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JP2020143411A - 不織布、積層体、被覆シート、及び不織布の製造方法 - Google Patents

不織布、積層体、被覆シート、及び不織布の製造方法 Download PDF

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JP2020143411A JP2019042942A JP2019042942A JP2020143411A JP 2020143411 A JP2020143411 A JP 2020143411A JP 2019042942 A JP2019042942 A JP 2019042942A JP 2019042942 A JP2019042942 A JP 2019042942A JP 2020143411 A JP2020143411 A JP 2020143411A
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Abstract

【課題】親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制された不織布の提供。【解決手段】熱可塑性重合体の繊維と、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含む浸透剤と、湿潤剤と、を含有し、窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である、不織布。【選択図】なし

Description

本開示は、不織布、積層体、被覆シート、及び不織布の製造方法に関する。
近年、不織布は通気性および柔軟性に優れることから各種用途に幅広く用いられている。そのため、不織布には、その用途に応じた各種の特性が求められるとともに、その特性の向上が要求されている。
例えば、肌に直接触れる部材に用いられる不織布(吸収性物品のトップシートなど)は、親水性に優れることが要求される。不織布に親水性を付与する方法の一つとして、不織布製造用疎水性合成繊維に対して、特定の透水性付与剤を付着させた透水性繊維を用いて不織布を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−102424号公報
ところで、不織布に親水性を付与する方法としては、練り込み法、及び、塗布法が知られている。練り込み法は、親水性を付与するための薬剤(以下、親水性を付与するための薬剤を親水化剤と称する)を練り込んだ熱可塑性重合体の繊維で不織布を形成することにより、不織布に親水性を付与する方法である。塗布法は、親水化剤を繊維表面に付着させて不織布に親水性を付与する方法である。
親水化剤が付与された不織布を、例えば、おむつのトップシートに適用した場合、おむつのトップシートと接触する部材(ギャザー等)に親水化剤が移行する場合がある。例えば、ギャザーに親水化剤が移行することにより、ギャザーが親水化されてしまうと、おむつに液漏れが生じることがある。
また、親水化剤が付与された不織布を、おむつ等の後加工(例えば、延伸加工、穴あけ加工)が伴う用途に適用した場合、加工機に親水化剤が移行する場合がある。親水化剤が長期にわたり加工機に移行し続けると、親水化剤の移行に起因する腐食が発生することが考えられる。
このように、親水化が付与された不織布は、優れた親水性が求められるとともに、不織布と接触する部材に対する親水化剤の移行を抑制する観点で、さらに改良の余地がある。
本開示の課題は、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制された不織布を提供することにある。本開示の課題は、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制された不織布を備える積層体を提供することにある。本開示の課題は、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制された不織布の製造方法を提供することにある。
本開示は、以下の態様に関係する。
<1>
熱可塑性重合体の繊維と、
スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含む浸透剤と、
湿潤剤と、
を含有し、窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である、不織布。
<2>
水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験において、表面水蒸気吸着面積が、0.4m/g〜1.2m/gである、<1>に記載の不織布。
<3>
前記スルホン酸塩がアルキルスルホコハク酸塩である、<1>又は<2>に記載の不織布。
<4>
前記湿潤剤に対する前記浸透剤の比(浸透剤/湿潤剤)が、質量比で、1/99〜60/40である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の不織布。
<5>
前記繊維が、融点130℃以上であるプロピレン系重合体(A)100質量部、及びエチレン系重合体(B)1質量部〜10質量部を含むプロピレン系重合体組成物を有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の不織布。
<6>
前記エチレン系重合体(B)の密度が、0.930g/cm〜0.980g/cmである、<5>に記載の不織布。
<7>
前記プロピレン系重合体組成物が、重量平均分子量(Mw)400〜30000であるエチレン系重合体ワックス(C)をさらに含む、<5>又は<6>に記載の不織布。
<8>
前記エチレン系重合体ワックス(C)の密度が、0.890g/cm〜0.980g/cmである、<7>に記載の不織布。
<9>
前記プロピレン系重合体組成物が、下記(III)に示すプロピレン系重合体(D)を、0質量部超25質量部以下で含む、<5>〜<8>のいずれか1つに記載の不織布。
(III) 下記(a)〜(f)を満たす融点120℃未満のプロピレン単独重合体
(a)[mmmm]=20モル%〜60モル%
(b)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(c)[rmrm]>2.5モル%
(d)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
(e)重量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
(f)分子量分布(Mw/Mn)<4
(a)〜(d)中、[mmmm]はメソペンタッド分率であり、[rrrr]はラセミペ
ンタッド分率であり、[rmrm]はラセミメソラセミメソペンタッド分率であり、[m
m]、[rr]および[mr]はそれぞれトリアッド分率である。
<10>
平均繊維径が5μm〜25μmである、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の不織布。
<11>
前記浸透剤及び前記湿潤剤は、質量比で、ヘキサン/水の1/1混合液20mlに対して、前記浸透剤及び前記湿潤剤を合計で0.02g加え、前記浸透剤及び前記湿潤剤が加えられた前記混合液を撹拌して、1分後に油相と水相が分離する、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の不織布。
<12>
前記湿潤剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及び多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の不織布。
<13>
スパンボンド不織布である、<1>〜<12>のいずれか1つに記載の不織布。
<14>
<1>〜<13>のいずれか1項に記載の不織布を含む被覆シート。
<15>
<1>〜<13>のいずれか1つに記載の不織布を備える積層体。
<16>
<15>に記載の積層体を含む被覆シート。
<17>
熱可塑性重合体の繊維を含む不織布を準備する工程と、
前記不織布に、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含む浸透剤、及び湿潤剤を付着させる工程と、
を有し、
窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である、不織布の製造方法。
本開示によれば、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制された不織布が提供される。本開示によれば、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制された不織布を備える積層体が提供される。本開示によれば、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制された不織布の製造方法が提供される。
以下、本開示について、好ましい実施形態の一例について詳細に説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、MD(Machine Direction)方向とは、不織布製造装置における不織ウェブの進行方向を指す。CD(Cross Direction)方向とは、MD方向に垂直で、主面(不織布の厚さ方向に直交する面)に平行な方向を指す。
本開示において、主体として含むとは、対象となる物質が、全体に対して最も多く含まれることを表す。例えば、全体に占める割合として、対象となる物質の含有割合が50質量%以上であることを示す。
<不織布>
本開示の不織布の好ましい実施形態の一例について説明する。
本開示の不織布は、熱可塑性重合体の繊維と、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含む浸透剤と、湿潤剤と、を含有する。
そして、本開示の不織布は、窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である。
本開示において、浸透剤及び湿潤剤は親水性を付与するための薬剤として機能するものである。以降の記載において、本開示では、浸透剤及び湿潤剤をあわせて親水化剤とも称する。
本開示の不織布は、熱可塑性重合体の繊維と、上記の親水化剤を含有することで、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制される。本開示の不織布が親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制される理由は明確ではないが、本発明者らは以下のように推測している。本開示の不織布に含まれる親水化剤のうち、湿潤剤は、不織布に親水性を付与する作用を有すると考えられる。また、親水化剤のうち、上記の特定の浸透剤は、不織布を構成する繊維に湿潤剤を浸透させる作用に優れると考えられる。そして、本開示の不織布は、上記の表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積が、2.0〜5.8である。この面積比が大きすぎると、親水性に優れるものの、他の部材に接触したときに親水化剤が移行しやすくなる。一方、この面積比が小さすぎると、他の部材に接触したときに親水化剤の移行が抑制されるものの、親水性が低い。親水化剤のうち親水性が高いものは、少量の塗布量で高い親水性が得られるが、他の部材への移行が発生しやすい。またこの面積比も高くなる傾向にある。親水性が低いものは、少量の塗布量では十分な高い親水性が得にくいが、他の部材への移行が発生しにくく、この面積比も低い傾向にある。そのため、この面積比が、上記範囲であることにより、不織布を構成する繊維の親水性と、不織布に含まれる親水化剤の量とのバランスに優れる。その結果、本開示の不織布は、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときであっても、親水化剤の移行が抑制されると考えられる。
なお、本開示の不織布では、親水化剤を含ませる方法は特に限定されず、練り込み法、及び塗布法のいずれの方法により得られる不織布であってもよい。本開示の不織布は、練り込み法により得られる不織布よりも、塗布法により得られる不織布において、他の部材に対する親水化剤の移行抑制効果が高い。
(親水化剤)
本開示の不織布は、浸透剤及び湿潤剤(つまり、親水化剤)を含む。浸透剤は、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含む。
[浸透剤]
スルホン酸塩としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩が挙げられる。これらスルホン酸塩は、スルホン酸のアルカリ金属塩が好ましい。硫酸エステル塩としては、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩などが挙げられる。これら硫酸エステル塩は、硫酸エステル塩のアルカリ金属塩が好ましい。これらの中でも、浸透剤は、スルホン酸塩を含むことが好ましく、スルホン酸のアルカリ金属塩を含むことがより好ましい。
浸透剤としてのスルホン酸塩は、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制される観点で、アルキルスルホコハク酸塩であることが好ましい。アルキルスルホコハク酸塩は、ジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩であることがより好ましく、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(Na)塩であることがより好ましく、炭素数が8〜16であるアルキル基を2つ持つジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩がさらに好ましい。炭素数が8〜16であるアルキル基を2つ持つジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩としては、具体的には、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩、ジデシルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジドデシルスルホコハク酸ナトリウム塩、ジテトラデシルスルホコハク酸リチウム(Li)塩、ジヘキサデシルスルホコハク酸カリウム(K)塩等が挙げられる。これらの中でも、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制される観点で、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム塩が好ましい。
[湿潤剤]
湿潤剤は、特に限定されず、カチオン界面活性剤でもよく、アニオン界面活性剤でもよく、両性界面活性剤でもよく、非イオン界面活性剤でもよい。
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキル(又はアルケニル)トリメチルアンモニウムハライド、ジアルキル(又はアルケニル)ジメチルアンモニウムハライドに代表される4級アンモニウム塩、及びアルキルアミン塩、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルリン酸ナトリウムに代表されるリン酸エステル塩や、ラウリン酸ナトリウムに代表される脂肪酸塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、これらカチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤との塩が挙げられる。
湿潤剤は、優れた親水性を付与する観点で、非イオン界面活性剤が好ましい。湿潤剤である非イオン界面活性剤としては、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、アルキルポリオキシエチレンアルコール、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物、アルコキシ化アルキルフェノール、脂肪酸アミド、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン等の非イオン界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、優れた親水性を付与する観点で、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及びグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及び多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物は、それぞれ、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルのいずれでもよい。多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及び多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物は、それぞれ、モノエステル、ジエステル、及びトリエステルのうち、1種を単独で含んでもいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
多価アルコール脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルのいずれも、グリセリン又はソルビタンと、炭素数10〜20の脂肪酸とのエステルが好ましい。具体的には、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸ジエステル、グリセリンオレイン酸トリエステル、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンラウリン酸ジエステル、ソルビタンラウリン酸トリエステルなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルが好ましい。ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が10〜20であり、エチレンオキシド鎖(EO鎖ともいう)の付加モル数が5〜20であることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンステアリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンラウリン酸ジエステル、ポリオキシエチレンオレイン酸モノエステル、ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物としては、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。これらの中でも、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物は、グリセリンと、炭素数10〜20の脂肪酸とのエステルであって、エチレンオキシドの付加モル数が5〜20であることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸モノエステル、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸ジエステル、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸トリエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸トリエステル等が挙げられる。
湿潤剤は、優れた親水性を付与する観点で、多価アルコール脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物と、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとの組み合わせで含むことが好ましい。また、湿潤剤は、多価アルコール脂肪酸エステルと、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとの組み合わせで含むことも好ましい。
多価アルコール脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物と、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとの組み合わせとしては、グリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物と、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとの組み合わせであることがより好ましい。グリセリンオレイン酸ジエステルと、ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸ジエステル及びトリエステルと、ポリオキシエチレンラウリン酸ジエステルとの組み合わせであることがさらに好ましい。
多価アルコール脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物との組み合わせとしては、グリセリン脂肪酸エステルと、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物との組み合わせであることがより好ましい。グリセリンオレイン酸ジエステル及びグリセリンオレイン酸トリエステルと、ポリオキシエチレンオレイン酸モノエステル及びポリオキシエチレンオレイン酸ジエステルとの組み合わせであることがさらに好ましい。
また、多価アルコール脂肪酸エステルと、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルとの組み合わせとしては、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ジエステル及びトリエステルと、ポリオキシエチレンラウリン酸モノエステル及びジエステルとの組み合わせであることが好ましい。さらに、これらのソルビタンラウリン酸エステル、及びポリオキシエチレンラウリン酸エステルに加えて、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸ジエステル及びポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸トリエステルを組み合わせることも好ましい。
湿潤剤に対する浸透剤の比(浸透剤/湿潤剤)は、質量比で、1/99〜60/40であることが好ましい。この比は、5/95〜50/50であることがより好ましく、10/90〜40/60であることがさらに好ましい。湿潤剤/浸透剤の質量比がこの範囲であると、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制されやすい。
親水化剤は、ヘキサン/水の1/1(質量比)混合液20mlに対して、上記の親水化剤(つまり浸透剤及び湿潤剤をあわせたもの)を合計で0.02g加え、親水化剤が加えられた後の混合液を撹拌したとき、1分後に油相と水相とに分離することが好ましい(以下、親水化剤の分離試験とも称する。)。この分離試験は、親水化剤全体として、水又は熱可塑性重合体の繊維に対する親和性の指標となると考えられる。親水化剤が油相と水相とに分離する場合は、より水への親和性が高く、分離しない場合は、より熱可塑性重合体の繊維に対する親和性が高いと考えられる。そのため、上記分離試験によって分離する親水化剤を用いることで、親水性がより向上する傾向にある。このような性質を示す親水化剤は、浸透剤/湿潤剤の質量比が1/99〜60/40の範囲であることが好ましく、10/90〜40/60の範囲であることがより好ましい。
例えば、親水化剤の分離試験は、測定対象となる不織布から分析する場合、例えば、次のようにして測定すればよい。まず、100g以上の不織布を準備する。次に、準備した不織布をエタノールに浸漬して25℃で24時間静置して抽出液Aを得る。不織布を別のエタノールに浸漬して25℃で24時間静置して抽出液Bを得る。抽出液A及び抽出液Bを脱気しつつ80℃に加温して、エタノールを十分に除去し、残渣を得る。次いで、残渣を混合し、親水化剤の分離試験に供する。
親水化剤の塗布量は、0.1質量%〜2.0質量%であることが好ましい。親水化剤の塗布量は、0.2質量%〜1.5質量%であることがより好ましく、0.3質量%〜1.2質量%であることがさらに好ましい。親水化剤の塗布量がこの範囲であると、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制されやすい。なお、親水化剤の塗布量は、親水化剤を塗布した後の不織布の質量から、親水化剤を塗布する前の不織布の質量を差し引き、これを親水化剤を塗布した後の不織布の質量で除した百分率で表される。
(熱可塑性重合体の繊維)
熱可塑性重合体の繊維は、不織布を構成可能な繊維であれば、特に限定されるものではない。繊維を構成する熱可塑性重合体としては、具体的には、例えば、オレフィン系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、これら重合体を含む重合体組成物等が挙げられる。オレフィン系重合体は、オレフィン由来の構造単位を主体とする重合体である。ポリエステル系重合体は、ポリエステルを構造単位として含む重合体である。ポリアミド系重合体は、ポリアミドを構造単位として含む重合体である。なお、本開示において、熱可塑性重合体は、熱可塑性重合体組成物を含む概念である。
これらの中でも、熱可塑性重合体は、オレフィン系重合体組成物であることが好ましく、プロピレン系重合体組成物であることがより好ましい。オレフィン系重合体組成物は、オレフィン系重合体を主体として含む重合体組成物を指す。プロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体を主体として含む重合体組成物を指す。プロピレン系重合体及びプロピレン系重合体を主体として含む重合体組成物については下述する。
[プロピレン系重合体組成物]
プロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体を主体として含む重合体組成物であれば、特に限定されるものではない。例えば、プロピレン系重合体組成物は、異なるプロピレン系重合体を2種以上含むプロピレン系重合体組成物であってもよく、プロピレン系重合体とエチレン系重合体とを含むプロピレン系重合体組成物であってもよい。なお、プロピレン系重合体とは、プロピレン由来の構造単位を主体とする重合体をいい、プロピレン単独重合体及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体を含む概念である。また、エチレン系重合体とは、エチレン由来の構造単位を主体とする重合体をいい、エチレン単独重合体及びエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体を含む概念である。
不織布の強度及び伸長性の観点で、プロピレン系重合体組成物は、融点130℃以上であるプロピレン系重合体(A)と、エチレン系重合体(B)を含むプロピレン系重合体組成物であることが好ましい。同様の観点で、融点130℃以上であるプロピレン系重合体(A)100質量部、及びエチレン系重合体(B)1質量部〜10質量部を含むプロピレン系重合体組成物であることがより好ましい。融点130℃以上であるプロピレン系重合体(A)100質量部、及びエチレン系重合体(B)2質量部〜8質量部を含むプロピレン系重合体組成物であることがさらに好ましい。必要に応じて、後述のエチレン系重合体ワックス(C)、(III)に示すプロピレン系重合体(D)等の成分を含んでいてもよい。
−プロピレン系重合体(A)−
プロピレン系重合体(A)は、融点130℃以上であれば、特に限定されず、プロピレン単独重合体及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体のいずれでもよい。不織布の強度及び伸長性の観点から、プロピレン系重合体(A)の融点は、130℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましい。また、プロピレン系重合体(A)の融点は170℃以下が好ましい。
プロピレン系重合体(A)の含有量は、不織布の強度及び伸長性の観点から、熱可塑性重合体の繊維の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70.0質量%以上99.0質量%以下がより好ましく、85.0質量%以上97.0質量%以下がさらに好ましい。
プロピレン系重合体(A)は、市販品をそのまま用いても良く、各種公知の方法で合成してもよい。
プロピレン系重合体(A)のメルトフローレート(MFR:ASTM D1238、230℃、荷重2160g)は、溶融紡糸可能であれば、特に限定されない。例えば、MFRは、1g/10分〜1000g/10分であってもよく、5g/10分〜500g/10分であることが好ましく、10g/10分〜100g/10分であることがより好ましい。
プロピレン系重合体(A)は、プロピレン系重合体組成物に1種単独で用いてもよく、融点、分子量、結晶構造などが互いに異なる2種以上を用いてもよい。
−エチレン系重合体(B)−
エチレン系重合体(B)は、エチレン由来の構造単位を主体とする重合体であれば、特に限定されず、エチレン単独重合体及びエチレンとエチレン以外のα−オレフィンとの共重合体のいずれでもよい。エチレン系重合体(B)は、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン(所謂LDPE)、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、中密度ポリエチレン(所謂MDPE)、高密度ポリエチレン(所謂HDPE)などが挙げられる。
不織布の伸長性及び柔軟性の観点で、エチレン系重合体(B)の密度は、0.930g/cm〜0.980g/cmであることがよい。特に、紡糸性の観点及び強度の観点で、エチレン系重合体(B)の密度は、0.940g/cm〜0.980g/cmであることが好ましく、0.940g/cm〜0.975g/cmであることがより好ましい。特に、0.950g/cm〜0.970g/cmの範囲にある高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましい。密度は、JIS K7112(1999)の密度勾配法に従って測定して得られた値である。
エチレン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR:ASTM D1238、190℃、荷重2160g)は、溶融紡糸可能であれば、特に限定されない。エチレン系重合体(B)のメルトフローレートは、1g/10分〜50g/10分であることが好ましい。エチレン系重合体(B)のメルトフローレートは、2g/10分〜25g/10分であることがより好ましく、2g/10分〜10g/10分であることがさらに好ましい。
エチレン系重合体(B)は、種々公知の製造方法(例えば、高圧法、チーグラー触媒またはメタロセン触媒を用いて得られる中低圧法)によって得られる重合体を用い得る。これら重合体の中でも、メタロセン系触媒による重合で得られるエチレン系重合体を用いた場合には、プロピレン系重合体組成物の紡糸性がより良好なものとなり、得られるスパンボンド不織布の強度等が良好となる観点で好ましい。
エチレン系重合体(B)は、プロピレン系重合体組成物に、1種単独で用いてもよく、融点、分子量、結晶構造などが互いに異なる2種以上を用いてもよい。
−エチレン系重合体ワックス(C)−
プロピレン系重合体組成物は、別の態様として、必要に応じて、重量平均分子量(Mw)400〜30000であるエチレン系重合体ワックス(C)をさらに含んでいてもよい。エチレン系重合体ワックス(C)は、重量平均分子量(Mw)400〜30000であれば、特に限定されるものではない。
本開示において、エチレン系重合体ワックス(C)とは、上記エチレン系重合体(B)に比べて分子量が低い、ワックス状の重合体を示す。
エチレン系重合体ワックス(C)は、エチレンの単独重合体、又は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体のいずれであってもよい。
エチレン系重合体ワックス(C)として、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を用いた場合、エチレンと共重合させるα−オレフィンの炭素数としては3〜8がより好ましく、炭素数3又は4がより好ましく、炭素数3が更に好ましい。
エチレンと共重合させるα−オレフィンの炭素数が上記範囲にあると、紡糸性が良好となり、不織布の強度等の特性を高めることができる。
エチレン系重合体ワックス(C)として、エチレン単独重合体を用いた場合、エチレン系重合体(B)との混練性に優れ、且つ、紡糸性に優れる。
エチレン系重合体ワックス(C)の重量平均分子量(Mw)は、15000以下であることが好ましい。15000未満であることが好ましく、9000以下であることがより好ましく、6000以下であることが更に好ましく、6000未満であることが特に好ましく、5000以下であることが最も好ましい。下限値としては、400以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。エチレン系重合体ワックス(C)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にある場合には、プロピレン系重合体組成物の紡糸性を改善しやすく、繊維径が細くなりやすく、更に、経時的な安定性が得られやすくなる。
上記エチレン系重合体ワックス(C)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法から求めた値であり、以下の条件で測定した値である。
なお、重量平均分子量は、市販の単分散標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求める。
装置:ゲル浸透クロマトグラフAllianceGPC2000型(Waters社製)
溶剤:o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgelカラム(東ソ−社製)×4
流速:1.0ml/分
試料:0.15mg/mLo−ジクロロベンゼン溶液
温度:140℃
分子量換算:PE換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリスチレン(PS)の係数:KPS=1.38×10−4,aPS=0.70
ポリエチレン(PE)の係数:KPE=5.06×10−4,aPE=0.70
エチレン系重合体ワックス(C)は、JIS K2207(2006)に従って測定した軟化点が90℃〜145℃であることが好ましく、90℃〜130℃であることがより好ましい。
紡糸を安定して行う観点から、エチレン系重合体ワックス(C)の含有量としては、プロピレン系重合体(A)100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部であることが好ましく、0.5質量部〜5質量部であることがより好ましい。
エチレン系重合体ワックス(C)の製造方法は、特に制限されず、通常用いられる低分子量重合体の重合による製造方法、又は、高分子量のエチレン系重合体を加熱減成によって分子量を低減させる方法等のいずれの製造方法であってもよい。
また、エチレン系重合体ワックス(C)は、溶媒に対する溶解度の差で分別する溶媒分別、又は、蒸留などの方法で精製されていてもよい。
エチレン系重合体ワックス(C)が、通常用いられる低分子量重合体の重合による製造方法で得られる場合、種々公知の製造方法、例えば、チーグラー/ナッタ触媒、及び、特開平08−239414号公報、国際公開第2007/114102号等に記載された、メタロセン系触媒等により重合する製造方法等により製造し得る。
エチレン系重合体ワックス(C)の密度は、特に限定されず、0.890g/cm〜0.980g/cmであることが好ましく、0.910g/cm以上であることがより好ましく、0.920g/cm以上であることが更に好ましい。
また、エチレン系重合体ワックス(C)の密度は、0.960g/cm以下であることが好ましく、0.950g/cm以下であることがより好ましい。密度の範囲が上記範囲内にあるエチレン系重合体ワックス(C)を用いると、紡糸性が優れたものとなりやすい。
エチレン系重合体ワックス(C)は、プロピレン系重合体組成物に、1種単独で用いてもよく、融点、分子量、結晶構造などが互いに異なる2種以上を用いてもよい。
−(III)に示すプロピレン系重合体(D)−
プロピレン系重合体組成物は、別の態様として、必要に応じて、下記(III)に示すプロピレン系重合体(D)を含んでいてもよい。下記(III)に示すプロピレン系重合体(以下、重合体(III)とも称する。)の含有量は、プロピレン系重合体組成物中に、0質量部超25質量部以下であることが好ましい。
(III) 下記(a)〜(f)を満たす融点120℃未満のプロピレン単独重合体
(a)[mmmm]=20モル%〜60モル%
(b)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(c)[rmrm]>2.5モル%
(d)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
(e)重量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
(f)分子量分布(Mw/Mn)<4
(a)〜(d)中、[mmmm]はメソペンタッド分率であり、[rrrr]はラセミペ
ンタッド分率であり、[rmrm]はラセミメソラセミメソペンタッド分率であり、[m
m]、[rr]および[mr]はそれぞれトリアッド分率である。
重合体(III)の、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]及びラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]、トリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]は、以下に詳述するように、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠して算出することができる。
(a)[mmmm]=20〜60モル%:
重合体(III)のメソペンタッド分率[mmmm]が20モル%以上であると、べたつきの発生が抑制され、60モル%以下であると、結晶化度が高くなりすぎることがないので、弾性回復性が良好となる。このメソペンタッド分率[mmmm]は、30モル%〜50モル%であることが好ましく、40モル%〜50モル%であることがより好ましい。
メソペンタッド分率[mmmm]、後述するラセミペンタッド分率[rrrr]及びラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率、ラセミ分率、及びラセミメソラセミメソ分率である。メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。また、後述するトリアッド分率[mm]、[rr]および[mr]も上記方法により算出される。
13C−NMRスペクトルの測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置及び条件にて行うことができる。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
[計算式]
M=m/S×100
R=γ/S×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
(b)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
[rrrr]/[1−mmmm]の値は、上記のペンタッド単位の分率から求められ、重合体(III)におけるプロピレン由来の構造単位の規則性分布の均一さを示す指標である。この値が大きくなると、既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高規則性ポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となり、べたつきの原因となる。
重合体(III)において、[rrrr]/(1−[mmmm])が0.1以下であると、得られる弾性不織布におけるべたつきが抑制される。このような観点から、[rrrr]/(1−[mmmm])は、0.05以下であることが好ましく、0.04以下であることがより好ましい。
(c)[rmrm]>2.5モル%
重合体(III)のラセミメソラセミメソ分率[rmrm]が2.5モル%を超える値であると、該重合体(III)のランダム性が増加する。[rmrm]は、2.6モル%以上であることが好ましく、2.7モル%以上であることがより好ましい。なお、上限は、通常10モル%程度である。
(d)[mm]×[rr]/[mr]≦2.0
[mm]×[rr]/[mr]は、重合体(III)のランダム性の指標を示し、かつべたつきも抑制される。[mm]×[rr]/[mr]は、0.25に近いほどランダム性が高くなる。上記十分な弾性回復性を得る観点から、[mm]×[rr]/[mr]は、0.25を超え1.8以下であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。
(e)重量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
重合体(III)において重量平均分子量が10,000以上であると、重合体(III)の粘度が低すぎず適度のものとなる。このため、スパンボンド法により不織布を製造した場合の糸切れが抑制される。また、重量平均分子量が200,000以下であると、重合体(III)の粘度が高すぎず、紡糸性が向上する。重量平均分子量は、30,000〜150,000であることが好ましく、50,000〜150,000であることがより好ましい。重合体(III)の重量平均分子量の測定法については後述する。
(f)分子量分布(Mw/Mn)<4
重合体(III)において、分子量分布(Mw/Mn)が4未満であると、得られるスパンボンド不織布におけるべたつきの発生が抑制される。この分子量分布は、3以下であることが好ましい。
上記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量であり、上記分子量分布(Mw/Mn)は、同様にして測定した数平均分子量(Mn)及び上記重量平均分子量(Mw)より算出した値である。
[GPC測定装置]
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
[測定条件]
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
重合体(III)は、さらに以下の(g)の要件を満たすことが好ましい。
(g)示差走査型熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0℃〜120℃である。
重合体(III)の融点(Tm−D)が0℃以上であると、プロピレン系重合体組成物により形成されるスパンボンド不織布のべたつきの発生が抑制され、120℃以下であると、十分な弾性回復性が得られる。このような観点から、融点(Tm−D)は、より好ましくは0℃〜100℃であり、更に好ましくは30℃〜100℃である。
なお、上記融点(Tm−D)は、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして求めることができる。
重合体(III)は、例えば、いわゆるメタロセン触媒と呼ばれる均一系の触媒を用いて合成することができる(例えば、国際公開第2003/087172号を参照)。
上記の(III)に示すプロピレン系重合体(D)は、プロピレン系重合体組成物に、1種単独で用いてもよく、融点、分子量、結晶構造などが互いに異なる2種以上を用いてもよい。
本開示の不織布を構成する熱可塑性重合体(熱可塑性重合体組成物を含む)の繊維に上記各成分が含まれることは、公知の方法により適宜確認することができる。
本開示の不織布の目付けは特に限定されず、例えば、スパンボンド不織布の目付は、5g/m〜30g/mであってもよく、10g/m〜25g/mであってもよい。
不織布を構成する繊維の平均繊維径は、特に限定されず、例えば、5μm〜25μmであってもよい。平均繊維径は、20μm以下であってもよく、18μm以下であってもよく、15μm以下であってもよい。また、平均繊維径は、7μm以上であってもよく、10以上であってもよい。
(添加剤)
プロピレン系重合体組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、任意成分として、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、エチレン系重合体ワックス(C)以外のワックス等の種々公知の添加剤を含んでもよい。
なお、本開示の不織布には、必要に応じて、他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、耐光安定剤、ブロッキング防止剤、分散剤、核剤、柔軟剤、撥水剤、充填剤、天然油、合成油、エチレン系重合体ワックス(C)以外のワックス、抗菌剤、防腐剤、艶消し剤、防錆剤、芳香剤、消泡剤、防黴剤、防虫剤等の種々公知の添加剤が挙げられる。これら他の成分は、不織布を構成する繊維の内部に含まれていてもよく、繊維の表面に付着していてもよい。
なお、熱可塑性重合体の繊維を構成する熱可塑性重合体として、プロピレン系重合体組成物を例に挙げて説明したが、熱可塑性重合体は、これに限定されるものではない。
(不織布の物性)
本開示の不織布は、窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である。この面積比は、2.5〜5.5であることが好ましく、3〜5.5であることがより好ましい。この面積比は、不織布表面積あたりの親水性と疎水性のバランスの指標となる。この面積比が上記範囲であると、不織布は、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制される。水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験の測定方法および窒素吸着等温線のBET式により得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積の測定方法は、後述の実施例で説明する。
本開示の不織布における表面水蒸気吸着面積は、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制された不織布を得る観点で、0.5m/g〜1.2m/gであることが好ましく、0.6m/g〜1.2m/gであることがより好ましい。表面水蒸気吸着面積の上記範囲、及び表面窒素吸着面積に対する表面水蒸気吸着面積の面積比の上記範囲は、例えば、不織布に含有させる親水化剤の種類、量及び塗布方法などの製造条件を調整することにより、満たすことが可能である。
(不織布の態様)
本開示の不織布は、特に限定されず、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれの態様の不織布であってもよい。具体的には、本開示の不織布は、スパンボンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法、湿式法、カード法、エアレイド法、静電紡糸法等によって製造された不織布が例示できる。生産性の観点で、本開示の不織布は、長繊維不織布であることがよい。長繊維不織布としては、スパンボンド法によって製造される不織布(つまり、スパンボンド不織布)、メルトブローン法によって製造される不織布(つまり、メルトブローン不織布)であることが好ましい。特にスパンボンド不織布であることが好ましい。
なお、本開示において「短繊維」とは、おおむね平均繊維長200mm以下の繊維を意味する。また「長繊維」とは、不織布便覧(INDA米国不織布工業会編、株式会社不織布情報、1996年)等、当技術分野で一般的に用いられている「連続長繊維(continuous filament)」をいう。
本開示の不織布は、単層の不織布であってもよく、複数の層が積層された多層の不織布(不織布多層構造体)であってもよい。不織布多層構造体としては、例えば、スパンボンド不織布が積層された多層構造体であってもよく、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布が積層された多層構造体であってもよい。本開示の不織布が多層構造体である場合は、多層構造体の全層が親水化剤を含むことが好ましい。なお、本開示において、親水化剤を含む多層構造体である不織布は、不織布多層構造体と称して、後述の積層体とは区別されるものである。
<不織布の製造方法>
本開示の不織布を得る方法は特に限定されず、以下の方法で製造することが好ましい。
以下、本開示の不織布の好ましい製造方法の一例について説明する。
本開示の不織布の製造方法は、以下の工程を有する。
熱可塑性重合体の繊維を含む不織布を準備する工程(不織布準備工程)。
前記不織布に、スルホン酸塩及び硫酸エステルの少なくとも一方を含む浸透剤、及び湿潤剤を付着させる工程(親水化剤付着工程)。
そして、親水化剤付着工程において、不織布に対し、特定の浸透剤及び湿潤剤(つまり、親水化剤)を適度な量で付着させることで、不織布を構成する繊維に付着した親水化剤の量とのバランスが適度な状態となり、窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である不織布が得られる。例えば、表面水蒸気吸着面積及び表面窒素吸着面積は、親水化剤の条件(湿潤剤及び浸透剤の量、種類、配合など)、製造条件(塗布方法、塗布後の処理工程など)、及びこれらの組み合わせによって調整できる。
(不織布準備工程)
不織布準備工程は、親水化剤を付着させる対象となる不織布を準備する工程である。
準備する不織布は、特に限定されず、市販品を準備してもよく、不織布を製造してもよい。また、準備する不織布は、単層の不織布であってもよく、多層の不織布であってもよい。不織布を製造する場合、公知の長繊維不織布の製造法、公知の短繊維不織布の製造法により製造すればよい。生産性の観点で、準備する不織布は、長繊維不織布が好ましく、スパンボンド法で製造した不織布がより好ましい。スパンボンド法の場合、例えば、熱可塑性重合体を溶融紡糸して連続繊維を形成する工程(紡糸工程)と、連続繊維を捕集して不織ウェブを形成する工程(不織ウェブ形成工程)と、不織ウェブを交絡する工程(交絡工程)とを経て、スパンボンド不織布が製造される。スパンボンド不織布が多層で構成される場合は、不織ウェブ形成工程と、交絡工程との間に、第2の連続繊維を形成する工程(第2紡糸工程)を設ければよい。第1の不織ウェブ上に、連続繊維を捕集して、第2の不織ウェブを形成し、次工程の交絡工程を経て、多層のスパンボンド不織布が製造される。なお、紡糸工程には、冷却して延伸する公知の過程が含まれる。
(親水化剤付着工程)
親水化剤付着工程は、前述の不織布準備工程で準備した不織布に、前述の親水化剤を付着させる工程である。親水化剤を不織布に付着できれば、付着させる方法は特に限定されない。例えば、親水化剤の付着は、親水化剤を溶媒(例えば、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールなどの揮発性有機溶剤や水)に溶解した溶液を不織布に対して塗布する方法により付着させることが好ましい。親水化剤を不織布に付着させる方法としては、ディッピング(浸漬)、ロールコーティング(グラビアコーティング、キスコーティング)、スプレーコーティング、ダイコーティング等の公知の方法が挙げられる。なお、本開示において「塗布」は、「ディッピング(浸漬)」を含む概念である。
不織布に親水化剤を付着させるに当たり、親水化剤を水等の溶媒に溶解して親水化剤の溶液とし、親水化剤の溶液を不織布に塗布することが好ましい。親水化剤の溶液を塗布しやすくする観点で、親水化剤の溶液は、浸透剤及び湿潤剤を有効成分とし、有効成分の総量として、0.1質量%〜30質量%の溶液とすることが好ましい。なお、親水化剤の溶液は、目的に応じて、抗菌剤、酸化防止剤、防腐剤、艶消し剤、顔料、防錆剤、芳香剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(その他の工程)
親水化剤付着工程の後に、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、不織布から過剰な親水化剤の溶液を除くための絞り工程、親水化剤の溶液中の溶媒を除去するための乾燥工程などが挙げられる。
絞り工程は、過剰な親水化剤の溶液を不織布から除去する工程である。言い換えると、不織布に付与される親水化剤の量を調整する工程である。上述の表面水蒸気吸着面積、及び塗布量は、塗布工程で用いた親水化剤の溶液の種類及び量と、絞り工程で除去する親水化剤の溶液の量とで調整することもできる。絞り工程は、例えば、ニップロールに不織布を通過させること、手で絞ることなどによって、過剰な親水化剤の溶液の除去を行うことが出来る。
乾燥工程は、親水化剤に由来する不必要な溶媒を不織布から除去する工程である。乾燥工程における加熱温度及び加熱時間は、溶媒を十分に除去できれば特に制限されない。乾燥条件は、例えば、80℃〜200℃の環境下に1秒〜24時間曝す条件が挙げられる。
<積層体>
本開示の積層体は、本開示の不織布を備えていればよい。つまり、本開示の積層体は、親水化された本開示の不織布と、別途親水化された本開示の不織布とを貼り合わせて積層した構造であってもよい。また、本開示の不織布と、本開示の不織布以外の他の層が積層された構造であってもよい。他の層は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。
他の層としては、編布、織布、本開示の不織布以外の不織布(短繊維不織布、長繊維不織布)等の繊維集合体が挙げられる。本開示の不織布以外の不織布としては、種々公知の不織布(スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、湿式不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、フラッシュ紡糸不織布、開繊不織布等)が挙げられる。繊維集合体は、コットン等の天然繊維のシート状物であってもよい。また、他の層としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の樹脂フィルムなども挙げられる。これらは組み合わせて積層してもよい。例えば、本開示の不織布と、樹脂フィルムと、コットン等の天然繊維の繊維集合体とがこの順で積層されたものであってもよい。
本開示の不織布と積層するフィルムとしては、積層体が通気性を必要とする場合には、通気性フィルム、透湿性フィルムが好ましい。
通気性フィルムとしては、種々の公知の通気性フィルムが挙げられる。例えば、透湿性を有するポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマーのフィルム、無機粒子又は有機粒子を含む熱可塑性樹脂フィルムを延伸して多孔化してなる多孔フィルム等が挙げられる。多孔フィルムに用いる熱可塑性樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、これらの組み合わせ等のポリオレフィンが挙げられる。
不織布積層体が通気性を必要としない場合には、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、ポリアミドから選ばれる1種以上の多孔化されていない熱可塑性樹脂フィルムを用いてもよい。
本開示の不織布に他の層をさらに積層する(貼り合せる)方法は特に制限されず、熱エンボス加工、超音波融着等の熱融着法、ニードルパンチ、ウォータージェット等の機械的交絡法、ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤を用いる方法、押出しラミネート等の種々の方法が挙げられる。
<被覆シート>
本開示の被覆シートは、本開示の不織布を含む。本開示の被覆シートは、本開示の不織布を含んでいれば特に制限されず、本開示の不織布が単層であってもよく、不織布多層構造体であってもよく、本開示の不織布を含む積層体であってもよい。本開示の被覆シートは、機能性を付与する観点から、本開示の積層体を含むことが好ましい。本開示の被覆シートは、対象となる物体の少なくとも一部を被覆するためのシートを指す。被覆シートが適用される用途は、特に限定されず、各種用途が挙げられる。被覆シートとしては、具体的には、吸収性物品(使い捨ておむつ、使い捨てパンツ、生理用品、尿取りパッド、ペット用シート等)、化粧用材料(フェイスマスク等);衛生材料(湿布材、シーツ、タオル、産業用マスク、衛生用マスク、ヘアキャップ等);包装用材料(脱酸素剤、カイロ、温シップ、食品包装材)などが挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「%」は質量%を表す。
実施例及び比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
(1)目付〔g/m
得られた不織布から100mm(流れ方向:MD)×100mm(流れ方向と直交する方向:CD)の試験片を10点採取した。試験片の採取場所は、CD方向にわたって10箇所とした。次いで、23℃、相対湿度50%RH環境下で、採取した各試験片に対して上皿電子天秤(研精工業社製)を用いて、それぞれ質量〔g〕を測定した。各試験片の質量の平均値を求めた。求めた平均値から1m当たりの質量〔g〕に換算し、小数点第2位を四捨五入して各不織布サンプルの目付〔g/m〕とした。
(2)液流れ距離(mm)
得られた不織布を100mm×200mmのサイズにカットし、試料とした。水平方向に対して45度に傾斜させて固定した板上に、濾紙(No.2、アドバンテック社製)を5枚重ねて置き、濾紙の上に試料を置いて、試料の長手方向の両端を濾紙と一緒に板上に固定した。25℃の環境下で、試料面に対して垂直方向に約10mmの高さから、スポイトにて人工尿を0.1ml落下させ、液滴の落下点から液滴が完全に吸収された点までの距離を計測し、液流れ距離(mm)とした。
液流れ距離は、下記の評価基準に基づき評価した。結果を表1に示す。
なお、上記人工尿は、表面張力が70±2mN/mである塩化ナトリウムの水溶液(9g/リットル)を用いた。
(3)ストライクスルー試験
EDANA(欧州不織布工業会)規格 NWSP 070.8.R0(15)に準拠して測定した。そのうち1回目の結果と、3回目の結果を記録した。
(4)親水化剤移行性評価
各例で得られた不織布を、100mm×100mmのサイズにカットした。また、目付25g/mのホモポリプロピレンからなる親水化剤が含まれていない不織布(被転写不織布)を100mm×100mmのサイズにカットした。2つの不織布を合わせ、さらに断面積100mm×100mmの4kgの錘を乗せた。なお、錘及び床面に対する親水化剤の転移を防ぐため、フィルムで包んでもよい。錘を乗せた不織布を60℃、相対湿度80%RHの環境下に1週間放置した。被転写不織布を取り出し、水を1滴(0.02ml)滴下し、浸み込んだ場合は、親水性が発現しており親水化剤移行性不良と判断した(表1中、「不良」と表記)。浸み込まなかった場合は、親水性が発現しておらず、親水化剤移行性良好と判断した(表1中、「良好」と表記)。
(5)水蒸気吸着試験における、表面水蒸気吸着面積の評価
マイクロトラック・ベル株式会社製装置・BELSORP−maxを用いて測定した。
具体的には、以下のようにして行った。まず、不織布から0.50g〜1.0g程度のサンプルを採取して、装置にセットした。次いで、室温(25℃)にて真空排気による乾燥処理を8時間行った。その後、水蒸気を25℃にて、導入圧力を変えて吸着させて、導入圧力ごとの水蒸気吸着量をプロットした水蒸気吸着等温線を測定した。そして、下記BET式を適用し、表面水蒸気吸着面積としての比表面積〔m/g〕を求めた。BET式とは、一定温度で、吸着平衡状態である時、吸着平衡圧Pと、その圧力での吸着量Vの関係を表した式である。
(BET式) : P/(V(P−P))=1/(Vm×C)+{((C−1)/(Vm×C))×(P/P)}
式中、P:飽和水蒸気圧(Pa)、Vm:単分子層吸着量(mg/g)、C:吸着熱などに関するパラメーター(−)<0である。本関係式は、特にP/P=0.05〜0.35の範囲で良く成り立つ。
(6)表面窒素吸着面積に対する表面水蒸気吸着面積の比
次いで、水蒸気のかわりに窒素を用いた以外は、水蒸気吸着試験と同様の手順で、サンプル採取から試験を行い、窒素吸着等温線を測定した。そして、上記BET式により、表面窒素吸着面積としての比表面積を求めた。上記で得られた表面水蒸気吸着面積としての比表面積と、得られた表面窒素吸着面積としての比表面積から、「(水蒸気での比表面積)÷(窒素での比表面積)」により、その比を求めた。
(7)塗布量の測定
親水化剤を塗布する前の不織布の質量(塗布前質量)と、親水化剤を塗布・乾燥した後の不織布の質量(塗布後質量)とを測定し、親水化剤の塗布量を下記式より算出した。
塗布量(%)=(塗布後質量−塗布前質量)/塗布後質量×100
<実施例1>
下記プロピレン系重合体組成物を用い、溶融紡糸を行い、得られた繊維を補集面上に堆積させた後、熱エンボスにより、平均繊維径が18μm、目付が25g/mであるスパンボンド不織布(SB)を得た。
(プロピレン系重合体組成物)
プロピレン系重合体(A):プロピレン単独重合体1(MFR(ASTM D1238、230℃、荷重2160g):60g/10分、融点162℃、「PP1」ともいう)100質量部
エチレン系重合体(B):ポリエチレン(MFR(ASTM D1238、190℃、荷重2160g):5g/10分、密度0.964g/cm、融点164℃)4質量部
なお、平均繊維径は、次のようにして求めた値である。得られたスパンボンド不織布から、10mm×10mmの試験片を10点採取し、Nikon社製ECLIPSE E400顕微鏡を用い、倍率20倍で、繊維の直径をμm単位で小数点第1位まで読み取った。1試験片毎に任意の20箇所の径を測定し、平均値を求めた。
次に、下記の配合割合となるように、各成分を水溶液に溶解させ、有効成分の総量が5質量%の親水化剤Aの水溶液を得た。
(親水化剤A)
ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸Na : 20質量%
グリセリンオレイン酸ジエステル : 30質量%
ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸ジエステル/ポリオキシエチレングリセリントリラウリン酸エステル=4:6(質量比)(EO鎖8モル付加物): 20質量%
ポリオキシエチレンジラウリン酸エステル(EO鎖8モル付加物) : 30質量%
なお、上記の配合割合(質量%)は、親水化剤A中の、すなわち親水化剤Aの水溶液における有効成分全質量に対する各成分の割合である。
次に、得られたスパンボンド不織布を、下記親水化剤Aの水溶液(有効成分5質量%)に浸漬し、しぼり、次いで100℃の乾燥炉にて乾燥させた。不織布に付着している親水化剤の質量を前記塗布量の測定に従って測定したところ、塗布量は0.6質量%であった。親水化剤を付着させて得られた不織布(以下、親水化不織布という。)の物性を既述の方法にしたがって測定した。
<実施例2>
有効成分の総量が10質量%の親水化剤Aの水溶液とし、塗布量が0.9質量%となるように塗布した他は、実施例1と同様にして親水化不織布を得た。
<実施例3>
下記プロピレン系重合体組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてスパンボンド不織布を得た。そして、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布に親水化剤を付着させた。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(プロピレン系重合体組成物)
プロピレン系重合体(A):実施例1と同様のプロピレン単独重合体(PP1)100質量部
エチレン系重合体(B):実施例1と同様のポリエチレン4質量部
エチレン系重合体ワックス(C):三井化学(株)製、製品名「ハイワックス110P」(密度:0.922g/cm、重量平均分子量:1200、軟化点:113℃〕1質量部
<実施例4>
下記プロピレン系重合体組成物を用いた以外は、実施例3と同様にしてスパンボンド不織布を得た。そして、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布に親水化剤を付着させた。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(プロピレン系重合体組成物)
プロピレン系重合体(A):プロピレン単独重合体2(MFR((ASTM D1238、230℃、荷重2160g)):35g/10分、融点160℃、「PP2」ともいう)100質量部、
エチレン系重合体(B):実施例1と同様のポリエチレン4質量部
エチレン系重合体ワックス(C):実施例3と同様のエチレン系重合体ワックス1質量部
<実施例5>
下記プロピレン系重合体組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてスパンボンド不織布を得た。そして、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布に親水化剤を付着させた。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(プロピレン系重合体組成物)
プロピレン系重合体(A):実施例1と同様のプロピレン単独重合体(PP1)100質量部、
エチレン系重合体(B):実施例1と同様のポリエチレン4質量部
プロピレン系重合体(D):出光興産(株)製S901(商品名)、既述の(a)〜(f)を満たし、融点が120℃未満のプロピレン単独重合体12質量部
<実施例6>
下記プロピレン系重合体組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてスパンボンド不織布を得た。そして、実施例1と同様にして、スパンボンド不織布に親水化剤を付着させた。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(プロピレン系重合体組成物)
プロピレン系重合体(A):プロピレン・エチレンランダム重合体(MFR(ASTM D1238、230℃、荷重2160g):60g/10分、融点142℃、「PP3」ともいう)100質量部
エチレン系重合体(B):実施例1と同様のポリエチレン4質量部
<実施例7>
下記プロピレン系重合体組成物を用いた以外は、実施例6と同様にしてスパンボンド不織布を得た。そして、実施例6と同様にして、スパンボンド不織布に親水化剤を付着させた。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(プロピレン系重合体組成物)
プロピレン系重合体(A):実施例6で用いたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP3)100質量部
エチレン系重合体(B):実施例1と同様のポリエチレン4質量部
エチレン系重合体ワックス(C):実施例3と同様のエチレン系重合体ワックス1質量部
<実施例8>
下記プロピレン系重合体組成物を用いた以外は、実施例3と同様にしてスパンボンド不織布を得た。そして、実施例3と同様にして、スパンボンド不織布に親水化剤を付着させた。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(プロピレン系重合体組成物)
プロピレン系重合体(A):実施例1と同様のプロピレン単独重合体(PP1)100質量部
エチレン系重合体(B):実施例1と同様のポリエチレン8質量部
エチレン系重合体ワックス(C):実施例3と同様のエチレン系重合体ワックス1質量部
<実施例9>
まず、実施例3と同様にしてスパンボンド不織布を得た。次に、下記の配合割合となるように、各成分を水溶液に溶解させ、有効成分の総量が5質量%の親水化剤Bの水溶液を得た。次に、得られたスパンボンド不織布を、下記親水化剤Bの水溶液(有効成分5質量%)に浸漬し、しぼり、次いで100℃の乾燥炉にて乾燥させて、親水化不織布を得た。得られた親水化不織布に付着している親水化剤の質量を前記塗布量の測定に従って測定したところ、塗布量は0.5質量%であった。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(親水化剤B)
ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸Na : 20質量%
グリセリンオレイン酸ジエステル/グリセリンオレイン酸トリエステル=5:5(質量比) : 50質量%
ポリオキシエチレンオレイン酸モノエステル(EO鎖10モル付加物)/ポリオキシエチレンオレイン酸ジエステル(EO鎖10モル付加物)=6:4(質量比) : 30質量%
なお、上記の配合割合(質量%)は、親水化剤B中の、すなわち親水化剤Bの水溶液における有効成分全質量に対する各成分の割合である。
<実施例10>
有効成分の総量が10質量%の親水化剤Bの水溶液とし、塗布量が、1質量%となるように塗布した他は、実施例9と同様にして親水化不織布を得た。
<実施例11>
まず、実施例3と同様にしてスパンボンド不織布を得た。次に、下記の配合割合となるように、各成分を水溶液に溶解させ、有効成分の総量が10質量%の親水化剤Cの水溶液を得た。次に、得られたスパンボンド不織布を、下記親水化剤Cの水溶液(有効成分10質量%)に浸漬し、しぼり、次いで100℃の乾燥炉にて乾燥させて、親水化不織布を得た。得られた親水化不織布に付着している親水化剤の質量を前記塗布量の測定に従って測定したところ、塗布量は0.5質量%であった。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(親水化剤C)
ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸Na : 20質量%
ソルビタンラウリン酸モノエステル/ソルビタンラウリン酸ジエステル/ソルビタンラウリン酸トリエステル=2:3:5(質量比) : 20質量%
ポリオキシエチレンラウリン酸モノエステル(EO鎖8モル付加物)/ポリオキシエチレンラウリン酸ジエステル(EO鎖8モル付加物)=4:6(質量比) : 30質量%
ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸モノエステル(EO鎖8モル付加物)/ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸ジエステル(EO鎖8モル付加物)/ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸トリエステル(EO鎖8モル付加物)=1:6:3(質量比): 30質量%
なお、上記の配合割合(質量%)は、親水化剤C中の、すなわち親水化剤Cの水溶液における有効成分全質量に対する各成分の割合である。
<比較例1>
有効成分の総量が10質量%の親水化剤Aの水溶液とし、塗布量が、1.1質量%となるように塗布した他は、実施例1と同様にして親水化不織布を得た。
<比較例2>
有効成分の総量が10質量%の親水化剤Cの水溶液とし、塗布量が、1.0質量%となるように塗布した他は、実施例3と同様にして親水化不織布を得た。
<比較例3>
まず、実施例3と同様にしてスパンボンド不織布を得た。次に、下記の配合割合となるように、各成分を水溶液に溶解させ、有効成分の総量が5質量%の親水化剤Dの水溶液を得た。次に、得られたスパンボンド不織布を、下記親水化剤Dの水溶液(有効成分5質量%)に浸漬し、しぼり、次いで100℃の乾燥炉にて乾燥させて、親水化不織布を得た。得られた親水化不織布に付着している親水化剤の質量を前記塗布量の測定に従って測定したところ、塗布量は0.6質量%であった。得られた親水化不織布の物性を表1に示す。
(親水化剤D)
グリセリンオレイン酸ジエステル : 30質量%
ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸ジエステル/ポリオキシエチレングリセリンラウリン酸トリエステル=4:6(質量比)(EO鎖8モル付加物) : 30質量%
ポリオキシエチレンラウリン酸ジエステル(EO鎖8モル付加物) : 40質量%
なお、上記の配合割合(質量%)は、親水化剤D中の、すなわち親水化剤Dの水溶液における有効成分全質量に対する各成分の割合である。
<比較例4>
有効成分の総量が2質量%の親水化剤Aの水溶液とし、塗布量が、0.15質量%となるように塗布した他は、実施例1と同様にして親水化不織布を得た。
以上の結果より、熱可塑性重合体の繊維と、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含む浸透剤と、湿潤剤と、を含有し、窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である不織布は、親水性に優れ、かつ、他の部材に接触したときの親水化剤の移行が抑制されることが分かる。

Claims (17)

  1. 熱可塑性重合体の繊維と、
    スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含む浸透剤と、
    湿潤剤と、
    を含有し、窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である、不織布。
  2. 水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験において、表面水蒸気吸着面積が、0.4m/g〜1.2m/gである、請求項1に記載の不織布。
  3. 前記スルホン酸塩がアルキルスルホコハク酸塩である、請求項1又は請求項2に記載の不織布。
  4. 前記湿潤剤に対する前記浸透剤の比(浸透剤/湿潤剤)が、質量比で、1/99〜60/40である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記繊維が、融点130℃以上であるプロピレン系重合体(A)100質量部、及びエチレン系重合体(B)1質量部〜10質量部を含むプロピレン系重合体組成物を有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記エチレン系重合体(B)の密度が、0.930g/cm〜0.980g/cmである、請求項5に記載の不織布。
  7. 前記プロピレン系重合体組成物が、重量平均分子量(Mw)400〜30000であるエチレン系重合体ワックス(C)をさらに含む、請求項5又は請求項6に記載の不織布。
  8. 前記エチレン系重合体ワックス(C)の密度が、0.890g/cm〜0.980g/cmである、請求項7に記載の不織布。
  9. 前記プロピレン系重合体組成物が、下記(III)に示すプロピレン系重合体(D)を、0質量部超25質量部以下で含む、請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の不織布。
    (III) 下記(a)〜(f)を満たす融点120℃未満のプロピレン単独重合体
    (a)[mmmm]=20モル%〜60モル%
    (b)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
    (c)[rmrm]>2.5モル%
    (d)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
    (e)重量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
    (f)分子量分布(Mw/Mn)<4
    (a)〜(d)中、[mmmm]はメソペンタッド分率であり、[rrrr]はラセミペ
    ンタッド分率であり、[rmrm]はラセミメソラセミメソペンタッド分率であり、[m
    m]、[rr]および[mr]はそれぞれトリアッド分率である。
  10. 平均繊維径が5μm〜25μmである、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の不織布。
  11. 前記浸透剤及び前記湿潤剤は、質量比で、ヘキサン/水の1/1混合液20mlに対して、前記浸透剤及び前記湿潤剤を合計で0.02g加え、前記浸透剤及び前記湿潤剤が加えられた前記混合液を撹拌して、1分後に油相と水相が分離する、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の不織布。
  12. 前記湿潤剤が、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、及び多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の不織布。
  13. スパンボンド不織布である、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の不織布。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の不織布を含む被覆シート。
  15. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の不織布を備える積層体。
  16. 請求項15に記載の積層体を含む被覆シート。
  17. 熱可塑性重合体の繊維を含む不織布を準備する工程と、
    前記不織布に、スルホン酸塩及び硫酸エステル塩の少なくとも一方を含む浸透剤、及び湿潤剤を付着させる工程と、
    を有し、
    窒素吸着等温線のBET式より得られる窒素吸着試験における表面窒素吸着面積に対する水蒸気吸着等温線のBET式により得られる水蒸気吸着試験における表面水蒸気吸着面積の比(表面水蒸気吸着面積/表面窒素吸着面積)が、2.0〜5.8である、不織布の製造方法。
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