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JP2021030127A - 酢酸アリル製造用触媒の製造方法 - Google Patents

酢酸アリル製造用触媒の製造方法 Download PDF

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JP2021030127A JP2019151006A JP2019151006A JP2021030127A JP 2021030127 A JP2021030127 A JP 2021030127A JP 2019151006 A JP2019151006 A JP 2019151006A JP 2019151006 A JP2019151006 A JP 2019151006A JP 2021030127 A JP2021030127 A JP 2021030127A
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Abstract

【課題】高活性な酢酸アリル製造用触媒の提供。【解決手段】工程1〜4をこの順で含む、(a)Pd、(b)Au、(c)Cu、Ni、Zn及びCoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物、(d)アルカリ金属塩化合物及び(e)担体を含む酢酸アリル製造用触媒の製造方法。工程1.Pd、Au及びPd原子1モル当たり1.0〜17.0モル量の(f)1価陽イオンの塩化物の均一溶液を調製し、(e)担体と接触させてPd及びAuを担体上に担持させる工程。工程2.工程1で得られた担体に(g)アルカリ性液体を接触させ、含浸させる工程。工程3.工程2で得られた担体に還元処理を行う工程。工程4.工程3で得られた担体に(c)Cu、Ni、Zn及びCoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物及び(d)アルカリ金属塩化合物を担持させる工程。【選択図】図1

Description

本開示は、プロピレン、酸素及び酢酸から気相接触酸化により酢酸アリルを製造する際に用いる触媒の製造方法に関する。本発明は、特に、プロピレン、酸素及び酢酸を原料として酢酸アリルを製造する際に用いる触媒であって、触媒成分として(a)パラジウム、(b)金、(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物並びに(d)アルカリ金属塩化合物が(e)担体に担持された触媒の製造方法、その触媒、及びその触媒を用いた酢酸アリルの製造方法に関する。
酢酸アリルは、溶剤、アリルアルコールなどの製造原料などに用いられる重要な工業原料の一つである。
酢酸アリルの製造方法には、プロピレン、酢酸及び酸素を原料とし、気相反応又は液相反応を用いる方法がある。この反応に用いられる触媒としては、パラジウムを主触媒成分とし、アルカリ金属又はアルカリ土類金属化合物を助触媒として、これらを担体に担持した触媒が公知であり、広く用いられている。例えば、特開平2−91045号公報(特許文献1)には、パラジウム、酢酸カリウム、及び銅を担体に担持した触媒を用いる酢酸アリルの製造方法が記載されている。
さらに、その他の触媒成分についても検討がされており、例えば、特開昭52−153908号公報(特許文献2)には、パラジウム、酢酸カリウム、銅に加えてモリブデンを添加することによって活性低下を抑制した触媒を用いる酢酸アリルの製造方法が記載されている。
また、酢酸アリルの場合とは反応は異なるが、例えば、特表2003−525723号公報(特許文献3)には、エチレン、酸素及び酢酸を出発原料とする酢酸ビニルの製造において、第一工程でパラジウムを、第二工程で金を担持し、還元処理後、第三工程で酢酸銅(II)と酢酸カリウムを担持させることによって二酸化炭素の生成を抑制した酢酸ビニル製造用触媒の製造方法が記載されている。
なお、酢酸ビニル製造用の触媒技術の確立は古く、酢酸ビニル製造用触媒の技術を酢酸アリル製造用触媒技術へ応用展開する試みもなされてきたが、反応原料をエチレンからプロピレンに変更すると、その触媒の基本性能が著しく見劣りする結果しか得られなかったことが、「触媒」、Vol.33、No.1(1991)、28〜32頁(非特許文献1)に記載されている。
特開平2−91045号公報 特開昭52−153908号公報 特表2003−525723号公報
「触媒」、Vol.33、No.1(1991)、28〜32頁
本発明は、高活性な酢酸アリル製造用触媒を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、パラジウムを含む化合物及び金を含む化合物を担体上に担持させる工程において、塩化物を添加し、パラジウムを含む化合物及び金を含む化合物を、酸化物又は水酸化物に変換する速度を制御することにより、活性が向上した酢酸アリル製造用触媒が得られることを見出した。
即ち、本開示は、以下の[1]から[9]を包含する。
[1]
以下の工程をこの順で含む、(a)パラジウム、(b)金、(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物、(d)アルカリ金属塩化合物及び(e)担体を含む酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
工程1.パラジウムを含む化合物、金を含む化合物及びパラジウム原子1モル当たり1.0〜17.0モル量の(f)1価陽イオンの塩化物の均一溶液を調製し、(e)担体と接触させて前記パラジウムを含む化合物及び前記金を含む化合物を担体上に担持させる工程
工程2.工程1で得られた担体に(g)アルカリ性液体を接触させ、含浸させる工程
工程3.工程2で得られた担体に還元処理を行う工程
工程4.工程3で得られた担体に(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物及び(d)アルカリ金属塩化合物を担持させる工程
[2]
(f)1価陽イオンの塩化物が、アルカリ金属塩化物である、[1]に記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
[3]
(f)1価陽イオンの塩化物が、塩化ナトリウムである、[1]に記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
[4]
(c)第4周期金属化合物が、銅又は亜鉛を有する化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
[5]
(c)第4周期金属化合物が、酢酸銅である、[1]〜[3]のいずれかに記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
[6]
(d)アルカリ金属塩化合物が、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム及び酢酸セシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[5]のいずれかに記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
[7]
(b)金の量が、(a)パラジウム100質量部に対し、1.7〜14質量部である、[1]〜[6]のいずれかに記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載した方法により製造された触媒を用いることを特徴とする、プロピレン、酸素及び酢酸を原料とする酢酸アリルの製造方法。
[9]
[1]〜[7]のいずれかに記載した方法により製造された触媒であって、(a)パラジウム、(b)金、(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物、及び(d)アルカリ金属塩化合物の質量比が、(a):(b):(c):(d)=1:0.00125〜22.5:0.02〜90:0.2〜450である酢酸アリル製造用触媒。
本開示の酢酸アリル製造用触媒の製造方法によれば、触媒活性が向上した担持型触媒を得ることができる。その結果、この触媒を用いることにより、酢酸アリルの製造コストを削減でき、効率的に酢酸アリルを製造することが可能となる。
実施例1、2及び比較例1、2における、パラジウムに対する塩化ナトリウムのモル比と酢酸アリルSTYとの関係を示す図。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれらの形態のみに限定されるものではなく、その精神と実施の範囲内において様々な応用が可能であることを理解されたい。
<触媒製造工程>
一実施形態の酢酸アリル製造用触媒は、(a)パラジウム、(b)金、(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物、(d)アルカリ金属塩化合物及び(e)担体の各成分を含み、以下に示す工程をこの順で含む方法によって製造することができる。なお、必要に応じて上記成分以外の成分や下記工程以外の工程を含んでもよい。
工程1.パラジウムを含む化合物、金を含む化合物及びパラジウム原子1モル当たり1.0〜17.0モルの(f)1価陽イオンの塩化物の均一溶液を調製し、(e)担体と接触させてパラジウムを含む化合物及び金を含む化合物を担体上に担持させる工程
工程2.工程1で得られた担体に(g)アルカリ性液体を接触させ、含浸させる工程
工程3.工程2で得られた担体に還元処理を行う工程
工程4.工程3で得られた担体に(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物及び(d)アルカリ金属塩化合物を担持させる工程
以下、これらの成分及び工程について説明する。
(a)パラジウム
(a)パラジウムは、いずれの価数を持つものであってもよいが、好ましくは金属パラジウムである。本開示における「金属パラジウム」とは、0価の価数を持つものである。金属パラジウムは、通常、2価又は4価のパラジウムイオンを、還元剤であるヒドラジン、水素などを用いて還元することにより得ることができる。この場合、全てのパラジウムが金属状態になくてもよい。
パラジウムを含む化合物としては、特に制限はなく、金属パラジウム又は金属パラジウムに転化可能なパラジウム前駆体を用いることができる。本開示では、金属パラジウムとパラジウム前駆体をあわせて「パラジウム原料」と呼ぶ。パラジウム前駆体の例としては、塩化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、塩化パラジウム酸ナトリウム、塩化パラジウム酸カリウム、塩化パラジウム酸バリウム、酢酸パラジウムなどが挙げられる。好ましくは、塩化パラジウム酸ナトリウムが用いられる。パラジウム前駆体は、単独の化合物を用いてもよく、複数の種類の化合物を併用することもできる。
酢酸アリル製造用触媒中の(a)パラジウムと(e)担体との質量比は、好ましくは(a):(e)=1:10〜1:1000、より好ましくは(a):(e)=1:20〜1:500である。この比は、パラジウム元素の質量と担体の質量との比として定義される。
(b)金
(b)金は、金を含む化合物の形で担体に担持されるが、最終的には実質的にすべてが金属金であることが好ましい。本開示における「金属金」とは、0価の価数を持つものである。金属金は、通常、1価又は3価の金イオンを、還元剤であるヒドラジン、水素などを用いて還元することにより得ることができる。この場合、全ての金が金属状態になくてもよい。
金を含む化合物として、特に制限はなく、金属金又は金属金に転化可能な金前駆体を用いることができる。本開示では、金属金と金前駆体をあわせて「金原料」と呼ぶ。金前駆体の例としては、塩化金酸、塩化金酸ナトリウム、塩化金酸カリウムなどが挙げられる。好ましくは、塩化金酸又は塩化金酸ナトリウムが用いられる。金前駆体は、単独の化合物を用いてもよく、複数の種類の化合物を併用することもできる。
酢酸アリル製造用触媒中の(b)金と(e)担体との質量比は、好ましくは(b):(e)=1:40〜1:65000、より好ましくは(b):(e)=1:550〜1:32000、さらに好ましくは(b):(e)=1:750〜1:10000である。この比は、金元素の質量と担体の質量との比として定義される。
酢酸アリル製造用触媒中の(b)金の量は、パラジウム100質量部に対し、好ましくは1.7〜14質量部であり、より好ましくは2〜12質量部であり、さらに好ましくは2〜3.5質量部である。金及びパラジウムの質量部はそれぞれの元素の質量に基づく。このような金の量にすることで、酢酸アリル生成反応における触媒の活性維持と、酢酸アリル選択率とをバランス良く得ることができる。
(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物(単に「(c)第4周期金属化合物」と記すことがある。)
(c)第4周期金属化合物としては、銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物などの可溶性塩を使用することができる。触媒活性をより高めることができることから、(c)第4周期金属化合物は銅又は亜鉛を有する化合物であることが好ましい。有機酸塩としては酢酸塩などが挙げられる。一般には、入手しやすく、水溶性である化合物が好ましい。好ましい化合物としては、硝酸銅、酢酸銅、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸コバルト、酢酸コバルトなどが挙げられる。これらの中では、原料の安定性、入手のしやすさの観点から、酢酸銅が最も好ましい。(c)第4周期金属化合物は、単独の化合物を用いてもよく、複数の種類の化合物を併用することもできる。
酢酸アリル製造用触媒中の(c)第4周期金属化合物と(e)担体との質量比は、好ましくは(c):(e)=1:10〜1:500、より好ましくは(c):(e)=1:20〜1:400である。この比は、銅、ニッケル、亜鉛及びコバルト元素の合計質量と担体の質量との比として定義される。
(d)アルカリ金属塩化合物
(d)アルカリ金属塩化合物としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの水酸化物、酢酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩などを使用することができる。酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、及び酢酸セシウムが好ましく、酢酸カリウム、及び酢酸セシウムがより好ましい。アルカリ金属塩化合物は、単独の化合物を用いてもよく、複数の種類の化合物を併用することもできる。
酢酸アリル製造用触媒中の(d)アルカリ金属塩化合物と(e)担体の質量比は、好ましくは(d):(e)=1:2〜1:50、より好ましくは(d):(e)=1:3〜1:40である。この比は、アルカリ金属塩化合物の質量と担体の質量との比として定義される。
(e)担体
(e)担体として、特に制限はなく、触媒用担体として一般に用いられている多孔質物質を使用することができる。好ましい担体の例としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、珪藻土、モンモリロナイト、チタニア及びジルコニアが挙げられる。シリカを用いることがより好ましい。担体としてシリカを主成分として含むものを用いる場合には、担体のシリカ含有量は、担体の質量に対して、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは少なくとも90質量%である。
担体は、BET法で測定した比表面積が10〜1000m/gの範囲であることが好ましく、100〜500m/gの範囲であることが特に好ましい。担体の嵩密度は、50〜1000g/Lの範囲であることが好ましく、300〜500g/Lの範囲であることが特に好ましい。担体の吸水率は、0.05〜3g−水/g−担体であることが好ましく、0.1〜2g−水/g−担体の範囲であることが特に好ましい。担体の細孔構造については、その平均細孔直径が1〜1000nmの範囲であることが好ましく、2〜800nmの範囲であることが特に好ましい。平均細孔直径が1nm以上であるとガスの拡散を容易にすることができる。一方、細孔直径が1000nm以下であると、触媒活性を得るために必要な担体の比表面積を確保することができる。
本開示における担体の吸水率は、以下の手順に従って測定した数値をいう。
1.担体約5gを天秤で精秤し、100mLのビーカーに入れる。このときの質量をwとする。
2.担体が完全に覆われるように、純水(イオン交換水)約15mLをビーカーに加える。
3.30分間放置する。
4.担体から上澄みの純水を除く。
5.担体の表面に付着した水を、表面の光沢がなくなるまで、紙タオル等で軽く押さえて除去する。
6.担体及び純水の合計質量を精秤する。このときの質量をwとする。
7.以下の式から担体の吸水率を算出する。
吸水率(g−水/g−担体)=(w−w)/w
したがって、担体の吸水量(g)は担体の吸水率(g−水/g−担体)×使用する担体の質量(g)により計算される。
担体の形状には特に制限はない。具体的には、粉末状、球状、ペレット状などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。用いられる反応形式、反応器などに対応させて、最適な形状を選択することができる。
担体の細孔径分布の測定には、水銀圧入法とガス吸着法(BJH法)が広く利用されている。IUPAC(国際純正・応用化学連合)の細孔の分類で見ると、水銀圧入法では50nm以上のマクロ細孔及び2nm〜50nm未満のメソ細孔の一部が、ガス吸着法ではメソ細孔と2nm以下のミクロ細孔を測定することができる。細孔径のサイズに応じて適切な方法を選択すればよい。
担体の粒子の大きさにも特に制限はない。担体が球状である場合、その粒子直径は1〜10mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜8mmの範囲である。管型反応器に触媒を充填して気相反応を行う場合、粒子直径が1mm以上であると、ガスを流通させるときの圧力損失の過度の増大を防止して、有効にガス循環を行うことができる。一方、粒子直径が10mm以下であると、触媒内部まで反応ガスを拡散させることが容易となり、有効に触媒反応を進行させることができる。
(f)1価陽イオンの塩化物
(f)1価陽イオンの塩化物としてはアルカリ金属の塩化物が好ましい。即ち、1価陽イオンの塩化物として、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの塩化物などを使用することができる。なかでも塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウムが好ましく、より好ましくは塩化ナトリウムである。1価陽イオンの塩化物は、単独の化合物を用いてもよく、複数の種類の化合物を併用することもできる。1価陽イオンの塩化物を使用することで、溶液中の塩化物イオン濃度を変化させ、工程2におけるパラジウム化合物及び金化合物の、酸化物又は水酸化物への変換速度を制御することができる。
工程1における(f)1価陽イオンの塩化物の使用量は、(a)パラジウム原子1モルに対して1.0〜17モルであり、好ましくは、2.0〜15.0モルである。この比は、使用する1価陽イオンの塩化物の物質量とパラジウムの物質量との仕込み比で算出する。1価陽イオンの塩化物の使用量を上記範囲とすることにより、高い活性を有する酢酸アリル製造用触媒を得ることができる。
(g)アルカリ性液体
工程2において用いる(g)アルカリ性液体としては特に制限はなく、いかなるアルカリ性の液体でも用いることができる。(g)アルカリ性液体はそれ自体がアルカリ性の液体であってもよく、アルカリ性物質の溶液であってもよい。アルカリ性液体の原料となるアルカリ性物質としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の重炭酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のケイ酸塩などが挙げられる。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、及びカリウムが好ましく、アルカリ土類金属としてはバリウム及びストロンチウムが好ましい。特に好ましいアルカリ性化合物としては、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。アルカリ性液体との接触により、パラジウム化合物の一部又は全部、金化合物の一部又は全部を酸化物又は水酸化物に変換することができる。
アルカリ性物質は、適切には、(a)パラジウム及び(b)金の合計に対してモル当量で過剰に使用する。例えば、使用されるアルカリ性化合物の量は、(a)パラジウム原子1モル当たり好ましくは1〜3モル、より好ましくは1.2〜2.5モルと、(b)金原子1モル当たり好ましくは2〜10モル、より好ましくは3〜8モルとの合計に相当する。
アルカリ性液体の形成に使用する溶媒としては、特に制限はなく、水、メタノール、エタノールなどが好ましい例として挙げられる。工程1で用いた溶媒と同一のものが好ましい。
次に各工程について説明する。
工程1
本工程では、パラジウム原料(金属パラジウム又はその前駆体)、金原料(金属金又はその前駆体)及び1価陽イオンの塩化物を含む均一溶液を調製し、得られた均一溶液を担体に接触させてこれらの原料の担持を行う。これらの原料の担体への担持状態としては、いわゆる「エッグシェル型」であることが好ましい。この場合、パラジウム原料及び金原料を含む均一溶液の担体への担持方法としては、結果的にエッグシェル型担持触媒が得られる方法であれば特に制限はない。エッグシェル型担持触媒とは、担体粒子又は成形体における活性成分(例えば、金属パラジウム)の分布状態に関して、ほとんどの活性成分が担体粒子又は成形体の外表面に存在する担持触媒のことをいう。エッグシェル型担持触媒の製造方法としては、具体的には、水、アセトンなどの適当な溶媒、又は塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸若しくは有機酸若しくはそれらの溶液に原料を溶解させ、担体の表層に直接的に又は間接的に担持させる方法などが挙げられる。直接的に担持させる方法としては、含浸法及びスプレー法を挙げることができる。間接的に担持させる方法としては、後述のように、先にパラジウム原料、金原料及び1価陽イオンの塩化物を含む均一溶液を担体に接触させてこれらの原料を担体上に担持させ(工程1)、次いで(g)アルカリ性液体との接触含浸(工程2)によって内部のパラジウム原料と金原料を表面に移動させた後、還元処理を行う(工程3)方法などを挙げることができる。
パラジウム原料及び金原料の担体への担持は、パラジウム原料、金原料及び1価陽イオンの塩化物を含む均一溶液を調製し、その溶液を適切な量の担体に接触含浸させることにより行うことができる。より具体的には、水、アセトンなどの適当な溶剤、又は塩酸、硝酸、酢酸などの無機酸若しくは有機酸若しくはそれらの溶液にパラジウム原料、金原料及び1価の陽イオンの塩化物を溶解させて均一溶液を調製し、得られた均一溶液を担体に接触させ、担体(A)を得る。含浸に続いて乾燥を行ってもよいが、乾燥工程を省略して工程2へ進む方が効率的であるため好ましい。
工程2
本工程は、工程1で得られた担体(A)に(g)アルカリ性液体を接触含浸させ、含浸担体(B)を得る工程である。工程2の(g)アルカリ性液体で用いるアルカリ性物質は、そのもの自体が液体であればそのまま使用することもできるが、溶液の形態で供給されることが好ましい。アルカリ性液体は、水若しくはアルコール又は水とアルコールの混合溶媒の溶液であることが好ましい。担体(A)とアルカリ性液体との接触条件には特に制限はないが、接触時間は0.5〜100時間の範囲が好ましく、3〜50時間の範囲がより好ましい。0.5時間以上であると十分な性能を得ることができ、一方で100時間以下であると担体の不要な損傷を防止することができる。
接触温度には特に制限はないが、10〜80℃の範囲が好ましく、20〜60℃の範囲がより好ましい。10℃以上で接触を行うと、十分な変換速度を得ることができる。一方、80℃以下で接触を行うと、パラジウム又は金の凝集を抑制することができる。
工程3
本工程は、工程2で得られた含浸担体(B)に還元処理を行う工程である。還元方法としては、液相還元及び気相還元のどちらを用いることもできる。本工程で得られる金属担持担体を金属担持担体(C)とする。
液相還元は、アルコール又は炭化水素を用いた非水系又は水系のいずれで行うこともできる。還元剤としては、カルボン酸及びその塩、アルデヒド、過酸化水素、糖類、多価フェノール、ホウ素化合物、アミン、ヒドラジンなどを用いることができる。カルボン酸及びその塩の例としては、シュウ酸、シュウ酸カリウム、ギ酸、ギ酸カリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウムなどが挙げられる。アルデヒドの例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどが挙げられる。糖類としては、グルコースなどが挙げられる。多価フェノールの例としては、ヒドロキノンなどが挙げられる。ホウ素化合物の例としては、ジボラン、水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。これらの中でも、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ヒドロキノン、水素化ホウ素ナトリウム、又はクエン酸カリウムを用いることが好ましく、ヒドラジンを用いることがより好ましい。
液相還元を行う場合、その温度に特に制限はないが、液相温度を0〜200℃の範囲とすることが好ましく、10〜100℃の範囲とすることがより好ましい。0℃以上であると、十分な還元速度を得ることができる。一方、200℃以下であると、パラジウム又は金の凝集を抑制することができる。還元時間に特に制限はないが、還元時間は0.5〜24時間の範囲が好ましく、1〜10時間の範囲がより好ましい。0.5時間以上であると、十分に還元を進行させることができる。一方、24時間以下であると、パラジウム又は金の凝集を抑制することができる。
気相還元に用いる還元剤は、例えば、水素ガス、一酸化炭素、アルコール、アルデヒド、エチレン、プロピレン、イソブテンなどのオレフィンなどから選択される。還元剤として水素ガス又はプロピレンを用いることが好ましい。
気相還元を行う場合、その温度に特に制限はないが、含浸担体(B)を30〜350℃の範囲に加熱することが好ましく、100〜300℃の範囲に加熱することがより好ましい。30℃以上であると、十分な還元速度を得ることができる。一方、300℃以下であると、パラジウム又は金の凝集を抑制することができる。還元時間に特に制限はないが、還元時間は0.5〜24時間の範囲が好ましく、1〜10時間の範囲がより好ましい。0.5時間以上であると、十分に還元を進行させることができる。一方、24時間以下であると、パラジウム又は金の凝集を抑制することができる。
気相還元の処理圧力は、特に制限はないが、設備の観点から0.0〜3.0MPaG(ゲージ圧)の範囲であることが好ましく、0.1〜1.0MPaG(ゲージ圧)の範囲であることがより好ましい。
気相還元を行う場合の還元剤の供給速度は、標準状態において、空間速度(以下、SVと記す。)10〜15000hr−1の範囲であることが好ましく、100〜8000hr−1の範囲で行われることが特に好ましい。
気相還元は、様々な還元性物質濃度で行うことができ、必要に応じて希釈剤として、不活性ガスを加えてもよい。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素ガスなどが挙げられる。気化させた水の存在下に水素、プロピレンなどを存在させて還元を行ってもよい。
還元された担体は、水による洗浄を行うことが好ましい。この操作により、工程1で使用し、不要となった(f)1価陽イオンの塩化物も除去することができる。洗浄は、流通方式で行ってよく、バッチ方式で行ってもよい。洗浄温度は、5〜200℃の範囲が好ましく、15〜80℃の範囲がより好ましい。洗浄時間には特に制限はない。残存する好ましくない不純物の除去を行うのに十分な条件を選択することが好ましい。洗浄後必要に応じて加熱乾燥してもよい。
工程4
本工程は、工程3で得られた金属担持担体(C)に、(c)第4周期金属化合物及び(d)アルカリ金属塩化合物を担持させる工程である。
金属担持担体(C)に、(c)第4周期金属化合物及び(d)アルカリ金属塩化合物の必要量を含み、担体吸水量の0.9〜1.0倍の質量の溶液を接触させて含浸させ、乾燥することにより各化合物を担持させる。このときの溶媒には特に制限はない。使用するアルカリ金属塩化合物を担体吸水量の0.9〜1.0倍の質量の溶液に溶解することができる様々な溶媒を使用することができる。溶剤は好ましくは水である。アルカリ金属塩化合物の担持量はこの溶液の濃度を変えて調節することができる。乾燥温度、時間には特に制限はない。
<触媒成分組成>
酢酸アリル製造用触媒における(a)パラジウム、(b)金、(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物及び(d)アルカリ金属塩化合物の質量比は、好ましくは(a):(b):(c):(d)=1:0.00125〜22.5:0.02〜90:0.2〜450であり、より好ましくは(a):(b):(c):(d)=1:0.0025〜0.14:0.04〜50:0.4〜250であり、特に好ましくは(a):(b):(c):(d)=1:0.008〜0.1:0.04〜50:0.4〜250である。(a)、(b)及び(c)については成分元素の質量、(d)についてはアルカリ金属塩化合物の質量に基づく。
酢酸アリル製造用触媒に含まれる金属元素の担持量及び組成比は、高周波誘導結合プラズマ発光分析装置(以下、「ICP」と略記する。)、蛍光X線分析(以下、「XRF」と略記する。)、原子吸光分析法などの化学分析により測定することができる。
測定法の例としては、所定量の触媒を、乳鉢等で粉砕し均一な粉末とした後、その粉末状触媒をフッ酸、王水等の酸に加えて加熱攪拌し、溶解させて均一な溶液とする。次に、その溶液を純水によって適当な濃度まで希釈し、その溶液をICPによって定量分析を行う方法が挙げられる。
<酢酸アリルの製造>
酢酸アリルを製造するための反応は、プロピレン、酸素及び酢酸を原料とし、気相で行うことが好ましい。気相反応の形式としては、特に制限はなく、公知の方法、例えば、固定床、流動床などの形式を取ることができる。好ましくは、耐食性を有する反応管に前述の触媒を充填した固定床流通反応を採用することが実用上有利である。反応式は次式のとおりである。
CH=CHCH+CHCOOH+1/2O
CH=CHCHOCOCH+H
原料ガスはプロピレン、酸素ガス及び酢酸を含み、さらに必要に応じて窒素ガス、二酸化炭素、希ガスなどを希釈剤として使用することができる。
原料ガスは、モル比として、酢酸:プロピレン:酸素=1:1〜12:0.5〜2の範囲の組成を有することが好ましい。
酢酸アリルを製造するための反応においては、水を反応系内に存在させると、触媒の酢酸アリル生成活性及びその維持に著しく効果がある。水蒸気は、反応に供給するガス中に0.5〜25容量%の範囲で存在させることが好適である。
反応に供給するガスにおいて、プロピレンは高純度のものを用いることが好ましいが、メタン、エタン、プロパンなどの低級飽和炭化水素が混入していてもよい。酸素ガスは窒素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスで希釈されたもの、例えば、空気の形でも供給できるが、反応ガスを循環させる場合には、一般には高濃度、好適には99容量%以上の酸素を用いるのが有利である。
反応温度には特に制限はない。好ましくは100〜300℃の範囲であり、さらに好ましくは120〜250℃の範囲である。反応圧力は、設備の点から0.0〜3.0MPaG(ゲージ圧)の範囲であることが実用上有利であるが、特に制限はない。より好ましくは、0.1〜1.5MPaG(ゲージ圧)の範囲である。
固定床流通反応で反応を行う場合、原料ガスは、標準状態においてSV=10〜15000hr−1の範囲で触媒に供給されることが好ましく、300〜8000hr−1の範囲で触媒に供給されることが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの記載により何らの限定もされるものではない。
<実施例1 触媒Aの製造>
シリカ球状担体(球体直径5mm、比表面積155m/g、平均細孔直径24nm、吸水率0.85g−水/g−担体、上海海源化工科技有限公司製HSV−D、以下単に「シリカ担体」という。)を用い、以下の手順で製造を行った。
工程1:パラジウム元素の量が19.79質量%となるように調整した塩化パラジウム酸ナトリウム水溶液30.3g、金元素の量が10質量%となるように調整した塩化金酸水溶液1.50g、塩化ナトリウム9.89gを混合し、メスシリンダー中、純水で382mLとなるように希釈し、A−1溶液とした。これにシリカ担体(嵩密度473g/L、吸水量402g/L)1Lを加え、A−1溶液を含浸させて、全量を吸収させた。
工程2:メタケイ酸ナトリウム九水和物35.6gに純水を加えて溶解させ、メスシリンダー中、純水で803mLとなるように希釈し、A−2溶液とした。工程1で得た金属担持担体(A−1)にA−2溶液を含浸させ、室温(23℃)で20時間静置した。
工程3:工程2で得られたアルカリ処理シリカ担体(A−2)のスラリーにヒドラジン一水和物26.6gを添加し、緩やかに攪拌した後、室温(23℃)で4時間静置した。得られた触媒を濾過後、ストップコック付のガラスカラムに移し、40時間純水を流通させて洗浄した。次いで、空気気流下に、110℃で4時間乾燥を行い、金属担持触媒(A−3)を得た。
工程4:酢酸カリウム52g、酢酸銅一水和物7.5gに純水を加えて溶解させ、メスシリンダー中、純水で361mLとなるように希釈した。これに工程3で得られた金属担持触媒(A−3)を加え、全量を吸収させた。次いで、空気気流下に、110℃で4時間乾燥を行い、酢酸アリル製造用触媒Aを得た。
<実施例2 触媒Bの製造>
塩化ナトリウムの量を9.89gから39.54gに変更した以外は実施例1の操作を繰り返して、触媒Bの製造を行った。
<比較例1 触媒Cの製造>
塩化ナトリウムを添加せずに、実施例1の操作を繰り返して、触媒Cの製造を行った。
<比較例2 触媒Dの製造>
塩化ナトリウムの量を9.89gから79.12gに変更した以外は実施例1の操作を繰り返して、触媒Dの製造を行った。
<実施例1、2及び比較例1、2 触媒A〜Dの性能評価>
実施例1、2及び比較例1、2で得た触媒A〜Dのそれぞれ10.5mLを31.5mLのセラミックボールで均一に希釈した後、反応管(SUS316L製、内径25mm)に充填した。反応温度150℃、及び反応圧力0.75MPaG(ゲージ圧)の条件下、ガス組成がプロピレン:酸素:酢酸:水=35:6:8:23(容積比)である混合ガスを、空間速度2070h−1にて導入して、プロピレン、酸素及び酢酸から酢酸アリルを製造した。反応生成物の分析は反応開始から200時間経過後に行った。
反応生成物の分析方法として、触媒充填層を通過した出口ガスの全量を冷却し、凝縮した反応液の全量を回収し、ガスクロマトグラフィーで分析する方法を用いた。未凝縮ガスについては、サンプリング時間内に流出した未凝縮ガスの全量を測定し、その一部を取り出し、ガスクロマトグラフィーで分析を行った。
凝縮した反応液の分析は、株式会社島津製作所製GC−14Bを用い、FID検出器、キャピラリーカラムTC−WAX(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)にて内部標準法にて分析を行った。
未凝縮ガスの分析は、株式会社島津製作所製GC−14B(島津ガスクロマトグラフ用ガスサンプラーMGS−4、計量管1mL付)を用い、TCD検出器(Heキャリアガス、電流値100mA)、パックドカラムMS−5A IS(3mmφ×3m、60/80メッシュ)及びUnibeads(3mmφ×3m、60/80メッシュ)を用い、絶対検量線法を用いて分析を行った。
触媒の活性度を、触媒体積(L)当たり1時間で製造された酢酸アリルの質量(空間時間収率:STY、単位:g/L−cat・hr)として計算した。
酢酸アリルの選択率は、以下の算出式によって求めた。
酢酸アリル選択率(プロピレン基準)(%)=[酢酸アリル生成量(mol)/消費プロピレン量(mol)]×100
実施例1、2及び比較例1、2の結果を表1に示す。表1から、実施例1、2の触媒A、Bは、比較例1、2の触媒C、Dより活性が高く、優れた触媒であるといえる。
Figure 2021030127
触媒活性が向上した酢酸アリル製造用触媒の製造方法を提供する本発明は、酢酸アリルの効率的な製造に利用できるため、産業上有用である。

Claims (9)

  1. 以下の工程をこの順で含む、(a)パラジウム、(b)金、(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物、(d)アルカリ金属塩化合物及び(e)担体を含む酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
    工程1.パラジウムを含む化合物、金を含む化合物及びパラジウム原子1モル当たり1.0〜17.0モル量の(f)1価陽イオンの塩化物の均一溶液を調製し、(e)担体と接触させて前記パラジウムを含む化合物及び前記金を含む化合物を担体上に担持させる工程
    工程2.工程1で得られた担体に(g)アルカリ性液体を接触させ、含浸させる工程
    工程3.工程2で得られた担体に還元処理を行う工程
    工程4.工程3で得られた担体に(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物及び(d)アルカリ金属塩化合物を担持させる工程
  2. (f)1価陽イオンの塩化物が、アルカリ金属塩化物である、請求項1に記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
  3. (f)1価陽イオンの塩化物が、塩化ナトリウムである、請求項1に記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
  4. (c)第4周期金属化合物が、銅又は亜鉛を有する化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
  5. (c)第4周期金属化合物が、酢酸銅である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
  6. (d)アルカリ金属塩化合物が、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム及び酢酸セシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
  7. (b)金の量が、(a)パラジウム100質量部に対し、1.7〜14質量部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の酢酸アリル製造用触媒の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載した方法により製造された触媒を用いることを特徴とする、プロピレン、酸素及び酢酸を原料とする酢酸アリルの製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載した方法により製造された触媒であって、(a)パラジウム、(b)金、(c)銅、ニッケル、亜鉛及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する第4周期金属化合物、及び(d)アルカリ金属塩化合物の質量比が、(a):(b):(c):(d)=1:0.00125〜22.5:0.02〜90:0.2〜450である酢酸アリル製造用触媒。
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