JP2019031994A - 断熱材の製造方法、および複合断熱材 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリカ骨格を有する多孔質ゲルを用いた断熱材であって、低コストで且つ断熱性能に優れた断熱材を提供する。【解決手段】複合断熱材1は、トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とをテトラアルコキシシラン化合物がアルコキシシラン化合物の総体積に対して4%以上10%以下の範囲となるように配合したゲル原料と、水と、界面活性剤とを含み、且つアルコールを実質含まない水溶液を、アルコキシシラン化合物を加水分解してゾルを生成させたうえで加熱し、アルコキシシラン化合物を重合反応させてゲルを生成し、ゲルをアルコールで洗浄し、ヘキサンで溶媒置換した後、乾燥することにより得られる。【選択図】図1
Description
本発明は、断熱材の製造方法、および複合断熱材に関する。
従来技術として、特許文献1には、アルコキシシランあるいはそのオリゴマーを加水分解・縮重合させることで湿潤ゲルを作製し、これを乾燥させることで、大気圧下での気体分子の平均自由行程以下の孔を有する多孔質ゲルを得る技術が記載されている。
一般に、シリカ骨格を有し内部に空隙が形成された多孔質ゲルは、水溶液中でゲル原料となるアルコキシシラン化合物を重合反応させてゲルを形成した後、溶媒を乾燥させることにより作製される。溶媒を乾燥させる方法としては、例えば超臨界状態の二酸化炭素を用いる超臨界乾燥法や、溶媒を低極性溶媒に置換する溶媒置換法等が存在する。
溶媒を乾燥させる方法として超臨界乾燥法を採用する場合、乾燥に用いる設備のコストが高く、また乾燥に時間や手間を要する。
一方、溶媒を乾燥させる方法として溶媒置換法を採用する場合、ゲル原料として用いるアルコキシシラン化合物の種類や原料水溶液の配合等によっては、置換した溶媒を乾燥させる際にゲルの骨格構造が収縮、破裂して、多孔質ゲルの比表面積や細孔容積が減少するおそれがある。そして、この多孔質ゲルを断熱材として用いた場合には、断熱性能が低下するおそれがある。
一方、溶媒を乾燥させる方法として溶媒置換法を採用する場合、ゲル原料として用いるアルコキシシラン化合物の種類や原料水溶液の配合等によっては、置換した溶媒を乾燥させる際にゲルの骨格構造が収縮、破裂して、多孔質ゲルの比表面積や細孔容積が減少するおそれがある。そして、この多孔質ゲルを断熱材として用いた場合には、断熱性能が低下するおそれがある。
本発明は、シリカ骨格を有する多孔質ゲルを用いた断熱材であって、低コストで且つ断熱性能に優れた断熱材を提供することを目的とする。
本発明が適用される断熱材の製造方法は、トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを当該テトラアルコキシシラン化合物がアルコキシシラン化合物の総体積に対して4%以上10%以下の範囲となるように配合したゲル原料と、水と、界面活性剤とを含み、且つアルコールを実質含まない水溶液を、当該アルコキシシラン化合物を加水分解してゾルを生成させたうえで加熱し、当該アルコキシシラン化合物を重合反応させてゲルを生成し、前記ゲルをアルコールで洗浄し、ヘキサンで溶媒置換した後、乾燥する断熱材の製造方法である。
ここで、前記水溶液に対して繊維構造物を含浸した後、前記アルコキシシラン化合物を重合反応させて、前記ゲルを包含するゲル生成繊維構造物を生成し、前記ゲル生成繊維構造物をアルコールで洗浄し、ヘキサンで溶媒置換した後、乾燥することを特徴とすることができる。
また、前記繊維構造物として、繊維同士がバインダ樹脂により融着された不織布を、前記水溶液に含浸することを特徴とすることができる。
さらに、プラズマ処理またはシランカップリング剤による表面処理が施された前記繊維構造物を前記水溶液に含浸することを特徴とすることができる。
さらにまた、繊維の配向が揃えられた前記繊維構造物を前記水溶液に含浸することを特徴とすることができる。
また、前記界面活性剤として、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムまたは塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いることを特徴とすることができる。
ここで、前記水溶液に対して繊維構造物を含浸した後、前記アルコキシシラン化合物を重合反応させて、前記ゲルを包含するゲル生成繊維構造物を生成し、前記ゲル生成繊維構造物をアルコールで洗浄し、ヘキサンで溶媒置換した後、乾燥することを特徴とすることができる。
また、前記繊維構造物として、繊維同士がバインダ樹脂により融着された不織布を、前記水溶液に含浸することを特徴とすることができる。
さらに、プラズマ処理またはシランカップリング剤による表面処理が施された前記繊維構造物を前記水溶液に含浸することを特徴とすることができる。
さらにまた、繊維の配向が揃えられた前記繊維構造物を前記水溶液に含浸することを特徴とすることができる。
また、前記界面活性剤として、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムまたは塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いることを特徴とすることができる。
また、他の観点からとらえると、本発明が適用される複合断熱材は、繊維構造物と、前記繊維構造物の内部に保持され、トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを重合させてなるシリカ骨格により形成される多孔質構造を有し、BET法により測定される比表面積が550m2/g以上700m2/g以下の範囲であり、BJH法により測定される細孔容積が3.0cm3/g以上4.0cm3/g以下の範囲である多孔質ゲルとを含み、熱伝導率が12.5mW/mK以上14.0mW/mK以下の範囲である複合断熱材である。
ここで、前記多孔質ゲルの前記シリカ骨格は、前記テトラアルコキシシラン化合物に由来する骨格構造を4%以上10%以下の範囲で含むことを特徴とすることができる。
また、前記繊維構造物は、繊維同士がバインダ樹脂で融着された不織布であることを特徴とすることができる。
さらに、前記繊維構造物は、プラズマ処理またはシランカップリング剤による表面処理が施されていることを特徴とすることができる。
さらにまた、前記繊維構造物は、繊維配向が揃えられていることを特徴とすることができる。
ここで、前記多孔質ゲルの前記シリカ骨格は、前記テトラアルコキシシラン化合物に由来する骨格構造を4%以上10%以下の範囲で含むことを特徴とすることができる。
また、前記繊維構造物は、繊維同士がバインダ樹脂で融着された不織布であることを特徴とすることができる。
さらに、前記繊維構造物は、プラズマ処理またはシランカップリング剤による表面処理が施されていることを特徴とすることができる。
さらにまた、前記繊維構造物は、繊維配向が揃えられていることを特徴とすることができる。
本発明によれば、シリカ骨格を有する多孔質ゲルを用いた断熱材であって、低コストで且つ断熱性能に優れた断熱材を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[複合断熱材]
図1は、本実施の形態が適用される複合断熱材1の概略構成を示した図である。複合断熱材1は、繊維構造物2と、多孔質ゲル3とが複合化されている。具体的には、複合断熱材1は、図1に示すように、繊維構造物2を構成する繊維2a同士の間隙に、多孔質ゲル3が保持された構造を有している。
[複合断熱材]
図1は、本実施の形態が適用される複合断熱材1の概略構成を示した図である。複合断熱材1は、繊維構造物2と、多孔質ゲル3とが複合化されている。具体的には、複合断熱材1は、図1に示すように、繊維構造物2を構成する繊維2a同士の間隙に、多孔質ゲル3が保持された構造を有している。
(繊維構造物)
繊維構造物2は、複数の繊維2aが絡み合わさったシート状の部材であり、繊維2a間には空隙が形成されている。繊維構造物2としては、例えば不織布や織布を用いることができ、不織布を用いることが好ましい。また、繊維構造物2として不織布を用いる場合、複数枚の不織布を、例えば糸で縫い合わせる等して重ねて用いてもよい。
繊維構造物2として用いる不織布の材質としては、例えば、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維(グラスファイバ)、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、セルロース繊維等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
繊維構造物2は、複数の繊維2aが絡み合わさったシート状の部材であり、繊維2a間には空隙が形成されている。繊維構造物2としては、例えば不織布や織布を用いることができ、不織布を用いることが好ましい。また、繊維構造物2として不織布を用いる場合、複数枚の不織布を、例えば糸で縫い合わせる等して重ねて用いてもよい。
繊維構造物2として用いる不織布の材質としては、例えば、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ガラス繊維(グラスファイバ)、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、セルロース繊維等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
繊維構造物2としては、これらの中でも、ビニロン繊維またはポリプロピレン繊維からなる不織布を用いることが好ましい。繊維構造物としてビニロン繊維またはポリプロピレン繊維からなる不織布を用いることで、繊維構造物2を構成する繊維2aと多孔質ゲル3との密着性が良好になる。これにより、繊維構造物2から多孔質ゲル3が脱離することが抑制される。
また、繊維構造物2として不織布を用いる場合、不織布を構成する繊維2a同士が融着されていることが好ましい。なお、繊維構造物2の繊維2aは、バインダ樹脂を介して融着されていてもよく、繊維2a同士が直接融着されていてもよい。特に、繊維構造物2としてガラス繊維(グラスファイバ)からなる不織布を用いる場合、ガラス繊維同士が融着された不織布を用いることが好ましい。
繊維構造物2として繊維2a同士が融着された不織布を用いることで、繊維構造物2の強度が向上し、製造過程や使用時に複合断熱材1全体がつぶれにくくなる。この結果、繊維構造物2に保持される多孔質ゲル3内の孔がつぶれにくくなり、複合断熱材1の断熱性能の低下が抑制される。
また、繊維構造物2として繊維2a同士が融着された不織布を用いることで、繊維構造物2内に多孔質ゲル3が保持されやすくなる。これにより、複合断熱材1の熱伝導率を低下させることができる。
また、繊維構造物2として繊維2a同士が融着された不織布を用いることで、繊維構造物2内に多孔質ゲル3が保持されやすくなる。これにより、複合断熱材1の熱伝導率を低下させることができる。
繊維構造物2の繊維2a同士を融着するバインダ樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂等を用いることができる。これらの中でも、PETを用いることが好ましい。
また、繊維構造物2として不織布を用いる場合、不織布を構成する繊維2aの配向が所定方向に揃えられていることが好ましい。言い換えると、繊維構造物2として、不織布の製造における抄紙工程において繊維2aの配向を揃える処理を行った不織布を用いることが好ましい。
繊維構造物2として繊維2aの配向が揃えられた不織布を用いることで、繊維2aの配向が揃えられていない場合と比較して、複合断熱材1における熱伝導率を低下させることができる。
繊維構造物2として繊維2aの配向が揃えられた不織布を用いることで、繊維2aの配向が揃えられていない場合と比較して、複合断熱材1における熱伝導率を低下させることができる。
さらに、繊維構造物2は、プラズマ処理、コロナ処理等のコーティング処理やシランカップリング剤によるコーティング処理が施されていることが好ましい。繊維構造物2にコーティング処理が施されることで、繊維構造物2の親水性が向上する。これにより、後述する複合断熱材1の製造工程において、繊維構造物2の繊維2a間に多孔質ゲル3の原料水溶液が浸み込みやすくなる。また、繊維構造物2の繊維2aと多孔質ゲル3との密着性が向上し、繊維構造物2から多孔質ゲル3が脱離することが抑制される。
(多孔質ゲル)
本実施の形態の多孔質ゲル3は、二酸化ケイ素が立体的に繋がることで形成されたシリカ骨格を有するゲルを溶媒置換により乾燥させることで得られた所謂キセロゲルである。多孔質ゲル3には、シリカ骨格の間に複数の空隙(孔)が形成されている。
詳細については後述するが、本実施の形態の多孔質ゲル3は、アルコキシシラン化合物としてトリアルコキシシラン化合物およびテトラアルコキシシラン化合物を重合させてゲルを生成し、これを溶媒置換により乾燥させることで得られる。これにより、多孔質ゲル3のシリカ骨格には、3つの架橋点を有するトリアルコキシシラン化合物に由来する骨格構造と、4つの架橋点を有するテトラアルコキシシラン化合物に由来する骨格構造とが存在する。
本実施の形態の多孔質ゲル3は、二酸化ケイ素が立体的に繋がることで形成されたシリカ骨格を有するゲルを溶媒置換により乾燥させることで得られた所謂キセロゲルである。多孔質ゲル3には、シリカ骨格の間に複数の空隙(孔)が形成されている。
詳細については後述するが、本実施の形態の多孔質ゲル3は、アルコキシシラン化合物としてトリアルコキシシラン化合物およびテトラアルコキシシラン化合物を重合させてゲルを生成し、これを溶媒置換により乾燥させることで得られる。これにより、多孔質ゲル3のシリカ骨格には、3つの架橋点を有するトリアルコキシシラン化合物に由来する骨格構造と、4つの架橋点を有するテトラアルコキシシラン化合物に由来する骨格構造とが存在する。
多孔質ゲル3の空隙の大きさは、大気圧下での気体分子の平均自由行程以下となっている。これにより、本実施の形態の複合断熱材1では、多孔質ゲル3によって空気の対流による熱伝導を抑制し、断熱性を維持している。
多孔質ゲル3は、BET法による比表面積が、550m2/g以上700m2/g以下の範囲であることが好ましい。多孔質ゲル3のBET法による比表面積が550m2/g未満である場合には、多孔質ゲル3においてシリカ骨格を構成する固体成分が多くなる。このため、シリカ骨格を介した熱伝導が多くなり、複合断熱材1の熱伝導率が大きくなりやすい。一方、多孔質ゲル3のBET法による比表面積が700m2/gよりも大きい場合には、多孔質ゲル3においてシリカ骨格を構成する固体成分が少なくなる。このため、複合断熱材1の製造過程や使用時に、多孔質ゲル3の空隙がつぶれやすくなり、複合断熱材1の熱伝導率が大きくなりやすい。
また、多孔質ゲル3は、BJH法による細孔容積が、3.0cm3/g以上4.0cm3/g以下の範囲であることが好ましい。多孔質ゲル3のBJH法による細孔容積が3.0cm3/g未満である場合には、多孔質ゲル3においてシリカ骨格を構成する固体成分が多くなる。このため、シリカ骨格を介した熱伝導が多くなり、複合断熱材1の熱伝導率が大きくなりやすい。一方、多孔質ゲル3のBJH法による細孔容積が4.0cm3/gよりも大きい場合には、多孔質ゲル3においてシリカ骨格を構成する固体成分が少なくなる。このため、複合断熱材1の製造過程や使用時に、多孔質ゲル3の空隙がつぶれやすくなり、複合断熱材1の熱伝導率が大きくなりやすい。
本実施の形態の複合断熱材1の熱伝導率は、12.5mW/mK以上14.0mW/mK以下の範囲である。これにより、本実施の形態の複合断熱材1は、例えば熱伝導率が20mW/mK程度の硬質ウレタンフォームや熱伝導率が30〜40mW/mK程度の発泡スチロールからなる断熱材と比較して、優れた断熱効率を有する。
[複合断熱材の製造方法]
続いて、本実施の形態が適用される複合断熱材1の製造方法について説明する。複合断熱材1は、まず、原料水溶液を調整し、原料水溶液に繊維構造物2を浸漬する。そして、原料水溶液を加熱して、後述するアルコキシシラン化合物を重合させることで、繊維構造物2の繊維2a間にゲルを形成する。続いて、ゲルが形成された繊維構造物2をメタノールで洗浄した後、ヘキサンを用いて溶媒置換する。その後、予め定めた温度に加熱することで溶媒が完全に揮発するまで乾燥し、繊維構造物2に多孔質ゲル3が複合化された複合断熱材1を得る。
以下、複合断熱材1の製造方法における各工程について、順に説明する。
続いて、本実施の形態が適用される複合断熱材1の製造方法について説明する。複合断熱材1は、まず、原料水溶液を調整し、原料水溶液に繊維構造物2を浸漬する。そして、原料水溶液を加熱して、後述するアルコキシシラン化合物を重合させることで、繊維構造物2の繊維2a間にゲルを形成する。続いて、ゲルが形成された繊維構造物2をメタノールで洗浄した後、ヘキサンを用いて溶媒置換する。その後、予め定めた温度に加熱することで溶媒が完全に揮発するまで乾燥し、繊維構造物2に多孔質ゲル3が複合化された複合断熱材1を得る。
以下、複合断熱材1の製造方法における各工程について、順に説明する。
(原料水溶液調整工程)
ゲル原料であるアルコキシシラン化合物、界面活性剤、水等を予め定められた割合で含有する原料水溶液を調整する。具体的には、酢酸等の酸触媒で酸性に調整された水溶液に対して、アルコキシシラン化合物、界面活性剤等を添加し、溶解させることで、アルコキシシラン化合物が加水分解してゾル化した原料水溶液を調整する。ここで、本実施の形態の複合断熱材1の製造に用いる原料水溶液には、メタノールやエタノール等のアルコールは添加しない。
ゲル原料であるアルコキシシラン化合物、界面活性剤、水等を予め定められた割合で含有する原料水溶液を調整する。具体的には、酢酸等の酸触媒で酸性に調整された水溶液に対して、アルコキシシラン化合物、界面活性剤等を添加し、溶解させることで、アルコキシシラン化合物が加水分解してゾル化した原料水溶液を調整する。ここで、本実施の形態の複合断熱材1の製造に用いる原料水溶液には、メタノールやエタノール等のアルコールは添加しない。
本実施の形態では、ゲル原料であるアルコキシシラン化合物として、トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを、テトラアルコキシシラン化合物がアルコキシシラン化合物の総体積に対して4%以上10%以下の範囲となるように配合した混合物を用いる。
アルコキシシラン化合物におけるテトラアルコキシシラン化合物の配合量が4%未満である場合には、多孔質ゲル3における骨格構造の強度が低下して、空隙がつぶれやすくなる。この場合、複合断熱材1の熱伝導率が大きくなりやすい。
一方、アルコキシシラン化合物におけるテトラアルコキシシラン化合物の配合量が10%よりも多い場合には、後述するゲル化の工程において凝集物が生成されるおそれがある。この場合、多孔質ゲル3における骨格構造が不均一になる場合があり、複合断熱材1の熱伝導率が大きくなりやすい。
一方、アルコキシシラン化合物におけるテトラアルコキシシラン化合物の配合量が10%よりも多い場合には、後述するゲル化の工程において凝集物が生成されるおそれがある。この場合、多孔質ゲル3における骨格構造が不均一になる場合があり、複合断熱材1の熱伝導率が大きくなりやすい。
トリアルコキシシラン化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、トリメトキシシランまたはトリエトキシシランを用いることが好ましく、トリメトキシシランを用いることがより好ましい。
テトラアルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランを用いることが好ましく、テトラメトキシシランを用いることがより好ましい。
なお、アルコキシシラン化合物には、トリアルコキシシラン化合物およびテトラアルコキシシラン化合物の他、ジアルコキシシラン化合物やモノアルコキシシラン化合物を含んでいてもよい。
界面活性剤は、アルコキシシラン化合物を重合反応させゲル化させる過程において、原料水溶液におけるトリアルコキシシラン化合物およびテトラアルコキシシラン化合物の分散性を改善するために添加される。言い換えると、界面活性剤を用いることで、原料水溶液中で、アルコキシシラン化合物の適当な相分離構造が形成される。これにより、多孔質ゲル3の骨格構造が均一となり、多孔質ゲル3に微細な空隙が均一に形成されるようになる。
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。これらの中でも、カチオン性界面活性剤を用いることが好ましく、特に臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムまたは塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いることがより好ましい。
界面活性剤として臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムまたは塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いることで、骨格構造および空隙が均一に形成された多孔質ゲル3を得ることができる。
界面活性剤として臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムまたは塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いることで、骨格構造および空隙が均一に形成された多孔質ゲル3を得ることができる。
原料水溶液に対する界面活性剤の添加量は、アルコキシシラン化合物や界面活性剤の種類等によっても異なるが、例えば、アルコキシシラン化合物の体積1000mL(1000cm3)あたり80g以上86g以下の範囲とすることができる。
原料水溶液には、pHを酸性に調整し、アルコキシシラン化合物の加水分解を促進するための酸触媒を添加することが好ましい。酸触媒としては、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、臭酸、シュウ酸、コハク酸等が挙げられる。これらの中でも、酢酸を用いることが好ましい。
ここで、詳細については後述するが、本実施の形態の複合断熱材1の製造方法では、アルコキシシラン化合物のゲル化工程において、原料水溶液のpHを上昇させることで、重合反応を促進させる。本実施の形態では、原料水溶液に尿素を添加しておき、後述する重合過程において加熱によりアンモニアが発生するようにして、原料水溶液のpHを上昇させる。
なお、後述するゲル化工程において、原料水溶液に塩基触媒を添加することで原料水溶液のpHを上昇させてもよい。塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等の水酸化アルカリ金属や、水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物等が挙げられる。
なお、後述するゲル化工程において、原料水溶液に塩基触媒を添加することで原料水溶液のpHを上昇させてもよい。塩基触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等の水酸化アルカリ金属や、水酸化アンモニウム、フッ化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム化合物等が挙げられる。
上述したように、本実施の形態の複合断熱材1の製造に用いる原料水溶液は、アルコールを含んでいない。ここで、アルコキシシラン化合物を用いてゲルを生成するための原料水溶液には、生成されるゲルの分散性を改善するために、アルコキシシラン化合物を溶解し且つ水との相溶性を有するアルコールを添加することが一般である。これに対し、本実施の形態では、トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを上記の割合で配合したアルコキシシラン化合物を用い、且つ、界面活性剤を添加することで、原料水溶液に対するアルコールの添加を不要としている。
原料水溶液にアルコールを実質含まないことで、ゲル原料中のアルコキシシラン化合物の加水分解によるゾルの生成時間を短縮化することができる。なお、本実施の形態において、原料水溶液がアルコールを実質含まないとは、原料水溶液に対して溶媒としてアルコールを積極的には添加していないことを意味する。
原料水溶液にアルコールを実質含まないことで、ゲル原料中のアルコキシシラン化合物の加水分解によるゾルの生成時間を短縮化することができる。なお、本実施の形態において、原料水溶液がアルコールを実質含まないとは、原料水溶液に対して溶媒としてアルコールを積極的には添加していないことを意味する。
(含浸工程)
続いて、調整した原料水溶液に、予めコーティング処理やバインダ樹脂による融着等の処理を施した繊維構造物2を浸漬する。この際、原料水溶液に対して繊維構造物2が完全に浸かるように浸漬する。これにより、繊維構造物2の繊維2aに原料水溶液が行き渡るようになる。
続いて、調整した原料水溶液に、予めコーティング処理やバインダ樹脂による融着等の処理を施した繊維構造物2を浸漬する。この際、原料水溶液に対して繊維構造物2が完全に浸かるように浸漬する。これにより、繊維構造物2の繊維2aに原料水溶液が行き渡るようになる。
(ゲル化工程)
続いて、繊維構造物2を浸漬した原料水溶液を予め定めた温度に加熱することで、原料水溶液に含まれるアルコキシシラン化合物を重合反応させ、ゲル化させる。付言すると、原料水溶液を加熱することで、原料水溶液に含まれる尿素からアンモニアが発生し、原料水溶液のpHが上昇する。これにより、アルコキシシラン化合物の重合反応が促進され、トリアルコキシシラン化合物およびテトラアルコキシシラン化合物が重合し、繊維構造物2の繊維2a間にゲルが生成される。なお、以下の説明において、繊維2a間にゲルが生成された繊維構造物2を、ゲル生成繊維構造物と称する場合がある。
続いて、繊維構造物2を浸漬した原料水溶液を予め定めた温度に加熱することで、原料水溶液に含まれるアルコキシシラン化合物を重合反応させ、ゲル化させる。付言すると、原料水溶液を加熱することで、原料水溶液に含まれる尿素からアンモニアが発生し、原料水溶液のpHが上昇する。これにより、アルコキシシラン化合物の重合反応が促進され、トリアルコキシシラン化合物およびテトラアルコキシシラン化合物が重合し、繊維構造物2の繊維2a間にゲルが生成される。なお、以下の説明において、繊維2a間にゲルが生成された繊維構造物2を、ゲル生成繊維構造物と称する場合がある。
原料水溶液の加熱温度は、例えば、60℃以上80℃以下の範囲とすることができる。
また、原料水溶液を加熱してゲル化する時間としては、加熱温度等によっても異なるが、例えば、24時間以上120時間以下の範囲とすることができる。
また、原料水溶液を加熱してゲル化する時間としては、加熱温度等によっても異なるが、例えば、24時間以上120時間以下の範囲とすることができる。
また、原料水溶液の加熱によるゲル化を行った後、加熱を継続して養生(エイジング)することが好ましい。養生を行うことで、ゲルを構成するシリカ骨格の結合を強化することができ、後述する乾燥工程での空隙のつぶれ等を抑制することができる。
養生温度は、例えば、60℃以上80℃以下の範囲とすることができる。また、養生時間は、養生温度等によっても異なるが、例えば、5時間以上72時間以下の範囲とすることができる。なお、養生は、ゲル生成繊維構造物を原料水溶液に継続して浸漬したまま行ってもよく、ゲル生成繊維構造物を原料水溶液から取り出して純水等に浸漬して行ってもよい。
養生温度は、例えば、60℃以上80℃以下の範囲とすることができる。また、養生時間は、養生温度等によっても異なるが、例えば、5時間以上72時間以下の範囲とすることができる。なお、養生は、ゲル生成繊維構造物を原料水溶液に継続して浸漬したまま行ってもよく、ゲル生成繊維構造物を原料水溶液から取り出して純水等に浸漬して行ってもよい。
(洗浄工程)
続いて、ゲル生成繊維構造物をアルコールで洗浄する。具体的には、ゲル生成繊維構造物のゲルの空隙内に残存する界面活性剤や未反応のアルコキシシラン化合物、水等をアルコールで洗浄することにより取り除く。
洗浄に用いるアルコールとしては、アルコキシシラン化合物や水、界面活性剤との親和性が高く、また後述する溶媒置換に用いるヘキサンとの親和性が高いものが用いられる。このようなアルコールとして具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、メタノールを用いることが好ましい。
続いて、ゲル生成繊維構造物をアルコールで洗浄する。具体的には、ゲル生成繊維構造物のゲルの空隙内に残存する界面活性剤や未反応のアルコキシシラン化合物、水等をアルコールで洗浄することにより取り除く。
洗浄に用いるアルコールとしては、アルコキシシラン化合物や水、界面活性剤との親和性が高く、また後述する溶媒置換に用いるヘキサンとの親和性が高いものが用いられる。このようなアルコールとして具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、メタノールを用いることが好ましい。
ここで、ゲル生成繊維構造物のゲルに水や界面活性剤等が残存している場合、後述する乾燥工程において水や界面活性剤の減少に伴ってゲルの骨格構造が収縮する。この場合、得られる多孔質ゲル3の比表面積や細孔容積が減少し、複合断熱材1による断熱効率が低下するおそれがある。
これに対し、本実施の形態では、溶媒置換する前にゲル生成繊維構造物をアルコールで洗浄することで、ゲル内に水や界面活性剤が残存することが抑制される。
これに対し、本実施の形態では、溶媒置換する前にゲル生成繊維構造物をアルコールで洗浄することで、ゲル内に水や界面活性剤が残存することが抑制される。
(溶媒置換工程)
続いて、ゲル生成繊維構造物におけるゲルの空隙内に残存するアルコールを、ヘキサンで置換する。
ヘキサンは、洗浄工程に用いるアルコールとの親和性を有し、且つ水や洗浄工程に用いるアルコールと比較して表面張力が小さい溶媒である。したがって、ゲル生成繊維構造物におけるゲルの空隙内をヘキサンで置換することで、後述する乾燥工程において、溶媒の減少に伴うゲルの骨格構造の収縮が抑制される。この結果、多孔質ゲル3の比表面積や細孔容積の減少が抑制され、複合断熱材1による断熱効率の低下が抑制される。
続いて、ゲル生成繊維構造物におけるゲルの空隙内に残存するアルコールを、ヘキサンで置換する。
ヘキサンは、洗浄工程に用いるアルコールとの親和性を有し、且つ水や洗浄工程に用いるアルコールと比較して表面張力が小さい溶媒である。したがって、ゲル生成繊維構造物におけるゲルの空隙内をヘキサンで置換することで、後述する乾燥工程において、溶媒の減少に伴うゲルの骨格構造の収縮が抑制される。この結果、多孔質ゲル3の比表面積や細孔容積の減少が抑制され、複合断熱材1による断熱効率の低下が抑制される。
(乾燥工程)
続いて、ヘキサンで溶媒置換したゲル生成繊維構造物を予め定めた温度で加熱してヘキサンを完全に取り除くことで、繊維構造物2の繊維2a間に生成されたゲルを乾燥し、多孔質ゲル3を生成する。
本実施の形態では、ゲル生成繊維構造物の乾燥工程は、超臨界乾燥法のように高圧環境で行う必要はなく、常圧環境または減圧環境で行うことができる。
続いて、ヘキサンで溶媒置換したゲル生成繊維構造物を予め定めた温度で加熱してヘキサンを完全に取り除くことで、繊維構造物2の繊維2a間に生成されたゲルを乾燥し、多孔質ゲル3を生成する。
本実施の形態では、ゲル生成繊維構造物の乾燥工程は、超臨界乾燥法のように高圧環境で行う必要はなく、常圧環境または減圧環境で行うことができる。
本実施の形態では、上述したように、ゲル原料として、トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを所定の割合で含むアルコキシシラン化合物を用いている。また、原料水溶液に界面活性剤を添加している。これにより、ゲル生成繊維構造物のゲルについて、均一で強固な骨格構造が形成されている。さらに、上述したように、溶媒置換工程においてゲルの空隙内を表面張力の小さいヘキサンにて置換している。
これにより、常圧環境または減圧環境で乾燥工程を行った場合であっても、溶媒の減少に伴う骨格構造の収縮や破裂が抑制される。この結果、微細な空隙が形成された多孔質ゲル3が形成され、複合断熱材1の熱伝導率を低くすることができる。
これにより、常圧環境または減圧環境で乾燥工程を行った場合であっても、溶媒の減少に伴う骨格構造の収縮や破裂が抑制される。この結果、微細な空隙が形成された多孔質ゲル3が形成され、複合断熱材1の熱伝導率を低くすることができる。
以上の工程により、図1に示したように、繊維構造物2の繊維2a間に多孔質ゲル3が形成された複合断熱材1を得ることができる。
以上説明したように、本実施の形態の複合断熱材1の製造方法では、ヘキサンによる溶媒置換を行った後、溶媒を乾燥させることで、超臨界乾燥法を行わずに多孔質ゲル3を作製している。これにより、多孔質ゲル3を作製する場合に超臨界乾燥法を採用する場合と比較して、複合断熱材1の製造に要するコストや手間、時間等を低減することができる。
また、本実施の形態では、多孔質ゲル3のゲル原料として、トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを所定の割合で含むアルコキシシラン化合物を用いている。さらに、原料水溶液に、アルコキシシラン化合物に加えて界面活性剤を添加している。さらにまた、原料水溶液には、アルコールを添加していない。
これにより、原料水溶液中で適当なアルコキシシラン化合物の適当な相分離構造が形成され、微細な空隙が均一に形成された多孔質ゲル3を得ることができる。そして、繊維構造物2と多孔質ゲル3が複合化された複合断熱材1の断熱効率を向上させることができる。
これにより、原料水溶液中で適当なアルコキシシラン化合物の適当な相分離構造が形成され、微細な空隙が均一に形成された多孔質ゲル3を得ることができる。そして、繊維構造物2と多孔質ゲル3が複合化された複合断熱材1の断熱効率を向上させることができる。
[複合断熱材の用途]
本実施の形態の複合断熱材は、保冷や保温等の断熱が必要となる製品に採用することができる。このような製品としては、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、ショーケース、洗濯乾燥機、自動販売機、建築用壁等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施の形態の複合断熱材は、保冷や保温等の断熱が必要となる製品に採用することができる。このような製品としては、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、ショーケース、洗濯乾燥機、自動販売機、建築用壁等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
続いて、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(原料水溶液調整工程)
5mM酢酸水溶液1000mLに対して、界面活性剤として臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム40gを添加し攪拌し、さらに尿素300gを添加して1時間攪拌した。この水溶液に対して、ゲル原料として、トリアルコキシシラン化合物としてトリメトキシシラン475mLと、テトラアルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン25mLとを投入し、30分攪拌した。これにより、アルコキシシラン化合物が加水分解された透明な原料水溶液を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、5%である。また、この原料水溶液には、アルコールは実質含まれていない。
[実施例1]
(原料水溶液調整工程)
5mM酢酸水溶液1000mLに対して、界面活性剤として臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム40gを添加し攪拌し、さらに尿素300gを添加して1時間攪拌した。この水溶液に対して、ゲル原料として、トリアルコキシシラン化合物としてトリメトキシシラン475mLと、テトラアルコキシシラン化合物としてテトラメトキシシラン25mLとを投入し、30分攪拌した。これにより、アルコキシシラン化合物が加水分解された透明な原料水溶液を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、5%である。また、この原料水溶液には、アルコールは実質含まれていない。
(含浸工程、ゲル化工程)
続いて、原料水溶液に対して、PET製の不織布(14.5cm角)14.6gを重ねて糸で縫い合わせることで形成した繊維構造物2を、上記の原料水溶液に完全に浸る状態で浸漬した。
次いで、60℃のオーブンに4日間静置し、繊維構造物2の繊維2a間にゲルを作製した。その後、繊維2a間にゲルが形成された繊維構造物2(ゲル生成繊維構造物)を原料水溶液から取り出し、純水に完全に浸かる状態で浸漬して、60℃の温度条件で1日間(24時間)養生した。
続いて、原料水溶液に対して、PET製の不織布(14.5cm角)14.6gを重ねて糸で縫い合わせることで形成した繊維構造物2を、上記の原料水溶液に完全に浸る状態で浸漬した。
次いで、60℃のオーブンに4日間静置し、繊維構造物2の繊維2a間にゲルを作製した。その後、繊維2a間にゲルが形成された繊維構造物2(ゲル生成繊維構造物)を原料水溶液から取り出し、純水に完全に浸かる状態で浸漬して、60℃の温度条件で1日間(24時間)養生した。
(洗浄工程、溶媒置換工程)
繊維2a間にゲルが形成された繊維構造物2(ゲル生成繊維構造物)を純水から取り出し、メタノールを用いて洗浄した。
続いて、洗浄後のゲル生成繊維構造物をヘキサンに完全に浸かる状態で浸漬し、ゲルの空隙内をヘキサンで置換した。
繊維2a間にゲルが形成された繊維構造物2(ゲル生成繊維構造物)を純水から取り出し、メタノールを用いて洗浄した。
続いて、洗浄後のゲル生成繊維構造物をヘキサンに完全に浸かる状態で浸漬し、ゲルの空隙内をヘキサンで置換した。
(乾燥工程)
ゲルの空隙内をヘキサンで置換したゲル生成繊維構造物を40℃のホットプレートに配置し、溶媒が完全に揮発するまで乾燥して多孔質ゲル3を形成し、複合断熱材1を得た。
ゲルの空隙内をヘキサンで置換したゲル生成繊維構造物を40℃のホットプレートに配置し、溶媒が完全に揮発するまで乾燥して多孔質ゲル3を形成し、複合断熱材1を得た。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、13.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は680m2/gであり、BJH法による細孔容積は3.6cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は95%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、13.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は680m2/gであり、BJH法による細孔容積は3.6cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は95%であった。
[実施例2]
原料水溶液に用いるアルコキシシラン化合物として、トリメトキシシラン465mLと、テトラメトキシシラン35mLとを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、7%である。
原料水溶液に用いるアルコキシシラン化合物として、トリメトキシシラン465mLと、テトラメトキシシラン35mLとを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、7%である。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、14.0mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は640m2/gであり、BJH法による細孔容積は3.4cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、94.8%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、14.0mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は640m2/gであり、BJH法による細孔容積は3.4cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、94.8%であった。
[実施例3]
原料水溶液に用いるアルコキシシラン化合物として、トリメトキシシラン450mLと、テトラメトキシシラン50mLとを用い、界面活性剤として、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム43gを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、10%である。
原料水溶液に用いるアルコキシシラン化合物として、トリメトキシシラン450mLと、テトラメトキシシラン50mLとを用い、界面活性剤として、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム43gを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、10%である。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、12.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は700m2/gであり、BJH法による細孔容積は4.0cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、95%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、12.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は700m2/gであり、BJH法による細孔容積は4.0cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、95%であった。
[実施例4]
原料水溶液に用いる界面活性剤として、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム40gを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。
原料水溶液に用いる界面活性剤として、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム40gを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、13.8mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は650m2/gであり、BJH法による細孔容積は3.5cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、94.8%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、13.8mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は650m2/gであり、BJH法による細孔容積は3.5cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、94.8%であった。
[実施例5]
原料水溶液に浸漬する繊維構造物2として、グラスファイバ製の不織布(14.5cm角)14.6gを重ねて糸で縫い合わせることで形成した繊維構造物2を用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。
原料水溶液に浸漬する繊維構造物2として、グラスファイバ製の不織布(14.5cm角)14.6gを重ねて糸で縫い合わせることで形成した繊維構造物2を用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、13.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は680m2/gであり、BJH法による細孔容積は3.6cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、95%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、13.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は680m2/gであり、BJH法による細孔容積は3.6cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、95%であった。
[実施例6]
原料水溶液に浸漬する繊維構造物2として、グラスファイバ製の不織布(14.5cm角)14.6gを重ねて糸で縫い合わせたものに、SAMCO社製PC−1000にて500W180秒の条件で酸素Plasmaを照射して形成した繊維構造物2を用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材を得た。
原料水溶液に浸漬する繊維構造物2として、グラスファイバ製の不織布(14.5cm角)14.6gを重ねて糸で縫い合わせたものに、SAMCO社製PC−1000にて500W180秒の条件で酸素Plasmaを照射して形成した繊維構造物2を用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材を得た。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、12.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は700m2/gであり、BJH法による細孔容積は4.0cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、95.2%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH社製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、12.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は700m2/gであり、BJH法による細孔容積は4.0cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、95.2%であった。
[比較例1]
原料水溶液に用いるアルコキシシラン化合物として、トリメトキシシラン485mLと、テトラメトキシシラン15mLとを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、3%である。
原料水溶液に用いるアルコキシシラン化合物として、トリメトキシシラン485mLと、テトラメトキシシラン15mLとを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、3%である。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、16.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は510m2/gであり、BJH法による細孔容積は4.1cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、93.5%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、16.5mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は510m2/gであり、BJH法による細孔容積は4.1cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、93.5%であった。
[比較例2]
原料水溶液に用いるアルコキシシラン化合物として、トリメトキシシラン400mLと、テトラメトキシシラン100mLとを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、20%である。
原料水溶液に用いるアルコキシシラン化合物として、トリメトキシシラン400mLと、テトラメトキシシラン100mLとを用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。なお、この原料水溶液においてアルコキシシラン化合物の総体積におけるテトラアルコキシシラン化合物(テトラメトキシシラン)の含有量は、20%である。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、16.2mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は530m2/gであり、BJH法による細孔容積は4.0cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、93.8%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、16.2mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は530m2/gであり、BJH法による細孔容積は4.0cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、93.8%であった。
[比較例3]
原料水溶液に対して、溶媒としてメタノール300mL及び水700mLの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。
原料水溶液に対して、溶媒としてメタノール300mL及び水700mLの混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、複合断熱材1を得た。
(評価)
得られた複合断熱材1についてNETZSCH製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、20mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は460m2/gであり、BJH法による細孔容積は8.0cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、93%であった。
得られた複合断熱材1についてNETZSCH製HFM436/3を用いて測定した熱伝導率は、20mW/mKであった。
また、得られた複合断熱材1について、Micromeritics社製ASAP2010を用いて測定したBET法による比表面積は460m2/gであり、BJH法による細孔容積は8.0cm3/gであった。
さらにまた、得られた複合断熱材1について、石英の密度から算出したゲルの空隙率は、93%であった。
実施例1〜実施例6の複合断熱材1の構成および評価結果について表1に、比較例1〜比較例3の複合断熱材1の構成および評価結果について表2に示す。
表1に示すように、ゲル原料であるアルコキシシラン化合物としてトリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを、テトラアルコキシシラン化合物がアルコキシシラン化合物の総体積に対して4%以上10%以下の範囲となるように配合し、原料水溶液に界面活性剤を添加するとともに、原料水溶液が実質アルコールを含まない実施例1〜実施例6では、骨格構造および空隙が均一に形成され断熱性能の高い複合断熱材1が得られることが確認された。
これに対し、テトラアルコキシシラン化合物の含有量がアルコキシシラン化合物の総体積に対して4%未満である比較例1、10%よりも多い比較例2、および原料水溶液にアルコールを含む比較例3では、実施例1〜実施例6と比べて複合断熱材1の断熱性能が低下することが確認された。
また、実施例1〜実施例6を互いに比較すると、繊維構造物2(グラスファイバ)に対してプラズマ処理を施した実施例6では、繊維構造物2(グラスファイバ)にプラズマ処理を施していない実施例5と比べて、複合断熱材1の熱伝導率が低下し、断熱性能が高まることが確認された。
1…複合断熱材、2…繊維構造物、2a…繊維、3…多孔質ゲル
Claims (11)
- トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを当該テトラアルコキシシラン化合物がアルコキシシラン化合物の総体積に対して4%以上10%以下の範囲となるように配合したゲル原料と、水と、界面活性剤とを含み、且つアルコールを実質含まない水溶液を、当該アルコキシシラン化合物を加水分解してゾルを生成させたうえで加熱し、当該アルコキシシラン化合物を重合反応させてゲルを生成し、
前記ゲルをアルコールで洗浄し、ヘキサンで溶媒置換した後、乾燥する断熱材の製造方法。 - 前記水溶液に対して繊維構造物を含浸した後、前記アルコキシシラン化合物を重合反応させて、前記ゲルを包含するゲル生成繊維構造物を生成し、
前記ゲル生成繊維構造物をアルコールで洗浄し、ヘキサンで溶媒置換した後、乾燥することを特徴とする請求項1に記載の断熱材の製造方法。 - 前記繊維構造物として、繊維同士がバインダ樹脂により融着された不織布を、前記水溶液に含浸することを特徴とする請求項2に記載の断熱材の製造方法。
- プラズマ処理またはシランカップリング剤による表面処理が施された前記繊維構造物を前記水溶液に含浸することを特徴とする請求項2に記載の断熱材の製造方法。
- 繊維の配向が揃えられた前記繊維構造物を前記水溶液に含浸することを特徴とする請求項2に記載の断熱材の製造方法。
- 前記界面活性剤として、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムまたは塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムを用いることを特徴とする請求項1に記載の断熱材の製造方法。
- 繊維構造物と、
前記繊維構造物の内部に保持され、トリアルコキシシラン化合物とテトラアルコキシシラン化合物とを重合させてなるシリカ骨格により形成される多孔質構造を有し、BET法により測定される比表面積が550m2/g以上700m2/g以下の範囲であり、BJH法により測定される細孔容積が3.0cm3/g以上4.0cm3/g以下の範囲である多孔質ゲルとを含み、
熱伝導率が12.5mW/mK以上14.0mW/mK以下の範囲である複合断熱材。 - 前記多孔質ゲルの前記シリカ骨格は、前記テトラアルコキシシラン化合物に由来する骨格構造を4%以上10%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項7に記載の複合断熱材。
- 前記繊維構造物は、繊維同士がバインダ樹脂で融着された不織布であることを特徴とする請求項7に記載の複合断熱材。
- 前記繊維構造物は、プラズマ処理またはシランカップリング剤による表面処理が施されていることを特徴とする請求項7に記載の複合断熱材。
- 前記繊維構造物は、繊維配向が揃えられていることを特徴とする請求項7に記載の複合断熱材。
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