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JP2022084554A - ショ糖脂肪酸エステルの水分散液 - Google Patents

ショ糖脂肪酸エステルの水分散液 Download PDF

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JP2022084554A
JP2022084554A JP2021190682A JP2021190682A JP2022084554A JP 2022084554 A JP2022084554 A JP 2022084554A JP 2021190682 A JP2021190682 A JP 2021190682A JP 2021190682 A JP2021190682 A JP 2021190682A JP 2022084554 A JP2022084554 A JP 2022084554A
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JP
Japan
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fatty acid
acid ester
sucrose fatty
viscosity
dispersion
Prior art date
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Pending
Application number
JP2021190682A
Other languages
English (en)
Inventor
拓 石井
Hiroshi Ishii
健史 中村
Takeshi Nakamura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
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  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)

Abstract

【課題】生産性、保存安定性、作業性に優れた低粘度である高濃度ショ糖脂肪酸エステルの水分散液を提供すること。【解決手段】ショ糖脂肪酸エステル、アニオン性界面活性剤、水を含有することを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの水分散液であって、アニオン性界面活性剤が、IOB値が1.7以上のアニオン性界面活性剤であることを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの水分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、ショ糖脂肪酸エステルの水分散液に関するものである。詳しくは、ショ糖脂
肪酸エステル濃度を高くした際にも、粘度が低く保存性、作業性に優れるショ糖脂肪酸エ
ステル水分散液に関するものである。
ショ糖脂肪酸エステルは、食品、化粧品、医薬品、化学工業、その他幅広い分野で使用
されており、その目的も乳化、可溶化、分散、抗菌、結晶成長抑制など多岐にわたってい
る。ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の置換度、脂肪酸種などを適宜調整すること
により、幅広いHLB値を有するショ糖脂肪酸エステルを製造することが可能であり、ま
た、そのHLB値が低いものは有機溶媒に、高いものは水またはアルコールに溶解するた
め、使用目的に応じてこれらを使い分けることができる。例えば、食品用途においては、
コーヒー、紅茶等の飲料に抗菌目的で使用する場合にはHLB値の高いものを、チョコレ
ート等に油脂の結晶成長抑制の目的で使用する場合にはHLB値の低いものを用いること
ができる。
しかしながら、一般的にはショ糖脂肪酸エステルを水と混合して用いる場合、溶質であ
るショ糖脂肪酸エステルのHLBの値が大きいものほど、また溶液のショ糖脂肪酸エステ
ル濃度が高いほどショ糖脂肪酸エステル水溶液の粘度が増大する。そのため、ショ糖脂肪
酸エステル水溶液の調製に多大なエネルギーと時間を要するばかりでなく、送液が困難と
なるなどの操作上の問題も生じるので、上記のような目的で使用する場合には、粘度の低
い希薄なショ糖脂肪酸エステル水溶液を使用しなければならなかった。また、高濃度水溶
液の状態でショ糖脂肪酸エステルを保存するような場合においても、粘度上昇の問題によ
り困難を伴うため、希薄な水溶液での保存を余儀なくされていた。また、HLBの値が低
いものほど水溶性が低下するため、HLBの低いショ糖脂肪酸エステルの水溶液あるいは
水分散液は、ショ糖脂肪酸エステルの濃度に関わらず調製が困難であった。
このような課題の観点から、特許文献1では、乳酸脂肪酸エステル塩及びコハク酸モノ
グリセライドから選ばれるアニオン性界面活性剤を添加することで、HLB値16のショ
糖脂肪酸エステル水溶液の粘度低下が可能であることが記載されている。一方特許文献2
には、HLB値3のショ糖脂肪酸エステルにキサンタンガムを混合することで分散液の作
成が可能であることが記載されている。
特開平10-114710号公報 特表2020-500022号公報
しかしながら、本発明者が特許文献1に記載の方法でショ糖脂肪酸エステル水溶液の粘
度低下検討を行ったところ、所定の低粘度水溶液を取得することができず、固形のゲル状
成分が得られることがわかった。特許文献1には水溶液の調製条件により水溶液のゲル化
が起こる記載があることから、特許文献1に記載の水溶液作成方法は少なくとも作業管理
幅が狭く、工業的な適用難度が高い方法であることが言える。一方特許文献2には得られ
る分散液の性状が記載されておらず、本発明者が検討したところ極めて高粘度のスラリー
しか取得できず、こちらも工業的な応用が困難であることが判明した。
そこで、本発明ではこのような背景下において、生産性、保存安定性、作業性に優れた
低粘度である高濃度ショ糖脂肪酸エステルの水分散液を提供することを目的とする。
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、IOB値が1.7以
上のアニオン性の界面活性剤を配合したショ糖脂肪酸エステルの水分散液が、高濃度のシ
ョ糖脂肪酸エステルの水分散液とした際にも低粘度であり、生産性、保存性安定性、作業
性が著しく改善されることを見い出し、本発明を達成した。
即ち、本発明の要旨は、ショ糖脂肪酸エステル、アニオン性界面活性剤、水を含有する
ことを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの水分散液であって、アニオン性界面活性剤が、
IOB値が1.7以上のアニオン性界面活性剤であることを特徴とするショ糖脂肪酸エス
テルの水分散液である。
本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液は、高濃度のショ糖脂肪酸エステルの水分散
液とした際にも低粘度であり、生産性、保存性安定性、作業性に優れるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液は、ショ糖脂肪酸エステル、アニオン性界面
活性剤、水を含有するものであり、かかるアニオン性界面活性剤のIOB値が1.7以上
であることを特徴とするものである。
〔ショ糖脂肪酸エステル〕
本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステルとしては、公知一般のショ糖脂肪酸エステル
を用いることができ、ショ糖の有する8つの水酸基のうちの少なくとも1つが脂肪酸とエ
ステル構造を形成したものであればよい。
例えば、ショ糖脂肪酸エステルの有する脂肪酸由来の構造部位が、炭素数10~30(
好ましくは炭素数12~28、更に好ましくは12~22)の飽和或いは不飽和脂肪酸由
来の構造部位、具体的にはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステ
アリン酸、エルカ酸由来の構造部位であるショ糖脂肪酸エステルを用いることができる。
そして、ショ糖脂肪酸エステルの使用目的によって、脂肪酸由来の構造部位として、1種
のみの脂肪酸由来の構造部位を有するもの、2種以上の脂肪酸を特定比率で組み合わせて
得られる脂肪酸由来の構造部位を有するものを使い分ければよい。
上記ショ糖脂肪酸エステルとして、具体的には、「リョートーシュガーエステルS-3
70」、「リョートーシュガーエステルS-570」、「リョートーシュガーエステルS
-970」、「リョートーシュガーエステルS-1170」、「リョートーシュガーエス
テルS-1570」、「リョートーシュガーエステルS-1670」、「リョートーシュ
ガーエステルP-170」、「リョートーシュガーエステルP-1670」、「リョート
ーシュガーエステルM-1695」、「リョートーシュガーエステルO-170」、「リ
ョートーシュガーエステルO-1570」、「リョートーシュガーエステルL-195」
、「リョートーシュガーエステルL-595」、「リョートーシュガーエステルL-16
95」、「リョートーシュガーエステルB-370」、「リョートーシュガーエステルE
R-190」、「リョートーシュガーエステルPOS-135」(以上、三菱ケミカルフ
ーズ社製)、「DKエステルF-160」、「DKエステルF-140」、「DKエステ
ルF-110」、「DKエステルF-70」、「DKエステルF-50」(以上、第一工
業製薬社製)等をあげることができる。
これらの中でも、0℃以上で固形のショ糖脂肪酸エステルを用いることが、本発明の水
分散液を工業的に利用する観点で適用範囲を広くでき好ましい。
これらショ糖脂肪酸エステルは、単独用いてもよいし、2種以上を併用して混合して用
いることもできる。
〔アニオン性界面活性剤〕
本発明で用いるアニオン性界面活性剤は、IOB値が1.7以上であることが必要であ
り、好ましくは1.75以上、特に好ましくは1.78以上である。また通常IOB値の
上限は6.0である。
かかるIOB値が下限値以下でも上限値以上でも本発明の効果が発揮されず好ましくな
い。
IOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性
比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性
の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、「IOB値=無機性値
/有機性値」として表される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについて
は、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、軽金属1個について「
無機性値」が500といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機
性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機
性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる。例
えば、「新版 有機概念図 基礎と応用」(甲田善生、佐藤四郎、本間善夫 著、三共出
版、2008年)に各項目の物性値および計算方法についての記載があり、本発明におけ
るIOB値は、本書による方法にて計算している。
アニオン性界面活性剤を構成するこれらの脂肪酸は特に制限されないが、通常炭素数1
0~22の直鎖或いは分岐鎖状のもので、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸
、ステアリン酸、アラキジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノレイン酸、2-ブチ
ルオクタン酸等が挙げられる。又ヒドロキシカルボン酸類は、1分子中に1乃至3個の水
酸基と1~3個のカルボン酸基を有する炭素数3~10の脂肪族カルボン酸である。塩は
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属
が用いられるが、ナトリウムが簡便であり好ましい。これらのアニオン性界面活性剤は単
独で使用しても2種以上を任意の比率で組み合わせて用いても良い。
ショ糖脂肪酸エステルの水分散液中におけるアニオン性界面活性剤含有量は、ショ糖脂
肪酸エステルに対して、0.1~50重量%であることが好ましく、特に好ましくは3~
30重量%、更に好ましくは4~25重量%である。
アニオン性界面活性剤の含有量が少なすぎると、ショ糖脂肪酸エステル水溶液の粘度低
下効果が十分に得られにくい傾向があり、多すぎても粘度低下効果を充分発揮しなかった
り、ショ糖脂肪酸エステル本来の性能に悪影響を及ぼしたりする傾向がある。
〔水〕
本発明で用いる水としては、本発明のショ糖水分散液中の成分と反応して水不溶分など
分散を阻害する成分を生成させないものであればよく、例えば硬水、軟水、イオン交換水
、超純水などが挙げられる。なお、本発明におけるアニオン性界面活性剤との反応を抑止
する観点で、中性もしくは塩基性の水を用いることが好ましい。
本発明の分散液には、上記各成分以外に本発明の効果を損なわない範囲において、他の
低分子および高分子乳化剤、アルコール系化合物、疎水性物質などの添加剤を配合するこ
とができる。
低分子乳化剤の具体例としては、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン性低分子乳
化剤、α-スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、
アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸トリエタノールアミンなどのアニオン性
低分子乳化剤などがあげられる。
高分子乳化剤の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンブロック共重合体、ポリマーデン
プンなどのノニオン性高分子乳化剤、スチレン・マレイン酸塩共重合体、ナフタレンスル
ホン酸塩のホルマリン結合物、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース金属塩、
オレフィン・マレイン酸塩共重合体、ポリスチレンスルホン酸塩、アクリルアミド・アク
リル酸塩共重合体、アルギン酸塩などのアニオン性高分子乳化剤などがあげられる。
アルコール系化合物の具体例としては、セタノールやステアリルアルコールなどの高級
アルコール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ポリテトラ
メチレンエーテルグリコール、ポリカーボネートジオール、グリセリン、トリメチロール
プロパン、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、イソソルバイドなど
のポリオールなどがあげられる。
疎水性物質の具体例としては、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレ
シンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系化合物
などがあげられる。
これらの中でも、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、トリ
メチロールプロパン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカーボネートジオー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、イソ
ソルバイドなどのポリオールが、分散安定性が高い傾向があり好ましい。
また、固形パラフィンなどの炭化水素系化合物が、添加により起泡が抑制されるため、
分散液調製や分散液の取り扱いが容易になる傾向があり好ましい。
これらの添加剤の配合量は、添加剤ごとに適宜設定されるが、例えばショ糖脂肪酸エス
テルとアニオン性界面活性剤の合計に対して50重量%以下であることが好ましく、特に
好ましくは30重量%以下である。配合量が多すぎると分散液の粘度や粒子径が増大する
傾向がある。
また、本発明の分散液には、上記各成分以外に本発明の効果を損なわない範囲において
、消泡剤、防腐剤、平滑剤、帯電防止剤、難燃剤、粘着付与剤、充填剤、紫外線吸収剤、
着色剤、酸化防止剤、機能性色素、有機溶剤等の他の添加剤を配合することができる。こ
れらの添加剤の配合量は、添加剤ごとに適宜設定されるが、例えばショ糖脂肪酸エステル
とアニオン性界面活性剤の合計に対して30重量%以下であることが好ましく、特に好ま
しくは20重量%以下である。
〔ショ糖脂肪酸エステルの水分散液〕
本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液は、公知一般の水分散液もしくは乳化液の製
法に準じて製造することができる。
例えば、各配合成分の配合順序については、i)あらかじめショ糖脂肪酸エステルとア
ニオン性界面活性剤を混合したのち水に配合する方法、ii)アニオン性界面活性剤を水
に分散させた後ショ糖脂肪酸エステルを配合する方法、iii)ショ糖脂肪酸エステルを
水に分散させた後アニオン性界面活性剤を配合する方法などが挙げられるが、作業性と生
産性の点で、i)またはii)の方法が好ましい。
例えば各成分の混合方法については、各工程の混合時間は、通常10分~24時間、好
ましくは20分~6時間である。混合時間が短すぎると十分な分散液が得られない恐れが
あり、長すぎると分散液の生産性が低下する。
各工程の混合温度は、通常0~100℃、好ましくは40~90℃である。低温すぎて
も高温すぎても水が一部凝固もしくは蒸発して十分な分散液が得られない恐れがある。
なお、室温以上に加温した場合の冷却方法については、冷媒に接触させ急冷する方法、
空気環境に接触させ自然放冷する方法など一般的な冷却に用いられる手法を用いることが
できる。これらの方法は、調製したい分散液の生産量や工業性を勘案しながら種々選択さ
れる。
各工程の圧力については、常圧でもよいし、加圧もしくは減圧下で行っても良い。これ
らの方法は、調製したい分散液の性状(濃度、粘度、粒子径、生産量など)および後述の
分散手法に応じて種々選択される。
各成分を混合し、ショ糖脂肪酸エステルを水に分散させる方法としては、攪拌、振盪、
超音波、機械押出など、一般に分散液を調製する際の種々のせん断力を与える方法を用い
ることができる。これらの方法は、調製したい分散液の性状(濃度、粘度、粒子径、生産
量など)に応じて種々選択される。
かくして得られる本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液のショ糖脂肪酸エステル濃
度は、水分散液全体に対して1~50重量%であることが好ましく、特に好ましくは3~
40重量%、更に好ましくは5~30重量%である。
かかるショ糖脂肪酸エステル濃度が高すぎるとアニオン性界面活性剤の添加効果が得ら
れにくく水分散液の粘度が十分に低下しない傾向があり、低すぎると水分散液を添加剤等
として使用した際にショ糖脂肪酸エステル本来の機能が発現しない傾向がある。
かくして得られる本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液の粘度は、5,000mP
a・s以下であることが好ましく、特に好ましくは3,000mPa・s以下、更に好ま
しくは500mPa・s以下である。
かかる粘度が高すぎると分散液を取り扱う際の作業性が低下する。
なお、本発明の粘度は、B型粘度計を用いて25℃の温度条件下、せん断速度100r
pmで測定(単位:mPa・s)した値である。
本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液のエマルジョンの平均粒子径は、100μm
より小さいことが好ましく、特に好ましくは50μm以下、さらに好ましくは10μm以
下である。かかる平均粒子径が大きすぎると分散液を取り扱う際の作業性が低下する。
なお、本発明の平均粒子径は、レーザー回折装置(レーザー回折散乱法)を用いて25
℃の温度条件下で測定(単位:μm)した値である。
本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液は、食品、化粧品、医薬品などの添加剤に加
え、防曇剤、帯電防止剤、相溶化剤、塗料、コーティング剤、紙への耐水耐油性付与剤、
粘接着剤、各種有機および無機粒子の分散剤および熱可塑性および熱硬化性樹脂向け添加
剤など種々の用途に有用である。
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えな
い限り以下の実施例に限定されるものではない。また、「部」は重量部を表す。
<粘度評価>
調製したショ糖脂肪酸エステル分散液の調製後1日後の粘度を測定し、以下の基準で評
価した。粘度は、B型粘度計を用いて25℃の温度条件下で、せん断速度100rpmで
測定(単位:mPa・s)した。
(粘度評価基準)
〇・・・500mPa・s以下
△・・・500mPa・sより大きく5000mPa・sより小さい
×・・・5000mPa・s以上
<平均粒子径評価>
調製したショ糖脂肪酸エステル分散液の調製後1日後の平均粒子径をレーザー回折装置
(堀場製作所製「Partica LA-950V2」を用いて測定し、以下の基準で評
価した。
(平均粒子径評価基準)
〇・・・30μm以下
△・・・30より大きく100μmより小さい
×・・・100μm以上
[実施例1]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-16
70、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:16)9.9部と、アニオン性界面活性
剤としてフマル酸ステアリルナトリウム(東京化成工業(株)製、IOB値:1.78)
0.1部を水90部に加え、80℃に加温して60分間攪拌溶解した。この際、加熱時に
ゲル化による増粘を確認した。その後、25℃まで氷浴にて速やかに冷却して低粘度化さ
せることにより、ショ糖脂肪酸エステル濃度9.9%の水分散液を得た。得られたショ糖
脂肪酸エステルの水分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を表1に示した。
[実施例2]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-16
70、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:16)9.5部と、アニオン性界面活性
剤としてフマル酸ステアリルナトリウム(東京化成工業(株)製、IOB値:1.78)
0.5部を水90部に加え、80℃に加温して60分間攪拌溶解した。この際、加熱時に
ゲル化による増粘を確認した。その後、25℃まで氷浴にて速やかに冷却して低粘度化さ
せることにより、ショ糖脂肪酸エステル濃度9.5%の水分散液を得た。得られたショ糖
脂肪酸エステルの水分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を表1に示した。
[実施例3]
実施例2において、水分散液調製後の冷却時に、室温放置でゆっくりと25℃まで冷却
した以外は実施例2と同様の方法で、ショ糖脂肪酸エステル濃度9.5%の分散液を得た
。得られたショ糖脂肪酸エステル分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を表1に示し
た。
[実施例4]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-16
70、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:16)9.0部と、アニオン性界面活性
剤としてフマル酸ステアリルナトリウム(東京化成工業(株)製、IOB値:1.78)
1.0部を水90部に加え、80℃に加温して60分間攪拌溶解した。この際、加熱時に
ゲル化による増粘を確認した。その後、25℃まで氷浴にて速やかに冷却して低粘度化さ
せることにより、ショ糖脂肪酸エステル濃度9.0%の水分散液を得た。得られたショ糖
脂肪酸エステルの水分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を表1に示した。
[実施例5]
アニオン性界面活性剤としてステアリン酸ナトリウム(商品名:ナトリウムステアレー
ト、日東化成工業(株)製、IOB値:1.81)を用いた以外は実施例1と同様の方法
でショ糖脂肪酸エステル濃度9.5%の水分散液を得た。得られたショ糖脂肪酸エステル
の水分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を表1に示した。
[実施例6]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-16
70、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:16)10.0部と、アニオン性界面活
性剤としてステアリン酸ナトリウム(商品名:ナトリウムステアレート、日東化成工業(
株)製、IOB値:1.81)0.5部を水90部に加え、80℃に加温して60分間攪
拌溶解した。この際、加熱時にゲル化による増粘を確認した。その後、25℃まで氷浴に
て速やかに冷却して低粘度化させることにより、ショ糖脂肪酸エステル濃度10%の水分
散液を得た。得られたショ糖脂肪酸エステルの水分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結
果を表1に示した。
[実施例7]
アニオン性界面活性剤としてミリスチン酸ナトリウム(東京化成工業(株)製、IOB
値:2.32)を用いた以外は実施例2と同様の方法でショ糖脂肪酸エステル濃度9.5
%の水分散液を得た。得られたショ糖脂肪酸エステルの水分散液の粘度と平均粒子径を測
定し、結果を表1に示した。
[実施例8]
アニオン性界面活性剤としてラウリン酸ナトリウム(東京化成工業(株)製、IOB値
:3.13)を用いた以外は実施例2と同様の方法でショ糖脂肪酸エステル濃度9.5%
の水分散液を得た。得られたショ糖脂肪酸エステルの水分散液の粘度と平均粒子径を測定
し、結果を表1に示した。
[実施例9]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-11
70、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:11)8.0部と、アニオン性界面活性
剤としてステアリン酸ナトリウム(商品名:ナトリウムステアレート、日東化成工業(株
)製、IOB値:1.81)2.0部を水90部に加え、80℃に加温して60分間攪拌
溶解した。この際、加熱時にゲル化による増粘を確認した。その後、25℃まで氷浴にて
急速冷却して低粘度化させることにより、ショ糖脂肪酸エステル濃度8.0%の水分散液
を得た。得られたショ糖脂肪酸エステルの水分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を
表1に示した。
[実施例10]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-37
0、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:3)8.0部と、アニオン性界面活性剤と
してステアリン酸ナトリウム(商品名:ナトリウムステアレート、日東化成工業(株)製
、IOB値:1.81)2.0部を水90部に加え、80℃に加温して60分間攪拌溶解
した後、25℃まで氷浴にて急速冷却してショ糖脂肪酸エステル濃度8.0%の分散液を
得た。得られたショ糖脂肪酸エステル分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を表1に
示した。
[実施例11]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-37
0、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:3)16.0部と、アニオン性界面活性剤
としてステアリン酸ナトリウム(商品名:ナトリウムステアレート、日東化成工業(株)
製、IOB値:1.81)3.0部、その他添加剤としてトリメチロールプロパン(東京
化成工業(株)製)1.0部を水80部に加え、80℃に加温して60分間攪拌溶解した
後、25℃まで氷浴にて急速冷却してショ糖脂肪酸エステル濃度16.0%の分散液を得
た。得られたショ糖脂肪酸エステル分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を表1に示
した。
[実施例12]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-37
0、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:3)16.0部と、アニオン性界面活性剤
としてステアリン酸ナトリウム(商品名:ナトリウムステアレート、日東化成工業(株)
製、IOB値:1.81)3.0部、その他添加剤としてポリエチレングリコール(商品
名:PEG-1540、三洋化成(株)製)1.0部を水80部に加え、80℃に加温し
て60分間攪拌溶解した後、25℃まで氷浴にて急速冷却してショ糖脂肪酸エステル濃度
16.0%の分散液を得た。得られたショ糖脂肪酸エステル分散液の粘度と平均粒子径を
測定し、結果を表1に示した。
[実施例13]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-37
0、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:3)13.0部と、アニオン性界面活性剤
としてステアリン酸ナトリウム(商品名:ナトリウムステアレート、日東化成工業(株)
製、IOB値:1.81)3.0部、その他添加剤として固形パラフィン(融点56~5
8℃、キシダ化学(株)製)4.0部を水80部に加え、80℃に加温して60分間攪拌
溶解した後、25℃まで氷浴にて急速冷却してショ糖脂肪酸エステル濃度16.0%の分
散液を得た。得られたショ糖脂肪酸エステル分散液の粘度と平均粒子径を測定し、結果を
表1に示した。
[比較例1]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-16
70、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:16)10.0部を水90部に加え、8
0℃に加温して60分間攪拌溶解した後、25℃まで氷浴にて速やかに冷却したところ増
粘し、低粘度のショ糖脂肪酸エステル分散液は得られなかった。粘度と平均粒子径の結果
を表1に示す。
[比較例2]
アニオン性界面活性剤としてモノステアリン酸プロピレングリコール(商品名:PS-
200V、花王(株)製、IOB値:0.38)を用いた以外は実施例2と同様の方法で
ショ糖脂肪酸エステル濃度9.5%の分散液を得ようとしたが増粘し、低粘度のショ糖脂
肪酸エステル分散液は得られなかった。粘度と平均粒子径の結果を表1に示す。
[比較例3]
アニオン性界面活性剤としてコハク酸モノグリセリド(商品名:ステップSS、花王(
株)製、IOB値:0.74)を用いた以外は実施例2と同様の方法でショ糖脂肪酸エス
テル濃度9.5%の分散液を得ようとしたが増粘し、低粘度のショ糖脂肪酸エステル分散
液は得られなかった。粘度と平均粒子径の結果を表1に示す。
[比較例4]
アニオン性界面活性剤としてステアロイル乳酸ナトリウム(東京化成工業(株)製、I
OB値:1.60)を用いた以外は実施例2と同様の方法でショ糖脂肪酸エステル濃度9
.5%の分散液を得ようとしたが増粘し、低粘度のショ糖脂肪酸エステル分散液は得られ
なかった。粘度と平均粒子径の結果を表1に示す。
[比較例5]
ステアリン酸系ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS-37
0、三菱ケミカルフーズ(株)製、HLB値:3)10.0部とキサンタンガム(東京化
成工業(株)製)0.1部を水90部に加え、80℃に加温して60分間攪拌した後、2
5℃まで氷浴にて速やかに冷却したところ、S-370が沈殿してしまい分散液を得られ
なかった。
Figure 2022084554000001
上記表1から、比較例のアニオン性界面活性剤を用いた場合に比べて、実施例のアニオ
ン性界面活性剤を用いることで低粘度の水分散液が得られることが明らかである。
特に実施例2と実施例3を比較すると、異なる調製条件であるにもかかわらず同様の分
散液が得られており、本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液が工業的な作業性に優れ
ることが明白である。
また、実施例5、9および10を比較すると、HLB値の大きく異なるショ糖脂肪酸エ
ステル分散液に対して同一のアニオン性界面活性剤を用いることでいずれも低粘度の分散
液を取得できることから、本発明のショ糖脂肪酸エステル分散液が用いるショ糖脂肪酸エ
ステルの種類によらず汎用性が高いことも明らかである。
そのため、ショ糖脂肪酸エステルの高濃度分散液の状態での保存性、および攪拌、混合
時の作業性が向上することが期待される。
本発明のショ糖脂肪酸エステルの水分散液は、食品、化粧品、医薬品などの添加剤に加
え、防曇剤、帯電防止剤、相溶化剤、塗料、コーティング剤、紙への耐水耐油性付与剤、
粘接着剤、各種有機および無機粒子の分散剤および熱可塑性および熱硬化性樹脂向け添加
剤など種々の用途に有用である。

Claims (4)

  1. ショ糖脂肪酸エステル、アニオン性界面活性剤、水を含有することを特徴とするショ糖
    脂肪酸エステルの水分散液であって、アニオン性界面活性剤が、IOB値が1.7以上の
    アニオン性界面活性剤であることを特徴とするショ糖脂肪酸エステルの水分散液。
  2. アニオン性界面活性剤の含有量が、ショ糖脂肪酸エステルに対して0.1~50重量%
    であることを特徴とする請求項1記載のショ糖脂肪酸エステルの水分散液。
  3. 水分散液中のショ糖脂肪酸エステル濃度が5~50重量%であることを特徴とする請求
    項1または2記載のショ糖脂肪酸エステルの水分散液。
  4. レーザー回折散乱法により測定した水分散液中のエマルジョンの平均粒子径が100μ
    mより小さいことを特徴とする請求項1~3いずれかに記載のショ糖脂肪酸エステルの水
    分散液。
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