であることが好ましい。
非水系溶剤(A)が非水系溶剤(B)と同量か、非水系溶剤(B)よりも少ないことが好ましい。非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比は、例えば、1/1以下、8/10以下、6/10以下、又は1/2以下であってよい。この範囲で、低表面張力を示す非水系溶剤(A)の含有量が制限され、高表面張力を示す非水系溶剤(B)が適量で含まれることで、インクジェットノズルから吐出されるインク滴が基材に着弾するまでの間にサテライトの発生を抑制し、サテライトによる印刷面の汚れを防止することができる。
非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比は、1/5以上が好ましく、例えば、3/10以上、又は4/10以上であってよい。この範囲で、低極性を示す非水系溶剤(A)が適量で含まれ、高極性を示す非水系溶剤(B)の含有量が制限されることで、油性インクによるトナー画像の溶解性が減少し、トナー転写を防止することができる。
非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比は、例えば、1/5~1/1、8/10~3/10、6/10~4/10、又は1/2~4/10であってよい。
非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)の合計量は、インク全量に対し、10~98質量%が好ましく、50~95質量%がより好ましく、70~90質量%がさらに好ましい。
本開示において、特に断りのない限り、非水系溶剤(A)の含有量は、油性インクに2種以上の非水系溶剤(A)が含まれる場合は、2種以上の非水系溶剤(A)の合計量である。非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)も同様である。
油性インクにおいて、(非水系溶剤(A)+非水系溶剤(B))/非水系溶剤(C)の質量比は、2/3~7/3、すなわち0.67~2.33程度であることが好ましい。
高沸点を示しモノエステルである非水系溶剤(C)が含まれることで、非水系溶剤(C)はトナー画像を溶解させるほどの高極性を示さないことから、油性インクによるトナー画像の溶解性が低下し、トナー転写を防止することができる。非水系溶剤(C)はハンセン溶解度パラメータの影響によりクリアファイル変形を引き起こす可能性があるが、非水系溶剤(C)は高沸点を示すことから、印刷物から揮発しにくいため、結果として印刷物によるクリアファイル変形を防止することができる。
(非水系溶剤(A)+非水系溶剤(B))/非水系溶剤(C)の質量比は、2/3以上が好ましく、例えば、8/10以上、3/3以上、13/10以上、又は15/10以上であってよい。非水系溶剤(C)が含有される場合は、この範囲において、非水系溶剤(C)に対し非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)が適量に含まれることで、非水系溶剤(C)によってトナー転写の発生をより防止する効果を得ながら、クリアファイル変形、トナー転写、及びサテライトによる印刷面汚れを防止することができる。
(非水系溶剤(A)+非水系溶剤(B))/非水系溶剤(C)の質量比は、7/3以下が好ましく、例えば、6/3以下、又は18/10以下であってよい。非水系溶剤(C)が含有される場合は、この範囲において、非水系溶剤(C)が適量に含まれることで、トナー転写の発生をより防止することができる。また、非水系溶剤(C)の含有量が多くなると、相対的に、クリアファイル変形を引き起こしにくい非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(C)の溶剤比率が高まり、クリアファイル変形をより防止することができる。
(非水系溶剤(A)+非水系溶剤(B))/非水系溶剤(C)の質量比は、例えば、2/3~7/3、3/3~6/3、又は15/10~18/10であってよい。
非水系溶剤(A)、非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)の合計量は、インク全量に対し、10~98質量%が好ましく、50~95質量%がより好ましく、70~90質量%がさらに好ましい。
油性インクジェットインクには、非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)に加えて、あるいは非水系溶剤(A)、非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)に加えて、本発明の効果を損なわない範囲でその他の非水系溶剤が含まれてもよい。
その他の非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用できる。なお、一実施形態において、非水系溶剤には、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
その他の非水系溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤等の非極性有機溶剤;高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤等が挙げられる。また、油性インクには、非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)以外のその他の脂肪酸エステル系溶剤が含まれてもよい。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができ、市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN-10、カクタスノルマルパラフィンN-11、カクタスノルマルパラフィンN-12、カクタスノルマルパラフィンN-13、カクタスノルマルパラフィンN-14、カクタスノルマルパラフィンN-15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN-16、テクリーンN-20、テクリーンN-22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJXTGエネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJXTGエネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが一層好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
極性有機溶剤としては、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、その他の脂肪酸エステル系溶剤等を好ましく挙げることができる。
高級アルコール系溶剤としては、例えば、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、テトラデカノール、デシルテトラデカノール、1-オクタデカノール等が挙げられる。高級アルコール系溶剤の1分子中の炭素数は6以上が好ましく、より好ましくは12~20である。
高級脂肪酸系溶剤としては、例えば、ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。高級脂肪酸系溶剤の1分子中の炭素数は12以上が好ましく、より好ましくは14~20である。
その他の脂肪酸エステル系溶剤としては、例えば、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノール酸エチル等が挙げられる。その他の脂肪酸エステル系溶剤の1分子中の炭素数は13以上が好ましい。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましい。
その他の非水系溶剤を用いる場合は、非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)、あるいは非水系溶剤(A)、非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)と単一相を形成し得る非水系溶剤が好ましい。その他の非水系溶剤としては、クリアファイル変形を抑制する観点から、印刷面からの非水系溶剤の揮発を抑制するために、非極性溶剤では蒸留初留点が高い溶剤が好ましく、極性溶剤では沸点が高い溶剤が好ましい。
さらに、油性インクジェットインクには、本発明の効果を損なわない範囲で、非水系溶剤(A)以外のその他のシリコーンオイルが含まれてもよい。その他のシリコーンオイルとしては、例えば、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ドコサメチルデカシロキサン等の直鎖ジメチルシリコーンオイル、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン等の分岐ジメチルシリコーンオイル等の鎖状シリコーンオイル;デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン、オクタデカメチルシクロノナシロキサン等の環状ジメチルシリコーンオイル等の環状シリコーンオイル等が挙げられる。
インクは、色材として顔料、染料、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料;及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料等の金属フタロシアニン顔料、及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料の平均粒子径としては、吐出安定性と保存安定性の観点から、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の平均値として、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下であり、一層好ましくは100nm以下である。
顔料は、インク全量に対し、通常0.01~20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から、1~15質量%であることが好ましく、4~10質量%であることが一層好ましい。
インク中で顔料を安定して分散させるために、顔料とともに顔料分散剤を用いることができる。
顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、ビニルピロリドンと長鎖アルケンとの共重合体、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリアミン等が好ましく用いられる。
顔料分散剤の市販品例としては、例えば、アイ・エス・ピー・ジャパン株式会社製「アンタロンV216(ビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体)、V220(ビニルピロリドン・エイコセン共重合体)」(いずれも商品名);日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、16000、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、24000、28000」(いずれも商品名);BASFジャパン株式会社製「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、4055(変性ポリウレタン)」(いずれも商品名);楠本化成株式会社製「ディスパロンKS-860、KS-873N4(ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名);第一工業製薬株式会社製「ディスコール202、206、OA-202、OA-600(多鎖型高分子非イオン系)」(いずれも商品名);ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK2155、9077」(いずれも商品名);クローダジャパン株式会社製「HypermerKD2、KD3、KD11、KD12」(いずれも商品名);日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース24000SC、24000GR、32000、33000、3900等」(いずれも商品名)等が挙げられる。
顔料分散剤は、上記顔料を十分にインク中に分散可能な量であれば足り、適宜設定できる。例えば、質量比で、顔料1に対し顔料分散剤を0.1~5で配合することができ、好ましくは0.3~1である。また、顔料分散剤は、インク全量に対し、0.01~10質量%で配合することができ、好ましくは0.1~8質量%であり、より好ましくは1~8質量%である。
染料としては、当該技術分野で一般に用いられているものを任意に使用することができる。油性インクでは、染料は、インクの非水系溶剤に親和性を示すことで、貯蔵安定性がより良好となるため、油溶性染料を用いることが好ましい。
油溶性染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等を挙げることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。
染料は、インク全量に対し、通常0.01~20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から、1~15質量%であることが好ましく、5~10質量%であることが一層好ましい。
上記各成分に加えて、油性インクには、本発明の効果を損なわない限り、各種添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤等を適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。
油性インクの製造方法は特に限定されないが、一方法としては、各成分を一括ないし分割して混合及び撹拌してインクを作製することができる。具体的には、ビーズミル等の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより作製することができる。
油性インクジェットインクとしての粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5~30mPa・sであることが好ましく、5~15mPa・sであることがより好ましく、7~13mPa・sであることが、一層好ましい。本開示において、インク粘度は、非水系溶剤の粘度と同様の測定方法で測定できる。
インクジェットインクを用いた印刷方法としては、特に限定されず、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから一実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を基材に付着させるようにすることが好ましい。
一実施形態によるインクは、低粘度でインクジェットノズルからの吐出に適するため、常温(23℃)付近で適性に吐出することが可能である。
一実施形態において、基材は、特に限定されるものではなく、普通紙、コート紙、特殊紙等の印刷用紙、布、無機質シート、フィルム、OHPシート等、これらを基材として裏面に粘着層を設けた粘着シート等を用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、浸透性基材が好ましく、なかでも普通紙、コート紙等の印刷用紙を好ましく用いることができる。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層等が形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙等を挙げることができる。普通紙は、数μm~数十μmの太さの紙繊維が数十から数百μmの空隙を形成しているため、インクが浸透しやすい紙となっている。
また、コート紙としては、マット紙、光沢紙、半光沢紙等のインクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。ここで、塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷等で使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウム等の無機顔料と、澱粉等のバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙等に分類される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
「インクの作製」
インクの溶剤処方を表1及び表2に示す。各表において「-」は未添加又は未測定を示す。
実施例1のインクは、5質量%のカーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製「MA77」(商品名))、5質量%の「ソルスパース18000」(商品名、日本ルーブリゾール株式会社製、有効成分100質量%)、及び90質量%の溶剤を混合し、ビーズミル「ダイノーミルKDL-A」(商品名、株式会社シンマルエンタープライゼス製)により滞留時間15分間の条件で、十分に顔料を分散した。続いて、メンブレンフィルターで粗大粒子を除去し、インクを得た。
実施例2のインクは、4質量%の銅フタロシアニン顔料(DIC株式会社製「FASTGEN Blue LA5380」(商品名))、3.5質量%の「ソルスパース13940」(商品名、日本ルーブリゾール株式会社製、有効成分40質量%)、及び92.5質量%の溶剤を混合した他は、上記実施例1と同じ手順でインクを得た。
実施例3~8及び比較例1~5は、上記実施例1と同じ手順でインクを得た。
溶剤は、各表に示す配合割合で添加した。各表においてA、B及びCはそれぞれ非水系溶剤(A)、非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)を示し、B’は非水系溶剤(B)の比較溶剤を示す。Dは、その他の非水系溶剤(D)を示す。
用いた非水系溶剤は以下の通りである。
変性シリコーンオイル(A1):下記合成方法により合成したもの。
変性シリコーンオイル(A2):下記合成方法により合成したもの。
アジピン酸ジイソブチル:富士フイルム和光純薬株式会社製。
2-エチルヘキサン酸2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル:下記合成方法により合成したもの。
グリセロールトリブチレート:富士フイルム和光純薬株式会社製。
オクタフルオロアジピン酸ジメチル:東京化成工業株式会社製。
フタル酸ジブチル:東京化成工業株式会社製。
ネオペンタン酸イソステアリル:高級アルコール工業株式会社製。
ネオペンタン酸オクチルドデシル:日光ケミカルズ株式会社製。
石油系炭化水素溶剤:エクソンモービル社製「ISOPAR M」(商品名)。
ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル:東京化成工業株式会社製。
各表に、非水系溶剤のδ、δ、δ、粘度、表面張力、沸点を示す。
δ、δ、δの単位は、MPa1/2である。非水系溶剤のハンセン溶解度パラメータは、Charles.M.Hansenらによるハンセン溶解度パラメータ計算ソフト「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」ver.5.3を用いて計算した。
粘度は、23℃で回転式粘度計にて測定した数値であり、単位はmPa・sである。
表面張力は、最大泡圧法による表面張力測定装置計(SITA Process Solutions製の「SITA Messtechnik GmbH science line t60」(商品名))を用いて、23℃、0.05Hzの測定条件で測定した数値であり、単位はmN/mである。
沸点は、1気圧での沸点であり、単位は℃である。
各表に示す溶剤比率は、非水系溶剤(A)の合計量と非水系溶剤(B)の合計量との質量比A/Bを示す。また、非水系溶剤(A)の合計量と非水系溶剤(B)の合計量の総和と非水系溶剤(C)の合計量との質量比(A+B)/Cを示す。比較例において比較溶剤を用いる場合は、比較非水系溶剤(B’)の含有量は非水系溶剤(B)の含有量に含めた。
「変性シリコーンオイルの合成」
四つ口フラスコに、ヘキサンを50質量部、下記に示す配合割合でシロキサン化合物とアルキル鎖を有する化合物(アルケン)を仕込んだ。これに、白金触媒(シグマアルドリッチ社製「1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体」)を0.02質量部滴下し、室温にて2~3時間撹拌した。その後、減圧蒸留により反応溶媒(ヘキサン)、未反応原料を留去し目的物を得た。
各アルキル変性シリコーンオイルの合成では、シロキサン化合物と、アルケンとのモル比が1:1.1、又は1:2.2となるように配合している。
非水系溶剤(A1)
1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン 10.0質量部
1-ブテン 5.9質量部
非水系溶剤(A2)
1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン 10.0質量部
1-ヘキサデセン 11.1質量部
上記成分について、シロキサン化合物はGelest社より入手可能であり、アルケンは東京化成株式会社より入手可能である。
非水系溶剤(A1)は、下記式(A1)において、2個のRA1がn-ブチル基である化合物である。非水系溶剤(A1)は、ケイ素原子数が3個であり、炭素原子が4個であるn-ブチル基を2個有する。
非水系溶剤(A2)は、下記式(A2)において、RA2がヘキサデシル基である化合物である。非水系溶剤(A2)は、ケイ素原子数が3個であり、炭素原子が16個であるヘキサデシル基を1個有する。
Figure 2022151150000002
「エーテルエステルの合成」
2-エチルヘキサン酸2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチルは、2-エチルヘキサン酸と2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノールとを原料として用いて、以下の手順で合成した。
原料となる酸とアルコール、溶剤としてシクロヘキサン、触媒としてp-トルエンスルホン酸一水和物を四つ口フラスコに入れて混合撹拌し均一な溶液を得た。四つ口フラスコにディーンスターク装置を装着し、仕込んだ原材料が反応して水が発生したら取り除けるようにした。均一な溶液が入っている四つ口フラスコを加熱し合成を始めた。加熱温度は溶媒が還流する110℃に設定した。加熱反応時間は1~48時間に設定した。反応後、未反応の原材料や不純物を取り除くため、得られた溶液を減圧蒸留又はカラム精製し、ジエステルを得た。
酸とアルコールとはモル比で1:1となるように混合した。
「評価」
上記インクについて、以下の方法により評価を行った。これらの評価結果を各表に併せて示す。
(クリアファイル変形の防止)
クリアファイル変形の評価は、1枚の印刷物をPP(ポリプロピレン)製クリアファイルに挟み、室温で放置し、1週間放置後に、クリアファイルの変形量を確認して以下の基準で評価した。クリアファイルの1枚のシートの厚さは0.2mmであった。
クリアファイルの変形は、印刷物を挟み込んだクリアファイルを平面上に平置きした状態で、クリアファイルの上側の1枚が外側に反り返るようにして観察される。クリアファイルの変形量は、平面上から、クリアファイルの上側の1枚が外側に反り返った状態での最大高さまでの距離とする。
印刷物は、ライン式インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)にインクを装填し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm(ノズル600本)×副走査方向260mmのベタ画像を片面印刷することにより作製した。
S:クリアファイルの変形量が1cm未満である。
A:クリアファイルの変形量が1cm以上3cm未満である。
B:クリアファイルの変形量が3cm以上5cm未満である。
C:クリアファイルの変形量が5cm以上である。
(トナー転写の防止)
キヤノン株式会社製のレーザープリンター「SateraLBP9100C」を使用し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に対し黒色のベタ画像を形成したトナー画像の印刷物を作製した。トナー画像の形成後10分後に、印刷物のベタ画像の上に、上記実施例及び比較例で得られたインク10μLを垂らし、その上に普通紙「理想用紙薄口」を重ねた。この上にPETフィルムを載せ、さらに重しをのせ、この状態で、23℃環境で3日間放置し、放置後の用紙へのトナーの貼り付き度合いを調べ、以下の基準で評価した。
S:はがす際に貼り付いてる感触がなく、普通紙へのトナーの貼り付きがない。
A:はがす際に貼り付いてる感触はあるが、普通紙へのトナーの貼り付きが目視で確認されない。
B:普通紙へのトナーの貼り付きがかすかに目視で確認される。
C:普通紙へのトナーの貼り付きが多い。
(印刷面汚れの防止)
得られたインクをライン式インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)に装填し、普通紙「理想用紙マルチ」及びマット紙「理想用紙マットIJ(W)」(理想科学工業株式会社製)に主滴が1ラインに並ぶようになるように印字を行った。得られた画像のサテライトによる印面汚れを目視で観察し、以下の基準で評価した。
S:マット紙に印刷した場合でも、印刷面汚れはほとんど確認されず、画質が良好である。普通紙でも印刷面汚れは観察されない。
A:普通紙では印刷面汚れはほとんど確認されず、画質が良好である。マット紙では若干の印刷面汚れが観察される。
B:普通紙及びマット紙の両方で印刷面汚れは確認されるが、画質は実使用に耐えられるレベルである。
C:普通紙及びマット紙の両方で印刷面汚れが顕著であり、画質は実使用に耐えられないレベルである。
Figure 2022151150000003
Figure 2022151150000004
各表に示す通り、各実施例のインクでは、クリアファイル変形を防止し、トナー転写を防止し、印刷面汚れを防止することができたまた、各実施例のインクは、表中に不記載であるが、インクジェットインクに適した粘度を示し、印刷濃度を含め印刷物の画質が良好であった。
実施例1~3を通して、各種顔料及び各種変性シリコーンオイルを用いることで、良好な結果が得られた。実施例6~9を通して、各種非水系溶剤(B)及び各種非水系溶剤(C)を用いることで、良好な結果が得られた。
実施例1,4,5を通して、非水系溶剤(A)と非水系溶剤(B)の質量比で非水系溶剤(A)が多くなると、クリアファイル変形がより防止されることがわかり、非水系溶剤(B)が多くなるとサテライトに由来する印刷面汚れがより防止されることがわかる。
実施例6~9では、非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)に加え非水系溶剤(C)を用いており、トナー転写がより防止されることがわかる。実施例6~9では、非水系溶剤(A)に対して非水系溶剤(B)の含有量が少ないことから、クリアファイル変形がより防止されると考えられる。
比較例1は、非水系溶剤として非水系溶剤(A)のみを用いており、変性シリコーンオイルが低表面張力を示すことから、サテライトに由来する印刷面汚れが発生したと考えられる。
比較例2は、非水系溶剤として非水系溶剤(B)のみを用いており、トナー転写が発生した。
比較例3は、非水系溶剤(A)とδが小さい比較非水系溶剤を組み合わせており、サテライトが発生し印刷面汚れが観察された。
比較例4は、非水系溶剤(A)とδが大きくかつδが大きい比較非水系溶剤を組み合わせており、トナー転写が発生した。
比較例5は、石油系炭化水素溶剤を用いており、低粘度、低極性、低表面張力を示す一方で、クリアファイル変形が発生した。
比較例6は、非水系溶剤(A)と高極性を示すジエチレングリコールモノヘキシルエーテルとを組み合わせており、トナー転写が発生した。
比較例7は、非水系溶剤(B)及び非水系溶剤(C)を含むが、非水系溶剤(A)を含まない例であり、クリアファイル変形が発生し、非水系溶剤全体が高極性を示しトナー転写が発生した。

Claims (2)

  1. 色材、非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)を含み、
    前記非水系溶剤(A)は、変性シリコーンオイルであり、
    前記非水系溶剤(B)は、エーテルエステル、ジエステル、及びトリエステルからなる群から選択される少なくとも1種であり、かつハンセン溶解度パラメータにおける分散項δが15.0~17.0MPa1/2であり、極性項δが5.0MPa1/2以下であり、
    非水系溶剤(A)/非水系溶剤(B)の質量比は1/5~1/1である、油性インクジェットインク。
  2. 沸点が360℃以上であるモノエステルである非水系溶剤(C)をさらに含み、(非水系溶剤(A)及び非水系溶剤(B)の合計量)/非水系溶剤(C)の質量比は2/3~7/3である、請求項1に記載の油性インクジェットインク。
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