JP2021046951A - ガスタービン燃焼器 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃焼振動による圧力変動を減衰すると共に、燃焼用空気の低減によるNOx排出量の増加を抑制可能なガスタービン燃焼器を提供する。【解決手段】燃焼器ライナ12と、同心円状に複数列配置された空気孔21を複数備えた空気孔プレートと、空気孔と同軸に配置された複数の燃料ノズル22と、空気孔プレートの外周を覆うプレートリップの外周面と燃焼器ライナの内周面12aとの間に配置されたスプリングシール26と、スプリングシールの下流位置の燃焼器ライナの内周面に略L字型の断面形状を有しかつ燃焼器ライナの周方向に延在するように配置され音響空間92を形成するスロット27と、音響空間内でかつスロットの軸方向側壁部に配置された環帯状の仕切板28と、スロットに設けられ音響空間と燃焼室とを連結する複数の圧力波導入孔90とを備え、スロットは空気孔プレートの最外周列の空気孔を覆うように配置されている。【選択図】図1
Description
本発明は、ガスタービン燃焼器の構造に係り、特に、マルチクラスタバーナー構造のガスタービン燃焼器に適用して有効な技術に関する。
火力発電プラントでは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量を削減する手段として、発電効率の向上や化石燃料以外の水素などの燃料を積極的に利用することが検討されている。発電効率の向上には、ガスタービン発電設備のタービン入口温度の高温化が有効である。
しかし、ガスタービンの高温化に伴い、環境汚染物質である窒素酸化物(NOx)の排出量が増加するため、発電効率の向上と共にNOx排出量の低減が重要な技術課題となっており、高温化や水素含有燃料に対応したガスタービンの低NOx燃焼方式が求められている。
ガスタービン燃焼器の燃焼方式として、一般に拡散燃焼方式と予混合燃焼方式がある。拡散燃焼方式は、燃料を燃焼室に直接噴射して燃焼室内で燃料と空気を混合する形式であり、燃焼室内で燃料が完全燃焼するのに必要な空気の割合(量論混合比)に混合された領域から火炎が形成される。このため、燃焼室上流への火炎の逆流や燃料供給系統内での自着火の可能性が無く、燃焼安定性を確保できる。
しかし、燃焼室内で燃料と空気が量論混合比に混合された領域に火炎が形成されるため、局所的に高温の火炎が形成される。この局所高温領域ではNOx排出量が多く、窒素や水や蒸気などの不活性媒体を噴射しNOx排出量を削減する必要があるため、不活性媒体を供給する補機の動力が必要となり発電効率が低下する可能性がある。
一方、予混合燃焼方式は、燃料と空気を予め混合して燃焼室に供給する燃焼方式であり、燃料を希薄に燃焼させることができるため低NOx化が可能である。しかし、ガスタービンの高温化に伴い燃焼用空気温度が上昇すると共に、燃料と空気を混合する予混合器内での燃料濃度が高まるため、火炎の逆流により構造物を焼損する可能性があり、信頼性の低下が懸念される。
上記のような水素含有燃料を用いるガスタービンの場合、水素は天然ガスと比較して量論混合比における断熱火炎温度が高いため、拡散燃焼方式でのNOx排出量は増加する。一方、予混合燃焼方式に水素含有燃料を用いると、水素は着火エネルギが小さく、燃焼速度が速いため、予混合器に火炎が逆流したり、予混合器内で自着火したりする可能性が高くなる。
このような課題を解決するため、燃焼室上流に配置された複数の燃料ノズルと複数の空気孔を同軸上に配置し、燃料と空気を同軸流として燃焼室に供給する燃焼器がある。このタイプの燃焼器では、燃料と空気を分散して同軸流として供給することで混合が急速に促進され、NOx排出量を低減することが可能となる。また、混合距離を短くでき、火炎の逆流を防止できる。
しかし、この燃焼器に高水素濃度の燃料を適用すると、燃焼振動の発生による圧力変動の振幅が増加し、燃焼器構造物の信頼性が低下する場合がある。このような場合は燃焼室を形成するライナの外周面に燃焼振動による圧力変動を減衰させる音響空間を形成した音響ライナを設置することが有効である。
音響ライナはライナ内壁面に設けた複数の圧力波導入孔により圧力波を音響空間へ導き、音響空間の径方向高さに応じた特定周波数帯の燃焼振動で生じる圧力変動を減衰すると共に、音響空間への火炎の侵入を防止するためのパージ空気を音響空間内部へ導くパージ空気孔で構成されている。
特許文献1には、その一例として燃焼室を形成している円筒部材(燃焼筒)の外周面に音響空間を設けた構造が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された音響ライナにおいて、音響空間への火炎の逆流を防止するためには、圧力波導入孔(貫通孔群16)から特定量のパージ空気が必要であり、燃焼用の空気が減少してNOx排出量が増加する可能性がある。
そこで、本発明の目的は、燃焼振動による圧力変動を減衰すると共に、燃焼用空気の低減によるNOx排出量の増加を抑制可能なガスタービン燃焼器を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、燃料と空気との混合気を燃焼させる燃焼室と、前記燃焼室を形成する燃焼器ライナと、前記燃焼室の上流側に位置し、同心円状に複数列配置された空気孔を複数備えた空気孔プレートと、前記空気孔と同軸に配置された複数の燃料ノズルと、前記空気孔プレートの外周を覆うプレートリップと、前記プレートリップと前記燃焼器ライナとの嵌合部において前記プレートリップの外周面と前記燃焼器ライナの内周面との間に配置されたスプリングシールと、前記スプリングシールの下流位置の前記燃焼器ライナの内周面に、略L字型の断面形状を有し、かつ、前記燃焼器ライナの周方向に延在するように配置され、音響空間を形成するスロットと、前記音響空間内で、かつ、前記スロットの軸方向側壁部に配置された環帯状の仕切板と、前記スロットに設けられ、前記音響空間と前記燃焼室とを連結する複数の圧力波導入孔と、を備え、前記スロットは、前記空気孔プレートの最外周列の空気孔を覆うように配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、燃焼振動による圧力変動を減衰すると共に、燃焼用空気の低減によるNOx排出量の増加を抑制可能なガスタービン燃焼器を実現することができる。
これにより、ガスタービン燃焼器の信頼性向上および低NOx化の両立が可能となり、火力発電プラントの発電効率の向上とNOx排出量の低減に寄与できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、各図面において同一の構成については同一の符号を付し、重複する部分についてはその詳細な説明は省略する。
図1から図4を参照して、本発明の実施例1のガスタービン燃焼器について説明する。なお、図4は本発明を分かり易くするために比較例として示す従来のガスタービン燃焼器の燃焼器バーナ部の断面図である。
図2は、本実施例のガスタービン燃焼器を備えたガスタービンプラント1の概略構成図である。ガスタービンプラント1では、圧縮機2で圧縮された圧縮空気102がディフューザ9を通過後、車室13へ流入する。車室13へ流入した圧縮空気102は、フロースリーブ14を通過し、外筒10とライナ12の間へ流れる。
圧縮空気102の一部はライナ12の冷却空気103として燃焼室5に流入する。外筒10とライナ12の間を通過した圧縮空気102は、スプリングシール26を通過し、プレートリップ25の外周側を流れるリップ冷却空気(リーク空気)105と空気孔プレート20に設けられた空気孔21に流入し燃焼室5に噴出する燃焼用空気104に分配される。燃焼用空気104は燃料ノズル22から噴出する燃料100と混合され、燃焼室5に火炎83が形成される。
本ガスタービンプラント1は燃焼器3で燃料100を燃焼させ、発生した高温高圧の燃焼ガス110をタービン4に流入させて駆動し、タービン4の回転動力を電力として取り出す。
燃料ノズル22へ燃料100を供給する燃料供給系統201および燃料供給系統202は燃料遮断弁60を備えた燃料供給系統200から分岐されている。また、燃料供給系統201,202はそれぞれ燃料圧力調整弁61a,62aを備えており、供給する燃料100の供給圧力を個別に制御できる。また、その下流には燃料流量調整弁61b、62bをそれぞれ備えている。
本実施例の燃焼器3は複数本の燃料ノズル22を備えており、燃料ノズル22の各々は燃料100を分配する燃料ヘッダー23に接続される。燃料ヘッダー23はエンドカバー7内部に設けられており、燃料ヘッダー23には燃料供給系統201,202から燃料が供給される。なお、本実施例では、燃料100を2系統に分配しているが、それ以上の数の系統に分配してもよい。
このように燃料供給系統を複数に分配すれば、系統数の増加により運転(燃焼制御)の自由度を拡大できる。本実施例の燃焼器3では燃料として、コークス炉ガスや製油所オフガス、石炭ガス化ガスなどの水素含有燃料を使用でき、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas: LNG)をはじめとする多くのガス燃料にも適用できる。
図3に空気孔プレート20の正面図を示す。複数の空気孔21が、空気孔プレート20の中心軸まわりに同心円状に配置され、図3では1列目空気孔51,2列目空気孔52,3列目空気孔53の3列となっている。空気孔21の中心軸は、各列のピッチ円周方向に傾斜しており、噴出する燃焼用空気104に空気孔プレート20の中心軸周りに旋回がかかるよう旋回角を付与している。
また、図2に示すように、空気孔プレート20はライナ12と同軸となっているため、燃焼用空気104に旋回を与えて燃焼室5に導入することで、燃焼室5の中心軸周りに旋回が作用し、循環流(循環渦)80を形成でき、火炎を安定化することができる。
図1に本実施例の燃焼器バーナ部の断面図を示す。本実施例の特徴は、スプリングシール26の下流側のライナ12の内周面12aに、断面が略L字型のスロット27を周方向に延長(延在)するように配置すると共に、スロット27の径方向高さが空気孔21の最外周列を覆うように配置することで音響空間92を形成し、スロット27の軸方向側壁部に環帯状の仕切板28を設け、スロット27に複数の圧力波導入孔90を設けたことである。
図4に従来例の燃焼器上流側の断面図を示す。本実施例の作用効果を、従来例の燃焼器上流側の断面構造と比較して説明する。従来例の燃焼器上流側の断面構造は、図4に示すように、ライナ12の外周面12bに音響空間92を形成するよう断面が略コ字型の矩形環状蓋29を設置し、音響空間92を形成したライナ12に複数の圧力波導入孔90を設け、矩形環状蓋29の外周側壁に複数のパージ空気孔91を設けている。従来例の燃焼器構造ならびに燃料系統は上記の特徴以外は本実施例と同様である。
本実施例および従来例の何れの燃焼器も水素含有燃料の適用などで燃焼振動の発生による圧力変動の振幅が増加した場合に圧力波導入孔90から燃焼振動で生じた圧力波を音響空間92へ導き、音響空間92の径方向高さLに応じた特定周波数帯の圧力変動を減衰することができる。
図4の従来例では、矩形環状蓋29にパージ空気孔91を設け、音響空間92へ燃焼用空気104の一部をパージ空気106として導き、圧力波導入孔90を通じて燃焼室5へパージ空気106を流すことで音響空間92への火炎の侵入を防止している。
音響空間92への火炎の侵入を防止するためには、パージ空気106は常に一定流速以上で流す必要がある。そのため空気孔21を流れる燃焼用空気104が減少し、燃料濃度が相対的に増加するため、局所高温領域を形成しやすく、NOx排出量が増加する可能性がある。
さらに、音響空間92の圧力変動の減衰効果は圧力波導入孔90の孔数が多いほど高まるため、より大きな圧力変動に対処する場合にNOx排出量を低減することが困難になることが考えられる。
一方で図1の本実施例では、スプリングシール26の下流でライナ12の内周面12aに設置したスロット27とバーナ8で音響空間92を形成し、スプリングシール26を通過するリップ冷却空気(リーク空気)105と、バーナ8に同心円状に複数設けた空気孔21のうち最外周列に位置する空気孔21から流れる燃料100と燃焼用空気104をパージ空気106として利用することで、スロット27に設けた圧力波導入孔90からパージ空気106を流し、音響空間92への火炎の侵入を防止することができる。
そのため、図4の従来例のようにパージ空気孔91の設置によって燃焼用空気104を減じることなく、燃焼振動による圧力変動を音響空間92で減衰することができ、NOx排出量を低減することが可能となる。
さらに、最外周列の空気孔21から音響空間92へ噴射した燃料100と燃焼用空気104は、スプリングシール26を通過したリップ冷却空気(リーク空気)105と混合し、パージ空気106として圧力波導入孔90から燃焼室5へ噴出するため、他の空気孔21から噴出する燃料100と燃焼用空気104との混合気に比べ燃料濃度が低くなり、燃焼室5で燃焼する際に相対的に低い温度領域を形成することでNOx排出量を低減できる。
また、ガスタービンプラント1の運用上、音響空間92へ流入する燃焼用空気104とリップ冷却空気(リーク空気)105の総流量が音響空間92への火炎の侵入を防止するために必要なパージ空気106の流量未満となる場合においても音響空間92へ流れる燃料100の流量を増加するよう燃料流量調整弁61b,62bを制御することで音響空間92への火炎の侵入を防止するために必要なパージ空気106の流量以上とすることが可能となる。
さらに、本実施例では、スロット27の軸方向側壁部に環帯状の仕切板28を設置することで、音響空間92の径方向高さLをスロット27の圧力波導入孔90を設けた壁面から仕切板28までの距離に規定することができ、音響空間90で減衰する圧力変動の周波数帯を任意に調整することが可能となる。
なお、仕切板28の軸方向長さは他の構造物と接触しない範囲で長い方が好ましく、仕切板28の設置位置で調整可能な音響空間92で減衰する圧力変動の最低周波数帯は、スロット27の圧力波導入孔90の位置からプレートリップ25の内周壁面の距離で規定される周波数帯までとなる。
以上説明したように、本実施例のガスタービン燃焼器は、燃料100と空気(燃焼用空気104)との混合気を燃焼させる燃焼室5と、燃焼室5を形成する燃焼器ライナ(ライナ12)と、燃焼室5の上流側に位置し、同心円状に複数列配置された空気孔21を複数備えた空気孔プレート20と、空気孔21と同軸に配置された複数の燃料ノズル22と、空気孔プレート20の外周を覆うプレートリップ25と、プレートリップ25と燃焼器ライナ(ライナ12)との嵌合部においてプレートリップ25の外周面と燃焼器ライナ(ライナ12)の内周面12aとの間に配置されたスプリングシール26と、スプリングシール26の下流位置の燃焼器ライナ(ライナ12)の内周面12aに、略L字型の断面形状を有し、かつ、燃焼器ライナ(ライナ12)の周方向に延在するように配置され、音響空間92を形成するスロット27と、音響空間92内で、かつ、スロット27の軸方向側壁部に配置された環帯状の仕切板28と、スロット27に設けられ、音響空間92と燃焼室5とを連結する複数の圧力波導入孔90と、を備えており、スロット27は、空気孔プレート20の最外周列の空気孔21を覆うように配置されている。
このように、本発明は音響空間92で燃焼振動の発生による圧力変動を減衰できると共に、燃焼用空気104を減じることなく、音響空間92への火炎の侵入を防止できるため、NOx排出量を同時に低減することができる。
図5を参照して、本発明の実施例2のガスタービン燃焼器について説明する。図5は、本実施例の燃焼器バーナ部を示す断面図である。本実施例のガスタービン燃焼器を有するガスタービンプラントの構成および運用方法は、基本的に実施例1と同様である。
但し、燃料圧力調整弁63aと燃料流量調節弁63bを設置し、音響空間92へ流れる燃料100を個別に制御するパージ用燃料系統207を設けた点が実施例1と異なる。本実施例のガスタービン燃焼器は、スロット27で覆われた空気孔21に供給する燃料を個別に制御する燃料流量調整機構(パージ用燃料系統207)を有している。
このようにパージ用燃料系統207を設置することで、実施例1と同様の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
本実施例では、パージ用燃料系統207で音響空間92へ流れる燃料100の圧力と流量を個別に制御することで、他の燃料供給系統201,202を流れる燃料100の流量の変化量が少ない状態で、音響空間92へ流れる燃料100の流量を制御することが可能となる。特に、バーナ8に設置した空気孔21の全数に対し、音響空間92へ燃料100と燃焼用空気104を導く空気孔21の数が少ない場合に、燃焼室5の火炎83の特性を変化させずにパージ空気106を増加できるため、効果が高い。
図6および図7を参照して、本発明の実施例3のガスタービン燃焼器について説明する。図6は、本実施例の燃焼器バーナ部を示す断面図である。また、図7は、本実施例の空気孔プレートの正面図である。本実施例のガスタービン燃焼器を有するガスタービンプラントの構成および運用方法は、基本的に実施例1と同様である。
但し、より大きな発電出力と多様な運用形態に対応するため、実施例1に示す概略同軸に配置された3列の空気孔21と燃料ノズル22から成るバーナ8を中央に1つ、その周囲に6つ配置した構造としている。また、本実施例に示す燃焼器では、中央に設けたバーナ8の中心部に起動用燃料ノズル24を設置する点と、燃料(供給)系統をバーナ8ごとに分割することで、ガスタービンの運転状態に応じてバーナ8ごとの燃料配分を制御できる点が実施例1と異なる。
本実施例では、図7に空気孔プレート20を燃焼室5側からみた正面図で示すように、実施例1の空気孔プレート20を複数個配置して1つの空気孔プレート20を構成している。すなわち、本実施例の燃焼器は、燃焼器3の中心に位置する1個の中央バーナ32と中央バーナ32の外側に位置する6個の外周バーナ33を備える。
各空気孔21の中心軸は各列のピッチ円周方向に傾斜し、空気孔21を通過した流れは空気孔21の下流で螺旋状に旋回し、旋回流が形成される。また、図6に示すように、中央バーナ32および外周バーナ33は、3つの燃料系統203,204,205に接続されており、それぞれ独立に燃料流量を制御できるようになっている。本実施例では外周バーナ33の個数が6個であるが、中央バーナ32に対して同心円状に外周バーナ33が3個以上であることが望ましい。
中央バーナ32に対しては中央バーナ燃料系統203とガスタービン起動用燃料系統206が接続されており、主にガスタービンの起動運転に使用すると共に、負荷運転の際には燃焼器全体の燃焼安定性を確保するための運用をする。なお、本実施例ではガスタービン起動用燃料系統206に供給する燃料は軽油、重油をはじめとする液体燃料である。
一方、外周バーナ33には、外周バーナ内周燃料系統204と外周バーナ外周燃料系統205が接続されている。外周バーナ33の1列目同心円上に配置された同軸噴流群は、火炎の起点を形成するので、特に燃焼安定性に関係する。そこで本実施例のように、外周バーナ33の1列目(内周)に供給する燃料流量を独立に制御することで、火炎の起点を強固にし、より広い負荷範囲に対して安定な燃焼を維持することができる。
本実施例の特徴は、1つの中央バーナ32と複数の外周バーナ33を備える空気孔プレート20に対し、スプリングシール26の下流のライナ12の内周面12aに、断面が略L字型のスロット27を周方向に延長(延在)するように配置すると共に、スロット27の径方向高さがプレートリップ25付近の外周バーナ33の空気孔21を覆うように配置することで音響空間92を形成するのに加え、スロット27の軸方向側壁部に環帯状の仕切板28を設け、スロット27に複数の圧力波導入孔90を設けたことである。
つまり、本実施例のガスタービン燃焼器は、同心円状に複数列配置された空気孔21と空気孔21と同軸に複数の燃料ノズル22が配置されたバーナが空気孔プレート20の中心軸上に中央バーナ32として1つ配置され、中央バーナ32の周囲に同心円状に複数の外周バーナ33,112が配置されて1つの燃焼器を構成するマルチクラスタバーナーである。
また、中央バーナ32に液体燃料を供給する燃料ノズル(起動用燃料ノズル24)を有する。
このようにプレートリップ25付近の外周バーナ33の空気孔21をスロット27で覆うように配置することで、実施例1と同様の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
本実施例の燃焼器3では、音響空間92への火炎の侵入を防止するためのパージ空気106として、音響空間92に連通した空気孔21から燃料100を供給する場合に中央バーナ燃料系統203を独立に制御することができるため、燃焼器全体の燃焼安定性を確保した状態で負荷運転をすることが可能となる。
さらに、プレートリップ25付近の空気孔21から噴出する燃料100と燃焼用空気104は、スプリングシール26を通過するリップ冷却空気(リーク空気)105と混合しスロット27の圧力波導入孔90から噴出するため、プレートリップ25付近の空気孔21下流で火炎83が形成されることが無くなり、プレートリップ25の加熱要因を除去できることから、燃焼器の信頼性を向上できる。
また、本実施例では実施例2のように外周バーナ外周燃料系統205を分割し、音響空間92へ流れる燃料100をパージ用燃料系統207とした場合、外周バーナ33の火炎の起点となる外周バーナ内周燃料系統204を独立に制御しつつ、外周バーナ外周燃料系統205の流量の変化量が少ない状態で、音響空間92へ流れる燃料100の流量を制御することが可能となる。
図8を参照して、本発明の実施例4のガスタービン燃焼器について説明する。図8は、本実施例の空気孔プレートおよびライナの燃焼室5側からみた正面図である。本実施例に示す燃焼器の構成は、基本的に実施例3と同様の構成であるが、ライナ12の内周面12aに設置するスロット27を周方向で分割した点が実施例3と異なる。
本実施例のガスタービン燃焼器では、スロット27は、燃焼器ライナ(ライナ12)の周方向において、外周バーナ33,112の近傍にのみ配置されるよう複数に分割して配置されている。
図8に示すように、スロット27を周方向に分割することで、実施例3と同様の作用効果に加え、以下の作用効果が得られる。
本実施例の燃焼器3では、スロット27を周方向に分割した構造とすることで、スロット27の軸方向側壁に設けた仕切板28と圧力波導入孔90の設置位置との距離Lを各々のスロット27で個別に設定できるため、個々の音響空間92で減衰できる圧力変動の周波数帯を変えることができ、広帯域の燃焼振動に対応することが出来る。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…ガスタービンプラント、2…圧縮機、3…燃焼器、4…タービン、5…燃焼室、6…トランジションピース、7…エンドカバー、8…バーナ、9…ディフューザ、10…外筒、12…ライナ、12a…(ライナの)内周面、12b…外周面、13…車室、14…フロースリーブ、20…空気孔プレート、21…空気孔、22…燃料ノズル、23…燃料ヘッダー、24…起動用燃料ノズル、25…プレートリップ、26…スプリングシール、27…スロット、28…仕切板、29…矩形環状蓋、32…中央バーナ、33,112…外周バーナ、51…1列目空気孔、52…2列目空気孔、53…3列目空気孔、60…燃料遮断弁、61a,62a,63a…燃料圧力調整弁、61b,62b,63b…燃料流量調整弁、80…循環流(循環渦)、83…火炎、90…圧力波導入孔、91…パージ空気孔、92…音響空間、100…燃料、102…圧縮空気、103…冷却空気、104…燃焼用空気、105…リップ冷却空気(リーク空気)、106…パージ空気、110…燃焼ガス、200,201,202…燃料供給系統、203…中央バーナ燃料系統、204…外周バーナ内周燃料系統、205…外周バーナ外周燃料系統、206…ガスタービン起動用燃料系統、207…パージ用燃料系統。
Claims (6)
- 燃料と空気との混合気を燃焼させる燃焼室と、
前記燃焼室を形成する燃焼器ライナと、
前記燃焼室の上流側に位置し、同心円状に複数列配置された空気孔を複数備えた空気孔プレートと、
前記空気孔と同軸に配置された複数の燃料ノズルと、
前記空気孔プレートの外周を覆うプレートリップと、
前記プレートリップと前記燃焼器ライナとの嵌合部において前記プレートリップの外周面と前記燃焼器ライナの内周面との間に配置されたスプリングシールと、
前記スプリングシールの下流位置の前記燃焼器ライナの内周面に、略L字型の断面形状を有し、かつ、前記燃焼器ライナの周方向に延在するように配置され、音響空間を形成するスロットと、
前記音響空間内で、かつ、前記スロットの軸方向側壁部に配置された環帯状の仕切板と、
前記スロットに設けられ、前記音響空間と前記燃焼室とを連結する複数の圧力波導入孔と、を備え、
前記スロットは、前記空気孔プレートの最外周列の空気孔を覆うように配置されているガスタービン燃焼器。 - 請求項1に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記スロットで覆われた前記空気孔に供給する燃料を個別に制御する燃料流量調整機構を有するガスタービン燃焼器。 - 請求項1に記載のガスタービン燃焼器であって、
同心円状に複数列配置された空気孔と前記空気孔と同軸に複数の燃料ノズルが配置されたバーナが前記空気孔プレートの中心軸上に中央バーナとして1つ配置され、
前記中央バーナの周囲に同心円状に複数の外周バーナが配置されて1つの燃焼器を構成するマルチクラスタバーナーであるガスタービン燃焼器。 - 請求項3に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記中央バーナに液体燃料を供給する燃料ノズルを有するガスタービン燃焼器。 - 請求項1に記載のガスタービン燃焼器であって、
燃料組成に水素を含む燃料を燃焼させるガスタービン燃焼器。 - 請求項3に記載のガスタービン燃焼器であって、
前記スロットは、前記燃焼器ライナの周方向において、前記外周バーナの近傍にのみ配置されるよう複数に分割して配置されているガスタービン燃焼器。
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JP2021046949A (ja) * | 2019-09-17 | 2021-03-25 | 三菱パワー株式会社 | ガスタービン燃焼器 |
WO2023145627A1 (ja) * | 2022-01-28 | 2023-08-03 | 三菱重工業株式会社 | ガスタービン燃焼器及びガスタービン |
CN118031251A (zh) * | 2024-03-19 | 2024-05-14 | 无锡明阳氢燃动力科技有限公司 | 一种氢燃料燃气轮机的燃烧室 |
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- 2019-09-17 JP JP2019168181A patent/JP2021046951A/ja active Pending
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