JP2019199825A - 内燃機関の燃焼室構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンダ中心側の空気を十分に利用してスモークの発生を抑制する。【解決手段】内燃機関の燃焼室構造は、ピストン頂面の中央部に凹設されたリエントラント型キャビティ11と、キャビティに連続してピストン頂面の外周部に凹設された窪み部20と、ピストンに向かって燃料を噴射する燃料噴射弁7とを備える。窪み部は、キャビティに連続する底面部21と、底面部の半径方向外側端の位置で立ち上がる端壁部22とを備える。燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧Fの中心部が、キャビティのリップ部頂部12Aの直下近傍の位置Xに到達し、燃料噴霧の上端縁部Fuが、底面部と端壁部との接続部の位置Yに到達するよう、構成されている。【選択図】図4
Description
本開示は内燃機関の燃焼室構造に係り、特に、ディーゼルエンジンに好適な燃焼室構造に関する。
例えばディーゼルエンジンである内燃機関の燃焼室構造において、ピストン頂面の中央部に凹設されたキャビティを備えたものがある。燃料噴射弁は、ピストンに向かって燃料を噴射し、シリンダ中心部の位置から半径方向外側に向かって放射状に燃料を噴射する。
特許文献1には、深皿型もしくはトロイダル型キャビティの半径方向外側に凹所を設け、キャビティ底面の隆起上にこれに沿うように燃料を噴射すると共に、その噴射された燃料をキャビティの側方部分、次いで凹所内へと導き、シリンダの中央軸線に向かって導いて煤エミッションを減少させることが開示されている。
しかし、特許文献1はトロイダル型キャビティを採用すると共に、キャビティ底面の隆起傾斜面に沿うように燃料を噴射するため、シリンダ中心側の空気を十分に利用できておらず、改善の余地が残されている。
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、シリンダ中心側の空気を十分に利用してスモークの発生を抑制し得る内燃機関の燃焼室構造を提供することにある。
本開示の一の態様によれば、
ピストン頂面の中央部に凹設されたリエントラント型キャビティと、
前記キャビティに連続して前記ピストン頂面の外周部に凹設された窪み部と、
ピストンに向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、
を備え、
前記窪み部は、前記キャビティに連続する底面部と、前記底面部の半径方向外側端の位置で立ち上がる端壁部と、を備え、
前記燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧の中心部が、前記キャビティのリップ部頂部の直下近傍の位置に到達し、前記燃料噴霧の上端縁部が、前記底面部と前記端壁部との接続部の位置に到達するよう、構成されている
ことを特徴とする内燃機関の燃焼室構造が提供される。
ピストン頂面の中央部に凹設されたリエントラント型キャビティと、
前記キャビティに連続して前記ピストン頂面の外周部に凹設された窪み部と、
ピストンに向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、
を備え、
前記窪み部は、前記キャビティに連続する底面部と、前記底面部の半径方向外側端の位置で立ち上がる端壁部と、を備え、
前記燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧の中心部が、前記キャビティのリップ部頂部の直下近傍の位置に到達し、前記燃料噴霧の上端縁部が、前記底面部と前記端壁部との接続部の位置に到達するよう、構成されている
ことを特徴とする内燃機関の燃焼室構造が提供される。
好ましくは、前記端壁部は、アンダーカット形状とされている。
好ましくは、前記燃料噴射弁は、シリンダ中心部の位置から半径方向外側に向かって放射状に燃料を噴射し、
前記窪み部は、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴霧の各々に対応して周方向に複数設けられ、
周方向に隣り合う前記窪み部の間には隔壁が設けられる。
前記窪み部は、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴霧の各々に対応して周方向に複数設けられ、
周方向に隣り合う前記窪み部の間には隔壁が設けられる。
好ましくは、前記窪み部は、前記底面部の周方向両側端の位置で立ち上がる側壁部を備え、
前記側壁部は、アンダーカット形状とされている。
前記側壁部は、アンダーカット形状とされている。
好ましくは、前記窪み部は、平面視において扇状に形成されている。
本開示によれば、シリンダ中心側の空気を十分に利用してスモークの発生を抑制できる。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお本開示は以下の実施形態に限定されない点に留意されたい。
本実施形態に係る燃焼室構造は、内燃機関の代表例であるディーゼルエンジンに適用される。エンジンは車両用であり、特にトラック等の大型車両の車両動力源として使用される。しかしながら、内燃機関および車両の種類、用途等はこれらに限定されない。例えば車両は乗用車等の小型車両であってもよいし、エンジンはガソリンエンジンであってもよい。
図1および図2に示すように、本実施形態の燃焼室構造1は、ピストン2と、ピストン2が昇降可能かつ同軸に収容されたシリンダ3と、シリンダ3の上端開口を閉じるシリンダヘッド4と、ピストン2の外周面9に装着された複数(本実施形態では三つ)のピストンリング5と、これらにより画成された閉空間である燃焼室6とを備える。また燃焼室構造1は、シリンダヘッド4に取り付けられピストン2に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁7を備える。
図1に示すように、ピストン2は、シリンダ3の中心軸であるシリンダ軸Cと同軸に配置されている。以下、特に断らない限り、シリンダ軸Cを基準とした軸方向、半径方向および周方向を単に軸方向、半径方向および周方向という。ピストン2の中心軸すなわちピストン軸はシリンダ軸Cと同軸である。ピストン2は、頂面(ピストン頂面)8と外周面9とを有する。頂面8は、シリンダ軸Cに垂直な平坦面とされる。外周面9にはピストンリング5を嵌合させるための複数(本実施形態では三つ)のリング溝10が形成される。
ピストン2は、その頂面8の中央部に凹設されたキャビティ11を有する。キャビティ11はリエントラント型キャビティであり、下部に対し上部開口部が絞られた形状となっている。キャビティ11は、上部開口部を形成すると共に半径方向内側に突出するリップ部12と、リップ部12に連なってその下方でアンダーカット状に拡径する側壁部13と、側壁部13に連なる底壁部14とを備える。ここでアンダーカット(undercut)とは、下部が上部に対しえぐられたような形状のことをいう。
図1に示すように、リップ部12の断面形状は曲率半径R1を有する円弧状とされ、側壁部13の断面形状も曲率半径R2を有する円弧状とされる。R1<R2である。底壁部14の断面形状は山形とされる。底壁部14は、シリンダ軸C付近に形成され断面円弧状の底壁部頂部15と、底壁部頂部15から側壁部13まで断面直線状に下降する斜面部16とを有する。
また本実施形態の燃焼室構造1は、キャビティ11に連続してピストン頂面8の外周部に凹設された窪み部20を有する。窪み部20は、キャビティ11のリップ部12に連続する底面部21と、底面部の半径方向外側端の位置で立ち上がる端壁部22とを備える。底面部21は、シリンダ軸Cに垂直でピストン頂面8に平行な平坦面とされる。端壁部22は、ピストン外周面9より半径方向内側に位置され、下部が上部よりえぐられたアンダーカット形状とされている。端壁部22は、半径方向外側に向かって断面円弧状に突出する下部22Aと、半径方向内側に向かって断面円弧状に突出する上部22Bとを備え、全体的に断面S字状とされる。
図1、図2および図5に示すように、燃料噴射弁7は、シリンダ軸Cと同軸に配置され、シリンダ中心部の位置から半径方向外側に向かって放射状に燃料を噴射するようになっている。燃焼室6内に配置された燃料噴射弁7の先端部には、N個(Nは2以上の整数)の噴孔23が、周方向等間隔で、すなわち所定角度θ=360/N(°)間隔で配置されている。従って燃料噴射弁7は、N本の燃料噴霧Fを所定角度θ間隔で放射状に噴射することになる。本実施形態ではN=8、θ=45°であるが、これらの値は適宜変更可能である。図中、噴孔23の中心線である噴孔軸を符号Cfで示す。
各々の噴孔23および燃料噴霧Fに対応して、窪み部20は周方向に複数すなわちN個設けられる。すなわち窪み部20は、1個の噴孔23および燃料噴霧Fに対して1個設けられる。そして周方向に隣り合う窪み部20の間には隔壁24が設けられる。窪み部20は、底面部21の周方向両側端の位置で立ち上がる側壁部25を備え、この側壁部25により隔壁24の一部、すなわち隔壁24の周方向両側部が形成される。隔壁24の上面はピストン頂面8によって形成される。隔壁24は半径方向に延び、周方向等間隔すなわち所定角度θ間隔で配置されている。窪み部20は、図2に示すように平面視において扇状に形成される。
図3に示すように、側壁部25も、下部が上部よりえぐられたアンダーカット形状とされている。側壁部25は、周方向に沿った隔壁24の幅方向の内側に向かって断面円弧状に突出する下部25Aと、幅方向外側に向かって断面円弧状に突出する上部25Bとを備え、全体的に断面S字状とされる。
図4〜図6は、燃料噴射タイミングにおいて燃料噴射弁7から燃料が噴射されたときの様子を示す。噴孔23から噴射された燃料噴霧Fは、図4に示すように、噴孔軸Cfに沿って半径方向外側かつ下方の斜め下に向かって延びていき、噴孔23から離れるに従い噴孔軸Cfを中心に次第に拡径する円錐形状をなす。ここでは噴孔軸Cfとシリンダ軸Cの間の角度αを噴射角といい、噴孔軸Cfに対し燃料噴霧Fが拡がる角度βを広がり角という。
図4に示すように、噴孔軸Cfは、噴孔23から延び、キャビティ11のリップ部頂部12Aの直下近傍の位置Xに到達する。従って、噴孔軸Cfの近傍に位置する燃料噴霧Fの中心部も、当該位置Xに到達する。この位置Xを便宜上、噴霧中心部到達位置という。この位置Xは当然にピストン2の表面上の位置である。リップ部頂部12Aとは、リップ部12のうち、最も半径方向内側に位置する部分をいう。位置Xは、リップ部12と側壁部13の接続部付近に位置され、この位置Xにおいてピストン2の表面は、上方に向かうにつれ半径方向内側に向かう傾斜面となっている。この傾斜面は、シリンダ軸Cに対し若干傾斜した縦に近い傾斜面である。
他方、燃料噴霧Fの上端縁部Fuは、リップ部12に当たらずその上方を通過し、窪み部20の底面部21の上方も通過して、底面部21と端壁部22との接続部の位置Yに到達する。この位置Yを便宜上、噴霧上端縁部到達位置という。
燃料噴霧Fの下端縁部Fdは、キャビティ11の側壁部13の高さ中間部付近に到達する。
また図5に示すように、噴孔軸Cfは、窪み部20の周方向中心に沿って延びている。従って、噴霧中心部到達位置Xおよび噴霧上端縁部到達位置Yは、窪み部20の周方向中心を中心とした広がり角βの角度範囲に及ぶ。
次に、この燃焼室構造1の各部における燃料噴霧の流れを示す。なお、燃料噴霧という用語の中には、字義通りの燃料噴霧の他、燃料と空気の混合気、および燃料噴霧が着火した結果生成される燃焼ガスもしくは火炎が含まれるものとする。
図4に示すように、噴孔23から噴射された燃料噴霧Fは、概ねキャビティ11のリップ部12の位置を境に上下に分割される。下方に分割された燃料噴霧は、全体の半分を超える量であり、キャビティ11内に噴射される。他方、上方に分割された燃料噴霧は、全体の半分より少ない量であり、実質的に窪み部20内に噴射される。
キャビティ11内に噴射された燃料噴霧のうち、噴霧中心部到達位置Xより下方に到達するものは、矢印aで示すように、キャビティ11の側壁部13に衝突した後、下方に曲げられ、キャビティ11の側壁部13に沿って流れる。そして底壁部14に沿って流れ、半径方向内側に向かう。従って燃料噴霧を、シリンダ中心側でかつ下側の空気と良好に混合させて着火燃焼させることができ、シリンダ中心側の空気を有効に活用することが可能である。
また、キャビティ11内に噴射された燃料噴霧のうち、噴霧中心部到達位置Xより上方に到達するものは、矢印bで示すように、キャビティ11のリップ部12に衝突した後、半径方向内側かつ上方の斜め上に向かって曲げられる。そしてシリンダ中心側かつ上側の空気と良好に混合し、着火燃焼する。従って、シリンダ中心側の空気を有効に活用することが可能である。
他方、窪み部20内に噴射された燃料噴霧は、矢印cで示すように、窪み部20の底面部21に案内されて半径方向外側に向かい、噴霧上端縁部到達位置Y付近に集まる。そして端壁部22に案内されて、半径方向内側かつ上方の斜め上に向かって曲げられる。端壁部22をアンダーカット形状としたので、そうした燃料噴霧の斜め上向きへの曲げを確実に行うことができる。本実施形態のように、端壁部22の下部22Aを、半径方向外側に向かって突出する断面円弧状にすると、燃料噴霧の曲げをスムーズかつ容易に行えるので有利である。
斜め上へ向かう燃料噴霧は、シリンダ外周側かつ上側の空気と良好に混合して着火燃焼する。また斜め上へ向かう燃料噴霧は、矢印dで示すように、シリンダヘッド4の下面によって曲げられて半径方向内側に向かうものもある。この燃料噴霧は、シリンダ中心側かつ上側の空気と良好に混合して着火燃焼する。従って、シリンダ中心側の空気を有効に活用することが可能である。
ここで、燃料噴霧を端壁部22により半径方向内側に向かう斜め上向きに曲げることによって、矢印eで示すような、端壁部22を乗り越えてより半径方向外側に向かう燃料噴霧の流れができるだけ生じないようになっている。このような流れeがシリンダ3の内壁に到達すると、内壁付近でできた火炎が内壁に接触し、燃焼熱が内壁に奪われてしまって熱効率が低下する。よって本実施形態では、シリンダ内壁付近に燃料噴霧が極力到達しないようにすることによって、熱効率の低下を抑制している。
また、窪み部20内に噴射された燃料噴霧は、最長で噴霧上端縁部到達位置Yまで到達するので、その燃料噴霧を長距離拡散させて空気と良好に混合し、過濃混合気の生成を抑制できる。
他方、図5に示すように、キャビティ11内に噴射された燃料噴霧は、矢印fで示すように、キャビティ11のリップ部12または側壁部13に衝突した後、噴孔軸Cfを境に左右外側に曲げられ、左右に分割される。ここで左右とは、噴孔23から半径方向外側に向かう燃料噴霧の進行方向を前とした場合の左右である。
また窪み部20内に噴射された燃料噴霧は、矢印gで示すように、窪み部20の端壁部22に衝突した後、噴孔軸Cfを境に左右外側に曲げられ、左右に分割される。そして左右外側に向かった燃料噴霧は、それぞれ、対応する左右の側壁部25もしくは隔壁24に突き当たり、それらにより後方、すなわち半径方向内側に向かって曲げられる。これにより、シリンダ中心側かつ上側の空気を有効活用できると共に、隣り合う窪み部20内の燃料噴霧同士が互いに干渉して混合することを回避できる。それ故、混合によって生じる過濃混合気の生成と、過濃混合気の不完全燃焼による粒子状物質(Particulate Matter、以下PMという)およびスモークの発生とを抑制することができる。また同時に、過濃混合気の不完全燃焼によるCOおよびHCの発生も抑制することができる。
とりわけ、図6に示すように、側壁部25をアンダーカット形状としたので、矢印hで示すように、側壁部25を乗り越えようとする燃料噴霧を、側壁部25から離れ(噴孔軸Cfに向かい)かつ上方に向かう斜め上向きに曲げることができる。これにより、隣り合う窪み部20内の燃料噴霧同士の干渉を一層抑制することができる。本実施形態のように、側壁部25の下部25Aを、隔壁24の幅方向内側に向かって突出する断面円弧状にすると、燃料噴霧の曲げをスムーズかつ容易に行えるので有利である。
以上から理解されるように、本実施形態の燃焼室構造1は、一つの噴孔23から噴射される1本の燃料噴霧Fを、一つの窪み部20のある周方向領域内で個別に燃焼させる構造となっている。そして隣り合う燃料噴霧F同士の干渉を抑制し、過濃混合気の生成とPMおよびスモークの発生とを効果的に抑制するようになっている。
このように本実施形態の燃焼室構造1は、燃料噴射弁7から噴射された燃料噴霧Fの中心部が、リエントラント型キャビティ11のリップ部頂部12Aの直下近傍の位置(噴霧中心部到達位置)Xに到達し、燃料噴霧の上端縁部Fuが、窪み部20の底面部21と端壁部22との接続部の位置(噴霧上端縁部到達位置)Yに到達するよう、構成されている。このため、燃料噴射弁7から噴射された燃料噴霧Fを、キャビティ11内に到達するものと窪み部20内に到達するものとに上下に分割できる。そしてキャビティ11内に到達するもののうち、噴霧中心部到達位置Xより上方に到達するものを、矢印bで示したように、半径方向内側かつ上方の斜め上に向かって曲げることができる。これによりシリンダ中心側の空気を有効に活用することができる。また、窪み部20内に到達する燃料噴霧も、矢印cで示したように、半径方向内側かつ上方の斜め上に向かって曲げることができる。これによってもシリンダ中心側の空気を有効に活用することができる。結果として、シリンダ中心側の空気を十分に利用してスモークの発生を抑制することが可能である。
また、端壁部22をアンダーカット形状としたので、半径方向内側かつ上方の斜め上に向かって曲がる燃料噴霧の流れcを確実に生成することができる。
なお、特許文献1では端壁部22に相当する壁面が単にシリンダ軸に平行な壁面であるため、本実施形態のように燃料噴霧を半径方向内側に向かって積極的に曲げることはできない。また特許文献1では、矢印eで示したような、端壁部22を乗り越えて半径方向外側に向かおうとする流れも多分に存在するため、熱効率の点で不利である。
また本実施形態では、周方向に隣り合う窪み部20の間に隔壁24を設けたため、隣り合う窪み部20内の燃料噴霧同士の干渉を抑制でき、過濃混合気の生成とPMおよびスモークの発生とを効果的に抑制できる。
また本実施形態では、隔壁24の側面部をなす側壁部25をアンダーカット形状としたので、矢印hで示したように、側壁部25を乗り越えようとする燃料噴霧を、側壁部25から離れる方向に斜め上向きに曲げることができる。これにより、隣り合う窪み部20内の燃料噴霧同士の干渉を一層抑制することができる。
また本実施形態では、窪み部20を平面視扇状に形成したので、窪み部20の底面積を周方向に拡大すると共に、窪み部20内の燃料噴霧を周方向の広い領域に拡散させ、周方向の広い領域で燃料噴霧と空気を混合できる。よって過濃混合気の生成とPMおよびスモークの発生とを抑制できる。
なお特許文献1の窪み部20に相当する部位は平面視半円状であり、その底面積は小さい。従って特許文献1では本実施形態のような利点を得ることが不可能である。
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示は以下のような他の実施形態および変形例も可能である。
(1)例えば、隔壁24の断面形状を図7〜9に示すように変形することが可能である。図7に示す第1変形例では、隔壁24の側壁部25がアンダーカット形状とされるものの、側壁部25の断面は、下方にいくに従い隔壁24の幅中心側に向かう傾斜した直線状とされる。隔壁24の断面形状が逆台形状とされる。こうしても、側壁部25を乗り越えようとする燃料噴霧を、側壁部25から離れる方向に斜め上向きに曲げることができる。
図8に示す第2変形例では、隔壁24の側壁部25がアンダーカット形状とされておらず、側壁部25の断面は、単に上下方向に延びる直線状とされる。隔壁24の断面形状は長方形状とされる。こうすると、側壁部25を乗り越えようとする燃料噴霧を側壁部25から離れる方向に曲げることが困難であるが、それでも隔壁24が無い場合よりも、隣り合う窪み部20内の燃料噴霧同士の干渉を抑制することができる。
図9に示す第3変形例では、隔壁24の側壁部25がアンダーカット形状とされておらず、側壁部25の断面は、上方にいくに従い隔壁24の幅中心側に向かう傾斜した直線状とされる。両側壁部25の上端は互いに接続され、隔壁24の断面形状は三角形状とされる。これでも隔壁24が無い場合よりは、隣り合う窪み部20内の燃料噴霧同士の干渉を抑制することができる。
(2)図7〜9に示したような側壁部25の断面形状を、端壁部22に適用してもよい。また側壁部25および端壁部22の断面形状は、上述のものに限らず任意の形状に変更できる。
(3)図10に示すように、窪み部20の底面部21を、シリンダ軸Cに垂直な方向に対し傾斜された傾斜面としてもよい。底面部21は、半径方向外側に向かうほど下方に向かう平坦な傾斜面とされている。図示例の場合、底面部21の半径方向内側端の位置は基本実施形態(図1)と同じで、底面部21の半径方向外側端の位置が基本実施形態より下方に位置される。
この変形例によると、窪み部20の体積を拡大することができるため、窪み部20内での燃料噴霧Fと空気の混合を促進し、PMおよびスモークの発生を抑制することができる。
(4)図11および図12に示すように、キャビティ11内に隔壁30を設けてもよい。この隔壁30を便宜上、前述の隔壁24と区別してキャビティ隔壁と称す。キャビティ隔壁30は、隔壁24と同じ周方向位置に複数設けられる。キャビティ隔壁30は、リップ部12および側壁部13から半径方向内側に突出される。
本実施形態において、キャビティ隔壁30は、図11に示すような平面視において略V字状に突出する断面形状を有する。また図12に示すように、キャビティ隔壁30は、上端面31と、半径方向内側の端縁部32とを有する。上端面31は概ね、窪み部20の底面部21と同じ高さ位置とされ、半径方向内側に向かうほど下方に向かうような僅かな傾斜面とされている。端縁部32は概ね、シリンダ軸Cの方向に対し僅かに傾斜され、下方に向かうほど半径方向外側に向かうよう僅かに傾斜されている。
これによれば、図11に示すように、キャビティ11のリップ部12または側壁部13に衝突して左右外側に曲げられた燃料噴霧fを、矢印jで示すように、対応する左右のキャビティ隔壁30に衝突させることができる。そしてその衝突した燃料噴霧jを、キャビティ隔壁30によって後方、すなわち半径方向内側に向かうよう曲げ、シリンダ中心側に向けることができる。
従って、前記隔壁24と同様、互いに向かい合って流れてくる燃料噴霧j同士の干渉と混合を抑制することができ、過濃混合気の生成と、PMおよびスモークの発生とを抑制することができる。また、キャビティ11内におけるシリンダ中心側の空気を有効活用できる。
なお、キャビティ隔壁30の形状は上述の形状に限らず、適宜変更可能である。 前述の各実施形態および各変形例の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 燃焼室構造
2 ピストン
7 燃料噴射弁
8 頂面
11 キャビティ
12A リップ部頂部
20 窪み部
21 底面部
22 端壁部
24 隔壁
25 側壁部
F 燃料噴霧
Fu 上端縁部
X 噴霧中心部到達位置
Y 噴霧上端縁部到達位置
2 ピストン
7 燃料噴射弁
8 頂面
11 キャビティ
12A リップ部頂部
20 窪み部
21 底面部
22 端壁部
24 隔壁
25 側壁部
F 燃料噴霧
Fu 上端縁部
X 噴霧中心部到達位置
Y 噴霧上端縁部到達位置
Claims (5)
- ピストン頂面の中央部に凹設されたリエントラント型キャビティと、
前記キャビティに連続して前記ピストン頂面の外周部に凹設された窪み部と、
ピストンに向かって燃料を噴射する燃料噴射弁と、
を備え、
前記窪み部は、前記キャビティに連続する底面部と、前記底面部の半径方向外側端の位置で立ち上がる端壁部と、を備え、
前記燃料噴射弁から噴射された燃料噴霧の中心部が、前記キャビティのリップ部頂部の直下近傍の位置に到達し、前記燃料噴霧の上端縁部が、前記底面部と前記端壁部との接続部の位置に到達するよう、構成されている
ことを特徴とする内燃機関の燃焼室構造。 - 前記端壁部は、アンダーカット形状とされている
請求項1に記載の内燃機関の燃焼室構造。 - 前記燃料噴射弁は、シリンダ中心部の位置から半径方向外側に向かって放射状に燃料を噴射し、
前記窪み部は、前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴霧の各々に対応して周方向に複数設けられ、
周方向に隣り合う前記窪み部の間には隔壁が設けられる
請求項1または2に記載の内燃機関の燃焼室構造。 - 前記窪み部は、前記底面部の周方向両側端の位置で立ち上がる側壁部を備え、
前記側壁部は、アンダーカット形状とされている
請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃焼室構造。 - 前記窪み部は、平面視において扇状に形成されている
請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃焼室構造。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2022024858A1 (ja) * | 2020-07-29 | 2022-02-03 | ヤンマーホールディングス株式会社 | ディーゼルエンジン |
JP2022132736A (ja) * | 2021-03-01 | 2022-09-13 | 株式会社Soken | 内燃機関 |
WO2024232194A1 (ja) * | 2023-05-11 | 2024-11-14 | 株式会社豊田自動織機 | 内燃機関 |
-
2018
- 2018-05-15 JP JP2018093791A patent/JP2019199825A/ja active Pending
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