JP2022017912A - 重合性液晶組成物、液晶硬化膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆波長分散性を発現し得る重合性液晶化合物を高度に重合させることができ、かつ、優れた光学特性を有する液晶硬化膜を形成し得る重合性液晶組成物を提供すること。【解決手段】少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、前記重合性液晶化合物が、配向した状態で単独重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である、重合性液晶組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、重合性液晶組成物、前記重合性液晶組成物の硬化物である液晶硬化膜、および前記液晶硬化膜の製造方法、並びに、前記液晶硬化膜を含む楕円偏光板および有機EL表示装置に関する。
フラットパネル表示装置(FPD)等の画像表示装置には、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを含む部材が用いられている。例えば、有機EL画像表示装置には、該装置を構成する電極での光反射を防止するために、その構成部材として偏光フィルムと位相差フィルムとが積層されてなる楕円偏光板が含まれる。
可視光の広い波長範囲で一様の位相差性能を発揮しやすく、高い光学特性を実現しやすい点で、楕円偏光板を構成する位相差フィルムとしては逆波長分散性を示すものが好適であり、かかる光学特性を発現し得る重合性液晶化合物を含む液晶組成物から形成される液晶硬化膜から構成される種々の光学フィルムが提案されている(例えば、特許文献1)。
上記特許文献1に開示されるような重合性液晶化合物を含む液晶組成物から形成される液晶硬化膜は、通常、重合性液晶化合物を液晶状態で配向させた後、紫外線等の光を照射し、重合性液晶化合物を重合してネットワーク化することにより作製され、多くの場合、重合開始剤として光重合開始剤が用いられる。
しかしながら、その重合体が逆波長分散性を示し得る重合性液晶化合物は、一般的に紫外線に代表される活性エネルギー線の波長領域に極大吸収を有しており、光重合開始剤を開裂させるために照射した活性エネルギー線の一部が重合性液晶化合物に吸収されることにより光重合開始剤の開裂が阻害されやすく、高い重合率を達成し難い。このような重合性液晶化合物の重合率を上げるためには、重合性液晶化合物による活性エネルギー線の吸収を考慮して高強度の活性エネルギー線を照射する必要があるが、活性エネルギー線を照射することにより重合性液晶化合物の構造破壊やそれに伴う配向欠陥が生じやすくなり、得られる光学フィルムに高い光学特性を付与することが難しい場合がある。特に、逆波長分散性を発現し得る重合性液晶化合物は、一般に光学特性に優れる光学フィルムを得るために好適な材料となり得る。そのため、逆波長分散性を示す重合性液晶化合物を用いてその光学特性を十分に発現させながら、高い重合率を確保することのできる技術が求められている。
本発明は、逆波長分散性を発現し得る重合性液晶化合物を高度に重合させることができ、かつ、優れた光学特性を有する液晶硬化膜を形成し得る重合性液晶組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を包含する。
[1]少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、
前記重合性液晶化合物が、配向した状態で単独重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である、重合性液晶組成物。
[2]熱重合開始剤が熱ラジカル重合開始剤を含む、前記[1]に記載の重合性液晶組成物。
[3]光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤を含む、前記[1]または[2]に記載の重合性液晶組成物。
[4]重合性液晶化合物が、分子内に2つ以上の重合性基を有し、かつ、500以上の分子量を有する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[5]重合性液晶化合物が、エステル構造と(メタ)アクリロイル基とを有し、かつ、波長300~400nmに極大吸収を示す、前記[1]~[4]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[6]前記[1]~[5]のいずれかに記載の重合性液晶組成物の硬化物である液晶硬化膜。
[7]式(1)~(3):
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
100nm≦Re(550)≦180nm (3)
〔式中、Re(λ)は液晶硬化膜の波長λnmにおける面内位相差値を表し、Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dである(dは液晶硬化膜の厚みを表し、nxは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に対して平行であり、かつ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す)〕
で表される光学特性を有する、前記[6]に記載の液晶硬化膜。
[8]少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、前記重合性液晶化合物が、配向した状態で重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である重合性液晶組成物の塗膜を形成し、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させる工程、
配向状態を維持したまま前記塗膜を加熱して重合性液晶化合物をプレ重合させる工程、および、
重合性液晶化合物がプレ重合した塗膜に活性エネルギー線を照射して重合性液晶化合物を本重合させて、液晶硬化膜を形成する工程
を含む、液晶硬化膜の製造方法。
[9]前記[7]に記載の液晶硬化膜と偏光フィルムとを含む楕円偏光板。
[10]前記[9]に記載の楕円偏光板を含む有機EL表示装置。
[1]少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、
前記重合性液晶化合物が、配向した状態で単独重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である、重合性液晶組成物。
[2]熱重合開始剤が熱ラジカル重合開始剤を含む、前記[1]に記載の重合性液晶組成物。
[3]光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤を含む、前記[1]または[2]に記載の重合性液晶組成物。
[4]重合性液晶化合物が、分子内に2つ以上の重合性基を有し、かつ、500以上の分子量を有する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[5]重合性液晶化合物が、エステル構造と(メタ)アクリロイル基とを有し、かつ、波長300~400nmに極大吸収を示す、前記[1]~[4]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
[6]前記[1]~[5]のいずれかに記載の重合性液晶組成物の硬化物である液晶硬化膜。
[7]式(1)~(3):
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
100nm≦Re(550)≦180nm (3)
〔式中、Re(λ)は液晶硬化膜の波長λnmにおける面内位相差値を表し、Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dである(dは液晶硬化膜の厚みを表し、nxは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に対して平行であり、かつ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す)〕
で表される光学特性を有する、前記[6]に記載の液晶硬化膜。
[8]少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、前記重合性液晶化合物が、配向した状態で重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である重合性液晶組成物の塗膜を形成し、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させる工程、
配向状態を維持したまま前記塗膜を加熱して重合性液晶化合物をプレ重合させる工程、および、
重合性液晶化合物がプレ重合した塗膜に活性エネルギー線を照射して重合性液晶化合物を本重合させて、液晶硬化膜を形成する工程
を含む、液晶硬化膜の製造方法。
[9]前記[7]に記載の液晶硬化膜と偏光フィルムとを含む楕円偏光板。
[10]前記[9]に記載の楕円偏光板を含む有機EL表示装置。
本発明によれば、逆波長分散性を発現し得る重合性液晶化合物を高度に重合させることができ、かつ、優れた光学特性を有する液晶硬化膜を形成し得る重合性液晶組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
<重合性液晶組成物>
本発明の重合性液晶組成物は、少なくとも1種の重合性液晶化合物を含み、本発明の重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物のうちの少なくとも1種は、配向した状態で重合させたときに逆波長分散性の複屈折率を発現し得る重合性液晶化合物(以下、「重合性液晶化合物(A)」)を含む。本発明において、重合性液晶化合物(A)は、対象とする重合性液晶化合物を単独で配向した状態で重合することにより得られる単独重合体(液晶硬化膜)が逆波長分散性を示す。逆波長分散性とは、短波長での面内位相差値の方が長波長での面内位相差値よりも小さくなる光学特性である。本発明において逆波長分散性を示す重合性液晶化合物(A)とは、具体的には、対象とする重合性液晶化合物を、塗工面に対して水平方向に配向した状態で単独重合させて得られる硬化膜が、式(4):
Re(450)<Re(550)<Re(650) (4)
〔Re(λ)は波長λでの硬化膜の面内位相差値を表す〕
を満たし得る化合物を意味する。なお、本明細書における「逆波長分散性を示す重合性液晶化合物」、「逆波長分散性を発現し得る重合性液晶化合物」などは、すべて上記と同様に、対象とする重合性液晶化合物を、塗工面に対して水平に配向した状態で単独重合させて得られる硬化膜が逆波長分散性を示す、すなわち、上記式(4)を満たし得る化合物を意味する。
本発明の重合性液晶組成物は、少なくとも1種の重合性液晶化合物を含み、本発明の重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物のうちの少なくとも1種は、配向した状態で重合させたときに逆波長分散性の複屈折率を発現し得る重合性液晶化合物(以下、「重合性液晶化合物(A)」)を含む。本発明において、重合性液晶化合物(A)は、対象とする重合性液晶化合物を単独で配向した状態で重合することにより得られる単独重合体(液晶硬化膜)が逆波長分散性を示す。逆波長分散性とは、短波長での面内位相差値の方が長波長での面内位相差値よりも小さくなる光学特性である。本発明において逆波長分散性を示す重合性液晶化合物(A)とは、具体的には、対象とする重合性液晶化合物を、塗工面に対して水平方向に配向した状態で単独重合させて得られる硬化膜が、式(4):
Re(450)<Re(550)<Re(650) (4)
〔Re(λ)は波長λでの硬化膜の面内位相差値を表す〕
を満たし得る化合物を意味する。なお、本明細書における「逆波長分散性を示す重合性液晶化合物」、「逆波長分散性を発現し得る重合性液晶化合物」などは、すべて上記と同様に、対象とする重合性液晶化合物を、塗工面に対して水平に配向した状態で単独重合させて得られる硬化膜が逆波長分散性を示す、すなわち、上記式(4)を満たし得る化合物を意味する。
重合性液晶化合物(A)は、重合性基を有する液晶化合物である。重合性基は、重合開始剤から発生した反応活性種、例えば活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいい、例えばビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。本発明において重合性液晶化合物(A)は、分子内に2つ以上の重合性基を有することが好ましい。また、重合性液晶化合物(A)に含まれる重合性基の少なくとも1つが(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、重合性液晶化合物(A)に含まれる全ての重合性基が(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。なお、本明細書において(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。
本発明において、重合性液晶化合物(A)が示す液晶性はサーモトロピック性液晶であってもよいし、リオトロピック性液晶であってもよいが、緻密な膜厚制御が可能な点でサーモトロピック性液晶が好ましい。また、サーモトロピック性液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。重合性液晶化合物(A)として、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性液晶化合物(A)としては、例えば、下記(ア)~(エ)の特徴を有する化合物が挙げられる。
(ア)ネマチック相またはスメクチック相を形成し得る化合物である。
(イ)該重合性液晶化合物の長軸方向(a)上にπ電子を有する。
(ウ)長軸方向(a)に対して交差する方向〔交差方向(b)〕上にπ電子を有する。
(エ)長軸方向(a)に存在するπ電子の合計をN(πa)、長軸方向に存在する分子量の合計をN(Aa)として下記式(i)で定義される重合性液晶化合物の長軸方向(a)のπ電子密度:
D(πa)=N(πa)/N(Aa) (i)
と、交差方向(b)に存在するπ電子の合計をN(πb)、交差方向(b)に存在する分子量の合計をN(Ab)として下記式(ii)で定義される重合性液晶化合物の交差方向(b)のπ電子密度:
D(πb)=N(πb)/N(Ab) (ii)
とが、式(iii)
0≦〔D(πa)/D(πb)〕<1 (iii)
の関係にある〔すなわち、交差方向(b)のπ電子密度が、長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きい〕。また、上記記載のように長軸およびそれに対して交差方向上にπ電子を有する重合性液晶化合物は、一般にT字構造となりやすい。
(ア)ネマチック相またはスメクチック相を形成し得る化合物である。
(イ)該重合性液晶化合物の長軸方向(a)上にπ電子を有する。
(ウ)長軸方向(a)に対して交差する方向〔交差方向(b)〕上にπ電子を有する。
(エ)長軸方向(a)に存在するπ電子の合計をN(πa)、長軸方向に存在する分子量の合計をN(Aa)として下記式(i)で定義される重合性液晶化合物の長軸方向(a)のπ電子密度:
D(πa)=N(πa)/N(Aa) (i)
と、交差方向(b)に存在するπ電子の合計をN(πb)、交差方向(b)に存在する分子量の合計をN(Ab)として下記式(ii)で定義される重合性液晶化合物の交差方向(b)のπ電子密度:
D(πb)=N(πb)/N(Ab) (ii)
とが、式(iii)
0≦〔D(πa)/D(πb)〕<1 (iii)
の関係にある〔すなわち、交差方向(b)のπ電子密度が、長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きい〕。また、上記記載のように長軸およびそれに対して交差方向上にπ電子を有する重合性液晶化合物は、一般にT字構造となりやすい。
上記(ア)~(エ)の特徴において、長軸方向(a)およびπ電子数Nは以下のように定義される。
・長軸方向(a)は、例えば棒状構造を有する化合物であれば、その棒状の長軸方向である。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、長軸上のπ電子およびこれと共役するπ電子の合計数であり、例えば長軸方向(a)上に存在する環であって、ヒュッケル則を満たす環に存在するπ電子の数が含まれる。
・交差方向(b)に存在するπ電子数N(πb)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
上記を満たす重合性液晶化合物は、長軸方向にメソゲン構造を有している。このメソゲン構造によって、液晶相(ネマチック相、スメクチック相)を発現する。
・長軸方向(a)は、例えば棒状構造を有する化合物であれば、その棒状の長軸方向である。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
・長軸方向(a)上に存在するπ電子数N(πa)には、長軸上のπ電子およびこれと共役するπ電子の合計数であり、例えば長軸方向(a)上に存在する環であって、ヒュッケル則を満たす環に存在するπ電子の数が含まれる。
・交差方向(b)に存在するπ電子数N(πb)には、重合反応により消失するπ電子は含まない。
上記を満たす重合性液晶化合物は、長軸方向にメソゲン構造を有している。このメソゲン構造によって、液晶相(ネマチック相、スメクチック相)を発現する。
上記(ア)~(エ)を満たす重合性液晶化合物は、基材または配向膜上に塗布し、相転移温度以上に加熱することにより、ネマチック相やスメクチック相を形成することが可能である。この重合性液晶化合物が配向して形成されたネマチック相またはスメクチック相では通常、重合性液晶化合物の長軸方向が互いに平行になるように配向しており、この長軸方向がネマチック相の配向方向となる。このような重合性液晶化合物を膜状とし、ネマチック相またはスメクチック相の状態で重合させると、長軸方向(a)に配向した状態で重合した重合体からなる重合体膜を形成することができる。この重合体膜は、長軸方向(a)上のπ電子と交差方向(b)上のπ電子により紫外線を吸収する。ここで、交差方向(b)上のπ電子により吸収される紫外線の吸収極大波長をλbmaxとする。λbmaxは通常300nm~400nmである。π電子の密度は、上記式(iii)を満足していて、交差方向(b)のπ電子密度が長軸方向(a)のπ電子密度よりも大きいので、交差方向(b)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収が、長軸方向(a)に振動面を有する直線偏光紫外線(波長はλbmax)の吸収よりも大きな重合体膜となる。その比(直線偏光紫外線の交差方向(b)の吸光度/長軸方向(a)の吸光度の比)は、例えば1.0超、好ましくは1.2以上、通常30以下であり、例えば10以下である。
上記特徴を有する重合性液晶化合物は、一般に、その配向状態の重合体の複屈折率が逆波長分散性を示すものであることが多い。
上記特徴を有する重合性液晶化合物は、一般に、その配向状態の重合体の複屈折率が逆波長分散性を示すものであることが多い。
本発明において、重合性液晶化合物(A)は、エステル構造と(メタ)アクリロイル基とを有し、かつ、波長300~400nmに極大吸収を示す重合性液晶化合物であることが好ましい。分子構造中にエステル構造を有する重合性液晶化合物は、紫外線等の光に暴露されることにより該エステル構造部分で分解されて劣化を生じやすい。このため、例えば、硬化時に高強度の紫外線照射をすると、該重合性液晶化合物から形成される液晶硬化膜の光学特性は低下しやすい傾向にある。また、波長300~400nmに極大吸収を有すると、重合時に照射する活性エネルギー線(特に紫外線)を吸収することにより、光重合開始剤の開裂を阻害しやすくなるため、低強度の活性エネルギー線照射では重合性液晶化合物の重合率が向上し難くなる。本発明の重合性液晶組成物は、低強度の活性エネルギー線照射であっても、重合性液晶化合物を高度に重合させることができるため、光劣化しやすいエステル構造を有し、波長300~400nmに極大吸収を示す重合性液晶化合物(A)を用いる場合であっても、活性エネルギー線の照射に起因する重合性液晶化合物の構造破壊を生じ難く、重合性液晶化合物(A)が本来発現し得る光学特性を十分に発現させ得るとともに、高度に重合した液晶硬化膜を得ることができ、本発明の効果を特に顕著に発揮し得る。
また、光重合開始剤を含む重合性液晶組成物においては、長期保管時に重合性液晶化合物の重合反応やゲル化が進行することがあるが、波長300~400nmに極大吸収を示す重合性液晶化合物(A)を含むことにより、保管中に紫外光が曝露されても、光重合開始剤からの反応活性種の発生および該反応活性種による重合性液晶化合物の重合反応およびゲル化の進行を有効に抑制できる。したがって、光重合開始剤を含む本発明の重合性液晶組成物においては、波長300~400nmに極大吸収を示す重合性液晶化合物を含むことにより、重合性液晶組成物の長期安定性の点でも有利となり、得られる液晶硬化膜の配向性および膜厚の均一性等を向上できる。なお、重合性液晶化合物の極大吸収波長は、溶媒中で紫外可視分光光度計を用いて測定できる。該溶媒は重合性液晶化合物を溶解し得る溶媒であり、例えばテトラヒドロフラン、クロロホルム等が挙げられる。
本発明において重合性液晶化合物(A)は、その単独重合体が逆波長分散性を発現し得る重合性液晶化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば光学フィルムの分野において従来公知の重合性液晶化合物を用いることができる。
そのような重合性液晶化合物(A)として、具体的には例えば、下記式(A1):
で表される化合物が挙げられる。
そのような重合性液晶化合物(A)として、具体的には例えば、下記式(A1):
式(A1)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族基を有する二価の基を表す。ここでいう芳香族基とは、該環構造が有するπ電子数がヒュッケル則に従い[4n+2]個であるものをさし、例えば後述する(Ar-1)~(Ar-23)で例示されるようなAr基を、二価の連結基を介して2個以上有していてもよい。ここでnは整数を表す。-N=や-S-等のヘテロ原子を含んで環構造を形成している場合、これらヘテロ原子上の非共有結合電子対を含めてヒュッケル則を満たし、芳香族性を有する場合も含む。該芳香族基中には窒素原子、酸素原子、硫黄原子のうち少なくとも1つ以上が含まれることが好ましい。二価の基Arに含まれる芳香族基は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。芳香族基が1つである場合、二価の基Arは置換基を有していてもよい二価の芳香族基であってもよい。二価の基Arに含まれる芳香族基が2つ以上である場合、2つ以上の芳香族基は互いに単結合、-CO-O-、-O-などの二価の結合基で結合していてもよい。
G1およびG2は、それぞれ独立に、二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。
L1およびL2は、それぞれ独立に、エステル構造を有する二価の連結基である。
B1およびB2はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基である。
k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B1およびB2、G1およびG2は、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
E1およびE2は、それぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。また、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-SiH2-、-C(=O)-で置換されていてもよい。
P1およびP2は、それぞれ独立に、重合性基または水素原子を表し、P1およびP2のうちの少なくとも1つは重合性基である。
G1およびG2は、それぞれ独立に、二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を表す。ここで、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子、硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。
L1およびL2は、それぞれ独立に、エステル構造を有する二価の連結基である。
B1およびB2はそれぞれ独立に、単結合または二価の連結基である。
k、lは、それぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦k+lの関係を満たす。ここで、2≦k+lである場合、B1およびB2、G1およびG2は、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
E1およびE2は、それぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、炭素数4~12のアルカンジイル基がより好ましい。また、アルカンジイル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、該アルカンジイル基に含まれる-CH2-は、-O-、-S-、-SiH2-、-C(=O)-で置換されていてもよい。
P1およびP2は、それぞれ独立に、重合性基または水素原子を表し、P1およびP2のうちの少なくとも1つは重合性基である。
G1およびG2は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子および炭素数1~4のアルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-フェニレンジイル基、ハロゲン原子および炭素数1~4のアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい1,4-シクロヘキサンジイル基であり、より好ましくはメチル基で置換された1,4-フェニレンジイル基、無置換の1,4-フェニレンジイル基、または無置換の1,4-trans-シクロヘキサンジイル基であり、特に好ましくは無置換の1,4-フェニレンジイル基、または無置換の1,4-trans-シクロへキサンジイル基である。
また、複数存在するG1およびG2のうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、L1またはL2に結合するG1およびG2のうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
また、複数存在するG1およびG2のうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることが好ましく、また、L1またはL2に結合するG1およびG2のうち少なくとも1つは二価の脂環式炭化水素基であることがより好ましい。
L1およびL2は、それぞれ独立に、好ましくは-Ra1COORa2-(Ra1およびRa2はそれぞれ独立に単結合または炭素数1~4のアルキレン基を表す)であり、より好ましくは-COORa2-1-(Ra2-1は単結合、-CH2-および-CH2CH2-のいずれかを表す)であり、さらに好ましくは-COO-または-COOCH2CH2-である。
B1およびB2は、それぞれ独立に、好ましくは、単結合、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、-S-、-Ra3ORa4-、-Ra5COORa6-、-Ra7OCORa8-、またはRa9OC=OORa10-である。ここで、Ra3~Ra10はそれぞれ独立に単結合、または炭素数1~4のアルキレン基を表す。B1およびB2はそれぞれ独立に、より好ましくは単結合、-ORa4-1-、-CH2-、-CH2CH2-、-COORa6-1-、または-OCORa8-1-である。ここで、Ra4-1、Ra6-1、Ra8-1はそれぞれ独立に単結合、-CH2-、-CH2CH2-のいずれかを表す。B1およびB2はそれぞれ独立に、さらに好ましくは単結合、-O-、-CH2CH2-、-COO-、-COOCH2CH2-、-OCO-または-OCOCH2CH2-である。
kおよびlは、逆波長分散性発現の観点から2≦k+l≦6の範囲が好ましく、k+l=4であることが好ましく、k=2かつl=2であることがより好ましい。k=2かつl=2であると対称構造となるため好ましい。
P1またはP2で表される重合性基としては、エポキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、オキシラニル基、およびオキセタニル基等が挙げられる。P1またはP2のうち、少なくとも1つはアクリロイル基またはメタクリロイル基であることが好ましく、P1およびP2はいずれもアクリロイル基またはメタクリロイル基がより好ましく、アクリロイル基がさらに好ましい。
Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、置換基を有していてもよい芳香族複素環、および電子吸引性基から選ばれる少なくとも1つを有することが好ましい。当該芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。当該芳香族複素環としては、フラン環、ベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアゾール環、トリアジン環、ピロリン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、およびフェナンスロリン環等が挙げられる。なかでも、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、またはベンゾフラン環を有することが好ましく、ベンゾチアゾール基を有することがさらに好ましい。また、Arに窒素原子が含まれる場合、当該窒素原子はπ電子を有することが好ましい。
式(A1)中、Arで表される二価の芳香族基に含まれるπ電子の合計数Nπは8以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、さらに好ましくは14以上であり、特に好ましくは16以上である。また、好ましくは32以下であり、より好ましくは30以下であり、さらに好ましくは26以下であり、特に好ましくは24以下である。
Arで表される芳香族基としては、例えば以下の基が挙げられる。
式(Ar-1)~式(Ar-23)中、*印は連結部を表し、Z0、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルキルスルフィニル基、炭素数1~12のアルキルスルホニル基、カルボキシル基、炭素数1~12のフルオロアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数1~12のアルキルチオ基、炭素数1~12のN-アルキルアミノ基、炭素数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素数1~12のN-アルキルスルファモイル基または炭素数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基を表す。また、Z0、Z1およびZ2は、重合性基を含んでいてもよい。
Q1およびQ2は、それぞれ独立に、-CR1’R2’-、-S-、-NH-、-NR1’-、-CO-または-O-を表し、R1’およびR2’は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。
J1およびJ2は、それぞれ独立に、炭素原子、または窒素原子を表す。
Y1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
W1およびW2は、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、メチル基またはハロゲン原子を表し、mは0~6の整数を表す。
Y1、Y2およびY3における芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ビフェニル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。芳香族複素環基としては、フリル基、ピロリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含む炭素数4~20の芳香族複素環基が挙げられ、フリル基、チエニル基、ピリジニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基が好ましい。
Y1、Y2およびY3は、それぞれ独立に、置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基であってもよい。多環系芳香族炭化水素基は、縮合多環系芳香族炭化水素基、または芳香環集合に由来する基をいう。多環系芳香族複素環基は、縮合多環系芳香族複素環基、または芳香環集合に由来する基をいう。
Z0、Z1およびZ2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~12のアルコキシ基であることが好ましく、Z0は、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、シアノ基がさらに好ましく、Z1およびZ2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、メチル基、シアノ基がさらに好ましい。また、Z0、Z1およびZ2は重合性基を含んでいてもよい。
Q1およびQ2は、-NH-、-S-、-NR1’-、-O-が好ましく、R1’は水素原子が好ましい。中でも-S-、-O-、-NH-が特に好ましい。
式(Ar-1)~(Ar-23)の中でも、式(Ar-6)および式(Ar-7)が分子の安定性の観点から好ましい。
式(Ar-16)~(Ar-23)において、Y1は、これが結合する窒素原子およびZ0と共に、芳香族複素環基を形成していてもよい。芳香族複素環基としては、Arが有していてもよい芳香族複素環として前記したものが挙げられるが、例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、プリン環、ピロリジン環等が挙げられる。この芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。また、Y1は、これが結合する窒素原子およびZ0と共に、前述した置換されていてもよい多環系芳香族炭化水素基または多環系芳香族複素環基であってもよい。例えば、ベンゾフラン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等が挙げられる。
重合性液晶化合物(A)の分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは650以上、さらに好ましくは1000以上である。分子量が上記下限値以上であると、重合性液晶化合物の分子構造がある程度大きなものとなり、その重合体として逆波長分散性を発現しやすい構造となりやすい。重合性液晶化合物(A)の分子量の上限値は特に限定されるものではないが、通常、4000以下であり、重合性液晶組成物への重合性液晶化合物の溶解性の観点から、好ましくは3000以下である。
本発明の重合性液晶組成物は、本発明の効果に影響を及ぼさない限りにおいて、重合性液晶化合物(A)以外の重合性液晶化合物を含んでいてもよい。そのような重合性液晶化合物としては、例えば、特開2010-31223号公報、特開2010-270108号公報、特開2011-6360号公報および特開2011-207765号公報に記載されるような重合性液晶化合物、いわゆる正波長分散性を示す重合性液晶化合物などが挙げられる。
重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量は、重合性液晶組成物の固形分100質量部に対して、例えば70~99.5質量部であり、好ましくは80~99質量部であり、より好ましくは85~98質量部であり、さらに好ましくは90~95質量部である。重合性液晶化合物の含有量が上記範囲内であれば、得られる液晶硬化膜の配向性の観点から有利である。なお、上記含有量は、重合性液晶組成物に含まれる全ての重合性液晶化合物の総量としての好適な範囲を意味する。すなわち、重合性液晶組成物が重合性液晶化合物(A)を複数種含む場合、および、重合性液晶化合物(A)以外の重合性液晶化合物を含む場合には、それぞれ、重合性液晶組成物に含まれる全ての重合性液晶化合物の総量が上記範囲内であることが好ましい。本明細書において、重合性液晶組成物の固形分とは、重合性液晶組成物から有機溶媒等の揮発性成分を除いた全ての成分を意味する。
逆波長分散性を示す重合性液晶化合物(A)から形成される、または、主となる重合性液晶化合物を重合性液晶化合物(A)として形成される液晶硬化膜は、逆波長分散性を発現しやすく、重合性液晶化合物(A)が本来発現し得る光学特性を十分に発現できる場合には優れた光学特性を有する傾向にある。この場合、例えば、有機EL画像表示装置等に適用した際に黒表示時の反射色相を向上させる効果(着色を抑制する効果)に優れるため、楕円偏光板の一構成部材(位相差フィルム)として好適となる。
その一方で、向上した黒表示時の反射色相を実現する画像表示装置においては、一構成部材である液晶硬化膜における微細な配向欠陥であってもそれが目立ちやすくなることに加え、より高いレベルに向上した初期光学特性が求められる。また他方で、逆波長分散性を示す重合性液晶化合物(A)は、一般的に、紫外線に代表されるような活性エネルギー線の波長領域に極大吸収を有することが多く、高度に重合させるためには高強度の活性エネルギー線の照射が必要となる。しかしながら、高い重合率を達成しようとすると、活性エネルギー線照射に起因する重合性液晶化合物の構造破壊を生じやすくなるため、重合性液晶化合物(A)が本来発現し得る光学特性を十分に発現させながら、高度に重合させることは難しい場合がある。
本発明の重合性液晶組成物は、光重合開始剤と熱重合開始剤とを組み合わせて含むことにより、低強度の活性エネルギー線照射であっても重合性液晶化合物を高度に重合させることができ、活性エネルギー線の照射に起因する重合性液晶化合物(A)の構造破壊や配向欠陥の発生を抑制して、重合性液晶化合物(A)が本来発現し得る光学特性を十分に発現させながら、高度に重合した液晶硬化膜を得ることができる。
その一方で、向上した黒表示時の反射色相を実現する画像表示装置においては、一構成部材である液晶硬化膜における微細な配向欠陥であってもそれが目立ちやすくなることに加え、より高いレベルに向上した初期光学特性が求められる。また他方で、逆波長分散性を示す重合性液晶化合物(A)は、一般的に、紫外線に代表されるような活性エネルギー線の波長領域に極大吸収を有することが多く、高度に重合させるためには高強度の活性エネルギー線の照射が必要となる。しかしながら、高い重合率を達成しようとすると、活性エネルギー線照射に起因する重合性液晶化合物の構造破壊を生じやすくなるため、重合性液晶化合物(A)が本来発現し得る光学特性を十分に発現させながら、高度に重合させることは難しい場合がある。
本発明の重合性液晶組成物は、光重合開始剤と熱重合開始剤とを組み合わせて含むことにより、低強度の活性エネルギー線照射であっても重合性液晶化合物を高度に重合させることができ、活性エネルギー線の照射に起因する重合性液晶化合物(A)の構造破壊や配向欠陥の発生を抑制して、重合性液晶化合物(A)が本来発現し得る光学特性を十分に発現させながら、高度に重合した液晶硬化膜を得ることができる。
本発明の重合性液晶組成物は、少なくとも1種の光重合開始剤を含む。光重合開始剤は、光の寄与によって反応活性種を生成し、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物である。反応活性種としては、ラジカル、カチオンまたはアニオン等の活性種が挙げられる。光重合開始剤を含むことにより、過度な加熱を回避しながら、重合性液晶化合物の重合反応を効率的に進めることができる。中でも反応制御が容易であるという観点から、光照射によってラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンジルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩が挙げられる。光ラジカル重合開始剤として、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤として市販品を用いてもよい。そのような市販品として、具体的には、イルガキュア(Irgacure、登録商標)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア127、イルガキュア2959、イルガキュア754、イルガキュア379EG(以上、BASFジャパン株式会社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、精工化学株式会社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬株式会社製)、カヤキュアーUVI-6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP-152、アデカオプトマーSP-170、アデカオプトマーN-1717、アデカオプトマーN-1919、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(以上、株式会社ADEKA製)、TAZ-A、TAZ-PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)およびTAZ-104(三和ケミカル社製)が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤は、光源から発せられるエネルギーを十分に活用でき、生産性に優れるため、極大吸収波長が300nm~400nmであると好ましく、300nm~380nmであるとより好ましく、中でも、α-アセトフェノン系重合開始剤、オキシム系光重合開始剤が好ましい。
α-アセトフェノン化合物としては、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オンおよび2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-(4-メチルフェニルメチル)ブタン-1-オン等が挙げられ、より好ましくは2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オンおよび2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オンが挙げられる。α-アセトフェノン化合物の市販品としては、イルガキュア369、379EG、907(以上、BASFジャパン(株)製)およびセイクオールBEE(精工化学社製)等が挙げられる。
オキシム系光重合開始剤は、光が照射されることによってフェニルラジカルやメチルラジカル等のラジカルを生成させる。このラジカルにより重合性液晶化合物の重合が好適に進行するが、中でもメチルラジカルを発生させるオキシム系光重合開始剤は重合反応の開始効率が高い点で好ましい。また、重合反応をより効率的に進行させるという観点から、波長350nm以上の紫外線を効率的に利用可能な光重合開始剤を使用することが好ましい。波長350nm以上の紫外線を効率的に利用可能な光ラジカル重合開始剤としては、オキシム構造を含むトリアジン化合物やカルバゾール化合物が好ましく、感度の観点からはオキシムエステル構造を含むカルバゾール化合物がより好ましい。オキシム構造を含むカルバゾール化合物としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤の市販品としては、イルガキュアOXE-01、イルガキュアOXE-02、イルガキュアOXE-03(以上、BASFジャパン株式会社製)、アデカオプトマーN-1919、アデカアークルズNCI-831(以上、株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。光重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向に対する光重合開始剤の影響を抑えながら、活性エネルギー線照射によって重合性基の反応を十分に進めることができる。
本発明の重合性液晶組成物は、少なくとも1種の熱重合開始剤を含む。熱重合開始剤は、熱によって反応活性種を生成し、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物である。反応活性種としては、ラジカル、カチオンまたはアニオン等の活性種が挙げられる。熱重合開始剤を光重合開始剤との組み合わせにおいて含むことにより、より低強度の活性エネルギー線照射によって重合性液晶化合物を高度に重合させることが可能となり、活性エネルギー線照射に起因する重合性液晶化合物の構造破壊や配向欠陥の発生を抑制して、逆波長分散性を示す重合性液晶化合物が本来発現し得る光学特性を、得られる液晶硬化膜において実現し得る。熱重合開始剤の中でも、反応制御が容易である点、および、光ラジカル重合開始剤と反応機構を揃える観点から、熱によりラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤が好ましい。熱ラジカル重合開始剤として、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アミン化合物、オニウム塩化合物、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン化合物等が挙げられる。中でも、反応制御が容易な点と生産性の観点から、アゾ系重合開始剤が好ましく、例えば2,2’-アゾビスイソブチルニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス-1-シクロヘキシルニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート、4,4’-アゾビス-4-シアノバレル酸、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)、アゾビスカルボンアミド等が挙げられる。
熱重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。熱重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向に対する熱重合開始剤の影響を抑えながら、熱による重合性基の反応を十分に進めることができる。
本発明の重合性液晶組成物における光重合開始剤と熱重合開始剤の配合比率は、用いる重合性液晶化合物の種類や含有量、重合開始剤の種類、液晶硬化膜を製造する際に採用する方法等に応じて適宜決定すればよい。本発明においては、重合反応を行う際の過度な加熱を回避する観点から、所望する全重合反応における光重合開始剤の寄与が熱重合開始剤の寄与よりも大きくなるような割合で、光重合開始剤と熱重合開始剤とを含むことが好ましい。本発明の重合性液晶組成物における光重合開始剤と熱重合開始剤との配合比率(光重合開始剤:熱重合開始剤、質量比)は、例えば1:1~1:10であってよく、好ましくは1:1~1:5、より好ましくは1:1~1:3である。光重合開始剤と熱重合開始剤との配合比率が上記範囲内であると、重合反応を行う際に過度の加熱を回避しながら、紫外線領域に極大吸収を有する重合性液晶化合物(A)であっても、より低強度の活性エネルギー線照射によってより効率的かつ高度に重合させることができる。これにより、活性エネルギー線の照射に起因する重合性液晶化合物の構造破壊や配向欠陥の発生を抑制し、得られる液晶硬化膜の光学特性をより向上させることができる。
本発明の重合性液晶組成物における重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、光重合開始剤と熱重合開始剤の総質量が好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。重合開始剤の総質量が上記範囲内であると、重合性液晶化合物の配向に対する重合開始剤の影響を抑えながら、重合反応を効率的に進めることができる。
本発明の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物、光重合開始剤および熱重合開始剤に加えて、溶媒、レベリング剤、光増感剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性液晶組成物は、通常、溶媒に溶解した状態で基材等に塗布されるため、溶媒を含むことが好ましい。溶媒としては、重合性液晶化合物を溶解し得る溶媒が好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶媒であることが好ましい。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-ブトキシエタノールおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶媒;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素含有溶媒;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上組み合わせて使用できる。これらの中でも、アルコール溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、塩素含有溶媒、アミド系溶媒および芳香族炭化水素溶媒が好ましい。
重合性液晶組成物中の溶媒の含有量は、重合性液晶組成物100質量部に対して、好ましくは50~98質量部、より好ましくは70~95重量部である。従って、重合性液晶組成物100質量部に占める固形分は、2~50質量部が好ましい。固形分が50質量部以下であると、重合性液晶組成物の粘度が低くなることから、膜の厚みが略均一になり、ムラが生じ難くなる傾向がある。上記固形分は、製造しようとする液晶硬化膜の厚みを考慮して適宜定めることができる。
レベリング剤とは、重合性液晶組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる塗膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、シリコーン系、ポリアクリレート系およびパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。レベリング剤として市販品を用いてもよく、具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22-161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF-4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC-72、同FC-40、同FC-43、同FC-3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R-08、同R-30、同R-90、同F-410、同F-411、同F-443、同F-445、同F-470、同F-477、同F-479、同F-482、同F-483、同F-556(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S-381、同S-382、同S-383、同S-393、同SC-101、同SC-105、KH-40、SA-100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM-1000、BM-1100、BYK-352、BYK-353およびBYK-361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。レベリング剤は単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
レベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましく、0.05~3質量部がさらに好ましい。レベリング剤の含有量が、上記範囲内であると、重合性液晶化合物を配向させることが容易であり、かつ得られる液晶硬化膜がより平滑となる傾向にあるため好ましい。
また、光増感剤を用いることにより、光重合開始剤を高感度化することができる。光増感剤としては、例えば、キサントン、チオキサントン等のキサントン類;アントラセンおよびアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類;フェノチアジン;ルブレンが挙げられる。光増感剤は単独または2種以上を組み合わせて使用できる。光増感剤の含有量は、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常0.01~10質量部であり、好ましくは0.05~5質量部であり、さらに好ましくは0.1~3質量部である。
本発明の重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物と、光重合開始剤および熱重合開始剤と、必要に応じて溶媒や添加剤などの重合性液晶化合物および重合開始剤以外の成分とを所定温度で撹拌等することにより得ることができる。
<液晶硬化膜>
本発明の重合性液晶組成物は、逆波長分散性を示す重合性液晶化合物をより低強度の活性エネルギー線照射によってより高度に重合させることが可能であるため、活性エネルギー線の照射に起因する重合性液晶化合物の構造破壊を生じ難く、配向欠陥の発生を抑制して、重合性液晶化合物が本来発現し得る高い光学特性を有する液晶硬化膜を作製するのに好適に使用することができ、これにより得られる液晶硬化膜は位相差フィルムなどの光学用途に好適である。したがって、本発明は、本発明の重合性液晶組成物の硬化物である液晶硬化膜、より具体的には、本発明の重合性液晶組成物の硬化物であって、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物が配向した状態で硬化した液晶硬化膜を対象とする。
本発明の重合性液晶組成物は、逆波長分散性を示す重合性液晶化合物をより低強度の活性エネルギー線照射によってより高度に重合させることが可能であるため、活性エネルギー線の照射に起因する重合性液晶化合物の構造破壊を生じ難く、配向欠陥の発生を抑制して、重合性液晶化合物が本来発現し得る高い光学特性を有する液晶硬化膜を作製するのに好適に使用することができ、これにより得られる液晶硬化膜は位相差フィルムなどの光学用途に好適である。したがって、本発明は、本発明の重合性液晶組成物の硬化物である液晶硬化膜、より具体的には、本発明の重合性液晶組成物の硬化物であって、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物が配向した状態で硬化した液晶硬化膜を対象とする。
本発明の一態様において、本発明の液晶硬化膜は、本発明の重合性液晶組成物の硬化物であり、下記式(1)、(2)および(3)で表される光学特性を有する液晶硬化膜を含む。該液晶硬化膜は、通常、重合性液晶化合物が該液晶硬化膜平面に対して水平方向に配向した状態で硬化してなる水平配向液晶硬化膜である。かかる水平配向液晶硬化膜は、λ/4位相差フィルムとして好適である。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
100nm≦Re(550)≦180nm (3)
〔式中、Re(λ)は液晶硬化膜の波長λnmにおける面内位相差値を表し、Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dである(dは液晶硬化膜の厚みを表し、nxは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す)。〕
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
100nm≦Re(550)≦180nm (3)
〔式中、Re(λ)は液晶硬化膜の波長λnmにおける面内位相差値を表し、Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dである(dは液晶硬化膜の厚みを表し、nxは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に対して平行であり、且つ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す)。〕
液晶硬化膜が式(1)および(2)を満たす場合、当該水平配向液晶硬化膜は、短波長での面内位相差値が長波長での面内位相差値よりも小さくなる、いわゆる逆波長分散性を示す。逆波長分散性が向上し、液晶硬化膜の光学特性がより向上することから、Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.78以上であり、また、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.90以下、さらに好ましくは0.87以下、特に好ましくは0.86以下、より特に好ましくは0.85以下である。また、Re(650)/Re(550)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.01以上であり、さらに好ましくは1.02以上である。
上記面内位相差値は、液晶硬化膜の厚みdによって調整することができる。面内位相差値は、上記式Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dによって決定されることから、所望の面内位相差値(Re(λ):波長λ(nm)における液晶硬化膜の面内位相差値)を得るには、3次元屈折率と膜厚dとを調整すればよい。
また、液晶硬化膜が式(3)を満たす場合、該液晶硬化膜を備える楕円偏光板を有機EL表示装置に適用した場合の正面反射色相の向上効果(着色を抑制させる効果)に優れる。面内位相差値のより好ましい範囲は、120nm≦Re(550)≦170nmであり、さらに好ましい範囲は130nm≦Re(550)≦150nmである。
本発明の液晶硬化膜は、例えば、
本発明の重合性液晶組成物、すなわち、少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、前記重合性液晶化合物が、配向した状態で重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である重合性液晶組成物の塗膜を形成し、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させる工程、
配向状態を維持したまま前記塗膜を加熱して重合性液晶化合物をプレ重合させる工程、および、
重合性液晶化合物がプレ重合した塗膜に活性エネルギー線を照射して重合性液晶化合物を本重合させて、液晶硬化膜を形成する工程
を含む方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)により製造することができる。
本発明の重合性液晶組成物、すなわち、少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、前記重合性液晶化合物が、配向した状態で重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である重合性液晶組成物の塗膜を形成し、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させる工程、
配向状態を維持したまま前記塗膜を加熱して重合性液晶化合物をプレ重合させる工程、および、
重合性液晶化合物がプレ重合した塗膜に活性エネルギー線を照射して重合性液晶化合物を本重合させて、液晶硬化膜を形成する工程
を含む方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)により製造することができる。
本発明の液晶硬化膜は、熱重合開始剤の開裂により進行する重合反応により重合性液晶化合物をプレ重合させた後、光重合開始剤の開裂により進行する重合反応により重合性液晶化合物を本重合して作製されることが好ましい。熱重合開始剤による重合反応を光重合開始剤による重合反応よりも先に行うことにより、熱重合開始剤による重合反応に伴って起こり得る微細なヘイズ値の上昇を抑制し、より透明性や外観に優れる液晶硬化膜を得やすくなる。逆波長分散性を示す重合性液晶化合物に基づく液晶硬化膜を含んで構成される光学フィルムにおいては、一般により高い光学特性が要求される。このため、熱重合開始剤による重合反応が光重合開始剤による重合反応に先行することで、より透明性や外観に優れる液晶硬化膜を得ることのできる本発明の製造方法は有利である。
重合性液晶組成物の塗膜は、基材上または後述する配向膜上などに重合性液晶組成物を塗布することにより形成することができる。
基材としては、例えば、ガラス基材やフィルム基材等が挙げられるが、加工性の観点から樹脂フィルム基材が好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびノルボルネン系ポリマーのようなポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、およびセルロースアセテートプロピオネートのようなセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシドのようなプラスチックが挙げられる。このような樹脂を、溶媒キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して基材とすることができる。基材表面には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等から形成される保護層を有していてもよく、シリコーン処理のような離型処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材としては、例えば、ガラス基材やフィルム基材等が挙げられるが、加工性の観点から樹脂フィルム基材が好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびノルボルネン系ポリマーのようなポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、およびセルロースアセテートプロピオネートのようなセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィドおよびポリフェニレンオキシドのようなプラスチックが挙げられる。このような樹脂を、溶媒キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して基材とすることができる。基材表面には、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂等から形成される保護層を有していてもよく、シリコーン処理のような離型処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材として市販の製品を用いてもよい。市販のセルロースエステル基材としては、例えば、フジタックフィルムのような富士写真フイルム株式会社製のセルロースエステル基材;「KC8UX2M」、「KC8UY」、および「KC4UY」のようなコニカミノルタオプト株式会社製のセルロースエステル基材などが挙げられる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、たとえば、「Topas(登録商標)」のようなTicona社(独)製の環状オレフィン系樹脂;「アートン(登録商標)」のようなJSR株式会社製の環状オレフィン系樹脂;「ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)」、および「ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)」のような日本ゼオン株式会社製の環状オレフィン系樹脂;「アペル」(登録商標)のような三井化学株式会社製の環状オレフィン系樹脂が挙げられる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、「エスシーナ(登録商標)」および「SCA40(登録商標)」のような積水化学工業株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材;「ゼオノアフィルム(登録商標)」のようなオプテス株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材;「アートンフィルム(登録商標)」のようなJSR株式会社製の環状オレフィン系樹脂基材が挙げられる。
得られる積層体の薄型化、基材の剥離容易性、基材のハンドリング性等の観点から、基材の厚みは、通常、5~300μmであり、好ましくは10~150μmである。
重合性液晶組成物を基材等に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法等の公知の方法が挙げられる。
次いで、溶媒を乾燥等により除去することにより、乾燥塗膜が形成される。乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。この際、重合性液晶組成物から得られた塗膜を加熱することにより、塗膜から溶媒を乾燥除去させるとともに重合性液晶化合物を塗膜平面に対して所望の方向(例えば、水平方向)に配向させることができる。塗膜の加熱温度は、用いる重合性液晶化合物および塗膜を形成する基材等の材質などを考慮して、適宜決定し得るが、重合性液晶化合物を液晶相状態へ相転移させるために、通常、液晶相転移温度以上の温度であることが必要である。重合性液晶組成物に含まれる溶媒を除去しながら、重合性液晶化合物を所望の配向状態とするため、例えば、前記重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の液晶相転移温度(スメクチック相転移温度またはネマチック相転移温度)程度以上の温度まで加熱することができる。
なお、液晶相転移温度は、例えば、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡や、示差走査熱量計(DSC)、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)等を用いて測定することができる。また、重合性液晶化合物として2種以上を組み合わせて用いる場合、上記相転移温度は、重合性液晶組成物を構成する全重合性液晶化合物を重合性液晶組成物における組成と同じ比率で混合した重合性液晶化合物の混合物を用いて、1種の重合性液晶化合物を用いる場合と同様にして測定される温度を意味する。また、一般に前記重合性液晶組成物中における重合性液晶化合物の液晶相転移温度は、重合性液晶化合物単体としての液晶相転移温度よりも下がる場合もあることが知られている。
なお、液晶相転移温度は、例えば、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡や、示差走査熱量計(DSC)、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)等を用いて測定することができる。また、重合性液晶化合物として2種以上を組み合わせて用いる場合、上記相転移温度は、重合性液晶組成物を構成する全重合性液晶化合物を重合性液晶組成物における組成と同じ比率で混合した重合性液晶化合物の混合物を用いて、1種の重合性液晶化合物を用いる場合と同様にして測定される温度を意味する。また、一般に前記重合性液晶組成物中における重合性液晶化合物の液晶相転移温度は、重合性液晶化合物単体としての液晶相転移温度よりも下がる場合もあることが知られている。
加熱時間は、加熱温度、用いる重合性液晶化合物の種類、溶媒の種類やその沸点およびその量等に応じて適宜決定し得るが、通常、15秒~10分であり、好ましくは0.5~5分である。
塗膜からの溶媒の除去は、重合性液晶化合物の液晶相転移温度以上への加熱と同時に行ってもよいし、別途で行ってもよいが、生産性向上の観点から同時に行うことが好ましい。重合性液晶化合物の液晶相転移温度以上への加熱を行う前に、重合性液晶組成物から得られた塗膜中に含まれる重合性液晶化合物が重合しない条件で塗膜中の溶媒を適度に除去させるための予備乾燥工程を設けてもよい。かかる予備乾燥工程における乾燥方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられ、該乾燥工程における乾燥温度(加熱温度)は、用いる重合性液晶化合物の種類、溶媒の種類やその沸点およびその量等に応じて適宜決定し得る。
重合性液晶化合物の配向状態を維持したまま、重合性液晶組成物の塗膜を加熱することにより、重合性液晶化合物をプレ重合させることができる。このプレ重合工程は、主として熱重合開始剤の開裂により重合性液晶化合物の重合を進行させる工程であり、上記乾燥工程に次いで行ってもよく、上記乾燥工程と同時に行ってもよい。重合性液晶化合物に対する加熱を最小限に抑えることができ、かつ、液晶硬化膜を生産性よく製造し得るため、プレ重合工程は上記乾燥工程と同時に行うことが好ましい。
プレ重合工程における塗膜の加熱温度は、用いる熱重合開始剤、重合性液晶化合物および塗膜を形成する基材等の材質などを考慮して適宜決定し得るが、通常、熱重合開始剤が開裂し、活性種が発生し得る温度以上の温度であることが必要である。プレ重合工程を上記乾燥工程と同時に行う場合には、熱重合開始剤の開裂温度以上であり、かつ、重合性液晶化合物の液晶相転移温度以上の温度まで加熱することが好ましい。
加熱時間は、加熱温度、用いる熱重合開始剤や重合性液晶化合物の種類、溶媒の種類やその沸点およびその量等に応じて適宜決定し得るが、熱重合開始剤による重合反応を進行させ、かつ、過度な加熱を回避するため、好ましくは0.1~10分であり、より好ましくは0.1~5分であり、さらに好ましくは0.1~3分である。
本発明において、プレ重合工程における重合率は、最終的に達成すべき重合率に応じて、適宜調整し得る。プレ重合工程における重合率を制御することにより、所望の重合率を達成するために必要とされる活性エネルギー線の照射強度を小さくし、活性エネルギー線照射に起因する重合性液晶化合物の構造破壊や配向欠陥の発生を抑えながら、熱重合開始剤を開裂するための加熱や熱重合開始剤による重合反応に伴って生じ得る液晶硬化膜の透明性や外観の低下を抑制し得る。プレ重合工程における重合率の制御は、重合性液晶組成物を構成する熱重合開始剤の種類およびその含有量、プレ重合工程の加熱温度、加熱時間等により制御できる。
次いで、重合性液晶化合物がプレ重合した上記乾燥塗膜において、重合性液晶化合物の配向状態を保持したまま、活性エネルギー線を照射することにより重合性液晶化合物を重合させ、所望の配向状態で存在する重合性液晶化合物の重合体である液晶硬化膜が形成される。熱重合開始剤によりプレ重合した重合性液晶化合物を光重合により本重合させることにより、従来の光重合による液晶硬化膜の形成と比較して、活性エネルギー線の照射に起因する不要な重合熱や輻射熱の発生を回避して、より低い活性エネルギー線の照射強度で、より高い重合率を達成し得る。これにより重合性液晶化合物に対する損傷や配向欠陥の発生を抑え、より優れた光学特性を有する液晶硬化膜を効率的に製造しやすくなる。光重合において、乾燥塗膜に照射する光としては、当該乾燥塗膜に含まれる光重合開始剤の種類、重合性液晶化合物の種類(特に、該重合性液晶化合物が有する重合性基の種類)およびその量に応じて適宜選択される。その具体例としては、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線およびγ線からなる群より選択される1種以上の光や活性電子線が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点や、光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって光重合可能なように、重合性液晶組成物に含有される重合性液晶化合物や光重合開始剤の種類を選択しておくことが好ましい。また、重合時に、適切な冷却手段により乾燥塗膜を冷却しながら光照射することで重合温度を制御することもできる。このような冷却手段の採用により、より低温で重合性液晶化合物の本重合を実施すれば、基材が比較的耐熱性が低いものを用いたとしても、適切に液晶硬化膜を形成できる。また、光照射時の熱による不具合(基材の熱による変形等)が発生しない範囲で重合温度を高くすることにより重合反応を促進することも可能である。活性エネルギー線照射による本重合の際、マスキングや現像を行うなどによって、パターニングされた硬化膜を得ることもできる。
前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
紫外線照射強度は、通常、10~3,000mW/cm2である。紫外線照射強度は、好ましくは光重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは0.1秒~5分、より好ましくは0.1秒~3分、さらに好ましくは0.1秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回または複数回照射すると、その積算光量は、10~3,000mJ/cm2、好ましくは50~2,000mJ/cm2、より好ましくは100~1,000mJ/cm2である。
液晶硬化膜の厚みは、適用される表示装置に応じて適宜選択でき、好ましくは0.2~3μm、より好ましくは0.2~2μmである。
重合性液晶組成物の塗膜は配向膜上に形成されてもよい。配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。例えば、本発明の重合性液晶組成物から、上記式(1)~(3)を満たすような水平配向液晶硬化膜を作製する際には、重合性液晶化合物を水平方向に配向させる配向規制力を有する水平配向膜を用いることが好ましい。配向規制力は、配向膜の種類、表面状態やラビング条件等によって任意に調整することが可能であり、配向膜が光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。
配向膜としては、重合性液晶組成物の塗布等により溶解しない溶媒耐性を有し、また、溶媒の除去や後述する重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜および表面に凹凸パターンや複数の溝を有するグルブ配向膜、配向方向に延伸してある延伸フィルム等が挙げられ、配向角の精度および品質の観点から光配向膜が好ましい。
配向性ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。配向性ポリマーは単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶媒に溶解した組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ということがある)を基材に塗布し、溶媒を除去する、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶媒を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで得られる。溶媒としては、重合性液晶組成物に用い得る溶媒として先に例示した溶媒と同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶媒に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20%が好ましく、0.1~10%程度がさらに好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、重合性液晶組成物を基材へ塗布する方法として例示したものと同様のものが挙げられる。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶媒を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビング処理を行うことができる(ラビング法)。ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を接触させる方法が挙げられる。ラビング処理を行う時に、マスキングを行えば、配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を配向膜に形成することもできる。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーと溶媒とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を基材に塗布し、溶媒を除去後に偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる点でも有利である。
光反応性基とは、光照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の液晶配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)および炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも1つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基等が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、および、アゾキシベンゼン構造を有する基等が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物を基材上に塗布することにより、基材上に光配向誘起層を形成することができる。該組成物に含まれる溶媒としては、重合性液晶組成物に用い得る溶媒として先に例示した溶媒と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、ポリマーまたはモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、光配向膜形成用組成物の質量に対して、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコールやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去する方法としては例えば、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥および減圧乾燥法等が挙げられる。
偏光を照射するには、基材上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶媒を除去したものに直接、偏光UVを照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レーザーなどが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらの中でも、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプが、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラーなどの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、ラビングまたは偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターンまたは複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に重合性液晶化合物を塗布した場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂の層を形成し、形成された樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、および、基材に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。
配向膜(配向性ポリマーを含む配向膜または光配向膜)の厚みは、通常10~10000nmの範囲であり、好ましくは10~1000nmの範囲であり、より好ましくは10~500nm以下であり、さらに好ましくは10~300nm、特に好ましい50~250nmの範囲である。
本発明において、本発明の重合性液晶組成物から形成される液晶硬化膜は、上記式(1)~(3)を満たす水平配向液晶硬化膜であり得る他、λ/2位相差フィルムとして機能する水平配向液晶硬化膜や垂直配向液晶硬化膜等であってもよい。
本発明は、本発明の液晶硬化膜と偏光フィルムとを含む楕円偏光板を包含する。本発明の一態様において、楕円偏光板を構成する本発明の液晶硬化膜は、上記式(1)~(3)の光学特性を満たす水平配向液晶硬化膜であり、λ/4位相差フィルムである。
偏光フィルムは、偏光機能を有するフィルムであり、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムや吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムを偏光子として含むフィルム等が挙げられる。吸収異方性を有する色素としては、例えば、二色性色素が挙げられる。
偏光フィルムは、偏光機能を有するフィルムであり、吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムや吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムを偏光子として含むフィルム等が挙げられる。吸収異方性を有する色素としては、例えば、二色性色素が挙げられる。
吸収異方性を有する色素を吸着させた延伸フィルムを偏光子として含むフィルムは通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造された偏光子の少なくとも一方の面に接着剤を介して透明保護フィルムで挟み込むことで作製される。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85~100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000~10,000程度であり、好ましくは1,500~5,000の範囲である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、例えば、10~150μm程度とすることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、または染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶媒を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3~8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法によって行われる。
二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性の有機染料が用いられる。二色性の有機染料としては、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料および、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料等が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100質量部あたり、通常、0.01~1質量部程度である。またヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常、0.5~20質量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20~40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20~1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性の有機染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100質量部あたり、通常、1×10-4~10質量部程度であり、好ましくは1×10-3~1質量部であり、さらに好ましくは1×10-3~1×10-2質量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含んでいてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20~80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10~1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬する方法により行うことができる。このホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100質量部あたり、通常2~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましく、その場合のヨウ化カリウムの含有量は、水100質量部あたり、通常0.1~15質量部程度であり、好ましくは5~12質量部である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常60~1,200秒程度であり、好ましくは150~600秒、さらに好ましくは200~400秒である。ホウ酸処理の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50~85℃、さらに好ましくは60~80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬する方法により行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常5~40℃程度である。また浸漬時間は、通常1~120秒程度である。
水洗後に乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。乾燥処理は例えば、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30~100℃程度であり、好ましくは50~80℃である。乾燥処理の時間は、通常60~600秒程度であり、好ましくは120~600秒である。乾燥処理により、偏光子の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5~20質量%程度であり、好ましくは8~15質量%である。水分率が上記範囲内であると、適度な可撓性を有し、かつ、熱安定性に優れる偏光子が得られやすい。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理、水洗および乾燥をして得られる偏光子の厚さは好ましくは5~40μmである。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、液晶性を有する二色性色素を含む組成物または、二色性色素と重合性液晶とを含む組成物を塗布して得られるフィルム等が挙げられる。当該フィルムは、好ましくは、その片面または両面に保護フィルムを有する。当該保護フィルムとしては、液晶硬化膜の製造に用い得る基材として先に例示した樹脂フィルムと同一のものが挙げられる。
吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムは薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。当該フィルムの厚さは、通常20μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは0.5~3μmである。
前記吸収異方性を有する色素を塗布したフィルムとしては、具体的には、特開2012-33249号公報等に記載のフィルムが挙げられる。
このようにして得られた偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤を介して透明保護フィルムを積層することにより偏光フィルムが得られる。透明保護フィルムとしては、液晶硬化膜の製造に用い得る基材として先に例示した樹脂フィルムと同様の透明フィルムを好ましく用いることができる。
本発明の楕円偏光板は、本発明の液晶硬化膜と偏光フィルムとを含んで構成されるものであり、例えば、本発明の液晶硬化膜と偏光フィルムとを接着剤層または粘着剤層等を介して積層させることにより本発明の楕円偏光板を得ることができる。
本発明の一態様においては、λ/4位相差フィルムとして機能する本発明の液晶硬化膜と偏光フィルムとが積層される場合、該液晶硬化膜の遅相軸(光軸)と偏光フィルムの吸収軸との成す角が45±5°となるように積層することが好ましい。
本発明の楕円偏光板は、従来の一般的な楕円偏光板、または偏光フィルムおよび位相差フィルムが備えるような構成を有していてよい。そのような構成としては、例えば、楕円偏光板を有機EL等の表示素子に貼合するための粘着剤層(シート)、偏光フィルムや位相差フィルムの表面を傷や汚れから保護する目的で用いられるプロテクトフィルム等が挙げられる。
本発明の楕円偏光板は、さまざまな表示装置に用いることができる。
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)および圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投射型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に本発明の楕円偏光板は有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置および無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に好適に用いることができ、本発明の液晶硬化膜は液晶表示装置およびタッチパネル表示装置に好適に用いることができる。これらの表示装置は、光学特性に優れる本発明の楕円偏光板を備えることにより、良好な画像表示特性を発現することができる。
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子または発光装置を含む。表示装置としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、タッチパネル表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)および圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置および投射型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。特に本発明の楕円偏光板は有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置および無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に好適に用いることができ、本発明の液晶硬化膜は液晶表示装置およびタッチパネル表示装置に好適に用いることができる。これらの表示装置は、光学特性に優れる本発明の楕円偏光板を備えることにより、良好な画像表示特性を発現することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。尚、例中の「%」および「部」は、特記ない限り、それぞれ質量%および質量部を意味する。
1.実施例1
(1)水平配向膜形成用組成物の調製
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを成分として混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、水平配向膜形成用組成物(1)を得た。
光配向性材料:
(1)水平配向膜形成用組成物の調製
下記構造の光配向性材料5部(重量平均分子量:30000)とシクロペンタノン(溶媒)95部とを成分として混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、水平配向膜形成用組成物(1)を得た。
光配向性材料:
(2)重合性液晶組成物の調製
特開2010-31223号公報に記載の方法に準じて製造した重合性液晶化合物(A-1)100質量部に対して、ポリアクリレート化合物(レベリング剤)(BYK-361N;BYK-Chemie社製)0.1質量部と、光重合開始剤として、2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369(Irg369);BASFジャパン株式会社製)3.0質量部とを混合した。更に、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌し、その後、熱重合開始剤として、2,2‘-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN;富士フイルム和光純薬株式会社製)を5部、混合し、25℃で30分攪拌することにより、重合性液晶組成物を得た。
なお、重合性液晶化合物(A-1)の1mg/50mLテトラヒドロフラン溶液を調製し、光路長1cmの測定用セルに測定用試料として該溶液を入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから極大吸収度となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは350nmであった。
特開2010-31223号公報に記載の方法に準じて製造した重合性液晶化合物(A-1)100質量部に対して、ポリアクリレート化合物(レベリング剤)(BYK-361N;BYK-Chemie社製)0.1質量部と、光重合開始剤として、2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369(Irg369);BASFジャパン株式会社製)3.0質量部とを混合した。更に、固形分濃度が13%となるようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を添加し、80℃で1時間攪拌し、その後、熱重合開始剤として、2,2‘-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN;富士フイルム和光純薬株式会社製)を5部、混合し、25℃で30分攪拌することにより、重合性液晶組成物を得た。
なお、重合性液晶化合物(A-1)の1mg/50mLテトラヒドロフラン溶液を調製し、光路長1cmの測定用セルに測定用試料として該溶液を入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから極大吸収度となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは350nmであった。
(3)液晶硬化膜の製造
基材としてシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(ZF-14;日本ゼオン株式会社製)を準備した。基材の一方の面を、コロナ処理装置を用いてコロナ処理した。コロナ処理を施した基材の表面に、バーコーターを用いて上述した水平配向膜形成用組成物(1)を塗布し、80℃で1分間乾燥した。偏光UV照射装置(SPOT CURE SP-9;ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長313nmにおける積算光量が100mJ/cm2の積算光量となるように、塗膜に偏光UV露光を施して水平配向膜を得た。
次いで、得られた水平配向膜上にバーコーターを用いて上記重合性液晶組成物を塗布した。塗膜に120℃で90秒間熱をかけ、熱風を当てながら乾燥し、プレ重合を行った。得られた重合性液晶組成物の塗膜付き基材を、石英ガラス付きの密閉容器に入れ、密閉容器に窒素を充填し、気中の酸素濃度を100ppm以下とした。この酸素濃度100ppm以下の状況下で、高圧水銀ランプを用いて、重合性液晶組成物の塗布面側から紫外線を照射し、重合性液晶組成物を重合させた。照射された紫外線は、波長365nmにおける積算光量が500mJ/cm2であった。このようにして、COPフィルム/水平配向膜/液晶硬化膜からなる光学フィルムを得た。得られた液晶硬化膜の極大吸収波長は350nmであった。
基材としてシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(ZF-14;日本ゼオン株式会社製)を準備した。基材の一方の面を、コロナ処理装置を用いてコロナ処理した。コロナ処理を施した基材の表面に、バーコーターを用いて上述した水平配向膜形成用組成物(1)を塗布し、80℃で1分間乾燥した。偏光UV照射装置(SPOT CURE SP-9;ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長313nmにおける積算光量が100mJ/cm2の積算光量となるように、塗膜に偏光UV露光を施して水平配向膜を得た。
次いで、得られた水平配向膜上にバーコーターを用いて上記重合性液晶組成物を塗布した。塗膜に120℃で90秒間熱をかけ、熱風を当てながら乾燥し、プレ重合を行った。得られた重合性液晶組成物の塗膜付き基材を、石英ガラス付きの密閉容器に入れ、密閉容器に窒素を充填し、気中の酸素濃度を100ppm以下とした。この酸素濃度100ppm以下の状況下で、高圧水銀ランプを用いて、重合性液晶組成物の塗布面側から紫外線を照射し、重合性液晶組成物を重合させた。照射された紫外線は、波長365nmにおける積算光量が500mJ/cm2であった。このようにして、COPフィルム/水平配向膜/液晶硬化膜からなる光学フィルムを得た。得られた液晶硬化膜の極大吸収波長は350nmであった。
(4)液晶硬化膜の物性/特性評価
[面内位相差値測定]
得られた光学フィルムの波長450nm、波長550nm、並びに波長650nmの光に対する面内位相差値を、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WRを用いて測定した。面内位相差値はRe(450)=118nm、Re(550)=142nm、Re(650)=148nmであり、Re(450)/Re(550)は0.83であった。得られた面内位相差値を光学フィルムの初期光学特性として、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
○:Re(450)/Re(550)が0.86未満であり、初期光学特性が高いと判断した。
×:Re(450)/Re(550)が0.86以上であり、初期光学特性が〇の場合に比べて相対的に低いと判断した。
[面内位相差値測定]
得られた光学フィルムの波長450nm、波長550nm、並びに波長650nmの光に対する面内位相差値を、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WRを用いて測定した。面内位相差値はRe(450)=118nm、Re(550)=142nm、Re(650)=148nmであり、Re(450)/Re(550)は0.83であった。得られた面内位相差値を光学フィルムの初期光学特性として、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
<評価基準>
○:Re(450)/Re(550)が0.86未満であり、初期光学特性が高いと判断した。
×:Re(450)/Re(550)が0.86以上であり、初期光学特性が〇の場合に比べて相対的に低いと判断した。
[液晶硬化膜の欠陥評価]
得られた液晶硬化膜を、偏光顕微鏡(オリンパス株式会社製「BX-51」)を用いて倍率200倍の条件で観察し、視野480μm×320μmにおける配向欠陥の有無を観察した。以下の基準で評価した結果を表1に示す。
<評価基準>
○:配向欠陥がなかった。
×:配向欠陥が部分的にみられた。
得られた液晶硬化膜を、偏光顕微鏡(オリンパス株式会社製「BX-51」)を用いて倍率200倍の条件で観察し、視野480μm×320μmにおける配向欠陥の有無を観察した。以下の基準で評価した結果を表1に示す。
<評価基準>
○:配向欠陥がなかった。
×:配向欠陥が部分的にみられた。
[液晶硬化膜の重合率評価]
得られた液晶硬化膜に対して赤外全反射吸収スペクトルの測定(入射角45°)を行い、得られた測定結果(エチレン性不飽和結合の面内変角振動(1408cm-1)由来のピーク強度I(1)と、芳香環の不飽和結合の伸縮振動(1504cm-1)由来のピーク強度I(2)の値)から、P’(液晶硬化膜の厚さ方向に対して垂直な面のうち、紫外線を照射した面におけるP値(ピーク強度I(1)/ピーク強度I(2)))を算出した。
また、重合性液晶化合物(A-1)をクロロホルムに溶解して得た溶液を、ゲルマニウム結晶に滴下して乾燥することで、重合性液晶化合物(A-1)の薄層を得た。得られた薄層に対して赤外全反射吸収スペクトルの測定を行い、得られた測定結果(エチレン性不飽和結合の面内変角振動(1408cm-1)由来のピーク強度I(1)=0.0163、芳香環の不飽和結合の伸縮振動(1504cm-1)由来のピーク強度I(2)=0.0561)から、P0(重合性液晶化合物(A-1)のP値)を算出した。
P’とP0の値から、(1-P’/P0)×100の値を算出し、液晶硬化膜の重合率とした。
後述する評価基準に従い、液晶硬化膜の重合率を評価した。結果を表1に示す。
得られた液晶硬化膜に対して赤外全反射吸収スペクトルの測定(入射角45°)を行い、得られた測定結果(エチレン性不飽和結合の面内変角振動(1408cm-1)由来のピーク強度I(1)と、芳香環の不飽和結合の伸縮振動(1504cm-1)由来のピーク強度I(2)の値)から、P’(液晶硬化膜の厚さ方向に対して垂直な面のうち、紫外線を照射した面におけるP値(ピーク強度I(1)/ピーク強度I(2)))を算出した。
また、重合性液晶化合物(A-1)をクロロホルムに溶解して得た溶液を、ゲルマニウム結晶に滴下して乾燥することで、重合性液晶化合物(A-1)の薄層を得た。得られた薄層に対して赤外全反射吸収スペクトルの測定を行い、得られた測定結果(エチレン性不飽和結合の面内変角振動(1408cm-1)由来のピーク強度I(1)=0.0163、芳香環の不飽和結合の伸縮振動(1504cm-1)由来のピーク強度I(2)=0.0561)から、P0(重合性液晶化合物(A-1)のP値)を算出した。
P’とP0の値から、(1-P’/P0)×100の値を算出し、液晶硬化膜の重合率とした。
後述する評価基準に従い、液晶硬化膜の重合率を評価した。結果を表1に示す。
上記[液晶硬化膜の重合率評価]における各液晶硬化膜の比較液晶硬化膜1に対する相対重合率は、以下の通り算出した。
液晶硬化膜の相対重合率(%)
=(液晶硬化膜の重合率/比較液晶硬化膜1の重合率)×100
<評価基準>
A(非常に良い):相対重合率が103%以上
B(良い):相対重合率が101%以上103%未満
C(悪い):相対重合率が101%未満
液晶硬化膜の相対重合率(%)
=(液晶硬化膜の重合率/比較液晶硬化膜1の重合率)×100
<評価基準>
A(非常に良い):相対重合率が103%以上
B(良い):相対重合率が101%以上103%未満
C(悪い):相対重合率が101%未満
2.実施例2
表1に記載の通り、重合性液晶化合物(A-1)100質量部に対してAIBNの混合量を15部としたこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶組成物(A-1)を含む重合性液晶組成物を調製し、液晶硬化膜を含む光学フィルムを得た。
実施例1と同様の方法にて、液晶硬化膜の物性/特性を評価した。結果を表1に示す。
表1に記載の通り、重合性液晶化合物(A-1)100質量部に対してAIBNの混合量を15部としたこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶組成物(A-1)を含む重合性液晶組成物を調製し、液晶硬化膜を含む光学フィルムを得た。
実施例1と同様の方法にて、液晶硬化膜の物性/特性を評価した。結果を表1に示す。
3.実施例3
表1に記載の通り、重合性液晶化合物(A-1)を重合性液晶化合物(B-1)に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶化合物(B-1)を含む重合性液晶組成物を調製し、液晶硬化膜を含む光学フィルムを得た。重合性液晶化合物(B-1)は、特開2016-81035号公報を参考にして合成した。
重合性液晶化合物(B-1)の1mg/50mLテトラヒドロフラン溶液を調製した。光路長1cmの測定用セルに測定用試料として該溶液を入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから吸光度が極大となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは352nmであった。
表1に記載の通り、重合性液晶化合物(A-1)を重合性液晶化合物(B-1)に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶化合物(B-1)を含む重合性液晶組成物を調製し、液晶硬化膜を含む光学フィルムを得た。重合性液晶化合物(B-1)は、特開2016-81035号公報を参考にして合成した。
重合性液晶化合物(B-1)の1mg/50mLテトラヒドロフラン溶液を調製した。光路長1cmの測定用セルに測定用試料として該溶液を入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから吸光度が極大となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは352nmであった。
実施例1と同様の方法にて、得られた液晶硬化膜の波長450nm、波長550nmでの面内位相差値からRe(450)/Re(550)値を算出した。また、実施例1と同様の方法にて、液晶硬化膜の物性/特性を評価した。結果を表1に示す。
4.実施例4
表1に記載の通り、重合性液晶化合物(A-1)を重合性液晶化合物(C-1)に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶化合物(C-1)を含む重合性液晶組成物を調製し、液晶硬化膜を含む光学フィルムを得た。重合性液晶化合物(C-1)は、国際特許公開2015/025793号公報を参考にして合成した。
重合性液晶化合物(C-1)の1mg/50mLテトラヒドロフラン溶液を調製した。光路長1cmの測定用セルに測定用試料として該溶液を入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから吸光度が極大となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは352nmであった。
表1に記載の通り、重合性液晶化合物(A-1)を重合性液晶化合物(C-1)に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶化合物(C-1)を含む重合性液晶組成物を調製し、液晶硬化膜を含む光学フィルムを得た。重合性液晶化合物(C-1)は、国際特許公開2015/025793号公報を参考にして合成した。
重合性液晶化合物(C-1)の1mg/50mLテトラヒドロフラン溶液を調製した。光路長1cmの測定用セルに測定用試料として該溶液を入れ、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製「UV-2450」)にセットして吸収スペクトルを測定した。得られた吸収スペクトルから吸光度が極大となる波長を読み取ったところ、波長300~400nmの範囲における極大吸収波長λmaxは352nmであった。
実施例1と同様の方法にて、得られた液晶硬化膜の波長450nm、波長550nmでの面内位相差値からRe(450)/Re(550)値を算出した。また、実施例1と同様の方法にて、液晶硬化膜の物性/特性を評価した。結果を表1に示す。
5.比較例1
表1に記載の通り、重合性液晶化合物(A-1)100質量部に対してAIBNの混合量を0部としたこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶組成物(A-1)を含む重合性液晶組成物を調製し、液晶硬化膜(比較液晶硬化膜1)を含む光学フィルムを得た。
実施例1と同様の方法にて、液晶硬化膜の物性/特性を評価した。結果を表1に示す。
表1に記載の通り、重合性液晶化合物(A-1)100質量部に対してAIBNの混合量を0部としたこと以外は、実施例1と同じ操作を行い、重合性液晶組成物(A-1)を含む重合性液晶組成物を調製し、液晶硬化膜(比較液晶硬化膜1)を含む光学フィルムを得た。
実施例1と同様の方法にて、液晶硬化膜の物性/特性を評価した。結果を表1に示す。
Claims (10)
- 少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、
前記重合性液晶化合物が、配向した状態で単独重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である、重合性液晶組成物。 - 熱重合開始剤が熱ラジカル重合開始剤を含む、請求項1に記載の重合性液晶組成物。
- 光重合開始剤が光ラジカル重合開始剤を含む、請求項1または2に記載の重合性液晶組成物。
- 重合性液晶化合物が、分子内に2つ以上の重合性基を有し、かつ、500以上の分子量を有する、請求項1~3のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
- 重合性液晶化合物が、エステル構造と(メタ)アクリロイル基とを有し、かつ、波長300~400nmに極大吸収を示す、請求項1~4のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
- 請求項1~5のいずれかに記載の重合性液晶組成物の硬化物である液晶硬化膜。
- 式(1)~(3):
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
100nm≦Re(550)≦180nm (3)
〔式中、Re(λ)は液晶硬化膜の波長λnmにおける面内位相差値を表し、Re(λ)=(nx(λ)-ny(λ))×dである(dは液晶硬化膜の厚みを表し、nxは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に平行な方向の波長λnmにおける主屈折率を表し、nyは、液晶硬化膜が形成する屈折率楕円体において、液晶硬化膜の平面に対して平行であり、かつ、前記nxの方向に対して直交する方向の波長λnmにおける屈折率を表す)〕
で表される光学特性を有する、請求項6に記載の液晶硬化膜。 - 少なくとも1種の重合性液晶化合物、少なくとも1種の光重合開始剤および少なくとも1種の熱重合開始剤を含み、前記重合性液晶化合物が、配向した状態で重合させたときに逆波長分散性の複屈折を発現し得る重合性液晶化合物である重合性液晶組成物の塗膜を形成し、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させる工程、
配向状態を維持したまま前記塗膜を加熱して重合性液晶化合物をプレ重合させる工程、および、
重合性液晶化合物がプレ重合した塗膜に活性エネルギー線を照射して重合性液晶化合物を本重合させて、液晶硬化膜を形成する工程
を含む、液晶硬化膜の製造方法。 - 請求項7に記載の液晶硬化膜と偏光フィルムとを含む楕円偏光板。
- 請求項9に記載の楕円偏光板を含む有機EL表示装置。
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JP2020120757A JP2022017912A (ja) | 2020-07-14 | 2020-07-14 | 重合性液晶組成物、液晶硬化膜およびその製造方法 |
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