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JP2021053655A - 演算装置、演算システム、製造システム及び演算方法 - Google Patents

演算装置、演算システム、製造システム及び演算方法 Download PDF

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JP2021053655A JP2019177519A JP2019177519A JP2021053655A JP 2021053655 A JP2021053655 A JP 2021053655A JP 2019177519 A JP2019177519 A JP 2019177519A JP 2019177519 A JP2019177519 A JP 2019177519A JP 2021053655 A JP2021053655 A JP 2021053655A
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匡 齋藤
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匡 齋藤
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Abstract

【課題】品質不良を抑制できる動作条件を適切に設定する。【解決手段】演算装置38は、第1部材T1と第2部材T2との少なくともどちらか一方に回転させた工具18を接触させて第1部材T1と第2部材T2とを接合する摩擦撹拌接合装置に用いられる。演算装置38は、第1部材T1、第2部材T2、及び第1部材T1と第2部材T2との接合部T3の少なくとも一部の状態である部材状態と、工具18の状態である工具状態と、を検出する検出部と、検出部により検出された部材状態と工具状態とに基づいて、摩擦撹拌接合装置の動作条件を第1の値から第2の値へ変更するための変更情報を生成する変更情報生成部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、演算装置、演算システム、製造システム及び演算方法に関する。
被接合材料同士を接合する方法として、工具を回転させて発生する摩擦熱で被接合材料を軟化させ、その部分を撹拌することで被接合材料同士を接合する摩擦撹拌接合(FSW:Friction Stir Welding)が知られている。
米国特許出願公開第2017/0266754号明細書
本発明の態様によれば、演算装置は、第1部材と第2部材との少なくともどちらか一方に回転させた工具を接触させて前記第1部材と前記第2部材とを接合する摩擦撹拌接合装置に用いられる演算装置であって、前記第1部材、前記第2部材、及び前記第1部材と前記第2部材との接合部の少なくとも一部の状態である部材状態と、前記工具の状態である工具状態と、を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記部材状態と前記工具状態とに基づいて、前記摩擦撹拌接合装置の動作条件を第1の値から第2の値へ変更するための変更情報を生成する変更情報生成部と、を備える。
本発明の態様によれば、演算方法は、第1部材と第2部材との少なくともどちらか一方に回転させた工具を接触させて前記第1部材と前記第2部材とを接合する摩擦撹拌接合装置に用いられる演算方法であって、前記第1部材、前記第2部材、及び前記第1部材と前記第2部材との接合部の少なくとも一部の状態である部材状態と、前記工具の状態である工具状態と、を検出することと、検出した前記部材状態と前記工具状態とに基づいて、前記摩擦撹拌接合装置の動作条件を第1の値から第2の値へ変更するための変更情報を生成することと、を含む。
第1実施形態に係る製造システムの模式図である。 製造装置による接合の方法を説明する模式図である。 製造装置による接合の方法を説明する模式図である。 第1実施形態に係る制御装置の模式図である。 第1実施形態に係る演算装置の模式的なブロック図である。 第1実施形態における撮像領域を説明するための模式図である。 第1実施形態における撮像領域を説明するための模式図である。 第1実施形態に係る照射部及び第1撮像部の模式図である。 光の波長と反射率との関係を示すグラフである。 第1実施形態に係る反射率の異常判断方法を説明するフローチャートである。 第第1実施形態に係る第2撮像部の模式図である。 開口とバリと加工パスとを説明するための模式図である。 開口の検出方法を説明するフローチャートである。 バリの検出方法を説明するフローチャートである。 工具の挿入量を説明する模式図である。 工具の挿入量を説明する模式図である。 工具の形状の検出について説明する模式図である。 第1実施形態に係る演算装置の処理フローを説明するフローチャートである。 変更情報の生成について説明するフローチャートである。 変更情報の生成について説明するフローチャートである。 変更情報の生成について説明するフローチャートである。 変更情報の生成について説明するフローチャートである。 第1実施形態の変形例を説明する模式図である。 第1実施形態の変形例を説明する模式図である。 第1実施形態の変形例を説明する模式図である。 第1実施形態の変形例を説明する模式図である。 第1実施形態の変形例を説明する模式図である。 第1実施形態の変形例を説明する模式図である。 第2実施形態に係る製造システムの模式図である。 第2実施形態に係る照射部及び撮像部を説明する模式図である。 第2実施形態に係る照射部及び第1撮像部の模式図である。 検出領域からの光の強度を説明するためのグラフである。 検出領域からの光の強度を説明するためのグラフである。 第2実施形態に係る空孔の検出方法を説明するフローチャートである。 部材における伝熱を説明する模式図である。 検出領域からの光の強度を説明するためのグラフである。 検出領域からの光の強度を説明するためのグラフである。 第2実施形態に係る化合物の厚みの検出方法を説明するフローチャートである。 第2実施形態に係る第1撮像部による光の検出について説明する図である。 第2実施形態に係る演算装置の処理フローを説明するフローチャートである。 変更情報の生成について説明するフローチャートである。 変更情報の生成について説明するフローチャートである。 第3実施形態に係る製造システムの模式図である。 第3実施形態に係る製造装置による接合の方法を説明する模式図である。 第3実施形態に係る工具状態を説明する図である。 第3実施形態に係る演算装置の処理フローを説明するフローチャートである。 第3実施形態に係る変更情報の生成について説明するフローチャートである。 第3実施形態に係る変更情報の生成について説明するフローチャートである。 第3実施形態に係る変更情報の生成について説明するフローチャートである。 製造システムを有するシステムの構成を示す模式図である。 システムのブロック構成図である。 システムによる処理の流れを示したフローチャートである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。また、Z軸方向において鉛直方向上方に向かう方向を、+Z軸方向とし、Z軸方向において鉛直方向下方に向かう方向を、−Z軸方向とする。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る製造システムの模式図である。第1実施形態に係る製造システム1は、製造装置10と演算システム12とを備える。製造装置10は、被接合材料である第1部材T1と第2部材T2とを接合することで、第1部材T1と第2部材T2との接合体を製造する装置である。製造装置10は、第1部材T1と第2部材T2との少なくともどちらか一方に回転させた工具18を接触させて第1部材T1と第2部材T2とを接合する、摩擦撹拌接合装置である。以下、製造装置10による第1部材T1と第2部材T2との接合箇所を、接合部T3と記載する。そして、第1部材T1、第2部材T2、及び接合部T3を区別しない場合は、部材Tと記載する。すなわち、部材Tは、第1部材T1と第2部材T2と接合部T3との少なくとも1つを指す。なお、接合部T3は、製造装置10の摩擦撹拌によって第1部材T1の一部と第2部材T2の一部とが混ざり合った領域とも言えるし、第1部材T1と第2部材T2との少なくともどちらか一方に工具18が接触、通過した領域とも言える。なお、摩擦撹拌が不適切である場合、この接合部T3には後述する開口や空孔などの欠陥が発生する。
第1部材T1と第2部材T2とは、本実施形態では、金属材料である。本実施形態では、第1部材T1と第2部材T2とは、互いに異なる材料である。本実施形態の例では、第1部材T1は、アルミニウムであり、第2部材T2は、鉄である。ただし、第1部材T1と第2部材T2とは、任意の材料であってよく、例えば金属材料でなくてもよいし、互いに同じ材料であってもよい。
(製造装置)
図1に示すように、製造装置10は、基部13と、工具ステージ14と、工具保持部16と、工具18と、基台部24と、第1ワークステージ26と、第2ワークステージ28と、制御装置30とを備える。基部13は、製造装置10の各種機器が収納される。図1の例では、制御装置30と後述の演算装置38とが基部13に収納されているが、制御装置30と演算装置38との位置は、基部13内に限られず、任意であってよい。また、本実施形態では、制御装置30と演算装置38とが、別の装置であるが、制御装置30と演算装置38とが1つの装置であってもよい。
工具ステージ14は、スライダ14Aを介して基部13に接続されている。工具保持部16は、工具ステージ14に接続されており、工具ステージ14から、−Z軸方向側に突出している。工具保持部16は、−Z軸方向の端部に工具18が接続されており、−Z軸方向の端部で工具18を保持する。工具18は、ショルダ20とプローブ22とを備える。ショルダ20は、工具保持部16の−Z軸方向の端部に接続される。プローブ22は、ショルダ20の工具保持部16と反対側(−Z軸方向側)の端部20aに設けられる。プローブ22の外径は、ショルダ20の外径よりも小さく、外周面に溝(言い換えると、ねじ山のような凹凸)が形成される。工具18、すなわちショルダ20及びプローブ22は、工具18の中心軸AXを中心として回転する。
基台部24は、第1ワークステージ26と、第2ワークステージ28とを、上部に載せる台座である。基台部24は、基部13に対して位置が固定されており、工具18の−Z軸方向側に位置している。第1ワークステージ26は、基台部24の上部に設けられ、上部に第2ワークステージ28を載せる。第2ワークステージ28は、上部に部材Tを載せるテーブルである。部材Tは、第2ワークステージ28に対して位置が固定されるように、第2ワークステージ28上に載せられる。なお、ここでの上部とは、+Z軸方向側の表面を指す。
工具ステージ14と、第1ワークステージ26と、第2ワークステージ28とは、部材Tと工具18との相対位置を変化させる移動機構である。相対位置とは、部材Tに対する、工具18の位置であり、言い換えれば、部材Tと工具18との相対位置である。相対位置は、工具18の位置(座標)が、部材Tの位置(座標)に対し、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の少なくともいずれかにおいて変化した場合に、変化する。
本実施形態においては、工具ステージ14は、例えばZ軸方向に沿って延在するスライダ14Aを介して、基部13にZ軸方向に移動可能に取り付けられている。工具ステージ14は、基部13に対してZ軸方向に移動することで、工具保持部16を介して取り付けられている工具18を、Z軸方向に移動させる。工具ステージ14は、工具18をZ軸方向に移動させることで、部材Tと工具18とのZ軸方向に沿った相対位置を変化させる。第1ワークステージ26は、例えばY軸方向に沿って延在するスライダ24Aを介して、基台部24にY軸方向に移動可能に取り付けられている。第1ワークステージ26は、基台部24に対してY軸方向に移動することで、第2ワークステージ28を介して取り付けられている部材Tを、Y軸方向に移動させる。第1ワークステージ26は、部材TをY軸方向に移動させることで、部材Tと工具18とのY軸方向に沿った相対位置を変化させる。第2ワークステージ28は、例えばX軸方向に沿って延在するスライダ26Aを介して、第1ワークステージ26にX軸方向に移動可能に取り付けられている。第2ワークステージ28は、第1ワークステージ26に対してX軸方向に移動することで、上部に取り付けられている部材Tを、X軸方向に移動させる。第2ワークステージ28は、部材TをX軸方向に移動させることで、部材Tと工具18とのX軸方向に沿った相対位置を変化させる。
このように、本実施形態では、工具ステージ14により工具18をZ軸方向に移動させ、第1ワークステージ26及び第2ワークステージ28により部材TをX軸方向及びY軸方向に移動させることで、部材Tと工具18との相対位置を変化させる。ただし、製造装置10は、部材Tと工具18との相対位置を変化可能に構成されていれば、工具18をZ軸方向に移動させて部材TをX軸方向及びY軸方向に移動させることに限られない。例えば、製造装置10は、部材TをX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動させたり、工具18をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動させたりすることで、部材Tと工具18との相対位置を変化させてもよい。
また、製造装置10は、工具18と部材Tとの相対姿勢を変化させる。相対姿勢とは、部材Tに対する、工具18の相対角度であり、言い換えれば、工具18と部材Tとの相対姿勢(相対角度)である。相対姿勢は、工具18の姿勢が、部材Tの姿勢に対し、θX軸方向、θY軸方向、及びθZ軸方向の少なくともいずれかにおいて変化した場合に、変化する。本実施形態では、製造装置10は、工具18と部材TとのθX軸方向における相対姿勢を変化させる。例えば、工具18は、工具保持部16に対して、X軸方向に平行な回転軸AX1を中心に回転することで、工具保持部16に対する、すなわち部材Tに対する、θX軸方向における相対姿勢を変化させる。なお、第1ワークステージ26又は第2ワークステージ28の少なくとも一方をX軸方向に平行な回転軸を中心に回転させることで、工具18と部材TとのθX軸方向における相対姿勢を変化させてもよい。また、工具18は、上述のように工具18の中心軸AXを中心として回転することで、工具保持部16に対する、すなわち部材Tに対する、θZ軸方向における相対姿勢を変化させる。また、工具18と部材Tとの少なくとも一方をθY軸方向に回転させて、工具18と部材TとのθY軸方向における相対姿勢を変化させてもよい。
なお、後述の演算システム12の照射部32A及び撮像部34は、工具保持部16に対して位置が固定されている。従って、照射部32A及び撮像部34は、工具18との相対位置が固定されている。そのため、照射部32A及び撮像部34は、工具18と一体でZ軸方向に移動して、部材Tに対する相対位置がZ軸方向に移動する。また、部材TがX軸方向及びY軸方向に移動した際には、部材Tに対する照射部32A及び撮像部34の相対位置は、X軸方向及びY軸方向に移動する。また、照射部32A及び撮像部34は、工具18に対して相対姿勢が固定されておらず、工具18と一体でθX方向に回転しない。そのため、工具18がθX方向に回転した際には、照射部32A及び撮像部34と、工具18との相対姿勢が変化する。また、本実施形態では、照射部32A及び撮像部34は、工具18と一体でθZ方向にも回転しないが、例えば工具18と一体でθZ軸方向に回転するよう構成されていてもよい。また、照射部32Aを移動可能にして、照射部32Aと工具18との相対位置及び相対姿勢の少なくとも1つを変化可能な構成にしてもよいし、撮像部34を移動可能にして、撮像部34と工具18との相対位置及び相対姿勢の少なくとも1つを変化可能な構成にしてもよい。
図2及び図3は、製造装置による接合の方法を説明する模式図である。図2に示すように、製造装置10によって第1部材T1と第2部材T2との接合を行う際には、第1部材T1の表面T1Aと第2部材T2の表面T2Aとが、工具18側(+Z軸方向側)に配置され、第1部材T1の側面T1Bと第2部材T2の側面T2Bとが突き合うように、第1部材T1と第2部材T2とを第2ワークステージ28上に配置する。ここでの突き合うとは、側面T1Bと側面T2Bとが対向して互いに接触することを指す。製造装置10は、工具18をθZ方向に回転させながら、工具18をZ軸方向に動かして、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方に、プローブ22を挿入する。プローブ22は、ショルダ20の端部20aが、第1部材T1の表面T1Aと第2部材T2の表面T2Aとの少なくとも一方に接触する位置まで、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方に挿入される。プローブ22は、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方に挿入されて回転することで、第1部材T1と第2部材T2とに、回転による摩擦熱を伝える。また、この時、ショルダ20は、第1部材T1の表面T1Aと第2部材T2の表面T2Aとの少なくとも一方に端部20aが接触した状態で回転することで、第1部材T1と第2部材T2とに、回転による摩擦熱を伝える。第1部材T1と第2部材T2とは、摩擦熱により軟化し、プローブ22及びショルダ20の回転により撹拌されることで、互いが混ざり合い接合される。
図3に示すように、製造装置10は、プローブ22がθZ方向に回転しつつ第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方に挿入されている状態で、部材Tに対して、工具18を送り方向に相対移動させる。本実施形態では、第1ワークステージ26をY軸方向に移動させるため、送り方向はY軸方向となる。プローブ22は、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方に挿入された状態でθZ方向に回転しながら、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方に対してY軸方向に相対移動する。これにより、プローブ22は、送り方向(Y軸方向)に沿った各位置で第1部材T1と第2部材T2とを摩擦撹拌して、第1部材T1と第2部材T2とを接合する。なお、ショルダ20は、端部20aが第1部材T1の表面T1Aと第2部材T2の表面T2Aとの少なくとも一方に接触した状態で、プローブ22と一体で、θZ方向に回転しつつ送り方向に相対移動する。なお、送り方向はY軸方向に限られず任意であり、例えばX軸方向であってもよい。
第1部材T1と第2部材T2とは、このようにして接合される。本実施形態においては、図2及び図3に示すように、接合部T3は、部材Tにおいて、Z軸方向から見てショルダ20の端部20a及びプローブ22が部材Tに接触した領域である。また、部材Tの全体のうち、Z軸方向から見てショルダ20の端部20a及びプローブ22が通った後の領域に重なる部分を、接合部T3ともいえる。なお、接合部T3は、工具18による摩擦撹拌で第1部材T1と第2部材T2が互いに混ざり合う領域とも言える。以下において、部材Tの工具18側の表面を、表面TAとする。なお、図2及び図3の説明では、プローブ22は、第1部材T1と第2部材T2との両方に挿入されるが、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方に挿入されてもよい。
図2及び図3においては、側面T1B、T2Bが突き合されて接合される、いわゆる突き合せ接合を例にしており、以降においても突き合わせ接合を例に説明するが、製造装置10は、突き合せ接合を実施することに限られない。例えば、製造装置10は、いわゆる重ね合わせ接合を行ってもよい。重ね合わせ接合においては、例えば、第1部材T1の表面T1Aと反対側の背面T1Cを、第2部材T2の表面T2Aに接触させることで、第1部材T1と第2部材T2とを重ね合わせる。そして、第1部材T1と第2部材T2とが重なる部分にプローブ22を回転させつつ挿入することで、摩擦撹拌接合を行う。
図4は、第1実施形態に係る制御装置の模式図である。制御装置30は、製造装置10の各部を制御して、製造装置10に第1部材T1と第2部材T2とを接合させる装置である。制御装置30は、駆動制御部30Aと、記憶部30Bとを備える。駆動制御部30Aは、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。記憶部30Bは、駆動制御部30Aの制御内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。制御装置30は、さらに、ユーザからの操作を受け付ける入力部と、情報を出力する出力部との少なくとも1つを備えていてもよい。入力部は、例えばマウス、キーボード、又はタッチパネルなどであり、出力部は、例えば表示装置である。
駆動制御部30Aは、製造装置10の動作条件を設定して、設定した動作条件で、製造装置10を駆動する。動作条件としては、例えば、工具18の回転数と、工具18の送り速度と、工具18の挿入量と、工具18による部材Tにおける加工パスとの少なくとも1つが挙げられる。工具18の回転数は、工具18の中心軸AXを中心とした(θZ方向の)回転の単位時間当たりの回転数である。駆動制御部30Aは、設定した工具18の回転数で、工具18をθZ方向に回転させる。工具18の送り速度とは、送り方向(本実施形態ではY軸方向)における、部材Tに対する工具18の相対移動速度である。駆動制御部30Aは、設定した送り速度で、工具18の部材Tに対する送り方向(ここではY軸方向)の相対位置を変化させる。工具18の挿入量とは、部材Tに対する工具18の挿入量であり、言い換えれば、工具18の部材Tに挿入されている部分の長さである。駆動制御部30Aは、工具18の部材Tに対するZ軸方向における相対位置を調整することで、工具18の挿入量を設定した工具18の挿入量とする。工具18の挿入量の詳細については後述する。加工パスとは、プローブ22を回転させながら部材Tに挿入した状態における、部材Tに対する工具18の移動経路であり、さらに言えば、送り方向に直交する方向(ここではX軸方向)での、部材Tに対する工具18の相対位置である。言い換えると、加工パスは、工具18による部材Tにおける加工経路であり、送り方向に直交する方向での、部材Tに対する加工位置である。駆動制御部30Aは、設定した加工パスとなるように、工具18の部材Tに対する送り方向に直交する方向の相対位置を変化させる。なお、駆動制御部30Aは、動作条件として、工具18の回転数、工具18の送り速度、工具18の挿入量、及び工具18による部材Tにおける加工パスの全てを設定することが好ましい。また、駆動制御部30Aは、動作条件として、工具18と部材TとのθX軸方向における相対位置などを設定してもよい。
製造装置10は、制御装置30により設定された動作条件で駆動して、第1部材T1と第2部材T2とを接合する。このような製造装置10は、第1部材T1と第2部材T2との接合不良により、部材Tの品質不良を招く場合がある。品質不良は、製造装置10の動作条件を設定し直すことで抑制できる場合もある。本実施形態においては、演算システム12によって、部材T(第1部材T1、第2部材T2及び接合部T3の少なくとも1つ)の状態である部材状態と、工具18の状態である工具状態とを検出することで、品質不良を抑制するために動作条件をどのように変更するかを示す変更情報を、生成する。製造装置10は、部材Tの品質異常を検出して変更情報に応じて動作条件を設定し直すことで、部材Tの品質不良を適切に抑制することができる。なお、部材Tの品質不良とは、部材Tをそのまま使用できず、廃棄などが必要な程度に、部材Tの品質が低下していることを指す。部材Tの品質異常とは、廃棄が不要でそのまま使用可能な程度に、部材Tの品質の低下度合いが軽微な状態を指す。言い換えれば、部材Tの品質異常とは、品質不良までは至っていないが、品質不良となる傾向を示している状態である。以下、演算システム12について説明する。
(演算システム)
図1に示すように、演算システム12は、照射部32Aと、第1撮像部34Aと、第2撮像部34Bと、演算装置38とを備える。以下、第1撮像部34A及び第2撮像部34Bを区別しない場合は、撮像部34と記載する。照射部32A、第1撮像部34A、及び第2撮像部34Bについて説明する前に、演算装置38について説明する。図5は、第1実施形態に係る演算装置の模式的なブロック図である。図5に示すように、演算装置38は、演算部40と記憶部42とを備える。演算部40は、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部42は、演算部40の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。演算装置38は、さらに、ユーザからの操作を受け付ける入力部と、情報を出力する出力部との少なくとも1つを備えていてもよい。入力部は、例えばマウス、キーボード、又はタッチパネルなどであり、出力部は、例えば表示装置である。
演算部40は、機器制御部50と、検出部52と、接合状態判定部54と、変更情報生成部56と、変更情報出力部58と含む。機器制御部50と、検出部52と、接合状態判定部54と、変更情報生成部56と、変更情報出力部58とは、演算部40が記憶部42に記憶されたソフトウェア(プログラム)を読み出すことで実現されて、後述する処理を実行する。
機器制御部50は、照射部32A、第1撮像部34A、及び第2撮像部34Bの動作を制御する。機器制御部50は、照射部32Aに光を照射させ、第1撮像部34A及び第2撮像部34Bに撮像させる。照射部32Aによる光の照射、第1撮像部34A及び第2撮像部34Bによる撮像の詳細については、後述する。
検出部52は、部材Tの状態である部材状態と、工具18の状態である工具状態とを検出する。検出部52は、撮像部34が撮像した画像に基づき、部材状態と工具状態とを検出する。機器制御部50は、第1部材T1と第2部材T2との接合中において、所定時間毎に撮像部34に画像を撮像させ、検出部52は、第1部材T1と第2部材T2との接合中において、撮像部34が画像を撮像する毎に、部材状態と工具状態とを検出する。検出部52は、部材状態として、部材Tの表面TAの光の反射率と、接合部T3に形成される開口と、接合部T3の周囲に形成されるバリと、工具18による部材Tにおける加工パスとを検出する。なお、加工パスは、送り方向に直交する方向において部材Tが加工される位置であるため、部材状態に含まれる。第1実施形態に係る検出部52は、部材状態として、部材Tの外部(表面TA)の状態を検出するといえる。また、検出部52は、工具状態として、工具18の挿入量と、工具の形状とを検出する。以下、部材状態と工具状態とのそれぞれの検出について説明する。
まず、部材Tの表面TAの光の反射率の検出について説明する。検出部52は、第1撮像部34Aによって撮像された、照射部32Aからの光LABが投影された部材Tの像に基づき、部材Tの表面TAの光の反射率を検出する。さらに言えば、検出部52は、第1撮像部34Aによって撮像された、照射部32Aからの光LABが投影された接合部T3の表面T3Aの像に基づき、接合部T3の表面T3Aの光の反射率を検出する。以下、照射部32A及び第1撮像部34Aについて説明する。
図6及び図7は、第1実施形態における撮像領域を説明するための模式図である。図6に示すように、照射部32Aは、領域R0に、光LABを照射する。領域R0は、照射部32Aが光LABを照射する範囲を指す。領域R0は、部材Tの表面TAに重なり、本実施形態では、図7に示すように、接合部T3の表面T3Aの少なくとも一部の領域に重なる。すなわち、照射部32Aは、接合部T3の表面T3Aの少なくとも一部の領域に、投影光として光LABを投影する。ただし、領域R0は、図7の例に限られず、例えば、第1部材T1の表面T1Aの少なくとも一部の領域と、第2部材T2の表面T2Aの少なくとも一部の領域と、接合部T3の表面T3Aの少なくとも一部の領域と、工具18の表面の領域との全てに、重なってもよい。以下、部材Tの表面TAにおいて領域R0と重なる領域を、照射領域AR0と記載する。照射部32Aは、照射領域AR0に、投影光として光LABを投影するといえる。
図6に示すように、第1撮像部34Aは、撮像領域R1の範囲内で撮像する。撮像領域R1は、第1撮像部34Aの撮像領域であり、言い換えれば第1撮像部34Aによって撮像される範囲である。撮像領域R1は、部材Tの表面TAに重なり、本実施形態では、図7に示すように、接合部T3の表面T3Aの少なくとも一部の領域に重なる。部材Tの表面TAにおいて撮像領域R1と重なる領域を、検出領域AR1と記載すると、第1撮像部34Aは、光LABが投影された部材Tの検出領域AR1の像を、撮像するといえる。検出領域AR1と照射領域AR0とは、少なくとも一部において重なる。従って、第1撮像部34Aは、照射部32Aによって投影光である光LABが投影された照射領域AR0と重なる検出領域AR1の像を、撮像するといえ、また、本実施形態では、第1撮像部34Aは、照射部32Aからの光LABが投影された接合部T3の表面T3A像を、撮像するともいえる。なお、照射領域AR0と撮像領域R1とも、少なくとも一部が重なっていればよく、撮像領域R1と検出領域AR1とも、少なくとも一部が重なっていればよい。すなわち、検出領域AR1と照射領域AR0、照射領域AR0と撮像領域R1、及び撮像領域R1と検出領域AR1は、完全に同一な領域であってもよいし、一部のみが重なっていてもよい。
図8は、第1実施形態に係る照射部及び第1撮像部の模式図である。図8に示すように、照射部32Aは、光源部60A、60Bと、レンズ62A、62Bと、光合成部64と、光拡散部66と、レンズ68とを備える。光源部60Aは、光LAを照射する光源であり、光源部60Bは、光LBを照射する光源である。光源部60A、60Bは、例えばLED(Light Emitting Diode)である。光LAは、第1波長の光であり、光LBは、第2波長の光であり、第1波長と第2波長とは、互いに異なる(重ならない)。すなわち、光LAと光LBとは、互いに波長が異なる光である。本実施形態では、光LAと光LBとは、可視光の波長の光である。本実施形態の例では、光LAの第1波長は、例えば600nmである。また、光LBの第2波長は、例えば400nmである。ただし、光LAと光LBとは、互いに波長が異なる(波長が重ならない)光であれば、以上の波長に限られない。また、光LAと光LBとは、可視光の波長の光にも限られない。なお、光源部60A、60Bは、LEDでなくてもよく、他の既存の光源を用いてもよい。また、複数の光源部(60A、60B)を用いなくてもよく、第1波長と第2波長を含む波長帯域の光を出射する1つの光源を光源部として用いてもよい。この場合、ランプ(水銀ランプやキセノンランプ)やSLD(スーパールミネッセンスダイオード)などの広帯域の光を出射する光源を用い、既存のバンドパスフィルタを用いて、水銀ランプやキセノンランプから出射された光から第1波長の光と第2波長の光(つまり、後述の光LAB)を選択してもよい。なお、1つの光源を光源部として用いる場合、光合成部64は不要であり、光源から出射した光をコリメートするためのレンズを設ければよい。
光源部60Aから照射された光LAは、レンズ62Aに入射して、レンズ62Aにコリメートされて、レンズ62Aから光合成部64に入射する。光源部60Bから照射された光LBは、レンズ62Bに入射して、レンズ62Bにコリメートされて、レンズ62Bから光合成部64に入射する。
光合成部64は、光源部60Aからレンズ62Aを経た光LAと、光源部60Bからレンズ62Bを経た光LBとが入射する。光合成部64は、入射した光LAと光LBとの進行方向を合わせて、光LAと光LBとを重ね合わせる光学素子である。光合成部64に入射した光LAと光LBとは、光合成部64において重ね合わされて、光LBとして光合成部64から出射する。すなわち、光LABは、光LAと光LBとが重ね合わされた光であり、第1波長と第2波長とを含む光である。本実施形態では、光合成部64は、ダイクロイックミラーであり、光LAと光LBとのうち一方の波長の光を反射して他方の波長の光を透過する。本実施形態の例では、光合成部64は、第2波長の光LBを反射して第1波長の光LAを透過する。光合成部64は、一方の表面64aから光LAが入射して、入射した光LAを透過して他方の表面64bから出射する。また、光合成部64は、表面64bに光LBが入射して、表面64bで光LBを反射する。表面64bで反射された光LBは、表面64bから出射される光LAに重ね合わされて、光LABとして、光合成部64から出射される。なお、光合成部64は、光LAと光LBとを重ね合わせて光LABとする光学素子であればダイクロイックミラーに限られず、例えばハーフミラーであってもよい。この場合、例えば、光合成部64は、光源部60Aからの光LAのうちの一部を透過して、光源部60Bからの光LAのうちの一部を反射して、透過した光LAと反射した光LBとを重ね合わせた光を、光LABとして出射する。
光拡散部66は、光合成部64に対し、光合成部64から出射される光LABの進行方向側に配置される。光拡散部66は、照射領域AR0の面内における光LABの照度を均一化させる光学素子である。本実施形態では、光拡散部66は、表面に複数のレンズが並んだフライアイレンズである。光拡散部66は、複数のレンズのそれぞれに光LABが入射して、複数のレンズのそれぞれから光が出射される。レンズ68は、光拡散部66からの光LABをコリメートして出射する。レンズ68から出射された光LABは、接合部T3の表面T3Aの照射領域AR0に照射される。より詳しくは、レンズ68には、光拡散部66の複数のレンズのそれぞれから出射された光LABが入射され、それぞれの光LABをコリメートする。レンズ68でコリメートされたそれぞれの光LABは、互いに重ね合わされて、照射領域AR0に照射される。すなわち、照射領域AR0には、レンズ68から出射された光LABが、投影光として投影される。なお、光拡散部66は、必須の構成ではない。
第1撮像部34Aは、レンズ70と、第1光分離部72と、第2光分離部74と、第1光反射部76と、第2光反射部78と、レンズ79と、撮像素子80とを備える。照射部32Aのレンズ68から出射されて照射領域AR0に照射された光LABは、照射領域AR0で反射して、少なくとも一部が、光L1ABとしてレンズ70に入射する。具体的には、レンズ70には、照射部32Aのレンズ68から出射されて照射領域AR0に照射された光LABのうち、検出領域AR1で反射された光LABが、光L1ABとして入射する。なお、光L1ABの波長は、光LABと同じであり、光L1ABは、第1波長の光と第2波長の光とを含む。
第1光分離部72は、レンズ70から出射される光L1ABを、光L1Aと光L1Bとに分離する光学素子である。光L1Aは、第1波長の光であり、光L1Bは、第2波長の光である。本実施形態では、第1光分離部72は、ダイクロイックミラーであり、光L1ABに含まれる第1波長の光L1Aと第2波長の光L1Bのうち、一方の波長の光を反射して他方の波長の光を透過する。本実施形態の例では、第1光分離部72は、第1波長の光L1Aを反射して第2波長の光L1Bを透過する。第1光分離部72は、表面72aから光L1ABが入射して、入射した光L1ABに含まれる光L1Bを透過して他方の表面72bから出射し、入射した光L1ABに含まれる光L1Aを反射する。
第1光分離部72から出射された光L1Bは、第2光分離部74の表面74aに入射する。
第1光分離部72で反射した光L1Aは、第1光反射部76に入射して、第1光反射部76で反射される。第1光反射部76で反射された光L1Aは、第2光反射部78に入射して、第2光反射部78で反射される。第2光反射部78で反射された光L1Aは、第2光分離部74の表面74bに入射する。
第2光分離部74は、入射した光L1Aと光L1Bとを異なる方向に出射する。本実施形態では、第2光分離部74は、ダイクロイックミラーであり、第1波長の光L1Aと第2波長の光L1Bとの一方を反射して他方を透過する。本実施形態の例では、第2光分離部74は、光L1Aを反射して光L1Bを透過する。第2光分離部74は、第1光分離部72を透過した光L1Bが表面74aに入射して、表面74aと反対側の表面74bから出射する。また、第2光分離部74では、第2光反射部78から反射された光L1Aが、表面74bで光L1Bとは異なる方向に反射される。本実施形態では、第2光反射部78の表面(反射面)と、第2光分離部74の表面74aとは、非平行に設定されている。具体的には、第2光反射部78の表面(反射面)は、第2光分離部74の表面74aに対して、Y軸の反時計回りに回転している。また、第1光分離部72の表面72aと第1光反射部76の表面(反射面)とは平行に設定されている。従って、第2光分離部74の表面74bで反射する光L1Aと第2光分離部74を透過する光L1Bとは、異なる方向に進行する。ただし、第2光分離部74の表面74bで反射する光L1Aと第2光分離部74を透過する光L1Bとを異なる方向に進行させる方法は、第2光反射部78の表面(反射面)と、第2光分離部74の表面74aとを非平行に設定することに限られず任意である。例えば、第1光分離部72の表面72aと第1光反射部76の表面(反射面)とを非平行に設定してもよい。
第2光分離部74から出射した光L1Aと光L1Bとは、レンズ79で集光されて、撮像素子80に入射する。なお、光L1Aを集光するレンズと、光L1Bを集光するレンズとを分けてもよい。撮像素子80は、受光面に、複数の画素がマトリクス状に並んでいる。撮像素子80の画素は、フォトダイオードなどの受光素子である。具体的には、撮像素子80はCCD(Charged Coupling Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などである。撮像素子80の受光面は、照射部32Aから出射された光LABが投影される接合部T3の表面T3A(検出領域AR1)と共役な関係となっている。ここで、第2光分離部74からの光L1Aと光L1Bとは、進行方向が異なるため、重ね合わされず互いに分離された状態で、撮像素子80に入射する。図8の例では、光L1Aは、撮像素子80の受光面のうちの一部の領域である受光面80Aに入射し、光L1Bは、撮像素子80の受光面のうちの受光面80Aとは異なる領域である受光面80Bに入射する。撮像素子80は、受光面80Aに設けられた画素において、入射した光L1Aを受光することで、第1波長の光L1Aによる接合部T3の表面T3A(検出領域AR1)の像を撮像する。また、撮像素子80は、受光面80Bに設けられた画素において、入射した光L1Bを受光することで、第2波長の光L1Bによる接合部T3の表面T3A(検出領域AR1)の像を撮像する。なお、第1光分離部72と、第2光分離部74と、第1光反射部76と、第2光反射部78とは、第1波長の光と第2波長の光を含む光L1ABから第1波長の光L1Aと第2波長の光L1Bを分離することから、波長分離部と言える。この波長分離部は、第1波長の光L1Aと第2波長の光L1Bとを、撮像素子80の受光面80Aと受光面80Bへ空間的に分離する。
受光面80Aに入射した光L1Aは、照射部32Aから照射されて検出領域AR1に投影された光LABのうち、第1波長の光である。一方、受光面80Aに入射した光L1Bは、照射部32Aから照射されて検出領域AR1に投影された光LABのうち、第2波長の光である。すなわち、撮像素子80は、検出領域AR1で反射した第1波長の光による検出領域AR1の像を、受光面80Aで撮像し、検出領域AR1で反射した第2波長の光による検出領域AR1の像を、受光面80Bで撮像する。従って、撮像素子80は、同じ領域(検出領域AR1)で反射されて、かつ波長が異なる光による像の一方を、受光面80Aで撮像し、他方を受光面80Bで撮像しているといえる。なお、本実施形態では、1つの撮像素子80の受光面におけるそれぞれ異なる領域に、光L1Aと光L1Bとを入射させる構成としているが、複数の撮像素子を設け、1つの撮像素子に光L1Aを入射(光L1Aによる検出領域AR1の像を撮像)させ、他の撮像素子に光L1Bを入射(光L1Bによる検出領域AR1の像を撮像)させてもよい。
検出部52は、撮像素子80が受光面80Aで撮像した光L1Aによる検出領域AR1の像のデータである画像データPAと、撮像素子80が受光面80Bで撮像した光L1Bによる検出領域AR1の像のデータである画像データPBと、を取得する。ここでの画像データとは、撮像素子80が撮像した画像のデータを指す。具体的には、画像データPAは、受光面80Aにおける画素毎の輝度値のデータを指し、検出領域AR1内の位置(座標)毎の、反射した光L1Aの強度の値のデータであるといえる。検出部52は、画像データPA、すなわち検出領域AR1における位置毎の光L1Aの強度に基づき、検出領域AR1における位置毎の、第1波長の光の反射率を算出する。例えば、検出部52は、撮像素子80の画素の輝度値と反射率との関係を、予め算出しておき、輝度値と反射率との関係に、画像データPAの画素毎の輝度値を代入することで、検出領域AR1における位置毎の、第1波長の光の反射率を算出する。なお、撮像素子80の画素の輝度値と反射率の関係は、例えば、予め、照射部32Aからミラーへ光を照射し、ミラーで反射した光を撮像素子80で検出した際の画素の輝度値を基準として各画素値に対する反射率を算出して求めてよい。また、画像データPBは、受光面80Bにおける画素毎の輝度値のデータを指し、検出領域AR1内の位置(座標)毎の、反射した光L1Bの強度の値のデータであるといえる。検出部52は、画像データPB、すなわち検出領域AR1における位置毎の光L1Bの強度に基づき、検出領域AR1における位置毎の、第2波長の光の反射率を算出する。例えば、検出部52は、予め算出した輝度値と反射率との関係に、画像データPBの画素毎の輝度値を代入することで、検出領域AR1における位置毎の、第2波長の光の反射率を算出する。
検出部52は、画像データPA、PBに基づき算出した、検出領域AR1における第1波長及び第2波長の光の反射率に基づき、接合部T3の表面T3A(検出領域AR1)における光の反射率を検出する。検出部52は、接合部T3の表面T3Aにおける光の反射率に基づき、接合部T3の表面T3Aにおける光の反射率が異常であるかを判断する。すなわち、検出部52は、部材Tの品質異常として、接合部T3の表面T3Aにおける光の反射率の異常を検出する。言い換えれば、演算装置38は、接合部T3の表面T3Aにおける光の反射率に基づき、第1部材T1と第2部材T2との品質異常を検出できる。ここで、接合部T3は、工具18による撹拌によって、第1部材T1と第2部材T2とが混合されて形成される。接合部T3が、第1部材T1の材料と第2部材T2の材料とが適切に混合されていない場合には、例えば接合部T3の強度が低下してしまう。検出部52は、接合部T3の表面T3Aにおける光の反射率から、接合部T3が、第1部材T1の材料と第2部材T2の材料とが適切に混合されていない状態になっているかを、検出する。
表面T3Aにおける光の反射率が異常となる原因、言い換えれば、接合部T3において第1部材T1と第2部材T2とが適切に混合されていない状態となる原因としては、第1部材T1と第2部材T2との混ぜ合わせ不良や、第1部材T1及び第2部材T2への入熱不足などが挙げられる。第1部材T1と第2部材T2とは、回転する工具18によって撹拌されて互いに混ぜ合わされて、第1部材T1と第2部材T2との両方が混ぜ合わされた接合部T3が形成される。しかし、例えば工具18の回転が不適切である場合(一例として、工具18の回転数が不足している場合)には、第1部材T1と第2部材T2とが十分に混ぜ合わされない、混ぜ合わせ不良が起こる。混ぜ合わせ不良が起こると、第1部材T1と第2部材T2とが適切に混合されていない状態となる。また、工具18の摩擦熱が十分でない場合(一例として、工具18の送り速度が速すぎる場合)、第1部材T1及び第2部材T2への入熱不足が起こる。入熱不足が起こると、第1部材T1と第2部材T2とが熱により十分に軟化しないため、工具18による撹拌が阻害されて、第1部材T1と第2部材T2とが適切に混合されていない状態となる。以下においては、接合部T3において第1部材T1と第2部材T2とが適切に混合されている状態を、正常混合状態とし、接合部T3において第1部材T1と第2部材T2とが適切に混合されていない状態を、異常混合状態とする。なお、異常混合状態とは、例えば、混合が不適切なため、接合部T3において第1部材T1の含まれる量が少な過ぎたり、第2部材T2の含まれる量が少な過ぎたりする場合を指す。なお、接合部T3は、正常混合状態になっている部分と、異常混合状態になっている部分の両方を含む場合がある。
異常混合状態の接合部T3と正常混合状態の接合部T3とは、第1部材T1と第2部材T2との混合状態が互いに異なる。そのため、異常混合状態の接合部T3の表面T3Aの反射率と、正常混合状態の接合部T3の表面T3Aの反射率とは、異なる。すなわち、混ぜ合わせ不良や入熱不足が起こった場合、言い換えれば異常混合状態になっている場合、接合部T3の表面T3Aの反射率は、正常混合状態の接合部T3の表面T3Aの反射率と、異なる。そのため、検出部52は、検出した接合部T3の反射率を、混ぜ合わせや入熱が適切にされて正常混合状態となっている場合の基準となる反射率と比較することで、混ぜ合わせ不良や入熱不足が起きているか、言い換えれば異常混合状態になっているかを、検出することができる。
本実施形態においては、検出部52は、接合部T3の光の反射率として、撮像素子80の画素毎に算出した、第1波長の光L1Aの反射率と第2波長の光L1Bの反射率との比率を算出することで、撮像素子80の各画素に対応する接合部T3の各位置における反射比率を算出する。反射比率とは、検出領域AR1(接合部T3の表面T3A)の位置(後述の単位領域)における第1波長の光L1Aの反射率と、検出領域AR1の同じ位置(同じ単位領域)における第2波長の光L1Bの反射率との、比率である。正常混合状態の検出領域AR1の反射比率と、異常混合状態の検出領域AR1の反射比率とは、異なる値となる。従って、検出部52は、算出した反射比率と、正常混合状態の接合部T3の反射比率の数値を基準として予め設定された反射比率の数値範囲(以降、基準反射比率範囲と称する)とに基づき、反射率に異常があるか、すなわち接合部T3が異常混合状態であるかを、検出することができる。なお、基準反射比率範囲は、任意に設定してよいが、例えば、正常混合状態の接合部T3の反射比率の数値を基準として、予め設定される。
図9は、光の波長と反射率との関係を示すグラフである。図9は、材料ごとの光の反射率を、光の波長毎に示したグラフである。線分C1と線分C2とは、それぞれ異なる材料についての反射率を示しており、例えば線分C1が第1部材T1の材料(ここではアルミニウム)の反射率であり、線分C2が第2部材T2の材料(ここでは鉄)の反射率である。また、線分C3は、正常混合状態の接合部T3、すなわち、第1部材T1の材料と第2部材T2の材料とが適切に混合された部材の反射率である。線分C1及び線分C2に示すように、材料の反射率は、光の波長に応じて変化し、光の波長に応じた反射率の変化の傾向は、材料毎に、すなわち第1部材T1と第2部材T2とで、異なる。従って、第1波長の光の反射率と第2波長の光の反射率との比率である反射比率は、材料毎に、すなわち第1部材T1と第2部材T2とで、異なる。また、正常混合状態の接合部T3は、第1部材T1の材料と第2部材T2の材料とが混合された部材であるため、第1部材T1単体及び第2部材T2単体に対し、光の波長に応じた反射率の変化の傾向と、反射比率とが、異なる。このように、第1部材T1と第2部材T2と正常混合状態の接合部T3とは、反射比率も互いに異なる。例えば、図9の線分C1で示す第1部材T1における波長λAの光と波長λBの光との反射率の比率と、図9の線分C2で示す第2部材T2における波長λAの光と波長λBの光との反射比率と、図9の線分C3で示す正常混合状態の接合部T3における波長λAの光と波長λBの光との反射比率とは、互いに異なる。
異常混合状態の接合部T3は、第1部材T1と第2部材T2とが適切に混合されていない状態であるため、第1部材T1が多く含まれる領域又は第2部材T2が多く含まれる領域が多く(広く)、第1部材T1と第2部材T2とが適切に混合された領域(正常混合状態となっている領域)が少なくなっている。そのため、検出部52は、接合部T3の表面T3Aにおいて、例えば正常混合状態の接合部T3の反射比率となっている領域が少ない場合に、接合部T3の反射率が異常であり異常混合状態になっている、と判断することができる。
なお、本実施形態において反射率として反射比率を算出する理由は、光の反射率を適切に検出するためである。光の反射率は光が反射する表面の粗さに応じて変化するため、同じ材料の部材同士であっても、表面粗さ(光が反射する表面の粗さ)が異なれば、同じ波長の光(例えば第1波長の光)の反射率が異なる。そのため、1種類の波長の光(例えば第1波長の光)の反射率に基づき、反射率の異常を判定すると、反射率に、材料の影響に加え、表面粗さの影響も加味されてしまい、異常混合状態(言い換えると、正常混合状態)であるかの検出精度が低下するおそれがある。一方、同じ材料の部材同士は、表面粗さが異なる部材同士であっても、異なる波長の光の反射率同士の比率(すなわち第1波長の光の反射率と第2波長の光の反射率との反射比率)については、一定となる。従って、本実施形態のように異なる波長の光同士の反射比率を反射率として用いることで、反射率から、表面粗さの影響を除去して材料の影響を適切に抽出することが可能となるため、異常混合状態であるかを適切に判断できる。ただし、反射率として反射比率を算出することは必須ではなく、後述の変形例で説明するように、例えば、1種類の波長の光の反射率に基づき、反射率の異常を検出してもよい。
以下に、検出領域AR1における光の反射率の異常判定のフローを説明する。図10は、第1実施形態に係る反射率の異常判断方法を説明するフローチャートである。図10に示すように、検出部52は、撮像素子80が受光面80Aで撮像した光L1A(第1波長の光)による検出領域AR1の像のデータである画像データPAと、撮像素子80が受光面80Bで撮像した光L1B(第2波長の光)による検出領域AR1の像のデータである画像データPBと、を取得する(ステップS10)。そして、検出部52は、画像データPA、PBに基づき、撮像素子80の画素毎に、検出領域AR1の反射比率を検出する(ステップS12)。ここで、検出領域AR1をマトリクス状に区分した場合の1つの領域を、検出領域AR1の単位領域とする。検出領域AR1の単位領域の数及び配列は、撮像素子80の受光面80Aと受光面80Bにおける画素の数及び配列と一致する。すなわち、受光面80Aにおける画素の位置(座標)と、受光面80Bにおける画素の位置(座標)は、それぞれ、検出領域AR1の単位領域の位置(座標)に対応している。検出部52は、画像データPA、すなわち受光面80Aの画素毎の輝度値に基づき、受光面80Aの画素毎に、すなわち検出領域AR1の単位領域毎に、第1波長の光の反射率を、算出する。同様に、検出部52は、画像データPB、すなわち受光面80Bの画素毎の輝度値に基づき、受光面80Bの画素毎に、すなわち検出領域AR1の単位領域毎に、第2波長の光の反射率を、算出する。そして、検出部52は、互いに同じ位置の画素(単位領域)における第1波長の光の反射率と第2波長の光の反射率との比率を、反射比率として算出する。検出部52は、撮像素子80の画素毎に、すなわち検出領域AR1の単位領域毎に、反射比率を算出する。
そして、検出部52は、画素毎に算出した反射比率のそれぞれについて、予め設定した基準反射比率範囲の範囲外にあるかを判断する。具体的には、検出部52は、算出した反射比率を、基準反射比率範囲、第1部材反射比率範囲、及び第2部材反射比率範囲と比較する。ここで、第1部材反射比率範囲は、第1部材T1の反射比率の数値を基準として予め設定される反射比率の数値範囲であり、本実施形態では、基準反射比率範囲より値が大きい数値範囲となる。第2部材反射比率範囲は、第2部材T2の反射比率の数値を基準として予め設定される反射比率の数値範囲であり、本実施形態では、基準反射比率範囲より値が小さい数値範囲となる。検出部52は、画素(検出領域AR1の単位領域)について算出した反射比率が、基準反射比率範囲、第1部材反射比率範囲、及び第2部材反射比率範囲のいずれの範囲内にあるかを判断する。検出部52は、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲内にある場合は、その画素に対応する単位領域が、正常混合状態の領域である、言い換えれば、第1部材T1と第2部材T2とが適切に混合された領域であると判断する。検出部52は、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲外であって、第1部材反射比率範囲の範囲内である場合(ここでは算出した反射比率が基準反射比率範囲より大きい値である場合)は、その画素に対応する単位領域が、異常混合状態の領域であり、第1部材T1が多い領域になっていると判断する。検出部52は、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲外であって、第2部材反射比率範囲の範囲内である場合(ここでは算出した反射比率が基準反射比率範囲より小さい値である場合)は、その画素に対応する単位領域が、異常混合状態の領域であり、第2部材T2が多い領域になっていると判断する。
このように、検出部52は、画素(単位領域)毎に、正常混合状態の領域であるか、第1部材T1が多い領域であるか、第2部材T2が多い領域であるかを判断する。ただし、検出部52は、第1部材T1が多い領域であるか、第2部材T2が多い領域であるかについては判定しなくてよく、正常混合状態の領域であるか異常混合状態であるかを、画素毎に判断してよい。この場合、検出部52は、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲内にある場合は、その画素に対応する単位領域が、正常混合状態の領域であると判断し、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲外にある場合は、その画素に対応する単位領域が、異常混合状態の領域であると判断する。
検出部52は、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲外にある画素(単位領域)の数が、言い換えれば異常混合状態であると判断された画素の数が、予め定めた閾値(以降、第1反射率閾値と称する)以上であるかを判断する(ステップS14)。ここでの第1反射率閾値は、任意に設定してよいが、例えば、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲内となる画素の数が第1反射率閾値以上となった場合に、検出領域AR1において異常混合状態となっている領域が多く(広く)なって第1部材T1と第2部材T2との混合が適切に行われていない可能性が高くなることを基準として、設定してよい。
算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲外にある画素(単位領域)の数が、第1反射率閾値以上である場合(ステップS14;Yes)、検出部52は、部材Tの品質異常が生じている、より詳しくは、検出領域AR1における反射率が、すなわち接合部T3の表面T3Aの反射率が、異常であると判断する(ステップS16)。一方、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲外にある画素(単位領域)の数が、第1反射率閾値以上でない場合(ステップS14;No)、検出部52は、検出領域AR1における反射率が、すなわち接合部T3の表面T3Aの反射率が、正常である(異常でない)と判断する(ステップS18)。検出部52は、このようにして、検出領域AR1における光の反射率を検出して、反射率の異常を検出する。
なお、検出部52は、ステップS12において、算出した反射比率が基準反射比率範囲の範囲内にある画素(単位領域)の座標が、連続しているか(画素が隣り合うか)を判断してもよい。そして、検出部52は、ステップS14において、反射比率が基準反射比率範囲の範囲内にあって座標が連続する画素の数が、第1反射率閾値以上である場合(反射比率が基準反射比率範囲の範囲外となる画素が第1反射率閾値以上連続する場合)に、検出領域AR1の反射率が異常と判断してもよい。言い換えれば、検出部52は、検出領域AR1内で異常混合状態と判断した領域が所定広さ以上広い場合に、検出領域AR1の反射率が異常と判断してもよい。
また、本実施形態では、検出領域AR1(接合部T3)の反射比率を算出し、検出領域AR1の反射比率に基づき、検出領域AR1の反射率の異常を検出しているが、それに限られない。例えば、検出部52は、画像データPA、PBにおける画素の輝度値の比率に基づき、すなわち、第1波長の光L1Aを受光した際の画素の輝度値と第2波長の光L1Bを受光した際の画素の輝度値との比率に基づき、検出領域AR1の反射率の異常を検出してよい。この場合、第1波長の光L1Aを受光した際の画素の輝度値と第2波長の光L1Bを受光した際の画素の輝度値との比率(以下輝度比率と記載)と、部材の種類とを予め対応付けておく。すなわち、検出部52は、正常混合状態の領域における輝度比率の数値範囲と、第1部材T1が多い領域における輝度比率の数値範囲と、第2部材T2が多い領域における輝度比率の数値範囲とを、予め取得しておく。そして、算出した輝度比率が、正常混合状態の領域における輝度比率の数値範囲の範囲内にある場合は、その画素に対応する単位領域が、正常混合状態の領域であると判断する。また、算出した輝度比率が、正常混合状態の領域における輝度比率の数値範囲の範囲外である場合は、その画素に対応する単位領域が、異常混合状態の領域であると判断する。さらに言えば、算出した輝度比率が、第1部材T1が多い領域における輝度比率の数値範囲の範囲内にある場合は、その画素に対応する単位領域が、第1部材T1が多い領域であると判断する。さらに言えば、算出した輝度比率が、第2部材T2が多い領域における輝度比率の数値範囲の範囲内にある場合は、その画素に対応する単位領域が、第2部材T2が多い領域であると判断する。
次に、検出部52による、開口とバリと加工パスとの検出について説明する。検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像データPに基づき、開口とバリと加工パスとを検出する。図6及び図7に示すように、第2撮像部34Bは、撮像領域R2の範囲内で、部材Tの表面TAの少なくとも一部と、工具18の少なくとも一部とを撮像する。撮像領域R2は、第2撮像部34Bの撮像領域であり、言い換えれば第2撮像部34Bによって撮像される範囲である。撮像領域R2は、部材Tの表面TAの少なくとも一部の領域と、工具18の表面の少なくとも一部の領域とに、重なる。本実施形態では、撮像領域R2は、第1部材T1の表面T1Aの少なくとも一部の領域と、第2部材T2の表面T2Aの少なくとも一部の領域と、接合部T3の表面T3Aの少なくとも一部の領域と、工具18の表面の少なくとも一部の領域とに、重なる。
以下、部材Tの表面TA及び工具18の表面の撮像領域R2と重なる領域を、検出領域AR2と記載する。第2撮像部34Bは、検出領域AR2の像を撮像する。ここで一例として、第2撮像部34Bは、太陽から出射された自然光や蛍光灯(例えば工場内の蛍光灯)などにより、検出領域AR2の像を撮像する。なお、例えば後述の変形例に示すように、検出領域AR2に向けて可視光等の光を投影する光源部(照射部)を設けてもよい。ここで、本実施形態においては、図7に示すように、検出領域AR2は、第1撮像部34Aの検出領域AR1及び照射部32Aの照射領域AR0と、少なくとも一部で重なる。従って、第2撮像部34Bには、照射部32Aの光の照射により照射領域AR0で反射した光L1ABも入射する。それに対し、本実施形態に係る第2撮像部34Bは、入射する光L1ABを遮断することで、撮像素子に、光L1ABを除いた検出領域AR2の像を撮像させる。以下、具体的に説明する。
図11は、第1実施形態に係る第2撮像部の模式図である。図11に示すように、第2撮像部34Bは、レンズ90と、フィルタ92と、レンズ94と、撮像素子96とを備える。レンズ90には、検出領域AR2からの光L2ABが入射する。光L2ABは、本実施形態では、検出領域AR2からの光(自然光や蛍光灯等の光)と、照射部32Aから照射されて検出領域AR2で反射された光L1ABとが、重ね合わされた光である。レンズ90は、入射した光L2ABをコリメートして出射する。フィルタ92は、レンズ90から出射された光L2ABから、光L1ABの成分の光、すなわち第1波長と第2波長の光を吸収するバリアフィルタである。例えば、フィルタ92は、光L2ABのうち、光L1ABの波長の光(第1波長と第2波長の光)を吸収又は反射し、光L1AB以外の波長の光を、光L2として透過する。すなわち、光L2は、検出領域AR2で反射されてレンズ90に入射した光L2ABのうち、光L1ABの波長の光を除いた光である。レンズ94は、フィルタ92からの光L2が入射する。レンズ94は、フィルタ92からの光L2を集光して出射する。撮像素子96は、レンズ94から出射された光L2を受光して、光L2による検出領域AR2の像を撮像する。
第2撮像部34Bは、このようにして検出領域AR2の撮像を行う。検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した検出領域AR2の像から、より具体的には、第2撮像部34Bが撮像した画像データPから、開口とバリと加工パスとを検出する。画像データPは、撮像素子96における画素毎の輝度値のデータを指し、検出領域AR2の単位領域毎の、反射した光L2の強度の値のデータであるといえる。なお、検出領域AR2の単位領域は、検出領域AR2をマトリクス状に区分した場合の1つの領域を指し、単位領域の数及び配列は、撮像素子96における画素の数及び配列と一致する。
図12は、開口とバリと加工パスとを説明するための模式図である。第1部材T1と第2部材T2とが適切に接合されない場合、例えば図12に示すように、接合部T3の表面T3Aに、開口F1が形成される場合がある。開口F1が形成されると強度低下のおそれなどが生じるため、開口F1の形成は、品質異常であるといえる。開口F1は、接合部T3の表面T3Aに開口する開空孔である。開口F1は、溝状欠陥として、送り方向(Y軸方向)に沿って長い溝状に形成される場合がある。このような開口F1は、第1部材T1及び第2部材T2への入熱不足などが原因で形成される。入熱不足が起こると、第1部材T1と第2部材T2とが熱により十分に軟化しないため、工具18による撹拌が阻害されて、プローブ22の挿入で形成された空間に第1部材T1と第2部材T2とが入り込まずに空間のまま残ってしまい、開口F1が形成される場合がある。
検出部52は、第2撮像部34Bの画像データPに基づき、接合部T3の表面T3Aの検出領域AR2に重なる領域に、開口F1が形成されているかを検出する。開口F1は、接合部T3の表面T3Aに形成されており、開口F1の底面は、接合部T3の表面T3Aよりも接合部T3の内部側(−Z軸方向側)に位置する。従って、接合部T3への光(自然光や蛍光灯等の光)は、開口F1の周囲の接合部T3の表面T3Aに遮られて開口F1の底面に到達しなかったり、開口F1の底面に到達したとしても、底面からの反射光が開口F1の側面などに遮られたりする。そのため、接合部T3の表面T3Aでの開口F1が形成される領域から第2撮像部34Bに向かう反射光は、強度が低くなり、画像データPにおいて開口F1に対応する位置の画素は、開口F1が形成されていない位置に対応する画素よりも、輝度値が低くなる。そのため、検出部52は、接合部T3の表面T3Aに対応する位置の画素のうち、輝度値が低い画素を検出することで、開口F1の有無を検出できる。
検出部52による開口F1の検出方法について、より詳細に説明する。図13は、開口の検出方法を説明するフローチャートである。図13に示すように、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像データPを取得して、撮像素子96の画素毎の輝度値を取得する(ステップS20)。検出部52は、撮像素子96の画素のうち、輝度値が所定値以下となる低輝度画素を検出する(ステップS22)。ここでの所定値は、任意に設定してよいが、例えば、開口が形成されている程度に低い輝度値として設定してよい。この場合、品質異常の対象となる開口の像を撮像した結果(画素の輝度値)に基づいて、予め所定値を求めておく。
低輝度画素を検出したら、検出部52は、接合部T3の表面T3Aに対応する位置の画素に、連続して、閾値(以降、第1開口閾値と称する)以上隣り合う低輝度画素が含まれるかを判断する(ステップS24)。検出部52は、接合部T3の表面T3Aに対応する位置の低輝度画素を抽出する。そして、接合部T3の表面T3Aに対応する位置の低輝度画素の座標が、第1開口閾値以上隣り合っているかを判断する。第1開口閾値は、任意に設定されてよいが、例えば開口F1が形成されると判断できる数として設定してよい。この場合、第1開口閾値は、品質異常の対象となる開口の像を撮像した結果に基づいて、連続して隣り合う低輝度画素から成る画像が開口を表す細長い形状となるように予め求めておく。接合部T3の表面T3Aに対応する位置の低輝度画素が、第1開口閾値以上隣り合っていれば、検出部52は、接合部T3の表面T3Aに対応する位置の画素に、連続して第1開口閾値以上隣り合う低輝度画素が含まれると判断する。検出部52は、接合部T3の表面T3Aに対応する位置の画素に、連続して第1開口閾値以上隣り合う低輝度画素が含まれると判断したら(ステップS24;Yes)、部材Tの品質異常が生じている、より詳しくは、接合部T3に開口F1が形成されていると判断する(ステップS26)。また、検出部52は、接合部T3の表面T3Aに対応する位置の画素に、連続して第1開口閾値以上隣り合う低輝度画素が含まれないと判断したら(ステップS24;No)、接合部T3に開口F1が形成されてないと判断する(ステップS28)。連続して第1開口閾値以上隣り合う低輝度画素を、開口F1であると判断することで、例えば小さな異物やショットノイズなどで第1開口閾値より少ない画素の輝度が低い場合に、開口F1であると誤検出されることを抑制できる。
なお、検出部52は、撮像素子96に含まれる画素のうち、どの画素が接合部T3の表面T3Aの位置に対応する画素であるかの情報を、予め設定している。第2撮像部34Bは、例えば、接合時において、第2撮像部34Bの撮像方向における部材Tの表面TAとの間の距離が、一定に保たれている。従って、接合時における部材Tの表面TA上の単位領域の位置(座標)と、第2撮像部34Bの画素の位置(座標)との関係は固定されるので、例えばキャリブレーションにおいて、適切に接合された部材Tの画像データから、どの画素が接合部T3の表面T3Aの位置に対応する画素であるかを、予め設定できる。また、検出部52は、どの画素が表面T3Aの位置に対応する画素であるかを予め設定することなく、第2撮像部34Bが撮像した画像データPを解析して、どの画素が表面T3Aの位置に対応する画素であるかを検出してもよい。
次に、バリF2の検出について説明する。検出部52は、部材Tの品質異常として、バリF2を検出する。バリは、第1部材T1及び第2部材T2への入熱過多が原因で起こる。入熱過多は、工具18の摩擦熱が高すぎる場合に起こる。入熱過多が起こると、例えば第1部材T1と第2部材T2とが融点近くまで加熱されてしまい、部材T、より詳しくは接合部T3の、金属組織が成長して粗大化してしまう。金属組織が粗大化すると、金属組織の界面を起点として破損(つまり、第1部材T1と第2部材T2の接合界面における破断)し易くなる。
ここで、入熱過多が起こると、部材Tが想定以上に軟化するなどの理由により、例えば図12に示すように、工具18によって押しのけられた部材T(具体的には、軟化した部材Tの一部)が、接合部T3の、第1部材T1又は第2部材T2との境界部分T3Bから、バリF2としてはみ出す場合がある。検出部52は、バリF2を検出することで、入熱過多、言い換えれば金属組織の粗大化に伴う破損の恐れがあるかを、検出することができる。
検出部52は、第2撮像部34Bの画像データPに基づき、接合部T3の表面T3Aの周囲(境界部分T3B)の検出領域AR2に重なる領域に、バリF2が形成されているかを検出する。バリF2は、接合部T3の周囲、より詳しくは接合部T3の第1部材T1又は第2部材T2との境界部分T3Bに形成される。また、バリF2は、様々な方向への多数の突起部を有するため、バリF2に入射した光の一部は正反射して第2撮像部34Bに入射する。第2撮像部34Bに入射する正反射光は、バリF2以外の部分で反射されて第2撮像部34Bに入射する光(より具体的には拡散反射光)よりも、強度が高くなる。そのため、画像データPにおいてバリF2に対応する位置の画素は、バリF2が形成されていない位置に対応する画素よりも、輝度値が高くなる。検出部52は、境界部分T3Bに対応する位置の画素のうち、輝度値が高い画素を検出することで、バリF2の有無を検出する。
検出部52によるバリF2の検出方法について、より詳細に説明する。図14は、バリの検出方法を説明するフローチャートである。図14に示すように、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像データPを取得して、撮像素子96の画素毎の輝度値を取得する(ステップS30)。検出部52は、撮像素子96の画素のうち、輝度値が所定値以上となる高輝度画素を検出する(ステップS32)。言い換えれば、検出部52は、撮像素子96の画素のうち、輝度値が所定値以上となる画素を抽出する。ここでの所定値は、任意に設定してよいが、例えば、バリF2が形成されている程度に高い輝度値として設定してよい。この場合、品質異常を表す対象となるバリの像を撮像した結果(画素の輝度値)に基づいて、予め所定値を求めておく。
高輝度画素を検出したら、検出部52は、接合部T3の周囲、すなわち境界部分T3Bに対応する位置の画素に、連続して閾値(以降、第1バリ閾値と称する)以上隣り合う高輝度画素が含まれるかを判断する(ステップS34)。そして、検出部52は、境界部分T3Bに対応する位置の高輝度画素が、第1バリ閾値以上隣り合っているかを判断する。第1バリ閾値は、任意に設定されてよいが、例えばバリF2が形成されると判断できる数として設定してよい。この場合、第1バリ閾値は、品質異常を表すバリの像を撮像した結果に基づいて、連続して隣り合う高輝度画素から成る画像がバリを表す形状となるように予め求めておく。検出部52は、境界部分T3Bに対応する位置の高輝度画素が、第1バリ閾値以上隣り合っていれば、境界部分T3Bに対応する位置の画素に、連続して第1バリ閾値以上隣り合う高輝度画素が含まれると判断する。検出部52は、境界部分T3Bに対応する位置の画素に、連続して第1バリ閾値以上隣り合う高輝度画素が含まれると判断したら(ステップS34;No)、部材Tの品質異常が起きている、より詳しくは、境界部分T3BにバリF2が形成されていると判断する(ステップS36)。また、検出部52は、境界部分T3Bに対応する位置の画素に、連続して第1バリ閾値以上隣り合う高輝度画素が含まれないと判断したら(ステップS34;No)、境界部分T3BにバリF2が形成されてないと判断する(ステップS38)。連続して第1バリ閾値以上隣り合う高輝度画素を、バリF2であると判断することで、例えば小さな異物やショットノイズなどで第1バリ閾値より少ない画素の輝度値が高い場合に、バリF2であると誤検出されることを抑制できる。
なお、検出部52は、撮像素子96に含まれる画素のうち、どの画素が境界部分T3Bに対応する画素であるかの情報を、予め設定している。第1部材T1と第2部材T2とを接合する際には、第2撮像部34Bの撮像方向における第2撮像部34Bと部材Tの表面TAとの間の距離が、一定に保たれている。従って、第1部材T1と第2部材T2とを接合する際において、部材Tの表面TA上の単位領域の位置(座標)と、第2撮像部34Bの撮像素子96の画素の位置(座標)との関係は固定されるので、例えばキャリブレーションにおいて、適切に接合された部材Tの画像データから、どの画素が境界部分T3Bの位置に対応する画素であるかを、予め設定できる。また、検出部52は、どの画素が境界部分T3Bの位置に対応する画素であるかを予め設定することなく、第2撮像部34Bが撮像した画像データPを解析して、どの画素が境界部分T3Bの位置に対応する画素であるかを検出してもよい。なお、検出部52は、撮像素子96の画素の内、高輝度画素に基づいてバリF2を検出しなくてもよい。例えば、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像(画像データP)のコントラストに基づいてバリF2を検出してもよい。この場合、検出部52は、画像(画像データP)のコントラストに基づいてバリF2の特徴的な形状(例えば、バリF2の突起部の形状)の輪郭を特定し、バリF2を検出してもよい。
次に、加工パスについて説明する。検出部52は、部材Tの品質異常として、加工パスの異常を検出する。加工パスが異常である場合、第1部材T1と第2部材T2との化合物の厚みが厚くなるおそれがある。第1部材T1と第2部材T2との化合物は、例えば金属間化合物(本実施形態ではFeAlなど)であり、脆性が高い。そのため、第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の厚みが厚くなると、金属間化合物を起点とした破損の恐れが高くなる。なお、ここでの第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の厚みとは、工具18の相対的な送り方向に直交する方向(ここではX軸方向)における第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の長さを指す。加工パスは、プローブ22を回転させながら部材Tに挿入した状態(接合中の状態)における、送り方向に直交する方向(ここではX軸方向)での、部材Tに対する、工具18(プローブ22)の位置ということもできる。加工パスは、適切な位置に対し、送り方向に直交する方向側にずれる場合や、予め設定した位置が不適切である場合などがある。このように加工パスが異常である場合、第1部材T1及び第2部材T2への入熱位置が異常となる。入熱位置が異常になると、工具18の摩擦撹拌により第1部材T1に付与される熱量と、工具18の摩擦撹拌により第2部材T2に付与される熱量とのバランスが不適切となり、第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の厚みが厚くなる。金属間化合物は、部材Tの内部に形成されるため、特に第1部材T1と第2部材T2との接合中において、外部から金属間化合物の厚みを検出することは難しい。それに対し、第1実施形態に係る検出部52は、加工パスが異常かを判断することで、入熱位置が異常であるか、すなわち金属間化合物の厚みが厚くなっているかを、検出することができる。
検出部52は、第2撮像部34Bの画像データPに基づき、加工パスを検出する。例えば、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像から、送り方向に直交する方向(X軸方向)における境界部分T3Bの位置を、加工パスとして検出する。例えば、検出部52は、第2撮像部34Bの画像データPから、送り方向に直交する方向(X軸方向)に隣り合う画素同士の輝度値が所定値以上異なる画素群を抽出し、抽出した画素群が送り方向(Y軸方向)に連続していた場合に、その連続した画素群を、境界部分T3Bの位置に対応する画素であると規定する。この場合、部材Tの表面TAにおける境界部分T3Bを含む像を撮像した結果(画素の輝度値)に基づいて、予め所定値を求めておく。なお、第1部材T1と第2部材T2との接合時には、第2撮像部34Bの撮像方向における第2撮像部34Bと部材Tの表面TAとの間の距離が、一定に保たれているため、部材Tの表面TA(検出領域AR2)上の単位領域の位置(座標)と、第2撮像部34Bの撮像素子96の画素の位置(座標)との関係は固定されるので、第2撮像部34Bが撮像した画像における画素を、部材Tの表面TA上の境界部分T3Bの位置に、予め関連付けることができる。そのため、検出部52は、第2撮像部34Bの画像データPに基づき、加工パスを検出できる。
検出部52は、工具18が適切な位置である場合の、送り方向に直交する方向(X軸方向)における、境界部分T3Bの位置である基準加工パスを予め設定している。基準加工パスは、任意に設定してよいが、第1部材T1及び第2部材T2への入熱位置が適切となる場合の境界部分T3Bの位置として設定してよい。検出部52は、検出した加工パスと基準加工パスとの差分を算出し、検出した加工パスと基準加工パスとの差分が閾値(以降、第1パス閾値と称する)以上である場合に、部材Tの品質異常として、加工パスが異常であると判断する。第1パス閾値は、任意に設定してよいが、品質異常となる程度に第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の厚みが厚くなった際の閾値として設定されてよい。そして、検出部52は、検出した加工パスと基準加工パスとの差分が第1パス閾値より小さい場合に、加工パスが正常である(異常でない)と判断する。なお、検出部52は、送り方向に直交する方向における工具18の適切な位置を、基準加工パスとして設定して、第2撮像部34Bが撮像した画像データPから、送り方向に直交する方向(X軸方向)における工具18の位置を、加工パスとして検出してもよい。この場合、検出部52は、加工パスを、工具18の状態を示す工具状態として検出する。
検出部52は、以上のようにして、部材Tの表面TAの光の反射率と、開口F1と、バリF2と、加工パスとを、部材状態として検出する。そして、検出部52は、部材Tの表面の光の反射率と、開口F1と、バリF2と、加工パスとが異常であるか、すなわち部材状態が異常であるか(部材Tがを、判断する。ただし、検出部52は、部材Tの表面の光の反射率と開口F1とバリF2と加工パスとの少なくとも1つを、部材状態として検出してよく、部材Tの表面の光の反射率と開口F1とバリF2と加工パスとの少なくとも1つが異常であるかを判断してよい。
次に、検出部52による工具状態の検出について説明する。最初に、工具状態としての工具18の挿入量の検出について説明する。図15A及び図15Bは、工具の挿入量を説明する模式図である。検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像に基づき、工具18の挿入量を検出する。工具18の挿入量とは、上述のように、工具18の部材Tに挿入されている部分の長さである。本実施形態では、検出部52は、図15Aの(A)に示すように、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触したタイミングにおける、ショルダ20の端部20Aと部材Tの表面TAとの間の距離D0aを、第2撮像部34Bがそのタイミングで撮像した画像に基づき、検出しておく。そして、検出部52は、図15Aの(B)に示すように、接合中における、ショルダ20の端部20Aと部材Tの表面TAとの間の距離D0を、第2撮像部34Bが撮像した画像に基づき検出する。そして、検出部52は、距離D0aから距離D0を差し引いた量を、工具18の挿入量として算出する。なお、第2撮像部34Bは、接合時において工具18との相対位置が固定されているため、第2撮像部34Bは、接合時において、第2撮像部34Bの撮像方向における工具18との間の距離が、一定に保たれている。従って、接合時における工具18の表面上の単位領域の位置(座標)と、第2撮像部34Bの撮像素子96の画素の位置(座標)との関係は固定されるので、第2撮像部34Bが撮像した画像における画素同士の距離を、ショルダ20の端部20Aと部材Tの表面TAとの間の距離に予め関連付けることができる。そのため、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像に基づき、距離D0aと距離D0とを算出できる。なお、一例として、距離D0aは部材同士の接合前に予め検出しておく。
検出部52は、例えば、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触したタイミングを、トルクセンサ36(図1参照)が測定した工具18のθZ方向における回転のトルクの測定結果に基づき、検出する。トルクセンサ36は、製造装置10に設けられ、工具18のθZ方向における回転のトルクを測定するセンサである。製造装置10の制御装置30は、トルクセンサ36に、工具18のθZ方向におけるトルクを測定させる。演算装置38の検出部52は、トルクセンサ36によるトルクの測定結果を受け取る。図15Bは、トルクセンサ36が検出する、時刻毎の工具18のθZ方向における回転のトルクの値を示すグラフの例である。図15Bは、時刻t0において、工具18のプローブ22の先端部22Aを部材Tの表面TAから離した状態で工具18を回転させておき、時間経過に従って、プローブ22の先端部22Aを部材Tの表面TAに近づけていった場合の、工具18のθZ方向における回転のトルクの一例を示している。図15Bの時刻t0から時刻t1までのトルクに示すように、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触するまでは、トルクの値は一定となる。そして、工具18のプローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触した時刻t1から、工具18のθZ方向の回転に対する部材Tの抵抗により、トルクが上昇してゆく。検出部52は、トルクセンサ36が測定した工具18のθZ方向における回転のトルクを逐次取得して、工具18のθZ方向における回転のトルクの上昇が開始したタイミングを検出する。そして、検出部52は、工具18のθZ方向における回転のトルクの上昇が開始したタイミング(つまり、時刻t1)を、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触したタイミングとして、そのタイミングにおけるショルダ20の端部20Aと部材Tの表面TAとの間の距離を、距離D0aとして算出する。なお、距離D0aは、トルクセンサ36のトルクの値を用いて算出しなくてもよい。例えば、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触したことを第2撮像部34Bが撮像した画像やユーザによる目視で認識し、距離D0aを算出してもよい。なお、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像に基づいて工具18の挿入量を求めなくてもよい。例えば、検出部52は、時刻t1から−Z軸方向に移動させた工具18が停止するまでの工具ステージ14の移動量を工具18の挿入量として検出してもよい。この場合、演算装置38(検出部52)は、工具ステージ14の移動量の情報を製造装置10から取得する。
検出部52は、このようにして検出した工具18の挿入量が異常であるかを判定する。検出部52は、工具18の挿入量が適切である場合の工具18の挿入量である基準挿入量を、予め設定している。基準挿入量は、任意に設定してよいが、第1部材T1と第2部材T2との接合が適切となる場合の工具18の挿入量として設定してよい。そして、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像から算出した工具18の挿入量と、基準挿入量との差分を算出し、算出した工具18の挿入量と基準挿入量との差分が閾値(以降、第1挿入閾値と称する)以上である場合に、工具18の挿入量が異常であると判断する。第1挿入閾値は、任意に設定されてよいが、品質異常となる程度に工具18の挿入量が異常となった際の閾値として設定されてよい。そして、検出部52は、算出した工具18の挿入量と基準挿入量との差分が第1挿入閾値より小さい場合に、工具18の挿入量が正常である(異常でない)と判断する。より具体的には、本実施形態では、検出部52は、算出した工具18の挿入量が、基準挿入量に対して、第1挿入閾値以上大きい場合に、工具18の挿入量が異常であると判断する。そして、検出部52は、算出した工具18の挿入量が、基準挿入量に対して、第1挿入閾値以上大きくない場合に、工具18の挿入量が正常であると判断する。
次に、工具状態としての工具18の形状の検出について説明する。図16は、工具18の形状の検出について説明する模式図である。なお、説明の便宜上、図16のプローブ22の外形形状を他の図よりも詳しく表現している。検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した工具18の画像に基づき、工具18の形状を検出する。本実施形態において、検出部52は、工具18の形状として、工具18の外径及び溝の寸法を検出するが、工具18の外径及び溝の寸法の少なくとも1つを検出してよい。なお、溝の寸法は凹凸の寸法と言い換えることもできる。工具18の形状を検出する際には、演算装置38は、製造装置10に、第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させる。具体的には、図16に示すように、第1部材T1と第2部材T2との接合中にプローブ22が部材Tに挿入されている状態から、工具18を+Z軸方向に移動させて、プローブ22を部材Tの外部に露出させる。そして、演算装置38は、ショルダ20及びプローブ22が部材Tの外部に露出した状態で、第2撮像部34Bに撮像領域R2の範囲で撮像させることで、第2撮像部34Bは、ショルダ20及びプローブ22を撮像できる。なお、第2撮像部34Bを移動可能(例えば、第2撮像部34Bを工具18に対して相対移動可能)とした場合には、工具18の外径及び溝の寸法の測定時に第2撮像部34Bを工具18に対して移動させて、第2撮像部34Bと工具18との相対位置を変化させてもよい。この場合、第2撮像部34Bを、ショルダ20及びプローブ22を適切に撮像できる予め定めた位置に移動させて、第2撮像部34Bにショルダ20及びプローブ22を撮像させてよい。
検出部52は、第2撮像部34Bが工具18(ショルダ20及びプローブ22)を撮像した画像に基づき、工具18の形状、ここでは工具18の外径及び溝の寸法を検出する。図16に示すように、検出部52は、第2撮像部34Bの撮像した画像に基づき、工具18の外径として、ショルダ20の外径D1を検出する。また、検出部52は、第2撮像部34Bの撮像した画像に基づき、プローブ22の外周面の凸部(おねじの山部)の外径D2と、プローブ22の外周面の凹部(おねじの谷部)の外径D3とを検出する。検出部52は、外径D2と外径D3との差分を、工具18(プローブ22)の溝の寸法として検出する。
検出部52は、このようにして算出した工具18の形状が、異常であるかを判定する。まず、工具18の外径の異常判定について説明する。検出部52は、工具18の摩耗が進んでいない場合の工具18の外径である基準外径を、予め設定している。検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像から検出したショルダ20の外径D1が、基準外径に対して、閾値(以降、第1外径閾値と称する)以上小さい場合に、工具18の外径(ショルダ20の外径D1)が異常であると判断する。第1外径閾値は、任意に設定されてよいが、品質異常となる程度に工具18の外径が異常となった判断される際の閾値として設定されてよい。そして、検出部52は、ショルダ20の外径D1が、基準外径に対して、第1外径閾値以上小さくない場合に、工具18の外径(ショルダ20の外径D1)が正常である(異常でない)と判断する。
次に、工具18の溝の寸法の異常判定について説明する。また、検出部52は、工具18の摩耗が進んでいない場合の工具18の溝の寸法である基準溝寸法を、予め設定している。そして、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像から算出した工具18の溝の寸法が、基準溝寸法に対して、閾値(以降、第1溝閾値と称する)以上小さい場合に、工具18の溝の寸法が異常であると判断する。第1溝閾値は、任意に設定されてよいが、品質異常となる程度に工具18の溝が異常となった際の閾値として設定されてよい。そして、検出部52は、算出した工具18の溝の寸法が、基準溝寸法に対して、第1溝閾値以上小さくない場合に、工具18の溝の寸法が正常である(異常でない)と判断する。
検出部52は、以上のようにして、工具18の挿入量と工具18の形状とを、工具状態として検出して、工具18の挿入量と工具18の形状とが異常であるか、すなわち工具状態が異常であるかを、判断する。ただし、検出部52は、工具18の挿入量と工具18の形状との少なくとも1つを、工具状態として検出してよく、工具18の挿入量と工具18の形状との少なくとも1つが異常であるかを判断すればよい。
検出部52は、以上のようにして、部材状態及び工具状態を検出する。図5に示す接合状態判定部54は、検出部52が判定した部材状態及び工具状態に基づき、第1部材T1と第2部材T2との接合状態が不良かを判定する。接合状態とは、第1部材T1と第2部材T2とを接合している際の、部材Tの状態を指す。接合状態としては、第1部材T1と第2部材T2との混ぜ合わせ状態と、部材Tへの入熱量と、部材Tへの入熱位置などが挙げられる。第1部材T1と第2部材T2との混ぜ合わせ状態とは、プローブ22による第1部材T1と第2部材T2との撹拌度合いを示す。部材Tへの入熱量とは、工具18の摩擦撹拌により生じた摩擦熱の部材Tへの伝熱量を指す。また、部材Tへの入熱位置とは、工具18の摩擦熱が付与される部材T上の位置を指す。このような接合状態が不良となるケース(以降、接合状態の不良モードと称する)としては、品質異常となる程度に第1部材T1と第2部材T2との混ぜ合わせ状態が不良となる混ぜ合わせ不良と、品質異常となる程度に部材Tへの入熱量が過多となる入熱過多と、品質異常となる程度に部材Tへの入熱量が不足する入熱不足と、品質異常となる程度に部材Tへの入熱位置が不良となる入熱位置不良と、が挙げられる。接合状態判定部54は、検出部52が判定した部材状態及び工具状態に基づき、以上で挙げた複数の接合状態の不良モードのうち、部材Tが、どの接合状態の不良モードに該当しているかを判定する。なお、接合状態は、第1部材T1と第2部材T2との混ぜ合わせ状態と、部材Tへの入熱量と、部材Tへの入熱位置との少なくとも1つであってよい。言い換えれば、接合状態判定部54は、混ぜ合わせ状態と、部材Tへの入熱量と、部材Tへの入熱位置との少なくとも1つが不良であるかを判定してよい。
変更情報生成部56は、検出部52により検出された部材状態と工具状態とに基づいて、変更情報を生成する。さらに言えば、変更情報生成部56は、接合状態判定部54が不良であると判定した接合状態に基づき、変更情報を生成する。変更情報は、製造装置10の動作条件を変更するための情報であるが、詳しくは後述する。変更情報出力部58は、変更情報生成部56が生成した変更情報を、制御装置30に出力する。制御装置30は、変更情報生成部56から出力された変更情報に基づき、動作条件を設定し直して、設定し直した動作条件で製造装置10の各部を制御して、第1部材T1と第2部材T2とを接合する。
演算装置38は、以上のような構成となっている。以下、演算装置38による処理フローについて説明する。図17は、第1実施形態に係る演算装置の処理フローを説明するフローチャートである。図17に示すように、演算装置38は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を開始したことをトリガとして、機器制御部50により、所定のフレームレートで撮像部34に画像の撮像を開始させる(ステップS40)。製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を開始するとは、ここでは、工具18をθZ方向に回転させながら+Z軸方に動かして、部材Tに近づけることを開始することを指すが、工具18がθZ方向に回転しながらプローブ22が部材T内に挿入されたことを指してもよい。機器制御部50は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を開始したら、照射部32Aに領域R0へ光LABを照射させ、第1撮像部34Aに撮像領域R1の範囲内の画像を撮像させ、第2撮像部34Bに撮像領域R2の範囲内の画像を撮像させる。機器制御部50は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を停止するまで、照射部32Aに領域R0への光LABの照射を続けさせつつ、所定のフレームレートで、第1撮像部34Aに撮像領域R1の範囲内の画像を撮像させ、第2撮像部34Bに撮像領域R2の範囲内の画像を撮像させる。なお、機器制御部50は、第2撮像部34Bに、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触したタイミングで画像を撮像させて、検出部52は、その画像に基づき、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触したタイミングにおける、ショルダ20の端部20Aと部材Tの表面TAとの間の距離D0aを算出する。
撮像部34が画像を撮像したら、演算装置38は、検出部52により、撮像部34が撮像により生成した画像データを取得して、部材状態として、接合部T3の表面T3Aの反射率の異常の有無と、開口F1と、バリF2と、加工パスの異常の有無とを、を検出する(ステップS42)。検出部52は、製造装置10による接合中に、部材状態を検出する。検出部52は、撮像部34が画像を撮像する毎に、撮像部34が生成した画像データを取得して、部材状態を検出する。検出部52は、第1撮像部34Aが生成した画像データPA、PBから、接合部T3の表面T3Aの反射率を、部材状態として検出する。また、検出部52は、第2撮像部34Bが生成した画像データPから、開口F1を、部材状態として検出する。また、検出部52は、第2撮像部34Bが生成した画像データPから、バリF2を、部材状態として検出する。また、検出部52は、第2撮像部34Bが生成した画像データPから、加工パスを、部材状態として検出する。検出部52は、検出した部材状態が異常であるかを判断する。
演算装置38は、部材状態の検出結果に異常がある場合(ステップS44;Yes)、より具体的にはステップS42で接合部T3の表面T3Aの反射率の異常(すなわち反射率の異常が有る旨)と、開口F1と、バリF2と、加工パスの異常(すなわち加工パスの異常が有る旨)と接合部T3の表面T3Aの反射率の異常と、開口F1と、バリF2と、加工パスの異常との少なくとも1つが検出された場合、言い換えれば部材Tの品質異常が検出された場合、接合部T3の表面T3Aの反射率が異常であり、かつ、バリF2が検出されたかを判断する(ステップS46)。
演算装置38は、接合部T3の表面T3Aの反射率の異常と、バリF2との両方が検出された場合(ステップS46;Yes)、検出部52により、工具18の形状と工具18の挿入量とを、工具状態として検出する(ステップS48)。演算装置38は、製造装置10に接合を停止させてプローブ22を部材Tの外部に露出させ、第2撮像部34Bに工具18の画像を撮像させる。演算装置38は、第2撮像部34Bが撮像した工具18の画像から、工具18の形状を検出する。具体的には、演算装置38は、表面T3Aの反射率が異常であり、かつ、バリF2が検出された場合に、接合停止信号を生成して、製造装置10の制御装置30に送信する。接合停止信号とは、製造装置10に、第1部材T1と第2部材T2との接合の停止を指示する信号である。制御装置30は、制御装置30から接合停止信号を受信したら、第1部材T1と第2部材T2との接合を停止して、工具18を+Z軸方向に動かして、ショルダ20の端部20Aを部材Tの表面TAから離してプローブ22を部材Tの内部から外部に出すことで、ショルダ20及びプローブ22を部材Tから露出させる。制御装置30は、ショルダ20及びプローブ22を部材Tから露出させたら、ショルダ20及びプローブ22を部材Tから露出させた旨を示す応答信号を、演算装置38に送信する。演算装置38は、制御装置30から応答信号を受信したら、第2撮像部34Bに工具18の画像を撮像させる。演算装置38は、検出部52により、第2撮像部34Bが撮像した工具18の画像に基づき、工具18の形状を、工具状態として検出する。演算装置38は、検出した工具18の形状が異常であるかを判断する。
また、演算装置38は、第2撮像部34Bが生成した画像データPから、すなわち接合中に第2撮像部34Bが撮像した画像から、工具18の挿入量を検出する。具体的には、演算装置38は、予め検出していた距離D0aから、第2撮像部34Bが生成した画像データPに基づき検出した距離D0を差し引いた量を、工具18の挿入量として検出する。演算装置38は、検出した工具18の挿入量が異常であるかを判断する。
工具状態として工具18の形状及び工具18の挿入量を検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS58)。変更情報の生成方法については後述する。
演算装置38は、表面T3Aの反射率が異常であり、かつ、バリF2が検出されるという条件が満たされない場合(ステップS46;No)に、すなわち反射率の異常とバリF2との少なくとも一方が検出されなかった場合に、反射率が異常か否かを判断する。反射率が異常である場合(ステップS50;Yes)、演算装置38は、工具状態として、工具18の形状を検出する(ステップS52)。すなわち、演算装置38は、バリF2が検出されないが表面T3Aの反射率が異常である場合に、工具状態として、工具18の形状を検出する。工具18の形状の検出方法は、ステップS48での工具18の形状の検出方法と同様である。工具状態として工具18の形状を検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS58)。変更情報の生成方法については後述する。
演算装置38は、反射率の異常が検出されない場合(ステップS50;No)、バリF2が検出されたか否かを判断する。バリF2が検出された場合(ステップS54;Yes)、演算装置38は、工具状態として、工具18の挿入量を検出する(ステップS56)。工具18の挿入量の検出方法は、ステップS52での工具18の挿入量の検出方法と同様である。工具状態として工具18の挿入量を検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS58)。変更情報の生成方法については後述する。なお、ステップS56においては、工具18の形状を検出しないため、工具18の形状を検出するために第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させる制御は、実行しない(製造装置10に第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させない)。
演算装置38は、バリF2が検出されない場合(ステップS54;No)、すなわち反射率の異常もバリF2も検出されない場合、工具状態を検出することなく、検出した部材状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS58)。言い換えれば、部材状態の異常が、反射率の異常及びバリF2の検出以外である場合、ここでは開口F1や加工パスの異常が検出されて反射率の異常及びバリF2が検出されなかった場合、演算装置38は、工具状態を検出することなく、部材状態に基づき変更情報を生成する。変更情報の生成方法については後述する。反射率の異常が検出されずバリF2も検出されない場合にも、工具18の形状を検出しないため、工具18の形状を検出するために第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させる制御は、実行しない(製造装置10に第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させない)。
製造装置10の制御装置30は、演算装置38から送信された変更情報に基づき動作条件を変更する。変更情報の生成、送信が行われた後、第1部材T1と第2部材T2との接合を終了する場合(ステップS60;Yes)、本処理を終了する。第1部材T1と第2部材T2との接合を終了しない場合(ステップS60;No)、製造装置10の制御装置30は、変更情報に基づき変更した動作条件で、第1部材T1と第2部材T2との接合を続けて、演算装置38は、ステップS40に戻り、照射部32Aによる光LABの照射と、撮像部34による撮像とを続ける。
このように、演算装置38は、反射率の異常が検出された場合に、工具18の形状を検出する。演算装置38は、検出した工具18の形状が異常であるかを判断する。また、演算装置38は、バリF2が検出された場合に、工具18の挿入量を検出する。演算装置38は、検出した工具18の挿入量が異常であるかを判断する。なお、演算装置38は、バリF2が検出されたことをトリガとして工具18の挿入量を検出しなくてもよく、第2撮像部34Bが所定のフレームレートで撮像する毎に、第2撮像部34Bの画像データPに基づき、順次、工具18の挿入量を検出してもよい。
ステップS44において、部材状態の検出結果に異常がない場合(ステップS44;No)、すなわち反射率の異常と、開口F1と、バリF2と、加工パスの異常との何れも検出されなかった場合(反射率の異常及び加工パスの異常が無く、かつ、開口F1及びバリF2が検出されなかった場合)、すなわち部材Tの品質異常が検出されなかった場合、ステップS60に移動し、第1部材T1と第2部材T2との接合が終了している場合(ステップS60;Yes)、本処理を終了し、第1部材T1と第2部材T2との接合が終了していない場合(ステップS60;No)、ステップS40に戻り、照射部32Aによる光LABの照射と、撮像部34による撮像とを続ける。すなわち、部材状態の異常が検出されなかった場合には、演算装置38が変更情報を生成せず、製造装置10は、変更情報に基づき動作条件を変更することなく、接合を続ける。
なお、反射率が異常でありバリF2が検出されて、工具18の形状及び挿入量を検出して変更情報を生成した場合、すなわちステップS48を経てステップS58に至った場合は、上述のように第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させている。そのため、ステップS48を経てステップS58に至った場合であって、接合が終了していない場合(ステップS60;Noの場合)、演算装置38は、製造装置10に第1部材T1と第2部材T2との接合を再開させる。具体的には、演算装置38は、製造装置10に第1部材T1と第2部材T2との接合を再開させる旨を指示する接合再開信号を、制御装置30に送信する。制御装置30は、演算装置38から接合再開信号を受信したら、第1部材T1と第2部材T2との接合が終了していない場合には、工具18をθZ方向に回転させながら+Z軸方に動かして、変更情報に基づき変更した動作条件で、接合を再開する。同様に、バリF2が検出されないが反射率が異常であるために工具18の形状を検出した場合にも、すなわちステップS52を経てステップS58に至った場合にも、第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させている。そのため、ステップS52を経てステップS58に至った場合であって、接合が終了していない場合にも(ステップS60;Noの場合)、演算装置38は、製造装置10に第1部材T1と第2部材T2との接合を再開させる。一方、反射率の異常が検出されなかった場合は、工具18の形状を検出しないため、接合を停止しない。この場合、制御装置30は、接合中に、演算装置38から受信した変更情報に基づき動作条件を変更して、変更した動作条件で接合を行わせる。このように、本実施形態において、演算装置38は、接合中に検出した反射率が異常であるかを判断し、異常である場合に、接合を停止して、工具18の形状を検出する。一方、演算装置38は、反射率以外の接合条件が異常であると判断しても、接合を停止せず、工具18の形状を検出しない。ただし、演算装置38は、反射率以外の接合条件が異常であると判断した場合にも、接合を停止して、工具18の形状を検出してもよい。また、本実施形態では、工具状態の検出においては、接合中に工具18の挿入量を検出し、接合を停止してから工具18の形状を検出するが、例えば接合を停止してから工具18の挿入量を検出してもよい。以上を整理すると、演算装置38は、接合中の部材状態が異常であるかを判断し、部材状態が異常である場合に、工具状態を検出してよい。検出部52が検出する部材状態は、反射率と開口F1とバリF2と加工パスとの、少なくとも1つであってよく、工具状態は、工具18の挿入量と工具18の形状との少なくとも1つであってよい。なお、図17の例では、反射率の異常及びバリF2の検出を判断し(ステップS46)、反射率の異常の判断(ステップS48)、及びバリF2の検出の判断(ステップS50)の順で行われているが、工具状態の検出の順番はこれに限られず任意である。すなわち、反射率の異常、開口F1、バリF2、及び加工パスの異常の検出の判断の順番は、任意であってよい。
次に、変更情報の生成について説明する。変更情報生成部56は、検出部52が異常であると判断した部材状態及び工具状態に応じて、生成する変更情報の種類を変える。また、変更情報生成部56は、接合状態判定部54が判定した接合状態の不良モードに応じて、生成する変更情報の種類を変えるともいえる。変更情報とは、製造装置10の動作条件を変更するための情報であり、言い換えれば、動作条件の変更内容を含んだ情報である。動作条件は、工具18の回転数、工具18の送り速度、工具18の挿入量、及び工具18の加工パスであるため、変更情報としては、工具18の回転数を変更するための情報と、工具18の送り速度を変更するための情報と、工具18の挿入量を変更するための情報と、工具18の加工パスを変更するための情報と、の少なくとも1つが挙げられる。変更情報は、動作条件の変更量を指定する情報(例えば工具18の回転数を100rpm上昇させる旨の情報)であってもよいし、変更後の動作条件を指定する情報(例えば工具18の回転数を1000rpmに変更する旨の情報)であってもよい。すなわち、変更情報は、動作条件を、現在設定されている第1の値から、第2の値に変更するための情報であればよい。
ここで、部材Tの品質異常が起きている場合、製造装置10の動作条件を変更することで、品質不良に至ることを抑制できる場合がある。しかし、品質不良を抑えるためにどの動作条件を変更するかの判断が、困難となる場合がある。品質異常として接合部T3の表面T3Aの反射率の異常が検出されている場合を例にすると、反射率の異常は、混ぜ合わせ不良という接合状態の不良モードが原因で形成される場合もあるし、入熱不良という接合状態の不良モードが原因で形成される場合もある。そのため、混ぜ合わせ不良が原因で起こっている反射率の異常に対し、入熱不足を解消可能な動作条件を変更しても、混ぜ合わせ不良が解消されず、反射率の異常が解消できない可能性がある。それに対し、本実施形態に係る演算装置38は、検出部52によって部材状態と工具状態とを検出することで、接合状態の不良モードを特定して、その接合状態の不良モードを解消可能な動作条件を変更するための変更情報を生成する。従って、本実施形態に係る演算装置38によると、部材Tの品質不良を抑えて、部材Tの品質を改善できる。以下、変更情報の生成について具体的に説明する。
図18から図21は、変更情報の生成について説明するフローチャートである。図18は、部材状態の異常として接合部T3の表面T3Aの反射率の異常が検出された場合の、変更情報の生成方法を示している。すなわち、図18は、図17のステップS58での、反射率の異常が検出された場合の変更情報の生成方法の詳細を説明するものである。検出部52が、接合部T3の表面T3Aの反射率が異常であると判断した際において、図18に示すように、検出部52が、工具18の溝の寸法及び工具18の外径の両方が異常であると判断した場合(ステップS62;Yes)に、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、混ぜ合わせ異常と入熱不足とが起きていると判断する(ステップS64)。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が混ぜ合わせ異常と入熱不足とが起きていると判断したら、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報と、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報とを、生成する(ステップS66)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、接合部T3の表面T3Aの反射率が異常であると判断し、かつ、工具18の溝の寸法及び工具18の外径の両方が異常であると判断した場合に、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報と、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報とを、生成する。
また、検出部52が、工具18の溝の寸法及び工具18の外径の両方共が異常ではないと判断した場合(ステップS62;No)であって(工具18の溝の寸法が異常でありかつ工具18の外径が異常であるという条件を満たさない場合であって)、検出部52が工具18の溝の寸法が異常であると判断した場合(ステップS68;Yes)、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、混ぜ合わせ異常が起きていると判断する(ステップS70)。すなわち、接合状態判定部54は、検出部52が、接合部T3の表面T3Aの反射率が異常であると判断し、かつ、工具18の溝の寸法が異常であると判断した場合に、混ぜ合わせ異常が起きていると判断する。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が混ぜ合わせ異常が起きていると判断したら、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報を生成する(ステップS72)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、接合部T3の表面T3Aの反射率が異常であると判断し、かつ、工具18の溝の寸法が異常であると判断した場合に、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報を生成する。
また、検出部52が、工具18の溝の寸法が異常でないと判断した場合(ステップS68;No)であって、検出部52が工具18の外径が異常であると判断した場合(ステップS74;Yes)、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、入熱不足が起きていると判断する(ステップS76)。すなわち、接合状態判定部54は、検出部52が、接合部T3の表面T3Aの反射率が異常であると判断し、かつ、工具18の外径が異常であると判断した場合に、入熱不足が起きていると判断する。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が、入熱不足が起きていると判断したら、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報を生成する(ステップS72)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、接合部T3の表面T3Aの反射率が異常であると判断し、かつ、工具18の外径が異常であると判断した場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報を生成する。なお、演算装置38は、工具18の溝の寸法が異常でなく工具18の外径も異常でないと判断した場合(ステップS74;No)、本処理を終了する。
このように、演算装置38は、検出部52によって接合部T3の表面T3Aの反射率が異常かを判断する。そして、演算装置38は、工具状態、ここでは工具18の溝の寸法及び工具18の外径に異常が生じているかを判断する。工具18の溝の寸法が異常である場合、プローブ22の外周面が摩耗して、溝が浅く(凸部と凹部との間の長さが短く)なっていることに起因して、混ぜ合わせ異常が起きて表面T3Aの反射率の異常が起こる可能性がある。より詳しくは、工具の溝が浅いと、プローブ22による第1部材T1と第2部材T2との撹拌が不足して、混ぜ合わせ異常が起きる可能性がある。そのため、演算装置38は、工具18の溝の寸法が異常である場合に、混ぜ合わせ異常が起きていると判断して、混ぜ合わせ異常を抑制するために、工具18の回転数を上昇させるという変更情報を生成して、制御装置30に送信する。制御装置30は、その変更情報に従い、工具18の回転数を上昇させる。制御装置30は、工具18の回転数を上昇させることで、プローブ22によって第1部材T1と第2部材T2とを十分に撹拌させ、混ぜ合わせ異常を抑制して、異常混合状態となることを、適切に抑制できる。
また、工具18の外径が異常である場合、工具18が摩耗して外径が小さくなっていることに起因して、入熱不足が起きて反射率が異常となっている可能性がある。工具18の外径、ここではショルダ20の外径が短い場合、ショルダ20と部材Tとの接触面積が小さくなり、部材T(ここでは回転させた工具18を挿入した部材)への摩擦熱の伝熱量が低下して、入熱不足が起きていると判断する。そのため、演算装置38は、工具18の外径が異常である場合に、入熱不足が起きていると判断して、入熱不足を抑制するために、工具18の送り速度を低下させるという変更情報を生成して、制御装置30に送信する。制御装置30は、その変更情報に従い、工具18の送り速度を低下させる。制御装置30は、工具18の送り速度を低下させることで、工具18と部材Tとの接触時間(つまり摩擦撹拌する時間)を長くして入熱量を多くすることが可能となり、入熱不足を抑制して、異常混合状態となることを適切に抑制できる。
図19は、部材状態の異常として開口F1が検出された場合の、変更情報の生成方法を示している。すなわち、図19は、図17のステップS58での、開口F1が検出された場合の変更情報の生成方法の詳細を説明するものである。図19に示すように、接合状態判定部54は、検出部52が開口F1を検出した場合、接合状態の不良モードのうち、入熱不足が起きていると判断する(ステップS82)。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が、入熱不足が起きていると判断したら、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報を生成する(ステップS84)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が開口F1を検出した場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報を生成する。
このように、演算装置38は、検出部52によって接合部T3の表面T3Aに開口F1が形成されているかを検出する。演算装置38は、開口F1が形成されている場合、入熱不足が起きていると判断して、入熱不足を抑制するために、工具18の送り速度を低下させるという変更情報を生成して、制御装置30に送信する。制御装置30は、その変更情報に従い、工具18の送り速度を低下させる。制御装置30は、工具18の送り速度を低下させることで、工具18と部材Tとの接触時間を長くして入熱量を多くすることが可能となり、入熱不足を抑制して、開口F1の形成を適切に抑制できる。
図20は、部材状態の異常としてバリF2が検出された場合の、変更情報の生成方法を示している。すなわち、図20は、図17のステップS58での、バリF2が検出された場合の変更情報の生成方法の詳細を説明するものである。検出部52がバリF2を検出した際において、図20に示すように、検出部52が、工具18の挿入量が大きすぎて異常であると判断した場合(ステップS92;Yes)に、変更情報生成部56は、接合状態の不良モードのうち、入熱過多が起きていると判断する(ステップS94)。変更情報生成部56は、工具18の挿入量が異常であって入熱過多が起きていると判断された場合、工具18の挿入量を低下させる旨の変更情報を生成する(ステップS96)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52がバリF2を検出し、かつ工具18の挿入量が異常であると判断した場合に、工具18の挿入量を低下させる旨の変更情報を生成する。
また、接合状態判定部54は、検出部52が、工具18の挿入量が異常でないと判断した場合(ステップS92;No)に、接合状態の不良モードのうち、入熱過多が起きていると判断する(ステップS98)。変更情報生成部56は、入熱過多が起きているが工具18の挿入量が正常であると判断された場合、工具18の送り速度を上昇させる旨の変更情報を生成する(ステップS100)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52がバリF2を検出し、かつ工具18の挿入量が正常であると判断した場合に、工具18の送り速度を上昇させる旨の変更情報を生成する。
このように、演算装置38は、検出部52によってバリF2が形成されているかを判断することで、入熱過多に起因して金属組織が粗大化している可能性があることを検出する。そして、演算装置38は、工具状態、ここでは工具18の挿入量に異常であるか、より具体的には工具18の挿入量が大きすぎないかを判断する。工具18の挿入量が大きすぎる場合には、工具18の挿入量が大きすぎることで工具18と部材Tとの接触面積が大きくなって(言い換えると、部材Tに対する工具18の押し付け圧力が高くなって)、入熱過多が発生し、金属組織が粗大化している可能性がある。そのため、演算装置38は、工具18の挿入量に異常である場合に、入熱過多を抑制するために、工具18の挿入量を低下させるという変更情報を生成して、制御装置30に送信する。制御装置30は、その変更情報に従い、工具18の挿入量を低下させる。制御装置30は、工具18の挿入量を低下させることで、工具18と部材Tとの接触面積を小さくして入熱量を少なくすることが可能となり、入熱過多を抑制して、金属組織の粗大化を適切に抑制できる。また、バリF2が形成されているが工具18の挿入量が正常である場合には、演算装置38は、入熱過多を解消するためには、工具18の送り速度を上昇させて、入熱量を減らす必要があると判断する。そのため、演算装置38は、工具18の挿入量が正常である場合には、入熱過多を抑制するために、工具18の送り速度を上昇させるという変更情報を生成して、制御装置30に送信する。制御装置30は、その変更情報に従い、工具18の送り速度を上昇させる。制御装置30は、工具18の送り速度を上昇させることで、工具18と部材Tとの接触時間を短くして入熱量を少なくすることが可能となり、入熱過多を抑制して、金属組織の粗大化を適切に抑制できる。
図21は、部材状態の異常として加工パスの異常が検出された場合の、変更情報の生成方法を示している。すなわち、図21は、図17のステップS58での、加工パスの異常が検出された場合の変更情報の生成方法の詳細を説明するものである。図21に示すように、接合状態判定部54は、検出部52が加工パスの異常を検出した場合、接合状態の不良モードのうち、入熱位置不良が起きていると判断する(ステップS112)。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が、入熱位置不良が起きていると判断したら、工具18の加工パスを修正する旨の変更情報を生成する(ステップS114)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が加工パスの異常を検出した場合に、工具18の加工パスを修正させる旨の変更情報を生成する。変更情報生成部56は、例えば、検出部52が検出した加工パスが、基準加工パスに対して+X軸方向にずれていた場合、工具18の加工パスを−X軸方向に移動させる旨の変更情報を生成し、検出部52が検出した加工パスが、基準加工パスに対して−X軸方向にずれていた場合、工具18の加工パスを+X軸方向に移動させる旨の変更情報を生成する。すなわち、変更情報生成部56は、検出部52が検出した加工パスが、基準加工パスに対してずれている方向と反対方向側に移動するように、変更情報を生成する。
このように、演算装置38は、検出部52によって加工パスが異常かを判断することで、第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の厚みが厚くなっている可能性があることを検出する。演算装置38は、金属間化合物の厚みが厚くなっている原因が、入熱位置の不良に起因して起きていると判断して、入熱位置の不良を解消するために、加工パスを修正するという変更情報を生成して、制御装置30に送信する。制御装置30は、その変更情報に従い、工具18の加工パスを修正する。制御装置30は、加工パスを修正することで、入熱位置を修正して、第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の厚みを薄くできる。
なお、以上の説明では、演算装置38は、検出部52による部材状態と工具状態との検出結果に基づき、接合状態判定部54による接合状態の不良モードの抽出を行って、変更情報生成部56による変更情報の生成を行っている。ただし、接合状態判定部54による接合状態の不良モードの抽出処理は必須ではなく、演算装置38は、接合状態の不良モードの抽出を行うことなく、検出部52による部材状態と工具状態との検出結果に基づき、変更情報生成部56により、変更情報を生成してもよい。この場合、演算装置38の接合状態判定部54は不要となる。
また、図17の説明においては、部材状態の検出結果に異常がない場合は、変更情報を生成しないフローとなっている。ただし、演算装置38は、部材状態の検出結果に異常がない場合であっても、第1部材T1と第2部材T2との接合中に検出した部材状態に基づき、次回に接合する際の動作条件を変更するための、変更情報を生成してもよい。ここでの次回の接合とは、検出部52が部材状態を検出した際の第1部材T1と第2部材T2との接合が終了した後の、製造装置10による次の部材同士の接合を指す。次回の接合においては検出部52が部材状態を検出した際の第1部材T1と第2部材T2とは異なる部材同士を接合してもよい。
演算装置38は、第1部材T1と第2部材T2との接合中に検出した部材状態に基づき、次回の接合での動作条件の変更が必要かを判断する。演算装置38は、接合中に検出した部材状態が異常であると判断することなく接合が終了した場合においても、接合中に検出した部材状態が、次回の接合での動作条件の変更が必要な程度に不良である場合に、次回の接合での動作条件の変更が必要であると判断する。演算装置38は、次回の接合での動作条件の変更が必要であると判断した場合、部材状態と工具状態とに基づき、次回の接合での動作条件を変更する旨の変更情報を生成して、制御装置30に送信する。制御装置30は、演算装置38から送信された変更情報に基づき、次回の接合の際の動作条件を変更する。
例えば、演算装置38は、反射率が異常であると判断することなく接合が終了した場合においても、検出部52が検出した反射比率と基準反射比率との差分が所定値以上となる単位領域の数が、予め定めた閾値(以降、第2反射率閾値と記載)以上である場合には、次回の接合の際の動作条件を変更する必要があると判断する。ここでの第2反射率閾値は、反射率の異常を判断した場合における第1反射率閾値よりも小さな数値として(つまり、反射比率と基準反射比率との差分が所定値以上となる画素の数がより少ないことを前提に)、予め設定される。演算装置38は、次回の接合の際の動作条件を変更する必要があると判断したら、第2撮像部34Bに工具18を撮像させ、検出部52により、第2撮像部34Bが撮像した工具18の画像に基づき、工具18の形状を検出する。演算装置38は、検出部52が検出した工具18の外径が予め定めた閾値(以降、第2外径閾値と記載)以上である場合には、入熱不足が発生する可能性があると判断して、次回の接合の際に工具18の送り速度を低下する旨の変更情報を生成する。ここでの第2外径閾値は、工具18の外径の異常を判断した場合における第1外径閾値よりも大きな数値として(つまり、工具18の外径がより大きいことを前提に)、予め設定される。また、演算装置38は、検出部52が検出した工具18の溝が予め定めた閾値(以降、第2溝閾値と記載)以上である場合には、混ぜ合わせ異常が発生する可能性があると判断して、次回の接合の際に工具18の回転数を上昇する旨の変更情報を生成する。ここでの第2溝閾値は、工具18の溝の異常を判断した場合における第1溝閾値よりも大きな数値として(つまり、工具18の溝の深さがより深いことを前提に)、予め設定される。
また例えば、演算装置38は、開口F1が形成されていると判断することなく接合が終了した場合においても、検出部52が検出した低輝度画素が、予め定めた閾値(以降、第2開口閾値と記載)以上連続して隣り合う場合には、次回の接合の際の動作条件を変更する必要があると判断する。ここでの第2開口閾値は、開口F1を検出した場合における第1開口閾値よりも小さな数値として(つまり、低輝度画素が連続して隣り合う数がより少ないことを前提に)、予め設定される。演算装置38は、次回の接合の際の動作条件を変更する必要があると判断したら、入熱不足が発生する可能性があると判断して、次回の接合の際に工具18の送り速度を低下する旨の変更情報を生成する。
また例えば、演算装置38は、バリF2が形成されていると判断することなく接合が終了した場合においても、検出部52が検出した高輝度画素が、予め定めた閾値(以降、第2バリ閾値と記載)以上連続して隣り合う場合には、次回の接合の際の動作条件を変更する必要があると判断する。ここでの第2バリ閾値は、バリF2を検出した場合における第1バリ閾値よりも小さな数値として(つまり、高輝度画素が連続して隣り合う数がより少ないことを前提に)、予め設定される。演算装置38は、検出部52が検出した工具18の挿入量が予め定めた閾値(以降、第2挿入閾値と記載)以上である場合には、入熱過多が発生する可能性があると判断して、次回の接合の際に工具18の挿入量を低下する旨の変更情報を生成する。ここでの第2挿入閾値は、工具18の挿入量の異常を判断した場合における第1挿入閾値よりも大きな数値として(つまり、工具18の挿入量がより大きいことを前提に)、予め設定される。また、演算装置38は、検出部52が検出した工具18の挿入量が第2挿入閾値以上である場合には、混ぜ合わせ異常が発生する可能性があると判断して、次回の接合の際に工具18の送り速度を上昇する旨の変更情報を生成する。
また例えば、演算装置38は、加工パスの異常を検出することなく接合が終了した場合においても、検出部52が検出した加工パスと基準加工パスとの差分が、予め定めた閾値(以降、第2パス閾値と記載)以上となる場合には、次回の接合の際の加工パスを修正する必要があると判断する。ここでの第2パス閾値は、加工パスを検出した場合における第1パス閾値よりも小さな数値として(つまり、加工パスと基準加工パスとの差分がより小さいことを前提に)、予め設定される。演算装置38は、次回の接合の際の動作条件を変更する必要があると判断したら、入熱位置不良が発生する可能性があると判断して、次回の接合の際に加工パスを修正する旨の変更情報を生成する。
また、演算装置38は、部材Tの品質が、品質異常の程度を超えて品質不良となる程度に悪いことを検出した場合には、製造装置10による接合を終了させてもよい。例えば、演算装置38は、検出部52による部材状態の検出結果が、部材状態の異常を判断するための閾値よりも厳しい閾値の範囲外となる場合に、部材Tが品質不良であると判断して、製造装置10による接合を終了させる。すなわち例えば、検出部52が検出した反射比率と基準反射比率との差分が所定値以上となる単位領域の数が、閾値(以降、第3反射率閾値と記載)以上である場合には、部材Tが品質不良であると判断して、接合を終了させてよい。第3反射率閾値は、反射率の異常を判断した場合における第1反射率閾値よりも大きな数値(つまり、反射比率と基準反射比率との差分が所定値以上となる画素の数がより多くことを前提に)、予め設定される。また例えば、検出部52が検出した低輝度画素が、予め定めた閾値(以降、第3開口閾値と記載)以上連続して隣り合う場合には、部材Tが品質不良であると判断して、接合を終了させてよい。第3開口閾値は、開口F1を検出した場合における第1開口閾値よりも大きな数値として(つまり、低輝度画素が連続して隣り合う数がより多いことを前提に)、予め設定される。また例えば、検出部52が検出した高輝度画素が、予め定めた閾値(以降、第3バリ閾値と記載)以上連続して隣り合う場合には、部材Tが品質不良であると判断して、接合を終了させてよい。第3バリ閾値は、バリF2を検出した場合における第1バリ閾値よりも大きな数値として(つまり、高輝度画素が連続して隣り合う数がより多いことを前提に)、予め設定される。また例えば、検出部52が検出した加工パスと基準加工パスとの差分が、予め定めた閾値(以降、第3パス閾値と記載)以上となる場合には、部材Tが品質不良であると判断して、接合を終了させてよい。第3パス閾値は、加工パスを検出した場合における第1パス閾値よりも大きな数値として(つまり、加工パスと基準加工パスとの差分がより大きいことを前提に)、予め設定される。
以上説明したように、第1実施形態に係る演算装置38は、製造装置10(摩擦撹拌接合装置)に用いられ、検出部52と、変更情報生成部56とを備える。検出部52は、第1部材T1、第2部材T2、及び接合部T3の少なくとも一部の状態である部材状態と、工具18の状態である工具状態と、を検出する。変更情報生成部56は、検出部52により検出された部材状態と工具状態とに基づいて、製造装置10の動作条件を第1の値から第2の値へ変更するための変更情報を生成する。
製造装置10においては、第1部材T1と第2部材T2との接合状態の不良により、部材Tの品質不良を招く場合がある。それに対し、製造装置10の動作条件を設定し直すことで品質改善できる場合もあるため、品質不良が起こることを抑制できるように、動作条件を設定し直すことが求められている。本実施形態に係る演算装置38によると、部材状態と工具状態とを検出することで、どのような接合状態の不良が起きているか、すなわちどのような品質異常が起きているかを検出することが可能となるため、部材状態と工具状態とに基づき変更情報を生成することで、製造装置10が、品質不良の発生を抑制できる動作条件を適切に設定することが可能となる。また、同じ品質異常であっても異なる原因で起きている場合もある。それに対し、本実施形態に係る演算装置38によると、部材状態と工具状態とを検出することで、接合状態の不良、すなわち品質異常の原因を高精度に認識することが可能となり、品質不良の抑制により適切に寄与できる。
また、検出部52は、製造装置10による接合中に、部材状態を検出する。変更情報生成部56は、検出部52が検出した接合中の部材状態に基づき、接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成する。品質異常は、部材Tの内部構造に起因する場合がある。この場合、接合が終了して内部構造を解析することで品質異常を検出して、動作条件をし直すことも可能である。しかし、動作条件の変更を決定するために時間を要して、接合の歩留りが悪くなる。それに対し、本実施形態に係る演算装置38は、第1部材T1と第2部材T2との接合中に、部材状態、すなわち部材Tの品質異常を検出して、接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成する。制御装置30は、この変更情報により、接合中に動作条件を変更できるため、動作条件を変更するまでの時間を短縮することが可能となり、接合の歩留りを改善できる。
また、変更情報生成部56は、検出部52が検出した接合中の部材状態に基づき、検出部52が部材状態を検出した際の接合が終了して次に接合する際の、動作条件を変更するための変更情報を生成する。本実施形態に係る演算装置38は、このように次回の接合の動作条件を変更するための変更情報を生成することで、例えば接合中は品質異常として判断されずに動作条件を変更しなかった場合においても、品質不良が生じる予兆を検知して、次回の接合において品質不良が発生することを抑制できる。
また、検出部52は、製造装置10による接合中の部材状態の検出結果が異常であるかを判断し、異常である場合に、工具状態を検出する。本実施形態に係る演算装置38は、部材状態の検出結果が異常である場合に工具状態を検出することで、品質異常の原因をより正確に特定することができる。
また、接合状態判定部54は、検出部52による部材状態と工具状態との検出結果に基づき、第1部材T1と第2部材T2との接合状態が不良かを判定する。本実施形態に係る演算装置38は、接合状態の不良を判定することで、同じ品質不良であっても異なる原因で起きている場合などにおいても、品質不良の原因を高精度に認識することが可能となり、品質改善により適切に寄与できる。
接合状態判定部54は、第1部材T1と第2部材T2との混ぜ合わせ状態、部材Tへの入熱量、及び、部材Tへの入熱位置の、少なくとも1つを、接合状態として判定する。本実施形態に係る演算装置38は、混ぜ合わせ状態、入熱量、及び入熱位置などを接合状態として判定することで、品質異常の原因を高精度に認識することが可能となり、品質改善により適切に寄与できる。
変更情報生成部56は、工具18の回転数、工具18の送り速度、部材Tへの工具18の挿入量、及び、部材Tに対する工具の移動経路である加工パスの、少なくとも1つを動作条件として、変更情報を生成する。本実施形態に係る演算装置38は、工具18の回転数、工具18の送り速度、工具18の挿入量、及び加工パスなどを動作条件として変更条件を生成することで、品質不良の抑制を適切に補助できる。
本実施形態に係る演算システム12は、部材Tと工具18とを撮像する撮像部34(第1実施形態では第2撮像部34B)を有する。検出部52は、撮像部34の撮像画像に基づき、部材状態と工具状態とを検出する。演算システム12は、撮像部34の撮像画像に基づき部材状態と工具状態とを検出するため、部材状態と工具状態とを高精度に検出して、品質不良の抑制を適切に補助できる。
撮像部34は、検出領域AR2(部材Tの表面TAと工具18の表面)の像を撮像する。検出部52は、検出領域AR2の像に基づき、部材状態と工具状態とを検出する。検出部52は、検出領域AR2の像に基づき、部材状態と工具状態とを検出ことで、部材状態と工具状態とを高精度に検出して、品質不良の抑制を適切に補助できる。
検出部52は、部材状態として、接合部T3の表面T3Aの光の反射率が異常であるかを検出し、反射率が異常であると検出した場合に、工具状態として、工具18の形状を検出する。演算システム12は、接合部T3の光の反射率が異常である場合に工具18の形状を検出するため、接合部T3の光の反射率と工具18の形状とに基づき、品質異常の原因を高精度に検出できる。
検出部52は、工具状態として、工具18のプローブ22の溝の寸法と、工具18の外径とが異常であるかを検出する。変更情報生成部56は、検出部52が、溝の寸法が異常であると検出した場合に、工具18の回転数を上昇させる旨の情報を、変更情報として生成する。変更情報生成部56は、検出部52が、工具18の外径が異常であると検出した場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の情報を、変更情報として生成する。演算システム12は、接合部T3の光の反射率が異常であり、かつ溝の寸法が異常である場合に、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報を生成することで、製造装置10に混ぜ合わせ異常を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。
検出部52は、部材状態として、接合部T3の周囲のバリF2を検出し、バリF2を検出した場合に、工具状態として、部材Tへの工具18の挿入量を検出する。演算システム12は、バリF2を検出した場合に、工具18の挿入量を検出するため、バリF2と工具18の挿入量とに基づき、変更する動作条件を適切に選定できる。
検出部52は、工具18の挿入量が異常であるかを検出する。変更情報生成部56は、検出部52が、工具18の挿入量が異常であると検出した場合に、工具18の挿入量を減少させる旨の情報を、変更情報として生成する。検出部52が、工具18の挿入量が異常でないと検出した場合に、変更情報生成部56は、工具18の送り速度を上昇させる旨の情報を、変更情報として生成する。演算システム12は、バリF2が検出され、かつ工具18の挿入量が異常である場合に、工具18の挿入量を減少させる旨の変更情報を生成することで、製造装置10に入熱過多を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。演算システム12は、バリF2が検出され、かつ工具18の挿入量が正常である場合に、工具18の送り速度を上昇させる旨の変更情報を生成することで、製造装置10に入熱過多を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。
検出部52は、部材状態として、接合部T3に形成される開口F1を検出する。変更情報生成部56は、検出部52が開口F1を検出した場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の情報を、変更情報として生成する。演算システム12は、開口F1が検出された場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報を生成することで、製造装置10に入熱不足を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。
検出部52は、部材状態として、部材Tにおける加工パスが、異常であるかを検出する。変更情報生成部56は、検出部52が、加工パスが異常であると検出した場合に、加工パスを変更する旨の情報を、変更情報として生成する。変更情報生成部56は、加工パスの異常を検出した場合に、加工パスを変更させる旨の変更情報を生成することで、製造装置10に入熱位置不良を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。
(変形例)
次に、第1実施形態の変形例について説明する。図22から図26は、第1実施形態の変形例を説明する模式図である。まず、図22の例について説明する。第1実施形態においては、第1撮像部34Aは、照射部32Aが接合部T3の表面T3Aに投影した光LABを、第1波長の光L1Aと第2波長の光L1Bとに分離して、光L1A、L1Bの像をそれぞれ撮像していた。ただし、照射部32Aは、必須の構成ではない。例えば、図22の例に示すように、照射部32Aを設けず、第1撮像部34Aは、自然光や蛍光灯からの光などにより、接合部T3の表面T3Aの像を撮像してもよい。この場合、図22に示すように、第1撮像部34Aには、接合部T3の表面T3Aで反射された光(自然光や蛍光灯からの光などが、光L1として入射する。図22に示す第1撮像部34Aは、例えば、レンズ70よりも接合部T3側に、フィルタ82を設ける。フィルタ82は、光L1に含まれる波長帯の光のうち、第1波長の光及び第2波長の光のみを透過するバンドパスフィルタである。従って、フィルタ82は、入射した光L1のうち、第1波長の光及び第2波長の光を含む光L1ABを、透過する。フィルタ82を透過した光L1ABは、第1実施形態(図8参照)で説明した経路と同様の経路で進行して、第1波長の光L1Aと第2波長の光L1Bとに分離されて、撮像素子80に入射する。なお、フィルタ82は、レンズ70に対し、レンズ70よりも光L1の進行方向側に配置されていてもよい。なお、図22の構成に対し、照射部32Aを設けてもよい(図8参照)。この場合、照射部32Aは、第1波長の光を照射する光源部60Aと第2波長の光を照射する光源部60Bの代わりに第1波長と第2波長を含む波長帯域の光を照射する光源(例えば、1つの水銀ランプやキセノンランプ)を用いてもよく、フィルタ82により第1波長の光と第2波長の光のみを選択的に抽出することができる。なお、第1波長と第2波長を含む波長帯域の光を照射する1つの光源を用いる場合、光合成部64は不要である。
次に、図23の例について説明する。第1実施形態及び図22の例においては、第1撮像部34Aは、第1光分離部72、第2光分離部74、第1光反射部76、及び第2光反射部78を含む波長分離部により光L1AとL1Bとを空間的に分離して、撮像素子80に入射させていた。しかし、図23の例に示すように、第1撮像部34Aは、第1光分離部72、第2光分離部74、第1光反射部76、及び第2光反射部78を設けなくてもよい。この場合、図23に示すように、第1撮像部34Aは、例えば、フィルタ82A、82Bと、不図示のフィルタターレットと、レンズ70、79と、撮像素子80とを備えていてよい。フィルタ82Aは、第1撮像部34Aに入射する光L1のうち、第1波長の光のみを透過するバンドパスフィルタであり、フィルタ82Bは、第1撮像部34Aに入射する光L1のうち、第2波長の光のみを透過するバンドパスフィルタである。第1撮像部34Aは、フィルタ82A、82Bが不図示のフィルタターレットに装着され、光L1の光路上にフィルタ82A、82Bの一方のフィルタを選択的に配置させることが可能である。第1撮像部34Aは、フィルタ82Aを光L1の光路上に配置する第1フィルタモードと、フィルタ82Bを光L1の光路上に配置する第2フィルタモードとを、時分割で切り替える。すなわち、第1撮像部34Aは、所定時間毎に、第1フィルタモードと第2フィルタモードとを、切り替える。第1フィルタモードにおいては、第1撮像部34Aに入射する光L1は、フィルタ82Aにより、第1波長の光L1Aが選択され(透過して)、撮像素子80に入射する。そして、第2フィルタモードにおいては、第1撮像部34Aに入射する光L1は、フィルタ82Bにより、第2波長の光L1Bが選択され(透過して)、撮像素子80に入射する。そのため、第1撮像部34Aは、光L1Aによる像と光L1Bによる像とを撮像することが可能となり、反射比率を適切に算出できる。なお、フィルタ82Aと、フィルタ82Bと、不図示のフィルタターレットは、第1波長の光と第2波長の光を含む光L1から第1波長の光L1Aと第2波長の光L1Bを分離することから、波長分離部と言える。この波長分離部は、撮像素子80の受光面に入射する光の波長を第1波長と第2波長とに時間的に分離する。
次に、図24Aの例について説明する。図24Aの例では、第1撮像部34Aは、第1光分離部72、第2光分離部74、第1光反射部76、及び第2光反射部78を設けず、さらにフィルタ82も設けない。すなわち、図24Aの例では、第1撮像部34Aは、レンズ70、79と、撮像素子80とを備える。一方、図24Aの例では、照射部32Aは、光源部60と、フィルタ84A、84Bと、不図示のフィルタターレットと、レンズ62と、光拡散部66と、レンズ68とを備える。光源部60は、第1波長と第2波長を含む波長帯域の光Lを出射する。例えば、光源部60は、既存のランプ(水銀ランプやキセノンランプ)やSLD(スーパールミネッセンスダイオード)などの広帯域の光を出射する1つの光源である。フィルタ84Aは、光源部60から出射される光Lのうち、第1波長の光のみを透過するバンドパスフィルタであり、フィルタ84Bは、光源部60から出射される光Lのうち、第2波長の光のみを透過するバンドパスフィルタである。照射部32Aは、フィルタ84A、84Bが不図示のフィルタターレットに装着され、光Lの光路上に選択的に配置させることが可能である。照射部32Aは、フィルタ84Aを光L1の光路上に配置する第1フィルタモードと、フィルタ84Bを光L1の光路上に配置する第2フィルタモードとを、時分割で切り替える。すなわち、照射部32Aは、所定時間毎に、第1フィルタモードと第2フィルタモードとを、切り替える。第1フィルタモードにおいては、光源部60から出射された光Lは、フィルタ84Aにより、第1波長の光LAが選択され(透過して)、光拡散部66とレンズ68とを通って、接合部T3の表面T3Aに投影される。第1フィルタモードにおいては、第1撮像部34Aは、接合部T3の表面T3Aに投影された光LAである光L1Aが入射して、撮像素子80で光L1Aによる像を撮像する。第2フィルタモードにおいては、光源部60から出射された光Lは、フィルタ84Bに入射して、第2波長の光LBが透過して、光拡散部66とレンズ68とを通って、接合部T3の表面T3Aに投影される。第2フィルタモードにおいては、第1撮像部34Aは、接合部T3の表面T3Aに投影された光LBである光L1Bが入射して、撮像素子80で光L1Bによる像を撮像する。そのため、第1撮像部34Aは、光L1Aによる像と光L1Bによる像とを撮像することが可能となり、反射比率を適切に算出できる。なお、フィルタ84Aと、フィルタ84Bと、不図示のフィルタターレットは、第1波長の光と第2波長の光を含む光Lから第1波長の光LAと第2波長の光LBを分離することから、波長分離部と言える。この波長分離部は、接合部T3の表面T3Aに投影する光の波長(言い換えれば、撮像素子80の受光面に入射する光の波長)を第1波長と第2波長とに時間的に分離する。
次に、図24Bの例について説明する。第1実施形態においては、第1撮像部34Aが、互いに波長の異なる光による像(光L1Aによる像と光L1Bによる像)を撮像して反射比率を算出していたが、図24Bに示すように、第1撮像部34Aは、1種類の波長の光による像を撮像するものであってよい。図24Bの例では、照射部32Aは、光源部60と、フィルタ84Aと、レンズ62と、光拡散部66と、レンズ68とを備える。光源部60から出射された光Lは、フィルタ84Aにより、第1波長の光LAが選択されて(透過して)、光拡散部66とレンズ68とを通って、接合部T3の表面T3Aに投影される。また、図24Bの例では、第1撮像部34Aは、レンズ70、79と、撮像素子80とを備える。第1撮像部34Aは、接合部T3の表面T3Aに投影された光LAである光L1Aが入射して、撮像素子80で光L1Aによる像を撮像する。検出部52は、第1撮像部34Aが撮像した光L1Aの像の画像データPAから、接合部T3の表面T3Aにおける第1波長の光の反射率を、接合部T3の表面T3Aの反射率として検出する。そして、検出部52は、検出した反射率と基準反射率との差分を算出し、検出した反射率と基準反射率との差分が所定値以上となる単位領域の数が、第1反射率閾値以上であれば、反射率が異常であると判断する。なお、基準反射率は、任意に設定してよいが、例えば、品質異常の対象となる反射率の異常が検出される可能性が高くなる閾値として設定してよい。なお、照射部32Aは、第1波長以外の任意の波長の光を投影して、第1撮像部34Aは、任意の波長の光による像を撮像してよい。
また、第1実施形態においては、図7に示すように、第2撮像部34Bの検出領域AR2は、照射部32Aの照射領域AR0及び第1撮像部34Aの検出領域AR1に、少なくとも一部が重畳している。しかし、第2撮像部34Bの検出領域AR2は、照射部32Aの照射領域AR0及び第1撮像部34Aの検出領域AR1と重畳しなくてもよい。検出領域AR2を照射領域AR0に重畳させないことで、第2撮像部34Bには、照射領域AR0からの光L1ABがほぼ入射しない。この場合、第2撮像部34Bは、光L1ABの成分の光(第1波長と第2波長の光)を吸収するフィルタ92(図11参照)を設けなくてもよい。
また、第1実施形態では、第2撮像部34Bが撮像する検出領域AR2に可視光を照射する照射部は設けられておらず、第2撮像部34Bは、自然光や蛍光灯などの光により検出領域AR2の像を撮像していた。ただし、検出領域AR2に可視光等の光L2aを投影する照射部32Bを設けてもよい。照射部32Bは、光L2aを、検出領域AR2に向けて照射する。この場合、照射部32Bが照射する光の波長は、第1波長及び第2波長とは異なる波長とする。第2撮像部34Bは、照射部32Bから照射されて検出領域AR2で反射した光L2と照射部32Aから照射されて検出領域AR2で反射した光(つまり、光L1A及び光L1B)とを重ね合わせた光である光L2ABを、受光する。第2撮像部34Bは、例えばフィルタにより光L2ABから光L1A及び光L1Bの成分を吸収して、検出領域AR2で反射した光L2による像を撮像する。照射部32A、32Bを区別しない場合に照射部32と記載すると、演算システム12は、部材Tの表面TAと工具18の表面とに、光(投影光)を投影する照射部32を備えるといえる。撮像部34は、照射部32により光が投影された部材Tの表面TAと工具18の表面との像を、撮像する。
次に、図25及び図26の例について説明する。第1実施形態では、複数の撮像部(ここでは第1撮像部34Aと第2撮像部34Bとの2つ)が設けられていたが、例えば図25に示すように、1つの撮像部34のみを設けてもよい。図25の撮像部34は、撮像領域R2の範囲、すなわち検出領域AR2の範囲で撮像を行う。照射部32Aの照射領域AR0(照射部32Aの領域R0)と、検出領域AR2(撮像部34の撮像領域R2)とは、重畳する。図26に示すように、図25の撮像部34は、第1実施形態の第1撮像部34Aと同様に、レンズ70と、第1光分離部72と、第2光分離部74と、第1光反射部76と、第2光反射部78と、レンズ79と、撮像素子80とを備える。照射部32Aから出射された光LABは、部材Tの照射領域AR0、すなわち部材Tの検出領域AR2に投影される。撮像部34には、検出領域AR2で反射された光L1ABが入射する。光L1ABのうちの第2波長の光L1Bは、第1光分離部72を透過して、撮像素子80の受光面80Bに入射する。一方、光L1ABのうちの第1波長の光L1Aは、第1光分離部72で反射され、撮像素子80の受光面80Aに入射する。撮像素子80は、受光面80Aに入射した光L1Aによる像と、受光面80Bに入射した光L1Bによる像とを、撮像する。検出部52は、撮像部34が撮像した光L1Aによる像と光L1Bによる像とから、検出領域AR1における反射率の異常を検出する。
また、検出部52は、撮像部34が撮像した光L1Aと光L1Bによる像との少なくとも1つに基づき、すなわち、光L1Aによる検出領域AR2の像のデータである画像データと、光L1Bによる検出領域AR2の像のデータである画像データとの少なくとも1つに基づき、反射率の異常以外の部材状態、ここでは開口F1、バリF2、及び加工パスを、検出する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る製造システム1aの演算システム12aは、検出部52が、少なくとも一部の部材状態として、部材Tの内部の状態を検出する点で、第1実施形態と異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図27は、第2実施形態に係る製造システムの模式図である。第2実施形態に係る演算システム12aは、照射部32Aaと、撮像部34としての第1撮像部34Aa及び第2撮像部34Baと、演算装置38とを備える。第2実施形態に係る演算システム12aは、照射部32Aaによって部材Tに光Laを照射させて部材Tを加熱し、部材Tから放射される赤外線である光L1aによる像を、第1撮像部34Aaに撮像させる。第2実施形態に係る検出部52は、第1撮像部34Aaが撮像した光L1aによる像に基づき、部材Tの内部の状態を、部材状態として検出する。第2実施形態に係る演算システム12aは、アクティブサーモグラフィにより、部材Tの内部の状態を検出するといえる。以下、具体的に説明する。
図28は、第2実施形態に係る照射部及び撮像部を説明する模式図である。図28に示すように、照射部32Aaは、部材Tの照射領域AR0(表面TA)に光Laを照射する。照射部32Aaは、時間経過に応じて光Laの強度が周期的に変化するように、照射領域AR0に光Laを照射する。部材Tは、光Laが照射されることで表面TAが加熱され、表面TAから部材Tの内部へ熱が伝わっていく。加熱された表面TAからは、赤外線である光L1aが放射される。光L1aの強度は、部材Tの表面TAの温度に応じて変化する。従って、部材Tからの光L1aの強度は、照射部32Aaからの光Laの強度に応じて変化する。なお、光Laは、本実施形態ではレーザ光であるが、レーザ光に限られずハロゲンランプなどの任意の光であってよい。また、照射部32Aaは、部材Tを加熱可能であれば、光を照射することに限られず、例えば、部材Tに光以外の電磁波を照射してもよいし、部材Tに超音波を照射してもよいし、部材Tに渦電流を印加してもよい。すなわち、照射部32Aaは、任意方法で部材Tを加熱する加熱部であってよいといえる。
第1撮像部34Aaは、光La1を検出して光La1による像を撮像可能な装置であり、本実施形態では赤外線撮像素子である。第1撮像部34Aaの撮像範囲である撮像領域R1aは、部材Tの表面TAの少なくとも一部の領域に重なり、より具体的には、第1部材T1の表面T1Aの少なくとも一部の領域と、第2部材T2の表面T2Aの少なくとも一部の領域と、接合部T3の表面T3Aの少なくとも一部の領域とに、重なる。部材Tの表面TAにおいて撮像領域R1aと重なる領域を、検出領域AR1aとすると、第1撮像部34Aaは、検出領域AR1aの像を、撮像する。検出領域AR1aは、照射部32Aによって光Laが照射される照射領域AR0に重畳する。そのため、検出領域AR1aからは、赤外線である光L1aが放射される。第1撮像部34Aaは、検出領域AR1aから放射される光L1aによる像を、撮像するといえる。
また、第2撮像部34Baによる撮像範囲である撮像領域R2aは、工具18の表面の少なくとも一部の領域に重なる。工具18の表面において撮像領域R2aと重なる領域を、検出領域AR2aとすると、第2撮像部34Baは、検出領域AR2aの像を、撮像する。
照射部32Aaと第1撮像部34Aaとの構成の一例を説明する。図29は、第2実施形態に係る照射部及び第1撮像部の模式図である。図29に示すように、照射部32Aaは、光源部60aと、レンズ62a、68aとを備える。光源部60aは、光Laを照射する光源である。光源部60aは、時間経過に応じて強度が周期的に変化するように、光Laを照射する。光源部60aから照射された光Laは、レンズ62aにおいて光Laの光束径(つまり、レーザ光の光束径)が拡大される。レンズ62aからの光Laは、レンズ68aにおいてコリメートされて、部材Tの照射領域AR0、すなわち検出領域AR1aに照射される。
第1撮像部34Aaは、レンズ79aと撮像素子80aとを備える。検出領域AR1aから放射される光L1aは、レンズ79aで集光されて、撮像素子80aの受光面に入射する。撮像素子80aの受光面は、検出領域AR1aと共役な関係となっている。撮像素子80aは、本実施形態では赤外線撮像素子であり、光L1aを受光して光L1aの強度を検出する画素が、撮像素子80aの受光面にマトリクス状に並んでいる。そのため、撮像素子80aは、検出領域AR1aから放射された光L1aによる像を撮像可能である。
次に、第2実施形態に係る検出部52について説明する。第2実施形態に係る検出部52は、部材状態として、部材Tの内部の空孔と、接合部T3に形成される開口F1と、接合部T3の周囲に形成されるバリF2と、第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の厚みと、を検出する。
部材Tの内部の状態としての、部材Tの内部の空孔の検出について説明する。ここでの空孔とは、表面には開口していない閉空孔を指し、ボイドと言い換えてもよい。空孔が形成されると、部材Tがその空孔を起点として破断してしまうなど、接合強度が低下する。検出部52は、第1撮像部34Aaによって撮像された、検出領域AR1aからの光L1aによる像に基づき、言い換えれば、第1撮像部34Aaの画像データPaに基づき、部材Tの内部の空孔、より具体的には接合部T3の内部の空孔を検出する。画像データPaとは、撮像素子80aの画素毎の輝度値のデータを指し、検出領域AR1a内の単位領域毎の、光L1aの強度の値のデータであるといえる。
ここで、検出領域AR1aからの光L1aの強度について説明する。図30及び図31は、検出領域からの光の強度を説明するためのグラフである。図30は、部材Tの内部に空孔が形成されていない場合の例を説明している。図30の(A)の横軸は時間であり、縦軸は、照射部32Aaからの光Laの強度、又は、部材Tの表面TA(検出領域AR1a)から放射される光L1aの強度である。図30の(A)に示すように、時刻tAに、部材Tの表面TAに強度InAの光Laを照射したと仮定すると、検出領域AR1aから放射される光L1aの強度は、時間経過に伴い、波形IAに示すように変化する。具体的には、表面TAの温度は、時刻tAで強度InAの光Laが照射されることにより、時刻tAの直後に、大きく上昇する。そして、表面TAの熱が、部材Tの内部に徐々に伝わることにより、表面TAの温度HAは、時間経過に応じて徐々に低下する。表面TAの熱が、部材Tの表面TAと反対側の表面である底面まで伝わると、底面に伝わった熱は、底面で反射されて、底面からの熱は、表面TAに向けて伝わる。そのため、底面からの伝熱が表面TAに到達して、表面TAの温度HAが一旦上昇する。その後、表面TAの温度HAは再度低下してゆく。検出領域AR1aから放射される光L1aの強度は、検出領域AR1a(部材Tの表面TA)の温度に比例する(つまり、光L1aの強度は、検出領域AR1aにおける温度を示す)。そのため、時刻tAで強度InAの光Laが照射された場合、検出領域AR1a(表面TA)の温度に比例する検出領域AR1aからの光L1aの強度は、波形IAに示すように、時刻tAの直後に大きく上昇し、時間経過に応じて徐々に低下し、底面からの伝熱が表面TAに到達したタイミングで一旦上昇し、その後再度低下する波形となる。すなわち、検出領域AR1aからの光L1aの強度の波形IAは、強度InAの光Laの照射直後における昇温によるピークQ1と、ピークQ1よりも遅れた時刻における、底面からの伝熱に起因するピークQ2とを含むように、時間経過に応じて変化する。
本実施形態においては、図30の(A)のように時刻tAで強度InAの光Laを1回照射するわけでなく、部材Tの表面TAに、強度が時間経過に応じて周期的に変化するように、連続的に光Laが照射される。図30の(B)に示すように、光Laの強度が波形Inに示すように変化した場合、表面TAの温度も、光Laの強度の時間経過に伴う変化に応じて、周期的に変化する。そして、表面TAからの光L1aの強度の時間経過に従った波形Iも、表面TAの時間経過に伴う変化に応じて、すなわち光Laの強度の時間経過に伴う変化に応じて、周期的に変化する。表面TAからの光L1aの強度の波形Iは、光Laの照射直後の昇温による温度変化を示す波形I1(ピークQ1に対応する波形)と、底面から表面TAへの伝熱に起因する温度変化を示す波形I2(ピークQ2に対応する波形)とを、合成した波形となる。波形I1は、光Laの強度が波形Inに示すように変化しているため、波形Inに対応した波形(図30の例では正弦波)となる。そのため、波形I1は、波形Inと同一の周期となる。また、波形I2は、部材Tの表面TAからの熱が部材Tの底面に伝わり、部材Tの底面から表面TAに戻ってきた熱に起因する温度変化である。そのため、波形I2は、表面TAの熱が表面TAから部材Tの底面までの往復の伝熱にかかる時間の分、波形I1に対して、位相が遅れた波形となり、周期はほぼ同一となる。なお、実際には部材Tの底面からの伝熱量は小さい傾向にあるため、波形Iは、波形I1とほぼ同一となる場合もある。
図31は、部材Tの内部に空孔が形成されている場合の例を説明している。図31の(A)に示すように、時刻tAに、部材Tの表面TAに強度InAの光Laを照射したと仮定すると、表面TAからの光L1aの強度は、時間経過に伴い、波形IBに示すように変化する。具体的には、表面TAの温度は、時刻tAで強度InAの光Laが照射されることにより、時刻tAの直後に、大きく上昇する。そして、表面TAの熱が、部材Tの内部に徐々に伝わることにより、表面TAの温度は、時間経過に応じて徐々に低下する。そして、表面TAから部材Tの内部に伝わる熱が空孔まで到達すると、空孔に伝わった熱が、空孔と部材Tとの界面で反射され、空孔と部材Tとの界面からの熱が、表面TAに向けて伝わる。そのため、空孔と部材Tとの界面からの熱が表面TAに到達して、表面TAの温度が一旦上昇する。その後、表面TAの温度は再度低下してゆき、その後の部材Tの底面からの伝熱により、再度温度が上昇し、その後低下する。そのため、表面TAの温度に比例する表面TAからの光L1aの強度(つまり、表面TAの温度を示す光L1aの強度)の波形IBは、強度InAの光Laの照射直後における昇温によるピークQ1と、ピークQ1よりも遅れた時刻における、空孔と部材Tとの界面からの伝熱に起因するピークQ3と、ピークQ3よりも遅れた時刻における、底面からの伝熱に起因するピークQ2とを含むように、時間経過に応じて変化する。
図31の(B)に示すように、部材Tの内部に空孔が形成されている場合において、光Laの強度が波形Inに示すように変化した場合、時間経過に従った表面TAからの光L1aの強度変化の波形Iaも、強度が時間経過に応じて周期的に変化する。表面TAからの光L1aの強度変化の波形Iaは、光Laの照射直後の昇温による温度変化を示す波形I1(ピークQ1に対応する波形)と、表面TAから部材Tの底面までの往復の伝熱に起因する温度変化を示す波形I2(ピークQ2に対応する波形)と、表面TAから空孔と部材Tとの界面までの往復の伝熱に起因する温度変化を示す波形I3(ピークQ3に対応する波形)とを、合成した波形となる。波形I3は、表面TAからの熱が空孔と部材Tとの界面に伝わり、空孔と部材Tとの界面から表面TAに戻ってきた熱に起因する温度変化である。そのため、波形I3は、表面TAの熱が表面TAから空孔と部材Tとの界面までの往復の伝熱にかかる時間の分、波形I1に対して、位相が遅れた波形となり、周期はほぼ同一となる。波形I3は、波形I1に対して、位相が遅れ、振幅が小さい。一方、波形I3は、波形I2に対しては、位相が進み、振幅が大きい。
このように、部材Tに空孔が形成されている場合の、検出領域AR1a(部材Tの表面TA)の光L1aの強度の波形Iaは、波形I3が合成される分、部材Tに空孔が形成されてない場合の検出領域AR1aの光L1aの強度の波形Iとは、異なる。例えば、波形Iaは、波形Iに対して、位相及び振幅の少なくとも一方が異なり、より詳しくは、波形Iに対して位相が遅れて、振幅が大きくなっている。従って、検出部52は、検出領域AR1aの光L1aの強度を時間毎に検出して、検出領域AR1aの光L1aの強度の波形を算出する。検出部52は、算出した検出領域AR1aの光L1aの強度の波形を、例えば部材Tに空孔が形成されてない場合の波形Iと比較することで、部材Tに空孔が形成されているかを検出する。
検出部52による具体的な空孔の検出方法を、以下で説明する。図32は、第2実施形態に係る空孔の検出方法を説明するフローチャートである。図32に示すように、検出部52は、第1撮像部34Aaが検出した検出領域AR1aからの光L1aの強度のデータである画像データPa1を取得する(ステップS120)。画像データPa1は、検出領域AR1aの接合部T3と重畳する領域からの光L1aの強度のデータであり、より詳しくは、検出領域AR1aの接合部T3と重畳する領域に対応する画素が検出した光L1aの強度のデータである。空孔は、接合部T3の内部に形成されるため、検出部52は、検出領域AR1aの画像データPaのうちの、接合部T3と重畳する領域からの光L1aの強度のデータを、画像データPa1として取得するといえる。照射部32Aaは、時間経過に応じて周期的に変化するように光Laを照射し、第1撮像部34Aaは、所定時間毎に画像データPaを取得している。検出部52は、第1撮像部34Aaから、所定時間毎に生成した画像データPa1を取得して、光L1aの強度の波形情報を、検出領域AR1aの接合部T3と重畳する領域に対応する画素毎に検出する(ステップS122)。具体的には、検出領域AR1からの光L1aの強度を時間毎にプロットし、フィッティングして求めた光L1aの強度の波形を、検出領域AR1aの接合部T3と重畳する領域に対応する画素毎に生成して、その波形の情報を、光L1aの強度の波形情報として検出する。検出部52は、光L1aの強度の波形の振幅と、光L1aの強度の波形の位相との少なくとも1つを、波形情報としてよい。なお、波形情報は、光L1aの強度の波形の振幅や位相に限られず、時間毎の光L1aの強度などでもよい。
波形情報を検出したら、検出部52は、画素毎に、波形情報が、予め設定された基準波形範囲の範囲外にあるかを判断する。基準波形範囲の値は、任意に設定してよいが、例えば品質異常となる空孔が形成されてない場合の波形情報の数値範囲として、予め設定されてよい。検出部52は、波形情報が基準波形範囲の範囲外となる画素の数が、予め定めた閾値(以降、第1波形閾値と記載する)以上であるかを判断する(ステップS124)。ここでの第1波形閾値は、任意に設定してよいが、例えば波形情報が基準波形範囲の範囲外となる画素の数が第1波形閾値以上となった場合に、空孔が形成される可能性が高くなることを基準として設定してよい。
波形情報が基準波形範囲の範囲外となる画素の数が、第1波形閾値以上である場合(ステップS124;Yes)、検出部52は、検出領域AR1a(接合部T3)に空孔が形成されていると判断する(ステップS126)。一方、波形情報が基準波形範囲の範囲外となる画素の数が、第1波形閾値以上でない場合(ステップS124;No)、検出部52は、検出領域AR1a(ここでは接合部T3)に空孔が形成されていないと判断する(ステップS128)。なお、本実施形態では、このように、検出領域AR1aの接合部T3と重畳する領域からの光L1aの強度のデータ(画像データPa1)に基づき、空孔を検出する。ただし、検出部52は、光L1aが検出できる領域からの光L1aの強度のデータを用いて空孔を検出すればよく、検出領域AR1aの接合部T3と重畳する領域からの光L1aの強度のデータを用いることに限られない。
次に、部材Tの内部の状態としての、第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物の厚みの検出について説明する。以下、第1部材T1と第2部材T2との金属間化合物を、化合物F3と記載する。検出部52は、第1撮像部34Aaによって撮像された、検出領域AR1aからの光L1aによる像に基づき、言い換えれば、第1撮像部34Aaの画像データPaに基づき、化合物F3を検出する。
図33は、部材における伝熱を説明する模式図である。第1部材T1と第2部材T2とは熱容量が異なる場合があり、以降では、一例として、第1部材T1の熱容量が第2部材T2の熱容量よりも小さいことを例にして説明する。ここで、熱容量は比熱と質量の積である。以降では、第1部材T1と第2部材T2との体積は等しいことを前提として、上述の通り、第1部材T1がアルミ、第2部材T2が鉄とする。この場合、アルミは鉄の約2倍の比熱であり、アルミは鉄の約1/3倍の質量であるため、第1部材T1は、第2部材T2よりも熱容量が小さくなる。第1部材T1は、第2部材T2よりも熱容量が小さいため、光Laの照射による温度上昇の度合いが、第2部材T2の温度上昇の度合いよりも大きい(つまり、光Laにより同じ熱量を付与した場合、第1部材T1の方が温まりやすい)。そのため、光Laが照射された場合に、第2部材T2よりも第1部材T1が高温となり、第1部材T1の熱は、接合部T3を経て、第1部材T1より低温の第2部材T2に伝わる。ここで、接合部T3内に化合物F3が形成されていると、第1部材T1の熱は、化合物F3を経て第2部材T2に伝わることになる。化合物F3の熱伝導率は、第1部材T1、第2部材T2、及び接合部T3の化合物F3が形成されていない箇所の熱伝導率と、異なる。従って、図33の(A)及び(B)に示すように、第1部材T1から第2部材T2に伝わる熱の伝達速度(伝達量)は、化合物F3の厚みに応じて異なる。なお、ここでは、一例として、化合物F3の熱伝導率が、第1部材T1、第2部材T2、及び接合部T3の化合物F3の形成されていない箇所の熱伝導率よりも小さいことを例にして説明しているため、図33は、化合物F3の厚みが厚いほうが、第1部材T1から第2部材T2に伝わる熱の伝達速度(伝達量)が大きくなっている。ただし、化合物F3の熱伝導率が、第1部材T1、第2部材T2、及び接合部T3の化合物F3の形成されていない箇所の熱伝導率よりも大きい場合、化合物F3の厚みが薄いほうが、第1部材T1から第2部材T2に伝わる熱の伝達速度及び伝達量の少なくとも一方が大きくなる。
図34A及び図34Bは、検出領域からの光の強度を説明するためのグラフである。図34A及び図34Bは、照射部32Aaから部材Tの照射領域AR0に光Laを照射した場合における、第2部材T2(第1部材T1と第2部材T2とのうち熱容量が小さい方の部材)の表面T2Aの温度と、表面T2Aからの光L1aの強度を示している。図34Aは、後述する図34Bの例よりも化合物F3の厚みが薄い場合の例を示している。図34Aの(A)に示すように、時刻tAに、照射領域AR0に強度InAの光Laを照射したと仮定すると、表面T2Aから放射される光L1aの強度は、時間経過に伴い、波形ICに示すように変化する。具体的には、表面T2Aの温度は、時刻tAで強度InAの光Laが照射されることにより、時刻tAの直後に、大きく上昇する。そして、表面T2Aの熱が、第2部材T2の内部に徐々に伝わることにより、表面T2Aの温度は、時間経過に応じて徐々に低下する。さらに、第2部材T2には、第1部材T1からの熱が、化合物F3を経て伝わってくる。第1部材T1からの熱は、第1部材T1から化合物F3を経て第2部材T2への伝熱時間の分、時刻tAよりも後に第2部材T2に到達する。従って、表面T2Aの温度は、第1部材T1からの熱により一旦上昇して、再度低下してゆく。その後、第2部材T2の底面からの伝熱が表面T2Aに到達して、表面T2Aの温度が一旦上昇して、再度低下してゆく。そのため、表面T2Aの温度に比例する表面T2Aから放射される光L1aの強度(つまり、表面T2Aの温度を示す光L1aの強度)は、強度InAの光Laの照射直後における昇温によるピークQ1と、ピークQ1よりも遅れた時刻における、第1部材T1から化合物F3を経た伝熱に起因するピークQ4と、ピークQ4よりも遅れた時刻における、底面からの伝熱に起因するピークQ2とを含むように、時間経過に応じて変化する。なお、ここでは第2部材T2の底面からの熱が、第1部材T1からの熱より遅く伝わるとして説明しているが、それに限られず、第2部材T2の底面からの熱が、第1部材T1からの熱より早く伝わってもよいし、第1部材T1からの熱と同じタイミングで伝わってもよい。
本実施形態においては、部材Tの照射領域AR0に、強度が時間経過に応じて周期的に変化するように、光Laが照射される。図34Aの(B)に示すように、光Laの強度が波形Inに示すように変化した場合、表面T2Aからの光L1aの時間経過に従った波形Icも、強度が時間経過に応じて周期的に変化する。波形Icは、光Laの照射直後の昇温による温度変化を示す波形I1(ピークQ1に対応する波形)と、第1部材T1から化合物F3を経た伝熱に起因する温度変化を示す波形I4(ピークQ4に対応する波形)と、底面から表面T2Aへの伝熱に起因する温度変化を示す波形I2(ピークQ2に対応する波形)とを、合成した波形となる。波形I4は、第1部材T1からの熱が化合物F3を経て第2部材T2に到達した熱に起因する光L1aの強度波形である。そのため、波形I4は、光Laの照射直後の昇温による温度変化を示す波形I1に対して、第1部材T1からの伝熱時間の分、位相が遅れた波形となり、周期はほぼ同一となる。ここでは、波形I4は、波形I1に対して、位相が遅れ、振幅が小さい。一方、波形I4は、波形I2に対しては、位相が進み振幅が大きいが、それに限られず、波形I2に対して位相が同じ又は遅れていてもよいし、振幅も同じ又は小さくてもよい。
図34Bは、図34Aの例よりも、化合物F3の厚みが厚い場合の例を示している。化合物F3の厚みが厚いと、本説明の例では、第1部材T1から第2部材T2に伝わる熱の伝達速度及び伝達量が小さくなる。そのため、第1部材T1からの熱は、図34Aの例よりも遅れて、第2部材T2に到達する。そのため、図34Bの(A)に示す第1部材T1から化合物F3を経た伝熱に起因する表面T2Aからの光L1aの強度のピークQ4aの大きさは、図34Aの(A)に示すピークQ4の大きさより小さくなる。そして、図34Bの(A)での時刻tAからピークQ4aが観測されるまでの間の時間は、図34Aの(A)での時刻tAからピークQ4が観測されるまでの間の時間よりも、長くなる。
本実施形態においては、部材Tの照射領域AR0に、強度が時間経過に応じて周期的に変化するように、光Laが照射される。図34Bの(B)に示すように、光Laの強度が波形Inに示すように変化した場合、時間経過に従った表面T2Aからの光L1aの強度の波形Icaも、強度が時間経過に応じて周期的に変化する。波形Icaは、光Laの照射直後の昇温による温度変化を示す波形I1(ピークQ1に対応する波形)と、第1部材T1から化合物F3を経た伝熱に起因する温度変化を示す波形I4a(ピークQ4aに対応する波形)と、底面から表面T2Aへの伝熱に起因する温度変化を示す波形I2(ピークQ2に対応する波形)とを、合成した波形となる。図34Bは、図34Aの例よりも、化合物F3の厚みが厚いため、波形I4aは、図34Aの波形I4に対し、位相が遅れて振幅が小さくなる。従って、表面T2Aの波形Icaは、図34Aの波形Icに対し、位相が遅れて振幅が小さくなる。
すなわち、表面T2Aからの光L1aの強度の波形は、化合物F3の厚みに応じて異なったものとなり、例えば、化合物F3の厚みに応じて、位相及び振幅の少なくとも一方が異なる。従って、検出部52は、第2部材T2の表面T2Aの光L1aの強度を時間毎に検出して、第2部材T2の表面T2Aの光L1aの強度の波形を算出して、算出した表面T2Aの光L1aの強度の波形を、例えば例えば化合物F3の厚みが薄い場合の波形Icと比較することで、化合物F3の厚みが厚いかを、検出することができる。なお、検出部52は、表面T2Aからの光L1aの強度を検出し、化合物F3の厚みを検出したが、表面T2Aでなくてもよく、第1部材T1の表面T1Aからの光L1aの強度を検出し、化合物F3の厚みを検出してもいいし、表面T1Aと表面T2Aの両方からの光L1aの強度を検出して化合物F3の厚みを検出してもいい。なお、化合物F3の熱伝導率が、第1部材T1、第2部材T2、及び接合部T3の化合物F3の形成されていない箇所の熱伝導率よりも大きい場合でも上述と同様に化合物F3の厚みを検出することができる。
検出部52による具体的な化合物F3の厚みの検出方法を、以下で説明する。図35は、第2実施形態に係る化合物の厚みの検出方法を説明するフローチャートである。図35に示すように、検出部52は、第1撮像部34Aaが検出した検出領域AR1aからの光L1aの強度のデータである画像データPa2を取得して、画像データPa2に基づき、第1撮像部34Aaの画素毎に輝度を取得する。(ステップS130)。画像データPa2は、検出領域AR1aの接合部T3以外の領域からの光L1aの強度のデータであり、より詳しくは、検出領域AR1aの接合部T3以外の領域に対応する画素が検出した光L1aの強度のデータである。すなわち、画像データPa2は、検出領域AR1aの、第1部材T1及び第2部材T2の少なくとも一方に重なる領域からの光L1aの強度のデータである。言い換えれば、検出部52は、検出領域AR1aの画像データPaのうちの、接合部T3以外の領域(第1部材T1及び第2部材T2の少なくとも一方に重なる領域)からの光L1aの強度のデータを、画像データPa2として取得するといえる。検出部52は、画像データPa2に基づき、検出領域AR1aの接合部T3以外の領域に対応する画素毎に、輝度を算出する。このように、検出部52は、検出領域AR1aの接合部T3に重なる領域の画像データP1aを用いて空孔を検出し、検出領域AR1aの接合部T3以外の領域の画像データP1bを用いて化合物F3の厚みを検出する。
照射部32Aaは、時間経過に応じて周期的に変化するように光Laを照射し、第1撮像部34Aaは、所定時間毎に画像データPaを取得している。検出部52は、第1撮像部34Aaから、所定時間毎に生成した画像データPa2を取得して、光L1aの強度の波形情報を、第2部材T2(第1部材T1と第2部材T2とのうち熱容量が小さい方の部材)の単位領域に対応する画素毎に検出する(ステップS132)。具体的には、検出部52は、画素の輝度を光L1aの強度に換算して、換算した光L1aの強度を時間毎にプロットし、フィッティングして求めた光L1aの強度の波形を、接合部T3以外の領域(第1部材T1及び第2部材T2の少なくとも一方に重なる領域)に対応する画素毎に生成して、その波形の情報を、光L1aの強度の波形情報として検出する。検出部52は、光L1aの強度の波形の振幅と、光L1aの強度の波形の位相との少なくとも1つを、波形情報としてよい。なお、波形情報は、光L1aの強度の波形の振幅や位相に限られず、時間毎の光L1aの強度などでもよい。
波形情報を検出したら、検出部52は、画素毎に、波形情報が、予め設定された基準波形範囲の範囲外にあるかを判断する。基準波形範囲の値は、任意に設定してよいが、例えば化合物F3の厚みが品質異常とならない程度に薄い場合の波形情報として、予め設定されてよい。検出部52は、波形情報が基準波形範囲の範囲外となる画素の数が、予め定めた閾値(以降、第2波形閾値と記載)以上であるかを判断する(ステップS134)。ここでの第2波形閾値は、任意に設定してよいが、例えば波形情報が基準波形範囲の範囲外となる画素の数が第2波形閾値以上となった場合に、化合物F3の厚みが厚くなり品質異常となる可能性が高くなることを基準として設定してよい。
波形情報が基準波形範囲の範囲外となる画素の数が、第2波形閾値以上である場合(ステップS134;Yes)、検出部52は、化合物F3の厚みが異常、すなわち化合物F3の厚みが厚く品質異常となっていると判断する(ステップS136)。一方、波形情報が基準波形範囲外となる画素の数が、第2波形閾値以上でない場合(ステップS134;No)、検出部52は、化合物F3の厚みが正常(異常でない)、すなわち化合物F3の厚みが厚くない(十分に薄い)と判断する(ステップS138)。
検出部52は、以上のようにして、空孔と化合物F3の厚みとを、部材Tの内部の状態を示す部材情報として、検出する。検出部52は、部材Tの内部の状態以外の状態を示す部材情報、すなわち部材Tの外部(表面TA)の状態を示す部材情報として、開口F1とバリF2とを検出する。
第2実施形態に係る検出部52は、開口F1とバリF2とを、第1撮像部34Aaの画像データPaに基づき検出する。開口F1は、接合部T3の表面T3Aに形成されており、開口F1の底面は、接合部T3の表面T3Aよりも接合部T3の内部側(−Z軸方向側)に位置する。従って、照射部32Aaから照射された光Laが、開口F1の周囲の接合部T3の表面T3Aに遮られて開口F1の底面に到達しなかったり、開口F1の底面に到達したとしても、開口F1の底面からの光L1aが開口F1の側面などに遮られたりする。光Laが開口F1の底面に到達しない場合、開口F1の底面においては、光Laの照射による加熱ではなく、周囲からの伝熱によって加熱される。そのため、開口F1の底面における温度(光L1aの強度)の波形は、光Laの照射直後の昇温による温度変化を示す波形I1が観測されず、開口F1の周囲からの伝熱に起因する波形となる。そのため、開口F1の底面における光L1aの強度の波形は、開口F1が形成されていない箇所の表面T3Aにおける光L1aの強度の波形に対し、位相及び振幅の少なくとも一方が異なり、例えば位相が遅れて振幅が小さくなる。従って、検出部52は、検出領域AR1aの表面T3Aに重なる領域に対応する画素毎に波形情報を検出して、波形情報が予め定めた基準波形範囲の範囲外となる画素が、所定の閾値以上連続して隣り合うかを判断し、波形情報が基準波形範囲の範囲外となる画素が所定の閾値数以上連続して隣り合う場合に、開口F1が形成されていると検出してよい。なお、波形情報は、表面T3Aからの光L1aの強度を時間毎にプロットした光L1aの強度の波形に基づく情報であり、光L1aの強度の波形と位相との、少なくとも1つであってよい。なお、検出部52は、波形情報が予め定めた基準波形範囲の範囲外かどうかを判断しなくてもよい。例えは、検出部52は、第1撮像部34Aaの画像データPaにおいて、所定値より輝度値が低い画素(低輝度画素)を検出し、その画像の数が、所定の閾値以上となる場合に、開口F1が形成されていると判断してもよい。
また、バリF2では、光Laの照射によって与えられた熱がバリF2から部材T(部材Tの内部)へ逃げにくい傾向にあるため、バリF2からの光L1aの強度は、バリF2がない箇所からの光L1aの強度よりも、高い。従って、検出部52は、第1撮像部34Aaの画像データPaから、輝度値が所定値以上となる高輝度画素を検出して、境界部分T3Bに対応する位置の高輝度画素が、連続して所定の閾値以上隣り合う場合に、バリF2が形成されていると判断する。
また、第2実施形態に係る検出部52は、工具状態として、工具18の挿入量と、工具18の形状とを検出する。第2実施形態に係る検出部52は、工具18の挿入量及び工具18の形状を、第2撮像部34Baが撮像した画像に基づき検出する。第2撮像部34Baが撮像した画像に基づく工具18の挿入量の検出方法は、第1実施形態での工具18の挿入量の検出方法と同じである。同様に、第2撮像部34Baが撮像した画像に基づく工具18の形状の検出方法は、第1実施形態での工具18の形状の検出方法と同じである。
このように、第2実施形態においては、第1撮像部34Aaに部材Tの表面TAを撮像させ、第2撮像部34Baに工具18の表面を撮像させる。そして、検出部52は、第1撮像部34Aaが撮像した画像に基づき、部材状態、すなわち空孔、化合物F3の厚み、開口F1、及びバリF2を検出し、第2撮像部34Baが撮像した画像に基づき、工具状態、すなわち工具18の挿入量及び工具18の形状を検出する。ただし、検出部52は、第1実施形態と同様に、第2撮像部34Baの画像に基づき、開口F1及びバリF2を検出してもよい。この場合、第2撮像部34Baの撮像領域R2aを、工具18の表面に加えて部材Tの表面TAにも重ならせる。すなわち、この場合の検出領域AR2aは、部材Tの表面TAと工具18の表面とを含む。検出部52は、第2撮像部34Baが撮像した画像のうち、部材Tの表面TAの画像に基づき、第1実施形態と同様の方法で、開口F1及びバリF2を検出する。また、第2撮像部34Baを設けずに、第1撮像部34Aaが撮像した画像に基づき、工具状態を検出してもよい。この場合、第1撮像部34Aaの撮像領域R1aを、部材Tの表面TAに加えて、工具18の表面にも重ならせる。すなわち、この場合の検出領域AR1aは、部材Tの表面TAと工具18の表面とを含む。検出部52は、第1撮像部34Aaが撮像した画像のうち、工具18の表面の画像に基づき、第1実施形態と同様の方法で、工具状態を検出する。
図36は、第2実施形態に係る第1撮像部による光の検出について説明する図である。図36に示すように、製造システム1は、部材Tに対して工具18を送り方向(ここではY軸方向)に相対移動させて第1部材T1と第2部材T2との接合を行いつつ、第1撮像部34Aaに所定のフレームレート毎に検出領域AR1aからの光L1aの強度を検出させている。従って、部材Tに対する工具18の送り方向への相対移動に伴い、照射部32Aa及び第1撮像部34Aaも、部材Tに対して送り方向に相対移動して、照射領域AR0の部材Tの表面TA上における位置と、検出領域AR1aの部材Tの表面TA上における位置とが、移動する。ただし、図36に示すように、照射部32Aa及び第1撮像部34Aaが送り方向に相対移動しても、表面TAの単位領域ARaは、所定の時間、照射領域AR0及び検出領域AR1aの範囲内に収まることになる。そのため、単位領域ARaに、時間経過に伴い強度が変化する光Laを照射することが可能であり、単位領域ARaからの光L1aを、時間毎に検出して、単位領域ARaにおける開口F1や空孔や化合物F3を検出できる。なお、検出部52は、バリF2の検出の際には、光L1aの強度波形を用いる必要がないため、時間毎に検出された光L1aの強度のデータ(所定のフレームレート毎に撮像された第1撮像部34Aaの画像データ)のうちの1つを用いて、バリF2を検出する。ただし、検出部52は、時間毎に検出された光L1aの強度のデータ(所定のフレームレート毎に撮像された第1撮像部34Aaの画像データ)のうちの複数を用いて、バリF2を検出してもよい。
次に、第2実施形態に係る演算装置38による処理フローについて説明する。図37は、第2実施形態に係る演算装置の処理フローを説明するフローチャートである。図37に示すように、第1実施形態に係る演算装置38は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を開始したことをトリガとして、機器制御部50により、所定のフレームレートで撮像部34に画像の撮像を開始させる(ステップS140)。機器制御部50は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を開始したら、照射部32Aaに領域R0へ光Laを照射させ、第1撮像部34Aaに撮像領域R1aの範囲内の画像を撮像させる。機器制御部50は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を停止するまで、照射部32Aaに、時間経過に伴い強度が周期的に変化するように光Laを照射させつつ、所定のフレームレートで、第1撮像部34Aaに撮像領域R1aの範囲内の画像を撮像させる。また、機器制御部50は、第2撮像部34Baに、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触したタイミングで画像を撮像させて、検出部52は、その画像に基づき、プローブ22の先端部22Aが部材Tの表面TAに接触したタイミングにおける、ショルダ20の端部20Aと部材Tの表面TAとの間の距離D0aを算出する。
撮像部34が画像を撮像したら、演算装置38は、検出部52により、撮像部34が撮像により生成した画像データを取得して、部材状態として、空孔と、化合物F3の厚みの異常と、開口F1と、バリF2とを検出する(ステップS142)。検出部52は、製造装置10による接合中に、部材状態を検出する。検出部52は、撮像部34が画像を撮像する毎に、撮像部34が生成した画像データを取得して、部材状態を検出する。検出部52は、第1撮像部34Aaが生成した画像データPaから、部材Tの内部に形成されている空孔と、化合物F3の厚み、接合部T3の表面T3Aに形成されている開口F1と、接合部T3の表面T3Aの周囲に形成されているバリF2とを、部材状態として検出する。検出部52は、検出した部材状態が異常であるかを判断する。
演算装置38は、部材状態の検出結果に異常がある場合(ステップS144;Yes)、すなわち空孔と、化合物F3の厚みの異常と、開口F1と、バリF2との少なくとも1つが検出された場合、部材Tの内部に空孔が検出されたか、及びバリF2が検出されたかを判断する(ステップS146)。演算装置38は、部材Tの内部の空孔とバリF2とが検出された場合(ステップS146;Yes)、検出部52により、工具18の形状と工具18の挿入量とを、工具状態として検出する(ステップS148)。演算装置38は、検出した工具18の形状及び工具18の挿入量が異常であるかを判断する。なお、工具18の形状と工具18の挿入量との検出方法は、第1実施形態と同様である。
工具状態として工具18の形状及び工具18の挿入量を検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS158)。変更情報の生成方法については後述する。
演算装置38は、空孔及びバリF2の両方が検出されない(ステップS146;No)に、すなわち空孔及びバリF2との少なくとも一方が検出されなかった場合に、空孔が検出されたか否かを判断する。空孔が検出された場合(ステップS150;Yes)、演算装置38は、工具状態として、工具18の形状を検出する(ステップS152)。すなわち、演算装置38は、バリF2が検出されないが空孔が検出された場合に、工具状態として、工具18の形状を検出する。工具18の形状の検出方法は、ステップS148での工具18の形状の検出方法と同様である。工具状態として工具18の形状を検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS158)。変更情報の生成方法については後述する。
演算装置38は、空孔が検出されない場合(ステップS150;No)、バリF2が検出されたか否かを判断する。バリF2が検出された場合(ステップS154;Yes)、演算装置38は、工具状態として、工具18の挿入量を検出する(ステップS156)。工具18の挿入量の検出方法は、ステップS152での工具18の挿入量の検出方法と同様である。工具状態として工具18の挿入量を検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS158)。変更情報の生成方法については後述する。なお、ステップS156においては、工具18の形状を検出しないため、工具18の形状を検出するために第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させる制御は、実行しない(製造装置10に第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させない)。
演算装置38は、バリF2が検出されない場合(ステップS154;No)、すなわち空孔が検出されずバリF2も検出されない場合、工具状態を検出することなく、検出した部材状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS158)。言い換えれば、部材状態の異常が、空孔及びバリF2の検出以外である場合、ここでは化合物F3の厚みの異常や開口F1が検出されて空孔及びバリF2が検出されなかった場合、演算装置38は、工具状態を検出することなく、部材状態に基づき変更情報を生成する。変更情報の生成方法については後述する。空孔が検出されずバリF2も検出されない場合にも、工具18の形状を検出しないため、工具18の形状を検出するために第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させる制御は、実行しない(製造装置10に第1部材T1と第2部材T2との接合を停止させない)。
製造装置10の制御装置30は、演算装置38から送信された変更情報に基づき動作条件を変更する。変更情報の生成、送信が行われた後、第1部材T1と第2部材T2との接合を終了する場合(ステップS160;Yes)、本処理を終了する。第1部材T1と第2部材T2との接合を終了しない場合(ステップS160;No)、製造装置10の制御装置30は、変更情報に基づき変更した動作条件で、第1部材T1と第2部材T2との接合を続けて、演算装置38は、ステップS140に戻り、照射部32Aによる光LABの照射と、撮像部34による撮像とを続ける。
なお、ステップS144において、部材状態の検出結果に異常がない場合(ステップS144;No)、すなわち、空孔と、化合物F3の厚みの異常と、開口F1と、バリF2とのいずれもが検出されなかった場合、ステップS160に移動し、第1部材T1と第2部材T2との接合を終了する場合(ステップS160;Yes)、本処理を終了し、第1部材T1と第2部材T2との接合を終了しない場合(ステップS160;No)、ステップS140に戻り、照射部32Aaによる光Laの照射と撮像部34による撮像とを続ける。なお、空孔と、化合物F3の厚みの異常と、開口F1と、バリF2との検出の順番は、任意であってよい。
なお、図37の説明においては、部材状態の検出結果に異常がない場合は、変更情報を生成しないフローとなっている。ただし、演算装置38は、第1実施形態と同様に、部材状態の検出結果に異常がない場合であっても、第1部材T1と第2部材T2との接合中に検出した部材状態に基づき、第1部材T1と第2部材T2との接合(検出部52が部材状態を検出した際の接合)が終了した後の次回の接合の動作条件を変更するための、変更情報を生成してもよい。
次に、第2実施形態に係る変更情報の生成について説明する。図38及び図39は、変更情報の生成について説明するフローチャートである。図38は、部材Tの内部に空孔が形成されている場合の、変更情報の生成方法を示している。すなわち、図38は、図37のステップS158での、反射率の異常が検出された場合の変更情報の生成方法の詳細を説明するものである。空孔が形成される原因としては、第1部材T1と第2部材T2との混ぜ合わせ不良や、第1部材T1及び第2部材T2への入熱不足などが挙げられる。第1部材T1と第2部材T2とは、回転するプローブ22によって撹拌されて互いに混ぜ合わされて、第1部材T1と第2部材T2を含んだ接合部T3が形成される。しかし、例えば工具18の回転が不適切である場合(一例として、工具18の回転数が不足している場合)には、第1部材T1と第2部材T2とが十分に混ぜ合わされない、混ぜ合わせ不良が起こる。混ぜ合わせ不良が起こると、例えばプローブ22の挿入で形成された空間に第1部材T1と第2部材T2とが入り込まずに空間のまま残ってしまい、空孔が形成される場合がある。また、工具18の摩擦熱が十分でない場合(一例として、工具18の送り速度が速すぎる場合)、第1部材T1及び第2部材T2への入熱不足が起こる。入熱不足が起こると、第1部材T1と第2部材T2とが熱により十分に軟化しないため、プローブ22による撹拌が阻害されて、例えばプローブ22の挿入で形成された空間に第1部材T1と第2部材T2とが入り込まずに空間のまま残ってしまい、空孔が形成される場合がある。第2実施形態に係る演算装置38は、部材状態と工具状態とに基づき、空孔が形成される原因、すなわち接合状態の不良モードを、判定する。具体的には、図38に示すように、検出部52が、部材Tの内部の空孔を検出した際において、工具18の溝の寸法及び工具18の外径の両方が異常であると判断した場合(ステップS162;Yes)に、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、混ぜ合わせ異常と入熱不足とが起きていると判断する(ステップS164)。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が混ぜ合わせ異常と入熱不足とが起きていると判断したら、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報と、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報とを、生成する(ステップS166)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、部材Tの内部に空孔が形成されていると判断し、かつ、工具18の溝の寸法及び工具18の外径の両方が異常であると判断した場合に、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報と、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報とを、生成する。
また、検出部52が、工具18の溝の寸法及び工具18の外径の両方共が異常ではないと判断した場合(ステップS62;No)であって(工具18の溝の寸法が異常でありかつ工具18の外径が異常であるという条件を満たさない場合であって)、検出部52が工具18の溝の寸法が異常であると判断した場合(ステップS168;Yes)、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、混ぜ合わせ異常が起きていると判断する(ステップS170)。すなわち、接合状態判定部54は、検出部52が、部材Tの内部に空孔が形成されていると判断し、かつ、工具18の溝の寸法が異常であると判断した場合に、混ぜ合わせ異常が起きていると判断する。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が混ぜ合わせ異常が起きていると判断したら、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報を生成する(ステップS172)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、部材Tの内部に空孔が形成されていると判断し、かつ、工具18の溝の寸法が異常であると判断した場合に、工具18の回転数を上昇させる旨の変更情報を生成する。
また、検出部52が、工具18の溝の寸法が異常でないと判断した場合(ステップS168;No)であって、検出部52が工具18の外径が異常であると判断した場合(ステップS174;Yes)、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、入熱不足が起きていると判断する(ステップS176)。すなわち、接合状態判定部54は、検出部52が、部材Tの内部に空孔が形成されていると判断し、かつ、工具18の外径が異常であると判断した場合に、入熱不足が起きていると判断する。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が、入熱不足が起きていると判断したら、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報を生成する(ステップS172)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、部材Tの内部に空孔が形成されていると判断し、かつ、工具18の外径が異常であると判断した場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報を生成する。なお、演算装置38は、検出部52が、工具18の溝の寸法が異常でなく工具18の外径も異常でないと判断した場合(ステップS174;No)、本処理を終了する。
図39は、部材状態の異常として化合物F3の厚みの異常が検出された場合の、変更情報の生成方法を示している。図39に示すように、検出部52が化合物F3の厚みが異常である、すなわち化合物F3の厚みが厚すぎると判断した場合、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、入熱位置不良が起きていると判断する(ステップS182)。変更情報生成部56は、接合状態判定部54が、入熱位置不良が起きていると判断したら、工具18の加工パスを修正する旨の変更情報を生成する(ステップS184)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が化合物F3の厚みの異常を検出した場合に、工具18の加工パスを修正させる旨の変更情報を生成する。なお、演算装置38は、検出部52が、化合物F3の厚みが異常でない、すなわち化合物F3の厚みが十分に薄いと判断した場合(ステップS180;No)、本処理を終了する。
開口F1及びバリF2が検出された場合の変更情報の生成方法は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
以上説明したように、第2実施形態に係る第1撮像部34Aaは、部材Tからの光L1a(赤外光)を受光し、検出部52は、第1撮像部34Aaが受光した光L1aに基づき、部材状態を検出する。第2実施形態に係る検出部52は、部材Tからの光L1aに基づき部材状態を検出するため、品質改善により適切に寄与できる。
また、第2実施形態に係る検出部52は、部材状態として、接合部T3の内部の空孔を検出し、空孔を検出した場合に、工具状態として、工具18の形状を検出する。第2実施形態に係る演算システム12は、空孔を検出した場合に工具18の形状を検出するため、空孔と工具18の形状とに基づき、品質異常の原因を高精度に検出できる。
第2実施形態に係る検出部52は、工具状態として、工具18の先端のプローブ22の溝の寸法と、工具18の外径とが異常であるかを検出する。第2実施形態に係る変更情報生成部56は、検出部52が、溝の寸法が異常であると検出した場合に、工具18の回転数を上昇させる旨の情報を、変更情報として生成する。変更情報生成部56は、検出部52が、工具18の外径が異常であると検出した場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の情報を、変更情報として生成する。演算システム12は、このようにして変更情報を生成することで、製造装置10に混ぜ合わせ異常及び入熱不足を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。
第2実施形態に係る検出部52は、接合部T3の周囲のバリF2を検出し、バリF2を検出した場合に、工具状態として、工具18の挿入量を検出してよい。演算システム12は、バリF2を検出した場合に、工具18の挿入量を検出するため、バリF2と工具18の挿入量とに基づき、変更する動作条件を適切に選定できる。
第2実施形態に係る検出部52は、工具18の挿入量が異常であるかを検出し、変更情報生成部56は、検出部52が、工具18の挿入量が異常であると検出した場合に、工具18の挿入量を減少させる旨の情報を、変更情報として生成する。変更情報生成部56は、検出部52が、工具18の挿入量が異常でないと検出した場合に、工具18の送り速度を上昇させる旨の情報を、変更情報として生成する。演算システム12は、このように変更情報を生成することで、製造装置10に入熱過多を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。
第2実施形態に係る検出部52は、接合部T3に形成される開口F1を検出し、変更情報生成部56は、検出部52が開口F1を検出した場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の情報を、変更情報として生成する。演算システム12は、開口F1が検出された場合に、工具18の送り速度を低下させる旨の変更情報を生成することで、製造装置10に入熱不足を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。
第2実施形態に係る検出部52は、部材状態として、第1部材T1と第2部材T2との化合物F3の厚みが異常であるかを検出する。変更情報生成部56は、検出部52が、化合物F3の厚みが異常であると検出した場合に、加工パスを変更する旨の情報を、変更情報として生成する。変更情報生成部56は、化合物F3の厚みの異常を検出した場合に、加工パスを変更させる旨の変更情報を生成することで、製造装置10に入熱位置不良を適切に抑制させて、品質不良の抑制を適切に補助できる。
また、第2実施形態に係る照射部32Aaは、加熱部として、部材Tを加熱する。すなわち、照射部32Aaは、加熱部として、第1部材T1、第2部材T2、接合部T3、及び工具18の表面の少なくとも1つを加熱する。撮像部34としての第1撮像部34Aaは、加熱部により加熱された第1部材T1、第2部材T2、接合部T3、及び工具18の表面から、赤外光である光L1aを受光する。検出部52は、撮像部34が受光した光L1a(赤外光)に基づき、部材状態と工具状態との少なくとも一部を検出する。第2実施形態に係る演算システム12aは、部材Tを加熱して、部材Tから放射される赤外光である光L1aの像を撮像することで、すなわちアクティブサーモグラフィにより、部材Tの内部の状態を適切に検出できる。ただし、演算システム12aは、アクティブサーモグラフィを用いて部材Tの内部の状態を検出することに限られず、超音波探傷法などの他の任意の方法を用いて、部材Tの内部の状態を検出してよい。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る製造システム1bは、製造装置10bが、摩擦撹拌装置でなく、レーザ光により第1部材T1と第2部材T2とを接合する装置である点で、第2実施形態と異なる。第3実施形態において、第2実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図40は、第3実施形態に係る製造システムの模式図である。図41は、第3実施形態に係る製造装置による接合の方法を説明する模式図である。図40に示すように、第3実施形態に係る製造システム1bは、製造装置10bと、演算システム12bとを備える。製造装置10bは、第1部材T1と第2部材T2とを接合するためのレーザ光を照射する光照射部18bを備える。光照射部18bは、第1部材T1と第2部材T2とを加工するためにレーザ光を照射することから工具といえる。光照射部18bは、第2実施形態の工具18と同様に、工具保持部16に取付けられている。すなわち、光照射部18bは、Z軸方向に移動することで、部材Tに対する相対位置を変化可能である。また、光照射部18bは、X軸方向に平行な回転軸AX1を中心に回転することで、工具保持部16に対する、すなわち部材Tに対する、θX軸方向における姿勢を変化させる。ただし、第3実施形態において、光照射部18bは、中心軸AXbを中心として回転しなくてもよい。
製造装置10bの制御装置30は、光照射部18bの−Z軸方向側における端部18bAと部材Tとの間の距離を一定に保ちつつ、端部18bAから部材Tに向けてレーザ光Lbを照射させる。また、制御装置30は、光照射部18bの端部18bAから部材Tに向けてレーザ光Lbを照射させつつ、部材Tに対して、光照射部18bを送り方向(Y軸方向)に相対移動させる。光照射部18bは、第1部材T1の表面T1Aと第2部材T2の表面T2Aとの少なくとも一方にレーザ光Lbを照射することで、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方を溶融させて、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方が溶融した溶融池を形成する。そして、光照射部18bが部材Tに対して送り方向に相対移動して、レーザ光Lbが照射される領域から外れた溶融池は、冷却されて固化する。溶融池が固化することで、第1部材T1と第2部材T2とが接合される。従って、図41に示すように、製造装置10bによって接合された第1部材T1と第2部材T2との接合部T3は、第1部材T1と第2部材T2との少なくとも一方が溶融した溶融池が、固化した箇所であるといえる。
図42は、第3実施形態に係る工具状態を説明する図である。図41に示すように、第3実施形態における照射部32Aaが光を照射するR0(照射領域AR0)は、第2実施形態と同様である。また、第3実施形態における第1撮像部34Aaが撮像する撮像領域R1a(検出領域AR1a)と同様である。一方、第3実施形態においては、第2撮像部34Bの撮像領域R2a(検出領域AR2a)は、図42に示すように、光照射部18bの少なくとも一部と、光照射部18bの端部18bAと部材Tの表面TAとの間の領域とに、重なる。そのため、第3実施形態の光照射部18bの第2撮像部34Bが撮像した画像は、光照射部18bと、光照射部18bの端部18bAと部材Tの表面TAとの間の領域とを、含む。なお、図42では、説明の便宜上、第2撮像部34Bが、光照射部18bのY軸方向側(送り方向側)から撮像している絵となっているが、実際には、第2撮像部34Bは、図40や図41に示すように、光照射部18bのX軸方向側から撮像することが好ましい。また、図42では、説明の便宜上、照射部32Aa及び第1撮像部34Aaの記載は省略している。
第3実施形態に係る演算システム12bの検出部52は、部材状態として、部材Tの内部の空孔と、接合部T3に形成される開口F1と、第1部材T1と第2部材T2との化合物F3の厚みと、を検出する。第3実施形態に係る検出部52による、部材Tの内部の空孔と、開口F1と、化合物F3の厚みとの検出方法は、第2実施形態と同様である。なお、第3実施形態のようにレーザ光Lbで接合を行う場合には、空孔は、ボイドやポロシティとも呼ばれ、開口F1は、アンダーフィルとも呼ばれる。
第3実施形態に係る検出部52は、工具状態として、光照射部18bが照射するレーザ光Lbの焦点外し距離D4と、光照射部18bの傾斜角度θとを検出する。レーザ光Lbの焦点外し距離D4とは、図42に示すように、レーザ光Lbの集光点SP(言い換えれば、光照射部18bにおける不図示の光学系の焦点)の位置と部材Tの表面TAとの間の距離である。レーザ光Lbの集光点SPとは、レーザ光Lbの光束径が、最小となる箇所を指す。
検出部52は、光照射部18bがレーザ光Lbを照射している際に第2撮像部34Bが撮像した画像に基づき、レーザ光Lbの焦点外し距離D4を検出する。検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像のうちの、光照射部18bの端部18bAと部材Tの表面TAとの間の領域に対応する画像から、レーザ光Lbの画像であるレーザ光画像を抽出する。例えば、検出部52は、光照射部18bの端部18bAと部材Tの表面TAとの間の領域に対応する画像のうち、連続して隣り合った輝度値が所定値以上の画素(つまり、レーザ光Lbに対応する輝度値の画素)の集合で構成される画像を、レーザ光画像として抽出する。検出部52は、抽出したレーザ光画像においてレーザ光Lbの幅が最も小さい部分を、レーザ光Lbの集光点SPとする。ここでの幅とは、レーザ光画像の、光照射部18bの端部18bAから部材Tの表面TAへの方向に直交する方向の長さを指す。検出部52は、レーザ光画像におけるレーザ光Lbの集光点SPの位置と、レーザ光画像における部材Tの表面TAの位置とから、レーザ光Lbの集光点SPの位置と部材Tの表面TAとの間の距離を、レーザ光Lbの焦点外し距離D4として検出する。なお、検出部52は、レーザ光画像に基づいて焦点外し距離D4を検出しなくてもよい。例えば、予め、既存のビームプロファイラでレーザ光Lbの集光点SPの位置を特定し、光照射部18bの端部18bAから集光点SPまでの距離を求めておく。検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像から光照射部18bの端部18bAと部材Tの表面TAとの距離を算出し、その距離から光照射部18bの端部18bAから集光点SPまでの距離を差し引いて焦点外し距離D4を検出してもよい。
検出部52は、このようにして検出したレーザ光Lbの焦点外し距離D4が、異常であるかを判定する。検出部52は、レーザ光Lbの焦点外し距離D4の検出値が、予め設定した閾値(以下、距離閾値と記載する)より小さい場合に、レーザ光Lbの焦点外し距離D4が異常であると判断する。検出部52は、レーザ光Lbの焦点外し距離D4の検出値が、距離閾値以上の場合に、レーザ光Lbの集光点SPの位置情報が正常である(異常でない)と判断する。ここでの距離閾値は、任意に設定されてよいが、レーザ光Lbの焦点外し距離D4が距離閾値より小さいと、品質異常となる空孔が形成される可能性が高くなることを基準として、設定されてよい。
また、検出部52は、光照射部18bがレーザ光Lbを照射している際に第2撮像部34Bが撮像した画像に基づき、光照射部18bの傾斜角度θを検出する。光照射部18bの傾斜角度θとは、光照射部18bの中心軸AXbの、Z軸方向に対する角度であり、光照射部18bの中心軸AXbとZ軸方向に沿った直線を直線AZとがなす角度ともいえる。さらに具体的には、図42に示すように、Z軸方向に沿った直線を直線AZとし、光照射部18bの、端部18bAと反対側の端部を、端部18bBとする。この場合、傾斜角度θは、光照射部18bが端部18bBから端部18bAに向かうに従って光照射部18bの送り方向(Y軸方向)側に傾斜している場合に、プラスの値となり、光照射部18bが端部18bBから端部18bAに向かうに従って光照射部18bの送り方向と反対側に傾斜している場合には、マイナスの値となる。すなわち、光照射部18bの傾斜角度θとは、光照射部18bの端部18bAが、送り方向側にどの程度傾斜しているかを示す前進角度といえる。例えば、検出部52は、第2撮像部34Bが撮像した画像から、光照射部18bの画像を抽出し、光照射部18bの画像の中心軸を検出する。検出部52は、光照射部18bの画像の中心軸と、第2撮像部34Bが撮像した画像における基準軸との間の角度を、傾斜角度θとして検出する。ここでの基準軸は、第2撮像部34Bが撮像した画像において、Z軸方向に沿った軸として予め設定されていた画像である。ただし、傾斜角度θの検出方法はこれに限られず、例えば、製造装置10bにおいて光照射部18bの傾斜を測定しているエンコーダ等のセンサの値を演算装置38が受け取ることで傾斜角度θを検出してもよい。
検出部52は、このようにして検出した光照射部18bの傾斜角度θが、異常であるかを判定する。検出部52は、光照射部18bの傾斜角度θの検出値が、予め設定した閾値(以下、角度閾値と記載)より小さい場合に、光照射部18bの傾斜角度θが異常であると判断する。検出部52は、光照射部18bの傾斜角度θの検出値が、角度閾値以上の場合に、光照射部18bの傾斜角度θが正常である(異常でない)と判断する。ここでの角度閾値は、任意に設定されてよいが、傾斜角度θが角度閾値より小さいと品質異常となる開口F1が形成される可能性が高くなることを基準として、設定されてよい。
次に、第3実施形態に係る演算装置38による処理フローについて説明する。図43は、第3実施形態に係る演算装置の処理フローを説明するフローチャートである。図43に示すように、第3実施形態に係る演算装置38は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を開始したことをトリガとして、機器制御部50により、所定のフレームレートで撮像部34に画像の撮像を開始させる(ステップS190)。機器制御部50は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を開始したら、照射部32Aaに領域R0a(図41参照)へ光Laを照射させ、第1撮像部34Aaに撮像領域R1a(図41参照)の範囲内の画像を撮像させ、第2撮像部34Bに撮像領域R2a(図41、42参照)の範囲内の画像を撮像させる。機器制御部50は、製造装置10が第1部材T1と第2部材T2との接合を停止するまで、照射部32Aaに、時間経過に伴い強度が周期的に変化するように光Laを照射させつつ、所定のフレームレートで、第1撮像部34Aaに撮像領域R1aの範囲内の画像を撮像させ、第2撮像部34Bに撮像領域R2aの範囲内の画像を撮像させる。なお、第3実施形態においては、光照射部18bが部材Tへのレーザ光Lbの照射を開始したタイミングを、第1部材T1と第2部材T2との接合を開始したタイミングとしてよい。
撮像部34が画像を撮像したら、演算装置38は、検出部52により、撮像部34が撮像により生成した画像データを取得して、部材状態として、空孔と、開口と、化合物F3の厚みの異常とを検出する(ステップS192)。検出部52は、製造装置10による接合中に、部材状態を検出する。検出部52は、撮像部34が画像を撮像する毎に、撮像部34が生成した画像データを取得して、部材状態を検出する。検出部52は、第1撮像部34Aaが生成した画像データPaから、部材Tの内部に形成されている空孔と、化合物F3の厚みと、接合部T3の表面T3Aに形成されている開口F1とを、部材状態として検出する。なお、検出部52は、第1実施形態と同様に、第2撮像部34Bが生成した画像データPから、接合部T3の表面T3Aに形成されている開口F1を検出してもよい。検出部52は、検出した部材状態が異常であるかを判断する。
演算装置38は、部材状態の検出結果に異常がある場合(ステップS194;Yes)、すなわち、空孔と開口と化合物F3の厚みの異常との少なくとも1つが検出された場合、部材Tの内部に空孔が検出されたか、及び、接合部T3の表面T3Aに開口F1が検出されたかを、判断する(ステップS196)。演算装置38は、空孔と開口F1とが検出された場合(ステップS196;Yes)、検出部52により、工具状態として、レーザ光Lbの焦点外し距離D4と、光照射部18bの焦点外し距離D4と検出する。演算装置38は、製造装置10による接合が行われている状態、すなわちレーザ光Lbが照射されている状態で、第2撮像部34Bに画像を撮像させて、第2撮像部34Bが撮像した画像に基づき、レーザ光Lbの焦点外し距離D4と、光照射部18bの傾斜角度θとを検出する。
工具状態として焦点外し距離D4と傾斜角度θとを検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS208)。変更情報の生成方法については後述する。
演算装置38は、空孔及び開口F1の両方が検出されない場合(ステップS196;No)に、すなわち空孔及び開口F1との少なくとも一方が検出されなかった場合に、空孔が検出されたか否かを判断する。空孔が検出された場合(ステップS200;Yes)、演算装置38は、工具状態として、焦点外し距離D4を検出する(ステップS202)。すなわち、演算装置38は、開口F1が検出されないが空孔が検出された場合に、工具状態として、焦点外し距離D4を検出する。工具状態として焦点外し距離D4を検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS158)。変更情報の生成方法については後述する。
演算装置38は、空孔が検出されない場合(ステップS200;No)に、開口F1が検出されたか否かを判断する。開口F1が検出された場合(ステップS204;Yes)、演算装置38は、工具状態として、傾斜角度θを検出する(ステップS206)。工具状態として傾斜角度θを検出したら、演算装置38は、変更情報生成部56により、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS208)。変更情報の生成方法については後述する。
演算装置38は、開口F1が検出されない場合(ステップS204;No)、すなわち空孔が検出されず開口F1も検出されない場合、工具状態を検出することなく、検出した部材状態に基づき、製造装置10の接合中の動作条件を変更するための変更情報を生成して、生成した変更情報を制御装置30に送信する(ステップS158)。言い換えれば、部材状態の異常が、空孔及び開口F1の検出以外である場合、ここでは化合物F3の厚みの異常が検出されて空孔及び開口F1が検出されなかった場合、演算装置38は、工具状態を検出することなく、部材状態に基づき変更情報を生成する。変更情報の生成方法については後述する。
製造装置10の制御装置30は、演算装置38から送信された変更情報に基づき動作条件を変更する。変更情報の生成、送信が行われた後、第1部材T1と第2部材T2との接合を終了する場合(ステップS210;Yes)、本処理を終了する。第1部材T1と第2部材T2との接合を終了しない場合(ステップS210;No)、製造装置10の制御装置30は、変更情報に基づき変更した動作条件で、第1部材T1と第2部材T2との接合を続けて、演算装置38は、ステップS190に戻り、撮像部34による撮像を続ける。
なお、ステップS194において、部材状態の検出結果に異常がない場合(ステップS194;No)、すなわち、空孔と開口と化合物F3の厚みの異常とのいずれもが検出されなかった場合、ステップS210に移動し、第1部材T1と第2部材T2との接合を終了する場合(ステップS210;Yes)、本処理を終了し、第1部材T1と第2部材T2との接合を終了しない場合(ステップS210;No)、ステップS140に戻り、照射部32Aaによる光Laの照射と撮像部34による撮像とを続ける。なお、空孔と開口と化合物F3の厚みの異常との検出の順番は、任意であってよい。
なお、図43の説明においては、部材状態の検出結果に異常がない場合は、変更情報を生成しないフローとなっている。ただし、演算装置38は、第2実施形態と同様に、部材状態の検出結果に異常がない場合であっても、第1部材T1と第2部材T2との接合中に検出した部材状態に基づき、第1部材T1と第2部材T2との接合(検出部52が部材状態を検出した際の接合)が終了した後の次回の接合の際の動作条件を変更するための、変更情報を生成してもよい。また、演算装置38は、空孔や開口F1が検出されたことをトリガとして、工具状態(ここでは焦点外し距離D4と傾斜角度θ)を検出しているが、それに限られず、例えば、第2撮像部34Bが所定のフレームレートで撮像する毎に、第2撮像部34Bの画像データに基づき、順次、工具状態を検出してもよい。
次に、第3実施形態に係る変更情報の生成について説明する。第3実施形態においては、接合状態判定部54は、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、接合状態として、部材Tに形成されるキーホールと、部材Tへの入熱量と、部材Tへの入熱位置と、溶融池の固化状態とが不良であるかを判定する。ただし、接合状態判定部54は、接合状態として、部材Tに形成されるキーホールと、部材Tへの入熱量と、部材Tへの入熱位置と、溶融池の固化状態との、少なくとも1つが不良であるか判定してよい。なお、キーホールとは、レーザ光Lbが部材Tに照射されている際に、レーザ光Lbによって部材Tが蒸発して一時的に形成される穴を指す。また、溶融池の固化状態とは、溶融池がどのように固化しているかを指し、例えば、溶融池が固化する位置を指す。なお、このような接合状態の不良モードとしては、形成されるキーホールが深すぎるキーホール不良と、部材Tへの入熱量が過多となる入熱過多と、部材Tへの入熱位置が不良となる入熱位置不良と、溶融池の固化状態が不良となる固化不良と、の少なくとも1つが挙げられる。
また、第3実施形態においては、変更情報生成部56は、検出部52が検出した部材状態及び工具状態に基づき、より詳しくは接合状態判定部54が不良であると判定した接合状態に基づき、動作条件を変更するための変更情報を生成する。第3実施形態における動作条件は、レーザ光Lbの焦点外し距離D4と、光照射部18bの送り速度と、レーザパスと、傾斜角度θと、レーザ光Lbの出力とが挙げられる。ただし、第3実施形態における動作条件は、焦点外し距離と、送り速度と、レーザパスと、傾斜角度θと、レーザ光Lbの出力との少なくとも1つであってよい。なお、送り速度は、送り方向(本実施形態ではY軸方向)における、部材Tに対する光照射部18bの相対移動速度である。レーザパスとは、レーザ光Lbを照射した状態における、部材Tに対する光照射部18bの移動経路であり、さらに言えば、送り方向に直交する方向(ここではX軸方向)での、部材Tに対する光照射部18bの相対位置である。レーザ光Lbの出力とは、レーザ光Lbのパワー密度を指す。
図44から図46は、第3実施形態に係る変更情報の生成について説明するフローチャートである。図44は、部材Tの内部に空孔が形成されている場合の、変更情報の生成方法を示している。すなわち、図44は、図43のステップS208での、空孔が検出された場合の変更情報の生成方法の詳細を説明するものである。図44に示すように、接合状態判定部54は、検出部52が、部材Tの内部に空孔が形成されていると判断した際において検出部52が、レーザ光Lbの焦点外し距離D4が異常であると判断した場合(ステップS222;Yes)に、接合状態の不良モードのうち、キーホール不良が起きていると判断する(ステップS224)。変更情報生成部56は、キーホール不良が起きていると判断したら、レーザ光Lbの焦点外し距離D4を長くする旨の変更情報を、生成する(ステップS226)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、部材Tの内部に空孔が形成されていると判断し、かつ、レーザ光Lbの焦点外し距離D4が異常であると判断した場合に、レーザ光Lbの焦点外し距離D4を長くする旨の変更情報を、生成する。
また、検出部52が、レーザ光Lbの焦点外し距離D4が異常でないと判断した場合(ステップS222;No)に、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、入熱過多が起きていると判断する(ステップS228)。変更情報生成部56は、入熱過多が起きていると判断したら、光照射部18bの送り速度を上昇させる旨の変更情報を、生成する(ステップS230)。すなわち、変更情報生成部56は、検出部52が、部材Tの内部に空孔が形成されていると判断し、かつ、レーザ光Lbの焦点外し距離D4が異常でないと判断した場合に、光照射部18bの送り速度を上昇させる旨の変更情報を、生成する。
ここで、空孔が形成される原因としては、キーホールが深すぎることや、部材Tへの入熱過多など、複数の原因が挙げられる。キーホールが深すぎると、キーホールの少なくとも一部に溶融池が充填されずに、キーホールの少なくとも一部が空孔として残ってしまって、空孔が形成される場合がある。また、部材Tへの入熱量が多すぎると、部材Tが蒸発する空間が大きくなって、蒸発した部分が空孔として残ってしまい、空孔が形成される場合がある。それに対し、本実施形態に係る演算装置38は、空孔が形成されているかの部材状態と共に、工具状態に基づき空孔の原因を特定することで、空孔の形成を抑制可能な変更条件を生成する。すなわち、演算装置38は、空孔を検出して、かつ、焦点外し距離D4が距離閾値より小さい場合に、レーザ光Lbの焦点SPが部材Tに近すぎるために、キーホールが深くなって空孔が形成されていると判断する。そして、この場合に、演算装置38は、レーザ光Lbの焦点外し距離D4を長くする旨の変更情報を生成することで、製造装置10bに焦点外し距離D4を長くさせて、キーホールを短くして空孔の形成を抑制させる。また、演算装置38は、空孔を検出して、かつ、焦点外し距離D4が距離閾値より小さくない場合には、キーホール不良が原因でなく入熱過多で空孔が形成されていると判断する。そして、この場合に、演算装置38は、光照射部18bの送り速度を上昇させる旨の変更情報を生成する。製造装置10bは、光照射部18bの送り速度を上昇させることで、レーザ光Lbの照射時間を短くして入熱量を減らして、空孔の形成を抑制することができる。また、演算装置38は、空孔を検出して、かつ、焦点外し距離D4が異常でない(距離閾値より小さくない)場合に、レーザ光Lbの出力を減少させる旨の変更情報を生成してもよい。レーザ光Lbの出力を減少させても、レーザ光Lbによる入熱量を減らすことができるため、空孔の形成を抑制することができる。
図45は、部材Tに開口F1が形成されている場合の、変更情報の生成方法を示している。すなわち、図45は、図43のステップS208での、開口F1が検出された場合の変更情報の生成方法の詳細を説明するものである。図45に示すように、接合状態判定部54は、検出部52が、部材Tに開口F1が形成されていると判断した際において、検出部52が、光照射部18bの傾斜角度θが異常であると判断した場合(ステップS232;Yes)、接合状態の不良モードのうち、溶融池の固化不良が起きていると判断する(ステップS234)。変更情報生成部56は、溶融池の固化不良が起きていると判断したら、光照射部18bの傾斜角度θを大きくする旨の変更情報を、生成する(ステップS236)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、部材Tに開口F1が形成されていると判断し、かつ、光照射部18bの傾斜角度θが異常であると判断した場合に、光照射部18bの傾斜角度θを大きくする旨の変更情報を、生成する。
また、検出部52が、光照射部18bの傾斜角度θが異常でないと判断した場合(ステップS232;No)に、接合状態判定部54は、接合状態の不良モードのうち、溶融池の固化不良が起きていると判断する(ステップS238)。変更情報生成部56は、溶融池の固化不良が起きていると判断したら、レーザ光Lbの出力を低下させる旨の変更情報を、生成する(ステップS240)。すなわち、変更情報生成部56は、検出部52が、部材Tに開口F1が形成されていると判断し、かつ、光照射部18bの傾斜角度θが異常でないと判断した場合に、レーザ光Lbの出力を低下させる旨の変更情報を、生成する。
ここで、開口F1が形成される原因としては、溶融池の固化不良が挙げられる。例えば部材Tの表面TA上に溶融池が形成されるが、溶融池の固化不良として、溶融池内の融液の少なくとも一部が溶融池内から他の位置に飛び出すと、溶融池内の融液が不足して、溶融池が固化した部分が窪みとなって、開口F1となる場合がある。溶融池内の融液は、光照射部18bの傾斜角度θが小さい場合や、レーザ光Lbの出力が高い場合に、溶融池内から飛び出す場合がある。本実施形態に係る演算装置38は、開口F1を検出して、かつ、傾斜角度θが角度閾値より小さい場合に、傾斜角度θが小さいために溶融池の固化不良が起きていると判断する。そして、この場合に、演算装置38は、傾斜角度θを大きくする旨の変更情報を生成することで、製造装置10bに傾斜角度θを大きくさせて、溶融池の固化不良を抑えて、開口F1の形成を抑制させることができる。また、演算装置38は、開口F1を検出して、かつ、傾斜角度θが角度閾値より小さくない場合には、レーザ光Lbの出力を低下させる旨の変更情報を生成することで、製造装置10bにレーザ光Lbの出力を低下させて、溶融池の固化不良を抑えて、開口F1の形成を抑制させることができる。
図46は、化合物F3の厚みが異常である場合の、変更情報の生成方法を示している。すなわち、図46は、図43のステップS208での、化合物F3の厚み異常が検出された場合の変更情報の生成方法の詳細を説明するものである。図46に示すように、接合状態判定部54は、検出部52が、化合物F3の厚みが異常であると判断した場合、接合状態の不良モードのうち、入熱位置の不良が起きていると判断する(ステップS242)。変更情報生成部56は、入熱位置の不良が起きていると判断したら、レーザパスを修正する旨の変更情報を、生成する(ステップS244)。言い換えれば、変更情報生成部56は、検出部52が、化合物F3の厚みが異常であると判断した場合に、レーザパスを修正する旨の変更情報を、生成する。化合物F3の厚みが異常である場合、すなわち化合物F3が厚すぎる場合の原因としては、入熱位置の不良が挙げられる。本実施形態に係る演算装置38は、化合物F3の厚みの異常を検出した場合に、レーザパスを修正する旨の変更情報を生成することで、入熱位置を調整して、化合物F3の厚みが厚くなることを抑制できる。
なお、本実施形態に係る演算装置38は、化合物F3の厚みが異常であり、かつ、空孔が形成されている場合には、図44のステップS222以降の処理を行ってもよい。すなわち、演算装置38は、化合物F3の厚みが異常であり、かつ、空孔が形成されている場合であって、レーザ光Lbの焦点外し距離D4が異常であると判断した場合は、キーホール不良が起きていると判断して、レーザ光Lbの焦点外し距離D4を長くする旨の変更情報を生成してよい。そして、演算装置38は、化合物F3の厚みが異常であり、かつ、空孔が形成されている場合であって、レーザ光Lbの焦点外し距離D4が異常でないと判断した場合は、入熱過多が起きていると判断して、光照射部18bの送り速度を上昇させる旨、又はレーザ光Lbの出力を減少させる旨の変更情報を生成してよい。
また、演算装置38は、化合物F3の厚みが異常であり、かつ、開口F1が形成されている場合には、図45のステップS232以降の処理を行ってもよい。すなわち、演算装置38は、化合物F3の厚みが異常であり、かつ、開口F1が形成されている場合であって、光照射部18bの傾斜角度θが異常であると判断した場合、溶融池の固化不良が起きていると判断して、光照射部18bの傾斜角度θを大きくする旨の変更情報を生成してよい。また、演算装置38は、化合物F3の厚みが異常であり、かつ、開口F1が形成されている場合であって、光照射部18bの傾斜角度θが異常でないと判断した場合、溶融池の固化不良が起きていると判断して、レーザ光Lbの出力を低下させる旨の変更情報を生成してよい。
そして、演算装置38は、空孔が形成されておらず開口F1が形成されていない場合に、図46の処理を実行してよい。すなわち、演算装置38は、化合物F3の厚みが異常であり、空孔が形成されておらず開口F1が形成されていない場合には、入熱位置の不良が起きていると判断して、レーザパスを修正する旨の変更情報を、生成する。
以上説明したように、第3実施形態のように摩擦撹拌接合以外の方法で第1部材T1と第2部材T2とを接合する場合にも、演算装置38は、検出部52が検出した部材情報と工具情報とに基づき変更情報を生成するため、品質改善に適切に寄与できる。
なお、これまでの実施形態及び変形例で説明したレンズやフィルタなどの光学素子(例えば、第1実施形態で説明したレンズ62A、62B、光合成部64、光拡散部66、及びレンズ68など)は、それぞれ1つの光学素子(例えばレンズやフィルタ)であることに限られず、既存の光学素子(例えばレンズやフィルタ)の組み合わせであってもよい。
上記実施形態の製造システム1は、1台の装置で処理を行ったが複数組み合わせてもよい。図47は、製造システムを有するシステムの構成を示す模式図である。次に、図47を用いて、製造システム1を有するシステム300について説明する。システム300は、複数台の製造システム1(図47では3台)と、プログラム作成装置302とを、有する。製造システム1、プログラム作成装置302は、有線または無線の通信回線で接続されている。プログラム作成装置302は、上述した製造システム1の制御装置で作成する種々の設定やプログラムを作成する。プログラム作成装置302は、作成したプログラムや、データを製造システム1に出力する。製造システム1は、各種プログラムをプログラム作成装置302から取得し、取得したデータ、プログラムを用いて、処理を行う。システム300は、製造システム1や、プログラム作成装置302で作成したデータ、プログラムを用いて、製造システム1で製造を実行することで、作成したデータ、プログラムを有効活用することができる。
次に、上述した製造システムを備えたシステムについて、図48を参照して説明する。図48は、システムのブロック構成図である。本実施形態のシステム200は、検査装置201と、設計装置202と、上記の実施形態において説明したような製造システム1である製造システム203と、制御装置(検査装置)204と、リペア装置205とを備える。制御装置204は、内部構造記憶部210及び判断部211を備える。
設計装置202は、部材Tの形状や組成に関する設計情報を作成し、作成した設計情報を製造システム203に送信する。また、設計装置202は、作成した設計情報を制御装置204の内部構造記憶部210に記憶させる。
製造システム203は、設計装置202から入力された設計情報に基づいて、部材同士を接合して部材Tを作成する。検査装置201は、作成された部材Tを検査し、検査結果(例えば画像データ)を制御装置204へ送信する。
制御装置204の内部構造記憶部210は、設計情報を記憶する。制御装置204の判断部211は、内部構造記憶部210から設計情報を読み出す。判断部211は、検査装置201から受信した部材Tの形状の測定結果と、内部構造記憶部210から読み出した設計情報とを比較する。判断部211は、比較結果に基づき、部材Tが設計情報通りに成形されたか否かを判定する。換言すれば、判断部211は、作成された部材Tが良品であるか否かを判定する。判断部211は、部材Tが設計情報通りに成形されていない場合に、部材Tが修復可能であるか否か判定する。判断部211は、部材Tが修復できる場合、比較結果に基づいて不良部位と修復内容を算出し、リペア装置205に不良部位を示す情報と修復内容を示す情報とを送信する。
リペア装置205は、制御装置204から受信した不良部位を示す情報と修復内容を示す情報とに基づき、構造物の不良部位を修復する。
図49は、システムによる処理の流れを示したフローチャートである。システム200は、まず、設計装置202が部材Tに関する設計情報を作成する(ステップS1010)。次に、製造システム203は、設計情報に基づいて部材Tを作成する(ステップS1020)。次に、検査装置201は、作成された部材Tの形状を検査(測定)する(ステップS1030)。次に、制御装置204の判断部211は、検査装置201で得られた検査結果と上記の設計情報とを比較することにより、部材Tが設計情報通りに作成されたか否か検査する(ステップS1040)。
次に、制御装置204の判断部211は、作成された部材Tが良品であるか否かを判定する(ステップS1050)。システム200は、作成された部材Tが良品であると判断部211が判定した場合(ステップS1050でYes)、その処理を終了する。また、判断部211は、作成された部材Tが良品でないと判定した場合(ステップS1050でNo)、作成された部材Tが修復できるか否か判定する(ステップS1060)。
システム200は、作成された部材Tが修復できると判断部211が判定した場合(ステップS1060でYes)、リペア装置205が部材Tの修復を実施し(ステップS1070)、ステップS1030の処理に戻る。システム200は、作成された部材Tが修復できないと判断部211が判定した場合(ステップS1060でNo)、その処理を終了し、不良品を回収する。以上で、システム200は、図49に示すフローチャートの処理を終了する。
本実施形態のシステム200は、製造システム203が部材Tの内部構造を高精度に製造することができるので、作成された部材Tが良品であるか否か判定することができる。また、システム200は、部材Tが良品でない場合、部材Tを修復することができる。
なお、本実施形態におけるリペア装置205が実行するリペア工程は、製造システム203が製造工程を再実行する工程に置き換えられてもよい。その際には、制御装置204の判断部211が修復できると判定した場合、製造システム203は、製造工程を再実行する。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態や変形例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。前述の実施形態の各構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令が許容される限りにおいて、前述の各実施形態及び変形例で引用した形状測定装置などに関するすべての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。前述した実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態及び運用技術等は、すべて本実施形態の範囲に含まれる。
1 製造システム
10 製造装置(摩擦撹拌接合装置)
12 演算システム
18 工具
30 制御装置
32 照射部
34 撮像部
38 演算装置
52 検出部
54 接合状態判定部
56 変更情報生成部
AR0 照射領域
AR1、AR2 検出領域
T 部材
T1 第1部材
T2 第2部材
T3 接合部

Claims (21)

  1. 第1部材と第2部材との少なくともどちらか一方に回転させた工具を接触させて前記第1部材と前記第2部材とを接合する摩擦撹拌接合装置に用いられる演算装置であって、
    前記第1部材、前記第2部材、及び前記第1部材と前記第2部材との接合部の少なくとも一部の状態である部材状態と、前記工具の状態である工具状態と、を検出する検出部と、
    前記検出部により検出された前記部材状態と前記工具状態とに基づいて、前記摩擦撹拌接合装置の動作条件を第1の値から第2の値へ変更するための変更情報を生成する変更情報生成部と、
    を備える、演算装置。
  2. 前記検出部は、前記摩擦撹拌接合装置による接合中に、前記部材状態を検出し、
    前記変更情報生成部は、前記検出部が検出した接合中の前記部材状態に基づき、接合中の前記動作条件を変更するための前記変更情報を生成する、請求項1に記載の演算装置。
  3. 前記検出部は、前記摩擦撹拌接合装置による接合中に、前記部材状態を検出し、
    前記変更情報生成部は、前記検出部が検出した接合中の前記部材状態に基づき、前記検出部が前記部材状態を検出した際の前記第1部材と前記第2部材との接合が終了して次の部材同士を接合する際の、前記動作条件を変更するための前記変更情報を生成する、請求項1又は請求項2に記載の演算装置。
  4. 前記検出部は、前記摩擦撹拌接合装置による接合中の前記部材状態の検出結果が異常であるかを判断し、異常である場合に、前記工具状態を検出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の演算装置。
  5. 前記検出部は、前記部材状態として、前記接合部の表面の光の反射率が異常であるかを検出し、前記反射率が異常であると検出した場合に、前記工具状態として、前記工具の形状を検出する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の演算装置。
  6. 前記検出部は、前記工具状態として、前記工具の先端のプローブの溝の寸法と、前記工具の外径とが異常であるかを検出し、
    前記変更情報生成部は、
    前記検出部が、前記溝の寸法が異常であると検出した場合に、前記工具の回転数を上昇させる旨の情報を、前記変更情報として生成し、
    前記検出部が、前記工具の外径が異常であると検出した場合に、前記工具の送り速度を低下させる旨の情報を、前記変更情報として生成する、請求項5に記載の演算装置。
  7. 前記検出部は、前記部材状態として、前記接合部の周囲のバリを検出し、前記バリを検出した場合に、前記工具状態として、前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも一部への前記工具の挿入量を検出する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の演算装置。
  8. 前記検出部は、前記工具の挿入量が異常であるかを検出し、
    前記変更情報生成部は、
    前記検出部が、前記工具の挿入量が異常であると検出した場合に、前記工具の挿入量を減少させる旨の情報を、前記変更情報として生成し、
    前記検出部が、前記工具の挿入量が異常でないと検出した場合に、前記工具の送り速度を上昇させる旨の情報を、前記変更情報として生成する、請求項7に記載の演算装置。
  9. 前記検出部は、前記部材状態として、前記接合部に形成される開口を検出し、
    前記変更情報生成部は、前記検出部が前記開口を検出した場合に、前記工具の送り速度を低下させる旨の情報を、前記変更情報として生成する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の演算装置。
  10. 前記検出部は、前記部材状態として、前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも一部に対する前記工具による加工経路である加工パスが、異常であるかを検出し、
    前記変更情報生成部は、前記検出部が、前記加工パスが異常であると検出した場合に、前記加工パスを変更する旨の情報を、前記変更情報として生成する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の演算装置。
  11. 前記検出部は、前記部材状態として、前記接合部の内部の空孔を検出し、前記空孔を検出した場合に、前記工具状態として、前記工具の形状を検出する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の演算装置。
  12. 前記検出部は、前記工具状態として、前記工具の先端のプローブの溝の寸法と、前記工具の外径とが異常であるかを検出し、
    前記変更情報生成部は、
    前記検出部が、前記溝の寸法が異常であると検出した場合に、前記工具の回転数を上昇させる旨の情報を、前記変更情報として生成し、
    前記検出部が、前記工具の外径が異常であると検出した場合に、前記工具の送り速度を低下させる旨の情報を、前記変更情報として生成する、請求項11に記載の演算装置。
  13. 前記検出部は、前記部材状態として、前記第1部材と前記第2部材との化合物の厚みが異常であるかを検出し、
    前記変更情報生成部は、前記検出部が、前記第1部材と前記第2部材との化合物の厚みが異常であると検出した場合に、前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも一部に対する前記工具による加工経路である加工パスを変更する旨の情報を、前記変更情報として生成する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の演算装置。
  14. 前記検出部による前記部材状態と前記工具状態との検出結果に基づき、前記第1部材と前記第2部材との接合状態が不良かを判定する接合状態判定部を更に備える、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の演算装置。
  15. 前記接合状態判定部は、前記第1部材と前記第2部材との混ぜ合わせ状態、前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも一部への入熱量、及び、前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも一部への入熱位置の、少なくとも1つを、前記接合状態として判定する、請求項14に記載の演算装置。
  16. 前記変更情報生成部は、前記工具の回転数、前記工具の送り速度、前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも一部への前記工具の挿入量、及び、前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも一部に対する前記工具による加工経路である加工パスの、少なくとも1つを、前記動作条件として、前記変更情報を生成する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の演算装置。
  17. 請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の演算装置と、
    前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも1つと、前記工具とを撮像する撮像部を有し、
    前記検出部は、前記撮像部の撮像画像に基づき、前記部材状態と前記工具状態とを検出する、
    演算システム。
  18. 前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも1つと、前記工具との表面とに、光を投影する照射部を更に備え、
    前記撮像部は、前記照射部により光が投影された、前記第1部材、前記第2部材、及び前記接合部の少なくとも1つと前記工具との表面とを、撮像する、請求項17に記載の演算システム。
  19. 前記第1部材、前記第2部材、前記接合部、及び前記工具の表面の少なくとも1つを加熱する加熱部を更に備え
    前記撮像部は、前記加熱部によって加熱された、前記第1部材、前記第2部材、前記接合部、及び前記工具の表面の少なくとも1つからの赤外光を受光し、
    前記検出部は、前記撮像部が受光した前記赤外光に基づき、前記部材状態と前記工具状態との少なくとも一部を検出する、請求項17に記載の演算システム。
  20. 請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の演算システムと、
    前記摩擦撹拌接合装置と、を備える、製造システム。
  21. 第1部材と第2部材との少なくともどちらか一方に回転させた工具を接触させて前記第1部材と前記第2部材とを接合する摩擦撹拌接合装置に用いられる演算方法であって、
    前記第1部材、前記第2部材、及び前記第1部材と前記第2部材との接合部の少なくとも一部の状態である部材状態と、前記工具の状態である工具状態と、を検出することと、
    検出した前記部材状態と前記工具状態とに基づいて、前記摩擦撹拌接合装置の動作条件を第1の値から第2の値へ変更するための変更情報を生成することと、
    を含む、演算方法。
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