図1、図2及び図3において、番号1は、全体として硬質なシガレット箱を示す。シガレット箱1は、厚紙又は硬質な板紙で作られたカップ形外側容器2と、容器2内部に収納された密封ラップ3(図4により良く示す)と、を備える。密封ラップ3は、平行六面体形のシガレット群4(図5により良く示す)を囲繞し、上面にかつ前面にシガレット引出し開口部5を有する。シガレット引出し開口部5は、中央に配置され、「開閉式」シールパネル6によって閉鎖され、シールパネルは、密封ラップ3の前面壁の一部分及び密封ラップ3の上面壁の一部分を含む。シールパネル6は、通常は引出し開口部5の周りに配置された密封ラップ3の部分に付着して引出し開口部5を閉鎖(封止)し、そして、一時的に引き上げられて引出し開口部5を解放し、したがって引出し開口部5自体を通じたシガレットの引き出しを可能にする。
不図示の異なる実施形態によれば、シガレット引出し開口部5は、密封ラップ3の上部全体を含み、シールパネル6が不在であり、密封ラップ3は、密封ラップ3の上部を取り除いて引出し開口部5を解放できるようにする切取りストリップを備える。言い換えると、シガレット箱1が最初に開封されるとき、使用者は、切取りストリップを引っ張って密封ラップ3の上部を取り除いて、したがって引出し開口部5を解放する。
外側容器2は、開放上端7を有し、カップ形蓋8を備える。蓋は、開放上端7の開放位置(図2及び図3に示される)と閉鎖位置(図1に示される)との間で容器2に対して回転するように、蝶番9に沿って容器2に蝶番式に接続される。
蓋8は、閉鎖位置に在るとき、外側容器2に、相互に平行でかつ対向する上壁及び底壁と、相互に平行でかつ対向する前壁及び後壁(ここに蝶番9が形成される)と、相互に平行でかつ対向する2つの側壁と、を有する、直方体形状を与える。側壁と、前壁及び後壁と、の間には、4つの縦縁が画定され、上壁及び底壁と、前壁、後壁及び側壁と、の間には、8つの横縁が画定される。
図6に示すように、密封ラップ3は、U字形補強要素10を備え、補強要素は、厚紙又は硬質な板紙(外側容器2を形成する厚紙又は硬質板紙に非常に類似)で作られ、シガレット群4と接触して密封ラップ3の内側に配置される。補強要素10は、シガレット群4の前壁と接触して配置される実質的に長方形の前壁11と、前壁11の両側に接続されかつシガレット群4の側壁と接触して配置される2つの側壁12と、を備える。前壁11は、U字形窓を有する。U字形窓は、上部に配置され、縁13によって画定され、かつ、シガレット群4の前壁の上部エリアを露出させるので、シガレット群4からのシガレットの引き抜きを容易にする。
補強要素10の機能は、より優れた硬さ及びより優れた形状安定性を密封ラップ3に与えて、密封ラップ3に収容されたシガレットの一部が引き抜かれた後にラップ3がつぶれて、したがって残っているシガレットの引き抜きを困難にしかつシールパネル6の開放及びその後の再閉鎖を困難にするのを防止することである。補強要素10の付加的機能は、密封ラップ3の形成及び処理の間に、シガレットに対して適切な機械的保護を与えることである。最後に、補強要素10の他の機能は、蓋8を閉鎖位置に維持することである。なぜなら、蓋8は、閉鎖位置から開放位置へ(及びその逆へ)シフトするためには、補強要素10の上前部を弾性的に僅かに変形しなければならないからである。
図7に示すように、密封ラップ3は、長方形の熱融着可能な包装材料のシート14を折り畳むことによって得られる。包装材料は、補強要素10に囲繞されたシガレット群4の周りで折り畳まれ、一体折り畳まれると、熱融着によって固定される(即ち、包装材料のシート14の重なり部分は、熱融着によって一緒に安定的に接続される)。包装材料のシート14は、引出し開口部5を画定するU字形の切込み15を有する。切込み15は、起点からの貫通切込みとすることができる。即ち、起点から、切込み15は、一方の面から他方の面へ完全に包装材料のシート14の厚み全体を横切る。この実施形態において、密封ラップ3の気密封止は、切込み15を完全に被覆するシールパネル6によって保証される。
代替的に、切込み15は、非貫通切込みとすることができる。即ち、当初、切込み15は、包装材料のシート14の厚みの一部のみを含み、包装材料のシート14の厚みの残り部分は完全に一体的に残す。この実施形態において、切込み15は、包装材料のシート14に対して当初は非貫通切込みであり、密封ラップ3が最初に開封されたとき貫通切込みになる(包装材料のシート14の当初一体的に残る部分を切り裂くことによって)。即ち、密封ラップ3の最初の開封(即ち、シールパネル6の最初の持ち上げ)のみが、切込み15に沿った包装材料のシート14の完全な切り裂きを生じる。切込み15が当初は非貫通切込みであるこの実施形態は、シールパネル6と一緒の場合及びシールパネル6がない場合の両方において使用できる。なぜなら、密封ラップ3の気密封止は、切込み15が当初は非貫通切込みであるという事実によって保証されるからである。例えば、シールパネル6がない場合、切込み15内部の包装材料のシート14を持ち上げるためにグリップタブを引出し開口部5に接着することができる、又は、引出し開口部5を蓋8の前壁の内面に接着して、蓋8の開放と組み合わせて引出し開口部5の「自動」開放を得ることができる。
また、長方形のシールパネル6を、包装材料のシート14に接着して、完全に切込み15(即ち、引出し開口部5)を被覆する。シールパネル6と包装材料のシート14との間には、感圧再付着性接着剤16(pressure-sensitive repositionable adhesive)(即ち乾燥しない)が配置される。感圧再付着性接着剤は、長時間経た後でも、シールパネル6を包装材料のシート14から分離し、その後シールパネル6を包装材料のシート14に多数回結合することを可能にする。
シールパネル6と包装材料のシート14との間の感圧再付着性接着剤16(即ち乾燥しない)の存在は、切込み15を取り囲む(即ち、引出し開口部5を取り囲む)包装材料のシート14の部分とシールパネル6との間の一時的な接着(即ち、使用時には分離される)をもたらし、通常はシールパネル6を包装材料のシート14との接触に維持して、引出し開口部5を閉鎖(封止)する。さらに、シールパネル6と包装材料のシート14との間の感圧再付着性接着剤16(即ち乾燥しない)の存在は、切込み15によって囲繞される(即ち、引出し開口部5における)包装材料のシート14の部分の、シールパネル6に対する機能的には永久的な接着(即ち、使用時にも決して分離されない)をもたらし、それによって、シールパネル6が包装材料のシート14から持ち上げられたとき、切込み15によって囲繞された(即ち、引出し開口部5における)シールパネル6の部分は、シールパネル6と一緒に持ち上げられて、引出し開口部5を解放する。当然、2つの部品の間の機械的接続を強化するために、切込み15内側において(即ち、引出し開口部5において)シールパネル6と包装材料のシート14との間に配置される非分離性永久接着剤(即ち乾燥する)を使用することも可能である。切込み15内側における(開口部5における)シールパネル6と包装材料のシート14との間の非分離性永久接着剤の存在は、切込み15が当初は非貫通切込みである場合、当初は非貫通の切込み15の切取り抵抗に打ち勝つために必要とされる。
シールパネル6は、2つのグリップタブ17を備え、その各々は、包装材料のシート14に対面する側(即ち、包装材料のシート14の前方に位置する表面)に感圧再付着性接着剤16(即ち、乾燥しない)を持たず、引出し開口部5付近でかつ引出し開口部5自体の下方に配置される。各グリップタブ17は、シールパネル6自体が持ち上げられるときに、シールパネル6の握りを容易にするのに適する。言い換えると、シールパネル6を持ち上げる際、使用者は、グリップタブ17を容易に握ることができ、タブは、シールパネル6の他の残り部分とは対照的に、包装材料のシート14に決して固定されない。
図4に示すように、かつ、本発明の一部ではない実施形態によれば、密封ラップ3は、通路孔18を備える。通路孔は、密封ラップ3の前壁を貫通して形成されて、密封ラップ3内部に収容される空気の一部を吸引して密封ラップ3自体を減圧できるようにする。図4に示す実施形態において、通路孔18は、密封ラップ3の前壁を貫通して形成されるが、通路孔18が、密封ラップ3の任意の他の壁(上壁、底壁、側壁、後壁)に形成できることは明らかである。いずれの場合にも、通路孔18は、補強要素10に、即ち、下に在る補強要素10に支えられる密封ラップ3のエリアに、形成されることが好ましい。実際、密封ラップ3内部に収容された空気の一部の吸引時に、吸引装置は、通路孔18の周りの密封ラップ3にある程度の機械的圧力を加えて乗り、したがって、通路孔18において下に在る補強要素10の存在は、吸引装置によって加えられる機械的圧力が、密封ラップ3内部に収容されたシガレットを損傷することを防止する(即ち、補強要素10は、密封ラップ3内部に収容されたシガレットを、吸引装置によって加えられる機械的圧力から保護する)。
さらに、密封ラップ3は、一方向空気弁19を備える。一方向空気弁は、通路孔18に重なり、密封ラップ3と外部環境との間のいかなる気体の通過も許容しないように、通路孔18を通常は外部環境から分離状態に維持する機能を有する。空気弁19は、通常は、閉鎖され(即ち、通常は通路孔18を気密に封止して、通路孔18を外部環境から分離する)、密封ラップ3自体を減圧するために密封ラップ3内部に収容される空気を吸引するステップの間のみだけ、一時的に開放される(即ち、通路孔18と外部環境との間の自由な流通を可能にする)。
図8〜図11に示すように、空気弁19は、通路孔18が気密に封止されて通路孔18を外部環境から分離する閉鎖位置(図8及び図10に示す)と、通路孔18と外部環境との間の自由な流通を許容する開放位置(図9に示す)と、の間で移動可能な弁要素20を備える。
図8及び図9に示すように、包装材料のシート14は、多層式であり、プラスチック材料(熱融着可能な熱可塑性タイプ)の内側層21と、プラスチック材料(熱融着可能な熱可塑性タイプ)の外側層22と、を備え、両方の層は、重なって、相互に接着されて、両方とも包装材料のシート14の全体表面にシームレスに広がる。2つの層21及び22の間には、非分離性永久接着剤23が配置され、接着剤23は、図11に示すように、弁要素20が配置されるエリアを除いて(即ち、空気弁19が配置されるエリアを除いて)、包装材料のシート14全体に広がる。永久接着剤23は、乾燥する接着剤であり、したがって、ひとたび乾燥すると(即ちその塗布後短時間で)、2つの層21及び22の間のいかなる分離も許容しない(最終的なかつ再組み立て不能な分断後でなければ)。弁要素20が配置されるエリア(即ち空気弁19が配置されるエリア)において、2つの層21及び22の間には、感圧再付着性接着剤24(即ち、乾燥せず、したがってシールパネル6に使用される再付着性接着剤と同じタイプ)が配置され、長時間経ても、2つの層21及び22を、多数回、局部的に分離でき、その後2つの層21及び22を再結合できるようにする。
図8、図9及び図10に良く示すように、通路孔18は、包装材料のシート14の内側層21のみを貫通して形成される。即ち、通路孔18は、包装材料のシート14の内側層21を貫通するが、包装材料のシート14の外側層22は決して含まない。また、空気弁19の弁要素20は、U字形貫通切込み25によって外側層22の残りの部分から分離されかつ再付着性接着剤24によって下に在る内側層21に接続された外側層22(かつ外側層22のみ)の部分から成る。添付図面に示す実施形態において、(図7に示すように)U字形貫通切込み25は尖端に鋭いエッジを形成するが、代替のかつ完全に同等の実施形態において、U字形貫通切込み25は、尖端に丸みのある形状を有することができる、又は、相互に対して角度を成すいくつかの直線線分の結合によって形成された折れ線の形状を有することができる。
通常、空気弁19に配置される再付着性接着剤24は、通路孔18を気密に封止することによって、即ち、(図8に示すように)通路孔18を外部環境から分離することによって、空気弁19の弁要素20と包装材料の内側シート14の下に在る層21との密着を維持する。空気弁19の弁要素20に適切な持上げ力(典型的には、吸引効果による又は機械的作用による)が加えられたとき、空気弁19の弁要素20は、包装材料のシート14の下に在る内側層21から持ち上げられ(したがって、再付着性接着剤24は、その接合作用を停止する)、(図9に示すように)通路孔18と外部環境との間の自由な流通を可能にする。空気弁19の弁要素20に作用する持上げ力が停止すると、弁要素20は、(図8に示すように、かつ、任意に機械的プレッサの助けによって)再び包装材料のシート14の下に在る内側層21の上に乗って、再付着性接着剤24の接合作用によって空気弁19の新たな閉鎖をもたらす。
上述の実施形態において、比較的大きいサイズの通路孔18が1つだけあり、空気弁19は、通路孔18に直接結合される単一の弁要素20を有する(即ち、通路孔18に重なる)。代替のかつ完全に同等の実施形態によれば、より小さいサイズの複数の通路孔18があり、空気弁19は、より多くの弁要素20を有し、その各々が、対応する通路孔18に直接結合される(即ち、通路孔18に重なる)。更なるかつ完全に同等の実施形態によれば、比較的大きいサイズの通路孔18が1つだけあり、空気弁19は、より多くの弁要素20を有し、その各々が、通路孔18の周りに配置される(即ち、弁要素20は、通路孔18の周りに均等に分布する)。
上述の実施形態において、空気弁19に配置される接着剤24は、感圧再付着性接着剤(即ち、乾燥しない)である。この実施形態において、空気弁19は、多目的である。即ち、閉鎖位置から開放位置へ及びその逆に数回切り替えることができるので、多数回使用できる。代替実施形態によれば、空気弁19に配置される接着剤24は、当初は不活性であり、熱によって活性化する接着剤である、即ち、最初に塗布したときは包装材料のシート14の2つの層21及び22の間にいかなるタイプの付着も生じず、包装材料のシート14の2つの層21及び22の間に永久接着(即ち再組み立て不能な分断によらなければもはや分離できない)を生じるために、加熱によって活性化できる接着剤である。この実施形態において、空気弁19は、使い捨てである、又は、加熱によってひとたび接着剤24が活性化されると、もはや空気弁19自体を再開放できないので、1回のみ使用され得る。
上述のように、通路孔18は、密封ラップ3の前壁を貫通して形成され、さらに補強要素10の前壁11に重なる。いずれの場合にも、通路孔18を通じて空気を吸引することによって、空気は通路孔18に到達して、密封ラップ3の内面と補強要素10の外面との間に形成された空間を流れるので、補強要素10は、通路孔18において孔無しとすることができる。但し、この実施形態においては、通路孔18に到達するために密封ラップ3内部で空気が「蛇行」経路をたどることによって生じる圧力損失を改善するために、より大きい吸引低気圧(suction depression)を与える必要がある。図6に破線で示す好ましい実施形態によれば、補強要素10の前壁11は、通路孔18に配置された(即ち、通路孔18と整列する)貫通孔26を有し、通路孔18へ向かう密封ラップ3内部のより直接的な空気の流れを可能にする。
図6並びに図8、図9及び図10に示す好ましい実施形態によれば、補強要素10の貫通孔26の周りに非分離性永久接着剤27が塗布されて、包装材料のシート14と下に在る補強要素10との間(即ち、包装材料のシート14の内側層21の底面と補強要素10の前壁11の上面との間)に局部的に永久接着を生じる。永久接着剤27の機能は、持上げ力が空気弁19の弁要素20に加えられるとき、空気弁19の弁要素20のみが包装材料の内側シート14の下に在る層21から有し上がるように、空気弁19において(即ち補強要素10の貫通孔26の周りで)補強要素10の内側層21を下に在る包装材料のシート14に接合することである。言い換えると、永久接着剤27がないと、空気弁19の弁要素20に持上げ力が加えられるとき、包装材料のシート14全体(即ち、空気弁19の弁要素20及び下に在る内側層21の両方)が、空気弁19の弁要素20と包装材料のシート14の下に在る内側層21との間に所望の分離を生じずに持ち上げられる可能性があるが、永久接着剤27の存在は、包装材料のシート14の内側層21を、下に在る補強要素10に機械的に接合して、包装材料のシート14の内側層21が持ち上がるのを防止し、それによって、空気弁19の弁要素20に持上げ力が加えられたときに空気弁19が適切に開放できるようにする。
好ましいが非限定的な実施形態によれば、通路孔18は、包装材料のシート14の2つの層21及び22を互いに結合する前に、包装材料のシート14の内側層21を貫通して形成される。同様に、弁要素20を画定する貫通切込み25は、包装材料のシート14の2つの層21及び22を互いに結合する前に、包装材料のシート14の外側層22を貫通して形成される。このように、通路孔18及び貫通切込み25の形成は、非常に単純であり、通常の機械的操作によって実施できる。包装材料のシート14の2つの層21及び22が重ねられたとき、小さな逸脱は空気弁19の機能性を全く変化させないので、通路孔18と弁要素20を画定する貫通切込み25との間の相対的位置付けに高度な精度は要求されないことに言及することは重要である。代替的に、通路孔18及び貫通切込み25は、2つの層21及び22が互いに結合された後に包装材料のシート14に形成できる。この場合、包装材料のシート14の厚み全体の一部のみの高精度な切断を可能にするレーザー加工を使用する必要がある。
図7〜図11に示す実施形態において、一方向空気弁19は、密封ラップ3自体を減圧するために、密封ラップ3内部から外部環境へ向かうガスの流れのみを許容する。即ち、一方向空気弁19は、密封ラップ3自体を減圧するために、密封ラップ3内部に収容された空気の一部を吸引することのみ許容する。したがって、一方向空気弁19は、密封ラップ3に大気圧(即ち、周囲圧力)より低い内圧を与えるために使用される。特に、一方向空気弁19は、密封ラップ3内部に収容された空気の一部を吸引して、したがって密封ラップ3自体を減圧するために使用される。好ましくは、密封ラップ3内部の真空(即ち、密封ラップ3内部と大気圧との間の圧力差)は、5kPa(0.05バール)未満であり、一般的には、1kPa(0.01バール)と2kPa(0.02バール)との間に含まれる。補強要素10によって保証されるシガレット群4の機械的保護が大きくなると、それだけ密封ラップ3内部の真空を大きくできることに言及することは重要である。補強要素10によって保証されるシガレット群4の機械的保護を増大するために(したがって、密封ラップ3内部の真空を増大するために)、補強要素10は、全体的により大きい機械的強度を有する管状形状を補強要素10に与える、後壁を備えることもできる。
本発明の一部である図12〜図14に示す代替実施形態において、一方向空気弁19は、「逆転」する。即ち、密封ラップ3を加圧するために、外部環境から密封ラップ3の内部へ向かうガスの流れのみを許容する。即ち、一方向空気弁19は、密封ラップ3を加圧するために、密封ラップ3内部にガス(典型的には窒素などの不活性ガス)をポンプ式に供給することのみを許容する。したがって、一方向空気弁19は、密封ラップ3に大気圧(即ち、周囲圧力)より高い内圧を与えるために使用される。典型的には、密封ラップ3において、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン又は二酸化炭素)は、所望の過圧が得られるまでポンプ式に供給される。滅菌化合物及び/又は芳香化合物を不活性ガスに添加できる(例えば、メンソールの香り、たばこの香り、コーヒーの香り、アニスの香りを備える)。好ましくは、密封ラップ3内の加圧(即ち、密封ラップ3内部と大気圧との間の圧力差)は、15kPa(0.15バール)未満であり、一般的には5kPa(0.05バール)〜10kPa(0.10バール)の間である。
図7〜図11に示す実施形態において、通路孔18は、包装材料のシート14の内側層21のみを貫通して形成される。即ち、通路孔18は、包装材料のシート14の内側層21を貫通するが、包装材料のシート14の外側層22を全く含まない。一方、図7〜図11に示す実施形態において、通路孔18は、包装材料のシート14の外側層22のみを貫通して形成される。即ち、通路孔18は、包装材料のシート14の外側層22を貫通するが、包装材料のシート14の内側層21を全く含まない。
図7〜図11に示す実施形態において、空気弁19の弁要素20は、U字形の貫通切込み25によって外側層22の残りの部分から分離されかつ再付着性接着剤24によって下に在る内側層21に接続される外側層22(かつ外側層22のみ)の一部分から成る。一方、図7〜図11に示す実施形態において、空気弁19の弁要素20は、U字形の貫通切込み25によって内側層21の残りの部分から分離されかつ再付着性接着剤24によって上に在る外側層22に接続される内側層21(かつ内側層21のみ)の一部分から成る。
図7〜図11に示す実施形態において、包装材料のシート14の外側層22は、内側層22の厚みより小さい厚みを有する。なぜなら、このようにして、空気弁19の弁要素20は、より小さい機械的慣性を有しかつより変形し易く、その作動をより効果的にする。同様に、図7〜図11に示す実施形態において、包装材料のシート14の外側層22は、内側層21の厚みより大きい厚みを有する。
上述の実施形態において、密封ラップ3の減圧又は加圧は、対応する空気弁19によって得られる。空気弁19を通じて、密封ラップ3を通じたガスの通過(出入り)が得られる。別の実施形態によれば、密封ラップ3は、全く空気弁19を持たず、密封ラップ3の減圧又は加圧は、活性要素によって得られる。活性要素は、密封ラップ3自体が完全に閉鎖される前に密封ラップ3内部に挿入され、密封ラップ3内部に収容されたガスの量をゆっくりと(即ち、数秒間、数分間又は数時間で)吸収する(密封ラップ3を減圧する)、又は、密封ラップ3内にガスをゆっくりと(即ち、数秒間、数分間又は数時間で)解放する(密封ラップ3を加圧する)。
例えば、活性要素は、液体状態(液体窒素、液体アルゴン)又は固体状態(ドライアイス、即ち固体二酸化炭素)の不活性ガスから成り、不活性ガスは、当初は冷たく(即ち、周囲温度より著しく冷たくゼロ度より低い)、温めることによって(周囲熱によって)密封ラップ3内で蒸発して、それによって密封ラップ3自体の内圧を増大する。この場合、活性要素は、最終封止の直前に(即ち、最終封止を行う溶接機のすぐ上流で)密封ラップ3に挿入される。
代替的に、活性要素は、酸素と接触すると化学反応によって酸化して(即ち、酸素と結合して)、初期状態より大きいガスの体積を発生する(密封ラップ3を加圧する)ことができる、又は、初期状態より小さいガスの体積を生じる(密封ラップ3を減圧する)ことができる、物質から構成されることができる。当該実施形態は、密封ラップ3の開封(及びその後の閉鎖)ごとに密封ラップ3を繰り返し加圧/減圧できるようにする。実際、密封ラップ3の開封(及びその後の閉鎖)ごとに、新たな酸素が密封ラップ3内部に進入して、密封ラップ3を加圧/減圧する化学反応を反復できるようにする。例えば、活性要素は、いわゆる「脱酸素剤」即ち自発的に酸化できる要素を含み、したがって密封ラップ3内部の分子酸素内容物を捕捉できる(例えば、食品部門において最も良く使用される脱酸素剤は、鉄系(iron-based)である)。言い換えると、脱酸素要素は、密封ラップ3内部に挿入され、密封ラップ3が気密的に閉鎖された後ゆっくりと(即ち数分又は数十分の期間で)密封ラップ3自体の内部に収容された分子酸素の少なくとも一部を消費して、したがって密封ラップ3の内圧を減少する。この場合、活性要素は、密封ラップ3内部に導入される別個の挿入物に収容されることができる、又は、補強要素によって及び/若しくは包装材料のシート14の内面によって収容されることができる(この場合、脱酸素要素は、補強要素10及び/又は包装材料のシート14の内面の表面処理によって及びナノテクノロジーによって塗布される)。
本発明によれば、密封ラップ3において、揮発性芳香物質(例えば、たばこの香り)が挿入される。揮発性芳香物質は、シガレット群から独立しており、かつ、密封ラップ3内部に徐々に解放されて、密封ラップ3が最初に開封されたとき、密封ラップ3から出る。揮発性芳香物質は、密封ラップ3の内圧が大気圧(即ち、周囲圧力)より高いときに密封ラップ3に挿入される。なぜなら、このようにして、最初に密封ラップ3が開封されたとき、密封ラップ3内部に収容されたガスのかなりの部分が密封ラップ3の内部過圧のために外へ出て、揮発した芳香物質のかなりの量がシガレット箱1の周りに拡散して、その結果、密封ラップ3が最初に開封されたとき、使用者は、シガレット箱1から出て来る非常に強い芳香を感じて、強いポジティブな感じを受ける。言い換えると、密封ラップ3が最初に開封されるとき、密封ラップ3の内部過圧は、密封ラップ3に収容された揮発した芳香物質の効率的かつ効果的なディフューザとして作用する。このような解決法は、特に、密封ラップ3が、従来のシガレット群4ではなく、刻みタバコを含まずしたがって限られた香り(従来のシガレットの香りに比べて)又は全く香りのない新世代のたばこ製品の群を受け入れるときに有利である。
揮発性芳香物質は、過圧が得られるときに気体状態で密封ラップ3の中へポンプ式に供給されることができる、又は、密封ラップ3の中で芳香物質の(比較的ゆっくりな)揮発が得られるように液体又は固体状態で密封ラップ3に挿入されることができる。例えば、芳香物質は、シガレット群4の周りに包装材料のシート14を折り畳む直前に包装材料のシート14に液体状態で噴霧されてもよく、補強要素10(厚紙で作られて、透過性であり、特に液体状態の揮発性芳香物質を吸収するのに適する)に含浸されることができる、又は、シガレット群4の周りに包装材料のシート14を折り畳む前にシガレット群4に結合される透過性支持体に含浸されてもよい。
密封ラップ3が内部に大気圧(即ち、周囲圧力)と異なる圧力を与えられるとき、密封ラップ3自体が、その内圧と大気圧(即ち、外部環境の圧力)との間の差によって変形する。特に、密封ラップ3が減圧されるとき、大気圧は、密封ラップの内容物を圧迫することによって、密封ラップ3をその内容物(即ちシガレット群4)に付着させる。一方、密封ラップ3が加圧される場合、密封ラップ3自体が、膨張する。密封ラップ内部3と大気圧との間の圧力差によるこのような密封ラップ3の変形は、密封ラップ3自体に比較的不快な外見を与える可能性があるので、この変形を抑制することが好都合であり得る。
圧力差による密封ラップ3の変形を抑制するための1つの可能性は、密封ラップ3のいくつかの部分(当然、引出し開口部5の範囲外)を補強要素10及び/又は外側容器2(当然、蓋8ではなく)に機械的に接合することである(典型的には接着によるが、熱融着も可能)。このようにして、密封ラップ3の有効長さが減少し、かつ、このようにして密封ラップ3の変形の可能性が著しく減少する。例えば、密封ラップ3の前壁(引出し開口部5の範囲外)及び/又は側壁は、それぞれ補強要素10の前壁11及び側壁12に機械的に接合(接着又は熱融着)されてもよい。これに加えて又は代替的に、密封ラップ3の前壁、側壁及び/又は後壁は、外側容器2の対応する壁に機械的に接合(接着又は熱融着)されることができる。補強要素10が上壁も備える場合、密封ラップ3の上壁(引出し開口部5の範囲外)を補強要素10の上壁に機械的に接合(接着又は熱融着)できる。
圧力差による密封ラップ3の変形を抑制する更なる可能性は、密封ラップ3の構成が完了した後に、密封ラップ3を熱収縮することである。このようにして、密封ラップ3の有効長さが減少し、したがって密封ラップ3の変形の可能性が減少する。当然、密封ラップ3の熱収縮は、シガレット群4を過剰に圧迫しないように即ちシガレット群4の損傷を避けるように、制限されるべきである。この点に関して、シガレット群4を取り囲む補強要素10は、シガレットにある程度の機械的保護を与えるので、シガレット群4を損傷する危険を冒さずに密封ラップ3を僅かに熱収縮させることができることに留意すべきである。シガレット群4の機械的保護を増大するために、補強要素10は、全体的により大きな機械的強度を有する管状形状を補強要素10自体に与える、後壁を有することもできる。
上述のように、密封ラップ3が大気圧(即ち周囲圧力)と異なる内圧を有するとき、密封ラップ3自体が、その内圧と大気圧との間の差の影響によって変形する。圧力差による密封ラップ3のこの変形は、蓋8が閉鎖しているとき(即ちシガレット箱1の開封前)には使用者に完全に不可視である。図15に示すように、蓋8が閉鎖しているときに(即ち、シガレット箱1の開封前に)も密封ラップ3の変形を外部から見えるようにするために、下に在る密封ラップ3の一部分を表示する貫通孔28を、外側容器2(又は可能な場合蓋8)に形成することができる。
可能な実施形態によれば、密封ラップ3が減圧される場合(即ち、密封ラップ3が大気圧より小さい内圧を有するとき)、貫通孔28に配置された補強要素10の部分は、密封ラップ3が減圧によって補強要素10に付着することにより強調される(即ち、密封ラップ3の外部から明確に見える)レリーフ状のパターン(アルファベット文字、記号、ロゴなど)を有するようにエンボス加工されてもよく、このようにして密封ラップ3が減圧されていることを強調できる。代替的に、密封ラップ3が減圧される場合(即ち、密封ラップ3が大気圧より低い内圧を有する場合)、補強要素10は、貫通孔28に完全に重なるように貫通孔28と同じ形状、サイズおよび位置を有する更なる貫通孔を有する。このようにして、貫通孔28において、密封ラップ3は、下に在るシガレット群4に付着して、密封ラップ3が減圧されていることを強調する。
図16〜19に示す可能な実施形態によれば、密封ラップ3が加圧される場合(即ち、密封ラップ3が大気圧より高い内圧を有する場合)、密封ラップ3は、貫通孔28に配置され、密封ラップ3の内圧によって変形(膨張)して、密封ラップ3の残りの部分から外向きに突出するのに適した変形可能部分29を有する。図16に示す実施形態によれば、変形可能部分29は、部分的に弱体化された包装材料のシート14の部分から成る。例えば、包装材料のシート14は、包装材料のシート14がシガレット群4の周りに折り畳まれる前に、機械的突っ張りによって誘発された非弾性変形によって局部的に弱体化される。図17、図18及び図19に示す実施形態によれば、変形可能部分29は、当初、包装材料のシート14から分離し、独立しており、一般的に、包装材料のシート14がシガレット群4の周りに折り畳まれる前に、包装材料のシート14に貼られる(接着又は熱融着される)。密封ラップ3(即ち、密封ラップ3を形成する包装材料のシート14)の変形可能部分29において、密封ラップ3は、変形可能部分29を密封ラップ3内部と接続して変形可能部分29が密封ラップ3内部の圧力に応じて変形できるようにする貫通孔30を有する(即ち、変形可能部分29が密封ラップ3の内圧と同じ圧力を共有できるようにする)。
図19に示す実施形態によれば、貫通孔28の周りに、外側容器2は、外側容器2の内向きに(即ち密封ラップ3へ向かって)湾曲する変形部を有する(例えば、エンボス加工によって作成される)。言い換えると、貫通孔28の周りに、外側容器2は、内向き凹部(即ち、密封ラップ3へ向かう)を有する。貫通孔28の周りの外側容器2のこの凹部は、密封ラップ3の変形可能部分29により大きな強調を与えることができる。
可能な実施形態によれば、変形可能部分29の外側部分及び/又は内側部分は、その幾何学的形態に応じて(又はその形状に応じて)外面に感じられる外見(例えば、色)を修正する回折格子を組み入れてもよい。このようにして、密封ラップ3の内圧が大気圧より大きいとき、変形可能部分29は、「膨張」し、したがって、外面に特定の形態(例えば、密封ラップ3の無欠性を示すための緑色)を有するように見える、一方、密封ラップ3の内圧が大気圧より小さいとき、変形可能部分29は、「しぼんで」、したがって、外面に異なる形態を有するように見える(例えば、密封ラップ3が開封されて、したがって加圧が失われたことを示す赤色)。
添付図面に示し上述した非限定的実施形態において、本発明のパックは、シガレット群4を収容するが、本発明のパックは、葉巻、電気又は電子シガレット(即ち、燃焼せずにエーロゾルを発生するシガレット)、電子シガレット用のカートリッジ及び詰め替え品、新世代シガレットなどの任意の他のタイプのたばこ製品を収容してもよい。
上述の密封ラップ3は、様々な利点を有する。
まず、密封ラップ3は、密封ラップ3の内圧が大気圧(即ち、周囲圧力)と異なるという事実のおかげで、内部に収容されたたばこ製品の官能的特徴をより効果的に保存することを可能にする。事実、密封ラップ3の内圧が大気圧と異なる場合、密封ラップ3に収容されるたばこ製品は、低酸素含有環境に維持される(なぜなら、減圧の際に酸素の一部が抜き取られたためである、又は、加圧の際に酸素の一部が不活性ガスによって置き換えられたためである)。
また、上述の密封ラップ3は、製造が単純でかつ安価でもある。なぜなら、既存の包装機械においても、密封ラップを減圧/加圧することは比較的容易なためである。
上述の欠点を軽減するために、米国特許第4300676号明細書においては、硬質のシガレット箱が提案されている。このシガレット箱において、内側ラップは、防水性であり、かつ、シガレット引出し開口部を有する防水性かつ熱融着可能な材料で作られた包装材料のシートで構成され、開口部は、再使用可能な閉鎖ラベルで閉鎖される。
国際公開第2009083344号は、本体と、押し上げ蓋と、を有し、かつ、気密封止を提供するために透明なプラスチック材料の連続な層によって被覆される、密閉容器を備える、タバコのためのパッケージを開示している。容器は、一方向弁を通じて窒素ガスによって加圧されることができる。