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JP2022117355A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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JP2022117355A JP2021014006A JP2021014006A JP2022117355A JP 2022117355 A JP2022117355 A JP 2022117355A JP 2021014006 A JP2021014006 A JP 2021014006A JP 2021014006 A JP2021014006 A JP 2021014006A JP 2022117355 A JP2022117355 A JP 2022117355A
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Abstract

Figure 2022117355000001
【課題】電解コンデンサの特性を高める。
【解決手段】電解コンデンサは、表面に誘電体層を有する陽極箔と、陰極箔と、陽極箔と陰極箔との間に介在するセパレータと、水酸基含有化合物と、導電性高分子とを含むコンデンサ素子を備える。セパレータは、合成繊維と、セルロース系繊維とを含み、セパレータの表層および内部には、導電性高分子と、水酸基含有化合物とが付着している。水酸基含有化合物は、糖および多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(但し、高分子を除く)である。セパレータにおいて水酸基含有化合物が偏在している。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
電子機器に使用されるコンデンサには、大容量で、且つ、高周波領域における等価直列抵抗(ESR)の値が小さいことが求められている。大容量で低ESRのコンデンサとしては、ポリチオフェンなどの導電性高分子を用いる電解コンデンサが有望である。電解コンデンサのコンデンサ素子は、例えば、陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回して電極群を構成し、電極群に導電性高分子の分散体を含浸させて得られる。
特許文献1は、固体電解コンデンサに用いるセパレータとして、セルロースを溶剤に溶解し、この溶液を噴射するノズルに直流電圧を印加して繊維径が1μm以下の長繊維を堆積させて構成されたセパレータを開示している。また、特許文献1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アラミド等の合成樹脂を有機溶媒または水に溶解し、この溶液を噴射するノズルに直流電圧を印加して繊維径が1μm以下の長繊維の非フィブリル化繊維を堆積させて構成されたセパレータを開示している。
特許文献2は、電気化学素子に用いるセパレータとして、天然セルロース繊維Aの20~80質量%と、天然セルロース繊維Bの10~50質量%と、叩解された再生セルロース繊維の10~50質量%とを含むセパレータを開示している。天然セルロース繊維Aは、長さ加重平均繊維長が0.30~1.19mmであり、かつ、CSFが500~50mlである。天然セルロース繊維Bは、長さ加重平均繊維長および最大分布繊維長が1.20~1.99mmであり、かつ、CSFが500~50mlである。
特開2010-245150号公報 国際公開第2017/047699号パンフレット
現在、より高い特性(例えば、低いESR、高い耐電圧性および信頼性など)を有する電解コンデンサが求められている。
本発明の一側面は、表面に誘電体層を有する陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に介在するセパレータと、水酸基含有化合物と、導電性高分子とを含むコンデンサ素子を備え、前記セパレータは、合成繊維と、セルロース系繊維とを含み、前記セパレータの表層および内部には、前記導電性高分子と、前記水酸基含有化合物とが付着しており、前記水酸基含有化合物は、糖および多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(但し、高分子を除く)であり、前記セパレータにおいて、前記水酸基含有化合物が偏在している、電解コンデンサに関する。
本発明の他の側面は、表面に誘電体層を有する陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に介在するセパレータと、前記セパレータの表層および内部に付着しており、かつ、前記セパレータにおいて偏在している水酸基含有化合物とを含む中間体を得る第1工程と、前記中間体に導電性高分子を含む処理液を含浸させ、前記コンデンサ素子を得る第2工程と、を含み、前記セパレータは、合成繊維と、セルロース系繊維とを含み、前記水酸基含有化合物は、糖および多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(但し、高分子を除く)である、電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明によれば、特性が高い電解コンデンサが得られる。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。 図1の巻回体の一部を展開した斜視図である。
[電解コンデンサ]
本発明の実施形態に係る電解コンデンサは、表面に誘電体層を有する陽極箔と、陰極箔と、陽極箔と陰極箔との間に介在するセパレータと、水酸基含有化合物と、導電性高分子とを含むコンデンサ素子を備える。セパレータは、合成繊維とセルロース系繊維とを含む。セパレータの表層および内部には、導電性高分子と、水酸基含有化合物とが付着している。以下、陽極箔と陰極箔とセパレータとを合わせて、「電極群」とも称する。
水酸基含有化合物は、糖および多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。但し、水酸基含有化合物は高分子を除く。例えば、多価アルコールの範疇に含まれ得る高分子を除く。当該高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)、末端にアルコール性水酸基を有するポリアルキレンオキサイドなどが挙げられる。ここでいう高分子とは、特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が1000以上の分子を意味する。
セパレータにおいて水酸基含有化合物が偏在している。「セパレータにおいて水酸基含有化合物が偏在」とは、セパレータの表層よりもセパレータの内部に高濃度で水酸基含有化合物が分布していることを意味する。セパレータの表層とは、セパレータの外表面を含むごく薄い領域を指し、セパレータの外表面からの表層の最大深さは、例えば、セパレータの厚みの25%以下である。セパレータの表層での水酸基含有化合物の濃度は、セパレータの外部における水酸基含有化合物の濃度の影響を受けやすく、セパレータの外部での水酸基含有化合物の濃度を表しているとも言える。
セパレータは、繊維により構成される多孔質シートである。セパレータの内部に付着している水酸基含有化合物および導電性高分子とは、セパレータの孔内の壁面に付着している水酸基含有化合物および導電性高分子を意味する。また、セパレータの表層に付着している水酸基含有化合物および導電性高分子とは、セパレータが陽極箔または陰極箔と対向する表面に付着している水酸基含有化合物および導電性高分子を意味する。なお、コンデンサ(電極群)を分解して陰極箔を取り出したときに、陰極箔に付着している水酸基含有化合物および導電性高分子は、セパレータの表層の水酸基含有化合物および導電性高分子とみなすことができる。
水酸基含有化合物の水酸基により導電性高分子の固着性が向上する。セパレータに水酸基含有化合物を偏在させることで、セパレータは多くの導電性高分子を安定して保持することができる。すなわち、セパレータの導電性高分子の付着性を高めることができ、導電性高分子が電解質としての役割を効率的に発揮できる。その結果、良好な特性(特に低ESR)を有する電解コンデンサが得られる。
合成繊維とセルロース系繊維とを含むセパレータを用いる場合、良好な特性(特に低ESR)を有する電解コンデンサが得られる。合成繊維は、耐熱性および耐電圧性の向上の面で有利である。セルロース系繊維は、セパレータの水酸基含有化合物を含む処理液の吸収性向上の面で有利である。すなわち、水酸基含有化合物をセパレータに偏在させる面(低ESR化の面)で有利である。
セパレータが合成繊維を含まず、セルロース系繊維製である場合、セパレータの強度および耐熱性が低く、電解コンデンサが高温に曝されると短絡しやすく、耐電圧性も低い。一方、セパレータがセルロース系繊維を含まず、合成繊維製である場合、水酸基含有化合物を含む処理液をセパレータに含浸させる際にセパレータの孔内に水酸基含有化合物が侵入にくいことがある。すなわち、水酸基含有化合物をセパレータに偏在させにくいことがあり、セパレータの導電性高分子の付着性が低下し、ESRが上昇することがある。
コンデンサ素子において、セパレータの内部における導電性高分子に対する水酸基含有化合物の質量比Mは、セパレータの表層における導電性高分子に対する水酸基含有化合物の質量比Mよりも大きいことが好ましい。質量比Mに対する質量比Mの比:M/Mは、0.5以上、0.95以下であってもよく、0.7以上、0.9以下であってもよい。
コンデンサ素子における水酸基含有化合物の分布は、以下の方法により求めることができる。
(I)電解コンデンサを分解し、セパレータを所定の大きさに切り取り、セパレータ試料を得る。セパレータ試料を乾燥させた後、乾燥後のセパレータ試料の質量を測定する。イオン交換水でセパレータ試料から水酸基含有化合物を抽出する。
(II)別途、同じサイズのセパレータ試料を準備し、セパレータ試料の表層(または表層の付着物)を剥離する。剥離する方法は、表層を薄くスライスして取り去る方法、削り取る方法、表層を粘着テープを貼り付けて剥がし取る方法などを用いることができる。表層が除去された後のセパレータ試料について、上記と同様の手順で、セパレータ試料の質量の測定と、セパレータ試料の内部に付着する水酸基含有化合物のイオン交換水による抽出とを行う。
(III)FT-IR分析によって測定した各抽出液に含まれる水酸基含有化合物の濃度と、各セパレータ試料の質量から、上記の質量比Mおよび質量比Mを求め、M/Mを求める。M/M<1の場合、水酸基含有化合物がセパレータの表層よりも内部の方が水酸基含有化合物の濃度が高いとみなすことができる。
セパレータは、セルロース系繊維および合成繊維の合計100質量部あたり、セルロース系繊維を20質量部以上、60質量部以下(合成繊維を40質量部以上、80質量部以下)含むことが好ましく、セルロース系繊維を20質量部以上、50質量部以下(合成繊維を50質量部以上、80質量部以下)含むことがより好ましい。
(セパレータ)
セパレータは抄紙法により作製することができ、セパレータには、合成繊維およびセルロース系繊維を含む混抄シートを用いることができる。セパレータは、織布であってもよく、不織布であってもよい。セパレータの厚みは、例えば、20μm以上、200μm以下である。セパレータは、複数の繊維シートを重ね合わせて構成してもよい。複数の繊維シートは、互いに、種類が同じであってもよく、異なっていてもよい。
セルロース系繊維は、天然セルロース繊維などを含む。天然セルロース繊維の例には、マニラ麻パルプ、エスパルトパルプ、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、サイザルパルプなどが含まれる。また、セルロース系繊維は、再生セルロース繊維、半合成セルロース繊維などであってもよい。再生セルロース繊維は、天然セルロースを溶媒に溶解させた溶液を用いて紡糸したもの(例えばレーヨン)を含む。半合成セルロース繊維は、天然セルロースに他の材料を加えて繊維化したもの(例えばアセテート)を含む。セルロース系繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐ショート性の観点から、セルロース系繊維はフィブリル化されていてもよい。
合成繊維(繊維材料)は、アラミド(芳香族ポリアミド)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびビニロン(アセタール化されたPVA)からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、耐熱性の向上、繊維強度(引張強度)の向上などの観点から、アラミドがより好ましい。合成繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐ショート性および導電性高分子を含む処理液の吸収性の向上(ESRの低減)の観点から、合成繊維は、フィブリル化されていることが好ましい。フィブリル化は、叩解処理などにより行われる。
合成繊維(繊維材料)は、上記で例示するもの以外に、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ナイロン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどを含んでもよい。セパレータは、ガラス繊維を含んでもよい。
セパレータは炭化処理されていてもよい。セパレータの炭化処理は部分的に行われていてもよい。炭化処理によりセパレータの密度を適度に低下させ、導電性高分子を含む処理液の吸収性を高めることができる。炭化処理では、主にセルロース系繊維が炭化し得る。
セパレータは、熱融着可能なバインダ繊維を含んでもよい。セパレータを加熱してバインダ繊維を熱融着させて、繊維同士を結着させてもよい。
(水酸基含有化合物)
水酸基含有化合物は、糖および多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であり、かつ、当該化合物は高分子を含まない。水酸基含有化合物は高分子を含まないため、セパレータの孔内に侵入しやすい。水酸基含有化合物を含む処理液は高分子を含まないため、粘度が低く、セパレータに含浸させやすい。
糖の例には、グルコースなどが含まれる。多価アルコールの例には、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ペンタエリトリトール、およびトリメチロールプロパンなどが含まれる。なお、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ペンタエリトリトールなどは、糖アルコールと呼ばれる場合がある。水酸基含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水酸基含有化合物は、炭素原子に結合した複数の水酸基を含有する有機化合物であってもよい。水酸基含有化合物に含まれる水酸基の数は、2~12の範囲(例えば3~6の範囲)にあってもよい。通常、水酸基含有化合物は、水溶性の化合物である。なお、PVAは通常、分子内に13以上の水酸基を有する。
水酸基含有化合物の融点は、コンデンサの使用時における温度よりも高いことが好ましい。水酸基含有化合物の融点は、50℃以上であってもよく、80℃~300℃の範囲(例えば120℃~300℃の範囲)にあってもよい。
水酸基含有化合物は、グルコース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ペンタエリトリトール、およびトリメチロールプロパンからなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。グルコースの融点は146~150℃程度、マンニトールの融点は165~169℃程度、ソルビトールの融点は93~95℃程度、キシリトールの融点は92~97℃程度、ペンタエリトリトールの融点は257~260℃程度、トリメチロールプロパンの融点は56~58℃程度である。なお、これらの物質は、構造(立体異性体)によって融点にばらつきがある場合がある。グルコース、マンニトール、およびペンタエリトリトールは、融点が高い点で好ましい。
(導電性高分子)
導電性高分子の例には、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、およびそれらの誘導体などが含まれる。当該誘導体には、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、およびポリアセチレンを基本骨格とするポリマーが含まれる。例えば、ポリチオフェンの誘導体には、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。これらの導電性高分子は、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、導電性高分子は、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。導電性高分子の重量平均分子量は特に限定されず、例えば1000~100000の範囲にあってもよい。導電性高分子の好ましい一例は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。
導電性高分子には、ドーパントを添加してもよい。導電性高分子からの脱ドープを抑制する観点から、高分子ドーパントを用いることが好ましい。高分子ドーパントの例には、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸などが含まれる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらは、塩の形態で添加されてもよい。高分子ドーパントは、電解質中において、酸性基の少なくとも一部からカチオン(たとえばプロトン)が解離したアニオンの形態で存在してもよい。ドーパントの好ましい一例は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)である。
ドーパントの重量平均分子量は特に限定されない。均質な電解質層の形成を容易にする観点から、ドーパントの重量平均分子量を1000~100000の範囲としてもよい。
導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)であってもよい。
(液状成分)
電解コンデンサは、液状成分として非水溶媒または電解液を含有してもよい。液体成分は、室温(25℃)において液体である物質であってもよいし、電解コンデンサの使用時の温度において液体である物質であってもよい。液体成分の好ましい一例は、水酸基含有化合物が実質的に溶解しない液体である。液状成分は導電性高分子を保護する役割を有する。また、液状成分の含有により、導電性高分子と誘電体層とのコンタクト性を高めることができ、誘電体層の欠陥の修復性を高めることもできる。電解液は、導電性高分子とともに電解質として機能し得る。
非水溶媒は、有機溶媒であってもよいし、イオン性液体であってもよい。非水溶媒の例には、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類、スルホラン(SL)などの環状スルホン類、γ-ブチロラクトン(GBL)などのラクトン類、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどのアミド類、酢酸メチルなどのエステル類、炭酸プロピレンなどのカーボネート化合物、1,4-ジオキサンなどのエーテル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、ホルムアルデヒドなどが含まれる。
また、非水溶媒として、高分子系溶媒を用いてもよい。高分子系溶媒の例には、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールの誘導体、多価アルコール中の水酸基の少なくとも1つがポリアルキレングリコール(誘導体含む)に置換された化合物などが含まれる。具体的には、高分子系溶媒の例には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコールグリセリルエーテル、ポリエチレングリコールジグリセリルエーテル、ポリエチレングリコールソルビトールエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールグリセリルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリセリルエーテル、ポリプロピレングリコールソルビトールエーテル、ポリブチレングリコールなどが含まれる。高分子系溶媒の例には、さらに、エチレングリコール-プロピレングリコールの共重合体、エチレングリコール-ブチレングリコールの共重合体、プロピレングリコール-ブチレングリコールの共重合体などが含まれる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
液体成分は、酸成分および塩基成分を含有していてもよい。酸成分の例には、マレイン酸、フタル酸、安息香酸、ピロメリット酸、レゾルシン酸などが含まれる。塩基成分の例には、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン-5、1,2-ジメチルイミダゾリニウム、1,2,4-トリメチルイミダゾリン、1-メチル-2-エチル-イミダゾリン、1,4-ジメチル-2-エチルイミダゾリン、1-メチル-2-ヘプチルイミダゾリン、1-メチル-2-(3’ヘプチル)イミダゾリン、1-メチル-2-ドデシルイミダゾリン、1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、1-メチルイミダゾール、1-メチルベンゾイミダゾールなどが含まれる。
電解液は、非水溶媒とこれに溶解された溶質(例えば有機塩)とを含む。電解液を構成する非水溶媒の例には、上述した非水溶媒の例が含まれる。溶質の例には、無機塩よび有機塩が含まれる。有機塩とは、アニオンおよびカチオンの少なくとも一方が有機物を含む塩である。有機塩の例には、マレイン酸トリメチルアミン、ボロジサリチル酸トリエチルアミン、フタル酸エチルジメチルアミン、フタル酸モノ1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、フタル酸モノ1,3-ジメチル-2-エチルイミダゾリニウムなどが含まれる。
ドーパントの脱ドープを抑制するために、液体成分のpHを7未満としてもよく、5以下としてもよい。
(陽極箔)
陽極箔には、表面に誘電体層が形成された金属箔を用いることができる。金属箔を構成する金属の種類は特に限定されない。誘電体層の形成が容易である点から、金属箔を構成する金属の例には、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンなどの、弁作用を有する金属、および弁作用を有する金属の合金が含まれる。好ましい一例は、アルミニウムおよびアルミニウム合金である。通常、陽極箔の表面は粗面化されており、誘電体層は粗面化された表面に形成されている。陽極箔の誘電体層は、導電性高分子(電解質)と接触している。
陽極箔は、例えば、エッチング処理などにより金属箔の表面を粗面化し、化成処理などにより、粗面化された金属箔の表面に誘電体層(酸化物皮膜)を形成することで得られる。
(陰極箔)
陰極箔には、金属箔を用いることができる。金属箔を構成する金属の種類は特に限定されない。金属箔を構成する金属の例には、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタンなどの、弁作用を有する金属、および弁作用を有する金属の合金が含まれる。好ましい一例は、アルミニウムおよびアルミニウム合金である。また、陰極箔の表面には、化成皮膜が設けられていてもよく、陰極箔を構成する金属とは異なる金属(異種金属)や非金属の被膜が設けられていてもよい。異種金属や非金属としては、例えば、チタンのような金属やカーボンのような非金属などを挙げることができる。
電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔とを、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させて巻回することで構成された巻回体を備える巻回型の電解コンデンサであってもよい。また、電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔とを、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させて、ジグザグ状に折りたたんで構成された積層体を備える積層型の電解コンデンサであってもよい。
ここで、図1は、本発明の実施形態に係る電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。図2の巻回体の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、図1の巻回体の一部を展開した図である。
電解コンデンサ200は、巻回体100を備える。巻回体100は、陽極箔10と陰極箔20とを、セパレータ30を介して巻回することで構成されている。
巻回体100は、導電性高分子(図示せず)および水酸基含有化合物(図示せず)を含む。すなわち、導電性高分子および水酸基含有化合物は、陽極箔10(誘電体層)と陰極箔20との間に介在しており、セパレータ30の表層および内部に付着している。水酸基含有化合物はセパレータ30において偏在している。
陽極箔10および陰極箔20には、それぞれリードタブ50Aおよび50Bの一方の端部が接続されており、リードタブ50Aおよび50Bを巻き込みながら巻回体100が構成される。リードタブ50Aおよび50Bの他方の端部には、リード線60Aおよび60Bがそれぞれ接続されている。
巻回体100の最外層に位置する陰極箔20の外側表面に巻止めテープ40が配置され、陰極箔20の端部は巻止めテープ40により固定されている。なお、陽極箔10を大判の箔から裁断して準備する場合、裁断面に誘電体層を設けるために、巻回体100に対して更に化成処理を行ってもよい。
リード線60A、60Bが有底ケース211の開口側に位置するように、巻回体100が有底ケース211に収納されている。有底ケース211の材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼、銅、鉄、真鍮等の金属あるいはこれらの合金を用いることができる。
巻回体100が収納された有底ケース211の開口部に封止部材212を配置し、有底ケース211の開口端を封止部材212にかしめてカール加工し、カール部分に座板213を配置することにより、巻回体100が有底ケース211内に封止されている。
封止部材212は、リード線60A、60Bが貫通するようにが貫通するように形成されている。封止部材212は、絶縁性物質であればよく、弾性体が好ましい。中でも耐熱性の高いシリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ハイパロンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム等が好ましい。
[電解コンデンサの製造方法]
本発明の実施形態に係る電解コンデンサの製造方法は、コンデンサ素子中間体(以下、単に、中間体とも称する。)を得る第1工程と、中間体に導電性高分子を含む処理液を含浸させ、コンデンサ素子を得る第2工程とを含む。中間体は、表面に誘電体層を有する陽極箔と、陰極箔と、陽極箔と陰極箔との間に介在するセパレータと、セパレータの表層および内部に付着しており、かつ、セパレータにおいて偏在している水酸基含有化合物とを含む。中間体は、電極群と、水酸基含有化合物とを含むとも言える。セパレータは、合成繊維とセルロース系繊維とを含む。水酸基含有化合物は、糖および多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(但し、高分子を除く)である。
第1工程および第2工程により、セパレータに導電性高分子を多く含ませたコンデンサ素子を得ることができる。
(第1工程)
(工程(1a))
第1工程の例は、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを配置して電極群を得、電極群に水酸基含有化合物を含む処理液を含浸させる工程(1a)を含んでもよい。工程(1a)は繰り返し行ってもよい。
工程(1a)では、例えば、水酸基含有化合物を含む処理液に電極群を浸漬する。浸漬時間は、例えば、1分間以上、20分間未満である。工程(1a)は、室温で行ってもよいし、室温以外の温度(例えば室温よりも高い温度)で行ってもよい。また、工程(1a)は大気圧下で行ってもよく、減圧下)で行ってもよい。
工程(1a)で用いられる水酸基含有化合物を含む処理液は、通常、水を含む。以下、水酸基含有化合物を含む処理液を、「水性処理液」とも称する。水性処理液を構成する液体(溶媒)に含まれる水の量は、例えば50~100質量%の範囲にある。通常、水酸基含有化合物は水性処理液中で溶解しており、水性処理液は水酸基含有化合物の水溶液である。水性処理液における水酸基含有化合物の含有率(濃度)は、3~50質量%の範囲(例えば5~15質量%の範囲)にあってもよい。水性処理液は、必要に応じて、水酸基含有化合物以外の成分を含んでもよい。
水性処理液は、高分子(重量平均分子量が1000以上のポリマー)を含有しない。例えば、水性処理液は、導電性高分子を含有しない。高分子を含有しない水性処理液は粘度が低いため、電極群への含浸が容易になり、セパレータ内部に水酸基含有化合物を付着させやすい。
(工程(2a))
第1工程の例は、工程(1a)の後、水酸基含有化合物を含む処理液が含浸された電極群を、加熱乾燥する工程(2a)を含んでもよい。工程(2a)により、電極群と水酸基含有化合物とを含む中間体を得てもよい。工程(2a)は、大気圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。工程(2a)の加熱温度は、例えば100℃以上であり、120℃以上でもよく、125℃以上でもよい。水酸基含有化合物がセパレータ(コンデンサ素子)の内部に浸透しやすい観点から、工程(2a)の加熱乾燥は、水酸基含有化合物の融点以上の温度で行ってもよい。
第1工程は、セパレータを加熱して炭化処理する工程を含んでもよい。通常、セパレータの炭化処理は部分的に行われる。炭化処理によりセパレータの密度を適度に低下させ、水酸基含有化合物を含む処理液および導電性高分子を含む処理液の吸収性を高めることができる。炭化処理では、主にセルロース系繊維が炭化し得る。
セパレータの炭化処理は、例えば、工程(2a)の後、中間体を加熱することにより行ってもよい。工程(2a)がセパレータを炭化処理する工程を兼ねてもよい。炭化処理のための加熱温度は、好ましくは130℃以上、280℃以下であり、より好ましくは160℃以上、230℃以下である。炭化処理のための加熱時間は、例えば、80分以上、100分以下である。
また、第1工程は、セパレータがバインダ繊維を含む場合、セパレータを加熱してバインダ繊維を熱融着させる工程を含んでもよい。これにより、セパレータ内の繊維同士を結着させて、セパレータの強度を高めてもよい。バインダ繊維の熱融着処理は、例えば、工程(1a)(電極群の構成)の前に行われる。
(工程(1b))
第1工程の別の例は、水酸基含有化合物が表層および内部に付着しているセパレータを得る工程(1b)を含んでもよい。
工程(1b)は、セパレータに水酸基含有化合物を含む処理液を含浸させる工程(1b-1)を含んでもよい。工程(1b-1)は繰り返し行ってもよい。工程(1b-1)では、例えば、水酸基含有化合物を含む処理液をセパレータに塗布または吹き付ける。工程(1b)の水酸基含有化合物を含む処理液には、工程(1a)で用いられる水酸基含有化合物を含む処理液と同じものを用いることができる。
工程(1b)は、工程(1b-1)の後、水酸基含有化合物を含む処理液が含浸されたセパレータを、加熱乾燥する工程(1b-2)を含んでもよい。工程(1b-2)は、大気圧下で行ってもよいし、大気圧以外の環境下(例えば減圧下)で行ってもよい。工程(1b-2)の加熱温度は、例えば100℃以上であり、120℃以上でもよく、125℃以上でもよい。工程(1b-2)の加熱乾燥は、水酸基含有化合物の融点以上の温度で行ってもよい。セパレータがバインダ繊維を含む場合、工程(1b-2)は、バインダ繊維を熱融着処理する工程を兼ねてもよい。
また、工程(1b)は、合成繊維とセルロース系繊維とを混抄してセパレータを得る混抄工程を含み、混抄工程で水酸基含有化合物を添加してもよい。
第1工程の別の例は、工程(1b)の後、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを配置する工程(2b)を含んでもよい。工程(2b)により、セパレータにおいて水酸基含有化合物が偏在している中間体を得てもよい。また、工程(2b)の後、セパレータを炭化処理する工程を含んでもよい。セパレータの炭化処理は、中間体を加熱することにより行うことができる。
巻回型のコンデンサの場合、陽極箔と陰極箔とを、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させて巻回して電極群(巻回体)を構成してもよい。積層型のコンデンサの場合、陽極箔と陰極箔とを、陽極箔と陰極箔との間にセパレータを介在させてジグザグに折り曲げて電極群(積層体)を構成してもよい。
(第2工程)
第2工程では、中間体に導電性高分子を含む処理液を含浸させ、コンデンサ素子を得る。第2工程では、例えば、導電性高分子を含む処理液に中間体を浸漬してもよい。浸漬時間は、例えば、30秒間以上、30分間以下である。第2工程は、室温で行ってもよいし、室温以外の温度(例えば室温よりも高い温度)で行ってもよい。また、第2工程は大気圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。
導電性高分子を含む処理液は、通常、水を含む。以下、導電性高分子を含む処理液を、「水性分散液」とも称する。水性分散液を構成する水性液体(分散媒)に含まれる水の量は、例えば2~100質量%の範囲にある。当該水性液体は水であってもよい。導電性高分子は、水性液体中で分散している。すなわち、水性分散液は、導電性高分子が水性液体中に分散している懸濁液である。水性分散液における導電性高分子の含有率(濃度)は、0.1~20質量%の範囲(例えば0.5~3質量%の範囲)にあってもよい。
水性分散液の粘度は、1mPa・s~100mPa・sの範囲にあってもよく、1mPa・s~40mPa・sの範囲(例えば1mPa・s~25mPa・sの範囲)にあってもよい。水性分散液の粘度が低いほど、中間体への含浸が容易になる。
水性分散液は、水酸基含有化合物を含まなくてもよい。水酸基含有化合物を添加しないことによって、水性分散液の粘度を低減でき、水性分散液の含浸が容易であり、中間体(セパレータ内部)に導電性高分子を含ませやすい。水性分散液に水酸基含有化合物を添加した混合処理液を電極群に含浸させる場合、セパレータ内部に導電性高分子を付着させにくく、ESRが上昇する。
導電性高分子にはドーパントが添加されていてもよい。水性分散液は、必要に応じて、導電性高分子およびドーパント以外の成分を含んでもよい。
第2工程は、さらに、中間体に含浸された水性分散液を乾燥させる工程を含んでもよい。水性分散液の乾燥は、大気圧下で行ってもよく、減圧下で行ってもよい。水性分散液の乾燥は、中間体に含浸された水性分散液を加熱して行ってもよい。加熱温度は、例えば、100℃以上、120℃以下である。
(第3工程)
電解コンデンサの製造方法は、コンデンサ素子に液状成分(非水溶媒または電解液)を含浸させる第3工程を含んでもよい。第3工程は、例えば、コンデンサ素子が収容された電解コンデンサ用の有底ケースに液状成分を注入することにより行ってもよい。非水溶媒または電解液には、上記で例示するものを用いることができる。電解コンデンサの製造方法は、コンデンサ素子が収容された有底ケースを封止する工程を含んでもよい。
[実施例]
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
《実施例1~4》
定格電圧が35Vで定格静電容量が270μFの巻回型の電解コンデンサ(直径10mm×長さ10mm)を、以下の手順で作製した。
(陰極箔の準備)
陰極箔には、厚さ50μmのAl箔(アルミニウム箔)を用いた。
(陽極箔の準備)
厚さ120μmのAl箔を準備した。このAl箔に直流エッチング処理を行い、表面を粗面化した。次いで、Al箔に化成処理を施して誘電体層(厚さ:約70nm)を形成することによって、陽極箔を得た。誘電体層は、アジピン酸アンモニウム溶液にAl箔を浸漬させ、Al箔に50Vの電圧を印加しながら、70℃で5時間化成処理を行うことによって形成した。その後、陽極箔を所定のサイズに裁断することによって、陽極箔を準備した。
(セパレータの作製)
アラミド繊維と、天然セルロース繊維と、PET繊維とを、表1に示す質量比で混抄して、不織布(セパレータ)を得た。表1中のa1~a4は、それぞれ、実施例1~4で作製したセパレータを示す。セパレータa1~a4の厚みは40μmとした。
(巻回体の作製)
準備した陽極箔および陰極箔に、リード線が接続された陽極リードタブおよび陰極リードタブをそれぞれ接続した。そして、陽極箔と陰極箔とを、セパレータを間に挟んで巻回し、外側表面を巻止めテープで固定した。このようにして巻回体を作製した。次に、大気中で巻回体を200℃で90分間加熱して、セパレータの炭化処理を行った。次に、巻回体を、アジピン酸アンモニウム溶液に浸漬させ、陽極箔に対して、50Vの電圧を印加しながら、70℃で60分間再度化成処理を行うことにより、主に陽極箔の端面に誘電体層を形成した。
(水酸基含有化合物を含む処理液の調製)
マンニトールをイオン交換水に溶解させ、水酸基含有化合物を含む処理液としてマンニトール水溶液(濃度10質量%)を調製した。得られたマンニトール水溶液の粘度は、5mPa・s以下であった。
(導電性高分子を含む処理液の調製)
3,4-エチレンジオキシチオフェンと、ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸とをイオン交換水に溶解させ、それらの混合溶液を調製した。得られた混合溶液を撹拌しながら、イオン交換水に溶かした硫酸鉄(III)(酸化剤)を添加し、重合反応を行った。反応後、得られた反応液を透析して、未反応モノマーおよび過剰な酸化剤を除去し、約5質量%のポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む分散液(水性分散液)を得た。以下では、約5質量%のポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を、「PEDOT:PSS」と称する場合がある。また、PEDOT:PSSが分散している分散液を、「PEDOT:PSS分散液」と称する場合がある。このPEDOT:PSS分散液を用いて、PEDOT:PSSの濃度が2質量%である水性分散液を、導電性高分子を含む処理液として調製した。得られた水性分散液の粘度は、25mPa・sであった。
(コンデンサ素子中間体の作製)
室温で大気圧雰囲気下において、容器内のマンニトール水溶液に巻回体を5分間浸漬した後、圧力が1気圧の乾燥炉内において、巻回体を200℃で20分間乾燥させた(第1工程)。このようにして、巻回体(セパレータの表層および内部)にマンニトールを付着させ、中間体を得た。なお、マンニトールの融点は165~169℃程度であり、巻回体の乾燥温度はマンニトールの融点よりも高い。
(コンデンサ素子の作製)
室温で減圧雰囲気(40kPa)において、容器内のPEDOT:PSS分散液に中間体を15分間浸漬した後、圧力が1気圧の乾燥炉内において、中間体を150℃で30分間乾燥させた(第2工程)。このようにして、中間体(セパレータの表層および内部)に導電性高分子を付着させ、コンデンサ素子を得た。
既述の方法によりコンデンサ素子内のマンニトールの分布を調べたところ、セパレータにおいてマンニトールが偏在していることが確認された。既述の方法により求められたM/Mは0.78~0.85であった。
(液状成分の含浸)
有底ケース内にコンデンサ素子を収容し、室温で大気圧雰囲気下においてコンデンサ素子に液状成分を含浸させた。液状成分には、GBLとSLとの混合溶媒(質量比50:50)を用いた。
(コンデンサの封止)
有底ケースの開口に封止部材および座板を配置してコンデンサ素子を封止した。このようにして、電解コンデンサを完成させた。その後、定格電圧を印加しながら、130℃で2時間エージング処理を行った。なお、表1中のA1~A4は、それぞれ、実施例1~4の電解コンデンサを示す。
《比較例1》
PEDOT:PSS分散液にマンニトールを溶解させて、PEDOT:PSSおよびマンニトールの混合処理液を調製した。混合処理液において、PEDOT:PSSの濃度は2質量%とし、マンニトールの濃度は10質量%とした。混合処理液の粘度は、58mPa・sであった。
セパレータa1の代わりにセパレータa2を用いた、実施例1と同様の方法により巻回体を作製した。
第1工程および第2工程を行わずに、室温で減圧雰囲気(40kPa)において、容器内の混合処理液に巻回体を15分間浸漬した後、圧力が1気圧の乾燥炉内で巻回体を150℃で30分間乾燥させた。このようにして、巻回体(セパレータの表層および内部)に導電性高分子およびマンニトールを付着させ、コンデンサ素子を得た。
既述の方法によりコンデンサ素子内のマンニトールの分布を調べたところ、マンニトールはセパレータに偏在していなかった。既述の方法により求められたM/Mは1.0であった。
上記で得られたコンデンサ素子を用いて、実施例1と同様の方法により電解コンデンサX1を作製した。
《比較例2》
セパレータa1の代わりに、アラミド繊維製のセパレータx1を用いた以外、実施例1と同様の方法により電解コンデンサX2を作製した。
《比較例3》
巻回体には、比較例2と同じ、セパレータx1を含む巻回体を用いた。第1工程および第2工程を行わずに、室温で減圧雰囲気(40kPa)において、巻回体を比較例1と同じ混合処理液に15分間浸漬した後、圧力が1気圧の乾燥炉内で巻回体を150℃で30分間乾燥させた。このようにして、巻回体(セパレータの表層および内部)に導電性高分子およびマンニトールを付着させ、コンデンサ素子を得た。
上記で得られたコンデンサ素子を用いて、実施例1と同様の方法により電解コンデンサX3を作製した。
《比較例4》
セパレータa1の代わりに天然セルロース繊維製のセパレータx2を用いた以外、実施例1と同様の方法により電解コンデンサX4を作製した。
上記で作製された各電解コンデンサについて、以下の評価を行った。
[破壊耐電圧]
1.0V/秒のレートで昇圧しながら電圧を印加し、0.5Aの過電流が流れる破壊耐電圧(BDV)(V)を測定した。
[初期の静電容量およびESR]
20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、初期の静電容量(C0)(μF)およびESR(R0)(mΩ)を測定した。
[ΔESR]
150℃の環境下において、定格電圧である35Vを印加した状態で500時間放置し、負荷試験を行った。500時間経過後、上記と同様の方法でESR(R1)を測定した。 R0に対するR1の比:R1/R0を算出し、ΔESRとした。
[ショート発生率]
8種類のコンデンサをそれぞれ30個ずつ作製し、上記と同じ負荷試験を行った。500時間経過後の各コンデンサについて、短絡の有無を確認した。そして、30個のコンデンサのうち短絡しているコンデンサの個数を確認し、その割合をショート発生率として求めた。
評価結果を表1に示す。
Figure 2022117355000002
電解コンデンサA1~A4では、高い静電容量、高いBDV、低いESRが得られた。また、電解コンデンサA1~A4では、ΔESRの増加率が小さく、ショート発生率も低かった。
電解コンデンサX1、X3では、ESRが上昇した。これは、巻回体をPEDOT:PSSおよびマンニトールの混合処理液に浸漬したため、セパレータ内にPEDOT:PSSを多く含ませることができなかったためであると考えられる。
セパレータx1(合成繊維のみ)を用いた電解コンデンサX2、X3では、静電容量が大幅に低下し、ESRが上昇した。これは、セパレータx1では、PVAを含む合成繊維の影響が大きくなり、セパレータ内にマンニトールを多く含ませることができなかったためであると考えられる。セパレータx2(天然繊維のみ)を用いた電解コンデンサX4では、BDVが低く、ショート発生率が増大した。
本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に利用できる。
10:陽極箔、20:陰極箔、30:セパレータ、40:巻止めテープ、50A、50B:リードタブ、60A、60B:リード線、100:巻回体、200:電解コンデンサ、211:有底ケース、212:封止部材、213:座板


Claims (22)

  1. 表面に誘電体層を有する陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に介在するセパレータと、水酸基含有化合物と、導電性高分子とを含むコンデンサ素子を備え、
    前記セパレータは、合成繊維と、セルロース系繊維とを含み、
    前記セパレータの表層および内部には、前記導電性高分子と、前記水酸基含有化合物とが付着しており、
    前記水酸基含有化合物は、糖および多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(但し、高分子を除く)であり、
    前記セパレータにおいて、前記水酸基含有化合物が偏在している、電解コンデンサ。
  2. 前記コンデンサ素子において、前記セパレータの内部における前記導電性高分子に対する前記水酸基含有化合物の質量比Mは、前記セパレータの表層における前記導電性高分子に対する前記水酸基含有化合物の質量比Mよりも大きい、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記質量比Mに対する前記質量比Mの比:M/Mは、0.7以上、0.9以下である、請求項2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記合成繊維は、アラミド、ポリエチレンテレフタレート、およびビニロンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記合成繊維は、フィブリル化されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  6. 前記水酸基含有化合物は、グルコース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ペンタエリトリトール、およびトリメチロールプロパンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  7. 前記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  8. 前記コンデンサ素子は、非水溶媒または電解液を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  9. 表面に誘電体層を有する陽極箔と、陰極箔と、前記陽極箔と前記陰極箔との間に介在するセパレータと、前記セパレータの表層および内部に付着しており、かつ、前記セパレータにおいて偏在している水酸基含有化合物とを含む中間体を得る第1工程と、
    前記中間体に導電性高分子を含む処理液を含浸させ、前記コンデンサ素子を得る第2工程と、を含み、
    前記セパレータは、合成繊維と、セルロース系繊維とを含み、
    前記水酸基含有化合物は、糖および多価アルコールからなる群より選択される少なくとも1種の化合物(但し、高分子を除く)である、電解コンデンサの製造方法。
  10. 前記第1工程は、前記陽極箔と前記陰極箔との間に前記セパレータを配置して電極群を得、前記電極群に前記水酸基含有化合物を含む処理液を含浸させる工程(1a)を含む、請求項9に記載の電解コンデンサの製造方法。
  11. 前記第1工程は、前記工程(1a)の後、前記水酸基含有化合物を含む処理液が含浸された前記電極群を、前記水酸基含有化合物の融点以上の温度で加熱乾燥する工程(2a)を含む、請求項10に記載の電解コンデンサの製造方法。
  12. 前記第1工程は、前記セパレータを炭化処理する工程を含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  13. 前記第1工程は、
    前記水酸基含有化合物が表層および内部に付着している前記セパレータを得る工程(1b)と、
    前記工程(1b)の後、前記陽極箔と前記陰極箔との間に前記セパレータを配置する工程(2b)と、
    を含む、請求項9に記載の電解コンデンサの製造方法。
  14. 前記工程(1b)は、前記セパレータに前記水酸基含有化合物を含む処理液を含浸させる工程(1b-1)を含む、請求項13に記載の電解コンデンサの製造方法。
  15. 前記工程(1b)は、前記工程(1b-1)の後、前記水酸基含有化合物を含む処理液が含浸された前記セパレータを、前記水酸基含有化合物の融点以上の温度で加熱乾燥する工程(1b-2)を含む、請求項14に記載の電解コンデンサの製造方法。
  16. 前記工程(2b)の後、前記セパレータを炭化処理する工程を含む、請求項15に記載の電解コンデンサの製造方法。
  17. 前記工程(1b)は、前記合成繊維と前記セルロース系繊維とを混抄して前記セパレータを得る混抄工程を含み、
    前記混抄工程で前記水酸基含有化合物を添加する、請求項13~16のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  18. 前記コンデンサ素子に非水溶媒または電解液を含浸させる第3工程を含む、請求項9~17のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  19. 前記合成繊維は、アラミド、ポチエチレンテレフタレート、およびビニロンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項9~18のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  20. 前記合成繊維は、フィブリル化されている、請求項9~19のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  21. 前記水酸基含有化合物は、グルコース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ペンタエリトリトール、およびトリメチロールプロパンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項9~20のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  22. 前記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項9~21のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。


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