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JP2022119359A - フレキソ印刷原版及びフレキソ印刷原版の製造方法 - Google Patents

フレキソ印刷原版及びフレキソ印刷原版の製造方法 Download PDF

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JP2022119359A
JP2022119359A JP2021016423A JP2021016423A JP2022119359A JP 2022119359 A JP2022119359 A JP 2022119359A JP 2021016423 A JP2021016423 A JP 2021016423A JP 2021016423 A JP2021016423 A JP 2021016423A JP 2022119359 A JP2022119359 A JP 2022119359A
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JP
Japan
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flexographic printing
resin composition
photosensitive resin
layer
composition layer
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Pending
Application number
JP2021016423A
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English (en)
Inventor
雅貴 井川
Masaki Igawa
宣人 蒔田
Nobuto Makita
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】本発明は、例えば、チャッキングに代表されるようにフレキソ印刷原版端面に圧力をかけても、側面が変形しないフレキソ印刷原版及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】少なくとも、支持体、感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層が、この順で積層している積層体を含むフレキソ印刷原版であって、前記積層体の感光性樹脂組成物層が、支持体側の面、赤外線アブレーション層側の面、及び4つの側面を有する形状であり、該感光性樹脂組成物層において、4つの側面のうち、少なくとも1つの側面が硬化しているか、又は、少なくとも1つの側面と支持体側の面とが硬化している、フレキソ印刷原版。【選択図】図1

Description

本発明は、フレキソ印刷原版及びフレキソ印刷原版の製造方法に関する。
フレキソ印刷は、凸版印刷の一種であり、フレキソ印刷版にゴムや合成樹脂等の柔らかい材質を用いていることから、種々の被刷体に適用可能であるという利点を有している。
フレキソ印刷に用いるフレキソ印刷版の製造方法としては、従来、ネガフィルムを使用して製版する方法と、コンピューター上で処理された情報を印刷版上に直接描画してレリーフを作製するコンピューター製版技術(以下、「CTP技術」とも記す)を用いる方法とがある。
前記CTP技術を用いる方法においては、ネガフィルムの製造工程が不要であり、コストとネガフィルムの製造に必要な時間とを削減できることから、近年ではCTP技術を用いる方法が主流になりつつある。
CTP技術を用いる場合、フレキソ印刷版の原版(以下、「フレキソ印刷原版」とも記す)としては、一般的に、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも記す)等の基板上に、感光性樹脂組成物層、保護層(バリア層)、赤外線アブレーション層を順に積層されたものが用いられている。
CTP技術を用いたフレキソ印刷版の作製は、例えば以下のように行われる。
まず、感光性樹脂組成物層上の赤外線アブレーション層にレーザーを照射して描画することによって、前記赤外線アブレーション層の一部を除去し、画像マスクを作製する。
次に、PET等の基板側と、前記画像マスク側の両面から同時に紫外線を照射し、基板側には全面均一な硬化層を、前記画像マスク側は赤外線アブレーション層が除去された箇所のみに硬化層を設ける。
その後、感光性樹脂組成物層における未硬化層を除去し、所望の画像であるレリーフ画像を形成し、フレキソ印刷版を得る。
上記の赤外線アブレーション層にレーザーを照射して描画する方法として、フレキソ印刷原版をドラムロールと呼ばれるロールに巻き付けて固定し、レーザーをロール軸方向に走査しながらロールを回転させることで所望の画像マスクを作製する方法が一般的である。
上述したようなフレキソ印刷版の作製において、未露光版の周辺に粘着性があったならば、取扱い上非常に不便なものとなる。例えば、梱包ケースから未露光版を取り出す際に、包装またはクッションシートに未露光版の周辺が付着したり、裁断する際に、裁断台に未露光版の周辺が付着したり、画像焼き付けの際に、露光台または真空密着シートに未露光版の周辺が付着したりする。それに加え、未露光版の周辺へのゴミ等の付着や操作の際に未露光樹脂が手へ付着するなどの問題が起こる。
このような問題を解消する方法として、例えば、特許文献1には、感光性樹脂版の未露光版の周辺に、波長300nm以下の光を照射することにより、フレキソ印刷版側面の粘着性を消失させる方法が提案されている。
特開平5-94026号公報
フレキソ印刷原版をドラムロールに固定する際、フレキソ印刷原版端面をクランプでチャッキングするが、チャッキングの圧力でフレキソ印刷原版の側面が変形することがあり、変形が生じるとその後の取り扱いが非常に不便なものとなる。例えば、ドラムロールからフレキソ印刷原版を取り外す際にドラムロールに樹脂が付着したり、露光工程でガラス台に樹脂が付着することがあり、装置各所に樹脂が付着しているとフレキソ印刷版を持ち上げたり、移動させたりする際に版が付着した樹脂に引っかかり、折れ曲がってしまうなどの問題が生じることがある。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、フレキソ印刷版側面の粘着性を消失させるだけで、チャッキング時の圧力によるフレキソ印刷原版の側面の変形を防止することはできない。
したがって、フレキソ印刷版の作製において、例えば、ドラムロールへの固定時にフレキソ印刷原版端面に圧力を加えても側面が変形することのないフレキソ印刷原版の開発が望まれている。
そこで本発明は、上記チャッキングに代表されるようにフレキソ印刷原版端面に圧力をかけても、側面が変形しないフレキソ印刷原版及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、フレキソ印刷原版における感光性樹脂組成物層の少なくとも1つの側面に波長340nm以上の光を照射することで該側面を硬化させることにより、端面に圧力を加えても変形しないフレキソ印刷原版が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下に関する。
[1]
少なくとも、支持体、感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層が、この順で積層している積層体を含むフレキソ印刷原版であって、
前記積層体の感光性樹脂組成物層が、支持体側の面、赤外線アブレーション層側の面、及び4つの側面を有する形状であり、該感光性樹脂組成物層において、4つの側面のうち、少なくとも1つの側面が硬化しているか、又は、少なくとも1つの側面と支持体側の面とが硬化している、フレキソ印刷原版。
[2]
前記積層体の感光性樹脂組成物層における4つの側面のうち、少なくとも、向かい合う2つの側面が硬化している、[1]に記載のフレキソ印刷原版。
[3]
前記積層体の感光性樹脂組成物層における全側面が硬化している、[1]又は[2]に記載のフレキソ印刷原版。
[4]
前記積層体の感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離が1mm以上20mm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のフレキソ印刷原版。
[5]
前記積層体の感光性樹脂組成物層において、硬化している面が1つ以上の側面であり、該側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離が1mm以上20mm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のフレキソ印刷原版。
[6]
少なくとも、支持体、感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層が、この順で積層して積層体を得る工程と、
前記積層体の感光性樹脂組成物層が、支持体側の面、赤外線アブレーション層側の面、及び4つの側面を有する形状であり、該感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面に波長340nm以上の光を照射することによって該側面を硬化させる工程を含む、フレキソ印刷原版の製造方法。
[7]
前記側面を硬化させる工程において、該側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離を1mm以上20mm以下とする、[6]に記載のフレキソ印刷原版の製造方法。
[8]
前記積層体の感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面を硬化するための光源として、感光性樹脂組成物層の側面側に波長340nm以上の光を発する光源を設置する、[6]又は[7]に記載のフレキソ印刷原版の製造方法。
本発明によれば、チャッキングに代表されるようにフレキソ印刷原版端面に圧力をかけても、側面が変形しないフレキソ印刷原版を提供することができる。
図1は、本発明のフレキソ印刷原版の一例を模式的に示した断面図である。 図2は、本発明のフレキソ印刷原版の別の一例を模式的に示した断面図である。 図3は、本発明のフレキソ印刷原版の一例を模式的に示した斜視図である。 図4は、本発明のフレキソ印刷原版の別の一例を模式的に示した斜視図である。 図5は、本発明のフレキソ印刷原版のまた別の一例を模式的に示した斜視図である。 図6は、本発明のフレキソ印刷原版のさらに別の一例を模式的に示した斜視図である。 図7は、本発明のフレキソ印刷原版のさらにまた別の一例を模式的に示した斜視図である。 図8は、本発明のフレキソ印刷原版の製造工程の一例を示した概念図である。 図9は、本発明のフレキソ印刷原版の製造工程の別の一例を示した概念図である。 図10は、網点形成過程の一例を示した概念図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形が可能である。
(フレキソ印刷原版)
本実施形態のフレキソ印刷原版は、少なくとも、支持体、感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層が、この順で積層している積層体を含み、前記積層体の感光性樹脂組成物層が、支持体側の面、赤外線アブレーション層側の面、及び4つの側面を有する形状であり、該感光性樹脂組成物層において、4つの側面のうち、少なくとも1つの側面が硬化しているか、又は、少なくとも1つの側面と支持体側の面とが硬化している。
本実施形態のフレキソ印刷原版の具体例としては、例えば、図1に示すように支持体1、向かい合う2つの側面の硬化部分2及び未硬化部分3を有する感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層4が、この順で積層している積層体が挙げられ、また、図2に示すように支持体1、向かい合う2つの側面の硬化部分2及び支持体側の面の硬化部分2’並びに未硬化部分3を有する感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層4が、この順で積層している積層体が挙げられる。
前記感光性樹脂組成物層の支持体側の面及び側面を硬化させるために照射する紫外線としては、340nm以上の紫外線を使用でき、特に340~400nmの紫外線を好ましく使用できる。
光源としては、特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、カーボンアーク灯、紫外線用蛍光灯、UV-LED等が使用できる。
前記感光性樹脂組成物層の支持体側の面及び側面を硬化させるための紫外線照射方法としては、特に限定されないが、例えば、照射面積が赤外線アブレーション層の面積以上となる光源を赤外線アブレーション層側に設置して赤外線アブレーション層側から紫外線を照射する方法と、光源を前記感光性樹脂組成物層の側面側に設置して感光性樹脂組成物層の側面側から紫外線を照射する方法と、照射面積が支持体の面積以上となる光源を支持体側に設置して支持体側から紫外線を照射する方法がある。
前記紫外線照射方法のうち支持体側から紫外線を照射する場合には感光性樹脂組成物層の側面が硬化することに加えて感光性樹脂組成物層の支持体側の面に均一な硬化層が形成される。赤外線アブレーション層側から紫外線を照射する方法、及び感光性樹脂組成物層の側面側から紫外線を照射する方法では紫外線を照射した側面だけを限定的に硬化させることができる。
感光性樹脂組成物層が硬化するとは、一般的に、後述する光重合性モノマーと光重合開始剤が重合反応を起こし、高分子化する現象を指す。本実施形態において、感光性樹脂組成物層の硬化若しくは未硬化は、フーリエ変換赤外分光法(以下、「FTIR」とも記す)を用いて、後述する実施例に記載のように、光重合性モノマーの特定官能基に起因する特定波長の吸光度のピーク値を比較することで判定を行う。具体的には、紫外線照射後の感光性樹脂組成物層における特定波長の吸光度のピーク値が紫外線照射前の感光性樹脂組成物層における特定波長の吸光度のピーク値の半分以下であったとき、その感光性樹脂組成物層は硬化しているものと判定する。
本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる感光性樹脂組成物層における4つの側面のうち、少なくとも、向かい合う2つの側面が硬化していることが好ましい。本実施形態のフレキソ印刷原版は、このような感光性樹脂組成物層を用いることにより、圧力をかけた際の側面変形抑制効果が一層発現する傾向にある。
また、本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる感光性樹脂組成物層における全側面が硬化していることが好ましい。本実施形態のフレキソ印刷原版は、このような感光性樹脂組成物層を用いることにより、圧力をかけた際の側面変形抑制効果がより一層発現する傾向にある。
また、本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離が1mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上15mm以下であることがより好ましく、1mm以上10mm以下であることがさらに好ましい。本実施形態のフレキソ印刷原版は、感光性樹脂組成物層における側面の硬化部分の距離が前記範囲であることにより、圧力をかけた際の側面変形抑制効果を維持しつつ、より広い画像面積を確保することができる。なお、画像面積とは被印刷物への転写に使用する画像部分を指し、フレキソ印刷原版の画像内に感光性樹脂組成物層の硬化部分があった場合、所望の画像を形成できない場合がある。
また、本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる感光性樹脂組成物層において、支持体側の面が硬化している場合は、該支持体側の面の表面から層内部方向の硬化部分の距離がフレキソ印刷原版全体の厚みに対して10%以上90%以下であることが好ましく、10%以上80%以下であることがより好ましく、10%以上70%以下であることがさらに好ましい。本実施形態のフレキソ印刷原版は、感光性樹脂組成物層における支持体側の面の硬化部分の距離が前記範囲であることにより、フレキソ印刷版のレリーフ深度を深くすることができる傾向にある。なお、レリーフ深度とは画像を形成した際のドット頂面とドットのない平坦部表面との距離を指す。
なお、本実施形態において、硬化部分の距離とは、具体的には、例えば、感光性樹脂組成物層における側面の場合は、硬化している側面の表面から層内部方向であって支持体側の面に平行な方向の距離であり、また、感光性樹脂組成物層における支持体側の面の場合は、硬化している支持体側の面の表面から層内部方向であって支持体側の面に垂直な方向の距離である。また、本実施形態において、硬化部分の距離は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる感光性樹脂組成物層において、1つ以上の側面及び支持体面が硬化していることが好ましく、1つ以上の側面だけで硬化していることがより好ましい。感光性樹脂組成物層における1つ以上の側面及び支持体面が硬化しているフレキソ印刷原版としては、具体的には、例えば、感光性樹脂組成物層における全側面と支持体面が硬化している図6に示すようなフレキソ印刷原版が挙げられる。また、感光性樹脂組成物層における側面だけが硬化しているフレキソ印刷原版としては、具体的には、例えば、1つの側面が硬化している図3に示すようなフレキソ印刷原版、感光性樹脂組成物層における向かい合う2つの側面が硬化している図4に示すようなフレキソ印刷原版、感光性樹脂組成物層における全側面が硬化している図5に示すようなフレキソ印刷原版が挙げられる。本実施形態のフレキソ印刷原版は、例えば、図3~5に示すように、感光性樹脂組成物層における側面だけが硬化していることにより、圧力をかけた際の側面変形抑制効果がより一層発現すると共に網点形成性に優れる傾向にある。なお、網点形成性とは、図10に示すとおり、ブラックマスクの破線で囲った部分をレーザー照射し、次に、未硬化樹脂をUV露光することにより硬化樹脂とし、洗浄して、ドットが等間隔に並んだ網点を形成した際、レーザー照射した面積と形成したドット頂面の面積とがどれだけ一致するかという性質である。
また、本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる感光性樹脂組成物層において、硬化している面が1つ以上の側面であり、該側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離が1mm以上20mm以下であることが好ましく、1mm以上15mm以下であることがより好ましく、1mm以上10mm以下であることがさらに好ましい。本実施形態のフレキソ印刷原版は、感光性樹脂組成物層における硬化部分の距離が前記範囲であることにより、圧力をかけた際の側面変形抑制効果を維持しつつ、より広い画像面積を確保することができる。
また、本実施形態において、感光性樹脂組成物層の大きさに対して十分な照射面積を持つ光源を準備すれば、本実施形態のフレキソ印刷原版を形成できるため、感光性樹脂組成物層の大きさは特に限定されないが、例えば、縦:400mm以上2200mm以下、横:400mm以上2200mm以下であることが実用上一般的である。
(支持体)
本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる支持体としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、並びに、ポリアミドフィルム等が挙げられる。
支持体としては、厚みが75μm~300μmの寸法安定なフィルムが好ましく、特にポリエステルフィルムが好ましい。
また、支持体上に接着剤層を有することが好ましい。
接着剤層の材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリウレタンやポリアミド、熱可塑性エラストマー等のバインダーポリマーと、イソシアネート化合物やエチレン性不飽和化合物等の接着有効成分とを含有する樹脂組成物が挙げられる。
さらに、接着剤層には、種々の補助添加成分を添加することができる。補助添加成分としては、特に限定されないが、例えば、可塑剤、熱重合防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤、光重合開始剤、光重合性モノマー、染料等が挙げられる。
また、接着剤層と支持体との間にさらに高い接着力を得るために、少なくとも1層以上の下引き層を設けることがより好ましい。
(感光性樹脂組成物層)
本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる感光性樹脂組成物層は、溶剤現像、水現像、及び熱現像のいずれにも有用である。
感光性樹脂組成物層の材料としては、特に限定されないが、例えば、(a)熱可塑性エラストマー、(c)光重合性モノマー、及び(d)光重合開始剤を含む感光性樹脂組成物を好適に挙げることができる。
感光性樹脂組成物層は、現像工程を水系洗浄液中で行う場合は、さらに(b)親水性共重合体を含むことが好ましい。
前記(a)~(d)の化合物としては、特に限定されないが、例えば、「特開2018-120131号公報」に記載されている化合物を使用することができる。
<(a)熱可塑性エラストマー>
(a)熱可塑性エラストマーとしては、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックと、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックとを含有する熱可塑性エラストマーが好ましい。
本明細書を通じて用いられる「主体とする」という用語は、重合体ブロック中の60質量%以上であることを意味する。
共役ジエンを主体とする重合体ブロックにおいて、共役ジエンは、当該重合体ブロック中の80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
共役ジエンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、クロロプレンの単量体が挙げられ、特に1,3-ブタジエンが、耐摩耗性の観点から好ましい。これらの単量体は、1種単独でも2種以上の併用でもよい。
共役ジエンを主体とする重合体ブロックの共役ジエン総量中のビニル含有量、例えば、1,2-ブタジエンや3,4-イソプレンの含有量は、特に限定されない。印刷版形成性の観点から、ビニル含有量は、5mol%~50mol%であることが好ましく、8mol%~50mol%であることがより好ましく、10mol%~40mol%であることがさらに好ましい。
共役ジエンを主体とする重合体ブロックの数平均分子量は、耐刷性の観点から、20,000~250,000が好ましく、30,000~200,000がより好ましく、40,000~150,000がさらに好ましい。
共役ジエンを主体とする重合体ブロックは、アルキレン単位を含有してもよい。当該アルキレン単位の導入方法は特に限定されないが、共役ジエンを主体とする重合体ブロックの原料モノマーとしてエチレンやブチレン等のモノオレフィンを用いて重合する方法や、共役ジエン重合体ブロックを水素添加する方法等が挙げられる。特に、入手しやすさの観点から、共役ジエンを主体とする重合体ブロックを水素添加する方法が好ましい。
共役ジエンを主体とする重合体ブロック中のアルキレン単位の含有量は、耐溶剤性の観点から5mol%以上が好ましく、感光性樹脂組成物の透明性確保の観点から50mol%以下が好ましい。10mol%~35mol%の範囲がより好ましく、10mol%~25mol%の範囲がさらに好ましい。
前記アルキレン単位は、ブタジエンを主体とする重合体ブロック中に含有することが好ましい。また、ブタジエンを主体とする重合体ブロック部を水素添加して、1,4-ブタジエン単位、1,2-ブタジエン(ビニル)単位及びブチレン(アルキレン)単位のすべてを含有するようにすることがより好ましい。また、ブタジエンを主体とする重合体ブロック中に、少なくとも、1,4-ブタジエン単位が25mol%~70mol%、1,2-ブタジエン(ビニル)単位が0mol%~50mol%、ブチレン単位が10mol%~50mol%の範囲で含有することがさらに好ましい。
なお、共役ジエン、共役ジエンのビニル含有量及びビニル芳香族炭化水素の含有量や比率は、核磁気共鳴装置(1H-NMR)を用いて測定することができる。
ビニル芳香族炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、t-ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルスチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、p-メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、α-メチルスチレン、1,1-ジフェニルエチレン等の単量体が挙げられる。特に、フレキソ印刷原版を比較的低温で平滑に成型できることから(以下、高成型性と記す)、スチレンが好ましい。これらの単量体は、1種単独でも2種以上の併用でもよい。
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックの数平均分子量は、印刷版に配向性を出さないようにする観点から100,000以下が好ましく、製版時や印刷時の耐欠け性の観点から、3,000以上が好ましい。ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックの数平均分子量は、5,000~80,000の範囲がより好ましく、5,000~60,000の範囲がさらに好ましい。
ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の含有量は、感光性樹脂組成物の高成型性、印刷版の凸部の高い耐カケ性、及びインキ成分が付着したときの印刷版硬度を高く維持する観点から、25質量%以下にすることが好ましい。一方、本実施形態のフレキソ印刷原版の耐コールドフロー性を高くする観点から、ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素の含有量は、13質量%以上が好ましい。15質量%~24質量%の範囲がより好ましく、16質量%~23質量%の範囲がさらに好ましい。
感光性樹脂組成物層における(a)熱可塑性エラストマーの含有量は、印刷時の耐刷性の観点から、感光性樹脂組成物の全量を100質量%としたとき、15質量%~90質量%であることが好ましい。(a)熱可塑性エラストマーの含有量は、15質量%~80質量%であることがより好ましく、20質量%~75質量%であることがさらに好ましい。
<(b)親水性共重合体>
(b)親水性共重合体とは、親水性の不飽和単量体に由来する単位を含む内部架橋した重合体粒子である。当該重合体粒子としては、特に限定されないが、例えば、親水性の不飽和単量体、及び、必要に応じてこれと共重合できるその他の単量体を用いて乳化重合して得られた重合体粒子を分散質として水中に分散した水分散ラテックスから、水を取り除いて得られる重合体粒子が挙げられる。親水性の不飽和単量体に由来する単位は、全単量体中、例えば、0.1~20質量%としてもよいし、0.5~15質量%としてもよいし、1~10質量%としてもよい。
親水性の不飽和単量体としては、少なくとも一つの親水性基及び不飽和二重結合を含む単量体が好ましい。親水性の不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等、及びそれらの塩、並びに、酸無水物基等を含む、不飽和二重結合を含む単量体;水酸基及び不飽和二重結合を含む単量体;アクリルアミド及び不飽和二重結合を含む単量体;反応性の不飽和二重結合を含む界面活性剤(単量体);等が挙げられる。これらの親水性の不飽和単量体は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
水分散ラテックスとしては、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリイソプレンラテックス、ポリウレタンラテックス、(メタ)アクリレート-ブタジエンラテックス、ビニルピリジン重合体ラテックス、ブチル重合体ラテックス、チオコール重合体ラテックス、アクリレート重合体ラテックス等の水分散ラテックス重合体等が挙げられる。
また、これらの水分散ラテックスに(メタ)アクリレートや、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸等のカルボン酸や、スチレンスルホン酸等のスルホン酸等の一塩基酸;イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、ムコン酸等の二塩基酸;等の酸性官能基含有不飽和単量体が1種類以上共重合した水分散ラテックス重合体が好ましい。
なお、上記水分散ラテックスには、親水性の不飽和単量体、及び、必要に応じてこれと共重合できるその他の単量体を用いて乳化重合して得られた重合体粒子に加え、さらに、分散質として他の重合体粒子を含んでいてもよい。このような他の重合体粒子としては、特に限定されないが、例えば、ポリブタジエン、天然ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体の粒子が挙げられる。
これらの水分散ラテックスのうち、耐刷性の観点から、重合体の分子鎖中にブタジエン骨格又はイソプレン骨格を含有している水分散ラテックスが好ましい。例えば、ポリブタジエンラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス、及びこれらの水分散ラテックスに(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等が共重合したものが好ましい。水分散ラテックスとしては、より好ましくは、スチレン-ブタジエン共重合体に、(メタ)アクリル酸エステルや、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の酸性官能基含有不飽和単量体が1種類以上共重合した共重合体の水分散ラテックスである。
酸性官能基含有不飽和単量体の使用量は、(b)親水性共重合体の合成に用いられる不飽和単量体全量中、1~30質量%であることが好ましい。酸性官能基含有不飽和単量体の使用量を1質量%以上とすることによって水系現像が容易になる傾向にあり、30質量%以下とすることによって感光性樹脂組成物の吸湿量の増加やインキの膨潤量の増加を防止でき、感光性樹脂組成物の混合時の加工性の悪化を防止することができる。
(b)親水性共重合体の合成に用いることができる酸性官能基含有不飽和単量体以外の不飽和単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β-エチレン性不飽和単量体、アリル化合物等が挙げられる。
共役ジエンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、クロロプレン、2-クロル-1,3-ブタジエン、シクロペンタジエン等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p-t-ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチル-ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシ-ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-((メタ)アクリロキシ-ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸1-ヒドロキシプロピル、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和二塩基酸アルキルエステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド及びその誘導体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-アルコキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート、バーサティク酸ビニル等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。
ハロゲン化ビニル類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等が挙げられる。
アミノ基を有する塩基性単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オレフィンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン等が挙げられる。
ケイ素含有α,β-エチレン性不飽和単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アリル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アリルエステル、ジアリルフタレート等が挙げられる。
その他、トリアリルイソシアヌレート等の3個以上の二重結合を有する単量体も使用できる。
これらの単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。酸性官能基含有不飽和単量体とその他の単量体の質量比(酸性官能基含有不飽和単量体/その他の単量体)は、好ましくは5/95~95/5であり、より好ましくは50/50~90/10である。
当該質量比(酸性官能基含有不飽和単量体/その他の単量体)が5/95~95/5であることにより感光性樹脂組成物のゴム弾性を実用上良好なものとすることができる。
(b)親水性共重合体は、乳化重合で合成された重合体であることが好ましく、この場合、重合時に使用される乳化剤(界面活性剤)としては、反応性乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、分子構造中にラジカル重合性の二重結合、親水性官能基及び疎水性基を含み、一般の乳化剤と同様に、乳化、分散、及び湿潤機能を持つ反応性乳化剤が好ましい。また、(b)親水性共重合体を乳化重合する際には、反応性乳化剤を、当該反応性乳化剤を除いた酸性官能基含有不飽和単量体及びその他の単量体の合計100質量部に対して0.1質量部以上用いた場合に、平均粒子径が5~500nmの重合物が合成できる乳化剤(界面活性剤)を用いることが好ましい。
反応性乳化剤の分子構造中のラジカル重合性の二重結合の構造としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、アクリロイル基、あるいはメタアクリロイル基等が挙げられる。
反応性乳化剤の分子構造中の親水性官能基としては、特に限定されないが、例えば、硫酸基、硝酸基、燐酸基、ホウ酸基、カルボキシル基等のアニオン性基;アミノ基等のカチオン性基;ポリオキシエチレン、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン鎖構造等;又は水酸基等が挙げられる。
反応性乳化剤の分子構造中の疎水性基としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、フェニル基等が挙げられる。
反応性乳化剤は、その構造に含まれる親水性官能基の種類により、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤等を含む。また、分子構造中のラジカル重合性の二重結合、親水性官能基及び疎水性基は、各々、複数の種類が含まれていてもよい。
反応性乳化剤は、市販されている界面活性剤を使用することができ、市販のアニオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アデカリアソープSE(ADEKA製)、アクアロンHSやBCやKH(第一工業製薬社製)、ラテムルS(花王社製)、アントックスMS(日本乳化剤社製)、アデカリアソープSDXやPP(ADEKA製)、ハイテノールA(第一工業製薬社製)、エレミノールRS(三洋化成工業社製)、スピノマー(東ソー有機化学製)等を挙げることができる。市販の非イオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アクアロンRNやノイゲンN(第一工業製薬社製)、アデカリアソープNE(ADEKA製)等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性乳化剤の使用量は、原料の仕込み量から算出される(b)親水性共重合体100質量部に対して、1~20質量部の範囲であることが好ましい。反応性乳化剤の量が1質量部以上であると、得られる印刷版の画像再現性が向上する傾向にあり、20質量部以下であると、得られる印刷版の耐印刷性が向上する傾向にある。
(b)親水性共重合体を乳化重合で合成する場合には、必要に応じて、非反応性乳化剤を用いることもできる。
前記非反応性乳化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪酸せっけん、ロジン酸せっけん、スルホン酸塩、サルフェート、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、サリコジン酸アシル等のアニオン界面活性剤;ニトリル化油脂誘導体、油脂誘導体、脂肪酸誘導体、α-オレフィン誘導体等のカチオン界面活性剤;アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、プロポキシレート、脂肪族アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン界面活性剤が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
スルホン酸塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、スルホン化油脂、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、N-アシルメチルタウリン酸塩等が挙げられる。
非反応性乳化剤の他の例としては、特に限定されないが、例えば、「界面活性剤ハンドブック(高橋、難波、小池、小林:工学図書、1972)」に記載されているものが挙げられる。
非反応性乳化剤の使用量は、原料の仕込み量から算出される(b)親水性共重合体100質量部に対して、1質量部未満であることが好ましい。非反応性乳化剤の使用量が1質量部未満であることによって、得られる印刷版が適切な水膨潤率を有し、インキ付着時の耐摩耗性の低下及び吸湿後の画像再現性の低下を防ぐことができる。
(b)親水性共重合体の乳化重合方法としては、重合可能な温度に調整された反応系に、あらかじめ所定量の水、乳化剤、その他添加剤を仕込み、この系に重合開始剤及び不飽和単量体、乳化剤、調整剤等を、回分操作あるいは連続操作で反応系内に添加することが一般的である。また必要に応じて反応系には所定量のシードラテックス、重合開始剤、不飽和単量体、その他の調整剤をあらかじめ仕込んで置くことも通常よく用いられる方法である。また、不飽和単量体、乳化剤、その他の添加剤、調整剤を反応系へ添加する方法を工夫することによって、合成される親水性共重合体粒子の層構造を段階的に変えることも可能である。
この場合、各層の構造を代表する物性としては、親水性、ガラス転移温度、分子量、架橋密度等が挙げられる。また、この層構造の段階数は特に制限されない。
(b)親水性共重合体の重合工程においては、公知の連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、硫黄元素を含む連鎖移動剤を好適に用いることができる。硫黄元素を含む連鎖移動剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のアルカンチオール;メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール;チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸;チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド;が挙げられる。
その他の連鎖移動剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ターピノーレン、ジペンテン、t-テルピネン及び四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素を挙げることができる。
これらの連鎖移動剤中で、連鎖移動速度が大きく、また得られる(b)親水性共重合体の物性バランスが良好であることから、アルカンチオールが好ましい。
これらの連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの連鎖移動剤は単量体に混合して反応系に供給するか、単独で所定の時期に所定量添加される。これらの連鎖移動剤の使用量は、(b)親水性共重合体の重合に用いられる不飽和単量体全量に対して、好ましくは0.1~10質量%である。
連鎖移動剤の使用量を0.1質量%以上とすることにより、感光性樹脂組成物の混合を行う際の加工性が良好なものとなり、10質量%以下とすることにより、(b)親水性共重合体の分子量を実用上十分なものとすることができる。
(b)親水性共重合体の重合には、必要に応じて重合反応抑制剤を用いることができる。
重合反応抑制剤とは、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させる化合物である。重合反応抑制剤とは、より具体的には、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、及びラジカル再開始反応性が低い単量体である。重合反応抑制剤は、一般に、重合反応速度の調整及びラテックス物性の調整に用いられる。これらの重合反応抑制剤は回分操作あるいは連続操作で反応系に添加される。重合反応抑制剤を用いた場合、感光性樹脂組成物中においてラテックス被膜の強度が向上し、耐刷性が向上する。反応メカニズムの詳細は不明であるが、重合反応抑制剤は(b)親水性共重合体の立体構造に密接に関与していると考えられ、このことによりラテックス被膜の物性の調整に効果があるものと推定される。
重合反応抑制剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、o-,m-,あるいはp-ベンゾキノン等のキノン類;ニトロベンゼン、o-,m-,あるいはp-ジニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジフェニルアミンのようなアミン類;第三ブチルカテコールのようなカテコール誘導体;1,1-ジフェニルエチレンあるいはα-メチルスチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン等の1,1-ジ置換ビニル化合物;2,4-ジフェニル-4-メチル-2-ペンテン、シクロヘキセン等の1,2-ジ置換ビニル化合物;等が挙げられる。この他にも、「POLYMER HANDBOOK 3rd Ed.(J.Brandup,E.H.Immergut:John Wiley & Sons,1989)」、「改訂高分子合成の化学(大津:化学同人、1979.)」に重合禁止剤あるいは重合抑制剤として記載されている化合物が挙げられる。
これらの中でも、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン(α-メチルスチレンダイマー)が反応性の観点から特に好ましい。これらの重合反応抑制剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの重合反応抑制剤の使用量は、(b)親水性共重合体の重合に用いられる不飽和単量体全量に対して、好ましくは10質量%以下である。10質量%以下とすることにより、実用上十分な重合速度が得られる傾向にある。
上記(b)親水性共重合体の重合に用いられる重合開始剤の好適な例であるラジカル重合開始剤は、熱又は還元性物質の存在下でラジカル分解して、単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤及び有機系開始剤のいずれも使用できる。
上記ラジカル重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が挙げられ、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2’-アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤としては、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.Brandrup及びE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)に記載されている化合物も使用することができる。
また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。
これらの中で、ペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。
重合開始剤の使用量は、(b)親水性共重合体の重合に用いられる不飽和単量体全量に対して、通常0.1~5.0質量%の範囲であり、好ましくは0.2~3.0質量%の範囲から選ばれる。
重合開始剤の使用量が0.1質量%以上であると、(b)親水性共重合体の合成時に高い安定性が得られ、重合開始剤の使用量が5.0質量%以下であると感光性樹脂組成物の吸湿量を、実用上良好な範囲に抑制することができる。
(b)親水性共重合体の合成の際には、必要に応じて各種重合調整剤を添加することができる。
pH調整剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等のpH調整剤を重合調整剤として添加することができる。
また、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等の各種キレート剤等も重合調整剤として添加することができる。
さらに、その他の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ感応ラテックス、ヘキサメタリン酸等の減粘剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、各種老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤、耐水化剤、亜鉛華等の金属酸化物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物等の架橋剤、滑剤、保水剤等の各種添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤の添加方法は特に制限されず、(b)親水性共重合体の合成時、合成後に関わらず添加することができる。
(b)親水性共重合体を乳化重合する場合における重合温度は、通常60~120℃の範囲で選ばれる。
また、前記レドックス重合法等により、より低い温度で重合を行ってもよい。さらに酸化還元触媒として、金属触媒、例えば、2価の鉄イオン、3価の鉄イオン、銅イオン等を共存させてもよい。
(b)親水性共重合体は粒子状であることが好ましく、その平均粒子径は、好ましくは500nm以下、より好ましくは100nm以下である。平均粒子径が500nm以下であることにより、得られる印刷原版において良好な水系現像性が得られる。
また、(b)親水性共重合体のトルエンゲル分率は、60%~99%であることが好ましい。(b)親水性共重合体のトルエンゲル分率が60%以上であると、得られる印刷版において実用上十分な強度が得られる傾向にある。
(b)親水性共重合体のトルエンゲル分率が99%以下であると、(b)親水性共重合体と(a)熱可塑性エラストマーとの混合性が良好なものとなる傾向にある。
ここで、トルエンゲル分率とは、(b)親水性共重合体の約30質量%の分散液を、テフロン(登録商標)シートの上に適当量垂らし、130℃で30分間乾燥して(b)親水性共重合体を0.5g取り、これを25℃のトルエン30mLに浸漬し、振とう器を用いて3時間振とうした後に320SUSメッシュで濾過し、不通過分を130℃1時間乾燥した後の質量を0.5(g)で割った質量分率(%)をいう。
感光性樹脂組成物層における(b)親水性共重合体の含有量は、水系現像液中で現像する場合は、印刷版作製時の現像性の観点から、感光性樹脂組成物の全量を100質量%としたとき、10質量%~70質量%であることが好ましい。(b)親水性共重合体の含有量は、15質量%~60質量%であることがより好ましく、20質量%~50質量%であることがさらに好ましい。
<(c)光重合性モノマー>
光重合性モノマー(c)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等の酸のエステル類;アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体;アリルエステル、スチレン及びその誘導体;N置換マレイミド化合物等が挙げられる。
光重合性モノマー(c)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール等のアルカンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート;あるいはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、ジシクロペンタジエニルのジアクリレート及びジメタクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート、N,N’-ヘキサメチレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸ジブチルエステル、フマル酸ジオクチルエステル、フマル酸ジステアリルエステル、フマル酸ブチルオクチルエステル、フマル酸ジフェニルエステル、フマル酸ジベンジルエステル、マレイン酸ジブチルエステル、マレイン酸ジオクチルエステル、フマル酸ビス(3-フェニルプロピル)エステル、フマル酸ジラウリルエステル、フマル酸ジベヘニルエステル、N-ラウリルマレイミド等を挙げることができる。
これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
印刷版の凸部のさらに高い耐カケ性の観点から、(c)光重合性モノマーとして、メタクリート基を、モノマー1molあたり2mol有するモノマーを、感光性樹脂組成物中に2.0質量%以上含有することが好ましい。
感光性樹脂組成物層における(c)光重合性モノマーの含有量は、高精細かつハイライト領域を有する印刷物を得る観点から、感光性樹脂組成物の全量を100質量%としたとき、1質量%~25質量%であることが好ましい。(c)光重合性モノマーの含有量は、5質量%~20質量%であることがより好ましく、8質量%~15質量%であることがさらに好ましい。
<(d)光重合開始剤>
(d)光重合開始剤とは、光のエネルギーを吸収し、ラジカルを発生する化合物であり、公知の各種のものを用いることができ、各種の有機カルボニル化合物や、特に芳香族カルボニル化合物が好適である。
(d)光重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、t-ブチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシフェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1,7-ビスアクリジニルヘプタン;9-フェニルアクリジン;2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール;等が挙げられる。
これらは1種類単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
感光性樹脂組成物層における(d)光重合開始剤の含有量は、製版時の版形成性を高める観点及び高精細かつハイライト領域を有する印刷物印刷を得る観点から、感光性樹脂組成物の全量を100質量%としたとき、0.1質量%~10.0質量%であることが好ましい。(d)光重合開始剤の含有量は、1.0質量%~8.0質量%であることがより好ましく、1.5質量%~5.0質量%であることがさらに好ましい。
また、(d)光重合開始剤としては、崩壊型光重合開始剤及び水素引抜き型光重合開始剤を併用してもよい。印刷版の画像再現性や耐摩耗性が高いことから、感光性樹脂組成物中の水素引抜き型光重合開始剤の量は、1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
(赤外線アブレーション層)
本実施形態のフレキソ印刷原版は、感光性樹脂組成物層上に、赤外線アブレーション層を有する。
赤外線アブレーション層は、赤外線によって描画加工が可能であり、感光性樹脂組成物層を露光硬化させる際にマスク画像の役割を果たす。前記露光が終了してから感光性樹脂組成物層の未露光部を洗い出しする際に、この赤外線アブレーション層も同時に除去される。
当該赤外線アブレーション層は、少なくとも、紫外線領域から可視光領域の放射線を遮断し、赤外線領域の光を吸収し熱に変換する機能を有する赤外線吸収剤と、その赤外線吸収剤の系中への分散を補助する分散剤と、バインダーポリマーとを含有している。
また、これら以外の任意成分として、フィラー、シリコーンオイル、界面活性剤又は塗布助剤等、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本実施形態のフレキソ印刷原版の赤外線アブレーション層の膜厚は、フレキソ印刷原版に対して露光処理を行う工程の際の紫外線に対する遮光性を確保する観点からは厚い方がよく、アブレーション性を高くする観点からは薄い方がよい。
以上のような観点から、赤外線アブレーション層の膜厚は0.1μm以上20μm以下が好ましく、0.5μm以上15μm以下がより好ましく、1.0μm以上10μm以下がさらに好ましい。
赤外線アブレーション層の非赤外線遮蔽効果としては、赤外線アブレーション層の光学濃度が2以上となることが好ましく、光学濃度が3以上となることがより好ましい。光学濃度は、D200-II透過濃度計(GretagMacbeth社製)を用いて測定できる。また、光学濃度はいわゆる視感(ISO visual)であり、測定対象の光は400~750nm程度の波長領域である。
<赤外線吸収剤>
本実施形態に用いる赤外線アブレーション層は、赤外線吸収剤を含有することが好ましい。
赤外線吸収剤としては通常750nm~20,000nmの範囲の波長に強い吸収特性を有する単体又は化合物が用いられる。赤外線吸収剤は非赤外線の遮蔽物質を兼ねられるものが好ましいが、赤外線吸収剤と非赤外線の遮蔽物質とを個別に添加してもよい。
赤外線吸収剤としては、赤外領域の吸収性が高く、赤外線アブレーション層内に均一分散可能なものが好ましい。このような物質としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、酸化クロム、亜クロム酸銅等の無機顔料や、フタロシアニン及び置換フタロシアニン誘導体、シアニン染料、メロシアン染料及びポリメチン染料、金属チオレート染料等の色素類が挙げられる。
非赤外線の遮蔽物質としては、紫外光線を反射又は吸収する物質が使用できる。以下に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、紫外線吸収剤、グラファイト等が好適である。
なお、赤外線吸収剤、非赤外線の遮蔽物質共に、一種単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
赤外線吸収剤としては非赤外線の遮蔽効果を併せ持ち、入手が容易で安価であるカーボンブラックが特に好ましい。
カーボンブラックの粒径は任意の範囲で選択可能であるが、一般的に粒子径が小さいほど赤外線に対する感度が高くなり、分散性が悪くなる。以上の観点から、カーボンブラックの粒子径は、20nm以上80nm以下であることが好ましく、25nm以上70nm以下であることがより好ましく、30nm以上60nm以下であることがさらに好ましい。
カーボンブラックは、以下に限定されるものではないが、その製造方法から、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等に分類されるが、ファーネスブラックは、入手性や多様性の観点から好ましい。
赤外線アブレーション層における赤外線吸収剤の含有量は、赤外線アブレーション層を描画加工する際の、使用レーザー光線による除去が可能な感度を確保する範囲内で選択し、添加することが好ましい。
レーザー光線の感度は、赤外線アブレーション層中に均一に分散している赤外線吸収剤量が増加するほど高くなるが、赤外線吸収剤が多くなりすぎて凝集等を起こすと逆に低下する傾向にある。このような観点から、赤外線アブレーション層全体に対する赤外線吸収剤の含有量は、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
赤外線吸収剤にカーボンブラックを使用する場合の赤外線アブレーション層の形成方法を、例を挙げて説明する。
適当な溶媒を用いてバインダーポリマー溶液を調製し、そこにカーボンブラックと分散剤を添加し、カーボンブラックをバインダーポリマー溶液中に分散させてからポリエステルフィルム等のカバーフィルム上にコーティングし、その後このカバーフィルムを感光性樹脂組成物層にラミネート又はプレス圧着して赤外線レーザーで切除可能な非赤外線の遮蔽層を転写させる方法等が有効である。
バインダーポリマー溶液にカーボンブラックを分散させる方法としては、撹拌羽根による強制撹拌と超音波や各種ミルを利用した撹拌を併用する方法が効果的である。あるいはバインダーポリマーとカーボンブラックと分散剤とを、押し出し機やニーダーを用いて予備混練してから溶剤に溶解する方法も、カーボンブラックの良好な分散性を得るために有効である。またラテックス溶液の状態にあるポリマー中に、カーボンブラックを強制分散させてもよい。
赤外線吸収剤は、後述する分散剤の吸着部と相互作用し得る表面官能基を有していることが好ましい。このような表面官能基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カルボニル基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、フェニル基、スルホン基、ニトロ基、無水マレイン酸、キノン、ラクトン、エステル等が挙げられる。
赤外線吸収剤の表面官能基含有量の簡易評価法としては、ASTM D 1512で規定されている測定法で求められるpH値が用いられる。
分散剤と十分な相互作用を得るために、pH値は9以下であることが好ましく、より好ましくは8.5以下、さらに好ましくは8以下である。
一方で、赤外線アブレーション層とカバーフィルムとの相互作用を抑制し、剥離を容易にする観点から、pH値は2.5以上であることが好ましく、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは、3.5以上である。
<分散剤>
赤外線アブレーション層に含有される分散剤とは、赤外線吸収剤の表面官能基と相互作用しうる吸着部と、バインダーポリマーと相溶し得る樹脂相溶部とを有する化合物である。
分散剤の吸着部としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アミノ基、アミド基、ウレタン基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホン基、ニトロ基が挙げられ、アミノ基、アミド基、ウレタン基が好ましい。
樹脂相溶部としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和アルキル、不飽和アルキル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル、ポリオールが挙げられる。
<バインダーポリマー>
赤外線アブレーション層は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。
バインダーポリマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレア系樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、及びこれらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
上記バインダーポリマーは、赤外線吸収剤、例えばカーボンブラック、及び分散剤との相溶性を損なわない範囲で、アミノ基、ニトロ基、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、ハロゲン等の各種官能基を含んでいてもよい。
上記バインダーポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上を組み合わせて用いる場合には、必要な性能に応じて選択すればよい。
例えば、耐傷性の観点からは、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーの共重合体から構成される熱可塑性エラストマー、前記共重合体の水素添加物、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーの共重合体から構成される熱可塑性エラストマー、前記共重合体の水素添加物がより好ましい。
また、赤外線アブレーション層とカバーフィルムとの密着は、当該赤外線アブレーション層の含有成分と、カバーフィルムの含有成分同士の分子間力によって生じるため、極性基が少ないバインダーポリマーを用いることが剥離性の観点から好ましい。例えば、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーとの共重合体から構成される熱可塑性エラストマー、前記共重合体の水素添加物、ポリ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
水現像性が必要な場合には、ポリアミド、ポリブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリレート及びそれらの変性物や部分ケン化体を用いることが好ましい。
バインダーポリマーの数平均分子量は任意に設定することができ、目的とする赤外線アブレーション層のPH(ピンホール)耐性、アブレーション効率を考慮して選択すればよい。
一般的には数平均分子量が小さくなるほど柔らかく、耐傷性が低下し、逆に大きくなるほどアブレーション効率が悪くなる。
赤外線アブレーション層のPH耐性の観点から、バインダーポリマーの数平均分子量は1,000以上が好ましく、3,000以上がさらに好ましい。
また、アブレーション効率を考慮すると、バインダーポリマーの数平均分子量は200,000以下が好ましく、150,000以下がさらに好ましい。
これらの数値の上下限は任意に組み合わせられる。
バインダーポリマーの数平均分子量は、当該ポリマーの重合条件、例えば、モノマー量、重合時間、重合温度等の重合条件を適宜調整することにより前記数値範囲に制御することができる。
また、複数のポリマーを混合することにより所望の数平均分子量とすることも有効である。
赤外線アブレーション層全体に対するバインダーポリマーの含有割合は、本発明の目的を損なわない範囲で任意に設定することができる。
PH耐性の観点からは、赤外線アブレーション層全体に対するバインダーポリマーの含有割合は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらにより好ましい。
一方、赤外線への感度を向上させるためにカーボンブラック等の赤外線吸収剤の濃度を向上させる観点から、90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。これらの数値の上下限は任意に組み合わせられる。
<添加剤>
赤外線アブレーション層は、後述のように、例えば、カバーフィルム上に製膜されるが、製膜時には一般的に溶液や分散液の状態でカバーフィルム上に塗布、乾燥を経て製膜されることが好ましい。
溶液や分散液のカバーフィルムに対する濡れ性や膜の均一性を向上させるために、シリコーン樹脂、界面活性剤、その他所望の添加剤を添加してもよい。
界面活性剤としては一般的なノニオン性、カチオン性、アニオン性、両性のものが適用可能であり、適宜選択すればよい。
シリコーン樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等の無変性のシリコーンオイル;ポリエーテル変性シリコーン、アラルキル変性シリコーン、フルオロアルキル変性シリコーン、長鎖アルキル変性シリコーン等の変性シリコーンオイルが挙げられる。
またフッ素系界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、パーフルオロアルキル基含有酸塩、パーフルオロアルキル基含有エステル、含フッ素基含有オリゴマー等が挙げられる。
これらのうち、アブレーション時の発生ガスを考慮するとシリコーン樹脂が環境面からより好ましく、特に剥離性とアブレーション層を作製するための塗液の塗布安定性とのバランスの観点からポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
赤外線アブレーション層中における界面活性剤や添加剤の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で任意に設定することができる。
これらの界面活性剤や添加剤が好適に効果を発揮する範囲としては、赤外線アブレーション層中における界面活性剤や添加剤の含有割合は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上25質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
これらの界面活性剤や添加剤は、赤外線アブレーション層の吸湿性を著しく高めることがなければ水溶性、非水溶性のいずれでもよいが、吸湿性の観点からは非水溶性であることがより好ましい。
<塗工溶媒>
赤外線アブレーション層を製膜するための溶液や分散液等の溶媒は、使用するポリマーや赤外線吸収剤の溶解性を考慮して適宜選択できる。
溶媒は一種単独で用いてもよく、二種以上の溶媒を混合して用いてもよい。
また、例えば、比較的低沸点の溶媒と高沸点の溶媒を混合して、溶媒の揮発速度を制御することで赤外線アブレーション層の膜質を向上させることも有効である。
赤外線アブレーション層を製膜するための溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、水、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-ペンタン、アセトニトリルやその類縁体等が挙げられる。
(カバーフィルム)
本実施形態の赤外線アブレーション層を製膜するためのカバーフィルムは、寸法安定性に優れたフィルムであることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が好ましい。
カバーフィルムは未処理の状態で使用してもよいが、必要に応じて離型処理、帯電防止処理等の機能を付与したものを使用してもよい。
(中間層)
本実施形態のフレキソ印刷原版は、前記感光性樹脂組成物層と、赤外線アブレーション層との間に、1層以上の中間層を、さらに有していてもよい。
高精細かつハイライト領域を有する印刷物を作製するためには、ドット先端部の平坦部が直径10~20μm、レリーフ深度が100μm以上である、微小なドットを形成させる必要がある。このような微小なドットを達成するためには、中間層は、酸素阻害能を有する酸素阻害層であることが好ましい。
また、中間層は、接着機能を有する接着層であってもよい。
感光性樹脂組成物層を紫外線の照射により硬化する際、硬化はラジカル重合によって進行する。重合の際に酸素が共存するとラジカル生成化合物と酸素が反応して重合反応が抑制される。重合反応が抑制され、感光性樹脂組成物層に未反応部分が残ると、最終的に形成されるパターンは先端に曲線部を有する形状になる。これに対して、紫外線硬化時に酸素の共存量を減少させると重合反応が抑制されにくくなり、最終的に形成されるパターンは先端に平面部を有する形状になる。したがって、先端に平坦部を有するパターンを作製しようとする場合、中間層が酸素阻害能を有することにより、感光性樹脂組成物層に接する酸素を減少させることが有効である。
また、中間層は、赤外線アブレーション層を保護する機能も有する。
従来のフレキソ印刷版の製造工程においては、赤外線アブレーション層をフィルム送りする際、ロールと接触したり、フィルムロール輸送中に巻き締まりが生じたりすることによって保護フィルムとこすれたりして物理的に欠落し、PHが生じるおそれがある。
また、感光性樹脂組成物層を押し出し成型しながら赤外線アブレーション層上に塗設する方法により感光性樹脂組成物層と赤外線アブレーション層とを積層させる場合には、加熱溶融した感光性樹脂組成物が赤外線アブレーション層上を流動した際に生じる摩擦よって、PHが生じるおそれがある。
このような赤外線アブレーション層のPHの発生を防ぐために、本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる中間層は、物理的な強度、耐熱性を有することが好ましい。
上述したように、高精細かつハイライト領域を有する印刷物を作製するためには、ドット先端部の平坦部が直径10~20μmである微小なドットを形成することが好ましい。そのため、仮に赤外線アブレーション層に20μm以上のPHがあって、その周辺に微小ドットを形成するためのマスク画像が重なった場合、ドット形成不良が起きて、高精細かつハイライト領域を有するフレキソ印刷版を作製することができなくなるおそれがある。
さらに、中間層は、赤外線アブレーション層及び/又は感光性樹脂組成物層と同一の洗浄液で洗浄できることが、フレキソ印刷版の製造工程の簡便さの観点から好ましい。
中間層の洗浄性が高いと、洗浄工程にかかる時間を短縮でき、作業性が向上し、中間層の下層に位置する感光性樹脂組成物層の現像を容易に行うことができる。
中間層に好適に用いられる材料としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース誘導体、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、シリコンゴム、ブチルゴム、及びイソプレンゴム等のポリマーが挙げられる。
これらのポリマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、中間層には、その他の成分、例えば、界面活性剤、ブロッキング防止剤、離型剤、UV吸収剤、染料、顔料等が添加されていてもよい。
中間層の厚さは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。中間層の厚さが0.5μm以上であることにより、十分な膜強度が得られ、20μm以下であることにより十分な洗浄性を得ることができる。中間層の厚さは0.5μm以上10μm以下がより好ましく、0.5μm以上5μm以下がさらに好ましい。
中間層に用いられる材料としては、水分散性ラテックスも好適な材料として挙げられる。
水分散性ラテックスとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリブタジエンラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリクロロプレンラテックス、ポリイソプレンラテックス、ポリウレタンラテックス、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体ラテックス、ビニルピリジン重合体ラテックス、ブチル重合体ラテックス、チオコール重合体ラテックス、アクリレート重合体ラテックス等の水分散ラテックス重合体や、これらの重合体にアクリル酸やメタクリル酸等の他の成分を共重合して得られる重合体が挙げられる。
これらの中でも、分子鎖中にブタジエン骨格又はイソプレン骨格を含有する水分散ラテックス重合体が、硬度やゴム弾性の観点から好ましい。具体的には、ポリブタジエンラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体ラテックス、ポリイソプレンラテックスが好ましい。
本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる中間層に含有される水分散性ラテックスは、極性基を有しているものとし、当該極性基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、リン酸機、スルホン酸基、それらの塩等が好ましいものとして挙げられる。
本実施形態のフレキソ印刷原版を用いたフレキソ印刷版において、高い洗浄性及び層間の優れた密着性を得る観点から、前記水分散性ラテックスとしては、カルボキシル基又は水酸基を有するものであることが好ましい。
これら極性基を含む水分散性ラテックスは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
カルボキシル基を有する水分散性ラテックスとしては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基を有する不飽和単量体を重合単量体として含むものが挙げられる。当該カルボキシル基を有する不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、一塩基酸単量体、及び二塩基酸単量体等が挙げられる。
一塩基酸単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、及びこれらの一塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
二塩基酸単量体としては、特に限定されないが、例えば、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、ムコン酸、及びこれらの二塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本実施形態において、カルボキシル基を有する不飽和単量体は、1種類単独で用いてもよく、複数種類のカルボキシル基を有する不飽和単量体を同時に用いてもよい。
水酸基を有する水分散性ラテックスとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体が挙げられる。エチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸1-ヒドロキシプロピル、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中間層における、水分散性ラテックスの含有割合は、樹脂密着性の観点から、中間層全量に対し、3質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。
また、中間層における、水分散性ラテックスの含有割合は、べたつきを抑制する観点から、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
中間層における水分散性ラテックスの含有割合が3質量%以上であることにより、十分な密着性が得られ、また、含有割合が90質量%以下であることにより、十分な膜強度を有し、タックの少ないフレキソ印刷原版が得られる。
水分散性ラテックスのトルエンゲル分率は、70質量%以上90質量%以下であることが好ましい。より好ましくは70質量%以上85質量%以下であり、さらに好ましくは70質量%以上80質量%以下である。
水分散性ラテックスのトルエンゲル分率が70質量%以上90質量%以下の範囲であると、十分なゴム弾性・膜強度を維持しつつ、べたつきの少ないフレキソ印刷原版が得られる。
ここで、水分散性ラテックスのトルエンゲル分率は、以下の方法で測定することができる。
水分散性ラテックスの乳化重合後の分散液を、130℃で30分間乾燥させた皮膜を0.5g取り、25℃のトルエン30mLに浸漬し、振とう器を用いて3時間振とうした後に320SUSメッシュで濾過し、不通過分を130℃で1時間乾燥した後、質量X(g)を測定する。
水分散性ラテックスのトルエンゲル分率は以下の式より算出される。
水分散性ラテックスのトルエンゲル分率(質量%)=X(g)/0.5(g)×100
前記水分散性ラテックスのトルエンゲル分率は、重合温度、モノマー組成、連鎖移動剤量、粒子径を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
中間層に含有される水溶性ポリウレタンは、ウレタン結合を有するポリマーであれば特に限定されず、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン等が挙げられる。
前記水溶性ポリウレタンを安定的に有機溶剤及び/又は水に、溶解又は分散させるため、ポリオール化合物及びポリイソシアネートに加えて、重合成分として親水基含有化合物を添加することも好ましい。
前記ポリオール化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール、ポリアクリルポリオール等が挙げられる。
これらは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、密着性の観点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、多価アルコールにイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルポリオール、すなわち、多価アルコールとイオン重合性環状化合物との反応物が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフトハイドロキノン、アントラハイドロキノン、1,4-シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジオール、及びペンタシクロペンタデカンジメタノール等が挙げられる。
これらは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記イオン重合性環状化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、ブテン-1-オキシド、イソブテンオキシド、3,3-ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。
これらは一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記ポリオール化合物としては、前記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β-プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸又はジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。
これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状に結合をしていてもよい。
前記ポリイソシアネートとしては、ポリウレタンの製造に一般的に用いられるポリイソシアネートを特に限定されることなく使用できる。
ポリイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、1,6-ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアネートエチル)フマレート、6-イソプロピル-1,3-フェニルジイソシアネート、4-ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(又は6)-ビス(イソシアネートメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、一種のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
中間層に含有される前記水溶性ポリウレタンは、本実施形態のフレキソ印刷原版の製造工程で熱押出成型を行う際、フレキソ印刷原版を構成する赤外線アブレーション層のPH耐性を高め、フレキソ印刷原版の柔軟性を維持するため、前記水溶性ポリウレタンで作製した膜の伸度が300%以上であることが好ましく、600%以上であることがより好ましい。
また、前記水溶性ポリウレタンの熱軟化温度は、80℃~210℃であることが好ましい。PH耐性の観点から80℃以上であることが好ましく、接着性の観点から210℃以下であることが好ましい。
また、前記水溶性ポリウレタンの熱軟化温度は、110℃~180℃であることがより好ましく、120℃~170℃であることがさらに好ましい。
水溶性ポリウレタンの熱軟化温度は、高化式フローテスターにより測定することができる。
また、水溶性ポリウレタンの熱軟化温度は、水溶性ポリウレタンを構成しているジオール成分とジイソシアネート成分との種類・組み合わせを調整することによって上記数値範囲に制御することができる。
赤外線アブレーション層のPH耐性に影響を与える特性は、中間層に含有される水溶性ポリウレタン単独膜の熱溶融温度、伸度、破断強度の3つのパラメータであると考えられる。
本実施形態のフレキソ印刷原版の製造時に、混練後の樹脂(感光性樹脂組成物層の材料)温度は、120~140℃程度となることが好ましい。その際に、中間層に含有される水溶性ポリウレタン単独膜の熱軟化温度が混練後の樹脂温度に近い、あるいは低いものほど、また、水溶性ポリウレタン単独膜の伸度が大きいものほど、混練後の樹脂のせん断応力に追随するため、赤外線アブレーション層及び中間層がシート化しやすくなる。
また、水溶性ポリウレタン単独膜の破断強度は、感光性樹脂組成物層を構成する材料である混錬樹脂(混錬不良のゲル状物質も含有)と、赤外線アブレーション層及び中間層との熱ラミネート時に、ゲル状物よる引っ掻きによって、直接混錬樹脂と接している中間層が破断し、赤外線アブレーション層にPHが発生するため、水溶性ポリウレタン単独膜の破断強度が大きいものほどよい。
また、前記水溶性ポリウレタンの数平均分子量は、中間層の柔軟性の観点から、1,000~200,000であることが好ましく、30,000~100,000であることがより好ましい。
また、中間層に含有される水溶性ポリウレタンは、ポリエーテルポリオールとイソシアネートを反応させたポリエーテルポリウレタンであることが、赤外線アブレーション層や感光性樹脂組成物層との密着性の観点から好ましい。このようなポリエーテルポリウレタンとしては、特に限定されないが、例えば、スーパーフレックス300(第一工業製薬社製)やハイドランWLS202(DIC社製)等が市販されている。
水溶性ポリウレタンは、分子内に、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルエーテルのいずれかの構造を有することが好ましく、さらにポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、さらに接着性の観点からポリエーテル構造を有することが好ましい。
樹脂密着力、すなわち中間層と感光性樹脂組成物層との密着力は、中間層に含有される水分散性ラテックスと水溶性ポリウレタンにより発現する。
初期の密着性に関しては、水溶性ポリウレタンが主に前記樹脂密着力に寄与し、水溶性ポリウレタンのガラス転移温度が低い方が、感光性樹脂組成物層に濡れやすいため樹脂密着力が優れたものとなる傾向にある。
また、フレキソ印刷原版を長期放置した後の密着力は、水分散性ラテックスのアンカー効果が寄与する。
感光性樹脂組成物層中にスチレンブタジエン系の樹脂を用いている場合、当該スチレンブタジエン系の樹脂は中間層中の水分散性ラテックスと相溶しやすいため、長期保存時に移行することでアンカー効果が発現し、長期保存後でも樹脂密着力が維持される。
中間層における、水溶性ポリウレタンの含有割合は、中間層全量に対し、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。
また、中間層における、水溶性ポリウレタンの含有割合は、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
中間層全量に対する水溶性ポリウレタンの含有割合が10質量%以上であることにより、十分な耐PH性が得られ、また、中間層全量に対する水溶性ポリウレタンの含有割合が90質量%以下であることにより、十分な密着性が得られる。
水溶性ポリウレタンは、洗浄性及び高温時の中間層の強度の観点から、極性基を有することが好ましい。
極性基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基等のポリエーテル基;カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ウレア基、シアノ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシル基、又は水酸基を有する水溶性ポリウレタンが好ましい。
中間層は、水溶性ポリアミドを、さらに含んでもよい。
水溶性ポリアミドとしては、ポリアミド結合を有するポリマーであれば特に限定されず、炭素数4~40のラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸との等モル塩等が挙げられる。
前記ポリアミド結合を有するポリマーとしては、従来公知の可溶性合成高分子化合物を使用できる。具体的には、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルアミド(例えば、特開昭55-79437号公報等を参照)、ポリエーテルエステルアミド(例えば、特開昭58-113537号公報等を参照)、三級窒素含有ポリアミド(例えば、特開昭50-76055号公報等を参照)、アンモニウム塩型三級窒素原子含有ポリアミド(例えば、特開昭53-36555号公報等を参照)、アミド結合を1つ以上有するアミド化合物と有機ジイソシアネート化合物の付加重合体(例えば、特開昭58-140737号公報等を参照)、アミド結合を有しないジアミンと有機ジイソシアネート化合物の付加重合体(例えば、特開平4-97154号公報等を参照)等が挙げられる。
これらの水溶性ポリアミドは、一種単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、中間層に適度な硬度を付与できる三級窒素原子含有ポリアミド及びアンモニウム塩型三級窒素原子含有ポリアミドが好ましく用いられる。
中間層における、水溶性ポリアミドの含有割合は、水分散性ラテックス100質量部に対して、10~700質量部であり、好ましくは15~600質量部であることが好ましく、20~500質量部であることがさらに好ましい。
水溶性ポリアミドの含有割合が、水分散性ラテックス100質量部に対して10質量部以上であると中間層の膜強度を維持できるため、十分なPH耐性が得られる。
また、水溶性ポリアミドの含有割合が700質量部以下であることにより、樹脂密着性を維持できる。
〔赤外線アブレーション層形成用の積層体の製造方法〕
本実施形態のフレキソ印刷原版に用いる赤外線アブレーション層を形成するための赤外線アブレーション層形成用の積層体は、特に限定されないが、例えば、下記のようにして製造することができる。
まず、赤外線アブレーション層を構成する各成分及び溶剤を含有する塗工液を調製する。
次に、カバーフィルムの上に上記塗工液を塗工し、塗工層を形成する(塗工工程)。
次に、塗工層から溶剤を除去する(乾燥工程)。
上述した中間層を形成する場合は、当該赤外線アブレーション層側に、中間層を構成する各成分及び溶剤を含有する塗工液を用いて、上述の赤外線アブレーション層の形成と同様の塗工工程と乾燥工程とを経ることで、中間層を形成する。
〔フレキソ印刷原版の製造方法〕
本実施形態のフレキソ印刷原版の製造方法は、少なくとも、支持体、感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層が、この順で積層して積層体を得る工程と、前記積層体の感光性樹脂組成物層が、支持体側の面、赤外線アブレーション層側の面、及び4つの側面を有する形状であり、該感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面に波長340nm以上の光を照射することによって該側面を硬化させる工程と、を含む。このように感光性樹脂組成物層の少なくとも1つの側面を硬化させて得られたフレキソ印刷原版は、圧力をかけた際の側面変形抑制効果が発現する。
また、本実施形態のフレキソ印刷原版の製造方法は、前記側面を硬化させる工程において、該側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離を1mm以上20mm以下とすることが好ましい。このような本実施形態の製造方法で得られたフレキソ印刷原版は、感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面の硬化部分の距離が特定の範囲であることにより、圧力をかけた際の側面変形抑制効果が一層発現する傾向にある。
本実施形態のフレキソ印刷原版の製造方法において、側面を硬化させる工程の具体例としては、例えば、図8に示すとおり、赤外線アブレーション層側から紫外線照射5を行って、感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面を硬化させる工程や、図9に示すとおり、感光性樹脂組成物の側面側から紫外線照射5を行って、感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面を硬化させる工程が挙げられる。
前記感光性樹脂組成物層の支持体側の面及び側面を硬化させるための紫外線照射方法としては、上述したとおり、特に限定されないが、例えば、照射面積が赤外線アブレーション層の面積以上となる光源を赤外線アブレーション層側に設置して赤外線アブレーション層側から紫外線を照射する方法と、光源を前記感光性樹脂組成物層の側面側に設置して感光性樹脂組成物層の側面側から紫外線を照射する方法と、照射面積が支持体の面積以上となる光源を支持体側に設置して支持体側から紫外線を照射する方法がある。
前記紫外線照射方法のうち支持体側から紫外線を照射する場合には感光性樹脂組成物層の側面が硬化することに加えて感光性樹脂組成物層の支持体側の面に均一な硬化層が形成される。赤外線アブレーション層側から紫外線を照射する方法、及び感光性樹脂組成物層の側面側から紫外線を照射する方法では紫外線を照射した側面だけを限定的に硬化させることができる。
本実施形態のフレキソ印刷原版の製造方法は、前記積層体の感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面を硬化するための光源として、感光性樹脂組成物層の側面側に波長340nm以上の光を発する光源を設置することが好ましい。このような製造方法で得られたフレキソ印刷原版は、感光性樹脂組成物層における側面が硬化していることにより、圧力をかけた際の側面変形抑制効果が更に一層発現する傾向にある。
光源としては、特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、カーボンアーク灯、紫外線用蛍光灯、UV-LED等が使用できる。
〔フレキソ印刷版の製造方法〕
本実施形態のフレキソ印刷版の製造方法は、例えば、上述した方法により得られたフレキソ印刷原版に対し、前記支持体側から紫外線照射する工程と、前記赤外線アブレーション層に赤外線を照射してパターンを描画加工する工程と、前記感光性樹脂組成物層に紫外線を照射してパターン露光する工程と、前記赤外線アブレーション層及び未露光の感光性樹脂組成物層を除去する工程とを有する。
その後、必要に応じて後露光処理する工程を行い、感光性樹脂組成物層の硬化物によるフレキソ印刷版(凸版印刷版)が得られる。
なお、剥離性付与の観点から、フレキソ印刷版の表面をシリコーン化合物及び/又はフッ素化合物を含有する液と接触させてもよい。
支持体側から紫外線照射する工程においては、慣用の照射ユニットを使用して行うことができる。
紫外線としては、波長150~500nmの紫外線を使用でき、特に340~400nmの紫外線を好ましく使用できる。
光源としては、特に限定されないが、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、カーボンアーク灯、紫外線用蛍光灯等を使用できる。
なお、この紫外線照射する工程は、赤外線アブレーション層へパターンを描画加工する工程の前に行ってもよく、パターンを描画加工する工程の後に行ってもよいが、パターンを描画加工する工程の後にマスク側から紫外線照射を行う工程と同時に行うことによってより高精細なレリーフ画像を得ることができる。
フレキソ印刷原版がカバーフィルムを有している場合には、まずカバーフィルムを剥離する。
その後、赤外線アブレーション層に赤外線をパターン照射して、感光性樹脂組成物層上にマスクを形成する。
好適な赤外線レーザーとしては、例えば、ND/YAGレーザー(例えば、1064nm)又はダイオードレーザー(例えば、830nm)が挙げられる。
CTP製版技術に適当なレーザーシステムは市販されており、特に限定されないが、例えば、ダイオードレーザーシステムCDI Spark(ESKO GRAPHICS社)を使用できる。
このレーザーシステムは、フレキソ印刷原版を保持する回転円筒ドラム、IRレーザーの照射装置、及びレイアウトコンピュータを含み、画像情報は、レイアウトコンピュータからレーザー装置に直接送信される。
上述したように、パターン描画した後、感光性樹脂組成物層にマスクを介して紫外線を全面照射する。
これは、版をレーザーシリンダに取り付けた状態で行うことができるが、一般的には版をレーザー装置から取り外し、慣用の照射ユニットを用いて照射する。
照射ユニットは、支持体側からの紫外線照射で用いたものと同様のユニットを使用できる。
本実施形態のフレキソ印刷原版が酸素阻害層や接着層等の中間層を有し、かつ酸素阻害層としての中間層における紫外線の吸収量が多く、パターン露光工程において無視できない場合は、酸素阻害層としての中間層により吸収される紫外線量を予め勘案して適宜紫外線照射量を調整することが好ましい。
次に、現像工程を行う。
現像工程においては、従来公知の方法を適用できる。
具体的には、上記のようにフレキソ印刷原版を露光し、その後、未露光部分を溶剤現像用の溶剤又は水現像用の洗浄液で洗い流すか、あるいは40℃~200℃に加熱された未露光部分を吸収可能な所定の吸収層に接触させ、吸収層を除去することで未露光部分を取り除くことができる。
その後に、必要に応じて後露光処理することによって、フレキソ印刷版が製造される。
なお、赤外線アブレーション層と感光性樹脂組成物層との間に接着層又は酸素阻害層からなる中間層を有する場合には、現像工程において同時に取り除くことが好ましい。
未露光部を溶剤現像するために用いられる現像溶剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘプチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のエステル類;石油留分、トルエン、デカリン等の炭化水素類;やテトラクロルエチレン等の塩素系有機溶剤にプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したもの;が挙げられる。未露光部の洗い出しは、ノズルからの噴射によって、又はブラシによるブラッシングで行われる。
水現像用の洗浄液としては、アルカリ性水溶液又は中性洗剤が使用できる。
前記水現像用の洗浄液には、界面活性剤を好適に用いることができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化オレフィン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル塩、ジチオリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型界面活性剤やグリセロール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエステル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型界面活性剤等が挙げられる。
また、アルカリ性水溶液には、pH調整剤が含有される。
pH調整剤としては、有機材料、無機材料のいずれでもよいが、pHを9以上に調整できるものが好ましい。pH調整剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、琥珀酸ナトリウム等が挙げられる。
熱現像の吸収層としては、特に限定されないが、例えば、不織布材料、紙素材、繊維織物、連続気泡発泡体、及び多孔質材料が挙げられる。
好ましい吸収層としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンか
らなる不織布材料、及びこれらの不織布材料の組み合わせである。特に好ましい吸収層としては、ナイロン又はポリエステルの不織布連続ウェブである。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕
(親水性共重合体の合成)
撹拌装置と温度調節用ジャケットとを取り付けた耐圧反応容器に、水125質量部と、反応性乳化剤として(α-スルフォ(1-ノニルフェノキシ)メチル-2-(2-プロペニルオキシ)エトキシ-ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)のアンモニウム塩「アデカリアソープ」(ADEKA製)2質量部とを初期仕込みし、内温を80℃に昇温した。次に、スチレン10質量部、ブタジエン60質量部、ブチルアクリレート23質量部、メタクリル酸5質量部、及び、アクリル酸2質量部からなる単量体混合物と、t-ドデシルメルカプタン2質量部との油性混合液を調製した。さらに、水28質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2質量部、水酸化ナトリウム0.2質量部、及び、(α-スルフォ(1-ノニルフェノキシ)メチル-2-(2-プロペニルオキシ)エトキシ-ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)のアンモニウム塩2質量部からなる水溶液を調製した。前記耐圧反応容器に、前記油性混合液を5時間、前記水溶液を6時間かけて一定の流速で添加して重合反応を行った。
ついで、前記耐圧反応容器において、80℃の温度をそのまま1時間保って、重合反応を完了し、共重合体ラテックスを得た後、冷却した。
さらに、生成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを7に調整した後、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、最終的には、ろ液の固形分濃度が40質量%になるように調整して親水性共重合体の水分散液を得た。
得られた親水性共重合体の水分散液を50℃の真空乾燥機でドライアップすることにより、水を除去し、親水性共重合体を得た。
〔製造例2〕
(ベースフィルム(支持体)の作製)
支持体(ベースフィルム)にコートする接着剤層用の溶液として、スチレンと1,3-ブタジエンとのブロック共重合体であるタフプレン912(旭化成株式会社製、商品名)を55質量部、パラフィンオイル(平均炭素数33、平均分子量470、15℃における密度0.868)を38質量部、1,9-ノナンジオールジアクリレートを2.5質量部、2,2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノンを1.5質量部、エポキシエステル3000M(共栄社化学株式会社製、商品名)を3質量部、及びバリファストイエロー3150(オリエント化学工業製、商品名)を1.5質量部の割合で、トルエンに溶解させ固形分25%の溶液を得た。
その後、得られた溶液を、ナイフコーターを用いて厚さ188μmポリエステルフィルムの片側に紫外線透過率(UV透過率)4%となるように塗布し、70℃で1分間乾燥して、接着剤層を有する支持体(ベースフィルム)を得た。
支持体のUV透過率は、紫外線露光機AFP-1500(旭化成株式会社製、商品名)を用い、UV照度計MO-2型機(オーク製作所製、商品名、UV-35フィルター)で透過強度を測定し計算した。
〔製造例3〕
(赤外線アブレーション層形成用の積層体の作製)
赤外線吸収剤としてカーボンブラック(CB)100質量部、分散剤としてSolsperse39000(日本ルーブリゾール株式会社製、商品名、塩基価30mgKOH/g)20質量部、バインダーポリマーとしてスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体エラストマーの水素添加物であるタフテックH1051(旭化成株式会社製、商品名)80質量部、トルエン600質量部を混合し、赤外線アブレーション層塗工液を得た。
この赤外線アブレーション層塗工液をカバーフィルムとなる100μmの厚さのPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、90℃で2分間の乾燥処理を施して、赤外線アブレーション層とカバーフィルムとの積層体である赤外線アブレーション層形成用の積層体を得た。
〔実施例1〕
(フレキソ印刷原版の作製)
前記〔製造例1〕で得られた親水性共重合体32質量部と、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体[D-KX405:クレイトン製]28質量部とを、加圧ニーダーを用いて140℃で混合後、液状ポリブタジエン[LBR-352:クラレ製]32質量部、1,9-ノナンジオールジアクリレート8質量部、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート5質量部、2,2-ジメトキシフェニルアセトフェノン2質量部、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール1質量部、カルビノール変性シリコーンオイル[KF-6000:信越化学製]1質量部の液状混合物を15分掛けて少しずつ加えて、加え終えてさらに20分混練し、感光性樹脂組成物1を得た。
次に、得られた感光性樹脂組成物1を押し出し成型機に投入し、T型ダイスから押し出し成型された感光性樹脂組成物層1の片方の面に、前記〔製造例2〕で得られたベースフィルム(支持体)を貼り合わせ、感光性樹脂組成物層1の支持体積層側とは反対の面に離型フィルム(三菱化学社製、ダイアホイルMRV100)を貼り合わせて、感光性樹脂組成物層1の厚みが1.0mmとなるように支持体と感光性樹脂組成物層1との積層体を得た。
次に、前記離型フィルムをはがし、前記〔製造例3〕で得た赤外線アブレーション層形成用の積層体を、赤外線アブレーション層が感光性樹脂組成物層1に接するようにラミネートして、支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層が、この順で積層している積層体を得た。得られた積層体における感光性樹脂組成物層は、支持体側の面、赤外線アブレーション層側の面、及び4つの側面を有する形状であった。
次に、前記積層体の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯(PHILIPS社製、Actinic BL TL-K 40W/10-R)を設置し、前記積層体の感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうちチャッキングする側面に、露光量が700mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し(照度計:オーク製作所製、UV-M03A、受光器:オーク製作所製、UV-35)、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。なお、表1にフレキソ印刷原版の各製造条件を示す。
前記フレキソ印刷原版について紫外線を照射した側面の一部を切り出し、赤外線アブレーション層のカバーシートを剥がして、エタノールを染み込ませた布で赤外線アブレーション層を拭き取って除去し、感光性樹脂組成物層が露出する状態とした。露出した感光性樹脂組成物層の、紫外線を照射した側面から層内部方向1mmの位置を測定点とし、FTIRを用いて測定したところ、光重合性モノマーのビニル基に起因する800~820cm-1の吸光度のピーク値が紫外線照射前の半分以下となったことから、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。
〔硬化の判断基準〕
○(硬化):800~820cm-1の吸光度のピーク値が紫外線照射前の半分以下
×(未硬化):800~820cm-1の吸光度のピーク値が紫外線照射前の半分超
また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、1mmであった。
なお、本実施例において、硬化部分の距離は、感光性樹脂組成物層の紫外線を照射した側面から層内部方向に1mm間隔で測定点を取り、FTIRによる測定で光重合性モノマーのビニル基に起因する800~820cm-1の吸光度のピーク値が紫外線照射前の半分以下となった測定点のうち、紫外線を照射した側面からの距離が最も長い測定点と前記側面からの距離を硬化距離と規定することにより求めた。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
前記フレキソ印刷原版の赤外線アブレーション層のカバーシートを剥がし、ESKO製レーザー描画機(CDI)を用いて、網点画像(AM150線,データ1%~98%網点)を赤外線アブレーション層に描画した後、ESKO製UV-LED露光機(XPS Crystal 4835)を用いて大気雰囲気下で、表1に示すとおり、支持体側からの露光量(バック露光量)が1700mJ、マスク側からの露光量(レリーフ露光量)が9100mJとなるように支持体側からとマスク側からとの両側から同時に紫外線照射を行った。
露光後、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ニューコール2308:日本乳化剤製)1%、炭酸カリウム1%の水溶液(水系現像液)を調製し、220W(旭化成株式会社、商品名)を用いて、40℃で洗浄(現像)し、未露光部を除去した。
50℃で10分間乾燥後、表面のタック性を取るために紫外線殺菌ランプ、紫外線ケミカルランプで後露光して、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例2〕
前記〔実施例1〕で得られた積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が700mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面(非チャッキング側面)には露光量が500mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面、非チャッキング側面で共に1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、フレキソ印刷版作製における条件は〔実施例1〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例3〕
前記〔実施例1〕で得られた積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が1,000mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し、チャッキングする側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、フレキソ印刷版作製における条件は〔実施例1〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例4〕
前記〔実施例1〕で得られた積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が1,000mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が500mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面、非チャッキング側面で共に1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、フレキソ印刷版作製における条件は〔実施例1〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例5〕
前記〔実施例1〕で得られた積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の支持体側(感光性樹脂組成物層の支持体面側)に紫外線照射面積が支持体面積より大きくなるように高圧水銀灯を1cm間隔で並べて設置し、支持体面の露光量が690mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した支持体側の面及び4つの側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、1mmであった。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している支持体側の面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、0.3mmであった。
なお、本実施例において、支持体側の硬化部分の距離は以下のように測定した。赤外線アブレーション層側のカバーシートを剥がして、エタノールを染み込ませた布で赤外線アブレーション層を拭き取って除去し、感光性樹脂組成物層が露出する状態とした後、露出した感光性樹脂組成物層の表面を最初の測定点として、FTIRを用いて測定を行った。測定結果における800~820cm-1の吸光度のピーク値が紫外線照射前の半分以上であった場合には、感光性樹脂組成物層を層内部方向に研磨材で0.1mm研磨し、再度FTIRを用いて測定を行った。上記の研磨とFTIR測定とを繰り返し、最初に800~820cm-1の吸光度のピーク値が紫外線照射前の半分以下となった感光性樹脂組成物層の表面から支持体表面への距離を厚み計にて測定し、そこから支持体の厚みを差し引くことで支持体側の硬化部分の距離を求めた。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いて、前記〔実施例1〕の赤外線アブレーション層に描画した後、支持体側からの露光は行わず、マスク側からのみ、露光量が9100mJとなるように紫外線照射を行った。フレキソ印刷版作製におけるその他の条件は〔実施例1〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例6〕
前記〔実施例1〕で得られた積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)にUV-LEDを設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が300mJとなるように紫外線(波長:360nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が200mJとなるように紫外線(波長:360nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面、非チャッキング側面で共に1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、フレキソ印刷版作製における条件は〔実施例1〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例7〕
前記〔製造例2〕に記載の接着剤層を有する支持体を作製する際、125μmのポリエステルフィルムの片側に紫外線透過率(UV透過率)25%となるように接着剤層用の溶液を塗布した。
前記〔実施例1〕の積層体を得る際に、感光性樹脂組成物層の厚みが1.5mmとなるように積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)を得た。
前記積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が700mJとなるように紫外線(波長:(370)nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が500mJとなるように紫外線(波長:(370)nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面、非チャッキング側面で共に1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いて、前記〔実施例1〕の赤外線アブレーション層に描画した後、支持体面の露光量が2100mJ、マスク面の露光量が10600mJとなるように紫外線照射を行った。フレキソ印刷版作製におけるその他の条件は〔実施例1〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例8〕
前記〔実施例7〕の積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が700mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が700mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、フレキソ印刷版作製における条件は〔実施例7〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例9〕
前記〔実施例7〕の積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が1,000mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が500mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射して、4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面で2mm、非チャッキング側面で1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、フレキソ印刷版作製における条件は〔実施例7〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例10〕
前記〔実施例7〕の積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が1,000mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が700mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面で2mm、非チャッキング側面で1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、フレキソ印刷版作製における条件は〔実施例7〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例11〕
前記〔実施例7〕で得られた積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の支持体側(感光性樹脂組成物層の支持体面側)に紫外線照射面積が支持体面積より大きくなるように高圧水銀灯を1cm間隔で並べて設置し、支持体面の露光量が390mJとなるように紫外線を照射して、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した支持体側の面及び4つの側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、1mmであった。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している支持体側の面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、0.7mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いて、前記〔実施例7〕の赤外線アブレーション層に描画した後、支持体側からの露光は行わず、マスク側からのみ、露光量が10600mJとなるように紫外線照射を行った。フレキソ印刷版作製におけるその他の条件は〔実施例7〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例12〕
前記〔実施例7〕で得られた積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)にUV-LEDを設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が300mJとなるように紫外線(波長:360nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が200mJとなるように紫外線(波長:360nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面、非チャッキング側面で共に1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、フレキソ印刷版作製における条件は〔実施例7〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例13〕
感光性樹脂組成物の製造において、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体[D-KX405:クレイトン製]60質量部を、加圧ニーダーを用いて180℃で混合後、液状ポリブタジエン[LBR-352:クラレ製]32質量部、1,9-ノナンジオールジアクリレート8質量部、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート5質量部、2,2-ジメトキシフェニルアセトフェノン2質量部、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール1質量部、アミノ変性シリコーンオイル[KF-8000:信越化学製]1質量部の液状混合物を15分掛けて少しずつ加えて、加え終えてさらに20分混練し、感光性樹脂組成物2を得た。
前記感光性樹脂組成物層2の厚みが1.5mmとなるように支持体、感光性樹脂組成物層2、及び赤外線アブレーション層を、この順で積層させた積層体を得た。
前記積層体の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が300mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が200mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面、非チャッキング側面で共に1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
前記フレキソ印刷原版の赤外線アブレーション層に描画した後、支持体面の露光量が4100mJ、マスク面の露光量が12700mJとなるように紫外線照射を行った。次に、3-メトキシブチルアセテートを現像液として、「AFP-1321P」現像機(旭化成製、商品名)で、液温30℃で100mm/分の速度で現像を行い、60℃で2時間乾燥させて、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔実施例14〕
前記〔実施例13〕の積層体を得る際に、感光性樹脂組成物層2の厚みが2.5mmとなるように積層体(支持体、感光性樹脂組成物層2、及び赤外線アブレーション層の積層体)を得た。
前記積層体(支持体、感光性樹脂組成物層2、及び赤外線アブレーション層の積層体)の側面側(感光性樹脂組成物層の側面側)に高圧水銀灯を設置し、感光性樹脂組成物層における支持体側の面及び4つの側面のうち、チャッキングする側面に露光量が500mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射し、チャッキングする側面以外の3つの側面には露光量が300mJとなるように紫外線(波長:370nm)を照射して、感光性樹脂組成物層における4つの側面を硬化させたフレキソ印刷原版を得た。得られたフレキソ印刷原版について実施例1と同様の方法により、紫外線を照射した側面が硬化していることを確認した。また、感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離は、チャッキング側面、非チャッキング側面で共に1mmであった。
また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
前記フレキソ印刷原版の赤外線アブレーション層に描画した後、支持体面の露光量が3700mJ、マスク面の露光量が18,000mJとなるように紫外線照射を行った。その他のフレキソ印刷版の作製における条件は〔実施例13〕と同様にして、フレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔比較例1〕
前記〔実施例1〕の積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の全ての側面に紫外線を照射せず、フレキソ印刷原版を得た。また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
その後、得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、〔実施例1〕と同様の条件でフレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔比較例2〕
前記〔実施例7〕の積層体(支持体、感光性樹脂組成物層1、及び赤外線アブレーション層の積層体)の全ての側面に紫外線を照射せず、フレキソ印刷原版を得た。また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
その後、得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、〔実施例1〕と同様の条件でフレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
前記〔実施例13〕の積層体(支持体、感光性樹脂組成物層2、及び赤外線アブレーション層の積層体)の全ての側面に紫外線を照射せず、フレキソ印刷原版を得た。また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
その後、得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、〔実施例1〕と同様の条件でフレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔比較例4〕
前記〔実施例14〕の積層体(支持体、感光性樹脂組成物層2、及び赤外線アブレーション層の積層体)の全ての側面に紫外線を照射せず、フレキソ印刷原版を得た。また、得られたフレキソ印刷原版の変形度合の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
(フレキソ印刷版の作製)
その後、得られたフレキソ印刷原版を用いた以外、〔実施例1〕と同様の条件でフレキソ印刷版を得た。得られたフレキソ印刷版の網点形成性の評価を後述の方法により行った。評価結果を表2に示す。
〔変形度合の評価方法〕
上記方法にて得られたフレキソ印刷原版をESKO製レーザーアブレーション装置CDI Crystal 4835のドラムロールにクランプでチャッキングし、30分間後のフレキソ印刷原版のチャッキング側面及び非チャッキング側面における感光性樹脂組成物層側面の変形状態を確認して以下のとおり評価を行った。
〔評価基準〕
1:感光性樹脂組成物層側面における変形の大きさが側面垂線方向に1mm以上であった。
2:感光性樹脂組成物層側面における変形の大きさが側面垂線方向に1mm未満であった。
3:感光性樹脂組成物層側面における変形が見られなかった。
〔網点形成性の評価方法〕
上記方法にて得られたフレキソ印刷版の網点画像のAM150線における最小形成網点を確認し、以下のとおり網点形成性の評価を行った。ここで、網点画像のAM150線とは、画像を格子状に分割する際の分割単位を指し、具体的には、AM150線とは1インチを150個の網点に分割する分割単位であり、最小形成網点とは、ドットを形成するレーザー最小照射面積であり、下記式により算出できる。
最小形成網点(%)=(1つの網点においてドットを形成するレーザー最小照射面積÷網点全体の面積)×100
〔評価基準〕
1:AM150線の最小形成網点がデータ3%未満であった。
2:AM150線の最小形成網点がデータ3%以上5%未満であった。
3:AM150線の最小形成網点がデータ5%以上であった。
なお、網点形成性とは、図10に示すとおり、ブラックマスクの破線で囲った部分をレーザー照射し、次に、未硬化樹脂をUV露光することにより硬化樹脂とし、洗浄して、ドットが等間隔に並んだ網点を形成した際、レーザー照射した面積と形成したドット頂面の面積とがどれだけ一致するかという性質である。
Figure 2022119359000002
Figure 2022119359000003
1…支持体、2…感光性樹脂組成物層の側面における硬化部分、2’…感光性樹脂組成物層の支持体側の面における硬化部分、3…感光性樹脂組成物層における未硬化部分、4…赤外線アブレーション層、5…紫外線照射

Claims (8)

  1. 少なくとも、支持体、感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層が、この順で積層している積層体を含むフレキソ印刷原版であって、
    前記積層体の感光性樹脂組成物層が、支持体側の面、赤外線アブレーション層側の面、及び4つの側面を有する形状であり、該感光性樹脂組成物層において、4つの側面のうち、少なくとも1つの側面が硬化しているか、又は、少なくとも1つの側面と支持体側の面とが硬化している、フレキソ印刷原版。
  2. 前記積層体の感光性樹脂組成物層における4つの側面のうち、少なくとも、向かい合う2つの側面が硬化している、請求項1に記載のフレキソ印刷原版。
  3. 前記積層体の感光性樹脂組成物層における全側面が硬化している、請求項1又は2に記載のフレキソ印刷原版。
  4. 前記積層体の感光性樹脂組成物層において、硬化している側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離が1mm以上20mm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキソ印刷原版。
  5. 前記積層体の感光性樹脂組成物層において、硬化している面が1つ以上の側面であり、該側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離が1mm以上20mm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフレキソ印刷原版。
  6. 少なくとも、支持体、感光性樹脂組成物層、及び赤外線アブレーション層が、この順で積層して積層体を得る工程と、
    前記積層体の感光性樹脂組成物層が、支持体側の面、赤外線アブレーション層側の面、及び4つの側面を有する形状であり、該感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面に波長340nm以上の光を照射することによって該側面を硬化させる工程を含む、フレキソ印刷原版の製造方法。
  7. 前記側面を硬化させる工程において、該側面の表面から層内部方向の硬化部分の距離を1mm以上20mm以下とする、請求項6に記載のフレキソ印刷原版の製造方法。
  8. 前記積層体の感光性樹脂組成物層における少なくとも1つの側面を硬化するための光源として、感光性樹脂組成物層の側面側に波長340nm以上の光を発する光源を設置する、請求項6又は7に記載のフレキソ印刷原版の製造方法。
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