JP2021021329A - 流路構造及び圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮機内の部材に対する加工コストを抑制し、絞り部を有した流路構造を提供すると共にこの流路構造を有した圧縮機を提供する。【解決手段】圧縮機100内の第1室としての拡径部101dの冷媒(流体)を第2室としての吸入室141へ導くと共に絞り部Thを有した流路構造Zが提供される。流路構造Zは、拡径部101dと吸入室141との間の隔壁部160を貫通する貫通孔160aと、貫通孔160aに圧入されるスプリングピン1と、を含む。絞り部Thは貫通孔160aに圧入されたスプリングピン1内に形成されている。絞り部Thを有した流路構造Zを含む圧縮機100が提供される。【選択図】図3
Description
本発明は、絞り部を有した流路構造、及び、この流路構造を含む圧縮機に関する。
特許文献1は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機を開示している。この圧縮機は、吸入室と吐出室とクランク室が形成されたハウジングと、ハウジングに回転可能に支持されると共にクランク室を横断するシャフトとを有している。クランク室にはシャフトと一体に回転すると共に傾動可能な斜板が収容されている。この圧縮機内にはクランク室と吸入室とを連通する抽気通路が形成されている。抽気通路の一部は小径のオリフィス孔により構成されている。つまり、この圧縮機は、絞り部を有した流路構造を有している。このような流路構造を有する圧縮機は、特許文献2にも開示されている。特許文献2に開示された圧縮機は冷媒の吐出容量を制御する制御弁を有している。この制御弁内には、吐出室側の圧力領域とクランク室側の圧力領域とを連通する流路の一部を構成する流路が形成され、この流路の一部が小径の貫通孔(オリフィス孔)により構成されている。
しかしながら、特許文献1の圧縮機では、絞り部は、クランク室と吸入室との間に介在する部材に、小径の孔であるオリフィス孔をあけることにより形成されている。そして、特許文献2の圧縮機においても、絞り部は、制御弁内における吐出室側の圧力領域とクランク室側の圧力領域との間に介在する部材に、小径の孔である貫通孔をあけることにより形成されている。つまり、これらの圧縮機では、圧縮機内の部材に小径の孔加工を施し、この小径の孔自体によって絞り部が形成されていた。このような小径の孔加工には、時間を要すると共に特殊な工具や設備が必要であり、加工コストの増大を招き得る。
そこで、本発明は、圧縮機内の部材に対する加工コストを抑制しつつ、絞り部を有した流路構造を提供すること、及び、流路構造を有した圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、圧縮機内の第1室の流体を第2室へ導くと共に絞り部を有した流路構造が提供される。この流路構造は、貫通孔とスプリングピンとを含む。貫通孔は、第1室と第2室との間の隔壁部を貫通している。スプリングピンは貫通孔に圧入される。絞り部は貫通孔に圧入されたスプリングピン内に形成されている。また、本発明の他の側面によると、上記一側面による流路構造を含む圧縮機が提供される。
本発明の一側面によれば、圧縮機内の第1室と第2室との間の隔壁部を貫通した貫通孔にスプリングピンが圧入され、流路構造の絞り部は貫通孔に圧入されたスプリングピン内に形成されている。スプリングピンは概ねその径方向に弾性変形自在であることが一般に知られている。このスプリングピンが貫通孔に圧入されると、スプリングピンは概ね貫通孔の孔径に応じた寸法まで縮径するように弾性変形する。この弾性変形したスプリングピンは貫通孔の内周面を押圧する押圧力を径方向の外側に向けて発生させており、この押圧力によって、スプリングピンが貫通孔の内周面に支持される。そして、貫通孔に圧入されたスプリングピンの内径は貫通孔の孔径より小さいため、少なくともスプリングピンの内周面で囲まれた領域に断面積の小さい流路が形成される。換言すると、スプリングピンが貫通孔に圧入されることによって貫通孔の孔径より小さい径の(詳しくは貫通孔の断面積より小さな通路断面積を有する)絞り部が構成(形成)されている。したがって、圧縮機内の部材である隔壁部を貫通する貫通孔の孔径が絞り部の径より大きくなることで、孔加工が容易になる。そして、貫通孔の孔加工における孔径の加工公差が多少粗い場合でも、スプリングピンが貫通孔に圧入されるだけで、スプリングピン自身の径方向外側に向かう押圧力(弾性力)によって、スプリングピンが貫通孔の内周面に支持されるので絞り部を容易に構成することができる。その結果、圧縮機内の部材である隔壁部に対する加工コストが抑制される。本発明の他の側面によれば、絞り部の形成のための隔壁部の加工コストが抑制される。
このようにして、圧縮機内の部材に対する加工コストを抑制しつつ、絞り部を有した流路構造を提供できると共にこの流路構造を有した圧縮機を提供できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の実施形態に係る流路構造を含む圧縮機100の断面図である。圧縮機100は、いわゆる斜板式の可変容量圧縮機であり、主に車両用エアコンシステムの冷媒回路に組み込まれ、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
図1は本発明の実施形態に係る流路構造を含む圧縮機100の断面図である。圧縮機100は、いわゆる斜板式の可変容量圧縮機であり、主に車両用エアコンシステムの冷媒回路に組み込まれ、吸入した冷媒を圧縮して吐出する。
圧縮機100は、複数のシリンダボア101aが形成されたシリンダブロック101と、シリンダブロック101の一端にセンターガスケット102aを介して設けられたフロントハウジング102と、シリンダブロック101の他端にバルブプレート103を介して設けられたシリンダヘッド104とを含む。シリンダブロック101とフロントハウジング102とによりクランク室140が形成されており、駆動軸110がクランク室140内を横断するように設けられている。フロントハウジング102、センターガスケット102a、シリンダブロック101、シリンダガスケット152、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151、ヘッドガスケット153、シリンダヘッド104が順次接続され、これらの部材が複数の通しボルト105により締結されることによって、圧縮機の本体が形成される。
駆動軸110の軸方向の中間部の周囲には、斜板111が配置されている。斜板111は駆動軸110に固定されたロータ112にリンク機構120を介して連結される。斜板111の駆動軸110の軸線に対する角度(斜板111の傾角)は所定の傾角範囲内で変更可能に構成されている。駆動軸110が回転していないとき、斜板111は、傾角増大バネ113の付勢力と傾角減少バネ114の付勢力とがバランスする傾角に位置決めされる。駆動軸110の一端には、図示省略の動力伝達装置が連結されている。駆動軸110とボス部102bとの間には軸封装置130が設けられている。駆動軸110は外部駆動源からの動力が前述の動力伝達装置に伝達されることにより回転する。
各シリンダボア101a内には、ピストン121が配置されている。ピストン121のクランク室140内に突出する突出部には、斜板111の外周部が収容されており、斜板111は一対のシュー122を介してピストン121と連動するように構成されている。そして、駆動軸110の回転に伴う斜板111の回転によって、ピストン121がシリンダボア101a内を往復動する。
シリンダヘッド104には、中央部に配置された吸入室141と、吸入室141を環状に取り囲む吐出室142とが区画形成されている。吸入室141とシリンダボア101aは、バルブプレート103に形成された連通孔103a及び吸入弁形成板150に形成された吸入弁(図示省略)を介して連通している。シリンダボア101aと吐出室142は、バルブプレート103に形成された連通孔103b及び吐出弁形成板151に形成された吐出弁(図示省略)を介して連通している。吸入室141は、シリンダヘッド104に形成された吸入ポート104a及び連通路104bで構成される吸入通路を介してエアコンシステムの冷媒回路(の低圧側)に接続されている。シリンダブロック101の上部には吐出ポート101bを有するマフラ106が形成されている。マフラ106内のマフラ空間143は、連通路144を介して吐出室142に連通しており、マフラ空間143内には、吐出逆止弁170が配置されている。吐出逆止弁170は、連通路144とマフラ空間143との圧力差に応答して動作する。吐出室142は、連通路144、吐出逆止弁170、マフラ空間143及び吐出ポート101bにより構成された吐出通路を介してエアコンシステムの冷媒回路(の高圧側)に接続されている。
図2は、可変容量圧縮機である圧縮機100内に設けられる吐出容量制御用の通路の概要を示したブロック図である。圧縮機100内には、吐出容量制御用の通路(換言すると流路)として、供給通路145と排出通路146とが設けられている。供給通路145は、吐出室142とクランク室140とを連通し、吐出室142内の高圧の冷媒ガスの一部をクランク室140に導いて供給するための通路(流路)である。排出通路146は、クランク室140と吸入室141とを連通し、クランク室140内の冷媒ガスを吸入室141に導いて流出させる(排出させる)ための通路(流路)である。
供給通路145には、制御弁200が設けられている。制御弁200は、供給通路145の開度(通路断面積)を調整し、これによって、吐出室142内の冷媒ガス(圧縮吐出ガス)のクランク室140への導入量(圧力供給量)を制御する。図1では図の明確化のため供給通路145は概念的に点線で示されている。供給通路145は、シリンダヘッド104に形成された連通路104cと、シリンダヘッド104、ヘッドガスケット153、吐出弁形成板151、バルブプレート103、吸入弁形成板150、シリンダガスケット152及びシリンダブロック101を貫通するように形成された連通路145aとを含む。連通路104cは、吐出室142と制御弁200とを接続している。連通路145aは制御弁200とクランク室140とを接続している。
排出通路146には、絞り部Thが設けられている。絞り部Thは排出通路146の最小通路断面積を規定するものである。絞り部Thはクランク室140から吸入室141への冷媒ガスの流出量(排出量)を制限する。排出通路146は、絞り部Thによって冷媒ガスの流出量が制限された状態で、クランク室140と吸入室141とを常時連通させている。このように、排出通路146は、圧縮機100内のクランク室140の流体を吸入室141へ導くと共に絞り部Thを有した流路構造Zを有している。この流路構造Zについては、後に詳述する。
具体的には、排出通路146は、シリンダブロック101に形成された連通路101c及び拡径部101dと、絞り部Thとを含む。拡径部101dはシリンダブロック101のバルブプレート103側の端面における中央に円柱状領域として形成されている。拡径部101dと吸入室141との間には、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151からなる隔壁部160が位置している。このように、本実施形態における隔壁部160は、シリンダブロック101とシリンダヘッド104との間に介在する介在部材(換言すると、弁装置)である。連通路101cの一端はクランク室140に開口し、連通路101cの他端は拡径部101dに開口している。排出通路146の最小通路断面積は絞り部Thにより規定されている。
制御弁200が閉じているときは、排出通路146を介してクランク室140内の冷媒が吸入室141に流出してクランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等となる。この場合、斜板111の傾角が最大となり、ピストン121のストローク(吐出容量)が最大となる。一方、制御弁200が開いているときは、制御弁200による供給通路145の開度に応じてクランク室140の圧力が上昇して斜板111の傾角が最大から減少し、これによって、ピストン121のストロークが可変制御される。このように、圧縮機100は、供給通路145を介して吐出室142内(吐出圧力領域)の冷媒をクランク室140に供給し、排出通路146を介してクランク室140内の冷媒を吸入室141(吸入圧力領域)に流出させることによってクランク室140内の調圧を行い、このクランク室140内の調圧によって吐出容量が制御されるように構成されている。
次に、絞り部Thを有した流路構造Zについて説明する。図3は圧縮機100の絞り部Thを含む要部の断面図であり、図4は絞り部Thを構成するスプリングピン1の斜視図であり、図5は図4に示すA方向から視たスプリングピン1の正面図である。前述したように、排出通路146は絞り部Thを有した流路構造Zを有している。この流路構造Zは、貫通孔160aとこの貫通孔160aに圧入されるスプリングピン1とを含む。
貫通孔160aは、拡径部101dと吸入室141との間のバルブプレート103を含む隔壁部160を貫通している。貫通孔160aの一端は拡径部101dに開口し、貫通孔160aの他端は吸入室141に開口している。この貫通孔160aにスプリングピン1が圧入される。拡径部101dは連通路101cを介してクランク室140に連通しているので、貫通孔160aの一端はクランク室140の圧力領域に開口している。そして、貫通孔160aの他端は吸入室141の圧力領域に開口している。換言すると、本実施形態では、隔壁部160によって互いに隔たれた(区画された)拡径部101dと吸入室141の一方である吸入室141には、圧縮前の冷媒ガスの圧力である吸入圧Psが作用している。そして、隔壁部160によって互いに隔たれた(区画された)拡径部101dと吸入室141の他方である拡径部101dには、クランク室140の圧力である中間圧Pcが作用している。中間圧Pcとは、圧縮後の冷媒ガスの圧力である吐出圧Pdと吸入圧Psとの間の圧力である。なお、本実施形態において、拡径部101dが本発明に係る「第1室」に相当し、吸入室141が本発明に係る「第2室」に相当する。
本実施形態では、貫通孔160aは直線状に延びており、貫通孔160aの長さはスプリングピン1の長さより短い。貫通孔160aは隔壁部160を貫通している。この隔壁部160は、本実施形態では、シリンダブロック101とシリンダヘッド104との間に介在する比較的に薄い介在部材(150,103,151)である。したがって、貫通孔160aの長さは短い。本実施形態では、スプリングピン1はこの短い貫通孔160aより長ければよいため、スプリングピン1も比較的に短いものでよい。
本実施形態では、スプリングピン1の長手方向の一端部1aは第1室としての拡径部101dに位置し、スプリングピン1の長手方向の他端部1bは第2室としての吸入室141に位置している。換言すると、スプリングピン1は、一端部1aが隔壁部160の一端面から突出し他端部1bが隔壁部160の他端面から突出した状態で、貫通孔160aに圧入されている。
スプリングピン1は、概ねその径方向に弾性変形自在であることが一般的に知られている。詳しくは、スプリングピン1は、弾性を有する鋼製の薄板(鋼板)をロール状に巻回してなる中空のピン状の部材である。スプリングピン1は、その巻回方向(周方向)における両端部1c,1dにいずれも自由端を有しており、この自由端は巻回方向に移動自在である。そして、スプリングピン1の巻方向の両端部1c,1dが移動することによって、スプリングピン1は縮径する。つまり、スプリングピン1の外周面1eに径方向内側に向かう外力が作用すると、スプリングピン1の両端部1c,1dが移動して、スプリングピン1は縮径するように弾性変形する。
本実施形態では、スプリングピン1として、汎用性のあるC字状の断面を有し一方向に延びるC形スプリングピンが採用されている。このC形のスプリングピン1は、概ね筒状に形成されており、巻回方向の一部に長手方向の全体にわたるスリット1fを有している。つまり、スプリングピンの巻方向の一端部1cと巻方向の他端部1dとが互いに相対しており、この一端部1cと他端部1dとの間の隙間がスリット1fを構成している。C形のスプリングピン1の外周面1eに径方向内側に向かう外力が作用すると、スプリングピン1のスリット1fの幅が減少し、スプリングピン1は縮径するように弾性変形する。なお、本実施形態では、スリット1fは直線的に伸びているが、これに限らず、波線状に延びていてもよい。
スプリングピン1は圧入前の状態において貫通孔160aの孔径より圧入代分だけ僅かに大きな外径で形成されている。また、スプリングピン1の内径は例えば圧入前後において貫通孔160aの孔径より小さい。スプリングピン1が貫通孔160aに圧入されると、スプリングピン1は概ね貫通孔160aの孔径に応じた寸法まで縮径するように弾性変形する。この弾性変形したスプリングピン1は貫通孔160aの内周面を押圧する押圧力を径方向の外側に向けて発生させており、この押圧力によって、スプリングピン1が貫通孔160aの内周面に支持される。つまり、貫通孔160aはスプリングピン1を支持する機能を有する。
スプリングピン1が貫通孔160aに圧入された状態において、スプリングピン1の少なくとも内周面1gで囲まれた領域に断面積の小さい通路(流路)が形成されている。つまり、絞り部Thは貫通孔160aに圧入されたスプリングピン1内に形成されている。本実施形態では、スプリングピン1はスリット1fを有しているため、スプリングピン1が圧入されると、スプリングピン1の内周面1gと、内周面1gに連続する巻方向の一端部1cの端面と、内周面1gに連続する巻方向の他端部1dの端面と、貫通孔160aの内周面におけるスリット1fに対応した部分とにより囲まれた領域に、断面積の小さい通路が形成されている。このようにして、スプリングピン1の内側に断面積の小さい通路が形成されている。このスプリングピン1の内側の通路が排出通路146の絞り部Thを構成しており、排出通路146の最小通路断面積は絞り部Thの断面積により規定されている。このように、スプリングピン1が貫通孔160aに圧入されることによって、絞り部Thがスプリングピン1内に構成(形成)されている。
本実施形態による絞り部Thを有する流路構造Zによれば、スプリングピン1が貫通孔160aに圧入されることによって、絞り部Thが構成(形成)されている。したがって、圧縮機100内の部材である隔壁部160を貫通する貫通孔160aの孔径が絞り部の径より大きくなることで、孔加工が容易になる。そして、貫通孔160aの孔加工における孔径の加工公差が多少粗い場合でも、スプリングピン1が貫通孔160aに圧入されるだけで、スプリングピン1自身の径方向外側に向かう押圧力によって、スプリングピン1が貫通孔160aの内周面に支持されるので、絞り部Thを容易に構成することができる。そのため、圧縮機100内の部材である隔壁部160に対する加工コストが抑制される。その結果、圧縮機内の部材である隔壁部に対する加工コストが抑制される。本発明の他の側面によれば、絞り部の形成のための隔壁部の加工コストが抑制される。
このようにして、圧縮機100内の部材に対する加工コストを抑制しつつ、絞り部Thを有した流路構造Zを提供することができると共にこの流路構造Zを有した圧縮機100を提供することができる。
本実施形態では、貫通孔160aは直線状に延びており、貫通孔160aの長さはスプリングピン1の長さより短い。これにより、スプリングピン1を支持する機能を有する貫通孔160aが容易に形成され得る。
本実施形態では、スプリングピン1の一端部1aは拡径部101dに位置し、スプリングピン1の他端部1bは吸入室141に位置している。これにより、スプリングピン1の各端部(1a,1b)が隔壁部160の端面から突出した状態で、スプリングピン1が貫通孔160aに圧入されて取り付けられることになる。したがって、組み立てやメンテナンスなどの際におけるスプリングピン1の着脱が容易になる。
本実施形態では、第1室としての拡径部101dには、吐出圧Pdと吸入圧Psとの間の圧力である中間圧Pcが作用し、第2室としての吸入室141には、吸入圧Psが作用している。このように、本実施形態における絞り部Thは、中間圧Pcの領域の流体を吸入圧Psの領域へ導く流路構造Zに設けられており、排出通路146の減圧手段として好適である。また、クランク室140から拡径部101dに連通路101cを介して冷媒と一緒に潤滑油が流れてきたとしても、スプリングピン1の一端部1aが隔壁部160の端面から突出しているため、この突出したスプリングピン1が拡径部101dから吸入室141への潤滑油の流れを阻害し、潤滑油と冷媒とを分離する機能を有する。
なお、本実施形態では、スプリングピン1の一部が吸入室141に突出しているが、これに限らない。例えば、図6に示すように、スプリングピン1の一部がクランク室140に突出していてもよいし、図7に示すように、スプリングピン1の全体がシリンダブロック101内に収容されていてもよい。図6の場合には、第1室としてのクランク室140と第2室としての吸入室141との間の隔壁部160は、シリンダブロック101とシリンダヘッド104との間の介在部材(152,150,103,151,153)と、シリンダブロック101とからなる。貫通孔160aは、シリンダブロック101を貫通する孔におけるクランク室140に開口する小径部160a1と、シリンダブロック101を貫通する孔における小径部160a1に接続する大径部160a2と、前述の介在部材(152,150,103,151,153)を貫通する貫通孔160a3とからなる。そして、スプリングピン1は、小径部160a1に圧入されている。また、図7の場合には、貫通孔160aは、シリンダブロック101を貫通する孔におけるクランク室140に開口する大径部160a1’と、シリンダブロック101を貫通する孔における小径部160a1’に接続する小径部160a2’と、前述の介在部材(152,150,103,151,153)を貫通する貫通孔160a3とかなる。そして、スプリングピン1は小径部160a2’内に圧入されている。
また、本実施形態では、排出通路146は一つの経路としても設けられているが、これに限らず、図示を省略するが、例えば、排出通路146は並列的に二つ設けられてもよい。この場合、排出通路146のそれぞれに絞り部Thを有した流路構造Zを適用してもよい。また、本実施形態では、絞り部Thは、排出通路146に設けられたが、これに限らず、図8や図9に示すように、供給通路145に設けられてもよい。例えば、図8に示すように、供給通路145は、制御弁200を迂回するバイパス通路145’を有し、このバイパス通路145’に絞り部Thが設けられてもよい。この場合、排出通路146の絞り部として、例えば図8に示すようにオリフィス孔103cが設けられてもよいし、図示を省略するがこのオリフィス孔103cに替わって図2と同様にスプリングピン1からなる絞り部Thが設けられてもよい。また、図9に示すように、制御弁200が排出通路146に設けられ、供給通路145に絞り部Thが設けられてもよい。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態における圧縮機100について、図10〜図13を参照して説明する。第2実施形態の圧縮機100は、吐出容量制御用の通路(流路)の開度を制御するための弁として、第1制御弁300と逆止弁250と第2制御弁350とを有している。図10は第2実施形態に係る圧縮機100の断面図であり、図11はこの圧縮機100の吐出容量制御用の通路の概要を示したブロック図である。図12は第1制御弁300の断面図であり、図13は第2制御弁350を含む要部の断面図である。以下では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の第2実施形態における圧縮機100について、図10〜図13を参照して説明する。第2実施形態の圧縮機100は、吐出容量制御用の通路(流路)の開度を制御するための弁として、第1制御弁300と逆止弁250と第2制御弁350とを有している。図10は第2実施形態に係る圧縮機100の断面図であり、図11はこの圧縮機100の吐出容量制御用の通路の概要を示したブロック図である。図12は第1制御弁300の断面図であり、図13は第2制御弁350を含む要部の断面図である。以下では、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、第1制御弁300は、供給通路145の一部を構成する第1収容孔104dに収容されており、供給通路145の開度(通路断面積)を調整する。第1収容孔104dはシリンダヘッド104に形成されている。第1制御弁300は、連通路104eを介して導入される吸入室141の圧力と、外部信号に基づきソレノイドに流れる電流によって発生する電磁力とに応じて供給通路145の開度(通路断面積)を調整し、これによって、吐出室142内の冷媒ガス(圧縮吐出ガス)のクランク室140への導入量(圧力供給量)を制御する。なお、供給通路145及び第1制御弁300については、後に詳述する。
図10及び図11に示すように、供給通路145における第1制御弁300よりも下流側(クランク室140側)には逆止弁250が配設されている。逆止弁250は、第1制御弁300が開弁して供給通路145を開放したときに開弁して供給通路145を開放し、第1制御弁300が閉弁して供給通路145を閉塞したときに閉弁して供給通路145を閉塞するように構成されている。供給通路145は、連通路104cと、第1収容孔104dと、シリンダヘッド104に形成された連通路104fと、シリンダヘッド104とシリンダブロック101との間に介在する介在部材(152,150,103,151,153)に形成された連通路103dと、シリンダブロック101に形成されて逆止弁250を構成する第2収容孔101eと、シリンダヘッド104に形成されて第2収容孔101eとクランク室140とを連通する連通路101fとで構成され、吐出室142とクランク室140とを連通している。供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域は、背圧逃がし通路147を介して吸入室141に連通している。なお、背圧逃がし通路147及び逆止弁250については後で詳細に説明する。
また、クランク室140と吸入室141とを連通する排出通路146の開度(通路断面積)は、第2制御弁350によって調整される。本実施形態において、排出通路146は、第1排出通路146Aと第2排出通路146Bとを含む。第1排出通路146Aは、連通路101cと、拡径部101dと、介在部材(150,103,151)に形成されたオリフィス孔(固定絞り)103c1とを経由する。第2排出通路146Bは、連通路101cと、拡径部101dと、介在部材(150,103,151)に形成された連通路103c2と、第2制御弁350とを経由する。第1排出通路146Aは、第2制御弁350をバイパスしてクランク室140と吸入室141とを常時連通している。第2排出通路146Bは、第2制御弁350によって開閉される。第2制御弁350の開弁時の第2排出通路146Bの最小通路断面積は、第1排出通路146Aのオリフィス孔103c1の通路断面積より大きく設定されている。なお、第2制御弁350については後で詳細に説明する。
第1制御弁300及び逆止弁250が閉じているときは、第2制御弁350が開弁して第2排出通路146Bを開放し、排出通路146は第1排出通路146Aと第2排出通路146Bとの両方で構成される。このため、クランク室140内の冷媒が速やかに吸入室141に流出してクランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等となる。この場合、斜板111の傾角が最大となり、ピストン121のストローク(吐出容量)が最大となる。一方、第1制御弁300及び逆止弁250が開いているときは、第2制御弁350が第2排出通路146Bを閉塞し、排出通路146はオリフィス孔103c1を含む第1排出通路146Aで構成される。このため、クランク室140内の冷媒が吸入室141に流出することが制限されて、クランク室140の圧力が上昇し易くなる。したがって、第1制御弁300による供給通路145の開度に応じてクランク室140の圧力が上昇して斜板111の傾角が最大から減少し、これによって、ピストン121のストローク(吐出容量)が可変制御される。
図12に示されるように、第1制御弁300はソレノイドユニット310と弁ユニット320とを含む。ソレノイドユニット310は、固定コア311と、可動コア312と、ソレノイドロッド313と、圧縮コイルバネ314と、固定コア311及び可動コア312を収容する収容部材315と、収容部材315を取り囲むように配置されて樹脂で覆われたコイル316と、コイル316を収容すると共に収容部材315を保持するソレノイドハウジング317と、を有する。ソレノイドユニット310は、コイル316が通電されると、圧縮コイルバネ314の付勢力に抗して可動コア312を固定コア311に向けて移動させる電磁力を発生する。可動コア312の固定コア311に向かう移動は、ソレノイドロッド313を介して弁ユニット320の弁部322に伝達され、弁部322が供給通路145を閉じる方向に移動する。なお、ソレノイドロッド313と弁部322は一体に形成されている。弁ユニット320は、弁ハウジング321と、弁部322と、感圧ロッド323と、感圧部材324と、付勢部材325とを含む。弁ハウジング321には、弁部322を収容する弁室321aと、弁部322によって開閉される弁孔321bと、感圧ロッド323を挿通して支持する中央孔321cと、感圧部材324を収容する感圧室321dとが同一軸線上に形成されている。また、弁ハウジング321には、弁室321aと連通路104fとを連通するための連通孔321e、弁孔321bと連通路104cとを連通するための連通孔321f、及び、感圧室321dと連通路104eとを連通するための連通孔321gが形成されている。弁室321aはクランク室140に連通孔321e及び連通路104fを介して連通する。弁孔321bは連通孔321f及び連通路104cを介して吐出室142に常時連通し、供給通路145の一部を構成する。感圧室321dは吸入室141に連通孔321g及び連通路104eを介して常時連通する。弁部322はソレノイドロッド313と感圧ロッド323との間を接続する。感圧ロッド323は、弁部322と一体に形成され、中央孔321cを貫通する。感圧部材324は感圧室321d内に収容され吸入室141の圧力に応じて伸縮する。感圧部材324は、吸入室141の圧力の低下に伴って伸長して感圧ロッド323の端部を介して弁部322に対して弁孔321bを開く方向の付勢力を作用させる。付勢部材325は例えば圧縮コイルバネからなる。
ここで、背圧逃がし通路147の一端は、第1収容孔104dの孔壁と弁ハウジング321の外周面との間の領域における連通孔321eが開口している下流側領域S1(図10及び図13参照)に開口し、背圧逃がし通路147の他端は、吸入室141に開口している。上述のように、第1制御弁300が供給通路145を閉じると、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域には冷媒ガスが供給されない。また、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域にある冷媒ガスは、背圧逃がし通路147を経由して吸入室141に流出する。このため、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域の圧力は、吸入室141の圧力に近づいていく。一方、第1制御弁300が供給通路145を開くと、逆止弁250が開弁して吐出室142内の冷媒ガスがクランク室140に供給される。このとき、冷媒ガスの一部が背圧逃がし通路147を経由して吸入室141に漏れることになる。そのため、本実施形態では、背圧逃がし通路147に絞り部Thが設けられている。つまり、本実施形態では、背圧逃がし通路147が、絞り部Thを有した流路構造Zを有している。
具体的には、図10及び図13に示すように、背圧逃がし通路147における流路構造Zは、第1実施形態と同様に、貫通孔160aとこの貫通孔160aに圧入されるスプリングピン1とを含む。本実施形態では、貫通孔160aが貫通する隔壁部160は、シリンダヘッド104における第1収容孔104d(詳しくは下流側領域S1)と吸入室141(詳しくは吸入室141の底壁)との間の部位である。貫通孔160aの一端は下流側領域S1に開口し、貫通孔160aの他端は吸入室141に開口している。この貫通孔160aにおける他端側(吸入室141側)の部位は貫通孔160aにおける一端側(下流側領域S1側)の部位より大きな径で開口されている。そして、スプリングピン1は例えば貫通孔160aの大径の他端側の部位に圧入される。本実施形態では、隔壁部160によって互いに隔たれた(区画された)下流側領域S1と吸入室141の一方である吸入室141には吸入圧Psが作用し、隔壁部160によって互いに隔たれた下流側領域S1と吸入室141の他方である下流側領域S1には吐出圧Pdと吸入圧Psとの間の圧力である中間圧(背圧)が作用している。なお、本実施形態において、下流側領域S1が本発明に係る「第1室」に相当し、吸入室141が本発明に係る「第2室」に相当する。
図13(a)は、第1制御弁300が供給通路145を開いたときの第2制御弁350の状態を示し、図13(b)は、第1制御弁300が供給通路145を閉じたときの第2制御弁350の状態を示している。
第2制御弁350は、シリンダヘッド104のシリンダブロック101との合わせ面側に形成された第3収容孔104gと、第3収容孔104gに装着される弁ハウジング351と、弁座形成部材としての吐出弁形成板151と、第3収容孔104gに収容されて第3収容孔104g内を移動可能な弁体352と、を含む。弁体352は、弁部352a、受圧部352b及びこれらを連結する軸部352cを有する。第3収容孔104gは有底の段付き円孔状に形成されており大径部と小径部とを有する。連通路104hの一端が第3収容孔104gの底壁に開口しており、連通路104hの他端が下流側領域S1に開口している。換言すれば、連通路104hは、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域から分岐した分岐通路を構成する。弁ハウジング351は側壁351aと端壁351bとを有する。側壁351aの内部空間が弁体352の弁部352aを収容する弁室353を構成している。第3収容孔104g内における弁ハウジング351の端壁351bよりも底壁側の空間が弁体352の受圧部352bを収容する背圧室354を構成している。弁室353は弁ハウジング351の側壁351aに形成された連通孔351a1を介して吸入室141に連通している。背圧室354は連通路104hを介して下流側領域S1(換言すると、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域)に連通している。吐出弁形成板151における連通路103c2の周囲の部位が弁体352の弁部352aの弁座部を構成し、連通路103c2が弁部352aによって開閉される弁孔を構成する。なお、この連通路103c2、弁室353及び連通孔351a1は、第2排出通路146Bの一部を構成している。
ここで、第2制御弁350の動作について説明する。まず、第1制御弁300が供給通路145を開いたとき、第2制御弁350は弁体352を閉弁方向に移動させ、図13(a)に示すように、弁体352によって弁孔としての連通路103c2を閉塞する。これにより、排出通路146の第2排出通路146Bは閉塞され、排出通路146は第1排出通路146Aのオリフィス孔103c1(図10参照)により絞られ、排出通路146の開度(通路断面積)は、最小となる。次に、第1制御弁300が供給通路145を閉じたとき、第2制御弁350は弁体352を開弁方向に移動させ、図13(b)に示すように、受圧部352bを第3収容孔104gの底壁に当接させると共に弁部352aを弁座部(吐出弁形成板151)から離間させて、第2排出通路146Bを開放する。これにより、排出通路146の開度(通路断面積)は最大となる。
第2実施形態による絞り部Thを有する流路構造Zにおいても、圧縮機100内の部材である隔壁部160に対する加工コストが抑制される。このように、流路構造Zは背圧逃がし通路147にも適用できる。
なお、第2実施形態に係る圧縮機100では、背圧逃がし通路147における絞り部Thを有する流路構造Zは、シリンダヘッド104における第1収容孔104d(下流側領域S1)と吸入室141との間の隔壁部160に設けられているが、これに限らず、図14及び図15に示すように、第1制御弁300内に設けてもよい。この場合は、スプリングピン1の圧入用の貫通孔160aは、第1制御弁300の弁ハウジング321に形成される。具体的には、貫通孔160aが貫通する隔壁部160は、弁ハウジング321における弁室321aと感圧室321dとの間の部位である。貫通孔160aは、弁孔321b及び中央孔321cに対して並列的に設けられ、貫通孔160aの一端は弁室321aに開口し、貫通孔160aの他端は感圧室321dに開口している。スプリングピン1はこの貫通孔160aに圧入されている。なお、この場合、弁室321aが本発明に係る「第1室」に相当し、感圧室321dが本発明に係る「第2室」に相当する。また、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の部分は、背圧逃がし通路147としても機能している。また、第1実施形態及び第2実施形態では、いわゆる斜板式の可変容量の圧縮機100を一例として説明したが、本発明は、斜板式の可変容量の圧縮機に限らず、例えば、いわゆる揺動板式の可変容量の圧縮機についても適用できる。また、本発明は、電磁クラッチを装着した圧縮機や、クラッチレス圧縮機にも適用でき、また、電動モータで駆動される圧縮機にも適用できる。
〔第3実施形態〕
第1実施形態及び2実施形態の圧縮機100は、斜板式の圧縮機であるが、流路構造Zは斜板式の圧縮機に限らず、例えば、スクロール式の圧縮機にも適用できる。以下では、本発明の第3実施形態におけるスクロール式の圧縮機100について、図16及び図17を参照して説明する。図16は第3実施形態における圧縮機100に設けられた後述する潤滑油戻し通路148を含む通路(流路)の概要を示したブロック図であり、図17はこの圧縮機100の要部を含む断面図である。第1実施形態と同じ構成要素には、同じ符号が付されている。
第1実施形態及び2実施形態の圧縮機100は、斜板式の圧縮機であるが、流路構造Zは斜板式の圧縮機に限らず、例えば、スクロール式の圧縮機にも適用できる。以下では、本発明の第3実施形態におけるスクロール式の圧縮機100について、図16及び図17を参照して説明する。図16は第3実施形態における圧縮機100に設けられた後述する潤滑油戻し通路148を含む通路(流路)の概要を示したブロック図であり、図17はこの圧縮機100の要部を含む断面図である。第1実施形態と同じ構成要素には、同じ符号が付されている。
圧縮機100は、車両用エアコンシステムの冷媒回路の一部を構成し、外部冷媒回路(の低圧側)から吸入した冷媒を圧縮して外部冷媒回路(の高圧側)に吐出する。圧縮機100は、フロントハウジング11と、フロントハウジング11の一端に締結されたリアハウジング12とを含むハウジング10を有する。フロントハウジング11内には、駆動源としての電動モータ(図示省略)及び圧縮機構としてのスクロールユニット50が収容されている。スクロールユニット50は可動スクロール(図示省略)と固定スクロール51とを有する。可動スクロールと固定スクロール51は、それぞれ台板と台板に突設される渦巻き状のラップとを有している。図17では、固定スクロール51の台板の部位が示されている。可動スクロールと固定スクロール51は、ラップを噛み合わせるように配置されている。図示を省略するが、可動スクロールのラップと固定スクロール51のラップとの間に、冷媒の圧縮室が形成されている。
固定スクロール51(台板)は、リアハウジング12のフロントハウジング11側の端面12aに固定されている。固定スクロール51がリアハウジング12の端面12aに固定されると、固定スクロール51の台板におけるリアハウジング12側の端面51aに設けられた凹部51a1とリアハウジング12の端面12aとによって、冷媒の吐出室142’が形成される。吐出室142’はリアハウジング12に形成された連通孔12bを介して吐出通路12cに連通している。吐出室142’内の冷媒は連通孔12bを介して吐出通路12cに導かれ、吐出通路12c内の冷媒は吐出口12c1を介して外部冷媒回路に導かれる。また、固定スクロール51の台板のほぼ中央には、一端が台板のラップ形成面(すなわち、圧縮室)に開口すると共に他端が凹部51a1の底面(すなわち、吐出室142’)に開口する貫通孔51a2が形成されている。貫通孔51a2は、スクロールユニット50の圧縮室内で圧縮された冷媒を吐出室142’に導くための吐出孔として機能する。吐出通路12cは例えば重力の上下方向に延び、吐出通路12cの開口端である吐出口12c1はリアハウジング12の上部に開口している。スクロールユニット50によって圧縮された冷媒は吐出口12c1を介して外部冷媒回路に導かれる。
スクロール式の圧縮機100は、スクロールユニット50によって圧縮された冷媒(圧縮後の冷媒)からそこに含まれた潤滑油を分離する分離室C1と、圧縮後の冷媒から分離された潤滑油が導かれる貯油室C2と、を含んでいる。分離室C1は吐出通路12cの一部により構成されている。分離室C1には分離管60が配設されている。分離管60は、外周面が吐出通路12cの内周面に当接した状態で固定される筒状の大径部61と、大径部61から下方に延びる筒状の小径部62と、を含む。大径部61は、連通孔12bよりも上側に配置され、小径部62の外周面と吐出通路12cの内周面との間には環状の空間が形成されている。分離室C1は、圧縮後の冷媒の旋回流(図17の太線矢印参照)を利用して圧縮後の冷媒から潤滑油を遠心分離するように構成されている。
貯油室C2は、分離室C1の下端部よりも下側に配置されている。貯油室C2は、通油孔12dを介して分離室C1に連通している。通油孔12dは分離室C1と貯油室C2との間の隔壁を鉛直方向に貫通している。通油孔12dはリアハウジング12に形成されている。貯油室C2は潤滑油戻し通路148を介して吸入室141’に連通している。潤滑油戻し通路148は、貯油室C2内に貯留された潤滑油を吸入室141’に戻すための通路(流路)である。潤滑油戻し通路148の一端は貯油室C2に開口し、潤滑油戻し通路148の他端は吸入室141’に開口している。
ここで、本実施形態では、潤滑油戻し通路148に絞り部Thが設けられている。つまり、本実施形態では潤滑油戻し通路148が、絞り部Thを有した流路構造Zを有している。
具体的には、図17に示すように、潤滑油戻し通路148における流路構造Zは、第1実施形態や第2実施形態と同様に、貫通孔160aとこの貫通孔160aに圧入されるスプリングピン1とを含む。本実施形態では、貫通孔160aが貫通する隔壁部160は、貯油室C2と吸入室141’との間の部位である。貫通孔160aの一端は貯油室C2に開口し、貫通孔160aの他端は吸入室141’に開口している。スプリングピン1は例えば貫通孔160aの一端側(貯油室C2側)の開口部位に圧入される。本実施形態では、スプリングピン1の一端部1aは貯油室C2内に位置している。本実施形態では、隔壁部160によって互いに隔たれた(区画された)貯油室C2と吸入室141’の一方である吸入室141’には吸入圧Psが作用し、隔壁部160によって互いに隔たれた貯油室C2と吸入室141’の他方である貯油室C2には吐出圧Pdが作用している。なお、本実施形態において、貯油室C2が本発明に係る「第1室」に相当し、吸入室141’が本発明に係る「第2室」に相当する。
第3実施形態による絞り部Thを有する流路構造Zにおいても、圧縮機100内の部材である隔壁部160に対する加工コストが抑制される。このように、流路構造Zは潤滑油戻し通路148にも適用でき、冷媒の流路に限らず、潤滑油の流路にも適用できる。
なお、各実施形態において、スプリングピン1は一つの部材からなるものとしたが、これに限らない。例えば、スプリングピン1は、図18に示すように二つの部材を組み合わせたものであってもよい。詳しくは、スプリングピン1は、C字状の断面を有して一方向に延びる第1スプリングピン1’と、第1スプリングピン1’より小さいC字状の断面を有して一方向に延びると共に第1スプリングピン1’内に挿入される第2スプリングピン1’’とからなるものとしてもよい。この場合、スプリングピン1の内周面1gは第2スプリングピン1’’の内周面により構成され、スプリングピン1が貫通孔160aに圧入された状態において、この内周面1gで囲まれた領域に断面積のより小さい通路(流路)が形成されている。これにより、効率的に断面積の小さい絞り部Thを形成することができる。また、図示を省略するが、スプリングピン1は、弾性を有する鋼製の薄板を渦巻き状に巻回させたいわゆるスパイロールピンであってもよい。この場合でも、断面積の小さい絞り部Thを効率的に形成することができる。つまり、スプリングピン1は、その巻回方向(周方向)における両端部1c,1dにいずれも自由端を有しており、この自由端が巻回方向に移動自在であり、スプリングピン1の巻方向の両端部1c,1dが移動することによって、径方向に縮径するように構成されていればよい。スプリングピン1が二つの部材(例えば第1スプリングピン1’や第2スプリングピン1’’)によって構成されている場合においては、それぞれの部材において同様である。
以上、本発明の好ましい実施形態及びその変形例について幾つか説明したが、本発明は上記実施形態及び上記変形例に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
1…スプリングピン、1a…スプリングピンの一端部、1b…スプリングピンの他端部、160…隔壁部、160…隔壁部、160a…貫通孔、Pc…中間圧、Pd…吐出圧、Ps…吸入圧、Th…絞り部、Z…流路構造、100…圧縮機
Claims (6)
- 圧縮機内の第1室の流体を第2室へ導くと共に絞り部を有した流路構造であって、
前記第1室と前記第2室との間の隔壁部を貫通する貫通孔と、
前記貫通孔に圧入されるスプリングピンと、
を含み、
前記絞り部は、前記貫通孔に圧入された前記スプリングピン内に形成されている、流路構造。 - 前記貫通孔は、直線状に延び、
前記貫通孔の長さは前記スプリングピンの長さより短い、請求項1に記載の流路構造。 - 前記スプリングピンの一端部は前記第1室に位置し、前記スプリングピンの他端部は前記第2室に位置している、請求項2に記載の流路構造。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載の流路構造を含む、圧縮機。
- 前記第1室には、圧縮後の前記流体の圧力である吐出圧が作用し、
前記第2室には、圧縮前の前記流体の圧力である吸入圧と前記吐出圧との間の圧力である中間圧、又は、前記吸入圧が作用する、請求項4に記載の圧縮機。 - 前記第1室には、圧縮後の前記流体の圧力である吐出圧と圧縮前の前記流体の圧力である吸入圧との間の圧力である中間圧が作用し、
前記第2室には、前記吸入圧が作用する、請求項4に記載の圧縮機。
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