JP2020097622A - 細胞内送達ベヒクル - Google Patents
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Abstract
Description
(1)表面が陽性荷電で覆われた、細胞内送達ベヒクル。
(2)細胞内に送達される目的の成分または化合物が、前記(1)に記載の前記細胞内送達ベヒクルに充填されてなる、細胞内送達複合体。
(3)細胞内に送達される目的の成分または化合物が前記細胞内送達ベヒクルに共有結合している、前記(2)に記載の細胞内送達複合体。
(4)前記化合物が、温度に応じてその特性が変化する感熱性ユニット、および該感熱性ユニットの特性変化に伴って蛍光強度または蛍光寿命が変化する蛍光性ユニットである、前記(2)または(3)に記載の細胞内送達複合体。
(5)前記(4)に記載の細胞内送達複合体を含んでなる、温度感受性プローブ。
(6)細胞内の温度を測定する方法であって、
(a)前記(5)に記載の温度感受性プローブを細胞内に導入する工程、および
(b)励起光照射下、蛍光強度または蛍光寿命を測定する工程
を含んでなる、方法。
本発明において「ベヒクル」(vehicle)とは、所望の成分または化合物を細胞内に送達させる媒体または担体を意味する。
本発明の細胞内送達ベヒクルとは、表面が陽性荷電で覆われた任意の形状のゲル粒子:
本発明の細胞内送達ベヒクルは、例えば、2つの末端のうち少なくとも一方の末端のユニットまたはその近辺のユニットが陽性荷電を有するポリマーを作製し、これを分子間で架橋させることにより製造することができる。一つの好ましい実施態様によれば、本発明の細胞内送達ベヒクルは、カチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーと、架橋剤とを用いるラジカル重合反応を行うことにより製造される。
本発明に用いられるカチオン性重合開始剤は、(a)常温で安定であり、(b)水溶性であり、(c)ラジカル重合反応を惹起させるラジカル産生能があり、(d)ラジカル重合反応後の重合体の末端においても幅広いpHの範囲で、少なくとも中性付近で、正電荷を有するものである。
Yは、単結合またはCR85を表し、
Zは、単結合またはCR86を表し、
R72、R73、R75、R76、R77、R78、R85およびR86は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択され、ここで前記C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニルおよびフェニルは、さらにC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
R72およびR73は、さらに、それぞれ独立して、アダマンチル、またはSi(OCH3)2(CH3)で置換されたC1−6アルキルを表してもよく、 あるいは、R75およびR76、またはR77およびR78は、一緒になって−(CH2)3−5−を形成してもよく、
R81、R82、R83、およびR84は、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、およびC1−3アルコキシからなる群から選択される置換基であり、ここで前記C1−4アルキルは一つのC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、及び
R71およびR74は、それぞれ独立して、C1−3アルキル基であり、 Xf −はカウンターアニオンである]
の化学構造を有する。
ラジカル重合反応の原料となるモノマーとしては、炭素−炭素二重結合を有する化合物であれば、いずれのものも使用することができる。また、その中で、所望の成分、化合物を充填し、または化学結合するにあたり適当なものを、当業者であれば適宜選択することができる。また、その中で、生体適合性や分解容易性等の観点から適当なものを、当業者であれば適宜選択することができる。さらに、その中で、ラジカル重合反応の効率、経済性、安全性等の観点から適当なものを、当業者であれば適宜選択することができる。
behavior with external light.”Chemical Communications 48.67 (2012): 8380−8382.)のような光開裂性モノマーが挙げられる。
ラジカル重合反応の原料となる架橋剤としては、分子中に2以上のビニル基を含むモノマーであって、架橋剤として通常使用されているものであれば特に限定されない。当該架橋剤の具体的な例としては、N,N'−メチレンビスアクリルアミド、N,N'−エチレンビスアクリルアミド、N,N'−メチレンビスメタクリルアミド、N,N'−エチレンビスメタクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
本発明の細胞内送達ベヒクルは、高分子合成の技術分野における通常の知識に基づいて合成することができ、例えば、ラジカル重合などによる重合体として得ることができる。
前記細胞内送達ベヒクルに所望の成分または化合物を充填し、またはその成分または化合物を結合させることにより、細胞内送達複合体を製造することができる。
所望の成分または化合物を細胞内送達ベヒクルに充填した細胞内送達複合体の調製は、常法に従い、以下の通り行うことができる。
所望の成分または化合物を細胞内送達ベヒクルと共有結合した細胞内送達複合体の調製は、当業者に知られた常法に従い、以下の通り行うことができる。
本発明の細胞内送達ベヒクルに充填する所望の成分または化合物の好ましい例として、以下のものが挙げられる。
・インスリンを充填して経皮吸収の促進を図る。
・美白成分、化粧成分を充填して皮膚外皮細胞内への移行促進を図る。
・ヘアカラーリング剤としての染料を充填して、毛髪への浸透力を高める。
・毛髪に良い成分を充填したシャンプー、コンディショナーを調製し、毛髪への浸透力を高める。
・遺伝物質を充填し、細胞分裂を阻害しない特性を活かして当該遺伝物質の細胞内への効率導入を図る。
・薬物を充填して、癌細胞などの標的細胞内への効率的な薬物送達を図る。
・インクを充填してインク成分の分散安定化を図る。
本発明の細胞内送達ベヒクルを細胞に導入する際には、イオン強度の低い溶液(溶媒)に置換することが望ましい。このような溶媒としては、例えば、水(好ましくは純水)およびソルビトール水溶液、グルコース溶液などが挙げられる。細胞の種類に応じて、これらグルコース溶液などに0.45mMの塩化カルシウムを添加した溶液なども好適に用いることができる。
本発明の細胞内送達複合体は、温度感受性プローブにも応用することができる。その場合には、感熱性ユニット、蛍光性ユニット、カチオン性重合開始剤および架橋剤を用いた共重合反応により製造することができ、本発明の温度感受性プローブとして用いられる共重合体として得ることができる。
本発明の温度感受性プローブとして用いられる共重合体に含まれる感熱性ユニットの好適な例は、以下の式(a)で表される1種または2種以上のモノマーに由来する1種または2種以上の繰り返し構造である:
R4およびR5は、独立に、水素原子およびC1−20アルキルから選択され、ここで当該アルキルは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、およびアリールから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく、またはR4およびR5はそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員含窒素ヘテロ環を形成し、ここで当該ヘテロ環は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、ハロゲン原子、C1−10アルキルカルボニルアミノおよびアリールカルボニルアミノから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい]。
本発明の温度感受性プローブとして用いられる共重合体に含まれる蛍光性ユニットの好適な例は、以下の式(b)で表される1種または2種以上のモノマーに由来する1種または2種以上の繰り返し構造である:
X2は、O、S、またはN−R12であり;
X3は、直接結合、O、S、SO、SO2、N(−R13)、CON(−R16)、N(−R16)CO、N(−R17)CON(−R18)、SO2N(−R19)またはN(−R19)SO2であり;
Q2は、C1−20アルキレン、C3−20アルケニレン、またはC3−20アルキニレンから選択され、ここで前記アルキレンは、1以上の個所において、O、Sまたはフェニレンが独立に挿入されていてもよく;
Arは、6〜18員芳香族炭素環基、または5〜18員芳香族ヘテロ環基から選択され、ここで当該芳香族炭素環基および芳香族ヘテロ環基は、含まれる環の1以上が芳香族環である縮合環を含んでいてもよく、当該芳香族炭素環基および芳香族ヘテロ環基に環原子として存在する−CH2−は−C(O)−に置換されていてもよく、さらに当該芳香族炭素環基および芳香族ヘテロ環基は、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、ニトロ、シアノ、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルコキシカルボニル、カルボキシ、ホルミル、−NR6R7、および−SO2NR14R15から選択される1以上の置換基により置換されていてもよく(ここで前記C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、C1−6アルキルスルホニル、C1−6アルキルカルボニルおよびC1−6アルコキシカルボニルに含まれるアルキルは、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、アリール、およびカルボキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい);
R6およびR7は、独立に、水素原子、C1−10アルキル、アリール、C1−10アルキルカルボニル、アリールカルボニル、C1−10アルキルスルホニル、アリールスルホニル、カルバモイル、N−(C1−10アルキル)カルバモイル、およびN,N−ジ(C1−10アルキル)カルバモイルから選択され、ここで前記C1−10アルキル、C1−10アルキルカルボニル、C1−10アルキルスルホニル、N−(C1−10アルキル)カルバモイル、およびN,N−ジ(C1−10アルキル)カルバモイルに含まれるアルキルは、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、アリール、およびカルボキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく、さらに前記アリール、アリールカルボニル、およびアリールスルホニルに含まれるアリールは、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;または
R6およびR7はそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員含窒素ヘテロ環を形成し、ここで当該ヘテロ環は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、ハロゲン原子、C1−10アルキルカルボニルアミノおよびアリールカルボニルアミノから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
R12は、水素原子、C1−6アルキル、または−Q2−X3−Arであり、ここで当該アルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、およびC1−6アルキルスルホニルから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
R13は、水素原子、またはC1−6アルキルであり、ここで当該アルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、およびC1−6アルキルスルホニルから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく;
R14およびR15は、独立に、水素原子、およびC1−6アルキルから選択され;またはR14およびR15はそれらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜8員含窒素ヘテロ環を形成し;
R16、R17、R18およびR19は、独立に、水素原子、およびC1−6アルキルから選択され、ここで当該アルキルは、ヒドロキシ、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフィニル、およびC1−6アルキルスルホニルから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい]
で表されるモノマーに由来する繰り返し構造である。
R51、R52、R53およびR54は、独立に、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
X4は、直接結合、フェニレン、−Q4−O−C(=O)−(ここで、ボロンジピロメテン骨格に直接結合するのはQ4である)、−Q4−N(−R61)−C(=O)−(ここで、ボロンジピロメテン骨格に直接結合するのはQ4である)であり;
R61は、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
Q4は、C1−20アルキレン、フェニレン、およびナフチレンから選択され、該フェニレンおよびナフチレンは、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい]
で表されるモノマーに由来する繰り返し構造とされる。
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明に用いられる共重合体は、主鎖の少なくとも一方の末端に式(I)で表されるカチオン性重合開始剤に由来する構造と、これに続く、式(a)で表されるモノマーおよび式(b)で表されるモノマーのそれぞれに由来する繰り返し構造を含み、さらに架橋剤による架橋構造を含む共重合体とされる。
で表される繰り返し単位を含み、さらに架橋剤MKによる架橋構造を含む共重合体とされる。この共重合体では、aは100であり、bは、好ましくは0.05〜2とされる。また、この共重合体では、式(I’)の構造が末端に存在することを条件として、他の繰り返し構造、つまり、式(A)および式(B)の繰り返し単位ならびに架橋剤MKによる架橋構造は、どのような順番で並んでいてもよい。さらに、この共重合体は、それぞれの繰り返し単位に関して、各式で表される一種または二種以上の繰り返し単位を含んでいてもよい。この共重合体は、物質そのものとして本発明の一つの態様をなす。
で表される繰り返し単位を含み、さらに架橋剤MKによる架橋構造を含む共重合体とされる。この共重合体では、aは100であり、bは好ましくは0.05〜2とされ、cは、好ましくは0.005〜1とされる。また、この共重合体では、式(I’)の構造が末端に存在することを条件として、他の繰り返し構造、つまり、式(A)、式(B)および式(C)の繰り返し単位ならびに架橋剤MKによる架橋構造は、どのような順番で並んでいてもよい。さらに、この共重合体は、それぞれの繰り返し単位に関して、各式で表される一種または二種以上の繰り返し単位を含んでいてもよい。この共重合体は、物質そのものとして本発明の一つの態様をなす。
X10は、O、SまたはSeから選択され;
R8は、水素原子、C1−10アルキル、およびアリールから選択され、当該アルキルは、
ハロゲン原子、C1−6アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノ、アリール、およびカルボキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよく、さらに前記アリールは、ハロゲン原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、およびカルボキシから選択される1以上の置換基により置換されていてもよい。
から選択される基である。
本発明に用いられる共重合体の感熱応答性による蛍光強度の変化は、通常の蛍光強度測定方法により測定することができる。測定での励起波長および測定する蛍光波長は、特に限定はされないが、例えば、測定試料の励起スペクトルを測定した際の最大励起波長またはその付近の波長を使用することができる。また、測定する蛍光波長も特には限定されないが、例えば、ある温度で測定試料の蛍光スペクトルを測定した際の最大蛍光波長またはその付近の波長を使用することができる。
例えば、蛍光強度がノイズを無視できる充分な値を示せば、S1は20nm幅の波長領域を含む一方で、S2は1nm幅の単独波長でもよい。波長の選択基準も特に限定されるものではないが、得られる蛍光強度を考慮すると、温度感受性プローブに含まれるそれぞれの蛍光性ユニットを与えるモノマー(例えば、式(b)または式(c)で示される蛍光モノマー)の常温(約25℃)における水中および水中に近い極性溶媒での励起スペクトルを測定した際の最大蛍光強度を示す波長に基づいて、その周辺の波長から選択することが望ましい。
以上に説明した方法を実施するために、必要な試薬等をまとめてキットとすることができる。従って、本発明の他の態様によれば、上述の方法を用いて温度を測定するためのキットが提供され、該キットは、本発明の温度感受性プローブまたは本発明の共重合体を含んでなる。この温度測定用試薬キットは、微小空間内の温度測定、特に細胞内の温度測定に好適に使用することができる。当該試薬キットは、医学・生物学・生物工学等の研究分野、診断・治療等の医療分野において使用することができる。
本発明の方法および温度測定用キットは、様々な研究開発の分野に応用することができる。例えば、生物工学の分野では、微生物を用いた有用物質の発酵生産において、これまで正確な測定が困難であった細胞内温度を解析パラメータに加えることにより、培養条件の検討の効率化が期待される。
例えば、生体外の温度を感知し、生体反応を引き起こす受容体であるTRPチャネルが細胞内の温度とどのように関連しているのかを調べることで今までとは異なるアプローチでのTRPチャネルの活性化が考えられる。また細胞内温度分布と細胞内外で起こる生体反応との関わりを調べる事により、局所的な温度分布が生体反応に及ぼす影響を調べる事が可能で、赤外線レーザーなどを用いた局所的な加熱による細胞のコントロールを行う事なども可能である。
以上のように、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)表面が陽性荷電で覆われた、細胞内送達ベヒクル。
(2)以下の化学構造:
(3)カチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーと、架橋剤によるラジカル重合反応を行うことを特徴とする、表面が陽性荷電で覆われた細胞内送達ベヒクルの製造方法。
(4)一般式(I):
Yは、単結合またはCR85を表し、
Zは、単結合またはCR86を表し、
R72、R73、R75、R76、R77、R78、R85およびR86は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択され、ここで前記C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニルおよびフェニルは、さらにC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択される1または2個の置換基で置換されていてもよく、
R72およびR73は、さらに、それぞれ独立して、アダマンチル、またはSi(OCH3)2(CH3)で置換されたC1−6アルキルを表してもよく、 あるいは、R75およびR76、またはR77およびR78は、一緒になって−(CH2)3−5−を形成してもよく、
R81、R82、R83、およびR84は、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、およびC1−3アルコキシからなる群から選択される置換基であり、ここで前記C1−4アルキルは一つのC1−3アルコキシ基で置換されていてもよく、及び
R71およびR74は、それぞれ独立して、C1−3アルキル基であり、 Xf −はカウンターアニオンである]
の化学構造を有する化合物。
(5)前記YおよびZが単結合を表す、(4)に記載の化合物。
(6)前記R81、R82、R83、およびR84が、それぞれ独立して、メチル、エチル、メチルカルボニル、イソブチル、および2−メチル−2−メトキシ−プロピルからなる群から選択される、(4)または(5)に記載の化合物。
(7)前記R71およびR74がメチル基である、(4)〜(6)のいずれかに記載の化合物。
(8)前記R72およびR73、前記R75およびR77、前記R76およびR78、前記R81およびR84、前記R82およびR83、並びに前記R71およびR74が、それぞれ同一の置換基を表し、かつ、前記YおよびZが、同一の置換基または共に単結合を表す、(4)〜(7)のいずれかに記載の化合物。
(9)R71、R72、R73、R74、R81、R82、R83およびR84がメチル基であり、R75、R76、R77およびR78が水素原子であり、YおよびZが単結合である、(4)に記載の化合物。
(10)前記(4)〜(9)のいずれかに記載の化合物からなるカチオン性重合開始剤。
(11)前記(10)に記載のカチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーと、架橋剤によるラジカル重合反応を行うことを含んでなる、細胞内送達ベヒクルの製造方法。
(12)前記(11)の製造方法によって得られる細胞内送達ベヒクル。
(13)細胞内に送達される目的の成分または化合物が、前記(1)に記載の細胞内送達ベヒクルに充填されてなる、細胞内送達複合体。
(14)前記(1)に記載の細胞内送達ベヒクルに、細胞内に送達される目的の成分または化合物を充填することを含んでなる、細胞内送達複合体の製造方法。
(15)細胞内に送達される目的の成分または化合物が前記細胞内送達ベヒクルに共有結合している、前記(13)に記載の細胞内送達複合体。
(16)前記化合物が、温度に応じてその特性が変化する感熱性ユニット、および該感熱性ユニットの特性変化に伴って蛍光強度または蛍光寿命が変化する蛍光性ユニットである、前記(13)または(15)に記載の細胞内送達複合体。
(17)主鎖の少なくとも一方の末端に式(I’)で表されるカチオン性重合開始剤に由来する構造と、これに続く、式(a)で表されるモノマーおよび式(b)で表されるモノマーのそれぞれに由来する繰り返し構造を含み、さらに架橋剤による架橋構造を含む、共重合体。
(18)式(I’)、式(A)、および式(B)で表される繰り返し単位を含み、さらに架橋剤による架橋構造を含む、共重合体。
(19)主鎖の少なくとも一方の末端に式(I’)で表されるカチオン性重合開始剤に由来する構造と、これに続く、式(a)で表されるモノマー、式(b)で表されるモノマーおよび式(c)で表されるモノマーのそれぞれに由来する繰り返し構造を含み、さらに架橋剤による架橋構造を含む、共重合体。
(20)式(I’)、式(A)、式(B)および式(C)で表される繰り返し単位を含み、さらに架橋剤による架橋構造を含む、共重合体。
(21)前記(16)に記載の細胞内送達複合体、または前記(17)〜(20)のいずれかに記載の共重合体を含んでなる、温度感受性プローブ。
(22)細胞内の温度を測定する方法であって、
(a)前記(21)に記載の温度感受性プローブを細胞内に導入する工程、および
(b)励起光照射下、蛍光強度または蛍光寿命を測定する工程
を含んでなる、方法。
(23)細胞内の温度を測定するためのキットであって、前記(16)に記載の細胞内送達複合体、前記(17)〜(20)のいずれかに記載の共重合体、または前記(21)に記載の温度感受性プローブを含んでなる、キット。
(24)前記(10)に記載のカチオン性重合開始剤と、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーによるラジカル重合反応を行うことを含んでなる、少なくとも一方の末端が陽性荷電を帯びたひも状ポリマーの製造方法。
(25)主鎖の少なくとも一方の末端に式(I’)で表されるカチオン性重合開始剤に由来する構造と、これに続く、炭素−炭素二重結合を含んでなるモノマーに由来する繰り返し構造を含む共重合体からなる、少なくとも一方の末端が陽性荷電を帯びたひも状ポリマー。
(26)前記(24)の製造方法によって得られる、少なくとも一方の末端が陽性荷電を帯びたひも状ポリマー。
(27)少なくとも一方の末端が陽性荷電を帯びたひも状ポリマーと陰性荷電を帯びたインク粒子からなる複合体。
カチオン性重合開始剤の合成のための原料となるα,α'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)はメタノールを用いた再結晶、感熱性ユニットであるN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)はn―ヘキサンを用いた再結晶により精製して用いた。その他の試薬は購入したものをさらに精製することなく使用した。
FTIR−8300を用いた。質量分析は、JMS−700またはBrucker micrOTOF II (ESI)を用いた。ゲル粒子径は、動的光散乱法(DLS)に基づき、Zetasizer Nano ZS (Malvern)を用いて測定した。
δ3.35(s.6H),1.57(s,12H)
化合物1aの質量分析の結果は以下の通り。
HRMS(EI+):calcd for[C5H10NO]+,100.0757;found,100.0761
また、化合物1aの元素分析の結果は以下の通り。
Anal.Calcd for C10H22Cl2N4O2:C,39.87;H,7.36;N,18.60.Found:C,39.16;H,7.41;N.18.25
δ3.66(t.4H,J=10.0Hz),3.42(t,4H,J=10.0Hz),2.75(s,6H),1.47(s,12H)。
化合物1bの13C NMR(100MHz,MeOH−d4)は以下の通り。
δ171.0,72.7,55.1,52.3,36.0,25.0
化合物1bの質量分析の結果は以下の通り。
HRMS(EI+):calcd for[C7H13N2]+125.1073;found,125.1092
また、化合物1bの元素分析の結果は以下の通り。
Anal.Calcd for C14H26N6:C,60.40;H,9.41;N30.19.Found:C,59.79;H9.45;N,29.68.
δ4.00(s.8H),3.24(s,12H)1.73(s,12H)
化合物1cの13C NMR(100MHz,MeOH−d4)は以下の通り。
δ169.0,74.5,53.3,38.4,24.7
化合物1cの質量分析の結果は以下の通り。
HRMS(EI+): calcd for[C7H13N2]+.125.1073;found,125.1073
また、化合物1cの元素分析の結果は以下の通り。
Anal.Calcd for C18H32N6O6N6S2:C,35.64;H5.32;N,13.85Found:C,35.37;H5.02;13.59.
スチレン、架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド(以下、MBAM)と界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(以下、CTAC)を表1に示す量で水25mLに溶解し、30分間アルゴンガスを通じることにより溶存酸素を除去した。その後、表1の量のカチオン性重合開始剤化合物1cを添加し、メカニカルスターラーを用いて、70℃で1時間、乳化重合を行った。室温に冷やした後、反応液に塩化ナトリウムを加え塩析をし、透析によって精製を行った。得られた重合体の収率は表1に示す。
IR(neat,cm−1):3277,2932,2097,1657,1626,1550,1408,1245,985,957,772
化合物8の1H NMR(400MHz,CDCl3)データは以下の通り。
δ6.29(dd,1H,J=17.2,1.2Hz),6.09(dd,1H,J=17.2,10.0Hz),5.73(brs,1H),5.66(dd,1H,J=10.0,1.6Hz),3.48−3.35(m,4H),1.85(tt,2H,J=6.8,6.8Hz)
化合物8の13C NMR(100MHz,CDCl3)データは以下の通り。
δ165.7,130.7,126.6,49.4,37.2,28.7
化合物8の質量分析の結果は以下の通り。
HRMS(FAB+)calcd.for C8H13NO2(M+H+),155.0933; found,155.0936.
Rf=0.42(ヘキサン/n−プロピルアミン=10/3)
Rf=0.24(ペンタン)
化合物14のIRデータは以下の通り。
IR(neat,cm−1):2958,2898,2176,1426,1250,1221,901,842,760,698,638
化合物14の1H NMR(400MHz,CDCl3)データは以下の通り。
δ3.29(t,2H,J=6.8Hz),2.36(t,2H,J=6.8Hz),2.00(tt,2H,J=6.8,6.8Hz),0.15(s,9H)
化合物14の13C NMR(100MHz,CDCl3)データは以下の通り。
δ104.7,85.7,32.0,20.8,4.9,0.1
化合物14の質量分析の結果は以下の通り。
HRMS(FAB+ calcd.for C8H16SiI(M+H+),267.0066;found,267.0087.
IR(neat,cm−1):2955,2862,2172,1616,1453,1404,1249,843,760,640
化合物15の1H NMR(400MHz,CDCl3)データは以下の通り。
δ3.63(t,2H,J=9.2Hz),3.24(t,2H,J=9.2Hz),2.78(s,3H),2.26(t,2H,J=7.2Hz),2.21(t,2H,J=7.6Hz),1.79−1.67(m,2H),1.60(tt,2H,J=7.2,7.2Hz),0.14(s,9H)
化合物15の13C NMR(100MHz,CDCl3)データは以下の通り。
δ167.9,107.1,84.6,53.3,51.9,33.9,28.4,27.1,25.4,19.5,0.1
化合物15の質量分析の結果は以下の通り。
HRMS(ESI+)calcd.for C12H25N2Si(M+H+),237.1782;found,237.1789.
IR(neat,cm−1):3352,2936,1660,1624,1553,1467,1281,1157,1031,638
化合物16の1H NMR(400MHz,CDCl3)データは以下の通り。
δ7.93(s,1H),7.43(brs,1H),6.32(d,1H,J=9.2Hz),6.30(d,1H,J=2.8Hz),5.60(dd,1H,J=9.2,2.8Hz),4.44(t,2H,J=6.4Hz),3.95(s,4H),3.24(dt,2H,J=6.4,6.4Hz),3.12(s,6H),2.83(t,2H,J=6.4Hz),2.55(t,2H,J=8.0Hz),2.20(tt,2H,J=6.4,6.4Hz),1.85(tt,2H,J=6.8,6.8Hz)
化合物16の13C NMR(100MHz,CDCl3)データは以下の通り。
δ168.4,166.4,146.1,131.3,125.8,123.0,49.9,47.5,36.0,34.0,29.8,28.4,24.6,24.0,23.9
化合物16の質量分析の結果は以下の通り。
HRMS(ESI+)calcd.for C17H29N6O(M+),333.2397;found,333.2387.
感熱性ユニットであるN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、カチオンモノマーユニット化合物16、蛍光性ユニットであるN−(2−{[7−(N,N−ジメチルアミノスルホニル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−イル]−(メチル)アミノ}エチル)−N−メチルアクリルアミド(DBThD−AA)、α,α'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を表4の量でジメチルホルムアミド(DMF)(5ml)に溶解し、30分間アルゴンガスを通じることにより溶存酸素を除去した。その後、60℃にて8時間反応させ、室温に冷やした。この溶液を、ジエチルエーテル(100ml)に攪拌しながら注いだ。得られた結晶を濾取し、減圧乾燥させた後、さらにメタノール(MeOH)(1mL)に溶かして再沈殿を行った後、純水に溶かし、直径28.6mmのヴィスキングチューブ(透析用セルロースチューブ)を使用し、透析外液を1000mlとして、充分に透析を行い、精製を行った。精製品を凍結乾燥し、表題の共重合体Lin40とLin41を淡黄色粉末として得た。収率は表4に示す。
Lin40 94.5 : 5.48 : 1.43
Lin41 93.0 : 7.03 : 1.43
であった。なお、ゼータ電位測定は0.5w/v%水溶液を用いて、20℃で行った。
Lin40,Lin41の150mM塩化カリウム(KCl)水溶液中での温度応答性試験を以下の手順で行った。JASCO FP−6500分光蛍光光度計を使用し、溶媒として、Millipore社のMilli−Q reagent systemから得た超純水を用いて、和光純薬より購入した塩化カリウム(KCl)を150mMの濃度になるように溶かしたものを用いた。当実験における化合物の初期濃度は0.005w/v%とし、励起波長は450nmとした。溶液の温度制御にはJASCO ETC−273T水冷ペルチェ式恒温セルホルダを使用し、付属の熱電対により温度を測定した。溶液温度を1℃刻みで上昇させ、各温度における450〜850nmの蛍光スペクトルを測定した。
NN−AP4(ひも状のアクリルアミド型高分子)の合成は、文献A(PloS One 2015年、第10(2)巻)中のAP4−FPTに記載の方法に従って行った。アニオンゲルk40の合成は、文献B(Chemistry A European Journal 2012年, 第18巻,第9552 − 9563頁)中のDBThD nanogelに記載の方法に従って行った。
ヒト子宮頸癌由来HeLa細胞をDMEM培地(10%FBS,1%ペニシリン(penicillin)−ストレプトマイシン(streptomycin))が入った、プラスチックボトムディッシュ(ibidi社)に播種し、培養した。1日後、培地を5%グルコース水溶液に置換し、EF043,NN−AP4、Lin40、Lin41、k40をそれぞれ終濃度0.05%となるように添加し、37℃で10分静置した。その後、プローブを取り除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、フェノールレッドフリー(phenolred−free)のDMEM培地に置換し、顕微鏡観察を行った。顕微鏡観察は、共焦点レーザー顕微鏡(FV1000、Olympus)、40倍対物レンズ(Uplan Apo40x NA0.85, Olympus)を用いて観察した。
細胞に473nmのレーザー(Multi Arレーザー)に照射し、500〜600nmの蛍光画像を取得した。
実施例5のようにして、HeLa細胞にEF043,NN−AP4、Lin40、Lin41を導入し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、フェノールレッドフリー(phenolred−free)のDMEM培地に置換した。その後、非膜透過性の蛍光試薬であるヨウ化プロピジウム(PI)を終濃度0.67μg/mlとなるように培地中に添加し、37℃で30分間処理した後、顕微鏡で観察を行った。蛍光プローブは473nmのレーザーで励起し、ヨウ化プロピジウム(PI)は559nmのレーザーで励起し、それぞれ490〜550nm、655〜755nmの蛍光波長で観察を行った。なお、観察時のカメラの光増倍管感度やレーザー強度は、メタノールで処理した細胞を死滅した細胞のコントロールとして用いて調整を行った。
ヒト子宮頸癌由来HeLa細胞をDMEM培地(10%FBS,1%penicillin−streptomycin)、グリッド付きのプラスチックボトムディッシュμ−Dish 35mm grid−500(ibidi社)に播種、培養した。1日後、実施例5のようにEF043,NN−AP4、Lin40の3つのプローブを導入し、フェノールレッドフリー(phenolred−free)のDMEM培地に置換し、顕微鏡観察を行った。顕微鏡観察は、共焦点レーザー顕微鏡(FV1000、Olympus)、40倍対物レンズ(Uplan Apo40x NA0.85, Olympus)を用いて観察した。細胞に473nmのレーザー(Multi Arレーザー)に照射し、500〜600nmの蛍光画像を取得した
結果を図6に示す。なお、未処理の対照(Ctrl)では、プローブが導入されていない細胞をすべてカウントした。その結果、カチオン性ゲルであるEF043は対照(Ctrl)と比較して、細胞増殖率がほとんど変わらず、ひも状の温度プローブであるNN−AP4やLin40は細胞増殖を阻害していることがわかった。この阻害効果は含まれるカチオン性ユニットの構造の違い(NN−AP4では4級アンモニウム骨格、Lin40では、1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−3−イウム骨格)に依存しない。さらに、EF043とLin40はカチオン性分子の構造が同一であることから、カチオン性構造による細胞増殖阻害効果よりも高分子の構造がひも状である場合(Lin40)に細胞分裂に与える阻害効果が大きく、ゲル状である場合(EF043)には阻害効果がほとんどないことがわかった。またプローブが導入されている細胞が培養によって増えたことから、プローブが分裂に伴って両細胞に分配されていることが明らかとなった。
安楽殺したラット(Wistar、オス、3週齢)より褐色脂肪組織を採取し、ハサミで細かく切り、コラゲナーゼ溶液に浮遊させてスターラーで振盪しながら30分、37℃でインキュベートした。100μmセルストレーナーで未消化組織片を除き、ろ過液を遠心分離し(400g,室温,5分)、得られたペレットをHBSS(−)に懸濁し、遠心して洗浄した。溶血バッファーに懸濁し、室温で10分置いたのち、HBSS(−)を添加して遠心分離し、ペレットを増殖培地(表8)に懸濁し、40μmセルストレーナーに通したものをSVF懸濁液とした。SVF懸濁液をコラーゲンコートされたガラスボトムディッシュに播種し、37℃で培養した。18時間後に培地を除去してHBSS(−)で2回洗浄し、未接着細胞を除去し、再度増殖培地を添加して4日間培養(37℃、5%CO2)した。分化培地(表8)に置換して48時間培養(37℃、5%CO2)した後、温度感受性プローブEF043を細胞に導入した。導入は、細胞を5%グルコースで洗浄し、5%グルコース中で終濃度0.05w/v%となるようにEF043を細胞に添加し、37℃、15分インキュベートした。その後、HBSSで2回洗浄を行い、顕微鏡観察を行った。さらにEF043を導入した細胞を脂肪滴の誘導を促す維持培地(表8)に置換し、3日間培養した(37℃、5%CO2)後に、顕微鏡観察を行った。微鏡観察は、共焦点レーザー顕微鏡(FV1000、Olympus)により、40倍対物レンズ(Uplan Apo40x NA0.85, Olympus)を用いて観察した。細胞に473nmのレーザー(Multi Arレーザー)を照射し、500〜600nmの蛍光画像を取得した。
MOLT−4 (ヒト急性リンパ芽球性白血病(T−細胞))をRPMI1640培地(10%FBS)を用いて、100mmディッシュにて培養した(播種1×104cells/ml)。2日後、培養液3mlを遠心分離(300g、2分)して培地を取り除き、5%グルコースで洗浄後、再度5%グルコース1mlに懸濁し、EF043、NN−AP4、Lin40をそれぞれ終濃度0.05%となるように添加した。37℃、10分後、遠心分離(300g、2分)して上清を取り除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁し、非膜透過性の蛍光試薬であるヨウ化プロピジウム(PI)を終濃度0.67μg/mlとなるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に添加し、37℃で30分間処理した後、顕微鏡で観察を行った。蛍光プローブは473nmのレーザーで励起し、ヨウ化プロピジウム(PI)は559nmのレーザーで励起し、それぞれ490〜550nm、655〜755nmの蛍光波長で観察を行った。プローブが導入されているかの確認を顕微鏡観察にて行った。共焦点レーザー顕微鏡(FV1000、Olympus)、40倍対物レンズ(UplanSApo,Olympus)を用いて観察し、細胞に473nmのレーザー(Multi Arレーザー)を当て、500nmから600nmまでの蛍光波長に対する蛍光像を観察した。
実施例9で作製したプローブEF043が導入されたMOLT−4細胞懸濁液を用いて、蛍光寿命変化の感熱性応答試験を行った。FluoroCube 3000U(Horiba Jobin Yvon)時間相関単一光子計数法蛍光寿命測定装置を使用して、励起波長は405nmとした。溶液の励起には、LED(NanoLED−456,Horiba)を用いて、パルス繰り返し数1MHzで測定を行った。溶液の温度制御にはJASCO ETC−273T水冷ペルチェ式恒温セルホルダを使用し、付属の温度計によりセルホルダ内の温度を測定した。測定前に熱電対により溶液の温度が安定したことを確認した後、各温度における蛍光寿命を蛍光波長580nm±8nmとして測定した。得られた蛍光減衰曲線を以下に示す式により近似し、2成分の蛍光寿命を得た。
実施例10の結果のように、温度(T)を横軸に蛍光寿命(τ)を縦軸に取った場合を想定する。∂を微小量、δを誤差とした場合、次のような関係が成り立つ。
ヒト由来胎児腎細胞HEK293TをDMEM培地(10%FBS,1%penicillin−streptomycin)、35mmガラスボトムディッシュにて培養した(播種1×103cells/cm2)。1日後、培地を5%グルコースに置換し、蛍光色素の最終濃度を合わせるようにして、化合物3Gおよびフルオレセイン(1μg/ml)、または化合物3GおよびローダミンB(0.5μg/ml)を添加し、37℃で15分静置した。その後、プローブおよび蛍光色素を取り除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、フェノールレッドフリー(phenolred−free)のDMEM培地に置換し、顕微鏡観察を行った。顕微鏡観察は、共焦点レーザー顕微鏡(FV1000、Olympus)を用いて観察した。フルオレセインは473nmのレーザー(Multi Arレーザー)で、ローダミンBは559nmのレーザーで励起し、観察を行った。取得した像から20個程度の細胞を選択し、細胞内の平均シグナルを算出し、比較を行った。
Claims (6)
- 表面が陽性荷電で覆われた、細胞内送達ベヒクル。
- 細胞内に送達される目的の成分または化合物が、請求項1に記載の細胞内送達ベヒクルに充填されてなる、細胞内送達複合体。
- 細胞内に送達される目的の成分または化合物が前記細胞内送達ベヒクルに共有結合している、請求項2に記載の細胞内送達複合体。
- 前記化合物が、温度に応じてその特性が変化する感熱性ユニット、および該感熱性ユニットの特性変化に伴って蛍光強度または蛍光寿命が変化する蛍光性ユニットである、請求項2または3に記載の細胞内送達複合体。
- 請求項4に記載の細胞内送達複合体を含んでなる、温度感受性プローブ。
- 細胞内の温度を測定する方法であって、
(a)請求項5に記載の温度感受性プローブを細胞内に導入する工程、および
(b)励起光照射下、蛍光強度または蛍光寿命を測定する工程
を含んでなる、方法。
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