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JP2021054977A - ポリコハク酸イミドの製造方法、ポリアスパラギン酸塩の製造方法 - Google Patents

ポリコハク酸イミドの製造方法、ポリアスパラギン酸塩の製造方法 Download PDF

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JP2021054977A
JP2021054977A JP2019180460A JP2019180460A JP2021054977A JP 2021054977 A JP2021054977 A JP 2021054977A JP 2019180460 A JP2019180460 A JP 2019180460A JP 2019180460 A JP2019180460 A JP 2019180460A JP 2021054977 A JP2021054977 A JP 2021054977A
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大輔 浦
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朗理 清水
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Abstract

【課題】ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制しつつ、マレイン酸の含有量が低減されるポリコハク酸イミドの製造方法を提供する。【解決手段】粗合成ポリコハク酸イミドを溶媒に分散した分散液を35℃以上85℃以下の温度で加熱処理する工程を含むポリコハク酸イミドの製造方法。【選択図】なし

Description

本開示は、ポリコハク酸イミドの製造方法、及びポリアスパラギン酸塩の製造方法に関する。
ポリコハク酸イミドは、ポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸誘導体の製造において、好適な前駆体又は中間体である。
生分解性に優れたポリアスパラギン酸誘導体を製造することを目的として、ポリコハク酸イミドを有機酸で処理することが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、例えば特許文献2では、マレイン酸とアンモニアから得られる生成物、マレアミド酸および/またはアスパラギン酸を、減圧下で加熱重縮合反応させ、ポリスクシンイミドを得る方法において、撹拌可能な非流動床型反応器を用いることを特徴とするポリスクシンイミドの製造方法が開示されている。
また、例えば特許文献3では、(1)アスパラギン酸を非水溶性溶媒中で加熱しポリスクシンイミドとする工程(2)アルカリ水溶液を加えて加水分解しポリアスパラギン酸塩とする工程(3)ポリアスパラギン酸塩水溶液層を非水溶性溶媒層から分離する工程、及び(4)ポリアスパラギン酸塩水溶液を無機または有機粉体で処理する工程を行うことを特徴とするポリアスパラギン酸塩の製造方法が開示されている。
特開平8−302009号公報 特開平9−176313号公報 特開平8−059821号公報
ポリコハク酸イミドは、例えばアスパラギン酸を重縮合させて得ることができる。ここで、得られたポリコハク酸イミドには、不純物としてマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸等が含まれる。しかし、不純物除去のためにポリコハク酸イミドに対して水洗処理を行うと、ポリコハク酸イミドが必要以上に加水分解することがあった。
本開示の一態様の目的は、ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制しつつ、マレイン酸の含有量が低減されるポリコハク酸イミドの製造方法を提供することである。
本開示の別の一態様の目的は、ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制しつつ、マレイン酸の含有量が低減されるポリアスパラギン酸塩の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1>
粗合成ポリコハク酸イミドを溶媒に分散した分散液を35℃以上85℃以下の温度で加熱処理する工程を含むポリコハク酸イミドの製造方法。
<2>
前記粗合成ポリコハク酸イミドが固相重合により得られたものである<1>に記載のポリコハク酸イミドの製造方法。
<3>
前記溶媒が、水、又は水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒である<1>又は<2>に記載のポリコハク酸イミドの製造方法。
<4>
更に、前記加熱処理後の分散液からポリコハク酸イミドを含む固形分を取り出す工程と、前記固形分を洗浄する工程と、を含む<1>〜<3>のいずれか一つに記載のポリコハク酸イミドの製造方法。
<5>
<1>〜<4>のいずれか一つに記載のポリコハク酸イミドの製造方法により得られたポリコハク酸イミドに、アルカリ水溶液を加えて前記ポリコハク酸イミドを加水分解させ、ポリアスパラギン酸塩を得る工程を含むポリアスパラギン酸塩の製造方法。
本開示の一態様によれば、ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制しつつ、マレイン酸の含有量が低減されるポリコハク酸イミドの製造方法が提供される。
本開示の別の一態様によれば、ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制しつつ、マレイン酸の含有量が低減されるポリアスパラギン酸塩の製造方法が提供される。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、1つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
以下、本開示に係るポリコハク酸イミドの製造方法とともに、本開示に係るポリアスパラギン酸塩の製造方法について詳細に説明する。
〔ポリコハク酸イミドの製造方法〕
本開示のポリコハク酸イミドの製造方法は、粗合成ポリコハク酸イミドを溶媒に分散した分散液を35℃以上85℃以下の温度で加熱処理する工程(以下、「第一工程」ともいう。)を含む。なお、「粗合成ポリコハク酸イミド」とは、第一工程の前に準備されたポリコハク酸イミドのことをいう。
本開示のポリコハク酸イミドの製造方法によれば、ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制しつつ、マレイン酸の含有量が低減される。
かかる効果が奏される理由は明らかではないが、以下のように推測される。
第一工程における粗合成ポリコハク酸イミドを処理する溶媒の温度を35℃以上85℃以下とすることで、ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制することができると考えられる。また、この処理を行うことにより、ポリコハク酸イミドに含まれるマレイン酸が溶媒中に溶出しやすい状態になると共に、ポリコハク酸イミドに含まれる無水マレイン酸がマレイン酸へと変化し、同じくこのマレイン酸も溶媒中に溶出しやすい状態になると考えられる。したがって、上記処理後のポリコハク酸イミドは、マレイン酸の含有量が低減される。
更に、同様の作用により、第一工程後のポリコハク酸イミドは、マレイン酸以外の不純物の含有量、すなわち、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸等の含有量についても低減され得る。
第一工程で使用されるポリコハク酸イミド(すなわち、「粗合成ポリコハク酸イミド」)は、特に限定されるものではなく、従来公知のいかなる方法で準備されたものでよい。
例えば、固相重合、可溶化溶媒重合、不溶化溶媒重合、あるいは、マレイン酸、フマル酸、およびリンゴ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸のアンモニウム塩および/またはアミドを熱重合させる方法により得られたものであることが挙げられるが、これらの中でも固相重合により得られたものであることが好ましい。
固相重合として、アスパラギン酸を固相状態で、直接熱重縮合反応させることが挙げられ、アスパラギン酸の固相重合により得られたポリコハク酸イミドを準備することは、コスト面で有利である。
粗合成ポリコハク酸イミドの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、5,000以上100,000以下であることが好ましく、10,000以上で30,000以下であることがより好ましい。
また、粗合成ポリコハク酸イミドの数平均分子量(Mn)は、特に限定されるものではないが、10,000以上70,000以下であることが好ましく、12,000以上で15,000以下であることがより好ましい。
なお、本開示において、粗合成ポリコハク酸イミドの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、それぞれ、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用い、下記GPC測定方法により、測定された値を指す。
分析試料調製:ポリコハク酸イミドを20mg秤量し、1質量%水酸化ナトリウム水溶液を1.5ml添加して溶解させた後に、0.1mol/l NaCl水溶液で10mlまで希釈する。
解析装置:LC−Solution(株式会社島津製作所製)、
検出器:RID−10A(株式会社島津製作所製)、
デガッサー:DGU−20A(株式会社島津製作所製)、
ポンプ:LC−20AD(株式会社島津製作所製)、
オートサンプラー:SIL−20A(株式会社島津製作所製)、
送液ユニット:CTO−20A(株式会社島津製作所製)、
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ×1(昭和電工株式会社製)、
ガードカラム:Shodex Asahipak GF−1G7B(昭和電工株式会社製)
オーブン温度:45℃
移動相:0.1mol/l NaCl水溶液
試料注入量:50μl
標品:プルラン(Shodex STANDARD P−82(昭和電工株式会社製の標品群キット))であり、そのうちP−5、P−10、P−20、P−50、P−100及びP−200を用いて3次式の検量線を作成した。
得られた溶出曲線のうち、ポリマーのメインピークからMw及びMn並びに多分散度(Mw/Mn)を算出した。
固相重合を行うときの温度は、特に限定されず、例えば、180℃〜250℃であることが挙げられる。固相重合を行う時間は、粗合成ポリコハク酸イミドを安定的に製造する観点で、200℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましい。また、同様の観点で、240℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましい。
固相重合を行うときの時間は、特に限定されず、例えば、1〜40時間であることが挙げられる。固相重合を行う時間は、粗合成ポリコハク酸イミドを安定的に製造する観点で、4時間以上であることが好ましい。また、同様の観点で、20時間以下であることが好ましい。
固相重合を行うときの圧力は、特に限定されず、負圧下、又は常圧下のいずれでもよい。圧力は、例えば、0.001MPa〜0.10MPaであってもよい。固相重合を行う時間は、粗合成ポリコハク酸イミドを安定的に製造する観点で、0.01MPa以上であることが好ましい。また、同様の観点で、0.04MPa以下であることが好ましい。
例えば、下記の反応式のようにアスパラギン酸を固相重合することにより粗合成ポリコハク酸イミドが準備される。
Figure 2021054977
アスパラギン酸は、L体、D体、及びDL体のいずれであってもよい。アスパラギン酸は、L体であるL−アスパラギン酸であることが好ましい。アスパラギン酸は、市販品でもよく、製造してもよい。アスパラギン酸を製造する場合は、公知の方法で製造すればよい。なお、本開示において、単に「アスパラギン酸」と記載する場合、アスパラギン酸は、L体、D体、及びDL体のいずれであってもよい。
固相重合を行うときにおける不活性ガスは、特に限定されず、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。不活性ガスは、1種類のガスを単独で用いてもよく、2種類以上のガスを混合して用いてもよい。これらの中でも、ポリコハク酸イミドを安定的に製造する観点で、不活性ガスは、窒素ガス及びアルゴンガスの少なくとも一方であることが好ましい。
固相重合を行う装置は、アスパラギン酸を不活性ガス存在下で固相重合する装置を備えていればよい。
固相重合を行う装置は、特に限定されず、バッチ式又は連続式装置が挙げられる。バッチ式の装置及び連続式の装置は、それぞれ、縦型の装置又は横型であってもよい。固相重合を行う装置としては、例えば、連続式操作又は回分式操作を行う装置が挙げられる。固相重合は、例えば、熱風移送型乾燥器、材料攪拌型乾燥器(流動層乾燥機等)、材料搬送及び静置型乾燥器、円筒乾燥器、赤外線乾燥器、マイクロ波乾燥器、並びに過熱蒸気乾燥器からなる群より選択される、少なくとも一つの装置を用いて行ってもよい。また、固相重合は、例えば、流動層反応器、移動層反応器、固定層反応器、及び撹拌乾燥機型反応機からなる群より選択される、少なくとも一つの装置を用いて行ってもよい。
固相重合を行うときに、水も生成する。このため、固相重合を行う装置には、生成した水を留去するための装置が設けられていることが好ましい。
本開示のポリコハク酸イミドの製造方法は、第一工程の前に、アスパラギン酸の固相重合により粗合成ポリコハク酸イミドを合成する工程を含んでいてもよい。
第一工程において、粗合成ポリコハク酸イミドは溶媒中で処理される。上記処理は、常圧下、減圧下、又は加圧下のいずれでも行うことができる。
第一工程における溶媒の温度は、ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制しつつ、マレイン酸の含有量が低減される観点から、35℃以上85℃以下であることが好ましく、45℃以上75℃以下であることがより好ましく、45℃以上65℃以下であることが更に好ましい。
第一工程における溶媒の温度を上記の範囲とすることは、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸等の含有量が低減される観点からも好ましい。
第一工程における溶媒中で処理を行う処理時間は、ポリコハク酸イミドの加水分解を抑制しつつ、マレイン酸の含有量が低減される観点から、0.1時間以上であればよく、0.5時間以上10時間以下であることがより好ましく、1時間以上5時間以下であることが更に好ましく、2時間以上4時間以下であることが特に好ましい。
第一工程における溶媒中で処理を行う処理時間を上記の範囲とすることは、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸等の含有量が低減される観点からも好ましい。
第一工程における溶媒としては、上記処理において、不活性な化合物であれば特に限定されるものではないが、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。水溶性の有機溶媒としては、公知の水溶性有機溶媒を使用することができ、水溶性エーテル系溶媒、水溶性ケトン系溶媒、水溶性アルコール系溶媒等が挙げられる。なお、水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。これらのうち、第一工程で使用される溶媒は、水であることが好ましい。
本開示のポリコハク酸イミドの製造方法は、更に、以下の工程を含んでいてもよい。
本開示のポリコハク酸イミドの製造方法は、第一工程における加熱処理後の分散液からポリコハク酸イミドを含む固形分を取り出す工程(以下、「第二工程」ともいう。)と、前記固形分を洗浄する工程(以下、「第三工程」ともいう。)と、を含むことが好ましい。
第二工程において、ポリコハク酸イミドを含む固形分は第一工程で得られた分散液から、例えば分散液に含まれる溶媒を除去することにより取り出される。第一工程で得られた分散液の溶媒中には、ポリコハク酸イミドから分離したマレイン酸が溶出していると考えられるため、ポリコハク酸イミドにおけるマレイン酸の含有量を低減する観点から、前記溶媒を除去することが好ましい。
上記溶媒を除去することは、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸等の含有量が低減される観点からも好ましい。
溶媒の具体的な除去方法は特に制限は無く、濾紙、濾布、金属メッシュ、メンブランフィルター等の濾材を用いて、一般的に行われる自然濾過、加圧濾過、減圧濾過、遠心濾過等のいかなる方法で行ってもよい。
第二工程における溶媒除去時の温度は、第一工程で得られる分散液をそのまま除去操作に移すことが可能であることから、35℃以上85℃以下で行うことができるが、特段加熱、保温をする必要性は無く、濾過により除去する場合、濾過操作時に濾過器内にて落着く85℃以下のいかなる温度で行ってもよい。
第三工程は、第二工程で取り出されたポリコハク酸イミドを含む固形分に対して、例えば水を使用して洗浄処理する工程である。本開示のポリコハク酸イミドの製造方法において、ポリコハク酸イミドにおけるマレイン酸の含有量を低減する観点から、前記洗浄処理を行うことが好ましい。
上記洗浄処理を行うは、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸等の含有量が低減される観点からも好ましい。
固形分の具体的な洗浄方法は特に制限は無く、水、水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒等を使用して、固形分に付着したマレイン酸を除去することができればよく、更に、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸等を除去することができればなおよい。なお、水溶性の有機溶媒とは、第一工程で説明した水溶性の有機溶媒と同義であり、その例も同様である。
〔ポリアスパラギン酸塩の製造方法〕
本開示のポリアスパラギン酸塩の製造方法は、ポリコハク酸イミドの製造方法により得られたポリコハク酸イミドに、アルカリ水溶液を加えてポリコハク酸イミドを加水分解させ、ポリアスパラギン酸塩を得る工程を含む。
アルカリ水溶液としては、25℃におけるpHが10〜14であるものが好ましく、12〜14であるものがより好ましい。
アルカリ水溶液の具体例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩の水溶液、アンモニア水等が挙げられる。特に、NaOH、KOHまたはLiOHの水溶液が好ましく、NaOHの水溶液がより好ましい。アルカリ水溶液における塩基の濃度は特に制限は無いが、通常は0.5〜50質量%溶液が好ましい。
アルカリ水溶液の使用量は、本開示のポリコハク酸イミドの製造方法により得られたポリコハク酸イミドをポリアスパラギン酸塩に変換するのに十分な量であればよい。通常、用いる塩基のモル数がポリコハク酸イミド中のカルボキシル基およびイミド基を合わせたモル数の90〜120%の範囲内であれば特に問題ない。
アルカリ水溶液で処理する際の温度は、ポリマー主鎖の加水分解が起こらない温度であればよく、通常は10℃〜70℃が好ましく,40〜60℃がより好ましい。また、アルカリ水溶液で処理する際の時間は、1時間〜6時間が好ましい。
以上のようにして得たポリアスパラギン酸塩水溶液は、そのまま使用することもできるが、凍結乾燥などの手段で粉体(すなわち、ポリアスパラギン酸塩粉体)として取り出すこともできる。また、適宜酸で中和してポリアスパラギン酸として取り出すこともできる。
次に、本開示のポリアスパラギン酸塩の一種であるポリアスパラギン酸ナトリウムを例に取り、本開示のポリアスパラギン酸塩の製造方法の一例を示す。
ポリアスパラギン酸ナトリウムの製造方法の一例においては、本開示のポリコハク酸イミドの製造方法により得られたポリコハク酸イミドに蒸留水を加えて溶液の濃度を調製する。その後、溶液の温度が45℃〜55℃となるように制御しながら水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ滴下し、反応マスが流動性を獲得したところで、pH測定を開始し、pHを測定しながら水酸化ナトリウム水溶液をさらに滴下し、pHがpH10〜pH10.5の範囲で変動しなくなった時に滴下を終了して、ポリアスパラギン酸ナトリウムを得る。その後、水を加えて、目的とする濃度のポリアスパラギン酸ナトリウム水溶液を得る。
ポリアスパラギン酸ナトリウムをポリコハク酸イミドの加水分解によって得る場合、ポリマー中には、一部、加水分解されなかったコハク酸イミド構造単位が残留してもよい。言い換えると、本開示のポリアスパラギン酸塩はコハク酸イミド構造単位を一部(例えば全構造単位数の3%以下、又は1%以下)含有していても、コハク酸イミド構造単位を全く含有していなくてもよい。
本開示に係るポリコハク酸イミドは、そのまま、ポリコハク酸イミドとして使用してもよい。また、本開示に係るポリコハク酸イミドを誘導化して、ポリアスパラギン酸誘導体として使用してもよい。ポリアスパラギン酸誘導体としては、アルカリ、アミン等によって加水分解したポリアスパラギン酸塩、一部に架橋構造を有する吸水性ポリマーである架橋ポリアスパラギン酸、疎水基と親水基を導入した界面活性能を有するポリアスパラギン酸誘導体等が挙げられる。これらの中でも、ポリアスパラギン酸塩は、化粧料の原料として使用することができる。化粧料としては、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、ヘアケア化粧料、ボディケア化粧料などが挙げられ、例えば、化粧水、美容液、乳液、クリーム、パック、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、アイブロー、ファンデーション、ファイスパウダー、メイクアップベース、チーク、洗顔料、ヘアスタイリング剤、染毛剤、染毛料、脱色剤、育毛剤、シャンプー、トリートメント、コンディショナー、クレンジング、口紅、グロス、歯磨き剤、歯ホワイトニング、日焼け止め、ボディパウダー、ボディーソープ、ハンドソープ、デオドラント、入浴剤などが挙げられる。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
<ポリコハク酸イミドの準備(1)>
1000mlのセパラブルフラスコとガラス製の三枚後退翼撹拌羽根を反応装置として使用した。また、不活性ガスとして、窒素ガスを用いた。フラスコ内には、窒素導入ライン及び温度計を設けた。フラスコに反応原料のL−アスパラギン酸160.0g(1.202mol)を仕込んだ。次いで、フラスコ内を、三枚後退翼撹拌羽根で 100rpmの回転数で撹拌した。窒素ガスを装入し、窒素ガス気流下において、250℃に加熱したオイルバスに浸漬して大気圧(0.1MPa)下で、フラスコ内のL−アスパラギン酸を加熱した。L−アスパラギン酸の重縮合により生成した水は、フラスコ内より留去させ、冷却したトラップに回収した。6時間加熱した後に、フラスコ内を冷却して、粗合成ポリコハク酸イミド(「処理前PSI」ともいう。)を116.1g(1.196mol)を得た。
〔実施例1〕
<第一工程>
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン及び排気ラインを備えた300mLのフラスコに、ポリコハク酸イミドの準備(1)で得られた粗合成ポリコハク酸イミド50.0gと、蒸留水150.0gとを入れ、撹拌混合しポリコハク酸イミドを水中で分散させた。撹拌を継続し、50℃の処理温度で3時間加熱処理を行い、ポリコハク酸イミドを含む均質な分散液(スラリー)を得た。
<第二工程>
第一工程で得られたスラリーを吸引濾過してポリコハク酸イミドを含む固形分を含有するウェットケーキを取り出し、次いでこの濾過器内のウェットケーキに蒸留水50.0gを注いでリンス洗浄処理を行った。リンス洗浄液が濾過器から出終わった後に、ウェットケーキを取り出した。
ここで、本工程(第二工程)にて、得られたろ液中に含まれるL−アスパラギン酸(以下、「L−Asp」ともいう。)の含有量を下記に示す方法により測定し、第一工程で仕込んだポリコハク酸イミド(以下、「PSI」ともいう。)に対するL−Aspの含有量の割合(mol%)を算出した。更に、本工程にて、取り出されたウェットケーキ中に含まれるマレイン酸の含有量を下記に示す方法により測定した。結果を表1に示す。なお、本工程にて、取り出されたウェットケーキ中に含まれるPSIを「湿PSI」ともいう。
−L−アスパラギン酸の含有量の測定方法−
L−Aspの含有量の測定は以下に示す方法で行った。
L−Aspは、HPLCカラムで分離後にOPA(オルトフタルアルデヒド)を反応試薬として用いた、ポストカラム誘導体化法により誘導化した。誘導化した物質は蛍光検出(Ex[励起波長]:340〜350nm、Em[蛍光波長]:450〜460nm)により検出した。また、定量法として内部標準法を用い、内部標準物質としてL−Valを用いた。具体的には、L−Valを、L−AspとHPLCで分離後にポストカラム法で誘導化した後に検出した。カラムはRSpack NN−814(φ8.0mmX250mm)Shodexを用い、溶離液には10mM−NaHPO(pH=3.0、HPOによりpH調整。)を用いた。得られた測定値から、仕込んだPSIの含有量に対するL−Aspの含有量の割合(mol%)をL−Asp残存率として算出し、以下の評価基準により評価した。
L−Asp残存率は、1mol%未満であれば、L−Aspの副生は許容範囲内であり、PSIの加水分解が十分に抑制されているといえる。
−マレイン酸の含有量の測定方法−
ポリコハク酸イミド中のマレイン酸の含有量の測定は、以下に示す方法で行った。
純度99.0質量%のマレイン酸を用い、液体クロマトグラフ法による分析条件で、得られた液体クロマトグラフの面積値から検量線を作成した。検量線は、既知のマレイン酸濃度の標準試料の液体クロマトグラフから、マレイン酸の濃度とピーク面積値との間の検量線を作成した。この検量線を参照して、上記ウェットケーキ中のポリコハク酸イミドにおけるマレイン酸の濃度(ppm)を求めた。
分析試料調製:ポリコハク酸イミドを500mg秤量し、内部標準物質としてp-トルエンスルホン酸ナトリウムを20mg、水を5ml添加する。その後、32質量%水酸化ナトリウム水溶液をpH12となるまで添加する。このときポリコハク酸イミドはポリアスパラギン酸ナトリウムとなって水溶液となる。そして10質量%リン酸水溶液をpH7となるまで添加して中和する。次にメタノールを35ml添加してポリアスパラギン酸ナトリウムを析出させた後、0.45μmのシリンジフィルタで濾過して濾液を分析試料として得る。
カラム:Hydrosphere C18;L250mm×φ4.6mm 粒子径5μm 細孔径12nm (YMC製)
オーブン温度:40℃
移動相:アセトニトリル/水/85%リン酸=800ml/1200ml/1.41g
検出方法:UV 230nm
試料注入量:5μl
<第三工程>
撹拌装置、温度計、ガス導入ライン、及び排気ラインを備えた500mLのフラスコを準備した。ここに、第二工程で得られたウェットケーキと、蒸留水とを加え、溶液の温度が25℃〜52℃となるように制御しながら水酸化ナトリウム水溶液を少量ずつ滴下した。ウェットケーキが流動性を獲得したところで、pH測定を開始し、pHを測定しながら水酸化ナトリウム水溶液をさらに滴下し、pHがpH10〜pH10.5の範囲で変動しなくなった時に滴下を終了して、ポリアスパラギン酸ナトリウム濃度が40質量%であるポリアスパラギン酸ナトリウム水溶液(以下、「PA−Na水溶液」ともいう。)を得た。
得られたPA−Na水溶液中に含まれるマレイン酸の含有量およびL−Aspの含有量は、上記の方法で測定した。結果を表1に示す。
〔実施例2〜3、比較例1〜2〕
表1に示す値となるように、第一工程の処理温度を変更した以外は実施例1と同様にポリコハク酸イミド及びポリアスパラギン酸ナトリウム水溶液を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。なお、表1中の「−」は、未測定であることを示す。
Figure 2021054977
表1に示した結果より、実施例で得られたポリコハク酸イミド、及びポリアスパラギン酸ナトリウム水溶液は、ポリコハク酸イミドの加水分解が抑制されつつ、マレイン酸の含有量が低減されていることが分かる。

Claims (5)

  1. 粗合成ポリコハク酸イミドを溶媒に分散した分散液を35℃以上85℃以下の温度で加熱処理する工程を含むポリコハク酸イミドの製造方法。
  2. 前記粗合成ポリコハク酸イミドが固相重合により得られたものである請求項1に記載のポリコハク酸イミドの製造方法。
  3. 前記溶媒が、水、又は水と水溶性の有機溶媒との混合溶媒である請求項1又は請求項2に記載のポリコハク酸イミドの製造方法。
  4. 更に、
    前記加熱処理後の分散液からポリコハク酸イミドを含む固形分を取り出す工程と、
    前記固形分を洗浄する工程と、
    を含む請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のポリコハク酸イミドの製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のポリコハク酸イミドの製造方法により得られたポリコハク酸イミドに、アルカリ水溶液を加えて前記ポリコハク酸イミドを加水分解させ、ポリアスパラギン酸塩を得る工程を含むポリアスパラギン酸塩の製造方法。
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