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JP2019172077A - ブレーキシステム - Google Patents

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JP2019172077A
JP2019172077A JP2018062670A JP2018062670A JP2019172077A JP 2019172077 A JP2019172077 A JP 2019172077A JP 2018062670 A JP2018062670 A JP 2018062670A JP 2018062670 A JP2018062670 A JP 2018062670A JP 2019172077 A JP2019172077 A JP 2019172077A
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JP2018062670A
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顕生 原田
Akio Harada
顕生 原田
濱田 誠司
Seiji Hamada
誠司 濱田
鈴木 賢一
Kenichi Suzuki
賢一 鈴木
寛之 中曽
Hiroyuki NAKASO
寛之 中曽
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Mitsubishi Motors Corp
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Mitsubishi Motors Corp
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Abstract

【課題】電気的失陥が発生した場合であっても、ブレーキ液量消費を抑制して安定した制動力を得られるブレーキシステムを提供する。【解決手段】本発明に係るブレーキシステム10は、電動機72によってスレーブピストン88A、88Bを移動させることでブレーキ液圧を発生させる第1液圧発生源16と、ブレーキペダル12の操作力によってマスタピストン40A、40Bを移動させることでブレーキ液圧を発生させる第2液圧発生源34と、第1液圧発生源と第2液圧発生源に接続されるとともに、第1液圧発生源と第2液圧発生源で発生したブレーキ液圧を制動部30A〜30Dに伝達する複数の油圧系統B1、B2を備え、スレーブピストン88A、88Bが作動不能となる電気失陥が発生した場合、スレーブピストンの位置を固定する。【選択図】図10

Description

本発明は、ブレーキシステムに関する。
ブレーキシステムとしてバイワイヤ式のブレーキシステムが知られている。このブレーキシステムでは、通常時は運転者のブレーキペダル操作量に基づく電気信号に応じて電動機である駆動モータでピストンを移動させてブレーキ液圧を発生させる第1液圧発生源と、電気信号失陥などの異常検出時は運転者のブレーキペダル操作により直接ピストンを移動させてブレーキ液圧を発生させる第2液圧発生源を備えている。ブレーキシステムは、車両の4つの車輪にそれぞれ設けられた制動部のうち、2つの制動部を一系統の油圧回路で接続し、別な2つの制動部を別系統の油圧回路で接続し、それぞれの系統の油圧回路に対して第1油圧発生源又は第2油圧発生源からブレーキ液圧を供給して制動力を得るように構成されている。
仮に第1液圧発生源による制動をバイワイヤモード、第2液圧発生源による制動をバックアップモードと呼ぶと、このモード切り替えにおいては、各系統の油圧回路中にそれぞれ配置した開閉弁を切替え制御することで、複数の液圧発生源の切替えを行っているものがある(例えば特許文献1)。
特開2014−19345号公報
このようなバイワイヤ式のブレーキシステムにおいては、電気信号失陥(電気的失陥)が発生すると、ブレーキペダル操作によりブレーキ液圧を発生させる第2液圧発生源から制動部に対してブレーキ油圧が供給されるように油圧系統を切替える。しかし、制動部に供給されるブレーキ液(液圧)の一部が第1液圧発生源に流れ込んで消費されてしまうと、制動力不足となる場合が想定される。
本発明は、電気的失陥が発生した場合であっても、ブレーキ液量消費を抑制して安定した制動力を得られるブレーキシステムを提供することを、その目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るブレーキシステムは、電動機によってスレーブピストンを移動させることでブレーキ液圧を発生させる第1液圧発生源と、ブレーキペダルの操作力によってマスタピストンを移動させることでブレーキ液圧を発生させる第2液圧発生源と、第1液圧発生源と第2液圧発生源に接続されるとともに、第1液圧発生源と第2液圧発生源で発生したブレーキ液圧を制動部に伝達する複数の油圧系統を備え、スレーブピストンが作動不能となる電気失陥が発生した場合、スレーブピストンの位置を固定することを特徴としている。
本発明によれば、スレーブピストンが作動不能となる電気失陥が発生した場合、スレーブピストンの位置を固定することで、第1液圧発生源側の容積変動がなくなるため、油圧がスレーブピストン側に逃げることがなく、制動部以外へのブレーキ液量消費が抑制されるため、安定した制動力を得られるブレーキシステムを提供することができる。
本発明に係るブレーキシステムの構成を説明する図。 ブレーキシステムの制御系の主要部の構成を説明するブロック図。 本発明に係るブレーキシステムの起動前状態を説明する図。 ブレーキシステムの起動状態でブレーキ操作オフ状態を説明する図。 バイワイヤモードでブレーキペダルの踏み始めの状態を説明する図。 バイワイヤモードでブレーキペダル踏み込み後の状態を説明する図。 バックアップモードでブレーキ操作オフ状態を説明する図。 バックアップモードでブレーキペダル踏み込み後の状態を説明する図。 本発明に係るブレーキシステムの失陥時の制御形態を説明する図。 第1の実施形態に係る制御の主要部を説明するフローチャート。 第2の実施形態に係る制御の主要部を説明するフローチャート。 スリーブピストン固定手段の一構成例を示す図であり、(a)は作動前の状態を示し、(b)は作動後の状態を示す。 スリーブピストン固定手段の別な構成例を示す図であり、(a)は穴にピンを挿入してスリーブピストンを固定する形態、(b)は突起にピンを係合させてスリーブピストンを固定する形態を示す。
以下、本発明の複数の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態中、同一部材や同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、重複説明は省略する。図面は、一部構成の理解を助けるために部分的に省略する場合もある。なお、各実施形態は、システムのハードウェアの構成は共通しているが、制御の内容が異なっている。
最初にシステムのハードウェアの構成について説明する。
図1に示すブレーキシステム10は、通常時用として、運転者のブレーキペダル12のペダル操作に基づく電気信号に応じてブレーキ液圧を発生させて制動力を得るバイワイヤ式のブレーキと、フェイルセイフ時(バックアップ)用として、ブレーキペダル12の踏み込みに応じてブレーキ液圧を発生させて制動力を得る液圧式のブレーキの双方を備えている。このため、ブレーキシステム10は、運転者によってブレーキペダル12が踏み込み操作(ブレーキ操作)されたことを入力する入力装置14と、ブレーキペダル12が踏み込み操作されたときのペダル操作量(ストローク量)を検出するストローク検出手段としてのストロークセンサ101と、電動機である駆動モータ72の作動によってブレーキ液のブレーキ液圧を制御する(発生させる)第1液圧発生部としてのスレーブシリンダ装置16と、電気信号失陥などの異常検出時は運転者のブレーキペダル操作力によってブレーキ液圧を発生させる第2液圧発生源としてのマスタシリンダ装置34を備えている。本実施形態において、マスタシリンダ装置34は入力装置14の一部を構成している。ブレーキシステム10は、バイワイヤ式のブレーキシステムであるため、入力装置14とスレーブシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的に接続されている。
入力装置14、スレーブシリンダ装置16及びマスタシリンダ装置34は、ホースやチューブ等の管材で形成された複数の油圧回路によって接続されていて、油圧回路を介して摩擦方式の制動部30A、30B、30C、30Dにブレーキ液圧を伝達することで制動力が得られるように構成されている。
ブレーキシステム10は、車両が4輪車の場合、4つの車輪にそれぞれ制動部30A、30B、30C、30Dを備えている。各制動部は、ブレーキ液圧によって摩擦材であるブレーキパッドを車輪と一体回転するブレーキディスクに圧接させることで作動して制動力を得る周知のディスクブレーキで構成されている。制動部30A、30Bを前輪用、制動部30C、30Dを後輪用とした場合、前輪用の制動部30Aと対角線上の後輪用の制動部30Cには一系統の油圧回路20Aが接続されていて、油圧回路20Aを介してブレーキ液圧が供給されるように構成されている。前輪用の制動部30Bと対角線上にある後輪用の制動部30Dとは別系統の油圧回路20Bで接続されていて、油圧回路20Bを介してブレーキ液圧が供給されるように構成されている。
ブレーキ液圧が供給される制動部の組み合わせは、対角線上のものに限定されるものではなく、例えば制動部30A、30Bを油圧回路20Aに接続し、制動部30C、30Dを油圧回路20Bに接続してブレーキ液圧により作動するようにしてもよいし、車両の右側の制動部30A、30Dを油圧回路20Aに接続し、車両の左側の制動部30B、30Cを油圧回路20Bに接続してブレーキ液圧により作動するようにしてもよい。
油圧回路20Aと油圧回路20Bには、マスタシリンダ装置34とスレーブシリンダ装置16からの油路と接続する接続部A1、A2がそれぞれ設けられている。接続部A1には、マスタシリンダ装置34の第1マスタ接続ポート54Aと接続された第1マスタ油路58Aと、スレーブシリンダ装置16の第1スレーブ接続ポート24Aと接続された第1スレーブ油路22Aが接続されている。接続部A2には、マスタシリンダ装置34の第2マスタ接続ポート54Bと接続された第2マスタ油路58Bと、スレーブシリンダ装置16の第2スレーブ接続ポート24Bと接続された第2スレーブ油路22Bが接続されている。
第1マスタ油路58Aと第2マスタ油路58Bには、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第1開閉弁60Aと第2開閉弁60Bがそれぞれ設けられていて、各油路が個別に開閉可能とされている。第1開閉弁60Aと第2開閉弁60Bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。
第1マスタ油路58Aには、第1マスタ接続ポート54Aと第1開閉弁60Aとの間に第1開閉弁60Aよりも上流側のブレーキ液圧を検出してブレーキ液圧情報Puとして出力する圧力センサP1が設けられている。第2マスタ油路58Bには、接続部A2と第2開閉弁60Bとの間に、第2開閉弁60Bよりも下流側のブレーキ液圧を検出してブレーキ液圧情報Pdとして出力する圧力センサP2が設けられている。
入力装置14は、運転者によるブレーキペダル12の操作によって液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ装置34と、マスタシリンダ装置34に付設された第1リザーバ36とを有している。長手方向に延びるマスタシリンダ装置34のシリンダチューブ38内には、シリンダチューブ38の長手方向に沿って所定間隔離間する2つのマスタピストン40A、40Bが摺動自在に配設されている。一方のマスタピストン40Bは、ブレーキペダル12に近接配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結されている。他方のマスタピストン40Aは、一方のマスタピストン40Bよりもブレーキペダル12から離間して配置されている。
シリンダチューブ38には、第1リザーバ36内のリザーバ室と連通するように連通路46A、46Bが設けられている。マスタピストン40Aとマスタピストン40Bとの間には、ばね部材50Bが配設され、マスタピストン40Aとシリンダチューブ38の側端部と間には、ばね部材50Aが配設されている。マスタピストン40Aとシリンダチューブ38の側端部と間には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を発生させる第1マスタ圧力室56Aが形成され、マスタピストン40Aとマスタピストン40Bの間には、運転者がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を発生させる第2マスタ圧力室56Bが形成されている。第1マスタ圧力室56Aは第1マスタ接続ポート54Aと連通するように設けられ、第2マスタ圧力室56Bは第2マスタ接続ポート54Bと連通するように設けられている。
第2マスタ油路58Bには、マスタシリンダ装置34と第2開閉弁60Bとの間で第2マスタ油路58Bから分岐した分岐油路58Cが設けられている。分岐油路58Cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)のソレノイドバルブからなる第3開閉弁62と、反力発生装置としてのストロークシミュレータ64とが直列に接続されている。第3開閉弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(通電されていないときの弁体の位置)が閉位置の状態(常時閉)となるように構成されたバルブをいう。
ストロークシミュレータ64は、バイワイヤモード時に、ブレーキペダル12の操作に対してストロークと反力を与え、あたかも踏力により制動力が発生しているかのように運転者に思わせる装置であり、第2マスタ油路58B上であって、第2開閉弁60Bよりもマスタシリンダ装置34側(上流側)に配置されている。ストロークシミュレータ64には、分岐油路58Cに連通する液圧室65が設けられ、液圧室65を介してマスタシリンダ装置34の第2マスタ圧力室56Bから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が吸収可能とされている。
ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66Aとばね定数の低い第2リターンスプリング66Bと、第1リターンスプリング66A及び第2リターンスプリング66Bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備えている。ストロークシミュレータ64は、ブレーキペダル12の踏み込み前期時にペダル反力の増加勾配を低く設定し、踏み込み後期時にペダル反力を高く設定してブレーキペダル12のペダルフィーリングが、既存のマスタシリンダ装置34を踏み込み操作したときのペダルフィーリングと同等になるように設定されている。
スレーブシリンダ装置16は、駆動モータ72を含む電動アクチュエータ74と、電動アクチュエータ74によって付勢されるシリンダ機構76とを有する。電動アクチュエータ74は、モータ駆動検出手段72cと、駆動モータ72の出力軸側に設けられ複数のギヤが噛合して駆動モータ72の回転駆動力を伝達するギヤ機構(減速機構)78と、ギヤ機構78を介して回転駆動力が伝達されることにより軸方向に沿って進退動作するボールねじ軸80a及びボール80bを含むボールねじ構造体80とを有する。
ボールねじ構造体80は、ギヤ機構78とともにアクチュエータハウジング172の機構収納部173aに収納される。モータ駆動検出手段72cは、電動アクチュエータ74の作動状態を検出する。モータ駆動検出手段72cは、電動アクチュエータ74の現在の作動状態(バイワイヤモード)が、稼動状態(「稼動」モード)なのか、停止状態(「停止」モード)なのかを検知し、検知結果をECUなどで構成された制御手段100へ送信する。
シリンダ機構76は、ボールねじ軸80aの軸線方向Xに延びる略円筒状のシリンダ本体82と、シリンダ本体82に付設された第2リザーバ84とを有している。第2リザーバ84は、マスタシリンダ装置34に付設された第1リザーバ36と配管チューブ86で接続され、第1リザーバ36内に貯留されたブレーキ液が配管チューブ86を介して第2リザーバ84内に供給されるように構成されている。
駆動モータ72は、アクチュエータハウジング172に装着されていて、その出力軸72aの回転駆動がギヤ機構78を介してボールねじ構造体80に伝達されるように構成される。ギヤ機構78は、例えば、駆動モータ72の出力軸72aに取り付けられる第1ギヤ78aと、第1ギヤ78aと噛み合い、ボールねじ軸80aを軸線方向Xに進退動作させるボール80bをボールねじ軸80aの軸線を中心に回転させる第2ギヤ78bで構成されている。電動アクチュエータ74は、前記した構造によって、駆動モータ72の出力軸72aの回転駆動力をボールねじ軸80aの進退駆動力(直線駆動力)に変換する。
シリンダ本体82とアクチュエータハウジング172とは、シリンダ本体82の開放された端部(開放端)がアクチュエータハウジング172と嵌合することで連結されていて、スレーブシリンダ820を構成している。シリンダ本体82内には、矢印X1で示すブレーキ液圧を高める方向と、矢印X2で示すブレーキ液圧を減少させる方向とに摺動可能に支持される複数のピストンとして、第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88Bが設けられている。
第1スレーブピストン88Aと第2スレーブピストン88Bは、シリンダ本体82の軸線方向(長手方向)Xに所定間隔離間して直列に並んで配設されていて、軸線方向Xに摺動可能とされている。第1スレーブピストン88Aは、ブレーキ液圧を高める方向X1側に位置するシリンダ本体82の一端側82A(スレーブシリンダの一端側)に配置されている。
ブレーキ液圧を減少させる方向X2に位置するシリンダ本体82の他端側82B(スレーブシリンダの他端側)には、上述のボールねじ構造体80が配置されている。第2スレーブピストン88Bは、第1スレーブピストン88Aよりもシリンダ本体82の他端側82B(スレーブシリンダの他端側)に配置されている。具体的に説明すると、第2スレーブピストン88Bは、ボールねじ構造体80側に近接して配置され、ボールねじ軸80aの一端部にその他端側88B1が係合してボールねじ軸80aと一体的に軸線方向Xに移動可能にシリンダ本体82に支持されている。なお、シリンダ本体82と第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88Bの間は、図示しないシール部材によって密閉されている。
第1スレーブピストン88Aと第2スレーブピストン88Bの外周面には、それぞれ第1背室94Aと第2背室94Bが形成されている。第1背室94Aと第2背室94Bは、第2リザーバ84と連通するスレーブ連通路92A、92Bと接続されている。第1スレーブピストン88Aとシリンダ本体82の一端側82Aと間には、第1リターンスプリング96Aが配設されている。第1スレーブピストン88Aと第2スレーブピストン88Bの間には、第2リターンスプリング96Bが配設されている。
第1スレーブピストン88Aと第2スレーブピストン88Bとの間には、第2スレーブ圧力室95Bが形成され、第1スレーブピストン88Aとシリンダ本体82の一端側82Aとの間には第1スレーブ圧力室95Aが形成されている。第1スレーブ圧力室95Aは第1スレーブ接続ポート24Aと連通するように設けられ、第2スレーブ圧力室95Bは第2スレーブ接続ポート24Bと連通するように設けられている。第1スレーブピストン88Aと第2スレーブピストン88Bとは、軸線方向Xにおいて分離しないようにピン90によって連結されている。第1スレーブピストン88Aには、第1スレーブピストン88Aの摺動範囲を規制して、第2スレーブピストン88B側へのオーバーリターンを阻止するストッパピン91が設けられている。
次にブレーキシステム10の制御系の構成について説明する。
ブレーキシステム10は、制御手段100を備えている。制御手段100はECU、ROM、RAMを備えたコンンピュータで構成されている。
制御手段100の入力側には、図2に示すように、圧力センサP1、P2と、ストロークセンサ101と、モータ駆動検出手段72cが信号線を介して接続されている。圧力センサP1、P2で検出されたブレーキ液圧の圧力情報Pu、Pd、ストロークセンサ101で検出されたブレーキペダル12のストローク量のストローク情報S、モータ駆動検出手段72cで検出され作動状態情報は、それぞれ信号線を介して制御手段100に送信される。
制御手段100の入力側には、内燃機関や駆動モータ72を始動する際に用いるイグニッションスイッチ102と、ドアの開閉を検出するドア開閉検出センサ103が信号線を介して接続されていて、イグニッションスイッチ102の状態とドアの開閉状態を検出して、その信号を制御手段100に送信している。制御手段100の入力側には、ブレーキシステム10への電力供給を検出する電圧計などの通電検出手段104が信号線を介して接続されていて、通電情報を出力して制御手段100に送信している。
制御手段100の出力側には、第1開閉弁60A、第2開閉弁60B、第3開閉弁62及び駆動モータ72が信号線を介して接続されている。制御手段100は、入力側に送信されてくる各種情報に応じて、駆動モータ72(電動アクチュエータ74)をブレーキペダル12のストロークに応じてフィードバック(FB)制御するとともに、第1開閉弁60A、第2開閉弁60B及び第3開閉弁62の開閉動作を制御する機能(ロジック)を備えている。
制御手段100には、スレーブシリンダ装置16を作動して制動を行うバイワイヤモードと、スレーブシリンダ装置16を用いずにマスタシリンダ装置34のみの作動によって制動を行うバックアップモードが設定されている。制御手段100は、バイワイヤモードとバックアップモードのモード切替えを油圧系統の圧力情報によって判定する。
本実施形態において、制御手段100は、バイワイヤモードの場合、第1開閉弁60A及び第2開閉弁60Bを通電制御して油圧回路20A、20Bを遮断し、バックアップモードの場合には第1開閉弁60A及び第2開閉弁60Bへの通電は行わず油圧回路20A、20Bが開放されるように制御する。
制御手段100は、油圧系統B1又は油圧系統B2の何れかで液漏れなどの油圧系統(機械的な)の失陥が発生した場合には、失陥のあった油圧系統を遮断するように当該油圧系統に設けられた開閉弁を通電制御する。制御手段100は、システムに通電されない電気的な失陥が発生した場合、スレーブピストンである第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88Bが移動しないように、油圧系統を制御する。制御手段100は、バイワイヤモードの場合、第3開閉弁62を通電して分岐油路58Cを解放させるように制御する。
制御手段100は、内燃機関や駆動モー72の作動が停止している場合には、ブレーキシステム10を非作動にする。制御手段100は、ドアが解放された場合や、イグニッションスイッチ102がIG−ON状態である場合には、ブレーキシステム10を起動するように制御するとともに、初期設定においてはバイワイヤモードで各部を制御し、システム上の失陥(油圧系統の失陥、電気的失陥)を検出した場合にはバックアープモードに切替えるように制御する。
制御手段100による制御形態としては、バイワイヤモードと、バックアップモードとがあり、制御手段100によってそれぞれ実行される。バイワイヤモードは、ブレーキペダル12の踏み込み量に連動して駆動モータ72の駆動時間(回転数)を制御してブレーキペダルの踏込量(ストローク)に応じたブレーキ液圧をスレーブシリンダ装置16で発生させて制動部30A〜30Dを作動して制動するモードである。
バックアップモードは、バイワイヤモードに不具合が発生した場合(電気的失陥)や油圧経路に液漏れなどの失陥(油圧系統の失陥)が発生した際に、スレーブシリンダ装置16による液圧発生ではなく、マスタシリンダ装置34によるブレーキ液圧を発生させて制動部30A〜30Dを作動して制動するモードである。
次にブレーキシステム10の各部の基本動作をモードごとに説明する。
図3〜図6は、ブレーキシステム10を簡略化して記載した説明図である。ブレーキシステム10は、車両の内燃機関や駆動モータ72の作動が停止している場合には、図3に示すように第1開閉弁60Aと第2開閉弁60Bが非作動状態、油圧回路20A、20Bが解放状態であり、第3開閉弁62も閉弁状態のため、分岐油路58Cは遮断状態とされている。また駆動モータ72も非作動状態である。
この状態から、ドア開閉検出センサ103からドア開情報、またはイグニッションスイッチ102からIG−ON状態を示す信号(情報)が出力されると、制御手段100はブレーキシステム10を起動する。ブレーキシステム10が起動すると、図4に示すように、ブレーキペダル12に対する反力を初期状態から得るために第3開閉弁62を開弁制御し、分岐油路58Cを開放して待機状態となる。
制御手段100は、内燃機関や駆動モータ72が始動した状態でブレーキペダル12が踏み込まれると、バイワイヤモードを実行する。バイワイヤモードでは、図5に示すように、第1マスタ油路58Aと第2マスタ油路58Bを遮断すべく、制御手段100によって第1開閉弁60Aと第2開閉弁60Bを閉弁制御して油圧回路20A、20Bを遮断する。
制御手段100は、ストロークセンサ101からストローク情報が入力されると、ブレーキペダル12が踏み込まれたと判定し、踏込量(ストローク量)に対応したブレーキ液圧を発生すべく駆動モータ72を作動するとともに、その作動量を制御する。ブレーキペダル12が踏み込み操作されると、プッシュロッド42によってマスタピストン40Aとマスタピストン40Bが押される。この時、第1マスタ油路58Aと第2マスタ油路58Bは遮断状態であるので、マスタシリンダ装置34で発生したブレーキ液圧が油圧回路20A、20Bを介して制動部30A〜30Dに伝達されることはない。
マスタシリンダ装置34の第2マスタ圧力室56Bで発生したブレーキ液圧は、分岐油路58C及び開弁状態にある第3開閉弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。液圧室65に伝達されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68が第1リターンスプリング66A及び第2リターンスプリング66Bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されるとともに、擬似的なペダル反力が発生してブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られることになる。
このようなブレーキシステム10の状態において、制御手段100は、運転者によるブレーキペダル12に対するペダル操作を検出すると、図6に示すように、スレーブシリンダ装置16の駆動モータ72を作動して電動アクチュエータ74を付勢し、第1リターンスプリング96A及び第2リターンスプリング96Bのばね力に抗して第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88Bを図1、図6中のX1方向に変位させる。第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88Bの変位によって第1スレーブ液圧室95A及び第2スレーブ液圧室95B内のブレーキ液がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88BのX1への移動量が大きいほど、発生するブレーキ液圧は高くなる。反対に、第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88BがX2方向に移動すると、発生するブレーキ液圧は減少する。
スレーブシリンダ装置16における第1スレーブ液圧室95A及び第2スレーブ液圧室98Bのブレーキ液圧は、第1スレーブ油路22A、第2スレーブ油路22B、油圧回路20A、20Bなどの油圧系統B1、B2を介して制動部30A、30Cと制動部30B、30Dにそれぞれ伝達され、各制動部が作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
このようなブレーキシステム10の構成では、液圧発生源として機能するスレーブシリンダ装置16やバイワイヤ制御する制御手段100が作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことでブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ装置34と各車輪を制動する制動部30A〜30Dとの連通を第1開閉弁60A及び第2開閉弁60Bで遮断した状態で、スレーブシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧で制動部30A〜30Dを作動させるという、いわゆるブレーキバイワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。このため、本実施形態は、例えば、電気自動車等のように、旧来から用いられていた内燃機関による負圧が存在しない車両、あるいは内燃機関と電動機を備えたハイブリッドタイプの車両に好適に適用することができる。
一方、例えば、車両に搭載されているバッテリーなどの電気系トラブルで電源供給ができず、スレーブシリンダ装置16等が作動不能となる電気系の失陥(異常時)の場合、制御手段100は、バックアップモードに切り替わる。電気系の失陥であるか否かの判定は、通電検出手段104からの出力が例えば0vの場合や、モータ駆動検出手段72cでモータ駆動が検出されない場合に、制御手段100によって判定される。つまり、制御手段100は失陥判定手段(電気系の失陥判定手段)としても機能する。なお、制御手段100は、自身を起動するための内蔵電池を備えているため、バッテリーからの電力供給が絶たれても起動可能である。
バックアップモードの初期状態は、図7に示すように、第1開閉弁60Aと第2開閉弁60Bは非作動状態であり、第3開閉弁62も駆動モータ72も非作動である。この状態で運転者がブレーキペダル12を踏み込むと、図8に示すように、第1開閉弁60A及び第2開閉弁60Bはそれぞれ開弁状態、第3開閉弁62は閉弁状態であるため、マスタシリンダ装置34で発生するブレーキ液圧が第1マスタ油路58A、第2マスタ油路58Bから油圧回路20A、20Bを通って制動部30A〜30Dに伝達されて作動させるという、いわゆる旧来の液圧式のブレーキシステムが有効に機能する。
ところで、従来のバイワイヤモード及びバックアップモードを備えたブレーキシステム10の場合、バイワイヤモードが故障などで使用できない場合、マスタシリンダ装置34によりブレーキ液圧を発生させているが、第1マスタ油路58Aから油圧回路20Aなどの油圧系統B1または、第2マスタ油路58Bから油圧回路20Bの別な油圧系統B2の何れかに液漏れなどの失陥が発生した場合、ブレーキ液が失陥箇所から漏れてしまいブレーキ液圧が立ち上がらない状態になる。加えて、バックアップモードの場合、ブレーキペダル12が踏み込まれる初期状態においては、図7に示すように第1開閉弁60A及び第2開閉弁60Bはそれぞれ開弁状態のため、マスタシリンダ装置34の第1マスタ圧力室56Aとスレーブシリンダ装置16の第1スレーブ圧力室95A及びマスタシリンダ装置34の第2マスタ圧力室56Bとスレーブシリンダ装置16の第2スレーブ圧力室95Bとがそれぞれ連通状態にある。
バックアップモード中に、油圧系統B1または油圧系統B2に失陥がある場合において、ブレーキペダル12を踏み込むブレーキ操作が行われると、マスタシリンダ装置34で発生したブレーキ液圧がブレーキ液によって第1スレーブ圧力室95A又は第2スレーブ圧力室95Bに伝わる。この場合、スレーブシリンダ装置16が作動する前の初期位置にスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)があれば問題ないが、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)がブレーキ液圧を発生させる作動位置においてバックアップモードになった場合、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を初期位置に戻そうとする力にブレーキ液圧が使用される。つまり、失陥した油圧系統にブレーキ液が流れ込んで正常な油圧系統の油圧量が不足し、制動力不足となる場合が想定される。特にブレーキ操作初期において制動力不足が懸念される。
また、電気的失陥が発生した場合、バックアップモードが作動してマスタシリンダ装置34でブレーキ液圧を発生させた場合でも、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を初期位置に戻そうとする力にブレーキ液圧が使用されると油圧量が不足し、制動力不足となる場合が想定される。
(第1の実施形態)
そこで、本実施形態に係るブレーキシステム10においては、バックアップモードにおいて油圧系統B1または油圧系統B2に失陥がある場合、図9に示すように、失陥している油圧系統を遮断するために第1開閉弁60A又は第2開閉弁60Bを閉弁状態とし、失陥していない油圧系統を開放するとともに、スレーブシリンダ装置16のスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定状態にしてバックアップモードに切り替わるようにした。図9は、油圧系統B1の符号Cで示す部位で液漏れ失陥がある場合の状態を示している。
以下、この制御について図10に示すフローチャートに沿って説明する。
油圧系統B1または油圧系統B2の失陥は、制御手段100によって判定する。判定手法は、ストロークセンサ101からのストローク情報Sと圧力センサP2からの圧力情報Pdから判定する。すなわち、制御手段100が備える記憶部としてのROMには、ストローク情報Sと圧力情報Pdに応じた設定値PA、PBが予め記憶されていて、圧力センサP2で検出された圧力情報Pdを読込み(ステップST1)、読み込んだ圧力情報Pdが圧力値PA、PBに到達しない場合には油圧系統B1または油圧系統B2に失陥があると制御手段100は判定する(ステップST2)。つまり、制御手段100は失陥判定手段(油圧系の失陥判定手段)としても機能する。
設定値PA、PBを2つにしたのは、1つの圧力センサP2によって2つの油圧系統の油圧失陥を判定するためである。例えば油圧失陥のある油圧系統に圧力センサP2が配置されている場合、圧力低下が顕著に表れるが、圧力センサP2が油圧失陥のない油圧系統に配置されている場合には、圧力低下は顕著に表れない。このため、2つの圧力値に大小関係を設けて圧力情報Pdと比較することで油圧系統B1又は油圧系統B2の何れかで液漏れ失陥が発生したかを制御手段100は判定することができる。無論、油圧回路20B側だけでなく、油圧回路20A側においても第1開閉弁60Aよりも下流側に圧力センサを配置し、それぞれの系統の圧力値を個別に検出し、検出された値(圧力情報)を設定値と比較して液漏れ失陥している油圧系統を判定するようにしてもよい。
制御手段100は、液漏れ失陥のある油圧系統を判定すると、失陥している油圧系統を遮断するために第1開閉弁60A又は第2開閉弁60Bを閉弁状態にする(ステップST3)。油圧系統B1で液漏れ失陥が発生した場合、第1開閉弁60Aが通電制御されて油圧回路20Aが遮断される。油圧系統B2で液漏れ失陥が発生した場合、第2開閉弁60Bが通電制御されて油圧回路20Bが遮断される。
次に制御手段100は、スレーブシリンダ装置16のスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定状態にする(ステップST4)。スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定状態にするとは、具体的には駆動モータ72が作動中の場合には、直ちにモータ駆動を停止して、失陥時の位置でスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定状態にすることである。つまり、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)の固定位置とは、ここでは油圧系統の失陥時の位置である。
別な形態としては、油圧系に失陥が発生した場合、駆動モータ72が駆動可能であれば、スレーブシリンダ装置16の起動前の初期位置までスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を戻すべく、駆動モータ72を駆動制御する。この場合、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)の初期位置を予め記憶して起き、その位置からのスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)の移動量を駆動モータ72の回転数などから検出し、失陥が発生時点のピストン位置から初期位置までを逆算して駆動モータ72を制動時(加圧時)と逆方向に回転駆動制御してX2方向(減圧方向)にスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を戻すようにすればよい。
またスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定状態にする時期としては、失陥発生時ではなく、失陥発生後にブレーキペダル12に対するブレーキ操作力が軽減されたときであってもよい。すなわち、失陥発生後に、ストロークセンサ101で検出されるストローク量Sが減少した場合、制御手段100は運転者がブレーキペダル12に対する踏力を抜いたものと判定し、その時点から駆動モータ72を駆動して初期位置までスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を戻すようにしてもよい。
なお、この油圧系に失陥が発生した場合のスレーブピストンの固定化は、システムに電気的な失陥が発生する前に油圧系に失陥が発生した場合を想定している。
このように、本実施形態に係るブレーキシステム10においては、ブレーキペダル12の操作力によってマスタピストン40A、40Bを移動させることでブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ装置34と、駆動モータ72によってスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を移動させることでブレーキ液圧を発生させるスレーブシリンダ装置16とに接続され、各シリンダ装置で発生したブレーキ液圧を制動部30A〜30Dに伝達する複数の油圧系統B1、B2において失陥がある場合、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)の位置を固定することで、スレーブシリンダ装置16側の容積変動がなくなるため、ブレーキ液圧がスレーブピストン側に逃げることがなく、ブレーキ液量消費とブレーキペダル12の奥入りが抑制されるため、安定した制動力を得られるブレーキシステム10を提供することができる。
第1の実施形態に係るブレーキシステム10においては、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定状態とする時期を失陥発生時とすることで、油圧系統の失陥当初からの油圧の逃げを軽減でき、より安定した制動力を得られるブレーキシステム10を提供することができる。
第1の実施形態に係るブレーキシステム10においては、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を、スレーブシリンダ装置16の作動前のスレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)の初期位置まで戻して固定するので、油圧系統B1、B2の内圧を低減できることから液漏れ量を抑制しながら、より安定した制動力を得られるブレーキシステム10を提供することができる。
第1の実施形態に係るブレーキシステム10においては、油圧系統の失陥発生後、ブレーキペダル12のストロークが減少してから、好ましくはストローク情報がなくなり要求油圧がゼロになった時とすることで、油圧系統の失陥を検出してもブレーキペダル12が戻るまでは、バックアップモードに移行しない。このため、運転者のブレーキ操作時に与える違和感を軽減することができ、ドライバビリティーを損なうことなく、ブレーキ液量消費とブレーキペダル12の奥入りが抑制して、安定した制動力を得られるブレーキシステム10を提供することができる。
第1の実施形態に係るブレーキシステム10においては、油圧系統の失陥検出した場合、失陥している油圧系統の開閉弁は閉状態、失陥していない油圧系統の開閉弁は開状態とするので、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定した場合でも、油圧をマスタシリンダ装置34側に戻すことができるので、制動部30A〜30Dによる制動がかかりっぱなしになることを防止することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、主にバックアップモードにおける油圧系統の失陥時に、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定するものとして説明したが、本実施形態では、電気的失陥が発生した際に、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定するようにしている。
図11を用いて第2の実施形態に係る制御内容について説明する。この制御は内燃機関や駆動モー72の作動中に制御手段100によって実行される。
制御手段100は、ステップST11において、電圧センサや電流計からの出力(電圧値や電流値)あるいは駆動モータ72の駆動信号などの各種情報の読み込み、ステップST12おいて電気系の失陥判定処理を行う。電気系の失陥判定処理では、予めROMに記憶された判定値と入力された情報とを比較することや信号の有無で判定する。例えば駆動モータ72で電気的失陥を判定する場合には、駆動モータ72からの駆動信号の有無から判定したり、電流値や電圧値で電気的失陥を判定する。駆動信号を失陥判定に用いる場合には信号がなければ電気的失陥と判定し、電流値や電圧値を失陥判定に用いる場合には、検出された電流値や電圧値と設定値とを比較し、判定値に満たない場合には失陥と判定すればよい。
制御手段100は、失陥判定処理を終えると、ステップST13においてスレーブピストンを構成する第1スレーブピストン88A又は第2スレーブピストン88Bのいずれか一方を固定化状態とする。
すなわち、ブレーキシステム10は、スレーブシリンダ820内に配置され、当該スレーブシリンダ820内で、ブレーキ液圧を高める方向X1とブレーキ液圧を減少させる方向X2とに摺動可能に支持される複数のピストンである第1スレーブピストン88A又は第2スレーブピストン88Bを備えている。そして第1スレーブピストン88Aは、ブレーキ液圧を高める方向に位置するスレーブシリンダの一端側82Aに第1リターンスプリング96Aを介して配置され、第2スレーブピストン88Bは、第1スレーブピストンよりもブレーキ液圧を減少させる方向X2に位置するスレーブシリンダの他端側82Bに配置され、その一端側は第2リターンスプリング96Bを介して第1スレーブピストン88Aと連結され、その他端側は電動モータ72の回転駆動力を伝達するギヤ機構78を介してボールねじ構造体80に当接して配設されている。また、第1スレーブピストン88Aと第2スレーブピストン88Bはピン90で連結されている。
電気系失陥の場合、油圧系統は正常のため、例えば第2スレーブピストン88Bのみ固定すれば、ブレーキペダル12の操作力によってマスタピストン40A、40Bが移動して油圧が送られても第1スレーブ圧力室95Aと第2スレーブ圧力室95Bが同圧となり、スレーブピストン(第1スレーブピストン88Aおよび第2スレーブピストン88B)を固定することができる。なお、スレーブピストン(第1スレーブピストン88Aおよび第2スレーブピストン88B)を固定する位置は、第1の実施形態同様、電気失陥発生時の位置である。
次に第2スレーブピストン88Bを固定する構成について説明する。
図12(a)、図12(b)、図13(a)、図13(b)は、ピストン固定手段700の一形態を示している。
ピストン固定手段700は、ギヤ機構78に対して係合/離脱する方向Dに移動可能な規制部材となるピン701と、ピン701を係合/離脱する方向Dに移動させる駆動部となる電磁式のソレノイドバルブ702を備えている。
ソレノイドバルブ702は通電によって可動ロッド703がソレノイド本体702A内に引き込まれるタイプのものであり、制御手段100の出力側に信号線を介して接続されていて(図2参照)、制御手段100によって、その作動が制御される。ピン701と可動ロッド703とは、リンク機構を介してピン結合されている。ピン701の初期位置は、ギヤ機構78と係合しない位置であり、ソレノイドバルブ702が作動して可動ロッド703がソレノイド本体702A内に引き込まれると、初期位置からギヤ機構78と係合する位置へ移動するように構成されている。本実施形態の場合、制御手段100は、電気失陥の発生時に、ソレノイドバルブ702を作動することで、ピン701をギヤ機構78と係合する位置へ移動するように制御する。
このようにソレノイドバルブ702の作動を制御すると、ピン701がギヤ機構78と係合するので、ギヤ機構78を介してボールねじ構造体80に当接して配設された第2スレーブピストン88B(図1参照)の移動が規制されて固定される。この結果、第2スレーブピストン88Bとピン90で連結されている第1スレーブピストン88Aも固定することができる。
ピン701をギヤ機構78と係合させる位置であるが、図12(a)、図12(b)に示すように、ギヤ機構78を構成する第1ギヤ78aと第2ギヤ78bとの噛み合い部Eであってもよい。あるいは、図13(a)、図13(b)に示すように、第1ギヤ78a又は第2ギヤ78bのいずれかにピン71が挿入可能な穴704あるいはピン71が引っかかる突起705などを形成し、ピン71を穴704に挿入させて固定したり、ピン71をギヤの回転方向への回転を規定するように突起705に引っかけるようにして、ピストン位置を固定するようにしてもよい。
第2の実施形態においては、電気的な失陥が発生した場合に、スレーブピストン(第1スレーブピストン88A及び第2スレーブピストン88B)を固定するので、初期位置に戻そうとする力にブレーキ液圧が使用されることで油圧量が不足し、制動力不足となることを抑制することができる。このため、スレーブシリンダ装置16側の容積変動がなくなるため、ブレーキ液圧がスレーブピストン側に逃げることがなく、ブレーキ液量消費とブレーキペダル12の奥入りが抑制されて、安定した制動力を得られるブレーキシステム10を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
ブレーキシステム10は、例えば、エンジン(内燃機関)のみによって駆動される自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等を含む各種車両に対して搭載可能である。また、ブレーキシステム10は、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動など、駆動形式を限定することなく、全ての駆動形式の車両に搭載可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
10・・・ブレーキシステム、12・・・ブレーキペダル、16・・・第1液圧発生源、30A〜30D・・・制動部、34・・・第2液圧発生源、40A、40B・・・マスタピストン、60A、60B・・・複数の開閉弁、72・・・電動機、78・・・ギヤ機構、80・・・ボールねじ構造体、82A・・・スレーブシリンダの一端側、82B・・・スレーブシリンダの他端側、88A・・・第1スレーブピストン(スレーブピストン)、88B・・・第2スレーブピストン(スレーブピストン)、96A・・・第1リターンスプリング、96B・・・第2リターンスプリング、100・・・失陥判定手段(制御手段)、101・・・ストローク検出手段、700・・・ピストン固定手段、701・・・規制部材(ピン)、702・・・駆動部(ソレノイドバルブ)、B1、B2・・・複数の油圧系、S・・・ストローク量、X1・・・ブレーキ液圧を高める方向、X2・・・ブレーキ液圧を減少させる方向

Claims (9)

  1. スレーブピストンを電動機によって移動させることでブレーキ液圧を発生させる第1液圧発生源と、
    ブレーキペダルの操作力によってマスタピストンを移動させることでブレーキ液圧を発生させる第2液圧発生源と、
    前記第1液圧発生源と前記第2液圧発生源に接続されるとともに、前記第1液圧発生源と前記第2液圧発生源で発生したブレーキ液圧を制動部に伝達する複数の油圧系統を備え、
    前記スレーブピストンが作動不能となる電気失陥が発生した場合、前記スレーブピストンの位置を固定することを特徴とするブレーキシステム。
  2. 前記スレーブピストンの固定位置は、前記電気失陥の発生時の位置であることを特徴とする請求項1に記載のブレーキシステム。
  3. 前記スレーブピストンは、スレーブシリンダ内に配置され、当該スレーブシリンダ内で、前記ブレーキ液圧を高める方向とブレーキ液圧を減少させる方向とに摺動可能に支持される複数のピストンを備え、
    前記複数のピストンは、前記ブレーキ液圧を高める方向に位置するスレーブシリンダの一端側に第1リターンスプリングを介して配置された第1スレーブピストンと、前記第1スレーブピストンよりもブレーキ液圧を減少させる方向に位置するスレーブシリンダの他端側に配置され、その一端側は第2リターンスプリングを介して前記第1スレーブピストンと連結され、その他端側は前記電動機の回転駆動力を伝達するギヤ機構を介してボールねじ構造体に係合して配設された第2スレーブピストンとからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキシステム。
  4. 前記スレーブピストンは、前記第2スレーブピストンを固定することで、その位置が固定されることを特徴とする請求項3に記載のブレーキシステム。
  5. 前記ギヤ機構に対して係合/離脱する方向に移動可能な規制部材と、
    前記規制部材を係合/離脱する方向に移動させる駆動部を備え、
    前記電気失陥の発生時に、前記駆動源により前記規制部材を前記ギヤ機構と係合する位置へ移動することを特徴とする請求項3に記載のブレーキシステム。
  6. 前記電気失陥の前に前記複数の油圧系統の何れかに失陥が発生した場合には、前記スレーブピストンを固定し、前記第2液圧発生源からのブレーキ液圧が前記制動部に供給されるように前記油圧系統を切り替えることを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか1項に記載のブレーキシステム。
  7. 前記電気失陥の前に前記複数の油圧系統の何れかに失陥が発生した場合には、前記スレーブピストンを初期位置に戻して固定することを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか1項に記載のブレーキシステム。
  8. 前記ブレーキペダルのストローク量を検出するストローク検出手段を備え、
    前記スレーブピストンを初期位置に戻す時期は、前記ストローク検出手段で検出されたストローク量が減少したときであることを特徴とする請求項7に記載のブレーキシステム。
  9. 前記複数の油圧系統にそれぞれ設けられ、前記複数の油圧系統をそれぞれ遮断/開放するように開閉可能な複数の開閉弁と、
    前記複数の油圧系統の失陥を判定する失陥判定手段と、
    前記開閉弁の開閉を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記失陥判定手段によって失陥判定された側の油圧系統に設けられた開閉弁を閉弁制御し、失陥判定されなかった側の油圧系統に設けられた開閉弁を開弁制御することを特徴とする請求項1乃至8のうちの何れか1項に記載のブレーキシステム。
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