JP2021031619A - コーティング組成物及び防曇塗膜 - Google Patents
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Abstract
Description
この曇りを防ぐ方法として下記のような提案がなされてきた。
(1)基材表面に吸水性化合物の塗膜を作製する方法。
(2)基材表面に界面活性剤等の親水化合物の塗膜を作製することで基材表面を親水性にする方法。
しかしながら、これらの方法においては、一定のレベルまでは防曇性を維持できるが、吸水能以上の水分が該物品に凝集、付着すると曇りが生じる。そのため、高い防曇持続性を発現させるためには膜厚を厚くする必要があるといった不都合があった。
すなわち、本発明の諸態様は、以下のとおりである。
[1].
金属酸化物(A)と親水性化合物(B)を含む防曇用コーティング組成物であって、
前記コーティング組成物の固形分濃度を変化させたときにおいて、下記式(1)から求められる特定変化量が、10以上100以下である、防曇用コーティング組成物。
特定変化量=[{log(V1)×100/log(V0)}−100]/(C1−C0)… (1)
(式(1)中、C0は、変化前のコーティング組成物の総量に対する、変化前の固形分濃度(質量%)を表し、C1は、変化後のコーティング組成物の総量に対する、変化後の固形分濃度(質量%)を表す。また、V0は、変化前のコーティング組成物の粘度(cp)を表し、V1は、変化後のコーティング組成物の粘度(cp)を表す。)
[2].
上記金属酸化物(A)が、水酸基を有する、請求項1に記載の防曇用コーティング組成物。
[3].
上記金属酸化物(A)が、シリカを含む、請求項1又は2に記載の防曇用コーティング組成物。
[4].
上記金属酸化物(A)が、シリコーン粒子、及び/又はアクリルシリコーン粒子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜を製造するためのコーティング組成物。
[5].
上記親水性化合物(B)が、非共有結合及び/又は共有結合を介して上記金属酸化物表面に結合している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[6].
上記親水性化合物(B)が、ノニオン系化合物、アニオン系化合物及び両性イオン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[7].
上記親水性化合物(B)が、分子内に炭素−酸素結合を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[8].
上記親水性化合物(B)が、分子内にアルキレングリコール部位を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[9].
上記親水性化合物(B)が、分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[10].
上記親水性化合物(B)が、分子内に一級脂肪族水酸基、及びアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[11].
上記親水性化合物(B)が、分子内にポリアルキレンオキシド鎖を有し、ポリアルキレンオキシド鎖の一方の末端に一級脂肪族水酸基、もう一方の末端にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[12].
イソシアネート化合物(C)をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[13].
上記イソシアネート化合物(C)が、水分散性イソシアネート化合物を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[14].
上記イソシアネート化合物(C)が、分子内にアルコキシシラン部位及び/又はシロキサン部位を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[15].
上記イソシアネート化合物(C)が、ブロックイソシアネートを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[16].
重合体粒子(D)をさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
[17].
請求項1〜16のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物を基材に塗布、乾燥して得られる防曇塗膜。
[18].
自動車外装部品用塗膜として使用される、請求項17に記載の防曇塗膜。
[19].
ランプカバー用塗膜として使用される、請求項17又は18に記載の防曇塗膜。
なお、以降では、本発明に係る防曇用コーティング組成物を、しばしば単に「コーティング組成物」と称する。
さらに、本発明に係る防曇用コーティング組成物から得られた防曇塗膜を、しばしば単に「塗膜」または「本発明の塗膜」と称する。
また、コーティング組成物は、上記コーティング組成物の固形分濃度を変化させたときにおいて、下記式(1)から求められる特定変化量(以下、「Y/X」ともいう。)が、10以上50以下である。
特定変化量=[{log(V1)×100/log(V0)}−100]/(C1−C0)… (1)
式(1)中、C0は、変化前のコーティング組成物の総量に対する、変化前の固形分濃度(質量%)を表し、C1は、変化後のコーティング組成物の総量に対する、変化後の固形分濃度(質量%)を表し、V0は、変化前のコーティング組成物の粘度(cp)を表し、V1は、変化後のコーティング組成物の粘度(cp)を表す。以下、C0は初期の固形分濃度、V0は初期の粘度ともいう。
(A)成分に用いられる金属酸化物としては、(B)成分との相互作用の観点から、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化鉛、酸化鉄、珪酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ニオブ、及び酸化セリウム等が使用可能である。なかでも、相互作用の強さの観点から、表面水酸基の多い二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アンチモン、及びそれらの複合酸化物等が好ましい。なお、(A)成分として、上述した金属酸化物の2種以上を併用してもよい。
例として、シリコーン粒子は、後述する重合体粒子(D)の(d1)成分、アクリルシリコーン粒子は(d1)及び(d2)成分から構成されてもよい。また、シリコーン粒子は、後述する分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含むポリアルキレングリコールを含んでもよい。その際、アルコキシシラン及び/又はシラノール部位を金属酸化物(A)としてもよく、ポリアルキレングリコール部位を親水性化合物(B)としてもよいし、あるいは別途、金属酸化物(A)及び/又は親水性化合物(B)を添加してもよい。
なお、これらのシリカは、一種又は二種類以上組み合わせて使用されてもよい。また、少量成分として、アルミナ、及びアルミン酸ナトリウム等を含んでいてもよい。さらに、シリカは、安定剤として無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニアなど)や有機塩基(テトラメチルアンモニウムなど)等を含んでいてもよい。
(B)成分として用いられる親水性化合物は、(A)成分の分散性向上、非共有結合及び/又は共有結合を介した(A)成分表面への固定化による塗膜の防曇持続性、耐湿性の向上、外観持続性の向上、耐溶出性の向上(塗膜表面での溶出および更には塗膜全体からの溶出の抑制)、水滴痕発生の抑制効果の向上、ならびに、塗膜の成膜性向上等の目的のために、コーティング組成物に含有される。
上記塗膜性能を向上させるためには、この(B)成分が(A)成分に非共有結合と共有結合のいずれかを介して固定化されていればよいが、耐溶出性および耐湿性の点で、2種の結合を介して固定化されていることが好ましい。
ノニオン系化合物の例としては、親水性部位として水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、アルキレンオキシド部位などを有する化合物などが挙げられる。
アニオン系化合物の例としては、カルボン酸部位、スルホン酸部位、リン酸部位、ボロン酸部位を有する化合物などが挙げられる。
両性イオン系化合物の例としては、カルボン酸部位、スルホン酸部位、リン酸部位、ボロン酸などのアニオン性部位と、四級アンモニウム部位、イミダゾリウム部位、ピリジニウム部位、スルホニウム部位、ホスホニウム部位などのカチオン性部位を同一分子内に有する化合物などが挙げられる。
この中でも、親水性化合物(B)は、分子内に少なくとも1つの水酸基を有する親水性化合物が好ましい。分子内に2つ以上の水酸基を有する親水性化合物がより好ましい。分子内に2つ以上の水酸基を有する場合、イソシアネート化合物(C)との反応によって二次元、および又は三次元架橋体が形成され、得られる塗膜の耐久性(例えば、高温多湿環境下に晒された場合の塗膜の防曇持続性、外観持続性、耐溶出性、水滴痕発生の抑制効果)の観点でより一層好ましい。
また、分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基を1つまたは2つ以上有する親水性化合物を用いることにより、当該親水性化合物が塗膜中に固定化され、水との接触による溶出を防止することができる。
具体的には、上記相互作用部位であると共にイソシアネート基と反応し得る官能基を分子内に2つ以上有する親水性化合物(B)の例として、特に限定されないが、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンオキシプロピレンオキシエチレントリブロックコポリマー、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレントリブロックコポリマー、脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン等のアルキレングリコール部位含有ポリマー群、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、ダイユータンガム、デンプン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グルカン、デキストリン等の多糖類などが挙げられる。これらを一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。ここでの「アルキレン」および「アルキル」の炭素数は、特に限定されないが、例えば1〜10であり、より好ましくは2〜6であり、最も好ましくは2または3である。
これらの親水性化合物(B)は、イソシアネート化合物(C)を含むコーティング組成物(およびこれから形成される塗膜)にて好適に用いられるが、イソシアネート化合物(C)を含まないコーティング組成物(およびこれから形成される塗膜)にも用いられてよい。
コーティング組成物が、上記イソシアネート化合物(C)と反応し得る官能基を3つ以上有すると、塗膜の耐久性の点でより好ましい。コーティング組成物が、イソシアネート化合物(C)と反応し得る官能基を4つ以上有する親水性化合物(B)を含有すると、イソシアネート化合物(C)との反応率が100%未満であっても三次元架橋体を形成できるため塗膜の耐久性の点でより好ましい。そのような化合物の例としては4分岐型ポリアルキレングリコール、8分岐型ポリアルキレングリコール、ハイパーブランチポリマーなどが挙げられる。
モノ脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン、または、4分岐型ポリアルキレングリコール、8分岐型ポリアルキレングリコール、ハイパーブランチポリマーなどのイソシアネート化合物(C)と反応し得る官能基を4つ以上有する親水性化合物(B)は、イソシアネート化合物(C)を含むコーティング組成物(およびこれから形成される塗膜)だけではなく、イソシアネート化合物(C)を含まないコーティング組成物(およびこれから形成される塗膜)にも用いることができる。
このような分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含むポリアルキレンオキシドとして、例えば、分子内に水酸基を1つ有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、分子内に水酸基を2つ有するポリオキシアルキレングリコール、分子内に水酸基を3つ有する脂肪酸ポリオキシアルキレンソルビタン、グリセロールエトキシレート、トリメチルプロパンエトキシレート、分子内に水酸基を4つ有する4分岐型ポリアルキレングリコール、分子内に水酸基を8つ有する8分岐型ポリアルキレングリコール等と、水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤との反応物、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、ダイユータンガム、デンプン、セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グルカン、デキストリン等の多糖類と、水酸基と反応しうる官能基を有するシランカップリング剤との反応物等を挙げることができる。
一方、親水性化合物を多く含む塗膜の場合、高温多湿環境下において金属酸化物(A)に固定化されていない余剰な親水性化合物の塗膜内での局在化などが起こり得る。このような局在化は、塗膜の白化(塗膜表面での溶出および更には塗膜全体からの溶出、それによる水滴痕の発生)といった外観不良を生じさせる。
ここで、水滴痕試験は、基材上に作製した塗膜表面に、23℃50%RHの環境下で、80℃温水の蒸気を水面から5cmの距離で50cm2の範囲に10秒間当て、その後塗膜を垂直に立て、室温で乾燥させ、これらの操作を計100回繰り返した後、目視により外観を観察することにより行うことができる。
本発明に係るコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加えて、(C)成分としてイソシアネート化合物を含んでよい。コーティング組成物(及びこれから形成される本発明の塗膜)は、更に(C)成分としてイソシアネート化合物を含有することが、基材との密着性向上、耐擦過性向上の観点から好ましい。
該イソシアネート化合物(C)としては、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネート、エチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネ−ト;1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエートなどの脂肪族トリイソシアネート;1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナンなどの脂環族ジイソシアネ−ト;2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナンなどの脂環族トリイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネートなどのアラルキレンジイソシアネート;m−またはp−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−または2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチル−ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェートなどの芳香族トリイソシアネート、さらには上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するジイソシアネートあるいはポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのイソシアネート基どうしを環化三量化して得られるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを水と反応させることにより得られるビュレット構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを二酸化炭素と反応せしめて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを種々のアルコールと反応せしめて得られるアロファネート構造を有するポリイソシアネート;上記ジイソシアネートあるいはトリイソシアネートを、ポリヒドロキシ化合物、ポリカルボキシ化合物、ポリアミン化合物の如き活性水素を含有する化合物と反応させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。さらに分子内にアルコキシシラン部位及び/又はシロキサン部位を有するイソシアネート化合物として、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等及び/又は3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等の加水分解縮合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して使用できる。イソシアネート化合物は、イソシアネート基をブロック化剤と反応させたブロックポリイソシアネートであってもよい。
上記ブロック化剤としては、特に限定されないが、例えば、オキシム系化合物、アルコール系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物、活性メチレン系化合物、イミダゾール系化合物、及びピラゾール系化合物が挙げられる。オキシム系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及びシクロヘキサノンオキシムが挙げられる。アルコール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、及び2−ブトキシエタノールが挙げられる。酸アミド系化合物としては、特に限定されないが、例えば、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、及びγ−ブチロラクタムが挙げられる。酸イミド系化合物としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸イミド、及びマレイン酸イミドが挙げられる。フェノール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、スチレン化フェノール、及びヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。アミン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、及びイソプロピルエチルアミンが挙げられる。活性メチレン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、及びアセチルアセトンが挙げられる。イミダゾール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール、及び2−メチルイミダゾールが挙げられる。ピラゾール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ピラゾール、3−メチルピラゾール、及び3,5−ジメチルピラゾールが挙げられる。
これら一般式R1O−(R2O)n−H(ここでR1は炭素数1から30のアルキル基または芳香環を2つ以上含有する基を表し、R2は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。nは2〜250の整数である)で示されるものとしては、好ましくは分子量が100〜10000より好ましくは300〜5000の範囲を有するものが好適に使用できる。
親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体の具体例としては、例えばアクリル系重合体、フルオロオレフィン系重合体、ビニルエステル系重合体、芳香族ビニル系重合体、ポリオレフィン系重合体等が挙げられる。これらの中でも、形成される塗膜の耐候性の観点からアクリル系重合体が好ましい。
親水性基及び水酸基を有するビニル系重合体として好適なアクリル系重合体を得るための重合方法は、特に限定されるものではないが、例えば、懸濁重合、乳化重合又は溶液重合が挙げられる。好ましくは親水性基を有するエチレン性不飽和単量体(i)および水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(ii)を溶液重合することによって得られるアクリル系重合体であり、必要に応じてこれらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(iii)を使用することもできる。
また、これらと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体(iii)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル類、カルボニル基含有ビニル単量体、オレフィン類、ジエン類、ハロオレフィン類、ビニルエーテル類、アリルエステル類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上混合して使用しても良い。
親水性基及び水酸基を含有するビニル系重合体は、好ましくは重量平均分子量(ポリスチレン換算GPC法)2000〜100000、より好ましくは3000〜50000の範囲を有するものが好適に使用できる。
本発明に係るコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、(D)成分として重合体粒子を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、(D)成分として重合体粒子を含んでよい。
コーティング組成物(及びこれから形成される本発明の塗膜)は、更に(D)成分として重合体粒子を含有することが好ましい。一実施形態において、(D)成分は、(d1)成分:加水分解性珪素化合物と、(d2)成分:水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、及びエーテル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有するビニル単量体と、(d3)成分:乳化剤と、(d4)成分:水とを含む重合原液を重合して得られる重合体粒子である。
SiWxRy (4)
(式(4)において、Wは炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、炭素数1〜20のアセトキシ基、ハロゲン原子、水素原子、炭素数1〜20のオキシム基、エノキシ基、アミノキシ基、アミド基から選ばれた少なくとも1種の基を表す。Rは、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種の炭化水素基を表す。xは1以上4以下の整数であり、yは0以上3以下の整数である。また、x+y=4である。)
環状シロキサンオリゴマーとして、下記式(5)で表される化合物が使用可能である。
(R’2SiO)m (5)
(式(5)において、R’は、水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、及び、置換されていないか又は炭素数1〜20のアルキル基若しくは炭素数1〜20のアルコキシ基若しくはハロゲン原子で置換されている炭素数6〜20のアリール基から選ばれる少なくとも1種を表す。mは整数であり、2≦m≦20である。)
本発明に係るコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分に加え、(E)成分として加水分解性珪素化合物を含んでよい。
一実施形態において、コーティング組成物(及びこれから形成される塗膜)は、(E)成分:下記式(6)、下記式(7)、又は下記式(8)で表される加水分解性珪素化合物をさらに含んでいてもよい。この場合、コーティング組成物における(A)成分と(D)成分との質量比は、例えばA/D=50/100〜1000/100であり、(A)成分と(E)成分との質量比は、例えばE/A=5/100〜90/100である。以下、下記式(6)で表される加水分解性珪素含有化合物を(e1)成分とし、下記式(7)で表される加水分解性珪素含有化合物を(e2)成分とする。
R1 nSiX4−n (6)
(式(6)において、R1は水素又は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表す。またこれらの置換基上にさらにハロゲン基、ヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、イソシアネート基等の官能基を有していてもよい。Xは加水分解基を表し、nは0〜3の整数である。加水分解基とは加水分解により水酸基が生じる基であればよく、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、フェノキシ基、オキシム基等が挙げられる。)
X3Si−R2 n−SiX3 (7)
(式(7)において、Xは加水分解基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキレン基又はフェニレン基を表す。また、nは0又は1である。)
R3−(O−Si(OR3)2)n−OR3 (8)
(式(8)において、R3は、炭素数1〜6のアルキル基を表す。nは、2〜8の整数である。)
本発明に係るコーティング組成物は、(A)成分及び(B)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)、(D)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((D)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(D)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)または(E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)または(D)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((E)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((D)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(D)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分((C)成分以外のもの)を含んでよい。また、コーティング組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分に加え、以下に例示されるような任意成分を含んでよい。
一実施形態において、コーティング組成物には、その用途及び使用方法などに応じて、通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される添加剤成分、例えば、溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、レベリング剤、チクソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、架橋反応触媒、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤、成膜助剤、防錆剤、染料、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、静電防止剤又は帯電調整剤等を、それぞれの目的に応じて選択したり、組み合わせたりして配合することができる。なお、以下では、架橋反応触媒および硬化触媒を「硬化促進触媒」と総称することがある。
これらの任意成分は、通常、(A)成分及び(B)成分ならびに任意選択の(C)成分及び/又は(D)成分及び/又は(E)成分に対して、10質量部以下、5質量部以下、または3質量部以下の配合量で用いることができる。
基材は、コーティング層により特に優れた防曇性、防曇持続性を付与される対象として位置付けられる。樹脂やガラス、金属等種々の材料を基材として採用することができる。なお、一実施形態においては、基材は、樹脂製であることが好ましい。上記樹脂製の基材としては、特に限定されないが、例えば、合成樹脂や天然樹脂等の有機基材を挙げることができる。
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)を使用することができる。より詳細には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン−アクリル樹脂等を挙げることができる。しかしながら、上記に限定されるものではない。
また、上記天然樹脂としては、特に限定されないが、例えば、セルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂等を挙げることができる。
一実施形態において、樹脂板の表面は、コロナ放電処理やフレーム処理、プラズマ処理等の表面処理がされてあっても構わないが、これらの表面処理は必須ではない。
使用される基材の種類、厚みや、表面処理により形成される膜の厚みは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。
典型的な一実施態様において、本発明に係るコーティング組成物は、(A)成分と(B)成分を予め混合後、水と混合する工程、および40℃未満で10分以上撹拌する工程を含む方法によって製造することができる。一般に水を含むコーティング組成物を製造する際は、コーティング組成物中に含まれる各成分をそれぞれ水で希釈後に混合する方法、水の中に各成分を混合する方法、および予め各成分を混合後、水で希釈する方法などが挙げられる。本発明においては(A)成分と(B)成分を予め混合することが好ましい。予め混合することによって(A)成分と(B)成分が強固に相互作用を形成し得る。そのようにして作成したコーティング組成物から得られる塗膜は耐水性が優れるため好ましい。さらに40℃未満で10分以上撹拌することにより、(A)成分と(B)成分が均一に分散したコーティング組成物を形成し得る。そのようにして作成したコーティング組成物から得られる塗膜は、透明性が高く外観が優れるため好ましい。
一実施形態に係る塗膜は、例えば、水等の溶媒等に分散させたコーティング組成物(「水分散体」と略記することがある)を基材上に塗工し、乾燥して形成されうる。ここでの乾燥は、室温(例えば約0℃〜45℃)にて、外部からの加熱なしに行うことができる。水分散体の粘度としては、好ましくは20℃において0.1〜100000mPa・sであり、好ましくは1〜10000mPa・sである(振動式粘度計により測定)。塗工方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、及びフレキソ印刷法等が使用可能である。なお、基材と塗膜との複合体は、例えば、塗膜を基材上で乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃での熱処理や紫外線照射等を行って形成してもよい。
一実施形態において、塗膜の乾燥後、50℃以上150℃未満の温度で10分乃至60分熱処理を行うことが、基材との密着性、耐水性、擦過性の観点で好ましい。この熱処理の温度は、塗膜の硬化速度、密着性の観点からは60℃以上がより好ましい。この熱処理の温度は、生産性、適用可能な基材種の観点からは130℃以下が好ましく、120℃以下がさらに好ましい。
なお、各種物性は下記の方法で評価した。
コーティング組成物を試料として、固形分濃度の変化前後において、振動式粘度計CJV5000(AND株式会社製)を用いて、液温25℃におけるコーティング組成物の粘度(cp)を測定した。コーティング組成物の初期固形分濃度(C0)2.5質量%のときの粘度(V0)、コーティング組成物の溶媒を揮発させ、固形分濃度(C1)5質量%としたときの粘度(V1)とし、下記から特定変化量(Y/X)を算出した。
特定変化量=[{log(V1)×100/log(V0)}−100]/(C1−C0)… (1)
式(1)中、C0は、変化前のコーティング組成物の総量に対する、変化前の固形分濃度(質量%)を表し、C1は、変化後のコーティング組成物の総量に対する、変化後の固形分濃度(質量%)を表す。また、V0は、変化前のコーティング組成物の粘度(cp)を表し、V1は、変化後のコーティング組成物の粘度(cp)を表す。
試料中の固形分含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日本国日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
塗膜に脱イオン水の水滴を乗せ、23℃で10秒間放置した後、接触角測定装置(日本国協和界面科学製 CA−X150型接触角計)を用いて測定した。
濁度計(日本電色工業製、NDH2000)を用い、JIS K7105に準じて、試料のHAZE値を測定した。
反射分光膜厚計(大塚電子製、商品名「FE−3000」)を用い測定した。
無作為に選択した3点の測定値の平均を算出し、膜厚とした。
500MHz−NMR分光器(日本電子(株)製 JEOL−ECZ500+Super Cool)を用いて重ジメチルスルホキシド溶媒で1H−NMRを測定した。
親水性化合物(B)の水酸基に隣接した炭素原子に結合したプロトンのピークを基準とし、シランカップリング剤との反応後の上記ピークの減少率を、(B)の水酸基に対するシランカップリング剤の導入率とした。
得られた塗膜の外観を、目視で観察した。その結果を以下のように評価した。
〇(良好):透明である。
△(概ね良好):一部白濁している。
×(不良):全体的に白濁している。
得られた塗膜について、JIS−K5600−5−6に準拠した方法で1mm角100マスの碁盤目試験で下記のように評価した。
○(良好):剥離がない。
△(中程度):剥離したマス数の割合が50%未満である。
×(不良):剥離したマス数の割合が50%以上である。
80℃に保った温水浴の水面から5cmの高さのところに、得られた塗膜の試験片を塗膜面が下になるように設置し、温水浴からの蒸気を塗膜に連続照射し、照射から30秒後の曇りの有無を目視によって下記のように評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましい。
○(良好):全く曇らない。
△(中程度):蒸気照射直後にわずかに曇る。
×(不良):曇る。
作製した塗膜を50℃95%RHの環境下に240時間曝露後、23℃50%RHの環境下に1時間静置させた。得られた防曇塗膜に関して、防曇性を評価した。これらの評価は、高温多湿環境下での塗膜の防曇性の持続性を示す。
なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましい。
○(良好):全く曇らない。
△(中程度):蒸気照射直後にわずかに曇る。
×(不良):曇る。
基材上に作製した塗膜表面に、23℃50%RHの環境下で、80℃温水の蒸気を水面から5cmの距離で50cm2の範囲に10秒間当てた。その後塗膜を垂直に立て、室温で乾燥させた。上記操作を計100回繰り返した後、目視により外観を観察し、水滴痕を評価した。
水滴痕発生の抑制効果を下記の基準にて評価した。なお、評価が△以上であれば実用上問題なく、○であればより好ましく、◎であればさらに好ましい。
◎(非常に良好):外観変化が全くない。
○(良好) :干渉色の変化がわずかに見える。
△(中程度) :水滴痕(白色の垂れ跡)がわずかに見える。
×(不良) :水滴痕(白色の垂れ跡)が多く見える。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水964g、及びドデシルベンゼンスルホン酸1.9gを投入した後、撹拌下で温度を80℃に加熱した。これに、プロピルトリメトキシシラン46g、及びメチルトリメトキシシラン54gの混合液を反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて滴下し、その後、反応容器中の温度が80℃の状態で約1時間撹拌を続行した。次に、アクリル酸ブチル5.5g、フェニルトリメトキシシラン2.8g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5g、及びテトラエトキシシラン16.8gの混合液と、N,N−ジエチルアクリルアミド11.5g、アクリル酸0.9g、及び過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液40gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約2時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で固形分を6.0質量%に調整し、数平均粒子径40nmの金属酸化物(A)−1水分散体を得た。
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル4,000(東京化成工業(株)製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業(株)製)6.2gをそれぞれ投入した後、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。その後ジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)0.11gを添加し、反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−1を得た。
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル400(東京化成工業(株)製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業(株)製)61.9gをそれぞれ投入した後、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。反応容器中の温度が80℃の状態で約8時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−2を得た。
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ポリエチレングリコール2,000(東京化成工業(株)製、固形分100質量%)100g、KBE−9007(信越化学工業(株)製)14.8gをそれぞれ投入した後、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱した。その後ジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)0.11gを添加し、反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−3を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は55%であった。
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ポリソルベート(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、商品名「Tween−20」、東京化成工業(株)製、固形分100質量%)100gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱し4時間攪拌した。その後KBE−9007(信越化学工業(株)製)40.5gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら反応容器中の温度が80℃の状態で約6時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−4を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は65%であった。
還流冷却器、滴下槽、窒素導入管、温度計、及び撹拌装置を有する反応器に、ヒドロキシエチルセルロース(東京化成工業(株)製、4,500mPa・s〜6,500mPa・s(25℃2%水溶液時))10g、脱水ジメチルスルホキシド(関東化学(株)製)490gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら80℃に加熱し1時間攪拌した。その後KBE−9007(信越化学工業(株)製)9.8g、ジブチル錫ジラウレート(東京化成工業(株)製)0.02gを投入し、窒素ガスを吹き込みながら反応容器中の温度が80℃の状態で約3時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、親水性化合物(B)−5を得た。水酸基に対するシランカップリング剤の導入率は30%であった。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水275g、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液2.50gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.65g、N,N−ジエチルアクリルアミド3.15gの混合液と、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル1.20g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、反応性乳化剤(「アクアロンKH−1025」、(株)第一工業製薬製、固形分25%水溶液)0.40g、イオン交換水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径160nmの重合体粒子(D)−1水分散体を得た。
還流冷却器、滴下槽、温度計及び撹拌装置を有する反応器に、イオン交換水275g、2質量%2、2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド水溶液2.50gの混合液を、撹拌下で温度を80℃に加温した。これに、メタクリル酸メチル1.65g、N,N−ジエチルアクリルアミド3.15gの混合液と、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル1.20g、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.50g、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩0.50g、イオン交換水25gの混合液とを、反応容器中の温度を80℃に保った状態で約1時間かけて同時に滴下した。さらに反応容器中の温度が80℃の状態で約2時間撹拌を続行した後、室温まで冷却し、100メッシュの金網で濾過した後、イオン交換水で固形分を2.0質量%に調整し、数平均粒子径124nmの重合体粒子(D)−2水分散体を得た。
金属酸化物(A)として数平均粒子径4nmの水分散コロイダルシリカ(商品名「スノーテックス−OXS」、日産化学工業(株)製、固形分10質量%)70g、親水性化合物(B)として、合成例2で合成した(B)−1(固形分98%)0.7g、蒸留水27.9g、エタノール11g、ドデシルベンゼンスルホン酸(固形分10%)0.4g、アルミニウムキレート化合物(商品名「DX9740」、信越化学(株)製、固形分100%)0.03gを混合後、室温で3時間攪拌した。その後ポリイソシアネート(A)0.7g、ジメチルスルホキシド5.0gを混合後、25℃でさらに30分攪拌し、エタノールで固形分2.5%に調整しコーティング組成物(F−1)を得た。得られたコーティング組成物(F−1)の粘度(V0)は2.9cpであった。得られたコーティング組成物(F−1)の溶媒を揮発させ、固形分濃度(C1)を5質量%にすると、粘度(V1)は11.2cpとなり、特定変化量(Y/X)は50.8となった。
得られたコーティング組成物(F−1)を縦60mm×横60mm×厚さ2mmのポリカーボネート板(タキロン社製)の全体に、スピンコーターにより500rpm×5secの条件でコーティングし、その後、120℃で10分間乾燥することにより、試験板を得た。得られた塗膜の膜厚は400nmであった。初期特性を含めた各評価結果を表1に示す。
実施例2〜16及び比較例1〜5において、表に示すとおり、原料の種類や配合量(質量部)を変えること以外は実施例1に準じた方法で塗膜を製造し、試験片を作製して塗膜性能の評価を行った。初期特性を含めた塗膜性能の評価結果を表1〜3に示す。
1)STOXS:日産化学工業(株)製、スノーテックス−OXS(コロイダルシリカ)、固形分10質量%、酸性タイプ、数平均粒子径4nm
2)STO40:日産化学工業(株)製、スノーテックス−O40(コロイダルシリカ)、固形分40%、酸性タイプ、数平均粒子径25nm
3)STOL:日産化学工業(株)製、スノーテックス−OL(コロイダルシリカ)、固形分20%、酸性タイプ、数平均粒子径45nm
4)STOUP:日産化学工業(株)製、スノーテックス−OUP(コロイダルシリカ)、固形分15%、酸性タイプ、数平均粒子径40〜70nm
5)STN:日産化学工業(株)製、スノーテックス−N(コロイダルシリカ)、固形分20%、アルカリ性タイプ、数平均粒子径12nm
6)ポリイソシアネートA:旭化成(株)製、WT30−100、固形分100質量%
7)PEG2000:東京化成工業(株)製、ポリエチレングリコール2000
Claims (19)
- 金属酸化物(A)と親水性化合物(B)を含む防曇用コーティング組成物であって、前記コーティング組成物の固形分濃度を変化させたときにおいて、下記式(1)から求められる特定変化量が、10以上100以下である、防曇用コーティング組成物。
特定変化量=[{log(V1)×100/log(V0)}−100]/(C1−C0)… (1)
(式(1)中、C0は、変化前のコーティング組成物の総量に対する、変化前の固形分濃度(質量%)を表し、C1は、変化後のコーティング組成物の総量に対する、変化後の固形分濃度(質量%)を表す。また、V0は、変化前のコーティング組成物の粘度(cp)を表し、V1は、変化後のコーティング組成物の粘度(cp)を表す。) - 上記金属酸化物(A)が、水酸基を有する、請求項1に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記金属酸化物(A)が、シリカを含む、請求項1又は2に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記金属酸化物(A)が、シリコーン粒子、及び/又はアクリルシリコーン粒子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜を製造するためのコーティング組成物。
- 上記親水性化合物(B)が、非共有結合及び/又は共有結合を介して上記金属酸化物表面に結合している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記親水性化合物(B)が、ノニオン系化合物、アニオン系化合物及び両性イオン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記親水性化合物(B)が、分子内に炭素−酸素結合を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記親水性化合物(B)が、分子内にアルキレングリコール部位を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記親水性化合物(B)が、分子内にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記親水性化合物(B)が、分子内に一級脂肪族水酸基、及びアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記親水性化合物(B)が、分子内にポリアルキレンオキシド鎖を有し、ポリアルキレンオキシド鎖の一方の末端に一級脂肪族水酸基、もう一方の末端にアルコキシシラン及び/又はシラノール基を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- イソシアネート化合物(C)をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記イソシアネート化合物(C)が、水分散性イソシアネート化合物を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記イソシアネート化合物(C)が、分子内にアルコキシシラン部位及び/又はシロキサン部位を有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 上記イソシアネート化合物(C)が、ブロックイソシアネートを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 重合体粒子(D)をさらに含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の防曇用コーティング組成物を基材に塗布、乾燥して得られる防曇塗膜。
- 自動車外装部品用塗膜として使用される、請求項17に記載の防曇塗膜。
- ランプカバー用塗膜として使用される、請求項17又は18に記載の防曇塗膜。
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