JP2022075001A - グリース組成物及びこのグリース組成物を用いた摺動部分の潤滑方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ポリαオレフィンを含む基油と、(B)脂環式アミンとジフェニルメタンジイソシアネートの反応生成物であるウレア系増ちょう剤と、(C)脂肪族アミドと、(D)テトラエチレンペンタミンとイソステアリン酸のアミド化合物と、を含み、鋼及び樹脂間の潤滑に用いられるグリース組成物により、前記課題を解決することができる。
【選択図】なし
Description
グリースの潤滑性の改善のため、基油、増ちょう剤、添加剤の選択が種々提案されている。一方で、摺動部の条件により、摩擦特性は異なる。したがって、材質、温度、及び摺動速度などを考慮して、最適な組成を有するグリースを選択する必要がある。特に、鋼と樹脂は摩擦特性が異なり、両方の材質に接していても、低摩擦を維持できるグリース組成物が求められていた。
<1>
(A)ポリαオレフィンを含む基油と、
(B)脂環式アミンとジフェニルメタンジイソシアネートの反応生成物であるウレア系増ちょう剤と、
(C)脂肪族アミドと、
(D)テトラエチレンペンタミンとイソステアリン酸のアミド化合物と、
を含み、鋼及び樹脂間の潤滑に用いられるグリース組成物。
<2>
(E)窒化ホウ素
をさらに含む、<1>に記載のグリース組成物。
<3>
前記(D)成分の含有量が、組成物全量基準で0.1質量%以上3質量%以下である、<1>又は<2>に記載のグリース組成物。
<4>
(C)脂肪族アミドが、ステアリン酸ビスアミドである、<1>~<3>のいずれかに記載のグリース組成物。
<5>
前記(A)成分の含有量が、組成物全量基準で70質量%以上85質量%以下であり、
前記(B)成分の含有量が、組成物全量基準で5質量%以上20質量%以下であり、そして
前記(C)成分の含有量が、組成物全量基準で5質量%以上20質量%以下である、<1>~<4>のいずれかに記載のグリース組成物。
<6>
摺動部分に<1>~<5>のいずれかに記載のグリース組成物を介在させる潤滑方法。
本発明のグリース組成物において、潤滑油基油としては、ポリαオレフィンを含む基油を用いることができる。40℃における動粘度30mm2/s以上100mm2/s以下であるポリαオレフィンを用いることが好ましい。
40℃における動粘度は、JIS K 2283:2000に準拠して測定することができる。
本発明のグリース組成物における、潤滑油基油の含有量は、グリース組成物全量基準で、好ましくは、70質量%以上85質量%以下、より好ましくは75質量%以上85質量%以下である。
ウレア系増ちょう剤としては、脂環式アミンと、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを反応させて得られるウレア系化合物を使用することができる。
脂環式アミンとしては、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
本発明のグリース組成物において使用される脂肪族アミドは、脂肪族炭化水素の少なくとも1つの水素がアミド基(‐NH‐CO‐)で置換された化合物である。本発明のグリース組成物では、脂肪族アミドとして、アミド基を1つ含む化合物(モノアミド)、アミド基を2つ含む化合物(ビスアミド)、又はアミド基を3つ含む化合物(トリアミド)のいずれを用いてもよい。
脂肪族アミドは、好ましくは、融点が40℃以上180℃以下、より好ましくは80℃以上180℃以下、更に好ましくは100℃以上170℃以下のものである。脂肪族アミドは、好ましくは、分子量が242以上932以下、より好ましくは298以上876以下のものである。
脂肪族のモノアミド、ビスアミド、及びトリアミドは、下記の一般式(1)、一般式(2)及び(3)、並びに一般式(4)でそれぞれ表される。
R1‐CO‐NH‐A1‐NH‐CO‐R2・・・・(2)
R1‐NH‐CO‐A1‐CO‐NH‐R2・・・・(3)
R1‐M‐A1‐CH(A2‐M‐R3)‐A3‐M‐R2・・・・(4)
なお、モノアミドの場合、R2が水素又は炭素数10~20の飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基であることが好ましい。
また、ジアミンの酸アミドの場合は、A1が炭素数1~4の飽和鎖状炭化水素基のものが好ましい。
さらに、式(2)及び(3)において、R1、R2、またはA1で表される炭化水素基は、一部の水素が水酸基(‐OH)で置換されていてもよい。
一般式(3)で表されるジ酸のビスアミドとしては、具体的には、N,N’‐ビスステアリルセバシン酸アミド等が挙げられる。
これらビスアミドの中でも、一般式(2)及び一般式(3)のR1とR2がそれぞれ独立して炭素数12~20の飽和鎖状炭化水素基又は不飽和鎖状炭化水素基の脂肪族アミドであることが好ましい。
脂肪族アミドはそれぞれ単独で用いても、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。脂肪族アミドの含有量は、グリース組成物全量基準で、5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、7質量%以上15質量%以下とすることがより好ましい。脂肪族アミドの含有量が上記上限値以下であることにより、グリースが硬くなりすぎないため、潤滑不良を抑制することができ、上記下限値以上であることにより、低速および高速の両方の状態において、より摩擦係数を下げることができる。
本発明のグリース組成物において使用される、テトラエチレンペンタミンとイソステアリン酸のアミド化合物は、以下の式(5)で表される。
式(5)
Rはいずれもイソステアリン酸である。成分(D)は、油性剤として、本発明のグリース組成物に添加される。成分(D)を含有することにより、鋼及び樹脂間の潤滑条件において、低速および高速の両方の状態において摩擦係数を下げることができる。
本発明のグリース組成物は、成分(A)~(D)に加えて、窒化ホウ素を含むことができる。本発明のグリース組成物では、固体潤滑剤として広く用いられている六方晶系の常圧相(h‐BN)の粉末のものを使用することができる。使用用途により適正な粒径のものを適宜選定して使用できるが、粒子直径が1μm以上10μm以下のものが好ましい。
この窒化ホウ素の含有量は、グリース組成物の全量基準で、好ましくは0.2質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上3質量%以下である。窒化ホウ素の含有量が上記上限値以下であることにより、他の添加剤の効果を阻害することなく、摩擦係数をより下げることができ、上記下限値以上であることにより、グリース組成物の長時間耐久性が向上する。
本発明のグリース組成物には、上記成分以外に、必要に応じて、一般にグリースに用いられている、固体潤滑剤、摩耗防止剤又は極圧剤、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤などを適宜添加することができる。
本明細書において「鋼及び樹脂間」とは、本発明のグリース組成物が封入される部分において、当該グリースが接触する部分に、少なくとも鋼及び樹脂が存在することを意味する。したがって、鋼又は樹脂を含む部材が、それぞれ1つより多くてもよい。また、本発明のグリース組成物が、鋼及び樹脂の両方を含む単一の部材に封入されていてもよい。また、鋼及び樹脂以外の材質とも接する実施形態を除外するものではない。
本明細書において「鋼」とは、炭素を0.04~2質量%含む、鉄の合金を意味する。
本明細書において「樹脂」には、天然樹脂及び合成樹脂の両方が含まれる。合成樹脂としては、汎用プラスチック(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニールなど)、及びエンジニアリングプラスチックが含まれる。耐熱性、機械的強度の観点で、合成樹脂として、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの合成樹脂などが好ましく、ポリアミド樹脂、及びポリオキシメチレン樹脂がより好ましい。
本発明のグリース組成物を用いる機器としては、自動車・鉄道・航空機などの輸送機械、工作機械などの産業機械、洗濯機・冷蔵庫・掃除機などの家庭電化製品、時計・カメラなどの精密機械が挙げられる。これらの機器の軸受、歯車、摺動面、ベルト、ジョイント、及びカムなどに、本発明のグリース組成物を用いることができる。本発明のグリース組成物を使用することにより、上記機器の軸受等の低速(例えば、0.1m/s以下の速度の回転)及び高速(例えば、0.1m/sを超える速度の回転)における摩擦係数を低く維持することができる。
<グリースの配合>
各実施例及び各比較例について表1に示す配合割合で、増ちょう剤、基油および添加剤を配合することによって、試験用グリース組成物を調製した。得られた試験用グリース組成物に対して、次に示す評価を行った。評価結果を表1に示す。
・ポリαオレフィン1:動粘度46mm2/s(40℃)
・ポリαオレフィン2:動粘度400mm2/s(40℃)
表1に示した質量比で基油を混合し、潤滑油基油を調製した。
(2)増ちょう剤
・シクロヘキシルアミン(CHA)とジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを混合し、ウレア系化合物を調製した。
(3)添加剤
表1に記載の通り、添加剤を添加した。表中、添加剤の含有量は、グリース組成物全量基準を意味する。添加剤の詳細は以下の通りである。
・オクチルN(オクチルフェニル)アニリン 三洋化成社製(製品名:Vanlube81)
・エチレン Bis-ステアリルアミド アデカケミカルサプライ社製(製品名:PALMOWAX EBS)
・テトラエチレンペンタミンとイソステアリン酸のアミド化合物 シェブロンオロナイト社製(製品名:OLOA 340D)
・窒化ホウ素 水島合金鉄社製(製品名:HP-P1)
・亜リン酸エステルとリン酸エステルの混合物 日本ルーブリゾール社製(製品名:LUBRIZOL 6178)
(1)摩擦係数
JIS K 7218に記載の鈴木式摩擦試験機を用いて、低速(0.04m/s)及び高速(1m/s)における摩擦係数を測定した。樹脂にはポリアミドであるPA66をリング状(外径25.6mm、内径20.0mm、高さ15mm)に加工したものを用い、鋼にはS45Cのコロ(φ8mm、長さ5mm)を用いた。3つのコロを放射状に配置し回転しないよう固定した状態でグリースをコロに1g塗布し、3つのコロに均等に接触するよう樹脂リングを押し付け、50Nの荷重を付加した状態で、低速(0.04m/s)又は高速(1m/s)で運転したときの5分後の摩擦係数を測定した。
テトラエチレンペンタミンとイソステアリン酸のアミド化合物ではなく亜リン酸エステルとリン酸エステルの混合物を含む比較例1、及びエチレンBis-ステアリルアミドを含まない比較例2の各々では、低速試験時又は高速試験時の摩擦係数がそれぞれ0.070又は0.040を超える結果となった。
樹脂及び鋼の条件ではなく、鋼及び鋼の条件で計測した比較例3では、低速試験時又は高速試験時の摩擦係数が、いずれも大幅に上昇した。
Claims (6)
- (A)ポリαオレフィンを含む基油と、
(B)脂環式アミンとジフェニルメタンジイソシアネートの反応生成物であるウレア系増ちょう剤と、
(C)脂肪族アミドと、
(D)テトラエチレンペンタミンとイソステアリン酸のアミド化合物と、
を含み、鋼及び樹脂間の潤滑に用いられるグリース組成物。 - (E)窒化ホウ素
をさらに含む、請求項1に記載のグリース組成物。 - 前記(D)成分の含有量が、組成物全量基準で0.1質量%以上3質量%以下である、請求項1又は2に記載のグリース組成物。
- (C)脂肪族アミドが、ステアリン酸ビスアミドである、請求項1~3のいずれか1項に記載のグリース組成物。
- 前記(A)成分の含有量が、組成物全量基準で70質量%以上85質量%以下であり、
前記(B)成分の含有量が、組成物全量基準で5質量%以上20質量%以下であり、そして
前記(C)成分の含有量が、組成物全量基準で5質量%以上20質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のグリース組成物。 - 摺動部分に請求項1~5のいずれか1項に記載のグリース組成物を介在させる潤滑方法。
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