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JP2019524792A - 化合物 - Google Patents

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Abstract

【化1】本発明はある特定の新規の化合物を対象とする。具体的には、本発明は、式(I)の化合物及びその塩を対象とする。本発明の化合物はキナーゼ活性、特にPI3-キナーゼ活性の阻害剤である。【選択図】なし

Description

本発明は、キナーゼ活性の阻害剤である化合物、この化合物を含む医薬組成物、及び様々な疾患の治療におけるこの化合物又は組成物の使用を対象とする。より具体的には、本発明の化合物は、ホスホイノシチド3'OHキナーゼファミリー(本明細書でこれより以下はPI3-キナーゼ)、例えばPI3Kδ、PI3Kα、PI3Kβ及び/又はPI3Kγの活性又は機能の阻害剤である。
細胞膜は、様々なシグナル伝達経路に関与することができる二次メッセンジャーの大きな貯蔵所に相当する。リン脂質シグナル伝達経路におけるエフェクター酵素の機能及び調節と関連して、クラスI PI3-キナーゼ(例えばPI3Kデルタ)は、膜リン脂質プールから二次メッセンジャーを生成する。クラスI PI3Kは、膜リン脂質PI(4,5)P2を、二次メッセンジャーとして機能するPI(3,4,5)P3に変換する。PI及びPI(4)PもまたPI3Kの基質であり、リン酸化して、それぞれPI3P及びPI(3,4)P2に変換し得る。加えて、これらのホスホイノシチドは、5'-特異的及び3'-特異的ホスファターゼにより他のホスホイノシチドへと変換し得る。従って、PI3Kの酵素活性は、細胞内シグナル伝達経路において二次メッセンジャーとして機能する2種の3'-ホスホイノシチドサブタイプの産生を直接的又は間接的にもたらす(Vanhaesebroeckらによる、Trends Biochem. Sci. 22(7) p.267-72 (1997); Leslieらによる、Chem. Rev.101 (8) p.2365-80 (2001);Katsoらによる、Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17 p.615-75 (2001);及びTokerらによる、Cell. Mol. Life Sci. 59(5) p.761-79 (2002))。今日までに、8種の哺乳動物のPI3Kが同定され、配列相同性、構造、結合パートナー、活性化モード、及び基質優先度に基づき、3つの主要クラス(I、II、及びIII)に分割されている。in vitroで、クラスI PI3Kは、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルイノシトール-4-リン酸(PI4P)、及びホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸(PI(4,5)P2)をリン酸化することにより、ホスファチジルイノシトール-3-リン酸(PI3P)、ホスファチジルイノシトール-3,4-ビスリン酸(PI(3,4)P2)、及びホスファチジルイノシトール-3,4,5-トリスリン酸(PI(3,4,5)P3)をそれぞれ産生することができる。クラスII PI3KはPI及びPI4Pをリン酸化することができる。クラスIII PI3Kは、PIのみをリン酸化することができる(Vanhaesebroeckら、(1997)上記;Vanhaesebroeckら、Exp. Cell Res. 253(1) p.239-54 (1999);及びLeslieら、(2001)上記)。
クラスI PI3Kは、p110触媒サブユニット及び調節サブユニットからなるヘテロ二量体であり、このファミリーは、調節パートナー及び調節機序に基づきクラスIa及びクラスIbの酵素へとさらに分割される。クラスIaの酵素は、5種の別個の調節サブユニット(p85α、p55α、p50α、p85β、及びp55γ)と共に二量体化する3つの別個の触媒サブユニット(p110α、p110β、及びp110δ)からなり、すべての触媒サブユニットは、すべての調節サブユニットと相互作用して、様々なヘテロ二量体を形成することができる。クラスIa PI3Kは、受容体チロシンキナーゼの成長因子刺激に応答して、調節サブユニットSH2ドメインと、活性化した受容体又はアダプタータンパク質、例えばIRS-1などの特定のホスホ-チロシン残基との相互作用を介して一般的に活性化する。小さなGTPアーゼ(一例としてras)もまた、受容体チロシンキナーゼ活性化と併せてPI3Kの活性化に関与している。p110αとp110βの両方がすべての細胞型において構成的に発現するのに対して、p110δの発現は白血球集団及び一部の上皮細胞にさらに限定される。対照的に、単一のクラスIb酵素は、p101調節サブユニットと相互作用するp110γ触媒サブユニットからなる。さらに、クラスIb酵素は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)系に応答して活性化し、その発現は白血球に限定されているようにみえる。
Figure 2019524792
上記スキームAに例示されているように、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)は、イノシトール環の3位の炭素のヒドロキシルをリン酸化する。PtdIns(3,4,5)P3、PtdIns(3,4)P2及びPtdIns(3)Pを産生するホスホイノシチドのリン酸化は、細胞増殖、細胞分化、細胞成長、細胞サイズ、細胞生存、アポトーシス、接着、細胞運動性、細胞遊走、走化作用、浸潤、細胞骨格再編成、細胞形状の変化、ベシクルトラフィッキング及び代謝経路に必要不可欠なものを含めた、様々なシグナル伝達経路に対する二次メッセンジャーを産生する(Katsoら、(2001)上記;及びSteinらによるMol. Med. Today 6(9) p.347-57 (2000))。
これらのリン酸化シグナル伝達産物を産生することに関与しているPI3-キナーゼの活性は当初、ウイルスオンコプロテイン並びにホスファチジルイノシトール(PI)及びそのリン酸化誘導体をイノシトール環の3'-ヒドロキシルにおいてリン酸化する成長因子受容体チロシンキナーゼに関連するものとして同定された(Panayotouら、Trends Cell Biol. 2 p.358-60 (1992))。しかし、より最近の生化学的研究から、クラスI PI3-キナーゼ(例えばクラスIAアイソフォームPI3Kδ)が、脂質キナーゼ活性(ホスホイノシチドのリン酸化)並びにプロテインキナーゼ活性(分子内調節機序としての自己リン酸化を含めて、基質として他のタンパク質をリン酸化することが可能であることが示されている)の両方を示すことを意味する二重特異的キナーゼ酵素であることが明らかとなった(Vanhaesebroeckらによる、EMBO J. 18(5) p.1292-302 (1999))。PI3Kが主要な役割を果たす細胞プロセスとして、アポトーシスの抑制、アクチン骨格の再編成、心筋細胞の成長、インスリンによるグリコーゲン合成酵素刺激、TNFα媒介性の好中球プライミング及びスーパーオキシド産生、並びに白血球の内皮細胞への遊走及び接着が挙げられる。
PI3-キナーゼ活性化は、細胞成長、分化、及びアポトーシスを含めた広範囲な細胞応答に関与していると考えられている(Parker, Current Biology 5(6) p.577-79 (1995);及びYaoら、Science 267(5206) p.2003-06 (1995))。PI3-キナーゼは、白血球活性化のいくつかの態様に関与しているようにみえる。p85-関連PI3-キナーゼは、抗原に応答したT細胞活性化のための重要な共刺激分子であるCD28の細胞質ドメインと物理的に関連することが示されている(Pagesら、Nature 369 p.327-29 (1994);及びRudd, Immunity 4 p.527-34 (1996))。CD28を介したT細胞の活性化は、抗原による活性化に対する閾値を低下させ、増殖性応答の規模及び期間を増加させる。これらの作用は、重要なT細胞成長因子であるインターロイキン-2(IL2)を含むいくつかの遺伝子の転写の増加と関係している(Fraserら、Science 251 (4991) p.313-16 (1991))。
PI3KγはJNK活性のGベータ-ガンマ依存性調節の伝達物質として同定され、Gベータ-ガンマはヘテロ三量体Gタンパク質のサブユニットである(Lopez-Ilasacaら、J. Biol. Chem. 273 (5) p.2505-8 (1998))。最近では(Laffargueら、Immunity 16(3) p.441-51 (2002))、PI3Kγが、様々なG(i)共役受容体を介して炎症性シグナルを中継し、例えばサイトカイン、ケモカイン、アデノシン、抗体、インテグリン、凝集因子、成長因子、ウイルス又はホルモンを含めた、肥満細胞の機能、白血球との関連での刺激、及び免疫学の中心であることが記載されている(Lawlorらによる、J. Cell Sci. 114(Pt16) p.2903-10 (2001);Laffargueら、(2002)上記;及びStephensらによる、Curr. Opinion Cell Biol. 14(2) p.203-13 (2002))。
酵素のファミリーの個々のメンバーに特異的な阻害剤は、各酵素の機能を解読するための貴重なツールを提供する。2種の化合物、LY294002及びワートマニン(後述)は、PI3-キナーゼ阻害剤として広く使用されてきた。これらの化合物は、クラスI PI3-キナーゼの4つのメンバーを区別しないため、非特異的PI3K阻害剤である。例えば、様々なクラスI PI3-キナーゼのそれぞれに対するワートマニンのIC50値は、1〜10nMの範囲である。同様に、これらのPI3-キナーゼのそれぞれに対するLY294002に対するIC50値は約15〜20μMである(Frumanら、Ann. Rev. Biochem. 67 p.481-507 (1998))、またCK2タンパク質キナーゼに対して5〜10ミクロMであり、ホスホリパーゼに対してはいくらかの阻害活性がある。ワートマニンは、PI3Kの触媒ドメインに共有結合することによって、PI3K活性を不可逆的に阻害する真菌代謝物である。ワートマニンによるPI3K活性の阻害は、細胞外因子に対するその後の細胞応答を排除する。例えば、好中球は、PI3Kを刺激し、PtdIns(3、4、5)P3を合成することによって、ケモカインfMet-Leu-Phe(fMLP)に応答する。この合成は、侵入微生物の好中球破壊に関与している呼吸バーストの活性化と相関する。ワートマニンによる好中球の治療は、fMLP誘発性呼吸バースト応答を阻止する(Thelenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91 p.4960-64 (1994))。実際に、ワートマニンを用いたこれらの実験、並びに他の実験的証拠は、造血系細胞、特に好中球、単球、及び他の種類の白血球におけるPI3K活性が、急性及び慢性炎症を伴う非記憶免疫応答の多くに関与していることを示している。
Figure 2019524792
ワートマニンを使用した研究に基づき、PI3-キナーゼ機能はまた、Gタンパク質共役受容体を介した白血球シグナル伝達の一部の態様にも必要とされるという証拠が存在する(Thelenら、(1994)、上記)。さらに、ワートマニン及びLY294002は、好中球遊走及びスーパーオキシド放出を遮断することが示されている。
癌遺伝子及び腫瘍サプレッサー遺伝子の調節解除が、例えば細胞成長及び増殖の増加又は細胞生存の増加を通して悪性腫瘍形成の原因となることは現在十分に理解されている。また現在では、PI3Kファミリーにより媒介されるシグナル伝達経路が増殖及び生存を含むいくつかの細胞プロセスにおいて中心的役割を有すること、並びにこれらの経路の調節解除が幅広い範囲のヒト癌及び他の疾患の原因因子であることが公知である(Katsoら、Annual Rev. Cell Dev. Biol. (2001) 17 p.615-675及びFosterら、J. Cell Science (2003) 116(15) p.3037-3040)。PI3Kエフェクタータンパク質は、PtdIns(3,4,5)P3と特異的に相互作用する保存されたプレクストリン相同(PH)ドメインを介して原形質膜に転位置することによりシグナル伝達経路及びネットワークを開始する(Vanhaesebroeckら、Annu. Rev. Biochem. (2001) 70 p.535-602)。PtdIns(3,4,5)P3及びPHドメインを介してシグナル伝達するエフェクタータンパク質として、セリン/スレオニン(Ser/Thr)キナーゼ、チロシンキナーゼ、Rac又はArf GEF(グアニンヌクレオチド交換因子)及びArf GAP(GTPアーゼ活性化タンパク質)が挙げられる。
B及びT細胞において、PI3Kは、B細胞ではブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)、T細胞ではインターロイキン2誘導性T細胞キナーゼ(ITK)を含むTecファミリーのタンパク質チロシンキナーゼの活性化を介して重要な役割を有する。PI3Kの活性化の際に、BTK又はITKは原形質膜に転位し、ここで、これらは、続いてSrcキナーゼによりリン酸化される。活性化したITKの主要な標的の1つはホスホリパーゼC-ガンマ(PLCγ1)であり、このPLCγ1は、PtdIns(4,5)P2をIns(3,4,5)P3に加水分解し、活性化T細胞においてタンパク質キナーゼCを活性化できるカルシウムレベル及びジアシルグリセロール(DAG)の細胞内増加を起動する。
クラスIA p110α及びp110βとは異なり、p110δは組織に限定された形式で発現する。リンパ球及びリンパ系組織におけるその高い発現レベルは、免疫系におけるPI3K媒介性シグナル伝達におけるある役割を示唆している。p110δキナーゼデッドノックインマウスは生存可能でもあり、これらの表現型は免疫シグナル伝達における欠陥に限定される(Okkenhaugら、Science (2002) 297 p.1031-4)。これらの遺伝子組み換えマウスにより、B細胞及びT細胞のシグナル伝達におけるPI3Kδの機能についての見識が得られた。特に、p110δは、CD28及び/又はT細胞受容体(TCR)シグナル伝達の下流のPtdIns(3,4,5)P3形成に必要とされる。TCRの下流のPI3Kシグナル伝達の主要な作用は、抗アポトーシス因子並びにサイトカイン産生のための様々な転写因子をリン酸化するAktの活性化である。結果として、不活性なp110δを有するT細胞は、増殖並びにTh1及びTh2のサイトカイン分泌に欠陥を有する。CD28を介したT細胞の活性化は、抗原によるTCR活性化の閾値を低下させ、増殖応答の規模及び期間を増加させる。これらの作用は、重要なT細胞成長因子であるIL2を含むいくつかの遺伝子の転写におけるPI3Kδ依存性の増加により媒介される。
従って、PI3K阻害剤は、呼吸器疾患、例えば喘息、COPD及び嚢胞性線維症などに関連するT細胞媒介性炎症性応答をモジュレートすることにおけるその役割を介して療法上の利益を提供すると予測される。加えて、T細胞を対象とした療法がコルチコステロイド減量特性を提供し得るという指摘があり(Alexanderら、Lancet (1992) 339 p.324-8)、これは、この療法が呼吸器疾患において単独療法として、又は吸入用若しくは経口用糖質コルチコステロイドと組み合わせて、有用な療法を提供し得ることを示唆している。PI3K阻害剤はまた、喘息において、他の従来の療法、例えば長時間作用性βアゴニスト(LABA)又はロイコトリエンアンタゴニストなどと一緒に使用してもよい。
血管系では、PI3Kδは、内皮細胞により発現され、TNFアルファに応答したこれらの細胞の接着促進(proadhesive)状態をモジュレートすることにより好中球トラフィッキングに関与している(Puriら、Blood (2004) 103(9) p.3448-56)。内皮細胞のTNFアルファ誘発性シグナル伝達におけるPI3Kδに対する役割は、Aktリン酸化及びPDK1活性の薬理学的阻害により実証されている。加えて、PI3Kδは、VEGF経路を介して血管透過性及び気道組織浮腫に関わっている(Leeら、J. Allergy Clin. Immunol. (2006) 118(2) p.403-9)。これらの観察は、喘息に関連する白血球の血管外遊出及び血管透過性の同時減少による、喘息におけるPI3Kδ阻害の追加の利益を示唆している。加えて、PI3Kδ活性は、in vitro及びin vivoの両方で肥満細胞機能に必要とされ(Aliら、Nature (2004) 431 p.1007-11;及びAliら、J. Immunol. (2008) 180(4) p.2538-44)、これは、PI3K阻害が、アレルギー性徴候、例えば喘息、アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎などに対する療法上の利益があるはずだということをさらに示唆している。
B細胞増殖、抗体分泌、B細胞抗原及びIL-4受容体のシグナル伝達、B細胞の抗原提示機能におけるPI3Kδの役割もまた十分立証されており(Okkenhaugら、(2002)上記; Al-Alwanら、J. Immunol. (2007) 178(4) p.2328-35;及びBilancioら、Blood (2006) 107(2) p.642-50)、これは、自己免疫疾患、例えば関節リウマチ又は全身性エリテマトーデス(SLE)などにおける役割を示している。従って、PI3K阻害剤はまた、これらの徴候に対しても有効であり得る。
PI3Kδの薬理学的阻害は、ICAMコーティングしたアガロースマトリックスインテグリン依存性バイアスシステムに対してfMLP依存性好中球走化作用を阻害する(Sadhuら、J. Immunol. (2003) 170(5) p.2647-54)。PI3Kδの阻害は、黄色ブドウ球菌に対する好中球媒介性ファゴサイトーシス及び殺菌活性に影響を与えることなく、好中球の活性化、接着及び遊走を調節する(Sadhuら、Biochem. Biophys. Res. Commun. (2003) 308(4) p.764-9)。総合的には、データは、PI3Kδ阻害により、先天性免疫防御に必要とされる好中球機能が全体的に阻害されないはずだということを示唆している。好中球におけるPI3Kδの役割は、組織リモデリング、例えばCOPD又は関節リウマチなどを伴う炎症性疾患を治療するためのさらなる作用域を提供する。
PI3Kδの阻害はまた、癌免疫療法へとつながり得る。例えば、PI3Kδは調節T細胞(Tregs)において重大なシグナル伝達役割を有し、この役割によりこれらの増大が可能となる(Pattonら、PLoS One. 2011;6(3):e17359)。Tregsの活性化は、癌細胞が免疫学的耐性を作り、免疫監視機構から脱出することを可能にする主要プロセスの1つである。PI3Kδ阻害剤がある役割を果たし得る癌免疫の別の態様は、培養中の気道上皮細胞において示されているように、PD-L1(プログラム細胞死1リガンド1)の発現を上方調節することにある(Kan-Oら、Biochem Biophys Res Commun. 2013;435(2):195-201)。様々な細胞型、例えばT及びBリンパ球、NK及びDC細胞又は上皮細胞などに発現したPD-L1は、T細胞依存性免疫、例えば細胞傷害性CD8 T細胞の活性化などを抑制することに関与している。PD-L1を標的とする中和抗体が癌免疫治療剤として現在開発されている。従って、PI3Kδ阻害は、抗腫瘍応答を促進する新規の方式を提供することができる。同様の論理的根拠を抗感染免疫にも適用することができ、この場合、TregsとCD8のバランスが、免疫応答、例えばウイルス感染症などの結果において重要な役割を果たすことが公知である。
中枢神経系(CNS)もまたPI3Kδ発現を豊富に含む(Eickholtら、PLoS One 2007 11;2(9):e869)。より最近の報告では、統合失調症との関係を持つ、CNSにおけるPI3Kδと、ニューレグリンNRG-1及びErbB4受容体との間の連結をさらに発見した(Lawら、Proc Natl Acad Sci USA. 2012;109(30):12165-70)。原形質部分、Cyt1を含有するErbB4のスプライス変種の発現の増加が、PI3K経路の活性化並びに統合失調症の危険性の増加をもたらすことは以前から公知であった。Lawらによる刊行物は、統合失調症がPI3Kδアイソフォームに優先的にカップリングするCyt1に遺伝的に関連することを示している。さらに、PI3Kδ選択的阻害剤、IC87114は、アンフェタミン誘発性精神病のマウスモデルにおいて顕著な効力を示した(Lawら、Proc Natl Acad Sci USA. 2012;109(30):12165-70)。従って、PI3Kδ阻害剤は、統合失調症の新規療法の手法に対する基礎を形成する潜在能力を有する。
加えて、クラスIA PI3K酵素が、直接的に又は間接的に多種多様なヒト癌において腫瘍化の一因となっているという有力な証拠もまた存在する(Vivanco及びSawyers, Nature Reviews Cancer (2002) 2(7) p.489-501)。例えば、PI3Kδの阻害は、悪性血液疾患、例えば急性骨髄性白血病などの治療に対して療法的役割を有し得る(Billottetら、Oncogene (2006) 25(50)p.6648-59)。さらに、p110α(PIK3CA遺伝子)内の変異の活性化は、様々な他の腫瘍、例えば結腸並びに乳房及び肺の腫瘍などに関連している(Samuelsら、Science (2004) 304(5670) p.554)。
PI3Kが、有痛性炎症状態の中枢性感作の確立に関与していることも示されている(Pezetら、The J. of Neuroscience (2008) 28 (16) p.4261-4270)。
多種多様なレトロウイルス及びDNAベースのウイルスは、ウイルス感染中の宿主細胞の死を阻止し、最終的にはその複製のためにこの宿主細胞の合成機構を利用する手段としてPI3K経路を活性化する(Vogtらによる、Virology 344(1) p.131-8 (2006);及びBuchkovichらによる、Nat. Rev. Microbiol. 6(4)p.265-75 (2008))。従って、PI3K阻害剤は、より確立した腫瘍退縮性及び抗炎症性の徴候に加えて抗ウイルス性特性を有し得る。これらの抗ウイルス作用により、ウイルス誘発性の炎症増悪において興味深い展望が生じる。例えば、一般的な風邪のヒトライノウイルス(HRV)は呼吸器感染症の50%超の原因であるが、これらの感染症の合併症はある特定の集団において重大となり得る。これは、特に、呼吸器疾患、例えば喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの場合である。上皮細胞のライノウイルス感染症は、PI3K依存性サイトカイン及びケモカインの分泌をもたらす(Newcombらによる、J. Biol. Chem. (2005) 280(44) p.36952)。この炎症性応答は、感染中の呼吸器症状の悪化と相関する。従って、PI3K阻害剤は、他の良性ウイルスに対する過度の免疫応答の勢いを弱めることができる。HRV株の大部分は、最初にICAM-1受容体に結合することによって気管支上皮細胞に感染する。HRV-ICAM-1複合体は、次いでエンドサイトーシスによりさらに内在化し、この事象はPI3K活性を必要とすることが示されている(Lauらによる、J. Immunol. (2008) 180(2) p.870-880)。従って、PI3K阻害剤は、宿主細胞へのウイルス侵入を阻害することによって、ウイルス感染症を遮断することもできる。
PI3K阻害剤は、真菌感染症、アスペルギルス症を含む他の種類の呼吸器感染症を減少させるのに有用であり得る(Bonifaziらによる、Mucosal Immunol. (2010) 3(2) p.193-205)。加えて、PI3Kδ欠損マウスは、寄生原虫である大形リーシュマニア(Leishmania major)による感染(Liuらによる、J. Immunol.(2009) 183(3) p.1921-1933)又は細胞内細菌リステリア(bacteria Listeria)による感染(Pearceら、J. Immunol. (2015) 195(7) p.3206-17)に対してより耐性がある。ウイルス感染症に対する作用を考慮すると、これらの報告は、PI3K阻害剤が多種多様な感染症の治療に対して有用であり得ることを示唆している。
公開された報告は、一般的な気道細菌性病原体肺炎球菌(S. Pneumoniae)による感染を阻止することにおいて潜在的利益を有するPI3Kδ阻害剤を提示している(Fallahら、Mech. Ageing Dev. 2011; 132(6-7): 274-86)。この報告では、PI3Kδが、高齢者において、肺炎球菌に対して有効な抗体応答を組み込むために必要とされる、マクロファージ由来のサイトカインを減少させることが示されている。従って、PI3Kδ阻害剤の抗細菌性による利益は、細菌性呼吸器感染症並びに呼吸器の状態及び肺障害の細菌性増悪、例えば喘息、COPD及び嚢胞性線維症、並びに肺炎などの治療に有用となり得る。
PI3K阻害はまた、制御性T細胞分化を促進することが示されており(Sauerらによる、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A (2008) 105(22) p.7797-7802)、PI3K阻害剤が自己抗原又はアレルゲンに対する免疫耐性を誘発することによって、自己免疫又はアレルギー徴候において療法的目的の役目を果たすことができることを示唆している。PI3Kδアイソフォームはグルココルチコイドに対する煙誘発性無感覚にも関連している(Marwickらによる、Am. J. Respir. Crit. Care Med. (2009) 179(7) p.542-548)。この観察は、その他の点で、コルチコステロイドに対して十分応答しないCOPD患者がPI3K阻害剤とコルチコステロイドとの組み合わせから恩恵を受けることができることを示唆している。
PI3Kはまた、他の呼吸器の状態、例えば特発性肺線維症(IPF)などにも関与している。IPFは、肺機能の進行性の低下及び呼吸不全による死亡率の増加を伴う線維性疾患である。IPFでは、循環繊維細胞はケモカイン受容体CXCR4を介して肺に向かう。PI3Kは、CXCR4のシグナル伝達と発現の両方に対して必要とされる(Mehradらによる、Int. J. Biochem.及びCell Biol. (2009) 41 p.1708-1718)。従って、CXCR4の発現を減少させ、そのエフェクター機能を遮断することにより、PI3K阻害剤は、肺への繊維細胞の動員を阻害し、結果的に、まだ満たされていない高い要求を有する疾患、IPFの根底にある線維化プロセスを減速させるはずである。
多数の選択的可逆的PI3Kδ阻害剤が開発されており、最も有名なのは慢性リンパ球性白血病の治療に対してFDAにより最近承認されたZydelig(商標)である。ワートマニン及びその構造的に関連する類似体(例えばPX-866)は、これまでに報告された唯一のPI3Kδ阻害剤であり、これは、ATP結合部位に位置する、保存されたリシン残基との反応を介してキナーゼに共有結合する。しかし、これらの化合物は、特に様々なPI3Kアイソフォームに対して弱い選択性を示し、これらの使用は特定の適応症に限定されている。
本発明の発明者らは、PI3Kファミリー内で標的とされるリシン残基の保存性質にもかかわらず、慎重に配置された求電子性部分を有する選択的可逆的PI3Kδ阻害剤を修飾することにより、選択的不可逆的PI3Kδ阻害が達成され得ると考える。
PI3-キナーゼ阻害剤である化合物は、不適当なキナーゼ活性、特に不適当なPI3-キナーゼ活性に関連する疾患の治療、例えばPI3-キナーゼ機序により媒介される疾患の治療及び予防において有用であり得る。このような疾患として、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患;原発性線毛機能不全、多嚢胞の肝疾患及びネフロン癆を含む繊毛病(ciliopathy);細菌性呼吸器感染症を含む細菌感染症、例えば肺炎球菌、インフルエンザ菌(H. Influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(M. Catarrhalis)及び/又はマイコバクテリア、例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis)などによる感染症、並びに呼吸器の状態及び肺障害の細菌性増悪、例えば喘息、COPD及び嚢胞性線維症など;ウイルス性呼吸器感染症を含むウイルス感染症、例えばインフルエンザ、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、アデノウイルス及び/又はコロナウイルスによる感染症、並びに呼吸器の状態及び肺障害のウイルス性増悪、例えば喘息、COPD及び嚢胞性線維症など;アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む他の非ウイルス性呼吸器感染症;アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎及び乾癬を含むアレルギー性疾患;強直性脊椎炎、チャーグストラウス症候群、クローン病、糸球体腎炎、ヘノッホシェーンライン紫斑、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、間質性膀胱炎、天疱瘡、原発性硬化性胆管炎、乾癬、関節リウマチ、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、血管炎及びウェゲナー肉芽腫症を含む自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含む炎症性疾患;糖尿病;血栓症、アテローム性動脈硬化症及び高血圧を含む心血管疾患;血液悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;癌;精子運動;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;関節リウマチ又は骨関節炎に関連する疼痛、背痛、一般的な炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経疾患、炎症性神経疾患性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中心性疼痛を含む疼痛、線維性疾患、うつ病、並びに統合失調症を含む精神病性障害が挙げられる。
一実施形態において、本発明の化合物は、他のキナーゼよりもPI3-キナーゼに対する選択性を示し得る。
別の実施形態において、本発明の化合物は、PI3Kδの強力な阻害剤であり得る。
別の実施形態において、本発明の化合物は、他のPI3-キナーゼよりもPI3Kδに対する選択性を示し得る。
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、PI3Kδの選択的不可逆的阻害剤であり得る。
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本発明は、ある特定の新規の化合物を対象とする。具体的には、本発明は、式(I)の化合物
Figure 2019524792
(式中、R1は以下に定義されているとおりである)、及びその塩を対象とする。
化合物はキナーゼ活性、特にPI3-キナーゼ活性の阻害剤である。PI3-キナーゼ阻害剤である化合物は、不適当なPI3-キナーゼ活性に関連する疾患の治療において有用であり得る。従って、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩、及び1種以上の製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物をさらに対象とする。本発明はまた、安全で有効な量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患を治療する方法をさらに対象とする。
図1は、PI3Kδを用いた実施例7に対するタンパク質質量分析を示す。2:1の阻害剤:タンパク質比での完全な修飾が5分以内に観察され、20時間後、10:1の阻害剤:タンパク質比では、いかなる追加の付加体も観察されなかった。強力なATP-競合性阻害剤との酵素のプレインキュベーションは、この付加体の形成を軽減させた。対照化合物(実施例2の可逆的に結合する酸)はタンパク質のいずれの修飾も示さなかった。 図2は、PI3Kδを用いたジャンプ希釈アッセイを示す。酵素活性の回復を実施例1(黒の菱形)及び実施例2(白の菱形)の対照化合物に対して観察した。不可逆的阻害と一致して、活性の回復は実施例7(白の四角)に対して観察されず、これは、阻害剤なしの対照(白丸)と比べて、公知の不可逆的不活性化剤、ワートマニン(×印)とよく一致した。 図3は、実施例7に対する細胞の洗浄データを示す。化合物を除去するための細胞の洗浄から48時間後のIC50曲線は、細胞を洗浄していない場合の曲線を密接にたどるものであった。これは、CD4+T細胞内のPI3Kδにおける実施例7に対して少なくとも48時間の作用期間を確定し、不可逆的共有結合の作用機序を支持するものである。
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物
Figure 2019524792
(式中、
R1は水素、C1-6アルキル又はフェニルであり、C1-6アルキルは、-CF3で場合により置換されており、フェニルは、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CN、-CF3、-CO2R2、-CO2NHR3、-NR4R5、-NO2及び-SF5から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されており、
R2〜R5は、それぞれ独立して、水素及びC1-6アルキルから選択される)
及びその塩(本明細書でこれより以下は「本発明の化合物」)を対象とする。
一実施形態において、R1は水素、メチル又はフェニルであり、メチルは-CF3で場合により置換されており、フェニルはC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CN、-CF3、-CO2R2、-CO2NHR3、-NR4R5、-NO2及び-SF5から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されている。別の実施形態において、R1は水素、メチル又はフェニルであり、メチルは-CF3で場合により置換されており、フェニルは、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CF3及び-NO2から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されている。別の実施形態において、R1は-CF3で場合により置換されているメチルである。別の実施形態において、R1は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CN、-CF3、-CO2R2、-CO2NHR3、-NR4R5、-NO2及び-SF5から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されているフェニルである。別の実施形態において、R1は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CF3及び-NO2から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されているフェニルである。別の実施形態において、R1はフェニルである。別の実施形態において、R1はC1-6アルキルから独立して選択される2つの置換基で置換されているフェニルである。別の実施形態において、R1はC1-6アルコキシで置換されているフェニルである。別の実施形態において、R1はハロゲン、例えばフルオロで置換されているフェニルである。別の実施形態において、R1は-NO2で置換されているフェニルである。別の実施形態において、R1は-CF3で置換されているフェニルである。
別の実施形態において、R1は1又は2つの置換基で場合により置換されているフェニルであり、この置換基はオルト位及び/又はパラ位にある。
本発明は、本明細書で上に記載されている置換基のすべての組み合わせを網羅することを理解されたい。
本発明の化合物は、実施例1〜11の化合物及びその塩を含む。
一実施形態において、本発明の化合物は、
メチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸;
2-ニトロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
4-ニトロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
2-(トリフルオロメチル)フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
4-(トリフルオロメチル)フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
4-フルオロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
2,4-ジメチルフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
4-メトキシフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
2,2,2-トリフルオロエチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
又はその塩である。
用語及び定義
「アルキル」とは、特定された数の構成原子(member atom)を有する飽和した炭化水素鎖を指す。例えば、C1-6アルキルとは、1〜6個の構成原子、例えば1〜4個の構成原子を有するアルキル基を指す。アルキル基は直鎖又は分枝であってよい。代表的な分枝のアルキル基は、1、2、又は3つの枝を有する。アルキル基は、本明細書中で定義されたような1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい。アルキルは、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル及びイソプロピル)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、及びt-ブチル)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチル、及びネオペンチル)、及びヘキシルを含む。アルキル基はまた、他の基の一部、例えばC1-6アルコキシであってもよい。
「エナンチオマーを豊富に含む」とは、そのエナンチオ過剰率がゼロより大きい生成物を指す。例えば、エナンチオマーを豊富に含むとは、そのエナンチオ過剰率が50%eeより大きい、75%eeより大きい、及び90%eeより大きい生成物を指す。
「エナンチオ過剰率」又は「ee」は、一方のエナンチオマーの、他方のエナンチオマーに対する過剰分をパーセンテージとして表現したものである。その結果、ラセミ混合物では両方のエナンチオマーが等量で存在するため、エナンチオ過剰率はゼロ(0%ee)である。しかし、1つのエナンチオマーが豊富に含まれることによって、これが生成物の95%を構成する場合、エナンチオ過剰率は90%eeとなる(豊富に含まれるエナンチオマーの量95%、マイナス他のエナンチオマーの量5%)。
「エナンチオマーとして純粋な」とは、そのエナンチオ過剰率が99%ee又はそれより大きい生成物を指す。
「半減期」(又は「複数の半減期」)とは、in vitroで又はin vivoで別の化学的に別個の種へと変換される物質の量の半分に対して必要とされる時間を指す。
「ハロゲン」とは、ハロゲンラジカルフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。一実施形態において、ハロゲンはフルオロである。
「場合により置換されている」とは、基が非置換であってもよいし、又は本明細書中で定義されたような1つ以上の置換基で置換されていてもよいことを示す。
基に関連して「置換されている」とは、基の中の構成原子に結合している水素原子が置き換えられることを示す。用語「置換されている」は、このような置換が置換された原子及び置換基の許容される原子価に合致し、置換が安定した化合物をもたらす(すなわち、例えば再編成、環化、又は脱離などにより自然に変換されない化合物)という暗黙の規定を含むことを理解されたい。ある特定の実施形態において、単一の原子は、このような置換が原子の許容された原子価に合致する限り、1つより多くの置換基で置換されていてもよい。好適な置換基は各置換された基又は場合により置換されている基に対して本明細書で定義されている。
「製薬上許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、又は他の問題又は合併症がなく、妥当な損益比に見合い、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適切である化合物、塩、物質、組成物、及び剤形を指す。
本明細書で使用される場合、これらの方法、スキーム及び実施例で使用される記号及び慣例は、現代の科学的文献、例えばthe Journal of the American Chemical Society又はthe Journal of Biological Chemistryにおいて使用されているものと一致する。アミノ酸残基を指定するために、標準的な1文字略語又は3文字略語が一般的に使用されるが、これは、別途明示されていない限り、L立体配置であると想定される。別途明示されていない限り、すべての出発材料は商業的供給業者から入手し、さらに精製せずに使用される。具体的には、実施例及び明細書全体にわたり以下の略語を使用することができる:
2-MeTHF 2-メチルテトラヒドロフラン
Ac アセチル
COD 1,5-シクロオクタジエン
CPME シクロペンチルメチルエーテル
DAD ダイオードアレイ検出器
DCM ジクロロメタン
DHP 3,4-ジヒドロ-2H-ピラン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオトレイトール
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
g グラム
h 時間
i.d. 内径
IPA イソプロパノール
iPr イソプロピル
HATU 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
Kg キログラム
L リットル
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
μL マイクロリットル
μM マイクロモル濃度
μmol マイクロモル
M モルの
MDAP 質量分析直結自動化分取HPLC
Me メチル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
mg ミリグラム
MIBK メチルイソブチルケトン
min 分
mL ミリリットル
mol モル
mM ミリモル濃度
mmol ミリモル
nM ナノモル濃度
OAc アセテート
nM ナノモル濃度
nm ナノメートル
NMR 核磁気共鳴
PdCl2(dppf) [1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
Pin ピナコール
pM ピコモル
PyBOP ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム
Rt 保持時間
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TMS トリメチルシラン
UV 紫外線
XPhos 2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル
XRPD 粉末X線回折
式(I)の化合物のすべての多形、放射標識された誘導体、立体異性体及び光学異性体並びにその塩が「本発明の化合物」の範囲に含まれる。
本発明の化合物は、固形又は液体の形態で存在し得る。固体において、本発明の化合物は、結晶性又は非結晶性の形態で、又はその混合物として存在し得る。結晶形態である本発明の化合物に対して、当業者は、溶媒分子が結晶化の間に結晶格子に組み込まれる、製薬上許容される溶媒和物が形成され得ることを認識するだろう。本発明の化合物は、溶媒和及び非溶媒和の形態で存在し得る。溶媒和物は、非水性溶媒、例えばエタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、及びEtOAcなどを含んでもよく、又は溶媒和物は、結晶格子に組み込まれている溶媒として水を含んでもよい。水が結晶格子に組み込まれた溶媒である溶媒和物は通常「水和物」と呼ばれる。水和物は、化学量論的水和物並びに可変の量の水を含有する組成物を含む。
当業者は、様々なその溶媒和物を含む結晶形態で存在する本発明のある特定の化合物は、多形性を示し得る(すなわち、異なる結晶構造で現れる能力)ことをさらに認識するだろう。これらの異なる結晶形態は通常、「多形」として知られている。本発明はすべてのこのような多形を含む。多形は、同じ化学組成を有するが、パッキング、幾何学的配置、及び結晶性固体状態の他の記述的特性において異なる。従って、多形は、異なる物理的特性、例えば形状、密度、硬度、変形能、安定性、及び溶解特性などを有し得る。多形は通常、識別のために使用することができる異なる融点、IRスペクトル、及び粉末X線回折パターンを示す。当業者は、異なる多形が、例えば化合物を作製するのに使用される反応条件又は試薬を変更又は調節することによって生成され得ることを認識するだろう。例えば、温度、圧力、又は溶媒の変更は多形をもたらし得る。加えて、1つの多形はある特定の条件下で別の多形へと自然に変換し得る。
本発明はまた同位体で標識された化合物を含み、これらの化合物は、1個以上の原子が自然界に最も一般的に見られる原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子で置き換えられているという事実を除いて、本発明の化合物と同一である。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素及びフッ素の同位体、例えば2H、3H、11C、14C及び18Fなどが挙げられる。
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心(キラル中心とも呼ばれる)を含有してもよく、従って、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、又は他の立体異性形態として、又はその混合物として存在してもよい。キラル中心、例えばキラルな炭素原子などはまた、置換基、例えばアルキル基などの中に存在してもよい。本発明の化合物において、又は本明細書で例示された任意の化学構造で存在するキラル中心の立体配置が特定されていない場合、その構造は、任意の立体異性体及びすべてのその混合物を包含することが意図されている。従って、1つ以上のキラル中心を含有する本発明の化合物はラセミ混合物、エナンチオマーを豊富に含む混合物、又はエナンチオマーとして純粋な個々の立体異性体として使用することができる。
1つ以上の不斉中心を含有する本発明の化合物の個々の立体異性体は、当業者に公知の方法により分割され得る。例えば、このような分離は、(1)ジアステレオ異性体の塩、複合体若しくは他の誘導体の形成により、(2)立体異性体に特異的な試薬の選択的反応、例えば酵素的酸化若しくは還元により;又は(3)キラルな環境、例えばキラル配位子に結合したシリカなどのキラル担体の上で、若しくはキラル溶媒の存在下で、気体-液体若しくは液体クロマトグラフィーにより行うことができる。当業者は、所望の立体異性体が上記に記載の分離手順のうちの1つにより別の化学物質へと変換される場合、所望の形態を遊離させるためにさらなるステップが必要とされることを認識するだろう。代わりに、特定の立体異性体は、光学活性な試薬、基質、触媒若しくは溶媒を使用して不斉合成により、又は1種のエナンチオマーを非対称的変換により他種のエナンチオマーへと変換することにより合成することもできる。
本発明の化合物はまた、幾何学的非対称の中心を含有することもできる。本発明の化合物において、又は本明細書で例示された任意の化学構造において存在する幾何学的非対称の中心の立体配置が特定されていない場合、その構造は、trans幾何異性体、cis幾何異性体、及びすべてのその混合物を包含することを意図する。同様に、このような互変異性体が、平衡状態で、又は1つの形態で優位に存在するか否かに関わらず、すべての互変異性形態もまた含まれる。
式(I)の化合物及びその塩についての本明細書での言及は、遊離酸又は遊離塩基としての、又はその塩としての、例えばその製薬上許容される塩としての式(I)の化合物を網羅することを理解されたい。従って、一実施形態において、本発明は遊離酸又は遊離塩基としての式(I)の化合物を対象とする。別の実施形態において、本発明は式(I)の化合物又はその塩を対象とする。さらなる実施形態において、本発明は式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を対象とする。
当業者は、式(I)による化合物の製薬上許容される塩が調製され得ることを認識するだろう。実際に、本発明のある特定の実施形態において、式(I)による化合物の製薬上許容される塩は、このような塩がより高い安定性又は溶解度を分子に付与することができ、これによって剤形への製剤化を促進することから、それぞれの遊離塩基又は遊離酸よりも好ましい場合がある。
本明細書で使用される用語「製薬上許容される塩」は、対象化合物の所望の生物学的活性を保持し、所望しない毒物学的作用が最小である塩を指す。これらの製薬上許容される塩は、化合物の最終単離及び精製の間にインサイチュで、或いはその遊離酸若しくは遊離塩基形態の精製された化合物、又は製薬上許容されない塩を好適な塩基若しくは酸とそれぞれ別々に反応させることによって調製することができる。
例えば、式(I)の他の化合物及びこれらの製薬上許容される塩の調製において中間体として使用するための、製薬上許容されない対イオン又はその関連溶媒を有する塩及び溶媒和物は本発明の範囲内にある。従って、本発明の一実施形態は式(I)の化合物及びその塩を包含する。
ある特定の実施形態において、式(I)による化合物は酸性官能基を含有し得る。好適な製薬上許容される塩として、このような酸性官能基の塩が挙げられる。代表的な塩として、製薬上許容される金属塩、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、及び亜鉛の塩など;製薬上許容される金属カチオン、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、及び亜鉛などの炭酸塩及び炭酸水素塩;脂肪族アミン、芳香族アミン、脂肪族ジアミン、及びヒドロキシアルキルアミンを含む製薬上許容される有機の第一級、第二級、及び第三級アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ジエチルアミン、TEA、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
ある特定の実施形態において、式(I)による化合物は、塩基性官能基を含有してもよく、従って、好適な酸との処理により製薬上許容される酸付加塩を形成することが可能である。好適な酸として、製薬上許容される無機酸及び製薬上許容される有機酸が挙げられる。代表的な製薬上許容される酸付加塩として、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、メチル硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、フェニル酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、イソ酪酸塩、吉草酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、アクリル酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ヘプタン酸塩、フタル酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、o-アセトキシ安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、ナフトエ酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、マンデル酸塩、タンニン酸塩、ギ酸塩、ステアリン酸塩、アスコルビン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ピルビン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ラウリン酸塩、グルタル酸塩、グルタミン酸塩、エストル酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩(エシル酸塩)、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、p-アミノベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、及びナフタレン-2-スルホン酸塩が挙げられる。
化合物の調製
本発明の化合物は、標準的な化学的作用を含む様々な方法により作製することができる。以前に定義された任意の変数は、他に指摘されていない限り、継続して以前に定義された意味を有することになる。例示的一般的合成法がスキーム1に提示され、次いで特定の本発明の化合物が実施例のセクションにおいて調製されている。
Figure 2019524792
従って、一実施形態において、本発明は式(II)の化合物又はその塩
Figure 2019524792
を式(III)の化合物又はその塩
R6-OH (III)
(式中、R6は-CF3で場合により置換されているC1-6アルキルであり、又はC1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CN、-CF3、-CO2R2、-CO2NHR3、-NR4R5、-NO2及び-SF5から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されているフェニルである)
と反応させるステップを含む、式(I)の化合物又はその塩を調製する方法を提供する。
使用の方法
本発明の化合物は、キナーゼ活性、特にPI3-キナーゼ活性の阻害剤である。PI3-キナーゼ阻害剤である化合物は、根底にある病理が(少なくとも部分的に)不適当なPI3-キナーゼ活性に起因する疾患、例えば喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの治療において有用であり得る。「不適当なPI3-キナーゼ活性」とは、特定の患者における、予想される正常なPI3-キナーゼ活性から外れた任意のPI3-キナーゼ活性を指す。不適当なPI3-キナーゼは、例えば活性の異常な増加、又はPI3-キナーゼ活性のタイミング及び/又は制御における異常などの形態を取り得る。よって、このような不適当な活性は、例えば不適当な又は無制御な活性化をもたらすPI3-キナーゼの過剰発現又は変異から生じ得る。従って、別の態様において、本発明は、このような疾患を治療する方法を対象とする。
このような疾患として、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む呼吸器疾患;原発性線毛機能不全、多嚢胞の肝疾患及びネフロン癆を含む繊毛病;細菌性呼吸器感染症を含む細菌感染症、例えば肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス及び/又はマイコバクテリア、例えば結核菌などによる感染症、並びに呼吸器の状態及び肺損傷の細菌性増悪、例えば喘息、COPD及び嚢胞性線維症など;ウイルス性呼吸器感染症を含むウイルス感染症、例えばインフルエンザ、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、アデノウイルス及び/又はコロナウイルスによる感染症、並びに呼吸器の状態及び肺障害のウイルス性増悪、例えば喘息、COPD及び嚢胞性線維症など;アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む他の非ウイルス性呼吸器感染症;アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎及び乾癬を含むアレルギー性疾患;強直性脊椎炎、チャーグストラウス症候群、クローン病、糸球体腎炎、ヘノッホシェーンライン紫斑、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、間質性膀胱炎、天疱瘡、原発性硬化性胆管炎、乾癬、関節リウマチ、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、血管炎及びウェゲナー肉芽腫症を含む自己免疫疾患;炎症性腸疾患を含む炎症性疾患;糖尿病;血栓症、アテローム性動脈硬化症及び高血圧を含む心血管疾患;血液悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;癌;精子運動;移植拒絶;移植片拒絶;肺損傷;関節リウマチ又は骨関節炎に関連する疼痛、背痛、一般的な炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経疾患、炎症性の神経疾患性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中心性疼痛を含む疼痛;線維性疾患;うつ病;及び統合失調症を含む精神病性障害が挙げられる。
このような線維性疾患として、特発性肺線維症、間質性肺疾患、非特異的間質性肺炎(NSIP)、通常の間質性肺炎(UIP)、心内膜心筋線維症、縦隔線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、進行性塊状線維症(石炭作業者のじん肺症の合併症)、腎性全身性線維症、クローン病、陳旧性心筋梗塞、強皮症/全身性硬化症、神経線維腫症、Hermansky-Pudlak症候群、糖尿病性腎症、腎臓線維症、肥大型心筋症(HCM)、高血圧に関連した腎症、巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、放射線誘発性線維症、子宮の平滑筋腫(類線維腫)、アルコール性肝疾患、肝臓脂肪変性、肝臓線維症、肝臓肝硬変症、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症、慢性臓器移植拒絶反応、皮膚の線維化状態、ケロイド瘢痕、デュプイトラン拘縮、エーラスダンロス症候群、表皮水疱症ジストロフィー、口腔粘膜下線維症、及び線維増殖性疾患を挙げることができる。
一実施形態において、疾患は喘息である。さらなる実施形態において、疾患はCOPDである。
本発明の関連の中で、本明細書で使用した徴候を説明する以下の用語が、American Psychiatric Associationから出版されたDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4版(DSM-IV)及び/又はInternational Classification of Diseases、第10版(ICD-10)において分類されている。本明細書中に記述されている様々なサブタイプの疾患は本発明の一部として想定される。以下に列挙された疾患の後の括弧内の数字はDSM-IVにおける分類コードを指す。
本発明の関連の中で、用語「精神病性障害」として、サブタイプ妄想型(295.30)、破瓜型(295.10)、緊張型(295.20)、型分類困難型(295.90)及び残遺型(295.60)を含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);サブタイプ双極型及び抑うつ型を含む統合失調感情障害(295.70);サブタイプ被愛型、誇大型、嫉妬型、被害型、身体型、混合型及び特定不能型を含む妄想性障害(297.1);短期精神病性障害(298.8);共有精神病性障害(297.3);サブタイプ「妄想を伴う」及び「幻覚を伴う」を含む一般的医学的状態による精神病性障害;サブタイプ「妄想を伴う」(293.81)及び「幻覚を伴う」(293.82)を含む物質誘発性精神病性障害;並びにその他特定不能の精神病性障害(298.9)が挙げられる。
本発明の関連の中で、用語「うつ病」として、主要な抑うつエピソード、躁病エピソード、混合したエピソード及び軽躁エピソード;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、その他特定不能の抑うつ障害(311)を含む抑うつ障害群;双極I型障害、双極II型障害(軽躁エピソードを伴う反復性の主要な抑うつエピソード)(296.89)、気分循環性障害(301.13)及びその他特定不能の双極性障害(296.80)を含む双極性障害;一般的医学的状態による気分障害を含む他の気分障害(293.83)(これは、サブタイプ「抑うつ特徴を伴う」、「主要な抑うつ様エピソードを伴う」、「躁病の特徴を伴う」及び「混合した特徴を伴う」を含む)、物質誘発性気分障害(サブタイプ「抑うつ特徴を伴う」、「躁病の特徴を伴う」及び「混合した特徴を伴う」を含む)及びその他特定不能の気分障害(296.90)を含む、うつ病性及び気分障害が挙げられる。
本発明の治療の方法は、安全で有効な量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む。本発明の個々の実施形態は、安全で有効な量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することによって、上述された疾患のいずれか1つを治療する方法を含む。
疾患に関連して本明細書中で使用される「治療する」は:(1)疾患又は疾患の1つ以上の生物学的徴候を改善又は予防すること、(2)(a)上記疾患につながるか若しくは上記疾患に関与する生物学的カスケード中の1つ以上のポイントを妨げること、又は(b)疾患の1つ以上の生物学的徴候を妨げること、(3)疾患に伴う1つ以上の症状又は作用を軽減すること、或いは(4)疾患又は疾患の1つ以上の生物学的徴候の進行を遅らせること、を意味する。
上記に示されているとおり、疾患の「治療」は、疾患の予防を含む。当業者は、「予防」が絶対的な表現ではないことを認識するだろう。薬において、「予防」とは、疾患若しくはその生物学的徴候の可能性若しくは重症度を実質的に縮小する、又はこのような疾患若しくはその生物学的徴候の開始を遅延させる薬物の予防的投与を指すと考えられている。一実施形態において、本発明の方法は、疾患を治療することを対象とする。別の実施形態において、本発明の方法は疾患を予防することを対象とする。
式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩、或いは他の製薬上活性な薬剤に関連して本明細書で使用される「安全で有効な量」は、健全な医学的判断の範囲内で、患者の症状を治療するためには十分であるが、重篤な副作用を回避するためには十分に低い(合理的な利益/リスク比の)化合物の量を意味する。化合物の安全で有効な量は、選択される特定の化合物(例えば化合物の効力、有効性、及び半減期を考慮して);選択される投与経路;治療中の疾患;疾患治療中の疾患の重症度;治療中の患者の年齢、大きさ、体重、及び健康状態;治療対象の患者の病歴;治療期間;併用療法の性質;所望の治療効果;などの因子により異なるであろうが、それでもなお、当業者が日常的に決定することができる。
本明細書で使用される「患者」はヒト(成人及び子供を含む)又は他の動物を指す。一実施形態において、「患者」はヒトを指す。
式(I)の化合物又は製薬上許容されるその塩は、全身投与と局所投与の両方を含む、任意の好適な投与経路によって投与することができる。全身投与は経口投与、非経口投与、経皮的投与及び直腸投与を含む。非経口投与は、経腸又は経皮以外の投与経路を指し、通常注射又は点滴による。非経口投与は、静脈内、筋肉内、及び皮下の注射又は点滴を含む。局所投与は、皮膚への適用並びに眼内、耳、膣内、吸入による及び鼻腔内の投与を含む。吸入は、口を介して又は鼻道を通して吸入されるか否かにに関わらず、患者の肺への投与を指す。一実施形態において、式(I)の化合物またその製薬上許容される塩は経口投与することができる。別の実施形態において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は吸入により投与することができる。さらなる実施形態において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は鼻腔内に投与することができる。
式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、1回投与するか、又は多数回用量が所与の期間にわたって様々な時間間隔で投与される投与レジメンに従って投与することができる。例えば、複数回用量を1日当たり1、2、3又は4回投与することができる。一実施形態において、1回用量は1日1回投与される。さらなる実施形態において、1回用量は1日当たり2回投与される。用量を、所望の治療効果が達成されるまで、又は所望の治療効果を維持するために無期限に投与することができる。式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩に対する好適な投与レジメンは、その化合物の薬物動態特性、例えば吸収、分布、及び半減期などに依存し、これらは当事者により決定され得る。加えて、このようなレジメンが施行される期間を含めた、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩に対して好適な投与レジメンは、治療中の疾患、治療中の疾患の重症度、治療中の患者の年齢及び健康状態、治療対象の患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果、並びに当業者の知識及び専門技術の範囲内にある同様の因子に応じて決定される。このような当業者は、好適な投与レジメンは、個々の患者の投与レジメンに対する応答を考慮して、又は個々の患者が変更を必要とするにつれて経時的に、調整を必要とし得るということをさらに理解するだろう。
典型的な1日用量は、選択された特定の投与経路に応じて異なってもよい。経口投与のための典型的な1日用量は、全体重の1kg当たり0.001mg〜50mg、例えば全体重の1kg当たり1mg〜10mgの範囲である。例えば、経口投与のための1日用量は、患者1人当たり0.5mg〜2g、例えば患者1人当たり10mg〜1gなどであってよい。
さらに、式(I)の化合物は、プロドラッグとして投与することができる。本明細書で使用される式(I)の化合物の「プロドラッグ」は、この化合物の機能的な誘導体であり、患者へ投与されると、最終的に式(I)の化合物をin vivoで遊離させる。プロドラッグとしての式(I)の化合物の投与は、当業者が以下のうちの1つ以上を行うことを可能にし得る:(a)in vivoでの化合物の活性の開始を修正する;(b)in vivoでの化合物の作用期間を修正する;(c)in vivoでの化合物の輸送又は分布を修正する;(d)in vivoでの化合物の溶解度を修正する;及び(e)化合物により引き起こされる副作用又は他の問題を克服する。プロドラッグを調製するために使用される典型的な機能的誘導体は、in vivoで化学的に又は酵素的に切断可能な化合物の変化形を含む。ホスフェート、アミド、エステル、チオエステル、カーボネート、及びカルバメートの調製物を含むこのような変化形は、当業者には周知である。
従って一態様において、本発明は、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患を治療する方法であって、安全で有効な量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、前記方法を提供する。
一実施形態において、不適当なPI3-キナーゼ活性に媒介される疾患は、呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び特発性肺線維症(IPF)を含む);繊毛病(原発性線毛機能不全、多嚢胞の肝疾患及びネフロン癆を含む);細菌感染症(細菌性呼吸器感染症、例えば肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス及び/又はマイコバクテリア、例えば結核菌による感染症を含む)並びに呼吸器の状態及び肺障害の細菌性増悪(例えば喘息、COPD及び嚢胞性線維症など);ウイルス感染症(ウイルス性呼吸器感染症、例えばインフルエンザ、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、アデノウイルス及び/又はコロナウイルスによる感染症を含む)並びに呼吸器の状態及び肺障害のウイルス性増悪(例えば喘息、COPD及び嚢胞性線維症など);他の非ウイルス性呼吸器感染症(アスペルギルス症及びリーシュマニア症を含む);アレルギー性疾患(アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎及び乾癬を含む);自己免疫疾患(強直性脊椎炎、チャーグストラウス症候群、クローン病、糸球体腎炎、ヘノッホシェーンライン紫斑、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、間質性膀胱炎、天疱瘡、原発性硬化性胆管炎、乾癬、関節リウマチ、サルコイドーシス、シェーグレン症候群、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎、血管炎及びウェゲナー肉芽腫症を含む);炎症性疾患(炎症性腸疾患を含む);糖尿病;心血管疾患(血栓症、アテローム性動脈硬化症及び高血圧を含む);血液悪性腫瘍;神経変性疾患;膵炎;多臓器不全;腎臓疾患;血小板凝集;癌;精子運動;移植拒絶;移植片拒絶;肺傷害;疼痛(関節リウマチ又は骨関節炎に伴う疼痛、背痛、一般的な炎症性疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、炎症性の神経障害性疼痛(外傷)、三叉神経痛及び中心性疼痛を含む);線維性疾患;うつ病;及び精神病性障害(統合失調症を含む)からなる群から選択される。
一実施形態において、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患は呼吸器疾患である。別の実施形態において、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患は喘息である。さらなる実施形態において、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
一態様において、本発明は、薬物療法における使用のための式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を提供する。
別の態様において、本発明は、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患の治療における使用のための式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を提供する。
さらなる態様において、本発明は、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患の治療における使用のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の使用を提供する。
PI3Kδにおける多数の異なる遺伝的変異体が観察された(Jouら、International Journal of Immunogenetics, 2006, 33, 361から369)。触媒機能に関与しているドメインにおける高度に保存された位置に観察される1つの変異(c.3061G>A、mRNA中でm.3256G>Aに対応し、ヌクレオチド番号はGenBankの配列データ:NM_005026に基づく)は、グルタミン酸からリシンへの置換(E1021K)をもたらす。この変異により、患者は、特に呼吸器感染症及び/又は呼吸器感染症の増悪、並びに気道壁、大気道及び小気道、及び肺柔組織の障害を発症しやすくなり得ると考えられている(Anguloら、Science DOI: 10.1125/science. 1243292)。PIK3CD遺伝子において同定され、免疫欠乏症をもたらす他の機能獲得変異は、アミノ酸残基置換N334K又はE525Kを含む(Lucasら、Nat. Immunol. (2014) 15 p.88-97)。PIK3R1エクソン10の異常なスプライシング及びp85αタンパク質のトランケーションをもたらす変異は、PI3Kδ活性の上昇及びPIK3CD遺伝子における機能獲得変異と同様の症状をもたらす(Deauら、J. Clin. Invest. (2014) 124(9) p.3923-8)。
従って、一態様において、本発明は、PI3Kδ変異、又はPI3Kδ発現又は活性の増加を有する患者において、呼吸器感染症を治療若しくは予防する、気道障害を治療する、及び/又は気道損傷を予防する方法であって、安全で有効な量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む方法をこうして提供する。
一実施形態において、本発明は、PI3Kδ変異、又はPI3Kδ発現若しくは活性の増加を有する患者における、呼吸器感染症の治療若しくは予防、気道障害の治療、及び/又は気道損傷の予防において使用するための式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を提供する。
別の実施形態において、本発明は、PI3Kδ変異、又はPI3Kδ発現若しくは活性の増加を有する患者における、呼吸器感染症の治療又は予防、気道障害の治療、及び/又は気道損傷の予防において使用するための医薬の製造における式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の使用を提供する。
別の実施形態において、本発明は、
a)患者に由来するサンプルをアッセイするステップ、
b)患者がPI3Kδ変異、又はPI3Kδ発現若しくは活性の増加を有するか否かを判定するステップ、及び
c)患者がPI3Kδ変異、又はPI3Kδ発現若しくは活性の増加を有する場合、治療有効量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を上記患者に投与するステップ
を含む、患者における、呼吸器感染症の治療若しくは予防、気道障害の治療、及び/又は気道損傷の予防において使用するための式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を提供する。
別の実施形態において、本発明は、応答者が、PI3Kδ変異の存在、又はPI3Kδ発現若しくは活性の増加を特徴とする、応答者として分類される患者における、呼吸器感染症の治療若しくは予防、気道障害の治療、及び/又は気道損傷の予防において使用するための式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を提供する。
別の実施形態において、本発明は、応答者が、PI3Kδ変異の存在、又はPI3Kδ発現若しくは活性の増加を特徴とする、応答者として分類される患者における、呼吸器感染症の治療又は予防、気道障害の治療、及び/又は気道損傷の予防において使用するための医薬の製造における式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の使用を提供する。
さらなる実施形態において、本発明は、以下のステップ:
a)患者に由来するサンプルを得るステップ、
b)PI3Kδ変異、又はPI3Kδ発現若しくは活性の増加について試験するステップ、及び
c)PI3Kδ変異、又はPI3Kδ発現若しくは活性の増加が存在する場合、患者が式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を用いた療法を受けるべきか否かを判定するステップ
を含む、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を用いた療法を評価する方法を提供する。
このような呼吸器感染症は、例えば肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス及び/又はマイコバクテリア、例えば結核菌などによる感染症を含む細菌感染症;例えばインフルエンザ、ライノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、アデノウイルス及び/又はコロナウイルスによる感染症を含むウイルス感染症;並びにアスペルギルス症及び/又はリーシュマニア症を含む他の非ウイルス性呼吸器感染症の結果であり得る。一実施形態において、PI3Kδ変異を有する患者は、肺炎球菌、インフルエンザ菌及び/又はモラクセラ・カタラーリスによる細菌感染症の結果として、呼吸器感染症を特に発症及び/又は増悪しやくなり得る。
本明細書で使用される用語「気道障害」は、患者が治療を開始する時点で存在する気道壁、大気道及び小気道、及び/又は肺柔組織への障害を指す。気道障害、例えば炎症、傷跡及び/又は組織修復などは、例えばPI3Kδ変異を有する患者において繰り返される呼吸器感染症により引き起こされることがある。
本明細書で使用される用語「気道損傷」は、気道壁、大気道及び小気道、並びに/若しくは肺柔組織への障害、又は治療が行われない場合、患者において発症し得る気道壁、大気道及び小気道、並びに/若しくは肺柔組織へのさらなる障害を指す。
本明細書で使用される用語「応答者」は、治療に応答して利益を導き出す可能性がより高い(例えば薬物に対するプラスの応答、有害事象の減少など)ことが特定された(特定の試験又は方法を使用して)者を意味する。応答者として特定されたすべての人々が必ずしも利益を導き出すわけではないが、患者のクラスとして、これらの人々はそうなる可能性がより高いということを理解されたい。例えば、おそらく、全部の試験していない罹患した集団のうち、その集団のおよそ80%が薬物から利益を導き出すが、「応答者」の群(すなわち試験して、セット基準に従い応答者と特定された個々の人々)のうち、およそ99%が利益を導き出す。
本明細書で使用される用語「評価療法」は、式(I)の化合物、又はその製薬上許容される塩を用いた療法が患者に有益であるか否かを判定することを意味する。
PI3Kδ変異を有する患者は呼吸器感染症の増悪に特に罹りやすい可能性がある。本明細書で使用される用語「呼吸器感染症の増悪」は、細菌感染症、ウイルス感染症及び/又は他の非ウイルス性呼吸器感染症を含めた、根底にある持続性の呼吸器感染症の悪化を特徴とする呼吸器感染症を指す。従って一実施形態において、本発明は、安全で有効な量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に、投与することを含む、PI3Kδ変異を有する患者において、呼吸器感染症の増悪を治療又は予防する方法を提供する。
一実施形態において、PI3Kδ変異は、グルタミン酸のリシンへの置換をもたらす。別の実施形態において、PI3Kδ変異は、コドン1021(E1021K)におけるグルタミン酸のリシンへの置換をもたらす。
一実施形態において、PI3Kδ変異は、mRNAにおける単一塩基対ミスセンス変異m.3256G>A(ヌクレオチド番号はGenBankの配列データ:NM_005026に基づく)をもたらす。
一実施形態において、PI3Kδ変異はc.3061G>Aである。
本発明の発明者らは、選択的可逆的PI3Kδ阻害剤を慎重に配置された求電子性部分で修飾することにより、選択的不可逆的PI3Kδ阻害を達成することができると考える。従って、一実施形態において、本発明は、部分R1OCO-(式中、R1は、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CN、-CF3、-CO2R2、-CO2NHR3、-NR4R5、-NO2及び-SF5から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されているフェニルである)を含む選択的不可逆的PI3Kδ阻害剤を提供する。
組成物
式(I)の化合物及びその製薬上許容される塩は通常、必須ではないものの、患者への投与の前に医薬組成物に製剤化される。
従って、一態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩及び1つ以上の製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
別の態様において、本発明は、0.05〜1000mgの式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩及び0.1〜2gの1種以上の製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患の治療又は予防法のための医薬組成物を対象とする。
本発明による医薬組成物は、安全且つ有効量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を取り出して、例えば散剤又はシロップ剤と共に患者に与えることが可能なバルク形態で調製し、パッケージすることができる。あるいは、本発明による医薬組成物は、物理的に分離した各単位が式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有する単位剤形で調製及びパッケージすることができる。単位剤形で調製される場合、本発明による医薬組成物は、典型的には、例えば0.5mg〜1g、又は1mg〜700mg、あるいは5mg〜100mgの式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有し得る。
本発明による医薬組成物は、典型的には、1種の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有する。
本明細書中で使用される「製薬上許容される賦形剤」は、医薬組成物に形又は稠度を付与することに関与する、製薬上許容される物質、組成物又はビヒクルを意味する。各賦形剤は、患者に投与されると式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の有効性を実質的に低下させ得る相互作用、及び製薬上許容されない医薬組成物をもたらし得る相互作用を回避するように、混合される場合に医薬組成物の他の成分と適合するものでなければならない。さらに、各賦形剤は、当然のことながら、製薬上許容される(例えば十分に高純度の)賦形剤でなければならない。
式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と製薬上許容される賦形剤(1種又は複数種)は、典型的には、所望の投与経路による患者への投与に適合した剤形に製剤化される。例えば、剤形としては、(1)経口投与に適合した剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤、乳剤、サシェ剤、及びカシェ剤);(2)非経口投与に適合した剤形(例えば、滅菌液剤、懸濁剤及び再構成用散剤);(3)経皮投与に適合した剤形(例えば経皮パッチ剤);(4)直腸投与に適合した剤形(例えば坐剤);(5)吸入に適合した剤形(例えば、エアゾール剤、液剤、及び乾燥散剤);ならびに(6)局所投与に適合した剤形(例えばクリーム剤、軟膏剤、ローション剤、液剤、ペースト剤、スプレー剤、フォーム剤、及びゲル剤)が挙げられる。
好適な製薬上許容される賦形剤は、選択される特定の剤形に応じて異なるだろう。さらに、好適な製薬上許容される賦形剤は、それらが組成物中で果たし得る特定の機能について選択することができる。例えば、特定の製薬上許容される賦形剤は、均一な剤形の製造を容易にするそれらの能力について選択することができる。特定の製薬上許容される賦形剤は、安定な剤形の製造を容易にするそれらの能力について選択することができる。特定の製薬上許容される賦形剤は、式(I)の化合物(1種もしくは複数種)又はその製薬上許容される塩が一旦患者に投与されると、1つの器官又は身体の部分から別の器官又は身体の部分への運搬又は輸送を容易にするそれらの能力について選択することができる。特定の製薬上許容される賦形剤は、患者コンプライアンスを高めるそれらの能力について選択することができる。
好適な製薬上許容される賦形剤としては、以下の種類の賦形剤:希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味料、着香料、味マスキング剤、着色料、抗ケーキング剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、粘度増加剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、界面活性剤、及び緩衝剤が挙げられる。当業者であれば、特定の製薬上許容される賦形剤が、2つ以上の機能を果たし得ることと、さらにどのくらいの量の賦形剤が製剤中に存在するか、また他のどのような賦形剤が製剤中に存在するかに応じて代替的機能を果たし得ることを理解するであろう。
当業者は、本発明において使用するための適切な量の好適な製薬上許容される賦形剤を選択することを可能とする、当技術分野における知識及び技術を有する。さらに、製薬上許容される賦形剤について記載しており、また好適な製薬上許容される賦形剤の選択において有用な、当業者が利用し得る多数の資料が存在する。例としては、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、及びThe Handbook of Pharmaceutical Exipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
本発明による医薬組成物は、当業者に公知の技術及び方法を用いて調製される。当技術分野において一般的に用いられる方法の一部は、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
従って、別の態様において、本発明は、成分を混合するステップを含む、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と1種以上の製薬上許容される賦形剤とを含む本発明により医薬組成物の製造方法を対象とする。式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む医薬組成物は、例えば、周囲温度及び大気圧で混合することによって調製することができる。
一実施形態において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、経口投与用に製剤化される。別の実施形態において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、吸入投与用に製剤化される。さらなる実施形態において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、鼻腔内投与用に製剤化される。
一態様において、本発明は、安全且つ有効量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と希釈剤又は充填剤とを含む固形経口剤形(例えば錠剤又はカプセル剤)を対象とする。好適な希釈剤及び充填剤としては、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、及び前ゼラチン化デンプン)、セルロース及びその誘導体(例えば微結晶性セルロース)、硫酸カルシウム、及び二塩基性リン酸カルシウムが挙げられる。経口固形剤形は、結合剤をさらに含み得る。好適な結合剤としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、及び前ゼラチン化デンプン)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロース及びその誘導体(例えば微結晶性セルロース)が挙げられる。経口固形剤形は、崩壊剤をさらに含み得る。好適な崩壊剤としては、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸及びカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。経口固形剤形は、滑沢剤をさらに含み得る。好適な滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びタルクが挙げられる。
適切な場合、経口投与用の投与単位製剤は、マイクロカプセル化することができる。組成物は、例えば、粒子状物質をポリマー、ワックス等でコーティングするか又はポリマー、ワックス等に埋め込むことにより、放出を長引かせるか又は持続させるように調製することもできる。
式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、標的化可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと結合させることもできる。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。さらに、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、薬物の制御放出の達成に有用な生分解性ポリマーのクラス(例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋性又は両親媒性ブロックコポリマー)に結合させることもできる。
別の態様において、本発明は、液体経口剤形を対象とする。液剤、シロップ剤及びエリキシル剤などの経口液剤は、所与の量が所定量の式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有するように、投与単位形態で調製することができる。シロップ剤は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を好適に風味付けされた水溶液に溶解することによって調製することができるが、他方、エリキシル剤は、非毒性アルコールビヒクルの使用を通して調製される。懸濁剤は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を非毒性ビヒクルに分散することによって製剤化することができる。可溶化剤及び乳化剤(例えばエトキシル化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテル)、保存剤、風味添加剤(例えばペパーミント油)、あるいは天然甘味料もしくはサッカリン又は他の人工甘味料なども添加することができる。
別の態様において、本発明は、例えば、乾燥散剤(ドライパウダー)組成物、エアゾール剤組成物、懸濁剤組成物、又は液剤組成物としての、吸入による患者への投与に適合した剤形を対象とする。一実施形態において、本発明は、乾燥粉末としての吸入による患者への投与に適応した剤形を対象とする。さらなる実施形態において、本発明は、ネブライザーを介した、吸入による患者への投与に適応した剤形を対象とする。
吸入による肺への送達のための乾燥散剤組成物は、典型的には、微粉末としての式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、微粉末としての1種以上の製薬上許容される賦形剤と共に含む。乾燥散剤における使用に特に適した製薬上許容される賦形剤は当業者に公知であり、ラクトース、デンプン、マンニトール、及び単糖、二糖、及び多糖が挙げられる。微粉末は、例えば、微粉化及び製粉によって調製することができる。一般的には、サイズを低下させた(例えば微粉化した)化合物は、(例えば、レーザー回折を用いて測定して)約1〜約10ミクロンのD50値によって規定することができる。
乾燥散剤は、複数回(未計量用量)の乾燥散剤形態の医薬を保管するのに適したリザーバーを有するリザーバー付き乾燥散剤吸入器(RDPI)を介して患者に投与することができる。RDPIは、典型的には、各医薬用量をリザーバーから計量して送達位置に送るための手段を含む。例えば、計量手段は計量カップを含んでいてよく、この計量カップは、リザーバーからカップに医薬を充填することができる第1の位置から、計量された医薬用量が吸入のために患者に利用可能になる第2の位置まで移動可能である。
あるいは、乾燥散剤は、複数回用量乾燥散剤吸入器(MDPI)において使用するためのカプセル(例えばゼラチンカプセル又はプラスチックカプセル)、カートリッジ、又はブリスターパックとして提供することができる。MDPIは、医薬が、複数の規定用量(又はその一部)の医薬を含有する(あるいは運搬する)複数回用量パック中に含まれる吸入器である。乾燥散剤がブリスターパックとして提供される場合、MDPIは、医薬を乾燥散剤形態で格納するための複数のブリスターを含む。ブリスターは、典型的には、そこから医薬を放出することを容易にするため、規則的な様式で配置される。例えば、ブリスターは円盤形のブリスターパック上に通常は環状に配置されていてもよいし、ブリスターは(例えばストリップ又はテープを含む)細長い形態であってもよい。各カプセル、カートリッジ、又はブリスターは、例えば、20μg〜10mgの式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有し得る。
エアゾール剤は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を液化噴射剤に懸濁又は溶解することによって形成することができる。好適な噴射剤としては、ハロカーボン類、炭化水素類、及び他の液化ガスが挙げられる。代表的な噴射剤としては、トリクロロフルオロメタン(噴射剤11)、ジクロロフルオロメタン(噴射剤12)、ジクロロテトラフルオロエタン(噴射剤114)、テトラフルオロエタン(HFA-134a)、1,1-ジフルオロエタン(HFA-152a)、ジフルオロメタン(HFA-32)、ペンタフルオロエタン(HFA-12)、ヘプタフルオロプロパン(HFA-227a)、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロペンタン、ブタン、イソブタン、及びペンタンが挙げられる。式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含むエアゾール剤は、典型的には、計量用量吸入器(MDI)を介して患者に投与されるだろう。このような装置は当業者に公知である。
エアゾール剤は、製剤の物理的安定性を改善するため、バルブ性能を改善するため、溶解性を改善するため、又は味を改善するために、典型的にはMDIと共に使用されるさらなる製薬上許容される賦形剤(例えば界面活性剤、滑沢剤、共溶媒及び他の賦形剤)を含有し得る。
従って、本発明のさらなる態様として、場合により界面活性剤及び/又は共溶媒と組み合わせて、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と、噴射剤としてのフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボンとを含む医薬エアゾール製剤が提供される。
本発明の別の態様によれば、噴射剤が、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン及びそれらの混合物から選択される医薬エアゾール製剤が提供される。
本発明の製剤は、好適な緩衝剤の添加によって緩衝することができる。
吸入器又は通気器において使用するための、例えばゼラチン製のカプセル及びカートリッジは、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩及び好適な散剤基剤(例えばラクトース又はデンプン)の吸入のための散剤混合物を含有するように製剤化することができる。各カプセル又はカートリッジは、一般的に、20μg〜10mgの式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含有し得る。あるいは、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、賦形剤(例えばラクトース)を含まずに提供することができる。
本発明による局所組成物中の式(I)の活性化合物又はその製薬上許容される塩の割合は、調製対象の製剤の正確なタイプに応じて決まるが、一般的に、0.001〜10重量%の範囲内であろう。一般的には、大部分のタイプの調製物について、用いられる割合は、0.005〜1%、例えば0.01〜0.5%の範囲内であろう。しかし、吸入又は通気用散剤において、使用される割合は、通常、0.1〜5%の範囲内であろう。
エアゾール製剤は、好ましくは、各計量用量又はエアゾールの「パフ」が、20μg〜10mg、好ましくは20μg〜2000μg、より好ましくは約20μg〜500μgの式(I)の化合物を含有するように配置される。投与は、1日1回又は1日数回、例えば2、3、4又は8回(各回に例えば1、2又は3回用量を与える)であってよい。エアゾール剤による全1日用量は、100μg〜10mg、好ましくは200μg〜2000μgの範囲内であろう。吸入器又は通気器におけるカプセル及びカートリッジにより送達される全1日用量及び計量用量は、一般的に、エアゾール製剤により送達される全1日用量及び計量用量の二倍であろう。
懸濁エアゾール製剤の場合、粒状(例えば、微粉化)薬物の粒径は、エアゾール製剤の投与の際に実質的に全ての薬物の肺への吸入を可能にするようなものでなければならず、このため、100ミクロン未満、望ましくは20ミクロン未満、また特に1〜10ミクロン(例えば1〜5ミクロン、より好ましくは2〜3ミクロン)の範囲内であろう。
本発明による製剤は、適切な容器中で、例えば超音波処理又は高せん断ミキサーを利用して、医薬及び式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を選択された噴射剤に分散又は溶解させることによって調製することができる。この方法は、望ましくは制御された湿度条件下で行われる。
本発明によるエアゾール製剤の化学的及び物理的安定性ならびに医薬許容性は、当業者に周知の技術により決定することができる。このため、例えば、成分の化学的安定性は、例えば、製品の長期保存後にHPLCアッセイによって決定することができる。物理的安定性データは、例えば、漏れ試験により、バルブ送達アッセイ(1作動当たりの平均射出重量)により、用量再現性アッセイ(1作動当たりの活性成分)により、またスプレー分布分析などの他の従来の分析技術から得ることができる。
本発明による懸濁エアゾール製剤の安定性は、従来の技術により、例えば、バックライト散乱装置を用いて凝集粒度分布を測定することにより、又はカスケードインパクションもしくは「ツインインピンジャー(twin impinger)」分析法で粒度分布を測定することによって測定することができる。本明細書中で使用される「ツインインピンジャー」アッセイへの言及は、British Pharmacopaeia 1988、A204-207頁、付属書XVII Cにおいて定義されるとおり、「装置Aを用いた加圧吸入における放出用量の沈積の測定」を意味する。かかる技術により、エアゾール製剤の「呼吸用画分」を計算することが可能となる。「呼吸用画分」を計算するために用いられる1つの方法は、1作動当たり下流インピンジメントチャンバー中で回収される活性成分の量である「微粒子画分」(上記のツインインピンジャー法を用いて1作動当たりに送達される活性成分の総量のパーセントとして表される)を参照することによる方法である。
用語「計量用量吸入器」すなわちMDIは、缶、缶を覆う固定キャップ及び上記キャップ内に位置する製剤計量バルブを含むユニットを意味する。MDIシステムは、好適なチャネリング装置を含む。好適なチャネリング装置は、例えば、バルブアクチュエータと円筒状又は円錐状通路とを含み、それを通して医薬を充填されたキャニスターから計量バルブを経由して患者の鼻又は口へと(例えばマウスピースアクチュエータ)送達することができる。
MDIキャニスターは、一般的に、使用される噴射剤の蒸気圧に耐えることができる容器、例えばプラスチックボトルもしくはプラスチックコーティングされたガラスボトル又は好ましくは金属缶(例えば、場合により陽極酸化処理、ラッカーコーティング及び/又はプラスチックコーティングされ得るアルミニウム又はその合金の缶)(例えばWO96/32099を参照することにより本明細書に組み込まれる、ここで缶の内面の一部又は全部は、場合により1種以上の非フルオロカーボンポリマーと組み合わせて1種以上のフルオロカーボンポリマーでコーティングされている)を含み、この容器は計量バルブで密閉されている。キャップは、超音波溶接、ねじ込み継ぎ手又は圧着を介して缶上に固定することができる。本明細書中で教示されるMDIは、当技術分野の方法によって調製することができる(例えば、上記のByron及びWO96/32099を参照)。好ましくは、キャニスターはキャップアセンブリによって取り付けられ、薬物計量バルブは上記キャップ内に位置し、当該キャップは所定の位置に圧着されている。
本発明の一実施形態において、缶の金属製内面は、フルオロポリマー(より好ましくは非フルオロポリマーとブレンドされているフルオロポリマー)でコーティングされている。本発明の別の実施形態において、缶の金属製内面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされている。本発明のさらなる実施形態において、缶の金属製内面の全体は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とポリエーテルスルホン(PES)のポリマーブレンドでコーティングされている。
計量バルブは、1作動当たりに計量量の製剤を送達し、バルブを通した噴射剤の漏出を防止するためのガスケットを組み込むように設計されている。ガスケットは、例えば、低密度ポリエチレン、クロロブチル、ブロモブチル、EPDM、黒色及び白色ブタジエン-アクリロニトリルゴム、ブチルゴム及びネオプレンなどの任意の好適なエラストマー材料を含み得る。好適なバルブは、エアゾール業界でよく知られている製造業者、例えば、Valois社(フランス)(例えばDF10、DF30、DF60)、Bespak plc社(イギリス)(例えばBK300、BK357)及び3M-Neotechnic Ltd社(イギリス)(例えばSpraymiser(商標))から市販されている。
様々な実施形態において、MDIは、他の構造(例えば、限定するものではないが、MDIを格納し収容するためのオーバーラップパッケージ、例えば、米国特許第6,119,853号;第6,179,118号;第6,315,112号;第6,352,152号;第6,390,291号;及び第6,679,374号に記載されているものなど;ならびに用量カウンターユニット、例えば、限定するものではないが、米国特許第6,360,739号及び第6,431,168号に記載されているものなど)と併せて使用することもできる。
充填キャニスターの商業生産用大規模バッチの調製のため、医薬エアゾール製造の当業者によく知られている従来のバルク製造方法及びバルク製造機を用いることができる。このため、例えば、懸濁エアゾール製剤を調製するための1つのバルク製造方法では、計量バルブをアルミニウム缶に圧着して空のキャニスターを形成する。粒子状医薬を充填容器に添加し、液化噴射剤を、任意選択の賦形剤と共に、充填容器を通して製造容器へと加圧充填する。薬物懸濁液を充填機に再循環させる前に混合し、次いで、1アリコートの薬物懸濁液を、計量バルブを通してキャニスターに充填する。溶液エアゾール製剤を調製するためのバルク製造方法の一例では、計量バルブをアルミニウム缶に圧着して空のキャニスターを形成する。液化噴射剤(任意選択の賦形剤と共に)と溶解させた医薬を、充填容器を通して製造容器に加圧充填する。
代替的方法では、確実に製剤が蒸発しないように十分に低温の条件下で、1アリコートの液化製剤を開放キャニスターに添加し、その後計量バルブをキャニスターに圧着する。
典型的には、医薬用途用に調製されたバッチにおいては、各充填キャニスターを、確認秤量し、バッチ番号をコードし、放出試験前に保管用のトレーに詰める。
式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を含む懸濁剤及び液剤は、ネブライザーを介して患者に投与することもできる。噴霧療法に利用される溶媒又は懸濁剤は、水、水性生理食塩水、アルコール又はグリコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)等又はそれらの混合物などの任意の製薬上許容される液体であってよい。生理食塩水溶液は、投与後に薬理学的活性をわずかに示すか又は全く示さない塩を利用する。アルカリ金属塩もしくはアンモニウムハロゲン塩などの有機塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム)又はカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩などの有機塩、あるいは有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、酒石酸等)はいずれも、この目的のために使用することができる。
他の製薬上許容される賦形剤を、懸濁剤又は液剤に添加してもよい。式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、無機酸(例えば、塩酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸);有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸及び酒石酸等)、錯化剤(例えばEDTAもしくはクエン酸及びその塩);又は抗酸化剤(例えばビタミンEもしくはアスコルビン酸などの抗酸化剤)の添加によって安定化させることができる。これらは、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を安定化させるために単独で又は一緒に使用することができる。塩化ベンザルコニウム又は安息香酸及びその塩などの保存剤を添加してもよい。特に懸濁剤の物理的安定性を改善するため、界面活性剤を添加してもよい。これらの界面活性剤としては、レシチン、ジナトリウムジオクチルスルホスクシネート、オレイン酸及びソルビタンエステルが挙げられる。
さらなる態様において、本発明は、鼻腔内投与に適合した剤形を対象とする。
鼻に投与するための製剤としては、加圧ポンプによって鼻に投与される加圧エアゾール製剤及び水性製剤が挙げられる。非加圧製剤であって、鼻腔への局所投与に適合した製剤が特に興味深い。好適な製剤は、この目的のための希釈剤又は担体として水を含有する。肺又は鼻に投与するための水性製剤は、従来の賦形剤(例えば緩衝剤、張性改変剤など)と共に提供することができる。水性製剤は、噴霧によって鼻に投与することもできる。
式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、流体ディスペンサー(例えば、分配ノズル又は分配オリフィスを有し、使用者がそのポンプ機構に力を加えるとそれを通して計量用量の流体製剤が分配される流体ディスペンサー)から送達するための流体製剤として製剤化することができる。このような流体ディスペンサーは、一般的に、複数回計量用量の流体製剤のリザーバーを備え、この用量は連続的なポンプの作動により分配可能である。分配ノズル又はオリフィスは、流体製剤を鼻腔へ噴霧分配するため、使用者の鼻孔に挿入するように構成することができる。上述のタイプの流体ディスペンサーはWO05/044354に記載及び例示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ディスペンサーは、流体製剤を含有する容器に搭載された圧縮ポンプを有する流体排出装置を収容するハウジングを有する。ハウジングは、ハウジングに対して内側に移動可能な少なくとも1つの指で操作できるサイドレバーを有し、このサイドレバーは、ハウジング中で上記容器を上方にカム(cam)してポンプを圧縮し、計量用量の製剤を、ポンプ軸からハウジングの経鼻ノズルを通してポンプアウトさせる。一実施形態において、流体ディスペンサーは、WO05/044354の図30〜40に示される一般的なタイプの流体ディスペンサーである。
担体が固体である鼻腔内投与に適合した医薬組成物としては、鼻に接近して保持される粉末の容器から鼻道を通した迅速吸入によって投与される、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末が挙げられる。鼻腔用スプレー又は点鼻薬として投与するための、担体が液体である好適な組成物としては、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩の水溶液又は油溶液が挙げられる。
経皮投与に適合した医薬組成物は、患者の表皮と長時間密着させたままにしておくことが意図される個別のパッチ剤として提供することができる。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6)、318 (1986)に一般的に記載されるとおり、パッチ剤からイオン導入法によって送達することができる。
局所投与に適合した医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアゾール剤又は油剤として製剤化することができる。
軟膏剤、クリーム剤及びゲル剤は、例えば、好適な増粘剤及び/又はゲル化剤及び/又は溶媒の添加と共に、水性基剤又は油性基剤と一緒に製剤化することができる。従って、このような基剤としては、例えば、水及び/又は油(液体パラフィン又は植物油(例えばラッカセイ油もしくはヒマシ油)など)、あるいは溶媒(例えばポリエチレングリコール)が挙げられる。基剤の性質に応じて使用することができる増粘剤及びゲル化剤としては、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊脂、蜜蝋、カルボキシポリメチレン及びセルロース誘導体、ならびに/又はモノステアリン酸グリセリル及び/もしくは非イオン性乳化剤が挙げられる。
ローション剤は、水性基剤又は油性基剤と共に製剤化することが可能であり、一般的には1種以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤又は増粘剤も含有するだろう。
外用散剤は、任意の好適な粉末基剤、例えば、タルク、ラクトース又はデンプンを利用して形成することができる。点滴剤は、1種以上の分散剤、可溶化剤、懸濁化剤又は保存剤も含む水性基剤又は非水性基剤と共に製剤化することができる。
局所用製剤は、患部への1日当たり1回以上の塗布により投与することが可能であり、皮膚領域上の密封包帯法を有利に使用することができる。連続送達又は長期送達は、接着リザーバー系によって達成することができる。
目又は他の外部組織(例えば口及び皮膚)の処置のため、本組成物を、局所用軟膏剤又はクリーム剤として塗布することができる。軟膏剤として製剤化される場合、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩は、パラフィン性基剤又は水混和性軟膏基剤のいずれかと共に用いることができる。あるいは、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、水中油クリーム基剤又は油中水クリーム基剤を有するクリーム中で製剤化してもよい。
非経口投与に適合した医薬組成物としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び製剤を意図される受容者の血液と等張にする溶質を含有し得る水性及び非水性滅菌注射溶液;ならびに懸濁化剤及び増粘剤を含有し得る水性及び非水性滅菌懸濁剤が挙げられる。本組成物は、単位用量容器又は複数回用量容器(例えば密封したアンプル及びバイアル)で提供することが可能であり、また使用直前に滅菌液体担体(例えば注射用水)の添加のみが必要とされる凍結-乾燥(凍結乾燥)条件で保存することができる。即席注射剤及び懸濁剤は、滅菌散剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。
本発明による化合物及び医薬製剤は、例えば抗炎症剤、抗コリン剤、β2アドレナリン受容体アゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト又はプランルカストなど)、抗感染症薬、抗ヒスタミン剤、抗原免疫療法、コルチコステロイド(例えばプロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブデソニド、シクレソニド、フランカルボン酸モメタゾン、トリアムシノロン又はフルニソリドなど)、iNOS阻害剤、トリプターゼ阻害剤、IKK2阻害剤、p38阻害剤、Syk阻害剤、エラスターゼ阻害剤、ベータ-2インテグリンアンタゴニスト、アデノシンa2aアゴニスト、ケモカインアンタゴニスト、例えばCCR3アンタゴニスト又はCCR4アンタゴニストなど、伝達物質放出阻害剤(例えばカロモグリク酸ナトリウムなど)、5-リポキシゲナーゼ阻害剤(zyflo)、DP1アンタゴニスト、DP2アンタゴニスト、PDE4阻害剤、PI3-キナーゼ阻害剤、PI4-キナーゼ阻害剤、ITK阻害剤、LP(リゾホスファチジン酸)阻害剤、FLAP(5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質)阻害剤(例えばナトリウム3-(3-(tert-ブチルチオ)-1-(4-(6-エトキシピリジン-3-イル)ベンジル)-5-((5-メチルピリジン-2-イル)メトキシ)-1H-インドール-2-イル)-2,2-ジメチルプロパノエートなど)、DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)(例えばメトトレキセート、レフルノミド又はアザチオプリンなど)、モノクローナル抗体療法(例えば抗TSLP、抗IgE、抗TNF、抗IL-5、抗IL-6、抗IL-12又は抗IL-1など)、受容体療法(例えばエタネルセプトなど)、及び/又は抗原非特異的免疫療法(例えばインターフェロン又は他のサイトカイン/ケモカイン、サイトカイン/ケモカイン受容体モジュレーター、サイトカインアゴニスト若しくはアンタゴニスト、又はTLRアゴニストなど)から選択される1種以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができる又はこれらを含むことができる。
従って、さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、例えば抗炎症剤、抗コリン剤、β2-アドレナリン受容体アゴニスト、ロイコトリエンアンタゴニスト、抗感染剤、抗ヒスタミン剤、抗原免疫療法、コルチコステロイド、iNOS阻害剤、トリプターゼ阻害剤、IKK2阻害剤、p38阻害剤、Syk阻害剤、エラスターゼ阻害剤、ベータ-2インテグリンアンタゴニスト、アデノシンa2aアゴニスト、ケモカインアンタゴニスト、伝達物質放出阻害剤、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、DP1アンタゴニスト、DP2アンタゴニスト、PDE4阻害剤、PI3-キナーゼ阻害剤、PI4-キナーゼ阻害剤、ITK阻害剤、LP(リゾホスファチジン酸)阻害剤、FLAP(5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質)阻害剤、DMARD、モノクローナル抗体療法、受容体療法、及び/又は抗原非特異的免疫療法から選択される1種以上の他の治療活性剤と共に含む組み合わせを提供する。
一実施形態において本発明は、不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患を治療する方法であって、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、1種以上の治療活性剤と共に含む組み合わせの安全で有効な量を投与することを含む、方法を包含する。
本発明のある化合物は、他のPI3-キナーゼよりもPI3Kδに対する選択性を示し得る。従って本発明は、さらなる態様において、PI3Kδに対して選択的である式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、別のPI3-キナーゼ、例えばPI3Kγに対して選択的である化合物又はその製薬上許容される塩と共に含む組み合わせを提供する。
本発明の一実施形態は、1種又は2種の他の治療剤を含む組み合わせを包含する。
適切な場合、当業者には、他の治療成分(1種又は複数種)を、塩の形態で、例えばアルカリ金属塩もしくはアミン塩として又は酸付加塩として、あるいはプロドラッグとして、あるいはエステル(例えば低級アルキルエステル)として、あるいは溶媒和物(例えば治療成分の活性及び/もしくは安定性ならびに/又は物理的特徴(溶解性など)を最適化するための水和物)として使用し得ることが明らかであろう。適切な場合、治療成分を光学的に純粋な形態で使用し得ることも明らかであろう。
一実施形態において、本発明は、及び又は式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をβ2アドレナリン受容体アゴニストと共に含む組み合わせを包含する。
β2アドレナリン受容体アゴニストの例としては、サルメテロール(ラセミ体であってもよいし、R-エナンチオマーなどの単一エナンチオマーであってもよい)、サルブタモール(ラセミ体であってもよいし、R-エナンチオマーなどの単一エナンチオマーであってもよい)、ホルモテロール(ラセミ体であってもよいし、R,R-ジアステレオマーなどの単一ジアステレオマーであってもよい)、サルメファモール、フェノテロール、カルモテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、フレルブテロール、レプロテロール、バンブテロール、インダカテロール、テルブタリン及びそれらの塩、例えば、サルメテロールのキシナフォエート(1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシレート)塩、サルブタモールの硫酸エステル塩もしくは遊離塩基、又はホルモテロールのフマル酸エステル塩が挙げられる。一実施形態において、長時間作用型β2アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、約12時間以上の有効な気管支拡張を提供する化合物)が好ましい。
他のβ2アドレナリン受容体アゴニストとしては、WO 02/066422、WO 02/070490、WO 02/076933、WO 03/024439、WO 03/072539、WO 03/091204、WO 04/016578、WO 2004/022547、WO 2004/037807、WO 2004/037773、WO 2004/037768、WO 2004/039762、WO 2004/039766、WO01/42193及びWO03/042160に記載されているβ2アドレナリン受容体アゴニストが挙げられる。
β2アドレナリン受容体アゴニストの例としては、以下のものが挙げられる:
3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド;
3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド;
4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール;
N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド;
N-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン;及び
5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オン。
β2アドレナリン受容体アゴニストは、硫酸、塩酸、フマル酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば1-又は3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、桂皮酸、置換桂皮酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ナフタレンアクリル酸、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-又は4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸及び4-フェニル安息香酸から選択される製薬上許容される酸と共に形成される塩の形態であってよい。
一実施形態において、本発明は、及び又は式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をロイコトリエンアンタゴニストと共に含む組み合わせを包含する。好適なロイコトリエンアンタゴニストとしては、例えば、モンテルカストが挙げられる。
好適な抗炎症剤としては、コルチコステロイドが挙げられる。式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と組み合わせて使用し得る好適なコルチコステロイドは、経口及び吸入コルチコステロイドならびに抗炎症活性を有するそれらのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル(フロ酸フルチカゾン)、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-シアノメチルエステル及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、ベクロメタゾンエステル(例えば17-プロピオン酸エステル又は17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えばフロ酸モメタゾン)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド(16α,17-[[(R)-シクロヘキシルメチレン]ビス(オキシ)]-11β,21-ジヒドロキシ-プレグナ-1,4-ジエン-3,20-ジオン)、プロピオン酸ブチクソコート(butixocort)、RPR-106541、及びST-126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3-テトラメチシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-シアノメチルエステル及び6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルが挙げられる。一実施形態において、コルチコステロイドは、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルである。
コルチコステロイドの例としては、WO2002/088167、WO2002/100879、WO2002/12265、WO2002/12266、WO2005/005451、WO2005/005452、WO2006/072599及びWO2006/072600に記載されるコルチコステロイドが挙げられる。
転写促進よりも転写抑制に対する選択性を有し且つ併用療法において有用であり得るグルココルチコイド受容体活性化作用を有する非ステロイド性化合物としては、以下の特許:WO03/082827、WO98/54159、WO04/005229、WO04/009017、WO04/018429、WO03/104195、WO03/082787、WO03/082280、WO03/059899、WO03/101932、WO02/02565、WO01/16128、WO00/66590、WO03/086294、WO04/026248、WO03/061651及びWO03/08277において網羅される非ステロイド性化合物が挙げられる。さらなる非ステロイド性化合物は、WO2006/000401、WO2006/000398及びWO2006/015870において網羅される。
抗炎症剤の例としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID's)が挙げられる。
NSAID'sの例としては、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤又は混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成阻害剤(例えばモンテルカスト)、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害剤、べータ-2インテグリンアンタゴニスト及びアデノシン受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えばアデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト、又はサイトカイン合成阻害剤、あるいは5-リポキシゲナーゼ阻害剤が挙げられる。
一実施形態において、本発明は、特に吸入に適合した製剤の場合において、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤と組み合わせた式(I)の化合物の使用を提供する。本発明のこの態様において有用なPDE4特異的阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られているか、又はPDE4阻害剤として作用することが見出されている任意の化合物であり得るが、単なるPDE4阻害剤であって、PDE4のみならずPDEファミリーの他のメンバー(例えばPDE3及びPDE5)も阻害する化合物ではない。
化合物としては、シス-4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン及びシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]が挙げられる。また、シス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロミラストとしても公知)及びその塩、エステル、プロドラッグ又は物理的形態も挙げられるが、これは1996年9月3日に発行された米国特許第5,552,438号に記載され;この特許及びそれが開示する化合物は、参照により本明細書中に完全に組み込まれる。
他の化合物としては、Elbion社から販売されているAWD-12-281(Hofgen, N.ら, 第15回 EFMC Int Symp Med Chem (9月6日〜10日、エディンバラ) 1998年, 要約P.98;CAS参照No. 247584020-9);9-ベンジルアデニン誘導体指定NCS-613(INSERM社);Chiroscience and Schering-Plough社から販売されているD-4418;CI-1018(PD-168787)として同定され、Pfizer社に帰属するベンゾジアゼピンPDE4阻害剤;WO99/16766において協和発酵(Kyowa Hakko)により開示されたベンゾジオキソール誘導体;協和発酵から販売されているK-34;Napp社から販売されているV-11294A (Landells, L.J. ら, Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (9月19日〜23日, ジェノヴァ) 1998年] 1998年, 12 (付録28):要約P2393);Byk-Gulden社から販売されているロフルミラスト(CAS参照No. 162401-32-3)及びフタラジノン(WO99/47505、その開示は参照により本明細書に組み込まれる);Byk-Gulden社(現在のAltana社)により製造及び公開されている混合PDE3/PDE4阻害剤であるプマフェントリン、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10β-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarma社により開発中のアロフィリン;Vernalis社により販売されているVM554/UM565;又はT-440(田辺製薬(Tanabe Seiyaku);Fuji, K.らJ Pharmacol Exp Ther,1998, 284(1):162)、及びT2585が挙げられる。
さらなる化合物は、公開国際特許出願WO04/024728(Glaxo Group Ltd)、WO04/056823(Glaxo Group Ltd)及びWO04/103998(Glaxo Group Ltd)(例えば、これらにおいて開示される実施例399又は544)に開示されている。さらなる化合物も、WO2005/058892、WO2005/090348、WO2005/090353、及びWO2005/090354(全てGlaxo Group Limited名義)に開示されている。
抗コリン作用剤の例としては、ムスカリン性受容体においてアンタゴニストとして作用する化合物、特に、M1もしくはM3受容体のアンタゴニスト、M1/M3もしくはM2/M3受容体の二重アンタゴニスト、又はM1/M2/M3受容体の汎アンタゴニストである化合物が挙げられる。吸入による投与のための例示的化合物としては、イプラトロピウム(例えば臭化物として、CAS 22254-24-6、アトロベントの名称で販売)、オキシトロピウム(例えば臭化物として、CAS 30286-75-0)及びチオトロピウム(例えば臭化物として、CAS 136310-93-5、スピリーバの名称で販売)が挙げられる。同様に興味深いのは、レバトロペート(例えば臭化水素酸塩として、CAS 262586-79-8)及びWO01/04118に開示されているLAS-34273である。経口投与のための例示的化合物としては、ピレンゼピン(CAS 28797-61-7)、ダリフェナシン(CAS 133099-04-4、又はエナブレックスの名称で販売されている臭化水素酸塩についてはCAS133099-07-7)、オキシブチニン(CAS5633-20-5、ジトロパンの名称で販売)、テロジリン(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(CAS 124937-51-5、又はデトロールの名称で販売されている酒石酸塩についてはCAS 124937-52-6)、オチロニウム(例えば臭化物として、CAS 26095-59-0、スパスモメンの名称で販売)、塩化トロスピウム(CAS 10405-02-4)及びソリフェナシン(CAS 242478-37-1、又はYM-905としても知られており、ベシケアの名称で販売されているコハク酸塩についてはCAS 242478-38-2)が挙げられる。
さらなる化合物は、WO 2005/037280、WO 2005/046586及びWO 2005/104745に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の組み合わせとしては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:
(3-エンド)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3-エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
4-[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]-1-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド;及び
(1R,5S)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8-メチル-8-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
他の抗コリン作用剤としては、米国特許出願第60/487981号に開示されている化合物、例えば以下のものが挙げられる:
(3-エンド)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-エンド)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3-エンド)-3-(2,2-ジフェニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン4-メチルベンゼンスルホネート;
(3-エンド)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-チエニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;及び/又は
(3-エンド)-8,8-ジメチル-3-[2-フェニル-2-(2-ピリジニル)エテニル]-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
さらなる抗コリン作用剤としては、米国特許出願第60/511009号に開示されている化合物、例えば以下のものが挙げられる:
(エンド)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオニトリル;
(エンド)-8-メチル-3-(2,2,2-トリフェニル-エチル)-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオン酸;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロパン-1-オール;
N-ベンジル-3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピオンアミド;
(エンド)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
1-ベンジル-3-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
1-エチル-3-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-アセトアミド;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンズアミド;
3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-プロピオニトリル;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-ベンゼンスルホンアミド;
[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-尿素;
N-[3-((エンド)-8-メチル-8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタ-3-イル)-2,2-ジフェニル-プロピル]-メタンスルホンアミド;及び/又は
(エンド)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
さらなる化合物としては、以下のものが挙げられる:
(エンド)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(エンド)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;及び/又は
(エンド)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アザニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド。
一実施形態において、本発明は及び又は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をH1アンタゴニストと共に含む組み合わせを提供する。H1アンタゴニストの例としては、限定するものではないが、アンレキサノクス、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン及びトリプロリジン、特にセチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン及びフェキソフェナジンが挙げられる。さらなる実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をH3アンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)と共に含む組み合わせを提供する。H3アンタゴニストの例としては、例えば、WO2004/035556及びWO2006/045416に開示される化合物が挙げられる。本発明の化合物と組み合わせて使用することができる他のヒスタミン受容体アンタゴニストとしては、H4受容体のアンタゴニスト(及び/又は逆アゴニスト)、例えば、Jablonowskiら、J. Med. Chem. 46:3957-3960(2003年)に開示される化合物が挙げられる。
一実施形態において、本発明は及び又は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を抗感染症薬と共に含む組み合わせを提供する。抗感染症薬は、抗生物質、抗ウイルス薬又は抗菌薬であり得る。好適な抗生物質の例としては、アモキシシリン/クラブラネート、フルクロキサシリン、セファレキシン、セフィキシム、エリスロマイシン、シプロフロキサシン及びトブラマイシンを挙げることができる。好適な抗ウイルス薬の例としては、オセルタミビル、ザナミビル及びリバビリンを挙げることができる。好適な抗菌薬の例としては、フルコナゾール及びイトラコナゾールを挙げることができる。
一実施形態において及び又は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を抗感染症薬と共に含む組み合わせは、吸入によって投与することができる。特に吸入に適した抗感染症薬の例としては、吸入又は噴霧され得る抗感染症薬、例えば、抗生物質(トブラマイシン又はシプロフロキサシンなど)、及び抗ウイルス薬(ザナミビル又はリバビリンなど)が挙げられる。
一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を、式(I)の化合物と適合作用期間を有する抗感染症薬と共に含む組み合わせを提供する。本明細書中で使用される用語「適合作用時間」は、作用時間が、特定の患者を治療するために両方の化合物を投与することができるような時間であること、例えば、両化合物を、毎日同じ回数(例えば1日1回又は2、3、4もしくは8回)投与することができることを意味する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をPDE4阻害剤と共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をβ2-アドレナリン受容体アゴニストと共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をロイコトリエンアンタゴニストと共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をコルチコステロイドと共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を非ステロイド性GRアゴニストと共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を抗コリン剤と共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を抗ヒスタミン剤と共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩をPDE4阻害剤及びβ2-アドレナリン受容体アゴニストと共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を抗コリン剤及びPDE-4阻害剤と共に含む組み合わせを提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩を抗感染剤と共に含む組み合わせを提供する。
上に言及された組み合わせは、医薬組成物の形態での使用のために好都合に提示されてもよく、従って製薬上許容される希釈剤又は担体との、上で定義されたような組み合わせを含む医薬組成物は、本発明のさらなる態様に相当する。
このような組み合わせの個々の化合物は、別個の又は組み合わせた医薬製剤において、逐次的に又は同時に投与されてもよい。一実施形態において、個々の化合物は組み合わせた医薬製剤で同時に投与される。適当な用量の公知の治療剤は当業者により容易に認識される。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と別の治療活性剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩とPDE4阻害剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩とβ2-アドレナリン受容体アゴニストとの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩とロイコトリエンアンタゴニストとの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩とコルチコステロイドとの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と非ステロイド性GRアゴニストとの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と抗コリン剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と抗ヒスタミン剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩とPDE4阻害剤及びβ2アドレナリン受容体アゴニストとの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と抗コリン剤及びPDE4阻害剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
従って本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその製薬上許容される塩と抗感染剤との組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
ここで本発明を、以下の非限定的例を通して例示する。
以下の実施例は本発明を例示する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定することを意図せず、むしろ当業者が本発明の化合物、組成物、及び方法を調製及び使用するための手引きを提供するためのものである。本発明の特定の実施形態が記載されているが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができることを認識している。
実施例の名称は、有構造を名称にマッチさせる化合物命名プログラム(例えばACD/Nameバッチv9.0)を使用して得た。
業務用供給会社の名称が化合物又は試薬の名称の後に付与されている場合、これは、化合物が業務用供給会社、例えば指名された業務用供給会社などから入手可能であることを意味する。本明細書で言及されていない場合、化合物又は試薬は、標準的な供給元、例えばSigma Aldrich、Lancaster、Fluorochem、TCIなどから購入することができる。
一般的方法
液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)
反応進行及び最終LCMS分析は、以下の3つの方法の1つを使用して行われた。
LCMS方法A
液体クロマトグラフィー(LC)分析を、0.5μL注入量を使用して、Acquity UPLC CSH C18カラム(50mm×2.1mm内径、1.7μm充填径)で、40℃で行った。
以下の溶媒を利用した。
A=水中0.1%v/vのギ酸溶液
B=アセトニトリル中0.1%v/vのギ酸溶液
以下の勾配を利用した。
Figure 2019524792
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの信号を合計したものであった。質量スペクトルは、スキャン範囲100〜1000amu、スキャン時間0.27秒及びインタースキャンディレイ0.10秒を用いた、交互スキャンポジティブネガティブエレクトロスプレーイオン化(ES+及びES-)を使用して、Waters ZQ質量分析器に記録した。
LCMS方法B
液体クロマトグラフィー(LC)分析を、0.5μL注入量を使用して、Acquity UPLC CSH C18カラム(50mm×2.1mm内径、1.7μm充填径)で、40℃で行った。
以下の溶媒を利用した。
A=水中0.1%v/vのトリフルオロ酢酸溶液
B=アセトニトリル中0.1%v/vのトリフルオロ酢酸溶液
以下の勾配を利用した。
Figure 2019524792
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの信号を合計したものであった。質量スペクトルを、スキャン範囲100〜1000amu、スキャン時間0.27秒及びインタースキャンディレイ0.05秒を用いたポジティブエレクトロスプレーイオン化(ES+)を使用して、Waters ZQ質量分析器上に記録した。
質量分析直結自動化分取HPLC(MDAP)
方法A
カラム:周辺温度で、Xselect CSH C18カラム(150mm×30mm i.d. 5μm充填径)。
以下の溶媒を利用した。
A=水中アンモニアを用いてpH10に調節した10mM炭酸水素アンモニウム
B=MeCN
注入量:1mL
DAD検出は210nm〜350nmであった。
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化モード:交互スキャンポジティブ/ネガティブのエレクトロスプレー
スキャン範囲:100〜1000AMU
スキャン時間:0.50秒
インタースキャンディレイ:0.2秒
方法B
カラム:周辺温度でXselect CSH C18カラム(150mm×30mm i.d. 5μm充填径)。
以下の溶媒を利用した。
A=水中0.1%v/vのギ酸溶液
B=MeCN中0.1%v/vのギ酸溶液
注入量:1mL
DAD検出は210nm〜350nmであった。
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化モード:交互スキャンポジティブ/ネガティブのエレクトロスプレー
スキャン範囲:100〜1000AMU
スキャン時間:0.50秒
インタースキャンディレイ:0.2秒
方法C
カラム:周辺温度で、Xselect CSH C18カラム(150mm×30mm i.d. 5μm充填径)。
以下の溶媒を利用した。
A=アンモニアを用いてpH10に調節した水中10mM炭酸水素アンモニウム
B=MeCN
注入量:3mL
UV検出は254nmでの信号波長に対するものであった。
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化モード:交互スキャンポジティブ/ネガティブのエレクトロスプレー
スキャン範囲:100〜1000AMU
スキャン時間:0.50秒
インタースキャンディレイ:0.2秒
方法D
カラム:周辺温度でXselect CSH C18カラム(150mm×30mm i.d. 5μm充填径)。
以下の溶媒を利用した。
A=水中0.1%v/vのTFA溶液
B=MeCN中0.1%v/vのTFA溶液
注入量:3mL
UV検出は254nmでの信号波長に対するものであった。
MS条件
MS:Waters ZQ
イオン化モード:交互スキャンポジティブ/ネガティブのエレクトロスプレー
スキャン範囲:100〜1000AMU
スキャン時間:0.50秒
インタースキャンディレイ:0.2秒
カラムクロマトグラフィー
正しいサイズのRediSep Rfシリカカートリッジ(順相用)、又はBiotage KP-C18-HSカートリッジ(逆相用)を使用して、自動化カラムクロマトグラフィーをTeledyne IscoコンビフラッシュRfシステムで行った。溶出には、特に述べられていない限り、所望の修飾因子(逆相用)を社内で加えた、Sigma Aldrichにより提供される標準的なHPLC等級の溶媒を利用した。
中間体1
オキサゾール-5-カルボン酸
Figure 2019524792
温度を25℃未満に維持しながら、水酸化リチウム一水和物の水溶液(319kgの水に溶解した49.44kgの水酸化リチウム一水和物から調製した124.5kgの溶液、398モル)を、水(54kg)中のエチル5-オキサゾールカルボキシレート(54kg、382.7モル)溶液に加えた。反応物を6.5時間撹拌し、次いで、温度を25℃未満に維持しながら、水性の濃HCl(64.8kg)を加え、結晶体を5℃に冷却し、1時間保持した。生成物を濾別し、冷水(88kg)、次いでイソプロパノール(171kg)で洗浄し、減圧下、50℃で乾燥させることによって、表題化合物(37.88kg、87.5%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 13.68 (br. s., 1 H), 8.59 (s, 1 H),及び7.88 (s, 1 H).
中間体2
(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノン
Figure 2019524792
方法A
温度を52〜58℃に維持しながら、塩化オキサリル(47.7kg、375.8モル)をオキサゾール-5-カルボン酸(32.88kg、290.8モル)の酢酸イソプロピル(144kg)中溶液に加えた。温度を58.5℃に増加させ、5時間撹拌し、次いで20℃に冷却した。温度を25℃未満に維持しながら、反応混合物を、1-(イソプロピル)ピペラジン(41kg、319.8モル)及び炭酸カリウム(118.4kg)の酢酸イソプロピル(348kg)及び水(103kg)中溶液に加えた。反応物を15分間撹拌し、温度を33℃に増加させ、有機相を水で洗浄し(191kg)、減圧下で95Lに濃縮し、20℃に冷却した。n-ヘプタン(157kg)を加え、結晶体を2時間撹拌し、生成物を濾別し、n-ヘプタン(157kg)で洗浄し、減圧下、40℃で乾燥させることによって、表題化合物(57.14kg、88.0%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3-d) δ ppm 7.94 (s, 1 H), 7.56 (s, 1 H), 3.91-3.73 (m, 4 H), 2.75 (spt., J=6.5 Hz, 1 H), 2.63-2.52 (m, 4 H)及び1.06 (d, J=6.6 Hz, 6 H).
方法B
1-イソプロピルピペラジン(1.06g、8.24mmol)及びエチル-オキサゾール-5-カルボキシレート(1.16g、8.24mmol)を、シクロペンチルメチルエーテル(40mL)中の5Åモレキュラーシーブ(8.0g)の懸濁液に加え、55℃で1時間撹拌した。凍結乾燥したリパーゼTL(2.0g)を加え、反応混合物を28.75時間撹拌し、次いで、グラスファイバー紙を介して濾過し、シクロペンチルメチルエーテル(3×6mL)を用いて洗浄した。合わせた濾液及び洗液を減圧下で濃縮し、粗残留物をメチルシクロヘキサン(6mL)中で再スラリー化し、濾別し、メチルシクロヘキサン(2×5mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させることによって、表題化合物(1.40g、76%)を得た。
中間体3
4-クロロ-1H-インダゾール
Figure 2019524792
無水酢酸(69kg、675.9モル)を、3-クロロ-2-メチルアニリン(30kg、211.9モル)、酢酸カリウム(25kg、254.7モル)及びメチルテトラヒドロフラン(302L)の撹拌したスラリーに25℃で加え、次いで、2時間撹拌した。亜硝酸イソペンチル(44.5kg、379.9モル)をスラリーに加え、内容物を73℃に18時間加熱した。スラリーを20℃に冷却し、次いで水(90L)を加え、反応物を5℃に冷却した。NaOH(32%w/wを105L)水溶液を加え、溶液を40℃に加熱し、2時間撹拌した。下側の水相を除去し、有機層を水(150L)、次いでブライン(90Lの水中18kg)で洗浄した。有機層を常圧蒸留で90Lに濃縮し、n-ヘプタンへの溶媒交換を常圧蒸留により実施して、最終容量240Lにした。スラリーを7℃に冷却し、2時間撹拌し、固体を濾過により単離した。ケーキをヘプタン(2×60L)で洗浄し、減圧下で乾燥させることによって、表題化合物(23.6kg、73%)を得た。
1H NMR (400MHz, MeOD-d4) δ = 8.08 (s, 1H), 7.48 (d, J=8.6 Hz, 1H), 7.33 (dd, J=7.5, 8.4 Hz, 1H), 7.14 (d, J=7.3 Hz, 1H)
HPLC Rt = 1.94分.
中間体4
4-クロロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール
Figure 2019524792
トリフルオロ酢酸(3.5kg、30.7モル)を、4-クロロ-1H-インダゾール(23kg、15.1モル)及び3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(43.1kg、512.7モル)の酢酸エチル(235L)中溶液に加えた。反応混合物を80℃に4時間加熱し、次いで23℃に冷却し、トリエチルアミン(3.2kg、31.6モル)を加え、30分間撹拌した。常圧蒸留を使用して、溶媒をイソプロパノールに交換し、最終容量138Lにした。溶液を55℃に冷却し、この温度を維持しながら、水(138L)を加えた。溶液を42℃に冷却し、種結晶を播種し(8g)、次いで30℃に冷却し、10時間保持し、水(46L)を加え、18℃に冷却し、スラリーを2時間撹拌し、次いで濾別し、6:1v/v水/2-プロパノール(2×46L)で洗浄し、減圧下、50℃で乾燥させることによって、表題化合物(28.8kg、80.7%)を得た。
1H NMR (500MHz, DMSO-d6) δ = 8.18 (s, 1H), 7.74 (d, J=8.5 Hz, 1H), 7.42 (dd, J=7.5, 8.4 Hz, 1H), 7.27 (d, J=7.3 Hz, 1H), 5.88 (dd, J=2.5, 9.5 Hz, 1H), 3.90 - 3.85 (m, 1H), 3.79 - 3.70 (m, 1H), 2.44 - 2.35 (m, 1H), 2.07 - 1.95 (m, 2H), 1.81 - 1.69 (m, 1H), 1.64-1.53 (m, 2H).
中間体5
(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)オキサゾール-5-イル)メタノン
Figure 2019524792
方法A
塩化パラジウム(0.74kg、4.2モル)及びXPhos(4.36kg、9.1モル)をシクロペンチルメチルエーテル(372L)中に懸濁させた。4-クロロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(36kg、152.1モル)、(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノン(34.78kg、155.8モル)、及び炭酸カリウム(325メッシュ、35.64kg、257.9モル)を加え、シクロペンチルメチルエーテル(2.58kg)ですすいだ。シクロペンチルメチルエーテル(10L)に溶解したピバル酸溶液(9.294kg、91.0モル)を加え、これに続いてシクロペンチルメチルエーテル(10L)ですすいだ。反応物を真空脱気し、窒素を3回充填しなおし、次いで5時間加熱還流させ、内容物を40℃に冷却した。反応混合物を水(144L)、次いで5%w/vの塩化ナトリウム水溶液(151.2kg)で洗浄し、有機相を大気圧で288Lに濃縮した。反応混合物を濾過して別の容器に移し、フィルターをシクロペンチルメチルエーテル(36L)で洗浄し、次いで108Lに常圧蒸留した。温度を75℃に維持しながら、メチルシクロヘキサン(162L)を容器に加え、次いで内容物を62〜65℃に冷却し、冷やしたメチルシクロヘキサン(0.52L)中でスラリー化した(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)オキサゾール-5-イル)メタノン(90g)を結晶体に藩種した。結晶体を62℃で30分間保持し、7℃に冷却し、次いで7℃で終夜保持した。生成物を濾別し、メチルシクロヘキサン(2×72L)で洗浄し、真空オーブン内で、50℃で乾燥させることによって、表題化合物(57.2kg、88.9%)を得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.59 (s, 1H), 8.00 (d, J=8.6 Hz, 1 H), 7.95 (s, 1H), 7.91 (d, J =7.3 Hz, 1 H),7.62 (dd, J=7.3, 8.3 Hz, 1H), 5.97 (dd, J=2.0, 9.5 Hz, 1H), 4.03 - 3.85 (m, 1H), 3.84 - 3.70 (m, 1H), 3.66 (br. s., 4H), 2.72 (spt., J=6.5 Hz, 1 H), 2.57 - 2.40 (m, 5H), 2.11 - 1.96 (m, 2H), 1.85 - 1.68 (m, 1H), 1.68 - 1.47 (m, 2H), 0.99 (d, J=6.4 Hz, 6 H)
方法B
4-クロロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール(10g、42.2mmol)、(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(オキサゾール-5-イル)メタノン(9.67g、43.3mmol)、炭酸カリウム(325メッシュ、9.93g、71.8mmol)及びピバル酸(2.59g、25.3mmol)をCPME(90mL)中に懸濁させた。反応物を室温で10分間撹拌し、次いで真空脱気し、窒素を3回充填しなおした。塩化パラジウム(206mg、1.16mmol)及びXPhos(1.21g、2.53mmol)を加え、CPME(10mL)ですすいだ。反応混合物を真空脱気し、窒素を3回充填しなおし、次いで5時間加熱還流させ、内容物を冷却して50℃に戻した。反応混合物を3%w/wの塩化ナトリウム水溶液(30mL)、次いで20%w/wの塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、有機相を大気圧で80mLに濃縮した。反応混合物を室温に冷却し、終夜保持した。次いで、反応混合物を濾過して、別の容器に移し、フィルターをCPME(20mL)で洗浄し、次いで30mLに常圧蒸留した。内容物を80℃に冷却し、温度を75℃に維持しながら、メチルシクロヘキサン(45mL)を容器に加え、次いで内容物を62〜65℃に冷却し、(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)オキサゾール-5-イル)メタノンを結晶体に藩種した。結晶体を63℃で30分間保持し、6時間にわたり5℃に冷却し、次いで終夜5℃で保持した。生成物を濾別し、冷やしたメチルシクロヘキサン(2×20mL)で洗浄し、真空オーブン内で、50℃で乾燥させることによって、表題化合物(13.52g、76%)を得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 8.59 (s, 1H), 8.00 (d, J=8.6 Hz, 1 H), 7.95 (s, 1H), 7.91 (d, J =7.3 Hz, 1 H),7.62 (dd, J=7.3, 8.3 Hz, 1H), 5.97 (dd, J=2.0, 9.5 Hz, 1H), 4.03 - 3.85 (m, 1H), 3.84 - 3.70 (m, 1H), 3.66 (br. s., 4H), 2.72 (spt., J=6.5 Hz, 1 H), 2.57 - 2.40 (m, 5H), 2.11 - 1.96 (m, 2H), 1.85 - 1.68 (m, 1H), 1.68 - 1.47 (m, 2H), 0.99 (d, J=6.4 Hz, 6 H)
中間体6
(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)オキサゾール-5-イル)メタノン
Figure 2019524792
ピナコールボラン(40.80kg、318.8モル)を、(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)オキサゾール-5-イル)メタノン(54.00kg、127.5モル)、(1,5-シクロオクタジエン)(メトキシ)イリジウム(I)ダイマー(0.864kg、1.30モル)及び3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリン(1.51kg、6.39モル)のTHF(243.2kg)中撹拌溶液に20℃で加えた。反応物を8時間加熱還流し、次いで20℃に冷却し、イソプロパノール(253.8kg)を含有する容器に移し、THF(23.8kg)で洗浄した。溶媒を200mbarで270Lに蒸留し、イソプロパノール(253.8kg)を加え、次いで100mbarで324Lに再蒸留した。結晶体を40℃に4時間加熱し、20℃に冷却し、終夜撹拌し、濾別し、イソプロパノール(84.8kg)で洗浄し、真空オーブン内で、50℃で乾燥させることによって、表題化合物(57.35kg、82.8%)を得る。
1H NMR (400MHz, CDCl3-d) δ ppm 8.70 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 5.85 (dd, J=2.4, 9.5 Hz, 1H), 4.11 - 4.03 (m, 1H), 3.97 - 3.77 (m, 5H), 2.78 (spt., J=6.4 Hz, 1 H), 2.70 - 2.59 (m, 5H), 2.24 - 2.14 (m, 1H), 2.14 - 2.03 (m, 1H), 1.86 - 1.72 (m, 2H), 1.72 - 1.62 (m, 1H), 1.40 (s, 12H), 1.08 (d, J=6.4 Hz, 6H).
中間体7
メチル5-(4-(5-(4-イソプロピルピペラジン-1-カルボニル)オキサゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
フラスコに、(4-イソプロピルピペラジン-1-イル)(2-(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-インダゾール-4-イル)オキサゾール-5-イル)メタノン(4.91g、8.94mmol)、メチル5-ブロモ-2-メトキシニコチネート(2.00g、8.13mmol)、PdCl2(dppf)(0.595g、0.813mmol)、及びNa2CO3(2.58g、24.4mmol)を充填した。次いで、1,4-ジオキサン(100mL)及び水(25mL)を加え、反応物を撹拌した。容器を脱気し、窒素で3回パージし、次いで80℃で30分間加熱した。反応物を室温に冷却し、セライトを介して濾過し、真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(100mL)及び水(20mL)に溶解した。層を分離し、有機物を水(3×20mL)及びブライン(3×20mL)で洗浄した。疎水性フリットを介して有機物を乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を、シリカゲル上での自動化カラムクロマトグラフィー(0〜30%EtOH:EtOAc)で精製した。所望の画分を合わせ、溶媒を真空中で除去することによって、褐色の泡状物質として表題生成物(4.5g)を得た。
LCMS (方法A): Rt = 0.77分, [M+H+] 589.6.
中間体8
メチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
メチル5-(4-(5-(4-イソプロピルピペラジン-1-カルボニル)オキサゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート(100mg、0.170mmol)及びトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)カルボニル水素化物(1.8mg、2.0μmol)を含有するフラスコに、THF(0.2mL)及びジフェニルシラン(0.073mL、0.39mmol)を加えた。シラン添加による発泡を観察した。反応物は撹拌したまま室温で置いた。17時間の時点で、触媒(2.0mg、2.2μmol)及びシラン(0.075mL、0.40mmol)のさらなる部分を加えた。さらに1.5時間後、反応物を2mLのエーテルで希釈し、生成物を水性HCl(1M、6×1mL洗液)に抽出した。有機物を廃棄し、炭酸水素ナトリウムの添加により水性の物質をpH8に塩基性化し、生成物をEtOAc(2×25mL)に抽出した。疎水性フリットを介して、有機物を乾燥し、真空中で濃縮し、シリカゲル上での自動化カラムクロマトグラフィー(0〜20%MeOH:DCM)で残留物を精製した。所望の画分を合わせ、溶媒を真空中で除去することによって、褐色のガム状物質として表題生成物(62mg)を得た。
LCMS (方法A): Rt = 0.78分, [M+H+] 575.6.
[実施例1]
メチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート、ギ酸塩
Figure 2019524792
無水メタノール(2mL)中メチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート(55mg、0.096mmol)を含有するフラスコに、窒素下でクロロトリメチルシラン(TMSCl)(0.15mL、1.2mmol)を加えた。反応物を40℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン(0.164mL、1.17mmol)を容器に加え、反応物を室温に冷却した。溶媒を真空中で除去し、残留物をシリカゲル上での自動化カラムクロマトグラフィーで精製し、トリエチルアミン(0〜15%MeOH:DCM)で前処理した。生成物をMDAPでさらに精製した(方法A)。所望の画分を合わせ、溶媒を窒素流下で除去することによって、白色のゴム状物質として表題生成物(42mg)を生成した。ギ酸塩が共有の乾燥装置から観察された。
LCMS (方法A): Rt= 0.60分, [M+H+] 491.5.
[実施例2]
5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸
Figure 2019524792
無水メタノール(8mL)中メチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート(200mg、0.350mmol)を含有するフラスコに、窒素下でTMSCl(0.45mL、3.5mmol)を加えた。反応物を40℃で16時間撹拌した。次いで、水性NaOH(2M、1.74mL、3.48mmol)をゆっくりと加えて、反応物を中和させ、さらなる水性NaOH(2M)の添加により、pHをpH11に調節した。反応物を65℃で1時間加熱し、次いで室温に冷却し、真空中で濃縮した。炭酸水素アンモニウムでpH10に調節したおよそ1:1のDMSO/水に残留物を溶解し、C18シリカゲル上での自動化逆相カラムクロマトグラフィーで精製した(炭酸水素アンモニウムでpH10に調節した、5〜95%アセトニトリル:水)。所望の画分を収集し、溶媒を真空中で除去することによって、ベージュ色の固体として表題生成物(153mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.54分, [M+H+] 477.5.
[実施例3]
2-ニトロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート、ギ酸塩
Figure 2019524792
HATU(96mg、0.252mmol)、5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)、及びDIPEA(0.073mL、0.42mmol)をDMF(1.5mL)中室温で10分間撹拌してから、o-ニトロフェノール(44mg、0.32mmol)を加えた。反応物を撹拌したまま室温で置いた。1時間後、反応物をDMSOで2mLに希釈し、MDAPで精製した(方法B)。所望の画分を合わせ、真空中で濃縮し、次いでVapourtec V10システムを使用して完全に乾燥させることによって、オフホワイト色の固体として生成物(34mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.74分, [M+H+] 598.2.
[実施例4]
4-ニトロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
HATU(96mg、0.25mmol)、5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)及びDIPEA(0.073mL、0.42mmol)をDMF(1.5mL)中室温で10分間撹拌してから、4-ニトロフェノール(44mg、0.32mmol)を加えた。次いで、反応物を撹拌したまま室温で置いた。1時間後、DMSOで反応物を2mLに希釈し、MDAPで精製した(方法B)。所望の画分を合わせ、真空中で濃縮し、次いでVapourtec V10を使用して完全に乾燥させることによって、黄色の固体を生成した。試料をDMSO(1mL)に溶解させ、MDAPでさらに精製した(方法D)。所望の画分を、流動する窒素下で、40℃で終夜乾燥させることによって、TFA塩として生成物を生成した。試料をDCM(2mL)と蒸留水(2mL)との間で分配した。飽和水性NaHCO3を滴下添加して、pHを10に調節し、生成物を有機層に抽出した。水性の物質を3×2mLのDCMでさらに抽出した。次いで、疎水性フリットを介して有機物を乾燥させ、窒素ブローダウンにより濃縮し、さらに真空オーブン内で、40℃で2時間乾燥させることによって、黄色の固体として表題生成物(17mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.76分, [M+H+] 598.2.
[実施例5]
2-(トリフルオロメチル)フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)、o-(トリフルオロメチル)フェノール(51mg、0.32mmol)及び(PyBOP)(120mg、0.231mmol)をDMF(1.5mL)中室温で撹拌した。次いでDIPEA(0.073mL、0.42mmol)を撹拌反応物に滴下添加し、反応物を撹拌したまま室温で置いた。5分後、反応物をDMSOで3mLに希釈し、MDAPでワークアップせずに、そのまま精製した(方法A、3つの連続した精製が必要とされた)。所望の画分を合わせ、揮発性溶媒を真空中で除去した。残留する水性の物質のpHを、水性NH4OHで>10に調節し、生成物をDCM(5×10mL)に抽出した。疎水性フリットを介して、有機物を乾燥させ、真空中で濃縮することによって、オフホワイト色の固体として表題生成物(16mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.80分, [M+H+] 621.2.
[実施例6]
4-(トリフルオロメチル)フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート、ギ酸塩
Figure 2019524792
p-(トリフルオロメチル)フェノール(51mg、0.32mmol)、PyBOP(120mg、0.231mmol)及び5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)をDMF(1.5mL)中室温で撹拌した。次いで、DIPEA(0.073mL、0.42mmol)を撹拌反応物に滴下添加し、反応物を撹拌したまま室温で置いた。3時間後、反応物を3mLに希釈し、MDAPでワークアップせずに生成物をそのまま精製した(方法C)。所望の画分を合わせ、溶媒を40℃で、窒素ブローダウンで除去した。固体をDMSO(1mL)に溶解し、MDAPでさらに精製した(方法B)。所望の画分を合わせ、溶媒を窒素ブローダウンで除去することによって、白色の固体として表題生成物(55mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.85分, [M+H+] 621.2.
[実施例7]
4-フルオロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)、p-フルオロフェノール(35mg、0.32mmol)及びPyBOP(120mg、0.231mmol)をDMF(1.5mL)中室温で撹拌した。次いで、DIPEA(0.073mL、0.42mmol)を撹拌反応物に滴下添加し、反応物を撹拌したまま室温で置いた。10分後、反応物をDMSOで3mLに希釈し、MDAPでワークアップせずにそのまま精製した(方法C)。所望の画分を合わせ、揮発性溶媒を真空中で除去した。水性の残留物質のpHを水性NH4OHで>10に調節し、生成物をDCM(5×10mL)に抽出した。疎水性フリットを介して有機物を乾燥させ、真空中で濃縮し、真空オーブン内で、40℃で1時間乾燥させることによって、オフホワイト色の固体として表題生成物を(55mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.77分, [M+H+] 571.1.
[実施例8]
フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)、フェノール(30mg、0.32mmol)及びPyBOP(120mg、0.231mmol)をDMF(1.5mL)中室温で撹拌した。次いでDIPEA(0.073mL、0.42mmol)を撹拌反応物に滴下添加し、反応物を撹拌したまま室温で置いた。5分後、反応物をDMSOで3mLに希釈し、MDAPでワークアップせずにそのまま精製した(方法C)。所望の画分を合わせ、揮発性溶媒を真空中で除去した。水性NH4OHで水性の残留物質のpHを>10に調節し、生成物をDCM(5×10mL)に抽出した。疎水性フリットを介して、有機物を乾燥させ、真空中で濃縮することによって、オフホワイト色の固体として表題生成物(29mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.73分, [M+H+] 553.2.
[実施例9]
2,4-ジメチルフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)、2,4-ジメチルフェノール(0.039mL、0.32mmol)及びPyBOP(120mg、0.231mmol)をDMF(1.5mL)中室温で撹拌した。次いで、DIPEA(0.073mL、0.42mmol)を撹拌反応物に滴下添加し、反応物を撹拌したまま室温で置いた。2時間後、反応物を3mLに希釈し、MDAPでワークアップせずにそのまま精製した(方法C)。所望の画分を合わせ、揮発性溶媒を真空中で除去した。水性NH4OHで水性の残留物質のpHを>10に調節し、生成物をDCM(5×10mL)に抽出した。疎水性フリットを介して、有機物を乾燥させ、真空中で濃縮し、真空オーブン内で、40℃で終夜乾燥させることによって、オフホワイト色の固体として表題生成物(14mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.82分, [M+H+] 581.2.
[実施例10]
4-メトキシフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)、p-メトキシフェノール(0.039mg、0.31mmol)及びPyBOP(120mg、0.231mmol)をDMF(1.5mL)中室温で撹拌した。次いで、DIPEA(0.073mL、0.42mmol)を撹拌反応物に滴下添加し、反応物を撹拌したまま室温で置いた。1時間後、反応物をDMSOで3mLに希釈し、MDAPでワークアップせずにそのまま精製した(方法C)。所望の画分を合わせ、揮発性溶媒を真空中で除去した。残留する水性物質のpHを水性NH4OHで>10に調節し、生成物をDCM(5×10mL)に抽出した。疎水性フリットを介して有機物を乾燥させ、真空中で濃縮し、真空オーブン内で、40℃で終夜乾燥させることによって、オフホワイト色の固体として表題生成物(22mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.73分, [M+H+] 583.6.
[実施例11]
2,2,2-トリフルオロエチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート
Figure 2019524792
5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸(100mg、0.210mmol)、2,2,2-トリフルオロエタノール(0.023mL、0.32mmol)及びPyBOP(120mg、0.231mmol)をDMF(1.5mL)中室温で撹拌した。次いで、DIPEA(0.073mL、0.42mmol)を撹拌反応物に滴下添加し、反応物を撹拌したまま室温で置いた。30分後、反応物をDMSOで3mLに希釈し、MDAPで精製した(方法C)。所望の画分を合わせ、揮発性溶媒を真空中で除去した。水酸化アンモニウムの添加により水性の残留物質のpHを>10に調節し、生成物をDCM(5×10mL)に抽出した。疎水性フリットを介して有機物を乾燥させ、真空中で濃縮することによって、オフホワイト色の固体として表題生成物(22mg)を生成した。
LCMS (方法A): Rt = 0.70分s, [M+H+] = 559.6
PI3K HTRFアッセイ
PI3K-アルファ/ベータ/デルタ/ガンマへの化合物の結合は、均一時間分解蛍光測定(HTRF)アッセイにより以下のとおり決定される;
簡単に説明すると、固体化合物を2mMの濃度で100%DMSOに溶解する。4つの連続的ステップ希釈の中の1つを使用して100%DMSO中で希釈物を調製する。希釈物を黒色の低容量Greinerアッセイプレートに移し、DMSO濃縮がプレート全域で一定に1%であることを確実にする(0.1uL/ウェル)。
PI3K反応物緩衝液(milliQ水中で作られた、50mM HEPES pH7.0 (NaOH)、150mM NaCl、10mM MgCl2、2.3mMコール酸ナトリウム、10μM CHAPSを含有)。新鮮なDTTを、使用当日に最終濃度1mMで加える。100%阻害(8.33μM)をもたらすのに十分な濃度でワートマニン(Wortmannin)を化合物プレートのカラム18に加える。
酵素溶液:以下を含有する1×PI3Kアッセイ緩衝液:
・550pM PI3K-Alpha酵素(275pM最終アッセイ濃度)
・800pM PI3K-Beta酵素(400pM最終アッセイ濃度)
・3nM PI3K-Delta酵素(1.5nM最終アッセイ濃度)
・10nM PI3K-Gamma酵素(5nM最終アッセイ濃度)
これらの濃度は、1.5〜4.5の間の信号:バックグランドを達成するのに最適である。酵素溶液をカラム1〜24(3uL/ウェル)に加え、プレートを室温で15分間インキュベートする。
基質溶液:以下を含有する1×PI3Kアッセイ緩衝液:
・PI3K-Alpha:500μM ATP、20μM PIP2及び120nMビオチン-PIP3。(最終アッセイ濃度は250μM ATP、10μM PIP2(両方ともKmで)及び40nMビオチン-PIP3)
・PI3K-Beta:800μM ATP、20μM PIP2及び120nMビオチン-PIP3。(最終アッセイ濃度は、400μM ATP、10μM PIP2(両方ともKmで)及び40nMビオチン-PIP3)
・PI3K-Delta:160μM ATP、20μM PIP2及び120nMビオチン-PIP3。(最終アッセイ濃度は80μM ATP、10μM PIP2(両方ともKmで)及び40nMビオチン-PIP3)
・PI3K-Gamma:30μM ATP、20μM PIP2及び120nMビオチン-PIP3。(最終アッセイ濃度は15μM ATP、10μM PIP2(両方ともKmで)及び40nMビオチン-PIP3)
これをすべてのウェルに加え、プレートを室温で1時間インキュベートする。
検出溶液:2mM DTT(2×最終アッセイ濃度)、90nM GRP-1 PHドメイン、300nMストレプトアビジン-APC及び24nMユウロピウム-抗GST(6×最終アッセイ濃度)を含有する、PI3K検出緩衝液(50mM HEPES pH7.0 (HCl)、150mM NaCl、2.3mMコール酸ナトリウム、10μM CHAPS、240mMフッ化カリウムを含有)
これを混合して室温で置く(光からは保護する)。
停止液:PI3K停止緩衝液(50mM HEPES pH7.0(HCl)、150mM NaCl、2.3mMコール酸ナトリウム、10μM CHAPS、150mM EDTAを含有)。
検出溶液を停止液で1:1希釈し、すべてのウェルに加える(3uL/ウェル)。プレートをカバーし、ベンチ上で45〜60分間インキュベートする。
GSTタグ付きPHドメインと、ビオチン化PIP3(両方とも蛍光体を集める(それぞれユウロピウム標識した抗GSTと連鎖球菌-APC))の間で形成された複合体の間でTR-FRETを測定して、プレートをPerkinElmer Envision上で読み出す。阻害剤の存在下、非ビオチン化PIP3(キナーゼとATPによるPIP2のリン酸化によってアッセイで形成された)の競合性作用によりこの複合体は破砕される。これから、受容体/供与体の比率を計算し(λex=317nm、λem供与体=615nm、λem受容体=665nm)、データ分析に使用した。
Figure 2019524792
タンパク質質量分析
共有結合付加体の評価
50mM HEPES、pH7.0(NaOH)、150mM NaCl、10mM MgCl2、2.3mMコレート、10μM CHAPSを含有する緩衝液中、1μMタンパク質と共に化合物を10:1の阻害剤:タンパク質比でインキュベートした。所望の時間を経た後、アッセイを10%ギ酸溶液でクエンチし、Agilent 1200シリーズオートサンプラーを備えたAgilent 6224 TOF LC/MSを使用してLCMSで分析した。分析物を、Polymer Labs(Agilent)PLRP-Sカラム(50mm×1mm内径、5μm粒径)上で分離した。LC条件は0.5mL/分の流速、70℃、10μL注入量であった。勾配溶出は(A)0.2%(v/v)ギ酸を含有する水及び(B)0.2%(v/v)ギ酸を含有するアセトニトリルを用いた。勾配条件は最初に10%Bであり、0.5分後30%に増加させ、次いで4.5分間にわたり直線的に80%Bまで増加させてから、100%Bで1.2分間フラッシュし、次いで10%Bで1.9分間平衡化させてから、次の注入を行った。次いで、Agilent MassHunter Qualitative AnalysisバージョンB.06.00を質量範囲70〜170kDaにわたり使用して質量スペクトルを解析することによって、インタクトなタンパク質質量を得た。
競合実験
50mM HEPES、pH7.0(NaOH)、150mM NaCl、10mM MgCl2、2.3mMコレート、10μM CHAPSを含有する緩衝液中、1μMタンパク質と共に強力な可逆的ATP競合性阻害剤を10:1の阻害剤:タンパク質比で、室温でインキュベートした。15分後、実施例7を2:1の阻害剤:タンパク質比で加え、試料を室温でインキュベートした。5分の時点でアッセイをクエンチし、上記に詳述された手順を使用して分析した。
質量分析データ
上記アッセイは、タンパク質に対して10倍過剰の阻害剤中で終夜インキュベートした場合、実施例7がPI3Kδを共有結合により修飾したことを示した。さらに、このインキュベーション期間後はいかなる追加の付加体も観察されておらず、これは反応が特定の部位で生じたことを示している。この修飾はまた2:1の阻害剤:タンパク質のみを用いた第2のアッセイにおいてほんの5分間後に観察された。2当量(酵素と比べて)の共有結合性阻害剤の添加前に強力なATP競合性リガンド(10:1阻害剤:酵素)と共に酵素を15分間プレインキュベーションしたことにより、タンパク質の共有結合修飾を阻止しており、これは、共有結合の付加体の形成がPI3KδのATP結合ポケットに生じたことを示している。可逆的に結合する酸を用いた対照アッセイである、実施例2は修飾を示さなかった。
PI3Kδジャンプ希釈実験
PI3Kδ-阻害剤複合体の不可逆性、及び非共有結合の対照の可逆性を、ジャンプ希釈アッセイにより以下のとおり決定した:
簡単に説明すると、固体化合物を5mMの濃度で100%DMSOに溶解した。次いで、これを黒色の低容量Greinerアッセイプレートのウェルに分配して、10×IC50と等しいインキュベーション濃度、又は100×PI3Kδの最終酵素最終アッセイ濃度の濃度-実施例7:1μM、実施例1:0.6μM、ワートマニン:0.6μM及び実施例2:0.6μMを確実にした。アッセイは三重反復試験で行った。
PI3Kδ酵素は、緩衝液(milliQ水中で作られた、50mM HEPES pH7.0(NaOH)、150mM NaCl、10mM MgCl2、2.3mMコール酸ナトリウム、10μM CHAPSを含有)中100×アッセイ濃度(最終アッセイ濃度=6nM)で作った。
100×酵素溶液を化合物ウェル(20μL/ウェル)に加え、15分間インキュベートし、この後の時点で、DiscoverXから入手可能な市販のADP QUEST基質溶液(カタログ番号:90-0071)、(3200μLのDiscoverX試薬A、6400μLのDiscoverX試薬B、1mM ATP及び40μM PIP2)でアッセイを100倍希釈した。次いで、Tecan Safire IIプレートリーダーを使用して、30秒間隔で30分間、蛍光信号の生成を直ちに測定した(λex=544nm、λem=590nm)。次いで、グラフでこれらのデータを分析することによって、高対照(阻害剤なし)及び低対照(タンパク質なし)と比べて活性の回復%を決定した。
ジャンプ希釈データ
上記実験は、PI3Kδにおける実施例7の不可逆性を確認した。この化合物に対するプログレス曲線は、公知の不可逆的PI3K阻害剤であるワートマニンの曲線を極めて密接にたどるものであり、30分後、いかなる活性の回復も観察されなかった。可逆的対照である実施例1及び2は、PI3Kδにおけるこれらの測定されたIC50値に基づき予想される回復パーセンテージ、及び酵素の濃度と等しい又はこれより大きいインキュベーション濃度を達成するのに必要とされる濃度を示した。
細胞の洗浄
方法
Histopaque 1077(Sigma Aldrich)を使用して、健康なボランティアから採取した白血球除去フィルター試料からCD4+T細胞を単離した。簡単に説明すると、血液を50mLのfalconチューブに点滴し、PBS(40mL)と混合した。次いで、20mLの希釈した血液を、50mLのfalconチューブ内の15mLのHistopaque上でゆっくりと層状にして、次いでこれを800rcfで、室温で20分間遠心分離した。次いでPBMC層をパスツールピペットで収集して、新規50mLのfalconチューブに入れ、50mLまでのPBSを加えた。細胞を300〜400rcfで、室温で10分間遠心分離し、上清を廃棄し、PBSを用いて第2の洗浄ステップを実施した。次いで細胞を40mLのPBS+0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)中に再懸濁させた。CD4+T細胞の単離を製造業者のプロトコル(Miltenyi Biotec、130-096-533)に従い実施した。1×106個のCD4+T細胞を、1ウェル当たり1mLの最終容量で、24ウェルプレートに分配した。次いで最終アッセイ濃度1000×の化合物、又はDMSOをウェルに加え、細胞を2時間インキュベートした。2×105個の細胞及び培地を96-ウェルプレートに(二重に)加え、洗浄なしと分類した。洗浄のため、残りの細胞及び上清を1mLエッペンドルフに移し、1500rcfで1分間遠心分離した。上清を除去し、細胞を1mLのPBS中に再懸濁させ、混合物を新規1.5mLのエッペンドルフに移し、10分間インキュベートした。次いで細胞を1500rcfで1分間遠心分離し、PBS吸引し、細胞を0.6mLの成長培地に再懸濁させた。懸濁液を3×200μLアリコートに分割し、96-ウェルプレートに加えた。細胞を10分間インキュベートし、これに続いて800rcfで5分間遠心分離した。培地を除去し、細胞を200μLの培地に再懸濁させ、新規96ウェルプレートに移し、さらに10分間インキュベートした。最後の洗浄ステップについては、細胞を20分間インキュベートしてから、800rcfで1分間遠心分離し、成長培地を吸引した。次いで細胞を200μLの成長培地に再懸濁させ、48時間インキュベートした(96ウェルプレート)。細胞を、αCD3刺激剤(2.5μg/mL)でプレコートした新規U底96-ウェルプレートに移し、24時間さらにインキュベートした。上清及び細胞を800rcfで5分間遠心分離し、120μLの上清を収集し、ヒト全血アッセイに対して上記に詳述されているように、MSD IFNγキットを使用して分析した。すべてのインキュベーションは37℃及び5%CO2で実施した。ヒト生物学的試料は、倫理的に調達され、これらの研究への使用は、インフォームドコンセントの条件に従って行われた。
細胞洗浄データ
化合物を除去するための細胞の洗浄から48時間後のIC50曲線は、細胞を洗浄していない場合の曲線を密接にたどるものであった。これは、CD4+T細胞内のPI3Kδにおける実施例7に対して少なくとも48時間の作用期間を確定し、不可逆的共有結合の作用機序を支持するものである。さらに、これはPI3Kδ関連の状態に対して持続的治療を提供する方法を提供し得る。5人のドナーを使用して実験を繰り返し(各ドナーに対して:洗浄に対してN=3の繰り返し、非洗浄条件に対してN=2の繰り返し)、結果を平均±s.e.m.として示す。

Claims (14)

  1. 式(I)の化合物
    Figure 2019524792
    (式中、
    R1は水素、C1-6アルキル又はフェニルであり、C1-6アルキルは、-CF3で場合により置換されており、フェニルは、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CN、-CF3、-CO2R2、-CO2NHR3、-NR4R5、-NO2及び-SF5から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されており、
    R2〜R5は、それぞれ独立して、水素及びC1-6アルキルから選択される)
    又はその塩。
  2. R1が、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CN、-CF3、-CO2R2、-CO2NHR3、-NR4R5、-NO2及び-SF5から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されているフェニルである、請求項1に記載の化合物、又はその塩。
  3. R1が、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、-CF3及び-NO2から独立して選択される1又は2つの置換基で場合により置換されているフェニルである、請求項1又は2に記載の化合物、又はその塩。
  4. メチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチン酸;
    2-ニトロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    4-ニトロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    2-(トリフルオロメチル)フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    4-(トリフルオロメチル)フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    4-フルオロフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    フェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    2,4-ジメチルフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    4-メトキシフェニル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    2,2,2-トリフルオロエチル5-(4-(5-((4-イソプロピルピペラジン-1-イル)メチル)オキサゾール-2-イル)-1H-インダゾール-6-イル)-2-メトキシニコチネート;
    である化合物又はその塩。
  5. その製薬上許容される塩の形態である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬上許容される塩、及び1種以上の製薬上許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
  7. 薬物療法における使用のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬上許容される塩。
  8. 不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患の治療における使用のための、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬上許容される塩。
  9. 不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患の治療における使用のための医薬の製造における、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬上許容される塩の使用。
  10. 不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患を治療する方法であって、安全で有効な量の、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物、又はその製薬上許容される塩を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
  11. 前記不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患が、呼吸器疾患、繊毛病、呼吸器の状態又は肺障害の細菌感染症又は細菌性増悪、呼吸器の状態又は肺障害のウイルス感染症又はウイルス性増悪、非ウイルス性呼吸器感染症、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、炎症性障害、糖尿病、心血管疾患、血液悪性腫瘍、神経変性疾患、膵炎、多臓器不全、腎臓疾患、血小板凝集、癌、精子運動、移植拒絶、移植片拒絶、肺損傷、疼痛、線維性疾患、うつ病又は精神病性障害である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患が呼吸器疾患である、請求項10に記載の方法。
  13. 前記不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患が喘息である、請求項10に記載の方法。
  14. 前記不適当なPI3-キナーゼ活性により媒介される疾患がCOPDである、請求項10に記載の方法。
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