{第1実施形態}
以下、第1実施形態に基づく医療用X線CT撮影装置、医療用X線CT撮影装置、医療用X線CT撮影条件設定方法及びX線CT撮影条件設定プログラムについて説明する。図1はX線CT撮影装置10を示す概略図である。
X線CT撮影装置10は、被写体PのX線CT(Computed Tomography)撮影を行う装置であり、X線発生器22と、X線検出器24と、支持部20と、旋回駆動部30と、撮影情報受付部40と、X線出力条件設定部60とを備える。
X線発生器22は、X線コーンビームを発生させる。X線検出器24は、X線発生器22から出射されたX線コーンビームを検出する。
支持部20は、X線発生器22とX線検出器24とを対向状態で支持する。X線発生器22及びX線検出器24が支持部20によって支持された状態で、それらの間に被写体Pを配設可能な間隔を設けられる。被写体Pは、例えば,人間の頭部である。そして、X線発生器22から照射されたX線コーンビームは、被写体Pを通って、X線検出器24に入射する。X線検出器24に入射したX線は、単位画素毎にX線の強度に応じた電気信号に変換される。この各電気信号に基づいてX線CT画像等が生成される。
旋回駆動部30は、支持部20によって支持されたX線発生器22及びX線検出器24を旋回させる。例えば、旋回駆動部30は、電気モータを含んでおり、必要に応じて、ギヤ等の加減速機構を含む。旋回駆動部30は、X線発生器22とX線検出器24との間の位置で、支持部20から突出する軸部33を回転駆動可能に支持している。この軸部33の中心軸を旋回中心として、旋回駆動部30の駆動によって、支持部20が旋回する。これに伴い、X線発生器22とX線検出器24とが、被写体P周りに旋回する。
撮影情報受付部40は、撮影領域の設定を受付け可能に構成されている。撮影情報受付部40は、例えば、タッチパネル、操作スイッチ等を通じて操作者による入力操作を受付けることによって、撮影領域の設定を受付ける構成を採用することができる。
撮影領域の設定は、被写体Pに対してX線CT撮影を望む撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位の少なくとも1つに関する情報を含む。
例えば、医療用X線CT撮影装置が歯科用のX線CT撮影装置であることを想定すると、撮影領域の大きさは、歯列の一部(例えば、歯を1本〜3本程度含む領域)を指定する撮影領域の大きさを含む設定、歯列の全体を指定する撮影領域の大きさを含む設定、顎全体を指定する撮影領域の大きさ指定する設定等を含む。撮影領域の大きさは、例えば、撮影領域の大きさを示す半径の大きさの設定、図として示された歯列又は顎領域に対する撮影領域の設定等によって行うことができる。
ここで、撮影領域について述べる。本願構成は、個体の生物としての被写体の全体に対する部分領域に好適に適用できる。被写体全体には、例えば頭部、胸部、腹部などの部分領域が存在する。頭部の中でも、歯科の診療対象となる顎顔面領域や耳鼻科の診療対象となる耳鼻領域など、より細分された領域が存在する。このように、被写体個体全体の中に部分領域があり、その部分領域にも大小関係がありうる。
個体全体のうち頭部を対象として、頭部を第1層部分領域、その中の顎領域を第2層部分領域、その中の歯列弓領域を第3層部分領域、その中の前歯領域を第4層部分領域と考えていくなど、領域の大きさに関する層の深浅で領域の大きさを考えてもよい。この場合、広い領域の層が浅い層、狭い領域の層が深い層と考えるようにしてよい。階層は場合に応じて適切に設ければよく、歯列弓領域を第1層部分領域、前歯領域、臼歯領域といった歯列弓中の部分領域を第2層部分領域と考えるようにしてもよい。
耳鼻科領域の場合に、耳鼻の領域を第1層部分領域とし、耳小骨領域を第2層部分領域とする例なども考えられる。
このように、診療科目のカテゴリ別に部分領域を設定してもよい。
浅い層の部分領域は深い層の部分領域を必ずしも完全に内包する必要はなく、深い層の部分領域が浅い層の部分領域をはみ出す部分があってもよい。
また、撮影目的としては、例えば、歯根破折、歯内療法、根尖病巣、インプラントの骨再生過程、歯周、智歯、過剰歯、埋伏歯、唾石等のいずれかの観察目的であることが想定される。
撮影部位としては、例えば、下顎前歯、下顎臼歯、上顎前歯、上顎臼歯、全歯、顎関節、顔面等のいずれかであることが想定される。
X線出力条件設定部60は、撮影情報受付部40で受付けられた撮影領域の大きさに応じてX線発生器22の出力条件を自動設定する。
このX線出力条件設定部60は、少なくとも1つのプロセッサを含む。例えば、X線出力条件設定部60は、少なくとも1つのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、記憶部、入出力部等を備えたコンピュータによって構成されている。記憶部は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されており、X線出力条件を設定するためのX線CT撮影条件設定プログラム60P等を格納している。RAMは、少なくとも1つのプロセッサが所定の処理を行う際の作業領域として供される。そして、少なくとも1つのプロセッサが記憶部に記憶されたX線CT撮影条件設定プログラム60P等に従って所定の演算処理を行い、X線CT撮影条件を設定する。X線CT撮影条件の設定にあたっては、撮影情報受付部40で受付けられた撮影領域の大きさに応じてX線発生器22の出力条件を自動設定する。
ここで、撮影領域の大きさに応じてX線発生器22の出力条件を自動設定するのは、撮影領域の大きさに応じて被写体Pに対する線量を調整するためである。つまり、X線発生器22の出力条件は、例えば、X線CT撮影を行う際において、被写体Pに対する線量を左右する条件である。
ここで、線量をX線発生器22のX線源たるX線管からのX線の出力量から定義してもよい。この出力量は、X線管へのエネルギーの印加量で調整できる。例えば管電流が40mAのX線照射と50mAのX線照射で、同じ管電圧、同じ照射時間であれば、50mAの方が40mAよりも印加量が大きい分出力量が大であり、管電圧が40kVのX線照射と50kVのX線照射で、同じ管電流、同じ照射時間であれば、50kVの方が40kVよりも印加量が大きい分出力量が大である。出力量は、照射時間からも調整できる。例えば、同じ管電流と管電圧で短時間のX線照射と長時間のX線照射があるとして、長時間の方が照射時間が長い分出力量が大である。X線コーンビーム形状調整部127で照射X線がコーンビーム形状になるように規制をしたとして、照射されるX線コーンビーム経路について、仮に、X線発生器22とX線検出器24の間に遮るものがないとしたら、出力量が大である方がX線検出器24の検出面の受光量が大となる。
X線管焦点とX線受光面の間に幾何学上形成される3次元領域の単位3次元領域に照射されるX線の量を線量としてもよい。直径40mm、高さ40mmの円筒形状の領域をX線照射対象とした場合、この領域のみにX線照射するようにX線コーンビーム形状調整部127で照射X線の規制をしたとして、これがX線検出器24の検出面で受光されると幅60mm、高さ60mmの受光面になるとする。X線発生器22のX線管焦点と幅60mm、高さ60mmの受光面の間に四角錐形状の3次元領域が幾何学上、形成される。この受光面をさらに細分して、例えば幅1mm、高さ1mmの単位面積域とした場合、X線管焦点と幅1mm、高さ1mmの単位面積域との間に極細の四角錐形状の3次元領域が形成される。この四角錐形状の3次元領域を細分した極細の3次元領域を単位3次元領域として、単位3次元領域に照射されるX線の量を線量としてもよい。後述するが、単位面積域をX線検出器24(128)の検出面を構成する画素単位としてもよい。
この単位3次元領域中に被写体が存在してもしなくとも線量は変らない。被写体が存在する場合、単位3次元領域中に照射されるX線は、被写体に吸収されてX線検出器24の検出面に到達しなかったり、減弱して到達したりする。一方、被写体が存在しない場合、単位3次元領域中に照射されるX線は全てX線検出器24の検出面で受光される(空気に吸収される量は微量なので無視するものとする。)。いずれにしても、同条件でX線照射する限り、単位3次元領域中に照射されるX線は、量としては同量である。例えば、大小それぞれの出力量でX線照射をしたとして、単位3次元領域について線量を測定してみれば、大出力量のX線照射の方が小出力量のX線照射よりも測定線量が大きくなる。
この例で、仮に同じ姿勢で位置付けされた同じ被写体の同じ部位範囲に対して出力量大と小とでそれぞれX線照射をしたとすると、結果的にX線の出力量が大であれば被写体Pの単位質量の部分に吸収されるX線によるエネルギーも大となり、X線の出力量が小であれば被写体Pの単位質量の部分に吸収されるX線によるエネルギーも小となる。
X線出力条件の設定にあたって、具体的な線量の測定値は、必ずしも得ていなくともよい。例えば、良好なX線画像を得られる出力量を理論的、実験的、経験的に知識として得ていれば、適切な出力量の設定は可能であるからである。仮に線量を測定したなら見込んだ結果が得られるという予測による組み立てが可能であればよい。
また、線量とは、被写体PがX線の照射範囲に存在する場合に、被写体Pの単位質量の部分に吸収されるX線のエネルギーの量であると考えてもよく、例えば、吸収線量によって表されてもよい。X線CT撮影を行う際には、例えば、X線発生器22を構成するX線管の管電圧を大きくすれば吸収線量が大きくなり、また、管電流を大きくすれば吸収線量が大きくなる。また、X線CT撮影を行う際におけるX線照射時間を長くすれば、吸収線量が大きくなる。このため、X線発生器22の出力条件は、例えば、X線CT撮影を行う際における管電圧、管電流、X線照射時間等である。なお、X線照射時間は、例えば、上記旋回駆動部30によってX線発生器22及びX線検出器24を旋回させる速度(回転速度)、上記旋回駆動部30によってX線発生器22及びX線検出器24を旋回させる範囲(例えば、360゜旋回か180゜旋回か等)によって設定され得る。これらの出力条件を適切に設定することで、適切な線量の調整がなされる。このように、被写体PがX線の照射範囲に存在する場合にX線管からのX線の出力量を上げると、結果的に被写体Pの単位質量の部分に吸収されるX線の量も増加するので、本定義と先の定義は重なるところがある。
図2はX線出力条件設定部60による処理を示すフローチャートである。
すなわち、X線CT撮影を行う際、ステップT1において、撮影情報受付部40を通じて、操作者による撮影領域の設定が受付けられる。受付けは例えばインプットによって行われる。撮影領域に関する設定には、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位に関する情報の少なくとも1つに関する設定が含まれる。
この後、次ステップT2において、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位に関する情報の少なくとも1つに応じてX線発生器の出力条件が自動設定される。
撮影領域の大きさとしては、例えば、図1に示すように、撮影領域E1である場合と、この撮影領域E1よりも広い撮影領域E2である場合等が考えられる。
この場合、例えば、比較的狭い(第1の広がりの)撮影領域E1である場合に、第1出力条件が設定され、比較的広い(第2の広がりの)撮影領域E2である場合に、第2出力条件が設定される。例えば、第1出力条件における線量を第1の線量とし、第2出力条件における線量を第2の線量とし、第1の線量が第2の線量よりも大きくなるように、第1出力条件及び第2出力条件が設定される。比較的狭い撮影領域E1である場合には、通常、局部を詳細に観察したい目的でX線CT撮影を行うこととなるため、線量が比較的大きくなる第1出力条件でX線CT撮影を行うことで、比較的鮮明な画像を得ることができる。また、通常、比較的広い撮影領域E2である場合には、全体的な観察目的でX線CT撮影を行うこととなるため、線量が比較的小さくなる第2出力条件でX線CT撮影を行うことで、低被曝を図ることができる。
また、例えば、撮影目的として、歯根破折、歯内療法、根尖病巣、インプラントの骨再生過程のいずれか(の観察)が第1撮影目的として設定された場合には、第1出力条件が設定され、歯周、智歯、過剰歯、埋伏歯、唾石のいずれか(の観察)が第2撮影目的として設定された場合には、第2出力条件が設定される。例えば、第1出力条件における線量が、第2出力条件における線量よりも大きくなるように、第1出力条件及び第2出力条件が設定される。歯根破折、歯内療法、根尖病巣、インプラントの骨再生過程のいずれかを観察する撮影目的とする場合には、通常、目的対象部位を詳細に観察したい目的でX線CT撮影を行うこととなるため、線量が比較的大きくなる第1出力条件でX線CT撮影を行うことで、比較的鮮明な画像を得ることができる。また、通常、歯周、智歯、過剰歯、埋伏歯、唾石のいずれかを観察する目的とする場合には、全体的な観察把握目的でX線CT撮影を行うこととなるため、線量が比較的小さくなる第2出力条件でX線CT撮影を行うことで、低被曝を図ることができる。
歯根破折、歯内療法、根尖病巣、インプラントの骨再生過程のいずれかの観察のように、詳細な観察が目的である場合、この目的を詳細観察目的と呼び、歯周、智歯、過剰歯、埋伏歯、唾石のいずれかの観察のように、全体的な状況観察や概ねの状況観察が目的である場合、この目的を通常観察目的と呼ぶこととする。
詳細観察目的を達成するためのX線CT撮影を詳細観察CT撮影と呼び、通常観察目的を達成するためのX線CT撮影を通常観察CT撮影と呼ぶこととする。詳細観察CT撮影が可能となる動作状態を詳細観察CT撮影モードと呼び、通常観察CT撮影が可能となる動作状態を通常観察CT撮影モードと呼ぶこととする。
同じ部位を同じ大きさのX線CT撮影領域で撮影する場合に、撮影目的に応じて出力条件を変えることも考えられる。例えば、下顎前歯を含む同じ領域(大きさも同じ)に対して、歯根破折の診断目的を第1撮影目的としてX線CT撮影を行う際には、第1出力条件を設定し、唾石観察目的を第2撮影目的としてX線CT撮影を行う際には、第2出力条件を設定することが考えられる。このようにして、唾石観察の際の下顎前歯領域に対する被曝量を低下させることができる。また、歯根破折の診断の際には、比較的鮮明で詳細な観察に適した画像を得ることができる。
また、例えば、撮影部位として、下顎前歯、下顎臼歯、上顎前歯、上顎臼歯のいずれかが第1撮影部位として設定された場合には、第1出力条件が設定され、全歯、全歯から顎関節に及ぶ広領域、顔面のいずれかが第2撮影部位として設定された場合には、第2出力条件が設定される。本例の場合、第1撮影部位と第2撮影部位とは、領域に広狭があるので、第1の広がりの撮影領域と第2の広がりの撮影領域の関係にもある。そして、例えば、第1出力条件における線量が、第2出力条件における線量よりも大きくなるように、第1出力条件及び第2出力条件が設定される。下顎前歯、下顎臼歯、上顎前歯、上顎臼歯のいずれかの部位を撮影目的とする場合には、通常、比較的狭い撮影部位を詳細に観察したい目的でX線CT撮影を行うこととなるため、線量が比較的大きくなる第1出力条件でX線CT撮影を行うことで、比較的鮮明な画像を得ることができる。また、全歯、全歯から顎関節に及ぶ広領域、顔面のいずれかを撮影部位とする場合には、全体的な観察目的でX線CT撮影を行うこととなるため、線量が比較的小さい第2出力条件でX線CT撮影を行うことで、低被曝を図ることができる。
また、同じ大きさのCT撮影領域で異なる部位を撮影する場合に出力条件を変えることも考えられる。例えば、X線コーンビームの経路に頭蓋底が存する顎関節を含む領域(第1撮影部位)と、X線コーンビームの経路から頭蓋底が外れる下顎前歯を含む領域(第2撮影部位)とに対して同じ大きさのCT撮影領域を設定するとする。この場合、撮影目的は設定されてもよいし、設定されなくてもよい。撮影目的が設定される場合、同じ目的であってもよい。そして、前者すなわち顎関節領域に対する照射条件と、後者すなわち下顎前歯領域に対する照射条件をそれぞれ設定し、顎関節領域に対して第1出力条件を、下顎前歯領域に対して第2出力条件を設定するようにして、下顎前歯領域に対する被曝量を低下させることができる。また、X線コーンビームの経路に頭蓋底が存する顎関節について、頭蓋底の存在に拘らず鮮明な画像を得ることができる。
同じ大きさのCT撮影領域で異なる部位を撮影する場合において、別の分類をしてもよい。例えば、直径40mm、高さ40mmの円筒形状の領域をX線CT撮影対象とするとして、硬組織の量より、臼歯領域と前歯領域に分類し、臼歯領域を硬組織が多い領域として第1出力条件を適用し、前歯領域を硬組織が少ない領域として第2出力条件を適用し、第1出力条件における線量が、第2出力条件における線量よりも大きくなるように、第1出力条件と第2出力条件を設定するようにしてもよい。
また、同じ前歯領域でも、上顎の前歯領域と下顎の前歯領域では、上顎の前歯領域の方が周囲の硬組織が多く、下顎の前歯領域の方が周囲の硬組織が少ないという差がある。同じ臼歯領域でも、上顎の臼歯領域と下顎の臼歯領域では、上顎の臼歯領域の方が周囲の硬組織が多く、下顎の臼歯領域の方が周囲の硬組織が少ないという差がある。
このことに着目して、例えば、上顎の臼歯領域を第1の集合に分類し、下顎の臼歯領域と上顎の前歯領域とを第2の集合に分類し、下顎の前歯領域を第3の集合に分類する。
第1の集合と第2の集合の関係において、第1の集合を第1撮影部位とし、第2の集合を第2撮影部位とし、第1撮影部位に応じた第1出力条件に基づく線量が第2撮影部位に応じた第2出力条件に基づく線量よりも大きくなるように第1出力条件と第2出力条件を規定する。
第2の集合と第3の集合の関係において、第2の集合を第1撮影部位とし、第3の集合を第2撮影部位とし、第1撮影部位に応じた第1出力条件に基づく線量が第2撮影部位に応じた第2出力条件に基づく線量よりも大きくなるように第1出力条件と第2出力条件を規定する。
後述の図20の設定例はこのような設定例である。
硬組織の量の多寡による設定のほか、硬組織の密度の高低によって設定を行ってもよい。
上記例では、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位に関する情報のうちの一つに基づいて出力条件を設定する例を説明したが、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの2つの組合せに基づいて、或は、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位の全ての組合せに基づいて、出力条件を設定してもよい。
撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位に関する情報の少なくとも1つに応じたX線発生器の出力条件が自動設定されると、X線の出力条件に関する設定処理が終了する。
X線CT撮影装置10は、設定されたX線発生器の出力条件に従い、X線発生器22からX線コーンビームを照射させると共に、被写体Pを透過したX線コーンビームをX線検出器24で検出しつつ、旋回駆動部30によりX線発生器22及びX線検出器24を被写体P周りに旋回させて、X線CT撮影を実行する。
そして、X線検出器24で検出されたデータに基づいて、X線CT画像が生成される。
このように構成されたX線CT撮影装置10、医療用X線CT撮影条件設定方法及びX線CT撮影条件設定プログラム60Pによると、受付けられた撮影目的及び撮影部位に関する情報の少なくとも1つに応じてX線発生器22の出力条件を自動設定することで、なるべく低被曝化を図ることができる。また、通常、撮影目的に応じて撮影領域E1、E2の大きさ、撮影部位の設定等がなされるところ、そのような撮影領域の大きさ、撮影目的、撮影部位の少なくとも1つに応じてX線発生器22の出力条件を自動設定することで、撮影目的に応じてなるべく適切な画質のX線CT画像を得ることができる。
例えば、比較的小さい撮影領域E1の場合には、線量が比較的大きくなる第1出力条件でX線CT撮影を行うことで、比較的鮮明なX線CT画像を得ることができる。通常、歯列弓の一部の歯を対象とする、比較的狭い撮影範囲E1に対するX線CT撮影の場合には、当該歯列弓の一部の歯の治療等を目的としたX線CT撮影が行われる。このため、比較的鮮明なX線CT画像を得ることによって、治療に適した鮮明な画像を得ることができる。また、例えば、比較的大きく撮影領域E2の場合には、線量が比較的小さくなるような第2出力条件でX線CT撮影を行うことで、低被曝な条件でX線CT撮影を行うことができる。通常、歯列弓全体、顎領域全体等を対象とする、比較的広い撮影領域E2に対するX線CT撮影の場合には、歯、骨格の全体形状の観察等を目的としたX線CT撮影が行われる。このため、そのような全体観察に適したX線CT画像を、低被曝なX線CT撮影条件で得ることができる。
また、例えば、撮影目的として、歯根破折、歯内療法、根尖病巣、インプラントの骨再生過程等が設定された場合には、線量が比較的大きくなる第1出力条件でX線CT撮影を行うことで、比較的鮮明な画像を得ることができる。また、通常、歯周、智歯、過剰歯、埋伏歯、唾石のいずれかが設定された場合には、線量が比較的小さい第2出力条件でX線CT撮影を行うことで、低被曝を図ることができる。
また、例えば、撮影部位として、歯列弓の一部である下顎前歯、下顎臼歯、上顎前歯、上顎臼歯のいずれかが設定された場合には、線量が比較的大きくなる第1出力条件でX線CT撮影を行うことで、比較的鮮明な画像を得ることができる。また、撮影部位として歯列弓全体を含む大きさより広い全歯、顎関節、顔面のいずれかが設定された場合には、線量が比較的小さい第2出力条件でX線CT撮影を行うことで、低被曝を図ることができる。
{第2実施形態}
第2実施形態に係るX線CT撮影装置について説明する。
<全体構成について>
図3は、第2実施形態に係るX線CT撮影装置110の構成を示す全体図であり、図4は第2実施形態に係るX線CT撮影装置110を斜め上方から見たときの斜視図である。なお、各図において、説明の便宜上、X線CT撮影装置110が存在する全体の空間においてXYZ座標系を設定することがある。本XYZ座標系において、X線CT撮影装置110において支持される頭部Pを基準して、右方向をX(+)方向、左方向をX(−)方向、前方をY(+)方向、後方をY(−)方向、上方をZ(+)方向、下方をZ(−)方向とする。
X線CT撮影装置110は、撮影部120と画像処理装置180とを備えている。撮影部120は、被写体PについてX線撮影を行うことにより、X線投影データを収集する装置である。撮影部120は、例えば、防X線室146に収容されて使用される。画像処理装置180は、撮影部120により収集されたX線投影データを処理して、各種X線画像(具体的には、パノラマ画像、CT画像、セファロ画像等)を生成する。
もっとも、撮影部120は、被写体PについてX線CT撮影を行えればよく、また、画像処理装置180は、撮影部120により収集されたX線投影データを処理して、X線CT画像を生成するものであればよい。以下では、X線CT撮影装置110がCT撮影を行う構成を中心に説明する。
撮影部120は、X線発生器126、X線検出器128、旋回支持部124と、本体制御部150(後述する図5及び図6参照、図3では図示省略)とを備える。
X線発生器126は、X線を発生させるX線源であるX線管を備えている。X線発生器126からはX線コーンビームが出射される。X線コーンビームの強度(出力強度)は、X線発生器126に供給される管電圧及び管電流の少なくとも一方を変更することによって制御される。X線発生器126の制御(詳細には、管電圧及び管電流の少なくとも一方の制御)は、本体制御部150のX線発生器駆動制御部152hにより行われる。
X線発生器126に対してX線コーンビームが照射される側には、X線コーンビーム形状調整部127が設けられている。X線発生器126及びX線コーンビーム形状調整部127は、旋回支持部124の一端部に支持される。
X線コーンビーム形状調整部127は、X線発生器126から出射されるX線コーンビームの広がりを規制し、撮影目的に応じた形状にX線コーンビームを調整する。X線コーンビーム形状調整部127は、例えば、X線規制孔が形成された部材であり、当該X線規制孔の形状及び大きさに応じて、X線発生器126から発生したX線の一部の通過を許容しその通過範囲の外を遮蔽する。これにより、X線検出器128に進むX線ビームの範囲を規制する。このX線コーンビーム形状調整部127は、例えば、X線規制孔を複数種類設けてX線を規制するX線規制孔を切替えること、或は、X線規制孔を形成する部材を移動させてX線規制孔の開口幅を調整すること等によって、X線発生器126から発生したX線のうち遮蔽される量、すなわち、規制量を調整する。X線コーンビーム形状調整部127は、X線発生器駆動制御部152hによって制御される。
X線検出器128は、X線発生器126から出射されたX線コーンビームを検出する。X線検出器128は、平面状に広がる検出面を有するフラットパネルディテクタ(FPD)又はX線蛍光増倍管(I.I.:Image Intensifier)等により構成され得る。
X線検出器128の検出面に配された複数の検出素子は、入射したX線の強度を電気信号に変換する。そして、その電気信号は、出力信号として本体制御部150又は画像処理装置180に入力され、その信号に基づいてX線投影画像が生成される。
X線検出器128は、旋回支持部124の他端部に、X線発生器126と間隔をあけて対向するように支持されている。X線検出器128の検出面に対して、X線発生器126から出射されたX線コーンビームが照射される。
旋回支持部124は、回転軸部125を介して水平アーム123に吊り下げ状に支持されている。旋回支持部124は、吊り下げ状に支持された状態で水平方向に沿って延在している。旋回支持部124の一端部には筐体124aが取り付けられており、旋回支持部124の他端部には筐体124bが取り付けられている。筐体124a内には、X線発生器126及びX線コーンビーム形状調整部127が収容された状態で支持されている。X線発生器126は、旋回支持部124の一端部から他端部に向けてX線コーンビームを照射する。筐体124b内には、X線検出面をX線発生器126側に向けた姿勢でX線検出器128が収容されている。これにより、旋回支持部124は、その一端側にX線発生器126を支持し、その他端側にX線検出器128を支持する。
上記旋回支持部124は、支柱121及び水平アーム123を介して支持されている。
支柱121は、床面等に載置されるベース121B上に垂直姿勢で支持されている。この支柱121に、昇降部122が昇降駆動可能に設けられている。昇降部122は、昇降駆動機構によって昇降駆動される。昇降駆動機構としては、ボールねじ機構及びモータ等を含む移動機構、リニアモータ等のリニアアクチュエータが用いられ、支柱121内に組込まれて昇降部122を昇降駆動する。昇降部122には、水平方向に延びるように水平アーム123が支持されている。この水平アーム123の先端部に旋回駆動機構130が組込まれている。
旋回駆動機構130は、旋回支持部124を旋回させる機構である。本実施形態においては、旋回駆動機構は、旋回軸移動機構134と、当該旋回軸移動機構134によって移動可能に支持された旋回機構132とを備える。
旋回軸移動機構134は、上記回転軸部125を旋回機構132と共に、回転軸部125の旋回軸X1に交差する方向(ここでは、水平方向)に移動させる機構である。旋回軸移動機構134としては、例えば、2つのリニアアクチュエータを互いに直交する方向に組合わせたXYテーブル機構を採用することができる。そして、旋回軸移動機構134が回転軸部125を旋回機構132と共に水平方向に沿って移動させることで、回転軸部125を所望の位置に配設することができ、X線発生器126及びX線検出器128の旋回軸を任意の位置に設定することができる。
旋回機構132は、旋回駆動部としての旋回駆動用アクチュエータ具体的にはモータ132aを備えており、上記旋回軸移動機構134によって水平方向に移動可能に支持されている。上記旋回支持部124の延在方向中間部より上方に突出する回転軸部125の上端部が、旋回機構132によって回転駆動可能に支持される。旋回機構132に備えられたモータの回転運動が回転軸部125に伝達されることで、旋回支持部124及び当該旋回支持部124に支持されたX線発生器126及びX線検出器128が旋回する。旋回機構132に備えられたモータの回転運動は、必要に応じて、ギヤ、プーリー等の伝達機構を介して回転軸部125に伝達される。
なお、本実施形態では、X線発生器126及びX線検出器128は、U字形状をなす旋回支持部124の両端部に取付けられているが、X線発生部及びX線検出器は、環状部材によって対向状態に支持されていてもよい。かかる環状部材については、その周方向の一部又は環状部材の内部を横切る支持部材に軸部を設けて、旋回可能に支持することができる。また、本実施形態では、X線発生器126及びX線検出器128は、鉛直軸周りに回転可能に支持されているが、鉛直方向に対して斜め方向の軸等の周りに回転可能に支持されていてもよい。
上記旋回支持部124は、頭部Pの高さに合せて昇降部122によって昇降することができる。また、旋回駆動機構130は、X線発生器126及びX線検出器128が頭部Pの周りを旋回するように、旋回支持部124を旋回させることができる。
また、支柱121に頭部固定装置用昇降部141Aが昇降駆動可能に設けられている。頭部固定装置用昇降部141Aは、上記昇降部122の下側に設けられている。頭部固定装置用昇降部141Aから頭部固定装置用アーム141が水平アーム123と同じ方向に延在するように設けられている。頭部固定装置用アーム141は、水平アーム123の下側を通って、X線発生器126とX線検出器128との間の下方位置に向けて延在する。この頭部固定装置用アーム141の先端部に頭部固定装置142が設けられている。頭部固定装置142は、X線発生器126とX線検出器128との間に位置している。頭部固定装置142は、被写体である頭部Pの顎を載置支持可能なチンレスト142aと、被写体である頭部Pをその両外側から挟んで保持する保持部142bとを含む。そして、頭部Pの顎がチンレスト142a上に支持されると共に、頭部Pが保持部142bによって挟込まれることで、頭部PがX線発生器126とX線検出器128との間の一定位置に保持される。頭部固定装置142を、少なくともチンレスト142a、保持部142bの一方で構成するようにしてもよい。
また、前記支柱121から水平アーム123が延びる側とは反対側に水平方向に延びるようにセファロ撮影用頭部固定装置垂下用アーム143が設けられ、このセファロ撮影用頭部固定装置垂下用アーム143にセファロ撮影用頭部固定装置144が吊下げ状態で支持されている。セファロ撮影用頭部固定装置144には、セファロ撮影用のX線検出器128bが組込まれている。セファロ撮影用頭部固定装置垂下用アーム143、セファロ撮影用頭部固定装置144、セファロ撮影用のX線検出器128b、必要に応じその他の周辺の構成部分を含む機構は、セファロ撮影用X線検出機構を構成する。セファロ撮影時の水平アーム123、旋回支持部124、筐体124a、X線発生器126、必要に応じその他の周辺の構成部分を含む機構は、セファロ撮影用X線発生機構を成す。セファロ撮影用X線検出機構とセファロ撮影用X線発生機構はセファロ撮影用撮像機構を構成する。
本実施形態において、セファロ撮影用の各部、例えば、上記セファロ撮影用頭部固定装置垂下用アーム143、セファロ撮影用頭部固定装置144、セファロ撮影用のX線検出器128b等は省略されてもよい。
頭部固定装置用アーム141の延在方向中間部には、操作パネル装置158を含む本体制御部150が設けられている。
X線撮影を行う際には、頭部固定装置142によって被写体である頭部Pを固定した状態で、所望の撮影モードに応じて、旋回支持部124を停止或は回転させた状態でX線撮影を行う。特に、旋回支持部124を回転させて、被写体P周りにX線発生器126及びX線検出器128を旋回させることで、X線CT画像等を生成するのに必要なX線画像データを得ることができる。また、旋回支持部124を一定範囲回転させた状態でX線撮影を行うことで、パノラマ撮影画像を得ることができる。X線CT撮影装置110は、その他、セファロ撮影画像、擬似口内法撮影画像を得るためのX線撮影を行うことができる。例えば、旋回支持部124を停止させた状態で前記支柱121から水平方向に延びるセファロ撮影用頭部固定装置垂下用アーム143に支持されたセファロ撮影用頭部固定装置144に頭部Pを位置固定させてX線検出器128からX線照射してX線撮影を行うことで、セファロ撮影画像を得ることができる。
本体制御部150は、コンピュータ等によって構成されており、撮影部120に対する各指示を受付け可能に構成されると共に、撮影部120の各動作を制御可能に構成されている。本体制御部150は、前記支柱121から水平方向に延びる頭部固定装置用アーム141に固定されている。この本体制御部150には、前記本体制御部150からの各種情報を表示すると共に本体制御部150に対する各種指令を受付けるための操作パネル装置158が設けられている。ここでは、操作パネル装置158は、液晶表示パネル等の表示装置と、表示装置の表示画面に配設されたタッチ検出部とを備えるタッチパネルである。表示画面に対する利用者のタッチ操作をタッチ検出部にて検出することで、本X線CT撮影装置110に対する操作を受付け可能に構成されている。操作パネル装置158の近く等に、押しボタン等が設けられていてもよい。また、表示装置と、利用者の操作を受付ける入力装置とは別々に設けられていてもよい。
この撮影部120を収容する防X線室146の壁の外側には、前記本体制御部150に接続されるデッドマンスイッチと呼ばれる押しボタンスイッチが設けられている。操作者がデッドマンスイッチを押している間だけ、X線照射がなされる。
画像処理装置180は、例えばコンピュータやワークステーション等で構成された情報処理本体部182を備えており、通信ケーブルによって前記撮影部120との間で各種データを送受信可能に接続されている。但し、撮影部120と画像処理装置180との間で、無線通信でデータの送受が行われてもよい。この情報処理本体部182は、撮影部120から送信されたデータに基づいて各種画像処理等を実行することができる。
画像処理装置180には、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置で構成される表示部184a、および、キーボードやマウス等で構成される操作部184bが接続されている。オペレータは、表示部184aに表示された文字や画像の上で、マウス等を介したポインタ操作等によって、情報処理本体部182に対して各種指令を与えることができる。なお、表示部184aは、タッチパネルで構成されていてもよい。
本画像処理装置180の処理の一部又は全部が、本体制御部150によって実行されてもよい。あるいは、本体制御部150の処理の一部又は全部が画像処理装置180によって実行されてもよい。つまり、本体制御部150及び画像処理装置180の各処理は、いずれかの場所に設けられた単一のコンピュータによって実行されてもよいし、いずれかの場所に設けられた複数のプロセッサによって分散して処理されてもよい。
<X線CT撮影装置のブロック図について>
図5はX線CT撮影装置110の機能ブロック図であり、図6は本体制御部150の電気的構成を示すブロック図である。
本体制御部150は、撮影部120のX線撮影動作を制御するものであり、プロセッサの一例としてのCPU(Central Processing Unit)150a、RAM(Random Access Memory)150b、記憶部150c、入出力部150d、操作入力部150e、画像出力部150f等が、バスライン150gを介して相互接続されたコンピュータによって構成されている(図6参照)。記憶部150cは、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されており、操作パネル装置158等を通じてX線撮影に関する諸指示を受付けると共に、当該諸指示に従って撮影部120がX線CT撮影を行う際の動作を制御する撮影プログラム151等を格納している。撮影プログラム151には、操作パネル装置158等を通じてX線撮影に関する設定を受付けると、そのX線撮影に関する設定に応じてX線発生器126の出力条件を自動設定するX線CT撮影条件設定プログラム151aが含まれている。
また、記憶部150cには、X線撮影に関する設定に対してX線発生器126の出力条件を対応付けた参照テーブル152が格納されている。この参照テーブル152の例については後述する。
RAM150bは、CPU150aが所定の処理を行う際の作業領域として供される。入出力部150dは、撮影部120の旋回駆動機構130に含まれるモータ等、前記X線発生器126及び前記X線検出器128等と接続されている。また、操作入力部150eは操作パネル装置158のタッチ検出部に接続されており、画像出力部150fは操作パネル装置158の表示部に接続されている。
この本体制御部150では、撮影プログラム151に記述された手順及び操作パネル装置158等を通じて受付けられた指示に従って、CPU150aが演算処理を行うことにより、操作パネル装置158における表示を制御しつつ、撮影に関する諸設定を受付ける。また、撮影プログラム151に記述された手順及び受付けられた撮影に関する諸指示に従って、CPU150aが演算処理を行うことにより、旋回駆動機構130、X線発生器126及びX線検出器128等を駆動制御する。これにより、X線発生器126及びX線検出器128が被写体P周りを旋回し、X線発生器126から照射されたX線コーンビームが、被写体Pを通過してX線検出器128に入射する。そして、X線検出器128で検出されたデータに基づいて、X線CT画像を生成することができる。
図5に示すように、本体制御部150は、支持部駆動制御部152a、モード設定受付部152b、撮影情報受付部152c、X線出力条件設定部152d、出力条件設定受付部152e、X線撮影データ処理部152f、X線検出部駆動制御部152g、X線発生器駆動制御部152h、画質設定部152iを備えている。これらの各制御部は、CPU(汎用回路)が撮影プログラム151に従って動作することにより実現される機能である。なお、これらの機能のうち一部又は全部を、専用の回路などで構成することにより、ハードウェア的に実現してもよい。また、上記各機能は、複数のコンピュータによって分散されて処理されてもよい。CPUがプログラムに従って動作することにより実現される機能の機械的実体はプログラムたる電気的信号および当該プログラムによって機能する回路である。
支持部駆動制御部152aは、旋回駆動機構130を制御することにより、旋回支持部124の旋回を制御する。具体的には、支持部駆動制御部152aは、X線CT撮影を実行する際に、旋回支持部124に支持されたX線発生器126及びX線検出器128を回転軸X周りに回転させることにより、X線発生器126及びX線検出器128を被写体P周りに旋回させる。支持部駆動制御部152aは、後述するX線出力条件設定部152dで設定された出力条件に従い、X線発生器126及びX線検出器128を旋回させる速度、旋回範囲(旋回角度)を制御可能であってもよい。
モード設定受付部152bは、操作パネル装置158を通じて低線量モードと高解像度モードとの設定を受付ける。低線量モードは、後述のとおり、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに応じて撮影領域によっては低線量によるX線CT撮影を行うモードである。すなわち、本X線CT撮影装置110は、後述するように、低線量によるX線CT撮影と高解像度なX線CT撮影とを実行可能である。低線量によるX線CT撮影は、X線発生器126から照射されるX線の線量を抑えた状態でX線CT撮影を行う撮影であり、被写体Pに対する線量は小さくなる一方、ノイズが乗りやすくなる。高解像度モードは、高解像度なX線CT撮影を行うモードである。高解像度なX線CT撮影は、低線量によるX線CT撮影の場合よりも高線量でX線CT撮影を行う撮影であり、被写体Pに対する線量は大きくなる一方、ノイズが少なく鮮明なX線CT画像を得ることができる。低線量モードと高解像度モードとのそれぞれに応じて、X線検出器128の出力条件が設定される。この設定については、例えば、参照テーブル152において定義される。この点については、後述する。
低解像度モードは通常観察CT撮影モードの具体例であり、高解像度モードは詳細観察CT撮影モードの具体例である。
なお、X線CT撮影装置110において、低線量モードと高解像度モードの両モードの切替えがなされることは必須ではない。例えば低線量モードのみの実行が可能な構成にしてもよい。
撮影情報受付部152cは、操作パネル装置158を通じて、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに関する撮影情報を受付ける。撮影情報は、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに関する設定を内容とする。受付けは例えばインプットによって行われる。本実施形態では、撮影情報受付部152cが、操作パネル装置158を通じて、撮影領域の大きさ及び撮影部位を受付ける例で説明する。撮影情報受付部152cが、撮影目的を受付ける例については、後の変形例で説明する。
なお、ここでは、撮影情報受付部152cは、操作パネル装置158を通じて、体格の設定も受付ける。より具体的には、撮影情報受付部152cは、体格の設定として、被写体が小児の体格であるか小児を超える体格であるかの設定を受付ける。
X線出力条件設定部152dは、撮影情報受付部152cで受付けられた撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに応じて、X線出力条件を設定する。本実施形態では、撮影情報受付部152cが、撮影領域の大きさに応じてX線出力条件を設定する例で説明する。X線出力条件設定部152dが、撮影目的、撮影部位等に応じてX線出力条件を設定する例については後の変形例で説明する。
なお、ここでは、X線出力条件設定部152dは、撮影情報受付部で受付けられた撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに関する撮影領域の設定に加えて、体格の設定に応じて、より具体的には、被写体が小児の体格であるか小児を超える体格であるかの設定に応じて、X線発生器126の出力条件を自動設定する。なお、次述する出力条件設定受付部152eにおいて、出力条件のマニュアル設定がなされた場合、出力条件設定受付部152eは、自動設定された出力条件を、当該マニュアル設定の内容に応じて変更する。
出力条件設定受付部152eは、操作パネル装置158を通じて、X線発生器126の出力条件に対する操作者によるマニュアル設定を受付ける。すなわち、X線出力条件設定部152dで自動設定された出力条件に対して、操作者が任意に出力条件を変更調整したい場合、操作者は操作パネル装置158を通じて、自動設定された出力条件に対する変更調整を入力することができる。
自動設定された出力条件に対するマニュアル設定機能は、省略されてもよい。
X線撮影データ処理部152fは、X線検出器128で検出されたデータに対して、ノイズ低減処理等の画像処理を実行する。ノイズ低減処理としては、各画素の値を周辺画素の中央値とするメディアンフィルタ、各画素の値を、周辺画素の平均値にとする移動平均フィルタ等を採用することができる。
X線検出部駆動制御部152gは、X線検出器128の駆動を制御する。X線検出部駆動制御部152gは、X線検出器128の複数の画素を1つの画素としてまとめて処理するビニング機能のオンオフ、ビニング機能によってまとめる画素の単位等を制御可能であってもよい。
X線発生器駆動制御部152hは、X線出力条件設定部152dで自動設定されたX線出力条件に応じて、X線発生器126の管電圧、管電圧の少なくとも一方を制御しつつ、X線発生器126のオンオフ制御等を行う。
画質設定部152iは、撮影情報受付部152cで受付けられた撮影領域の設定及びX線出力条件設定部152dで自動設定されたX線発生器126の出力条件の少なくとも一方に応じて、X線CT画像の画質を自動設定する。ここでは、画質設定部152iは、X線検出器128で得られた画像に基づきX線CT画像を再構成する際におけるボクセルサイズを調整することで、X線CT画像の画質を自動設定する。例えば、出力条件において、第1の線量と第2の線量があり、第1の線量が第2の線量よりも大である関係にあり、第1の線量を設定するのが第1出力条件であり、第2の線量を設定するのが第2出力条件である場合、第2出力条件が自動設定された場合には、ノイズが乗りやすくなるため、当該ノイズの影響をなるべく排除するため、ボクセルサイズを比較的大きく設定する。また、例えば、第1出力条件が自動設定された場合には、ノイズが乗りにくくなるため、ボクセルサイズを上記の場合よりも小さくし、高解像度で鮮明な画像を得るようにする。また、例えば、比較的狭い撮影領域E1と比べると比較的広い撮影領域E2を第2出力条件で撮影した場合に、ボクセルサイズを比較的大きく設定するようにしてもよい。
画質設定部152iが、設定したX線発生器126の出力条件に関係なく、受付けられた撮影領域の設定の情報に応じてX線CT画像の画質を自動設定するようにしてもよい。例えば、前述の詳細観察目的の受付けがあった場合はボクセルサイズを小さくし、前述の通常観察目的の受付けがあった場合はボクセルサイズを大きくするようにすることができる。比較的狭い第1の広がりの撮影領域の受付けがあった場合はボクセルサイズを小さくし、比較的広い第2の広がりの撮影領域の受付けがあった場合はボクセルサイズを大きくするようにしてもよい。
画質設定部152iにおける設定値(例えば、ボクセル値)は、画像処理装置180に与えられる。当該画像処理装置180は、設定されたボクセル値に基づいてX線CT画像を再構成する。すなわち、X線検出器128で検出されたデータに基づき、3次元データを生成し、この3次元データから断層画像を切出すことにより、X線CT画像を生成する。上記ボクセル値は、上記3次元データを生成する際の3次元の単位である。
画質設定部152iによる画質の設定例は、上記例に限られない。画質設定部152iの役割は、線量が比較的小さい出力条件が自動設定された場合においては、ノイズが乗りやすくなるため、当該ノイズの影響をなるべく排除することにある。逆に、線量が比較的大きい出力条件が自動設定された場合においては、それ自体で比較的境界がはっきりしており、また、ノイズが少ないデータを得ることができるため、ノイズを低減するような画質調整は不要であるが、画質調整の程度は小さい方がよい。
このような画質設定部152iによる画質設定処理としては、上記のようにボクセルサイズを調整することの他にも採用可能である。
例えば、画質設定部152iは、X線検出器128のビニング機能のオンオフにより、又は、ビニング機能によってまとめる画素の単位を調整するものであってもよい。例えば、線量が比較的小さい出力条件が自動設定された場合には、ビニング機能をオンにし、線量が比較的大きい出力条件が自動設定された場合には、ビニング機能をオフにしてもよい。また、例えば、線量が比較的小さい出力条件が自動設定された場合において、ビニング機能でまとめる画素単位を、線量が比較的大きい出力条件が自動設定された場合において、ビニング機能でまとめる画素単位よりも大きくしてもよい。ビニング機能のオフに対してオンにすることや、ビニング機能でまとめる画素単位をより大きくすることをハイ−ビニング化と呼ぶこととする。
また、画質設定部152iは、X線検出器128の検出感度を調整して画質を設定してもよい。例えば、線量が比較的小さい出力条件が自動設定された場合には、感度を大きくし、線量が比較的大きい出力条件が自動設定された場合には、検出感度を小さくしてもよい。具体的な例を挙げると、検出面の画素信号を受けるコンデンサ要素(キャパシタ)を容量的に複数種または可変に準備しておき、切替または変更可能に構成し、線量が比較的小さい出力条件が自動設定された場合には容量を小さくし、線量が比較的大きい出力条件が自動設定された場合には容量を大きくする。容量中の信号の強度評価はそれぞれ多段階に行う(各容量に共通の同数の段階、例えば16ビットで可。)ように構成する。
また、画質設定部152iは、X線CT画像を再構成する際のスライス厚を調整してもよい。すなわち、X線検出器128で検出されたデータに基づき3次元データを生成し、この3次元データからスライスを切出し、1枚のスライス、又は、複数枚のスライスを重ね合せることよって、X線CT画像を生成する。上記スライスの厚みを大きくすることは、その厚み方向における値が平均化されることに繋がる、ノイズの低減に資する。そこで、線量が比較的小さい出力条件が自動設定された場合には、スライスの厚みを大きく設定し、線量が比較的大きい出力条件が自動設定された場合には、スライスの厚みを小さく設定してもよい。スライスの厚みの自動設定値は、画像処理装置180に与えられる。当該画像処理装置180は、設定されたスライスの厚みに基づいてX線CT画像を再構成する。
また、X線検出器128で得られたデータ、当該データに基づく3次元画像、X線CT画像の少なくとも1つに対して、メディアンフィルタ、移動平均フィルタ等の平滑化演算フィルタ等のノイズ低減処理を施すか施さないか等を調整してもよい。例えば、線量が比較的小さい出力条件が自動設定された場合には、ノイズ低減処理を施し、線量が比較的大きい出力条件が自動設定された場合には、ノイズ低減処理を施さないようにしてもよい。両者の間で、ノイズ処理の強弱を変更してもよい。ノイズ処理の実行の是非や選択の指令は本体制御部150から画像処理装置180に与えられる。
また、本体制御部150は、上記各処理を実行する際、特に、モード設定受付部152b、X線出力条件設定部152d、出力条件設定受付部152eとしての処理を実行する際に、操作パネル装置158における表示内容を制御すると共に、操作パネル装置158に対するタッチ操作を受付ける。この点において、操作パネル装置158は、モード設定受付部152bに対する設定操作を行うためのモード設定操作部158a、X線出力条件設定部152dに対する設定操作を行うための撮影情報設定操作部158b、出力条件設定受付部152eに対する設定操作を行うための出力条件設定操作部158cとして機能することができる。
ここで、上述のボクセルサイズを大きくする処理、フィルタ等によるノイズ低減処理、ビニング処理、スライス厚を大きくする処理などは、ある画素の信号と近傍の画素の信号を結合する方向の処理であり、画素信号結合型処理と呼ぶこととする。
このうち、X線検出器128のビニング切替のように、X線検出器側での信号処理を画素信号結合型検出信号処理と呼び、スライス厚を大きくする処理など、画像処理装置側での画像処理を画素信号結合型画像処理と呼ぶこととする。
制御の一例として、以下のような制御が考えられる。第1の撮影領域と第2の撮影領域が撮影対象領域として考えられる。広さを比較すると第1の撮影領域が狭く、第2の撮影領域が広い。第1の撮影領域を第1出力条件で、第2の撮影領域を第2出力条件でX線CT撮影する。第1出力条件、第2出力条件はX線出力条件設定部152dが設定し、第1出力条件における線量が第1の線量であり、第2出力条件における線量が第2の線量である。大きさを比較すると第1の線量が大きく、第2の線量が小さい。
第1の撮影領域のX線CT撮影により第1の投影画像データが、第2の撮影領域のX線CT撮影により第2の投影画像データが得られる。
画質設定部152iが生成されるX線CT画像の画質を設定する。例えば、第2の撮影領域のX線CT撮影に際してハイ−ビニング化を実行したり、第2の投影画像データに対して画素信号結合型処理を施したりする。
本体制御部150は、通信I/F(インターフェース)154を介して画像処理装置180と通信可能に接続されている。
画像処理装置180は、コンピュータ又はワークステーション等により構成される。すなわち、画像処理装置180は、各種演算処理を行うプロセッサの一例としてのCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMを備えている。CPUが制御プログラムに従って動作することにより、制御部181として機能する。制御部181は、画像処理部181a及び記憶部183に接続されている。画像処理部181aは、撮影部120がX線CT撮影を実行した際にX線検出器128が出力した信号に基づいて生成されるX線透過画像を処理して、X線CT画像を生成する。記憶部183は、アプリケーションまたはデータなどを記憶する。
画像処理部181aは、画像処理プロセッサにより実現される機能である。画像処理部181aは、制御部181のCPUがアプリケーションプログラムに従って動作することにより実現される機能であってもよい。
例えば、撮影部120にてX線CT撮影が行われた場合、画像処理部181aは、取得された複数の投影画像に対して所定の前処理、フィルタ処理及び逆投影処理等を行うことにより3次元画像を生成し、当該3次元画像に基づいて撮影領域をスライスした各断層のCT画像を生成する。例えば、X線CT撮影で得られた複数の投影画像をフレームデータとして処理し、3次元のボクセルデータ(画像処理における3次元の画素)からなる3次元メッシュデータを構築し、3次元メッシュデータから切り出したスライスデータを断層面画像に可視化処理したり、3次元メッシュデータを加工したボリュームレンダリング画像に可視化処理したりする。このようにしてX線CT画像が生成される。
制御部181には、各種情報を示す画像を表示する表示部184a、及び、操作者が操作入力を行う操作部184bが接続されている。また、画像処理装置180は、通信I/F185を介して本体制御部150に情報通信可能に接続されている。
<各種設定例>
本体制御部150が操作パネル装置158を通じて各種設定を受付ける例について説明する。
図7は操作パネル装置158の表示例を示す図である。
同図に示すように、操作パネル装置158には、複数のX線撮影モードに対応する撮影モード選択画像201、202、203が表示されている。ここでは、操作パネル装置158の表示領域の上部に、撮影モード選択画像201、202、203、204が表示されている。
より具体的には、撮影モード選択画像201、202、203は、パノラマ撮影モードに対応するパノラマ撮影モード選択画像201と、セファロ撮影モードに対応するセファロ撮影モード選択画像202と、CT撮影モードに対応するCT撮影モード選択画像203とを含む。
ここで、パノラマ撮影モードとは、口内全体(または口内の一部)を歯列に沿って1枚の画像を取得するために実行される撮影モードであり、例えば、旋回支持部124を所定範囲回転させた状態でX線撮影を行うモードである。パノラマ撮影モード選択画像201として、“Pan”の文字を表す画像が表示されている。パノラマ撮影にはX線発生器126、X線検出器128が用いられる。
セファロ撮影モードは、頭部X線規格写真撮影すなわちセファロ撮影を行うために実行される撮影モードであり、例えば、旋回支持部124を回転停止させた状態で頭部に対して一定方向からX線撮影を行うモードである。セファロ撮影モード選択画像202として、“Ceph”の文字を表す画像が表示されている。頭部X線規格写真撮影には、前述のセファロ撮影用撮像機構が用いられる。
CT撮影モードは、歯列全体(又は歯列の一部)の断層画像を得るために実行される撮影モードであり、例えば、旋回支持部124を回転させた状態でX線撮影を行うモードである。CT撮影モード選択画像203として、“CT”の文字を表す画像が表示されている。CT撮影にはX線発生器126、X線検出器128が用いられる。
撮影モード選択画像201、202、203として表示される画像は、上記例に限られず、例えば、各撮影モードをイメージ化したイラスト等であってもよい。
操作パネル装置158の表示画面には、当該表示外面に対するタッチ位置を検出する2次元位置検出部としてのタッチ検出部が設けられている。そして、利用者が撮影モード選択画像201、202、203のいずれかにタッチすると、タッチ検出部によって、撮影モード選択画像201、203、203のうちのいずれか1つに対する選択操作が受付けられる。この選択操作が受付けられると、当該選択操作に応じた1つの撮像モード選択画像が視覚的に他の撮影領域選択画像に対して識別可能に表示されるとよい。これにより、本体制御部150において、撮影モードの選択が受付けられる。なお、撮影モード選択画像201、203、203のうちのいずれかに1つに対する選択操作が受付けられると、撮影モード選択画像201、203、203の選択されたものが、他に対して異なる色(色の濃淡が異なる場合を含む)で表示されて、他と識別可能とされてもよい。
また、操作パネル装置158には、撮影位置指定用画像210が表示される。ここでは、撮影位置指定用画像210として、歯列弓を示す画像が表示される。撮影位置指定用画像210は、操作パネル装置158の表示画面の中央部に大きく表示されている。撮影位置指定用画像は、実際にX線撮影される被験者を別に撮像したX線画像、例えば、セファロ画像であってもよい。撮影位置指定用画像210に対して、撮影位置を示す画像211(ここでは、円)が重畳して表示される。画像211が撮影位置指定用画像210における撮影位置を示している。撮影位置指定用画像210と撮影位置を示す画像211とが撮影位置設定用のスカウト画像を構成すると考えてよい。
図7では、3つの大きさの画像211、211a、211bが示されている。最も小さい円である画像211は、歯列弓の一部(前歯側の歯であれば5−6本程度、臼歯側の歯であれば2−3本含む程度)を撮影するための領域を示している。中間の大きさの円である画像211aは、歯列弓全体を撮影するための領域を示している。最も大きい大きさの円である画像211bは、顎顔面領域全体(前歯から臼歯に及ぶ左右の全ての歯と両顎関節を含めた領域でもよい)を撮影するための領域を示している。画像211、211a、211bとしては、後述する撮影領域設定用画像234による設定に応じた大きさのものが1つ表示される。
利用者が撮影位置指定用画像210に対して撮影を望む位置にタッチすることで、当該撮影位置指定用画像210における撮影位置の設定が受付けられる。撮影位置の設定は、その他、方向キー等を利用して行われてもよい。
また、操作パネル装置158には、照射モードを設定するための照射モード設定用画像220が表示されている。ここでは、照射モード設定用画像220は、歯車を模した画像であり、撮影モード選択画像201の下側に表示されている。利用者が本照射モード設定用画像220にタッチすると、図8に示すように、「低線量ノイズ低減モード」及び「ON」、「OFF」の文字が表示される。利用者が「ON」の文字をタッチすると、「低線量ノイズ低減モード」がオンとなり、上記低線量モードの設定が受付けられる。利用者が「OFF」に文字をタッチすると、上記高解像度モードの設定が受付けられる。設定後、所定時間経過後、又は、他の領域(例えば、「低線量ノイズ低減モード」等)にタッチすることで、元の表示画面に戻る設定とすることができる。低線量ノイズ低減モードのオンにより、低線量モードが選択できるとともに、低線量のX線CT撮影をした場合であっても、強いノイズが乗らないように、上述のようなノイズ低減処理が行われるモードとなる。
また、操作パネル装置158には、CT撮影モードに対応する撮影条件設定画像として、関心領域設定用画像231、患者サイズ選択用画像232、CT撮影位置付モード選択用画像233、撮影領域設定用画像234、スキャンモード選択用画像235が表示される。本実施形態では、これらの画像231、232、233、234、235は、操作パネル装置158の表示画面の右側の領域に表示されている。関心領域設定用画像231の設定内容に応じて、他の画像232、233、234、235の表示の有無が変更されたり、他の画像に変更されたりすることがあり得る。
関心領域設定用画像231は、“ROI”の文字の横に関心領域のイラスト画像を付加した画像である。利用者は関心領域設定用画像を通じて関心領域(ROI)を設定することができる。利用者が関心領域設定用画像231にタッチすると、図9に示すように、複数の関心領域設定用画像231A、231B、231Cが表示される。複数の関心領域設定用画像231A、231B、231Cは、歯列弓を関心領域とする歯列設定用画像231Aと、顎関節を関心領域とする顎関節設定用画像231Bと、顎顔面を関心領域とする顎顔面設定用画像231Cとを含む。これらの画像231A、231B、231Cが横並びに表示された状態において、利用者が関心領域設定用画像231A、231B、231Cのいずれかにタッチすることで、関心領域の設定が受付けられる。これらの、歯列設定用画像231A、231B、231Cのいずれを選択するかによって、表示される後述の撮影領域設定用画像234の内容が変わるように構成できる。
患者サイズ設定用画像232は、体格を設定するための画像であり、ここでは、“Size”の文字の横に上半身を示すイラスト画像及びサイズを示す文字(ここでは「M」)を付加した画像である。利用者は患者サイズ設定用画像232を通じて患者サイズ(体格)を設定することができる。利用者が患者サイズ設定用画像232にタッチすると、図10に示すように、複数の患者サイズ選択用画像232A、232B、232C、232Dが表示される。複数の患者サイズ選択用画像232A、232B、232C、232Dは、相互に大きさが異なる上半身外形を表す複数の患者サイズ表示イラスト画像を含む。より具体的には、患者サイズ選択用画像232Aは、最も小さい患者サイズ表示イラスト画像に“c”(childの頭文字)を付加した画像であり、患者サイズ選択用画像232Bは、次に小さい患者サイズ選択用画像に“S”(smallの頭文字)を付加した画像であり、患者サイズ選択用画像232Cは、その次の小ささの患者サイズ選択用画像に“M”(middleの頭文字)を付加した画像であり、患者サイズ選択用画像232Dは、最も大きい患者サイズ選択用画像に“L”(largeの頭文字)を付加した画像である。これらの画像232A、232B、232C、232Dが横並びに表示された状態において、利用者がそれらのいずれかにタッチすることで、患者サイズ(体格)の設定が受付けられる。特に、患者サイズ選択用画像232Aが選択されたときに、体格が小児である旨の設定が受付けられ、患者サイズ選択用画像232B、232C、232Dが選択されたときに、小児を超える体格である旨の設定が受付けられる。
CT撮影位置付モード選択用画像233は、位置設定を行うためのモードを変更するための画像である。本CT位置付モード選択用画像233を操作することで、歯列弓による撮影位置の設定の他、パノラマ画像又は2方向のスカウト画像に基づく撮影領域の設定が可能となる。
撮影領域設定用画像234は、撮影領域の大きさを設定するための画像であり、ここでは、撮影領域設定用画像234は、撮影領域の形状を立体的に表現したイラスト(例えば、円柱形状)に、その大きさを表す数値(直径、高さ等)の画像を付加したものである。利用者が撮影領域設定用画像234にタッチすると、図11に示すように、複数の撮影領域設定用画像234A〜234Hが表示される。撮影領域設定用画像234A〜234Hは、相互に異なるCT撮影領域サイズを表す複数のCT撮影領域候補画像である。すなわち、撮影領域設定用画像234A〜234Hは、直径、高さ、撮影領域形状のいずれかが異なるCT撮影領域を設定するためのものである。なお、図11の撮影領域設定用画像234A〜234Hの表示例は、前述の関心領域設定用画像231のうち、歯列設定用画像231Aを選択した場合の表示例である。例えば、関心領域設定用画像231のうち、顎顔面設定用画像231Cを選択した場合に、撮影領域設定用画像234の数を減らして、関心領域の広さについては、顎顔面を撮像し得る1つの設定のみとし、関心領域の高さだけにバリュエーションをつけるようにしてもよい。一般的な歯顎の大きさを想定すると、比較的狭い撮影領域設定用画像234A、234Bは、直径40mmの範囲を対象としており、歯牙が3本程度撮影できる局所CT撮影モードの選択指定を行うための画像である。比較的広い撮影領域設定用画像234C、234D、234Eは、直径80mm程度の範囲を対象としており、ほぼ全歯顎を対象とするCT撮影モードの選択指定を行うための画像である。また、広い領域設定用画面CT撮影モードの選択指定を行うための撮影領域設定用画像234F、234G、234Hは、撮影領域を角が丸まった三角形状とすることで臼歯部を含む完全に全歯顎を対象とする撮影領域の選択指定を行うための画像である。そして、利用者が表示された画像234A〜234Hのいずれかにタッチすると、CT撮影領域サイズの設定受付がなされる。なお、サイズの設定受付が変更されない場合、現在の関心領域のまま次の処理に進む。因みに、各イラストの右に上下に記載された数字は、上が関心領域の直径(mm)を示し、下が関心領域の高さ(mm)を示す。関心領域の高さが80の場合には、上下顎が撮影可能であり、40又は50の場合には、上顎又は下顎のいずれかのみの撮影に利用できることで、被曝線量を抑えた撮影ができる。
なお、上記撮影領域設定用画像234は、関心領域設定用画像231の設定によって変りうる。例えば、顎顔面を関心領域とすることが設定された場合には、撮影領域設定用画像234は、顎顔面の全体を対象とする大きさ、例えば、直径150mmの範囲を撮影領域として設定するための画像とすることが考えられる。
スキャンモード選択用画像235は、X線CT撮影に要する旋回支持部124の旋回の角度を設定するための画像であり、例えば、180゜旋回によってX線CT撮影を行うか、360゜旋回によってX線CT撮影を行うかのモードを設定するための画像である。
操作パネル装置158には、撮影条件設定画像として、照射設定用画像241、管電圧設定用画像242、管電流設定用画像243、感度設定用画像244が表示される。ここでは、これらの画像は、操作パネル装置158の下側部分に表示されている。
照射設定用画像241は、“Exp”の文字の下に手動設定を表す文字“M”を付加した画像である。この照射設定用画像241による設定を利用して、管電圧、管電流、解像度等をマニュアル設定すること、X線をオフにすること(照射せずにアームの回転等を行わせる場合に設定される)等を設定することができる。“Exp”の文字の下に表示された内容によって、現在何が選択されているか表示してもよい。図示のように文字“M”が表示されているならば、現在の選択はマニュアル設定である。文字“M”の箇所をタッチすると、他の選択肢が表示されるようにしてもよい。例えば、マニュアル設定、オート設定、X線オフが選択できるようにして、この選択によって文字“M”、文字“A”、文字“Off”が表示されるように構成してもよい。オート設定としては、X線撮影中にX線の照射量に強弱を付けるパターンの設定も考えられ、この強弱のあるパターンを選択した場合に別の文字を表示するようにしてもよい。
また、マニュアル設定を選択した場合は前述の低線量モードを離れ、撮影領域等の撮影情報のいかんにかかわらず、同じ照射条件が適用されるように構成してもよい。例えば、ある撮影領域に対してマニュアル設定を選択して、管電流が8mAになるように操作した場合は、仮に別の大きさの撮影領域を設定したとしても、同じ管電流8mAが適用されるようにしてもよい。ここで、この同じ照射条件を適用するモードをマルチ条件モードと呼ぶとして、低線量モードとマルチ条件モードを選択可能に構成してもよい。低線量モード、高解像度モード、マルチ条件モードのいずれか少なくとも1つが選択できるように構成してもよい。これらの選択を照射モード設定用画像220に対する操作によって行えるように構成してもよい。
管電圧設定用画像242は管電圧単位を表す文字“kV”の下に管電圧設定値を表す数字を付加した画像である。利用者が管電圧設定用画像242にタッチすると、図12に示すように、管電圧の調整画像242Aが表示される。管電圧の調整画像242Aは、管電圧を大きくする“+”の記号と、管電圧を小さくする”−”の記号と、管電圧を示す数値表示箇所とを含んでいる。そして、利用者が、“+”の記号箇所にタッチすると、管電圧の設定値が大きくなり、”−”の記号箇所にタッチすると、管電圧の設定値が小さくなり、各設定値が数値として表示される。管電圧の調整画像242Aが表示されている状態では、“OK”の文字が表示されており、管電圧の設定終了後、当該“OK”の文字箇所にタッチすると、管電圧の調整画像242Aが消え、管電圧設定用画像242が、上記設定値が反映された状態で表示される。
管電流設定用画像243は管電流単位を表す“mA”の下に管電流設定値を表す数字を付加した画像である。図13に示すように、利用者が管電流設定用画像243にタッチすると、管電流の調整画像243Aが表示される。管電圧の調整画像243Aは、管電流を大きくする“+”の記号と、管電流を小さくする”−”の記号と、管電流を示す数値表示箇所とを含んでいる。そして、利用者が、“+”の記号箇所にタッチすると、管電流の設定値が大きくなり、”−”の記号箇所にタッチすると、管電流の設定値が小さくなり、各設定値が数値として表示される。管電流の調整画像243Aが表示されている状態では、“OK”の文字が表示されており、管電流の設定終了後、当該“OK”の文字箇所にタッチすると、管電流の調整画像243Aが消え、管電流設定用画像243が、上記設定値が反映された状態で表示される。
感度設定用画像244は、X線検出器128の検出面の単位面積あたりの感度をマニュアル操作にて設定するための画像である。例えば、感度を標準と高感度が選択できるようにして、標準の場合に文字“SD”を、高解像の場合に文字“HR”を表示するようにしてよい。
なお、上記各画像の表示位置は、図7に示す例に限られず、任意の位置に設定することができる。
<参照テーブルの例>
図14を参照して参照テーブルの例について説明する。
この参照テーブルにおいては、低線量モードと高解像度モードとが別々に設定されている。また、各モードにおいて、小児と大人(小児を超える体格)とが別々に設定されている。
低線量モードにおける大人の体格に関しては、撮影領域の直径が40mmである場合において、X線発生器126の出力条件が管電圧100kV、管電流8mAと設定されている。また、画質に関する設定としてボクセルサイズが80μmとして設定されている。なお撮影領域の大きさは、旋回駆動部30による旋回軸と直交する面(つまり、床に対して平行な面)における撮影領域の大きさとして設定されるとよい。また、上記面における撮影領域が円形である場合には、当該円形に対する直径として規定され、上記面における撮影領域が非円形である場合には、当該撮影領域に対する外接円の直径として規定するとよい。
これに対して、撮影領域の直径が80mm又は100mmである場合には、上記出力条件と比較して、管電流7mAとして設定されている点で異なる。また、画質に関する設定としてボクセルサイズが125μmとして設定されている点でも異なる。
このため、撮影領域の直径が80mm又は100mmである場合には、撮影領域の直径が40mmである場合と比較して線量が小さくなるように、出力条件が設定されている。また、撮影領域の直径が80mm又は100mmである場合には、撮影領域の直径が40mmである場合と比較して、ボクセルサイズが大きく設定される結果、解像度は粗くなるものの、ノイズが低減された画質となるように設定されている。
さらに、撮影領域の直径が150mmである場合には、撮影領域の直径が40mm、80mm又は100mmである場合と比較して、管電流6mAとして設定されている点で異なる。また、画質に関する設定としてボクセルサイズが320μmとして設定されている点でも異なる。
このため、撮影領域の直径が150mmである場合には、撮影領域の直径が上記各例と比較してより線量が小さくなるように、出力条件が設定されている。また、撮影領域の直径が150mmである場合には、上記各例と比較して、ボクセルサイズが大きく設定される結果、解像度はより粗くなるものの、ノイズがより低減された画質となるように設定されている。
ここで、直径が40mmである撮影領域を第1撮影領域とし、直径が80mm又は100mmである撮影領域を第2撮影領域とすると考えると、第1撮影領域の大きさに応じた第1出力条件(管電圧100kV、管電流8mA)に基づく線量が、第2撮影領域の大きさに応じた第2出力条件(管電圧100kV、管電流7mA)に基づく線量よりも大きくなるように(相対的に考えると、第2出力条件に基づく線量が、第1出力条件に基づく線量よりも小さくなるように)、第1出力条件及び第2出力条件のそれぞれが規定されている。X線出力条件設定部152dは、当該参照テーブル152に基づいて、上記条件が成立するように、第1出力条件及び第2出力条件を自動設定する。
また、直径が80mm又は100mmである撮影領域を第1撮影領域とし、直径が150mmである撮影領域を第2撮影領域とすると考えると、第1撮影領域の大きさに応じた第1出力条件(管電圧100kV、管電流7mA)に基づく線量が、第2撮影領域の大きさに応じた第2出力条件(管電圧100kV、管電流6mA)に基づく線量よりも大きくなるように(相対的に考えると、第2出力条件に基づく線量が、第1出力条件に基づく線量よりも小さくなるように)、第1出力条件及び第2出力条件のそれぞれが規定されている。X線出力条件設定部152dは、当該参照テーブル152に基づいて、上記条件が成立するように、第1出力条件及び第2出力条件を自動設定する。
なお、直径が150mmである撮影領域は、被写体Pの顎顔面領域を撮影領域とする設定であり、直径が40mmである撮影領域は、歯列弓の一部の歯牙が収まる第1撮影領域であり、直径が80mm又は100mmである撮影領域は、歯列弓の全域または歯列弓の全ての歯牙が収まる領域の一例であると捉えることもできる。
もっとも、各撮影領域の大きさが上記例である必要は無い。
例えば、歯列弓の一部を撮影領域とする場合と、歯列弓のなるべく全体を撮影領域とする場合とを、撮影領域の大きさによって区別する場合を考える。この場合、撮影情報受付部152cが、第1撮影領域として境界円又は外接円の直径がR1(mm)である撮影領域の設定を受付けると共に、第2撮影領域として境界円又は外接円の直径がR2(mm)である撮影領域の設定を受付け可能とすると、40(mm)<k1(mm)<70(mm)を満たす値k1に対して、R1(mm)<k1(mm)<R2(mm)を満たす条件とするとよい。
また、例えば、歯列弓のなるべく全体を撮影領域とする場合と、顎全体をなるべく含む撮影領域とする場合とを、撮影領域の大きさによって区別する場合を考える。この場合、撮影情報受付部152cが、第1撮影領域として境界円又は外接円の直径がR1(mm)である撮影領域の設定を受付けると共に、第2撮影領域として境界円又は外接円の直径がR2(mm)である撮影領域の設定を受付け可能とすると、80(mm)<k2(mm)<120(mm)を満たす値k2に対して、R1(mm)<k2(mm)<R2(mm)を満たす条件とするとよい。
また、低線量モードにおける小児の体格に関しては、上記各例と比較して、管電圧90kVと小さく設定されている。このため、参照テーブル152においては、小児を超える体格に応じた出力条件に基づく線量が、小児の体格に応じた出力条件に基づく線量よりも大きくなるように、小児を超える体格に応じた出力条件及び小児の体格に応じた出力条件のそれぞれを規定する少なくとも1つの設定値が規定されている。従って、X線出力条件設定部152dは、当該参照テーブル152に基づいて、小児を超える体格に応じた出力条件に基づく線量が、小児の体格に応じた出力条件に基づく線量よりも大きくなるように、小児を超える体格に応じた出力条件及び小児の体格に応じた出力条件のそれぞれを規定する少なくとも1つの設定値を自動設定することができる。
X線CT撮影中における線量は、管電圧、管電流の他、X線発生器126の照射時間等によって調整することができる。例えば、X線検出器128の照射時間を短くすれば、線量が小さくなり、照射時間を長くすれば、線量が大きくなる。照射時間の設定は、例えば、X線発生器126を回転させる速度を調整することによって調整できる。また、X線発生器126を旋回させる角度を調整すること(例えば、180゜旋回又は360゜旋回を切替えること)等によって線量を切替えることができる。
X線CT撮影中における線量は、X線発生器126の管電圧、管電流、照射時間等を組合わせて調整することで、理論的、実験的、経験的に設定することができる。
また、高解像度モードにおいては、上記線量モードと比較して、管電流が一律に8mAに設定されている。また、画質に関する設定としてボクセルサイズが80μmとして一律に設定されている。このため、高解像度モードにおいては、一律に比較的高線量で鮮明なX線CT画像が得られることになる。管電流を一律に9mAとして、直径が40mmである撮影領域についても、低線量モードと高解像度モードとの間で差がつくようにしてもよい。参照テーブルの数値は操作者がアクセスして適宜任意に書変える操作を受付け可能としてもよい。
また、例えば、低解像度モードにおける大人の体格向けの直径40mmの撮影領域について、上顎臼歯領域の場合の出力条件を、管電圧100kV、管電流7.5mAとし、小児の体格向けの直径40mmの撮影領域について、上顎臼歯領域の場合の出力条件を、管電圧90kV、管電流7.5mAとするなど、高解像度モードの同領域よりも減弱させてもよい。管電流を弱めた分、画質設定のボクセルサイズを90μmとするなど、広げてもよい。
さらに撮影部位別の出力条件設定を加えてもよい。例えば、低解像度モードにおける直径40mmの撮影領域について、上顎臼歯領域の場合の出力条件を、管電圧100kV、管電流8mAとし、下顎前歯領域の出力条件を、管電圧100kV、管電流5mAとするなど、部位ごとの変化を付けてもよい。
<動作>
X線CT撮影装置110の動作について、図15を参照して、X線CT撮影動作を中心に説明する。
まず、ステップS1で、利用者が撮影モード選択画像201、202、203のいずれかにタッチすることで、パノラマ撮影モード、セファロ撮影モード、CT撮影モードのいずれかが選択的に受付けられる(図7参照)。パノラマ撮影モードの設定が受付けられると、ステップS11に進みパノラマ撮影処理が実行され、セファロ撮影モードの設定が受付けられると、ステップS12に進みセファロ撮影処理が実行される。CT撮影モードの設定が受付けられると、ステップS2以降の処理に進む。
ステップS2では、CT撮影を行うモードであることが決定される。
次ステップS3では、照射モード設定用画像220等を利用して、照射モードの設定が受付けられる(図7及び図8参照)。
次ステップS4では、関心領域設定用画像231等を通じて、関心領域の設定が受付けられる(図9参照)。
次ステップS5では、患者サイズ設定用画像232を通じて、患者サイズ(体格)の設定が受付けられる(図10参照)。既に述べたように、患者サイズ(体格)の設定は、体格が小児であるか、小児を超える体格であるかの設定を含む。
次ステップS6では、撮影領域設定用画像234及び撮影位置指定用画像210等を通じて、位置付の設定が受付けられる(図7参照)。これにより、撮影位置の設定が受付けられる。
次ステップS7では、撮影領域設定用画像234を通じて、撮影領域の大きさが設定される(図11参照)。
次ステップS8では、X線発生器126の出力条件を自動設定する。ここでは、図14に示す参照テーブル152を参照し、撮影領域の大きさと、体格が小児であるか小児を超えるサイズ(つまり大人)であるかに基づいて、X線発生器126の出力条件を自動設定する。
この自動設定後、ステップS9に進み、出力条件のマニュアル設定の有無が判別される。利用者が管電圧設定用画像242、管電流設定用画像243等を通じて管電圧、管電流のマニュアル設定がなされたと判別されると、ステップS13に進み、当該マニュアル設定に基づいて、出力条件を設定し、ステップS9に戻る。ステップ8後のステップ9の判別は、マニュアル設定の操作の有無の判別であり、ステップ13後のステップ9の判断は、新たに加えられたマニュアル設定の操作の有無の判別である。
ステップS9において、出力条件のマニュアル設定が無しと判別されると、ステップS10に進む。
ステップS10では、設定された出力条件に従って、X線CT撮影を実行する。これにより得られたデータに基づいて、X線CT画像が生成される。X線CT画像を生成する際には、上記画質に関する設定(ここでは、ボクセルサイズの設定)に従って、X線CT画像が生成される。上記ステップは適宜変更可能である。例えば、ステップ6とステップ7の順を入れ替えてもよい。
<効果等>
以上のように構成された医療用X線CT撮影装置110、医療用X線CT撮影条件設定方法及びX線CT撮影条件設定プログラム151aによると、上記X線発生器126、X線検出器128、旋回支持部124、旋回駆動部としてのモータ132aを備えており、X線CT撮影装置110において、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに関する撮影領域の設定を受付け、受付けられた前記撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに応じてX線発生器126の出力条件を自動設定することで、なるべく低被曝化を図ることができる。また、通常、撮影目的に応じて撮影領域の大きさ又は撮影部位が設定されるところ、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに応じてX線発生器126の出力条件を自動設定することで、撮影目的に応じてなるべく適切な画質のX線CT画像を得ることができる。
また、低線量を狙ったX線出力条件では、X線CT画像にノイズが乗りやすい。撮影領域の設定及び自動設定されたX線発生器126の出力条件の少なくとも一方に応じて、X線CT画像の画質を自動設定することで、特に、低線量を狙ったX線出力条件でX線CT撮影を行う場合において、ノイズを低減することができる。
特に、受付けられた撮影領域の大きさとして、旋回軸と直交する面における大きさとすることで、その面における撮影領域の広がりに応じて、X線発生器の出力条件を自動設定することができる。
また、通常、細部を詳細に観察したい場合には、比較的小さい撮影領域が設定され、全体観察を行いたい場合には比較的大きい撮影領域が設定される。そこで、撮影領域の大きさに関する設定として、第1撮影領域と、前記第1撮影領域よりも広い第2撮影領域との設定を受付けるようにし、第2撮影領域の大きさに応じた第2出力条件に基づく線量が、第1撮影領域の大きさに応じた第1出力条件に基づく線量よりも小さくなるように、第1出力条件及び第2出力条件のそれぞれを規定する少なくとも1つの設定値を自動設定すれば、目的に応じた適切な出力条件でX線CT撮影を行うことができる。
また、上記第1撮影領域、第2撮影領域を考えた場合、第1撮影領域として歯列弓の一部の歯牙が収まる領域が設定された場合には、線量が比較的大きくなる第1出力条件でX線CT撮影を行うことができ、当該歯列弓の一部の歯牙を比較的鮮明な画像によって観察することが可能となる。一方、第2撮影領域として歯列弓の全域または歯列弓の全ての歯牙が収まる領域が設定された場合には、当該歯列弓を線量が比較的小さくなる第2出力条件でX線CT撮影を行うことができる。
また、受付けられた撮影領域に加えて、体格の設定に応じて、X線検出器128の出力条件を自動設定することで、なるべく低被曝化を図ることができる。
具体的には、体格が小児であること設定されると、線量を小さくして、被曝量を小さくすることができる。一方、小児を超える体格であることが設定されると、線量を大きくして、鮮明な画像を得ることができる。
また、X線検出器128の出力条件として、X線発生器126の管電圧、管電流、X線発生器126がX線を照射する時間の少なくとも1つを自動設定することで、線量を調整することができる。
また、低線量モードと高解像度モードとを切替可能とし、低線量モードが受付けられたときに、受付けられた撮影領域に関する情報に応じてX線発生器の出力条件を自動設定することで、なるべく低被曝化を図りつつ、撮影目的に応じてなるべく適切な画質のX線CT画像を得ることができる。また、高解像度モードが受付けられたときには、受付けられた撮影領域に関する情報にかかわらず、鮮明なX線CT画像を得ることができる。また、受付けられた撮影領域に関する情報に応じてX線発生器126の出力条件を自動設定した後、操作者の好み等に応じてマニュアル設定によって変更することができる。
ここで、X線発生器126の出力条件の制御例を照射X線量の側から説明する。
前述のとおり、X線検出器128の検出面は、画素から構成される。各画素が方形である場合、各画素にX線管の焦点から照射されるX線ビームの形状は、略四角錐状になる。例えば、管電流を高くすると、各画素に対する略四角錐状のX線ビームが形成する空間に含まれる照射X線量は増加し、管電流を低くすると、照射X線量は減少する。同様に、例えば、管電圧を高くすると、各画素に対する略四角錐状のX線ビームが形成する空間に含まれる照射X線量は増加し、管電圧を低くすると、照射X線量は減少する。同様に、例えば、X線の照射時間を長くすると、照射時間全体で評価した場合の各画素に対する略四角錐状のX線ビームが形成する空間に含まれる照射X線量は増加し、X線の照射時間を短くすると、照射時間全体で評価した場合の照射X線量は減少する。
これをX線検出器128側で考えると、仮に、X線発生器126とX線検出器128の間に、被写体などの減衰要素が無い場合、各画素の受光量は、管電流を高くすると多くなり、管電流を低くすると少なくなる。同様に考えると、各画素の受光量は、管電圧を高くすると多くなり、管電圧を低くすると少なくなる。同様に考えると、各画素の受光量は、X線の照射時間を長くすると多くなり、X線の照射時間を短くすると少なくなる。また、複数回のX線照射で、管電流、管電圧、照射時間を含めて照射条件を変えないならば、各画素の受光量は同じになる。
このように、X線検出器128の検出面の単位面積に対する照射X線量を増減させるように、出力条件を変更することが考えられる(これは、前述の各略四角錐状の空間のような単位空間を通過するX線量の増減でもある。)。仮に、X線発生器126とX線検出器128の間に被写体などの減衰要素が無い場合を想定すると、X線検出器128の検出面の単位面積に対する照射X線量を増減させることは、X線検出器128の検出面の単位面積あたりの受光量を増減させることと同義となる。
上記単位面積としては、各画素単位の面積や、複数画素をビニングし得る場合の各ビニング単位の面積などが考えられる。
従って、撮影情報受付部で受付けられた撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに応じて前記X線発生器の出力条件を自動設定する例としては、ある撮影領域AR1へのX線照射の出力に対して他の撮影領域AR2へのX線照射の出力を小さくする例を採用することができる。例えば、管電流を撮影領域AR1に対するよりも撮影領域AR2に対して低くして、単位面積あたりに対する照射X線量を、撮影領域AR1に対するよりも撮影領域AR2に対して小さくすることができる(仮に、X線発生器126とX線検出器128の間から、被写体などの減衰要素を退避させた場合を想定すると、単位面積あたりの受光量は、撮影領域AR1に対するよりも、撮影領域AR2に対しする方が小さくなる。)。同様に、例えば管電圧を撮影領域AR1に対するよりも撮影領域AR2に対して低くして、単位面積あたりに対する照射X線量を、撮影領域AR1に対するよりも撮影領域AR2に対して小さくすることができる。同様に、例えば照射時間を撮影領域AR1に対するよりも撮影領域AR2に対して短くして、単位面積あたりに対する照射X線量を、撮影領域AR1に対するよりも撮影領域AR2に対して小さくすることができる。もちろん、管電流、管電圧、照射時間の組合せを調整して、単位面積あたりに対する照射X線量を、撮影領域AR1に対するよりも撮影領域AR2に対して小さくすることができる。
また、撮影領域AR1へのX線照射の出力と撮影領域AR2へのX線照射の出力を同じにするとは、単位面積あたりに対する照射X線量を同じにすることである(仮に、X線発生器126とX線検出器128の間から、被写体などの減衰要素を退避させた場合を想定すると、管電流を含めて照射条件を変えないかぎり、単位面積あたりの受光量は同じとなる。)。
{変形例}
図16に示す変形例では、X線発生器126の出力条件を規定する設定値のうち照射時間を変更した場合の参照テーブル例を示している。
同図に示すように、直径40mmである撮影範囲の大きさと直径80mm又は100mmである撮影範囲の大きさとでは、管電圧は100kVであり、管電流は8mAであり同じであるが、前者の照射時間を17.9sとし、後者の照射時間を9.4sとすることで、前者の方が後者よりも、X線CT撮影の際の線量が大きくなるように設定されている。X線検出器128(または旋回支持部124)の旋回角度が同じ範囲AG1であるとして、この角度AG1の旋回にかける時間を、照射時間17.9sと照射時間9.4sのいずれかに切換える。なお、X線検出器128(または旋回支持部124)の旋回角度を切換えることによって照射時間を変更する構成としてもよい。例えば、旋回角度を360°と180°のいずれかに切換える。この場合、照射時間を17.9sとすることは、X線検出器128の旋回角度が360゜で有り、照射時間を9.4sとすることは、X線検出器128の旋回角度が180゜で有ると捉えてもよい。直径150mmである撮影範囲の大きさに対しては、照射時間を9.4sとし、管電流を6mAとして、管電流の方を低くすることで直径80mm又は100mmである撮影範囲の大きさに対するよりもX線CT撮影の際の線量を小さくするように設定している。
上記実施形態では、主として撮影範囲の大きさに応じてX線検出器128の出力条件を設定する例を中心に説明したが、撮影情報受付部を、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに関する撮影領域の設定を受付ける可能とし、撮影情報受付部で受付けられた前記撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの少なくとも1つに応じて前記X線発生器の出力条件を自動設定してもよい。
例えば、図17に示すように、操作パネル装置158において、撮影目的の設定画面を設け、当該設定画面において、「・歯根破折・歯内療法・根尖病巣・インプラントの骨再生過程」を観察目的とすることを選択可能とする目的選択画像300と、「・歯周・智歯・過剰歯・埋伏歯・唾石」を観察目的とすることを選択可能とする目的選択画像302とを表示し、利用者が目的選択画像300、302のいずれかにタッチすることで、本体制御部150が当該撮影目的の設定を受付け可能とするとよい。
そして、参照テーブルとして、図18に示すように、「・歯根破折・歯内療法・根尖病巣・インプラントの骨再生過程」の撮影目的が設定された場合には、鮮明なX線CT撮影画像を得ることが好ましいことから、線量が比較的大きくなる出力条件に設定するとよい。ここでは、管電圧を100kVに設定し、管電流を8mAに設定している。
また、「・歯周・智歯・過剰歯・埋伏歯・唾石」の撮影目的が設定された場合には、おおよその観察ができればよいことから、被曝量をなるべく小さくできるように、線量が比較的小さくなる出力条件に設定するとよい。ここでは、管電圧を100kVに設定し、管電流を6mAに設定している。
これにより、設定された撮影目的に応じて前記X線発生器126の出力条件を自動設定することができる。
また、例えば、図19に示す参照テーブルのように、撮影位置指定用画像210において指定された撮影範囲における撮影部位に応じて、X線検出器128の出力条件を自動設定してもよい。撮影部位の指定は、歯列弓に対する指定の他、セファロ撮影されたX線画像に対する指定等によって行われてもよい。撮影部位の判別は、指定された撮影範囲におきて含まれる歯牙の範囲を判別すること等によって行うことができる。
ここでは、「・下顎前歯・下顎臼歯・上顎前歯・上顎臼歯」の撮影部位が設定された場合には、X線コーンビームの経路中にX線吸収係数の大きな頭蓋底が入ってこないことから、被曝量をなるべく小さくできるように、線量が比較的小さい出力条件に設定されている。ここでは、管電圧を100kVに設定し、管電流を6mAに設定している。
また、「・顎関節」の撮影部位が設定された場合には、X線コーンビームの経路中に頭蓋底が入ってくることから、線量が比較的大きくなる出力条件に設定されている。管電圧を100kVに設定し、管電流を8mAに設定している。
これにより、設定された撮影部位に応じて前記X線発生器126の出力条件を自動設定することができる。
また、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの複数の組合せに応じて、X線発生器126の出力条件を自動設定してもよい。この場合、例えば、図20に示すように、参照テーブルとしては、撮影領域の大きさに対して必要に応じて撮影目的及び撮影部位が特定され、各組合せに対して、X線発生器126の出力条件、画質が設定されたものを準備しておけばよい。図21においては、直径40mmの撮影領域に対して、撮影目的及び撮影部位の組合せに対して、X線発生器126の出力条件、画質が設定された例であるが、他の大きさの撮影領域に対しても、撮影目的及び撮影部位の組合せに対して、X線発生器126の出力条件、画質を設定してもよい。
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、第2実施形態で説明した各部は、第1実施形態で説明した構成に組合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
また、撮影領域の大きさ、撮影目的及び撮影部位のうちの複数の組合せに応じて、X線発生器126の出力条件を自動設定してもよい。この場合、例えば、図20に示すように、参照テーブルとしては、撮影領域の大きさに対して必要に応じて撮影目的及び撮影部位が特定され、各組合せに対して、X線発生器126の出力条件、画質が設定されたものを準備しておけばよい。図20においては、直径40mmの撮影領域に対して、撮影目的及び撮影部位の組合せに対して、X線発生器126の出力条件、画質が設定された例であるが、他の大きさの撮影領域に対しても、撮影目的及び撮影部位の組合せに対して、X線発生器126の出力条件、画質を設定してもよい。