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JP2020140962A - 線状ptcヒータ - Google Patents

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JP2020140962A
JP2020140962A JP2020028276A JP2020028276A JP2020140962A JP 2020140962 A JP2020140962 A JP 2020140962A JP 2020028276 A JP2020028276 A JP 2020028276A JP 2020028276 A JP2020028276 A JP 2020028276A JP 2020140962 A JP2020140962 A JP 2020140962A
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ptc heater
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JP2020028276A
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勝田 直樹
Naoki Katsuta
直樹 勝田
勇樹 石坂
Yuki Ishizaka
勇樹 石坂
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Abstract

【課題】衝撃荷重に対してもセラミックス系の面状発熱体が高い耐性をもつことができる線状PTCヒータを提供する。【解決手段】一対の給電線11と、一対の給電線の間に並列に設けられ、正温度係数特性をもった複数の面状発熱体12と、複数の面状発熱体を被覆する被覆層17、19とを備えた線状PTCヒータ1であって、面状発熱体はセラミックス系の面状発熱体であり、被覆層はポリ塩化ビニル系樹脂の被覆層であり、面状発熱体の主面に垂直な方向における面状発熱体の厚みをh1、当該方向におけるヒータ全体の厚みをh2とした場合に式(1)を満たすと共に、面状発熱体の厚み及びヒータ全体の厚みが、電源電圧が200[V]かつ被覆層の周囲温度が25[℃]の条件において被覆層の表面温度が40[℃]以上になる厚みにした。h2≧−4h1+23.8…(1)(ただし、h2>h1)【選択図】図3

Description

本発明は、線状PTCヒータに関する。
温度の上昇に伴って電気抵抗が高くなる正温度係数(PTC:Positive Temperature Coefficient)特性をもった面状発熱体を備える線状PTCヒータが知られている。線状PTCヒータは、柔軟性があり敷設が容易なことから、融雪等の用途に広く用いられている。一例として、特許文献1、2には、一対の給電線と、一対の給電線の間に並列に設けられた複数の面状発熱体と、一対の給電線及び複数の面状発熱体を被覆する絶縁性の被覆層とを備えた線状PTCヒータが記載されている。複数の面状発熱体の発熱が被覆層に伝えられて被覆層の表面全体が温められている。
特開2015−225811号公報 特開2018−18713号公報
特許文献1、2に記載の線状PTCヒータは、面状発熱体の物性に応じて設定される温度範囲に、ヒータ周囲の温度環境を容易に維持可能である。このため、今後も線状PTCヒータの使用範囲が拡大することが期待される。線状PTCヒータの使用場所として、線状PTCヒータに作用する荷重が静荷重だけでなく、一時的に又は繰り返しの衝撃荷重が作用する使用場所を考慮することも必要になる。
しかしながら、線状PTCヒータに使用される面状発熱体は、静荷重に対する耐性は十分であるものの、衝撃荷重に対する耐性は十分ではなく、面状発熱体の損傷によって発熱性能が低下するおそれがある。特に、面状発熱体がチタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックスのようにセラミックス系の面状発熱体である場合、カーボンブラックのような導体粉末を含む樹脂組成物から成る面状発熱体と比較して衝撃荷重に対する耐性が低い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、衝撃荷重に対してもセラミックス系の面状発熱体が高い耐性をもつことができる線状PTCヒータを提供することを課題とする。
本件出願人は、上記の課題を解決すべく、線状PTCヒータの簡易サンプルに対して重錘の落下による耐衝撃性試験を反復して行った。この結果、面状発熱体がセラミックス系のものであっても衝撃荷重から面状発熱体を確実に保護することができると共に、ヒータとして必要な表面温度を確保できる面状発熱体の厚みとヒータ全体の厚みの関係を見出した。
本発明による線状PTCヒータは、一対の給電線と、前記一対の給電線の間に並列に設けられ、正温度係数特性をもった複数の面状発熱体と、前記複数の面状発熱体を被覆する被覆層とを備えた線状PTCヒータであって、前記面状発熱体はセラミックス系の面状発熱体であり、前記被覆層はポリ塩化ビニル系樹脂の被覆層であり、前記面状発熱体の主面に垂直な方向における前記面状発熱体の厚みをh1、当該方向におけるヒータ全体の厚みをh2とした場合に式(1)を満たすと共に、前記面状発熱体の厚み及び前記ヒータ全体の厚みが、電源電圧が200[V]かつ前記被覆層の周囲温度が25[℃]の条件において前記被覆層の表面温度が40[℃]以上になる厚みであることを特徴とする。
h2≧−4h1+23.8…(1)(ただし、h2>h1)
この構成によれば、式(1)を満たすことでPTCヒータの耐衝撃性が確保され、電源電圧が200[V]かつ周囲温度が25[℃]の場合に被覆層の表面温度が40[℃]以上になることでヒータとして必要な表面温度を確保することができる。また、面状発熱体の厚みを大きくした分だけ、被覆層の厚みを薄くしてヒータ全体の厚みを薄く形成することができる。
本発明による線状PTCヒータの一態様では、前記被覆層は、第1の被覆層と第2の被覆層とを有し、前記第1の被覆層と前記第2の被覆層との界面に編組シールド層が介装されていることを特徴とする。この構成によれば、防爆規格に対応した線状PTCヒータの耐衝撃性を確保すると共に、線状PTCヒータの表面温度を適切な温度まで上昇させることができる。
本発明による線状PTCヒータの一態様では、前記被覆層は、前記面状発熱体に接する内側被覆層、及び、前記内側被覆層を覆う外側被覆層を含む第1の被覆層と、前記外側被覆層を覆う第2の被覆層とを有し、前記外側被覆層の硬度は、前記内側被覆層及び前記第2の被覆層のそれぞれの硬度よりも高いことを特徴とする。この構成によれば、線状PTCヒータの表面温度を適切な温度まで上昇させることができると共に、防爆規格に対応した線状PTCヒータの耐衝撃性をより向上させることができる。更に、線状PTCヒータの設置性や被覆層の熱伝導性をより向上させることができる。
本発明による線状PTCヒータの一態様では、前記外側被覆層と前記第2の被覆層との界面に編組シールド層が介装されていることを特徴とする。この構成によれば、線状PTCヒータの設置性と、線状PTCヒータの表面温度の均一性とをより向上させることができる。
本発明による線状PTCヒータの一態様では、前記面状発熱体の厚みh1が2.6mm以上、4.4mm以下であることを特徴とする。この構成によれば、線状PTCヒータの耐衝撃性を確保すると共に、線状PTCヒータの表面温度を適切な温度まで上昇させることができる。
本発明による線状PTCヒータの一態様では、前記面状発熱体の厚みh1が3.0mm以上、4.0mm以下であることを特徴とする。この構成によれば、面状発熱体の厚み及びヒータ全体の厚みをより最適な厚みに設計することができる。
本発明による線状PTCヒータの一態様では、前記ヒータ全体の厚みh2が15.0mm以下であることを特徴とする。この構成によれば、線状PTCヒータが曲げ易く、配管等に線状PTCヒータを巻き付けて設置し易い。また、面状発熱体の厚みh1が2.6mm以上、4.4mm以下の範囲において、電源電圧が200[V]かつ周囲温度が25[℃]の条件で被覆層の表面温度を40[℃]にできる。
本発明による線状PTCヒータの一態様では、前記面状発熱体の厚みをh1、前記ヒータ全体の厚みをh2とした場合に前記式(1)と式(2)を満たすことを特徴とする。
h2≧h1+1.6…(2)
この構成によれば、被覆層によって面状発熱体の主面上に十分な絶縁性を確保することができる。
本発明の線状PTCヒータによれば、衝撃荷重から面状発熱体を保護することができると共に、ヒータとして必要な表面温度を確保することができる。
線状PTCヒータの内部構造を示す斜視図。 線状PTCヒータの斜視図。 図2のA−A線に沿う断面図。 面状発熱体の厚みとヒータ全体の厚みの条件を示すグラフ。 線状PTCヒータの抵抗−温度特性を示すグラフ。 簡易サンプルの上面図。 簡易サンプルの耐衝撃性試験及び表面温度試験の試験結果。 簡易サンプルの耐衝撃性試験及び表面温度試験の試験結果。 面状発熱体の厚みとヒータ全体の厚みの条件を示すグラフ。 線状PTCヒータの変形例を説明する図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る線状PTCヒータ1の内部構造を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る線状PTCヒータ1の斜視図である。なお、図2は、線状PTCヒータ1の一部を除去した状態を示している。
図1に示すように、線状PTCヒータ1は、PTC特性(正温度係数特性)を利用した自己制御型ヒータであり、一対の給電線11の間にPTC特性をもった複数の面状発熱体12を並列に設けた内部構造を有している。一対の給電線11は、錫メッキ軟銅線等の素線からなる撚り線又は編組線によって形成されている。複数の面状発熱体12は、一対の給電線11の延在方向に所定の間隔(例えば、50[mm]間隔)を空けて一対の給電線11に接続されている。面状発熱体12は、チタン酸バリウムに添加物を加えたセラミックス系材料によって上面視長方形の板状に形成されている。
面状発熱体12の長手方向の両端側には導電ペーストによって一対の電極13が形成されており、面状発熱体12の一対の電極13は一対の金属端子14を介して一対の給電線11に接続されている。金属端子14は、面状発熱体12側に折り曲げられた第1の保持部15と、一対の給電線11側に折り曲げられた第2の保持部16とを有している。第1の保持部15が面状発熱体12にカシメられ、第2の保持部16が給電線11にカシメられることで面状発熱体12と給電線11が機械的及び電気的に接続されている。なお、金属端子14の材料としては、例えば、銅、リン青銅、鉄、鉄ニッケル合金、金、銀、アルミニウムを用いることができる。また、導電ペーストの材料としては、例えば、銀を用いることができる。
図2に示すように、線状PTCヒータ1の内部構造は、第1の被覆層17、編組シールド層18、第2の被覆層19によって3重に被覆されている。第1の被覆層17は、押出成形法を用いて給電線11、面状発熱体12、金属端子14等の各部材の隙間を絶縁性のポリ塩化ビニル系樹脂によって埋めている。編組シールド層18は、錫メッキ軟銅線等の素線からなる編組線によって第1の被覆層17の表面を覆っている。第2の被覆層19は、押出成形法を用いて絶縁性のポリ塩化ビニル系樹脂によって編組シールド層18の表面を覆っている。このように、線状PTCヒータ1の被覆層は第1の被覆層17と第2の被覆層19とを有し、線状PTCヒータ1の第1の被覆層17と第2の被覆層19との界面に編組シールド層18が介装されている。なお、編組シールド層18によって第1の被覆層17の表面が被覆される割合は50[%]以上、90[%]以下であることが好ましい。
線状PTCヒータ1においては、給電線11が通電されることで複数の面状発熱体12が発熱して、各面状発熱体12から第1の被覆層17を介して編組シールド層18に熱が伝えられる。面状発熱体12の発熱が編組シールド層18全体に伝わって、編組シールド層18から第2の被覆層19に熱が伝えられて線状PTCヒータ1の表面全体が均一に温められる。このとき、面状発熱体12のPTC特性によって環境温度の変化に合わせて常に一定温度を維持するように自動的に温度が調整される。このため、必要以上の発熱量が無く、エネルギーが無駄に消費されることがない。
また、線状PTCヒータ1は外装がポリ塩化ビニル系樹脂及び編組線によって形成されているため優れた柔軟性を有している。線状PTCヒータ1が優れた柔軟性を有するため、複雑な配管等に線状PTCヒータ1を巻き付けて使用することが可能である。特に、線状PTCヒータ1は温度調整用のサーモスタットを必要とせず、異常過熱を起こすことがないため、線状PTCヒータ1を配管等に重ねて巻き付けることが可能である。
このような線状PTCヒータ1が衝撃荷重に対して高い耐性をもつにためには、第1、第2の被覆層17、19を厚く形成することが考えられる。しかし、第1、第2の被覆層17、19を厚く形成し過ぎると、面状発熱体12の発熱が線状PTCヒータ1の表面に十分に伝わらず、線状PTCヒータ1の表面温度が適切な温度まで上昇しないおそれがある。また、ヒータ全体の厚みが大きくなることで、配管等に巻き付けて設置し難くなるおそれもある。
そこで、本実施形態では、面状発熱体12の厚みを調整して、線状PTCヒータ1の耐衝撃性を向上させることによって、第1、第2の被覆層17、19を薄く形成する。これにより、線状PTCヒータ1の耐衝撃性を確保すると共に、線状PTCヒータ1の表面温度を適切な温度まで上昇させることができる。
図3から図5を参照して、線状PTCヒータ1の詳細構成について説明する。図3は、図2のA−A線に沿う断面図である。図4は、面状発熱体12の厚みとヒータ全体の厚みの条件を示すグラフである。図5は、線状PTCヒータ1の抵抗−温度特性を示すグラフである。なお、図4の横軸が面状発熱体12の厚みh1を示し、縦軸がヒータ全体の厚みh2を示している。図5の横軸が周囲温度(恒温槽温度)を示し、縦軸が抵抗値を示している。
図3に示すように、線状PTCヒータ1内の面状発熱体12は第1、第2の被覆層17、19及び編組シールド層18によって保護されている。面状発熱体12は、一対の給電線11の間に設けられた状態で第1の被覆層17によって保護され、第1の被覆層17の外側から編組シールド層18を介して第2の被覆層19によって保護される。これにより、線状PTCヒータ1が、面状発熱体12の主面に垂直な厚み方向に幅が狭い断面視角丸長方形に形成されている。面状発熱体12の両主面が第1、第2の被覆層17、19によって覆われているため、面状発熱体12の主面に垂直に作用する衝撃荷重が緩和される。
また、一対の給電線11が延びる方向における面状発熱体12の寸法は5.5[mm]以上、6.5[mm]以下に形成され、一対の給電線11を横切る方向における面状発熱体12の寸法は8.0[mm]以上、9.0[mm]以下に形成されている。また、線状PTCヒータ1の耐衝撃性を満たすためには、面状発熱体12の厚みをh1、面状発熱体12の厚み方向における線状PTCヒータ1のヒータ全体の厚みをh2とした場合に、次式(i)を満たす必要がある。ただし、ヒータ全体の厚みh2は、少なくとも面状発熱体12の厚みh1よりも厚く形成される必要がある。なお、式(i)は後述する耐衝撃性試験の試験結果から得られたものである。
h2≧−4h1+25.4…(i)(ただし、h2>h1)
さらに、本実施形態においては、面状発熱体12の両主面には金属端子14の第1の保持部15がカシメられると共に、第1、第2の被覆層17、19、編組シールド層18によって面状発熱体12の両主面が覆われている。第1の保持部15には0.5[mm]以上の板厚が必要であり、面状発熱体12の主面上の絶縁性を確保するために第1、第2の被覆層17、19及び編組シールド層18には合計で0.3[mm]以上の厚みが必要である。なお、電極13は無視できる程度の厚みである。したがって、次式(2)に示すように、ヒータ全体の厚みh2は、面状発熱体12の厚みh1よりも1.6[mm]以上厚く形成されることが好ましい。
h2≧h1+1.6…(2)
上記式(i)によって、面状発熱体12の厚みh1に対して、面状発熱体12の耐衝撃性を確保可能な最低限の厚みであるヒータ全体の厚みh2の下限値を求めることができる。しかしながら、この厚みh2が厚すぎると面状発熱体12の発熱がヒータ表面まで伝わり難くヒータとして機能しない。線状PTCヒータ1がヒータとして機能するためには、線状PTCヒータ1の電源電圧が200[V]かつ周囲温度が25[℃]の条件において、線状PTCヒータ1の表面温度が40[℃]以上になる温度条件を満たす必要がある。すなわち、線状PTCヒータ1の表面温度が周囲温度よりも15[℃]以上高くなる必要がある。
図4には、面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2の関係が実線W1によって示されている。実線W1よりも上側の領域が上記式(i)を満たす面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2である。実線W1を参照することで、面状発熱体12の厚みh1に対して耐衝撃性の条件を満たすヒータ全体の厚みh2の下限値を設定することが可能である。
また、図4には、面状発熱体12の厚みh1に一致するヒータ全体の厚みh2(h1=h2)が破線W2によって示されている。破線W2を参照することで、面状発熱体12の厚みh1を考慮したヒータ全体の厚みh2の下限値を設定することが可能である。図4において破線W2よりも上側がh2>h1であり、破線W2よりも上側にある実線W1が、面状発熱体12の厚みh1がヒータ全体の厚みh2以上にならずに、面状発熱体12の厚みh1に対して耐衝撃性の条件を満たすヒータ全体の厚みh2の下限値を示している。
PTCヒータ1がヒータとして機能するためには、上記したように電源電圧が200[V]かつ周囲温度が25[℃]の条件において線状PTCヒータ1の表面温度が40[℃]以上になる必要がある。ヒータ全体の厚みh2が大きくなるのに伴ってヒータ表面に熱が伝わり難くなるので、ヒータの温度条件を満たすようにヒータ全体の厚みh2の上限値が設定される。より好ましくは、上記温度条件に加えて線状PTCヒータ1の設置性を考慮して、ヒータ全体の厚みh2の上限値は15.0[mm]に設定される。ヒータ全体の厚みh2が15.0[mm]以下であれば、ヒータとしての機能を確保しつつ、配管等に線状PTCヒータ1を巻き付けて設置し易くなる。したがって、ヒータ全体の厚みh2の上限値はヒータの温度条件を満たすように設定されればよいが、図4には上記温度条件を満たすヒータ全体の厚みh2の上限値の一例として15.0[mm]を示している。
図4に示す一例では、実線W1と破線W2の交点から面状発熱体12の厚みh1の値が5.08[mm]と求められ、実線W1とh2=15.0[mm]の交点から面状発熱体12の厚みh1の下限値が2.6[mm]と求められる。後述する表面温度試験では、線状PTCヒータ1の電源電圧200[V]及び周囲温度25[℃]の条件で、面状発熱体12の厚みh1が2.6[mm]、ヒータ全体の厚みh2が15.0[mm]の場合に線状PTCヒータ1の表面温度が40[℃]以上になっている。面状発熱体12の厚みh1が大きくなるほど表面温度が高くなり易いため、ヒータ全体の厚みh2が15.0[mm]以下であれば、面状発熱体12の厚みh1が2.6[mm]以上、5.0[mm]以下の範囲においてヒータの温度条件を満たすと考えられる。
以上から、図4に示す一例では、ハッチングに示す領域内に含まれる面状発熱体12の厚みh1及びヒータ全体の厚みh2によって線状PTCヒータ1を設計することで、面状発熱体12の耐衝撃性を確保しつつヒータとしての機能を実現することができる。よって、面状発熱体12の厚みh1は2.6[mm]以上、5.0[mm]以下に形成されることが好ましい。また、金属端子14の厚みや絶縁性を考慮すると、面状発熱体12の厚みh1は、3.0[mm]以上、4.0[mm]以下であることがより好ましい。
なお、線状PTCヒータ1には、面状発熱体12として周囲温度25[℃]のときに電気抵抗が約10[kΩ]になるものが用いられている。図5は、厚み1.6[mm]の面状発熱体12を恒温槽内に収容した状態で、面状発熱体12に対して1[V]以下の微弱な電圧を印加して、面状発熱体12の発熱を抑えながら抵抗値を測定した測定結果である。面状発熱体12は、周囲温度が上昇すると電気抵抗が増加するが、周囲温度25[℃]のときに電気抵抗が約10[kΩ]になるように設計されている。なお、面状発熱体12の厚みが1.6[mm]のデータを示しているが、面状発熱体12の厚みが変わっても、周囲温度と電気抵抗に同じ関係が得られる。
また、この面状発熱体12の表面温度は、周囲温度25[℃]及び電源電圧100[V]の場合に約66[℃]まで上昇し、周囲温度25[℃]及び電源電圧200[V]の場合に約75[℃]まで上昇する。
また、線状PTCヒータ1には、第1、第2の被覆層17、19として最大点伸長率及び破断点伸長率が共に約300[%]以上、約400[%]以下、かつ弾性率が7[Mpa]以上、9[Mpa]以下のポリ塩化ビニル系樹脂が使用される。なお、最大点伸長率、破断点伸長率、弾性率は、以下の条件で引張試験を実施した場合の測定値である。また、ポリ塩化ビニル系樹脂は、例えば、ポリ塩化ビニル、トリメリット酸エステル、カルシウム・亜鉛系混合物、三酸化アンチモン等から形成されてもよい。
<試験条件>
試験装置 :テンシロン万能試験機 UCT−10T(株式会社オリエンテック製)
試験片 :ダンベル状7号形
チャック間隔:20[mm]
試験速度 :60[mm/min]
試験温度 :常温
試験数 :6
続いて、図6及び図7を参照して、線状PTCヒータ1を模擬した簡易サンプルを用いた耐衝撃性試験及び表面温度試験について説明する。図6は、簡易サンプル21の上面図である。図7は、簡易サンプル21の耐衝撃性試験及び表面温度試験の試験結果である。
図6に示すように、耐衝撃性試験及び表面温度試験用に上記の線状PTCヒータ1の簡易サンプル21を用意した。ここでは、一対の給電線11及び面状発熱体12を被覆材22によって上下から挟んだものを簡易サンプル21とした。被覆材22としては上記した第1、第2の被覆層17、19(図3参照)と同じポリ塩化ビニル系樹脂によって形成したものを使用し、面状発熱体12としては、面状発熱体12の厚みを複数段階に変えたものを使用した。なお、面状発熱体12の長手方向の寸法は8.3[mm]、短手方向の寸法は6[mm]である。そして、簡易サンプル21の面状発熱体12の厚みを変えながら、簡易サンプル21に対して重錘の落下による耐衝撃性試験及び表面温度試験を実施した。
簡易サンプル21の耐衝撃性試験は、IEC/IEEE 60079-30-1:2015(5.1.5.1 Room Temperature Impact Test)に準拠して、以下の条件で実施した。
<試験条件>
ハンマー質量:1[kg]
ハンマーの落下高さ:0.7[m]
ハーフシリンダ:(半径25mm、長さ25mm、丸みを帯びたエッジを有する半円筒状)
基板:20[kg](幅195[mm]×奥行195[mm]×高さ70[mm])のステンレス鋼
<試験方法>
簡易サンプル21をステンレス鋼の基板上に設置し、簡易サンプル21の表面にハーフシリンダの外周面を接触させる。このとき、ハーフシリンダの真上にハンマーが位置付けられており、ハンマーの荷重がハーフシリンダを介して簡易サンプル21の厚み方向で、かつ、面状発熱体12の真上に作用するように、ハーフシリンダに対して簡易サンプル21が位置合わせされている。ハーフシリンダに対してハンマーを0.7[m]の高さから落下させて、ハーフシリンダによって打たれた後の面状発熱体12の状態を目視によって確認する。
<評価基準>
合格:面状発熱体12に破損がなく、かつ面状発熱体12から金属端子14が外れていないこと。
不合格:面状発熱体12に破損があり、又は面状発熱体12から金属端子14が外れていること。
簡易サンプル21の表面温度試験は、下記の試験条件で実施した。
<試験条件>
簡易サンプル21を周囲温度25[℃]の恒温槽に入れて、AC200[V]の電源電圧をかけて面状発熱体12を発熱させる。10分後に簡易サンプル21の表面温度を表面温度計(株式会社安立計器社製のAM−7002)によって測定する。簡易サンプル21の表面温度を5か所測定し、表面温度の平均値を測定結果とする。
<評価基準>
合格:簡易サンプル21の表面温度が25[℃]+15[℃]以上(恒温槽内の温度よりも15[℃]以上高い)
不合格:簡易サンプル21の表面温度が25[℃]+15[℃]未満
図7に耐衝撃性試験及び表面温度試験の試験結果を示す。なお、図7の丸印は試験結果が合格であることを示し、バツ印は試験結果が不合格であることを示している。また、実施例1−7における面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2との組み合わせを、図4において、E1−E7を付した黒丸印の点として示している。比較例1−4における面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2との組み合わせを、図4において、C1−C4を付したバツ印の点として示している。
比較例1では、面状発熱体12の厚みh1が1.6[mm]であり、ヒータ全体の厚みh2が7.5[mm]の簡易サンプル21に対して耐衝撃性試験及び表面温度試験を実施した。この結果、耐衝撃性試験が不合格であり、表面温度試験が合格であった。
比較例2では、面状発熱体12の厚みh1が1.6[mm]の簡易サンプル21に対して繰り返し耐衝撃性試験を実施して、耐衝撃性試験が合格となるヒータ全体の厚みh2の下限値を調べた。この結果、ヒータ全体の厚みh2が19.0[mm]で耐衝撃性試験が合格になったが、表面温度試験が不合格であった。
比較例3、4では、それぞれ面状発熱体12の厚みh1が2.1[mm]、2.4[mm]の簡易サンプル21に対して耐衝撃性試験が合格となるヒータ全体の厚みh2の下限値を調べた。この結果、比較例3ではヒータ全体の厚みh2が17.0[mm]、比較例4ではヒータ全体の厚みh2が15.8[mm]で耐衝撃性試験が合格になったが、それぞれ表面温度試験が不合格であった。
実施例1−7では、それぞれ面状発熱体12の厚みh1が2.6[mm]、2.8[mm]、3.2[mm]、3.6[mm]、4.0[mm]、4.4[mm]、4.8[mm]の簡易サンプル21に対して耐衝撃性試験が合格となるヒータ全体の厚みh2の下限値を調べた。この結果、実施例1ではヒータ全体の厚みh2が15.0[mm]、実施例2ではヒータ全体の厚みh2が14.2[mm]、実施例3ではヒータ全体の厚みh2が12.6[mm]、実施例4ではヒータ全体の厚みh2が11.0[mm]、実施例5ではヒータ全体の厚みh2が9.4[mm]、実施例6ではヒータ全体の厚みh2が7.8[mm]、実施例7ではヒータ全体の厚みh2が6.2[mm]で耐衝撃性試験が合格になり、それぞれ表面温度試験が合格であった。
よって、面状発熱体12の厚みh1は2.6[mm]以上、5.0[mm]以下であれば耐衝撃性試験及び表面温度試験に合格可能である。ここでは、簡易サンプル21に対する耐衝撃性試験及び表面温度試験の試験結果について説明したが、図3に示す構成の線状PTCヒータ1についても同様な試験結果が得られると考えられる。
以上説明したように、本実施形態の線状PTCヒータ1は、衝撃荷重から面状発熱体12を保護することができると共に、ヒータとして必要な表面温度を確保することができる。また、面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2の関係から、面状発熱体12の厚みh1を大きくした分だけ、被覆層の厚みを薄くしてヒータ全体の厚みh2を薄く形成することができる。
本件出願人は、上記の課題を解決すべく、線状PTCヒータ1の簡易サンプル21に対して重錘の落下による耐衝撃性試験を反復して行った。この結果、面状発熱体12がセラミックス系のものであっても衝撃荷重から面状発熱体12を確実に保護することができると共に、ヒータとして必要な表面温度を確保できる面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2の、更に好ましい関係を見出した。
図8及び図9を参照して、線状PTCヒータ1を模擬した簡易サンプル21を用いた耐衝撃性試験及び表面温度試験について説明する。図8は、簡易サンプル21の耐衝撃性試験及び表面温度試験の試験結果である。図9は、面状発熱体12の厚みとヒータ全体の厚みの条件を示すグラフである。なお、図9の横軸が面状発熱体12の厚みh1を示し、縦軸がヒータ全体の厚みh2を示している。
図8に試験結果を示す耐衝撃性試験及び表面温度試験に用いられた簡易サンプルは、図6に示す簡易サンプル21と同一である。図8に試験結果を示す耐衝撃性試験及び表面温度試験における<試験条件>、<試験方法>及び<評価基準>についても、図7に試験結果を示す耐衝撃性試験及び表面温度試験と同一である。
なお、図8の丸印は試験結果が合格であることを示し、バツ印は試験結果が不合格であることを示している。また、実施例8−13における面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2との組み合わせを、図9において、E8−E13を付した黒丸印の点として示している。比較例5−8における面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2との組み合わせを、図9において、C5−C8を付したバツ印の点として示している。
比較例5では、面状発熱体12の厚みh1が1.6[mm]であり、ヒータ全体の厚みh2が7.5[mm]の簡易サンプル21に対して耐衝撃性試験及び表面温度試験を実施した。この結果、耐衝撃性試験が不合格であり、表面温度試験が合格であった。
比較例6−8では、それぞれ面状発熱体12の厚みh1が1.6[mm]、2.1[mm]、2.4[mm]の簡易サンプル21に対して耐衝撃性試験が合格となるヒータ全体の厚みh2の下限値を調べた。この結果、比較例6ではヒータ全体の厚みh2が17.4[mm]、比較例7ではヒータ全体の厚みh2が15.4[mm]、比較例8ではヒータ全体の厚みh2が14.2[mm]で耐衝撃性試験が合格になったが、それぞれ表面温度試験が不合格であった。
実施例8−13では、それぞれ面状発熱体12の厚みh1が2.6[mm]、2.8[mm]、3.2[mm]、3.6[mm]、4.0[mm]、4.4[mm]の簡易サンプル21に対して耐衝撃性試験が合格となるヒータ全体の厚みh2の下限値を調べた。この結果、実施例8ではヒータ全体の厚みh2が13.4[mm]、実施例9ではヒータ全体の厚みh2が12.6[mm]、実施例10ではヒータ全体の厚みh2が11.0[mm]、実施例11ではヒータ全体の厚みh2が9.4[mm]、実施例12ではヒータ全体の厚みh2が7.8[mm]、実施例13ではヒータ全体の厚みh2が6.2[mm]で耐衝撃性試験が合格になり、それぞれ表面温度試験が合格であった。
よって、面状発熱体12の厚みh1は2.6[mm]以上、4.4[mm]以下であれば耐衝撃性試験及び表面温度試験に合格可能である。ここでは、簡易サンプル21に対する耐衝撃性試験及び表面温度試験の試験結果について説明したが、図3に示す構成の線状PTCヒータ1についても同様な試験結果が得られると考えられる。
図8に示す耐衝撃性試験及び表面温度試験の試験結果から、図9に示すような、面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2との関係が導出される。
図9には、面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2の関係が実線W3によって示されている。実線W3よりも上側の領域が下記式(1)を満たす面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2である。実線W3を参照することで、面状発熱体12の厚みh1に対して耐衝撃性の条件を満たすヒータ全体の厚みh2の下限値を設定することが可能である。
h2≧−4h1+23.8…(1)(ただし、h2>h1)
また、図9には、図4と同様に、面状発熱体12の厚みh1に一致するヒータ全体の厚みh2(h1=h2)が破線W2によって示されている。破線W2を参照することで、面状発熱体12の厚みh1を考慮したヒータ全体の厚みh2の下限値を設定することが可能である。図9において破線W2よりも上側がh2>h1であり、破線W2よりも上側にある実線W1が、面状発熱体12の厚みh1がヒータ全体の厚みh2以上にならずに、面状発熱体12の厚みh1に対して耐衝撃性の条件を満たすヒータ全体の厚みh2の下限値を示している。
また、図9には、線状PTCヒータ1の製造上の観点から、ヒータ全体の厚みh2が面状発熱体12の厚みh1よりも1.6[mm]以上厚く形成されることが好ましい点を考慮した上記の式(2)が、破線W4によって示されている。破線W4を参照することで、線状PTCヒータ1の製造容易性を考慮したヒータ全体の厚みh2の下限値を設定することが可能である。図9において破線W4よりも上側にある実線W3が、線状PTCヒータ1の製造容易性を確保できると共に、面状発熱体12の厚みh1に対して耐衝撃性の条件を満たすヒータ全体の厚みh2の下限値を示している。
また、電源電圧が200[V]かつ周囲温度が25[℃]の条件において線状PTCヒータ1の表面温度が40[℃]以上になる温度条件と、配管等に線状PTCヒータ1を巻き付け易い線状PTCヒータ1の設置性とを考慮して、ヒータ全体の厚みh2の上限値は、上記のように、15.0[mm]に設定される。図9には、上記温度条件と、線状PTCヒータ1の設置性との観点から、ヒータ全体の厚みh2の上限値の一例として15.0[mm]が示されている。
図9に示す一例では、実線W3と破線W4の交点から面状発熱体12の厚みh1の値が4.4[mm]と求められる。この値は、図8に示す試験結果の実施例13とも整合する。また、図8に示す試験結果では、面状発熱体12の厚みh1は2.6[mm]以上、4.4[mm]以下であれば耐衝撃性試験及び表面温度試験に合格可能である。
以上から、図9に示す一例では、ハッチングに示す領域内に含まれる面状発熱体12の厚みh1及びヒータ全体の厚みh2によって線状PTCヒータ1を設計することで、面状発熱体12の耐衝撃性を確保しつつヒータとしての機能を実現することができる。よって、面状発熱体12の厚みh1は2.6[mm]以上、4.4[mm]以下に形成されることが好ましい。また、金属端子14の厚みや絶縁性を考慮すると、面状発熱体12の厚みh1は、3.0[mm]以上、4.0[mm]以下であることがより好ましい。
以上説明したように、本実施形態の線状PTCヒータ1は、衝撃荷重から面状発熱体12を保護することができると共に、ヒータとして必要な表面温度を確保することができる。また、面状発熱体12の厚みh1とヒータ全体の厚みh2との関係から、面状発熱体12の厚みh1を大きくした分だけ、被覆層の厚みを薄くしてヒータ全体の厚みh2を薄く形成することができる。
なお、本実施形態では、線状PTCヒータ1の被覆層が、第1の被覆層17と第2の被覆層19を有し、第1の被覆層17と第2の被覆層19との界面に編組シールド層18が介装される構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、線状PTCヒータ1の被覆層は、ポリ塩化ビニル系樹脂によって形成されていればよく、単一の被覆層によって構成されてもよいし、3層以上の被覆層によって構成されてもよい。
図10は、線状PTCヒータ1の変形例を説明する図である。図10は、図2のA−A線に沿う断面図である。
変形例の線状PTCヒータ1は、面状発熱体12を被覆する第1の被覆層17が、複数の被覆層によって構成されもよい。具体的には、変形例の線状PTCヒータ1は、被覆層が、面状発熱体12に接する内側被覆層171、及び、内側被覆層171を覆う外側被覆層172を含む第1の被覆層17と、外側被覆層172を覆う第2の被覆層19とを有していてもよい。そして、変形例の線状PTCヒータ1は、編組シールド層18が、外側被覆層172と第2の被覆層19との界面に介装されていてもよい。
第1の被覆層17に含まれる内側被覆層171は、チューブ式の押出成形法を用いて、給電線11、面状発熱体12及び金属端子14等の各部材の隙間を埋めるように、絶縁性のポリ塩化ビニル系樹脂によって成形される。第1の被覆層17に含まれる外側被覆層172は、加圧式の押出成形法を用いて、内側被覆層171の表面を覆うように、絶縁性のポリ塩化ビニル系樹脂によって成形される。加圧式の押出成形法は、内側被覆層171及び第2の被覆層19の成形に用いられるチューブ式の押出成形法よりも加圧された状態にて溶融樹脂がチューブ成形金型内へ充填され当該金型から押し出される押出成形法である。外側被覆層172が加圧式の押出成形法を用いて成形されることにより、給電線11、面状発熱体12及び金属端子14等の各部材と内側被覆層171との密着性が向上し得る。第2の被覆層19は、内側被覆層171と同様のチューブ式の押出成形法を用いて、外側被覆層172の表面を覆うように、絶縁性のポリ塩化ビニル系樹脂によって成形される。
変形例の線状PTCヒータ1は、外側被覆層172の硬度が、内側被覆層171及び第2の被覆層19のそれぞれの硬度よりも高くなるように構成される。具体的には、デュロ硬度(JIS K 7215−1986:プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法(試料は押出品それぞれの層の被覆を切り取り、厚さ6[mm]以上に重ねた状態で測定。タイプAデュロメータを使用。))において、外側被覆層172の硬度と、内側被覆層171及び第2の被覆層19のそれぞれの硬度との差分値は、HDA5以上、HDA20以下となるように構成される。例えば、内側被覆層171及び第2の被覆層19のそれぞれの硬度が、デュロ硬度において、HDA60以上、HDA90以下である場合、外側被覆層172の硬度は、HDA50以上、HDA70以下である。
内側被覆層171及び第2の被覆層19と外側被覆層172との硬度の違いは、内側被覆層171及び第2の被覆層19と外側被覆層172との密度の違いに起因していてもよい。変形例の線状PTCヒータ1は、内側被覆層171及び第2の被覆層19が押出成形法により成形され、外側被覆層172が加圧押出成形法を用いて成形されるため、外側被覆層172の密度は、内側被覆層171及び第2の被覆層19のそれぞれの密度よりも高くなり得る。
上記のように、変形例の線状PTCヒータ1では、最内層である内側被覆層171と、最外層である第2の被覆層19とが比較的柔らかく、中間層である外側被覆層172が比較的硬い。これにより、変形例の線状PTCヒータ1は、衝撃荷重が加えられても、比較的柔らかい第2の被覆層19によって衝撃荷重を吸収し得る。これと共に、比較的硬い外側被覆層172が他の被覆層よりも高い剛性を有しているため、内側被覆層171に作用する衝撃荷重を分散することができる。そして、変形例の線状PTCヒータ1は、比較的柔らかい内側被覆層171においても、衝撃荷重を更に吸収することができるため、内部の面状発熱体12等に作用する衝撃荷重を極力緩和することができる。よって、変形例の線状PTCヒータ1は、衝撃荷重から面状発熱体12等をより確実に保護することができる。
仮に、最内層である内側被覆層171が比較的硬く、中間層である外側被覆層172と、最外層である第2の被覆層19とが比較的柔らかい構成の場合、例えば、線状PTCヒータ1の屈曲時には、内側被覆層171が面状発熱体12等の形状に追従せず、面状発熱体12等と内側被覆層171との密着性が低下してしまう。面状発熱体12等と内側被覆層171との密着性が低下すると、面状発熱体12等の耐衝撃性や、面状発熱体12から内側被覆層171への熱伝導性が低下し得るため、問題となる。加えて、この場合、内側被覆層171を加圧押出成形法を用いて成形しようとすると、内側被覆層171に覆われる面状発熱体12等が過度に加圧されて破損し得るため、問題となる。
変形例の線状PTCヒータ1は、最内層である内側被覆層171が比較的柔らかく、中間層である外側被覆層172が比較的硬い構成であるため、面状発熱体12等と内側被覆層171との密着性を向上させることができ、面状発熱体12等の耐衝撃性や、面状発熱体12から内側被覆層171への熱伝導性を向上させることができる。
また、仮に、最外層である第2の被覆層19が比較的硬く、中間層である外側被覆層172と、最内層である内側被覆層171とが比較的柔らかい構成の場合、線状PTCヒータ1の曲げやねじりによって最大応力が生じる最外層が比較的伸縮し難くなるため、可撓性が低下してしまう。線状PTCヒータ1の可撓性が低下すると、配管等に線状PTCヒータ1を巻き付けて設置し難くなり得るため、問題となる。
変形例の線状PTCヒータ1は、最外層である第2の被覆層19が比較的柔らかく、中間層である外側被覆層172が比較的硬い構成であるため、線状PTCヒータ1の可撓性を向上させることができ、線状PTCヒータ1の設置性を向上させることができる。
このように、変形例の線状PTCヒータ1は、最内層である内側被覆層171と、最外層である第2の被覆層19とが比較的柔らかく、中間層である外側被覆層172が比較的硬い構成であるため、耐衝撃性を向上させることができると共に、線状PTCヒータ1の設置性や被覆層の熱伝導性を向上させることができる。
また、上記のように、変形例の線状PTCヒータ1では、編組シールド層18が、比較的硬い中間層の外側被覆層172の表面を覆うと共に、比較的柔らかい最外層の第2の被覆層19によって覆われている。すなわち、変形例の線状PTCヒータ1は、線状PTCヒータ1の曲げやねじりによって最大応力が生じる最外層の第2の被覆層19が比較的伸縮し易く、線状PTCヒータ1の曲げやねじりによって大きな応力が生じない中間層の外側被覆層172が比較的伸縮し難い構成となっている。そして、変形例の線状PTCヒータ1は、編組シールド層18が、比較的伸縮し難い中間層の外側被覆層172の表面を覆うと共に、比較的伸縮し易い最外層の第2の被覆層19に覆われている。
これにより、変形例の線状PTCヒータ1は、編組シールド層18が、線状PTCヒータ1の曲げやねじりによって生じる外側被覆層172や第2の被覆層19の変形に追従して変形し易くなり得る。したがって、変形例の線状PTCヒータ1は、外側被覆層172及び第2の被覆層19と編組シールド層18との密着性を確保することができ、線状PTCヒータ1の曲げやねじりによって編組シールド層18を構成する編組線の形状や配置が乱れることを抑制することができる。
編組シールド層18には、アース配線という役割の他に、線状PTCヒータ1の表面全体の温度を均一化する役割がある。編組シールド層18を構成する編組線の形状や配置が乱れると、面状発熱体12の熱が第2の被覆層19へ均一に伝達し難くなり、線状PTCヒータ1の表面全体を均一に温めることが困難となる。
変形例の線状PTCヒータ1は、線状PTCヒータ1に曲げやねじりが生じても、編組シールド層18を構成する編組線の形状や配置の乱れを抑制することができる。このため、変形例の線状PTCヒータ1は、配管等に線状PTCヒータ1を巻き付けて設置しても、面状発熱体12の熱を第2の被覆層19へ均一に伝達することができ、線状PTCヒータ1の表面全体の温度を均一化することができる。よって、変形例の線状PTCヒータ1は、線状PTCヒータ1の設置性と、線状PTCヒータ1の表面温度の均一性とを向上させることができる。
本開示の技術は上記の実施の形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
1…線状PTCヒータ
11…給電線
12…面状発熱体
17…第1の被覆層(被覆層)
171…内側被覆層
172…外側被覆層
18…編組シールド層
19…第2の被覆層(被覆層)

Claims (8)

  1. 一対の給電線と、前記一対の給電線の間に並列に設けられ、正温度係数特性をもった複数の面状発熱体と、前記複数の面状発熱体を被覆する被覆層とを備えた線状PTCヒータであって、
    前記面状発熱体はセラミックス系の面状発熱体であり、前記被覆層はポリ塩化ビニル系樹脂の被覆層であり、
    前記面状発熱体の主面に垂直な方向における前記面状発熱体の厚みをh1、当該方向におけるヒータ全体の厚みをh2とした場合に式(1)を満たすと共に、前記面状発熱体の厚み及び前記ヒータ全体の厚みが、電源電圧が200[V]かつ前記被覆層の周囲温度が25[℃]の条件において前記被覆層の表面温度が40[℃]以上になる厚みであることを特徴とする線状PTCヒータ。
    h2≧−4h1+23.8…(1)(ただし、h2>h1)
  2. 前記被覆層は、第1の被覆層と第2の被覆層とを有し、前記第1の被覆層と前記第2の被覆層との界面に編組シールド層が介装されていることを特徴とする請求項1に記載の線状PTCヒータ。
  3. 前記被覆層は、
    前記面状発熱体に接する内側被覆層、及び、前記内側被覆層を覆う外側被覆層を含む第1の被覆層と、
    前記外側被覆層を覆う第2の被覆層と
    を有し、
    前記外側被覆層の硬度は、前記内側被覆層及び前記第2の被覆層のそれぞれの硬度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の線状PTCヒータ。
  4. 前記外側被覆層と前記第2の被覆層との界面に編組シールド層が介装されていることを特徴とする請求項3に記載の線状PTCヒータ。
  5. 前記面状発熱体の厚みh1が2.6mm以上、4.4mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の線状PTCヒータ。
  6. 前記面状発熱体の厚みh1が3.0mm以上、4.0mm以下であることを特徴とする請求項5に記載の線状PTCヒータ。
  7. 前記ヒータ全体の厚みh2が15.0mm以下であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の線状PTCヒータ。
  8. 前記面状発熱体の厚みをh1、前記ヒータ全体の厚みをh2とした場合に前記式(1)と式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の線状PTCヒータ。
    h2≧h1+1.6…(2)
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