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JP2022135755A - 重合体微粒子の濃度の測定方法、ならびに重合体微粒子を含む樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

重合体微粒子の濃度の測定方法、ならびに重合体微粒子を含む樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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JP2022135755A JP2021035770A JP2021035770A JP2022135755A JP 2022135755 A JP2022135755 A JP 2022135755A JP 2021035770 A JP2021035770 A JP 2021035770A JP 2021035770 A JP2021035770 A JP 2021035770A JP 2022135755 A JP2022135755 A JP 2022135755A
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彩加 齊藤
Ayaka Saito
優 長岡
Yu Nagaoka
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Kaneka Corp
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Kaneka Corp
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Abstract

【課題】容易な操作によって重合体微粒子の濃度を測定し得る、新規の測定方法を提供する。【解決手段】グラフト部を有する重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物における前記(A)の濃度の測定方法であって、前記混合物の比重を測定する比重測定工程と、前記比重測定工程で測定された前記混合物の比重から、前記混合物中の前記(A)の濃度を決定する濃度決定工程と、を含む前記(A)の濃度の測定方法。【選択図】なし

Description

本発明は混合物中の重合体微粒子の濃度の測定方法、ならびに重合体微粒子を含む樹脂組成物の製造方法に関する。
熱硬化性樹脂は高い耐熱性、機械的強度などの種々の優れた性質を持つため、様々な分野で使用されている。熱硬化性樹脂の中でもエポキシ樹脂は、例えば、電子回路封止剤、塗料、接着剤及び繊維強化材料のマトリクス樹脂として幅広い用途に用いられている。エポキシ樹脂は耐熱性、耐薬品性、絶縁性などに優れているが、熱硬化性樹脂の特徴である耐衝撃性が不十分という問題を有している。熱硬化性樹脂の耐衝撃性を改善するために、熱硬化性樹脂にエラストマーを添加する方法が広く用いられている。
前記エラストマーとしては、重合体微粒子(例えば架橋重合体微粒子)が挙げられる。重合体微粒子と熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)とを混合する手法は広く用いられており(特許文献1、2)、また、特許文献1、2に記載のような重合体微粒子と熱硬化性樹脂とを混合してなる混合物は多数製品化されている。
WO2005/028546号公報 特開平5-339471号公報
しかしながら、容易な操作によって、重合体微粒子と樹脂との混合物中の重合体微粒子の濃度を測定するという観点からは、上述のような従来技術は十分ではなく、さらなる改善の余地があった。
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、従来技術と比して、より容易な操作によって、重合体微粒子と樹脂との混合物中の重合体微粒子の濃度を測定し得る、新規の測定方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、重合体微粒子と樹脂との混合物の比重と、当該混合物における重合体微粒子の濃度とが比例関係にあるという新規知見を見出した。さらに、係る混合物の比重を測定することで、煩雑な操作を必要とすることなく、すなわち、従来技術と比して、より容易な操作によって、重合体微粒子と樹脂との混合物中の重合体微粒子の濃度を測定し得ることを独自に見出し、本願発明を完成させるに至った。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様は、以下の構成を含むものである。
〔1〕重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物における前記重合体微粒子(A)の濃度の測定方法であって、
前記混合物の比重を測定する比重測定工程と、
前記比重測定工程で測定された前記混合物の比重から、前記混合物中の前記重合体微粒子(A)の濃度を決定する濃度決定工程と、
を含み、
前記重合体微粒子(A)は、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、
前記樹脂(B)は、25℃において100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する液体であるか、半固体であるか、または固体である、前記重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
〔2〕前記比重測定工程における前記混合物の温度は、20℃~100℃の範囲である、〔1〕に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
〔3〕前記重合体微粒子(A)の比重と前記樹脂(B)の比重との差は、比重測定時の温度において0.05以上である、〔1〕または〔2〕に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
〔4〕前記混合物の粘度は、比重測定時の温度において100mPa・s~100,000mPa・sである、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
〔5〕前記比重測定工程の前に、前記混合物から気泡を脱泡する脱泡工程を有する、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
〔6〕前記比重測定工程は、前記混合物の比重標準溶液に対する浮沈に基づき、前記混合物の比重を決定する工程である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
〔7〕前記比重測定工程では、前記混合物の比重を質量流量計により測定する、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
〔8〕〔1〕~〔7〕のいずれか1つに記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法を一工程として含む、前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B)とを含む樹脂組成物の製造方法。
〔9〕前記混合物を前記樹脂(B)で希釈する希釈工程をさらに含む、〔8〕に記載の樹脂組成物の製造方法。
本発明の一態様によれば、従来技術と比して、より容易な操作によって重合体微粒子の濃度を測定することができる。
実施例において作製した、比重標準溶液の検量線を示す図である。 実施例において作製した、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物における重合体微粒子(A)の濃度と、混合物の比重との関係を表す検量線を示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
〔1.本発明の一実施形態の技術的思想〕
重合体微粒子と樹脂(例えば熱可塑性樹脂)とを含む樹脂組成物において、当該樹脂組成物中の重合体微粒子の濃度は、当該樹脂組成物の諸物性(粘度、耐衝撃性等)に影響を与えうる。そのため、一定の物性を有する樹脂組成物を得るためには、当該樹脂組成物中の重合体微粒子の濃度を一定または略一定に保つ(均質化する)必要がある。特に、樹脂組成物を製品として販売する場合には、諸物性に関して一定の規格を厳密に満たす必要があるため、樹脂組成物中の重合体微粒子の濃度の均質化はさらに重要となる。
重合体微粒子の濃度が所定の値である樹脂組成物を得るため、例えば次の(1)~(3)を順に行う方法が考えられる:(1)目的とする濃度に対しておおよその濃度の重合体微粒子を含む樹脂組成物(混合物)を作製する;(2)当該混合物中の重合体微粒子の濃度を測定する;(3)測定結果に基づき、混合物の重合体微粒子の濃度を調整して、重合体微粒子の濃度が所定の値である樹脂組成物を得る。ここで、混合物中の重合体微粒子の濃度を測定する方法として、従来、(1)当該混合物を溶剤と混合する、(2)次いで、混合液を遠心分離することにより、前記重合体微粒子を分離、抽出する、(3)続いて抽出された前記重合体微粒子の重量を測定し、得られた値を混合物の重量で除す、方法が知られている。しかしながら、当該方法は、混合物を溶剤と混合する、得られた混合液を遠心分離(場合によっては、複数回の遠心分離)する等の煩雑な操作が必要であり、重合体微粒子の濃度の測定に時間を要する。また、煩雑な操作を要するがゆえに、樹脂組成物の製造工程(製造ライン)において、製造ラインを一時中断して(バッチ式で)濃度を測定する必要があり、インラインで(連続式で)前記重合体微粒子の濃度を測定することができなかった。
以上のような状況に鑑み、より容易な方法で、重合体微粒子と樹脂との混合物中の重合体微粒子の濃度を測定する方法を提供することを目的として、本発明者らは鋭意検討を行った。
本発明者らは、鋭意検討の結果、重合体微粒子と樹脂との混合物の比重と、当該混合物中の重合体微粒子の濃度とが比例関係にあるという新規知見を見出した。より具体的に、本発明者らは、以下のような知見を新規に見出した。重合体微粒子の比重と、樹脂の比重とは異なる。それゆえ、前記混合物中の重合体微粒子と樹脂との比率(すなわち、前記混合物中の重合体微粒子の濃度)が変化すると、前記混合物の比重も変化する。同種の重合体微粒子の比重、および同種の樹脂の比重は、温度が一定であれば一定であるため、前記混合物の比重は、前記混合物中の重合体微粒子の濃度に比例して変化する。換言すると、前記混合物の比重から、前記混合物中の重合体微粒子の濃度を決定し得る。
上記の新規知見に基づき、本発明者らは、さらに鋭意検討した結果、以下の知見を独自に見出し、本発明を完成するに至った:重合体微粒子と樹脂との混合物の比重を測定することで、驚くべきことに、煩雑な操作を必要とすることなく、すなわち、従来技術と比してより容易な操作によって、前記混合物中の重合体微粒子の濃度を測定し得ること。
さらに、本発明者らは、以下の知見についても独自に見出した。本測定方法によれば、比重を測定するという、従来技術と比してより容易な操作によって、重合体微粒子と、樹脂とを含む混合物中の重合体微粒子の濃度を測定できる。それゆえ、前記樹脂組成物を製造する際に、製造ラインを中断することなく、すなわち、インラインで前記混合物の濃度の測定することができる。
〔2.重合体微粒子(A)の濃度の測定方法〕
本発明の一実施形態に係る重合体微粒子(A)の濃度の測定方法は、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物における前記重合体微粒子(A)の濃度の測定方法であって、前記混合物の比重を測定する比重測定工程と、前記比重測定工程で測定された前記混合物の比重から、前記混合物中の前記重合体微粒子(A)の濃度を決定する濃度決定工程と、を含み、前記重合体微粒子(A)は、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、前記樹脂(B)は、25℃において100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する液体であるか、半固体であるか、または固体である、重合体微粒子(A)の濃度の測定方法である。
当該構成によれば、前記混合物の比重を測定するという、従来技術と比してより容易な操作によって、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物(特に、重合体微粒子(A)の濃度が未知の混合物)における重合体微粒子の濃度を測定することができる。
本明細書において、「重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物」を「混合物」と称する場合があり、「本発明の一実施形態に係る重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物」を「本混合物」と称する場合があり、「本発明の一実施形態に係る重合体微粒子(A)の濃度の測定方法」を「本測定方法」と称する場合がある。
本測定方法の具体的態様としては、比重測定工程と、濃度決定工程とを含む限り、特に限定されるものではない。
(比重測定工程)
本測定方法は、測定対象である混合物の比重を測定する比重測定工程を含む。
比重測定工程において、混合物の比重を測定する方法は、当該混合物の比重を測定できる限り特に限定されず、例えば、比重標準溶液を用いて、前記混合物の前記比重標準溶液に対する浮沈に基づいて、前記混合物の比重を測定する方法、質量流量計を用いて前記混合物の比重を測定する方法等が挙げられる。
比重測定工程において、前記混合物の前記比重標準溶液への浮沈に基づいて、混合物の比重を測定する方法の具体的態様は以下の(a1)~(a6)の通りである:
(a1)測定に使用する比重標準溶液(複数の比重標準溶液)の温度を、測定対象である混合物の温度に合わせる。例えば、測定に使用する比重標準溶液の温度が測定対象である混合物の温度になるまで、例えば乾燥機によって、比重標準溶液を加熱する;
(a2)加熱後、前記混合物と、前記比重標準溶液の温度が一定または略一定の温度(±5℃程度)となっていることを確認する。ここで、確認された混合物の温度を、「測定時の温度」または「測定温度」と称する場合がある;
(a3)前記混合物をそれぞれ個別に、スパチュラ等を用いて、前記比重標準溶液に入れる;
(a4)前記比重標準溶液に入れた前記混合物を確認し、(i)前記混合物が比重標準溶液中に沈降した場合には、前記混合物の比重が比重標準溶液より大きいと判断し、(ii)前記混合物が比重標準溶液の液面に浮遊した場合には、前記混合物の比重が比重標準溶液より小さいと判断する。ここで、「混合物が比重標準溶液中に沈降した」とは、比重標準溶液に入れた混合物が、当該比重標準溶液の入った容器の底面に少なくとも一部が接触した状態のまま浮上しない状態であることを意図し、「混合物が比重標準溶液の液面に浮遊した」とは、比重標準溶液に入れた混合物が、当該比重標準溶液の液面から少なくとも一部が溶液外に露出した状態で浮遊している状態であることを意図する。なお、混合物が、比重標準溶液の液面から露出はしないものの、容器の底面にも接触しない状態で、比重標準溶液中に浮遊する場合がある。その場合、当該混合物の比重と、比重標準溶液の比重とが同じであると判断する;
(a5)前記混合物が沈降した比重標準溶液の中で、最も比重の高い比重標準溶液と、前記混合物が液面に浮遊した比重標準溶液の中で、最も比重の低い比重標準溶液とに基づいて、測定温度における、当該比重標準溶液の比重を算出する;
(a6)(a5)で算出した比重標準溶液の比重から、下記式に基づいて、前記混合物の比重を浮沈平均として算出する:
浮沈平均={(前記混合物が沈降した比重標準溶液の中で、最も比重の高い比重標準溶液の、測定温度における比重)+(前記混合物が液面に浮遊した比重標準溶液の中で、最も比重の低い比重標準溶液の、測定温度における比重)}/2。
上述の(a1)~(a6)の測定方法によれば、従来の測定方法(例えば、標準比重計を用いた測定方法)によっては測定することが困難であった、測定時の温度において100mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有する、比較的粘度の高い混合物について、好適に比重を測定することができる。
前記(a1)において、測定対象である混合物の温度(比重標準溶液を加熱する温度であり、(a2)における測定温度でもある。)は、20℃~100℃が好ましく、40℃~100℃がより好ましく、40℃~80℃がさらに好ましい。測定対象である混合物の温度が(a)100℃以下であれば、比重標準溶液の加熱温度も100℃以下となり、比重標準溶液の溶媒(例えば水)が蒸発する虞がなく、(b)20℃以上であれば、比重標準溶液の加熱温度も20℃以上となり、比重標準溶液の溶質(例えば硫酸ナトリウム)が析出する虞がない。したがって、混合物の温度が20℃~100℃であれば、測定中に比重標準溶液の溶媒、および溶質の量が変化しない。すなわち、測定中に比重標準溶液の比重が変化しないため、より正確に混合物の比重を測定することができる。
前記(а5)において、測定温度における、比重標準溶液の比重の測定方法は、特に限定されず、例えば、比重計を用いて測定した当該比重標準溶液の比重を上記式(1)に基づき温度補正して算出してもよく、後述する(比重標準溶液の検量線作製工程)で作製した検量線を使用して算出してもよい。効率的に比重の測定を行えるため、(比重標準溶液の検量線作製工程)を実施する場合は、検量線を使用して比重標準溶液の比重を算出することが好ましい。
なお、本発明の一実施形態に係る比重測定工程において、測定の対象となる混合物における重合体微粒子(A)の比重と樹脂(B)の比重との差(比重差)は、比重測定時の温度において0.05以上であることが好ましく、0.10以上がより好ましく、0.30以上がさらに好ましい。ここで、「比重測定時の温度」とは、比重測定工程において「測定対象である混合物の温度」(比重標準溶液を加熱する温度であり、(a2)における測定温度でもある。)を意図する。前記比重差は、比重測定時の温度である重合体微粒子(A)の比重と、比重測定時の温度である樹脂(B)の比重との差、を意図する。前記比重差が0.05以上である場合、前記重合体微粒子(A)の濃度の変化に伴う、前記混合物の比重の変化が大きくなる。それゆえ、前記混合物の比重の変化を検出しやすくなり、より高い精度で前記混合物の比重の変化を測定し得る。前記比重差の上限は特に限定されないが、通常、2.00以下であり得る。
ここで、重合体微粒子(A)および樹脂(B)の各々の比重の測定方法は、重合体微粒子(A)および樹脂(B)の各々の比重を測定できる限り特に限定されず、例えば、比重標準溶液を用いて、重合体微粒子(A)および樹脂(B)の各々の比重標準溶液に対する浮沈に基づいて、重合体微粒子(A)および樹脂(B)の各々の比重を測定する方法等が挙げられる。重合体微粒子(A)および樹脂(B)の各々の比重標準溶液に対する浮沈に基づいて、重合体微粒子(A)および樹脂(B)の各々の比重を測定する方法の具体的態様としては、例えば、「混合物」を「重合体微粒子(A)」または「樹脂(B)」に変更する以外は、前記(a1)~(a6)の同じ方法が挙げられる。
(比重標準溶液作製工程)
比重測定工程において、混合物の前記比重標準溶液への浮沈に基づいて、前記混合物の比重を測定する場合、本測定方法は、比重測定工程の前に、比重が既知である比重標準溶液を作製する、比重標準溶液作製工程を含むことが好ましい。比重標準溶液作製工程の態様としては、比重標準溶液を得ることができる限り特に限定されない。また、比重標準溶液の比重は、当該溶液の温度の変化に伴い変化する。それゆえ、比重標準溶液は、特定の温度において、特定の任意の比重を有する溶液であるともいえる。
比重標準溶液作製工程は、溶媒に、物質(溶質)を溶かして、当該溶液の比重を測定することで、比重が既知の溶液を作製する工程であるともいえる。
比重標準溶液作製工程において、溶媒は特に限定されず、例えば水系媒が挙げられる。水系媒は特に限定されず、例えば、水道水および/または工業用水を用いることもできる。余分な不純物が存在せず、正確な混合物の比重の測定が可能な点から、水系媒としては、RO水(逆浸透膜法により精製された水)、蒸留水、脱イオン水(イオン交換樹脂により精製された水)等の純水および超純水等を用いることが好ましい。
比重標準溶液作製工程において、溶質を溶かす際の溶媒の温度は特に限定されないが、溶質が溶解しやすくなることから、20℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましい。
比重標準溶液作製工程において、使用する溶質は特に限定されない。溶媒が水系媒の場合、溶質は水溶性の物質であることが好ましい。水溶性の物質は特に限定されないが、より広範囲の比重の溶液が作製できるという利点があることから、使用する水系媒に溶けやすく、かつ、使用する水系媒よりも比重の大きい物質であることが好ましい。水溶液作製工程において使用し得る水溶性の物質としては、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
比重測定工程において、より正確な比重の測定が可能になることから、比重標準溶液作製工程において、2種類以上の比重標準溶液、すなわち、それぞれ異なる既知の比重を有する、2つ以上の比重標準溶液を作製することが好ましく、3つ以上(3種類以上)の比重標準溶液を作製することがより好ましく、4つ以上(4種類以上)の比重標準溶液を作製することがさらに好ましく、5つ以上(5種類以上)の比重標準溶液を作製することがよりさらに好ましい。比重標準溶液の数が多いほど、後述する検量線としてより正確な検量線(決定係数がより1に近い検量線)が得られるという利点を有する。また、各比重標準溶液は、比重が一定の規則性を有するように(各比重標準溶液の比重の差(比重差)が一定値となるように)作製してもよく、不規則に(各比重標準溶液の比重差が一定値とならないように)作製してもよい。また、作製する複数の比重標準溶液の比重差は特に限定されないが、例えば、各比重標準溶液の比重差が0.005となるように作製してもよい。
比重標準溶液作製工程において、複数の比重標準溶液を作製する方法は、特に限定されず、例えば、前記比重が既知である水溶液を希釈し、比重が既知である複数の比重標準溶液を作製する水溶液希釈工程を行う方法が挙げられる。水溶液希釈工程の態様としては、所望の比重を有する比重標準溶液を得ることができる限り特に限定されないが、例えば、比重が既知である水溶液を、比重を測定しながら希釈する方法が挙げられる。
水溶液希釈工程において、比重が既知である水溶液を希釈する方法は特に限定されないが、希釈対象となる水溶液が含む水系媒と、同様の水系媒を用いて希釈することが好ましい。
比重標準溶液作製工程(水溶液希釈工程)において、比重標準溶液の作製過程、および作製した比重標準溶液において、比重を測定する方法は特に限定されず、例えば、標準比重計によって測定することができる。測定された比重標準溶液の比重は、測定時の比重標準溶液の温度における、比重標準溶液の比重である。
比重測定工程において、測定対象となる混合物の粘度が高い場合、標準比重計によって比重を測定することが困難である場合がある。本発明者らは、比重標準溶液を使用することによって、そのような粘度の高い混合物についても、当該比重標準溶液への浮沈に基づき当該混合物の比重を容易に測定し得ることを新たに見出した。すなわち、本測定方法が、比重標準溶液作製工程を含む場合、粘度が高い混合物(例えば、比重測定時の粘度が100mPa・s~100,000mPa・sの混合物)についても、容易に比重を測定することができる。
(比重標準溶液の検量線作製工程)
本測定方法は、比重標準溶液作製工程の後に、作製した比重標準溶液について、比重対温度の対応関係の検量線を作製する、比重標準溶液の検量線作製工程をさらに含むことが好ましい。
比重標準溶液の比重は、混合物と同様に、当該比重標準溶液の温度の変化に伴い変化する。比重標準溶液について、比重対温度の対応関係の検量線を作製することで、当該比重標準溶液の温度を、測定対象となる混合物の温度に合わせて任意の温度に調整した場合においても、当該比重標準溶液の比重を直接測定することなく、計算によって算出することができる。
比重標準溶液の比重対温度の検量線作製工程の具体的な態様としては、例えば以下の(1)~(4)の方法が挙げられる:
(1)比重標準溶液作製工程で作製した比重標準溶液を加熱、または冷却し、当該比重標準溶液の温度を、比重標準溶液作製工程とは異なる温度に調整する;
(2)前記温度を調整した比重標準溶液の比重を、標準比重計を用いて測定する;
(3)各温度(比重標準溶液作製工程で比重を測定した際の比重標準溶液の温度、および(2)で比重を測定した際の温度)における比重標準溶液の比重を温度補正する;
(4)温度補正後の各温度における比重標準溶液の比重について、y軸(縦軸)を比重、x軸(横軸)を温度としてプロットし、線形近似によって、比重標準溶液の比重対温度の検量線を作製する。
前記(3)において、比重標準溶液の比重の温度補正は、下記式(1)に基づき行う
温度補正後の比重標準溶液の比重=d+αd(t-測定時の溶液の温度)・・・(1)
(式中、dは比重測定時の温度補正前の比重標準溶液の比重であり、αは標準比重計を構成する材料の体膨張係数であり、tは、標準比重計の標準温度である。);
(脱泡工程)
本測定方法は、比重測定工程の前に、測定対象となる混合物から気泡を脱泡する脱泡工程を有することが好ましい。換言すると、比重測定工程において、測定対象となる混合物は予め脱気されていることが好ましい。すなわち、脱泡工程は混合物を脱気する工程であるともいえる。
本測定方法において、測定対象となる混合物は、内部に空気等の気体を含む気泡を有する場合がある。混合物が気泡を有する場合、気泡内の気体(空気等)は混合物と比重が異なるため、当該混合物の比重を正確に測定できない場合がある。本測定方法において、脱泡工程を行うことにより、混合物から気泡を除去することができる。混合物から気泡を除去することによって、より正確に混合物の比重を測定することができる。
脱泡工程の態様は、混合物から気泡を脱泡することができる限り特に限定されないが、例えば、自転・公転ミキサーによって攪拌する方法が挙げられる。
脱泡工程を行う際の、混合物の温度は特に限定されないが、40℃~80℃であることが好ましい。脱泡工程において、混合物の温度が40℃以上であれば、混合物の含む樹脂(B)の粘度が高くなりすぎる虞がないため、混合物を効率的に脱泡でき、より気泡が少ない混合物を得ることができる。
(濃度決定工程)
本測定方法は、濃度決定工程を含む。濃度決定工程は、(比重測定工程)で測定した混合物の比重から、当該混合物における重合体微粒子(A)の濃度を決定する工程である。
本発明者らは以下の知見を独自に見出した:重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物において、当該混合物における重合体微粒子(A)の濃度と、当該混合物の比重とは比例関係にある。この理由は以下のように推測されるが、本発明の一実施形態は以下の推測に限定されない:混合物の含む重合体微粒子(A)と、樹脂(B)とはそれぞれ比重が異なる。そのため、当該混合物における前記重合体微粒子と、樹脂(B)との比率(換言すると、混合物における重合体微粒子(A)の濃度)が変化すると、それに応じて、前記混合物の比重も変化する。
すなわち、濃度決定工程では、混合物における重合体微粒子(A)の濃度と、当該混合物の比重との比例関係(すなわち、混合物における重合体微粒子(A)の濃度の変化に対する、当該混合物の比重の変化の度合い)を利用して、(比重測定工程)で測定した混合物の比重に基づき、当該混合物における重合体微粒子(A)の濃度を決定することができる。本明細書において、「混合物における重合体微粒子(A)の濃度と、当該混合物の比重との比例関係」を「濃度比重関係」と称する場合がある。
濃度決定工程では、(i)すでに明らかになっている濃度比重関係を利用してもよいし、(ii)濃度比重関係を明らかにする工程をさらに有していてもよい。濃度決定工程において、濃度比重関係を明らかにする方法は、特に限定されないが、重合体微粒子(A)の濃度対比重の検量線を作製する方法が好ましい。すなわち、濃度決定工程は、当該検量線を作製する、濃度対比重の検量線作製工程を含むことが好ましい。
(濃度対比重の検量線作製工程)
濃度対比重の検量線作製工程は、(i)重合体微粒子(A)と樹脂(B)を含み、かつ重合体微粒子(A)の濃度が既知である混合物(以下、「濃度標準物」と称する)を、重合体微粒子(A)の濃度を変えて複数種調製し、(ii)各濃度標準物の比重を測定し、(iii)濃度標準物における、重合体微粒子(A)の濃度対比重の検量線を作製する工程である。
濃度対比重の検量線作製工程において、検量線とは以下の(1)~(3)の方法により作製することができる:(1)重合体微粒子(A)の濃度の異なる濃度標準物を複数種作製し、各濃度標準物の比重を測定する;(2)各濃度標準物について、濃度標準物の比重をy軸(縦軸)に、当該濃度標準物における重合体微粒子(A)の濃度(既知の濃度)をx軸(横軸)に、プロットする;(3)(2)のプロットに基づき、線形近似によって、濃度標準物の重合体微粒子(A)の濃度対比重の検量線を作製する。
(濃度標準物作製工程)
濃度対比重の検量線作製工程は、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを、それぞれ異なる既知の比率で含む、少なくとも2つ以上の濃度標準物を作製する濃度標準物作製工程を含む。ここで、濃度標準物が含む重合体微粒子(A)および、樹脂(B)は、本測定方法による濃度の測定対象となる混合物(重合体微粒子(A)の濃度が未知の混合物)に含まれる、重合体微粒子(A)、および樹脂(B)であるともいえる。
濃度標準物作製工程において、濃度標準物を作製する方法は、重合体微粒子(A)、および樹脂(B)を所定の割合で含む混合物を得られる限り特に限定されない。例えば、濃度未知の混合物(樹脂組成物)を作製し、当該混合物中の重合体微粒子(A)の濃度を、従来の濃度測定方法(組成物を溶剤に溶かした後、遠心分離することで、前記重合体微粒子を分離、抽出する方法)で測定して、混合物(樹脂組成物)の濃度を決定することにより、当該混合物を濃度標準物としてもよい。
ここで、濃度標準物における、重合体微粒子(A)の濃度を「濃度標準物の濃度」と称する場合がある。濃度標準物の濃度は、以下の式によって算出する値である:
濃度標準物の濃度(%)={濃度標準物中の重合体微粒子(A)の重量/(濃度標準物中の重合体微粒子(A)の重量+濃度標準物中の樹脂(B)の重量)}×100。
濃度対比重の検量線作製工程では、濃度標準物の濃度と、当該濃度標準物の比重とに基づいて濃度対比重の検量線を作製する。それゆえ、濃度標準物作製工程では、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを、それぞれ異なる既知の比率で含む少なくとも2つの濃度標準物を作製する必要があり、より正確な検量線を作製しうることから、3つ以上の濃度標準物を作製することが好ましい。
濃度標準物作製工程において、複数の濃度標準物を作製する方法は、特に限定されない。例えば、上述した方法により濃度標準物を作成し、当該濃度標準物を所定量の樹脂(B)で希釈することにより、希釈前の濃度標準物とは異なる既知の比率で重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む濃度標準物を作製することができる。この操作を繰り返すことにより、複数の濃度標準物を作製することができる。
濃度対比重の検量線作製工程において、濃度標準物の比重の測定方法は、特に限定されないが、上述した比重標準溶液を用いて、前記濃度標準物の前記比重標準溶液への浮沈に基づいて、前記濃度標準物の比重を測定する比重決定工程によって測定することが好ましい。
(比重決定工程)
比重決定工程の具体的態様は以下の(b1)~(b6)の通りである:
(b1)測定に使用する比重標準溶液(複数の比重標準溶液)の温度を、測定対象である濃度標準物の温度に調整する。例えば、測定に使用する比重標準溶液の温度が測定対象である濃度標準物の温度になるまで、例えば乾燥機によって、比重標準溶液を加熱する;
(b2)加熱後、前記濃度標準物と、前記比重標準溶液の温度が一定または略一定の温度(±5℃程度)となっていることを確認する。ここで、確認された濃度標準物の温度を、「測定時の温度」または「測定温度」と称する場合がある;
(b3)前記濃度標準物をそれぞれ個別に、スパチュラ等を用いて、前記比重標準溶液に入れる;
(b4)前記比重標準溶液に入れた前記濃度標準物を確認し、(i)前記濃度標準物が比重標準溶液中に沈降した場合には、前記濃度標準物の比重が比重標準溶液より大きいと判断し、(ii)前記濃度標準物が比重標準溶液の液面に浮遊した場合には、前記濃度標準物の比重が比重標準溶液より小さいと判断する。ここで、「濃度標準物が比重標準溶液中に沈降した」とは、比重標準溶液に入れた濃度標準物が、当該比重標準溶液の入った容器の底面に少なくとも一部が接触した状態のまま浮上しない状態であることを意図し、「濃度標準物が比重標準溶液の液面に浮遊した」とは、比重標準溶液に入れた濃度標準物が、当該比重標準溶液の液面から少なくとも一部が溶液外に露出した状態で浮遊している状態であることを意図する。なお、濃度標準物が、比重標準溶液の液面から露出はしないものの、容器の底面にも接触しない状態で、比重標準溶液中に浮遊する場合がある。その場合、当該濃度標準物の比重と、比重標準溶液の比重とが同じであると判断する;
(b5)前記濃度標準物が沈降した比重標準溶液の中で、最も比重の高い比重標準溶液と、前記濃度標準物が液面に浮遊した比重標準溶液の中で、最も比重の低い比重標準溶液とに基づいて、測定温度における、当該比重標準溶液の比重を算出する;
(b6)(b5)で算出した比重標準溶液の比重から、下記式に基づいて、前記濃度標準物の比重を浮沈平均として算出する:
浮沈平均={(前記濃度標準物が沈降した比重標準溶液の中で、最も比重の高い比重標準溶液の、測定温度における比重)+(前記濃度標準物が液面に浮遊した比重標準溶液の中で、最も比重の低い比重標準溶液の、測定温度における比重)}/2。
上述の(b1)~(b6)の測定方法によれば、従来の測定方法(例えば、標準比重計を用いた測定方法)によっては測定することが困難であった、測定時の温度において100mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有する、比較的粘度の高い濃度標準物について、好適に比重を測定することができる。
前記(b1)において、測定対象である濃度標準物の温度(比重標準溶液を加熱する温度であり、(b2)における測定温度でもある。)は、20℃~100℃が好ましく、40℃~100℃がより好ましく、40℃~80℃がさらに好ましい。測定対象である混合物の温度が(i)100℃以下であれば、比重標準溶液の加熱温度も100℃以下となり、比重標準溶液の溶媒(例えば水)が蒸発する虞がなく、(ii)20℃以上であれば、比重標準溶液の加熱温度も20℃以上となり、比重標準溶液の溶質(例えば硫酸ナトリウム)が析出する虞がない。したがって、濃度標準物の温度が20℃~100℃であれば、測定中に比重標準溶液の溶媒、および溶質の量が変化しない。すなわち、測定中に比重標準溶液の比重が変化しないため、より正確に濃度標準物の比重を測定することができる。
前記(b5)において、測定温度における、比重標準溶液の比重の測定方法は、特に限定されず、例えば、比重計を用いて測定した当該比重標準溶液の比重を上記式(1)に基づき温度補正して算出してもよく、上記(比重標準溶液の検量線作製工程)で作製した検量線を使用して算出してもよい。効率的に比重の測定を行えるため、(比重標準溶液の検量線作製工程)を実施する場合は、検量線を使用して比重標準溶液の比重を算出することが好ましい。
比重決定工程において、測定対象となる濃度標準物は予め脱泡されていることが好ましい。濃度標準物を脱泡する方法としては、上述の(脱泡工程)に記載の方法が好適に使用できる。
濃度決定工程によれば、重合体微粒子(A)の濃度が未知である他の混合物についても、当該混合物の比重から、当該混合物における重合体微粒子(A)の濃度を決定することができる。すなわち、濃度決定工程によれば、従来技術と比してより容易な操作(例えば、質量流量計を用いた比重測定)によって、混合物中の重合体微粒子の濃度を測定できる。それゆえ、樹脂組成物を製造する際に、本測定方法をインラインで実施することができる。当該構成によれば、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む樹脂組成物を、製造ラインで、連続的に、濃度を測定しながら製造できる。そのため、本発明の一実施形態は、製造した樹脂組成物の不良率を低下でき、さらに樹脂組成物の生産効率(時間効率)に優れる樹脂組成物の製造方法を提供できる。
さらに、濃度決定工程によって、混合物における重合体微粒子(A)の濃度と、当該混合物の比重との比例関係が明らかになると、当該混合物における重合体微粒子(A)の濃度から、前記混合物の比重を算出することもできる。例えば、(i)重合体微粒子(A)の濃度が0%の場合の混合物の比重を算出することで、当該混合物の含む樹脂(B)単体の比重を算出することができる。また、(ii)重合体微粒子(A)の濃度が100%の場合の混合物の比重を算出することで、当該混合物の含む重合体微粒子(A)の単体の比重(重合体微粒子(A)の比重)を算出することができる。
〔3.重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物〕
本発明の一実施形態に係る重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物は、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有する重合体微粒子(A)と、25℃において100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する液体であるか、半固体であるか、または固体である樹脂(B)を含む。
(重合体微粒子(A))
重合体微粒子(A)は、重合により得られる微粒子である。重合体微粒子(A)は、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなる(を含む)グラフト部を有するものである。重合体微粒子(A)としては、前記グラフト部を有する限り、その他の構成は特に限定されない。重合体微粒子(A)は、グラフト共重合体ともいえる。
(グラフト部)
本明細書において、任意の重合体に対してグラフト結合された重合体をグラフト部と称する。グラフト部は、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体である(を含む)。グラフト部は、前記構成を有するため、種々の役割を担うことができる。「種々の役割」とは、例えば、(a)重合体微粒子(A)と熱硬化性樹脂との相溶性を向上させること、(b)混合対象のマトリクス樹脂である熱硬化性樹脂における重合体微粒子(A)の分散性を向上させること、および(c)樹脂組成物またはその硬化物において重合体微粒子(A)が一次粒子の状態で分散することを可能にすること、などである。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、およびジビニルベンゼンなどが挙げられる。
ビニルシアン単量体の具体例としては、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルなどが挙げられる。
(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、およびヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意図する。
上述した、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体は、1種類のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
グラフト部は、構成単位として、芳香族ビニル単量体に由来する構成単位、ビニルシアン単量体に由来する構成単位および(メタ)アクリレート単量体に由来する構成単位を合計で、グラフト部100重量%中に、10~95重量%含むことが好ましく、30~92重量%含むことがより好ましく、50~90重量%含むことがさらに好ましく、60~87重量%含むことが特に好ましく、70~85重量%含むことが最も好ましい。
グラフト部は、構成単位として、反応性基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。前記反応性基を有する単量体は、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、アミノ基、イミド基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、環状エステル、環状アミド、ベンズオキサジン基、およびシアン酸エステル基からなる群から選択される1種以上の反応性基を有する単量体であることが好ましく、エポキシ基、水酸基、およびカルボン酸基からなる群から選択される1種以上の反応性基を有する単量体であることがより好ましく、エポキシ基を有する単量体であることが最も好ましい。前記構成によると、樹脂組成物中で重合体微粒子(A)のグラフト部と熱硬化性樹脂とを化学結合させることができる。これにより、樹脂組成物中またはその硬化物中で、重合体微粒子(A)を凝集させることなく、重合体微粒子(A)の良好な分散状態を維持することができる。
グラフト部は、グラフト部100重量%中、反応性基を有する単量体に由来する構成単位を、0.5~90重量%含むことが好ましく、1~50重量%含むことがより好ましく、2~35重量%含むことがさらに好ましく、3~20重量%含むことが特に好ましい。グラフト部が、グラフト部100重量%中、反応性基を有する単量体に由来する構成単位を、(a)0.5重量%以上含む場合、得られる樹脂組成物は、十分な耐衝撃性を有する硬化物を提供することができ、(b)90重量%以下含む場合、得られる樹脂組成物は、十分な耐衝撃性を有する硬化物を提供することができ、かつ、当該樹脂組成物の貯蔵安定性が良好となるという利点を有する。
反応性基を有する単量体に由来する構成単位は、グラフト部に含まれることが好ましく、グラフト部にのみ含まれることがより好ましい。
グラフト部は、構成単位として、多官能性単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。グラフト部が、多官能性単量体に由来する構成単位を含む場合、(a)樹脂組成物中において重合体微粒子(A)の膨潤を防止することができる、(b)樹脂組成物の粘度が低くなるため、樹脂組成物の取扱い性が良好となる傾向がある、および(c)熱硬化性樹脂における重合体微粒子(A)の分散性が向上する、などの利点を有する。
グラフト部が多官能性単量体に由来する構成単位を含まない場合、グラフト部が多官能性単量体に由来する構成単位を含む場合と比較して、得られる樹脂組成物は、靱性および耐衝撃性により優れる硬化物を提供することができる。
多官能性単量体は、同一分子内にラジカル重合性反応基を2つ以上有する単量体ともいえる。前記ラジカル重合性反応基は、好ましくは炭素-炭素二重結合である。多官能性単量体としては、アリルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。これら多官能性単量体は、1種類のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
グラフト部は、グラフト部100重量%中、多官能性単量体に由来する構成単位を、1~20重量%含むことが好ましく、5~15重量%含むことがより好ましい。
グラフト部の重合において、上述した単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、グラフト部は、構成単位として、上述した単量体に由来する構成単位の他に、他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
また、グラフト部は、後述する弾性体に対してグラフト結合された重合体であることが好ましい。
(グラフト部の変形例)
本発明の一実施形態において、グラフト部は、同一の組成の構成単位を有する1種のグラフト部のみからなってもよい。本発明の一実施形態において、グラフト部は、それぞれ異なる組成の構成単位を有する複数種のグラフト部からなってもよい。
本発明の一実施形態において、グラフト部が複数種のグラフト部からなる場合について説明する。この場合、複数種のグラフト部のそれぞれを、グラフト部、グラフト部、・・・、グラフト部とする(nは2以上の整数)。グラフト部は、それぞれ別々に重合されたグラフト部、グラフト部、・・・、およびグラフト部の複合体を含んでいてもよい。グラフト部は、グラフト部、グラフト部、・・・、およびグラフト部をそれぞれ順に重合して得られる1つの重合体を含んでいてもよい。このように、複数の重合部(グラフト部)をそれぞれ順に重合することを、多段重合とも称する。複数種のグラフト部を多段重合して得られる重合体を、多段重合グラフト部とも称する。多段重合グラフト部の製造方法については、後に詳述する。
グラフト部が複数種のグラフト部からなる場合、これら複数種のグラフト部の全てが弾性体に対してグラフト結合されていなくてもよい。少なくとも1種のグラフト部の少なくとも一部が弾性体に対してグラフト結合されていればよく、その他の種(その他の複数種)のグラフト部は、弾性体に対してグラフト結合されているグラフト部にグラフト結合されていてもよい。また、グラフト部が複数種のグラフト部からなる場合、複数種のグラフト部と同じ構成を有する重合体であり、かつ弾性体に対してグラフト結合されていない複数種の重合体(複数種の非グラフト重合体)を有していてもよい。
グラフト部、グラフト部、・・・、およびグラフト部からなる多段重合グラフト部について説明する。当該多段重合グラフト部において、グラフト部は、グラフト部n-1の少なくとも一部を被覆し得るか、またはグラフト部n-1の全体を被覆し得る。当該多段重合グラフト部において、グラフト部の一部はグラフト部n-1の内側に入り込んでいることもある。
多段重合グラフト部において、複数のグラフト部のそれぞれが、層構造を形成していてもよい。例えば、多段重合グラフト部が、グラフト部、グラフト部、およびグラフト部からなる場合、グラフト部がグラフト部における最内層を形成し、グラフト部の外側にグラフト部の層が形成され、さらにグラフト部の層の外側にグラフト部の層が最外層として形成される態様も、本発明の一態様である。このように、複数のグラフト部のそれぞれが層構造を形成している多段重合グラフト部は、多層グラフト部ともいえる。すなわち、本発明の一実施形態において、グラフト部は、(a)複数種のグラフト部の複合体、(b)多段重合グラフト部および/または(c)多層グラフト部を含んでいてもよい。
重合体微粒子(A)の製造において任意の重合体(例えば後述する弾性体)とグラフト部とがこの順で重合される場合、得られる重合体微粒子(A)において、グラフト部の少なくとも一部分は、任意の重合体の少なくとも一部分を被覆し得る。任意の重合体とグラフト部とがこの順で重合されるとは、換言すれば、任意の重合体とグラフト部とが多段重合されるともいえる。任意の重合体とグラフト部とを多段重合して得られる重合体微粒子(A)は、多段重合体ともいえる。
重合体微粒子(A)が多段重合体である場合、グラフト部は任意の重合体(例えば後述する弾性体)の少なくとも一部を被覆し得るか、または任意の重合体の全体を被覆し得る。重合体微粒子(A)が多段重合体である場合、グラフト部の一部は任意の重合体の内側に入り込んでいることもある。グラフト部の少なくとも一部分は、弾性体の少なくとも一部分を被覆していることが好ましい。換言すれば、グラフト部の少なくとも一部分は、重合体微粒子(A)の最も外側に存在することが好ましい。
重合体微粒子(A)が多段重合体である場合、任意の重合体(例えば後述する弾性体)およびグラフト部が、層構造を形成していてもよい。例えば、弾性体が最内層(コア層とも称する。)を形成し、弾性体の外側にグラフト部の層が最外層(シェル層とも称する。)として形成される態様も、本発明の一態様である。弾性体をコア層とし、グラフト部をシェル層とする構造はコアシェル構造ともいえる。このように、弾性体およびグラフト部が層構造(コアシェル構造)を形成している重合体微粒子(A)は、多層重合体またはコアシェル重合体ともいえる。すなわち、本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)は、多段重合体であってもよく、かつ/または、多層重合体もしくはコアシェル重合体であってもよい。ただし、グラフト部を有している限り、重合体微粒子(A)は前記構成に制限されるわけではない。
(弾性体)
重合体微粒子(A)は、さらに弾性体を有するものであることが好ましい。上述したグラフト部は、弾性体に対してグラフト結合された重合体であることが好ましい。すなわち、重合体微粒子(A)は、弾性体と、当該弾性体に対してグラフト結合されたグラフト部と、を有するゴム含有グラフト共重合体であることが好ましい。以下、重合体微粒子(A)がゴム含有グラフト共重合体である場合を例に挙げて、本発明の一実施形態を説明する。
当該弾性体は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。弾性体は、上述したゴム以外に、天然ゴムを含んでいてもよい。弾性体は、弾性部またはゴム粒子と言い換えることもできる。
弾性体がジエン系ゴムを含む場合(場合A)について説明する。場合Aにおいて、得られる樹脂組成物は、靱性および耐衝撃性に優れる硬化物を提供することができる。靱性および/または耐衝撃性に優れる硬化物は、耐久性に優れる硬化物ともいえる。
前記ジエン系ゴムは、構成単位として、ジエン系単量体に由来する構成単位を含む弾性体である。前記ジエン系単量体は、共役ジエン系単量体と言い換えることもできる。場合Aにおいて、ジエン系ゴムは、構成単位100重量%中、ジエン系単量体に由来する構成単位を50~100重量%、およびジエン系単量体と共重合可能なジエン系単量体以外のビニル系単量体に由来する構成単位を0~50重量%、含むものであってもよい。場合Aにおいて、ジエン系ゴムは、構成単位として、ジエン系単量体に由来する構成単位よりも少ない量において、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
場合Aにおいて、ジエン系ゴムとしては、1,3-ブタジエンに由来する構成単位からなるブタジエンゴム(ポリブタジエンゴムとも称する。)、または、1,3-ブタジエンとスチレンとの共重合体であるブタジエン-スチレンゴム(ポリスチレン-ブタジエンとも称する。)が好ましく、ブタジエンゴムがより好ましい。前記構成によると、重合体微粒子(A)がジエン系ゴムを含むことによる所望の効果がより発揮され得る。また、ブタジエン-スチレンゴムは、屈折率の調整により、得られる硬化物の透明性を高めることができる点においても、より好ましい。
弾性体が(メタ)アクリレート系ゴムを含む場合(場合B)について説明する。場合Bでは、多種の単量体の組合せにより、弾性体の幅広い重合体設計が可能となる。
前記(メタ)アクリレート系ゴムは、構成単位として、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を含む弾性体である。場合Bにおいて、(メタ)アクリレート系ゴムは、構成単位100重量%中、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位を50~100重量%、および(メタ)アクリレート系単量体と共重合可能な(メタ)アクリレート系単量体以外のビニル系単量体に由来する構成単位を0~50重量%、含むものであってもよい。場合Bにおいて、(メタ)アクリレート系ゴムは、構成単位として、(メタ)アクリレート系単量体に由来する構成単位よりも少ない量において、ジエン系単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。
場合Bにおいて、(メタ)アクリレート系ゴムとしては、エチル(メタ)アクリレートゴム、ブチル(メタ)アクリレートゴムおよび2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートゴムからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、ブチル(メタ)アクリレートゴムがより好ましい。エチル(メタ)アクリレートゴムはエチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなるゴムであり、ブチル(メタ)アクリレートゴムはブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなるゴムであり、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートゴムは2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなるゴムである。当該構成によると、弾性体のガラス転移温度(Tg)が低くなるためTgが低い重合体微粒子(A)および樹脂組成物が得られる。その結果、(a)得られる樹脂組成物は、優れた靱性を有する硬化物を提供でき、かつ(b)当該樹脂組成物の粘度をより低くすることができる。
弾性体がオルガノシロキサン系ゴムを含む場合(場合C)について説明する。場合Cにおいて、得られる樹脂組成物は、十分な耐熱性を有し、かつ低温での耐衝撃性に優れる硬化物を提供することができる。
オルガノシロキサン系ゴムとしては、例えば、(a)ジメチルシリルオキシ、ジエチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシ、ジメチルシリルオキシ-ジフェニルシリルオキシなどの、アルキルもしくはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるオルガノシロキサン系重合体、(b)側鎖のアルキルの一部が水素原子に置換されたオルガノハイドロジェンシリルオキシなどの、アルキルもしくはアリール1置換シリルオキシ単位から構成されるオルガノシロキサン系重合体、が挙げられる。これらのオルガノシロキサン系重合体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、ジメチルシリルオキシ単位から構成される重合体をジメチルシリルオキシゴムと称し、メチルフェニルシリルオキシ単位から構成される重合体をメチルフェニルシリルオキシゴムと称し、ジメチルシリルオキシ単位とジフェニルシリルオキシ単位とから構成される重合体をジメチルシリルオキシ-ジフェニルシリルオキシゴムと称する。場合Cにおいて、オルガノシロキサン系ゴムとしては、(a)得られる粉粒体を含む樹脂組成物が耐熱性に優れる硬化物または成形体を提供することができることから、ジメチルシリルオキシゴム、メチルフェニルシリルオキシゴムおよびジメチルシリルオキシ-ジフェニルシリルオキシゴムからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、(b)容易に入手できて経済的でもあることから、ジメチルシリルオキシゴムであることがより好ましい。
場合Cにおいて、重合体微粒子(A)は、重合体微粒子(A)に含まれる弾性体100重量%中、オルガノシロキサン系ゴムを80重量%以上含有していることが好ましく、90重量%以上含有していることがより好ましい。前記構成によると、得られる樹脂組成物は、耐熱性に優れる硬化物を提供することができる。
弾性体は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴム以外の弾性体をさらに含んでいてもよい。ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴム以外の弾性体としては、例えば天然ゴムが挙げられる。
本発明の一実施形態において、弾性体は、ブタジエンゴム、ブタジエン-スチレンゴム、ブタジエン-(メタ)アクリレートゴム、エチル(メタ)アクリレートゴム、ブチル(メタ)アクリレートゴム、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートゴム、ジメチルシリルオキシゴム、メチルフェニルシリルオキシゴム、およびジメチルシリルオキシ-ジフェニルシリルオキシゴムからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、ブタジエンゴム、ブタジエン-スチレンゴム、ブチル(メタ)アクリレートゴム、およびジメチルシリルオキシゴムからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
(弾性体の架橋構造)
重合体微粒子(A)の熱硬化性樹脂中での分散安定性を保持する観点から、弾性体には、架橋構造が導入されていることが好ましい。弾性体に対する架橋構造の導入方法としては、一般的に用いられる手法を採用することができ、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、弾性体の製造において、弾性体を構成し得る単量体に、多官能性単量体および/またはメルカプト基含有化合物などの架橋性単量体を混合し、次いで重合する方法が挙げられる。本明細書において、弾性体など重合体を製造することを、重合体を重合する、とも称する。
また、オルガノシロキサン系ゴムに架橋構造を導入する方法としては、次のような方法も挙げられる:(A)オルガノシロキサン系ゴムを重合するときに、多官能性のアルコキシシラン化合物と他の材料とを併用する方法、(B)反応性基(例えば(i)メルカプト基および(ii)反応性を有するビニル基、など)をオルガノシロキサン系ゴムに導入し、その後、得られた反応生成物に、(a)有機過酸化物または(b)重合性を有するビニル単量体などを添加してラジカル反応させる方法、または、(C)オルガノシロキサン系ゴムを重合するときに、多官能性単量体および/またはメルカプト基含有化合物などの架橋性単量体を他の材料と共に混合し、次いで重合を行う方法、など。
多官能性単量体としては、上述した(グラフト部)の項で例示した多官能性単量体が挙げられる。
メルカプト基含有化合物としては、アルキル基置換メルカプタン、アリル基置換メルカプタン、アリール基置換メルカプタン、ヒドロキシ基置換メルカプタン、アルコキシ基置換メルカプタン、シアノ基置換メルカプタン、アミノ基置換メルカプタン、シリル基置換メルカプタン、酸基置換メルカプタン、ハロ基置換メルカプタンおよびアシル基置換メルカプタン等が挙げられる。アルキル基置換メルカプタンとしては、炭素数1~20のアルキル基置換メルカプタンが好ましく、炭素数1~10のアルキル基置換メルカプタンがより好ましい。アリール基置換メルカプタンとしては、フェニル基置換メルカプタンが好ましい。アルコキシ基置換メルカプタンとしては、炭素数1~20のアルコキシ基置換メルカプタンが好ましく、炭素数1~10のアルコキシ基置換メルカプタンがより好ましい。酸基置換メルカプタンとしては、好ましくは、カルボキシル基を有する炭素数1~10のアルキル基置換メルカプタン、または、カルボキシル基を有する炭素数1~12のアリール基置換メルカプタン、である。
(弾性体の体積平均粒子径)
弾性体の体積平均粒子径は、0.03μm~50.00μmが好ましく、0.05μm~10.00μmがより好ましく、0.08μm~2.00μmがより好ましく、0.10μm~1.00μmがさらに好ましく、0.10μm~0.80μmがよりさらに好ましく、0.10μm~0.50μmが特に好ましい。弾性体の体積平均粒子径が(a)0.03μm以上である場合、所望の体積平均粒子径を有する弾性体を安定的に得ることができ、(b)50.00μm以下である場合、得られる硬化物または成形体の耐熱性および耐衝撃性が良好となる。弾性体の体積平均粒子径は、弾性体を含む水性懸濁液を試料として、動的光散乱式粒子径分布測定装置などを用いて、測定することができる。弾性体の体積平均粒子径の測定方法については、下記実施例にて詳述する。
(弾性体の変形例)
本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、構成単位の組成が同一である1種類の弾性体、のみからなってもよい。この場合、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される1種類である。
本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、構成単位の組成がそれぞれ異なる複数種の弾性体からなってもよい。この場合、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される2種類以上であってもよい。また、この場合、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、ジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムおよびオルガノシロキサン系ゴムからなる群より選択される1種類であってもよい。換言すれば、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、構成単位の組成がそれぞれ異なる複数種のジエン系ゴム、(メタ)アクリレート系ゴムまたはオルガノシロキサン系ゴムであってもよい。
本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)の「弾性体」が、構成単位の組成がそれぞれ異なる複数種の弾性体からなる場合について説明する。この場合、複数種の弾性体のそれぞれを、弾性体、弾性体、・・・、および弾性体とする。ここで、nは2以上の整数である。重合体微粒子(A)の「弾性体」は、それぞれ別々に重合された弾性体、弾性体、・・・、および弾性体の複合体を含んでいてもよい。重合体微粒子(A)の「弾性体」は、弾性体、弾性体、・・・、および弾性体をそれぞれ順に重合して得られる1つの弾性体を含んでいてもよい。このように、複数の弾性体(重合体)をそれぞれ順に重合することを、多段重合とも称する。複数種の弾性体を多段重合して得られる1つの弾性体を、多段重合弾性体とも称する。多段重合弾性体の製造方法については、後に詳述する。
弾性体、弾性体、・・・、および弾性体からなる多段重合弾性体について説明する。当該多段重合弾性体において、弾性体は、弾性体n-1の少なくとも一部を被覆し得るか、または弾性体n-1の全体を被覆し得る。当該多段重合弾性体において、弾性体の一部は弾性体n-1の内側に入り込んでいることもある。
多段重合弾性体において、複数の弾性体のそれぞれが、層構造を形成していてもよい。例えば、多段重合弾性体が、弾性体、弾性体、および弾性体からなる場合、弾性体が最内層を形成し、弾性体の外側に弾性体の層が形成され、さらに弾性体の層の外側に弾性体の層が弾性体における最外層として形成される態様も、本発明の一態様である。このように、複数の弾性体のそれぞれが層構造を形成している多段重合弾性体は、多層弾性体ともいえる。すなわち、本発明の一実施形態において、重合体微粒子(A)の「弾性体」は、(a)複数種の弾性体の複合体、(b)多段重合弾性体および/または(c)多層弾性体を含んでいてもよい。
(表面架橋重合体)
ゴム含有グラフト共重合体は、弾性体、および、当該弾性体に対してグラフト結合されたグラフト部以外に、表面架橋重合体をさらに有することが好ましい。換言すれば、重合体微粒子(A)は、弾性体、および、当該弾性体に対してグラフト結合されたグラフト部以外に、表面架橋重合体をさらに有することが好ましい。以下、重合体微粒子(A)(例えばゴム含有グラフト共重合体)が、表面架橋重合体をさらに有する場合を例に挙げて、本発明の一実施形態を説明する。この場合、(a)重合体微粒子(A)の製造において、耐ブロッキング性を改善することができるとともに、(b)熱硬化性樹脂における重合体微粒子(A)の分散性がより良好となる。これらの理由としては、特に限定されないが、以下のように推測され得る:表面架橋重合体が弾性体の少なくとも一部を被覆することにより、重合体微粒子(A)の弾性体部分の露出が減り、その結果、弾性体同士が引っ付きにくくなるため、重合体微粒子(A)の分散性が向上する。
重合体微粒子(A)が表面架橋重合体を有する場合、さらに以下の効果も有し得る:(a)本樹脂組成物の粘度を低下させる効果、(b)弾性体における架橋密度を上げる効果、および(c)グラフト部のグラフト効率を高める効果。弾性体における架橋密度とは、弾性体全体における架橋構造の数の程度を意図する。
表面架橋重合体は、構成単位として、多官能性単量体に由来する構成単位を30~100重量%、およびその他のビニル系単量体に由来する構成単位を0~70重量%、合計100重量%含む重合体からなる。
表面架橋重合体の重合に用いられ得る多官能性単量体としては、上述の多官能性単量体と同じ単量体が挙げられる。それら多官能性単量体の中でも、表面架橋重合体の重合に好ましく用いられ得る多官能性単量体としては、アリルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えばジメタクリル酸1,3-ブチレングリコールなど)、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類が挙げられる。これら多官能性単量体は、1種類のみが用いられてもよく、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
重合体微粒子(A)は、ゴム含有グラフト共重合体の重合とは独立して重合された表面架橋重合体を含んでいてもよく、または、ゴム含有グラフト共重合体と共に重合された表面架橋重合体を含んでいてもよい。重合体微粒子(A)は、弾性体と表面架橋重合体とグラフト部とをこの順に多段重合して得られる多段重合体であってもよい。これらいずれの態様においても、表面架橋重合体は弾性体の少なくとも一部を被覆し得る。
表面架橋重合体は、弾性体の一部とみなすこともできる。換言すれば、表面架橋重合体は、ゴム含有グラフト共重合体の一部とみなすこともでき、表面架橋重合部ともいえる。重合体微粒子(A)が表面架橋重合体を含む場合、グラフト部は、(a)表面架橋重合体以外の弾性体に対してグラフト結合されていてもよく、(b)表面架橋重合体に対してグラフト結合されていてもよく、(c)表面架橋重合体以外の弾性体および表面架橋重合体の両方に対してグラフト結合されていてもよい。重合体微粒子(A)が表面架橋重合体を含む場合、上述した弾性体の体積平均粒子径とは、表面架橋重合体を含む弾性体の体積平均粒子径を意図する。
重合体微粒子(A)が、弾性体と表面架橋重合体とグラフト部とをこの順に多段重合して得られる多段重合体である場合(場合D)について説明する。場合Dにおいて、表面架橋重合体は、弾性体の一部を被覆し得るか、または弾性体の全体を被覆し得る。場合Dにおいて、表面架橋重合体の一部は弾性体の内側に入り込んでいることもある。場合Dにおいて、グラフト部は、表面架橋重合体の一部を被覆し得るか、または表面架橋重合体の全体を被覆し得る。場合Dにおいて、グラフト部の一部は表面架橋重合体の内側に入り込んでいることもある。場合Dにおいて、弾性体、表面架橋重合体およびグラフト部が、層構造を有していてもよい。例えば、弾性体を最内層(コア層)とし、弾性体の外側に表面架橋重合体の層が中間層として存在し、表面架橋重合体の外側にグラフト部の層が最外層(シェル層)として存在する態様も、本発明の一態様である。
(重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv))
重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)は、所望の粘度を有し、かつ高度に安定した樹脂組成物を得ることができることから、0.03μm~50.00μmが好ましく、0.05μm~10.00μmがより好ましく、0.08μm~2.00μmがより好ましく、0.10μm~1.00μmがさらに好ましく、0.10μm~0.80μmがよりさらに好ましく、0.10μm~0.50μmが特に好ましい。重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)が前記範囲内である場合、熱硬化性樹脂における重合体微粒子(A)の分散性が良好となるという利点も有する。なお、本明細書において、「重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)」とは、特に言及する場合を除き、重合体微粒子(A)の1次粒子の体積平均粒子径を意図する。重合体微粒子(A)の体積平均粒子径は、重合体微粒子(A)を含む水性ラテックスを試料として、動的光散乱式粒子径分布測定装置などを用いて、測定することができる。重合体微粒子(A)の体積平均粒子径については、下記実施例にて詳述する。重合体微粒子(A)の体積平均粒子径は、樹脂組成物の硬化物を切断し、切断面を電子顕微鏡などを用いて撮像し、得られた撮像データ(撮像画像)を用いて測定することもできる。また、樹脂組成物中の重合体微粒子(A)の体積平均粒子径は、樹脂組成物を一定量のMEKに溶解した後、得られた溶解物を試料として、ZETASIZER NANO ZSPなどの装置を用いて、散乱強度で測定することもできる。
熱硬化性樹脂中における重合体微粒子(A)の体積平均粒子径の個数分布は、低粘度であり取り扱い易い樹脂組成物が得られることから、体積平均粒子径の0.5倍以上1倍以下の半値幅を有することが好ましい。
(重合体微粒子(A)の製造方法)
重合体微粒子(A)は、任意の重合体を重合した後、当該重合体の存在下にて重合体に対してグラフト部を構成する重合体をグラフト重合することによって、製造できる。以下、弾性体を重合した後、弾性体の存在下にて弾性体に対してグラフト部を構成する重合体をグラフト重合することによって、重合体微粒子(A)を製造する場合を例に挙げて、重合体微粒子(A)の製造方法の一例を説明する。
重合体微粒子(A)は、公知の方法、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、マイクロサスペンジョン重合法などの方法により製造することができる。具体的には、重合体微粒子(A)における弾性体の重合、グラフト部の重合(グラフト重合)、および表面架橋重合体の重合は、公知の方法、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、マイクロサスペンジョン重合法などの方法により実施することができる。これらの中でも特に、重合体微粒子(A)の製造方法としては、乳化重合法が好ましい。乳化重合法によると、(a)重合体微粒子(A)の組成設計が容易である、(b)重合体微粒子(A)の工業生産が容易である、および(c)ラテックスおよび後述する本樹脂組成物の製造に好適に用いられ得る、重合体微粒子(A)を含むラテックスが容易に得られる、という利点を有する。以下、重合体微粒子(A)に含まれ得る弾性体、グラフト部、および任意の構成である表面架橋重合体の製造方法について、説明する。
本明細書において、「ラテックス」とは、樹脂(B)を含まず、溶媒と重合体微粒子(A)を含み、重合体微粒子(A)が溶媒中で分散して存在する溶液を意図する。「ラテックス」は、「樹脂(B)を含まない、重合体微粒子(A)の懸濁液」ともいえる。当該溶媒が水であるラテックスは、「水性ラテックス」と称される場合もあり、「樹脂(B)を含まない、重合体微粒子(A)の水性懸濁液」ともいえる。ラテックスの溶媒中、重合体微粒子(A)は、一次粒子の状態で分散していることが好ましい。
(弾性体の製造方法)
弾性体が、ジエン系ゴムおよび(メタ)アクリレート系ゴムからなる群より選択される少なくとも1種以上を含む場合を考える。この場合、弾性体は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などの方法により製造することができ、その製造方法としては、例えばWO2005/028546号公報に記載の方法を用いることができる。
弾性体が、オルガノシロキサン系ゴムを含む場合を考える。この場合、弾性体は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などの方法により製造することができ、その製造方法としては、例えばWO2006/070664号公報に記載の方法を用いることができる。
重合体微粒子(A)の「弾性体」が複数種の弾性体(例えば弾性体、弾性体、・・・、弾性体)からなる場合について説明する。この場合、弾性体、弾性体、・・・、弾性体は、それぞれ別々に上述の方法により重合され、その後混合されて複合化されることにより、複数種の弾性体からなる複合体が製造されてもよい。または、弾性体、弾性体、・・・、弾性体は、それぞれ順に多段重合され、複数種の弾性体からなる1つの弾性体が製造されてもよい。
弾性体の多段重合について、具体的に説明する。例えば、以下、(1)~(4)の工程を順に行うことにより、多段重合弾性体を得ることができる:(1)弾性体を重合して弾性体を得る;(2)次いで弾性体の存在下にて弾性体を重合して2段弾性体1+2を得る;(3)次いで弾性体1+2の存在下にて弾性体を重合して3段弾性体1+2+3を得る;(4)以下、同様に行った後、弾性体1+2+・・・+(n-1)の存在下にて弾性体を重合して多段重合弾性体1+2+・・・+nを得る。
(グラフト部の製造方法)
グラフト部は、例えば、グラフト部の形成に用いる単量体を、公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。(a)弾性体、または(b)弾性体および表面架橋重合体を含む重合体微粒子前駆体、を水性懸濁液として得た場合には、グラフト部の重合は乳化重合法により行うことが好ましい。グラフト部は、例えば、WO2005/028546号公報に記載の方法に従って製造することができる。
グラフト部が複数種のグラフト部(例えばグラフト部、グラフト部、・・・、グラフト部)からなる場合の、グラフト部の製造方法について説明する。この場合、グラフト部、グラフト部、・・・、グラフト部は、それぞれ別々に上述の方法により重合され、その後混合されて複合化されることにより、複数種のグラフト部からなるグラフト部(複合体)が製造されてもよい。または、グラフト部、グラフト部、・・・、グラフト部は、それぞれ順に多段重合され、複数種のグラフト部からなる1つのグラフト部が製造されてもよい。
グラフト部の多段重合について、具体的に説明する。例えば、以下、(1)~(4)の工程を順に行うことにより、多段重合グラフト部を得ることができる:(1)グラフト部を重合してグラフト部を得る;(2)次いでグラフト部の存在下にてグラフト部を重合して2段グラフト部1+2を得る;(3)次いでグラフト部1+2の存在下にてグラフト部を重合して3段グラフト部1+2+3を得る;(4)以下、同様に行った後、グラフト部1+2+・・・+(n-1)の存在下にてグラフト部を重合して多段重合グラフト部1+2+・・・+nを得る。
グラフト部が複数種のグラフト部からなる場合、複数種のグラフト部を有するグラフト部を重合した後、弾性体にそれらグラフト部をグラフト重合して、重合体微粒子(A)を製造してもよい。弾性体の存在下にて、弾性体に対して、グラフト部を構成する複数種の重合体を順に多段グラフト重合して、重合体微粒子(A)を製造してもよい。
(表面架橋重合体の製造方法)
表面架橋重合体は、表面架橋重合体の形成に用いる単量体を公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。弾性体を水性懸濁液として得た場合には、表面架橋重合体の重合は乳化重合法により行うことが好ましい。
重合体微粒子(A)の製造方法として、乳化重合法を採用する場合、重合体微粒子(A)の製造には、公知の乳化剤(分散剤)を用いることができる。
乳化剤としては、例えば、アニオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、ポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体などが挙げられる。アニオン性乳化剤としては、硫黄系乳化剤、リン系乳化剤、ザルコシン酸系乳化剤、カルボン酸系乳化剤などが挙げられる。硫黄系乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(略称;SDBS)等が挙げられる。リン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
重合体微粒子(A)の製造方法として、乳化重合法を採用する場合、重合体微粒子(A)の製造には、熱分解型開始剤を用いることができる。前記熱分解型開始剤としては、例えば、(a)2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、並びに(b)有機過酸化物および無機過酸化物などの過酸化物、などの公知の開始剤を挙げることができる。前記有機過酸化物としては、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、およびt-ヘキシルパーオキサイドなどが挙げられる。前記無機過酸化物としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
重合体微粒子(A)の製造には、レドックス型開始剤を使用することもできる。前記レドックス型開始剤は、(a)有機過酸化物および無機過酸化物などの過酸化物と、(b)硫酸鉄(II)などの遷移金属塩や、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコースなどの還元剤を併用した開始剤である。さらに必要に応じてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート剤、さらに必要に応じてピロリン酸ナトリウムなどのリン含有化合物などを併用してもよい。
レドックス型開始剤を用いた場合には、前記過酸化物が実質的に熱分解しない低い温度でも重合を行うことができ、重合温度を広い範囲で設定することができるようになる。そのため、レドックス型開始剤を用いることが好ましい。レドックス型開始剤の中でも、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、およびt-ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物を過酸化物として使用したレドックス型開始剤が好ましい。前記開始剤の使用量、並びに、レドックス型開始剤を用いる場合には前記還元剤、遷移金属塩およびキレート剤などの使用量は、公知の範囲で用いることができる。
弾性体、グラフト部または表面架橋重合体に架橋構造を導入する目的で、弾性体、グラフト部または表面架橋重合体の重合に多官能性単量体を使用する場合、公知の連鎖移動剤を公知の使用量の範囲で用いることができる。連鎖移動剤を使用することにより、得られる弾性体、グラフト部もしくは表面架橋重合体の分子量および/または架橋度を容易に調節することができる。
重合体微粒子(A)の製造には、上述した成分に加えて、さらに界面活性剤を用いることができる。前記界面活性剤の種類および使用量は、公知の範囲である。
重合体微粒子(A)の製造において、重合における重合温度、圧力、および脱酸素などの各条件は、公知の数値範囲の条件を適宜適用することができる。
上述した重合体微粒子(A)の製造方法により、重合体微粒子(A)を、重合体微粒子(A)を含むラテックスとして得ることができる。すなわち、(重合体微粒子(A)の製造方法)の項の記載は、重合体微粒子(A)を含むラテックスの製造方法に関する記載として援用できる。
(樹脂(B))
樹脂(B)は、25℃において、(a)100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する液体であるか、(b)半固体であるか、または(c)固体である限り、その他の性状は、特に限定されない。なお、「樹脂(B)は、25℃において100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する」とは、「25℃である樹脂(B)が、100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する」ことを意図する。
樹脂(B)が25℃において液体である場合、樹脂(B)の粘度は、25℃において、750,000mPa・s以下であることが好ましく、700,000mPa・s以下であることがより好ましく、500,000mPa・s以下であることがより好ましく、350,000mPa・s以下であることがより好ましく、300,000mPa・s以下であることがより好ましく、250,000mPa・s以下であることがより好ましく、100,000mPa・s以下であることがより好ましく、75,000mPa・s以下であることがより好ましく、50,000mPa・s以下であることがより好ましく、30,000mPa・s以下であることがより好ましく、25,000mPa・s以下であることがより好ましく、20,000mPa・s以下であることがさらに好ましく、15,000mPa・s以下であることが特に好ましい。前記構成によると、樹脂組成物は流動性に優れるという利点を有する。
また樹脂(B)の粘度は、25℃において、200mPa・s以上であることがより好ましく、300mPa・s以上であることがより好ましく、400mPa・s以上であることがより好ましく、500mPa・s以上であることがより好ましく、750mPa・s以上であることがさらに好ましく、1,000mPa・s以上であることがよりさらに好ましく、1,500mPa・s以上であることが特に好ましい。当該構成によると、樹脂(B)は重合体微粒子(A)中に含浸しないが、複数の重合体微粒子(A)の粒子間に入り込むことにより重合体微粒子(A)同士の融着を防ぐことができる。そのため、樹脂(B)によって重合体微粒子(A)同士の融着を防ぐことができる。
樹脂(B)の粘度は、25℃において、100mPa・s~750,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~700,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~350,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~300,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~50,000mPa・sがより好ましく、100mPa・s~30,000mPa・sがさらに好ましく、100mPa・s~15,000mPa・sが特に好ましい。
樹脂(B)が25℃において半固体である場合、樹脂(B)は25℃において半液体であるともいえ、樹脂(B)は、25℃において1,000,000mPa・sより大きい粘度を有しているともいえる。樹脂(B)が、25℃において、(a)半固体であるか、または(b)固体である場合、樹脂組成物は、べたつきが少なく取り扱いやすいという利点を有する。
樹脂(B)の粘度は、例えば、粘度計により測定することができる。
さらに、マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、25℃における樹脂(B)の粘度は、25℃でのマトリクス樹脂(熱硬化性樹脂)の粘度に50,000mPa・sを加えた値以下であることが好ましい。樹脂(B)とマトリクス樹脂(熱硬化性樹脂)の均一な混合を容易にするという点から、25℃での樹脂(B)の粘度が25℃での熱硬化性マトリクス樹脂の粘度以上の場合、25℃での樹脂(B)の粘度は、25℃でのマトリクス樹脂(熱硬化性樹脂)の粘度に20,000mPa・sを加えた値以下であることがより好ましく、10,000mPa・sを加えた値以下であることがより好ましく、5,000mPa・sを加えた値以下であることがさらに好ましく、0mPa・sを加えた値以下であることがもっとも好ましい。
また樹脂(B)は、示差熱走査熱量測定(DSC)のサーモグラムが25℃以下の吸熱ピークを有する樹脂であることが好ましく、0℃以下の吸熱ピークを有する樹脂であることがより好ましい。
また、樹脂(B)としては、後述する混合対象のマトリクス樹脂である熱硬化性樹脂と同じ樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂と異なる樹脂であってもよい。一例として、樹脂(B)が熱硬化性樹脂と同じ種類の樹脂である場合を考える。この場合、得られる樹脂組成物ではマトリクス樹脂と樹脂(B)との区別をつけることはできないため、外見上、得られる樹脂組成物は、重合体微粒子(A)以外にマトリクス樹脂のみを有しているように見える。次に、樹脂(B)がマトリクス樹脂と異なる種類の樹脂である場合を考える。この場合、得られる樹脂組成物ではマトリクス樹脂と樹脂(B)とは識別可能である。この場合、最終的に得られる樹脂組成物は、重合体微粒子(A)以外に、マトリクス樹脂以外の樹脂として、樹脂(B)を含み得る。
樹脂(B)は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との任意の組み合わせであってもよい。樹脂(B)は、熱硬化性樹脂中にて、重合体微粒子(A)の分散性を高める効果を有し得る。
樹脂(B)における熱硬化性樹脂としては、後述するマトリクス樹脂の項で説明する種々の熱硬化性樹脂が挙げられる。樹脂(B)において、熱硬化性樹脂は1種類のみ使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
樹脂(B)における熱可塑性樹脂としては、例えば、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体などが挙げられる。樹脂(B)における熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタンおよびポリ酢酸ビニル等も挙げられる。樹脂(B)において、熱可塑性樹脂は1種類のみ使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
混合対象のマトリクス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、樹脂組成物またはその硬化物の種々の物性へ影響を与える虞がないことから、樹脂(B)はマトリクス樹脂の熱硬化性樹脂と同種類であることが好ましい。つまり、マトリクス樹脂の熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、樹脂(B)もエポキシ樹脂であることが好ましい。樹脂(B)がマトリクス樹脂の熱硬化性樹脂と異なる場合、(a)樹脂組成物中で、樹脂(B)とマトリクス樹脂の熱硬化性樹脂とは、相分離していないことが好ましく、(b)樹脂(B)はマトリクス樹脂の熱硬化性樹脂と相溶するものであることが好ましい。
(その他)
本明細書では、油脂および脂肪酸エステルもまた、樹脂(B)に含まれる。樹脂(B)として好適に利用できる、油脂としては、エポキシ化大豆油およびエポキシ化アマニ油などのエポキシ化油脂、などが挙げられる。エポキシ化大豆油としては市販品を用いることもでき、例えば、ADEKA社製、アデカイザーO-130P等を挙げることができる。樹脂(B)として好適に利用できる、脂肪酸エステルとしては、エポキシ化脂肪酸ブチル、エポキシ化脂肪酸2-エチルヘキシル、エポキシ化脂肪酸オクチルエステルおよびエポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化脂肪酸エステル、などが挙げられる。
エポキシ化油脂およびエポキシ化脂肪酸エステルは、エポキシ系可塑剤と称される場合もある。すなわち、本明細書では、エポキシ系可塑剤もまた、樹脂(B)に含まれる。エポキシ化油脂およびエポキシ化脂肪酸エステル以外のエポキシ系可塑剤としては、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエポキシステアリルおよびエポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシルなどが挙げられる。
上述した、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物、油脂、および脂肪酸エステルの各々は、酸化防止剤と混合して使用することができる。本明細書では、上述した各々の物質と混合して使用する場合に限り、酸化防止剤を樹脂(B)の一部とみなす。酸化防止剤のみを使用する場合には、酸化防止剤は樹脂(B)とはみなされない。樹脂(B)の代わりに酸化防止剤のみを使用する場合について説明する。酸化防止剤は架橋に寄与しない成分であるため、樹脂組成物の硬化物の物性が劣る傾向がある。例えば、硬化物のTgが低下したり、耐衝撃性が劣ったりする場合が考えられる。
酸化防止剤としては、特に限定されない。酸化防止剤としては、例えば、(a)フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤等の一次酸化防止剤、および(b)イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の二次酸化防止剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系酸化防止剤を挙げることができる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、分子内にヒンダードフェノール構造あるいは片ヒンダードフェノール構造を有する化合物が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としてはとしては市販品を用いることもでき、例えば、BASFジャパン株式会社製、イルガノックス245等を挙げることができる。
前記アミン系酸化防止剤としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できる。アミン系酸化防止剤の具体例としては、アミン-ケトン系化合物として、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、およびジフェニルアミンとアセトンとの反応物、等が挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤には、芳香族系アミン化合物も含まれる。芳香族系アミン化合物としては、ナフチルアミン系酸化防止剤、ジフェニルアミン系酸化防止剤、およびp-フェニレンジアミン系酸化防止剤が挙げられる。
ラクトン系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤としては、それぞれ、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できる。
リン系酸化防止剤としては、特に限定されず、従来公知のものを広く使用できる。活性水素を含むリン酸およびリン酸エステルは得られる粉粒体を含む樹脂組成物の貯蔵安定性、および当該樹脂組成物が提供する硬化物または成形体の耐熱性に悪影響を与え得る。そのため、リン系酸化防止剤としては、リン酸およびリン酸エステルを分子内に含まない、アルキルホスファイト、アリールホスファイト、アルキルアリールホスファイト化合物などが好ましい。
前記酸化防止剤としては、その他、従来公知の物質を使用してもよい。酸化防止剤としては、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」(昭和51年10月25日初版発行)、シーエムシー出版発行の「高分子添加剤ハンドブック」(春名徹編著、2010年11月7日第1版発行)等に記載された種々の物質を使用してもよい。
樹脂(B)は、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と酸化防止剤との混合物、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂と酸化防止剤との混合物、油脂、油脂と酸化防止剤との混合物、脂肪酸エステル、脂肪酸エステルと酸化防止剤との混合物、エポキシ硬化剤、およびエポキシ硬化剤と酸化防止剤との混合物、からなる群から選択される1つ以上であることが好ましく、エポキシ樹脂、アクリル系重合体、エポキシ樹脂と酸化防止剤との混合物、アクリル系重合体と酸化防止剤との混合物、および、エポキシ系可塑剤と酸化防止剤との混合物からなる群から選択される1つ以上であることがより好ましく、エポキシ樹脂と酸化防止剤との混合物、アクリル系重合体と酸化防止剤との混合物、および、エポキシ系可塑剤と酸化防止剤との混合物からなる群から選択される1つ以上であることがさらに好ましく、エポキシ系可塑剤と酸化防止剤との混合物であることが特に好ましい。当該構成によると、(a)得られる粉粒体を含む樹脂組成物は耐熱性に優れる硬化物または成形体を提供できるとともに、(b)マトリクス樹脂中の重合体微粒子(A)の分散性を向上させることができる、という利点を有する。
(混合物中の重合体微粒子(A)の量および樹脂(B)の量)
本発明の一実施形態に係る重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物における重合体微粒子(A)および樹脂(B)の合計量は、特に限定されないが、例えば、当該混合物100重量%に対して、10重量%~32重量%であることが好ましく、12重量%~32重量%であることがより好ましく、14重量%~32重量%であることがより好ましく、15重量%~32重量%であることがより好ましく、16重量%~32重量%であることがより好ましく、18重量%~32重量%であることがより好ましく、20重量%~32重量%であることがさらに好ましく、22重量%~32重量%であることがよりさらに好ましく、23重量%~32重量%であることが特に好ましい。
(混合物の粘度)
混合物の粘度は、比重測定時の温度において100mPa・s~100,000mPa・sであってもよく、100mPa・s~95,000mPa・sであってもよく、100mPa・s~85,000mPa・sであってもよい。
本測定方法の比重測定工程にて使用する混合物の製造方法については、下記〔4.樹脂組成物の製造方法〕の項の中で説明する。
〔4.樹脂組成物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、上述の〔2.重合体微粒子(A)の濃度の測定方法〕の項に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法を一工程として含む。本明細書において、「本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法」を、「本製造方法」と称する場合がある。
本製造方法によると、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む樹脂組成物を、低い不良率で、かつ生産効率よく提供することができる。
(濃度測定工程)
本製造方法の一工程である、重合体微粒子(A)の濃度の測定方法を、本製造方法では「濃度測定工程」と称する場合がある。濃度測定工程は、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物について、当該混合物中の重合体微粒子(A)の濃度を測定する工程である。濃度測定方法の具体的な態様としては、混合物の比重を測定する比重測定工程と、当該混合物の濃度を決定する濃度決定工程とを含む方法が挙げられる。本製造方法において、濃度測定工程とは、本測定方法を実施する工程であるともいえる。すなわち、〔2.重合体微粒子(A)の濃度の測定方法〕項に記載の内容を、本測定方法における濃度測定工程に関する記載として援用できる。
本製造方法では、重合体微粒子と樹脂とを含む混合物の比重を測定することで、混合物中の重合体微粒子の濃度を測定できるため、従来技術と比してより容易な操作によって、重合体微粒子の濃度が所定の値である樹脂組成物を得ることができる。ここで、濃度測定工程における前記混合物の比重の測定方法は特に限定されないが、製造ラインを止めることなく行うことが好ましい。それ故、濃度測定工程における比重測定工程は、混合物の比重を質量流量計により測定する工程であることが好ましい。当該構成によると、濃度測定工程以前の工程(例えば後述する洗浄工程)と、濃度測定工程と、濃度測定工程後の工程(例えば後述する希釈工程)と、をインラインで連続して行える、という利点を有する。
本製造方法において、濃度測定工程をインラインで連続して実施する態様としては、例えば、以下の(1)~(4)を順に行う方法が挙げられる。
(1)樹脂組成物の製造システムとして、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物(樹脂組成物)の輸送管の途中に質量流量計を組み込んだシステムを使用する;
(2)混合物(樹脂組成物)の調製後(例えば後述する洗浄工程後)、製造ラインを止めることなく、混合物の輸送時に輸送管中の質量流量計を用いて比重測定工程を実施する;
(3)質量流量計により測定された比重に基づき、混合物(樹脂組成物)中の重合体微粒子(A)の濃度を決定する濃度決定工程を実施する;
(4)得られた濃度結果に基づき、次の工程として、例えば後述する希釈工程を実施し、重合体微粒子の濃度が所定の値である樹脂組成物を得る。
本製造方法において、濃度測定工程をインラインで連続して実施する場合、比重測定工程における前記混合物の温度は、20℃~150℃の範囲であることが好ましく、50℃~130℃の範囲であることがより好ましく、80℃~110℃の範囲であることがさらに好ましい。当該構成によると、得られる樹脂組成物中において重合体微粒子(A)同士がくっ付く(または融着)する虞が無く、重合体微粒子(A)の分散性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
(希釈工程)
本製造方法は、濃度決定工程で測定した混合物における重合体微粒子(A)の濃度が、所望の濃度より高かった場合、前記混合物を前記樹脂(B)で希釈する希釈工程をさらに含むことが好ましい。希釈工程は、重合体微粒子(A)の濃度が所定の値である樹脂組成物が得られるように、混合物と樹脂(B)とを混合する工程であるともいえる。
濃度決定工程で測定した混合物における重合体微粒子(A)の濃度が所望の濃度であった場合、希釈工程を行うことなく、当該混合物を本製造方法で得られる樹脂組成物としてもよい。
希釈工程において、混合物を前記樹脂(B)で希釈する方法は特に限定されない。例えば、混合物に樹脂(B)を添加して、前記混合物と前記樹脂(B)とを撹拌する、ニーダーで混練する、押出機で混練する、自転公転ミキサーで混合する等を挙げることができる。
本測定方法において、希釈工程の後に、濃度を調整した樹脂組成物を混合物として、再度濃度測定工程に供してもよい。
本製造方法の具体的態様としては、濃度測定工程を含む限り特に限定されない。本製造方法は、例えば、濃度測定工程の前に、濃度測定工程で使用する混合物を調製する工程(方法)を含んでいてもよいが、かかる製造方法に限定されるものではない。
(混合物の製造方法)
濃度測定工程で使用する混合物(換言すれば本測定方法で使用する混合物)の製造方法は、特に限定されず、種々の方法を利用し得る。このような方法としては、例えば、以下の(c1)~(c4)の方法が挙げられる:
(c1)重合体微粒子(A)の水性ラテックスおよび樹脂(B)を含む樹脂混合物に無機塩等の凝析剤を添加し、樹脂混合物中の重合体微粒子(A)および樹脂(B)を凝析し、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である混合物を得る方法;
(c2)重合体微粒子(A)の粉粒体と樹脂(B)とを混合し、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む混合物を得る方法;
(c3)重合体微粒子(A)の水性ラテックスを使用して重合体微粒子(A)の凝析物を得る。得られた重合体微粒子(A)の凝析物と樹脂(B)とを混合し、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む混合物を得る方法;および
(c4)重合体微粒子(A)および樹脂(C)を含む樹脂混合物と、樹脂(B)とを混合し、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む混合物を得る方法。
(c1)にて使用する重合体微粒子(A)の水性ラテックスおよび樹脂(B)を含む樹脂混合物の製造方法としては、(c1-1)重合体微粒子(A)の重合工程中に樹脂(B)を、直接添加する方法、水性エマルジョン状態にて添加する方法、もしくは溶液状態にて添加する方法、および、(c1-2)重合体微粒子(A)の水性ラテックスに対して樹脂(B)を、直接添加する方法、水性エマルジョン状態にて添加する方法、もしくは溶液状態にて添加する方法、(c1-3)重合体微粒子(A)の存在下で、樹脂(B)を重合する方法、などが挙げられるが、これらに限定されず、公知のあらゆる方法を用いることができる。
(c2)にて使用する重合体微粒子(A)の粉粒体の製造方法としては、特に限定されず、公知のあらゆる方法を用いることができる。
(c3)において、重合体微粒子(A)の水性ラテックスを使用して重合体微粒子(A)の凝析物を得る方法としては、(c3-1)重合体微粒子(A)の水性ラテックスと有機溶媒とを混合し、得られる混合物と水とを接触させる方法、(c3-2)重合体微粒子(A)の水性ラテックスに無機塩等の凝析剤を添加する方法などが挙げられるが、これに限定されず、公知のあらゆる方法を用いることができる。
(c4)における樹脂(C)としては、樹脂(B)の項で説明する種々の樹脂が挙げられる。樹脂(C)は、樹脂(B)と同じ樹脂であってもよく、樹脂(B)と異なる樹脂であってもよい。(c4)における樹脂混合物の製造方法としては、本項で説明する樹脂組成物の製造方法が挙げられる。
(c1)および(c3)にて使用する重合体微粒子(A)の水性ラテックスは、重合体微粒子(A)を乳化重合で得ることにより得られる。
混合物の製造方法について、上記の事項以外は、適宜、(重合体微粒子(A)の製造方法)の項の記載を援用する。
(c1)のさらに具体的な態様としては、以下(d1)~(d4)の工程を含んでいてもよいが、かかる製造方法に限定されるものではない:(d1)重合体微粒子(A)の水性ラテックスと樹脂(B)とを混合する樹脂混合工程;(d2)前記樹脂混合工程により得られた樹脂混合物に、剪断応力を与える剪断工程;(d3)前記剪断工程により得られた樹脂混合物に対して、無機塩等の凝析剤を添加する凝析剤添加工程;(d4)前記凝析剤添加工程により得られた混合物を、混合する混合工程。
(樹脂混合工程)
本製造方法は、樹脂混合工程を含んでもよい。樹脂混合工程は、重合体微粒子(A)に、樹脂(B)を混合する工程である。樹脂混合工程は、重合体微粒子(A)に樹脂(B)を添加して、混合物を得る工程であると言え、得られた混合物を混ぜ合わせる工程ともいえる。樹脂混合工程は、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを混合する工程ともいえる。
樹脂混合工程において、重合体微粒子(A)は、(i)粉粒体の状態であってもよく、(ii)溶媒中で分散して存在する状態、すなわち、重合体微粒子(A)を含むラテックスの状態であってもよい。本製造方法において、重合体微粒子(A)を含むラテックスの製造方法については、上述の(重合体微粒子(A)の製造方法)の項の記載の通りである。
重合体微粒子(A)に樹脂(B)を添加する方法は、種々の方法が利用でき、特に限定されない。当該方法としては、例えば、(a)重合体微粒子(A)に対して樹脂(B)を直接添加する方法、もしくは(b)樹脂(B)を溶解させた溶液を、重合体微粒子(A)に添加する方法、などが挙げられる。「樹脂(B)を溶解させた溶液」は、「樹脂(B)を水に分散させた乳化物」ともいえる。「乳化物」は、「乳化液」または「水性エマルジョン」とも称される場合もある。
また、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを混合する手段も、特に限定されない。例えば、重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを撹拌する、ニーダーで混練する、押出機で混練する、自転公転ミキサーで混合する等を挙げることができる。
樹脂混合工程において、重合体微粒子(A)の量と、樹脂(B)の量とは、特に限定されない。樹脂混合工程は、重合体微粒子(A)と樹脂(B)との合計を100重量%とした場合に、(a)重合体微粒子(A)1~70重量%と、樹脂(B)30~99重量%と、を混合する工程を含むことが好ましく、(b)重合体微粒子(A)1~65重量%と、樹脂(B)35~99重量%と、を混合する工程を含むことがより好ましく、(c)重合体微粒子(A)1~60重量%と、樹脂(B)40~99重量%と、を混合する工程を含むことがより好ましく、(d)重合体微粒子(A)1~55重量%と、樹脂(B)45~99重量%と、を混合する工程を含むことがより好ましく、(e)重合体微粒子(A)1~50重量%と、樹脂(B)50~99重量%と、を混合する工程を含むことがさらに好ましく、(f)重合体微粒子(A)1~45重量%と、樹脂(B)55~99重量%と、を混合する工程を含むことがよりさらに好ましく、(g)重合体微粒子(A)1~40重量%と、樹脂(B)60~99重量%と、を混合する工程を含むことが特に好ましい。
樹脂混合工程において添加する重合体微粒子(A)、および樹脂(B)の量が、濃度測定工程の測定対象の混合物に含まれる重合体微粒子(A)、および樹脂(B)の量となる。それゆえ、樹脂混合工程において添加する重合体微粒子(A)、および樹脂(B)の量は、最終的に得られる樹脂組成物中の重合体微粒子(A)の濃度、および当該樹脂組成物の物性等が所望の態様となるよう調整することが好ましい。
(剪断工程)
本製造方法は、剪断工程を含んでもよい。剪断工程は、前記樹脂混合工程により得られた混合物に、剪断応力を与える工程である。
混合物に剪断応力を加える方法については特に限定されず、種々の技術を用いることができる。当該方法としては、例えば、ホモミキサーにより混合物を3000rpm~25000rpmで撹拌する方法、高剪断乳化機により混合物を500rpm~12000rpmで撹拌する方法、高圧式ホモジナイザーにより混合物を撹拌する方法、などを挙げることができる。
樹脂(B)の粘度が高い場合は、樹脂(B)の粘度を最適な粘度になるように調整することが好ましい。例えば、樹脂(B)の最適な粘度としては、100mPa・s~750,000mPa・sが好ましく、150mPa・s~700,000mPa・sがより好ましく、200mPa・s~350,000mPa・sがより好ましく、250mPa・s~300,000mPa・sがより好ましく、300mPa・s~50,000mPa・sがより好ましく、350mPa・s~30,000mPa・sがさらに好ましく、400mPa・s~15,000mPa・sが特に好ましい。樹脂(B)の粘度を調整する方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂(B)の温度を調節する方法を挙げることができる。樹脂(B)の粘度を最適な値とすることにより、移送時の圧力が高くなり過ぎることを防止でき、剪断工程を効率よく実施できる。
また、剪断工程における混合物の温度は、特に限定されない。剪断工程に供するときの混合物の温度は、例えば、10℃~90℃が好ましく、15℃~80℃がより好ましく、20℃~70℃がさらに好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。剪断工程により得られた混合物の温度は、例えば、10℃~90℃が好ましく、15℃~80℃がより好ましく、20℃~70℃がさらに好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。剪断工程に供するときの混合物の温度および/または剪断工程により得られた混合物の温度が前記範囲内である場合、重合体微粒子(A)の劣化を抑えることができるという利点を有する。なお、「剪断工程に供するときの混合物の温度」は、「剪断工程前の混合物の温度」ともいえる。また、「剪断工程により得られた混合物の温度」は「剪断工程後の混合物の温度」ともいえ、「剪断工程後であり、かつ分離工程前の混合物の温度」ともいえる。分離工程については、後述する。
剪断工程は、種々の実施態様で行うことができ、特に限定されない。例えば、(i)前記樹脂混合工程により得られた混合物を投入した容器内に剪断装置(乳化機等)を設置してバッチ式で行う態様、(ii)剪断工程で得られた混合物を循環させることにより、当該混合物を剪断装置(乳化機等)に通す工程を複数回実施する態様、(iii)樹脂混合工程と剪断工程とを連続的に行う態様(iv)混合物を通す流路と樹脂(B)を通す流路との合流後に、剪断装置(乳化機等)を設置して、前記樹脂混合工程により得られた混合物に剪断を付与する工程、(v)前記(iv)の態様において、剪断工程で得られた混合物を複数回、剪断装置(乳化機等)を通す態様、などを挙げることができる。
(凝析剤添加工程)
本製造方法は、凝析剤添加工程を含んでもよい。凝析剤添加工程は、剪断工程により得られた混合物に対して、凝析剤を添加する工程である。
凝析剤としては、特に限定されない。凝析剤としては、例えば、ラテックス中の重合体微粒子(A)を凝析および凝固し得る性質を有する物質であればよい。凝析剤としては、例えば、(a)無機酸(塩)および/または有機酸(塩)、(b)無機酸(塩)および/または有機酸(塩)の水溶液、および(c)高分子凝析剤などが挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等などが挙げられる。有機酸としては、酢酸、ギ酸等が挙げられる。有機酸塩(有機塩)としては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム等が挙げられる。高分子凝析剤としては、親水基と疎水基とを有する高分子化合物であればよく特に限定されない。高分子凝析剤としては、例えば、アニオン系高分子凝析剤、カチオン系高分子凝析剤、ノニオン系高分子凝析剤のいずれであってもよい。高分子凝析剤としては、本発明の一実施形態の作用効果をより高めることができることから、カチオン系高分子凝析剤が好ましい。カチオン系高分子凝析剤としては、分子内にカチオン性基を有する高分子凝析剤、すなわち水に溶解させた際にカチオン性を示す高分子凝析剤が挙げられる。カチオン系高分子凝析剤として具体的には、ポリアミン類、ポリジシアンジアミド類、カチオン化デンプン、カチオン系ポリ(メタ)アクリルアミド、水溶性アニリン樹脂、ポリチオ尿素、ポリエチレンイミン、第4級アンモニウム塩類、ポリビニルピリジン類、キトサン等が挙げられる。上述した凝析剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。凝析剤としては、上述した中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化バリウム、塩酸、硫酸等の一価若しくは二価の無機塩または無機酸の水溶液が好適に使用できる。凝析剤の添加方法に特に制限は無く、(a)添加する凝析剤の全量を短時間に一気に添加する方法、(b)添加する凝析剤の全量を幾つかに分けて、一定期間を開けて数回に分けて分割して添加する方法、または(c)添加する凝析剤の全量を少量ずつ連続的に添加する方法、などを挙げることができる。
添加する凝析剤の量は、混合物100重量部に対して、1重量部~50重量部であることを挙げることができるが、2重量部~30重量部であることが好ましく、3重量部~20重量部であることがより好ましい。なお、添加する凝析剤の量は、重合体微粒子(A)の種類等に応じて適宜変更することができる。
(第一の分離工程)
本製造方法は、剪断工程と凝析剤添加工程との間に、剪断工程で得られた混合物を、凝析物と水成分とに分離する第一の分離工程を実施してもよい。当該第一の分離工程を実施する場合、凝析剤添加工程は、第一の分離工程により得られた水成分に対して、凝析剤を添加する工程であってもよい。
第一の分離工程の具体的態様は特に限定されず、例えば、ろ過、圧搾脱水等の方法が挙げられる。
第一の分離工程にて得られた、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である混合物を、濃度測定工程の比重測定工程における混合物として、使用できる。
(混合工程)
本製造方法は、混合工程を含んでもよい。混合工程は、凝析剤添加工程により得られた混合物を混合する工程である。混合工程は、凝析剤添加工程により得られた混合物を使用して、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である混合物を調製する工程、とも換言できる。
凝析剤添加工程により得られた混合物を混合する方法については特に限定されず、種々の技術を用いることができる。当該方法としては、例えば、ホモミキサーにより混合物を3000rpm~25000rpmで撹拌する方法、高剪断乳化機により混合物を500rpm~12000rpmで撹拌する方法、高圧式ホモジナイザーにより混合物を撹拌する方法、ピンミキサーにより混合物を100rpm~2000rpmで撹拌する方法などを挙げることができる。重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く得るために、ホモミキサーを使用する場合は、混合物を、5000rpm~25000rpmで撹拌することが好ましく、7000rpm~20000rpmで撹拌することが好ましく、8000rpm~20000rpmで撹拌することがより好ましい。重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く得るために、高剪断乳化機により混合物を撹拌する場合は、混合物を、1000rpm~12000rpmで撹拌することが好ましく、2000rpm~20000rpmで撹拌することが好ましく、2500rpm~20000rpmで撹拌することがより好ましい。ピンミキサーにより混合物を撹拌する場合は、混合物を、150rpm~1500rpmで撹拌することが好ましく、150rpm~1000rpmで撹拌することが好ましく、150rpm~500rpmで撹拌することがより好ましい。
樹脂(B)の粘度が高い場合は、樹脂(B)の粘度を最適な粘度になるように調整することが好ましい。例えば、樹脂(B)の最適な粘度としては、100mPa・s~750,000mPa・sが好ましく、150mPa・s~700,000mPa・sがより好ましく、200mPa・s~350,000mPa・sがより好ましく、250mPa・s~300,000mPa・sがより好ましく、300mPa・s~50,000mPa・sがより好ましく、350mPa・s~30,000mPa・sがさらに好ましく、400mPa・s~15,000mPa・sが特に好ましい。樹脂(B)の粘度を調整する方法としては特に限定されないが、例えば、樹脂(B)の温度を調節する方法(例えば凝析剤添加工程により得られた混合物の温度を調節する方法)を挙げることができる。樹脂(B)の粘度を最適な値とすることにより、移送時の圧力が高くなり過ぎることを防止でき、混合工程を効率よく実施できる。その結果、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く、かつより効率よく取得することができる。
また、混合工程は、気液界面の存在下で実施することが好ましい。当該構成によると、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く、かつより効率よく得ることができる。混合工程を気液界面の存在下で実施するためには、凝析剤添加工程により得られた混合物中に気泡(エアーまたはバブルとも称する。)が存在すればよい。換言すれば、混合工程は、凝析剤添加工程により得られた混合物と気体(例えば、空気、二酸化炭素および窒素)とを混合しつつ、実施することが好ましい。
また、混合工程における混合物の温度は、特に限定されない。混合工程に供するときの混合物の温度は、例えば、10℃~90℃が好ましく、15℃~80℃がより好ましく、20℃~70℃がさらに好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。混合工程により得られた混合物の温度は、例えば、10℃~90℃が好ましく、15℃~80℃がより好ましく、20℃~70℃がさらに好ましく、20℃~60℃が特に好ましい。混合工程に供するときの混合物の温度および/または混合工程により得られた混合物の温度が前記範囲内である場合、(a)重合体微粒子(A)の劣化を抑えることができるという利点、および(b)重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物をより多く得ることができるという利点、を有する。なお、「混合工程に供するときの混合物の温度」は、「混合工程前の混合物の温度」ともいえる。また、「混合工程により得られた混合物の温度」は「混合工程後の混合物の温度」ともいえ、「混合工程後であり、かつ分離工程前の混合物の温度」ともいえる。第2の製造方法における分離工程については、後述する。
混合工程は、種々の実施態様で行うことができ、特に限定されない。例えば、(i)凝析剤添加工程により得られた混合物を投入した容器内に混合装置(乳化機等)を設置してバッチ式で行う態様、(ii)混合工程で得られた混合物を循環させることにより、当該混合物を混合装置(乳化機等)に通す工程を複数回実施する態様、(iii)凝析剤添加工程と混合工程とを連続的に行う態様(iv)剪断工程により得られた混合物を通す流路と凝析剤を通す流路との合流後に、混合装置(乳化機等)を設置して、前記凝析剤添加工程により得られた混合物を混合する工程、(v)前記(iv)の態様において、混合工程で得られた混合物を複数回、混合装置(乳化機等)に通す態様、(vi)前記(iii)~(v)において混合装置(乳化機等)を通した混合物を凝析物と水成分とに分離した後、当該水成分を1回以上混合装置に通す態様、などを挙げることができる。
混合工程にて得られた、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である混合物を、濃度測定工程の比重測定工程における混合物として、使用できる。
(第2の分離工程)
本製造方法は、さらに、混合工程の後、当該混合工程で得られた混合物を、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含有する凝析物である樹脂組成物と水成分とに分離する第2の分離工程を含むことが好ましい。本製造方法における第2の分離工程は、混合工程により得られた混合物中の水を取り除いて、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物を得る工程、とも換言できる。
凝析物と水成分とを分離する方法については特に限定されない。例えば、ろ過、圧搾脱水等の方法が挙げられる。第2の分離工程において、水成分とは、水を主たる成分とするが、乳化剤、凝析しなかった重合体微粒子(A)、樹脂(B)等を含む混合物である。
本製造方法の第2の分離工程においては、前記凝析物の含水量を、凝析物100重量%中、5重量%~45重量%に調整する工程を含むことが好ましい。凝析物の含水量をかかる範囲とすることにより、得られた樹脂組成物を熱硬化性樹脂に配合した際に、粘度が高くなり過ぎず、ハンドリングが容易になる。なお、本明細書中において、凝析物(樹脂組成物)の含水量は、水分測定装置を用いて測定された値とする。
第2の分離工程にて得られた、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝析物である樹脂組成物を、濃度測定工程の比重測定工程における混合物として、使用してもよい。
(洗浄工程)
本製造方法は、さらに、混合工程により得られた凝析物である樹脂組成物を洗浄する洗浄工程を含むことが好ましい。凝析物である樹脂組成物を洗浄することにより、夾雑物等の含有量が少ない凝析物が得られる。洗浄工程では、凝析物を、水で洗浄することがより好ましく、イオン交換水または純水で洗浄することがさらに好ましい。
洗浄工程は、混合工程の後第2の分離工程を行うことなく、当該混合工程で得られた混合物に洗浄水を添加して、凝析物を洗浄してもよい。または、洗浄工程は、混合工程の後に実施される第2の分離工程後に、当該第2の分離工程で得られた凝析物に洗浄水を添加して、凝析物を洗浄してもよい。
洗浄工程は、当該洗浄工程により得られる混合物を洗浄後の凝析物(樹脂組成物)と水成分とに分離して得られる前記洗浄後の凝析物中の、前記凝析剤および乳化剤由来の元素SおよびPの量が、当該洗浄後の凝析物の重量に対して5000ppm以下となるように、前記凝析物と洗浄水との混合物を混合する工程を含むことが好ましい。当該構成によると、夾雑物等の含有量がより少ない凝析物が得られるという利点を有する。
洗浄後の凝析物中の凝析剤および乳化剤由来の元素SおよびPの量は少ないほど好ましく、当該洗浄後の凝析物の重量に対して、例えば、5000ppm以下であることが好ましく、4000ppm以下であることがより好ましく、3000ppm以下であることがさらに好ましく、2000ppm以下であることが特に好ましい。
洗浄工程後の凝析物(樹脂組成物)を、濃度測定工程の比重測定工程における混合物として、使用してもよい。
(その他の工程)
上述した工程以外に、得られた凝析物である樹脂組成物を加熱し、脱揮・乾燥させる工程を備えていてもよい。かかる工程も種々の方法を利用でき、特に限定されない。当該方法としては、例えば、加熱および真空脱揮等が挙げられる。
脱揮・乾燥させる工程で得られた脱揮・乾燥後の凝析物(樹脂組成物)を、濃度測定工程の比重測定工程における混合物として、使用してもよい。
〔5.樹脂組成物〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、上述の〔4.樹脂組成物の製造方法〕に記載の方法によって製造された樹脂組成物である。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有する重合体微粒子(A)と、25℃において100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する液体であるか、半固体であるか、または固体である樹脂(B)と、を含有する。「本発明の一実施形態に係る樹脂組成物」を、以下、「本樹脂組成物」と称する場合もある。
本発明の一実施形態には、上述した樹脂組成物とマトリクス樹脂とを混合した樹脂組成物も含まれ得る。すなわち、本樹脂組成物は、上述した樹脂組成物とマトリクス樹脂とを含有するものである。
(マトリクス樹脂)
マトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂を好適に利用し得る。熱硬化性樹脂は、エチレン性不飽和単量体を重合させてなる重合体を含む樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオール樹脂およびアミノ-ホルムアルデヒド樹脂(メラミン樹脂)からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、芳香族ポリエステル原料を重合させてなる重合体を含む樹脂も挙げられる。芳香族ポリエステル原料としては、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸誘導体、シアン化ビニル化合物、マレイミド化合物などのラジカル重合性単量体、ジメチルテレフタレート、アルキレングリコールなどが挙げられる。これら熱硬化性樹脂は1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ結合を少なくとも1個有するものであれば特に限定されない。
エポキシ樹脂の具体例としては例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA(もしくはF)型エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ポリブタジエンもしくはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテルなどの難燃型エポキシ樹脂、p-オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m-アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂などのような不飽和重合体のエポキシ化物、および含アミノグリシジルエーテル樹脂、などが挙げられる。前記多価アルコールとしては、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジル-o-トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、およびグリセリンなどが挙げられる。エポキシ樹脂としては、前記のエポキシ樹脂にビスフェノールA(もしくはF)類、または多塩基酸類などを付加反応させて得られるエポキシ化合物も挙げられる。エポキシ樹脂は、これらに限定されるものではなく、一般に使用されているエポキシ樹脂が使用され得る。これらのエポキシ樹脂は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述したエポキシ樹脂の中でもエポキシ基を一分子中に少なくとも2個有するものが、樹脂組成物の硬化において、反応性が高く、かつ得られた硬化物が3次元的網目を作りやすいなどの点から好ましい。また、エポキシ樹脂としては、経済性および入手のし易さに優れることから、エポキシ基を一分子中に少なくとも2個有するエポキシ樹脂の中でもビスフェノール型エポキシ樹脂を主成分とするものが好ましい。
本樹脂組成物とマトリクス樹脂との混合物は、必要に応じて、前述した成分以外の、その他の任意成分を含有してもよい。その他の任意成分としては、硬化剤、顔料および染料などの着色剤、体質顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定化剤(ゲル化防止剤)、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、減粘剤、低収縮剤、無機質充填剤、有機質充填剤、熱可塑性樹脂、乾燥剤、並びに分散剤などが挙げられる。
その他の任意成分は、本樹脂組成物の製造方法における任意の工程中で適宜添加することができる。例えば、その他の任意成分は、重合体微粒子(A)が凝固する前もしくは凝固した後の水懸濁液中へ添加することができ、または、本樹脂組成物もしくは本樹脂組成物とマトリクス樹脂との混合物へ添加することができる。
本樹脂組成物とマトリクス樹脂との混合物は、マトリクス樹脂以外の、公知の熱硬化性樹脂をさらに含んでいてもよいし、公知の熱可塑性樹脂をさらに含んでいてもよい。
(硬化物)
本樹脂組成物を硬化させることによって硬化物を得ることができる。本発明の一実施形態に係る硬化物は、前記構成を有するため、(a)表面美麗であり、(b)高剛性および高弾性率を有し、かつ(c)靱性および接着性に優れるものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術的範囲を限定されるものではない。
〔材料〕
実施例および比較例で使用した物質を以下に示す。
(重合体微粒子(A))
重合体微粒子(A)は、以下の方法で製造した。
1.弾性体の重合
製造例1-1;ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体を含む水性懸濁液(R-1)の調製
耐圧重合器中に、脱イオン水200重量部、リン酸三カリウム0.03重量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、および乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)1.55重量部を投入した。次に、投入した原料を撹拌しつつ、耐圧重合器内部の気体を窒素置換することにより、耐圧重合器内部から酸素を十分に除いた。その後、ブタジエン(Bd)100重量部を耐圧重合器内に投入し、耐圧重合器内の温度を45℃に昇温した。その後、パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.03重量部を耐圧重合器内に投入し、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.10重量部を耐圧重合器内に投入し、重合を開始した。重合開始から15時間目に、減圧下にて脱揮して、重合に使用されずに残存した単量体を脱揮除去することにより、重合を終了した。重合中、PHP、EDTAおよび硫酸第一鉄・7水和塩のそれぞれを、任意の量および任意の時宜で耐圧重合器内に添加した。当該重合により、ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体を含む水性懸濁液(R-1)を得た。得られた水性懸濁液(R-1)に含まれる弾性体の体積平均粒子径は90nmであった。
製造例1-2;ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体を含む水性懸濁液(R-2)の調製
耐圧重合器中に、前記で得た水性懸濁液(R-1)を固形分で7重量部、脱イオン水200重量部、リン酸三カリウム0.03重量部、EDTA0.002重量部、及び硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部を投入した。次に、投入した原料を撹拌しつつ、耐圧重合器内部の気体を窒素置換することにより、耐圧重合器内部から酸素を十分に除いた。その後、Bd93重量部を耐圧重合器内に投入し、耐圧重合器内の温度を45℃に昇温した。その後、PHP0.02重量部を耐圧重合器内に投入し、続いてSFS0.10重量部を耐圧重合器内に投入し、重合を開始した。重合開始から30時間目に、減圧下にて脱揮して、重合に使用されずに残存した単量体を脱揮除去することにより、重合を終了した。重合中、PHP、EDTA、硫酸第一鉄・7水和塩およびSDBSのそれぞれを、任意の量および任意の時宜で耐圧重合器内に添加した。当該重合により、ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体を含む水性懸濁液(R-2)を得た。得られた水性懸濁液(R-2)に含まれる弾性体の体積平均粒子径は195nmであった。
2.重合体微粒子(A)の調製(グラフト部の重合)
製造例2-1;重合体微粒子を含むラテックス(L-1)の調製
ガラス製反応器に、前記水性懸濁液(R-2)250重量部(ポリブタジエンゴムを主成分とする弾性体87重量部を含む)、および、脱イオン水50重量部を投入した。ここで、前記ガラス製反応器は、温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、および単量体の添加装置を有していた。ガラス製反応器中の気体を窒素で置換し、60℃にて投入した原料を撹拌した。次に、EDTA0.004重量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001重量部、およびSFS0.20重量部をガラス製反応器内に加え、10分間撹拌した。その後、メチルメタクリレート(MMA)12.5重量部、スチレン(St)0.5重量部、およびt-ブチルハイドロパーオキサイド(BHP)0.035重量部の混合物をガラス製反応器内に、80分間かけて連続的に添加した。その後、BHP0.013重量部をガラス製反応器内に添加し、さらに1時間、ガラス製反応器内の混合物の撹拌を続けて重合を完結させた。以上の操作により、重合体微粒子(A)および乳化剤を含むラテックス(L-1)を得た。単量体成分の重合転化率は99重量%以上であった。得られたラテックス(L-1)に含まれる重合体微粒子(A)の体積平均粒子径は200nmであった。得られたラテックス(L-1)における固形分濃度(重合体微粒子(A)の濃度)は、ラテックス100重量%に対して、30重量%であった。
(樹脂(B))
液状エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、JER828、25℃における粘度12,000mPa・s)。
(比重標準溶液作製用の水溶性の物質)
硫酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製 試薬特級)。
〔測定方法〕
(体積平均粒子径の測定)
(a)水性懸濁液に分散している弾性体、(b)ラテックスに分散している重合体微粒子(A)、または(c)ラテックス中の樹脂(B)に被覆された重合体微粒子(A)の体積平均粒子径(Mv)は、Nanotrac WaveII-EX150(マイクロトラックベル株式会社製)を用いて測定した。水性懸濁液、またはラテックスを脱イオン水で希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水、および、各製造例で得られた弾性体または重合体微粒子(A)の屈折率を入力し、計測時間120秒、ローディングインデックス1~20の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。
(粘度の測定)
以下の実施例で使用した樹脂(B)、混合物、および濃度標準物の粘度の測定方法は以下の(1)~(2)の通りである:(1)樹脂(B)、混合物、または濃度標準物をBROOKFIELD社製デジタル粘度計DV-II+Pro型にセットした;(2)粘度領域によってスピンドルCPE-52を用い、測定温度にてShear Rate(ずり速度)を必要に応じ変化させて、粘度を測定した。
〔実施例〕
(比重標準溶液作製工程)
50℃の純水1kgに硫酸ナトリウムを180g溶かし、硫酸ナトリウム水溶液を作製した。得られた水溶液を24.0℃に冷却した後、当該水溶液を純水で希釈することにより、比重1.150の硫酸ナトリウム水溶液を得た。ここで、水溶液の比重は標準比重計(株式会社安藤器製工所L19-06,07)を用いて測定した値である。
得られた水溶液(比重1.150の硫酸ナトリウム水溶液)を、24.0℃の純水でさらに希釈し、希釈水溶液を得た。得られた希釈水溶液の比重を標準比重計を用いて測定したところ、1.0400であった。かかる希釈水溶液を比重標準溶液Aとした。
同様の操作によって、比重標準溶液B(24.2℃における比重1.0450)、比重標準溶液C(24.2℃における比重1.0500)、比重標準溶液D(24.0℃における比重1.0550)、比重標準溶液E(24.0℃における比重1.0600)、比重標準溶液F(24.0℃における比重1.0650)、比重標準溶液G(24.0℃における比重1.0700)、および、比重標準溶液H(24.0℃における比重1.0750)を作製した。
(比重標準溶液の検量線作製工程)
比重標準溶液Dについて、39.7℃および43.7℃での比重を標準比重計(株式会社安藤計器製工所L19-06,07、ガラス製(体膨張係数=0.000025)、標準温度=15℃)を用いて測定したところ、それぞれ1.0500、1.0485であった。比重標準溶液Dの24.0℃での比重(1.0550)、39.7℃での比重および43.7℃での比重を合わせた3点のデータ(温度補正前の比重)について、下記式(1)に基づき、温度補正を行った。温度補正前の比重と温度補正後の比重とを表1に示す;
温度補正後の比重標準溶液の比重=d+αd(t-測定時の溶液の温度)・・・(1)
(式中、dは比重測定時の温度補正前の比重標準溶液の比重であり、αは標準比重計を構成する材料の体膨張係数であり、tは、標準比重計の標準温度である。)。
温度補正後の3点(24.0℃の比重標準溶液Dの比重、39.7℃の比重標準溶液Dの比重、43.7℃の比重標準溶液Dの比重)のデータ(温度補正後の比重)を、y軸(縦軸)を比重(温度補正後の比重標準溶液の比重)、x軸(横軸)を温度(比重標準溶液の温度)としてプロットした。当該プロットに基づき、線形近似によって、比重標準溶液Dについての、比重対温度の検量線を作製した。作製した検量線を図1に示す。図1中、Rは決定係数である。図1より明らかなように、当該検量線の傾きは-0.00035であった。
比重標準溶液B、C、Eについても比重標準溶液Dと同様に、比重対温度の検量線を作製した。まず、比重標準溶液B、C、Eについて30.0℃~45.0℃の範囲で2点の比重を測定した。得られた2点のデータ(比重)と、当該比重標準溶液の24.0℃、または24.2℃における比重とを合わせた3点のデータについて、式(1)によって温度補正を行った。その後、温度補正後のデータをy軸(縦軸)を比重、x軸(横軸)を温度としてプロットし、線形近似によって、各比重標準溶液についての比重対温度の検量線を作製した。温度補正前の比重と温度補正後の比重とを表1に、作製した検量線を図1にそれぞれ示す。図1より明らかなように、検量線の傾きは、それぞれ-0.00033、-0.00039、-0.00035だった。これらの結果より、本実施例では、作製した各比重標準溶液(比重標準溶液A~H)について、任意の比重標準溶液を任意温度において用いる際は、検量線の傾きを-0.00035とみなして検量線から得られた値を、当該比重標準溶液の任意温度における比重として使用した。
Figure 2022135755000001
(濃度標準物作製工程)
重合体微粒子(A)であるラテックス(L-1)280gと、樹脂(B)である液状エポキシ樹脂116gとを混合して樹脂混合物を得た(樹脂混合工程)。次いで、得られた樹脂混合物に剪断応力を与え、重合体微粒子(A)および樹脂(B)を含む凝集体と、水成分と、を含有する樹脂混合物を得た。剪断装置としては、ホモミキサー(ホモミクサーMARKII.5型、プライミクス株式会社製)を使用し、得られた樹脂混合物を回転数12,000rpmで15分間混合した(剪断工程)。続いて、凝析剤として15%硫酸ナトリウム50gを、剪断した樹脂混合物に加えて(凝析剤添加工程)、得られた混合物をホモミキサーで混合した(混合工程)。その後、混合物を、樹脂組成物(凝析物)と水成分とに分離した。その後、得られた凝析物と、洗浄水(純水)150gとを混合し、得られた混合物を90℃、30分間撹拌した。攪拌した混合物から油水分離によって洗浄水を除去し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について、115℃で真空脱揮を行って水を除去し、濃度標準物Aとした。濃度標準物A中の、重合体微粒子(A)と樹脂(B)との重量比(重合体微粒子(A):樹脂(B))は、42:58であった。すなわち、濃度標準物Aにおける重合体微粒子(A)の濃度は42%であった。
濃度標準物A50.0gと樹脂(B)である液状エポキシ樹脂3.8gとを、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎 大気圧タイプ、株式会社シンキー製、ARE-310)を用いて2,000rpmで3分間混合して、重合体微粒子(A)と樹脂(B)との重量比が39:61(重合体微粒子(A)の濃度=39%)である濃度標準物(B)を作製した。次いで、液状エポキシ樹脂の量を8.3gに変更したこと以外は濃度標準物(B)と同様の手順により、重合体微粒子(A)と樹脂(B)との重量比が36:64(重合体微粒子(A)の濃度=36%)である濃度標準物(C)を作製した。
(脱泡工程)
前記濃度標準物A~Cを、それぞれ30gずつ量り取り、濃度標準物ごとに、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎 大気圧タイプ、株式会社シンキー製、ARE-310)を用いて2,200rpmで3分間撹拌し、脱泡した。
(比重決定工程(50℃における濃度標準物の比重の測定))
前記比重標準溶液A~H、および前記濃度標準物A~Cを、52℃の乾燥機に入れ、2時間加熱した。加熱後、室温下の領域に取り出し、温度計によって前記比重標準溶液A~H、および前記濃度標準物A~Cが50℃(50℃±2℃)となっていることを確認した。50℃(測定温度50℃)における濃度標準物A~Cの粘度を測定したところ、それぞれ85,000mPa・s、39,000mPa・s、18,000mPa・sであった。温度を確認後、速やかに前記濃度標準物A~Cを、スパチュラを用いて、前記比重標準溶液A~H中に入れた。以下の基準に基づき、濃度標準物の比重標準溶液に対する浮沈を評価した:
濃度標準物が比重標準溶液中に沈降した:当該濃度標準物の比重は、当該比重標準溶液より大きい;
濃度標準物が比重標準溶液の液面に浮遊した:当該濃度標準物の比重は、当該比重標準溶液より小さい;
濃度標準物が比重標準溶液中に浮遊した:当該濃度標準物の比重は、当該比重標準溶液の比重と同じである。
ここで、「濃度標準物が比重標準溶液中に沈降した」とは、比重標準溶液に入れた濃度標準物が、当該比重標準溶液の入った容器の底面に少なくとも一部が接触した状態のまま浮上しない状態であることを意図し、「濃度標準物が比重標準溶液の液面に浮遊した」とは、比重標準溶液に入れた濃度標準物が、当該比重標準溶液の液面から少なくとも一部が溶液外に露出した状態で浮遊した状態であることを意図する。なお、濃度標準物が比重標準溶液の液面から露出しないものの、容器の底面にも接触しない状態で、比重標準溶液中に浮遊した場合があった。その場合、当該濃度標準物の比重と、比重標準溶液の比重とが同じであると判断した。結果を表2に示す。表2中、「濃度標準物が沈降した比重標準溶液」とは、前記濃度標準物が沈降した比重標準溶液のうち、最も大きい比重を有する比重標準溶液を意図し、「濃度標準物が液面に浮遊した比重標準溶液」とは、前記濃度標準物が液面に浮遊した比重標準溶液のうち、最も大きい比重を有する比重標準溶液を意図する。「濃度標準物が沈降した比重標準溶液」と、「濃度標準物が液面に浮遊した比重標準溶液」について、50℃における当該比重標準溶液の比重を算出した。なお、50℃における、各比重標準溶液の比重は、当該比重標準溶液の24℃(または24.2℃)における比重に基づき、(比重標準溶液の検量線作製工程)で作製した検量線(傾き-0.00035)を使用して算出した値である。
(比重決定工程(70℃における濃度標準物の比重の測定))
前記比重標準溶液A~H、および前記濃度標準物A~Cを、80℃の乾燥機に入れ、2時間加熱した。加熱後、室温下の領域に取り出し、温度計によって前記比重標準溶液A~H、および前記濃度標準物A~Cが70℃(70℃±3℃)となっていることを確認した。70℃(測定温度70℃)における濃度標準物A~Cの粘度を測定したところ、それぞれ60,000mPa・s、22,000mPa・s、10,000mPa・sであった。温度を確認後、速やかに前記濃度標準物A~Cを、スパチュラを用いて、前記比重標準溶液A~H中に入れた。なお、測定時の比重標準溶液の温度は70℃であった。
上記、(比重決定工程(50℃における濃度標準物の比重の測定))と同様の基準によって、濃度標準物の比重標準溶液に対する浮沈を評価し、70℃における「濃度標準物が沈降した比重標準溶液」と、「濃度標準物が液面に浮遊した比重標準溶液」の比重を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2022135755000002
表2中、濃度標準物Aは、70℃の比重標準溶液E(70℃の比重1.0439)中を浮遊した。
(濃度標準物の比重の測定結果)
表2より、以下のことが明らかにわかる。
(1)50℃の濃度標準物Aは、50℃の比重標準溶液Eには沈降し、50℃の比重標準溶液Fの液面に浮遊した。すなわち、50℃の濃度標準物Aの比重は、1.0509より大きく、1.0559より小さい。この結果に基づき、50℃の濃度標準物Aの比重は、50℃における比重標準溶液EおよびFに対する浮沈平均((比重標準溶液Eの比重+比重標準溶液Fの比重)/2)より1.0534であるとみなした。
また、70℃の濃度標準物Aは、70℃の比重標準溶液E中を浮遊した。すなわち、70℃の濃度標準物Aの比重は1.0439であるとみなした。
(2)50℃、および70℃の濃度標準物Bについて、濃度標準物Aと同様に、各比重標準溶液への当該濃度標準物の浮沈に基づき、浮沈平均を算出した。その結果、50℃の濃度標準物Bの比重は、1.0434であるとみなし、70℃の濃度標準物Bの比重は1.0364であるとみなした。
た。
(3)50℃、および70℃の濃度標準物Cについて、濃度標準物Aと同様に、各比重標準溶液への当該濃度標準物の浮沈に基づき、浮沈平均を算出した。その結果、50℃の濃度標準物Cの比重は1.0334であるとみなし、70℃の濃度標準物Cの比重は1.0264であるとみなした。
(検量線(重合体微粒子(A)の濃度対濃度標準物の比重)作製工程)
前記(濃度標準物の比重の測定結果)に基づき、y軸(縦軸)を濃度標準物の比重、x軸(横軸)を重合体微粒子(A)の濃度として、50℃および70℃における重合体微粒子(A)の濃度対濃度標準物の比重の検量線を作製した。図2は当該検量線を示す図である。図2において、上部のグラフ(50℃のグラフ)は、50℃における重合体微粒子(A)の濃度と濃度標準物A~Cの比重との対応関係を示す検量線であり、下部のグラフ(70℃のグラフ)は、70℃における重合体微粒子(A)の濃度と濃度標準物A~Cの比重との対応関係を示す検量線である。また、Rは決定係数である。
図2より明らかなように、50℃の検量線、および70℃の検量線の双方において、決定係数Rは0.99以上である。すなわち、50℃、および70℃において、濃度標準物A~Cの比重と、重合体微粒子(A)の濃度とは、検量線の通り、比例関係にあることが示された。
また、本項で作製した検量線に基づき、重合体微粒子(A)の単体の比重(重合体微粒子(A)の濃度が100%である濃度標準物の比重)、および樹脂(B)の単体の比重(重合体微粒子(A)の濃度が0%である濃度標準物の比重)を算出した。その結果、重合体微粒子(A)の単体の比重は50℃において、0.840であり、70℃において0.858であった。また、樹脂(B)の単体の比重は50℃において、1.173であり、70℃において1.149であった。
〔樹脂組成物の製造〕
(混合物調製工程)
濃度標準物A50.0gと、樹脂(B)として一定量の液状エポキシ樹脂と、を自転・公転ミキサー(あわとり練太郎 大気圧タイプ、株式会社シンキー製、ARE-310)を用いて2,000rpmで6分間混合して、重合体微粒子(A)が濃度未知である混合物(以下、「濃度未知の混合物」とする。)を得た。
(重合体微粒子(A)の濃度の測定(すなわち、重合体微粒子(A)の濃度の測定方法であり、濃度測定工程である))
(比重測定工程(50℃における混合物の比重の測定))
調製した濃度未知の混合物について、比重標準溶液を用いて、50℃における当該濃度未知の混合物の比重を測定した。具体的には下記の通りである。前記濃度未知の混合物を30g量り取り、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎 大気圧タイプ、株式会社シンキー製、ARE-310)を用いて2200rpmで3分間撹拌し、脱泡した。前記比重標準溶液A~H、および、濃度未知の混合物を50℃の乾燥機に入れ、2時間加熱した。加熱後、室温下の領域に取り出し、温度計によって前記比重標準溶液A~H、および濃度未知の混合物が50℃(50℃±2℃)となっていることを確認した。50℃(測定温度50℃)における濃度未知の混合物の粘度を測定したところ、9,000mPa・sであった。温度を確認後、速やかに濃度未知の混合物を、スパチュラを用いて、前記比重標準溶液A~H中に入れた。以下の基準に基づき、濃度未知の混合物の比重標準溶液に対する浮沈を評価した:
濃度未知の混合物が比重標準溶液中に沈降した:当該濃度未知の混合物の比重は、当該比重標準溶液より大きい;
濃度未知の混合物が比重標準溶液の液面に浮遊した:当該濃度未知の混合物の比重は、当該比重標準溶液より小さい。
濃度未知の混合物の比重標準溶液に対する浮沈を評価した結果、50℃の濃度未知の混合物は、比重標準溶液G(50℃の比重1.0609)に沈降し、比重標準溶液H(50℃の比重1.0659)の液面に浮遊した。この結果に基づき、50℃の濃度未知の混合物の比重は、50℃における比重標準溶液GおよびHに対する浮沈平均((比重標準溶液Gの比重+比重標準溶液Hの比重)/2)より1.0634であるとみなした。この結果より、(検量線(重合体微粒子(A)の濃度対濃度標準物の比重)作製工程)項で作製した検量線に基づき前記濃度未知の混合物における重合体微粒子(A)の濃度を算出したところ、混合物100重量%に対して33重量%であった(濃度決定工程)。
(希釈工程)
濃度決定後の混合物(重合体微粒子(A)の濃度:33%)100gに対して、樹脂(B)として液状エポキシ樹脂10gを添加し、重合体微粒子(A)の濃度が30%である樹脂組成物を調製した。
本発明の一実施形態によると、重合体微粒子と樹脂とを含む混合物における重合体微粒子の濃度を、従来技術と比して、より容易に測定することができる。それ故、本発明の一実施形態によれば、重合体微粒子と樹脂とを含む樹脂組成物を、一定の濃度で、効率的に提供できる。当該樹脂組成物は、接着剤、コーティング材、強化繊維のバインダー、複合材料、3Dプリンターの造形材料、封止剤、電子基板、インキバインダー、木材チップバインダー、ゴムチップ用バインダー、フォームチップバインダー、鋳物用バインダー、床材用およびセラミック用の岩盤固結材、ウレタンフォームなどの用途に好ましく用いられる。

Claims (9)

  1. 重合体微粒子(A)と樹脂(B)とを含む混合物における前記重合体微粒子(A)の濃度の測定方法であって、
    前記混合物の比重を測定する比重測定工程と、
    前記比重測定工程で測定された前記混合物の比重から、前記混合物中の前記重合体微粒子(A)の濃度を決定する濃度決定工程と、
    を含み、
    前記重合体微粒子(A)は、構成単位として、芳香族ビニル単量体、ビニルシアン単量体、および(メタ)アクリレート単量体からなる群より選択される1種以上の単量体に由来する構成単位を含む重合体からなるグラフト部を有するものであり、
    前記樹脂(B)は、25℃において100mPa・s~1,000,000mPa・sの粘度を有する液体であるか、半固体であるか、または固体である、前記重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
  2. 前記比重測定工程における前記混合物の温度は、20℃~100℃の範囲である、請求項1に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
  3. 前記重合体微粒子(A)の比重と前記樹脂(B)の比重との差は、比重測定時の温度において0.05以上である、請求項1または2に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
  4. 前記混合物の粘度は、比重測定時の温度において100mPa・s~100,000mPa・sである、請求項1~3のいずれか1項に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
  5. 前記比重測定工程の前に、前記混合物から気泡を脱泡する脱泡工程を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
  6. 前記比重測定工程は、前記混合物の比重標準溶液に対する浮沈に基づき、前記混合物の比重を決定する工程である、請求項1~5のいずれか1項に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
  7. 前記比重測定工程では、前記混合物の比重を質量流量計により測定する、請求項1~6のいずれか1項に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の重合体微粒子(A)の濃度の測定方法を一工程として含む、前記重合体微粒子(A)と前記樹脂(B)とを含む樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記混合物を前記樹脂(B)で希釈する希釈工程をさらに含む、請求項8に記載の樹脂組成物の製造方法。
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