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JP2021167138A - 車両の制御装置 - Google Patents

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JP2021167138A
JP2021167138A JP2020070832A JP2020070832A JP2021167138A JP 2021167138 A JP2021167138 A JP 2021167138A JP 2020070832 A JP2020070832 A JP 2020070832A JP 2020070832 A JP2020070832 A JP 2020070832A JP 2021167138 A JP2021167138 A JP 2021167138A
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JP2020070832A
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隼人 吉川
Hayato Yoshikawa
峻士 大田
Shunji Ota
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】車両の旋回中に自動変速機の変速を行う場合において、目標加速度を実現する。【解決手段】車両の旋回中に自動変速機の変速を行う場合、制御装置は、目標変速速度PAに応じた自動変速機の変速に伴って車両に生じる前後加速度である変速加速度GEを算出する(ステップS50)。また、制御装置は、変速加速度GEと絶対値が同じで正負の符号が異なる前後加速度を車両に生じさせるのに必要な内燃機関の出力トルクである相殺トルクTZを算出する(ステップS60)。そして、制御装置は、自動変速機の変速を行っていない状況下において目標加速度GAを車両に生じさせるのに必要な内燃機関の出力トルクである制御トルクに相殺トルクTZを加算した値に基づいて内燃機関を制御する(ステップS80)。【選択図】図2

Description

この発明は、車両の制御装置に関する。
特許文献1に開示された車両には、当該車両の駆動源となる内燃機関が搭載されている。内燃機関には、自動変速機が連結されている。車両の制御装置は、車両の旋回中、当該車両の挙動を安定させるための旋回制御として、内燃機関の出力を抑制したり車両に制動力を与えたりする。
特開平10−110817号公報
旋回制御を行う特許文献1のような技術において、車両の旋回中の減速量を規定すべく、車両の旋回中に車両の前後方向の目標加速度を設定したり、この目標加速度を実現するのに必要な内燃機関の目標トルクを設定したりする場合がある。
ここで、車両の旋回中に自動変速機の変速を行う場合がある。仮に、自動変速機の変速が行われた場合、それに伴って車両に前後方向の加速度が生じる。そのため、車両の旋回時に内燃機関の出力トルクを目標トルクに合わせて制御するのみでは、自動変速機の変速を行った場合に、必ずしも車両の加速度が目標加速度にならないことがある。特許文献1の技術では、車両の旋回中の変速時に目標加速度を実現することについて何ら考慮しておらず、この点について検討する余地がある。
上記課題を解決するための車両の制御装置は、駆動源となる内燃機関と、前記内燃機関に連結された自動変速機とを有する車両に適用され、前記車両の旋回中、前記車両に作用する車両前後方向の加速度である前後加速度が、予め定められた目標加速度となるように前記内燃機関の出力トルクを制御する内燃機関制御部と、前記自動変速機の変速比を変更する際に単位時間当たりの変速比の変化量である変速速度が目標変速速度となるように、前記自動変速機を制御する変速機制御部とを有する制御装置であって、前記内燃機関制御部は、前記目標変速速度に応じた前記自動変速機の変速に伴って前記車両に生じる前後加速度と絶対値が同じで正負の符号が異なる前後加速度を前記車両に生じさせるのに必要な前記出力トルクである相殺トルクと、前記自動変速機の変速を行っていない状況下において前記目標加速度を前記車両に生じさせるのに必要な前記出力トルクである制御トルクとを加算して、前記出力トルクの目標値である目標トルクを算出し、前記変速機制御部は、前記目標変速速度に基づいて前記自動変速機を制御し、前記内燃機関制御部は、前記目標トルクに基づいて前記内燃機関を制御する。
上記構成では、目標トルクの算出に際して、自動変速機の変速に伴う前後加速度を相殺する相殺トルクを制御トルクに加算している。したがって、自動変速機の変速に伴う前後加速度を打ち消すことができるため、目標加速度を実現する目標トルクを算出できる。
車両の概略構成図。 加速度調整処理の処理手順を表したフローチャート。 ダウンシフト時の各パラメータの時間変化の例を表したタイムチャート。 アップシフト時の各パラメータの時間変化の例を表したタイムチャート。
以下、車両の制御装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
先ず、車両の概略構成について説明する。
図1に示すように、車両3には、当該車両3の駆動源となる内燃機関10が搭載されている。内燃機関10の機関本体10Aには、燃料を燃焼させる気筒11が複数区画されている。この実施形態では、気筒11は4つ区画されている。図示は省略するが、各気筒11にはピストンが往復動可能に収容されている。ピストンはコネクティングロッドを介してクランクシャフト18に連結されている。クランクシャフト18は、ピストンの往復動に応じて回転する。クランクシャフト18の近傍には、クランクシャフト18の回転角Nを検出するクランク角センサ72が配置されている。
各気筒11には、当該気筒11内に外部から吸気を導入する吸気通路13と、当該気筒11から排気を排出する排気通路15とが接続されている。吸気通路13の途中には、当該吸気通路13に導入される吸気量を調整するスロットルバルブ14が配置されている。吸気通路13における、スロットルバルブ14よりも下流側の一部は、機関本体10Aの内部に区画されている。そして、機関本体10Aには、吸気通路13に燃料を噴射する燃料噴射弁12が気筒11毎に取り付けられている。
クランクシャフト18には、トルクコンバータ45を介して自動変速機50の入力軸52が接続されている。自動変速機50の入力軸52と出力軸54との間には、自動変速機50に設定されている複数の変速段を切り替える変速部が介在している。各変速段には、別々の変速比が割り当てられている。変速部は、係合状態及び解放状態を切り替え可能な係合要素56である複数の多板式のクラッチC及び複数の多板式のブレーキBと、複数の遊星歯車機構とを有する。なお、図面ではブレーキBを1つのみ示している。各係合要素56は、油圧回路58の油圧に応じて係合状態または解放状態に切り替わる。係合状態とされる係合要素56が変更されることに応じて自動変速機50の変速段が変更され、変速比が変更される。自動変速機50の入力軸52の近傍には、当該入力軸52の回転角V1を検出する入力軸回転センサ74が配置されている。また、自動変速機50の出力軸54の近傍には、当該出力軸54の回転角V2を検出する出力軸回転センサ76が取り付けられている。
自動変速機50の出力軸54には、ディファレンシャル60等を介してドライブシャフト62が連結されている。ドライブシャフト62には、車輪65が連結されている。
車両3には、当該車両3の走行速度(以下、車速SPと称する。)を検出する車速センサ92が取り付けられている。車両3には、アクセルペダルの踏み込み量ACCを検出するアクセル開度センサ94が取り付けられている。車両3には、ブレーキペダルの踏み込み量BKを検出するブレーキセンサ96が取り付けられている。また、車両3には、ステアリングホイール88の操舵角HAを検出するハンドル角センサ98が取り付けられている。なお、車両3が完全直進走行しているときのステアリングホイール88の位置を基準位置としたとき、操舵角HAは、ステアリングホイール88が基準位置から時計回り方向に回転操作された場合に正、反時計回り方向に回転された場合に負として検出される。
次に、車両3の制御構成について説明する。
車両3には、当該車両3の各種部位を制御する制御装置100が搭載されている。制御装置100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。なお、制御装置100は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはそれらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
制御装置100には、車両3に取り付けられている各種センサからの検出信号が入力される。具体的には、制御装置100には、つぎの各検出信号が入力される。
・車速センサ92が検出する車速SP
・アクセル開度センサ94が検出するアクセルペダルの踏み込み量ACC
・ブレーキセンサ96が検出するブレーキペダルの踏み込み量BK
・ハンドル角センサ98が検出するステアリングホイール88の操舵角HA
・クランク角センサ72が検出するクランクシャフト18の回転角N
・入力軸回転センサ74が検出する自動変速機50の入力軸52の回転角V1
・出力軸回転センサ76が検出する自動変速機50の出力軸54の回転角V2
制御装置100は、クランクシャフト18の回転角Nに基づいて、単位時間当たりのクランクシャフト18の回転数を算出する。また、制御装置100は、自動変速機50の入力軸52の回転角V1に基づいて、単位時間当たりの入力軸52の回転数を算出する。また、制御装置100は、自動変速機50の出力軸54の回転角V2に基づいて、単位時間当たりの出力軸54の回転数を算出する。
制御装置100は、車両3を制御するためのパラメータである旋回用パラメータQを算出する旋回制御部108を有する。旋回用パラメータQは、車両3の旋回中の挙動を安定させるためのパラメータである。旋回制御部108は、車両3の旋回中、旋回用パラメータQの1つとして、車両3に作用する車両前後方向の加速度である前後加速度の目標値(以下、目標加速度と記す。)GAを算出する。旋回制御部108は、車両3の旋回中の減速量を規定すべく目標加速度GAを負の値として算出する。また、旋回制御部108は、車両3の旋回中、旋回用パラメータQの1つとして、自動変速機50の変速を行っていない状況下において上記目標加速度GAを車両3に生じさせるのに必要な内燃機関10の出力トルクである制御トルクTEを算出する。旋回制御部108は、目標加速度GAが負の値であることに対応して制御トルクTEを負の値として算出する。旋回制御部108は、ブレーキペダルの踏み込みによる制動力が車両3に与えられていない場合、算出した旋回用パラメータQを制御装置100における他の機能部に出力する。
制御装置100は、内燃機関10を制御する内燃機関制御部102を有する。内燃機関10の出力トルクの目標値を目標トルクとしたとき、内燃機関制御部102は、車速SPやアクセルペダルの踏み込み量ACCに基づいて、車両3に要求される駆動力を実現するための目標トルクである駆動目標トルクTKを算出する。内燃機関制御部102は、通常の車両3の走行時、すなわち車両3が非旋回状態であるときには、この駆動目標トルクTKを最終的な目標トルクである最終目標トルクTFとして算出する。そして、内燃機関制御部102は、内燃機関10の出力トルクが最終目標トルクTFになるように燃料噴射弁12やスロットルバルブ14といった内燃機関10の各種部位を制御する。
内燃機関制御部102は、車両3の旋回中には、車両3に作用する前後加速度が、旋回制御部108によって予め算出された目標加速度GAとなるように内燃機関10の出力トルクを制御する。そこで、内燃機関制御部102は、車両3の旋回中には、駆動目標トルクTKのみならず、車両3の旋回時の調整用の目標トルクである調整目標トルクTWを算出する。
内燃機関制御部102は、旋回制御部108から制御トルクTEから出力されている場合、当該制御トルクTEを取得する。そして、内燃機関制御部102は、基本的には、この制御トルクTEを調整目標トルクTWとして算出する。内燃機関制御部102は、旋回制御部108から制御トルクTEが出力されている場合においてさらに自動変速機50の変速が行われるときには、単に制御トルクTEを調整目標トルクTWとして扱うのではなく、自動変速機50の変速に応じて車両3に加わる駆動力を加味して調整目標トルクTWを算出する。具体的には、内燃機関制御部102は、自動変速機50の変速に伴って車両3に生じる前後加速度と絶対値が同じで正負の符号が異なる前後加速度を車両3に生じさせるのに必要な出力トルクである相殺トルクTZを算出する。そして、内燃機関制御部102は、次の式(1)に示すように、相殺トルクTZと制御トルクTEとを加算した値を調整目標トルクTWとして算出する。
TW=TZ+TE ・・・(1)
また、内燃機関制御部102は、次の式(2)に示すように、上記の調整目標トルクTWを駆動目標トルクTKに加算して最終目標トルクTFを算出する。
TF=TK+TW ・・・(2)
内燃機関制御部102は、この最終目標トルクTFに基づいて内燃機関10を制御する。なお、内燃機関制御部102は、相殺トルクTZを算出していないとき、すなわち自動変速機50の変速が行われないときには、相殺トルクTZをゼロとして扱う。
制御装置100は、自動変速機50を制御する変速機制御部104を有する。変速機制御部104は、車速SP及びアクセルペダルの踏み込み量ACCに基づいて目標変速段Kを算出し、自動変速機50の変速段が目標変速段Kになるように自動変速機50を制御する。変速機制御部104は、自動変速機50の変速を行う場合、係合要素56をニュートラル状態や半係合状態にし、入力軸52の回転数を変更後の変速段に応じた回転数にまで変化させた上で、変更後の変速段に応じた係合要素56を係合状態とすることで変速を完了させる。変速機制御部104は、変速比が大きい変速段側へと変速するダウンシフト時には、入力軸52の回転数を変更後の変速段に応じた回転数にまで上昇させる。一方、変速機制御部104は、変速比が小さい変速段側へ変速するアップシフト時には、入力軸52の回転数を変更後の変速段に応じた回転数にまで低下させる。
変速機制御部104は、変速段のダウンシフトやアップシフトに際して、単位時間当たりの変速比の変化量である変速速度の目標値である目標変速速度PAを算出し、実際の変速速度が目標変速速度PAとなるように自動変速機50を制御する。なお、変速速度は、詳細には、単位時間当たりの入力軸52の回転数を単位時間当たりの出力軸54の回転数で除した値の変化量である。自動変速機50の変速の前後において出力軸54の回転数は略一定であることから、変速速度は入力軸52の回転数の時間変化を反映したパラメータとなっている。そして、入力軸52の回転数が上昇するダウンシフト時には変速速度は正の値をとる。また、入力軸52の回転数が低下するアップシフト時には変速速度は負の値をとる。
変速機制御部104は、通常の車両3の走行状態、すなわち車両3の非旋回状態において自動変速機50の変速を行う上で好適な変速速度である通常変速速度PYを予め記憶している。ここで、ダウンシフト時とアップシフト時とで通常変速速度PYの絶対値は同じである。この実施形態では、変速機制御部104は、通常変速速度PYの絶対値を記憶している。変速機制御部104は、基本的には、通常変速速度PYを目標変速速度PAとして算出する。変速機制御部104は、車両3の旋回中における所定の条件下で自動変速機50の変速を行う場合には、ダウンシフトであれアップシフトであれ、目標変速速度PAの絶対値を通常変速速度PYの絶対値よりも小さい値として算出する。
次に、旋回制御部108が実行するステアリングホイール88の操作状態の判定について説明する。旋回制御部108は、車両3のイグニッションスイッチがオンにされてからオフにされるまでの間に亘って、ステアリングホイール88の操作状態を繰り返し判定する。具体的には、旋回制御部108は、ステアリングホイール88の操舵角HAを繰り返し取得する。そして、旋回制御部108は、最新の操舵角HAから前回の操舵角HAを減算して差分値を算出し、この差分値を操舵角HAの取得間隔で除してステアリング速度HASを算出する。上記した操舵角HAの正負の定義上、ステアリングホイール88が時計回り方向に回転操作されている場合のステアリング速度HASは正の値となり、ステアリングホイール88が反時計回り方向に回転操作されている場合のステアリング速度HASは負の値となる。
旋回制御部108は、操舵角HAが正、且つ、ステアリング速度HASが正の場合、ステアリングホイール88は切込み操作状態にあると判定し、切込みフラグHFをオンにする。旋回制御部108は、操舵角HAが負、且つ、ステアリング速度HASが負の場合も、ステアリングホイール88は切込み操作状態にあると判定し、切込みフラグHFをオンにする。旋回制御部108は、上記のいずれかの状態からステアリング速度HASがゼロに切り替わると、切込み操作は完了したと判定し、切込みフラグHFをオフにする。なお、イグニッションスイッチがオンになった時点では、切込みフラグHFはオフになっている。
次に、旋回制御部108が実行する旋回用パラメータ算出処理について説明する。旋回制御部108は、上記切込みフラグHFを参照することによって車両3の旋回状態を把握する。そして、旋回制御部108は、切込みフラグHFがオンに切り替わると、旋回用パラメータQである目標加速度GA及び制御トルクTEを算出する旋回用パラメータ算出処理を開始する。
旋回制御部108は、旋回用パラメータ算出処理を開始すると、先ず目標加速度GAの基本値となる設定加速度GAxを算出する。旋回制御部108は、自身に記憶されている旋回加速度マップM1に基づいて設定加速度GAxを算出する。旋回加速度マップM1においては、車両3が旋回状態に移行する直前の車速SPである直前車速と、直前車速に対して車両3の旋回中の挙動を安定させるのに好適な前後加速度との関係性が表されている。旋回加速度マップM1に規定されている前後加速度は全て負である。また、旋回加速度マップM1に規定されている前後加速度は、直前車速に対して車速SPの急激な変化が生じない値になっている。旋回加速度マップM1は、実験やシミュレーションに基づいて作成されている。旋回制御部108は、旋回加速度マップM1を参照し、切込みフラグHFがオンに切り替わる直前の車速SPに対応する前後加速度を設定加速度GAxとして算出する。
旋回制御部108は、設定加速度GAxを算出し終えると、目標加速度GAの算出を開始する。旋回制御部108は、所定の制御周期で目標加速度GAを繰り返し算出するとともに、ブレーキペダルの踏み込み量BKがゼロである場合には、算出した目標加速度GAをその時点で出力する。旋回制御部108は、基本的には、設定加速度GAxを目標加速度GAとして算出する。詳細には、旋回制御部108は、目標加速度GAの算出を開始した直後では、目標加速度GAをゼロから設定加速度GAxに速やかに低下させていく。旋回制御部108は、目標加速度GAを設定加速度GAxまで低下させたタイミング以降では、切込みフラグHFがオフに切り替わるまで設定加速度GAxを目標加速度GAとして算出し続ける。そして、旋回制御部108は、切込みフラグHFがオフに切り替わったタイミング以降では、目標加速度GAを設定加速度GAxからゼロへと速やかに上昇させていく。旋回制御部108は、目標加速度GAをゼロまで上昇させると、目標加速度GAの算出を終了する。
また、旋回制御部108は、目標加速度GAを算出する度に制御トルクTEを算出するとともに、ブレーキペダルの踏み込み量BKがゼロである場合には、算出した制御トルクTEをその時点で出力する。旋回制御部108は、自身に記憶されているトルクマップM2に基づいて制御トルクTEを算出する。トルクマップM2においては、前後加速度と、自動変速機50の変速を行っていない状況下においてある前後加速度を車両3に生じさせるのに必要な内燃機関10の出力トルクとの関係性が表されている。トルクマップM2においては、前後加速度が大きいほど出力トルクが大きくなっている。トルクマップM2は、実験やシミュレーションに基づいて作成されている。旋回制御部108は、トルクマップM2を参照し、目標加速度GAに応じた内燃機関10の出力トルクを制御トルクTEとして算出する。目標加速度GAが負であることから、制御トルクTEは上記のとおり負の値となる。
次に、車両3の旋回中に内燃機関制御部102及び変速機制御部104が実行する加速度調整処理について説明する。先ず、本処理の開始タイミング及び終了条件を説明する。前提として、内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、車両の旋回中に、旋回制御部108が出力する旋回用パラメータQを取得する。内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、旋回用パラメータQを取得すると、本処理を開始する。内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、加速度調整処理を開始した後、後述のステップS80の処理に至るよりも前に旋回用パラメータQを取得できなくなった、すなわち車両の旋回が終了した場合、その時点で本処理を終了する。内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、ステップS80に至ると、旋回用パラメータQを取得できなくなっても、すなわち車両の旋回が終了しても本処理を終了しない。内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、ステップS80まで処理が至った場合、自動変速機50の変速が完了すると、本処理を終了する。
次に、加速度調整処理の具体的な処理手順を説明する。図2に示すように、加速度調整処理では、先ず変速機制御部104がステップS10の処理を実行する。ステップS10において、変速機制御部104は、目標変速段Kが切り替わったか否かを判定する。具体的には、変速機制御部104は、バックグラウンドで算出している目標変速段Kを参照し、最新の目標変速段K1と、前回ステップS10を実行したときの目標変速段K2とを比較する。変速機制御部104は、最新の目標変速段K1が前回の目標変速段K2とは異なっていれば目標変速段Kが切り替わったと判定し、最新の目標変速段K1と前回の目標変速段K2とが同じであれば目標変速段Kは切り替わっていないと判定する。変速機制御部104は、目標変速段Kが切り替わってない場合(ステップS10:NO)、再度ステップS10の処理を実行する。変速機制御部104は、目標変速段Kが切り替わるまでステップS10の処理を繰り返す。そして、変速機制御部104は、目標変速段Kが切り替わった場合(ステップS10:YES)、処理をステップS20に進める。なお、加速度調整処理を開始した後の初回のステップS10の処理では、常に変速機制御部104は目標変速段Kが切り替わってない(ステップS10:NO)と判定する。
ステップS20において、変速機制御部104は、自動変速機50を通常変速速度PYで変速した場合に車両3に生じる前後加速度である通常加速度GYの絶対値を目標加速度GAの絶対値で除した値が規定割合以上であるか否かを判定する。なお、このステップS20を含め、加速度調整処理の各処理では、ダウンシフト及びアップシフトの双方に対応できるように、パラメータの絶対値を判定や算出の対象として扱っている。
変速機制御部104は、通常加速度GYの絶対値を予め記憶している。上記のとおり、ダウンシフト時とアップシフト時とで通常変速速度PYの絶対値は同じであることから、ダウンシフト時とアップシフト時とで通常加速度GYの絶対値も同じである。通常加速度GYの絶対値は、実験やシミュレーションに基づいて定められている。
また、変速機制御部104は、規定割合を予め記憶している。ここで、通常加速度GYの絶対値が目標加速度GAの絶対値よりも相当に小さい場合、通常加速度GYが車両3に生じたとしても、通常加速度GYは車両3の前後加速度にほとんど影響しない。規定割合は、通常加速度GYが車両3の前後加速度に影響するか否かを切り分ける閾値となっている。そして、規定割合は、通常加速度GYが目標加速度GAに対して無視できない大きさとなる最小値として、実験やシミュレーションで定められている。
変速機制御部104は、ステップS20の処理を実行するに際し、最新の目標加速度GAを取得する。そして、変速機制御部104は、通常加速度GYの絶対値を目標加速度GAの絶対値で除して加速度割合を算出する。変速機制御部104は、加速度割合が規定値割合未満の場合(ステップS20:NO)、加速度調整処理の一連の処理を終了する。一方、変速機制御部104は、加速度割合が規定割合以上の場合(ステップS20:YES)、処理をステップS30に進める。
ステップS30において、変速機制御部104は、次のステップS40において目標変速速度を算出する際の目標変速速度PAの絶対値の上限となる限界変速速度PNを算出する。ここで、変速機制御部104は、自動変速機50の変速速度と、自動変速機50の変速に応じて車両3に生じる前後加速度との関係性を表した変速加速度マップM3を予め記憶している。変速加速度マップM3においては、変速速度が正の値である場合、前後加速度は負の値になっている。そして、変速速度が正の値である場合、変速速度が大きいほど前後加速度の絶対値は大きくなっている。また、変速加速度マップM3においては、変速速度が負の値である場合、前後加速度は正の値になっている。そして、変速速度が負の値である場合、変速速度の絶対値が大きいほど前後加速度は大きくなっている。変速加速度マップM3は、実験やシミュレーションに基づいて作成されている。
変速機制御部104は、この変速加速度マップM3を参照し、ステップS20で取得した目標加速度GAに対応する変速速度を限界変速速度PNとして算出する。すなわち、変速機制御部104は、自動変速機50の変速に伴って車両3に目標加速度GAが生じるときの変速速度を限界変速速度PNとして算出する。目標加速度が負の値であることから、限界変速速度は正の値として算出される。変速機制御部104は、ステップS30の処理を実行すると、処理をステップS40に進める。
ステップS40において、変速機制御部104は、自動変速機50の目標変速速度PAを算出する。変速機制御部104は、次の3つの条件(イ)(ロ)(ハ)を満たす目標変速速度PAを算出する。
(イ)変速許容期間J内に変速が完了する。
(ロ)目標変速速度PAの絶対値が限界変速速度PNよりも小さい。
(ハ)目標変速速度PAの絶対値が通常変速速度PYの絶対値よりも小さい。
変速機制御部104は、変速許容期間Jを予め記憶している。ここで、自動変速機50の変速中において入力軸52の回転数が変化しているときには、クラッチC間に滑りが生じていることから、クラッチCの摩擦材に負担がかかる。そのため、変速に要する時間が過度に長いと、クラッチCの摩擦材の摩耗を引き起こす。上記変速許容期間Jは、クラッチC間に滑りが生じている状況が継続したときにクラッチCに摩耗が生じない最長時間として、実験やシミュレーションによって定められている。
変速機制御部104は、この実施形態では、変速許容期間Jを目一杯に使って変速が完了するように目標変速速度PAを算出する。つまり、変速機制御部104は、変更後の変速段に対応する変速比から、変更前の変速段に対応する変速比を減じた値を変速許容期間Jの長さで除した値を目標変速速度PAとして算出する。この場合、目標変速速度PAの絶対値は、条件(イ)を満たす変速速度のなかで最小のものになる。このように算出した変速速度は、必然的に条件(ロ)及び(ハ)も満たすように、条件(イ)〜(ハ)を規定する各パラメータの大小関係が成り立っている。なお、変速機制御部104は、今回の変速がダウンシフトであれば、目標変速速度PAを正の値として算出し、今回の変速がアップシフトであれば、目標変速速度PAを負の値として算出する。変速機制御部104は、ステップS40の処理を実行すると、処理をステップS50に進める。
ステップS50において、内燃機関制御部102は、ステップS40で算出した目標変速速度PAに応じて自動変速機50が変速された場合に車両3に生じる前後加速度である変速加速度GEを算出する。ここで、内燃機関制御部102は、変速機制御部104に記憶されている上記変速加速度マップM3を参照し、目標変速速度PAに対応する前後加速度を変速加速度GEとして算出する。なお、今回の変速がダウンシフトの場合には変速加速度GEは負となり、今回の変速がアップシフトの場合には変速加速度GEは正となる。内燃機関制御部102は、ステップS50の処理を実行すると、処理をステップS60に進める。
ステップS60において、内燃機関制御部102は、変速加速度GEを相殺するための内燃機関10の出力トルクである上記相殺トルクTZを算出する。内燃機関制御部102は、旋回制御部108に記憶されているトルクマップM2を参照し、変速加速度GEと絶対値が同じで正負の符号の異なる前後加速度に対応する内燃機関10の出力トルクを相殺トルクTZとして算出する。なお、今回の変速がダウンシフトの場合には変速加速度GEは負であることから、この変速加速度GEを相殺するための相殺トルクTZは正となる。今回の変速がアップシフトの場合には変速加速度GEは正であることから、この変速加速度GEを相殺するための相殺トルクTZは負となる。内燃機関制御部102は、ステップS60の処理を実行すると、処理をステップS70に進める。
ステップS70において、内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、自動変速機50の変速開始タイミングまで待機する。この待機の間、自動変速機50においては、変速を開始するための係合要素56の係合や解放が行われる。内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、自動変速機50の変速開始タイミングになると、処理をステップS80に進める。
ステップS80において、内燃機関制御部102は、ステップS80の開始時点から変速許容期間Jが終了するまでの間に亘って、相殺トルクTZを利用して内燃機関10を制御する変速相殺機関制御を実行する。具体的には、内燃機関制御部102は、所定の制御周期で次の処理を繰り返す。すなわち、内燃機関制御部102は、最新の制御トルクTEを取得するとともに、この制御トルクTEと、相殺トルクTZに機関補正係数を乗じた値とを加算して調整目標トルクTWを算出する。そして、内燃機関制御部102は、バックグラウンドで算出している駆動目標トルクTKに関して最新の値を読み出して、当該駆動目標トルクTKに調整目標トルクTWを加算して最終目標トルクTFを算出する。そして、内燃機関制御部102は、この最新の最終目標トルクTFに基づいて内燃機関10を制御する。
なお、内燃機関制御部102は、変速許容期間Jのうちの初めと終わりの期間のみ、上記機関補正係数を1よりも小さい値とし、他の期間では機関補正係数を1とする。内燃機関制御部102は、変速許容期間Jの初めでは、機関用補正係数を0から1に速やかに上昇させる。また、内燃機関制御部102は、変速許容期間Jの終わりでは、機関補正係数を1から0へと速やかに低下させる。このようにして機関補正係数による補正を行うことで、変速相殺機関制御の開始時と終了時とにおいて内燃機関10の出力が急激に変化することを避けている。
内燃機関制御部102は、ステップS80の開始時点から変速許容期間Jが終了するまでは、内燃機関10の出力に係る他の制御よりも変速相殺機関制御を優先する。変速許容期間Jの途中で車両3の旋回が終了した場合でも、変速許容期間Jが終了するまでは内燃機関制御部102は変速相殺機関制御を中止することなく実行する。なお、車両3の旋回が終了すると、旋回制御部108から制御トルクが出力されなくなる。この場合、内燃機関制御部102は、制御トルクをゼロとして扱う。
さて、ステップS80において、変速機制御部104は、内燃機関制御部102が変速相殺機関制御を実行するのと並行して、ステップS40で算出した目標変速速度PAを利用して自動変速機50を制御する旋回中変速制御を実行する。具体的には、変速機制御部104は、ステップS80の開始時点から変速許容期間Jが終了するまでの間に亘って、目標変速速度PAに変速機補正係数を乗じた値に基づいて、自動変速機50の変速を行う。変速機制御部104は、変速許容期間Jのうちの初めと終わりの期間のみ、変速機用係数を1よりも小さい値とし、他の期間では変速機係数を1とする。変速機用補正係数による補正を行うことで、自動変速機50の変速の開始時及び終了時における入力軸52の動作の切り替えを円滑にしている。
変速機制御部104は、変速許容期間Jが終了するまでは、自動変速機50の変速に係る他の制御よりも旋回中変速制御を優先する。すなわち、変速相殺機関制御と同様、変速許容期間Jの途中で車両3の旋回が終了した場合でも、変速許容期間Jが終了するまでは、変速機制御部104は旋回中変速制御を中止することなく実行する。
内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、変速許容期間Jが終了すると、変速相殺機関制御及び旋回中変速制御を終了する。そして、内燃機関制御部102及び変速機制御部104は、加速度調整処理の一連の処理を終了する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
(A)ダウンシフトの場合の例
先ず、ダウンシフトの場合の例を説明する。図3の(a)に示すように、時刻A1において、ステアリングホイール88の切込み操作が開始され、その後暫くの間ステアリングホイール88の切込み操作が継続して行われるものとする。この場合、時刻A1から旋回制御部108が制御トルクTEの出力を開始する。内燃機関制御部102は、この制御トルクTEを取得する。そして、時刻A1以降、内燃機関制御部102は、図3の(e)に細実線で示す制御トルクTEを、図3の(e)の太実線で示す調整目標トルクTWとして算出する。図3の(e)に示すように、制御トルクTEは負の値になっている。内燃機関制御部102は、調整目標トルクTWに駆動目標トルクTKを加算して最終目標トルクTFを算出し、最終目標トルクTFに基づいて内燃機関10を制御する。なお、図3では、駆動目標トルクTK及び最終目標トルクTFの図示を省略している。
図3の(c)に示すように、時刻A1の後の時刻A2において目標変速段Kがダウンシフト側に切り替わったものとする(ステップS10:YES)。この場合、時刻A2において、変速機制御部104は、実際の変速に先立って変速時の目標変速速度PAを算出する(ステップS40)。変速機制御部104は、図3の(d)の実線で示すように、ダウンシフト用に目標変速速度PAを正の値として算出する。目標変速速度PAは、図3の(d)の二点鎖線で示す通常変速速度PYよりも小さくなっている。変速機制御部104は、目標変速速度PAを算出すると、変速開始タイミングとなる時刻A3までは変速の実行を待機する。
上記のとおり、変速機制御部104は、目標変速速度PAを正の値として算出する。このことから、この目標変速速度PAに応じて自動変速機50の変速が行われた場合に車両3に生じる前後加速度である上記変速加速度GEは、図3の(b)の一点鎖線で示すように、負の値になる。この変速加速度GEの絶対値は、仮に通常変速速度PYで自動変速機50の変速を行った場合に車両に生じる前後加速度である、図3の(b)の二点鎖線で示す通常加速度GYの絶対値よりも小さくなっている。
さて、内燃機関制御部102は、時刻A2において変速機制御部104が目標変速速度PAを算出すると、目標変速速度PAに応じて車両3に生じる上記変速加速度GEを相殺するための相殺トルクTZを算出する(ステップS60)。変速加速度GEが負の値であることから、図3の(e)の二点鎖線で示すように、相殺トルクTZは正の値となっている。内燃機関制御部102は、相殺トルクTZを算出すると、変速開始タイミングとなる時刻A3までは相殺トルクTZを内燃機関10の制御に使用することなく保持する。
この後、変速開始タイミングとなる時刻A3に至ると、変速機制御部104は、自動変速機50の変速を開始する(ステップS80)。変速機制御部104は、時刻A3から変速許容期間Jが過ぎる時刻A4まで、目標変速速度PAに基づいて自動変速機50の変速を行う。時刻A4になると、自動変速機50の変速が完了する。
また、時刻A3以降では、内燃機関制御部102は、図3の(e)の細実線で示す制御トルクTEに、図3の(e)の一点鎖線で示す相殺トルクTZを加算して、図3の(e)の太実線で示す調整目標トルクTWを算出する。制御トルクTEが負であり、相殺トルクTZが正であることから、調整目標トルクTWは、制御トルクTEよりも大きくなる。内燃機関制御部102は、こうした調整目標トルクTWを駆動目標トルクTKに加算して最終目標トルクTFを算出し、この最終目標トルクTFに基づいて内燃機関10を制御する(ステップS80)。内燃機関制御部102は、時刻A3から変速許容期間Jが過ぎる時刻A4まで、相殺トルクTZを反映した上記の最終目標トルクTFに基づいて内燃機関10を制御する。時刻A4に至ると、内燃機関制御部102は、相殺トルクTZを反映した最終目標トルクTFに基づく内燃機関10の制御を終了する。なお、図3に示す例では、時刻A4において、旋回制御部108による制御トルクTEの出力も終了する。
上記一連の過程において、自動変速機50の変速が行われる時刻A3から時刻A4までの間、車両3には負の変速加速度GEが生じる。そのため、制御トルクTEをそのまま調整目標トルクTWとして扱って内燃機関10を制御すると、車両3が目標加速度GAよりもさらに減速されてしまう。そこで、内燃機関制御部102は、調整目標トルクTWの算出に際して、変速加速度GEを相殺する正の相殺トルクTZを制御トルクTEに加算している。この結果として、自動変速機50の変速に応じて目標加速度GAよりも車両3が減速されてしまう分が補償される。そして、車両3には、図3の(b)の実線で示す目標加速度GAが生じる。
(B)アップシフトの場合の例
次に、アップシフトの場合の例を説明する。なお、ダウンシフトの場合と重複する部分については説明を簡略化する。
図4の(a)に示すように、時刻B1からステアリングホイール88の切込み操作が開始され、それと共に制御トルクTEの出力が開始されたものとする。この場合、内燃機関制御部102は、時刻B1以降、図4の(e)に細実線で示す制御トルクTEを、図4の(e)の太実線で示す調整目標トルクTWとして算出して内燃機関10を制御する。
図4の(c)に示すように、時刻B1の後の時刻B2において目標変速段Kがアップシフト側に切り替わったものとする(ステップS10:YES)。この場合、時刻B2において、変速機制御部104は目標変速速度PAを算出する(ステップS40)。変速機制御部104は、図4の(d)の実線で示すように、アップシフト用に目標変速速度PAを負の値として算出する。目標変速速度PAの絶対値は、図4の(d)の二点鎖線で示す通常変速速度PYの絶対値よりも小さくなっている。なお、目標変速速度PAが負の値であることから、この目標変速速度PAに応じて自動変速機50の変速が行われた場合に車両3に生じる変速加速度GEは、図4の(b)の一点鎖線で示すように、正の値になる。そして、この変速加速度GEは、通常変速速度PYで自動変速機50の変速が行われた場合に車両に生じる、図4の(b)の二点鎖線で示す通常加速度GYよりも小さくなっている。
さて、内燃機関制御部102は、時刻B2において変速機制御部104が目標変速速度PAを算出すると、上記変速加速度GEを相殺するための相殺トルクTZを算出する(ステップS60)。変速加速度GEが正の値であることから、図4の(e)の二点鎖線で示すように、相殺トルクTZは負の値となる。
この後、変速開始タイミングとなる時刻B3に至ると、変速機制御部104は、当該時刻B3から変速許容期間Jが過ぎる時刻B4まで、目標変速速度PAに基づいて自動変速機50の変速を行う。また、時刻B3以降では、内燃機関制御部102は、図4の(e)の細実線で示す制御トルクTEに、図4の(e)の一点鎖線で示す相殺トルクTZを加算して、図4の(e)の太実線で示す調整目標トルクTWを算出する。制御トルクTEと相殺トルクTZとの双方が負であることから、調整目標トルクTWは、制御トルクTEよりも小さくなる。内燃機関制御部102は、こうした調整目標トルクTWを反映した最終目標トルクTFに基づいて、時刻B4に至るまで内燃機関10を制御する(ステップS80)。
上記一連の過程において、自動変速機50の変速が行われる時刻B3から時刻B4までの間、車両3には正の変速加速度GEが生じる。そのため、制御トルクTEをそのまま調整目標トルクTWとして扱って内燃機関10を制御すると、車両3の減速量が、目標加速度GAで規定される量よりも少なくなってしまう。そこで、内燃機関制御部102は、調整目標トルクTWの算出に際して、変速加速度GEを相殺する負の相殺トルクTZを制御トルクTEに加算している。この結果として、車両3の減速量が増し、変速に応じて減速量が少なくなる分が補償される。そして、車両3には、図4の(b)の実線で示す目標加速度GAが生じる。
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)上記作用に記載したとおり、制御トルクTEに相殺トルクTZを加算した調整目標トルクTWに基づいて内燃機関10を制御することにより、変速加速度GEを打ち消して、目標加速度GAに応じた大きさの前後加速度を車両3に生じさせることができる。
(2)仮に、相殺トルクTZとして、通常変速速度PYで自動変速機50を変速させた場合に車両3に生じる前後加速度である上記通常加速度GYを相殺するためのトルクを算出するものとする。この場合、通常変速速度PYの絶対値が相当に大きいことに伴って通常加速度GYの絶対値が大きいことから、相殺トルクTZの絶対値が大きくなる。相殺トルクTZの絶対値が大きいと、自動変速機50の変速開始時、すなわち相殺トルクTZが調整目標トルクTWに反映され始めるタイミングで調整目標トルクTWが急激に変化し、内燃機関10の出力の急激な変化を招く。
上記構成では、目標変速速度PAの絶対値が通常変速速度PYよりも小さいことから、自動変速機50の変速に伴う変速加速度GE、さらには相殺トルクTZを相応に小さくできる。したがって、調整目標トルクTWの急激な変化を抑えることができる。
(3)加速度調整処理では、ステップS20の処理において、通常加速度GYの絶対値が目標加速度GAの絶対値に対して相当に小さい場合(ステップS20:NO)、それ以降の処理をキャンセルしている。ここで、ステップS20がNOになる状況では、目標加速度GAが通常加速度GYに対して相当に大きいことから、仮に車両3に通常加速度GYが生じたとしても当該通常加速度GYは車両3の前後加速度にほとんど影響しない。換言すると、通常変速速度PYをそのまま目標変速速度PAとして利用しても、車両3には目標加速度GAに略近い前後加速度が生じることになる。このような状況では、相殺トルクTZを利用して内燃機関10を制御する必要はないし、相殺トルクTZを小さくするために目標変速速度PAを通常変速速度PYよりも小さくする必要もない。
そこで、上記構成では、ステップS20の判定を行うことにより、上記のような状況では相殺トルクTZを利用した内燃機関10の制御や、目標変速速度PAを小さくする処理をキャンセルする。このことにより、不要な処理を省略でき、制御装置100の処理の負担を抑えることができる。
(4)加速度調整処理では、ステップS30の処理において、目標変速速度PAの絶対値の上限となる限界変速速度PNを設定している。上記のとおり、目標変速速度PAの絶対値が相当に大きいと、相殺トルクTZの絶対値が大きくなって内燃機関10の出力の急激な変化を招く。上記構成では、限界変速速度PNを設定することにより、内燃機関10の出力の急激な変化を防止できる。
また、上記構成では、限界変速速度PNを算出する基準として目標加速度GAを設定している。目標加速度GAを基準とすることで、自動変速機50の変速に応じて車両3に生じる変速加速度GEの絶対値が目標加速度GAの絶対値に至らないようにしている。仮に、変速加速度GEの絶対値が目標加速度GAの絶対値よりも大きい場合、変速加速度GEに基づいて定められる相殺トルクTZの絶対値は、目標加速度GAに基づいて定められる制御トルクTEの絶対値よりも大きくなる。ここで、ダウンシフトの場合、相殺トルクTZは正の値であることから、相殺トルクTZの絶対値が制御トルクTEの絶対値よりも大きいと、相殺トルクTZと制御トルクTEとを加算した調整目標トルクTWが正の値になる。調整目標トルクTWが正の値になると、例えば駆動目標トルクTKの減量補正が必要になるなど他の制御に影響がでる。そのため、調整目標トルクTWが正の値になることは、内燃機関10の制御において許容されない。上記構成では、目標加速度GAを基準として限界変速速度PNの算出することで、調整目標トルクTWを許容範囲に収めることができる。
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ステップS20の処理を省略してもよい。この場合、通常変速速度PYをそのまま目標変速速度PAとして利用しても目標加速度GAを実現できる状況においてステップS30以降の処理を行うことになるが、目標加速度GAを実現する上で何ら問題はない。
・ステップS30の処理に関して、限界変速速度PNの算出方法は上記実施形態の例に限定されない。つまり、目標加速度GAを基準として限界変速速度PNを算出しなくてもよい。例えば、目標加速度GAの絶対値よりも小さい値を基準として限界変速速度PNを算出してもよい。限界変速速度PNは、内燃機関10の出力の急激な変化を防止でき、且つ、調整目標トルクTWを許容範囲に収めることができる値であればよい。
・ステップS30の処理に関して、ダウンシフト時とアップシフト時とで限界変速速度PNの絶対値を異なる値として算出してもよい。
・ステップS40の処理に関して、目標変速速度PAの算出方法は上記実施形態の例に限定されない。目標変速速度PAとして、例えば、変速許容期間Jの終了時よりも前に変速が終了するような速さの変速速度を設定してもよい。変速許容期間Jの途中で目標変速速度PAを変えてもよい。
・ステップS40の処理に関して、条件(ハ)を廃止してもよい。つまり、目標変速速度PAの絶対値が通常変速速度PYの絶対値以上であってもよい。例えば通常変速速度PYの絶対値が相応に小さいのであれば、目標変速速度PAの絶対値を通常変速速度PYの絶対値よりも大きくしても相殺トルクTZはそれほど大きくならない。したがって、内燃機関10の出力の急激な変化を防止できる。
・ステップS40の処理に関して、通常変速速度PYをそのまま目標変速速度PAとして扱ってもよい。
・ステップS40の処理に関して、ダウンシフト時とアップシフト時とで目標変速速度PAの算出方法を変えてもよい。そして、ダウンシフト時とアップシフト時とで目標変速速度PAの絶対値を異なる値として算出してもよい。この場合、ダウンシフト時とアップシフト時で相殺トルクTZの絶対値も異なる値として算出される。
・旋回加速度マップM1、トルクマップM2、及び変速加速度マップM3の内容は、表やグラフに限定されず、関係式であってもよい。
・自動変速機50として、無段変速機を採用してもよい。そして、無段変速機の変速に応じて車両3に生じる変速加速度GEを相殺するための相殺トルクTZを算出し、この相殺トルクTZを利用して内燃機関10を制御してもよい。
・気筒11の数を変更してもよい。
3…車両
10…内燃機関
50…自動変速機
100…制御装置
102…内燃機関制御部
104…変速機制御部

Claims (1)

  1. 駆動源となる内燃機関と、前記内燃機関に連結された自動変速機とを有する車両に適用され、
    前記車両の旋回中、前記車両に作用する車両前後方向の加速度である前後加速度が、予め定められた目標加速度となるように前記内燃機関の出力トルクを制御する内燃機関制御部と、
    前記自動変速機の変速比を変更する際に単位時間当たりの変速比の変化量である変速速度が目標変速速度となるように、前記自動変速機を制御する変速機制御部と
    を有する制御装置であって、
    前記内燃機関制御部は、前記目標変速速度に応じた前記自動変速機の変速に伴って前記車両に生じる前後加速度と絶対値が同じで正負の符号が異なる前後加速度を前記車両に生じさせるのに必要な前記出力トルクである相殺トルクと、前記自動変速機の変速を行っていない状況下において前記目標加速度を前記車両に生じさせるのに必要な前記出力トルクである制御トルクとを加算して、前記出力トルクの目標値である目標トルクを算出し、
    前記変速機制御部は、前記目標変速速度に基づいて前記自動変速機を制御し、
    前記内燃機関制御部は、前記目標トルクに基づいて前記内燃機関を制御する
    車両の制御装置。
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