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JP2021113268A - 熱硬化性樹脂組成物、放熱シート材、及び金属ベース基板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、放熱シート材、及び金属ベース基板 Download PDF

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JP2021113268A
JP2021113268A JP2020006216A JP2020006216A JP2021113268A JP 2021113268 A JP2021113268 A JP 2021113268A JP 2020006216 A JP2020006216 A JP 2020006216A JP 2020006216 A JP2020006216 A JP 2020006216A JP 2021113268 A JP2021113268 A JP 2021113268A
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佳樹 西川
Yoshiki Nishikawa
佳樹 西川
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Sumitomo Bakelite Co Ltd
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Abstract

【課題】熱伝導性に優れた熱硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】エポキシ樹脂と、所定のリン化合物を含む表面処理剤で表面処理された凝集窒化ホウ素粒子と、を含む、熱硬化性樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、放熱シート材、及び金属ベース基板に関する。
これまで熱硬化性樹脂組成物について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、窒化ホウ素およびエポキシ樹脂を含む樹脂組成物が記載されている(特許文献1の請求項など)。
特開2019−167436号公報
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1に記載の樹脂組成物において、熱伝導性の点で改善の余地があることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、凝集窒化ホウ素粒子の表面処理を適切に選択することによって熱硬化性樹脂組成物の硬化物における熱伝導率を制御できることを見出した。このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、所定のリン酸化合物によって表面処理された凝集窒化ホウ素粒子を用いることによって、熱硬化性樹脂組成物の硬化物における熱伝導率を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
エポキシ樹脂と、
表面処理剤で表面処理された凝集窒化ホウ素粒子と、
を含む、熱硬化性樹脂組成物であって、
前記表面処理剤が、下記一般式Aで表されるリン化合物を含む、
熱硬化性樹脂組成物が提供される。
[一般式A]
X−P(=O)(OR)
(上記一般式A中、Xは、置換または無置換の炭素数6〜20の芳香族基、Rは、互いに同一でも異なってもよく、水素原子又はアルキル基を表す。)
また本発明によれば、
基材と、
前記基材上に設けられた、上記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、を備える、放熱シート材が提供される。
また本発明によれば、
金属基板と、
前記金属基板上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた金属層と、を備えており、
前記絶縁層が、上記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層、または前記樹脂層の硬化物で構成される、金属ベース基板が提供される。
本発明によれば、熱伝導性に優れた熱硬化性樹脂組成物、それを用いた放熱シート材、及び金属ベース基板が提供される。
本実施形態に係る金属ベース基板の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を概説する。
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、表面処理剤で表面処理された凝集窒化ホウ素粒子と、
を含む。その記表面処理剤は、下記一般式Aで表されるリン化合物を含む。
[一般式A]
X−P(=O)(OR)
(上記一般式A中、Xは、置換または無置換の炭素数6〜20の芳香族基、Rは、互いに同一でも異なってもよく、水素原子又はアルキル基を表す。)
本発明者の知見によれば、所定のリン酸化合物によって表面処理された凝集窒化ホウ素粒子を用いることによって、熱硬化性樹脂組成物の硬化物における熱伝導率を向上できることが見出された。
詳細なメカニズムは定かでないが、芳香族基Xと極性基ORとを有するリン化合物が粒子表面に結合することで、凝集窒化ホウ素粒子の樹脂へのなじみや、樹脂組成物中における分散性が高まるため、凝集窒化ホウ素粒子による熱伝導性の効果が一層得られる、と考えられる。リン化合物は、凝集窒化ホウ素粒の表面に対して、例えば、無機酸化物のM(金属)−O(酸素)のOに結合し脱水縮合で結合を形成する場合や、水酸基等の官能基と脱水縮合することによって結合を形成する場合がある。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、電気・電子機器などの放熱材料として用いることが可能である。この放熱材料は、例えば、電子部品を搭載するための基板材料に用いることができる。
電気・電子機器は、たとえば、通常の半導体装置(電子部品として半導体素子を備える電子装置)やパワーモジュール(電子部品としてパワー半導体素子を備える電子装置)等を用いることができる。パワー半導体素子は、SiC、GaN、Ga、またはダイヤモンドのようなワイドバンドギャップ材料を使用したものであり、高電圧・大電流で使用されるように設計されているため、通常のシリコンチップ(半導体素子)よりも発熱量が大きくなるので、さらに高温の環境下で動作することになる。パワー半導体素子には、たとえば、200℃以上や250℃以上等の高温の動作環境下で、長時間の使用が要求される。パワー半導体素子の具体例としては、たとえば、整流ダイオード、パワートランジスタ、パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、トライアック等が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物によれば、パワーモジュールに用いることができる放熱材料を提供することができる。
以下、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を詳述する。
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂および凝集窒化ホウ素粒子を含む。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、1分子内に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4’−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4’−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノール基メタン型ノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂,縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂の含有量の下限値は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、5質量%以上であり、好ましくは7質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。これにより、熱硬化性樹脂組成物のハンドリング性を高められる。一方、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、80質量%以下であり、好ましくは75質量%以下である。また、エポキシ樹脂の含有量の上限値は、例えば、45質量%以下としてもよい。これにより、放熱性をより一層高められる。
本明細書中、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物において、「フィラー」とは、後述の熱伝導性フィラー、無機フィラーまたは有機フィラー等の通常のフィラー、分散安定剤として用いられる無機ナノ粒子を含む。すなわち、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物は、フィラー以外の樹脂成分で構成されるものであって、樹脂成分として、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂を含んでもよい。
液状エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂組成物をBステージ化した際のシートの可とう性を発現することができる。
上記液状エポキシ樹脂としては、2個以上のエポキシ基を有しており、室温25℃において液状であるエポキシ化合物を用いることができる。この液状エポキシ樹脂の25℃における粘度は、例えば、1mPa・s〜8000mPa・sであり、好ましくは5mPa・s〜6000mPa・sであり、より好ましくは10mPa・s〜5000mPa・sとすることができる。
本明細書中、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
上記液状エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、アルキルジグリシジルエーテルおよび脂環式エポキシからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また上記液状エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、例えば、100g/eq以上200g/eq以下であり、好ましくは105g/eq以上190g/eq以下であり、さらに好ましくは110g/eq以上180g/eq以下である。これにより、Bステージ化した際のシートの可とう性を発現することができる。
液状エポキシ樹脂の含有量の下限値は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、5質量%以上であり、好ましくは7質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。これにより、最終的に得られるシートの可とう性を発現することができる。一方、液状エポキシ樹脂の含有量の上限値は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、60質量%以下であり、好ましくは55質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。これにより、耐熱性および放熱性を担保することができる。
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂の他に、他の熱硬化性樹脂を含んでもよいが、含まなくてもよい。
他の熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂、アクリル樹脂、またフェノール誘導体これらの誘導体等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1分子内に反応性官能基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記熱硬化性樹脂の含有量は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましい。上記下限値以上であると、硬化性が向上し、樹脂層を形成するのが容易となる。上記上限値以下であると、樹脂層の保存安定性がより一層向上したり、樹脂層の熱伝導性がより一層向上したりする。
(フェノキシ樹脂)
熱硬化性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂を含んでもよい。これにより、耐屈曲性を高められる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂は、分子内にメソゲン構造を有する化合物を含んでもよい。これにより、熱伝導率をさらに高められる。
メソゲン構造は、例えば、下記一般式(1)または一般式(2)で表される構造を有するものである。
−A−x−A− ・・(1)
−x−A−x− ・・(2)
上記一般式(1)、一般式(2)中、AおよびAは、各々独立して、芳香族基、縮合芳香族基、脂環基、または脂環式複素環基を表し、xは、各々独立して、直接結合、または−O−、−C=C−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−および−N(O)=N−からなる群から選択される2価の結合基を示す。
ここで、A、Aは各々独立して、ベンゼン環を有する炭素数6〜12の炭化水素基、ナフタレン環を有する炭素数10〜20の炭化水素基、ビフェニル構造を有する炭素数12〜24の炭化水素基、ベンゼン環を3個以上有する炭素数12〜36の炭化水素基、縮合芳香族基を有する炭素数12〜36の炭化水素基、炭素数4〜36の脂環式複素環基から選択されるものであることが好ましい。A、Aは、無置換であってもよく、または置換基を有する誘導体であってもよい。
メソゲン構造中のA、Aの具体例としては、例えば、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、シクロヘキシル、ピリジル、ピリミジル、チオフェニレン等が挙げられる。また、これらは無置換であっても良く、脂肪族炭化水素基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基などの置換基を有する誘導体であってもよい。
メソゲン構造中の結合基(連結基)に相当するxとしては、例えば、直接結合、または−C=C−、−C≡C−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−または−N(O)=N−の群から選ばれる2価の置換基が好ましい。
ここで、直接結合とは、単結合、またはメソゲン構造中のAおよびAが互いに連結して環構造を形成することを意味する。例えば、上記一般式(1)で表される構造に、ナフタレン構造が含まれていてもよい。
上記フェノキシ樹脂の含有量は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、例えば、1質量%〜30質量%、好ましくは5質量%〜25質量%である。
(シアネート樹脂)
熱硬化性樹脂組成物は、シアネート樹脂を含んでよい。
シアネート樹脂を含むことによって、熱硬化性樹脂組成物の硬化物について、低線膨張化や、弾性率および剛性の向上を図ることができる。また、得られる電子装置の耐熱性や耐湿性の向上に寄与することも可能である。
(硬化剤)
上記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化剤を含むことができる。
上記硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じて選択され、これと反応するものであれば特に限定されない。
硬化剤としては、フェノール樹脂系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、メルカプタン系硬化剤等を挙げることができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フェノール樹脂系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂、ノボラック樹脂、トリスフェニルメタン型のフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、ガラス転移温度の向上及び線膨張係数の低減の観点から、ノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂を用いることができる。
(硬化促進剤)
上記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤を含むことができる。
上記硬化促進剤の種類や配合量は特に限定されないが、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、有機リン化合物、3級アミン類、フェノール化合物、有機酸等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。流動性と硬化性のバランスの観点からは、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等の潜伏性を有する硬化促進剤を用いてもよい。耐熱性を高める観点から、イミダゾール類などの窒素原子含有化合物を用いてもよい。
上記イミダゾール類としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられる。
上記3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
上記有機酸としては、例えば、酢酸、安息香酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
上記硬化促進剤の含有量は、熱硬化性樹脂と硬化剤との合計100質量%に対して、0.01質量%〜10質量%でもよく、0.02質量%〜8質量%でもよく、0.05質量%〜5質量%でもよい。
(凝集窒化ホウ素粒子)
凝集窒化ホウ素粒子は、熱伝導性フィラーの一つで、その表面が表面処理剤で表面処理がなされたものを含む。
凝集窒化ホウ素粒子は、鱗片状窒化ホウ素の、凝集粒子または凝集粒子と単分散粒子との混合物を含んでもよい。鱗片状窒化ホウ素は顆粒状に造粒されていてもよい。鱗片状窒化ホウ素の凝集粒子を用いることによって、一層に熱伝導性を高められる。凝集粒子は、焼結粒子であっても、非焼結粒子であってもよい。
凝集窒化ホウ素粒子の、体積基準粒度分布における累積頻度が50%となる粒子径d50は、例えば、0.1μm〜30μm、好ましくは0.2μm〜28μm、より好ましくは0.5μm〜25μmである。上記下限値以上とすることで、樹脂組成物のワニス時の粘度あるいは溶融粘度を低減できる。上記上限値以下とすることで、熱伝導性を向上できる。
凝集窒化ホウ素粒子の粒子径は、例えば、分散安定剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する純水媒体中に凝集窒化ホウ素粒子を分散させた試料に対して、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置などを用いて測定することができる。
表面処理剤は、下記一般式Aで表されるリン化合物を含む。
[一般式A]
X−P(=O)(OR)
上記一般式A中、Xは、置換または無置換の炭素数6〜20の芳香族基、Rは、互いに同一でも異なってもよく、水素原子又はアルキル基を表す。置換基としては、例えば、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基及びアミノ基などを包含する。
一般式A中、炭素数6〜20の芳香族基は、フェニル基であってもよい。
一般式A中、アルキル基は、直鎖、又は分岐の炭素数1〜4のアルキル基でもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
一般式AのRは、リン化合物の1分子中において、少なくとも1つ、好ましくは2つが水素原子であることが好ましい。
表面処理剤は、例えば、一般式A中の芳香族基がフェニル基であるリン化合物を含むことが好ましく、フェニルホスホン酸を含むことがより好ましい。
上記の表面処理剤を用いた無機粒子の表面処理方法を説明する。
まず、上記のリン化合物を溶媒に混合して、溶液状の表面処理剤を調整する。
表面処理剤中のリン化合物の濃度の下限は、例えば、0.001mol/L以上、好ましくは0.005mol/L以上、より好ましくは0.01mol/L以上である。これにより、熱伝導率を向上させることができる。一方、表面処理剤中のリン化合物の濃度の上限は、例えば、1.0mol/L以下、好ましくは0.5mol/L以下、より好ましくは0.3mol/L以下である。これにより、樹脂成分となじみが悪くなることを抑制できる。
続いて、溶液状の表面処理剤中に、無機粒子を導入する。本実施形態では、無機粒子として凝集窒化ホウ素粒子を用いる。表面処理剤と無機粒子との混合割合は、適宜変更可能であるが、例えば、体積換算で、40:60〜60:40、好ましくは50:50程度としてもよい。
なお、粉末状の無機粒子を、あるいは無機粒子を所定の分散溶媒に分散させた分散媒を、溶液状の表面処理剤に導入してもよい。
続いて、表面処理剤と無機粒子との混合溶液を攪拌する。攪拌操作としては、公知の方法が使用できるが、例えば、混合溶液を含む容器を、約2〜20時間程度回転させる方法を用いてもよい。攪拌は、室温25℃で行ってもよいが、溶媒が揮発しない程度に加熱してもよい。
上記の溶媒としては、リン化合物を溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基等の水溶性基を有する有機溶媒を使用してもよく、具体的には、アルコール系溶媒を用いてもよい。
また溶媒は、25℃、大気圧下で揮発し難いものを使用してもよく、例えば、沸点が50℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上のものがよい。溶媒は、1またな二以上を含む混合溶媒であってもよい。
この中でも、リン化合物の溶解性、不揮発性の観点から、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール等を使用できる。
必要に応じて、混合溶液を濾過してもよく、濾過後の濾残物を洗浄してもよい。洗浄液としては、水や使用した溶媒などを用いてもよい。
その後、混合溶液中、あるいは濾残物中に残存する溶媒を除去する。溶媒を除去する方法は、公知の手段を使用できるが、減圧乾燥、加熱乾燥などが用いられる。
このように表面処理する工程は、室温での乾燥処理、室温かつ減圧下での乾燥処理、及び25℃〜50℃かつ減圧下で乾燥処理のいずれかを含むことができる。
また、表面処理方法の一例として、無機粒子をヘンシェルミキサー中で回転させながら、エタノール(溶媒)にリン化合物を溶解させた表面処理剤をそこに徐々に滴下させて、無機粒子と表面処理剤とを混合させ、得られた混合物をミキサー中で乾燥させる方法を採用してもよい。
以上の表面処理方法によって、リン化合物によって表面処理された凝集窒化ホウ素粒子(無機粒子)が得られる。
リン化合物は凝集窒化ホウ素粒子の表面に、化学的、物理的、あるいは両方によって結合している。すなわち、表面処理された凝集窒化ホウ素粒子は、その表面の少なくとも一部がリン化合物からなる有機層によって被覆された状態となる。
このとき、表面に結合したリン化合物は、フェニル基などのX基を外側に、ヒドロキシ基などのOR基を内側となるように配置していると推察される。
本発明者の考えによれば、詳細なメカニズムは定かではないが、リン化合物中に所定のフェニル基およびヒドロキシ基があることによって、疎水性と親水性のバランスが適切となるため、樹脂組成物中でのなじみが一層良好となるとともに、パイ電子の重なりと水素結合のバランスが適切となるためリン酸化合物で処理した凝集窒化ホウ素粒子とメソゲン含有樹脂との界面抵抗が低下すると考えられる。
また、鱗片状窒化ホウ素の凝集粒子(鱗片状フィラーの凝集物)を使用することにより厚み方向の熱伝導率を高めることができる。詳細なメカニズムは定かでないが、鱗片状フィラーの一部がプレス成形時に押しつぶされて、鱗片状フィラーの凝集物が一方向に配向することなく等方的な熱伝導パスが形成されるため、と考えられる。また、遊星型ミキサーまたはホモミキサー等の使用によって、鱗片状フィラーの凝集物の崩壊を抑えつつ、分散を可能となる混合手法を採用することにより、上記のような等方的な熱伝導パスを実現できると考えられる。
熱硬化性樹脂組成物は、凝集窒化ホウ素粒子以外の他の熱伝導性フィラーを含んでもよい。
他の熱伝導性フィラーは、たとえば、20W/m・K以上の熱伝導率を有する高熱伝導性無機粒子を含むことができる。高熱伝導性無機粒子としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素及び酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
凝集窒化ホウ素粒子の含有量は、フィラーを含まない熱硬化性樹脂組成物の樹脂成分(100質量%)に対して、100質量%〜400質量%であり、好ましくは150質量%〜350質量%であり、より好ましくは200質量%〜330質量%である。上記下限値以上とすることにより、熱伝導性を向上させることができる。上記上限値以下とすることにより、プロセス性の低下を抑制することができる。
(分散安定剤)
上記熱硬化性樹脂組成物は、分散安定剤を含むことができる。
分散安定剤を使用することにより、熱伝導性フィラーの沈降を抑制することができる。分散安定剤として、例えば、ナノ成分を添加することで、熱硬化性樹脂組成物のワニス粘度が上昇するため、熱伝導性フィラーの沈降を抑制できる。これにより、フィラーが均一に分散し、成形不良なく複合成形体を得ることが可能とし、安定した熱伝導性を発現できると考えられる。
上記熱硬化性樹脂組成物は、シランカップリング剤を含むことができる。
これにより、熱硬化性樹脂組成物中における熱伝導性フィラーの相溶性を向上させることができる。カップリング剤は、熱硬化性樹脂組成物に添加してもよいし、熱伝導性フィラー表面に処理して使用してもよい。
上記シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、カチオニック系シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤からなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、官能基として、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基またはヒドロキシ基の少なくとも一種以上を有するシランカップリング剤を用いることができる。また、樹脂成分との相溶性を向上させる観点から、非反応性のフェニル基を有するシランカップリング剤を用いることができる。
上記官能基を有するシランカップリング剤の具体例としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記フェニル基を含有するシランカップリング剤としては、例えば、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチルアニリノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアニリノプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルイミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルイミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトシキシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン等が挙げられる。
上記カップリング剤の添加量は、熱伝導性フィラー100質量%に対して、例えば、0.05質量%以上3質量%以下が好ましく、特に0.1質量%以上2質量%以下が好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上述した成分以外の他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、酸化防止剤、レベリング剤が挙げられる。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の製造方法として、例えば、次のような方法がある。
フィラー以外の上記の各成分を、溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより樹脂ワニス(ワニス状の熱硬化性樹脂組成物)を調整することができる。この混合は、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いることができる。
上記溶剤としては特に限定されないが、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられる。
また、当該樹脂ワニスに、熱伝導性フィラー等のフィラーを添加し、三本ロール等を用いて混練することにより、Bステージ状態の熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。混練時に添加することにより、熱硬化性樹脂中に熱伝導性フィラーをより均一に分散させることが可能であるが、これに限定されない。熱伝導性フィラーは、混練時に添加してもよいが、樹脂ワニスの混合時に添加してもよい。なお、分散性の観点から、ナノ粒子は、例えば、所定の溶剤に分散させもの(ナノ粒子分散液)を樹脂ワニス中に添加することが好ましい。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物の特性について説明する。
下記の手順に従って測定される、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上限は、例えば、1.8Pa・s以下、好ましくは1.5Pa・s以下、より好ましくは1.0Pa・s以下である。これにより、ワニス時の熱伝導性樹脂組成物において、凝集窒化ホウ素粒子と樹脂とのなじみが良好となる。また、フィルム作成時における熱伝導性樹脂組成物の取り扱い性も高まる。上記熱硬化性樹脂組成物の粘度の下限は、特に限定されないが、例えば、0.1Pa・s以上としてもよい。
(手順)
熱硬化性樹脂組成物の固形分を、固形分濃度60%でプロピレングリコールモノメチルエーテルに混合したサンプルを作成する。
得られたサンプルを銅箔に塗布し、120℃、12分の条件で乾燥させる。
乾燥させたサンプルの粘度について、コーンプレート型粘度計を用いて180℃、回転周波数:94rpmの条件で測定する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、様々な態様でしようできるが、一例として、シート状で使用することができる。
(樹脂シート)
本実施形態の樹脂シートは、キャリア基材と、キャリア基材上に設けられた、上記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、を備えるものである。
上記樹脂シートは、たとえばワニス状の熱硬化性樹脂組成物をキャリア基材上に塗布して得られた塗布膜(樹脂層)に対して、溶剤除去処理を行うことにより得ることができる。上記樹脂シート中の溶剤含有率が、熱硬化性樹脂組成物全体に対して10重量%以下とすることができる。たとえば80℃〜150℃、1分間〜30分間の条件で溶剤除去処理を行うことができる。これにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。
上記樹脂シート(キャリア基材付き樹脂層)は、巻き取り可能なロール状でもよいし、矩形形状の枚葉状であってもよい。樹脂シートの樹脂膜の表面は、例えば、露出していてもよく、保護フィルム(カバーフィルム)で覆われていてもよい。保護フィルムとしては、公知の保護機能を有するフィルムを用いることができるが、例えば、PETフィルムを使用してもよい。
また、本実施形態において、上記キャリア基材としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シート等が挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅および/または銅系合金、アルミおよび/またはアルミ系合金、鉄および/または鉄系合金、銀および/または銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートで構成されるシートが安価および剥離強度の調節が簡便なため最も好ましい。これにより、キャリア基材付き樹脂層から、キャリア基材を適度な強度で剥離することが容易となる。
(樹脂基板)
本実施形態の樹脂基板は、上記熱硬化性樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備えるものである。この樹脂基板は、半導体素子やパワー半導体などの電子部品を搭載するための素子搭載基板の材料として用いることができる。
(金属ベース基板)
本実施形態の金属ベース基板100について図1に基づいて説明する。
図1は、金属ベース基板100の構成の一例を示す断面図である。
上記金属ベース基板100は、図1に示すように、金属基板101と、金属基板101上に設けられた絶縁層102と、絶縁層102上に設けられた金属層103と、を備えることができる。この絶縁層102は、上記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層、熱硬化性樹脂組成物の硬化物および積層板からなる群から選択される一種で構成することが可能である。これらの樹脂層、積層板のそれぞれは、金属層103の回路加工の前では、Bステージ状態の熱硬化性樹脂組成物で構成されていてもよく、回路加工の後では、それを硬化処理されてなる硬化体であってもよい。
金属層103は絶縁層102上に設けられ、回路加工されるものである。この金属層103を構成する金属としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、鉄、錫等から選択される一種または二種以上が挙げられる。これらの中でも、金属層103は、好ましくは銅層またはアルミニウム層であり、特に好ましくは銅層である。銅またはアルミニウムを用いることで、金属層103の回路加工性を良好なものとすることができる。金属層103は、板状で入手できる金属箔を用いてもよいし、ロール状で入手できる金属箔を用いてもよい。
金属層103の厚みの下限値は、例えば、0.01mm以上であり、好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.25mm以上である。このような数値以上であれば、高電流を要する用途であっても、回路パターンの発熱を抑えることができる。
また、金属層103の厚みの上限値は、例えば、2.0mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、さらに好ましくは1.0mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、基板全体としての薄型化を図ることができる。
金属基板101は、金属ベース基板100に蓄積された熱を放熱する役割を有する。金属基板101は、放熱性の金属基板であれば特に限定されないが、例えば、銅基板、銅合金基板、アルミニウム基板、アルミニウム合金基板であり、銅基板またはアルミニウム基板が好ましく、銅基板がより好ましい。銅基板またはアルミニウム基板を用いることで、金属基板101の放熱性を良好なものとすることができる。
金属基板101の厚さは、本発明の目的が損なわれない限り、適宜設定できる。
金属基板101の厚さの上限値は、例えば、20.0mm以下であり、好ましくは5.0mm以下である。この数値以下の厚さの金属基板101を用いることで、金属ベース基板100全体としての薄型化を行うことができる。また、金属ベース基板100の外形加工や切り出し加工等における加工性を向上させることができる。
また、金属基板101の厚さの下限値は、例えば、0.1mm以上であり、好ましくは1.0mm以上であり、さらに好ましくは2.0mm以上である。この数値以上の金属基板101を用いることで、金属ベース基板100全体としての放熱性を向上させることができる。
本実施形態において、金属ベース基板100は、各種の基板用途に用いることが可能であるが、熱伝導性及び耐熱性に優れることから、パワーモジュールに用いるパワーモジュール用基板として用いることが可能である。
金属ベース基板100は、パターンにエッチング等することによって回路加工された金属層103を有することができる。この金属ベース基板100において、最外層に不図示のソルダーレジストを形成し、露光・現像により電子部品が実装できるよう接続用電極部が露出されていてもよい。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(顆粒状窒化ホウ素の作製手順)
市販の炭化ホウ素粉末をカーボンるつぼの中に投入し、窒素雰囲気下、2000℃、10時間の条件で窒化処理した。
次いで、得られた窒化ホウ素粉末に市販の三酸化二ホウ素粉末を加え、ブレンダ―で1時間混合した(窒化ホウ素:三酸化二ホウ素=7:3(質量比))。得られた混合物をカーボンるつぼの中に投入し、窒素雰囲気下、2000℃、10時間の条件で焼成することにより、顆粒状窒化ホウ素を得た。
・凝集窒化ホウ素粒子1:上記で得られた顆粒状窒化ホウ素をそのまま使用した。
・凝集窒化ホウ素粒子2:上記で得られた顆粒状窒化ホウ素を、下記の手順で表面処理したものを使用した。
(表面処理)
フェニルホスホン酸(日産化学社製)を1−メトキシ−2−プロパノール溶液(富士フィルム社製)に混合して、フェニルホスホン酸の濃度が0.01mol/Lの表面処理剤を調製した。
得られた表面処理剤と、上記の顆粒状窒化ホウ素と、をボトル中に入れ、密封したボトルを、室温25℃下で12時間回転させて、これらを混合した。得られた混合物を濾過し、1−メトキシ−2−プロパノールで洗浄した後、24時間減圧乾燥させ、表面処理剤で表面処理された顆粒状窒化ホウ素を得た。
・凝集窒化ホウ素粒子3:フェニルホスホン酸の濃度を0.1mol/Lとした以外は上記の手順と同様にして、上記で得られた顆粒状窒化ホウ素を表面処理したものを使用した。
得られた凝集窒化ホウ素粒子1、3のそれぞれについて、示差熱熱重量同時測定装置(セイコ−インスツルメンツ社製、TG/DTA6200型)を用いて、乾燥窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件により、サンプルを、30℃から650℃まで昇温させることにより、重量変化を確認した。
その結果、凝集窒化ホウ素粒子3には、約350℃付近に重量変化が見られたが、凝集窒化ホウ素粒子31には見られなかった。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1:2官能ナフタレン型エポキシ樹脂(25℃で液状、DIC株式会社製、HP−4032D)
・エポキシ樹脂2:3官能ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、HP−4700)
・エポキシ樹脂3:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(25℃で液状、DIC社製、EPICLON 830S)
(フェノキシ樹脂)
・フェノキシ樹脂1:下記の合成手順Aで得られる直鎖型フェノキシ樹脂1
(合成手順A)
下記化学式で表されるエステル基含有ビスフェノール(2官能フェノール化合物、メソゲン構造あり、上野製薬社製、HQHBA)22.9重量部と、下記化学式で表されるテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(2官能エポキシ化合物、メソゲン構造あり、三菱ケミカル社製、YX4000)72.4重量部と、トリフェニルホスフィン(TPP)0.1重量部と、シクロヘキサノン4.6重量部とを反応器に投下し、120℃〜150℃で溶剤を除去しながら反応させた。GPCで目的の分子量となることを確認し、反応を停止させた。重量平均分子量で7800(ポリスチレン屈折率換算)の直鎖型フェノキシ樹脂1を得た。
Figure 2021113268
Figure 2021113268
・フェノキシ樹脂2:下記の合成手順Bで得られるフェノキシ樹脂2
(合成手順B)
上記テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂を、エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製、TC−3200E)に変更、上記エステル基含有ビスフェノールを、2,7−ジヒロドキシナフタレンに変更した以外は、上記の合成手順Aと同様に反応させて、分子量4600のフェノキシ2を得た。
(硬化剤)
・硬化剤1:ジシアンジアミド(アミン系硬化剤、東京化成社製)
(シアネート樹脂)
・シアネート樹脂1:シアネート樹脂(メソゲン構造なし、ロンザジャパン社製、PT−30)
(硬化促進剤)
・硬化促進剤1:下記の化学式で表される硬化促進剤
Figure 2021113268
・硬化促進剤2:フェノール化合物(液状フェノール、明和化成社製、MEH−8000)
(界面活性剤)
・界面活性剤1:シリコーン系界面活性剤(BYK社製、BYK−066 N)
<熱硬化性樹脂組成物の調製>
表1に示す配合割合に従い、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、硬化促進剤、必要に応じて硬化剤、界面活性剤、を溶媒であるシクロヘキサノンに添加し、これを撹拌して熱硬化性樹脂組成物の溶液を得た。次いで、この溶液に凝集窒化ホウ素粒子を入れて予備混合した後、自転・公転ミキサーにて混合し、凝集窒化ホウ素粒子を均一に分散させたワニス状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
Figure 2021113268
得られた熱硬化性樹脂組成物について、以下の評価項目について評価を行った。
(熱伝導率)
・比較例2、実施例3:
得られた熱硬化性樹脂組成物ワニスを、厚み18μmの銅箔上に塗布、乾燥させ樹脂層付き銅箔を作製した。この銅箔の樹脂層を別の銅箔で挟むようにして重ね合わせてセットし、コンプレッション成形を180℃、90分、10MPaで行い、縦10cm×横10cm×厚み0.2mmの複合成形体を得た。
・実施例1、2、比較例1:
成形条件を180℃、20分、10MPaとし、その後180℃3時間硬化した以外は、上記と同様にして、複合成形体を得た。
・複合成形体の比重
比重測定は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、上記の複合成形体から、縦3cm×横4cm×厚み2mmに切り出して銅箔除去し、120℃、3時間乾燥したものを用いた。比重(SP)の単位をg/cmとする。
・複合成形体の比熱
得られた複合成形体について、DSC法により比熱(Cp)を測定した。
・複合成形体の熱伝導率の測定
得られた複合成形体から、厚み方向測定用として、直径10mm×厚み0.2mmに切り出したものを試験片とした。次に、ULVAC社製のXeフラッシュアナライザーTD−1RTVを用いて、レーザーフラッシュ法により板状の試験片の厚み方向の熱拡散係数(α)の測定を行った。測定は、大気雰囲気下、25℃の条件下で行った。
複合成形体のそれぞれについて、得られた熱拡散係数(α)、比熱(Cp)、比重(SP)の測定値から、下記式に基づいて熱伝導率を算出した。
熱伝導率[W/m・K]=α[m/s]×Cp[J/kg・K]×Sp[g/cm
(CTE:線膨張係数)
上記で得られた複合成形体から縦3cm×横0.5cm×厚み2mmに切り出して銅箔を除去して乾燥し熱伝導性シート硬化物(試験片)を得た。得られた試験片について、線膨張係数を測定した。TMA(Thermal Mechanical Analyzer)試験装置(セイコーインスツメルツ社製TMA/SS6100)を用いて、昇温速度5℃/分、荷重0.05N、引張モード、測定温度範囲30〜320℃の条件で、熱機械分析(TMA)を2サイクル測定した。得られた結果から、50℃〜100℃における平面方向(XY方向)の線膨張係数の平均値(α1)、及び240℃〜270℃における平面方向(XY方向)の線膨張係数の平均値(α2)を算出した。なお、線膨脹係数(ppm/℃)は、2サイクル目の値を採用した。
(Tg:ガラス転移温度)
上記で得られた複合成形体から縦3cm×横0.5cm×厚み2mmに切り出して銅箔を除去して乾燥し熱伝導性シート硬化物を得た。次いで、得られた硬化物のガラス転移温度(℃)を、DMA(動的粘弾性測定)試験装置(セイコーインスツメルツ社製DMS6100)により昇温速度10℃/min、波数1Hz、引張モードの条件で測定した。
実施例1、2の熱硬化性樹脂組成物は、比較例1に対して、実施例3は比較例2に対して、熱伝導率が向上する結果を示した。また、実施例1、2、3の実施例は、対応する比較例と比べて、線膨張係数を低減できることがわかった。このような実施例の熱硬化性樹脂組成物は、放熱材となる樹脂シートに好適に用いることができる。
100 金属ベース基板
101 金属基板
102 絶縁層
103 金属層

Claims (11)

  1. エポキシ樹脂と、
    表面処理剤で表面処理された凝集窒化ホウ素粒子と、
    を含む、熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記表面処理剤が、下記一般式Aで表されるリン化合物を含む、
    熱硬化性樹脂組成物。
    [一般式A]
    X−P(=O)(OR)
    (上記一般式A中、Xは、置換または無置換の炭素数6〜20の芳香族基、Rは、互いに同一でも異なってもよく、水素原子又はアルキル基を表す。)
  2. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記表面処理剤が、前記一般式A中の芳香族基がフェニル基である前記リン化合物を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記表面処理剤が、フェニルホスホン酸を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記凝集窒化ホウ素粒子が、鱗片状窒化ホウ素の、凝集粒子または凝集粒子と単分散粒子との混合物を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記凝集窒化ホウ素粒子の、体積基準粒度分布における累積頻度が50%となる粒子径d50が、0.1μm以上30μm以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記凝集窒化ホウ素粒子の含有量は、フィラーを含まない当該熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量%に対して、100質量%以上400質量%以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    下記の手順に従って測定される粘度が、1.8Pa・s以下である、熱硬化性樹脂組成物。
    (手順)
    当該熱硬化性樹脂組成物の固形分を、固形分濃度60%でプロピレングリコールモノメチルエーテルに混合したサンプルを作成する。
    得られたサンプルを銅箔に塗布し、120℃、12分の条件で乾燥させる。
    乾燥させたサンプルの粘度について、コーンプレート型粘度計を用いて180℃、回転周波数:94rpmの条件で測定する。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    硬化剤を含む、熱硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    シート状の、熱硬化性樹脂組成物。
  10. 基材と、
    前記基材上に設けられた、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、を備える、放熱シート材。
  11. 金属基板と、
    前記金属基板上に設けられた絶縁層と、
    前記絶縁層上に設けられた金属層と、を備えており、
    前記絶縁層が、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層、または前記樹脂層の硬化物で構成される、金属ベース基板。
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