以下に図面を参照して、本発明にかかる電子時計の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
(実施の形態1にかかる電子時計の外観)
図1は、実施の形態1にかかる電子時計の外観の一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる電子時計100は、外装(時計ケース)である胴内に配置された、文字板110と、時刻を示す指針である時針121、分針122及び秒針123と、小窓160と、を備える。電子時計100の外装はベゼルと胴の二体物から構成されてもよい。
時針121、分針122及び秒針123は、文字板110に対する相対的な位置によって時刻を表示する指針である。また、秒針123は、時刻とは異なる情報の表示にも用いられてもよい。小窓160は、指針161を有し、指針161によって時刻とは異なる情報を表示する。
また、電子時計100は、胴の側面に、電子時計100のユーザが種々の操作を行うための操作部130として、リューズ131(竜頭)、第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133が配置されている。図1に示す例では、リューズ131は3時側に配置され、第1プッシュボタン132は2時側に配置され、第2プッシュボタン133は4時側に配置されている。
電子時計100には、文字板110を覆うようにガラス等の透明材料により形成された風防が胴に取り付けられている。また、電子時計100における風防の反対側には胴に裏蓋が取り付けられている。以降、電子時計100において風防が配置される方向(図1における紙面手前方向)を表側、電子時計100において裏蓋が配置される方向(図1における紙面奥方向)を裏側と呼ぶ。
また、電子時計100は、太陽などの光エネルギーを動力源とする太陽電池時計である。例えば、文字板110の裏側には後述の太陽電池343(例えば図3参照)が配置され、表側から入光した光により太陽電池343において発電がなされる。そのため、文字板110はある程度光線を透過する材質で形成される。
また、電子時計100は、日付や時刻に関する時刻情報を含む衛星電波を衛星から受信し、受信した衛星電波に含まれる時刻情報に基づいて、腕時計内部に保持している時刻の情報である内部時刻を修正する衛星電波腕時計である。衛星は、一例としてはGPS衛星である。GPSはGlobal Positioning System(全地球測位システム)の略である。例えば、電子時計100における太陽電池343と重畳しない領域には、衛星電波を受信するための後述のアンテナ310(例えば図3参照)が配置される。アンテナ310は、表側の面が衛星からの電波を受信する受信面となっている。アンテナ310の受信面、太陽電池343の受光面及び文字板110は、互いに平行に設けられており、いずれも表側を向いている。
また、電子時計100においては、文字板110の周囲に、「OK」の文字である受信成功文字141と、「NO」の文字である受信失敗文字142と、「RX−GPS」の文字である測位文字143と、「RX−TIME」の文字である測時文字144と、が表されている。
受信成功文字141と受信失敗文字142は、秒針123を用いて、電子時計100による衛星電波の受信処理の結果の成否を指し示すためのインデックスである。また、測時文字144は、電子時計100により測時受信動作が行われる場合に、秒針123を用いて、測時受信動作中であることの表示を行うためのインデックスである。測時受信動作は、衛星電波に含まれる時刻情報に基づいて、電子時計100の内部時刻を修正する動作である。また、測位文字143は、電子時計100により測位受信動作が行われる場合に、秒針123を用いて、測位受信動作中であることの表示を行うためのインデックスである。
測位受信動作は、衛星電波に含まれる時刻情報を取得するとともに、複数の衛星と観測点(電子時計100)との距離に基づいて、観測点の位置情報(測位情報)を算出し、測位情報と電子時計100が有する地図データとに基づいて、電子時計100の内部時刻を現在位置の時刻情報に修正する動作である。測位情報は、例えば、現在位置の緯度及び経度に関する情報を含む。
地図データは、現在位置に対応したタイムゾーンを有する。タイムゾーンとしては、UTCやGMT(Grinidge Mean Time)を基準とした値を用いることができる。例えば、世界地図を所定の緯度、経度ごとに細分化し、細分化された領域ごとに時差情報が与えられる。細分化された領域内に複数の時差が含まれる場合は、さらに細分化されてもよい。地図データは、このように定義された領域と時差情報との対応情報である。また、地図データは、例えば後述のROM332に格納される。また、地図データは、現在位置を代表する都市名並びにサマータイムの適用可否、サマータイム開始/終了時間、受信可能なGNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)の種類といった情報を含んでもよい。
また、文字板110の周囲の見返しリングにはタイムゾーン表示部150が設けられている。図1に示す例では、タイムゾーン表示部150は、60通りのタイムゾーンに対応する60個の表記(例えば刻印)である。また、タイムゾーン表示部150の外周には、「+1」、「+2」、「+3」などの主なタイムゾーンが表記されている。例えば、文字板110の「0秒」に対応する位置には「0」を示すタイムゾーン表示部150が表記されている。また、文字板110の「2秒」に対応する位置には「+1」を示すタイムゾーン表示部150が表記されている。
例えば、ユーザは、第1プッシュボタン132を数秒間長押しする操作によって測位受信動作を行なう。この場合に、第1プッシュボタン132を押下することにより、例えば秒を刻んでいた秒針123が一時的に通常の計時動作を離れ、測位文字143を指し示す。
また、ユーザは、第2プッシュボタン133を数秒間長押しする操作によって測時受信動作を行なう。この場合に、第2プッシュボタン133を押下することにより、例えば秒を刻んでいた秒針123が一時的に通常の計時動作を離れ、測時文字144を指し示す。
なお、電子時計100に対する操作はこれらに限られない。例えば、第1プッシュボタン132を連続して二度押下することによって測位受信動作を実行することとしてもよい。あるいは、第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133以外を用いた操作、例えば、リューズ131の操作によって測位受信動作又は測時受信動作の指示を行ってもよい。また、電子時計100にタッチセンサを設けて当該タッチセンサの操作によって行ってもよい。その他、光又は磁気による操作を用いてもよい。
図1に示した電子時計100の外観は一例であり、電子時計100の外観はこれに限らない。例えば、胴を丸型でなく角型にしてもよいし、リューズ131等の有無、数、配置も任意に変更することができる。また、指針として時針121、分針122、秒針123の3本を備える構成に限らず、例えば秒針123を省略してもよい。又は、曜日、サマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う指針や、日付表示等を追加したりしてもよい。
(実施の形態1にかかる電子時計における各タイムゾーンの種別)
図2は、実施の形態1にかかる電子時計における各タイムゾーンの種別の一例を示す図である。図2において、図1に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図2に示すタイムゾーン表示部150a(白抜きで図示)は、図1に示したタイムゾーン表示部150のうち、電子時計100の現在位置に基づいて自動で設定され得る各タイムゾーンを示している。また、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンは、手動によっても設定可能である。タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンには、例えば、「0」、「+1」、「+2」などが含まれる。
図2に示すタイムゾーン表示部150b(ハッチングで図示)は、図1に示したタイムゾーン表示部150のうち、電子時計100の現在位置に基づいて自動で設定されないが、手動によって設定可能な各タイムゾーンを示している。なお、図2においてはタイムゾーン表示部150bをハッチングで図示しているが、タイムゾーン表示部150bの外観は図1に示したようにタイムゾーン表示部150aと同じであってもよい。タイムゾーン表示部150bが示す各タイムゾーンには、図2に示す例では「−4.5」及び「+10.5」が含まれる。
例えば、タイムゾーン表示部150bが示す各タイムゾーンは、過去に採用していた地域(例えば国)が存在していたが、その地域のタイムゾーンが変更され、採用する地域が存在しなくなったタイムゾーンである。このようなタイムゾーンは、電子時計100の現在位置に基づいて自動で設定されることはないが、ユーザによってはこのタイムゾーンによる時刻を電子時計100によって表示させたい場合がある。
これに対して、電子時計100は、自動で設定され得るタイムゾーン(例えばタイムゾーン表示部150aの各タイムゾーン)に加えて、自動で設定されないタイムゾーン(例えばタイムゾーン表示部150bの各タイムゾーン)を、手動で設定可能なタイムゾーンとしている。これにより、ユーザは、電子時計100の現在位置に基づいて自動で設定されないタイムゾーンについても手動で設定することが可能になり、柔軟なタイムゾーンの設定が可能になる。
図2に示すタイムゾーン表示部150c(黒塗りで図示)は、図1に示したタイムゾーン表示部150のうち、自動でも手動でも設定できない各タイムゾーンを示している。なお、図2においてはタイムゾーン表示部150cを黒塗りで図示しているが、タイムゾーン表示部150cの外観は図1に示したようにタイムゾーン表示部150aと同じであってもよい。タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンには、例えば、「+0.5」、「+1.5」、「+2.5」などが含まれる。
また、手動のみの設定であるか手動も自動も設定可能であるかについて、電子時計100の内部時刻に応じて切り替えるようにしてもよい。一例としては、2017年12月31日までは、あるタイムゾーンは自動選択できるが、2018年1月1日以降はそのタイムゾーンは手動でのみ設定可能になるようにしてもよい。これにより、例えば予め地図データの更新データを取得しておき、ある時刻(一例としては2018年1月1日)に地図データを更新する場合に、手動のみの設定であるか手動も自動も設定可能であるかについても自動的に切り替えることができる。
(実施の形態1にかかる電子時計のハードウェア構成)
図3は、実施の形態1にかかる電子時計のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、実施の形態1にかかる電子時計100は、アンテナ310と、受信回路320と、制御回路330と、二次電池340と、スイッチ342と、太陽電池343と、駆動機構350と、時刻表示部351と、操作部360と、により実現される。
アンテナ310は、時刻情報を含んだ電波として衛星から送信される衛星電波を受信する。例えば、アンテナ310は、GPS衛星から送信される衛星電波を受信するパッチアンテナである。ただし、アンテナ310は、パッチアンテナに限らず、例えばチップアンテナや逆Fアンテナなどであってもよい。
受信回路320は、アンテナ310によって受信された衛星電波を復号し、復号の結果得られる衛星電波の内容を示すビット列(受信データ)を出力する。例えば、受信回路320は、高周波回路321(RF回路)及びデコード回路322を含む。
高周波回路321は、高周波数で動作する集積回路である。例えば、高周波回路321は、アンテナ310が受信したアナログ信号に対して増幅及び検波を行うことにより、アンテナ310が受信したアナログ信号をベースバンド信号に変換する。
デコード回路322は、ベースバンド処理を行う集積回路である。例えば、デコード回路322は、高周波回路321が出力するベースバンド信号を復号してGPS衛星から受信したデータの内容を示すビット列を生成する。そして、デコード回路322は、生成したビット列を制御回路330へ出力する。
制御回路330は、演算部331と、ROM332と、RAM333と、RTC334と、モータ駆動回路335と、を含む。ROMはRead Only Memoryの略である。RAMはRandom Access Memory(ランダムアクセスメモリ)の略である。RTCはReal Time Clock(リアルタイムクロック)の略である。制御回路330は、例えばマイクロコンピュータ等の情報処理装置により実現することができる。
演算部331は、ROM332に格納されたプログラムに従って各種の情報処理を行う。演算部331が実行する処理の詳細については後述する。RAM333は、演算部331のワークメモリとして用いられ、演算部331の処理対象となるデータが書き込まれる。例えば、受信回路320によって受信された衛星電波の内容を表すビット列(受信データ)が、RAM333のバッファ領域に順次書き込まれる。RTC334は、電子時計100における計時に使用されるクロック信号を供給する。
また、ROM332には、位置とタイムゾーンとを対応付ける地図データ(例えば図4参照)が記憶される。例えば、演算部331は、受信回路320によって受信された複数の衛星情報に基づいて、電子時計100の現在位置を特定する測位動作を行う。そして、演算部331は、判定した電子時計100の現在位置と、ROM332に記憶された地図データと、に基づいて、電子時計100の現在位置に対応するタイムゾーンを判定する。
また、演算部331は、RTC334から供給される信号によって計時される内部時刻を、受信回路320によって受信された衛星電波に含まれる時刻情報に基づいて修正する。また、演算部331は、修正した内部時刻及び判定したタイムゾーンに基づいて、時刻表示部351に表示すべき時刻(表示時刻)を決定する。
モータ駆動回路335は、演算部331により決定された表示時刻に応じて、後述する駆動機構350に含まれるモータを駆動する駆動信号を出力する。これにより、制御回路330によって決定された表示時刻が時刻表示部351に表示される。
二次電池340は、太陽電池343によって発電された電力を蓄積する。そして、二次電池340は、蓄積した電力を、受信回路320や制御回路330に対して供給する。二次電池340は、例えばリチウムイオン電池等により実現することができる。
二次電池340から受信回路320への電力供給路の途中にはスイッチ342が設けられており、このスイッチ342のオン/オフは制御回路330が出力する制御信号によって切り替えられる。例えば、制御回路330がスイッチ342のオン/オフを切り替えることで、受信回路320の動作タイミングが制御される。この場合に、受信回路320は、スイッチ342を介して二次電池340から電力が供給されている間だけ動作し、その間にアンテナ310が受信した衛星電波の復号を行う。
太陽電池343は、例えば文字板110の裏側に配置されている。そして、太陽電池343は、電子時計100に対して照射される太陽光などの外光によって発電し、発電した電力を二次電池340に供給する。
駆動機構350は、前述したモータ駆動回路335から出力される駆動信号に応じて動作するステップモータと、輪列と、を含んで構成され、ステップモータの回転を輪列が伝達することによって、秒針123などの指針を回転させる。
時刻表示部351は、例えば、図1に示した指針及び文字板110によって構成される。指針は、時針121、分針122及び秒針123からなり、これらの指針が文字板110上を回転することによって現在時刻が表示される。また、後述するように、指針(例えば秒針123)は、複数種類の情報の表示に割り当てられる。
操作部360は、ユーザによる操作を受け付けて、その操作内容を制御回路330に対して出力する。制御回路330は、操作部360が受け付けた操作入力の内容に応じて各種の処理を実行する。例えば、制御回路330は、ユーザによる操作部360に対する操作入力に応じて、衛星電波の受信処理を行う。操作部360は、例えば図1に示したリューズ131、第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133などにより実現することができる。
データ更新モジュール361は、ROM332に記憶される地図データを、電子時計100の外部からの操作に従って更新する。例えば、データ更新モジュール361は、電子時計100に設けられたコイル(例えばモータコイル)を介して磁界の変化による通信を行う非接触通信インタフェースを有し、ROM332に記憶される地図データを、この非接触通信インタフェースにより受信された地図データに更新する。
又は、データ更新モジュール361は、電子時計100の外部の装置との間で有線通信が可能な有線通信インタフェースを有し、ROM332に記憶される地図データを、この有線通信インタフェースにより受信された地図データに更新する。
又は、データ更新モジュール361は、電子時計100の外部の装置との間で無線通信が可能な無線通信インタフェースを有し、ROM332に記憶される地図データを、この無線通信インタフェースにより受信された地図データに更新してもよい。この無線通信インタフェースには、無線LAN、ブルートゥース、セルラ通信など各種の無線通信のインタフェースを用いることができる。ブルートゥースは登録商標である。LANはLocal Area Network(構内通信網)の略である。また、この無線通信インタフェースは、アンテナ310及び受信回路320に含まれていてもよい。
また、データ更新モジュール361は、地図データを更新し、更新前には地図データに含まれていたが更新後の地図データには含まれていないタイムゾーンがある場合はその旨をユーザへ通知してもよい。これにより、地図データの更新により設定不可になったタイムゾーンがある場合にその旨をユーザへ通知することができる。又は、データ更新モジュール361が、その設定不可になったタイムゾーンが地図データの更新前に設定していたタイムゾーンである場合にのみユーザへの通知を行ってもよい。
また、データ更新モジュール361は、地図データを更新し、更新前には地図データに含まれていなかったが更新後の地図データには含まれているタイムゾーンがある場合はその旨をユーザへ通知してもよい。例えば、データ更新モジュール361は、追加されたタイムゾーンとプラス方向に最も近い既存のタイムゾーンと、追加されたタイムゾーンとマイナス方向に最も近い既存のタイムゾーンと、の中間を秒針123により指示することにより通知を行う。これにより、地図データの更新により手動でのみ設定可能なタイムゾーンが追加された場合にその旨をユーザへ通知することができる。
また、データ更新モジュール361は、地図データを更新した場合にその旨をユーザへ通知してもよい。また、データ更新モジュール361は、地図データの更新した時刻(例えば年)をユーザへ通知してもよい。データ更新モジュール361によるユーザへの各種の通知は、例えばデータ更新モジュール361がモータ駆動回路335に対して所定の時刻表示部351の制御を行なうように指示することにより実現することができる。
図3に示した電子時計100において、タイムゾーンを設定する設定部は、演算部331、ROM332、RAM333及びRTC334に基づいて実現することができる。また、設定部により設定されたタイムゾーンに基づく時刻をユーザに通知する通知部は、例えばモータ駆動回路335、駆動機構350及び時刻表示部351により実現することができる。
(実施の形態1にかかる電子時計が有する地図データ)
図4は、実施の形態1にかかる電子時計が有する地図データの一例を示す図である。図3に示した電子時計100のROM332には、例えば図4に示す地図データ400が記憶される。地図データ400は、位置とタイムゾーンとを対応付ける対応情報である。
地図データ400の位置は、例えば図3に示したアンテナ310及び受信回路320により受信される衛星信号から特定される電子時計100の現在位置である。地図データ400のタイムゾーンは、電子時計100の現在位置に対応するタイムゾーンである。
電子時計100は、特定した電子時計100の現在位置に対応するタイムゾーンを地図データ400から判定することができる。例えば、電子時計100の現在位置がP1であった場合は、電子時計100の現在位置に対応するタイムゾーンはZ1であると判断することができる。
図4に示す例では、地図データ400が電子時計100の現在位置とタイムゾーンとを直接的に対応付ける情報である場合について説明したが、地図データ400は電子時計100の現在位置とタイムゾーンとを間接的に対応付ける情報であってもよい。例えば、地図データ400は、電子時計100の現在位置と地域(例えば国)とを対応付ける情報と、地域とタイムゾーンとを対応付ける情報と、の組み合わせによって実現されてもよい。
(実施の形態1にかかる電子時計の衛星電波の受信によるタイムゾーン設定処理)
図5は、実施の形態1にかかる電子時計の衛星電波の受信によるタイムゾーン設定処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態1にかかる電子時計100は、定期的に、又はユーザからの指示(強制)により、例えば図5に示す各ステップを実行する。
まず、電子時計100は、衛星電波を受信する(ステップS501)。ステップS501は、例えば図3に示したアンテナ310及び受信回路320により実行される。つぎに、電子時計100は、ステップS501により受信した衛星電波に基づいて、電子時計100の現在位置を特定する(ステップS502)。ステップS502は、例えば図3に示した演算部331により実行される。
つぎに、電子時計100は、ステップS502により特定した現在位置と地図データに基づくタイムゾーンを判定する(ステップS503)。ステップS503は、例えば図3に示したROM332に記憶された地図データ(例えば図4に示した地図データ400)に基づいて図3に示した演算部331により実行される。
つぎに、電子時計100は、自装置に設定済みのタイムゾーンは手動により設定されたものであるか否かを判断する(ステップS504)。例えば、電子時計100は、自装置に設定済みのタイムゾーンが後述のステップS507により設定されたものである場合は、手動により設定されたものでないと判断することができる。また、電子時計100は、自装置に設定済みのタイムゾーンが後述のステップS507により設定されたものでない場合は、手動により設定されたものであると判断することができる。
例えば、電子時計100は、ステップS507によってタイムゾーンを電子時計100の現在位置に基づいて設定したことを示す情報がROM332又はRAM333に記憶されているか否かに基づいてステップS504の判断を行うことができる。又は、電子時計100は、手動によりタイムゾーンが設定された場合にその旨の情報(フラグ)をROM332又はRAM333に記憶しておき、その情報(フラグ)がROM332又はRAM333に記憶されているか否かに基づいてステップS504の判断を行ってもよい。ステップS504は、例えば図3に示した演算部331により実行される。
ステップS504において、設定済みのタイムゾーンが手動により設定されたものでない場合(ステップS504:No)は、設定済みのタイムゾーンは、電子時計100の現在位置に基づいて自動的に設定されたものであり、ユーザが主体的に設定したのではないと判断することができる。この場合は、電子時計100は、ステップS503により判定したタイムゾーンが指針により指示可能であるか否かを判断する(ステップS505)。この指針は、例えば図1に示した時針121、分針122及び秒針123の少なくともいずれかであり、一例としては秒針123である。指針により指示可能でないタイムゾーンは、例えば、地図データの更新によって新たに追加されたタイムゾーンである。ステップS505は、例えば図3に示した演算部331により実行される。
ステップS505において、判定したタイムゾーンが指針により指示可能である場合(ステップS505:Yes)は、電子時計100は、ステップS507へ移行する。判定したタイムゾーンが指針により指示可能でない場合(ステップS505:No)は、電子時計100は、判定したタイムゾーンの丸め処理を行う(ステップS506)。タイムゾーンの丸め処理は、そのタイムゾーンを指針により指示可能なタイムゾーンに丸める処理である。ステップS506は、例えば図3に示した演算部331により実行される。
つぎに、電子時計100は、自装置のタイムゾーンを設定し、設定したタイムゾーンに基づいて表示時刻を修正し(ステップS507)、一連の処理を終了する。ステップS507において、例えば、電子時計100は、ステップS506を経由してステップS507へ移行した場合はステップS506の丸め処理によって丸められたタイムゾーンを設定する。また、電子時計100は、ステップS506を経由せずにステップS507へ移行した場合はステップS503により判定したタイムゾーンを設定する。また、電子時計100が衛星電波時計である場合は、設定したタイムゾーンと、測位受信時に取得した時刻情報とに基づいて表示時刻を修正する。又は、電子時計100が衛星電波時計ではなく他の通信手段により位置情報だけを取得した場合は、内部時刻にタイムゾーン情報を付与することにより表示時刻を修正する。ステップS504のタイムゾーンの設定は、例えば図3に示した演算部331により実行される。
ステップS507の表示時刻の修正は、例えば図3に示した演算部331がモータ駆動回路335を制御することにより実行される。また、電子時計100は、ステップS507において、将来においてステップS504の判断を行うために、ステップS507によってタイムゾーンを電子時計100の現在位置に基づいて設定したことを示す情報をROM332又はRAM333に記憶してもよい。
ステップS504において、設定済みのタイムゾーンが手動により設定されたものである場合(ステップS504:Yes)は、設定済みのタイムゾーンは、ユーザが主体的に設定したのであると判断することができる。この場合は、電子時計100は、ステップS501による衛星電波の受信が定刻受信であるか否かを判断する(ステップS508)。ステップS508の判断は、例えば、ステップS501が定期的に実行されたか、又はステップS501がユーザからの指示(強制)により実行されたかを判断することにより行うことができる。ステップS508は、例えば図3に示した演算部331により実行される。
ステップS508において、定刻受信でない場合(ステップS508:No)は、衛星電波の受信は、自動的に行われたのではなくユーザの主体的な操作によって行われた強制受信であると判断することができる。この場合は、電子時計100は、ステップS505へ移行して電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンの設定を行う。
ステップS508において、定刻受信である場合(ステップS508:Yes)は、衛星電波の受信は、ユーザの主体的な操作によって行われたのではなく自動的に行われたと判断することができる。この場合は、電子時計100は、設定済みのタイムゾーンと、ステップS503により判定したタイムゾーンと、の時差(絶対値)が所定値以上であるか否かを判断する(ステップS509)。この所定値は、任意の値にすることができるが、一例としては2時間程度とすることができる。ステップS509は、例えば図3に示した演算部331により実行される。
ステップS509において、時差が所定値以上である場合(ステップS509:Yes)は、手動で設定されたタイムゾーンと、電子時計100の現在位置に対応するタイムゾーンと、のずれが大きいと判断することができる。このような状況になる理由として、例えば、国をまたぐ移動により電子時計100の現在位置が大幅に変化したなどの理由が挙げられる。この場合は、電子時計100は、ステップS505へ移行して電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンの設定を行う。これにより、電子時計100のタイムゾーンを、電子時計100の現在位置に対応するタイムゾーンに自動的に修正することができる。
ステップS509において、時差が所定値以上でない場合(ステップS509:No)は、手動で設定されたタイムゾーンと、電子時計100の現在位置に対応するタイムゾーンと、のずれが小さいと判断することができる。この場合は、電子時計100は、一連の処理を終了する。これにより、電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンの設定を行わずに、手動で設定されたタイムゾーンを維持することができる。
図5に示した各ステップにより、電子時計100は、設定済みのタイムゾーンがユーザ操作(手動)により選択されたタイムゾーンでない場合に、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンを設定する。また、設定済みのタイムゾーンがユーザ操作に基づくタイムゾーンである又は設定済みのタイムゾーンがユーザ操作に基づくタイムゾーンと現在位置に基づくタイムゾーンとの変化が小さい場合は、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンを設定しない。これにより、ユーザによる主体的な操作によって設定されたタイムゾーンが自動的に変更されることを回避し、ユーザビリティを向上させることができる。
また、電子時計100は、設定済みのタイムゾーンがユーザ操作に基づくタイムゾーンであっても、ユーザ操作によって地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンの設定を指示(強制受信)された場合は地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンを設定する。これにより、ユーザによる主体的な操作によってタイムゾーンが設定されていても、ユーザによる主体的な操作によって位置情報の受信指示があった場合は地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンを設定し、ユーザビリティを向上させることができる。
また、電子時計100は、設定済みのタイムゾーンがユーザ操作に基づくタイムゾーンであり、ユーザ操作によって地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンの設定を指示されていなくても、設定済みのタイムゾーンと、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンと、の間の時差が所定値以上である場合は地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンを設定する。これにより、例えばユーザが電子時計100とともに地域をまたぐ移動を行い、ユーザが過去に手動で設定したタイムゾーンと現在位置のタイムゾーンとが大きくずれている場合は現在位置のタイムゾーンを設定し、ユーザビリティを向上させることができる。
また、ステップS509において設定済みのタイムゾーンと、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンと、の間の時差が所定値以上か否かを判断する処理について説明したが、このような処理に限らない。例えば、電子時計100は、ステップS509において、設定済みのタイムゾーンを設定した際の電子時計100の位置と、電子時計100の現在位置と、の間の距離が所定値以上か否かを判断してもよい。そして、電子時計100は、この距離が所定値以上である場合はステップS505へ移行し、この距離が所定値以上でない場合は一連の処理を終了する。
又は、電子時計100は、設定済みのタイムゾーンと、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンと、の間の時差が所定値以上であっても、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンを設定しなくてもよい。例えば、ステップS509へ移行した場合は一連の処理を終了するようにしてもよい。又は、ステップS509へ移行した場合に、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づくタイムゾーンを設定するか否かをユーザに問い合わせ、ユーザからの指示に従ってこのタイムゾーンを設定し、又は設定しないようにしてもよい。又は、ステップS509の処理を行うか否かをユーザの操作により設定できるようにしてもよい。ユーザの操作によりステップS509の処理を行わないように設定され、ステップS509へ移行した場合は一連の処理を終了する。
このように、実施の形態1にかかる電子時計100によれば、位置とタイムゾーンとの対応情報及び自装置の位置に基づくタイムゾーンを設定し、又はユーザ操作に基づくタイムゾーンを設定する。そして、ユーザ操作により選択可能なタイムゾーンの数が、位置とタイムゾーンとの対応情報及び自装置の位置に基づいて設定可能なタイムゾーンの数より多い。これにより、ユーザは、電子時計100の位置に基づいて自動で設定されないタイムゾーンについても手動で設定することが可能になり、柔軟なタイムゾーンの設定が可能になる。
また、電子時計100は、対応情報及び自装置の位置に基づいて設定可能なタイムゾーンだけでなく、それらのタイムゾーンとは異なるタイムゾーン(ユーザ操作のみで設定可能なタイムゾーン)を示す各表記部(タイムゾーン表示部150)を備える。これにより、ユーザは、対応情報及び自装置の位置に基づいて自動的に設定されるタイムゾーンの他に、ユーザ操作のみで設定可能なタイムゾーンがあることを認識することができる。
なお、例えば図2に示した例において、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンは自動及び手動で設定可能であり、タイムゾーン表示部150b、150cが示す各タイムゾーンが手動でのみ設定可能である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンは自動及び手動で設定可能であり、タイムゾーン表示部150bが示す各タイムゾーンが手動でのみ設定可能であり、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンが自動でも手動でも設定不可能である構成としてもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2について、実施の形態1と異なる部分について説明する。
(実施の形態2にかかる電子時計のスキップ有りのタイムゾーン設定モードの動作)
図6は、実施の形態2にかかる電子時計のスキップ有りのタイムゾーン設定モードの動作の一例を示す図である。図6において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図6に示す例では、電子時計100はスキップ有りのタイムゾーン設定モードになっている。
スキップ有りのタイムゾーン設定モードは、ユーザが手動で電子時計100のタイムゾーンを設定可能なモードであって、ユーザの操作に応じて設定候補のタイムゾーンを順次切り替える際に、ユーザが選択する可能性が低い一部のタイムゾーンについてはスキップするモードである。ユーザが選択する可能性が低い一部のタイムゾーンは、図6に示す例では、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンである。
スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおいて、例えばリューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に5回転すると、秒針123による指示方向は、指示方向601、指示方向602、指示方向603、指示方向604、指示方向605、指示方向606の順に変化する。
指示方向601は、リューズ131を1段引いた段階の秒針123による指示方向であって、電子時計100に設定されているタイムゾーンを示す方向である。図6に示す例では、指示方向601は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+7」の方向である。
指示方向602は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に1回転させた段階の秒針123による指示方向である。図6に示す例では、指示方向602は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+8」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンに含まれる「+7.5」の方向をスキップし、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+8」の方向を指示する。
指示方向603は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に2回転させた段階の秒針123による指示方向である。図6に示す例では、指示方向603は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+8.5」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンに含まれる「+8.25」の方向をスキップし、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+8.5」の方向を指示する。
指示方向604は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に3回転させた段階の秒針123による指示方向である。図6に示す例では、指示方向604は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+8.75」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+8.75」の方向をスキップせずに指示する。
指示方向605は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に4回転させた段階の秒針123による指示方向である。図6に示す例では、指示方向605は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+9」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+9」の方向をスキップせずに指示する。
指示方向606は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に5回転させた段階の秒針123による指示方向である。図6に示す例では、指示方向606は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+9.5」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンに含まれる「+9.25」の方向をスキップし、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+9.5」の方向を指示する。
図6に示したように、スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおいて、秒針123は、リューズ131の回転に応じて、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンをスキップしつつ、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンを順次指示する。また、スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおいて、秒針123は、リューズ131の回転に応じて、タイムゾーン表示部150bが示す各タイムゾーン(「−4.5」及び「+10.5」)はスキップせずに指示する。
また、実施の形態2にかかる小窓160は、スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおいて、秒針123が指示しているタイムゾーンの種別を表示してもよい。例えば、小窓160における左半分の外周(「SKIP」の文字の付近)には、「M/A」、「M」及び「Non」が表記されている。「M/A」は、自動でも手動でも選択可能なタイムゾーンであることを示す。「M」は、手動でのみ選択可能なタイムゾーンであることを示す。「Non」は、選択できないタイムゾーンであることを示す。
例えば、秒針123が指示方向601〜606を指示しているときは、小窓160の指針161は「M/A」を指示する。また、秒針123がタイムゾーン表示部150b(「−4.5」又は「+10.5」)を指示しているときは、小窓160の指針161は「M」を指示する。これにより、ユーザは、リューズ131を1段引いてリューズ131を回転させるごとに、移動した秒針123が指示するタイムゾーンの種別を認識できる。
また、電子時計100は、スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおいてリューズ131が押し込まれると、そのとき秒針123が指示していたタイムゾーンを自装置のタイムゾーンとして設定する。図6においてはリューズ131が正方向に回転した場合の例を説明したが、リューズ131が逆回転に回転した場合は、図6に示した例とは逆方向に秒針123が移動するようにしてもよい。
図6に示す例では、スキップ対象のタイムゾーンを、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンとする構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、スキップ対象のタイムゾーンは、タイムゾーン表示部150a、150cが示す各タイムゾーンとしてもよい。この場合は、リューズ131の回転に応じて、タイムゾーン表示部150bが示す各タイムゾーン(「−4.5」又は「+10.5」)のみが指示される。これにより、ユーザは、手動でのみ設定可能なタイムゾーン(「−4.5」又は「+10.5」)を設定したい場合は電子時計100をスキップ有りのタイムゾーン設定モードに遷移させることで、そのタイムゾーンを容易な操作により設定することができる。
(実施の形態2にかかる電子時計のスキップ無しのタイムゾーン設定モードの動作)
図7は、実施の形態2にかかる電子時計のスキップ無しのタイムゾーン設定モードの動作の一例を示す図である。図7において、図6に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図7に示す例では、電子時計100はスキップ無しのタイムゾーン設定モード(全選択モード)になっている。
スキップ無しのタイムゾーン設定モードは、ユーザが手動で電子時計100のタイムゾーンを設定可能なモードであって、ユーザの操作に応じて設定候補のタイムゾーンを順次切り替える際に、いずれのタイムゾーンについてもスキップしないモードである。
スキップ無しのタイムゾーン設定モードにおいて、例えばリューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に5回転すると、秒針123による指示方向は、指示方向701、指示方向702、指示方向703、指示方向704、指示方向705、指示方向706の順に変化する。
指示方向701は、リューズ131を1段引いた段階の秒針123による指示方向であって、電子時計100に設定されているタイムゾーンを示す方向である。図7に示す例では、指示方向701は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+7」の方向である。
指示方向702は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に1回転させた段階の秒針123による指示方向である。図7に示す例では、指示方向702は、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンに含まれる「+7.5」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンに含まれる「+7.5」の方向をスキップせずに指示する。
指示方向703は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に2回転させた段階の秒針123による指示方向である。図7に示す例では、指示方向703は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+8」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+8」の方向を指示する。
指示方向704は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に3回転させた段階の秒針123による指示方向である。図7に示す例では、指示方向704は、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンに含まれる「+8.25」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+8.25」の方向をスキップせずに指示する。
指示方向705は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に4回転させた段階の秒針123による指示方向である。図7に示す例では、指示方向705は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+8.5」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+8.5」の方向を指示する。
指示方向706は、リューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に5回転させた段階の秒針123による指示方向である。図7に示す例では、指示方向706は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる「+8.75」の方向である。すなわち、秒針123は、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンに含まれる次の「+8.75」の方向を指示する。
図7に示したように、スキップ無しのタイムゾーン設定モードにおいて、秒針123は、リューズ131の回転に応じて、図6に示した例ではスキップしたタイムゾーンもスキップせずに各タイムゾーンを順次指示する。
また、実施の形態2にかかる小窓160は、スキップ無しのタイムゾーン設定モードにおいて、秒針123が指示しているタイムゾーンの種別を表示してもよい。例えば、秒針123が指示方向701、703、705、706を指示しているときは、小窓160の指針161は「M/A」を指示する。また、秒針123が指示方向702、704を指示しているときは、小窓160の指針161は「M」を指示する。ユーザは、リューズ131を1段引いてリューズ131を回転させるごとに、移動した秒針123が指示するタイムゾーンの種別を認識できる。
また、電子時計100は、スキップ無しのタイムゾーン設定モードにおいてリューズ131が押し込まれると、そのとき秒針123が指示していたタイムゾーンを自装置のタイムゾーンとして設定する。図7においてはリューズ131が正方向に回転した場合の例を説明したが、リューズ131が逆回転に回転した場合は、図7に示した例とは逆方向に秒針123が移動するようにしてもよい。
(実施の形態2にかかる電子時計のスキップ設定修正モードの動作)
図8は、実施の形態2にかかる電子時計のスキップ設定修正モードの動作の一例を示す図である。図8において、図7に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図8に示す例では、電子時計100はスキップ設定修正モードになっている。スキップ設定修正モードは、上述したスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象のタイムゾーンを修正可能なモードである。
スキップ設定修正モードにおいて、例えばリューズ131を1段引いてリューズ131を正方向に5回転すると、秒針123による指示方向は、指示方向801、指示方向802、指示方向803、指示方向804、指示方向805、指示方向806の順に変化する。この秒針123の変化は、図7に示したスキップ無しのタイムゾーン設定モードにおける秒針123の変化と同様である。すなわち、秒針123は、リューズ131の回転に応じて各タイムゾーンをスキップせずに順次指示する。
また、電子時計100は、スキップ設定修正モードにおいてPB操作(例えば第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133の少なくともいずれかの押下)が行われると、そのとき秒針123が指示していたタイムゾーンについて、スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象か否かを切り替える。また、電子時計100は、スキップ設定修正モードにおいてリューズ131が押し込まれると、スキップ設定修正モードを終了する。
また、実施の形態2にかかる小窓160は、スキップ設定修正モードにおいて、秒針123が指示しているタイムゾーンがスキップ対象に設定されているか否かを表示してもよい。例えば、小窓160における右半分の外周には、「ON」及び「OFF」が表記されている。「ON」は、スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象のタイムゾーンであることを示す。「OFF」は、スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象のタイムゾーンでないことを示す。
ここでは、初期状態として、図6、図7に示した例のように、タイムゾーン表示部150a、150bが示す各タイムゾーンはスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象であり、タイムゾーン表示部150cが示す各タイムゾーンはスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象でないとする。
例えば、秒針123が指示方向801、803、805、806を指示しているときは、小窓160の指針161は「OFF」を指示する。また、秒針123が指示方向802、804を指示しているときは、小窓160の指針161は「ON」を指示する。また、秒針123がタイムゾーン表示部150b(「−4.5」又は「+10.5」)を指示しているときは、小窓160の指針161は「OFF」を指示する。これにより、ユーザは、リューズ131を1段引いてリューズ131を回転させるごとに、移動した秒針123が指示するタイムゾーンが現在、スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象であるか否かを認識できる。
また、例えば秒針123が指示方向803を指示しているときは、上述したように小窓160の指針161は「OFF」を示す。この状態でユーザがPB操作を行うと、指針161の指示先は「OFF」から「ON」に切り替わり、指示方向803に対応するタイムゾーン(「+8」)はスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象になる。
また、例えば秒針123が指示方向804を指示しているときは、上述したように小窓160の指針161は「ON」を示す。この状態でユーザがPB操作を行うと、指針161の指示先は「ON」から「OFF」に切り替わり、指示方向804に対応するタイムゾーン(「+8.25」)はスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象ではなくなる。
(実施の形態2にかかる電子時計による設定処理)
図9〜図11は、実施の形態2にかかる電子時計による設定処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態2にかかる電子時計100は、例えば、時刻を表示する時刻表示モード(通常モード)においてリューズ131が引かれると(リューズ引き)、図9〜図11に示す各ステップを実行する。図9〜図11に示す各ステップは、例えば図3に示した演算部331により実行される。
図9に示すように、まず、電子時計100は、設定済みのタイムゾーンをROM332又はRAM333から読み出す(ステップS901)。つぎに、電子時計100は、ステップS901により読み出したタイムゾーンに基づいて、秒針123によるタイムゾーンの指示位置を移動させる(ステップS902)。例えば、電子時計100は、ステップS901により読み出したタイムゾーンを指示するように秒針123によるタイムゾーンの指示位置を移動させる。
つぎに、電子時計100は、PB操作(プッシュボタン操作)が継続されているか否かを判断する(ステップS903)。PB操作は、例えば第1プッシュボタン132及び第2プッシュボタン133の少なくともいずれかを押下する操作である。PB操作が継続されていない場合(ステップS903:No)は、電子時計100は、スキップ有りのタイムゾーン設定モードへ遷移する(ステップS904)。すなわち、ユーザは、PB操作を行わずにリューズ131を引くことにより電子時計100をスキップ有りのタイムゾーン設定モードへ遷移させることができる。
スキップ有りのタイムゾーン設定モードにおいて、電子時計100は、PB操作が所定時間以上継続されているか否かを判断する(ステップS905)。所定時間は、任意の時間とすることができるが、一例としては4秒とすることができる。PB操作が所定時間以上継続されていない場合(ステップS905:No)は、電子時計100は、リューズ131の正回転入力があったか否かを判断する(ステップS906)。正回転入力があった場合(ステップS906:Yes)は、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを+1だけ移動させる(ステップS907)。+1だけ移動させるとは、例えば、正順に最小単位だけ移動させることである。最小単位とは、例えば図1に示した60個のタイムゾーン表示部150が示す各タイムゾーンの各間隔である。
つぎに、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンがスキップ対象のタイムゾーンであるか否かを判断する(ステップS908)。秒針123が指示するタイムゾーンがスキップ対象のタイムゾーンである場合(ステップS908:Yes)は、電子時計100は、ステップS907に戻って指示するタイムゾーンをさらに移動させる。秒針123が指示するタイムゾーンがスキップ対象のタイムゾーンでない場合(ステップS908:No)は、電子時計100はステップS905へ戻る。
ステップS906において、正回転入力がなかった場合(ステップS906:No)は、電子時計100は、リューズ131の逆回転入力があったか否かを判断する(ステップS909)。逆回転入力があった場合(ステップS909:Yes)は、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを−1だけ移動させる(ステップS910)。−1だけ移動させるとは、例えば、逆順に最小単位だけ移動させることである。
つぎに、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンがスキップ対象のタイムゾーンであるか否かを判断する(ステップS911)。秒針123が指示するタイムゾーンがスキップ対象のタイムゾーンである場合(ステップS911:Yes)は、電子時計100は、ステップS910に戻って指示するタイムゾーンをさらに移動させる。秒針123が指示するタイムゾーンがスキップ対象のタイムゾーンでない場合(ステップS911:No)は、電子時計100はステップS905へ戻る。
ステップS909において、逆回転入力がなかった場合(ステップS909:No)は、電子時計100は、リューズ131が押し込まれたか否かを判断する(ステップS912)。リューズ131が押し込まれていない場合(ステップS912:No)は、電子時計100はステップS905へ戻る。
ステップS912において、リューズ131が押し込まれた場合(ステップS912:Yes)は、電子時計100は、自装置のタイムゾーンの設定を、秒針123が指示しているタイムゾーンとなるように更新し(ステップS913)、一連の処理を終了して時刻表示モードへ戻る。ステップS913の後、電子時計100は、更新後のタイムゾーンに基づく時刻を表示する。
ステップS905において、PB操作が所定時間以上継続されている場合(ステップS905:Yes)は、電子時計100は、図10に示すステップS914へ移行し(A)、スキップ無しのタイムゾーン設定モードへ遷移する(ステップS914)。すなわち、ユーザは、電子時計100をスキップ有りのタイムゾーン設定モードへ遷移させてから、PB操作を所定時間以上行うことで、電子時計100をスキップ無しのタイムゾーン設定モードへ遷移させることができる。
スキップ無しのタイムゾーン設定モードにおいて、電子時計100は、リューズ131の正回転入力があったか否かを判断する(ステップS915)。正回転入力があった場合(ステップS915:Yes)は、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを+1だけ移動させ(ステップS916)、ステップS915へ戻る。
ステップS915において、正回転入力がなかった場合(ステップS915:No)は、電子時計100は、リューズ131の逆回転入力があったか否かを判断する(ステップS917)。逆回転入力があった場合(ステップS917:Yes)は、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを−1だけ移動させ(ステップS918)、ステップS915へ戻る。
ステップS917において、逆回転入力がなかった場合(ステップS917:No)は、電子時計100は、リューズ131が押し込まれたか否かを判断する(ステップS919)。リューズ131が押し込まれていない場合(ステップS919:No)は、電子時計100は、ステップS915へ戻る。リューズ131が押し込まれた場合(ステップS919:Yes)は、電子時計100は図9に示すステップS913へ移行する(B)。
図9に示すステップS903において、PB操作が継続されている場合(ステップS903:Yes)は、電子時計100は、図11に示すステップS920へ移行し(C)、スキップ設定修正モードへ遷移する(ステップS920)。すなわち、ユーザは、PB操作を行いながらリューズ131を引くことにより電子時計100をスキップ設定修正モードへ遷移させることができる。
スキップ設定修正モードにおいて、電子時計100は、ステップS921へ移行する。ステップS921〜S924は、ステップS915〜S918と同様である。ステップS923において、逆回転入力がなかった場合(ステップS923:No)は、電子時計100は、PB操作があったか否かを判断する(ステップS925)。
ステップS925において、PB操作がなかった場合(ステップS925:No)は、電子時計100は、ステップS927へ移行する。PB操作があった場合(ステップS925:Yes)は、電子時計100は、そのとき秒針123が指示しているタイムゾーンについてのスキップ設定を変更する(ステップS926)。例えば、電子時計100は、そのタイムゾーンがスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象であった場合は、そのタイムゾーンをスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象から除外する。また、電子時計100は、そのタイムゾーンがスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象でなかった場合は、そのタイムゾーンをスキップ有りのタイムゾーン設定モードにおけるスキップ対象に追加する。
つぎに、電子時計100は、リューズ131が押し込まれたか否かを判断する(ステップS927)。リューズ131が押し込まれていない場合(ステップS927:No)は、電子時計100は、ステップS921へ戻る。リューズ131が押し込まれた場合(ステップS927:Yes)は、電子時計100は、タイムゾーンの設定を更新せずに一連の処理を終了して時刻表示モードへ戻る(D)。
(実施の形態2にかかる電子時計のモード遷移)
図12は、実施の形態2にかかる電子時計のモード遷移の一例を示す図である。実施の形態2にかかる電子時計100は、例えば図12に示す各モードに遷移する。まず、電子時計100は、定常モードとして、時刻表示モード1201へ遷移する。時刻表示モード1201において、電子時計100は、設定済みのタイムゾーンに基づく時刻を時刻表示部351により表示する。
時刻表示モード1201においてリューズが1段引かれると(リューズ1段引き)、電子時計100はスキップ有りのタイムゾーン設定モード1202へ遷移する。スキップ有りのタイムゾーン設定モード1202においてリューズ131が正回転すると、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを、正順に次に選択可能なタイムゾーンに変更する(タイムゾーン正順)。また、スキップ有りのタイムゾーン設定モード1202においてリューズ131が逆回転すると、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを、逆順に次に選択可能なタイムゾーンに変更する(タイムゾーン逆順)。
また、スキップ有りのタイムゾーン設定モード1202においてリューズ131が押し込まれると(リューズ0段引き)、電子時計100は時刻表示モード1201へ戻る。このとき、電子時計100は、自装置のタイムゾーンの設定を、秒針123が指示しているタイムゾーンとなるように更新する。また、スキップ有りのタイムゾーン設定モード1202においてPB操作が所定時間(例えば4秒)以上継続すると、電子時計100はスキップ無しのタイムゾーン設定モード1203へ遷移する。
スキップ無しのタイムゾーン設定モード1203においてリューズ131が正回転すると、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを+1だけ移動させる(タイムゾーン+1)。また、スキップ無しのタイムゾーン設定モード1203においてリューズ131が逆回転すると、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを−1だけ移動させる(タイムゾーン−1)。また、スキップ無しのタイムゾーン設定モード1203においてリューズ131が押し込まれると(リューズ0段引き)、電子時計100は時刻表示モード1201へ戻る。このとき、電子時計100は、自装置のタイムゾーンの設定を、秒針123が指示しているタイムゾーンとなるように更新する。
時刻表示モード1201においてPB操作しながらリューズ131が1段引かれると(リューズ1段引き)、電子時計100はスキップ設定修正モード1204へ遷移する。スキップ設定修正モード1204においてリューズ131が正回転すると、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを+1だけ移動させる(タイムゾーン+1)。また、スキップ設定修正モード1204においてリューズ131が逆回転すると、電子時計100は、秒針123が指示するタイムゾーンを−1だけ移動させる(タイムゾーン−1)。
また、スキップ設定修正モード1204においてPB操作が行われると、電子時計100は、そのとき秒針123が指示しているタイムゾーンのスキップのON/OFFを変更する。例えば、電子時計100は、秒針123が指示しているタイムゾーンがタイムゾーン設定モード1202におけるスキップ対象であった場合は、そのタイムゾーンをタイムゾーン設定モード1202におけるスキップ対象から除外する。また、電子時計100は、秒針123が指示しているタイムゾーンがタイムゾーン設定モード1202におけるスキップ対象でなかった場合は、そのタイムゾーンをタイムゾーン設定モード1202におけるスキップ対象に追加する。また、スキップ設定修正モード1204においてリューズ131が押し込まれると(リューズ0段引き)、電子時計100は時刻表示モード1201へ戻る。
このように、実施の形態2にかかる電子時計100によれば、ユーザ操作に基づくタイムゾーンを設定する場合に、ユーザによる第1操作(例えばリューズ131を1段引いた状態で回転)に応じて選択候補の各タイムゾーンをユーザに順次通知する第1状態(スキップ無しのタイムゾーン設定モード)と、ユーザによる第2操作(例えばリューズ131を1段引いた状態で回転)に応じて選択候補の各タイムゾーンのうちの一部のタイムゾーンを除くタイムゾーンをユーザに順次通知する第2状態(例えばスキップ有りのタイムゾーン設定モード)と、を切り替え可能である。そして、第1状態又は第2状態においてユーザによる第3操作(リューズ131の押し込み)を受け付けた際に通知していたタイムゾーンを設定する。
これにより、電子時計100を第1状態にすることで、選択候補の各タイムゾーンの中からユーザがタイムゾーンを選択することができ、電子時計100を第2状態にすることで、ユーザにより選択される可能性が低いタイムゾーンの通知がスキップされ、ユーザにより選択される可能性が高いタイムゾーンの選択を容易にすることができる。このため、ユーザ操作に基づくタイムゾーンを設定する際のユーザビリティを向上させることができる。
また、第2状態で通知がスキップされるタイムゾーンは、一例としては、図6に示した例のように、選択候補の各タイムゾーンのうちの、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づいて設定可能なタイムゾーンに含まれないタイムゾーン(手動でのみ設定可能なタイムゾーン)とすることができる。ただし第2状態で通知がスキップされるタイムゾーンはこれに限らない。
例えば、第2状態で通知がスキップされるタイムゾーンは、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づいて設定されるタイムゾーンであってもよい。すなわち、ユーザが手動操作によりタイムゾーンを選択する場合は、ユーザはユーザ操作によってのみ選択可能なタイムゾーンを選択したい可能性が高いため、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づいて設定されるタイムゾーンは選択される可能性が低いタイムゾーンといえる。
又は、第2状態で通知がスキップされるタイムゾーンは、現在設定済みのタイムゾーンであってもよい。すなわち、ユーザが手動操作によりタイムゾーンを選択する場合は、ユーザは現在設定済みのタイムゾーンとは異なるタイムゾーンを選択したい可能性が高いため、現在設定済みのタイムゾーンは選択される可能性が低いタイムゾーンといえる。
また、電子時計100は、第2状態で通知がスキップされるタイムゾーンをユーザによる操作に基づいて変更可能な状態(例えばスキップ設定修正モード)へ遷移可能であってもよい。これにより、ユーザは、選択する可能性が低いタイムゾーンについては予め第2状態で通知がスキップされるタイムゾーンに設定しておくことで、第2状態でユーザに通知されるタイムゾーンを、ユーザにより選択される可能性が高いタイムゾーンとすることができ、ユーザビリティを向上させることができる。
また、電子時計100は、ユーザ操作により選択可能なタイムゾーンのそれぞれについて、地図データ及び電子時計100の現在位置に基づいて設定可能であるか否か(例えば「M/A」又は「M」)をユーザに通知してもよい。これにより、ユーザは、各タイムゾーンについて、ユーザ操作及び自動の両方で設定可能なタイムゾーンであるか、ユーザ操作によってのみ設定可能なタイムゾーンであるかを認識することができる。
なお、スキップ有りのタイムゾーン設定モード及びスキップ無しのタイムゾーン設定モードにおいて、小窓160によって各タイムゾーンの種別を表示する構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、タイムゾーンの設定は行わずに、各タイムゾーンの種別を表示するためのモードを設けてもよい。
また、スキップ有りのタイムゾーン設定モードと、スキップ無しのタイムゾーン設定モードと、をリューズ131及びPB操作の組み合わせによって切り替える構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、リューズ131を1段引き出した状態において、リューズ131を正回転(第1操作)させるとスキップ無しで秒針123が指示するタイムゾーンを切り替え、リューズ131を逆回転(第2操作)させるとスキップ有りで秒針123が指示するタイムゾーンを切り替えてもよい。
また、電子時計100は、スキップ有りのタイムゾーン設定モード、スキップ無しのタイムゾーン設定モード及びスキップ設定修正モードと異なるスキップ設定確認モードに遷移可能であってもよい。スキップ設定確認モードにおいて、電子時計100は、ユーザ操作に応じて秒針123をスキップ無しで移動させつつ、秒針123が示すタイムゾーンが、自動でも手動でも選択可能である(「M/A」)か、手動でのみ選択可能である(「M」)か、又は選択できない「Non」かを指針161により通知してもよい。
また、上述したスキップ設定は、電子時計100がスマートフォンやPC(Personal Computer)などの外部機器と通信をすることによって、その外部機器のアプリケーションやソフトウェア上で行うようにしてもよい。
また、電子時計100による過去の測位情報をログとしてROM332等に記憶しておき、ログがあるタイムゾーン(行ったことのある都市)のみ(又はログがあるタイムゾーンと手動設定のみのタイムゾーン)を選択できるようにし、その他のタイムゾーンはスキップするように設定してもよい。この場合に、測位情報のログデータは外部機器などに出力してもよい。さらにこの場合は測位情報のログに基づくスキップ設定をその外部機器のアプリケーションやソフトウェア上で行うようにしてもよい。これにより、電子時計100のROM332等の記憶領域を節約するとともに、電圧低下等による電子時計100のデータの消失があっても測位情報のログの消失を回避することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3について、実施の形態1、2と異なる部分について説明する。
(実施の形態3にかかる電子時計)
図13は、実施の形態3にかかる電子時計の一例を示す図である。図13において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図13に示すように、図2に示したタイムゾーン表示部150a、150b、150cのうちタイムゾーン表示部150cを省いてもよい。
例えば、図13に示すタイムゾーン表示部150bが示す「−4.5」及び「+10.5」は、電子時計100の設計時には採用する地域が存在していたが、現在は採用する地域が存在せず、現在の地図データにおいてはいずれの位置にも対応付けられていないとする。
この場合に、例えば、タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーンは自動及び手動で可能設定とし、タイムゾーン表示部150bが示す各タイムゾーンが手動でのみ設定可能としてもよい。これにより、「−4.5」又は「+10.5」に基づく時刻を電子時計100に表示させたいユーザは、手動により「−4.5」又は「+10.5」を設定することが可能になる。
また、例えば、電子時計100の設計時には「+8.5」を採用する地域が存在せず、図13に示す電子時計100には「+8.5」を示すタイムゾーン表示部150d(点線)は存在しないとする。そして、現在は「+8.5」を採用する地域が存在し、現在の地図データにおいてはその地域と「+8.5」が対応付けられているとする。この場合に、例えば図5に示した処理において、ステップS503によって「+8.5」が特定される。また、ステップS505によって「+8.5」が指針により指示可能でないと判断される。また、ステップS506によって「+8.5」が「+8」又は「+9」に丸められる。また、ステップS507によって「+8」又は「+9」が設定される。
このように、実施の形態3にかかる電子時計100においても、ユーザ操作により選択可能なタイムゾーン(タイムゾーン表示部150a、150bが示す各タイムゾーン)の数が、位置とタイムゾーンとの対応情報及び自装置の位置に基づいて設定可能なタイムゾーン(タイムゾーン表示部150aが示す各タイムゾーン)の数より多い。これにより、ユーザは、電子時計100の位置に基づいて自動で設定されないタイムゾーン(タイムゾーン表示部150bが示す各タイムゾーン)についても手動で設定することが可能になり、柔軟なタイムゾーンの設定が可能になる。
(実施の形態4)
実施の形態4について、実施の形態1〜3と異なる部分について説明する。
(実施の形態4にかかる電子時計)
図14は、実施の形態4にかかる電子時計の一例の一部を示す図である。図14において、図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図14に示すように、実施の形態4にかかる電子時計100のタイムゾーン表示部150の外周には、「+1」、「+2」、「+3」などの時差情報に代えて、又は時差情報とともに、そのタイムゾーンに対応する都市名が表記されていてもよい。図14に示す例では、タイムゾーン表示部150の外周に、時差情報とともに、BJS(北京)、TYO(東京)、ADL(アデレード)、SYD(シドニー)などの都市名が表記されている。これにより、ユーザはタイムゾーンの設定や確認を都市名により行うことができる。
また、図14に示す例のように、同じタイムゾーンであるが異なる都市名を選べるようにしてもよい。例えば、時差「+10」のタイムゾーンにはシドニー(SYD)だけでなくグアム(GUM)やウラジオストク(VLD)も含まれる。このため、受信によって自動的に選択されるのは代表的な都市名(例えばシドニー)のタイムゾーンとし、手動設定では同じタイムゾーンであるグアムやウラジオストク等を選択することができるようにしてもよい。これにより、同じタイムゾーンであっても観測点により近い都市名を選択できるためユーザビリティが向上する。
また、この場合に、図14に示す例のように、同じタイムゾーンの都市名は、隣接して配置し、同じタイムゾーンであることがわかる指標1401〜1404を設けてもよい。例えば、指標1403は、シドニー(SYD)、グアム(GUM)及びウラジオストク(VLD)が同じ時差「+10」のタイムゾーンであることを示している。
また、このように同じタイムゾーンの中でも観測点(ユーザ)により近い都市を選択できることにより、その都市までの距離を指針161等で示してもよい。さらに、電子時計100に方位センサを搭載する場合はその都市の方角を指針161等で示してもよい。
図14に示す例では都市名が電子時計100のベゼルに表記されているが、このような構成に限らない。例えば、都市名は電子時計100の見返しリングに表記されていてもよい。
このように、実施の形態4にかかる電子時計100によれば、タイムゾーンに対応する都市名をベゼル等に表記することにより、ユーザビリティを向上させることができる。
(実施の形態5)
実施の形態5について、実施の形態1〜4と異なる部分について説明する。
(実施の形態5にかかる電子時計)
図15及び図16は、実施の形態5にかかる電子時計の一例の一部を示す図である。図15、図16において、図2と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。図15、図16に示すように、都市名等を表示する電子時計100のベゼルや見返しリングに、液晶や電子ペーパーなどの表示内容を書き換え可能な表示装置1510を用いてもよい。電子ペーパーには、一例としてはE−inkの電子ペーパーを用いることができる。E−inkは登録商標である。
例えば、表示装置1510は、ユーザによる設定等に応じて、タイムゾーンの時差とともに表示する都市名を書き換える。一例としては、図15に示す例のように、時差「+10」のタイムゾーンに対応してシドニー(SYD)が表示されているが、ユーザによる設定に応じて、図16に示す例のように時差「+10」のタイムゾーンに対応してグアム(GUM)が表示されるようにしてもよい。
また、表示装置1510による表示内容の書き換えは、図14に示したように同じタイムゾーンに対応して複数の都市名を表示する場合にも適用可能である。また、図15、図16に示す例のようにタイムゾーンごとに1個の都市名を表示するか、又は図14に示したようにタイムゾーンごとに複数の都市名を表示し得るかを、ユーザ設定に応じて切替可能であってもよい。
図17及び図18は、実施の形態5にかかる電子時計の他の一例の一部を示す図である。図17、図18において、図15、図16と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態5にかかる電子時計100は、表示装置1510に各タイムゾーンの時差を表示し、ROM332の地図データに応じて、各タイムゾーンの時差の表示間隔を切り替えてもよい。一例としては、電子時計100は、表示装置1510の表示内容を、図17に示す表示内容から図18に示す表示内容に切り替えてもよい。
このように、実施の形態5にかかる電子時計100によれば、書き換え可能な表示装置1510を有することで、自動と手動で選べる都市を柔軟に選択可能になる。
なお、上述した各実施の形態において、衛星電波に基づいて電子時計100の現在位置を特定する構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、無線LANやセルラ通信の基地局からの無線信号に基づいて電子時計100の現在位置を特定してもよい。
また、衛星電波に基づいて現在時刻(標準時)を特定する構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、地上の送信局から送信される標準電波に基づいて現在時刻(標準時)を特定してもよい。又は、電子時計100は、他の通信装置(各種基地局や無線端末)から受信した時刻情報に基づいて現在時刻(標準時)を特定してもよい。
また、電子時計100が腕時計である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、懐中時計、置き時計、掛け時計などの時計であってもよい。また、電子時計100が指針により時刻を表示するアナログ時計である構成について説明したが、このような構成に限らない。例えば、電子時計100は、ディスプレイにより時間を表示するデジタル時計、又は音声によって時間を通知する音声時計などであってもよい。
以上説明したように、電子時計によれば、タイムゾーンの柔軟な設定を可能にすることができる。
例えば、従来、リューズやプッシュボタンなどを操作してタイムゾーン(時差や都市名)を指定することによって、現在指定している時刻を、設定したタイムゾーンに対応する時刻に修正する時計が知られている。タイムゾーンは、共通の標準時を使う地域全体であり、例えば標準時間帯、時間帯又は等時帯と呼ばれる場合もある。また、タイムゾーンは、例えばその地域の標準時とUTC(Coordinated Universal Time:協定世界時)との差で示される。一例として、日本は、標準時とUTCとの差が+9であるタイムゾーンに含まれる。このため、日本が含まれるタイムゾーンは、例えば「UTC+9」や「+9」などと表される。
また、GPSなどの衛星電波を取得可能な時計においては、複数の衛星(通常4機)の信号を受信することによって現在地を測定(測位)することができる。このため、タイムゾーンの情報を地図データにおいて対応付けて保持しておくことにより、測位情報と地図データとから現在地のタイムゾーンを割り出すことができる。
各国がどのタイムゾーンに含まれるかは、各国の政治的、経済的理由などによって変更されることがある。各国と各タイムゾーンとの対応関係に変更が生じ、時計のタイムゾーンを含む地図データを更新した場合に、所定のタイムゾーンを使用しなくなったり、元々なかったタイムゾーンが新たに加えられたりすることが想定される。
例えば、過去に発売したモデルの時計の地図データを、現在の地図データにアップデートすることが考えられる。例えば、地図データのアップデートにより使用しなくなったタイムゾーンがあった場合に、ユーザによってはそのタイムゾーンを使用したい場合がある。これに対して、上述した各実施の形態によれば、地図データをアップデートした後において、手動操作で指定できるタイムゾーンの数が、自動受信で指定できるタイムゾーンの数よりも多い。このため、地図データから削除されたタイムゾーンなど、自動受信で指定できないタイムゾーンについても手動操作で指定することができるため、ユーザビリティを向上させることができる。