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JP2022149812A - ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法 - Google Patents

ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法 Download PDF

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JP2022149812A
JP2022149812A JP2021052128A JP2021052128A JP2022149812A JP 2022149812 A JP2022149812 A JP 2022149812A JP 2021052128 A JP2021052128 A JP 2021052128A JP 2021052128 A JP2021052128 A JP 2021052128A JP 2022149812 A JP2022149812 A JP 2022149812A
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裕樹 福留
Hiroki Fukutome
宗弘 長谷川
Munehiro Hasegawa
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

【課題】高価な触媒を使用しなくても、温和な条件で、高い重合率で重合反応を行うことができる、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類の製造方法を提供する。
【解決手段】開始剤及び触媒の存在下で下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を含む単量体成分をグループトランスファー重合する工程を含む、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法であって、下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類及び/又は開始剤の添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後である、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法。
Figure 2022149812000015

(式中、Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。nは、1以上の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法に関する。より詳しくは、触媒の存在下で、単量体成分及び/又は開始剤を一定時間添加することにより反応を制御しながらビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体を製造する方法に関する。
ラジカル重合性基とイオン重合性基を分子内に併せ持つ異種重合性モノマーとして、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類が知られている。このような異種重合性モノマーを重合して得られる重合体は、工業的に汎用性が高く有用であり、各種用途において広く使用されている。
ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類は、モノマー内にビニルエーテル基とアクリロイル基を有する。そのため、ビニルエーテル基のみをカチオン重合させるとアクリロイル基ペンダント型ポリビニルエーテルを得ることができる。一方、アクリロイル基のみを重合させるとビニルエーテルペンダント型アクリルポリマーを得ることができる。このように、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類は2種の重合性基を有するため、所望の重合体を得るためには最適な重合方法を選択する必要がある。
なかでも、アクリロイル基のみを重合させて、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体を得る方法について、これまでにいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を必須に含む単量体成分を、炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物及び触媒の存在下でグループトランスファー重合する工程を含むことを特徴とするビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体の製造方法が記載されている。
国際公開第2019/240049号
上記のようなビニルエーテル基含有アクリル酸エステルの重合体を得るための従来の方法では、ビニルエーテル基含有メタクリル酸エステル類は温和な条件で高い重合率で重合可能である一方、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類については、温和な条件で重合は進むものの、使用する触媒によっては重合率がある程度までで頭打ちになってしまう場合があった。そのため、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類の重合率をさらに向上させる方法を検討する余地がある。
よって、本発明は、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類について、高価な触媒を使用しなくても、温和な条件で、高い重合率で重合反応を行うことができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。
すなわち、本発明の製造方法は、開始剤及び触媒の存在下で下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を含む単量体成分をグループトランスファー重合する工程を含むビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法であって、
下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類及び/又は開始剤の添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後である、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法である。
Figure 2022149812000001
(式中、Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。nは、1以上の整数を表す。)
また、本発明の第2の製造方法は、開始剤及び触媒の存在下でアクリル酸エステルを含む単量体成分をグループトランスファー重合する工程を含むアクリル酸エステル重合体の製造方法であって、アクリル酸エステル及び/又は開始剤の添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後である、アクリル酸エステル重合体の製造方法である。
本発明のビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法は、触媒の存在下でビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を含む単量体成分及び/又は開始剤を一定時間添加することによって、単量体成分の重合の成長反応を制御することができ、また、必要な量の添加により、高価な触媒を使用しなくても高い重合率で重合を行うことが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[本発明の重合体の製造方法]
本発明のビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法は、触媒の存在下で、下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を含む単量体成分及び/又は開始剤を添加するものであり、その添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後であることを特徴とする。
Figure 2022149812000002
(式中、Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。nは、1以上の整数を表す。)
本発明において、重合開始時点とは、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を含む単量体成分の重合反応が開始した時点を表すが、具体的には、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類、開始剤、及び、触媒のそれぞれの少なくとも1つずつが反応容器に添加され、かつ重合温度に達した最初の時点であっても良い。
本発明において、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類及び開始剤のうち、少なくとも一方は、添加終了時間が重合開始時点より後になる。この場合、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類及び開始剤の添加は、分割的に添加、段階的に添加、連続的に添加、断続的に添加等の形態で行うことができる。
ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類の添加終了時間を重合開始時点より後にする場合、添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後であることが好ましく、5分後以上であることがより好ましく、10分後以上であることがさらに好ましく、15分後以上であることが特に好ましい。一方、添加終了時間が、重合開始時点から300分以内であることが好ましく、90分以内であることがより好ましく、60分以内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類の重合率が向上する傾向にある。
開始剤の添加終了時間を重合開始時点より後にする場合、添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後であることが好ましく、5分後以上であることがより好ましく、10分後以上であることがさらに好ましく、15分以上であることが特に好ましい。一方、添加終了時間が、重合開始時点から300分以内であることが好ましく、120分以内であることがより好ましく、60分以内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類の重合率が向上する傾向にある。
上記重合における反応温度は、特に制限されないが、分子量及び分子量分布の制御や触媒活性の維持ができる点で、-50~50℃が好ましく、-25~30℃がより好ましく、-10~5℃が更に好ましい。また、生成物の分子量を増大させる観点から、-2.5~4℃で重合する工程を含むことも、本発明の製造方法の好ましい形態の一つである。
[本発明の単量体成分]
本発明では、単量体成分として、上記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を使用する。
上記一般式(1)において、Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。
又はRで表される有機基としては、例えば、炭素数1~20の鎖状若しくは環状の1価の炭化水素基、又は、これらの炭化水素基を構成する原子の少なくとも一部を、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子に置換したもの等が挙げられる。
上記一般式(1)において、Rは、水素原子又は有機基を表す。
で表される有機基としては、例えば、上述したR及びRで表される有機基と同じものを挙げることができる。なかでも、上記Rで表される有機基は、炭素数1~11の鎖状又は環状の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数6~11の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~3のアルキル基であることが更に好ましい。
上記ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記単量体成分は、上記ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類以外の、他の重合性単量体を含んでいてもよい。
上記他の重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の環状エーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル等のハロゲン含有(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等の窒素原子含有重合性単量体類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能性重合性単量体類;2-(メタ)アクロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクロイルイソシアネート等のイソシアネート基含有重合性単量体類;4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性単量体類;メチレンブチロラクトン、メチルメチレンブチロラクトン等の重合性環状ラクトン単量体類;(メタ)アクリル酸2-(トリメチルシリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル等のケイ素原子含有重合性単量体類;(メタ)アクリロニトリル;無水マレイン酸;等が挙げられる。
また、上記他の重合性単量体は、炭素数が2~22であることが好ましく、2~18であることがより好ましく、3~15であることが更に好ましい。
上記他の重合性単量体は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単量体成分として、上記ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類と上記他の重合性単量体を含む場合、それぞれの成分の含有量は、得ようとする重合体の目的・用途に応じて適宜設計することができる。
[本発明の開始剤]
本発明の製造方法における重合工程では、重合開始剤として炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物を用い、触媒の存在下で、上記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を含む単量体成分を重合させる。
具体的には、本発明において使用する炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物としては、例えば、下記一般式(2):
Figure 2022149812000003

(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。R、R、R及びR10は、同一又は異なって、有機基を表す。RとR又はRとRは、結合して環構造を形成していてもよい。R、R及びR10は、これらのうち2つ以上が結合して環構造を形成していてもよい。)
で表されるシリルケテンアセタール、下記一般式(3):
Figure 2022149812000004

(式中、R、R及びR’は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。R、R及びR10は、同一又は異なって、有機基を表す。RとR又はRとR’は、結合して環構造を形成していてもよい。R、R及びR10は、これらのうち2つ以上が結合して環構造を形成していてもよい。)
で表されるビニルシラン化合物、及び、下記一般式(4):
Figure 2022149812000005

(式中、R、R及びR’は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。R、R及びR10は、同一又は異なって、有機基を表す。RとR又はRとR’は、結合して環構造を形成していてもよい。R、R及びR10は、これらのうち2つ以上が結合して環構造を形成していてもよい。)
で表されるアリルシラン化合物の1種又は2種以上が好ましく挙げられる。
なかでも、反応性が高く、効率良く重合が進行する点で、上記シリルケテンアセタールがより好ましく挙げられる。
上記炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物の使用量は、所望の重合体が得られるのであれば特に限定されないが、より効率的に重合体を製造できる点で、使用する単量体成分に対して、1×10-4~10モル%であることが好ましく、1×10-3~5モル%がより好ましく、1×10-2~1モル%であることが更に好ましい。
[本発明の触媒]
本発明において使用する触媒としては、ブレンステッド塩基やルイス塩基等の塩基性触媒として作用するものが好ましく挙げられ、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基;トリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩基;等が挙げられ、有機リン化合物、N-ヘテロ環カルベン、フッ素イオン含有化合物、環状アミン化合物、及び、アンモニウム塩化合物からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
なかでも、本発明による重合方法では、上記触媒として、安価で入手しやすいという点で、テトラブチルアンモニウムビスベンゾエート(TBAOBz)のようなアンモニウム塩化合物が好ましい。
触媒は、上記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を含む単量体成分及び開始剤の両方が添加される場合は、それらの添加先の系に含まれ、いずれか一方が添加される場合は、その添加物と同じ系に含まれても、その添加物とは別にされて添加先の系に含まれているのでもよい。
上記触媒の使用量は、所望の重合体が得られるのであれば特に限定されないが、より効率的に重合体を製造できる点で、使用する単量体成分に対して、1×10-4~10モル%であることが好ましく、1×10-3~5モル%がより好ましく、1×10-2~1モル%であることが更に好ましい。
[本発明の第2の製造方法]
本発明の別の形態であるアクリル酸エステル重合体の製造方法は、開始剤及び触媒の存在下で、アクリル酸エステルを含む単量体成分及び/又は開始剤を添加するものであり、その添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後であることを特徴とする。
本発明において、重合開始時点とは、アクリル酸エステルを含む単量体成分の重合反応が開始した時点を表すが、具体的には、アクリル酸エステル、開始剤、及び、触媒のそれぞれの少なくとも1つずつが反応容器に添加され、かつ重合温度に達した最初の時点であっても良い。
本発明において、アクリル酸エステル及び開始剤のうち、少なくとも一方は、添加終了時間が重合開始時点より後になる。この場合、アクリル酸エステル及び開始剤の添加は、分割的に添加、段階的に添加、連続的に添加、断続的に添加等の形態で行うことができる。
アクリル酸エステルの添加終了時間を重合開始時点より後にする場合、添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後であることが好ましく、5分後以上であることがより好ましく、10分後以上であることがさらに好ましく、15分後以上であることが特に好ましい。一方、添加終了時間が、重合開始時点から300分以内であることが好ましく、90分以内であることがより好ましく、60分以内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、アクリル酸エステルの重合率が向上する傾向にある。
開始剤の添加終了時間を重合開始時点より後にする場合、添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後であることが好ましく、5分後以上であることがより好ましく、10分後以上であることがさらに好ましく、15分以上であることが特に好ましい。一方、添加終了時間が、重合開始時点から300分以内であることが好ましく、120分以内であることがより好ましく、60分以内であることがさらに好ましい。上記範囲であることにより、アクリル酸エステルの重合率が向上する傾向にある。
上記重合における反応温度は、特に制限されないが、分子量及び分子量分布の制御や触媒活性の維持ができる点で、-50~50℃が好ましく、-25~30℃がより好ましく、-10~5℃が更に好ましい。また、生成物の分子量を増大させる観点から、-2.5~4℃で重合する工程を含むことも、本発明の製造方法の好ましい形態の一つである。
本発明の第2の製造方法で用いることのできる開始剤としては、上述した開始剤を用いることができる。
本発明の第2の製造方法で用いることのできる触媒としては、上述した触媒を用いることができる。
本発明の第2の製造方法で用いることができる単量体成分としては、上述したアクリル酸エステルを用いることができる。
[本発明の重合体]
本発明の製造方法で得られる、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の好ましい一例について説明する。本発明の製造方法を用いれば、下記一般式(5)で表される構造単位、及び、主鎖に上記炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物由来の末端基を有するビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体を容易に効率良く得ることができる。このようなビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体もまた本発明の一つである。
Figure 2022149812000006
(式中、Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。nは、1以上の整数を表す。)
本発明のビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体は、上記一般式(5)で表される構造単位を有する。上記一般式(5)で表される構造単位は、上述した一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類に由来する繰り返し単位である単量体単位である。
上記一般式(5)中の、R、R、R及びRは、上述した一般式(1)中のR、R、R及びRとそれぞれ同じである。
上記重合体は、上記一般式(5)で表される構造単位の他に、他の構造単位を有していてもよい。上記他の構造単位としては、上述の製造方法において記載した他の重合性単量体由来の単量体単位が挙げられる。
上記一般式(5)で表される構造単位や上記他の構造単位の含有割合は、重合体の目的・用途に応じて適宜設計するとよい。
上記重合体は、主鎖開始末端側に上記炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物由来の末端基を有することが好ましい。上述したように、本発明の製造方法では、重合開始剤として上述の炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物を使用するので、得られる重合体の片末端はその開始剤由来の構造となる。
上記炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物由来の末端基としては、例えば、上記シリルケテンアセタール由来の末端基、上記ビニルシラン化合物由来の末端基、又は、上記アリルシラン化合物由来の末端基が挙げられる。
上記シリルケテンアセタール由来の末端基としては、具体的には、下記一般式(6)で表される構造が挙げられる。
(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、有機基を表す。)
Figure 2022149812000007
上記ビニルシラン化合物由来の末端基としては、具体的には、下記一般式(7)で表される構造が挙げられる。
Figure 2022149812000008
(式中、R、R及びR7’は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。)
上記一般式(7)中、R、R及びR7’は、上記一般式(3)中のR、R及びR7’とそれぞれ同じである。
上記アリルシラン化合物由来の末端基としては、具体的には、下記一般式(8)で表される構造が挙げられる。
Figure 2022149812000009
(式中、R、R及びR7’は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。)
上記一般式(8)中、R、R及びR7’は、上記一般式(4)中のR、R及びR7’とそれぞれ同じである。
上記重合体はまた、更に、下記一般式(9)で表される末端構造を有することが好ましい。下記一般式(9)で表される末端構造を有すると、重合体に所望の機能を付与することができる。上記炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物由来の末端基は、重合体の重合開始側末端に相当し、下記一般式(9)で表される末端構造は、重合体の重合終了側末端に相当する。
Figure 2022149812000010
(式中、Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシメチル基、アリル基又はプロパルギル基を表す。nは、1以上の整数を表す。)
上記一般式(9)中、R、R、R及びRは、上記一般式(1)中のR、R、R及びRとそれぞれ同じである。
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシメチル基、アリル基又はプロパルギル基を表す。上記アルキル基としては、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。
上記Xは、なかでも、重合体の末端基を統一できる点では水素原子であることが好ましく、重合体に機能を付与しやすい点ではプロパルギル基であることが好ましく、重合体の安定性を高める点ではアルキル基であることが好ましい。
上記重合体は、数平均分子量が1000~1000000の範囲であることが好ましい。上記重合体の数平均分子量が上述の範囲であると、粘・接着剤、印刷用インク組成物、レジスト用組成物、コーティング、成形材等各種用途に好適に用いることができる。上記重合体の数平均分子量は、1000~500000の範囲であることがより好ましく、5000~200000の範囲であることが更に好ましい。
本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
上記重合体は、重量平均分子量が1000~1000000の範囲であることが好ましい。上記重合体の数平均分子量が上述の範囲であると、粘・接着剤、印刷用インク組成物、レジスト用組成物、コーティング、成形材等各種用途に好適に用いることができる。上記重合体の重量平均分子量は、1000~500000の範囲であることがより好ましく、5000~200000の範囲であることが更に好ましく、10000~200000の範囲であることが特に好ましい。
本明細書において、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により、後述の実施例に記載した方法にて求めることができる。
上記重合体は、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が5.0以下であることが好ましい。分子量分布が5.0以下であると、重合体の諸物性のばらつきを抑制することができる。上記分子量分布は、3.5以下であることがより好ましく、2.5以下であることが更に好ましい。下限値は、通常1.0以上である。
上記分子量分布は、重量平均分子量を数平均分子量で除することにより求めることができる。
なかでも、上記重合体は、上記重量平均分子量が50000以上であり、上記分子量分布が2.5以下であることが好ましい。上記範囲の重量平均分子量と分子量分布を有する重合体は、硬化物や組成物とした場合に物性を容易に調整することができる。このような所定範囲の重量平均分子量と分子量分布を有するビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体もまた、本発明の一つである。すなわち、本発明の第二の重合体は、重量平均分子量が50000以上であり、分子量分布が2.5以下であるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体である。
上記重合体におけるビニルエーテル基の含有量は、特に限定されず、上記重合体の目的、用途に応じて適宜調整することができるが、例えば、1~100モル%、好ましくは2~100モル%である。上記ビニルエーテル基の含有量は、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー、H-HMR等を用いて、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステルやそれ以外のモノマーの反応率の比やH-NMRの該当する積分値の比較の方法により得られる値である。
本発明の製造方法により、上記重合体を製造した場合、上記重合体に含まれるゲル成分の量を低く抑えることができる。
本発明の製造方法によって得られる上記ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体におけるゲル成分の含有量は、上記ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
上記ゲル成分は、好ましくは酢酸エチル、トルエン又はテトラヒドロフランに対して不溶な成分であり、25℃での溶解度が、酢酸エチル、トルエン又はテトラヒドロフラン100gに対して0.5g以下、好ましくは0.1g以下である。
このような、酢酸エチル、トルエン又はテトラヒドロフランに対する不溶分の量が、上記重合体100質量%に対して10質量%以下であるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体も本発明の好ましい形態の一つである。上記不溶分の量は、上記重合体100質量%に対して、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
上記不溶分の量は、上記重合体の濃度が約33質量%となるように、酢酸エチル、トルエン又はテトラヒドロフランを加え、室温で充分に攪拌した後、孔径4μmのフィルターに通し、そのフィルター上に残った不溶分の乾燥後の質量を(b)とし、初期の重合体の質量を(a)とする場合に、(b)/(a)×100より求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。
本発明の重合体は、上述した製造方法で製造されることが好ましい。本発明の重合体を上述した製造方法で製造する場合、重合工程において、上記一般式(5)で表される構造単位を有し、主鎖に、上記一般式(6)、(7)又は(8)で表される第一の末端基を有し、更に、下記一般式(10)で表される第二の末端基を有する、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の中間体が生成される。このような中間体もまた本発明の一つである。
Figure 2022149812000011
(式中、R、R及びR10は、同一又は異なって、有機基を表す。R11は、-(O-CHRCHR)n-O-CH=CHR(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。nは1以上の整数を表す。)を表す。R12は、水素原子を表す。)
上記一般式(10)中のR、R及びR10は、上記一般式(2)中のR、R及びR10とそれぞれ同じである。R11は、-(O-CHRCHR)n-O-CH=CHR(式中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。nは1以上の整数を表す。)を表す。上記R、R及びRは、上記一般式(1)中のR、R及びRとそれぞれ同じである。
例えば、単量体成分として、上記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類のみを使用して、重合開始剤として上記シリルケテンアセタールを使用して、上述の製造方法で重合体を製造する場合、下記一般式(11)で表される中間体が生成される。
Figure 2022149812000012
上記一般式(11)中、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ上述したものと同じである。
本発明の重合体は、ラジカル硬化性、カチオン硬化性、光硬化性等の特性を有する。また、ビニルエーテル基を起点としラジカル重合やカチオン重合を行うことでグラフトポリマーを得たり、ビニルエーテル基を酸や求電子剤と反応させることで各種官能基を導入することができたりする。本発明の重合体は、粘・接着剤、印刷用インク組成物、レジスト用組成物、コーティング、成形材等に好適に使用することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。各実施例における重合体等の分析は以下のようにして行った。
H-NMR測定>
装置:アジレント・テクノロジー社製核磁気共鳴装置(600MHz)
測定溶媒:重クロロホルム
サンプル調製:得られた重合体組成物の数mg~数十mgを測定溶媒に溶解した。
<モノマー残存率測定>
得られた重合体組成物約0.1gと基準物質アニソール約0.02gを、酢酸エチル5mLで希釈した溶液を、下記ガスクロマトグラフ分析装置及び条件で測定し、サンプルと基準物質とのピーク面積比からモノマーの残存量を求めた。
装置:GC-2010((株)島津製作所製)
カラム:キャピラリーカラムInertCap Pure-WAX(ジーエルサイエンス(株)製、カラム長:30m、カラム内径:0.25mm、キャピラリー内フィルム厚:0.25μm)
キャリアガス:窒素
カラム温度:40°Cで3分保持、8°C/分で昇温、220°Cで5分間保持
注入口温度:300°C
検出器温度:300°C(FID)
検出される物質と保持時間:アニソール(10.9分)、VEEA(19.7分)
<分子量測定>
得られた重合体を、テトラヒドロフランで溶解・希釈し、孔径0.45μmのフィルターで濾過したものを、下記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置、及び条件で測定した。
装置:HLC-8020GPC(東ソー株式会社製)
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
分離カラム:TSKgel SuperHM-M、TSKgel SuperH-RC(東ソー株式会社製)
<実施例1>
200mLの3口フラスコに、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(以下、「VEEA」と称する。)30g,(161mmol)、脱水テトラヒドロフラン20g、テトラブチルアンモニウムベンゾエート5.86mg(0.0161mmol)を入れ、窒素気流下、-5℃(外温)で攪拌しながら、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール0.66mL(3.22mmol)を40分間かけて滴下した。滴下終了後、室温に戻した反応溶液を3時間撹拌した。反応溶液をシリカゲルカラムに通し、GCにて分析したところVEEAは検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでVEEA重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は33000、数平均分子量は15000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.2であった。
<実施例2>
50mLのシュレンクフラスコに、VEEA3.72g(20mmol)、脱水テトラヒドロフラン2.79mL、テトラブチルアンモニウムベンゾエート0.727mg,(0.0020mmol)を入れ、窒素気流下、-5℃の浴槽中で攪拌しながら、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール82uL(0.40mmol)を16分間かけて滴下した。滴下終了後、同条件にて1時間攪拌した。室温に戻した反応溶液をシリカゲルカラムに通し、GCにて分析したところVEEAは検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでVEEA重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は30000、数平均分子量は13000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.3であった。
<実施例3>
50mLのシュレンクフラスコに、VEEA4.0g(21.5mmol)、脱水テトラヒドロフラン4.0g、テトラブチルアンモニウムベンゾエート0.78mg(0.00215mmol)を入れ、窒素気流下、-5℃の浴槽中で攪拌しながら、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール176uL(0.86mmol)を9分間かけて滴下した。滴下終了後、同条件にて3時間攪拌した。室温に戻した反応溶液をシリカゲルカラムに通し、H-NMRにて分析したところVEEAは検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでVEEA重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は17000、数平均分子量は7900であり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.2であった。
<実施例4>
実施例3において、脱水テトラヒドロフランを6.0g、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール220uL(1.08mmol)に変更した以外は、実施例3と同様に反応を行った。室温に戻した反応溶液をシリカゲルカラムに通し、H-NMRにて分析したところ、残存するVEEAは検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでVEEA重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は13000、数平均分子量は6000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.2であった。
<実施例5>
50mLのシュレンクフラスコに、ブチルアクリレート2.31g(18.0mmol)、VEEA379mg(2.03mmol)、脱水テトラヒドロフラン1.0mL、テトラブチルアンモニウムベンゾエート0.727mg(0.0020mmol)を入れ、窒素気流下、-20℃の浴槽中で攪拌しながら、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール123uL(0.60mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液3.0mLを5時間かけて滴下した。滴下終了後、室温に戻した反応溶液をシリカゲルカラムに通し、GCにて分析したところブチルアクリレートとVEEAは共に検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでブチルアクリレート-VEEA共重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は89000、数平均分子量は45000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.0であった。
<実施例6>
50mLのシュレンクフラスコに、ブチルアクリレート2.40g(18.7mmol)、VEEA375mg(2.09mmol)、テトラブチルアンモニウムベンゾエート0.727mg(0.0020mmol)を入れ、窒素気流下、-20℃の浴槽中で攪拌しながら、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール41uL(0.20mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液3.0mLを4時間かけて滴下した。滴下終了後、同条件で1時間撹拌した。室温に戻した反応溶液をシリカゲルカラムに通し、GCにて分析したところ、ブチルアクリレートの転化率は98%であり、VEEAは検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでブチルアクリレート-VEEA共重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は140000、数平均分子量は41000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、3.4であった。
<実施例7>
実施例6において、-5℃の浴槽中で反応を行う以外は実施例6と同様にして反応を行った。得られた反応溶液をシリカゲルカラムに通し、GCにて分析したところ、ブチルアクリレートの転化率は98%であり、VEEAは検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでブチルアクリレート-VEEA共重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は140000、数平均分子量は36000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、3.9であった。
<実施例8>
100mLのセパラブルフラスコに、ブチルアクリレート18.0g(140mmol)、VEEA2.00g(10.7mmol)、テトラブチルアンモニウムベンゾエート5.45mg(0.015mmol)を入れ、窒素気流下、-10℃の浴槽中で攪拌しながら、1-メトキシ-1-トリメチルシリルオキシプロペン184uL(1.0mmol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同条件で2時間撹拌した。室温に戻した反応溶液をシリカゲルカラムに通し、GCにて分析したところ、ブチルアクリレートの転化率は96%であり、VEEAは検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでブチルアクリレート-VEEA共重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は139000、数平均分子量は46000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、3.0であった。
<実施例9>
50mLのシュレンクフラスコに、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール41uL(0.20mmol)、テトラブチルアンモニウムベンゾエート0.727mg,(0.0020mmol)、脱水ジメトキシエタン8.0mLを入れ、窒素気流下、-55℃の浴槽中で攪拌しながら、VEEA3.68g(19.8mmol)を10分間かけて滴下した。滴下終了後、同条件で5時間撹拌した。この時点で反応溶液をGC分析したところ、VEEAの転化率は92%であった。
ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール369uL(1.8mmol)を追加し、同条件にて2時間撹拌後、室温にてさらに1時間撹拌した。反応溶液をシリカゲルカラムに通し、GCにて分析したところVEEAは検出されなかった。
得られた溶液を濃縮することでVEEA重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は54000、数平均分子量は24000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.2であった。
<比較例1>
50mLのシュレンクフラスコに、ジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール41uL(0.20mmol)、テトラブチルアンモニウムベンゾエート0.727mg(0.0020mmol)、脱水ジメトキシエタン8.0mLを入れ、窒素気流下、-10℃の浴槽中で攪拌しながら、VEEA3.83g(20.6mmol)を10分間かけて滴下した。滴下終了後、同条件で5時間撹拌した。反応溶液をGC分析したところ、VEEAの転化率は72%であり、これ以上の向上がみられなかったことから反応が途中で停止していることが確認された。
得られた溶液を濃縮することで得られたVEEA重合体の重量平均分子量は23000、数平均分子量は14000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.6であった。
<比較例2>
実施例9において、途中のジメチルケテンメチルトリメチルシリルアセタール追加を行わずに24時間撹拌した以外は、実施例9と同様に反応を行った。反応溶液をGC分析したところ、VEEAの転化率は92%であり、完全消費に至らなかったことから反応が停止していることが確認された。
得られた重合体の重量平均分子量は48000、数平均分子量は24000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.0であった。
Figure 2022149812000013
表1に記載した結果から、本発明によれば、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を温和な条件で重合することが可能であり、良好な重合率で重合できることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 開始剤及び触媒の存在下で下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類を含む単量体成分をグループトランスファー重合する工程を含むビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法であって、
    下記一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有アクリル酸エステル類及び/又は開始剤の添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後である、ビニルエーテル基含有アクリル酸エステル重合体の製造方法。
    Figure 2022149812000014
    (式中、Rは、水素原子を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。Rは、水素原子又は有機基を表す。nは、1以上の整数を表す。)
  2. 上記添加終了時間が、重合開始時点から1分以上300分以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記単量体成分の濃度を、10%~100%の範囲とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記開始剤を含む液を、上記単量体成分を含む液に滴下することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1つに記載の製造方法。
  5. 上記開始剤を含む液の上記単量体成分を含む液への滴下を、上記未反応の単量体成分が消失するまで行うことを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
  6. 反応温度が-45℃~室温であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1つに記載の製造方法。
  7. 開始剤及び触媒の存在下でアクリル酸エステルを含む単量体成分をグループトランスファー重合する工程を含むアクリル酸エステル重合体の製造方法であって、
    アクリル酸エステル及び/又は開始剤の添加終了時間が、重合開始時点から1分以上後である、アクリル酸エステル重合体の製造方法。
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