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JP2020151981A - 金属樹脂複合体の製造方法および金属樹脂複合体 - Google Patents

金属樹脂複合体の製造方法および金属樹脂複合体 Download PDF

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JP2020151981A
JP2020151981A JP2019052784A JP2019052784A JP2020151981A JP 2020151981 A JP2020151981 A JP 2020151981A JP 2019052784 A JP2019052784 A JP 2019052784A JP 2019052784 A JP2019052784 A JP 2019052784A JP 2020151981 A JP2020151981 A JP 2020151981A
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航 牧口
Wataru Makiguchi
航 牧口
浩佑 植田
Kosuke Ueda
浩佑 植田
高広 冨永
Takahiro Tominaga
高広 冨永
和樹 木村
Kazuki Kimura
和樹 木村
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Abstract

【課題】金属部材に熱可塑性樹脂組成物が接合してなる金属樹脂複合体の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の金属樹脂複合体の製造方法は、金属部材を用意する工程と、前記金属部材の表面に、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を、前記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が溶融した状態で接触させる工程と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、金属樹脂複合体の製造方法および金属樹脂複合体に関する。
各種部品の軽量化の観点から、金属の代替品として樹脂の使用が検討されている。しかし、全ての金属部品を樹脂で代替することは難しい場合も多い。そのような場合のため、金属成形体と樹脂成形体を接合させてなる金属樹脂複合体の使用が検討されている。
たとえば、特許文献1には、結晶性が高く、かつ結晶が適度に硬く適度に大きい樹脂であるポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリフェニレンサルファイド(PPS)は、表面に凹凸形状を形成したマグネシウムに接合すると記載されている。
また、特許文献2には、接合させる樹脂の耐熱温度以上に設定した下金型中に、陽極酸化で表面に凹凸形状を形成したマグネシウムを配置し、上記下金型とは異なる温度に設定した上金型中に、PBT、PPS、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、およびポリアミド(PA)を射出して、これらを接合させたことが記載されている。
また、特許文献3には、その表面にSiを含む防食層を形成したマグネシウムと、結晶性樹脂であるPBTおよびPPSと、を接合させたことが記載されている。
特開2007−301972号公報 特開2010−137390号公報 特開2017−100377号公報
特許文献1〜特許文献3に記載のように、表面を粗面化したマグネシウムにPBTを接合させる方法が種々検討されている。
しかし、樹脂はその種類ごとに性質が異なるため、特許文献1〜特許文献3に記載された樹脂とは異なる樹脂にも、金属樹脂複合体への使用が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、金属部材に熱可塑性樹脂組成物が接合してなる金属樹脂複合体の製造方法、および当該方法により製造された金属樹脂複合体を提供することをその目的とする。
上記課題を解決するための本発明の一態様に関する金属樹脂複合体の製造方法は、金属部材を用意する工程と、前記金属部材の表面に、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を、前記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が溶融した状態で接触させる工程と、を有する。
また、上記課題を解決するための本発明の他の態様に関する金属樹脂複合体は、金属部材と、前記金属部材の表面に接合した、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の成形体と、を有する。
本発明によれば、金属部材に熱可塑性樹脂組成物が接合してなる金属樹脂複合体の製造方法、および当該方法により製造された金属樹脂複合体が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に関する金属樹脂複合体の製造方法を示すフローチャートである。
1.金属樹脂複合体の製造方法
図1は、本発明の一実施形態に関する金属樹脂複合体の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態に関する製造方法は、金属部材を用意する工程(工程S110)と、上記金属部材の表面に、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が溶融した状態で接触させる工程(工程S120)と、上記金属部材の表面に接触した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を冷却する工程(工程S130)と、を有する。
1−1.金属部材を用意する工程(工程S110)
上記金属部材は、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を接合すべき金属からなる部材であればよい。
上記金属の例には、アルミニウム、鉄、銅、マグネシウム、錫、ニッケルおよび亜鉛、ならびにこれらの合金などが含まれる。これらのうち、金属樹脂複合体をより軽量化する観点からは、マグネシウムまたはマグネシウム系合金が好ましい。上記マグネシウム系合金の例には、アルミニウム、マンガン、シリコン、亜鉛、ジルコニウム、銅、トリウム、銀およびイットリウムなどの元素とマグネシウムとの合金が含まれる。
上記金属部材の形状は特に限定されず、金属樹脂複合体の用途に応じて任意に定めることができる。上記金属部材の形状の例には、平板状、曲板状、棒状、筒状および不定形状などが含まれる。ただし、上記金属部材は、接合すべき熱可塑性ポリエステル樹脂組成物との接触部位(以下、単に「接触部位」ともいう。)が、平面または曲面などの面状であることが好ましい。
上記金属部材は、材料となる金属に対して、切断およびプレスなどを含む塑性加工を施したり、打ち抜き加工、切削、研磨、および放電加工などを含む除肉加工を施したりして、作製することができる。
上記金属部材は、金属の表面が公知の方法で表面処理されていてもよい。ただし、酸化皮膜などの酸化または水酸化による皮膜が形成されているときは、研磨または公知の化学的処理によりこれらの皮膜を除去してから、次工程(工程S120)で熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を接触させることが好ましい。
また、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の接合強度をより高める観点からは、上記金属部材は、接触部位が粗面化されていることが好ましい。具体的には、上記金属部材は、間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立した微細凹凸表面を有することが好ましい。
上記微細凹凸表面の間隔周期は、微細凹凸表面に存在する凸部から隣接する凸部までの距離の平均値であり、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡で撮影した写真から求めることができる。
具体的には、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡により、金属部材の接合部位を撮影して得られた写真から50個の凸部を任意に選択し、これらの凸部について、隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定する。そして、上記50個の凸部についての上記隣接する凸部までの距離の加算平均を計算した得られた値を、上記間隔周期とする。
上記間隔周期は、10nm以上300μm以下であることが好ましく、20nm以上200μm以下であることがより好ましい。
上記間隔周期が上記下限値以上であると、上記微細凹凸表面の凹部に上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が十分に進入することができ、金属部材と上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物との接合強度をより向上させることができる。また、上記間隔周期が上記上限値以下であると、得られる金属樹脂複合体が有する金属と樹脂との界面への隙間の発生を抑制できる。そのため、上記隙間に水分などの不純物が浸入することによる、金属樹脂複合体を高温・高湿下で使用したときの強度低下を抑制できる。
上記間隔周期を有する微細凹凸表面は、NaOHなどの無機塩基水溶液、またはHClもしくはHNOなどの無機酸水溶液への金属部材の浸漬、金属部材の陽極酸化、水和ヒドラジン、アンモニアおよび水溶性アミン化合物などを含む水溶液への金属部材の浸漬、ならびに公知のエッチングなどの方法により、形成することができる。
上記金属部材の表面が疎面化されていると、金属部材と熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の成形体との間の接触面積が増加し、接触界面の熱抵抗が低減できるため、金属樹脂複合体の熱抵抗をより高めることができる。
1−2.熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を接触させる工程(工程S120)
次に、上記金属部材に、溶融した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を接触させる。
接触させる方法は特に限定されない。たとえば、所定の温度に調整した金型中に上記金属部材を配置し、上記配置された金属部材の接触部位に接触するように、溶融した上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を上記金型の中に射出すればよい。なお、射出後、一定の圧力で静置(保圧)することで、上記金属部材と熱可塑性ポリエステル樹脂組成物とをより強固に接合させることができる。上記金型は、高速ヒートサイクル成形(RHCM、ヒート&クール成形)で一般的に使用される射出成形用金型であればよい。
上記射出および保圧時の上記金型の内表面温度は、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度以上であることが好ましく、ガラス転移温度よりも5℃以上100℃以下高い温度であることがより好ましい。これにより、上記金属部材の接触部位に接触している射出された熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を溶融した状態に保つことができるため、上記接触部位が有する凹凸の内部にまで上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を十分に進入させてこれらの接合力をより高め、金属樹脂複合体の安定性をより高めることができる。
上記金属部材と熱可塑性ポリエステル樹脂組成物とをより強固に接合させる観点からは、上記射出開始から保圧完了までの時間は、1秒以上40秒以下であることが好ましく、10秒以上30秒以下であることがより好ましい。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物である。
なお、上記融点Tmまたはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物であれば金属部材に接合できるわけではない。たとえば、本発明者らの知見によると、同様に高い融点Tmまたはガラス転移温度Tgを有するポリアミド(PA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)が接合しにくい条件でも、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は金属部材に良好に接合する。この理由は定かではないものの、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は結晶化速度が適度に遅いためだと考えられる。つまり、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は金属部材に接触したときにゆっくりと結晶化するため、結晶化速度がより速いPAやPPSと比べて、金属部材となじみながら結晶化しやすいことにより、接合性が高まったものと考えられる。
1−2−1.熱可塑性ポリエステル樹脂(A)
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、分子内に−(C=O)−O−で表されるエステル構造を複数有しており、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点(Tm)またはガラス転移温度(Tg)が250℃以上であれば、その種類は特に限定されない。
ポリエステル樹脂組成物の耐熱性をより高める観点からは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位を有するジカルボン酸成分単位(a1)と、脂環骨格を有するジアルコールに由来する成分単位を有するジアルコール成分単位(a2)とを含むことが好ましい。
ポリエステル樹脂組成物の耐熱性をより高める観点からは、上記ジカルボン酸成分単位(a1)は、テレフタル酸に由来する成分単位を30〜100モル%有し、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位を0〜70モル%有することが好ましい。ジカルボン酸成分単位(a1)に含まれるテレフタル酸に由来する成分単位の割合は、より好ましくは40〜100モル%であり、さらに好ましくは60〜100モル%でありうる。テレフタル酸に由来する成分単位の含有量が高いと、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性がより高まる。ジカルボン酸成分単位(a1)に含まれるテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位の割合は、より好ましくは0〜60モル%であり、さらに好ましくは0〜40モル%でありうる。
上記テレフタル酸に由来する成分単位は、テレフタル酸、またはテレフタル酸エステルに由来する成分単位でありうる。上記テレフタル酸エステルは、好ましくはテレフタル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルであり、その例にはジメチルテレフタレートなどが含まれる。
上記テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位の好ましい例には、イソフタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびこれらの組み合わせに由来する成分単位、ならびにこれらの芳香族ジカルボン酸のエステル(好ましくは芳香族ジカルボン酸の炭素数1〜4のアルキルエステル)に由来する成分単位が含まれる。
上記テレフタル酸に由来する成分単位と上記芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位との合計量は、100モル%であることが好ましい。ただし、所望の特性に応じて、上記ジカルボン酸成分単位(a1)は、上記成分単位とともに、少量の、脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位や分子内に3以上のカルボン酸基を有する多価カルボン酸に由来する成分単位をさらに含んでもよい。ジカルボン酸成分単位(a1)が有する上記脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位と上記多価カルボン酸に由来する成分単位の割合は、合計で、例えば10モル%以下としうる。
上記脂肪族ジカルボン酸に由来する成分単位の炭素原子数は、特に制限されないが、4〜20であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。上記脂肪族ジカルボン酸の例には、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸が含まれる。これらの脂肪族ジカルボン酸のうち、アジピン酸が好ましい。上記多価カルボン酸に由来する成分単位の例には、トリメリット酸およびピロメリット酸を含む三塩基酸、ならびに多塩基酸が含まれる。
また、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性をより高める観点からは、上記ジアルコール成分単位(a2)は、炭素数4〜20の脂環族ジアルコールに由来する成分単位、または炭素原子数2〜20の脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を有することが好ましい。
上記脂環族ジアルコールに由来する成分単位は、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性を高め、および吸水性を低減しうる。上記脂環族ジアルコールの例には、炭素数4〜20の脂環式炭化水素骨格を有するジアルコール、たとえば、1,3−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘプタンジオールおよび1,4−シクロヘプタンジメタノールが含まれる。なかでも、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性がより高まり、吸水性がより低減され、かつ、入手が容易であるなどの観点からは、上記脂環族ジアルコールは、シクロヘキサン骨格を有する化合物であることが好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールであることがより好ましい。
脂環族ジアルコールには、シス/トランス構造などの異性体が存在するが、ポリエステル樹脂組成物の耐熱性をより高める観点からは、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)はトランス構造の脂環族ジアルコールに由来する成分単位をより多く含むことが好ましい。したがって、上記脂環族ジアルコールに由来する成分単位のシス/トランス比は、好ましくは50/50〜0/100であり、さらに好ましくは40/60〜0/100である。
上記脂肪族ジアルコールに由来する成分単位は、ポリエステル樹脂組成物の溶融流動性をより高める。上記脂肪族ジアルコールの例には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコールおよびドデカメチレングリコールが含まれる。
ジアルコール成分単位(a2)は、上記脂環族ジアルコールに由来する成分単位および脂肪族ジアルコールに由来する成分単位のうち、いずれか一方のみを有してもよいし、双方を有してもよい。ジアルコール成分単位(a2)は、上記脂環族ジアルコールに由来する成分単位(好ましくはシクロヘキサン骨格を有するジアルコールに由来する成分単位、より好ましくはシクロヘキサンジメタノールに由来するに由来する成分単位)を30〜100モル%有し、上記脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を0〜70モル%有することが好ましい。ジアルコール成分単位(a2)に含まれる上記脂環族ジアルコールに由来する成分単位(好ましくはシクロヘキサン骨格を有するジアルコールに由来する成分単位、より好ましくはシクロヘキサンジメタノールに由来するに由来する成分単位)の割合は、より好ましくは50〜100モル%であり、さらに好ましくは60〜100モル%である。ジアルコール成分単位(a2)に含まれる上記脂肪族ジアルコールに由来する成分単位の割合は、より好ましくは0〜50モル%であり、さらに好ましくは0〜40モル%である。
上記脂環族ジアルコールに由来する成分単位と上記脂肪族ジアルコールに由来する成分単位との合計量は、100モル%であることが好ましい。ただし、所望の特性に応じて、上記ジアルコール成分単位(a2)は、上記成分単位とともに、少量の、芳香族ジアルコールに由来する成分単位をさらに含んでもよい。上記芳香族ジアルコールの例には、ビスフェノール、ハイドロキノン、および2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンが含まれる。ジアルコール成分単位(a2)が有する上記芳香族ジアルコールに由来する成分単位の割合は、例えば10モル%以下としうる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の、示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)またはガラス転移温度(Tg)は250℃以上である。融点(Tm)またはガラス転移温度(Tg)は、270℃以上であることが好ましく、290℃以上であることがより好ましく、330℃以上であることがさらに好ましい。一方、融点(Tm)またはガラス転移温度(Tg)の上限値は特に制限されないが、たとえば350℃であり、335℃であることが好ましい。前記融点またはガラス転移温度が250℃以上であると、溶融しての金属部材への接触による樹脂組成物の成形物の変色や変形などが抑制される。上限融点またはガラス転移温度が350℃以下であると、溶融しての金属部材への接触に際して熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の分解が抑制されるため好ましい。なお、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、融点(Tm)およびガラス転位温度(Tg)の双方を有する樹脂については、融点が270℃であればよい。
例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の融点(Tm)またはガラス転移温度(Tg)は、250℃〜350℃の範囲内であることが好ましく、270℃〜350℃の範囲内であることがより好ましく、290〜335℃の範囲内であることがさらに好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)により、JIS−K7121に準拠して測定されうる。具体的には、測定装置としてX−DSC7000(SII社製)を準備する。この装置に、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の試料を封入したDSC測定用パンをセットし、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で320℃まで昇温し、その温度で5分間保持した後、10℃/分の降温測定で30℃まで降温する。そして、昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度を「融点」とする。また、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線のこう配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度を「ガラス転移温度」とする。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の固有粘度[η]は0.3〜1.5dl/gであることが好ましい。固有粘度が上記範囲にある場合、反射材用ポリエステル樹脂組成物の成形時の流動性がより高まる。熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の分子量を調整するなどして上記範囲に調整されうる。熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の分子量の調整方法の例には、重縮合反応の進行度合いを調整する方法、および単官能のカルボン酸または単官能のアルコールを適量加える方法を含む、公知の方法が含まれる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の固有粘度は、以下の手順で測定することができる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)をフェノールとテトラクロロエタンの50/50質量%の混合溶媒に溶解させて試料溶液とする。得られた試料溶液の流下秒数を、ウベローデ粘度計を用いて25℃±0.05℃の条件下で測定し、下記式に当てはめて固有粘度[η]を算出する。
[η]=ηSP/[C(1+kηSP)]
上記式において、各代数または変数は以下を表す。
[η]:固有粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
k:定数(溶液濃度の異なるサンプル(3点以上)の比粘度を測定し、横軸に溶液濃度、縦軸にηsp/Cをプロットして求めた傾き)
上記ηSPは以下の式によって求められる。
ηSP=(t−t0)/t0
上記式において、各変数は以下を表す。
t:試料溶液の流下秒数(秒)
t0:溶媒の流下秒数(秒)
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、公知の方法で製造してもよいし、市販のものを購入してもよい。上記好ましい熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、例えば反応系内に分子量調整剤等を配合して、ジカルボン酸成分単位(a1)とジアルコール成分単位(a2)とを反応させて製造することができる。上述のように、反応系内に分子量調整剤を配合することで、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の固有粘度を調整しうる。
上記分子量調整剤の例には、モノカルボン酸およびモノアルコールが含まれる。上記モノカルボン酸の例には、炭素原子数2〜30の脂肪族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸および脂環族モノカルボン酸が含まれる。なお、上記芳香族モノカルボン酸および上記脂環族モノカルボン酸は、環状構造部分に置換基を有していてもよい。上記脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノ−ル酸が含まれる。上記芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、トルイル酸、ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸およびフェニル酢酸が含まれる。上記脂環族モノカルボン酸の例には、シクロヘキサンカルボン酸が含まれる。
上記分子量調整剤の添加量は、ジカルボン酸成分単位(a1)とジアルコール成分単位(a2)とを反応させる際のジカルボン酸成分単位(a1)の合計量1モルに対して0〜0.07モル、好ましくは0〜0.05モルとしうる。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と後述するその他の樹脂とを合計した質量を100質量%としたとき、70〜100質量%であることが好ましく、70〜99質量%であることがより好ましく、80〜99質量%であることがさらに好ましく、82〜97質量%であることがさらに好ましく、82〜95質量%であることが特に好ましい。熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の含有量が上記範囲であると、成形性を損なうことなく、リフローはんだ工程に耐えうるだけの耐熱性を有するポリエステル樹脂組成物が得られやすい。
1−2−2.その他の樹脂
上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)以外の樹脂を含んでいてもよい。
本発明者らの新たな知見によると、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物がその他の樹脂を含むと、接合後に加熱処理した後の、金属部材と樹脂組成物との接合強度が低下しにくいか、あるいは処理前よりも高まる。
上記その他の樹脂の例には、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmまたはガラス転移点Tgが50℃以上250℃未満である結晶性樹脂(B)、および示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移点Tgが50℃以上250℃未満である非晶性樹脂(C)が含まれる。これらの樹脂を含有すると、接合後に加熱処理した後の、金属部材と樹脂組成物との接合強度が低下しにくいか、あるいは処理前よりも高まる理由は定かではないが、これらの樹脂を含有することにより、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の結晶化速度や溶融粘度がより低下して、金属部材によりなじみながら結晶化しやすくなるためだと考えられる。
上記示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmまたはガラス転移点Tgが50℃以上250℃未満である結晶性樹脂(B)の例には、結晶性ポリスチレン樹脂、および結晶性ポリエステル樹脂などが含まれる。これらのうち、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)との相溶性をより高める観点からは、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
上記結晶性ポリエステル樹脂の例には、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、ポリカプロラクトン、およびポリエチレンサクシネートなどを含む脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、およびポリブチレンテレフタレート(PBT)などを含む半芳香族ポリエステル、ならびに、液晶ポリマーなどが含まれる。これらのうち、半芳香族ポリエステルが好ましく、ポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
上記示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移点Tgが50℃以上250℃未満である非晶性樹脂(C)の例には、非晶性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂などが含まれる。これらのうち、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)との相溶性をより高める観点からは、分子内にエステル結合を有する樹脂が好ましく、ポリカーボネートがより好ましい。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中の上記その他の樹脂の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と上記その他の樹脂とを合計した質量を100質量%としたとき、0〜30質量%(ただし、0質量%を含まない。)であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、5〜18質量%であることがさらに好ましく、10〜18質量%であることが特に好ましい。上記その他の樹脂の含有量が上記範囲であると、成形性を損なうことなく、リフローはんだ工程に耐えうるだけの耐熱性を有するポリエステル樹脂組成物が得られやすい。
1−2−3.改質剤
上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、改質剤を含有してもよい。
上記改質剤の例には、オレフィン由来の構造単位および環状オキシ炭化水素構造を有する構造単位を有する共重合体(以下、単に「共重合体(D)」ともいう。)、エチレン・α−オレフィン共重合体(以下、単に「共重合体(E)」ともいう。)、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体などが含まれる。
1−2−3−1.共重合体(D)
共重合体(D)は、オレフィン由来の構造単位と、環状オキシ炭化水素構造を有する構造単位と、を有する。共重合体(D)は、α,β−不飽和カルボン酸エステル由来の構造単位をさらに有してもよい。
共重合体(D)は、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を金属部材に接合した後に加熱処理したときの、金属部材と樹脂組成物との接合強度の低下を抑制する。この理由は定かではないが、共重合体(D)を含有する上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、加熱時に結晶化度がより高まるため、および、上記環状オキシ炭化水素構造により高められた金属部材との接合性が加熱によっても低下しにくいためだと考えられる。
この理由は定かではないものの、以下のようだと考えられる。つまり、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、特に加熱処理時に、分子末端のカルボキシル基が酸触媒として作用し、加水分解することがある。これに対し、共重合体(D)は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の加水分解を抑制し、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の分子量低下を抑制する。これはおそらく、共重合体(D)の環状オキシ炭化水素構造が熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の末端のヒドロキシ基やカルボキシル基と反応して、分子末端のカルボキシル基を酸触媒として作用しにくくするためと考えられる。
共重合体(D)を構成するオレフィン由来の構造単位の例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、および1−デセンなどに由来する構造単位が含まれる。これらのうち、エチレンに由来する構造単位が好ましい。
共重合体(D)を構成する環状オキシ炭化水素構造を有する構造単位の例には、α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル由来の構造単位などが含まれる。上記α,β−不飽和カルボン酸グリシジルエステルの例には、アクリル酸グリシジルエステル、およびメタクリル酸グリシジルエステルなどが含まれる。これらのうち、メタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。
共重合体(D)を構成するα,β−不飽和カルボン酸エステル由来の構造単位の例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、およびアクリル酸ブチルなどを含むアクリル酸エステル、ならびに、メタクリル酸メチル、およびメタクリル酸エチルなどを含むメタクリル酸エステルなどに由来する構造単位が含まれる。これらのうち、アクリル酸メチルに由来する構造単位が好ましい。
なお、上記α,β−不飽和カルボン鎖エステル由来の構造単位が、グリシジルエステル基等の環状オキシ炭化水素構造を有していてもよい。具体的には、共重合体(D)は、オレフィン由来の構造単位と、α,β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル由来の構造単位とを含む共重合体であってもよい。
共重合体(D)は、例えば以下の構造式で表されるエチレン・メチルアクリレート・グリシジルメタクリレート共重合体とすることができる。
Figure 2020151981
(式中、n、m、lは整数を表す)
上記式で表される共重合体(D)は、エチレン単位、アクリル酸メチル単位、グリシジルメタクリレート由来の構成単位の総量(100質量%)に対して、エチレン由来の構成単位を30〜99質量%の割合で含むことが好ましく、50〜95質量%で含むことがさらに好ましい。
また、上記式で表される共重合体(D)は、エチレン単位、アクリル酸メチル単位、グリシジルメタクリレート由来の構成単位の総量(100質量%)に対して、アクリル酸メチル由来の構成単位を0〜60質量%の割合で含むことが好ましく、0〜40質量%含むことがさらに好ましい。
さらに、上記式で表される共重合体(D)は、エチレン単位、アクリル酸メチル単位、グリシジルメタクリレート由来の構成単位の総量(100質量%)に対して、グリシジルメタクリレート由来の構成単位を1〜30質量%の割合で含むことが好ましい。
共重合体(D)は、上述の各構成単位の他に、他の構成単位を含んでいてもよい。他の構成単位の具体例には、アリルグリシジルエーテル、および2−メチルアリルグリシジルエーテルなどのα,β−不飽和グリシジルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、クロロスチレン、および2,4−ジメチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、ならびに酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルなどの不飽和ビニルエステルに由来する構成単位が含まれる。
また、共重合体(D)の、示差走査熱量測定(DSC)で測定される融点は、40〜120℃であることが好ましく、50〜110℃であることがより好ましい。共重合体(D)の融点が当該範囲であると、樹脂組成物の成形時の流動性が高まる。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中の共重合体(D)の含有量は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と上記その他の樹脂と共重合体(D)とを合計した質量を100質量%としたとき、1〜20質量%であることが好ましく、2〜12質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。共重合体(D)の含有量が1質量%以上であれば、加熱処理時の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の分子量低下が抑制されやすくなり、接合後に加熱処理した後の、金属部材と樹脂組成物との接合強度を低下しにくくするか、あるいは処理前よりも高めることができる。また、共重合体(D)の含有量が20質量%以下であれば、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の金属部材への接合性が低下しにくい。
1−2−3−2.共重合体(E)
共重合体(E)は、エチレンと少なくとも1種以上の炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの、エチレンを主体とした共重合体である。
共重合体(E)は、上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を金属部材に接合したときの、金属部材と樹脂組成物との接合強度のばらつきを抑制する。この理由は定かではないが、共重合体(E)を含有する上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、加熱時に結晶化度がより高まるためだと考えられる。
上記炭素数3以上20以下のα−オレフィンの例には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−ヘキサドデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、および4−メチル−1−ペンテンなどが含まれる。この中でも、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましい。これらのα-オレフィンは、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。また、伸縮層は、共重合させたα-オレフィンが異なる複数の共重合体(E)を含んでもよい。
共重合体(E)は、少なくとも1種以上の炭素数3以上20以下のα−オレフィン含量が5〜30モル%である。共重合体(E)は、炭素数3以上20以下のα−オレフィン含量が8〜30モル%であることが好ましく、10〜25モル%であることがより好ましい。
共重合体(E)は、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとのランダム共重合体でもよいし、ブロック共重合体でもよい。伸縮性構造体をより小さい応力でも伸張しやすくする観点からは、共重合体(E)は、ランダム共重合体であることが好ましい。
共重合体(E)の密度は0.85〜0.95g/cmであることが好ましく、0.87〜0.93g/cmであることがより好ましい。
また、JIS K 7210:1999に準拠し、190℃、2.16kg荷重下で測定されるメルトフローレート(MFR)は0.5〜100g/10分であることが好ましく、10〜80g/10分であることがより好ましい。共重合体(E)のメルトフローレートが当該範囲であると、樹脂組成物の成形時の流動性が高まりやすくなる。
上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物中の共重合体(E)の含有量は、 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と上記その他の樹脂と共重合体(D)と共重合体(E)との全質量に対し、1〜10質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。共重合体(E)の量が0質量%以上であると、金属部材と樹脂組成物との接合強度のばらつきがより小さくなる。一方、共重合体(E)の含有量が10質量%以下であると、共重合体(E)に起因する剛性の低下が生じ難い。
1−2−4.添加剤など
上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、酸化防止剤(フェノール類、アミン類、イオウ類、リン酸類など)、充填材(クレー、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、石英、マイカ、グラファイト、ガラス繊維など)、耐熱安定剤(ラクトン化合物、ビタミンE類、ハイドロキノン類、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物など)、光安定剤(ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾフェノン類、ベンゾエート類、ヒンダードアミン類、オギザニリド類など)、難燃剤(臭素系、塩素系、リン系、アンチモン系、無機系など)、滑剤、蛍光増白剤、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、結晶核剤などの公知の添加剤を含有してもよい。
なお、これらの添加剤は、金属部材への上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の接合性を低めることが多い。
1−3.熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を冷却する工程(工程S130)
その後、射出(および保圧)された熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を冷却して、金型から取り出す。上記冷却は、自然放熱による冷却でもよいし、空冷および水冷などによる冷却であってもよい。
このとき、上記金型の内面の表面温度を、上記ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度未満に冷却することが好ましく、ガラス転移温度よりも5℃以上100℃以下低い温度に冷却することがより好ましい。これにより、溶融状態の上記ポリエステル樹脂組成物を急速に固化させることができ、金属樹脂複合体の成形サイクルを短縮することができる。
2.金属樹脂複合体
本発明の他の実施形態は、上述した製造方法により製造される金属樹脂複合体に関する。
上記金属樹脂複合体は、金属部材と、上記金属部材の表面に接合された上記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の成形体と、を有する。
上記金属樹脂複合体は、生産性が高く、形状制御の自由度も高いので、様々な用途に使用することが可能である。
上記金属樹脂複合体の用途の例には、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、ならびに、その他の構造用部品および外装用部品などが含まれる。
上記金属樹脂複合体の用途のより具体的な例には、樹脂だけでは強度が足りない部分を金属がサポートする様にデザインされた部品が含まれる。このような部品の例には、車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、ピラー、座席シート、ラジエータ、オイルパン、ステアリングホイール、ECUボックス、および電装部品などが含まれる。また、建材または家具類では、ガラス窓枠、手すり、カーテンレール、たんす、引き出し、クローゼット、書棚、机、および椅子などが含まれる。また、精密電子部品類としては、コネクタ、リレー、およびギヤなどが含まれる。また、輸送容器としては、輸送コンテナ、スーツケース、およびトランクなどが含まれる。
また、上記金属樹脂複合体の用途の他のより具体的な例には、金属部材の高い熱伝導率と、樹脂組成物の成形体の断熱的性質とを組み合わせ、ヒートマネージメントを最適に設計する機器に使用される部品用途が含まれる。このような部品の例には、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇、プロジェクター、およびスピーカーなどの家電製品類、ならびに、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、および電池などの電子情報機器などが含まれる。
また、上記金属樹脂複合体のその他の用途の例には、玩具、スポーツ用具、靴、サンダル、鞄、フォーク、ナイフ、スプーンおよび皿などの食器類、ボールペン、シャープペン、ファイル、バインダーなどの文具類、フライパン、鍋、やかん、フライ返し、おたま、穴杓子、泡だて器、トングなどの調理器具、リチウムイオン2次電池用部品、ならびにロボットなどが含まれる。
以下、実施例を参照して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例の記載に限定されない。
1.樹脂の合成/用意
1−1.熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の合成
l06.2質量部のジメチルテレフタレートと、94.6質量部の1,4−シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス比:30/70)との混合物に、0.0037質量部のテトラブチルチタネートを加え、150℃から260℃まで3時間30分かけて昇温して、エステル交換反応をさせた。エステル交換反応終了時に、1,4-シクロヘキサンジメタノールに溶解させた0.0165質量部の酢酸マンガン・四水塩を加えて、引き続き0.0299質量部のテトラブチルチタネートを導入して重縮合反応を行った。
重縮合反応は常圧から1Torrまで85分かけて徐々に減圧し、同時に所定の重合温度300℃まで昇温させた。温度と圧力を保持して、所定の撹拌トルクに到達した時点で反応を終了した。得られた重合体(熱可塑性ポリエステル樹脂(A))の固有粘度[η]は0.6dl/g、融点(Tm)は290℃であった。
1−2.結晶性樹脂(B)の準備
結晶性樹脂(B)として、ポリブチレンテレフタラート(東レ社製 トレコン1401X06(「トレコン」は同社の登録商標))を用いた。当該ポリブチレンテレフタラートの融点(Tm)は224℃であった。
1−3.非晶性樹脂(C)の準備
非晶性樹脂(C)として、ポリカーボネート(帝人株式会社製、パンライトL1225L(「パンライト」は同社の登録商標))を用いた。当該ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)は150℃であった。
1−4.ポリアミド樹脂の合成
1787g(10.8モル)のテレフタル酸と、2800g(24.9モル)の1,6−ヘキサンジアミンと、1921g(13.1モル)のアジピン酸と、36.6g(0.30モル)の安息香酸と、5.7gの次亜リン酸ナトリウム一水和物と、554gの蒸留水と、を内容量13.6Lのオートクレーブに仕込み、常温で窒素置換した後に昇温した。190℃から攪拌を開始し、3時間かけて内部温度を250℃まで昇温させた。このとき、オートクレーブの内圧を3.01MPaまで昇圧させた。このまま1時間反応を続けた後、オートクレーブ下部に設置したスプレーノズルから大気放出して低縮合物を抜き出した。
その後、低縮合物を室温まで冷却し、粉砕機で1.5mm以下の粒径まで粉砕し、110℃で24時間乾燥させた。次に、この低縮合物を棚段式固相重合装置にいれ、窒素置換後、約1時間30分かけて220℃まで昇温させた。その後、1時間反応させて、室温まで降温させた。
その後、スクリュー径30mm、L/D=36の二軸押出機にて、バレル設定温度330℃、スクリュー回転数200rpm、6kg/hの樹脂供給速度で溶融重合して、ポリアミド樹脂(半芳香族ポリアミド樹脂)を得た。得られたポリアミド樹脂の固有粘度[η]は0.8dl/gであり、融点Tmは295℃であり、ガラス転移温度(Tg)は75℃であった。
1−5.ポリフェニレンサルファイド樹脂の合成
8.27kg(70.00モル)の47.5%水硫化ナトリウムと、2.94kg(70.63モル)の96%水酸化ナトリウムと、11.45kg(115.50モル)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、0.513kg(6.25モル)の酢酸ナトリウムと、3.82kgのイオン交換水と、を撹拌機及び底栓弁付きの70リットルオートクレーブに仕込み、常圧で窒素を通じながら245℃まで約3時間かけて徐々に加熱した。8.09kgの水および0.28kgのNMPを留出した後、オートクレーブ内を200℃に冷却した。
その後、10.34kg(70.32モル)のp−ジクロロベンゼン、および9.37kg(94.50モル)のNMPを加え、オートクレーブを窒素ガス下に密封し、240rpmで撹拌しながら0.6℃/分の速度で200℃から270℃まで昇温し、270℃で140分反応させた。次いで、270℃から250℃まで15分かけて冷却しながら、2.67kg(148.4モル)の水を圧入した。次いで、250℃から220℃まで75分かけて徐々に冷却した後、室温近傍まで急冷し、内容物を取り出した。
内容物を、約35リットルのNMPで希釈してスラリーとし、85℃で30分撹拌後、80メッシュ金網(目開き0.175mm)で濾別して固形物を得た。得られた固形物を、同様に約35リットルのNMPで洗浄濾別した。得られた固形物を、70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収する操作を合計3回繰り返した。得られた固形物と、32gの酢酸と、を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過し、更に得られた固形物を70リットルのイオン交換水で希釈し、70℃で30分撹拌後、80メッシュ金網で濾過して固形物を回収した。
得られた固形物を窒素気流下、120℃で乾燥させて、ポリフェニレンサルファイド樹脂を得た。得られたポリフェニレンスルフィド樹脂の融点Tmは280℃であり、ガラス転移温度(Tg)は90℃であった。
なお、上記各樹脂の固有粘度[η]、融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、それぞれ以下の方法で測定した。
[固有粘度[η]]
0.5gの各樹脂を50mlの96.5%硫酸溶液に溶解させた。得られた溶液の、25℃±0.05℃の条件下での流下秒数を、ウベローデ粘度計を使用して測定し、「数式:[η]=ηSP/(C(1+0.205ηSP))」に基づき算出した。
[η]:固有粘度(dl/g)
ηSP:比粘度
C:試料濃度(g/dl)
t:試料溶液の流下秒数(秒)
:ブランク硫酸の流下秒数(秒)
ηSP=(t−t)/t
[融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)]
それぞれの樹脂の融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準じて測定した。具体的には、PerkinElemer社製DSC7を用いて、約5mgのそれぞれの樹脂を測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで340℃まで加熱した。それぞれの樹脂を完全融解させるために、340℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで30℃まで冷却した。30℃で5分間置いた後、10℃/minで340℃まで2度目の加熱を行なった。この2度目の加熱でのピーク温度(℃)をそれぞれの樹脂の融点(Tm)とし、ガラス転移に相当する変位点をガラス転移温度(Tg)とした。
2.金属部材の用意
合金番号AZ31Bのマグネシウム板(厚み:2mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。切断されたマグネシウム板の表面を、国際公開第2008/133096号に記載の方法によって粗面化した。
3.金属樹脂複合体の作製
3−1.試験1
日本製鋼所社製の射出成形機J55ADに小型ダンベル金属インサート金型を装着し、当該金型内に上記粗面化した金属部材を配置した。次いで、金型の内面の表面温度を、加熱媒体である加圧熱水を用いて150℃まで加熱した。
次いで、射出成型機に、60.8質量部の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と、5.0質量部の共重合体(D)としてのエポキシ基含有エチレンメタクリレート共重合体(アルケマ社製 LOTADER GMA AX8900(「LOTADER」は同社の登録商標)と、0.16質量部のフェノール系酸化防止剤(BASF社製、MP−X、以下、「酸化防止剤1」とする。)と、0.34質量部のリン酸系酸化防止剤(株式会社ADEKA製、アデカスタブ PEP−36(「アデカスタブ」は同社の登録商標)、以下、「酸化防止剤2」とする。)と、結晶核剤としての3.0質量部のスチレン変性エチレン系重合体(固有粘度[ηB]:0.03dl/g、140℃での溶融粘度:40mPa・s、重量平均分子量Mw:930、分子量分布Mw/Mn:1.8、融点:107℃)と、0.7質量部のタルクと、30.0質量部のガラス繊維(10μm径)と、を投入して溶融混練して、熱可塑性ポリエステル樹脂組成物とした。
上記溶融した熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を、シリンダー温度320℃、射出速度25mm/secで、上記粗面化した金属部材が配置された金型に射出し、保圧100MPa、保圧時間15秒の条件にて射出成形を行った。
3−2.試験2
60.8質量部の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の代わりに、50.8質量部の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と10.0質量部の結晶性樹脂(B)(ポリブチレンテレフタレート)を用いた以外は試験1と同様にして、射出成形を行った。
3−3.試験3
60.8質量部の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の代わりに、50.8質量部の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)と10.0質量部の非晶性樹脂(C)(ポリカーボネート)を用いた以外は試験1と同様にして、射出成形を行った。
3−4.試験4
エポキシ基含有エチレンメタクリレート共重合体を用いず、代わりに熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の量を65.8質量部とした以外は試験1と同様にして、射出成形を行った。
3−5.試験5
65.8質量部の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の代わりに、65.8質量部のポリアミド樹脂を用いた以外は試験4と同様にして、射出成形を行った。
3−6.試験6
65.8質量部の熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の代わりに、65.8質量部のポリフェニレンサルファイド樹脂を用いた以外は試験4と同様にして、射出成形を行った。
4.評価
4−1.接続性
射出成型後、金型から金属および樹脂組成物を取り出して、金属と樹脂組成物とが接合されたか否かを評価した。試験1〜試験4では、金属と樹脂組成物とが接合していたが、試験5および試験6では、金属と樹脂組成物とは接合していなかった。
4−2.初期密着強度
アイコーエンジニヤリング社製の引っ張り試験機モデル1323に専用の治具を取り付け金型から取り出した直後の金属樹脂複合体を設置した。室温(23℃)にて、チャック間距離60mm、引張速度10mm/minの条件にて、金属部材と樹脂組成物とを反対方向に引っ張った。このときの、金属部材と樹脂組成物とが破断して引き離されたときの荷重(N)を求め、同一の樹脂組成物を接合させた5つの金属樹脂複合体についての上記荷重(N)の平均値を、当該樹脂組成物を金属部材に接合させた金属樹脂複合体の初期密着強度とした。なお、金属部材と樹脂組成物との接合部分の面積は、0.5cmだった。
4−3.加熱後密着強度
金型から取り出した金属樹脂複合体に対し、常圧下、240℃で1時間の加熱処理を行った。
加熱処理後の金属樹脂複合体について、所期密着強度と同様に金属部材と樹脂組成物とが破断して引き離されたときの荷重(N)を求め、同一の樹脂組成物を接合させた5つの金属樹脂複合体についての上記荷重(N)の平均値を、当該樹脂組成物を金属部材に接合させた金属樹脂複合体の加熱後密着強度とした。
4−4.強度保持率
加熱後密着強度の値を初期密着強度の値で除算して、加熱前後の強度保持率を求めた。
表1に、試験1〜試験6についての、樹脂組成物に含まれる樹脂種およびその量(樹脂組成物の全質量に対する割合)、ならびに初期密着強度および加熱後密着強度の値を示す。
Figure 2020151981
表1に示すように、DSCで測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上であるポリアミド樹脂またはポリフェニレンサルファイド樹脂を含む樹脂組成物は、金属部材に接合しなかったが、DSCで測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、同一の条件で金属部材に良好に接合した。
また、同一の条件で射出成型を行ったところ、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)に対して結晶性樹脂(B)または非晶性樹脂(C)を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、加熱処理後の密着性が向上していた。
本発明によれば、ポリブチレンテレフタレート以外の樹脂を金属部材(特にはマグネシウムまたはマグネシウム合金を含む金属部材)に接合させることができる。このようにして得られた金属樹脂複合体は、自動車産業、電気、エレクトロニクス、電気通信、および情報産業などの各種用途に使用することができる。

Claims (16)

  1. 金属部材を用意する工程と、
    前記金属部材の表面に、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を、前記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物が溶融した状態で接触させる工程と、
    を有する、金属樹脂複合体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂は、
    テレフタル酸に由来する成分単位30〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位0〜70モル%とを含む、ジカルボン酸成分単位(a1)と、
    炭素原子数4〜20の脂環族ジアルコールに由来する成分単位、または炭素原子数2〜20の脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を含む、ジアルコール成分単位(a2)と、
    を有する、請求項1に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  3. 前記ジアルコール成分単位(a2)は、シクロヘキサン骨格を有する前記脂環族ジアルコールに由来する成分単位を含む、請求項2に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  4. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmが50℃以上、250℃未満である結晶性樹脂(B)(ただし、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)を除く)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  5. 前記結晶性樹脂(B)は、ポリブチレンテレフタレートである、請求項4に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  6. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度Tgが50℃以上、250℃未満である非晶性樹脂(C)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  7. 前記非晶性樹脂(C)は、ポリカーボネートである、請求項6に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  8. 前記金属部材は、マグネシウムまたはマグネシウム系合金である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体の製造方法。
  9. 金属部材と、
    前記金属部材の表面に接合した、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmもしくはガラス転移温度Tgが250℃以上である熱可塑性ポリエステル樹脂を含む熱可塑性ポリエステル樹脂組成物の成形体と、
    を有する金属樹脂複合体。
  10. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂は、
    テレフタル酸に由来する成分単位30〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸に由来する成分単位0〜70モル%とを含む、ジカルボン酸成分単位と、
    炭素原子数4〜20の脂環族ジアルコールに由来する成分単位、または炭素原子数2〜20の脂肪族ジアルコールに由来する成分単位を含む、ジアルコール成分単位と、
    を有する、請求項9に記載の金属樹脂複合体。
  11. 前記ジアルコール成分単位は、シクロヘキサン骨格を有する前記脂環族ジアルコールに由来する成分単位を含む、請求項10に記載の金属樹脂複合体。
  12. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点Tmが50℃以上、250℃未満である結晶性樹脂を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体。
  13. 前記結晶性樹脂は、ポリブチレンテレフタレートである、請求項12に記載の金属樹脂複合体。
  14. 前記熱可塑性ポリエステル樹脂組成物は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度Tgが50℃以上、250℃未満である非晶性樹脂を含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体。
  15. 前記非晶性樹脂は、ポリカーボネートである、請求項14に記載の金属樹脂複合体。
  16. 前記金属部材は、マグネシウムまたはマグネシウム系合金である、請求項9〜15のいずれか1項に記載の金属樹脂複合体。
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