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JP2020155399A - 固体電解質材料、電極、電池、電池パック、及び車両 - Google Patents

固体電解質材料、電極、電池、電池パック、及び車両 Download PDF

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JP2020155399A
JP2020155399A JP2019161420A JP2019161420A JP2020155399A JP 2020155399 A JP2020155399 A JP 2020155399A JP 2019161420 A JP2019161420 A JP 2019161420A JP 2019161420 A JP2019161420 A JP 2019161420A JP 2020155399 A JP2020155399 A JP 2020155399A
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Abstract

【課題】高いイオン伝導率および優れた耐還元性能を有する固体電解質材料、この固体電解質材料を含んだ電極、電池および電池パック、並びにこの電池パックを搭載している車両を提供すること。【解決手段】実施形態によれば、金属元素Mとこの金属元素Mを中心に配した酸素原子とを含む八面体配位構造を含んだ酸化物を含む固体電解質材料が提供される。金属元素Mは、NbとTaとを含む。Nbの質量αNbとTaの質量αTaとの質量比αTa/αNbは、5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内にある。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、固体電解質材料、電極、電池、電池パック、及び車両に関する。
近年、エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池は、小型の電子デバイスにおける使用からハイブリッド電気自動車、電気自動車、及び電力貯蔵用定置型電源等の大型の使用まで幅広い用途として大きな注目を浴びている。なかでも、無機固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池は有機電解液の漏液やガス発生の心配がなく、安全な電池として期待されている。また、固体電解質を用いたリチウム電池は液状電解質を用いた電池と比較して、電池反応以外の副反応が生じる可能性も低くなるため、長寿命化も期待できる。更に、無機固体電解質を用いた全固体電池では、電極と電解質を積層して構成することが容易であることから製造コストを低減することができる。それと同時に、無機固体電解質を用いた場合には、バイポーラ型の電池構成も可能である。これにより、従来の液状電解質を用いた電池に比べて、高いエネルギー密度を期待することができる。しかし、特に高い起電力を有するリチウムイオン電池においては、正極は酸化力の高い物質であり、負極は還元力の高い物質である。従って、これらの物質と固体電解質を密着させても安定である必要がある。そのうえ、構成元素が安価であることが実用上重要な要素となる。
近年、高いリチウムイオン伝導性を持ち、大気中で固相反応によって容易に得ることが可能な、ランタンジルコン酸リチウム系化合物やペロブスカイト酸化物が注目されている。これらの材料において代表的なものとしては、Li7La3Zr2O12が挙げられる。この化合物は、酸化物固体電解質ではトップクラスの5×10-4 S/cm以上という高いリチウムイオン伝導性を室温で示すことが知られている。
国際公開WO2013/140574 特開2018− 49701号公報
Y. Kawakami et al., Solid State Ionics, Volume 110, Issues 3-4, 2 July 1998, Pages 187-192 Hui Xie et al., RSC Advances, 2011, 1, 1728-1731
本発明は、高いイオン伝導率および優れた耐還元性能を有する固体電解質材料、この固体電解質材料を含んだ電極、電池および電池パック、並びにこの電池パックを搭載している車両を提供することを目的とする。
実施形態によれば、金属元素Mとこの金属元素Mを中心に配した酸素原子とを含む八面体配位構造を含んだ酸化物を含む固体電解質材料が提供される。金属元素Mは、NbとTaとを含む。Nbの質量αNbとTaの質量αTaとの質量比αTa/αNbは、5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内にある。
他の実施形態によれば、上記実施形態に係る固体電解質材料を含む電極が提供される。
さらに他の実施形態によれば、正極層と、負極層と、Li伝導層とを含む電池が提供される。正極層は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能である。負極層は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能である。Li伝導層は、リチウムイオンの伝導が可能である。正極層と負極層とLi伝導層のうち少なくとも一つの層は、上記実施形態に係る固体電解質材料を含む。
また別の実施形態によれば、上記実施形態に係る電池を含む電池パックが提供される。
さらに別の実施形態によれば、上記実施形態に係る電池パックが搭載されている車両が提供される。
実施形態に係る固体電解質材料の一例が含むペロブスカイト型化合物の結晶構造を示す模式図。 実施形態に係る固体電解質材料の他の例が含むNASICON型化合物の稜面体晶系の結晶構造を示す模式図。 実施形態に係る電極体の一例を示す概略断面図。 実施形態に係るバイポーラ電極構造を有する電極体の一例を示す概略断面図。 実施形態に係る電池の一例の概略断面図。 実施形態に係る電極体の製造方法の一工程を示す模式図。 図6に示す製造方法の工程の次の一工程を示す模式図。 図7に示す製造方法により製造された電極体を示す模式図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図10に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図。 実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図。
Li7La3Zr2O12は、従来の固体電解質と比較して電気化学的安定性に優れている。その一方で、この化合物には還元側に対しては経時的な耐性が低いという問題がある。材料中の原子が還元された固体電解質は電子伝導性を示すため、正極と負極とを電気的に絶縁する機能が損なわれる。その結果、電池の自己放電が増加し得る。
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる箇所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る固体電解質材料は、八面体配位構造を含んでいる酸化物を含む。当該八面体配位構造は、金属元素Mとこの金属元素Mを中心に配した酸素原子(O)とを含む。金属元素Mは、NbとTaとを含む。Nbの質量αNbとTaの質量αTaとの質量比αTa/αNbは、5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内にある。
実施形態に係る固体電解質材料は、金属元素Mを中心とした酸素(O)の八面体配位構造を基本骨格として有する酸化物を含む。当該酸化物では、八面体配位構造を基に、金属元素Mとしてニオブ(Nb)及び微量のタンタル(Ta)を含むことで酸化物骨格の安定性が向上されている。このため、より安価な元素構成で、化学的に安定であり且つ耐還元性が高く優れたイオン伝導率を示す固体電解質材料を提供できる。
この金属元素Mと酸素原子Oとの結合強度が強いほど、酸化物の耐還元性が高まる。その結果、固体電解質の骨格の安定性が増す。一方で、MとOとの結合強度が強いほど、Liイオン伝導における骨格の柔軟性が損なわれ室温伝導率が低くなる傾向がある。室温で高い伝導率を有する固体電解質の多くでは、電気化学的に安定な電位窓が狭くなり、還元電位に長時間晒すと骨格中のM原子が還元されやすい傾向があった。金属元素Mとして、化学的に安定で酸素との結合性が強いタンタル(Ta)を含むと骨格の柔軟性が損なわれることが知られている。実施形態に係る固体電解質は、ニオブ(Nb)と微量のタンタル(Ta)とを金属元素Mαとして含んだ酸化物を含んでいる。結晶構造における金属元素MのサイトにNbとTaとから成る金属元素Mαを含むことで、電気化学的な安定性と骨格の柔軟性を両立することができる。
Liイオンの伝導パスとなり得る隙間を結晶格子間に有する結晶構造を有する化合物では、骨格構造の柔軟性が、Liイオン伝導に大きく影響する。より柔軟な方がLiイオン伝導性が高くなる傾向がある。一方で、耐還元性を高めるためには、酸化物イオンの電子雲を金属元素Mに引き付けることが望ましい。実施形態に係る固体電解質において酸化物が含むNbの質量αNbとTaの質量αTaとの質量比αTa/αNbは、5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内にある。これら質量αNbと質量αTaとのそれぞれについて、例えば、ng(ナノグラム)単位で表すことができる。各々の質量の単位は特に限られないが、質量比αTa/αNbにおいてはそれぞれの単位を揃える。金属元素MにNbとTaとから成る金属元素Mαを含み、その質量比αTa/αNbが5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内であると、高い柔軟性を示す骨格構造が得られるとともに良好な耐還元性を得ることができる。
適度な量のNbを含んでいることで、Nbと酸化物イオンとの間の柔軟性が高い結合が骨格中で支配的となる。その一方で、Nbサイト(金属元素Mのサイト)にTaが微量に分散されることで、Taと酸化物イオンとの間の局所的な結合性が高まる。そうすると、酸化物イオンの電子雲が引き付けられるため、耐還元性を強くすることができる。NbとTaとの質量比αTa/αNbが3×10−3以下であると骨格構造が柔軟性を有することができるため、格子の隙間をLiイオンが移動しやすくなる。該質量比が5×10−5以上であるとTaと酸化物イオンとの間の強い共有結合が多く含まれるため、還元されにくい酸化物が得られる。上記範囲の質量比αTa/αNbでNbとTaとを含むことにより、結晶格子の柔軟性と耐還元性とのバランスが取れた酸化物を得ることができる。
金属元素Mαとして微量に含まれているTaは、八面体配位構造における中心金属として含まれている。Taは、単にNbを中心として含む八面体配位構造を含んだ酸化物とともに混合された化合物や酸化物を被覆する化合物として含まれているのではない。言い換えると、実施形態に係る固体電解質材料に含まれている酸化物は、ニオブ酸化物とタンタル酸化物との単純な混合物とは異なる。当該酸化物は、金属元素MのサイトをNb及びTaが等価に占有しているコンポジット化合物であるといえる。
金属元素Mαとして酸化物に含まれているNb及びTaの何れについても、価数が5未満でないことが望ましい。つまり、望ましい固体電解質材料では、Nbの価数が5.0であるとともに、Taの価数が5.0である。なお、固体電解質は過酸化状態になりにくく、Nb及びTaの何れの価数も5を超えることはあまりない。Nbの価数が5.0であると同時にTaの価数が5.0であると、結晶格子の柔軟性と耐還元性とがよりよくバランスされ、かつ固体電解質中の電子伝導を遮断して自己放電量の少ない電池を提供できる。
八面体配位構造における中心原子である金属元素Mが、金属元素Mα(Nb及びTa)に加え、Ti,Zr,Ga,Ge,Si,Fe,及びPから成る群より選択される少なくとも1つの金属元素Mβをさらに含むことが好ましい。これら元素Mβは、酸化物の構造の安定性を向上させることができる。金属元素Mβの中でも、Ti,Zr,Ga,及びGeは、金属元素Mαと同様に八面体配位構造における中心原子としての役割を果たし得る。ここで、Ti,Zr,Ga,及びGeから成る群より選択される少なくとも1つを、主元素Mβpと呼ぶ。
金属元素Mβのうちその他Si,Fe,及びPは、中心原子としてほとんど機能しない。ここで、Si,Fe,及びPからなる群より選択される少なくとも1つを、補助元素Mβsと呼ぶ。これら補助元素Mβsは酸化物の骨格と成るMαよりも価数が小さく、骨格の柔軟性及び安定性を向上させることができる。
酸化物に含まれているNbの元素存在比率ENbに対する補助元素Mβsの元素存在比率Eβsの元素比率Eβs/ENbが、1×10-4以上5×10-3以下であることが好ましく、5×10-4以上1×10-3以下であることがより好ましい。この比率が1×10-4以上であると、骨格の柔軟性がさらに向上し伝導率が高くなる。またNbに対する補助元素Mβsの元素比率Eβs/ENbは、5×10-3以下であることが好ましい。5×10-3より大きい場合には構造中の局所歪が大きくなるため、結晶構造の安定性が寧ろ低下し得る。比率が5×10-4以上1×10-3以下であると、イオン伝導率の向上と結晶構造の安定性が両立しやすいためより好ましい。
固体電解質材料が含む酸化物の結晶構造は、ペロブスカイト構造及びNASICON構造から成る群より選択される少なくとも1つを含む。
例えば、実施形態に係る固体電解質は、AMOで表されるペロブスカイト構造を有する化合物を酸化物として含み得る。ペロブスカイト型の結晶構造は、立方晶系、又はこの晶系から僅かに歪んだ類似結晶系に属している。この結晶構造の代表的な空間群はPm3mである。
図1を参照しながら、一例のペロブスカイト構造を説明する。図1は、実施形態に係る固体電解質材料の一例が含むペロブスカイト型化合物の結晶構造を示す模式図である。
ペロブスカイト型結晶構造は、MO6八面体5が頂点を共有することによって形成された三次元骨格を有し、Aサイトイオン3が三次元骨格間の12配位サイトを占有している構造を有する。MO6八面体5は、酸素原子2と図示しないM原子とを含んでいる。MO6八面体5の頂点にあたる酸素原子2が八面サイト6の中心にある金属元素Mの周囲に配置されている。
Aサイトが元素ですべて満たされずに、空孔(欠陥構造)が存在する場合、ここにLiイオン1の通り道である伝導経路が構成される。その立方格子の面内に存在する酸化物イオン四辺形のボトルネックを通して、Liイオン1が隣接の空のAサイトに移動することで、リチウムイオン伝導性が発現するとされている。この伝導機構により結晶格子内をLiイオン1が移動する場合、酸化物イオンと骨格を構成するカチオン(主にMサイトカチオン)との結合強度が、リチウムイオン伝導性に大きな影響を与える。そのため、上記したと同様の理由で、質量比αTa/αNbを上述した範囲内にすることにより、骨格の柔軟性を維持しながら耐還元性を向上することができる。また、M原子サイトに金属元素MαであるNbとTaとが共存していることで、結晶格子中の局所歪みが抑制される。
Aサイトが、Li及び空孔に加え、La,Sr,Mg,Na,K,及びCaから成る群より選択される少なくとも1つをさらに含むことが好ましい。これにより、ペロブスカイト構造の安定性を高くすることができる。
ペロブスカイト構造の化合物は、例えば、一般式A(Mα1-wMβw)O3で表される化合物を含み得る。ここで、一般式における添字wは0≦w<1の範囲内にある。式中の記号AはAサイトを占有する元素または空孔を示す。Aサイトには、Liと空孔とが少なくとも含まれる。Aサイトに、La,Sr,Mg,Na,K,及びCaから成る群より選択される少なくとも1つがさらに含まれ得る。式中のMα及びMβは、それぞれ先に説明した金属元素Mα(つまり、Nb及びTa)及び金属元素Mβ(主元素Mβp及び/又は補助元素Mβs)を表す。
或いは、実施形態に係る固体電解質材料は、NASICON構造を有する化合物を酸化物として含み得る。NASICON型の結晶構造を持つ化合物は、例えば、リン酸(PO4)を骨格構造とした構造を有する。このような構造として稜面体構造に属する結晶構造を挙げることができ、代表的な空間群はR-3cである。稜面体構造では、PO4四面体とMO6八面体がお互いに頂点を全て共有し合い、[M2(PO4)3]n-の化学式で示される骨格構造が形成される。
図2を参照して、NASICON構造の一例を説明する。図2は、実施形態に係る固体電解質材料の他の例が含むNASICON型化合物の稜面体晶系の結晶構造を示す模式図である。図2に示す稜面体晶系の骨格構造において、1つの四面体の周りには4個の八面体が、1つの八面体の周りには6個の四面体が在る。一般的なNASICON型化合物は、高温でのみ図2に示す様な稜面体晶系をとり、低温では骨格構造に歪みが生じて対称性が低下し、単斜晶系(空間群C2/c)となることが知られている。
図2に示すとおりLiイオン1は骨格構造の負電荷を補償する形で、格子の隙間に存在する。Liイオンが占有し得るサイトとしては4種類のサイトがある。1つ目は、大きく歪んだ八面サイト6であり、単位化学式当り1個存在する。また、8個の酸素原子2によって取り囲まれているサイトがあり、単位化学式当たり3個存在する。更に、金属元素Mの原子4が占有するサイトがあり、単位化学式当り2個存在する。最後に、2つのPO6に挟まれた四面サイト7があり、単位化学式当り1個存在する。このように、Liイオンが占有するサイトが結晶格子中に広く分布していることから、結晶構造中でLiイオンの伝導パスを形成しやすい。
このような構造においても、骨格構造の柔軟性が高まるとLiイオン伝導性が向上する一方で、金属元素Mに電子雲を引き付けることで耐還元性が高まる。従って、金属元素Mの原子4のサイトに金属元素Mα(NbとTaと)を含み、質量比αTa/αNbが上述の範囲を満たしていると、骨格の柔軟性を維持しながら耐還元性を向上することができる。
金属元素Mαに加え、金属元素Mのサイトに金属元素Mβを配置することで、NASICON構造の歪を抑えることができる。
さらに、Ca,Sr,及びBaから成る群より選択される少なくとも1つで金属元素Mを置換することが好ましい。これらCa,Sr,及びBaを、ここでは便宜上D元素と呼ぶ。Nb及びTaを含む骨格構造中にイオン半径の大きなこれらのD元素で置換することで、リチウムイオンの伝導が容易な経路を構成するうえで適した元素構成を得ることができる。Caと比較してイオン半径が大きいBa及びSrで置換することがより好ましい。このような構成を取ると、低温における骨格構造の歪が生じにくくなり、NASICON型構造の高温相とよばれる稜面体構造を室温以下の低温まで安定化することができる。また、室温よりも低温の温度領域においてもLiイオンが容易に移動できるようになる。D元素の格子中への置換により骨格サイズを拡大することができるため、Liイオンが酸化物イオンからの電子的な相関を受けにくくなる。これにより、Liイオンの移動に重要な熱振動が弱くなる低温の温度領域においても、Liイオンが容易に移動できるようになる。
一方、結晶構造の歪が多いとされる単斜晶構造を持つ化合物においても、D元素の格子中への置換により骨格サイズを拡大することができる。そのため、単斜晶構造の化合物でもこれらD元素を導入することで、高温相と同様に室温よりも低温の温度領域においてもLiイオンが容易に移動できるようになる。
結晶構造中の金属元素Mのサイトの全体に亘ってTaの分布が均一であってもよく、Taの分布に偏りがあってもよい。結晶構造中にTaがランダムに配置されているよりも、Taの配置に一定の程度の偏在がある方が望ましい。ここでいう偏在とは、結晶格子中のTa−Ta間の平均結合距離が、Nb−Ta間の平均結合距離よりも小さいことを示す。
NASICON構造を有する化合物は、例えば、一般式LixMαy(Mβ1-zz)(PO4)3で表される化合物を含み得る。ここで、一般式における添字xは0<x≦2の範囲内にあり、添字yは0<y≦1の範囲内にあり、添字zは0≦z≦1の範囲内にある。式中のMα及びMβは、それぞれ先に説明した金属元素Mα及び金属元素Mβを表す。式中のDは、Ca,Sr,及びBaから成る群より選択される少なくとも1つである。この化合物が有するNASICON構造は、稜面体構造および単斜晶構造から成る群より選択される少なくとも1つを含む。
<酸化物の製造方法>
第1の実施形態に係る固体電解質材料が含む酸化物を製造する方法の例として、固相反応法が挙げられる。固相反応の原料として、構成元素の酸化物または加熱により構成元素を生成する炭酸塩、硝酸塩などの各種塩化合物を用いることができる。目的組成に対応するように、各種原料を所定の比率で混合する。この混合物を焼成することにより、金属元素Mと酸素原子とを含む八面体配位構造を含む酸化物を得ることができる。
例えば、上述の一般式A(Mα1-wMβw)O3で表される目的組成に対応するように、各種原料を所定の比率で混合する。この混合物を焼成することにより、ペロブスカイト構造を有する化合物を得ることができる。或いは、例えば、上述の一般式LixMαy(Mβ1-zz)(PO4)3で表される目的組成に対応するように、各種原料を所定の比率で混合する。この混合物を焼成することにより、NASICON構造を有する化合物を得ることができる。
NASICON構造の酸化物の合成に用いられるリン酸源としては、例えばリン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)等のリン酸塩が好ましい。リン酸源として、リン酸塩を単独または2種類以上組み合わせて用いてもよい。金属元素Mの原料としては、酸化物を用いることが好ましい。金属元素Mの原料としての酸化物は、単独または2種類以上組み合わせて用いても良い。ペロブスカイト構造のAサイトに含むことのできる元素およびNASICON構造に含むことのできるD元素の原料としては、塩化物、炭酸塩や硝酸塩などの金属塩を用いることが好ましい。これら原料を単独または2種類以上組み合わせて用いてもよい。
先ず、上述したように、これらの原料を目的組成に対応する比率となるよう混合して混合物を得る。この混合物に対し、最初に低温加熱処理をする。
ここで、NASICON構造を有する化合物を得る場合には、前熱処理を行うことが望ましい。NASICON構造の化合物の原料にはリン酸塩が含まれているため、当該化合物を一般的に知られる固相反応法で合成しようとすると溶融反応が激しく、軽元素の蒸散が生じる。そのため、一般的な合成方法を採用した場合では、不純物相の生成や組成ずれを起こす。混合物を150℃以上350℃以下の温度条件下で例えば12時間加熱してから炉外に取り出して急冷却する低温加熱処理を加えることで、最初にリン酸塩の分解を促し他の原料との溶融反応を抑制することができる。使用するリン酸塩の融点から100℃以上となる温度(約350℃を超える)では、リン酸塩と他の原料との溶融反応が起こり、軽元素の蒸散が生じるため好ましくない。また、最初に使用するリン酸塩の融点より低い温度(約150℃未満)では、リン酸塩が十分に分解されず、リン酸塩の分解効果が得られにくい。
低温加熱処理に供した混合物を再粉砕し、600℃以上800℃以下で仮焼成することで、熱拡散により均一な混合状態を得ることができる。仮焼成温度が600℃未満では十分な混合状態が得られにくい。一方、仮焼成温度が800℃を越えると、焼結が進み均一な混合状態が得られにくい。仮焼成時間は5時間乃至20時間程度が好ましい。
ペロブスカイト構造の化合物の合成のようにリン酸塩を原料に用いない場合には、上記の前熱処理(低温加熱処理)を省略できる。原料の混合物を得た後、そのまま仮焼成を行える。
このように仮焼成を行った原料混合物を粉砕混合し、大気中または酸素ガスや窒素ガスなどの流通下において、1000℃以上1400℃以下で焼成する。このとき、目的とする結晶構造の単相を得るために、焼成と再粉砕とを繰り返し行うことで複数回に分けて焼成することが好ましい。粉砕方法は特に制限されない。
以上の合成焼成を行った後に、酸素雰囲気中でアニール処理を行なうことが望ましい。具体的には、次のようにアニールする。例えば、管状炉中に試料を入れ、内部を純酸素ガスで満たす。その後、0.5 L/minで純酸素フローを行いながら、600℃で12時間アニール処理を行なう。アニール処理を行うことで、Nbの価数が5.0であり且つTaの価数が5.0である酸化物を得ることができる。
また、焼成の際に、実施形態に係る固体電解質材料を含む正極材料と負極材料とを用いて全固体電池を構成することも可能である。この場合、得られる全固体電池における正極層と負極層との間に固体電解質材料の層が積層された構成となるように材料の粉体を積み重ね、粉体を加圧成型などにより固めてから焼成することで、界面の粒界の小さな全固体電池を得ることができる。焼成温度が1000℃より低いと反応性が悪く、焼成に時間がかかるうえ目的とする相が得られにくい。焼成温度が1400℃より高いと、リチウムをはじめとするアルカリ金属やアルカリ土類金属の蒸散が多くなり目的組成から逸脱しやすくなる。焼成時間の合計は、焼成温度にもよるが、概ね1時間−5時間である。なかでも、1300℃での温度条件下で2時間−3時間程度焼成することが好ましい。また、焼成雰囲気としてはコストや利便性からも空気が好適である。また、焼成中にリチウム蒸散による組成ずれを防ぐために、あらかじめ蒸散量を見積もり、その分リチウム原料を多く混合することが好ましい。
<固体電解質材料の測定>
以下、固体電解質材料の測定方法を説明する。具体的には、粉末X線回折測定、電子プローブマイクロアナリシス法による分析、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光測定、及び誘導結合プラズマ発光分光分析を説明する。
(粉末X線回折測定)
固体電解質材料に含まれている酸化物の結晶構造は、粉末X線回折測定により確認することができる。
測定する対称の固体電解質材料が電池に含まれている場合は、例えば、次に説明する方法により測定試料を電池から取り出す。
例えば、後述するような正極層と負極層と電解質層とが積層されて構築された構造を有する電極体を含んだ全固体電池にて、固体電解質材料は電解質層に含まれ得る。まず、電池を完全に放電した状態にする。例えば、電池を25℃環境において0.1C電流で定格終止電圧まで放電させることで、電池を放電状態にすることができる。電極体を電池から取り出す。電池から取り出した電極体において正極層及び負極層を研磨によって削り落とすことで、電解質層を取り出すことができる。取り出した電解質層を平均粒子径が10μm程度となるまで粉砕する。平均粒子径はレーザー回折法によって求めることができる。粉砕した試料を、ガラス試料板上に形成された深さ0.2mmの平板ホルダー部分に充填する。このとき、試料が十分にホルダー部分に充填されるように留意する。また、試料の充填不足によりひび割れ、空隙等がないように注意する。次いで、外部から別のガラス板を使い、充分に押し付けて平滑化する。充填量の過不足によってホルダーの基準面より凹凸が生じることのないように注意する。次いで、試料が充填されたガラス板を粉末X線回折装置に設置し、Cu−Kα線を用いてX線回折(XRD:X−ray Diffraction)パターンを取得する。
なお、試料の配向性が高い場合には、試料の充填の仕方によってピークの位置がずれたり、ピーク強度比が変化したりする可能性がある。このような配向性の高い試料の場合は、サンプルをキャピラリに封入し、回転試料台に載置して、回転させながら測定する。このような方法により、配向性の影響を低減したうえで、試料のXRDパターンを得ることができる。この方法で測定した強度比と前述の平板ホルダーを用いて測定した強度比が異なる場合、配向による影響が考えられるため、回転試料台の測定結果を採用する。
また、このような方法で測定することにより、オペレータによる測定結果の違いを排除し、再現性を高くすることができる。得られた回折パターンからリートベルト解析等により、格子定数を精密化することができる。
後述するとおり固体電解質材料は、固体電解質材料とポリマー電解質とが混合されている複合電解質として電池に含まれ得る。このような複合電解質を含んでいる電池の場合は、電池から取り出した電極体の表面を、例えば、エチルメチルカーボネートなどの溶剤で洗浄することで固体電解質が塗布されている面を露出させることができる。無機固体粒子が塗布されている面をXRD用ガラスホルダー面と同じ高さになるようにセットして測定を行う。このとき、試料中に含まれている活物質(正極活物質または負極活物質)に帰属されるピークを予め把握しておき、測定後のスペクトルから、これら活物質のピークを分離して各種解析を行う。ピークの分離には、リートベルト法を用いた複相解析が好ましい。
(電子プローブマイクロアナリシス)
電子プローブマイクロアナリシス法(Electron Probe Micro Analyzer:EPMA)による分析を行うことで、酸化物中のNb及びTaのそれぞれの価数を求めることができる。測定装置としては、JEOL社製JXA 8900を用いることができる。ビームエネルギー15 kV、ビーム電流100 nA、ビーム径10 μmの条件で電子線を照射し、分光結晶でNb及びTaのLα線を測定する。ピークシフトに基づいて、測定した元素の価数をそれぞれ求める。こうして酸化物の結晶構造中のNbの価数およびTaの価数のそれぞれについて、平均値を求めることができる。結晶構造の全体を測定しなくてもよく、部分的に確認することによってもNb価数の平均およびTa価数の平均をそれぞれ求めることができる。
(透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光測定)
固体電解質材料の結晶構造中のTaの分布は、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光(Transmission Electron Microscopy - Energy Dispersive X-ray Spectroscopy;TEM−EDX)法による測定により確認することができる。固体電解質材料を含んだ対象の試料をTEM−EDX測定に供し、制限視野回折法によって試料中の各々の粒子の結晶構造を特定する。例えば、固体電解質材料を含んだ電極を測定試料に用いた場合、固体電解質材料の他に電極活物質が含まれ得る。結晶構造を特定することで固体電解質と電極活物質とを区別することができる。EDXでTaのマッピングを取得することにより、Taの分布を求めることができる。
また、Nb及び金属元素Mβなど結晶構造中の他の元素の分布も、マッピングを取得することにより求めることができる。
(誘導結合プラズマ発光分光分析)
TEM−EDXによりそれぞれのマッピングの結果から結晶構造中に対象とする元素が含まれることが確認できた場合、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により定量分析を行うことができる。定量分析により、質量比αTa/αNbやNbに対する補助元素Mβsの元素比率Eβs/ENbなどを算出することができる。
この際、各元素の存在比(モル比)は、使用する分析装置の感度に依存する。従って、例えば、第1の実施形態に係る一例の固体電解質材料に含まれている酸化物の組成を、ICP発光分光法を用いて分析した際、先に説明したモル比から測定装置の誤差分だけ数値が逸脱することがある。しかしながら、分析装置の誤差範囲で測定結果が上記のように逸脱したとしても、第1の実施形態に係る一例の固体電解質材料は先に説明した効果を十分に発揮することができる。
電池に組み込まれている固体電解質材料の組成をICP発光分光法により測定するには、例えば、粉末X線回折測定を説明したと同様の手順により電解質層を取り出したり活物質層を取り出したりして、測定に供することが出来る。取り出した材料層を大気中で短時間加熱して(例えば、500℃で1時間程度)、バインダー成分やカーボンなど不要な成分を焼失させる。この残渣を酸で溶解することで、固体電解質材料を含む液体サンプルを作製できる。このとき、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素などを使用できる。この液体サンプルをICP分析に供することで、固体電解質材料中の組成を知ることができる。
以上説明した第1の実施形態によれば、八面体配位構造を含んでいる酸化物を含む固体電解質材料が提供される。八面体配位構造は、金属元素Mとこの金属元素Mを中心に配されている酸素原子とを含む構造を有する。金属元素Mは、NbとTaとを含んだ金属元素Mαを含む。金属元素MαのうちNbの質量αNbとTaの質量αTaとの質量比αTa/αNbは、5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内にある。この固体電解質材料は高い耐還元性能を有する。また、固体電解質材料は、構成元素の化学的安定性を有しながらも低コスト化が可能である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態によれば、電極が提供される。第2の実施形態に係る電極は、第1の実施形態に係る固体電解質材料を含む。
実施形態に係る電極は、例えば、電池用電極である。ここでいう電池とは、例えば、電力を貯蔵することができる蓄電池を含み、リチウムイオン電池のような二次電池を具体例として挙げることができる。
電極は、活物質をさらに含み得る。活物質は、電池用活物質であり得る。例えば、リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質を挙げることができる。
第2の実施形態に係る電極は、集電体と活物質含有層とを含むことができる。活物質含有層は、集電体の片面又は両面に形成され得る。活物質含有層は、活物質と、任意に導電剤及び結着剤とを含むことができる。
電極は、正極であり得る。正極は、電池用活物質として正極活物質を含み得る。正極は、活物質含有層として正極活物質を含んだ正極活物質含有層を含むことができる。正極活物質含有層の詳細は、後述する正極層の詳細と同じため、説明を省略する。
電極は、負極であり得る。負極は、電池用活物質として負極活物質を含み得る。負極は、活物質含有層として負極活物質を含んだ負極活物質含有層を含むことができる。負極活物質含有層の詳細は、後述する負極層の詳細と同じため、説明を省略する。
電極は、後述するバイポーラ電極構造を有し得る。後述する説明と重複するため、説明を省略する。
集電体の詳細は、後述する。
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態に係る固体電解質材料を含む電極が提供される。この電極は、固体電解質材料のイオン伝導性が高く耐還元性が優れているため、高い入出力性能および優れた貯蔵性能を有する電池を実現できる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態によれば、正極層と、負極層と、Li伝導層とを含む電池が提供される。正極層は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能である。負極層は、リチウムイオンの挿入・脱離が可能である。Li伝導層は、リチウムイオンの伝導が可能である。正極層と負極層とLi伝導層のうち少なくとも一つの層は、第1の実施形態に係る固体電解質材料を含む。
実施形態に係る電池は、例えば、電力を貯蔵することができる蓄電池であり得、リチウムイオン電池のような二次電池を具体例として挙げることができる。
正極層は、正極活物質を含み、集電体上に配置されて正極を構成し得る。負極層は、負極活物質を含み、集電体上に配置されて負極を構成し得る。或いは、正極層が集電体の片面に配置され、負極層が集電体のその裏側の面に配置されてバイポーラ型構造の電極を構成し得る。正極層と負極層とのそれぞれは、電解質を含むことができる。また、正極層と負極層とが含むことのできる電解質は、第1の実施形態に係る固体電解質材料であり得る。正極活物質および負極活物質については後述する。
Li伝導層は、リチウムイオンを伝導することができ、例えば正極層と負極層との間に配置されるセパレータであり得る。または、Li伝導層は、電解質層であり得る。電解質層としてのLi伝導層は電解質を含み、該電解質は、第1の実施形態に係る固体電解質材料を含み得る。
実施形態に係る電池は、外装部材を備えている。正極、負極および電解質は、外装部材内に収納されている。また用途によって非水電解質が併用される場合、該非水電解質も外装部材内に収容されている。更に、電極構造としてバイポーラ型構造をとることもできる。
図3に、実施形態の電池の含むことのできる一例の電極体を示す。図3に示す電極体10Aは、正極層11と電解質層12と負極層13と集電体14とを含む。図示するとおり、電極体10Aは、電解質層12が正極層11と負極層13との間に介在し両端に集電体14が配置されるように、これらの部材が積層された構造を有する。図3の例では、電極体10Aは上記構造が1組積層された単層電極体である。
なお、図3では、正極層11と負極層13との間に介在するLi伝導層として電解質層12を含む例を示したが、実施形態の電池では、Li伝導層は電解質層12でなくてもよい。例えば、正極層11および/または負極層13が後述するように電解質を含んでいる場合には、Li伝導層として電解質を保持したセパレータなどを正極層11と負極層13との間に配置させてもよい。
実施形態の電池の別の態様の一例として、図4のようにバイポーラ電極構造を有する電極体10Bを構成し、これを電池に含むこともできる。すなわち、集電体14、負極層13、電解質層12、及び正極層11の順に積層された1組の構造が、2組以上積層され、最も端(図の上端)の正極層11の片面に集電体14が積層されていてもよい。言い換えると、電極体10Bは、正極層11とLi伝導層と負極層13とがこの順で積層されてなる積層体を複数と、集電体14とを含み、一つの積層体の正極層11と他の積層体の負極層13との間に集電体14が配置されたバイポーラ電極構造を有し得る。この構造を積層する組数は、電池の形状及び大きさの設計に応じて適宜選択できる。図示した例では5組積層されている。本実施形態に係る電極体10Bは、正極層11、電解質層12、及び負極層13をそれぞれ密着させて薄型にすることができるので、これらを多数積層することで薄型で要するスペースが少なく、かつ大容量で電気化学的安定性に優れた電池とすることができる。なお、図3の電極体10Aと同様に、バイポーラ型構造の電極体10Bについても、正極層11および/または負極層13が電解質を含んでいる場合には、Li伝導層として電解質を保持したセパレータなどを電解質層12の代わりに正極層11と負極層13との間に配置させてもよい。
図5に、実施形態に係る一例の電池の概略断面図を示す。
図5に示すとおり、電池100は、外装部材101に収納されているバイポーラ型の電極体10Cを含む。図示する電極体10Cは、図4に示した電極体10Bと同様に、下から集電体14、負極層13、電解質層12、及び正極層11の順に積層された1組の構造が、2組以上積層され、さらに最上段の正極層11の片面に集電体14が積層されている構造を有する。最も端部の正極層11と隣接する集電体14(図の上端)には正極端子9が電気的に接続されている。最も端部の負極層13と隣接する集電体14(図の下端)には負極端子8が電気的に接続されている。これら正極端子9と負極端子8とは外装部材101の外部へ延出している。
図5に示す電池100では、図4の電極体10Bと同様に、電極体10Cが集電体14と負極層13と電解質層12と正極層11との積層構造を5組含む例を示したが、電極体10Cの含む積層構造の組数は、例えば図3の電極体10Aと同様に1組でもよく、或いは2組以上でもよい。
以下、電解質、正極層、負極層、及び外装部材について詳述する。
1)電解質
実施形態に係る電池において、正極層と負極層とLi伝導層とは電解質を含み得る。何れの層についても含むことのできる電解質が第1の実施形態に係る固体電解質材料であり得る。実施形態に係る電池では、これらの層のうち少なくとも何れか一つに第1の実施形態に係る固体電解質材料が含まれている。固体電解質材料を用いた電池では有機電解液の漏液やガス発生の心配がなく、安全な電池を提供することができる。
第1の実施形態で説明した固体電解質材料が含まれている層において、このリチウムイオン伝導性固体電解質材料を単独で用いても良いし、他の種類の固体電解質(例えば、他のNASICON型固体電解質、他のペロブスカイト型固体電解質、ガーネット型固体電解質、LISOCON系固体電解質、硫化物系固体電解質)と混合しても良い。更に好ましい態様の電池は、第1の実施形態に係る固体電解質材料と有機電解質とを含んだ複合電解質を電解質として含む。固体電解質材料は無機固体粒子を形成している。この無機固体粒子と有機電解質とで、複合電解質を形成している状態が好ましい。
複合電解質における有機電解質は、イオン伝導性を示すLi(リチウム)イオンとプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、及びメチルエチルカーボネート(MEC)からなる群より選択される少なくとも一種とを含有している。なお、有機電解質とともに複合電解質を形成する無機固体粒子としてLiイオン伝導性が高い硫化物固体電解質粒子を用いると、硫黄成分が溶解するため好ましくない。
複合電解質中の有機電解質の質量比率が0.1%以上20%以下である。換言すれば、複合電解質の総量を100質量部とした場合の有機電解質の含有量が0.1質量部−20質量部である。複合電解質中の有機電解質の質量比率は1%以上10%以下であることが好ましく、約4%であることが特に好ましい。
複合電解質には、さらにバインダを含有してもよい。バインダは、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、又はポリメチルメタクリレートなどカーボネート類とゲル化する高分子体を用いることがより好ましい。バインダの含有量は、例えばPVdFの場合は、複合電解質の全体質量に対して20質量%未満であることが好ましい。
複合電解質は、固体状ポリマー電解質またはゲル状ポリマー電解質であることが好ましい。複合電解質が固体状になるかゲル状になるかは、有機電解質およびバインダの組成を選択することによって適宜調整することができる。複合電解質が固体状ポリマー電解質であれば一般に電池装置のコンパクト化を図ることができる。複合電解質がゲル状ポリマー電解質であれば電池装置の作製や形状を変更する等の操作が容易である。
実施形態に係る複合電解質によれば、第1の実施形態に係る固体電解質材料と上記有機電解質とを複合化することで、イオン伝導性を高めることができる。これはLiイオン伝導性無機固体粒子と有機電解質との界面において、可動Liイオン濃度が増え、Liイオンの移動が容易となるためである。なお、有機電解質として、Liイオン伝導性の高いLi含有酸化物固体電解質を用いると、Liイオンの移動が更に容易となる。
また、前述の有機電解質及び無機固体粒子(第1の実施形態に係る固体電解質材料の粒子)を用いることで、無機固体粒子が有機電解質に対して化学的に安定となり、無機固体粒子の溶解などといった問題を生じない。そのうえ、Liイオン伝導性無機固体粒子を使うことで、高温においてもLiの移動にともなう還元反応が生じにくく、複合電解質の安定性及び寿命を高めることができる。
正極層11及び負極層13の表面は、図6−図8に例示されるように、平坦ではなく凹凸を有し得る。実施形態に係る電池において、例えば図7に示すように電解質層12を無機固体粒子121と有機電解質122とからなる複合電解質123を用いて構成した場合、該電解質層12と、正極層11及び負極層13との界面が、正極層11及び負極層13の表面の凹凸に沿って形成され得る。この例を図8に示す。なお、無機固体粒子121には、上記した固体電解質(第1の実施形態に係る固体電解質材料、及びその他の固体電解質)の粒子が含まれ得る。図6−図8に示すように、正極層11及び負極層13の表面には、各々の電極を構成する素材(後述する活物質の粒子など)による凹凸が存在している。特に、負極層13の表面は後述するように負極活物質粒子として、平均二次粒子径が5μmよりも大きい二次粒子を使用している場合、大きな凹凸を有する。電解質層12は、この凹凸に沿って正極層11及び負極層13に密着している。具体的には、有機電解質122が、後述する製造過程においてゲル状であるか又は硬化前の流動性を有するため、正極層11及び負極層13の表面の粒子によって形成されている凹部に浸透し入り込んでいる。
このような構造により、電解質層12の表面が、正極層11及び負極層13の表面の凹凸に沿って、互いの表面が密着するように形成されており、電解質層12と正極層11と負極層13との間にほぼ隙間が無い状態となっている。特に、図8に示すように無機固体粒子121の一部である無機固体粒子121Aが、負極層13の凹部の奥に入り込んでいる場合には、負極層13の凹部を含めた表面に無機固体粒子121Aを介して良好に伝導性が与えられる。また、電解質層12において、例えば、固体電解質粒子として硬質の粒子である無機固体粒子121Bを含ませた場合には、この硬質の無機固体粒子121Bが電解質層12に構造的強度を付与するため、電解質層12にある程度の厚さを確保させる作用も有する。これにより、正極層11と負極層13とが直接に密着して短絡することを防ぐことができる。
或いは、複合電解質は、例えば、正極活物質の粒子の少なくとも一部を被覆した状態で正極層11に含まれ得る。即ち、正極層11に電解質が含まれている場合、上述した複合電解質が個々の正極活物質粒子を被覆する状態にあり得る。同様に、複合電解質は、例えば、負極活物質の粒子の少なくとも一部を被覆した状態で負極層13に含まれ得る。即ち、負極層13に電解質が含まれている場合、上述した複合電解質が個々の負極活物質粒子を被覆する状態にあり得る。このような状態の正極層11及び負極層13を、高分子材料層と見なすことができる。
実施形態に係る電池において、電解質層12を用いる場合は、例えば上述した複合電解質を構成する有機電解質を正極層11若しくは負極層13に塗布する、又は互いに平行に配置された正極層11と負極層13との間に注入するといった手段により電解質層12を製造することができる。
さらに具体的な例として、例えば以下のような製造方法により電解質層12を製造することができる。この具体例では、正極層11の上に電解質層12を製造する方法を説明するが、実施形態に係る電解質層12の製造方法はこれに限られない。まず、無機固体粒子121をバインダを含む溶液に分散させて、固体電解質粒子のバインダ分散液を調製する。ここで、バインダには、上述した種類のうちのいずれかを使用可能である。無機固体粒子121は、第1の実施形態に係る固体電解質材料の粒子であり得る。次に、このバインダ分散液を正極層11上に塗布することで、図6に示すように、正極層11上に無機固体粒子121を設ける。その後、図7に示すように、この正極層11上に有機電解質122を含浸させ、加熱混合することで、有機電解質122と無機固体粒子121とを含有するゲル状の複合電解質123を構成することができる。次いで、正極層11と負極層13とを対向配置させ押圧することで、図8に示すような正極層11と負極層13との間に複合電解質層12が挟持されている電極体を得ることができる。
ここで、電解質層12としてゲル状の複合電解質123を用いることで、負極層13を正極層11上の複合電解質123に押し付けた際に、正極層11及び負極層13の表面における凹凸、特にこれらの電極層の表面に存在し得る活物質の凹凸に対して、複合電解質123がその凹凸の隙間に入り込む、又は浸透する。そのため、正極層11と負極層13と電解質層12とが、それぞれの凹凸に沿って密着する。
また、有機電解質として固体状ポリマーを用いる場合、固化する前の流動性を有する有機電解質を正極層11上に塗布してもよい。また、これを正極層11上に塗布する際に、有機電解質の流動性が充分に高い場合は、スプレー法等を用いてもよい。スプレー法を用いることで、正極層11上に均一に複合電解質123を設けることができ、複合電解質123を設ける量を調整することにより電解質層12の厚さも容易に調整することができる。
また、正極層11と負極層13との間に有機電解質122を注入することで電解質層12を製造する場合には、具体的には、例えば、無機固体粒子121を配置した正極層11と負極層13とを間に一定の距離(電解質層12の厚みとして設定される値)をおいて配置した後、有機電解質122を注入、浸透させるといった方法により製造してもよい。
本態様では、正極層11及び負極層13の微細な凹部に、有機電解質122と無機固体粒子121がそれぞれ入り込んでいるため、電解質層12と、正極層11及び負極層13とが隙間なく密着している。電解質層12と、正極層11及び負極層13との界面が良好に形成されているため、電解質層12を介したイオン伝導性が良好となる。正極層11及び負極層13と電解質層12とが密着しているので、電解質層12の厚さを上述した小さい範囲にすることができる。
2)正極層
正極層11は、図3に示す単層電極体10Aの例においては、集電体14の片面に担持されている。正極層11は、活物質(正極活物質)、導電剤および結着剤を含む。また、正極層11は、電解質を含むことができる。この電解質は、上述した固体電解質(第1の実施形態に係る固体電解質材料、並びにその他の固体電解質)であり得る。また、電解質として正極層11が非水電解質を含む態様も可能である。なお、ここでいう非水電解質とは、例えば液状の非水電解質、または非水電解質を基質としたゲル状電解質を含む。
その面に正極層11を担持する集電体14としては、Al(アルミニウム)を含有する箔を用いることが好ましい。このようなAl含有箔としては、純Al(純度100%)のアルミニウム箔、或いはAl純度が99%以上100%未満のAl合金箔を用いることが好ましい。Al合金としては、Alの他に、Fe、Mg、Zn、Mn及びSiからなる群より選択される1種類以上の元素を含む合金が好ましい。例えば、Al−Fe合金、Al−Mn系合金およびAl−Mg系合金は、Alよりさらに高い強度を得ることが可能である。一方、AlおよびAl合金中のCu、Ni、Crなどの遷移金属の含有量は100ppm以下(0ppmを含む)にすることが好ましい。例えば、Al−Cu系合金では、強度は高まるが、耐食性は悪化するので、集電体14としては不適である。
正極層11が担持される集電体14に用いる、より好ましいAl純度は99.0%以上99.99%以下の範囲である。この範囲であると不純物元素の溶解による高温サイクル寿命劣化を軽減することができる。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y<1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
導電剤は、正極層11における電子伝導性を高め、集電体14との接触抵抗を抑えるために加えられる。導電剤としては、例えば、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラック、カーボンブラック、または黒鉛等を挙げることができる。
活物質と導電剤を結着させるための結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはフッ素系ゴムなどが挙げられる。
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比については、正極活物質は80質量%以上95質量%以下、導電剤は3質量%以上18質量%以下、結着剤は2質量%以上7質量%以下の範囲にすることが好ましい。導電剤については、3質量%以上であることにより上述した効果を発揮することができ、18質量%以下であることにより、高温保存下での導電剤表面での非水電解質の分解を低減することができる。結着剤については、2質量%以上であることにより十分な電極強度が得られ、7質量%以下であることにより、電極の絶縁部を減少させることができる。
正極層11は、例えば、正極活物質、導電剤及び結着剤、並びに任意に固体電解質を適切な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体14に塗布した後、集電体14上に塗布した塗膜を乾燥し、プレスを施すことにより集電体14上に担持することができる。正極プレス圧力は、0.15 ton/mm以上0.3 ton/mm以下の範囲が好ましい。この範囲であると正極層とAl箔正極集電体との密着性(剥離強度)が高まり、かつ正極集電体箔の伸び率が20%以下となり好ましい。
3)負極層
負極層13は、図3に示す単層電極体10Aの例においては、集電体14の片面に担持されている。負極層13は活物質(負極活物質)、導電剤および結着剤を含む。また、負極層13は、電解質を含むことができる。この電解質は、上述した固体電解質(第1の実施形態に係る固体電解質材料、並びにその他の固体電解質)であり得る。また、電解質として負極層13が非水電解質を含む態様も可能である。なお、ここでいう非水電解質とは、例えば液状の非水電解質、または非水電解質を基質としたゲル状電解質を含む。
その面に負極層13を担持する集電体14としては、Al(アルミニウム)を含有する箔を用いることが好ましい。このようなAl含有箔としては、Al箔またはAl合金箔が望ましい。特に、純Al(純度100%)のアルミニウム箔、或いはAl純度が98%以上100%未満のAl合金箔を用いることが好ましい。Al箔の純度が99.99%以上であることがより好ましい。Al箔およびAl合金箔の厚さは、例えば20μm以下、より好ましくは15μm以下である。Al合金としては、Alの他に、Fe、Mg、Zn、Mn及びSiからなる群より選択される1種類以上の元素を含む合金が好ましい。例えば、Al−Fe合金、Al−Mn系合金およびAl−Mg系合金は、Alよりさらに高い強度を得ることが可能である。一方、AlおよびAl合金中のCu、Ni、Crなどの遷移金属の含有量は100ppm以下(0ppmを含む)にすることが好ましい。例えば、Al−Cu系合金では、強度は高まるが、耐食性は悪化するので、集電体14としては不適である。
負極層13が担持される集電体14に用いるより好ましいAl純度は98%以上99.95%以下の範囲である。後述するように、実施形態における負極活物質粒子として二次粒子径が2μm以上であるTi含有酸化物粒子を用いることで、負極プレス圧を低減してAl箔の伸びを少なくできる。そのため、この純度範囲が適切となる。その結果、Al箔集電体の電子伝導性を高くできるという利点があり、さらに、後述するチタン含有酸化物の二次粒子の解砕を抑制して低抵抗な負極層を得ることができる。
Liが挿入・脱離される負極活物質としては、例えば炭素材料、黒鉛材料、Li合金材料、金属酸化物、又は金属硫化物が挙げられる。これらのうち、Ti元素を含有するものが好ましい。中でもLiイオンが挿入および脱離される電位がリチウムの酸化還元電位を基準として1V以上3V以下(vs.Li/Li)の範囲にあるチタン含有酸化物を選択することが特に好ましい。
チタン含有酸化物の例には、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi37、0≦y≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi512、0≦x≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ホランダイト型チタン複合酸化物、直方晶型(orthorhombic)チタン複合酸化物、及び単斜晶型ニオブチタン複合酸化物が挙げられる。
上記直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)d14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、−0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
上記単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、−0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例として、LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x<5、0≦y<1、0≦z<2、−0.3≦δ≦0.3である。
これらの1種を単独で用いても、あるいは2種以上を混合して用いても良い。より好ましくは、体積変化の極めて少ない一般式Li4+xTi512(xは0≦x≦3、より好ましくは−1≦x≦3)で表せるスピネル構造リチウムチタン酸化物である。これらチタン含有酸化物を用いることで、負極層を担持する集電体として、従来の銅箔に代わって正極集電体と同様にAl箔を用いるこができる。その結果、電池の軽量化と低コスト化を実現できる。また、後述するバイポーラ電極構造を構成した電池の重量及び大きさあたりの容量において有利となる。
負極活物質の粒子は、一次粒子についての平均粒径が1μm以下で、かつN吸着によるBET法によって測定された比表面積が3m/g以上200m/g以下範囲にあることが望ましい。これにより、電池において非水電解質を用いた場合に、負極層13と非水電解質との親和性を高くすることができる。また、平均一次粒子径を1μm以下とすることで、活物質内部でのLiイオンの拡散距離を短くすることができる。また、比表面積を大きくできる。なお、BET法による比表面積の測定方法については後述する。なお、より好ましい平均粒子径は、0.1μm以上0.8μm以下である。
負極活物質の平均粒径を上記範囲にするのは、平均粒径が1μmを超える一次粒子を使用して負極層13の比表面積を3m/g以上50m/g以下と大きくすると、負極層13の多孔度の低下を避けられないからである。但し、平均粒径が小さいと、粒子の凝集が起こりやすくなり、例えば非水電解質を用いた場合には、非水電解質の分布が負極層13に偏って正極層11での電解質の枯渇を招く恐れがあることから、下限値は0.001μmにすることが望ましい。
負極活物質粒子は、上述した一次粒子の他に二次粒子を含んでいてもよい。負極活物質の二次粒子の平均粒子径(直径)は、2μmより大きいことが好ましい。負極活物質の二次粒子径が5μmより大きいことがより好ましい。最も好ましい二次粒子径は、7μm以上20μm以下である。この範囲であると負極プレスの圧力を低く保ったまま高密度の負極を作製でき、集電体としてのAl含有箔の伸びを抑制することができる。
二次粒子の平均粒子径が2μmより大きい負極活物質は、例えば以下のようにして得ることができる。先ず、活物質原料を反応合成して平均粒子径1μm以下の活物質プリカーサー(前駆体)を作製した後、焼成処理を行う。焼成物に対し、ボールミルやジェットミルなどの粉砕機を用いて粉砕処理を施した後、さらに焼成処理を施すことで、活物質プリカーサー(前駆体)を凝集させて粒子径の大きい二次粒子に成長させる。
また、二次粒子表面に炭素材料を被覆することも負極層における電気抵抗の低減のため好ましい。炭素材料で被覆した負極活物質の二次粒子は、例えば二次粒子製造過程で炭素材料の前駆体を添加し、不活性雰囲気下で500℃以上の温度条件で焼成することで作製することができる。
また、負極層13には、負極活物質としてのチタン含有酸化物の二次粒子と一次粒子とが混在していても良い。より高密度化する観点から、負極層において一次粒子が5体積%以上50体積%以下存在することが好ましい。
次に、負極層13の比表面積を上記範囲に規定する理由を説明する。比表面積が3m/g未満であるものは粒子の凝集が目立つため、例えば非水電解質を用いたときに負極層13と非水電解質との親和性が低くなり、負極層13の界面抵抗が増加する結果、出力性能と充放電サイクル性能が低下する。一方、比表面積が50m/gを超えるものは、非水電解質の分布が負極層13に偏り、正極層11での非水電解質不足を招くため、出力性能の改善を図れない。比表面積のより好ましい範囲は、5m/g以上50m/g以下である。ここで、負極層13の比表面積とは、負極層1g当りの表面積を意味する。
負極層13は、例えば集電体上に担持された負極活物質、導電剤及び結着剤を含む多孔質の層であり得る。負極層13が多孔質である場合は、その多孔度(集電体を除く)は、20%以上50%以下の範囲にすることが望ましい。これにより、例えば電池に非水電解質を用いた場合に、負極層13と非水電解質との親和性に優れ、かつ高密度な負極層13を得ることができる。多孔度のさらに好ましい範囲は、25%以上40%以下である。
導電剤としては、例えば、炭素材料を用いることができる。炭素材料としては、例えば、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛、Al粉末、またはTiO等を挙げることができる。より好ましくは、熱処理温度が800℃以上2000℃以下である、平均粒子径10μm以下のコークス、黒鉛、TiOの粉末、または平均繊維径1μm以下の炭素繊維が好ましい。これらの炭素材料について、N吸着によるBET法によって測定された比表面積は10m/g以上であることが好ましい。
結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、またはコアシェルバインダーなどが挙げられる。
負極層13の活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質80質量%以上95質量%以下、導電剤3質量%以上18質量%以下、結着剤2質量%以上7質量%以下の範囲にすることが好ましい。
結着剤の添加量が多い方が粒子の分散性が高くなる傾向があるものの、粒子の表面が結着剤で覆われやすく、負極層13の比表面積としては小さくなる。一方で、結着剤の添加量が少ないと粒子が凝集しやすくなるため、攪拌条件(ボールミルの回転数、攪拌時間及び攪拌温度)を調整して粒子の凝集を抑えることが望ましい。こうすることによって、微粒子を均一分散させることができ、実施形態における負極層13が得られる。さらに、結着剤添加量と攪拌条件が適正範囲内でも、導電剤の添加量が多いと、負極活物質の表面が導電剤で被覆されやすく、また負極表面のポアも減少する傾向があることから、負極層13の比表面積としては小さくなる傾向がある。
一方で、導電剤の添加量が少ないと、負極活物質が粉砕されやすくなって負極層13の比表面積が大きくなったり、あるいは負極活物質粒子の分散性が低下して負極層13の比表面積が小さくなったりする傾向がある。さらには、導電剤の添加量だけでなく、導電剤の平均粒径と比表面積も負極層13の比表面積に影響を与え得る。導電剤は、平均粒径が負極活物質の平均粒子径以下で、比表面積が負極活物質の比表面積よりも大きいことが望ましい。
負極層13は、例えば、前述した負極活物質、導電剤、及び結着剤、並び任意に固体電解質を適切な溶媒に懸濁させ、この懸濁物を集電体14に塗布した後、集電体14上に塗布した塗膜を乾燥し、加温プレスを施すことにより集電体14上に担持することができる。この際、結着剤の添加量が少ない状態で負極活物質の粒子を均一分散させることが望ましい。
4)外装部材
上述した電極体10A−10Cは、外装部材101としての容器に収容して用いることができる。電極体10A−10Cが収容される容器には、金属製容器や、ラミネートフィルム製容器を使用することができる。
金属製容器としては、Al、Al合金、鉄、またはステンレスなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。また、容器の板厚は、0.5mm以下にすることが望ましく、さらに好ましい範囲は0.3mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、例えば、Al箔を樹脂フィルムで被覆した多層フィルムなどを挙げることができる。樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。また、ラミネートフィルムの厚さは0.2mm以下にすることが好ましい。Al箔の純度は99.5%以上が好ましい。
Al合金からなる金属缶は、Mn、Mg、Zn、及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むAl純度99.8%以下の合金から構成されるものが好ましい。Al合金を用いることで、金属缶の強度が飛躍的に増大することにより缶の肉厚を薄くすることができる。その結果、薄型で軽量かつ高出力で放熱性に優れた電池を実現することができる。
上記の電池は、電気的に直列又は並列に接続し、他種の電池と組み合わせ、及び/又はケーシング等と組み合わせて、電池パックとしてもよい。電池パックは従来知られた構成を適宜選択できる。また、電池パックの構成の具体的な例の詳細を後述する。
<比表面積の測定方法>
比表面積の測定は、粉体粒子表面に吸着占有面積が既知である分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法を用いる。最も良く利用されるのが不活性気体の低温低湿物理吸着によるBET法である。このBET法は、単分子層吸着理論であるLangmuir理論を多分子層吸着に拡張した、比表面積の計算方法として最も有名な理論であるBET理論に基づく方法である。これにより求められた比表面積のことを、BET比表面積と称する。
以上説明した第3の実施形態に係る電池によれば、正極層と負極層とLi伝導層とを含む電池が提供される。正極層、負極層、及びLi伝導層のそれぞれには、リチウムイオンを挿入・脱離することができる。正極層と負極層とLi伝導層との何れかのうち、少なくとも1つにおいて第1の実施形態に係る固体電解質材料が含まれている。この電池は、高い入出力性能および優れた貯蔵性能を有する。加えて、当該電池は、安価に提供することができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態によると、組電池が提供される。第4の実施形態に係る組電池は、第3の実施形態に係る電池を複数個具備している。
第4の実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、第4の実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第4の実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図9に示す組電池200は、5つの単電池100a〜100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a〜100eのそれぞれは、第3の実施形態に係る電池である。
バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子8と、隣に位置する単電池100bの正極端子9とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図9の組電池200は、5直列の組電池である。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がバスバーにより接続されるとともに複数の正極端子同士がバスバーにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
5つの単電池100a〜100eのうち少なくとも1つの電池の正極端子9は、外部接続用の正極側リード22に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a〜100eうち少なくとも1つの電池の負極端子8は、外部接続用の負極側リード23に電気的に接続されている。
第4の実施形態に係る組電池は、第3の実施形態に係る電池を具備する。したがって、高い入出力性能および優れた貯蔵性能を示すことができる。
[第5の実施形態]
第5の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第4の実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第3の実施形態に係る電池を具備していてもよい。
第5の実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、第5の実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に電池からの電流を出力するため、及び/又は電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、第5の実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図10は、第5の実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図11は、図10に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図10及び図11に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
図10に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
複数の単電池100の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る電池である。複数の単電池100の各々は、図11に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、組電池200に接続されている。正極側リード22の一端は、1以上の単電池100の正極と電気的に接続されている。負極側リード23の一端は、組電池200に接続されている。負極側リード23の一端は、1以上の単電池100の負極と電気的に接続されている。
プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ342と、負極側コネクタ343と、サーミスタ345と、保護回路346と、配線342a及び343aと、通電用の外部端子350と、プラス側配線(正側配線)348aと、マイナス側配線(負側配線)348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200の一側面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ342に、正極側リード22の他端22aが電気的に接続されている。負極側コネクタ343に、負極側リード23の他端23aが電気的に接続されている。
サーミスタ345は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ345は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路346に送信する。
通電用の外部端子350は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子350は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。通電用の外部端子350は、正側端子352と負側端子353とを含む。
保護回路346は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路346は、プラス側配線348aを介して正側端子352と接続されている。保護回路346は、マイナス側配線348bを介して負側端子353と接続されている。また、保護回路346は、配線342aを介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。保護回路346は、配線343aを介して負極側コネクタ343に電気的に接続されている。更に、保護回路346は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路346は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路346は、サーミスタ345から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路346と外部機器への通電用の外部端子350(正側端子352、負側端子353)との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ345から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路346としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子350を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子350を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子350を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子350を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子の正側端子と負側端子としてそれぞれ用いてもよい。
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第5の実施形態に係る電池パックは、第3の実施形態に係る電池又は第4の実施形態に係る組電池を備えている。したがって、高い入出力性能および優れた貯蔵性能を示すことができる。
[第6の実施形態]
第6の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。
第6の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(例えば、リジェネレーター)を含んでいてもよい。
第6の実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
第6の実施形態に係る車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
第6の実施形態に係る車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、それぞれの電池パックが含む電池同士は、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。例えば、各電池パックが組電池を含む場合は、組電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、又は電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。或いは、各電池パックが単一の電池を含む場合は、それぞれの電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
次に、第6の実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図12は、第6の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図である。
図12に示す車両400は、車両本体40と、第5の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図12に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300が含む電池(例えば、単電池または組電池)は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図12では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図13を参照しながら、第6の実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図13は、第6の実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図である。図13に示す車両400は、電気自動車である。
図13に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位の制御装置である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図13に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置301a(例えば、VTM:Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a〜300cは、前述の電池パック300と同様の電池パックであり、組電池200a〜200cは、前述の組電池200と同様の組電池である。組電池200a〜200cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a〜200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第3の実施形態に係る電池である。組電池200a〜200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、組電池監視装置301a〜301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a〜200cに含まれる単電池100のそれぞれについて電圧及び温度などに関する情報を収集する。これにより、電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置301a〜301cとは、通信バス412を介して接続されている。通信バス412では、1組の通信線が複数のノード(電池管理装置411と1つ以上の組電池監視装置301a〜301cと)で共有されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置301a〜301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a〜200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との間の電気的な接続の有無を切り替える電磁接触器(例えば図13に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a〜200cへの充電が行われるときにオンになるプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、組電池200a〜200cからの出力が負荷へ供給されるときにオンになるメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチ及びメインスイッチのそれぞれは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフに切り替わるリレー回路(図示せず)を備えている。スイッチ装置415等の電磁接触器は、電池管理装置411又は車両400全体の動作を制御する車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411又は車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。インバータ44が制御されることにより、インバータ44からの出力電圧が調整される。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。駆動モータ45の回転によって発生する駆動力は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構(リジェネレーター)を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。変換された直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子417に接続されている。接続ラインL1には、負極端子414と負極入力端子417との間に電池管理装置411内の電流検出部(電流検出回路)416が設けられている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子418に接続されている。接続ラインL2には、正極端子413と正極入力端子418との間にスイッチ装置415が設けられている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置411を含む他の管理装置及び制御装置とともに車両用電源41、スイッチ装置415、及びインバータ44等を協調制御する。車両ECU42等の協調制御によって、車両用電源41からの電力の出力及び車両用電源41の充電等が制御され、車両400全体の管理が行われる。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第6の実施形態に係る車両は、第5の実施形態に係る電池パックを搭載している。電池パックの入出力性能が高いため、高性能な車両を提供できる。電池パックが貯蔵性能に優れているため、信頼性が高い車両を提供できる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて上記実施形態をさらに詳細に説明する。
1.固体電解質材料
<合成>
(実施例A−1乃至A−20)
以下のようにして、一般式A(Mα1-wMβw)O3で表されるペロブスカイト構造を有する酸化物を合成した。
先ず、下記表1に示す目的組成を得るべく原料を所定のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合した。用いた原料の具体例として、実施例A−1乃至A−6ではSr(NO3)2、Li2CO3、Nb2O5、Ta2O5、及びTiO2を用いた。次に混合物に対し800℃の温度条件下で12時間仮焼成を行った。この仮焼成した混合物を再び粉砕混合した。その後、得られた粉砕混合粉を厚さ1mm及び直径12mmのペレット状(コイン型)に一軸加圧成型した。このペレットに対し1350℃の温度条件下で1時間の本焼成を行い、実施例A−6の固体電解質材料としての酸化物を得た。
実施例A−1乃至A−5及び実施例A−7乃至A−20については、本焼成後の各試料に対し酸素雰囲気中でアニール処理を行なった。雰囲気ガスの充填が可能な管状炉中に試料を入れた。炉の内部を純酸素ガスで満たしたのち、0.5 L/minで純酸素フローを行いながら、600℃で12時間アニール処理を行なうことで、実施例A−1乃至A−5及び実施例A−7乃至A−20の固体電解質材料としての酸化物を得た。
(比較例A−1乃至A−3)
下記表2に示す目的組成を得るべく原料を所定のモル比となるように秤量したことを除き、実施例A−1と同様の手順により酸化物を合成した。こうして比較例A−1乃至A−3の固体電解質材料としての酸化物を得た。
(比較例A−4)
ペレット成型の前に、粉砕混合粉にTa2O5粉末を添加したことを除き、比較例A−1と同様の手順により固体電解質材料としての酸化物を得た。
(実施例B−1乃至B−19)
以下のようにして、一般式LixMαy(Mβ1-zz)(PO4)3で表されるNASICON構造を有する酸化物を合成した。
先ず、下記表3に示す目的組成を得るべく原料を所定のモル比となるように秤量し、乳鉢で混合した。用いた原料の具体例として、実施例B−1乃至B−6ではLi2CO3、Nb2O5、Ta2O5、BaCO3、ZrO2、及びNH4H2PO4を用いた。リン酸塩を分解するため、混合物を電気炉に入れて300℃で12時間加熱してから炉外に取り出し、100℃/minの冷却速度で冷却した。
次にこの混合物を再粉砕した後、800℃の温度条件下で12時間仮焼成を行った。この仮焼成した混合物を再び粉砕混合した。その後、得られた粉砕混合粉を厚さ1mm及び直径12mmのペレット状(コイン型)に一軸加圧成型した。このペレットに対し1350℃の温度条件下で1時間の本焼成を行い、実施例B−6の固体電解質材料としての酸化物を得た。
実施例B−1乃至B−5及び実施例B−7乃至B−19については、本焼成後の各試料に対し酸素雰囲気中でアニール処理を行なった。雰囲気ガスの充填が可能な管状炉中に試料を入れた。炉の内部を純酸素ガスで満たしたのち、0.5 L/minで純酸素フローを行いながら、600℃で12時間アニール処理を行なうことで、実施例B−1乃至B−5及び実施例B−7乃至B−19の固体電解質材料としての酸化物を得た。
(比較例B−1乃至B−3)
下記表4に示す目的組成を得るべく原料を所定のモル比となるように秤量したことを除き、実施例A−1と同様の手順により酸化物を合成した。こうして比較例B−1乃至B−3の固体電解質材料としての酸化物を得た。
(比較例B−4)
ペレット成型の前に、粉砕混合粉にTa2O5粉末を添加したことを除き、比較例B−1と同様の手順により固体電解質材料としての酸化物を得た。
<評価>
それぞれの実施例および比較例について得られた固体電解質材料のペレットの両面を研磨して平滑にした後、ペレット側面(コイン型の形状の縁部分)をマスキングテープで覆った。研磨により平滑化したペレットの両面に金を蒸着してブロッキング電極を作製した。
(Liイオン伝導率測定)
次に、合成した固体電解質材料のLiイオン伝導率を測定するために、各々のペレットを用いて作製したブロッキング電極を真空下において140℃の温度条件で12時間乾燥した。次に、ブロッキング電極を乾燥アルゴン(Ar)で満たした4端子測定容器にいれた。ブロッキング電極を入れた4端子測定容器を恒温槽中に入れ、測定条件として設定した温度において2時間保持した後、横川ヒューレットパッカード製インピーダンスアナライザー 4192Aを用いてインピーダンス測定を行った。測定の設定温度は、25℃とした。測定周波数範囲は、5Hzから13MHzとし、複素インピーダンスの測定結果からバルク部の抵抗値を算出し、ペレットの電極面積、厚さを用いて、バルク部におけるリチウムイオン伝導率σb(S/cm)を計算した。
(価数測定及び耐還元性試験)
各々の固体電解質材料について、先に説明した方法でEPMA測定を行うことにより酸化物中のNb及びTaの価数を測定した。測定結果を下記表1−4に示す。
次に、合成した固体電解質材料が金属リチウムと同等の電位において安定性を保てるかを確認するため、耐還元性試験を行った。先ずそれぞれの固体電解質材料のペレットを用いたブロッキング電極について、ペレット両面を#800のラッピングフィルム(3M社製)を用いて研磨し、金電極を完全に剥がした。各々のペレットをもちいて、アルゴン雰囲気中で、ペレットの片面に直径10mmの円形の金属リチウム箔を1時間接触させた。1時間後にアルゴン雰囲気から取り出し、金属リチウムに対する接触面と非接触面のEPMA測定を行なった。接触前後のピークの違いを比較し、還元による相違が確認されない場合を還元無し、相違が確認された場合を還元有りと判定した。判定結果を下記表1−4に示す。
(粉末X線回折測定)
得られた試料について、以下のようにして粉末X線回折測定を行った。
各々のペレットを乳鉢と乳棒を用いて平均粒子径が10μm程度となるまで粉砕した。粉砕した試料を、ガラス試料板上に形成された深さ0.2mmのホルダー部分に充填した。次いで、外部から別のガラス板を使い、充分に押し付けて平滑化した。次いで、試料が充填されたガラス板を粉末X線回折装置に設置し、Cu−Kα線を用いて回折パターンを取得した。結晶相及び空間群についてリートベルト法による結晶構造解析を用いて調べた結果、目的とする結晶構造を有していることが確認できた。
詳細には、実施例A−1乃至A−20及び比較A−1乃至A−4(Aシリーズの実施例および比較例)については、ペロブスカイト型の構造が得られていることが確認できた。Aシリーズにおける各々の固体電解質材料における酸化物の結晶相および空間群を表1及び2に示す。実施例B−1乃至B−19及び比較例B−1乃至B−4(Bシリーズの実施例および比較例)については、NASICON型の構造が得られていることが確認できた。Bシリーズにおける各々の固体電解質材料における酸化物の結晶相および空間群を表3及び4に示す。
下記表1−4に、Aシリーズの実施例および比較例、並びにBシリーズの実施例および比較例において合成した固体電解質材料の酸化物の組成および結晶構造の詳細をまとめる。組成として、化学組成式、質量比αTa/αNb、Nb及びTaのそれぞれの価数、主元素Mβpの有無および種、補助元素Mβsの有無および種、及び酸化物中のNbに対する補助元素Mβsの元素比率Eβs/ENbを示す。結晶構造の詳細として、主な結晶相および主相の空間群を示す。なお、Aシリーズの何れにおいても、ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物が得られていた。Bシリーズの何れにおいても、NASICON型の結晶構造を有する酸化物が得られていた。
下記表5に、Aシリーズの実施例および比較例で得られた固体電解質材料に対するLiイオン伝導率測定の結果および耐還元性試験の結果をまとめる。表6には、Bシリーズの実施例および比較例で得られた固体電解質材料に対するLiイオン伝導率測定の結果および耐還元性試験の結果をまとめる。
表5の結果から、NbとTaとから成る金属元素Mαを含め金属元素Mを中心に酸素原子が配した八面体配位構造を含み、Nbに対するTaの質量比αTa/αNbが5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内にある酸化物を含んだ固体電解質材料は、Liイオン伝導率が高く、且つ、優れた耐還元性能を示すことがわかる。
2.電池
<電池製造>
各々の実施例および比較例で得られた固体電解質材料を用いた電池の放電性能を調べるために、それぞれの固体電解質材料を用いた全固体電池を作製した。具体的には、図3に示す形態の正極層/電解質層(複合電解質の層)/負極層からなる単層電極体を含む電池を作製した。
正極活物質としては、炭素微粒子(平均粒子径5nm)が表面に付着(付着量0.1質量%)した一次粒子の平均粒子径が50nmであるオリビン構造のLiMn0.85Fe0.1Mg0.05PO4の粒子を用いた。この正極活物質の粒子に対して、導電剤としての繊維径0.1μmの気相成長の炭素繊維と、導電剤としての黒鉛粉末と、結着剤としてのPVdFとをそれぞれの質量比が100:3:5:5となるように配合してn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。その後、得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム合金箔(純度99%)の片面に塗布した。スラリーの塗膜を乾燥した後、プレス工程を経て、集電体(アルミニウム合金箔)の片面に厚さ67μmの正極層が形成された、電極密度2.2g/cm(集電体を含まず)の正極を作製した。
負極活物質としては、次のとおりの酸化物粒子を用いた。実施例C−1においては、平均粒子径D50=0.8μm、比表面積10m/gのLiTi12粒子を用いた。実施例C−2においては、平均粒子径D50=0.6μm、比表面積15m/gのLi2Na2Ti614粒子を用いた。実施例C−3においては、平均粒子径D50=1.0μm、比表面積8m/gのNb2TiO7粒子を用いた。それぞれの負極活物質粒子に対して導電剤として平均粒子径6μmの黒鉛粉末と、結着剤としてPVdFとを質量比で95:3:2となるように配合してn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させ、ボールミルを用いて回転数1000rpmで、かつ攪拌時間が2時間の条件で攪拌を用い、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム合金箔(純度99.3%)に塗布した。スラリーの塗膜を乾燥し、加熱プレス工程を経ることにより、負極を作製した。このようにして、集電体(アルミニウム合金箔)の片面に約59μmの厚さの負極層が形成された、電極密度2.2g/cm(集電体を含まず)の負極を作製した。集電体を除く負極多孔度はおよそ35%であった。
電解質層に用いる複合電解質は、次のようにして準備した。先ず、実施例A−12で合成した固体電解質粒子を一次粒子サイズ(直径)が1μmとなるまで粉砕した。粉砕した固体電解質粒子を、LiPFを1.2M溶解したプロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合溶媒(体積比1:2)を含有したゲル状ポリアクリロニトリル高分子体に所定量混合して複合化させることで、上記のようにして得られた正極の正極層と上記のようにして得られたそれぞれの負極の負極層との間に厚さ2μmの複合電解質の電解質層を作製した。ここで、固体電解質粒子とPC/DEC混合溶媒とゲル状ポリアクリロニトリル高分子との質量比が96:3.2:0.8となるようにした。
より詳細には、上記電解質の複合化工程において、先ず、ゲル化前にn−メチルピロリドン(NMP)溶液に溶解したPVdFバインダ溶液に実施例A−12で合成した固体電解質粒子を分散し、その分散液を正極層の上と負極層の上とに塗布した。分散液を乾燥させた後、LiPFを1.2M溶解したPC/DEC混合溶媒(体積比1:2)とポリアクリロニトリル(PAN)の高分子体(2質量%)とを含む溶液に2,2'-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリルを重合開始のためのラジカル剤として添加したものをそれぞれの電極層およびその上のバインダに含浸させ、加熱することでゲル化した複合電解質を作製することができた。このときの電極層内および複合電解質における有機成分量はそれぞれ、質量比で3%と4%となるように調整した。また、複合電解質内の無機粒子とバインダ、有機成分を質量比で表わすと94.3:1.9:3.8となる。なお、複合電解質中の有機電解質(LiPFのPC/DEC溶液)の質量比率は3.0%である。ここで作製した単層のリチウム電池(全固体電池)を、上記したとおり用いた負極活物質に応じて実施例C−1乃至実施例C−3とした。次に、比較例A−1で合成した固体電解質粒子を用いた以外は、実施例C−1と同様にして単層のリチウム電池(全固体電池)を作製し、これを比較例C−1とした。
次に、実施例B−12で合成した固体電解質粒子を用いた以外は、実施例C−1乃至実施例C−3と同様にしてリチウム電池を作製し、それぞれ実施例D−1乃至D−3とした。また、比較例B−1で合成した固体電解質粒子を用いた以外は、比較例C−1と同様にしてリチウム電池を作製し、これを比較例D−1とした。
<評価>
(充放電測定)
実施例C−1乃至C−3及び比較例C−1で作製したリチウム電池、並びに実施例D−1乃至D−3及び比較例D−1で作製したリチウム電池の各々ついて、25℃環境下で充放電試験を行った。充放電試験における充放電範囲は、負極活物質としてLi4Ti512またはNb2TiO7を用いた電池(実施例C−1、比較例C−1、実施例D−1、及び比較例D−1、並びに実施例C−3、及び実施例D−3)については、負極の電位が1.0V以上1.7V以下(vs.Li/Li)となる電位範囲とした。負極活物質としてLi2Na2Ti614を用いた電池(実施例C−2及び実施例D−2)については、負極の電位が1.0V以上3.0V以下(vs.Li/Li)となる電位範囲とした。容量確認時の充放電電流値は、25℃の温度条件下で0.01C(時間放電率)として充放電を行い、そのときの放電容量を基準容量(100%)とした。次に、25℃の温度条件下で、0.1Cで充放電を行い、上記基準容量に対する0.1C放電容量維持率を算出した(0.1C放電容量維持率 = [25℃での0.1C放電容量]/[基準容量])。
(貯蔵試験)
各々の電池について、貯蔵試験を行った。
まず、各々の電池を25℃環境下で0.01Cの定電流で充電した。充電後の電池を25℃環境下で24時間保持した。次に、各電池を、0.01Cの定電流で放電した。この放電により得られた放電容量を、貯蔵後放電容量とした。上記基準容量に対する貯蔵後放電容量の貯蔵後放電容量維持率を算出した(貯蔵後放電容量維持率 = [貯蔵後放電容量]/[基準容量])。
実施例C−1乃至C−3及び比較例C−1で作製したリチウム電池の電極体の構成、充電試験の結果、及び貯蔵試験の結果を下記表7に示す。
実施例D−1乃至D−3及び比較例D−1で作製したリチウム電池の電極体の構成、充電試験の結果、及び貯蔵試験の結果を下記表8に示す。
表7に示すとおり、実施例C−1乃至C−3で作製したリチウム電池では、基準容量(25℃での0.01Cレート放電)に対して90%以上の0.1C放電容量維持率を示した。これらの電池では、貯蔵後の放電容量維持率も89%以上を保っていた。これに対し、比較例C−1で作製したリチウム電池では、0.1C放電容量維持率が低かった。貯蔵後の放電容量維持率も低かった。
表8に示すとおり、実施例D−1乃至D−3で作製したリチウム電池では、基準容量(25℃での0.01Cレート放電)に対して88%以上の高レートでの放電容量維持率を示した。これらの電池では、貯蔵後の放電容量維持率も87%以上を保っていた。これに対し、比較例D−1で作製したリチウム電池では、0.1C放電容量維持率が低かった。
貯蔵後の放電容量維持率も低かった。
試験結果から、実施形態に係る固体電解質材料を用いることで、入出力性能および貯蔵性能に優れる電池が得られることが分かった。
以上説明した1以上の実施形態および実施例によれば、固体電解質材料が提供される。この固体電解質材料は、金属元素Mとこの金属元素Mを中心に配した酸素原子とを含む八面体配位構造を含んだ酸化物を含む。金属元素Mは、NbとTaとを含む。Nbの質量αNbとTaの質量αTaとの質量比αTa/αNbは、5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内にある。この構成により、固体電解質材料は優れた耐還元性能を有するとともに、高いイオン伝導率を示す。そして、入出力性能が高く貯蔵性能に優れる電池を実現できる電極、入出力性能が高く貯蔵性能に優れる電池および電池パック、並びにこの電池パックを搭載している車両を提供できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…Liイオン、2…酸素原子、3…Aサイトイオン、4…原子、5…MO八面体、6…八面サイト、7…四面サイト、8…負極端子、9…正極端子、10A,10B,10C…電極体、11…正極層、12…電解質層、13…負極層、14…集電体、21…バスバー、22…正極側リード、23…負極側リード、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、41…車両用電源、42…電気制御装置、43…外部端子、44…インバータ、45…駆動モータ、100…電池、101…外装部材、121,121A,121B…無機固体粒子、122…有機電解質、123…複合電解質、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、300…電池パック、300a…電池パック、300b…電池パック、300c…電池パック、301a…組電池監視装置、301b…組電池監視装置、301c…組電池監視装置、342…正極側コネクタ、343…負極側コネクタ、345…サーミスタ、346…保護回路、342a…配線、343a…配線、350…通電用の外部端子、352…正側端子、353…負側端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、416…電流検出部、417…負極入力端子、418…正極入力端子、L1…接続ライン、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (16)

  1. 金属元素Mと前記金属元素Mを中心に配した酸素原子とを含む八面体配位構造を含み、前記金属元素MはNbとTaとを含み、前記Nbの質量αNbと前記Taの質量αTaとの質量比αTa/αNbが5×10−5≦αTa/αNb≦3×10−3の範囲内にある酸化物を含む固体電解質材料。
  2. 前記金属元素MはTi,Zr,Ga,Ge,Si,Fe,及びPから成る群より選択される少なくとも1つの金属元素Mβをさらに含む、請求項1に記載の固体電解質材料。
  3. 前記金属元素Mは前記金属元素MβのうちSi,Fe,及びPからなる群より選択される補助元素Mβsを含み、前記Nbの元素存在比率ENbに対する前記補助元素Mβsの元素存在比率Eβsの元素比率Eβs/ENbが、1×10-4以上5×10-3以下である、請求項2に記載の固体電解質材料。
  4. 前記酸化物の結晶構造は、ペロブスカイト構造及びNASICON構造から成る群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の固体電解質材料。
  5. 前記酸化物は、前記ペロブスカイト構造を有し、一般式A(Mα1-wMβw)O3で表されwは0≦w<1の範囲内にあり、AサイトにLiと空孔とを含み、Mαは前記Nbと前記Taとを含む、請求項4に記載の固体電解質材料。
  6. 前記酸化物は、前記AサイトにLa,Sr,Mg,Na,K,及びCaから成る群より選択される少なくとも1つをさらに含む、請求項5に記載の固体電解質材料。
  7. 前記酸化物は、前記NASICON構造を有し、前記NASICON構造は稜面体構造および単斜晶構造から成る群より選択される少なくとも1つを含み、前記酸化物は一般式LixMαy(Mβ1-zz)(PO4)3で表され、Mαは前記Nbと前記Taとを含み、DはCa,Sr,及びBaから成る群より選択される少なくとも1つであり、xは0<x≦2の範囲内にあり、yは0<y≦1の範囲内にあり、zは0≦z≦1の範囲内にある、請求項4に記載の固体電解質材料。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の固体電解質材料を具備する電極。
  9. リチウムイオンの挿入・脱離が可能な活物質をさらに含む、請求項8に記載の電極。
  10. リチウムイオンの挿入・脱離が可能な正極層と、
    リチウムイオンの挿入・脱離が可能な負極層と、
    リチウムイオンの伝導が可能なLi伝導層とを具備し、
    前記正極層、前記負極層、及び前記Li伝導層のうち少なくとも一つの層は、請求項1乃至7の何れか1項に記載の固体電解質材料を含む電池。
  11. 前記正極層と前記負極層と前記Li伝導層との少なくとも一つが前記固体電解質材料と有機電解質とを含んだ複合電解質を含み、前記複合電解質中の前記有機電解質の質量比率は0.1%以上20%以下である請求項10に記載の電池。
  12. 請求項10又は11に記載の電池を具備する電池パック。
  13. 通電用の外部端子と、
    保護回路と
    をさらに含む、請求項12に記載の電池パック。
  14. 複数の前記電池を具備し、
    前記電池が直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、請求項12又は13に記載の電池パック。
  15. 請求項12乃至14の何れか1項に記載の電池パックを搭載した車両。
  16. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、請求項15に記載の車両。
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