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JP2021032446A - 炭酸氷砕氷片及びアール状角部の形成装置 - Google Patents

炭酸氷砕氷片及びアール状角部の形成装置 Download PDF

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JP2021032446A
JP2021032446A JP2019151329A JP2019151329A JP2021032446A JP 2021032446 A JP2021032446 A JP 2021032446A JP 2019151329 A JP2019151329 A JP 2019151329A JP 2019151329 A JP2019151329 A JP 2019151329A JP 2021032446 A JP2021032446 A JP 2021032446A
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carbonated ice
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志保子 大神
Shihoko Ogami
志保子 大神
文子 永田
Fumiko Nagata
文子 永田
光紀 竹野
Mitsunori Takeno
光紀 竹野
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KIYORA KIKUCHI KK
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KIYORA KIKUCHI KK
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Abstract

【課題】尖った角部を丸めることによりアール形状とし、このようなアール形状を炭酸入り氷菓子に施すことにより、炭酸入り氷菓子の喫食の際、破泡により生じた飛翔片による口腔壁への傷害を防止しつつ、アール形状に由来する口腔内で転がりつつ舌や内頬を冷たく辿る食感を楽しませることができる炭酸氷砕氷片を提供する。【解決手段】砕氷片の稜部及び頂部と、同稜部及び頂部のエッジ位置に形成した金網との接触痕と、よりなるアール状の角部を備えた炭酸氷砕氷片とした。また、砕氷により形成されたエッジ部分に金網上での回転による接触痕を備え、同接触痕によりアール化した角部を有する炭酸氷砕氷片としたことにも特徴を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、炭酸氷砕氷片及びアール状角部の形成装置に関する。
従来、賞味、飲用に供される炭酸入り冷菓は、氷の中に大気圧以上の圧力を有する気泡状の炭酸ガスが封入されたものであり、炭酸ガスが口中で破泡する際の刺激の心地よさから独特の風味と爽快感が好まれて嗜好品として評価されている。
ところが、こうした炭酸入り氷や炭酸入り冷菓は、時間が経つと炭酸が抜けてしまう。
特に、炭酸入り氷や炭酸入り冷菓など固形のものは常温に放置した場合原形を留めることなく細かく砕けてしまうため、かかる欠点を克服すべく従来から種々な製造法が提案されている。
例えば、耐圧容器内に炭酸ガスが溶解された混合水を窒素による高圧のもとで凍結させる炭酸入り氷の製造法はすでに知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、製品の安定剤としてローカストビーンガム又はグアガム、カラギナンを使用している炭酸入りシャーベットミックス缶包装物の製造法もすでに知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第2744976号公報 特公昭53−5388号公報
しかしながら、上述した従来の製造法の炭酸入り氷とした場合に、常温に放置した際氷が徐々に溶けてきて薄膜状の氷壁となりその内部のガス圧で氷壁が細かく砕け、氷が容器外に飛び散り飲用者の顔面を直撃するなどの事故を招来するおそれがあった。更には、当初の炭酸入り氷の形状を維持することも困難であった。
すなわち、上記特許文献1の記載に「本発明は、溶解時に弾けるような音が発生されるよう炭酸ガスが封入された氷を製造する炭酸入り氷の製造方法及びその製造装置に関する。」とあるように、炭酸ガス封入氷の溶解時には弾けるような音を発し気泡が破泡することを前提としている。
かかる現象は食するときの危険性の発生を承知の上での技術であってガス封入氷菓子の宿命とされており、菓子業界で主流の氷菓子となることができない原因とされていた。
このように炭酸入り冷菓は上記の食するときの破泡危険と共に、破泡時に細かく砕けて形状を維持できず、炭酸がすぐに抜けてしまい口中での破泡時の爽快感を生起することができない欠点があった。
このように、従来の製造法では形状を維持したまま安定して長時間炭酸を保つものがなく、さらに、サーバーなどの高価な装置を使用しても問題の解決にはならず、家庭や飲食店で炭酸を長持ちさせることも困難であり、更には溶解して薄くなった氷壁の破泡にともなう氷片の飛散の危険性を除去することができないという困難性があった。
また特に、砕氷片の多くは氷塊から欠け落ちた部分に鋭いエッジが形成されることとなる。
そこで、本発明は、このエッジ部分(尖鋭部分)を丸めることによりアール形状とし、このようなアール形状を炭酸入り氷菓子に施すことにより、炭酸入り氷菓子の喫食の際、破泡により生じた飛翔片による口腔壁への傷害を防止しつつ、アール形状に由来する口腔内で転がりつつ舌や内頬を冷たく辿る食感を楽しませることができる炭酸氷砕氷片、及びアール状角部の形成装置を提供することを目的とする。
前記にかかる課題を解決するため、本発明に係る炭酸氷砕氷片では、(1)砕氷片の稜部及び頂部と、同稜部及び頂部のエッジ位置に形成した金網との接触痕と、よりなるアール状の角部を備えた炭酸氷砕氷片とした。
また、本発明に係る炭酸氷砕氷片では、砕氷により形成されたエッジ部分に金網上での回転による接触痕を備え、同接触痕によりアール化した角部を有する炭酸氷砕氷片とした。
また本発明に係るアール状角部の形成装置では、稜部及び頂部を有する炭酸氷砕氷片と、金網との組合せよりなる、アール状角部を炭酸氷砕氷片に形成するための装置とした。
本発明によれば、砕氷片の稜部及び頂部と、同稜部及び頂部のエッジ位置に形成した金網との接触痕と、よりなるアール状の角部を備えた炭酸氷砕氷片としたり、砕氷により形成されたエッジ部分に金網上での回転による接触痕を備え、同接触痕によりアール化した角部を有する炭酸氷砕氷としたため、このエッジ部分が丸まったアール形状を有し、このようなアール形状を炭酸入り氷菓子に施すことにより、炭酸入り氷菓子の喫食の際、破泡により生じた飛翔片による口腔壁への傷害を防止しつつ、アール形状に由来する口腔内で転がりつつ舌や内頬を冷たく辿る食感を楽しませることができる炭酸氷砕氷片を提供できる効果がある。
また、本発明に係るアール状角部の形成装置によれば、炭酸氷砕氷片の稜部や頂部をアール状と成し、上述のような効果を有する炭酸氷砕氷片に形成できる装置を提供できるという効果が生起される。
本発明の実施形態に係る炭酸入り氷の製造方法に用いる耐圧容器の概略図である。 本発明の実施形態に係る炭酸入り氷菓子の製造方法のフローチャートを示す説明図である。 砕氷片B1の表面構造を示した説明図である。 本発明の実施形態に係る炭酸入り氷菓子の製造方法に使用する二重網状パイプの斜視図である。 本発明の実施形態に係る炭酸入り氷菓子の製造方法によって製造した炭酸入り氷菓子の説明図である。
本発明は、エッジ部分(尖鋭部分の端部)を丸めることによりアール形状とし、このようなアール形状を炭酸入り氷菓子に施すことにより、炭酸入り氷菓子の喫食の際、破泡により生じた飛翔片による口腔壁への傷害を防止しつつ、アール形状に由来する口腔内で転がりつつ舌や内頬を冷たく辿る食感を楽しませることができる炭酸氷砕氷片、及びアール状角部の形成装置を提供するものである。
また本願では、氷の形状を維持しながら炭酸を長時間供給し続け、また、ガス破裂時の口中の損傷を可及的に押さえて口中での小さな連続した破裂にともなう感触を清涼感として感じることができる炭酸入り氷菓子についても提供する。
特に、本実施形態に係る炭酸入り氷菓子では、凍結氷塊の破砕化で形成した砕氷片よりなり、砕氷片は一定圧の多数の炭酸ガス気泡を有した、呈味成分入りの混合水の凍結氷塊を原形としている。
ここで凍結氷塊は、呈味成分入りの混合水を所定の大きさで氷結させたものであり、また、その氷塊内部には多数の気泡が散在している。
凍結氷塊の原料となる混合水は水に所定の呈味成分を溶解して調製したものであり、添加する呈味成分は特に限定されるものではない。好適に用いられる呈味成分としては、例えば、甘味料、酸味料、果汁、着色料、香料などとすることができる。
より詳細には、甘味料としては、天然甘味料や人口甘味料、又はこれらの混合物を採用することができる。特に、少なくとも人工甘味料を採用することとすれば、短時間での混合水の氷結を可能としつつも、氷結後の砕氷片中の炭酸ガス圧力が減圧されやすくなる。
人工甘味料としては、例えば、スクラロース、アセスルファムK、ネオテーム、サッカリン、アスパルテーム等を採用することができ、また、天然甘味料としては、例えば、砂糖、果糖、オリゴ糖、ブドウ糖、ショ糖、黒糖、三温糖、蜂蜜、メープルシロップ、水飴等の糖類、エリトルトール、トレハロース、マルチトース、キシリトール等の糖アルコール、ステビア等を採用することができる。
これら甘味料の氷菓子中への添加濃度は、採用する甘味料の甘味度に応じて適宜調製することができ、例えば、スクラロースであれば、混合水の総重量あたり0.001〜0.1重量%添加することで氷菓子に爽快な甘みを付与することができる。
また、酸味料は、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸、そのナトリウム塩、リン酸など無機酸、及びこれらの混合物を採用することができる。
これらの酸味料は、所望の呈味に合わせ、それぞれの味の特徴や酸味度を加味してその添加量や数種の酸味料を調合する割合を適宜選択することができる。例えば、氷菓子の混合水の総重量あたり無水クエン酸0.05〜2.0重量%添加することで氷菓子に穏やかで爽快な後味の酸味を付与することができる。
また、果汁としては、粉末状や液状にしたものであってもよく、複数種の果実を原料としたもでもよい。
粉末果汁であれば、噴霧乾燥によるもの、凍結乾燥によるもの、真空乾燥によるものを採用することができ、デキストリン等の固体担体を用いたものであってもよい。果汁液であれば、果実の搾汁、またはそれを濃縮したものを用いることができる。
氷菓子中の果汁の含有量は、氷菓子生成時に一定圧の多数の炭酸ガス気泡を有した凍結氷塊が形成できれば、特に限定されることはない。例えば、レモン果汁であれば、混合水の総重量あたり0.1〜5.0重量%とすることが凍結氷塊を形成する上で好ましい。
また、着色料は所望の呈味に合わせて任意に選択することができ、例えば、アナトー、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素、クルクミン、ターメリック色素、カラメル、カラメル色素、クチナシ、クチナシ色素、カルミン酸色素、カルミン酸、コチニール、食用タール系色素、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、モナスカス色素、紅麹、モナスカス、ベニバナ色素等の色素を一種又は二種以上配合して用いることができる。
また、香料は、天然源から抽出したものや合成したもの、又は、これらの混合物であってもよく、所望する呈味に合わせて適宜選択して用いることができる。
例えば、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、ラズベリーフレーバー、ピーチフレーバー、クランベリーフレーバー、ライチフレーバー等の果実系のものや、コーヒー、コーラ、ジンジャー、レモンバーム、ローズマリー等の果実以外の植物系のものを選択することができる。香料の添加量は、所望とする呈味や力価により任意で選択することができるが、混合水の総重量あたり0.005〜2.0重量%添加することが好ましい。
また、その他添加物として、上述の呈味成分を均一に安定させ、それぞれの機能、例えば、甘味度、酸味等の風味の安定剤として所定重量のシクロデキストリン等のインプルーバーを配合することとしてもよい。
これらを配合した呈味成分の総量は、混合水の総量に対して約0.1〜10.0重量%とすることで、薄氷化した氷の破裂による粉砕程度を減じるとももに、口腔内の不用意な損傷を防止して、口中での多数の小さな連続破裂による清涼感を付与させる氷菓子とすることができる。
また、凍結氷塊内部に散在する気泡は二酸化炭素の気泡であり、またその多数の気泡内の圧力はいずれも大凡同じ圧力に保たれている。
炭酸入り氷菓子は、この凍結氷塊を破砕化することで得られる。破砕化の手段は特に限定されるものではなく公知の砕氷装置を用いることができ、また、破砕によって得られた炭酸入り氷菓子の大きさは、その後の用途に応じて適宜変更することができる。
また、一般的な砕氷片の多くは氷塊から欠け落ちた部分に鋭いエッジを伴う稜部や頂部が形成されることとなるが、本実施形態に特徴的には、このエッジ部分を丸めることによりアール形状としても良い。
アール形状を形成する方法は特に限定されるものではないが、氷温以下で物理的な摩擦により砕氷片に対して振動を与えながら稜部や頂部のエッジ部分を削り落とすのが好ましい。
このようなアール形状を炭酸入り氷菓子に施すことにより、炭酸入り氷菓子の喫食の際、破泡により生じた飛翔片による口腔壁への傷害を防止しつつ、アール形状に由来する口腔内で転がりつつ舌や内頬を冷たく辿る食感を楽しませることができる。
また本願では、炭酸入り氷菓子の製造方法についても提供する。具体的には、混合水調製工程と、混合水凍結工程と、砕氷工程と、アール化・選別工程とを有することを特徴としている。
混合水調製工程は、飲用水を耐圧容器に所定の位置まで注水し、前記飲用水に呈味成分と炭酸ガスを溶解させて混合水を調製する工程である。
混合水凍結工程は、前記混合水を不溶性ガスにて加圧し前記耐圧容器を冷却して前記混合水を凍結する工程である。
砕氷工程は、その後所定の手段により約10〜25mm以下に砕いて砕氷片を生成する工程である。
アール化・選別工程は、これらの砕氷片を約マイナス5℃〜約マイナス10℃の環境温度で約10〜15mmのメッシュの金網でふるいにかけることにより砕氷片に振動を与えながら尖鋭部分をアール形状化し、一定大きさに選別する工程である。
そして、これらの各工程を経ることにより、氷の形状を維持しながら炭酸を長時間供給し続け、また、ガス破裂時の口中の損傷を可及的に押さえて口中での小さな連続した破裂にともなう感触を清涼感として喫食者が感じることが可能な炭酸入り氷菓子を製造することができる。
また、本実施形態に係る炭酸入り氷菓子の製造方法においては、前記アール化・選別工程にて、砕氷片の稜部や頂部のエッジ部分をアール形状化すると共に砕氷片の大きさの選別を行うために、一定大きさのメッシュよりなる内外側の二重網状パイプの内側網状パイプ中に砕氷片を投入して二重網状パイプを回転することとしても良い。
このような処理を炭酸入り氷菓子に対して行うことにより、二重網状パイプのそれぞれのメッシュの規格を異なるものとすれば砕氷片の大きさの選別と同時にメッシュの稜線や角部との接触によって砕氷片の稜部や頂部のエッジ部分をアール形状化でき、炭酸入り氷菓子の喫食の際、破泡により生じた飛翔片による口腔壁への傷害を防止しつつ、アール形状に由来する口腔内で転がりつつ舌や内頬を冷たく辿る食感を楽しませることができる。
ところで、本実施形態に係る炭酸入り氷菓子や、同氷菓子の製造方法において、呈味成分は重要な役割を有するものであるが、この呈味成分の一実施形態、例えばインプルーバーとしてシクロデキストリンを用いることにより、氷片の破裂飛散による危険を防止しつつ、爽やかな炭酸ガス気泡の破泡感触を得ることができる炭酸入り氷菓子及びその製造に寄与することも可能となる。
シクロデキストリンは、数分子のD-グルコースがα(1→4)グルコシド結合によって結合したオリゴ糖の一種であり、特徴的には、環状の分子構造を有している。
混合水調製時に呈味成分の一種としてシクロデキストリンを添加すると、凍結により生成された氷塊内には、無数のシクロデキストリン分子が散在することとなる。
これは、同じく氷塊内部に生成した微細な炭酸ガス気泡の周辺において、気泡から炭酸ガスが抜け出るためのトンネルの如く作用する。
勿論、1分子のシクロデキストリン自体は、トンネルに見立てれば極めて短いものであるが、これが氷塊内部に一様且つ多数存在することで、不連続ながらも二酸化炭素分子を氷塊外へ導くルートが種々形成される。
次いで、砕氷工程において氷塊が破砕されると、生成された砕氷片においては、中心部から外表面までの距離が更に短くなるため、気泡からの二酸化炭素の分子レベルでの放散がより助長されることとなる。
しかも、前述したアール化・選別工程において砕氷片に対し加振することで、シクロデキストリンが不連続的に介在して形成された脱気ルートからの二酸化炭素の放散がより助長され、爆裂的な氷塊破壊をもたらすレベルの高圧大型の気泡(以下、高圧気泡ともいう。)ほど効率的に内部圧力の低下がもたらされることとなる。なお、この圧力低下現象は、砕氷工程において砕氷のために氷塊に付与される物理刺激によってももたらされていると考えられる。
一方、高圧気泡の如く氷塊の破壊は惹起しないものの、喫食者の口中において爽やかな破泡食感を生起できる中圧小型の気泡(以下、適圧気泡ともいう。)においては、高圧気泡に比して圧力低下効率は低いため、早々に破泡食感が無くなってしまうほどの顕著な圧力低下はなされない。
すなわち、高圧気泡では効率的に脱気が起こって適圧気泡に変化する一方、適圧気泡では脱気効率が悪くなるため、適圧気泡のまま長期に亘り存在することとなる。
したがって、結果的に砕氷片に含まれる炭酸ガス気泡の多くは適圧気泡化されることとなり、爆裂的な飛散を防止しつつも、比較的長期に亘り破泡食感を維持することが可能となる。
付言すれば、本願は、爆裂的な飛散を防止しつつも、比較的長期に亘り破泡食感を維持可能な炭酸氷を提供すべく、大気圧以上とした多数の炭酸気泡を含有する炭酸氷において、氷中にシクロデキストリンを添加したことを特徴とする炭酸氷、についても提案するものであると言える。
また、本願は、爆裂的な飛散を防止しつつも、比較的長期に亘り破泡食感を維持可能な炭酸氷の製造方法を提供すべく、シクロデキストリンと起泡可能な量の炭酸ガスとを含有する水系原液を凍結させることを特徴とした炭酸氷の製造方法を提案するものであるとも言える。
また、本願は、氷結させる水系原液にシクロデキストリンを添加しておくことにより、高圧気泡は効率的に適圧気泡に変化させつつ、適圧気泡は可及的適圧気泡のまま存在させるためのシクロデキストリンの使用方法について提案するものであるとも言える。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
本実施形態の炭酸入り氷菓子は、凍結氷塊の破砕化で形成した砕氷片よりなり、砕氷片は一定圧の多数の炭酸ガス気泡を有した、呈味成分入りの混合水の凍結氷塊を原形としている。
〔炭酸入り氷菓子の製造に用いる耐圧容器〕
炭酸入り氷菓子の製造方法では図1の耐圧容器10を使用する。図1のガス充填部12及びガス充填部14は炭酸ガスと不溶性ガスの充填部であり、ゴム16は容器を密閉するためにガスで加圧すると風船状に膨らむゴムである。
図1の矢印F1及び矢印F2はガスの流れであり、ゴム16を風船状に膨らませるために矢印F1のガス圧は常に矢印F2のガス圧よりも高い圧力がかかるよう差圧弁22で圧力差を出す仕組みとなっている。
つまり、ガス充填部12から矢印F1方向に充填されるガスは、ゴム16を膨らませ耐圧容器内を密閉するために充填され、ガス充填部14から矢印F2方向に充填されるガスは、耐圧容器内を加圧するため及び耐圧容器内の混合水Aにガスを溶解させるために充填する。
耐圧容器内を密閉し加圧する際には、図1の蓋18と耐圧容器をボルトにより固定し、ガス充填部12及びガス充填部14からガスを充填する。
そのとき、前述した矢印F1のガス圧と矢印F2のガス圧の圧力差により蓋が浮き上がらず、膨らんだゴム16により完全に密閉することができる。図1のコック20は炭酸ガスと不溶性ガスの切り替え時に使用する。
具体的な工程は後述の実施例及び工程フローチャートにより説明するが、まず炭酸ガスで耐圧容器内を加圧し、コック20を閉め、炭酸ガスから不活性ガスに切り替えた後にコック20を開けることで、耐圧容器内の圧力を保ったままガスの切り替えが出来る仕組みとなっている。
図1の混合水A(後述)は、凍結後に炭酸入り氷となる液体であり、耐圧容器に蓋をする前にあらかじめ耐圧容器に充填しておく。
なお、耐圧容器に充填する混合水Aの量としては、ガス充填部14から混合水Aが逆流してしまうのを防ぐため混合水Aの水面がガス充填部14より下であるように注意する。
実施例の混合水については、飲料水や清涼飲料、アルコール飲料などの飲用に用いられる飲料で凍結できるもの、具体的には0℃〜-30℃、更には−15℃〜−30℃で凍結できるものであれば何を使用してもよい。
〔実施例1:炭酸入り氷菓子の製造工程〕
実施例1について図2の工程フローチャート1を用いて説明する。
〔ステップ1〕
耐圧容器に製氷のための原水として飲用水を充填する。
〔ステップ2〕
飲用水に呈味成分を混入する。呈味成分としては、人工甘味料、酸味料、果汁、着色料、香料などとする。なお、甘味料については天然の自然甘味料では混合水Aが氷結しにくいので人工甘味料を混入する。
本実施例では、べリー風味の氷菓子の混合水であれば、同混合水(20倍濃縮液)1kgあたり、甘味料としてスクラロース11.6gとアセスルファムK20g、酸味料として無水クエン酸100g、香料としてクランベリーフレーバー16gとラズベリーフレーバー44g、果汁としてクランベリー果汁28g、着色料としてキャロット色素4g、その他添加物としてシクロデキストリン1〜20g、残分を水として調製する。
また、レモン風味の氷菓子の混合水であれば、同混合水(20倍濃縮液)1kgあたり、甘味料としてスクラロース11.6gとアセスルファムK20g、酸味料として無水クエン酸100g、香料としてレモンフレーバー80g、果汁としてクランベリー果汁38g、着色料としてベニバナ色素6g、残分を水として調製する。
また、ライチ風味の氷菓子の混合水であれば、同混合水(20倍濃縮液)1kgあたり、甘味料としてスクラロース11.6gとアセスルファムK20g、酸味料として無水クエン酸30g、香料としてライチフレーバー60g、果汁としてレモン果汁20g、着色料としてスーパーフレンジ―色素10g、その他添加物としてスイートインプルーバー6g、残分を水として調製する。
〔ステップ3〕
耐圧容器10に蓋18をし、耐圧容器10と蓋18をボルトにより固定する。
〔ステップ4〕
耐圧容器10に炭酸ガスを充填し、耐圧容器10内を密閉及び耐圧容器10内を加圧する。混合水Aに炭酸ガスを加える時は、炭酸ガスの圧力を0.2MPa〜1.5MPaで耐圧容器10内を加圧するとよい。
〔ステップ5〕
炭酸ガスにより密閉及び加圧された耐圧容器10を振動させ、混合水Aを攪拌しながら炭酸ガスを混合水Aに溶解させる。
〔ステップ6〕
耐圧容器10のガス充填部12、14のコック20を閉める。
〔ステップ7〕
充填するガスを炭酸ガスから不活性ガス(例えば、窒素)に切り替え、不活性ガスの圧力を0.7MPa〜2.0MPaに設定する。
不溶性ガスの圧力はステップ6時点においての耐圧容器10内の圧力(炭酸ガスの圧力)を上回っていなければならない。
〔ステップ8〕
耐圧容器10のガス充填部14のコック20を開ける。炭酸ガスで充満された耐圧容器10内を不溶性ガスでさらに加圧する。
〔ステップ9〕
耐圧容器10内を不活性ガスで加圧したまま(コックを開けたまま)、耐圧容器10を-15℃〜-30℃に設定された冷凍庫に入れて耐圧容器10を冷却する。
〔ステップ10〕
冷凍庫で冷却した耐圧容器10内で混合水Aを凍結させ、凍結氷塊を生成する。
〔ステップ11〕
所定の手段、例えば、アイスクラッシャーにより凍結氷塊を約15〜25mm、好ましくは約20mm以下に砕き破砕化して砕氷片B1を形成する。図3(a)は、生成された砕氷片B1を示している。図3(a)からも分かるように、砕氷片B1の表面には多数の頂部51や稜部52が形成されている。
頂部51のエッジ部分は、破砕による割断に由来して尖った角部となっている。なお、以下の説明においてこのような頂部51を尖頂部ともいう。またこれに対し、金網との接触によりエッジ位置に接触痕が形成され角部が鈍った頂部を鈍頂部と称する。また更に、頂部51は各稜線が集合して凸状となった部位であるが、これら稜線の集合状態は鋭角であるか鈍角であるかを問わない。すなわち、頂部には、図3(a)にて符号51aで示すような各稜線が鋭角に集合した頂部(鋭角頂部)のほか、符号51bで示すような各稜線が鈍角に集合した頂部(鈍角頂部)も含む。なお、図3(a)に示す符号51aで示された頂部は、鋭角頂部であって尖頂部であるため、総称して鋭角尖頂部ともいい、同様に符号51bで示され頂部は鈍角尖頂部とも称する。
稜部52もまた頂部51の如くそのエッジ部分は、破砕による割断に由来して尖った角部となっている。なお、以下の説明においてこのような稜部52を尖稜部(尖形稜部)ともいう。またこれに対し、金網との接触によりエッジ位置に接触痕が形成され角部が鈍った稜部を鈍稜部と称する。また更に、稜部52を構成する面の突き合わせ角度は鋭角であるか鈍角であるかを問わない。すなわち、稜部52には、図3(a)にて符号52aで示すような稜部であって図3(b)に示す如く鋭角な角度αで突き合わされている稜部(鋭角稜部)や、符号52bで示すような稜部であって、図3(c)で示す如く鈍角な角度βで突き合わされている稜部(鈍角稜部)も含む。なお、図3(a)に示す符号52aで示された稜部は、鋭角稜部であって尖稜部であるため、総称して鋭角尖稜部ともいい、同様に符号52bで示され稜部は鈍角尖稜部とも称する。
〔ステップ12〕
砕氷片B1の尖鋭部分はアール状とする。すなわち、砕氷片B1を約-5℃〜-10℃の環境温度で約12mmメッシュの金網でふるいにかけることにより砕氷片B1の表面の頂部51や稜部52、付言すれば尖頂部や尖稜部の角部をアール形状化する。
具体的には、図4に示すように、二重パイプ状の金網30のうち内側網筒31の中に砕氷片B1を投入して振動回転させることにより一次篩にかけ、次いで内側網筒31から篩にかけられ選別された砕氷片は外側網筒32で再度篩にかけられ所定の大きさの砕氷片B2となり大きさの選別が完了する。
しかも、二重パイプ状の金網30に砕氷片の全体が接触して回転振動を受けるために徐々に砕氷片の表面全体も削られて薄膜化していき炭酸ガスを包被する氷の壁が薄くなると共に、内圧の炭酸ガスが薄膜化した氷の微細なポーラス部分から放出されて内圧は減圧されていき、食するときに破裂する衝撃が減じられて小さな連続した砕氷片の破裂感が口中で感じることができる。
さらに、かかる振動と篩にかけられる度に砕氷片の鋭角な角部は円弧状のアール形状化して口中での感触の柔軟性を生起するようにしている。すなわち、図3(d)に示すように、まずは一部の稜部52や頂部51のエッジ部分に金網30上での回転による擦過痕状の金網30との接触痕50が形成され角部がアール形状化し、鋭角鈍頂部51cや鈍角鈍頂部51d、鋭角鈍稜部52c、鈍角鈍稜部52dが形成され始める。そしてこれが各稜部52や頂部51部分に対して繰り返し行われることにより、図3(e)に示すように、砕氷片B1の略全ての稜部52や頂部51部分においてエッジ部分に接触痕50が形成され、各稜部52や頂部51は、鋭角鈍頂部51cや鈍角鈍頂部51d、鋭角鈍稜部52c、鈍角鈍稜部52dとなり、砕氷片B1の全体がアール形状化することとなる。
また、このアール状の角部を備えた炭酸氷砕氷片は、稜部52や頂部51部分を有する炭酸氷砕氷片と、金網との組合せよりなる、アール状角部を炭酸氷砕氷片に形成するための装置によって形成されるものであると言える。すなわち、金網が必須構成要素の一つであるのは勿論のこと、尖鋭部分を有する炭酸氷砕氷片自体もまた当該装置の必須構成要素の一つであり、転動する炭酸氷砕氷片が他の炭酸氷砕氷片に対し、例えるならばボールミルのボールの如く作用して、互いに接触することで尖鋭部分のアール化に寄与することとなり、効率的なアール状の角部を備えた炭酸氷砕氷片の製造を実現する。
このようにして得られた砕氷片は、本実施形態に係る炭酸入り氷菓子として食することができ、例えば図5(a)に示すように、砕氷片40をカップ41等に収容した状態で提供することができる。
また、従来の炭酸氷は図5(b)に示す如く、清涼感等を生起可能な中圧で小型の炭酸気泡(適圧気泡43:薄い網掛けで示す。)が氷42中に分散する中、大型で高圧の炭酸気泡(高圧気泡44:濃い網掛けで示す。)が存在している場合があり、これが氷周辺の温度変化等により氷壁が脆化した際に爆裂的な氷片飛散を招いていた。
一方、本実施形態に係る炭酸入り氷菓子においては、呈味成分入りの混合水の凍結氷塊を原形としたため、図5(c)に示すように、氷42中に含まれる炭酸気泡の多くが適圧気泡43となっており、氷壁の破泡にともなう氷片の飛散の危険性を除去することができると共に、喫食者に対して破泡に伴う炭酸独特の清涼感や爽快感を与えることができる。
しかも、前述のステップ2において説明したべリー風味の氷菓子の如く、シクロデキストリンの添加を行うことにより、図5(d)の左図に示すように高圧気泡44が混在していた場合であっても、シクロデキストリン分子により構成される断続的な分子トンネルが脱気ルートとなり、図5(d)の右図に示すように、高圧の二酸化炭素を内包する高圧気泡44ほど優先的に減圧がなされ、適圧気泡43化することとなる。
それゆえ、口中で炭酸ガスが薄氷化して氷壁を破砕し氷壁破砕片が飛散し、口中の粘膜に衝突しても砕氷片に角部がなくアール状の角によって口中を損傷するような不快な刺激がなく心地よい「ぷっぷっ」とした炭酸破泡の爽快感を味わうことができる。
また、頂部51や稜部52への接触痕50の形成によって発生した氷粉の一部は砕氷片B1の表面に付着することとなるが、この表面に付着した氷粉が作用して口中におけるふんわり感を生起させる。
すなわち、表面に氷粉が付着しているアール化された砕氷片B1を氷菓として提供する際、周囲の水分が砕氷片B1の表面近傍で冷やされ、氷粉を核として霜を効率的に成長させる。
従って、砕氷片B1の表面には綿毛のような霜が形成されることとなり、氷菓の喫食の際に口の中でふんわり感を生起させることができる。
〔実施例2:アール化工程の変形例〕
上記した発明以外に次のような実施例を説明する。上記した実施例の中途においては二重のメッシュの金網パイプの内部で砕氷片を篩にかけながら頂部や稜部のアール形状化を行っているが、この実施例では、篩にかけた後数日間扇風機による風圧程度の風と接触させる。
このように風に当てることにより砕氷片の表面がつるつるとして光沢を増し含有成分としての色素の色彩が鮮やかに砕氷片表面に現出して氷菓子の高級感を出すことができる。
〔実施例3:呈味成分の変形例〕
また、その他の実施例として、マンナンを増粘剤として氷結前に混合水に添加することにより砕氷片の粘度を増加し、口中で噛んだ時の細かい砕氷の固形感を出すことができる。
マンナンの添加量は、混合水の総重量あたり0.5〜5重量%とすることで、氷菓子の製造の際には、混合水の氷結を阻害することなく圧入された炭酸ガスがマンナンによりゲル状となった混合水にトラップされて、炭酸ガスの混合水からの脱気を可及的に抑制できる。
しかも、口腔内では、砕氷片の氷壁が薄膜化して圧入された炭酸ガスにより砕氷片内部から外部へ押圧されても、砕氷片氷壁がマンナン特有の粘性により伸延されて不用意の破砕が生起しにくくなり、咀嚼によって初めて破泡が促されるような食感を与えることができる。
また、本発明に係る炭酸入り氷菓子独特のシャキシャキとした食感と炭酸破泡の爽快感を付与しつつも、舌、歯、顎、頬等にマンナン特有の付着性により口腔内に停滞させて冷たくも弾力性のある固形的な後味を段階的に付与して楽しむことができる。
また、マンナンを初め可食性の高分子化合物を混合水中に添加することにより、適圧気泡による安全な口中での氷片飛散(口中で細かな氷がはじける感じ)を付与することもできる。
これは、高分子化合物が存在することで氷壁強度が増強されることに由来するものであり、多糖類やタンパク質など様々な可食性高分子化合物の添加は、本実施形態に係る炭酸入り氷菓子における適圧気泡を対象とした刺激性向上剤として機能しうる。
〔実施例4:混合水の変形例〕
また、他の実施例として、混合水に水素ナノバブルを混入して氷結することにより微泡の水素ガス泡を包含した氷菓子とすることができる。
一般的に、水中に溶存させた水素水は、生体内酸化ストレスの低下や、血中LDLの増加抑制など、健康に寄与するとの報告が種々なされている。
かかる氷菓子は、水素の人体への良い影響をもたらすことが期待できる嗜好品になると共に、健康維持促進の機能を有した機能食品として食することができ、氷菓子の新たなマーケットをつくることができる。
なお、水素ガス気泡を混合水に溶解する方法は、例えば、水素発生剤を利用して混合水中において水素を溶解する方法や電気分解により水から水素ガスを生成して混合水に溶解する方法などがある。
水素の含有率は、飲食時、水素溶解時、パッケージ時、開封時等でそれぞれ異なるが一般に7ppm〜1.6ppm含有量とする。
〔炭酸ガス入り氷菓子の用途〕
以上のようにして構成した炭酸ガス含有の氷菓子は次のような有益な用途が考えられる。
(1)そのまま砕氷片としてコップに盛り付けてかき氷風にして匙ですくって食する。(口中でかき氷の感触と共に炭酸ガスの破裂する際のぶつぶつ感の刺激を楽しむことができる。)
(2)酒や清涼水の中に混入して氷としての冷却機能と共に酒や清涼水の中で炭酸ガスが弾ける感触を見た目と飲料する時に感じることができる。
(3)料理物の下方や料理の添え物として皿に盛り付けることにより氷の清涼感と共に炭酸ガスの弾ける様子が躍動感をもって表われ見た目で楽しむことができる。
(4)各種の味覚成分を混入することにより合わせる相手方の料理や嗜好品に相乗的な付加的味覚を与えると共に、炭酸ガスの微かな破裂時の感触が料理の味を強調して微妙な呈味変化を生成することができる。
(5)食用菓子としての応用以外にこの氷菓子を直接に或いはシート等の介在物を介して顔表面に湿布することにより炭酸ガス破裂時の安全な刺激が心地よく皮膚面に伝わり顔面血行を良好にし、皮膚の張りを高揚し美顔施術材料としても使用することができる。
〔シクロデキストリンによる脱気ルート形成試験〕
本試験では、凍結氷塊を生成するために使用する混合溶液中にシクロデキストリンを添加した場合としない場合で、脱気効率に差があるか否かについて検討を行った。
具体的には、0%、2%、4%、6%、8%、10%のシクロデキストリンを含む水溶液を調製し、これに前述の方法に従って炭酸ガスを溶存させ、凍結氷塊を生成し、破砕化して砕氷片を得た。
また、本試験では、シクロデキストリンのみを含有する水溶液を対象とした実験系Aと、シクロデキストリンの他に終濃度0.5〜2%のスクラロース、終濃度0.5〜4%のアセスルファムKを含有させた水溶液(以下、甘味水溶液という。)を対象とした実験系Bとの両方を行った。
本試験では、生成した砕氷片を喫食し、氷片飛散の状態を口腔内にて感じ取ることにより、評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2021032446
表1からも分かるように、実験系Aと実験系Bとの間では、顕著な差は見られなかった。また、シクロデキストリン濃度との関係においては、シクロデキストリン濃度が0%〜2%の砕氷片においては口腔内において氷の破裂が確認されたものの、シクロデキストリンを4%以上含有させた砕氷片においては飛散は感じられず、炭酸発泡に由来する独特の爽やかな破泡感が感じられた。
また、生成した砕氷片を3ヶ月間保存したものについて同様に官能試験を行った結果、上記表1と同様の結果が得られた。
これらの結果から、混合溶液中にシクロデキストリンを2%以上、より好ましくは4%以上含有させることにより、凍結氷塊や砕氷片内に脱気ルートを形成することができ、炭酸ガス気泡の多くは適圧気泡化されることとなり、爆裂的な飛散を防止しつつも、比較的長期に亘り破泡食感を維持することが可能となることが示された。
このように本実施形態によれば、凍結炭酸氷塊の砕氷片と振動する金網とを接触させ前記砕氷片に対して振動を付与して砕氷により形成された頂部や稜部のエッジ部分をアール形状化することで、このようなアール形状を炭酸入り氷菓子に施すことにより、炭酸入り氷菓子の喫食の際、破泡により生じた飛翔片による口腔壁への傷害を防止しつつ、アール形状に由来する口腔内で転がりつつ舌や内頬を冷たく辿る食感を楽しませることができる炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法や炭酸氷砕氷片を提供することができる。
また、上述してきた説明には、以下のような発明の概念についても含まれているものと解することができる。
(1)凍結炭酸氷塊の砕氷片と振動する金網とを接触させ前記砕氷片に対して振動を付与して砕氷により形成されたエッジ部分をアール形状化することを特徴とする炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法。
(2)前記金網は、同軸に入れ子状とした軸回りに回転しつつ振動する二重パイプ状の金網であり、内側網筒に投入した砕氷片を篩に掛けつつ外側網筒でトラップしアール形状化することを特徴とする請求項1に記載の炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法。
(3)マイナス5℃〜マイナス10℃で行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法。
(4)前記金網は、10〜15mmのメッシュ金網であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法。
(5)前記凍結炭酸氷塊は、耐圧容器に飲用水を注水し、0.2MPa〜1.5MPaの圧力下で前記飲用水に炭酸ガスを溶解させて混合水を調製し、前記耐圧容器を冷却して前記混合水を凍結することにより製造したことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法。
(6)請求項1〜5いずれか1項に記載の炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法によりアール化した角部を有する炭酸氷砕氷片。
〔炭酸氷砕氷片の角部のアール化の別法〕
次に、炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法の別法について説明する。この別法に係る炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法は、冷凍環境下にて平置きした炭酸氷砕氷片に風を当て、前記砕氷片の稜部や頂部をアール化する。
ここで冷凍環境下とは、例えば冷凍庫や冷凍室など炭酸氷砕氷片を凍結状態のまま保つことが可能な温度環境下を意味している。
また平置きとは、アール化の対象となる炭酸氷砕氷片同士ができるだけ重ならないように配置された状態を言う。すなわち、必ずしも全ての炭酸氷砕氷片が重ならないように配置されている必要はなく、個々の炭酸氷砕氷片の表面を流れる気流を阻害しない程度であったり、アール化されなかった角部の存在が許容できる範囲内で多少の重なりが存在していても良い。
また、炭酸氷砕氷片の平置きは、例えば所定のトレー内にて行うことができる。またトレーは、例えばプラスチックやステンレスにて形成されたトレーであったり、ザル状の目部が形成されたメッシュトレー等を採用することができる。
また、炭酸氷砕氷片をステンレストレー上に平置きしたり、メッシュトレーやメッシュシート上に平置きする場合、この炭酸氷砕氷片が配置されたステンレストレーやメッシュトレー自体は、上述の如く個々の炭酸氷砕氷片の表面を流れる気流を阻害しない程度であったり、アール化されなかった角部の存在が許容できる範囲内であれば、所定間隔を開けて風の流通を確保した上で上下方向に重ねて(重畳させて)配置することもできる。
そして、本別法に係る炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法の特徴として、炭酸氷砕氷片に対して風を当てることが挙げられる。
この風は、前述の冷凍環境下雰囲気と同程度の温度の風することができ、より好ましくは、湿度に関し冷凍環境下雰囲気よりも乾いた風とすることができる。
そして、このような風に炭酸氷砕氷片を曝すことで、砕氷により形成された炭酸氷砕氷片の表面の稜部や頂部のエッジ部分をアール化することができる。
特に、この別法に係る炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法(以下、風さらし法ともいう。)は、前述した筒状金網による炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法(以下、筒状金網法ともいう。)と比較して、炭酸氷砕氷片に刺激をできるだけ与えることなくアール化することができるため、炭酸氷砕氷片が爆ぜて更に微細化してしまうことを抑制できる。
また、筒状金網法は、稜部及び頂部のエッジ位置に金網との接触痕を形成することでアール化する方法であるが、この風さらし法は、表面を傷つけることがない。それゆえ、磨かれた宝石のように透明感があり滑らかな表面を有する炭酸氷砕氷片を提供することが可能となる。
また、炭酸氷砕氷片を曝す風の強さを適宜調整し、炭酸氷砕氷片は飛ばされないが氷粉は飛ばされる程度の風の強さとすることで、炭酸氷砕氷片から氷粉を除去することも可能となる。このことは、炭酸氷砕氷片の保存中などにおいて該炭酸氷砕氷片同士が結着して更に大きな塊を形成してしまうことを防止でき、個々の炭酸氷砕氷片が一様に分離したサラサラな砕氷片群とすることができる。
このように、上述の別法に係る炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法は、上述の説明を踏まえると、更に切り口を変えて捉えれば、光沢を有する炭酸氷の製造方法や、炭酸氷砕氷片の表面加工方法、光沢滑面を備えた炭酸氷砕氷片を提供するものとも言え、また、氷粉の除去方法を提供するものとも言える。
〔風さらし法によるアール化された炭酸氷砕氷片の製造〕
まず、先の筒状金網法の説明で言及したステップ1〜ステップ10までの工程を行い、凍結氷塊を得る。
次に、得られた凍結氷塊を1次クラッシャーに供して、5〜10cm程度の径や長手方向長さを有する不定形状の1次砕氷塊(かち割り氷)を調製し、この1次砕氷塊を更に2次クラッシャーに供して概ね1cm前後の径や長手方向長さを有する不定形状の炭酸氷砕氷片を得る。この炭酸氷砕氷片の表面には、砕氷により生じた複数の頂部や稜部が形成されており、これら頂部や稜部のエッジ部分は、破砕による割断に由来した尖った角部となっている。また、炭酸氷砕氷片は、砕氷により生じた氷粉が多く混在している。
2次クラッシャーからは、大凡1cm程度に砕かれ炭酸氷砕氷片形状に達したものから逐次排出され、排出された氷粉混じりの炭酸氷砕氷片は、次に、下り坂に配された供給板を通じて分配装置に供給される。
ここで供給板は、2次クラッシャーから排出された炭酸氷砕氷片を分配装置まで送給できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、振動するメッシュ板とすれば、混在する氷粉を炭酸氷砕氷片から分離除去するのに有用である。すなわち、炭酸氷砕氷片は振動するメッシュ板上を分配装置へ移動しつつ、その振動によりふるい落とされた氷粉はメッシュ板の目部より落下して分離除去される。
分配装置は、供給板より供給された炭酸氷砕氷片をメッシュトレーに分配するための装置である。具体的には、炭酸氷砕氷片は、氷粉と共に又はメッシュ状の供給板により氷粉が粗方除かれた状態で、所定量ずつメッシュ状のトレーに平置きしつつ分配される。
分配されたメッシュトレーは、同メッシュトレーを多段に収容できるカート(以下、多段式カートという。)に収容される。この多段式カートは、メッシュトレーを上下方向に積層収容できるものであり、しかも、メッシュトレー内の炭酸氷砕氷片に風が当たることをできるだけ阻害しないよう、積層される上下メッシュトレーが所定間隔を隔てて収容されるよう構成している。なお、必ずしも多段式カートを使用する必要はなく、メッシュトレーを平置きしても良いのは勿論である。
メッシュトレーを満載した多段式カートは、冷凍室内の通風領域に配置され、炭酸氷砕氷片に対して風が当てられる。なお、冷凍室内は冷凍環境下、例えば庫内温度RtはRt≦-5℃、庫内湿度Rhは砕氷片表面の氷の昇華を助長可能な湿度であり、通風領域の風の温度Wtは例えばWt≦-5℃、風の湿度Whも砕氷片表面の氷の昇華を助長可能な湿度とすることができ、炭酸氷砕氷片に接触する風の湿度Wh<庫内湿度Rhであればより好ましい。
また、炭酸氷砕氷片に当てる風は、砕氷片表面の氷の昇華を助長可能な風速であるのが望ましい。このような風速とすることにより、効率的に炭酸氷砕氷片の角部のアール化を行うことができる。
また、炭酸氷砕氷片に当てる風は、炭酸氷砕氷片はメッシュトレー内で動かないが、氷粉はメッシュトレー外へ吹き飛ばされる程度の風速とすることもできる。このような風速とすれば、炭酸氷砕氷片の角部のアール化と共に氷粉の除去を効率的に行うことができ、生成した炭酸氷砕氷片の相互の結着を防止し、更には見た目を美しくすることができる。
そして、目視的に角部がアール化されたと確認できる程度に至るまで、このような風さらし処理を行うことで、角部がアール化された炭酸氷砕氷片が得られる。このようなアール化が目視的に確認できるまでに要する時間は、炭酸氷砕氷片の成分組成や庫内温度、風の条件等によって左右されるため一慨に定義するのは困難であるが、多くの場合12時間以上行うことでアール化が確認できる。
〔目視比較〕
次に、筒状金網法でアール化した炭酸氷砕氷片と、風さらし法でアール化した炭酸氷砕氷片との目視比較を行った。比較は、炭酸氷の製造に長年携わる熟練した5名の社員により、アール化度合い、表面光沢、氷粉の付着、食感について評価することで行った。
その結果、まずアール化度合いについては、筒状金網法と風さらし法との間で殆ど違いは見られず、両者とも角部が十分にアール化されているのが確認された。
次に表面光沢についてであるが、筒状金網法にて得られた炭酸氷砕氷片は、その表面に無数の金網との接触痕が形成されており、全体的に磨りガラス様の外観を呈していた。これに対し、風さらし法により得られた炭酸氷砕氷片は、その表面が極めて滑らかで光沢があり、あたかも磨かれた宝石のように透明感に優れた外観を有している点が特徴的であった。
次に氷粉の付着については、筒状金網法と風さらし法との間で殆ど違いは見られず、両者とも氷粉は十分に除去されており、炭酸氷砕氷片同士の結着も確認されなかった。
また食感については、風さらし法によって得た炭酸氷砕氷片は、口に入れた直後の段階でつるんとした極めて滑らかな舌触りが得られた。これに対し、筒状金網法で得られた炭酸氷砕氷片は、やや摩擦を感じる食感であった。ただしこれは口に入れた直後の食感であって、その後速やかに表面は溶かされて、いずれも同様の舌触りとなった。
このように、別法に係る炭酸氷砕氷片の角部のアール化方法によれば、風に炭酸氷砕氷片を曝すことで、砕氷により形成された炭酸氷砕氷片の表面の稜部や頂部のエッジ部分をアール化することができ、更には滑らかで光沢があり透明感に優れた外観を呈する表面を備えた炭酸氷砕氷片とすることができる。
10 耐圧容器
12 ガス充填部
14 ガス充填部
16 ゴム
18 蓋
20 コック
22 差圧弁
A 混合水
F1 矢印
F2 矢印

Claims (3)

  1. 砕氷片の稜部及び頂部と、
    同稜部及び頂部のエッジ位置に形成した金網との接触痕と、
    よりなるアール状の角部を備えた炭酸氷砕氷片。
  2. 砕氷により形成されたエッジ部分に金網上での回転による接触痕を備え、同接触痕によりアール化した角部を有する炭酸氷砕氷片。
  3. 稜部及び頂部を有する炭酸氷砕氷片と、金網との組合せよりなる、アール状角部を炭酸氷砕氷片に形成するための装置。
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