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JP2019077594A - 酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、酸化物半導体薄膜、および薄膜トランジスタ - Google Patents

酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、酸化物半導体薄膜、および薄膜トランジスタ Download PDF

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JP2019077594A JP2017206629A JP2017206629A JP2019077594A JP 2019077594 A JP2019077594 A JP 2019077594A JP 2017206629 A JP2017206629 A JP 2017206629A JP 2017206629 A JP2017206629 A JP 2017206629A JP 2019077594 A JP2019077594 A JP 2019077594A
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井上 一吉
Kazuyoshi Inoue
一吉 井上
雅敏 柴田
Masatoshi Shibata
雅敏 柴田
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】酸化インジウムにY(イットリウム)を添加した組成であっても、ターゲットの強度を確保できる酸化物焼結体およびスパッタリングターゲットの提供。【解決手段】In元素、Zn元素、Sn元素およびY元素を含み、In2O3で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn2O7で表されるパイロクロア構造を含み、Y元素の原子組成比が下記式(1)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y)≦0.08 ・・・(1)【選択図】なし

Description

本発明は、酸化物焼結体、スパッタリングターゲット、酸化物半導体薄膜、および薄膜トランジスタに関する。
薄膜トランジスタ(Tin Film Transistor、以下TFTとも略す)に用いられる非晶質酸化物半導体は、汎用の非晶質シリコン(a−Si)に比べて高いキャリヤ移動度を有し、光学バンドギャップが大きく、低温で成膜できる。そのため大型・高解像度・高速駆動が要求される次世代ディスプレイや、耐熱性の低い樹脂基板等への適用が期待されている。
酸化物半導体薄膜の形成には、スパッタリング法が好適に用いられる。これは、スパッタリング法で形成された薄膜は、イオンプレーティング法、真空蒸着法、または電子ビーム蒸着法で形成された薄膜に比べ、組成、膜厚等の均一性に優れるからである。また、スパッタリングターゲットと同じ成分組成の薄膜を形成できるためである。
特許文献1には、In、YおよびOからなり、Y/(Y+In)が2.0原子%以上、40原子%以下であって、体積抵抗率が5×10-2Ωcm以下である酸化物焼結体をターゲットとして用いることが記載されている。Sn元素の含有量は、Sn/(In+Sn+他の全金属原子)が2.8原子%以上、20原子%以下であるとの記載がある。
特許文献2には、In、Sn、YおよびOからなり、Y/(In+Sn+Y)が0.1以上、2.0原子%以下である酸化物焼結体、これを用いたスパッタリングターゲットが記載されている。このターゲットから得られる薄膜は、フラットパネルディスプレイ、タッチパネル等の機器を構成することが記載されている。
特許文献3には、YInO3とIn23の格子定数の中間の格子定数を有する焼結体、およびこれをスパッタリングターゲットとして用いることが記載されている。また、酸化インジウム、酸化イットリウムおよび酸化スズからなる組成で、In23とY2Sn27を含む焼結体が記載されている。また、酸化イットリウム、酸化スズ、酸化亜鉛からなり、Y2Sn27とZnOまたはZn2SnO4を含む焼結体が記載されている。
特許文献4には、In、SnおよびZnに、Mg、Si、Al、Sc、Ti、Y、Zr、Hf、Ta、La、NdおよびSmからなる群より選択される1以上の元素を含有する酸化物焼結体、およびこれをスパッタリングターゲットとして用いることが記載されている。この焼結体はIn23とZn2SnO4を含む焼結体である。
特許文献5には、In、Sn、Znに、Mg、Al、Ga、Si、Ti、Y、Zr、Hf、Ta、La、NdおよびSmから選択される元素が添加され、ビックスバイト構造とスピネル構造を含むスパッタリングターゲットが記載されている。
特許文献6には、In、Sn、Znに、Hf、Zr、Ti、Y、Nb、Ta、W、MoおよびSmから選択される元素が添加され、In23構造、スピネル構造、X2Sn27構造(パイロクロア構造)およびZnX26から選択される1以上の構造を含む焼結体が記載されている。
特開平09−209134号公報 特開2000−169219号公報 国際公開第2010/032432号 国際公開第2012/153507号 特開2014−111818号公報 特開2015−214436号公報
しかしながら、特許文献1から特許文献6に記載の技術には以下のような問題があった。
特許文献1および特許文献2に記載のターゲットは、透明導電膜を得るためのターゲットであり、この組成では半導体膜が得られないという問題があった。
特許文献3から特許文献6に記載のターゲットは、半導体膜を得ることができるものの、酸化インジウムをベースとするターゲット材に、イットリウムの様な原子半径の大きな元素を添加すると、焼結密度が上がらずターゲット材の強度が低下したり、大パワーでのスパッタリング中に熱応力によりマイクロクラックが発生したり、チッピングを起こして異常放電が発生したりする場合がある。これら現象は、薄膜に欠陥を発生させ、TFT性能の劣化を引き起こすという問題があった。また、イットリウムを添加すると半導体膜の移動度が下がるという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、酸化インジウムにイットリウムを添加した組成であっても、ターゲットの強度を確保できる酸化物焼結体およびスパッタリングターゲットの提供を目的とする。
薄膜トランジスタに用いたときに優れた特性、特に高い移動度を有する非晶質酸化物半導体薄膜、および当該薄膜を備える薄膜トランジスタを提供することも目的とする。
本発明によれば、以下の酸化物焼結体が提供される。
[1]In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Y元素の原子組成比が下記式(1)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。
0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y)≦0.08 ・・・(1)
[2]In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Zn2SnO4で表されるスピネル構造、および、In23(ZnO)(ここで、mは1から20の整数)で表される六方晶層状構造を含まず、Y元素の原子組成比が下記式(2)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。
0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y)≦0.08 ・・・(2)
[3]Y元素とSn元素の原子組成比が下記式(3)を満たす範囲であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の酸化物焼結体。
0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(3)
[4]In元素、Sn元素およびZn元素の原子組成比が下記式(4)から(6)を満たす範囲であることを特徴とする[1]から[3]のいずれか一つに記載の酸化物焼結体。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y)≦0.93・・・(4)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.30・・・(5)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.15・・・(6)
本発明によれば、以下のスパッタリングターゲットが提供される。
[5][1]から[4]のいずれか一つに記載の酸化物焼結体を含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
本発明によれば、以下の酸化物半導体薄膜が提供される。
[6]In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、原子組成比が下記式(7)から(10)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物半導体薄膜。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y)≦0.93・・・(7)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.30・・・(8)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.15・・・(9)
0.03≦Y /(In+Sn+Zn+Y)≦0.08・・・(10)
[7]Y元素とSn元素の原子組成比が下記式(11)を満たす範囲であることを特徴とする、[6]に記載の酸化物半導体薄膜。
0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(11)
[8]非晶質であることを特徴とする[6]または[7]に記載の酸化物半導体薄膜。
本発明によれば、以下の薄膜トランジスタが提供される。
[9][6]から[8]のいずれか一つに記載の酸化物半導体薄膜を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明によれば、以下の電子機器が提供される。
[10][9]に記載の薄膜トランジスタを含む、電子機器。
本発明によれば、以下の酸化物焼結体が提供される。
[11]In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素及びAl元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Y元素の原子組成比が下記式(12)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。
0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・・・・・(12)
[12]In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素、及びAl元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Zn2SnO4で表されるスピネル構造、および、In23(ZnO)(ここで、mは1から20の整数)で表される六方晶層状構造を含まず、Y元素の原子組成比が下記式(13)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。
0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・(13)
[13]Al元素の原子比が下記式(14)を満たす範囲である、[11]または[12]に記載の酸化物焼結体。
0.005≦Al/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.10 ・・・(14)
[14]Y元素とSn元素の原子組成比が下記式(15)を満たす範囲であることを特徴とする、[11]から[13]のいずれか一つに記載の酸化物焼結体。
0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(15)
[15]In元素、Sn元素、およびZn元素の原子組成比が下記式(16)から(18)を満たす範囲であることを特徴とする[10]から[14]のいずれか一つに記載の酸化物焼結体。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.93・・・(16)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.30・・・(17)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.15・・・(18)
本発明によれば、以下のスパッタリングターゲットが提供される。
[16][11]から[15]のいずれか一つに記載の酸化物焼結体を含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
本発明によれば、以下の酸化物半導体薄膜が提供される。
[17]In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素、及びAl元素を含み、原子組成比が下記式(19)から(23)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物半導体薄膜。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.93 ・・・(19)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.30 ・・・(20)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.15 ・・・(21)
0.03≦Y /(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・(22)
0.005≦Al/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.10 ・・・(23)
[18]Y元素とSn元素の原子組成比が下記式(24)を満たす範囲であることを特徴とする、[17]に記載の酸化物半導体薄膜。
0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(24)
[19]非晶質であることを特徴とする[17]または[18]に記載の酸化物半導体薄膜。
本発明によれば、以下の薄膜トランジスタが提供される。
[20][17]から[19]のいずれか一つに記載の酸化物半導体薄膜を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明によれば、以下の電子機器が提供される。
[21][20]に記載の薄膜トランジスタを含む、電子機器。
本実施形態に係るターゲットの形状を示す斜視図。 本実施形態に係る薄膜トランジスタを示す縦断面図。 本実施形態に係る薄膜トランジスタを示す縦断面図。 本実施形態に係る薄膜トランジスタを用いた表示装置を示す図であって、(A)は上面図、(B)はVA型液晶表示装置の画素に適用することができる画素部の回路を示す図、(C)は有機EL素子を用いた表示装置の画素部の回路を示す図。 本実施形態に係る薄膜トランジスタを用いた固体撮像素子の画素部の回路を示す図。 実施例1の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 実施例2の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 実施例3の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 実施例4の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 実施例5の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 実施例6の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 比較例1の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 比較例2の酸化物焼結体のXRD回折パターンを示す図であって、上段は実測値、下段は、純物質(ICDD、International Centre for Diffraction Dataに収録された標準物質)の値。 (A)はガラス基板上に酸化物膜を形成した状態を示す縦断面図、(B)は、(A)に、さらにSiO2膜を形成した状態を示す縦断面図。
<本発明の背景>
まず、本発明の背景を簡単に説明する。
酸化インジウムをベースとするターゲット材に、イットリウムの様な原子半径の大きな元素を添加すると、ターゲットの強度が低下すること、および当該ターゲットを用いて製造された半導体薄膜の移動度を高くし難いことは公知である。
本発明者らは、この問題を解決するために、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、および酸素(O)を含む酸化物半導体(In−Sn−Zn−O、以下「ITZO」と略記)にイットリウム(Y)を添加した組成とすれば、ターゲット強度や半導体薄膜の移動度を改善できるのではないかと考えた。
これは、ITZOは、酸化物半導体の原料としては安価なSnおよびZnを用いて、比較的高いキャリヤ移動度とエッチングレートを実現できるためである。また、ITZO自体は導電体になりやすいが、Yを添加すれば、半導体化が容易になると考えたためである。
そこで、本発明者らはITZOにYを微量添加したところ、焼結体の強度が向上した。半導体特性は悪化せず、移動度が向上することも確認した。一方で、Yの添加量がある程度少ないほうが、このような効果が強く表れることも確認したため、本発明を創出するに至った。
以上が本発明の背景である。
<酸化物焼結体の構造>
次に、本実施形態に係る酸化物焼結体の構造について説明する。
本実施形態の第1の態様に係る酸化物焼結体は、In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、YSnで表されるパイロクロア構造を含み、Y元素の原子組成比が下記式(1)を満たす範囲である。
0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y)≦0.08 ・・・(1)
式(1)において、Y元素が0.03以上とすることにより、焼結体から製造されたスパッタリングターゲットで成膜した薄膜が半導体化し、半導体としての特性も安定する。Y元素が0.08以下とすることにより、薄膜が絶縁体化するのを防止できる。移動度の向上効果も強く発現し、六方晶層状構造の生成も防止できる。
式(1)において、Yは、好ましくは0.03以上、0.07以下である。
酸化物焼結体の各金属元素の含有量(原子比)は、ICP(Inductive Coupled Plasma)測定により、各元素の存在量を測定することで求めることができる。ICP測定は誘導プラズマ発光分析装置を用いることができる。
酸化物焼結体がIn23で表されるビックスバイト構造を含むことにより、バルク抵抗が低下し、酸化物焼結体を好適にスパッタリングターゲットに使用できる。このスパッタリングターゲットで成膜した薄膜の移動度も向上させやすくなる。
酸化物焼結体がY2Sn27で表されるパイロクロア構造を含むことにより、熱伝導性が良くなり、酸化物焼結体および酸化物焼結体を用いたスパッタリングターゲットが、スパッタリング時に割れにくくなる。
酸化物焼結体がビックスバイト構造またはパイロクロア構造を含むか否かは、X線回折装置(XRD)により結晶構造を調べることで確認できる。
本実施形態の第2の態様に係る酸化物焼結体は、In元素、Sn元素、Zn元素およびY元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Zn2SnO4で表されるスピネル構造、および、In23(ZnO)(ここで、mは1から20の整数)で表される六方晶層状構造を含まず、Y元素の原子比が下記式(2)を満たす範囲である。
0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y)≦0.08 ・・・(2)
式(2)を満たす効果は式(1)と同様である。好ましい範囲も同様である。
スピネル構造および六方晶層状構造を「含まない」とは、X線回折測定装置(XRD)により結晶構造を調べることで、その存在が確認できないことを意味する。
ビックスバイト構造およびパイロクロア構造を含む効果も第1の態様と同様である。
スピネル構造および六方晶層状構造を含まないことにより、焼結体の強度を向上できる。これは、以下の理由によるものである。
スピネル構造および六方晶層状構造は、それぞれ、異方性を持つ結晶構造を有しており、その結晶の異方性の方向で膨張係数が異なることがある。この膨張係数の相違により、酸化物焼結体の昇温中、降温中、または焼結中に、ターゲットの収縮方向に異方性が生じ、酸化物焼結体に割れが生じたり、スパッタリング中の熱応力によりクラックが入ったりする場合がある。一方で、ビックスバイト構造、およびパイロクロア構造は、立方晶であり、結晶の異方性がないことから、酸化物焼結体の製造中の割れや、大パワーでのスパッタリング中のヘアーラインクラックの発生は抑えられ、歩留まりの良いターゲットが製造できたり、大パワーでも安定したスパッタリングができたりするようになる。
本実施形態の酸化物焼結体は、ビックスバイト構造が主成分であることが好ましい。「ビックスバイト構造が主成分である」とは、ビックスバイト構造の存在比率が、酸化物焼結体中、50質量%以上であることを意味する。
ビックスバイト構造が主成分であることにより、焼結体のバルク抵抗が低減され、焼結体を好適にスパッタリングターゲットに使用できるようになる。また、このスパッタリングターゲットから得られる半導体薄膜の移動度を向上させやすくなる。
さらに、ビックスバイト構造を主成分とする焼結体中にパイロクロア構造が分散するため、希土類元素をドーピングする等により、ターゲット素材以外の蛍光材料等への応用も期待できる。
ビックスバイト構造の存在比率は、酸化物焼結体中、50質量%以上、95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上、95質量%以下であることがより好ましい。
In23で表されるビックスバイト構造には、Y元素およびZn元素のいずれか1以上が侵入型固溶、及び又は、置換型固溶していると好ましい。
In23で表されるビックスバイト構造にZn元素が侵入型固溶していることは、焼結体中の酸化インジウムのビックスバイト構造の格子定数が、酸化インジウムのみの格子定数より小さくなっていることにより確認できる。また、In23で表されるビックスバイト構造にY元素が置換型固溶していることは、焼結体中の酸化インジウムのビックスバイト構造の格子定数が、酸化インジウムのみの格子定数より大きくなっていることにより確認できる。
Zn元素とY元素の侵入型固溶、及び又は、置換型固溶は、焼結体の製造に用いる酸化イットリウムの添加量により調整できる。酸化イットリウムの添加量を少量にすることで、Zn元素が侵入型固溶したビックスバイト構造の酸化インジウムを生成でき、酸化イットリウムの添加量を多くすることで、Y元素が置換型固溶したビックスバイト構造の酸化インジウムを生成できる。この場合、侵入型固溶していたZn元素は、酸化インジウム結晶体から分離され、更に、酸化インジウムと反応することにより、In((Zn3In)O6)で表される六方晶層状化合物などを生成する様になる。
ここで、「格子定数」とは、単位格子の格子軸の長さと定義され、X線回折法によって決定することができる。純物質のビックスバイト構造の格子定数は、10.118×10-10mである。ここでいう純物質とは、ICDD(International Centre for Diffraction Data)に収録された標準物質を意味する。
第1の態様、第2の態様及び後述する第3の態様の酸化物焼結体は、いずれもY元素とSn元素の原子比が下記式(3)を満たす範囲であることが好ましい。
0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(3)
式(3)を満たすことにより、Yを含有させることによる、半導体膜の安定化や移動度の向上効果が強く発現する。
式(3)において、Y/Snは、0.26以上、0.41以下が好ましい。
第1の態様および第2の態様は、In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素の原子比が下記式(4)から式(6)を満たす範囲であることが好ましい。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y)≦0.93・・・(4)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.30・・・(5)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.15・・・(6)
式(4)において、Inが0.50以上であることにより、焼結体のバルク抵抗を低くでき、スパッタ時の異常放電を防止できる。また、In添加による酸化物半導体の高移動度化の効果が得られる。0.93以下とすることにより、薄膜が導電体になるのを防止できる。
式(4)において、Inは0.50以上、0.87以下がより好ましい。
式(5)において、Snが0.03以上であることにより、ターゲットのバルク抵抗を低下させることができる。さらに、Snが0.03以上であることにより、焼結体の密度を向上させることもでき、強度や線膨張係数、熱伝導性も好適にできる。
また、Snが0.03以上であることにより、焼結体を用いたターゲットでTFTの半導体薄膜を成膜した際に、配線金属のエッチング液であるリン酸、硝酸、および酢酸からなる混酸に半導体薄固溶膜が溶解しなくなり、バックチャンネルTFTを形成できる。
式(5)において、Snが0.30以下であることにより、焼結体密度の低下を防止できる。焼結体から製造されたスパッタリングターゲットを用いて、薄膜トランジスタの半導体層を形成した場合、蓚酸等の有機酸で半導体層をエッチングでき、TFTを形成しやすくなる。
式(5)において、Snは0.05以上、0.15以下がより好ましく、0.08以上、0.15以下がさらに好ましく、0.10以上、0.15以下が、よりさらに好ましい。
式(6)において、Znが0.01以上であることにより、高密度な焼結体が得られる。また、Znが0.01以上であることにより、焼結体を用いたターゲットでTFTの半導体薄膜を成膜した際に、得られた酸化物半導体薄膜を安定に非晶質に保つ効果が有り、蓚酸等の有機酸でのエッチングが可能となる。式(6)において、Znが0.15以下であることにより、Zn元素が酸化亜鉛として析出したり、六方晶層状構造として析出したりすることを防止できる。また、Znが0.15以下であることにより、焼結体を用いたターゲットでTFTの半導体薄膜を成膜した際に、リン酸・酢酸・硝酸などの混酸への耐性が保たれ、薄膜トランジスタを容易に形成できるようになる。
式(6)において、Znは0.03以上、0.15以下がより好ましく、0.05以上、0.15以下がさらに好ましく、0.08以上、0.15以下が、よりさらに好ましい。
本実施形態の第3の態様に係る酸化物焼結体は、In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、原子組成比が下記式(7)から(10)を満たす範囲である。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y)≦0.93・・・(7)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.30・・・(8)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.15・・・(9)
0.03≦Y /(In+Sn+Zn+Y)≦0.08・・・(10)
式(7)から式(10)を満たす効果は式(4)から式(6)および式(1)と同様である。好ましい範囲も同様である。
本実施形態の第4の態様に係る酸化物焼結体は、In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素及びAl元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Y元素の原子組成比が下記式(12)を満たす範囲である。
0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・・・・・(12)
式(12)において、Y元素が0.03以上とすることにより、焼結体から製造されたスパッタリングターゲットで成膜した薄膜が半導体化し、半導体としての特性も安定する。Y元素が0.20以下とすることにより、薄膜が絶縁体化するのを防止できる。
本実施形態の第5の態様に係る酸化物焼結体は、In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素、及びAl元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Zn2SnO4で表されるスピネル構造、および、In23(ZnO)(ここで、mは1から20の整数)で表される六方晶層状構造を含まず、Y元素の原子組成比が下記式(13)を満たす範囲である。
0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・(13)
式(13)を満たす効果は式(12)と同様である。
第4の態様および第5の態様の酸化物焼結体は、Al元素の原子比が下記式(14)を満たす範囲であるのが好ましい。
0.005≦Al/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.10 ・・・(14)
式(14)において、Alが0.005以上であることにより、オフ電流を10-12A以下にすることできる。Alが0.10以下であることにより、TFTの飽和移動度を10cm2/V・s以上に保つことができる。Alは0.01以上、0.08以下がより好ましい。
第4の態様及び第5の態様の酸化物焼結体は、いずれもY元素とSn元素の原子比が下記式(15)を満たす範囲であることが好ましい。
0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(15)
式(15)を満たす効果は式(3)と同様である。好ましい範囲も同様である。
第4の態様および第5の態様の酸化物焼結体は、In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素、およびAl元素の原子比が下記式(16)から式(18)を満たす範囲であることが好ましい。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.93・・・(16)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.30・・・(17)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.15・・・(18)
式(16)から式(18)を満たす効果は式(4)から式(6)と同様である。好ましい範囲の値も同様である。
第1の態様から第5の態様の酸化物焼結体は、In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素、および必要に応じてAl元素を含めばよく、実質的にIn元素、Sn元素、Zn元素、Y元素(およびAl元素)からなってもよい。
「実質的」とは、酸化物焼結体中に含まれる金属元素に占めるIn元素、Sn元素、Zn元素、Y元素(およびAl元素)の含有割合が、90atm%以上であることを意味する。95atm%以上が好ましく、98atm%以上がより好ましく、99atm%以上がさらに好ましく、100atm%がよりさらに好ましい。
ただし、In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素(およびAl元素)を含有し、残部(In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素(およびAl元素)以外の元素)が酸素と不可避不純物のみからなる組成が好ましい。残部が酸素と不可避不純物であることにより、In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素(およびAl元素)以外の元素が酸化物焼結体や、当該酸化物焼結体を用いて製造された半導体薄膜の特性に与える影響を最小限にできる。
不可避不純物とは、意図的に添加しない元素であって、原料や製造工程で混入する元素を意味する。以下の説明でも同様である。
<酸化物焼結体の物性>
第1の態様から第5の態様の酸化物焼結体は、相対密度が95%以上であることが好ましい。
相対密度が95%以上であることにより、成膜時のクラック発生やノジュール生成を抑制でき、得られる薄膜トランジスタの性能の低下や、歩留の低下、膜密度の低下を防ぐことができる。また、CVD装置での成膜温度を上げることができる。相対密度は、好ましくは、96%以上であり、より好ましくは、97%以上である。
相対密度は、例えば、アルキメデス法で測定した酸化物焼結体の実測密度を、酸化物焼結体の理論密度で除した値を、百分率にして、算出することができる。
例えば、酸化物焼結体の原料粉末として酸化物A、酸化物B、酸化物C、および酸化物Dを用いた場合において、酸化物A、酸化物B、酸化物C、および酸化物Dの使用量(仕込量)をそれぞれa(g)、b(g)、c(g)、およびd(g)とすると、理論密度は、以下のように当てはめることで算出できる。
理論密度=(a+b+c+d)/((a/酸化物Aの密度)+(b/酸化物Bの密度)+(c/酸化物Cの密度)+(d/酸化物Dの密度))
なお、各酸化物の密度は、密度と比重はほぼ同等であることから、化学便覧 基礎編I日本化学編 改定2版(丸善株式会社)に記載されている酸化物の比重の値を用いるとよい。なお、理論密度は、各酸化物の質量比を用いて以下のように算出することもできる。
理論密度=1/((酸化物Aの質量比/酸化物Aの密度)+(酸化物Bの質量比/酸化物Bの密度)+(酸化物Cの質量比/酸化物Cの密度)+(酸化物Dの質量比/酸化物Dの密度))
第1の態様から第5の態様の酸化物焼結体は、バルク抵抗が10mΩcm以下であると好ましく、8mΩcm以下であるとより好ましく、5mΩcm以下であるとさらに好ましくい。
バルク抵抗が10mΩcm以下であることにより、大パワーでの成膜時に、ターゲットが帯電し、異常放電を起こしたり、プラズマ状態が安定せず、スパークが発生したりするのを防止できる。
バルク抵抗の下限は特に規定しないが、例えば1mΩcm以上である。
バルク抵抗値は、公知の抵抗率計を使用して四探針法(JIS R 1637)に基づき測定できる。測定箇所は5箇所程度であり、平均値をバルク抵抗値とするのが好ましい。
測定箇所は、酸化物焼結体の平面形状が四角形の場合には、中心及び四隅と中心の中間点の4点の計5箇所とするのが好ましい。
なお、酸化物焼結体の平面形状が円形の場合は、円に内接する正方形の中心及び正方形の四隅と中心の中間点の4点の計5箇所とするのが好ましい。
第1の態様から第5の態様の酸化物焼結体は、3点曲げ強度が、120MPa以上であると好ましく、140MPa以上であるとより好ましく、150MPa以上であるとさらに好ましい。
3点曲げ強度が120MPa以上であると、大パワーでスパッタ成膜した場合、ターゲットが割れたり、チッピングを起こして、固体がターゲット上に飛散し、異常放電の原因となる恐れが少なくなる。
3点曲げ強度は、JIS R 1601「ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験」に準じて評価できる。具体的には、まず、一定距離(30mm)に配置された2つの支点上に、幅4mm、厚さ3mm、長さ40mmの標準試験片を置く。次に、支点間の中央からクロスヘッド速度0.5mm/min荷重を加え、標準試験片が破壊した時の最大荷重より、曲げ強さを算出する。
第1の態様から第5の態様の酸化物焼結体は、線膨張係数が8.0×10-6(K-1)以下であると好ましく、7.5×10-6(K-1)以下であるとより好ましく、7.0×10-6(K-1)以下であるとさらに好ましい。
線膨張係数が8.0×10-6(K-1)以下であると、大パワーでスパッタリング中に加熱され、ターゲットが膨張し、ボンディングされている銅版との間で変形が起こり、応力によりターゲットにマイクロクラックが入ったり、割れやチッピングにより、異常放電の原因となるおそれが小さい。
線膨張係数は、例えば幅5mm、厚さ5mm、長さ10mmの標準試験片を用いて、昇温速度を5℃/分にセットし、300℃に到達した時の熱膨張による変位を位置検出機を用いることにより評価できる。
第1の態様から第5の態様の酸化物焼結体は、熱伝導率が5.0(W・m-1・K-1)以上であると好ましく、5.5(W・m-1・K-1)以上であるとより好ましく、6.0(W・m-1・K-1)以上であるとさらに好ましく、6.5(W・m-1・K-1)以上であると最も好ましい。
熱伝導率が5.0(W・m-1・K-1)以上であると、大パワーでスパッタリング成膜した場合に、スパッタ面の温度とボンディングされた面の温度が異なり、内部応力によりターゲットにマイクロクラックや割れ、チッピングが発生するおそれが小さい。
熱伝導率は、例えば直径10mm、厚さ1mmの標準試験片を用いて、レーザーフラッシュ法により比熱容量と熱拡散率を求め、これに試験片の密度を乗算することにより算出できる。
以上が、本実施形態に係る酸化物焼結体の説明である。
次に、本実施形態に係る酸化物焼結体の製造方法について説明する。
本実施形態に係る酸化物焼結体が製造できるものであれば、製造方法は特に限定しないが、以下の(a)から(c)の工程を含む製法を例示できる。
(a)原料化合物粉末を混合して混合物を調製する工程。
(b)混合物を成型して成型体を調製する工程。
(c)成型体を焼結する工程。
(1)工程(a):配合工程
配合工程は、酸化物焼結体の原料を混合する工程である。
原料としては、In化合物の粉末、Sn化合物の粉末、Zn化合物の粉末、およびY化合物の粉末を用いる。Alを添加する場合はAl化合物の粉末も用いる。In、SnおよびZnの化合物としては、例えば、酸化物、および水酸化物が挙げられる。YおよびAlの化合物としては、酸化物が挙げられる。焼結のしやすさ、副生成物の残存のし難さから、いずれも酸化物が好ましい。
原料の純度は、通常2N(99質量%)以上、好ましくは3N(99.9質量%)以上、特に好ましくは4N(99.99質量%)以上である。純度が2N以上であることにより、酸化物焼結体の耐久性が確保でき、液晶ディスプレイに用いた際に液晶側に不純物が入り、焼き付けが起こる可能性を低減できる。
原料粉末の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上、2μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上、1.5μm以下である。原料粉末の平均粒径はレーザー回折式粒度分布装置等で測定することができる。
原料の混合、成型方法は特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。また、混合する際にはバインダーを原料混合物に添加してもよい。
原料の混合は、例えば、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルまたは超音波装置等の公知の装置を用いて行うことができる。粉砕時間等の条件は、適宜調整すればよいが、6時間以上、100時間以下が好ましい。
(2)工程(b):成型工程
成型工程は、原料混合物(上記仮焼工程を設けた場合には仮焼物)を加圧成型して成型体とする工程である。この工程により、ターゲットとして好適な形状に成型する。仮焼工程を設けた場合には、得られた仮焼物の微粉末を造粒した後、プレス成型により所望の形状に成型することができる。
成型体の平均厚みは5.5mm以上が好ましく、6mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、12mm以上が特に好ましい。5.5mm以上だと、成型体の厚さ方向の温度勾配が減少し、表面と深部の結晶型の組合せの変動が生じにくくなることが期待できる。
本工程で用いることができる成型処理としては、例えば、プレス成型(一軸プレス)、金型成型、鋳込み成型、および射出成型等も挙げられる。焼結密度の高い焼結体(ターゲット)を得るためには、冷間静水圧(CIP)等で成型するのが好ましい。
また、プレス成型(一軸プレス)後に、冷間静水圧(CIP)、または熱間静水圧(HIP)等で成型するように、2段階以上の成型工程を設けてもよい。
冷間静水圧、または静水圧加圧装置を用いる場合、面圧78.5MPa(800kgf/cm2をSI単位に換算)以上、392.4MPa(4000kgf/cm2をSI単位に換算)で0.5分以上、60分以下保持することが好ましい。面圧196.2MPa以上、294.3MPa以下で、2分以上、30分以下保持することがより好ましい。前記範囲内であると、成型体内部の組成むら等が減り、均一化されることが期待される。面圧を78.5MPa以上とすることによりで、焼結後の密度が低くなり、抵抗も低くなる。面圧392.4MPa以下とすることにより、装置を大型化せずに成型できる。保持時間が0.5分以上であると、焼結後の密度と抵抗が高くなるのを防止できる。60分以下であると時間が掛かりすぎ不経済となるのを防げる。
成型処理では、ポリビニルアルコールやメチルセルロース、ポリワックス、オレイン酸等の成型助剤を用いてもよい。
(3)工程(c):焼結工程
焼結工程は、上記成型工程で得られた成型体を焼成する必須の工程である。
焼結温度は好ましくは1200℃以上、1650℃以下、より好ましくは1350℃以上、1600℃以下、さらに好ましくは1400℃以上、1600℃以下、よりさらに好ましくは1450℃以上、1600℃以下である。
焼結時間は好ましくは10時間以上、50時間以下、より好ましくは12時間以上、40時間以下、さらに好ましくは13時間以上、30時間以下である。
焼結温度が1200℃以上、焼結時間が10時間以上であると、焼結が十分進行し、ターゲットの電気抵抗が十分下がり、異常放電が生じ難くなる。焼成温度が1650℃以下、焼成時間が50時間以下であると、著しい結晶粒成長により平均結晶粒径の増大や、粗大空孔の発生を防ぐことができ、焼結体強度の低下や異常放電が生じ難くなる。
常圧焼結法では、成型体を大気雰囲気、または酸素ガス雰囲気にて焼結する。酸素ガス雰囲気は、酸素濃度が、例えば10体積%以上、50体積%以下の雰囲気であることが好ましい。昇温過程を大気雰囲気下とすることで、焼結体密度を高くすることができる。
さらに、焼結に際しての昇温速度は、800℃から焼結温度までを0.1℃/分以上、2℃/分以下とすることが好ましい。
本実施形態にかかる焼結体において800℃から上の温度範囲は、焼結が最も進行する範囲である。この温度範囲での昇温速度が0.1℃/分以上であると、過度な結晶粒成長を抑制でき、高密度化を達成できる。昇温速度が2℃/分以下であることにより、成型体に温度分布が生じ、焼結体が反ったり割れたりするのを抑制できる。
800℃から焼結温度における昇温速度は、好ましくは0.5℃/分以上、2.0℃/分以下、より好ましくは1.0℃/分以上、1.8℃/分以下である。
<スパッタリングターゲット>
次に、本実施形態に係るスパッタリングターゲットについて、図1を参照して説明する。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットは、本実施形態に係る酸化物焼結体を備える。
具体的には、スパッタリングターゲットは、酸化物焼結体と、必要に応じて酸化物焼結体に設けられる、バッキングプレート等の冷却および保持用の部材を備える。
酸化物焼結体は、スパッタリングで成膜する膜原料である。形状は特に限定されないが、図1(A)の符号1に示すような板状でもよく、図1(B)の符号1Aに示すような円筒状でもよい。板状の場合、平面形状は、図1(A)の符号1に示すような矩形でもよく、図1(C)の符号1Bに示すように円形でもよい。酸化物焼結体は一体成型でもよく、図1(D)に示すように、複数に分割した酸化物焼結体(符号1C)をバッキングプレート3に各々固定した多分割式でもよい。
バッキングプレート3は、酸化物焼結体の保持や冷却用の部材である。材料は銅等の熱伝導性に優れた材料が好ましい。
スパッタリングターゲットは、例えば以下の工程で製造される。
(d)酸化物焼結体の表面を研削する工程。
(e)酸化物焼結体をバッキングプレートにボンディングする工程。
以下、各工程を具体的に説明する。
(4)工程(d):研削工程
研削(加工)工程は、焼結体を、スパッタリング装置への装着に適した形状に切削加工する工程である。
焼結体表面は、高酸化状態の焼結部が存在したり、面が凸凹であることが多く、また、所定の寸法に切断加工する必要がある。
焼結体の表面は0.3mm以上研削するのが好ましい。研削する深さは、0.5mm以上研削するのが好ましく、2mm以上が特に好ましい。0.3mm以上研削することにより、表面付近の結晶構造の変動部分を除去できる。
酸化物焼結体を例えば、平面研削盤で研削して平均表面粗さRaが5μm以下の素材とするのが好ましい。さらにスパッタリングターゲットのスパッタ面に鏡面加工を施して、平均表面粗さRaが1000×10-10m以下としてもよい。鏡面加工(研磨)は、機械的な研磨、化学研磨、およびメカノケミカル研磨(機械的な研磨と化学研磨の併用)等の、公知の研磨技術を用いることができる。例えば、固定砥粒ポリッシャー(ポリッシュ液は水)で#2000番以上にポリッシングしてもよく、遊離砥粒ラップ(研磨材はSiCペースト等)にてラッピング後、研磨材をダイヤモンドペーストに換えて、ラッピングしてもよい。研磨方法はこれらの方法に限定されない。研磨材は、#200番、もしくは#400番、さらには#800番のものが挙げられる。
研削工程後の酸化物焼結体は、エアーブローや流水洗浄等で清浄するのが好ましい。エアーブローで異物を除去する際には、ノズルの向い側から集塵機で吸気を行なうとより有効に除去できる。なお、エアーブローや流水洗浄では清浄力に限界があるので、さらに超音波洗浄等を行なうこともできる。超音波洗浄は、周波数が25kHz以上、300kHz以下の間で、多重発振させて行なう方法が有効である。例えば周波数が25kHz以上、300kHzの間で、25kHz刻みに12種類の周波数を多重発振させて、超音波洗浄を行なうのが良い。
(5)工程(e):ボンディング工程
工程(e)は、研削後の焼結体を、金属インジウムなどの低融点金属で、バッキングプレートにボンディングする工程である。
以上がスパッタリングターゲットの説明である。
<酸化物半導体薄膜>
次に、本実施形態に係る非晶質酸化物半導体薄膜について、説明する。
本実施形態の第1の態様に係る酸化物半導体薄膜は、In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、原子組成比が下記式(7)から式(10)を満たす範囲である。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y)≦0.93・・・(7)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.30・・・(8)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.15・・・(9)
0.03≦Y /(In+Sn+Zn+Y)≦0.08・・・(10)
式(7)から式(10)に示す組成範囲外では、薄膜トランジスタを形成する工程で使用されるCVD成膜装置での処理の際に、薄膜トランジスタの半導体部分のキャリヤ濃度が上昇し、その後のアニール処理によってもキャリヤ濃度が低下しない場合がある。この場合、トランジスタとして作動しない可能性がある。その場合、CVD装置の成膜温度を低下させて、キャリヤ濃度の上昇を抑え、TFT特性の発現を行っていたが、CVD装置の成膜温度を低減させたことにより、耐久性の乏しいTFT特性しか得られない場合がある。
式(7)から式(10)の上下限の具体的な根拠、および、より好ましい範囲は、式(1)から式(6)の上下限の具体的な根拠、および、より好ましい範囲と同じである。
本実施形態の第2の態様に係る酸化物半導体薄膜は、In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素、及びAl元素を含み、原子組成比が下記式(19)から(23)を満たす範囲である。
0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.93 ・・・(19)
0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.30 ・・・(20)
0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.15 ・・・(21)
0.03≦Y /(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・(22)
0.005≦Al/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.10 ・・・(23)
式(19)から式(23)の上下限の具体的な根拠、および、より好ましい範囲は、式(14)から式(18)の上下限の具体的な根拠、および、より好ましい範囲と同じである。
本実施形態の第1の態様および第2の態様に係る酸化物半導体薄膜は、Y元素とSn元素の原子比が下記式(24)を満たす範囲であることが好ましい。
0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(24)
式(24)の上下限の具体的な根拠、および、より好ましい範囲は、式(3)の上下限の具体的な根拠、および、より好ましい範囲と同じである。
酸化物半導体薄膜中の各金属元素の含有量(原子比)は、ICP(Inductive Coupled Plasma)測定またはXRF(X−rayFluorescence)測定により、各元素の存在量を測定することで求めることができる。ICP測定は誘導プラズマ発光分析装置を用いることができる。XRF測定は薄膜蛍光X線分析装置(AZX400、リガク社製)を用いることができる。
また、セクタ型ダイナミック二次イオン質量分析計SIMS分析を用いても誘導プラズマ発光分析と同等の精度で酸化物半導体薄膜中の各金属元素の含有量(原子比)を分析できる。誘導プラズマ発光分析装置または薄膜蛍光X線分析装置で測定した金属元素の原子比が既知の標準酸化物薄膜の上面に、ソース・ドレイン電極をTFT素子と同様の材料をチャネル長で形成したものを標準材料とし、セクタ型ダイナミック二次イオン質量分析計SIMS(IMS 7f−Auto、AMETEK社製)により酸化物半導体層の分析に行い各元素の質量スペクトル強度を得、既知の元素濃度と質量スペクトル強度の検量線を作製する。次に、実TFT素子の酸化物半導体膜部分を、セクタ型ダイナミック二次イオン質量分析計SIMS分析によるスペクトル強度から、前述の検量線を用いて、原子比を算出すると、算出された原子比は、別途薄膜蛍光X線分析装置または誘導プラズマ発光分析装置で測定された酸化物半導体膜の原子比の2原子%以内であることが確認できる。
第1の態様および第2の態様に係る酸化物半導体薄膜は、非晶質であるのが好ましい。非晶質にすることにより、Snを添加する効果が強くなり過ぎるのを防ぐことができ、薄膜が導体化するのを防止できる。
第1の態様および第2の態様に係る酸化物半導体薄膜は、バンドギャップが3.0eV以上であることが好ましい。バンドギャップが3.0eV以上の場合、酸化物半導体薄膜は、波長が420nm付近から長波長側の光を吸収しなくなる。これにより、酸化物半導体薄膜は、有機ELやTFT−LCDの光源からの光を光吸収することがなく、TFTのチャネル層として用いた際に、TFTの光による誤作動等がなく、光安定性を向上させることができる。酸化物半導体薄膜のバンドギャップは、好ましくは3.1eV以上、より好ましくは3.3eV以上である。
バンドギャップは、試料の透過スペクトルを測定し、吸収が立ち上がる部分にフィッティングし、スペクトルがベースラインと交わるところのエネルギー(eV)値を、バンドギャップとすることで、求められる。
第1の態様および第2の態様に係る酸化物半導体薄膜のキャリヤ密度は、通常1×1018(cm-3)以下が好ましく、好ましくは1×1012(cm-3)以上、さらに好ましくは1×1017(cm-3)以下であり、さらに好ましくは1×1013(cm-3)以上である。
酸化物半導体薄膜のキャリヤ密度が1×1018(cm-3)以下であると、薄膜トランジスタ等の素子を構成した際の漏れ電流、ノーマリーオンや、on−off比の低下を防ぐことができ、良好なトランジスタ性能が発揮できる。キャリヤ濃度が1×1012(cm-3)以上であると、トランジスタとして問題なく駆動する。キャリヤ密度を1×1016(cm-3)以下にするとオフ電流を10-12A以下にでき、オンオフ比を108以上にできる。これにより、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタを駆動できる。
酸化物半導体薄膜のキャリヤ密度は、ホール効果測定方法により測定することができる。
第1の態様および第2の態様に係る酸化物半導体薄膜の移動度は1.0cm2/V・s以上、50.0cm2/V・s以下が好ましい。1.0cm2/V・s以上とすることにより、液晶ディスプレイを駆動できる。
移動度はホール効果・比抵抗測定装置で求められる。
第1の態様および第2の態様に係る酸化物半導体薄膜はアモルファス構造であることが好ましい。アモルファス構造であるか否かは、XRDのピーク、特に2θで30〜40°にピークが現れるか否かで判断できる。アモルファス構造であるか否かは、XRDのピーク、特に2θで30〜40°にピークが現れるか否かで判断できる。
<酸化物半導体薄膜の製造方法>
次に、本実施形態に係る酸化物半導体薄膜の製造方法について、説明する。
本実施形態に係る酸化物半導体薄膜が製造できるのであれば、製造方法は、特に限定しない。具体的には以下の製造方法を例示できる。
酸化物半導体薄膜の形成には、スパッタリング法が好適に用いられる。これは、イオンプレーティング法、真空蒸着法、または電子ビーム蒸着法で形成された薄膜に比べ、組成、および膜厚等の均一性に優れるからである。また、スパッタリングターゲットと同じ成分組成の薄膜を形成できるためである。
スパッタリング法のなかでも、大面積の成膜が可能で、成膜速度が速いDCスパッタリング法が好ましい。RFスパッタリング法、パルスDCスパッタリング法等の、他のスパッタリング法でもよい。
スパッタリングターゲットとして、本実施形態に係るスパッタリングターゲットを用いることにより、式(7)から式(10)に示す条件を満たすか、または式(19)から(23)に示す条件を満たす酸化物半導体薄膜が得られる。
スパッタリングの雰囲気は、酸化性雰囲気が好ましい。酸化性雰囲気でスパッタリングすることにより、酸化性ガスが半導体薄膜中の酸素欠損を減少させるため、キャリヤ濃度を調整できるためである。酸化性雰囲気とは酸化性ガスを含む雰囲気である。酸化性ガスとは、O2、H2O、などの酸素原子含有ガスを意味する。酸化性ガスの濃度は装置、基板温度、およびスパッタリング圧力などの使用する条件で、最適化する。
本実施形態に係るスパッタリングターゲットを用いた成膜では、成膜時の酸素分圧は1%程度でもよい。これは、Yが、酸素欠損の発生を抑える効果が高いため、成膜時に酸素を付加する必要性が低いためである。酸化性ガスの酸素分圧が低いほど、スパッタリング時のノジュール等の発生が抑制されるため、この点でも、本実施形態に係るスパッタリングターゲットは有用である。
スパッタリング時の電力密度(投入電力をターゲットの面の面積で割った値)は、1.0W/cm2以上、5.0W/cm2以下であることが好ましい。電力密度を1.0W/cm2以上とすることにより、放電が安定し、所望のスパッタレートも得られる。電力密度を5.0W/cm2以下とすることにより、スパッタリング時に発生した熱でターゲットが割れるのを防ぐことができる。
気体雰囲気の圧力(スパッタ圧力)は、プラズマが安定して放電できる範囲であれば特に限定されないが、0.05Pa以上、5Pa以下が好ましい。
成膜される基体としては、シリコンウエハ、ガラス、セラミックス、プラスチックス、および金属などが挙げられる。成膜中の基体温度は、特に制約されないが、非晶質膜を得られやすいという点で、300℃以下であることが好ましい。また、基体温度は、特に意図的な加熱をしない場合は室温程度でもよい。
成膜後、基体を後加熱(熱処理)することもできる。熱処理により、膜が緻密化し、抵抗値が低くなる。
熱処理は、大気中で60℃以上、400℃以下で行うことが好ましい。熱処理を行う温度を60℃以上とすることにより、熱処理による効果が発現する。熱処理を行う温度を400℃以下とすることにより、逆に抵抗値が高くなるのを防止できる。
以上が酸化物半導体薄膜の製造方法の説明である。
<薄膜トランジスタ>
次に、本実施形態に係る薄膜トランジスタの構造について説明する。
本実施形態に係る薄膜トランジスタは、本実施形態に係る酸化物半導体薄膜を備え、トランジスタとして機能するものであれば、特に構造は限定しない。
具体的な薄膜トランジスタの形状としては、バックチャンネルエッチ型トランジスタ、エッチストッパー型トランジスタ、およびトップゲート型トランジスタなどが挙げられる。
具体的な薄膜トランジスタの例を図2および図3に示す。
図2に示すように、薄膜トランジスタ100は、シリコンウエハ20、ゲート絶縁膜30、酸化物半導体薄膜40、ソース電極50、ドレイン電極60、および層間絶縁膜70、70Aを備える。
シリコンウエハ20はゲート電極である。ゲート絶縁膜30はゲート電極と酸化物半導体薄膜40の導通を遮断する絶縁膜であり、シリコンウエハ20上に設けられる。
酸化物半導体薄膜40はチャネル層であり、ゲート絶縁膜30上に設けられる。酸化物半導体薄膜40は本実施形態に係る酸化物半導体薄膜が用いられる。
ソース電極50およびドレイン電極60は、ソース電流およびドレイン電流を酸化物半導体薄膜40に流すための導電端子であり、酸化物半導体薄膜40の両端近傍に接触するように、各々設けられる。
層間絶縁膜70は、ソース電極50およびドレイン電極60と、酸化物半導体薄膜40の間の接触部分以外の導通を遮断する絶縁膜である。
層間絶縁膜70Aは、ソース電極50およびドレイン電極60と、酸化物半導体薄膜40の間の接触部分以外の導通を遮断する絶縁膜である。層間絶縁膜70Aは、ソース電極50とドレイン電極60の間の導通を遮断する絶縁膜でもある。層間絶縁膜70Aは、チャネル層保護層でもある。
図3に示すように、薄膜トランジスタ100Aの構造は、薄膜トランジスタ100と同様であるが、ソース電極50およびドレイン電極60を、ゲート絶縁膜30と酸化物半導体薄膜40の両方に接触するように設けている点が異なる。ゲート絶縁膜30、酸化物半導体薄膜40、ソース電極50、およびドレイン電極60を覆うように、層間絶縁膜70Bが一体に設けられている点も異なる。
ドレイン電極60、ソース電極50およびゲート電極を形成する材料に特に制限はなく、一般に用いられている材料を任意に選択することができる。図2および図3で挙げた例では、シリコンウエハを基板として用いており、シリコンウエハが電極としても作用するが、電極材料はシリコンに限定されない。
例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ZnO、およびSnO等の透明電極や、Al、Ag、Cu、Cr、Ni、Mo、Au、Ti、およびTa等の金属電極、またはこれらを含む合金の金属電極や積層電極を用いることができる。
また、図2および図3において、ガラス等の基板上にゲート電極を形成してもよい。
層間絶縁膜70、70A、70Bを形成する材料にも特に制限はなく、一般に用いられている材料を任意に選択できる。層間絶縁膜70、70A、70Bを形成する材料として、具体的には、例えば、SiO2、SiNx、Al23、Ta25、TiO2、MgO、ZrO2、CeO2、K2O、Li2O、Na2O、Rb2O、Sc23、Y23、HfO2、CaHfO3、PbTiO3、BaTa26、SrTiO3、Sm23、およびAlN等の化合物を用いることができる。
本実施形態に係る薄膜トランジスタがバックチャネルエッチ型(ボトムゲート型)の場合、ドレイン電極、ソース電極およびチャネル層上に保護膜を設けることが好ましい。保護膜を設けることにより、TFTの長時間駆動した場合でも耐久性が向上しやすくなる。なお、トップゲート型のTFTの場合、例えばチャネル層上にゲート絶縁膜を形成した構造となる。
保護膜または絶縁膜は、例えばCVDにより形成することができるが、その際に高温度によるプロセスになる場合がある。また、保護膜または絶縁膜は、成膜直後は不純物ガスを含有していることが多く、加熱処理(アニール処理)を行うことが好ましい。加熱処理で不純物ガスを取り除くことにより、安定した保護膜または絶縁膜となり、耐久性の高いTFT素子を形成しやすくなる。
本実施形態に係る酸化物半導体薄膜を用いることにより、CVDプロセスにおける温度の影響、およびその後の加熱処理による影響を受けにくくなるため、保護膜または絶縁膜を形成した場合であっても、TFT特性の安定性を向上させることができる。
薄膜トランジスタは、以下の特性を有するのが好ましい。
薄膜トランジスタの移動度は1.0cm2/V・s以上、50.0cm2/V・s以下が好ましい。1.0cm2/V・s以上とすることにより、液晶ディスプレイを駆動できる。
飽和移動度は、ドレイン電圧を20V印加した場合の伝達特性から求められる。具体的に、伝達特性Id−Vgのグラフを作成し、各Vgのトランスコンダクタンス(Gm)を算出し、飽和領域の式により飽和移動度を求めることにより、算出できる。Idはソース・ドレイン電極間の電流、Vgはソース・ドレイン電極間に電圧Vdを印加したときのゲート電圧である。
閾値電圧(Vth)は、−3.0V以上、3.0V以下が好ましく、−2.0V以上、2.0V以下がより好ましく、−1.0V以上、1.0V以下がさらに好ましい。閾値電圧(Vth)が−3.0V以上であると、高移動度の薄膜トランジスタができる。閾値電圧(Vth)が3.0V以下であると、オフ電流が小さく、オンオフ比の大きな薄膜トランジスタができる。
閾値電圧(Vth)は、伝達特性のグラフよりId=10-9AでのVgで定義できる。
on−off比は106以上、1012以下が好ましく、107以上、1011以下がより好ましく、108以上、1010以下がさらに好ましい。on−off比が106以上であると、液晶ディスプレイの駆動ができる。on−off比が1012以下であると、コントラストの大きな有機ELの駆動ができる。また、オフ電流を10-12A以下にでき、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタに用いた場合、画像の保持時間を長くしたり、感度を向上させたりできる。
on−off比は、Vg=−10VのIdの値をOff電流値とし、Vg=20VのIdの値をOn電流値として、比[On電流値/Off電流値]を決めることにより、求められる。
Off電流値は、10-10A以下が好ましく、10-11A以下がより好ましく、10-12A以下がさらに好ましい。Off電流値が10-10A以下であると、コントラストの大きな有機ELの駆動ができる。また、CMOSイメージセンサーの転送トランジスタやリセットトランジスタに用いた場合、画像の保持時間を長くしたり、感度を向上させたりできる。
薄膜トランジスタの半導体層に用いられる、本実施形態に係る非晶質酸化物半導体薄膜の欠陥密度が、5.0×1016cm-3以下が好ましく、1.0×1016cm-3以下がより好ましい。欠陥密度の減少により、薄膜トランジスタの移動度がさらに高くなり、光照射時の安定性、熱に対する安定性が高くなり、TFTが安定して作動するようになる。
<薄膜トランジスタの用途>
本実施形態に係る薄膜トランジスタは、電界効果型トランジスタ、論理回路、メモリ回路、および差動増幅回路等の各種の集積回路にも適用でき、それらを電子機器等に適用することができる。さらに、本実施形態に係る薄膜トランジスタは、電界効果型トランジスタ以外にも静電誘起型トランジスタ、ショットキー障壁型トランジスタ、ショットキーダイオード、および抵抗素子にも適応できる。
本実施形態に係る薄膜トランジスタは、表示装置及び固体撮像素子等に好適に用いることができる。
以下、本実施形態に係る薄膜トランジスタを表示装置および固体撮像素子に用いる場合について、説明する。
まず、本実施形態に係る薄膜トランジスタを表示装置に用いる場合について、図4を参照して説明する。
図4(A)は、本発明の一態様の表示装置の上面図である。図4(B)は、本発明の一態様の表示装置の画素部に、液晶素子を適用する場合の画素部の回路を説明するための回路図である。また、図4(C)は、本発明の一態様の表示装置の画素部に、有機EL素子を適用する場合の画素部の回路を説明するための回路図である。
画素部に配置するトランジスタは、本実施形態に係る薄膜トランジスタを用いることができる。本実施形態に係る薄膜トランジスタはnチャネル型とすることが容易なので、nチャネル型トランジスタで構成できる駆動回路の一部を、画素部のトランジスタと同一基板上に形成する。画素部や駆動回路に本実施の形態に示す薄膜トランジスタを用いることにより、信頼性の高い表示装置を提供できる。
アクティブマトリクス型表示装置の上面図の一例を図4(A)に示す。表示装置の基板300上には、画素部301、第1の走査線駆動回路302、第2の走査線駆動回路303、信号線駆動回路304が形成される。画素部301には、複数の信号線が信号線駆動回路304から延伸して配置され、複数の走査線が第1の走査線駆動回路302、および第2の走査線駆動回路303から延伸して配置される。走査線と信号線との交差領域には、各々、表示素子を有する画素がマトリクス状に設けられる。表示装置の基板300は、FPC(Flexible Printed Circuit)等の接続部を介して、タイミング制御回路(コントローラ、制御ICともいう)に接続される。
図4(A)では、第1の走査線駆動回路302、第2の走査線駆動回路303、信号線駆動回路304は、画素部301と同じ基板300上に形成される。そのため、外部に設ける駆動回路等の部品の数が減るので、コストの低減を図ることができる。また、基板300外部に駆動回路を設けた場合、配線を延伸させる必要が生じ、配線間の接続数が増える。同じ基板300上に駆動回路を設けた場合、その配線間の接続数を減らすことができ、信頼性の向上、または歩留まりの向上を図ることができる。
また、画素の回路構成の一例を図4(B)に示す。ここでは、VA型液晶表示装置の画素部に適用することができる画素部の回路を示す。
この画素部の回路は、一つの画素に複数の画素電極を有する構成に適用できる。それぞれの画素電極は異なるトランジスタに接続され、各トランジスタは異なるゲート信号で駆動できるように構成されている。これにより、マルチドメイン設計された画素の個々の画素電極に印加する信号を、独立して制御できる。
トランジスタ316のゲート配線312と、トランジスタ317のゲート配線313には、異なるゲート信号を与えられるように分離されている。一方、データ線として機能するソース電極またはドレイン電極314は、トランジスタ316とトランジスタ317で共通に用いられる。トランジスタ316とトランジスタ317は、本実施形態に係るトランジスタを用いることができる。これにより、信頼性の高い液晶表示装置を提供できる。
トランジスタ316には、第1の画素電極が電気的に接続され、トランジスタ317には、第2の画素電極が電気的に接続される。第1の画素電極と第2の画素電極とは分離されている。第1の画素電極と第2の画素電極の形状は、特に限定しない。例えば、第1の画素電極は、V字状とすればよい。
トランジスタ316のゲート電極はゲート配線312と接続され、トランジスタ317のゲート電極はゲート配線313と接続されている。ゲート配線312とゲート配線313に異なるゲート信号を与えて、トランジスタ316とトランジスタ317の動作タイミングを異ならせ、液晶の配向を制御できる。
また、容量配線310と、誘電体として機能するゲート絶縁膜と、第1の画素電極または第2の画素電極と電気的に接続する容量電極とで、保持容量を形成してもよい。
マルチドメイン構造は、一画素に第1の液晶素子318と第2の液晶素子319を備える。第1の液晶素子318は第1の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成され、第2の液晶素子319は第2の画素電極と対向電極とその間の液晶層とで構成される。
画素部は、図4(B)に示す構成に限定されない。図4(B)に示す画素部にスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ、センサー、または論理回路を追加してもよい。
画素の回路構成の他の一例を図4(C)に示す。ここでは、有機EL素子を用いた表示装置の画素部の構造を示す。
図4(C)は、適用可能な画素部320の回路の一例を示す図である。ここではnチャネル型のトランジスタを1つの画素に2つ用いる例を示す。本実施形態の酸化物半導体膜は、nチャネル型のトランジスタのチャネル形成領域に用いることができる。当該画素部の回路は、デジタル時間階調駆動を適用できる。
スイッチング用トランジスタ321および駆動用トランジスタ322は、本実施形態に係る薄膜トランジスタを用いることができる。これにより、信頼性の高い有機EL表示装置を提供することができる。
画素部の回路の構成は、図4(C)に示す構成に限定されない。図4(C)に示す画素部の回路にスイッチ、抵抗素子、容量素子、センサー、トランジスタまたは論理回路を追加してもよい。
以上が本実施形態に係る薄膜トランジスタを表示装置に用いる場合の説明である。
次に、本実施形態に係る薄膜トランジスタを固体撮像素子に用いる場合について、図5を参照して説明する。
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーは、信号電荷蓄積部に電位を保持し、その電位を増幅トランジスタを介して、垂直出力線に出力する固体撮像素子である。CMOSイメージセンサーに含まれるリセットトランジスタ、および/または転送トランジスタにリーク電流があると、そのリーク電流によって充電または放電が起こり、信号電荷蓄積部の電位が変化する。信号電荷蓄積部の電位が変化すると、増幅トランジスタの電位も変わってしまい、本来の電位からずれた値となり、撮像された映像が劣化してしまう。
本実施形態に係る薄膜トランジスタをCMOSイメージセンサのリセットトランジスタ、および転送トランジスタに適用した場合の動作の効果を説明する。増幅トランジスタは、薄膜トランジスタまたはバルクトランジスタのどちらを適用しても良い。
図5は、CMOSイメージセンサーの画素構成の一例を示す図である。画素は光電変換素子であるフォトダイオード3002、転送トランジスタ3004、リセットトランジスタ3006、増幅トランジスタ3008および各種配線で構成されており、マトリクス状に複数が配置されてセンサーを構成する。増幅トランジスタ3008と電気的に接続される選択トランジスタを設けても良い。トランジスタ記号に記してある「OS」は酸化物半導体(Oxide Semiconductor)を、「Si」はシリコンを示しており、それぞれのトランジスタに適用すると好ましい材料を表している。以降の図面についても同様である。
フォトダイオード3002は、転送トランジスタ3004のソース側に接続されており、転送トランジスタ3004のドレイン側には信号電荷蓄積部3010(FD:フローティングディフュージョンとも呼ぶ)が形成される。信号電荷蓄積部3010にはリセットトランジスタ3006のソース、および増幅トランジスタ3008のゲートが接続されている。別の構成として、リセット電源線3110を削除することもできる。例えば、リセットトランジスタ3006のドレインをリセット電源線3110ではなく、電源線3100または垂直出力線3120につなぐ方法がある。
以上が、本実施形態に係る薄膜トランジスタを固体撮像素子に用いる場合の説明である。
このように、本実施形態の酸化物焼結体は、薄膜トランジスタに用いたときに優れた特性を有する酸化物半導体薄膜を形成でき、かつ成膜時の割れやノジュールの生成を抑制できる。
以下、実施例に基づき、本発明に好適な実施形態を、より詳細に説明するが、本発明は実施例には限定されない。
<焼結体およびターゲットの強度試験>
まず、本実施形態の条件を満たす酸化物焼結体を製造してターゲットに加工し、スパッタリング成膜の際の割れやノジュール発生の有無を試験した。具体的な手順は以下の通りである。
まず、実施例1から実施例3として、In、Sn、Zn、およびYを含む組成の試料を用意した。実施例4から実施例6として、In、Sn、Zn、Y、およびAlを含む組成の試料を用意した。
比較例1および比較例2として、In、Sn、Yを含むが、Zn、Alを含まず、Yが式(1)の上限外れの試料を用意した。比較例3および比較例4として、In、Sn、Zn、Yを含むが、Alを含まず、Yが式(1)の上限外れの試料も用意した。
各元素の原料は、以下の組成を有し、純度99.99質量%の酸化物粉末を用いた。
インジウム:In23
スズ:SnO2
亜鉛:ZnO
イットリウム:Y23
アルミニウム:Al23
各元素の質量比は以下のように求めた。
インジウム質量比 :In23/(In23+ZnO+SnO2+Y23+Al23
スズ質量比 :SnO2/(In23+ZnO+SnO2+Y23+Al23
亜鉛質量比 :ZnO/(In23+ZnO+SnO2+Y23+Al23
イットリウム質量比 :Y23/(In23+ZnO+SnO2+Y23+Al23
アルミニウム質量比 :Al23/(In23+ZnO+SnO2+Y23+Al23
次に、原料粉末を秤量し、ポリエチレン製のポットに入れて、乾式ボールミルにより72時間混合粉砕し、混合粉末を作製した。
この混合粉末を金型に入れ、49MPa(500kg/cm2を換算)の圧力でプレス成型体とした。この成型体を196MPa(2000kg/cm2を換算)の圧力でCIP(Cold Isostatic Pressing)により緻密化を行った。次に、この成型体を常圧焼成炉に設置して、大気雰囲気下で、350℃で3時間保持した後に、100℃/時間にて昇温し、1450℃にて、20時間焼結し、その後、放置して冷却した。
次に、得られた焼結体の結晶構造、結晶構造の格子定数、原子組成比、相対密度、バルク抵抗、および各結晶層の存在比率を求めた。さらに、得られた焼結体をスパッタリングターゲットとして用いて成膜試験を行った。
具体的な条件は以下の通りである。
<結晶構造>
得られた焼結体について、X線回折測定装置Smartlabにより、以下の条件でX線回折(XRD)を測定した。得られたXRDチャートをJADE6により分析し、焼結体の結晶構造を求めた。
装置:Smartlab(株式会社リガク製)
X線:Cu−Kα線(波長1.5418×10-10m、グラファイトモノクロメータにて単色化)
2θ―θ反射法 連続スキャン(2.0°/分)
サンプリング間隔:0.02°
スリットDS(発散スリット)、SS(発散スリット)、RS(受光スリット):1mm
<格子定数>
得られたXRDパターンを、JADE6(粉末X線回折パターン総合解析ソフト。株式会社リガク製)を用いて全パターンフィッティング(WPF)解析し、XRDパターンに含まれる各結晶成分を特定し、得られた酸化物焼結体中のIn23結晶構造の格子定数を算出した。
<原子組成比>
誘導プラズマ発光分析装置(ICP−AES、島津製作所社製)により、焼結体中の元素組成を測定した。
<相対密度>
得られた酸化物焼結体について、アルキメデス法で測定した実測密度を、各構成元素の酸化物の密度および質量比から算出される理論密度で除した値を、百分率にして、相対密度を算出した。なお、各原料粉末の密度は、密度と比重はほぼ同等であることから、化学便覧 基礎編I日本化学編 改定2版(丸善株式会社)に記載されている酸化物の比重の値を用いた。
<バルク抵抗>
得られた酸化物焼結体のバルク抵抗(mΩcm)を、抵抗率計ロレスタ(三菱化学株式会社製、ロレスタAX MCP-T370)を使用して、四探針法(JIS R 1637)に基づき測定した。
測定箇所は酸化物焼結体の中心および酸化物焼結体の四隅と中心との中間点の4点、計5箇所とし、5箇所の平均値をバルク抵抗値とした。
<結晶層の存在比率>
得られたXRDパターンから、全パターンフィッティング(WPF)法により、存在比(単位は、質量%)として求めた。
<成膜耐久評価試験>
まず、酸化物焼結体を、研削研磨して、4インチφ×厚さ5mmのスパッタリングターゲットに加工し、インジウムろうを用いて銅製のバッキングプレートにボンディングした。
次に、バッキングプレートをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付け、400WのDCスパッタリングを連続10時間実施した。DCスパッタリング後のターゲット表面の状態、具体的にはクラックの有無と黒色異物(ノジュール)の有無を目視で確認した。なお、比較例2から比較例4は、DCマグネトロンスパッタに用いるには、焼結体のバルク抵抗が高すぎたので、成膜耐久評価試験は行わなかった。
以上の結果を表1に示す。得られたXRDチャートのうち、実施例1から実施例6、および比較例1から比較例2のものを図6から図13に示す。図6から図13には、所定のピークに対応する結晶構造の角度も示す。
Figure 2019077594
表1および図6から図13に示すように、実施例1から実施例6、および比較例1から比較例4は、In23で表されるビックスバイト構造が主成分であり、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含んでいた。実施例1から実施例6については、スピネル構造、および、六方晶層状構造は測定されなかった。
なお、実施例1から実施例6、および比較例3、4においては、In23で表されるビックスバイト構造の格子定数が純物質の格子定数(10.118×10-10m)よりも小さいことから、In23で表されるビックスバイト構造にZn元素が侵入型固溶していることが分かる。
実施例1から実施例6の酸化物焼結体の相対密度はいずれの試料も95%以上、バルク抵抗は20mΩcm以下であった。
実施例1から実施例6は、成膜後のターゲット表面には、エロージョンの発生以外は、大きな変化は見られなかった。一方、比較例1は、成膜後のターゲットの表面にエロージョン部に黒色の異物が多数みられた。また、ヘアーラインクラックが観察された。さらに、マイクロアークカウンターで異常放電の回数を計測したところ、実施例1から実施例6の焼結体を用いたターゲットでは、アークはほぼ計測できなかったが、比較例1の焼結体を用いたターゲットでは、アークが多数頻発していた。
この結果から、実施例1から実施例6の構成のように、式(1)、式(2)、式(12)、式(13)を満たす範囲でYを含有するITZOは、式(1)、式(2)、式(12)、式(13)を満たさない場合と比べて、焼結体およびスパッタリングターゲットのスパッタリングに対する強度が高いことが分かった。また、実施例1から実施例6は、いずれも式(3)および式(15)を満たしていた。
なお、大気圧下で焼成すると、HIP、放電プラズマ焼結(SPS)または酸素雰囲気焼成炉を用いた技術よりも、焼結密度が高くなりにくい。しかしながら、表1に示すように、簡便な大気圧焼成であっても、実施例1から実施例6は高密度であることが分かる。
<半導体薄膜の評価試験>
次に、実施例1から実施例6のスパッタリングターゲットを用いて、以下の条件で半導体薄膜を製造し、特性を評価した。具体的な手順は以下の通りである。
なお、半導体薄膜の製造は、スパッタリングターゲットの成膜耐久評価を行う前に実施した。
(1)成膜工程
実施例1から実施例6で製造した酸化物焼結体を研削研磨して、4インチφ×5mmtのスパッタリングターゲットを製造した。作製したスパッタリングターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングによって、図14(A)に示すように、ガラス基板81(日本電気硝子株式会社製ABC−G)上に、膜厚50nmの酸化物半導体薄膜83のみを成膜したサンプルを製造した。
成膜条件は以下の通りである。
雰囲気ガス:高純度Arおよび高純度O21体積%の混合ガス
成膜前の背圧:5×10-4Pa
成膜時のスパッタ圧:0.5Pa
成膜時の基板温度:室温(24℃)
成膜時の酸素分圧:実施例A、Bは20%、実施例C、Fは30%、実施例D、Eは10%
(2)熱処理工程
次に、得られたサンプルを大気中にて350℃で、昇温速度10℃/分で60分間加熱処理した。
次に、製造した半導体薄膜について下記評価を行った。
<ホール効果測定>
まず、ガラス基板81および酸化物半導体薄膜83からなるサンプルから、平面形状が1cm角の正方形となるように試料を切り出した。次に、切り出した試料の4隅に金(Au)を、2mm×2mm以下の大きさ位になるように、メタルマスクを用いてイオンコーターで成膜した。次にAu金属上にインジウムはんだを乗せて、接触を良くしてホール効果測定用サンプルとした。
ホール効果測定用サンプルをホール効果・比抵抗測定装置(ResiTest8300型、東陽テクニカ社製)にセットし、室温においてホール効果を評価し、キャリヤ密度および移動度を求めた。
また、得られた酸化物半導体薄膜83について、誘導プラズマ発光分析装置(ICP−AES、島津製作所社製)で分析した結果、得られた酸化物半導体薄膜の原子比が、酸化物半導体薄膜の製造に用いた焼結体の原子比と同じであることを確認した。
実施例1〜3については、上記ホール効果測定用サンプルの酸化物半導体薄膜83上にさらに、CVD装置により基板温度250℃で、図14(B)に示すようにSiO2膜85を成膜した後、上記と同じホール効果測定を実施した。また、実施例1〜3については、表2に示す条件でSiO2膜を成膜したサンプルをさらに350℃、60分、大気雰囲気下で加熱処理し、得られたサンプルの半導体薄膜について上記と同じホール効果測定を行った。この際、酸化物半導体薄膜83に成膜した金の層に到達するまで測定用針をSiO2膜に突き刺し、コンタクトを取った。
<半導体薄膜の結晶特性>
ガラス基板および酸化物半導体薄膜83からなるサンプルについて、スパッタ後(膜堆積直後)の加熱していない膜、および表2の成膜後の加熱処理をした後の膜の結晶性をX線回折(XRD)測定によって評価した。その結果、加熱前は非晶質であり、加熱後も非晶質であった。
<半導体薄膜のバンドギャップ>
ガラス基板81および酸化物半導体薄膜83からなるサンプルについて、表2に示す加熱処理条件で熱処理したサンプルの透過スペクトルを測定し、横軸の波長をエネルギー(eV)に、縦軸の透過率を以下の式(25)に変換した。
透過率=(αhν)2 ・・・(25)
ここで、α、h、νは以下の通りである。
α:吸収係数
h:プランク定数
ν:振動数
変換したグラフにおいて、吸収が立ち上がる部分にフィッティングし、グラフがベースラインと交わるところのエネルギー値(eV)を、バンドギャップとして算出した。
<薄膜トランジスタの製造>
さらに、半導体薄膜を用いた、図3に示す薄膜トランジスタを以下の手順で製造した。
(1)成膜工程
熱酸化膜(ゲート絶縁膜30)付きのゲート電極としてのシリコンウエハ20上に、メタルマスクを介して厚さ50nmの酸化物半導体薄膜40を形成した。その他の条件は、ガラス基板81上に酸化物半導体薄膜83を形成した場合と同様とした。
(2)ソース・ドレイン電極の形成
次に、ソース・ドレインのコンタクトホール形状のメタルマスクを用いて、チタン金属をスパッタリングし、ソース電極50およびドレイン電極60としてチタン電極を成膜した。得られた積層体を大気中にて350℃で30分間加熱処理し、保護絶縁膜形成前の薄膜トランジスタを製造した。
(3)保護絶縁膜の形成
実施例1〜3については、(2)で得られた保護絶縁膜形成前の薄膜トランジスタの半導体薄膜の上に、基板温度300℃で化学蒸着法(CVD)により、SiO2膜(保護絶縁膜;層間絶縁膜70B)を形成した。SiO2膜形成後、大気中にて350℃で1時間加熱処理し、保護絶縁膜を備える薄膜トランジスタを製造した。
<薄膜トランジスタの評価>
製造した薄膜トランジスタについて、保護絶縁膜(SiO2膜)形成前の薄膜トランジスタ、および保護絶縁膜(SiO2膜)を形成し加熱処理した後の薄膜トランジスタの特性について、SiO2膜に測定用針を金属チタンの層まで突き刺し評価を行った。ソース電極50およびドレイン電極60に、カスケードマイクロテック社製EP6プローブバーにてコンタクトを取り、薄膜トランジスタを評価した。
<飽和移動度>
飽和移動度は、ドレイン電圧を20V印加した場合の伝達特性から求めた。具体的に、伝達特性Id−Vgのグラフを作成し、各Vgのトランスコンダクタンス(Gm)を算出し、飽和領域の式により飽和移動度を導いた。なお、Gmは∂(Id)/∂(Vg)によって表され、Vgは−15Vから25Vまで印加し、その範囲での最大移動度を飽和移動度と定義した。実施例において、特に断らない限り、飽和移動度はこの方法で評価した。上記Idはソース・ドレイン電極間の電流、Vgはソース・ドレイン電極間に電圧Vdを印加したときのゲート電圧である。
<閾値電圧(Vth)>
閾値電圧(Vth)は、伝達特性のグラフよりId=10-9AでのVgと定義した。
<on−off比、Off電流値>
on−off比は、Vg=−10VのIdの値をOff電流値とし、Vg=20VのIdの値をOn電流値として比[On/Off]を決めた。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2019077594
表2に示すように、実施例Aから実施例Fでは、薄膜、薄膜トランジスタのいずれも、半導体としての特性が得られていた。特に、薄膜トランジスタの特性として、Vthがマイナス値であるに係わらずオフ電流が10-13A前半の値であり、優れたオフ電流値を示している。これはCMOSイメージセンサー用の転送トランジスタやキャンセルトランジスタ等へ適応した場合、電荷蓄積部の電位変化が小さくなり、光電変換素子からの電圧が微弱でも検出が可能であることを示している。LCDやOLED駆動用の薄膜半導体の保護膜の形成には、プラズマCVDが一般的に使用されるが、CMOSイメージセンサーの場合、薄膜トランジスタ上への保護膜の形成においては、プラズマCVDでなくスパッタリングでSiO2を形成可能である。これにより、プラズマCVDフリーで薄膜半導体を使用できるメリットがあり、加熱処理後のTFT特性をそのまま使うことができる。
以上の結果から、本実施形態に係る組成範囲の酸化物焼結体を用いて成膜した酸化物半導体薄膜は、ターゲットの強度に優れ、かつ半導体薄膜の飽和移動度が高いことが分かった。
20…シリコンウエハ(ゲート電極)、30…ゲート絶縁膜、40…酸化物半導体薄膜、50…ソース電極、60…ドレイン電極、70…層間絶縁膜、70A…層間絶縁膜、70B…層間絶縁膜、81…ガラス基板、83…酸化物半導体薄膜、85…SiO2膜、100…薄膜トランジスタ、100A…薄膜トランジスタ。

Claims (21)

  1. In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Y元素の原子組成比が下記式(1)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。
    0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y)≦0.08 ・・・(1)
  2. In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Zn2SnO4で表されるスピネル構造、および、In23(ZnO)(ここで、mは1から20の整数)で表される六方晶層状構造を含まず、Y元素の原子組成比が下記式(2)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。
    0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y)≦0.08 ・・・(2)
  3. Y元素とSn元素の原子組成比が下記式(3)を満たす範囲であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の酸化物焼結体。
    0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(3)
  4. In元素、Sn元素、およびZn元素の原子組成比が下記式(4)から(6)を満たす範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
    0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y)≦0.93・・・(4)
    0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.30・・・(5)
    0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.15・・・(6)
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体を含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
  6. In元素、Sn元素、Zn元素、およびY元素を含み、原子組成比が下記式(7)から(10)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物半導体薄膜。
    0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y)≦0.93・・・(7)
    0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.30・・・(8)
    0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y)≦0.15・・・(9)
    0.03≦Y /(In+Sn+Zn+Y)≦0.08・・・(10)
  7. Y元素とSn元素の原子組成比が下記式(11)を満たす範囲であることを特徴とする、請求項6に記載の酸化物半導体薄膜。
    0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(11)
  8. 非晶質であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の酸化物半導体薄膜。
  9. 請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の酸化物半導体薄膜を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
  10. 請求項9に記載の薄膜トランジスタを含む、電子機器。
  11. In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素及びAl元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Y元素の原子組成比が下記式(12)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。
    0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・・・・・(12)
  12. In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素、及びAl元素を含み、In23で表されるビックスバイト構造と、Y2Sn27で表されるパイロクロア構造を含み、Zn2SnO4で表されるスピネル構造、および、In23(ZnO)(ここで、mは1から20の整数)で表される六方晶層状構造を含まず、Y元素の原子組成比が下記式(13)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物焼結体。
    0.03≦Y/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・(13)
  13. Al元素の原子比が下記式(14)を満たす範囲である、請求項11または請求項12に記載の酸化物焼結体。
    0.005≦Al/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.10 ・・・(14)
  14. Y元素とSn元素の原子組成比が下記式(15)を満たす範囲であることを特徴とする、請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
    0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(15)
  15. In元素、Sn元素、およびZn元素の原子組成比が下記式(16)から(18)を満たす範囲であることを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
    0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.93・・・(16)
    0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.30・・・(17)
    0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.15・・・(18)
  16. 請求項11から請求項15のいずれか一項に記載の酸化物焼結体を含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
  17. In元素、Sn元素、Zn元素、Y元素、及びAl元素を含み、原子組成比が下記式(19)から(23)を満たす範囲であることを特徴とする酸化物半導体薄膜。
    0.50≦In/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.93 ・・・(19)
    0.03≦Sn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.30 ・・・(20)
    0.01≦Zn/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.15 ・・・(21)
    0.03≦Y /(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.20 ・・・(22)
    0.005≦Al/(In+Sn+Zn+Y+Al)≦0.10 ・・・(23)
  18. Y元素とSn元素の原子組成比が下記式(24)を満たす範囲であることを特徴とする、請求項17に記載の酸化物半導体薄膜。
    0.2≦Y/Sn≦0.5 ・・・(24)
  19. 非晶質であることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の酸化物半導体薄膜。
  20. 請求項17から請求項19のいずれか一項に記載の酸化物半導体薄膜を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
  21. 請求項20に記載の薄膜トランジスタを含む、電子機器。
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