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JP2021181407A - アミドアルコール化合物の水和物及びその製造方法、並びに、及びラクトン化合物の製造方法 - Google Patents

アミドアルコール化合物の水和物及びその製造方法、並びに、及びラクトン化合物の製造方法 Download PDF

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JP2021181407A
JP2021181407A JP2020086593A JP2020086593A JP2021181407A JP 2021181407 A JP2021181407 A JP 2021181407A JP 2020086593 A JP2020086593 A JP 2020086593A JP 2020086593 A JP2020086593 A JP 2020086593A JP 2021181407 A JP2021181407 A JP 2021181407A
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alc
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雅彦 関
Masahiko Seki
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

【課題】ビオチン合成の中間体原料となるアミドアルコール化合物の水和物、その製造方法、及びアミドアルコール化合物を用いたラクトンの製造方法の提供。【解決手段】式(I)で示されるアミドアルコール化合物の水和物。(式中、R1及びR2は、置換/非置換のベンジル基、R3は、置換/非置換のフェニル基、nは0〜1。)【選択図】なし

Description

本発明は、アミドアルコール化合物の水和物及びその製造方法、並びに、及びラクトン化合物の製造方法に関する。
シス−1,3−ジベンジル−4−[N−(R)−1−フェネチルカルバモイル]−5−ハイドロキシメチルテトラヒドロイミダゾール−2−ワン、すなわち、下記式(IV)に示すアミドアルコール化合物は、医薬、食品、化粧品をはじめとする各種有用化合物の合成中間体として重要な化合物である。式(IV)において、R及びRは、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基であり、Rは、フェニル基又は置換基を有するフェニル基である。
Figure 2021181407
上記アミドアルコール化合物を合成中間体として活用した合成法の一つとして、以下に表されるビオチンの製造法が知られている(特許文献1)。ビオチンは、水溶性ビタミンの一種である。
Figure 2021181407
特許文献1には、上記ステップ1において、1,3−ジベンジル−2−イミダゾリドン−シス−4,5−ジカルボン酸とα−フェネチルアミン((R)−(+)−1−メチルベンジルアミン)とを反応させて、1,3−ジベンジル−5−(α−フェネチル)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−d]イミダゾール−2,4,6−トリオン(以下、単に「IMD」という場合もある。)を得ることが記載されている。また、上記ステップ2において、金属水素化合物を用いてIMDを還元して上記式(IV)に示すアミドアルコール化合物(以下、単に「ALC」という場合もある。)を生成することが記載されている。また、上記ステップ3において、ALCを加水分解し、上記反応式にあるラクトン化合物(以下、単に「LCT」という場合もある。)を生成することが記載されている。また、上記ステップ4において、チオラクトン化試薬を用いてLCTを処理することにより、DTLを得た後、側鎖導入反応、及び脱保護反応に付すことによりビオチンを得ることが記載されている。
ここで、ステップ2においては、ALCの他に下記式(V)で示すALCの異性体が生成することが知られている。式(V)において、R、R及びRは、前記式(IV)におけるものと同義である。
Figure 2021181407
以下、前記式(V)で示されるALCの光学異性体を、単に、「ALC’」とする場合もある。
ALCの異性体(ALC’)の収率が高まると、ALCの収率が低下する。ALCの異性体(ALC’)は不純物であるため、ALCの製造工程においては、ALC(ALC’)の異性体の収率を低め、ALCの収率を高めることが望ましい。
特許文献2には、ALCの収率が高いALCの製造方法が開示されている。すなわち、特許文献2には、IMDのアミナール体を得た後、これと還元剤、例えば、水素化ホウ素カルシウムとを反応させ、その後、5質量%塩酸を加えてALCの結晶を得ることが記載されている。
米国特許第3876656号明細書 国際公開第2018/025722号
以上の方法に従えば、高い収率でALCの結晶を得ることができる。しかしながら、近年、より一層、低コスト化された製造方法、すなわち、より簡易的な操作でビオチンを製造することが望まれている。そのためには、ALCとALC’とをより簡易的な方法で確実に分離することが望まれている。
したがって、本発明の目的は、上記課題を解決することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。そして、新規なALCの水和物(下記式(I)で示される化合物;以下、単に「ALC水和物」とする場合もある。)は、ALCの光学異性体(ALC’)の水和物(下記式(III)で示される化合物;以下、単に「ALC’水和物」とする場合もある。)とその性能が大きく変わることを突き止めた。特に、ALC水和物は、ALC’水和物よりも熱的に安定であること、溶解性、および水が乖離する温度が大きく異なることを突き止めた。そして、ALC水和物、およびALC’水和物の混合物を製造すれば、例えば、それら混合物を含む溶液の温度を制御するだけで、ALC水和物、およびALC’水和物を分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。加えて、通常の保存状態において、ALC水和物は、ALCよりも安定していることを見出し、本発明を完成するに至った。
実施形態によると、下記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物が提供される。式(I)において、R及びRは、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基であり、Rは、フェニル基又は置換基を有するフェニル基である。nは0より大きく1以下である。
Figure 2021181407
他の実施形態によると、実施形態に係る式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の製造方法が提供される。この製造方法は、下記式(II)で表されるトリオン化合物と、還元剤とを接触させて第1混合物を得ることと、第1混合物と濃度15質量%以上の塩酸とを30℃以下の温度で接触させて第2混合物を得ることと、第2混合物と水とを接触させて第3混合物を得ることと、前記第3混合物から式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の結晶及び下記式(III)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の結晶を取り出すこととを含む。
Figure 2021181407
式(II)において、R、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。
Figure 2021181407
式(III)において、R、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義である。mは0よりも大きく1以下である。
他の実施形態によると、水分量が低減されたアミドアルコール化合物の製造方法が提供される。この製造方法は、実施形態に係る式(I)で表されるアミドアルコール化合物の結晶を、減圧下、70℃以上100℃以下の温度で乾燥させることにより、該アミドアルコール化合物の水和物の結晶の水分量を低減させることを含む。
他の実施形態によると、下記式(VI)で表されるラクトン化合物の製造方法が提供される。この製造方法は、実施形態に係る式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物と酸とを接触させて、下記式(VI)で表されるラクトン化合物を得ることを含む。
Figure 2021181407
式(VI)において、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義である。
本発明によると、新規なアミドアルコール化合物の水和物(ALC水和物)が提供される。この新規な水和物は、異性体との分離が容易であり、収率・純度を簡易的な方法で高めることができる。具体的には、温度制御をすることにより、より高収率で高純度のものを得ることができる。また、このALC水和物は、通常の保存状態では、ALCよりも安定であり、かつ、乾燥条件を調整してやれば、直ぐにALCへ変換することも可能である。
アミドアルコール化合物の水和物(ALC水和物)の熱重量・示差熱分析結果の一例を示すグラフ。 アミドアルコール化合物の異性体の水和物(ALC’水和物)の熱重量・示差熱分析結果の一例を示すグラフ。 アミドアルコール化合物の水和物(ALC水和物)及びアミドアルコール化合物の異性体の水和物(ALC’水和物)の溶解度測定のグラフ。 アミドアルコール化合物の水和物(ALC水和物)及びアミドアルコール化合物の異性体の水和物(ALC’水和物)のVan’t Hoffプロットのグラフ。
(ALC水和物)
実施形態によると、下記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物(ALC水和物)が提供される。
Figure 2021181407
式(I)において、R及びRは、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基であり、Rは、フェニル基又は置換基を有するフェニル基である。nは0より大きく1以下である。
ベンジル基の置換基は、例えば、メチル基、フェニル基、及び置換基を有するフェニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。フェニル基の置換基は、例えば、メチル基、メトキシ基、ニトロ基、アミノ基、及びハロゲノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
上記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物は、上記式(IV)で表される、上記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の無水物(以下、ALC無水物とも称する)の代わりの化合物として使用できる。すなわち、ALC水和物は、ALC無水物と同様に、ビオチン合成のための中間体として使用できる。また、ALC水和物は、乾燥条件を調整することにより、容易にALC無水物とすることができる。
さらに、ALC水和物は、吸湿性が高いALC無水物と比較して、安定性に優れるため、より高い収率で得られる。加えて、ALC水和物は、ALC’水和物とその性質が大きく異なるため、ALC’水和物との分離が容易となる。その結果、簡易的な方法、例えば、温度制御を行うことにより、より確実にALC’水和物との分離が可能となる。
式(I)において、添字nは、0より大きく1以下である。nは、0.5以上1.0以下であることが好ましい。添字nがこの範囲内にあることにより、ALC水和物の安定性がより高まる。また、ALC水和物は、nが0.5であるALC・0.5HO水和物の形態で安定であり、nが1.0であるALC・1.0HO水和物である形態でより安定であると考えられる。湿気が存在する状態では、ALC・0.5HO水和物は、ALC・1.0HO水和物とすることもできる。nの値は、カールフィッシャー水分計、又は元素分析で確認できる。
ここで、ALC水和物の特徴を説明する。具体的な相違点は、下記の実施例で詳細に説明する。ALC水和物は、ALC無水物よりも溶解性が低く収率向上が見込まれる。また。ALC水和物は、ALC’水和物と比較して、熱的に安定であり、水が乖離し難い。一方、ALC’水和物は、比較的低温で水が乖離し易く、溶媒に対する溶解度が向上し易くなる。その結果、ALC水和物、およびALC’水和物の混合物であれば、温度制御により、確実に両者を分離することができる。
したがって、実施形態に係るALC水和物を用いると、ラクトン化合物、ひいてはビオチンの製造効率を高められる。
(ALC水和物の製造方法)
実施形態に係るアミドアルコール化合物の水和物は、例えば、以下の方法で製造される。すなわち、実施形態に係るアミドアルコール化合物の水和物の製造方法は、下記式(II)で表されるトリオン化合物と、還元剤とを接触させて第1混合物を得ることと、第1混合物と濃度15質量%以上の塩酸とを30℃以下の温度で接触させて第2混合物を得ることと、第2混合物と水とを接触させて第3混合物を得ることと、第3混合物から式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の結晶及び下記式(III)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の結晶を含む第3混合物を取り出すこととを含む。
Figure 2021181407
式(II)において、R、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。なお、式(II)に示すトリオン化合物を、単にトリオン化合物とも称する。
Figure 2021181407
式(III)において、R、R及びRは、式(I)におけるものと同義である。mは0よりも大きく1以下である。なお、式(III)に示すALC無水物の光学異性体の水和物を、ALC’水和物とも記載する。本発明者等の検討、および分析結果によれば、このALC’水和物は、ALC’1モルに対して、水(HO)1モルが付加した1水和物(ALC’・1H2O水和物 m=1)が安定であることが分かった。mの値は、カールフィッシャー水分計、又は元素分析で確認できる。
上記製造方法によると、実施形態に係るALC水和物を高効率で得ることができる。したがって、実施形態に係るALC水和物の製造方法を用いると、ラクトン化合物、ひいてはビオチンの製造効率を高められる。
以下に、実施形態に係るアミドアルコール化合物の水和物の製造方法の詳細を説明する。
(第1混合物)
先ず、式(II)で表されるトリオン化合物と、還元剤とを接触させて第1混合物を得る。これにより、トリオン化合物が還元される。第1混合物は、式(IV)に示すALC無水物及び式(V)に示すALC無水物の異性体(以下、ALC’無水物とも称する)を含み得る。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、及び水素化ホウ素リチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。還元剤としては、水素化ホウ素カルシウム及び水素化ホウ素ナトリウムの少なくとも一方を用いることが好ましい。これらの還元剤を用いると、ALC水和物の収率が高まる傾向にある。
還元剤としては、水素化ホウ素カルシウムを用いることがより好ましい。水素化ホウ素カルシウムは、例えば、ハロゲン化カルシウムと水素化ホウ素の1価金属塩とを、炭素数1以上4以下のアルコール類等の溶媒中で反応させることにより調製される。水素化ホウ素の1価金属塩の例は、水素化ホウ素ナトリウム、及び水素化ホウ素カリウムを含む。炭素数1以上4以下のアルコール類としては、エタノール、及び2−プロパノールの少なくとも一方を用いることが好ましい。
なお、このようにして得られた反応液を還元剤含有液として用いてもよく、反応溶液中から水素化ホウ素カルシウムを単離して還元剤として用いてもよい。
還元剤の量は、トリオン化合物を十分に還元できる量であればよい。ALC水和物の収率を高めるという点からは、還元剤の量は、1モルのトリオン化合物に対して1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上3モル以下であることがより好ましい。
還元剤とトリオン化合物との反応は、これらを一定の反応温度内に維持した状態で、少量ずつ、例えば、−30〜100℃、好ましくは5〜70℃の温度範囲で反応させることが好ましい。中でも、水素化ホウ素カルシウムを使用する場合には、先ず、塩化カルシウムと水素化ホウ素ナトリウムとを、−20〜10℃の温度範囲で5分以上1時間以下にわたって攪拌混合して水素化ホウ素カルシウムを生成する。次に、得られた水素化ホウ素カルシウムとトリオン化合物とを一方を少量ずつ分割して添加し、例えば、5℃以上15℃以下の温度で30分以上1時間以下にわたって攪拌混合する。その後、15℃を超え50℃以下、好ましくは20℃以上30℃以下の温度範囲とし、3時間以上30時間、好ましくは5時間以上30時間以下にわたって攪拌混合されることが好ましい。
トリオン化合物と還元剤との反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒としては、炭素数1以上6以下のアルコール類、エーテル類、又はこれらの混合溶媒を用い得る。炭素数1以上6以下のアルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、及び1−メチル−2−ブタノールエタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を用い得る。エーテル類としては、例えば、1,2−ジメトキシエタンを用いる。なお、還元剤として、上述した還元剤含有液を用いる場合には、有機溶媒は省略してもよい。
有機溶媒の量は特に制限されない。1gのトリオン化合物に対する有機溶媒の量は、一例によると、1mL以上100mLであり、他の例によると、5mL以上20mL以下である。
トリオン化合物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法で合成したものを用いてもよい。
(第2混合物)
次に、第1混合物と濃度15質量%以上の塩酸とを30℃以下の温度で接触させて第2混合物を得る。次に、第2混合物と水とを接触させて第3混合物を得る。この第3混合物から固形物を取り出すことにより、ALC水和物の結晶及びALC’水和物の結晶を得られる。この理由は定かではないが、第1混合物と比較的濃度の高い塩酸とを常温以下の温度で反応させた後、更に水と反応させることで、第1混合物に含まれるALC無水物及びALC’無水物が水和物となり、これら固形物を取り出すことにより、ALC水和物とALC’水和物の結晶が得られると考えられる。
第1混合物と塩酸との反応温度は、30℃以下で行う。反応温度の下限値は特にないが、一例によると、0℃以上である。第1混合物と塩酸とを接触させる際には、第1混合物の温度を30℃以下に調整しながら、常温の塩酸を加えることが好ましい。塩酸を加える際には、例えば、10分以上30分以下の時間をかけて少量ずつ加えることが好ましい。なお、第1混合物に塩酸を加えた後、得られた第2混合物を30℃以下に調整してもよい。
塩酸としては、塩化水素(HCl)の濃度が15質量%以上の高濃度塩酸を用いればよい。塩酸の濃度は30質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。塩酸の濃度に上限値は特にないが、一例によると100質量%であり、他の例によると40質量%である。
1モルのトリオン化合物に対する塩酸の量は、ALC水和物の結晶化に十分な量であれば制限されない。1モルのトリオン化合物に対する塩酸における塩化水素の量は、2モル以上2.4モル以下であることが好ましい。塩酸を使用する場合には、前記範囲の塩化水素を使用するように塩酸の使用量を調整すればよい。例えば、15〜40質量%の濃塩酸を用いた場合、1gのトリオン化合物に対する塩酸の量は、一例によると、0.35mL以上1.20mL以下である。
第2混合物と接触させる水の量は、特に限定されない。1gのトリオン化合物に対する水の量は、一例によると、0.1mL以上1.0mL以下であり、他の例によると、0.3mL以上0.8mL以下であり、更に他の例によると、0.4mL以上0.6mL以下である。
第2混合物と水との反応温度は、第1混合物と塩酸との反応温度よりも高くすることが好ましい。すなわち、第2混合物と水との反応温度は、30℃より高いことが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。第2混合物と水との反応温度が高いと、ALC水和物の収率が高まる傾向にある。第2混合物と水との反応温度の上限値は、一例によると、100℃以下であり、他の例によると、70℃以下である。
(第3混合物)
次いで、本発明においては、前記第2混合物と水とを接触させることにより、第3混合物を得る。
第2混合物と水との接触方法は、特に限定されない。第2混合物中に水を加えてもよく、水中に第2混合物を加えてもよい。ALC水和物の収率を高めるといいう点からは、第2混合物中に水を徐々に加えることが好ましい。第2混合物に水の全量を、例えば、30分以上10時間以下、好ましくは1時間以上5時間以下の時間をかけて加える。第2混合物を上記の反応温度まで加熱した後、徐々に水を加えることがより好ましい。
(ALC水和物、およびALC’水和物の特性)
以上の方法により、ALC水和物の結晶及びALC’水和物の結晶を含む固形物が得られる。固形物に含まれる結晶の構造は、核磁気共鳴(NMR)分析、赤外(IR)分光分析、X線回折、及び元素分析により確認できる。固形物に含まれる各結晶の割合は、高速液体クロマトグラフィー(High performance Liquid Chromatography: HPLC)により確認できる。なお、固形物は、ALC無水物及びALC’無水物を含み得る。なお、以下の分析結果は、当然のことながら、ALC水和物、およびALC’水和物を分別して測定して得られたものである。
ALC及びALC水和物と、ALC’及びALC’水和物とは、その融点の違いにより確認できる。すなわち、ALC及びALC水和物(具体的には、R及びRがベンジル基であり、Rがフェニル基である化合物)の融点は、150℃以上160℃以下の範囲内にある。ALC’及びALC’水和物(具体的には、R及びRがベンジル基であり、Rがフェニル基である化合物)の融点は、90℃以上100℃以下の範囲内にある。
ALC及びALC水和物、並びに、ALC’及びALC’水和物の違いは、熱重量・示差熱(TG−DTA)測定により確認できる。すなわち、ALC水和物及びALC’水和物のTG−DTAグラフには、水和物に由来するピークが現れる。
図1は、アミドアルコール化合物の水和物(ALC水和物;実施例1で得られたALC・1HO水和物(R及びRがベンジル基であり、Rがフェニル基である化合物)の熱重量・示差熱分析結果の一例を示すグラフである。図2は、アミドアルコール化合物の異性体の水和物(ALC’水和物;ALC’1モルに対して水1モルの1水和物。実施例1で得られたALC’・1HO水和物(R及びRがベンジル基であり、Rがフェニル基である化合物))の熱重量・示差熱分析結果の一例を示すグラフである。図1及び図2において、横軸は温度であり、縦軸は重量である。また、図1及び図2は、TG曲線、DTA曲線、DTAの1次微分曲線を示している。
図1に示すように、ALC水和物のTG−DTAグラフには、72℃付近で質量減少を伴う吸熱ピークが確認される。この吸熱ピークは、ALC水和物に含まれる水和した1分子の水に由来すると考えられる。ALC無水物には、このピークは現れない。
また、図2に示すように、ALC’水和物のTG−DTAグラフには、43℃付近で質量減少を伴う吸熱ピークが確認される。この吸熱ピークは、ALC’水和物に含まれる水和した1分子の水に由来すると考えられる。ALC’無水物には、このピークは現れない。
ALC水和物及びALC’水和物の違いは、溶解度により確認できる。図3は、エタノールと水との混合溶媒(エタノール60体積%、水40体積%)における、アミドアルコール化合物の水和物(図中、ALCと表記)及びアミドアルコール化合物の異性体の水和物(図中、ALC’と表記)の溶解度測定のグラフである。図3において、横軸は温度であり、縦軸は飽和濃度である。図3に示すように、ALC水和物の溶解度は、温度の上昇とともに徐々に高まる傾向にある。一方、ALC’水和物の溶解度は、30℃以上40℃以下の温度の範囲内で急激に上昇する傾向にある。なお、図3の溶解度を確認した化合物は、図1、図2の化合物と同一の化合物(R及びRがベンジル基であり、Rがフェニル基である化合物)である。
図4は、アミドアルコール化合物の水和物及びアミドアルコール化合物の異性体の水和物のVan’t Hoffプロットのグラフである。図4に示すグラフは、図3に示す溶解度測定結果に基づいている。図4に示す下側の直線は、ALC水和物のプロットから最小二乗法により求めた回帰直線である。この回帰直線はy=−5633.4x+16.328で表される。この回帰直線の決定係数Rは、0.97である。図4に示す上側の直線は、ALC’水和物のプロットから最小二乗法により求めた回帰直線である。この回帰直線はy=−4541.5x+14.855で表される。この回帰直線の決定係数Rは、0.89である。
なお、ALC’水和物の40℃以上70℃以下の範囲内における回帰直線は、y=−897.84x+3.8647で表され、その決定係数Rは、0.951である。ALC’水和物の10℃以上30℃以下の範囲内における回帰直線は、y=−3355.5x+10.63で表され、その決定係数Rは、0.9524である。この各温度範囲における回帰直線の違いから、ALC’水和物の結晶は、30℃以上40℃以下の温度の範囲内で、異なる結晶系へと変性していると考えられる。
第3混合物に含まれるALC水和物の結晶及びALC’水和物の結晶は、以下の方法により更に洗浄・乾燥してもよい。
先ず、第3混合物からALC水和物の結晶及びALC’水和物の結晶を含む固形物を濾別する。濾別した固形物を、洗浄液を用いて洗浄する。洗浄液としては、水、エタノール等のアルコール類、又はこれらの混合溶媒を用い得る。なお、洗浄工程は省略してもよい。
洗浄後の固形物を、乾燥させる。乾燥は、常圧下、75℃以下の温度で行うことが好ましい。このように常圧下で比較的低温で各結晶を乾燥させることにより、ALC水和物の収率が高まる傾向にある。乾燥温度は40℃以上60℃以下の範囲内とすることがより好ましい。
(第4混合物)
このようにして洗浄・乾燥された各結晶は、更に精製されてもよい。すなわち、乾燥後の固形物と、溶媒とを混合して第4混合物を得た後、第4混合物内から固形物を分取し、更に乾燥させることで、よりALC水和物の濃度の高い固形物が得られる。
溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、THF、2−メチル−THF、1,4−ジオキサン、t−ブチル−メチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール、アセトン、メチルエチルケトン、及びジエチルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。溶媒としては、トルエン、含水エタノール及び含水メタノールからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。含水エタノール及び含水メタノールを使用する場合には、アルコールと水との合計量を100mlとしたとき、アルコール50〜90ml、水10〜50mlの範囲のものを使用することが好ましい。これらの溶媒を用いると、ALC水和物の収率が高まる傾向にある。
1gの固形物に対する溶媒の量は、特に限定されないが、一例によると、1mL以上100mL以下である。
第4混合物は、40℃以上75℃以下の温度で攪拌されることが好ましい。この範囲内の温度とすることにより、ALC’水和物の結晶を選択的に溶解させ、固形物中のALC水和物の結晶の割合を高められる。第4混合物の攪拌温度は、45℃以上60℃以下であることがより好ましい。このことは、(ALC水和物、およびALC’水和物の特性)で説明した通り、ALC水和物と、ALC’水和物の特性が異なることに起因していると考えられる。
攪拌後の第4混合物から、固形物を分取する際にも、第4固形物の温度を40℃以上75℃以下の範囲に維持することが好ましい。分取した固形物を、洗浄液で洗浄し、乾燥させる際の洗浄液としては、上記溶媒と同様のものを用い得る。乾燥処理は、常圧下、75℃以下の温度で行うことが好ましく、40℃以上60℃以下の範囲内の温度で行うことがより好ましい。
以上の方法により、ALC水和物の結晶を含む固形物を得られる。
(ラクトン化合物の製造)
以上説明した実施形態に係るアミドアルコール化合物の水和物は、上述したように、ALC無水物の代わりに、ラクトン化合物の合成における基質として用い得る。すなわち、実施形態に係るラクトン化合物の製造方法は、ALC水和物と酸とを接触させることにより、上記式(IV)で表されるラクトン化合物を得ることを含む。
ALC水和物と酸との接触には、反応溶媒を用いることが好ましい。反応溶媒は、ALC水和物を溶解可能なものを用いることが好ましい。反応溶媒としては、例えば、ジメチルメチルアミド(DMA)、ジメチルホルムアミド、及びNMPからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
ALC水和物と酸との接触の際には、ALC水和物を反応溶媒に溶解させた溶液に、酸を少量ずつ徐々に加えることが好ましい。この際、ALC水和物を反応溶媒に溶解させた溶液は、90℃以上に加熱されることが好ましい。この溶液の温度に上限値は特にないが、一例によると、120℃以下である。
酸を加えた後、ALC水和物と酸との混合物を、0.5時間以上5時間以下にわたって攪拌して反応させることが好ましい。この際、混合物の温度は、90℃以上120℃以下とすることが好ましい。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
攪拌後の混合物には、更にクエンチ処理を行ってよい。クエンチ処理に際しては、常温のクエンチ処理液を混合物に加える。クエンチ処理液としては、例えば、水、ジクロロメタン、塩化ナトリウム水溶液又はこれらの混合物を用いる。
クエンチ処理後の混合物内から固形物を取り出し、これを水で洗浄する。洗浄後の固形物を乾燥させて、ラクトン化合物の結晶を得られる。
以上説明した方法で得られたラクトン化合物は、ビオチンを合成するための中間体として用い得る。
(ALC水和物から水分量が低減された化合物を製造する方法)
なお、以上説明したALC水和物は、乾燥させることにより、ALCへと変性し得る。このようにして得られたALCを、上述したラクトン化合物合成のための基質として用いてもよい。すなわち、ALC水和物を、減圧下、70℃以上100℃以下の温度で乾燥させることにより、ALC水和物に配位する水分子の量を減少できる。つまり、式(I)においてn=1であるALC・1水和物は、前記条件で乾燥することにより、n=0.5であるALC・0.5水和物とすることができ、さらには、ALC無水物を得ることができる。
乾燥温度は、80℃以上100℃以下であることがより好ましい。乾燥時間は、例えば、30分以上3時間以下とし、好ましくは、30分以上90分以下とする。ここで、減圧下とは、気圧が常圧以下であることをいい、一例によると、0.01mmHg以上10mmHg以下の状態のことを言う。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。ただし、以下の実施例は具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
<実施例1>
(アミドアルコール化合物の水和物の合成)
先ず、以下の方法で式(I)に示すアミドアルコール化合物の水和物を合成した。なお、R及びRは、それぞれ、ベンジル基とし、Rは、フェニル基とした。
(第1混合物)
塩化カルシウムとエタノールとを200mL四つ口フラスコに入れ、室温、窒素雰囲気下で30分間にわたって攪拌して塩化カルシウム溶液を調製した。塩化カルシウムの量は26.51g(0.23mol)であり、エタノールの量は700mLであった。この塩化カルシウム溶液を、10℃まで氷冷冷却した。これに水素化ホウ素ナトリウムを加え、10℃以下の温度で5分間攪拌して、還元剤である水素化ホウ素カルシウムを生成した。水素化ホウ素ナトリウムの量は、18.94g(0.501mol)であった。
次に、この四つ口フラスコに式(II)で表されるトリオン化合物を、10℃以下の温度に維持した状態で、10分間かけて少量ずつ加え、その後、5℃以上15℃以下の温度で30分間にわたって攪拌し、更に25℃以上30℃以下の温度で26時間攪拌して第1混合物を得た。トリオン化合物の量は、100.00g(0.228mol)であった。
(第2混合物)
この第1混合物に、36質量%の濃度の濃塩酸を、常温で15分かけて滴下し、第2混合物を得た。濃塩酸の量は50.68g(0.501mol)であった。
(第3混合物)
次に、この第2混合物を60℃まで昇温させた後、1000mLの水を30分かけて滴下し、60℃の温度で2時間攪拌した後、25℃以上30℃の温度で2時間攪拌して、第3混合物を得た。この第3混合物を濾過し、固形物を濾別し、これを200mLの水で洗浄した。洗浄後の固形物を60℃の温度で12時間わたって乾燥させた。乾燥後の固形物の量は108.2gであった。この固形物についてHPLCを用いて調べたところ、ALC水和物及びALC’水和物を含んでいた。固形物におけるALC(水和物)由来のHPLCのピーク面積とALC’(水和物)由来のHPLCのピーク面積の比は、72.9:27.1であった。なお、ALC、ALC’由来のピーク面積比としたのは、HPLC測定時には、水和物ではなく、無水物になっている可能性があるためである。ALC水和物、ALC’水和物は以下の分析により、その製造を確認した。
(ALC水和物の分析結果)
このALC水和物が主である固形物(結晶)の分析結果は以下の通りである。なお、このALC水和物は、下記の(アミドアルコール化合物の水和物の精製)に記載の方法に従い得られた結晶である。
融点;mp 155.5〜156.1℃。
H−NMR(CDCl,400MHz);1.34(d,J=7.1Hz,3H)、2.87(dd,J=4.4Hz,9.2Hz,1H)、3.24(ddd,J=4.4Hz,8.0Hz,12.8Hz,1H)、3.48(ddd,J=3.2Hz,9.6Hz,12.8Hz,1H)、3.60(ddd,J=3.2Hz,8.0Hz,11.2Hz,1H)、3.99(d,J=9.6Hz,1H)、4.17(t,J=14.4Hz,2H)、4.64(d,J=15.6Hz,1H)、4.81(d,J=15.2Hz,1H)、5.09(quin,J=7.6Hz,1H)、6.55(d,J=8.0Hz,1H)、7.23−7.33(m,15H)。
IR(KBr);3429cm−1、3271cm−1、1682cm−1、1652cm−1、1453cm−1、1240cm−1、1064cm−1、697cm−1
[α]D20 +93.0° cm/g。
PXRD(2θ); 5.279±0.2°、6.060±0.2°、7.658±0.2°、9.734±0.2°、11.424±0.2°、12.304±0.2°、14.513±0.2°、15.450±0.2°、16.986±0.2°、17.524±0.2°、19.668±0.2°、21.382±0.2°、22.012±0.2°、23.146±0.2°、24.945±0.2°、28.302±0.2°、32.107±0.2°。
元素分析:(分析値)C 69.70%, H 6.70%, N 8.90%(計算値:C 70.26%, H 6.77%, N 9.10%)。
水分量の測定:カールフィッシャー水分計を使用して結晶に含まれる水分量を測定した。水分量は、4.18質量%(理論値:3.90質量%)であった。
以上の結果から、ALC・1HO(n=1)の水和物であることが確認できた。
(ALC’水和物の分析結果)
前記方法でALC水和物の結晶を採取した際のろ液を集め、結晶化して分析した(ALC’水和物の結晶を採取した)。この結晶は、以下の分析値となり、ALC’水和物であることを確認した。
融点 mp;93.4−93.9℃。
H−NMR(CDCl,400MHz);1.50(d,J=7.2Hz, 3H)、3.05(dd,J=4.8Hz,9.6 Hz,1H)、3.47−3.53(m,1H)、3.63−3.69(m,2H)、3.84(d,J=14.8Hz,1H)、3.94(d,J=10.0 Hz,1H)、4.19(d,J=15.6Hz,1H)、4.75(d,J=15.2Hz,1H)、4.96(d,J=14.8Hz,1H)、5.16(quin,J=7.2Hz,1H)、6.64(d,J=8.4Hz,1H)、7.14(dd,J=2.4Hz,6.8Hz,2H)、7.25−7.38(m,13H)。
IR(KBr);3468cm−1,3267cm−1,2976cm−1,1680cm−1,1645cm−1,1465cm−1,1452cm−1,1055cm−1,698cm−1
[α] 20; +180.8cm/g。
PXRD(2θ);5.325±0.2°、7.770±0.2°、9.822±0.2°、11.45±0.2°、13.92±0.2°、14.638±0.2°17.307±0.2°、17.522±0.2°、18.599±0.2°、19.991±0.2°、21.156±0.2°、22.398±0.2°、23.506±0.2°、24.686±0.2°、26.959±0.2°、28.651±0.2°、33.328±0.2°、39.218±0.2°。
元素分析:分析値 C 69.70%, H 6.70%, N 8.90%(計算値:C 70.26%, H 6.77%, N 9.10%)。
水分量の測定:カールフィッシャー水分計を使用して結晶に含まれる水分量を測定した。水分量は、4.19質量%(理論値:3.90質量%)であった。
以上の結果から、ALC’・1HO(n=1)の水和物であることが確認できた。
(アミドアルコール化合物の水和物の精製)
次に、以下の方法で式(I)に示すアミドアルコール化合物の水和物の結晶を得た。
(第4混合物)
先ず、上記の乾燥後の固形物とトルエンとを混合し、52℃以上55℃以下の温度で1時間にわたって攪拌して、第4混合物を得た。乾燥後の固形物の量は10gとし、トルエンの量は200mLとした。この第4混合物を52℃以上55℃以下の温度に維持したまま濾過し、濾別した固形物を10mLのトルエンで洗浄した。洗浄後の固形物を乾燥させた。乾燥後の固形物の量は、5.99gであった。
この固形物についてHPLCを用いて調べたところ、ALC水和物及びALC’水和物を含んでいた。固形物におけるALC水和物とALC’水和物のHPLCの面積比は、99.2:0.8であった。
(ラクトン化合物の製造)
次に、以下の方法で式(VI)に示すラクトン化合物を得た。
第4混合物から濾別した未乾燥の固形物と、ジメチルメチルアミドとを混合して、溶液を得た。第4混合物から濾別した未乾燥の固形物の量は37.7gであり、ALC水和物の含有量は12.0g(0.026mol)であった。この溶液を80℃の温度に維持した状態で、6gの塩酸を30分かけて滴下し、100℃まで加熱して3時間にわたって攪拌して混合物を得た。
この混合物に常温のクエンチ処理液を加えて、反応を停止させた。クエンチ処理液としては、48mLのジクロロメタンと、48gの10質量%塩化ナトリウム水溶液との混合溶媒を用いた。クエンチ処理後の混合物から、有機相を抽出し、水で3回に分けて洗浄した。洗浄後の有機相を乾燥させて、8.16gの固形物を得た。
この固形物についてHPLCを用いて調べたところ、ラクトン化合物を含んでいた。固形物におけるラクトン化合物のHPLCの面積は、99.12%であった。
(アミドアルコール化合物の0.5水和物の製造)
実施例1の(アミドアルコール化合物の水和物の精製)に従い式(I)で示されるアミドアルコール化合物の製造物を製造した後、得られたアミドアルコール化合物の水和物(結晶)を、減圧下、90℃の温度で60分間乾燥させることにより、式(IV)に示すアミドアルコール化合物の0.5水和物の結晶を得た。式(IV)に示すアミドアルコール化合物の無水物であることは、以下の分析結果から確認できた。
融点;mp 155.4〜155.9℃。
H−NMR(CDCl、400MHz);1.33(d,J=6.8Hz,3H)、2.87(dd,J=4.4Hz,9.6Hz,1H)、3.24(ddd,J=4.4Hz,8.0Hz,12.8Hz,1H)、3.48(ddd, J=3.2Hz,9.6Hz,12.8Hz,1H)、3.60(ddd,J=3.2Hz,8.0Hz,11.2Hz,1H)、4.00(d,J=9.6Hz,1H)、4.17(t,J=14.4Hz,2H)、4.64(d,J=15.6Hz,1H)、4.81(d,J=15.2Hz,1H)、5.09(quin,J=7.2Hz,1H)、6.53(d,J=8.0Hz,1H)、7.23−7.33(m,15H)。
IR(KBr);3480cm−1、3276cm−1、1685cm−1、1453cm−1、1237cm−1、1041cm−1、698cm−1
元素分析:分析値 C 71.80%, H 6.80%, N 9.30%(計算値:C 71.65%, H 6.68%, N 9.29%)。
水分量の測定:カールフィッシャー水分計を使用して結晶に含まれる水分量を測定した。水分量は、2.15質量%(理論値:1.95質量%)であった。
以上の結果から、ALC・0.5HO(n=0.5)の水和物であることが確認できた。
<実施例2>
乾燥後の固形物とトルエンとを混合し、25℃以上29℃以下の温度で2時間にわたって攪拌して第4混合物を得たこと以外は、実施例1と同様の方法でALC水和物の結晶を含む固形物を得た。HPLCで確認したところ、固形物におけるALC水和物とALC’水和物のHPLCの面積比は、80.1:19.9であった。
<実施例3>
乾燥後の固形物と、エタノール水溶液とを混合し、52℃以上54℃以下の温度で1時間にわたって攪拌して第4混合物を得たこと、及び、第4混合物から濾別した固形物をエタノール水溶液で洗浄したこと以外は、実施例1と同様の方法でALC水和物の結晶を含む固形物を得た。エタノール水溶液としては、70mLのエタノールと、30mLの水との混合溶媒を用いた。HPLCで確認したところ、固形物におけるALC水和物とALC’水和物のHPLCの面積比は、98.5:1.5であった。
<実施例4>
乾燥後の固形物と、エタノール水溶液とを混合し、27℃以上28℃以下の温度で2時間にわたって攪拌して第4混合物を得たこと、及び、第4混合物から濾別した固形物をエタノール水溶液で洗浄したこと以外は、実施例1と同様の方法でALC水和物の結晶を含む固形物を得た。エタノール水溶液としては、140mLのエタノールと、60mLの水との混合溶媒を用いた。HPLCで確認したところ、固形物におけるALC水和物とALC’水和物のHPLCの面積比は、95.8:4.2であった。

Claims (7)

  1. 下記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物:
    Figure 2021181407
    式(I)において、R及びRは、それぞれ、ベンジル基又は置換基を有するベンジル基であり、Rは、フェニル基又は置換基を有するフェニル基であり、nは0より大きく1以下である。
  2. 請求項1に記載の前記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の製造方法であって、
    下記式(II)で表されるトリオン化合物と、還元剤とを接触させて第1混合物を得ることと、
    前記第1混合物と濃度15質量%以上の塩酸とを30℃以下の温度で接触させて第2混合物を得ることと、
    前記第2混合物と水とを接触させて第3混合物を得ることと、
    前記第3混合物から前記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の結晶及び下記式(III)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の結晶を取り出すこととを含む、
    アミドアルコール化合物の水和物の製造方法:
    Figure 2021181407
    式(II)において、R、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義であり、
    Figure 2021181407
    式(III)において、R、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義であり、mは0よりも大きく1以下である。
  3. 前記第2混合物の温度を、30℃より高く75℃以下とした後、前記水と接触させる請求項2に記載のアミドアルコール化合物の水和物の製造方法。
  4. 前記第3混合物から固形物を取り出し、常圧下、前記固形物を75℃以下の温度で乾燥させて、前記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物及び前記式(III)で表されるアミドアルコール化合物の水和物を含む結晶を得ることを更に含む請求項2又は3に記載のアミドアルコール化合物の水和物の製造方法。
  5. 前記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物及び前記式(III)で表されるアミドアルコール化合物の水和物を含む結晶と、溶媒とを混合して第4混合物を得ることと、
    前記第4混合物の温度を40℃以上75℃以下とすることと
    を更に含む、請求項2乃至4の何れか1項に記載のアミドアルコール化合物の水和物の製造方法。
  6. 前記アミドアルコール化合物の水和物の結晶を、減圧下、70℃以上100℃以下の温度で乾燥させることにより、前記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物の結晶の水分量を低減させることを含む、請求項2乃至5の何れか1項に記載のアミドアルコール化合物の製造方法。
  7. 請求項1に記載の前記式(I)で表されるアミドアルコール化合物の水和物と酸とを接触させて、下記式(VI)で表されるラクトン化合物を得ることを含む、ラクトン化合物の製造方法:
    Figure 2021181407
    式(VI)において、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義である。
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