JP2020172884A - コンプレッサ、コンプレッサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】摩擦抵抗の更なる低減を図りつつ、装置稼働時の振動や騒音の低減と共に、省エネ化及び長寿命化を図ることが可能なコンプレッサ及びその製造方法を提供する。【解決手段】実施形態によれば、ピストンが往復動する際に、ピストンに嵌め込まれた環状のピストンリング17が接触しつつ、移動するシリンダ14の内面14sに設けられた複数の凹部20を有している。凹部は、シリンダの内面を一部窪ませて構成され、凹部の大きさは、ピストンの往復動方向で見て、ピストンリングのリング幅17wよりも小さく設定されている。【選択図】 図4
Description
本発明の実施形態は、コンプレッサ、及び、コンプレッサの製造方法に関する。
コンプレッサは、例えば、シリンダ内でピストンを往復動させて圧縮空気を生成し、それを各種用途に応じて送り出す装置である。圧縮空気の用途としては、例えば、釘打ち作業や、タイヤのホイールナットの付け外し作業などが想定され、かかる作業に圧縮空気が利用される。
ところで、シリンダ内でピストンが往復動する際に、ピストンとシリンダとの間に摩擦抵抗が発生する。この場合、給油式コンプレッサでは、ピストンとシリンダとの間に専用オイルを循環させる。また、無給油式コンプレッサでは、ピストンリングにカーボン樹脂を適用する。これにより、ピストンとシリンダとの間の摩擦抵抗の低減が図られている。
近年、コンプレッサには、摩擦抵抗の更なる低減を図りつつ、装置稼働時の振動や騒音の低減と共に、省エネ化及び長寿命化が求められている。しかし、このような要求を全て満足させる技術は知られていない。
本発明の目的は、摩擦抵抗の更なる低減を図りつつ、装置稼働時の振動や騒音の低減と共に、省エネ化及び長寿命化を図ることが可能なコンプレッサ及びその製造方法を提供することにある。
実施形態によれば、ピストンが往復動する際に、ピストンに嵌め込まれた環状のピストンリングが接触しつつ、移動するシリンダの内面に設けられた複数の凹部を有している。凹部は、シリンダの内面を一部窪ませて構成され、凹部の大きさは、ピストンの往復動方向で見て、ピストンリングのリング幅よりも小さく設定されている。
「一実施形態の構成」
図1は、本実施形態に係るコンプレッサ1の外観構成図である。コンプレッサ1は、圧縮空気を生成し、それを各種用途に応じて送り出す装置であり、例えば、無給油式のエアコンプレッサとして構成されている。図1に示すように、コンプレッサ1は、モータ2と、圧縮機構3と、蓄圧タンク4と、後述する複数の凹部20(図3参照)と、を有している。モータ2と圧縮機構3とは、無端ベルト5で相互に連結され、圧縮機構3と蓄圧タンク4とは、連通パイプ6で相互に連結されている。
図1は、本実施形態に係るコンプレッサ1の外観構成図である。コンプレッサ1は、圧縮空気を生成し、それを各種用途に応じて送り出す装置であり、例えば、無給油式のエアコンプレッサとして構成されている。図1に示すように、コンプレッサ1は、モータ2と、圧縮機構3と、蓄圧タンク4と、後述する複数の凹部20(図3参照)と、を有している。モータ2と圧縮機構3とは、無端ベルト5で相互に連結され、圧縮機構3と蓄圧タンク4とは、連通パイプ6で相互に連結されている。
図1の例では、圧縮機構3は、単気筒タイプの圧縮装置として規定され、シリンダボディ7と、シリンダヘッド8と、を有している。シリンダボディ7及びシリンダヘッド8には、それぞれ、放熱フィン7f,8fが設けられている。シリンダボディ7は、例えば、鋳鉄、アルミニウム合金などの金属材料で成形されている。シリンダヘッド8は、例えば、鋳鉄、アルミニウム合金などの金属材料や耐熱樹脂で形成されている。
圧縮機構3(具体的には、シリンダヘッド8)には、吸気部3a及び排気部3bが設けられている。吸気部3aは、シリンダヘッド8を貫通して構成され、後述するシリンダ14(図2参照)の内部に機外から空気を取り込み可能に構成されている。排気部3bは、シリンダヘッド8を貫通して構成され、シリンダ14の内部で圧縮された圧縮空気を機外に排気可能に構成されている。排気部3bには、連通パイプ6の一端が連結され、当該連通パイプ6の他端は、蓄圧タンク4に連結されている。蓄圧タンク4には、圧縮空気取出部4pが設けられている。
圧縮空気取出部4pには、接続ホース9の基端が連結され、接続ホース9の先端は、用途に応じた機器に連結される。図1では一例として、接続ホース9の先端に、ナット締結用空気圧レンチ10が連結されている。ナット締結用空気圧レンチ10は、ホイールナット11の付け外し作業に用いられる。これにより、ホイールに装着されたタイヤ12を車体13に取り外し可能に取り付けることができる。
図2は、圧縮機構3の内部構成図である。図2に示すように、圧縮機構3は、単気筒でレシプロタイプの圧縮装置であり、シリンダヘッド8で覆われたシリンダボディ7の内部に、1つのシリンダ14と、ピストン15と、クランクシャフト(図示しない)と、コネクティングロッド16と、を備えて構成されている。なお、単気筒タイプの圧縮機構3は一例であり、これに代えて、2つ以上のシリンダ14を有する多気筒タイプの圧縮機構3を適用してもよい。
シリンダ14は、シリンダボディ7の内部を中空円筒状に刳り貫いて構成されている。このため、シリンダ14の内面14sは、円筒形を有している。かかる円筒形の内面14sを有するシリンダ14を囲むように、シリンダボディ7は、予め設定された肉厚を有して構成されている。シリンダヘッド8は、シリンダボディ7に対して、シリンダ14を密封するように取り付けられている。
ピストン15は、シリンダ14の内面14sに沿って往復動可能な円筒形の輪郭を有している。ピストン15には、コネクティングロッド16の一端が連結され、コネクティングロッド16の他端は、クランクシャフトに連結されている。クランクシャフトは、上記した無端ベルト5(図1参照)に連結されている。
ピストン15には、環状の複数のピストンリング17が嵌め込まれている。ピストンリング17は、例えば、カーボン樹脂で一体成形することができる。これにより、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン15が往復動する際に、ピストン15とシリンダ14と間に生じる摩擦抵抗の低減が図られている。
図2の例では、2本のピストンリング17が、ピストン15の外面に嵌め込まれ、これらのピストンリング17は、ピストン15の往復動方向Dpと直交する方向に互いに平行に配置されている。この場合、装置稼働時、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン15が往復動している間、双方のピストンリング17は、シリンダ14の内面14sに接触しつつ移動する。これにより、シリンダ14の内部における空気の圧縮性、及び、ピストン15の往復動の安定性が図られる。
ここで、本実施形態のコンプレッサ1の動作について、図1及び図2を参照して説明する。図1及び図2に示すように、モータ2を駆動させると、モータ2の回転運動が、無端ベルト5を介して圧縮機構3(即ち、クランクシャフト)に伝達され、クランクシャフトを回転させる。クランクシャフトの回転に追従して、コネクティングロッド16が旋回する。これにより、ピストン15が、シリンダ14の内面14sに沿って、図2の矢印Dp方向に往復動する。
このとき、ピストン15は、シリンダ14の内面14sに沿って、いわゆる上死点18と下死点19との間を移動する。上死点18とは、ピストン15が往復動する際の最高到達位置を指し、下死点19とは、ピストン15が往復動する際の最低到達位置を指す。図2では一例として、ピストン15のトップランド端面15sを基準に、上死点18(最高到達位置)と下死点19(最低到達位置)が規定されている。
このとき、ピストン15の往動作によって、機外の空気が吸気部3aからシリンダ14の内部に取り込まれる。シリンダ14の内部に取り込まれた空気は、ピストン15の復動作によって、シリンダ14の内部で圧縮されつつ排気部3bから排気され、連通パイプ6を通って蓄圧タンク4に供給される。このようなピストン15の往復動が繰り返されることで、蓄圧タンク4には、用途に応じた圧縮空気が蓄えられる。
蓄圧タンク4に圧縮空気が蓄えられた状態において、例えば、作業者が空気圧レンチ10をホイールナット11にセットし、空気圧レンチ10をON操作する。このとき、圧縮空気によって空気圧レンチ10を正回転させることで、ホイールナット11が締め付けられ、その結果、ホイールに装着されたタイヤ12を車体13に取り付けることができる。一方、圧縮空気によって空気圧レンチ10を逆回転させることで、ホイールナット11の締め付けが緩み、その結果、車体13からタイヤ12を取り外すことができる。
図3は、複数の凹部20(ディンプルとも言う)の配置構成図である。図3に示すように、凹部20は、シリンダ14の内面14sに設けられ、平面視で円形状を有している。凹部20は、シリンダ14の内面14sを、一部球面状(断面円弧状)に窪(凹)ませて構成されている。この場合、凹部20は、バリを含め、角張った部位の無い滑らかに連続した曲面状を成すように構成することが好ましい。
なお、凹部20の窪(凹)ませ量(深さ)は、例えば、シリンダ14の内面14sの大きさ(内径)や、コンプレッサ1の種類などに応じて設定される。例えば、断面直径30mm〜100mmのシリンダ14においては、凹部20の深さ(図4に示す深さ20f)を、1μm程度に設定することが可能である。
図3の例では、凹部20は、互いに同一の形状及び大きさを有し、シリンダ14の内面14sにおいて、互いに等間隔に配置されている。ここで、凹部20相互の間隔は、例えば、平面視において、円形の凹部20の中心20p相互の間隔(中心間距離)20wとして規定することができる。別の捉え方をすると、凹部20相互の間隔は、例えば、平面視において、隣り合う2つの凹部20のうち互いに最も接近した部分相互の間隔(相互間最短距離)20eとして規定することができる。
この場合、凹部20の形状や大きさ、或いは、間隔20w,20eを互いに相違させて設定してもよいが、凹部20相互が一部接触したり、重なり合ったりしないように設定することが好ましい。更に、シリンダ14の内面14sにおいて、単位面積当たりの凹部20の個数を、上死点18(最高到達位置)及び下死点19(最低到達位置)に向かうに従って変化(例えば、増加、減少)させるように構成してもよい。例えば、シリンダ14の内面14sにおいて、単位面積当たりの凹部20の個数を、上死点18(最高到達位置)及び下死点19(最低到達位置)に向かうに従って増加(或いは、減少)させる。上死点18、下死点19付近は、ピストン15が一方向から反対方向へと折り返す部分であり、摩擦という観点において、それ以外の部分と少し異なる部分となる特性を有する。従って、その特性に合わせて単位面積当たりの凹部20の個数を変化させれば、耐摩耗性を調節可能となる。
なお、凹部20の形状や大きさ、或いは、間隔20w,20eは、例えば、シリンダ14の内面14sの大きさ(内径)や、コンプレッサ1の種類などに応じて設定される。例えば、断面直径30mm〜100mmのシリンダ14においては、凹部20の大きさ(図4に示す直径20d)を、2μm〜20μmの範囲で設定することが可能である。
図4は、ピストンリング17と凹部20との配置構成図である。図4に示すように、凹部20の大きさ(例えば、平面視で円形の凹部20の直径20d)は、ピストン15(図2参照)の往復動方向Dpで見て、ピストンリング17のリング幅17wよりも小さく設定されている。この場合、凹部20の大きさ(直径20d)は、リング幅17wに対して予め設定された値(以下、第1の所定値と言う)に設定することが好ましい。なお、第1の所定値は、例えば、リング幅17wに対する占有率(占有割合)として規定することができる。
第1の所定値の一例として、リング幅17wを約1mmと想定した場合、凹部20の大きさ(直径20d)をリング幅17wの約1/30のサイズに設定する。換言すると、凹部20の大きさ(直径20d)を30μm程度に設定する。或いは、リング幅17wを約1mmと想定した場合、凹部20の大きさ(直径20d)をリング幅17wの約1/50のサイズに設定する。換言すると、凹部20の大きさ(直径20d)を20μm程度に設定する。
更に、隣り合う2つの凹部20相互の間隔は、ピストン15(図2参照)の往復動方向Dpで見て、互いに接触する(重なり合う)こと無く、かつ、ピストンリング17のリング幅17wに対して予め設定された値(以下、第2の所定値と言う)以上に設定することが好ましい。この場合、凹部20の相互間隔としては、上記した中心間距離20w、或いは、相互間距離20eのいずれを適用してもよい。
第2の所定値の一例として、リング幅17wを約1mmと想定した場合、凹部20の相互間隔をリング幅17wの約1/10以上のサイズに設定する。換言すると、凹部20の相互間隔を100μm程度に設定する。なお、上記した各所定値において、凹部20の深さ20fは、例えば、1μm程度に設定することが可能である。
上記したような配置構成によれば、ピストンリング17の外周面17sとシリンダ14の内面14sとの間の接触面積が削減される。これにより、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン15が往復動している間、ピストンリング17の外周面17sとシリンダ14の内面14sとの間の摩擦抵抗が低減される。この結果、ピストンリング17がガタ付くこと無く円滑に摺動する。
図5は、平面視円形の凹部20の断面輪郭図である。図5に示すように、凹部20は、シリンダ14の内面14sを、単一の曲率を有する球面状(断面円弧状)に窪(凹)ませて構成されている。これにより、凹部20の内部には、単一の曲率を有する1つの球状面20sが構成されている。
この場合、凹部20の外周部20a(換言すると、シリンダ14の内面14sから凹部20に移行する部分)に面取りを施して、丸味を帯びた形状(即ち、バリを含め、角張った部分の無い形状)に構成することが好ましい。面取りとは、凹部20からシリンダ14の内面14sに移行する領域(外周部20a)から角張った部分を削り落とすことを指す。
これにより、凹部20の外周部20aとシリンダ14の内面14sとが滑らかに連続することになる。この結果、ピストン15(図2参照)の往復動に際し、ピストンリング17の外周面17sとシリンダ14の内面14sとの間の摩擦抵抗が低減されると共に、シリンダ14の内面14sから凹部20に沿って流れる空気の循環効率が向上する。
図6は、平面視円形の凹部20の他の断面輪郭図であり、図7は、凹部20の平面輪郭図である。図6及び図7に示すように、凹部20は、シリンダ14の内面14を、複数の曲率を有する多段球面状(断面多段円弧状)に窪(凹)ませて構成されている。これにより、凹部20の内部には、多数の曲率を有する複数の球状面20s−1,20s−2が構成されている。
図6及び図7の例では、凹部20は、2つの球状面(第1球状面20s−1、第2球状面20s−2)を有して構成されている。当該球状面20s−1,20s−2は、シリンダ14の内面14sと直交する方向で見て、同心状に構成され(図7)、第1球状面20s−1の外側に第2球状面20s−2が隣接して配置されている(図6)。第1球状面20s−1の曲率は、第2球状面20s−2の曲率よりも大きく設定されている。換言すると、第1球状面20s−1の曲率半径は、第2球状面20s−2の曲率半径よりも小さく設定されている。なお、当然ながら、第1球状面20s−1の曲率中心と、第2球状面20s−2の曲率中心は、シリンダ14の内面14sと直交する方向から見ると、同心状であって、同方向上で異なる位置となる。
別の捉え方をすると、当該球状面20s−1,20s−2は、ピストン15(図2参照)の往復動方向Dpにおけるシリンダ14の縦断面視において、シリンダ14の内面14sから最も窪(凹)んだ部位に第1球状面20s−1が配置され、第1球状面20s−1とシリンダ14の内面14sとの間に第2球状面20s−2が配置されている。なお、かかる配置関係は、ピストン15(図2参照)の往復動方向Dpと直交する方向におけるシリンダ14の横断面視においても同様である。
この場合、凹部20の外周部20a(換言すると、シリンダ14の内面14sから凹部20に移行する部分)と、第1球状面20s−1と第2球状面20s−2との間の環状の境界部20bとに面取りを施して、丸味を帯びた形状(即ち、角張った部分の無い形状)に構成することが好ましい。面取りとは、凹部20からシリンダ14の内面14sに移行する領域(外周部20a)、及び、第2球状面20s−2から第1球状面20s−1に移行する領域(境界部20b)から角張った部分を削り落とすことを指す。
これにより、シリンダ14の内面14sから凹部20の外周部20aを経由し、第2球状面20s−2から境界部20bを介して第1球状面20s−1に至る一連の領域が、滑らかに連続することになる。この結果、ピストン15の往復動に際し、ピストンリング17の外周面17sとシリンダ14の内面14sとの間の摩擦抵抗が低減されると共に、シリンダ14の内面14sから凹部20に沿って流れる空気の循環効率が向上する。
図8は、ショットブラスト(サンドブラスト)による凹部20の製法図である。図8では一例として、噴射装置21によって、投射材と呼ばれる粒体22を圧縮空気に混合してシリンダ14の内面14sに高速で衝突させる。そして、シリンダ14の内面14sを局所的に窪(凹)ませる。これにより、シリンダ14の内面14sに複数の凹部20を成形する。この場合、不要部分(例えば、凹部20となる部分を除いた領域)をマスキングしつつ、噴射装置21から粒体22を噴射させてもよい。
ショットブラスト(サンドブラスト)製法によれば、凹部20を0.2μm程度の大きさから仕上げることができる。これにより、凹部20の形状を、例えば、シリンダ14の内面14sの大きさ(内径)や、コンプレッサ1の種類など、ニーズや用途に応じて自由に設定することができる。
図9は、ケミカルエッチング(フォトエッチング)による凹部20の製法図である。図9では一例として、複数の開口孔23が構成されたマスキングシート24でシリンダ14の内面14sを被覆する。続いて、マスキングシート24で内面14sが被覆されたシリンダ14をエッチング用薬液に浸漬させる。このとき、マスキングされていない部分(即ち、開口孔23)を通して、シリンダ14の内面14sが薬液に浸される。かかる薬液によって、シリンダ14の内面14sが一部溶解される。これにより、開口孔23の大きさに対応した複数の凹部20(図3参照)が、シリンダ14の内面14sに一括して成形される。
ケミカルエッチング(フォトエッチング)製法によれば、開口孔23の大きさや間隔を任意に設定することができる。これにより、ニーズや用途に応じた複数の凹部20を一括して成形することができる。この場合、凹部20の個数に関わらず、当該製法に要する加工時間は常に一定である。
「一実施形態の作用効果」
本実施形態によれば、シリンダ14の内面14sに複数の凹部20を設けることで、ピストンリング17の外周面17sとシリンダ14の内面14sとの間の接触面積を削減することができる。これにより、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン15が往復動している間、ピストンリング17の外周面17sとシリンダ14の内面14sとの間の摩擦抵抗を低減させることができる。この結果、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン17を円滑に往復動させることができる。かくして、装置稼働時の振動や騒音を低減させることができる。
本実施形態によれば、シリンダ14の内面14sに複数の凹部20を設けることで、ピストンリング17の外周面17sとシリンダ14の内面14sとの間の接触面積を削減することができる。これにより、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン15が往復動している間、ピストンリング17の外周面17sとシリンダ14の内面14sとの間の摩擦抵抗を低減させることができる。この結果、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン17を円滑に往復動させることができる。かくして、装置稼働時の振動や騒音を低減させることができる。
本実施形態によれば、凹部20の内部を、単一の曲率を有する1つの球状面20s(図5参照)、或いは、多数の曲率を有する複数の球状面20s−1,20s−2(図6参照)で構成する。これにより、コンプレッサ1の動作時、ピストン15の往復動方向Dpで見て、ピストンリング17の両側に発生する抗力を抑制することができる。なお、抗力とは、ピストン15(ピストンリング17)の往復動に際し、これと逆行する方向に発生する反力を指す。ここで、上記した凹部20を設けることで、ピストン15(ピストンリング17)の往復動に際し、シリンダ14の内面14sから凹部20に沿って流れる空気の循環効率を向上させることができる。この場合、凹部20の外周部20a並びに境界部20bに面取りを施すことで、かかる空気の潤滑効率を更に向上させることができる。この結果、上記抗力が抑制され、ピストン15をシリンダ14の内面14sに沿って負荷無く円滑に往復動させることができる。
本実施形態によれば、上記したように装置稼働時の振動を低減させることで、例えば、シリンダ14(内面14s)とピストン15(ピストンリング17)との損傷や損壊等の不具合の発生を抑制することができる。これにより、メンテナンスに要するコストを削減することができる。更に、上記したように装置稼働時の騒音を低減させることで、周辺環境に配慮したコンプレッサ1を実現することができる。これにより、当該コンプレッサ1の設置場所の自由度を向上させることができると共に、昼夜と問わずコンプレッサ1を動作させ続けることが可能となり、装置稼働時間を延長することができる。
本実施形態によれば、上記したようにシリンダ14(内面14s)とピストン15(ピストンリング17)との損傷や損壊等の不具合の発生を抑制することで、コンプレッサ1の早期の劣化を防止しつつ長期に亘って連続的に使用することができる。これにより、当該コンプレッサ1の長寿命化を図ることができる。
本実施形態によれば、上記したようにシリンダ14(内面14s)とピストン15(ピストンリング17)との間の摩擦抵抗を低減させることで、小さなトルクでピストン15を往復動させることができる。これにより、装置稼働時における省エネ化を図ることができる。
本実施形態によれば、凹部20の大きさ(直径20d)を、ピストン15の往復動方向Dpで見て、ピストンリング17のリング幅17wよりも小さく設定する。これにより、ピストンリング17を、シリンダ14の内面14sに沿ってガタ付くこと無く円滑に摺動させることができる。
「変形例」
上記した実施形態では、無給油式のコンプレッサ1を想定して説明したが、本発明の技術思想は、給油式のコンプレッサ1にもそのまま適用可能であることは言うまでもない。給油式のコンプレッサ1では、例えば図4に示すように、シリンダ14(内面14s)とピストン15と間に専用オイル(図示しない)を循環させる。これにより、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン15が往復動する際に、ピストン15(ピストンリング17)とシリンダ14(内面14s)と間に生じる摩擦抵抗の低減が図られる。
上記した実施形態では、無給油式のコンプレッサ1を想定して説明したが、本発明の技術思想は、給油式のコンプレッサ1にもそのまま適用可能であることは言うまでもない。給油式のコンプレッサ1では、例えば図4に示すように、シリンダ14(内面14s)とピストン15と間に専用オイル(図示しない)を循環させる。これにより、シリンダ14の内面14sに沿ってピストン15が往復動する際に、ピストン15(ピストンリング17)とシリンダ14(内面14s)と間に生じる摩擦抵抗の低減が図られる。
上記した実施形態では、レシプロタイプのコンプレッサ1を想定して説明したが、本発明の技術思想は、ロータリタイプのコンプレッサ1にもそのまま適用可能であることは言うまでもない。ロータリコンプレッサ1では、例えば、互いに摺動しながら相対回転する2つの部材の双方の面、或いは、いずれか一方の面に、上記した複数の凹部20を設ければよい。
以上、本発明の一実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…コンプレッサ、3…圧縮機、4…蓄圧タンク、14…シリンダ、15…ピストン、17…ピストンリング、17w…リング幅、18…上死点(最高到達位置)、19…下死点(最低到達位置)、20…凹部、20a…外周部、20b…境界部、20d…直径、20e…間隔(相互間最短距離)、20f…深さ、20w…間隔(中心間距離)、20p…中心。
Claims (8)
- ピストンが往復動する際に、前記ピストンに嵌め込まれた環状のピストンリングが接触しつつ、移動するシリンダの内面に設けられた複数の凹部を有し、
前記凹部は、前記シリンダの前記内面を一部窪ませて構成され、
前記凹部の大きさは、前記ピストンの往復動方向で見て、前記ピストンリングのリング幅よりも小さく設定されているコンプレッサ。 - 前記凹部相互の間隔は、隣り合う前記凹部同士が互いに接触しないように設定されている請求項1に記載のコンプレッサ。
- 前記シリンダの前記内面において、単位面積当たりの前記凹部の個数は、前記ピストンが往復動する際の最高到達位置、及び、前記ピストンが往復動する際の最低到達位置に向かうに従って変化するように構成されている請求項1に記載のコンプレッサ。
- 前記凹部は、単一の曲率を有する球面状を成している請求項1に記載のコンプレッサ。
- 前記凹部は、複数の曲率を有する多段球面状を成している請求項1に記載のコンプレッサ。
- 前記凹部は、2つの球状面を有し、
双方の前記球状面は、前記シリンダの前記内面と直交する方向で見て、同心状に構成され、一方の前記球状面の外側に他方の前記球状面が隣接して配置されている請求項5に記載のコンプレッサ。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の前記コンプレッサの製造方法であって、
投射材を圧縮空気に混合して前記シリンダの前記内面に高速で衝突させる工程と、
前記投射材によって前記シリンダの前記内面を局所的に窪ませる工程と、
前記シリンダの前記内面に複数の前記凹部を成形する工程と、を有している製造方法。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の前記コンプレッサの製造方法であって、
複数の開口孔が構成されたマスキングシートで前記シリンダの前記内面を被覆する工程と、
前記マスキングシートで前記内面が被覆された前記シリンダをエッチング用薬液に浸漬させる工程と、
前記開口孔を通して薬液に浸されることで、前記シリンダの前記内面が一部溶解する工程と、
前記シリンダの前記内面に複数の前記凹部を成形する工程と、を有している製造方法。
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2019
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