JP2018532685A - 酸化物量子ドットを形成する方法およびその使用 - Google Patents
酸化物量子ドットを形成する方法およびその使用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018532685A JP2018532685A JP2018524510A JP2018524510A JP2018532685A JP 2018532685 A JP2018532685 A JP 2018532685A JP 2018524510 A JP2018524510 A JP 2018524510A JP 2018524510 A JP2018524510 A JP 2018524510A JP 2018532685 A JP2018532685 A JP 2018532685A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- substrate
- quantum dots
- liquid
- transparent conductive
- coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K11/00—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
- C09K11/02—Use of particular materials as binders, particle coatings or suspension media therefor
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01B—CABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
- H01B13/00—Apparatus or processes specially adapted for manufacturing conductors or cables
- H01B13/0026—Apparatus for manufacturing conducting or semi-conducting layers, e.g. deposition of metal
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K11/00—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
- C09K11/08—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
- C09K11/62—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials containing gallium, indium or thallium
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K11/00—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
- C09K11/08—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
- C09K11/66—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials containing germanium, tin or lead
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K11/00—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
- C09K11/08—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
- C09K11/66—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials containing germanium, tin or lead
- C09K11/661—Chalcogenides
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09K—MATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
- C09K11/00—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials
- C09K11/08—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials
- C09K11/70—Luminescent, e.g. electroluminescent, chemiluminescent materials containing inorganic luminescent materials containing phosphorus
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01B—CABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
- H01B5/00—Non-insulated conductors or conductive bodies characterised by their form
- H01B5/14—Non-insulated conductors or conductive bodies characterised by their form comprising conductive layers or films on insulating-supports
-
- H—ELECTRICITY
- H05—ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- H05B—ELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
- H05B3/00—Ohmic-resistance heating
- H05B3/84—Heating arrangements specially adapted for transparent or reflecting areas, e.g. for demisting or de-icing windows, mirrors or vehicle windshields
- H05B3/86—Heating arrangements specially adapted for transparent or reflecting areas, e.g. for demisting or de-icing windows, mirrors or vehicle windshields the heating conductors being embedded in the transparent or reflecting material
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y30/00—Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y40/00—Manufacture or treatment of nanostructures
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Non-Insulated Conductors (AREA)
- Manufacturing Of Electric Cables (AREA)
- Surface Treatment Of Glass (AREA)
- Conductive Materials (AREA)
- Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Glass Compositions (AREA)
Abstract
酸化物量子ドットを形成する方法が開示される。該方法は、酸化物量子ドットの高度に制御された形成を可能にすることができる。酸化物量子ドットを含む組成物も開示される。酸化物量子ドットは、高結晶質であると考えることができ、酸化物量子ドットおよび組成物を、続く高温焼成を必要とせずに周囲条件で利用することを可能にしている。透明な導電性の酸化物量子ドットは、ケイ素、ガラス、ポリマーまたは複合材等を含む様々な基材の大規模な被覆に特別な用途を見出すことができ、除曇または除氷の目的などの導電性能力を必要とする、乗物(自動車、列車、飛行機等など)および/または建物等のフロントガラス、または窓に使用することができる。
Description
酸化物量子ドットを形成する方法が、開示される。基材上に透明な導電性酸化皮膜を形成する方法も、開示される。透明な導電性酸化皮膜は、開示する方法によって形成される酸化物量子ドットを含んでもよい。本明細書で開示する透明な導電性酸化皮膜は、例えば周囲温度などのように、既知の技術が許容するより低い温度で基材上に透明な導電性酸化皮膜を堆積させることができるので、従来可能であったよりも大きな基材、または従来可能であったよりも大規模な基材、または可撓性の基材、または不規則に形作られた基材(凹面もしくは凸面の基材など)に、被覆する能力を提供することができる。したがって、本明細書で開示する酸化物量子ドットおよび透明な導電性酸化皮膜は、限定はされないが、例えば除曇(de−fogging)または除氷(de−icing)の目的などで導電性能力を必要とする、乗物(自動車、列車、飛行機等など)および/または建物等の、フロントガラスまたは窓の大規模な被覆に、特定の用途を見出すことができる。
いくつかの材料は、きわめて小さい場合、量子効果などの新しい性質を示すことが知られている。通常、これらの材料は約10ナノメートル未満であり、「量子ドット」と呼ぶことができる。こうした量子ドットは、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)および化学合成を含むいくつかの技法によって、基材上に堆積した薄膜として形成することができる。
現在PVDおよびCVDの技法は、複雑で高価な真空チャンバーの使用を必要とし、それがこうした薄膜を堆積させることができる基材の大きさを厳格に制限している。化学合成技法は、高い結晶化度を備えた高性能材料を実現するために、通常は高温焼成(約500℃)を必要とする。これは、使用できる基材の種類を制限し、高温焼成中に、被覆材料と基材との間の異なる熱膨張率によって誘発される亀裂を引き起こす可能性があり、それが材料の性能を下げる恐れがある。
空気中の湿気の凝縮による、ガラスなど凝縮物質材料(condensed matter material)上への曇りおよび結氷は、相当問題になりうる。曇りおよび結氷が問題である用途(例えばフロントガラス)で使用する材料の大きさ/寸法のために、これらの問題に対処する試みに使用することができる技法の種類には、深刻な制限がある。したがって、これらの大規模用途で不透明な導電性材料を利用することが一般に必要であった。
背景技術に対する上記の言及は、通常の当業者の共通の一般的知識の一部を該技術が形成することを、容認するということにはならない。上記言及は、本明細書が開示する方法、基材および基材の使用の適用を制限する意図でもない。
第1の態様によれば、酸化物量子ドットを形成する方法が開示される。本明細書で開示する方法は、酸化物量子ドットの高度に制御された形成を可能にすることができる。
該方法は、酸化物量子ドットを形成するための前駆体物質を準備するステップと、前駆体物質を第1の液体中に溶解させるステップとを含む。酸化物量子ドットの核生成は、第1の液体中で促進される。第2の液体も準備される。第2の液体および第1の液体を添加して、液体複合物を形成する。この明細書の文脈では、液体複合物は、単に2種以上の液体の組み合わせを意味する。液体は、2種以上の液体間で界面(すなわち、層状の多相液体)を形成する不混和性であってもよく、または、界面を形成せず、2種以上の液体が実質的に混じり合っている(すなわち、2種以上の液体の実質的に均質な混合が生じている)混和性であってもよい。次いで、液体複合物中の酸化物量子ドットの成長を制御して、得られる量子ドットの大きさ、結晶化度、表面欠陥、形態学および分散性を制御する能力を提供することができる。
様々な酸化物量子ドット、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ホウ素ドープ酸化亜鉛(BZO)、ストロンチウムルテニウム酸化物(SRO)、およびいくつかの導電性ポリマーなどが形成されうる。当業者に理解されるように、必要な量子ドットを実現するために、様々な前駆体を使用することができる。例えば、前駆体物質は、ITOを形成するためのSnCl2およびIn(NO3)3、FTOを形成するためのSnCl2・H2OおよびNH4F、AZOを形成するためのAlCl3およびZn(CH3COO)2・2H2O、ならびにBZOを形成するためのB(OCH3)3およびZn(CH3COO)2・2H2Oを含有していてもよい。けれども、同じ酸化物を得るために、他の前駆体物質を用いてもよいことを認識するべきである。例えば、SnCl2の代わりにSnCl4を代用してもよく、それでもITOは形成されるであろうし、または、AlCl3の代わりにAl(NO3)3もしくはAl(O−i−Pr)3(Al−イソプロポキシド)を代用してもよく、それでもAZOは形成されるであろう。同様に、本明細書で確認される前駆体の代用も既知であり、想定される。簡略化のために、ITOを形成するためのSnCl2またはSnCl4、およびIn(NO3)3に関して、酸化物量子ドット、および酸化物量子ドットを形成する前駆体にさらに言及する。さらに、前駆体物質またはそれぞれの前駆体物質を第1の液体(またはその一部)に独立して溶解させてもよく、混合された一部、または前駆体物質のうちの1つを第1の液体に溶解させてもよく、続いて別の前駆体物質を添加して溶解させてもよいことも認識されるであろう。したがって、前駆体物質を第1の液体に同時に溶解させる必要がないことも認識されるであろう。
いくつかの形態では、第1の液体は純水など水性液体であってもよい。
いくつかの形態では、第2の液体は、エタノール、トリエチレングリコール、エチレングリコール、ヘキサンまたはトルエン等などの有機液体であってもよい。用いる有機液体は、1種以上の前駆体物質との相互作用に基づいて選択してもよい。例えば、前駆体物質の分解に有利な特定の誘電率を備えた有機液体を選択してもよい。これに関連して、有機液体は、水溶液中の前駆体物質と比較して、前駆体物質の分解温度を低下させる可能性がある。さらに、有機液体は、結果として生じる酸化物量子ドットのドーピングレベル、形状および/または大きさを制御するのを助けることができる。
いくつかの形態では、第2の液体は第1の液体中で混和性であってもよい。例えば、第1の液体は水であってもよく、第2の液体はエタノールまたはトリエチレングリコール等であってもよい。
いくつかの形態では、第2の液体は第1の液体中で不混和性であってもよい。例えば、第1の液体は水であってもよく、第2の液体はトルエン、または水中で不混和性の別の液体であってもよい。これに関連して、液体複合物は多相の液体であると考えることができる。不混和性液体間の液−液界面は、核生成プロセスと成長プロセスとを分離させ、それによってより大きな結晶サイズ、より高いドーピングレベル、形態学、結晶化度および分散性制御を可能にする。とにかく、この形態では、第1および第2の液体を互いに添加して、液体複合物を形成する。
いくつかの形態では、界面活性剤を液体複合物に添加してもよい。界面活性剤は、酸化物量子ドットのドーピングレベル、大きさおよび/または形態学を制御するのを助けることができる。例えば、界面活性剤は酸化物量子ドットの表面上に吸収されて、酸化物量子ドットのさらなる成長または凝集を防止することができる。適当な界面活性剤としては、オレイン酸、ポリビニルピロリドン(PVP)等を挙げることができるが、これに限定はされない。
いくつかの形態では、アルカリを液体複合物に添加してもよい。アルカリは、前駆体物質の分解温度を低下させるのを助けることができる。適当なアルカリとしてはNaOH、NH4OH、tert−ブチルアミン等を挙げることができるが、これに限定はされない。より強いアルカリが好ましい場合があり、前駆体物質を好ましい酸化物に還元するのを助けることができる。これに関連して、いくつかの形態では、NH4OHより強いアルカリであるNaOHが好ましい場合がある。
いくつかの形態では、該方法は、液体複合物を高温で処理するステップをさらに含んでもよい。温度を約50℃〜300℃に上げてもよく、いくつかの形態では、温度をさらに高く上げてもよい。別の形態では、該方法は、液体複合物を高圧で処理するステップをさらに含んでもよい。圧力を約1MPa〜20MPaに上げてもよい。1つの形態では、液体複合物を高温および高圧の両方で処理してもよい。こうした処理は、オートクレーブ処理として一般に知られている。
液体複合物の処理は、その温度および/または圧力で行う場合、約1時間〜72時間の持続時間にわたり行うことができる。また、液体複合物が受けうる処理条件(温度、圧力および/または処理持続時間を含む)を変えることによって、酸化物量子ドットの大きさ、形態学および分散性が影響される可能性があることを認識するべきである。
いくつかの形態では、液体複合物の処理に続いて、液体複合物をさらなる処理のために抽出してもよい。このさらなる処理は、酸化物量子ドットをさらに精製することであってもよい。例えば、1つの形態では、さらなる処理は、液体複合物を遠心分離して、酸化物量子ドットの粉末を得る(および第1または第2の液体のいずれかから、酸化物量子ドットを分離する)ことを含んでもよい。
液体複合物の第1と第2の液体が不混和性であり、液体複合物が多相液体として形成される形態では、このさらなる処理は、さらなる処理のために第2の液体を抽出することを含んでもよい。例えば、1つの形態では、さらなる処理は、第2の液体を遠心分離して、酸化物量子ドットの粉末を得る(および残りの第1または第2の液体のいずれかから、酸化物量子ドットを分離する)ことを含んでもよい。
いくつかの形態では、粉末(すなわち遠心分離ステップの途中で分離されるそれらの酸化物量子ドット)を、洗浄によってさらに精製してもよい。例えば、粉末をエタノールで洗浄し、任意の過剰の水、有機溶媒および界面活性剤を除去してもよい。洗浄ステップは2度以上行ってもよい。いったん洗浄されると、精製された酸化物量子ドットの粉末が残る。
粉末または精製された粉末を溶媒の中に分散させて、前記酸化物量子ドットを含む透明なゾルを形成してもよい。溶媒中へ粉末を十分に分散させるために、超音波処理などのさらなる処理を行う必要がありうる。さらなる処理技法に加えて、溶液中の粉末の分散度(dispersivity)を改良するために、界面活性剤をゾルに添加してもよい。界面活性剤は、溶媒の表面張力を変更して、液体−空気界面で(すなわち、液体の空気−表面界面で)、酸化物量子ドットの自己組織化(self−assembly)を促進できると考えられる。
いくつかの形態では、(上述のように)酸化物量子ドットを精製する必要がない可能性があることも認識するべきである。例えば、処理後の液体複合物は、酸化物量子ドットの利用に適した様式にあることができる。例えば、液体複合物の第1と第2の液体が不混和性である形態では、処理された液体複合物から、(既に酸化物量子ドットを含んでいる)第2の液体を抽出し、さらなる処理のない抽出された第2の液体を利用することが可能な場合がある。
いくつかの形態では、酸化物量子ドットを基材上に堆積させて、透明な導電性酸化皮膜を形成することができる。例えば、得られる透明なゾルまたは抽出した第2の液体を、(上述のように)基材上に堆積/被覆して、透明な導電性酸化皮膜を形成してもよい。これに関連して、酸化物量子ドットは、透明な導電性酸化皮膜中で透明な導電体として作用することができる。透明な導電性酸化皮膜を電気的コネクターを介して電源に接続し、それによって電気回路を形成してもよい。電流を流すと、透明な導電性酸化皮膜は電気を通す。
基材としては、ケイ素、ガラス、ポリマーまたは複合材等などの凝縮物質材料を挙げることができる。基材は比較的剛性であってもよく、または比較的可撓性であってもよい。以下で明白になるように、本明細書で開示する透明な導電性酸化皮膜は、透明な導電性酸化皮膜調製のために既知の技法を使用する現在利用可能なものより、はるかに大規模な生産プロセスを用いることが可能である。こうした用途の1つは、透明基材上での透明な導電性酸化皮膜の使用、例えば、除曇または除氷の目的などで導電性能力を必要とする、乗物(自動車、列車、飛行機等など)および/または建物等のフロントガラス、または窓の大規模生産などでありうる。これは、フロントガラスもしくは窓上に量子ドットを直接堆積させることを含んでもよく、または接着性裏材を備えたプラスチック/ポリマー上に量子ドットを堆積させて(例えば印刷)、フロントガラスもしくは窓(例えば既存のフロントガラスもしくは窓への改修)に、プラスチック/ポリマーを接着できるようにすることを含んでもよい。
既知のPVDおよびCVD技法を使用して調製された導電性酸化皮膜は、複雑で高価な真空チャンバーの使用を必要とする。これは、こうした薄膜を堆積させることができる基材の大きさを、厳格に制限する。化学合成技法を使用して調製された導電性酸化皮膜は、高い結晶化度を備えた高性能材料を実現するために、通常高温焼成(約500℃)を必要とする。これは、使用できる基材の種類を厳格に制限する。しかしながら、本明細書で開示する酸化物量子ドットを基材上に堆積させて、(パターン化された電気回路用などの)透明な導電性酸化皮膜を形成する場合には、こうした制限に遭遇しない。周囲条件で酸化物量子ドットを基材上に堆積させることができるので、基材は任意の必要な大きさであることができる(すなわち、基材の大きさは、真空チャンバーの大きさによって制限されない)。さらに、基材上に酸化物量子ドットを堆積させるのに続いて高温焼成段階を必要としないので、高温処理に耐えられないために通常は回避されてきた、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等または複合材などの様々なポリマーを含む基材を、今は使用することができる。これは、同様の理由で使用することができなかった、可撓性基材の上に、酸化物量子ドットを堆積させることも可能にしている。さらに、より多様な基材を用いることができ、より大きく/より巨大な基材の上に堆積させることができるので、該技術を産業のより幅広い取り合わせで用いることができる。
さらに、本明細書で開示する透明な導電性酸化皮膜の使用は、自動車ガラス産業で使用される金属導電性皮膜などの、既知の不透明な導電性皮膜に優る利点を提供することができる。不透明な皮膜は、例えば運転手の視界が見えにくくなる恐れのある範囲を最小にするために、基材と接する最小の表面積を有する必要がある。したがって、最小の表面積にわたって十分な導電性を確実にするために、不透明な材料の比較的厚い被覆が必要な可能性がある(さもないと、不透明な材料によって、運転手の視界が見えにくくなる恐れがある)。いくつかの例では、不透明な皮膜がガラス中のラミネートとして形成されうることにも、気付くべきである。しかしながら、不透明な材料と基材(例えばガラス)との熱膨張係数の差によって、これは内部歪みをもたらす恐れがあり、ガラスの機械的性質を弱め、剥離を引き起こす恐れさえある。
いくつかの形態では、本開示の酸化物量子ドットは、それらが上に堆積している基材(例えばガラスまたは他の酸化物基材)の熱膨張係数にきわめて近い熱膨張係数を有している可能性がある。これに関連して、本開示の酸化物量子ドットは、基材の機械的性質を弱める可能性が非常に低い。さらに、基材上に酸化物量子ドットを堆積させることに続く、高温焼成が必要ではないので、被覆材料と基材との間の異なる熱膨張率によって誘導される、材料性能が劣化する可能性が低減される。
いくつかの形態では、酸化物量子ドットは、透明な導電性酸化皮膜を特定の配置(configuration)で形成することができるように、装飾、形状またはパターンなどの特定の配置で基材上に堆積させることができる。これに関連して、凝縮、曇りまたは氷が消去されるにつれて、メッセージまたはロゴが基材上に現われるように、酸化物量子ドットを基材上に堆積させて、ロゴまたはメッセージの形状にある透明な導電性酸化皮膜を形成することができる。これに関連して、透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)を、電気的コネクターを介して電源に接続し、それによって電気回路を形成してもよい。電流を流すと、透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は電気を通し、基材の局所的な加熱を引き起こし、ロゴまたはメッセージの形状/パターンにおいて、凝縮、曇りまたは氷を消去する。
別の実施形態では、量子ドットを2つ以上の分離された、または不連続な、透明な導電性酸化皮膜として(例えば2つの別個の導電性回路として)、基材上に堆積させてもよい。これは、2つの不連続な皮膜が異なる速度で加熱されることを可能にし、凝縮、曇りまたは氷が、2つの不連続な皮膜近くにおいて、異なる速度で消去されることをもたらす。例えば、2つの不連続な皮膜を、異なる材料から(すなわち、異なる比抵抗/導電性を有する異なる酸化物量子ドットから)形成してもよく、異なる厚さ(したがって異なる比抵抗/導電性)を有する2つの不連続な皮膜を備えた、同じ材質から形成してもよく、または、異なる時刻に電流をそこに流してもよい。これは限定された時刻だけであっても、メッセージを伝えるための多目的なシステムを提供することができる。とはいえ、メッセージを複数回伝えることができることは認識するべきである。例えば、基材が再度曇るまたは再度凍った場合、続く除曇または除氷プロセス中に、メッセージを再度伝えることができる。
酸化物量子ドットを基材上に堆積させる前に、基材の表面エネルギーを低減するために、基材を前処理してもよい。例えば、基材の表面を(例えば脱イオン水、エタノール、アセテート等によって)洗浄してもよく、または、基材を例えばUV照射によって前処理してもよく、または、前処理の組み合わせを利用してもよい。基材の表面エネルギーの低減は、液体−空気界面を拡大させると(すなわち、液体が基材表面上で広がると)考えられ、それによってより薄く、より均一な皮膜の形成をもたらすことができる。
いくつかの形態では、透明な導電性酸化皮膜を、周囲条件(ambient condition)において基材上で乾燥させてもよい。他の形態では、透明な導電性酸化皮膜をUV照射によって乾燥させてもよい。乾燥形態の組み合わせが利用できることを、認識するべきである。これは透明な導電性酸化皮膜の形成に関連する、高温焼成(約500℃)を必要とする、現行の化学的方法に反する。本開示では、基材上に透明な導電性酸化皮膜を堆積させることに続いて、高温焼成ステップが必要ないので、より幅広い取り合わせの材料を基材として使用することができる。例えば、ガラスに加えて、他の透明な材料、例えばケイ素、ポリマーまたは複合材などを用いてもよい。さらに、高温焼成が必要ないので、収縮による割れも最小化または回避することができる。これは、既知の技法と比較すると、かなりのコスト節減も提供することができる。
いくつかの形態では、酸化物量子ドットを基材上にさらに堆積させて、より厚い透明な導電性酸化皮膜を形成してもよい。これに関連して、透明な導電性酸化皮膜の多層が、基材上に堆積されうる。いくつかの形態では、これらの層は透明な導電性酸化物の第1の層/皮膜上に直接堆積されうる。他の形態では、これらの層は、透明な導電性酸化物の第1の(あるいは前の)層/皮膜の上に、前の層が乾燥された後だけに堆積されうる。例えば、層の堆積の間に、上で確認した乾燥技法を用いてもよい。より高い導電性が必要な場合、または異なる導電性部位が必要な場合、より厚く透明な導電性酸化皮膜が好ましい可能性がある。いくつかの形態では、量子ドットを基材上にさらに堆積させて、第1の透明な導電性酸化皮膜から不連続な、(例えば2つの別個の導電性回路として)第2の透明な導電性酸化皮膜を形成してもよい。不連続な皮膜の場合、2つの不連続な皮膜間で電流の流れを変えてもよく、または時間を遅らせてもよい。これによって、基材が除曇または除氷等されているので、メッセージ、パターン、ロゴ等を基材上に表示することが可能になる。
いくつかの形態では、酸化物量子ドットを、インクジェット印刷、スプレー印刷、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレードコーティング、スクリーン印刷/コーティング、グラビア印刷/コーティング、彫刻ロール(engraved roller)印刷/コーティング、コンマバー(commabar)印刷/コーティング、マイクロローラー印刷/コーティング、ナノインプリント(nano−imprint)印刷、バースプレッディング(bar spreading)、浸漬コーティング(dip−coating)、接触コーティング、非接触コーティング、またはこれらの組み合わせを使用して堆積させてもよい。こうした堆積技法は、さもなければ既知のCVD、PVDまたは化学合成技法を使用することが必要なチャンバーの大きさに制限されることなく、大規模な基材上に酸化物量子ドットを堆積させることを可能にする。さらにこうした堆積技法は、既知のCVD、PVDまたは化学合成技法と比較して、かなりのコスト節減を提供することができる。
基材上に酸化物量子ドットを堆積させるための他の多くの形態は、当業者に十分に知られており、したがって、堆積方法自体が本明細書に明示的に定義されていなくとも、本明細書で開示する方法を用いるのに利用可能な方法の一部を形成するということを、認識するべきである。
第2の態様によれば、基材上に透明な導電性酸化皮膜を形成する方法が開示される。該方法は、基材の表面エネルギーを低減するステップと、透明な導電性酸化物の量子ドットを準備するステップと、基材上に量子ドットを堆積させて透明な導電性酸化皮膜を形成するステップとを含む。上で確認したように、基材の表面エネルギーを低減することによって、液体−空気界面は拡大され(すなわち、液体/ゾルは基材表面上で広がり)、より薄く、より均一な皮膜の形成をもたらすことができると考えられる。1つの形態では、基材の表面エネルギーの低減は、基材にUV照射すること、および/または基材表面の他の洗浄を含むことができる。
透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は、電気回路を形成することができる。透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)を、電気的コネクターを介して電源に接続し、それによって電気回路を形成することができる。電流を流すと、透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は、電気を通す。
いくつかの形態では、基材上へのそれらの堆積の前に、量子ドットの表面張力を変更してもよい。例えば、量子ドットを、ゾル(量子ドットのコロイド/懸濁溶液)の形態で提供してもよい。前に仮定したように、ゾルの表面張力を変更することによって、液体−空気界面で(すなわち、液体の空気−表面界面で)、量子ドットの濃縮を促進することができると考えられる。
いくつかの形態では、透明な導電性酸化皮膜を、周囲条件で乾燥させてもよい。他の形態では、透明な導電性酸化皮膜を、UV照射によって乾燥させてもよい。いずれの形態、または形態の組み合わせでも、これは、透明な導電性酸化皮膜の形成と関連する、基材上の皮膜の高温焼成(約500℃)が必要である現行の化学的方法に、それでも反する。通常、透明な導電性酸化皮膜を基材上に堆積させるのに続いて必要な、高温焼成ステップを省くことによって、本開示での基材として、より多様な材料を使用することができる。例えばガラスに加えて、他の透明な材料、例えばケイ素、ポリマーまたは複合材などを用いてもよい。さらに、高温焼成が必要ないので、収縮による割れも最小化または回避することができる。
上で示したように、量子ドットを、他の堆積技法も想定されるが、インクジェット印刷、スクリーン印刷/コーティング、グラビア印刷/コーティング、彫刻ロール印刷/コーティング、コンマバー印刷/コーティング、マイクロローラー印刷/コーティング、ナノインプリント印刷、スプレー印刷、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレードコーティング、バースプレッディング、接触コーティング、浸漬コーティング、非接触コーティング、またはこれらの組み合わせを使用して堆積させてもよい。これは、既知のCVD、PVDおよび化学合成技法に代わる、低コストで大規模な生産を提供することができる。
さらに、第1の態様に関して既に確認したように、本明細書で開示する方法は、いくつかの異なる成果とともに、いくつかの異なる産業で使用するための、いくつかの異なるやり方で用いることができる、多目的な方法を提供する。したがって、この多目的性をここで再び詳細には概説しないが、第1の態様に関して提供する解説は、この第2の態様および本明細書で開示する他の態様に等しく関係があることを、認識するべきである。これに関連して、第2の態様の方法が、第1の態様で定義される方法とは別であってもよい。
さらに、本明細書で開示するのは、第2の態様で定義される透明な導電性酸化皮膜を含む基材でもある。透明な導電性酸化皮膜は、第1の態様で定義される方法によって形成された、酸化物量子ドットから形成することができる。これに関連して、透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は、基材上に電気回路を形成することができる。透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)を、電気的コネクターを介して電源に接続し、それによって電気回路を形成することができる。電流を流すと、透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は、電気を通し、基材の局所的な加熱を引き起こすことができる。
いくつかの形態では、基材は透明であってもよい。透明基材とともに透明な導電性酸化皮膜を使用することによって、いくつかの産業的および商業的用途で、本開示を用いることが可能になる。例えば、基材をフロントガラス、風防ガラス、窓またはガラスペイン(glass pane)として用いてもよい。ガラスペインは、鏡の製作でも用いてもよい。本明細書で開示する方法によって透明な導電性酸化皮膜を備えた基材は、既知のCVD、PVDおよび化学合成技法を使用して入手可能なものより、大きさをはるかに大きくすることができる。基材の大きさに関して課される制限がなく、低コストの堆積方法が利用可能になると、様々な用途のための大規模生産が商業的に実現可能になる。
低コストの堆積方法を使用して、大規模な基材上に透明な導電性酸化皮膜を形成する能力は、現在使用されている不透明な導電性皮膜に、例えば自動車産業のような選択肢を提供することもできる。不透明な導電性皮膜と異なり、本明細書で開示する透明な導電性酸化皮膜は、運転手の視界を妨げることなく、基材のかなりの表面積(例えば乗物の正面、後部または側面窓の相当な部分)にわたって堆積することができる。
例えば、基材の防曇もしくは防氷として作用する(すなわち、基材上に形成された曇りもしくは氷を防ぐ)ように、または基材(すなわち、既に曇ったもしくは凍った基材)を除曇もしくは除氷するために、透明な導電性酸化皮膜を使用して、基材を加熱してもよい。これに関連して、透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)を電気的コネクターを介して電源に接続し、それによって電気回路を形成してもよい。電流を流すと、透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は電気を通し、基材の局所的な加熱を引き起こし、ロゴまたはメッセージの形状/パターンにおいて、凝縮、曇りまたは氷を消去する。例えば窓、風防ガラスから外を依然として見ることができることを確実にする必要がある安全性の懸念が、もはや争点ではないので、透明な導電性酸化皮膜は、基材のより大きな表面積を皮膜で堆積させることができる。
別の形態では、透明な導電性酸化皮膜は、電磁周波数レシーバー(すなわち、アンテナ)として作用してもよい。これは、様々な周波数の電磁波に対する受信能力を高めることができ、必要な用途に応じて、ラジオ、テレビまたは携帯電話(セルホン)の受信状態等を改良することができる。例えば、自動車の窓の皮膜として使用する場合、皮膜はアンテナとして作用して、ラジオおよびデジタル情報の受信状態を改良することができる。
別の形態では、透明な導電性酸化皮膜は、タッチスクリーンおよびディスプレイ用などの電極として作用してもよい。
さらなる態様では、溶媒中に分散した酸化物量子ドットを含む組成物も、本明細書で開示される。これに関連して、酸化物量子ドットは結晶質である。酸化物量子ドットは、高結晶質であると考えてもよい。酸化物量子ドットは、高度晶質であるので、該組成物は続く高温焼成を必要とせず、周囲条件で利用することができる。酸化物量子ドットは、高い結晶化度を備えたナノ結晶と考えてもよい。酸化物量子ドットは、良好な導電性および良好な透明性も有する。特定の溶媒を選択することによって、(比較的)より低い温度で酸化物の分解が可能になり、高結晶質の量子ドットをもたらすことができる。量子ドットの成長を、制御/限定することもできる。量子ドットの粒径が小さいので、密着した包装および高密度の皮膜を実現することができる。したがって、皮膜は高度に透明で導電性である。
いくつかの形態では、組成物は界面活性剤をさらに含んでもよい。溶媒中の酸化物量子ドットの分散度および安定性を改良するために、界面活性剤を組成物に添加してもよい。界面活性剤は、溶媒の表面張力を低下させて、液体−空気界面で(すなわち、液体の空気−表面界面で)、酸化物量子ドットの自己組織化を促進できると考えられる。
組成物は、透明な導電性酸化皮膜の印刷でのインクとして利用しもよい。例えば、インクを、他の塗布技法も想定されるが、インクジェット印刷、スクリーン印刷/コーティング、グラビア印刷/コーティング、彫刻ロール印刷/コーティング、コンマバー印刷/コーティング、マイクロローラー印刷/コーティング、ナノインプリント印刷、スプレー印刷、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレードコーティング、バースプレッディング、接触コーティング、浸漬コーティング、非接触コーティング、またはこれらの組み合わせを使用して塗布してもよい。こうした皮膜は、続く高温焼成を必要とせず、周囲条件で印刷することができる。こうした皮膜は、良好な透明性を維持しながら良好な導電性を有することができる。
透明な導電性酸化皮膜を含む基材も開示される。該皮膜は、結晶質の酸化物量子ドットを含む。酸化物量子ドットは、高結晶質であると考えてもよい。酸化物量子ドットは、高結晶質で、高度に自己組織化性であるので、皮膜は、まだ良好な導電性を実現しながら、続く高温焼成を必要とせずに周囲条件で利用することができる。
酸化物量子ドットは、溶媒中に分散させて基材に塗布してもよい。酸化物量子ドットは、溶媒中に分散する前に結晶質であってもよい。これに関連して、酸化物量子ドットは、他の塗布技法も想定されるが、インクジェット印刷、スクリーン印刷/コーティング、グラビア印刷/コーティング、彫刻ロール印刷/コーティング、コンマバー印刷/コーティング、マイクロローラー印刷/コーティング、ナノインプリント印刷、スプレー印刷、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレードコーティング、バースプレッディング、接触コーティング、浸漬コーティング、非接触コーティング、またはこれらの組み合わせを使用して塗布してもよい。
基材は、ケイ素、ガラス、ポリマーまたは複合材等を含んでもよい。基材は、透明であってもよい。
透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は、基材上で電気回路を形成してもよい。透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は、電気的コネクターを介して電源に接続し、それによって電気回路を形成してもよい。電流を流すと、透明な導電性酸化皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は電気を通し、基材の局所的な加熱を引き起こすことができる。
酸化物量子ドットは、皮膜を特定の配置で形成することができるように、装飾、形状またはパターンなどの特定の配置で基材上に堆積させることができる。これに関連して、皮膜は、ロゴもしくはメッセージ、または回路の形状で形成することができる。これに関連して、皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)を電気的コネクターを介して電源に接続してもよく、電流が流すと、皮膜(すなわち、酸化物量子ドット)は電気を通し、基材の局所的な加熱を引き起こし、ロゴまたはメッセージの形状/パターンにおいて、凝縮、曇りまたは氷を消去する。
基材はフロントガラス、鏡、窓、またはこれに類するものでもよい。上記のように、基材上に形成された凝縮、曇りまたは氷が消去されるように、電流を皮膜に流すことができる。皮膜がロゴ、メッセージまたは回路の形状にある場合、ロゴ、メッセージまたは回路が基材上に現われる。
いくつかの用途を、いくつかは他よりもごく詳細に、本明細書で開示してきたが、より大規模な生産能力、存在するとしてもわずかな基材の大きさに課される制限、低い生産コスト、およびこの技術を使用する(以前は不適当であった)入手可能な基材の取り合わせによって、他の用途が想定されることを認識するべきである。
発明の概要で説明した方法、基材およびその使用の範囲に含まれる可能性がある他の形態にもかかわらず、特定の実施形態をほんの一例として、添付図面を参照しながらここで記述する。
最初に図1を参照して、本明細書で開示するような、量子ドットの成長メカニズムの実施形態の全体的略図を示す。図1に示す略図は、核生成プロセスおよび成長プロセスを分離することが、得られる酸化物量子ドットの大きさ、形態学および分散性を制御する能力に及ぼす役割を強調している。
図1では、前駆体物質(例えば、10:90の重量比のSnCl2およびIn(NO3)3)が、第1の液体、この実施形態では脱イオン水の水性相10に、既に添加されているものとして示される。前駆体物質を変えてもよいことに、気付くべきである。例えば、SnCl4はSnCl2に代用しうる。いくつかの形態では、SnCl4は、得られる酸化物量子ドットの形態学に、より多くの制御を提供でき、SnCl2より好ましい可能性がある。これは1つには、Sn2+(SnCl2)はSn4+(SnCl4)に酸化されて、Sn4+よりも不安定になり得るためである。
水性相10に第2の液体、この実施形態では有機液体12(トルエン)を添加した。有機液体12は、水性相10中で不混和性であり、水性相と有機液体との間に、液−液界面14を含む多相液体の形態で、液体複合物を形成する。次いで、液−液界面での酸化物量子ドットの成長を制御することができ、16、18、20、22、24、26および28で示されるような、得られるドットの大きさ、結晶化度、形態学および分散性を制御する能力を提供する。これに関連して、液体複合物を200℃で48時間オートクレーブ処理した。
オートクレーブを室温に冷却し、多相液体の最上層を遠心分離管へ取り出し、純粋エタノールで洗浄した。これをさらに2回繰り返し、酸化物量子ドットの粉末を残した。図2Aおよび2Bは、得られた酸化物量子ドットの粉末のTEM画像を示す。粉末をトルエン中に分散させて、3分間超音波をかけた。量子ドットの安定して透明なコロイド/懸濁溶液(ゾル)を、このように得た。
ここで、図3を参照して、本明細書で開示するような、量子ドットの成長メカニズムの他の実施形態の全体的な略図を示す。第1の液体(水性相100)に、第2の液体、この実施形態では有機液体102(エタノール)を添加した。他の有機液体を使用してもよく、前駆体物質、形成されている酸化物量子ドット等に応じて、特定の有機液体が好ましい可能性がある。例えば、酸化物量子ドットのドーピングレベルまたは大きさを変えるのに使用できる有機液体は、その誘電率に基づいて選択できる。
この実施形態では、有機液体102は水性相100中で混和性である。したがって、図1に関連して記述する実施形態とは逆に、水性相と有機液体との間に液−液界面は形成されない。それにもかかわらず、水性相および有機液体を含む液体複合物104を形成する。これに関連して、液体複合物は、2つ(水および有機)の液体種類の組み合わせまたは混合を単に意味する。酸化物量子ドットの成長を制御し、得られるドットの大きさ、結晶化度、形態学および分散性を制御する能力を提供するために、アルカリ106および界面活性剤108も液体複合物104に添加した。
液体複合物104を、250℃で24時間オートクレーブ処理した。オートクレーブを室温に冷却し、液体組成物を遠心分離管へ取り出し、遠心分離した。粉末を純粋エタノールで洗浄した。これをさらに2回繰り返し、酸化物量子ドットの粉末を残した。図4Aおよび4Bは、得られた酸化物量子ドットの粉末のTEM画像を示す。粉末をトルエン中で再度分散し、3分間超音波をかけた。量子ドットの安定して透明なコロイド/懸濁溶液(ゾル)を、このように得た。
図1または図3に関連して記述したように、ゾル堆積用のガラス基材を調製するために、ガラス基材を洗浄した。ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのポリマーを含む、他の基材が使用されうることに気付くべきである。図5は、基材をUV処理することが、ゾルの液体−空気界面に及ぼす影響を、概略的に示している。図5Aでは、未処理の基材およびUV処理した基材を概略的に示している。基材をUV処理することは、基材の表面エネルギーを低減し、ゾルの基材上での広がりをもたらす。図5Bは、量子ドットが液体−空気界面に引き寄せられ、規則構造に自己組織化することを示している。
いったんゾルが基材上で乾燥したら、透明な導電性酸化皮膜を含む基材、および比較のベアガラス基材で吸光分光を行った。図1によって調製したゾルに関連して、この吸収分光の結果を図6に示す。透明な導電性酸化皮膜を含む基材は、ベアガラス基材と比較して、可視波長(380〜750nm)で良好な光学的透明性(すなわち、低い吸収)を示し、紫外波長(400〜100nm)で改良された吸収を示すことがわかる。紫外線が引き起こす皮膚および他の損傷の有病率を考えると、特に自動車および建築業でのその潜在的な用途の背景では、この有害な放射線の追加的な吸収は歓迎される。
皮膜の厚さを増加させるまたはドーピングのレベルを調整することによって、透明な導電性酸化皮膜の電気抵抗を低減できることにも、気付くべきである。
方法、基材および基材の使用の非限定的実施例を、図を参照しながらここで記述する。
[実施例1]
10重量%SnドープIn2O3の調製
重量比で10:90のSnCl2およびIn(NO3)3を、脱イオン化された(DI)水中で混合および溶解させた(0.1MのIn3+の分子濃度を与えた)。次いで、混合溶液をオートクレーブへ移した。オートクレーブの中で、等量のトルエンを溶液に添加し、多相液体を形成し、オートクレーブを密閉した。オートクレーブを200℃に48時間加熱した。液−液界面での異なる形態とともに、酸化物量子ドットの成長メカニズムの略図を、図1に示す。
10重量%SnドープIn2O3の調製
重量比で10:90のSnCl2およびIn(NO3)3を、脱イオン化された(DI)水中で混合および溶解させた(0.1MのIn3+の分子濃度を与えた)。次いで、混合溶液をオートクレーブへ移した。オートクレーブの中で、等量のトルエンを溶液に添加し、多相液体を形成し、オートクレーブを密閉した。オートクレーブを200℃に48時間加熱した。液−液界面での異なる形態とともに、酸化物量子ドットの成長メカニズムの略図を、図1に示す。
反応後、オートクレーブを室温に冷却した。溶液の最上層を遠心分離管へ取り出し、純粋エタノールで洗浄した。これをさらに2回繰り返し、量子ドットの粉末を残した。得られた10重量%SnドープIn2O3量子ドットの代表的なTEM画像を、図2Aおよび2Bに示す。
量子ドットの粉末をトルエン中に分散させて、3分間超音波をかけた。量子ドットの安定して透明なコロイド/懸濁溶液(ゾル)を、このように得た。
[実施例2]
改良された分散度を備えた10重量%SnドープIn2O3の調製
実施例1で記述したように、10重量%SnドープIn2O3を調製する手順を繰り返した。この実施例では、SnドープIn2O3の改良された分散度を必要とするので、実施例1で得たゾルに1〜5体積%のオレイン酸を添加した。
改良された分散度を備えた10重量%SnドープIn2O3の調製
実施例1で記述したように、10重量%SnドープIn2O3を調製する手順を繰り返した。この実施例では、SnドープIn2O3の改良された分散度を必要とするので、実施例1で得たゾルに1〜5体積%のオレイン酸を添加した。
実施例1で得たゾルを、この実施例で調製したゾルと、それぞれを通して光源を照らすことによって比較した。実施例1で得たゾルでは、この実施例で調製したゾルよりも光が著しく散乱した。これは、実施例1から得たゾルでは、この実施例で調製したゾルより、量子ドットの凝集がより多く存在している(すなわち、この実施例で調製したゾルは、分散度が改良された)ことを示唆している。これは量子ドットの表面を覆う界面活性剤の結果であり、量子ドットの凝集を防いでいると推論された。
[実施例3]
ガラス基材上の皮膜の調製
実施例2で得たゾルを、ガラス基材上に滴下被覆または印刷した。そうする前に、ガラス基材を洗浄した。この実施例では、ガラス基材(旭硝子、日本)を最初はDI水で、次にエタノールで、最後にアセトンで洗浄した。次いで、UVランプ箱(波長260nm、出力110W)に置いてガラス基材を10分間UV処理し、ガラス基材の表面が清浄であることを確実にした。
ガラス基材上の皮膜の調製
実施例2で得たゾルを、ガラス基材上に滴下被覆または印刷した。そうする前に、ガラス基材を洗浄した。この実施例では、ガラス基材(旭硝子、日本)を最初はDI水で、次にエタノールで、最後にアセトンで洗浄した。次いで、UVランプ箱(波長260nm、出力110W)に置いてガラス基材を10分間UV処理し、ガラス基材の表面が清浄であることを確実にした。
ガラス基材の表面上に滴下被覆または印刷する目的で、50マイクロリットルのアリコートを、実施例2で得たゾルから採取した。いったん量子ドットをガラス基材上に滴下被覆または印刷したら、量子ドットをガラス上に乾燥させて均一で高密度な皮膜を形成するために、UVランプ箱にガラス基材を戻して2時間UV処理した。量子ドットの形成を示す、拡大した液体−空気界面での略図を、図5に示す。図5Bは、拡大した液体−空気界面で、量子ドットの自己組織化性層の形成と考えることができるものも、概略的に示している。
既知の方法と異なり、ガラス基材の表面上に層/皮膜を形成するための、さらなるアニーリング段階が不要であることに気付いた。これはゾルを調製した方法によると理解される。
[実施例4]
吸収特性の試験
実施例3で記述したように、ガラス基材を洗浄する手順を、2つのガラス基材に対して繰り返した。次いで、ガラス基材の1つに、10重量%SnドープIn2O3ゾルの皮膜を、実施例3で記述したように堆積させ、一方、他方のガラス基材はベアガラス基材(すなわち、被覆を適用しない)として残した。
吸収特性の試験
実施例3で記述したように、ガラス基材を洗浄する手順を、2つのガラス基材に対して繰り返した。次いで、ガラス基材の1つに、10重量%SnドープIn2O3ゾルの皮膜を、実施例3で記述したように堆積させ、一方、他方のガラス基材はベアガラス基材(すなわち、被覆を適用しない)として残した。
図6は、透明な導電性酸化皮膜を含む基材、およびベアガラス基材上で行った吸収分光の結果を示す。透明な導電性酸化皮膜を含む基材は、ベアガラス基材と比較して、可視波長(380〜750nm)で良好な光学的透明性(すなわち、低い吸収)を示し、紫外波長(400〜100nm)で改良された吸収を示すことがわかる。
[実施例5]
電気的性質の試験
10重量%SnドープIn2O3で被覆したガラス基材の3つの試料を、3つの試料が異なる皮膜厚さを有するように調製する点を除いて、実施例3によって調製した。この実施例では、ガラス基材上に塗布する皮膜の層の数を変えることによって、これを実現した。いくつかの試料は、前の層がまだ「濡れている」間に、前の層の上に各層を直接堆積させることによって調製した。他の試料は、皮膜の次の層が堆積する前に、皮膜の各層を乾燥させることによって調製した。中間的に乾燥させる段階を備えて調製した試料は、より均一な皮膜を提供するが、これはより多くの時間を消費することが見出された。
電気的性質の試験
10重量%SnドープIn2O3で被覆したガラス基材の3つの試料を、3つの試料が異なる皮膜厚さを有するように調製する点を除いて、実施例3によって調製した。この実施例では、ガラス基材上に塗布する皮膜の層の数を変えることによって、これを実現した。いくつかの試料は、前の層がまだ「濡れている」間に、前の層の上に各層を直接堆積させることによって調製した。他の試料は、皮膜の次の層が堆積する前に、皮膜の各層を乾燥させることによって調製した。中間的に乾燥させる段階を備えて調製した試料は、より均一な皮膜を提供するが、これはより多くの時間を消費することが見出された。
皮膜の厚さまたはドーピングレベルを操作することによって、皮膜の電気抵抗を調節できることに、気付いた。例えば、最も厚い皮膜を備えた試料は、最小の電気抵抗を有することが観察され、最も薄い皮膜を備えた試料は、最大の電気抵抗を有することが観察された。
[実施例6]
ガラス基材上の複数の皮膜の調製
実施例2で調製した10重量%SnドープIn2O3ゾルを、インクジェット印刷によってガラス基材上に、複数の分離された回路(ヒーター)を形成するために使用した。
ガラス基材上の複数の皮膜の調製
実施例2で調製した10重量%SnドープIn2O3ゾルを、インクジェット印刷によってガラス基材上に、複数の分離された回路(ヒーター)を形成するために使用した。
実施例3で記述したように、ガラス基材を洗浄する手順を繰り返した。インクジェットカートリッジに、量子ドットを少なくとも部分的に充填し、洗浄したガラス基材を印刷のために配置した。2本の不連続な平行線を、ガラス基材上に印刷した。ガラス上に量子ドットを乾燥させて、第1と第2の分離された回路(またはヒーター)として使用する、均一で高密度な第1と第2の皮膜を形成するために、このガラス基材を、2時間のUV処理のため、UVランプ箱に戻した。
皮膜の第1の線(回路またはヒーター)は、ガラスの反対の端に取り付けられた電気的コネクターを介して電源に接続し、皮膜の第2の線(回路またはヒーター)は、やはりガラスの反対の端に取り付けられた別の電気的コネクターを介して電源に接続した。
10重量%SnドープIn2O3被覆ガラス基材の除曇および除氷能力を試験するために、基材を蒸気に暴露し、基材表面の曇りを引き起こした(すなわち、基材の温度は空気の露点より低かった)。次いで、第1の電気的コネクター(すなわち、第1の回路に接続された電気的コネクター)に電流を流し、次いで、ほぼ2秒後、第2の電気的コネクター(すなわち、第2の回路に接続された電気的コネクター)に電流を流した。電流が第1の導電性皮膜(回路)を通って通過すると、皮膜は加熱され、凝縮を蒸発させた。おおよそ、2つの回路(またはヒーター)に電流を流す間の遅れの長さのために、第1の回路(またはヒーター)を含有するガラス基材の部位は澄み、一方、第2の回路(またはヒーター)を含む残りのガラス基材は、曇ったままであった。第2の回路(またはヒーター)に電流を流した後、(すなわち、第1回路(またはヒーター)が澄んだ後、おおよそ2秒後)第2の回路(またはヒーター)の部位も澄んだ。
凝縮、曇りまたは氷が消去されるにつれてメッセージまたはロゴが基材上に現われるように、異なる(すなわち、分離されたまたは孤立している)皮膜/回路を使用して、ロゴまたはメッセージを作成することが可能だということが、この実験を行って、明確化された。分離された/孤立している皮膜/回路へ電流を流す時間の遅れによる以外に、異なる比抵抗を有する透明な導電性層を用いることによっても、これを実現できる可能性がある。これに関連して、異なる回路用に異なる厚さを備えた同じ材料を用いることができ、異なる回路用に異なる材料(例えば、異なる比抵抗を有する)を用いることができ、またはこれらの組み合わせであることもできるであろう。
[実施例7]
10重量%SnドープIn2O3の調製
10:90の重量比でSnCl4・H2OおよびIn(NO3)3・xH2Oを、(0.1MのIn3+の分子濃度を与えて)混合した。これに関連して、0.13645gのIn(NO3)3・xH2O、および0.01628gのSnCl4・H2Oを混合した。この実施例では、実施例1と違って、前駆体物質(SnCl4およびIn(NO3)3)を独立して水と混合した。エタノールおよび前駆体物質(水中)を磁気的に撹拌することによって混合し、液体複合物を形成した。いったん粉末が溶媒に完全に溶解したら、0.14350gの水酸化ナトリウム(NaOH)を液体複合物に添加した。1gの界面活性剤、オレイン酸も液体複合物に添加した。
10重量%SnドープIn2O3の調製
10:90の重量比でSnCl4・H2OおよびIn(NO3)3・xH2Oを、(0.1MのIn3+の分子濃度を与えて)混合した。これに関連して、0.13645gのIn(NO3)3・xH2O、および0.01628gのSnCl4・H2Oを混合した。この実施例では、実施例1と違って、前駆体物質(SnCl4およびIn(NO3)3)を独立して水と混合した。エタノールおよび前駆体物質(水中)を磁気的に撹拌することによって混合し、液体複合物を形成した。いったん粉末が溶媒に完全に溶解したら、0.14350gの水酸化ナトリウム(NaOH)を液体複合物に添加した。1gの界面活性剤、オレイン酸も液体複合物に添加した。
追加のエタノールを液体複合物に添加し、30mL以下の液体複合物を作った。次いで、液体複合物をオートクレーブへ移し、オートクレーブを密閉した。オートクレーブを250℃に24時間加熱した。
反応後、オートクレーブを室温に冷却した。液体複合物を遠心分離管へ取り出し、遠心分離し、粉末を純粋エタノールで洗浄した。これを、さらに2回繰り返し、量子ドットの粉末を残した。得られた10重量%SnドープIn2O3量子ドットの代表的なTEM画像を、図4Aおよび4Bに示す。
量子ドットの粉末をトルエン中に分散させた。10μlの界面活性剤(オレイン酸)をさらに添加し、溶液に3分間超音波をかけた。量子ドットの安定して透明なコロイド/懸濁溶液(ゾル)を、このように得た。
本明細書で開示する方法、基材および基材の使用の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの他の変更がなされうることを、当業者は理解するであろう。
以下の特許請求の範囲および上記の説明において、明示的な言語または必然的な含意により、文脈がそれ以外のことを要求する場合を除いて、「含む(comprise)」という単語、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などのその変形は、包括的な意味で使用され、すなわち、記述された特徴の存在を規定するが、本明細書で開示する方法、基材および基材の使用の様々な実施形態において、さらなる特徴の存在または追加を排除しない。
Claims (49)
- 酸化物量子ドットを形成する方法であって、
酸化物量子ドットを形成するための前駆体物質を準備するステップと、
前記酸化物量子ドットの核生成が促進される第1の液体中に、前記前駆体物質を溶解させるステップと、
第2の液体を準備するステップと、
前記第2の液体および前記第1の液体を一緒に添加して、液体複合物を形成するステップと、
前記液体複合物中における前記酸化物量子ドットの成長を制御するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 請求項1に記載の方法であって、前記第1の液体が水性液体であることを特徴とする方法。
- 請求項1または請求項2に記載の方法であって、前記第2の液体が有機液体であることを特徴とする方法。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の方法であって、前記第2の液体が前記第1の液体中で不混和性であることを特徴とする方法。
- 請求項4に記載の方法であって、形成された前記液体複合物が多相であって、前記第1および前記第2の液体の間に液−液界面を含み、前記酸化物量子ドットの成長が前記液−液界面で制御されることを特徴とする方法。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の方法であって、界面活性剤を前記液体複合物に添加するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
- 請求項1から6のいずれか1項に記載の方法であって、アルカリを前記液体複合物に添加するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の方法であって、前記液体複合物を高温で処理するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
- 請求項8に記載の方法であって、前記温度を約50℃〜約300℃に上げることを特徴とする方法。
- 請求項1から9のいずれか1項に記載の方法であって、前記液体複合物を高圧で処理するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
- 請求項10に記載の方法であって、前記圧力を約1MPa〜約20MPaに上げることを特徴とする方法。
- 請求項8から11のいずれか1項に記載の方法であって、前記多相液体を約1時間〜約72時間処理することを特徴とする方法。
- 請求項8から12のいずれか1項に記載の方法であって、前記液体複合物を処理するステップに続いて、前記液体複合物をさらなる処理のために抽出することを特徴とする方法。
- 請求項13に記載の方法であって、前記さらなる処理が、前記液体複合物を遠心分離して、前記酸化物量子ドットの粉末を得ることを含むことを特徴とする方法。
- 請求項14に記載の方法であって、前記粉末を洗浄によりさらに精製することを特徴とする方法。
- 請求項14または15に記載の方法であって、前記粉末を溶媒中に分散させて、前記酸化物量子ドットを含む透明なゾルを形成することを特徴とする方法。
- 請求項16に記載の方法であって、界面活性剤を前記ゾルに添加するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
- 請求項16または17に記載の方法であって、前記ゾルを基材上に堆積させて、透明な導電性酸化皮膜を形成することを特徴とする方法。
- 請求項18に記載の方法であって、前記基材上に前記ゾルを堆積させる前に、前記基材を前処理してその表面エネルギーを低減することを特徴とする方法。
- 請求項19に記載の方法であって、前記基材をUV照射によって前処理することを特徴とする方法。
- 請求項18から20のいずれか1項に記載の方法であって、前記透明な導電性酸化皮膜を周囲条件で乾燥させることを特徴とする方法。
- 請求項18から21のいずれか1項に記載の方法であって、前記透明な導電性酸化皮膜をUV照射によって乾燥させることを特徴とする方法。
- 請求項18から22のいずれか1項に記載の方法であって、前記ゾルを前記基材上にさらに堆積させて、より厚い透明な導電性酸化皮膜を形成することを特徴とする方法。
- 請求項18から23のいずれか1項に記載の方法であって、前記ゾルを前記基材上にさらに堆積させて、第1の透明な導電性酸化皮膜から不連続な第2の透明な導電性酸化皮膜を形成することを特徴とする方法。
- 請求項18から24のいずれか1項に記載の方法であって、前記ゾルを、インクジェット印刷、スプレー印刷、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレードコーティング、スクリーン印刷/コーティング、グラビア印刷/コーティング、彫刻ロール印刷/コーティング、コンマバー印刷/コーティング、マイクロローラー印刷/コーティング、ナノインプリント印刷、バースプレッディング、浸漬コーティング、接触コーティング、非接触コーティング、またはこれらの組み合わせを使用して堆積させることを特徴とする方法。
- 基材上に透明な導電性酸化皮膜を形成する方法であって、
前記基材の表面エネルギーを低減するステップと、
前記透明な導電性酸化物の量子ドットを準備するステップと、
前記基材上に前記量子ドットを堆積させて、透明な導電性酸化皮膜を形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。 - 請求項26に記載の方法であって、前記基材の表面エネルギーを低減するステップが、
前記基材にUV照射することを含むことを特徴とする方法。 - 請求項26または27に記載の方法であって、前記透明な導電性酸化皮膜が特別の配置、パターンまたはデザインであるように、前記量子ドットを前記基材上に堆積させることを特徴とする方法。
- 請求項26から28のいずれか1項に記載の方法であって、前記量子ドットを前記基材上にさらに堆積させて、第1の透明な導電性酸化皮膜から不連続である、第2の透明な導電性酸化皮膜を形成することを特徴とする方法。
- 請求項26から29のいずれか1項に記載の方法であって、前記量子ドットを前記基材上にさらに堆積させて、より厚い透明な導電性酸化皮膜を形成することを特徴とする方法。
- 請求項26から30のいずれか1項に記載の方法であって、前記透明な導電性酸化皮膜を周囲条件で乾燥させることを特徴とする方法。
- 請求項26から31のいずれか1項に記載の方法であって、前記透明な導電性酸化皮膜をUV照射によって乾燥させることを特徴とする方法。
- 請求項26から32のいずれか1項に記載の方法であって、前記量子ドットを溶媒中に分散させて、前記量子ドットを含む透明なゾルを形成し、前記ゾルを前記基材上に堆積させて、前記透明な導電性酸化皮膜を形成することを特徴とする方法。
- 請求項33に記載の方法であって、前記基材上への前記ゾルの堆積の前に、前記ゾルを改質して、前記ゾルの表面張力を低減することを特徴とする方法。
- 請求項33または34に記載の方法であって、前記ゾルを、インクジェット印刷、スプレー印刷、スクリーン印刷/コーティング、グラビア印刷/コーティング、彫刻ロール印刷/コーティング、コンマバー印刷/コーティング、マイクロローラー印刷/コーティング、ナノインプリント印刷、スピンコーティング、スロットダイコーティング、ドクターブレードコーティング、バースプレッディング、浸漬コーティング、接触コーティング、非接触コーティング、またはこれらの組み合わせを使用して堆積させることを特徴とする方法。
- 請求項26から35のいずれか1項に記載の方法であって、前記量子ドットを、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法によって形成することを特徴とする方法。
- 請求項26から36のいずれか1項に記載の透明な導電性酸化皮膜を含むことを特徴とする基材。
- 請求項37に記載の基材であって、前記透明な導電性酸化皮膜を、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法によって形成された酸化物量子ドットから形成することを特徴とする基材。
- 請求項37または38に記載の基材であって、前記基材が透明であることを特徴とする基材。
- 請求項37から39のいずれか1項に記載の基材の使用であって、フロントガラス、風防ガラス、窓またはガラスペインとしてであることを特徴とする基材の使用。
- 請求項40に記載の基材の使用であって、前記基材用の防曇もしくは防氷として作用するようにまたは前記基材を除曇もしくは除氷するために、前記透明な導電性酸化皮膜を使用して、前記基材を加熱することを特徴とする基材の使用。
- 請求項40または41に記載の基材の使用であって、前記透明な導電性酸化皮膜が電磁周波数レシーバーとして作用することを特徴とする基材の使用。
- 溶媒中に分散された酸化物量子ドットを含む組成物であって、前記酸化物量子ドットが結晶質であることを特徴とする組成物。
- 請求項43に記載の組成物であって、界面活性剤をさらに含むことを特徴とする組成物。
- 透明な導電性酸化皮膜を含む基材であって、前記皮膜が結晶質である酸化物量子ドットを含むことを特徴とする基材。
- 請求項45に記載の基材であって、前記酸化物量子ドットが、溶媒中に分散されて、前記基材に塗布されることを特徴とする基材。
- 請求項46に記載の基材であって、前記溶媒中に分散させる前に、前記酸化物量子ドットが結晶質であることを特徴とする基材。
- 請求項45から47のいずれか1項に記載の基材であって、前記基材がケイ素、ガラス、ポリマーまたは複合材料を含むことを特徴とする基材。
- 請求項45から48のいずれか1項に記載の基材であって、前記基材が透明であることを特徴とする基材。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
AU2015903020A AU2015903020A0 (en) | 2015-07-29 | A method of forming oxide quantum dots and uses thereof | |
AU2015903020 | 2015-07-29 | ||
PCT/AU2016/050686 WO2017015723A2 (en) | 2015-07-29 | 2016-07-29 | A method of forming oxide quantum dots and uses thereof |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018532685A true JP2018532685A (ja) | 2018-11-08 |
Family
ID=57883863
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018524510A Pending JP2018532685A (ja) | 2015-07-29 | 2016-07-29 | 酸化物量子ドットを形成する方法およびその使用 |
Country Status (6)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20180201831A1 (ja) |
EP (1) | EP3328788A4 (ja) |
JP (1) | JP2018532685A (ja) |
CN (1) | CN106409429A (ja) |
AU (1) | AU2016300220A1 (ja) |
WO (1) | WO2017015723A2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019006498A1 (en) * | 2017-07-03 | 2019-01-10 | Newsouth Innovations Pty Limited | METHOD FOR FORMING QUANTUM OXIDE POINTS AND USES THEREOF |
CN112635642B (zh) * | 2020-12-21 | 2022-08-02 | 深圳扑浪创新科技有限公司 | 一种基于量子点电沉积的显示装置及其应用 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4263581B2 (ja) * | 2002-10-30 | 2009-05-13 | ハンヤン ハク ウォン カンパニー,リミテッド | 金属薄膜または金属粉末を利用した金属酸化物量子点形成方法 |
KR20060085465A (ko) * | 2005-01-24 | 2006-07-27 | 삼성전자주식회사 | 연속상 반도체 전극, 그의 제조방법 및 이를 채용한태양전지 |
JP2011509312A (ja) * | 2007-09-25 | 2011-03-24 | ザ テキサス エー アンド エム ユニバーシティ システム | 制御された凝集体サイズを有する水溶性ナノ粒子 |
CN101887849B (zh) * | 2010-06-29 | 2011-12-21 | 上海大学 | 两步沉积法制备ZnO薄膜的方法及其装置 |
-
2016
- 2016-07-29 JP JP2018524510A patent/JP2018532685A/ja active Pending
- 2016-07-29 AU AU2016300220A patent/AU2016300220A1/en not_active Abandoned
- 2016-07-29 CN CN201610640251.5A patent/CN106409429A/zh active Pending
- 2016-07-29 EP EP16829510.3A patent/EP3328788A4/en not_active Withdrawn
- 2016-07-29 US US15/748,334 patent/US20180201831A1/en not_active Abandoned
- 2016-07-29 WO PCT/AU2016/050686 patent/WO2017015723A2/en active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP3328788A4 (en) | 2019-05-22 |
AU2016300220A1 (en) | 2018-03-01 |
CN106409429A (zh) | 2017-02-15 |
WO2017015723A3 (en) | 2017-04-06 |
US20180201831A1 (en) | 2018-07-19 |
WO2017015723A2 (en) | 2017-02-02 |
EP3328788A2 (en) | 2018-06-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101736527B1 (ko) | 코팅된 물품의 제조방법, 합금화된 카본 나노튜브 박막을 포함하는 코팅 | |
KR101837212B1 (ko) | 도핑된 카본 나노튜브들 및 나노 와이어 복합체들을 포함하는 대면적 투명 전도성 코팅들 및 그 제조방법들 | |
KR101861862B1 (ko) | 카본 나노튜브들 및 나노 와이어 복합체들을 포함하는 투명 전도성 코팅들을 포함하는 전자 디바이스들 및 그 제조방법들 | |
JP2021167425A (ja) | 融着ネットワークを有する透明導電性フィルムの形成のための金属ナノワイヤーインク | |
FR2936361A1 (fr) | Procede de fabrication d'une grille submillimetrique electroconductrice, grille submillimetrique electroconductrice | |
EP2326601B1 (fr) | Procede de fabrication d'une grille submillimetrique electroconductrice revetue d'une surgrille et grille submillimetrique electroconductrice revetue d'une surgrille | |
US8697186B2 (en) | Method for manufacturing a mask having submillimetric apertures for a submillimetric electrically conductive grid, and mask and submillimetric electrically conductive grid | |
CN105761774A (zh) | 一种可用于智能液晶调光膜的新型电极材料及其制备方法 | |
Wang et al. | Flexible, transparent, and conductive defrosting glass | |
FR2936358A1 (fr) | Procede de fabrication d'un masque a ouvertures submillimetriques pour grille electroconductrice submillimetrique, masque a ouverture submillimetriques, grille electroconductrice submillimetrique. | |
JP2018532685A (ja) | 酸化物量子ドットを形成する方法およびその使用 | |
WO2016114389A1 (ja) | 導電積層体および導電積層体の製造方法 | |
JP2013152928A (ja) | 透明導電膜 | |
US20170369364A1 (en) | Stacks including sol-gel layers and methods of forming thereof | |
RU2577174C1 (ru) | Покрытие для фотовольтаической ячейки и способ его изготовления | |
CN110783012A (zh) | 氧化物量子点前体溶胶及相关组合物、方法和用途 | |
CN109423283A (zh) | 一种形成氧化物量子点的方法及其用途 | |
Jeong et al. | Rapid Drying Principle for High‐speed, Pinhole‐Less, Uniform Wet Deposition Protocols of Water‐Dispersed 2D Materials | |
JP2008288190A (ja) | 導電体及びその製造方法、並びにその導電体を備える積層体の製造方法 | |
JP2012030592A (ja) | シリカ多孔質膜を有する積層体及びその製造方法 | |
WO2019006498A9 (en) | METHOD FOR FORMING QUANTUM OXIDE POINTS AND USES THEREOF | |
WO2006046431A1 (ja) | 無機塗料組成物、導電性塗膜及び導電性塗膜の形成方法 |