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JP2020086195A - プロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents

プロセスカートリッジおよび画像形成装置 Download PDF

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JP2020086195A
JP2020086195A JP2018221792A JP2018221792A JP2020086195A JP 2020086195 A JP2020086195 A JP 2020086195A JP 2018221792 A JP2018221792 A JP 2018221792A JP 2018221792 A JP2018221792 A JP 2018221792A JP 2020086195 A JP2020086195 A JP 2020086195A
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Yasukazu Inoue
靖数 井上
駿介 松下
Shunsuke Matsushita
駿介 松下
洸輔 井加田
Kosuke Ikada
洸輔 井加田
慎一 萩原
Shinichi Hagiwara
慎一 萩原
良浩 三井
Yoshihiro Mitsui
良浩 三井
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Abstract

【課題】帯電部材の汚染による画像の問題がなく、感光体駆動トルクの低いプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供する。【解決手段】プロセスカートリッジ7は、現像ローラ4等を備えた現像ユニット3と、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13とを有する。現像ユニット3は、現像室17と現像剤収容室18から成り、現像剤収容室18の内部には、現像剤としてのトナー10が収容されている。トナー10は、最大荷重2.0x10−4Nにおけるマルテンス硬度が200〜1100MPaであって、表層に有機ケイ素重合体を含み、有機ケイ素重合体のトナー10に対する固着率は90%以上である。感光体ユニット13には、帯電ローラ2、クリーニング部材であるクリーニングブレード8が配置されている。クリーニングブレード8の感光体ドラム1との接触部のダイナミック硬度は0.07〜1.1mN/μm2である。【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式或いは静電記録方式の画像形成装置に搭載されるプロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置は像担持体である感光体ドラム上に現像装置から現像剤であるトナーの像を形成し、感光体ドラムから記録材にトナーを転写させ、順次定着することにより、画像を得るものである。カラー画像形成装置においては、感光ドラムから中間転写ベルトにトナー像を転写させたのち、中間転写ベルトから記録材に再度トナー像を転写させる中間転写ベルト方式の画像形成装置も実用化されている。
感光体ドラムから中間転写ベルトへの転写工程では、正規と逆極性に帯電したトナーや帯電量の低いトナーは転写工程で転写されずに感光体ドラムに残ることがあり、これを除去する装置として、クリーニング装置が感光体ドラムに当接させて用いられている。
これら現像装置、感光体ドラム、クリーニング装置は画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジとして一体に構成されることがある。
クリーニング装置としては、構成の単純さと除去能力の観点から、弾性体で構成されたクリーニングブレードをカウンター方向で当接させるカウンター方式のブレードクリーニングが広く用いられている。
カウンター方式のブレードクリーニングでは、クリーニングブレードが感光体ドラムに対して強く当接され摺擦される。このため、感光体ドラムの駆動トルクがプロセスカートリッジ駆動トルクの多くを占める。
プロセスカートリッジが搭載される画像形成装置の駆動トルクの低減による消費電力の低減や画像形成装置および装置の小型化に向け、ブレードクリーニングにおけるトルクを低減したものとして以下のものがある。
特許文献1では、トナーに球形シリカと非球形シリカを外添し、かつ、脂肪酸金属塩などの潤滑剤を感光体ドラムに塗布したものがある。ここでは、低温低湿環境では潤滑剤の効果により低トルクを達成している。また、高温高湿環境では潤滑剤に放電生成物が付着し却って高トルクとなるため、球形シリカ外添剤をクリーニングブレードと感光体の間(以下、接触部)に介在させることによりトルクを低減している。
特許文献2においては、トナーに含まれる外添剤の遊離率が1%以上になっており、外添剤をクリーニング部材に供給させて、文献1と同様に接触部に介在させてトルクを下げている。
特開2015−22078号公報 特開2003−280255号公報
しかしながら、上記先行技術には以下のような問題があった。特許文献1、2においては、接触部に外添剤を介在させることで低トルク化を実現している。このため、クリーニングブレードの下流側に外添剤が徐々に排出されることを意味しており、長期の使用においては、帯電部材の汚染により画像上にスジ状の濃度変化が発生したり、ムラが生じたりするおそれがある。
また、特許文献1においては、低トルクを実現するために、潤滑剤として脂肪酸金属塩を使っている。脂肪酸金属塩は感光体ドラムに膜状に形成されトルクを低下させるものであるが、脂肪酸金属塩の膜を適切に保たないと却ってトルクが増大することがある。このため、クリーニングブレードの当接圧を精密に制御したり、均し部材を設けたりする必要があり、部材追加により画像形成装置の構造や脂肪酸金属塩の供給、均しの制御が複雑になる。
本発明の目的は、帯電部材の汚染による画像の問題がなく、感光体駆動トルクの低いプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決し、画像形成装置に搭載されるプロセスカートリッジの駆動トルクの低減と、帯電部材の汚染防止を両立することを目的とし、
現像剤と、現像装置と、現像剤によって静電潜像が現像されて形成される現像剤像を担持する像担持体と、帯電部材と、前記像担持体と接触する接触部を備え、前記接触部によって前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、を有するプロセスカートリッジであって、
前記現像剤は表層にR0−SiO(R0は炭素1〜6個のアルキル基)で示される有機ケイ素重合体を含み、
前記有機ケイ素重合体の現像剤に対する固着率が90%以上であって、
最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定した時のマルテンス硬度が、200MPa以上1100MPa以下であって、
前記クリーニング部材の前記像担持体との接触部のダイナミック硬度をDHsとし、ダイナミック硬度は、
0.07(mN/μm2)≦DHs≦1.1(mN/μm2)
であることを特徴とする。
本発明によれば、クリーニング部で変形しにくく、表層の固着率が高いトナーを表面硬度の高いクリーニングブレードで十分に圧力をかけて保持することで、帯電部材の汚染による画像の問題がなく、感光体駆動トルクの低い画像形成装置を提供することができる。
本発明にかかる画像形成装置全体を表す図である。 本発明にかかるプロセスカートリッジを表す図である。 本発明にかかるクリーニングブレードの概要を表す図である。 本発明でクリーニングブレードの感光体ドラムに対する当接状態の定義を示す図である。 本発明のメカニズムにかかるクリーニングブレード接触部におけるトナーの介在状態を表す図である。
以下、図面を参照し、像担持体の駆動トルクを低減しつつ、帯電部材の汚染を防止したプロセスカートリッジの実施の形態を更に詳しく説明する。
(画像形成装置)
電子写真画像形成装置の一実施の形態の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態の画像形成装置100の断面図である。本実施の形態の画像形成装置100は、タンデム方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザービームプリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置本体に接続された画像読み取り装置、或いは画像形成装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体に入力される。画像形成装置100は、複数の画像形成部としてのプロセスカートリッジ7が、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するためのSY、SM、SC、SKを有する。本実施の形態では、画像形成部SY、SM、SC、SKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
プロセスカートリッジ7は、画像形成装置本体に設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能となっている。本実施の形態では、各色用のプロセスカートリッジ7は全て同一形状を有しており、各色用のプロセスカートリッジ7内には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー(現像剤)が収容されている。本実施の形態では、プロセスカートリッジについて説明するが、現像装置3が単独で画像形成装置本体に着脱可能な構成としても良い。
静電像(静電潜像)を担持する像担持体としての感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光体ドラム1の周囲にはスキャナユニット(露光装置)30が配置されている。スキャナユニット30は、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電像)を形成する露光手段である。4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト31が配置されている。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト31は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。
中間転写ベルト31の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ32が並設されている。そして、一次転写ローラ32に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧が印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト31上に転写(一次転写)される。
また、中間転写ベルト31の外周面側において二次転写手段としての二次転写ローラ33が配置されている。そして、二次転写ローラ33に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧が印加される。これによって、中間転写ベルト31上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト31上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。その後、中間転写ベルト31の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部へと搬送される。そして、記録材12を介して中間転写ベルト31に当接している二次転写ローラ33の作用によって、中間転写ベルト31上の4色トナー像は、一括して記録材12上に二次転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置34に搬送される。定着装置34において記録材12に熱および圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
(プロセスカートリッジ)
本実施の形態の画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。
図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見た本実施の形態のプロセスカートリッジ7の断面(主断面)図である。尚、本実施の形態では、収容している現像剤の種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成および動作は実質的に同一である。本実施形態における各動作は不図示のCPUの制御部(制御手段)により制御される。
プロセスカートリッジ7は、現像ローラ4等を備えた現像ユニット3と、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13とを有する。
現像ユニット3は、現像室17と現像剤収容室18から成り、現像剤収容室18は現像室17の下方に配置されている。この現像剤収容室18の内部には、現像剤としてのトナー10が収容されている。本実施形態において、このトナー10の正規帯電極性は負極性である。ここで、正規帯電極性とは、静電像を現像するための帯電極性である。本実施の形態では負極性の静電像を反転現像するので、トナーの正規帯電極性は負極性である。ただし、本発明は、負帯電性トナーに限定されるものではない。
また、現像剤収容室18には、このトナー10を現像室17に搬送するためのトナー搬送部材22が設けられており、図中矢印Gの方向へ回転することによってトナーを現像室17へと搬送している。
現像室17には、感光体ドラム1と接触して図示矢印D方向に回転する現像剤担持体としての現像ローラ4が設けられている。本実施の形態では、現像ローラ4と感光体ドラム1とは、対向部において互いの表面が同方向に移動するようにそれぞれ回転する。また、現像ローラ4には、第一電圧印加手段としての不図示の第一電源(高圧電源)から、感光体ドラム1上の静電像をトナー像として現像、可視化するのに十分な電圧が印加される。
また、現像室17の内部には、トナー収容室18から搬送されたトナーを現像ローラ4に供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ(以下、単に「供給ローラ」という。)5と、供給ローラ5によって供給された現像ローラ4上のトナーのコート量規制及び電荷付与を行う現像剤量規制部材(以下、単に「規制部材」という。)6が配置されている。
供給ローラ5は、導電性芯金と、表面に発泡層とを有する弾性スポンジローラであり、現像ローラ4との間に接触部を形成して配設されており、図示矢印Eの方向に回転する。ただし、供給ローラの回転方向はEと逆方向であってもよい。
また、供給ローラ5には、第二電圧印加手段としての不図示の第二電源(高圧電源)から電圧が印加される。
供給ローラ5によって現像ローラ4に供給されたトナーは、現像ローラ4の矢印D方向への回転によって、規制部材8と現像ローラ4との当接部へ侵入する。トナーは現像ローラ4と規制部材8との間での摺擦で摩擦帯電され、電荷を付与されると同時にその層厚が規制される。規制された現像ローラ4上のトナーは、現像ローラ4の回転により、感光体ドラム1との対向部に搬送され、感光体ドラム1上の静電像をトナー像として現像、可視化する。
一方、感光体ユニット13には、図示しない軸受を介して感光体ドラム1が回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、有機感光体ドラムであり外径24mmである。ドラム駆動手段としての不図示の駆動モータPの駆動力を受けることによって、図示矢印A方向に回転駆動される。
また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するように、帯電ローラ2、クリーニング部材8が配置されている。帯電ローラ2は不図示のばねによって感光体ドラムに付勢されており、感光体ドラムの回転に従い従動回転する。
クリーニングブレードは感光体ドラム1の回転によって、感光体ドラム1の表面速度と等しい相対速度で感光体ドラム1を摺擦し、転写工程で残留したトナーをかきとり、帯電部材の汚染を防止する。また、帯電工程で感光体ドラムの表面に付着する放電生成物を除去し、感光体ドラム1の摩擦の増大などを防止している。
かきとられたトナーは回収室9に収納される。回収室9を介して画像形成装置に設けられたトナー回収容器に収容する構成としてもよい。
以下、本発明にかかるトナーとクリーングブレードの詳細を記述する。
(トナー)
最大荷重2x10−4Nにおけるマルテンス硬度200〜1100MPaを有するトナーは表層に有機ケイ素重合体を形成することで得ることができる。また、固着率90%以上を達成するためにも、表層に有機ケイ素重合体を形成する方法が適している。以下、さらに詳細に説明する。
<トナー硬度の測定方法>
硬度とは、物体の表面又は表面近傍の機械的性質の一つであり、異物によって変形や傷を与えられようとするときの、物体の変形しにくさ、物体の傷つきにくさであり、様々な測定方法や定義が存在する。例えば測定方法は測定領域の広さによって使い分けられ、測定領域が10μm以上の場合にはビッカース法、10μm以下の場合にはナノインデンテーション法、1μm以下の場合にはAFMなどと使い分けられることが多い。定義としては、例えば押し込み硬さとしてはブリネル硬度やビッカース硬度、引っ掻き硬さとしてはマルテンス硬度、反発硬さとしてはショア硬度などが使い分けられている。
トナーの測定においては、一般的な粒径は3μm〜10μmであるから、ナノインデンテーション法が好ましく用いられる測定方法である。発明者らの検討によると本発明の効果を発現するための硬度の規定として、引っ掻き硬さを表すマルテンス硬度が適当であった。これは、トナーが現像機内で金属や外添剤などの硬い物質に引っ掻かれることに対する強さを表し得るのが引っ掻き硬さであるためと考えている。
ナノインデンテーション法にてトナーのマルテンス硬度を測定する方法は市販のISO14577−1に準拠した装置にて、ISO14577−1に規定された押込み試験の手順に従って、得られた荷重−変位曲線から算出することができる。本発明においては、前記ISO規格に準拠した装置として、超微小押し込み硬さ試験機「ENT−1100b」(株式会社エリオニクス製)を用いた。測定方法は、装置に付属の「ENT1100操作マニュアル」に記載されているが、具体的な測定方法は以下の通りである。
測定環境は、付属の温度調節装置にてシールドケース内を30.0℃に保った。雰囲気温度を一定に保つことは熱膨張やドリフトなどによる測定データのバラつき低減に有効である。設定温度は、トナーが摩擦される現像機近辺の温度を想定した30.0℃の条件とした。試料台は装置に付属の標準試料台を用い、トナーを塗布した後にトナーが分散するように微弱なエアーを吹き付け、その試料台を装置にセットして1時間以上保持してから測定を行った。
圧子には装置に付属の先端が20μm四方の平面である平圧子(チタン製圧子、先端はダイヤモンド製)を用いて測定した。トナーの様に小径かつ球形の物体、外添剤が付着している物体、表面に凹凸が存在する物体においては、尖った圧子を用いると測定精度に大きな影響を与えるため平圧子を用いる。試験の最大荷重は2.0×10−4Nに設定して行う。この試験荷重に設定することで、現像部においてトナー1粒が受けるストレスに相当する条件で、トナーの表層を破壊せずに硬度を測定することが可能である。本発明においては、耐摩擦性が重要であるから表層を破壊せずに維持したまま硬さを測ることが重要である。
測定対象の粒子としては、装置付属の顕微鏡による測定用画面(視野サイズ:横幅160μm、縦幅120μm)にトナーが単独で存在しているものを選択する。ただし、変位量の誤差を極力無くすため、粒子径(D)が個数平均粒径(D1)の±0.5μmの範囲にあるもの(D1−0.5μm≦D≦D1+0.5μm)を選択する。なお、測定対象粒子の粒径測定は装置付属のソフトを用いてトナーの長径と短径を測定し、[(長径+短径)/2]をもって粒子径D(μm)とした。また、個数平均粒径は「コールター・カウンター Multisizer 3(ベックマン・コールター株式会社製)により後述する方法にて測定する。
測定に際しては、粒子径D(μm)が上記条件を満たす任意のトナー100粒を選んで測定を行う。測定の際に入力する条件は以下の通りである。
試験モード :負荷−除荷試験
試験荷重 :20.000mgf(=2.0×10−4N)
分割数:1000step
ステップインターバル:10msec
解析メニュー「データ解析(ISO)」を選択して測定を行うと、測定後に装置付属ソフトでマルテンス硬度が解析され、出力される。トナー100粒について上記測定を行って、その相加平均値を本発明におけるマルテンス硬度とした。
トナーの最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定したときのマルテンス硬度を200MPa以上1100MPa以下に調整することにより、従来のトナーよりもクリーニングニップにおけるトナーの変形を少なくすることが可能になった。つまり、クリーニングブレードと感光体ドラムの接触面積を小さく保ち、低トルクとすることができる。
当該マルテンス硬度が200MPaよりも低い場合には本発明の効果が満足に得られない。
一方、当該マルテンス硬度が1100MPaよりも高いと、場合によっては感光体ドラムや現像部材を傷つける原因となる場合もあるので注意が必要である。
最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定する時のマルテンス硬度を200MPa以上1100MPa以下に調整するための手段は特に限定されない。ただし、当該硬度は一般的なトナーに用いられている有機樹脂の硬さに比べて大幅に硬いため、硬度を上げるために通常行われている手段では達成が困難である。例えば、ガラス転移温度の高い樹脂設計にする手段、樹脂分子量を上げる手段、熱硬化する手段、表層にフィラーを添加する手段などでは達成が難しい。
一般的なトナーに用いられている有機樹脂のマルテンス硬度は、最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定すると50MPa〜80MPa程度である。さらに樹脂設計や分子量を上げるなどして硬度を上げた場合でも120MPa以下程度である。さらに、磁性体やシリカといったフィラーを表層近傍に充填して熱硬化させた場合でも180MPa以下程度であり、本発明のトナーは一般的なトナーに比べて大幅に硬い。
<硬度の制御方法>
上記特定の硬度範囲に調整するための1つの手段として、例えば、適切な硬度を持つ無機物などの物質でトナーの表層を形成させ、更にその化学構造やマクロ構造を適切な硬度を持つ様に制御する方法が挙げられる。
具体的な例示として、上記特定の硬度を持ち得る物質としては有機ケイ素重合体が挙げられ、材料の選択として有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数や炭素鎖長などによって硬度を調整することが可能である。トナー粒子が、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、該有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数が1個以上3個以下(好ましくは1個以上2個以下、より好ましくは1個)であると、上記特定の硬度に調整しやすいため好ましい。
化学構造によりマルテンス硬度を調整する手段としては表層物質の架橋や重合度などの化学構造の調整などにより可能である。マクロ構造によりマルテンス硬度を調整する手段としては、表層の凸凹形状や凸間を繋ぐネットワーク構造の調整などにより可能である。これらの調整は有機ケイ素重合体を表層として用いる場合には、有機ケイ素重合体を前処理する際のpH、濃度、温度、時間などで調整可能である。また、トナーのコア粒子に有機ケイ素重合体を表層付けするタイミングや形態、濃度、反応温度などによって調整可能である。
本発明において特に好ましいのは以下の方法である。まず、結着樹脂及び着色剤を含むトナーのコア粒子を製造して水系媒体に分散し、コア粒子分散液を得る。この時の濃度はコア粒子分散液総量に対し、コア粒子の固形分が10質量%以上40質量%以下となる濃度で分散することが好ましい。そして、該コア粒子分散液の温度は35℃以上に調整しておくことが好ましい。また、該コア粒子分散液のpHは有機ケイ素化合物の縮合が進みにくいpHに調整することが好ましい。有機ケイ素重合体の縮合が進みにくいpHは物質によって異なるため、最も反応が進みにくいpHを中心として、±0.5以内が好ましい。
一方、有機ケイ素化合物は加水分解処理を行ったものを用いることが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物の前処理として別容器で加水分解しておく。加水分解の仕込み濃度は有機ケイ素化合物の量を100質量部とした場合、イオン交換水やRO水などイオン分を除去した水40質量部以上500質量部以下が好ましく、より好ましくは水100質量部以上400質量部以下である。加水分解の条件としては、好ましくはpHが2〜7、温度が15〜80℃、時間が30〜600分である。
得られた加水分解液とコア粒子分散液とを混合して縮合に適したpH(好ましくは6〜12、又は1〜3、より好ましくは8〜12)に調整することで、有機ケイ素化合物を縮合させながらトナーのコア粒子表面に表層付けすることができる。縮合と表層付けは35℃以上で60分間以上取ることが好ましい。また、縮合に適したpHに調整する前に35℃以上で保持する時間を調整することで表面のマクロ構造を調整可能であるが、時間が長すぎると本発明のマルテンス硬度のトナーが得られにくいため、3分以上120分以下が好ましい。
以上のような手段によって反応残基を減らすことができ、表層に凹凸を形成させることができ、更に凸間にネットワーク構造を形成させることができるため、上記特定のマルテンス硬度のトナーを得られやすい。
有機ケイ素重合体を含有する表層を用いる場合には、有機ケイ素重合体の固着率が90%以上100%以下であることが好ましい。より好ましくは、95%以上である。有機ケイ素重合体の固着率の測定方法は後述する。
<有機ケイ素重合体を含有する表層について>
トナー粒子が有機ケイ素重合体を含有する表層を有する場合、式(1)で表される部分構造を有することが好ましい。
R−SiO3/2 式(1)
(Rは炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。)
式(1)の構造を有する有機ケイ素重合体において、Si原子の4個の原子価のうち1個はRと、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si−O−Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、−SiO3/2と表現される。この有機ケイ素重合体の−SiO3/2構造は、多数のシロキサン結合で構成されるシリカ(SiO)と類似の性質を有することが考えられる。従って、従来の有機樹脂により表層形成されたトナーに比べて無機物に近い構造のため、マルテンス硬度を高くすることが可能であると考えられる。
有機ケイ素重合体の製造例としては、ゾルゲル法が好ましい。ゾルゲル法は、液体原料を出発原料に用いて加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経てゲル化する方法であり、ガラス、セラミックス、有機−無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成する方法に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層に存在する有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
この有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子に設けることによって、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、液体から出発し、その液体をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機金属化合物の種類及び量などによって調整することができる。
トナー粒子の表層の有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
式(Z)中、Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。
の炭化水素基(好ましくはアルキル基)により疎水性を向上することができ、環境安定性に優れたトナー粒子を得ることができる。また、炭化水素基として芳香族炭化水素基であるアリール基、例えばフェニル基を用いることもできる。Rの疎水性が大きい場合、様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向を示すことから、環境安定性を鑑みてRは炭素数1以上3以下の炭化水素基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、炭素数1〜3のアルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R、R及びRの加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のRを除く一分子中に3つの反応基(R、R及びR)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
さらに、トナー粒子中の有機ケイ素重合体の含有量は0.5質量%以上10.5質量%以下であることが好ましい。
有機ケイ素重合体の含有量が0.5質量%以上であることで、表層の表面自由エネルギーを更に小さくすることができ、流動性が向上し、部材汚染やカブリの発生を抑制することができる。10.5質量%以下であることで、チャージアップを発生し難くすることができる。有機ケイ素重合体の含有量は有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を含有する表層とトナーコア粒子は、隙間なく接していることが好ましい。これにより、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。表層には上記の有機ケイ素重合体の他に、スチレン−アクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂や各種添加剤などを含有させてもよい。
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性の観点からは湿式製造法を好ましく用いることができる。さらに、湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができる。
ここでは懸濁重合法について説明する。懸濁重合法においてはまず、結着樹脂を生成するための重合性単量体、着色剤及び必要に応じてその他の添加剤をボールミル、超音波分散機のような分散機を用いてこれらを均一に溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する(重合性単量体組成物の調製工程)。このとき、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また、離型剤としてのワックスや荷電制御剤、可塑剤などを適宜加えることができる。
次に、上記重合性単量体組成物を予め用意しておいた水系媒体中に投入し、高せん断力を有する撹拌機や分散機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに形成する(造粒工程)。
造粒工程における水系媒体は分散安定剤を含有していることが、トナー粒子の粒径制御、粒度分布のシャープ化、製造過程におけるトナー粒子の合一を抑制するために好ましい。分散安定剤としては、一般的に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
造粒工程の後、あるいは造粒工程を行いながら、好ましくは50℃以上90℃以下の温度に設定して、重合性単量体組成物に含まれる重合性単量体の重合を行い、トナー粒子分散液を得る(重合工程)。
重合工程では容器内の温度分布が均一になる様に攪拌操作を行うことが好ましい。重合開始剤を添加する場合、任意のタイミングと所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に、一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧又は減圧下で行うことができる。
トナー粒子の粒径は、高精細かつ高解像の画像を得るという観点から重量平均粒径が3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。トナーの重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター(株)製)用いて測定することができる。こうして得られたトナー粒子分散液は、トナー粒子と水系媒体を固液分離する濾過工程へと送られる。
得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を得るための固液分離は、一般的な濾過方法で行うことができ、その後トナー粒子表面から除去しきれなかった異物を除去するため、リスラリーや洗浄水のかけ洗いなどによって更に洗浄を行うことが好ましい。十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナーケーキを得る。その後、公知の乾燥手段により乾燥され、必要であれば分級により所定外の粒径を有する粒子群を分離してトナー粒子を得る。このとき分離された所定外の粒径を有する粒子群は最終的な収率を向上させるために再利用してもよい。
有機ケイ素重合体を有する表層を形成する場合は、水系媒体中でトナー粒子を形成する場合には水系媒体中で重合工程などを行いながら前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加して該表層を形成させることができる。重合後のトナー粒子の分散液をコア粒子分散液として用いて、有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させてもよい。また、混練粉砕法など水系媒体以外の場合には得られたトナー粒子を水系媒体に分散してコア粒子分散液として用いて、前述のように有機ケイ素化合物の加水分解液を添加し、該表層を形成させることができる。
<有機ケイ素重合体の固着率の測定方法>
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50ml)に上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(容量50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H−9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを含む水溶液を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥する。乾燥品をスパチュラで解砕し、蛍光X線でケイ素の量を測定する。水洗後のトナーと初期のトナーの測定対象の元素量比から固着率(%)を計算する。
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下の通りである。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は10mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリング直径10mmの中に水洗後のトナーと初期のトナーを約1g入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで60秒間加圧し、厚さ約2mmに成型したペレットを用いる。
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)からその濃度を算出する。
トナー中の定量方法としては、例えばケイ素量はトナー粒子100質量部に対して、例えば、シリカ(SiO)微粉末を0.5質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を2.0質量部、5.0質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi−Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象のトナーを、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi−Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー中の有機ケイ素重合体の含有量を求める。上記方法により算出した初期のトナーの元素量に対して、水洗後のトナーの元素量の比率を求め固着率(%)とした。
〔外添剤〕
トナー粒子は、外添せずにトナーとすることもできるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを添加してトナーとしてもよい。
外添剤としては、例えば、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。外添剤のBET比表面積は、10m/g以上450m/g以下であることが好ましい。
BET比表面積は、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m/g)を算出することができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
トナーは、トナー粒子の表面にポジ帯電粒子を有することが好ましい。ポジ帯電粒子の個数平均粒子径は、0.10μm以上1.00μm以下が好ましい。より好ましくは0.20μm以上0.80μm以下である。
この様なポジ帯電粒子を有すると、耐久使用を通して転写効率が良好である事が明らかとなった。当該粒径のポジ帯電粒子であることで、トナー粒子表面で転がり可能であり、感光ドラムと転写ベルトの間で摩擦されてトナーの負帯電が促進され、結果的に転写バイアス印加によるポジ化を抑制しているためと考えられる。本発明のトナーは表面が硬いことが特徴であり、ポジ帯電粒子がトナー粒子表面に固着又は埋没しにくいため、転写効率を高く維持できる。
なお、本発明におけるポジ帯電粒子とは日本画像学会から提供される標準キャリア(アニオン性:N−01)と混合撹拌して摩擦帯電させた時に正帯電する粒子である。
外添剤の個数平均粒子径の測定は、走査型電子顕微鏡「S−4800」(日立製作所製)を用いて行う。外添剤が外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の外添剤の一次粒子の長径を測定して個数平均粒子径を求める。観察倍率は、外添剤の大きさによって適宜調整する。
トナー粒子の表面に、ポジ帯電粒子を存在させる手段としては種々の方法が考えられ、いかなる方法でもよいが、外添により付与する方法が好ましい。トナーのマルテンス硬度が本発明の範囲であれば、ポジ帯電粒子を均一にトナー粒子表面に存在させることが可能であることを見出した。ポジ帯電粒子のトナー粒子に対する固着率は、5%以上75%以下であることが好ましく、5%以上50%以下であることがより好ましい。固着率がこの範囲であれば、トナー粒子及びポジ帯電粒子の摩擦帯電を促進する事によって、転写効率を高く維持することが可能となる。固着率の測定方法は後述する。
ポジ帯電粒子の種類としては、ハイドロタルサイト、酸化チタン、及びメラミン樹脂等が好ましい。この中でも特にハイドロタルサイトが好ましい。
<ポジ帯電粒子の固着率の測定方法>
有機ケイ素重合体の固着率の測定方法において、測定対象の元素をポジ帯電粒子に含まれる元素とする。例えば、ハイドロタルサイトの場合にはマグネシウムとアルミニウムを測定対象とする。それ以外は同様の方法にてポジ帯電粒子の固着率を測定する。
以下、製造したトナーを示す。
[トナー1]
(水系媒体1の調製工程)
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを5.0に調整し、水系媒体1を得た。
(表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程)
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを3.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を70℃にした。その後、表層用有機ケイ素化合物であるメチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間以上撹拌して加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を得た。
(重合性単量体組成物の調製工程)
・スチレン :60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 :6.5部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン:20.0部
・n−ブチルアクリレート:20.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン):0.3部
・飽和ポリエステル樹脂:5.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度Tg=68℃、重量平均分子量Mw=10000、分子量分布Mw/Mn=5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃):7.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程) 水系媒体1の温度を70℃、T.K.ホモミクサーの回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
造粒工程の後、攪拌機をプロペラ撹拌羽根に換え150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行ってコア粒子を得た。スラリーの温度を55℃に冷却してpHを測定したところ、pH=5.0だった。55℃で撹拌を継続したまま、表層用有機ケイ素化合物の加水分解液を20.0部添加してトナーの表層形成を開始した。そのまま30分保持した後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整して更に300分保持し、表層を形成させた。
(洗浄、乾燥工程)
重合工程終了後、トナー粒子のスラリーを冷却し、トナー粒子のスラリーに塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行い、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子1を得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
トナー粒子1の断面TEM観察においてケイ素マッピングを行い、表層にケイ素原子が存在することを確認した。以降のトナー製造例においても、有機ケイ素重合体を含有する表層は同様のケイ素マッピングで表層にケイ素原子が存在することを確認した。本製造例においては、得られたトナー粒子1を外添せずにそのままトナー1として用いた。
トナー1について行った評価について、その方法を以下に述べる。
<マルテンス硬度の測定>
「トナー硬度の測定方法」で述べた方法により測定を行った。
<固着率の測定方法>
「有機ケイ素重合体の固着率の測定方法」にて述べた方法により測定を行った。
[トナー2、トナー3]
(重合工程)における加水分解液を添加する時の条件、及び添加後の保持時間を表1のように変えた以外は、トナー1と同様の方法でトナーを作製した。なお、スラリーのpH調整は塩酸及び水酸化ナトリウム水溶液で行った。得られたトナー2、トナー3の測定結果を表1に示す。
[トナー4]
トナー1に対して、表2のように外添を行い、トナー4を作製した。外添の方法は、トナー粒子100部に対し、表2に記載の部数の外添剤をSUPERMIXER PICCOLO SMP−2(株式会社カワタ製)に投入して、3000rpmで10分間混合を行った。得られたトナーの測定結果を表1に示す。
[トナー5]
(重合工程)における加水分解液を添加する時の条件、及び添加後の保持時間を表1のように変えた以外は、トナー1と同様の方法でトナー5を作製した。得られたトナーの評価結果を表1に示す。
[トナー6]
(表層用有機ケイ素化合物の加水分解工程)は行わなかった。代わりに、表層用有機ケイ素化合物のメチルトリエトキシシラン30部をモノマーのまま(重合性単量体組成物の調製工程)で添加した。
(重合工程)では70℃に冷却してpH測定を行った後、加水分解液の添加を行わなかった。70℃で撹拌を継続したまま、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整して更に300分保持して表層を形成させた。
得られたトナー6の評価結果を表1に示す。
表中、DHT−4Aは共和化学工業(株)製である。
(クリーニングブレード)
<クリーニングブレードの構成>
本発明のクリーニングブレード8は、弾性部材8aと、弾性部材を支持する支持部材8bとから構成されている。弾性部材は被クリーニング部材に当接されるエッジEDを形成する第一の面M1および第二の面M2が存在する。感光体ドラムの回転方向上流側に位置する面を第一の面、下流側の面をM2とする。
本発明のクリーニングブレードにおいて、弾性部材の「自由端」とは、支持部材によって支持されている端部と反対側の弾性部材の端部である。また、弾性部材の「自由端部分」とは、自由端及びその近傍である。「エッジ」とは、被クリーニング部材に当接されるクリーニングブレードの当接部であって、第一の面および第二の面が交差することによって形成される稜線部である。
本例のクリーニングブレードは、金型内に支持部材を配置した後、ポリウレタンエラストマー等の原料組成物を上記金型内に注入し、加熱して反応硬化させ脱型することによって得ることができる。脱型した後、必要に応じて弾性部材の自由端の先端部及び弾性部材の長手方向の両端部を切断等することができる。
自由端部分にダイナミック硬度DHs、0.07≦DHs≦1.1の部分を形成するには、自由端部分の硬化工程を設けることで実現することができる。弾性部材の先端部に硬化領域を形成する工程は、その切断前であっても切断後でもよい。これにより弾性部材と支持部材とが一体化されたクリーニングブレードを得ることができる。
〔支持部材〕
本発明のクリーニングブレードの支持部材を構成する材料は特に限定されず、例えば以下の材料を挙げることができる。鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、クロムフリー鋼板の如き金属材料、6−ナイロン、6,6−ナイロンの如き樹脂材料等。また、支持部材の構造も特に限定されない。クリーニングブレードの弾性部材は、その一端が支持部材によって支持されている。
〔弾性部材〕
本発明のクリーニングブレード6の弾性部材を構成する材料としては、例えば以下の材料が挙げられる。ポリウレタンエラストマー、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム等。ポリウレタンエラストマーとしては、機械的特性が優れることから、ポリエステルウレタンエラストマーが好ましい。ポリウレタンエラストマーは、主にポリイソシアネート、ポリオール、鎖延長剤、触媒、その他添加剤等の原料から得られる材料である。
〔硬化領域の形成部位〕
弾性部材の先端部における硬化領域の形成部位は、被クリーニング部材に当接される第一の面と第二の面の少なくとも一方の表面である。また、該表面近傍の内部を硬化したものも用いることができる。
硬化領域は更に、弾性部材の先端部の他の面、即ち、第二の面に対向する面、及び弾性部材の長手方向の両端面において形成されていてもよい。この場合、弾性部材の両端面部の剛性を向上させることができる。
〔弾性部材の形状〕
本発明の弾性部材において、第一の面と第二の面とによって形成されるエッジの角度は、特に限定されないが、通常、85〜95度程度である。
本発明の弾性部材における国際ゴム硬さ(IRHD)は、60度以上であることが好ましく、65度以上であることがより好ましい。
<クリーニングブレードの製造方法>
〔硬化領域の形成方法〕
先端部分に硬化領域を形成する方法は、硬化領域形成用の材料を塗布して硬化させることによって行うことができる。この硬化領域形成用の材料は必要に応じて希釈溶剤で希釈して使用され、ディッピング、スプレー、ディスペンサ、刷毛塗り、ローラ塗布等、公知の手段で塗布することができる。硬化領域形成用の材料としてはイソシアネート化合物等を用いることができる。また、表面よりも内部に高硬度領域を存在させるためには、硬化領域形成用の材料(イソシアネート化合物等)を十分に弾性部材の中に含浸する必要がある。硬化領域形成用の材料を高濃度かつ低粘度にすることで含浸は促進されるため、硬化領域形成用材料を希釈等せずに加熱することが効果的である。材料温度は60℃以上が好ましい。
以下、硬化領域形成用の材料としてイソシアネート化合物を用いた例によって、硬化領域の形成方法の一例を説明する。硬化領域形成用の材料を塗布した弾性部材を「前駆体」と称す場合がある。
〔硬化領域形成用の材料〕
硬化領域を形成するための材料は、弾性部材を硬化することが可能なもの、または、弾性部材の表面上に硬化領域を形成することが可能なものであれば特に限定されず、例えばイソシアネート化合物やアクリル樹脂等が挙げられる。硬化領域を形成する材料は、溶剤等で希釈して用いてもよい。希釈に用いる溶剤としては、使用する材料を溶解するものであれば特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
弾性部材の構成材料がポリエステルウレタンエラストマーである場合、硬化領域を形成する材料としては、弾性部材との相溶性や弾性部材への含浸性を考慮すると、ポリエステルウレタンエラストマーの構成材料であるイソシアネート化合物を用いることがより好ましい。弾性部材に接触させるイソシアネート化合物としては、分子中に1個以上のイソシアネート基を有するものを使用することができる。分子中に1個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、オクタデシルイソシアネート(ODI)等の脂肪族モノイソシアネート、フェニルイソシアネート(PHI)等の芳香族モノイソシアネートなどを使用することができる。分子中に2個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物としては、通常、ポリウレタン樹脂の製造に用いられるものが使用でき、具体的には、以下のものを挙げることができる。2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−フェニレンジイソシアネート(MPDI)、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等。また、分子中に3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物として、例えば、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4,4’−ビフェニルトリイソシアネート、2,4,4’−ジフェニルメタントリイソシアネート等が使用できる。また、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物は、その変性誘導体や多量体等も使用可能である。中でも、硬化領域の硬度を効率的に上げるためには、結晶性の高い、つまり構造が対称性をもっているMDIが好ましく、さらに、変性体を含んだMDIは常温で液体であるため、作業性の面からより好ましい。
前記硬化領域は、前記弾性部材の被クリーニング部材に当接されるエッジを形成する第一の面と第二の面の両面に形成されていることが更に好ましい。クリーニング時には像担持体に第一の面と第二の面の両面が接する場合があるためである。
<クリーニングブレードの硬度の測定方法>
本発明において硬化領域の硬度は、以下の方法により測定することができる。測定機と
しては、島津製作所製「島津ダイナミック超微小硬度計 DUH−W211S」を用いる
ことができる。圧子としては、115°三角すい圧子を用い、以下の計算式よりダイナミ
ック硬度を求めることができる。
ダイナミック硬度:DHs=α×P/D2
式中、αは、圧子形状による定数を、Pは、試験力(mN)を、また、Dは圧子のサンプ
ルへの侵入量(押し込み深さ)(μm)を表す。
尚、測定条件は以下の通りである。
α:3.8584、
P:1.0mN、
負荷速度:0.03mN/sec、
保持時間:5秒、
測定環境:温度23℃、相対湿度55%、
測定サンプルのエージング:温度23℃、相対湿度55%の環境下で6時間以上放置
(測定サンプルの調整方法)
測定サンプルの調製方法は以下の通りである。測定サンプルは、画像形成領域内における長手方向を3等分した3箇所のそれぞれの中間点(3個所)から、長手方向に4mm(中間点から両方向に2mm)、短手方向はエッジ7から2mmの寸法で切り出す。
測定サンプルの硬化領域の硬化表面(第一の面)に圧子が垂直に当たるようにサンプルを配置し、長手方向は端部から2mmの位置、短手方向もしくは厚み方向はエッジEDから100μmの位置のダイナミック硬度を測定する。これは当接時に第一の面が主に当接し、トナーを保持する主な役割を担っているためである。
この測定を3個の測定サンプルについて行い、その平均値をクリーニングブレードの表面のダイナミック硬度DHsとする。
<クリーニングブレードの製造方法>
(クリーニングブレード前駆体の製造)
本発明に係るクリーニングブレードの製造方法は、公知の方法の中から適したものを選択すればよく、特に限定されない。また、弾性部材の製造方法は、金型成形法や遠心成形法等の公知の方法の中から適したものを選択すればよい。例えば、弾性部材を形成するためのキャビティを備えたクリーニングブレード用金型内に、弾性部材との接触部分に接着剤を塗布した支持部材を配置する。一方、ポリイソシアネートとポリオールを部分的に重合したプレポリマーならびにポリオール、鎖延長剤、触媒、その他添加剤を含む硬化剤を注型機内に投入し、ミキシングチャンバー内で、一定比率にて混合、攪拌し、ポリウレタンエラストマー等の原料組成物を得る。この原料組成物を上記金型内に注入して支持部材の接着剤塗布面上に硬化成型物(弾性部材)を形成し、反応硬化後に脱型する。必要に応じて、弾性部材を所定の寸法や、弾性部材の当接部のエッジ寸法精度を確保するために適宜切断して、支持部材と弾性部材が一体的に成形されたクリーニングブレード前駆体を製造することができる。
また、弾性部材を遠心成形機により製造する場合は、ポリイソシアネートとポリオールを部分的に重合したプレポリマーならびにポリオール、鎖延長剤、触媒、その他添加剤を含む硬化剤を混合、攪拌して得たポリウレタンエラストマー等の原料組成物を、回転するドラム内に投入し、ポリウレタンエラストマーシートを得る。このポリウレタンエラストマーシートを、所定の寸法や、弾性部材の当接部のエッジ寸法精度を確保するために切断する。このようにして得られたポリウレタンエラストマーシート(弾性部材)を、接着剤を塗布した支持部材に貼り付けて、クリーニングブレード前駆体を製造することができる。
(硬化領域の形成)
硬化領域の形成は既に説明した方法によって行うことができる。即ち、先ず、クリーニングブレード前駆体の弾性部材の先端部の第一の面及び第二の面等に硬化領域形成用の材料を塗布する。次いで、弾性部材の先端部を、例えば温度80℃以上で3分間以上、加熱処理する。これにより、弾性部材の先端部の表面及び内部に硬化領域を形成することができる。
被クリーニング部材に当接するためのエッジをクリーニングブレードに形成するために弾性部材を切断することが必要な場合、硬化領域の形成はその切断前でも切断後であっても構わない。なお、遠心成形の場合は支持部材に接合される前に硬化領域を形成することもできる。以上のようにして、クリーニングブレードを得ることができる。
以下、製造したクリーニングブレードの例を示す。
[クリーニングブレード1]
この製造例においては、図3に示す一体成型タイプのクリーニングブレードを製造して評価した。
1.支持部材
厚さ1.6mmの亜鉛めっき鋼板を用意し、これを加工して、断面がL字形状の支持部材8bを得た。なお、この支持部材の弾性部材8aが接触する箇所に、ポリウレタン樹脂接着用の接着剤(商品名;ケムロック219、ロード・コーポレーション社製)を塗布した。
2.弾性部材用原料の調製
表1中の成分1の欄に示す種類と量の材料を80℃で3時間、攪拌しながら反応させてイソシアネートのモル濃度が8.50%のプレポリマーを得た。このプレポリマー1000gに、表1中の成分2の欄に示す種類と量の材料からなる硬化剤212.9gを混合して、イソシアネート基に対する水酸基のモル比(α値)0.60のポリウレタンエラストマー組成物を調製し、これを弾性部材用原料とした。
3.支持部材と弾性部材の一体成型
上記支持部材の接着剤塗布箇所をキャビティ内に突出する様に配置したクリーニングブレード用成形金型内に、前記ポリウレタンエラストマー組成物を注入し、130℃で2分間硬化させた後に脱型して、弾性部材と支持部材との一体成型体を得た。
この一体成型体を、硬化領域形成前に適宜切断して、エッジの角度90度、弾性部材の短手方向、厚み方向および長手方向の距離をそれぞれ7.5mm、1.6mm、237mmとした。
4.硬化領域の形成
硬化領域形成用材料として変性MDI(商品名;ミリオネートMTL、東ソー社製)を準備した。この硬化領域形成用材料を90℃に加熱し、この材料中に、支持部材に対向する側の表面(図2中の符号11)を除く他の5表面が浸漬するように前記一体成型体の弾性部材を30秒間浸漬して、各表面上に前記材料を塗工した。その後、溶剤として酢酸ブチルを浸したスポンジにて、弾性部材の表面上の硬化領域形成用材料を拭きとった。
このようにして、弾性部材の5つの表面(第一の面、第二の面、第二の面に対向する面、長手方向の両端面)及びそれら表面下の内部に硬化領域が形成されたクリーニングブレード1を得た。なお、弾性部材の成型から24時間経過後に硬化領域の形成を行った。
[クリーニングブレード2]
硬化領域形成の工程を省いた以外は、クリーニングブレード1と同じの条件でクリーニングブレードを形成した。
[クリーニングブレード3]
弾性部材用原料の調製製造方法において、イソシアネート基に対する水酸基のモル比(α値)0.90のポリウレタンエラストマー組成物を調製しこれを弾性部材用原料とした以外は、クリーニングブレード2と同じ条件でクリーニングブレード3を形成した。硬化領域形成の処理は行わなかった。
[クリーニングブレード4]
硬化領域の形成における、硬化領域形成用材料の温度を90℃、浸漬時間を90秒に変更した以外は、クリーニングブレード1と同じ条件でクリーニングブレード4を得た。
〔クリーニングブレード5〕
硬化領域の形成における、硬化領域形成用材料の温度を90℃、浸漬時間を150秒に変更した以外は、クリーニングブレード1と同じ条件でクリーニングブレード5を得た。
表4に作成したクリーニングブレードの製造条件とダイナミック硬度の測定結果を示す。
(クリーニングブレードと感光体ドラムの位置関係)
上記特徴を有し、先端が微小に変形するブレードにおいて、マルテンス硬度200MPa〜1100MPaのトナーをクリーニングするために必要な力を発生させるには、設定角18〜26°、侵入量0.6〜1.4mmが好適である。
なお、クリーニングブレードの設定角、侵入量は以下のように規定される。
(1)設定角
クリーニングブレードをその弾性体エッジが丁度感光体ドラムと接する仮想点Fに配置した時の感光体ドラムの接線とクリーニングブレードのエッジを挟む感光体ドラム回転方向下流側の平面のなす角度θ。図4(a)
(2)侵入量
前記仮想点Fから前記接線と90°方向にクリーニングブレードを感光体ドラムと当接する方向に移動させたときの移動量δ。図4(b)
感光体ドラムがいない状態でクリーニングブレードのエッジが上記(1)(2)の位置に配置されるようにクリーニングブレードを固定する。固定し、感光体ドラムと接したとき、実際のクリーニングブレードは図4(c)のような形に変形する。
(実施例)
実施例1〜6、比較例1〜4として表5に示すようなトナー1〜6とクリーニングブレード1〜5の組み合わせを準備した。
(実験)
(トルク)
プロセスカートリッジ7の現像剤室18に実施例1〜6、比較例1〜4のトナー100gを充填した。同じく、感光体ユニット13に実施例1〜6、比較例1〜4のクリーニングブレードを取り付け、設定角θ22°、侵入量δ1.0mmに設定した。
室温15℃、相対湿度10%Rh環境で、現像ローラ当接状態において、感光体表面速度296mm/s、現像ローラの表面速度425mm/sで回転させながら、帯電ローラに−1kV、現像ローラを接地、供給ローラと規制部材に−100Vを印可した。
回転開始から30秒経過後から2秒間の感光体駆動トルクを測定した。評価は以下のように行った。
A:低トルク性良好 0.16N・m以下
B:低トルク効果あり 0.16N・mを超え0.18N・m以下
C:低トルク効果が見られない 0.18N・mを超える。
評価A、Bであったものを低トルク化の効果ありとした。結果を表5「トルク」の列に示す。
(帯電部材の汚れ)
トルク評価でA、Bであった例に対し、画像形成装置100により、室温15℃、相対湿度10%Rh環境で、印字率1%の15000枚の画像形成を行った。画像形成2枚ごとに間欠時間3秒を設けた。
感光体表面速度296mm/s、現像ローラ表面速度425mm/sとし、感光体表面電位−500V、現像ローラの印可電圧−350V、供給ローラの電圧−450V、規制部材の電圧−450Vとした。
15000枚画像形成後の帯電ローラの汚れ具合を評価した。評価は以下のように行った。
A:目視で汚れなく、画像への影響なし
B:目視で軽微な汚れあるが画像への影響なし
C:目視で汚れており、画像への影響もある
画像への影響とは、ハーフトーン画像の記録材搬送方向に帯電ローラの汚染に起因するスジの発生があるものを影響ありとしている。
結果を表5「帯電部材汚染」の列に示す。画像への影響がないA、Bを発明の効果ありとした。
実施例1〜6においてはトルクが0.18N・m以下となっており、低トルク化できることが分かった。
現像剤であるトナーに対する有機ケイ素重合体の表層の固着率を90%以上にすることで、図5(a)に示すように、クリーニングブレード6と像担持体である感光体ドラムの接触部でトナーからはがれた有機ケイ素重合体表層粒子が少ない状態となる。これにより、マルテンス硬度200〜1100MPaの、変形しにくいトナー粒子Tがクリーニングブレードと感光体ドラムの間に挟まれたときにスペーサとして作用し、接触面積が減らされトルクを下げられる。
この状態でクリーニングブレードのダイナミック硬度をDHsを0.07〜1.1とすることでトナー粒子に十分な力を加えることができ、すり抜けが起こらず、帯電部材の汚れを防止できる。
比較例1ではトナーのマルテンス硬度が高いため、接触部に挟まれたトナーが感光体ドラムを傷つけ、傷部からトナー、有機ケイ素重合体のすり抜けが発生した。
比較例2ではトナーのマルテンス硬度が低く、また有機ケイ素の固着率も90%以下であるため、トルクが高くなった。15000枚印字は行っていないが、トルク測定試験において帯電部材の汚れが発生しており、長期の使用においては帯電部材の汚れも問題になると予想される。
トナーのマルテンス硬度が200MPa以下であるとトナーは図5(b)に示すように接触部で扁平に変形し、トナーを介した弾性体と感光体の接触面積が増えトルクが増大する。また、図5(c)に示すように、クリーニング部やその他の場所でトナーからはがれたケイ素重合体表層によってクリーニングブレードとトナーと感光体ドラムで形成されるすき間が埋められてしまい(図5中Mで表記)、接触面積が増してトルクが高くなってしまったと考えられる。
比較例3ではクリーニングブレードの硬度が低すぎるため、トナーに十分な圧力が作用せず、接触部からトナーすり抜けが発生し、帯電部材が汚染された。
比較例4ではクリーニングブレード硬度が高く、変形が極小さいため接触部にトナーが挟まれない。また、固着率が高いためクリーニングブレードと感光体ドラムが直接接触することとなり、耐久でクリーニングブレードの欠けが発生し、欠けからトナーのすり抜けが発生し、帯電部材の汚れとなって表れた。
(低トルクと耐久高画質を両立できるクリーニングブレードの姿勢範囲)
実施例1の構成に対して、設定角θと侵入量δをさまざまに変え、室温15℃、相対湿度10%Rhでトルクを測定した。結果を表6に示す。符号は表5の通りである。設定角18〜26°、侵入量0.6〜1.4mmの範囲であれば、トルクは0.2N・m以下となる。
また、室温15℃、相対湿度10%Rhの環境で15000枚の1%印字率画像形成を行った。表7に結果を示す。クリーニング性は侵入量が大きくなるほど接触部の接触力が増し、クリーニング性がよくなるので、0.6〜1.4mmの範囲、設定角18〜26°の範囲で好適にクリーニングできることが分かった。
以上より、本発明のトナーで十分な圧力を加えて好適にクリーニングしつつ、トルク低減効果を維持するには、18〜26°、0.6〜1.4mm、より好ましくは、20〜24°、0.9〜1.2mmの範囲である。
なお、侵入量0.6mm未満または、設定角18°未満の領域では室温10℃、相対湿度15%Rhの環境においてクリーニングブレードの追従性が低く、感光体ドラムの偏心やクリーニングブレードのエッジの微小凹凸に起因してトナーが帯状にすり抜けることがある。
また、侵入量1.4mm以上または設定角26°を超える範囲では、室温30℃、相対湿度80%Rhの環境において、クリーニングブレードのめくれが発生することがあった。
以上述べたように、本発明によれば、感光体ドラムとクリーニングブレードの接触面積を小さく保つことができ、かつ、接触部のトナーに十分な保持圧力を加えることができる。これにより、感光体駆動トルクが低く、帯電部材の汚染によるスジ画像、濃度ムラの問題がないプロセスカートリッジ供することができる。
1 感光体ドラム、2 帯電ローラ、3 現像ユニット、4 現像ローラ、
5 供給ローラ、6 現像剤規制ブレード、7 プロセスカートリッジ、
8 クリーニングブレード、9 トナー回収容器、10 現像剤、
12 記録材、13 感光体ユニット、17 現像室、18 現像剤収容室、
22 撹拌シート、30 スキャナ、31 中間転写ベルト、
32 一次転写ローラ、33 二次転写ローラ、34 定着器、
35 中間転写ベルトクリーナ、100 画像形成装置

Claims (3)

  1. 現像剤と、現像装置と、現像剤によって静電潜像が現像されて形成される現像剤像を担持する像担持体と、帯電部材と、前記像担持体と接触する接触部を備え、前記接触部によって前記像担持体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、を有するプロセスカートリッジであって、
    前記現像剤は表層にR0−SiO(R0は炭素1〜6個のアルキル基)で示される有機ケイ素重合体を含み、
    前記有機ケイ素重合体の現像剤に対する固着率が90%以上であって、
    最大荷重2.0×10−4Nの条件で測定した時のマルテンス硬度が、200MPa以上1100MPa以下であって、
    前記クリーニング部材の前記像担持体との接触部のダイナミック硬度をDHsとし、ダイナミック硬度は、
    0.07(mN/μm2)≦DHs≦1.1(mN/μm2)
    であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  2. 前記クリーニング部材の前記像担持体に対する当接姿勢において設定角θ、侵入量δとしたとき、
    18≦θ≦26(°)、
    0.6≦δ≦1.4(mm)
    であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスカートリッジ。
  3. 請求項1又は2に記載のプロセスカートリッジを着脱可能に備えたことを特徴とする画像形成装置。
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