JP2022022915A - 鋼材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鋼材の化学組成が、質量%で、C:0.01~0.30%、Si:0.03~0.60%、Mn:0.50~2.50%、P:0.030%以下、S:0.010%以下、Al:0.002~0.050%、N:0.0010~0.0080%、Ti:0.003~0.030%、残部:Feおよび不純物であり、Ceqが0.25~0.55であり、鋼材の表面から1/4tの位置における金属組織が、ベイナイト、マルテンサイト、および高ひずみフェライトから選択される1種以上を、合計の面積%で、15%以上含み、鋼材の圧延方向が長手方向と一致するように採取された試験片を用いた引張試験において、上降伏点σSUと下降伏点σSLとの比σSL/σSUが0.97以上である、鋼材。
【選択図】 なし
Description
C :0.01~0.30%、
Si:0.03~0.60%、
Mn:0.50~2.50%、
P :0.030%以下、
S :0.010%以下、
Al:0.002~0.050%、
N :0.0010~0.0080%、
Ti:0.003~0.030%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で定義される炭素当量Ceqの値が0.25~0.55であり、
前記鋼材の圧延方向および厚さ方向に平行な断面において、前記鋼材の厚さをtとした時に、前記鋼材の表面から1/4tの位置における金属組織が、ベイナイト、マルテンサイト、およびKAM値が0.5°以上の値を有する高ひずみフェライトからなる群から選択される1種以上を、合計の面積%で、15%以上含み、
前記鋼材の圧延方向が長手方向と一致するように採取された試験片を用いた引張試験において、上降伏点σSUと下降伏点σSLとの比σSL/σSUが0.97以上である、
鋼材。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・(i)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない場合はゼロとする。
上記(1)に記載の鋼材。
0.5≦Ti/N≦5.0 ・・・(ii)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
Cu:2.00%以下、
Ni:3.00%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:1.00%以下、
Nb:0.060%以下、
V :1.00%以下、および
B :0.0030%以下、
からなる群から選択される1種以上を含有するものである、
上記(1)または(2)に記載の鋼材。
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、および
REM:0.010%以下、
からなる群から選択される1種以上を含有するものであり、かつ
下記(iii)式を満足する、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の鋼材。
0.0005≦Ca+Mg+REM≦0.0080 ・・・(iii)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない場合はゼロとする。
上記(1)から(4)までのいずれかに記載の鋼材。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、固溶強化さらには焼入れ性向上を介して、強度増加に寄与する元素である。このような効果により所望の高強度を確保するためには、C含有量を0.01%以上とする。一方、溶接性および継手靭性の低下を抑制するとともに、繰返し軟化に寄与する可動転位量の減少を抑制するためには、C含有量を0.30%以下とする。C含有量は0.04%以上であるのが好ましく、0.20%以下であるのが好ましい。
Siは、安価な脱酸元素であり、固溶強化を介して強度増加に寄与する元素である。このような効果を得るためには、Si含有量を0.03%以上とする。一方、溶接性および継手靭性の低下を抑制するためには、、Si含有量を0.60%以下とする。溶接性、または母材および継手靭性への要求が厳しい鋼材の場合は、Si含有量は0.03%以上であるのが好ましく、0.50%以下であるのが好ましい。
Mnは、母材の強度および靭性を向上させる元素として有効である。このような効果を得るためには、Mn含有量を0.50%以上とする。一方、溶接性および継手靭性の低下を抑制するためには、Mn含有量を2.50%以下とする。Mn含有量は0.80%以上であるのが好ましく、0.90%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は2.00%以下であるのが好ましく、1.80%以下であるのがより好ましい。
Pは、鋼材中へ不可避的に存在する。Pは脆化を促進させることから、P含有量を0.030%以下とする。P含有量は、できるだけ少ないことが望ましい。しかしながら、Pを低減することは溶製上、多大なコストアップを招き、実用性を損なうことから、P含有量は0.001%以上であってもよい。P含有量は0.025%以下であるのが好ましい。
Sは、不可避不純物であり、鋼材中では硫化物系介在物として存在する。Sは機械的性質、特に延性および靭性を著しく劣化させる。そのため、S含有量を0.010%以下とする。延性および靭性を確保するためには、S含有量は少ないほど望ましく、S含有量は0.005%以下であるのが好ましい。ただし、Sを低減することはコストアップを招くことから、S含有量は0.001%以上であってもよい。
Alは、脱酸元素であるとともに、AlNによりオーステナイト粒径の微細化に有効な元素である。このような効果を発揮するためには、Al含有量を0.002%以上とする。一方、鋼片の表面品位の低下や靭性に有害な介在物の形成を抑制するためには、Al含有量を0.050%以下とする。Al含有量は0.020%以上であるのが好ましく、0.040%以下であるのが好ましい。
Nは、Alと共に窒化物を形成し、オーステナイト粒径の微細化に有効な元素である。このような効果を発揮するためには、N含有量を0.0010%以上とする。一方、固溶Nによる脆化および伸び特性の低下を抑制するためには、N含有量を0.0080%以下とする。N含有量は0.0015%以上であるのが好ましい。また、N含有量は0.0060%以下であるのが好ましく、0.0050%以下であるのがより好ましい。
Tiは、微量の含有により延性向上に寄与する。このような効果を発揮するためには、Ti含有量を0.003%以上、0.030%以下とする。Ti含有量は0.006%以上であるのが好ましく、0.020%以下であるのが好ましい。
0.5≦Ti/N≦5.0 ・・・(ii)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。
Cuは、固溶して強度増加に寄与するとともに、耐全面腐食性および耐局部腐食性向上にも有効であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cu含有量が過剰であると、鋼片の表面割れの助長、継手靭性の劣化等、悪影響も顕在化する。そのため、Cu含有量は2.00%以下とする。Cu含有量は1.50%以下であるのが好ましく、1.00%未満であるのがより好ましい。上記の効果をより確実に得たい場合は、Cu含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。
Niは、強度確保および靭性向上に有効であるとともに、Cuを添加した場合に生ずる熱間脆性の改善に有効に寄与するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Ni含有量が過剰であると、溶接性が低下するとともに、コストが上昇する。そのため、Ni含有量は3.00%以下とする。Ni含有量は2.00%以下であるのが好ましい。上記の効果をより確実に得たい場合は、Ni含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。
Crは、焼入れ性を向上させ、強度増加に寄与するとともに、耐候性の向上にも寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Cr含有量が過剰であると、溶接性、靭性が低下する。そのため、Cr含有量は1.00%以下とする。Cr含有量は0.50%以下であるのが好ましい。上記の効果をより確実に得たい場合は、Cr含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。
Moは、強度増加に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mo含有量が過剰であると、溶接性、靭性の低下を招くとともに、コストが上昇する。そのため、Mo含有量は1.00%以下とする。Mo含有量は0.50%以下であるのが好ましい。上記の効果をより確実に得たい場合は、Mo含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。
Nbは、微量の添加により組織微細化に寄与し、母材強度確保に有効な元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Nb含有量が過剰であると、溶接部を硬化させて著しく靭性を劣化させる。そのため、Nb含有量は0.060%以下とする。Nb含有量は0.030%以下であるのが好ましい。上記の効果をより確実に得たい場合は、Nb含有量は0.002%以上であるのが好ましく、0.003%以上であるのがより好ましい。
Vは、析出強化により強度上昇に寄与するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、V含有量が過剰であると、継手靭性を損なうことがある。そのため、V含有量は1.00%以下とする。V含有量は0.50%以下であるのが好ましい。上記の効果をより確実に得たい場合は、V含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.03%以上であるのがより好ましい。
Bは、微量添加により焼き入れ性を高め母材強度向上に寄与するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、B含有量が過剰であると、伸びおよび継手靭性を劣化させる。そのため、B含有量は0.0030%以下とする。上記の効果をより確実に得たい場合は、B含有量は0.0003%以上であるのが好ましい。
Mg:0.010%以下
REM:0.010%以下
Ca、MgおよびREMは、いずれも硫化物を形成することで粗大な介在物(延伸MnS等)の生成を抑制するため、必要に応じて含有させてもよい。一方、いずれの含有量も過剰になれば効果は飽和し、粗大な酸化物または硫化物を形成して靭性および伸びを劣化させる。そのため、Ca、MgおよびREMの含有量は、いずれも0.010%以下とする。Ca、MgおよびREMの含有量は、いずれも0.008%以下であるのが好ましい。
0.0005≦Ca+Mg+REM≦0.0080 ・・・(iii)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない場合はゼロとする。
本発明の鋼材は、上記した組成を有し、さらに、焼入れ性および溶接性の指標として、下記(i)式で定義される炭素当量Ceqの値を0.25~0.55とする。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・(i)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない場合はゼロとする。
本発明の鋼材の金属組織について説明する。なお、以下の説明において「%」は、「面積%」を意味する。また、本発明では、鋼材の圧延方向断面において、鋼材の厚さをtとした時に、該鋼材の表面から1/4tの位置における組織を該鋼材の「金属組織」とする。ここでいう鋼材の厚さとは、鋼板の場合は板厚、鋼管の場合は肉厚、形鋼の場合はフランジの板厚を意味する。
本発明において、所望の繰返し軟化特性を得るのに必要な可動転位は、オーステナイトを低温で変態させることにより導入させる。ベイナイト、マルテンサイト、およびKAM(Kernel Average Misorientation)値が0.5°以上の値を有する高ひずみフェライトからなる群から選択される1種以上の組織(以下、これらの組織をまとめて「高転位密度組織」ともいう。)の合計面積率が15%未満であると、可動転位密度が不足して所望の繰返し軟化特性が発現せず、優れた耐疲労き裂伝播特性を得ることができない。そのため、高転位密度組織の面積率は、合計で15%以上とする。高転位密度組織の面積率は、30%以上であるのが好ましく、100%であってもよい。なお、KAM値が0.5°以上の値を有する高ひずみフェライトには、ベイニティックフェライト、ウイッドマンステッテンフェライト、およびアシキュラーフェライト等が含まれる。
上述のように、疲労き裂先端近傍の組織が繰返し軟化するためには、特に可動転位密度を高める必要がある。そして、可動転位密度を高めるためには、高転位密度組織の面積率を上記の範囲にすることに加えて、圧延方向の引張特性において、上降伏点σSUと下降伏点σSLとの比σSL/σSUが0.97以上である必要がある。σSL/σSUが0.97未満の場合には、転位が不動化しており、優れた耐疲労き裂進展特性に必要な繰返し軟化特性を得難くなる。
上述のように、可動転位密度を高めるため、高転位密度組織を所定量以上確保する。高転位密度組織の割合が高いことは、金属組織中の転位密度の増加を意味する。すなわち、可動転位密度をより確実に高めるためには、平均転位密度は3.0×1014/m2以上であることが好ましい。平均転位密度に上限を設ける必要はないが、過剰に高いと延性が著しく劣化するおそれがある。そのため、平均転位密度は14.0×1014/m2以下であることが好ましい。
β×cosθ/λ=0.9/D+2ε×sinθ/λ ・・・(I)
ここで、θ:回折角度(rad)、λ:X線の波長(nm)、D:結晶子径(nm)
ρ=14.4×ε2/b2 ・・・(II)
ここで、b:体心立方構造(鉄)のバーガースベクトル(b=0.248(nm))
本発明に係る鋼材は、繰返し応力-ひずみ曲線測定試験で、最大引張・圧縮ひずみ±0.010、繰返しひずみ速度0.8%/s、最大ひずみまでの波数10、最大ひずみからひずみ零までの波数10の漸増・漸減繰り返し負荷を20回与えたときの1回目の最大ひずみ時の応力σ1と15回目から20回目までにおける最大ひずみ時の応力の平均値σ15-20との比σ15-20/σ1で示される繰返し軟化率が0.96以下となる、繰返し軟化特性を有することが好ましい。
本発明に係る鋼材の製造条件について特に制限はないが、上記の化学組成を有する溶鋼を、転炉、電気炉、真空溶解炉等の公知の方法を用いて溶製し、得られた鋼素材に、後述する熱間圧延工程および加速冷却工程を順に行うことで製造することができる。各工程について説明する。
鋼素材の加熱温度が900℃未満では、変形抵抗が高くなり圧延機への負荷が増大し、生産性が低下する。一方、再加熱温度が1300℃を超えると、加熱時のスケールによって表面疵が生じやすく、圧延後の手入れ負荷が増大することに加えて、結晶粒が粗大化し、所望の靭性を確保できにくくなる。このため、鋼素材の再加熱温度は900~1300℃の範囲とする。
再加熱された鋼素材を、所望の板厚および形状が満足できるように熱間圧延する。延性の向上を図る場合、熱間圧延を施す時に、粗圧延した後、鋼片の表面温度がAr3を超えて900℃以下の温度範囲内で、累積圧下率が50~75%となる条件で仕上圧延を行う。
Ar3=910-310×C+65×Si-80×Mn-20×Cu-55×Ni-15×Cr-80×Mo ・・・(v)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない元素は0として計算するものとする。
Tf=511+254×C+18.2×Mn+10.6×Ni+7.26×Cr+4.5×Mo・・・(iv)
なお、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含有しない元素は0として計算するものとする。
加速冷却開始温度が、Ar3-50℃未満では、組織がフェライト+パーライト主体の組織となり、所望の高強度を確保できなくなるとともに、転位密度が低下し、耐疲労き裂伝播特性が劣化する。
加速冷却の停止温度がTf℃を超える温度域では、転位の回復および固溶Cによる転位のピン止めが生じるため、所望の繰返し軟化特性が確保できず、耐疲労き裂伝播特性が劣化する。そのため、加速冷却停止温度はTf℃以下とする。より好ましくは、Tf-30℃以下である。停止温度の下限は特に制限はないが、200℃未満となると延性の劣化を招くとともに生産性を低下させるため、延性または生産性の向上を図る場合は、200℃以上が好ましい。
加速冷却の開始温度からTf℃までの平均冷却速度が、25℃/s以下では、組織がフェライト+パーライト主体の組織となり、所望の高強度を確保できなくなるとともに、転位密度が低下し、耐疲労き裂伝播特性が劣化する。一方、70℃/sを超えると、延性および靭性を劣化させる。よって、平均冷却速度は25℃/sを超えて70℃/s以下とする。
加速冷却過程の変態によって導入された転位は、加速冷却過程および加速冷却後の放冷過程で転位の回復および固溶Cによる転位のピン止めが生じる。加速冷却において、Tf℃以下となって以降の冷却過程および加速冷却後の放冷過程における積算焼戻しパラメータLMPが16500を超えた場合、顕著な転位の回復および固溶Cによる転位のピン止めが生じるため、所望の繰返し軟化特性が確保できず、耐疲労き裂伝播特性が劣化する。そのため、加速冷却においてTf℃以下となって以降の冷却過程および加速冷却後の放冷過程における積算焼戻しパラメータLMPは、16500以下とする。より好ましくは、15000以下である。
Δτi=10(Ti+273)/(Tf+273)(20logti)-20 ・・・(III)
τ=ΣΔτi ・・・(IV)
但し、式中の各記号の意味は以下のとおりである。
ti:サンプリング時間(h)
Ti:各サンプリング時間の平均温度(℃)
Δτi:各サンプリング時間の等価焼戻し時間(h)
LMP=Tf(20+logτ) ・・・(V)
前記鋼板の表面から1/2tの位置から、幅20mm×長さ20mm×厚さ2mmの転位密度測定用の試験片を採取し、幅20mm×長さ20mmの面を鏡面研磨し、さらに、10体積%の過塩素酸(酢酸溶媒)を用いて電解研磨を行い、表層の加工ひずみを除去した。そして、処理後の測定面に対して、X線回折法により、体心立方構造(鉄)の(110)、(211)、(220)面のピークの半値幅βを求めた。求めた半値幅βから、以下の(I)式から、試験片の不均一ひずみεを求め、(II)式を用いて、平均転位密度ρ(m-2)を算出した。
β×cosθ/λ=0.9/D+2ε×sinθ/λ ・・・(I)
ρ=14.4×ε2/b2 ・・・(II)
但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
θ:回折角度(rad)
λ:X線の波長(nm)
D:結晶子径(nm)
b:体心立方構造(鉄)のバーガースベクトル(b=0.248(nm))
引張試験は、JIS Z 2241:2011に準拠し、鋼板の表面から1/2tの位置から、引張方向が圧延方向に平行な方向となるよう、1B号引張試験片を採取し、引張試験を実施し、上降伏点σSUと下降伏点σSLの比σSL/σSU、0.2%耐力YS、引張強さTS、全伸びt-ELを求めた。なお、引張強さTSが490MPa以上、全伸びt-ELが、鋼板板厚が5mm超10mm以下で15%以上、鋼板板厚が10mm超15mm以下で16%以上、鋼板板厚が15mm超20mm以下で17%以上、鋼板板厚が20mm超25mm以下で18%以上、鋼板板厚が25mm超30mm以下で19%以上、鋼板板厚が30mm超40mm以下で20%以上、鋼板板厚が40mm超50mm以下で21%以上である場合を〇、それ以外を×とした。
鋼板の表面から1/2tの位置から、直径が10mmで、平行部長さが30mmであり、負荷方向が圧延方向と直交する方向(板幅方向)、および負荷方向が圧延方向となる、2種の丸棒試験片を採取した。そして、前記試験片の平行部に高精度伸び計を装着し、電気油圧式サーボ疲労試験機を用いて、ひずみ制御で、ひずみ漸増・漸減波形の軸力負荷を行った。ひずみ漸増の後のひずみ範囲は2.0%とし、漸増過程では10波で最大ひずみみに達し、漸減過程では10波でひずみ零となるようにした。この漸増、漸減過程を一組として、この一組を以下では「ブロック」という単位で表すこととした。第1ブロック目の最大ひずみに対応する応力を応力σ1、第15ブロック目から第20ブロック目までのそれぞれのブロックにおける最大ひずみに対応する応力の平均値をσ15-20とし、繰返し軟化率σ15-20/σ1を算出した。なお、そのほかの負荷条件は下記の通りとした。
・応力比 : -1.0
・環境計 : 室温大気中
・ゲージ長さ : 25mm
・ひずみ速度 : 0.8%/s
板内方向の疲労き裂進展特性は、ASTM E647に準拠し、鋼板から疲労き裂が進展する方向が圧延方向と直交する方向(板幅方向)と、疲労き裂が進展する方向が圧延方向(板長方向)となる、2種のCT試験片を採取した。採取位置および試験片厚は、板厚25mm以下の鋼板では全厚、板厚25mm超の鋼板では鋼板の表面から1/2tの位置を中心に両面減厚して25mm厚とした。試験片寸法は図1に示すとおりであり、CT試験片を用いた疲労き裂伝播試験の条件は以下の通りとした。
・応力比 : 0.1
・試験周波数 : 15Hz
・環境 : 室温大気中
・き裂長さ測定: 背面ひずみゲージによる除荷弾性コンプライアンス法
・背面ゲージ長: 2mm
・荷重負荷方式: 3点曲げ
・応力比 : 0.1
・環境 : 室温大気中
・き裂長さ測定: 直流電位差法
Claims (5)
- 鋼材の化学組成が、質量%で、
C :0.01~0.30%、
Si:0.03~0.60%、
Mn:0.50~2.50%、
P :0.030%以下、
S :0.010%以下、
Al:0.002~0.050%、
N :0.0010~0.0080%、
Ti:0.003~0.030%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記(i)式で定義される炭素当量Ceqの値が0.25~0.55であり、
前記鋼材の圧延方向および厚さ方向に平行な断面において、前記鋼材の厚さをtとした時に、前記鋼材の表面から1/4tの位置における金属組織が、ベイナイト、マルテンサイト、およびKAM値が0.5°以上の値を有する高ひずみフェライトからなる群から選択される1種以上を、合計の面積%で、15%以上含み、
前記鋼材の圧延方向が長手方向と一致するように採取された試験片を用いた引張試験において、上降伏点σSUと下降伏点σSLとの比σSL/σSUが0.97以上である、
鋼材。
Ceq=C+Mn/6+(Cr+Mo+V)/5+(Ni+Cu)/15 ・・・(i)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない場合はゼロとする。 - 前記化学組成が、下記(ii)式を満足する、
請求項1に記載の鋼材。
0.5≦Ti/N≦5.0 ・・・(ii)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表す。 - 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Cu:2.00%以下、
Ni:3.00%以下、
Cr:1.00%以下、
Mo:1.00%以下、
Nb:0.060%以下、
V :1.00%以下、および
B :0.0030%以下、
からなる群から選択される1種以上を含有するものである、
請求項1または請求項2に記載の鋼材。 - 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、および
REM:0.010%以下、
からなる群から選択される1種以上を含有するものであり、かつ
下記(iii)式を満足する、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の鋼材。
0.0005≦Ca+Mg+REM≦0.0080 ・・・(iii)
但し、上記式中の元素記号は各元素の含有量(質量%)を表し、含まれない場合はゼロとする。 - 前記鋼材の表面から1/2tの位置における平均転位密度が3.0×1014/m2以上である、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の鋼材。
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