JP2019054121A - エッチング液 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、切断方式に関わらず、基板の反射率や、太陽電池にした際の発電効率に優れる新規なテクスチャー構造を形成することができるエッチング液を提供することである。また、この新規なテクスチャー構造を有する太陽電池用半導体基板、及び当該基板を備える太陽電池を提供することである。【解決手段】シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液であって、フッ酸、酸化剤、水、並びにポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を含み、前記ポリビニルピロリドンの含有量が100〜50,000ppmであり、前記カチオン化多糖類の含有量が100〜50,000ppmであり、前記ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を共に含む場合の合計量が200〜60,000ppmである、エッチング液。【選択図】なし
Description
本発明は、シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液、例えば、太陽電池用半導体基板として使用されるシリコンウエハの表面にテクスチャー構造を形成することのできるエッチング液に関する。さらに本発明は、太陽電池用半導体基板の製造方法、太陽電池用半導体基板、太陽電池に関する。
近年、多結晶シリコンを用いた太陽電池用半導体基板の製造において、コスト削減を目的として、多結晶シリコンインゴットのスライス方法を従来の主流である遊離砥粒ワイヤーソー方式(遊離ウエハ)から加工時間がより少ない固定砥粒ワイヤーソー方式に変更する試みがなされている。ところで、太陽電池の発電効率を高めるために、従来から太陽電池用半導体基板の表面に凹凸(テクスチャー構造)を形成させ、基板表面からの入射光を効率良く基板内部に取り込む方法が用いられている。しかしながら、固定砥粒ワイヤーソー方式を採用した多結晶シリコンウエハ(固定ウエハ)の表面は、切断痕が少なくて比較的滑らかである。そのため、湿式エッチングによる十分な粗面化は困難であり、発電効率が低下し問題となっている。
基板表面に微細な凹凸を均一に形成する方法として、例えば、ドライエッチング法(特許文献1)や、フッ酸と硝酸の混合液に硝酸銀などの金属イオンを配合し、銀イオンの酸化力を利用する硝酸銀法(特許文献2)などが活発に検討されている。しかし、いずれの手法でも、現時点では発電効率・投資額・ランニングコスト・外観(商品価値)すべての要求を満たすテクスチャー形成技術は未完成の状態にある。
例えば、ドライエッチング法では発電効率は従来の遊離ウエハを超えるものの、投資額が大きく、ランニングコストも大となる。また硝酸銀法ではドライエッチング法の3/4程度の新たな設備投資が必要となる。さらに、硝酸銀法では、テクスチャー液に配合するAgなどの金属イオンが残留する。このため、長期での電池の信頼性の低下や、環境への悪影響が懸念されている。一方、フッ酸と硝酸などの混合液に有機添加剤を配合し、表面に微細凹凸を形成する有機添加剤法も報告されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献3の有機添加剤法ではテクスチャー形成力が不十分であり、特に固定ウエハでは反射率が高く、発電効率の低下を招いている。
本発明の課題は、切断方式に関わらず、基板の反射率や、太陽電池にした際の発電効率に優れる新規なテクスチャー構造を形成することができるエッチング液を提供することである。また、この新規なテクスチャー構造を有する太陽電池用半導体基板、及び当該基板を備える太陽電池を提供することである。
本発明は、
[1]シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液であって、フッ酸、酸化剤、水、並びにポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を含み、前記ポリビニルピロリドンの含有量が100〜50,000ppmであり、前記カチオン化多糖類の含有量が100〜50,000ppmであり、前記ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を共に含む場合の合計量が200〜60,000ppmである、エッチング液、
[2]シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液調製用の組成物であって、水、並びにポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を含み、前記ポリビニルピロリドンの含有量が2〜50質量%であり、前記カチオン化多糖類の含有量が0.1〜50質量%であり、前記ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を共に含む場合の合計量が2.1〜50質量%であり、フッ酸及び酸化剤と混合して使用される、組成物、
[3]シリコンウエハの表面にテクスチャー構造を形成するためのエッチング工程を含み、前記エッチング工程で使用されるエッチング液が、前記[1]記載のエッチング液である、太陽電池用半導体基板の製造方法、
[4]前記[3]記載の製造方法により得られる、太陽電池用半導体基板、
[5]表面にテクスチャー構造が形成されたシリコンウエハを含む太陽電池用半導体基板であって、前記テクスチャー構造が、凹孔1と、前記凹孔1の内壁にさらに1以上の凹孔1より小さな凹孔2と、前記凹孔2の内壁にさらに1以上の凹孔2より小さな凹孔3と、前記凹孔3の内壁にさらに1以上の凹孔3より小さな凹孔4が形成された、少なくとも4重の孔構造を含む、太陽電池用半導体基板、
[6]表面にテクスチャー構造が形成されたシリコンウエハを含む太陽電池用半導体基板であって、前記テクスチャー構造が、凹孔が2〜3重に形成された孔構造を少なくとも含む構造であり、前記凹孔の開口部が略多角形状であり、且つ底部が平坦底であるか、略椀底である、太陽電池用半導体基板、
[7]前記[4]〜[6]いずれか記載の太陽電池用半導体基板を備える、太陽電池、並びに
[8]表面に少なくとも4重の孔構造を含むテクスチャー構造を有するシリコンウエハを備える太陽電池用半導体基板を備え、発電効率が18.6%以上である、太陽電池に関する。
[1]シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液であって、フッ酸、酸化剤、水、並びにポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を含み、前記ポリビニルピロリドンの含有量が100〜50,000ppmであり、前記カチオン化多糖類の含有量が100〜50,000ppmであり、前記ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を共に含む場合の合計量が200〜60,000ppmである、エッチング液、
[2]シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液調製用の組成物であって、水、並びにポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を含み、前記ポリビニルピロリドンの含有量が2〜50質量%であり、前記カチオン化多糖類の含有量が0.1〜50質量%であり、前記ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を共に含む場合の合計量が2.1〜50質量%であり、フッ酸及び酸化剤と混合して使用される、組成物、
[3]シリコンウエハの表面にテクスチャー構造を形成するためのエッチング工程を含み、前記エッチング工程で使用されるエッチング液が、前記[1]記載のエッチング液である、太陽電池用半導体基板の製造方法、
[4]前記[3]記載の製造方法により得られる、太陽電池用半導体基板、
[5]表面にテクスチャー構造が形成されたシリコンウエハを含む太陽電池用半導体基板であって、前記テクスチャー構造が、凹孔1と、前記凹孔1の内壁にさらに1以上の凹孔1より小さな凹孔2と、前記凹孔2の内壁にさらに1以上の凹孔2より小さな凹孔3と、前記凹孔3の内壁にさらに1以上の凹孔3より小さな凹孔4が形成された、少なくとも4重の孔構造を含む、太陽電池用半導体基板、
[6]表面にテクスチャー構造が形成されたシリコンウエハを含む太陽電池用半導体基板であって、前記テクスチャー構造が、凹孔が2〜3重に形成された孔構造を少なくとも含む構造であり、前記凹孔の開口部が略多角形状であり、且つ底部が平坦底であるか、略椀底である、太陽電池用半導体基板、
[7]前記[4]〜[6]いずれか記載の太陽電池用半導体基板を備える、太陽電池、並びに
[8]表面に少なくとも4重の孔構造を含むテクスチャー構造を有するシリコンウエハを備える太陽電池用半導体基板を備え、発電効率が18.6%以上である、太陽電池に関する。
本発明によれば、切断方式に関わらず、基板の反射率や、太陽電池にした際の発電効率に優れる新規なテクスチャー構造を形成することができるエッチング液を提供することができる。また、新規なテクスチャー構造を有する太陽電池用半導体基板、及び当該基板を備える太陽電池を提供することができる。
本発明者らが前記課題について検討したところ、意外にも、ポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を特定量含有するエッチング液を使用することで、少なくとも多重の孔構造を含む新規なテクスチャー構造を形成でき、外観、反射率、発電効率に優れることを見出した。なお、この新規なテクスチャー構造のうち、多重の孔構造のことを本明細書においては「ミクロ−ナノハイブリッド構造」と称することがある。ここで、多重の孔構造、すなわち、ミクロ−ナノハイブリッド構造としては、特に限定されるものではないが、少なくとも4重の孔構造を含むことが好ましい。ポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を用いることでミクロ−ナノハイブリッド構造が得られるメカニズムは定かではないが、次のように考えられる。基本はシリコン表面が酸化剤により酸化され、酸化シリコンとなり、その酸化層がフッ酸により、溶解するという反応でエッチングが進む。この状況下でエッチング液中にポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類が存在すると、これらがシリコン表面に部分的に吸着し、その吸着された部分がフッ酸と酸化剤による溶解反応から守られるためと推定される。
また、本発明者らは、ミクロ−ナノハイブリッド構造を有するウエハをアルカリ水溶液で後処理することにより、後述する多様な孔構造に変化させることができ、そのような孔構造においてはさらに発電効率等が改善される場合があることを見出した。
以下、本発明の一態様として、シリコンウエハの表面にテクスチャー構造を形成することができるエッチング液について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、つや消しなどの装飾加工用やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用のエッチング加工液や各種金属の表面処理用途などの各種エッチング用途に使用することができる。
本態様のエッチング液は、シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液であって、フッ酸、酸化剤、水、並びにポリビニルピロリドン(PVP)及び/又はカチオン化多糖類を含む。好ましくは、本態様のエッチング液は、シリコンウエハ表面にテクスチャー構造を形成することができる。ここで、表面外観にムラがなく且つ深く鮮明なミクロ−ナノハイブリッド構造を形成する観点から、ポリビニルピロリドン及びカチオン化多糖類を併用する態様が好ましい。
ポリビニルピロリドンのK値は、特に限定はされないが、ミクロ−ナノハイブリッド構造を形成する観点から、好ましくは10〜130であり、より好ましくは15〜85であり、さらに好ましくは20〜50である。また、ミクロ−ナノハイブリッド構造の深さと均一性の観点から、残存モノマーであるN−ビニルピロリドンが少ないほど好ましく、例えば、10ppm以下であることが好ましい。
K値は、PVPの分子量に対応するパラメータとしてよく用いられるものであって、PVPの水溶液の毛細管粘度計法における動粘度測定結果を基に、以下の式(1)から算出される。式(1)中、cは溶液100ml中のPVPの質量(g)であり、ηrelは水の動粘度に対するPVP水溶液の動粘度の比である。
本態様のエッチング液におけるポリビニルピロリドンの含有量は、ミクロ−ナノハイブリッド構造を形成する観点から、100ppm以上であり、好ましくは200ppm以上であり、より好ましくは300ppm以上である。また、長時間エッチングせずとも十分なエッチング量が確保できるという観点から50,000ppm以下であり、好ましくは10,000ppm以下であり、より好ましくは5,000ppm以下である。
カチオン化多糖類とは、カチオン基を有する多糖類である。カチオン基として、アミノ基、4級アンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。カチオン化多糖類としては塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(INCI名:ポリクオタニウム−10)、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−67、などのカチオン化セルロースが挙げられ、ほかには、カチオン化グアーガム、カチオン化ガラクトマンナン、カチオン化デキストラン、カチオン化でんぷん、カチオン基をもつキチンやキトサン、などのカチオン化多糖類およびその誘導体が挙げられる。このうち、ミクロ−ナノハイブリッド構造の深い凹凸が形成される点や、エッチング後のシリコンウエハの外観ムラの少なさ、局所的な孔食(エッチピット)抑制の観点から、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが好ましい。
カチオン化多糖類の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、10万〜300万のものを使用することができ、好ましくは50万〜100万である。なお、本明細書において、カチオン化多糖類の重量平均分子量は、GPCカラムを用いた液体クロマトグラフィーで、分子量既知のポリマーと比較する方法によって測定することができる。具体的には、カチオン性多糖類の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ/多角度レーザー光散乱検出器(GPC−MALLS)を用いて測定した値である。ポリマーの純分濃度が約1,000ppmの移動相で希釈した試料溶液を、TSK−GELαカラム(東ソー(株)製)を用い、0.5moL/Lの過塩素酸ナトリウム溶液を移動相として、約633nmの波長を多角度光散乱検出器により測定することができる。標準品としては分子量既知のポリエチレングリコールを用いる。
カチオン化多糖類のカチオン化度は、特に限定されるものではないが、ミクロ−ナノハイブリッド構造形成の観点から、好ましくは0.5〜2.5%、より好ましくは1.5〜2.5%である。なお、本明細書において、カチオン化多糖類のカチオン化度は、日本公定書協会編「化粧品原料基準第二法注解II−1984−第5刷」(1992年)の1433頁に記されている窒素定量法に従い、分解装置としてミクロケルダール窒素分解器電熱式(商品名:ME−6型、柴田科学製)、蒸留装置として窒素蒸留装置(商品名:B−323型、BUCHI、柴田科学製)を使用し、ケルダール法にて算出する。
本態様のエッチング液におけるカチオン化多糖類の含有量は、100〜50,000ppmであり、ミクロ−ナノハイブリッド構造形成の観点から、好ましくは3,000〜10,000ppmである。なお、カチオン化多糖類を2種以上用いる場合における含有量は、それらの合計量を指す。
本態様のエッチング液において、ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を併用する場合の合計量は、ミクロ−ナノハイブリッド構造形成及び長時間エッチングせずとも十分なエッチング量が確保できるという観点から、200〜60,000ppmであり、好ましくは1,000〜20,000ppmであり、より好ましくは3,000〜10,000ppmである。
本態様のエッチング液におけるフッ酸の含有量は、特に限定されるものではないが、シリコンウエハのエッチング速度の観点から、好ましくは10〜35質量%であり、より好ましくは12〜30質量%であり、さらに好ましくは15〜25質量%である。
酸化剤としては、硝酸、過酸化水素、硝酸塩、硫酸、硫酸塩、過硫酸、過硫酸塩、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸塩、フッ素、塩素、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、臭素、次亜臭素酸、次亜臭素酸塩、亜臭素酸、亜臭素酸塩、臭素酸、臭素酸塩、過臭素酸、過臭素酸塩、ヨウ素、次亜ヨウ素酸、次亜ヨウ素酸塩、亜ヨウ素、亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、オゾンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、組み合わせてもよい。これらの酸化剤のうちより好ましくは硝酸である。
本態様のエッチング液における酸化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは15〜35質量%であり、より好ましくは20〜32質量%であり、さらに好ましくは25〜32質量%である。なお、酸化剤を2種以上用いる場合における含有量は、それらの合計量を指す。
本態様のエッチング液における水の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。本態様のエッチング液は水の含有量の許容値が広いので、溶解反応によって発生する水の影響も受けにくい。
本態様のエッチング液は、ミクロ−ナノハイブリッド構造形成の促進や製品の外観ムラの軽減の観点から、リグニンスルホン酸又はその塩をさらに含むことが好ましい。
リグニンスルホン酸又はその塩は、パルプ製造時に副生するパルプ廃液を種々の方法で処理した化合物で、主成分はリグニンスルホン酸塩またはリグニンスルホン酸である。リグニンの化学構造はフェニルプロパン基を基本骨格とし、これが3次元網目構造組織をとった化合物である。
ここで、単離されたリグニンとしては、例えばリグニンを残渣として得たものだと、硫酸リグニン、塩酸リグニン、酸化銅アンモニウムリグニン、過ヨウ素酸リグニン等が挙げられる。また、リグニンを溶解して得たものだと、1)無機試薬によるもの:リグニンスルホン酸、アルカリリグニン、チオリグニン、クロルリグニン、2)酸性有機試薬によるもの:アルコールリグニン、ジオキサンリグニン、フェノールリグニン、チオグリコール酸リグニン、酢酸リグニン、ヒドロトロピックリグニン、3)塩酸性有機試薬によるもの:Brauns天然リグニン、アセトンリングニン、Nordリグニン、Bjorkmanリグニンなどが挙げられる。本態様のリグニンスルホン酸やリグニンスルホン酸塩としては、以上の単離リグニンあるいはその誘導体を原料にしてスルホン化を行ったリグニンスルホン酸又はその塩でもかまわない。この他に酸化処理をしてカルボキシル基を増やすなどの化学変性を行ったリグニンスルホン酸やリグニンスルホン酸塩も用いることができる。本態様に使用できるリグニンスルホン酸およびリグニンスルホン酸塩にはパルプ製造時の不純物を含有していてもかまわないが、その量は少なければ少ないほど好ましい。不純物が多いとミクロ−ナノハイブリッド構造の形状が乱れたり、表面外観の均一性が損なわれる。
本態様に用いることができるリグニンスルホン酸塩の種類は特に制約がなく、上記のリグニンスルホン酸のNa塩、K塩、Ca塩、アンモニウム塩、などいずれでも本態様に使用できる。
本態様に好適に使用できるリグニンスルホン酸又はその塩としては、テクスチャー微細構造の均一性やミクロ−ナノハイブリッド構造形成促進等の観点から、以下の1)〜3)の条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たすものが好ましい。
1)分子量1,000未満の低分子成分及び分子量10万以上の高分子成分の合計量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは実質的に含まないもの。具体的には、分子量分布のピークが1,000〜10万の間にあり、好ましくは2,000〜6万の間にあり、かつ少なくとも70質量%以上の成分がこの分子量領域に存在するもの。
2)スルホン基密度(即ち、スルホン化度)が分子量500単位当たり平均0.6以上3未満のもの。
3)分子量500単位当たりのカルボキシル基が0〜3個のもの。
1)分子量1,000未満の低分子成分及び分子量10万以上の高分子成分の合計量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは実質的に含まないもの。具体的には、分子量分布のピークが1,000〜10万の間にあり、好ましくは2,000〜6万の間にあり、かつ少なくとも70質量%以上の成分がこの分子量領域に存在するもの。
2)スルホン基密度(即ち、スルホン化度)が分子量500単位当たり平均0.6以上3未満のもの。
3)分子量500単位当たりのカルボキシル基が0〜3個のもの。
なお、上記1)での分子量・分子量分布の測定は、以下に示すGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により実施する。
(a)サンプル調製
試料に同質量の水を加えて、GPC用のサンプルとする。
(b)カラム
ガードカラムTSX(東ソー(株)製)HXL(6.5mmφ×4cm)1本と、TSK3000HXL(7.8mmφ×30cm)1本と、TSK2500HXL(7.8mmφ×30cm)1本の構成とする。注入口側よりガードカラム−3000HXL−2500HXLの順に接続する。
(c)標準物質
ポリスチレン(東ソー(株)製)を用いる。
(d)溶出液
水を使用する。
(e)カラム温度
室温(25℃)とする。
(f)検出器
UV(紫外分光光度計)を用いる。波長はフェノールの紫外極大ピークにより定量する。
(g)分子量計算のための分割法
時間分割(2秒)とする。
(a)サンプル調製
試料に同質量の水を加えて、GPC用のサンプルとする。
(b)カラム
ガードカラムTSX(東ソー(株)製)HXL(6.5mmφ×4cm)1本と、TSK3000HXL(7.8mmφ×30cm)1本と、TSK2500HXL(7.8mmφ×30cm)1本の構成とする。注入口側よりガードカラム−3000HXL−2500HXLの順に接続する。
(c)標準物質
ポリスチレン(東ソー(株)製)を用いる。
(d)溶出液
水を使用する。
(e)カラム温度
室温(25℃)とする。
(f)検出器
UV(紫外分光光度計)を用いる。波長はフェノールの紫外極大ピークにより定量する。
(g)分子量計算のための分割法
時間分割(2秒)とする。
本態様のエッチング液におけるリグニンスルホン酸又はその塩の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは5〜500ppmであり、より好ましくは10〜300ppmであり、さらに好ましくは30〜100ppmである。なお、リグニンスルホン酸又はその塩を2種以上用いる場合における含有量は、それらの合計量を指す。
本態様のエッチング液は、より深いミクロ−ナノハイブリッド構造の凹凸を形成する観点から、本態様の効果を阻害することのない範囲で無機塩をさらに含むことが好ましい。
無機塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硝酸カリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられ、好ましくは塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられる。
本態様のエッチング液における無機塩の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜3,000ppmであり、より好ましくは10〜2,000ppmである。なお、無機塩を2種以上用いる場合における含有量は、それらの合計量を指す。
本態様のエッチング液は、より深いミクロ−ナノハイブリッド構造の凹凸を形成する観点から、カチオン性界面活性剤をさらに含むことが好ましい。この理由は以下のように推定される。即ち、シリコンのエッチング時には溶解反応により気泡が発生する。泡の気液界面はマイナス電荷を有していることが多く、プラス電荷を有する成分を気液界面に供給することにより、気泡を安定化させ気泡の消滅を防ぎ、シリコンウエハ表面に気泡を吸着滞留させることで、気泡吸着サイトでのシリコンの溶解が遅れより深いミクロ−ナノハイブリッド構造の形成が促進される。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル(アルケニル)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(アルケニル)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、エーテル基或いはエステル基或いはアミド基を含有するモノ、ジ或いはトリアルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、アルキル(アルケニル)ピリジニウム塩、アルキル(アルケニル)ジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)イソキノリニウム塩、ジアルキル(アルケニル)モルホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル)アミン、アルキル(アルケニル)アミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。アルキル基としては炭素数8〜16が好ましく、より好ましくはドデシルトリメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンステアリルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、ドデシルジメチルエチルアンモニウムエチル塩、デシルトリメチルアンモニウム塩、n−オクチルトリメチルアンモンミウム塩、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチル塩、などが挙げられ、さらに好ましくはドデシルトリメチルアンモニウム塩、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチル塩などが挙げられる。対アニオンは特に限定されないが、例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
本態様のエッチング液におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.5%以下、より好ましくは1〜1,000ppmであり、さらに好ましくは2〜200ppmであり、さらにより好ましくは3〜100ppmである。カチオン性界面活性剤を0.5%以下配合することによりエッチング阻害(溶解力が低下するとスライス時のシリコン表面の加工ダメージ層の溶解が不十分となり、これにより電池の欠陥が増えて発電効率を下げる要因となる)を抑制しながら泡の安定性を図ることができる。なお、カチオン性界面活性剤を2種以上用いる場合における含有量は、それらの合計量を指す。
本態様のエッチング液は、本態様の効果を阻害しない範囲において、さらに塩酸、硫酸、リン酸、酢酸といった各種の酸、ケイ酸塩などを任意成分として含むことができる。本態様のエッチング液は、基板中への重金属残留による漏れ電流の発生と、それに伴う長期安定性への影響や、排水中の重金属残留による環境への放出の恐れの観点から、重金属イオンを実質上含まないことが好ましい。重金属イオンとしてはCuイオン、Agイオン、Niイオン、Crイオンなどが挙げられる。また、実質上含まないとは、仮に含まれていた場合でもエッチング液中2ppm以下を指す。
本態様のエッチング液のpHは、酸性であれば特に制限されるものではないが、25℃において0〜3の範囲が好ましい。
本態様のエッチング液の調製には、水並びにポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を含むエッチング液調製用の組成物を用いて、さらにフッ酸、酸化剤等を混合して調製することができる。エッチング液調製用の組成物中のポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類の含有量は、エッチング液調製用の組成物の粘度の点から、以下の範囲であることが好ましい。すなわち、エッチング液調製用の組成物におけるポリビニルピロリドンの含有量は、好ましくは2〜50質量%であり、より好ましくは3〜30質量%である。また、エッチング液調製用の組成物におけるカチオン化多糖類の含有量は、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.3〜30質量%である。さらに、ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を共に含む場合の合計量は、好ましくは2.1〜50質量%であり、より好ましくは5〜30質量%である。また、調製用の組成物は、ポリビニルピロリドン、カチオン化多糖類、水以外に、リグニンスルホン酸又はその塩や、無機塩、カチオン性界面活性剤など前記したエッチング液に使用できる成分を含んでいてもよいが、エッチング液の場合と同様に、重金属イオンを実質上含まないことが好ましい。
次に、本態様のエッチング液を用いた太陽電池用半導体基板の製造方法を例示する。
本態様の製造方法は、シリコンウエハの表面にテクスチャー構造を形成するためのエッチング工程を含む。使用するエッチング液は、前記したものを使用することができる。シリコンウエハとしては、固定砥粒方式又は遊離砥粒方式により得た多結晶シリコンウエハ、あるいは単結晶シリコンウエハを使用することができるが、固定砥粒方式は遊離砥粒方式と比べて、ウエハ製造の加工スピードが速いこと、少ない切代でシリコンインゴットから多数枚の基板が切り出せることなどのメリットがあり、30%以上の製造コスト削減が可能であるという観点から、固定砥粒方式で得られた多結晶シリコンウエハが好ましい。
本態様に使用できるエッチング方法としては、ウエハを多段ローラーを用いてベルトコンベアー式に横方向に移動させながらエッチング液中を通過させる枚葉式の自動エッチング装置が量産には適している。エッチング液量は通常200〜300L程度である。また箱型の浴槽を用いる浸漬型エッチング装置も使用可能である。この場合、ウエハを縦型に多数枚装着できるカセットを用いて、カセットごと浸漬してエッチングする。エッチング槽の温度はそれぞれ液の循環冷却により±1℃にコントロールするのが好ましい。エッチング液量は20〜300L程度が使用される。エッチング中にはNOxガスが発生するので、吸引ダクト・スクラバーを稼働しながらエッチングすることが好ましい。エッチング中は溶解反応により発生する気泡によりウエハが浮く場合があるので、浸漬型装置の場合浮防止棒などをカセットに具備することが望ましい。また、本態様の製造方法は、リンス、ステイン除去工程などの公知の工程を任意に含んでいてもよい。
図1に、本態様により得られるミクロ−ナノハイブリッド構造の一例の模式図を示す。図1の模式図に示すように、本態様により得られるミクロ−ナノハイブリッド構造は、一例として、凹孔1と、前記凹孔1の内壁にさらに1以上の凹孔1より小さな凹孔2と、前記凹孔2の内壁にさらに1以上の凹孔2より小さな凹孔3と、前記凹孔3の内壁にさらに1以上の凹孔3より小さな凹孔4が形成された少なくとも4重の孔構造を含む構造である。また、凹孔1〜凹孔4の開口径は、特に限定されるものではないが、前記凹孔1の開口の短辺の長さが1〜5μmであり、前記凹孔2の開口径が100〜1,000nmであり、前記凹孔3の開口径が50〜500nmであり、前記凹孔4の開口径が10〜250nmであることが好ましい。なお、図2に示すように凹孔1はイモ虫様に凹んでおり、前記開口径は図2の矢印に示すような短辺の長さを指すものである。また、凹孔2、凹孔3、及び凹孔4の構造がフラクタル構造であることが好ましい。フラクタル構造(反復パターン)とは、どんなに微小な部分をとっても全体に相似している、自己相似のような図形を指す。たとえば、樹木の枝分かれパターン(小さな枝からさらに小さな枝に分かれていくパターン)などが挙げられる。図2〜4に、凹孔1〜4のSEM画像を示す。また、図5、6に、凹孔の断面画像(SEM画像)を示す。図1〜6のように凹孔2、凹孔3、及び凹孔4の開口部が略円形状であり、且つ底部が略椀底であることが好ましい。また、テクスチャー構造が、4重の孔構造のみで構成されることが好ましいが、2重、3重、5重、6重など、4重以外の孔構造が含まれていてもよい。
このようなミクロ−ナノハイブリッド構造により、反射率に優れると共に、好適な外観の半導体基板を得ることができる。また、当該半導体基板を備えた太陽電池は、発電効率や外観に優れたものとなる。本態様の太陽電池を単独で用いた場合の発電効率としては、好ましくは18.6%以上であり、理論値を考慮すると、最大値30.0%以下である。さらに、本態様の太陽電池を用いてタンデム型と呼ばれる他の構造の太陽電池との多層型とした場合や集光型とした場合は、好ましい範囲は18.6〜65%である。
本態様の製造方法は、前記エッチング工程で得られたシリコンウエハをアルカリ水溶液でエッチングする後処理工程をさらに含むことができる。
後処理工程に用いられるアルカリ水溶液を構成する成分としては、アルカリ剤、キレート剤、界面活性剤が挙げられる。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリ、及び、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、(イソ)プロピルアミン、ジ(イソ)プロピルアミン、モノエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンなどの有機アルカリが挙げられる。
アルカリ水溶液中のアルカリ剤の含有量としては、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。なお、アルカリ剤を2種以上用いる場合における含有量は、それらの合計量を指す。
キレート剤としては、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ビス(2−ヒドロキシフェニル酢酸)エチレンジアミン、ジエンコル酸、イミノジ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸およびその塩等のアミノポリ酢酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、若しくはアルカノールアミン塩等が挙げられる。また、オルソリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等のホスホン酸化合物、およびそのアルカリ金属塩が挙げられる。
アルカリ水溶液中のキレート剤の含有量としては、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%である。キレート剤を2種以上用いる場合における含有量は、それらの合計量を指す。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、プルロニック型ブロックポリマー、テトロニック型ブロックポリマー、リバースプルロニック型ブロックポリマーなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
アルカリ水溶液における界面活性剤の含有量としては、好ましくは3〜12質量%であり、より好ましくは5〜10質量%である。なお、界面活性剤を2種以上用いる場合における含有量は、それらの合計量を指す。
後処理工程に用いられるアルカリ水溶液はアルカリ性である。具体的には、25℃でのpHが好ましくは10〜14であり、より好ましくは11〜13である。
後処理工程の処理温度としては、制限はないが、好ましくは40〜70℃であり、より好ましくは50〜60℃である。
後処理工程の処理時間としては、好ましくは60〜1800秒であり、より好ましくは180〜600秒である。
本態様の後処理工程でミクロ−ナノハイブリッド構造を有するシリコンウエハを後処理することにより、少なくとも4重の孔構造を含む構造が、2〜3重の孔構造を含む構造に変化する。凹孔の構造としては、開口部が略多角形状で底部が平坦底「Fタイプ」、底部が略椀底「MSタイプ」などが挙げられる。例えば、界面活性剤を含まないアルカリ水溶液で処理した場合、図7、8のように開口部が略多角形状で底部が平坦底の構造となる。界面活性剤を含むアルカリ水溶液で処理した場合、図9、10のように開口部が略多角形状で底部が略椀底の構造となる。図7、9の上側は凹孔の真上から見た模式図を示し、下側は凹孔の断面の模式図を示すものである。
前記後処理工程後の底部が平坦底「Fタイプ」の場合、被処理基板のミクロ−ナノハイブリッド構造は変化して2〜3重の孔構造となるが反射率は3〜5%低下し、発電効率上昇に寄与する。一方、底部が略椀底「MSタイプ」の場合はミクロ−ナノハイブリッド構造は3重の孔構造になり、反射率は2〜3%上昇するが、極小の凹凸が消失することでテクスチャー後の表面洗浄性が改善され量産工程での洗浄負荷の軽減が見込まれる。また量産工程での清浄度が上がりやすいので電池特性の改善が期待される。
その他、本態様の製造方法は、エッチング工程及び後処理工程の他、公知の工程を任意に含んでいてもよい。例えば、リンス、ステイン除去工程などを含んでいてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(エッチング液調製用組成物の作製)
各実施例及び比較例のエッチング液を調製するためのエッチング液調製用の組成物を、以下の方法により作製した。すなわち、各実施例及び比較例に対応したポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を純水に総量が5質量%になるように溶解した。これらの組成物に、さらに、必要に応じて各種リグニンスルホン酸ソーダ、無機塩、カチオン性界面活性剤を所定量溶解した組成物を作製した。
各実施例及び比較例のエッチング液を調製するためのエッチング液調製用の組成物を、以下の方法により作製した。すなわち、各実施例及び比較例に対応したポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を純水に総量が5質量%になるように溶解した。これらの組成物に、さらに、必要に応じて各種リグニンスルホン酸ソーダ、無機塩、カチオン性界面活性剤を所定量溶解した組成物を作製した。
(エッチング液の調製)
作製した各エッチング液調製用組成物に、フッ酸、硝酸、及び、水を加えて、所定の組成のエッチング液を調製した。
作製した各エッチング液調製用組成物に、フッ酸、硝酸、及び、水を加えて、所定の組成のエッチング液を調製した。
(エッチング処理)
各実施例及び比較例では、ポリプロピレン製の、容量20Lの角型槽を用い、これに15Lのエッチング液を入れて循環し、設定温度±1℃に維持した。基板投入枚数は4mm間隔で20枚とした。エッチング液から取り出した後は速やかに流水により該基板をリンス洗浄を行い、その後アルカリ水溶液でステイン除去を行い、温風で乾燥した。乾燥後、各種評価を実施した。ステイン除去には5質量%の水酸化ナトリウム水溶液に10秒浸漬して行った。
各実施例及び比較例では、ポリプロピレン製の、容量20Lの角型槽を用い、これに15Lのエッチング液を入れて循環し、設定温度±1℃に維持した。基板投入枚数は4mm間隔で20枚とした。エッチング液から取り出した後は速やかに流水により該基板をリンス洗浄を行い、その後アルカリ水溶液でステイン除去を行い、温風で乾燥した。乾燥後、各種評価を実施した。ステイン除去には5質量%の水酸化ナトリウム水溶液に10秒浸漬して行った。
表1〜10に記載した多結晶シリコンウエハを、表1〜10に記載した組成のエッチング液に表1〜10記載の条件で浸漬させ、すすぎ、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液に室温で10秒浸漬させてステイン除去後、さらにすすぎ、乾燥をして半導体基板を得た。エッチング液の25℃でのpHは、いずれも0〜3の範囲内であった。各表中、ウエハの種類として「固定」と記載したものは固定砥粒方式で得られたウエハを示し、「遊離」と記載したものは遊離砥粒方式で得られたウエハを示す。なお、使用したウエハのサイズは156.75mm×156.75mmであり、ウエハの厚みは190μmであり、ウエハの抵抗値は0.8〜3.5Ω・cmである。
表1〜10中、実施例1〜4、7、10、15、16、24〜26、33〜36、39〜44、46、50〜58、比較例4〜7、12〜16において使用したものの詳細を以下に示す。
PVP:ポリビニルピロリドン (K値:30、残存モノマー10ppm以下)
カチオン化多糖類:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(重量平均分子量60万、カチオン化度1.8%)
リグニンスルホン酸ソーダ:重量平均分子量:2万、分子量500単位あたりのスルホン基密度:1.2、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:0.5以下
無機塩:KCl
カチオン性界面活性剤:ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド
PVP:ポリビニルピロリドン (K値:30、残存モノマー10ppm以下)
カチオン化多糖類:塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(重量平均分子量60万、カチオン化度1.8%)
リグニンスルホン酸ソーダ:重量平均分子量:2万、分子量500単位あたりのスルホン基密度:1.2、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:0.5以下
無機塩:KCl
カチオン性界面活性剤:ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド
実施例5、17、37、比較例8、9、17、18
実施例4、16、36、比較例7、16と同様にして半導体基板を得た後、さらに、0.25質量%の水酸化カリウム水溶液に表1〜10記載の後処理条件で超音波をかけながら浸漬させ、すすぎ、乾燥をして半導体基板を得た。
実施例4、16、36、比較例7、16と同様にして半導体基板を得た後、さらに、0.25質量%の水酸化カリウム水溶液に表1〜10記載の後処理条件で超音波をかけながら浸漬させ、すすぎ、乾燥をして半導体基板を得た。
実施例6、18、19、38、比較例10、11、19、20
実施例4、16、36、比較例7、16と同様にして半導体基板を得た後、さらに、非イオン性界面活性剤を含む0.25質量%の水酸化カリウム水溶液(メタブライツSS−380F:攝津製油社製を希釈使用)に表1〜10記載の後処理条件で超音波をかけながら浸漬させ、すすぎ、乾燥をして半導体基板を得た。
実施例4、16、36、比較例7、16と同様にして半導体基板を得た後、さらに、非イオン性界面活性剤を含む0.25質量%の水酸化カリウム水溶液(メタブライツSS−380F:攝津製油社製を希釈使用)に表1〜10記載の後処理条件で超音波をかけながら浸漬させ、すすぎ、乾燥をして半導体基板を得た。
実施例8、9、11、12、13、14
カチオン性界面活性剤をドデシルトリメチルアンモニウムブロミドに代えて以下を使用した以外は実施例10と同様にして半導体基板を得た。
実施例8:トリポリオキシエチレンステアリルアンモニウムクロリド
実施例9:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド
実施例11:ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート
実施例12:デシルトリメチルアンモニウムブロミド
実施例13:n−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド
実施例14:オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート
カチオン性界面活性剤をドデシルトリメチルアンモニウムブロミドに代えて以下を使用した以外は実施例10と同様にして半導体基板を得た。
実施例8:トリポリオキシエチレンステアリルアンモニウムクロリド
実施例9:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド
実施例11:ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート
実施例12:デシルトリメチルアンモニウムブロミド
実施例13:n−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド
実施例14:オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート
実施例20〜23、比較例1〜3
リグニンスルホン酸ソーダを前記の実施例1等で使用したものに代えて以下を使用した以外は、実施例1等と同様にして半導体基板を得た。
実施例20:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:5,000、分子量500単位あたりのスルホン基密度:1.3、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:1以下)
実施例21:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:3,600、分子量500単位あたりのスルホン基密度:0.8、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:1.5以下)
実施例22、23:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:15,000、分子量500単位あたりのスルホン基密度:1.1、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:0.5以下)
比較例1、3:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:700、分子量500単位あたりのスルホン基密度:0.3、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:1.5以下)
比較例2:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:120,000、分子量500単位あたりのスルホン基密度:1.0、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:0.5以下)
リグニンスルホン酸ソーダを前記の実施例1等で使用したものに代えて以下を使用した以外は、実施例1等と同様にして半導体基板を得た。
実施例20:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:5,000、分子量500単位あたりのスルホン基密度:1.3、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:1以下)
実施例21:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:3,600、分子量500単位あたりのスルホン基密度:0.8、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:1.5以下)
実施例22、23:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:15,000、分子量500単位あたりのスルホン基密度:1.1、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:0.5以下)
比較例1、3:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:700、分子量500単位あたりのスルホン基密度:0.3、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:1.5以下)
比較例2:リグニンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量:120,000、分子量500単位あたりのスルホン基密度:1.0、分子量500単位あたりのカルボキシル基の個数:0.5以下)
実施例27〜32
無機塩を塩化カリウムに代えて以下を使用した以外は実施例24〜26等と同様にして半導体基板を得た。
実施例27〜32:塩化ナトリウム
無機塩を塩化カリウムに代えて以下を使用した以外は実施例24〜26等と同様にして半導体基板を得た。
実施例27〜32:塩化ナトリウム
実施例45、47〜49
PVPをポリビニルピロリドン (K値:30)に代えて以下を使用した以外は実施例46と同様にして半導体基板を得た。
実施例45:ポリビニルピロリドン (K値:17、残存モノマー100ppm以下)
実施例47、48:ポリビニルピロリドン (K値:85、残存モノマー10ppm以下)
実施例49:ポリビニルピロリドン (K値:90、残存モノマー100ppm以下)
PVPをポリビニルピロリドン (K値:30)に代えて以下を使用した以外は実施例46と同様にして半導体基板を得た。
実施例45:ポリビニルピロリドン (K値:17、残存モノマー100ppm以下)
実施例47、48:ポリビニルピロリドン (K値:85、残存モノマー10ppm以下)
実施例49:ポリビニルピロリドン (K値:90、残存モノマー100ppm以下)
比較例21、22
カチオン化多糖類に代えて以下の多糖類を使用した以外は実施例56と同様にして半導体基板を得た。
比較例21:ヒドロキシエチルセルロース
比較例22:カルボキシメチルセルロースナトリウム
カチオン化多糖類に代えて以下の多糖類を使用した以外は実施例56と同様にして半導体基板を得た。
比較例21:ヒドロキシエチルセルロース
比較例22:カルボキシメチルセルロースナトリウム
<エッチング量>
エッチング量の算出にはSARTORIUS社製CP224Sの精密天秤を用いて、エッチング反応前後での基板質量差を測定し、片面についてエッチング深さ(μm)を算出した。
エッチング量の算出にはSARTORIUS社製CP224Sの精密天秤を用いて、エッチング反応前後での基板質量差を測定し、片面についてエッチング深さ(μm)を算出した。
<反射率>
反射率の測定は分光光度計(積分球付)(日立ハイテクサイエンス製 UH4150)を用い、波長300〜1,200nmにおける光反射率(10カ所)を測定し、波長600nmでの光反射率の平均値を用いて比較した。結果を表1〜10に示す。なお、有機添加剤を使用せず混酸のみでテクスチャーした場合の反射率は、一般的に、波長600nmで遊離ウエハ:25〜27%、固定ウエハ:31〜33%を示す。従って、これらの反射率を基準として、より低い反射率であることで反射率への効果が評価される。
反射率の測定は分光光度計(積分球付)(日立ハイテクサイエンス製 UH4150)を用い、波長300〜1,200nmにおける光反射率(10カ所)を測定し、波長600nmでの光反射率の平均値を用いて比較した。結果を表1〜10に示す。なお、有機添加剤を使用せず混酸のみでテクスチャーした場合の反射率は、一般的に、波長600nmで遊離ウエハ:25〜27%、固定ウエハ:31〜33%を示す。従って、これらの反射率を基準として、より低い反射率であることで反射率への効果が評価される。
<テクスチャー構造>
後処理を行った半導体基板については、凹孔の開口部が多角形状で底部が平坦底なものを「F」とし、凹孔の開口部が多角形状で底部が略椀底のものを「MS」として、以下の基準で走査型電子顕微鏡(SEM)により判断した。なお、「F」、「MS」どちらにも属さずピラミッド状形状を「P」とし、形状の変化がほぼ認められないものを「N」とした。評価としては、「F」又は「MS」の形状が好ましい。また、後処理を行っていない半導体基板については、以下の基準で走査型電子顕微鏡(SEM)により判断した。後処理を行っていない半導体基板については、いずれも凹孔の開口部が略円形状で底部が略椀底であったため、評価基準のみを記載した。結果を表1〜10に示す。なお、走査型電子顕微鏡(SEM)写真の観察には、Hitachi製のSU−3500またはCarl Zeiss製のUltra plus YKを用いた。観察時の加速電圧は、1〜10kVで、試料表面に金属を蒸着することなく、観察倍率は2,000〜100,000倍で観察した。
(評価基準)
S ミクロ−ナノハイブリッド(4重の孔構造)が深く鮮明に形成されている
A ミクロ−ナノハイブリッド(4重の孔構造)が鮮明に形成されている
B ミクロ−ナノハイブリッド(4重の孔構造)が浅く形成されている
C ミクロ−ナノハイブリッド(4重の孔構造)が見られない
S、A及びBの評価結果が好ましい。
後処理を行った半導体基板については、凹孔の開口部が多角形状で底部が平坦底なものを「F」とし、凹孔の開口部が多角形状で底部が略椀底のものを「MS」として、以下の基準で走査型電子顕微鏡(SEM)により判断した。なお、「F」、「MS」どちらにも属さずピラミッド状形状を「P」とし、形状の変化がほぼ認められないものを「N」とした。評価としては、「F」又は「MS」の形状が好ましい。また、後処理を行っていない半導体基板については、以下の基準で走査型電子顕微鏡(SEM)により判断した。後処理を行っていない半導体基板については、いずれも凹孔の開口部が略円形状で底部が略椀底であったため、評価基準のみを記載した。結果を表1〜10に示す。なお、走査型電子顕微鏡(SEM)写真の観察には、Hitachi製のSU−3500またはCarl Zeiss製のUltra plus YKを用いた。観察時の加速電圧は、1〜10kVで、試料表面に金属を蒸着することなく、観察倍率は2,000〜100,000倍で観察した。
(評価基準)
S ミクロ−ナノハイブリッド(4重の孔構造)が深く鮮明に形成されている
A ミクロ−ナノハイブリッド(4重の孔構造)が鮮明に形成されている
B ミクロ−ナノハイブリッド(4重の孔構造)が浅く形成されている
C ミクロ−ナノハイブリッド(4重の孔構造)が見られない
S、A及びBの評価結果が好ましい。
<凹孔1〜4の開口径の適合性>
凹孔1(1〜5μm)、凹孔2(100〜1,000nm)、凹孔3(50〜500nm)、凹孔4(10〜250nm)の各凹孔の開口径の範囲に適合しているか、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。観察倍率は2,000〜100,000倍で観察した。結果、実施例1〜58の開口径はいずれも適合していたが、比較例1〜22の開口径は適合していなかった。
凹孔1(1〜5μm)、凹孔2(100〜1,000nm)、凹孔3(50〜500nm)、凹孔4(10〜250nm)の各凹孔の開口径の範囲に適合しているか、走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。観察倍率は2,000〜100,000倍で観察した。結果、実施例1〜58の開口径はいずれも適合していたが、比較例1〜22の開口径は適合していなかった。
各実施例、比較例の半導体基板の表面外観に関し、ムラ、孔食、結晶模様について、以下の基準で目視により判断した。結果を表1〜10に示す。
<ムラ>
A なし
B 若干あるが支障のない程度である
C 表面の20%以上にあり
A及びBの評価結果が好ましい。
A なし
B 若干あるが支障のない程度である
C 表面の20%以上にあり
A及びBの評価結果が好ましい。
<孔食>
A なし
B 若干あるが支障のない程度である
C 部分的に多数あり
A及びBの評価結果が好ましい。
A なし
B 若干あるが支障のない程度である
C 部分的に多数あり
A及びBの評価結果が好ましい。
<結晶模様>
A 模様はほぼなし
B 薄くて目立たない
C 目立つ
D ギラギラ感(光沢状の結晶模様)が強く目立つ
A及びBの評価結果が好ましい。
A 模様はほぼなし
B 薄くて目立たない
C 目立つ
D ギラギラ感(光沢状の結晶模様)が強く目立つ
A及びBの評価結果が好ましい。
表1〜7より、各実施例のエッチング液を使用して製造した基板(後処理なし)はミクロ−ナノハイブリッド構造が形成されていた。そして、有機添加剤を使用せず混酸のみでテクスチャーした場合(一般的には、遊離ウエハ:25〜27%、固定ウエハ:31〜33%)に比べ反射率が改善(低下)したことがわかる。さらにムラ、孔食、結晶模様も良好であったことが分かる。ミクロ−ナノハイブリッド構造を経て後処理された基板についても同様に好ましいものであったことがわかる。一方、表8〜10より、ポリビニルピロリドンやカチオン化多糖類を特定量含まない比較例1〜20では、ミクロ−ナノハイブリッド構造を十分に形成することができなかった。その結果、反射率の改善(低下)が少なく、さらに、ムラ、孔食、結晶模様も良好ではなかった。
実施例59〜63、比較例23、24
表11に記載のウエハを用いて太陽電池を作製し、発電効率を計測した。導電型p型で、ウエハサイズは156.75mm×156.75mmで、比抵抗は約1Ω・cmの多結晶シリコンウエハを用いた。表11に記載した各々の実施例又は比較例に対応するエッチング処理を経た多結晶シリコンウエハに、シリコンウエハの受光面となるべき表面にリンを含む拡散剤を塗布し、900℃に加熱することによって結晶シリコンウエハの受光面にリンの熱拡散を行ない、面抵抗値が約90Ωのn型拡散層を形成した。これらのn型拡散層上にそれぞれ反射防止膜としてプラズマCVD法により厚さ約70nmのシリコン窒化膜を堆積した。ついで、これらのシリコンウエハの裏面に約30μmの厚みにアルミペーストをスクリーン印刷し、このアルミペーストを150℃で5分間乾燥してペースト中の溶剤を除去し、さらにこれらシリコンウエハの表面に銀ペーストをパターン状(4本バスバー)にスクリーン印刷した後に乾燥させた。その後、これらの結晶シリコンウエハを750℃で2分間焼成することによって、アルミニウムペーストおよび銀ペーストを焼成して結晶シリコンウエハの受光面および裏面に電極を形成した。結晶シリコンウエハの裏面にはアルミニウムペーストからアルミニウムが拡散することによりBSF層が形成され、また受光面側の銀ペーストは反射防止膜をファイヤースルーすることによって、シリコンウエハの受光面および裏面上に電極を形成した。このようにして実施例の結晶シリコン太陽電池を得た。これらの太陽電池の発電効率を分光計器社製のソーラーシミュレータで評価した。結果を表11に示す。
表11に記載のウエハを用いて太陽電池を作製し、発電効率を計測した。導電型p型で、ウエハサイズは156.75mm×156.75mmで、比抵抗は約1Ω・cmの多結晶シリコンウエハを用いた。表11に記載した各々の実施例又は比較例に対応するエッチング処理を経た多結晶シリコンウエハに、シリコンウエハの受光面となるべき表面にリンを含む拡散剤を塗布し、900℃に加熱することによって結晶シリコンウエハの受光面にリンの熱拡散を行ない、面抵抗値が約90Ωのn型拡散層を形成した。これらのn型拡散層上にそれぞれ反射防止膜としてプラズマCVD法により厚さ約70nmのシリコン窒化膜を堆積した。ついで、これらのシリコンウエハの裏面に約30μmの厚みにアルミペーストをスクリーン印刷し、このアルミペーストを150℃で5分間乾燥してペースト中の溶剤を除去し、さらにこれらシリコンウエハの表面に銀ペーストをパターン状(4本バスバー)にスクリーン印刷した後に乾燥させた。その後、これらの結晶シリコンウエハを750℃で2分間焼成することによって、アルミニウムペーストおよび銀ペーストを焼成して結晶シリコンウエハの受光面および裏面に電極を形成した。結晶シリコンウエハの裏面にはアルミニウムペーストからアルミニウムが拡散することによりBSF層が形成され、また受光面側の銀ペーストは反射防止膜をファイヤースルーすることによって、シリコンウエハの受光面および裏面上に電極を形成した。このようにして実施例の結晶シリコン太陽電池を得た。これらの太陽電池の発電効率を分光計器社製のソーラーシミュレータで評価した。結果を表11に示す。
表11の実施例59〜62および比較例23、24からわかるように本態様のエッチング液を用いてミクロ−ナノハイブリッド構造を有するテクスチャー構造を形成した基板では、比較例23、24に比べて発電効率が良いことがわかる。絶対値の差は小さく見えるが、多結晶シリコン型太陽電池セルの業界の過去10年の年間平均の発電効率(量産品)の改善スピードは約0.3%/年であることから、太陽電池業界においては発電効率0.1%の差は非常に大きな差であると言える。
また、実施例59、60の対比から明らかなように固定ウエハを用いて作製した半導体基板であっても遊離ウエハを用いた場合の発電効率を上回る発電効率が得られる場合が見られた。さらに、実施例60、63の対比から明らかなようにミクロ−ナノハイブリッド構造のテクスチャー表面を後処理することで、発電効率がさらに改善していることがわかる。
また、実施例59、60の対比から明らかなように固定ウエハを用いて作製した半導体基板であっても遊離ウエハを用いた場合の発電効率を上回る発電効率が得られる場合が見られた。さらに、実施例60、63の対比から明らかなようにミクロ−ナノハイブリッド構造のテクスチャー表面を後処理することで、発電効率がさらに改善していることがわかる。
本発明のエッチング液は、太陽電池用半導体基板として使用される多結晶シリコンウエハまたは結晶シリコンウエハの表面のテクスチャー構造の形成に利用することができる。
Claims (19)
- シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液であって、フッ酸、酸化剤、水、並びにポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を含み、前記ポリビニルピロリドンの含有量が100〜50,000ppmであり、前記カチオン化多糖類の含有量が100〜50,000ppmであり、前記ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を共に含む場合の合計量が200〜60,000ppmである、エッチング液。
- リグニンスルホン酸又はその塩をさらに含む、請求項1に記載のエッチング液。
- 重金属イオンを実質上含まない、請求項1又は2に記載のエッチング液。
- 前記シリコンウエハ表面にテクスチャー構造を形成することができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエッチング液。
- 前記シリコンウエハが、多結晶シリコンウエハである請求項1〜4のいずれか一項に記載のエッチング液。
- シリコンウエハ表面をエッチングするエッチング液調製用の組成物であって、水、並びにポリビニルピロリドン及び/又はカチオン化多糖類を含み、前記ポリビニルピロリドンの含有量が2〜50質量%であり、前記カチオン化多糖類の含有量が0.1〜50質量%であり、前記ポリビニルピロリドンとカチオン化多糖類を共に含む場合の合計量が2.1〜50質量%であり、フッ酸及び酸化剤と混合して使用される、組成物。
- リグニンスルホン酸又はその塩をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
- 重金属イオンを実質上含まない、請求項6又は7に記載の組成物。
- シリコンウエハの表面にテクスチャー構造を形成するためのエッチング工程を含み、前記エッチング工程で使用されるエッチング液が、請求項1〜5いずれか記載のエッチング液である、太陽電池用半導体基板の製造方法。
- 前記シリコンウエハが、固定砥粒方式で得られたものである、請求項9に記載の製造方法。
- 前記エッチング工程で得られたシリコンウエハをアルカリ水溶液でエッチングする後処理工程をさらに含む、請求項9又は10に記載の製造方法。
- 請求項9〜11いずれか一項に記載の製造方法により得られる、太陽電池用半導体基板。
- 表面にテクスチャー構造が形成されたシリコンウエハを含む太陽電池用半導体基板であって、前記テクスチャー構造が、凹孔1と、前記凹孔1の内壁にさらに1以上の凹孔1より小さな凹孔2と、前記凹孔2の内壁にさらに1以上の凹孔2より小さな凹孔3と、前記凹孔3の内壁にさらに1以上の凹孔3より小さな凹孔4が形成された、少なくとも4重の孔構造を含む、太陽電池用半導体基板。
- 前記凹孔1の開口の短辺の長さが1〜5μmであり、前記凹孔2の開口径が100〜1,000nmであり、前記凹孔3の開口径が50〜500nmであり、前記凹孔4の開口径が10〜250nmである、請求項13に記載の太陽電池用半導体基板。
- 前記凹孔2、凹孔3、及び凹孔4の構造がフラクタル構造である、請求項13又は14に記載の太陽電池用半導体基板。
- 前記凹孔2、凹孔3、及び凹孔4の開口部が略円形状であり、且つ底部が略椀底である、請求項13又は14に記載の太陽電池用半導体基板。
- 表面にテクスチャー構造が形成されたシリコンウエハを含む太陽電池用半導体基板であって、前記テクスチャー構造が、凹孔が2〜3重に形成された孔構造を少なくとも含む構造であり、前記凹孔の開口部が略多角形状であり、且つ底部が平坦底であるか、略椀底である、太陽電池用半導体基板。
- 請求項12〜17いずれか記載の太陽電池用半導体基板を備える、太陽電池。
- 表面に少なくとも4重の孔構造を含むテクスチャー構造を有するシリコンウエハを備える太陽電池用半導体基板を備え、発電効率が18.6%以上である、太陽電池。
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- 2017-09-15 JP JP2017177645A patent/JP2019054121A/ja active Pending
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