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JP2019138337A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents

車両用動力伝達装置 Download PDF

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JP2019138337A
JP2019138337A JP2018020365A JP2018020365A JP2019138337A JP 2019138337 A JP2019138337 A JP 2019138337A JP 2018020365 A JP2018020365 A JP 2018020365A JP 2018020365 A JP2018020365 A JP 2018020365A JP 2019138337 A JP2019138337 A JP 2019138337A
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浩志 田村
Hiroshi Tamura
浩志 田村
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】スプリングの付勢力を大きくすることなく、動力伝達時に断接スリーブとリングギヤとの噛合が解かれるのを抑制する車両用動力伝達装置を提供する。【解決手段】スプリング78により第2噛合位置に付勢された第2断接スリーブ62を第2噛合位置に移動させることで、入力軸34から第2断接スリーブ62を介して第3リングギヤ52への動力伝達を行う車両用動力伝達装置100であって、入力軸34の外周面に形成された第2外周スプライン歯34bの第1スプライン歯面130aには、第2断接スリーブ62の第1端面62mに当接して第2断接スリーブ62の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動を抑える第1段部130b2が設けられている。これにより、スプリング78の付勢力を大きくすることなく第2断接スリーブ62と第3リングギヤ52との噛合が解かれるのが抑制される。【選択図】図7

Description

本発明は、車両用動力伝達装置に関し、特に、スプライン嵌合を用いた動力伝達装置に関する。
内周側に第1断接歯を有するリングギヤと、そのリングギヤと共通の回転軸線まわりに回転可能な軸状の回転体と、リングギヤの第1断接歯に噛合可能な第2断接歯を有し、回転体に対して相対回転不能且つ前記回転軸線方向に移動可能にスプライン嵌合された円筒状の断接スリーブと、を備えた車両用動力伝達装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用動力伝達装置がそれである。特許文献1に記載の車両用動力伝達装置では、断接スリーブの第2断接歯がリングギヤの第1断接歯に噛み合わない非噛合位置から第2断接歯が第1断接歯に噛み合う噛合位置に向かって、スプリングによって断接スリーブに付勢力が与えられている。この付勢力により断接スリーブは噛合位置に移動させられ、回転体から断接スリーブを介してリングギヤへの動力伝達が行われる。
特開2015−193368号公報
ところで、断接スリーブの回転軸線とリングギヤの回転軸線との間にずれが生じると、断絶スリーブには、動力伝達時に噛合位置から非噛合位置に向かう力が加えられ、断接スリーブとリングギヤとの噛合が解かれてしまうおそれがある。ここで、スプリングの付勢力を大きくすることによって断接スリーブとリングギヤとの噛合が解かれにくくすることが考えられるが、この場合には断接スリーブが非噛合位置から噛合位置に移動する際の衝突音が大きくなってしまう。
本発明は、以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、スプリングの付勢力を大きくすることなく、動力伝達時に断接スリーブとリングギヤとの噛合が解かれるのを抑制する車両用動力伝達装置を提供することにある。
本発明の要旨とするところは、内周側に第1断接歯を有し、回転可能に支持されたリングギヤと、前記リングギヤと共通の回転軸線まわりに回転可能に支持された軸状の回転体と、前記第1断接歯に噛合可能な第2断接歯を有し、前記回転体に対して相対回転不能且つ前記回転軸線方向に移動可能にスプライン嵌合がされた円筒状の断接スリーブと、前記第2断接歯が前記第1断接歯に噛み合わない非噛合位置から前記第2断接歯が前記第1断接歯に噛み合う噛合位置に向かって前記断接スリーブに付勢力を与えるスプリングと、を備え、前記スプリングによる前記付勢力により前記断接スリーブを前記噛合位置に移動させて前記回転体と前記リングギヤとの間で動力伝達を行う車両用動力伝達装置であって、前記回転体に形成された前記スプライン嵌合のスプライン歯面には、前記動力伝達時に前記断接スリーブに当接して前記断接スリーブの前記噛合位置から前記非噛合位置への移動を抑える段部が設けられていることにある。
本発明の車両用動力伝達装置によれば、前記回転体に形成された前記スプライン嵌合のスプライン歯面には、前記動力伝達時に前記断接スリーブに当接して前記断接スリーブの前記噛合位置から前記非噛合位置への移動を抑える段部が設けられている。このように、前記回転体に形成された前記スプライン嵌合のスプライン歯面に設けられた段部が前記断接スリーブに当接することで、前記動力伝達時に前記断接スリーブの前記噛合位置から前記非噛合位置への移動が抑えられ、スプリングの付勢力を大きくすることなく断接スリーブとリングギヤとの噛合が解かれるのが抑制される。
本発明の一実施例である車両用動力伝達装置を搭載した4輪駆動車両の駆動系統の概略構成を説明する骨子図である。 図1の4輪駆動車両に設けられたトランスファの具体的構成の断面図である。 図2に示すクラッチ切換装置のラチェット機構の作動原理を説明する模式図である。 図2の入力軸および断接スリーブの拡大断面図である 図4の入力軸および断接スリーブのV-V視断面図である。 図2の入力軸に設けられた第2外周スプライン歯の形状を示す斜視図である。 図6に示すVII-VII視断面図における入力軸およびその入力軸にスプライン嵌合された断接スリーブの車両前進走行時における嵌合状態を説明する模式図である。 本発明の他の実施例である車両用動力伝達装置の入力軸に設けられた第2外周スプライン歯の形状を示す斜視図である。 図8に示すIX-IX視断面図における入力軸およびその入力軸にスプライン嵌合された断接スリーブの車両前進走行時における嵌合状態を説明する模式図である。 本発明のさらに他の実施例である入力軸およびその入力軸にスプライン嵌合された断接スリーブの車両前進走行時における嵌合状態を説明する模式図である。
本発明の一実施形態において、前記段部は、前記断接スリーブの前記回転軸線方向の前記スプリング側の端面に前記当接する。このように、前記断接スリーブの前記回転軸線方向の端面が、前記回転体のスプライン歯面に設けられた前記段部に当接する構造であるため、断絶スリーブに設けられたスプライン歯の形状を複雑なものとする必要がない。
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である車両用動力伝達装置100を搭載した4輪駆動車両10の駆動系統の概略構成を説明する骨子図である。
4輪駆動車両10は、エンジン12を駆動源とし、エンジン12の動力を主駆動輪に対応する左右の前輪14(前輪14は、左前輪14Lおよび右前輪14Rからなる)に伝達する第1の動力伝達経路と、エンジン12の動力を副駆動輪に対応する左右の後輪16(後輪16は、左後輪16Lおよび右後輪16Rからなる)に伝達する第2の動力伝達経路と、を有するFFベースの4輪駆動装置を備える。4輪駆動車両10の2輪駆動状態では、エンジン12から自動変速機18を介して伝達された動力が前輪用動力分配ユニット20および左右の車軸22L、車軸22Rを介して左右の前輪14へ伝達される。2輪駆動状態では、例えばトランスファ26に設けられた第1クラッチ24が解放され、プロペラシャフト28や後輪用動力分配ユニット30等へは動力が伝達されない。4輪駆動車両10の4輪駆動状態では、上記の2輪駆動状態に加えて、第1クラッチ24および第2クラッチ32が共に係合されることにより、プロペラシャフト28から後輪用動力分配ユニット30を経て左右の後輪16へエンジン12からの動力が伝達される。
自動変速機18は、例えば遊星歯車式の有段変速機や常時噛合型平行軸式の有段変速機、或いはベルト式無段変速機などで構成されている。前輪用動力分配ユニット20は、車幅方向と略平行な第1回転軸線C1まわりに回転可能に設けられている。前輪用動力分配ユニット20は、自動変速機18の出力歯車18aと噛み合う第1リングギヤ20rと、第1リングギヤ20rに固定されたデフケース20bと、を備える差動歯車機構で、前輪14の左右の車軸22L、車軸22Rの差動回転を許容しつつ、第1リングギヤ20rに伝達された動力を左右の車軸22L、車軸22Rへ伝達する。デフケース20bには、トランスファ26に設けられた入力軸34の軸端に形成された第1外周スプライン歯34aと嵌合する内周スプライン歯20aが形成されており、エンジン12からデフケース20bを介して左右の前輪14へ伝達する動力の一部が、入力軸34を介してトランスファ26に入力される。なお、入力軸34は、本発明における「回転体」に相当し、第1回転軸線C1は、本発明における「回転軸線」に相当する。
左右の後輪16へ動力を分配する後輪用動力分配ユニット30は、プロペラシャフト28から動力が伝達される円筒状の回転部材40と、第2クラッチ32と、差動歯車装置42と、を備える。プロペラシャフト28の一端部には、カップリング36を介してドライブピニオン38が連結されるようになっており、回転部材40に設けられた第2リングギヤ40aがドライブピニオン38と噛み合わされている。カップリング36は、例えば湿式多板クラッチで構成される電子制御カップリングであり、カップリング36の伝達トルクを制御することにより、前後輪のトルク配分を例えば100:0〜50:50の間で連続的に変更することができる。
第2クラッチ32は、回転部材40と差動歯車装置42のデフケース42aとの間を断接するための噛合クラッチである。第2クラッチ32は、回転部材40に形成されたクラッチ歯40bと、デフケース42aに形成されたクラッチ歯42bと、それらのクラッチ歯40bおよびクラッチ歯42bと噛合可能な内周歯44aが形成されて第2回転軸線C2方向に移動可能に設けられている第1断接スリーブ44と、を有する。第1断接スリーブ44が第2アクチュエータ46によって第2回転軸線C2方向へ往復移動させられることによって回転部材40と差動歯車装置42との間が断接される。第1断接スリーブ44は、内周歯44aがクラッチ歯40bおよびクラッチ歯42bの両方に噛み合う第1噛合位置と、一方のクラッチ歯40bとの噛合が解除される第1非噛合位置と、の間を往復移動させられる。第2アクチュエータ46は、例えば励磁電流が供給されることにより吸引力を発生する電磁コイルや流体圧シリンダなどで、その励磁電流や流体圧等が電子制御装置110(図1参照)により制御されることによって第1断接スリーブ44が第2回転軸線C2方向へ移動させられる。電子制御装置110は、Electronic control unitとも呼ばれ、CPU、RAM、ROM、および入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、4輪駆動車両10の各種装置を制御する。また、第2クラッチ32は、第1断接スリーブ44の内周歯44aを回転部材40のクラッチ歯40bに噛み合わせるのに先立って回転部材40の回転とデフケース42aの回転とを同期させる同期機構48を備える。差動歯車装置42は、第2クラッチ32を介して入力されるエンジン12からの動力を、後輪16の左右の車軸42L、車軸42Rに差動回転を許容しつつ伝達する。
トランスファ26は、エンジン12からデフケース20bを介して動力の一部が入力される円筒状の入力軸34と、プロペラシャフト28の他端部に連結されたドリブンピニオン50と噛み合う円筒状の第3リングギヤ52と、入力軸34と第3リングギヤ52との間を断接する第1クラッチ24と、これらを収容する非回転部材であるユニットケース54と、を備える。第1クラッチ24が係合して入力軸34と第3リングギヤ52との間が接続されると、エンジン12から左右の前輪14に伝達される動力の一部が、プロペラシャフト28を介して左右の後輪16へ出力されるようになる。
図2は、図1の4輪駆動車両10に設けられたトランスファ26の具体的構成の断面図である。非回転部材であるユニットケース54は、第3リングギヤ52、入力軸34、第1クラッチ24等のトランスファ26の構成部品の大部分を覆うケース部材54aと、ケース部材54aの第1回転軸線C1方向における右前輪14R側の開口部を塞ぐカバー部材54bと、を備える。それらケース部材54aとカバー部材54bとが図示しないボルト等の締結部材によって一体的に締結されている。ケース部材54aは、必要に応じて複数の部材にて構成される。
円筒状の第3リングギヤ52は、例えば斜歯傘歯車やハイポイドギヤなどであり、第3リングギヤ52の内周部には円筒形状の円筒部52aが一体に設けられている。円筒部52aには、第3リングギヤ52の背面52bから右前輪14R側に略円筒状に突き出す軸部52cが設けられており、軸部52cが軸受56を介してケース部材54aによって支持されている。また、第3リングギヤ52の円筒部52aには、内周側へ突き出すように内周断接歯52dが一体に設けられている。なお、第3リングギヤ52は、本発明における「リングギヤ」に相当し、内周断接歯52dは、本発明における「第1断接歯」に相当する。
円筒状の入力軸34は、第3リングギヤ52の円筒部52aの内側を挿通しており、両端部において一対の第1軸受58および第2軸受60を介して第1回転軸線C1まわりに回転可能にユニットケース54によって支持されている。すなわち、入力軸34および第3リングギヤ52は、第1回転軸線C1を共通の回転軸線とし、且つ相対回転可能にユニットケース54によって支持されるように配設されている。また、入力軸34は、左前輪14L側の端部の外周面に形成された第1外周スプライン歯34a、第1回転軸線C1方向の中央部の外周面に形成された第2外周スプライン歯34b、および右前輪14R側の端部の外周面に形成された第3外周スプライン歯34cを、それぞれ一体に備える。
第1クラッチ24は、入力軸34と第3リングギヤ52との間を断接するための噛合クラッチであり、内周スプライン歯62aおよび外周断接歯62bが設けられた円筒形状の第2断接スリーブ62を備える。なお、第2断接スリーブ62は、本発明における「断接スリーブ」に相当し、外周断接歯62bは、本発明における「第2断接歯」に相当する。第1クラッチ24は、第2断接スリーブ62がクラッチ切換装置72によって第1回転軸線C1方向へ往復移動させられることにより断接される。第2断接スリーブ62は、円筒状の第3リングギヤ52の内周側において、第3リングギヤ52と入力軸34との間の環状空間内に配設されており、第2断接スリーブ62の内周スプライン歯62aは、入力軸34の第2外周スプライン歯34bに対し、第1回転軸線C1まわりに相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能に常時噛み合わされている。第2断接スリーブ62の外周断接歯62bは、第2断接スリーブ62が第1回転軸線C1方向へ移動させられることにより、第3リングギヤ52の内周断接歯52dと噛み合い可能なように、外周側へ突き出すように設けられている。そして、第2断接スリーブ62が第1回転軸線C1方向へ往復移動させられることにより、外周断接歯62bが第3リングギヤ52の内周断接歯52dと噛み合わされて第3リングギヤ52と入力軸34とが相対回転不能に連結される第2噛合位置(コネクト位置)と、外周断接歯62bと内周断接歯52dとの噛合が解放されて第3リングギヤ52と入力軸34との相対回転が許容される第2非噛合位置(ディスコネクト位置)と、へ移動させられる。すなわち、第2噛合位置は、第2断接スリーブ62の外周断接歯62bが第3リングギヤ52の内周断接歯52dに噛み合う第2断接スリーブ62の位置であり、第2非噛合位置は、第2断接スリーブ62の外周断接歯62bが第3リングギヤ52の内周断接歯52dに噛み合わない第2断接スリーブ62の位置である。第2噛合位置では、左右の前輪14に伝達される動力の一部が、プロペラシャフト28を介して左右の後輪16へ出力される。なお、第2噛合位置が、本発明における「噛合位置」に相当し、第2非噛合位置が、本発明における「非噛合位置」に相当する。
クラッチ切換装置72は、第1アクチュエータ64、補助クラッチ66、ボールカム68、ラチェット機構74、およびスプリング78を備える。第1アクチュエータ64は、電子制御装置110から駆動信号Seとして励磁電流が供給されることにより、駆動信号Seに応じた吸着力を発生する電磁コイルで、締結ボルトによってカバー部材54bに一体的に固設されている。円盤状の可動片82を吸着することにより補助クラッチ66に吸着力に応じた回転制動トルクを付与する。補助クラッチ66は、第1摩擦板92および第2摩擦板94を備える。第1摩擦板92は、円盤状であり、ユニットケース54のカバー部材54bに形成された内周スプライン歯54cに対して、第1回転軸線C1まわりに回転不能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能に係合されている。第2摩擦板94は、円盤状であり、第1摩擦板92と可動片82との間でそれらと相対回転可能に配設され、ボールカム68の第2ケージ88に形成された外周スプライン歯88bに対して、第1回転軸線C1まわりに相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能に係合されている。したがって、第1アクチュエータ64により可動片82が吸着されることによって、補助クラッチ66を介してボールカム68の第2ケージ88に駆動信号Seに応じた回転制動トルクが付与される。
ボールカム68は、第1アクチュエータ64により補助クラッチ66を介して環状の第2ケージ88に回転制動トルクが付与されると、入力軸34と一体的に回転させられる第1ケージ70および回転制動トルクが付与された第2ケージ88の相対回転に応じて、第1回転軸線C1方向における左前輪14L方向(図2における左方向)に向かう推力を発生させる回転カム機構である。ラチェット機構74は、ボールカム68により発生させられた推力によって第2断接スリーブ62を移動させ、且つ第2断接スリーブ62の移動位置を保持する。スプリング78は、入力軸34に固定された環状のストッパ76と第2断接スリーブ62との間に配設されており、第2非噛合位置から第2噛合位置へ向かう方向、すなわち第2断接スリーブ62を第1回転軸線C1方向において右前輪14R側へ向かう方向への付勢力を第2断接スリーブ62に与える。
ラチェット機構74は、ボールカム68の第2ケージ88と第2断接スリーブ62との間に配設されている。ラチェット機構74は、いずれも環状である第1ピストン70a、第2ピストン84、およびホルダー86を備える。第1アクチュエータ64である電磁コイルがON(励磁)とされて可動片82が吸着されることにより、第1ピストン70aは、ボールカム68を介して所定のストロークで第1回転軸線C1方向において左前輪14L側へ移動させられる。第1ピストン70aは、ボールカム68の第1ケージ70に一体に設けられている。第1ケージ70の内周面には、入力軸34の第3外周スプライン歯34cに対し相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能に噛み合う内周スプライン歯70cが設けられている。第1ピストン70aが第1回転軸線C1方向において左前輪14L側へ移動させられると、第2ピストン84は、第1ピストン70aによりスプリング78の付勢力に抗して左前輪14L側へ移動させられる。ホルダー86は、第2ピストン84が掛け止められる掛止歯86a(図3参照)を有する。第2ピストン84は、入力軸34に対して第1回転軸線C1まわりに相対回転可能に配設されており、ホルダー86は、入力軸34に対して第1回転軸線C1まわりに相対回転不能かつ第1回転軸線C1方向に移動不能に配設されている。ラチェット機構74は、第1ピストン70aがベース位置(図2において第1回転軸線C1よりも下側に示した位置)とベース位置よりも第1回転軸線C1方向における左前輪14L側の切換位置(図2において第1回転軸線C1よりも上側に示した位置)とを往復移動すると、第2ピストン84によって第2断接スリーブ62を前述の第2非噛合位置へスプリング78の付勢力に抗して移動させる。また、第2ピストン84がホルダー86の掛止歯86aの先端に掛け止められることにより、第2断接スリーブ62が第2非噛合位置に位置決めされて保持される。この状態において、第1ピストン70aが再びベース位置と切換位置との間を往復移動すると、第2ピストン84がホルダー86の掛止歯86aから離脱させられ、ラチェット機構74はスプリング78の付勢力に従って第2断接スリーブ62が第2噛合位置へ移動することを許容する。このように、ラチェット機構74は、第1ピストン70aの往復移動に伴って第2断接スリーブ62を第2噛合位置と第2非噛合位置との間で交互に移動させる間欠移動機構として機能する。
ボールカム68は、第2ピストン84と第2軸受60との間に、第1回転軸線C1方向において重なるように配設された環状の一対の第1ケージ70および第2ケージ88を備える。第1ケージ70と第2ケージ88との間には球状転動体90が配設されている。第1ケージ70および第2ケージ88の対向面であって周方向の複数箇所(例えば、等角度間隔で3箇所)には、周方向で深さが変化する凹溝状の一対のカム面70b、カム面88aが互いに対向するように設けられており、カム面70bとカム面88aとの間に挟まれるように複数個(例えば、3個)の球状転動体90が挟持されている。第1ケージ70はリターンスプリング(圧縮コイルスプリング)によって第2ケージ88に接近する方向へ付勢されている。第1アクチュエータ64がON(励磁)にされて第1ケージ70と第2ケージ88とが相対回転させられると、カム面70b、カム面88aの深さ寸法の変化によって第1ケージ70および第2ケージ88が第1回転軸線C1方向に一定ストロークだけ互いに離間させられる。第2ケージ88は、第2軸受60によって移動が規制されているため、実質的に第1ケージ70が第2ケージ88に対して離間させられ、第1ケージ70の第1ピストン70aがベース位置から切換位置まで左前輪14L方向へ移動させられる。第1ケージ70はリターンスプリング(圧縮コイルスプリング)によって第2ケージ88に接近する方向へ付勢されている。そのため、第1アクチュエータ64がOFF(非励磁)にされて第2ケージ88が第1回転軸線C1まわりに回転自在になると、第1ケージ70および第2ケージ88は相対回転しなくなり、第1ピストン70aはリターンスプリングの付勢力等に従って切換位置からベース位置へ戻される。すなわち、第1アクチュエータ64のON−OFFにより、第1ピストン70aは、ボールカム68の作用でカム面70b、カム面88aの深さ寸法によって定まる一定の移動ストロークST(図3参照)だけ左前輪14L方向へ往復移動させられる。
第1ピストン70aがベース位置から切換位置へ1回往復移動させられると、図2における第1回転軸線C1よりも上側に示すように、第2断接スリーブ62がラチェット機構74を介して第2噛合位置から第2非噛合位置へスプリング78の付勢力に抗して移動させられる。この第2非噛合位置では、第2断接スリーブ62の外周断接歯62bと第3リングギヤ52の内周断接歯52dとの噛合が解放され、第1クラッチ24が解放状態になって動力伝達が遮断される。一方、第1ピストン70aがベース位置から切換位置へ2回往復移動、すなわち第2断接スリーブ62が第2非噛合位置へ移動させられた状態でさらに第1ピストン70aが1回往復移動させられると、図2における第1回転軸線C1よりも下側に示すように、第2ピストン84がホルダー86の掛止歯86aから離脱させられ、第2断接スリーブ62がスプリング78の付勢力に従って第2非噛合位置から第2噛合位置へ移動させられる。第2噛合位置では、第2断接スリーブ62の外周断接歯62bと第3リングギヤ52の内周断接歯52dとが噛み合わされ、第1クラッチ24が噛合状態になって動力伝達が許容される。
図3は、図2に示すクラッチ切換装置72のラチェット機構74の作動原理を説明する模式図である。図3は、環状の第1ピストン70a、環状の第2ピストン84、および環状のホルダー86をそれぞれ外周側から見た展開図で、図3の左右方向が第1回転軸線C1まわりの周方向、図3の上方向が左前輪14L方向である。第1ピストン70aは、内周スプライン歯70cを介して入力軸34に対して相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能に配設されている。第2ピストン84は、入力軸34に対して相対回転可能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能に配設されている。ホルダー86は入力軸34に対して位置が固定されて配設されている。したがって、第1ピストン70aは、ホルダー86に対して相対回転不能且つ第1回転軸線C1方向に移動可能である。第2ピストン84には、ホルダー86側に向かって突設された突起84aが形成されており、ホルダー86には、その突起84aの先端に当接させられる鋸歯状の掛止歯86aが周方向に連続して周期的に形成されている。第1ピストン70aには、ホルダー86の掛止歯86aと同様の鋸歯形状を成して第2ピストン84の突起84aを受け止める受止歯70dが、掛止歯86aと同じ周期であるが周方向に位相がずれた状態で周方向に連続して周期的に形成されている。なお、上記第1ピストン70aの受止歯70dおよびホルダー86の掛止歯86aの先端の斜面には、突起84aの滑りを止めて当接状態を維持するストッパ70eおよびストッパ86bがそれぞれ設けられている。
図3の(a)および(e)は、第2断接スリーブ62が第2噛合位置に保持されている状態、すなわち第2ピストン84の突起84aがホルダー86の掛止歯86aから離脱させられた状態であり、第1ピストン70aがベース位置に保持されている。図3の(b)は、第1アクチュエータ64のONによるボールカム68のカム動作により、第1ピストン70aがベース位置から移動ストロークSTだけ図3における上方(左前輪14L方向)の切換位置まで移動させられた状態である。この過程では、第1ピストン70aにより第2ピストン84が移動させられてホルダー86から図3における上方へ離されるとともに、第2ピストン84が第1ピストン70aの斜面を滑り落ちて受止歯70dの側面に当接させられる。図3の(b)に示されている一点鎖線は、上記移動ストロークSTを説明するために図3の(a)の第1ピストン70aのベース位置を示したものである。
図3の(c)は、第1アクチュエータ64のOFFによるボールカム68の逆動作により、第1ピストン70aが切換位置からベース位置まで戻された状態である。この過程では、第2ピストン84の突起84aがホルダー86の掛止歯86aの先端斜面に当接させられ、且つストッパ86bの側面に当接して掛止されることにより、第2断接スリーブ62が第2非噛合位置に保持される。
図3の(d)は、再び第1アクチュエータ64のONによるボールカム68のカム動作により、第1ピストン70aがベース位置から切換位置まで移動させられた状態である。この過程では、第1ピストン70aにより第2ピストン84が移動させられてホルダー86から図3における上方へ離されるとともに、第2ピストン84が第1ピストン70aの受止歯70dの斜面を滑り落ちてストッパ70eの側面に当接させられる。その後、第1アクチュエータ64のOFFによるボールカム68の逆動作により、図3の(e)に示すように、第1ピストン70aが切換位置からベース位置まで戻される。この過程では、第2ピストン84の突起84aがホルダー86のストッパ86bを乗り越えて周方向へ滑り落ちることにより、掛止歯86aから離脱させられ、第2断接スリーブ62がスプリング78の付勢力に従って第2噛合位置まで移動することが許容される。これにより、第3リングギヤ52の内周断接歯52dと第2断接スリーブ62の外周断接歯62bとが噛み合わされる。
図4は、図2の入力軸34および第2断接スリーブ62の拡大断面図である。図5は、図4の入力軸34および第2断接スリーブ62のV-V視断面図である。なお、図4は、図5の入力軸34および第2断接スリーブ62のIV-IV視断面図である。図4および図5の第1回転軸線C1よりも上側は、第2断接スリーブ62が第2非噛合位置にある状態を示し、下側は第2断接スリーブ62が第2噛合位置にある状態を示す。第2断接スリーブ62の内周スプライン歯62aの第1回転軸線C1方向の両端の端面のうち、スプリング78側の端面が第1端面62mであり、ラチェット機構74側の端面が第2端面62nである。それら第1端面62mと第2端面62nとの間の長さは、長さL1である。入力軸34に形成された第2外周スプライン歯34bのそれぞれは、第1回転軸線C1の周方向において一方の歯面である第1スプライン歯面130aおよび他方の歯面である第2スプライン歯面132aを有し、第1回転軸線C1の周方向に周期的に設けられている。第2断接スリーブ62に形成された内周スプライン歯62aのそれぞれは、第1回転軸線C1の周方向において第1スプライン歯面130aに対向する第1側面62sおよび第2スプライン歯面132aに対向する第2側面62tを有し、第2外周スプライン歯34bに嵌合するように第1回転軸線C1の周方向に周期的に形成されている。本実施例の場合は、第2外周スプライン歯34bおよび内周スプライン歯62aはともに8個である。
図6は、図2の入力軸34に設けられた第2外周スプライン歯34bの形状を示す斜視図である。図6では、8個ある第2外周スプライン歯34bのうちの1個を代表させて示している。入力軸34の第2外周スプライン歯34bは、スプライン小径面136aから第1回転軸線C1の径方向の外方のスプライン大径面136bへ向けて突き出ている。第2外周スプライン歯34bの第1スプライン歯面130aには、第2噛合位置にある第2断接スリーブ62の第1側面62sに対向した位置を含むように凹部130bが設けられている。例えば、凹部130bは、第1回転軸線C1方向の長さが長さL2(L2>L1)、第1回転軸線C1方向の周方向の深さが深さd2であって、スプライン小径面136aからスプライン大径面136bにわたる幅で形成されている。凹部130bには、第2噛合位置にある第2断接スリーブ62の第1側面62sに対向する凹部底部130b1と、凹部130bの段状の側壁部分であって第1回転軸線C1方向のスプリング78側にある第1段部130b2と、凹部130bの段状の側壁部分であって第1回転軸線C1方向のラチェット機構74側にある第2段部130b3と、がある。第1段部130b2と第2段部130b3との間の第1回転軸線C1方向の長さは、前述のように長さL2である。なお、第1スプライン歯面130aは、本発明における「スプライン歯面」に相当し、第1段部130b2は、本発明における「段部」に相当する。
図7は、図6に示すVII-VII視断面図における入力軸34およびその入力軸34にスプライン嵌合された第2断接スリーブ62の車両前進走行時における第2噛合位置での嵌合状態を説明する模式図である。図7は、図6でのスプライン小径面136aとスプライン大径面136bとの間にある第1回転軸線C1を中心とする円柱面における入力軸34および第2断接スリーブ62の断面を矢印VIIの方向から見た展開図であって、入力軸34の第2外周スプライン歯34bおよび第2断接スリーブ62の内周スプライン歯62aの相対的な位置関係がそれぞれ2個ずつ代表として示されている。図7の左右方向が第1回転軸線C1まわりの周方向であって、右方向が車両前進走行時の入力軸34の回転方向であり、左方向が車両後進走行時の入力軸34の回転方向である。また、図7の上方向がラチェット機構74側、下方向がスプリング78側である。なお、図7に示されている一点鎖線は、第2断接スリーブ62の第2非噛合位置における内周スプライン歯62aの位置を示したものである。
本実施例では、車両前進走行時において入力軸34は右方向に回転し、入力軸34の第2外周スプライン歯34bが第2断接スリーブ62の内周スプライン歯62aを押し付けて回転することにより、入力軸34から第2断接スリーブ62を介して第3リングギヤ52に動力が伝達される。具体的には、第2外周スプライン歯34bの凹部底部130b1が内周スプライン歯62aの第1側面62sに当接する。したがって、内周スプライン歯62aの一部は、第2外周スプライン歯34bの第1スプライン歯面130aに設けられた凹部130bの中に位置することとなる。
前述したように、第3リングギヤ52は、その軸部52cが軸受56を介してユニットケース54によって支持されており、入力軸34は、その両端部において一対の第1軸受58および第2軸受60を介してユニットケース54によって支持されている。第2断接スリーブ62は入力軸34に常時噛み合わされてスプライン嵌合されているため、第2断接スリーブ62の回転軸線は、入力軸34と同じ第1回転軸線C1である。一方、第3リングギヤ52は、例えば斜歯傘歯車やハイポイドギヤなどであるため、入力軸34から第3リングギヤ52への動力伝達時には、第3リングギヤ52はその回転軸線が第1回転軸線C1から外れさせられる力をドリブンピニオン50から受ける。このようなことから、第2断接スリーブ62の回転軸線と第3リングギヤ52の回転軸線との間にずれが生じると、第2断接スリーブ62の外周断接歯62bは、第3リングギヤ52の内周断接歯52dから離れる方向の力を受け、第2断接スリーブ62には第2噛合位置から第2非噛合位置に向かう力が加わる。第2断接スリーブ62が第2噛合位置から第2非噛合位置に移動しようとすると、第2断接スリーブ62の第1回転軸線C1方向のスプリング78側の端面である第1端面62mが、第2外周スプライン歯34bの第1段部130b2に当接する。これにより、第2断接スリーブ62の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動が抑えられる。このように、第1段部130b2は、第2断接スリーブ62が第2噛合位置から第2非噛合位置へ移動するのを抑えるストッパ構造として機能する。
本発明の車両用動力伝達装置100によれば、第2断接スリーブ62に対してスプライン嵌合された入力軸34の第2外周スプライン歯34bの第1スプライン歯面130aには、動力伝達時に第2断接スリーブ62の第1端面62mに当接し、第2断接スリーブ62の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動を抑える第1段部130b2が設けられている。このように、第2外周スプライン歯34bの第1スプライン歯面130aに設けられた第1段部130b2が第2断接スリーブ62に当接することで、動力伝達時に第2断接スリーブ62の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動が抑えられ、スプリング78の付勢力を大きくすることなく第2断接スリーブ62と第3リングギヤ52との噛合が解かれるのが抑制される。なお、入力軸34の第2外周スプライン歯34bの第1スプライン歯面130aには凹部130bが設けられているが、第2断接スリーブ62と入力軸34との間の回転軸線のずれを抑制する調心は、スプライン大径面136bでなされる。そのため、第2断接スリーブ62を介して入力軸34から第3リングギヤ52へ動力伝達している状態から動力伝達していない状態へのシフト、すなわち第2断接スリーブ62の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動の際のスライド性に対する影響は少ない。
本発明の車両用動力伝達装置100によれば、第1段部130b2は、第2断接スリーブ62の第1回転軸線C1方向のスプリング78側の端面である第1端面62mに当接するように設けられている。このように、第2断接スリーブ62の第1端面62mが、入力軸34の第2外周スプライン歯34bの第1スプライン歯面130aに設けられた第1段部130b2に当接する構造であるため、第2断接スリーブ62に設けられた内周スプライン歯62aの形状を複雑なものとする必要がない。
図8は、本発明の他の実施例である車両用動力伝達装置200の入力軸234に設けられた第2外周スプライン歯34b2の形状を示す斜視図である。本実施例に係る車両用動力伝達装置200の構成は、前述の実施例1に係る車両用動力伝達装置100の構成と略同じであるが、本実施例では、入力軸234に設けられた第2外周スプライン歯34b2の形状が、前述の実施例1の第2外周スプライン歯34bの形状と異なる。そのため、異なる部分を中心に説明することとし、前述の実施例1と共通する部分には同一の符号を付して説明を適宜省略する。なお、入力軸234は、本発明における「回転体」に相当する。
入力軸234の第2外周スプライン歯34b2の第1スプライン歯面130aには、凹部底部130b1が設けられている。前述の実施例1とは異なり、凹部底部130b1は、第2外周スプライン歯34b2のラチェット機構74側の端部まで伸びている。したがって、本実施例では、前述の実施例1にあった第2段部130b3は形成されていない。
図9は、図8に示すIX-IX視断面図における入力軸234およびその入力軸234にスプライン嵌合された第2断接スリーブ262の車両前進走行時における第2噛合位置での嵌合状態を説明する模式図であり、前述の実施例1における図7に対応するものである。第2断接スリーブ262は、前述の実施例1に係る第2断接スリーブ62の構成と同じである。なお、第2断接スリーブ262は、本発明における「断接スリーブ」に相当する。
本実施例では、車両前進走行時において入力軸234は右方向に回転し、入力軸234の第2外周スプライン歯34b2の凹部底部130b1が、第2断接スリーブ262の内周スプライン歯62aの第1側面62sに当接する。したがって、内周スプライン歯62aの一部は、第2外周スプライン歯34b2の第1スプライン歯面130aに設けられた凹部130bの中に位置することとなる。これにより、第2断接スリーブ262が第2噛合位置から第2非噛合位置に移動しようとすると、第2断接スリーブ262の第1端面62mが、第2外周スプライン歯34b2の第1段部130b2に当接することで、第2断接スリーブ262の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動が抑えられる。
本発明の車両用動力伝達装置200によれば、前述の実施例1と同様に、第2外周スプライン歯34b2の第1スプライン歯面130aに設けられた第1段部130b2が第2断接スリーブ262に当接することで、動力伝達時に第2断接スリーブ262の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動が抑えられ、スプリング78の付勢力を大きくすることなく第2断接スリーブ262と第3リングギヤ52との噛合が解かれるのが抑制される。
図10は、本発明のさらに他の実施例である車両用動力伝達装置300の入力軸334およびその入力軸334にスプライン嵌合された第2断接スリーブ362の車両前進走行時における第2噛合位置での嵌合状態を説明する模式図であり、前述の実施例2における図9に対応するものである。本実施例に係る車両用動力伝達装置300の構成は、前述の実施例2に係る車両用動力伝達装置200の構成と略同じであるが、本実施例では、入力軸334の第2外周スプライン歯34b2の第1スプライン歯面130aに設けられた凹部130bの形状および第2断接スリーブ362の内周スプライン歯62a2の形状が、前述の実施例2と異なる。そのため、異なる部分を中心に説明することとし、前述の実施例2と共通する部分には同一の符号を付して説明を適宜省略する。なお、入力軸334は、本発明における「回転体」に相当し、第2断接スリーブ362は、本発明における「断接スリーブ」に相当する。
第2断接スリーブ362の内周スプライン歯62a2のうち、入力軸334の第2外周スプライン歯34b2の第1スプライン歯面130aに対向する面は、ラチェット機構74側の第1側面62s1とスプリング78側の第1側面62s2に分かれている。第2断接スリーブ362の第1側面62s1と第1側面62s2との間には、第2外周スプライン歯34bの第1段部130b2に対向するように、段差面62oが設けられている。第2断接スリーブ362が第2噛合位置にあるとき、第2外周スプライン歯34b2の凹部底部130b1が第2断接スリーブ362の第1側面62s1に当接すると共に、第2断接スリーブ362の第1側面62s2の一部が第2外周スプライン歯34b2の第1スプライン歯面130aのうち凹部130bが形成されていない部分に当接する。これにより、第2断接スリーブ362が第2噛合位置から第2非噛合位置に移動しようとすると、第2断接スリーブ362の段差面62oが、第2外周スプライン歯34bの第1段部130b2に当接することで、第2断接スリーブ362の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動が抑えられる。このように、前述の実施例1、実施例2では、第2外周スプライン歯34bの回転軸線C1方向のスプリング78側の第1端面62mが第1段部130b2に当接することで第2断接スリーブ362の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動が抑えられていたが、本実施例では、第1端面62mではなく、段差面62oが第1段部130b2に当接することで第2断接スリーブ362の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動が抑えられる。
本発明の車両用動力伝達装置300によれば、第2外周スプライン歯34bの第1スプライン歯面130aに設けられた第1段部130b2が第2断接スリーブ362の段差面62oに当接することで、動力伝達時に第2断接スリーブ362の第2噛合位置から第2非噛合位置への移動が抑えられ、スプリング78の付勢力を大きくすることなく第2断接スリーブ362と第3リングギヤ52との噛合が解かれるのが抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例1、実施例2、実施例3では、入力軸34、234、334の内部を車軸22Rが挿通していたため、入力軸34、234、334は内部に中空部の有る軸状(円筒状)であったが、これに限らない。入力軸34、234、334はその内部を挿通するものがなければ、内部に中空部の無い軸状のものでも良い。
前述の実施例1、実施例2、実施例3では、車両前進走行時において、第2断接スリーブ62、262、362の回転軸線と第3リングギヤ52の回転軸線との間にずれが生じると、第2断接スリーブ62、262、362に第2噛合位置から第2非噛合位置に向かう力が加わる場合であったが、車両後進走行時において、第2断接スリーブ62、262、362に第2噛合位置から第2非噛合位置に向かう力が加わる場合にも本発明は適用できる。この場合、例えば前述の実施例1における入力軸34の第2外周スプライン歯34bの第2スプライン歯面132aのうち、第2噛合位置にある第2断接スリーブ62の第2側面62tに対向した位置を含むように凹部が設けられており、これにより第2断接スリーブ62の第2噛合位置から前記第2非噛合位置への移動を抑える段部が設けられていれば良い。
前述の実施例1、実施例2、実施例3では、本発明の車両用動力伝達装置100、200、300は、4輪駆動車両10のトランスファ26に設けられた第1クラッチ24に適用されたが、これに限らない。例えば、2輪駆動状態と4輪駆動状態とに切り換えることができる4輪駆動車両の他、常時4輪駆動状態の4輪駆動車両、常時2輪駆動状態の2輪駆動車両など、種々の車両に適用され得る。また、ディファレンシャル装置の差動ロック用クラッチ、動力伝達を断接するクラッチなどの車両の動力伝達経路等に配設される種々のクラッチに本発明は適用できる。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:4輪駆動車両
34、234、334:入力軸(回転体)
34b、34b2:第2外周スプライン歯
52:第3リングギヤ(リングギヤ)
52d:内周断接歯(第1断接歯)
62、262、362:第2断接スリーブ(断接スリーブ)
62b:外周断接歯(第2断接歯)
62m:第1端面
62n:第2端面
78:スプリング
100、200、300:車両用動力伝達装置
130a:第1スプライン歯面(スプライン歯面)
130b:凹部
130b1:凹部底部
130b2:第1段部(段部)
132a:第2スプライン歯面
C1:第1回転軸線(回転軸線)

Claims (1)

  1. 内周側に第1断接歯を有し、回転可能に支持されたリングギヤと、前記リングギヤと共通の回転軸線まわりに回転可能に支持された軸状の回転体と、前記第1断接歯に噛合可能な第2断接歯を有し、前記回転体に対して相対回転不能且つ前記回転軸線方向に移動可能にスプライン嵌合がされた円筒状の断接スリーブと、前記第2断接歯が前記第1断接歯に噛み合わない非噛合位置から前記第2断接歯が前記第1断接歯に噛み合う噛合位置に向かって前記断接スリーブに付勢力を与えるスプリングと、を備え、前記スプリングによる前記付勢力により前記断接スリーブを前記噛合位置に移動させて前記回転体と前記リングギヤとの間で動力伝達を行う車両用動力伝達装置であって、
    前記回転体に形成された前記スプライン嵌合のスプライン歯面には、前記動力伝達時に前記断接スリーブに当接して前記断接スリーブの前記噛合位置から前記非噛合位置への移動を抑える段部が設けられている
    ことを特徴とする車両用動力伝達装置。
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