JP2022053454A - ステイナブル性化粧シート及び化粧シートの着色方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた接着層と、
前記接着層の前記基材が設けられた面の他方の面側に設けられた不織布層と、
を備え、
前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層を形成する樹脂が充填してなる充填部Aを有し、
前記接着層を形成する樹脂が熱可塑性ウレタン樹脂であり、
前記熱可塑性ウレタン樹脂の接触角度が90.0°以下である、
ステイナブル性化粧シート。
2.前記不織布層の前記接着層が設けられた面の他方の面側に表面層を有し、
前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、前記充填部A、及び層内の厚み方向の前記表面層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記表面層を形成する樹脂が充填してなる充填部Bを部分的に有する、上記1に記載のステイナブル性化粧シート。
3.前記基材が、紙基材である上記1又は2に記載のステイナブル性化粧シート。
4.前記不織布層が、再生繊維から選ばれる少なくとも一種の繊維からなる上記1~3のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シート。
5.前記表面層を形成する樹脂が、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂である上記2~4のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シート。
6.前記基材と前記接着層との間に、更に装飾層を備える上記1~5のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シート。
7.前記装飾層が、木目模様を呈するものである上記6に記載のステイナブル性化粧シート。
8.前記熱可塑性ウレタン樹脂及び前記不織布層の濡れ張力が、70mN/m以上である上記1~7のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シート。
9.上記1~8のいずれか1に記載のステイナブル性化粧シートの前記表面層側に着色剤を塗布し、前記不織布層を着色する化粧シートの着色方法。
本実施形態のステイナブル性化粧シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた接着層と、前記接着層の前記基材が設けられた面の他方の面側に設けられた不織布層と、を備え、前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層を形成する樹脂が充填してなる充填部Aを有し、前記接着層を形成する樹脂が熱可塑性ウレタン樹脂であり、前記熱可塑性ウレタン樹脂の接触角度が90.0°以下である、ことを特徴とするものである。また、本実施形態のステイナブル性化粧シートは、前記熱可塑性ウレタン樹脂及び不織布層の濡れ張力が70mN/m以上であってもよいものである。
不織布層は接着層及び必要に応じて設けられる表面層との関係で、充填部A及びBという二つの充填部を有する層であるといえる。充填部Aは、接着層を形成する樹脂の少なくとも一部が不織布層に浸透することで形成するため、基材、とりわけ紙基材を採用した場合に紙基材と不織布層との優れた接着性が得られることとなる。そして、接着層を形成する樹脂として熱可塑性ウレタン樹脂を採用することで接着層の接触角度は特定の範囲となり、また不織布層も特定の接触角度を有するものを選択することで、接着層と不織布層との関係でこれらの層の接着性が向上し、基材と接着層と不織布層との接着性が優れたものとなる。接着層及び不織布層とステイン塗料との関係では、これらの層が特定の接触角度を有することで、ステイン塗料の着肉性が向上し、優れたステイナブル性が得られる。また、既述のように、接着層を形成する樹脂、不織布層の濡れ張力を特定の範囲内とすることは、ステイン塗料の着肉性が更に向上し、より優れたステイナブル性が得られるため、好ましい。
表面層を設ける場合、充填部Bは、表面層を形成する樹脂の少なくとも一部が不織布層に浸透することで形成するため、表面層とともに不織布層の毛羽立ちを良好な状態とすることで触感及びステイナブル性を付与しながら、不織布層の毛羽立ち(表面の凹凸)及び空隙による屈折率に起因する透明性の低下を抑制し、意匠性が向上する。
本実施形態のステイナブル性化粧シート1が有する基材は、他の層を設けるための支持体としての機能を果たす。
基材10に採用される基材としては、紙基材、樹脂基材等から制限なく採用することが可能であり、価格の低減、環境問題の観点から、紙基材が好ましく採用される。紙基材としては、例えば、上質紙、薄葉紙、リンター紙、クラフト紙、紙間強化紙、樹脂含浸紙、壁紙用裏打紙、これらの紙に難燃剤を混抄又は含侵してなる難燃紙等を用いることができる。これらの材料は、単独で使用してもよいが、例えば、紙同士の積層体等のように、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
基材は、必要に応じて難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤等の添加剤を適宜添加したものであってもよい。
接着層20は、基材10の少なくとも一方の面11側に設けられる層であり、基材10と不織布層30との接着のために設けられ、不織布層30を構成する繊維の一部に充填して充填部Aを形成する層である。
接着層20の形成に用いられる接着剤としては、樹脂として接触角度が90.0°以下となる熱可塑性ウレタン樹脂を含む樹脂が採用される。また、当該熱可塑性ウレタン樹脂は、濡れ張力が70mN/m以上という性状を有してもよい樹脂である。このような樹脂を採用することにより、基材10と不織布層30との優れた接着性が得られ、かつ優れたステイナブル性も得られる。
本明細書において、接触角度は、実施例における測定方法に基づき測定されるものである。
本明細書において、濡れ張力は、実施例における測定方法に基づき測定されるものである。
また、ポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、また1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環式)イソシアネートが挙げられる。また、ポリイソシアネートとしては、上記各種ポリイソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体等も挙げられる。
接触角度が90.0°以下とし、ステイナブル性を向上させる観点から、熱可塑性ウレタン樹脂の性状として、接触角度に影響しやすい性状、例えば官能基数、分子中におけるウレタン結合の存在率を調整して、また水酸基価(例えば後述する水酸基を多く含む樹脂が有するものとして記載する水酸基価)等を考慮してウレタン樹脂を構成するポリオールを選択することで、所望の接触角度に調整したものであることが好ましい。また、これと同様の観点から、熱可塑性ウレタン樹脂のガラス転移点は、好ましくは-60℃以上50℃以下、より好ましくは-55℃以上45℃以下、更に好ましくは-50℃以上35℃以下、より更に好ましくは-48℃以上20℃以下である。また、このようにすることで、濡れ張力も70mN/m以上となりやすくなる。
不織布層30は、当該不織布層30を形成する繊維の空隙、すなわち繊維部32に、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保し、ステイナブル性を発現させる層であり、層内の厚み方向の前記接着層20が設けられた面30a側において、不織布層30を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層20を形成する樹脂が充填してなる充填部A31を部分的に有し、また表面層40が設けられる場合は、充填部A31、及び層内の厚み方向の表面層40が設けられた面30b側において、不織布層30を構成する繊維の空隙の一部に表面層40を形成する樹脂が充填してなる充填部B33を、部分的に有する層である。
既述のように、上記の繊維の中でも、水酸基を多く有する繊維が好ましく、例えば再生繊維が好ましく、とりわけレーヨン繊維は好ましい。水酸基を多く有する繊維は濡れ張力が高く(具体的には70mN/m以上)、不織布層の濡れ張力を高くしやすいため、ステイン塗料の着肉性が向上することでステイナブル性の向上を図ることができる。
不織布を構成する繊維の平均繊維径は、電子顕微鏡(300倍)を用いて、不織布の任意の箇所に存在する繊維30本の繊維の幅(直径)を測定し、得られた各測定結果の値を平均することで測定することができる。
不織布層30の層内の厚み方向の接着層20が設けられた面30a側には、繊維の空隙の一部に接着層20を形成する樹脂が充填してなる充填部A31を備える。充填部A31を有することにより、本実施形態のステイナブル性化粧シート10は、紙基材10と不織布層30との接着性を良好にすることができ、また透明性の向上にも寄与し得る。
充填部B33は、充填部A31と同様に、不織布層30を形成する繊維の空隙に、表面層40を形成する樹脂が充填され、空隙が残存しない状態であるため、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を有しない部分である。
模式断面図(概念図)である図1及び2においては、図示の簡略化と及び層構成概念の説明の便宜上、あたかも充填部A31及び充填部B33は連続体の層状に全面を被覆して存在するかのように模式的に示されているが、実態としては当該図に示されるように均一な層を呈しているわけではないと考えられる。水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込んで着色されていることを考慮すると、例えば図1及び2において充填部A31及び充填部B33として示される、不織布層30の層内の厚み方向についての一定の範囲において、不織布層30を形成する繊維の空隙を、接着層20を形成する樹脂及び表面層40を形成する樹脂が充填されて構造の微小領域からなる多数の充填部A31の微小領域及び充填部B33の微小領域が、間に未充填の繊維部32の微量領域を介在させた状態で不連続的に存在、あるいは点在しているものと考えられる。
また、充填部A及び充填部Bのいずれも、樹脂は不織布層30の外側表面から不織布層30の内部に漸次浸透するため、加工条件の調節いかんによっては、図3に示されるように、不織布層30が、紙基材20に近い側に位置する充填部A31(複数の充填部Aの微小領域が間に繊維部32を混在させてなる。)、紙基材20側とは反対側に位置する充填部B33(複数の充填部Bの微小領域が間に繊維部32を混在させてなる)及びこれらの充填部A31と充填部B33との間に挟まれる繊維部32(繊維間の空隙は未充填)の3層構造を呈する態様となる場合もある。
本実施形態のステイナブル性化粧シートは、既述のように、充填部A31及び充填部B33を部分的に有する層であることから、これらの充填部以外の部分、すなわち繊維部32を自ずと有するものとなる。繊維部32は、図1及び2に図示されるように、不織布層30のうち、接着層20、表面層40を形成する樹脂が充填されず、当該繊維部32を形成する不織布の繊維が空隙を残した状態で残存した部分のことである。本実施形態のステイナブル性化粧シートは、繊維部32を有することにより、繊維の空隙に水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保し、ステイナブル性を発現するものとなる。
繊維部32が、繊維がそのまま存在する態様である場合は、接着層20を形成する樹脂である熱可塑性ウレタン樹脂が90.0°以下の接触角度であるものを用いることで、ステイン塗料の優れた着肉性が得られる。また、この場合、熱可塑性ウレタン樹脂は、70mN/m以上の濡れ張力を有してもよい。そして、不織布層30として、例えば濡れ張力が70mN/m以上のものを用いることでステイン塗料の優れた着肉性が得られやすくなる。このように、繊維部32はいかなる態様であったとしても、接着層20として90.0°以下の接触角度、また70mN/m以上という濡れ張力を有してもよい熱可塑性ウレタン樹脂を採用することで、優れたステイナブル性が得られることとなる。また、不織布層30として、例えば濡れ張力が70mN/m以上のものを用いることでステイン塗料の優れた着肉性が得られやすくなるため、ステイナブル性はさらに向上する。
例えば、接着層20の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量を多くすると、不織布層30における充填部A31の割合が増加し、他方表面層40の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量を多くすると、不織布層30における充填部B33の割合が増加する。また、接着層20及び表面層40の形成の際に使用する樹脂組成物の塗布量を多くすると、不織布層30における繊維部32の割合は減少し、当該塗布量を少なくすると、不織布層30における繊維部32の割合は増加することとなる。
本実施形態においては、例えば上記の塗布量等を調整することで、不織布層30の所望の状態を得ることが可能となる。
表面層40は、不織布層30の接着層20が設けられた面30aの他方の面30b側(すなわち、化粧シート1の表面側)に設けられる層であり、必要に応じて設けられる層である。表面層40を設けることで、不織布層30の毛羽立ちを調整することができ、ステイナブル性を確保しながら、当該毛羽立ち(表面の凹凸)を低減させることで、当該毛羽立ちによる触感の低下を抑制することができる。また表面層40により空隙と不織布層30の構成繊維との屈折率の差を小さくして不織布層30を他方の面30b側から観察した場合の不織布層30の透明性を向上させるとともに、ヘイズ(Haze;曇価)を低減させることができる。その結果として、本実施形態のステイナブル性化粧シートの透明性を向上させるだけでなく、触感を付与することができる。
また硬化性樹脂の場合、1液硬化型であってもよいし、2液硬化型であってもよいが、ステイナブル性向上の観点から、硬化剤の添加量は主剤100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。また、これらの樹脂は単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。なお、燃焼時の環境への負荷等を考慮すると、塩化ビニル樹脂は好ましくない。
樹脂の種類としては、上記樹脂の中でも、アクリルポリオール樹脂が好ましく、アクリルポリオール樹脂とイソシアネート硬化剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
このように、表面層40がどのような態様で存在しようとも、水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保し、優れたステイナブル性を得る観点から、最表面及びその近傍(不織布層30の層内の厚み方向についての近傍)において、少なくとも一部にその表面が樹脂により被覆されていてもよい繊維同士により形成される空隙が存在していることが好ましい。
本実施形態のステイナブル性化粧シートは、意匠性の向上の観点から、装飾層50を有することが好ましい。装飾層50は、基材10と不織布層30との間に設ければよく、基材10と接着層20との間に設けることが好ましい。
装飾層50としては、その前面を被覆するように設けられる全面着色層51のみから構成される層であってもよいし、その一部分を被覆するように柄を形成するように設けられる絵柄層52のみから構成される層であってもよいし、全面着色層51と絵柄層52とを組み合わせた層であってもよい。これらの層構成は、所望の模様に応じて決定すればよい。
需要者の意匠への要望は流行等により変化するものであるが、木目模様への人気は根強いため、本実施形態のステイナブル性化粧シートの模様としても、木目模様が好ましい。木目模様には、柾目模様、板目模様、杢目模様、木口模様等があるが、いずれであってもよい。
艶消し剤としては、シリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、及びケイ酸微粉末等の無機フィラー;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は尿素系樹脂等の有機フィラー、等が挙げられる。
例えば、好ましい模様として例示した木目模様について、木目模様は、より低光沢(艶消又は低艶)の導管部分、より高光沢(艶有又は高艶)の春材部分、更に高光沢の秋材部分(照り部分)等が存在する。装飾層50において、より低光沢な導管部分を形成する絵柄層、より高光沢な春材部分を形成する絵柄層、更に高光沢の秋材部分を形成する絵柄層等の複数の絵柄層52を組み合わせることで、意匠性の高い模様を形成することが可能である。またこの場合、例えば全面着色層51に艶消し剤を含有させない、あるいは絵柄層52よりもその含有量を少なくすることで、絵柄層52との艶差をより大きくして、意匠性を向上させることも可能である。
本実施形態のステイナブル性化粧シート1の製造方法について、本実施形態のステイナブル性化粧シート1として好ましい態様の一つである、図2に示されるステイナブル性化粧シート1を例にとって、その製造方法を説明する。
図2に示される本実施形態のステイナブル性化粧シート1は、基材10上に装飾層50を設ける工程1、当該装飾層50の上に接着層20を設ける工程2、当該接着層20の上に不織布層30と、充填部A31と、を設ける工程3、及び当該不織布層30の表面に表面層40を形成する樹脂組成物を塗布し、表面層40とともに充填部B33を形成する工程4を経て製造することができる。
装飾層50は、上記装飾層50の形成に用いられる樹脂組成物を、好ましくはグラビア印刷、シルクスクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷等により形成することが好ましく、大ロットの場合はグラビア印刷、小ロットの場合はインキジェット印刷を採用することがより好ましい。
例えば、接着層20を形成し得る樹脂として例示した中から適宜選択し、好ましくはウレタン樹脂を含む樹脂組成物を装飾層50上に塗布して接着層20を形成する。この場合、樹脂組成物の塗布方法は、上記装飾層50における樹脂組成物の塗布方法として例示した公知の方法のいずれかを選択して行えばよい。
不織布層30及び充填部A31は、例えば、樹脂組成物の塗布により接着層20を形成した後、これの上に不織布を配置した後、押出ラミネート(サンドラミネート)、ドライラミネート、熱圧着等により、不織布層30を形成し、かつ当該接着層の形成に用いられる樹脂組成物が、不織布の空隙の一部に充填されることで充填部A31が形成する。
例えば、接着層20を、接着層20を形成し得る樹脂として例示した中から適宜選択し、好ましくは熱可塑性ウレタン樹脂を溶融押出しして、接着層形成樹脂を配置し、これの上に不織布を配置した後、押出ラミネート(サンドラミネート)等により、接着層20とともに、当該接着層形成樹脂が不織布の空隙の一部に充填された充填部A31及び不織布層30を形成し得る。
表面層40を形成する樹脂組成物の塗布は、上記装飾層50における樹脂組成物の塗布方法として例示した公知の方法のいずれかを選択して行えばよい。表面層40の形成にあたり、樹脂組成物の塗布量は、主に表面層40の厚さに加えて、不織布層30における充填部B33、繊維部32及び充填部A31のバランス等を考慮して決定すればよく、充填部A31、充填部B33及び繊維部32をバランスよく形成し、表面の触感、ステイナブル性及び透明性をバランスよく向上させる観点から、通常1g/m2以上、好ましくは2g/m2以上、より好ましくは5g/m2以上であり、上限として好ましくは20g/m2以下、より好ましくは16g/m2以下、更に好ましくは12g/m2以下である。
本実施形態のステイナブル性化粧シートの着色方法は、上記の本実施形態のステイナブル性化粧シートの前記表面層側に着色剤を塗布し、前記不織布層を着色することを特徴とするものである。
本実施形態のステイナブル性化粧シート1は不織布層30を有するため、繊維の空隙に水性ステイン塗料及び油性ステイン塗料等の着色剤が入り込む着肉性を担保する。
また、ステイナブル性化粧シート1は、紙基材10と不織布層30との間に接着層20が存在し、接着層20が耐水性及び耐溶剤性を付与することで、不織布層30に塗布しても紙基材10への物性の影響を防ぐことができる。
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、以下の評価を行った。
<ステイナブル性の評価>
各実施例及び比較例で得られた化粧シートを表面層側に油性ステイン塗料で塗布し、ステイナブル性を評価した。本評価において、B評価以上が合格である。
A:油性ステイン塗料の着色に優れており、化粧シートの物性低下が全く又はほとんどなかった。
B:油性ステイン塗料の着色は良好であり、化粧シートの物性低下はほとんどなかった。
C:油性ステイン塗料の着色が若干劣ったが、化粧シートの物性低下はほとんどなかった。
D:油性ステイン塗料の着色ができない、及び/又は化粧シートの物性が低下した。
各実施例及び比較例で得られた化粧シートを300mm×300mmの寸法で切断し、接着強度試験の試験片とした。試験片の不織布層側に幅25mmのセロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製、商品名「セロテープ(登録商標)」)を貼った後に引き剥がし、接着性を評価した。本評価において、A評価が合格である。
A:不織布層内又は不織布層と接着層との間で剥がれなかった。
B:不織布層内又は不織布層と接着層との間で一部剥がれが生じた。
C:不織布層内又は不織布層と接着層との間で剥がれた。
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、その外観について以下の基準で評価した。本評価において、B評価以上は合格である。
A:外観の透明性の低下は全くみられず、優れた意匠性を有していた。
B:外観の透明性の低下はほとんどみられず、実用上問題ないものであった。
C:外観の透明性の低下が確認され、意匠性が低下した。
<濡れ張力の測定>
温度23℃(相対湿度:50%)の雰囲気下で、層の形成に用いた樹脂組成物について、濡れ張力測定用の支持体(厚さ:25μm、素材:PET樹脂)に、塗布量8g/m2で塗布し層を形成した後、当該層上に、濡れ張力測定ペン(「テンションチェッカー TC-B-70(ダイン数:70)」、有限会社パシフィック化学製)で塗布し、3秒後の液膜の状態を目視し、液膜の破れ、収縮が生じるかどうかを目視にて確認した。当該破れ、収縮が生じなければ、濡れ張力は70mN/m以上であることを示す。
また、不織布層を形成する不織布については、当該不織布の表面上に濡れ張力測定ペンを塗布した以外は上記の方法と同様にして、濡れ張力を測定した。
上記<濡れ張力の測定>と同様にして、層の形成に用いた樹脂組成物について、濡れ張力測定用の支持体(厚さ:25μm、素材:PET樹脂)に、塗布量8g/m2で塗布し層を形成した。その後、接触角計(「CA-X(型番)」、協和界面科学株式会社製)を用いて、当該層と純水との接触角度を測定した。ここで、接触角度は任意に9点で測定し、最大値及び最小値の二つを除外し、残りの7点の平均値を、接触角度とした。
紙基材として印刷紙(「HPT30(品番)」、北越紀州製紙株式会社製、厚さ:60μm、坪量:45g/m2)を用意し、当該印刷紙に、バインダー樹脂中に顔料を含有するインキ(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂及びアクリル系樹脂の1:1質量比混合物をバインダーとし、顔料としてカーボンブラックを含有するインキ)を用いてグラビア印刷にて木目模様を呈する装飾層を形成した(厚さ:2~6μm)。次いで、装飾層上に、接着層を形成する樹脂の組成物(接触角度が85.2°となり、濡れ張力が70mN/m以上となるように調整したものである。熱可塑性ウレタン樹脂のガラス転移温度:-45℃)を用いてグラビア印刷により12g/m2(ドライベース)の塗布量で塗布し、接着層(厚さ:12μm)を設けた。
別途、レーヨン繊維からなる不織布(「3016(品番)」、金星製紙株式会社製、厚さ:80μm、坪量:17g/m2)を用意し、上記装飾層及び接着層を形成した紙基材と、不織布とを熱圧着によりラミネートすることで、紙基材、装飾層、接着層並びに充填部A及び繊維部からなる不織布層を有する積層体を得た。
次いで、当該積層体の繊維部側に、表面層を形成する樹脂組成物として、アクリルポリオール樹脂(水酸基価:41mgKOH/g)100質量部、イソシアネート系硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアネート基含有量:19質量%)5質量部)を含む組成物を、塗布量12g/m2(ドライベース)で塗布し、充填部B及び表面層を形成し、紙基材、装飾層、接着層、充填部A、繊維部及び充填部Bからなる不織布層、並びに表面層を有するステイナブル性化粧シートを得た。
得られたステイナブル性化粧シートについて、上記の方法により評価した結果を表1に示す。
また、接着層を形成する樹脂の組成物、表面層を形成する樹脂組成物、及び不織布について、上記の方法により濡れ張力を測定したところ、いずれも70mN/m以上であった。
実施例1において、表面層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、ステイナブル性化粧シートを得た。
得られたステイナブル性化粧シートについて、上記の方法により評価した結果を表1に示す。また、接着層を形成する樹脂の組成物、及び不織布について、上記の方法により濡れ張力を測定したところ、実施例1と同様に、いずれも70mN/m以上であった。
実施例1において、ポリエチレン樹脂(接触角度:97.0°、濡れ張力:38mN/mに調整したもの。)を溶融押出して接着層を形成(厚さ:20μm)した以外は、実施例1と同様にして、化粧シートを得た。
得られた化粧シートについて、上記の方法により評価した結果を表1に示す。
実施例1において、接着層を形成する樹脂組成物の熱可塑性ウレタン樹脂を、接触角度及び濡れ張力が表1に示されるものとなるように調整したものである(実施例3で使用した熱可塑性ウレタン樹脂のガラス転移点:30℃、実施例4で使用した熱可塑性ウレタン樹脂のガラス転移点:0℃)。当該熱可塑性ウレタン樹脂を含む組成物を用いて、12g/m2(ドライベース)の塗布量で塗布し、接着層(厚さ:12μm)を設けた以外は、実施例1と同様にして、実施例3及び4のステイナブル性化粧シートを得た。
得られた化粧シートについて、上記の方法により評価した結果を表1に示す。
一方、比較例1の化粧シートは、表面層を有していることから透明性には優れていたものの、接着層を形成する樹脂の接触角度が97.0°と、90.0°よりも大きく、また熱可塑性ウレタン樹脂ではないため、ステイナブル性が劣るものとなり、また接着性も若干劣るものとなった。また、比較例1の化粧シートは、接着層を形成する樹脂の濡れ張力が38mN/mと70mN/m未満であることかも、ステイナブル性、接着性が低下する要因になっていると考えられる。
10:紙基材
20:接着層
30:不織布層
31、33:充填部
32:繊維部
40:表面層
50:絵柄層
Claims (9)
- 基材と、
前記基材の少なくとも一方の面側に設けられた接着層と、
前記接着層の前記基材が設けられた面の他方の面側に設けられた不織布層と、
を備え、
前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記接着層を形成する樹脂が充填してなる充填部Aを有し、
前記接着層を形成する樹脂が熱可塑性ウレタン樹脂であり、
前記熱可塑性ウレタン樹脂の接触角度が90.0°以下である、
ステイナブル性化粧シート。 - 前記不織布層の前記接着層が設けられた面の他方の面側に表面層を有し、
前記不織布層は、層内の厚み方向の前記接着層が設けられた面側において、前記充填部A、及び層内の厚み方向の前記表面層が設けられた面側において、不織布層を構成する繊維の空隙の一部に前記表面層を形成する樹脂が充填してなる充填部Bを部分的に有する、請求項1に記載のステイナブル性化粧シート。 - 前記基材が、紙基材である請求項1又は2に記載のステイナブル性化粧シート。
- 前記不織布層が、再生繊維から選ばれる少なくとも一種の繊維からなる請求項1~3のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シート。
- 前記表面層を形成する樹脂が、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂及びウレタン樹脂から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項2~4のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シート。
- 前記基材と前記接着層との間に、更に装飾層を備える請求項1~5のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シート。
- 前記装飾層が、木目模様を呈するものである請求項6に記載のステイナブル性化粧シート。
- 前記熱可塑性ウレタン樹脂及び不織布層の濡れ張力が、70mN/m以上である請求項1~7のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シート。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載のステイナブル性化粧シートの前記表面層側に着色剤を塗布し、前記不織布層を着色する化粧シートの着色方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2021
- 2021-03-25 JP JP2021052273A patent/JP2022053454A/ja active Pending
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